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職業安定局派遣・有期労働対策部企画課

○日時

平成24年9月20日(木)


○場所

厚生労働省省議室(9階)


○議題

(1)検討会の設置について
(2)非正規雇用の労働者の能力開発の現状と課題について
   ・非正規雇用の現状
   ・能力開発の現状
(3)その他

○議事

○三上雇用支援企画官 それでは、定刻になりましたので、「第1回非正規雇用労働者の能力開発抜本強化に関する検討会」を開催いたします。座長が選任されますまでの間、事務局で進行を務めさせていただきます。
 では、初めに津田厚生労働大臣政務官より本検討会の開催に当たっての御挨拶を申し上げます。
○津田政務官 皆さん、本日はお忙しいところ、御出席を賜りありがとうございます。この非正規雇用の労働者につきましては、皆様もう御案内のとおり、4割近くになっているわけでございます。この非正規雇用に関しましては課題がたくさんあるわけですが、我が国は人材が一番の財産であるというという形で今日の経済を発展させてきたということを考えますと、人がこういう形で扱われている、非正規で扱われているということについてはやはり改善をしていかなければならないのではないか。非正規雇用で働く方々の能力開発というのは、大変重要な課題である。そして、その能力開発に伴った、それに見合った労働条件が確保されているということも大変大事なことではないかと考えているところでございます。
 本年3月にまとめました「望ましい働き方ビジョン」の中でも、非正規雇用の労働者の能力開発などのキャリアアップを進めることが企業や日本経済全体の発展につながるという好循環社会の実現ということを提言をしているわけでございます。また、本年6月の省内の提言型政策仕分けでも、企業の中での人材育成につきまして、非正規雇用の労働者への一層の重点的な取り組みをしていくべきだという指摘がされているわけでございます。
 こうした観点から、非正規雇用の労働者に関する能力開発施策の強化策を幅広く御検討いただくため、皆様方にお集まりをいただいたわけでございます。皆様方におかれましては、ぜひ忌憚のない御意見、御指導をいただければと思っております。
 特に、小宮山厚生労働大臣は、この検討会に対する思い入れを大変強く持っております。全ての検討会に優先してこの検討会を最大限尊重してやれという指示をいただいておりますので、ぜひとも皆様に広範囲な御議論を賜りたいと思っております。
 この問題を改善していくためには、恐らく厚生労働省にかかわる課題だけではなくて、場合によっては他の省庁にもかかわる部分が出てくるかもしれないと思います。そこは、ある面では委員の皆様にそこにこだわりなく、広く御意見を賜れば大変ありがたいなと思っているところでございます。
 私も、議員になる前は長く労働界の中で仕事をしてまいりました。この非正規雇用という問題をすぐ改善するような特効薬はなかなか簡単に見つかるものではないというふうに、私の経験の中でも思っているわけでございます。今やっております施策をしっかり問い直していただき、実効性のある、腰を据えた取り組みが必要ではないかと思っております。そういう点で、皆様には幅広い観点からぜひ御議論をいただければと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。本日はありがとうございます。
○三上雇用支援企画官 では、頭撮りはここまでとさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
(報道関係者退室)
○三上雇用支援企画官 それでは、進めさせていただきます。
 まず、お手元のほうに、大部で恐縮でございますが、資料を配付させていただいてございます。1枚目にございますとおり、資料1から10までございます。こういうことがありましたら大変失礼なことと存じますが、もし抜け落ち等がございましたら、事務局のほうまでおっしゃっていただければと存じます。
 それでは、本日は第1回でございますので、本研究会の設置要綱の説明をさせていただきたいと存じます。資料1をごらんください。最初に、本検討会の設置の趣旨でございます。こちらのほうは、先ほど政務官の津田から御挨拶させていただきましたとおり、本年3月に策定した「望ましい働き方ビジョン」で示された基本姿勢や施策の具体的方向性に基づいて、非正規雇用の労働者の能力開発についての対策を抜本的に強化、計画的に取り組みを推進する。また、本年6月の提言型政策仕分けでも、人材育成について、非正規雇用の労働者に対する訓練への一層の重点化の提言をいただいている。このような2つの提言の問題意識の中、非正規雇用の労働者の望ましい人材育成施策を検討するということを趣旨とさせていただいております。
 検討事項につきましては、2つ挙げさせていただいております。1つは、非正規雇用の労働者に対する人材育成について、企業の取り組みやそれに対する国の支援策等の状況、効果等を検証する。2つ目といたしましては、先ほど挙げましたビジョン、政策仕分けで示された施策の方向性に基づきまして、能力開発の抜本的な強化策を御検討いただくということでございます。
 検討会の運営につきましては、本日は学識経験者の委員の方々ということでお集まりいただいて開催させていただいております。
 検討会の座長につきましては、委員の先生方の互選によって選出するということにさせていただきたいと存じます。検討会の庶務は、記載のとおりでございます。
 以上、本検討会の設置要綱の御説明とさせていただきます。特段、何かございますでしょうか。もしないようでございましたら、次に進めさせていただきます。
 引き続きまして、お集まりいただきました委員の皆様を御紹介させていただきます。資料2に名簿を添付させていただいております。恐縮でございますが、委員の皆様におかれましては、御紹介させていただいた際に一言御挨拶を賜ればと存じます。
 なお、本日は佐藤委員より御欠席との御連絡をいただいております。また、田村委員の代理として日本労働組合総連合会の杉山雇用法制対策局長に御出席をいただいております。それでは、恐縮でございますが、あいうえお順で御紹介させていただきたいと存じます。
 まず、阿部正浩委員、よろしくお願いいたします。
○阿部委員 阿部でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○三上雇用支援企画官 和泉昭子委員。
○和泉委員 和泉と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
○三上雇用支援企画官 小野晶子委員でございます。
○小野委員 小野と申します。よろしくお願いいたします。
○三上雇用支援企画官 佐藤委員は先ほど御説明したとおり、御欠席でございます。
 谷口雄治委員でございます。
○谷口委員 谷口です。どうぞよろしくお願いいたします。
○三上雇用支援企画官 田村雅宣委員でございますが、本日は杉山様に代理で御出席いただいております。
○杉山局長 田村委員の代理の杉山です。よろしくお願いします。
○三上雇用支援企画官 西久保剛志委員でございます。
○西久保委員 西久保でございます。よろしくお願いいたします。
○三上雇用支援企画官 平田未緒委員。
○平田委員 平田と申します。よろしくお願いいたします。
○三上雇用支援企画官 以上でございます。委員の皆様方、大変ありがとうございました。
 続きまして、先ほど御説明いたしました要綱に従いまして、座長の選任に入らせていただきます。要綱3(2)に基づきまして、先ほど申し上げましたとおり、「検討会の座長は参集者の互選により選出する」となっております。恐縮でございますが、事務局としての案でございますが、阿部委員にお願いいたしたいと考えておりますが、委員の皆様方、いかがでございましょうか。
(「異議なし」と声あり)
○三上雇用支援企画官 異議がございませんようですので、本検討会の座長を阿部委員にお願い申し上げたいと存じます。それでは、阿部座長、座長席にお移りいただきたいと存じます。
(阿部委員、座長席へ移動)
○三上雇用支援企画官 それでは、これからの議事進行につきまして、座長のほうにお願いいたしたいと存じます。
○阿部座長 若輩者ではございますが、御指名でございますので、座長を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、まず議事の公開について申し合わせをおきたいと思いますので、事務局から御説明をお願いいたします。
○三上雇用支援企画官 資料3をごらんください。こちらのほうは、※に書いてございますが、厚生労働省が定める「審議会等会合の公開に関する指針」における審議会等会合の公開に関する考え方というものに準拠したものでございます。こちらのほうに基づきまして、検討会は原則公開とさせていただきたいと存じます。ただし、以下に該当するような場合が議論の進行の中でございまして、座長のほうで非公開が妥当であると御判断された場合は非公開という取り扱いとさせていただきたいということでございます。
 1つ目は、個人に関する情報を保護する必要がある場合。
 2つ目は、特定の個人等にかかわる専門的事項を審議するため、公開すると外部からの圧力や干渉等の影響を受けること等により、率直な意見交換または意思決定の中立性が不当に損なわれるとともに、委員の適切な選考が困難となるおそれがある場合。
 3番目といたしまして、公開することにより、市場に影響を及ぼすなど、国民の誤解や憶測を招き、不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれがある場合。
 4番目といたしまして、公開することにより、特定の者に不当な利益を与え、または不利益を及ぼすおそれがあるという場合でございます。
 事務局の案としては以上でございます。
○阿部座長 この会議の公開方法に関して、何か御意見はございますでしょうか。特にないですか。それでは、このように取り扱うことにさせていただいて、議事録の公開については議事の最後にお諮りすることにしたいと思います。
 それでは、本日の議題であります「非正規雇用の労働者の能力開発の現場と課題について」の議論に移りたいと思います。まずは、事務局より、資料4から6までについて御説明をお願いします。
○三上雇用支援企画官 改めまして、職業安定局派遣・有期労働対策部雇用支援企画官の三上でございます。よろしくお願いいたします。
 私のほうからは、まず先ほど津田のほうから触れさせていただきました「望ましい働き方ビジョン」につきまして御説明いたしました後に、資料4、5の「非正規雇用の現状」と「非正規雇用の労働者の能力開発の現状と企業の取組」の2つを簡単に御説明させていただきます。
 それでは、大変恐縮でございますが、後ろのほうでございます資料7-1をお手元にごらんいただければと存じます。本検討会の開催趣旨につきましては、先ほど政務官の津田からお話しさせていただきました。この中で触れられました「望ましい働き方ビジョン」について、御議論の御参考ということで御紹介をさせていただきたいと思います。
 ビジョンでは、非正規雇用に関して多岐にわたって記述しております。したがいまして、ここで全てを御説明することは時間の関係で難しゅうございますので、基本的コンセプトと、これを実現させるために人材育成の在り方ということで提言をまとめております。これをこの資料に基づいて御紹介させていただきたいと存じます。
 まず、ビジョンにつきまして、根本的な理念といたしまして、7-1の資料の「目指すべき方向性」という中段ぐらいの三角の連関図をごらんいただければと存じます。この連関図の左の状態がいわゆる望ましくない状態ということでございます。非正規雇用が増加して、雇用の安定、公正な処遇が後退し、このことが不安の増大、消費活動の停滞、デフレという形につながる。これをマクロ的に見ると、経済活動の停滞へつながる、これが現在起こっているような悪循環ではないかということでございます。
 一つひとつの企業としては、上段の囲みの中に書いてございますことは合理的な行動でございますが、これが全体で合わさると社会として望ましくない方向になる。これを合成の誤謬と呼んでいるのですが、こうした考え方を望ましい状態に持っていく。このためには、正規、非正規という二極化した考え方を超えて、全員参加型社会、人材立国、ディーセントワークを実現するということが重要と提言しております。
 その望ましい状態というのは、上の囲みにございますが、雇用の安定、公正な処遇、多様な働き方を実現いたしまして、このことが労働者の士気、能力向上につながっていく。ひいては、これが企業の生産性の向上につながり、最終的に日本経済社会全体の発展の方向へつなげる。これを好循環社会と呼んでおりますが、この好循環社会の実現を目指すべき方向としております。
 裏にめくっていただければと思います。この好循環社会を実現するための施策の基本姿勢として4つの項目を挙げてございますが、基本としてまず第1に挙げておりますのが最初の◆でございまして、労働者の希望に応じて、期間の定めのない雇用、直接雇用を確保すること、またどのような働き方であっても、均等・均衡等の公正な処遇を確保すること、これが雇用の在り方として重要として提言しております。
 非正規雇用の状況をこのような方向へ向けるためには、労働者の方々おのおのが望む雇用に就くために必要な技能や能力を身につけておられるということが前提でございます。非正規労働者の方々の人材育成や能力開発は、そういった意味で非常に前提となる重要な問題ということでございます。ビジョンにおきましても、施策の具体的方向性を示す中で、こういった考え方に基づきまして、下の「施策の具体的方向性」の6番目でございますが、職業キャリア形成の支援ということを掲げております。具体的には、企業内訓練の強化、キャリア・コンサルティングの活用促進、ジョブ・カード制度の活用など、社会全体での職業能力開発機会の確保、求職者支援制度や公共職業訓練の推進といったことでございます。
 非正規雇用の人材教育、非正規雇用の人材育成の視点については、非正規雇用が4割近くになるという状況におきまして、正規雇用への転換や処遇の改善など、非正規雇用特有の課題にこたえるような能力開発かどうか、非正規雇用の労働者に対する訓練を社会全体で支えるような仕組みとなっているか、このことはすなわち労働者自身の取り組み、企業による支援、国や自治体による支援という能力開発における自助・共助・公助のバランスは適当かということが背景の認識でございます。
 非正規雇用の方々と一くくりに申しましても、正規雇用を希望されないがキャリアアップを望む方や、非正規雇用から正規雇用へキャリアアップを望む方、キャリアアップを望んでいるがどうすればよいかわからない方など、非正規雇用の方はさまざまなお考えであるかと思います。そういった点で、社会全体で支えられた人材育成、能力開発をおのおのの方々に合わせて行うことによりディーセントワークを得る。そして、最終的に人材立国に基づく好循環社会の実現につなげること、そして経済社会の活性化につなげること、これがビジョンの掲げる目標ということでございます。
 引き続きで恐縮でございます。資料4「非正規雇用の現状」の御説明に移らせていただきます。こちらは大部でございますが、委員の方々もよく御存じのことも多いかと存じますので、もう一度おさらい的にかいつまんで御説明させていただきます。また、細部の点につきましては、何かございましたら御議論のときにおっしゃっていただければと存じます。
 早速移らせていただきますが、まず4ページでございます。先ほど来申し上げていることでございますが、非正規雇用の割合はどんどん増加しているということでございまして、2011年におきまして非正規の職員・従業員の割合は35.2%まで達しているということでございます。
 少し飛ばしていただきまして、6ページでございます。この非正規労働の割合の中で、全ての年齢層において上昇傾向が見られます。ただ、特に特徴的ととらえるべきかと存じますが、1990年代半ばから2000年代初めにかけて、15歳から24歳の層において大きく上昇しているということでございます。これは、当時の経済状況を反映して、正規雇用として就職する機会がなかった方々というのがかなりいらっしゃるということではないかなと思います。
 続きまして、8ページをごらんください。非正規とはちょっとニュアンスが違うかもしれないのですが、フリーター・ニートという若年層で定職を得られていない方々ということですが、フリーターの方々は一時期減少しておりましたが、やはりこちらのほうも21年から増加に転じております。また、いわゆるニートと言われる方々も、増加は頭打ち状態ではございますが、減少しているということにはなっていない。特に、22年から23年にかけましてはまた増加の兆しも見えているということで、非正規と並ぶ雇用問題といたしまして、同様の傾向で問題が引き続いているということでございます。
 それでは、非正規の方々というのは実態としてどういう割合かということでございます。10ページをごらんください。非正規雇用と一くくりに申しましても、もう御存じのとおり、パートからアルバイト、派遣社員、契約社員、さまざまでございます。男女で見ますと、女性の方のほうが圧倒的に多いのですが、パートの方がかなりを占めている。その結果でございますが、女性は男性の2.2倍になっているということでございます。
 それでは、業種別に見た場合、この割合はどうかというのが12ページでございます。特徴的にやはり多いのは、卸売・小売業や飲食店、宿泊業でパートの方々、アルバイトの方々が多いということでございます。製造業のほうは30%弱ということでございます。それぞれの業種の業態、経営戦略がそれぞれ違いますので、こういった差が生じてきているということだろうと存じます。
 引き続きまして、勤続年数・契約期間でございます。お手元の14ページでございますが、正規と非正規で比べると、これは当然のことながら、非正規の方々のほうが継続期間は短いということでございます。ただ、かなりいろいろな形でばらついております。10年以上の方もいらっしゃいます。
 これがどういう分布かと見ましたのが、続きまして16ページでございます。パートタイム労働者でかなり長く勤められている方というのが全体にして多い。有期労働に比べて長く勤められている方が多いという傾向が見てとれるかと存じます。
 続きまして、労働条件・処遇でございます。これは委員の皆様方は御承知と思います。18ページでございますが、いわゆる非正規の方々の賃金カーブは右側に上がっていかない形、つまり年齢・勤続による賃金上昇が少ないということでございます。
 続きまして、21ページでございます。これは非正規雇用の労働者に適用されている制度です。この中で特徴が一つございますのは雇用保険の適用率でございますが、正社員の方々はほとんどでございますけれども、非正規の方々は低くなっている。パートとか臨時的な方々を除いても低くなっているという状況でございます。
 22ページは教育訓練の実施状況でございます。教育訓練がどうなっているかということでございますが、総じて実施率は低いという状況でございます。これを業種別に見ても、23ページでございますが、やはり非常に低いということでございます。
 就業意識のほうでございます。25ページでございますが、非正規労働になった理由ということでございますけれども、さまざまな理由がございますが、正社員として働ける会社がなかったからということが挙げられているということでございます。その傾向が、29ページをごらんいただければわかるのですが、やはり派遣、契約社員が年度ごとに増えているということでございます。
 こういった状況について、企業側がどういった観点にいるかということが34ページでございます。非正規労働者の活用の理由につきましては、労務コストの削減のためということでございますが、引き続いての35ページを見ていただければわかりますとおり、その一方で企業側として非正規労働として活用する上の問題では、良質な人材の確保や仕事に対する責任感を掲げているというところが多いということでございます。
 以上、非常に雑駁で恐縮でございますが、資料4「非正規雇用の現状」の御説明をさせていただきました。
 続きまして資料5でございますが、こちらは能力開発の状況についてアンケート調査を行いましたものと、それから後ろの好事例の取り組みということでございます。一言だけ申し上げますと、資料8ページを見ていただきますと、やはりOFF-JTを実施した事業所の割合は正社員に対して低いという現状がございます。それから、11ページで、能力開発について各企業自身も問題があるということを認識している割合が約7割になっているということでございます。こういった点を踏まえまして、御議論をいただければと思います。
 なお、この資料5につきましては、また必要に応じまして、次回いろいろな事例を御紹介させていただきますときにも触れさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと存じます。
 引き続いて、資料6に移らせていただきます。
○吉本能開局総務課長 職業能力開発局総務課長の吉本でございます。よろしくお願いいたします。
 資料6をごらんいただきたいと存じます。この資料によりまして、非正規労働者に関する能力開発施策の概要を御説明申し上げます。
 お開きいただきまして、2ページのところで1枚で施策の概要をまとめてみたものでございます。緑の枠が5つございますけれども、5つの項目に分類をいたしまして、この中で特に赤字で記しておりますものが非正規労働者を主なターゲットとしている施策、また青字のものが非正規労働者と関係が深い施策というふうな考え方で色分けをしているところでございます。
 上から、公的な職業訓練の実施といたしまして公共職業訓練、離職者、在職者に対するもの、また雇用保険を受給できない方々に対する求職者支援制度による職業訓練、これらを実施しております。
 2つ目の枠でございますが、事業主が行う教育訓練、また労働者自身が行うキャリア形成支援、これらを推進するといったことで、企業にキャリア形成促進助成金、また本人に対する教育訓練給付の支給などを実施しております。
 また、3つ目のジョブ・カード制度でございますが、これは主にフリーター等、正社員経験が少ない方々を対象に、キャリコンと実践的な職業訓練、能力評価、これらを組み合わせて安定的な雇用に向けてつなげていこうといった制度の運用。
 4つ目でございますが、職業能力評価といたしまして、具体的には技能検定制度、それから職業能力評価基準の策定。
 一番下でございますが、主にニート等の方々の自立支援といったことで、地域若者サポートステーション事業などを実施しているところでございます。
 この5つの項目に沿って、この後もう少し細かくごらんいただきたいと思いますけれども、その前に3ページでございます。これは現在の職業能力開発基本計画、平成23年度からの5年間を対象期間としておりますけれども、この中におきましても、黄色い色をつけておりますところに、非正規労働者に対する能力開発の強化を柱として掲げております。離職者に対する公共職業訓練の実施、また第2のセーフティーネットとしての求職者支援制度の創設、ジョブ・カード制度の普及促進などを掲げているところでございます。
 続きまして、4ページでございますが、人材育成の全体像ということで、これも1枚に関係のものをまとめてみております。学校教育機関のものも含めておりますけれども、黄色く塗っておりますが、厚生労働省として具体的に支援をしている部分ということで、新卒者、離職者、在職者、それぞれに対しまして、そこにありますとおりの訓練を実施しておりまして、オレンジ色の丸で囲んでいるところがそれらの施設で訓練を受講した方々の23年度の数といった形になっております。
 以下、もう少し細かく見てまいりたいと思います。5ページから、まず公的職業訓練につきまして、支援の在り方・考え方、関連する取り組みということで簡単に整理をさせていただいております。在り方・考え方のところの書きぶりにつきましては、先ほど御紹介がありました「望ましい働き方ビジョン」、ここでの指摘に主に沿って整理をしたものでございます。
 まず、能力開発の上で公的な職業訓練の果たす役割は大きいということで、非正規労働者に対しても強力に実施することが必要と。2点目で、分野といたしまして、成長分野での訓練を進めるとともに、一方でものづくり分野といったところで、これは特に正規雇用につなげることが期待でき、かつ日本の基幹産業であるといったことから、こうした訓練が非正規の労働者にも一層効果的に活用されるように工夫されることが必要としております。
 それから、現場で通用する人材を育て、正規雇用につなげる観点から、職業訓練、企業実習、職業紹介によるマッチングを一体的に実施することが重要。また、ちょっと違った視点でありますが、個別の技術・技能だけではなくて、社会人としての自覚や基礎的な力を身につけさせるといった視点も不可欠といったことを書いております。
 これに関連する取り組みとしましては、成長分野の実践的な訓練につきましては民間教育訓練機関なども活用して実施をしております。また、ものづくり分野につきましても、ニーズを踏まえて実施をしております。
 あと、就業経験が乏しくて職業能力形成機会に恵まれなかったといったようなことで、直ちに実践的な職業訓練を受講することが困難な方々に対しましては、意識啓発とかコミュニケーション能力等々の基礎的な訓練を実施しております。
 それから、訓練受講者に対しましては、後でも出てまいりますけれども、ジョブ・カードを活用してキャリア・コンサルティング、評価とも組み合わせて、雇用に結びつけていくといったことを実施しているところでございます。
 6ページ以下は、関連の施策の概要です。資料をつけさせていただいております。委員の方々はよく御存じのところが多いと存じますので、恐縮でございますが、ポイントだけごらんいただきたいと思います。
 公共職業訓練の概要ということで、離職者訓練、在職者訓練、学卒者訓練、それぞれそこにありますような内容で実施をしておりまして、23年度の実績といたしましては、左下にございますけれども、全部合わせますと25万5,000余りの受講者数が実績としてございます。
 それから、7ページ、公共職業訓練受講の流れであります。離職者の訓練につきましては、ハローワークの求職者を対象に職業相談などをして受講をあっせんしていくといった流れで実施をしているところでございます。
 8ページでございます。公共職業訓練の実施主体等についてであります。国の役割がございます下で、実際の実施主体としましては、高齢・障害・求職者雇用支援機構、都道府県の自前の施設内と委託訓練といった形で実施をしておりまして、それぞれの経費負担につきまして整理をしております。
 9ページの求職者支援制度でございます。これは雇用保険を受給できない求職者に対する第二のセーフティーネットということで、昨年の10月からスタートをしておりますが、訓練受講の機会を確保し、訓練期間中に給付を支給して、ハローワークが中心となって早期の就職支援をするといったことで、訓練につきましては、そこにありますように、国、大臣が就職に資する訓練として認定したものを対象としております。また、給付金といたしまして、一定の収入要件等を満たす場合には月10万の給付金が支給されるところでございます。
 さらに、10ページをごらんいただきますと、求職者支援訓練の具体的な状況でございます。大きくは実践コース、基礎コースとございまして、期間については3か月から6か月、介護、情報、医療事務、その他成長分野などがございます。これに関しましては、奨励金としまして、実際の就職実績などに応じて訓練を実施する機関に対し、就職率に応じた形で奨励金が支給されるといったことになっておりまして、昨年度、半年間でございますが、その受講者の実績といたしましては5万8,000人、就職率は約7割といったところでございます。
 11ページに、求職支援制度の流れをつけさせていただいております。
 12ページでございます。これは公的職業訓練の分野の状況を見たものであります。先ほど来、成長分野といったようなことを申し上げておりますけれども、情報通信、介護といったあたりで、公共職業訓練、また一番下の求職者支援訓練をごらんいただきましても、かなりの割合が実施されているということがごらんいただけると思います。
 それから、2つ目の項目になりますが、13ページからでございます。事業主が行う教育訓練の推進・労働者のキャリア形成支援といったことでありますが、まず支援の在り方・考え方、先ほどのデータの説明にもありましたけれども、やはり非正規労働者については計画的なOJTとかOFF-JTが正規の方に比べると低水準で、実際の職務もなかなか職業能力形成機会が乏しい状況であるといったことで、企業が非正規労働者に対してステップアップのための各種支援をした場合に、これを国が積極的に支援していくべきと考えております。併せて、一方の労働者が非正規雇用であっても、主体的な職業キャリア形成ができるように支援を一層進めるべきというふうに考えております。
 これに関連する現行の取り組みといたしましては、先ほど来申し上げておりますが、企業に対するキャリア形成促進助成金、労働者に対する教育訓練給付、それから労働者の主体的なキャリア形成を支援するといった観点でキャリア・コンサルティングを活用していただけるように普及啓発事業をしております。さらに、一番下でございますが、キャリア支援をしようとする企業に対しまして、コンサルタントを企業に派遣するなどいたしまして、キャリア形成支援のためのさまざまな助言、情報提供などを実施するといった事業をしておりますけれども、これにつきましては正規のみならず非正規の労働者のキャリア形成に取り組む企業も含めて実施をしているところでございます。
 14ページ以下は、関連の施策の資料をつけております。キャリア形成助成金でございます。表の➀から➂にありますが、労働者、非正規労働者に訓練を受けさせる場合、➂として自発的に労働者が行う場合と、それぞれ対象経費に対しまして一定の助成率、助成額での支援をしております。特に非正規労働者、?のところにつきましてはごらんいただけますとおり、➀と比べまして高率の助成率にするなどといった形になっております。
 それから、15ページの教育訓練給付は、本人に大臣が指定する教育訓練を受講した場合について費用の2割の額を支給するといったことで、現在そこにあります7,916講座、輸送・機械運転、医療・社会福祉・保健衛生などが多くなっておりますが、これらの講座を対象として支給しております。
 16ページでございます。キャリア・コンサルティング施策の推進。これは、まずキャリア・コンサルティング担当を育成するといったことと合わせまして、キャリア・コンサルティングを普及するための事業を各種実施しております。
 先ほど御説明したキャリア支援企業創出促進事業については、17ページに絵をつけておりますけれども、厚生労働省から委託いたしまして、地方の拠点としてございますサービスセンターから企業にコンサルタントを派遣して、キャリア形成支援のための各種アドバイスなどをするといったことを実施しております。
 それから、18ページのジョブ・カード制度であります。現在、ジョブ・カード制度の主たるターゲットは、フリーターなど正社員経験が少ない方々といったことになっているわけでございまして、非正規労働者につきましてジョブ・カード制度を積極的に活用していく必要があると考えております。
 ジョブ・カード制度は、これも御存じのとおりだろうと思いますが、18ページにあるようなキャリア・コンサルティングから評価に至るホップステップといった3段階を経て就職に結びつけていくということで、19ページに絵がございますが、きめ細かなキャリア・コンサルティングに始まって、実践的な職業形成プログラム、それをきちんと修了時に企業ないし訓練機関が評価をして、就職に結びつけていくといったことをしております。
 20ページでございます。職業能力評価・技能振興といたしまして、これについてはまず職業能力評価基準といったものを業界団体と連携いたしまして順次業種ごとに策定を進めておりますけれども、非正規で働く労働者の方々にもこうした客観的な評価をする仕組みを整備していくことが必要というふうに考えております。
 また、若年者の中の非正規割合が高いといったデータが先ほどございましたけれども、ものづくり離れ・技能離れが見られております若年者に対して、技能の魅力・重要性を啓発することも必要と考えております。また、団塊の世代の熟練技能者等の技能の集積をきちんと継承していくといったことも必要と考えております。
 具体的な取り組みといたしましては下にございますが、技能検定制度、それからただいま申し上げました職業能力評価基準の策定、さらに各種技能競技大会の実施でありますとか、表彰制度、それから熟練技能者の派遣などによって技能者との交流を深めているといったような各種施策を実施しております。
 21ページが技能検定制度の現状、129職種でございます。これはニーズに合わせて随時見直しを図って運営しているところでございます。
 22ページでございますが、これが職業能力評価基準についてでございます。業種別、職種・職務別に必要とされる能力を、担当者から責任者に必要とされる能力水準まで4つのレベルを設定して、それぞれ分類をして精緻に能力を整理をした、そうした基準づくりを順次進めております。現在、そこにありますような48の業種と、あと業種横断的な事務系職種ということで、下にあります9の職種について策定をしております。
 23ページが技能振興施策、各種技能大会の概要、表彰制度の概要でございます。
 最後の項目でございますが、24ページ、ニート等若者の職業的自立支援ということで、こうした方々の自立を図るために、さまざまにわたる課題を個別の状況に応じて解決をして自立を図っていくといった事業をしておりますが、そこに書いておりますのは、特に孤立化するような若者をなくすために、早期に把握して対処していくといった必要性がございまして、高校の中退者などに対する支援も含めて学校との連携をしていくということ。それから、自立に向けて一歩前に踏み出していただくためには、職場体験、就業体験など、多様な就労機会の確保も視野に入れていく必要があるということで、具体的には、下にありますが、地域若者サポートステーションを設置してきておりまして、25ページに絵をつけておりますが、平成18年度から設置を始めまして、今年度116か所まで拡充してきております。その拠点におきましては、そこの真ん中にありますようなキャリア・コンサルティングとか、就労に向けたプログラム、実習・職場体験、セミナーなどを、その周辺にございますさまざまな地域の関連の機関と連携をとりながら、次の具体的な進路決定に至るまでのサポートをしていくといった事業をしております。
 最後のページに関連施策の概要、実績をデータでお示ししておりますので、また御参照いただきたいと思います。
 以上でございます。
○阿部座長 ありがとうございました。先ほど事務方からも説明がありましたけれども、非正規雇用についての今後の施策の方向性としては、「望ましい働き方ビジョン」というものがとりまとめられております。このビジョンを参考にしていただいて、政務官からもお話がありましたが、能力開発を抜本的に見直すということを前提に、現在の体系にこだわらず、今後の方向性を自由に御議論いただければと思っております。とはいえ、何か取っかかりがないといけないとは思いますので、本日資料をいろいろと御説明いただきました。
 まず、資料について、何か御質問とか、あるいは御意見等があればお伺いしたいと思います。どなたでも結構です。杉山さん、どうぞ。
○杉山局長 田村委員の代理出席で、もうちょっと後の発言のほうがよかったのですけれども、皮切りをさせていただきたいと思います。
 まず、資料の関係ということでしたので、今回、能力開発抜本強化を行うという方向感については非常に前向きに受けとめさせていただいています。その上で、要望というんですか、これからこの会議をしていく上で、資料4を見させていただくと、これはよく拝見するデータで、多分、ここに今日御参集の皆さんも大体お腹に入っているデータかなと思うんですが、例えば資料4の4ページのデータを見せていただいても、従来からこのグラフはよく見ているわけで、ただ、今後、特に今回の開催要項にもありますように、企業の取り組みですとか、そういったことに絞って今後議論していこうとするときに、これだけの分け方で本当に詰めた議論ができるかなというところは多少考えています。
 具体的に言えば、例えばパートの方が48.2%、835万人というデータがここに出ているわけですけれども、では、企業内の訓練、企業内能力開発をする対象としては、この835万人をこのままざくっとして扱うのか、どうするのか。そのほか、アルバイト、派遣社員、契約と、その他いろいろなカテゴリーがありますが、その中をどう切り分けして、どう対応していくのか、そこを議論できるような資料、もしくは考え方を一たん整理する必要があるのではないかなというのが1つ目の意見です。
 続けてよろしいでしょうか。資料的には少しぱらぱら飛んでしまうかもしれないのですが、そういった意味も含めて、今回資料は全体的に能力開発にかかわる話の説明をしていただきました。そういった意味では、企業のことから社会全般のことまで。しかしながら、この検討会の開催要項の検討事項を見るならば、(1)は企業の取り組みやそれに対する国の支援策等ということで書かれているので、ターゲッティングの問題になると思うんですけれども、主たる検討項目というものに対しては、企業の取り組みというところに軸足を置いて検討をすればいいのかどうか、そこは最初に一たん整理をしていただいたほうがいいかなと思います。例えば、ジョブ・カードですとか、先ほど後段で説明していただいた広く社会的なセーフティーネットの部分も含めてこの場で議論し、方向づけまで求められているのかどうか。これは整理の問題だと思いますので、よろしくお願いいたします。
 3点目は、少し意見として申し上げておきたいと思います。この中で議論するときに、その考え方ももしできれば整理していただければと思うんですが、今回、この中の資料を拝見していくと、正規雇用の労働者と比べてというふうな中で非正規労働者に対する対応ということで述べられています。そのこと自体は間違ってはいないと思います。ただ、正規労働者も過去に比べたら、そこに対する教育投資も教育の中身もやはり相当弱まってきているのも事実であって、比較する対象が弱まってきているところに対しての比較ですと、本当にしっかりした基準でレベルといいますか、内容を担保できるようになるのかという心配もあるわけです。そういった意味でいけば、非正規雇用を中心に見ながらも、今ある正規雇用への教育、能力開発がどうなっているかという視点をしっかり持った上で非正規のことを考えていかないといけないのではないかというのが3点目の意見です。そのことをやはりこの議論の中でメーンではありませんけれども、やはり意識しておく。
 そのことが結果としてどうなるかといいますと、スキルアップ、ステップアップの議論が出るのですが、我々が心配しているのは実はステップダウン、スキルダウンも反面あって、頑張って非正規から正規で一丁上がりではなくて、やはりそこで継続して正規の中でもスキルアップを図っていけるような環境まで整えないと、なかなか満足した結果が得られないのではないかなということを思っています。
 そういった意味では、ある程度大きなフレームの中での非正規の在り方という位置づけを一たん整理した上で、今後の議論をさせていただけたらなと思います。3点目は質問のような、少し感想めいたことになりましたが、意見として述べさせていただきました。
 以上です。
○阿部座長 ありがとうございました。どうぞ。
○岡崎職業安定局長 今の点、特に2点目に関してでありますが、検討事項については企業の取り組み、それに対すると書いてありますけれども、これはあくまで検証ということで、(2)にありますように、能力開発の抜本的な強化策ということを現在のフレームにかかわらず御議論いただいて御指摘をいただきたいと思います。
 何が言いたいかと言うと、企業での取り組みということ自体も重要だとは思いますが、本当に非正規の方々に企業を支援すれば企業がやってくれるかどうかということもあるのではないかと、正直言って思っています。そういった意味において、どうすれば企業がどこまでやるかということと、そこから先は企業では難しいので、むしろ公的部門なり、別の手法でやるべきだということも併せて御指摘いただいたほうがいいのではないかと思います。
 3点目は御意見のような話でありますので、コメントするかどうかというのはありますが、そういう中で全体としての能力開発の在り方みたいなところにも議論は及んでいただいて結構だと思います。ただ、そうは言っても正規と非正規の差もあるということも、今回お願いしている趣旨でありますので、それも視野に置きながら格差的なところについても十分な御意見を賜れればと思います。
 それから、1つ目の点につきましては、今回の資料は皮切りなので定番的な資料でございますが、むしろ先生方のほうから、こういう切り口で分けたほうがというような御意見をいただければ、資料の限界もあるのですけれども、できるだけおこたえしたいと思います。我々としても、出てきた意見を踏まえながら、できる資料は出したいと思います。
 ただ、これからもこういう資料をということがあれば、この場でも結構ですし、あるいは別途メール等でも結構ですので、こういう資料が出せないかということも併せて具体的に御指摘いただければ、できるだけ対応したいと思います。
○阿部座長 ありがとうございます。今、杉山局長のお話で3点ありましたけれども、この3点とも多分我々で合意形成していって、どれを議論していくべきかということになると思うので、これは若干議論させていただければと思います。
 まず第1点目のさまざまな非正規雇用労働者がいるということは事実で、これの切り口だけではない。多分、先ほども資料にありましたけれども、私が念頭に置いたのは、不本意就業か、そうじゃないかとか、あるいはフルタイムに近い働き方をしている非正規労働者とそうじゃない労働者とか、いろいろな軸はあると思うんですね。だから、その軸をどういうふうに見ていくかというのを皆さんと後で合意形成しないといけないと思いますが、ほかにもいろいろな切り口があると思います。
 例えば、不本意就業で非正規雇用で働いているという人が、もしかしたら正規雇用に移りたいというときは、企業の能力開発だけを待っていたら、なかなか正規へ転換するということは難しいかもしれませんよね。だとしたら、本人がやはり自分から手を挙げて能力開発を受けにいくということになっていくと、御指摘の2番目の点ですけれども、対事業所の能力開発への支援というだけではなくて、あるいは取り組みを強化するというだけではなくて、個人の能力開発にどう手を差し伸べるかというのもやはり大事なポイントだろうと思います。私はそのように思っていますので、事業所だけにとらわれず、個人への能力開発というのを抜本的に見直すべきではないかと私は思っております。ほかに先生方の意見があれば。
 それから、3点目の正規雇用の能力開発も弱まっているのではないかということですが、これは多分最後にこの検討会で提言なのか、報告書なのかはわかりませんが、それはやはりメンションして、ただ我々は時間がない中で議論していかなければいけませんので、やはり中心は非正規雇用の労働者に対する能力開発ということでよろしいのかなと思いますが、ほかの先生方、御意見があれば御自由にどうぞ。
○小野委員 今の働き方ビジョンのポイントでもございますけれども、非正規から正規に転換していくというところがキャリアアップというか、能力開発の一つの在り方みたいなところが強く打ち出されているわけですけれども、今、この日本の状況において、どれだけ正社員になれるパイがあるのかということも同時に考えなければいけないと思っております。特に、厳然と35歳以上になった労働者が正規に上がるということの困難さというものがやはりあります。
 そういうことを考えたときに、非正規のままであったとしても、ある程度の収入を得られて、働きがいを見つけながら働いていけるという就業も一つ考えていかなければいけない方向だろうなと思います。
 だから、それは先ほどおっしゃいました不本意であったり、フルタイムというような形、一見はそういう形態かもしれないけれども、やはり現実を考えたときに、どういうふうに働いていくか、言ったら妥協点かもしれないですけれども、そこも見出していかなければならないだろうなと私は考えております。
○阿部座長 ほかにいかがですか。和泉委員、どうぞ。
○和泉委員 私も今の意見にとても賛成で、基本的には不本意就業の非正規雇用の方々、特に若年層に向けていかにできるだけ雇用が安定した形で、安心を届けて、働きがいを持っていただくかということにまず力点を置いた上で、日本経済が非常に苦しくなってきている中で、企業の考え方が同じように考えていないとすれば、不安を感じるのを全くゼロにするのは難しいかもしれませんが、それをなるべく小さくする形で、自己実現を図り、生活を守り、社会に貢献しながら働いていける現実的な方向感、新しい発想の仕方であるとか、そういったことを分けて議論したほうがいいのかなと思っています。
 ただ、先ほど座長もおっしゃっていたように、今回、今のところの予定では4回と、時間が限られているので、ここは余り広範にいろいろなことを議論する場ではないのかなとも思っているので、一番効果的な部分に絞って、何かきちんとした方向感を出すほうがいいのではないかと考えています。
○阿部座長 ありがとうございます。どうぞ。
○平田委員 今言うことではないのかもしれないのですけれども、できるだけ短期間で効果的なというところにおいて、検討事項の企業の取り組みというところにあると思うんですけれども、私はそこを重視したらいいのかなと思っています。
 というのは、非正規労働者を全部ざくっと言えば1,700万人になっていて、そのうちいわゆるOFF-JT的な公共の職業訓練を享受できる人というのは非常に限られてしまうと思うんですね。こちらの非正規のこれだけ多くなった人たちの底上げというところと、それから個別の能力開発は分けて考える必要があって、その底上げのところをやるには、既に非正規ということで雇われている人ですから、その人たちが日々働いている中で何が得られて、どんな経験ができてというところが、もし今非正規と正規で、頭打ち感というか、得られる教育であるとか、これはOJTが重要だと思うんですけれども、それから経験、そういったものに大きく差があるのであれば、そこのところをもう少し人によって変えていくとか、いずれにしましても、非正規という大きな層の能力開発ということをしっかりやっていくには、今働いているその場というものを大切にすることが非常に重要になると私は感じます。
○阿部座長 ありがとうございます。どうぞ。
○谷口委員 私からも1つ問題をはっきりさせていただく必要があるというのをまず申し上げたいのですけれども、いわゆる非正規というのがすべて否定すべきものというような考え方でこの問題を進めていくものではないのではないかなと思うわけです。その点は皆さん方も御同様の考え方を持っていると思うんですけれども、中には非正規といっても、それは多様な働き方の中の一つとして、人によっては望ましい働き方のモデルとして存在する場合もあります。
 私たちが考えなければいけないのは、能力開発のモデルを正規労働者の能力開発を一つの典型モデルとして、それを非正規の方の能力開発のモデルに適用するというのはちょっと違うような気もするわけですね。
 非正規も大きく分けて、不本意で非正規の状態にある方とそうでない方と、まずはきちんと2つ分けられると思うんですね。問題は不本意で非正規にある方だろうと思います。その方は正規ということにつながる能力開発というものが必要でしょうし、もう一方の非正規という働き方がそれなりに御本人にとっては自分の働き方として肯定的にとられている方に関しては、非正規労働者としての能力開発のモデルがきっとあるのではないかと思うんですね。その辺のところを、能力開発と一口に言ってもいろいろなモデルが想定できるのではないかなという気がします。
○阿部座長 ありがとうございます。どうぞ。
○西久保委員 今回、企業側代表ということで出席させていただいておりますけれども、私どもで採用ですとか、教育していく中で、非正規労働というよりは、資料4の25ページにございますとおり、非正規雇用の労働者を選んだ理由に赤い丸を3つつけていただいておりますけれども、自分の都合のよい時間に働けるからという方が、実は意外と短時間勤務者の中でも弊社のほうでも非常に多いです。
 ただ、やはり課題なのは、正社員として働ける会社がなかったからですとか、私どもの企業でも、私ども三越伊勢丹ホールディングスで首都圏の三越伊勢丹という単体の会社を示してお話ししますと、自分のキャリアを考える上でどこまでキャリアを上げていくかというのは人それぞれでございます。例えば、今のキャリアでもいいんだ、附帯業務だけやっても、2番目にあります家計の補助でやっていけばいいんだという方と、キャリアアップして社員になるんだとか、あるいはもっとリーダーシップをとっていくんだという方と、やはりここの差がありまして、両方に対しての能力開発のものがあると思います。
 通常の働く場でもやるべき能力開発と、キャリアアップする、社員になるとか、マネジメント、そちらの能力開発と2通りあると思います。たまたま弊社のほうでは、いわゆる基礎的な教育は正規も非正規も同じように全てさせていただいていますけれども、そこから上にチャレンジするというときは、チャレンジする希望のある者に対してそういう機会を極力与えて提供しているという場を設けています。この2つが考え方としてはあるのかなと思います。
○阿部座長 ありがとうございます。今の谷口委員と西久保委員のお話ですと、何か非正規労働者向けの能力開発という考え方はやはりあるんだなと私は思いました。多分、念頭に置いていたのは、そちらからもしかしたら違うというのもあるかもしれませんが、正規雇用者の能力開発というのがあって、それをうまく非正規雇用者にも当てはめようかなという話がぼんやりあったような気もするんですけれども、そうではなかったらそうでなくていいんですが、もしかしたらやはり2つに分けて、非正規労働者のための能力開発モデルというのも考えるべきなのかもしれないですね。それはある意味、もしかしたらほかの皆さんがおっしゃっていた自己実現を現実的にスムーズにやっていくためのいい道具というか、武器というものになるような気もします。もちろん、西久保さんの会社では、今お話しになったように、基礎的な部分は正規も非正規もなくやって、その上で上を目指す人とそうではないという人とで違う能力開発をするということなんだろうと思うんですが、公的な能力開発でそういうのはあるんでしょうか。ないですよね。私は知りません。
○山田職業能力開発局長 ないと思います。
○阿部座長 ないですよね。ただ、それで非正規社員を本意としている人にとってみたら、それでも能力開発はないよりあったほうが断然いいわけですよね。そういう意味での底上げというのはありなんですよね。
○山田職業能力開発局長 先ほど西久保さんがおっしゃったように、レベルというか、その人が現在持っている能力に応じた形で基礎的な能力開発をやるのか、もう少し高度なものをやるのか、そういう仕組みはあると思うんですけれども、それは正規、非正規という枠組みと合致しているわけではないと思うんですね。
 ですから、ちょっとお聞きしたかったのは、谷口さんがおっしゃった、非正規向けの能力開発のモデルというのは、それは正規と非正規のどういう違いというものを想定したモデルの違いなんでしょうか。
○谷口委員 いわゆる正規というのは日本の雇用環境からいえば、長期雇用、いわゆる終身雇用といわれる仕組みの中で、対企業、雇用契約の上では自分の処遇というのは特定されない形の契約になっていると思うんですね。そんな中で、企業の配属なり、さまざまなそういう環境条件に応じて能力開発が行われていく。キャリア形成もその線で行われているのではないかなと思うわけですね。
 それというのは、やはり基本的には御本人にとっても、できたら特定の会社で定年まで勤め上げたいというお気持ちがあるからなんだろうと思うんですね。そういうモデルがあって、その中で能力開発が一つ典型的な長期雇用労働者の能力開発モデルというのがあると思うんですね。
 それに対して非正規というのは、一つのモデルを考えるならば、個人にとってのキャリアなりというものが前提になっての能力開発で、それというのは自分の職務なり、働く職場が必ずしも特定されないということでは、正規労働者の能力開発とはそのベースのところがやや異なるのではないか。そんな気がするんです。恐らく、そのために能力開発を進めていく上での基本的な考え方も異なるのかなと。
 もちろん、非正規というものが社会的に今後も一つの働き方としての価値を持って見られていくならばのことです。非正規というのが否定されるというふうなことであれば、また考えなければいけないですけれども、現に小売を中心に女性のパートさんが非常に多く働いておられますけれども、そういった方は多くの場合、パートという働き方の特徴を見出して働いていると思うわけです。
 そういう意味で、そうしたパートの女性ならパートの女性も、これは一般には実は長期的な働き方をしているというふうに言われていますけれども、そういうところでも若干また区分けが必要になってくるのかもしれません。一口に非正規の能力開発のモデルと言っても、それは1つではないと思います。
○阿部座長 どうぞ。
○和泉委員 今のに関連してなんですけれども、今、もちろん正規職員のありようも多様化していこうというふうに言っていますし、二極化するのではなくて連続的にということなんですが、仮に企業の立場になって考えると、なるべく少ないコアの正規職員の人で、ほかはそのときの状況に合わせていろいろ動かせていけたほうが経営の自由度が上がるわけですよね。
 働き方ビジョンにもありましたけれども、今、非常にグローバル社会でボラティリティーが大きい経済状況の中に置かれて、無期雇用というのは一生涯の約束をするということになりますよね。そうすると、自分たちも企業として3年後、5年後には大きく変わってしまうかもしれないのに、一生の約束を一つの限定されたことでしていくのはすごく難しいと思うので、正規雇用を本当はしたくてもできない事情があるのではないかと思われます。
 もちろん、正規職員にもいろいろな形があって、勤務地、勤務時間、業務内容、さまざまに、限定された働き方もあるでしょうけれども、企業にとって一番欲しい人材は、恐らくどんなところに配置しても何でもしてくれて、制約が少ない人を採りたいのではないかと思います。
 そう考えると、専門職であればあるほど非正規になりやすいというか、逆にスキルを提供して生きていって、その仕事に固執するのであれば、なかなか正規職員で一生涯の約束を取りつけるというのは難しいと思うんですね。だから、どちらかの選択というか、一生涯この会社で、どんなこともとは言いませんけれども、ある一定のところまでは許容して、組織の一員として働いていこうという選択なのか、自分のやりたいことや自分のワークライフバランスを考えて、さまざまに自分を優先させて働きたいのかということを選択する必要がある。
 私が今思っていたのは、ここの検討会でどの部分を話すかというのは後ほどきちんと集約していくと思うんですけれども、今行われているいわゆる訓練的なものというのが、正規職員を目指したいと思っている人にステップアップをさせようとしているにもかかわらず、固有の技能についてスキルアップをさせることが中心なので、企業が正規職員として欲しい人の人材とはミスマッチなのではないかと思っていて、そういったところも考えたほうがいいのではないかなと思っています。
 あともう一つだけ申し上げると、私はこの検討会の中では、先ほど申しましたように、あれもこれもは難しいので、報告書なり、提案の中ではいろいろと言及したとしても、やはり不本意就業で非正規で働いていらっしゃる方が、とりあえず一人でも多く安定して心穏やかに、やりたい仕事ができるような状況をつくるための能力開発にフォーカスしたほうが、新しいモデルとなると、この中ではちょっと難しいのかなというふうには考えています。でも、谷口委員がおっしゃっていることは、正しく理解しているかはわかりませんけれども、別のモデルがあるのはそうかなというふうにも思います。
○阿部座長 どうぞ。
○小野委員 先ほどのモデルの話ですけれども、正社員というのは、おっしゃったように、長期雇用で内部の労働市場の中で能力開発をしながら上がっていくタイプで、非正規というのは外部労働市場で、能力的には究極的に求められるのはステップしてホッピングできるような能力というものがなければ、ここでは生きていけないだろうなという気はするんですね。だから、そこの市場が拡大するのであれば、やはりステップしていくモデルを提示してあげなければいけない。ステップするということになれば、先ほど和泉さんがおっしゃったように、それなりの専門能力というものが求められるんだろうなと思います。
 それで、先ほど少し申し上げましたけれども、年齢というものが労働市場の中でかなり固くございますので、では40歳以降になった方たちのキャリアをどうするかといったら、ここのキャリアをどうやって首を切られないようにするか、どういうふうに職を続けていくかいう能力になっていくと思います。
 派遣会社の方とかとよくお話をして、35歳以降の派遣社員の方は、昔は35歳定年説みたいなものがございましたが、今は40歳以降に後ろに大分ずれてきているとはいうものの、やはり一たん雇用が切れてしまうと、もう一回派遣で新しい職場を見つけるのが非常に難しくなってくる、この問題をどうクリアしていったらいいと思いますかという問いかけに対して、私はもう35歳以降も非正規でいくのであれば、30代を過ぎるころから雇い続けてもらえるような能力というものを絶対に培わなければいけない。そうしないと、若い人と同じ能力では負けてしまうと。だから、そこは労働者自身が意識を持って、35歳からの働き方と35歳までの働き方というのは違うんだよというモデルを示してあげなければいけないんだろうなと思います。
○阿部座長 どうぞ。
○谷口委員 この検討会に課せられた課題は、私が想像するには、恐らく短期的、あるいは中期的なところまでの課題だろうと思うんですね。それは、一番気にされている問題として抱えておられるのは、不本意ながら非正規でおられる方が適切な能力開発の機会が得られていないということの改善ということが一つ大きな課題として提起されているのではないかなと。そこのところに焦点を当てた解決策というのが、まずは必要だろうと思うんですね。
 もう一つ、先ほど私も言葉足らずでしたけれども、要するに正規労働者の能力開発の機会と非正規の方の能力開発の機会は、調査の結果、ギャップが大きく出ているわけですね。これは埋めるべきギャップとしてとらえるべきかどうかということで私は問題提起をさせていただいたんですけれども、目標とする正規労働者の能力開発が、単に目指すべきギャップを埋める単純なものではないという気がするわけです。そういう意味で申し上げたわけでして、基本的には解決すべき課題は、先ほどの短期的、あるいは中期的な部分が優先すべきことなんだろうなと思うわけです。
○谷口委員 今の谷口委員の最後の話ですけれども、「望ましい働き方ビジョン」の概要という紙を見ますと、正規、非正規という二極化した考え方を超えた「雇用の安定」、「公正な処遇」、「多様な働き方」というのを今後の労働市場では求めていくということになっていますので、必ずしもギャップが望ましくないというわけではなくて、そのギャップをあえて受け入れるという方たちにとってみれば、それはそれでいい。ただ、その下で雇用の安定や公正な処遇というのをどううまく実現していくか、そこに能力開発はどうかかわるかということだろうと思うんですね。
 そういう意味では、不本意就業の方だけの能力開発、正規への転換のための能力開発だけではなくて、そうではない人たちの能力開発も同時に進めていく。そうじゃないと、雇用の安定や公正な処遇というのが実現できなくなるだろうと思うんですね。そういう意味では、どちらも大事なのではないかなと思います。
 今、私は、この二極化した考え方を超えた形でやるとなると、やはり先ほど谷口委員がおっしゃったように、正規型の内部労働市場型の多分職能資格型の労働市場と、外部と内部が行ったり来たりするような外部労働市場的な働き方、もしかしたら職務型の能力開発というのが必要なのかなと、今の段階ではそういう気になっています。そういう意味では、どちらも大事なのではないかと思います。どうぞ。
○小野委員 今の阿部座長がおっしゃったことは、本当にそのとおりだと私も思います。職務型といわゆる能力型みたいな形で2つのモデルケースがあった場合に、これで果していいのかという話になった場合に、どうしても非正規の人間はそのまま定型的な仕事のままで終わってしまう可能性があるんですね。仮に、この中で管理的業務に就きたいというような方がいらっしゃった場合に、やはりラダーみたいなものをつけて上げてあげるという作業が必要になってきます。
 今、非正規の日本の状況を調査でいろいろ回って見ていますと、主任レベルですよね、いわゆる下の定型的なスタッフ層よりも1つ上の主任レベルまでが非正規にのみ込まれそうな状況になってきているわけです。そこの主任レベルというのは今まで日本の強みであった人たちで、いわゆる分厚い中間層の人たちなので、そこの部分を非正規で押しとどめるというような労働市場というのはどうなんだろうと。そこを非正規にするのであれば、やはり同一価値労働、同一賃金の正社員と同じような賃金を持った非正規というものの定義があり得るべきではないかなと私は思って、いわゆる既遂層みたいな形でそこから乗り入れていけるんだったら、そこまでの能力開発というものが接続的に必要になっていくのではないかな。そこがなかったら、やはり二極化してしまうような気もします。
○阿部座長 どうぞ。
○平田委員 今の接続的というところに関連して、その前の本意、不本意のところから入りたいんですけれども、私もここははっきりしたほうがいいだろうなと思っています。
 私の意見としては、不本意だけではなくて、本意として非正規を選んでいる人に対しても能力開発はあっていいと思いますし、そこに国のお金をかけてあげるべきだと思っています。というのは、本意、短時間しか働けない人で短時間で働く中で役割を果して社会の一員になっている人、そこに対して教育は必要ない、どうでもいいというのはおかしいと思います。また、今回、非正規全体ということで、最初に1,700万人というふうに提示されているとおり、そこをということであれば、本意で非正規になっている方もたくさんいらっしゃる、そこを分けて、扱わないというのはどうかなというところが意見です。
 では、本意、不本意を合わせてやる場合に、最初の私の意見に戻るのですが、そこに企業における経験であるとか、いわゆる日常業務におけるOJTが果たす役割は非常に大きいと思っているんですね。ここも考えたとしても、企業にとってOJTをその労働者に施そうと思うか思わないかは、その労働者に対する投資をしようかしまいかというところで、それはやはり企業の選別もあると思うんです。ですので、不本意な人にだけOJTをしなさいとか、本意な人にはしなくていいということは、違うのではないかというところです。
 そういったところで、接続的というところですが、接続して経験を積ませることによって主任さんに上がってという、その主任というものも、笑い話で「私は部長ができます」はおかしいというように、「私は主任ができます」ではなくて、その企業における主任って一体何みたいなところがあると思うので、そこに上がっていく上には企業内での能力開発というのが非常に大切になるのではないかなと。
 私は雇用労働のジャーナリストではないですけれども、いろいろな事例をインタビュー取材して記事を書いている者ですが、そういった中でも、皆さん自社にとっていい人材に育てたい、それを今までの職業能力開発の講座を提供するのもいいと思うんですけれども、それだけでは育つというか、企業が雇い続けたいと思うような人材には育ちづらいのではないかなと。そういったところです。
〇阿部座長 ただ、不本意か本意かというのは、資料を見るとスタティックな感じで、私はいつまでたっても不本意ですというふうなイメージですけれども、実はダイナミックに、途中で仕事が面白いなとかになって、やはり正社員になりたいという人も多分出てくると思うんですね。そういう意味では、連続的に企業もOJTとかOFF-JTをしながら、本意だった人が不本意になるというのも、もちろん能力開発の効果としては認められると思うんですよね。だから、おっしゃるとおり、OJTを本意、不本意関係なくやるというのも大事なことではないかと思います。まだ時間がありますので、ほかにもどうぞ。
〇杉山局長 今、皆さんの御意見を拝聴いたしまして、全く同感するところが非常に多いなと。ただ、私は一たん整理をしたほうがいいなと実は思っているのは、先ほど来出ている「望ましい働き方ビジョン」の望ましい姿、これは望ましいんですね。望ましいけれども、遠いんですよね。さっき小野委員がおっしゃっていた処遇の問題はやはり一番大事な話で、そこは実現するべき話であって、そこがないから選択ができなくてこの状態になっている。ただ、そこを一足飛びにできるかというと、やはり難しい。
 そこができないということは、望ましい状態に行くまでの過渡期間をどう乗り越えていくかということをリアルに考えなければいけなくて、多分今回この検討会が開かれているのも、リアルにいる若い人たちの非正規の方の10年後、15年後に対してどういう措置を今とれるのかということを、ここで答えを出していかなければいけないのではないのかなと。
 そうしたときに、テーマの置き方としては、若くて、非正規で、不安を持っていて、将来安定したい、その一つの道として正規雇用への転換が何とかそのパスが見えるようにしてほしいという希望にどれだけこたえるかという検討を、ある程度軸足を置いてやったらいかがなものかなと思っています。
 一方で、全体にやる底上げの感覚、平田さんがおっしゃっていたのは、これも大賛成です。ただ、そのときに、例えばパートの人たちを見たときに、幸いにも配偶者が正規で働いていてパートができる、大分少なくなってきましたけれども、まだそういう方もいらっしゃる。だから、同じパートでも配偶者がいらっしゃらずに厳しい状況の中で子どもを抱えてパートをやっている人もいます。その2つに同じ能力開発が本当に求められるのかということも、やはり考えなければいけないのではないか。
 先ほど最初に申し上げた区分けというのは、実はそういうことを念頭に置いていまして、そこには働き方も、ほかの契約社員であろうと、アルバイトであろうと、同じようなケースがあるはずなので、一体我々はどこに一番のめり張りが効いた注射を打ってあげなければいけないかを分析してあげる必要があるのではないかなと思うところです。
 あと、先ほどの谷口さんの御意見にあった終身雇用の関係で、これは我々労働組合で実感として見ているのは、連合というのは大企業が多いものですから、大企業はやはりそうなんですよね。ただ、よく言われながら最近つくづく思うのは、日本ってほとんど中小企業が多くて、当たり前の話なんですね、90%以上が中小で、その中小企業の中はほとんど終身雇用ではなくて、かなりダイナミックに人材が動き回っていて、そこで今、ある企業で非正規でおられる人をある企業は正規で実は欲しがっていたりする。マッチングがうまくいっていないがために、その状態があるケースもままあるというのが最近よくわかってきた。
 そうすると、例えば企業の中で非正規の方に能力開発をするにしても、そのときの視点はその企業という中では確かにないなと。それは地域だとか、同じ業種だと問題があるかもしれないんですけれども、もう少し縦横に広げた中で、非正規から正規、不安定から安定という文脈の中でどう動かすか。そこに対してどういう処方せんを打てるかという見方が必要なのかなという気はしています。
 そういった意味では、冒頭一定整理していただいたのですが、企業内でやれることと、それに補足して公的なところもという話でしたので、全体を全部足並みそろえてやろうとすると大変なので、テーマを今申し上げたようなところで少し絞りながらやるというのは一つの手ではないかなと思うところです。
 以上です。
〇阿部座長 今、最初の若年の非正規のお話が出たと思うんですが、資料4の7ページを見ますと、これは性別・年齢別に非正規雇用の比率を見たものだろうと思うんですけれども、15~24歳の非正規労働者の人たちが25~34歳の非正規労働者にどれぐらい移っているのか、多分これで大体想像はできると思うんですよね。5歳刻みだともうちょっといいんですけれども、10歳刻みですが、15~24歳のときに非正規雇用だった人の半分以上が正規に転換しているようなイメージからこのグラフから読めるのではないかと思うんですね。だから、問題がないというわけではないんですが、移った人たちがどういう要因で移れたのか、これまでも幾つか研究はありますけれども、そういうのを見ていきますと、どうも同じ職場に3年以上いるとか、4年以上いる、長期間いるということが一つの正規への転換の要因だというような研究もあったと思います。そういうのがありますので、そういうのを念頭に置きながら議論できればいいと思います。
 その後、そうではない年齢層の人たちでも、生活するために所得が必要だという人たちにどういう手を差し伸べられるかというのも大事かな議論だと思うんですけれども、そのときに現場では今何が問題になっているのかというのを少し情報として我々で知らないと、どういうふうな能力開発、あるいはどういうふうな制度をつくればいいのかというのが見えてこないので、そのあたりも少し調べる必要があるかなと思いました。
 今の杉山局長の提案は、つまりそういう属性の方々に絞り込んで議論すべきなのかどうかということですけれども、それについては皆さんどう思われますでしょうか。幅広のほうがいいのか、絞り込むべきか。
〇和泉委員 お考えを聞いてなるほどなるほどと思いますから、理想的には全部したいなと思いますし、全体像が見えない中ではできないだろうなとも思うんですが、私は仕分けをやっていた癖かもしれないんですけれども、限られた予算の中で配分していくときに、あれもこれもと、ただ言っただけで一応やりましたみたいなのは避けたいと思っています。そうすると、「望ましい働き方ビジョン」よりももうちょっと近い理想的な形があった上で、とりあえず優先順位を決めて、一番効果的に、確実にやっていけて、未来につながるところにフォーカスするほうがいいのかなと思いました。これだけが大事と思っていたわけではなくてですね。
〇阿部座長 どうぞ。
〇谷口委員 今、座長がおっしゃったことに関連しまして、特定の集団といいますか、属性の方を対象にということを直に持っていくというふうな御意見なんですけれども、その前に一つのステップとして、どうも非正規といっても一枚岩ではなくて、さまざまな色合いを持った人たちの集団だという見方ができるわけですね。とりあえず、能力開発機会とか、何かそういう幾つかの軸を設けて、非正規の人たちを少し色分けといいますか、整理してみてはいかがかなと。その中で、まずは本当にきちんと能力開発として抜本的に課題解決したい部分というのはどこかとか、そういうふうなやり方もあるのではないかなという気がしたものですから。
〇阿部座長 どうぞ、小野さん。
〇小野委員 どこに集中投下するかという話だと思うんですけれども、能力開発という言葉がこれについているので、能力開発だというふうな話であれば、やはり若い人というのが妥当かなというのは個人的には思います。
 しかし、実は生活的に深刻なのは団塊ジュニアの大きな層と、その後ろにちょっと引きずったしっぽの層の人たちで、それを能力開発として扱うのか、あるいは生活安定とした見方で別のところでやってもらうように仕向けるのか、その辺はやり方は変わってくると思うんですけれども、能力開発というのであれば、私としてはやはり若年かなという気はしないでもないです。
〇阿部座長 いかがですか。どうぞ。
〇西久保委員 非正規雇用労働者という面だけで見ると、いろいろな種類があると思って、逆にそれを能力開発でスポットを当てていけば自然と絞られるかなと私は思っていたんですね。だから、いろいろな非正規雇用の方がいらっしゃいますけれども、それを能力開発の視点だけで見ましょうと。それがたまたま若い人かもしれないし、団塊ジュニアかもしれないし、それは後でも出てくるような気がしていました。能力開発という面だけ気にしていって、議論を進めていけばいいのではないかなと思います。
〇阿部座長 その意味は、入職段階みたいな、その近辺のイメージですかね。
〇西久保委員 先ほどまでの議論だと、どうしても正規、非正規とか、そもそも非正規の中でもいろいろな分類があってというお話から入ってしまうと、では今回非正規だけテーマにするのがいいのかとか、会社によっては同じような仕事をしても、非正規雇用の方と正規雇用の方がばらばらでいますので、そういう意味で能力開発という面からだけ話を進めていったほうが、極端に言うと、正規も非正規もなんですけれども、余り非正規の中でどこと分類し過ぎると焦点がかえって小さくなってしまって、議論が余り進まないのかなと思ったんです。能力開発からというのがいいかなと。
〇阿部座長 どうぞ。
〇小野委員 今、話を聞いていてそうだなと思ったんですけれども、そもそもこれから4回ある中で、今後どういうふうに展開していくかという議論になると思うんです。企業さんに何かやってもらう仕掛けをつくるというのが1つですね。そうしたときに、企業側が正規に上げたいとか、能力開発したいと思う人材というのは、先ほどおっしゃったように全体の中のセグメントを立てた一部であるということを考えますよね。恐らく、それは私は若年なのかなとか、ある程度上げられるような、企業側の利益を考えた上での行動ですから、何とか市場論理に乗っていける可能性があるモデルだというふうに思っています。
 それ以外のところは、やはり国が何らかの施策を打ってやらなければいけない訓練とか、ジョブ・カードをやったりというような部分なので、そこは何となく取り組みによって色分けを具体的に決めたほうが、国のやるもの、企業にやってもらうものというふうに分けたほうが話が早く進むかなと思ったりするんです。
〇阿部座長 ただ、実際に西久保さんの会社みたいに、正規も非正規もなく能力開発をやっている会社もあれば、そうではなくて、やっていない会社もたくさんあるわけですよね。だから、やっていない会社にどういうふうにやってもらうかというのが大事だとは思うんですよね。そこを考えると、何か考えないといけないかなと思うんですよね。
〇西久保委員 私どもの会社は、先ほど言いました首都圏の三越伊勢丹という会社が、たまたま昨今の法律が決まった、5年たったら有期が希望したら無期雇用になりますという、実は弊社は月給制のフルタイムの契約社員は3年たったら自動的に無期雇用にしているんです。もともと非正規、正規という考え方は余りなくて、だからこそフラットにやりましょうよと。
 ただ、その中で、では本当の社員といわゆる月給制契約社員から契約がなくなって社員になった方と、それから短時間、大きく3種類あるんですけれども、ここの分け方というのが、本人が選択する、例えば勤務地ですとか、就業時間ですとか、この辺の選択の幅と、あとはキャリアをどう自分で考えていくか、キャリア管理の仕組みで、例えば人事異動の幅とか、将来のキャリアアップはどうするとか。もう一つは役職ですね。先ほど言いましたように、いわゆる職務的な、期待される役割はどこか、この3つの観点で分けているだけで、実はそれ以上余り考えていないんです。極端に言うところ、たまたま契約書があるかないか。
 そう考えると、さっき私が申し上げた、そういう意味で正規か不正規かというのは実は余り本論ではなくて、そもそも能力開発という視点で、では短時間の雇用の方とか、選択の範囲が狭い方をどこまで上げていくのか、ではもっと広くした方をどこまで上げていくのか、そういう分類でやっていくと、たまたま弊社のほうがそういう面で進んでしまっているところもあるので、それがいわゆる一般のまだそこまで行っていない企業の方に対して、では実際にそこは非正規に当たってこういう能力開発が必要ですよという議論ができればいいなというイメージでお話しさせていただきました。
〇阿部座長 そうですね。そういう話だったらよくわかるのですが、私自身がちょっと何かぴんとこないところもあるんです。結局はやっていない会社さん、企業にやってもらうためにどうしたらいいかということですよね。しかも、そういうところにたまたま仕事を得ている人たちをどうするかということだろうと思うんですよね。
〇山田職業能力開発局長 恐らく企業が非正規の人の能力開発をやるためには、企業にとってメリットがないといけないと思うんですよね。ただ、見回してみると、非正規の人に対して能力開発をやっている企業もある。かなり企業の中で非正規の占める割合が増えてしまって、その人たち戦力化を図らないと企業としてやっていけないという中で、いろいろやっているところもありますよね。ただ、それは恐らく非正規のままでその人たちを雇い続けるという考え方なんだろうと思うんですけれども、契約法が改正されて、構造はかなり変わってくると思うんですよ。そうすると、さっきどなたかがおっしゃった非正規の企業の中における割合みたいなものをどういうふうに考えていくのかというところも、これからかなり変化していく可能性があると思うんですね。
 そうすると、非正規の人たちに対する能力開発のやり方というのも、恐らく企業としてこれからかなり課題を抱えることになると思うんですよ。そうすると、例えば非正規の人たちをできるだけ正規に変えるような形で、その過程の中で能力開発をかなりしっかりやっているような企業さんの話を聞いてみるとか、恐らくそういうことはこれからいろいろな企業が取り組んでいかないといけない問題になると思うので、それが一つあるかなと。
 それから、さっき杉山さんがおっしゃった非正規の人をその企業の中ではなかなか活用できないけれども、正規として雇いたい企業もいっぱいあると。実際そうだと思うんですよ。そこのところは、恐らく今まで非正規で働いていた人を正規で雇うためにどういうことが必要なのかというところをもう少し詰めるということが必要なのかなと。
 ハローワークで能力開発した人を求人企業に紹介するときも、そのあたりのところが非常に課題になっているので、そこのところを求人企業としてどういう人なら正規として雇いたくなるのかというあたりから、これはまさに公共職業訓練の在り方というところを少し詰めていく。2つぐらいの固まりを少し詰めていくと、割と現実的な方向性が見えてくるのかなという気がいたします。
〇阿部座長 そうですね。企業がなぜ能力開発を非正規社員向けにやるのかというのを少し明らかにしていくと。もしかしたら、今の話では、非正規割合というのが高まってくればやるのではないかという話ですけれども、それを後押しするようなことも考えないといけないですよね。それから、個人的な非正規から正規に移るところの個人への支援というのも、マッチングの問題とも、能力開発の問題も含めてあるんだろうと思います。
 そういう意味では、先ほどと同じですけれども、まとめるつもりはないんですが、労働市場の中には内部労働市場、外部労働市場とあって、大きく分ければ職能型と職務型の能力開発みたいなのがあるのではないかと。そういったところで、個人が自立的にというか、自己実現としていろいろな選択をしていく。正規を選択しようとする人もいれば、非正規を自己実現として選択する人もいて、そういう人たちの能力開発をどうやって支援できるかということになるだろうということなんですね。
 そこには、企業が自発的に能力開発をやるような場面もあるだろうし、あるいはそれをもう少し押し上げるようなやり方を考えるというのも、今後の中で出てくるのかもしれませんけれども、あり得るだろうということですね。それから、個人に対してどういうようなことができるか。こういうことを今後、残りの検討会で議論させていただければいいのかなと思うんですけれども、どうですか。
〇杉山局長 1点だけ。済みません。代理出席なのでもう二度と来ないと思うんですが、議論していくときに整理をしておいたほうがいいということだけ最後に申し上げておくと、ずっと議論してきて、能力開発という言葉で理解し合って話をしてきたと思っているんですが、実は今言っている能力開発というそのプログラムのメニュー、中身というのは、どういうものを想定して話すかによって相当違うんですね。それは今みんな共通認識のメニューを思い浮かべて議論してきたかどうかというのは、次回に向けて少し合わせておいたほうがいいのではないかなと思います。最後1点だけです。
○阿部座長 わかりました。能力開発、そうですね。そこは大事ですね。それは大事だと思います。ほかに。どうぞ。
○小野委員 能力開発のイメージというものに関して、私も本当に皆さんとフェーズを合わせておかないとだめだなと思っていて、決して私はOFF-JTといういわゆる座学みたいなものが、実際の職業能力を上げるために直接的に資するものだと思っていないので、幾らそこのメニューをいろいろやったとしても変わらない。だから、やはり基本的にはOJTじゃないと職業能力は上がらないというふうに思います。
 では、簡単にOJT、OJTと言うけれども、OJTをどうするのという話になったときに、本人が自分がどれぐらい仕事ができるようになったかということのフィードバックと、それをちゃんと教えてくれる人が身近にいることが決定的に重要なことになると思うんですね。
 そういう意味においては、ちゃんと非正規の人にも評価というものを考えてもらいたいというのがあります。だから、そこも含めて私は能力開発だというふうに思っているんですけれども、皆さんの御意見を聞かせていただきたいです。
○阿部座長 どうぞ。
○平田委員 まさにそのとおりで、今回の非正規の能力開発ということですけれども、お金の使いどころとして、正規の方に対する直接の教育投資ということだけに限定されるのか、OJTを考えた場合には、企業のOJT力、三越伊勢丹さんのようなしっかりした会社であればいいんですけれども、私どもは求人広告の『アイデム』と申しまして、本当に小さな企業様の求人広告、採用の場面に立ち会っているんですけれども、OJT、計画的なんて何のことやらというのが実態だと思います。日々忙しい中でばんとパートさんの中に投げ込まれて、その中でわたわたして、それで辞めてしまうみたいなことで、また募集というようなことを繰り返しているのが現実だと思います。ですので、そこに当たって、私はOJTは大切だと思っているんですが、そうするに当たっては、正社員に対する、あるいは企業に対するOJTの教育と、これも大きな話になってしまうんですけれども、全体的な雇用する場面、社会全体としてみんなで育て合っていくんだみたいな、そういう意識醸成みたいなものがないと、これはうまくいかないのではないか。ここまでこの検討会で議論することではないかもしれないのですが、そういうことが本当に望ましい状態に、おっしゃったとおり、ちょっと遠いような感じなんですけれども、それを実現するにはやはりそんな世論を引き出していくようなことも必要なのではないかと思っています。
 以上です。
○阿部座長 ありがとうございます。私も似たような感じを持っていまして、OJTは大事なんですけれども、企業によって言葉が違うんですよね。例えば、先ほど御紹介がありましたけれども、職業能力評価基準というのを業種別に今おつくりになっていますけれども、あれをつくる会議に出ると、各社でいろいろなことを言って、一つの能力基準に当てはめるというのが非常に困難なんですよね。だから、そこまで見据えていかないと、特に外部労働市場を動く非正規労働者の場合には、能力開発をやっても次の会社で使えなかったというと困るし、あるいはうまく翻訳されて、これぐらいのスキルレベルにありますというのが翻訳されていかないと、次の仕事につながらないということもあるだろうと思うので、そこまで射程に入れて議論するかどうかというのも考えないといけないかもしれない。
 ほかに何か。なければ、時間がちょっと過ぎてしまいましたけれども、私の頼りない議事進行で、今日は何とか時間が来ましたけれども、次回以降、またいろいろと御議論させていただきたいと思います。
 本日の議事につきましては、非公開に該当する特段の理由はないと思いますので、議事録は公開したいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。
(「はい」と声あり)
○阿部座長 では、そのように取り扱わせていただきます。
 では、次回の日程などについて、事務局からお願いしたいと思います。
○三上雇用支援企画官 次回の検討会は来月中旬を予定しております。先に先生方の日程を確認させていただいて、調整させていただいた上で、改めて御連絡させていただきたいと存じます。
 以上でございます。
○阿部座長 それでは、これをもちまして本日の検討会は終了したいと思います。本日はお忙しい中、ありがとうございました。


(了)

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