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2012年8月22日 第13回チーム医療推進会議 議事録

医政局医事課

○日時

平成24年8月22日13:00~15:00


○場所

厚生労働省 専用第23会議室(19階)


○議題

○看護師の能力を認証する仕組みの在り方について
○歯科衛生士法の改正について
○その他

○議事

○永井座長 ただいまから、「第13回チーム医療推進会議」を開催いたします。本日はお暑い中、またご多忙のところ、委員の皆様にはご参集賜りましてありがとうございます。
 最初に事務局から本日の出席状況と資料の確認をお願いいたします。
○江口医事課長補佐 本日は、堺委員、藤本委員、山本隆司委員から欠席のご連絡をいただいております。また、片田委員の代理として、日本看護系大学協議会の正木理事がご出席されております。
 それでは資料の確認をお願いいたします。いちばん上に議事次第、次に座席表、「チーム医療推進会議開催要綱」その裏が「委員名簿」、資料1「制度の枠組みに係る試案の提示について」のA4のカラー版1枚紙。資料2「特定行為及び看護師の能力認証に係る試案(イメージ)」のA4の1枚紙。資料3「特定行為及び看護師の能力認証に係る具体案の比較(案)」の、両面の1枚紙。資料4「歯科衛生士法の改正について」という両面の1枚紙。次に参考資料1として、「第12回チーム医療推進会議における委員の主なご意見」の1枚紙。参考資料2として、「看護師特定能力認証制度骨子(案)」の1枚紙。参考資料3として、「看護師特定能力認証制度骨子(案)に対する意見」の1枚紙。参考資料4として、「歯科衛生士法について」という2枚ものの資料です。このほかいちばん最後に藤川委員よりご提出の資料1枚紙を付けております。資料については以上です。ご不足等があればご連絡いただければと思います。
○永井座長 最初の議題「看護師の能力を認証する仕組みの在り方について」の議論に入ります。事務局から資料の説明をお願いいたします。
 また、藤川委員より資料が提出されておりますので、続いてご説明をお願いしたいと思います。
○江口医事課長補佐 まず、資料1、制度の枠組みに係る試案の提示について、1.として、前回の議論の整理を記載しています。前回7月12日のチーム医療推進会議では以下の論点について議論が行われました。論点?として、特定の医行為について、法令上位置付けるというA案。そして診療の補助に含まれることをガイドライン等で明確化するB案を基に議論をしていただきました。論点?として、看護師の能力認証に国がどこまで関与するかについて、?-A案、これは骨子案ですが、それと?-B案、民間認証案を基にご議論をいただいたところです。委員からはそれぞれの案について、問題点が指摘された一方で、特定の医行為を法令上位置付けることが必要である、能力認証について、何らかの国の関与は必要であるとの意見が多数でした。座長のほうから、この議論を踏まえ、より具体的な論点の取りまとめと具体的な枠組みの提示が必要である旨の議事の整理が行われました。これを踏まえまして、今回さらに事務局より「試案」を提示するものです。
 2.の試案の位置付けですが、左右に国の法的関与の程度、左側が強いもの、右側が弱いものに位置付けております。前回ご議論をいただいたA案、特定の医行為を法令上位置付ける、そして骨子案で国が能力認証を行うというA案は、国の法的関与の程度としてはかなり強いとして左側に位置付けております。
 右端のB案は特定の医行為が診療の補助に含まれることを明確化、ただし法令上は位置付けない。それと民間認証案ですが、関係団体、関係学会等が自律的に能力認証を行って、国は法的には関与しない。これは国が関与をしないということですので、国の法的関与の程度は弱い、さらに右側に位置付けているものです。
 今回、提示をさせていただく試案は、真ん中のオレンジの枠組みの特定の医行為を法令上位置付けること。併せて、国が定めた規準に基づいて、研修機関を指定し、その研修を修了した者を看護師籍に登録するというものです。
 資料2、資料1で試案の概略をお話いたしましたが、次にその試案についてのイメージをご説明いたします。最初に、○医師又は歯科医師の指示の下、臨床に係る実践的かつ高度な理解力、思考力、判断力その他の能力をもって行わなければ、衛生上危害を生ずるおそれのある行為(診療の補助に当たるものに限る。以下「特定行為」と言う)に関する規定について、保健師助産師看護師法に位置付ける。なお、特定行為の具体的な内容については省令等で定めると記載しております。※のところの、特定行為の規定方法は限定列挙法式とする。また、その追加・改廃については、医師、歯科医師、看護師等の専門家が参画する常設の審議の場を設置し、そこで検討した上で決定する、としております。
 2つ目に、○看護師は次のいずれかの場合に限り特定行為を実施することができる。1つ目のポツは、厚生労働大臣が指定する研修機関において、実施しようとする特定行為に応じた研修を受けた看護師が、医師又は歯科医師の包括的な指示を受けて実施する場合。2つ目に看護師が特定行為を実施しても衛生上危害を生ずるおそれのない業務実施体制の下、医師又は歯科医師の具体的な指示を受けて実施する場合。これは一般看護師の場合を書いておりますが、この点については骨子案と内容的には同じです。
 3つ目に、○厚生労働大臣は研修機関の指定を行う場合には、審議会の意見を聴かなければならない。※に、この審議会は医師、歯科医師、看護師等の専門家により組織する、としています。
 4つ目、○特定行為に応じた研修の枠組み(教育内容、単位等)については、指定研修機関の指定規準として省令等で定める。※に、指定規準の内容は審議会で検討した上で決定する、としております。
 最後に、○厚生労働大臣は指定研修機関の研修を修了した看護師からの申請により、当該研修を修了した旨を看護師籍に登録するとともに、登録証を交付する。この※は、本試案における看護師の能力認証の方法は、指定研修機関における研修を修了したことを看護師籍への登録によって行うものであり、国家資格を新たに創設するものではない、と入念的に記載をさせていただいています。以上が今回提示をさせていただく試案のイメージです。
 次に資料3はこれまで出ていました骨子案(大臣認証案)、それから民間(学会等)での認証案に、今回新たに提示をさせていただきました試案、これを「指定研修機関案」と呼ばせていただきますが、この3つの案について、各項目、論点ごとに考え方を整理したものです。まずいちばん最初の基本的な考え方は、骨子案(大臣認証案)、試案(指定研修機関案)については共通のものとして整理をしております。看護師が実施する行為について、患者が安心して受けることができ、かつ看護師自身も安心して実施できるよう、国が関与することで現在、診療の補助に当たるかどうか、必ずしも明確でない行為を明確化し、特定行為として位置付ける。それとともに、特定能力を有する看護師であることが客観的にわかるような仕組みとする。また、能力認証を制度化することで、特定能力を有する看護師による特定行為の実施について広く普及を図る、という整理をしております。
 民間(学会等)認証案については、まず現在、診療の補助に当たるかどうか、必ずしも明確でない行為の一部について明確化する。特定の医行為については、国は関与せず、民間(学会等)がその実施に当たっての「ガイドライン」作成や看護師の能力認証を行う。具体的に、診療の補助としてどの行為をどの看護師に実施させるかは、これまでと同様、現場の医師又は歯科医師が判断するという整理をしております。
 次に特定行為の項目の、まず診療の補助に当たることの明確化について、これも骨子案と指定研修機関案共通のものとして整理をしております。法令上、その実施に必要な研修を受けること又は適切な業務実施体制を確保すること等を条件に「特定行為」として位置付ける。そのことによって現在、診療補助に当たるかどうかが必ずしも明確でないとされている行為について、相当な部分が明確化されるとしております。
 一方、民間(学会等)認証案については、現在、診療の補助に当たるかどうかが必ずしも明確でないとされている行為について、一部は通知等で明確化できるが、大部分は不明確なまま残る。民間(学会等)が自律的に特定の医行為の実施に関する「ガイドライン」の作成・更新を行う。これは法令上、特定の医行為の実施に必要な研修を受けること等は条件とするものではないと括弧書きで記載しています。
 次に実施基準です。まず骨子案について、厚生労働大臣の能力認証を受けた看護師が、医師又は歯科医師の包括的指示を受けて実施、というものに対して、指定研修機関案については先ほど資料2でご説明したように、厚生労働大臣が指定した研修機関で研修を修了した看護師が、医師又は歯科医師の包括的指示を受けて実施、となっています。その下の看護師一般が衛生上危害を生ずるおそれのない業務実施体制の下、医師又は歯科医師の具体的指示を受けて実施。この項目については骨子案、指定研修機関案共通のものです。
 一方、民間(学会等)認証案については、不明確なまま残った行為の実施について、法令上、これの実施について制限するものではありません。括弧で書いています、現行と同様、看護師が、個々の看護師の能力を確認した医師又は歯科医師の指示を受けて実施することになるというように考えております。
 次に特定行為の追加・改廃について、骨子案の段階ではこの点については明確に整理をしておりませんでしたので、「ー」という形で記載をしております。指定研修機関案のほうでは、常設の審議の場を設置し、検討した上で決定。民間(学会等)認証案については、再掲になりますが、民間(学会等)が自律的に特定の医行為の実施に関する「ガイドライン」の作成・更新を行う、と記載しております。
 裏面をご覧いただければと思います。能力認証の項目で、まず方法について、骨子案については厚生労働大臣が能力認証証を交付ということで整理をしておりました。指定研修機関案については厚生労働大臣が研修修了した旨を看護師籍に登録した上で、登録証を交付することとしております。先に要件のほうもご説明いたします。骨子案、指定研修機関案ともに実務経験5年以上というものは共通です。骨子案のほうはさらに厚生労働大臣が指定したカリキュラムの修了、その上で厚生労働大臣が実施する試験の合格が要件とされておりました。指定研修機関案については、これに対して厚生労働大臣が指定した研修機関での研修の修了が要件となっております。一方、民間(学会等)の認証案については、この能力認証に関しては学会等が自律的に行うことになりますので、括弧書きで、例えばとして、専門学会が内容・期間を定めて行う研修、試験に合格した者に修了証を授与する、こうしたことが考えられるのではないかと思います。
 次に主な効果として何点か整理しております。最初は患者の安心という観点から、骨子案、指定研修機関案ともに共通ということで、医療の安全性は高まり、その結果、患者の安心感にもつながるのではないか。一方、民間(学会等)認証案については、医療の安全性の高まりや患者の安心感へのつながりは限定的になるのではないかと思います。次に看護師による特定行為の実施の普及については、これも骨子案、指定研修機関案共通ですが、広く普及することが見込まれることに対して、民間(学会等)認証案については普及は限定的にとどまるのではないかと思われます。
 次に特定行為の実施に必要な看護師の能力の確保等として、能力の確保と均一化の観点で整理をしております。骨子案の要件のところは先ほど申しましたとおり、最終的には大臣が実施する試験への合格が要件になっておりましたので、能力の確保と併せて均一化についても可能であろうと考えられます。一方、指定研修機関案については、その試験というものを制度的に位置付けることには、現在の案ではしておりませんので、能力の確保は可能で、一方均一化についても試験を実施する場合と同程度とまではいかないまでも相当程度可能ではないかと思っております。一方、民間(学会等)認証案についてはこの点について、限定的にならざるを得ないのではないかと思われます。
 次に「看護師の責任」から以降4つの項目についてはいずれも骨子案、指定研修機関案は共通のものとして整理をしておりまして、看護師の責任については、活動の幅が広がる分、その分責任の範囲も広がることになるかと考えております。一方、民間(学会等)認証案については現行と変わりがないと考えております。医師又は歯科医師との関係については、公的に能力認証したことがわかるということになりますので、医師又は歯科医師による個々の看護師の能力確認が容易となって、その結果、医師又は歯科医師が指示をしやすくなるという効果が見込まれるのかと思っております。民間(学会等)認証案については、現行とほぼ変わりがないというように考えております。
 看護師の能力の発揮については、きちんと制度上位置付けるということから、骨子案、指定研修機関案、ともに法令違反を恐れることなく、その能力を発揮することが可能になると考えておりまして、一方民間(学会等)認証案については、現行とさほど変わりはないのかと思います。
 最後に、看護師一般への影響は、骨子案、指定研修機関案について、具体的には一般看護師の特定行為の実施の要件や条件を今後どのように議論していくかにかかってくるわけですが、特定の医行為の実施は可能とはなるわけですが、全く現行と同じ形でできるということにはならないのではと考えております。一方、民間(学会等)の認証案については、現行とほぼ同様ではないかと考えております。この主な効果については、骨子案、指定研修機関案、民間(学会等)認証案の比較は、基本的には制度化されたものとそうでないものの違いということでご理解いただければと思います。事務局からは以上です。
○永井座長 続いて、藤川委員から資料が提出されておりますので、ご説明をお願いしたいと思います。
○藤川委員 資料の説明の前に、資料3で「主な効果」について厚労省から提案されていますが、我々が最も重要視しているのは医療安全です。医療安全を看護師の立場から見るのか、患者の立場から見るのかで全然違うわけです。本来医師がすべき行為を看護師がすることによって医療の安全性が高まるわけではなく、ましてやそれが、患者の安心感につながるわけでもありません。看護師が今、行っている行為をさらに研修することにより行えば安全性は高まるけれども、医師が本来すべき行為を新たに看護師がする時に、研修や教育をしたとしても、医療安全が高まるという表現にはなりえない。本来医師がすべき行為は医師がした方が安全性は担保できるわけですので、この表現はちょっとおかしいと思います。
 それでは資料の説明をいたします。永井座長あてに、日本医師会のほうから見解をまとめてまいりました。看護師特定能力認証制度の枠組みが議論の中心となっていますが、医療の現場が求めているものは何か、現場のために何ができるのか。いわゆるチーム医療の推進という原点に立ち返って議論すべきと考えます。
 1.多くの医療現場のニーズとしては、絶対的医行為に極めて近い行為を診療の補助として認めてほしいということではありません。比較的安全に実施できる行為の中で、より白に近いグレーであっても曖昧であるがゆえに不安を感じているだけであります。したがって、「一般の医行為」の範疇を示すことで、十分に現場の不安は解消され、業務の連携・協働は進むと考えております。
 2.比較的高度な医行為、ガイドラインによる対応。診療の補助の範囲はあくまで医療安全の観点を第一に医療関係者や国民が合意できる内容にとどめるべきである。研究班や日医の調査で現在ほとんど看護師が実施しておらず、今後も医師がすべきとの回答が多い行為を看護師に拡大することは、患者のための医療の質の向上に資するとは考えられない。特定行為を法令上規定しなければ、「医行為の実施の条件(教育の付加、安全管理体制の強化等)が法的に位置付けられず、医療安全体制を現場に委ねることになる」と否定的に書かれていますが、その発想自体が医療の現場の医療安全への取組みを蔑ろにするものであります。医療現場がどれほど安全管理に配慮しているかが理解されていないものと考えます。常識的に考えても比較的高度な医行為を研修もせずに実施することはあり得ないからです。
 法令上に数十個の医行為を列挙し、それを追加・改廃していくことは机上では想定できても、現場での対応は容易ではなく、その混乱は想像に難くありません。法令上に位置付けることで、現場を縛り、かえってチーム医療を阻害するおそれがあります。比較的高度な医行為は研修を行い、医療安全に最大限配慮した上で実施するよう、ガイドラインで示すべきであります。
 3.認証のあり方、専門学会による認証。比較的高度な医行為を実施するにあたっての教育や研修については、各種専門学会等が協力して研修プログラムを作成すべきであります。そのプログラムに基づいて卒後研修として、院内外で研修を実施し、学会が理解状況を確認の上、修了証を交付すべきであります。ここには「試験をする」ということを追加しなくてはいけませんが、「学会の認証では質の水準に差が生じる可能性がある」というが、国がカリキュラムを策定する場合も、学会等の専門家の意見を聴取するわけであり、大きな差が生じるとは考えられない。実践者としての役割からすれば、ごく一部の認証を受けた看護師が実施できるよりも(具体的指示で一般の看護師も実施できるとしても)、なるべく多くの看護師が実践できる体制のほうが良いのが当然であります。医師がすべき行為を実施するわけではないため、必要な研修の内容や期間は自ずと現実的なレベルにおさまるものと考えます。
 4.在宅医療等における看護師の役割について。在宅における訪問看護師の役割の重要性は誰もが認めるところであり、認証の有無でその評価が変わるものではありません。訪問看護師が迅速なケアを提供するための工夫は、認証制度とは関係なく行われるべきであり、チーム医療推進方策検討ワーキングが作成した実践的事例集にあるような取組みを、現場に応じて広げていくべきであります。
 5.認証と能力勘案について。認証を受けたということと、実際に安全に実施できるということは必ずしも一致しない。認証は判断の一助であって、これまでどおり現場での医師の能力勘案は必要である。
 6.包括的指示について。本来包括的指示で足りるものであれば、行為や判断の難易度が低いものを対象とするのが常識的な対応である。現在、医療現場ではダブルチェック、トリプルチェックで医療安全の確保に努めている。なぜ難易度が高い行為の実施にあたり、医師への報告や、医師からの具体的指示を省略するのか。タイムリーな医療・看護の提供は大切であるが、医療安全を損ねては本末転倒である。
 7.チーム医療の実践について。高齢化の進展等により、さらなる医療のニーズの増加が予想される中、医師や看護職員の人材確保が課題となっている。認証制度の創設が、増え続ける医療ニーズに対応する適正な対策と言えるか。認証制度がチーム医療推進の要であるかのように議論することで、可能性のある他の対策を排除してしまうことを懸念する。また、これまで行われてきた業務拡大(静脈注射等)や通知で示されている役割分担も現場で十分実施されているか疑問である。一つひとつの実践なくして現場は変わらない。新しい制度の創設ばかりにとらわれることなく、様々な職種が現場でいまできる役割分担、連携・協働を確実に実践していくことのほうが重要である。それに資する議論が求められているのではなかろうか。
 我々としては学会認証という、いわゆる医学会が協力をして専門医と協働できる専門看護師を養成するということが大切であり、その安全にできる範囲、いわゆる看護師でも安全にできる医行為の範囲をワーキンググループで早く決めていただきたい。それは医師ができる範囲と看護師ができる範囲を明確に、ある程度分けることが必要であるということで議論を進めていただければ、学会認証であっても、安全性は、十分担保できると考えております。以上です。
○永井座長 ただ今ご説明がありました内容について、ご質問、ご意見等をお願いいたします。
○正木委員 本日は日本看護系大学協議会の片田の代理として出席させていただいております。A案とB案の間の試案が提示されまして、看護師の能力認証に関する具体的なイメージが、かなり出来てきたように思います。今回はこの試案を基本にしながら、2点意見を述べたいと思います。1点目は、先ほど藤川委員からあったように、医療安全に最大限配慮するということを考えたときに、資料3のおもて面の「特定行為の実施基準」の部分が、試案のところでは「厚生労働大臣が指定した研修機関で研修を修了した看護師が、医師又は歯科医師の包括的指示を受けて実施」とあり、かつ下に「看護師一般が衛生上危害を生ずるおそれのない業務実施体制の下、医師又は歯科医師の具体的指示を受けて実施」とあることです。
 本来、医療安全に最大限配慮するためには、一定の研修というのはどうしても必要だと考えております。その意味では、上の研修機関で研修を修了した看護師等はいいのですが、下の看護師一般の研修等が明記されないまま、医師又は歯科医師の具体的指示を受けて実施という部分は非常に危惧を感じ、ここの部分の文言は、例えば研修を受けたナースが増えるまでの期間の状況なのか非常に危惧するところで、この部分は削除されないのかということを、1点意見として申し上げたいと思います。
 2点目は、先ほどの「厚生労働大臣が指定した研修機関で研修を修了した看護師」とあることで、もう少しB案に近い形でと。と言いますのは、この認証制度は卒後教育になり、厚生労働省が指定する国家試験は既に終了していて、国家資格ではないということを考えると、医師、歯科医師、看護師等といったより専門領域の者が第三者機関を構成し、そこで研修を認証するという制度が最も適切ではないかと考えるからです。以上、意見を2点述べさせていただきます。
○永井座長 最初の具体指示の部分がないほうがいいのではないかというご意見ですね。
○正木委員 そうです。
○永井座長 いままでの議論の中では、いま行われていることに、とにかく影響が出ないようにしたいということで残っているのですが、具体的にいつまで、どのような形で残すのかというところはこれから考えないといけないと思いますけれども、事務局としてはこの辺りについてどうお考えですか。
○江口医事課長補佐 一般の看護師が特定行為を実施する枠組みは残すということまで骨子案の段階では整理をしておりまして、それ以上に具体的に、それを経過措置という形でやるのか、恒久的にやるのか、その場合の具体的な要件はどのような形で設けるのかということは、まさに今後議論していくことだと考えております。
○永井座長 また、藤川委員からご指摘のあった、医療の安全性が高まるというのは、今よりも高まるということですね。絶対的な安全性については、まだまだ議論があると思いますので、これは今よりも高まるという理解をしてよろしいでしょうか。それから、もう1つご指摘のあった専門領域に限定するというのは、専門領域ごとの研修をすべきだということですか。
○正木委員 いいえ、専門家による第三者機関を作るということです。厚生労働大臣による直接の認証ではなく、厚生労働大臣の認可を受けた第三者機関ということですけれども、これまでも第三者機関が認証を行うという意見は出ていたかと認識しております。
○永井座長 そちらに全部任せてほしいということですか。
○正木委員 はい。
○永井座長 その場合、国の保障はどのようなことになるわけですか。つまり、カリキュラムがバラバラだったり、レベルがどうなのかということです。
○正木委員 具体的な行為は、年度や社会ニーズに応じて変更していく必要が出てきます。それに関しては「省令等で定める」とありますので、省令改正は厚生労働省が直轄で行うと思うのですが、そことの兼ね合いで、第三者の認証機関を動かしていく、認証していくというイメージを持っております。
○永井座長 その点はちょっと大きな論点になると思うのですが、いかがでしょうか。つまり、専門家の集団があって、学会であったり、協会であったり、そこが研修先を決めていくわけですね。
○正木委員 研修がオーケーかどうかを。
○永井座長 オーケーかどうかをそこで決めると。
○正木委員 はい。
○永井座長 厚生労働省の今の試案は、厚生労働省が研修先を決めると。
○正木委員 そうですね、認定する。
○永井座長 その点について、しばらくご意見をいただきたいと思います。
○藤川委員 いま専門医の問題で第三者機関という表記がありますが、あれとはちょっと違うとは思います。専門看護師をつくるのに、専門医でなくては評価などはわからないので、各医学会、救急医学会とか心臓血管外科学会、脳神経外科学会などありますが、そのようなところは卒後研修カリキュラムを全部持っていますので、その専門医に応じた専門看護師をつくるということが、先端医療などする場合にも非常に大事なことなのです。それら医学会が加盟している日本医学会のようなところに作るというのも1つかもしれません。結果的に、学会の専門の先生方が集まって、専門看護師がほしい、こういう看護師をつくってほしいということになってきますので、厚生労働省が各団体、各専門学会に委託するような形はあり得ると思います。そのような形で専門看護師の認証をどこまで委託するのか。厚生労働省が新たに専門学会からメンバーを出して、20人ぐらい組むというのも1つの案ですけれども、結局、大学の教授の方々もみんな専門分野の専門家ですから、自分の専門外の分野のことはわかりません。第三者機関を作らなくても、学会認証ということであれば、各学会に委託するほうが現実的ではないかと思います。
○永井座長 まず、研修先を誰が決めるかという点ですね。
○正木委員 そうです。
○永井座長 しかし、いろいろな学会がありますから、そこはどうやって決めるのですか。
○正木委員 私の言葉足らずだったと思いますが、学会ではなく、そして専門領域を決めて専門家という意味でもないのです。専門家というのは看護師、医師等の特定の行為の能力認証に関係する方々で、自律的に第三者機関を動かしていく、そういう案になります。各学会のような専門領域に分かれた学会をイメージしているわけではないのです。
○永井座長 今回の医行為の問題というのは、グレーゾーンをどうするかなのです。そこに何らかの国の関与があったほうがいいのではないだろうか、国家資格であったり、国家試験であったりという話が先にあって、かえってその弊害も議論されたので、たぶん今回のような試案になってきたのだと思います。それをどこまで自主性に任せるかというところですが、いかがでしょうか。
○島崎委員 正木委員のご見解について確認をさせていただきたいのですが、資料1に試案の位置付けが図解されています。下の試案の位置付けのところで、?のA案として、特定の医行為を法令上位置付けるか、位置付けないか、まずそこで道が分かれると思うのです。正木委員のお考えとしては、特定の医行為を法令上位置付けるということについては、賛成ですか、反対ですか。
○正木委員 骨子で、基本的な考え方の部分になるということでよろしいですか。
○島崎委員 認証をどうするかという以前の話として、制度化と言ったときに、特定の医行為を法令上位置付けるのか、そうではなくて、そこのところは各学会なり協会なりに委ねて、その自律的な取組みに任せてしまうのかということで、道が大きく分かれると思うのですが、正木委員のお考えは、特定の医行為を法令上位置付けることについて賛成か、反対か、そのことをお伺いしたいのです。
○正木委員 そこは省令等で定めるということで、提示されている案には賛成です。
○島崎委員 その結果、特定の医行為を位置付けることによって、法律上の効果が変わってきます。そのことについては賛否あると思うのですけれども、これまで議論してきた考え方でいくと、特定の医行為を法令上位置付けることによって、医師の指示の態様が異なるという法律的な効果が生じてくるわけです。つまり、特定の医行為を位置付けると、特定の看護師さんがそのことをやるときには、医師の個別指示ではなくて、包括的な指示でいいという法律的な効果が生じます。つまり、そうした法律的な効果を生じさせることについては、賛成ですか、反対ですか。
○正木委員 それは賛成です。
○島崎委員 そうすると、法律的な効果が違うものに関して、国が能力の認証に関して一切関与しない、つまり、学会なり専門団体なりに委ねてしまう場合ことが、それが法制的に可能かと言うとクエスチョンマークが付くと思います。なぜかと言うと、法律的な効果が全然変わらないならともかく、法律的な効果を変える以上は、直接的な能力認証であれ間接的な認証であれ、そこは国がコミットせざるを得ないのではないかと思うからです。違う言い方をすると、資料1の試案の位置付けのところで、特定の医行為を法令上位置付けた上で、なおかつその認証については関係学会等が自律的に能力認証を行う、そのような組合せが可能なのかと言うと、それは法制的には難しいのではないかと思います。繰り返しになりますが、法律的な効果が違う以上、関与の程度はともかく国が関与しないという組合せ方はないと思います。
○正木委員 全く関与しないということは、論理矛盾が生じると思っております。ただ、この試案ですと、厚生労働大臣が指定し、専門家の意見は審議会等で伺うということになっております。審議会等で伺うという部分を、もう少し専門家が主体的に入ることができるような形が作れないかという意見として受け止めていただければと思います。
○島崎委員 それは議論のバリエーションとしてあり得るのではないかと思います。つまり、指定医療機関の指定の仕方であるとか、その判断枠組みについて、審議会の委員だけで決めてしまうのではなくて、その前段階として現場の生の声・意見をできるだけ反映するような仕組みを設けるということは十分考えられるのではないかと思います。
○永井座長 それは必ずしも丸投げではないということですね。
○正木委員 そうです。ただ、現場の状況の変化とか、そこを認知しているのは、やはり看護師や医師や病院の人たちですので、その意見が反映される仕組みで認証を行っていただきたいのです。
○永井座長 これについて、事務局としてはいかがですか。認証の仕方というのは、検討会や委員会を経ないで厚生労働省が外形基準で決めていくのか、もっと専門家が入った委員会で認証するのか、そこはどうですか。
○江口医事課長補佐 今回提示した試案のイメージの資料2をご覧いただくと、下から2つ目の○に、「指定機関の指定基準は省令等で定める」とあり、※には「指定基準の内容は審議会で検討した上で決定する」としております。併せて、もう1つ上の○には、研修機関の指定を個別に行う際にも、審議会の意見を聴かなければいけないという形で考えておりまして、この審議会は、当然のことながら医師、歯科医師、看護師等の専門家によって組織されると考えておりますので、研修機関の指定はより現場の意見を踏まえた形でやっていく枠組みにはしているつもりです。さらに、そこをより具体的に、先ほど島崎委員からお話があったように、現場の意見をもう少しきちんと汲み取ってやれるような枠組みで考えるということは運用の仕方で、そこは工夫の問題かなと思っております。
 一方、正木委員が言われたのは、研修機関の指定を民間に任せて、研修機関の指定する民間の団体に対して国が何らかの関与をする、認定をするということだと思いますけれども、座長からお話があったとおり、今回のこの枠組みというものは、グレーゾーンであった特定行為というものを実施するために、どういった教育が必要かということを議論していく中で、その教育を研修という形で義務づけることが必要だろうと。義務づける際の枠組みとして、そこには国が直接的に関与すべきだということで、今回提示した試案では、研修機関の指定については国が直接指定することで関与しておりますが、研修機関の指定について国が直接的に関与はできないということになると、特定行為を法令上位置付けて実施することを前提に考えた場合に、間接的な関与で果たして法制的に成り立つのかというところは、ちょっと議論があるかなと考えております。
○永井座長 いま医師研修制度の研修病院の指定は、この形で行われているわけですね。
○江口医事課長補佐 現在の医師の臨床研修については、国が直接指定をした臨床研修病院等で研修を受けるという枠組みになっております。併せて、今回提示している試案と同じように、個々の臨床研修病院を指定する際には、医道審議会の意見を聴かなくてはいけないと法律上規定されております。
○永井座長 いかがでしょうか。
○山本(信)委員 いまの事務局の説明と、藤川委員、島崎委員のお話を伺って、今回示された資料1にあるスキームと言いますか、試案については、これまでの議論がそれなりに踏まえられていて、Aでもない、Bでもないという意味では中間体でしょうけれども、医行為に位置付けて、かつ国が一定の関与をするという意味では、これまでの議論を踏まえたものだという理解をしております。ただ、先ほど藤川委員のご指摘にあったように、医療安全や現場の状況を考えてみると、特定の医行為を法令上位置付ける項目が、まだここでは詳細に見えていない。
 資料2を拝見すると、カリキュラムの作成については下から2つ目、3つ目辺りでそれぞれ一定のもの、標準を示すということですから、それはどのような行為が位置付けられて、それに必要なカリキュラムが要るかという部分がありますので、まだ示されない状況ではありますけれども、こういった案はいいのかなと。ただ、その一方で、具体的に行為が示されれば、仮にこの考え方とずれるものがあれば、やはり一定の意見を申し上げなくてはいけないという意味では、まだ出ない状態ですから意見は留保したいという気がいたします。
 その一方で、資料2には○が5つあって、それぞれに審議の場あるいは審議会という言葉が3つほど出てきます。医師、歯科医師、看護師等となっていますが、ここは看護のワーキングの話ですし、看護の能力ですから、それに直接関わる方々というだけで、他の医療職は「等」で括られているのだろうと思うのですけれども、少なくとも1つ目の○に書かれている看護師等の専門家が参画する審議の場の中には、当然、これまでの議論と同じように、私は薬剤師ですから薬屋のことしか申し上げませんが、薬剤師も当然並ぶべきだと思っておりますし、併せて言えば、下から3つ目の○の審議会あるいは4つ目の審議会についても、チーム医療あるいは医療安全という観点からはそれぞれの業務が当然重複してきますので、これまでのワーキングの議論もそうですけれども、こうしたところには、等で括られてしまっていますが、必要な専門家をきちんと配置し、議論する場をセットしないと、医療安全という観点からは担保できない。そのような意味では、やはり国の一定の関与というものが必要ではないかという気がいたします。
○大久保委員 能力の認証のあり方を考える際の最大のポイントですが、やはり質の確保と安全性の担保という視点になると思います。そのためには国の承認、認証への関与が不可欠であると考えております。また、今回出された試案ではいままでの骨子案と違い、能力を確認するための試験がないのですけれども、それで本当に質が確保できるのか、そして安全性を担保することができるのかという大きな懸念があります。もう1点、やはり専門家の関与というのは必要だと思います。今回提示されているように、審議会を持ち、安全性の担保と質の確保を、均一化の視点でも検討していただくことが望ましいと考えております。
○永井座長 専門家がどこまで、どのように関与するか、審議会にしても、できるだけ専門家の意見を尊重するということは、大久保委員あるいは事務局としてもよろしいわけですね。その辺についてのお考えをお聞かせいただけますか。仮に審議会を設けるとしたら、どんな構成になって、どのぐらい専門家の意見が尊重されるものなのか、医師の臨床研修制度の例を取っていただいても結構です。
○田原医事課長 審議会を作る場合、どれだけ専門家の意見を反映するのかというお話ですが、ここに列挙しているのは、医師、歯科医師、看護師で、それ以外の職種あるいはこの内容に関連する専門家に入っていただくということは、十分あり得るのではないかと思います。この場では、どのような専門家が参加するのがいいのかといったことも含めて、おそらく議論されると思いますので、そのようなものを踏まえて実際の審議会の委員を選んでいくことになるのではないかと思います。仮に、非常に専門的なことをさらに詳しく議論するということであれば、その審議会の中にそれぞれの専門的な小委員会のようなものを作って議論することもあり得ると思いますので、そこはある意味運用ではないかなと思います。国が審議会に対してどのように関与するのかという視点で議論していただければと思います。
○宮村委員 資料2の能力認証のところを、いま具体的に議論していていいのかどうかは別として、これを見たときに、薬剤師会から「等」で括られてはという意見がありましたけれども、「歯科医師の」という文言もやっとみんな入っていて安堵したところです。それはそれとして、資料2骨子案の最初の○ですが、例えば、臨床研修制度などで、私達も歯科医師の能力、質を高めていくことを考えるときに、判断力や理解力に加えてスキルというか、安全性は実践的な技術があるか、ないかで決まっていく感じがしています。そもそも特定看護師(仮称)をつくるというときに、かつて議論されたと思うのですが、この骨子案の1つ目の○では、「高度な理解力、思考力、判断力」と書かれていて、技術的なことは何も触れられておらず、「その他」に包含されているというのは、医療の現場で具体的にやるときに、ちょっと問題があるのではないかと思います。
○永井座長 つまり、スキルという言葉ですね。
○宮村委員 実践的な技術というものと判断の両方がないと、これはちょっといけないのではないかなと。
○永井座長 それはよろしいですね。当然、それは踏まえての話ですね。
○田原医事課長 そのとおりです。
○宮村委員 その他に入るというのはどうかなと思うのですけれども。
○田原医事課長 「実践的」というところにも少し込めてありますけれども、この表現はこの場でまたご議論いただいて、修文することは可能かと思っております。
○山本(信)委員 先ほどの田原課長のご説明は、極めていつもと同じお答なので、なるほどなと思っております。入っています、たくさんあるから書けませんというのはよくわかるのですけれども、それで常々私どもは置いてけぼりを食っていたのです。わざわざ全項目を書けとは申しませんが、少なくとも医療安全という観点からすると、医薬品に関わる事故ないしは医療不安全の原因となることは多いわけですから、この中に書き切れないのであれば「等」で致し方ありませんが、あえて申し上げますと、薬剤師を必ず入れていただかないと、まさに医療安全は担保できない。医薬品安全が担保されないままに、国の医療安全あるいは患者の医療安全は担保できないわけですから、こうですよといういつもの防ぎのお言葉ではなしに、これだけはきちっと申し上げておきたいと思います。
○田原医事課長 医薬品の安全に関する議論をするときには、薬剤師さんが入るというのは当然ではないかと思います。
○山本(信)委員 行為として医薬品は関わるわけですよね。現に203項目の中には、それなりにきちんと医薬品絡みのことがかなり入っていて、B1、B2の中にも数十項目と言いながら、医薬品が現に挙がっているわけですから、あったらやるよというのは、いささか後ろ向きというか、やる気がないのかなという感じがするのです。
○半田委員 同じく項目についてのことで、もともとはチーム医療を推進するための会議だったのですけれども、203項目が出された途端にチームが崩れたのです。我々コメディカルの間で非常に大きな問題になってしまった、そういう論議の過程が大事だと思うのです。一方的に203項目がポンと出るようなことが今回も混乱を来したということからすると、個々の「審議会」という名前になるかどうかわかりませんけれども、作りが非常に大事だと思うのです。あくまで目的はチーム医療を推進するということで、これを忘れてはならないと思います。
○永井座長 看護師が今抱えている問題を整理して、グレーゾーンを整理しないと、連携と分担ができないということです。論理としてはそういうことでご理解ください。それから看護師以外のことは、また別のワーキングで検討しております。いずれにしても、審議会の作りが大事だということですね。何らかの国の関与は、先生はあったほうがいいと。
○半田委員 何らかの関与はあるべきだと思っております。
○藤川委員 いま試案について議論がされていますが、試案の真ん中の肝心な「特定の医行為」というのがまだ決まっていないのです。ワーキングのほうで大激論がされておりまして、昨日の日本医師会の常任理事会に方策ワーキングの報告がありましたけれども、皆さんからさまざまな問題があるという指摘を受けました。1つは、コメディカルの中でも看護業務に関わる問題、例えば点滴を確保する問題は、診療放射線技師のところでも議題になりましたし、検査技師のほうでも、採血はいいが、血管確保するのはどうか。現在は法律違反ですけれども、いかがかという議案も出てきております。医行為、いわゆる医師がすべき行為の中に看護師が業務拡大で入ってきたときの問題だったのが、チーム医療である以上は、いままでは診療の補助としての看護業務に、ほかのコメディカルが業務拡大で入ってきたという問題がワーキングで大激論になっているわけです。厚生労働省に聞くと、そのような問題も次回の会議でまた議論するということですが、特定行為そのものが現実に決まっていない段階で、枠組みだけを全部決めていくこと自体が、ちょっと尚早かなと思います。
もう1つ、看護師籍に登録するということは国家資格を新たに作るということですから、我々は最初から根本的に反対していますし、日本医師会としては、この試案に対しては全面的に賛成できない。まず最初にやるべきことは、特定行為の範囲を決めることです。その範囲がある程度固まってきたところで、親会議で認められてから、次のステップとしてやっていくべきことがフライングして出てきていることに議論が噛み合わないのではないかと思っております。
○永井座長 実際にもうだいぶ出てはいるのですが、位置付けはどのように考えているのですか。
○田原医事課長 特定の医行為と教育内容については、いまワーキンググループが議論しておりますが、次のワーキンググループの会議である程度整理できましたら、関係団体あるいは関係学会に意見照会をして、整理をして、このチーム医療推進会議に報告したいと思っております。ただ、その辺縁、どこまでの範囲なのかということはいろいろ議論がありますけれども、ある程度特定行為と言われるものがあること自体は、皆さんに大体ご了解をいただいているかと思いますので、それを前提に枠組みをご議論いただいて、最後にワーキンググループとして特定行為や教育内容について、このような形にある程度まとまりましたというのを見て、その枠組みについて最終的な調整をしていただければと考えております。
○太田委員 何を、誰が認めるかという話で、「何を」の話ではなく、いまは「誰が」の話だと思うのです。いつも在宅の話になって恐縮ですが、医師会のコメントに、「在宅医療における訪問看護師の役割の重要性は」という文言があって、これは誰もが認めるところであり、全くそのとおりなのです。今後は基礎自治体には地域包括ケアシステムの構築というミッションが課せられているわけですが、地域包括ケアシステムというのは5つの領域から成り立っていることはご存じだと思いますけれども、地域包括ケアシステムの中の、1つの医療という領域の大部分を担うのが、実は訪問看護師だと思うのです。認証の有無で評価は変わらないけれども、今後は訪問看護師に対してさらに期待が高まっているわけです。
 そうすると、やはり訪問看護師に対しての能力認証は非常に重要なことになってくると考えております。先ほどの藤川委員の話にあった専門性という問題については、あくまでも臓器別とか疾病別での話なのです。訪問看護とか在宅医療というのは、実は臓器別医療の学問体系の中ではなかなか語れない領域で、言うなれば内科でもないし、外科でもないのです。もっと言えば、思想はリハビリテーション医学に共有するものがあるのですけれども、在宅医療に関わる能力を認定する第三者機関と言いますか、民間の機関というのがちょっと思い当たらないのです。そうなると、国がもう少し強く関与してくれないと困るなと思います。
 また、看護の能力を診療の補助と療養上の世話と大きく2つに分けて考えているようですが、実は在宅看護、在宅医療というのは、療養上の世話というところもかなり大きいのです。療養環境を整備することもそうですが、予防という視点も必要ですから、診療の補助の中の議論では、訪問看護師の能力はなかなか測れないわけです。したがって、在宅における看護師の能力に関しては、診療の補助と療養上の世話の両方にまたがった領域の能力が求められていることは明らかだと思いますので、国が関与しなければ、なおさら能力を担保することは難しいのではないかというのが私の意見です。
○永井座長 少なくとも最初はということになるのでしょうか。何年かやってみて、変わるということもあるのでしょうか。それはどのような段階で見直しが図られるのでしょうか。どうもスタートには国の関与が必要のようですが、軌道に乗ってきたときにどう考えるかということもあると思います。
○田原医事課長 スタートに国の関与が必要だということであれば、制度をずっと運用していって、それで何か大きな制度変更が必要であるとか、あるいは国の関与はもう必要ないなどといった大きな話があれば別ですけれども、基本的には制度の枠組みは維持したまま、程度を変えていくことはあり得るかなと思っております。
○藤川委員 いま名前が出ましたのでお答えいたしますが、先生が言われたように2つあると思うのです。診療の補助に関しては、先生が言われるように医学会が応援すればいいことです。もちろん在宅専門医がおりますから、在宅専門医と連携をする。医師の下での看護師であって、訪問看護師が勝手に診療の補助はできないわけです。往診をする在宅の担当医がいるはずで、いないところで訪問看護師が単独で動くことはあり得ないです。これは基本です。病院であれ、診療所であれ、在宅であれ、原則、医師の指示の下でしか動けないわけです。指導する医師が必ずおりますから、専門的な診療の補助に関しては心配は要りませんし、研修もできます。
 もう1つ、療養の世話であるならば、看護大学があるわけです。看護系の大学で療養の世話のプロフェッショナリズムとして勉強する分野は認定看護師でもあるわけですから、そこで研修すればいいわけです。それが両方ともないから国にまかせればいいというような表現はあり得ない。実際に現在、医療現場で十分やっているわけですから、指導はできると思います。
○太田委員 品のない切り返しになると申し訳ないのですけれども、在宅医療の専門医というのは、例えば誰が、どこで養成されているのですか。
○藤川委員 現実に、在宅の専門医として全国で活躍している医療機関はたくさんあります。それは、調べたらすぐわかるのではないですか。
○太田委員 具体的に在宅医療の専門医というのは、日本在宅医学会はありますけれども。
○藤川委員 在宅を専門としている医師のことです。往診をしている医師、在宅を専門としている医師は全国にいますよ。
○永井座長 ばらつきをどう少なくするかということだと思うのです。
○藤川委員 標準化するということは大切です。
○永井座長 それなりにおられるでしょうし、おられない所もあるのだと思います。制度として定着させるには、ばらつきをどう少なくして、均一化していくかということを考えないといけないと思います。
○太田委員 在宅を専門にしている医師がそんなにいるとは、私はあまり認識しておりません。外来の延長で在宅をやっている先生はいると思います。
○永井座長 全体として論点が3つあるのです。特定の医行為を法令上位置付けることと、国が研修機関を指定する話と、研修修了者を看護師籍に登録するという3つの論点があります。最初のところは大体よろしいのですね。法令上位置付けるというのは、前にも一度議論しております。
○小川委員 いま座長がまとめられたように、要するにグレーゾーンがあって、それをきちんと位置付けるのであれば、法的に位置付けるしかないというのが座長のお考えだと思いますし、先ほど島崎先生が非常にクリアカットにまとめられたのですが、特定行為を法的に位置付けるのであるとすれば、国の関与は必須であるということだろうと思うのです。それで先生がいま整理された2点目までは大体クリアされると思います。問題はもう少しありまして、特定行為がまだ確定されていないことがグチャグチャしている原因だと思うのですが、実施しようとする特定行為をどのようなところで、どのようなプログラムで研修するかという、資料2の下から2番目、3番目の○、教育というのが非常に重要なところだと思うのです。教育をどこでやって、技術をどこでトレーニングさせるかというところになると思うのです。
 そこで、有賀先生に質問なのですが、資料2の2つ目の○の実施しようとする特定行為、「実施しようとする」と書いてあるのですけれども、実施しようとするということは、いくつかのプログラムというか、いくつかのコースがあると理解せざるを得ないですよね。要するに、203項目すべてを全部できるというのはあり得ないわけですから、こういう特定看護師さんと、こういう特定看護師さんということになるのだろうと思いますが、ここのところの整理をしないと、教育課程が決められなくて、研修機関の指定とは言うけれども、「研修機関って、何」ということになってしまう。研修はどこでやるのかということと、4番目の○の研修の枠組みが決められないということで、そこがファジーだから議論がなかなか進まないのではないかと思うのです。
○山口委員 私も同じような感じを受けております。資料1の試案にA案、B案と書かれていますが、座長が言われたように、その内容で問題になる点は3点あり、1つは特定の医行為は何かということをどう決めるかという話と、それが決まったときにどう研修するかということと、研修の結果として、能力認証をどうするかという、その3点があるのです。しかし、試案には?、?という項目があって、A案では研修は研修の内容も含めて国が基準を示して、研修が終わったことをもって能力認証をするということで、2番目と3番目のポイントが書かれているのですが、B案には研修については何ら触れられていないのです。したがって、B案のほうには1番目と3番目の問題については答があるけれども、真ん中の研修をどうするかに関しては何も触れられていないということが、いろいろな話が明確にならない原因なのではないかと思います。
○藤川委員 よろしいですか。B案についてです。私たちは学会認証と言っていますが、実習病院は、各学会が認めている研修病院、研修医が専門医になる場合の研修病院があります。それと類似してくるだろうと思います。やはり専門医がいる所で専門看護師が活躍するというのが普通ですから、研修病院はその学会が認める研修病院になるので、厚労大臣が認定するものと類似してくると思います。問題は、いま看護大学の大学院で2年や8カ月やるという話になっていますが、専門医と同じように、救急専門看護師であるならば、実務5年はあくまでも救急部門の病棟ないしは外来に5年間いた者がそこで初めて専門看護師の受験資格を得るということにしないといけない。皮膚科や眼科や在宅などバラバラに実務経験のある人が、突然、心臓外科の専門看護師になるために8カ月ないし2年行って特殊技術を学ぶなどということはあり得ないのです。あくまでも実務は専門看護師になる分野で実施した実績がなければ現実には専門看護師にはなれないわけです。我々としては、それも学会認証の受験資格の条件として入れたいと思っています。
○北村委員 話を整理しないとわからなくなっています。特定業務を行える看護師のための8カ月コースと2年コースがどうなっているのかということ。また、特定行為をするためには専門とか認定という関わりはなかったですね。コースではなくて、特定業務ができるナースをどう育てるのか。その辺の話がいま専門コースなどの形でされている。このことを整備しないとおかしくなる。
 それから、前回も話がありましたが、医行為を法律上どのような形かで定めなければならない。それは今後、チーム医療の看護ワーキンググループと各団体などが、いろいろな形でこれをどうするのか議論する。何項目かありますから、203項目のうちの絶対的医行為や医行為でない範囲、AとかEなど、それを排除しながら中味をどこまで絞っていけるのかが必要だと思います。それは政令の中で明記していただきたい。
 また、医療安全を考えた場合に、看護師が仕事をしやすい形にするためには、やはりしっかりした認証が必要になる。国がある程度関与できるような認証が必要になるだろうと思います。
○永井座長 事務局に伺います。いまの2年と8カ月の研修についても審議会等で決定するということですか。
○田原医事課長 そうです。どのような領域に分けるのか、また、領域に分けたときにどのような教育が必要なのかも併せて、いまワーキンググループで議論いただいています。その結果をこのチーム医療推進会議に報告したいと思います。「実施しようとする特定行為に応じた研修を受けた看護師」という表現については、いくつかの行為の固まりがあるとしています。例えば、救急領域でのある行為に対する研修が考えられますが、ワーキンググループはこれを「8カ月コース」として議論しています。そのような領域がいくつかあります。また、実施しようとする特定行為が幅広い場合もあるだろうとして、ワーキンググループでは、203項目の中の特定行為とされるものすべてができるような形での研修として「2年コース」として議論しています。2年であろうが8カ月であろうが、「実施しようとする特定行為に応じた研修を受けた看護師」という表現は影響を受けません。その内容についてはワーキンググループで議論をしていて、その結果をこちらに報告したいと思っています。
○永井座長 いずれにしましても、全員の方ではありませんが、審議会による何らかの関与についてはやや賛成の方が多いように思います。それがなければ看護師籍登録もないわけです。そちらの議論に移る前に、医行為の法令上の位置付けと、研修機関の指定に関する国の何らかの関与、全くフリーではないという点についてはよろしいですね。
 むしろその後が問題になってくるのです。研修した後、看護師籍は、何とか番号第何号のようにするのか、それぞれの研修先でどの人が修了したかを管理しておけばいいのか。それが3点目の議論になります。それについてご意見をいただけますでしょうか。
○藤川委員 我々、整形外科は、スポーツやリウマチの専門医などを持っていますが、きちんと認定証を学会からもらって、外来にも飾って「見える化」をしています。でも、国の医師免許証に、この人が専門医の何を持っているという登録はしないのですから、看護職だけが登録するということは、まずあり得ないと思います。
○永井座長 いかがですか。ただ、何か、研修を受けたというものは必要ですね。それは調べればわかるという形にしておくのか。この点についてはワーキンググループではどのような議論になっているのですか。
○有賀委員 その点については、それこそ、親会に任せようではないかという話になっていると思います。そうは言っても、この委員会の中の委員の1人として有賀の意見を述べます。先生の言われるように何らかのコミットメントは必要だろうと、皆、漠然とは思っていると思います。8カ月コースであれ2年コースであれ、教育のプロセスについてのコンセンサスを得るべく、いま議論が進行しています。看護師籍は、おそらく医籍と同じようなやり方で、例えば私も先生も医籍登録の番号がありますが、その番号に加えて最近は、新臨床研修制度になった後の臨床研修を終えたドクターたちはもう1つの医籍番号を持っているのでしょうか。私も見たことがないのでわかりません。そして、専門医については、例えば救急医学や整形外科など基礎科目については、どこの病院でいつ外来をやっているかというところまではわかりませんが、東京都にはこういう人がいるということはインターネットでわかるようになっているのではないかと想像します。その辺は最終的には実効的にどのように国民にとってわかりやすくするのかということなのではないかと思います。
○田原医事課長 臨床研修医の登録の仕方は、臨床研修医として別に番号が振られているわけではありません。医籍に登録することによって医師としての免許が与えられるのですが、その医籍に、臨床研修を修了した旨が記載され、登録した旨の登録証をご本人に返すという形でやっています。看護師籍への登録は、それと同じようなイメージを持ってここに書いています。
○永井座長 つまり、何か免状のようなものが出て、通し番号が出るということでは必ずしもないのですね。
○田原医事課長 そうです。修了して登録した番号が出るのではなく、医籍の番号ですね、その人のIDナンバーです。その番号で、いつ修了して登録したことを認証するという形でご本人にお渡ししています。
○永井座長 いちばん懸念しなければいけないのは、職員として採用するときにどう裏付けを取るのかということです。その仕組みは最低限必要になります。そのときに、厚労省に問合わせすればわかるという仕組みにしておくということですね。
○田原医事課長 もちろん、そのような趣旨で看護師籍に登録するということです。
○永井座長 あるいは、登録証なりをコピーして提出してもらう。
○田原医事課長 そうです。
○永井座長 その仕組みの話ですね。新しい身分として看護師番号が出るというわけではないのです。
○有賀委員 誤解していました。
○永井座長 看護協会の大久保委員、いかがですか。
○大久保委員 いまお話があったように、何か証明するものは必要だと思います。先ほど永井座長がおっしゃったように、就職の際に身分を提示するものは必要だと思いますので、そういった用紙は出していただきたいと思います。登録については、臨床研修医の登録制度と同じような方法、でいいのではないかと考えます。
○大谷医政局長 試案に「籍」という言葉が入っていて確かに重く響きますが、とにかく、本人も採用する側もはっきりわかればいいということが最大の眼目なので、やり方については具体的に詰めたいと思います。事務局の試案として「籍」にそれほど拘っているわけではありません。
○山本(信)委員 ここでの議論から外れるかもしれませんが、薬剤師は籍がないのです。たしか籍がありませんので、どこに載せるかというと名簿になるのです。チーム医療から離れてしまいますが、少なくとも、どのような形で認証なり認定を受ければ看護師籍なり医籍なりに載るかというと。
○有賀委員 薬剤師もあります。
○山本(信)委員 それは籍とは言わないのです。名簿なのです。
○有賀委員 薬剤師籍とは言わないのですか。
○山本(信)委員 言わないのです。籍がないのです。医薬の話になるかもしれませんが、認定を受けて研修が済んで看護師籍に登録するとなると、薬剤師の場合は、例えば癌専門薬剤師のようなものは認定を取ると、そういう薬剤師だということを名簿に書くということと同じイメージでいいのでしょうか。いまはたまたま紙1枚ですが、薬剤師法の中でいうと、そういったものを登録するというイメージを想定すればいいのでしょうか。
○田原医事課長 薬剤師の名簿管理については現時点では詳しくわかりませんので、それは改めて説明したいと思います。
○山本(信)委員 籍のない者からすると、籍と言われるととても立派なように見えて、「お前らはただの名簿だ」というと悲しい気がします。そこは是非確認して、並べられるような方法もお考えいただきたいと思います。
○藤川委員 薬剤師会を支援したいと思います。診療放射線技師も専門分野を10個ぐらいと作りました。専門管理栄養士とか専門リハビリ士など専門何とかというのは出てくると思うのです。例えば、呼吸専門のリハビリであったり、脳卒中であったり、整形であったり。そうなると、専門的な肩書きが付くたびに国家認証の問題と籍に入れるかどうかの問題になります。これはチーム医療の推進会議なので、すべてのコメディカルに共通した、ある程度標準化したものを議論しておかないと将来的に問題になるのではないかと思います。
○田原医事課長 先ほどの薬剤師の名簿の話について補足です。行政処分を受けたときに再教育研修があり、再教育研修を受けた場合には名簿に記載することになっています。同じような形で、教育を受ければ名簿に記載されるというイメージを持っていただいても構わないのではないかと思います。
○藤川委員 それは悪いことをした場合でしょう。研修した人と同じように、悪いことをした人も載るから名簿に載せろというのは、いささかそれは違いますね。ほかのことも同じですか。
○田原医事課長 医師、看護師もそういう枠組みになっていますので、教育を受けたこと、あるいは研修を修了したことを籍に載せるという意味では同じだと申し上げています。良い研修なのか悪い研修なのかという意味合いではありません。
○島崎委員 看護師籍に登録することの目的は何かというと、指定した研修機関での研修をきちんと修了したことを公証するということだと思うのです。それがなぜ必要かというと、先ほど座長が言われたように、例えばある人を採用したり、ある人にこういうことをやらせようと思ったときに、きちんと研修を受けて修了したかどうかを確認することが必要だからです。そうであれば、看護師籍に拘る必要があるかどうかは技術論の問題かもしれません。事務局に伺いたいのですが、痰の吸引の話で同じような議論をしなかったでしょうか。正確に記憶していなくて申し訳ないのですが、介護福祉士などのことについて、名簿や台帳を作ってそこに登録して、一定の研修を受けたかどうかを公称するという仕組みを考えた類例のようなものがあるのではないかと思うのです。
○江口医事課長補佐 前回のチーム医療推進会議で、資料として、類例のようなものをいくつか他制度を一覧表で出しました。その中に、いま島崎委員がおっしゃったように、制度改正によって介護福祉士が痰の吸引等の医行為ができるという枠組みが作られました。介護福祉士の教育課程の中でそのようなカリキュラムが盛り込まれて、実際に試験もそれに応じた形でやっていく、これが平成27年度から実施されることになっています。平成27年度以降に新たに介護福祉士の資格を取られる方は、介護福祉士の資格を以て制度上で痰の吸引等の医行為ができるとなっています。現在介護福祉士の資格を持っている方はそういう教育を受けていませんので、経過措置としてどうするのかという議論があったと聞いています。介護福祉士法の附則の中に、現在介護福祉士の資格を持っている方については大臣が指定する教育課程を受けて、その後に厚労省に申請すれば、そういった研修を修了した旨を、国が管理する介護福祉士の名簿の中に登録して、登録証を交付するという枠組みになっていることを紹介しました。もう1つ、同じような枠組みで、社会保険労務士についても、一定の業務について研修を修了して試験を通った特定の社会保険労務士しかできないという制度があります。この場合も、研修を修了した旨を社会保険労務士の名簿に登録して、本人に対して登録証を交付する枠組みが既存の制度としてあります。
○半田委員 看護師籍にするかどうかという問題よりも有効にどう使うかという話です。看護協会の認定看護師というのは、そのような仕組みはありませんが非常に有効に使われています。認定看護師さんを採ると、病院の中でそれなりのポジションを得てきちんと活動していて、非常にうまくいっています。厚労省がその人たちをすべてコントロールしているわけでもなく、看護協会が自ら認定を与えて、それが医療機関ではスムーズに展開されていて有意義に動いている。これを有効にするために、厚労省が何らかの形で管理しなければならない理由がわからないのです。
○永井座長 グレーゾーンだからなのです。認定看護師はいまの法律の範囲内。
○半田委員 例えば褥瘡などはもうやっていますよね。
○永井座長 ですから法律の範囲内で、今回はグレーゾーンに踏み込んでいることを。
○半田委員 それはわかるのですが、システムとして考えたときに、同じようなシステムの中で汎用化できるような気がするのです。
○永井座長 登録の仕方のようなことですね。いかがですか。
○田原医事課長 その点は、先ほど局長からも申し上げましたように、何らかの工夫ができるのではないかと思います。この議論を踏まえてその辺の整理をして、次回以降に議論を深めていただきたいと思っています。
○永井座長 認定看護師さんの場合には看護協会1本です。そこに問合わせすればわかるのです。今回は複数の、たくさんの学校や病院で研修するとなると、時代と共に消えてしまうかもしれません。そういう意味で国が把握していたほうがいいということだと思うのです。
○田原医事課長 看護師籍に登録したほうがいいという試案の趣旨は、一元化をしたほうがいいのではないか、また、看護師籍があるのでそこがいちばんわかりやすいのではないかということです。
○永井座長 必ずしもそれに拘る必要はなくて、どこかコンピュータに登録台帳を作っておくということでもいいのですね。いざとなればそこを参照できるように。
○田原医事課長 その辺は技術的な問題だと思います。公的に一本化するのか、それとも研修機関それぞれでバラバラに管理することがいいのか、ということだと思います。
○山本(信)委員 1点だけお願いしておきます。先ほど藤川委員もおっしゃったように、チーム医療の中でばらつきが出ると困りますので、薬剤師を所管する課と名簿の在り方について是非検討してください。悪いことをしない人もきちんと載る形にしてください。籍がないのはお上と我々ぐらいだけですから、籍がない以上はそれをきちんと担保する方法を作っていただきたいと思います。
○江口医事課長補佐 1点だけ補足します。籍と名簿という名称の違いはありますが、医療関係の資格については必ず公的に名簿なり籍の形で管理することが法律上位置付けられています。そこは名称の違いだと理解していただきたいと思います。
○山本(信)委員 それは理解しています。ここの議論ではないでしょうけれども、医薬のほうと調整してください。でないと、並んだときに困ります。
○大谷医政局長 もう一度、申し上げますが、籍というものに拘っていません。技術的にきちんと整理します。ご意見はよく承りました。
○正木委員 最初に1点目の意見として申し上げたことをもう一度発言します。基本的には、この行為は研修を受けた看護師が行うことを原則、あるいはどんどん進めたいと考えています。その意味で、看護師一般が医師又は歯科医師の具体的指示を受けて実施というのはあくまでも経過措置という、その点が明確になる形にしていただきたいと思っています。
○永井座長 これはいかがでしょうか。
○田原医事課長 それは資料3の「衛生上危害を生ずるおそれのない業務実施体制の下、医師又は歯科医師の具体的指示を受けて実施」のところについてだと思います。「危害を生ずるおそれのない業務実施体制」は、これもワーキンググループで議論する予定です。この中には医療機関の体制も当然含まれますし、また、一定の研修も想定されますので、いまのご意見も踏まえてワーキンググループで議論ができるような形にすることは可能ではないかと思います。
○永井座長 これはさんざん議論して、グレーゾーンを明確化することによる弊害をどう防ぐかです。特に藤川委員がおっしゃったように、それは確かに多くの方も理解されているので、やはり状況を見ながらだと思います。
○有賀委員 いまは看護師さんの行う特定行為という形での議論に花が咲いて、それはそれでいいと思います。2年間大学院で勉強しろとか、認定看護師などの現場でそれなりに一定の水準になった人たちに8カ月の教育をしてからというような、どちらかと言うとハイレベルの話がある。それから、何らかの勉強プロセスを病院の中で設定する次のレベルの話がある。例えば臨床研修医などであれば中心静脈を取る作業は勝手にやるなとなっていて、病院の中でそれなりの作法をきちんと身につけて、最初はシミュレーターを使ってやるなどあります。いずれにしても診療の補助の対象となるようなものを病院が組織的に教えるような勉強のプロセスを持つ。さらにもう1つ、松竹梅で言うと梅コースで、もうここまで看護師さんたちの水準がきているので、いきなりこれはもうどんどんおやりなさいというような、国のお墨付きというか、通達のような形で、ABCのCランクです。
 いまの議論は、Bについてはこうなさい、Aはこうです、という話になっています。各ランクについて、こうなければならないということを、何年後かにはそうしてしまおうということになるのかどうかは何もまだ議論をしていません。しかし、もともと診療の補助から切り込んだときには、むしろ現在の教育の中で、とにかく患者さんがそこにいて医師と看護師さんがそこで奮闘している。もちろんチーム医療ですからほかの職種もいますが、そこで看護師さんにとにかくやってもらわなければいけないとなって、現に比較的難しいと思われるものもそれなりに行われている実態がある上で、この議論が出発しています。
 ただし、ここで議論されているテーマが、例えば経過措置だという形であっても、天から降ってきたルールが現場を拘束するような仕組みは、まずいのではないかと思います。30年後、50年後は知りませんが、少なくともこのルールを作ってから10年、15年ぐらいは、特定看護師さんが「こんなにいてもうどこも困らない」状況であれば、いまのような話はあってもいいと思いますが、そうではないので、その部分は柔軟に構えていないと、霞ヶ関で馬鹿なことを決めたので医療がバラバラになってしまったというようなことになりかねない。そういうことを理解する必要があると私は思っています。
○宮村委員 藤川委員や北村委員の意見は大いにわかる部分があります。現場から沸き上がってきた要請、つまりそれはグレーなゾーンであったり能力的な問題に対応して特定な人材が作られなくてはいけないと思うのです。資料2の理念となっている1つ目の○について、先ほど事務局から、「技術はどうなのだ」ということを「実践的」という文言に含めてあるというニュアンスの説明がありました。現場から言えば、プラクティカルな実践的な技術と、特に知識はテクニカルな机上のものではなくて、実践的な知識が要るのです。したがって、特定看護師をつくるという理念になる。そうでないなら、いまの現場に任せてくれという藤川委員等の意見に抗し切れないと思います。このところを考え直してほしい。技術的なものが実践であって知識は実践ではないというのは、私は間違いだと思います。ここは考えて作っていただきたいと思います。
○永井座長 それはよろしいですね。もう少し技術やスキルを。
○田原医事課長 はい。考えて次回以降に示したいと思います。
○有賀委員 よろしいですか。先ほど話しましたように、比較的難しい、それから中等度、さらに比較的易しいと、三段階に分けたとして、そのいちばん上のものについては、いま先生が言われたように、テクニカルにかなりの知識とハイレベルな技量を発揮しなくてはいけないだろう。そういうものがあることは、もうわかっているのです。ただ、「包括的な指示」と言ったときに、医行為の連鎖になることがしばしばあります。こういうことなのでこの薬を渡す、その結果がこうだったのでこうしましょうという、その1つひとつの作業そのものは「これをお飲みください」と言うだけのことかもしれません。1つひとつの作業そのものは高度な技量を要するわけではないけれど、その患者さんにこれを提案して、それを実践して、その次、その次という、その一連の行為の連鎖には高度な判断が必要であるということを考えなければならない。まだ決まっていないので、ここでは先に進むのはしんどいという話がありましたが、前者で大変なものと後者で大変なものを分けて、特定行為の確定的なレベルまで話を持っていこうということになっているのです。
 現在、特定看護師の教育を受けた人が現場で働いていること、何と言いましたか、「業務試行事業」の様子を私たち委員が実際に見る機会や報告を聞く機会がありますが、藤川先生がおっしゃるように、医師でないと極めて危いような行為をしているかというと、相当程度に慎重にやられているというのがどうやら実態です。ですから、この勉強をしたらこれほど難しいことができるというような、ウルトラC的な看護師さんが数カ月又は2年の勉強でできるというのではないのです。ここから先は私の言っていることは正しいと思いますが、8カ月にしろ2年にしろ、そのような勉強をした暁に、どのような形であれワッペンをもらって現場に入る。現場に入ったときに、場合によっては薬剤師さんやリハの技師さんや医師たちと一緒に勉強する中でだんだんできていくということなのではないかと想像します。その辺をわかった上で、2年とか8カ月という話をしないとならない。突然、患者さんにブスッと針を刺すなどということができますという話ではないのだろうと思います。
○宮村委員 全くそうだと思います。一言、言っておきます。私は、テクニカルというのは、テクニカルナレッジ、机上の技術知という意味で申し上げました。プラクティカルは実践知ということです。実践知に支えられた特定看護師でないと、ただ知識だけある者に、「はい、こうです」と言われても、これは患者は困りますということが言いたかったのです。
○小川委員 先ほど正木委員が言ったことで、誤解を生じていると思うので申し上げます。資料3の、特定行為の2「実施基準」のところです。下のほうにある「看護師一般」というのは、特定看護師ではない普通の看護師さんがという意味だと私は理解しています。だとすれば、右側のB案の下の括弧とこれは同じことです。「現行と同様、看護師が個々の看護師の能力を確認した医師あるいは歯科医師の指示を受けて実施する」ことは、一般の看護師さんにも可能だということですね。
○田原医事課長 そうですが、骨子案や試案では、もう少し業務実施体制をしっかりと保った上でやっていただくということです。全くできなくなるわけではありませんが、現行と全く同様ではなく、少し敷居が高くなる条件が付くとご理解いただきたいと思います。
○小川委員 私の理解が悪いのかもしれませんが、これが経過措置だとすれば、普通の看護師さんが医師の直接の指示、そこに医者がいて、そこで看護師さんが実施している医行為ができなくなるということになる。
○田原医事課長 経過措置という意味ではありません。能力認証を受けた方が特定行為をできると。
○小川委員 ですから、それは実施基準の上の部分のことならば、話は非常にクリアカットなのだけれども。
○田原医事課長 能力認証を受けていない看護師であっても、業務実施体制を整えれば、具体的な指示を受けてできるということです。
○小川委員 正木委員も、普通の一般の看護師さんができる医行為の範囲に関して、少し誤解があるように思いました。
○永井座長 8カ月コースが中途半端ではないかというご意見ではありませんでしたか。
○正木委員 こういう行為をする看護師は是非研修を受けるべきだと。
○永井座長 そこをもう少しタイトにしてほしいということですね。
○正木委員 はい。
○永井座長 それは今後の議論ではないのですか。
○田原医事課長 一定の研修が必要で、研修なしでは危惧するというお話でしたので、「業務実施体制」のところに研修をどのぐらい付加して確認するのかというお話だろうと思います。
○永井座長 いまでも本当はそうしているはずなのです。
○田原医事課長 それを現場に任せるのか、それとも、制度上で担保するのかということだと思いますので、その辺を整理したいと思います。
○小川委員 その差が、「包括的指示の下に」というのと「具体的指示を受けて」というところに言葉として出ているのではないかと私は認識しています。
○田原医事課長 研修を受ける程度が少し違っていて、能力認証を受けられた方は制度上8カ月や2年の研修を受けられる。そうではない一般の方、能力認証を受けていない方は、現場での個別の研修をある程度受けるという意味合いだと理解しています。
○小川委員 それは皆さん、いまでもやっているのです。
○田原医事課長 いまでもやっているのでしょうけれども、それを制度的に担保するかどうかということです。いまでもやっている以上のことをやるとなるとできなくなるという話になるのですから、いまやっていることを制度的にきちんとやってください、確認しますという内容だと思います。これも改めて整理して示したいと思います。
○永井座長 本日全部を決めるわけにはいきませんが、一応、この試案をたたき台としてさらに議論をすることについてはよろしいですね。そのときに、いま議論になったように、専門家の自律性や、現場のいろいろな立場、状況、修了者の登録等の技術的な問題、これらはまださらに議論する。ただ、全体としてはこの試案をベースにさらに議論させていただくことについてはよろしいでしょうか。
○小川委員 今後の話についてです。研修を行う機関や場所など、その枠組みに関しても是非議論していきたい。
○永井座長 次回以降、これはもっと具体的な案が出てくるのですね。
○田原医事課長 そうです。教育の話は次回にできるかどうかわかりませんが、例えばワーキンググループの進捗状況を報告するなど、そのような形で議論を深めていただきたいと思います。最終的なまとめは必ず報告いたします。
○永井座長 そういうことでよろしいでしょうか。
○大谷医政局長 枠組みとして今回、一歩議論が前進するのであれば、これを基に詰めていけることがたくさんある。ただ、医師会からの案などにもありますように、専門家の自律などをどのようにこの枠組みに組み込むか。研修の機関の問題と、どのような研修をするかは、専門家の自律性の中でかなりやっていただくこともあると思います。後の姿のほうがむしろ重要ではないか。制度よりもその運用のほうが現場では重要なので、その辺も含めて、もう少し丁寧に議論をさせていただきたい。特定行為やカリキュラムなどもありますが、現場での運用がうまくいくような仕組みについては、場合によっては関係者が集まって組織を作ってもらうこともあるかもしれません。それも十分に考えて、またご協力をいただきたいと考えています。
○永井座長 ここから先は運用面での工夫というような仕組みです。それをどのように取り込んで工夫するかだと思います。その辺りを次回以降にご検討いただきたいと思います。
 次に、2つ目の議題に入ります。歯科衛生士法の改正についてです。事務局から資料を説明してください。
○小椋歯科保健課長補佐 資料4「歯科衛生士法の改正について」をご覧ください。まず、資料の裏面に、歯科衛生士法の条文の抜粋があります。第2条は、「この法律において『歯科衛生士』とは、厚生労働大臣の免許を受けて、歯科医師の直接の指導の下に、歯牙及び口腔の疾患の予防処置として次に掲げる行為を行うことを業とする女子をいう」ということになっています。歯科衛生士の業務の1つに予防処置があります。次の第2項に、歯科衛生士の業務のもう1つとして、歯科診療の補助があります。最後に、歯科衛生士の3つ目の業務として、歯科衛生士の名称を用いて歯科保健指導を行う。歯科衛生士の業務としてこの3つがあります。
 特に第2条の第1項では、「歯科医師の直接の指導の下に」とありますが、ほかには「直接の」という文言が付いている医療関係職種はありません。また、「女子をいう」とあり、附則で「業務を行う男子についてはこの法律の規定を準用する」と規定されています。まず前提となる歯科衛生士の業務と定義を説明しました。
 今年6月13日の会議で宮村委員から、先ほどの「直接の」と「女子」の2点について歯科衛生士法の改正を行ってほしいという発言があり、チーム医療推進会議の中では、座長から、チーム医療推進方策検討ワーキンググループの中で議論してほしいという発言がありました。8月8日に行われました「第10回チーム医療推進方策検討ワーキンググループ」において議論いただいた結果、以下の2点に合意が得られました。事務局は今後それに基づいて改正に向けた所用の準備を進めたいと考えています。
 1点目です。歯科衛生士法ができたのは昭和23年で、当初は歯科衛生士の修業年限が1年制でした。現段階では平成24年度からはすべての卒業生が3年制課程となり、歯科衛生士の資質向上が図られています。実際に保健所や市町村保健センター等で行っている予防処置に支障が生じている事例もあります。そのようなことを受けて、改正の方向性として、法律の第2条第1項に定める予防処置を実施する際、例えば、歯科医師と緊密な連携を確保した上で、歯科医師の直接の指導までは要しないこととしてはどうかということが議論されまとめられています。
 2点目です。法律の条文の中の「女子」という文言の改正です。方向性としては、第2条第1項の規定中の「女子」を「者」に改め、男子については男子は附則により同法の規定が準用されている現状を改める。以上の2点について合意が得られました。
○永井座長 いかがでしょうか。
○藤川委員 具体的に我々が歯科を訪れたときに、複数の診察用の椅子があって、歯科医が1人しかいなくて待たされるようなときに、歯科衛生士が口の中を処置するというのは実際あることです。診察室の中に歯科医師はいるのです。まず最初に口腔内を診て、「この歯石を取っておいてくれ」というようなことで現実にやっていることは事実です。あくまでもその医院の中に歯科医師がいるのです。具体的、直接指導となっていて、看護師で言えば「医師の具体的指示」だと思います。具体的指示の下に、「ここの歯石を取っておいてくれ」というのは、私はありうるものと思っています。ただ、地域によって歯科医師の確保が困難な場合というのは、歯科医師が患者さんを診断せずに、そこに歯科医がいない所で歯科衛生士だけが独立してやるということがあり得るかというと、そのタスクシフティングは日本医師会としては賛同できません。
○宮村委員 そのような議論も当然出てきます。先に申し上げると、歯科衛生士会からこのような改正に対しての意見があり、日本歯科医師会はそれを了とした結論はあるのですが、いまの藤川委員のおっしゃることはよくわかります。歯科衛生士法の第2条第1項は、衛生士さんの業務独占としての予防処置ということです。診療の補助という項目ではありません。ここも議論になるところですが、「以下の2項目」の1に「正常な歯茎」という文言が付いています。正常な歯茎でない歯茎の場合は、第2条第2項の「診療の補助」となって、歯科医院内においてやるのです。「正常」という文言が付いているときには、保健所等、いまはほかの施設でも、歯科衛生士との密なる連携の下で指導という形でいいのではないかとして、我々は了としたのです。この「正常」を取るときには、議論はもっと複雑かつ深刻になります。この「正常」があるから。
○永井座長 正常かどうかは診断しなくてはいけないですね。
○宮村委員 これを突き詰めていくと正常な歯茎がどこにあるのだという話になってきて、行為そのものが第2条第1項に違反するという話になってきますが、そこは歯科衛生士さんの業務独占で、この部分は死守したいであろうということです。現実的に、いまは教育も3年以上となっています。3年とおっしゃいましたが3年以上で大学もありますので、ここはよろしかろうということで我々は了としました。
○上條歯科保健課長 いまの2条の1項は、歯科衛生士法ができたときに、保健所でフッ化物塗布のような予防処置を実際に行っているという想定で、それが歯科医師の直接の指示としてできた法文です。現状としては、いまは保健所から市町村保健センターになりまして、実際に歯科医師の指示の下に行われているのですが、「直接」というのが想定できないケースもあり、市町村や保健所等で現場からは「直接の」を取ってもいいのではないかという意見もあり、このような制度改正を想定しています。
○永井座長 ほかにご意見ございますか。歯科医の先生方が了解されているので、この改正につきましては資料4の内容で本チーム医療推進会議として了解したいと思います。よろしいでしょうか。
                  (了承)
○永井座長 ありがとうございます。事務局は、今後さらに必要な手続を進めていただきたいと思います。
 予定の時間になりましたので本日の議論はここまでです。事務局から今後のスケジュールについて説明してください。
○田原医事課長 本日は2つ議題がありました。議題1「看護師の能力を認証する仕組みの在り方」については、本日の議論を踏まえ、本日提示した試案「指定研修機関案」について次回以降さらに議論を深めていただけるよう準備したいと思います。具体的には、座長から話がありましたように、専門家の自律性、現場の状況、修了者の登録、運用上の工夫、こういったものについて、指定研修機関案を基に仕組み上どのような工夫ができるか整備したいと思います。
 議題2「歯科衛生士法の改正」については、本日了承いただいた内容で社会保障審議会医療部会に報告し議論いただくことにしたいと思います。
 次回のチーム医療推進会議の開催については改めて連絡しますのでよろしくお願いいたします。以上です。
○永井座長 それでは、本日はこれで終了いたします。どうもありがとうございました。


(了)
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