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2012年9月28日 第7回医療事故に係る調査の仕組み等のあり方に関する検討部会

医政局総務課医療安全推進室

○日時

平成24年9月28日(金)


○場所

厚生労働省専用第22会議室(18階)


○出席者

会議メンバー(五十音順)

鮎澤純子 (九州大学大学院医学研究院医療経営・管理学講座准教授)
有賀徹 (昭和大学病院病院長)
飯田修平 (練馬総合病院病院長)
加藤良夫 (栄法律事務所弁護士)
里見進 (東北大学総長)
高杉敬久 (日本医師会常任理事)
豊田郁子 (新葛飾病院セーフティーマネージャー)
中澤堅次 (秋田労災病院第二内科部長)
樋口範雄 (東京大学大学院法学政治学研究科教授)
松月みどり (日本看護協会常任理事)
宮澤潤 (宮澤潤法律事務所弁護士)
山口育子 (NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長)
山口徹 (国家公務員共済組合連合会虎の門病院病院長)
山本和彦 (一橋大学大学院法学研究科教授)

参考人

矢作直樹(一般社団法人日本医療安全調査機構東京地域代表)

オブザーバー

内閣府
消費者庁
警察庁
法務省
文部科学省
一般社団法人日本医療安全調査機構

厚生労働省

吉岡てつを (医政局総務課長)
田原克志 (医政局医事課長)
宮本哲也 (医政局総務課医療安全推進室長)
川嵜貴之 (医政局総務課医療安全推進室長補佐)

○議題

(1)ヒアリング
(2)医療事故に係る調査の仕組みのあり方について
(3)その他

○配布資料

資料1第6回医療事故に係る調査の仕組み等のあり方に関する検討部会議事録
資料2診療行為に関連した死亡の調査分析事業の実務について
資料3前回(第6回)までの議論について
資料4調査に必要な費用の負担のあり方について
資料5捜査機関との関係について
参考資料1今後の検討方針について
参考資料2医師法第21条について

○議事

○川嵜室長補佐 
 定刻になりましたので、ただいまから第7回「医療事故に係る調査の仕組み等のあり方に関する検討部会」を開催いたします。本日は御多用の中、当検討部会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 本日は、岩井構成員、本田構成員より御欠席との御連絡をいただいております。
 また、本日は参考人として、診療行為に関連した死亡の調査分析モデル事業を実施している一般社団法人日本医療安全調査機構の東京地域代表であり、東京大学大学院医学系研究科救急医学講座教授の矢作直樹先生にお越しいただいております。
 続いて、9月10日付で事務局に異動がございましたので、御紹介させていただきます。
 医政局長の原でございます。本日は他の用務のため、欠席でございます。
 医政局総務課長の吉岡でございます。
 それでは、以降の進行につきましては、山本座長にお願いいたします。
 山本座長、よろしくお願いいたします。

○山本座長 
 皆さん、こんにちは。本日もお忙しいところをお集まりいただき、まことにありがとうございます。
 議論に先立ちまして、藤田大臣政務官から御挨拶をお願いしたいと存じます。
 政務官、よろしくお願いいたします。

○藤田政務官 
 皆様、こんにちは。本日もお忙しい中、御出席をいただきまして、本当にありがとうございました。そして、毎回活発な御議論をいただいておりますことに、心から感謝を申し上げます。
 きょうはこれまでの御議論の中で、診療行為に関連した死亡の調査分析事業の具体的な業務の現状についてお話を伺いたいとの御意見もございましたので、そのことを踏まえ、そして、この問題は検討事項の一つともなっておりますので、先ほど御紹介がございましたように、日本医療安全調査機構の東京地域代表である矢作先生にお越しをいただきました。後ほど、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 さらに本日は費用負担のあり方などについても御議論をいただくこととなっております。そして、本日の議論をもちまして、医療事故にかかわる調査の仕組みのあり方に関する検討事項につきましては、一巡することとなりました。委員の皆様それぞれのお立場、それぞれのお考えがおありだということは重々承知をしておりますけれども、是非ともこの間の御議論を踏まえまして、合意形成に向けて御尽力をいただきますように、心からお願いを申し上げます。
 そして、御承知のように、来月早々には第3次の野田内閣が発足をするということになっておりまして、政務も大幅に入れかわるのではないかと、このようにも思っております。私もこの会に十分出席できず、申しわけなく思っておりますけれども、いただきました皆様方の御議論をしっかりと受け止めさせていただいて、これからも立場は違うかもしれませんが、いろいろと努力をしてまいりたいと思っております。
 また、この検討会はもう少し議論が続いてまいりますので、後任もできるかと思います。あわせて、よろしくお願いを申し上げます。
 きょうもどうぞ活発な御議論をよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

○山本座長 
 ありがとうございました。
 それでは、事務局のほうから資料の確認をお願いいたします。

○川嵜室長補佐 
 それでは、お手元の資料の確認をお願いいたします。
 まず、座席表及び議事次第が1枚ずつです。
 配付資料といたしまして、資料1、前回の議事録でございます。
 資料2「診療行為に関連した死亡の調査分析事業の実務について」、5枚の資料でございます。
 資料3「前回(第6回)までの議論について」、これが32ページまでございます。
 資料4「調査に必要な費用の負担のあり方について」。
 資料5「捜査機関との関係について」、いずれも1枚です。
 参考資料1「今後の検討方針について」。
 参考資料2「医師法第21条について」、これもいずれも1枚です。
 このほか、第1回~第6回の資料について、青色の参考資料ファイルを用意させていただいております。
 以上でございます。乱丁、落丁等がございます場合には、事務局までお申し付けください。

○山本座長 
 皆様、資料は大丈夫でしょうか。
 それでは、本日の議事に入りたいと思います。
 まず第1の項目は、診療行為に関連した死亡の調査分析モデル事業との関係についてということで、ヒアリングを行いたいということでございます。先ほども御紹介いただきましたけれども、本日は矢作先生にお出でをいただいております。
 まず、矢作先生のほうからお話をお願いいたします。

○矢作参考人 
 ただいま御紹介にあずかりました、東京地域代表を務めさせていただいています東大の救急の矢作と申します。よろしくお願いします。座って失礼いたします。
 お手元の資料をごらんいただいて、これに即してお話をしてまいりたいと思います。
 1枚めくって「事業の対象」です。診療行為に関連した死亡について、死因究明と再発防止策を中立な第三者機関にて検討するのが適当と考えられる場合。死因がわからないような場合ですね。そういう事例を対象にしています。
 なお、本事業は現行の制度下で実施していますので、医師法第21条に基づく届出の対象となる、いわゆる異常死体については対象になりません。
 次に「受付事例の状況」です。昨日までの状況として、北海道、宮城、茨城から始まって、この10地域でトータル180事例です。細かい内訳は表をごらんください。
 次に「事業の流れ(従来型)」です。ほとんど今まで従来型なので、それをお話しします。細かいことを抜きにすると、最初に事例の受付をしますと、第1段階として、解剖をさせていただきます。実を言うと、この事業の流れの第1段階の解剖にこぎ着けるまでが結構大変なのですけれども、これは後でお話しいたすつもりです。
 やれやれというところで解剖にこぎ着けますと、例えば東京地域でいいますと、月、火、水、木、金の5日間をそれぞれ2つくらいの施設が当番制で曜日ごとに決まって担当をしていますので、その中で解剖担当が決まります。
 この解剖といった場合に、今のモデル事業は事例を非常に詳細に死因究明するために、例えば病理解剖ですと、当然、病理の先生が行いますし、法医解剖ですと法医の先生のみで行いますけれども、この事業では法医の先生と病理の先生とが両方とも入っていただいて、そこにさらに臨床立会といって、仮にですけれども、心臓の病気で亡くなったと推定された場合は、心臓の専門家の立会に入ってもらう。しかも、この臨床立会は基本的には、いわゆる専門医レベル。つまり質の担保をしております。
 それによって解剖が終わりましたら、解剖結果報告書案をつくっていただいて、それをもとの第2段階の評価委員会に諮ります。これはここに書かれていますように、委員長、解剖担当医の先生、評価委員が最低2つのジャンル。例えば心臓で亡くなったと思われても、心臓ですから循環器内科と心臓外科とか、そういうような感じで1つの科というか、領域だけにとどまらないように評価委員を配置しております。
 そこで評価委員会が評価結果報告書をつくりますと、第3段階というか最終段階で、いわゆる申請された医療機関と御遺族を個別でなく一緒の場所にお集まりいただいて、その評価結果を御報告し、質問をお受けするというような形でやっておりました。これが最初に亡くなられてから評価結果報告書の説明をいたすまで、大体6カ月を目標に頑張っております。
 次は「(1)申請の受付」です。ここに写真が出ていますが、最初に電話を申請機関から受けるのは、この申請は医療機関から受けるのであって、御遺族から受けるのではないので、御遺族と病院でお話をなされて、それを病院側が代表となって地域事務局のほうへお電話をいただきます。それで調整看護師が電話を受けて、内容を吟味してもらって、こちらは地域代表のほうに電話をいただいて、それで東京地域で言うと人がいるので、地域代表と病理と法医とで相談をして、それで事例を受けるということを決めております。
 次のスライドを見ていただくと、書類の取得の仕方です。ホームページを見てくださいということが書いてあります。
 次に行きますと「(2)解剖」です。解剖は、例えば医療機関Aというところで亡くなったとしても、基本的には当番の解剖をするところまで搬送いたします。搬送して、そこの解剖施設で解剖されますが、その前に御遺体とは別に主治医の先生にも来ていただいて、あらかたの臨床経過などをあらかじめ解剖する先生方がお聞きになります。それから実際に解剖が始まって、解剖結果報告書案ができます。
 解剖が終わったときに御遺族の方は当然お待ちになっていらっしゃいますので、まずその簡単なと言うとあれですけれども、解剖のときの肉眼所見を解剖担当の先生から御遺族のほうに、説明できる限りのことは御説明をさせていただいています。ただし、余り詳細に申し上げると、肉眼所見と実際の組織までやった、いわゆる最終的な報告でまれに異なる場合もありますので、一応その肉眼所見であるということと、結果として変わり得るという2点はきちんと御説明をいただいておるかと思います。
 次のスライドは「(3)地域評価委員会」と書いています。いわゆる解剖結果報告書案をもとに評価委員会を開く、この第2段階ですけれども、これの構成メンバーのことが書いてあります。委員長と外科系、内科系の両方の委員がまず入りまして、さらにその事例について評価委員が2人。ここに書いてある診療科の専門医、第1評価医と第2評価医の医師が2人。さらに臨床評価医、私ども総合調整、解剖した解剖医。それから、病院側を代表する方。病院というのは当該医療機関ではなく、病院から見た法的な対処というのですけれども、病院側の代表する法律家と患者さん、御遺族側を代表する立場に立たれる弁護士さん。その2人が入ります。
 この方々は余り言われていないかもしれないですが、弁護士の方々が入られるのは、この評価結果報告書が最後に患者さんに届くときに非常にありがたくて、我々としても医療従事者というのはある意味で閉じた世界ですので、一般の方にわかりづらい表現であったり、論理思考過程であったりするのを、いやいや、そうではないですよと言って調整していただくという意味で非常にありがたいです。そういうようなことで行われています。
 下に書かれている委員の選出というのは、この第1、第2の評価医ですね。こういうような方々を以下に書いてあるたくさんの学会から、当該の一番いいと思われる評価医を地域代表が、これをできませんかという調子で言って、その学会のほうにお願いをして、それで来ていただいています。
 次のスライドですけれども、ここは御遺族と調整看護師のお話です。この事業で非常に重要なのは、先ほどの弁護士の方の話をしましたが、もう一つ非常に重要なのは、最初の電話を受けてから事業から無事に第3段階の説明会が終わってお帰りになるそのときまで、一番最初から最後まで御遺族に付き添って対応をいたしているのが調整看護師であります。ですから、この調整看護師はもしこの仕組みがこれからも続けるに当たるとすると、最も大切なものであります。
 御遺族の窓口となる方を確認することが医療の基本の一つですけれども、窓口の方がぶれるといけないので、窓口の方を最初に先方で決められますから確認して、そこと話を進めていく。ですから、当然、解剖にこぎ着けるまで、解剖が済んでから評価委員会が開かれるまで、早くても1カ月、遅ければ数カ月かかりますので、そこの間を何度も何度もやり取りが必要な場合もありますから、そういうようなことを対応いたします。
 逆にそういう中で、こういう評価委員会に、あるいは事業そのものについて、わからないこととか、こうしてほしいこととか、説明してくれとかいうことがいっぱいありますので、そういう対応をしております。
 「(4)説明会」。この絵は実際の机を並べて、ここでは三角形に書いていますけれども、御遺族側と医療機関側等が一つの部屋の中で机を並べて、それを前に、ここでは委員長と評価委員と総合調整医と書いていますが、大体こういうような形で御説明をさせていただいています。
 終わりに近づいてきましたけれども、次に「協働型について」と書いています。先ほどまでの従来型に対して、協働型についてです。従来型は当然、第三者機関で全てやってしまっていたのですが、正直に言うと必ずしも現場は医療資源が潤沢でなく、もう一つ重要なことは、現場にわかることもあるので、その両方の意味もあるのですけれども、やはり資源の問題は切実なので、ある程度の大きい機能の高い病院に関しては、その病院と第三者性を担保するために、機構から人をお送りして、協働で今までやってまいったような事業を事例に応じて行うことを試みとして始めました。
 このポイントは第三者性をきちんと保つために結構気を使っていて、例えば最初から外部員が何名か入って、しかもしかるべき人が入っていないと、あらぬ方向に行ってはいけないので、ちゃんとした委員を機構側から参加させていただくというようなことであります。
 ページをめくっていただいて、「『協働型』に申請可能な医療機関の要件」と書いています。これはある一定の要件を満たさないとなかなかできないので、一言で言うと大きい立派な病院ということですけれども、(1)は専従の医療安全管理者がいるということ。(2)は普段たくさん医療関連事象が起こりますので、そういう有害事象やヒヤリハットなどをちゃんと抽出して改善する活動をしている。しかも、それを院外にきちんと報告しているというプロセスを踏んだ実績のあること。普段の診療業務の中でのリスクマネジメント委員会をやっているとか、例えば院内での病死なども事情があって院内調査をするときに、外部委員をきちんと入れているという実績があるとか、あるいは(5)の医療監視、医療機能評価機構などの外部機関により、きちんと適正であると評価されているということが要件としてあります。
 従来型と協働型の比較は、今、申し述べたような中に入っていると思うので、この下の比較表を見ていただければよろしいかと思います。
 最後のスライドです。従来型に対して協働型というのは、形の上で違うところは、機構からの人が入って第三者性を担保しながら、解剖事業あるいはその結果の報告書をつくった後に、今は従来型ですと地域評価委員会でもって評価されているのですが、これが中央審査委員会というところで審査されております。私はこれに出たことはありません。
 以上です。

○山本座長 
 矢作参考人、ありがとうございました。大変わかりやすく全体像の御説明をいただけたかと思います。
 今の矢作参考人からの御説明に対する御質問でも結構ですし、本日の検討事項の一つとして、この医療事故調査の仕組みのあり方について、このモデル事業との関係をどのように考えるのかという論点もあります。その点についての御意見でも結構ですので、自由に御発言をいただければと存じます。
 中澤構成員、どうぞ。


○中澤構成員 
 幾つかあるのですけれども、一番最初に御確認をお願いしたいと思います。事業の対象というところで、死因究明と再発防止策を中立な第三者機関において検討するのが適当と考えられるということが書いてあります。これは要するに再発防止が目的なのか、死因究明が目的なのかというところを、第三者機関はどういう立場でやっておられるのかということが1つ。
 「(4)説明会」がありますが、その構成の中で主治医と遺族と委員長等で並んで説明をされるということをこの表を見て感じることなのですが、主治医と遺族の話し合いが対立関係にある場合でこういうことが行われるのか。全く対立関係はないのだけれども、死因がわからない、あるいは今後の再発防止に重要だからということになのかということが2つ目です。
 もう一つは、医療機関の届出となっているのですが、医療機関のほうはどういうことでこれをお願いするのか。今、言ったこととダブると思うのですが、再発防止のために死因究明をしてくださいということなのか、あるいは患者さんが納得した説明が得られないので死因究明をお願いするのか。医療機関の立場で申請した場合は、大体どのようになっているのか、内容をお聞かせいただきたいと思います。

○山本座長 
 矢作先生、お願いします。

○矢作参考人 
 最初にまず1番目です。この事業の対象のところですが、これはモデル事業のホームページにも書いてあるのですけれども、死因究明と再発防止の2本の大きな柱ですね。もうちょっと言うと、死因究明と医療の妥当性も一応やっているのですが、2本柱としては死因究明と再発防止です。やはり死因究明なくして再発防止はありませんので、この両方をやっております。
 2番目ですけれども、説明会はいろいろあります。対立関係という言葉を使ってしまっていいのかどうかわかりませんけれども、遺族と医療機関との間に感情的なものも含めて、うまく疎通ができていない場合もありますし、関係が良好という言い方はあれですが、特にそういうようなわだかまりがないものもあります。ただ言えることは、基本的には双方がよくなくても、よくても、机の置き方は多少それこそ、一番その辺の機微に富んでいる調整看護師が非常に絶妙な配列をしてくれますが、基本的は同時にいるということです。この三者が同時にいて、一つのことを同時に両者に申しますので、片方は聞いた、片方は聞かないということはないような仕組みになっております。
 3番目ですけれども、申請した病院の赤裸々な本音といいますか、申請するときのお気持ちはいろいろです。単純にびっくりして、何で亡くなってしまったのだろうというので家族と話して、自分のところでもいいけれども、第三者性を担保してもらうためにモデル事業に申請しましょうと出してきたところもあれば、我々医療者としては大体わかっているつもりだけれども、家族が御理解をいただけないのでお願いしますというようなものまで、基本は異常死体とはっきりわかってしまっているもの以外は、建前は死因がわかっていないものとなっていますけれども、場合によっては死因がおおよそ病死でいいだろうなというものとか、あるいは有害事象が起こってから亡くなるまでものすごく時間が経ってしまって、これは、死因は多分わからないだろうなということも含めて、全部率直に医療機関を通じて御遺族にもお話をしていただいて、それでもよければどうぞという感じで受けております。それは本当に千差万別です。
 以上です。

○山本座長 
 よろしいですか。

○中澤構成員 
 大体わかりました。

○山本座長 
 山口構成員、どうぞ。

○山口(育)構成員 
 私は3つほど質問がございます。
 まず、1つ目です。私は大阪の地域評価委員会にかかわらせていただいていて、最近、評価委員会の開かれる頻度が非常に増えているなと感じています。もし今後、第三者組織をつくるとしたときのニーズの問題もあるので教えていただきたいのですが、数を見ますと大阪がこれまで39、東京が67とあって、地域によってはまだ2例とか4例とか非常に数の少ない地域があり、ばらつきがあるなと今の御説明をお聞きして感じました。少ない地域はニーズが少なくて少ないのか、周知がされていなくて少ないのか。そのあたりの原因をどのように把握されているのかというのが、まず1点です。
 次に、御説明の中で調整看護師の必要性に触れておられましたが、私も同感です。実際に調整看護師の研修はどのような内容のことをされているのか。マンパワーを含めて、今はどういう課題があるのかということ。人数が足りているのか、募集をして人が来るのか。そのあたりのところが2点目です。
 3点目は、先ほどのお話にもあったのですが、説明会で御遺族と医療機関が同じ説明を受けることは本当に大事だと思いますけれども、数少ないのですが、医療機関や主治医を糾弾するような結果になってしまった場に同席するような経験もしています。そのあたりは内容によっては非常に難しいなと実感をしているところですが、そのあたりの医療安全調査機構としてのお考えもお聞かせいただければと思います。

○山本座長 
 お願いします。

○矢作参考人 
 まず、1つ目です。地域のばらつきは複数の事情があるかと思います。一番単純な事情は、少ないところで例えば岡山、福岡、宮城とか、これは事例の受付の開始をした時間が全然違います。つまり、もとからあったところとつい最近始まったところとありますので、それが1つあります。2番目としまして、やはり地域によって届出基準がある意味では裁量の中に埋もれる可能性もあるようなところもあるので、そういうような意味での地域差もあるかと思います。その2つが大きいかと思います。
 2個目ですけれども、調整看護師の研修の内容です。恥ずかしながら、私が答えるよりも事務局のほうがよろしいかと思います。私は看護師をやったことがないものですが、よろしいですか。

○山本座長 
 では、御発言をいただけますか。

○日本医療安全調査機構事務局(畑) 
 中央事務局の畑と申します。お世話になっております。
 調整看護師の研修について、簡単にお答えをさせていただきます。基本的に年に2回、事務局連絡会議というものを行っております。その中で研修として位置づけておりますが、各地域の情報交換をまず実施しております。また、遺族の心理について、講師を呼んでお話を伺ったり、メディエーションのスキルまではいかないのですが、気持ちを持って遺族に対応できるようにグリーフケアの研修もしております。
 先ほどの写真にもありましたけれども、受付の対応から始まりますので、前回の研修ではそういう場面のロールプレーをして、学習しています。あとは外部研修の補助といたしまして、年間5万まで医療安全の40時間の研修に受講できるような制度を機構になってから設けています。
 「院内事故調査の進め方」についても、協働型を実施する際には、やはり調整看護師の知識としては必須でございますので、講師を招いて学習会を実施しました。これから本当に学習をしていかなければいけないなと感じておりますが、現在このような研修を実施しているところです。

○山本座長 
 ありがとうございました。

○矢作参考人 
 3番目の説明会です。確かにおっしゃるように、医療機関と御遺族の関係が必ずしも良好でない場合も当然あるわけです。全ての場においてバトルにならないという保証は確かに難しいのですが、どうしてもその一つのところに入らなければいけないものですから、闘牛と一緒で逃げられないのですけれども、例えば机の置き方や距離は言うと単純ですが、調整看護師が机を配置してくれていますが、それはそれは心配りの細やかなものです。微妙に角度がこうなっているがために目が合わないとか、結構そういうところは実は重要で、お花の飾りつけと一緒だと思いますが、そういうのは逆に微妙に御遺族なども感じ取られているのではないかと、私は見ていて思いました。同じことを聞くのでも、なるべく気分よくとは言いませんが、そういう気配りの中で聞かれるような形はよろしいのではないかと思っております。それでもなってしまうこともあるのかもしれませんけれども。

○山口(育)構成員 
 調整看護師さんの人数が今、足りているのかどうかというところとか、募集してアプローチがあるのかどうなのか。そのあたりを教えていただきたいと思います。

○日本医療安全調査機構事務局(畑) 
 それでは、事務局からお答えさせていただきます。
 調整看護師の人数は予算とも関連しておりまして、足りていると言えば、地域的に事例が集中しているところはどうしても足りていないとしか言いようがなく、いつ、どこで、どのくらいの事例が出るかは予想がつきませんで、そこに人員を配置して反対に事例が出なかったときに事例対効果が少ないのではないかと言われるような事業仕分けもありましたので、人員配置については非常に苦労しているところです。
 大阪が昨年から今年にかなり続けて事例が出まして、大阪の人員についてはすぐに補充をしたかったのですけれども、すぐには応募がなく足りない現状です。

○山本座長 
 加藤構成員、どうぞ。

○加藤構成員 
 どうもありがとうございました。加藤です。
 3点ほどお尋ねしようと思います。このモデル事業の受付に当たっては、各医療機関が自前の院内事故調査をそれなりにしていただくようになっていたかと思いますけれども、医療機関が院内事故調査報告書をまとめたものと、この評価委員会がまとめた報告書は若干内容的にも違いがあるのだろうと思いますが、矢作先生から見ていて、どんな感想をお持ちなのか。
 そういう質問の背景には、幾つかの医療機関の院内事故調査報告書を見る機会があるのですけれども、どうしても不十分といいましょうか。ある意味では紛争とか訴訟とか、そういうことを意識してか、結論を先に引き出しているような、要するに責任がないみたいな、そういう方向に流れがちという部分が現時点では色濃いように私は感じているので、公正さとかきちんとした自前の自律的な客観的な評価の難しさとの関係で、どんなふうにお感じなのかを率直にお聞きしたいというのが1点目です。
 2点目は、受付事例の状況という表を見ますと、東京は断トツに多いわけですけれども、今後、東京を拠点にして、例えば千葉とか周辺の県の事例でもこのモデル事業が展開できるように、ある種ここにあるところは拠点となって、その周りの地域にモデル事業を広げていかなければいけないだろうなと思うのですけれども、そういう働きかけとか、そういうことを東京地域ではどのようにされているのかということと、その可能性ですね。要するに、モデル事業の関東周辺へ広がっていく可能性についてのことをお尋ねしたいと思います。
 もう一つは、専門医を各学会から推薦ということがお話にあったと思いますけれども、評価委員として加わった臨床の先生方のある意味ではどういうやりがいというか、前向きな印象で引き受けてもらえているのか。その辺のところは、東京地域ではどんな感じでしょうか。その辺をお尋ねしたいと思いました。
 以上、よろしくお願いします。

○山本座長 
 お願いします。

○矢作参考人 
 1番目のいわゆる当該申請機関の院内事故調と第三者機関での評価は乖離があるか、あるいは乖離がないかをお聞きされていることに関してです。正確な比率は数字で出していないので数字的には言えないのですが、主観になってしまいますが、過半数は予期に反してとあえて言いませんが、大体そんなにむちゃくちゃなことはないです。ただ、まれにというか、比較的マンパワーが少ないところですと、例えば院内で医師の数が少なければ、当然、委員に選ばれる先生がかなり当該科と離れてしまう場合、あるいはそれでしか構成できない場合という構成要件の問題で正確なものが難しいのかなというのはあります。ただ、さすがに第三者機関に申請を要請されてくるだけあって、ある意味では非常に良心的に審査をされているように見受けます。
 2番目ですけれども、例えば東京ですと神奈川や千葉や埼玉とかに広げるかというお話です。現状では、そういう動きは実はしていませんでして、まれに隣接他県から、どうしたらいいのでしょうねと聞かれるときがあるのは事実ですけれども、本当は47都道府県を全部カバーできるようにしないといけないのだろうとは思いますが、いかんせん今はまだこういう試行事業という中で、率直に私の知らない部分があって、これは何で他県に余り広げないのでしたか。

○日本医療安全調査機構事務局(畑) 
 東京では千葉県から1例あります。遺体の搬送が可能な地域であれば、お受けしていこうという方針でございます。

○矢作参考人 
 そういうことですので、このくらいでも務まっているということですね。
 3番目。学会から評価委員を引き受けていただける先生の動機とかモチベーションですけれども、本音は、最初は学会から言われたから学会の看板をしょってくるんだと思っていらっしゃると思います。そういう義務感半分、やってみると意外といろいろなことがわかるという意味での当事者意識。その半々ではないかと感じております。
 以上です。

○山本座長 
 有賀構成員、どうぞ。

○有賀構成員 
 昭和大の有賀です。
 今、加藤委員から御質問のあった真ん中のことと少し関係があるのですけれども、教えてください。私が勉強した際においては、きょうは高杉先生もおられますが、地域の医師会の先生方が病院での今回のような形で第三者的な目線で、いろいろな意味で調整をしてほしいというリクエストに応えているというような、茨城県や福岡県も最近始まったと聞いていますが、愛知県などはこの事業よりもっと昔から病理の先生が4つの大学だと言っていましたけれども、スクラムを組んでおやりになっているという話を聞いています。
 先生がきょう御説明くださったこの事業はそれらの先行する地域の医師会、東京都にはありませんが、県医師会、道医師会などの活動とどんな形でシンクロできそうなのか。今までにもしシンクロしているようなことがあればそれなりに、もしなければ、先生のそういう意味でのお考えを少し聞かせていただきたいと思いますので、教えてください。

○矢作参考人 
 まず現実として見ると、それこそ福岡県みたいにモデル事業のやっているところが県の医師会の中にあるという感じのところもありますし、日本というと地域差が非常に大きいので、地域に応じて柔軟にその辺の一番いい形をつくれれば、余りこだわる必要はないのではないかと。逆に地域はみんなそれぞれ地域を持ち上げようと知恵を出しますので、中央がどうこうということよりも、地域で自立的にいい形はつくれるのではないかと感じております。
 以上です。

○有賀構成員 
 東京はもう少し広い範囲でやっているのかなと思ったら、千葉という話が出ましたね。ここに岡山とか福岡とか書いてありますが、兵庫は兵庫県ですね。岡山は岡山市でなくて岡山県ですね。そういう意味では、福岡にある地方本部が九州全域をカバーするというわけでは必ずしもなかったという理解でいいのですか。

○矢作参考人 
 そうです。

○山本座長 
 ほかにいかがでしょうか。
 豊田構成員、どうぞ。

○豊田構成員 
 説明会のところです。遺族と当該の医療機関が同席するというお話に戻るのですけれども、これはもともと医療機関のほうから申し立てている訳ですが、このように同席した形でお話を聞くのは病院として余り行いたくないみたいなことを事前に言われたりすることがあるのかということと、実際に山口構成員がおっしゃられているように、説明会が行われた後に、こういう形はやめてもらったほうがいいという意見が出たことがあるのかを一つお聞きしたいです。
 もう一つは、協働型のところです。目的の説明の2番目のところで、第三者性を担保し、院内で公正な調査分析が行われるよう支援するということですが、私はこの協働型ができたと聞いたときに、院内で事故調査をやらなければならないのは当然のことなので、そのやろうとしている医療機関に対して第三者性も必要だし、外部委員にも入っていただきたいし、調整看護師のようなノウハウを持ったような人もいて、やっていくということが必要なので、そのような方々が介入し、院内をサポートしてくるような仕組みなのかと思っていました。
 でも、実際はマンパワー不足なこともわかりましたし、協働型には要件がありますけれども、その中で院内の事故調査をサポートすることが目的なのか。そのあたりをもう少し御説明いただきたいです。

○山本座長 
 お願いします。

○矢作参考人 
 最初の説明会のほうですけれども、これは申請をするのは医療機関なのですが、最初に御遺族と医療機関とか医安調への申請をするときの要件を共有していますので、当然その説明会のときには一緒に話を聞く。つまり公平に情報が入る。そういうこともお話の中で同意して、それから申し込まれているので、少なくともこちらに聞こえてくる分では、そういうような不都合は聞いていないです。
 2番目の協働型ですけれども、御質問の趣旨はちゃんとした審査、公平性、第三者性を担保したものができるかどうかということでよろしいですか。

○豊田構成員 
 院内の事故調査をやることがメインで、そこをサポートする仕組みなのか。それとも第三者性をとても重要視しながら、院内にむしろ協力をしてもらっているのか。そのイメージがわかりにくいのです。

○矢作参考人 
 本音で言うと両方です。茶化しているわけではなくて、それはどういうことかと言うと、1つはリソースとして立派なものがあるので、それを使うのもありますし、もう一つは、ゆくゆくこの事業は、今は機構がやっていますけれども、恐らくこれが実際に普遍的に広まっていくには、現場が自立していくのがあるべき方向として大切だと思います。そういうものに対してのパイロットスタディー的な意味もあると思います。病院側がしっかり頑張るのもありますし、第三者性を担保することに物すごく気を使っていますので、それで両方と言ったのです。

○山本座長 
 いかがでしょうか。
 宮澤構成員、どうぞ。

○宮澤構成員 
 協働型についてお聞きしたいです。千葉の事例は恐らく協働型でやられているとお聞きしていますが、その事例の中で、今まで従来型の場合は患者側と医療側の両方から弁護士が出ていたと聞いていますけれども、協働型でおやりになっているときには、患者側だけという形でおやりになっているとお聞きしています。中立性ということを考えると、今まで従来型は両者の弁護士がそれぞれの立場の中で関与してきたと思いますが、協働型になって片方だけという形にされたのは、財政的な理由なのか。何かほかのお考えがあるのか。その形でずっと進めていくという御予定なのか。そのところを少しお聞きしたいと思います。

○矢作参考人 
 それは私は知らなくて、山口先生。

○山口(徹)構成員 
 お答えさせていただきます。先ほどのお話もありましたが、基本的に協働型は、院内で外部委員を入れた事故調査をやった経験がちゃんとあるところは対象になっていますので、基本は院内での事故調査をやるということなっています。公平性を担保するという形で外から外部委員として参加する。解剖にも立ち会うけれども、解剖の主体は院内の病理が解剖して、それに外部から立ち会うことでちゃんとした解剖をやっていますということを担保しようとしています。
 あとは今、東京地域では普通の評価委員会にはそれぞれ学会から推薦された委員、解剖医、弁護士さんは病院側、患者側、そのほかに内科学会、外科学会から同じ専門領域外の臨床医として参加していますから、それがフルメンバーという格好になっていますけれども、実際には協働型になると参加できる人数が院内から半分、外から半分という形になっていますから、必ずしも患者側の弁護士さんだけに限るということに決まっているとは、私は承知していないのですが、そのときによって有識者の代表として弁護士さんも一人入ってもらうということが基本になったのではないかと思います。
 ただ、半分は病院側の委員が参加していますので、病院側については病院側のそれなりの弁護士さんが相談をされているだろうということもある可能性はあると思いますが、患者側の弁護士さんでなければいけないということには決めていないと理解しています。

○山本座長 
 よろしいですか。どうぞ。

○宮澤構成員 
 1名にしていくというのは従来型とは違ってきているというところなのですけれども、そこは予算の問題等が原因ということなのでしょうか。

○山口(徹)構成員 
 もちろん予算の問題も非常に大きくて、参加人数をどんどんふやすわけにはいかないということもありますし、茨城の業務も調整看護師の予算の関係で減らされて、東京地域事務局に事業を吸収したというようなこともあります。ただ、従来行ったような評価委員会くらいのボリュームを病院半分、外部からのモデル事業から半分というような形に、考え方としてはなっていると思います。

○宮澤構成員 
 その協働型でおやりになった千葉の案件は、実は病院のほうで患者側の代理人しか弁護士が出ないということで非常に強い不安を覚えているという意見を聞いておかりました。という意味でお聞きして、例えば今のお話ですと、医療機関側の院内の調査委員会の中で顧問の弁護士さんなどがいて、それが一緒に出ていくということは、特に拒否しているわけではないと考えてよろしいでしょうか。

○山口(徹)構成員 
 私どももそこまで詰めた議論をしたことはありません。病院側の委員として病院側の弁護士が参加できるかという話は、原則、弁護士さんが病院側の委員に入るというふうには承知していないです。

○矢作参考人 
 1つよろしいですか。多分そこで重要なことは最初に共有しておかないと、ここで言う弁護士さんは、いわゆる訴訟を待ち構えて、指なめなめというのではなくて、医療従事者と一般市民との間の通訳のようなものだと思っていただいたらいいと思います。ですから、別に立場的には病院側の弁護をしていますという先生、あるいはその逆でも、この委員会では別に団交して、お前が悪いとか、そういうのではなくて、こういうような見方を患者さんだったらしますので、それがわかるように言葉をこういうふうにしてください、あるいは論理思考をこういうふうにしてくださいというような意味での弁護士です。
 それは実は一般にも正しく伝わっていなくて、評価委員の中に弁護士が入っているから訴訟になるだろうとか、あらぬことをどうしても心配されるところがあるようですが、全く関係はなくて、よけいなことを言ってしまうと、弁護士さんも自分のクライアントでなければ突然第三者になりますので、どちらの立場であろうと非常にフェアに通訳をしてくださっています。
 私はこの事業をずっとやってきて、いかに我々の言葉がある意味でわかりにくい言葉であるか。弁護士という人はそれを通訳してくれるという意味で、非常に重要な役割をしてくれていることを強調したいと思います。
 以上です。

○山本座長 
 よろしいですか。

○宮澤構成員 
 そのとおりなので、ただ、今、いみじくも言われたように、浸透していないときには不安を持つということがあるので、それを注意して対応していかなければいけないだろうということを一言だけ。

○山本座長 
 それでは、飯田構成員、どうぞ。

○飯田構成員 
 ますます聞いていてわからなくなったのですが、そもそも事業の対象がよくわからないです。文章を見るとわかるのですが、医師法21条の適用を対象外とするけれども、21条に対する考え方はすごく違いますね。医療側も弁護士さんも裁判所もです。対象枠はどうやって決定するのですか。それをまず聞きたいです。決定は不可能だと思います。
 死因が明らかでない死亡例。明らかでない死亡例はなかなか難しいです。言葉は簡単で明解に書いてありますが、実際の現場では両方とも不明確で、私には理解できないです。むしろ、あいまいなほうがまだわかりやすい。

○矢作参考人 
 全くそのとおりです。ですから困るのです。もっと言うと、医師法21条という運用が非常に難しいところ。ただ、先生に申し上げたいことは、ある意味では駆け込み寺的な機能を果たしています。つまり、わからなければ相談をしていただいています。その中で個別にケースごとに判断させていただいています。それは非常に真理を突いていて難しいです。我々もある意味、すっと判断をしかねることがあります。
 ただ、このモデル事業があるために、今までは病死か異常死体しかなかったわけですね。それを言葉は悪いのですが、もう一つ行き場があるという意味で、数は多くないですけれども、現実に駆け込み寺機能を果たしていると私は感じております。

○飯田構成員 
 ADR、駆け込み寺機能は極めて重要だということは認めます。このモデル事業の目的ではないです。よろしいですか。目的はいみじくも原因究明、再発防止とおっしゃったのです。今お話の内容は目的ではないです。波及効果や付随効果があるのは結構です。ところが、最初の対象に関して、そこまで広げているのは手が足りなくなるのは当たり前です。そんなことはできっこないです。ですから、きちんと目的を決めて、対象を決めてやっていただきたいと思います。第1点。
 もう一点は、今のお話につながりますが、目的です。ずっと議論を聞いていても、ほとんど第一義的にADR、駆け込み寺、納得させるということになっているので、私はちょっと違うと思います。そういう機能は別の枠組みではいいです。あるいは紛争解決。それは裁判であろうがADRであろうが結構です。その機能は重要ですから否定しません。ところが、このモデル事業の目的ではない。それをよく認識してほしいです。
 私も厚生科研費をいただいて、調査をやってヒアリングをしています。固有名詞は言いませんが、このモデル事業に申請してよかったという病院があります。それは最初からもめそうだから、ここに出して患者さんに説明してもらえてよかったということです。目的とは違うのがわかっている。そういうものを受けていること自体が私は問題だろうと思っています。
 以上です。

○矢作参考人 
 御趣旨はよく理解するのですけれども、医療現場では死因がきちんとわからなければ、当然説明も難しくなりますでしょう。その中で第三者が入ってもらうことで、いい意味での第三者性を持って死因究明をしてもらうことでわかってくる部分があるとお考えいただければと思います。

○飯田構成員 
 ですから、第三者性、公平性、透明性、そういうことが必要ないとは言っていません。このモデル事業の目的とは違うので、はっきりしていただきたいということを申し上げているのです。そういう目的に関しては、別の枠組みでつくるべきだと私は思っています。そうでなければ、幾ら人がいても足りません。

○山本座長 
 御意見だと思いますので、これ以上は結構だと思います。
 それでは、既に予定していた時間が超過をしておるのですけれども、よろしゅうございますでしょうか。
 矢作先生、長時間にわたり、どうもありがとうございました。事務局も大変ありがとうございました。
 それでは、このモデル事業との関係は今後の議論を進める中でも、適宜振り返って、戻ってくるところがあろうかと思いますが、とりあえずこの議題はこの程度にさせていただきます。
 引き続きまして、前後しますけれども、前回までの議論のまとめを事務局のほうで作成していただいておりますので、資料3について御説明をいただきたいと思います。

○宮本室長 
 資料3について説明させていただきます。前回までの議論についてをそれぞれ整理をしたものでございまして、前回の議論に伴いまして、変更した部分を簡略に紹介したいと思います。
 5ページ「3 医療事故に係る調査を行う組織について」の「1)調査を行う組織について、その基本的な考え方について、どのように考えるか」。
 そのうちの(1)どのような機関が行うことが適当かという部分ですが、7ページにまとめております中で、前回の議論を受けまして若干変更しております。2つ目の部分ですが、1つ目には第三者機関が必要なのではないかとしているわけですが、それに対した形で「少なくとも、院内調査をサポートするための第三者機関はあっても良いのではないか」ということで、若干修正を行っております。
 22ページ「5 第三者機関における調査の実務について」の部分を御検討いただきましたので、この部分の発言を整理いたしまして、まとめております。
 「(1) 原因を究明し、再発防止を図るという調査の目的に照らして、その調査の実務についてどのように考えるか」ですが、28ページに4つに分けてまとめております。
 1つ目ですが「第三者機関における調査は、高度に専門的、化学的な事象について検証するものであるとともに、いわゆる院内事故調査が適正公正に行われるために、指導的、教育的な役割を果たすものではないか。また、調査報告を統合し、再発防止のために、全国に情報提供を行うべきではないか」。このようにしております。
 2つ目と3つ目は、対比した御意見を違いがわかる形で集約しております。細かい違いはさらにあると思いますが、大きな違いを強調するためにこのような形でまとめております。
 「調査の必要な事例が認められた場合には、医療機関は第三者機関へ全例を届け出させるべきではないか。第三者機関は、その届け出を受け、調査方法を調整し、獲られた結果を公開するべきではないか」。
 「他方、最初は院内事故調査を行い、その結論にまだ検討が必要と判断された場合は、次に第三者機関に調査を依頼するという、二階建て構造をとるべきではないか」。ここは大きな違いかと存じましたので、このようにまとめております。
 それから、「他方、院内での事故調査の仕組みを、全国の医療機関が同じように一定のレベルでつくっていくことは、現実としては難しいのではないか」。このような御意見もまとめております。
 29ページ「(2) 必要な調査項目についてどのように考えるか」。解剖や死亡時画像診断についてはどのように考えるのか。こういったところの御検討をいただいていまして、31ページにまとめております。
 「医療記録や患者側・医療側のヒアリングなどを通じて、調査報告書を作成する。可能な限り、解剖や死亡時画像診断を行い、死因の究明を行うことが重要ではないか。また、どの地域であっても解剖ができる体制整備に努めていく必要があるのではないか」。このようにまとめております。
 32ページ「6 医療安全支援センターとの関係について」は、「医療安全支援センターは、遺族や市民からみると気軽に相談できる窓口である。医療事故に係る調査は余り協力いただく部分はないものの、遺族の第一番目の相談窓口としては有効なのではないか」。このようにまとめております。
 以上です。

○山本座長 
 ありがとうございました。
 それでは、このまとめにつきまして、御意見、あるいはこういうところが漏れているのではないかというところがございましたら、お願いします。

○中澤構成員 
 前回、私の意見がポイントになりましたので、それについての感想を幾つか。
 1つは、院内調査が難しいのではないかと私が述べた形が、サポートする形であればいいということなのですが、私の考えでは第三者機関ということがまだ明確に議論されていないような感じがするんです。ですから、皆さんはいろいろな第三者機関をイメージしていていただいて、それがはっきりされていない中で、一応仮に第三者機関というものをつくっておいて、やろうというような方向で来ていますので、私の考えとしては、振り返りは第三者機関そのものの役割はどうかという本質的なところを議論していただきたいという意味があります。
 一番最後の病理の解剖の問題ですが、私はこのときに病理医は本当にいないので、地方にこういうものを広げていくことについて、現実的には無理ではないかと指摘をしているので、事実でないところに立脚したプランが立てれば、もう最初からその地域はこれには参加しないという形にならざるを得ない。その中で鮎澤先生でしたか。解剖は条件にするべきではないという御意見が出されましたので、その辺も入れておいていただかないと、本当に解剖医を全部準備して突っ走るのだというような無理なことを考えなければいけないということになるので、実際にこれだったらやれるという方向性の中で議論をされるのがいいのではないかと思います。

○山本座長 
 ありがとうございました。
 第2点は、恐らく事務局の意思としては31ページのところですが、「可能な限り」という言葉の中にそのニュアンスを込めたつもりではないかと推量しますが、確かにもう少し明確に書くほうがいいかもしれません。
 有賀構成員、どうぞ。

○有賀構成員 
 ここで議論されている本質と少しずれるかもしれないのでどうしようかと思っていたのですけれども、病理解剖はここに「可能な限り」というのは、大学病院でも全くそのとおりなので、可能な限りなのですけれども、基本的に医学の大事な部分を占めるということに関しては、どなたも異論はないと思います。
 モデル事業との関連でいいますと、これは矢作先生に教えていただきたいのですが、先ほどの医師会そのものがモデル事業の本部になっているようなところもあるという話ですね。モデル事業における解剖は、例えば昭和大で起きた事例に関して言うと、昭和大では解剖をしないで違うところに行きますね。つまり御遺体が移動する。その施設が解剖できるところであったとしても、違うところに行く。
 遺体が移動することによって剖検ができる仕組みがあるというふうに考えますと、モデル事業の中ではそのようにできる。違うところに行くというのを頭のすみに置いておいて、そういう仕組みを例えば地域の医師会などが上手につくっていけば、もともと病理解剖ができない病院であったとしても、病理解剖が得られるという仕組みに、これをてこにしてつくれるのではないかということについて、頭の体操的には思うのですけれども、先生はどう思われますか。

○矢作参考人 
 多分そうだろうと思います。勿論、絶対的にないというのであれば困ってしまうのですけれども、できる形でやるしかないというのが正直なところなので、そういうような知恵を出し合ってやっていけばいいのではないかと思います。

○有賀構成員 
 そういう意味では、せっかくのモデル事業で得られた経験を全国的に普遍化させて、それで比較的小さい病院でも病理解剖ができる。ですから、何もこのことのためだけに病理解剖をやるわけではなくて、本当に医学的な究極の病理の所見を得たいと。それを御家族に亡くなった後に説明できるということであれば、私はできることが正しいのではないかと思って発言しています。
 以上です。

○山本座長 
 どうぞ。

○鮎澤構成員 
 今の解剖の件で中澤構成員からお名前も出していただきましたので、あのときの発言の確認も含めて、お話をさせていただきます。
 まずモデル事業というのは、そもそも死亡の調査分析事業でいらっしゃって、亡くなった案件を考えていきましょうということからスタートしておられる。死因を究明していきましょうということからスタートしている事業でいらっしゃいますね。この委員会はそうではなくて、医療事故に係る調査の仕組みを考えていこうというスキームなので、亡くなっているか、亡くなっていないかも大事なことでありますけれども、なぜその事故が起きたのかということの真相の究明と再発防止をしていこうということが大事になります。
 そういうことであるならば、前回もお話をしたように、解剖をしていなければだめだということを条件にしてしまうのは、本来、医療事故を検討していくのには間口を狭めてしまうのではないかということで、それを条件にするべきではないのではないかということを申し上げました。
 それから、中澤構成員がおっしゃっておられたように、現実的にできないような条件の中で、これまた解剖を条件にすることも間口を狭めてしまうことになるだろうと。この2つの点で申し上げました。

○山本座長 
 ありがとうございます。明確にしていただいたかと思います。
 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。
 それでは、とりあえず、これにつきましては今のようなところで、この31ページの部分はもう少し今の御趣旨を踏まえて、書いていただくということにします。
 引き続きまして、まだきょうは2点をできれば討論いただきたいと思っております。
 まず最初に、費用の問題ですね。調査に必要な費用の負担のあり方について、資料4のペーパーであります。
 まずはこの資料について、事務局のほうから御説明をお願いします。

○宮本室長 
 資料4の説明をさせていただきます。非常に簡単にまとめておりますけれども、費用の点につきまして、調査に必要な費用の負担について、どのように考えるかということを示しております。
 これまで出されております御意見といたしましては、国からの財政支援が不可欠であるというところがどうしても多いわけですが、そのほかに基本的に両者が提供すべきである。国及び医療関係団体が拠出するべきであるというような御意見。ある程度の患者側の費用負担も考えてよいのではないかというような御意見がありましたので、このようにまとめております。
 以上です。

○山本座長 
 ありがとうございます。
 それでは、この費用負担の問題について、これまでは余りこの議論には出てくることが少なかったように思いますけれども、もし御意見があれば、お出しいただければと思います。
 高杉構成員、どうぞ。

○高杉構成員 
 中澤構成員から第三者機関のあり方云々の議論をしていないとおっしゃいましたけれども、私は決してそんなことはないと思います。それに応えるために、それをしなければいけない。そのためにはモデル事業が実績を積んできた。あるいは先ほど議論になっていましたけれども、協働型こそ医療機関でやれる仕事であって、そこの正確性とか検証性とか公平性とかを補完する最後の拠りどころがこの第三者機関であるはずなので、これは医療安全調査機構にモデル事業がくらがえをした事業にこれを引き継いでいけば、そこでいろいろな試算もしつつあります。
 したがって、この費用のあり方はその1件に幾らかかったか、あんな無駄をしてはいけない、もうちょっといいことをしましょう、あるいは解剖の条件をするとなかなか難しいが、これはと言うのはやはり解剖しなければいけない。その辺の判断も蓄積の資料があるわけですから、前向きに行かなければ、この問題は解決しない。
 私たちは日本医師会の基本的提言として、それをうたって、やっとこの会がスタートしている。堂々めぐりをしていては何もならないので、もっとアクティブな前向きな議論で進めてほしいと思います。そのためにモデル事業があったし、このモデル事業は協働型にも展開したし、これから先に国は関与をしなければどうにもならないわけで、それをどのくらいの試算でいくのかというのは、具体的な数字をこれから出していく。そうしないと前に進まないと思っています。

○山本座長 
 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。宮澤構成員、どうぞ。

○宮澤構成員 
 基本的には、費用というのは国からの財政支援という形で進めていくのが本筋ではないかと思っています。やはり医療は基本的に日本国民が誰でも受けている。恐らく弁護士に関しては一生涯いかないことがあるかもしれませんが、医師にかかったことがないというのは恐らく日本人ではいないというような状況の中で、医療事故が起こったと。しかも、それが誰に起こるかわからない。その原因がはっきり誰の責任であるかもわからない場合が多いということになると、どこが負担をするかということになると、基本的には社会保障の中での負担すべき性質のものであろうと思われます。
 そうである以上、国の財政支援、財政の基盤は全て国のほうで負担をしていただくのが、本来のこの制度のあり方の筋ではないかと思います。

○山本座長 
 ありがとうございました。
 ほかにいかがですか。中澤構成員。

○中澤構成員 
 私は結論から言えば、やはり国だろうなと思います。ただ、これは医療事故に関係するいろいろな問題。例えば患者さんの補償の問題から医療機関の補償、あるいは今、言われている無過失な補償という問題と、物すごく重要な要素がこの中に含まれていると思います。
 そうすると、この問題解決をどこでやるかということになったときに、これは医療機関が今までやっていると私は思うのです。すなわち、過失のあった部分は医療機関が全てお金を出してやっているというわけですから、医療機関はそれに対する責任は半分くらいは果たしていると思います。中にはわからない部分もあって、泣き寝入りの患者さんがいるということになると、医療も含めてですが、どこが責任を持つかというところが関係してきます。
 例えば北欧みたいに全て国が医療制度を管轄するようなところにあると、それは国が全部責任を持つという形になりますから、そうしたら過失のあるなしを言わないで、とりあえずは国が面倒を見てしまえという話になるので、費用負担は、どういう仕組みとどういう調査をするのだという話の中で出てくれば、わかりやすいものが出てくると思います。
 ただ、日本の場合はどうも半分半分で、必ず国からお金が出ると、要するに管理とか責任追及がどうしても今までの感覚では後ろについてきてしまう。それを見ると医療機関がやるべきだと言うかもしれませんが、これは医療機関は半分しか責任を持っていないというところの中で、責任をとりにくい問題があるので、お金を出すからにはどこが責任を持つかという話で行くべきであるし、責任のとり方は問題を解決するためにどう責任をとるかというところで考えていっていただかないと、正しい正解は出ないのではないかと思います。

○山本座長 
 宮澤構成員、どうぞ。

○宮澤構成員 
 恐らく意見に違いはないとは思うのですけれども、基本的に原則としてどういう形で費用の支弁がなされるべきかというものと、責任がどこにあるかということが明確になったときに、その後にどう求償していくかという問題ももちろん成り立つ問題なので、例えば裁判で鑑定費用とかそういうのが出た場合、最終的には負けた側が鑑定費用も負担をするというようなものと同じように、この費用も本来的な責任が医療機関にあるということになれば、医療機関が負担するということで構わないと思います。考えるべきなのは、原則として一番根本はどこで費用を負担すべきかということを、まずきちんとベースの問題として考えておく必要があると思います。

○山本座長 
 いかがでしょうか。どうぞ。

○飯田構成員 
 毎回同じことを言うようですが、今回もそうですが、原因究明や再発防止の話と補償や責任追及の話がごっちゃになっています。ここでは後段はしないという話だと思います。そういうことは大事ですから、それは別の枠組みで検討してほしいと思います。

○山本座長 
 どうぞ。

○高杉構成員 
 私もそれは同感です。したがって、医療安全調査機構あるいは第三者機関をどのようにつくるかで、そのためのお金は今と全然関係ない。そこのところをごちゃまぜにして、医療の責任とか事故の責任とかの話と、ここは違うと思います。補償の話とも違う。どのように患者さんたちにこの死因の原因を確かめて、あるいは事故防止につなげるか。そのための調査をどうするか。どこがきちんとそれを補償するかという議論で、そこのためのお金の工面の話で、それをごちゃまぜにしたら、おかしくなります。

○山本座長 
 どうぞ。

○中澤構成員 
 これ調査機構のお話を聞いているときにも感じたのですが、目的が何かというところに関係するのですが、医療事故が起きたときに私たちが一番気にするのは、患者さんとの間でトラブルも重要なのですが、患者さんにどのくらいの被害が行ったかというのは物すごく大変なことで、それを議論するときに、そんな議論はないよ。ただ、原因だけ究明すればいいんだという形で持っていった場合に、では患者さんの立場はどうなるのだと言ったら、持っていき場がないんです。今はそれに、似ていると思います。
 事故があって本当に過失責任があれば、医療機関が持ちますよという話はあるけれども、どちらだかわからないけれども、現実的には起きてしまったという患者さんは、今のところは救う手がないのですね。それは身体障害とかそういう形の救い方はあるとは思うのですが、事故が起きたということについての問題は、医療側に過失があるかないかというところに責任がとられるか、とられないかというところにポイントが行きますので、いずれにしても、過失か無過失かというのは決めなければならない。
 そういう難しい問題があって、患者さんのほうとしても、決めなければ補償がないという話になるので、どうしても対立構造になっていく。先ほど言った責任のとり方ということは重要だと思います。医療そのものにも責任を持つことが、日本は半々で持っているという形になるとは思いますが、そういった責任のとり方の中で起きている事故ですから、同じような責任のとり方はなされるべきだと思います。ただどちらか決めればいいんだ、その後は勝手に成り行き任せというようなことは言えないのではないかと、私は思っています。

○山本座長 
 どうぞ。

○山口(育)構成員 
 今の話と関係ないですが、いいですか。私も社会保障の一環として国からの財政支援が基本だとは思いますが、この意見の中の一番下に記載されている患者側の負担があってもいいのではないかというのは私の意見だと思います。費用に関しては、どの範囲までの申請を第三者機関で取り扱うのかということを決めなければ、答えの出ない問題ではないかと思います。申請されたものにすべて対応したのでは、多分財政的に国の支援だけでは実現不可能になると思います。 
先ほどのモデル事業の話を伺っていても、やはり予算ということがとても大きく影響していて、調整看護師の問題にしてもそうですし、予算の関係もあるので協働型ということが一つの理由になったということもあるように、お金の問題は可能か不可能かということを非常に分けてくると思うのです。ですから、どこがどのような内容については受けるのかという範囲をある程度決めなければ、このお金の問題は基本的な財源は国が担うとしても、あとはどこかが補充するのかというような具体的な話し合いはできないのではないかと思います。

○山本座長 
 ありがとうございました。
 まさに今、御指摘があったように、この点はどれくらいの量の調査になってくるのか、どういう形で第三者機関が申請を受けるのかとか、さまざまなほかの要素と関連しますし、国がもし負担をするということになれば、当然そこには予算上の制約、まさに山口構成員が言われたようなものが出てくるわけですので、ここで議論をして、どこまで決められるかという問題は勿論あると思います。
 加藤構成員、どうぞ。

○加藤構成員 
 調査に必要な費用負担のあり方についてというのは、要するに医療事故に係る調査の仕組みを考えるに当たってということですけれども、この医療事故に係る調査の仕組みを一生懸命、私たちが考えている根本のところは、安全で質の高い医療をどのように実現していくか。そこのところはしっかりと踏まえて考えた場合に、国は国民に対して安全で質の高い医療を受ける権利というものを保障していくという社会的な、要するに国としての責務があるはずですね。
 では、その医療者、医療関係団体等はどうなのかということを、今お聞きしながら考えていたわけですけれども、プロフェッショナルが自分たちがやっている医療によって事故が起きて、その結果を自律的に客観的に評価するというコストという部分にもなりますね。つまりアウトカムをしっかりときちんと公正に評価して、さらなる安全で質の高い医療を担っていきたいと考えたときに、プロはプロとしての責務があり、その部分について、私はどちらかと言うと国からの財政支援を基本に置きつつ、医療関係団体、医療者等もそれなりの負担ということがあっていい分野だろうと思っているわけです。
 極端なことを言うと、国からの財政的なものがなかったら、このような事故調査は一切しなくていいのかと。極論を考えた場合です。やはりプロフェッショナルの集団はきちんと自律的にやり切らなければいけないのでしょうね。本来はそうなのでしょうね。そうすると、若干この日本医療安全調査機構のときに医師会も何がしか負担をしていただいたと思いますけれども、各学会とかいろいろなところが財政的にも負担をしながら、モデル事業をやっぱり続けていかなければいけない。そういうディスカッションをしたときの思いを私たちはきちんと受け止めておかなければいけないのではないか。そんな気がしています。本来はそうした国や医療機関等の拠出。
 ただ、例えば医療機関Aが申請をして、そのときに費用をAさんからもらうという関係になると直截過ぎて、利益相反的な感じがしますので、プールするような形にしておいて、負担は直結した形ではないありようが要るのだろうと、そんなふうに思っております。
 以上です。

○山本座長 
 飯田構成員、どうぞ。

○飯田構成員 
 私も加藤構成員とほぼ同じ意見です。私も全日本病院協会に属していますが、病院協会は余りお金を持っていませんので、持っている団体もありますけれども、お前のところでやれと言われても無理なので、私たちも既に報告したように第三者機関をつくろうと提案しています。それは国からの支援もいただいて、医療団体がお金を出してつくろうということを提案しておりますので、どういう枠組みでどういう目的でやるかによってかなり違いますが、何がしかの負担はするべきだと思っております。

○山本座長 
 ありがとうございます。どうぞ。

○高杉構成員 
 今、我々がどう答えるかということでありますから、例えば各施設で医療安全をきちんと守っていく。きちんとつくっていく。各県で医師会や大学を中心にした仕組みをつくっていく。見えないところで当然お金はいっぱい出ていく。あるいはそういう負担をしなければいけない。そういうことの取り組みの中から出てくることですから、この第三者機関は安い金でできるわけです。それは国がきちんと保障して、そこをやらなければ何をやるのかと私は思います。我々も努力しますし、もちろん医療機関も出す。医療機関もみんな挙げて安全を守っていく、つくっていくという考えにならないと、これは進まないだろうと思います。

○山本座長 
 どうぞ。

○松月構成員 
 ベースは国が、という皆様と同じ意見ですが、国と言いましても広うございます。診療報酬等で、死亡事例を届けたら何がしの点数をつける、という具体的なものがあるでしょうし、国民が声をかけやすい医療安全支援センターなどに予算をつけて受け付けの機能を持たせるようにするとか、この費用のあり方は、具体的な話とパラレルにセットで議論をしていったほうが現実的ではないかと思います。
 現在でも悩ましい事例の死因究明については、病院が多大な負担をどこからの財源支援もなくやっておりますので、それと一緒に検討していくのがいいのではないかと。これまで意見をお伺いしていますと、皆さんもそれなりに負担をしていいと考えていらっしゃるのではないかと、議論を聞いていて思っております。

○山本座長 
 有賀構成員、どうぞ。

○有賀構成員 
 今のお話のように、既に各医療機関はそこそこやっているわけですね。それがどれくらいかという話で、額は出せと言ったら多分出せるのでしょう。それが今の診療報酬の全体の体系から言うと、やはり厳しいという話にもなる。この手の話をぎりぎりしていくと、おもしろいと言ったらおもしろいのですが、何をやっているかがわからなくなっていくというところがある。
 ただ、本当にお金の話をするのであれば、日本医療機能評価機構がたくさんの事例を集積させて分析して、それで月に1回は私たちの病院、少なくとも医療機能評価機構を受けた病院ということになるのでしょうが、情報を提供してくれているわけですね。それはここで言うところの原因究明と医療安全の向上に役に立っているわけです。そういうふうなところとこことのお金の上手な使い方を議論しないと、ここだけで閉じた空間で議論をするのは、私は何となく違和感があります。

○山本座長 
 中澤構成員、どうぞ。

○中澤構成員 
 戻ってしまって申し訳ないですけれども、先ほど加藤構成員の中で、国が安全な医療を確保する責務があるとおっしゃいましたが、私は恐らくそれは求めても求められないものだろうなと思っていまして、現実論から言うと、医療をやっているうちには必ず幾つかそういうものが出てくるわけなので、それは医療を行う中で一つ起こり得る保険みたいなもの。例えば交通事故がゼロにならないということの中で考えていただかないと、これを突き詰めてみれば、絶対に安全な医療が行われるかと言ったら、それはないような気がするので、それが1つあります。その話の中で決めていくことも必要だと思います。
 もう一つ、私が考えなければいけないと思っているのは、きょうお話を聞いてわからなくなってきてしまっているのですが、要するに院内調査を基本にするという考え方がありまして、かなり恐らくそこに医療機関は相当力を入れるという形になりますし、そこに問題解決を求めるのであれば、それを支援するような形を持っていただければありがたいなという感じで、そこもあるから出せよというような話、あるいは自分たちのことでやれというものではない方が、少し温かみのある事故究明ができるのではないかと思います。

○山本座長 
 山口構成員、どうぞ。

○山口(徹)構成員 
 いろいろと範囲が広い話なので、なかなか難しいかと思います。しかし、院内の事故調査をこれからも医療安全に結び付けるという立場から考えても、院内の事故調査、そのやった人たちが今度は医療安全に立ち向かうことが基本であることは間違いないと思います。
 したがって、院内でこういう事故調査をいかにやりやすい体制をつくるかということと、第三者機関をつくって、それにどういう役割を担うか、その費用負担はどうかというのは、また別の話かなと思うのです。少なくとも院内で事故調査をちゃんとできるように、全てのかなり広いレベルでできるように、それが医療安全に結び付くところが基本である以上は、是非そういう医療安全を目指して事故調査することに要する費用を公的にサポートしてもらいたい。
 例えば具体的に、今、病理解剖費用は病院が負担してやっています。そのことが解剖数が減っていることの一因を成している可能性は十分あるわけで、今、Aiが非常に話題になっていますけれども、Aiも亡くなってからのAiは保険請求はできない対象になっています。Aiも診療の一環として、死後の患者さんついてにどう亡くなったかということを説明することも診療の一環であると考えれば、診療報酬の中に入ってもしかるべきような話だと思います。
 そういうことも含めて、院内で医療安全、あるいはそれに結び付く原因究明をやろうとしても、実は自分のお金でやりなさい、ということになっている。そうでなくても院内で委員会を開き、それに検討をするだけだって、病院はそれなりの費用をかけてやっているわけで、もっと普通の診療の延長線上としてできるところでは、それなりの診療報酬の中に含まれるというような形で、その院内の原因究明、医療安全に向かえる体制を公的な形でサポートすることが望ましい。それと第三者機関をつくって、それの費用をどうするかという話は相当違うような話に思いますから、少なくとも病院をサポートすることの重要性を認識して、ぜひ費用負担が病院だけではなく、ちゃんと公的に担ってもらえるという形を考えていただきたいと思います。

○山本座長 
 ありがとうございました。
 豊田構成員、どうぞ。

○豊田構成員 
 今、山口構成員がおっしゃったように、グレーゾーンと言われているようなケースが圧倒的に病院の中では多いと思いますので、病院がミスとは思っていないというときなど、そこに予算をつけるのは非常に大変なことなのだと思います。そのような事情から事故調査が遅れてしまったり、相当もめてしまって、最終的にトップが決断をするみたいなことになっているケースはかなりあるのではないかと思います。
 ですので、院内のサポートも、そういった金銭的な部分も考えないと難しいというのは感じていますが、医療界の皆さんがここまで院内の事故調査が大切だということをおっしゃっているのでしたら、どういう形でやっていくことがよいのかをもう少し医療関係団体の皆さんに出していただいて、困っている部分を議論して、それから予算をつけていただいたり、場合によっては法制化も考えていただかなければならないと思いますので、医療界の中でどのようにしていくことが必要なのかをもう少し出し合っていただきたいというのが、患者側が思っていることです。
 それと第三者機関は必ずつくっていただきたいと思っていますが、先ほど日本医療機能評価機構のほうと相談をしてという話もありましたが、組織をどこにつくるかによっても相談する相手が変わってくると思いますので、どこに置くのかというところについても、もう少しそういった意見も皆さんからいただきたいと思いました。

○加藤構成員 
 この資料4と書かれている調査に必要な費用負担の話は、院内の事故調査と第三者機関の事故調査はもちろんあって、健康保険の中できちんと考えなければいけないとか、いろいろなことがあり得ると思います。
 ここの調査のときに、今、私たちが議論をしているのは、従来ここで議論をしてきた、まずは死亡事例を基本に置いてということで、いろいろな事例が豊田構成員のほうから言われたけれども、要するに死亡事例で特に死因が不明で、解剖してきちんと調べていこうという場面を想定しているわけですね。
 山口構成員の資料4の4つ目の○のところですけれども、私は非常に心配なのは、お金のない人が、死因がはっきりしない場合に医療機関はそのことについて申請しないと。そうすると御遺族が申請するということになるのですが、そのときに死因を究明したいと考えるのも当然だなと思われるケースもある。要するにこの費用の負担が御遺族にかかるということで、抑制になるということは絶対にあってはいけない。多分、山口さんもそのようには考えていないことであろうと思いますけれども、こういうふうにまとめの中で書かれると、負担が遺族等に及ぶような道に行かないように、若干その辺は山口さんも趣旨を明解にしておいていただきたいと思います。

○山口(育)構成員 
 これは私がヒアリングでお話ししたときの中の一部をまとめてくださっていると思いますが、現在、原因がわからないときには弁護士さんの介入がないと、第三者の医師の意見を聞くことが不可能で、必ず費用がかかるということを前提にしてお話ししました。それと先ほど申し上げたように、どこまでの範囲を対象にするかの問題がありますが、例えば御遺族がどうしても第三者機関で調査をしてくれと強く希望して、内容からして本当に第三者機関が取り上げる内容として少し外れている場合を想定して申し上げました。ですので、基本的には費用負担できない人が、ここに参加できないという仕組みであってはいけないと私も思っています。
 ただし、そうなってくると、どこまで広げるのかという問題は必ず生じてきます。先ほど発言した内容と同じことですけれども、申請をすれば全部通るということになってしまうと、とても財政的に不可能なのではないかと思っています。

○山本座長 
 明確にしていただいたかと思いますが、ほかにいかがでしょうか。おおむねよろしゅうございますか。基本的な点ではコンセンサスというか、同じようなところがあったのではないかと思いますが、微妙なニュアンスの違いはあったかもしれません。
 それでは、先ほど申し上げたように、この費用の問題は全体の仕組みをどういうふうにつくるかということによって相当違ってくる部分があると思いますので、引き続き議論の対象にしていただきたいと思います。
 最後にもう一点、資料5「捜査機関との関係について」がございますが、残された時間は10分程度で、この議論が10分で終わるとは私には想像できませんので、きょう中途半端に御議論をいただくよりは、次回に回すことにいたしましょうか。
 そういうことでよろしゅうございますか。
(「異議なし」と声あり)

○山本座長 
 それでは、この捜査機関との関係につきましては、次回の議論にさせていただきたいと思います。
 それでは、予定していたところはこの程度ということですが、議題2にその他がありますが、これは何かあるのでしょうか。

○川嵜室長補佐 
 本日は特段ありません。

○山本座長 
 それでは、本日予定しておりました議題はこれで一応終了すると、積み残しを出してしまいましたけれども、そのような形にさせていただきたいと思います。
 それでは、今後の予定等について、事務局のほうからお願いいたします。

○川嵜室長補佐 
 次回の検討部会の日程でございますけれども、調整の上、後日連絡させていただきます。よろしくお願いいたします。
 また、お手元の参考資料の青色のファイルですけれども、机上に置いたまま、お帰りください。本日の資料を追加した上で、次回も御用意させていただきます。
 以上です。

○山本座長 
 ありがとうございました。
 豊田構成員、どうぞ。

○豊田構成員 
 きょうのモデル事業の御説明はとても貴重なお話を伺えましたが、こういった大きな組織をつくり上げたことがまだない中で、モデル事業のことを参考に聞かせていただいた中でも、これだけの意見があったわけですが、前にも申しましたけれども、産科医療補償制度の実績があるわけですから、ぜひそこの部分についてももう一度ヒアリングをお願いしたいと思います。

○山本座長 
 わかりました。御意見を踏まえて次回以降どのように進めていくか。きょうは積み残しが出ましたので、次回にその点について御議論をいただくことになると思いますし、今の豊田構成員の御意見も踏まえて、どのような形で進めていくかということは考えさせていただければと思います。
 ほかに何か進め方等についての御意見等はございますか。よろしゅうございましょうか。
 それでは、本日はこれで閉会とさせていただきます。長時間にわたる御議論をありがとうございました。


(了)
<照会先>

医政局総務課医療安全推進室
室   長 宮本: 内線2570
室長補佐 川嵜: 内線4105

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