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2012年8月31日 障害年金の認定(眼の障害)に関する専門家会合(第1回)議事録

○日時

平成24年8月31日(金)14:00~16:00


○場所

中央合同庁舎5号館共用第8会議室


○出席者

委員

久保田伸枝委員 小沢忠彦委員 前嶋京子委員 
松本長太委員 若倉雅登委員

○議題

(1) 障害年金制度の概要
(2) 眼の障害に係る障害認定基準等について
(3) その他

○議事

○和田事業管理課給付事業室長補佐 時間が定刻より若干早いですが、委員の先生方はお集まりですので、ただいまから障害年金の認定(眼の障害)に関する専門家会合を開催します。本日はお忙しい中、また、暑い中本会合にご参集いただき、まことにありがとうございます。本会合の座長が決まるまでの間、事務局が進行役を務めます。私は、年金局事業管理課給付事業室室長補佐の和田と申します。どうぞよろしくお願いします。
 今回は初の会合ですので、本会合を参集した大臣官房年金管理審議官からごあいさついたします。
○今別府大臣官房年金管理審議官 年金管理審議官の今別府です。本日は、快く委員をお受けいただき、また、暑い中お集まりいただき、ありがとうございます。
 障害認定基準の見直しは、平成19年にスタートしております。平成18年に私は社会保険庁の課長で着任し、その時、いろいろと障害認定基準の見直しをしなくてはいけない、ただ、当時の社会保険庁の体力では年に1つか2つずつで何年か計画でやると聞いたものですから、もっと早くできないのかという話をして、そのまま次のポストに異動しましたが、ちょうどそのときに記録問題が勃発し、結果的には当初予定した毎年1つ、2つずつやっていくというスケジュールもこなせず、今日に至っています。数年ぶりに戻ってきたら、22年度から再開して、既に幾つか仕上げています。そういう経緯ですので、個人的にも非常に思いのある分野です。特に、結果的に当初の計画よりやや遅れたかもしれませんし、私の思いからすると数年遅れたかもしれませんが、この分野は数年で状況が変わったところもあると思いますので、むしろ積極的に考えて、よりよい基準ができることを期待しております。
 もとより限られた時間のご議論ですので、どこまでわれわれもお手伝いできるか分かりませんが、ぜひ活発なご議論をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○和田事業管理課給付事業室長補佐 続きまして、委員の皆様をご紹介します。資料1に委員名簿を添付しておりますので、お名前のみのご紹介とさせていただきます。五十音順ですが、まず久保田委員です。そして、小沢委員です。
○小沢委員 よろしくお願いします。
○和田事業管理課給付事業室長補佐 前嶋委員です。松本委員です。最後に、若倉委員です。
○若倉委員 よろしくお願いします。 
○和田事業管理課給付事業室長補佐 続きまして、事務局の紹介をいたします。ただいまあいさつを申し上げた年金管理審議官の今別府です。事業管理課給付事業室長の新です。
○新事業管理課給付事業室長 よろしくお願いします。
○和田事業管理課給付事業室長補佐 障害認定企画専門官の小杉です。
○小杉障害認定企画専門官 よろしくお願いします。
○和田事業管理課給付事業室長補佐 同じく障害認定企画専門官の栗原です。
○栗原障害認定企画専門官 栗原です。よろしくお願いします。
○和田事業管理課給付事業室長補佐 また、事務局側として、障害年金の認定を行っている日本年金機構の海老原年金給付部長です。
○海老原日本年金機構年金給付部長 海老原です。よろしくお願いします。
○和田事業管理課給付事業室長補佐 郡山障害年金業務部長です。
○郡山日本年金機構障害年金業務部長 郡山です。よろしくお願いします。
○和田事業管理課給付事業室長補佐 以上が出席しております。よろしくお願いします。
 続きまして、お手元の本日の会合資料の確認をします。議事次第の下、資料1として「委員名簿」、資料2として「障害年金制度の概要」、資料3として「眼の障害の認定事例[診断書](非公開)」、資料4として「障害認定基準(眼の障害)の検討課題について」、資料5として「障害認定基準及び診断書の事務局見直し案(たたき台)」、以上の資料のほか、参考資料として「国民年金・厚生年金保険障害認定基準(全文)」をお配りしております。お手元にありますか。不足がありましたらお申し出いただければと思います。よろしいでしょうか。
 それから、この会合の運営について少し説明します。本会合は、対象となる患者が特定されるなど、個人情報保護の観点から特別な配慮が必要と認められる場合などを除き、公開としております。資料3「眼の障害の認定事例[診断書]」については、眼の障害の具体的な症例に関する診断書ですので、個人情報保護の観点から非公開とします。委員の皆様方にはお配りしておりますが、会合終了後に回収します。その他の資料については公開とし、また、会合の内容は厚生労働省のホームページに委員名も含め議事録として掲載する予定ですので、あらかじめご了承いただきますよう、よろしくお願いします。
 続きまして、本会合の座長をお選びいただきたいと存じます。互選ということにしておりますので、どなたかご推薦はありますか。
○若倉委員 はい。
○和田事業管理課給付事業室長補佐 若倉委員、お願いします。
○若倉委員  この領域を公平に見ていただけて、かつ経験があり、お年は言いませんが、眼科臨床医としてもここにいる眼科の先生の中で一番長くご経験されているという観点から、久保田伸枝先生が適任ではないかと思います。
○和田事業管理課給付事業室長補佐 皆さん、よろしいでしょうか。特に異議もないようですので、久保田委員にお願いすることとします。それでは、座長席にお座りいただいて、一言ごあいさつをお願いします。
○久保田座長 ご指名いただいた久保田です。どうぞよろしくお願いします。この会合については、眼の障害に関する障害年金の認定を、障害年金を申請する方にとっては公正な認定がされ、認定作業に関係する方々が迷いなくスムーズに認定できるように、今回専門の委員の先生方にもお集まりいただいて、このような有意義な会を開いていただけることになりました。そこで、できるだけいい改正案ができるように頑張りたいと思いますので、委員の皆様、事務局の皆様、何とぞよろしくお願いします。
○和田事業管理課給付事業室長補佐 ありがとうございました。なお、年金管理審議官は所用のためここで退席します。
○今別府大臣官房年金管理審議官 よろしくお願いします。
○和田事業管理課給付事業室長補佐 それでは、以後の進行を座長にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
○久保田座長 それでは、議事次第に従って順次進めていきたいと思います。まず、障害年金制度の概要説明を事務局からよろしくお願いします。
○和田事業管理課給付事業室長補佐 それでは、私からまずお手元の資料2で障害年金制度の概略について説明します。障害年金の説明をする前に、年金制度の仕組みについて簡単に説明します。おめくりいただいて1ページ目です。国民年金、厚生年金は日本の公的年金制度の中核になりますが、20歳から60歳までのすべての方が国民年金に加入し、さらにサラリーマンなど厚生年金に入っている方は二重加入するという制度になっております。それが、図の下の部分です。自営業で国民年金に入っている第1号被保険者、サラリーマン等の扶養になっている第3号被保険者、さらに、サラリーマンである厚生年金もしくは共済に加入している第2号被保険者と言われている被保険者で制度が成り立っております。被保険者の皆さんがこのような制度に加入している間に保険事故が起きた場合、年金を支払うというのが障害年金の制度です。
 年金の大きな目的は老齢給付ですが、老齢給付以外にも給付制度を設けており、次の給付の種類というところに記載しております。国民年金、厚生年金保険の加入者が老齢・障害・死亡などの保険事故になったときに支給するのが、老齢年金・障害年金・遺族年金となります。国民年金から国民共通の基礎年金が支払われますが、その上乗せとして厚生年金加入者に障害があれば障害厚生年金、遺族であれば遺族厚生年金という二階建てで支給されることになります。
 それでは、本題である障害年金について説明します。障害年金は、老齢・障害・死亡の保険事故のうち、障害になった際に支給するものです。もともと被保険者が病気やけがで日常生活に著しい制限を受ける場合などに、生活保障をするということで支給されるものです。加入する制度によってもらえる年金が異なりますが、例えば国民年金に加入している間に病気やけがで、初診日がある方については障害基礎年金、厚生年金の被保険者であるサラリーマンが加入中に病気やけがで病院にかかったということであれば障害厚生年金、公務員が病気やけがになると障害共済年金となります。国民年金は、1級・2級という等級が定められていますので、1級もしくは2級で年金が支給されます。厚生年金については、昭和61年以前の旧法の時代から1級から3級まで制度がありますので、年金としては3級まで受け取ることができます。
 2ページはその構成を図解したものです。国民年金だけの方については、基礎年金の1級もしくは2級しか支給を受けることができませんが、厚生年金加入期間中に病気やけがになると、1・2級については基礎年金も合わせた二階建てで年金を受けることになります。これは、先ほど申し上げたように、基礎年金をベースに二重加入しているということで、3級については厚生年金独自の制度ですので、国民年金の給付がないことになります。
 次に、受給の要件について説明します。それぞれの年金は保険制度ですので、ここに書かれているマル1からマル3までの基本的な支給の要件が必要になります。まずは、当該傷病の初診日に年金制度の被保険者であるということです。国民年金の加入期間中であれば国民年金、厚生年金の加入期間中であれば厚生年金というように、どの制度に初診日のときに加入しているかが大事になります。次に、一定の納付要件があること。これは、加入期間中の保険ですので、初診日以前にきちんと保険料を納めているかどうかを確認する必要があります。それから、1・2・3級の障害の程度にあるかどうかということになります。
 特に初診日については、どの制度で年金を受けることができるか、もしくは納付要件を計算する場合、保険料がきちんと納まっているかどうかという一定の要件があります。例えば初診日の前々月までに3分の2以上の納付があることとか、直近の1年間に未納がないことという納付要件を計算する際の起点を決めるものでもあります。さらに、障害の状態を確認するのは原則として初診日から1年半目を障害認定日として、その時点で障害の状態が1・2・3級に該当するかどうかを見ることになります。初診日が基準になるということで、重要なものであることが分かるかと思います。
 次に、20歳前の障害の方について説明します。20歳前障害というのは、20歳になる前に既に障害の状態にある方に年金を支給する制度です。障害年金の制度は、初診日が年金制度に加入している期間にあることが必要だということは先ほど説明しました。20歳前の障害者は、20歳になる前に既に障害の状態になっていて、20歳から初めて年金制度に加入することになるので、保険制度に加入して保険料を納める前から障害があるということです。これに関しては、障害福祉年金という制度が旧年金制度にあって、補完的な意味で20歳前に既に障害のある方については年金を支給するということで、国民年金の中で障害福祉年金という形で支給しておりました。これが、昭和61年4月の法律改正の際に、障害基礎年金ということで保険料を納めている方と同じ年金に金額を上げることで、所得保障を上げたという経過があります。したがって、20歳前の障害で年金を受ける方については、保険料の負担をしていないので、例えば一定の所得がある場合などについては、年金額の全額または一部を支給停止するという所得に関する制限が設けられております。そのほかに、日本国内に居住していないとか、監獄等に拘禁されている場合などについては、その間は支給停止という条件が付け加えられております。
 3ページは障害基礎年金、障害厚生年金の受給要件をまとめたもので、年金額などについても示しております。要件については、先ほど申し上げた3つの条件は国民年金であれ厚生年金であれ同じです。年金額については、障害基礎年金の1級、2級でそれぞれ決められております。現在、1級は98万3,100円、2級は78万6,500円を年額で支払っております。厚生年金は報酬に応じて計算することになりますので、報酬比例の年金額という書き方をしております。給料に応じて計算された部分が、障害厚生年金として支給されます。これは、2級が老齢給付の額と基本的に同じですので、それを1.25倍したものが1級の額になります。基礎年金も78万6,500円を1.25倍したものが1級の額になっていますので、老齢給付の金額が2級と同じと考えていただければよろしいかと思います。
 最後の4ページには、今の年金の受給権者数を示しております。国民年金、厚生年金それぞれの受給権者の合計が分かるかと思いますが、実際には今200万人ほどの受給権者がおります。所得制限以外にも、障害の状態が軽くなったことで支給停止をしている方も含んで、200万人が現在障害基礎年金、障害厚生年金の受給権者となります。
 以上、簡単ですが、障害年金について説明しました。
○久保田座長 どうもありがとうございました。障害の認定をするに当たり、現在の年金制度の概要を説明していただいたわけですが、これについて何かぜひ聞いておきたいことなどありますか。特にありませんか。
 では、続きまして、眼の障害に係る障害認定基準の説明をよろしくお願いします。
○栗原障害認定企画専門官 では、私から初めに、障害認定基準についてご説明します。お手元にある参考資料をごらんください。こちらは、平成24年9月1日改正となっておりますが、認定基準のうち肢体の障害と神経系統の障害を明日から改正することとしておりますので、改正版をご用意しました。
 まず、認定基準の説明に当たり、参考資料の104ページから106ページに施行令別表を付けておりますので、ごらんください。先ほど説明がありましたが、障害年金は障害の重い順から障害等級1級、2級、3級があり、一時金として障害手当金があります。1級から3級、障害手当金に該当する障害の状態については、このように施行令別表に規定されております。障害年金の認定は、申請者から提出された診断書等から、施行令別表に規定されている障害の状態に該当するかを判断します。そのため、施行令別表に規定されている障害の状態に該当するかを判断するために、より詳細に説明したものが障害認定基準で、認定する上での実務上の指針となっております。
 それでは、認定基準についてご説明します。参考資料の2枚目にある目次をごらんください。認定基準の構成は、第1に「一般的事項」、第2に「障害認定に当たっての基本的事項」があります。こちらは、障害年金の認定に当たっての共通的な考えを記載しております。その次の第3に「障害認定に当たっての基準」があります。この第1章第1節に「眼の障害」がありますが、第1章は施行令別表に規定している障害の状態を眼や耳といった障害の種類ごとにまとめ、各障害等級や障害手当金に相当する障害の状態の例示などを行い、詳細に説明しております。このたび検討していただく眼の障害の認定基準については、第1節になります。
 続きまして、ページをめくっていただき第2章に「併合等認定等基準」があります。こちらは、2つ以上の障害がある場合の認定方法について規定したものになります。
 それでは、参考資料の3ページ目をごらんください。ここでは、先ほどの施行令別表の1級から3級と障害手当金の基本的な考え方について説明しております。各等級の障害の程度として、1級は「身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの」です。これは、他人の介助を受けなければほとんど自分の用を弁ずることができない程度のものを言います。例えば、身のまわりのことはかろうじてできるが、それ以上の活動はできないなど、家庭内の生活で言えば、活動の範囲がおおむね就床室内に限られ、病院内の生活で言えば、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られる程度のものを言います。
 2級は、「身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの」を言います。これは、必ずしも他人の助けを借りる必要はないが、日常生活が極めて困難で、労働により収入を得ることができない程度のものを言います。例えば、家庭内の極めて温和な活動はできるが、それ以上の活動はできないなど、活動の範囲がおおむね家屋内に限られるもの、病院内の生活で言えば、活動の範囲がおおむね病棟内に限られる程度のものを言います。
 3級は、「労働が著しい制限を受けるか又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの」を言います。
 次の障害手当金については、3級よりも障害の程度が軽く、労働が制限を受けるか、または労働に制限を加えることを必要とする程度のもので、傷病が治ったもの、つまり症状が固定したものについて支給されることになります。
 続きまして、参考資料の5ページをお開きください。第1節「眼の障害」は、5ページから7ページまでに規定しております。それでは、現行の眼の障害についての認定基準を説明します。5ページに「1 認定基準」とありますが、先ほどの施行令別表に規定されている障害の状態のうち、眼の障害に関する規定をここに抜粋して記載しております。
 次に、6ページをごらんください。「2 認定要領」とありますが、こちらが5ページの認定基準に記載している施行令別表について、詳細に説明したものになります。この認定要領が認定する上での実務上の指針となっており、今回先生方に議論していただきたいと思います。それでは、認定要領について説明します。眼の障害については、障害年金では視力障害、視野障害、調節機能障害及び輻輳機能障害、まぶたの欠損障害の4つの区分にしております。
 まず、「(1)視力障害」から説明します。視力障害については、施行令別表で障害等級に該当する状態を視力の数値で明記しておりますので、認定要領は障害の状態についての説明ではなく、測定方法や屈折異常のなどの矯正視力での認定方法などを規定しております。そして、視力障害の1級は両眼の視力の和が0.04以下のもの、2級は両眼の視力の和が0.05以上0.08以下のもの、3級は両眼の視力が0.1以下に減じたもの、障害手当金は両眼の視力が0.6以下に減じたものや、一眼の視力が0.1以下に減じたものとなっております。
 次に、「(2)視野障害」についてご説明します。アに「身体の機能の障害が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの」とありますが、これは施行令別表の2級の規定になります。視野障害の2級については、視力障害のように数値で明記されておりませんので、どのような状態かということを認定要領で規定しています。ここで、2級に相当する状態としては、「両眼の視野が5度以内のもの」としております。視野障害は、2級からの規定となります。
 続きまして、施行令別表には障害手当金の障害の状態として、「両眼による視野が2分の1以上欠損したもの又は両眼の視野が10度以内のもの」と規定されております。障害手当金については、傷病が治ったものとしておりますので、障害の状態が固定した場合は、この規定に該当すれば障害手当金と認定されます。ただし、障害が固定していない、つまり変動する状態、悪化する可能性のある状態であれば、障害手当金ではなく障害等級3級として認定されます。
 続きまして、「(3)調節機能障害及び輻輳機能障害」についてご説明します。「調節機能及び輻輳機能に著しい障害を残すもの」とありますが、施行令別表の障害手当金の規定に「両眼の調節機能及び輻輳機能に著しい障害を残すもの」と規定されておりますので、それを抜粋したものになります。この状態については、眼の調節機能及び輻輳機能の障害のため、複視や頭痛等が生じ、読書等が続けられない程度のものとしております。両眼がこの状態で固定していれば、障害手当金として認定されます。
 続きまして、「(4)まぶたの欠損障害」についてご説明します。「まぶたに著しい欠損を残すもの」は、施行令別表の障害手当金に「両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの」と規定されておりますので、それを抜粋したものになります。この状態としては、普通にまぶたを閉じた場合に角膜を完全に覆い得ない程度のものとしています。こちらも、両眼がこの状態で固定していれば、障害手当金として認定されます。
 最後に、(5)については、2つ以上の障害がある場合は併合認定、つまり2つの障害を足して認定することとなりますが、眼の障害で視力障害と視野障害がある場合は、別々に認定して併合するという取り扱いを説明したものになります。
 それでは、現行の認定基準や認定要領でどのように認定しているかについて、実際に視野障害で認定が行われた事例を資料3でご説明します。なお、資料3の認定事例は申請者個人の診断書になりますので、個人情報保護の観点から非公開としています。
 では、事例1より説明します。傷病名は氏名、住所の下の「マル1障害の原因となった傷病名」に記載しており、両眼の網膜色素変性になります。この診断書は平成24年4月27日現在のもので、診断書の真ん中より下の「マル10障害の状態」の後の括弧書きにその日付が記載してあります。次に、マル10の2つ上の「マル8診断書作成医療機関における初診時所見」で、視野については求心性に狭窄していることが確認できます。視野の測定結果については、マル10の「(2)視野」に記載しており、1/2の視標で左眼の視野が2度前後、右眼の視野が3度前後となります。これは、認定要領の2級の規定にある「両眼の視野が5度以内のもの」に当たり、障害等級2級と認定された事例です。
 次に、事例2についてご説明します。先ほどの事例1と同じ方の診断書になります。こちらは、診断書の真ん中の「マル10障害の状態」の後の括弧書きに記載してありますが、平成17年8月1日現在の診断書になります。この方は、病状が進行して先ほどの認定事例1で2級に該当していますが、平成17年8月1日時点では「マル8診断書作成医療機関における初診時所見」とマル10の「(2)視野」の測定結果から、両眼の視野が10度以内のものになります。こちらは、施行令別表の障害手当金の規定に「両眼による視野が2分の1以上欠損したもの又は両眼の視野が10度以内のもの」とありますが、網膜色素変性は進行性のものなので、傷病が治らないもの、障害が固定していないと判断し、障害等級3級と認定された事例になります。
 続きまして、事例3をごらんください。傷病名は「マル1障害の原因となった傷病名」に記載しており、脳出血になります。この方は、マル8に記載しておりますが、左同名性半盲で、マル10の「(2)視野」の測定結果から、「両眼による視野が2分の1以上欠損したもの」に該当します。視力については、マル10の(1)の測定結果から障害の状態にありませんので、視野障害のみで認定を行います。この方は、脳出血を起こしてから1年6カ月を経過しており、傷病が治ったもの、障害が固定したものと判断し、障害手当金と認定された事例になります。
 以上、簡単ですが、現在の認定基準と認定事例の説明を終わります。
○久保田座長 ありがとうございました。大変難しいですが、今のお話について質問などあればお願いしたいと思います。若倉先生、よろしくお願いします。
○若倉委員 今、視野の障害認定のお話をされました。確かに認定要領においては視野のことが明確に書かれていますが、別表は視野についての記載が明確でないとは前々から思っていました。今のお話の内容はよく分かって問題はないのですが、今度の改正のときにはこの点は考慮する予定になっているかどうかが気になりました。
○久保田座長 別表についてよろしくお願いします。
○和田事業管理課給付事業室長補佐 現行の認定基準は、昭和61年4月に国民年金と厚生年金を一緒にした大改正を行ったときの基準の内容です。そのときに、施行令の中で特に外部障害等についてはきちんと数値を明記した記述になっております。その他例えば5ページ目の2級の「身体の機能の障害が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの」という包括条項のようなものが各等級の程度の中に入っています。
○若倉委員 これを利用するのですね。
○和田事業管理課給付事業室長補佐 はい。ご議論の上検討していきますが、必ずしも数値を載せなくても、包括条項の基準として認定要領の中でそういう状態であると明記したもので、認定基準を定めることができることになっております。
○久保田座長 そうすると、認定基準の表は法律を改正しないと変更できないのでしょうか。
○和田事業管理課給付事業室長補佐 そうですね。法令改正となります。
○若倉委員 身体障害者福祉法にもう一つ障害者の基準があります。それと今回の基準がある程度パラレルというか、整合性がないといけないこともあってこういう基準になって、認定要領がちゃんと書き直されたのだと思います。身体障害者福祉法には、別表に視野のことがある程度きちんと書いてあるわけです。しかし、こちらには書いていないので、私たち眼科医の中で、まだ初心者というと恐縮ですが、十分にここのところが分かっていない方には、これだけ読むと視野のことでは認定してはいけないというような印象を与える点が前々から問題と思っています。普通はここだけしか見ないわけです。認定基準のところまでちゃんと読んで知っている先生は比較的少なく、もちろんそれは医者側の問題ではありますが、誤解を受けやすい点があると思います。
 それから、今言いかけたのでついでに言いますが、身体障害者福祉法でも視力は左右の和で見ているわけです。例えば0.02、0.02あったら0.04が和ですが、対数の和であり、われわれは足し算して見ているわけではないので、そこは学問的にも問題であることは前々から言われています。諸外国から見ても、何で日本はこんな足してはいけないものを和にしているのかと聞かれることもありますが、私たちにはその辺がうまく答えられません。この辺はもちろんここだけでは決められないし、身体障害者福祉法の等級も変えないといけないと思いますが、大きな課題が残っていると思いますので、この点だけは今回はできなくとも、必要なときに両方の委員会できちんとやらないといけないと思います。
○久保田座長 本当にそうだと思います。ありがとうございます。もう一つ、併合というか視野と視力を合わせることに関しては、両方が2級で1級にということはないのですね。2級の0.05から0.08で、視野が5度以内という人がいたとすると、その方はどちらかで2級ということになるのでしょうか。
○和田事業管理課給付事業室長補佐 併合します。
○久保田座長 併合しますか。
○和田事業管理課給付事業室長補佐 はい。
○久保田座長 併合等認定基準に書いてあるのですね。分かりました。そういうことだそうです。そのほかに、今のご説明の中で何か分からないことはありますか。前嶋先生、認定されていてどうですか。
○前嶋委員 事例に関しては、後ですか。
○久保田座長 今回の事例に関して、何かありますか。今は事例の説明までですよね。
○和田事業管理課給付事業室長補佐 はい。
○久保田座長 事例の説明までですので、事例についても何か。
○前嶋委員 ちょっと気になったのは、事例1と事例2は同じ方だと思われますが、平成17年には視野は1/4しか測ってなくて、1/2は測っていない状態です。これで視野は3級と認定したと先ほど言っていましたが、矯正視力で1/2が測れて例えば5度以内であれば、この時点で2級になったかもしれません。
○栗原障害認定企画専門官 おっしゃるとおりです。ただ、今回の診断書については記載日が平成24年6月で、17年8月1日までさかのぼった診断書なので、その当時もしかしたら1/2の視標での測定はされていなかったのかもしれませんが、前嶋委員がおっしゃるとおり、その当時1/2の視標で5度以内であれば、2級という扱いになると思います。
○前嶋委員 矯正視力が1.5出ていて、平成24年4月に1/2が測定できていたので、平成17年時点で1/2の視野はどうだったのか疑問に思ったので聞いてみました。
○久保田座長 これは、同じ症例で別の先生が診断書を書いておられて、級が軽いほうが後から出ています。5月に出たほうが2級で、6月に出たほうが3級。
○栗原障害認定企画専門官 マル10を見ていただくと、事例1については平成24年4月27日現在の症状ですが、事例2については平成17年8月1日現在の事例ですので、事例2は今からさかのぼった状況です。
○久保田座長 分かりました。では、診断書を書いた日は後でも前の状態を書いてあって、別々のところから取られたわけですね。
○栗原障害認定企画専門官 おっしゃるとおりです。
○久保田座長 分かりました。そういうふうにあちこちにかかっていると、いろいろな時点での診断書を持ってくるのでしょうか。
○小杉障害認定企画専門官 先生、まず初診から1年半目の障害の状態を確認して、その後請求の時点の診断書と2つ取ることになります。この方はおそらく24年5月以降に請求しているので、直近のものが事例1、必ず初診から1年半目の状態も確認するので、それが事例2になっています。たまたまそのときにかかっていた病院が違いますので、作成医が違うということになっています。
○久保田座長 事例1-1、事例1-2ということで同じ人ですね。
○小杉障害認定企画専門官 そうですね。同じです。
○久保田座長 分かりました。事例についてそのほかに何かご質問はありませんか。
○小沢委員 認定医の立場からですが、今の事例1、事例2について、事例2は参考ということで構わないかもしれません。身体障害の認定と違って眼科指定医でなくても誰でも書けるわけです。そうすると、1/2と1/4の視野結果の意味が非常に大事であるということを知らない眼科医がいると思います。認定医としては、例えば事例2で1/2での記載がなく提出された場合は、1/2はどうなっていますかと必ず戻すようにしていますが、そういう眼科医の再教育も必要だと現場の人間として感じております。
○小杉障害認定企画専門官 確かに先生がおっしゃるように、あればもうちょっと障害の程度が確認できるのにという過不足が結構あります。私どもとしては、なるべく作成医の先生方にも適正なものを書いていただきたいということで、診断書の様式を変更する際に作成要領をつくって、学会や病院協会を通して、または、ご請求いただいて診断書をお渡しするときに一緒に渡して、なるべく作成医のお手元に要領が届くように今順々にやっておりますので、今回先生方からご指摘があったところを要領に記載して、注意を促したいと思っております。
○久保田座長 ありがとうございます。そのほかにありますか。事例3はよろしいですか。視野の右と左を逆に書いてあるみたいですが、診断医が間違っているのだと思います。手帳の診断書用紙は視野の右と左の記載が違ってこの事例のように書くことになっていますね。
 それでは、今の事例の説明までは大体お分かりいただけたと思いますので、次にこの会で一番重要な部分に入りますが、認定基準の検討課題についてと事務局見直し案のたたき台をあわせてご説明をお願いします。
○栗原障害認定企画専門官 では、資料4「障害認定基準(眼の障害)の検討課題について」をご説明します。眼の障害の認定基準については、対象となる傷病名や障害を例示し、認定要領を詳細に規定してほしいとの意見、要望が認定現場から寄せられております。そこで、寄せられた意見、要望を資料4で障害の区分ごとに整理しました。
 「1.視野障害」については4点あります。眼の障害で意見、要望が最も多かったのが視野障害になります。参考に、資料4の2枚目に別紙として「視野障害の症状例」を添付しておりますので、まずそちらをごらんください。ここでは、例としてゴールドマン視野計の1/4の視標で右眼の症状しか記載しておりませんが、左眼も同じ症状とお考えいただきたいと思います。「1.求心性視野狭窄」は、きれいな円状ではありませんが、視野が10度以内におさまっているケースになります。この場合、「両眼の視野が10度以内のもの」に該当しているものです。また、「2.輪状暗点」については、中心の残存視野が10度以内であれば求心性視野狭窄と同様に認定されますが、このケースは中心の残存視野が一部10度以内におさまっていないため、該当しないことになります。このように、視野欠損は必ずしも円状で欠損するとは限らないので、それらを認定する上でどのように取り扱うべきかについてご議論いただきたいと思います。次の3の症状は、不規則性視野狭窄になります。不規則性視野狭窄については、「両眼による視野が2分の1以上欠損したもの」に該当するか否かを判断します。主な検討課題の2つ目に挙げておりますが、1から3の症例については、対象となる視野障害の状態や主な傷病名についても認定要領に例示していただければと考えております。
 続きまして、「4.中心暗点」は、欠損部分が中心のみとなっておりますが、どの程度の障害の程度と判断すべきかご議論いただきたいと思います。
 戻りまして、資料4の1枚目をごらんください。視野障害の検討課題の4つ目になります。これは主治医の先生が記載する診断書ですが、診断書上に視野の測定結果を的確に判断できるよう、診断書の様式についても見直しを行いたいと考えております。診断書の様式については、1/4と1/2の2つの視標の測定結果を記載してほしいとの意見が認定現場から出ております。こちらについては、資料5としてご用意した「障害認定基準及び診断書の事務局見直し案(たたき台)」で実際の診断書を見ながらご説明したいと思います。
 以上が視野障害の主な検討課題です。
 続きまして、裏面の「2.調節機能障害及び輻輳機能障害」と「3.まぶたの運動障害」についてご説明します。まず、「2.調節機能障害及び輻輳機能障害」ですが、現行の認定要領では障害手当金相当の障害として、複視や頭痛等の眼精疲労により読書が続けられない程度と規定しております。散瞳障害については、社会保険審査会の裁決の中で、日常生活に支障を来すケースがあるため認定要領に規定するよう求められており、眼の障害の4つの区分では、調節機能障害及び輻輳機能障害の区分として規定することが妥当と考えました。検討課題としては、1つ目は、散瞳障害をこの区分として規定することが可能か、2つ目は、実際にどのような症状が日常生活に支障がある障害の程度となるのかを先生方にご議論いただきたいと思います。
 最後に、「3.まぶたの運動障害」ですが、眼瞼痙攣などのまぶたの運動障害では、視力の低下は見られなかったとしても日常生活上不便となるケースがあるため、認定要領に規定してほしいとの意見がありました。主な検討課題としては、1つ目が、まぶたの運動障害のうち障害の程度が重いものを障害手当金相当の障害として規定することは可能か、さらに2つ目として、障害手当金に相当するまぶたの運動障害として眼瞼痙攣などの障害を例示することが適当かということを先生方にご議論いただきたいと思います。
 なお、視力障害については特に意見、要望はありませんでした。
 次に、資料5をごらんください。資料5については、資料4でご説明した検討課題についてこれから先生方にご議論いただくに当たり、事務局であらかじめたたき台として見直し案をご用意しました。事務局で作成したものなので、先生方には専門的、医学的な見地からいろいろとご意見をいただきたいと思います。
 それでは、資料5「障害認定基準及び診断書の事務局見直し案(たたき台)」についてご説明します。先ほどご説明した現行の認定基準から修正した箇所は下線を引いています。まず、資料5の1ページ、「障害等級認定基準」をごらんください。こちらは、国民年金法、厚生年金保険法の施行令別表の規定のうち、眼の障害に関する規定を抜粋したものです。この等級表の障害手当金に「身体の機能に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの」を新たに追加しましたが、この規定は障害手当金に該当する障害の状態の現在ある条項を活用し、まぶたの運動障害のうち障害状態の程度が重いものについては、障害手当金相当に該当するのではないかと考えております。
 次に、2ページをごらんください。「2 認定要領」では、これまで障害等級1級から障害等級3級及び障害手当金に該当する眼の障害の区分を視力障害、視野障害、調節機能障害及び輻輳機能障害、まぶたの欠損障害の4つの区分にしておりましたが、障害手当金相当として規定するためにまぶたの運動障害を追加しております。
 次に、「(1)視力障害」はウとエの3カ所を直しておりますが、これは文言の整理で内容に変更はありません。
 「(2)視野障害」は、まず視力障害と同じ構成としたので、順番として測定方法であるアとイを最初に持ってきております。下線の箇所は、こちらも文言の修正になります。
 それでは、ウについてご説明します。冒頭の「身体の機能の障害が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの」は、施行令別表に規定されている障害等級2級の規定になり、障害の状態として「求心性視野狭窄により両眼の視野がそれぞれ1/2の視標で5度以内におさまるものをいうが、輪状暗点があるものについては、中心の残存視野が5度以内におさまるものであればこれを含む」としております。この箇所は、これまで単に2級の障害の状態として「両眼の視野が5度以内のもの」としか規定していませんでした。認定現場では、求心性視野狭窄は必ずしも円状で欠損するとは限らないので、一部分が5度を超えている場合、認定医の総合的な判断にゆだねられているところですが、基準なのでそこを明確にする必要があります。5度以内のものについてはすべて円内におさまっていることとし、それを5度以内におさまるものと修正しており、また、輪状暗点も同様に修正しております。先生方には、医学的な見地から議論していただければと思います。
 次の段落のなお書きですが、ゴールドマン視野計で測定不能の場合の取り扱いについて規定がなかったので、「ゴールドマン視野計の1/4の視標での測定が不能の場合は、求心性視野狭窄の症状を有していれば、両眼の視野がそれぞれ5度以内におさまるものとして認定する」と明確にしております。
 次のエについては、「両眼の視野が10度以内のもの」は、施行令別表に障害手当金の障害の状態として規定されているものですが、修正した内容は先ほどのウと同様に、求心性視野狭窄や輪状暗点で欠損の一部分が10度を超えている場合の取り扱いを明確にしたものになります。その下の注意書きですが、ここは求心性視野狭窄についての症状や主な傷病名として、網膜色素変性症と緑内障が該当するのではないかと考えましたので、追加しております。
 次のオについては、「両眼による視野が2分の1以上欠損したもの」は、先ほどのエと同様に障害手当金の規定になりますが、両眼による視野が2分の1以上欠損するケースについても、次の3ページの2行目に「この場合」として説明を付け加えており、その下の注意書きで先ほどのエの求心性視野狭窄と同様に、不規則性視野狭窄、半盲性視野欠損、交叉性半盲についても症状や主な傷病名を追加しております。
 カについては、黄斑ジストロフィーや加齢黄斑変性等による中心暗点についての視野部分の取り扱いが明記されていないとの意見がありました。視野の中心部分のみが暗く、見えにくい中心暗点の状態は、視力障害での認定が可能ではないかとのことから、「原則視野障害として認定は行わない」としております。
 視野障害については以上になります。
 続きまして、「(3)調節機能障害及び輻輳機能障害」ですが、「調節機能及び輻輳機能に著しい障害を残すもの」は、障害手当金の規定になります。まず、2行目の下線箇所は文言の修正で、これまで「頭痛等の眼精疲労が生じ」という記載になっていましたが、「眼精疲労による頭痛等が生じ」と改めました。3行目については、社会保険審査会より散瞳障害を規定すべきと裁決の中で求められておりましたが、調節機能障害及び輻輳機能障害の区分で障害手当金として、「瞳孔の対光反射の著しい障害により羞明(まぶしさ)を訴える程度の散瞳障害を含む」と記載しております。
 調節機能障害及び輻輳機能障害は以上になります。
 次の「(4)まぶたの欠損障害」の修正はありません。
 「(5)まぶたの運動障害」については、労働制限を受け、日常生活に支障があるものではないかと考え、新たに追加したものです。冒頭の「身体の機能に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの」は、障害手当金の規定になり、相当する障害の状態として、「眼瞼痙攣等で常時両眼のまぶたに著しい運動障害を残すことで作業等が続けられない程度のもの」と記載しております。
 (6)については、2つ以上の障害があった場合の併合認定の取り扱いになります。現行では、見え方の障害として認められる「視力」と「視野」の併合についてあえて記載しておりますが、眼の障害の他の区分との併合に関して疑義がありましたので、改めて他の区分でも併合認定できる記載に変更しております。
 これで認定基準の事務局見直し案(たたき台)の変更点についての説明を終わります。
 続きまして、診断書の事務局見直し案(たたき台)についてご説明します。資料5の後ろのほうにA3で見直し案、また、現行の診断書は参考として見比べるために付けております。修正個所については、下線を引いて朱書きしております。
 まず、マル10の「(1)視力」は、認定要領と同じ表現にするため、「照度」を「標準照度」としております。(2)の「マル1視野」は、これまでは1/2と1/4の2つの測定結果を1つの視標に記載していましたが、どの視標での測定結果か分かりづらい、測定結果の添付を義務づけてほしいとの意見が認定現場からありました。そこで、視標については、1つの視標に2つの測定結果を記載するのではなく、診断書に2つの視標を設けることとしております。また、測定結果については、コピーを添付した場合はこの欄の記載が省略できるよう、右下の米印に記載しております。また、右左の位置は変えておりませんが、字体を大きくし、マル1の視標に生理的限界値を点線で入れました。「(6)まぶたの運動」は、認定基準に項目を設けたので、障害の状態を判断するため項目を追加しております。
 裏面をごらんください。こちらは字句の修正のみになります。また、項目の追加などでそれぞれ項目の位置や枠の幅を変更していますが、診断書を記載する上で記載しづらい等の意見があれば、併せていただければと思います。
 これで診断書の事務局見直し案(たたき台)の変更点についての説明を終わります。
 以上です。
○久保田座長 どうもありがとうございました。一度にたくさんご説明いただきました。あと約1時間ありますので、質問と、個々については第2回に検討したいと思うので、全体的に見たご意見を伺おうと思います。若倉先生、何かありますか。
○若倉委員 全体ですか。
○久保田座長 はい。一度にたくさん説明したので難しいですか。
○若倉委員 全体というと難しいです。視野については、比較的網膜色素変性を意識した問題点がたたき台案では出てきていると思いますが、緑内障の比較的末期になると非常に不規則な視野で、中心から外れたところに縞状の視野や、中心に近くても10度という規定を超えてしまう視野が見られます。しかも、ゴールドマン視野計では中心をきっちり固視しないとちゃんとした視野が描けませんが、そういう人たちは固視が上手にできないためにずれが起きやすいのです。結果だけをまじめに取ってしまうと、障害としては同じようなものなのに外れてしまうようなことが発生するので、そういうところをどのように扱うか。あまりきっちりやりすぎると、そういう気の毒な人が出てくるのではないかという印象を受けました。
 それから、眼瞼痙攣で障害手当金のお話がありました。これは一応眼の障害ですが、眼瞼痙攣の人は精神障害を有していることがあります。つまり、眼瞼痙攣という病気自体が神経系の病気で、眼が開かないというだけではなくて、うつ、抑うつ感、焦燥感、こだわりといった精神症状があるわけです。眼と精神障害が合併した障害認定は実際に行っているのかをまず聞きたいです。
○小杉障害認定企画専門官 実際に合わせるとなると、精神の診断書と眼の診断書を出して、それぞれを足すことになります。
○若倉委員 足し算できるのですね。ここが非常に難しいところで、精神科の先生は眼瞼痙攣において精神症状が出ることはほとんど知りません。だから、その辺をどう扱うかは議論しなければいけないと思いますが、これは今すぐには終わらないと思います。
 もう一つ、眼瞼痙攣の重症者は眼をつぶったまま一日中開けられません。これを障害認定基準の3ページと照らしてみると、例えば2級は「労働により収入を得ることができない程度のもの」と書いてあり、障害手当金は3級の下ですが、私が仮に眼瞼痙攣になったとしたら、ずっと眼が開けられず、こうやってもなかなか開かない状態で、果たして普通の仕事ができるかということです。ただ、眼をつぶっていても、慣れていればおそらくトイレには行けるし、日常生活はできると思いますが、そういう状態まで含めて障害手当金ではあまりにもひどいです。機能的失明です。たまにぱっと開けることはできても、一日の80%以上は眼をつぶっていて、中には全然、絶対開かない人もいます。そういうのを  閉瞼固守といいますが、その患者さんは現在どこからも救われていません。この点も含めて障害手当金でおしまいにしているのでは、ほかの視覚障害の人とのバランスが悪すぎると思いました。
 私からは以上です。
○久保田座長 眼瞼痙攣については、今先生がおっしゃったご意見も踏まえてみなさん考えてきてもらい、2回目にもう一度議論したいと思います。
 それから、視野の問題がとても多いのですが、松本先生、これをどう検討すればいいか先生のご意見を伺いたのですが。
○松本委員 視野については、今回のたたき台でも修正個所が一番多いですが、今回のたたき台を見た範囲では、現行の診断基準をもとに、より明確に診断者が判定できるように整理されていると理解しております。
 ただ、今回の改定でどこまで踏み込んだことができるのかにもよりますが、先ほど若倉先生からもお話があったように、障害年金と身体障害者福祉法がある程度並行して動いているのは皆様方ご承知だと思いますが、障害年金の場合に一つ気になるのは、中心の5度以内の狭窄という判定でかなり等級が変わることです。これは法律には文面化されていませんが、運用で決められています。身体障害者福祉法も、前回の改正前まではこの基準を使っており、おそらく前回分がそのまま採用されているのだろうと思います。先ほどのお話にもあったように、中心から5度というと、実際にゴールドマン視野計で測定すると精度的にもかなり難しい部位であり、特に固視標もあり、なかなか正確な評価が難しい範囲になります。これからも、このままの基準で本当にいいのかどうかに疑問が残ります。
 身体障害者福祉法はどう改正されたかというと、これにもいろいろな問題がありますが、5度以内という厳格な判定は難しいので、10度以内という縛りの中で視能率という計算式を入れて、必ずしも求心性に5度以内になっていなくても、それなりの等級を与えようという配慮がなされたわけです。ただ、視能率の算定はそれなりに煩雑であり、病態を本当に正確に評価しているのかどうかという議論も上がっており、そのままま障害年金へ採用するのも難しい問題だと思います。しかし、現法において厳格に5度以内に入らないと基準を満たさないという問題点を含んでいることは認識すべきと思います。
 それ以外に、文面の中で少し気になるのが、視野が2分の1欠けるというところです。これは何をもって2分の1かというところが問題になります。運用の中には生理的限界値が記載されております。本来生理的限界値は、周辺視野で解剖学的に対応する網膜がなく見えない限界を意味していますが、おそらくゴールドマン視野計の場合、1/4eではなく5/4eというより大きな視標を使った範囲を意味しており、ここの中に書かれている正常値の点線のラインもおそらくそれに基づいていると思います。今回は非常に明確に測定方法を1/4eと規定しており、判定者にとっては分かりよいのですが、実際は本当の意味での2分の1よりは少し緩い基準になっています。これを現状でよしとするかどうかというところが文言も含め少し疑問に思います。
 それ以外にも細かい文言がありますが、今のところが一番問題になると思いました。
○久保田座長 ありがとうございました。それから、診断書にも修正がありますが、この診断書がいいかどうかも、検討していきたいと思います。先生からの5度以内という視野に問題があるという件については、次回検討していきたいと思います。
 それで、このたたき台にした場合に、先生方が実際に認定されていて、これでもまだ分かりづらいとか、こういうところが問題となるという点はありますか。小沢先生。
○小沢委員 まず、視野障害の認定要領については、事務方の努力がうかがい知れて、私自身は非常によくできていると思いました。特に網膜色素変性症の患者様は、中心視野が5度以内にもかかわらず、周辺部に視野が残っているために認定できないこともありましたので、下線の文言は非常に有効だと思います。あと、先ほど申し上げた1/2と1/4の記載が漏れていることについても、視野の認定の際にはこれらがなければ認定できないと書いてありますので、そういった意味でも非常にすばらしいと思いました。
 あと、各論になってしまいますが、ゴールドマン視野計のオリジナルはそろそろなくなってしまいますので、ゴールドマン型視野計としないといけないのかもしれないという認識が僕にはあります。あと、一般の開業の先生の中では自動視野計がかなり流通していて、自動視野計の認定について何か基準がないと厳しいと思いますので、そのあたりもご教示いただければと思います。
 以上です。
○若倉委員 そのとおりですね。ゴールドマン視野計がないところもあり、ほとんどが自動視野計です。ゴールドマン視野計で測定するといっても、医者自体がやったことがあまりない施設や、ここ20年間自動視野計しか使ってないという施設もありますので、ゴールドマン視野計でたまにやると、全然信用できない視野が出てきますので、その点はもう少し研究が必要なのでしょうか。松本先生、どうでしょうか。
○松本委員 これは身体障害者福祉法でも大きな課題になっていて、同じ文言である、同等の条件で測るということしか書いておりません。今までに試みられてきた自動視野計を用いた運用法としては、ゴールドマン視野計の測定条件から換算した同等の視標エネルギーを用いた測定法があります。しかし、現実的には、ゴールドマン視野計の測定データとかなりの乖離があるため、ゴールドマン視野計以外のデータは受け付けないという地域も多くあると聞いています。
 自動視野計の導入に関しましては、今大きく分けて2つの考え方があります。1つは、現状の判定基準に完全に準拠して、できるだけ自動視野計の測定条件をゴールドマン視野計の条件に合わせていくという方法で、我々も試みていますが、これが完全にうまく調整できれば自動視野計の導入、運用は比較的スムーズに行われます。しかし、現実的にはゴールドマン視野計は検査視標を動的に動かして測っており、視標のサイズも1や5です。一方自動視野計の場合は3というサイズを使って、視標を動かさず静的に測定しており、根本的に測定方法が違うので、どうしてもいろいろな状況で乖離が生じます。これをどれぐらいまで容認可能とするかなど、なかなか決着がついていないのが現状です。
 もう一つの考え方は、自動視野計がこれだけ普及しているので、こちらを主体として米国のAMAの基準などを参考に、測定基準、判定基準そのものを改変した方がいいのではないかという考えです。そして、ある一定の専用測定プログラムを作成して、それから等級を単純に算出するという考え方です。これは合理的ですが、おそらく法律の大幅な改定が必要になるということで、こちらもなかなか難しいのが現状です。このように、自動視野計に関しましては、身体障害者福祉法の方も現実的にはどれがいいのかという議論が今でも続けられているので、今回のタイミングで障害年金の方へ明確な運用基準を出すのはなかなか難しいと考えます。
○久保田座長 前嶋先生、判定をなさっていて何かご意見はありますか。
○前嶋委員 特に視野のところが非常に詳しく書いてありますので、認定する側も、診断書を作成する先生方も、これを見ると1/4、1/2でしっかりと視野も測っていただけると思います。あと、後ろのほうに「黄斑ジストロフィーや加齢黄斑変性等による中心暗点があるものについては」としっかり書いてあるのは、認定する側も非常にありがたい部分で、わりとしっかりとできていると思います。
○久保田座長 この診断書どおりに書いてあれば、認定しやすいということですね。
○前嶋委員 そうですね。
○久保田座長 そのほかにありますか。「障害認定基準(眼の障害)の検討課題について」の別紙に付いている輪状暗点も、中心暗点がこのぐらい大きいのもあります。中心暗点だとここを全部塗ったのと同じになりますから、そうすると2級になると思います。疾患が違いますが、黄斑ジストロフィーとか加齢黄斑変性の視野だと、出血なんかが大きいとこのぐらいの大きさの中心暗点はありますよね。
○若倉委員 ありますね。
○久保田座長 そうすると、その人たちがかろうじて暗点の横、暗点の中からちょっと外れたところで0.1ぐらい見えてしまうと、2級にはならないですね。だから、輪状暗点の大きさにもよりますが不公平の場合があります。
○若倉委員 その0.1というのが、実際には利用できる視力ではないわけです。
○久保田座長 そうですね。中心外視力ですから。
○若倉委員 中心外であったり、中心にあってもピンホール状の小さな残っている視野で見ていたり。
○久保田座長 色素変性で視力が残っている場合は、行動は全くできなくてもその視力で本が読めたりしますが、黄斑変性の場合は0.1、0.2あっても読書が難しい場合がありますので、仕事などを考えると、黄斑変性と最後まで視力が残っている緑内障の2つの疾患は、判定していて基準からいくとあまり等級が高くならないですよね。
○若倉委員 そうです。だから、基準をあまりがちがちにしすぎると、気の毒な人がいっぱい出てきてしまいます。判定する先生もいろいろな先生がおられて、医者の裁量でこのぐらいだからいいかという人と、基準どおりぴしっと、ちょっとでも出ているとだめという場合もありますので、その辺が難しいところだと思います。
○久保田座長 それは都道府県別でみてもかなり違います。
○若倉委員 そうです。病気によって外されることがありますし、新しく出てくる病気もありますので、運用規定に「だけ」という書き方ではなくて、「いろいろなものが含まれる」という書き方があってもいいと思います。両眼視の問題は久保田先生が専門だと思いますが、両方とも視力が悪くても、完全に単眼視しかしていない人もいるわけです。そういうときに、実際には使っていないほうの眼まで評価する意味が果たしてあるのかということです。場合によっては、オクルージョンといって遮蔽して見ている人もいますし、脳でサプレッションして見ている人もいますが、久保田先生、そういうことや斜視を含めて両眼視の問題もこの会合では考えなければいけないのではないでしょうか。
 たしか身体障害者福祉法の規定では、複視がある場合には単眼だけで見たものを評価するという規定があり、それはかなりの進歩だと思いますが、実際には視力や視野が悪くなると、単眼で見ても複視が出ないわけです。悪すぎて複視と自覚しません。それでも、右眼とか左眼だけで生活している人がいますので、せっかく改正するのだからそういうところの考慮が何かあってもいいのではないかと思いますが、久保田先生がご専門なので、いかがでしょう。
○久保田座長 そこまでいくと大変になりますので、今回は無理だと思います。ただ、両眼ある人は片眼ずつ交互に見ている人もいますので、片方の眼しかない人とまた違いますよね。だから、いろいろ複雑な条件があります。
○若倉委員 ただ、身体障害者福祉法の規定には出てきているので、それは流用してもいいのではないでしょうか。
○久保田座長 あれは眼筋麻痺で、ほぼ6級だけですね。
○若倉委員 そうではなくて、一応書きますが単眼だけ、使っている方だけの視力、視野で評価をしましょうという規定だと思いますが、先生、どうでしょうか。
○久保田座長 それは疑義解釈で、片方が0.6以下に下がっている場合に、耐えられない複視で眼帯をしなければいけない程度のものだけです。普通の斜視は複視がなく該当しないと思います。
○若倉委員 実際には麻痺性斜視ですが。
○久保田座長 麻痺性斜視以外の斜視で両眼を使っていないからといって診断書でごり押ししてくる先生も結構いらっしゃいます。そのため、今のところ斜視は片眼ずつ使っていても手帳では片眼での判定はしていません。
○若倉委員 斜視だけではなくて、斜視にもう一つ病気が加わっている場合です。
○久保田座長 そうです。神経委縮などの疾患があって、片眼の視力が落ちてないとだめですからね。
 それでは、まだ少し時間がありますが、次回には各項目ごとに決定できるぐらい詳細に検討していきたいと思います。そのほかに調節についてお聞きしてよろしいですか、若倉先生。
○若倉委員 調節ですか。
○久保田座長 調節機能や輻輳機能は何か分かりますか。どういうケースが当てはまるか。私はよく分かりませんが、私が思うには、自動車の自賠責や労災からきているのではないでしょうか。
○若倉委員 そうだと思います。
○久保田座長 身体障害者手帳にはありませんね。
○若倉委員 だから、データで示すのはなかなか難しいところで、例えば調節力を測っても、40、50歳になると調節力が悪い、つまり老視ですから病気とは言えないので、測ってもほとんど意味がない。しかし、脳を含めた中枢性の調節のイノベーションの障害は、病気でもけがでもあると思います。これは障害何級ではなくて、障害手当金で認めてあげようという考えなので、国のいい考えだと思います。例えば読書を5分、10分以上続けられないことを実際の生活に照らして考えてあげるということなのだろうと思いましたが、そういうことでよろしいですよね。
○久保田座長 (4)の調節機能のところもものすごく小さいですよね。そこに何が書けるのかということもあります。
○若倉委員 あまり書くことはないと思います。
○久保田座長 調節痙攣などですね。
○若倉委員 認定基準の最初の障害の程度の一番元に戻ると、視野は何度でと数字でかなりがちがちになっているのは眼科だけですよね。例えばほかの整形外科、精神科の基準を見ると、かなり医者の裁量が入っているわけです。眼科は逆に数字があるために、医者の裁量が入りにくくなってしまって、落ちこぼれが出てきてしまう可能性があるので、こういうものがあることによって救われる人も若干出てくるということで、私は賛成です。
○久保田座長 反対ではありませんが、調節痙攣などの場合、どのような状況で認めるか。
○若倉委員 だから、そこが学問的にはまだ十分に検出できるような機械とか検査法がない部分ですね。ピントが合っていないという症状で苦しんでいる状況で、しかも、眼鏡とかで矯正ができなくて、読書とか仕事ができない状態になっているのはあり得ると思いますので、そういうものを救ってあげましょうということだと思います。意外と多いと思うので、これからもう少し分かってきます。例えば今は脊髄液減少症が少し認められるようになっていますが、そのような場合にもみられる中枢性の調節障害が出てきてピントが合わない人がたくさんおります。眼科ではあまり話題になっていませんが、そういうケースも含まれると思いますから、先取りした形にはなっています。なので、今はこれということはきちんと書けませんが、比較的近い将来もう少し具体的な病態が書けるようになるのではないでしょうか。
○久保田座長 ですが、大昔から診断書に書くところがありますよね。
○若倉委員 そうです。学問的にはここは進歩していないのです。
○小沢委員 前嶋先生にお聞きしたいのですが、現場ではきっと眼内レンズが一番多いですよね。
○前嶋委員 実は、私は調節痙攣等の診断書を見たことがないというか、今まで出されたことがないですね。
○若倉委員 そうです。難しい。
○前嶋委員 5年ぐらいしかやっていませんが、調節痙攣で出された診断書自体を見たことがありませんので、小沢先生に聞いてみようと思っていました。
○小沢委員 あるとすれば、調節機能を失ったということで、事故等で眼内レンズになったときしか見たことがないですね。ただ、項目としてあることは、非常に重要なことだと思います。
○若倉委員 実際に適用されるケースはそんなに多くなく、今は例外的だと思います。
○前嶋委員 もしそういう診断書が出てきた場合、客観的に評価するすべが私どもにはありませんので、診断書を書いた先生の裁量ということにしています。
○若倉委員 裁量だと思いますが、さっきも言ったように眼科の先生はどうしても数字で判断して、数字で割り切ろうとしています。神経内科、整形外科、脳外科、精神科など裁量でかなりやれるところの先生たちをまねるというか、どうやっているかを知る必要があるかもしれませんが、ここでの話題とは違うと思います。
○久保田座長 今回は、いろいろ問題もあって、あちこちに飛んでしまい申し訳ありません。それではこれからどうしましょうか。
○和田事業管理課給付事業室長補佐 今の議論の中で、何点か先生方からお話があったかと思います。自動視野計のお話が小沢先生からも出ましたが、今はゴールドマン視野計での測定ということで認定基準を書いています。それで、眼科学会等でも視野に関する測定基準の検討を行っているという話も聞いておりますし、今回見直しのメーンとしては、視野の状態の認定が分かりにくいという現行の基準の中で、分かりにくさを明快にしていくことに焦点を合わせているので、新しい視標、基準をどう作るかということについては、学会等の検討意見を見守りながら、一定の方向性が見えれば考えていきたいと思います。
 あと、中心暗点の話が先ほどもありました。原則という言葉がいいのかどうかというのもありますが、「原則視野障害として認定は行わない」という書き方にしました。あとは、視野の範囲にはいろいろなものがありますが、注意書きのところで傷病名を先に例示すれば、傷病名で一定程度認定がしやすくなるのではないかと思いますので、傷病名も見ていただければと思います。
○松本委員 この点についてですが、今もお話があった中心暗点の条項で、今まで加齢黄斑変性等は原則視野障害としては評価しないという文言はありませんでしたが、今回これが追加になっております。確かに病名があると判定するほうは明確になりますが、逆に言うと、先ほどもお話しに出ましたように、加齢黄斑変性でも病状が進行した場合には大変大きな中心暗点になり、5/4eは測れても1/4eが少し見えるぐらいの不規則な輪状暗点様のパターンや、あるいは固視点の横に少し見える部位があり、中心暗点があっても、視力はある程度見えている症例もあります。実際、明らかに網膜色素変性症と同等の評価をしなければならない症例が他の網膜疾患でもたくさんあると思います。そうすると、あまり厳格に、この病名の場合は評価しないと書いてしまうと、たとえ原則と書いてあっても、おそらく病名だけではじかれてしまいますので、その辺を十分配慮しないと、今までよりも症例によっては逆に認定が厳しくなってしまうのではないかという危惧があります。
○久保田座長 そのほか、糖尿病性網膜症も結構感度が落ちていますよね。ですから、現行の指標の条件で測ると視野は2分の1以上欠損には必ずなると思います。視力が悪いからそちらでといっても、まだ視力が残っていてある程度視野障害がある症例も多いので、手帳では視力と2分の1以上欠損の視野を一緒に付けて判定してくるのが多いです。視力が悪い場合、あまり総合等級に変化がありませんので厳しいことは言っていませんが、糖尿病性網膜症や強度近視なども、ゴールドマン視野計で暗いところで測るとあまりいい視野が出てきません。病名を挙げていいか挙げないほうがいいかという点も、なかなか難しいところですね。糖尿病だから認めないと決めてしまうと、それも大変です。
○前嶋委員 疾患名が具体的に挙がってしまうのは、重症度がさまざまにあると思うと、それはそれで問題になりますね。
○久保田座長 そうですね。重症度が。例えば眼瞼痙攣も、ボツリヌスで普通に生活している方もたくさんいるわけですから、それをこういうところに挙げて、若倉先生がおっしゃるように2級などにしてしまうとなかなか……。
○若倉委員 いろいろですから、ランクを付けないとだめです。
○久保田座長 ランクがありますからだめですよね。なかなか難しい問題です。
○若倉委員 だから、その辺はそれこそ精神科の基準などをもう少しわれわれは勉強したほうがいいのかもしれませんね。生活と密接に関係した基準をある程度書いてある部分がありますので、私も見直してみます。
 もう少し眼科的な話で、先ほど私がちょっと触れましたが、緑内障の末期の人については松本先生、どうでしょうか。これはわりと色素変性を意識した基準になっていますので、色素変性の人はこれでもいいですが、緑内障の末期がこういうところについでに入ってくるのではなくて、もう少し彼らを考えた基準にできないかと僕は思いますが、何かご意見はありますか。
○松本委員 障害年金だけではなく、身体障害者福祉法でも判定基準は、緑内障より網膜色素変性症を意識した基準になっています。特に現行の障害年金の方はまだ5度以内の求心性視野障害という規定がありますので、ここまで厳しいと緑内障の場合はほとんど失明に近い方しか入らなくなります。身体障害者福祉法の場合は視能率になりますので、10度以内まで障害が進めば、その形状がどうであれ、評価の対象になります。また、輪状暗点の基準に関しましても厳密に輪状だけとするのか、少しは切れ目があってもいいのかも常に問題になります。
○若倉委員 不完全な輪状暗点もありですよね。
○松本委員 そうですね。そのあたりが医師の裁量になるのですが、ある程度までの形状を輪状暗点として評価できれば、10度以内の狭窄として程度認定を進めることができます。しかし、5度以内というのは、実際のところ緑内障の方には厳しい基準ではないかと思います。
○久保田座長 事務局で何か。
○若倉委員 その辺を考慮したたたき台の変更もできますか。
○和田事業管理課給付事業室長補佐 手帳は10度にプラス視能率という計算が入っていますが、10度として視能率を入れることまでは考えていなくて、できるだけ現状維持していきたいという考え方から、5度以内にしております。
○若倉委員 実際に視野の例示をして議論したほうがいいと思いますが、松本先生は視野をいろいろお持ちですか。個人情報は出さないで、Aさん、Bさんとして出す、あるいはもし松本先生は十分なサンプルがないのであれば、緑内障の人たちをどなたか一回ゲストで呼んでいただくことはできませんか。できますよね。だめですか。
○久保田座長 今回の会合は3回を予定していますので、無理ですね。
○若倉委員 私が個人的に聞いてもいいですが、次回そういう例示をしてもよろしいですか。
○久保田座長 緑内障の方は視野が狭くてもお仕事を続けている方が結構多いので、障害年金の場合はお仕事をできなくなったというか、障害でかなり現行のお仕事が難しくなったのが前提ですよね。そこが制度上手帳とは違うと思います。
○若倉委員 色素変性でも仕事をしている人はたくさんいます。
○久保田座長 障害年金の場合は仕事ができなくなった時点で申請しますが、手帳を持っている方がすべて申請しているわけではないですよね。年金と制度が違うので、緑内障で仕事ができなくなった場合に視野から救う手があるかということになると思います。そういう点から、今回の改正にある程度入れるかどうか考えていかなければと思います。
○小沢委員 お聞きしたいのですが、今回は3回会合がありますが、ヒアリングだけなのか、それともこれをたたき台にある程度のところまでお作りになるのか、そのエンドポイント、ターゲットはどこまで持っていくのでしょうか。改正ということですか。
○久保田座長 整形のほうで検討されたものが、9月1日に改正として障害認定基準に反映されていますので、今回の議論が終われば同じように改正の日を入れた時点で変わるということですね。
○和田事業管理課給付事業室長補佐 スケジュール的には年内を目途にまとめて、行政手続法のパブリックコメントというのがありますのでそこで意見募集をした後に、一定程度の周知期間を置いて、施行は来年度と考えております。
○小沢委員 結構早いですね。
○久保田座長 早いです。そこに生かしていただけるということで、非常に意義があると思います。実際に担当されている先生方は認定に慣れているから、今の基準でもあまり困ってないのでしょうか。
○小沢委員 私も一緒ですが、現場としては非常に混乱することがあります。ただ、視野障害の要領で変更が入っているので楽になると思いますが、一つ言わせていただくと、自動視野計というのが非常にあいまいで、これがあるためにゴールドマン型視野計では全然申請が上がってきません。その場合に、こちらから再検査を要請すると、自動視野計のコピーが来ますが、自動視野計にまた簡易型も含めていろいろな形がありまして、そういうものでは到底認定できないので、できれば自動視野計を削除してほしいというのが僕の気持ちです。
○久保田座長 これには入ってないですよね。入っていますか。
○和田事業管理課給付事業室長補佐 入ってはいますが、示していないという形になっています。
○久保田座長 入っていますね。
○小沢委員 入っていると、コピーしてきますからね。
○久保田座長 そうですね。手帳でも来ますね。
○小沢委員 学会からある程度基準が出れば、もちろんそれが一番いいです。
○松本委員 今の自動視野計でも、幾つかのタイプではゴールドマン視野計と同じような動的測定ができます。しかし、現在主流の機種は動的視野測定がほとんどまともにできないので、現行のままの判定基準をあてはめることはできません。また、確かに自動視野計そのものを排除すれば話は単純にはなりますが、逆に言いますと、そこに一行自動視野計に関する記載があるということが、将来自動視野計を導入するための大きな布石にもなっています。逆にこれを削除すると将来必ず必要になると考えられる自動視野計を用いた判定基準導入が非常に困難になるという危惧を感じます。
○若倉委員 この3回での結論ではなくて、とりあえず今回のことができて、将来またいろいろな問題点が出てきますし眼科も進歩しますので、そういうことを含めてもう少しメジャーチェンジしなければいけない部分はあると思います。しかし、今あちこち瑕疵が起こって齟齬ができたところを修正して、もうちょっと正確なもの、やりやすいものにしようというのが今回のゴールですよね、先生。
○久保田座長 そうですね。
○若倉委員 ただ、問題点は出しておいたほうがいいのではないかと思います。
○久保田座長 そうですね。これは、身体障害者手帳の基準が変わってから、昔と内容も変わっていますよね。
○和田事業管理課給付事業室長補佐 平成14年に。
○久保田座長 変わっていますよね。そうすると、手帳の基準が変われば、こっちで見直しをする可能性はありますね。
○和田事業管理課給付事業室長補佐 そういうこともあり得ます。
○久保田座長 今は大体手帳が基準になっているのが多いので、ここで変えても、手帳を変えてもらわないと混乱しますし、大変なわけですよね。そういう点で、若倉先生のご意見ももっともだし、手帳の方もずっと変えたいと思って学会と医会とで会合を何回とやっていますが、なかなか先が見えなくてゴールまで達しません。今回は少しでも先が見える会合ですから、うまく認定しやすいようにして、申請した方が不公平にならないようにしていきたいと思います。
○若倉委員 先生が言われたように、障害年金はお仕事がうまくできないという部分がメジャーなのであれば、身体障害者福祉法よりもフレキシブルであっていいとも思います。
○久保田座長 次回は、「障害認定基準(眼の障害)の検討課題について」と「障害認定基準及び診断書の事務局見直し案(たたき台)」を持ち帰り、先生方に一言一句よく見て、おかしいかどうか、そう決めていいかどうかということを宿題としてやってきていただいて、あとは事務局でまとめてもらえますか。
○小杉障害認定企画専門官 ごらんいただいて、もうちょっとここはこう書き足すべきだというのがあれば、事前に事務局にご意見をいただいて、私どもが追加して手直ししたものを次回お示しするという形でいかがでしょうか。
○久保田座長 では、メールか何かでお送りするように。
○小杉障害認定企画専門官 メールなりお電話なりいただければ、まず先生方のご意見も踏まえて少し手直しして、次回お示しして、そこでご議論いただくという形でいかがでしょうか。
○久保田座長 では、連絡先を。
○小杉障害認定企画専門官 それでは、改めて先生方のメールなりご連絡先を後でいただきます。
○久保田座長 では、時間が少し早いですが終わりにしたいと思います。いろいろ混乱しましたが、次の機会までにご意見を集めて、今度はきちんと順序立ててやっていきたいと思います。長時間にわたり、ご協力どうもありがとうございました。
○和田事業管理課給付事業室長補佐 次回の日程だけよろしいですか。
○久保田座長 はい。
○和田事業管理課給付事業室長補佐 次回の日程については、10月5日金曜日午後2時からの開催を予定しておりますので、後日改めて開催場所のご連絡を差し上げたいと思います。先ほど言ったように、ご意見をいただいて、それをまとめて今度は一つずつ整理していきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 また、資料3については回収しますので、机の上に置いておいていただければと思います。よろしくお願いします。
 長時間どうもありがとうございました。


(了)
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代表: 03-5253-1111(内線3603)
直通: 03-3595-2796

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