ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(感染症分科会結核部会)> 第25回厚生科学審議会感染症分科会結核部会議事録




2012年8月1日 第25回厚生科学審議会感染症分科会結核部会議事録

厚生労働省健康局結核感染症課

○日時

平成24年8月1日(水)
10:00~12:00


○場所

厚生労働省(中央合同庁舎第5号館)17階専用第18~20会議室


○議題

(1)BCG接種年齢について
(2)その他

○議事

○結核感染症課課長補佐(難波江) おはようございます。それでは、定刻となりましたので、これより「第25回厚生科学審議会感染症分科会結核部会」を開催させていただきます。
 開催に当たりまして、外山健康局長よりごあいさつ申し上げます。
○外山局長 おはようございます。健康局長の外山でございます。
 委員の皆様方におかれましては、大変お忙しいところ、第25回厚生科学審議会感染症分科会結核部会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 皆様御承知のとおり、かつて国民病とまで言われていた結核は、官民一体となった取組みによりまして、毎年、患者数が減少しております。しかし、近年は減少率が鈍化しておりまして、依然として年間2万人を超える新規患者が発生しております。また患者の高齢化や、多剤耐性結核の発生など、さまざまな問題が生じております。厚生労働省といたしましては、結核を取り巻く状況の変化や、新たな課題に対処するため、地方自治体や関係団体と連携を図りながら、結核対策を一層推進していきたいと考えております。
 また、今回は、BCGの接種年齢について御議論いただきたいと考えております。我が国では、小児結核の予防効果を上げるため、平成17年からBCG接種対象年齢を4歳未満から生後6か月までに引き下げたところでございます。その後、小児結核は減少する一方で、骨炎・骨髄炎の副反応が増加しているのではないかとの指摘がなされ、既に結核部会及び予防接種部会で御審議をいただいているところでございます。本日は、この事項につきまして、是非、議員の先生方には、専門的かつ大局的な見地から御意見をちょうだいするようお願い申し上げまして、冒頭のあいさつにさせていただきます。本日はどうぞよろしくお願い申し上げます。
○結核感染症課課長補佐(難波江) 次に、今回、新たにこの部会の委員になられた先生方を50音順に御紹介させていただきます。
 まず、慶応義塾大学大学院法務研究科准教授の磯部哲委員でございます。磯部先生は本日は御欠席との御連絡をいただいております。
 独立行政法人国立病院機構埼玉病院内科医長の大谷すみれ委員です。
 福島県県北保健福祉事務所長の遠藤幸男委員です。
 社団法人日本医師会常任理事の小森貴委員です。
 愛知県衛生研究所長の皆川洋子委員です。
 独立行政法人国立病院機構千葉東病院院長の山岸文雄委員です。
 公益財団法人結核予防会複十字病院診療主幹の吉山崇委員です。
 どうぞよろしくお願いします。
 本日の出欠状況ですが、坂谷部会長及び磯部委員から御欠席との御連絡をいただいております。
 続きまして、前回の開催以降に事務局側にも異動がございましたので、御紹介させていただきます。
 結核感染症課長の正林でございます。
 結核感染症課課長補佐の乗越です。
 結核感染症課課長補佐の吉澤です。
 結核感染症課ワクチン対策専門官の喜多です。
 私、課長補佐をしております難波江と申します。よろしくお願いします。
 カメラの頭撮りはここまででお願いいたします。
(報道関係者退室)
○結核感染症課課長補佐(難波江) 本日は、坂谷部会長が欠席となっておりますので、本日の進行は部会長代理であります加藤委員にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○加藤部会長代理 皆さん、おはようございます。本日は、今、御案内のとおり、坂谷部会長が御欠席でございますので、座長代理を承っております私が進行させていただくことになりました。どうぞよろしくお願いいたします。
 まずは、資料の確認ということで、事務局からお願いいたします。
○結核感染症課課長補佐(難波江) 資料の確認をさせていただきます。お手元のクリップどめを外していただきまして、議事次第、座席表、委員名簿。
それから、資料1「BCGの接種時期の見直しについて」。
続きまして、参考資料1「結核集団感染の件数について」。
参考資料2「平成23年結核登録者情報調査年報集計結果」。
参考資料3「平成24年度診療報酬改定説明会資料」。
参考資料4「数理モデルを利用した小児の結核リスクの検討」。
参考資料5「BCG接種時期の変更による結核患者発生数の変化のシミュレーション」。
参考資料6「BCG接種規則に関する要望」。
参考資料7「BCG接種」に関する資料となっております。
 不足等ございましたら、事務局までお知らせください。
○加藤部会長代理 どうもありがとうございました。
 本日の資料ですけれども、お手元の議事次第に沿って進めてまいりますので、よろしくお願いいたします。
 まず、議題の「(1)BCG接種年齢について」です。事務局から御説明をお願いいたします。
○結核感染症課課長補佐(難波江) では、お手元資料、横組みになっておりますが、資料1「BCGの接種時期の見直しについて」御説明させていただきます。
 1枚おめくりいただきまして、このBCG接種時期の見直しを検討するに至った背景でございますけれども、こちらに記載しておりますとおり、我が国では、小児結核の予防効果を上げるため、平成17年からBCGの接種対象年齢を4歳未満から生後6月までに引き下げたところでございます。国際的にも、一部の結核罹患者が減少している国を除き、多くの国で出生直後にBCGを接種している状況でございます。
 ちなみに、平成17年までは、接種対象者は4歳未満のツ反陰性者として、標準的な接種期間が3か月~1歳とされておりました。
 17年以降でございますが、生後6月に至るまでとして、なお地理的条件など、やむを得ないと認められる場合には生後1歳までを対象としております。
 平成22年8月6日、2年前に開催されました結核部会におきまして、近年、BCG接種後に骨炎・骨髄炎の副反応が増加しており、因果関係は不明だが、生後早期の接種との関係も否定できないことから、BCGの接種時期を生後6月までから1歳までに延ばすことについて検討してはどうかという意見をいただきました。
 その後、昨年開催されました第16回予防接種部会で、下記にございますような意見をいただきまして、今回、改めて結核部会で御検討いただくことになった次第でございます。
 いただきました意見としては、接種時期を1歳までに延ばしても、小児結核が増えないといったシミュレーションがあればよいのではないか。
 近年、接種するワクチンが増加し、他のワクチンの接種スケジュールと調整していくのが困難であり、接種時期を1歳まで延長するのが望ましいのではないかという御意見でございました。
 続きまして、3ページ目でございますが、BCG接種後の骨炎・骨髄炎の発生状況のデータになります。上段は過去10年、平成17~22年度の副反応報告に基づくデータでございます。真ん中に線を引いてございますのが平成17年度で、これ以降、接種対象年齢が生後6月未満に変更となっております。17年前後の変化を見ますと、前は年平均1.25件であったのが、後は3.83件と、2.58件増加している結果となっております。
 下段は、健康被害救済の認定件数になります。平成17年度より前は年平均1件であったのが、後は年平均3件となっております。
 ちなみに、健康被害救済の月齢を書いておりますが、これは接種時の年齢になります。
 続きまして、4ページでございますが、これは2年前の本部会で御報告いただいたデータの再掲になりますが、1996年以降に確認された骨炎・骨髄炎29症例の接種時期を調べたものでございます。多くの症例で生後3月、4月の接種であったことが確認されます。
 続きまして、5ページ目になりますが、BCG骨炎・骨髄炎の臨床経過の概要になります。臨床症状としましては、大腿骨の跛行、下肢痛、膝関節の腫脹・疼痛、それから、上腕骨の肩関節痛、その他、病変部の腫脹・疼痛や腫瘤の触知などが見られます。
 発症部位でございますが、長幹骨への発症が多く、一般に結核性の骨炎に多い脊椎への感染は少ないとされております。
1996~2009年に日本で発生し、病巣が明らかであった32例のうち、長幹骨が59例を占めておりました。
また、1960~1988年までにフィンランドで発生した222例のうち72%で、また、1949年以降にスウェーデンで発生した152例のうち71%を長幹骨が占めていたというものでございます。
 治療効果と予後でございますが、一般に結核性の骨炎と比べて軽症であり、予後は良好とされております。1996~2009年に日本で発生し、治療内容が明らかであった30例のうち、28例では後遺症なく治癒しております。ただ、1例で大腿骨の変形・短縮、1例で肩関節の自動可動区域制限といった後遺症が残ったという報告がございます。
 また、上記30例のうち、23例では、抗結核剤投与のほかに外科的な掻爬術が実施されております。
 続きまして、6ページになります。6ページは小児結核の発生数でございますが、平成12~22年までの推移を示したものでございます。平成12年、0~3歳までで89例いたわけでございますが、平成22年は0~3歳までで26例の報告となっております。平成12年を100%とした場合、22年では29.2%と、約10年で7割の減少が見られているというものでございます。
 下にございますデータは、全年齢の新規登録患者数でございまして、平成12年は3万9,384人であったのが、22年に2万3,261人。こちらは、12年を100とした場合は、22年で59.1と、約4割の減少という推移でございました。
 続きまして、7ページ目でございまして、こちらは小児の結核登録患者数と、そのうち、重症となります結核性髄膜炎、粟粒結核の推移を示したものでございます。小児0~14歳は、2011年で84例ございましたが、結核性髄膜炎はうち1例でございまして、粟粒性結核は2例。0~4歳で見れば、結核性髄膜炎は0例、粟粒結核は1例というものでございます。
 続きまして、8ページ目でございますが、こちらは少し古いデータでございますけれども、結核性髄膜炎の診断時期と、その予後に関するデータ。つまり、結核性髄膜炎がどの程度重症になるかということをお示ししたデータになります。
StageI、頭痛・熱感等の非特異症状の段階で発見し、治療が行われた場合は、8症例全例回復しておりました。
StageII、神経症状や髄膜刺激症状が出現した段階の9例では、5例が完全回復、3例が中枢神経の後遺症が残り、1例が死亡という結果でございました。
StageIII、昏迷・昏睡状態の場合、11例のうち、2例が完全回復、中枢神経症状が残ったのが5例、うち2例は晩期の死亡で、死亡したのが4例でございました。
 続きまして、9ページでございますけれども、今般、BCGの接種時期を後ろにずらすことの検討につきまして、予防接種部会で、ずらした後に小児結果が増えないといったシミュレーションがあればよいのではないかという御意見をいただきましたのを踏まえまして、2名の先生にシミュレーションを行っていただきました。
まず、9~11ページにかけましては、香港大学の西浦先生にシミュレーションをお願いいたしました。その概要でございますけれども、シミュレーションの前提としては、乳幼児の結核は、乳幼児の集団内における2次感染ではなく、成人から乳幼児への伝播によって発生していると仮定しております。
それから、ワクチンの有効性は74%と仮定しております。
平成17年に接種時期を前倒しした後に乳幼児の罹患率の減少速度が加速したのはBCGの接種によるものと仮定しております。
シナリオの比較分析ですが、2つのパターンで解析を行っていただきました。過去の結核罹患ハザードの減少傾向が今後も同様に続くと想定した場合に、1が1歳までに接種対象者の97.5%が接種を完了するという、引き延ばした場合のシナリオでございます。2が、現行の6月までに97.5%が接種を完了するというシナリオでございます。
結果でございますが、次の10ページになります。カラー刷りの資料は赤丸になってございますが、赤丸が現行のシナリオで、青の+が1歳までに引き下げたシナリオになります。この赤と青の差が想定される患者の増加分でございまして、2012年に接種時期を変更した場合という前提で計算いたしますと、1歳未満で最大5名程度、1~2歳で最大4名程度の年間の発生数の増加が想定されるという結果が得られております。
次のページの考察でございますが、乳幼児結核発生数の増加は、BCGの接種時期の引き延ばしを実施してから1~3年にかけて顕著に見られることが想定される。
平成17年にBCG接種年齢を生後6月未満に引き下げたところ、小児結核発生の減少が見られたが、このような接種引き下げによる影響があるとする限り、どのようなシミュレーションを行っても、BCG接種時期引き延ばしによる小児結核発生数の増加が想定される。
一方で、結核罹患ハザードは明瞭な減少傾向を示し、10年単位では著明な減少に至ることが想定される。
BCG接種時期の引き延ばしを実施するか否かは、患者数の漸増に対して、骨炎等の副作用の発生数を比較考慮して判断する必要があるという考察をいただいております。
続きまして、12ページ、こちらは結核研究所の森先生に行っていただきましたシミュレーションでございます。前提とした仮定としては、2010年ごろに生まれた100万人のコホートの4歳までの結核を発病する件数を計算し、その変化を見る。
件数及び変化率については、感染危険率を0.02~0.04%、感染時の年齢別発病率の最尤値の上下30%の幅でランダムに100回変化させるシミュレーションを行い、その中央値と90%信頼区間を求める。
結核感染は生後の年齢によらず一定(0.03%/年)とする。
BCG接種の予防効果は年齢によらず80%とする。
感染後の結核発病のリスクは、感染を受けた年齢及び感染後の時間経過によって変わるものとする。変化は下のデータで示しているものでございます。年齢によって変化するというものでございます。
続きまして、13ページになりますが、2つのシナリオで比較を行っていただきました。1つが現行の生後3~5月、平均4.5月で全員が接種を受けるという1のシナリオでございます。2が若干接種時期をずらしまして、生後6~8月、平均7.5月で全員が接種を受けるというシナリオで比較検討いただきました。
結果でございますが、1番が現行の結果、2番が少しずらしたときの結果で、3番が結論になります。結論は、比較すると現行が65人発病、代案、後ろ倒しにした場合に77人発病と、約18%の増加が見られるのではないかというシミュレーションでございました。
留意点として、現実に観察された届け出患者数、小児の0~3歳までの26人よりも過大の結果となっており、想定した感染危険率、または発病率のいずれか、もしくは両方が過大となっている可能性がある。ただ、3の結論ですが、両者の比較という意味では、パラメータの仮定を変更しても変わらないというものでございます。
また、計算は0~3歳に限っているが、BCG接種効果は10~15年と言われているので、本来、そこも便益として考慮すべきという結果をいただいております。
続きまして、14ページ目でございますが、こちらは現行の乳幼児の予防接種のスケジュールの一例でございます。現行で生後2か月以降、6月までに定期、それから、任意を含めて全てのワクチンの接種を受けるとすると、6種類のワクチンを計12~13回接種する必要がありまして、こちらにお示しした例は、同時接種を希望される場合にこのようなスケジュールになるというものでございまして、同時接種を希望される場合は月1回、同時接種の本数を1回に2本までとすると大体月2回程度、それから、同時接種を希望されない場合はほぼ毎週接種を受けなければならないという形で、かなりスケジュールがタイトとなっているというものでございます。
15ページ、最後でございますが、これまでの議論や、今回いろいろといただきましたデータなどを踏まえまして、事務局として、BCGの見直し時期の案をお示ししたものでございます。
案1でございますが、現行のまま、生後6月までの接種という案でございます。この場合の小児結核への影響としては現状維持、骨炎・骨髄炎への影響は現状維持、それから、予防接種スケジュールへの影響は過密、今のままというものでございます。
それから、案2でございますが、BCGの接種年齢を1歳までとして、標準的な接種期間は定めないという案でございます。こちらのシミュレーション結果に基づきますと、小児結核は増加する懸念がある。一方で、骨炎・骨髄炎、これはまだ因果関係は明らかではないとされておりますが、減少する可能性はあるというものでございます。予防接種スケジュールへの影響は緩和というものでございます。
それから、案3でございますが、BCG接種年齢を1歳までとした上で、標準的接種期間を生後3~6月未満とするというものでございまして、こちらは現状維持、もしくは6月以降に打たれる方が増えると若干増加する懸念がある。それから、骨炎・骨髄炎への影響でございますが、現状維持、または若干減少する可能性がある。予防接種スケジュールは若干緩和というものでございます。
それから、案4でございますが、BCG接種年齢を1歳までとした上で、標準的接種期間を生後5か月以上8月未満とするというものでございまして、こちらは、小児結核への影響は、若干増加する懸念がある。骨炎・骨髄炎への影響は減少する可能性がある。予防接種スケジュールへの影響は緩和されると見込まれるというものでございます。
以上、資料1でございますが、この議題に関連しまして、資料1を作成する参考資料として使わせていだきました資料4「数理モデルを利用した小児の結核リスクの検討」、香港大学の西浦先生のシミュレーション結果、それから、参考資料5、森先生のシミュレーション結果、それから、参考資料6として、小児科学会から出されております「BCG接種規則に関する要望」、それから、参考資料7の第19回の本部会で用いられた資料、こちらを参考資料として添付させていただいております。御審議のほど、よろしくお願いします。
○加藤部会長代理 ありがとうございました。
 一気に資料の御説明をいただきましたけれども、幾つかの論点が含まれると思います。とりあえず、今の資料の御説明に対して御質問はございませんでしょうか。膨大な資料がありますので、はっきりしない点がありましたら、あらかじめ御質問いただければと思います。
○山岸委員 よろしいですか。
○加藤部会長代理 山岸委員、どうぞ。
○山岸委員 現在、原則として生後3か月以上6か月未満ということですけれども、それ以降、1年までは特別な場合があれば認められていますけれども、その6か月~1年というのは、大体、今、どのぐらいのパーセントで行われているのでしょうか。
○結核感染症課課長補佐(難波江) 現行の接種でございますが、参考資料7の4ページの上側にあるデータでございます。これは2005~2008年の接種率の推移でございますけれども、2005年は前倒しする前のデータでございます。4歳までのときのデータになります。2008年で、接種率は、生後5月までに97.7%の方が打たれていて、1年までというのは、左側のグラフになるのですが、ほぼ横ばいといった状況かと思います。多くの方は5月までに打たれているという現状でございます。
○加藤部会長代理 よろしゅうございますか。ほかにございますか。
 それでは、順番に議論を進めていきたいと思うのですけれども、私の方で論点を幾つか考えてまいりました。1つは、骨炎は本当に増えているのかということです。2つ目は、骨炎の問題の重大性。今、御報告ありましたけれども、この数をどのように評価するか。私ども結核対応専門家だけではなくて、一般の人がどう思うかという点から少し御議論いただければと思います。それから、BCGの必要性。小児結核、あるいは髄膜炎についてお話しいただきましたけれども、これをどのように考えるか。4つ目として、骨炎増加の疑いかと思うのですけれども、それと結核増加の総体的な関係、このバランスをどう考えていくか。5つ目として、ほかの予防接種との関係。スケジュールがタイトになっているということがございましたけれども、実際、現場でどのくらいあるのか、もし経験のある委員がいらっしゃいましたら、お知らせいただきたいと思います。その上で、最後の対応案ということで進めさせていただければと思います。
 まず最初の、骨炎が本当に増えているかということでございます。今、御説明の資料の3ページ、副反応報告、あるいは健康被害救済認定の数から、増えているのではないかということがございますけれども、これについて、御意見をお持ちの委員はいらっしゃいますでしょうか。どうぞ。
○小森委員 大変難しい問題なのですが、骨炎・骨髄炎について、確かに副反応報告件数では増加していると読むのが当然だと思うのですが、診断をするドクターの側の問題意識といいますか、あるいは17年度から変更、あるいはまた骨炎が増加しているというようなさまざまな情報というのは、現場のドクターは少しずつ、その情報については周知をしてきているわけですので、診察、診断に至るまでの間に骨炎を見つけようというインセンティブが以前より多くなっている可能性もあるのですね。ですから、これが本当に発症数の増加なのか。確かに報告数は増加しているけれども、本当に発症が増加しているのかというのは、また別の観点から見るというような厳しい目も1点必要かなと思っておりますが、ほかの委員の先生方の御感想はいかがなものでしょうか。
○加藤部会長代理 ありがとうございます。
 今、小森委員から、ほかの先生の御意見ということで問題提起いただきましたけれども、いかがでございますか。
吉山委員、何かありましたら、お願いします。
○吉山委員 今の小森委員の提起なのですけれども、前倒しになった時点では、骨炎が増えるということは余り予測されていなかった事象なのです。3~4年たったところで、どうも多いようだということになったところで周知されるようになりました。18年度、19年度ぐらいの時点では、それは余り周知されていなかったと思います。
スウェーデン、フィンランドの例が参考資料に出ていますが、これらの国において、何かBCGのやり方が変わったわけではなく、ただ、骨炎を起こしやすい株だったということで、フィンランドは株を変更し、BCGを継続、スウェーデンはBCGを廃止という選択をその時点で行っています。そういったことがあるということは結核の専門家の間では知られていたことなのですけれども、接種時期によって増えるということは、初めの時点では予想していなかったというふうに推察いたします。
ですので、この増加は、確かに加速された部分はあるかとは思うのです。だから、3倍、4倍になったのは、もしかすると、より見つけようというところが働いたのかもしれませんけれども、2倍までは本当に増えたのではないかというふうに私は推測しています。
○加藤部会長代理 ありがとうございました。
 実は、私も事前に少しこの部分を検討させていただきました。今、資料で御報告ありました副反応報告と健康被害救済認定のほかに、一昨年の部会で報告がありました、参考資料についています徳永先生の報告、日本BCG研究所で小山先生たちが行った報告もございます。
小山先生の報告は学会の報告のレビューをやっていまして、2004年以前が年平均2.4件、2005年以降が3件ということで、小山先生の報告の範囲内では明らかに増えているとは言いがたいという結論でした。ただし、これは学会のレビューですので、報告が非常に増えてくると、報告の価値が下がってきますと報告されなくなるということがありますから、それをもって本当に増えていないと言い切れるかという問題があります。
徳永先生の報告は、整形外科学会のアンケートをしたり、自らやられた小児結核の実態調査、それから、今の小山先生等の報告を全て合わせて集計されていまして、2004年以前の数が9年間で年平均2.3件、2005年以降が5年間で4.2件ということで、数が増えているように見えますけれども、この部分は、今、小森委員の御指摘のとおり、後半は少し数が増えて見えていますので、そういった影響があるかもしれません。
あと、診断という点で言いますと、BCGの菌はヒト型のPCRに反応します。ですから、菌を持たれて、ヒト型結核菌のPCRをやって陽性になったために、BCG菌と思わなかったという可能性はないか。つまり、そのために報告されなかった可能性がないわけではないということです。いろいろなことを考えますと、増えている疑いは確かにあるけれども、断定までできるかというと、さまざまな不確定のファクターが入ってくるというのが現状かなと思っていたところなのですけれども、私の考察がこれでいいかどうか、御意見ありましたら、是非いただきたいと思います。
遠藤委員、何かご意見ありますか。
○遠藤委員 BCG骨炎の副作用の発生数だけなのですが、その分母といいますか、BCG接種者数と比較というのは、勿論、副作用自体が数少ないのですが、そういった割合の比較は、少子化もあるだろうし、あるいは平成17年から積極的ダイレクトワクチレーションというところのバランスで、差があるというのは、そういった分母も影響しているのではないかと考えると思うのですが、いかがでしょうか。
○加藤部会長代理 接種数ですけれども、これは事務局の方でありますでしょうか。
○結核感染症課課長補佐(難波江) 参考資料7の3ページにございまして、データ自身が途中で切れたりとかしているのですが、昔は小学生とかでも打っていたということもあって、600万人ぐらい、昭和20年とか30年は打っていたのですが、ずっと減ってきまして、17年は100万人弱、19年は100万人ぐらいという数字になっております。12~17年の数はございませんで、12年の時点で230万人でございます。
一方で、下の接種率を見ますと、余り大きな変化はないということでございますので、子どもの数が反映されるのではないかと思います。
○加藤部会長代理 どうぞ。
○遠藤委員 そうしますと、分母となる数、そして副作用が実際にはこの数どおり、疑いはあるにしても、増えている傾向があるという判断でよろしいのでしょうか。
○結核感染症課課長補佐(難波江) 人口のデータは手元にないのですが、子どもは毎年減っていると理解しておりますので、分母自体は減っている傾向の中での増加ではないかと考えております。
○遠藤委員 増加ということですね。ありがとうございます。そこを確認しておきたかったのです。
○加藤部会長代理 ありがとうございました。
 今、数は明らかに増えているかどうか、結論はしにくい部分はあるのですけれども、それでは、これは接種時期の変更と本当に関係があるかと、これについてはいかがでしょうか。ちなみに、2005年、つまり制度の変更前後で、接種率の変化は資料のどこでしたか。
○結核感染症課課長補佐(難波江) 参考資料7の4ページになります。
○加藤部会長代理 参考資料7の4ページですね。2005年までですと、5か月までの接種率が52%。それに対して、山岸委員から御質問の御返答がありましたとおり、2005年以降は97%ぐらいということで、かなり前倒しになっているということがございます。
 もう一つ、資料の4ページ、徳永先生から19回の部会に出された接種年齢なのですけれども、これは96年以降ですので、接種制度が変わった前後が全て含まれています。したがいまして、これは3~4か月に非常に集中していますけれども、本当は対象年齢を少し検討しなければいけないということでございます。
 接種月齢も私は事前に少し検討させていただきました。接種年齢が6か月以内になる前の時期の段階と、そうでない段階と比べてみますと、2004年以前のデータだけ集めてみても、4か月辺りが非常に多いということでありますので、やはり何らかの関係はありそうだなという印象は、強く疑わせるところであります。そんなことを考えますと、接種年齢が総体的に非常に若い年齢、6か月以内に97%まで来ていますから、2005年以前は50%ちょっとくらいだったのを考えますと、もし増えているとすれば、接種年齢が早くなったことと関係ある可能性は推定しなければいけないかなと思います。
これについて、何かコメントいただけたらありがたいのです。
○小森委員 1点よろしいですか。
○加藤部会長代理 どうぞ、お願いします。
○小森委員 非常に厳しい選択、非常に困難な決定をしなければいけないと思っておりまして、そこであえてお聞きをいたしますが、当然、結核になりますと粟粒結核等も増加をすることになりますので、骨炎・骨髄炎と結核を天秤にかけるというのはなかなか難しいのですが、あえてお聞きしたいのは、徳永先生の論文でも、ほかの論文でも、骨炎・骨髄炎について、重症例はない、ただ、後遺症を残す例があったということですが、これをどう評価するかということなのです。更にさまざまな御専門家の方々で、骨炎・骨髄炎については、結核という事象より軽症、比較的軽い疾病といいますか、軽い病態と考えていいのかということの意思統一があれば、次のステップに進めるのかなという気もしておりまして、その辺りのことについて、御専門の先生がもしもいらっしゃったら、教えていただきたいなと思います。
○加藤部会長代理 ありがとうございます。
 これについて、論点の次に移った形になりますけれども、どなたか御意見ございますか。結核を診ている者は、どうしても結核が大事だということになりますので、そうでない方の御意見も貴重だと思いますけれども、いかがでしょうか。
 では、指名させていただいてよろしゅうございますでしょうか。皆川委員、いかがでしょうか。難しいと思うのですけれども。
○皆川委員 どちらも非常に発生数が大変少なくなっておりますので、私ども、感染症発生動向調査にかかわっている者には、これでバランスを取るのは大変難しいなと思って見ております。
論点の先の方に行ってしまうのですけれども、今年の9月以降、ポリオが生ワクチンから不活化に変わることを含めたスケジュール及び、小児科学会から少し延ばしてもらえないかという要望が出ていることも含めて判断すればいいのかなと考えております。
○加藤部会長代理 ありがとうございました。
 予防接種スケジュールの関係は後でまた深く議論させていただきたいと思うのですけれども、今、小森委員から御提起がありました骨炎をどう考えるかということで、山岸委員、よろしゅうございますか。
○山岸委員 どちらを選択するかというのは非常に難しい問題だと思います。高松先生のデータからも、結核性髄膜炎は非常に予後が悪いと。後遺症を残すこともあるし、死亡することもあるということを考えると、我々、結核の臨床を行っている者としては、そちらをできるだけ抑えたいというのは正直なところであります。
○加藤部会長代理 ありがとうございました。
 それでは、南委員、よろしゅうございますか。
○南委員 私は専門的なことはわかりません。ただ、今、おっしゃったように、やはりリスクの比較検討にならざるを得ないだろうと思います。なるべく報告を徹底させて、きちんとした評価ができるように、進めていく方が安全といいますか、そういう方法をとらざるを得ないのではないのかと思います。
○加藤部会長代理 ありがとうございます。
 それでは、大谷委員、いかがですか。
○大谷委員 私も臨床していた立場から言うと、粟粒結核で亡くなるというのは非常に重篤という感じがするのですけれども、日本の歴史を考えても、一般の人たちに、結局、予防で命を失ったり、後遺症が残るということは、すごく心に残ると思うのですね。ですので、おっしゃられたように、天秤にはかけられないのですけれども、もし徳永先生の御意見が、本当に3か月、4か月にすごく集中しているのであれば、今の6か月ということに関しては、例えば、5~8か月ぐらいとか、後になると思うのですけれども、もしこの資料が正しいとすれば、ちょっとの時期をずらすだけで回避できるのではないかという印象を持っています。
 あと、徳永先生のようなデータが、本当に明確なというか、はっきりしたもの、例えば、月齢ではない、日齢ぐらいのデータがもし本当にできるのならば、いいかなということと、それには骨炎についての診断が非常に不確定なように私は思うのです。診断基準とかがフィンランドとかスウェーデンとか、出ているようでしたら、教えていただければと思うのです。
○加藤部会長代理 ありがとうございました。
 骨炎の診断基準というのはありましたか。
○結核感染症課課長補佐(難波江) 確認させてください。
○加藤部会長代理 では、確認していただくということで、その間、遠藤委員はいかがでございますか。骨炎をどう考えるかということですが。
○遠藤委員 住民といいますか、子どもさんたちの命の大切さというところで、骨炎の副作用という点も考えなくてはならないし、更には、結核性髄膜炎、粟粒結核が増えるという視点、結核の罹患数の問題ということもございます。ただ、そこで問題になるのは、小児の予防接種のスケジュールというところで、お母さん初め保護者の方々が混乱しているというのは事実でございます。3~4か月に骨炎が多いということも踏まえて、1年まで延ばすか、あるいは、今、大谷委員からありましたように、7~8か月辺りまで若干延ばすかというところで、6か月までにワクチン接種のチャンスを逃した方に対する救済措置を、小児科学会、あるいは保護者のニーズも含めて、ある程度、後ろの方に倒していくという検討は必要かなと思います。そして、1~3年、あるいは10年、20年後の長いスパンでも評価は難しいとは思いますが、随時進行管理をしながら、結核の新規発生数、罹患率、そして骨炎の副作用、髄膜炎、粟粒結核等の推移も検討しながら、また随時検討していくという方法が一番現実的なのかなというふうには、個人的に考えております。
○加藤部会長代理 ありがとうございました。
 深山委員、御意見ありましたらいただけますか。
○深山委員 臨床医としては、髄膜炎、粟粒結核の方が怖いのですけれども、日本の国民性として、今までの予防接種の歴史を振り返ると、病気になるのは仕方がない、だけれども、予防接種でどうかなるのはいけないというようなことがありましたので、やはり骨炎・骨髄炎には重きを置きたいなというふうに考えます。もし私の子どもや孫にいつ受けさせるかといったら、やはり5~8か月を標準期間として、そこら辺で受けなさいと言いたくなると思います。
○加藤部会長代理 ありがとうございました。
 吉山委員だけ聞いていないのですけれども、いいですか。
○吉山委員 西浦参考人と森参考人のモデル計算ですが、結核が増えるだろうと言っているのですけれども、モデルをつくった時点でそれは決まっていることで、本当にそのモデルが正しいのかどうなのか私にはよくわかりません。今、ざっと見て、1998~2005年まで、0~3歳で毎年12%結核が減っていて、2005~2010年まで10%なのですけれども、2005~2006年のところで断続があるかというと、断続的にはどうも見えないのですね。逆に言うと、本当に減ったのだろうかというところが、一抹の不安があります。早くしたことよって、本当は減ったはずなのです。それを期待してやったはずです。一方、明らかに減っているのは髄膜炎、粟粒結核です。2006年に初めてゼロになって、その後、ほとんど起こしていません。ただ、粟粒結核、髄膜炎はすごく数少ないので、モデル計算も困難ということで、西浦先生も森先生も計算しなかったのだと思うのです。
何が起こり得るかというと、小児結核はモデルのつくり方によって増えるはずと書いていますけれども、多分、わからないのではないか。最近は、3歳以下の結核などは、年間でもこんなに変動するくらいになっていますし、短期の観察ではわからないのではないかと思います。
ただ、髄膜炎が増えるとして、どのくらい増えるかということで、その直前のところでの髄膜炎の発生件数は、2005年3人で、2000年の時点でさえ、0~14歳で7人、0~4歳までだと4人でしかないので、増えるとしても、2000年、2005年のころに比べて、今の小児の結核の発病率が半分に減っているとして、1人か2人、粟粒結核、髄膜炎が出るか出ないか、せいぜい2人ぐらいだと思います。全然出ないかもしれない。それまでは5~8か月よりももっと後ろの方でBCGをやっていた人が多かったから、もっと効果はあるから、2人までは増えない可能性の方がはるかに高いです。1人、髄膜炎が出るか、出ないかで、何年間か経過を見ていると、こうなったというのはわかるけれども、1年、2年では多分、わからないような気がします。済みません、余り答えになっていないのですけれども、だから、やってもすぐには影響は見えないのではないかというのが私の意見です。
○加藤部会長代理 ありがとうございました。
 一通り各委員の御意見を伺いましたけれども、骨炎が本当に増えているかということについても、数だけではなかなかわからない。簡単に言ってしまいますと、発生が非常に少ないですので、検証するのがなかなか難しい。診断についても、必ずしも臨床の全ての先生が徹底しているとは限りませんし、細菌学的にも、マルチプレックスPCRという方法でないとBCG時期が確定できないとか、さまざまな問題がありまして、確定ができない。計算につきましても、森先生も西浦先生も考察で述べていらっしゃるように、モデルで実施されていますので、ある前提というのは、いろいろな先生方の御見識の中からパラメータを使って計算されていますが、これも、今の吉山委員からの御指摘をお借りすれば、非常に少ない事象なので、必ずしも確定的なことは言いがたい。
一方で、骨炎と結核、特に髄膜炎になりますと、予後も非常に悪いですから、結核の専門家としては、結核の重要性は勿論あるのだけれども、予防接種でこういった、外科手術が必要になるのも結構ありますから、そういった意味では、なるべく避けたいと、こういったことが皆さんの御意見をある程度まとめたところかなと、今、感じております。
 それで、ワクチンスケジュールについて、皆川委員から御指摘ございましたけれども、追加で、こういう点がということがありましたら、是非御意見いただきたいのですけれども、いかがでしょうか。スケジュールの資料が14ページにございます。一通り御説明いただきましたけれども、私もついていけなかった部分があるので、事務局からもう少し説明いただけますか。
○結核感染症課課長補佐(難波江) 予防接種スケジュール、こちらに記載されていますのは3つのグループに分けていますが、一番上が定期接種として入っているもの。それから、定期外、いわゆる任意と言われているもの。それから、最近、緊急促進事業として、国の事業としてやっているHib、肺炎球菌、これらのワクチンがございますが、生後2月以降6か月までに受けるワクチンとしては、DPT、BCG、それから、任意でロタウイルス、これは2種類メーカーがございまして、どちらかという形になります。それから、B型肝炎、Hibと肺炎球菌と6種類ございます。
DPTで言えば、生後3月から始めて、21~56日間隔で3回打っていただく。それから、BCGが生後6月までに1回。それから、ポリオの場合は、これより前に打たれる方もあれば、後ろに打たれる方もあるのですけれども、今、生ポリオでは年2回なのですが、御指摘がありましたとおり、今年の9月から不活化ポリオワクチンが導入される予定でございまして、これはDPTと同じスケジュールになる予定です。2つございまして、単独の不活化ポリオワクチンであれば、1回、それ一本で打っていただく必要がある。更に、4種混合ワクチンというのが先週薬事承認されましたけれども、これが導入されますと、DPTに置き換わって打たれるという形になります。なので、4種混合になると接種回数は実際には増えないというものでございます。それから、ロタウイルスは、ものによって2回、または3回打っていただく。それから、B型肝炎は3回。Hib、肺炎球菌は、開始時期にもよるのですけれども、2か月で開始した場合は、それぞれ3回打っていただく必要がある。
同時接種をやる場合は、こちらに書いてあるとおり、1回でこれだけの数を受けるのですが、同時接種、医師の判断で、1回を2本までとか、または全く同時接種はやらないという先生、さまざまございますので、ケースによって回数は変わってくるのですが、この表で示しているのは、同じ時期に打てるものは全部同時接種をやるという前提でいきますと、大体、月1回打っていただくという形になるのですが、1回は2本までみたいな形の同時接種であれば、その2倍、2週間に一遍。仮に同時接種をやらないという場合であれば、これがほぼ毎週という感じで、2か月以降6月までの間に接種をいただく必要があるというものでございます。
○加藤部会長代理 ありがとうございました。
 御質問ございますか。
○結核感染症課課長補佐(難波江) 参考資料に小児科学会の要望書をつけておりますので、そちらもごらんいただければと思います。参考資料6でございます。
○小森委員 よろしゅうございますか。
○加藤部会長代理 どうぞ。
○小森委員 新しい意見ではございませんが、私、やんごとない事情で11時10分ごろに退席をいたしますので、意見を述べさせていただきたいと思います。
 御承知のように、予防接種部会におきましては、生ワクチンの定期接種化を広く促進すべきであるという提言をしたわけでございまして、財源等の問題があるにせよ、医学的・科学的見地からは、そのようなワクチン投与については、これから定期接種化していく方向にあるということは間違いがございません。現在のHib、小児用肺炎球菌ワクチンの接種率等々勘案をいたしますと、やはり乳児の予防接種のスケジュールは余りにタイトである。近い将来、更なる多価ワクチン、また同時接種に対する国民の意識や科学的な知見が集積をしてくると思いますけれども、現状ではタイトである。ましてや健康なお子様であっても、6か月という間にはさまざまな疾患を繰り返すわけでございますので、現場でお母様方が本当に困惑をしていらっしゃるという姿を、私も一人の臨床医としてよく拝見をいたします。
したがって、座長の進行の先を行くみたいで恐縮ですが、私は、やはりBCGの接種年齢については1歳までということで延長するのが妥当であろうと。ただ、そのことの中で、先ほど案に示されたうちの、3か月以上6か月とするのがよろしいのか、5か月以上8か月というのがよろしいのかについては、私自身は心の中でも非常に悩んで決着のつかないところでございまして、これからの御議論の中で最も子どもさんの命を守る上でいい結果を導き出せればいいなと思っております。
結論めいたお話をこの場でするのは大変御無礼でございますが、どうぞ、事情等について御勘案をいただいて、お許しをいただきたいと思います。
○加藤部会長代理 小森委員、大変ありがとうございました。
 現場ではスケジュールが大変タイトになっているということは間違いないようでございます。そこら辺をどういうふうにバランスとして考えていくかというのも重要な点だと思うのですけれども、ほかのワクチンが必要な疾患とのバランスといいますか、これは勿論、考えなければいけないと思うのですけれども、新しく入ってくるものについては、位置づけとしてはどんなところになっていますか。理解として、緊急促進事業というのは適宜進める形で行われているということでよろしいのでしょうか。
○結核感染症課長 14ページの一番下にある緊急促進事業というのは、実は平成22年に補正予算を組んで始めた事業です。昨年度、もう一回補正を組んで積み増しをして、一応、今年度いっぱいまでは続けることができるようになっています。
一方、先ほど小森委員からも御指摘がありましたが、予防接種部会では、Hib、小児用肺炎球菌、子宮頸がんワクチンの3ワクチンも含めて、合計7ワクチンについて、接種を促進することが望ましい。更に、この3ワクチンについては、24年度までだけれども、25年度以降も円滑に継続できるようにという御提言もいただいています。そういう御提言をいただきながら、今、実際の実施主体である市町村といろいろ協議を進めながら、何とかこういうものを法律に位置づけることができないかということで作業を進めているところです。もし実施主体の市町村と協議が整えば、法案を出したいなと、そんな段階です。
○加藤部会長代理 ありがとうございました。
 全体としてはワクチンを進めて、子どもさんを疾患から守るというのが大きな方向ということですので、BCGにつきましても、ワクチン全体の中で考えていかなければいけないということが現状かというふうに理解しました。
 それでは、るる御意見を伺ってまいりましたけれども、対応案をどうするかという方にだんだん進んでいきますが、その前に、何か不足している議論がございますか。あるいは、これはちょっと言っておきたいということがありましたら、お受けしたいと思うのですけれども、よろしいでしょうか。
 それでは、15ページに案1~4がございます。現行のままか、あるいは接種年齢を1歳までとするけれども、標準接種期間を定める。3番目としては、接種年齢期間を延ばすけれども、標準的期間は変わらない。4は、接種年齢を1歳までとして、接種期間を5~8月ということで、少し後ろにずらすということであります。
先ほど各委員に伺った御意見の中では、案4が多そうに受け止めましたけれども、これについてはいかがでしょうか。ここは非常に重要なポイントなので、ここは忘れているのではないか、こういう考えについてはどうかということがありましたら、是非ここで出していただければと思います。
 小森委員は、3または4というところでいくという。
○小森委員 これまでの部会の中で示されてきたさまざまなデータの中で、非常に明快なデータは、徳永参考人が提出をされた、少なくとも4か月までに接種された方に骨炎・骨髄炎の患者が大変多い、それ以降については極めて少ない、これは少なくとも明快。大変御無礼ですが、ある1つの報告だけでございますけれども、これは明快ということでございますので、私としては、案4も1つの考え方ではないかなということを、本当は最後に述べたかったのですが、一応、お話をさせていただきたいと思います。
○加藤部会長代理 ありがとうございました。
 では、深山委員、いかがでございますか。
○深山委員 同じ意見です。
全然違うことなのですが、14ページの※印3つ、日本小児科学会推奨案というのはどこにつくのですか。私の目には見えないのだけれども。
○加藤部会長代理 事務局。
○ワクチン対策専門官 こちらは、Hibにつくものでございましたので、※印をつけ忘れております。申し訳ございません。
○深山委員 ありがとうございます。
○加藤部会長代理 遠藤委員はいかがでございますか。
○遠藤委員 最終的には案3か案4なのですが、本来であればBCG接種時期は3か月~6か月がよろしゅうございますが、少なくとも徳永先生のお出しになった3か月~4か月は多いですけれども、1例あるということも含めれば、1人でもあるというデータがある限りは、私は案4で8か月未満という辺りがよいと思います。あとは、ここから1歳1か月、1歳5か月と、かなり離れておりますので、データがある以上、1つでもあるという勘案をしますと、一応、8か月でありますが、目安としては案4、そしてまた経年的な推移を見ていくというところが適切かと考えております。
○加藤部会長代理 大谷委員、いかがですか。
○大谷委員 先ほど述べたように、やはり同じですね。徳永先生の御発表が1つだけ群を抜いてきちっと出ておられるので、これを信用すれば、ちょっと誘導されているのかなという感じもするのですけれども、これ以外は考えにくいのではないのでしょうか。
○加藤部会長代理 ありがとうございました。
 では、皆川委員、いかがですか。
○結核感染症課課長補佐(難波江) 済みません、事務局から補足でございますが、接種時期のデータの3ページの下の段の被害救済の認定件数で接種時期の年齢というのがございまして、20年度で言えば、骨炎・骨髄炎は2例で、接種時期は1~3月であった。21年度6例のうち、1~3月が4例で、4~6月が2例。22年度7件のうち、1~3月が5例、4~6月が2例という、こういったデータもございます。
○加藤部会長代理 ありがとうございました。
 お願いします。
○皆川委員 BCGの接種は、今まで3か月健診のときのような目安も含めて、とても大事な予防接種と思うのですけれども、推奨時期を変更されるのであれば、目安も含めて提言する方がいいと思います。案3と案4につきましては、申し訳ないのですけれども、わかりません。ごめんなさい。
○加藤部会長代理 わかりました。
 南委員、可能な範囲でコメントでもあれば。
○南委員 今あるデータの中では、徳永さんの御報告しかないので、それに依拠せざるを得ない。そうすると、案4が一番すっきりとするのかなと思います。ただ、先ほど来ご指摘のある通り、日本の国民性で、どうしても骨炎・骨髄炎の方に配慮せざるを得ないというのは全くそのとおりだと思うのですけれども、今回のような場合は、そこに配慮しつつ、バランスの取れた判断ということになるのだと思います。これまで、病気で死ぬのはやむを得ないが、ワクチンで死ぬのは心情的に国民が納得できない、というのが非常に強くあったことはそのとおりだとは思うのですけれども、これからは、ワクチンというものに対して、国民の認識も改めていく必要があると思います。専門家の方々の御意見としては、、そこに配慮するということは歓迎ですけれども、医学的な知見に依拠した御意見を明瞭に出していく必要はあるのだろうと思っております。直接関係ないことですが、済みません。
○加藤部会長代理 貴重な御提言ありがとうございます。
 山岸委員はいかがですか。
○山岸委員 副作用ということから考えれば、やはり遅目の方がいいということですし、本来のBCGの目的、結核の発病予防ということからすれば早い方がいいということは明確なわけです。第4案では、5か月以上8か月未満ということなのですけれども、この中であっても、できるだけ早い時期に、5か月に近い時期にやっていただくような形での何か指導的なものがあればいいかなと思っております。
○加藤部会長代理 ありがとうございます。
 吉山委員。
○吉山委員 強い意見ではないのですけれども、強いて挙げると、私は案3です。
○加藤部会長代理 案3。理由は。
○吉山委員 それは、一にかかって髄膜炎、粟粒結核の減少のため。
○加藤部会長代理 わかりました。
 皆さんの御意見を伺いました。多くの意見としては、BCGを早期にしたことが骨髄炎の増加に影響しているかもしれない。そういったことを考えれば、少し延ばした方がいいのではないかと。一方で、この骨炎の報告数自体も、本当に増えているかどうかは確定できませんし、後にすることによって本当に減るかというのも明らかではない。その後のシミュレーションについても、発生数が少ないですから、必ずしも断定的なことは言えないといったことを考えれば、非常に難しい決定でもありますし、今後きちっと骨炎等々の発生、あるいは小児結核の発生の監視が必要である、こういう御意見だと思います。その上で、案4の方が多いですけれども、案3、積極的に延ばすほどの根拠は明確にされていないという意見もあるというところで、今日のこの議論の大方のまとめということになると思います。
 今、南委員の御指摘がございましたけれども、3~6か月の非常に早い時期に高い接種率を維持できるようになったことによって、結核性髄膜炎の発生が非常に少なくなった。2005年の改正のときに、3~6月にすると接種率が下がるのではないかと随分懸念されたのですけれども、それは関係者の御努力と保護者の方の理解によって高い接種率が維持できた。これは非常に貴重なことでして、今後とも接種率をちゃんと維持することは非常に大事だと思います。骨炎が増えているのではないか、ただし、これも接種100万回に1~3ということで、極めて低い事象であります。髄膜炎は死亡とか後遺症が半数くらいありますから、このバランスは非常に難しいのですけれども、今回行った決定は、より安全な接種と、BCGの効果の最適性を見出すための検討ということでありましたので、今後とも接種率の維持をきちっと保つということは極めて大事だということは確認したいと思います。
 最適な時期についてはそういうことで、医学的に必ずしも明確な根拠がないので、今のままでいいのではないかという御意見もございましたけれども、多くの方は、少し延ばした方が理解が得やすいのではないだろうかと、こういうことかと思います。
 一方、1つ、意見としてあったのは、リスクの高い人は、例え標準的接種スケジュールを5~8としても、早くやる意味はあるのではないかということもありましたが、実際、どうやってハイリスクの人を特定するかというのは、なかなか難しいことがあると思いますので、にわかにここで結論することは難しいと思うのですけれども、今後、そんなことも少し考えながらいかなければいけないのかなということかと思います。
 ということで、幾つか、今、まとめさせていただきましたけれども、今後とも、予防接種にかかわることですので、予防接種部会でも御審議いただいた上で、更に進めていくということが今日の議論のまとめということになろうかと思いますけれども、そんなところでよろしゅうございますでしょうか。
○遠藤委員 いいですか。
○加藤部会長代理 どうぞ、先生。
○遠藤委員 文部科学省から、今年度から学校における結核対策ガイドラインが新たに見直されて、まだまだ周知徹底はされておりませんが、その中に保健調査票というのがございまして、全ての予防接種の確認をするということがございました。勿論、BCG接種の周知徹底も含めて、全ての予防接種の健診時の確認と、そして、就学前の確認も含めて、厚生労働省と文部科学省はこの点についても連携の上で結核対策ガイドラインもお決めになったと思います。母子手帳で確認していくという、麻疹発生にかかわりましても、ワクチン接種歴が不明であったり、麻疹にかかった罹患歴がわからないとか、そういった方が非常に多うございますので、母子手帳を大切にというような普及啓発と、健診時の予防接種の推進が必要です。勿論、BCG接種もそうです。あらゆる機会をとらえて、あとは市町村ではワクチンの予防接種台帳も含めて、個別対応、そして集団対応を含めた、組織横断的な、そして地方自治体も含めた、より積極的な感染予防という立場で、一番大切な予防接種の普及啓発、周知徹底というのは、今後御検討していけば、よいと思います。全ての感染症対策ということで、結核もそうですけれども、通知も含めて、地方自治体、関係機関も含めた周知徹底をお願いしたいと考えております。よろしくお願いいたします。
○加藤部会長代理 ありがとうございました。では、附帯した意見ということで記録させていただきます。
 どうぞ。
○皆川委員 確認なのですけれども、先ほどの接種時期の見直しの件で、私の聞き間違いかもしれないのですけれども、案1をお考えの方はどなたもおられなかった。案2~4の中では、はっきりどれということではない、1歳まで延ばすことに異論を唱えた方はどなたもおられなかったということでよろしいのですね。
○加藤部会長代理 3と4ということで、吉山委員が3で、ほかの方は4というふうに理解しました。
 それでは、接種時期についてはここまでと思っていますが、事務局で何かございますか。
○結核感染症課課長補佐(難波江) 確認でございますが、結核部会の御意見としては、案4で。
○外山局長 結核部会の御意見としては、案4と言っているのではなくて、今、言ったとおりの、案3の意見もあったというのが大きいのでしょう。
○加藤部会長代理 科学的データの解釈ということで、見解の相違が1人だけあったということで、議論はここまでということで終わりたいと思います。
 次に、議題2の「その他」に進めたいと思います。事務局から御説明をお願いしたいと思います。
○結核感染症課課長補佐(吉澤) 本日は、御報告案件が3件ございます。お手元の参考資料1をごらんください。参考資料1について御報告を申し上げます。
資料1ページ目にございますのは、過去10年間の結核集団感染の件数について、発生場所と年次別の件数を示しているものでございます。ここで結核の集団感染の定義でございますが、同一の感染源が2家族以上にまたがって、20名以上に感染させた場合ということで、ただし、発病者が1名おりますと6名に感染したものとして計算されますので、例えば、1名の発病者がいらっしゃる場合で14名の方が感染していることになりますと、6+14ということで20名という計算になります。20名以上ということですので、集団感染になるということでございます。
表の中を見てまいりますと、ここ10年間、年間40件前後の集団発生の報告がございます。どういう場所で発生しているかを見てまいりますと、病院等という項目でございますが、病院や診療所、老人保健施設、あるいは会社や事業所などの職場で多く発生しているように報告されております。
私どもへの結核集団発生の報告の流れでございますが、報告の内容は、事例について、まず発生場所と判明した時期の報告がございます。また、初発の患者についての情報でございますが、年齢、性別、職業がまずございます。その上で、推定できる発症日が記載されておりまして、医療機関にいつ受診したのか、あるいは結核と診断した日と、医療機関へ届け出た日という項目もございます。また、どうやって患者が発見されたという報告がありまして、検査の結果の内容になりますが、塗抹の陽性の検査の結果、またレントゲン、X線ですが、検査の結果等もございます。初発の患者についてはこういう項目がございますが、接触者健康診断として挙げられているものは、保健所がどういう対応をしているのか、あるいは接触者の方の健診の項目でございますが、いつ健康診断を始めたかとか、その結果というものも併せて報告しております。これらの報告が上がってまいりますと、1ページ目のような項目を全て私ども結核対策課で一覧表にまとめておりまして、各都道府県や政令市、特別区に対して、毎年これを戻して、フィードバックしておるものでございます。
 2枚目以降にございますのは、各項目についての報告でございます。
集団感染の資料に関する御報告は以上でございます。
○加藤部会長代理 ありがとうございました。
 ただいまの御説明に御質問ございますか。よろしいでしょうか。
 それでは、引き続き、その次ということで、御説明をお願いします。
○結核感染症課課長補佐(吉澤) それでは、参考資料2でございます。こちらをごらんください。こちらは「平成23年結核登録者情報調査年報集計結果」でございます。この集計は、全国の保健所から報告されました結核登録患者の状況を、23年1月1日~12月31日までの分をとりまとめたものでございます。
 1枚おめくりいただきまして、1ページ目でございますが、本年度のポイント、要点ということで、7項目挙げてございます。個別に見てまいりますと、1ページ目に○が7つありますが、上から2つをまとめて御説明いたします。
2ページ目をごらんください。新登録結核患者数でございますが、平成23年、直近版では17.7という数字でございまして、平成22年度、前年では18.2ということで、0.5減となっております。この数字は、人口10万対の数字でございます。
 ここで5ページ目をごらんいただきたいのですが、下の段でございますが、年々この罹患率というものも減少しておりますが、平成9年に逆転増加が見られまして、11年に緊急事態宣言が出されております。その後、順調に下がってきているのですが、減少率としては鈍化している状況でございます。いまだに2万2,000人以上の結核患者が発生しており、平成23年、今年ですが、2ページ目にございますとおり、2万2,681名の新登録結核患者数が報告されております。
 それでは、3ページ目をごらんください。諸外国と日本の比較でございますが、我が国では17.7という罹患率でございます。1の諸外国と日本の罹患率の比較でございますが、アメリカでは4.1、カナダでは4.7、以下、オーストラリア、フランスでも10を切っておりまして、10以下ということですので、低蔓延国という位置づけでございます。ですので、日本は依然として中蔓延国という位置づけになっております。
 それでは、1ページ目の○の3つ目の部分の御説明をさせていただきます。7ページ目をごらんください。これは年次別・年齢階級別の新登録結核患者数の一覧でございますが、年々、高齢者の方の割合が増えておりまして、平成23年の数値で70歳代、80歳代を合わせますと53.8%ということで、過半数を超えております。平成19年の同じ割合を比較しますと、47.9%から53.8%ということで、年々、高齢者の方の割合が増えている状況でございます。
 また、罹患率で見てみますと、10ページをごらんください。10ページの6-1、上の段でございますが、罹患率でございます。成人の罹患率、平成22年、23年辺りを見ますと減少しているのですが、80歳以上だけ減少していないことが見て取れます。やはり今後も高齢者の増加は考えられるものと考えております。
 また、ポイントの4つ目の○の御説明になりますか、15ページをごらんください。発病から初診、初診から診断ということで、分けて割合が書かれているものでございますが、症状があって発病した状況から病院に行くまでの初診の期間、初診から診察、検査をして、診断がつくまでという3段階に分けておりますが、11-1では最初の発病から病院に行くまでの、初診までの期間でございます。2か月以上かかっている、比較的長くかかっている割合を示しております。
 11-2は、医療機関を受診してから診断がつくまでの期間が1か月以上かかっているものの割合でございます。
 一番下の11-3は、発病から診断がつくまで、1と2のトータルで3か月以上かかっているものの割合でございます。
 11-1で見てみますと、発病から病院まで行かれる期間が長くかかっている方は全体で2割弱で、例年、この数字は大きく動いてはおりません。
 また、右の段で同じように20代から60歳未満までの喀痰陽性の肺結核の患者だけ取り出した割合でございますが、これを見ますと、生産年齢、働き盛りの世代においての感染性のある結核患者の発見が遅れているという状況でございます。
 また、1ページ目の○の5個目でございますが、外国人籍の方の割合の一覧になっております。これは9ページ目に記載されておりますが、外国籍の登録数としては、平成22年952、それから、23年では921と減少しておりますが、割合で見ますと、全体の割合ですが、4.1と減少しているわけではないという状況でございまして、20~30代中心に、40歳代までを含めますと約半数が外国籍の中で占めている状況でございます。
 それでは、都道府県ごとで見てきたものでございますが、これが○の6の説明になりますが、3ページをごらんください。3ページの下段になります。罹患率の高い5都道府県がこちらに記載されておりますが、やはり地域差がございまして、近畿、首都圏で罹患率が高いという状況でございます。
 同じように、11ページには都道府県ごとのものが書かれておりますが、これは細かい数字でございますが、各都道府県ごとで、真ん中の備考というところをごらんいただきたいのですが、上の矢印になっているものが新登録数が昨年より増えている都道府県でございます。20都道府県ございまして、これが次の12ページの罹患率で見ましても、やはり同じように21都府県で増加しているということでございます。
 1ページ目の一番下でございますが、これは今年、一番変化がございました報告になるのですが、潜在性結核感染症治療対象者の新登録者数が前年と比べて倍増しているという報告がございます。
 8ページ目をごらんください。5-3、一番上の段でございますが、平成22年、23年の総数で比べますと、22年が4,930、23年が1万を超えており、約2倍の増加となっております。
 新登録結核患者に対するLTBIの比を取ったものが真ん中の段になりますが、見てみますと、総数で0.2、22年が0.2でございますが、同じように比率としても23年は0.4で2倍になっておりまして、20代以降で見てみますと、ほぼ2倍を中心に推移しているものが報告されております。
 また、5-5にございます職業別で分析しているものでございますが、2倍を基準に見てまいりますと、医療職でやはり2倍を超えた割合になっている。また、真ん中辺にございますが、上記以外の自営業・自由業、家事従事者、無職の方でも2倍を超えているという数字が出ております。
 平成22年度の中で動きがどういうものがあったかの御説明をさせていただきます。これは年報には書いてございませんが、22年の6月に、感染症法に基づく結核の接触者健康診断の手引きが改定されまして、インターフェロンガンマの放出試験の1つでございますQFTという検査でございますが、検査対象年齢が50歳未満というのが解除されております。また、7月には、このQFTという検査のキットでございますが、第2世代から第3世代へ移行しておりまして、おおむね医療機関で第3世代を使うようになられた時期が23年の1月と推測されております。
考えられる背景といたしまして、より感度の高い検査方法が導入されたというのがございます。また、検査対象になります方々の範囲の拡大もございますが、新登録患者数の減少の一方で、このLTBIだけが増加しているという事実に対して、その理由について、現在、調査を行う予定でございます。
 統計の最後になりますか、4ページの死亡数と死亡率、年次推移に関しましては、大きな例年の増減というのはございません。
 また、16ページにございます合併症の項目でございますが、糖尿病の合併、あるいはHIVの合併でございますが、平年と比べて、数に関しては大きな変更はございませんが、今後の推移は厳重に見守っていく必要があるものと考えております。
 簡単でございますが、23年度の年報の御説明を終わらせていただきます。
○加藤部会長代理 ありがとうございました。
 ただいまの年報の説明について、御質問、コメント等ございますでしょうか。
 最後の潜在性結核感染症の著しい増加ということで、今、調査を予定しています。多分、地域によっていろいろな原因があると思うのですけれども、わかっているのは、接触健診の中の対象者が増えていることがありますので、そこら辺の背景は何かということを少し調べる必要があるのではないかということであります。検査数は、集団感染みたいなことがありますと増えたり減ったりしていますので、そういった影響があって、都道府県で見ると、実は大きなばらつきがあります。ですから、そこら辺も地域によって違うということも少し明らかにしなければいけないかと思っていますし、対象者が増えていますので、特に医療機関で行われている接触健診における対象者が増えているのではないかということがありますので、そこら辺も実際どうなっているのかと。判定保留という領域があるのですけれども、ここの中でどのくらい治療されているか。判定保留域というのは外国では陰性領域になっていますから、必ずしも感染していると言い切れる領域では決してないのですけれども、もしかすると、かなり治療が行われている可能性があるのかなといったこともありますし、今、御説明あったように、接触健診の手引きで対象年齢が上がりましたので、これはそれほど大きな影響はないかもしれませんけれども、そんな影響もある場所もあるかもしれません。あるいは、QFT検査がその地域でできるようになったというところもあるかもしれませんので、そういったさまざまな要素を、地域でどのくらいなのかということで、少し調査を考えているところであります。
 どうぞ。
○深山委員 潜在性結核を定義して、それに対して治療をしましょうと言い出したのは最近ですね。それ以来、増えているだけの話で、実態は変わっていないのではないかという印象を現場では持っています。
○加藤部会長代理 そうですか。貴重な情報をありがとうございます。そうなのかもしれません。調査では、そこら辺もできればはっきりさせたいと思います。ありがとうございました。
 これについてはよろしゅうございますでしょうか。何かコメントがあればお伺いします。
 それでは、次の資料の御説明をお願いします。
○結核感染症課課長補佐(難波江) それでは、お手元の参考資料3に基づきまして御報告させていただきます。この春に診療報酬の改定がございまして、結核病棟入院基本料が評価されまして、それぞれお示ししていますとおり点数が増点となってございます。これによりまして、一般病棟入院基本料、7対1の1,566点と同じ、一般病棟は15対1まででございますが、同じ点数となっている状況でございます。
 以上でございます。
○加藤部会長代理 ありがとうございました。
 今、御説明あったように、一般病棟と同じ診療報酬になったというのは、ある意味では画期的なことですね。昔、なぜ結核だけ別にされたかというと、ずっと昔からの、いわゆるサナトリウムの歴史を少し引きずっていた部分があろうかなということですけれども、やっとここまで来たということですけれども、コメント、御意見ありますか。山岸委員、お願いします。
○山岸委員 一般病棟並みになって、とても評価しています。助かっている部分も多いと思います。ただ、結核病棟というのは結核患者しか入れないということで、幾ら空床があっても結核患者しか入れないということですので、結核の患者数が非常に減ってきていることと、在院日数が非常に短くなっていることと相まって、各病院での空床率は非常に高くなっています。そうしますと、人件費がかかる等のことがありまして、結核病棟全体で見ると、まだまだ赤字であるということがありますので、このことに関しては非常に評価しているのですけれども、それ以上にまた、今後、何か増やす方策を考えていただかないと、特に国立病院機構では運営費交付金がカットされましたので、とても厳しい状況になっております。今、国立病院機構では、全国の結核病床の大体4割をカバーしているわけですけれども、結核は御存じのようにセーフティネットの重要なものであるということで、機構の病院としては、これからも続けてやっていくことになっていますけれども、何とかその辺を、今後また診療報酬等、いろいろなものを含めまして、プラスになるように考えていただければと思っております。
 以上です。
○加藤部会長代理 ありがとうございました。
 ただいまのコメントに何かお返事はありますか。
○結核感染症課課長補佐(難波江) 御指摘の点につきましては、昨年、特定感染症予防指針の改定の際にも、入院医療はどうあるべきかということを御議論いただきまして、空床の問題と、一方で、日本で今、5県で県内に結核病床を持つ医療機関が1つしかないといった実態もあり、そのアクセスの問題もございまして、今後、こちらといたしましては、今の入院医療の実態、ソフト面、ハード面も含めて、その辺りの実態調査を行いまして、またこちらの結核部会で御審議いただければと考えております。
○加藤部会長代理 ありがとうございました。
 ほかはございますか。吉山委員のところではいかがですか。点数の上昇については、どういうものになったかということは調査されていますか。
○吉山委員 今の山岸委員の御指摘のとおり、結核病床は、ある意味、リスクマネージメントです。複十字は東京にあるので、東京というところは、結核病床の中の空床はすごく少ないのです。それは病院数が多いから患者の増減に対して融通して対応可能ななのです。だけれども、地方に行くと、普段は空けておかないと、いざ患者が急に増えたとき、つまり集団感染が起こると急に増えるわけですから、そういったときの対応ができるような、診療報酬そのものを上げるよりも、そういったリスクマネージメント的なところが今後はより必要となっていくのではないかと思います。
○加藤部会長代理 ありがとうございました。
 ほかは、これについて、何か御存じのことはありますか。ありがとうございました。
 以上で予定された議題が全て終了したわけですけれども、まだ10分ほどありますけれども、この際、何か、こんなことが必要ということがありましたら、お聞きしたいと思うのですけれども、いかがでございましょうか。よろしゅうございますでしょうか。
 それでは、予定された議題が全て終了しましたので、本日はこれで終了させていただきたいと思います。
 事務局から補足、何かございますでしょうか。
○結核感染症課課長補佐(難波江) 次回の開催につきましては、また改めて御連絡させていただきます。
○加藤部会長代理 ありがとうございました。
 それでは、これをもって本日の検討会を終了させていただきます。本日はどうもありがとうございました。


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(感染症分科会結核部会)> 第25回厚生科学審議会感染症分科会結核部会議事録

ページの先頭へ戻る