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2012年6月28日 第13回原爆症認定制度の在り方に関する検討会議事録

健康局総務課

○日時

平成24年6月28日(木) 10:00~12:00


○場所

港区虎ノ門3-6-2 第2秋山ビル
スタンダード会議室虎ノ門HILLS 2階ホール


○議題

1.開会

2.議事

(1)中間とりまとめ(案)について

(2)その他

3.閉会

○議事

○榊原原子爆弾被爆者援護対策室長 開会に先立ちまして、傍聴者の方におかれましては、お手元にお配りしています「傍聴される皆様へ」の留意事項をお守りくださいますよう、お願い申し上げます。
 これ以降の進行は、神野座長にお願いいたします。
○神野座長 それでは、これより第13回になりますが、「原爆症認定制度の在り方に関する検討会」を開催させていただきます。
 委員の皆様方には、朝早くから、とはいえ、もうかなり蒸し暑くなっておりますが、お忙しい中を御参集いただきまして、本当にありがとうございます。本日も議事運営等に御協力いただきますよう、お願い申し上げる次第でございます。
 議事に入ります前に、事務局から委員の出席状況の報告と資料の確認をお願いいたします。
○榊原原子爆弾被爆者援護対策室長 本日の出席状況でございますが、石委員、潮谷委員、高橋滋委員、高橋進委員、佐々木委員から欠席との連絡をいただいております。
 次に、お手元の資料について御確認をさせていただきます。
 議事次第、資料一覧に続きまして、資料1「原爆症認定制度の在り方に関する検討会」中間とりまとめ(案)。
 資料2、田中委員提出資料でございます。
 資料に不足、落丁がございましたら、事務局までお願いいたします。ございませんでしょうか。
 それでは、マスコミの方はここまででお願いいたしたいと思います。
(報道関係者退室)
○神野座長 どうもありがとうございました。
 前回は、中間とりまとめに向けた議論整理案といたしまして、この委員会でほぼ意見の一致を見ている点、それから、見解が分かれている点などの論点を集約いたしまして、それを基に委員の皆様方に御議論をちょうだいいたしました。この検討会として、よりよい制度を目指していくという方向では一致を見たというふうに私の方では理解をさせていただいております。
 本日は、前回の最後に申し上げましたけれども、前回ちょうだいいたしました御議論を受けて、中間とりまとめ(案)を事務局と相談して作成をいたしました。その内容について、今日、御議論をちょうだいできればと思っております。私としては、前回から「作る」段階に入っているわけですけれども、その「作る」段階が、登山に例えると、登頂に到達するという作業を行うに当たって、この中間とりまとめ(案)をベースキャンプにして、お互いに一致しているところ、一致していないところを明確にし、そこを出発点にしながら、一つひとつ着実にベースキャンプを、秋からつくる作業を開始していきたいと考えている次第でございます。
 それでは、その資料につきまして、事務局から御説明いただければと思います。よろしくお願いします。
○榊原原子爆弾被爆者援護対策室長 資料1「原爆症認定制度の在り方に関する検討会」中間とりまとめ(案)について説明させていただきます。
 「原爆症認定制度については、平成21年12月に成立した「原爆症認定集団訴訟の原告に関する問題の解決のための基金に関する補助に関する法律」の附則に、原爆症認定の制度の在り方について検討し、その結果に基づいて必要な措置を講ずることが規定されているとともに、平成22年8月、内閣総理大臣から、原爆症認定制度の在り方の見直しの検討を進めることが表明された。
 本検討会は、このような経緯を踏まえ、原爆症認定制度の在り方について検討を行い、その結果に基づいて必要な措置を講ずるため、厚生労働大臣の主催により設置され、平成22年12月からこれまでに、計12回の精力的な議論を行ってきた。
 本検討会では、「知る」段階、「考える」段階、「作る」段階と段階を区切って議論をすることにし、原爆症認定制度の在り方について、多角的に議論を重ねている。
 このたび、「作る」段階の入口で、今までの検討会での議論をまとめ、おおむねの方向性を示し、認識の共有を図るものとして、この中間とりまとめを策定する。
 今後、本検討会では、「作る」段階として、この「中間とりまとめ」でさらに議論が必要とされた点やその他の事項について、具体的な制度設計に向け、掘り下げた議論を行っていく。
 なお、この「中間とりまとめ」は、本検討会での議論の状況を踏まえ、
  ・基本的な制度の在り方
  ・原爆症認定制度の認定基準
  ・手当
の3つの論点を軸としてまとめる。
1 基本的な制度の在り方について
 原爆症認定の「基本的な制度の在り方」に関して、
・ 原爆症認定や医療特別手当の給付といった被爆者に対する援護には、行うだけの理由が必要である
・ 被爆者に寄り添うという視点とともに、国民の理解を得ることができる制度とする必要がある
・ 被爆者が高齢化していることも考慮し、裁判での長期の争いを避ける制度を作る必要がある
・ 既に年金や介護保険の制度があり、医療費も無料となっているということを踏まえた制度とし、一般の高齢者との均衡にも留意すべき
・ より良い制度とするため、必要に応じて、被爆者援護法を改正すべき
といった意見が出されたが、これらについては、おおむね認識の共有が図られているため、今後議論を積み重ねていく上でも、前提として進めていくことにする。
 本検討会では、「基本的な制度の在り方」として、より良い制度を目指していくという方向は一致している。今後は、まず制度の不備をなくすため、現行制度をより良いものにしていくということを基本として議論していく。一方で、被爆者援護法第10条・第11条に基づく原爆症認定の制度は破綻しているという意見があることにも留意する。
2 原爆症認定制度の認定基準について
 「原爆症認定制度の認定基準」に関して、
・ 司法判断と行政認定の乖離を認め、どのように埋めていくか考えていく必要がある
・ 科学的知見は重要であるが、科学には不確実な部分もある。こうしたことを前提に考えていく必要がある
・ 高齢化により、健康被害が放射線の影響によるものか、加齢や生活習慣等によるものか、原因の切り分けができなくなっている状況を考慮すべき
・ 疾病によって、医療の必要性は様々であり、要医療性の要件はわかりやすくあるべき
・ 医療技術は進歩しているので、治癒する疾病も多い。こうした状況を踏まえて、現実に即して判断すべき
といった意見が出されたが、これらについては、おおむね認識の共有が図られているため、今後議論を積み重ねていく上でも、前提として進めていくことにする。
 一方で、「原爆症認定制度の認定基準」に関し、現段階では様々な意見が出されている事項もある。
 具体的には、司法と行政判断の乖離について、
・ 裁判例や医療分科会の積み重ねの客観性を尊重しつつ、相当程度判断が固まっているものを救済の観点から行政認定に取り入れていき、乖離を埋めていくべきではないか
・ 乖離を埋めることができないのだから、制度全体が破綻しているのではないか
・ 裁判所の判断は個々の原爆症認定についての判断であり、制度を見直すべきとの判断にまで及んでいないのではないか
・ 要件に明確に当てはまらない場合の総合判断は必要で、新しい審査の方針のこういった仕組みを残し、医療分科会のこの方針を客観化するために、法令で規定していくことを考えるべきではないか
といった意見が出されている。
 また、放射線起因性について
・ 医療特別手当をはじめとする援護を行う理由として、放射線の影響を無視することはできないのではないか
・ 放射線起因性の証明しがたい部分、科学の限界がある部分には、新たな制度を付加して救済をすべきではないか
・ 被爆者であれば何らかの放射線の影響があるから、これを前提として、手当をはじめとする援護を行うべきではないか
・ 放射線の科学は科学として、尊重されるべきである。裁判例の中には、科学的には放射線起因性で説明できないのもあるのではないか
・ 放射線起因性は、科学的知見をベースとしつつも純粋な科学で説明できない部分があるものであり、法律上の要件として説明するものではないかといった意見が出されている。
3 手当について
 原爆症認定に基づく「手当」に関して、
・ 被爆者に対する援護施策は、医療の給付のほか、各種手当、福祉サービスといったものがある。これらの全体のバランスを考える必要がある
・ 健康管理手当の額に比べて、医療特別手当の額は高額である。対象の拡大を検討する場合、医療特別手当相当額を給付することが必要な状況がどのようなものか、考える必要がある
・ 手当をはじめとする被爆者援護の財源について、国民の理解が得られることが必要である
といった意見が出されたが、これらについては、おおむね認識の共有が図られているため、今後議論を積み重ねていく上でも、前提として進めていくことにする。
 一方で、原爆症認定に基づく「手当」に関し、現段階では様々な意見が出されている事項もある。
 具体的には、手当の給付対象について、
・ 手当の対象となる認定については、裁判例などを踏まえ、放射線起因性が無視できないという程度でのグレーゾーンを作るべきではないか
・ グレーゾーンを作るにしても、既に認定されている人も含めて、その要件を明確に設定するのは難しいのではないか
・ 被爆者であれば何らかの影響を受けているのだから、全員に手当を支給すべきではないか
・ 被爆者全員に手当を支給するのは、手当の趣旨が異なってくる上、財政負担をお願いする国民の理解を得られず、難しいのではないかではないか
といった意見が出されている。
 また、手当額の段階的設定等について、
・ 既存の制度の延長で、認定対象者を拡大しつつ、その上で、医療必要度だけでなく、介護や日常生活支援の必要度などに応じた手当を設定することで、段階的な手当制度を作るべき
・ 段階をつける新制度を導入するのであれば、現行よりも手当額が下がる人が出てくるのではないか
・ 全員に基本的な手当(現行の健康管理手当相当)を支給し、症状に応じて加算をしていくことで、段階的な手当制度を作るべき
・ 認定(手当の給付)の期間を限定することも考えるべきでないか
といった意見が出されている。
 このほか、被爆者の高齢化という現実を踏まえると、福祉サービスを含めた制度の施策体系の充実という方向性も考えられるという意見があった。
4 今後の検討の方向性
 各論点で示した認識の共有が図られている事項を前提にしつつ、具体的に示した様々な意見がある事項については、さらに十分な議論を行うことで、認識の共有ができる部分を広げていき、合意の形成を図っていく必要がある。
 その上で、今後、本検討会は、新たな制度の詳細について議論すべき、本格的に「作る」段階に入っていくことにするが、議論の過程で新たに「知る」べき事項、「考える」べき事項が出てくるようであれば、再度立ち返って議論することで、「作る」段階でのより良い制度の設計を目指していく。」
 以上でございます。
 続きまして、本日欠席の委員の方々からメール、FAX等で御意見、コメント等が寄せられておりますので、それを紹介させていただきます。委員の方々には、テーブルの上にワープロ打ちしたものを乗せさせていただいております。
 まず、潮谷委員からでございます。1ページの冒頭部分につきまして、検討会が「知る」「考える」「作る」段階をおのおのプロセスを踏まえて議論し、共通認識をできるだけ共有した上で、3つの論点軸にまとめたことが明確化されている。異論はないというコメントでございます。
 続きまして、2ページ、上から15行目「本検討会では」から始まる部分についてでございます。現行制度をよりよい制度にするという基本的な考え方を前提に、現被爆者援護法の内容を再構築することも視野に議論が必要ではないだろうか。ただし、既認定者との間に齟齬が生じない、不利益が生じない配慮、認定に際し、社会からも納得、支持が得られるような客観性が制度設計には必要という御意見でございます。
 また、2ページ、下から3行目「高齢化により」というところから始まる部分についての御意見でございます。放射線起因性は無視できないが、限界があることも現実である。加えて、被爆者でない人々の間でも、加齢、生活習慣等による疾病の発生に、白内障、前立腺肥大症を初め被爆者の方々と共通した疾病の発生率も高くなっているというコメントでございます。
 続きまして、3ページ、下から13行目「要件に当てはまらない」というところから始まる部分についての御意見でございます。医療分科会にこれまでに積み上げてきた知見を尊重しつつ、その一方で、被爆者の医療に対応している医師の意見も認定基準を制度化する上でヒアリングしてはどうかというコメントでございます。
 続きまして、4ページ目、上から8行目「健康管理手当の額に比べて」という部分についてのコメントでございます。認定基準と深く関係してくる事柄である。手当の妥当性についても、固定的に施行していくのではなく客観性を担保し、認定する側、受給する方々にも説明責任が果たせる義務が生じると考えるというコメントでございます。
 続きまして、5ページ目、上から9行目でございます。「認定の」というところから始まる部分でございます。認定後のフォローアップを制度の中で盛り込む必要があると考える。認定を固定したものとせず、病状の変化、ADLの状態等、再評価し、被爆者の実像を踏まえた認定基準を制度設計すべきではないだろうかという御検討でございます。
 それから、同じく5ページ目「このほか」というところから始まる部分についてのコメントでございます。福祉サービスを含めた制度の施策体系の充実は必要と考えるが、被爆者援護という領域で対応するのか、現行の種々実施されている福祉サービスの中で優先的に対応しているのか、方法論を含めて議論することが必要というコメントでございます。
 そして最後に「今後の検討の方向性について」でございますが、事務局提案に賛成というコメントをちょうだいしております。
 続きまして、石委員からのコメントでございます。3ページ目、下から4行目でございます。「被爆者であれば」というところからでございます。「被爆者であれば何らかの放射線の影響があるから、これを前提として」とございますが、これを「被爆者本人の意向を踏まえて」と修正してはどうかというコメントでございます。
 続きまして、4ページ、上から11行目でございます。「手当をはじめとする被爆者援護の財源について」の後に「納税者としての」国民の理解が得られることが必要であるとすべきではないかというコメントでございます。
 それから、4ページ、下から3行目と4行目の間にポツを1つ追加してはどうかという提案でございます。「・被爆者の中には、必ずしも手当の支給を積極的に申請しない者がいる。」というコメントでございます。
 続きまして、高橋進委員からのコメントでございます。2ページ目、上から3行目でございます。「原爆症認定や医療特別手当の」というところから始まる部分についてでございます。「原爆症認定や医療特別給付といった被爆者に対する援護には、行うだけの理由が必要である」について、これまでの経緯があって今の制度があり、それをいい方向に改善するという話だと思うので、「行うだけの理由」という言い方は誤解を招くのではないかというコメントでございます。
 それから、4ページ、下から9行目でございます。「手当の対象となる認定」というところから始まる部分でございます。いわゆるグレーゾーンというのは、手当だけでなく「認定基準」にもかかわる考え方ではないかというコメントでございます。
 最後に、佐々木委員からのコメントでございます。2ページ目、上から10行目でございます。「既に年金や介護保険の」というところから始まる部分でございます。こちらの中の「一般の高齢者との均衡にも留意すべき」という部分について、本検討会では被爆者の方々への対応を検討する場であり、「おおむね認識の共有が図られている点」にこれを加えるのは適当でないと考えます。
 その他の事項については、他の委員の皆さんが了承するのであれば、私としては特に異論はありません。
 なお、今後、本検討会において、高齢化して病気に苦しむ被爆者の現状にかんがみ、本当に困っている被爆者をどのように救済するのかという視点に立って議論が進められ、できるだけ早く結論を得て必要な措置が講じられることを要望しますというコメントをちょうだいしています。
 私からの説明は以上でございます。
○神野座長 どうもありがとうございました。
 事務局からも御説明をいただきましたけれども、中間とりまとめ(案)においては、よりよい制度を目指していくという方向では一致し、今後は制度の不備をなくして、現行制度をよりよいものにしていくということを基本に議論し、ここで被爆者援護法の第10条・第11条に基づく原爆症認定制度は破綻しているというような意見があることにも留意すると、これは前回、私の方でおまとめさせていただいて、このとおりで、大体共通認識とさせていただいていいでしょうかということを申し上げまして、こうしたことを軸に、今、まとめていただいた中間とりまとめ(案)の共有部分、つまり、認識を共有している部分を可能な限り広げていって、一つひとつ合意を形成していく事項を増やしていきたいと、こういうふうに考えております。
 それでは、議論に入りますので、どこからでも御自由に議論していっていただいて構いませんが、議論が散漫にならず、また、生産的に進めるためにも、順番を追いながら議論をさせていただいて、ただ、相互に関連しますから、ほかの部分に議論を振っていただいても構いません。できればそういう順番で議論を進めさせていただければと考えております。
 最初の冒頭部分ですが、これは可能な限り客観的事実を、更に、進め方その他で既に合意をいただいている部分について述べてきたものでございまして、読む方にとってわかりやすい前振りという役割を果たしておりますが、ここについては、潮谷先生から御賛成という意見はありますが、御欠席の方々からも特に意見をいただいておりませんので、ほぼこのような前振りでよろしいですか。何かございますか。前文のところだけですが、いいですか。
○田中委員 結構です。
○神野座長 中身の方ですけれども、御遠慮なく、どこから振っていただいても構いませんが、最初に、焦点を「基本的な制度の在り方について」の項目に当てていただいて、御議論をちょうだいできればと思っております。
○田中委員 よろしいですか。
○神野座長 どうぞ。
○田中委員 委員の先生方にはあらかじめお配りしておきましたが、今日、私どもの御意見を述べようと思っておりました。基本的な制度の在り方と、認定基準についてと、手当の3本の柱で、それはいいと思います。2つ目の認定の在り方と、それから、手当については、前回議論しておりませんし、私も意見を言っておりません。多分、今日議論されることになると思います。ですから、そこで私どもの意見も詳しく御説明したいと思います。
 第1の項については、私ども、前回、いろいろなことを申し上げました。不適切な文言ということで発言もしまして、それがなくなる、あるいは1つ項目がなくなるということになっているのですけれども、基本的に私が主張しましたことがほとんど考慮されていないと思うのです。これは認定制度の基本的なものですから、法律がどうなっているかというのが大前提でなければいけないのですね。
法律は何を言っているかというと、厚生労働大臣が認定する疾病に対して、医療を給付する、全額国庫負担するということを決めているのが、そもそものこの制度の法律になっているわけです。ですから、そのことをちゃんと議論をしなくてはいけないということと、なぜそういう法律ができ上がったかということについての議論をしなくてはいけなかった。前半については全然議論されていないということもあります。これは、今までの会議の中で、事務局からきちんとそのことが提案されなかった、あるいは説明されなかったということが原因になっているのではないかと思うのですけれども、改めて確認をしておく必要があろうかと思うのです。
そういうことを踏まえていれば、ここにくどくど書いていますけれども、この法律が、国家補償の法律ではないのですけれども、生きている被爆者に対する施策は国家補償的な配慮でやるのだということが前提にあって決められていることなのです。そのことを踏まえなければ、あとの認定の在り方とか、手当についても、正しい議論ができなくなってしまうということを前回申し上げたつもりなのですけれども、やはりそのことを御理解いただけないと思います。
現に、今日御意見をいただいている委員2人、高橋進先生からの、「行うだけの理由」という言い方は誤解を招く、これまでの経緯があって今の制度がある、そういうことだと思うのです。だから、立法の過程も含めて、今までの経緯があって今の制度があるわけですから、そのことを踏まえないでいくと、「行うだけの理由がある」と、前回も、こんなことは必要ないと私は申し上げたつもりなのですけれども、依然として残っている。これを高橋先生は御指摘なさったのだと思います。
それから、佐々木委員は、「一般の高齢者との均衡にも留意すべき」というふうに書いてあるのは必要でないとおっしゃっていますが、これも前回、私は申し上げたのです。均衡の問題ではない。原爆の被害者である被爆者に対してどうするかという問題であって、だれかれとの比較で議論する問題ではないと私は申し上げたつもりなのですけれども、そのことが今日出されていますまとめには全然生かされていないと思います。
くどくなりますけれども、今の法律はそもそも何なのか、特に認定はどういう考え方で制度化されたのかということをちゃんと議論しなくてはいけないのではないかと思います。ですから、認定のことに入っていくと思いますけれども、もう一度申します。原爆が起因して障害、疾病にかかっている被爆者の認定された疾病については、全額国が医療費を見ますというのがこの法律なのです。それがいいのかどうかという議論を本来はしないといけない。これをしないでそのままいきますと、多分、認定制度は残るということになります。廃止するか、廃止しないかということを議論しないと、認定制度が残るということになります。そうすると、特定の疾患については、大臣が何らかの判断をして、その疾病の医療費を全額国が見るということになります。今の医療の対策は、被爆者全員が全額国庫負担を受けているわけではないのです。一人の被爆者の複数の病気の中で1つか2つかなのですが、認定された疾病だけ全額国庫負担を受けているのであって、それ以外の疾病の治療費は、認定された被爆者も含めて、健康保険制度の中の自己負担分を国が見るという制度なのです。ですから、そのことをきちんと議論しておかないと、うやむやになってしまうということがありますし、誤解を招くということがありますので、一言申し上げておきます。
なぜそうなったかというのは、先ほど申しましたけれども、国家補償の配慮ある中身であるということなのです。
あと、認定の在り方だとか手当については、その議論をするときに申し上げたいと思います。
○神野座長 私の前回の議事運営が御理解いただけていないかと思いますが、私としては、2も3もきちんと皆様方の御議論をいただいて、一致できるところ、あるいは一致している点については、これでいいですね、まだ議論が残っている点はこれでいいですねということをそれぞれ議論いただいておりますので、議事録を見ていただいてもいいかと思いますが、一応、いただいているということだけ申し上げておきます。
○田中委員 済みません、すぐお言葉を返すようですけれども、本当に御意見を伺っている時間的配慮があったかどうかということがあります。というのは、言い合いのように皆さんおっしゃっていました。私ひとりがかなり言っているようなところがあったのですけれども、今日の高橋先生の意見、それから、佐々木委員の意見、やはりそれはまずいのではないかという御意見なのですね。
○神野座長 今のは1のところについてですね。そうではなくて、2の認定基準について、それから、3の手当については、前回議論していないという御発言がありましたので、そんなことはありませんよと申し上げたのです。議事を見ていただければ、それぞれについて議論をやってまいりました。
○田中委員 私はごちゃごちゃの議論だったと思います。
○神野座長 不満であるとかという議論があったとしても、しています。
○田中委員 ですから、最初に申しましたように、認定された疾病は全額国庫負担をすると。その病気はどうするかという議論が余りないのですね。
○神野座長 中身はともかくとして、今回はです。
○田中委員 認定のやり方等々が議論されましたので。
○神野座長 今回は、中身そのものよりも、中身については、これまでやってきた議論そのままを出していて、それを仕分けしていく、本当に合意できているところはどこなのだろうか、それから、合意できていないところはどこなのだろうかということを確定して、そしてベースキャンプをつくっていこうと。そうしないと、また山登りをしようとしたときに、また議論が下に、繰り返し繰り返し落ちてしまうということでは「作る」段階が前に進みませんので、これまで、「知る」段階、「考える」段階で皆様方から多くの議論をしていただいた上で、そこの中から一致できている点と、ほぼ認識を共有できているのではないかという点と、それから、違っている点を明らかにして、整理をして前に進んでいこうということを前回から申し上げているわけです。
○田中委員 本当に何回も繰り返すのは私も嫌になるくらいなのですけれども、最初のところをしっかりしていないで議論をしてということは、先生おっしゃるように、何回も何回も堂々巡りを始めると思うのですね。認定の制度の基本的なものを事務局がきちんと最初に提案されなかったと私は思っているのですね。だから、一番重要なところを議論しないで、皆さんからいろいろ発言をいただきました。それだけで合意しているという格好になりますとね。
○神野座長 前回の議事については、事務局でなく、私の責任で運営をしておりますので、私が2について十分な時間を使わなかったという御批判でしょうか。ただ、議事は、いずれにしましてもやりましたよということを申し上げただけです。
○草間委員 よろしいでしょうか。
○神野座長 どうぞ。
○草間委員 今、座長が言われたように、十数回の議論を繰り返してきて、ここで中間とりまとめという形で一回とりまとめましょうということだと思います。それに対しては田中先生も賛成だろうと思います。私も今回のまとめを見させていただきまして、ここについては皆さんがおおむね了解をしている、それ以外にこういう意見も出されているという形でまとめられておりますので、それぞれの具体的なところを議論するときに、発言をしていただくという形で、今の段階で中間とりまとめを出すということ、その方向でまとめていくという形にするというのが、議論をスムーズに進めていく上でいいのではないかと思います。
最初に、この制度そのものについて、事務局は十分説明していないのではないかというお話ですけれども、私はこの十数回の中で、私どもが十分理解したかどうかは別として、一応、御説明していただいているというふうに理解をしておりますけれども、いかがでしょうか。
○神野座長 中身のことについてあれば、ここについての議論がまだ足りていないということであれば、それぞれ出ている意見で顔を出していますので、そこで議論していただく。つまり、秋以降というふうにさせていただければと思います。今回は、どこまで私たちが合意できているか、合意できていないかということを整理したいという趣旨です。
○田中委員 私、何回か、この法律は基本的には被爆者に対する国家補償的配慮があるということを言っていますよと。
○神野座長 いえ、今、その議論をしているのではなくて。
○田中委員 いえ、どうしてそれが合意される、されないという諮られ方をしないのでしょうか。
○神野座長 いえ、今、そのことを申し上げたのではなく、1項目の「基本的な制度の在り方について」は前回議論したけれども、2の「原爆症認定制度の認定基準について」や、3の「手当について」の議論はしていないというふうにお話をされたので、議長として、私としてはきちんとやりましたということを申し上げたので、1の中身については全然議論いたしておりません。いいでしょうか。
○田中委員 わかりました。
○神野座長 それでは、今、御意見をちょうだいしたのは、そもそも国家補償というような、法の背後にあることが取り上げられていないと。今、合意できている事項と、できていない事項に振りあてると、今の御意見では、1項目にある「行うだけの理由が必要である」という表現や、それから「一般の高齢者との均衡にも留意すべき」だという表現に具体的に出てきている。つまり、それに対する指摘などが欠席委員からも出ているではないかと、そういう御意見でよろしいですか。
つまり、背後にある理念については、今までの議論もそうですけれども、それぞれの委員によって違うから、無理だろう。ただ、具体的なフェーズで出てきた内容にも、今、おっしゃったのでいけば、国家補償的な考え方があることを見忘れているので、こういう表現になるのだという御指摘なので、その国家理念そのものではなく、今、私たちが合意できている、こういうところについて、これは合意できていないのではないかという御意見だというふうに受け取ればよろしいですね。
○田中委員 そういうことです。ですから、高橋委員とか佐々木委員が申し上げているのは、これはよくないのではないかということは、合意できていないという御指摘だと思います。
○神野座長 私も、事務局から、一応、説明を受けたとは思うのですけれども。
○田中委員 済みません、草間先生おっしゃいましたけれども、説明はされたのですよ。いろいろなことを説明されているのですよ。それがこの議論にとって、制度をちゃんと見直していくときに、どれくらい重要な課題であるかということを、きちっとそこで指摘されていない。大変失礼な言い方ですけれども、委員の方々は、ただ知識として頭に置かれたのですけれども、見直していくときに、そこのところが一番肝である、要であるという受け止め方をしていらっしゃらなかったのではないかと思えるのです。
○神野座長 これは、委員の中で、多分、背後理念が一致できていないのだと思うのです。いろいろな立場の人を集めているので、そこは一致できないのですが、にもかかわらず、重ね書きができて、私たちが共通できる認識があるかどうかということを今、議論しているわけですね。これについては、今日、高橋先生がお休みなので、法律専門の方は荒井先生ぐらいなので、法律家として何か。今の話は、特にここに入れろとかいうお話ではないのですね。そういう理解でいいですか。
○田中委員 逆に入れていただいて、この法律はそういう性格の法律であったということを皆さんで共通の認識をしたということを入れてほしいと思います。
○神野座長 ということなのですね。だから、これは共通な認識でなければ、むしろ、書くとすると、少数意見としてまとめると。いろいろな意見があると。
○田中委員 国家補償的配慮と言うのかどうかは別として、表現はありますけれども、そういう精神、法の趣旨はこうだということを書いていただかないと、表面づらの言葉がざーざーと並べられることになってしまうということです。だから、書いていただきたい。
○神野座長 だから、共通認識になっているかどうかということになるわけです。
○荒井委員 まず、今日の中間とりまとめの趣旨、目的というのは、座長からお話がありましたように、これまで11回でしたか、12回でしたか、議論を積み重ねてきて、これから具体的な見直しの考え方を詰めていこうという入口に当たって、これまでの議論を整理しようという趣旨だろうと思うのです。
田中さんの御意見書も事前にお送りいただいて読ませていただきました。田中さんの御意見に限らず、今日拾われている意見というのは、10回余っての会議の中で、いろいろ肉づけのある議論が皆さんから出ているのですね。それを全部この整理の段階で拾い上げるというのは、私はそれは無理があろうかと思うのです。指摘された意見が、大体共通認識になっているものと、まだ異論のあるところとを振り分ける、その中身の頭出しができればよしとして、食い違いのあるところは秋以降に議論を深めていくと、こういう前提で考えてよろしいのではないでしょうか。
今、田中さんの御指摘の国家補償的見地からの給付といいますか、制度かどうかということについては、私は途中の何回目かに意見を申し上げたことがあろうかと思うのですけれども、そもそもというか、今回のこの在り方検討会の諮問の趣旨が、制度の根本的なところにメスを入れる、あるいは法律の考え方がどうかということについて議論をする場ではないと思っているのです。
現在の援護法の前文にも「国の責任において」という言葉が盛り込まれております。最高裁の判決を含めて、裁判の考え方というのは、今の援護法の考え方をどういうふうに理解するかということでの解釈なわけで、国家補償的な見地が入っているであろうというのは1つの考え方だろうと思いますが、それをここで確認するかどうかということについては、一言で言えば、役割ではない、いわんや共通認識ができているわけでもないということで、今日の整理で言えば、田中さんが前々からおっしゃっている、今の援護制度が破綻しているかどうかというところにも結びついてくる御意見だろうと思うのです。
そういう意味では、意見の違いということで、破綻しているという意見があるのだということは拾われている、ピックアップされているというところでいかがでしょうか。国家補償的見地の確認といいますか、意見の一致はもとより、それをめぐっての意見があったということを、この中間とりまとめで拾い上げること自体について、私は疑問でございます。
○坪井委員 ちょっといいですか。
○神野座長 坪井委員。
○坪井委員 国家補償的な問題で、その中身についてはおっしゃるとおりでありまして、ここで今更と、こういう考えもあるでしょう。しかし、被爆者としては、そこが一番中心的な問題だ。だから、一行入れるかどうかということになったら、私は入れてもらいたい方ですよ。しかし、援護法自体がもうそうなっているのだから、いちいち書くこともないと言われればそれまでですよ。だから、今やっていることは、原爆症の認定問題についてのいろいろな問題ですから、最高裁とか何かがやっていることは、援護法全体を見直されて、追悼事業であれ何であれ、国はしっかりやれと、こうなっているわけですよ。だから、さっき言われたように、今更ここに入れなくてもいいような感じもしますが、私、被爆者としては、入れたからどうということはないではないか、みんな同じ気持ちでしょうと言いたいですね。
 以上です。
○神野座長 どうもありがとうございます。
 田中委員、どうぞ。
○田中委員 本当に何回も繰り返しますけれども、それを入れなければ、基本的な制度についての合意は何だったのでしょうか。最初に制度設計、何も制度がないところで制度を議論して、つくりましょうというときには、こんな議論はいっぱいあると思うのです。これは合意した、これは合意したと。しかし、もう既にある制度なのですよ。その制度がいいかどうか、その運用がいいかどうかを見直せというのがこの検討会の役割なのですね。だとすれば、基本的な制度はもともと何だったのかということをきちんと押さえないで、運用の認定の仕方だとか、手当の決め方だとか、金額だとか、それを議論しても、空中の議論をしているだけ、空論をしているだけになってしまうというふうに私は思います。
○荒井委員 それは、田中さん、この援護法の趣旨、目的がどういう性格のものかというのは、そう簡単に説明できるものではないのだと思うのですね。いろいろな性格を帯びている。国家補償的見地が入っているということは、かなりの方々、裁判所も含めて認めていますけれども、それをこの法律のメインの性格、あるいはそれが一部含まれているということにしても、その限度にしても、それをうたうこと自体が、なかなかそう簡単に割り切れるものではないと思うのです。
むしろ、法律の性格はどうかというのは、具体的な制度の積み重ねの中で、こういう範囲で、こういう要件で、こういうふうな給付が行われている。そうすると、その経緯を考えたとき、あるいは現実の給付内容を考えたときに、その法律の性格、目的はどういうものでしょうか、単なる福祉の施策として理解するには無理があるのではないかという形で、制度の具体的なところを検討した結果、どういう性格の法律であるかということの理解が出てくる。それは学者先生の仕事であったり、あるいは争われたときの裁判所の判断事項であって、ここの在り方検討会の場で法律の性格論についての議論がああだった、こうだったということを取り上げるのは、私はむしろ適切ではないというところまで申し上げたいと思うのです。
○田中委員 ただ議論をしようということではないのです。基本的な性格のところで何が決められているかということはちゃんと押さえて議論しないといけない。ですから、何回も言いました。この法律は、厚生労働大臣が認定した疾病に対して、国が全額国庫負担すると、これが基本なのです。具体的な制度なのです。そのことを全然議論しておりませんでしょう。だから、それを議論しないでいきますから、では、その病気をどう認定するかというときに、また戻ってしまうのですね。全額国庫負担するという制度を残していきますから。これは保険の問題にも、いろいろなところに影響していきますし、それを広げていくと、医療費の全額を広げた医療に全部出すのかという話になってくるし、いろいろなところに広がっていく。そのことをきちんとしてほしいというのと、それから、そういう制度があるために、「大臣が認定する」という言葉がそこにだけ入ってくるのですね。そうしますと、私、最初に何回も申しましたけれども、では大臣が認定しないのはどうかというのが被爆者にあるわけです。現に、原爆症の訴訟の中で、ここだけ放射線の影響があるという国側の主張が一貫して行われた。それに対する被爆者のものすごい悲しい思いだとか、怒りだとかがありました。だから、「大臣が認定する病気に対しては」というのがこの制度の根幹だということを申し上げております。
○荒井委員 先ほど来の田中さんの御意見の中で、認定制度が残るという言い方、大臣が認定をするということ自体についての疑問を投げかけておられる。私は御意見としては理解しているつもりなのですけれども、現在の認定制度を根本から、大臣の認定の疾病認定をそもそも外してしまえという御意見があることはわかりますけれども、そういうことを議論をするとすれば、これからの話であって、少なくとも認定制度を前提として、よりよい制度というのが私のイメージなわけでして、そこを根本から見直してしまうという考え方は私の場合には全くないのです。ですから、中間とりまとめにその点に触れた形で取り上げるということは難しいのではないでしょうか。
これまでしばしば田中さんが御指摘であったということで、いわゆる被爆者に全部給付が行き渡るようにということをお考えだというのは、この前お出しになった意見書でも拝見はしておりますけれども、それは大変大きな問題です。それは議論をするとすればこれからのことではないでしょうか。完全にそこを切ってしまったというわけでもありませんし、なるほど、ストレートにそういう制度がいいかどうかという議論を正面からしたことはないと思います。それは中間とりまとめの後、8月からなのか、9月なのか存じませんけれども、これからの問題ではないでしょうか。
○田中委員 済みません、私ばかり発言しているようで。そのことをここで最初に議論してということを、私、ちょっと言葉が足りなくて、そういうふうに受け取られたのかもしれないのですけれども、そういう制度でありますということを確認しておいていただきたい。そういう制度であるということが、国家補償的な配慮の制度なのだということなのですよ。ですから、そういう制度を取ったということをきちんと踏まえておいて、その制度がこれからちゃんと維持できるかどうかというのは、次の認定の問題のところで詳しく議論されることになるだろうと私は思うのです。ですから、それを踏まえておけば、私どもは4項目全部要らないと言っているのですけれども、表現が適切でないので、1つだけ確認してほしいということを意見で申し上げたのです。
○荒井委員 よろしいでしょうか。田中さんと私ばかりで申し訳ありませんけれども、今のお話の高橋委員の意見で触れておられた、基本的な制度の在り方の最初のポツの「原爆症認定や医療特別手当の給付といった被爆者に対する援護には、行うだけの理由が必要である」、この表現に、高橋委員も田中委員も、何といいますか、根本のところが違うかもしれませんけれども、少し異論がおありだと。それは私もわからないではないので、一般的な書き方になり過ぎているかなという気はしないでもない。
ですから、ここで恐らく、どなたかの発言、1人ではないと思いますけれども、それだけの理由が必要だというのは、現在やっている援護制度に理由が必要だというのではなくて、これから見直しの結果、どういうものが生まれてくるかわからないけれども、それにそれなりの理由が必要だということを言いたいと思うのです。ですから、ここの表現が、現行のものについての理由が足りないのではないか、少し問題ではないかというふうに受け止められる嫌いがあるとすれば、例えば、一般の福祉施策とは異なる理由が必要であるというような趣旨の表現を工夫していただけば、御指摘の、100%ではないかもしれませんけれども、現在のは維持するのだと、給付の内容として。一言で言うと、拡充しようとするならば、それだけの理由が必要でしょうということは言っておかなければならないのではないでしょうか。
 関連して言わせていただくと、私はいつかの会議のときに、今回の見直しというのは、少し脱線するかもしれませんが、広くということにいけば、どうしても薄くならざるを得ないと、広く薄くという観点が1つ必要ではないかということを申し上げたつもりなのですが、その辺にも若干かかわってくるのかなという気がいたします。
○神野座長 一応、1のところでは、最後のポツが合意できて、いいだろうというお話でしたね。ただ、上の4つ目まではそれぞれ問題があるというふうに、それは一応、理念のところからだと。だから、全部切ってしまえというのが1つですね。それから、こういう意見もあったわけですから、そうではない表現で、こういう意見もありましたよというふうに、下に送って残すという、1つの手段になってしまいますけれども、もしも、ある程度の文言の修正で、今、誤解を招くような表現になっているとすれば、根本的なところで、例えば、国家補償的な性格がどうかということにはさまざまな御議論があるにしても、そこから派生してきて、精神がおかしくなるということであれば、すべての文言で対処する。多分、御心配されているのは、一般的な福祉に解消されてしまって、それとちょっと違う性格があるのだということを認識していないのではないかというような御心配だと思うのです。
そうだとすると、今のところは、先ほど荒井先生がおっしゃっていただいたような、一般の福祉と違うという理由をつけて、これはこれからのことというよりも、今後これを改正していくに当たってという意味だと思いますので。普通の見方をすればですね。現在の根拠づけはそれとして、それ以降やっていくためにはというふうな、誤解を招かないような表現をつけ加えるとか、それから、最後のマルポチについては、佐々木委員からも出ておりましたし、また、田中委員からもありましたけれども、単純に比較をしない、つまり、均衡といっても、一律に比較できるものではない、特別な事由があるのだからということは踏まえた上でというような表現に改めるとか、それぞれがそういう御心配だと思うのですね。
例えば、被爆者に寄り添うという視点は、ここでの委員会の議論としては、さっき田中委員がおっしゃった、被爆者には特別な事情があるのだという意味を理解することが寄り添うという意味ですね。ただ、一方で、我々のさまざまな制度を説明するのに、当然のことですけれども、国民の一般的な理解が必要なことも事実で、前回、坪井委員からもお話がありましたけれども、国民が寄り添うためにやっているのだということを国民が理解すれば、当然理解できるだろうということになるはずだというお話もあったので、ここを削って、例えば、国民の理解を得るという意見と、国民の理解を得る必要はないという意見があったなどと書くよりも、国民の理解ということ自身が、単純に、結局、理解を得られなくてもいいのだとおっしゃっているのではなく、このことが予算制約や何かにつながることを御心配されている、そういう理解でいいですか。
○田中委員 余り極端なことは考えていないのですけれども、こういう言葉で合意されていると表記されることを心配をしているわけです。
○神野座長 我々が読むと、ごく当たり前のことと、両方ですね。当事者に対する責任、当事者に対する思いやり、同時に国民に対する説明責任ということになりますね。
○田中委員 ですから、最初に言いました原子爆弾の障害を受けている被爆者たちに対しては、一般の福祉と異なった施策をやるという目的でこの制度は成り立っているという言葉があって、更に国民の理解を得る必要があるとか、そういう言葉だったらいいのですけれども、大前提がないから、私は心配もするし、被爆者も心配をするし、先生方も多分、その辺は余り自覚されないで発言されたのかもしれないなという心配をしているわけです。
○草間委員 よろしいでしょうか。今の先生の御意見ですけれども、私ども、ここに委員として参加しているときに、決して被災された方たちの思いを無視して議論しているわけではなく、十分寄り添うつもりで議論しているということ、先生方、御理解していないのではないかという御発言でしたので、そういうつもりではないというのは是非御理解いただきたいと思います。すべての委員が、被爆者が高齢化しているということを含め、できるだけ早く認定すべきものはしていかなければいけないという、そういう前提に下でこういった制度を見直しましょうという形でやっているわけですので、決して委員がそういったことを理解しないでやっているのだというようなことではないということを是非、田中先生に御理解いただきたいと思います。
 あと、国家補償につきましては、私の記憶では、20年くらい前だと思いますけれども、御園生先生が座長となって特別委員会ができまして、国家補償という言葉を使うか、使わないかということに対してかなり議論をしたと思います。そのときに、国家補償という言葉をここで使ってしまうと、原爆だけではなく、さまざまな戦争被害に対して拡大していく可能性があるので、勿論、国が責任を持つという形できっちり書かれておりますけれども、国家補償という言葉は前面に出すべきではないということを、たしかその特別委員会の中できっちり報告書としてまとめていると思います。その枠組みはずっと生きていると思って議論に参加しております。特別委員会の報告書を是非、古いですけれども、御園生先生が座長でかなり精力的にまとめられた記憶がありますので、そこは時代が変わっても、そんなに変わっていないと思いますので、そこについては是非、事務局でも確認していただくといいかと思います。
○田中委員 草間先生の今の御発言は、そのとおりなのです。茅先生が座長をしていらしたのですが、被爆者対策の基本問題に関する懇談会が答申をしているところにそういうことが書いてあるのです。それは、死亡者などを含む全体の、原爆被害全体を国家補償でやれということでずっと私どもは要求していました。これは御存じだと思います。これは今も要求しておりますけれども、その中でも、生きている被爆者については、原爆の障害、身体に加えた障害ということで、援護をしていかなくてはいけないということで今の法律ができ上がっているのですね。そのことを基本懇も否定はしていないのです。だから、国家補償だとは言っていないのですけれども、国家補償的配慮があるというのは、そういう中身を含んだ対策なのだということをずっと言っておられるわけです。基本懇もそうしておられるわけです。そのことをちゃんと踏まえましょうと。言葉は固くなってもいいですよ。どうしてそのことが入れられないのですか。基本的な制度のところで。そういう配慮がある、手厚いといいますかね、原爆被害に対する対策をするものであるということを、ほかの先生方も合意していただけますねという、どうしてお諮りいただけないかというのが私の疑問なのです。
○神野座長 今、御意見聞いたら、いろいろ出てきたと。反論も出てきているわけですから。
○田中委員 先生方、多少誤解されているのですよ。私は、国家補償だというのは、今の制度については言っていないのですよ。もっと広いところで国家補償を要求していますけれども、この制度については国家補償ではないのです。というのは、今の法律の下の制度ですから、今の法律は国家補償の法律でないですから。だけれども、背景があるということを踏まえておかないと本質を見失ってしまいませんかということを申し上げたので、そのことを上手な文言で入れていただければありがたいなと思っています。
○神野座長 どうぞ。
○松岡総務課長 今、御議論いただいていた点で、荒井委員、田中委員からも御指摘ありましたことを踏まえ、若干修文の御提案をさせていただければと思います。例えば、1番の一番上のポツでございますけれども、「原爆症認定や医療特別手当の給付といった被爆者に対する援護には、一般の福祉施策とは異なる理由があることに留意すべきである」といったことが1点目でございます。
 それから、2点目が、4つ目のポツでありますけれども、「一般の高齢者との均衡にも留意すべき」とありますが、これにつけ加えまして、「ただし、一般の高齢者との単純な比較は適当ではない」といった形で文言を追加してはどうかと御提案させていただきたいと思います。
○神野座長 田中委員、今の修正は、最後のことについて言えば、佐々木副市長とか、それから、田中委員の文章にもそういう文言が出ておりますので、当面、そういう修正をさせていただいて、4つを残す。ただ、それぞれの文言に精神は入っていますので、いかがでございましょうか。
結局、最後の項目にも見られるように、最終的に、例えば、認定制度そのものの存続、存廃みたいな議論に向かわないとだめだということであれば、議論を尽くした上で判断するのだけれども、今回のところは出発点はここまで、当面重ね書きをやっていますので、いろいろな意見の重ね書きをして、共通な部分を取るということだと、今のようなことで、前回の議論、今回の議論を踏まえて、いかがでございましょうか。
○田中委員 今の課長の表現そのものなのか、そういう趣旨の文言に書き替えていくということで進めるということについてはいいです。
○神野座長 わかりました。
 どうぞ。
○山崎委員 今の修文の提案は、基本的に私もそれで結構でございますが、田中委員のおっしゃっている国家補償的ということは、最終的な報告書の前書き辺りに普通入る。入れるなら入れればいいのではないかと思いますが、「基本的な制度の在り方について」で、それをあえて言う必要は私はないような気がいたします。
○神野座長 いずれにしても、この段階ではその文言は入りませんけれども、今、修正をしていただいたのを最後にもう一回、確認していただければと思います。
○田中委員 済みません、何回も。国家補償的と入れろと私は主張しなかったのですよ。そういう性格であるということを大前提にするということを入れてほしいということだったのです。
○神野座長 その精神を含めて、さっきのものを最後にもう一回確認させていただきます。
 申し訳ありません、時間の制約もありますので、引き続いて2番に移っていただければと思います。「原爆症認定制度の認定基準について」、御議論をちょうだいできればと思います。いかがでございましょうか。
○田中委員 認定も、今、申しましたように、認定がいろいろあるのですね。医療費を全額国庫負担する病気の認定というのがあるのですね。手当の認定もごちゃごちゃになっているのですけれども、手当というのは本来、認定に付随するものであって、認定そのものとは関係ないのですね。だから、もともと法律ができたときには何の手当もついていなかったのですよ。それが、いろいろな福祉の施策の中でついてきたのです。ですから、そもそもは認定の基準というのは何かというと、ここでもいろいろ議論されましたけれども、どの病気を国の全額国庫負担で見るのかということだと私は思っておりますので、その仕分けをきちんとしておかないと、ごちゃごちゃになってしまうということをまた改めて申し上げておきたいと思いまして発言しました。
○神野座長 具体的に何かございますか。つまり、この書き方だとごちゃごちゃになるけれどもということですか。意見は意見としてまとめさせていただきたいとは思いますけれども、今の御提案から言って、整理するに当たって、何か具体的にあるのでしょうか。
○田中委員 まず最初、「どのように埋めていくか考えていく」、これはいいですか。
「科学には不確実な部分もある、こうしたことを前提に考えていく」、これもいいですね。この辺はいいですかね。
その次ですね。「高齢化により~加齢や生活習慣等によるものか~原因の切り分けができなくなっている状況を考慮すべきである」と、これは非常に慎重に議論していただかないといけないかなと思ったりしております。
 それから、次の「疾病によって、医療の必要性は様々であり、要医療性の要件はわかりやすくあるべき」、これもいいですね。この前、要医療性の説明もありました。
○神野座長 そうすると、私たちが共通に認識していますよということにして、その共通の認識しているものをより深めていくという段階に次に入ったときに、今、御指摘の3番目は混乱しているのではないかというお話であれば、3番目は共通の認識から抜いた方がいいというお話なのか、残しておいて、解釈のしようによっては別な色にも見えるので、次の段階では、これを基にしっかり議論していく必要がある問題だというふうにつけた上で残しておいていい話なのか、それとも「一方で」の方の、さまざまな意見がある方に入れなさいと、そういう意見でしょうか。さまざまな方は、それぞれの方の意見がある程度入りますので。
○荒井委員 ちょっとよろしいですか。
○神野座長 どうぞ。
○荒井委員 田中委員の今日の御発言の中で、どのような疾病について認めていくのかということの議論が必要だという御意見は私もよくわかるのですが、事前にいただいた御意見の紙には、そこに焦点を当てて、どういう疾病についてということの御指摘は余りはっきりは出ていないように思うのですね。いずれにしましても、どういう疾病について、今回の見直しの場で考えていくかということは、言ってみれば各論の問題だろうと思いますし、今回のこのとりまとめの中では、疾病にもいろいろあるのだというところは、いろいろな形で頭出しができていると思うのです。したがって、疾病問題については各論に委ねるというところで、中間とりまとめとしては、今日いただいた事務局案でよろしいのではないでしょうか。疾病について、どこまでという議論はまさに具体的な議論はできていないことは事実でありまして、これをしなければいけないということだろうと思います。
○神野座長 つまり、後段で深めていくということであれば、よろしいですかね。
○田中委員 後段で深めるでいいのですけれども、これまでの間に議論できていたはずなのですね。裁判の判断と行政の認定との乖離があるということは最初からわかっていて、その乖離がなぜ起こっているかということの説明の中で、いろいろなことが議論できたと思うのですね。それはできていないのですよ。違いがあるという結果だけが報告されていて、その背景になったものがきちんと議論されていないということがありますので、そのことが私どもが出しました意見の中に入っている。総合的判断をするという総合的判断というのは、根拠は何もないし、ほとんどされていないということから出てきているのだろうと私は思います。
具体的に言いますと、前回も残留放射線はどういうふうに認めていったらいいかというような議論がされていないのですね。これは乖離のかなり大きな部分になっているので、それを残したまま考えていく必要があるというのは少し残念なのですね。考える期間は今まで十分あったのに、それを議論しないで、今、こういう言葉で残すというのが残念だというのが意見の中に入っております。
 以上です。
○荒井委員 田中さん、あえて申し上げますと、これまでに既にそこがある程度議論されていてよかったのではないか、なかったのは残念だというのはよくわかるのですけれども、それでよろしいのですか。残念だということで、中間とりまとめはこのままでよろしいのかどうか。
○神野座長 いずれにしても、ここはアジェンダとして、つまり、次に進むときの論点として、課題として共通に認識しているということですので、仮にこれが不十分で、今まで十分に意を尽くした議論が行われていないということが問題だということであれば、そういう意味では、重ね書きとして言うと、共通認識として、次のアジェンダとして残しておいていいと。これは書き方はアジェンダですね。考えるべきだと言っていますから。それでいいですか。
○田中委員 もう少し踏み込んだ表現ができませんかね。このままだと、乖離問題について、何もなかったことになってしまう。
○神野座長 坪井委員、どうぞ。
○坪井委員 この問題では、さっき出たように、乖離の問題、あるいは放射線の起因性の問題は、乖離の問題でも、厚労省からも話が出ましたね。こうこう、こういうことでこうなったのだとか。細かいところを言い出すと、あるいは個人で、この人とこの人は違うのだとか、問題はいっぱいあるわけですよ。しかし、我々がまとめようとすると、どうしても玉虫色になってくるのですよ。それを少しでも皆さんに理解させようと思ったら、向こうが難しいことを言っても、一般の市民は受け付けてくれないですね。だから、我々がこの会で出していく問題では、この文章だけでも私は了解できるのですけれども、ただ、乖離の問題より何よりも問題は放射線の起因性ですから。原爆の問題になったら。それは原爆だけではないですね。原発も入れ込んで、核問題になると、どうしても放射線の起因性というのがもう少しわかりやすいように国民に訴えられる、そういう言葉も欲しいような気もするのですが、どうでしょう。
○松岡総務課長 済みません、御提案でございますが、3ページの下のポツと2つ目のポツの間でございますけれども、今、田中委員から御指摘があったような残留放射線のことをもし書くとすれば、例えば「現行の審査の方針では、残留放射線の影響が無視されているのではないかといった文言が御意見としてあった」ということで入れるというのが1つあろうかという気がいたします。
○草間委員 ちょっとよろしいでしょうか。
○神野座長 どうぞ。
○草間委員 残留放射線、あるいは内部被曝については、既に分科会の認定のときに、数値等についてはさまざまな議論があるところですけれども、今、考慮されていないという事務局からの説明が出てくることについて、疑問です。細かい視点まで入れていくかどうかというのはやはり議論すべきではないかと思います。確かに坪井先生が言われるように、こういったものを出すときは玉虫色にならざるを得ないということですけれども、玉虫色でも、ここまでは了解できている、それに対して、またさまざまな意見もありますよという形でまとめないと、いつまでたっても同じ議論を繰り返していくのだろうと思うのです。だから、そういう意味では、ここでこの中間報告をまとめる方向でどうするかという議論に集約していかないと、いつまでたっても中間報告もまとめられないで終わってしまうような気がするのです。残留放射線に関しては、私は入れることに対して反対です。
○神野座長 どうぞ。
○荒井委員 私も草間委員と同意見ではあるのですが、先ほどの松岡総務課長の御説明は、田中委員の事前のペーパーの御意見、あるいは先ほどの御発言の中に、残留放射線について考慮していないのではないかという意見があったということを、意見の食い違いの方に拾っておくのが1つの案かなと。つまり、考慮されていないということが皆さんの認識という趣旨ではなくて、そういう御意見があったということを書くのが1つの意見の拾い方ではないかという趣旨だろうと理解したのです。
ただ、その問題については、私は途中の何回目かの会議の場で、それは田中さん、そうではないのではありませんかと、厚生労働省、あるいは医療分科会でも、残留放射線、内部被曝問題は、いわゆる総合認定の枠組みの中で個別に判断をするということを現にやっていると思うのです。それは結果においては、個々のケースについて、残留放射線を考慮した結果、認定に至ったということがそれほどは出ていないかもしれませんけれども、考慮していない、無視しているというのとは違うと思うのです。
ですから、これまでの議論の中で、確かに田中さんを初めとして被団協の方々の御意見の中に、残留放射線、内部被曝について十分考慮すべきであるという御意見がたくさん出たことは我々の頭に残っていますので、この中間とりまとめにそれをもしどうしても議論のあった論点として書くべきだということであるならば、それに対しては、多分、草間先生も同意見であられるのではないかと思いますが、そうではなくて、それは考慮はしているのだという意見もあったということを、いわば並列していただかないと、正確な記録にならないのではないかと思うのです。結果と議論とは違うと思いますから。
○田中委員 私は言葉足らずで、残留放射線は考慮されていないというような表現を何回かしましたけれども、それは確かに正しくはなくて、考慮されているのですね。ただ、一部、3日以内ぐらいの誘導放射線、それから、己斐、高須、長崎の西山地区、この地区の降下物の残留放射線は考慮している。私どもはそのことは知っております。でも、もっと広範囲な降下があったと被爆者たちは訴えているわけですね。それの影響があったというふうにも訴えているわけです。そのことが裁判でもかなり認められたわけです。私が言いたかったのはそういうことなのですよ。ただ言葉で残留放射線ということではなくて、広範に降り注いだであろう、根拠は特にないですからね、科学的に調査されていない、その残留放射線の影響が全く考慮されていないということ、そういう表現だったらいいと思います。
○神野座長 そうすると、この件は、いろいろある意見の中に一応、入れますので、共通ということではなく、いろいろある。田中委員はこの間ずっと御発言されておりましたので、田中委員の意見を載せる。1つは、そこに対する反論もまた書くということになるのですけれども、それは、田中委員の発言を考慮されていないとか、つまり、批判的に書くのではなく、きちんと残留放射線の問題を追求すべきだと、前向きな書き方だけでもまずいですか。そうでなければ、ああいう位置で書くかと。ちょっと書き方を工夫して、余りたらたらしたくもないのでというだけの話なのですが。
○田中委員 また具体的に議論することだと思いますので、この中間報告の合意のところは、そういう意見を私が強く主張していたまで言うかどうか、主張していたということが記録されていることでいいと思います。
○神野座長 中身、後で考えておいてください。
○松岡総務課長 済みません、先ほど事務局から、田中委員の意見ということで申し上げましたけれども、今、草間委員、荒井委員からもございますので、「現行の審査の方針では残留放射線の影響が無視されているのではないか」というのが1つと、それから、それに続いて、「残留放射線の様々な影響は行政認定でも勘案しているのではないか」という意見を2つ併記する形にするというのが1つ考えられるのですが、いかがでしょうか。
○草間委員 別に私は併記していただく必要はありません。今、田中委員も言われたように、無視しているという認識はありませんということだったので、座長が言われるように、残留放射線、あるいは内部被曝について、留意していく、そんなような書き方でいいのではないかと思うのですけれども、どうでしょう。
○田中委員 全く考慮されていないのです。広い降下物についてはね。
○神野座長 では、並列にするか。
何か。
○長瀧委員 認定基準についての整理なのですけれども、放射線起因性というのは初めからずっと議論になっていた。それから、基本懇で、今後は科学的な理由があったときにという、放射線起因性と科学的という言葉は認定審査委員会では常に最大の縛りとしてあったわけですね。ですから、放射線起因性を科学的にということで認定基準を審議会の方では出していたということで、しかも、放射線の影響が科学的に明らかな部分と、明らかでない部分を分けて、明らかでない、否定できない方には手当という形で広く差し上げる。しかし、放射線の影響が科学的に明らかな方を原爆症として特別な扱いをして、その方には手厚くというのが今までの動きだったと思うのです。
ですから、科学的にわからないことばかりではない。わかったものに関しては手厚くというのがあって、そういう従来のことに対して、裁判で、不確実なところも、確実と不確実のところの境がどうもわからなくなってきた。我々が言って、あるいは国際的に言って、これが放射線のせいだと言ったら、とても認められないようなことが全体として放射線の起因性という言葉で裁判で出てきたというのが今の一番の問題点だろうと思うのですね。
ですから、そういうことを踏まえて、科学的知見ということが2か所ありますけれども、重要であるけれども、不確実な部分もある。それから、科学は科学として尊重されるべきであるという言葉だけでよろしいのか。共通の認識として。やはり科学として明らかなことは明らかなのだということと、明らかな部分と、明らかでない部分がある。明らかでない部分をどう扱うかということが問題なのだけれども、明らかな部分を否定するようなことを書くとおかしいのではないか。明らかな部分はある、影響としてですね。だけれども、不確実な部分をどう扱うか。その不確実な範囲の中に黒い雨も含めて、残留放射線も不確実な方に入るというふうに頭を整理して、このまとめに入れたいのですが、それを言葉の上でどう入れたらいいかということです。
○神野座長 今のは、長瀧委員の意見として入れたいというお話ですね。
○長瀧委員 ここにでもいいですし、全体のまとめの中で、科学的知見は重要であるが、不確実な部分もあるというだけで、今の一番の問題、放射線起因性と科学ということは今までずっと柱として動いてきた。しかし、一部、被団協からのお話もあるように、放射線起因性と科学だけでは、原爆被害者の補償を。
○神野座長 ここは、ですから、前提として考えていくということだけですので、おっしゃりたいことは、科学的なことだけではない。
○長瀧委員 明らかなことは明らかにあるのだということ、すべてが不確実ではないということ。
○神野座長 まあ、そうですが。
○長瀧委員 それは、やはり日本として、世界で唯一、原爆の被爆者たちの協力によってできた科学の賜物なのですね。それを、不確実なところばかり強調すると、本当に大変な被曝を受けた。
○神野座長 科学は、確実。
○長瀧委員 な分野と不確実な分野があるというふうな言い方。
○神野座長 だから、両方書けばいいということでしょうか、単に。
○長瀧委員 そうですね。
○神野座長 それでは、そう書きましょうか。
○田中委員 私も意見がありまして、不確実という表現はいい加減なのですよ。何を意味しているかわからないのですね。科学には未解明な部分があるとか、そういうことだったらいいと思うのです。科学は不確実ではないのです。
○神野座長 これは使い方なのですが、いわゆるガルブレイスなどが不確実性と言ったときには、予測できないとかというので使うわけです。
○田中委員 未解明な部分を、いろいろな格好で、どうやって埋めていくかということがあると思うのですね。もうちょっと長瀧先生の気持ちを盛り込んでいただいてもいいと思います。
○神野座長 そこまで科学論をやると、例えば、解明できる部分と、解明できない部分とか、そうやっていくと、科学論の方法論みたくなるので、ここは少し常識的な、先ほど草間委員がおっしゃっていただきましたけれども、我々も物事の作業をやるときには、今、その作業の前提ですので、前提は先ほど坪井委員も言っていただきましたけれども、どうしても漠としたものにならざるを得ないのですね。ただ、今後の議論で、その漠としたところを詰めていく。科学や何かでもそうですね。それぞれの科学でも、自分のやっている研究対象というのは最初に明らかにしていないと取り組めないはずなのですけれども、最初は明らかになどできっこないのですよ。それを一生懸命やっていって、ようやく自分のやっている医学というのはどういうものだったのかとわかりかけているのだけれども、むしろわからない部分の方が多くなるというのが学問の世界ですので、最初は少し漠とした、常識的な表現でスタートして、それを今度は詰めていくということにした方がいいような気がするので、長瀧委員の意図を取り込んで修正できませんか。両方というようなことを書けば。
 どうぞ。
○松岡総務課長 修文の御提案でございますけれども、2ページの2の2つ目のポツでございますが、「科学的知見は重要であるが~不確実な部分もある。」とすると、後ろが強調されるような形がございますので、そうではなくて、「科学的知見は重要である一方、科学には不確実な部分もある。」と、こういうような表現にするというのはいかがでしょうか。
あと、長瀧先生からいろいろ御指摘あった点については、長瀧先生の御発言として、3ページの後ろの方に既に、「放射線の科学は科学として、尊重されるべきである。」といったことですとか、裁判との関係も書いておりますので、そういったことではいかがでございましょうか。
○神野座長 どうぞ。
○草間委員 まとめる方向で、細かい点も含めて発言させていただいていいでしょうか。共通認識についてはこのままでいいと思いますけれども、表現等を少し変えていただきたいと思います。
 まず、2ページのマルポツの3つ目ですけれども、高齢化により、放射線起因性がわからなくなっているというだけではないと思うのですね。だから、高齢化というのは後にして、健康被害が放射線の影響によるものか、あるいは高齢化に伴う加齢や生活習慣病等によるものかという、高齢化というのをこちらの方に掛けてほしいのですね。というのは、放射線起因性か、そうではないかというのは必ずしも加齢、高齢化だけではなく、線量の問題とか、さまざまなものがありますので、この「高齢化により」というのを文章の最初に書かれてしまうと、これがすべてのように思われますので、高齢化に伴う加齢や云々かんぬんという形にしていただくことが必要かなと思います。
全体に文章に指示代名詞が多過ぎて、これらのとか、これがどう指しているかがわかりにくいので、例えば、1のところに戻りまして「といった意見が出されたが、これらについては」云々と、これらはどれを指しているのかわからない。「といった意見が出されたが」と言うと、その後に続く文章は反対語が来なければいけない。指示代名詞を直していただくというのが大事かなと思います。
 もう一つは、3ページで、一方、これこれの意見が出されたということで、具体的には司法と行政の乖離についての最初のところで「裁判例や医療分科会の積み重ねの客観性」というのは何なのかよくわからないので、「医療分科会の客観的な知見の積み重ね」とかの表現にしていただいた方がわかりやすいのではないかと思います。
 それと、次のポツの4つ目の「要件に明確に当てはまらない場合の総合判断は必要で、新しい審査の方針のこういった仕組みを残し」のこういった仕組みという、また指示代名詞が出てくるので、ちょっとわかりにくいので、「新しい審査の方針の仕組みを残し、医療分科会のこの方針を」というのは、この新しい審査基準というのは、私の了解では、当時の政権与党の自民党のPTが判断したものであって、医療分科会は必ずしもこの新しい審査の方針に関して、科学的な根拠を十分認めているわけではないと思いますので、「医療分科会のこの方針を」というのは取っていただいた方がいいのではないかと思います。新しい審査会の方針の仕組みを残し、あるいはもし残すとしたら、医療分科会の科学的な知見等を生かしつつとか、こういう形で、この方針というと、新しい審査方針に対して医療分科会が賛同して、この審査基準ができたような印象になってしまうので、取っていただいた方がいいのではないかと思います。
 それと、4ページのところで、これは直していただく必要はないのですけれども、是非議事録に残していただきたいのです。法律の中では放射能に起因すると、能という形で使っているのですけれども、ここで使う放射線起因性と、ほかの領域、例えば、これから、福島の問題、あるいは既に職業病認定等ではさまざまな科学的知見に基づいて放射線起因性をベースにやっているわけですけれども、ここで議論している放射線起因性というのは、先ほどから議論がありますように、裁判と行政との乖離をなくすために、かなり歩み寄った放射線起因性という形で多分まとめられるのだろうと思います。だから、ほかのところに拡大しないために、例えば、職業病認定とかに拡大しないために、ここで使う放射線起因性というのは、先ほど長瀧先生が言われているように、科学的知見だけではなく、さまざまな要因も含めたものであることを、どこかできっちりしていただく必要があるかなと思っています。以上です。
○神野座長 どうもありがとうございました。
 最初の「高齢化により」というのは、事務局として、後ろに掛かるつもりで点を打っていると思うので、後ろに持っていくということについては問題ないですね。点をわざわざ打ったのは、後ろに掛かるのですよという意味で点を打っているはずなので、問題ないかと思います。
 おっしゃるとおり、指示語は、繰り返しを避ける、煩雑性を避けるために使うのですが、多用するとわかりづらくなるという面もありますので、文章については、場合によっては、最終的に私の責任において直させていただくと。
 ただ、後で荒井先生が御発言になるかと思いますが、中身に対しては、共通のところはともかくとしても、下で拾っている、いろいろな意見がある部分については、それぞれの発言の方の言いたいことがにじみ出るように書かざるを得ないので、それについて、荒井委員、どうぞ。
○荒井委員 先ほどの草間委員の御意見はほとんど賛成なのですが、ただ1点、医療分科会の方針をというところで、医療分科会が新しい審査の方針について、心の底から納得しておられるわけではない、つまり、線量的には説明のつかないところまで広げてしまわざるを得なかったという経緯については私も理解しているつもりですけれども、ここで表現しているのは、これは多分、私の発言も1つの下敷きになっているかと思うのですが、新しい審査の方針を分科会が実質的にどう納得しておられるかどうかは別として、現に新しい審査の方針に基づいて審査が進められているのですね。それを生かしながら客観化していったらどうかというに過ぎないので、この方針というのは、何か政策的な方針というのではなくて、ここで言っている方針というのは、新しい審査の方針を受けているはずなのです。文章としては。ですから、繰り返すと、「医療分科会の新しい審査の方針を客観化するために」という表現でもいいのですけれども、繰り返しになりますから、医療分科会のこの方針」をというのが具合悪ければ、「仕組みを残し、これを客観化する」ということで、「医療分科会」を削ってしまえば中身は同じだろうと思いますが、いかがでしょうか。
○神野座長 発言者の趣旨を尊重するということにさせていただきますので、最後のも引っかかっていませんかね。
○松岡総務課長 最後の部分ですね。3ページの、一方で、さまざまな意見が出されている事項のところの4つ目に、「要件に明確に当てはまらない場合の総合判断は必要で、新しい審査の方針のこういった仕組みを残し」ということについては、「こういった」というのは総合判断も指しているような感じかと思いますので、これは残した方がよろしいかと思うのですが、「こういった仕組みを残し」ということと、それから、更に、少しくどくなるかもしれませんが、「医療分科会の知見を生かしつつ、新しい審査の方針を客観化するために、法令で規定していくことを考えるべきではないか」と、正確に書くと、こういうことかと思いますが、いかがでしょうか。
○神野座長 最後のマルは、草間委員の発言であれば全然ないのだけれども、大丈夫ですね。
○松岡総務課長 最後は、4ページの一番上のポツは、荒井委員の御指摘だったと思います。
○神野座長 荒井委員、問題なければ。
○荒井委員 これをどうなされるという御意見ですか。
○草間委員 荒井委員の御意見ですので、このままで結構ですけれども、放射線起因性という言葉を多用されるわけですけれども、私などはどちらかというと、ほかの分野に拡大してしまうのを懸念しますので、ここで議論する放射線起因性というのは、先ほどから原爆被爆者に寄り添うとか、さまざまな前提の下でやっているので、ほかのところには拡大しないのだということをきっちりしていただいた方がいいのかなと思いましたので。
○荒井委員 表現としてこれを維持していただく分には、私は勿論、結構でございます。
○神野座長 わかりました。よろしいですかね。
○草間委員 結構です。
○神野座長 ほかはいかがでございますか。どうぞ。
○草間委員 ちょっとよろしいでしょうか。1番に戻るのですけれども、さっき修文しましたね。それに関しては、共通部分の修文ですので、文章を見せていただきたいと思います。
○神野座長 最後にやります。
○草間委員 1番の制度そのもののところも修文したわけですね。
○神野座長 これらについてですか、1番の。
○草間委員 元に戻ってしまって申し訳ないのですけれども、一方、さまざまな意見がありましたというのに関しましては、それぞれの委員の御趣旨を表現すればいいわけですけれども、共通事項に関しては、少なくとも満場一致でなくても、ここで共通しなくてはいけないので、1番に関しても2か所修正したわけですね。だから、こういったのは、口頭で説明していただいただけではいけないので、しっかり文章を見せていただいてやりたいと思います。
○神野座長 だから、私が最後に言ったことでいいのですね。つまり、最後にもう一度皆さんに言って確認させていただきますということでいいですね。
 どうぞ。
○長瀧委員 4ページの上の「科学的知見をベースとしつつも純粋な科学で説明できない部分があるものであり、法律上の要件として説明する」ということなので、具体的に、だれが見てもといいますか、今、胃潰瘍の患者がいる、今ある胃潰瘍は60何年前の放射線のせいだと、起因するという言葉を言われたときに、一体どう説明するのでしょうか。例えば、腰が痛い、足が痛い、それが65年前の放射線に起因するという裁判の決定を、そこが一番、私としては。
○神野座長 これは荒井委員の個別の意見で、合意しているわけではないので。
○長瀧委員 ですから、荒井先生のお話の中で、法律上の要件として説明するというときに、それが国民の方が納得するような言葉で本当に説明できるのかどうか。
○神野座長 消せという御意見ですか。
○長瀧委員 いえ、起因性はそれだけ大事というか、起因性の解釈がこの検討会の議論の一番大きな部分だと思います。行政と司法との乖離でですね。
○荒井委員 よろしいでしょうか。科学的に因果関係が解明できている場面と、未解明だけれども、援護法の10条・11条で言うところの起因性は肯定されるという場面とで食い違いがある程度残る可能性はあるのではないでしょうか。それはぎりぎりのところ、やむを得ない、裁判の上ではこういう法律的な判断になるというところだろうと思います。だから、科学の分野で100%説明できないことはよくわかるのですけれども、それだからといって、わかる部分だけで原爆症認定を進めていくわけにもまいらないのではないかということでございます。
○長瀧委員 国際的に、日本でこういう基準でということが出たときに、それを裁判の上で、日本の国として、放射線のせいだと言っているのか、原爆症として認めるということなのか、そこら辺の書き方、表現の仕方が非常に大事だと思います。この文章は別にいいのですけれども、ものすごく大きな部分を、この検討会で占めているのだと思います。簡単に言えば、放射線の起因性が原爆の起因なのかというところを上手に言葉の上でお話しできるかどうかということを、この文章に対してお願いしたいというか、意見として述べさせていただきました。
○田中委員 私も似たような意見がありまして、ここに放射線というのをいつの間にか使われるようになってきたのですけれども、もともと法律をつくったときには放射線と書いていないのですね。放射能とあいまいに書いてあるのです。15年前に新しい法律になったときも、前文に放射能と書いてあるのですね。そういうことから考えれば、最初に私が申し上げた、原爆被害をどういうふうに国が援護するかという観点からつくられている法律なので、科学性にこだわらなくてはいけないような表現があるとすれば、そこのところは一度振り返って考え直して、この認定の問題をきちんと押さえていくということが必要だろうと思うのです。ですから、蛇足みたいだったのですけれども、遡って、もともと放射能、それから、原爆の障害が起因するという言い方をしているのですね。放射線が起因するとは書いていないのです、法律の上でも。そのことを合意していただければありがたいなと思っています。
○神野座長 合意というか、いずれにしても、違っている意見があるということや何かを含めて、今、合意を取っているところなので、後で深めていくということにさせていただければと思います。
 では、3番目の「手当について」、いかがでございましょうか。
○草間委員 よろしいでしょうか。
○神野座長 どうぞ。
○草間委員 2つ目のマルのところで、医療特別手当相当額の給付をすることが必要な状況がどのようなものであるか、要するに、医療特別手当がなぜ支給されるかについては本当に明確にする必要があるので、ここは「ようなものか、考える必要がある」という感じではなくて、「明確にしていく必要がある」という形で、もう少し積極的に書いていただきたいなと思ったのですけれども、いかがでしょうか。
○神野座長 積極的にというのは、どういう表現にと。
○草間委員 「考える必要がある」という表現を「明確にしていく必要がある」というような形で、もうちょっと積極的な表現にしていただきたいということです。
○神野座長 「考える必要がある」という表現を、どのようなものかを明確にしていく必要があるとかということですかね。
○草間委員 ここの中にも既に書かれているように、医療費とか、あるいは介護料とか、さまざまな現物支給がある中で、医療特別手当を支給する目的をもう一度明確にしていくということは、この制度を見直すときに本当に必要なことだと思いますので、単に考えるくらいではなくて、明確にするというような、もうちょっと明確な表現にしてほしいなと思ったので、発言させていただいたのです。
○荒井委員 よくわかるのですけれども、意見がおおむね一致しているというまとめ方のところですから、この表現に込める気持ちというのは、若干委員の方々の中でニュアンスがあろうかと思いますから、私は「考える必要がある」という原案維持で結構だと思います。
○神野座長 価値観が入っていないかもしれませんけれども、漠としていて、共通のアジェンダとして認識しているという項目ですので、この表現でさせていただければと思っています。
 ほかはいかがでございますか。どうぞ。
○田中委員 最初に言いましたけれども、手当というのは、認定と独立に出てきたものですので、共通するところではいいのですけれども、これから深めていくときには、そういう性格のものだということを踏まえていただければと思っております。またここでも財源と国民の理解というのが入ってきてしまうのですけれども、これはもう自明ですね。何かをやるときに財源と理解というのは自明なのを、ここにわざわざ書かなくてはいけないのだろうかと思ったりするのですね。だから、これは要らないと私は思うのです。手当そのものをどうするかということは考えていかなくてはいけないということでよろしいのではないかと思っております。
○神野座長 これも可能な限り共通の認識として、ちょっと漠とした表現になりますが、一方で石先生から、もう少し納税者と入れろとかいう意見も出ているのですね。なるべく重ね書きにして、とりあえず財源の面とかの問題も生じてきて、御案内のような予算事業ではpay as you goなどと言われていて、同じ中で、さっきの薄くではありませんけれども、下手をすると薄くになるというような状況がありますから、ここは当面、漠とした、当たり前のことかもしれませんが、共通認識として書かせていただければと思います。いかがですか。削った方がいいということでしょうか。やるとすれば、強目の意見で下に書く。
○田中委員 これだと、お金があるか、ないかで議論されるということになってしまうのですね。
○神野座長 ということよりも、財源についてもちゃんと国民の理解が得られる、手当を初めとしてというふうに。
○田中委員 お金がないから、こんなことはやらないよということにつながりますね。
○神野座長 いえ、国民の理解が得られる必要があると言っているのです。
○田中委員 理解は得られるというふうに私どもは前から言っているのですね。理解を得ようと、国も私どもも努力すれば、理解を得られると思っているのです。そういう中身にしようと思っているわけですね。だから、わざわざ書くということは、今、日本の財源は大変厳しいですから、厳しい財源の中で、これ以上、何かをするということは、よくしようということはできないよということにつながりますよ、この文章は。だから必要ないと、私は言っているのですよ。
○神野座長 これで共通意見にならないということであると、少数意見にして、そうすると、石先生のように、ちょっと強目に書くということでいいですか。つまり、おっしゃっている意味から言えば、逆に財源がなければ削るぞというようなことは少数意見として。
○田中委員 共通意見だから、石先生の意見ではないから、私はやはり。
○神野座長 こちらから外して、石先生の意見として出せと。
○神野座長 高橋先生が何かおっしゃっていましたね。制度は財源から出発してはいけない、制度をきちんと議論して、財源がどうあるかというのは、その後に議論する問題ではないかと、高橋先生はそういう発言をされたことがあるのですよ。石先生の発言に対して、そういう反論だったと思います。だから、そういうことだと思いますのでね。
 以上です。
○神野座長 それは御意見としてあれしますので、どうしましょうかね。ここを共通認識から削った方がよろしければ。御意見あれば。つまり、可能な限り、抽象的なものとしても、問題論として残しておきたいと言っているのです。
○山崎委員 私は必要だと思います。あえてつけ加えるとしたら、それと同時に、十分理解を得る説明努力も必要だとかですね。ですから、私は必要だと思うのですが、お1人の委員がそうでなければ、全員が一致したことにはなりませんね。ということになります。
○三藤委員 ちょっとよろしいですか。座長が最初に言われたのは、ベースキャンプをつくりたい、とりまとめをしたいということなのですね。私は、異論があるからといって、各論の方に全部落としていくと、何のためのとりまとめかわからなくなると思うのです。だから、一定の合意の中で、これで結論ではないわけですね。まだ今から議論を進めていく上でのベースだというふうな考え方ですから、確かに田中委員、異論があるかもしれませんけれども、ある一定の中では、やはりまとめの中に取り込んでいくべきだと思います。
○田中委員 全く消すということでなくてもいいので、表現を変えていただければいいかな。「国民の理解が得られるよう努力する必要がある」というような表現でもしていただければいいかなと思います。このままでは、財源と納税者の国民の理解を得ることが必要だということになってしまっていますので、それはやはり財源が先行しますから、努力する必要があるとか何とか、そういうあいまいなものにしておいていただいた方がいいかなと思います。
○神野座長 最初に「国民の理解」と書いていますので、「財源についても」ぐらいにして、表現を少し。
 どうぞ。
○松岡総務課長 今、山崎委員からも御指摘ございましたし、田中委員からも御提案ございましたけれども、もし修文するとすれば、「手当をはじめとする被爆者援護の財源についても、国民の理解が得られるよう努めることが必要である」ということではいかがでしょうか。
○田中委員 いいです。
○神野座長 ただ、いずれにしても、出発点として私たちはこういうことを共有しましたということだけですので、後でまたこれを深めて議論していかなくてはいけないわけですね、具体的にどうだということについては。
 あとはいかがですか。なければ、ちょっと時間オーバーしていますので、コピーとして皆さんに渡せるのね。読み上げるだけね。いずれにしても私の手元にいただいて、読み上げながら、同時に配っていただいて。
○田中委員 今日で終わりになってしまうのですか。10日の予定はどうなるのでしょうか。
○神野座長 今日、まとめさせていただけるのであれば、今日でまとめさせていただければと。中間とりまとめですよ。
○田中委員 もう一回、一応、予定が入っていますね。7月10日に。
○神野座長 予定は入っていますが、できれば今日でまとめたいと思います。
○田中委員 そういう気持ちではなかったのです。今日、大体の大筋が決められて、例えば、1週間前に私どものところに文書が来て、最後の意見を述べて、それで完成というふうになるのかなと思っていたのですよ。
○神野座長 今日の進み具合だったのですけれども、一応、今の修文で委員の皆様方の御納得がいただけるのであれば、中間とりまとめの案を取っていきたいと、こういうふうに考えています。
○田中委員 ということは、繰り返しになりますけれども、10日の予定されたものは行わないという方向だという。
○神野座長 今日、まとめられればですね。
○田中委員 わかりました。
○神野座長 私、目が悪いから見にくいので、読んでくれるとありがたい。単純なあれですから、私が読もうが、事務局が読もうが、関係ないと思うので。白内障が右だけ入ってしまっているものですから、申し訳ない。
○榊原原子爆弾被爆者援護対策室長 それでは、読み上げさせていただきます。今、順次刷っておりますので、でき上がりましたら、どんどんお配りさせていただきたいと思います。
 1ページ、2行目でございます。
○神野座長 1番目は単純な法律の間違いでしょう。
○榊原原子爆弾被爆者援護対策室長 そうですね。原告に「関する」が「係る」というふうに、間違っていたということですので、文言の修正をさせていただきたいと思います。
 意見に係る部分でございますが、2ページ目でございます。「基本的な制度の在り方について」のところです。最初のポツ「原爆症認定や医療特別手当の給付といった被爆者に対する援護には、」の後に、文章を差し替えまして「一般の福祉施策とは異なる理由があることに留意すべき」ということでございます。もう一回読み上げます。「原爆症認定や医療特別手当の給付といった被爆者に対する援護には、」の後に「一般の福祉施策とは異なる理由があることに留意すべき」ということでございます。
 それから、2つ目でございます。同じところの4つ目のポツですが、「既に年金や介護保険の制度があり、医療費も無料となっているということを踏まえた制度とし、一般の高齢者との均衡にも留意すべき」という原文の後に次の文言を加えます。「ただし、一般の高齢者との単純な比較は適当ではない」。もう一回読み上げます。「ただし、一般の高齢者との単純な比較は適当ではない」でございます。
○神野座長 2ページのマルの4つ目のところは、「これら」の掛かりは見にくいから「たが」を取ったということでしょう。
○榊原原子爆弾被爆者援護対策室長 そうですね。大変失礼いたしました。1の「基本的な制度の在り方について」の5つ目、「より良い制度とするため」から始まる部分でございますが、「必要に応じて、被爆者援護法を改正すべきといった意見が出され、これらについては、おおむね認識の共有が図られている」。もう一回読み上げます。「被爆者援護法を改正すべきといった意見が出され、これらについてはおおむね、認識の共有が図られているため」ということです。
○神野座長 全文を書き直すわけにもいかないので、いいですか。
○榊原原子爆弾被爆者援護対策室長 続きまして、同じ2ページ目、「2 原爆症認定制度の認定基準について」の2つ目のポツ「科学的知見は重要であるが」のところでございますが、この文章につきまして、「科学的知見は重要である一方、科学には不確実な部分もある。」もう一回読み上げます。「科学的知見は重要である一方、科学には不確実な部分もある。」という修文でございます。
 次のポツのところでございます。「高齢化により、」という文章でございますが、最初の「高齢化により、」を取りまして、「健康被害が放射線の影響によるものか、高齢化に伴う加齢や生活習慣等によるものか」というふうに場所を変えるということでございます。もう一回繰り返します。冒頭の「高齢化により、」を取りまして、「健康被害が放射線の影響によるものか、」の後に「高齢化に伴う加齢や生活習慣等によるものか」というふうに修文するということでございます。
 続きまして、3ページの上から4行目「といった意見が出されたが、」というところでございますが、「といった意見が出され、これらについては、おおむね認識の共有が図られている」。繰り返します。「といった意見が出されたが」の「たが」を取りまして、「といった意見が出され、これらについては、おおむね認識の共有が図られているため」。
 続きまして、3ページ目の「裁判例や医療分科会の積み重ねの客観性を尊重しつつ、」という文でございますが、これにつきまして、若干修文しまして「裁判例や医療分科会の客観的な積み重ねを尊重しつつ、」以下同文でございます。もう一回繰り返します。「裁判例や医療分科会の客観的な積み重ねを尊重しつつ、」というふうに修文の意見でございます。
 引き続きまして、「要件に明確に当てはまらない場合の総合判断は必要で、」というくだりでございます。「新しい審査の方針のこういった仕組みを残し、医療分科会の」の後でございますが、「知見を生かしつつ、新しい審査の方針を客観化するために、法令で規定していくことを考えるべきではないか」。もう一回繰り返します。「医療分科会の知見を生かしつつ、新しい審査の方針を客観化するために、法令で規定していくことを考えるべきではないか」。
 続きまして、つけ加えでございます。「被爆者であれば何らかの放射線の影響があるから、」の後に次の2つをつけ加えます。1つ目は「・現行の審査の方針では、残留放射線の影響が無視されているのではないか」。繰り返します。「・現行の審査の方針では、残留放射線の影響が無視されているのではないか」。
続きまして、その後にもう一つ対立する意見をつけ加えております。「・残留放射線の様々な影響は、行政認定でも勘案しているのではないか」。繰り返します。「・残留放射線の様々な影響は、行政認定でも勘案しているのではないか」。
 続きまして「3 手当について」でございます。こちらの共通事項の3つ目でございます。「手当をはじめとする」というところでございますが、「手当をはじめとする被爆者援護の財源についても、国民の理解が得られるように努めることが必要である」。繰り返します。「手当をはじめとする被爆者援護の財源についても、国民の理解が得られるように努めることが必要である」。
 そして、その後「といった意見が出されたが、これらについては、」でございますが、「といった意見が出され、これらについては、おおむね認識の共有が図られているため」。
 続きまして、現行で言いますと4ページの一番下の「被爆者全員に」というところでございますが、「財政負担をお願いする国民の理解を得られず、難しいのではないかではないか」と続いておりますので、一方の「ではないか」を取らせていただきたいと思います。
 以上でございます。
○神野座長 どうもありがとうございました。
 私、目が不自由なものですので、事務局にお願いいたしましたが、ここで合意をいただいたように修正をしたつもりでございますが、いかがでしょうか。
 どうぞ。
○山崎委員 もし「てにをは」程度の修文が必要なことがあるとすれば、座長に一任します。趣旨に反しない限り。でないと、場合によってはお困りかと思います。
○神野座長 では、語句の修文、今の「てにをは」のようなたぐいでございますが。
 どうぞ。
○田中委員 1か所だけ、先ほどの私の発言が誤解されるといけないので、4ページの上から3行目、残留放射線の影響が無視されているのではないかと言いましたけれども、残留放射線の影響が著しく軽視されているというのが正しいので、そういうふうにしていただければいいと思います。無視していないという議論が出ますので。
○草間委員 ちょっとよろしいでしょうか。
○神野座長 どうぞ。
○草間委員 1番の最初の修文、田中委員の御意見を入れて「一般の福祉施策とは異なる理由があることに留意すべきである」という修文でいいのですけれども、最初に書かれたのは、行うだけの理由が必要であると、まさにアカウンタビリティーをしっかりする必要があるという意味なのだろうと思うのですね。だから、それは2番目に入っていると考えてよろしいでしょうか。少なくとも援護に関しては、アカウンタビリティー、要するに、しっかり説明できることが必要である。文章が行うだけの理由があると、こういう表現だったので、すごく誤解を招くという形だったのですけれども、少なくともここの委員会の中では、アカウンタビリティーをしっかりすべきだということだったので、その趣旨はどこかに残していただく必要があるのではないかと思います。それは2番目の「国民の理解を得ることができる制度とする必要がある」の中に入っているのか、あるいはもう少し、しっかり説明責任を果たし、国民の理解を得ることができる、要するに、行うだけの理由という表現を変えた形のものをどこかに入れていただくことが私は必要ではないかと思っているのですけれども、いかがでしょうか。
○神野座長 今の趣旨を入れると、留意しぐらいで、また、行うだけの理由がいいかどうかは別なので。
○草間委員 だから、私は、1番はいいと思うのですね。2番目のところに、要するに、国民の理解を得る前に、アカウンタビリティーを持った制度とし、国民の理解を得るとか、しっかり説明を行うだけの理由というのは、まさにアカウンタビリティーを持った制度であるよということの表現をこういう形で書いたのだと思います。
○山崎委員 だったら、「国民に説明し、理解を得ることができる制度」でいいですね。
○草間委員 それで結構です。その程度のことは入れていただかないと、1番の趣旨が生きてこないような気がしますので、お願いします。
○神野座長 いいですか、皆さん。「国民に説明し、理解を得ることができる制度とする必要がある」ということです。いいですか。
 それでは、よろしければ、これでお認めいただいたということにさせていただきまして、私の言葉を使うと、ベースキャンプといいますか、ここまで私たちは合意をし、ここは違っているのだということを、この中間とりまとめで明らかにさせていただいたので、この秋以降、これに基づいて、この中間とりまとめを基に深めていく作業を行っていきたいと思っております。
 今後の予定についてですけれども、「作る」段階の初めとして、今、ベースキャンプをつくるような作業をさせていただきました。これに基づいて、どういう手順で今後「作る」段階を本格的にやるのかということを、第1回目、最初のときに皆様にお諮りして、これに基づいて、こういうスケジュールでもって進めていきたいという説明をさせていただいて、この検討会を運営させていただきたいと思っております。
あと、今、お認めいただいた中間とりまとめにつきましては、先ほども山崎委員から御提案いただきましたけれども、字句その他で、明らかに間違いだとか、おかしいということがありましたら、私の責任で直させていただいて、委員の方々に御報告申し上げます。事後報告で、こう直しましたということをいたしますので、それはお認めいただければと思っております。
 それでは、これで本日の議論を終了したいと思いますけれども、事務局から連絡事項がありましたら、お願いいたします。
○榊原原子爆弾被爆者援護対策室長 次回の日程につきましては、調整の上、追って御連絡させていただきたいと考えております。再開の時期は9月ごろをめどというふうに考えております。
○神野座長 どうもありがとうございました。
 私の目が行き届かないことで委員の皆様方には御迷惑をおかけしたと思いますが、委員の皆様方から積極的に御協力をいただいて、どうにかとりまとめすることができました。お亡くなりになりました森先生から、なるべくこの委員会が協調して、1つのコミュニティーのような雰囲気でやるようにというふうに申しつかっておりましたので、その意味でも、今日まとめられたことについて、委員の皆様方に深く感謝を申し上げる次第でございます。
 それでは、本日はこれで検討会を終了させていただきます。蒸し暑い中、長時間にわたりまして生産的な御議論をちょうだいいたしましたことを感謝するとともに、事務局にもいろいろ御迷惑をおかけしたことをおわびし、この会を閉じたいと思います。どうもありがとうございました。


(了)
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健康局総務課原子爆弾被爆者援護対策室

代表: 03-5253-1111
内線: 2317・2319

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