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2012年9月25日 第1回「地域若者サポートステーション」事業の今後のあり方に関する検討会・議事録

職業能力開発局キャリア形成支援室

○日時

平成24年9月25日
10:00~12:00


○場所

中央合同庁舎第5号館 共用第9会議室


○出席者

構成員

小杉 礼子 (独立行政法人 労働政策研究・研修機構 統括研究員)
遠藤 和夫  (一般社団法人 日本経済団体連合会 労働政策本部 主幹)
工藤 啓  (NPO法人「育て上げネット」理事長)
玄田 有史  (東京大学 社会科学研究所 教授)
佐藤 洋作  (NPO法人 文化学習共同ネットワーク 代表理事)
谷口 仁史  (さが地域若者サホ゜ートステーション 総括コーディネーター)
松田 考  (さっぽろ地域若者サホ゜ートステーション 総括コーディネーター)
宮本 みち子  (放送大学 教養学部 教授)
村越 和弘  (東京都立 一橋高等学校 校長)
森原 琴恵  (日本労働組合総連合会 生活福祉局 次長)
吉田 美穂  (神奈川県立 田奈高等学校 教諭)

オブザーバー

梅澤 敦  (内閣府 政策統括官(共生社会政策担当)付 参事官(青少年企画・青少年支援担当))
久知良 俊二 (厚生労働省 職業安定局 派遣・有期労働対策部 企画課 若年者雇用対策室長)
熊木 正人 (厚生労働省 社会・援護局 地域福祉課 生活困窮者自立支援室長)
春山 浩康 (文部科学省 初等中等教育局 児童生徒課長補佐)

事務局

西村 智奈美 (厚生労働副大臣)
山田 亮 (厚生労働省 職業能力開発局長)
内田 俊彦 (厚生労働省 大臣官房審議官(職業能力開発担当))
吉本 明子 (厚生労働省 職業能力開発局 総務課長)
吉村 紀一郎 (厚生労働省 職業能力開発局 総務課長補佐)
浅野 浩美 (厚生労働省 職業能力開発局 キャリア形成支援室長)
永井 祐一 (厚生労働省 職業能力開発局 キャリア形成支援室長補佐)

○議題

(1) 地域若者サポートステーション事業実績等を踏まえた自由討議
(2) その他

○配布資料

資料1「地域若者サポートステーション」事業の今後のあり方に関する検討会開催要綱
資料2「地域若者サポートステーション」事業の今後のあり方に関する検討会参集者名簿
資料3議事の公開について
資料4討議用資料
参考資料1「若者雇用戦略」本文
参考資料2「生活支援戦略」(中間まとめ)本文

○議事

○永井室長補佐 第1回「地域若者サポートステーション」事業の今後のあり方に関する検討会を開催します。座長に引き継ぐまでの間、議事進行させていただきます、厚生労働省 職業能力開発局 キャリア形成支援室の永井と申します。よろしくお願いいたします。はじめに、西村厚生労働副大臣から御挨拶を申し上げます。
○西村厚生労働副大臣 皆さん、おはようございます。厚生労働副大臣を務めております衆議院議員の西村智奈美と申します。本日はお忙しいところ、「地域若者サポートステーション」事業の今後のあり方に関する検討会、第1回目の会合にお集まりをいただき本当にありがとうございます。皆様も御存じのとおり、ニートないしフリーターと言われる方、大変多い数を記録しておりまして、平成23年の調査では、被災3県を除くニートの数が60万人というふうに数字が出ております。これに対して政府としても、しっかりと対応していかなければいけない。職業的な自立支援をしていくということは非常に重要な課題であると考えております。
 先般、今年の6月でしたけれども、政府では「若者雇用戦略」を取りまとめましたが、ここにおいて地域若者サポートステーションの拠点数の拡充、またアウトリーチ機能の強化、そして学校を中途退学した方の学校との情報共有と中退者支援の強化といったことが掲げられております。また今年度、今年の秋を目途に生活支援戦略と言います社会的弧立者、経済的困窮者、また貧困の連鎖の防止という観点から取りまとめる戦略でございますけれども、この中間まとめは、生活困窮者の支援体制を整備するということが盛り込まれておりますし、学校の中途退学者等への支援も強化すべしということが盛り込まれております。
 こんな中でサポステの機能は、これからますます重要になってくると思われます。今日は有識者の方々、先生方、そしてまた現場で実践をしておられる皆様方から、いろんな御意見をお伺いいたしまして、そして今後のこのサポステの運営のあり方について検討を行っていきたいというふうに考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○永井室長補佐 ありがとうございました。カメラ撮りはここまでとさせていただきますので、よろしくお願いいたします。続きましてお手元の資料の確認ですが、議事次第の他に、資料1はあり方検討会開催要綱、資料2はあり方検討会の参集者名簿、資料3は議事の公開について、資料4は討議用資料、参考1は「若者雇用戦略」の本文、参考2は「生活支援戦略」(中間まとめ)本文です。もし欠けているものがありましたら事務局にお話いただければと思います。
 今回は第1回目ということですので、本検討会の開催要綱の説明を簡単にさせていただきたいと思います。資料1の「地域若者サポートステーション」事業の今後のあり方に関する検討会開催要綱を御覧ください。趣旨としては、先ほど西村厚生労働副大臣からも説明がありましたが、平成24年6月に「若者雇用戦略」がまとめられ、その中でサポステについても拡充しさらに取り組んでいく必要があるとされました。また年内に策定予定である「生活支援戦略」の方でも、経済的困窮者、社会的弧立者等の総合的支援等についての検討が、いま社会援護局の方で進んでいます。それに伴い、サポステ等を行う事業との整理も必要となってきます。
 併せて、サポステ事業は平成18年度から実施されて今年は7年ということですので、事業の実績の評価を踏まえ、そのあり方についても検討する時期に来ているということで、今回、あり方について深める検討会を以下のとおり開催することとしています。検討事項としては、一つは、これまでの実績等を踏まえたサポステ事業の評価、もう一つが「若者雇用戦略」「生活支援戦略」の動きを踏まえた今後のサポステ事業のあり方について、御議論いただければと思っています。検討会の運営については、厚生労働省職業能力開発局長が学識経験者の参集を求めて開催するとなっています。座長につきましては参集者の互選により選出します。検討会の庶務はキャリア形成支援室において行うとなっています。開催期間につきましては、今日、24年9月25日が第1回目ということで始めさせていただき、12月の上旬をめどに取りまとめということで、いま進めているところです。
 次に参集者の皆様と事務局の御紹介をさせていただきます。資料2を御覧ください。遠藤和夫様、本日は所要により遅れるとの御連絡を受けております。工藤啓様、玄田有史様、小杉礼子様、佐藤洋作様、谷口仁史様、松田考様、宮本みち子様、村越和弘様、森原琴恵様、吉田美穂様です。そして、オブザーバーとして関係省庁、省内の関係部局から来ていただいていますが、内閣府政策統括官付参事官 梅澤敦様です。厚生労働省 職業安定局 派遣・有期労働対策部 企画課 若年者雇用対策室長 久知良俊二様です。厚生労働省 社会・援護局 地域福祉課 生活困窮者自立支援室長 熊木正人様です。文部科学省 初等中等教育局 児童生徒課長 白間竜一郎様ですが、本日は御欠席のため代わりに児童生徒課長補佐の春山浩康様です。文部科学省 生涯学習政策局 政策課 生涯学習企画官 松永賢誕様については、本日は都合が付かないということで御欠席です。
 次に、要綱に従い座長の選任に入ります。要綱にありますとおり検討会の座長は参集者の互選によって選出するとなっています。座長の選出についてどなたか御推薦する方がいましたら、よろしくお願いいたします。
○森原構成員 ニートや若者の雇用問題にお詳しい、小杉礼子構成員が適任だと思います。
○永井室長補佐 森原構成員より、小杉構成員に座長をという御推薦がありましたが、皆さん、いかがでしょうか。
                 (異議なし)
○永井室長補佐 異議がございませんので、本検討会の座長を小杉構成員にお願い申し上げます。小杉構成員に座長席にお移りいただき、これからの議事進行についてよろしくお願いいたします。
○小杉座長 よろしくお願いいたします。議事次第にのっとり、最初に議事の公開について申合せをしておきたいと思います。事務局から御説明をお願いいたします。
○永井室長補佐 資料3になります。議事の公開についてということで、この検討会につきましては原則公開とする。ただし、以下の該当する場合であって、座長が非公開が妥当であると判断した場合には、非公開とします。
 一つ目は、個人に関する情報を保護する必要がある。二つ目は、特定の個人等にかかわる専門的事項を審議するため、公開すると外部の圧力や干渉等の影響を受けること等により、率直な意見の交換又は意思決定の中で中立性が不当に損われるとともに、構成員の適切な選考が困難となるおそれがある。三つ目は、公開することにより、市場に影響を及ぼすなど、国民の誤解や憶測を招き、不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれがある。四つ目は、公開することにより、特定の者に不当な利益を与え又は不利益を及ぼすことがある。
 このような場合には非公開とさせていただきます。なお、上記の一から四につきましては厚生労働省が定める「審議会等会合の公開に関する指針」における審議会等会合の公開に関する考え方に準拠するものとしています。以上です。
○小杉座長 この会議の公開方法に関して、何か御意見はございますか。ではこのように取り扱うということで、議事の公開については議事の最後にお諮りすることにしたいと思います。
 引き続き、本日の議題に入りたいと思います。「地域若者ステーション事業実績等を踏まえた自由討議」についてということですので、まず事務局から資料4について御説明をお願いいたします。
○浅野室長 キャリア形成支援室長の浅野でございます。資料4に基づきサポステの実績等について、御説明申し上げたいと思います。1ページですが、現在の地域若者サポートステーション、サポステのイメージ図です。サポステは平成18年度より、ニート等の職業的自立支援のために自治体と協働して地域のネットワークを活用し、ニート等の若者一人一人に合った支援を実施しています。実施に当たっては若者支援の実績、ノウハウのあるNPO法人などに委託する形で行っています。事業としては、真ん中にありますけれども、地域若者ステーション本体事業として専門的な相談、就労に向けたステップアップのためのプログラム、職場実習・職場体験等を行っています。
 オプションの事業として二つあります。一つは左上の高校中退者等アウトリーチ事業です。高校、教育委員会等と連携の下、訪問しての支援を実施しております。もう一つのオプション事業は、真ん中の少し下にある生活支援等継続支援事業です。こういったさまざまな支援により、ハローワーク等を経由して就職等進路決定をしております。
 2ページを御覧ください。2ページは地域若者サポートステーション事業のこれまでの実績です。何らかの形で進路決定した者の数を、私どもでは就職等進路決定者と呼んでいます。この数の実績が最初のうちはなかなか上がらなかったのですが、ここにきて大きく増加していて、昨年度は1年で1万2,165人が進路決定されました。
 そういったサポステの利用者について詳しく見てみたいと思います。3ページをご覧ください。細かなデータがそろっているということで、年度途中ではありますけれども、今年の4月から7月末までの実績データをここに載せています。4月から7月にサポステを利用した方のうち、新規に登録を行った方が1万人ちょっとおられるのですが、その内訳をグラフにしたものです。相談者ですが、本人はもちろん、本人以外に保護者経由の利用もあります。利用者を男女別に見ると男性が多く、年齢別に見ると20代が多い。
 4ページについても同じく新規登録者についてのデータで、初めてサポステに来たときの状況です。漠然としたイメージを持っている、でも方向性は持っていないという状態を状態2としていますが、この方が多いということです。どういう学歴の方かということで5に学歴別利用者数を掲げていますが、高卒の他に大卒が多く中退者も多くなっています。就職経験の有無ですが、何らかの形で仕事をしたことがある方が多く、7割近くを占めている状況です。
 5ページは進路決定した者の内訳です。8割が就職をしているということですが、その中身をさらに見ると、就職した8割のうちの7割強は正社員以外です。職業訓練、進学、復学といった形で進路決定した方についても、私どもでは就職等進路決定者ということで見ているところです。初めてサポステに来てから進路決定するまでの期間ですが、私どもでは、いつまでしか支援をしてはいけないということは何も申し上げていないのですが、支援期間のめどとして6か月を一つのめどとしているところです。今年の4月から7月に就職等進路決定した者について見ると、割と短い方が多く、3か月未満、3か月以上、6か月未満が合わせて6割ぐらい、さらに6か月以上、1年未満の方が2割ぐらいといった数字になっています。
 6ページは23年度の実績です。ほぼ同じような状況ですが、こちらは年度の数字です。
 7ページは進路決定後の状況です。進路決定した後、どうなっているのかということで、今年の4月に就職等進路決定した者について8月末の状況を調べてみました。4箇月から5箇月経った後の状態ということですが、全国のサポステで4月に進路決定した者は1,315人いましたけれども、それらの方々のうち1,087人については就職、進学等した後、その状態が続いている。割合にして8割ちょっとです。ただ、すべての方がそうというわけではなく、何らかの形でそれが続かなかった方がいらっしゃいます。訓練の場合であれば訓練期間が終わったということもあろうかと思いますが、そういった方のうち、連絡が付かなくなった方も残念ながらゼロというわけにいかない。また再度サポステを利用している方もいらっしゃいます。そういった再度利用される方は人数的には117人、割合にして8.9%です。
 8ページは、どういった所に住んでいる方がサポステを利用しているかをお示ししたものです。サポステの実施対象地域はサポステによって大きく異なります。複数の自治体にまたがるサポステが非常に多いのですが、ここでは実施対象地域が一つの自治体とされているサポステについて、ピンポイントで調査してみたものです。さまざまな地域からサポステに来所していることがお分かりいただけると思います。この他資料としては挙げていませんが、生活保護受給者の割合についてもピンポイントで調査しています。サポステがどういった地域にあるかによって、かなり異なりますが、生活保護受給者についてはおおよそ5%ぐらい、多い所でせいぜい10%といった状況です。また生活保護の受給はしていないけれども経済的に困窮しているという方を含めると、これも地域によって異なりますが、2割程度になるかどうかといったところです。
 9ページは標準的なサポステのイメージがわかるように作成したものです。事業リーダーの下にキャリア・コンサルタントなどが二、三名います。本体事業では専門的な相談、ステップアップのためのプログラム、職場体験等を行っています。オプションとして先ほど申し上げた二つがあり、こういったものを使い、ハローワークなどを経て進路決定するということです。この支援について詳しく見たのが10ページ以下です。
 10ページは、専門的な相談とはどういったものか、そのイメージがわかるように書いたものです。防府のサポステの例を挙げていますが、他のサポステでもいろいろな工夫をしつつ、似通った形でやっているとお考えていただいてよろしいかと思います。指導的なことをしないで、一緒に目標、課題を明らかにして共有し、小さなステップを一緒に踏んでいく。その結果をフィードバックし、またステップアップのプログラム、職場体験などを行いながら効果を検証していって、個別にいろいろな事情があったわけですけれども、スモールステップ、目標設定ということで、だんだんできることが増えてきたり経験を積んだり、自分はこういうことができるのだということを理解したり、といった方向に進んでいきます。
 11ページ、12ページでは、ステップアッププログラムと職場体験を、どのような形でやっているかを簡単に示しています。11ページが福岡のサポステの例、12ページが神戸のサポステの例ですが、対人関係に自信がない利用者が非常に多いので、まずステップアップのためのプログラムということで、コミュニケーション能力アップのためのコースがあります。併せて、就職活動をこれから始めるに当たって、その練習をしていくコースがあります。それと並行するような形で就労体験をしていくわけですが、体験に当たってもいきなり行くのではなく事前の研修をして、その中で何を身に付けるかといった目標を決めたり、あるいはいろいろな注意事項を伝えたりした上で就労体験をする。初日には同行等をします。その後もフォローし、就労体験が終わった後は事後の振り返り等を行っています。12ページの方の神戸のサポステも同じような形です。それぞれのサポステが工夫をしながらやっているところです。
 13ページですが、それ以外にもさまざまな工夫をしています。例えば地域密着ということで回覧板によるサポステのPRをする所もありますし、企業の協力のもと、パソコンの講座を実施する所もあります。また親に対するアプローチということで親ゼミ、あるいは保護者面談を行っている所もあります。
 14ページはサポステとハローワークの連携です。もともとハローワークとは連携していましたけれども、さらに就職支援に向けて連携を強化するということで昨年の9月に通知を出しました。ハローワークとサポステとの間で担当者会議の他、個別の者に対するケース会議を行う、サポステの職員が同行してハローワークに行くといったことをやっています。これについてもさまざまな工夫をしながらやっております。
 15ページ以降は、本体事業以外のオプション事業についての実施状況です。オプション事業の一つ、高校中退者等アウトリーチ事業の4月から7月までの実績を挙げています。自宅だけでなく高校等教育機関に行く場合もあります。具体的な活動事例を下に挙げております。学校内に相談室を設置するとか、中退者情報を共有するといったことを掲げてはいますが、これらは非常に先進的な例です。全体としては取り掛かったところという感じですが、その連携の状況はどうかというのを示したのが16ページです。
 16ページに、サポステと高校等との連携状況、今後の課題について示しています。まず訪問活動の実施状況ですが、訪問はかなりしていると言っていいと思います。教育委員会などからの支援・協力については、サポステを紹介してもらったり、会議などで周知する場をいただいたりしているということですので、それなりには協力していただいています。連携している高校の数を見るとかなり多いので、高校数はそれなりに多いと言えると思いますが、実際にどうかといったことを個別のサポステの方からお聞きすると、連携については確かに進みつつあるが、高校に本当に入り込むところまでは至っていない。高校に入り込むというのは非常に難しくて、先ほど申し上げた先進的な事例のような形になるには、時間も手間もかかると聞いているところです。右下の今後の課題のところに挙げていますが、他にも、支援が必要な者の情報など、実際に支援をしていく上での課題もあるところです。
 そういった中で17ページですが、文部科学省にもお願いし、文部科学省児童生徒課から課長名で教育委員会宛に、サポステと連携するよう通知を出していただいています。これによって非常によくなってきたのですが、まだ今のところ、いろいろな連携は点で行われている状況であり、仕組みとしてしっかり機能していると言えるのは、一部の高校等だけといった状況かと思います。
 18ページ、19ページは、もう一つのオプション事業の継続支援事業です。学習支援、生活支援の4月から7月までの実績ですが、こういった支援をしながら本体事業で行う各種プログラム、職場体験等を並行して行っているということです。
 20ページ、21ページでは具体的な支援の事例ということで、「育て上げネット」が運営している「たちかわサポステ」の事例を挙げています。20ページに10代既卒未内定者、21ページに20代大卒後ブランクがある者のケースを挙げています。10代既卒未内定者の場合、高校卒業5か月前に進学から就職に進路を変更した方ですけれども、最初は応募にまで至らない状況でした。未内定のまま卒業してしまい、ハローワークで支援するといっても時間がかかる状況だったということで、サポステを利用されたわけですが、応募にまで至らない状況から、相談を経て自分なりに就活スタイルを確立し、ハローワークとも連携して内定を獲得しています。
 21ページの方については、20代後半で就労経験がなく、大卒後、ブランクが5年間あった方です。社会に対する不安も強い一方で、できる限り早く働きたいという気持も持っていて焦りもあったということですが、まず不安を解消し、働く上での土台づくりをするということで、臨床心理士による心理相談をする。それからキャリア・コンサルタントによって具体的な就労活動に向けての相談をしていく。自信を付けるために仕事の体験などもしていく。コミュニケーション講座も受講する。さらに思考あるいは行動面での課題も解決するために、専門スタッフによる支援もするということで、複数の専門家による支援を受け、これによって採用面接などでも、自分がどうしたいということを伝えられるようになり、まずは短期アルバイトに合格、さらに長期の契約となった方です。
 続いて22ページですが、私どもでは、サポステを実施する団体を企画競争で選定していますが、その企画選定の方法について示したものです。最初に実施したいということで手を挙げていただくわけですが、手を挙げていただくためには都道府県の推薦、または市区町村の推薦と都道府県の同意が必要です。また既に前年度、サポステを実施している所の場合は、前年度の実績がよければ委託費の上限が高い方、あまりよくなければ低い方で手を挙げる。そういうルールにしているところです。24年度は125の団体から手が挙がり、116団体を選定しましたが、まず形式的にちゃんとしているか審査し、事前の評価を私どもの方でさせていただき、その上で本審査を行い、受託団体を決定しているところです。
 23ページですが、サポステ実施団体における地方の支援措置の状況です。上が都道府県、市区町村による予算措置を受けている地域若者サポートステーションの数です。上の白が都道府県、横縞が市区町村です。いずれも半数には満たず、合わせれば半分よりも少し多いかなといったところで、これが予算措置です。その下ですが、お金ではない形での支援で場所の貸与や広報などの支援です。こちらは予算措置に比べれば多くなっているところです。
 24ページ、25ページはサポステに関する研修、業務指導等の状況です。いろいろな形での研修を行っています。まずサポステの業務について年度初めに情報共有し必要な指示を行います。また、サポステの核となってくれている総括コーディネーター向けの研修を、東日本と西日本に分けて2回実施しています。サポステの中で専門的な相談支援の担い手であるキャリア・コンサルタントに対する研修についても、東日本と西日本ということで2回実施しています。これについてはグループディスカッションという形で実際的な支援も行っているところです。オプション事業についても、それに当たるスタッフについての研修を行っているところです。
 25ページに移りますが、業務指導とあるのは個別の指導です。きちんと支援対象者を把握しているか、活動状況、支援体制はしっかりしているか、ネットワークをきちんと構築し連携しているかといったことを中心に、業務指導を行っているところです。その下ですが、モデル的事業報告会は好事例の発表会で、昨年度実施したものでは、ここに掲げているテーマで発表してもらっているところです。右側のスーパービジョンはキャリア・コンサルタントのさらに先生のような方から、キャリア・コンサルタントが相談を実施していて迷うようなことについて指導をもらう。そういう機会を作っているということです。また情報交換会も実施しているところです。
 26ページにはサポステの認知度を示しています。これは若者の認知度ということですが、「若者雇用戦略」について話し合った場において、サポステの認知度は足りないというお話がありました。そのとおりで、ここには二つ調査を示していますが、いずれも6%台ということで、もうちょっと頑張る必要があるといったところです。
 サポステに関する来年度の予算で、どのような予算要求をしているかについてお示ししたいと思います。27ページからがその資料ですが、具体的にサポステについて出てくるのは32ページです。ニートなどの若者の職業的自立支援の強化ということで、24年度の20億円から34億円と大幅増となっていますが、これについては35ページにわかりやすい図を付けていますので、それを御覧いただきたいと思います。
 35ページの上の方に、先ほど来、話が出ている若者雇用戦略、生活支援戦略という言葉がございますが、若者雇用戦略においては、「全国すべての地域でのサポステのサービス提供」、「アウトリーチ・学校との連携による切れ目のない支援」と書かれています。これを受けて、まず、サポステの設置拠点の拡充を既定枠で行う。「アウトリーチ・学校との連携による切れ目のない支援」については、サポステと学校の連携の構築、アウトリーチ、訪問支援による在学生の支援、サポステと学校等との中退者情報の共有による中退者支援の強化といったことですが、これについては、この図で言うと下の方の重点化要望枠の方で要求しています。さらに年末に取りまとめ予定の「生活支援戦略」の一翼を担うということから、これについても重点化要望枠の方で、それを意識した事業を入れ込んでいるところです。
 既定枠ですが、今年度は20億円だった予算が18億円になっています。本体の事業については115か所から140か所に増やし、この中でやっていた事業について一部見直しをして、重点化要望枠の方で新たな事業としてお願いする形にしているところです。重点化要望枠はサポステ、学校連携推進事業ということで、新規事業として16億円で要求しているところです。学校との連携を構築する、在学生の支援をする、中退者情報の共有による中退者支援の強化を行うといったことが、この事業の中に盛り込まれているところです。また生活支援戦略を意識し、特に大きな問題を抱える者に対する生活習慣支援、学び直し支援といったことも盛り込んでいるところです。参考までに、若者雇用戦略等の関係部分を36ページから38ページにお付けしています。また参考として、この両戦略本文を資料としてお付けしているところです。私からの説明は以上です。
○小杉座長 ありがとうございました。本日は自由討議ということですので、ここからは自由討議に入りたいと思います。まずこの資料を御覧になって、もうちょっとこの資料のここについて知りたいということがありましたら、話の糸口としていいのではないかと思いますが、どうですか。
○工藤構成員 サポートステーションの認知度に関して、確かに一生懸命頑張らなければいけないのですが、比較対象がハローワークなど、そもそも長年の歴史があり、投入された予算も巨額です。これらを頭に入れて比較しないと、知名度をそれだけで上げなさいというのは結構厳しいと思います。あと設置されているエリアにおいて頑張るというのが基本ですので、全体的に認知度がどうかというこの資料は、やっている現場側からすると、ちょっと厳しいように思います。もう少しいろいろな関係性を見た上で、いまの認知度がどこまで上げられるのか。去年よりもどこまで変化できるのかというところを評価の対象にしていただけたらと、若干、数字を見て思った次第です。
○小杉座長 他に何か現場から、今回の資料について、ございますか。私は今までなかった情報として、特にこの4月から7月までの情報がずいぶん加わったなと思いました。当初から専門委員としてこの事業に関わっていたのですが、最初は、まず目の前の現場で困っている人たちを何とかしたいという思いで始めているので、入口でまずその人の年齢なんかを聞いて、それぞれの情報を整理することまで最初は手が回らなかった状態があったのです。それがここまで事業が定着してきた、まさに証だなと思うのですが、実態がしっかり把握されるようになって、その実態に対して、さらにその翌年にはもっとこういうことも知らなければならないということで、だんだんと調査すべきものというか、実際に把握すべきことがはっきりして把握されるようになった。それと後半の方にありました研修のお話も大変重要だと思いますが、実態を知るということと、その実態の中で何が欠けているかということを認識して、事業全体としてみんなが共通認識を持っていけるという、この辺がずいぶんできてきたんだなというのが、この資料を見ての大きな感想です。松田さん、現場でどうですか。
○松田構成員 まず工藤さんがおっしゃっていた認知度の部分です。確かに数字で見ると低いのですが、では現場でもっと認知が上がって、もっと人が来てほしいかというと、いま来ている人数は、いまのお金の枠で入っている相談員の枠で言うと、かなり限界に近いところに来ているので、もっと知ってもらい、もっとたくさん利用してもらおうと言えるかというと、厳しいですね。いまの認知具合と、いまの相談枠の具合で、ちょうどいっぱいいっぱいぐらいのところにあるのと、今の時点でも、おっしゃっていた利用者さんの属性というか、全国の比較的困難を有する若者に、いま、どんなことが起こっているか、状況をつかむという意味での若者の状態把握のアンテナとして、もっと使い勝手があるだろうと思っています。入口データがさらに充実すれば、もっと若者の現状把握の拠点としての役割も、果たせる余地はあるように思っているところです。
○小杉座長 私は割と、よくここまできたなという評価ですが、もっと先に進みたいという御意見ですね。
○松田構成員 もったいない。せっかくそれなりに一律のサービスがあり、116か所ありますから、そこで共通の指標を取れば、いま若者に何が起こっているか発見する機能というか、問題発見機能として使い勝手がもっとあるのではないかと思っているところです。
○谷口構成員 お二方に関連したところからいきたいと思います。認知度に関して、もう一つ、この事業の最大の特徴であるネットワーク構成機関内での認知度の観点からも、しっかり見ていく必要があるのだろうと思います。もともと紹介元というのが本人あるいは保護者からというよりも、むしろ関係機関が抱え切れないケース、いわゆる支援しても滞っているケースなどを紹介していただいている。そういった現状を考えると、関係機関の担当者レベルにどれだけ浸透してきたのかも、しっかり追っていく必要があるのだろうと思います。
 関連して成果指標の取り方というのは、もうちょっと現場の実績に応じて再検討する必要があるのだろうと考えています。例えば進路決定者の就職、進学といった指標以外に、取らなければいけないものがあるだろうと思います。サポートステーションでは職業に対する意識の問題として、どれだけ職業に近づいていっているかというレベルはあるのですが、実は我々が抱えている若者たちというのは就職したいとの意識はあるけれども、それに伴う能力がなかったり、あるいはそういった環境になかったり、そういったさまざまな複合的問題を抱えている若者が多い。それを考えると、我々が支援をどう進めていくかを考えたときには、そのレベルについても複眼的にしっかりと成果指標を用意しておかないといけない。意識レベルだけに着眼してしまうと、無理して就職させてしまったりということで、結局、定着率が悪くなることも考えられるということではないかと思います。
 また、もう一つ別の観点で言うと、サポートステーションの特性というのはネットワークを構成し、関係機関との協働のもとで支援を実施していくということにある。そういった中でこの事業の成果指標の進路決定者数以外に、地域に及ぼしているさまざまな効果として、各関連した協働事業というのが複数立ち上がってきている。NPOがこれまで脆弱な財政基盤のもとで活動し、一定の枠内を超えられなかったのが、このサポートステーションの事業を受託することによって、地域の関係機関と対等に事業を展開することができる。そういった中で、これまで手が回らなかったニーズに対して、しっかりと手を差し延べられる事業が数々立ち上がっていっている。そういったものも含めて、この事業はしっかり検証していく必要があるだろうと思っているところです。
○小杉座長 今回のテーマの一つは、現状をどう評価するか、それから今後どうするかという二つの話で、今日は現状をどう評価するかを中心にお話をしたいと思います。いまのネットワークの話と、もう一つサポステ事業本体でなく波及効果的なものとして、これがあることでそれぞれのNPOが一歩先の違う話も展開できるようになった。ここに載っている評価以上のところで動きがあるのではないかというのも、大変重要なポイントだと思いますけれども、その辺に関して何かありますか。
○佐藤構成員 先ほどの委員の方々の報告に絡ませて言うと、進路決定した者の状態ということですが、それはもっとグラデーションもいっぱいあると思います。そこが正社員以外あるいは正社員の中身を含めて、もう少し精査して明らかにしていく必要があるだろうと思います。それから6か月後、1年後ぐらいまで追いかけながら、その過程でもう少し実像を出していくと、支援の今後の課題がもっと明確になっていくのではないかと思います。それが1点です。
 サポートステーションは2003年ごろから、より拡充する形で何期かに分かれて発展してきたと思います。いま求職支援訓練とか、いろいろなものもできてきていますけれども、それが、いまどこまできているのか。このスキームはまだ中途半端で、これを、こうしないといけないだろうという課題設定をまず明確にしないと、現状の整理にならないのではないかと思います。
 それから来年度の予算の問題ですが、本体事業は115か所から140か所へと拡張しながら、予算は少なくなるということは、そこでの基本的なコアの相談業務等々の相談員の数をもっと少なくしていくということなのか、この辺、115か所から140か所になって、予算が20億円から18億円になるというところは、どういう根拠なのかわからないのですが、それを聞かせていただきたい。
○小杉座長 最初のお話の現状の評価で、いま中途半端なところはどこか、きちんと整理することが大事だと。いま皆様から出された意見もその一つだと思いますので、きちんとテイクノートしたいと思います。二つ目は完全に質問ですので、これは浅野さんから答えていただくのがいいかと思います。
○浅野室長 25年度の既定枠のところが115から140に増えているのに、何で減っているんだというのは本当に不思議に見えるかと思いますが、オプション事業である高校中退者等アウトリーチ事業と、生活支援等継続支援事業を既定枠の方で実施するのではなく、そこでは廃止をして、新しい事業の方に別の形で持っていく形にしたことによるものです。それ以外に、いまも地域若者サポートステーションについては実績の高い所と、そうでもない所ということで段階を付けていますが、そういったような工夫もしています。サポステの非常に大事な部分というのは専門的な相談の部分であると思っています。決してそちらを疎かにしているわけではなく、一部の事業をそこの事業としては廃止し、別のところで進化した形で行うこととしていることによるものだということで、御理解いただければと思います。
○小杉座長 よろしいですか。
○工藤構成員 今日は総括的な話ということですが、私のところでは、サポートステーションができる前から現場で若者就労支援をやっていました。あくまでうちの現場ですけれども、サポートステーションができる前は、来る男女比が9対1ぐらいでしたが、このサポートステーションという事業ができたことによって大体6対4ぐらいになっている。その意味では、これまで既存のNPOであるとか、それ以外の箇所に来づらかったであろう女性の方を包摂したということで、この何年間の意味は大きいと思います。
 もう一つは、先ほど谷口さんが言われた、協働事業の中でいえば、更生保護行政とのつながりというのが一部のサポートステーションで結構出ている。例えば少年鑑別所、刑務所が連携機関の中に入ってきたというのは、いわゆる対人苦手とか、どっちかというとキャリア形成があやふやだという方以外の人にも、自立支援の門戸を開いたと思います。今回の資料ではあまりなかったのですが、非常に大きいことなのではないかと思います。
 最後、資料の中で非正規が50%、60%という話がありましたが、あくまでも民間の現場として非正規の割合はこれとあまり変わらないです。これは、実際に正社員になりたくてもなれない人はもちろんいますが、これまで社会的なブランク期間があったり、または働いたことがない方では、本人の希望において、まずアルバイトから始めたいという意思を持つ方は少なくありません。もしこれまでの精査をしていくのであれば、サポートステーションにおいては正社員就労が目的というより、キャリア形成が目的ですので、その過程において非正規を望む方が6割ぐらいいて当然だと思います。もちろん正社員になりたくても就けない人もいますので、この部分をもう少し突き詰めて、本来、来られる方の目的意識ということを取っていくと、総括しやすいのではないか。ハローワークという大きな機関でなかなか支援が難しいから、御紹介を受けとるいうことも当然ありますので、正社員就労以外の非正規への就業が何を表しているのかをもう少し細かく取っていくことで、サポートステーションの機能が、キャリア形成の観点から何を果たしているのかを見ていけるのではないかと考えます。
○小杉座長 サポートステーションの評価に当たっての基準の話が、ずいぶん出ていますね。それぞれのキャリア形成を支援する。まさにいい言葉だと思いますが、キャリア形成を支援するのだから、たぶん1年とか先々まで見るということ。その中での就労の位置づけという考え方が大事だというところが、現場からは出されたと思います。他に、この際、こういう評価は大事ではないかということがありましたら。
○松田構成員 ここを評価してくれと現場から言うのも変ですが、どんな若者が来ているかというところを皆さんにもお伝えしておきたいと思います。就労の相談ということを表には出していますけれども、彼らと話をしていると「働きたい」と言ってきます。もう少し正確に言うと「働けるにようになりたい」という感じです。働きたいと言って来ますが、いまフリーパスで内定通知をもらえる所があったらどうしますか、あるいはここを受けてみますかと言ったときに、そんなの受けて、受かっちゃったらどうするんですかということが実際にあったりします。いまの自分ではとてもとても働けないという実態があります。でもそういう方が心の悩み相談センターに行くかというと、行かない。就労支援を掲げているから仕事に向けてだったら行ってやってもいい、行っても格好悪くないという、そこの役割というのはすごく大きいと思っています。そういう層を、おっしゃっていたキャリア形成の過程において一旦溜めるというか、一旦、そこで猶予が持てるという副産物ですね。主産物を進路決定とするならば、そういう副産物的な効果というのは非常にあるのかなと思います。
 学校とのつながりにおいても、卒業年次で就職が決まっていなくても留年させるのではなく、進路指導というか、キャリア形成支援の期間を少し延ばすための機能をどう評価していくか。就労支援を掲げていることで、就労支援の対象ではない人も来れる窓口を作っている。それが良いか悪いかは別として、そういう役割は地域において大きいのではないかと感じているところです。彼らは本当に弧立しているのですが、友達をつくりたいと言って来ないし、社会とつながりたいと言って来ないですから、それを働くという言葉に置き換えて、だったらSOSを出せるという役割です。
○小杉座長 働くという看板だったら来れるということですね。
○松田構成員 そうですね、それは間違いなくあるのではないかと思っています。そこをぶれないようにする。何でも悩み相談ということではないという良さが一定程度あるのではないかと思っています。
○小杉座長 いま、少し話をネットワークの方に広げたいと思います。先ほど工藤さんから、連携先が変わって鑑別所等との連携の中で対象者が広がっていくと。そのいちばん最初の学校との関係ということで、当初はなかったものを広げてきたのがこの過程だと思いますが、学校の方々にも入っていただいていますので、学校からサポートステーションをどう見るか、評価しているか、どういう関係を作っているかのお話を、お二人から順番にお願いしたいと思います。吉田さん、お願いします。
○吉田構成員 高校にとって外部との連携というのは、たぶん全国的にはまだなかなか難しいのだろうと思いますが、私の勤務している神奈川県立田奈高校は比較的いろいろな外部の機関と連携させていただいています。その中にサポートステーションもありますし、パーソナルサポートサービスもありますし、もちろんハローワークとはもともと関係があるわけですが、いまお話を聞いていて、サポステ側からの評価とは別に学校側からみたときに、こうした外部連携は、非常に大きな力になるところがたくさんあると思っています。
 ただ、詳しくはまたお話ししていきたいと思いますが、大きなところで言うと、いま、いろいろな機関があるわけです。ハローワークがあり、サポステがあり、パーソナルサポートサービスがあり、もちろん、もともと持っている教育相談的なものもある。だから若者支援と言ったときに、学校にはいろいろな連携すべき周辺の機関が存在していて、子どもたちの多様な状況、抱えている困難にはそれぞれ違いもあります。サポステと言ったときに、サポステがどこの部分を支援していけるのか。あるいは、他の支援機関とどういうつながりを持って学校と関わるのか。そういったところを学校との連携を進めていくときにもう少し明確にしていき、こういうことができますよというところをもうちょっとアピールしていかないと、まだ多くの学校にとって何をしてもらえる所なのか、よくわからないのではないかという印象を持ちます。
 田奈高校の場合は、次回、たぶんお話させていただけると思いますが、サポステから相談員の方に来ていただく。あるいは一緒に協議体という形で、新しい公共事業という形でバイターンという取組を行っているなど、いろいろな事業がありますけれども、まだ正直、多くの高校にとってサポステってどの部分を期待していいのか。まだ顔も十分見えていない。そういうことはあるのではないかと思います。
○小杉座長 この資料だと、先ほど浅野さんがおっしゃっていましたが、とりあえず連携という言葉は引っ掛かってきているけれど、その内実はどうなのという状態だというお話だったと思いますが、それはまだこれから広がる可能性は十分あるという感じですか。
○吉田構成員 可能性はもちろんあると思います。すべての高校にというより、現実的には就職をせざるを得ない子どもたちが多く行っている学校は、貧困と学力の相関関係がはっきりしていますので、そういった学力的に厳しい子どもたちが多い学校に少しターゲットを絞りながら、具体的なプランを持って環境を作っていくことで、これから十分、まだ関係は広げられると思いますし非常に効果もあると思います。
○小杉座長 村越さん、いかがでしょうか。
○村越構成員 一橋高校は昼夜間の3部の定時制、通信制を併設している学校です。サポステについては、せたがやサポステが定時制と、「しんじゅくサポステ」が通信制と連携しています。平成23年度の途中から始めまして、今年は本格的なスタートということで、月2回来てもらって話をしていただいています。
 サポステと連携するときに、大きな成果があると前もって何かがはっきり見えていたかというと、実は見えていなかったのです。とにかく外部と連携して、何か生徒のプラスになればということで、始めることにしました。内容そのものは知っていましたから、どのようにしていったらいいだろうかと、サポステと相談しながら動いているという感じです。
 例えば、「しんじゅくサポステ」が最初に来たときは、6名ぐらいの生徒が相談に行っています。それで驚いたのですが、生徒たちは進学相談に行ったのです。そして、キャリアカウンセラーとして生徒たちに話をしてくれました。実際にそれで生徒が自分の進路希望を明確にし、アドバイスをもらって大学見学に行ったりして決定したという生徒が何人かいました。それは当初予定していなかったことだし、私も教員も考えていなかったことです。だけど、それで自分の進路を決めていったということについては、大変良かったのではないかと思います。特に定時制より通信制の方がニーズが高いように思います。
 先ほどの認知度という話なのですが、学校内で生徒にどのぐらい認知されているかということが気になります。今年初めて本格的なスタートをし、生徒数が定通それぞれ700人ぐらいいて合計で1,400人いますから、その生徒たちがどのぐらいサポステを知っているだろうか、あるいは、サポステの人が一橋に来ていることを知っているだろうかという、校内での認知度が気になるところです。認知度を上げるには時間と工夫が必要です。
 今高等学校は、御存じのとおりさまざまなタイプの学校ができています。高等学校教育などとひとくくりではくくれないのです。定時制さまざまなタイプの学校ができて、定時制もくくれないのです。実は通信制もくくれないのです。私学と公立では違うし、公立でも違うのです。そのぐらいにいろいろなタイプの学校ができて、それぞれの生徒が自分に合った学校へ行こうとしているわけです。それで、さらにそこからこぼれてしまう部分がある。
 同じように、生徒も行き詰まったときに、いろいろな相談する場所があり、一カ所ではない、相談相手は学校の先生だけではないというようになっていくのがいいと思います。うまくいかなかったときのフォローは、いろいろなところでしてもらえると、そのように整備されるといいのではないかと思っています。私はとにかく、やめていく生徒に手厚くしなければいけないと思っています。やめていく生徒たちを最後どうやって手厚く指導できるかということが、本当は大事なことなのだろうと思っています。うまくサポステと連携できると、すべてではないにしてもどこかで支援につながっていくのだろうと思いながらやっています。私は非常にプラスの面が大きいと思います。ただ、大きな成果が上がっているかというと、まだこれからだと思っています。
○小杉座長 ここまで話を伺ってきましたが、そろそろ他の方々からお願いします。
○宮本構成員 私も準備段階からずっと見てきて、いくつか考えるところがあります。一つ目は半分質問なのですが、先ほどから2ページ、3ページなどのサポステ利用者像が整理されているのですが、2006~2007年に、厚生労働省として当時のサポートステーションと自立塾利用者の全国調査をやりました。あのときに初めて、全国規模でニート状態にある若者の数というか、実像をつかもうということだったのですが、あのときにはまだサポートステーションの数も少なかったし、始まってから数年経った段階での状態だったのです。それでも、全国規模で、どういう人たちが困難を抱え、サポステを利用しているかをデータとしてつかんだという意味では、あの調査は大変重要だったと思います。
 いま116か所まで増加し、だんだん年齢も下がってきているし、性別の点でも、先ほど工藤さんの方から言われたように、女性の割合が増えてきているというような変化が生じています。それだけ見ても、かなり変化しているはずなのです。したがって、あのときの調査と比べて数字がどのように違っているのかをつかむことは大事ではないかと思います。
 若者自立支援中央センターで全国のサポートステーションの状況をデータで集約しているのですから、持っているデータで利用者の実情として何が把握できているのか、できていないのかということも、一度整理をする必要があると思います。各団体がちゃんとデータを作ろうとしているわけですから、それを集めれば数年前と比べて、もっと広範な実像が把握できるのではないかと思います。本日配布されたデータは、若者自立支援中央センターで把握しているデータの一部なのでしょうか。それともここまで把握はできていないのでしょうか。これは自立塾のときもそうでしたし、サポートステーションもそうですが、実践をする過程で対象者の実態をきちんと把握していこうという意思があったはずです。そういう点では、各団体が折角データを取っているのに、それを十分に利用できていないことは大変問題ではないかと思うのです。これは努力すればすぐできるはずのことで、データはあるはずですね。
○谷口構成員 何種類かあります。
○宮本構成員 全部の団体にありますね。そうすれば、数年前に全国調査をやったとき以上に詳細なデータが得られるはずだと思います。
 二つ目は、更生保護の関係の人たちにまで対象者が広がっているというお話なのですが、サポートステーションが始まった時点では、ニート状態の若者がいる、その若者を対象とする事業であるというだけで始まったわけで、どういう人が対象であるべきかということについては、手探り状態の中で開拓してきたということだと思います。開拓したことの意義は大変大きいわけで、そういう中で現在、対象者はかなり広がってきたのです。少年鑑別所から、生活保護世帯まで広がっています。いわゆる引きこもり系のタイプではない若者まで対象を広げてきたのです。恐らく、今後も広げようと思えば、まだまだ多様なニーズがあると思われます。どこまでやるのかということと併せて、予算のことについても、検討が必要です。これが今感じていることのひとつです。
 もう一つ、本体事業では、専門相談、就労に向けたプログラム、各種セミナーとなっているのですが、各サポートステーションの日程表を見せていただくと、利用者からすると参加できるプログラムとかセミナーが決して多いとは言えなくて、学校にも仕事にも行っていない人が、毎日サポートステーションのプログラムに通いながら規則正しいリズムを作るということができるかというと、今のプログラムでは極めて少ないという印象があります。サポートステーションの方々から、実態はどうかということを是非教えていただきたいのです。その点で言いますと、廃止になってしまったけれども、若者自立塾はもっと充実していて、それこそ入塾した人たちを毎日毎日、朝から夕方、さらに夜まで、みっちり組まれたプログラムによって支援をしていたのです。そういうことから言うと、サポートステーションに関しては、利用者数は多くなっているけれども、内容から言って充実度の点でやはり問題があるという感じがいたします。
 ですので、利用者の中で実際の活動にどのぐらいの人がどのぐらいの頻度で参加しているか、相談以外の活動に参加していない人がどのぐらいいるかというようなチェックも必要です。つまり質の問題ですが、それも今回やってみる必要があるのではないかと感じます。
○小杉座長 いま出ているデータは、日本生産性本部でつかんでいるデータをどれだけ使っているのか、さらに開示される余地のあるデータはどのぐらいあるのか、という質問でよろしいでしょうか。
○浅野室長 いまのお尋ねですが、若者自立支援中央センターである日本生産性本部が数として持っているデータは、今回ほとんど使っておりまして、さらに特別に調査をしたことによって把握をしているものも提供しています。それとは別に、サポステ全体として言えば、個々のサポステに行けば登録票があったりするわけで、そういう意味では膨大な、貴重なデータがあるわけですが、そこについてまで若者自立支援中央センターなり私どもなりが、詳細に把握しているかというと、そこまではちょっと把握していないという状況にあります。
 いろいろ質が変わってというお話もありましたが、アウトリーチを実施することによってまた変わってきた部分もあるやに聞いておりますので、この機会にいろいろお聞きできたらと思っております。
○小杉座長 それでは、質のコントロールができるような情報は、いままだ若者自立支援中央センターに集まっているわけではない。個々のサポートステーションの事業所にはあるけれども、それはまだこれからの課題ということになるかと思います。最後の質問の充実度、質の評価をするという話と別に、毎日来られるようなプログラムがないのではないかという御指摘なのですが、その辺はどうですか。
○工藤構成員 先ほど松田構成員からありましたが、一つの枠の金額の中で、各エリアで雇える人の金額、人数が決まっていて、当然、労働時間の拘束があって、相談時間が1時間とやった場合に、まず1年間の物理的な支援可能な時間枠が生まれますので、これを前提として、プログラムが組めるのか、組めないのか、余力があるかをまず立てないことには、頑張れという話になってしまう。プログラムを立てることはできますが、その代わり、課されている成果などをやろうと思えば、1回に100人入れなければいけませんということになりますので、いろいろなサポステへの期待とか、できることもいっぱいあるのですが、前提としてやはり予算を含めた物理的な制約から入っていかないと、闇雲に頑張りなさいだけになってしまって、これはこの分野だけではないかもしれませんが、支援者自体がバーン・アウトするような事態に。本来はそこから高めていきたいなとは思います。
○小杉座長 基本的に想定された事業規模に制約されている事態で、そういう意味では質の評価は事業規模がこのぐらいでいいのかという、規模全体の評価にもなってくるのではないかと。
○宮本構成員 私は頑張れと言っているつもりは毛頭なくて、この予算規模にもかかわらずサポートステーションに寄せられるニーズの大きさ。まだ可能性はいっぱいあるのですが、それをすべてやるということの限界。しかし、いまの段階でも、プログラムの充実度からいうとやはり問題があって、とにかくどこにも行っていない状態にいる人たちにとって、どういうものが必要かという議論が必要だと考えるのです。
○小杉座長 60万人のうち、どのぐらいが対象だかはいろいろ意見があるところですが、アウトリーチを増やしていくことによって潜在需要をどんどん振り起こしているという状態。ただ、いまの予算規模でやれることは、もう十分、予算規模の中でやれる範囲のことは既にやっているので、ある意味では認知度をこれ以上上げても、これ以上たくさん来ても困るという状態にある可能性がある事業で、予算を投じていけばもっともっと掘り起こされる需要があるけれども、いまの中では目一杯のことをやっている状態という評価なのでしょうか。
○谷口構成員 実際、我々は平成23年度ベースでいくと、相談件数は1万件を超えています。それを実際、何人で回しているかということになると、サポステ本体事業の予算で約4名、非常勤も入れて回しているということ。それプラス、高校中退者等アウトリーチ事業と継続支援事業の職員もいますが、これを充足させていくには、プラスアルファの人数がいるということなのですが、どう考えても1万件の相談を回すだけ、受けるだけでも相当な労力がかかってくると。それが可能になっているのは、自治体側からそういった支援を引き出しているからで、それがなければ到底やれる体制ではないということなのです。我々県の方からは、就労体験事業を獲得させていただいているので、実際でいくと、昨年度ベースでいくと577回、つまり毎日、就労体験系を実施して、延べ1,000名以上の若者が参加していると。こういった形で充実させることはできる。その代わり、我々全体でいくと、10数個の事業を複数個組み合わせて、いろいろなタイプの子どもたち、若者に対応できるようにしているというのが実態で、軸となっているのがサポートステーション事業であるということです。
 そういったところの課題を検証するに当たって、先ほど宮本先生からも御指摘があったように、成果指標をどうやって作っていくのか。これはこの検討会でもしっかりと議論をしなければいけないと思っているのです。一つは、この数字は説明責任が二つあると思うのです。一つは納税者に対する説明責任。この税金を使って、投入して、どういった人たちがどれだけの人たちに行き届いているのか。こういったところをしっかりと納税者にわかるような説明をしなければいけない。この点でも、実はサポートステーションの成果指標の取り方に少し問題があるのは、例えば本人優先という原則で、アウトリーチ、家庭訪問に行ったときには、本人以外の家族にも対応しなければいけない。家族支援というのは、すごく重要なテーマなのです。そういったところでいくと、現状の成果指標の中では本人が優先になるので、家族何人に対応しようが1という数え方になってしまうので、実態としてどれだけサポートステーションの恩恵を受けているのかが見えづらかったりするということで、どこ向けの指標なのかが若干見えにくい部分が出てきているところがある。
 もう一つ、検討しなければいけない視点は、発展的な取組を促すための指標なのです。そこにどういった成果が上がって、どういった課題があって、それをどのように解消していくのか。こういう観点で成果指標を定めていかないと非常にもったいないなというところになります。
 実績を上げているサポートステーションを全国で見ていくと、松田さんの所もそうなのですが、工藤 啓さんの所でも、独自に詳細な項目にわたって、きっかけであるとか状態、過去の成育歴も含めてデータを取って、それに対してのプログラムは何だろうと問い、こういう問いの中で事業を発展させているという経緯があります。そういったところも含めて考えると、もう一度この場で、しっかりと議論する必要があるのだろうと考えているところです。
○小杉座長 いま説明責任のような話が出たところで、少し労使の立場からこの事業に対する御意見をお聞きしたいと思います。
○森原構成員 サポートステーションで働く方の労働条件も大切になってくると思うのですが、いま予算の規模の関係もあるというお話でしたが、どこでも大体三、四人ぐらいいらっしゃって、その中でキャリア・コンサルタントが2名ぐらいという感じなのかどうかということです。社会保険の雇用保険とか健康保険、厚生年金の適用などはどのようになっているのか。また、賃金などもどのぐらいになっているのかと、正規とか非正規の雇用形態についても、教えていただきたいのですが。
○小杉座長 労働者としての支援者についてのそういう情報は、どこかで整備されているのですか。
○浅野室長 それぞれのサポステに何人の方がどういう形で配置されているかということについては、サポステによってネットワークなども生かしながら、さまざまな形で工夫されているという現状ですので、全体としてサポステにいる常勤の人はどこでも数名だと思うのですが、プラスサポーターのような形の人がどんな形で何人ぐらいでということについてまでは、ちょっと私どもの方ではわからないという現状です。ただ、雇用保険など、労働保険や社会保険などについては、サポステをしますということで手を挙げてもらう時点において、例えば株式会社なら株式会社、NPO法人ならNPO法人として雇っていって、要件を満たしている人については、きちんと保険料を払っているということについては確認させていただいているところですので、その部分についてだけは把握ができているというところかと思います。
○小杉座長 あとで玄田さんにもいまのお話を聞きたいと思うのですが、それはちょっと置いて、遠藤さんの方から、使用者側としてサポートステーションの御意見をお願いします。
○遠藤構成員 使用者側、産業界として、どう考えるのかということではありますが、具体的に地域若者サポートステーションとのかかわりの中で、どういったことが可能であり、今後どういう展開が見えているのかと問われれば、私は正直言って答えは持っていません。ただし、例えば生涯現役社会を目指していく、全員参加型社会を目指していく中で、若者を労働市場全体の中でどう支えていくのかということについては、企業は企業なりに応分の対応が求められると思っています。今後どういう連携が具体的な選択肢となり得るのか、見ていきたいと思っています。
 ただいまいろいろなお立場の方々から御意見を伺ってて、どうしても私の頭の隅に浮かんでいることなのですが、この10年で自分が携わってきたことだけを見返しても、毎年毎年、制度改正や法律改正がずっと続いてきていて、それぞれの制度についての修復はされてきているのです。しかし、その制度と他の制度との兼ね合いの中で、隣接点を含めて、どういう形で新しい方向に展開してきたのかというと、見えていない。むしろ効果が出ていないと言った方がいいのかもしれないです。そういうことで申し上げると、どなたかがおっしゃっていたように、地域若者サポートステーションを今回ターゲットにするのであれば、他の制度、他の分野とのかかわりが、どう見えていくのかということは当然に検討していかなければいけないと思います。
 その上で、私は、利用者の属性といいますか、いろいろなお立場の方が相談にこれだけ訪れていることは正直言って存じ上げなかったです。こういった方々を、この陣容で受け入れているサポートステーションの頑張りに頭が下がる思いです。なので、あまり広げすぎてしまうと、当初の目的さえも、ややもすると効果が薄れてしまうことになっては元も子もないので、足元を見て、それをきちんと守りながらプラスアルファで何ができるのかという議論であれば選択肢としてはあり得ると思うのです。あまり理想論ばかりを掲げすぎて、全国展開もいいかもしれませんが、したはいいけれども内容を伴わなかったなどということになってしまってはよくないので、その辺のところは注視していきたいと思っているところです。以上です。
○小杉座長 潜在需要がたくさんあるという話ですが、それをどこまでという話と、戦略的に考えるべきだということですね。まだ発言されていなかったので、玄田さん。玄田さんは昔から支援者の支援が大切だという話をされていたので、是非、支援者の問題について一言あればと思います。
○玄田構成員 皆さんのお話を伺っていて、私もサポステ事業については、実績、内容、社会的意義について大変高く評価している者の一人です。それは今日御説明いただいた数字だけではなくて、谷口さん他、皆さんをはじめとするサポステの現場の人たちのこういう検討会におけるすがすがしい説明の仕方を見ていて、谷口さんがいくつか全然存じ上げませんが、「俺は若いときにこんなことは絶対できなかったな」と思っています。それだけ見ても、この事業が本当にたのもしい人材によって維持されているなということを非常に強く感じるところです。
 ただ、一方で今日、時間がなくて御説明は十分できなかったのかもしれませんが、資料4の16に見る日本再生戦略の中でのサポステの目標値である2015年の6万人、2020年の10万人は重たいなという感じを緊々と感じ、強い危機感と身のすくむ思いで、この数字を改めて眺めておりました。松田さんがおっしゃるように、いま開店したけれども、誰も来なくて暇だというサポステはほとんどなくて、いっぱいいっぱいという状態の中で、どうやってこの5倍やるのだと。しかも、予算は増やさないよと言いながら、どうやってやるのだと、そういう魔法があったら教えてほしいなという感じがしています。つまり、何が言いたいかというと、いまサポステは学校との連携も徐々に始まったりしましたが、私は相当危機感を持ってやらないと、将来の財政状況、政治状況を踏まえていくと、決して安泰ではないという感じを改めて強く思いました。
 あとで支援者支援の話もしますが、先ほど遠藤さんが言われたように、データはとても大事なのですが、ここに上がってくるデータはサポステの利用者のデータでしかないので、潜在的な利用者を含めて考えると、どういう状況であるだろうかということを少し思ったところを説明させていただきます。基本的にはサポステの潜在的利用者の置かれている状況は、私は年々厳しくなっているだろうと思っています。そのキーワードは、先ほど松田さんが言われたかもしれませんが、「孤立」だろうと思っています。総務省の社会生活基本調査という調査を2次分析してわかるのは、普段誰とも一緒にいない、せいぜい家族としか一緒にいない利用者が着実に増え続けているという状況です。2006年の時点でも、35歳未満の若者で家族以外誰とも一緒にいないのは70万人いることを考えると、むしろ6万人とか10万人の目標は小さすぎるかもしれない。しかも、孤立している人に対して、どうアプローチしていくかという問題は、学校のアウトリーチだけではなくて、もっと多層な試みが必要であって、到底いまのサポステの人材ではそれだけの余裕はない。
 それをどうするかということを考えると、サポステの質の向上も大事ですが、量もしっかりとサポートしていかないと、これは絶対にできないだろうと思います。前にまだ自民党政権だったときに、若者の人間力を高める国民会議で当時、大臣だった舛添大臣に申し上げたのは、「若者を支援することも大事だけど、若者を支援する若者を支援することも大事だ」と。自分でもうまいこと言うなと思いましたが(笑)もちろん若者でない佐藤さんを支援しなくていいというのではないですが(笑)、100人のニートを国が何とかするのはむしろ無駄が多くて、100人のニートを何とかしようとする10人の若者ぐらいでやらないといけないだろうなと思っています。私はサポステは基本的に良い方向に来ていると思うのですが、もう1回てこ入れしていかないと、この6万人計画は無理だし、潜在的な孤立者が増えていくのは、非常に大きな社会的な問題になっていくだろうと感じます。
 しかも、それをニート対策だけではなくて、社会的投資だという位置づけにしていかないと駄目だろうなと思っています。先ほど吉田さんも言われた、この問題が貧困の問題と結び付いているというのは、専門家の人たちはだいぶわかっているのですが、社会全体の認識はどうかなという気がする。ニートの研究をしてみると、バブル経済の弾ける前までは、どちらかといえば経済的に余裕のある家庭から、働くことを希望しない若者が生まれるというのはあったのですが、バブル経済が弾けてからは、どちらかというと経済的状況が厳しい家庭の子どもが、もう働くなんて無理だということを言う傾向が強まってきています。これは確実に貧困問題になってきているのだということを、もっとみんなに知っていただかなければいけないし、これだけ国民全体が自分も貧困の連鎖に陥る可能性があると思っているとすれば、貧困対策としてもサポステ事業は大事なのだということはもう少し訴えかけていかないといけないだろうと思っています。
 そういう意味では、福祉関連との連携とか支援をこれからどうやっていくかというのはとても大事で、先ほど「頑張り」という言葉が出ましたが、いまは相当頑張ってやってもらっているけれども、システマティックな連携や支援を作っていかないと、バーン・アウトしてしまうということは心配しています。是非、今後の会議の中で、福祉との関連支援を考えていただきたい。
 もう一つだけ短く言うと、福祉に広げていけばいいかというと、先ほどどなたかおっしゃったように、従来の利用者が弾け出されてしまうのではないかということも懸念しています。経済学では「クラウディングアウト」と言いますが、満員電車にもっと詰め込むと、前の人が押し出されてしまうみたいなことがサポステも起こり得る。それを起こらないようにして、支援が受けられる人が増える反面、受けられなくなる人が出るということはしない。特に支援が届きにくい人たちにどうするかというと、先ほどの成果をどうやって評価するかということが第1段階なのですが、それを踏まえた上で、ある種インセンティブメカニズムというか、特に厳しい人を一生懸命支援した場合、先ほどの家族も含めて、それには十分なインセンティブをつけないと、別にサポステは営業利益事業ではないですが、事業として成り立たなくなってしまう。医療もそうですよね。風邪とがん患者に同じ報酬ということはないから、インセンティブメカニズムを作っていかないと、支援者のそもそもの強化と同時に、支援の評価のシステム、メカニズムとして、そういうことはそろそろ考えていってもいいし、今日いただいたお話を自分なりに感想として思ったのは、ある程度成果的な客観指標を作っていけば、そういうインセンティブメカニズムを作れるのではないかという印象は、大変強く持ちました。
○小杉座長 いままでの御意見を聞いた中で、浅野さんの方からお願いします。
○浅野室長 先ほどきちんと説明をしなかったなと思って反省をしているところなのですが、資料4の16、36ページの生活雇用戦略の目標の数値です。10年間で10万人、5年間で6万人ということであり、この数字自体はそれでいいよというものではないのですが、これを作ったのが少し前だということもあって、数字自体はこれだけの数字になっています。それ以上に、サポステの方が頑張ってきたということだと受け止めていただければと思います。
○小杉座長 6万人というのは、つまり累計だということですか。
○浅野室長 そうです。
○小杉座長 各年10万人ではなくて、これまでの累計でということですね。
○浅野室長 はい。
○玄田構成員 では、楽勝ですね(笑)。
○浅野室長 これは前に作った数字ですので、急にここにきて実績が上がりましたので。
○玄田構成員 ただ、理想ですが、孤立の利用者をスネップと言っていますが、何十万人とか考えると、本当は年間にこのぐらい支援できるような体制を、到底無理だと考えるのではなくて、上げれるぐらいの潜在的なサポステを必要としている人はいるだろうとは思いますけれどもね。
○浅野室長 あくまでもこれを作った時点で作った数で、それまでのデータに基づいて作成した数字です。すみません。説明をちゃんとすればよかったです。
○小杉座長 潜在需要が大きいということは間違いないところだと思います。それに対して、いま目一杯やっている。予算規模との関係で、どこまで潜在需要を開拓していくのか、その辺は少し戦略的に考えなければいけないということと、もう一つ大事なのが谷口さんがおっしゃっていた波及効果といいますか、サポステだけではなくて、サポステ事業をやっていることを契機にして、他の事業との関連の中で、さらに全体としての成果を上げていくという方向ですね。潜在需要に対して、この団体でどこまで事業規模を広げられるか、まだまだよく分からないので、そういうネットワーク型、あるいは波及効果として他の事業を取組ながらと、それは一つの戦略かと思います。
○遠藤構成員 先ほどの説明の中で、もしかしたら私は誤解して受け取ってしまったのかもしれないのですが、全国、拠点ごとにあるサポートステーションについては、利用者が必ずしも近いところを利用しているわけではないという御説明があったと記憶しています。利用者がサポートステーションを選ぶ場合に、何か現場から感じ取っている基準といいますか、そういうものがあるのかないのかというのが1点目です。
 実際に、あればということでお聞きしたいのですが、サポートする場合に、複数のサポートステーションが連携を取り合って、あるいは情報を共有し合って、対処した成功例があるのかないのか、もし情報があれば教えてください。
○小杉座長 これはやはり遠くから来ている人が多い「たちかわサポステ」が、立川市民以外も入れているということで、工藤さんからお願いします。
○工藤構成員 もともとサポートステーションに限らずですが、自立支援関係で、いわゆる同一市内を、あえて利用したい方はおそらく多くないだろうと思います。いまの現状自体があまり良くない中で、地元の友人たちもまだまだ残っている世代がサポートステーションに入ることそのものが、特に田舎などの地域性が強いところであれば、親御さんもそうかもしれません、行きづらいというのがきっとあるのだと思います。立川に関しては、立川だけではなく、他の自治体とも連携をする形で、来やすいというのはある。自分の周辺を知っている人間がいない所だからこそ、改めて始めることができる。心機一転という言葉につながる部分。その意味では、市区町村ベースの基礎自治体を作ることがいい場合と、それによって来づらい人が来られなくなるリスクがあったときに、本当に基礎自治体でやるのがいいのか、都道府県ベースで考えていくのがいいのかということは、データもそうですが、現場の意見としても考えなければいけないのではないかということが一つ。
 サポートステーション同士の連携としては、好事例かわかりませんが、特徴的な方が毎日利用することをよしとされない場合、または毎日利用するプログラムがないので、ただ来てしまってもお互いに気まずいがゆえに、月曜日はどこ、火曜日はどこというように行くケースもあります。これはおそらくサポートステーションに限らず、ハローワークでも毎日行くと相談してもらえないとするならば、あえて月曜日はどこどこのハローワークというのは、きっといると思います。どう捉えるかは難しい問題ではありますが、研修におけるエリアベースの会合において、「その人うちにもいる」「あっ、うちにもいる」「よくよく考えると1週間のスケジュールが立つね」みたいな話はありますが、サポートステーション全体が情報の共有をしているわけではないので、いまの段階では難しいように考えられる。
○小杉座長 こうというのはちょっと言いづらいのですが、それぞれのサポートステーションの専門性を生かした連携もありますよね。
○工藤構成員 サポステは受けているNPO等の団体によって特性がありますので、どこの団体の特性を生かした方がいいのではないかということはありますが、サポートステーションを受けている組織がどういう組織であるか、何が得意かというところまでは、お互い十分把握するような機能がまだないので、ここは拡充していくと随分変わってくるのかと思います。
○谷口構成員 先ほどの質問についてなのですが、私の所は佐賀県で、佐賀市という所に拠点を置いています。佐賀市の人口が県全体でいくと約3割ぐらいを占めているのですが、実際さが若者サポートステーションの利用者を見ていくと、実は6割近くが佐賀市ということです。その拠点にいる若者たちが多いというのは二つ理由があって、一つは佐賀市は22名の常勤職員、NPOの職員を学校の中に配置をしているというところで、そういった情報が上がりやすいという側面です。もう一つは、佐賀県は交通インフラが整っていない。田舎ですから、東京のように行き来できるような手段がないと。こういったことで、非常に利用者の偏りが出てきているというところだと思います。
 もう一つの連携に関しては、実は我々はアウトリーチの中でも特に専門性が必要とされる家庭のアウトリーチを専門に、中核事業としてやっていますから、全国のさまざまなサポートステーション受託団体からお願いをされて、特例ではありますが、県外に支援にいくということも実際にはやっています。しかしながら、いまのカウント上はそれが利用者としてはカウントできませんから漏れてはいますが、そういったこともあり得るということです。
○佐藤構成員 いまのに関連して、要するに自治体、基礎自治体の地方措置分の状況について見ても、半分にもいっていない。建て前としては、基本的な相談業務を基本枠でやって、それ以外は地方自治体が措置する分があるはずなのですが、これしか進んでいないという。
○小杉座長 100%なければおかしいのだけれども。
○佐藤構成員 なくてはおかしいのですよね。私の所の三鷹などは17万しかいないですから、措置しようがないのです。そうすると、東京で言えば多摩地区はなかなか基礎自治体とのそうした経済的な連携は難しい。広域自治体にしなくてはいけないのですが、自治体の縦割があって非常にそれは難しいということで、どこをクリアしていくかということがかなり重要かと思っています。最初からそれは問題意識を持っていたのですが、向こうが参加するぐらいだったら、うちはやらないぐらいな勢いで自治体同士はけん制し合いますので、非常にやりにくいなと思っています。その辺をクリアしないと、この問題は解決しないのではないでしょうか。
○玄田構成員 いまの御質問と御議論は、今後のサポステを考えるのには大事な論点だと思っています。簡単に言えば、今後目指すべきサポステは、ユニバーサルサービスの方向に向かうのか、ダイバーシティのサービスを目指すのかということは、ここで一旦、この検討会でもしっかり議論すべきではないかと。ハローワークのように、どこに行っても同じようなサービスが平等に受けられるという所を目指す方向もあり得るとは思うのですが、ニートであれ何であれ、個々の置かれている状況は極めて違うとすると、先ほど工藤さんがおっしゃったように、例えばAというサポステに行ってうまくいかなくても、Bという所で救われるという状況を作っていくためには、ある程度個性を作っていかなければいけないのではないか。ただ、それはもちろん先ほどおっしゃった地域性があるので、地域でもそこしかサポステがないという場合には、いろいろなことをユニバーサルな方向というのは相対的に必要になってきますが、ある程度全体を組んだ上で、ダイバーシティの一員を担うという方向性も私自身は大事ではないかと思っています。それはこのサポステを評価するときに、就職実績、進路決定実績だけではなく、もっとオルターナティブな評価軸を作るべきだと言ったときにも、やはり多様性というものの中での事業をしているのだということがないと、この事業の意義とか社会的な役割をなかなか広く理解していただくことはできないのではないか。そういう意味では、どういうサービスの方向性に向かうのかということを、是非残りの検討会で御議論いただきたいなと思います。
○宮本構成員 いまの件なのですが、これに関しては地方と大都市は全く違うことで、同じテーブルの上で議論は難しいと思いますね。ダイバーシティということになれば、いまの地方へ時々私も行くときに本当に感ずることですが、サポートステーションの数でいったら、若い人の支援機関としての条件、つまり、お金のない人、車を持っていない人、運転免許さえ取ることがいちばん困難な人たちが、サポートステーションが県の中に二か所あったって、ほとんど行かれない人たちがいると。そのぐらい広域で人のまばらな所に特に仕事に就けない人たちがいるという問題からすると、今後サポートステーションの数を増やしていったとしても、カバーできるかという限界はあるような気もしています。例えばそうであれば、ハローワークの方が数が多いと。そうしたら、地域によってはハローワークの中にその機能を持たせた方が合理性がある、ということの検討も必要ではないかと思います。
○遠藤構成員 ただいまの議論に関連してですが、相対で対応する、面接を重視した形で対応するということは、まさに重要であることは何ら否定されるものではないと思うのです。一方で、例えば空間を共有するという形で、ネットワーク上にいろいろな機器が発達しているので、そういったものを利用し、サポートを現にしているということはあるのですか。
○小杉座長 その辺はどうですか。
○谷口構成員 工藤 啓さんの所もそうかもしれませんが、スカイプであるとか、メールであるとか、電話であるとか、そういったことで間接的に支援をしているというのはあります。あと、自治体との関連事業でいくと、パソコンで学習を教えて、我々が直接たまに訪問するという形で支援をするという事業も立ち上がっていますから、そういう意味でいくと、遠隔地でもそういった支援が展開をされているということはあります。
○小杉座長 遠隔地でも、そういう媒体を活用した形もありますが、ただ対面である必要も、もう一方であるので、その両方をうまく使いながら、できるだけ効率を高めるという方向ですよね。全くインターネットの中の会話だけで済むという話ではない。もう一つ、佐藤さんの方から出されていた自治体との関係が、これからまた大事なポイントになってくるのではないかと思います。地域との関係という意味では、必ずサポートステーションは地元の自治体との協働という足場が必要なのですが、その足場のあり方は、あまり小さな基礎自治体に固執してしまうと、かえっていろいろな意味での限界が出てしまうという御指摘ではないかと思います。時間がわずかになってしまいまして、まだ十分発言されていない方がたくさんいらっしゃるようなお顔を拝見するのですが、最後に回数が少なかった方から順番にということで、まず吉田さん、村越さんから御発言をお願いします。
○吉田構成員 お話を伺っていて、私は学校に足場を置いているので、学校から見えるところはこれからも会議の中でお話をしていきたいなということを思いました。いま出てきたお話の中で、若干、学校を足場にしたところからのお話をさせていただくと、やはり自治体がどうかかわるかというのは非常に重要なポイントだろうと思っています。田奈高校は神奈川県立高校なのですが、横浜市内にありますので、横浜市が本校とサポステ、あるいはパーソナルサポートサービスとのかかわりの中で果たした役割は、非常に大きくなっています。横浜市がかかわることで、まず一つは信頼度も大きく上がるといいますか、例えば「横浜市と連携してやっている事業ですよ」と言うと、すごく保護者が安心されて、プログラムに対する信頼度が大きくなったりということもありますし、いろいろな面でサポステとかパーソナルサポートサービスを、財政的な意味でも支えている部分が非常に大きいと思っています。自治体とサポステなどが学校を舞台にして、連携して動いていくことは非常に効果が高いと思います。
 学校に入ってくる、これから連携を進めるというのが今回の事業の説明の中でも大きなポイントだったと思うのですが、現実的に連携をうまくしていくためにはどうしたらいいのかというのは、実はそんなに簡単ではないのかもしれないということを思っています。一つには、学校というところ、特に高校という場なのですが、支援することが前面の場ではないことが多いと思うのです。やはり教育の場であって、教育されるのにふさわしい人が来て、ちゃんと教育を受けていくということが前提の場になっています。このサポステあり方検討会の場では「支援」が当たり前なキーワードになって、「支援しましょう」ということで話が進んでいるわけですが、学校は必ずしも支援しましょうという場にはなっていないのです。そういう所に支援する人たちが入っていくわけなので、そこの教育の論理と支援の論理が現場でいかに噛み合わせられるかというのは、非常に重要な部分ではないかと思います。なので、今回の会議で文部科学省の方もいらしているわけですが、もしこれから学校の中にサポステとか支援ということをメインにした機関が入っていくのであれば、教育の側の理解とか、そういう部分もすごく重要になるのだろうなと思っていて、サポステ側だけが一生懸命でも、たぶんうまくいかなくて、学校の方が連携に向けて代わるべき部分もすごくあるなと思っています。私自身は非常に連携を深めさせていただいている学校にいて、いろいろな意味で助かっている部分がたくさんあるのですが、必ずしも多くの学校現場ではそのように簡単にはいかないのではないかと。今日のお話の中では、その部分があまり出てきていなかったので、それをお話しさせていただきました。
○小杉座長 村越さん、どうでしょうか。
○村越構成員 先ほどありましたように、地方と東京では随分違うと思います。私は6月に佐賀のサポステにお伺いして、いろいろお話を伺ったのですが、たぶんあの地域の子どもたち、高校生で学校に行っていない子、あるいはアルバイトをしていなくてフラフラしている子は、大体把握されているのではないかという気がしました。そのぐらいにつかんでいる。ところが、一橋などは千代田区ですから、千代田区から来ている子はほとんどいません。江戸川とか足立から来ている生徒が多く、地方自治体の千代田区との連携できるかというと、まずできないだろうと思います。東京は地域があるようでないのです。足立区のサポステは足立区と連携しているようですが、足立区は地域の特性があります。一橋は連携していますが、順調だと言っていいのかどうかわかりません。本当に伝えたいところに伝わっていないというもどかしさがあるのと、それをどうしたらいいのかというので、模索しているところなのです。
 先ほど支援についてお話がありましたが、私は助けてほしいと思っています。どこかに助けてもらいたいと。そうしないと、学校ではもうどうにもならない状況があります。これはサポステばかりでなくて、他の教育活動においても、学校ではどうにもならない部分がたくさんあるのですね。だから、お願いだから助けてもらえないだろうかということで、来ていただいています。それで、うまく合致したときに、良い効果が現れるのだろうと思います。現状は頭を抱えているというところが本音のところなのです。
○小杉座長 申し訳ありませんが、予定の時間が来てしまって、まだ1回しか発言していない方があと一人いるので、発言してほしいと思ったのですが、30秒でお願いします。
○森原構成員 いまお話を伺っていて、地域性ということもあったのですが、若者たちへの研修について、11ページにも就職活動コースなどもありますが、住む地域によっての産業構造の形態なども違うと思いますので、研修内容を地域に応じた技術とか、雇用の受け皿につながるような研修が必要なのではないかと思いました。あと、サポートステーションの認知度がまだまだということだったのですが、ちらしなどもコンビニとか、ゲームセンターとか、カラオケに置くとか、漫画とか、雑誌といったものでの広報対策も必要なのではないかと思いました。以上です。
○小杉座長 これに対して、本当はコメントもあるかもしれませんが、申し訳ありません。時間なので、今日はこれで終了したいと思います。この先まだ続いてやりますので、いまの続きをまたやりたいと思います。議事録の公開なのですが、本日は特に非公開にする理由はないので、議事録は公開ということで考えますが、よろしいでしょうか。
(異議なし)
○小杉座長 それでは、そのように取り扱わせていただきます。次回について、事務局からお願いします。
○永井室長補佐 お疲れさまでした。ここで事務局の紹介をさせていただきます。職業能力開発局長の山田です、大臣官房審議官の内田です。総務課長の吉本です。キャリア形成支援室長の浅野です。総務課長補佐の吉村です。
 次回の日程ですが、一応、10月4日(木)の10時から12時ということで、場所はこの建物の6階の共用第8会議室になります。よろしくお願いいたします。今後12月の上旬まで、今回を入れて5回、検討会を開催するということで、いま考えておりますので、併せてお知らせしたいと思います。
○小杉座長 次回は、本検討会の構成員であるサポステと学校関係者の方々から、それぞれ具体的に話をお聞かせいただきたいと思いますので、まさに今日の続きになるかと思います。本日はこれで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省 職業能力開発局 キャリア形成支援室 若年労働者対策係

電話番号: 03(5253)1111(内線5741)

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