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2012年9月25日 保育所における感染症対策ガイドライン見直し検討委員会(第1回)

雇用均等・児童家庭局保育課

○日時

平成24年9月25日(火)19:15~21:15


○場所

厚生労働省19階 専用23会議室


○出席者

委員

遠藤座長、石川委員、菊地委員、工藤委員、多屋委員、藤城委員、峯委員、和田委員

オブザーバー

三平課長補佐

事務局

橋本保育課長、田村課長補佐、丸山保育指導専門官

○議題

(1) 座長の選出について
(2) 保育所における感染症対策ガイドラインの見直しについて

○配布資料

資料1  「保育所における感染症対策ガイドライン見直し検討会」開催要綱
資料2  検討委員会の公開の取扱いについて(案)
資料3  学校保健安全法施行規則に関する報告書
資料4  学校保健安全法施行規則改正に伴う「保育所における感染症対策ガイドライン」
資料5  「保育所における感染症対策ガイドライン」の修正項目(案)
参考資料1  保育所における感染症対策ガイドライン
参考資料2  学校保健安全法施行規則

○議事

○丸山専門官
 皆さま、こんばんは。定刻になりましたので、ただ今より「第1回保育所における感染症対策ガイドライン見直し検討委員会」を開催いたします。委員の皆さまにおかれましては、大変ご多用のところをお集まりいただきまして誠にありがとうございます。
 私は、保育課保育指導専門官の丸山でございます。座長選出までの間、議事進行役を務めさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 議事に先立ちまして、保育課長の橋本よりご挨拶申し上げます。

○橋本保育課長
 保育課長の橋本でございます。本日は、委員の皆さま方におかれましては大変お忙しい中、また、このような大変遅い時間にもかかわりませずお集まりいただきまして、ありがとうございます。
 ご承知のとおり、今、全国に2万3,000か所ほどの保育所がございます。その中で、220万人を超える子どもたちが過ごしております。保育所の入所児童数は年々増えておりまして、この子どもたちにどうすれば健やかに育ってもらうかということがわが国にとって大変大事な課題でございます。
 保育所の指針になっておりますものが保育所保育指針でございますけれども、平成20年に改定されまして、これが告示されました。それと同時にアクションプログラムが策定され、その一つとしまして「保育所における感染症対策ガイドライン」が平成21年8月に策定されました。保育現場におきましては、子どもたちが感染症に罹ったときにどう対応するか。それまで非常に大きく戸惑いも、また、いろいろな実務上の悩みも抱えていたわけでございますけれども、このガイドラインが大変大きく役に立ってきたと思っております。
 ただ、この策定から3年ほどが経過し、その間にいろいろな医学的な知見も出てまいりました。また、学校保健の世界の中では、学校保健安全法に基づきます施行規則の改正も先にされたところでございます。こういった諸状況を受けまして、今年の冬に、また感染症が流行る時期もまいります。そういったときに備えまして、このガイドラインにつきましても必要な見直しをさせていただきたいと考えておりまして、本日先生方にお集まりいただきまして、この検討委員会を設けさせていただきました。ぜひ、先生方の知見を集約していただきまして、早期に現行ガイドラインの見直しを進めさせていただきたいと思っております。大変お忙しい中、ご協力いただきまして、誠に恐縮でございますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。

○丸山専門官
 続きまして、本日ご出席の委員の皆さまをご紹介させていただきたいと思います。今日お配りしました資料1「保育所における感染症対策ガイドライン見直し検討委員会」開催要綱の裏面に名簿を添付させていただいておりますので、ご参照ください。その次に座席表も付けております。なお、役職は名簿に記載しておりますので、省略させていただきます。
 それでは、五十音順に紹介させていただきます。はじめに、石川広己委員です。

○石川委員
 よろしくお願いします。

○丸山専門官
 遠藤郁夫委員です。

○遠藤委員
 よろしくお願いいたします。

○丸山専門官
 菊地政幸委員です。

○菊地委員
 よろしくお願いいたします。

○丸山専門官
 工藤木綿子委員です。

○工藤委員
 よろしくお願いいたします。

○丸山専門官
 多屋馨子委員です。

○多屋委員
 よろしくお願いいたします。

○丸山専門官
 藤城富美子委員です。

○藤城委員
 よろしくお願いします。

○丸山専門官
 峯真人委員です。

○峯委員
 よろしくお願いします。

○丸山専門官
 和田紀之委員です。

○和田委員
 和田です。よろしくお願いいたします。

○丸山専門官
 続きまして、オブザーバーを紹介させていただきます。厚生労働省雇用均等・児童家庭局母子保健課課長補佐の三平元委員です。

○三平課長補佐(母子保健課)
 よろしくお願いいたします。

○丸山専門官
 この委員会には、あとお二方が オブザーバーとしておられます。厚生労働省健康局結核感染症課長補佐の梅木和宣委員、そして文部科学省スポーツ・青少年局学校健康教育課学校保健対策専門官の知念希和委員につきましては、本日は欠席となっておりますので、お名前だけ紹介させていただきます。
 続きまして、事務局を紹介させていただきます。保育課の橋本保育課長です。

○橋本保育課長
 よろしくお願いします。

○丸山専門官
 同じく、田村課長補佐です。

○田村課長補佐
 よろしくお願いいたします。

○丸山専門官
 そして私、丸山でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 続きまして、資料の確認をさせていただきます。今お話ししました座席表の次になりますが、資料1としまして「保育所における感染症対策ガイドライン見直し検討委員会」開催要綱、資料2「検討委員会の公開の取扱いについて(案)」、資料3「学校保健安全法施行規則改正に関する報告書」、資料4が学校保健安全法施行規則改正に伴う「保育所における感染症対策ガイドライン」の修正について、資料5は「保育所における感染症対策ガイドライン」の修正項目(案)です。参考資料1としまして「保育所における感染症対策ガイドライン」を冊子でお付けしております。参考資料2が「学校保健安全法施行規則」となっております。以上、お手元にございますでしょうか。
 それでは、議事に入らせていただきます。はじめに、議題1の「座長の選出について」でございます。当検討委員会の座長選任については委員の中から互選ということになっておりますが、皆さま、いかがでしょうか。
 和田委員、お願いします。

○和田委員
 初版のガイドラインのときも中心になられました遠藤委員にお願いしてはどうかと思いますが、いかがでしょうか。

○丸山専門官
 皆さま、いかがでしょうか。

 (「異議なし」の声あり)

○丸山専門官
 ありがとうございます。それでは、皆さまのご推薦をいただきまして遠藤委員に座長に就任していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 早速ですが、遠藤委員には座長席へお移りいただきまして、以降の議事進行をよろしくお願いいたします。

○遠藤座長
 ただ今、ご推薦を受けました遠藤と申します。日本保育園保健協議会の会長を仰せつかっております。この「保育所における感染症対策ガイドライン」の案となります感染症対策のマニュアル案を作成したといういきさつもありまして座長という役職をいただいたのだと思いますけれど、よろしくお願いしたいと思います。
 それでは早速、議事に入りたいと思います。本検討会を進めるに当たり、公開の取扱いにつきまして説明をお願いします。

○丸山専門官
 それでは、資料2の「検討委員会の公開の取扱いについて(案)」をご覧ください。この検討会の公開の取扱いについては、検討会において決めることになっております。そこで、資料2に書かれている四つの例がございますが、このような場合には座長の判断によって会議を非公開にすることはできますが、原則として検討委員会の議事要旨、そして資料を公開として取扱うということを事務局の案としておりますが、いかがでしょうか。

○遠藤座長
 ただ今、事務局から提案がございましたけれど、何かこの件に関しましてご意見がございますでしょうか。特にご異議はございませんか。

 (「異議なし」の声あり)

○遠藤座長
 それでは、公開でということで進めさせていただきます。
 資料がいろいろ出ておりますけれども、検討事項について事務局から説明していただきたいと思います。資料3~5を一括して説明していただければと思います。

○丸山専門官
 了解いたしました。最初に、本検討委員会の趣旨につきましては、資料1の「目的」という部分をご覧ください。先ほどお話がありました保育所保育指針が告示され、「保育所における質の向上のためのアクションプログラム」が策定されたことを受けて、この「保育所における感染症対策ガイドライン」が平成21年8月に策定されました。そして、子どもの安全と健康のために保育所及び保護者や医療関係機関に周知してきたところですが、このガイドラインを発出してから3年目となること、そして冒頭の課長の挨拶にもありましたが、平成24年4月に学校保健安全法施行規則が改正されたことに伴いまして、その改正された部分と、3年経っているということで最新の知見を踏まえてガイドラインの見直しを行うことが必要でありまして、この検討委員会の中で皆さまに検討いただいた結果を基にガイドラインを修正したいと考えております。
 今回の検討委員会につきましては、3年経って最新の知見をという部分と、学校保健安全法の施行規則が改正されたことで、このガイドラインについて大きな修正ということではなくて、今お話しした2点をメインに修正を行い、できればこの冬の感染症が流行する前に発出したいと考えているところでございます。
 それでは、議題2の「保育所における感染症対策ガイドラインの見直しについて」という部分を資料を使って説明させていただきたいと思います。資料3「学校保健安全法施行規則改正に関する報告書」でございますが、これは4月に出す前に文部科学省において「学校において予防すべき感染症の指導参考資料の作成協力者会議」の中で、この改正においての検討が行われてきたところです。この改正された規則の内容につきましては、後ほど資料4に沿って説明させていただきたいと思いますので、お手元の資料3とともに資料4を見ていただければと思います。学校保健安全法施行規則の改正に伴う「保育所における感染症対策ガイドライン」の修正ということで、資料4を見ていただくとわかりますが、左側が現行の保育所のガイドラインの記載の状況、そして真ん中に今回の改正の内容、右側には検討会における検討の方向性(素案)をお示ししているところです。
 それでは、表に沿って「インフルエンザ」から説明させていただきたいと思います。現行の保育所のガイドラインにつきましては、実は二つの違う表記があって現場で少し混乱しているような状況がありますが、?の方の「発症後最低5日間かつ解熱後3日」というのが現行のガイドラインの本来の趣旨であると皆さまに説明しているところです。学校保健安全法施行規則が改正されるまでは、学校の方は「解熱後2日を経過するまで」でしたが、検討会の中で検討された結果、インフルエンザの出席停止期間を従前は「解熱後2日を経過するまで」としてきたところですが、昨今は抗インフルエンザウイルス薬が投与されることになったことから、感染力が消失していない段階でも解熱してしまうような状況にあります。そこで、解熱のみを基準にした出席停止期間では感染症の蔓延予防という目的が達成できないおそれがあるということで、今回は「発症後5日を経過し、かつ、解熱した後2日を経過するまで」と改めているところです。そして、幼稚園に通う幼児においては「低年齢者ほどウイルスの排泄が長期に及ぶ」という医学的知見を踏まえ、そして同様に保育所のガイドラインにおいて「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後3日を経過するまで」としてあることから、今回の改正の内容としては「発症した後5日を経過し、かつ、解熱後2日を経過するまで」と。そして、幼児については「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後3日を経過するまで」と改正されております。そして、今回のこの検討会においても「学校保健安全法施行規則と同じ記載とする」ということで、ここについては現行の保育所のガイドラインと学校の部分が同じになったというところで、右端に書いてありますが「同じ記載としたい」というところです。
 続きまして、「百日咳」ですが、現行の保育所のガイドラインでは「特有の咳が消失し、全身状態が良好であること(抗菌薬を決められた期間服用する。7日間服用後は医師の指示に従う)」ということですが、学校保健安全法の見直しの検討会の中では、百日咳の出席停止期間は、年齢が高くなると必ずしも顕著な「特有の咳」が現れないこともあることが報告されていること。その場合でも5日間の適正な抗菌薬療法が終了すれば感染のおそれがないとされていることを踏まえて、出席停止期間を「特有の咳が消失するまで又は5日間の適切な抗菌性物質製剤による治療が終了するまで」と改めるということです。今回の保育所の方の修正においても、学校保健安全法施行規則と同じ記載としたいと考えております。
 「流行性耳下腺炎」についてです。現行の保育所のガイドラインにおいては「耳下腺の腫脹が消失してから」という表記になっております。これについても、学校の方の見直しの際に耳下腺が腫れずに顎下腺や舌下腺が腫れるというような症例が報告されているということ。また、発症後は5日程度で感染力は弱まるものの、腫れは2週間ほど残る場合もあることが判明していることを踏まえまして、出席停止期間は「耳下腺、顎下腺又は舌下腺の腫脹が発現した後5日を経過し、かつ、全身状態が良好になるまで」と改めることにしたということです。これにつきましても保育所においては最新の知見をというところで検討されてきたことを踏まえまして、同じ記載にしたいと考えております。
 「髄膜炎菌性髄膜炎」についてですが、現行の保育所のガイドラインには記載がありません。学校保健安全法施行規則の改正で今回、第2種感染症に追加されました。そのことにつきましては、今までは日本での発症報告がわずかであるということから特段の規定は置いてこなかった。しかし、発症した後に治療を行わないと致死率がほぼ100%に達するという重大性ですとか、くしゃみなどによる飛沫感染により伝播すること、昨年5月に宮崎県の高校の寮において発生し、死亡1名を含む事態に至ったことを踏まえまして今回、学校の方では第2種感染症に追加することになっております。そして、出席停止の期間につきましては、総合的に判断すべきことから「病状により学校医等において感染のおそれがないと認めるまで」となりました。保育所においては、今までは記載がなかったのですが、学校が第2種感染症に追加したことを受けまして、こちらも学校保健安全法施行規則と同じ記載にしたいということです。
 そして、今回の学校保健安全法施行規則の改正内容ではないのですが、一番下に「急性出血性結膜炎の記載について」と書いております。保育所のガイドラインについては、この急性出血性結膜炎については平成21年8月に出したガイドラインの中では発生数が少ないことから表記をしておりません。学校の方では従前から「病状により学校医、その他の医師において感染のおそれがないと認めるまで」と記載されていることと、発生数が少ないといっても地域的には発生しているような状況があり、また乳幼児に発生の状況もみられるということで、これも今回の修正において同じように「医師により感染のおそれがないと認めるまで」という形で修正をしていきたいと考えているところでございます。以上が学校保健安全法施行規則を改正したことによる「「保育所における感染症対策ガイドライン」の見直しということになります。
 続きまして、資料5をご覧ください。一気に説明をしてしまう形になりますが、この他に最新の知見を踏まえて「保育所における感染症対策ガイドライン」の修正を行わなければなりませんが、事務局としてこのような部分を修正したらよいのではないかという修正項目の案を作成いたしました。左側の部分が現行ガイドラインの内容構成になっております。1の「感染症とは」という部分におきましては、学校保健安全法施行規則の表が載っておりますので、こちらの修正を行いたいと思っております。
 2の「感染経路」につきましては、特段大きな文章等の変更はないのではないかと考えております。
 3の「感染症対策」ですが、ここは感染源の対策ですとか感染経路対策、感受性対策ということで説明をしております。このことにつきましては、感受性対策で予防接種について今は定期接種と任意の接種という説明しかございませんが、予防接種は非常に重要性が高いということで、ここについては必要性や基本的知識について最新の知見より少し加筆してはどうかと考えております。このガイドラインを発出した後も随時、変更する予定もあるようですので、最新の情報を得るためのホームページ等の紹介なども載せておくと良いのではないかと考えております。
 4の「衛生管理」という部分ですが、保育者の感染防止ということについて、保育者の意識を高めるということから、より詳細に加筆してはどうかということ。消毒方法等については、内容等を最新の知見を踏まえて確認していただきまして、このガイドライン質問事項の中にも「定期的」という言葉がどれぐらいのことを指すのかという質問を多くいただいているところで、こういったことをより具体的に書けるのであれば現場がわかりやすいように記載をしてはどうかと考えております。
 5の「感染症発生時の対応と罹患後における登園時の対応」ですが、ここにおいては保護者支援の観点と保護者との連携ということから、保護者への事前説明の重要性について、もう少し丁寧に記載しておいて、いざというときに慌てないような保護者に対する説明ですとか対応ができるようにしてはどうかと考えております。
 6の「保育所で問題となる主な感染症とその対策」については、資料3にもありましたように、学校の方も改正して今後、解説書等を出す予定だということですので、こういった資料との整合性も取りながら、それぞれの感染症の内容については確認していき、インフルエンザについては今回は保育所のガイドラインに倣って幼児の方が3日になったということもありまして、この辺りについては学校保健の方の検討会でも議論がいろいろあったというところでは、乳幼児期の特性を踏まえたエビデンスや「発症」「解熱後」の考え方です。どこから1日と考えるのかということについて、できれば現場にわかりやすいように図式で説明を入れてはどうかと思っております。この辺りは学校の保健の委員でいらした石川委員や和田委員にご協力いただきながら修正したいと考えております。
 裏面にあります7「感染症対策の実施体制と子どもの健康支援」については、内容を確認するということと嘱託医との連携が非常に重要になってきますので嘱託医もしくは園にいる看護師の専門的な役割について、コラムについてはサーベイランス等を入れてはどうかと考えております。
 そして、このガイドラインには別添1~4がございますが、別添1、2については最新の知見を踏まえて内容を確認して修正をするということです。別添3については、学校保健安全法施行規則の改正に伴って登園の目安等を修正したいと考えております。別添4の「主な感染症一覧」につきましても、先ほど資料3でご説明した文部科学省の解説書や最新の知見との整合性を踏まえて、委員の先生方と確認しながら修正を行っていきたいと考えているところでございます。以上です。

○遠藤座長
 どうもありがとうございました。資料も、それから説明もいろいろ膨大でしたので問題点を二つに分けて、ご意見なり質問がありましたら出していただきたいと思います。
 まず、1点目は「保育所における感染症対策ガイドライン」の見直しの問題で、学校保健安全法施行規則の改正に伴う修正についてという問題と、もう1点は最後に説明がありました現行のガイドラインの内容の記載で具体的に変更しなければいけない点などについて検討したいと思いますけれども、まず第1点の学校保健安全法施行規則の改正に伴う修正について、何かご意見・ご質問がありましたらお願いしたいと思います。いかがですか。何かございませんか。
 特に、髄膜炎菌性髄膜炎の問題を入れたらということで、学校保健安全法施行規則では第2種に入ったということで追加が提案されています。それと、急性出血性結膜炎については、我々が保育現場で調査した結果では、この感染症については医師の意見が必要だということが出てくるのが少なかったのです。そういうことで、なるべくなら医師の証明が必要な感染症は減らそうという考えで前回のガイドラインの案では抜いたといういきさつがありますが、今回はこれがこういう問題、学校保健安全法施行規則と同じようなことで取り入れたらどうかという案が出ておりますが、その辺はいかがでしょうか。
 特にございませんか。もし、特に質問なりご意見がなければ、今日は初めての会で皆さま大体知っているようなお顔だと思いますが、自己紹介も兼ねまして、この改正について何かご意見なり、一言ずつご発言願ってよろしいでしょうか。石川委員からお願いしてよろしいですか。

○石川委員
 日本医師会の石川でございます。私は前期といいますか昨年は学校保健の担当ということもありまして、今ご紹介いただいている学校のガイドラインの作成に携わってきました。その中で、基本となる考え方として何回か述べさせていただいたことで、学校保健の場合には学校教育そのものが子どもたちのライフスキルを身に付けるところだということが学校教育全般についていえるわけです。この感染症に関して子どもたちがきちんとどうやって感染するのか、どうやって防ぐのか、どうやって治療するのかという正しい知識を身に付けることがライフスキルとなって、その後も役立つということを中心に何回かお話しした次第です。基本的にはきちんと感染症を理解することが子どもたちももちろんそうですが、保護者・職員に理解していただくことで、次の世代の新しい文化にもなり得るということで、そういうことをこのガイドラインの中に意識的に盛り込んでもらいたい。
 それから、基本的にはガイドラインはわかりやすく。職員や保護者が見てもわかりやすいもの、あるいは少し大きくなった生徒についてもわかりやすいものということで学校保健のところでやってきた次第ですので、今回の保育所に関しても同じようなことがいえるのではないかと思いますので、ぜひ、そういうところで注目していただいて、新しいガイドラインだけではなくて解説書の分かりやすいものを作っていただきたいということが要望としてありますので、よろしくお願いしたいと思います。以上です。

○遠藤座長
 どうもありがとうございました。それでは、菊地委員お願いします。

○菊地委員
 私は保育園の園長ということで、現場で役立たせていただいていますが、文言等で難しいものがありました。今回の修正のところの方向性を見させていただいて、文言を分かりやすく整理されてきたところがあります。難しい言葉で現場の職員に伝えても理解されない部分が多かったので、そういう中で日本保育園保健協議会が作っています感染症の手引き等も非常に役立っていました。園独自としても総合マニュアルを作って、その中で衛生管理のことなどを全て網羅していますが、それも今見ると少し古いものになってきていますので、最新の情報等で整理が園でもできると思います。また、保護者にこの状況を、登園のことなどいろいろ感染症についての周知を図っているところですけれども、理解されない部分が多くて、どうしても自分の理由というか自己の都合で解釈して登園してきてしまうということがあって、それで感染症が広がることがありますので、もう少し保護者にも分かりやすく、何とかご理解いただけるような方策をこれから考えていければと思います。いろいろ試していますが、全てに浸透するというのは難しい状況ではあります。

○遠藤座長
 ありがとうございました。それでは、工藤委員お願いします。

○工藤委員
 世田谷区子ども部保育指導・育成係の工藤と申します。よろしくお願いします。私のところは区内の保育施設の方、認可保育園、認証保育所、保育室、保育ママ等を訪問させていただいて、保育内容や衛生管理のことなどでアドバイス・助言をさせていただいております。区内には200以上の保育施設がありまして、まだまだ感染症や衛生管理のことについての知識が十分ではなくて感染症が発生すると蔓延してしまうような施設も数多くありますので、先ほどお話にあった「定期的」とはどれぐらいなのかは、私どもはいつも相談されていて悩ましいところでもありますし、先ほど菊地委員がおっしゃったように保護者から「解熱後3日や2日といわれても、どこから数えればよいのか」というお問い合わせもいただいていますので、ぜひ今回このガイドラインが修正されることで少しでもわかりやすくなればよいと思います。
 このような素晴らしい先生方の中で、どれだけ私がお役に立てるのかわかりませんが、いろいろな保育施設を回らせていただいている者として少しでもお役に立てればと思いますので、よろしくお願いいたします。

○遠藤座長
 どうもありがとうございました。それでは、多屋委員お願いします。

○多屋委員
 今は国立感染症研究所感染症情報センターに勤務しております多屋と申します。こちらに赴任するまでは大阪で小児科医として臨床の方におりまして、自分自身の子どもたちも12年間保育園でお世話になって、今もこうやって仕事を続けさせていただいているという立場にあります。保育園での感染症対策は本当に家族全員にとってとても重要なものであり、子どもたちの健やかな生活に加えて保育園の先生自身の健康を守るという意味でもとても重要ではないかと感じています。
 五つ気付いたところがあります。今お話ししました保育園の先生方も感染症あるいは予防接種世代の先生が多くなってきまして、はしかや風しん、水ぼうそう、おたふくかぜの免疫を持っていない先生も保育士として働いているという現状から、職員の感染予防についても「保育所における感染症対策ガイドライン」の中では重要ではないかという点が一つあります。
 二つ目が、学校と大きく違うところは、保育園はケガが多かったり鼻血を出したりと、血液に触れる機会が多いと感じておりますので、血液を介して感染する感染症の重要性も学校保健とは少し違った観点から重要です。もっと身近に血液があるのではないかということがあります。
 三つ目は、私は今、予防接種室というところで働いていますが、予防接種の制度が大きく変わりまして、それもこちらの方で見直しというか改定していかなければいけないと思いますが、それが最初に言う職員の感染予防についても予防接種がもう少し明確にどこかガイドラインなどで記載されていくとよいと思います。
 四つ目としては、保育所に子どもがお世話になっている保護者は皆仕事をしているわけで、仕事を休めない中で、無理をして子どもたちを保育園に預けてしまうところがあります。保育園に通っている0~2歳を含めた低年齢児の子どもたちの特徴として、学校とは違う点で学校保健安全法は基本的に手洗いがしっかりできる子どもたちを対象としているので、手洗いができない低年齢の子どもの感染症対策は少し位置付けが違っていると思いますので、保育所のガイドラインであればそういったところも重要だと思ったことが今回気付いた点です。以上です。

○遠藤座長
 どうもありがとうございました。藤城委員、お願いします。

○藤城委員
 東京都杉並区立の保育園で看護師をしております藤城と申します。傍ら全国保育園保健師看護師連絡会と申しまして、専門職の団体であります保育園で働く看護職の質的向上や、子どもたちの健康・安全を守るという視点で、日々保育園での現状を伝えながら、子どもたちを守っていければと思い活動しています。今回の感染症対策ガイドラインの中の大きな視点として、先ほど多屋委員もおっしゃいましたが、学童児とは違う視点で、産休明けの子どもなど、低年齢の子どもたちが入ってきていますし、現状では3歳未満の子どもたちが多くなってきています。そして、待機児童も3歳未満ということで、もっと低年齢の子どもたちを対象にした感染症の対策をこの中に埋め込んでいかなければいけないと思っていますので、この中でどのようなことを入れていけばよいのかを今回のガイドラインの修正の中で考えていきたいと思っています。子どもたちの健康・安全だけではなくて、職員・保護者への感染の拡大等もありますので、そういうところも守っていけるような内容が含まれればよいと思います。保育園と学校と大きく違うところは、学校には養護教諭が配置されていますが、保育園の看護職というのは全国に3割弱の配置で、正規・非常勤を含めてまだまだ配置状況は多くありませんので、その中で子どもたちの健康・安全、衛生管理をどのように守っていくのかという具体的な内容などもこの中に含めなければいけないと思っています。どうぞよろしくお願いします。

○遠藤座長
 どうもありがとうございました。それでは、峯委員お願いします。

○峯委員
 私は日本小児科医会の医師としてここに参加させていただいています。日本小児科医会の中では予防接種委員会という委員会を担当しておりまして、子どもたちの予防接種によってどうやったら病気から子どもたちを守れるかという立場で、予防接種を推進するという立場の仕事をさせていただいています。ということは、当然のことながら予防接種で予防できる病気の多くは感染症ですので、そうしますと今回のガイドラインに関してもその観点からお話しする機会が多くなると思います。私は普段は埼玉県さいたま市で小児科を開業しています。普通の小児科の開業医でございますので、日々保育園に通っている子どもたち、母親・父親からのご相談を常に受けているという状況で、先ほどから多くの委員の先生方からお話がありましたが、保育園という非常に小さい、早い子どもは6か月未満で保育園に入る子どももいますし、片や最高は小学校に入る前の就学年齢に達する前までということで非常に年齢幅があって、感染症においても同じ感染症の原因であっても月齢・年齢によってその重症度、危険度が大分違ってくるとなりますと、ある意味ガイドラインも保育園と一くくりではなくて、その中の例えば0歳児、あるいは1~3歳くらい、就学に近い子どもたちと分けて考えていかないと、もしかすると十把一絡げは無理ではないかという感じは常にしています。
 もう一つは、先ほど多屋委員からもお話がありましたが、いろいろなところでいろいろな感染の仕方があるということを考えますと、ガイドラインで盛り込めたもので感染を予防できるのかということになりますと、今後詳しい手引きを含めて、例えばこの病気はウイルスは実はいつからいつまで排出されるのかとなりますと、本当に何日休めばそれで全て蠕動が確認できるか、保証できるかといいますととても難しい。そうすると、保育園というところ、集団生活に入ると残念ながら多くの子どもたちがありとあらゆる病気に次から次へと感染するということが大前提というところでのリスクマネジメントを保護者の方にもご理解いただいて、あるいは保育園・地域の小児科の開業医を含めた子どもたちを診察する人たちが皆そういう一定以上の知識と情報を持って診察をしていかないと感染症は防げないし、治療に関しても、どうしても後手に回る可能性があります。その辺も含めて、普段の経験と私の今の仕事の立場からいろいろなことをお話しできればと思います。
 先ほどの一つ一つの病気に関しても、これから恐らくいろいろな情報を提供していくことになると思いますと、多屋委員と私は実は日本小児科学会の予防接種感染対策委員会のメンバーで、そこで実はつい最近の9月に「学校・幼稚園・保育所において予防すべき感染症の解説」が作られました。この資料はホームページで検索することができますので、皆さまに公開して多分よろしいと思いますが、私はこういうものがホームページに載っていますよということでこちらにご案内させていただきます。ただ、これを作られた責任者の先生にまだこの会でお話ししてよいという承諾を得ておりませんので、できれば次回にお配りいただいて、その前にあらかじめ一つ一つの病気に関してかなり詳しく病気の説明と予防の方法、治療の方法等を書いています。あまりいろいろな情報がそれぞれ検索する場面によって変わってしまうのはとても混乱を招くことになりますので、もしこの情報をホームページとして検索していただければ、どなたでも「日本小児科学会」という単語でインターネットで調べていただいて、そこの中に新しくアップされた情報があります。一般の方でもご覧になることができますので、それをご覧いただきながら。できれば次回までにはその責任者の先生のご承諾を得ておきたいと思いますので、それから委員の先生方に資料としてお渡しいただければありがたいと思っています。よろしくお願いします。

○遠藤座長
 ありがとうございました。それでは、和田委員お願いします。

○和田委員
 私は足立区で小児科医をしている和田と申します。大学に20年間勤務して、その後20年間は開業医をしておりますけれども、20年前から嘱託医、園医を務めさせていただいています。たくさんの園を持っていまして、今も例えばマイコプラズマやRSウイルスが非常に流行っています。その度ごとに、登園基準を含めていろいろな動きが出てきますが、保育園に預けている母親の一番の関心事は、子どもの安全と健康が保障されているということだと思います。小さい子どもが母親から受け継いだ免疫が失せる一方で、活動範囲が広がってくるということでさまざまな感染症にかかりやすい時期です。ですから、先ほど峯委員もおっしゃいましたが、それぞれによって免疫機能が変わってくるとか感染しやすいなど多少違ってくるのは仕方がないと思いますが、ある程度皆が納得できる登園基準を考えていかなければいけないと思います。
 登園基準というのは登園可能となった子どもから他の子どもへの感染を100%防ぐための基準ではないと思います。医学的に例えば病原体の排出がなくなることを指しているものではないと思います。感染する機会がかなり少ないと判断される場合で、例えば園のスタッフや家族が納得できると思われる基準ではないかと思いますが、そこで皆が納得できるということが重要だと思います。例えば「保育所における感染症対策ガイドライン」を最初に作るところでどうしてもほしかったのは、インフルエンザのことが一つのきっかけになったと思います。インフルエンザに関しましては、大分前にできた基準がありまして、保育園や幼稚園の子どもに対するはっきりとしたものがありませんでした。そして、改正前は解熱後2日でした。保育園に通っている子どもは最も配慮すべき罹患者自身の体力、あるいは体調が十分に回復していないということ。例えば咳嗽、くしゃみ、鼻水など感冒症状が増える時期で感染源になり得るということ。抗インフルエンザ薬で解熱しても感染性ウイルスが存在するということ。そのために周囲への感染、いったん解熱しても子どもにおいてはその後ニ峰性に発熱を呈することもあります。これらは集団生活をする上で望ましい生活環境を維持できないという点として挙げられるものではないかと思います。そういうことを考えまして、解熱後3日ということを考えました。それに対してのエビデンスもいろいろと集めています。
 それから、話が変わりますけれども、B型肝炎に関しましては血液・体液ということでしたが、最近は唾液・汗・涙・鼻水・尿を介した感染、つまり水平感染あるいは施設内感染が考えられます。そういうことも考えまして、今回はその辺をどのようにガイドラインに入れていくかということも一つ考えなければいけないと考えています。よろしくお願いします。

○遠藤座長
 どうもありがとうございました。いろいろなご意見もありました。特にこれからのガイドラインの内容のことを伝えるご意見も出たようですが、最初の問題に戻りたいと思います。保育園における感染症の登園の目安という問題ですが、学校保健安全法施行規則と整合性を合わせるという意味での修正をしたいということですが、その点でいかがでしょうか。この辺で何か特にご意見がございますでしょうか。和田委員、いかがですか。

○和田委員
 今回の案ですけれども、私は非常によろしいのではないかと思います。やはり整合性がないと、例えばきょうだいで小学校、保育園に行っている、そこで違ってしまうというのは納得してもらえないところがありますので、できればこの形で進めていただきたいと思います。よろしくお願いします。

○遠藤座長
 石川委員から、一つお願いします。

○石川委員
 資料4のことですか。これはこれでよろしいと思いますが、他にも何か修正があると思いますが、この文章についてはこれで悪くないと思います。

○遠藤座長
 他に、どなたかご意見がございますか。この修正案はどちらかというと学校保健安全法に沿っての修正ですが、それと同時に1点は先ほど案を出しましたけれども急性出血性結膜炎の記載について入れておくべきかどうかということも一つあると思いますが、その辺はいかがでしょうか。藤城委員、保育現場では急性出血性結膜炎はどうですか。

○藤城委員
 ここのところはあまり保育現場では聞かないことなので、ガイドラインの中に入っていないのは当然と思っていました。ただ、この表記がないことでそれを感知できないということであれば、この表記は必要ではないかと考えます。

○遠藤座長
 ただ、急性出血性結膜炎に関しては非常に現場から問い合わせが多いのです。なぜこれが入っていないのかと協議会にも問い合わせがありますし、多分保育課にも問い合わせがよくきたのではないかと思います。学校保健と少し扱いが違うのではないかということで、なぜ違うのかという問い合わせがありますが、その辺はどうしましょうか。前回はあまり現場から要望がなかったということで外して入れませんでしたが、今回もし髄膜炎菌性髄膜炎髄膜を入れるとすると、一緒に入れないとおかしいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○多屋委員
 出血性結膜炎は恐らくこれまでそんなに大きな流行がなかったからではないかと思いますが、昨年ある県で非常に大規模な流行がありまして、そのときのサーベイランスの結果では保育園に通っているくらいの年齢の子どもの発症もあるようですので、あえてここから抜いておく理由はないのではないかと思います。

○遠藤座長
 それでは、この見直しの「登園の基準」に関しては、学校保健安全法施行規則の改正に基づいて、同じような文言で整合性をとるということでよろしいでしょうか。異論はございませんでしょうか。他の意味で、いろいろ考えなければいけないことは出ておりますけれども、特に4月以降なぜ見直しが早くされないのかという意見も大分出ていますので、これは早く修正しなければいけないと思いますので、この点につきましては改定をなるべく早くしていただきたいと思いますが、それでよろしいですか。

○石川委員
 和田委員にお聞きしたいのですが、学校のところでの論点の一つでインフルエンザの「解熱した後3日」ということについて、保育園のところでそのようにするかということ。それから、学校と合わせて解熱後2日と意見が二分したと思います。そこで一つは実際に罹患した子どもたちの問題と先ほどご説明がありましたが、実際には3日でいろいろと感染力という点ではっきりしない点がある。その辺で新しいエビデンスがあれば少し教えていただきたいのですが。

○和田委員
 新しいことではありませんが、私は今も論文等を集めておりまして、いくつかの論文がございます。その論文から引用しますと、ウイルスの先ほどまとめてお話しさせていただいたことですが、そのエビデンスはいくつか挙げられると思います。具体的に申し上げた方がよろしければ。

○遠藤座長
 どうしましょうか。資料を挙げてもらうようにしましょうか。

○石川委員
 このことはきちんとしておいた方が将来のためにも良いと思いますので、なぜ学校とここが違うのかというのは、どなたに対しても明確にした方がよいと思います。この辺で、例えば多屋委員の方で何か見解があれば教えていただきたいと思います。

○多屋委員
 見解というほどではありませんが、大人よりも低年齢の子どもの方がインフルエンザにかかった後、長期間ウイルスを排出しているという論文があったと思いますので、恐らくそういうエビデンスは出していけるように思います。

○石川委員
 少ししつこく言うのは、母親にとっては2日と3日はとても大きくて、多屋委員が先ほど自分の子どもを預けたという話があったかと思いますが、5歳の子どもと6歳の子どもでは、どこが違うのか。これを説明するのはとても大事なのです。この議論はずっとしていますが、明確にできるのであればしておいた方がよいと思います。

○遠藤座長
 この問題は案にも出ていましたけれども、ガイドラインの中にその辺をはっきりできるようなエビデンスがあればということです。

○和田委員
 なぜ、出席停止期間が従来の解熱後2日から「発症後5日、かつ、解熱後2日を経過するまで」に変更されたかということですが、一つは今まで解熱後2日だったことに対してウイルスの排泄は自然経過で大体7日間。近年の抗インフルエンザ薬の効果で解熱は1日程度早くなったものの伝播力を持つ感染ウイルスは5日間程度分離されたという報告が一つあるということです。それから、オセルタミビルの投与終了後投与4日目には90%は解熱していたにもかかわらず、50%以上からウイルスが検出されたという報告がある。これは小児感染症学会誌に載っております。さらに、15歳以下の特に3歳以下ではウイルスの残存量が高いということも出ております。東大医科研の河岡先生たちは病弱年齢層、特に3歳以下の場合は生まれて初めて罹患した可能性が高くて、抗体を保有しないためにウイルスの増殖期間が長くなる可能性を報告しております。さらに、タミフルの投与後のウイルスの残存率はA型よりもB型が長いということのエビデンスはいくつかあると思います。
 それから、発症した後の「発症」という表現も非常にはっきりしないということがあります。その辺を少しまとめてみたいと思っています。

○石川委員
 そうしますと、このことについて今、和田委員がお話しされたことを保護者あるいは周囲の保育者にわかりやすく添えることが必要だと思いますので、ぜひ、それをお願いしたいと思います。
 先ほどの和田委員の話の中で血液のB型肝炎の話がありましたが、私も小児科医ですが先ほど多屋委員も血液の問題を話されていましたが実際に保育所・保育園の現場で血液を介してB型肝炎が感染するという報告は今まではないと思っていましたので、あるのかどうかについてコメントをお願いしたいと思います。

○多屋委員
 実際には数年前になりますけれど、100人以上の規模の保育所で集団感染がございまして、小さい子どもはキャリアになってしまいますから、FETPも派遣されまして積極的疫学調査をして分かったことですが、そういう事例はありました。

○和田委員
 尿や汗などからも感染するというデータがありまして、最近また注目を浴びているということ。最近のB型肝炎の遺伝子を調べてみますと、少し欧米型が入ってきているということでそういうところも変わってきています。

○石川委員
 わかりました。

○遠藤座長
 それでは、既に感染症のガイドラインの内容のことに大分触れているようですけれども、他にも特に皆さまのご意見からは保育園のスタッフの健康管理も含めた感染症対策もしっかりと盛り込まなければならないということも出ておりました。私も園医を大分長くやっていますが、実際に新しい保育園の指針が出たときには、その後にできたアクションプランの中では園医の役割について明確化するということもはっきり言っていますが、この感染症ガイドラインが出たら園医の役割というか園医に期待するもの的なものがとてもたくさん出てきています。一気に出ていますが、そんなに園医がやれるわけはないので、こういうものをもう少し整理した形で出していただかないと、園医はこんなにやらなければいけないのかという話になってきて、私は園医に関するものを全部まとめてみましたが、膨大なものになってしまいます。ですから、できる範囲で、そういうことが可能ならば、どういうシステム、サポート体制があればこういうことができるかということも示してもらわないと、園医には地域の連携も何とかしてもらいたい、何をしてもらうと助かるとか望みたいという形が非常にありましたので、こういうものも実現可能というか、いつでもそれができるようなことを書いてもらわないとと思います。あまりに膨大な期待をされても大変だと思いますので、できればもう少し全体的に園医にはどういうという構想の下に書いていただければと思います。具体的な場面場面に園医にこのようにしてほしいということがちらちらと出てきたことが多くなるのだと思います。もう少し見直していただきたいと思うのと、同時に案に出ていましたが専門職の役割分担が大事な問題だと思っています。
 他に、何かございますでしょうか。この問題につきまして、この検討委員会はこの後、どのようにやっていくかということの説明もしてください。

○丸山専門官
 今日が第1回で、皆さまから修正項目についてのご意見をいただきます。既にいただいている状況ですが、これを基に事務局が中心になりながら、各先生方は非常にお忙しいので何度も検討委員会をというわけにいかないと思いますので、先生方に直接お話を聞きながら案を示し、皆さまに確認していただきながら修正を行っていきたいと考えています。

○遠藤座長
 おわかりでしょうか。ということは、大体どれぐらいの目途というか期間はどれぐらいになりますか。

○丸山専門官
 先ほどもお話ししましたように、この修正部分についてはなるべく早く現場からも発出してほしいという希望もありますし、感染症流行る前にと考えて、実際には季節に関係ないものは出ていますが、インフルエンザ等が流行する前にということで11月いっぱいまでにはガイドラインの修正として通知を出したいと考えています。詳細としては見直しの確認の部分については全先生方にお願いしたいと思いますが、新しい知見の部分で先ほど和田委員にお話しいただいたエビデンスの部分や予防接種に関する新しい知見の部分は各委員に原稿をお願いしてということを考えております。

○遠藤座長
 そのような形で動いていくことになっておりますけれども、いかがでしょうか。何か、ご意見がございますか。

○峯委員
 私は今回この会には初めての参加になりますが、ガイドラインを誰が一番利用するのか。要するに先ほど遠藤座長の話で園医の役割などいろいろありましたが、園医は常に園にはいないとなると現場を見ていない。しかも、園医は全て小児科医ではないとなりますと、必ずしも園医が的確な判断ができると限らないことになります。ガイドラインを利用するのは保育園の園長先生であったり、看護師であったり、保育園そのものに普段の責任ある立場で子どもたち、あるいは保護者と接する方になると思います。冒頭で遠藤座長がおっしゃった「わかりやすい言葉で」ということはとても大事だと思いますので、今回の作る目的の中で今まで現場の先生方からすると先ほど菊地委員のお話のように、わかりにくかったところをむしろピックアップしていただいて、その部分を学校保健安全法と意味は変わらないけれども、噛み砕いた言葉で書き直すことでもっと使いやすいものになっていくのではないかという気がします。「これはどういう意味ですか」ということをいちいち園医や場合によっては地域の小児科医に確認しないとこのガイドラインが使いこなせないということでは意味がなくなってしまうのではないかと思いますので、感染症はいつ起こるかわかりませんので、その辺のことを現場の先生方にわからないところ、わかりにくいところを教えていただくことが我々直す側にとっても大事だという気がします。

○遠藤座長
 菊地委員、その辺はいかがですか。

○菊地委員
 そのとおりです。保育士にも若い人が多いものですから、職員はすぐに辞書を引いたりすることができないので、さっと読んで時間もない中で保育していますので、勉強会をやったりすることもありますが、そういうときにすっと入っていくような言葉の方が良いと思います。ガイドラインは厚生労働省が作るものなので、その辺はある程度の言葉の根拠、エビデンスが必要かと思いますが、現場では噛み砕いてどのように解釈していくかが大事だと思います。特に保育園の場合には衛生管理が非常に大事になってきているので、攻めるというかどちらかというと受身です。感染症についても入ってきた段階でどのように対処するか。入る前の段階でどのように考えていくかがとても重要なところですので、その辺りも少し力を入れて考えていければよいのではないかと思っています。

○遠藤座長
 ありがとうございました。藤城委員から何か。

○藤城委員
 保育指針と同時に出されたアクションプログラムの中にも子どもの健康及び安全の確保として、看護師等の専門的職員の確保の推進という内容のものが書かれていると思います。それに向けて厚生労働省でも促進していくという内容のものが書かれていますが、先ほど丸山専門官から7の「感染症対策の実施体制」の中の園医の役割にプラス看護職の役割もという話が出ましたけれども、この中で看護職が保育園の中で衛生担当者としてどういう業務をするのかを明記していただければ、そういうところを含めて看護職がそれに向かってどういう動きをするのかということが一致してできるのではないかと思います。コラムの具体的内容のところに、サーベイランスのことも書いてありますが、このサーベイランスを使うことによって、早期発見であったり地域の現状と、どういう対策を保育園がしていくのかというところではかなり重要な項目になってきますので、こういうところも検討内容に付け加えていただければと思っています。

○遠藤座長
 いかがでしょうか。他に何かございますか。

○石川委員
 前のガイドラインのことでもよろしいでしょうか。一つはノロウイルスですが、保育所のノロウイルスはガイドラインを見ていますと、これで十分書けているのだろうかということがあります。ノロウイルスは現状で保育園では防げているのかどうなのか。私は老健施設を持っていますが老健施設ではほとんど毎年起こります。どうやっても防げないのです。保育所では例えばこういうガイドラインに今書いてあることでいっても保育所全部がかかってしまうのではないかと思っていますが、その辺が現実にこれはどうなのかと思っていますが、これでよいのかどうか。
 それから、結核の記述がありますが、学校のところでは必ず蔓延国からの子どもの移動について書いてあります。今は保育園児であっても親に伴ってそういうところに移動することは普通あるのではないかと思いますので、「集団保育において留意すべき事項」にそういうことを書いていなくてよいのかどうかということです。家族内感染のことが書いてありますが蔓延国のことは書いていない。結構細かく見ていくともっとここを書き加えた方がよいのではないかということがガイドラインにありますので、もう少し逐条的にやっていった方が良いかもしれません。何年かに1回の改定であれば逐条的にこのガイドラインを書き添えて、また先ほど言ったようにもっと簡単なものを作っていくということでやった方が良いかもしれないと思います。

○丸山専門官
 別添4の部分においては、学校保健の規則が変わって解説書を今作成していますが、こちらの方でも同じような形で感染症の一覧について作成しておりますし、先ほど峯委員にご紹介いただきました学会から出ているものにおいても、そういった資料がございますので、最新の知見を踏まえてということですので、今学校の方も検討中ですし、学会の方はホームページに上がっているということですので、この辺りの資料を踏まえて整合性がとれるような形で直したいと思っています。この辺りは先生方に専門的に一つ一つご確認いただく作業を役割分担しながらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

○遠藤座長
 今の見直しの中で、それをこれからすぐに開始しますか。それとも、あらためてそういう作業をこのガイドライン全体を細かく見て、それから学校保健などのまとめたものと合わせてどうするかということを少し時間をかけて見ていくような形にするのか。その辺はどうでしょうか。

○丸山専門官
 今の別添4の感染症の一覧の部分におきましては、学会から出ている資料についてはすぐに確認できますが、学校の方はこの辺りが医師によって多少意見が違うところがあって、検討会を開く予定があるようですので、そこで出てくる意見を踏まえながらと考えておりますが、その案は既に作成しているけれども皆さまにはまだお見せできないということを文部科学省に確認しました。まだお見せすることはできませんが、まもなく案ができてくると思いますので検討委員会の方々にはこういったものもお示ししながら一緒に確認作業をしていただきたいと思います。こちらから何か意見があればそれも学校にお伝えするような形で、今回は文部科学省とも連携をとっていますので、この辺りは早急にここは見直しをしていかないと、お尻が決まっているので終わらないことになってしまいますので、早速第1回で皆さまのご意見を伺ったところで確認できるところから確認していきたいと思いますし、峯委員からお話があったように、保育所や現場の方で平成21年8月に出ているガイドラインの中でこういった部分がわからないという部分においては早急に挙げていただくというところで考えています。新しい知見については新たに文章をお願いするという形で、いかがでしょうか。

○遠藤座長
 いかがでしょうか。石川委員、どうでしょうか。

○石川委員
 知識のある方がいらっしゃるので、できるだけ早く、こういうところでわかったことはどんどん現場に下ろしてもらった方がよいと思います。一定のところで何々がまとまってからということではなくて、現場があるものですから、出していただく方が良いと思います。
 実はインフルエンザのところでも、まだまだ皆さまに質問してまとめてもらいたいことがあります。例えば私は県の新型インフルエンザのガイドラインをずいぶん前ですがやったりしましたが、そのときには学校では学級閉鎖の問題、確か文部科学省では学級閉鎖の問題までは数字的には出していません。ただ、それが実際に保育園では閉鎖についての基準をどうするかを検討しなければいけない。それは嘱託医が関わってくると思います。それが新型インフルエンザであればどのように判断するのか。ここには簡単な記載しかありませんが、そういうこともせっかくこういう場があるのであれば検討しておくことが大事だと思います。保育園が通常のインフルエンザで閉鎖するということはとても大変なことだと思いますが、それがあるのかないのかということは検討した方がよいと思います。それはここであまり触れていないので、ぜひ検討したいと思います。

○遠藤座長
 ありがとうございました。他に、何かございますでしょうか。

○多屋委員
 学校保健安全法を文部科学省でも見直しがされているということですが、保育所の低年齢児の特徴を踏まえて、保育所における感染症対策ガイドラインでなければ書けないものはここに入れていった方がよいと感じています。例えば今はサイトメガロウイルス感染症、いわゆる抗体保有率が下がってきたことによる問題も新たに出てきていますし、低年齢児は尿の中に大量のサイトメガロウイルスを感染した後に排泄していることから、こういったことも学校では問題にならない点だと思います。母乳を介して感染する感染症などもまず学校では問題にならないことではないか。保育所でなければ恐らく問題にならないようなところは、こういったところに盛り込めるとよいのではないかと思いました。意見です。

○遠藤座長
 ありがとうございました。峯委員、どうぞ。

○峯委員
 私も特に低年齢児・乳児保育が増えてきている状況を考えますと、そこで問題になる病気と学校で問題になる病気は同じウイルス感染、細菌感染であっても中身や結果が大分違ってまいりますので、例えばRSウイルスですと当然のことながら乳児期に感染すると非常に重篤化しやすい。あるいはロタウイルスもそうです。ロタウイルスもワクチンもそのうち初回と2回目の感染が重症化しやすいので、その感染を2回3回のワクチンで補うというのがワクチンの考え方ですので、小学校・中学校ではロタウイルスが例えば流行ったとしても極端に重篤化して大きな問題になることがないとしても、乳児ですとかなり大きな問題になる。そういう年齢に合わせた重篤化する病気に対する考え方、対応の仕方はまさに保育園でなければ盛り込めないことだと思いますので、それは必要だと思います。
 保育園は、かつてはお仕事をされている、実は私の家内が同業者で私も息子を6か月から保育園に預けて大変な思いをしましたが、実際には、かつては仕事の関係で比較的ふだん元気な子どもたちを預けるのが保育園でしたが、最近は実はかなり基礎疾患を持っている子どもたちも一般の保育園・保育所で生活するということは可能性としてゼロではありませんし、基礎疾患の中には呼吸器系の疾患、循環器系の疾患、生まれつきの病気を持っておられたり、染色体に異常があってどうしても感染症に罹患すると重篤化しやすい子どもたちでも保育園に入る権利はある。親御さんの職業を含めた社会環境から当然そこは預からざるを得ないというのが保育園の立場だと思います。そうすると、そういう基礎疾患のある子どもたちを念頭に置いた考え方も必要かもしれません。その辺のことも学童期とは大きな違いだと思いますので、その部分も何か盛り込めればと思いますが、時間のかかるものなので、今回どうしても冬までの、インフルエンザのようにこれから流行するまでの間に結論を出しておかないと今年の冬も混乱するだろうと思われるようなタイムリーでやらなければいけないものと、今後のことを考えるとじっくりと検討した上でやらなければいけないものとを分けていかないと、とても大変な作業になってしまうのではないかという気がします。

○和田委員
 東京小児科医会公衆衛生委員会での検討です。肺炎球菌とインフルエンザ菌がありますが非常に耐性度が高くなって、保育園に入る前は、鼻咽頭の検査をしてみますと、そこにあまり菌はないけれども、2、3か月経つと大体8割近く持っているということです。それをどうやって減らしていくかを考えますと、一つは予防接種をしっかりやるということと無駄な抗生剤を使わないということになります。その辺のところを保育園に預ける子どもの保護者に耐性菌の伝搬が集団保育の場でかなり早期発生していることをある程度わかってもらって、勧めていくということをガイドラインの中に入れることができればと思いますが。

○藤城委員
 先ほどの耐性菌の話にもなりますが、日常私たちが見ている子どもたちは体調が悪くなると薬をもらってきたりと薬の服用期間が結構長かったりします。そういうところでは私たちの方で3日以上飲んでいるよとコメント等を付けることはできますが、保育現場でどれだけ子どもたちを見ていけるのかというのは日々悩んでいるところですが、それを診ている地域の主治医の先生たちのところできちんとこういうガイドラインが普及されていかなければ、それが広まっていかないという現状があると思います。今回、東京都医師会でガイドラインについてどれだけ知っているかというアンケートをとっていますが、その中でガイドラインが出たことを知っているというのが60%ありました。日本医師会のアンケートでも4割は活用していたと思います。そういう形で自治体の医師会は知っているという回答は出ていましたが、実際にそれが本当に活用されているのかというと、普及はされていないという現状もありますので、そういうところも含めてドクターたちもこのガイドラインが乳幼児期の子どもたちの健康を守るというところで活用していただきたいと思いますので、その辺の普及も兼ねながらガイドラインが作成できればよいと思います。

○遠藤座長
 どうもありがとうございました。ガイドラインについてのいろいろな意見が出てきました。先ほど峯委員からもありましたけれども、特に学校保健安全法施行規則との整合性をなるべく合わせるという意味での修正ですね。ですから、これは一部でもよいのでなるべく早く発表できればと思いますので、次の回ぐらいまでに皆さまの案というか、しっかりしたものを。今回のままでよいのかどうか。その辺のことを出していただいて、これはなるべく早く公表した方がよいのではないかと思いますけれども、ガイドラインの中の修正に関しても十分盛り込むことはなるべく、どういうことをやるかということを具体的に次回までに事務局へ出していただいて、次回にはそれをまとめて検討するような形をとりたいと思いますが、いかがでしょうか。
 どちらにしても、修正はガイドラインとして全部を変えるのですか。今回の11月ごろに目指しているものは。

○橋本保育課長
 ガイドラインを頻繁に変更するというわけにはいかないと思います。なおかつ、11月ぐらいの時期には間に合わせるということもしないと、実務上のことを考えましたときに現場にいろいろな混乱も生じるだろうということがございます。
 従いまして、少し時間を要するような課題も提起されていますけれども、できる限り11月にお出しするものの中に間に合わせるべく努力する。その上で、どうしてもその段階には間に合わない課題が残ってしまうときには、その段階でまた改めて取扱いについてご相談させていただきたいと、今はそのように思っております。

○遠藤座長
 それでは、具体的に今後はどのように進めるのかということを、事務局から提案してください。

○丸山専門官
 先ほど、一度ご説明しましたが、今日皆さまからいただいたご意見を踏まえまして、早急に変えなければいけない部分と、今後少し時間をかけながら課題をという部分について、まず整理をさせていただきまして、早急に変える部分につきましては、修正したものを皆さまに確認していただくという作業をしたいと思います。そして、先ほどのお話ししましたエビデンスや予防接種等で新たに書き込むところについては、次回までに原稿案を委員の先生方にお願いしまして、それを第2回の検討委員会で皆さまにお示しいただいて、またそこで議論をいただいた上で修正をしていきたいと考えております。いかがでしょうか。

○遠藤座長
 いかがですか。その辺につきまして、何かご意見がございますか。

○石川委員
 では、この「保育所における感染症対策ガイドライン」が一つのたたき台で、これをどんどん直していくという理解でよろしいですか。

○丸山専門官
 はい。

○石川委員
 恐らく委員の先生方がまだお話しになっていないところで直した方がよいという意見があると思いますので、それを集めて修正してはどうでしょうか。私も、もっとたくさん言いたいというか、これはこのように直した方がよいのではないかというものがありますので。あくまでもこれをベースにして、例えば予防接種などは別に章立てしないと駄目ですよね。そういうことも加えていくという理解でよろしいですか。

○丸山専門官
 予防接種については、感受性のところで予防接種というコーナーがありますので、そこに新たに文章を加えていただきたいと思っています。感染症のガイドライン自体を変えてしまうと現場も混乱するので、今あるものに加筆していくようなイメージで今回は準備しております。
 ですから、今いただいた意見の中で、学校保健安全法施行規則と合わせて全体的に感染症として整合性を取っていく部分と、今いただいた保育所のガイドラインとしてという部分はもちろんあるので、その辺りは文章として示せる部分についてはそれを入れて修正を行いたいと思いますし、そこの部分のエビデンス等について議論が必要であれば課題を明確にしてという形で、その後また皆さまにお示しできるような形にできればと思います。

○遠藤座長
 それでは、最終的にこれを発表する時期もありますから、これを見直した方がよいという意見をいつごろまでに事務局に出せばよろしいですか。

○丸山専門官
 本日の意見を持ち帰らせていただいて、課内でもう一度相談しまして、あらためて皆さまにメールでいつまでにという期限をお知らせするような形にさせていただいてよろしいでしょうか。

○遠藤座長
 多分あまり余裕がないのだと思いますけれども、よろしくご協力願いたいと思います。

○橋本保育課長
 新たに書き下しをしなければいけない部分につきましては、特に専門的な先生方にお願いしないと、事務局では書ききれない部分が多いだろうと思いますので、特にその辺りにつきましてはお忙しい中で恐縮ですが、ご協力方よろしくお願いいたします。

○石川委員
 学校のところで問題になったことですが、「登園届」は結構問題になります。登園届は必ず必要であるか、ないか。それから有料の問題をどうするのか。それについて、学校はこうだけれども保育園ではこうだとするのかどうか。きちんとした見解のようなものをまとめていただいた方が。昨日もこれで30分も40分もやったので、お願いしたいと思います。

○遠藤座長
 この問題も質問が方々から出ているのです。実際に今まで答えているのは、地域で検討していただくこと。特にかなり前から医師の診断書や意見書は必要ないとしている地域もあるので、今さら出しなさいと言ったところで徹底できませんので、そういうところは地域でしっかりと議論ができて、そのように統一するというのなら、それはそうやってよいのではないかということできていますが、この辺はどうなのでしょうか。
 インフルエンザの流行のときに文部科学省からは、いちいち届出するのは医療機関が大変なので、そういうことまで要求するなという話が出てきて地域でかなり紛糾したのですが、地域の方でコンセンサスが得られれば、そういうやり方にして取る取らないは地域で考えてもよいという話になって、大体そのような方向で今は動いていたのですけれども、その辺は保育課としてどのように説明されていますか。

○丸山専門官
 法的には、これを出さなければいけないというものはないのですが、やはり保育所の現場としては感染を予防するという意味で保育所の施設長の方から医師からの「大丈夫ですよ」といったものがほしいということもあって、平成21年8月のガイドラインの中では参考様式という形で医師にいただいた方がよいものと、保護者でよいでしょうというものを示しているところです。

○遠藤座長
 この案を作ったときに、現場の園医からは、なるべく届けを出すものは減らすべきであると。しっかり教育すれば、もし届出が必要であれば保護者が書いて出せばよいだろうという話でしたが、いろいろなアンケートの結果を見ても、どうしてもこの疾患については医師の意見書が必要だということで、その時点では9疾患でしたが、まとめたものです。
 各地の実情を聞いてみますと、そういうものは要らないというところが結構ありましたので、全国統一して、これは必要だ、これはどうだということは現状でも難しいのではないかと思いますけれども、そういう縛りを付けた方がよいのでしょうか。縛りを付けても多分統一はできないだろうと思いますが。

○菊地委員
 実際のところ、市町村では登園届等について、医師会と行政の方で相談して、また園長会も入って。その用紙を持って、その区の医師会に加盟している医療機関へ行けば費用は無料であると。それで統一して出してくださいということで、そのように判断してやっているところがあります。そういうことも示さないところも当然あります。

○工藤委員
 世田谷区では、先ほど座長がおっしゃったように、保護者が医療機関へ行って、医師が登園許可の基準を見せて「ここに該当しているから登園しても大丈夫ですよ」と言われたことを保護者の責任において提出していただいているので、診断書ですとか登園許可書をまだとってはいません。ただ、区内でもやはり区立ではない保育所では登園許可書がなければ駄目だと言っているところもありますので、その辺では世田谷区も少し苦しいところではありますけれども、先ほどおっしゃったように、ほとんどの医療機関は医師会に加入していらっしゃるということで、登園許可を「○○先生に出していただいた」というと、その医師の顔が浮かぶというような地域の特性もありますので、そういうところで現在は運用させていただいています。

○峯委員
 問題は、登園許可書が出たことによって感染の確率がほぼゼロになったのかどうか。そういうところだったと思います。とても難しいことでして、最近はインフルエンザは迅速診断でA型B型までわかるようになりました。しかし、ヘルパンギーナとか手足口病など見た目の診断で、要するにウイルスとは全く無関係に、どんどんウイルスも新しく見つかっていく。そういうものに関しては、よく調べてみるとしばらくの間はウイルスを吐き出し続けるであろう。それでも、やはり登園許可書が必要だとなりますと、どこの時点で行ってよいと判断するかというのは、現場の医師が多分わからなくなっていると思います。
 そうしますと、要するに行ってよいというのは、本人にとっては熱もないし元気いっぱいで食べ物も食べられるのなら行ってもよいけれど、やはり行けば感染させてしまうだろうとわかってしまうと、では感染させなくなるまで行ってはいけませんというところに判断基準を置きますと、どんなに元気な子でも、あと1週間は駄目でしょうとなってしまうと非常に現実的でなくなってしまうのです。保育園・保育所が書いていただいたものをどのように評価するのか。それをどのように判断するのか。そして、それが安全だということで親御さんに説明するのかとなると、やはり今のように迅速診断を含めた診断のツールが増えてくれば、その辺の整合性が取れなくなっていくので、その辺は先生がおっしゃるように、地域である程度ばらつきが出てしまうのはやむを得ないことだと思いますし、医師会だけではなくて医師一人一人によってもばらつきが出てしまっているのが現状だと思いますので、要するに「これがあれば安全だ」ということでは残念ながら全くなくなってきているのが現場だと思います。その辺を保育園・保育所側でも理解していただけた上で書いていただくということでしたらよいのですが、「これがあるから安全だと言われたのだから、皆さん心配は要りませんよ」ということになってしまうと、恐らく書かない医師が増えてくると思います。

○藤城委員
 今、登園許可書について現場の医師がわからないとおっしゃったのですが、病気によっては症状が出る前に菌を出していたり、長期に排出しているものもありますので、その辺の基準が難しいのはわかりますが、医師でも判断が難しいものを保育所に委ねるというのは、それもまた危険な部分もありますので、今回は出席停止期間が明確になっているものや登園の目安があるものは、基準を守っての判断していただきたいと思っています。

○和田委員
 登園基準を徹底させないと意味がないと思います。登園基準を決めても実施が徹底されなければ。例えば足立区では登園基準を徹底させるために医師会や自治体が中心となって登園許可書の統一化あるいは書類の無料化を行ってスタートしたのですが、そのときはかなりの弊害がありました。例えば保育課へ連絡する。あるいは学校医会へ連絡する。それから教育委員会へと、いろいろなところへ連絡して皆さんの意見が合わなければいけない。ですから、地域性があって、これは要らないとおっしゃるところもありますけれども、皆さんが納得したところで各自治体がやっていくことしかないのではないかと思います。できれば登園基準を徹底して、無料化してやっていければ一番よいと思いますけれども、なかなかそうはできない。でも、それならそこの地区で話し合って、その地区のもので決めていかないと。決めたら、それに従うということをしていかなければ、徹底できないのではないか。

○工藤委員
 世田谷区の保育園もありますし、幼稚園もありますし、小中学校もあって、小中学校も保護者からの登校届というか名称は定かではありませんけれども保護者が書いたものでよいということに世田谷区立の小中学校はなっているという現状もあり、そこと合わせているところもあります。
 先ほどおっしゃったように、それだとしても、やはり登園基準というものがあって、それに基づいて医師に判断をしていただいて、保護者が出てもよいと言われましたといって出てきたとすると、医師がよいと言っているのだから、そこで保育士が「いや」とは言えない実情があるので、そこのところは医師に「どう言われましたか」と確認しながら、その後の感染が広がらないように対応するというところも現状としてはあります。
 世田谷区として、国立感染症研究所の先生もいらっしゃっているのですけれども、サーベイランスを紹介していただいて世田谷区内でもやっていますけれども、それを入れることによって保健所の人もよく見てくださるようになったり、園医さんも状況を見てくださるようになって、保育園の方に地域でこういう病気が流行っているということを教えてくださるというところが、導入した効果として出てきているところなので、感染症を発症したら、その後どうやってそれを抑えていくかということと、発生しそうになったときにどういう対応をしていけばよいのかというところを医師や保健所の方からご意見をいただきながら、保育園の職員がそれを忠実にやっていくというところもガイドラインに盛り込まれていくとよいと思います。

○遠藤座長
 この登園の目安だとか登園届・休園届にしても、この委員会の中でもこれだけの議論が出てきてしまうので、実際に登園の目安はどのように使うのか。それから、登園届のひな形は出してありますけれども、それをどのように使うのかということも解説した方がよいと思います。
 全国的に、少なくとも各園が独自で判断して、それぞれのやり方でやるなどということをされたら、地域の医療期間は非常に困ってしまうという問題もありますので、やはり地域としてある程度のコンセンサスを得られたものなら、必ずしもガイドラインに沿わないものでも地域としてこうやるということを明確にしておけば、地域としてはそういう対応ができるのではないかと思われますので、そういうものも含めて今回は入れていただければと思います。
 時間もだいぶ迫ってきたのですけれども、何か言い足りなかったことなどがありましたら、どうぞ。石川委員、いかがですか。

○石川委員
 後でメールなどで、ここはどうですかというようなことも。

○遠藤座長
 これは、どうですか。委員にはメールなどでできますか。できれば、その方がもう少し議論ができるのではないかと思います。

○丸山専門官
 皆さまにお集まりいただくのは難しいと思いますので、メールを活用して進めさせていただければと思います。

○遠藤座長
 皆さま、まだ言い残したことがあるようなお顔ですけれども、この続きはメールでやらせていただいて。
 それから、第2回にはある程度まとまったものを出すような方向でお願いしたいと思います。今日は慣れない進行役で失礼いたしました。ありがとうございました。

○丸山専門官
 ありがとうございました。それでは、最終的な確認という形で、今お話がありましたように、早急に改正する部分と、今回盛り込む部分ということで少し整理させていただいて、あとは皆さまに期限を決めてご意見をいただくように、とりあえずはそこをさせていただきたいと思います。その両方を受けて修正を行っていきたいと思っていますので、それもメールで進めていきたいと思っています。
 第2回は10月末か11月初めということで予定しております。事前に委員の先生方には日程表をお送りいただいていますが、その中では調整できませんでしたので、再度日程表につきましてもメールでお送りいたします。そこで出していただいたもので日程を調整し、これもメールで次回の日程をお知らせしたいと思っています。
 当初確認しましたように、今わかっているところでは、インフルエンザの部分については和田委員に原稿をお願いしまして、次回にその説明をいただきたいと思っていますし、予防接種の部分については多屋委員にお願いしたいと思っております。そこの部分については、お願いいたします。以上になります。よろしいでしょうか。
 それでは、本日の検討委員会はこれで終わりにさせていただきます。お忙しいところを、どうもありがとうございました


(了)
<照会先>

雇用均等・児童家庭局保育課

企画調整係: 03(5253)1111

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