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2012年9月5日 第35回がん対策推進協議会議事録

健康局がん対策・健康増進課

○日時

平成24年9月5日(水)
17:00~19:00           


○場所

厚生労働省低層棟2階 講堂 
(東京都千代田区霞が関1-2-2)




○議題

1 開  会
2 議  題
 (1)小児がん拠点病院の整備について(報告)
 (2)都道府県がん対策推進計画の見直しの進捗状況(報告)
 (3)がん対策推進協議会の今後の議論について
 (4)相談支援について
3 意見聴取
 (1)がん相談支援センターの現状と今後の充実に向けて(高山参考人)
4 その他

○議事

出席委員:門田会長、天野会長代理、石井委員、上田委員、江口委員、川越委員、北岡委員、田村委員、中川委員、中沢委員、西山委員、野田委員、花井委員、堀田委員、本田委員、前川委員、眞島委員、松月委員、松本委員、道永委員

○木村がん対策・健康増進課長 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第35回「がん対策推進協議会」を開催させていただきたいと思います。
 委員の皆様方におかれましては、非常にお忙しい中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 初めに本日の委員の出欠状況について御報告申し上げます。本日は全員の御出席との連絡をいただいておりますけれども、ただいま川越委員から遅れて来るとの御連絡がありましたので、その旨、お伝え申し上げます。
 したがいまして、がん対策推進協議会委員定数20名に対しまして、現在、出席委員が19名でございますので、議事運営に必要な定足数に達していることを御報告申し上げさせていただきたいと思います。
 また、後ほど「(4)相談支援について」の御議論をいただく予定となってございますけれども、相談支援センターの人材育成、質の向上などについてお話を伺うために、本日は厚生労働科学研究の研究代表者でもございます、独立行政法人国立がんセンターがん対策情報センターがん情報提供研究部医療情報サービス室長の高山智子様をお招きしております。
 また、事務局にも8月1日付で異動がございましたので、御紹介させていただきたいと思います。鷲見がん対策推進官が異動しまして、後任の岡田でございます。
○岡田がん対策推進官 岡田でございます。よろしくお願いいたします。
○木村がん対策・健康増進課長 そして、本日、事務局には厚生労働省のほか文部科学省、並びに経済産業省の方々にも御出席をいただいているところでございます。
 それでは、以後の進行につきましては、門田会長によろしくお願い申し上げたいと思います。
○門田会長 皆さん、こんにちは。
 非常に残暑の厳しいとき、しかも、本日は20名全員出席でございます。本当にありがとうございます。
 6月に閣議決定されましてから2回目の開催ということで、前回から今後どういうディスカッションをするかということについて、皆さんと検討させていただくということを申しておりましたけれども、今日この席で御紹介させていただくことになりました。遅れて申し訳ございません。
 先ほどもありましたけれども、本日は事務局から小児がん、都道府県のがん対策推進計画の見直しの進捗状況等々の報告をしていただきまして、先ほども申しましたように、今後のがん対策推進協議会の議論の方向性についてお話をさせていただくということでございます。そして、最後にピアサポーターも含めて、相談支援についてのヒアリングをし、議論をしていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、事務局から資料の確認をお願いいたします。
○木村がん対策・健康増進課長 それでは、お手元の資料の御確認をさせていただきたいと思います。
 まず初めに本日の議事次第のほか、資料が右上に付いてございますけれども、資料1から資料8まで、参考資料1と参考資料2、また本日は門田会長提出資料、天野委員提出資料、二人の先生からの提出資料がございます。そして、最後に机上配付資料という形になってございます。
 万一なければ、お申し付けいただければと思いますが、ございませんでしょうか。
○門田会長 よろしいですか。皆さん問題ないですか。
 問題ないようでしたら、本日の議題に入りたいと思います。
 まず基本計画で重点課題として挙げられて、注目を引いておりますが、小児がんについて事務局から報告をしていただきたい思います。よろしくお願いします。
○事務局(秋月) それでは、事務局より資料2「小児がん医療・支援の提供体制のあり方について(報告書)」について御説明をさせていただきます。
 1ページ目でございますが、この検討会が開催された背景を御説明させていただきます。
 2段落目の3行目から読ませていただきますが、小児がんの年間発症患者数は2,000人から2,500人と少ないにもかかわらず、小児がんを扱う施設は約200程度と推定されておりまして、こうした状況の中で、小児がん患者さんが必ずしも適切な医療を受けられていないことが懸念されておりました。
 こうした現状を改善するため、基本計画の中で、小児がん患者とその家族が安心して適切な医療や支援を受けられるような環境の整備を目指し、5年以内に小児がん拠点病院を整備し、小児がんの全国の中核的な機関の整備を開始することが目標と定められておりまして、この検討会では、特に拠点病院の要件を議論してまとめていただきました。
 2ページ目でございますが「小児がん医療提供体制のイメージ(案)」を示しております。全国に1か所中核機関がございまして、その次に拠点病院とございます。これは地域ブロックごとに大体1~3か所を予定しております。更に拠点病院を取り囲むように小児がんの診療を行う医療機関がございまして、拠点病院を中心に地域のネットワークを構築していただくことを目指しております。
 「2.中核機関に期待される役割について」。中核機関については、今後整備を進めていくわけですが、その役割については、小児がん医療・支援の施策に関する立案・提言、小児がん登録の体制の整備、臨床研究の支援及び情報の集約・発信、長期フォローアップ体制の支援と多くございますが、こういった役割が期待されております。
 3ページでございますけれども「3.拠点病院に期待される役割について」ですが、1つ目が、地域における小児がん診療の牽引役として、地域全体の小児がん診療の質の向上に資すること。
 2つ目が、小児に多いがんのみならず、再発したがんや治癒の難しいがんにも対応すること。
 3つ目が、成長期にあるという小児の特性を踏まえて、全人的なケアを提供すること。
 4つ目が、地域(ブロック単位)でございますが、小児がん診療を行う地域の医療機関とネットワークを構成して、地域の医療機関の診療機能も支援していくこと。
 5つ目が、臨床研究についても主体的に推進すること。
 6つ目が、地域の医療機関等と役割分担と連携を進め、患者が発育時期を可能な限り慣れ親しんだ地域にとどまり、ほかの子どもたちと同じ生活・教育環境の中で医療や支援を受けられるような環境を整備していくこと。
 7つ目が、長期フォローアップの体制を整備していくこと。
 こういったところが、拠点病院に期待される役割として掲げられております。
 4ページですけれども「4.拠点病院の当面必要な数について」でございます。下の3行を読ませていただきます。一定程度の集約、均てん化のバランスに配慮いたしまして、当面の間は地域ブロックごとに1~3機関、全体では10機関程度が適当ということでございます。
 「5.地域ブロックの設定について」ですが、これは地方の厚生局の地域ブロックを参考に、今後、拠点病院の候補となる病院の地理的な配置等を踏まえて設定することとしております。
 「6.拠点病院の要件について」ですが、これは別紙に細かくまとめられておりますので、お時間があるときにごらんいただければと思います。
 拠点病院の要件については、1つ目にございますように、おおむねがん診療連携拠点病院の要件と同じです。ただ、小児がん診療の現状を踏まえまして、クリティカルパス、外来化学療法、地域連携クリティカルパス、人の配置に関することについては、幾らか要件を緩和しておりますが、一方で、小児患者さんに必要な発育や教育に関する環境整備、例えば保育士の配置であるとか、遊びの場の確保であるとか、そういった要件については追加をしております。
 5ページ目でございますが、今回、日本小児血液・がん学会が認定する研修施設、日本小児外科学会が認定する施設を要件としております。
 また、診療実績についても今回要件に入れておりまして、年間の新規固形腫瘍が10例程度以上、うち脳脊髄腫瘍が2例程度以上、かつ造血器腫瘍が10例程度以上としております。
 この指定の要件については、指定後、おおむね3年を目途に要件全体を見直すこととしております。
 「7.小児がん診療を行う地域の病院について」も5つほど期待されることを記載しておりまして、こういったところを満たすことが望ましいとしております。
 「8.小児がん医療・支援提供体制の今後の検討課題及び展望について」ですが、1行目にございますように、小児がんの拠点病院は、今後、希少がんやその他の希少な疾患に関する医療提供体制のモデルにもなると期待されますので、拠点病院の指定後も定期的に議論する検討の場を設けて、試行錯誤の中ではありますが、よりよい医療提供体制を構築していくことが求められております。
 こういった形で報告書をとりまとめましたが、今後の予定でございますけれども、この報告書に基づいて、整備指針を近日中に発出したいと考えております。病院から新設するための一定期間を設けまして、その後、指定のための検討会を開催し、10月終わりぐらいから11月ぐらいを目途に指定を進めていきたいと考えております。
 事務局からは以上です。
○門田会長 ありがとうございました。
 ただいまの御説明について、御質問、御意見はございますか。天野会長代理、どうぞ。
○天野会長代理 ありがとうございます。
 検討会の構成員の一人として議論に参加させていただきまして、特に私から2点強調して、重ねて申し上げさせていただきたいと思います。
 1点目でございますが、5ページに「拠点病院の指定後も、小児がん医療・支援に関して有識者、患者、家族、遺族、拠点病院等とともに、定期的に議論する検討の場を設け」と記載していただいておりますが、今回、小児がんの拠点病院を初めて指定したところがありますので、残念ながら、まだまだ議論が不十分なところもあったかと思います。そういった点についても、試行錯誤の上でよりよいものにしていくため、こういった検討の場を必ず設けていただきたいと思います。是非お願いいたします。
 2点目でございますが、14ページになります。「(4)診療実績」ということで、もともと固形腫瘍及び造血器腫瘍の症例数が拠点病院の指定要件として定められているわけですが、それに加えて、14ページの記載にありますように「領域別の診療機能、診療実績及び医療従事者の専門とする分野・経歴などを、わかりやすく情報提供すること」と今回記載していただいております。小児がんの患者さんや御家族の方がどこの施設を受診すればいいか、特に患者数の少ない肉腫であるとか、難治性の小児がんについては、こういった情報は命綱になってくる情報でございますので、ここについては、是非しっかり拠点病院に求めていただきますよう、お願いしたいと思います。
 私からは以上でございます。
○門田会長 ありがとうございました。この協議会の委員として、こちらの検討会に加わっていただいた天野さんの意見でした。
 そのほかにどなたか御意見ございますか。堀田委員、どうぞ。
○堀田委員 ありがとうございます。
 今、御説明いただいたところで、2の中核機関は、あえて説明を外されたと思うんですけれども、中核機関に期待される役割について書いてある内容は、あくまで、拠点病院の要件を満たしてかつこれなのか、これは拠点病院の要件とは一応別なのかというところの整理を教えていただければと思います。
○事務局(秋月) 中核機関については、今回、検討会の中では役割のみを議論しておりまして、特段、拠点病院でなければ中核機関になれないとか、そういったところまでは議論しておりませんので、今後決めていきたいと思います。
○門田会長 よろしいですか。
 石井委員、どうぞ。
○石井委員 この中にありますように、拠点病院を10ぐらい整備されることになりますと、それがひとり歩きしてしまいますと、患者さんはその病院に行って治療を受けないといけないのではないかという意識が出てくる可能性もありますので、やはり地域の拠点病院に連携する病院、チーム医療というものをある程度カップルにして、議論していく必要があるということが1つです。
 それと、拠点病院を整備するに当たっては、当然ながら、患者さんがその病院に集約化する可能性がありますので、小児がんを専門とする医者をどう育てるのか、あるいは研修病院としての機能をどういうふうに持たせるのかということも、併せて議論していただければと思います。
 以上です。
○門田会長 事務局、何かございますか。それはそういう形で検討は続けるということですね。
 そのほかにいかがでしょうか。中沢委員、どうぞ。
○中沢委員 小児がん拠点病院については、地域で関心の高いところでございますけれども、補助のスキームや診療報酬上での位置づけについての検討状況をお聞かせいただきたいと思います。
○事務局(秋月) 補助については、既に今年度の予算で小児がん拠点病院の予算を確保しておりますので、それで小児がん拠点病院に対して、必要な経費は補助していきたいと考えております。
 診療報酬については、まだ議論されておりません。
○門田会長 そのほかにいかがでしょうか。よろしいですか。花井委員、どうぞ。
○花井委員 ありがとうございます。
 小児がんの拠点病院の案の相談支援の項目ですけれども、患者や家族が語り合う場や機会を設けることが望ましいとあります。そこで、私、思ったんですけれども、もともとピアサポートそのものというのは、子どもの学校教育の場での総合支援というか、そういうところから発達してきたと聞いておりますが、小児がんの領域ではピアサポートの要請であるとか、拠点病院におけるピアサポートの導入であるとか、そういうことは考えられている、もしくは議論されているようなことがあるんでしょうか。
○事務局(秋月) 検討会の中では、小児がん領域でピアサポーターはどうあるべきかというお話は、私の記憶になりますけれども、それほどなかったと記憶をしております。ですので、特段まだ議論されていないというのが現状です。
○花井委員 私の聞き及んでいる範囲でしかありませんけれども、小児がんの領域でも小児がんを体験した子ども、今は大人になっているかと思いますが、そういった人たちからピアサポートをしたいであるとか、関係者から小児がんの領域こそピアサポートが大切だということを聞いたりしておりますので、今後、御検討いただければと思います。ありがとうございました。
○門田会長 先ほどから何回か出ていますけれども、5ページはこれから定期的にずっと見直しをしながらということで、委員の方もそれなりの理解の上で、こういう形でまとめられて、必要に迫られることについては、逐次いろいろディスカッションするという意思表示が表われると思います。ですから、完成したものというよりも、育てていくという理解でスタートするという姿勢が表れているのではないかと思います。
 そのほかに何かございますか。よろしいですか。
 取扱いですけれども、これは検討会がこういう報告書をまとめたんですね。それで、今、この協議会で皆さんの前に御披露していただいて、その意見を聞いていただくということで、実行に移す場合に、今、幾つかの参考になる意見があった。そういうものは、そのときに加えていく可能性があるということで、このものは一応これで終わっているということですね。そういう扱いでございます。よろしいでしょうか。
 それでは、次にまいります。「(2)都道府県がん対策推進計画の見直しの進捗状況(報告)」ということで、これも事務局からお願いしたいと思います。お願いいたします。
○事務局(秋月) それでは、資料3「都道府県がん対策推進計画の見直しの進捗状況」について御説明いたします。
 こちらは8月に当課から都道府県に対してアンケートを取らせていただいた結果です。
 「1.都道府県がん対策推進計画見直しの予定・進捗状況」でございますが、見直す予定があると回答したところが47自治体。
 見直しの時期の予定ですが、平成24年2月から4月。
 見直しのための議論を開始しているところが、34自治体。
 見直しのための議論を開始していないところが、13自治体。
 開始していないところについては、8月から11月の間には開始をすると聞いております。
 「2.見直しの場について」ですが、主に常設の協議会や検討会等にて議論、これはがん対策推進協議会と同じようなものを設けているところが多いわけですが、それが42自治体。
 がん対策推進計画の見直しのために、別途設置した検討会等で検討するところが5自治体ございます。
 専門分野について、当該専門分野の既存の検討会や、あるいはマル1、マル2の下に専門委員会や作業班などを設置する予定のところが16自治体ございました。
 「3.見直しの場への患者委員の参画状況等」ですけれども、都道府県のがん対策推進計画の見直しを行っている検討会の委員というのは、9人から29人と差がございます。
 患者委員の数についても、1人というところが14自治体、2人が15自治体、3人が9自治体、4人が6自治体、5人が2自治体ということで、一部の県は現在調整中と聞いております。
 「4.国民や患者の意見を反映する仕組みについて」ですが、パブリック・コメントについてはすべての自治体で行う予定ということです。
 患者団体等との意見交換会・説明会・タウンミーティング等を行うのが、14自治体。
 世論調査やアンケートを実施するところが、4自治体となっております。
 進捗状況については、今後も定期的に都道府県にアンケートを配付いたしまして、こちらとしてもフォローしていきたいと考えています。
 以上です。
○門田会長 ありがとうございました。
 ただいま都道府県の進捗状況の調査結果が報告されましたけれども、どなたか御発言ございますか。天野会長代理、どうぞ。
○天野会長代理 ありがとうございます。
 今、事務局からもありましたとおり、次回以降も都道府県がん対策推進計画の見直しのフォローをお願いしたいと思います。国の計画が具現化されるのは、都道府県の場ですので、是非お願いしたいと思います。
 私から2点ございまして、1点が質問でございます。見直しのための議論を開始していない自治体が13自治体あると書いていただいているんですけれども、もし可能であれば、こちらの自治体について御教示いただきたいというのが1点目でございます。
 2点目は意見でございますが、患者委員の数が1人という自治体が14自治体あるとされているんですが、さすがに患者の立場の方が1人となりますと、発言するのにも勇気がかなり要るのではないかと思われます。人数が多ければいいというものでは勿論ございませんが、こういった自治体におかれましては、是非複数名の患者委員を確保していただければと考えております。
 私からは以上でございます。
○門田会長 ありがとうございました。
○事務局(秋月) 1つ目の質問ですけれども、見直しのための議論を開始していないと回答したところですが、8月時点で、神奈川、石川、岐阜、静岡、三重、和歌山、徳島、愛媛、佐賀、熊本、大分、鹿児島、沖縄と聞いています。ただ、このうち神奈川、岐阜、佐賀、沖縄については、8月には開始するとなっておりますので、現時点では9自治体かと思います。
○門田会長 それから、患者委員の数については、厚労省サイドから意見は言えるんですか。
○木村がん対策・健康増進課長 確かに入っていくことが好ましいとは思っているんですけれども、一方、地方分権の観点から、細かな中身については、各地方自治体でやっていく部分もございまして、私どもとしては、望ましいのではないかという見解を機会があるごとにお伝えしていきたいと思ってございます。
○門田会長 ありがとうございました。
 天野会長代理の立場というか、いろんなところで、患者委員としての立場を弁護していただいたんだと思います。
 江口委員、どうぞ。
○江口委員 都道府県がん対策推進計画の見直しについては、その内容および進捗の状況について、都道府県においてなにがどう見直されたのか、要点をまとめたものを是非事務局につくっていただきたいと思います。今後5年間の具体的な重点指針をたてる上で非常に重要な作業であると考えます。いかがでしょうか。
○木村がん対策・健康増進課長 承知いたしました。それについては作業をして、できました結果については、また御報告させていただきたいと思います。
○門田会長 よろしくお願いします。
 そのほかにいかがですか。よろしゅうございますか。
 ありがとうございました。こういう進捗状況だということで、御意見がございました内容についても、引き続き事務局で検討していただく、やっていただくことにしたいと思います。
 それでは、続きまして「(3)がん対策推進協議会の今後の議論について」ということで、事務局からの資料が出されておりますが、私は昨年から会長という立場になっておりまして、この機会に皆さんと一緒に考えてみたいと思ったことについて、少し紹介させていただきたいと思います。
 と申しますのは、第1回のときも法律が施行されてすぐ、4月から6月までの短期間に基本計画を検討した。今回も昨年5月の終わりに新しいメンバーが出そろって、昨年内に基本計画をまとめなければならないという、2回とも非常に時間に追いかけられたという経緯がございます。前にも申したことがありますけれども、そういう状況の中で検討してきているということであります。昨年に局長からお話をしてもらいましたが、私達は唯一、法律、すなわち「がん対策基本法」に基づいてがん対策を検討するというミッションをもらって、この協議会がスタートしているということです。私達はそういう大きなミッションがあるんだという認識に立って、長いスパンで見ていくことも我々の大きな責任ではないかと感じます。そういった意味で、私の意見を少し紹介させていただきたいと思います。
 2ページ目を見ていただきたいと思います。これは皆さん御存じのとおりですが、左側に挙げておりますグラフの中で、赤い線は死因別死亡率といって、がんあるいは悪性腫瘍による死亡数です。こういう形で直線的に増加していっているということです。これはいろんなところで見られたと思います。
 ごめんなさい。申し訳ありません。下の方にあります門田会長提出資料を見ていただきたいと思います。よろしゅうございますか。
 今のは年齢の因子を一切見ないデータで、単に死亡数だけ見たものであります。
 右隣を見ていただきますと、年齢で調整をかけるという形で、高齢化の状況を加味し年齢を調整すると、右のように死亡率そのものが低下傾向にあるということです。死亡数が増えているのは、高齢化が大きな原因になっていることがわかるということであります。
 3ページ目を見ていただきますと、左側の図が男性の部位別の死亡率です。年齢調整のものです。先ほどの図を疾患別に見ておりますが、見ていただきますと、胃がんあるいは肝臓がんなどは、最近は死亡率が下がってきているということです。そのほかのものについても、横ばいないしはやや減少傾向にある。
 右隣の女性の方を見ていただきますと、これも傾向は一緒でございますが、胃あるいは肝臓というのは、非常に顕著に低下してきている。ただし、ピンクの枠で囲んであります乳がんにつきましては、直線的に伸びている。これは我が国の特色です。欧米はこういう状況にはなっていない。我々としても、非常に重大なこととして考えなければならない状態です。
 4ページです。これは全体的に数の少ない悪性腫瘍の男性、女性の死亡率を見ておりますが、ここで四角がついているものは膵(すい)臓がんです。いまだに膵(すい)臓がんは死亡率が増え続けている。これは年齢調整をかけてもこうだということで、膵(すい)臓がんは非常に大きな問題だと言えます。
 5ページを見ていただきますと、年齢調整の罹(り)患率です。がんが発生するのはどうかというものを見たものでありますが、左側が男性です。これも胃と肝臓、結腸が低下しているということですが、全体的にまだ増加傾向だということであります。
 女性についても、胃がんと肝臓がんは低下傾向にありますが、そのほかの罹(り)患率はどんどん右肩上がりに増加している状況です。これはほかの先進国と違うということで、我々が対策としてやることや予防が、ほかの先進国と比べて遅れているということが言えると思います。
 6ページを見ていただきたいと思いますが、これは今の治療の状況を表したものであります。これは全がん協の29病院のデータでもって、5年生存率を比べている図でありますが、一番左端の全がんと書いているものを見ていただきたいと思いますが、ステージ1、2、3、4と全体で見た計がございますけれども、がん全体で見ても、現在のところ、5年生存率が60%を超えている。今度はステージごとに分けてみますと、ステージ1でもし発見されるならば、90%の5年生存率が得られているということです。それがステージ2になって少し落ちる。3、4となって、ぐっと落ちてくるということであります。そういうことから考えますと、ステージ1、2で発見することによって、現在でも成績は相当よくなるという状況です。これも非常に明らかな結果です。
 右には、それぞれ臓器単位のことを書いております。臓器によってパターンが違いますが、基本的にはステージ1で発見されると、先ほど言いましたように、非常に高い生存率が得られるということも明らかであります。
 7ページを見ていただきますと、今までの我が国のがん対策の歴史を挙げておりますが、我が国全体の対策として、今、私が務めております癌研究会ができたのは、実は非常に古い。1908年、明治41年から、国全体としてがんの研究を進めることがスタートしましたが、実際はこれから大分治療の方が遅れております。
 がんセンターができたのが昭和37年です。
 そういう中にあって、昭和56年、先ほど見ていただきましたけれども、悪性腫瘍が死因の第1位になったということであります。
 その後、検診を開始している。
 昭和59年4月には対がん10か年総合戦略をスタートした。
 そして、検診、検診ときておりますが、10年後にがん克服新10か年戦略が続いています。
 平成16年には、第3次対がん10か年総合戦略を開始しております。これは平成25年度で10年目を迎える状況になっているということであります。
 そういう長い流れの中で、平成18年6月にがん対策基本法が成立したということであります。この成立の過程には、患者さんたちの活動があったということが言えると思います。
 8ページを見ていただきますと、そのとき患者さんたちは病院に行ったけれども、治療ができないと言われたとか、あるいはある人は助かった、ある人は助からないという格差、苦痛の問題がありました。当時、がん難民という単語が出てきましたが、医療不信につながり、またドラッグ・ラグという、いまだに問題がありますけれども、こういうことが話題になり、そういうことに対して、がん対策基本法で対策を講じることになって、成立したということだと思います。
 今回6月に第2期の基本計画ができましたが、ここの図で私が申し上げたいと思ったのは、第1期の基本計画、スタートの段階では、病気の死亡率を20%下げるんだということと、患者さんの苦痛あるいは患者さんの療養の質を高めるということで、第1期の段階では主に病気、患者さんというものが中心の計画だったのではないか。そして、今回はそれを社会に広げた。就労の問題であるとか、教育の問題であるとか、社会全体で支え合うという形になったのが、第2の基本計画と言えるのではなかろうか。また、第1期は、どちらかというと、具体的な数値目標ということで、量を目標としておりましたけれども、今回はいろんな意味で質的にはどうかということを重要視するということで進んだと理解しております。
 こういう形で、面として非常に広がってきている感じがあるんですが、次のステップとして、今度は時間軸を入れる必要があるのではないかと思っております。ですから、時間軸の見方というものの必要性が次の課題ではないかと思っております。
 「我が国のがん対策の課題」として、あえて言うならばということで、先ほどお話もいたしましたが、11ページに載っていますように、がんの年齢調整死亡率は下がっているけれども、年齢調整罹(り)患率はいまだに上がり続けているということです。胃がんが下がってきているので、胃がんを別にしても、全体として罹(り)患率が増加し続けている。これは非常に重大な問題だと理解し、その対策はほかの先進国に比べて遅れていることを、我々は強く意識する必要があるのではないかと思います。
 12ページです。先ほどのがん対策基本法ができるときの問題点を上に挙げておりますが、上の方に出てくる問題の背景には、もっと幅広い社会全体の問題が潜んでいるのではないかと思います。この背景も一緒に解決することが、いわゆるがん対策の方向につながっていくのではないかということであります。ここに書いてあることは、易しいことはほとんどありません。非常に難しいことばかりです。しかし、難しいといって、時間がかかるといっても、今、スタートしないことには、永遠にできないという認識を持つべきではないかと思います。
 高齢化社会、高齢化の問題が必ずあります。先ほども死亡率のところで言いましたけれども、13ページを見ていただきますと、これは厚労省から出た白書の中から、19年版を引いてきておるものです。
 例えば2005年で見ておりますが、大きな山が、第1次ベビーブームと第2次ベビーブームにありますけれども、この人たちが、今、徐々に高齢化してきているということで、私が申し上げたいと思うのは、高齢社会というのは、決して、今、急にきたものではないということです。ずっと前からわかっていることなんです。ベビーブームの人たちが30歳のころには、1980年、日本の景気はむちゃくちゃよかったわけです。そういう時代に、その後、時間が経つことによって、こうなるということが読めなかったはずはないと言いたいんですが、しかし、過去のことを言い続けていても仕方がありません。
 私があえてここで申し上げたいのは、例えば2030年のピラミッドが出ておりますが、今でさえも高齢社会の中で、がん患者さんをどうするかということになっていますけれども、2030年の段階になって、我々はどうするんだ。第1次のベビーブームの人たちが80歳に達するとなったときに、これを乗り切るというのは、そんなに易しいことではない。これは厚労省も既に考えておられることだと思いますけれども、我々がん対策推進協議会としても、こういうことを十分に理解し、認識し、そして、その対策を我々がどうするか、あるいはどこに対してどういう要請をするのかということを踏まえてやる必要があるのではないかと思っておるということであります。
 14ページを見ていただきますと、これは余り申したくありませんが、国民総医療費の問題です。今、35兆円を超えておりますけれども、こういう状態でどんどん伸びている。一方、所得の方が伸び悩んでいることから、比率だけどんどん上がってきている。こういうことも直視せざるを得ない。どういうふうに我々がしていくかということも、我々の責務ではないかと感じるわけであります。
 15ページをお願いいたします。先ほど言いましたけれども、対がん10か年戦略というものが第3次に入っておりますが、第3次が平成15年3月に検討されたときの内容を書いております。これは平成16年から平成25年度までということで、この内容を見ますと、私たちの基本計画とどう違うのかというと、非常によく類似している内容が書かれていると思います。そういった意味で、新しい基本計画が今年からスタートする。そして、25年で第3次が終わり、26年から10か年総合戦略をどうしていくのか。基本計画と10か年総合戦略とをどういう関係にしていくのかということも、我々は無視できないので、どうしていくのかというディスカッションも必要ではないかと思います。
 16ページを見ていただきますと、皆さん御存じのように、医療イノベーション会議が行われておりますが、この内容を見ましても、マル1ではがん対策推進基本計画に基づき、医療イノベーション会議云々とあります。マル2もそうです。そういうことで、我々の基本計画がいろんなところで非常に重要な位置にあるという認識を持たなければならないし、それぞれ動いているものをどう整理していくのかということに対しても、我々は何らかの意見を発信する必要があるのではないかということであります。
 17ページは、総合科学技術会議の最近の科学技術イノベーションのポンチ絵をもらってきましたけれども、この中でも、真ん中の段の左側に「がん等の社会的に重要な疾患の予防、改善及び治癒率の向上」ということで、我々が申している死亡率の20%減少という内容も組み込まれた形になっていて、それぞれ働いている場所が違うということになっている。こういうことを長期的な目で見てどう整理し、どういうふうに役割を分担するのか、あるいは統合していくのかということを考える必要があるのではないかということであります。
 最後ですが、そういった意味から、私はできるだけ長期的な視野に立って、多面的で本質的な視点の課題抽出が必要ではないかと思います。それから、その視野に立って、長いスパンの計画を立てて、短期間の計画をそれにはめ込んでいく作業が必要なのではないかと考えて、今回、第2期の基本計画のディスカッションが終わり、次の我々のメインの仕事は、5年後のことになりますので、是非こういう観点が必要ではないかということで、皆さんと共有できたらということで、お話させていただきました。
 以上です。
 事務局、お願いいたします。
○事務局(秋月) それでは、資料4について説明をさせていただきます。
 まず先に1枚おめくりいただきまして「(参考)がん対策推進協議会で今後議論すべき内容についていただいご意見」を御説明いたします。これは前回もお出ししたのですが、幾つか追加がございましたので、下線を引いている追加された部分を中心に説明をいたします。
 江口委員からは、緩和ケアの強化策、相談支援の強化策、緩和医療の標準的治療の確立、増加する終末期療養患者に関する課題、就労支援について、議論してはどうかという御意見をちょうだいしました。
 2ページでございますが、前川委員から追加がございまして、義務教育の中でのがん教育、命の教育の必要性、こういったことも議論すべきではないかという御意見をちょうだいしました。
 川越委員からは、治療終了後のがん患者に対する相談支援や地域医療の連携、がん化学療法の現状と問題点、向かうべき方向について、代替治療の問題、在宅緩和医療の充実という御意見をちょうだいしました。
 中川委員からは、義務教育段階からのがん教育の実施、大学医学部教育の偏りの是正、セカンドオピニオンについて、がん検診受診率の向上策、診断時からの緩和ケア、就労問題解決のための具体策、こういったことを議論してはどうかという御意見をちょうだいしました。
 堀田委員からは、基本計画の実施を評価するための指標の作成、国から都道府県に対してガイダンスや支援をするべきではないかという御意見をちょうだいしました。
 上田委員からは、がん研究に関して、特に推進すべきがん研究、これは中長期的、短期的課題も含めてということです。そして、がん予防に関する基盤研究、研究成果の臨床導入研究の仕組み、また、全体に関しては、基本計画の進捗の報告方法や評価法、その結果に基づく対策の方法について御意見をちょうだいしました。
 先ほどの門田会長からのプレゼンテーション、また各委員からいただいた御意見を踏まえて、1ページ目に戻りまして「がん対策推進協議会の今後の議題について(案)」を説明いたします。
 「次期がん対策基本計画に向けて」ということなんですが、これはいきなり5年後のものをつくるというわけではございません。今後のがん対策の方向性としてどうあるべきか、また方向性を議論するためには、当然今の基本計画の進捗状況を見ることも重要ですので、中間評価に向けた指標の策定、こういったところを議論してはどうかと考えております。
 「個別課題について」は、本日、相談支援、ピアサポートも含めて議論いただきたいと思っておりますけれども、今後、がん研究、がんと就労問題、がん教育、がん検診、終末期患者への支援、こういったところについて、まずは相談支援やがん研究から開始して、大体2~3回を目途に議論してはどうかと考えております。
 次のページでございますが、参考までに次期基本計画策定までのイメージをお示ししております。今年6月に基本計画が閣議決定されましたけれども、中間評価については3年を目途と基本計画にも記載しております。そのためには、中間評価に向けて指標の策定、中間評価に向けた議論についても、1年、2年の間に進めなければいけないことかと思います。
 左下ですけれども、既に個別の課題については検討会が立ち上げられておりまして、現在、緩和ケア、検診について設置をされております。また、小児がんについては、先ほど報告書を報告させていただきました。がん診療提供体制のあり方に関する検討会やがん研究の戦略会議についても、今後、開催する予定としております。
 以上です。
○門田会長 ありがとうございました。
 それでは、皆さんから御意見を伺いたいと思います。中川委員、どうぞ。
○中川委員 資料4の1ページ目「次期がん対策基本計画に向けて」の下に「中間評価に向けた指標策定」とあります。そもそも次期の話を今から始めるのが本当にいいのか。とりわけ我々委員の任期は来年3月です。我々がつくった見直し案に対して、中間評価に向けた指標策定というのは、我々の責任だと思うんですが、しかし、果たして5年先、そして、任期というものがある中で、今すぐにこの議論をするのがいいのか。いけないとは申しませんが、十分に議論してからでないと、拙速になる可能性があるのではないかと感じました。
 それから、これは少し離れるんですが、門田先生の資料の11ページ目「日本の年齢調整がん罹(り)患率と死亡率」のところで、年齢調整死亡率が下がっており、年齢調整罹(り)患率が急上昇しているということなんですが、この資料自体はこのとおりで、私も見たことがあります。ただ、がん登録の遅れで、死亡数に対して罹患数の把握がこれまでできなかった。がん登録が進めば、当然罹患に関する把握ができていって、結果的にがん登録が進んだことによって、一見、年齢調整罹(り)患率が上がった可能性もあるのではないかという気がいたします。このことについて、がん登録の専門家あるいは疫学の先生方で議論をしていただければいいのではないか。もしこれをそのまま受け取ることになると、かなり重要な問題だと思います。
 以上です。
○門田会長 私からですが、確かに急に上がっているかどうかというのは、いろんなことがあると思うんですが、基本的に我が国において罹(り)患率が徐々に上昇していることについては、否定できないことだと思います。それが他の先進国とは大分違ってくるということを、我々は重く認識し直さなければならないだろうということで、今、おっしゃっていただいたように、この辺りも長期的にディスカッションというか、プロの意見を聞き、そして、意見を交換しながら、それを我々が共有しながら、考えていくことをしたらどうかということでございました。
 前川委員、どうぞ。
○前川委員 事務局にお尋ねします。資料4の一番下に「各議題2-3回目途で」と書いてありますけれども、今日が相談支援です。この協議会は大体2か月に1回、次回が11月ですね。終末期患者への支援まで、私たちの任期の間にされる予定なのか、それともどのぐらいの予定でこれを協議するのか、教えていただければと思います。
○事務局(秋月) あくまで資料にお示ししたのは目安ですので、任期云々という話ではなくて、大体1つの議題についてまとめることになれば、2~3回を目途にやってはどうかということで、議論の進み具合によって、適宜決めていけばよいかと考えております。
○前川委員 とすると、例えばがん教育とか終末期患者への支援などは、進み具合によっては、来年6月とか8月になる可能性もあるということですか。
○事務局(秋月) それはあると思います。
○門田会長 堀田委員、どうぞ。
○堀田委員 関連した問題として、個別課題という形で、それぞれ検討会を組織して、そこから報告書を上げていただく形になっています。私は本協議会に途中から参加しているので、このいきさつはよくわからないんですが、検討会の位置づけというのは、あくまで協議会の下の検討会という位置づけなんですか。そこを整理したいです。もし下の位置づけですと、検討会をいつ立ち上げるかは、ここで議論してやらなければいけないことになるんですけれども、その辺はどういう整理になっていますか。
○門田会長 よろしいですか。私の理解を話させていただきますと、基本計画をディスカッションしているときには、専門委員会があったんです。専門委員会は協議会の下にあって、専門委員会として独立ではなくて、その道の専門家の人たちにディスカッションしてもらったことを、最終的にここでオーソライズしていくという流れでした。それは下部だった。
 そして、基本計画ができ上がり、閣議決定されて、これを施行するのが厚生労働省に移った。厚生労働省が、今、ここに我々が書いた内容だけでは、この文章を即施行することはできないので、それをするときに、厚労省の立場で諮問委員会、検討会を立ち上げている。検討会と前にあった専門委員会とはまるで違うもので、これは局長の下にある。局長の諮問委員会であるという位置づけで、施行する側の委員会です。
 ですから、今、ここに挙がっています個別課題については、更に協議会としてディスカッションする内容であって、施行するための検討会の内容とは異なるものをディスカッションすると私は理解しています。
○堀田委員 初期の基本計画をつくるときの位置づけとは違ってきて、今後、具体的に計画を実施していくための問題点を整理して、局長の諮問検討会として報告書を上げていただくという位置づけですね。そうすると、先ほどの話のように、どの課題をいつやるのかということについては、予定ははどうでしょうか。
○門田会長 ごめんなさい。最後は何とおっしゃいましたか。
○堀田委員 どの課題を優先的に、いつからスタートするかということについて、一定の意見集約があるのかという話です。
○門田会長 それに関してですか。
○西山委員 まさしくプライオリティを決めていかないといけないということなんですけれども、どのような課題があるかの抽出について、パブリックなコメントを求めたか、あるいは国民の本当のニーズに対して、プライオリティ、要するに優先順位を確定するようなアンケートを求めたかということについて、お聞きしたいです。そうしたものがあると、問題は山積でありますけれども、重要な順番から時間軸に沿って、中期、長期の議論の順番が自動的に確定するのではないかと思います。
○門田会長 局長、どうぞ。
○外山健康局長 資料4の1ページ目に書いてあるのは、今、会長がおっしゃったように、がん対策推進協議会における重点的な個別課題を、がん対策推進協議会たる会長として、こういう段取りではどうかということを言っております。今までのプロセスの中で、パブコメというのは、何回か経験してきておりまして、最近でも第2期のがん対策推進基本計画をつくる際には、パブリック・コメントをやって、膨大な意見をもらっているわけであります。それらについても、協議会でそういうことを念頭に置きながら、かじを切っているということなので、差し出がましい言い方になるかもしれませんけれども、今、新たに白地の中でパブリック・コメントを聞くのではなくて、既に第2期のがん対策基本計画はできている。その施行について、具体的なところについては、2ページ目にさまざま書いてございます。例えば小児がんであれば、小児がんの検討ということで、施行方法について行政の方に任されたので、行政の検討会でやっているけれども、それ以外の問題の重点課題について、今までの数年間における流れを見ながら、大くくりに患者代表の委員もいる協議会の中で、今、意見をまとめている段階ではないかと思っておりまして、今のこの段階で、またパブリック・コメントを聞くというのは、難しいのではないかと思っております。
○門田会長 堀田委員の御発言は、検討会の問題だったんですか。協議会の下の委員会というか個別課題、どちらのことをおっしゃっているんですか。
○堀田委員 今後の問題で結構なんですが、個別課題は重要なものばかりです。同時にスタートできればいいんですけれども、なかなかそうはいかないとなると、どういったものに優先順位をつけて、どういったタイミングで開始するかということについても、ここで協議して、報告を受けるというスタイルがいいと思っているんですが、そういう位置づけでいいのかどうか。どういう検討会をいつ立ち上げるかについて、協議会とし余り関与していなかったので伺った次第です。
○門田会長 検討会については、健康局長の諮問機関として、施行していく上で必要なものが挙がってきたということで、私自身も2回ほど前から同じことを言っていますが、これは厚生労働省の立場である。先ほどおっしゃっていただきました個別の問題については、確かにパブリック・コメントあるいはアンケートもあるわけですが、一番最初にお話いたしましたけれども、今までは本当に短期間のうちに云々という形できたもので、今日私がお話させていただいたのは、そういう長い流れの中で、どの時点でどういうことが重要性を増してくるのか。今しておかなければならないことは何なのかということで、考えていくのは協議会の仕事だ。そういうことをみんなで共有できるような勉強会を今後の方向性のところに挙げてもらいましたけれども、そういうディスカッションをしていく中に、抽出していくことになるのではないかと理解しております。検討会については、今、申したとおりでございます。
 そのほかにいかがでしょうか。天野会長代理、どうぞ。
○天野会長代理 ありがとうございます。
 検討会について事務局に確認させていただきたいんですが、勿論検討会をどのような優先順位で設置していくのかということについては、この協議会で十分な議論がなされるべきだとは思うんですが、一方で、6月に閣議決定されたがん対策推進基本計画の中で、検討の場を設けるとされているものについては、比較的優先度が高いのではないかと思っておりまして、既に緩和ケアも含めて重要なものについては検討会が走っていて、また事務局でも大変な苦労をされながら運営されていると思うんですが、例えば基本計画の中では、中間評価に向けて希少がんについて検討する場を設置するという項目がありますし、また未承認薬や適用外薬を医療現場でより使いやすくするための方策を検討するために、さまざまな観点や課題を踏まえつつ、従前からの議論を継続するといった記述がありまして、こういった議論を検討する場というのは、基本計画でも定められていることなので、今後、中長期的には設置が必要かと思いますが、この辺りの設置の時期などについて、もし事務局の方で、現時点で考えなどがありましたら、教えていただければと思います。
○事務局(秋月) 希少がんについては、現在、既に緩和ケア、検診、特に今後は拠点病院のがん診療提供体制についても検討会を立ち上げる予定になっておりますし、あと研究についてもございます。希少がんについては、場合によっては、がん診療連携拠点病院というか、医療提供体制の検討会の中でも扱うことが考えられますけれども、希少がんに特化した検討会を現時点でいつ立ち上げるということまでは、今、申し上げられないというか、なるべく早期にとは思っておりますが、必要なデータなどもありますので、情報収集しながら準備していきたいと思っています。
 それから、医薬品というか、ドラック・ラグの関係ですけれども、これは部局が異なりますので、確認をして、お返事したいと思います。
○門田会長 そのほかにいかがでしょうか。本田委員、どうぞ。
○本田委員 今後の議題についてということで、私自身は各論もとても大事だとは思うんですけれども、そもそもこれからのがん医療はどういう方向であるべきなのか、財源もすべてにおいて限られているわけですから、どこにめり張りをつけていくべきなのかということ、今まで議論できなかったことをある程度きっちり議論して、答えはないかもしれないけれども、こういうものというもの示しておくべきだと思います。第3期の委員会、これは任期がどうのこうのという話は関係ないのかもしれないけれども、そういうものをきっちり示しておくことは、次へのバトンタッチという意味では重要だと思います。
 先ほどの門田先生の資料の中にありましたけれども、例えば乳がんの年齢調整死亡率がぐっと上がっていることは、私自身大変問題だと感じていますけれども、一方で、がん全体を見ると、すごい高齢化の中で、がんで亡くなる方というのは、80歳以上の方が半分以上を占めていくという今後の推計が出ています。そういう中で、がん医療というものはどうあるべきなのか、がん対策の方向はどうあるべきなのかということを整理してみてもいいという気持ちがあります。
 一方で、全体の議論ではあるんですけれども、中間評価に向けた指標策定というのは必須だと思います。これをするために各論をやるんだったら、私はそちらが先でも構わないと思っています。第1期計画のときも、何やかんや言いながら、結局指標がないから評価できないということでした。第1期目は量をきっちり整備していくということだったので、そういう指標でやることになりましたけれども、第2期目は量から質へと言われているわけですから、その質をどう評価できるのか、そういうものがあるのか、つくれるのか、そういうことを詰めていくべきだと思っているので、それをするための各論だったら、私は各論からでも構わないと感じています。
 あと、そういう意味で、各論になるのか何だかわからないですけれども、ここにつけ加えてほしいと思ったのは、私自身意見を出していなくて恐縮なんですが、今、どんどん新しいお薬を使うようになったり、先進技術を使うことによって、患者としてはありがたいんですけれども、一方でリスクも必ずつきまといます。新しいお薬を早く使うということは、必ずリスクがある。そういう治療とリスクの考え方をどう考えるのか。
 あと、患者委員の皆さんからもすごく出ていたけれども、医療費の問題、個人負担はとても高くなっている。一方で、だれが払うのかという議論もある。それはがん対策推進協議会自身で解決できる問題ではないのかもしれません。違う協議会の話かもしれませんけれども、がんの部分でどう考えていったらいいのかということぐらいは、話し合ってもいいと思っています。
○門田会長 ありがとうございました。ごもっともな話だと思います。
 野田先生、先ほど手が挙がっていましたが、いかがですか。
○野田委員 くしくも本田さんと最初の2点は一緒なんですけれども、個別課題の前にとにかくがん対策基本計画を変えなければいけない、この日までに変えなければいけない、そのためにはエビデンスを抽出しなければいけないということで、小委員会をやり、目の前にあることをここまでやってきて、ようやくできた今、確かに中川先生が言ったように任期の問題はあると思うんですが、先ほど門田先生が提起されたような、計画は本当にこういう計画でいいのか、計画における視点の置き方だったり、視野の広げ方というディスカッションは、今でないとできないだろうということは事実だと思います。それがなくて、また個別課題だけずっとやっていって、中間評価を乗り越え、次の対策へということで、本当に計画はいいんですかということをやれるのは、今しかないと思います。
 それから、個別課題についてのところは、天野さんが言ったのと本田さんが言ったのを併せてで、検討すべきと計画に載っているものは、とにかく優先して始めなければいけないし、もう一つは、やはり中間評価だと思います。御理解いただきながら、ぎりぎりで非常に難しいということが、局長から最後にあったと思うんですけれども、ここで計画を決めると同時に、評価のところは限界を書き込むところがどうしてもあったわけですから、評価に関してのところは、今、やらないといけない。この2点だと思います。
 1つだけお願いしたいのは、小委員会をやって、基本計画にその一部を書き込んだ立場からすると、そこからまた具体的に話して、それとは別にといったらあれですけれども、並行して検討会も違うところで動くと、車がいっぱいで、どこをどう目指すのかというのがわからなくなる。例えばがん研究をとってみれば、研究は総合戦略をこの間で立てるということが書かれているので、それに向かって、こういう車も走らせるし、こういうディスカッションもしますと言ってくれるとわかりやすいんですけれども、ここでまたこれもやりましょう、あれもやりましょう、ここでもディスカッションしましょうというと、焦点が絞れない。
 自分の話も余り焦点が絞れなくなってきたので、この辺でやめますけれども、そういう感じです。
○門田会長 ありがとうございました。
 中川委員、どうぞ。
○中川委員 本田さんや野田先生がおっしゃった指標の策定というのは非常に重要で、これは責任だと思います。これはすぐに始めるべきだと思います。
 一方、資料4の「個別課題について」は、前回の見直しにおいて、それこそ参考人を呼びながらヒアリングをして、そして、数回の議論でまとめていったわけです。今のタイミングで、そのようなやり方でやるのが適切なのか。本田さんがおっしゃったように、今、見直しをつくって、少し大きな視点で話し合う。そうであれば、仮に委員の変更があっても、受け継がれていくと思います。会長がおっしゃったように、論点の抽出は今やるべきだと思います。ですから、個別課題を2~3回の目途で議論していくというと、前にやったことを今やることになって、これはちょっとどうかと感じたので、申し上げました。
○門田会長 ありがとうございました。
 そのほかに御意見ございますか。上田委員、どうぞ。
○上田委員 事務局から説明の資料4の裏面に「がん研究戦略会議(仮称)(H24.秋~)」と書かれているんですけれども、これは大体どういうイメージをしているかということと、厚労省の中での話か、それを超えて今日いらっしゃっている文科省、経産省も一緒にきちんとタイアップして、こういうことが行われそうなのか。今日、会長がおっしゃったように、多面的とかいろいろなことを考慮したときに、厚労省だけでできる問題ではないと思います。特に連携の接点として、「がん研究戦略会議」というのは、名称が非常によろしいので、期待をしているんですけれども、今、どの辺まで項立てを考えていらっしゃるか、進捗状況を教えていただきたいと思います。
○事務局(秋月) がん研究については、厚労省だけではなくて、文部科学省や経済産業省も当然関連しますし、基本計画の中でも、各省庁連携してということが記載されておりましたので、戦略会議についても、少なくとも3省は連携いたします。今、医療イノベーション推進室もございますけれども、そういうところとも協力をしながら、まだどこに設置するとか、そこは決まっていないんですが、厚労省だけではないです。
○門田会長 どうぞ。
○外山健康局長 私は違うと思っています。第3次のがんが25年度で終わるわけですけれども、それ以降は当然内閣官房にも医療イノベーション推進室ができていますから、政府全体で新しい対策をどう考えるのかというのは、必要だと思っています。ところが、そうはいっても、手前みそになるかもしれませんけれども、やはり患者の出口というか、患者に一番近い厚生労働省の立場に立って物を進めることは重要だと思っています。そういった意味で、がん対策推進基本計画もできておりますし、がん対策推進協議会との関係も十分に検討しなければいけませんし、他省庁との連携もあるけれども、最初から各省が分担して責任を持ってという場にいく前に、厚生労働省として、事前にどういう物の考え方で、第4次なるものに向き合うのかということを検討していく必要があるのではないかという趣旨で、秋以降、検討が必要だと考えておりました。名称はどうなるかわかりませんけれども、そういった物の考え方が必要ではないかと考えております。
○門田会長 会長の個人的な意見ということでよろしいでしょうか。私もここが発足したときから、ずっと前から10年単位で流れていたものと、新たに法律に基づいて5年単位で基本計画を出しているものと、今日の資料の中でも申し上げましたけれども、第3次のものを見ても、大半はここの基本計画の内容とほぼ一緒なんです。だから、その辺りをどういうふうにしていくのかということも含めて、我々は法律に基づいて設置されているので、もう少し自覚を持って、そういうことに対して、我々はこう思うということを言えるような協議会でありたい。会長とすれば、そういう気持ちがするんです。
 そういった意味で、最終的に政府がどういう決定をするかは別として、協議会は協議会の立場として、そういうことを言える、そういう責任があるんだ、責務だという認識が必要なのではないかということです。先ほどお話させていただきましたけれども、意見出しをしていくことが必要なのではないかと思っております。
 どなたかございますか。どうぞ。
○野田委員 1年間の小委員会のいろんな議論やパブリック・コメントの話もあって、それをまとめて削り込んで、がん研究のところは省庁連携ということで、やはり日本全体を挙げて、オーバーラップがないようにというとまたあれですけれども、有効なあれで無駄のないようにする。そして、なおかつあらゆる分野の人の能力を活用する形で、がん研究を進めるべきだということを書いたわけです。ここまでお世話になってきた外山局長ですけれども、これが厚労省で考えるべきと書いてあると読まれると、基本計画に書いたものはすべて厚労省が責任を持って考えて、ほかの者が必要であれば、ほかの省庁にも呼びかけるという形になると、やはり日本全体を糾合してという気持ちからは、少し外れるのではないかという感じがします。
 その点で、名前はともあれ、厚労省でまず検討するんだということになると、そこで決まったマップがあって、その後、このマップにほかの省庁あるいは省庁にサポートされている研究者はどういうふうに参加しますかと言われるのかと、今の外山局長のあれからは感じてしまいます。それだと全体を糾合するということにならないんですが、そこはどうですか。がんは厚労省なのはわかるんですけれどもね。
○外山健康局長 がん対策推進基本計画というのは閣議決定ですから、政府でがん対策全般を進めるのは当たり前の話で、そのうちの一部分の研究も政府全体でやるのは当たり前の話です。だからこそ、内閣官房に医療イノベーション推進室があって、国運をかけながら進んでいるというのは、当たり前の話です。それとは別に、がん対策推進基本計画というのは、厚生労働大臣がまず案をつくる形になっておるものですから、そういった観点に立てば、出口としては総合的に政府全体というのは当たり前にしろ、その時期はその時期でわかっているわけです。
 しかし、一方で、当然のこととして、各省も一緒だと思いますけれども、厚生労働省として、そこに力点を置いて検討する必要はないと言われるのであれば、それはする必要がないかもしれませんが、担当局長の言いぶりとしては、そこに光を当てて、前もって検討するべきだと思っているものですから、そういう言い方をいたしました。
○野田委員 おこがましい言い方ですけれども、必ずしも外山局長のおっしゃっていること、あるいは外山局長の描いているものと、私の主張が相入れない形になっているわけではないと思います。むしろもうちょっと具体的に進め方のところに入っていったときに、もう少し工夫が必要かと思いますので、またよろしくお願いいたします。
○門田会長 眞島委員、どうぞ。
○眞島委員 局長がおっしゃっていることで同感なのは、がん研究の出口にがん患者がいる、がん研究はがん患者さんのものなんだという点です。そういうメッセージを強く伝えていく必要があるそこに集約されるのではないかと思います。
 先ほどデータの中で、膵(すい)臓がんの患者さんの生存率が一番厳しいというお話がありましたけれども、この間、フェニックスへ行きましたら、非常にエキサイティングな発表がどんどんがん研究から出てきているんです。それを直接患者さんに還元しようという努力もなされていて、今、アメリカでは、進行膵(すい)臓がんの患者さんの平均余命は2年が手中に入っていると言われています。ちょうど日本の倍です。そういうことをがん研究者、臨床関係の方から聞くことができたというのは、がん研究というのは、難治性がんの患者さんにとってみれば光なんだ、命なんだということです。これからがん戦略を立てる中で、そういった患者さんがいるんだ、その患者さんのためにがん研究があるんだというメッセージをずっと続けて発信していっていただければと思います。
○門田会長 ありがとうございました。
 こことほかのところとの関係がどうこうということも含めて、ここでディスカッションというか意見交換をしながら進めていく。今日ここで結論を出すことはできませんが、やっていくことは、非常に重要なことだろうと思います。できればここの要望書なり何なりも出していくというアクションを起こすことも必要だと思いますので、この件については、引き続き検討するということにさせていただきたいと思います。
 そのほかにいかがでしょうか。よろしいですか。時間も大分押してまいりました。これから後のディスカッションの内容ですが、ある意味、私が提案させていただきましたような内容も皆さん問題意識を持っていて、そういう中で、個別に対応しなければならないこと、特に今回は中間評価に向けて、指標の問題は最優先であるということが出てまいりましたし、個別のことにつきましても、委員の方から出されたものもありますので、できれば長期的なものと個別のものということで、ペアで順次こなしていく。その順番云々は、事務局と私に任せていただくということで、ひとまず方向性はよろしいでしょうか。
 どうぞ。
○天野会長代理 既に複数の委員からも御指摘があったところなんですが、中間評価に当たっての指標は、すぐにでもディスカッションを開始しなければいけないということなので、2か月という時期も無駄にすることなく、例えば次回の協議会までに今回の基本計画を基に検討が必要な指標の案などについて、恐縮ですが、事務局からそういった案を出していただくことは可能かどうかということを諮らせていただきたいと思います。
○門田会長 事務局から出すんですか。委員の皆さんに聞くんですか。
○天野会長代理 委員の皆さんから聞くのか、事務局から出していただくのか、どちらがいいのかは、会長や皆さんに決めていただければと思うんですが、いずれにせよ案だけでも出していかないと、間に合わないような気がいたします。
○門田会長 確かに時間的にはそのとおりだと思います。もとを正せば、第1期の間にもう少しはっきりすべきと言われたところですので、いつから始めても早過ぎることは絶対にないと思います。どういう手順で、どうやっていくかというのは、指標が最優先であることは間違えないので、やり方については、2か月間が空くというのは、間が空き過ぎる。その間に何らかのアクションをとって、委員の皆さんとコミュニケーションを取りながらやっていくということでよろしいですか。そういたしましょう。
 先ほど申しましたように、今後については、そういう形で進めさせていただきます。
 それでは、本日は相談支援のヒアリングをさせていただくことになっておりますので、がんセンターの高山智子先生から、この件について御説明いただきたいと思いますが、よろしいですか。
○高山参考人 よろしくお願いいたします。国立がん研究センターの高山と申します。今日はこのような機会をいただきまして、ありがとうございます。
 資料5をごらんください。
 2ページ目になりますが、今日は5つの観点からお話いたします。相談支援センターの体制、相談ニーズ調査、研修、相談対応の質の測定の試み、関連して、患者必携サポートセンターに関して御報告をさせていただきます。
 4ページ目をごらんください。これはカナダのオンタリオ州で、同じくがん対策をされている方が、がん患者のためのサポート提供、サポートを必要とする患者数から見た概念図になるかと思います。
 一番上が一般的なニーズ、下にいくにしたがって複雑なニーズとあるとすると、一番右上にオリエンテーション・プログラムと書いてありますが、例えば病院の使い方さえも初めて患者さんになる方はわからないので、そういったことについては、すべての患者さんが必要とします。あるいはがん情報サービス、ワンナンバーと書いてありますが、こういったものもすべての患者さんが必要とするものです。
 より複雑なニーズ、下の方にいきますと、短期、長期の心理療法があります。相談支援センターは、患者会等との連携の窓口になっているということでは、若干下のところでも入り口のところにあると言えるかと思います。
 5ページ目をごらんください。「相談支援センターが担う機能と現在対応している範囲(実態)」ということで、これも図示したものになります。
 真ん中が病院ということで、拠点病院の中に相談支援センターがあるということでは、その施設のがんの利用者ということで、対応しているということがまず挙げられますが、それ以外にも前者、がん経験していない人(がん罹患前)の方々、退院されたような治療を終えた方々、がんを経験したすべての人も、時間軸に沿って、相談支援センターが対応する対象となってくるかと思います。
 こうして見ていきますと、病院の中にあるということでは、病院の中の対象の方への対応が徐々に構築されつつあると言えるかと思いますが、前者、がん罹患前の方、がんを経験した方々への対応というと、まだまだ構築中と考えられるかと思います。
 一番下のところに挙げているのは、例えばある病院で治療法がないですと言われた、あるいは言われたと思ってしまった人たちが、今後どこに療養、治療の場を求めようかというと、なかなかその先が見つけにくいという状況があるかと思います。がん対策が注目された当初のがん難民と言われたような方々がここに当たると思いますが、こういった方々にどういうふうに病院を御紹介するかとか、探すかということが、相談支援センターにとっても非常に大事なところかと思います。
 6ページ目をごらんください。今の療養の場別に、相談支援センターで提供できるサービスはどういったものがあるかということを書いたものになります。前者、がんを経験していない方々、がんを経験したすべての方々へのサービスがまだまだ不十分ということを申し上げましたが、例えばこういったものを地域で担うと考えますと、がんを経験していない方々へ向けて、講演会を地域、拠点病院でやらなくてはいけないということで、非常に忙しい中で講演会をやっているところがあります。皆さんやっていらっしゃいますけれども、例えば拠点病院が集中しているようなところでも、日にちが重なってしまったりということもあると聞いています。そういった場合には、やはり患者さんの取り合いというか、来ていただく方の集客の取り合いになってしまいますので、そういったところは、地域の中で調整していけるものかと思います。
 一方で、がんを経験したすべての方々には、患者サロンというものも病院の中あるいは地域の中に設けられていることがありますが、これもなかなか人が集まらないと言われている状況があります。地域によっては、全部でやるのではなくて、人が集まらないのであれば、隣の病院を紹介してということも行われていますので、こういったところも地域の中で役割分担ですとか、日程を調整していけるかと思います。調整が必要あるいはできることによって、医療者自身の負担の軽減にもなって、また新しいプログラムを考えていけるかと思います。
 基本計画の中でも、国、地方自治体、拠点病院等で役割分担というか、それぞれ担う範囲を決めていくという記述がありますので、こういったところも今後ポイントになってくると思います。
 7ページ目をごらんください。これは平成21~22年にかけて、拠点病院の相談支援センターでどのような作業、機能を担っているかを伺った実際の内容になります。場所によっては、予約・受付センター的な役割、クレーム対応、退院支援・退院調整から、勿論相談支援センターとしての相談対応もありますが、がん患者カウンセリング、緩和ケア診療の補助についたり、地域連携パス、いろんなことをしているということです。これは1つの相談支援センターの例ではありませんが、いろんな機能を担っていることがわかってきました。
 これでいいますと、一番上の四角でくくったところと一番下のところは、診療報酬、加算があるということで、病院からのインセンティブが非常に働きやすい。一方で、補助金になりますと、なかなか働きにくいということで、相談支援センターによっては、加算があって、インセンティブが働くところに、どうしても労力を割くようにということで、圧力といっては何なんですが、そういった働きかけもあるということで、相談支援だけに集中するのが難しいという現状があるようです。
 8ページ目をごらんください。その状況が今どういうふうになっているのかということで、1つの見方でしかないかもしれませんが、上の図は平成23年10月末に提出された現況報告から、どのような機能を担っているかということで見たものですが、一番左の27施設だけが相談支援だけに集中している施設で、約6割強の施設は、受診説明、後方連携にも対応している、多様な業務を担っている状況にあるということです。
 その下は、相談支援センターの発展経緯から見た相談対応業務の割合なんですが、5年前に相談支援センターができて、当時、似たような業務を担っているところということで、既存部門、例えば地域連携のようなところから発展したところは、もともとの業務がありますので、相談支援だけに業務を集約することが難しいということが、こうした結果からも見えてくるかと思います。
 9ページ目をごらんください。ここに挙げていますのは、相談支援センターで対応している相談件数の年次推移、平成21~23年までのものをお示ししていますが、相談支援センターの周知ですとか、あるいは利用が進まないと言われていますが、トータルで見ると、2か月の相談件数で見ても、少しずつ増えているということが言えるかと思います。
 ただ、一番左、黄色の部分で示しているところがありますが、院外からの相談件数でいうと、割合としても、件数としても、実は減っています。もともと相談支援センターがつくられた経緯というのは、病院の中だけではなく、地域の方々の相談対応にも乗るということでは、こうした外からのもの、まだ病院にかかっていない、どこに助けを求めていいかわからない方々からの相談が減っているというのは、まだまだ周知が足らない、利用されてきていない、がん対策として、相談支援センターがまだ機能し切っていないと言えると思います。
 その下は、院内からの相談、院外からの相談で、内容がどのように違うかということを示したものになります。当然院内の利用者、院外からの利用者で求めるものは違ってきますので、こういうところも、今後の役割分担ということでは、ポイントとなってくる要素かと思います。
 10ページ目をごらんください。これは相談件数から見たものなんですが、相談件数はまだまだ不安定な指標かと思います。施設によって報告の件数の仕方が違う状況がありますが、幾つかの指標を使って、かつ同じ施設で年次ごとに増加が見られている。つまりその施設の中では相談件数が増加しているという施設もあったり、先ほど院外からの相談件数は減っているということを言ったんですが、全国の中でも見ても、相談件数が伸びている施設は、どういった体制があるのかということを、相談支援センターの体制と相関をとって見てみたものになります。
 どういった体制が挙げられるかというと、例えば相談室がある、直通回線がある、利用者、スタッフが使えるインターネットやPCがある、図書、冊子の設置がある、専従スタッフがいる、専従事務スタッフがいる、広報ですと、チラシ、ホームページでも具体的な記述がある、患者会の情報提供ができる、あるいは連絡協議会に相談支援センターのサブグループがあるというものが挙げられていました。
 あと、1つの指標としか関係は見られなかったんですが、左下、病院長、腫瘍センター長、しかるべき立場の方々からの十分な支援があると相談支援センターの方が答えられた施設では、相談件数が伸びているという状況があります。これは現場の感覚と一致するような結果なのではないかと思います。
 11ページ、相談ニーズ調査ということで、研究班でやっております調査結果について御報告をさせていただきます。
 12ページをごらんください。世論調査ではまだまだ一般の方々に周知が進んでいないという報告がされているんですが、実際に拠点病院ではどのぐらいの方々が相談支援センターを知っているのかということで、左側はがん専門病院4施設、右側は一般総合病院ということで調査をした結果です。どちらもほぼ同じで、相談支援センターを知っていますかという質問に対して、35%、37%の方が知っている、それ以外は知らないと答えられていました。
 13ページ目をごらんください。拠点病院の各サービスに対するニーズはどうなのかということで、相談員、患者教室、サロン、講演会、パンフレットに関して、これも専門病院と一般総合病院について見たものですが、ニーズとしては、パンフレットが7割ということで一番多くて、相談員、教室、講演会は4割、サロンは3割ということで、これも一般総合病院と若干割合は異なりますが、傾向としては一緒という結果でした。
 実際にどのぐらい利用しているのかというのが下ですが、パンフレットが一番多くて、ほかはまだまだ利用が不十分ということがありますが、ニーズからいっても、利用状況からいっても、パンフレットが一番利用されやすい状況がありますので、こういったところから確実に周知をして、そこをニーズと結び付けていく体制が、今後1つ考えられる方法としてはあると思います。
 14ページ目をごらんください。相談支援センターを使っていただきたいという思いはあるんですが、実際、利用される方々にとって困りごとがあった場合、病院で相談したくないという理由もあるのではないかということで、ここに挙げました14項目で、こういったことがあるかどうかということを聞いています。同じような傾向でしたので、がん専門病院の結果のみを挙げています。
 ここで挙げますと、一番多かったのが、一番下の「それほど困っていないから」というものでした。
 割合としては少なかったんですが、上から3番目「費用が心配」とございます。相談支援センターでは「費用はかからない」ということになっていますが、費用が心配とされる方も6%ほどいらっしゃいました。
 そして、下から3番目「どこに相談すればよいかわからない」という方もある一定の割合でいらっしゃるということで、ここは確実に正しい情報を周知して、相談支援センターを使っていただくことが必要になってくるかと思います。
 15ページからは、研修についてお話をさせていただきます。
 16ページをごらんください。研修についてですが、次にお話をします相談対応の質をどう評価していくかということにも関係しますが、評価するだけではなくて、評価を通して次の改善に結び付けていくことが必要になってくるかと思います。そのために研修会をやることになるかと思います。
 がん対策情報センターで、基礎研修(1)(2)(3)を拠点病院の指定要件に当たる研修としてやっています。今、医療、福祉関係の有資格者、それに準ずる実務者を対象として、全5日間のプログラムでやらせていただいてします。
 これは指定要件には関わらないんですが、任意研修として、指導者研修というものに各県3人1組で参加いただくという研修を昨年から始めました。これは基礎研修が終わった後に、どうしてもどんどん数が増えていく相談員の方々に対して、がん対策情報センターだけでは研修を担えない、教育の場を担えないということで、県の方にも御協力いただければということで、企画をしているものです。
 提供サービスのプログラムの評価に関しては、次のところでまた御紹介をさせていただきますので、17ページ目をごらんください。
 現在、相談支援センターのスタッフは徐々に増えてきている状況で、関わっている方々も最新の現況報告で2,300人余りとなっていました。1相談支援センター当たり、専従1名、専任1名、兼任2名ということで、4~5名の体制で行われているというのが、中間的な人数になります。ただ、これも拠点病院・病院種別によって大きく差があると言えます。
 職種で見ますと、社会福祉士・精神保健福祉士、看護師が大体4割強ぐらいで一番多くなっていて、そのほかの職種がほかを占めるという全国的な状況になっています。
 18ページ目をごらんください。これは現在がん対策情報センターが提供している相談員研修会の流れになりますが、上の基礎研修(1)(2)(3)については、直接相談員向けに研修を行っていますけれども、先ほども申し上げましたとおり、継続教育については、指導者研修会をして、間接的にやっていければと考えているところです。ただ、昨年から始めたこともありますが、継続教育を各県でやっていただくことになると、できているところと、まだまだ難しいところがあるという御報告を現時点でもいただいているところです。
 19ページ目をごらんください。相談員研修会は、平成19年度、基本計画ができた年からプログラムをつくりながらやらせていただいているところですが、平成24年度で6年目ということで、指定要件に当たります基礎研修以外に、徐々に指導者研修あるいは指導者のフォローアップ研修、あと先ほど県によって継続教育が難しいということを申しましたが、県によっては拠点病院が3つあったり、多いところは20以上あるところもありますけれども、県の中で研修・教育の機会をもっても、なかなか研鑽の場としては難しいということで、少し広い広域の単位、ブロック単位ぐらいで何か研修の機会をもてないかということで、今、がん対策情報センターでは、ブロックフォーラムという形で、こういった機会をつくろうと考えています。
 徐々に(図の)下の方に力点をシフトしていきたいと考えていますが、実は基礎研修の参加者が減ってきていない状況にあります。できれば数を減らして、下の方にシフトしていきたいんですが、減ってきていない要因は、後でまた御紹介しますが、やはり異動、離職の方が多そうだということです。
 もう一つは、各県で広がっています県指定の病院ですとか、連携病院とか、いろいろな言われ方をしていまして、認定の仕方、指定の仕方も県によってさまざまです。4月現在、我々がん対策情報センターで把握した範囲で、400病院近くが県指定の病院になっていますが、そういった方々も研修を希望されるということで、勿論全部は対応できないんですが、研修の参加者が減ってきていないという状況があります。
 20ページをごらんください。今後、県単位での継続教育の場を増やしていこうと考えていますが、これは昨年、今年と任意の指導者研修会に参加した県になります。39チーム、32都道府県から参加がありますが、昨年、今年と参加をいただいているところと、まだ参加が得られないところが15県ほどあります。この15県に関して、是非参加していただきたいというこちらの思いもありましたので、各県に御連絡をさせていただいたところ、やはりこれは研修だけの話ではないと思いますが、相談員同士が会う場さえないところもありましたので、研修を担う土台の体制が県によっては整備されていないということで、今後、県による差が出てきてしまうことが懸念されます。
 21ページ目をごらんください。こういった県による差が出てきてしまうことが懸念されるということで、今後の研修として、やはり継続教育の強化というところでは、ブロック相談支援フォーラムとしていますが、こういったところを強化していきたいと考えています。
 そして、上の基礎研究のところは、できるだけ受けやすい環境をつくつていくためにも、基礎研修(2)辺りはE-learning化を図っていきたいと考えています。
 22ページ目をごらんください。「基礎研修修了者と配置状況」ということで、先ほど少し申し上げたんですが、基礎研修受講者がなかなか減ってこない背景の1つとして、下の四角のところに書かせていただきましたが、がん対策情報センターで基礎研修(3)を修了した方々は、約1,400人余りいらっしゃいます。その中で、拠点病院内あるいは相談支援センター内にいらっしゃる方、御報告がある人数になりますと、900人、800人ということで、200人から400人余りの方が所在不明ということで、20%弱から3割強の方々が受けても拠点病院にいらっしゃらないという状況になっています。これを踏まえた相談支援の研修会の体制、教育の体制をつくっていくのか、あるいはできるだけ異動、離職がないように働きかけるのか、恐らく両方必要なのかと思いますが、こういった体制づくりが必要になってくると考えているところです。
 23ページは「4.相談対応の質の測定の試み」ということで、先ほどの研修はただ受けただけになりますので、本当に相談対応が充実しているのか、きちんとできているのかという判断にはなかなかなりません。今後は相談対応の質をちゃんと見ていくことによって、プロセス評価ということになると思いますが、できているところ、できていないところを自分でもわかるように、周りからもわかるようにして、できていないところに関して、もう少し教育なり、そういったものを充実させていく必要があるかと思います。
 24ページ目になりますが、こういった試みに関しては、実は海外では随分進んでいます。
 例1として挙げているのが米国国立がん研究所(NCI)ですが、NCIでは世界に先駆けて、1980年代から質の試み、クオリティアシュアランス、質の保証ということで、プログラムツールが策定されて、やられているところです。
 3つの指標から評価をすることになっていますが、正しい情報を伝えているか、コミュニケーション・スキルがあるか、方針を守っているか。方針に関しては、後でも少し御紹介しますが、例えば医師との関係を阻害するような働きかけを相談員としてしてはいけない、サポートするような働きかけがちゃんとできているかですとか、あるいは医師が診断するようなことを言っていないかということが挙げられますが、こういった3つの観点から評価をしています。
 規模としては4つのコンタクトセンターがございます。今は1つになっていますが、4つのコンタクトセンター、大体25名ぐらいの施設に対して、どういったところがその施設では劣っているから、この部分をちゃんと強化しなさいということをNCIで評価をしてやっています。どのように評価をするかといいますと、イメージのために申し上げますと、例えば4つのコンタクトセンターからの相談対応は、メールのもの、テキストメッセージのもの、電話対応のもの、すべてのデータが翌日にはNCIには上がってくる仕組みになっています。それをランダムに3%あるいは10%抽出して、それをこの3つの指標で評価していって、それに対して、各コンタクトセンターにフィードバックすることになっています。そして、各コンタクトセンターには、個別の相談員がいますので、すべての相談対応を必ず評価するとおっしゃっていましたけれども、個別の教育について、そこで対応しているそうです。
 4つありますと、4つの差が出てきてしまうので、定期的に4つのコンタクトセンターから集まっていただいて、そこではキャリブレーションと言っていましたが、補整をする、評価の指標をお互いに感覚を合わせてやっている状況です。
 これに併せて、我々も質の評価/教育ツールを開発しています。25ページ目をごらんください。方針の遵守と相談アセスメント、ニーズに沿った対応ということで、20項目挙げていますが、こういったものをつくりました。
 26ページ目、ツールということでは、信頼性・妥当性の検討ということでやらせていただいていますけれども、ベテランの相談員と新人の方では点数に差が出るとか、音声だけでも評価が可能という結果が出ています。
 本人の評価と第三者評価を見ていくと、やはり第三者評価が入らないと、なかなか見えてこないようなことがあります。例えば方針の遵守などでは、本人評価では甘いという結果が得られているということです。
 27ページ目をごらんください。実際に相談支援センターでこういったものが使えるかどうかということを、昨年度1年かけて評価をさせていただきました。結果については、今、出しているところなんですけれども、個人、セルフモニタリング、自己評価をする、あるいはメンター、第三者的な評価を得る、エクスパートモニタリングをするということです。
 実際にその場の相談対応を外に出して評価をするのが難しいので、模擬患者さんにお願いをして、模擬コールを外からかけて、それを録音して評価をするということを行いました。それが28ページ目になります。
 29ページは主観的な評価だけになりますが、今、挙がってきているものとしては、おおむね参加者の方々からも肯定的な評価が得られています。ただ、一方で、評価される心理的な負担ですとか、録音にかける労力、物理的な障害もありますので、そういったバランスを今後考えていく必要があるかと思います。
 次に関連して、患者必携サポートセンターのお話をさせていただきます。
 31ページ目をごらんください。患者必携サポートセンターから相談支援センターを御紹介する、もっと先の窓口になるかと考えています。
 患者必携サポートセンターについてですが、32ページ、2年前にがん対策推進基本計画に記載された患者必携をよりよく活用していただくための窓口ということで、ワンナンバー、ナビダイヤルで開設をされました。当初は2回線で、途中からマンパワーの関係もありまして、1回線で対応していました。余り周知が進んでいなかったということで、最近の実績では1日3件ということでした。また9月から体制を変えて望んでいるところです。
 33ページ目をごらんください。患者必携サポートセンターですが、機能1として、利用者への直接サポートを行っていきたいと考えていますが、機能2、機能3として、利用状況のモニタリングですとか、先ほど言った質の評価も教育・研修・研究の場として担っていけると考えています。
 以上で報告を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。
○門田会長 ありがとうございました。
 それでは、事務局からお願いします。
○事務局(秋月) それでは、資料6について御説明をいたします。時間も限られておりますので、ごく簡単に御説明いたします。
 1枚おめくりいただきまして「基本計画における相談支援・情報提供」でございますが、これは復習になるんですけれども、小さな文字で恐縮ですが、真ん中の辺り「取り組むべき施策」として、国・地方公共団体・拠点病院等の各レベルで、どのような情報提供と相談支援をすることが適切か明確にしていくべきだと記載をされております。
 拠点病院の相談支援センターで人員を確保するとか、きちんと広報をしていくとか、そういったことを実施するように努め、国はこうした取組みを支援すること。
 精神心理的な苦痛を持つ患者にも対応するよう努めていくこと。
 ピアサポートの推進。
 その後に、国立がん研究センターとPMDAの役割を記載しております。
 3ページでございますが、相談支援については、そのほかにもさまざまなところに記載がされておりまして、がん医療のところでは、セカンドオピニオンの活用を促進するための患者やその家族への普及啓発、緩和ケアに関する相談や支援、在宅医療の提供体制がございます。
 「希少がん」でございますけれども、これも相談支援のことが記載されています。
 「がんの教育・普及啓発」についても、拠点病院と医療機関の相談支援・情報提供機能を強化して、民間団体によって実施されている相談支援や情報提供活動も支援することが記載をされております。
 がん患者さんの就労問題についても、情報提供や相談支援ということで、非常に多岐にわたり相談支援という役割が求められているところです。
 4ページ目でございますが「相談支援センターの拠点病院における位置付け」ですけれども、これは拠点病院の整備指針から抜き出したものでございます。相談支援センターは、がん診療連携拠点病院に設置することが義務づけられておりますけれども、相談支援センターの業務はアからクまで記載されておりますが、それ以外にも相談支援センターについて積極的に広報することや、がんセンターの研修を修了した者を配置すること、院内外のがん患者さん及びその家族並びに地域の住民、医療機関等からの相談等に対応する体制を整備すること。あとは、がん患者さんの団体との連携協力体制の構築に積極的に取り組むこと、こういったところが記載をされております。
 その後は、幾つかのデータになります。簡単に御紹介しますが「相談支援センターの相談件数」は、先ほども高山先生から御紹介がありましたけれども、平成20年と平成23年を比べますと、総数で6万から9万へ増えていることや、2か月間で相談件数が100件に満たなかった拠点病院についても、減ってはきているものの、まだ多くございます。
 それから、グラフを見ていただきますとわかりますように、平成20年のときには1~19件というところが山になっていたんですが、その山が少し右側へ動いて、だんだんと活用は進んできておりますが、まだまだこれから活用を進めなければならないと言えるかと思います。
 6ページ目「相談件数に占める外部相談の割合」ですけれども、先ほどデータがございましたように、平均すると大体14%ということで、ほとんどが院内の相談ということで、今後より外部からの相談についても普及啓発をしていく必要があるかと思います。
 7ページ目「相談者の概要」でございますが、御参考までです。
 相談者の性別は、女性の方が多いということ。
 相談者の利用回数は、初めてという方もおりますけれども、2回以上使用されている方も多いこと。
 相談時の治療状況ですと、治療中のみならず、治療後や経過観察中に相談を受けられる方も多いこと。
 相談者のカテゴリーですが、患者さん御本人のみならず、家族、医療関係者の方からも多く相談を受けております。
 8ページは「相談内容」ですが、1,000件以上のものだけ読ませていただきますと、がんの治療、転院、在宅医療、介護・看護・養育、医療費・生活費、漠然とした不安という、さまざまな相談内容を受けているところです。
 9ページ「相談支援センター相談員マル1」ですけれども、これは要件で国立がん研究センターの研修を修了した方を配置することとされておりますけれども、おおむね(1)と(2)の研修会を修了されている方であれば、大体2~3人、実際に事例の研修が(3)で行われるわけですけれども、事例に基づいた研修まで修了した方ですと、大体1~2人程度配置されているようです。
 10ページですが、相談支援センターにおける社会福祉士の数、看護師の数をそれぞれ都道府県の拠点と地域の拠点病院に分けてお示ししました。社会福祉士の方であれば、大体2~3人のところが多いようですし、看護師さんであれば1~2名配置をされております。
 11ページ「相談支援センターの設備」でございますけれども、これもいろいろ差があります。相談用の個室で、大体1部屋以上はあるようでございますが、まだないところも11か所ございました。
 直通回線ですが、大体2回線、1回線とございますが、直通の回線がないところも多いようです。
 参考図書の設置、参考冊子の設置もばらつきが見られております。
 12ページ目ですが、論点案を整理いたしました。
 相談支援センターの活用を進めるには何が必要か。認知度をどう高めていくか。特に地域の住民の方に活用していただくためには、どんな工夫があるか。
 相談支援の質を向上させるためには、どんな取組みがあるか。
 国、都道府県拠点病院、地域の拠点病院、それぞれの相談支援センターの役割はどのようにあるべきか。
 相談支援センター間の連携をどのように図るべきか。
 研修プログラムを充実させるためには何か必要か。
 患者団体、医療従事者の方に期待される役割は何か。
 まず早急に解決すべき課題としては、何が挙げられるか。
 こういったところが論点として挙げられるかと思います。
 事務局からは以上です。
○門田会長 ありがとうございました。
 がんに対する相談支援について、今、お二方から説明してもらいましたが、どなたか御意見ございますか。天野会長代理、どうぞ。
○天野会長代理 ありがとうございます。
 先ほど高山参考人から貴重な御発表をいただきまして、ありがとうございました。
 高山参考人に確認させていただきたい点が2点ございますので、教えていただければと思います。
 1点目は、患者必携サポートセンターについてなんですが、もともとがん対策基本法と第1期の基本計画が策定された際に、相談支援の体制の在り方をどうすべきかという議論が政策担当者の方の間であったと聞いておりまして、拠点病院をつくって、その拠点病院すべてに相談支援センターを設置するべきだという考え方と、もう一つは、集約化して、例えばコールセンターなどを設置して、そこに大量の相談員を配置して、全国からの相談に答える体制が望ましいのではないかという、2つの意見があったと聞いておりまして、結果的には今の相談支援の体制になったと聞いているんですが、一方で、コールセンターに対する要望も、かねてから患者さんや患者団体の方々から多くある中で、患者必携サポートセンターというのは、当時、予算がついたときの経緯があって、こういった名称になっていると理解しているんですが、これが1つコールセンターとしてあり得ると思っているんですが、国立がん研究センターのがん対策情報センター等で、全国1か所のコールセンター等について、今後設置していくとか、在り方をこういうふうにしていきたいとか、もしお考えがあれば、教えていただければというのが1点目です。
 もう一点目は、患者さんからの相談の中で、例えば平日働いていらっしゃるような男性の方は、平日の日中などは相談に行きづらいとか、そもそも相談できないというニーズもあって、ごく一部の拠点病院の相談支援センターで、土日であるとか、夜間の対応などをしているところがあったと聞いているんですが、ただ、夜間になってくると、相談の内容とか、精神状態がかなり厳しい患者さんがいらっしゃって、いわゆる自殺企図があるような方からの相談も増えると聞いたことがあるんですが、休日や夜間等の相談支援等の実態について、もし御存じであれば、教えていただければと思います。
○高山参考人 ありがとうございます。
 1点目に関して、考えといいますか、がん対策情報センターとして相談支援センターを周知させたいと思っているんですが、例えば400施設であると、400ページの情報を出すとすると、10ページぐらいになってしまうので、案内を載せるというのは、ワンナンバーがまずあって、そこから相談支援センターを周知するという方法でないと、なかなか広報もしにくいという現状があると思っています。ということもあって、国立がん研究センターの中でとなると、私では答えられない範囲もあるんですけれども、1か所でまず周知をするというところでは、非常に効果的に働くものであると考えています。
 2つ目の夜間の対応については、世界的に見ても、私の知っている範囲では、夜間をやっているのは、アメリカがん協会のみです。24時間対応しているのは、そこだけです。アメリカはそもそも時差が4つぐらいあるので、普通に対応するとしても、結構長い時間になることがあると思います。ということで、夜間の緊急性の高いものに関しては、コールセンターではなく、やはり近いところにないと、緊急性のものに対応ができないので、コールセンターが24時間ある必要はないと考えています。
 そういった試みの1つとして、東京都で幾つかの病院にお願いをして、夜間の対応を昨年から始めていると聞いています。夏ぐらいにある施設のお話を伺ったところ、4月から1件もありませんということで、昨年もほとんどありませんでしたということを聞いています。勿論周知の問題はあるかと思いますが、夜間になると、天野会長代理がおっしゃったように、精神的な問題、また別の問題もかかってくると思うので、がんに関しての対応時間は8時とか9時ぐらいまで、もしかしたらあった方がいいとは思いますが、夜間すべて対応する必要はないかと考えています。
○門田会長 ありがとうございました。
 堀田委員、どうぞ。
○堀田委員 がん研究センターとしてコメントいたしますと、全国でワンナンバー、ワンストップでできるというシステムは、恐らく必要だと思います。これを維持しようと思いますと、例えば24時間シフト勤務で、相当の人数を確保しなければいけない。ところが、総人件費管理も我々のところに厳しく迫られておりますし、とても常勤雇用はできない状況の中で、本当にできるのかということになりますと、これはかなり厳しい。そういうことがありまして、必携サポートセンターは大々的には宣伝してこなかったという理由がございます。
 今、1日3件程度ということで、その程度ならいいんですが、ある時間を限って、日中あるいは午後6時、7時ぐらいまでならできるかと思いますが、それなりの体制をとらないと難しいと思います。
 あとは、個々のフェース・トゥ・フェースで相談の希望というのは、それぞれの拠点病院でやっていただくことになるかと思います。
○門田会長 花井委員、どうぞ。
○花井委員 ありがとうございます。
 私たちのように、病院の中でピアサポート活動に当たっている者の立場からすると、今、お示しいただいたような数字であるとか、アンケートの結果は、我々の認識とかなり乖離があるという印象もありました。
 その中で、ずっと抱えてきた素朴な疑問でございますけれども、ある程度なぜかはわかっているんですが、あえてお尋ねしますと、例えば高山さんがお示ししてくださった12ページの資料の中に、相談支援センターの認知度調査がございます。がん専門病院で知っていますと言っている人が35%です。これが多いか少ないかというと、私たちのように相談支援センターを御存じですかと、フェース・トゥ・フェースで聞く立場から言わせていただくと、35%もいないという感じもあるんです。勿論地域ごとに平均値は違ってくると思いますけれども、多くの方が御存じなくて、私たちがエスカレーターなどで案内をする場面もたくさんあるんです。
 せっかくあるサービスなんです。このサービスをどうして病院側は知ってもらうという働きかけをしないのか。もしかしたら、していらっしゃるのかもしれませんけれども、がん診断時からの緩和ケア、それは体の痛みだけではなくて、心の痛みもそうなんだということに、基本計画でもなってきていると思います。そういうことであるならば、がん診断時であるとか、がんの疑いと診断されたときに、その病院の患者さんになったわけです。そうすると、当院にはこういうサービスがありますということを拠点病院は説明しているのかどうなのかということ、高山さんは御存じでしょうか。
○高山参考人 すべての拠点病院の方々にお話を伺ったわけではないんですが、施設によっては、入院案内ですとか、そういったパンフレットの中に相談支援センターというものを必ず書いているようなところもありますし、退院のときに必ず御案内のルートに含めるところもあります。ただ、それが全部でやっているかとなると、まだ行き届いていないものもあると思います。
 あと、この調査結果にも関係してくるかと思いますが、相談支援センターというのが一般的な名前であるがゆえに、もしかしたら、本物の相談支援センターと、何となく思い描いている相談支援センターというものがあって、それで認識している、知っていると答えられているかもしれません。ただ、そこは憶測にしかすぎないので、結果は結果ということになってくるかと思います。
○花井委員 ありがとうございます。
 もう一つなんですけれども、よろしいですか。
○門田会長 簡潔にお願いします。
○花井委員 相談支援センターとピアサポートは違いますけれども、我々はオープンスペースでピアサポートをしていて、ピアサポートが何であるかということを知っていただくと、そこに潜在的なニーズが顕在化することがあります。ですから、2時間程度で10人ですとか15人、そういった方々がピアサポートの相談をお受けになるわけです。フェース・トゥ・フェースでこういうふうに利用できるんですという生の説明、ヒューマンの説明ということで、理解して生まれるニーズもあるのではないかと思います。
 以上です。
○門田会長 ありがとうございました。
 前川委員、できるだけ簡潔にお願いします。
○前川委員 わかりました。
 以前、がん相談支援センターについて、その場に行って調べたことがあります。以前、協議会で発表しましたが、そのときに感じたことと、その後で感じたことを2点ほど発言させていただきます。
 今、感じている問題点として、相談支援センターの案内板がすぐにわかる場所にないことがあります。病院に行って、すぐにわかるところとわからないところがあります。以前も発言したときから多分余り変わっていないと思います。なぜ変わらないのでしょうか。協議会でこういうふうに発言しても変わらないというのは、問題だと思います。
 また、私は患者サロンに週2回行っており、多くの患者さんと接しています。そこで相談支援センターのスタッフは、病院の職員だから相談したくないという患者心理があります。そういうことを相談支援センターの方はわからないということです。本当に患者サイドに立って相談を受けられるかというと、無理な場合があります。例えば命に限りがあったときとか、ほかの病院に移った方がいいのではないか、緩和ケアに行った方がいいのではないかと思っても、主治医に遠慮をして言えないんです。
 そういうことがありますので、私の提案なんですけれども、10ページにセンター長とか病院長から十分な支援があれば、相談件数が多いということですので、病院長が相談支援センターの全責任を負うという立場になればと思います。そうすれば相談支援センターが病院内での位置が高くなり、医師への遠慮があって患者の側に立った相談を受けられない、ということがなくなるのではないかと感じております。
 以上です。
○門田会長 ありがとうございました。協議会で発言しても、現場に届かないという、少し聞きにくい話がありました。
 どうぞ。簡単にお願いします。
○松本委員 簡単に高山参考人にお尋ねいたします。質の評価/教育ツールは、現在、介入研究中ということですけれども、今後の見通しについて教えていただけますか。あるいはほかにすぐに使えるツールのようなものは、現在あるのか、ないのかをお教えください。
○高山参考人 ありがとうございます。
 ツールに関しては、ほぼ完成していると思いますので、先ほど申し上げました自己評価、セルフモニタリングということで、使い方、どういったことが大事なのかという研修さえすれば、どんどん使っていただけるものだと考えています。
 今、検討を深めているのは、3つの相談支援センターで調査をさせていただきましたが、更に広域で広げていくためにということで、2つぐらいの地域で、どういうふうにもうちょっと広げていけるかという検討はさせていただいています。
 そこだけではないんですが、問題になってきているのは、相談支援センターを2人とか3人でやっていますと、その中でお互いチェックするという、評価される側とする側というリスクをそこの中ではらんでくるので、小さい単位では評価が難しいと考えています。もうちょっと大きな単位で、第三者評価というものがどこかで担えたら、個人的な評価だけではなくて、ほかからも見ていただきたいというときに、対応できると思っていますので、そういう体制ができるかどうかということも、今後検討していきたいと思っています。
○松本委員 ありがとうございます。
○門田会長 よろしいですか。ありがとうございました。
 そのほかにございますか。どうぞ。
○堀田委員 お知らせにもなるかもしれませんが、こういう問題を都道府県間診療連携拠点病院連絡協議会の中でもしっかり検討していきたいと思います。本連絡協議会中に、今年度中に情報提供・相談支援部会という部会をつくって、そこで相談支援の提供側の問題点を整理したいと考えていまして、11月に第1回を設ける予定です。できればそういうところに患者さんの代表にも来ていただいて、御意見をいただければと思っています。
○門田会長 ありがとうございました。
 時間も大分押してきましたので、次に移りたいと思います。「4 その他」のところですが、本日は天野会長代理から提出していただいた資料、事務局のピアサポーターに関する取組みの資料がございますが、時間の関係で、次回に回させていただきたいと思います。
 資料8の件につきまして、事務局から御説明をお願いしたいと思います。
○事務局(秋月) それでは、資料8「今後の子宮頸がん対策(子宮頸がん検診)について(案)」について御説明いたします。
 これは9月3日のがん検診のあり方に関する検討会で使用した資料でございますが、それについて、簡単に御報告をさせていただきたいと思います。
 現在、子宮頸がん対策、特に検診については、2つ目の○にございますとおり、平成21年度から検診の無料クーポンを20歳から5歳置きに40歳の方まで配付をしています。
 ただ、子宮頸がんについては、下のグラフを見ていただきますとわかりますとおり、特に若い方に罹患が増えていること、死亡率は諸外国では低下しているんですが、日本では上昇してきているということで、従来の細胞診やクーポンの配付事業に加えて、海外で一定程度有用性が認められているヒトパピローマウイルス、HPVの検査を実施することで、より正確により早期にがんを発見し、進行がんやがんによる死亡率を減少させることを図ってはどうかと考えております。
 具体的には、子宮頸がんの罹(り)患率の高い年齢層、30代の方を中心にHPVの検査を実施してはどうかと考えております。
 これを実際にやる際には、留意すべき点がございます。特にHPVプラスで、例えば細胞診がマイナスであった方の扱いであるとか、どうやって周知をしていくかとか、そういったさまざまな点がございますが、これについては、今後もがん検診のあり方に関する検討会で御意見をちょうだいしながら、詳細について決めていきたいと考えております。
 以上です。
○門田会長 ありがとうございました。
 一応検討会でこういう方針ということで、厚労省として、この方針にのっとってやっていくという御報告でいいですね。
○事務局(秋月) はい。
○門田会長 よろしゅうございますか。中川委員、どうぞ。
○中川委員 今の資料8のHPVですが、そもそも現行の受診率が2~3割にとどまっている中で、果たしてこのまま進めていいのかどうかというのは、私は十分に議論するべきだろうと思います。ですから、あり方検討会の中で、十分に議論していただきたいと希望します。
○門田会長 松本委員、どうぞ。
○松本委員 簡潔に申し上げます。
 科学的なところは、あり方検討会で、十分に研究者の方々から御発表があろうかと思います。
 もう一つ、是非留意をしていただきたいのは、先ほどもありましたけれども、過剰診断にさらされるのは、若い女性たちであるということです。残念ながら、今、恐ろしいほど正しい知識が伝わっていませんので、過剰診断になったときに、その人たちが背負う精神的な負担をいかに軽減していくか。その前提として、子宮頸がんという病気、そして、患者に対する正しい知識を確実に広げていくかということについて、是非お取組みをいただきたいということを申し上げさせていただきます。
○門田会長 よろしいですか。
 そのほかにいかがでしょうか。よろしゅうございますか。
 それでは、次にまいりたいと思いますが、最後に事務局から机上配付資料の御説明をいただけるんですね。お願いいたします。
○木村がん対策・健康増進課長 それでは、お手元の机上配付資料をごらんいただきたいと思います。
 これは来年度の予算概要要求の主要事項を抜粋したものでございまして、がん対策につきましては、私どもの厚生労働省で、今年度に比べまして、約120億円程度増の392億円の要求をさせていただいているところでございます。
 その中で、新規事項について若干御説明申し上げたいと思いますけれども、がんに対する質の高い医療提供体制関連でございます。
 1点目、ただいま話のございました、がんの早期発見、具体的には検診についてでございます。特に女性のためのがん検診を重点的に考えてございまして、乳がん、子宮頸がん検診について、平成21年度より検診の無料クーポン券を配付して、受診率の向上を図るためにやっているところでございますが、来年度につきましても、引き続き財政支援を行っていきたいと考えてございます。
 今、話がございました子宮頸がんにつきましては、クーポン券に加えて、若年層の罹患が非常に増加しています。また、死亡率につきましては、諸外国が低下している中にあって、日本だけが増加しているということもかんがみまして、従来の細胞診に加えまして、海外で一定程度の有用性が認められておりますHPV検査を実施するということで、対応させていただきたいと思っております。
 乳がんにつきましても、クーポンの対象年齢は、現在、40~60歳の5歳刻みでやってございますけれども、特に罹(り)患率の高い40代後半から50代に対して、重点的にクーポンを配付するということを考えてございます。
 2点目、がんと診断されたときからの緩和ケアの推進でございます。これにつきましては、主に2点ございまして、がんの痛みを抱えたまま苦しんでおられる患者さんを救うために、各がん診療拠点病院におきまして、がん性疼痛の緩和に係る相談支援事業の強化を図っていくことが1点。
 また、新たに緩和ケアセンターを整備いたしまして、緩和ケアチームや緩和ケア外来の運営などを始め、重度のがん性疼痛が発症した場合、緊急入院できる、いわゆる緊急緩和ケア病床の確保といったことに対する対応・整備を考えてございます。
 3点目、がん患者などの治療と職業生活の両立でございますけれども、これにつきましては、特に昨今がん患者さんの相談支援の中身が、就労といったものとの関連が非常に多くなってきていることにかんがみまして、新たにこれらなどを専門にできます社会保険労務士などの方々を、がん診療拠点病院の相談支援センターに配置をしたり、あるいは社会保険労務士の事務所などに相談できるような体制整備を考えてございます。
 併せまして、がん患者の就労問題に関する実態分析事業もやらせていただきたいと思っているところでございます。
 (2)小児がん対策の推進でございます。これにつきましては、特に小児がんセンターなるものを今後私どもは考えているわけでございますけれども、その際、小児がん拠点病院をとりまとめ、情報の集約・発信などをやっていける小児がんセンターの運営経費を計上させていただいているところでございます。
 2ページでございますけれども、がん治療薬創薬研究の推進でございます。従来がんだけに効く薬がなかったところ、今般、抗体医薬など分子標的薬あるいは核酸医薬といったがん特有のところに、集中的にターゲットを絞ってやれるような革新的な薬の開発を、国際水準の非臨床試験や医師主導治験などと併せて強力に推進していく。そうした所要の予算要求をさせていただいているところでございます。
 最後に禁煙対策でございます。がん対策推進基本計画などにおきましては、たばこをやめたい方がやめられるように支援していく形になってございます。その一環としまして、がん診療拠点病院にたばこ相談員を配置しまして、禁煙に対する電話相談、あるいは禁煙に係る最寄りの医療機関などとの情報提供を行っていく、いわゆるたばこクイットラインというものを新たに整備していきたいと考えてございます。
 中身につきまして、もし何か御質問等がございましたら、後ほど事務局までお申し出いただければと思います。
 机上配付資料につきましては、以上でございます。
○門田会長 ありがとうございました。
 これはここでディスカッションするものではなくて、何か意見があれば、事務局にということですね。
○木村がん対策・健康増進課長 そうでございます。
○門田会長 ありがとうございました。
 一応本日準備した議題は以上でございます。いつものように、司会の不手際で大幅に時間が遅れてしまいました。
 本日はこれで終わりたいと思いますが、最後に、皆さん既に報道の方で御存じかと思いますけれども、このたび、外山局長が退任されるということを聞きました。この協議会でも外山局長にはいろんな形で努力をしていただいて、また外山局長の御意見、そのほかいろいろ聞かせていただきました。是非一言ごあいさつをお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○外山健康局長 私個人は公僕ですから、どうでもいいんですけれども、がん対策推進協議会は患者の委員が入られて、そういった形で政策決定が決まっていくというプロセスが、がんだけではなくて、私が所管しております肝炎であるとか、難病であるとか、そういった健康政策の意思決定過程が大きく変わってきたというのは、非常に見させていただいたということであります。
 それから、うちの局というのは、権限がないものですから、いろいろ意見を言われて、いつももじもじしていて困っていたんですけれども、そういう中で、企画立案機能を通じて、結果的には制度改正につなげていくというルートができてきたことも、協議会の成果ではないかと思っております。
 それから、この4月にはがん対策・健康増進課ができました。そういうことで、だんだん足場ができたと思っております。これも門田会長始め垣添前会長、あるいは委員の皆様のおかけだと思っておりますけれども、今日の御意見を聞いておりますと、計画の執行ということで、小児かんであるとか、緩和ケアであるとかいろいろやっておりますが、今、課長が説明しましたけれども、これは具体的に予算編成に手形を落とさなければいけないということでやっておりますので、今日の相談事業だけではなくて、緊急の問題もこれから大きなところというのは、やはり大事ながん対策推進協議会を足場に、そこで新しい意見なり政策形成を大事に、生きたものにしなければいけないのではないかと感じました。感じてももう遅いかもしれませんが、そんなことで、ありがとうございました。
 がん対策推進協議会の御発展と、先生方の御健勝をお祈りしております。ありがとうございました。(拍手)
○門田会長 どうもありがとうございました。
 外山局長におかれましては、これからのことは聞いておりませんが、ほかのところで御活躍のことと思いますが、これまでいろいろとお骨折りいただきましたことに対して、皆さんを代表して感謝申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。
○木村がん対策・健康増進課長 次回の日程につきましては、各委員の方々の日程を調整させていただきまして、また御連絡申し上げさせていただきたいと思います。
○門田会長 それでは、以上をもちまして、第35回の「がん対策推進協議会」を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

健康局がん対策・健康増進課

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