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2012年8月8日 第10回チーム医療推進方策検討ワーキンググループ 議事録

医政局医医事課

○日時

平成24年8月8日(水)14:00~16:00


○場所

厚生労働省 専用第22会議室(18階)


○議題

(1)歯科衛生士法について
(2)チーム医療実証事業報告書について
(3)チーム医療普及推進事業について
(4)その他

○議事

○山口座長 時間になりましたので、ただいまから「第10回チーム医療推進方策検討ワーキンググループ」を開催します。本日はご多用のところをご参集いただきましてありがとうございました。前回からだいぶ日時が経っていますが、よろしくお願いいたします。
 まず、事務局から、委員の出席状況と資料の確認をお願いします。
○江口医事課長補佐 本日の委員の出席状況です。川越委員、田口委員、玉城委員、徳田委員、堀内委員からご欠席の連絡をいただいています。また、今回から三上委員に替わりまして、小森耳鼻咽喉科医院長の小森貴委員に参加していただくことになっていますが、30分ほど遅れると聞いています。事前にご連絡はいただいていませんが、現在のところ、取出委員、森田委員、?本委員の到着が遅れているようです。
 それでは、お手元の資料の確認をお願いします。最初に「議事次第」、次に「配席表」です。それから、資料1「開催要項」、裏に委員名簿が付いているものです。資料2「歯科衛生士法について」、A4横置きのものです。資料3「チーム医療実証事業の報告書(案)について」、1枚紙です。資料4「チーム医療普及推進事業の委託施設について」、1枚紙です。資料4別紙として一覧表、1枚物の表裏の資料です。さらに、かなり部厚い資料ですが、参考資料1「平成23年度チーム医療実証事業報告書(案)について」。参考資料2「チーム医療実証事業報告書に対するワーキンググループ委員からのコメント」。参考資料3「チーム医療実証事業の概要」、参考資料4「チーム医療普及推進事業の概要」、ともに1枚紙です。以上が資料の全体像です。不足等がありましたらお申し付けください。
 では、山口座長に引き続き議事の進行をお願いいたします。
○山口座長 それでは、議題の1番目、「歯科衛生士法について」の議論に入ります。事務局から資料の説明をしてください。
○小椋歯科保健課長補佐 資料2をご覧ください。1頁に、「歯科衛生士の概況」を記載しています。平成22年12月31日現在の歯科衛生士数です。就業歯科衛生士数は約10万人となっています。そのうち、保健所615名、市町村1,978名で、本日の議題と大きく関係するのは、これら保健所・市町村に勤務している歯科衛生士のところです。
 2.の「歯科衛生士法で規定されている歯科衛生士の業務」では、大きな丸が3つあり、「歯科医師の直接の指導の下に行う歯や口の疾患の予防処置」が1点目に挙げられています。これは、健康な歯茎の歯石を除去したり、虫歯予防のための薬物を塗布するなどの予防処置です。それ以外の業務である、「歯科診療の補助」と「歯科保健指導」の3点が歯科衛生士の業務になっています。
 2頁の上のところに本日までの経緯を書いています。今年3月1日に日本歯科医師会会長と日本歯科衛生士会会長の連名で厚生労働大臣宛に、歯科衛生士法を改正してほしいという要望がありました。その中で、予防処置の「歯科医師の直接の指導の下に」というところを「歯科医師との緊密な連携とその指導の下に」という趣旨で法律を改正し、併せて「女子」を「者」と改正することを要望するという要望書が出されました。それを受けまして、6月13日のチーム医療推進会議の中で、宮村委員から「歯科衛生士法の一部改正に関する要望書」を3月に小宮山大臣に提出し、その中で、「歯科医師の直接の指導の下に、歯牙及び口腔の疾患の予防処置として、次に挙げる行為を行う」とあるものから、歯科医師との緊密な連携の下という観点を持った上で、「直接の」を取ってほしいということ、また、「女子」を「者」に改めてほしいというご意見、さらに、歯科衛生士法について、歯科医師の「直接の指導」というのは、歯科衛生士の修業年限が1年制だった当時にこの法律の文言ができている。いまは3年以上の教育年限になっているので、「直接の」を取ってほしいという発言がございました。チーム医療の会議の場でも検討・議論してほしいという求めに対して、チーム医療推進会議の永井座長が本ワーキンググループでの検討を求める発言をされて、本日に至っています。
 3頁です。「歯科衛生士が予防処置を実施する場合の歯科医師の関与の程度の見直し」に関する現状と課題についてです。1点目は、歯科衛生士の修業年限の延長です。先ほどの宮村委員の発言にもございましたが、昭和23年の法律制定当時は修業年限が1年制でしたが、昭和58年から2年制、平成16年からは3年制に変更されてきています。平成16年からの経過措置期間も終了し、平成24年度からはすべての卒業生が3年制課程の修了者・履修者となり、歯科衛生士の資質向上が図られている現状があります。
 また、先ほど説明しました歯科衛生士の業務範囲として、昭和23年の法律制定当初は歯科予防処置のみでありましたが、昭和30年に歯科診療の補助が業務範囲として加わっています。さらに平成元年に歯科保健指導が追加されています。歯科予防処置を行うにあたっては歯科医師の直接の指導が必要とされている一方で、予防処置よりも侵襲度が高いであろうと考えられる歯科診療の補助を行うにあたっては、主治の歯科医師の指示が必要とされ、行う行為によって歯科医師の関与の程度が異なり、どちらかと言うと逆転現象が起こっているのではないかと考えられます。
 それから、都道府県に対して、この「直接の」が付いていることによって問題があるかとのアンケート調査を行った結果、フッ化物を塗布する事業において、「歯科医師が少なく直接の指導ができないため事業を行うことができません」という回答や、「乳幼児の歯科健診で、別の日にフッ化物塗布を行う場合にも歯科医師の立会いが必要となるため、フッ化物を塗布する事業が実施できない」というようなことも言われています。また、難病患者や障害者を対象とした歯科の事業においても歯科医師が立会い、直接指導しなければできないことがあり、都道府県ではこのような事業で今まで問題があったという回答もありました。4頁は、歯科衛生士会へヒアリングを行った結果です。「直接の」という文言が入っているために市町村に歯科衛生士を配置することが見送られる状況があったという回答です。
 これらを踏まえた改正の考え方としては、歯科衛生士法第2条第1項に定める予防処置を実施する際、例えば、歯科医師と緊密な連携を確保した上で、歯科医師の直接の指導までは要しないこととしてはどうかということです。
 5頁は、もう1点、別の観点です。歯科衛生士法の条文の中の「女子」という文言の改正です。現行の歯科衛生士法は、下に小さい字で書いてあるように、第2条では「女子をいう」となっていまして、附則の中で、「第2条に規定する業務を行う男子についてはこの法律の規定を準用する」とされ、男性は準用する形になっています。
 「現状と課題」に戻りますと、全体の約10万人の歯科衛生士の中では数は少ないのでしょうけれども、男性の歯科衛生士は6月30日現在で43名となっています。うち30名は平成20年以降の登録者であり、近年、比較的多くの男性の歯科衛生士が増えています。また、現場において、女性ではなく男性の歯科衛生士を希望するケースも一定程度のニーズがあるのではないかと考えられています。さらに、男性の歯科衛生士の養成数を増加することは歯科衛生士全体の養成数の増加にもつながり、歯科医療機関等における歯科衛生士の確保が困難な状況をある程度改善することに資するのではないかとも考えられます。女子に限定しないことを明確に示すことは、男女共同参画の観点からも望ましいものです。
 改正の考え方は、歯科衛生士法第2条第1項の規定中の「女子」を「者」に改め、男子については、附則により同法の規定が準用されている現状を改める、というものです。
○山口座長 歯科衛生士法の改正の要望からこのワーキンググループでの検討に至る経緯と、見直しの基本的な考え方について、事務局から案を示していただきました。この内容等についてご発言などございますでしょうか。
 「女子」という文言がいままで残っていたことのほうが、むしろ、そうですかとびっくりするような話です。改正の要望も極めて妥当なものではないかと思います。
○向井委員 口腔ケアセンターの歯科医です。チーム医療を推進するにあたっていちばん基本的なところの、職種の連携をするようなときに歯科医と直接となると、どうしてもいつもいなければいけないことになりますので、そこから一歩踏み出したものに法改正していただければ、チーム医療としても、医科歯科連携を含めて、将来的なものにたどり着く第一歩になるのではないかと思います。よろしくお願いいたします。
○山口座長 ほかにいかがでございましょうか。むしろ修正するのが遅れたような話ではないかと思います。特にご意見がございませんでしたら、資料1の内容を踏まえ、次回、チーム医療推進会議に報告したいと思います。よろしゅうございますでしょうか。
                 (異議なし)
○山口座長 ありがとうございました。「歯科衛生士法について」はこれで議論を終わります。
 次の議題の「チーム医療実証事業報告書(案)について」、事務局から資料を説明してください。
○江口医事課長補佐 資料3をご覧ください。「チーム医療実証事業報告書(案)について」です。この事業は平成23年度に実施した事業です。その目的は1.にありますとおりです。平成23年6月にこのワーキンググループにおいてチーム医療の取組の指針として「チーム医療推進のための基本的な考え方と実践的事例集」を取りまとめていただきました。これを踏まえ、実際の取組によって提供可能となる医療サービスの安全性、効果等を実証するための事業として、平成23年度に委託事業として実施したものです。
 2.は委託先です。応募総数は104施設、200チームがあり、この中から事務局で厳正に審査しまして、最終的に、68施設、115チームをチーム医療実証事業の委託施設として選定しました。この68施設、115チームの内訳は、資料の真ん中辺りに、施設の規模別に書いてありますとおりです。
 115チームそれぞれから報告書を提出していただきました。3.の「報告書について」にありますように、各実施施設において今後の取組の改善やさらなる推進をしていただく観点から、報告書それぞれについて、このワーキンググループの委員の皆様からコメントを付していただいて、それを各施設にフィードバックすることにしています。具体的には、今回のチーム医療実証事業を実施した115チームそれぞれについて、このワーキンググループの委員の方の2、3名に担当していただきまして、それぞれコメントをいただいています。
 参考資料2が、委託して実施していただいた68施設、115チームそれぞれの報告書に対する、ワーキンググループの担当していただいた皆様からのコメントを、一部要約していますが、記載した一覧です。作業の都合上、資料にはまだすべてのコメントは反映できていませんことをご了承ください。また、本日この場で各委員からいただいたご意見は、最終的にこのコメントを整理する中に可能な限り反映させて記載したいと考えています。
 3.の(2)は、報告書を最終的に取りまとめた以降の活用方法についてです。今回のチーム医療実証事業の各取組を今後のチーム医療の推進に活かしていただくことが重要だと考えていますので、各施設、チームから提出していただいた報告書を、「チーム医療実証事業報告書」という形で取りまとめたいと考えています。大部の資料ですが、お手元に配付している参考資料1が、「平成23年度チーム医療実証事業報告書(案)」の全体像です。これを最終的に取りまとめた後、厚生労働省のホームページに掲載するとともに、各都道府県、各医療機関等に、チーム医療実証事業の報告書をこのように取りまとめたので参考にしていただきたいとして周知したいと考えています。以上です。
○山口座長 そうしますと、最終的なものは部厚い報告書(案)プラス各委員のコメントが一緒になった形になるということで、よろしいでしょうか。
○江口医事課長補佐 はい。この各報告書に対するコメントも全体の報告書の一部にしますし、それぞれ事業をやっていただいた施設、チームには、いただいたコメントを基本的にはそのまま返して、それを参考に今後活かしていただきたいと考えております。
○山口座長 ということで、昨年度の実証事業の報告書を取りまとめたということですが、これについて、ご質問、ご意見等ありますでしょうか。
○近森委員 実証事業に続いて来年度また新しい事業が始まるわけですが、チーム医療の対象は私は患者ではないかと思うのです。例えば参考資料の14、大学病院での手術室での薬物の管理について、チーム医療をするということで報告をされておりますが、これはあくまでも薬の算定をきちんとするとか、盗難を防止するとか、薬の使い方をどうだこうだというような、薬という物に対する薬剤師の仕事なのです。こういうものをチーム医療のワーキングで推奨していいものかどうかと私は思うのですが、いかがでしょうか。
○山口座長 事務局のほうから何かお考えがありますか。
○石井医事課長補佐 なかなか難しい観点があろうかと思いますが、取組の効果の1つとして、当然いま近森先生がおっしゃったような盗難防止とか、そういう観点もありましょう。ただ、それに加えて、さまざまな業務が効率化することによって、医療従事者の、チームの構成員の負担が軽減をするということもありますので、そこからひいては患者にとって医療の質の安全などといったものにつながっていくという観点もありましょうから、今回この事業を実施するに当たり、実践的事例集の中に評価の1例という形で、さまざまなものを例示として挙げさせていただきました。その中で、最終的には医療を受けられるのはおっしゃるように患者ということですので、患者からの評価も可能であればということを提示していますが、いまご指摘いただいたチームについては、患者からの直接のフィードバックは難しい分野ですので、ほかのチームについてもすべてが患者からの評価が入っているものではありません。その中でも、一部のチームについては患者からの直接的な評価等も効果の指標として記載をいただいているものがありまして、そういったものを含めて広く周知をしていくことは一定の意味があるのではないかと考えております。
○山口座長 これは実証事業をやるときに、どういうチーム医療を選ぶかというときの話であったかという感じもしますが、長い目で見れば、より直接的か間接的であるかの違いはありますが、何らかの形で患者に影響があることは間違いないかと思います。ほかに何かご意見等ありますでしょうか。かなり部厚い報告書ですが、何かそれに追加等の記載が必要なところがありましたら、ご意見をいただければと思います。
○松阪委員 事務局にお聞きしたいのですが、チーム医療推進方策検討で、資料1で検討課題の上から3つ目の○で、各医療スタッフの業務範囲・役割について、さらなる見直しを適時検討するための仕組みのあり方を検討するということが前提だったと思うのです。そこで、グレーゾーンとか、以前も問題になったと思うのですが、その点、法的なところで、そこが実証事業で行われているような場合、公になった場合それはもういいのですということになると思うのですが、その点についてはどのようなお考えなのでしょうか。
○石井医事課長補佐 公になった場合というのが、こういう取組が実際に現場で行われているという理解に立てば、それはもうやっていいですという観点で必ず行くわけではなくて、当然いまの法律上の業務範囲と比べてどうなのかというお話で、中には本当にいわゆるグレーゾーンというもので、解釈が明確に示されていない範疇に入り得るものなのか、あるいは明確にその職種の業務から外れてしまう、グレーではなくて、むしろ黒に近いようなものであるのかという内容を、十分吟味した上でということになろうかと思います。当然こういった実証事業の中でもそうでしょうし、あるいは各職能団体等でいろいろ把握されていらっしゃるような事案等があれば、また事務局にもご相談いただければと思います。
○山口座長 実際に今回、報告書にまとめられた中で、グレーゾーンに該当するようなものがあったという認識があるのでしょうか。それはなかったという認識でいいのでしょうか。
○石井医事課長補佐 詳細に一つひとつをすべてしらみ潰しに見ているわけではありませんので、グレーゾーンだというところまではっきりと申し上げられるようなところは、現時点ではありません。
○松阪委員 事例ではないのですが、参考資料2の5の亀田総合病院ですが、救命救急チームがあります。検査技師は検査のエキスパートである、薬について薬剤師がエキスパートであるというところは、ここに書かれているとおりだと思うのですが、一連の検査をスムーズにやるために、点滴ラインを確保して、生理食塩水の投与ということですね。これが本当に合法なのかどうかというところ、これはグレーというよりも黒ではないのかと。要するに体から採血をするという行為と、中に入れるという行為とは、また違うと思うのですが、その点はどうなのかと感じました。やはり患者の状態によっては、短時間当たりの投与量によっても、かなりシビアに変化する可能性もあろうかと思いますので、いかがでしょうか。
○山口座長 これはいかがですか。
○石井医事課長補佐 実際いただいている報告で、これをやったという話ではなくて、こういうことが考えられるという部分と、実際に救命救急センターでのお話になりますと、当然1人がやるという話ではなくて、周囲にはドクターもいらっしゃいますし、看護師もいらっしゃいます。その中で、実際に役割分担をして、その方がどこまでやったのかというところまでをいまいただいているわけではありませんので、いまいただいた範囲で明らかに黒だグレーだという状況が、わかるようなものではないと認識をしております。
○山口座長 一定の制約付きという微妙な表現が指摘されていますけれども。ほかに何かご意見はありませんでしょうか。
○市川委員 実証事業として取り扱うときに、目的がこの取組を全国的に普及させるということに対しては、例えば感染対策チームとか、褥瘡チームとか、栄養チームは、既にもう多くの施設でされていますので、あえてこれを継続して実証としてここで取扱っていく必要があるのかどうか。もうこれはいいのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○石井医事課長補佐 たびたびすみません。いまのご指摘は、診療報酬などで褥瘡に関して、あるいはNST、ICTに関しては、もう既に評価があるからいいのではないかというご指摘かと思います。確かにそういった評価をされているという面もありますが、今回ご報告いただいた取組の中では、定性的ではなくて、定量的な評価が具体的に踏み込んでなされている事例も、いくつかお見受けしております。例えば平均在院日数の短縮、あるいは薬剤の投与量の減少、あるいは点滴の使用量が減少したといったような、さまざまな定量的なデータもいただいており、確かに既に診療報酬等で評価をされている取組ではあろうかとは思います。その中でもさらに一歩踏み込んだ工夫をされているような取組については、いまの診療報酬の中の評価があるという現状はありますが、これについて先進的な取組を紹介するということについては、やはり意味のあることではないかということで考えております。
○山口座長 私も拝見させていただきましたが、NSTで施設によってだいぶ違うなという印象も受けましたので、まだまだ中での細かいところでは改善の余地はそれなりにあるのかと思いましたけれども。ほかによろしいですか。
○近森委員 こういう実証事業のチーム医療を見ていて、皆さん方に評価していただいてやっておりますが、こういうチーム医療のワーキングの場で、どういう視点で評価するのだという結論が出ないままに、各自の視点でやっているものですから、いろいろな問題が出てくるのではという気がします。このワーキングの中でチーム医療を評価するときは、どういう視点で評価したらいいのだということを詰めておいたほうが、これからの実証事業についてもいいのではないかという感じがします。
 ということで、話題提供というか、叩き台として考えてきたのですが、真のチーム医療は、少ないスタッフで点数を取るためのチーム医療でもありませんし、何となく多職種が集まって情緒的に良い医療をしているのだというような、チーム医療でもないと思うのです。多くの専門職が機能を絞り込んで、コア業務に特化することで労働生産性も高まりますし、医療の質の向上と効率化を進めることができるのではないかと思います。そのためには、各職種の専門性を高めることが、チーム医療にとってはいちばん大事な視点ではないかと思います。
 そういうことで、第1点として多職種が個々のコア業務に絞り込んでいるか。それをさらに絞り込んでいるかということになります。例えば薬剤師は、チーム医療で病棟に出るようになりましたが、本当の姿は病棟常駐だと思います。例えば循環器科の病棟へ常駐することによって、薬剤師として薬学的に患者に介入する。そのコア業務をさらに循環器へ絞り込みますので、非常に専門性が高まると思います。コア業務に絞り込んでいるか。それをさらに絞り込んでいるかということが第1点だと思います。
 次に、多職種というのは、医師と違って、診療というものがなかなかできません。診療の流れを、診断と治療の標準化によって、業務の流れに落とし込んで、ルーチン業務にしているかどうかが、多職種が患者に介入するときに非常に大事になってきます。そういう業務の標準化によって、ルーチン業務に落とし込んでいるかどうかという視点が第2番目に大事ではないかと思います。
 それから、多職種が患者個々の個人対応するためにも、患者を診て対応しないといけないのではないかと思います。例えば臨床薬剤師は、患者を診て薬学的に診断、治療するという行為が絶対に必要になると思いますし、管理栄養士も栄養学的に患者を診るという視点が大事になるのではないかと思います。
 その他、多職種の情報共有や同じ目的でチーム医療を行う為には理念、価値観の共有も必要ですが評価しづらい為、3つの視点を上げさせて頂きました。第1番目は各職種本来のコア業務に絞り込んでいるか、これは当然のことだと思うのです。例えば栄養サポートで、医師・看護師だけがやっているNST。医師・看護師にとっては、ある意味、栄養サポートは雑用です。周辺業務です。やはり管理栄養士の栄養サポートがコア業務だと思うのです。
 2番目として、業務の標準化がなされて、ルーチン業務になっているか。これは医師以外の多職種が患者に介入するためには、業務の流れにまで落とし込まないとなかなか対応できないという問題があります。
 3番目として、各職種が患者を診ているか。これは非常に大事な視点で、臨床薬剤師がチーム医療で病棟に出るようになりましたが、患者を診なくてもできるような業務ばかりしているチーム医療が多く見られます。やはり患者を診て、それでどうなのだということが大事になってくるのではないかと思います。
 これらの3つの視点で、必要な患者すべてに必要なときに適切なチーム医療をしているかが大事だと思います。これからの急性期医療は、患者にチーム医療を提供して、それによってアウトカムを出さないといけませんので、アウトカムを出すためには必要な患者すべてに必要なときに適切なチーム医療を行うことが大事ではないかと思います。こういうことをすることによって、初めて各職種の専門性も高まりますし、医療の質の向上と効率化が図られ、労働生産性も高まると思うのです。そういう3つの視点はどうかと思うのですが、いかがでしょうか。
○土屋委員 それは極めて重要なことで、先ほどちょっと近森先生のほうからありました大学の周術期のことも、おそらく第1段階として物の管理という観点で、報告書が書かれているのが多かったところがあります。しかし、そのことによって本来、いままで看護師がやっていたところ、あるいはそういうところがどうなって、要するにより看護のところがやれるようになった、医師がそのところに専念できるようになったということの視点で報告書を書くと、いろいろなことが明らかになってくることになると思います。今回はまだ今年も続くからということもあるのかもしれませんが、そういう観点で、とりあえず目に見える数字だけを出してきたのは少しあるのかと思いますが、やはり今回2年目ということで言えば、その視点をきちんとさせることが極めて重要だろうし、診療報酬も付いた関係で、いま薬剤師が病棟にどんどん出ていくことになりました。患者に直接接して、患者の一次情報を得ることによって、薬物療法が適正に行われているかどうかを確認していく、あるいは処方提案をしていくとか、そういうことをやっていくことが目的ですので、患者を中心に置いてそういう視点をきちんとさせた上で、今回実証事業を続けていくことは極めて重要なことだと思います。
○須貝委員 そのご意見に賛成なのですが、それと一緒にこういったチーム医療のときの評価ですね。現状がどうであるかというところと、こういったところに辿り着きたいのだという目標の中を、先ほど定量的というお話がありましたが、それをあらかじめ決めておいて何で評価するかといったところまで立ち入って決めておいて、議論しておいていただければ非常にわかりやすいだろうと思っています。
○近森委員 チーム医療の定量的な評価というのは、アウトカムを出せるかどうかだと思います。アウトカムが出せれば、本当に良いチーム医療です。だけど、アウトカムが出ないチーム医療がほとんどです。それはなぜかというと、選り好みして、つまみ食いしているような、点数を取るだけのチーム医療だからアウトカムが出ないのです。私は点数を取るためのチーム医療では駄目だと思うし、本当にアウトカムが出るチーム医療が真のチーム医療だと思っています。
○山口座長 いろいろご意見をいただきましたが、本来、実証事業をやる前にこの議論があって、この議論を付けて実証事業をやってもらおうというのが、本来の筋であったのかと思いますけれども。そのときにも、評価を何にするかというところのご議論はいただきましたが、なかなか1つに絞り込むのは難しいという話で、結局、実証事業ではそれぞれの施設でそれぞれのところで、プロセス、アウトカムを含めて評価できるものから評価していくというところで、とりあえずの前年度の実証事業は始まって、今回こういう結果を得たと思います。出てきた報告書を、本当はいまご提案いただいたような視点で評価をしてどうだという話をしていただくのが、さらに一歩進めるにはよろしいとは思います。ただ、いまからもう一度、報告書を書き直せというのもなかなか難しかろうと思いますので、次回への非常に大きな引継ぎ事項的なものなのかと思いますが、事務局としては何かご意見があるのでしょうか。
○鈴木委員 折角の機会なので、我々事務部門としては、先ほど近森先生がご提唱されたような、直接患者を診るという視点で参画するということになると、自分たちの存在、立ち位置、それをしっかりと定めないといけないと。もちろん、いま病棟のアシスタントとか、手術室でのかかわりなどで、我々の存在をアピールしていく。また、少しでもお役に立つ方法はあるのですが、先ほどの薬の管理などもそうなのですが、究極的には患者に質の高いものを提供していくときに、我々としては多職種、医師・看護師・コメディカルの方と組まないと、やっていくための医療環境を従前に確保できない。それがどんどん年ごとに広まっていると思うので、別にこのチーム医療にどうしても混ぜろというのではなくて、少し広義のチーム医療という概念というかですね。継続的な質の高い医療をやっていくためには、半歩ぐらい下がったところで、多職種の方と一緒に我々も参画をしながら、医療の推進に取り組みたいと。
 今回こういう委員に混ぜていただいたので、たまたまいろいろな方とお話する機会をたくさん得たのですが、どこでも事務がもうちょっととか、専門職の方ばかりだとつなぐ役というか、効率良く進めるためのコーディネーションをするような立場の人がどうしても必要になるという認識を強く持っているので、事務が直接患者にアプローチできないという前提の中ででも役に立つという考え方は、是非、先生方のご意見も踏まえて、ご検討いただければというのは切に思いました。一言だけすみません。
○山口座長 職種によって、患者との距離はいろいろ違いますので、おそらくそれが出てくる。何で評価するかというところでもいろいろ違いがあるでしょうし、アウトカムにもどれだけ近い立ち位置にあるかということでも、また違うでしょうし、やはりなかなか難しい。同じ視点ですべてのチーム医療を評価するわけには、なかなかいかないのかなという感じには思いますが、ほかに何かありますか。
○近森委員 先ほど事務の方からいろいろなご提案がありましたが、事務というのはマネージメントをするのがいちばん大きな役割だと思うのです。だから、事務がしっかりしている病院と、事務が手薄で充実していない病院の差というのは、前線に立って患者に接している医療専門職が、雑用で足を引っ張られているか、本当に生き生きと患者だけに接しているか、その違いになってあらわれてきます。どうしても事務は直接的にチーム医療には参画できませんが、その参画している多職種に対して、雑用をとることによって、彼らの医療専門職としての専門性をものすごく高めています。そういう意味で、私は管理部がチーム医療に十分参画していると思うし、名前は出ないけれども、後方支援ということで、非常に役に立っているという認識をしています。
○鈴木委員 名前は出なくても、ひそかに頑張っています。
○取出委員 先ほどの近森先生のお話に少し戻るのですが、このまま実証事業の報告書というように出ていく際に、2、3名の委員で一生懸命、前回の議論を思い出しながら評価はしたのですが、せめて評価のキーワードを5つ、6ついま挙げていただいたもの、プラスアルファ前回かなりいろいろ議論もしたと思うので、みんながそれを標準として持って、その項目にせめて合わせて評価をし直すとかいうことで1回報告書を作るというほうが、気持が良いような気がするのです。発言するのはちょっと悩んだのですが、いかがなものなのでしょうか。
○山口座長 ただ、現実的に先ほどお挙げいただいた視点だけで、もう一度評価をし直すことは可能でしょうか。
○取出委員 私自身は、前回の去年の議論のときに、6つほどのプロセスを挙げて評価の提案もさせていただいたし、ほかの先生方からの提案もいくつかあったような気がして、それがいまあまり活かされないような形で評価をしてしまっているのではないかと、ちょっと反省も含めて発言させていただいたのですけれども。
○近森委員 何回もすみません。私はいまここで出ている実証事業報告書、これがいまの日本のチーム医療の現実だと思います。いま私が提案させていただいた、コア業務に絞り込むとか、ルーチン業務になっているかとか、患者を実際に診ているのか、必要な患者すべてにリアルタイムに適切なチーム医療をするなどということは、究極の姿だと思います。だから、こういう視点で見てしまうと、ほとんどが没です。このような現状があるので、こういう視点でこれから見ていただいて、普及推進事業で、さらに良いチーム医療に成長していただければという思いで発言しました。
○栗原委員 おそらくあとからの議論になると思いますが、この報告書の整理の仕方の問題があると思うのです。いまちらっと言いましたが、急性期と慢性期とか、医科・歯科連携、項目ごとになっています。中身も少し問題がありますので、その辺は議論ですが、最終的なところに、チームの実態を見ますと、前もちょっと私が言ったと思いますが、サポートチームという特殊部隊的なチームのあり様と、病棟専従で何とかクリエイトしていこうというチームと、課題ごとに大きく分かれて表現されていると思うのです。そういった意味では、根本はそれぞれの専門職の技術・知識を向上させるという教育のシステムと、患者を取り巻くマネージメントの考え方が、基本的にはおそらくどのチームにも入ってはいるのです。現実は、それが苦労のプロセスなのです。なので、そのような最終的なところにちょっとしたまとめがあれば、わかりやすいのかという気がします。が、それでおそらくこの時点というのは止まるのではないでしょうか。理想的なチームはみんな追い求めていますが、明確な形での評価は、現段階で我が国では難しいと思います。
○山口座長 近森委員がお挙げになりましたようなものは、最後の総括と今後の方向性というところに活かしてまとめられるようなお話をいただいたのかと思います。確かに報告も、やられている内容も、いろいろなレベルがありますので、それを1つの視点で全部評価してしまうという話も、ちょっと現実的ではないのかと思いますし、むしろそういういろいろなバリエーションがあり、それぞれのやられている人たちはこう評価しているということが、第三者からまた違う目でちゃんと見られて、そのことがこういうものをまとめたことの意味につながってくるのかと思います。これだけ大部のものを1つの見方でまとめるという話は、ちょっと難しい話であるし、またそれが現在のチーム医療の現状であるのかと思いました。その辺のまとめの最初と最後の総括と、今後の方向性みたいなところに、ただいまご発言いただいたような内容をちょっと入れていただくということで、とりあえず始めたチーム医療の推進の運動のいちばん最初のまとめということでは、よろしいのかと思います。ほかにどなたか、ご発言はありますか。
○遠藤委員 私もその意見に賛成で、あくまでもこの報告書は、いまの段階だと学会で言えば症例報告集の段階ですし、まだ多施設の共同研究とか、立派なそういうエビデンスを出すようなところまではいっていない現状があるので、チームでいうと9人制ではなくて、三角ベースで9人にも満たないようなチームでやっている所もあるし、サッカーで言えば11人ではなくて、5人ぐらいでやっているような所も、いろいろな現状があるわけです。将来的には近森先生がおっしゃっているように、11人のサッカーでオリンピックにも出て、それこそ金メダルも取れるようなものにもっていければいいのでしょうけれども、いろいろな地域性があって、やっといままで医師・看護師がやっているような2つの職種にいろいろなチームが入ってきて、専門性を活かしながらサッカーで言えば11人のチームで、それもそこにいるあれではなくて、マネージャーとかトレーナー、事務の役員も入って、金メダルを目指してやりつつあるという、進行形であるのです。とりあえずこの事業はこういう症例報告書で出して、また先ほどから言っている普及事業につなげるような材料にすればいいのではないかと思います。
 この中身は、正直言って私もまだ全部見切れていないですが、宝がいっぱい集まっていて、もうちょっと症例報告も集めれば、後ろ向きのエビデンスみたいなものが出る可能性はあるので、まとめ方としてはこれをこのままにしないで、何らかの形でそのように活かせればいいかなという感じは思います。以上です。
○?本委員 ここはチーム医療の現状ということで出ているところなのですが、ここでのもう1つ大きな議論は、現在の各職種が法律か何かで規制されていますが、正しく良いチーム医療をやるために、本当にそれがワーキングしているかどうかと。もしそれがワーキングしていないと、例えばグレーゾーンの話もありますが、そういう状況だったら、法律なり規制の問題点を指摘して、将来に向かってより良い医療のために、それをどう変えるかという視点もこの中にあるのではないかと思うのです。それが結局、アウトカムということになる。良いチーム医療、良い効率のある医療が患者のために良くあるためには、我々はどうすべきかということが、これで問われているのではないかと思います。現状の中での問題点は、先ほどの歯科衛生士は本当に良い例だと思うのですが、それと同じような類のことは私はいっぱいあるのではないかと思うのです。結局、ナースの問題もそうでしょうし、特定看護師の問題などもそうなると思いますが、そういう形のものを全部、こういうことを通じて問題点を挙げ、それをどのように解決したらいいかということが、私はここの役目ではないかと思うのです。
○土屋委員 もともとこのワーキングは、いちばん最初はガイドラインをどうしようかという話から、そうではなくて実態をつかまえようということで、この事業になり、報告書ができて、私はこれはこれでいいのだと思うのです。ただ、2年目をやるに当たっては、先ほどのような観点、あるいはいまのような業務範囲の問題とか、そういう観点を報告書で是非そこでは検討もしてもらって、そういうことも含めて書いていただければ、それはすごく意味があることではないかと思います。2年目の報告のときには、その視点を加えてくださいということを言って、やっていくことがいいのではないかということです。
○田原医事課長 事務局からですが、いまご指摘をいただきました点については、可能なものは報告書に盛り込む形にして、今後の事業だとか、今後のワーキングでの議論に役立つものについては、その場でご議論ができるような準備を進めていきたいと思っております。以上です。
○山口座長 一応、前年度の実証事業のまとめとしては、これもまた事例集であるかと思いますが、そういうものを踏まえて、最後の総括のまとめ的なものの中に、ただいまありましたようなご意見を活かして、次への問題点・課題を明らかにしていくという話で、実証事業の報告書としてはまとめるという方向で、よろしいでしょうか。内容を事務局のほうとまとめさせていただいて、皆さんにお諮りしたほうがよければ、またお諮りするということにしたいと思いますが、事務局としてはそれでよろしいでしょうか。
○田原医事課長 結構です。座長にご相談をして、次のステップに進みたいと思います。
○山口座長 それでは、2番目の「チーム医療の報告書について」は、これで終わらせていただきたいと思います。続きまして、3番目の「チーム医療普及推進事業について」、事務局からのご説明をお願いします。
○江口医事課長補佐 それでは資料4をご覧ください。「チーム医療普及推進事業の委託施設について」という表題が付いている資料になります。今ご議論いただきました平成23年度に実施しましたチーム医療実証事業の実践を全国に普及、定着させていくという観点で平成24年度に行うものです。昨年の11月に開催されました第9回のこのワーキンググループにおいて、平成24年度に行うこの普及推進事業の実施方法等についてご説明させていただきました。それを踏まえまして、平成24年6月13日に昨年度このチーム医療実証事業を行ったすべての施設に対して募集要項を送付して、1カ月程度募集を行ったところです。
 3.の応募施設数のところですが、昨年度のチーム医療実証事業の委託施設、68施設でしたが、そのうち今回平成24年度のチーム医療普及推進事業についての応募があったのは31施設でした。この31施設から提出されました申請書等について、先ほどのチーム医療実証事業の報告書について、それぞれ、各委員からコメントもいただいておりましたので、それも参考に事務局において審査をしたところです。結果としましては、応募のございました31施設すべてについて、平成24年度の普及推進事業の委託施設として選定をしたいと考えております。別紙で用意している資料が今回応募があった31施設に該当するものです。先ほどもご議論いただいた中で出ましたように、平成23年度のチーム医療実証事業の報告書についてさまざまなコメントをいただきました。その中には、平成24年度の普及推進事業として継続して実施することについてどちらかというとネガティブなようなご意見もいただいたところです。
 ただ、今回、31施設から応募があったところですが、応募施設の総費用、申請があったその総費用を積み上げたところ、平成24年度のこの普及推進事業として用意しております予算の範囲内に収まっているというのが1つあります。また、昨年度は事業実施施設が68施設ありましたが、そのうち31施設が意欲を持って今年度もということで手を挙げていただいたということもありますので、事務局としては、そういった意欲にできるだけお応えしたいと考えております。ただ、先ほどいろいろご意見がございましたように、事業の内容についてはもう少し検討したらどうかというようなこともございますので、今回、平成24年度のチーム医療普及推進事業を委託するに当たっては、そういった委員からいただいたコメントも踏まえて、一部中身については再検討した上で実施していただきたいということです。そういうことを前提に31施設すべてを選定するということでやらせていただければと考えているところです。事業委託施設については、今月中旬を目途に各施設に対して選定結果を通知して、具体的な事業を実施していただくというスケジュールで考えております。以上です。
○山口座長 チーム医療普及推進事業についてのご説明がございましたが、これにつきまして何かご質問、ご意見等はございますでしょうか。一応、応募いただいた31施設についてはそのまま全部に依頼するということでよろしいですか。
○小森委員 1点だけ教えていただきたい。遅参をいたしました小森でございます。よろしくお願いします。先ほど松阪委員からご指摘があった限りなくブラックというお話が、いいか悪いかは別の議論ですが、いま、それがそのまま普及促進事業、普及推進事業のほうに同様のテーマで挙がっておりますが、こういったことについての取扱い。前回に問題があったこと、それをどうさらに普及推進というお考えなのかということについてはもう少し精査をする必要があるのではないかと思いますが、その点について事務局のお考えはいかがでしょうか。
○石井医事課長補佐 先ほどご指摘いただきました業務以外にも直接的な医療行為以外でのご活用も含めてやられているようです。そこにつきましては事務局としても、対象施設と十分にやりとりをさせていただいた上で今年度の事業を実施していただくように取り組んでまいりたいと考えております。
○山口座長 先ほど1つご指摘いただきましたが、今回の31施設でピックアップされたチーム医療の中に、ほかにも何かグレーゾーン的な問題が含まれているあれがあるのでしょうか。
○石井医事課長補佐 現時点では、いまのところは、明らかなグレーとか黒といったようなものはほかに特にないと考えております。
○山口座長 グレーゾーンに相当する点についてはご検討いただいてというお話ですが、ほかに何かご発言はありますか。
○中村委員 中村でございます。事務局に教えていただきたいのです。チーム医療という観点で見ましたらば、6月に認知症対策という施策の方針が出ましたが、このテーマの中に認知症のチーム医療というモデルが挙がっているのかというのが1点。それから、リハ関係でしたら義肢装具、福祉用具に関する、チームで取り組んでいるわけですが、そういうチームの実証研修のテーマを含んでいるのかどうかというものと。それから、ALS等、進行性の疾患は急性期から在宅に向けていろいろな職種がかかわらなくてはいけないと思うのですが、そういうテーマが含まれているかというのと。それから、昨年からチーム医療を推進するためには教育と研修というところがすごく大きな課題として挙がっていて、その人づくりに対するモデルがこの中に含まれているのか。この4点を教えていただきたいです。もしそれがないとしたらば、それはやはりどこかでは取り組むべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○山口座長 では事務局からどうぞ。
○石井医事課長補佐 すみません、趣旨がよくわからなかったのですが、「この中に」というのは平成24年度の普及事業の中に含まれているかという趣旨ですか。
○中村委員 そうです。ただ、チーム医療全体で考えるときにそういうところの実証研修も必要だと思うのですが、そういうところはあるのかなということと、もしないとしたら、どのように取り組んだらいいのかなと思いまして。
○石井医事課長補佐 まず、チーム名と取組の内容にも結構幅があります。例えば認知症の話であれば、必ず認知症だけの話ではなくて、例えば専門の予防対策チームの中にも一部対象者として入ってくる部分もありましょうから、そこまでつぶさに見たわけではありませんので、そのものズバリで入っているかと言われたら、パッとタイトルに出てくるようなものはないというのが1つあります。それから、あくまでもこの事業としては昨年度の実証事業に参加していただいた施設に対して要項をお送りして手挙げという形でやっていただいておりますので、そもそもその手挙げをされていない、あるいはもともとの実証事業の際に応募いただいたテーマの中に入っていないというようなところは、この中には含まれていないということになっております。
○中村委員 であるならば、やはりそのあり方を検討すべきだと思うのです。いま挙げたテーマはチーム医療で大事なテーマだと思いますので、昨年度の継続というところに加えて、新たなテーマは必要ではないかと思うのです。今からといっても、予算もあって制度設計といっても困難かもしれませんが、その基本的なチーム医療のあり方、この委員会でどういうメッセージを出すのかというところも含めて、時間があったら提案。私は、いま挙げたようなテーマは是非ここから意見を出していって、例えば、進行性の疾患に対するチーム医療はこうあるべきだというようなメッセージが出せるような報告書に仕上がったらいいのかなとふと思いまして発言させていただきました。
○江口医事課長補佐 平成24年度の普及推進事業については、先ほどのご説明の中でもちょっと触れましたが、昨年の11月に開催しましたこのワーキンググループの中で具体的にこういう実施方法でやりたいと考えていますということはご説明いたしました。その中で平成24年度の事業については平成23年度のチーム医療実証事業を行った68施設に対して継続してやる意向があるかどうかというところで募集をさせていただくということもご説明しておりましたので、一応今年度の事業の前提としては、あくまでも平成23年度のチームの実証事業をやった中から手を挙げたところに対して委託をするという考え方です。
○中村委員 わかりました、そこは失念しておりました。であるならば、例えば、今年度の報告のときにそういうところも加味してほかのチームのあり方について少し示唆するようなまとめをしていただいたらありがたいと思います。
○山口座長 とりあえず今回の議題に挙がっていることは、昨年報告があったものの中からそのいくつかを、さらに普及促進のためにやる事業はとりあえず行うということで、その内容についての検討をいま行っていますが、いま提案がありましたようなチーム医療全般について推進する方策の検討として、さらに今年度何かをやるかという話については何かあるのでしょうか。
○江口医事課長補佐 今年度については予算事業としてやる内容が既に具体的に決まっておりますので、今年度新規でということは、現実的には難しいのではないかと考えております。
○山口座長 という話ですか。
○中村委員 座長、どうもありがとうございました。では、引き続き、そのテーマとして今年度はこのようで致し方ありませんので、次年度以降どうするのかということも是非検討の議題に挙げていただきたいと思います。
○山口座長 今回ご議論いただくこの普及推進事業については、前年度ご提案があった、実際にやっていただいたものの中からさらに普及をするということでいくつかのチーム医療がピックアップされたというように理解していますが、そのほかの全体的な話はまたもう1つ別の大きなテーマとしてあるのではないかと思います。とりあえず今回議題になりました今年度のこの普及推進事業の委託については、ほかにご意見等はございますでしょうか。
○小川委員 これは事務局にお尋ねですが、応募のあった31施設について、そのまますべてを事業委託施設として選定したと。冒頭のご挨拶の中でこの委員の中から寄せられたコメントに対する細かな分析はまだであるというようなことを伺ったように思うのですが、そういったコメントの解析をきちんとなさって選定されたのかどうかということと。それから、継続して委託をする場合にその条件として、参考にしてくださいということはわかりますが、平成23年度に実施したチーム医療の内容と寄せられた意見とをどう活かしていくのかということについての条件とか、そういったものを施設に求めるということはないのですか。
○江口医事課長補佐 いちばん最初の説明の中で各委員からいただいたコメント案については、まだすべてを反映させていただいていない、作業中ですということをご説明いたしました。ただ、各委員から提出していただいたコメントそのものは、すべて把握しております。今回、手が挙がった31施設についての各委員からのコメントは、当然、中身も十分理解した上で。ただ、先ほどご説明しましたとおり、一部、継続して事業をやることについてネガティブな意見もありましたが、その点はその部分を、もうちょっと中身を検討していただきたいということを前提に平成24年度は事業を実施していただくということでやりたいと思っております。
○小川委員 では、改めて計画書なりを提出させてもらうということはないのですか。
○江口医事課長補佐 やり方ですが、そこはこちらから選定した事業委託のための通知を行います。その際に委員からも、中身についてこういう点はもうちょっと考えてほしいということがあったので、そこは、再検討した上で具体的に事業を実施していただきたいということをこちらから伝えてやっていただくというやり方を今のところは考えております。
○小川委員 わかりました。加えて、ちょっと話は変わりますが、先ほどの中村委員の発言について、私も全く同様に思っております。今年度、昨年度の事業の流れについては承知しておりますが、冒頭で、この委員会が立ち上がったときに議論された内容についてはやはりテーマをこちらから、応募型だとおっしゃいましたが、そこから漏れている内容については、こちらでこういう類のチーム医療についての協力は求められないかという投げかけをやっていただきたいと思っております。特に、先ほど来お話が出ておりますように、チーム医療の本質はやはりそれぞれの専門職の力量を高めることだということはこの場でも一貫して議論されておりますし、それに対して異論はたぶんないところだと思うのです。そこに対する取組が実際の場面でどうできているのかといったことについての報告も現状もないというような中で、応募型だけで進んでいくことに対する危惧を私は個人的には非常に感じております。以上です。
○山口座長 チーム医療全体の視点から言うと、今後に向けていろいろ問題がまだまだたくさん残されているのは間違いないと思いますが、とりあえずは、今回のこの普及推進事業は前年度のいろいろな実証事業の延長線上にある話だと理解していますので、それはそれで1つの区切りとして、その中のうちのいくつかをピックアップしてさらに普及するというところは、それはそれでよろしいのかなと思います。かといって、そこで出てこなかったテーマもかなり広い分野でまだ多々あると思いますので、それが今後のチーム医療の課題かなと思いますが、それについてはまた別の取組を考えていただかなければいけないと思います。
○?本委員 この普及推進事業はワークショップをやることが条件になっていますよね。でも、ワークショップというのは現在あるものを、各チームが持っているものを推進しようという基本的な方針でして、これはこれとして、私はいいとは思うのです。ただ、問題は、さっきも言いましたとおり、今のチーム医療のあり方につき、みんなで何とかして、それぞれの職種の範囲の中で、グレーゾーン、ブラックゾーンだとかをなくして患者さんによりよい医療をしようとするのが、チーム医療ですから。問題点を探るという意味でのワークショップならまだいいのですが、推進だけのワークショップだとすると、本来、いままでやってきたことと方向性が少し違ってくるのではないかという気がするのですが、どうでしょうか。
○山口座長 何か事務局からありますか。
○江口医事課長補佐 そういったご懸念も含めてワークショップについては、応募があったところについて見ると、一応普及推進が1つの目的であることは間違いないわけですが、実は、そのためのワークショップの回数を1回しか予定していないところもあります。事務局として、そういった回数についても、もう少し再検討した上できちんと複数回やっていただきたいということも伝えたいと思っております。その際にワークショップの具体的な開催の仕方は、やってきたことを普及するためだけではなくて、疑問点とか課題として挙がったことも共有できるような内容にすることも考えていただきたいということは、併せて伝えることは可能かと思いますので、そういう形で対応したいと思います。
○山口座長 実際の推進事業といっても、いろいろな課題があるだろうと思います。そこで挙がった問題点の取り上げ方も含めて実際にまたやってみたらまた新しい問題点が出てくるだろうとは思いますので、それを今後どういう形で取り上げていくかはこのWGの今後の方向性に関するものかと思います。とりあえず、今回、事務局から提案がありました31施設から応募がありましたこの推進事業については、進めてもらうということでよろしいでしょうか。
                 (異議なし)
○山口座長 どうもありがとうございました。その後の話についてはまたご報告いただけるのかと思います。では、よろしくお願いいたします。一応1、2、3の議題が終わりましたが、「その他」を含めて、事務局から何かありますでしょうか。
○江口医事課長補佐 ありがとうございました。本日、議題1として提示させていただきました歯科衛生士法の改正については事務局提案の内容でご了承いただいたと考えておりますので、8月22日に開催予定のチーム医療推進会議にご報告したいと考えております。そこでの議論も踏まえまして、事務局で法改正に向けた所要の手続を進めていきたいと考えております。また、チーム医療実証事業の報告書、チーム医療普及推進事業についても、今後、本日の議論を踏まえて手続を進めていきたいと考えております。
 それから、本日の議題ではありませんが、6月13日のチーム医療推進会議の中で委員より、薬剤師の業務範囲についても検討の場を設けてほしいというご要望がありました。チーム医療推進会議の永井座長にもご相談させていただいて、関係団体から具体的な要望が提出された際には、本日、歯科衛生士法についてご議論いただきましたように、このチーム医療推進方策ワーキンググループの場でご議論いただきたいと考えております。現時点においては、関係団体から具体的な提案、要望はまだ上がってきておりません。そういうものが仮に上がってきた場合にはこのワーキンググループの場でまた改めてご議論をしていただきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。次回以降の日程につきましては、追ってご連絡をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
○山口座長 薬剤師の問題につきましては、ご提案があったときにまたこのワーキンググループで検討させていただくという話で、その点はよろしいかと思います。ほかに何かご発言がございますでしょうか。ちょっと時間が早いようではありますが、一応、本日のワーキンググループの議論としてはここで終了させていただきたいと思います。お暑い中お集まりいただきまして、どうもありがとうございました。


(了)
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