ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医政局が実施する検討会等> 「統合医療」のあり方に関する検討会> 第4回「統合医療」のあり方に関する検討会議事録




2012年10月5日 第4回「統合医療」のあり方に関する検討会議事録

○日時

平成24年10月5日(金) 13:00~15:00


○場所

厚生労働省専用第18~20会議室


○議題

1.「統合医療」の情報発信のあり方について
2.論点整理
3.その他

○議事

○佐々木調整官 お疲れさまでございます。
 まだ、お見えになられていない先生方がいらっしゃいますけれども、定刻になりましたので、ただいまより、第4回「『統合医療』のあり方に関する検討会」を開催いたします。
 構成員の皆様方におかれましては、御多忙のところ、本検討会に御出席いただきまして誠にありがとうございます。
 本日は、広井構成員、それから丸井構成員より、御欠席との御連絡をいただいております。
 それからまた、本日も特別参考人として関係者に御出席をいただいております。
 早稲田大学先端科学・健康医療融合研究機構客員准教授の大野智参考人です。
 大野参考人には、後ほど御発表いただく予定です。
 続きまして、事務局に異動がございましたので、紹介させていただきます。
 医政局長の原でございます。
○原医政局長 原でございます。よろしくお願いいたします。
○佐々木調整官 医政局総務課長の吉岡でございます。
○吉岡課長 吉岡でございます。よろしくお願いいたします。
○佐々木調整官 どうぞよろしくお願いします。
 それでは、お手元の資料を確認させていただきます。
 いつものとおり、議事次第、座席表、構成員名簿のほか、資料1としまして、梅垣構成員からの御提出資料。
 それから資料2としまして、大野参考人からの御提出資料で、プレゼン資料と別に「がんの補完代替医療ガイドブック」、それから「がんの補完代替医療(CAM)診療手引き」の現物をおつけしてございます。
 資料3が論点整理のぺーパー。
 資料4が「統合医療において近代西洋医学と組み合わせる療法」のポンチ絵でございます。
 それから、参考資料が2つございます。
 1つは、本日御欠席でございますけれども、広井構成員からの御提出資料。
 参考資料の2番目は、独立行政法人国民生活センターの「手技による医療類似行為の危害」といった報告書でございます。
 それから、あと伊藤構成員より第16回日本統合医療学会大阪大会のパンフレットを御提供いただいておりますので、お手元に配付させていただいております。
 以上となりますけれども、資料に不足等ございませんでしょうか。
 大丈夫でしょうか。
 議事に入る前に、参考資料を私の方から簡単に御紹介させていただきたいと思います。
 まず、参考資料1でございます。
 繰り返しになりますけれども、広井構成員からの御提出資料でございますけれども、これは10月1日付の『週刊社会保障』に広井構成員が御寄稿された「統合医療の重要性」と題する論文でございます。
 簡単に中身を申し上げますと、これまで近代西洋医学が「特定病因論」の考え方をもって、感染症や外傷等の治癒において、絶大ともいえる効果を上げてきた。その中で、現代においては、鬱などの精神疾患や慢性疾患等へ疾病構造が変わった中で、「特定病因論」のみでは解決が困難な病気がむしろ一般的になっていると。このような背景を受けて、統合医療という考え方が浮上してきたという話でございます。
 そのような状況を踏まえながらも、現代の医学、医療の展開において生じている新たな潮流や考え方というのは、この統合医療の考え方と非常に大きく重なり合っているということでありまして、最後、結びとしましては、現在、改めて深いレベルでの近代科学や技術のあり方が問われている中で、このような構想も視野に入れながら、そもそも人間にとって、病気、治療、科学とはどういうことかといった根本的な問いを意識しながら、今後の医療や政策のあり方を考えていくことが求められているのではないだろうかと結ばれております。
 以上、参考資料1の御紹介です。
 それから、もう一点、参考資料2の御紹介でございます。
 こちらは8月2日付、独立行政法人国民生活センターの記者発表資料でございまして、「手技による医療類似行為の危害」となっております。
 これは、全国消費生活情報ネットワークシステム、いわゆるPIO-NETにおいて、健康維持や身体症状の改善、解消等を目的とした、整体やマッサージなど、器具を使用しない手技による医療類似行為を受けて、危害が発生したという相談について、この5年間に825件寄せられたといったことでの御報告でございまして、中を見ますと、具体的な危害相談の概要が掲載されてございます。
 半分を超えるものがマッサージと整体で占められているというところでございますけれども、あと、この中で併せて、消費者へのアドバイスも盛り込まれておりまして、手技による医療類似行為を受ける場合は、事前に情報収集を行い、自身の症状や希望に合った施術を選択した方がよい。
 それから、疾病を持つ場合は、手技による医療類似行為を受ける前に、医師の診断、アドバイスを受けるとよいといったようなアドバイスが盛り込まれておりまして、本日、これから御議論いただきます統合医療に関する情報発信にかなり通ずるものがあるかなというところで御紹介させていただいたところでございます。
 以上、参考資料の御紹介でございました。
 以降の進行は、座長にお願いいたします。よろしくお願いします。
○大島座長 それでは、議題に入りたいと思います。よろしくお願いします。
 今回の議題は、「『統合医療』に関する情報発信のあり方について」であります。
 前回「統合医療」のエビデンスを追求する取組について、関係者からヒアリングを行って、これをもとに御議論をいただいたところですが、現状で説得力のあるエビデンスというのか、根拠となるようなものは、どういうふうに考えてもやはり科学的なものしかないだろうと。
 しかし、現実の変化と社会の要請というのが非常に高まっていて、諸外国等では、この分野についても相当な研究費が投入されているというような実態もあって、この分野を単に今までの科学的な手法による根拠がある、ないという切り口だけで意味がある、意味がないという議論をしていてもしようがないのではないかという全体の合意というのか、理解が得られたというように理解をしています。
 社会のそういった要請に対して、情報をきちんと提供をしていくということが当面求められる最低のことではないかということで、特に、その安全性については、どうやってこれを評価するのかという議論は一方でありますけれども、安全性そして有効性等について、現時点で得られる最高の知見を何らかの格好で提供していくと。
 同時に、諸外国でも、日本でも取り組みが行われておりますけれども、従来の近代科学の方法論で理解できるような、あるいは臨床医学で行われているような方法論も含めて、その限界を見極めながら、利用できるところはきちんと利用する。そして、また、新しい方法論があれば、それもきちんと研究の動向等も踏まえて情報を提供していくということが必要なのではないかというような総括をさせていただきました。今回は、情報提供についてどう考えるのかという内容で御議論をいただきたいと思います。
 最初に、梅垣構成員から独立行政法人国立健康・栄養研究所における、健康食品等に関する情報発信の取り組みについて、御紹介をいただきたいと思います。
 梅垣構成員、御説明を25分程度ということですので、よろしくお願いします。
○梅垣構成員 それでは、健康食品とサプリメントについての安全性・有効性情報を研究所で提供しています。その経緯とそれから現状について、御紹介したいと思います。
 まず、お話しするのは、ここの4つの項目です。
 どういう経緯でデータベースをつくったかということ。
 データベースの基本的な考え方と現状。
 それから、実際にこのデータベースを活用して安全性確保という一番重要な対応をどのようにやっているかという、具体的な事例を御紹介したいと思います。
 最後に、若干ですけれども、我々が今までデータベースをつくってきたときの課題や問題点をお話ししたいと思います。
 まず、データベース構築の経緯です。平成14年、中国製のダイエット食品で健康被害という問題が出てきました。これがデータベースをつくったきっかけになっています。
 健康食品が関係した被害というのは2つあります。まず、健康被害、それから高額な製品を購入するという経済的な被害です。一番注目したいのは、健康被害です。先ほど御紹介しました製品の問題、医薬品成分とか、有害物質を含むようなものです。
 これについては、行政がかなり摘発公表していますから、ある程度対応できています。しかし、それ以外の利用方法の問題というのが余り対応できていません。
 例えば、医薬品と間違えて使うとか、医薬品と併用して相互作用によって何か起きるとか、それからアレルギー体質の人が利用したとか、病気の人が医師に黙って健康食品と医薬品を飲んで治療しようとしていたとか、それから過剰摂取したということです。こういう利用方法の問題というのは、なかなか対応しにくいということです。
 ですから、利用方法のところについても、対応できるデータベースを考えなければいけないということです。
 例えば、医薬品と間違えて健康食品を利用したときに、何が起こるかというと、現在行われている治療を放棄する人もいます。そうすると、病状が当然悪化します。それから、医薬品と一緒にとると相互作用によって医薬品の薬効が弱くなったり、副作用が増強されたりします。
 実はこういうことが起こると、医療関係者は適切な治療は行えなくなりますし、患者さんも適切な医療を受けられなくなる。これは両者にとって非常に問題になるので、注目しなければいけない点です。
 健康食品の利用のきっかけを調査した平成18年のデータがあります。そこでは、大体友人・知人、それからテレビ番組、新聞、雑誌、インターネット、商品のパッケージがほとんどの利用のきっかけになっているという結果でした。
 友人・知人の情報というのは、大体メディア関係の情報になっています。
 医療関係者から勧められてというのはきっかけにはなっていません。これから、しっかりした情報を持たずに、健康食品を利用している人が多いという実態がわかるわけです。
 これは健康情報の伝達の経路を絵にしたものです。企業さんがいろいろな商品をつくって消費者にアピールします。そういう情報がメディアを介して渡っていきます。こういう情報は、特に白黒はっきりしているという両極端な内容が一般的です。とてもいい製品か、とんでもない製品かという内容が多いのです。
 なぜこのようにメディアの情報が両極端か、はっきりしているかというと、実は消費者がそのような情報を求めていることにも関係しています。例えば、楽して何か自分の希望することをかなえたいとか、病気のときにはわらをもすがりたい、何か希望を持ちたいとか、それから白黒はっきりという内容です。消費者がそういう情報を求めているから、実はメディアとか企業からそういう消費者が求めている情報が提供されているという構図があると思います。
 一方、公的機関の情報、私どもの情報もそうなんですけれども、公正中立という内容です。それらは、難しいとか、つまらないとか、白黒はっきりしないといった内容で、情報をつくっても参照されないという問題点があります。こういう状況を踏まえて情報提供していかなければいけないというふうに思っているわけです。
 「健康食品」の問題点と対応ということで、全体像を示します。まず、製品側の問題があります。先ほど言いました中国製のダイエット食品のように、違法な製品です。それから、利用者側の問題として、健康食品を正しく認識していないために起きる問題です。これら両方が情報の氾濫ということに関係するわけです。そこで、科学的な情報提供が必要で、科学的な情報が提供されれば、両方の問題はある程度改善できるだろうということです。
 ただ、これだけではなくて、やはり利用環境を整備しないといけない。もう少し広い意味でこういう情報提供を考えていかなければいけない。社会全体で考えなければいけないという課題もあると思います。こういう背景で、データベースをつくり始めました。基本的な考え方と現状をお話しします。
 健康食品といろいろなところで言われていますけれども、実は、これは普通の食品の中に入っています。これは2つに分けられます。まず、国が制度を創設して、機能の表示を許可しているもの。食品に機能の表示をしてしまうと、消費者は薬と勘違いして使うという、非常に大きな問題があります。ただし、ある程度根拠があるのなら、その表示を限定的にしてもいいということで、特定保健用食品と栄養機能食品について、限定的に機能表示が許可されているということです。
 それら以外の食品には、機能の表示は認められていません。行政的には「いわゆる健康食品」ということで、機能性食品、サプリメント、栄養補助食品、健康補助食品、自然食品といった名称があります。「いわゆる健康食品」の中で一番問題なのは、いわゆる健康食品です。そして、いわゆる健康食品の中に、違法な無承認無許可医薬品という製品が入っているという実態があります。
 こういう健康食品というものの全体像を理解していれば、それほど極端な対応はしないのですが、しっかり理解されていないという現状があります。そこで消費者に健康食品について正しく認識してもらう取り組みが必要ということです。
 消費者と専門家には、認識のずれがありです。これを埋めていくというのが非常に重要で、ここに情報提供の必要性が出てくるわけです。ここのギャップを埋めるのが情報提供ということになっています。
 その情報提供によって、要は消費者と専門職の間のコミュニケーションの充実をしなければいけないということです。これができますと、健康食品の問題が解決できます。まず、違法製品とか粗悪品を選択しなくなる。それから、医薬品と勘違いして利用することもなくなるだろうし、それから不確かな情報による製品の乱用というのもなくなると考えていったわけです。
 これは絵にしたものです。雨後のタケノコという言葉があります。ここで健康食品はタケノコです。ここで根本的な問題は何かというと、食生活の乱れや運動不足、生活習慣の問題です。消費者はそれに不安を持っています。そこに、いろいろな健康食品が出てくる。
 一方、不確かな情報というのが雨のように注いでいて、このタケノコが出やすいようになっている。健康食品が出やすいような状況になっているのです。
 では、どうやって対応するかということです。基本的な対応は、やはりこの状況を把握して両方対応しないといけない。ただ単に情報だけのことを考えていても対応できない。根本的になぜ健康食品が使われるということ、食生活の乱れとか運動不足、なぜ当たり前のことができない状況があるということ、ここを考えて情報提供をしていかなければいけないということを考えました。
 健康の保持・増進が基本ということです。どこでも、誰でも言っていることです。ちゃんとした食生活をして、適度な運動をして、適度な休養をとること。これが一番重要で、健康食品で健康の保持・増進とか、病気の予防は恐らくできないと思います。費用対効果を考えても、当たり前のことをやるのが一番重要だろうということです。
 医療費削減という話がありますけれども、やはりこういう当たり前のことをやることが病気の予防になって、医療費の削減になると考えて、データベースをつくっていったわけです。
 データベースの情報提供の方法です。これは基本的な考え方です。栄養研究所にデータベースをつくりまして、これを現場の専門職の方に渡して、それを現場の専門職の人が消費者に渡すという方法を中心に考えています。
 なぜかというと、データベースはいろいろな文章で書くのですが、消費者が全て理解できるというのはかなり難しいと思います。一方、いろいろな消費者のその知識レベルとか、認識のレベルに応じて、専門職の人が伝えていく方法は、正確に情報が伝わります。これは時間がかかりますので、ホームページを介して消費者が直接データベースを見られるようにもしています。ただ、基本的には現場の専門職を介して情報提供するのを中心に考えています。
 これが全体像です。先ほど示しましたのはこの部分です。情報提供というのは、1つの機関とか、1つの組織だけではできません。厚生労働省、それからほかの機関との連携をしながら、情報提供していく取り組みをしないと、なかなか難しいです。このような全体像を考えて情報提供をしています。
 データベースは中国製ダイエット食品の問題が起きたときにつくったのですけれども、当初はプロトタイプのデータベースを内部でつくりました。データベースをつくるときにかなり経費がかかってしまいます。先どうなるかわからないのに、経費を出してくれる人もいません。そこでこういうプロトタイプのデータベースをつくりました。その後上手くいくだろうということで、厚生労働省の厚生労働科学研究費をいただいて、外部のデータベースをつくる専門のところに委託して、本格的なデータベースをつくりました。
 運営していくと、セキュリティーの問題、情報の見やすさとかの問題がでてきました。そこで、かなり改善しまして、現在のデータベースとなっています。大まかにいうと、3段階ぐらいでデータベースを修正してきました。
 これが実際の今のデータベースです。例えばここにMr.サプリのサプリメントクイズとあります。これは研究所の情報は難しくてわからないという批判がありました。基本的なことは理解してほしいということで、音声入りのこういう漫画のコンテンツをつくり提供しています。このコンテンツは誰でもダウンロードできるようにしています。ここをクリックしていただければ誰でも、別のパソコンにダウンロードして使えるようにしています。ここが基本的な事項です。
 それから、詳細な事項ということで、例えば健康食品による被害が国内外で起きています。それをいち早く細かく伝えるため、ここのところに情報を掲載しています。
 それから、素材情報データベースです。健康食品そのものの製品情報は出せませんので、健康食品に利用されている原材料の情報をここに出しています。ここのところは結構利用されています。
これは詳細なコンテンツを示したものです。健康食品に関する基本的な事項、行政機関でいろいろなパンフレットがつくられていますから、それをPDFにして、誰でもどこでもダウンロードして印刷できるように公開しています。
 被害関連情報という項目は、国内外で摘発されたほとんどが製品の情報です。それを紹介しています。
 それから、話題の食品・成分ということで、特定保健用食品は、製品として評価していますから、これは製品情報として提供しています。それから、ビタミン・ミネラルとか、食品成分に関して科学的根拠があるかどうかというのを、この話題の情報のところで出しています。
 それから、健康食品の素材情報データベースです。これはあくまでも原材料に関する情報です。有効性はヒトにおける情報だけを収集しています。というのは、動物とか試験管の情報もあるのですが、それを収集して掲載しますと、消費者が見たときに、拡大解釈されるから、それは積極的に入れないでいいだろうという考えです。
 安全性情報は、動物実験や試験管内実験など、いろいろな情報を取入れて掲載しています。健康食品の医薬品等の相互作用の情報も入れています。
 ここのデータベースで重視しているのは、生活習慣が一番重要であるという考え方です。
 それから、安全性確保が重要であることです。有効性はヒトの情報だけを掲載しています。それから、現時点で調査できた情報を掲載しています。というのは、新しい情報が出てきたら、掲載情報の評価が全部変わってしまう事例もあります。そういうことを考えて対応しています。
 このデータベースを見られたら、例えば情報が見当たらないと書いています。それは言いかえたら、データがないから研究をする必要があるとも読めるのです。そういうことを考えて情報をつくっています。
 それから、掲載情報の拡大解釈を防ぐ対応として、誰が何をどれだけの量と期間で摂取してどうなったかという、具体的な内容で紹介しています。これは、有効性についても、安全性についても同様です。情報はとかく拡大解釈されてしまう傾向がありますので、具体的になるべく書くようにしています。
 これが実際の素材情報データベースです。ここに更新日が出るようにしています。情報というのは、新しい情報が出てきたら、書きかえられてしまいます。例えば、ランク付けで有効性のレベルを示すという考え方がありますけれども、1つしっかりした論文が出てきたら、全部評価が変わってしまうこともあります。ですから、いつの情報まで把握しているかというのをここに表示しています。
 よく誤解されるのは、我々は素材情報データを出しているのですが、それが商品情報に当てはまると勘違いされることです。商品は、どういう原材料を使って、どうやってつくるかによって、いいものもあるし、悪いものもあります。このところはよく混乱されますので、混乱されないような配慮をしています。それがここの注意文です。
 この素材データベースで細かい情報を見ようとすると、この注意文の画面が必ず立ち上がるようにしています。これに何が書いてあるかというと、バランスのいい食事がやはり重要ということ、現時点での情報ということ、それから新しい情報が出てきたら書きかえられること、これはあくまでも原材料の情報ですということです。それから、もし体調に不調を感じたら、医療機関を受診してくださいというメッセージです。
 誰かがここのデータベースをリンクしようとすると、この注意文も必ず一緒に出るように設計してあります。
 これが実際の素材情報データベースの中身です。最初に開きますと、名称と概要が出てきます。細かい情報を見ようとすると、法制度とか分析法、有効性はヒトの情報、それから危害情報とか禁忌対象者、医薬品等の相互作用、こういう項目が出てきます。それから出典が出るようにつくってあります。
 これが実際の例です。サメの軟骨の素材情報データで、この最初の部分にも、これはあくまでも原材料の情報ですということを、しつこいぐらいに書いています。また、医療機関を受診している方は、健康食品を安易に使わないでくださいということも書いています。
 このサメの軟骨ですけれども、なぜこれがはやったかというと、サメががんにならないから、サメの組織を使えばいいのだろうという、何かそういうことで使われはじめていたようです。けれども、実は調べてみたら、そんな情報はなく、有害事象も起こっていて、急性肝炎の症状が起こった事例もあります、というのを紹介しています。
 ここの全ての情報を表示のボタンをクリックすると、細かいですけれども、全部の情報が出てきて、それぞれの見たいところを見ることができます。現時点でどこまで情報がわかっているかということが示されているということです。
 拡大して一例挙げますと、医薬品等の相互作用ということで、サメ軟骨製剤にはカルシウムが多いので、カルシウム剤をとっていると有害事象が起こる可能性があります、という内容です。
 ここに、PMIDと青い文字があるのですが、ここをクリックしていただくと、こういうPubMedの概要が見られるようになっています。これは専門職の人がもう少し細かく見て確認したいと思われるときに、元の情報がたどれるようにしてあるのです。情報はいろいろなところから出ていますが、出典がたどれない情報というのは、本当か嘘かというのが確認できません。そこで、できるだけ出典は明確にするという考え方で対応しています。
 データベースで参考にしている情報源です。違法製品の情報は、公的機関、厚生労働省とか、アメリカのFDAとか、そういう海外の国の機関の情報から入手しています。これは、厚生労働省の新開発食品保健対策室から情報がもらえるようになっています。そこで、健康食品関係の情報は全部入れるというふうに対応しています。
 それから、Natural Medicine Comprehensive database(NMCD)です。これは有料のアメリカのサイトで、かなりの情報があります。ここも参考にしています。
 それからもう一つ、Natural Standard Professional database、これも有料です。ここにもいろいろな健康食品の情報がありますから、これも参照しています。
 この上の2つは、英語になっていないと情報が収載されていません。日本国内の情報は把握できません。特に日本人で起きた有害事象というのがあります。そのような情報は医学中央雑誌のデータベースを使って検索して収集しています。
 それから、その都度ですけれども、PubMedに健康食品関係の論文が出たら、それを把握して情報を掲載するようにしています。これらがデータベースで利用している主な情報源です。
 「データベースを介した安全性確保の取り組みの事例」をご紹介します。例えば、これは香港衛生署で、2008年2月2日にこの製品で健康被害が出たという情報がありました。そこでデータベースに掲載しました。そしたら、その後1か月ぐらいの間に、広島県、郡山、大阪、埼玉で同じような事例が出てきました。
 要するに、こういう情報提供によって、海外の事例が、日本でも問題になっていることがわかるのです。健康食品はインターネットを介して海外から買われますから、海外情報も重要だろうということです。この注意喚起によって行政の対応が恐らく促進されたと考えています。
 それから「繰り返される類似事例への注意喚起」の事例です。ダイエット関係では、何度も同じ問題が起きています。これは下からですけれども、2007年、2009年、2009年、2010年で、クリニックダイエットという製品で、いろいろなところで問題を起こした事例の紹介情報です。このように情報提供するときに、過去の情報も見られるようにして、同じ事例が繰り返されているということがわかるように表示しています。
 それから、これは伝統医学を標榜したインドのアーユルベーダー医薬品という事例です。これも何例かありました。重金属汚染しているので、カナダ保健省、イギリスの国の機関、香港衛生署から摘発、注意喚起情報が出されているという内容です。
 データベースをつくると、過去のある時点で収載情報を全部取り出して、その情報の特徴を把握することができます。これは2007年の時点で、データベースの有害事象のデータを取り出し解析したものです。有害事象として出てくる原因は、体質に関係するもの、アレルギーを起こすようなものが多いことがわかります。それから、長期過剰摂取、医薬品との相互作用、病気の人の利用、こういう実態がわかります。こういう実態があることを踏まえて、どう情報提供するかということが考えられるようにしているわけです。
 これから大野先生がお話になると思いますけれども、こういう非常にいいガイドブックが出ています。こういうのも積極的に紹介して、いろいろな人が見られるようにしようという取り組みを行っています。
 これは基本的な知識を普及する取り組みです。当たり前のことを消費者が理解できていないということで、できるだけ当たり前の内容を提供しようということで、健康食品に関する基礎的知識の普及として厚生労働省でつくられたパンフレットを紹介しています。また、これを基本にしまして、例えばクイズ形式の情報提供ツール、それからアドバイザリースタッフという人が使うツールを作成して紹介しています。このパンフレットを基本にして情報をつくっているという対応です。基本になるものが変わらなければ、情報の内容も変わりません。そういう考え方で情報提供しています。
 情報提供していることが、どれぐらい認識されているかという調査もしました。その結果、実はこれは専門職を対象にしたのですけれども、データベースを知らない人がまだ半分以上いることがわかりました。これが非常に問題だと思っています。ここは何ともならないというか、かなり難しい課題です。
 消費者自身で対応すべき事項ということも紹介しています。健康食品を使わなくていいですよといっても、やはり使う人がいます。健康効果と健康被害のバランスを考えて消費者が対応してくれればいいのですけれども、これはなかなか判断ができません。それで最近、例えば健康食品を利用するときに、いつ、何を、どれだけ摂取したかというメモをとってくださいとお願いします。その中で、例えば調子がよいというメモが並んできたら、効きませんからやめてくださいと言う必要もない。ただし、例えば調子が悪いとか、どこかが悪くなったときは、その健康食品がひょっとしたら関係しているのを、消費者自身が把握できます。そういう取り組みをしてほしいというふうにお願いしています。そうすると、有害事象が出てきたときにすぐに対応できるという考え方です。
 データベースの課題です。認知度の向上のため、外部機関とさらなる連携していかないといけないと考えています。1つの機関でやっていてもなかなか広がらないからです。それから、社会状況に応じた情報提供の内容と提供方法の検討です。同じことをずっとやっていても、社会状況に合わない場合がありますから、それを定期的に見直ししていかなければいけないという課題です。それから、維持管理コストです。最近、インターネットのセキュリティーの問題が非常に厳しく言われるようになってきました。外部環境がどんどん新しくなってきます。例えば2、3年前につくったデータベースは現状に合わなくなってきます。ここもコストパフォーマンスを考えながら何らかの対応をしなければいけないという問題です。困っているところです。
 最後に、我々がデータベース構築してきて、参考になるような事項をご照会します。まず、構築の目的、それから誰が利用するか、それから利用がどのようにされるかというのを、ある程度決めておくことです。勝手に意図しない使われ方がされると、せっかくつくったデータベースが全く意味がなくなってしまうことになりますので、そういうところに注意した方がいいだろうということです。それから、プロトタイプ作成により、掲載内容や掲載方法を検討すること。我々のデータベースも最初つくったものと大分変わってきました。最初は健康食品の、例えば素材情報のところで、エビデンスレベルが強いとか書いていたのです。ところが、情報は毎日いろいろなところから入ってきます。そうすると、毎回書きかえなければいけないという問題がでてきました。それはやはりできないので、原文の情報だけデータとして紹介することにしました。データベースですからある時点で、それを全部抜き出してきて、総合評価することができます。ある時点ですればいいので、毎回するというのはまず不可能だろうということで、途中で考え方を変えました。そういう対応も、データベースをつくる場合は必要だろうと思います。
 それから、費用対効果を考えた運用をしないといけないということで、信頼できる外部情報とのリンクが必要だと思います。同じことをあちこちでやっても無駄です。なるべく連携できるところとはリンクを貼ったりするのが費用対効果が一番いいだろうというふうに思っています。
 それから、新しい一次情報が収集される取り組みが必要だと思います。エビデンスがないというのは、それは今の時点であって、将来出てくるかもしれない。そこに研究をしなければいけないという目標もあると思います。要するに、一次情報が集まるような取り組みもしていかないと、データベースはなかなか活用されないと思います。
 それから、データベースの蓄積と活用法の定期的な見直しをやはりしないと、現状に合わないようなものになってくる可能性があるというふうに考えています。
 以上です。
○大島座長 ありがとうございました。
 随分進んだ取り組みをされていて、統合医療とも随分リンクするのではないかと思いながら伺っていましたが、ディスカッションは後でということで、続きまして、今日の資料にもあると思いますけれども、厚生労働省の助成金等によって、がんの補完代替医療ガイドブックが作成されています。このガイドブックには、この委員会の伊藤構成員もかかわってこられたということですけれども、一般向けのガイドブック、そして、医療従事者向けのリーフレット、それぞれ情報の受け手を意識した工夫が凝らされているのは、見たとおりかと思います。
 このガイドブックに、最初から携わってこられた大野参考人、早稲田大学先端科学・健康医療融合研究機構に所属されています。大野先生からお話を伺いたいと思います。
 では、大野先生、よろしくお願いします。
○大野参考人 今、御紹介いただきました早稲田大学の大野といいます。
 きょうはこのような機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
 今、御説明がありましたとおり、今回、厚生労働省のがん研究助成金、現在はがん研究開発費というふうに名称が変わっておりますが、そちらの方で作成させていただきましたこちらの「がんの補完代替医療ガイドブック」というものと、もう一点、「がんの補完代替医療診療手引き」というものをつくった経緯と背景、あとこういったものをつくるに当たっての、情報発信としての基本的なスタンス、あと現状と今後の展開といいますか、今の課題というところをお話しさせていただこうというふうに思います。
 きょうお話しする内容は、この3点になります。繰り返しになりますが、ガイドブック、手引き作成の背景ということで、まずはこの研究班で行ってまいりましたがんの医療現場における補完代替医療の現状というところでお話をさせていただきたいと思います。
 先ほどの梅垣先生のお話というのは、どちらかというと社会的なということで、マクロの視点からの情報発信というところかと思いますが、私の方の話は、医療現場ということで、もうちょっとミクロに近い話だというふうに御理解いただけたらと思います。
 2番目に、情報発信に関する基本スタンス。
 3番目に、取り組みの現状と今後の展開という流れで話を進めていきたいと思います。
 まず、がんの補完代替医療の全国実態調査ということで、2001年に組織された研究班で行った結果について、まず御紹介したいと思います。
 結論から言いますと、我が国におけるがん患者さんの44.6%の方が何かしらの補完代替医療を利用していることが明らかとなりました。きょうデータとしてはちょっとお示しできていないんですけれども、別の調査としまして、実際に利用していない人でも興味を持っている人はどれくらいいるのかということも踏まえての調査も行いましたが、それの調査によりますと、興味がある人と実際に使っている人、これを足し算しますと、85%を超えてくるということで、興味・関心がある人、利用している人というのは、非常に多いという実態が明らかとなりました。利用している内容なのですが、健康食品、サプリメントが圧倒的に多いという現状が明らかとなりました。
 ですので、きょう私の話も、この健康食品、サプリメントが例として挙がってまいります。
 この健康食品等を中心とした補完代替医療に、実際幾らのお金を使っているかという同じこのアンケート調査、実態調査なのですけれども、結果としまして、月に5万7,000円というお金を使っている。これを下にちょっと書いてありますけれども、あくまでこれは推計値になりますが、日本のがん生存者、キャンサーサバイバーというのは、推定で300万人いるというふうに言われています。今後、高齢化社会を迎えるに当たってこの人数はふえてくると言われているわけなんですけれども、今回のこの実態調査の数値を単純に掛け算をしていきますと、年間で大体1兆円近いお金がこういった補完代替医療に使われているというようなことが推測されたということであります。
 ただ、これらが健全に経済活動を行われていればいいわけなのですけれども、残念ながら補完代替医療の効果というところで、そのような結果にはなっていません。これはあくまで患者さんの実感ということになりまので、効果ありと書いてあっても、これはがんが小さくなったとか、そういうことではありません。
 ただ問題なのは、実際に何がしかの健康食品を使っているのにもかかわらず、効果がわからないという現状がございます。
 一方で、食品とはいえ、やはり副作用の問題というのがございます。食品ですので、吐気、下痢、便秘、アレルギーのじんま疹、肝機能異常などの消化器症状を中心とした副作用を経験した方が5%いるという、そんな実態も明らかとなりました。
 さらに、この調査の中で問題視した点がこちらになります。補完代替医療に関する十分な情報、有効性と副作用、安全性に関する十分な情報を得られていたかという質問に関しては、得られていなかったと答えた方が6割。あと下2つに関しましては、医療現場で、医師と患者の間でこのような補完代替医療に関するコミュニケーションがとられているかという、その点に関しましては、ほとんどとられていないという実態が明らかとなりました。
 繰り返しになりますけれども、患者さんのもとには正確な情報がきちんと届いていないということ。医療現場では、コミュニケーションがほとんどとられていないという問題点があるということが、この研究班の調査で明らかとなったと。そういった背景がございます。
 もう一つ補足としまして、コミュニケーションがとられていないという、そこにつながるかもしれないのですけれども、医療従事者が実際にこの補完代替医療に関して知識を持っているかどうかということも、この研究班で調査を行いました。
 結果がこちらになります。見ていただきたいのは、これはスライドの左側になるのですけれども、真ん中にさまざまな補完代替医療が列記されておりますが、左側、これらの補完代替医療に関して知識を持っているかどうかという、そういった質問になります。赤いラインが知らないと回答した方の割合になります。
 漢方に関しましては、知識を持っている方がある程度いらっしゃる、それは、現在は医学部の教育でも行われていますから当然なのですけれども、健康食品以下、さまざまな補完代替医療に関しては知識を持っていないという、そんな現状がございます。
 ここまで、このがんの医療現場における補完代替医療の現状のまとめになります。
 繰り返しになってしまいますが、患者の約2人に1人は健康食品などの補完代替医療を利用しているという実態がございます。患者の多くは、医師に相談していないということ。その一方で、医師の多くは補完代替医療の知識がないという現状がございます。これは具体的にイメージするとこんな感じだというふうに想像していただけたらと思います。
 患者の方は、きょう細かくはお話ししませんでしたが、実際には医師に相談をして、実際にこれを使ってもいいのかどうかというのを確認したいという気持ちは持っている。ただ、相談していいのかどうか、ためらっているという、そんな現状がございます。
 一方、医師の方は、聞かれても知識がないので、積極的に医師の方から聞くことはないと、そんなような現状があるのだということを御理解いただけたらと思います。
 そのようなことから、今回、このガイドブックもしくは診療手引きというものをつくろう、コミュニケーションツールとしての情報提供資料というものをつくろうという、そういった背景からこの冊子をつくったと御理解いただけたらと思います。
 次に、この冊子をつくるに当たっての情報発信に関する基本的スタンスについて、お話しをさせていただきたいと思います。
 まず、このコミュニケーションというところで、どうしてこのコミュニケーションが必要なのかというところを御説明したいと思います。
 これは、ここにおられる先生方にはもう釈迦に説法かもしれませんが、科学的根拠に基づいた医療、Evidence Based Medicine略してEBMの教科書的な論文から引っ張ってきた図でございます。何かといいますと、医師の専門性や経験、熟練、患者の価値観、科学的根拠の3要素をバランスよく統合し、よりよい患者ケアのための意思決定を行うものであるというのがこのEBMの本来の考え方でございます。
 ですので、この3つの大きな柱が重要であるということになります。ただ、最初の冒頭の座長の先生のお話にもありましたとおり、残念ながらこの補完代替医療においては、科学的根拠がどうしても薄いもの、少ないものが多いといわざるを得ない現状の中で、この科学的根拠に基づいた医療を実践するということであれば、医師と患者のコミュニケーションが必要になってくるというふうに考えられるかと思います。
 これは私が勝手に言っているというわけではなくて、これは米国に本部があります統合腫瘍学会という学会があるのですけれども、こちらが2009年にがんの統合医療ガイドラインというものを出しております。全20項目のうちの最初の2つリコメンデーションの1と2を抜粋してきていますが、簡単に言いますと、必ず患者に補完代替医療の利用について、確認をしなさいと。そして、興味・関心を持っているということであれば、きちんとリスクとベネフィットについて情報提供をしなさいということが書かれています。
 繰り返し、このEBMの図が出てまいりますが、ただ、先ほどもお話ありましたけれども、この科学的根拠、先ほど全くないという図を出しましたけれども、近年、米国等を中心としまして、さまざまな臨床試験が行われてきています。その中で、QOLが改善したであるとか、抗がん剤の副作用を軽減したなどという、そういったエビデンスを持っている。そういった施術、療法などもございます。
 一方で、先ほどの梅垣先生のお話にもありました、やはり医薬品との相互作用というのが明らかになってきている、そういったものもございます。ですので、そういった情報というのは、やはり逐次入手した上で、患者に情報提供していかないといけないということになるかと思います。
 また、このエビデンスがある、なしというところで、EBMの考え方で治療方針を判断するということではなくて、実際この教科書的な論文からの抜粋になりますけれども、そちらの方にも、「Evidence does not make decision people do.」このような記載があります。
 ここにおられる先生方はこういうことはないのだと思うのですけれども、日本の医療界の中では、EBMに関して若干誤解があるのではないかなということで、改めて出させていただいているのですけれども、EBMでは、大規模ランダム化比較試験の結果が得られれば、治療方針が決定してしまうであるとか、EBMが目指すものは、医師の裁量権を無視したマニュアル医療である。EBMでは、ランダム化比較試験が行われていない治療法は、選択肢として認められないであるとか、最後にEBMが認めるのはランダム化比較試験だけであるとなっておりますが、これは全て教科書的に言えば全てバツということになってまいります。
 どういうことかといいますと、医学とか科学、そういったものは医薬品を生み出すことはできても、それを使うのか使わないのかというのは、科学だけでは解決できない。やはりコミュニケーションというのが必要になってくるということ。
 あと、これは医学、医療というところに特徴的なことだと思うのですけれども、治療を行うべきかどうかの判断基準というのは、法律のように明確に決められてはいない。道路交通法のように、何キロ以上のスピードオーバーであれば罰金幾らとか、そういうことではなくて、ほとんどの医療行為はグレーゾーンであるということがやはりベースとしてあるということになります。
 そういうことを踏まえまして、情報発信の基本スタンスとしましては、補完代替医療、健康食品ということでイメージしていただいていいかと思うのですけれども、それらとどのように向き合い、利用したらよいのかを考えるための資料としてこちらの冊子をつくっております。
 個人の責任で実施するさまざまな療法を制限するものでも、逆に勧めるものでもないということ。ですので、その2点については、この表紙に赤字で書いているということになります。
 後ほどお話しをさせていただきますが、医師と患者のコミュニケーションが重要なんですよということをこのガイドブックでは至るところで散りばめて、メッセージとして伝えているという、そういったことでございます。
 3番目に、取り組みの現状ということで、このガイドブックの具体的な説明と、今後のお話ということで話を進めさせていただきたいと思います。
 まず、これはお手元にお配りさせていただいた「がんの補完代替医療ガイドブック(第3版)」というふうになっておりますが、実は第1版というのは2006年、もうかれこれ5年以上前に実はつくられております。そこから改訂を重ねて現在第3版になっているということでございます。
 1ページをめくっていただいて目次がございます。大きく活用編と資料編というふうになっておりますが、活用編で言いたいことというのは、これはやはりコミュニケーションをとってほしいということ、特に補完代替医療を使う前に主治医、主治医に聞きづらければ看護師、薬剤師、栄養士などの医療者に必ずコミュニケーション、確認をとってほしい。その際のどういうことを聞いたらいいのかというポイントが書かれています。
 ただ、やみくもに聞くということではなくて、患者さん自身もしくはその御家族の方が情報収集する。そして、それがきっかけで利用するということが非常に多うございますので、その情報収集に当たっての留意事項ということがこちらの活用編には書かれております。
 特に注意した点としましては、先ほど梅垣先生のところと重なるのですけれども、メディア、やはりメディアのメッセージというのはかなり強いということで、もちろんメリットもあるんですが、やはり患者さんは間違った情報として認識してしまう可能性もあるということ。
 もう一つは、専門家の対立と書いてありますけれども、患者さんからすると、病院で治療するドクターと一方で健康食品を勧めている白衣を着ているドクター、区別がつかないのが現状です。どちらの言っていることが正しいのかよくわからないなんていうことも、実際、患者さんとコミュニケーションをとっているとわかってまいります。
 あと、患者さんの認知特性と書いてありますけれども、やはり先ほどの梅垣先生のお話にもありましたが、例えば臨床試験でこういうデータがありますという細かいお話をするよりも、これを飲んだらがんが治ったというような方が、やはり患者さんへのインパクトが強いというような声も心理学や認知行動学とかのお話になってくるんですが、そういったことがあるということも踏まえて、留意事項として取り上げながら、このような冊子をつくったということがあります。
 ところどころに緑枠で書いてある注意事項とか、コメントみたいなものですね。それがこういったところを踏まえて、追加事項として書かせていただいているということになります。
 資料編としては、現時点での科学的根拠の解説ということで、第1版では健康食品しか取り上げていなかったのですけれども、その後、問い合わせがあったものであったり、アンケート調査を行った結果、要望が多かったものを追加していると。それで現在に至っております。
 実際に、どんな情報収集を行ったかということなんですけれども、先ほどの梅垣先生と基本的にはスタイルとしては同じになります。PubMedを用いた文献検索で、原則としてヒトにおける研究論文のみを対象としております。
 そのほか、既存のガイドラインなどを活用させていただきました。漢方に関しましては、日本東洋医学会がつくっている漢方治療のエビデンスレポートというものがございましたので、私自身もその学会に入っていたこともありまして、その情報を知ることができたので、提供させていただいたということ。
 また、先ほど少し御紹介させていただきました統合腫瘍学会という学会がつくっている雑誌に掲載されたこのガイドライン、こちらの方を表にまとめて提示しております。
 あとは世界がん研究基金によって、若干データとしては古いかもしれませんが2007年に、がん予防のための10指針ということで出されたのですが、10番目の指針というのが、実はがん患者さんにおいても、これらの残りの9個を守りましょうということが書かれていますので、がん患者向けということでそれを紹介させていただいております。
 配布方法なんですけれども、internetを介してPDFファイルをダウンロードできるような形にしております。これは研究班の班長がおられました四国がんセンターの御協力のもと、このような形でPDFファイルがダウンロードできるようになっております。
 ちょっと下の方が欠けていますが、第1版もダウンロードできるようになっております。
 あと冊子を希望される方には、郵送料に関しては御負担いただくのですけれども、郵送もしております。やはり、これはメディアの力が強いのだなと思う事例なのですけれども、新聞なんかで取り上げられると、問い合わせが増加するということで、2006年、これはガイドブックの第1版を最初につくったときに朝日新聞に取り上げていただいて、そのようなときには、やはり問い合わせが殺到したということがございます。
 あと活用事例になるのですけれども、これはガイドブックの裏表紙に書いてあります協力していただいた先生方、研究班の班員の先生方の病院の病棟とか外来等で配布をしております。
 そのほか、問い合わせがあったケースとしましては、学生講義で使いたいであるとか、患者会で配布したい。あと班員の先生方を含めて、講演会などで配布をしているというのが現状としてございます。
 あと1つ御紹介させていただこうと思うのが、私自身が講師として行ってきたのですけれども、日本看護協会の中では、専門看護師、認定看護師のカリキュラムという制度がございます。そのカリキュラムの中で、一部のがんに関してだけかもしれないのですけれども、私が講師として呼ばれた中には、そのカリキュラムの中に代替医療とか、補完医療について、概説できるというのが1コマないしはその分野によって違うようなのですが2コマ講義を行わないといけないというふうなことになっているようでして、そのような形で、そこでもこのガイドブックというのを配布させていただいております。
 一方で、このガイドブックというのはあくまで患者さん向けにつくりました。患者さんには医者に相談してくださいというふうなことをひたすらメッセージとして伝えているわけなのですけれども、一方で、主治医、医者の方はなかなかコミュニケーションを積極的にとらないという現状があるので、患者だけに責任を押しつけるのはいかがだろうかという、そういったことがありまして、昨年度になりますが、医療者、主には医者向けになるのですけれども、こういった診療手引きということで作成させていただきました。
 きょうお話ししたような、現在の医療現場での現状と、メッセージとしては、とにかく患者が興味を持っているので確認をしてくださいということがここには書かれております。こちらも下にURLが書いてございますが、四国がんセンターのホームページ上からこれもPDFファイルが無料でダウンロードできるようになっております。
 もう一つ、今回、配付資料としてはお配りできていないんですけれども、実は日本緩和医療学会とこのガイドブックをつくった研究班が共同で「がんの補完代替医療ガイドライン」というものも作成いたしました。ただ、これは若干古くて2006年につくっております。こちらはPubMed以外にも、医学中央雑誌、日本語の論文も含めて集めております。
 ただ、もう作成してから5年以上が経過しているということで、先日、実はこの日本緩和医療学会のガイドラインの作成委員会というのがございまして、また、この改訂作業というのを行うということが決まっておりまして、今年度からまた、改訂作業を進めていくことになっております。
 これはお配りしている資料にはないスライドになるのですけれども、がんの分野では、さまざまな診療ガイドラインというものがございます。ガイドラインの定義はこのようになっているわけなのですけれども、実際にこの補完代替医療というのは、残念ながらエビデンス、臨床試験のデータというのが非常に少ないという中で、問題になるのは、この補完代替医療に関してガイドラインをつくることができるのかどうかというのが、実はスタートの時点でまだ問題になっているという、そんな事情も実はございます。
 これが最後のスライドになるわけなんですけれども、今後の展開と書いておりますが、現在の課題というふうに御理解いただいてもいいかと思います。現在の医療現場における補完代替医療の位置付け、まだ現時点で標準的な考え方というもの自体が残念ながら確立していない。先ほどの梅垣先生のお話にもありましたが、医療者と患者というものの認識の違いというところも大きいかと思います。
 ちょっと真ん中を飛ばしまして、最後です。
 今後、よく計画されたヒト臨床試験による科学的根拠が蓄積されていくことというのがやはり重要ではないのかなということで、情報発信、情報提供というところにつなげるにしても、質の高い臨床研究というのがやはり求められているのではないかなというふうに考えております。
 現在、研究班は残念ながら終了してしまったわけなのですけれども、何らかの形でこの臨床研究ができないかということで、私自身ほかの組織と連携をしながら臨床研究を現在取り組んでいるということも最後にお話しさせていただき私からのプレゼンテーションを終わらせて頂きます。
 御静聴ありがとうございました。
○大島座長 ありがとうございました。
 それでは、御質問を含めて、自由に議論をしていただければと思います。
 いかがでしょうか。どうぞ。
○羽生田構成員 これはお2人の先生にお伺いしたいのですけれども、今、いろいろな補完代替医療のお話がありましたけれども、これ自体は実際に効くとお考えですか。効かないものというふうにお考えでしょうか。効果があるというふうに考えている。
○梅垣構成員 恐らく、効果がないと思います。治療効果はないと思いますけれども、ただ、プラシーボ効果みたいなのがありまして、本当に効くと思っていて、いい面が出てくる人もいることは否定はできません。そのようなことから効くか、効かないかというふうに分けるのも難しい現状ではないかと思っています。
○羽生田構成員 よろしいですか、続けて。大野先生にも効果があるとお考えですか。
○大野参考人 きょうは健康食品ということでお話をさせていただきましたけれども、日本でも保険診療に一部なっている例えば鍼灸であるとか、海外に行くと補完代替医療とかの分野になる漢方などというのは、RCTなども行われておりますので、一部効果が認められるものもあるだろうと。
 ただ、がんの分野で言うと、がんが小さくなるというものは残念ながらない。あくまで先ほどお話したQOLを改善するであるとか、そういったサポート的なものとして、補助的なものとしての効果はあるものは本当に一部だと思うのですけれども、期待できるものはあるのではないかなと。ただ、現実としてはわからないとしか答えられないというふうに、私個人としては考えています。
○羽生田構成員 費用対効果というお話がありましたけれども、大野先生のお話では、がん患者で補完代替医療を利用する方が、月平均に5万7,000円という額を使っているということですが、これだけのお金を使っていることが費用対効果という観点で効果があると考えるのかどうか、非常に難しいところですけれども、私などは費用対効果という意味では、むしろ無意味というふうに思ってしまうのですけれども、その点いかがでしょうか。
○梅垣構成員 恐らく私も費用対効果を考えるとないと思います。ただ、人によって、これだけ払っているけれども、いい体感を得ているという人も中にはいるのです。だから、それは我々が情報提供するときに、消費者自身が本当にいい効果があるのかないのかを判断してください、もし、あるかないかわからないのだったらやめた方がいいですと伝えています。でも、自分はこれを使っていていいんだと思われている人は、お金を出してもいい思いをしているので、そこまでは否定はできないと思います。基本的に費用対効果は非常に悪いと私自身は考えています。
○大野参考人 ほぼ梅垣先生と同じで、マクロの視点で見れば、残念ながら費用対効果はかなり低いというふうに言わざるを得ないのが現状だと思うのですけれども、ただ個々の判断で言うと、それでメリットを感じている人がゼロではないということがあるので、全く全部を否定するわけにはいかないというふうに考えてはいます。
○羽生田構成員 済みません。よろしいですか。
○大島座長 どうぞ。
○羽生田構成員 健康食品、あるいは特保については、私、「健康食品」に係る制度のあり方に関する検討会に出ておりまして、まず表示の問題ですよね、表示については私が委員で出る前に決まっていたので、例えば「血圧の高めの方に」というような言葉が出てくるのですよ。テレビでも、血圧が高めの方にということで、特保を宣伝されていた方が有名な方が倒れて、そのあと、そのコマーシャルが消えてしまいましたけれども、そういった健康食品まで含めても、どう見ても効果がありますよとしか読めない書き方をされている。これを私は非常に問題にしたのですけれども、結局、その言葉自体は変わらずに今に来ているのですけれども。
 ですから、そういったものを消費者が見たときにどう捉えるかというのが非常に大きな問題で、今、先生がおっしゃったデータベース、あれだけのものをつくられて、では誰がどれだけ見ているかというと、消費者のほとんどは見ていない。消費者は、メーカーの宣伝、それがもうほとんど99%でものを買っているということだろうと思うのですね。
 ですから、データベースの構築ももちろん非常に大切なことなのですけれども、あれだけのものを出しても、消費者がほとんど見ていない。もう少しわかりやすい内容にしてはどうか、メーカーのCMは非常にわかりやすい。その辺の工夫も必要かなというふうに思いました。
 あともう一つ、アドバイザリースタッフという制度を作るときに、これも私、委員で出たんですが、これはもう当然この健康食品あるいは特保に関してのアドバイザリースタッフは、少なくとも栄養士が中心でこのスタッフをつくるべきだということを主張したのですけれども、アドバイザリースタッフはほとんどメーカーの方でした。メーカーの方がアドバイザリースタッフという名前を使って、自分の会社の製品を売り込んでいる。そういうことですね。残念ながらそういう結果が出ているので、その辺の問題が、消費者心理につけ込んで何かしているというふうにしか私には思えない。ですから、そういったものはきちんとこの代替医療という、統合医療という、医療の一部だみたいな文言で言われること自体、私は全く不賛成でございますので、そういった意見を述べさせていただきます。
○大島座長 いかがでしょう。相当危ないところに踏み込んだ議論になってきましたが、確かに、羽生田先生が言われることは私も感じているところではありますけれども。
 どうぞ。
○梅垣構成員 基本的に、特定保健用食品も食品なんですね。だから、医療で使うものではないという認識で成り立っていると思います。
 例えば、血糖値が高めとかと書くのは、糖尿病に使うものではないからです。だから、トクホに糖尿病とか高血圧症とか、病名は一切入れていないのですね。それは基本的に、食品は病気の治療とか、治癒に使うものではないというスタンスが多分基本的にあるのです。今の統合医療というところとちょっと僕は違うというふうに思っています。
 それから、データベースをつくったときに、私たちは安全性のデータだけを最初入れようとしていたのです。ところが、消費者は有効性を見たいという意見があり、確かにそれはそうなのです。有効性があるというふうにメーカーさんからいろいろな情報が出ています。けれども、実際調べみたら、ほとんど有効性の情報などはないのが多いのです。
 ですから、データベースの有効性のところは、有効性がないということを明確に示すことが、実は安全性を確保する上では非常に重要である。そういう意味で、有効性のデータも入れていたという、そういう経緯があります。
○大島座長 もちろんメーカー主体に考えれば、当然売りたいと。これは当たり前ですね。そのこと自体を、今のルールでとめたりなんかするというのは、これはできませんから。
 しかし、うそではないけれども、決して本当ではないだろうと言えるぐらいある部分を強調し過ぎると、結局、それによって、わらをもつかみたいというふうな気持ちのひとはつかんでしまうという状況があります。そういう点で何か一工夫とか、あるいはこういう公的な情報発信をやる場合には、その辺で何か考えておく必要があるのではないか、という御提案だと思うんですが。いいとか悪いとか、そんなことを議論しても意味がないと私は思いますので。
○梅垣構成員 特保の話をちょっと、今、されましたけれども、特保は基本的に許可要件の一番目に書いている、生活習慣の改善に使うものです。
 だから、一番重要なのは生活習慣を改善して、ちゃんとした食生活をする。それが当たり前のことで、それができるようにするための食品であるべきなのですが、例えば表示を消費者が正しく理解できない。それから、伝えていないということがあるので、今のような特保の問題が出てきていると思います。
 基本的には、ちゃんとした食生活を改善するための動機づけとか、そのために使うものであるという位置づけにはなっていると思うのです。先生がおっしゃるのはもっともなんですけれども、基本的なところが一般の人も理解していないし、つくる側のメーカーの人も多分十分理解していないから、今のような現状になっているのだと思っています。
○大島座長 ほかいかがでしょう。どうぞ。
○伊藤構成員 特保の話でございますけれども、梅垣先生がおっしゃったように、糖尿病あるいは高血圧の人のための食品というわけではなくて、そういうリスクのある人、あるいは前段階の人に勧められる食品であるという、そういう位置づけだと思います。
 したがって、それで糖尿病の人の糖尿病がよくなるというわけではないということがあります。
 私はそれの実際のデータを見ているわけではないのですけれども、医療者側から言いますと、一応臨床試験という形のデータを提出して、それで判断された結果であるということで、統計学的な有意差が5%以下とか、あるいはもうちょっと緩い基準で決まったのではないかなと思います。
 その中で、メーカーがどれだけかかわっているかというのは、私は余り知らないのですけれども、羽生田先生、そういうことを現場で見ておられるということですので、その辺は少しクリアにしなければならないのではないかなと思います。
○大島座長 問題点は、例えば理屈だとか何かというのは、多分それなりにきちんと整理されていると思うんですね。
 問題は、正しい情報が正しく消費者に伝わっていないのではないかということで、その結果として何か売る側の論理に振り回されているのではないかということを言われているわけです。公的な機関が情報提供するということになれば、そこのところはもう少し一工夫が必要なのではないかと。より正しい情報をどうやって伝えるかということだろうと思いますけれども。ちょっと極端なことを言えば、今の段階で効くという根拠が全然ないということであれば、大きな太字で、まず、効くという根拠はないということを出してそれから説明に入るとか、極端なことを言えばですよ、どのようなやり方がいいかどうかは別ですけれども、そういうことを提案されているのではないかなと思いましたが。いかがでしょう。
 どうぞ。
○渡辺構成員 慶應の渡辺でございます。
 今の羽生田先生の御意見、おっしゃるとおりなのですけれども、要するに正しい情報が正しく利用されていないと理解しております。我々は医療の現場ですと、患者さんからよく「これを飲んでいいでしょうか」といって聞かれるのですね。だけれども、私にはその判断ができません。私自身、こういうサイトがあることをしりませんで、利用していなかったので、今、反省しているところなのですけれども、要するに正しい情報を、やはり医療者がちゃんと知るということが大事だと思います、その点で梅垣先生のスライドの中で、専門職という言葉が何回も出てくるのですけれども、先生のその専門職というのは、どういう方を指していらっしゃるのでしょうか。
○梅垣構成員 薬剤師、それから管理栄養士とかそういう人です。もともとは研究所でNRという、今はできなくなったんですけれども、NRというアドバイザリースタッフを認定していたのですね。そういう人に情報を渡して、その人たちが情報を個別の消費者に渡す、それが基本です。だから、薬剤師とか管理栄養士は、薬局とかいろいろなところにいますから、そういう人が中心です。ただし、医師や、ほかの医療の専門職の人も想定しています。
○渡辺構成員 NRというのは、我々の身近にもいらっしゃるのでしょうか。
○梅垣構成員 そうですね。先ほどメーカーの人だけとおっしゃったのですけれども、実はそうではなくて、薬局の薬剤師もいますし、保健所の人もいますし、それから消費者センターなどにも若干いらっしゃいます。
○渡辺構成員 羽生田先生は一括しておっしゃられたのですけれども、私なんかはある場合には、患者さんが飲むことによって希望につながるようなこともあって、要するに値段が自分で払えて、安全であれば飲んでもいいですよというふうに言ってしまっているのですけれども、そういうことすら否定をすべきなのか、いろいろ問題がはらんでいるなと思いながら聞いておりました。
○大島座長 私の個人的な見解を言ってしまいますが、それは触れる話ではないと私は思っています。要するに正しい情報が正しく伝わるなかで、本人がどういう選択をするのかがわかっていて選択する分には、その方の自由裁量であると思っています。
 ただ、情報がいびつであるとか、ある操作によって決してうそではないけれども、とても本当だとは思えないというのはやはりいろいろとありますね。だから、売る側が売りたいために違反しない範囲でいろいろやって、何が悪いんだと言われれば、それは当たり前の話で、しかもそれを今のところ規制するとかどうとかという議論にまで踏み込んでしまえば、これは大変なことになります。そんなことはここでやることではありません。
 ここでは、いかに正しい情報を、どうやって正しく伝えるかということだと思うんですね。
 情報の話ですから、どこで誰が何をどのようにという議論というのは、今、プレゼンテーションされた中にある部分一つの大きなモデルになるようなものがあると。その具体的な中身の細かいことについては、多分、これからいろいろと詰めることがあるでしょう。最初に基本的なところで、羽生田先生がちょっとこだわられたので、これは非常に重要なことだと私も思って、少しこだわってこの議論をしてもらいました。
 どうぞ。
○渡辺構成員 さらに、突っ込んで聞かせていただきます。私、医療の現場にいてほとんどこういう知識がなかったのですけれども、梅垣先生の今後の戦略としては、どういうふうに医療者に普及していくということをお考えなのでしょうか。
○梅垣構成員 まず、いろいろな考え方を持っている人がいらっしゃいます。基本的な考え方は、例えば健康食品は医療としては使えませんよというふうな考え方です。食品ですから、食品を病気の治療とか、治癒には使えないというのが基本的な考え方です。そういう考え方でデータベースをつくっています。
 もう一つは、やはりちゃんとした食生活をして、運動をしてという、ちゃんとした生活習慣をするのが一番重要だということを前提にしてつくっています。だから、そこのところが揺るがない範囲であれば、それぞれの専門職の人がそれぞれの立場で患者さんなりにアドバイスされればいいと思います。けれども、基本的なところがずれてしまうと混乱します。例えば医療関係者の人がいろいろなことを言ってしまうと、消費者がかえって混乱をしてしまいます。
 ですから、ここの私たちがつくったデータベースは、あくまでも食品で薬ではないというのと。あとは余り注目はされないのですけれども、例えば、何かの実験をして効果があったというのは、大体きれいな製剤というか、製品を使って実験をしているのですね。それが全ての同じような名前の製品に当てはまるかどうかということ、これは調べてみなければわからないのです。そういうところも、重要な点で、そこのところをポイントにして、情報提供しています。
 ちょっと追加なのですけれども、先ほど、特保の話が出ましたけれども、特保は実はRCTでやって、かなり厳しい試験をしています。なぜ特保ができたかというと、1つは科学的な根拠もないのに、何か病気に効くとか、何かにいいとかと言っている製品がすごく多いのです。だから、そういうものとまともに評価したものと区別するために、特定保健用食品というような制度ができています。ちまたで特保がとんでもないとかという話をされる人もいますけれども、実はもっとひどい、もう本当に話にならないようなものが世の中いっぱいあるわけです。そういうものとまともなものとを区別して、できるだけまともな商品が出回るというか、流通するような方向に持っていきたいというのが、多分行政的な考え方として動いているのではないかなと私は思っています。
○大島座長 どうぞ。
○渡辺構成員 そうしますと、大野先生に聞きたいのですけれども、我々医療の現場にいる者としては、患者からいろいろなことを聞かれた場合に、情報のリソースをお教えするというのが正しい態度なのでしょうか。
○大野参考人 それで十分な場合ももちろんあります。ですが、梅垣先生のお話にも出たのですけれども、情報のリソースだけをお伝えしても、患者さんが判断できない場合が多いので、やはりそこは医療者の方がかみ砕く形でお話をしていくというようなことが実際には求められていることが多いかなと感じています。しかし、医療者の方も、残念ながら知識がない、実際私も医学部に行きましたけれども、栄養学すら学んでいないというような現状がありますので、その場ではやはり答えられない。ですから、私はたまたまデータベースを知っていたので、まずは聞かれて、一旦持ち帰らせてくださいということで、調べてから情報をお伝えすると。
 やはり基本としては、有効性が証明されているものは限られているので、お伝えすべきは、やはり危険なもの、安全性というところで、これは今このお薬を飲んでいるときは使わない方がいいですというような、わずかなリスクがあっても、やはりそこはお伝えすべきかなと、これは個人的な考えもちょっとありますけれども、そういうスタンスです。
○大島座長 ほかの先生方、いかがでしょう。どうぞ。
○伊藤構成員 我々の附属病院では、補完医療外来というのを開設していまして、もう7年ぐらいになるのですけれども、当初はやはりがんの末期の方がわらをもすがるつもりでどんな健康食品(サプリメント)がいいのですかというような質問が多く見受けられました。
 しかし、最近では今いろいろな治療をしているのだけれども、このサプリメントと一緒に使って大丈夫ですかというような質問が多くみられるようになってきました。
 結局、このサプリメントは飲んで効くのかどうかという前に、やはり先ほど梅垣先生がおっしゃったように、食事、運動の面でどのようなライフスタイルをしてきたのか、そういったものを含めて、それからどういう治療法を今まで受けてきたかを確認することにしております。場合によっては、西洋医学の標準的な治療を無視して、いきなりサプリメントというような方もおられました。
 したがって、そのサプリメントだけで効くかどうかというような話の前に、やはり多くの場合は生活習慣をどう考えているか。それから、心の状態がどういう状態(うつや適応障害など)かというようなことも総合的に考えた上で、最終的に補助するならこういうサプリメントという位置づけだと私は思います。
 健康食品は一律に効かないのだという、そういう答えを出すのは現時点では時期尚早かなと思います。といいますのは、この患者さんのガイドブックをつくった際に、PubMed等の論文を見てみますと、ほとんど臨床試験がされていないということ、また一部されていても、それはほとんど効かなかったということが判りました。すなわち、健康食品の場合、通常の薬品の開発のように、開発費をかけてやらなければならないようなものではないわけです。
 したがって、製造している側としましては、そういうことをしなくても、売れればいいという、そういう考えがあったかと思います。
 したがって、これを薬とそれに近い状態できっちりした試験をやれば、いろいろなエンドポイントをどう設定するかは別ですけれども、それに応じて、こういう状態では有効であろうということは出てくる可能性はあると思います。従って、それでもって、健康食品を全く否定するものではないというふうに私は考えています。
○大島座長 ちょっと意地悪い言い方をしますけれども、根拠がないものは効くか効かないかわからないでしょうと言われれば、そのとおりなんですね。だから、効くか効かないかわかりませんという、そんな表示がいいかどうかは別ですよ。だから、全く先生のおっしゃられるとおりなのですが、いわゆる何を根拠にして表示するのかという、その根拠になるものが今のところこういうものを根拠にして表示をしていますと。しかし、全く違った考え方の、こういう考え方でこの情報の提供はしていますということであれば、効くとか効かないとかということについてであれば、効くという根拠を示すことはできない。できないということは、何もやっていなくても効くか効かないかというのは、これはわからないですね。従ってどんなものもわからないということになりませんか。
○伊藤構成員 ただ、今、NCCAMでは、そういう臨床試験をどんどんやっていますので、少しずつそういったエビデンスが出てくると思います。
○大島座長 いや、だから、臨床試験をやってデータの出ているものは、こういう考え方の根拠によって、こういうデータがありますということは言えるわけですね。
 もう時間もありません。ほかの先生方いかがでしょう。
○金澤構成員 できれば黙っていようと思ったのですけれども、心情は実は僕は羽生田先生と同じなのですが、ちょっと立場が具合が悪いので、ちょっとこの健康食品にはサポートしなければいけない立場にあるものですから。
 というのは、消費者庁は特保とか、それから栄養機能食品など、これは厚労省と一緒に認めてきたけれども、もうちょっと踏み込んでやった方がいいのではないかという方向に今傾いているのですね。
 それで、それではどう傾けたらいいかと、どういうふうに具体的にやったらいいかというときに、幾つかの成分を選んで、例えばノコギリヤシとかあるいはN3のものであるとかそういうものを選んで、グルコサミンもそうでしたが、そういう成分が本当に効果がある場合もあるのかどうか、それこそ科学的なエビデンスをどの程度のエビデンスがあるのかというのを、私たちはPubMedを中心に調べていたのですね。それも報告したところです。
 そうしますと、まさに皆さんがおっしゃったとおりで、非常に高いレベルでエビデンスがあると認められるものから、全然だめだというものまであるわけですね。それをグレーディングすることも一応提案はしたところです。もちろん、問題になるところが幾つか当然ながらあるわけでして、量の問題とか、それから期間の問題、具合がいいといってもそれがどの程度かというのが実はよくわからない部分があるのですね。エフェクトのサイズの問題もあるし。
 あるいは、私は非常に問題だと思うのは、先ほど羽生田さんがちょっとおっしゃった、やはりCOIの問題なんですよ。コンフリクト・オブ・インタレストがどうしても拭い去れない部分があるのですね。これはやはり注意しなければいけないと思うのですが、今後、こういう対象が多分ふえてくるだろうと思うのですね。11個ぐらいの成分の中で、3つぐらいはまあまあのレベルという感じでしたかね。だけれども、ほかはグレードはやはり下がりましたね。RCTをやはり基本には置きました。RCTとそれからメタアナリシスを基本には置きました。結構データというのはあるものだなと思って、本当言いますと驚いたんです。
 そういう意味では、サポートをするべき点があるのですけれども、やはりまだまだ問題は残っています。
 それから、先ほど伊藤先生がおっしゃった特保は有効5%以上、例えば10%ということをイメージしておっしゃったんだろうと思うが、それは特例であって、基本はやはり5%ですから、特保というのは相当厳しいものですね。
 以上です。
○大島座長 ありがとうございます。ほかいかがでしょう。
○門田構成員 きょうの議論はその情報発信ということに限定して、効果云々ということは別としてどうするかということを話題ということで理解しているんですが、そういうふうに考えていきますと、私はやはり梅垣先生のデータベースのこの考え方の基本は非常に理解しやすいというふうに思います。
 これを今度は、我々、今、やっている統合医療に当てはめたらどうなるか、これは非常に難しいことに逆になるのではないのかなと。
 だけれども、基本的なこういう発想でもって進めていくという考え方というのは、非常に参考になるし、また、今後、統合医療全体としてどういうふうな形に持って行くのか、基本はこういう基本でいいのではないのかなというふうに感じました。
○大島座長 ありがとうございます。いかがでしょうか。
○南構成員 済みません。また、いつものように感想のようなことしか申し上げられないのですが、確かに梅垣先生の御説明、それから大野先生の御説明も捉え方としては全く問題はないと思います。
 ただ、情報ということに関して申し上げれば、先ほど梅垣先生は資料の中で、メディアは白黒はっきり言うというふうに言われたのですが、ちょっと弁護させていただければ、はっきり言っているものもあるでしょうけれども、私どもは少なくとも不特定多数の読者に情報を出すとき、少なくとも医療や健康の情報を出すときに、一方的にどなたかから聞いたことだけを伝えるということはあり得ないわけで、必ず別の見方や意見も聞いて、客観性を担保する努力をしています。「白黒はっきりという、メディアが全てそうだ」ということには異議あり、と申し上げておきたいと思います。
 梅垣先生の説明も、それから大野先生の説明もそうですが、「情報というものは、かなり丁寧に出し、受け取る方もかなり丁寧に読まなければ意味がない」ということなのだと思います。国民にもそのことを知っていただく以外なくて、それはメディア・リテラシーなどという言葉で言われますけれども、そういうことが一方で警鐘を鳴らされているにもかかわらず、世の中は、ひたすら簡略化の方向に行っている。要するに、どうなのかという情報しか求めない人ばかりになっているのです。
 ですから、新聞の記事も、何十年前と比べると本当に記事は短くなっています。情報が爆発的にふえれば、当然よみ方は粗くなるということは、これはもう全てにおいて仕方ないと思いますけれども、長い丁寧な情報というものを、国民が読まない、見ない、自分に都合のいいところだけで解釈してしまうという、ここを変えていかないことには、この健康の問題に関する情報は意味がないということだと私は思います。
 もう一つ。先ほど来問題になっているCOIということとも関係するかもしれませんけれども、健康食品とうたっているものの中に、非常に粗悪なものがたくさんあるというのも問題ですが、パッケージにはられたラベルに、医学博士とか、医師等の肩書の人が宣伝しているなど、かなり関与していることがあるわけです。その他、医師以外にも、先ほど梅垣先生がおっしゃった専門職という方々が。このようなことを、どう考えるかということも大きな問題だと思います。
○大島座長 ありがとうございました。本当はもう少し続けたいのですが、時間の方がちょっと押していますので、きょう、ちょっと本当にいきなり本質的な問題にすぐ入って、こういう議論がされたということだけでも、相当私は意味があると思っています。次に具体化するときに、どういうものにしていくのかとは、こういった議論の上に乗っかって考えていかなければいけないわけですから、そういう意味で非常に意味があったと思っています。
○渡辺構成員 座長、1つだけよろしいでしょうか。
○大島委員 はい。
○渡辺構成員 本題からちょっとずれるので、でも言わなければいけないことが1点ありまして、梅垣先生のスライドの17枚目に「中国のいわゆる漢方製品」とあるのですけれども、これはやせ薬の肝障害の事件が出たときに、NHKが「漢方薬による健康被害」と報道したのですね。
 我々日本東洋医学会は、これは漢方薬ではないと。これは中医薬でもなくて、中国の健康食品であって、漢方薬ではないと講義しました。そうしたら、NHKが「いわゆる」漢方薬と「いわゆる」をつけたのですけれども、これは全く漢方薬ではなくて、ぜひとも注意していただければと思います。お願いします。
○大島座長 ありがとうございました。よろしいでしょうか。
 それでは、次の議題、前回までいろいろと御議論いただいたのを踏まえて、事務局の方で論点整理をしていただきましたので、その点について、事務局の方から説明をしてください。
○坂上補佐 事務局でございます。
 それでは、資料の説明をさせていただきます。お手元の資料3をごらんいただければと思います。
 前回、御提示させていただきました「論点の整理と論点に関する検討会におけるこれまでの議論」についてですが、前回いただいた御意見、御指摘をもとに、赤字で修正をしておりますので、赤字の修正した箇所を中心に御説明させていただきます。
 まずは1ページ目をごらんください。まず、論点1の「『統合医療』をどのような概念として捉えるべきか」という点でございますが、まず「1-1『統合医療』をとりまく背景」というところで、前回、医療費に関する記載については、誤解を招くという御指摘がありましたので、この記載は削除させていただいております。
 続いて、2ページ目をごらんください。
  本検討会における「統合医療」の内容ですが、3番目の○のところでございますが、「どのような療法が用いられているかは各国の事情により異なる。各国の事例を参考にしながら、日本にふさわしい『統合医療』を展開していくべき」という御意見がありましたので、追記させていただいております。
 続きましては、同じ2ページ目の「1-3 本検討会における『統合医療』の提供主体」ということですが、2番目の○にありますとおり、「『統合医療』は近代西洋医学とその他の療法を組み合わせたものとした上で、医師主導で行う医療と捉えることとする」という御意見が前回ありましたので、「こととする」ということで、記載させていただいております。
 続いて、前回はこの下に統合医療の一覧のような表を記載しておりましたが、これを削除させていただいておりまして、ちょっと飛びますが、資料4の方をごらんください。
 これは前回の検討会で、統合医療の療法を何かしら分類できないかという御指摘がありましたので、事務局の方で一定の分類をさせていただいた資料になります。
 繰り返しにはなりますが、ます、統合医療というものは、近代西洋医学とその他の療法を組み合せ、または補完・一部代替したものという整理にしております。
 その上で、右側の療法の分類ということで、外形的な分類にはなりますが、分類をさせていただいております。
 分類の内容としましては、「食や経口摂取に関するもの」「身体への物理的刺激を伴うもの」「手技的行為を伴うもの」「感覚を通じて行うもの」「環境を利用するもの」「身体の動作を伴うもの」「動物や植物との関わりを利用するもの」、最後に「伝統医学、民族療法」というような分類にさせていただいております。
 後ほどまた御意見いただければと考えております。
 恐縮ですけれども、資料3に戻っていただければと思います。
 続いて、修正させていただいた箇所でございますが、資料3の4ページ目をごらんください。前回のヒアリングで漢方薬についてのエビデンスの集積状況について御議論いただきましたので、2番目の○に「また、漢方薬のように国内において大規模臨床試験が進められているケースもある」という記載を追加させていただいております。
 続いて、7ページ目論点3の「『統合医療』の安全性・有効性等について、どのように評価したらよいか」という論点でございますが、評価のあり方につきまして、「安全性を抜きにして有効性を議論することは困難。安全性の確保ができない『統合医療』について、患者や国民に提供することは適当でない」という御意見がありましたので、追記させていただいております。
 また、下の方になりますが、「誰が、どのような属性を持った対象者に、どの療法を用いて、その結果どうなったのか、といった知見を整理していくことが必要である。一方、施術時には、対象者の特性や具体的手法等について記録を残すなど、対外的に明らかにすることが必要」という御意見がありましたので、追記させていただいております。
 続いて、8ページ目をごらんください。最後の論点4ですが、「『統合医療』を推進していくためには、どのような取組が必要か」という論点になります。
 「4-1 今後の取組方針」のところですが、「『統合医療』を国民の信頼を得て根付かせるためには、代表的な拠点において、いろいろな医療従事者が関わることによって臨床研究を行い、その結果を還元していくという実践面のアプローチが必要ではないか。並行して、各療法について、科学的根拠の有無等を含め、現時点で得られている知見について、情報発信していくことが必要ではないか」という御意見がございましたので、追記しております。
 続いて、9ページ目をごらんください。先ほども御議論いただきましたが、「4-3 情報発信のあり方」についてのところでございます。
 「患者にとっては、現在行われている治療法に限界を感じた際、ほかの療法に関する情報を求めているものの、様々なものが氾濫している中で、より確実な内容の情報を必要としていると考えられる」「効果の有無に関する情報だけでなく、健康被害に係る情報も併せて、療法に関する情報を収集・提供する仕組みを検討してはどうか」という御意見を前回の検討会でいただきましたので、追加しております。
 最後に10ページ目をごらんいただきますと、その他の内容なのですけれども、「『統合医療』については、病気になる以前の状態(『未病』の状態)から兆候を捉え、治療を行っていくという考え方があり、このような予防的な意味合いもある」という統合医療の中身について御意見がありましたので、追記させていただいております。
 以上、簡単でございますが、資料の説明になります。
○大島座長 ありがとうございました。
 前回までの議論の結果をまとめたものを、今、報告していただきました。
 いかがでしょう。どうぞ。
○羽生田構成員 政府として統合医療の推進をするという文言があるわけですね。政府は統合医療というものをどう捉えてこの推進と言ったのか、それは厚労省では御説明できないですか。
○大島座長 どうぞ。
○佐々木調整官 この検討会、開催する契機と、原因となったわけでございますけれども、平成22年1月の鳩山内閣総理大臣の施政方針演説の中で、統合医療の推進と、それについて検討していくということが言われまして、政府としては、その推進というところをにらみながら、一応これまで得られました知見等を用いまして、この検討会において一定の整理をいただきたいというスタンスでございます。
○羽生田構成員 ですから、統合医療というものがどういうものだという考えからその言葉が出てきたのか、そこは厚労省ではわかりませんか。政府の考えたことは。
○大島座長 どうぞ。
○佐々木調整官 政府が当初から自発的にこの統合医療の定義をしていったというわけではございませんので、今回、まさに検討会、論点1で統合医療をどう捉えるべきかということで改めて御議論いただきたいと思ってはいますが、ざっくり言いますと、この資料4の一覧表にございますように、近代西洋医学とそれにあわせて相補・代替医療と呼ばれているその他の療法を補完なり一部代替で組み合わせて行う療法というふうにとらまえております。
○大島座長 よろしいでしょうか。
○羽生田構成員 最初のころにも申し上げたのですけれども、厚労省が資料4で少し書きかえた中での西洋医学との組み合わせる療法というもの、これを含んだものがその統合医療というふうに言われているのですけれども、私が最初に質問した統合医療というのは、医療なんですかという質問をした。
○大島座長 どうぞ。
○佐々木調整官 ちょっと言葉の話になるかもしれませんけれども、まさに資料3の論点1で御議論いただいていますように、統合医療をまずは近代西洋医学を柱としてその他療法を組み合わせることによって、そこにちゃんと医療として医師が介在するという形で考えるべきではないかとお話いただいておりまして、事務局としても、そのような御提案は非常にこの統合医療を考えていく上で、この検討会で御議論いただく上で受け入れやすいかなというふうに考えております。
○大島座長 いかがでしょう。どうぞ。
○門田構成員 羽生田先生の意見に近いのですが、今回、最初にあった表がなくなったことはよかったなと思っておったのですが、新しい資料でも統合医療がどういうものかをはっきりさせないままで表にあがっております。内容的には、前も申し上げましたけれども、日本医学会はホメオパシーに反対の意思表明をしております。ホームページ上で、そこまで言っているものが、今度も資料4として出てきたものの中に、やはりホメオパシーなど、さらに、何とか等々とでております。「など」ということで、何でもありそうなことをひっくるめて「統合医療」という単語を使うことに国民は大きく惑いを感じると思うのですよ。
 だから、これはよほど用心をしないと、これを厚労省の委員会で、このままの状態で社会に出すというのは、効く、効かぬよりももっと前に何でもありの「など」を含めた「統合医療」ということで発信するというのは非常に疑問を感じますね。
○大島座長 はい。
○金澤構成員 今の御意見は、私が2回目でしたでしょうか。羽生田先生がお見えにならないで、どなたか代わりに見えたときにも、私も同じことを言いました。
 医療という言葉を使うことは非常に危険であるということを申し上げたつもりです。ですから、全く同意見です。これはきちんとした方がいいと思います。幾ら政府が何と言ったって、そんなこと関係ないですよ。きちんとすべきことはきちんとすべきだと思いますよ。それが1つ。
 もう一つは、この表はどうせ出すならば、もうちょっとちゃんとしたものを出すべきだと思っておりまして、例えば、療法の例をごらんになると、いろいろなものがぐちゃぐちゃあって、これから申し上げるものは、要するにもう既に西洋医学できちんとやっているもの、例えば食事療法です。温熱療法も多分一部やっているでしょう。温泉療法もやっていると思います。それから、近代西洋医学と言っていいかどうかわかりませんが、漢方医学も一部やっていますよね。
 そうかと思うと、ここにはちょっとありますけれども、鍼・灸とか、つまり国家資格になっているやつがあるのね。鍼・灸・各種マッサージ、骨接ぎでしょう。それから、問題にはなっているけれども、国として特保のように一部は認めているサプリメントがあるわけです。そういうものとホメオパシーと一緒にするとは何事かというのが学術会議にいた者としての意見ですが、とにかくここは療法というのは、もっときちんと分けないと、それともっともっとスリムにしていいのではないかと私は思います。
○大島座長 事務局で何か。どうぞ。
○佐々木調整官 いろいろ厳しい御指摘はその前からいただいていることは重々承知しております。ただ、ここはあえて平成22年度厚生労働科学研究で一応取り上げた相補・代替療法、少しわかりやすい例として、あくまでも例として挙げさせていただいて、この統合医療の概念整理で使わせていただいたものでございまして、逆に、今、金澤先生がおっしゃられましたように、制度の中で取り組まれているもの、そうでないもの、いろいろありますけれども、今後、とにかく現時点でこれらの療法を明確に分けていけるだけのエビデンスが本当にそろっているかどうか、そのあたりはまさに今後の研究の推進であるとか、それから知見の集積というのが必要になってくるかなと思っていますので、現在、この個別の療法のよしあしをこの検討会で御議論いただくのは、事務局としては若干早いかなというふうには思っているところでございます。
○金澤構成員 ちょっと待ってください。
○大島座長 どうぞ。
○金澤構成員 いいですか。僕が言ったのは、もう既に今の時点で区別ができているものを分けた方がいいと言っているのですよ。それは認めてくれないと困りますよ。
○大島座長 どうぞ。
○佐々木調整官 今、金澤先生からいただいた分類といいますか、区別するのは十分可能だというふうに考えています。
○大島座長 もう少し、私の言葉で整理すれば、玉石混交であって、その証拠というか、根拠になるようなものがないものも含め、多少あるものも含め、相当あるものも含めという、いろいろこういう範囲にあるのだけれども、明らかに害になるという根拠のあるものも中にはあると。そういうものについては、それはやはり対応の仕方をきちんとすべきではないかという御意見だと理解していますけれども、いかがでしょう。そこの区別はしてもいいんではないかと。
 それももしできないとするなら、そのための何か根拠があるのかと。あえて金澤先生が政府が何と言おうとという言い方までされているので、そこまでやらなければいけないとすると、何かそこまでやらなければいけない、ちょっとどうしても言えないことがあるとかなんかも含めてあるならあるで考えざるを得ないことになりますが、専門家の集まりですから、専門家としては、これは明らかに国民に害をなす可能性が極めて高いと思われるものは、医療という言葉を付けて認めるわけにはいかんと。そうでなくて、勝手にやる分にはどうぞという御意見で、これはもう極めて全うなというのか、当たり前な話ではないかなと思います。
 どうですか。
○吉岡課長 確かに、今、座長が御指摘のとおり、安全性の面から明らかにこれは問題だというコンセンサスができているものについては、こういったものから除くというのは1つの整理だろうと思っております。
 その一方では、いわば統合医療的なものとして世の中で言われているものについて危険だとすれば、その危険性を伝えなければいけないのではないかと。要するに情報提供という観点から見れば、この統合医療というものを少し広く考えて捉えるという視点も必要ではないかなと思っています。
○大島座長 後段については、多分、これは先生方、みんな相当議論していますから、十分理解されている。具体的にホメオパシーというのが出たんですが、これは学術会議できちんと声明まで出ているのですね。あえて名前が出たからこれだけについては言いますけれども、ほかのことについて吟味をして言っているわけではありません。
 ほかの先生はいかがでしょう。
 どうぞ。
○伊藤構成員 済みません。戻りますが、統合医療が医療でないという、前回のお話がございました。
 これは医師主導でやはりきっちりいいものと悪いものを区別していくという意味では、医療として考えていかなければならないと思います。例えば先端医療もそうですね。医療という言葉を使っていますし、また、昨今では、先制医療というような言葉も出てまいりました。これらが医療でないと全部バツにしてしまうのはいかがなものかと考えます。現在の西洋医学には限界があり、患者のニーズにこたえる統合医療がその場を補填するという意味で、医療と位置付けるのは妥当であると考えます。
○大島座長 先生、論点が、全然話が違っていると思うのですけれども。
○伊藤構成員 その統合医療の話なのですけれども。
○大島座長 いえ、要するに、これは明らかかどうかわかりませんけれども、学術会議というものをどう見るのかというのは別ですよ。学術会議で、これは害があるぞと判断されたものを、医療という名前を付けて、同じ統合医療の中に入れるのは問題ではないかという話でした。
○伊藤構成員 わかりました。
○大島座長 だから、後段、吉岡総務課長が話したもう少し緩やかに広く考えるべきではないかという点については、恐らく皆さん合意はされている、統合医療というのを拒否するとか、そんな気持ちはないという点については合意されていると思うのですね、さんざん議論しましたから。
○伊藤構成員 ホメオパシーのことなんですけれども、数年前に起こったあの事件は、全く論外の話でございますけれども、それでもってホメオパシーの存在を否定するというわけにはいかないと思います。
 学術会議で、どの程度そのホメオパシーのエビデンスというものが議論されたかわかりませんが、実はもう既に国際ホメオパシー学会として、67回開催されており、ついこの間も奈良で開かれました。私もちょっと興味を持って参加しました。WHOも2009年にホメオパシー薬とホメオパシーの取り扱いに関する安全指針というものをは出しています。
 だから、この場でわからないものを全部消去するのではなくて、ホメオパシーも含めて、そういった方々の意見を聞くという広い視野が僕は要るのではないかなと思いますね。
○大島座長 どうぞ。
○金澤構成員 やむを得ません。お話ししましょう。内容に関しての学術会議で、会長談話を出した張本人なものですから。
 当然でありますけれども、さまざまな事例をきちんと把握した上での話ですから、何の問題もありません。また、このことは学術会議だけではなくて、日本医師会も御了解いただいてお話が進んだかと思います。また、看護協会もそうではなかったかな。ほかのいわゆる医療関係。つまり、最も大事なことを申します。それはこの論点整理の2ページ目の一番最後の○が関係することなのです。
 医療関係、特にこの場合、医師主導で行う医療と捉えては困るということをあそこでは申し上げたのです。よろしいでしょうか。根拠がないんだから。そういうわけです。
○大島座長 はい。
○佐々木調整官 ホメオパシーについて少し御議論ございますので、事務局より、あくまでニュートラルに御議論いただくために少し情報提供させていただきたいと思います。
 今、金澤先生おっしゃられましたように、22年ぐらいだったと思いますけれども、数年前の事件に端を発して報道になった事案は、いわゆる助産師さんがホメオパシーを近代西洋医学は全然せずに、もうそれはやめろと、むしろ阻止して、そのレメディーという砂糖玉ですね、これを療法として与えたと。それによってビタミンKの欠乏症によって乳児が亡くなったという事案でございます。
 それをとらまえて、日本学術会議の当時会長でいらっしゃいました金澤先生がこのホメオパシーについて、有効性については否定されているという見解を述べられたというのが事実だろうと思っています。
 実際、これについては、国際的に有名な雑誌であるLancetでも、このホメオパシーの有効性については、プラセボとしても差し支えないといいますか、コンパティブルだということもございます。しかしながら、有害性までが言われたものではありません。
 今回の統合医療の提案というのは、そういった近代西洋医学を無視してとか、外してとかということではなく、あくまでも医師が介在する形で、西洋医学を中心として、そういったものを組み合わせているものについてどう考えるかということで、御議論いただきたいと思っています。御参考までに。
○伊藤構成員 よろしいですか。
○大島座長 どうぞ。
○伊藤構成員 済みません。金澤先生がおっしゃるのは、あの事例ではなくて、一般的にホメオパシーというのは、医療従事者が主導でやっていないというお考えですか。
○金澤構成員 質問の意味がわかりませんけれども。
○伊藤構成員 いや、先生が取り上げているのは、数年前の助産婦の事件のように、ホメオパシーはすべて医師以外の方がやっていると。
○金澤構成員 違う違う。あれは単なるきっかけです。
 御承知と思いますけれども、学会が幾ら歴史があろうと、例えばイギリスでも国会であれは否定することにしているわけですよ。ただ、やはり余りにも日常生活の中に入り込んでしまって、簡単にやめるわけにいかないので仕方なく、保険から外せないでいるわけですよ。つまり、もっともっと言いますと、結局のところは、物すごく薄めていくわけですから、アボガドロ数よりも回数多いんですよ。物質として何が残っているんですか。
 つまり、それを指摘しますと、水が記憶しているというのですよ。つまり、そういうことでは困るんですけれども。しかもそれがLancetでもありますけれども、ちゃんとその効果はプラセボと同じなわけですよ。そういうことはとにかくもともと科学的に否定されているということがあるわけね。そのほかに、先ほどのようなことが起こってしまった。
 したがって、私たちは放っておくわけにはいかないということを申し上げたのであって、あのことだけを申し上げているのではありません。
 しかもそれをきちんとした形でわかっていただくために言うには、医療関係者がこれを勧めるということは許すことはできないのではないかという表現をしただけです。
○大島座長 伊藤先生、まだ何か。
○伊藤構成員 いや、まだございまして、希釈していく、だからほとんど水と一緒ではないかと言うのですけれども、私もメカニズムについては、説明できる立場ではないですし、わからないというところが本音ではありますが、あれは振盪というエネルギーを加えている。水の分子というのは、私も今回学会に参加していろいろわかったのですけれども、十分理解されていないのですよね。
○大島座長 今、メカニズムの議論はちょっと意味がありません。
○金澤構成員 余り実りある議論でない。
○伊藤構成員 まあそれなら結構です。
○大島座長 よろしいでしょうか。
○羽生田構成員 よろしいですか。
○大島座長 どうぞ。
○羽生田構成員 今、この資料4で出て、前の表が消えてこういう形になったのですけれども、この療法の例というものは、今後もいろいろ挙げた中でいろいろな分類をされていくということには私も賛成なのですけれども、この療法の例というものは今後ずっと挙げていくという方向でよろしいのか、もし挙げていくとすれば、もっと入れるものがいっぱいある。例えば、散歩とかランニングとか、そういう方がよっぽど体にいいわけですよ。これもそういった意味では療法の1つの例として挙げていいはずであるし、エアロビクスだとか、筋トレだとかというのも全部。ただそういったものを全て挙げて療法の例としてそれを分類していくのか。そこまではしない方がいいのか。挙げるなら全部挙げるべきというふうに私は思うのですね。その辺いかがなものなのでしょうか。
○大島座長 どうぞ。
○佐々木調整官 済みません。本日の資料はちょっと限られた療法もしくはそのちょっとこれはどうなのかというような療法が入ったり、いろいろ御議論があることは承知はしているのですけれども、一定の割り切りで研究事業の中で取り上げられたものを挙げたものでございまして、その他いろいろな療法があると思います。
 ただ、それはとても切りがない話だと思います。現時点で、そこの切りといいますか、整理ができるかどうかも私どもも正直まだ十分な知見はないかなと思っていまして、今後、論点の中で提言いただいています知見の集積だとか、情報の収集そして発信。それに当たって必要な、まず一定の目安として、例えばこういうものが挙げられるかなというふうに挙げたものでございまして、例えば、今後の先生から提言をもしいただいた中で、こういったものも加味すべきではないかというようなお話があれば、それをどんどん入れていくのはやぶさかではないかなというふうに思っております。
○大島座長 時間にちょっとこだわって申しわけありませんが、どうぞ。
○南構成員 済みません。この表についていえば、実はこの小さい字で書かれているところが一番重要といえるわけです。なぜここにこれだけのものが出ているかという説明はここにあるわけですね。ですから、情報という意味では、こういうことが非常に考慮すべきことであり、現実に誤解を生むことのあるケースにほかならないと思います。
 大前提としてこの部分をふまえて、この表を見るのかどうか、ということです。実際は小さい字でよくわからないから、表の方を先に見ますね。そうすると、ここに出ているのは一体何かということがわからない。これは情報の出し方の問題だと思います。
○大島座長 いかがでしょう。どうぞ。
○梅垣構成員 療法の例というところに、何か必ずしもこれが使えるわけではないというのを入れたらどうかなと思います。
 例えば、サプリメントとか、健康食品が治療に使えないと私が最初、お答えしたのは、品質がばらばらだからです。サプリメントというふうに一言で言っても、アメリカの法的に定義があるダイエッタリーサプリメントと日本で言っているサプリメントと全く違うものなのですね。そういうことの事情もありますから、例えばサプリメントだと、品質が一定で常に同じものができるというものだったら、医療に使えるかもしれませんけれども、現状では一切使えない状況だと思うのですね。
 ほかの療法についても、何かのスタンダードな項目があって、それが満たされているものは使えると思いますけれども、それが満たされていないものはやはり使えない。
 だから、ただ単に名前だけで外す、入れるというのは、なかなか難しい状況ではないかと。お断りではないですけれども、そこに文言を入れておけば誤解が解けるのではないかなというふうにちょっと考えます。
○大島座長 これは多分、また始めると、なかなかおさまらないということになると思います。あるところを中心にくるくる回っているという感じがしますので、どういう整理の仕方をするのかということは一度きちんと考えておく必要があると思います。
 答えが始めからわかっているのだったら、わざわざこれだけの専門家を集めて議論する必要は全くありませんから、当然、ぶつかるべきところへ来て、その論点がまた改めて明快になってきたと。整理すれば、やはり医療という言葉でどこまで許容できるかという、その議論に尽きるだろうと思います。そこに統合医療という、医療という名目が付くわけですから、誰がどういう責任を持ってどのようにするのかということと不可分であるということを考えてみることが必要なんだろうと。
 今、統合医療がこれだけ大きな問題になってきたというのは、やはり、時代の分岐点に来ているのではないかなという感じがします。今まで、私たちがやってきた近代科学の方法論が高齢化がどんどん進んで、老化に慢性病というような形の病態が主流となり、1臓器、1障害という、原因が明快で、その原因を取り除けば、治って、QOLも生命予後も改善するというような医療の体系では理解ができないものになってしまった。しかも全身病でだんだん弱くなって死に向かうというような、こういう病態に変わってきて、QOLを重点的に考える統合医療というような医療の必然性みたいなものが出てきたのだろうと。
 これから、こういう状況の中で、近代科学に代わる新しい方法論が何か出てくるかもわからない。しかし、まだそれがはっきり見えていないので、その方法論が見えてくれば、違った意味で、いわゆる統合医療と言われているものの評価のあり方が明快に出てくるかもわからない。そんな期待と予感、期待があるわけですけれども、それが出てくれば、また違った展開が出てくるのでしょうけれども、今のところはまだそれが見えていないという状況ではないかと思います。
 こういう状況の中で、ではどうするかですが、民主党の党首が言ったからというようなことも一つのきっかけでしょうけれども、どうするかを迫られていますので、どうするかをこのような条件の中で考えざるを得ないと思います。
 ということで、この先またどうするのかというのは、事務局の方とも、相談させていただきながら、きょうのところはこの辺で閉めるということにさせていただきたいと思います。
 事務局の方から何かあれば。
○佐々木調整官 次回でございますけれども、次回の開催日時、場所については、調整の上、追って御連絡申し上げたいと思います。
○大島座長 それでは、どうもありがとうございました。
 これで終わりたいと思います。


(了)
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医政局総務課 (内2513、2520)

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