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2012年7月13日 第1回政策評価に関する有識者会議労働・子育てWG 議事録

○日時

平成24年7月13日(金)17:00~19:00


○場所

中央合同庁舎5号館
専用第14会議室


○出席者

阿部座長、渥美委員、安永委員

○議事

(以下、議事録)

○政策評価官
 渥美委員が少し遅れていらっしゃいますけれども、定刻になりましたので始めたいと思います。ただ今から「第1回政策評価に関する有識者会議 労働・子育てWG」を開催させていただきます。
 委員の皆さま方におかれましては、お忙しい中をお集まりいただき、誠にありがとうございます。本日は、高橋委員、野川委員がご欠席です。また、日本労働組合総連合会の團野委員がご退任されまして、新たに安永委員にご参加いただいております。よろしくお願いいたします。
 本日の進め方ですけれども、委員のどなたかに座長をお願いして、進行していただきたいと考えております。恐縮ですけれども、当ワーキンググループの座長には、事前にご相談させていただきましたけれども、阿部委員にお願いしたいと思っております。
 阿部委員、よろしくお願いいたします。

○阿部座長
 それでは、当ワーキンググループの座長を務めさせていただきます。よろしくお願いします。
 本日は、議事次第にありますように、まず、5テーマの実績評価書について委員の皆さまにご議論いただきます。また、指定等法人が行う指定、登録等に係る事務・事業の定期的検証について、所管課より説明があります。
 それでは、まず「平成24年度に実施する政策評価について」の進め方について、事務局より説明をしてください。

○政策評価官
 それでは、配布資料の確認を含めて、説明させていただきたいと思います。議事次第のペーパーの後半のところに「配布資料」の記載があります。資料1-1~1-5が、本日の政策評価の関係の資料でございます。それから、裏に資料2-1、2-2という指定等法人の関係の資料がございます。参考資料としまして1~5まで配布させていただいております。参考資料1は「平成24年度 施策目標評価予定表」でございます。表と裏で全部で74施策目標があります。これは厚生労働省の全体ということです。右側の欄に丸が付いているものが今年度各ワーキングにおいて意見聴取する施策目標でございます。その右側に「WG」と書いてあります。最初に「医療・衛生WG」、次に「労働・子育てWG」、最後に「福祉・年金WG」がございます。「労働・子育てWG」につきましては、3~6ということで全部で27の施策目標を担当していただくということでざいます。基本計画期間が今回は5年間ということでございまして、5年間に最低1回は全施策目標を見ていただくということなので、毎年5、6テーマをこの「労働・子育てWG」で見ていただくことになっています。よろしくお願いいたします。
 参考資料2として基本計画をお配りしております。参考資料3は年度計画ということで、平成」24年度の計画をお配りしております。それから、A3の「別紙1」という資料があります。全施策目標について「別紙1」がありますが、今回後ろに付けているのは、ここでご議論いただく五つの施策目標についての年度計画の別紙ということでございます。別紙は見ていただければお分かりのとおり、測定指標の目標や、それを選んだ理由、目標値、根拠が書かれています。それから「達成手段」ということで、個別事業についても掲載しているという構成になっております。参考にしていただければと思います。参考資料4は、「労働・子育てWG」で担当している今回議論するもの以外ということで、モニタリング評価書を作成したもの、あるいは実績評価書を作成したものもありますけれども、今回議論するもの以外のものについてもお配りしております。参考資料5は、指定等法人の関係資料でございます。資料説明は以上でございます。
 政策評価についての進め方ですけれども、議事次第の順番で、テーマごとに担当課の入れ替えを行って政策評価を進めていきたいと思います。各テーマごとに20分間ぐらいで考えておりまして、まず、担当課より有効性・必要性の評価を中心として約5分間で説明を行っていただきます。その後、15分間程度ご議論いただくということで進めていただければと考えております。以上でございます。

(1)平成24年度に実施する政策評価について

[1]労働条件の確保・改善を図ること(施策番号3-1-1)

○阿部座長
 ありがとうございました。それでは早速ですが一つ目のテーマ、施策番号3-1-1「労働条件の確保・改善を図ること」について、担当課から5分以内で説明をお願いし、その後、15分程度で質疑を行いたいと思います。よろしくお願いします。

○説明者(労働基準局 労働条件政策課)
 労働基準局でございます。資料1-1「労働条件の確保・改善を図ること」につきまして、ご説明申し上げます。「施策の概要」にありますように、目標が大きく三つの柱に分かれていますので、本日は担当が3人来ております。説明は簡潔にさせていただきます。
 まず、私からは「施策の概要」の中の2点目にあります「労働契約に係るルールの周知を図ること」につきまして、指標の1に係る事業の事業成果についてご説明申し上げます。指標1でございますが、「労働契約解説セミナー参加者のうち労働契約法等労働関係法令の理解が進んだと考える人の割合」ということで、目標を前年度以上に設定し、実績は95.2%でございました。非常に満足度の高いセミナーとなっております。資料1-1の裏面に記載してございますように、「有効性の評価」としては目標を上回る実績を上げられたということで、有効な事業であったものと思っております。「効率性」につきましても、8,000名弱の参加をいただいておりまして、予算は前年度とほぼ同額でございますけれども、前年度よりもはるかに多いご参加をいただきまして、1人当たりのコストという面でも効率的な事業運営を行えたものと思っております。「評価の総括」に書いておりますが、この労働契約法の周知の事業につきましては、いわば労働契約法あるいは労働基準法の非常に基礎的な法律あるいは重要な裁判例の説明を行う基礎講座でございます。
 こうした事業につきましては、労働者の側から見ましても毎年新たな社員が入ってくるわけでございますし、企業の人事労務の担当者も年々入れ替わることがございますので、効率性の高い事業というものをこれからも継続実施していくことが必要と考えておりまして、今後とも効率的な事業運営を意識しながら、セミナーの質・量の改善を図りつつ継続してまいりたいと思っております。

○説明者(労働基準局 賃金時間室)
 続きまして、「最低賃金制度及び最低賃金額の周知徹底」でございます。ご案内のとおり、最低賃金制度は国が法的強制力をもって賃金の最低額を定め使用者にその金額以上の賃金を支払わせようとする制度でございます。最低賃金制度がセーフティネットとして有効に機能するためには、何よりもこの制度と最低賃金額を労使をはじめ国民全般に広く周知することが極めて重要でございます。このため、私どもではポスターやリーフレットを作成し、新聞広告、駅貼り広告、特設サイトといったさまざまな手法を活用して周知しているところでございます。特に、市町村が発行する広報紙につきましては、多くの方が目を通されるということから、全市町村広報紙に最低賃金額等を掲載していただくよう依頼しているところでございます。このため、「測定指標」として、市町村広報紙への最低賃金額の掲載割合を掲げております。これまでの精力的な働きかけにより、何とか目標値をクリアしてきていますが、今後におきましても、目標値を下回ることがないよう、積極的な働きかけに努めてまいりたいと思っております。以上でございます。

○阿部座長
 ありがとうございました。それでは、ただ今の説明について、ご意見・ご質問等がありましたら、どうぞ。

○安永委員
 連合の安永でございます。今回が初めての出席でございますので、ぜひよろしくお願いいたします。
 まず、指標1についてでございますが、労働契約法等の周知について、特に今国会で審議中でございます労働契約法の改正ということが予定されているわけですが、説明者の皆さまにも非常にご苦労いただいたように、法律の条文が非常に複雑になっておりまして、条文を読んだだけでは国民一般には非常に理解が難しい側面がある内容だろうと思っていますので、その理解を促進するためにも、より周知広報活動に力を入れていただいて、一層の取組強化をお願いしたいと思います。
 もう一つは、「セミナー参加者のうち法令の理解が進んだと考える人の割合」ということが指標1になっているわけですが、この数値だけでは、国民に労働関係法令の理解が浸透したかという点は判断がしにくいのではないかと思います。説明していただいた中で8,000名という数字を出していただきましたが、参加者の数や開催回数といったものも指標に加えた上で施策全体の効果を検証していくべきではないかと思いますので、ご見解をいただきたいと思います。
 それから、指標2でございますが、この後にさまざまな指標の説明をいただくわけですが、全体的にいえることですけれども、私ども民間企業等に勤めておりますと、ハードルを越えると、新たなハードルの高さを設定されますし、越える直前でもハードルを上げられることがあります。それが世の中の常識だろうと思っていますが、達成しているのに、次年度の目標がその数値より低いというところに違和感を感じておりますので、目標値の設定に当たって適切さをチェックしていただければと思っております。この指標にだけではなくて全般に関わる話でございます。
 それから、最低賃金の周知徹底でございますが、厚生労働省では地方公共団体における広報紙での周知に加えて、昨年から最低賃金のワンストップ無料相談窓口などを設置されていると聞いております。ただ、残念なことに、全国一斉に実施されています監督実施結果では、違反事業者のうち、最低賃金制度をはじめ適用される最低賃金を知らなかった者が合計で6割近くいるというような数字も明らかになっておりまして、これらも含めて政策効果があったのかどうかというところについて、ご見解をお聞きしたいと思います。
 それから、特定最低賃金の未満率が大きいという問題もございまして、これに対する監督が甘いのではないかという声もございます。それに関わる要員・人員が不足しているのではないかという心配の声もありますが、それらについてもコメントいただければありがたいと思います。以上でございます。

○阿部座長
 ご回答をお願いします。

○説明者(労働基準局 労働条件政策課)
 まず、安永委員のご意見の1点目、改正労働契約法の周知についてでございますけれども、平成24年度におきましては、本事業とは別に、改正法が成立した場合には、当然行政としてその内容のわかりやすい周知をやっていかなければならないわけでございまして、そのための予算も別途平成24年度予算には計上しております。条文が難しいので、わかりやすい周知ということは労働政策審議会での法律案の内容についてのご審議の過程でも多々ご意見をいただいておりましたので、ただ今のご意見も踏まえて、わかりやすい周知に努めてまいります。
 また、本事業は先ほど冒頭の説明でも申し上げましたように、労働契約法や労働基準法の基礎的な知識を身に付けるものでございますけれども、有期労働契約の内容が今回の改正案でございますが、このルールも基礎的な内容として今後浸透させていくべきものと考えておりますので、ここの指標に載せている労働契約解説セミナーの中でも、改正法が通った場合には、本年度においてもその概要をわかりやすく周知することを予定しております。
 それから、2点目の指標の設定について、参加者の理解が進んだ人ということで設定しておりますけれども、もっと参加者数など別の指標のとり方も考えるべきではないかとのご意見でございますが、参加者数というのはどうしても予算の大小に依存して決まる部分もございますので、今後どのような目標を設定した方が良いかどうかということにつきましては、ただ今いただいたご意見を踏まえながら、今後さらに検討させていただきたいと思います。

○説明者(労働基準局 賃金時間室)
 まず1点目は、目標が80%を超えているのにということかと思いますけれども、無料で掲載される市町村の広報紙につきましては、紙面の制約等の関係もございまして、なかなか二つ返事で掲載してもらえるということは、ほとんどない状況でございます。実際に、掲載をお願いしましても、預かりにされるといったことも多々ありまして、特に先方も人事異動等で担当者が代わったりしているときには、最低賃金に対する理解を得るところから始めなければならないということで、文書送付や電話だけではなく、その都度職員が足を運んで掲載依頼を行っているというのがほとんどでございます。つまり、その80%という数字は、足を運んだり手間を掛けたりする業務量が他に回ってしまうというときには簡単に70%以下に割り込んでしまう数字でありまして、80%はぜひとも確保したいということで、一つの壁として掲げている目標値でございます。もちろん、国民一般の方々に広くお知らせするという観点から、市町村広報紙への全数掲載を目指しているわけでございますけれども、受け手側のそういった事情と、年々厳しくなっているこちらの定員事情などもありまして、効率性を考慮しながらも、ギリギリのところでもやはり8割を確保するように努めていきたいということで、この目標を立てております。指標の中に平成21年度・平成22年度の記載がありますけれども、この年は最低賃金の大幅な引上げがなされたことから最優先的に取り組んだといった事情もあり、また平成22年度は周知広報予算が対前年で7割ほどカットされたこともあって、市町村広報紙への掲載に特に集中的に取り組んだことの結果として、このような数字になっていると考えており、今後も80%を下回らないということを基本目標に全数掲載を目指してまいりたいと考えております。
 それから、2点目でございますけれども、相談支援センターの周知広報が今ひとつなされていないということではないかというご指摘かと思います。これにつきましても、現在いろいろなポスター・リーフレット等を作成して周知広報に努めているところでございますので、引き続き積極的な広報に努めて、最低賃金の事業主の方々への周知に努めてまいりたいと考えております。
 それから、特定最低賃金の未満率の話でございました。最低賃金法の改正以来、地域別最低賃金と特定最低賃金の性格が分かれたということもありますでしょうが、なかなか特定産業の賃金が上がりにくくなっているという事情もあるのではないかと考えております。これにつきましても周知広報という面につきましては改正後、積極的に取り組んでまいりたいと思います。

○阿部座長
 安永委員、よろしいですか。
 では、今のことに関連して、私からも質問したいと思います。まず1点目は、先ほど、セミナーの件で参加者数は予算との関連で決まってくるという話があったと思います。ただ、この評価書の「有効性の評価」「効率性の評価」そして「評価の総括」といったところの流れを見ますと、「有効性の評価」「効率性の評価」とも、セミナーについてはそれぞれ有効であったと評価している。ところが、「評価の総括」になると、現状分析の部分で「しかしながら依然として、個別労働紛争の件数も高止まりしている」とあります。そうすると、有効だ、効率性があると言っていながら、高止まりしているということになると、では、その上の部分は一体何なのだということに私としては読めてしまう。ですから、確かに今持っている予算の中では、もしかしたら効率的・有効性ということかもしれないけれども、実際の問題として解決しなければならないのは、多分現状認識されているとおりのことだろうと思います。政策評価はPDCAサイクルを回すということなので、ここで例えば現状としてはこうなのだから、では次に何をやるべきなのかということを、もう少し考えていく必要が。何らかの具体的に今後の方向性として「セミナー受講者数の増加など質・量の双方において改善を図っていきます」と書いてあるのですけれど、もう少し具体的に何をすべきなのかということを踏み込んで書いてもよいのではないか。ですから、有効性の評価・効率性の評価というのは、ある制約の下であればこうだけれども、でも実際に社会全体で見ればまだまだ踏み込む必要があるのではないかと書いた方が、もしかしたらよいのではないかという気がします。そういう意味では、予算が付くか付かないか知りませんけれども、できれば予算が付いた方がよいと思っているのであれば、それは踏み込んで書いた方がよいのではないかと思います。
 もう一つ、最低賃金の広報の件ですが、そもそも市町村広報紙というのが、そもそも効果的なのかというのが私にはよくわからないのです。いろいろなメディアがある中で、もちろん予算がカットされて、無料で掲載されるから市町村広報紙があるというのは、それはそれでよく分かりますが、果たして本当にそれで結果として社会全体の認知度が高まったのかというのは、どうなのかというところはあります。最終的なゴールは何なのかということを考えると、やはり最低賃金がどれだけなのかを認知してもらう。あるいは、その前の話でいうと労働契約法が一体どのように変わったのか、あるいはどうなっているのかというのを皆さんに認知してもらうというところではないかと思います。ですから、予算や人手などの皆さんの事情があるのは分かっているのですけれども、その制約の中で終わっていいのかという話です。むしろ、もっと人・物・金という政策手段が必要であれば、それを的確に出してもよいのではないかと思いますが、どうでしょう。

○説明者(労働基準局 労働条件政策課)
 資料1-1に含まれる政策というのは、実は政策目標自体が「労働条件の確保・改善」という労働基準局の行政の中のかなりの部分を占めるぐらいの多様なものでして、今回は代表的な指標ということで指標1と2を、それもなるべく定量的に測れる目標ということで、かつ、それに直結する事業の実績はこうでしたというところを中心に有効性や効率性の記述をしたために、ある意味そこはよくやりましたというような評価になっている部分があると思いますが、当然のことながら私どもは労働基準監督署で日夜監督官が事業場に赴いて一つ一つ行政指導をして法違反を是正させる、危険な現場を安全な現場にしていくといった活動をやっておりまして、そうしたものも含めてトータルとして施策がうまくいったかどうかということが必要なものであるということは十分認識しているつもりでございます。
 先生のご指摘は、この評価書の中にどこまで反映されているかという面では、評価の技術自体に我々のつたなさも、もしかしたらあるのかと思いますけれども、ご意見を踏まえながら、ここに挙げた事業に限らず、効率的かつ効果的な施策のために何が必要かということを、今ちょうど予算要求も始まっておりますので、そうした中で一つ一つ考えていきたいと思っております。

○阿部座長
 評価書はこの小さいスペースの中で書かなければいけないので、書き方は難しいと思いますけれども、これだけが出てしまうと、有効であった、効率性があった。だけど、うまくいっていないとなってしまいかねないので、その辺りの書き方をうまく考えるということでしょうか。今の予算の中では、これが精いっぱいで一生懸命頑張りましたということが上で分かるようにして、だけれども、まだまだ認知がが足りないと書いた方がよいのでしょうか。どうでしょうね。

○説明者(労働基準局 賃金時間室)
 市町村広報紙でございますけれども、私どもも対事業所向け、それから対労働者向けについてのいろいろな周知広報をやるわけでございますけれども、やはり最低賃金は市町村広報紙のように家庭に届いた情報が、年金生活者あるいは子どもなど、いろいろな方々の目に触れるという点で非常に有効だと考えております。また、私どもは市町村広報紙に頼りきりということではありませんで、いろいろやっている周知広報手段を検証しまして、例えば昨年は駅貼りの広告箇所を倍増したとか、今年度は若者向けということでスマホの特設サイトを立ち上げるといったことも絡めながら幅広にやっていっているところでございます。

○阿部座長
 わかりました。他に、何か追加的にありますか。

○安永委員
 そういうことの全体が見えるように書いていただく方がいいと思います。

○阿部座長
 もしかしたら、よいかもしれませんね。

○政策評価審議官
 評価官室の方から。私の方は政策評価全般について総合調整と申しますか企画立案する立場から、私なりに今のやり取りを聞いていて申し上げたいと思います。おっしゃることは大変よく分かりますが、結局、「有効性の評価」なり「効率性の評価」の部分は、客観的に検証できるかどうかということが総務省行政評価局からの文書でも、今は手元にありませんが、あったかと思います。そういう意味で、労働基準局からご回答がありましたとおり、有効性というのはあくまで先に目標を決めるわけです。その目標に対してどれだけアチーブできたかということではないかと私は評価官室に対して言っています。それに対して、政策の評価というものを捉えたときには、まさに周知状況がどうだとか、この施策目標でいえば、そもそも「労働条件の確保・改善を図ること」があります。だから、労働基準監督署がやっていますということになるのですが、例えばその労働基準監督署が個別に指導しているということを、まさに客観的イコール定量的ということですよね。量で測れるのか。これが悩ましいところです。ですから、ある意味で現実的な一つの解決策としては「評価の総括」欄をもう少し今回取り上げ測定指標に基づく評価プラスアルファで書くということではないか。それは申すまでもなく、そこでそういうことを書いたとしてそのエビデンスを示せと言われたときに、所管課として一体どういう証拠に基づいてよくできたとかできないといった一定の評価をするのですかといったときに、つらくなる面があるというのはどうしても残る悩みかと思います。

○阿部座長
 もしかしたら指標1は、もう少し良い指標があった方がよいかもしれません。例えばここにある「個別労働紛争の件数」というのが最終的なゴールだとしたら、それを出した方がよいかもしれないし、その辺りではないか。あるいは、参加者数というお話がありましたが、そういったものも指標としてはよいのかもしれません。

○政策評価審議官
 そういう意味では、評価官室からのお願いとしては、これは別に今日たまたま話題になったので申し上げますが、一般的なことでまた周知いたしますが、なるべく指標を増やした方がよいかもしれません。指標をいろいろ取ることによって、ここはたまたま参考指標を除くと二つしかありません。例えば三つとしても三つより十あった方が「以上、この客観的なエビデンスを含めていろいろと考え合わせるとこういう評価です」という方が、三つの指標に基づいて一定の何かもう少し膨らんだ総括評価をするよりは、もう少しあった方がよいと思われます。申し上げたいことは、客観性があるということは私なりの理解でいえば説得力があるということだと思います。説明責任を果たすということですから、これはあくまで自己評価なので自己評価を人様に見てもらうわけですから、そこに説得力が必要なわけです。そういう意味では量で稼ぐということも、もちろん1個1個の指標の適切性・クオリティの問題もありますが、そういう工夫もあるかもしれません。

○阿部座長
 先ほどの例えば最低賃金の広報の件も今回は市町村だけ、市町村広報紙への掲載率ということだけだったと思いますが、実際にはいろいろなルートを通じて広報紙をと努力されていますよね。そういうことを書いておけば、「そうか。これだけではないのだ」と国民も理解できると思います。「いろいろやっているのだな」となるかもしれません。スペースが限られていますから。

○説明者(労働基準局 賃金時間室)
 工夫していただくなり。

○棚橋政策評価審議官
 これは別に2ページで収める必要はないのでしょう。

○阿部座長
 膨大になったら、まずいです。ある程度のスペースの中でという。ただ、感想としては数年前にこれを読んだときとは全然違います。非常に分かりやすい日本語になりました。それは本当に思いました。昔は「もっと分かりやすい日本語を書いてください」とお願いしていましたので、それに比べるとかなり進歩があったと思いますので、今後ともいろいろと知恵を絞って政策評価に当たっていただければと思います。
 結構時間が過ぎましたね。すみません。長くなりました。他に、ご意見がありますか。
 所管課におかれては、ただ今の議論を踏まえて、必要に応じて実績評価書の修正等を行うとともに、実績評価書の「学識経験を有する者の知見の活用」欄への記入をお願いしたいと思います。どうもありがとうございました。
 次のテーマに移りたいと思います。メインテーブルの方の入れ替えをお願いします。

(メインテーブル交替)

[2]労使関係が将来にわたり安定的に推移するよう集団的労使関係のルールの確立及び普及等を図るとともに、集団的労使紛争の迅速かつ適切な解決を図ること(施策番号3-6-1)

○阿部座長
 続きまして、施策番号3-6-1「労使関係が将来にわたり安定的に推移するよう集団的労使関係のルールの確立及び普及等を図るとともに、集団的労使紛争の迅速かつ適切な解決を図ること」について、担当課から5分以内でご説明をお願いし、その後、15分程度で質疑を行いたいと思います。よろしくお願いします。

○説明者(労政担当参事官室)
 労政担当参事官でございます。時間の制約がございますので、中央労働委員会分も含めてご説明します。本施策目標につきましては、座長からご案内がありましたように「労使関係が将来にわたり安定的に推移するよう集団的労使関係のルールの確立及び普及等を図るとともに、集団的労使紛争の迅速かつ適切な解決を図ること」となっています。指標1につきましては、労使関係が安定しているかどうかについて、政府の統計調査に基づいて労使の当事者が回答した割合でございます。労使関係が安定しているかどうかにつきましては、景気の動向に大きく左右されるわけでございますけれども、指標2~5に掲げられました事務・事業が有効かつ効率的に実施されることによりまして、指標1の数値も上がっていくものと捉えています。
 最初に、指標2~4に対しての中央労働委員会の事務・事業から説明させていただきます。中央労働委員会につきましては、ご案内のとおり厚生労働省の外局として置かれております独立行政委員会でございます。中央労働委員会は主として不当労働行為事件の審査と労働争議のあっせん、調停、仲裁ということで、この二つの事務・事業を行っているところです。
これら二つの事務・事業の「有効性の評価」についてですが、不当労働行為事件の審査につきましては迅速な解決を図るということが目標でございまして、指標2「新規申立事件の終結までの平均処理日数」の目標を1年6か月以内としております。指標3「申立てから1年6か月以上係属している事件数」、いわゆる長期滞留事件数ということですが、こういう事件については目標をゼロとしております。平成23年の実績でございますが、それぞれ約1年1か月と長期滞留事件数については4件ということで目標につきましてはほぼ達成しております。前年の平成22年までと比較しても大幅に迅速化が進んでいるところです。    
これをどのように見ているかと申しますと、平成16年に労働組合法が改正されまして、部会制を導入しまして不当労働行為事件の審査体制の整備、審査手続きの充実などの効果が年々表れてきているのではないかということでございます。これに加えまして平成23年に委員の間で和解手法に関する意見交換が積極的に行われまして、長い期間をかけずに多くの事件が和解で解決したことによるものと思います。
 続きまして、労働争議のあっせん、調停、仲裁でございますけれども、これについては指標4「調整事件の終結までの日数が2か月以内である割合」ということで、目標を100%としております。過去2年間におきましては目標を達成しているところでございます。
 中央労働委員会の二つの事務・事業の効率性の評価ですが、先ほど申し上げました組合法の改正以降、中央労働委員会の委員数につきましてほぼ変動がない中ですけれども、不当労働行為事件の審査と労働争議のあっせん、調停、仲裁ということで、いずれも目標を達成しているところでございます。
今後におきましては、不当労働行為事件の審査についてはさらなる迅速化、そして的確化に向けた取組を、また労働争議のあっせん、調停、仲裁につきましても同様に、さらなる早期かつ的確な処理に向けた取組をそれぞれ進めてまいりたいと考えています。続きまして、指標5「国際労働関係事業」についてでございます。有効性の評価につきましては、事業計画に対しての実際の受講生の参加割合を指標としております。受講生の参加割合は平成23年度では94%となっておりまして、目標を達成しているところでございます。これは委託先が有します海外の現地情報に基づいて受講生のニーズを踏まえた研修カリキュラムを組んでいるためであると考えています。
 それから、「効率性の評価」でございますが、研修生1名に対しまして日本の労使関係法制や人事労務管理制度等を研修するのに要した費用を割り出して算出しております。平成23年度はまだ数値が出ておりませんが、平成21年度と平成22年度を比較しますと平成22年度の方が効率的な実施ができていると考えています。
 本事業の「評価の総括」でございますけれども、本事業としましては研修終了後に本事業で得た知識を本人が実際に活用予定であるかどうかをアンケート調査によって把握しておりまして、平成23年度の実績としては96%となっております。
 最後に、指標1ということで労使関係が安定的であるかどうかですが、過去5年間いずれも目標値50%を達成しているところでございます。実績値が目標値を大きく上回っている現状を踏まえまして、平成24年度は目標値を75%に引上げているところでございます。説明は以上でございます。

○阿部座長
 ありがとうございました。それでは、質疑に移りたいと思います。ご意見・ご質問等がありましたらお願いします。

○安永委員
 ありがとうございます。労使紛争の早期の適切な解決に向けまして今回の指標を見させていただくと、目標を概ね達成されておりまして、かなりご努力をいただいたものと評価させていただきたいと思います。一方で、適切な解決という点では新証拠提出の制限など平成16年の改正労働組合法の効果の検証や見直しを行うとともに、物件提出命令ですとか証人出頭命令の運用などについて、さらなる改善を望みたいと思います。
 それから、この場では直接関わりのないことかもしれませんが、現在、全国労働委員会連絡協議会の運営委員会におきまして、労働委員会の活性化の検討が進められ、個別労働紛争解決機関の一つとして適切な解決の促進に向けて取り組んでおられます。労使紛争に関して、相談から適切な紛争解決のためには、労働局や労働審判などさまざまな関係機関の連携が非常に重要だと思いまして、厚生労働省としても協議や意見交換の場を設置するなどの後押しを、ぜひお願いしたいと思います。併せて、専門的知識や経験を持っていらっしゃる職員の育成・配置など、労働委員会の事務局体制の維持・強化を図ることも重要だと思いますので、よろしくお願いします。以上です。

○阿部座長
 何か、ありますか。

○説明者(中央労働委員会事務局)
 それでは、中労委からお答えいたします。1点目は適切な解決に向けて効果の検証がなされているかというご質問であったかと思います。直接のお答えになるかどうか分かりませんが、中労委として重要と考えておりますのは、中労委の命令が裁判所へいってどれぐらい取り消されているかという点でございまして、命令の中身の充実を図ることにより、裁判所での取消しの割合も下がってきているところでございます。全部取消しの場合と一部取消しの場合がありますので、それを換算しての数字になりますが、平成17年から21年までの平均で12.5%の取消しがございました。平成22年は5.6%と数字が下がっております。平成23年は12件行訴へまいりましたが取り消されたものは1件もなしということで平成23年は幸いにも取消率ゼロということでございました。こういうことで適切な命令になっているかという点についても、年々充実されてきているのではないかと考えております。
 それから、2点目の全労委協議会におきます活性化の検討でございますけれども、たまたま本日、全労委協議会の運営委員会が開かれまして、そこで活性化に向けての検討委員会の報告書が了承されたところでございます。これまで3次にわたって活性化に向けての検討を行ってまいりましたけれども、本日了承された検討は個別労使紛争への取組についての検討内容の報告でございます。ご指摘のとおり、関係機関との適切な連携が非常に重要でございます。それにつきまして全国各都道府県の労働委員会からアンケートやヒアリングを行いまして、その結果、連携が非常にうまくいっている労働委員会と、必ずしもうまくいっていない労働委員会が明らかになってまいりましたので、好事例を広めていくという形で取り組んでまいりたいと思います。それから、10月には労働委員会一斉でのPRということも行いまして知名度を高めていくということに取り組んでまいりたいと思います。
 職員の育成・配置についても、もちろんでございまして、この点につきましても、かなりうまくいっている労働委員会と、ややそうでもないところがあるということが明らかになりましたので、好事例を広めていくという形で取り組んでまいりたいと思います。

○阿部座長
 よろしいですか。では、私からのコメントの1点目は、今のことに関連しますが「的確あるいは適切さ」という指標についてですが、「有効性の評価」の中では8割が解決したとそれぞれ書かれていると思います。8割というのは変化があった数字なのか。あるいは変化がなく施策した段階からずっと変わらずに、けれども迅速化が進んでいるのか。それはどちらでもよいと思いますが、その辺りはどうでしょうか。

○説明者(中央労働委員会事務局)
 8割の数字につきましては、年によりましてでこぼこはありますけれども、トレンドという形で見た場合、平成16年以降は大きな変化はございません。これにつきましては、迅速化の議論をするときに迅速化だけを進めると的確性が落ちるのではないかという議論がありましたので、私どもとしては迅速化を進める一方で、この8割という数字に大きな変化がないというところを評価していただきたいと考えているところでございます。

○阿部座長
 そうすると、その辺りをもう少し文章で書いたらどうかと思います。ここにはずっとそれがトレンドとして変わっていないという文言は多分なかったと思いますので、お書きになったらよいのではないかと思います。
 もう1点は、不当労働行為事件の審査のところで、「他の紛争処理機関においても迅速化の取組がなされており」と評価の総括の現状分析に書かれています。その前の「有効性の評価」、「効率性の評価」では、絶対水準の評価をなされていて、ここの「評価の総括」にきて相対的な評価に入っていって、他のところでも早くなっているからそれと比べたらという話をされているのではないかと思います。そのように書かれると、他の紛争処理機関がどれぐらい頑張っているのかを知りたくなってしまうと個人的にはそう思いました。その辺り他の紛争処理機関との相対的な評価として今の位置付けがどうなのかというのも、もし書けるのであればお書きになってもよいのではないかと思います。そうした状況を踏まえて今後とも進めていくことは大事なことだと思いますので、もし書くことが可能であれば中労委の紛争処理が相対的に早いのか遅いのかというのもお書きになったらどうかと思いました。

○説明者(中央労働委員会事務局)
 そういう意味では、表現が必ずしも適切ではなかったかもしれませんが、不当労働行為事件処理ということについて考えてみますと、労働委員会でしか扱っていないわけでありまして、ここで記載しましたもっと枠を広げていろいろな形での労働紛争という点で見ますと、労働審判制度もできましたし、一般の通常の裁判においても迅速化が図られているということで、そういう意味で一般の労働紛争について、他の機関についても迅速化が図られているという趣旨で記載したものでございます。従いまして、数字的に比較するのは難しいわけでして、一般論として他のいろいろな機関でも迅速化が大きな課題となり取り組んでおられるという趣旨で書いたものでございます。

○阿部座長
 他に、何かございますか。評価官室からも、ありませんか。それでは、特に他にご意見もないようですので、所管課におかれましては、ただ今の議論を踏まえて、必要に応じて実績評価書の修正等を行うとともに、実績評価書の「学識経験を有する者の知見の活用」欄への記入をお願いしたいと思います。どうもありがとうございました。
 それでは、次のテーマに移りたいと思います。メインテーブルの入れ替えをお願いします。

(メインテーブル交替)

[3]高齢者・障害者・若年者等の雇用の安定・促進を図ること(施策番号4-3-1)

○阿部座長
 続きまして、施策番号4-3-1「高齢者・障害者・若年者等の雇用の安定・促進を図ること」について、担当課から5分以内でご説明をお願いし、その後、15分程度で質疑を行いたいと思います。よろしくお願いします。

○説明者(職業安定局 高齢者雇用事業室)
 高齢者を担当しております上田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。三つの要点がありますので、私からは高齢者のことについて説明します。まず、資料の「平成24年度高年齢者雇用就業対策の体系」を見ていただきたいと思います。ここに書いてありますように三つの大きい枠で雇用対策を進めているところでございます。一つは「定年の引上げ、継続雇用制度の導入等による高年齢者の安定した雇用の確保の推進」で、幾つか細かい事業を行っておりますが、このテーマで一つは行っています。2番目に「中高年齢者の再就職の援助・促進」ということでございます。3番目に「高齢者の多様な就業・社会参加の促進」ということを掲げておりまして、これに沿った形で目標設定を行っているところです。大きい形で1と2を合わせた形ですが、ここに出ておりますように雇用就業率というもので測る必要があるのではないかということで、労働力調査における60~64歳の就業率ということで掲げているところでございます。これについては、平成21年度に作っております高年齢者等職業安定対策基本方針というものがございまして告示で示していますが、この中で平成21~24年の4年間に、平成24年度までに60~64歳の雇用率を56%から57%にするということで定めているところです。それから、もう一つ平成22年度に新成長戦略の中で明確に60~64歳の就業率の上昇ということで57%から63%。これが63%といっているのは2008~2020年までということで定められているところです。従って、こういうところから就業率ということで57%という目標数値を立ててやらせていただきたいと思います。
 もう一つの柱であります「高年齢者の多様な就業・社会参加の促進」ということで、実は一つ大きい項目でシルバー人材センターの活用、推進を挙げております。一つの法人のやっている事業ですが、国がずっと推進しながらやってきていることもあります。ただ、シルバー人材センターについては、ご承知の方も多いと思いますが、実は全国にいろいろありますが、それぞれが法人の公益法人、単独の法人になっているということがございまして、直接私たちが指導するのはどうかというところもあります。従って、全国シルバー人材センターを会員とした全国シルバー人材センター事業協会がございますので、ここを厚生労働大臣が指定し指導・支援を行っているところです。そこのところの支援、訪問件数等を実施目標とさせていただきたいと思っていまして、こういう形で掲示させていただいているところです。

○説明者(職業安定局 障害者雇用対策課)
 続きまして、障害者雇用対策課長をしております山田と申します。施策目標2の「障害者の雇用の促進その他の職業生活における自立の促進を図ること」というところに当たります。指標は3~6に当たります。障害者の雇用については、資料にも載せておりますけれども、8年連続で雇用の拡大をしている。この間リーマン・ショックがあり、東日本大震災があったにもかかわらず障害者雇用拡大は恐らく第二次世界大戦後最大の拡大を示しています。こうした背景もあって先月、法定雇用率を15年ぶりに1.8%から2.0%に引上げることになりました。今回の施策評価においては、そうした障害者の雇用の拡大を果たすためにやっている施策の効果を見ています。
 測定指標3の「公共職業安定所における就職件数とハローワークを通じた障害者の就職件数」を指標としています。ハローワークでの就職件数の増加というのは、その分就職に至る障害者が増えているということをそのまま表していますので、施策効果を見る指標としては適切だと思いますし、実態としても2年連続で過去最高を更新し、現在6万件の障害者の就職を実現していて目標を着実に達成していることになっています。背景には障害者雇用がどんどん進んでいくにつれて、就職ができていない障害者の就職困難度は高まっていますが、それをハローワークが他の特別支援学校や福祉施設と連携する形で対応している。あるいは就職困難度の高いといわれている知的・精神の障害者に対する施策に厚みを持たせてきたというのが最終的には就職の件数の増加につながっていると思います。
 それから、測定指標4の「障害者の雇用率の達成企業割合」については、その増加が障害者の雇用の場の拡大につながっているということで指標として適切だと思っています。現在、その割合は45.3%ということで目標は達成しているものの、依然として半数の企業が法定雇用率を満たしていないという事実はあります。
 測定指標5と6については、障害者雇用を進める施策として障害者トライアルという形で障害者を雇っていただき実際に8割以上が常用雇用に移行しているという施策です。精神のトータルサポーターというのは就職に直結するというよりは就職の前段階で例えば10年間ずっと引きこもっていたような精神障害者をとにかく就職の前段階までもってくるという施策で、2年前からやっていますが、それについても就職につながる話、指標として取り上げているということであります。以上です。

○説明者(職業安定局 若年者雇用対策室)
 若年も少しありますので、説明させていただきます。若年の方は新成長戦略で若年フリーターの半減を掲げられておりまして、フリーターを減らすフリーターの正規雇用化と、フリーターへの新規流入を防ぐ新卒者の支援という二本柱でやっております。こちらの測定指標は、フリーターの方は「ハローワークの職業紹介により正規雇用に結びついたフリーター等の数」、それから「学卒ジョブサポーターの支援による正社員就職者数と開拓求人数」を指標にしてやっており、ともに平成23年度は目標を達成しているところで、平成24年度も引き続き、そういうことに努めていきたいと思います。以上です。

○阿部座長
 ありがとうございました。

○説明者(職業安定局 雇用開発課)
 すみません。就職困難者の関係もあるのですけれども、就職困難者の円滑な就職を図ることということで、指標9になります。特定就職困難者雇用開発助成金といったことで、高年齢者、傷害者等の就職困難者をハローワークの紹介により継続して雇用する労働者として雇い入れる事業主に対して助成するものです。
 「有効性の評価」ですけれども、支給対象者の事業主都合離職割合が、支給対象以外の事業所の労働者の事業主都合離職割合よりも下であり、目標達成要因としても、支給終了後も相当期間雇用することを支給要件としていることが理由として挙げられております。
 「効率性の評価」ですけれども、参考資料にもありますけれども、勤務時間別、対象労働者別、企業規模別に助成額を設定しており、実態に即した支給をしていることで効率的であると考えております。
 「評価の総括」ですけれども、厳しい雇用・失業情勢が続く中で、昨年度を超える実績があり、就職困難者の雇用の促進や職場定着につながっていると考えており、今後も引き続き効率的な執行に取り組む必要があると考えております。以上です。

○阿部座長
 急がせてしまって、すみません。それでは、ご意見、ご質問等があれば。

○安永委員
 まず指標1について、高齢者雇用の関係ですが、高齢者雇用安定法改正法案が本国会に提出されております。これが成立すれば、当然のこととして来年度以降の就業率が上昇することが見込まれます。従って、この目標値については法案の審議の状況を踏まえて、適宜見直しを行っていただきたいと思います。
 それから指標4「障害者の雇用達成企業割合」ですが、障害者の雇用率は、来年度から0.2ポイント引上げられることとされております。前回、引き上げが行われました1998年には達成企業割合が5.4ポイント低下しておりますが、今回は引上げの影響ができる限り小さくなるように、準備期間も短いという状況もありますので、個別労使が万全の対応をするためにも十分な周知と労使の取組支援に最大限のご努力をいただきたいと思います。
 若年雇用については、雇用戦略対話のところで随分しゃべらせていただきましたし、私どもの政策も取り入れていただいておりますので、着実な実行をお願いしたいと思います。以上です。

○阿部座長
 何か、ありますか。

○説明者(職業安定局 高齢者雇用事業室)
 ご指摘のとおり、高齢者雇用安定法改正法案の関係は法律の中身と実態などを踏まえながら、就業率についての高さを定めていきたいと思います。当然、2020年に向かっての高い目標があり、少しずつ上昇させることが必要なので、行っていきたいと思っています。

○説明者(職業安定局 障害者雇用対策課)
 障害者については、日本は国際的に見ても珍しい、大企業がけん引する形で障害者雇用が伸びてきている。裏返せば、中小企業がなかなか伸びない問題を、ある意味強く意識した上で、先ほどおっしゃった周知や支援についても、そういった視点で対応していこうと思っています。

○阿部座長
 では、渥美委員がみえましたので、何かあればどうぞ。

○渥美委員
 山田課長に質問させていただきます。障害者雇用は本当に今おっしゃったように、国際的に見ても日本の制度はかなり成功していると私も思っているのですけれども、法定雇用率が上がったことで、当然雇用率達成企業割合は下がるわけですけれども、この目標値はどのように変わるのでしょうか。

○説明者(職業安定局 障害者雇用対策課)
 先ほどもご指摘がありましたように、前回15年前に上げたときには、5%ポイント低下を起こしています。今回は周知期間は1年足らずで、平成25年4月からの施行になりますけれども、前回5%下がったから今回も下がっても仕方がないというわけにもいかないので、何もなくても5%程度下がるであろうということはありますけれども、それよりは若干ハローワークの頑張り分のプレミアムを付けた状態で、次の目標は設定しています。正直なところ、移行した瞬間はこちらも読み切れない部分があるので、あまり勢いのついた目標にはしていませんけれども、若干プレミアムを付けた状態にはしております。

○渥美委員
 ありがとうございました。それから、就職困難者に入るのかどうか分かりませんけれども、刑期を終えた人たちの雇用の協力雇用主が、登録者数の1割にしか満たないというのは、そちらの施策と関係はあるのでしょうか。要は、そういう状況をどうやって変えていくのかということを伺いたいと思ったのですが、それはここでは関係ないですか。

○説明者(職業安定局 若年者雇用対策室)
 本日の参加者には担当がおりません。

○渥美委員
 分かりました。ちなみに、午前中に私は内閣府の子育て関係、子育てと若者の育成支援の表彰制度、総理大臣表彰の委員会が年に2回あるもので出席したのですけれども、そこで一つ情報提供ですが、企業の応募が減ってきています。いわゆるワーク・ライフ・バランス、自社の子育て支援は、そういうテーマで応募がもちろんあってよいのですけれども、広く、刑期というわけではありませんが、例えば少年院を終わったとか鑑別所を終わった、若者の中でも就職困難な人たちを、協力雇用主でかなり積極的に雇用している企業を、厚生労働省は恐らく具体的にご存じだと思うので、そういうところをもっと社会的に陽が当たる、例えば内閣府の表彰制度で厚生労働省表彰を受けるようなことをされると、多分その1割はもっと上がっていくと私は思っています。厚生労働省推薦奨枠があり、今年はそういう推薦がなかったですけれども、来年度以降はぜひご検討いただければと思います。

○阿部座長
 では、ご検討ください。私から1点だけ。かなり指標も充実していますし、有効性の評価・効率性の評価もよく書かれていると思いますが、2点ほど注文があります。1点目は「効率性の評価」の高齢者のシルバー人材センターのところで、「1連合あたりのコストをもって効率性の評価を実施することは困難です」と書いてあるのは、意味がよく分からなかった。何を評価しようとしているのか。シルバー人材センターへの指導・援助を行うことが施策ですから、それはそれで、効率かどうかはわかりませんけれども評価はできるのではないかと思います。ここの書きぶりで、「1連合あたりのコストをもって」というと、シルバー人材センターがもっとうまくできるようになったものまで評価して効率性と言おうとしているのではないかと読めなくもないので、ここをもう少し、何を評価したのかを明らかにされてはどうかと思います。あるいは効率性の評価が合わないのであれば、ここはむしろ、「効率性の評価」には書かなくてもよいのではないか。
 それから、障害者の雇用率の点で、基準値の問題が先ほどから出ていますけれども、それ以外の基準値の置き方が、既に達成されている基準、数値よりも、やや下めに基準値を置いている感がなきにしもあらずで、果たしてそれがよいのかどうかは、今後考えていただきたい。例えば指標1の「労働力調査における60~64歳の就業率」は、平成24年度は57%以上ですけれども、既にこれは平成21年度もそうですが、ほとんど達成しているので、もう少し上を狙ってもよいという気もしないでもない。ご検討ください。

○説明者(職業安定局 高齢者雇用事業室)
 1点目のシルバー人材センターのことについては、ご指摘のとおりで、どう書くか悩んでいるところです。シルバー人材センターも、本当は高齢者の就業ということになりますから、ここも就業率のようなものがあるのですが、そこは各シルバー人材センターの取り組みによって全く違ってくる過程があるので、なかなかそれを上げることは難しいと思っております。指導ですと、委託費で全国シルバー人材センター事業協会にお金を配っているのですけれども、それをシルバー人材センターを指導している47で割ったような形になっていまして、非常に無理をした形になっていますので、また少し検討させていただいて、考えさせていただきたいと思います。

○阿部座長
 他にご意見はありますか。よろしければ、所管課におかれては、ただ今の議論を踏まえて、必要に応じ実績評価書の修正等を行うとともに、実績評価書の「学識経験を有する者の知見の活用」欄への記入をお願いしたいと思います。どうもありがとうございました。
 それでは、次のテーマに移りたいと思います。メインテーブルの入れ替えをお願いします。

(メインテーブル交替)

[4]多様な職業能力開発の機会を確保すること(施策番号5-1-1)

○阿部座長
 それでは施策番号5-1-1「多様な職業能力開発の機会を確保すること」について、担当課から5分以内でご説明をお願いし、その後、15分程度で質疑を行いたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

○説明者(職業能力開発局)
 よろしくお願いいたします。職業能力開発局総務課の松下と申します。私からは今、話がありました「多様な職業能力開発の機会を確保すること」につきまして、説明させていただきます。本施策につきましては、労働者の職業能力の開発と向上を図ることに加え、その職業能力を十分に発揮できるような環境を整備することを目的として、施策を実施しているものとなっています。こうした「多様な職業能力開発の機会を確保すること」に対応する具体的な施策としましては、資料にございます指標の1~4関連につきましては公共職業訓練、指標の5~6につきましてはジョブ・カード制度の推進関連。それから、指標7につきましてはキャリア形成促進助成金という事業主が訓練を行う場合の助成金による支援。指標8の関連では、優秀な技術・技能を持つ方に対して技能士という国家検定制度を設けた支援の実施。指標9の関係では、キャリア・コンサルタントの養成を行うことによるキャリア・コンサルティングの実施といった施策を行っているところです。
 こうした施策の評価結果と今後の方向性についてですが、まず「有効性の評価」につきましては、資料1にありますように、まずは「公共職業訓練(離職者訓練・委託訓練)の修了者における就職率」につきましては、平成23年度の目標値であります65%を達成しているところです。今後におきましても、こうした就職率が目標率を上回りますよう、今年度から委託訓練に関しましてはジョブ・カードを活用したキャリア・コンサルティングの実施、また訓練期間における就職支援責任者の配置、ハローワークにおける委託訓練受講中からの体系的な就職支援を強化することなどを行っているところです。一方、指標2にあります、同じく「公共職業訓練(離職者訓練・施設内訓練)の修了者における就職率」については、80%が目標値ですが、これにつきましては78.7%で、目標値に近い数字となっておりますが下回っている状況となっております。例年、公共職業訓練の就職率につきましては、施設内訓練で約74~78%、委託訓練におきましては62~65%程度の就職率を実現しておりまして、昨今の厳しい雇用情勢の中で多くの人の就職の実現に成果を上げてきているところと認識しております。引き続き、こうした公共職業訓練を実施することは、多様な職業能力開発の機会を確保するために有効な施策であると認識しております。その他の指標につきましては、指標5の「ジョブ・カード取得者数」と指標7のキャリア形成促進助成金事業における事業主の満足度調査につきましては、目標値を下回っておりますが、これも目標値に近い数字になっているほか、その他の指標におきましては目標値を上回る実績を上げているところで、これらの施策を実施することも、多様な職業能力開発の機会を確保するために有効なものであると認識しているところです。
 次に「効率性の評価」の観点から申し上げますと、公共職業訓練の実施に当たりましては、可能なものはできるだけ民間に委ねていくといった考え方に立ち、介護や情報通信などの成長分野などの訓練におきましては、民間の教育訓練機関を活用した訓練の実施を進めているところです。また国、具体的には独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構で訓練を行っておりますが、国が実施します訓練においては、設備などにコストがかかり、採算面から民間ではなかなか実施が難しい、ものづくり分野の訓練を中心として実施しており、また都道府県の訓練におきましては、地域の実情に応じた職業訓練を実施するなど、国と都道府県との役割分担、また民間との役割分担を進めながら効果的な訓練の実施に努めているところです。また、予算面から申し上げますと、公共職業訓練の予算額は平成23年度はその前年度より約56億円削減をしているところですが、委託訓練の就職率につきましては、現時点の速報値の状況を申し上げますと、前年度実績を上回っている。こうした状況からも、効率的な施策の実施ができているものと考えております。また、多様な職業能力開発機会の確保に当たりましては、ジョブ・カード制度の推進を図っていくこと、キャリア形成促進助成金や能力評価制度を通じた能力開発支援を行っていくこと、キャリア・コンサルティングの環境を整備していくことなどの取り組みが必要であると考えており、これら施策につきましても、先ほど申し上げましたとおり、概ね着実に実績が上がっているところで、これら施策の実施が、今後の職業能力を発揮する環境整備に一定程度効果があったものとして、引き続き実施していきたいと考えております。簡単ですが、私からの説明は以上です。

○阿部座長
 ありがとうございました。ただ今の説明について、ご意見・ご質問があれば、どうぞ。

○安永委員
 1点だけ。先ほどから話題になっております、目標設定の在り方です。今ご説明いただいた中では指標6「雇用型訓練の就業率」というところが、目標を毎年クリアされているにもかかわらず、昨年度よりも低めの目標設定になっています。一生懸命に努力されて目標をクリアしていることは理解しながらも、委託訓練活用型デュアルシステム、雇用型訓練の有効性については、雇用戦略対話などでも有効性があるという議論がされておりますし、ぜひ高めの目標にしていただきますようお願いしたいと思います。

○説明者(職業能力開発局)
 今いただきましたご指摘を踏まえ、実績につきましては相当程度、目標値を上回っているところですので、今後、目標値の在り方を検討するに当たりましては、しっかりとご意見を踏まえて検討してまいりたいと考えております。

○阿部座長
 渥美委員も特にありませんか。私からも特にコメント等はございません。実績評価書としてはかなりよくできているのではないかという感想を持っています。他に何かあれば。よろしいですか。
 それでは、基準値の見直しを少しご検討いただいて、お願いしたいと思います。必要に応じて実績評価書の修正等があれば行っていただいて、実績評価書の「学識経験を有する者の知見の活用」欄への記入をお願いしたいと思います。どうもありがとうございました。
 それでは、次のテーマに移りたいと思います。メインテーブルの入れ替えをお願いします。

(メインテーブル交替)

[5]男女労働者の均等な機会と待遇の確保対策、仕事と家庭の両立支援、パートタイム労働者と正社員間の均等・均衡待遇等を推進すること(施策番号6-1-1)

○阿部座長
 それでは、施策番号6-1-1「男女労働者の均等な機会と待遇の確保対策、仕事と家庭の両立支援、パートタイム労働者と正社員間の均等・均衡待遇等を推進すること」について、担当課から5分以内でご説明をお願いし、その後、15分程度で質疑をしたいと思います。それでは、よろしくお願いします。

○説明者(雇用均等・児童家庭局 雇用均等政策課)
 雇用均等政策課長の吉本と申します。よろしくお願いいたします。資料1-5をご覧いただきたいと思います。施策目標名はそこにございますとおり、男女労働者の均等な機会と待遇の確保対策その他でございまして、施策の概要もそこに3点挙げさせていただいておりますが、それにつきまして有効性・効率性の観点からの評価結果につきまして、ご説明申し上げたいと思います。資料で申し上げますとその裏のページに測定指標を6指標掲げさせていただいております。施策の項目ごとに申し上げますと、まず一つ目が、男女が能力を発揮するための就業環境の整備についてということで、これに関します指標が指標1と2です。まず、指標1「都道府県労働局雇用均等室が実施した男女雇用機会均等法に基づく指導の是正割合」です。これにつきましては、「有効性の評価」のところに書かせていただいておりますけれども、男女雇用機会均等法違反が認められるものについては、確実に是正させていくといった姿勢で粘り強く事業主指導をしております結果として、是正割合の目標90%に対して、平成23年度の是正割合は95.5%といった状況です。二つ目の指標が「ポジティブ・アクション取組企業割合」です。この測定指標として取り上げております意味ですけれども、ただ今申し上げましたとおり、男女雇用機会均等法違反があれば性差別は徹底して是正させるということでやっているわけですが、それだけでは実際に存在する男女間格差が解消することはできないという認識の下、これを解消するための取り組みとしてポジティブ・アクションの推進を有効な取組と考えて進めているところです。この指標につきましては、まず有効性の評価のところでご覧いただきますと、指標2については残念ながら目標値には2.3ポイント達しなかったわけですが、前年に比べますと3.6ポイント上昇していまして、これまでの最高の割合ということです。しかしながら、目標に達しなかった理由としましては、ポジティブ・アクションに取り組む予定があるという割合を基にして目標を立てているわけですが、なかなか予定があるとしてもまだ進まないといったことについては、ノウハウ不足であるという理由で具体的な取り組みにつながっていない状況が考えられるところです。これに関しまして、「効率性の評価」のところに書かせていただいておりますが、ポジティブ・アクションの取り組み状況につきましては、企業規模とか産業によって状況が大変違いますので、今のところ中小企業、それから産業の重点的に働きかける対象を選定してやっているところです。経費としましてはそこに掲げておりますが、平成22年度に比較しまして平成23年度は予算額は減額になっておりますが、取組企業割合、情報ポータルサイトのアクセス件数、いずれも前年よりも増加しているということで、この点については効率的に実施できたと評価できるのではないかと考えております。今後につきましては、取組みが遅れている中小企業を重点的に支援していきたいと考えております。企業に対する積極的な情報提供や、少し補足させていただければ、後ほど説明いたしますけれども、最近男女間格差の「見える化」の事業を実施しており、これらによって効率的・効果的に実施してまいりたいと考えております。
 それから、施策の二つ目の項目ですが、育児・介護を行う者が仕事と家庭を両立しやすい雇用環境の整備についてということで、測定指標としましては、指標3と指標4を掲げさせていただいております。これらにつきましては「有効性の評価」のところに書いておりますが、それも前年実績値を上回っております。特に男性の育児休業取得率につきましては、調査開始以来初の2%台ということで、これは育児・介護休業法の改正ですとか、イクメンプロジェクトといったものが有効であったのではないかと考えております。また、下の「効率性の評価」で、中ほどに書かせていただいておりますが、予算額につきましては、この部分につきましても前年予算額より減少しておりますけれども、指導結果改善または改善の意向を示した事業所数は99.9%、また育児休業取得率も今申し上げたように上昇しているということで、この点から見れば効率的に実施できたと評価できるのではないかと考えております。なお、直接この指標とは関係ございませんが、平成24年度の行政事業レビュー公開プロセスにおきまして、事業所内保育施設設置・運営等支援助成金に対しまして、対象とする事業所の業種や規模について重点化すべきだといった意見が出されまして、抜本的改正が必要とされているところです。今後とも、男性の育児休業については13%という目標を掲げておりますので、それに向けて効果的・効率的な事業を実施してまいりたいと考えております。
 三つ目のパートタイム労働者と正社員との均等・均衡待遇の推進については指標5と6になります。これらにつきましてはいずれも実績値が前年度実績を上回っているところです。「有効性の評価」のところに書かせていただいておりますが、指標5につきましては、均衡待遇・正社員化推進プランナーといった労務管理の専門家による支援が有効だと考える中小企業に重点を置いて事業所を選定し、個別に事業所訪問を行ったことや、指標6につきましては、短時間正社員制度について人事担当者向けに制度の概要や制度設計に際する留意点についてのセミナーを開催したといったことが有効であったと考えているところです。一方、「効率性の評価」につきましては、プランナーの人数に対して実際支援した事業者数を対比しますと、平成23年度の方が効率的に実施できたと評価できるのではないかと考えております。引き続き、効果的・効率的な実施に努めてまいりたいと思っております。以上でございます。

○阿部座長
 ありがとうございました。それでは、ただ今の説明に対してご質問・ご意見があれば、お願いします。安永委員。

○安永委員
 ありがとうございます。一つ目が、指標の追加の提案をしたいと思います。「施策の背景・枠組み」の「働く女性が母性を尊重されつつ、その能力を十分に発揮できる雇用環境の整備」という点で、内閣の重要施策部分にも触れられておりますが、「第1子出生後の女性の就業継続率」を指標に追加すべきではないかと思います。データはそれぞれ違う場で目標などを出されておりますので、ぜひ指標としていただきたいと思います。
 それから、指標3「男性の育児休業取得率」ですが、これは何日以上育児休業を取ればカウントされることになるのでしょうか。これは質問です。

○説明者(雇用均等・児童家庭局 雇用均等政策課)
 1点目につきましては、私どもは第1子出産前後の就業継続率につきましても別途目標を定めてそれに向けてやっているところですけれども、それについて取っていますデータが5年に1回しか取れないといった制約があるところですので、毎年の評価の指標としては難しい部分があると考えておりますけれども、別途政府目標に掲げているものですので、このスキームの中ではございませんけれども、それに関する事業が適切かどうかといったような検証を進めていきたいと考えております。
 また、育児休業は1日であっても育児休業ということでそれにカウントさせていただいております。

○安永委員
 子育ては私は終わってしまいましたが、妻からよく1日2日手伝っただけで育児をしたと言うなとよく叱られましたが、「1日以上」で育児休業といえるのかどうかという判断があろうかと思います。せめて育児休業手当が出る水準「20日以上」などを基準とすべきではないかと思います。逆に、男性の場合は、私の周りでも有給休暇が余っているのでそれを取得するという人もかなりいて、そういう方はカウントには含まれていないと思いますので、実態に合わせた指標の作り方も重要ではないかと思います。以上です。

○阿部座長
 いかがですか。

○説明者(雇用均等・児童家庭 雇用均等政策課)
 ご意見として受け止めさせていただきたいと思います。現在の目標値を作りましたところからの継続性という意味では、また法律上の育児休業の定義ということで申し上げれば今の取り方が一つの考え方と思っていますが、もっとそれを長く取っていただけるように推進していくということや、実際は有休でという人をどのように勘案していくのかというのは検討課題ではないかと考えております。

○渥美委員
 渥美と申します。私はダイバーシティやワーク・ライフ・バランスを企業に広める仕事をしています。まず、指標に関してのコメントですけれども、ポジティブ・アクションに関しては、そもそもWebサイトで登録されている企業が増えているのはとても喜ばしいことだと思っていますし、私も研究者としてサイトの取組みはとても勉強させていただいています。一方で、実質的にポジティブ・アクションをやっていますが、公表しない会社はかなりあります。その理由としては、そもそもポジティブ・アクションをやっているということを対外的に言うことで男性社員が誤解する。逆差別しているではないかということであったり、そういうことが広まることによって女性社員からは、あたかも自分が実力ではなくて下駄を履かされて上がったような誤解をされるのは困るから、ポジティブ・アクションをやっていることを言わないでくれという声も実際に起きたりします。ですから、かなり本格的にやっている企業が、やっているからこそ、それを社外にも出さないし社内でもやっていることを公にしない。しかし、内々に女性管理職割合、女性夜勤割合まで含めて目標値を設定しているところは、かなりあります。私はそういう情報をたくさん持っていますが、守秘義務から今ここでどこがやっているかは言えません。ただ、もしサイトを匿名化しても情報提供してもよいとすれば多分かなりユニークな取組がたくさんあるので、そういうことで情報がもっと深まるだろうということはいつも感じているところです。
 例えば、先ほど第1子出産時の就労継続に関して縦断調査で5年に1回という話ですが、ほとんどの企業で退職率は取っています。要するに女性従業員と男性従業員の退職率はかなり差が出ます。そのギャップを埋めなければいけないという問題設定はやっていて、それがどこまで埋まったかということを実際にやっている企業もたくさんありますが、そういうことはサイトでは情報としては前は何%だったということは、恥ずかしい情報なので社名を出さないですし、それをどのようにやって埋めていったかという取組、プロセスが非常に面白いし、やっていない企業はそういう情報は参考になりますが、今はかなり先進的だと言っている企業ほど、かつてはひどかったので、かつてのひどかった情報を知られなくないということで情報を出さないです。匿名化すれば既にサイトに載っている企業でも良いことしか書いていないと私は見ていて思いますが、もっと本当はプロセスの間で男性からの抵抗をどのように乗り越えたかというような面白い情報をたくさん載せられるはずですから、そういう深い情報を知るためにも匿名化というのも一つあるのではないかと思います。
 もう一つは、40%という目標値はもっと高くてよいという考え方をしています。というのは、ほとんどの企業が採用時には成績順、あるいは面接まで含めて順番付けしたら女子学生が圧倒的に多数派を占めます。にもかかわらず、採用数で見て女性社員割合が4割を超えている企業はほとんどありません。要は男性のクオータが実際に入り口の時点であります。それは調査すれば絶対に分かります。だから、入り口の時点で男性クオータがあるのだったら、要するに実際に男子学生を5割以上採らなければいけないというルールがありますので、狭い門で入ってきた優秀な女性たちが活躍できていないという情報は、そこを是正するのはバランスを取る上では必要だから、私はポジティブ・アクションの目標値は100%でよいという考え方を持っていますが、そこのロジック立てです。ベースになっている入り口ベースで女子学生が優秀だと言葉ベースではいろいろな企業が言っていますが実質的なクオータがあるということは、まだデータでは誰も言っていない。私は自分の研究先であったりクライアントの企業ではそういう情報を持っていますが、それはあくまでも個人データですから、そういう情報をもってして40%ではなく60%、80%に上げていくことはぜひご検討いただきたいと思います。
 指標3の「男性の育児休業取得率」に関しては、ご指摘があったような3段階あって、一つ目は雇用保険からの育児休業給付金、要は2週間である理由と、私はイクメンプロジェクトにも入れていただいているのでデータを出してくださいと言って知っているデータですが、0.15%です。要は1年間に生まれた赤ちゃんの数を分母にして雇用保険給付者である男性を分子に取ると0.15%。非常に低いです。まだまだ上がってきているし広まってきている。イクメンプロジェクトにしても厚生労働省の施策は成功していると思いますが、これで安心できる数字ではないということです。先ほどご指摘があった1日だからいけないという考えは私は持っていません。というのは、自分自身も育児休業を2回とって4か月と2か月ではありましたが、実際に男性の育児休業取得者はご存じのとおり、給付金をもらっている人は2週間とか、せいぜい1か月ぐらいが一番多いところです。要するに長くない。長くなくても本当に大変だということでマインドチェンジのきっかけにはなるし、立ち会って、出産という大変なことは自分にはとてもできないと気付くだけでも対応が変わるはずだから、1日という基準は別に悪くないと思います。
 ただ、一方で、2.63で非常に上がったから良かったと私もほっとしていますが、下がっています。下がっているのは多分統計上のマイナスだと思います。要はこれは5,000事業所のサンプル調査です。振れ幅があって、そもそも誤差の範囲で、1.72~1.38下がったのは政策が失敗したわけでもなくて、サンプル調査の統計上の限界だと思っていて、そういう数字であるから、それに基づいて失敗・成功と一喜一憂するのも違うのではないかという考えを持っています。これもイクメンプロジェクトの担当者から伺った情報なので確実ですけれども、定義を一昨年から変えていますよね。いわゆる配偶者出産休暇も育児休業として回答できるようにしていますから、設問を変えた時点で増えるはずです。それで減った1.38、1年減ったので本当は増えるはずなのにということで議論になりました。2段階目として、企業によっては配偶者出産休暇も入れて今の育児休業の定義が2段階目で、3段階目では先ほどおっしゃった有給休暇で実際に出産時に立ち会っている人は本当にたくさんいます。私は内々に持っている数字だと30~40%いくと思います。ただ、付き合っている企業は基本的に力を入れている企業だから、平均するともう少し下がるかもしれませんが、恐らく有給で立ち会っている人を入れたら13%を超えるのではないかと思います。そこは資料3の数字だけではなくて、いろいろな観点から0.15が来年0.2になれば前進だし、いろいろな評価軸を持った方がよいと思います。ちなみに0.15の数字をいうと47都道府県全部の数字をもらいましたが、かなり差があります。広島県はご案内かと思いますが、育児休業の奨励金を作っていて、しかも3,000万円という年間予算でかなり金額をとっていて、湯崎知事が首長として取ったということもあって、他の自治体と取得率が一桁違います。そういう個別自治体の取組によっても、かなり差があることを広めることによって、まだやっていないところの取組を後押しするという施策の方向性もあると思いますので、もう少し男性育児休業推進のための幅広い取組を期待しています。
 ワーク・ライフ・バランス全般に関してですけれども、そもそも企業が今は女性社員支援ではなくて男性社員の意識改革ということでかなり視点が広まってきていて、特にここ1、2年は介護を切り口に一番理解が得られにくい中高年男性社員にいずれあなたたちの問題になるという介護を切り口としたアプローチが広まってきています。ワーク・ライフ・バランスも男性の育児休業取得率やイクメンに絞らずに、もう少しライフステージで幅広く広げて指標を取った方が恐らく企業としては取り組みやすいし広がりやすい。例えば一つの指標として、ポジティブ・アクションの指標で男性の片働き、共働きで昇進昇格割合が違っているというデータをとっている企業があります。私もそうですが、共働きは時間制約がありますので、片働きに比べるとワーキングマザーに近い働き方をせざるを得なくなる。結果的に共働きが女性社員の昇進昇格の制約になっているようなところがあったりして、それはおかしいではないか。共働きも片働きと同じように昇進昇格できるような職場環境をつくっていこうというように、女性社員支援だとどうしても女性ベース男性のようになってしまうものですから、共働き男性や介護せざるを得ない男性など、もっといろいろな従業員ニーズがあるということでアプローチした方が結果的にうまくいくというところを企業がやっているところですので、ぜひ厚生労働省の指標の中でも、そういう幅広い指標を今後検討されることを期待します。以上です。

○阿部座長
 何かお答えすることがありますか。

○説明者(雇用均等・児童家庭局 雇用均等政策課長)
 大変貴重なご示唆をいただきまして、ありがとうございます。それぞれ、あらためてよく検討させていただきたいと思います。特に、Webサイトに匿名で情報を置くということも非常に面白いアイデアだと思います。一方で、情報開示や「見える化」を最近の行動計画の中でも謳っていますが、そのときはまさに匿名ではないからこそ良い企業だと評価されるように仕掛けていこうといった側面もございますので、多分目的とするところが別々だと思いますので、そういった視点も勘案してまいりたいと思います。
 ポジティブ・アクションの目標につきましては、まずは40%超を目指しつつ、将来的には更なることも考えてまいりたいと思います。

○説明者(雇用均等・児童家庭局 職業家庭両立課)
 指標3の「男性の育児休業取得率」についてでございますけれども、この数字はもう少し大きな数字になるのではないかというご指摘は最近いろいろなところでいただくようになっておりまして、例えばNPO法人ファザーリング・ジャパンの安藤さんが5割近くいくのではないかというような他の調査でもそういう数字を見たことがございまして、おっしゃったとおり、いろいろな調査で実態把握に努めていきたいと考えております。
 3点目のワーク・ライフ・バランスについてでございますけれども、介護の両立支援につきましてはおっしゃるとおり、これからの課題として非常に大きなものと考えているところでございまして、指標化にはまだ早いということもありますが、我々の課題としてきちんと対応していきたいと考えております。

○渥美委員
 一つだけ情報提供させていただくと、ご案内のように介護での休業取得者数は育児休業取得者数よりもコンマ一桁低いです。ただ、今いろいろな企業で実際に介護している従業員は、基本的にカミングアウトできていません。要は、介護していると知られた途端に昇進昇格できないとか重要な仕事が与えられないという不利益を被るだろうと。会社に対して信頼が薄いと顕在化できていないという状況があります。実際に介護しながら働いている人は40代50代社員のうち、10~20%の企業が多いです。それが20社ぐらい今まで調査をお手伝いしたときの平均値ですから、全国でやるともう少し違う数字になるかもしれませんが、今の時点で現実問題としてそれだけの数字になってくる問題ではあります。恐らく5年10年の介護リスク、今の従業員構成からいって要介護は基本的に数字的にリスク把握できてしまうので、今の従業員構成だと5年後10年後今の潜在ニーズがどれぐらい顕在化するかという仕事もよくやりますが、これも5年後10年後が20~30%になる企業が大半です。だから、今話題になっているほどには実際に職場に出ていないということがお耳に入っている情報だと思いますが、それがリアルな数字ではなくて、今年から厚生労働省はかなり本腰を入れて介護とワーク・ライフ・バランスをやられると伺っていますので、そこはぜひ、そういう数字もあるということを知っていただけたらと思います。以上です。

○阿部座長
 それでは、私からも今の介護の件ですが、施策目標には「介護を行う労働者が」と書いてあるにもかかわらず、評価書の中では介護については全く触れられていないというのはよろしくないのではないかと思いますので、初めの段階で指標を作っていなかったという問題はあるかもしれませんが、どういうことを評価できるか、できないかといったところは少し書くべきではないかと思います。
 「有効性の評価」のところですが、指標2の最後のところで「ノウハウ不足で具体的な取組につながっていない状況が考えられる」とあるのは、これは誰のノウハウ不足なのかがよく分からないので、誰のノウハウ不足なのかをもう少しきちんと書いたらよいのではないか。後ろの現状評価の総括のところを見ると、企業のノウハウ不足とも読めます。そうすると、企業のノウハウ不足でといってよいのか。それとも、例えば施策実行者側の問題なのか。もし施策実行者側のノウハウ不足であれば、どうすればよいのか。あるいは、そうではなくて企業のノウハウ不足であればどうすればよいのかと、ぜひつなげていただければと思います。
 それから、もう一つ「今後の方向性」のところでも、ざっと書いてある感じがしますが、具体的にどういう取組をするかということをもう少し書いてもよいという部分があります。例えば、各企業の男女間格差の「見える化」ということが具体的に書いてありますが、それ以外の部分についてはぼんやり書かれているような気がするので、もう少し書いてもよろしいのではないかと思いました。
 それに加えて指標の問題もありますので、その辺りも踏まえてご検討いただければと思います。何か、ありますか。

○説明者(雇用均等・児童家庭局 雇用均等政策課)
 ご指摘の点については検討してしかるべく書き加えたいと考えております。
 
○阿部座長
 それでは、ただ今の議論を踏まえて、所管課におかれては、必要に応じて実績評価書の修正等を行うとともに、実績評価書の「学識経験を有する者の知見の活用」欄への記入をお願いしたいと思います。本年度当ワーキンググループで議論を行う実績評価書につきましては、以上で終了です。どうもありがとうございました。
 続いて、次の議事に移りたいと思います。メインテーブルの入れ替えをお願いします。

(メインテーブル交替)

(2) 指定等法人が行う指定、登録等に係る事務・事業の定期的検証

○阿部座長
 続いては、その他の議題として「指定等法人が行う指定、登録等に係る事務・事業の定期的検証」について、所管課より説明があります。それでは、お願いします。

○説明者(大臣官房総務課)
 大臣官房総務課参事官をしております三石と申します。先生方にはお疲れのところ、最後のテーマになりますけれどもよろしくお願いいたします。それでは、資料の説明をさせていただきますが、資料2-1をご覧いただきたいと思います。「指定等法人が行う指定、登録等に係る事務・事業の定期的検証」ということでございますが、これはいわゆる法令に基づきまして公益法人などを特定しまして典型的なケースとしては各種試験でありますとか研修といった事業を特定の法人に行わせるというものでございます。ただ、それにつきましてはいわゆる特定法人の既得権益になっているのではないか。あるいは指定の過程・プロセスが透明化されていないのではないかという各種の問題点指摘などもございましたので、平成18年の閣議決定で、ここにもございますように「国からの指定等に基づき特定の事務・事業を実施する法人に係る規制の新設審査及び国の関与等の透明化・合理化のための基準」が閣議決定されまして、そこでこういった法人に関わる事務・事業については改善すべき点がないか毎年見直しを行う。そして、少なくとも3~5年ごとに政策評価を行って事務・事業の必要性も含めて定期的な検証を行うこととされております。平成18年に閣議決定されましたので、3~5年ということになりますと平成23年度までに行うということでございますが、私ども各関係部局で政策評価を行いまして、その結果について本日報告させていただくというものでございます。
 厚生労働省におきましては、事務・事業としては90。そして、対象の指定法人としては8,358ございました。これまでの見直しの結果、五つの事務・事業については必要性が乏しいということで廃止しております。詳しくは後ほど別の資料で説明させていただきたいと思います。これは行政刷新会議による事業仕分けなどを踏まえたものでございます。さらには厚生労働省独自の省内事業仕分け、あるいはこういった独立行政法人・公益法人の整理合理化委員会がございまして、そこで個別の法人の在り方などについて見直しを行いました。その結果、下にございます[1]~[6]のような各種見直しの実施をしてまいりました。具体的にはこういった法人に対する国からの補助金の削減でございますとか、こういった法人に再就職している公務員OBの削減。さらには、この指定等法人の指定手続き、あるいはその内容についてのインターネットによる公開によって透明性を高めるといった取組を行ってきたところです。
 今回、政策評価ということで、先ほど申し上げた廃止された5の事務・事業を除きます85の事務・事業につきまして、[1]~[3]にございますような、そもそもの事務・事業の必要性、あるいは現在の執行体制の妥当性、評価結果の総括という観点から、関連部局で政策評価を行いました。その結果でございますけれども、85の事務・事業につきましては引き続き指定等法人により実施する必要があるということでございましたが、さらに今後定期的な検証を行って見直しが必要であれば適時見直しを行っていくこととしております。また、政策評価の結果につきましては、このワーキンググループが終わった後に厚生労働省のホームページで具体的な個票も含めて公表する予定でございます。
 具体的な中身でございますけれども、恐縮ですが資料2-2をご覧いただきたいと思います。こちらで先ほどの85の事務・事業について挙げられております。左にナンバリングがございますけれども、特にこのワーキンググループの関係で申し上げますと、労働・子育て関係ということでございますので、ピックアップさせていただきますと、3ページの33番と34番は、それぞれ能力開発あるいは介護労働者の雇用管理の関係の指定法人ということになります。介護労働者の雇用管理の関係につきましては予算の削減等の見直しを実施しております。4ページの60番は高年齢者の雇用の安定等に関する法律に基づきます各種啓発事業あるいは研修事業などでございます。これにつきましても、予算の削減などを実施しております。5ページの61番から次のページ80番までは港湾労働者の訓練の関係。子どもの関係では62番以降でございますけれども、次世代育成支援あるいは児童福祉法の関係などの指定法人が挙げられております。さらには66番から勤労者財産形成促進法に基づく指定法人あるいは労働安全衛生に関する指定法人ということで、時間の関係上、個々の説明は省かせていただきますけれども、法人の指定基準についての透明化ということで、インターネットでの公開でございますとか事業の見直しなどを実施しております。最後の6ページ、86~90番に線を引いておりますが、これは仕分けで廃止された事務・事業ということで、このワーキンググループの関係では86番と87番です。いずれも指定法人は21世紀職業財団でございましたけれども、事務・事業がそもそも必要性が乏しいということで、この二つについて廃止したということでございます。さらに細かいものについては個票という形で先生方のお手元にも配布させていただいておりますけれども、それらを含めましてこの政策評価の結果を公表する。何かあれば、また皆さま方からご意見をお聞きするということで実施したいと考えています。簡単でございますが、以上です。

○阿部座長
 ありがとうございました。どなたかご質問がございますでしょうか。渥美委員、どうぞ。

○渥美委員
 質問ではなくて意見ですが、86番・87番で今おっしゃった職業財団を縮小したというのは私は良くないと思っています。事業仕分けはここに関しては非常に良くなかったと思っていいます。書いておられるように、地方の事業所がなくなったことによって労働局が引き継いでいますけれども、労働局はご案内のとおり、基本的には労働基準監督署で企業をネガティブに指導する役割もあって、片やこちらの方はポジティブに企業にもっと良いことをやろう、広めようと。労働局の中では当然そこはファイアウォールがあって、広めるときにはあまりにも時間外が多いから、それを何とか改善したいという企業に関して時間外が多いという情報を聞いてすぐに労働基準監督署が行くということにはならないと思いますが、企業にしてみれば例えば労働局が来たというのは結構企業にとってはぎょっとするところもあって、ポジティブトーンでの施策がやりにくい面があるのではないか。つまり、企業にとってみれば「飴と鞭」を同じところがやっているような受け止め方をしているのは耳に入っています。ですから、本当は職業財団がずっとこういう事業をやっていた方が中立的な色がついていない、企業にとってはポジティブな方は職業財団というようにうまくできていたのに、今はそこが回りにくくなっている状況があると思っています。ですから、要は私は基本的にこれは皆さまお仕事でやることが決まっているからやっているのは当然存じていて、皆さまが悪いとは全然思いませんが、こういう対象が90で5が廃止だというと、「何だ。5%強しか廃止できていないではないか」という見方をおっしゃって、短絡的にそのような受け取り方をする人もいるとは思っているのですけれども、もともとの事業に意義があって廃止する必要がないのならばゼロでも構わないし、むしろ増やしてもよい、プラスでもよいと思っています。しかも、このような取組は、民間であれば減らしたらそれで浮いた事業費を新規事業に回すというようなことでやりがいが持てますけれども、もしこれが、10や20わかったところで、「やはり厚生労働省は今まで無駄なことをやっていたではないか」という言い方で、さらに厚生労働省がバッシングを受けるようなことが容易に想像されて、あまりポジティブに取り組めないのではないかと想像します。ですから、決まっているから仕方がないのですけれども、こういうアプローチを今後も取り次ぐこと自体が本当に良いことなのかどうか本当に疑問に思っていて、財団法人21世紀職業財団などは戻した方がよいのではないか。戻すことは無理だとしても、中立的な組織でワーク・ライフ・バランスの施策をやった方が、実質的にうまくいくのではないかと私は思っています。以上は意見で、質問ではありません。

○阿部座長
 ありがとうございました。多分、お答えづらいと思いますが、既に行政刷新会議等で結論が出ているものなので、ここでどうこうは言えないと思いますが、多分そういうことだろうと思います。ただ、今回ここに出てきたのは、そういう仕分け以外にもいろいろと見直された結果としてこういうことになっていますと。そういうことをやりましたということだろうと。見直し状況をご説明いただいたのだと思います。それについての意見は。

○渥美委員
 見直しされたのは非常にご努力されて見直されたので、よいと思います。ただ、気の毒だという感じです。

○阿部座長
 見直しのし過ぎがあったのではないかということですね。

○安永委員
 不勉強で申し訳ありません。事業所内託児所などの関係で、指定法人という意味でこれに関するものなどはありますか。

○阿部座長
 多分それはないと思います。私の記憶が正しければ、財団法人21世紀職業財団が何か関わっている気がしますけれども、事業所内保育所の事業も取りやめになりましたので、ここの中には書いていません。

○安永委員
 取りやめになったこと自体は、ここは言う場ではないのでそれはよいのですが、非常に執行率も高くて評判がよく、特に中小企業の労使には評判がよかったので、今、「子ども・子育て新システム」の法案なども議論されていますが、地域型の保育にスムーズに移行させて、空白期間が出ないように、ぜひ調整をお願いしたいです。

○説明者(大臣官房総務課)
 今、先生方からご意見をいただいて、お答えしづらい部分もあるのですけれど、あるいはわかっておられてあえてご指摘いただいているものもあると思います。現政権になってから、民間の指定法人と言っています公益法人の在り方というところにつきましては、厳しくきちんと検証するようにということで、その結果としてこのようなものが出てまいりました。議論の過程では、もちろん必要なものはこういう部分で必要なのだということでデータも上げて、その結果の仕分けということです。これが廃止されたからといって、廃止されたので直接我々としては関知しないということではなく、先ほど渥美委員からも具体的にご指摘いただいたように、もし現場で何らかの問題が生じているのであれば、廃止したことによって新たな問題が発生していないかどうか、そこは各関係機関にもきちんと伝えてフォローアップさせるようにしたいと思います。

○阿部座長
 ありがとうございました。それでは、本来我々がやらなければならない指定等法人が行う指定、登録等に係る事務・事業の見直しそのものについては、特にご意見はなかったということでよろしいでしょうか。それでこの件は終わりにしたいと思います。よろしいですか。

○安永委員
 今回、この有識者会議の労働・子育てワーキンググループに初めて参加させていただきました。聞くところによりますと、このワーキンググループで議論したことを有識者会議全体で共有化を図ることはないと聞いています。前回の会議でそのような確認がされているのだろうと思いますが、有識者会議として、他のワーキンググループの資料などもぜひ共有化していただきたいと思っていますし、来年の議論になるのかもしれませんが、次回以降は事前に関係する部署などで意見を出し合うということなども工夫していただければと思います。以上です。

○阿部座長
 事務局から、何かありますか。

○政策評価審議官
 今の安永委員のご意見に対してお答え申し上げます。まず、今年につきましては、正直申しまして、ワーキングでやろうというのは、正しく言うと平成23年度にやろうとしました。しかし、大震災があり、いろいろなものの事務の省力化ということもあって、昨年度はいったんワーキングでやろうと決めたのですが、有識者会議の全体会合でやらせていただきました。今年はそういう事情もなくなったということで、既定路線でやらせていただきましたが、今の安永委員のご指摘もよくわかりますので。いずれにしても申し上げたいことは、この有識者会議は良くも悪くも審議会ほどガチガチではありませんので、運営方法はフレキシブルですので、また検討させていただきたいと思います。
 それから、もう1点お伝えしなければいけないのは、今おっしゃった今年の7月にやります他の二つのワーキングの資料はすぐにお渡しできると思いますので、また何かあれば言っていただければと思います。いずれにしても、より良い形で、まさにこの会議の運営そのものもPDCAでございまして、一歩ずつ、ステップ・バイ・ステップで毎年良くなっていければと思っている次第でございます。
 それから、もう1点少しお時間をいただいて、もう時間が過ぎていますので簡単に申し上げますが、今日は大変貴重なご意見を多々いただきまして、ありがとうございました。その中で、共通する問題だと私が受け止めましたのは、指標の中でもともとの目標値に対して実績がそれを上回っている。つまり、ポジティブに上回っている。下回っている方が良い場合もあるのですが、にもかかわらず、翌年の目標値がまた横ばいになっているという事例が幾つかありました。これにつきましては、確かにいわゆるMBO:マネジメント・バイ・オブジェクティブの考え方から申しますと、あるいはPDCAのらせん階段モデルから言いますと、普通は実績が目標を達成すると翌年はその上というのは誠にご指摘のとおりで、まさにロンドンオリンピックでございまして「より速く、より高く」なのだと思いますが、少しこの辺について、なぜそうしているかは政策評価官室でそこをピックアップして、事情を聞いてみたいと思います。その上で、何か改善を図るべき点があれば検討いたします。いずれにしましても、この目標設定は今日お手元にお配りしました参考資料3、本当は3月末がよかったのでしょうが、今年はいろいろな事務を初めてやるということもあり、少し不慣れだった点もあって、平成24年4月27日厚生労働大臣決定となっていますが、いずれにしても年度末を目途に、今日の参考資料3の実施計画と呼んでいますものを作成します。どこでもよいのですが、一つだけこのA3の紙をお開きいただきますと、ここに「測定指標」がありますが、一番右側の欄をご覧いただきますと、「測定指標の選定理由及び目標値(水準・目標年度)の設定の根拠」とあります。こういう形式にしましたのは、総務省が音頭を取りまして、今年の3月に各省の申し合わせで、様式を統一するという一環として初めて導入したもので、厚生労働省としては従来なかった様式です。そういう意味で、確かに斜めに読んでみますと、必ずしも説得力のあると申しますか、先ほども少し発言させていただきましたが、大事なことは説明責任:アカウンタビリティということだと存じますので、そういう意味でなぜ、例えば実績が上回っているにもかかわらず目標値が横ばいなのかというところは、本当はここできちんと説明する義務が担当課にはあるわけです。そういう意味で、来年に向けて改善するべき点があるのかもしれませんので、ここは政策評価官室の方で宿題にさせていただいて、実態を踏まえた上で。結構、各課でお家の事情があって、どんどん目標を上げていくという訳にはいかないということがあるのかもしれませんので、そこは調査の上、検討させていただきたいと思います。以上です。

○阿部座長
 ありがとうございました。その他に、ご意見等はありますか。私から、1点だけ。今、真ん中辺りでお話しになった他のワーキンググループの資料等をいただいたときに、もし安永委員や渥美委員から意見が出た場合には、そちらにメールか何かでお知らせするということでよろしいのですか。それとも、立ち入らない方が良いですか。

○政策評価審議官
 もう1回ご理解いただきたいのは、今年の場合、このような分科会形式でやらせていただきましたので、正式には「学識経験を有する者の知見の活用」欄につきましては、あくまでワーキンググループの場でのご指摘を踏まえた形で整理させていただきたいと思いますが、ご意見はきちんとお伝えします。いずれにしても、少しでも政策評価の中身が良くなることが大事ですので、ご意見があればお伺いしたいと思います。

○阿部座長
 わかりました。ありがとうございます。
 それでは、本日予定していました議事はすべて終了しました。私のタイムマネジメントがうまくいかなくて15分ほど超過してしまいましたが、委員の皆さまには熱心にご審議いただきまして大変ありがとうございました。
 それでは、事務局より本日の議論の取扱いについて、一言お願いします。

○政策評価官
 長時間にわたり、ご議論いただきありがとうございます。本日いただいたご意見等につきましては、今後、担当課において必要に応じて実績評価書に反映するとともに、「学識経験を有する者の知見の活用」欄に記入させて、政策評価官室で取りまとめの上、公表あるいは総務省へ連絡するという手続きを取りたいと思います。

○阿部座長
 どうもありがとうございました。それでは、本日の会議は終了とさせていただきます。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

政策統括官付政策評価官室

政策評価第二係: 03(5253)1111(内線7780)

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