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2012年10月16日 第3回「地域若者サポートステーション」事業の今後のあり方に関する検討会・議事録

職業能力開発局キャリア形成支援室

○日時

平成24年10月16日
14:00~16:00


○場所

中央合同庁舎第5号館 共用第9会議室


○出席者

構成員

小杉 礼子 (独立行政法人 労働政策研究・研修機構 統括研究員)
遠藤 和夫  (一般社団法人 日本経済団体連合会 労働政策本部 主幹)
工藤 啓  (NPO法人「育て上げネット」理事長)
玄田 有史  (東京大学 社会科学研究所 教授)
佐藤 洋作  (NPO法人 文化学習共同ネットワーク 代表理事)
谷口 仁史  (さが地域若者サホ゜ートステーション 総括コーディネーター)
松田 考  (さっぽろ地域若者サホ゜ートステーション 総括コーディネーター)
宮本 みち子  (放送大学 教養学部 教授)
村越 和弘  (東京都立 一橋高等学校 校長)
森原 琴恵  (日本労働組合総連合会 生活福祉局 次長)
吉田 美穂  (神奈川県立 田奈高等学校 教諭)

オブザーバー

久知良 俊二 (厚生労働省 職業安定局 派遣・有期労働対策部 企画課 若年者雇用対策室長)
熊木 正人 (厚生労働省 社会・援護局 地域福祉課 生活困窮者自立支援室長)
鈴木 和則 (内閣府 政策統括官(共生社会政策担当)付 参事官補佐(青少年企画・青少年支援担当))
白間竜一郎 (文部科学省 初等中等教育局 児童生徒課長)
平川 康弘 (文部科学省 生涯学習政策局 社会教育課長補佐)

事務局

西村 智奈美 (厚生労働副大臣)
山田 亮 (厚生労働省 職業能力開発局長)
内田 俊彦 (厚生労働省 大臣官房審議官(職業能力開発担当))
吉本 明子 (厚生労働省 職業能力開発局 総務課長)
吉村 紀一郎 (厚生労働省 職業能力開発局 総務課長補佐)
浅野 浩美 (厚生労働省 職業能力開発局 キャリア形成支援室長)
永井 祐一 (厚生労働省 職業能力開発局 キャリア形成支援室長補佐)

○議題

(1) 「地域若者サポートステーション」事業の今後のあり方に関する主な論点(案)について
(2) その他

○配布資料

資料1「地域若者サポートステーション」事業の今後のあり方に関する論点(案)について
資料2「地域若者サポートステーション」事業の今後のあり方に関する論点(案)に関連するこれまでの主な議論等
参考資料1「地域若者サポートステーション」事業の今後のあり方に関する検討会参集者名簿
参考資料2地域若者サポートステーション事業の実績及び地域若者サポートステーションの利用者像(平成24年4月~8月末実績)
参考資料3第1回「地域若者サポートステーション」事業の今後のあり方に関する検討会<討議用資料>

○議事

○小杉座長 定刻になりましたので、第3回「地域若者サポートステーション事業」の今後のあり方に関する検討会を開催いたします。議事に先立ちまして、本日は西村厚生労働副大臣がお越しになっておりますので、御挨拶をお願いしたいと思います。
○西村厚生労働副大臣 厚生労働副大臣の西村でございます。この検討会の皆様には、第3回目になります今日の会合に、本当にお忙しいところお集まりいただきましてありがとうございます。
 今日は論点について御議論をいただきますが、これと併せて、同時進行で生活支援戦略に関する特別部会等々での議論も進んでおります。この中でサポステの位置づけをどのようにしていくかということについてはここの検討会からのインプットが非常に重要になってくると思っておりますので、是非この場において良い方向で整理をしていただきますよう、改めて御願い申し上げたいと思います。今日はどうぞよろしくお願いいたします。
○小杉座長 どうもありがとうございました。続きまして、事務局から構成員の出席状況について御報告をお願いします。
○永井キャリア形成支援室長補佐 初めに、本日オブザーバーとして文部科学省の初等・中等教育局の白間児童生徒課長に御出席をいただく予定ですが、所用で10分ほど遅れているとの連絡がありましたので、後ほど御紹介させていただきます。
 続きまして、オブザーバーで本日欠席の方がいらっしゃいますのでお知らせします。文部科学省生涯学習政策局政策課の松永生涯学習企画官が御欠席ということで、代理で社会教育課長補佐の平川康弘様に御出席いただいております。次に、内閣府政策統括官付青少年支援担当の梅澤参事官が御欠席ということで、代理で参事官補佐の鈴木和則様に御出席いただいております。
 なお、西村厚生労働副大臣ですが、所用のため途中退席させていただきます。議論の途中で退席となりますが、お先に失礼させていただきますことをお知らせします。以上です。
○小杉座長 それでは、議事に入ります。これまで2回開催し、事業開始からの実績や構成員の皆様からの現場の報告などを踏まえて御議論いただきました。本日は、これまでの議論を踏まえ、論点を整理して、次回の中間取りまとめにつなげたいと思います。最初に、事務局から叩き台となる論点案を作成しましたので、御説明をお願いします。
○浅野キャリア形成支援室長 叩き台となる主な論点案について御説明します。資料1に項目及び論点、資料2にこれに関連するこれまでの主な議論を入れたものを作成しております。記憶されている部分も多いかと思いますが、確認も兼ねて、資料2を使って御説明します。
 1ページです。「地域若者サポートステーション事業の今後のあり方に係る論点案に関連するこれまでの主な議論等」です。まず、「地域若者サポートステーション事業」の評価についてですが、第1回目の検討会において「実績・内容・社会的意義について高く評価できる」「サポステに寄せられるニーズは大きく、可能性は多い」、2回目に松田構成員から「サポステ」という種が土(専門性を持つ受託団体)に植えられ、根(地域のネットワーク)を張り、幹(キャリア相談)を作り、関係機関等との連携によって花や果実(就職等)をつけるという話がありました。また、1回目に、サポステができたことによって、女性のニートにも支援が届くようになったといった話もありました。当初は情報の整理まで手が回らなかったところですが、実態が把握できるようになってきたという指摘もありました。NPO法人は基盤も脆弱で、一定の枠を超えられない状態だったけれども、サポステ事業を受託したことによって地域の関係機関と対等に事業を展開することができるようになったという話もありました。サポステの質も大事であるけれども、量もしっかりサポートしていく必要があるといった話も出ました。また、佐賀では、サポステを受託しているNPO法人がネットワークの中身になって、子ども・若者育成支援の取組みを進めているといった話がありました。
 次に「サポステの機能」です。1回目ですが、「悩んでいて働けなくても、心の悩み相談センターには行かない。仕事に向けてだから行く。サポステは働くことに向かって進むところであって、そこは、ぶれてはいけない」といった話がありました。「まずアルバイトからという若者は少なくない。サポステの目的は正社員就労でなくてキャリア形成なのだ」という話もありました。「いま若者に何が起こっているのかということを発見する機能がある」、サポステ利用者については「働きたいというよりも働けるようになりたいという者だ」という指摘もありました。
 今後取り組むべきことについても、たくさんの事項が出されました。「ニーズはあるけれども、どの範囲まで支援するかということについては検討が必要」、「サポステで働くスタッフの労働条件を考えることも重要」、「広げれば良いというものではなくて、足元を見た上で、当初期待されていた役割をきちんと守りながら、プラスアルファ何ができるかということを考えることが必要」、「均一的なサービスを目指すのか、多様性があるサービスを目指すのか、サポステごとに個性も必要ではないか」といった指摘もありました。同じく1回目に、玄田構成員から「若者を支援することも大事だが、「若者を支援する若者」を支援することも大事だ」という話がありました。また、「ニート対策というだけではなくて、社会的投資という位置づけにしていく必要がある」という指摘もありました。
 2ページです。「入口のデータを充実するということによって、さらに現状がわかる部分がある」「進路決定後のフォローも必要である」、機能に対しては「中小・零細だけではなくて、大企業にもアプローチすることが重要である」といった指摘がありました。現実的な問題として、委託費なので、精算払い、間接費の経常もできないという点が指摘されました。
 また、毎年企画競争が行われる仕組みになっております。これについての指摘もありました。費用対効果に関して、サポステも含めて大きな話の中で、直接的な効果だけで判断するのではなくて、支援の場がなかった場合にどうなるのかといったコストを考える必要があるという話がありました。自治体に関して予算措置が半分に満たず、進んでいない、あるいはけん制し合うところもあるという話もありました。地方と大都市との違いについても御紹介がありました。さらに、自立支援関係機関には利用者にとっての行きづらさがあって、近くを利用したくない者もいるという話がありました。
 2「評価のための指標」です。これについても、たくさんの御意見をいただきました。私どもでは、指標として就職等進路決定者数を取っておりますが、これ以外にも取らなければいけないものがあるのではないか、また途中の段階について「意識のレベルについては把握をしているけれども、能力、環境等複合的な問題を捉えることはしていない。こういったことができるものも必要ではないか」といった指摘がありました。成果指標を考えるにあたっては、納税者に対する説明責任、本人以外の家族に対する支援をしているといったことも考える必要がある。就職等に至るまでのプロセスを定量化することができないかといった話もありました。
 サポステによる波及効果についても、サポステ事業があることで、それぞれのNPO法人がさらに先のことができるようになったという話もありました。サポステの特性として、ネットワークを構成して、関係機関と共同のもとで支援を実施していくということで、地域にさまざまな効果を与え、複数の事業が立ち上がってきているという指摘もありました。
 次に、こういったことも含めて、事業をきちんと検証していく必要があるという御意見がありました。 優れた取組みを行うサポステを評価・支援する仕組が必要ではないか。負担した分だけのインセンティブ、頑張っただけの対価を盛り込むことが必要ではないかということです。これに関して、評価基準も見直す必要があるのではないかという御指摘がありました。
 3「サポステの対象者・支援内容」です。「学力的に厳しい子どもたちが多い学校にターゲットを絞りながら関係を広げると効果的ではないか」といった指摘がありました。「生活困窮者の問題も考えていかなければいけない一方で、そうではない、従来の利用者がはじき出されてしまわないように、その利用しやすさにも配慮すべきではないか」といった御意見もありました。
 より困難な者に対する支援についても、いろいろ御指摘がありました。パーソナル・サポート・サービスで時間をかけて支援しているのだという御紹介がありましたし、「いまのサポステのメニューでは、毎日どこか行く所が必要だという者には不十分だ」という御指摘、あるいは「デイスクール、宿泊型の訓練機関が必要ではないか」という話もありました。「就労支援という位置づけが、より困難者に対する支援をする中でも薄まってはいけない」といった話もありました。
 4「支援の質の確保」です。「全体として研修、あるいは人材育成に取り組んでいるとした上で、それでも質的なばらつきもあるが、学校だけでは抱えておけない困難を持った者もいるので、人材育成に積極的に取り組む必要がある」、また若者自立支援中央センターという所が指導を行う仕組みになっておりますが、それだけではなくて、力があるサポステの力を借りるようにしてはどうかということもありました。
 また、専門人材が要るわけですが、これをマネジメントできる人材を育てることが必要だという指摘がありました。さがサポステでは戦略的人材育成を行っているという報告もありました。サポステにいるキャリア・コンサルタントが相談に専念できるようにすること、あるいはハローワークの機能を最大化できるように、サポステの機能の整備、連携の強化をしていくことが必要だという話もありました。
 4ページです。「学校との連携強化」です。サポステには、学校側から見て力になる部分がたくさんあるとされる一方で、もっと学校のどの部分を支援できるのかということを明らかにしてアピールしていく必要があるといったことについて指摘がありました。また、やめていく生徒に対して、学校がうまくサポステと連携できれば支援できるという話がありました。「学校は教育の場であって、支援の場ではない。支援機関が学校に入っていくためには、教育の側の理解も重要だ」という指摘がありました。学校側から助けてほしいという感覚があるといった御紹介もありました。
 中退者情報の共有に関してですが、松田構成員から札幌についての御紹介がありました。札幌では、サポステの高校中退者等アウトリーチ事業を呼び水にして、家庭からの拒否がなければ中退者情報を提供してもらう仕組を作ったということでした。在学生への支援については、田奈高校ではキャリア・コンサルタントに相談室に来てもらっているとか、一橋高校では相談、セミナー等に来てもらっているというお話をいただきました。
 6「ハローワークとの連携の強化」です。ハローワークでは支援が難しい方をサポステで支援するということもあり、機能している。すぐに正社員という具合にはいかなくとも、サポステがキャリア形成の観点からどういう機能を果たしているのかを見ていくとよいのではないかといった御指摘がありました。
 7「周知・情報発信について」です。全体の認知度・認識度も大事である一方で、ネットワーク構成機関の担当者レベルにどのぐらいサポステが浸透しているかといった観点からも見る必要があるという御指摘がありました。また、周知を行うのであれば、コンビニ、ゲームセンター、カラオケ、漫画・雑誌等の活用も必要であるといった話がありました。認知度向上のための取組みについては、やり方というものがあって、そのやり方でやれば、どの団体でももっとできるのではないかといった話がありました。サポステの理解を促進していくためには、わかりやすいテーマ、指標、キャッチフレーズがあるとよいという御指摘もありました。
 8「生活支援戦略との関係」です。福祉関連機関との連携・支援の話については、先ほど御紹介したとおりですが、福祉に広げていけば良いかというと、そればかりではいけなくて、従来からの利用者のことを配慮しなければいけないといった御意見、特に困難な者を一生懸命に支援すると、それだけコストがかかる、事業として成り立たなくなる可能性もあるので、支援の評価の仕組み、あるいはインセンティブ・メカニズムについても考える必要があるのではないかといった話がありました。また、サポステについては、現在既すに若者向けの総合相談窓口機能を果たしていて、大半は生活困窮ではない者ですが、サポステによって違うようですが、貧困問題等を抱えている若者も、一、二割いる。生活支援戦略との絡みもあって、どこに軸足を置くかはとても重要な話だという御指摘がありました。完全な福祉の観点で支援するのではなくて、職業的自立を支援していく所であるという軸が重要だということです。
 第1回目、第2回目でたくさんのことを議論されたわけですが、これを整理して、私どもでこのような形で論点1~8までまとめました。以上です。
○小杉座長 ありがとうございました。白間課長がいらっしゃったようですので、事務局から紹介をお願いします。
○永井キャリア形成支援室長補佐 改めて御紹介します。文部科学省初等・中等教育局の白間児童生徒課長です。
○白間児童生徒課長 遅参いたしまして、失礼しました。文部科学省児童生徒課長の白間でございます。高校等との連携等について参加させていただいております。よろしくお願いいたします。
○小杉座長 それでは、論点2の議論に入ります。最初に、いま御説明いただいた論点案について1~8まで示していただきましたが、これに対する御質問、あるいはこの論点は八つではなくて、もう一つぐらいあるのではないかといった追加すべき論点がありましたら、そこから入りたいと思います。まず、質問等はありますか。場合によっては、私はそういう趣旨で言ったのではないといったこともあるかもしれませんが、いかがでしょうか。
○工藤構成員 あくまで確認ですが、この論点と今後に関して、サポートステーションはキャリア形成を目的とした事業として進んできましたので、それを前提として今回議論をするということは変わらないままでよろしいのでしょうか。要は、いろいろな福祉とか困難な方の話もたくさん出てきますので、キャリア形成から非常に遠い人の話にもいくときに、あくまでもサポートステーションのこれまでの目的であるキャリア形成を軸に議論をすれば良いのでしょうか。
○小杉座長 キャリア形成を軸にした議論でよいのか、新たな論点として加わった部分はどう考えるのかということですが、浅野さんからお願いします。
○浅野キャリア形成支援室長 1回目、2回目の議論をお聞きした中でも、サポステはキャリアを形成する所である、あるいは就労という軸はぶれてはいけないという御意見をたくさんいただいておりますし、私どもとしてはキャリア形成の機能が大事である、就労支援の前段階としての機能が大事であり、そういった機能を果たしていく所である。併せて、「生活支援戦略」に係ることについても考えていく、ということで、この議論を進めていきたいと考えております。
○小杉座長 論点の一つとして8番があるということですね。全体としてはキャリア形成ということでよいということだろうと思います。
 他に御質問はありますか。論点はこの八つということで、話しているうちに出てくるかもしれませんが、よろしいですか。
 特にないようでしたら、事務局の作成したこの論点案に従って議論を深めたいと思います。1~8まであって、一つひとつということも考えられますが、1~4はかなり関連したものだと思います。どのように事業をしているかということと、事業の内容、その内容をどう評価するかという関連事項ですので、1~4のどれにかかわっていても関連するので、この辺りはサポートステーションのいまの事業の評価と課題、学校連携とハローワーク、外との連携は外して、サポートステーション本体の問題ということで議論したいと思います。1~4に関して、改めて前に指摘したことをもっと深く話したい、あるいは他のことも含めてありましたら、今日は少し時間を取ってお話したいと思いますが、いかがでしょうか。
○工藤構成員 特に大きな論点は、一つは成果指標のところですが、いまの出口で何人就職したとか、何人来たというだけで、もし指標を整えるのであれば、当然そちらの方向に向かって頑張らざるを得ないと。ハローワークには行けないかもしれないけれども、限りなく成果が出やすい所を、受託組織としては頑張らざるを得ない。しかし、そこでももっと苦しい人をやっていくのであれば、成果指標自体を本当の意味でどこに置いていくのかは、活動目的にかかわるところですので、もう少し広い範囲で捉えるのかどうか、いろいろアイディアを出した方が良いのではないかと思っています。
 もう一つは、谷口さんがいろいろお話をされていると思いますが、これから研修をしていく段階において、どんな有資格が良いのかと質問されることが大変多く、おそらく資格のことを指していると思うのですが、日本の社会において若者という年代の括りに特化した資格はおそらくほとんどないと。その上で、今後研修を通じて人材を育成していくときに、世代みたいなもの、新しい形の研修を本当に考えていくのかどうかが、さまざまな資格保持者からも期待をされているのではないかと感じています。
○小杉座長 大事な点を二つ挙げられました。最初の質問ともかなり絡んでいると思いますが、成果を何で測るかをもっと議論しなければいけない。対象者をどのように設定するかによって成果の測り方は違って、いまの就職を何人というところに特化すると、かなり就職に近いスキミングをしなければならなくなってしまう事態が起こるので、そこをどう考えるか、そこは大事な論点だと思います。
 もう一つは、支援者の専門性をどのように確立していくかだと思います。資格という形にするのか、研修というか仕組みを作るのか、いろいろな形があると思いますが、専門性をどう確立するかというところが大きな論点かと思います。両方とも大事な点なので、皆さん御意見があると思いますが、いかがでしょうか。
○佐藤構成員 あまりに大きくてなかなか言いにくいのですが、評価と支援内容の専門性とつながってくると思いますが、評価がアウトカムのところだけではなくて、プロセス評価というか、どういう支援をしているのかが、支援手法の、あるいは手続きをある程度定式化しながら、それがきちんと踏まれているのかどうかも評価指標に入れた方が良いのではないかと思います。そういうスキルも含めて、あるいはスタッフ構成そのものが脆弱であるとか不備であるといったことも、それを通してきちんと指摘をしていく仕組みが必要なのではないかと思います。
 また、キャリア形成支援を行う中で、この10年間いろいろやられてきたことは、非常に多様なメニューを作られてきていて、新メニューが未整理のまま出てきているのではないかと。それを一回整理して、何が効果があって、何がどうだったのかを明確にして、ある意味での新メニューの仕分けをして、これはやるべきものということをもう少し明確にして、それがやられているのかどうなのかというアウトプットの評価と、それがどのようにして実施されているのかというプロセス評価と、その結果就労支援効果を含めてどういうものが出てきているのかというように、評価指標ももう少し段階的に分けながらやらないと、専門性も確保されていかないのではないかと思います。
 専門職員の専門性をどう獲得していくかというと、イギリスの全国職業資格のようなものをベースにしながら、現場での現場体験を加味しながら、ある種の若者支援パーソナル・アドバイザー(PA)の資格、認定PAになるとある程度こうという形の段階を踏んだ養成システムが必要ではないかと思います。そのための資格認定を確立して、委託費もある程度それに合わせた方が良いのではないかと思います。
○小杉座長 委託費も合わせるとおっしゃっているのは、認定PAがいると加算するというようなことですか。
○佐藤構成員 認定PAが確立しているかどうかということは、かなり重要だと思います。認定PAなのか臨床心理師なのかということではなくて、多様な入口から認定になっていくような、養成システムが多様化していかなければいけない。
 というのは、日本の支援現場はピアスタッフが多いのです。利用者だった人たちが、ある種の就労構造になっているのですが、確実に自分の経験を活かしています。引きこもり系の人たちが多い現場ですから、ピアスタッフは有効だと思います。キャリコンもですが、こういった人たちが専門性を獲得していくための見通し図をきちんと設定して、それをクリアしていくような支援をしていくことが必要ではないかと。その結果、出てきたPAに対しては、きちんとした身分保障ができるような委託費を確保していく仕組みがない限りは、安い労働力を集めて、何をもって専門性と言うのかわかりませんが、物量作戦でやっているというか、その辺の仕組みをきちんとここで作るべきではないかと思います。働く者の誇りも含めて、そうした仕組みを検討していくべきではないかと思います。
○小杉座長 お二人から、専門性をきちんと担保するような仕組み、プラスそれを育成するような、ステップが見えるようなプログラムの開発が必要だという御意見だと思います。
 最初の成果の話では、プロセス評価をどうしていくかをきちんと把握しなければいけないと。PDCAが回っていて、プログラムがちゃんと更新できるような仕組みになっているとか、スタッフ構成の話はいまのPAの話ともかかわってきますが、そういう組織のあり方、プログラムの作り方、その辺を評価できる仕組みにならないかという御提案と承りました。
○谷口構成員 先ほど佐藤先生がおっしゃったように、資格化の流れはいずれ作っていかなければいけないだろうと。特にこの分野の、いわゆる底上げにつながるような資格要件が必要なのだろうと思います。まずさしあたってサポートステーション、これはキャリア形成、就労自立を目指すのであれば、キャリア・コンサルタントは必須のものだと思うのです。キャリア全般についての深い知識と、そのための支援のあり方を熟知した方々ですから、そういった専門性必須と思いますが、我々の利用者実態調査でいくと、全体の48.5%が過去に複数の支援機関を利用しているにも関わらずニート状態に陥っているという点を考えると、それだけでも不十分だと思います。特に心理的問題を抱える若者が多いということであれば、臨床心理士等の心理的アプローチができる人材は確実に全サポートステーションに配置できるようにする必要があると思います。
 また、ネットワークを活用して支援を展開していくという点においては、ソーシャルワーク的な能力、要件が必要でしょうから、社会福祉士、精神保健福祉士といった専門資格を持った人の関与も望ましいし、学校教育との連携というところでいくと、教育について知識を持っている教員免許取得者等の力も当然必要になってくるということで、今後のあり方を検討していくにあたっては、そういった複数の専門家がチーム対応できるような人員体制に拡充を図る必要があると思います。また、若者支援分野の資格創設の議論についても、そういった中でしっかりと結果を共有し多角的に分析する中で、今後のサポステにはこういう人材が必要だと能力要件を検証した上で、従来の専門資格で得られる専門性の上に新たな資格として乗せていくことが必要だと思います。
 もう一つ考慮すべき数字は、既存の相談支援に関するものです。いろいろな支援機関で失敗をして、公的支援自体に不信を持って孤立しているという若者も63.1%いるということを考えれば、専門性だけでも駄目だと思います。若者に対する理解や接し方、先生がおっしゃったようにピア的な要素も必要になってきますから、そういう意味では、NPO活動で特に資格を持たずとも成果を残している方々がこの分野の支援に残る余地もしっかりと確保しつつ、総合的に展開していく必要があるだろうと考えます。
○小杉座長 実際には、いまは入口の多様な専門家の集団でやっているわけで、いまお話されているのは、そこでの共通の上に乗せるユースワーク的な知識みたいなものを、何かパッケージにしていくという可能性でしょうか。
○佐藤構成員 必修にしたら良いのではないですか。講座を含めて研修を必修にしていった方が良いのではないでしょうか。それをクリアしていかないと、認定PAにはなれないという形にしていかないと、やってもやらなくても良いという状況ではなかなか進まないのではないかと思います。
○小杉座長 前もお話がありましたが、質の担保のためには、そういう必修化したようなプログラムが必要であろうと。それは皆さんの英知を集めて開発していく必要があるということでしょうか。松田さんはいかがですか。
○松田構成員 まず、サポステの実績評価の部分で、サポステにはハローワークどころではないという人がたくさん来られますが、中にはサポステどころではないという人もたくさんおられるのです。そういう方たちに対して、実は多くのエネルギーを割いているという実態があります。つまり、サポステのお金自体だとキャリア・コンサルタントが3人ないし4人いて、時間をかけてキャリア形成していくということで手一杯で、サポステどころではない人まで手が回らない。でも、サポステで駄目なら医療か福祉しか行き場がないという状況の中で、みんな必死に受け止めているので、そういう人たちに「あなたたちはサポステどころでもないですね」とは中々言えない。その部分も成果指標として、プロセス評価として見るというのも一つの考えですが、その部分を評価してもらうということはそこも業務に入ってくるということなので、そうであれば、いまのマンパワーでやるのも相当に厳しい。逆に従来のサポステの部分だけで対応できるような、そこのサポステどころではない部分も別枠でサポステにきちんと付いて、そこも評価に入れるのであれば大賛成ですが、いまのサポステのスキームのままで、評価事項だけそこの業務内容に入ってくるのは少し心配だと思っています。工藤さんが最初に確認されたのは、たぶんその辺りも含めてなのだろうと思っております。
 専門性に関しては、宮本先生にもお伺いしたいのですが、「ユースワーカー」という、日本ではあまり馴染みのない言葉ですが、ヨーロッパ中心にあるユースワーカーが就労支援スタッフの専門性のどの辺りに重なっているのか、あるいは違うのか、ユースワーカーから学ぶ部分もあるのかなと思っております。
○宮本構成員 ユースワーカーの研修も含めて、いまのサポートステーションのワーカーの資格と研修をどうするかという議論で参考になるし、内閣府でも報告書で既に何度か整理しているのが、イギリスのConnectionsだと思うのです。そもそもサポートステーションが成立するためのいちばんのモデルになったのがイギリスのConnectionsですので、そこでだいぶ調べていて、報告書にもなっているわけですが、それを思い出してみると、ほとんど同じ議論がされてきているのです。一つは、非常に困難度の高い人に対して支援すると成果がなかなか上がらない。国の求めているところの、「仕事に就ける」という尺度だけで支援をやるとなると、結局入口で軽度の人を選別するしかなくなって、本当に重い人はコネクションには来られないという線を引いて成果を上げているという問題で、Connectionsに対する批判はまさにその辺りにあったし、現在も続いていると思うのです。こういう問題は、若者だけでなく、すべての支援現場では持たざるを得ないところがあると思います。
 ConnectionsのPersonal Adviserの研修に関しては、記憶が正確でないのですが、一つは一般的なパーソナル・アドバイザーです。これは、基本的にはキャリア・コンサルタント的な人が、基本的には就労支援という線で対処できる人に対してサポートする。もう一つは、複合的な問題を持っていて、仕事に就くだけではなかなかうまくいかない人に対しては、Special Personal Adviserというもう一つの括りを作っていたと思います。そうすると、このスペシャルなPAは、訓練の仕方としては、より専門的なものを重ねていくわけです。だから、全体としてはPersonal Adviserとしてベースを学ぶことは共通していて、100時間といった研修を行う。その中には、若者理解から就労支援まで、またユースワーク的なものも学びます。その上にスペシャルなPersonal Adviserを狙う人は、さらに医学的、あるいは福祉的、心理的なものを付加した研修を受けるというような整備だと思います。サポートステーションもまさにそのような、対象を区分けすると同時に、それに対応するワーカーの養成を考える必要があるのだろうと思います。
 Connectionsの場合には、アドバイザーに関しては大学ではなく、大学相当ぐらいの職業資格ということで、その職業資格をどこで付与するかは、国が研修のガイドラインを作り、実施は自治体単位(地域のコネクション団体)でやっていましたし、場合によっては大学でも単位が取れるということをやっていたと思います。同じように、ユースワーカーに関しても大学相当ぐらいの、でも、必ずしも大学で資格を取らなくても取れるという形でした。若者に関しては、先ほど工藤さんがおっしゃったとおり、日本では専門職が確立していないと思いますが、この間の活動からすると、そういうことを一度整理した上で、サポートステーションの社会的な地位を上げるためにも、その質保証を目に見える形でやることが必要ではないかと思います。
○小杉座長 もう一点、松田さんのお話の前半の部分ですが、いまの資源でやれることと、困難度の高い層を、いまの就職率何%という成果ではどうしてもスキミングしてしまうと、そこで残された層に対して支援をしていくとなると、いまの人と体制では無理だというお話だと思います。その辺りは、佐藤さんがまさに日本型のパーソナル・サポートとの組合せの中で実践されていたと思いますが、そういう組合せが必要なのでしょうか。
○佐藤構成員 二つあると思います。要するに、キャリア・カウンセリングをやって、少しセミナーをやって、就労活動、就職活動に対するプッシュをしていくということではまだどうにもならない、サポステにも中々かからない人たちにとっての就労活動前教育というか、福祉というか、そういうメニューもどうしても必要になってきて、各サポステはいろいろやられていると思うのです。居場所的なこともやっているし、継続支援で学び直しもやられているし、いろいろなことをやっていると思うのですが、そもそもどこまでがサポステできるものなのかというのは、まだあまり確定されていない。就労活動前の生活自立とか学習、学び直しといったプログラムがサポステのメニューなのかメニューでないのか、まず一回確定すべきだと思うのです。
 だとしたら、いまの体制では無理です。自治体が措置している所もありますが、それは自治体も必ずしもやっているわけではなくて、非常にボランタリックな人員を確保したりしながらやり繰りしてやっている部分があると思うのです。それが就労支援というキャリア形成にとって必要なメニューとして、日本の若者支援の持っている特殊性があると思うのです。そこに対して切り込んでいくとしたら、これがどうしても必要だとするならば、これはサポステメニューの中に入れるべきだと思うのです。それを実施できる体制を作るべきだと思います。いまでは、無理してやっているという感じです。モデルは、付いていても、確か二十五箇所だけで、百数十箇所に広がっている中でまだ一部分、部分化されていますね。だとしたら、そこはもう一回議論すべきだと思います。
 また、パーソナル・サポートのような、いわゆる伴走型、ワンストップの人的支援をやる人がいるのですが、これはおそらく必要だと思います。やってみなさい、こうしてみなさいというアドバイスではどうにもならない人もいますから、本当に着手するまで継続的、総合的、包括的な支援が必要な人はいると思います。それが福祉なのかサポステなのか、いまのところは議論されていないと思います。付くとしたら、それはパーソナル・サポートなり何なりのものすごく手厚い人員体制が必要です。とてもサポステの人員体制ではできないと思います。その二つの議論、メニューとして就労支援につながる総合的なメニューをやるべきなのか、やるべきでないのか、やるとしたら体制をどうするかということと、もう一つは非常に個人的な対応を必要とするケースに対して、それが福祉の事業なのか、あるいはサポステでやれる事業なのか、これは明確に議論すべきだと思います。私はどちらも必要だと思っているのですが、サポステでやるかどうかはまだ議論されていないと思います。
○小杉座長 いまの日本の現状を見ると必要なのもであると。ただ、それがサポステといういまの枠組みの中でどこまですべきなのか、あるいはできるのかということは、議論が必要だということですね。
○佐藤構成員 引きこもり等々を経験して、本当に社会的な発達段階の青年期をすっぽり抜かした人が、かなりの比率でいるのです。そこにはそうした総合的な支援がない限り、なかなか就労支援までつながっていかないケースが多いと思います。
○森原構成員 私は、前回のヒアリングからも、サポステの実績や内容、社会的意義は本当に大きく、これから若者を支えるために皆さんには本当に頑張っていただきたいと思います。サポステの量の拡大も必要ですが、質の確保も大事です。しかしながら、若い人たちが若い人たちを支えていく中で、それぞれが成長過程で専門性を身に付けていくということもあると思います。また、優秀で意欲のある方々にサポステで働いていただくためには、待遇が重要だと思いますので、労働条件や社会保険の適用といったことを重視していく必要があると思います。
 いま、自分で就職支援体制に足を運べないでいる若者に対する支援強化が必要だと思います。あとでハローワークの連携のところも出てくると思うのですが、ジョブ・カフェや学校と連携強化を図って、アウトリーチによる就職支援体制も強化していったら良いのではないかと思います。また、サポステは単に福祉的な相談やたまり場ではなく、就労へつなげていく場だと思います。就業的な自立を支援していく場だと思いますので、是非企業との連携でトライアル雇用制度も規模の拡充をして、その後正規雇用、常用雇用への移行、雇用のきっかけ作りをしていっていただけたらと思います。
○小杉座長 後半の話は、あとのハローワークとの連携や学校の連携の中で改めて触れますが、前半の話は、まさにいま話していた支援の質というのは専門性だけではなくて、労働者としての支援者をきちんと支える待遇の面の処遇ということもきちんと考えなければいけないという御指摘は、まさにそのとおりだと思います。質というのは単に専門性だけではなくて、生活をどうするかというところにかなりかかっているということで、大変良い指摘をありがとうございます。
○工藤構成員 いままでの議論の中でいちばん超えなければいけないのは、基本的に全国ほぼ一律で金額が一定で撒かれた上で一生懸命やれということになると、当然その枠を超えるだけの容量はできませんし、いまいただいている受託コストの上限があった中からどこまで頑張るかというのは、確実に限界が来ると思います。資金の出し方の部分をどのように柔軟性を持つのかも、それはいろいろな軸があるので、エリアとか平均給与とか土地代とかいろいろあると思いますが、いまの形で一律でポンと出された中で、頑張っても頑張らなくても変わらないということを前提に物事を考えていくと、最終的に行き着くのは自己犠牲だと思うのです。待遇改善も、いまの状況であれば改善しようがないはずなのです。社会保険も上がれば、絶対に手取りが減るわけですから、頑張りようがないというのが一つです。
 評価に関しては、いろいろな評価指標があると思いますが、いまの就業等の評価指標は基本的にROIだと思うのです。投資に対してどれぐらい就業したかみたいなことだと思うのですが、私の一つの提案としては、いまアメリカやイギリスでNPO関係でよく使われている中で、SROI(社会投資回収率)という方法論があります。基本的には、佐藤先生もおっしゃったように、就業のアウトプットももちろん数値化しますが、若い世代の変化によって起こったこと、もしくは法人がサポートステーションを受託したことによって起こった変化を定量化して、貨幣換算化できるような仕組みです。ただし、莫大な予算がかかります。
 これの良いところは、就業者を出してもプラスになります。就業できない人は絶えず変化をしていく。例えば、サポステに来たことで病院に行く回数が減ったとすれば、その分の医療費まで計算をして、どういう効果があったかを出すことができる。その代わり、ほとんど何もやらなかった場合、もしくは効果のないことをやると、はっきりマイナスが出ます。新しい指標として、ROIではなくSROI、変化に着目をして、数値化して貨幣換算化できるものがありますので、何を指標とするかというよりも、大きな枠としてどういうものに成果ポイントを置いていくか、本当に就業だけなのか、就業プラス変化なのか。今日就職できる人を支援してもそんなに変化は大きくないですが、何年もかかる人が就業までいったという変化は、社会的にはとても大きいわけですから、この部分までも評価に入れていくとなれば、先ほど地域によって、または受託団体によって特徴があるという話をしましたが、こちらの方が担保しやすくなってくると。そういう指標もありますという、情報です。
○小杉座長 情報として承っておきます。
○谷口構成員 委託の形態というところになると思いますが、人材育成や質の担保という観点からも、単年度の契約という形式はどうなのだろうと疑問に感じます。計画的に人材育成ができない。サポートステーションがなくなっても継続的にやるぞという気概を持って取り組んでいる受託団体は現在でも計画的にやっているのですが、そうでない所は毎年ハローワークで募集して配置しているという所も一部では見られます。そういった点を考えると、契約の在り方は、複数年度で検討する必要があるのだろうと思います。
 特に自治体との連携ということを考えれば、学校もそうですが、一年でなくなるかもしれない所と一生懸命連携してもしょうがないという学校や自治体もいらっしゃるのです。自治体でサポートステーション関連の予算を付けていない所は、いつなくなるかもしれないのにつけられないとおっしゃるわけです。そう考えれば、地方自治体も計画を立てやすいような複数年度の契約という形に持っていく必要があるのではないか。できれば、法律の中にしっかりとサポートステーションの位置づけを定めて、国策として発展的に実施していくのだという姿勢を示しておく必要があるのではないかと思います。
○小杉座長 いまこうしてほしいこと、言いたいことを言っていますが、いかがでしょうか。
○玄田構成員 論点の整理として、二点ほど御提案します。一番の資料で「大変高く評価できる」と書いてあって、私も実際そう思いますが、もう少し具体的に明記しておいた方がよろしいのではないかと。例えば、資料の参考3の冒頭にある「就職と進路決定者数の推移及び延来所者数の推移」を見ると、着実に利用実績が上がっていて、前に御質問しましたが、中でも36ページにある日本再生戦略の生活雇用戦略における2015年の中間目標に関しては、累積六万人に対してかなり順調な経緯を歩んでいることは、はっきり書いておくべきだろうと思います。
 加えて、今回の資料の中で特に重要だと思われるのは、5ページの(9)の「進路決定までの期間」です。先ほど来、就労支援の場というのがサポステの本来だというお話がありましたが、それを最もよく現しているのが、三カ月未満の決定者が三人に一人に及んでいて、二人に一人が半年で決まるということです。ハローワークの状況と照らし合わせても、極めて迅速性の高い進路決定の場になっていることは、必ずしも広く一般に知られていることではなく、まさに短期間でのスムーズな移行を実現しているのだということは、評価軸として極めて重要であると思います。あとで議論になるであろう福祉との違いというところでも、このような事実があるということははっきりと申し上げておいた方が良いのだろうというのが一点です。
 二点目は、谷口さんにほぼ言われてしまったのですが、あえて繰り返します。この一から四のサポステの質を改善するためには、いま御議論になった人材の確保・育成も重要ですが、事業そのものの恒久化を担保しない限り、人材の確保・育成はできません。百十六カ所のうち、おそらくかなりのサポステが、来年度事業は本当に続くのだろうかという不安感に苛まれながら事業を継続しているというのが実態だろうと思います。そんな不安感があるときには人材の採用もできないし、広い意味では投資もできないので、これが担保できない限りは、サポステの状況改善は本来難しいであろうと。
 もちろん、事業の担い手そのものは毎回のチェックによって交替することもあったり、制度的な見直しは大変重要だと思いますが、単なる予算の会計年度主義そのものの問題ではなく、これがほぼ恒久的に継続するのだというある種のお墨付き、谷口さんもおっしゃいましたが、できれば法的な担保がなければ、この事業は非常に厳しい。今日は副大臣がいらっしゃるからあえて申し上げますが、政治状況、財政状況に応じて、この事業がどうにでもなるかもしれないという不安定な状況を決して作ってはいけない。それがない限り、一生懸命やろうとする人の期待に応えることはできないので、お帰りになる前にあえて申し上げておきたいと思います。
○佐藤構成員 付随して申し上げます。NPO的な各地の支援団体がこの事業を委託して、ある種の委託費をもらって事業をするようになったのは、地域にある社会的資源を公共的な事業に転嫁する意味で非常に大きかったと思います。それは大体発掘し切ってしまっているというか、そこで一杯になってしまっていて、事業のニーズに応えられなくなっているのが実態なのです。新しく要員を付けようとすると、どうしても団体の外から連れてこなければいけない。そうすると、資格要件の問題が出てきたり、専門性の問題が出てくる。それなのに一年雇用ですと、なかなか定着しないし、キャリアが形成されていかない。一年経って、この間は各団体で緊急雇用でかなり補充している部分があると思いますが、そうすると、折角一年間やったキャリア形成がパーになってしまうということで、何とかして確保しようとするのです。そうすると、また事業を広げなければいけなくなってくるのです。非常に悪循環に陥っているというか、足元を固める前に事業の領域だけを広げなければいけなくなってくる。それは人員の生活確保のためなのです。それでだんだん薄まっていくという現実があるのではないかと思うのです。
 そういう意味で、五年、十年を見据えた人材育成の展望をしないと、事業の数は増えていくけれども、足元の内実は弱くなってしまうのではないかと実感として思っているのですが、いかがでしょうか。
○小杉座長 非常にごもっともなご指摘であり、かつ、一方では難しさも伴う話です。この段階でそろそろキャリア形成支援室から、いま答えられる範囲と言いますか、受け止められる範囲でお答えいただけるようなところはありますか。
○浅野キャリア形成支援室長 法制化等大きな話ですので、いま申し上げられるのは、これだけいろいろな御意見をいただいたというところかなと思います。いろいろな状況や皆様方の御意見も踏まえて、どういったところまでできるかということを精一杯考えたいと思っております。
○小杉座長 いまの段階ではそういうことだと思いますし、いまは実態をきちんと伝えることがいちばん大事だと思います。1から4までのサポステの指標とか質の保証といった辺りは随分話しましたが、先ほど工藤さんからSROIは置いておいて、しかしそこで指摘されている「起こした変化」というのはというお話があって、前回の話の波及効果的な話が随分出ましたけれども、これをサポステの成果としてきちんと拾っていくことは大事な視点だと思います。
○工藤構成員 貨幣換算化できるような仕組みにすることができれば、その方が周りに説明しやすいのです。この分野での変化というのは、元気になったとか、笑顔になったみたいな言い方をする方が多いのですけれども、一般の人はわからないのです。それをわかりやすくするための工夫は、やはりこちら側がやっていかなければいけないのではないか。
 もう一点、前回も人材育成の中に専門の支援者以外にもマネジメントなどを入れた方が良いのではないかと申し上げました。法的な恒久化がないと、本当に投資できないのですが、そうかと言って、この国に余力がないことは当然のことです。また、子どもや若者の世代にはお金をどんどん注ぎ込むべきだと思っているのですが、国の事業や行政の事業をやった結果や成果を社会効果につなげる人材、現場の支援とは限りなく離れた能力というのが必要だと思うのです。これは比較的企業的な能力なのかもしれませんし、ビジネス的な感覚かもしれません。これを話しますと、結構いろいろ言われることはあるのですけれども、とは言え、無いお金の中で、つくったものを別の形であっても何らかの形で資金化をするなりして、より多くの投資を現場に環流できるような人材というのを創るのか、横から持っていくのか、配置する権利がもらえるのか。相談員を配置するのであれば、それ以上にはならないので、相談ではなく、いわゆるマーケティングでも広告でも良いのですが、そのような人材をもっと配置して良いということまでいくとするならば、佐藤先生が言われたように事業を同じ領域で広げていくのではなくて、全然違う分野との結合といったことも可能ではないかと思っております。
○小杉座長 マネジメント、営業の力ですね。
○玄田構成員 先ほどから出ている評価のインセンティブをどうするかということですが、たぶん、この検討会の中でこのような評価メニューを作りましょうというところまでいかないと思うのです。それではどうやってそれを決めていくか、それを考えるのがJILPTの仕事ではないかと言いそうになったのですが、思い直して、実はこの研究開発機能というのをいちばん果たし得るところはどこかと言うと、この3回の議論を聞く中で、サポステそのものではないかという気がしてきたのです。最初は冗談のように、ものづくり大学があるのだから、ひとづくり大学を創って人材育成とマネジメントコースと研究開発コースみたいにやれば良いかなと思ったのですけれども、それは今のお金では無理だし、サポステは今回の皆さんの発表などを聞いていると、いろいろなインセンティブシステムなどが考えられつつある。今そこにアウトリーチ事業とか生活支援事業があるのだから、インセンティブメカニズムや開発などといったものは投げてしまう。
○小杉座長 研究していこうと。
○玄田構成員 そうです。国が決めて、このような評価システムでいきましょうというよりも、いま百十六箇所のすべてではないけれども、そこに根付き、生まれつつある研究開発を、もっと進めてもらう方が早いのではないか。サポートステーションですから、ひとづくり大学的な機能をステーションとして発信してもらって、それを自分たちの努力でタダでやってねと言うのではなくて、それなりの財源措置を付けて考えてもらった方が、谷口君もにっこりするのではないかなと思うし、工藤さんのところもそういうことをずっとやっているわけだから、サポステのもう一個の機能として、研究開発というのをそろそろ真剣に考えても良いのではないかと思いました。
○小杉座長 佐藤さんからも、仕組みをきちんと開発するという研究機能が重要だという話が出ていました。段階としてそろそろ、そのような仕組のあり方、評価のあり方を科学的にきちんと研究する段階に来ているのではないかと思います。JILPTはなかなか難しいのですが、何らかの形で今回の成果の一つとして、そうした研究開発機能を何らかの形で措置と言いますか、入れていけないか、サポステは今そのような段階にあるというのが一つ、ここで言える結論ではないかと思います。それをどこにつくるかはちょっと、東大社研という可能性は。
○玄田構成員 サポステの何カ所かでやってもらえば良いのではないですか。
○小杉座長 そのような議論がありましたので。この1から4までの論点についてで、他に御指摘はありますか。
○谷口構成員 実はこの間、いろいろなサポートステーションの方々にお話を伺って、このような場があるので何か言いたいことはないかと尋ねました。いくつかのサポステから出てきたのは、インセンティブは当然頑張っているところに付ける必要はあるものの、一方で、実績がもう少しで上がるというサポステ向けのインセンティブの検討も必要なのではないかということです。地域的な事情でなかなか数値的に上がらない。そこで新たな取組をスタートさせやっとそれが根付き始めた段階にある発展途上の団体、可能性がある団体に対しては、「育成枠」的なものも必要ではないか、このような議論も出てきました。あと一歩、投資すれば、次の段階にぐっと進める段階にあるところには、しっかりと投資をしていくことも必要ではないかということです。
○小杉座長 育成ですか。サポートステーションはこれから増える可能性もあるそうですが、力のあるNPOは、ある意味では出尽くしたような段階ですから、これから伸ばしていかなければならないといった育成機能をどこかで持つべきだということですね。
○谷口構成員 そうです。あと一歩で次の段階に進める団体というのはあると思うのです。そういったところには、少なくとも何団体かは救えるような救済措置といったものも必要ではないかということです。
○小杉座長 取りあえず、1から4まではここまでにして、次にもう一つ残ったグループで、連携の話を少し進めたいと思います。学校との連携、ハローワークとの連携は、どちらもサポステの中で非常に大事な連携先になっていると思いますが、この辺について少し御意見を伺いたいと思います。まず、村越さんからお願いいたします。
○村越構成員 連携について、具体的にどのようなところからお話すれば良いですか。
○小杉座長 これからサポステとしての連携はどうあるべきか、今こういうところが足りないから、もっとこういうことがあると連携がうまく進むのにとか、そういった連携について現状の課題、あるいは今後どうあるべきかという点についてお願いします。
○村越構成員 非常に難しいのですが、定時制と通信制がそれぞれ連携しているわけです。私のところの様子を見ていると、通信制の子どもたちの方が連携しやすいと言いますか、入りやすいところがあるのです。定時制は昼夜間三部ですから、常に教員もおりますし、生徒も一時間目から十二時間目までずっと出たり入ったりしているという、ちょっと混沌としているところがありますので、それがちょっと難しいところです。通信制は土曜日しか来ないということがあるので、心配な子どもたちがはっきりと目に見えてわかります。
 通信制に来る子どもたちですが、中学校を卒業してすぐ来る子どもがだんだん増えてきていて、不登校経験者がかなり多くなっています。五割前後が不登校経験者ですから、やっとの思いで通信制を受験したという子どもも少なくありません。そのような子どもたちが何とかそのまま学校が続けられるような支援をしなければいけないのと、アルバイトをしたことがない、できないので、アルバイトができるような支援もこれからはもっとしていかないといけないだろうと思います。ただ、実際に高校生のアルバイトというのは少なく、働く場所が非常に限られてしまっていることもあって、なかなか難しい面がどうしても出てきてしまいます。
 全国の定・通生徒はおよそ三十万人で、通信制生徒は十八万八千人いて、定時制より通信制の方が生徒数は多いのです。ところが、何をするにしても、通信制は常に最後、どうしても後回しになってしまいます。いちばん陽の当たらないと言いますか、手が届きにくいところ、これはシステムとして生徒が学校へ来ていないという意味も含めて、届きにくいところがあるので、もっといろいろと支援する必要があるのではないかと思っております。
 サポステについては、本校の教員は非常に感謝をしています。もちろん、私もそうです。やはり、サポステを頼りにせざるを得ないところがあります。実は今日も会議がありまして、二年生のある子どもから担任の先生に電話がかかってきたそうです。蚊の鳴きそうな声で、是非サポステと相談させていただきたいと。その子はもう単位が取れなくて、留年が決まっているのです。わざわざ新宿までは行けないけれども、学校にサポステが来ているので、そのときに是非相談したいと言ってきたというのです。まだ数はそれほど多くはないのですが、通信制の生徒を見ていると、もっといろいろな面でサポステの支援が必要な子どもがいるのではないかと思っております。
 先ほどの評価の件ですが、高等学校の評価、私の評価にも関わってくるわけですが、何をどのように評価するのかというのが課題かと思います。一橋は都教委派遣以外に、同窓会事業として二人のスクールカウンセラーが入っていますし、二つのサポステと連携し、早大教職大学院とも連携している。いろいろとやっていますが、これだけいろいろやっていたら、もっと良い成果が出ているのではないでしょうか、どうして出ないのでしょうかと言われるのです。つまり、心配な生徒とかやめてしまう生徒というのを、最後のところで何とか手厚く指導しようと思ってやっているわけで、評価となると、中退者が減る、進路の決定率が上がるなどといったものになってしまうのです。しかも進路決定率というのは、正規の社員でないとなかなか認めてくれないところがまだあるわけです。
 学校がサポステと連携をするときに、連携をして子どもたちを支援していくということが、学校の大きな評価にはならないのです。ちょっと誤解を招くような言い方になってしまいますけれども、やらなくても済んでしまうのです。学校をやめていってしまうわけですから、もう手を離れているわけですから、学校の仕事ではないということになってしまうのです。しかし、そういうことを言っている場合ではないだろうと思うので、何とか取り組んでいるのです。そしてそれをやっていると、在校生にもプラスになる、それは間違いないのですが、それが数値として示せない、示したところで微々たるものですから、学校がわざわざ連携していこうというようにはなりにくい面があるのです。
○小杉座長 連携というものの難しさがありますね。吉田さんからもお願いいたします。
○吉田構成員 前回から困難な層の子どもによりアプローチすることになるという話をしていますが、私自身もキャリア形成というところからサポステの目標をずらそうと思ったわけではなく、対象となる若者がより困難な層になる、厳しい家庭背景を抱えている子どもたちの層のキャリア形成を支援しなければいけなくなるという話をしていたのです。そのような意味で、キャリア形成というところからサポステがずれる必要は全くないと思います。
ただ、具体的に言えば、発達障害などさまざまな障害あるいは病気を抱えているが、どう考えても丸ごと福祉でカバーされるわけではなくて、やはりこの子どもたちなりの就労支援というのがあり得るという層の子どもたちも、実は結構いるわけです。
 そのような子どもたちを支援しようと思ったら、障害者手帳を取得した上で、障害者枠での就労を探ってはどうだろうかという話になるわけですが、障害者福祉や障害者就労のことについてある程度の知識や経験を持っていないと、そのような子どもたちの支援はなかなか難しいことになるだろうと思います。また、生保家庭の子どもが生保の家庭から経済的に自立していけるようになるためには、どのような支援方法が良いだろうかということになると、生保に関わる知識もないと、その子どもの支援が難しくなる。つまり、同じキャリア相談でも、関連する生活保護とか障害者福祉関係の知識などの周辺知識が、より深く求められる層の支援に関わっていかざるを得ないのではないか。
 連携ということで言うと、村越先生のところもそうだと思いますし、私のところも本当に助けていただいております。しかし、たぶんすべての学校がそういう状態にはあるわけではありません。より困難を抱えた子どもたちが集中している定時制あるいは通信制、本校のようなクリエイティブスクールという指定の学力試験をしない入試を行っている学校といったところに課題を抱えた子どもたちが集中していて、学校現場もあっぷあっぷしているのです。もちろん、学校として進路支援はしている、キャリア支援はしているわけですけれども、とてもじゃないが手に余る、そこをよりパワーを持った方々に来ていただいたらということで、やはり、連携すべき最初のところはそういう学校になっていくと思いますし、そうした学校はニーズを感じているので連携もしやすいと思うのです。しかし一方で、すべての学校がニーズを感じる状況ではないと思います。そうなってくると、今までサポステに自発的に来ていた方々とはまた違った、より困難な層の方々のキャリア形成支援が中心になるだろうという意味で、いままで以上の人材育成などが必要ではないかと思っております。
 連携の一つとして、いま村越先生が言われたように、学校側から言えば、確かに中退してしまった子どもたちというのは、学校を離れてしまったのだから制度的にはもう関係ないということになってしまうのですけれども、社会全体から見たら、学校という居場所を失った子どもたちの、このあとのキャリア形成というのは本当に大変ですから、支援がいちばん必要な部分だと思います。本校の場合、いちばん支援に力を入れているのは高校三年生ですが、高校二年生であっても相談員の方が来てくださったときに積極的につなげていくグループがあって、一つは中退予備軍、中退しそうな生徒です。彼らは非常に敏感というか、誰にでも相談できる、相談したいわけではありません。この人なら信頼して相談してもよいという気持に在学中になってもらえば、学校から去ってしまったとしても、相談員の来ている支援機関に顔の見える関係でつながっていくことが考えられるわけです。ですから、中退予備軍の子どもは早めに相談に入れています。
 もう一つ、真面目で学校生活には適応しているのだけれども、いわゆるコミュニケーション能力的なところで非常に不安があって、発達障害が関わっている場合も結構ありますが、そのような子どもたちについては、二年生ぐらいから早めに相談させます。先ほどアルバイトの支援という話もありましたけれども、本校の場合はバイターンという仕組みを持っています。結構、家庭の貧困という問題が重なっていることが多いので、中間的な就労で無給の就労訓練というのもあり得るのですけれども、お金がもらえないと保護者が賛成しない場合も結構あります。経済的に厳しいために周りの学生がみんなアルバイトをしているから自分もしたいということで、有給の職業体験ができるように学校が関わっていく。アルバイトになかなか受からないような子どもも、アルバイト経験ができるようにサポートしていくことを、いろいろな外部連携の中でさせていただいております。
 あと一つ、これはアイディアですが、来ていただいた相談員の方と生徒を学校の中でどうつなげるかというのは意外と難しい。もちろん積極的に広報して、相談ができるよということでやるのですけれども、学校そのものに最低限しか関わらないような子どもたちもたくさんいる中で、「放課後残って相談しましょう」というのは、現実的にはなかなか難しかったりするのです。そこで本校の場合は、「これは学校からあなたに勧めるプログラムですから、授業時間のこの一時間はこちらの相談に出席しなさい」という形で、授業を出席扱いにして相談員と面談してもらうという形で、昼間から相談を入れています。こうすることで比較的円滑に相談に入っていくことができます。それ以外にも昼休みや放課後に、生徒の顔が見える図書館に相談員の方にいていただいて馴染んでもらうとか、いろいろな工夫がありますので、そのようなことも積極的に考えて、学校側も一歩踏み出していけば違う部分が随分あるかなと思います。
○小杉座長 学校にもよりますけれども、学校側にも需要がかなりあって、そのために既に一歩を踏み出してくれている学校もある一方で、学校にとって連携が目に見えて評価されるということがなかなか難しいので、しなくて済んでしまう学校もあるという課題が指摘されたのではないかと思います。今日は白間さんに来ていただいておりますので、学校とサポステの関係について、何か御意見があればお願いいたします。
○白間児童生徒課長 お話を伺っておりまして、学校現場のことを考えますと、そのとおりかなと思いながらお聞きしておりました。私どもも学校教育を扱っている担当課なものですから、これまでは高校中退をいかに出さないかというところが主な仕事でしたが、社会全体で見たときに、中退をしてしまった子どもたちのその後のことについては、私ども行政部局としてもできるだけのことはしなければいけないのではないかという思いでやってきました。そのような意味でこれまで以上にと言いますか、これまでほとんどしていなかったのではないかと思いますけれども、高校中退者の情報提供をうまくサポステにつなげていくために、学校側としては何かできるかということを、もっと真剣に考えなくてはいけないと。
 吉田先生も言われましたが、サポステの応援をいただく必要がある、応援いただければ、もっとうまくつなげられるのではないかと思われる学校や、それを抱えている教育委員会の方々も、サポステの事業自体をよく知らないし、それ故に、それとの連携というのも評価されてこないというところがどうもあるように思うので、私どもとしては教育委員会なり、学校現場サイドから、サポステの事業や連携の必要性を可能な限りお知らせしたり、このところ厚生労働省とも一緒に通知を出させていただいたりしております。しかし、村越先生が言われたように、残念ながら評価という点ではまだまだされていない部分があるかなとは思います。ただ、学校での評価自体は非常に難しい面もありますので、そう簡単にはいかないと思いますが、こういった取組ができるだけ評価されるように、学校現場なり、教育委員会に対して、こういったことを評価してほしいということは言っていきたいと思っております。
○小杉座長 大変力強いお言葉をいただきまして、ありがとうございます。学校との連携については、かなり早くから松田さんが取組されていると思います。今後これを全国的に広めていくための課題、どのような方向性が重要か、体験から教えていただけるところがありましたら、お願いいたします。
○松田構成員 まず進路の先生に対しては、就職や進学という進路決定、卒業の日までに進路を決定するということに対しては、おそらく自分たちはあまり力にはなれないという話という話をさせて頂いています。ただ、進路決定は三年がリミットですが、これから求められるのは紆余曲折しながら十年、十五年かけてキャリアをつくっていく、そのための基礎力を養うことに関しては、人によっては三年というリミットとは無関係の数字設定になって、そこをまたいでいくお手伝いはできるし、そのためのきっかけを在学中からつくらせてくださいみたいな形でいるので、私たちが行ったから進路決定が上がったという成果は、実はあまりないですし、中退防止にも直接的には力が発揮できていないというところです。それはそれとして、学校とつながって、サポステに来る人と、直接サポステに来る若年層とで何が違うかと言うと、直ちに就労でも、ましてや就学でもない人たちが結構いて、キャリア形成に向かう長い道のりに付き合う支援、そしてその長さがより長いし、瞬発的ではないということなのです。そのためには先生が以前言われたデイスクールのようなたくさん関わる、毎日のように来る場であったり、生活困窮者も相当数いるので生活も含めた支援などといった相談窓口的なコンテンツだけではない、深くたくさん関わる、育ちに寄り添えるようなものを持っておかないと、つながっても一見さん的な相談窓口ではしんどいと思っています。もし、学校との連携強化をしていくのであれば、育ちに長く付き合える支援を持っておく必要があるのではないかと思っております。
○小杉座長 時間が長くかかると思っていた方が良いということですね。
○松田構成員 そうです。
○小杉座長 学校との連携では中退者をつなぐというところ、いま中退者の情報をどうするかという話がありましたけれども、その辺についてはいかがですか。
○松田構成員 札幌で情報共有のシステムを作り、中学校の進路未定で卒業した生徒と、高校を中退した生徒の情報をくださいというシステムを作ったのですが、実は中退者の情報はほとんど来ないのです。いま学校を回って、作った制度をもっと血の通う、もっときちんと使われるようにするためには何が足りないかと先生方に聞いていくと、中学校の方は、サポステというところがあって、そういうことをやってくれるのだったら、いままでは紙面情報だけだったので送らなかったけれども、来年は頼むかもしれないと言ってくれました。高校の場合は、中退しても通信制に行くだけだから、そこで直ちに情報を出す必要はないという話になるので、どちらかというと高校を離れるときというよりは、通信制高校の入口でレポートのお手伝い等々ができますというところでの情報共有ができるのかなと。ですから、中卒進路未定時点と通信制高校に入った時点がポイントかなと思っているところです。
○小杉座長 通信制はいちばんサポートが必要な対象だという話がありましたね。
○村越構成員 現実の問題として考えると、いろいろなパターンがあって、いろいろな生徒がいるわけです。一橋は中退者が多いというのは、確かに問題なのですが、その子どもたちの多くはアルバイトをする、仕事をする子どもたちがかなりいるのです。それはそれでアルバイトをして頑張れば良いだろうと思うのです。ただ、はっきりしないでやめていってしまう子どももいるし、アルバイトをすると言っても、本当にできるのか心配な子どももいたりするのです。いろいろなパターンの子どもたちがいて、しかも数が多いから、それをサポステとつないでやることが、定時制の場合はなかなか難しいわけです。いちばんの問題は、やはり認知度が低いということ、知られていないというのは決定的です。それから文部科学省が入っていないということ、これも決定的です。なぜなら、学校は文部科学省としかつながっていないからです。現実の問題として、厚生労働省とはつながっていない、その関係がないところでやっているのです。文部科学省は生徒が中にいる間、出たところからは厚生労働省、このように分かれているような感じがあります。そうした中、高校の中で連携することの難しさがある。
 サポステの質の保証と言いますか、メンバーをどのように揃えていくかというのは、私は学校でも全く同じだと考えています。学校の中に教員がいて、各分掌はありますけれども、それとは別にサポステの人がいて、スクールカウンセラーがいて、雇用戦略にもあったスクールソーシャルワーカーもぜひという声が通信制では大きいのです。そのような人たちが学校に来てくれると。いろいろな人たちが学校の中にいて、生徒もいろいろな子どもがいますから、それぞれうまく合ったところに行って相談ができるようにして、先生で済むのだったら、それはそれで良いし、そのようにいろいろな支援をしていただける人がたくさんいる、バリエーションがある、バラエティに富んでいるとありがたいなと思うのです。
○宮本構成員 サポートステーションが学校と連携するというのは、数年前まではおよそ不可能というぐらいに大変な課題だったのが、ここまで来たという点では高く評価できることだと思うのです。しかし、そうなってみて、やはりもう一度整理が必要だと思うのは、吉田先生が前回も言われていたサポートステーションに本当にできるのかという疑問に関わるのだと思います。サポステとの比較で考えますと、例えば豊中市のパーソナル・サポートセンターのモデル事業は、特に子どもや若者の問題にかなり力を入れてやっていますが、その取組を聞いていると、まさに学校との関係においても本当に困難な人のサポートをやっているわけです。お金がない、住まいも危ない、病気も抱えている、親はメンタルヘルスの問題を抱えているといった人たちで、そのようなケースをサポートステーションに扱えるかという疑問はあります。
 パーソナル・サポートセンターがない地域の方が圧倒的に多いわけですから、サポステがやるべきだとか、やらねばならないと思いがちですけれども、しかし、それだけの力があるかどうかという問題は厳格に見据える必要があります。問題は、そのようなことが地域支援として必要なのかを明らかにする、地方自治体としての課題だと思うのです。豊中のパーソナル・サポートモデル事業というのは十五人ぐらいのスタッフがいて、専門性をもったワーカーがチームで活動しています。場合によっては一人の人に何人もが関わってサポートし続けて、それでも結果がなかなか出ない、そのぐらい大変なことなのです。残念ながら、サポステがそれだけのことをやれるかということになると、やれないと考えた方が良いと思うのです。国がそこまでやれということでお金を出してくれれば、話は全然違うのですけれども、やれること、やれないこと、責任が持てること、持てないことを整理しながら、やれる範囲の中で何をすれば良いかということを考える必要があるのではないでしょうか。
○谷口構成員 いま宮本先生から御指摘をいただいた点ですが、確かにサポートステーションの枠組みでできることは、やはり限られている、これは間違いなく言えると思います。しかし、例えば松田さんのところもそうですし、佐藤先生のところもそうですが、パーソナル・サポートだけではなく、子ども・若者育成支援推進法に基づく取組みを進めている総合相談センターを設置しているところもありします。我々のところは佐賀県が都道府県単位で全国初となる総合相談センター窓口を作ったわけですが、その役割は何かと言うと、既存の窓口、単一機関では対応できない多重困難ケースに限って支援をするということですから、当然そういった層の若者たちが来ているわけです。そこでサポートステーションとセンターと連携を取りながら、支援の取組を進めています。
 その役割分担についてですが、入口ではどうかと言うと、センターで対応すべき対象者がすべて最初からセンターに相談に来るわけではないのです。サポートステーションに一旦就職の相談に来て、そこでいろいろとアセスメントをしていくと、貧困の問題、虐待の問題、家庭内暴力、DVなどいろいろな問題が複合的に絡んでいる、このような状況です。こういった観点からいくとサポステの総合相談窓口としてのアセスメント機能は強化しておく必要があると思います。特に心理的なもの、家庭的なもの、さまざまな要素をしっかりとアセスメントできる人を新たに付加しておくことが、前提になってくるのではないか。
 特に生活支援戦略との絡みでいくと、就職準備のための支援という柱があります。そこで中間的就労とか、その前段の学習支援を利用できるかどうか、すべきかどうかの判断をサポートステーションの職員が見誤ってしまうと不幸な結果になってしまいますから、しっかりとした専門性を持った人をサポートステーションに配置しておく必要があると思いますし、付加的なものとしてセンター、パーソナル・サポートなどとの連携を密にできるような仕組を考えていく必要があるだろうと思います。
○小杉座長 他にも課題がありますので、申し訳ありませんが、この話はこの辺で切らせていただきます。次はハローワークの話に入りたいと思います。ハローワークの話では、トライアル雇用等との連携ということがありましたけれども、その辺に補足がありますか。
○森原構成員 いま伺った話の中で、ちょうど文部科学省の話も出ましたが、八月に若年者雇用の推進に向けたコンソーシアムの立ち上げが決まり、47都道府県で設置されると伺っております。そうした中でNPOやサポートステーション、労働組合、産業界や学校、地方自治体、都道府県労働局・経産局といったところで一緒に協議会を進めていくということも、一つ考えられるのではないかと思います。した。また、卒業者の進路状況については情報開示が結構進んでいると思うのですけれども、大学などでは「学校基本調査」というデータがあるので、中退者や留年者の状況についても、そういったところに公表するようにしてはどうかと思います。
○佐藤構成員 いま学校の連携の問題で、経過として、在学生支援についてどんどんアウトリーチ事業が入らざるを得なかったのは、そもそも中退者に対して、学校が離学した後の就労支援、自立支援というところでバトンタッチしようとして入っていったのですが、いま出てきたように、そこではなかなかつながらないという問題から、在校生の中でリスキーな人たちに在学中からアクセスして、信頼関係もつくった上で、それ以後につなげるという方向にどんどん移っていったのです。
 いま松田さんが言われたように、成果は出ないし、形のある成果ではないのだけれども、長期的な総合的な支援の中の一部分をその期間に受け持つ。そうすると、最初のキャリア形成支援というサポステの事業と限りなく離れていくのですが、それはそれとして追及するのか、しないのかをこの辺で明らかにしないと、どこまでがサポステの事業なのかということになる。学校に手が足らないから、サポステが人員を送っているという側面もなきにしもあらずで、これで良いのか、悪いのかというのは議論し直さないと、そもそもサポステの事業とは何なのか、だんだん外縁が見えなくなってくるように思うのです。そもそも中退者の情報を共有できなかったという問題を一回整理しないと、そこから出発したアウトリーチ事業でしたから、ちょっと曖昧になってしまうのではないかと思います。
○小杉座長 おっしゃるとおりだと思います。そもそもの出発は中途退学というものに対して、もっときちんと受け皿になろうというところからサポートステーションは始まったのですが、学校の中へ入って行けば行くほど、中退という問題の中にいろいろ深い絡みがあって、そこに関与していく形になってくると、当初の中退後のキャリア支援という話からは随分遠いところまで関与するようになっていると。
○佐藤構成員 現場としては何とかして成果を出したいから、できる限り、あらゆる方法を使って入って行った結果、今こうなっているのだと思います。
○小杉座長 今後のことを考えると、この辺は整理しておく必要があるということですね。
○工藤構成員 全部の高校ではないのですが、私たちの組織の場合ですと、サポートステーションという公設・民営の教育の機関から、NPOよりは信頼できるところで行けるところまで入るのですが、ある程度法人または個人で信頼を受けた場合に、サポートステーションはいま予算上、ここまでしかできないので、こういう予算が社会にいっぱいあるから、そっちを使ってくれればサポートステーションは名前を引くけれども、そこに入っている個人や組織は引きません、という形で組織内で役割分担をしているというか。なので、サポートステーションで全部やるのは無理です。なので、あるところまではサポートステーションの名前で入るけれども、文部科学省系の予算は世の中にはたくさんあるわけで、そっち代わりに使ってもらって、サポートステーションで培ったつながりを別の形でつなげるという取組なども今しています。なので、範囲が決まっていないので、どこまでできるかというのは組織間で決まってしまうという。
○小杉座長 サポステの範囲を少しきちんと認識する必要が。それはたぶん、この学校との連携だけではないですね。いま始まっている、より困難な層への対応がすべてそういう形で。
○佐藤構成員 献身的にやらざるを得なくなっている。
○小杉座長 はい。かなりの献身を引き出さなければならない組織になっていると。すみません、時間の方がそろそろ、まだ課題が残っているので、ごめんなさい。ハローワークとの連携の話を少し進めたいと思います。
 最初に就職への自立ということで、トライアル雇用とか、そういうことをもっと拡充してもらってこのサポステとつなげたら良いのではないか、というような御提案もございました。サポートステーションとしてハローワークの連携について、今後、こういう点とか、というようなことはございますでしょうか。
○玄田構成員 私から良いですか。
○小杉座長 はい。
○玄田構成員 参考資料3の14ページに連携の具体例が書いてあって、大変喜ばしいというか、こういうものがどんどん広がっていけば良いと思いますし、平成二十三年の通達のようなことで適切に対応されていると思うのですが、果たしてこれらの連携が百十六カ所のうち具体的にどこまで本当に進んでいるのかということは、本来、改めて検証してみる必要があるのではないかと強く思うわけです。
 と言いますのも、サポステの中には着実に広めた実績を上げているところとそうでないところがある現実の中で、比較的苦しんでいるところの中には、ちょっと言葉を選ばないといけないのですが、若干ハローワークに遠慮があるのではないかという感じがするときがあるのです。ですから、こちらにいらっしゃるように、経験が長くてハローワークとも既にパイプを持っているところは遠慮もなくやっていけるのですが、団体の中には、いままでそういうものに全く関係がないままサポステを担っているところもあって、遠慮があります。均等行政で言うガラスの天井ではなくて、ガラスの壁みたいなものを感じるところがあります。それは誰が悪いというわけではないのですが、「こうね。はい、ちゃんとありますよ。通達も出ていますよ」ということで終わりにしてはいけないような現実がある気がします。
 なぜそういうことを言うかというと、今回はあまり議論になりませんでしたが、実績を上げているところはセンターの責任者が相当大きな役割をしている気がします。というのは、逆にいままで苦しかったサポステが変わるときには、少なからずの場合、センター長が代わっている。代わって大きく変わっているということはあって。そうすると、センター長がハローワークに対して遠慮的だったりすると、とても回らないと。あるときに、いや、センター長なのだから、ハローワークの所長と対等なのだからどんどん言えば良いんだというようなことをやや乱暴に言ったこともあるのですが、考えようによっては、サポステのセンター長、責任者の権限はどこまであって、どこまで許されているのかということは、本当はもっと議論してみてもよかったのではないかと。それはハローワークとの関係もそうですし、さっきから出ている学校との関係もやはりそうです。これも法的なことにかかわってきますが、センター長の責任が曖昧、曖昧とまでは言いませんが、特にハローワークに対してどこまで言えるのかということをもう少し明確にしないと難しいのではないかと。
 もう一個遠慮の原因は、忙しい、忙しくてやる暇がない、ハローワークも忙しい、サポステも忙しいから。そうすると、やはり間をつなぐ人材ということを考えないといけないかなと。ちょうどジョブ・サポーターみたいな、ある種、学校と大学をつなぐ好事例みたいなものも出てきているわけですから、そういうつなぐ人材みたいなものも必要かなという気がします。しかし、それは厚労省マターなのか、さっきの学校とかを考えていくと、もしかしたらつなぐ人材、あとで出てくる福祉の関係とすれば、どちらかというと鈴木さんのところの内閣府の問題かもしれず。そういうつなぐ人材みたいなものをどうするかということを考えないと、ハローワークとの連携が若干美しいもので終わってしまう危険性はあるのではないかということを感じます。以上です。
○小杉座長 それは、サポートステーションと他の地域資源とをつなぐ人材という意味ですか。
○玄田構成員 広い意味では。それはサポステもハローワークも含めて、ハローワークとサポステの連携だけの問題では本来ないだろうから。ただ、そこにももちろん問題はあるわけです。それは、厚生労働省マターの中で解決できるところもあるのかもしれません。
○小杉座長 連携というのは、実際には人が動いて、時間を使って、お金も使って何かしなければならない。
○玄田構成員 権限もあって。
○小杉座長 というものなのだけれども言葉の上だけの連携だけで終わってしまうのではないかという。
○玄田構成員 懸念が。
○小杉座長 懸念ですね。連携に関して、いま課題というようなところはございますでしょうか。
○谷口構成員 佐賀県はハローワーク特区というのを、埼玉県と共に指定されているですが、そこで何が起こっているかというと、ハローワーク、ジョブカフェ、ヤングハローワークとサポステ、これが新たな段階の連携協力関係を結ぶために一体の愛称で呼ばれるようにして、受付カードとか、そういったものの基本的な部分、必要な部分だけは情報共有ができるようにしようと協議が進められているところです。
 もう一つ、ハローワークと生活保護、生活戦略のところでいくと福祉就労の方ですが、佐賀市では福祉・就労支援室が設置されて事業が始まっています。生活保護課に設置されたハローワークの端末を使って労働局と連携の下、生活保護家庭の就労支援が実施されています。そこにサポートステーションを運営している我々が運営協議会の委員として入っていますし、そこで対応できない部分、いわゆるアウトリーチなどの生活支援の部分、若者に関しては我々が担えるようにという連携が始まっているところです。
 しかしながら、予算も人員も不足する中、こういった関係機関との協力関係を維持するのはとてもとても大変です。学校との連携も、信頼関係は人と人の付き合いでからいろいろな課題について協議したり、解決したりと相当密に連絡のやりとりをしなければいけない。こういった点からいくと連携先の拡充が求められる中、一人の総括コーディネーターだけで維持できるのかというと、なかなかそうではない。現場も持って、スタッフも管理して、さらには、そういった複数のネットワークの維持まで担うことは現実、難しくなってくる。そういった点から言えば、ネットワークを動かすための、いわゆる営業職的なスタッフも必要で、一人いるかいないか、それが支援実績の差にもつながってくるのではないかと思います。
○小杉座長 営業職ですね。
○浅野キャリア形成支援室長 来年度要求しておりますサポステ学校連携推進事業では、おっしゃったように、やはり総括コーディネーターだけでは足りなかろうということで、これは学校をメインターゲットにした事業ですが、学校と連携するためのネットワークリーダーというものを御願いしているところです。こういった人たちは是非必要であろうと考えております。
○小杉座長 ありがとうございます。学校については連携を推進するための専門の人を付けたいと。
○浅野キャリア形成支援室長 要求中です。
○小杉座長 要求中だということですね。
○浅野キャリア形成支援室長 はい。
○小杉座長 ハローワークからはどうでしょうか、サポステとの連携について現状で課題とかこれから考えていることとかはございますでしょうか。
○久知良若年者雇用対策室長 私どものハローワーク、サポステで特技がそれぞれありますから、両方が補完して、トータルとして就職できる人の総数を増やすことができれば良いと思っているわけです。そういう意味で、先ほど玄田先生から御紹介のあった平成二十三年九月の文書もそうですが、一応、本省レベルではサポステとの連携は非常に重要だという認識は、少なくとも安定局と能開局の間で共有は完全にできているわけです。それをいま現場レベルで。進んでいるところは結構進んでいるという状況にはなっているのですが、もちろん、玄田先生のおっしゃるように濃淡があるということです。
 先ほどおっしゃった、ある意味で心理的な壁みたいなものがあるとすれば、それは、我々の側から何らかそういう壁を溶かすような努力みたいな、あまり制度を、事業の問題ではなくて、人的関係の問題というレベルの問題だと思うのですが、何かそういうものをやった方が良いのかという印象もしております。具体的にどのようにやっていけば良いのかというお話は、サポステの現場の方からまさに能開局で聞いているような話がありましたら、そちらからまた私どもに言っていただいて。私どもも、この連携を進めていくことが今後非常に重大な話だと思っておりますので、できるだけのことはやっていきたいと思っております。
○佐藤構成員 複数のところでサポステをやらせてもらっているのですが、やはり関係するハローワーク等によって全然違った反応があるということで、ハローワーク次第ということですよね。三鷹で随分前からやって、いまも毎週のようにカンファレンスをやって、情報を共有しながら支援を連携していっていると同時に、所長さんの方から「一緒にやらないか」という話があって始まった事業だったのです。そうすると、絶対にうまくいきます。
 もう一つ、専修学校が間に入って。それは、文科省の措置で「困難な若者たちの支援」というメニューが入っていたのです、二年ぐらい前まででしょうか。三者でカンファレンスをやって、ハローワークと専修学校とサポステで回しながら支援をしていくという非常に理想的な形だったのですが、文科省が撤退しましたので、専修学校はなくなりました。もう一回復活してほしいと思うのですが。
 それと、ハローワークの窓口の相談員ですが、これは専門性が必要だと思います。その人によって全然違う。ハローワーク、その人が異動されると、むしろハローワークよりその人を追いかけて窓口に行くという現状があると思うのです。若者理解も含めて、それは研修してほしいというか、養成してほしいという。窓口が一般的な窓口支援のスキルでやられると若者は二度と行かない、という現象があると思うのです。そういう意味で我々と一緒になって研修したらどうでしょうか、そういう仕組みをハローワークの中に作ったらどうでしょうか、と思います。
○小杉座長 ありがとうございます。すみません、短めにお願いします。
○吉田構成員 ありがとうございます。連携というお話で、やはりネットワークリーダーというお話も出ました。それから、サポステの方でもそういう営業的なことを担える人材が出てきました。学校も同じで、やはり連携というところでどうしても労力がかかります。その部分を抜かしてしまうと良い果実を生まないと思います。結局現場では、特定の教員が外部との資源をつなぐ役割を中心となってしていくしかないのですが、そのためには校内の努力が必要で、その分他の教員が授業をたくさんやらなければいけないということになります。こういう仕組みを積極的に進めていくに当たって、特に課題の集中する学校に関して、外部との連携のための人を付ける、教員加配を付けるという部分をぜひ文部科学省に検討していただけたら良いと思いました。
○小杉座長 ここで文科省に。
○吉田構成員 それはハローワークも同じです。結局、ハローワークとかサポステとか、みんなそうなのですが、連携というと、いままである資源で何か新しいことができてしまうと期待されるのですが、連携をきちんと機能させるためにはそこで絶対に新たな人的なエネルギーが要る、そこのところをぜひ関係の方々に御理解いただきたいと思います。
○小杉座長 宮本先生も手が挙がっていますので、本当に短くお願いします。
○宮本構成員 前にも指摘しましたが、サポートステーションを今後増やすとしても、一つの県に五つも十も出来るはずはなくて、どうしてもサポステを使えない、しかし、就職に非常に困難を抱えている人たちは残ってしまう。そういう意味では、ハローワークの中にサポステが培った情報とノウハウを持った人を置いて、サポステがなくともハローワークがそれの代わりを果たせるような形を作っていかないとまずいのではないかという感じがいたします。
○小杉座長 ハローワークの中にサポステ機能をという話だと。申し訳ありません、実はまだ7番と8番の論点について話していなかったのです。重要なところです。あと数分しかないのですが、7、8について御意見を是非。
○玄田構成員 ちょっと延長しても良いのではないですか。
○小杉座長 では、御都合の悪い方は御退席ください。7、8について、若干延長させていただいてお話を伺いたいと思います。
○谷口構成員 まず、7の周知、情報発信についてです。前回も議論になったように、まず利用者に直接個別に届けるものと、もう一つ重要なのは、ネットワーク構成機関への周知、いわゆる担当者レベルにしっかりとサポートステーションの情報が行っているのかどうか。やはり、最初に支援対象者に触れた人がサポステのことを知ってくれていれば、そこで支援につながってくるわけです。それがネットワークの良さです。やはりそれを推進したい。なぜかというと、すべての関係機関の情報をまだ必要のない時点、実際には使わない段階から全部保持するなどということは到底不可能なわけです。つまりは、必要が生じて何らかの相談窓口にアクセスした際に、ネットワーク構成機関がサポステの情報をきちんと把握しているかというところにも目を向けていく必要があると思います。
 次に生活支援戦略。先ほども申し上げたように、やはり入口段階では福祉で見るべき層の子どもたちも若者も来るでしょうし、サポートステーションで見るべき層の両方が入り混じった状態で来るわけですから、アセスメント機能を徹底的に強化してどのようなケースでもコーディネート、橋渡しがしっかりできるような体制を整え、積極的に連携をとる必要があると思います。生活支援戦略で就労のための準備、訓練が充実するのであれば、そちらはそちらでしっかりと活用させていただきながら我々、サポートステーションとしては、アセスメント機能をしっかりと強化する、こういう方向性も大事ではないかと思います。
○小杉座長 生活支援戦略のスキームを活用させていただいてという話ですね。サポステ自身のアセスメント機能はしっかり残してほしいということです。
○玄田構成員 私も、サポステは本来は就労支援の軸として生活支援戦略とは適切な連携関係を維持していくべきだということに関しては基本的に賛成なのですが、なぜということに対して、もう少し踏み込んだ説明が要るのではないかと。なぜ生活支援戦略と一緒では駄目なのかということに対して今のこの論点整理が十分な答えになっているかということは、改めてもう一度だけ議論した方が良いような気がします。私が理解しているのは、やはり違うだろうと。必要なスキルとか、対象者とか、かかる時間とかがやはり違うと。
 もう一つは、やはり今の要員体制では、とてもこれ以上のキャパシティには対応できない。それで果たして十分な説明であるかということは改めて考えていかないと、これは必ず「縦割り行政だ」みたいなことをまた言われたり、ワンストップにすべきだという、ワンストップという美名の下にぐちゃぐちゃになったりするということはあるから、なぜ就労支援を原則にしなければいけないかということについての議論は残された感じです。是非、もう少しだけ議論していただきたいと思います。
○小杉座長 この件に関して御意見はございますか。
○工藤構成員 個々に関しましては、そもそも、どの広報手段がどれほど影響があって何を見てきたのか、そもそも誰から相談。「十人の人に伝えたのだけれども、何か、Aさんからしか来ないんだよね」みたいなのがあると思うので。エビデンスさえきちんと取れば、いわゆる周知をいちばんコストをかけない形でできることはあると思うのです。なので、各組織がそれぞれの工夫によってやる前提に最低限やるべきものを確実にやるということ、もしかしたらやり方を伝える研修みたいなものがあった上での独自性かなと思います。広報はあれとして。
 生活支援戦略は玄田先生がおっしゃったので、私の方でもいろいろ考えたりはするのですが。まず一つは、目的は就業と掲げられて来る人と、目標は就労というところで掲げて来る人で来る人の質が変わると思うのです。「ここは就業の場だよ」と言って説明するのと「いつかは就業できるけれども、いまは君の目的をどんどん達成していきましょう」というような。呼びかけにしても言葉が変わるでしょうし、来る人もやはり変わると思うのです。その意味で、そこにいるべき人間が基本的に変化してくる。もしくは、変化しないのであれば、莫大な予算で誰が来ても良いような体制を作らざるを得ないのだろうと。
 いまのサポステを見ていると、もう一つは、ハローワークではすぐには成果が出ないなという、ハローワークで支援がしづらい人であったり。例えば生活保護であれば、生活保護の中の一部の若者をサポートしていたり、学校の中でも中退リスクがあったり、中退してしまった人をサポートしているという意味では予防とキャリアみたいなところがだんだんテーマになってきていて、生活支援という部分と若干役目が変わるのかなと。各組織で不足もしくは補助してほしい部分をまとめて作ったのが何かサポートステーション的なイメージは、いま現場で思ってはいます。
 とはいえ、生活支援まで必要でない人も中にはいらっしゃるという意味では、具体的にこれだということは言えないのですが、同じ枠組みでやることによってきっと今来ている人たちが、サポートステーションに来て三箇月、六箇月で就業ができているような人たちが今度来なくなるのではないかということを若干懸念しています、集客の仕方も変わってくるでしょうし、やはり広報の仕方が変わってきますので。
○小杉座長 これまでの財産が非常に重要だということですね。
○工藤構成員 そうです。
○佐藤構成員 サポステがこれだけさまざまな広がりを持って多様な取組をやってきて、まさに総合的な若者支援機関として成果を含めた実績を作ってきた。そこの中には対象に対する多様なメニューを作ってきている。生活支援戦略の、どういうフレームでやるのかわかりませんが、では、いままでやってきたサポステを縮小して「こっちですよ」と仕分けするのか、あるいはサポステの事業そのものが生活支援戦略の課題も取り込んでその地域の総合的な相談機関としてさらに拡充させていくのかということを議論しないと、縮小するのは何か変な話だなというのと。
 福祉と労働では主管課が違いますから、やはり連携は非常に難しいと言えます。このメニューはどっちが使ってやっているのか、いちいちそれを確認してやっていくし、動きがとれなくなるという問題が起こります。連携が同じような対象、同じようなテーマ、違ったと言いながら被っている対象を同じような支援メニューを使ってやるときに、果たして連携が地域ベースで可能なのかどうなのかということを考えたとき、いま玄田先生が言われましたように、もっと総合化した方が話が早いのではないかという、サポステがやった方が早いのではないかという気は、自治体としてはしているのです。その辺、もう少し議論をする必要があるのではないかと思います。
○小杉座長 サポステ機能を。
○佐藤構成員 もっと拡充させるのか、あるいは限定するのかというのはもう少し議論をすべきではないかと。
○吉田構成員 田奈高校は、最初、サポステの分室である「生活・仕事∞わかもの相談室」と連携をして相談員に来ていただいていたら、今度、「生活・仕事∞わかもの相談室」はパーソナル・サポート・サービス事業に切り替わって、いまパーソナル・サポート・サービスの方と連携という形になっています。地域によっては、サポステとパーソナル・サポート・サービスの担い手が極めて近いところで動いているということがたくさんあるような感じがします。
 そういう中で現場的に言えば、両者はあまり変わらない。もちろん個人的にはパーソナル・サポート・サービスとサポステの事業の趣旨の違いもわかっているのですが、現場的に困っていて「どこと連携しましょうか」となったときに、あまり事業の区別というのはないように思います。どこにでも若者支援にそんなに詳しい人のがいるわけではないので、学校から見たら、何か外部で若者のことも含めて支援してくれるよというところがあれば、そことつなごうかみたいな発想になっていくと思うのです。たまたまつながったところとつながって、そこから広がって、もし必要なら別の機関にそこからいくみたいな。
 先ほどアセスメント機能とおっしゃっていただきましたが、少なくとも現在は、サポステの数の方が全国で多く、いろいろな所にあるわけで、パーソナル・サポート・サービスは少ないと思うのです。そういう意味では、より困難な、もしかしたらサポステでは抱えきれないものもあるかもしれないですが、入口のところでは「とりあえず数の多いサポステが若者の課題に応えますよ」という形で入っていって、アセスメント機能を発揮していただいて、必要に応じて他のところに回していただくとか。そういうようでないと、若者に接する現場の人が、いろいろな支援メニューや事業について熟知していて、「これはどこの支援機関が最適なのか」みたいなことを、例えば学校なら、学校の人間が判断できるかというと、それは非常に難しいし、広報も難しいと思うのです。まずはサポステにつなぐ、そこから必要な機関に結んでいく、そういう動きの必要性をちょっと感じています。
○小杉座長 先ほどおっしゃったように、まさにネットワーク機能でネットワークの一つの入口としてのアセスメント機能を持った組織という特徴がサポステの特徴で、それが重要なことだと理解できたと思います。ここまで、全体を通して、まだ遠藤さんに御発言いただいていなかったので。いまの話だけでなくても結構です。いま感じられていること、コメントをお願いいたします。
○遠藤構成員 皆さんのお話を伺っていて、私がこの検討会に参加する目的とほぼ重なってきたと思われますので一言発言させてください。
 私の頭の中は簡単なことでしか整理ができないのです。要するに、私は、就労支援という形で色濃く出るような事業についてはAと括り、それ以外の活動を行う場合、Bとして括ってしまっているのです。全国展開を図りながらAというものを中心に活動していく所をどれだけ増やしていくのか、その中でプラスアルファとしてBという活動ができる所をどれだけ増やしていくのかということです。生活支援戦略との関係で言えば、私はBとの兼合いしかないと思っています。というのは、生保受給者だけを見ていれば、例えば自立支援プログラムというのがありますが、受け入れるキャパがあまりにも少ない、しかし、成果は上がっている事業もあります。だから、そういう成果物に対してはお互いが共有するような形をとれば、サポステBという形の中でも十分連携はとれると思います。
 お金の問題についてです。今般の若者雇用戦略の中で良いところを挙げるとすれば、若者雇用に関係を持っている省庁が、それぞれ名を連ねているということです。それぞれの予算を同じ目的に向かって使う場合には足すことができるのではないか、という余地を残せるような戦略の立て方もあると思っているので、そういう形でいけば、皆さんの中で御苦労されているところに少しでも明かりがともるのではないかと思った次第です。
○玄田構成員 先ほど佐藤さんが言われた、拡充、縮小、現状維持というのは大事な論点だと思います。改めてサポステは何をするところかという、参考の9ページに絵がありますが、私は、過去の記憶がだいぶなくなってきたのではないかと。サポステは作るときに何か、若者支援のハブ機関というか、そこに行けばつながりのいろいろなことの情報がつかめるというところを目指そうというのがたしかあったのではないですか、ありましたよね。だから、ある意味では原点に戻るという感じはするのです。そこで、サポステが何でもやるということは現実的に難しいし、縮小する必要もない。着実にできることをグレードアップしていけば良いのですが、やはりこういうところでもう一回原点に戻って、若者連携のハブ機関としてどうするかということをもう一回作り直す。
 思い出すと、震災直後のときに福島の労働局の局長の絹谷さんが、震災のとき、みんな、何でもハローワークに言ってくるのですよねと、ありとあらゆることを、罵詈、罵倒も含めて。そのときに局長さんはやはり、何でも屋になれと言ったのです。サポステも、やはりもともとはそこではないかと思うのです。吉田さんの言われるとおりで、サポステは何を言っても良いところでなければいけないと思うのです。そこでどのようにうまくつなげていくかという、つなぎ先を生活支援戦略という新しいメニューの中でハブ機関としてどうあるかということを原点に戻って考えるというのが本来の方向ではないでしょうか。そう思いました。あともう一個、提案があります。
○小杉座長 はい。
○玄田構成員 先ほどハローワークとの連携で、壁があるかもしれないという中で久知良室長がおっしゃっていたと思うのですが。そういう意味で言うと、まさにもう成果が上がっているのです。例えば、都道府県ごとに新卒応援ハローワークというのを少なくとも一個立ち上げたということもありますし、今後、若者ハローワークというのも立ち上げていくという話なので。そういう中にあっては、例えば、サポステの皆様方のいまの活動も踏まえるような形で連携をとり合っていくというやり方は現実的な選択肢として十分あると思うのです。ただ、既存のハローワークがどうだこうだと。たぶん、それはなかなか難しい壁がありますから、何かその出っ張りで作るという部分については、既存のネットワークその他を使って対応していくというのは現実的に十分あるのかなとは思っています。
○小杉座長 時間の方が。では最後の一人。
○谷口構成員 先ほどの玄田先生のお話のハブというところの観点ですが。やはり日本の地方空港の実情と同じで、ハブとされる所が複数あって、規模が小さかったら本来の機能は果たせないし、ある一定の規模を持ちつつ、その連携の太さもしっかり維持しなければいけない。そういう意味でいくと、総合相談窓口としていろいろな機関がある中で、サポートステーション以外に生活支援戦略で目指されるような若者向けの総合相談窓口機能を持ち得るかどうかと考えたら、やはりサポートステーション以外にないのだろうと、そのように思います。
 それはなぜかというと、行政が持つノウハウだけではなくて民間の、NPO等の自立支援ノウハウを吸収した形ですから、ケースワーカーを事務方のように行政職が担い家庭を回っていらっしゃる場合、実は何の資格もなく、自立支援のノウハウも持たないままキャリア・コンサルティングをやっていらっしゃることも多いという話ですから、きちんとノウハウを有するキャリア・コンサルタントがやる場合と比べると圧倒的に成果の差が出てくるはずなのです。そういう意味でいくと、生活支援戦略における若者向けの総合相談窓口は、そういった専門の人材が配置されているサポートステーションを中核としつつ、地域の実情に応じてカスタマイズしていくような方向性が重要だと思います。
○小杉座長 申し訳ございません、時間が既に過ぎています。御意見はたくさんあるかと思いますが、ここで今回の議論は閉じさせていただきます。キャリア形成支援室から何か、いまの段階でお話されることはありますか。
○浅野キャリア形成支援室長 生活支援戦略の関係でいろいろ御意見をいただきましたが、総合支援センターについては一般向けのものと、それとは別に若者専用のものを作った方が良いのではないか、というようなことが生活支援戦略の論点メモに書かれていたのではないかと思います。いま、いろいろお話をいただきましたが、念のため、若者専用のものを設けるのであれば、サポステの今の機能にプラス、必要な機能を足してというような形で理解してよろしいかどうか。つまり、全体的な年代のものと若者専用のものはかなり性格が違うのかなと思いますが、確認したいと思います。
○小杉座長 他の年齢に広げるのではなく。
○浅野キャリア形成支援室長 若者の中でということです。
○小杉座長 議事録になりますので、ここはお願いします。
○浅野キャリア形成支援室長 はい、ありがとうございます。
○熊木生活困窮者自立支援室長 少し補足した方がよろしいのかと思います。いま、サポステのあり方と生活支援戦略の関係は結構、皆さん、論点になっていると思うのです。
 そもそもサポステというのは、特に生活困窮者対策ということではなくて若者の就労支援の機関、キャリア形成をやるということ。一方、生活支援戦略というのは、生活困窮者の対策で、その辺はちょっと違うのではないかという議論です。それはそのとおりだと思います。
 では、生活支援戦略の中で若者の相談窓口というものを考えようと言っているのはどういうことかというと、その部分は生活困窮者に限らないで、生活支援戦略の言葉の中では「生活困窮のおそれがある層」という言い方をしているのです。いずれにしても、若者に関しては、生活困窮という切り口ではなくて、若者の就労支援という観点で、貧困の連鎖の防止というのが原点にあったのですが、貧困の予防という観点でやっていくべきではないかという議論をしています。
 私の理解している中では、そこで議論の対象になり得るものは専らサポステの機能を強化するという方向で、何か、サポステの目的ないし仕組みを変質させるとか、縮小させるといったような議論をしているとは承知しておりません。当然ながら、キャリア形成に至らない層がいらっしゃって、現場でも苦労をされていると思います。そういう、少し時間がかかる方に、いわば伴走的な支援を導入する、あるいは、アセスメントを行うなど、総合的な相談窓口の機能を強化するということです。これは、キャリア形成に至らない層を対象とするのであれば、社会福祉の領域から支援すべきではないかということです。要は、仕組みとしては社会福祉、私ども社会・援護局の方で御用意申し上げたものをサポステに付けて機能強化をするということがあり得るのではないか、ということがたぶん特別部会での議論のボールの投げ方だと思います。それに対して皆さんとして、ここでの議論を特別部会に報告して、またそこで議論をするという形になると思うのです。
 なお、生活支援戦略は全体として、これはまだ政府内で議論していますから可能かどうかわかりませんが、法制化ということを考えています。したがって、できれば制度化をして位置づけていきたいということを、特別部会としては議論していますので、その玉にどのようにお応えになるのかという議論だと思っています。
○小杉座長 いまの投げかけに対しては、当初のお話の中でキャリア形成の部分にかなり特化しているけれども、現実問題としてはかなり幅が広い支援をする必要があって、ただ、いまのサポステの予算規模の現状の中では、そこまでは手が回らないという状態の中でいままでやられているところはパーソナル・サポートなどを組み合わせながらやるという形で実施されてきた、という現状認識がたぶん今のお答えに近いところにあるのではないかと思います。その辺はたぶん共有されて。いまのサポートの枠の中でできることはここまでという認識があって、それに対してもっとやらなければいけないことは見えているけれども、そこまでは今の枠組みではできない、それに対してどうするかというのがここでの課題だと認識されていると思います。それに対する一つの回答が生活支援戦略からプロポーザルという形であったと理解しても良いのではないかと。
○玄田構成員 そのとおりだと思います。機能強化とおっしゃったことに関しては、皆さん、おそらくいままでの検討会の中でも大変肯定的な御意見なのではないでしょうか。と申しますのも、例えば伴走型とおっしゃったような、いま機能強化とおっしゃった面は、私の理解では、本来はサポステが目指していた部分であって、それが人的な問題であったり、時間的なこと、予算的なことでやりたくてもできなかった。だから、それをいま福祉支援との連携の中で本来はサポステがやろうとする機能を全うするための強化という意味では、いまの御提案はたぶんこの検討会の議論の方向性と極めて合致していると理解します。
○遠藤構成員 一点確認です。それは、今あるサポステがすべて行うということではなくて、その中でできる所が活動していくという形の位置づけでよろしいのですか。その広げ方もある程度戦略をもって、何年までには全国展開するのだけれども、その過程で何年までには何箇所、その場合には拠点として少なくとも何処に持っていくなど、そういうやり方で段階的に広げていくという理解でよろしいですか。
○小杉座長 AとBの話ですね。
○遠藤構成員 そうです。
○小杉座長 はい。その辺は。
○熊木生活困窮者自立支援室長 こちらで御議論いただければよろしいかなと思います。一つ、私が第一印象で思いますのは、学校側の話などがありましたが、ある程度サポステ、新たに機能強化をするとすれば新サポステかもしれませんが、新サポステというものを仮に法制化して打ち出して、数も増やしていきましょうということであれば、基本的には、一定の機能はそろえた方が良いのだろうとは思います。
 ただ、その過程においてバリエーションがあるのかどうかということもありますし、そもそも、B方式でやった方が良いかというのは御議論いただいて良いと思いますが、最終的には、供給側だけではなくて需要側のことも考えないといけないとするならば、その辺の留意は必要ではないかと思います。
○浅野キャリア形成支援室長 サポステの今の機能に必要な機能を追加するという考え方、追加するBの機能の方ですが、Bの機能の方についても、Bの中でもいろいろな機能があるということで、生活支援戦略の中でまたメニューについても議論されているところです。そういったところのうちのどの部分と、というような話については、特別部会の方の議論の様子も見ながら検討していく必要があるかと思いますので、よろしくお願いいたします。
○小杉座長 遠藤さんの質問に対しては、少し時間を置いて徐々にという判断でよろしいわけですね。
○浅野キャリア形成支援室長 それについては制度の作り方によってくると思いますので、御議論いただいてということになります。
○小杉座長 以上、よろしいですか。すみません、私の不手際で15分も延びてしまいました、申し訳ございません。本日の議事につきましては、特に非公開にする理由はないと思いますので、議事録を公開としたいと思います。では、次回の日程について事務局からお願いいたします。
○永井キャリア形成支援室長補佐 次ですが、11月8日(木)の10時から12時までです。会場は、同じ建物の12階の日比谷公園側の専用第12会議室になりますので、よろしくお願いいたします。
○小杉座長 次回は、本日議論した論点を踏まえ、中間取りまとめを行いたいと思います。事務局でたたき台となる中間取りまとめを作成してもらいますので、それを基に皆様からの忌憚のない御意見をいただきたいと思います。では、本日はこれで終了いたします。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省 職業能力開発局 キャリア形成支援室 若年労働者対策係

電話番号: 03(5253)1111(内線5741)

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