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2012年5月15日 有機顔料中に副生するPCBに関するリスク評価検討会(第2回) 議事録

医薬食品局審査管理課化学物質安全対策室

○日時

平成24年5月15日(火)10時~12時


○場所

経済産業省別館5階526共用会議室


○議題

・リスク評価について
・その他

○議事

○厚生労働省   おはようございます。若干、定刻より早うございますが、先生方がおそろいになりましたので、ただいまから第2回「有機顔料中に副生するPCBに関するリスク評価検討会」を開催したいと思います。
 検討員の皆様におかれましては、本日はお忙しいところ、お集まりいただき、ありがとうございました。なお、本日は安井先生が御欠席とご連絡をいただいております。
 また、本日、クールビズ期間ということで、事務局におきましては軽装において対応させていただいております。本日はこのように狭い部屋ですので、先生方におかれましても、適宜上着を脱いでいただくなど、涼しくして、議論いただければと思います。
 それでは、議題に入る前に、お手元にお配りした資料について確認を行いたいと思います。まず議事次第がございまして、その下に資料1、資料1別添、資料2、資料3、資料4、資料5、この先が参考資料になりまして、参考資料1、参考資料2、最後に参考資料3というカラーの資料がついてございます。もし資料の不足等がございましたら、事務局までお知らせください。
 また、各検討員のお手元に前回開催いたしました第1回の検討会の議事録も配付しております。内容につきましては、既に検討員の方々にもご確認いただいておりますので、この内容で公開して問題はないと考えておりますが、もし何か追加で修正等ございましたら、事務局までお知らせいただければと思います。特に問題がないようでしたら、検討会のホームページにこちらの議事録を掲載いたしたいと考えております。
 それでは、これより議事に入ります。本日の議事の全体進行につきましては、広瀬先生にお願いいたします。どうぞよろしくお願いいたします。
○広瀬検討員  それでは、これより議事に移りたいと思います。
 最初の議題で、「暫定リスク評価について」ということで、まず事務局より資料1についてご説明をお願いしたいと思います。なお、質疑は資料1と2をまとめて行う予定にしておりますので、ご了解のほど、よろしくお願いいたします。
 それではまず資料1について、事務局と産総研の吉田検討員からご説明をよろしくお願いできればと思います。
○経済産業省  それでは資料1について、まず事務局からご説明させていただきます。
 お手元の資料1の1枚紙をごらんください。タイトルは「有機顔料を含有する製品の使用を継続する場合の暫定リスク評価結果及び追加的な措置の必要性について(案)」という形にしております。
 概要についてでございますが、まず暫定暴露評価について、ご説明いたします。今回は、有機顔料を含有する代表的な製品として、印刷インキ、塗料、合成樹脂、繊維。繊維は捺染と書いてありますが、これはTシャツとかにプリントされている絵柄のことでございます。そのプリント部分を指しますけれども、これを取り上げた趣旨としましては、今回、業界団体から報告がありました副生PCBを含有する有機顔料の主な用途として、製造・輸入数量等から調べましたところ、上位4つがこの4つということと、あと実際に 50ppm超として行政に報告がありました顔料についての主だった用途もこれら4つということから、これらを代表的な製品として取り上げております。
 そして、吸入、経皮・経口の暴露経路について、それぞれ一般的なシナリオを説明し、別添で、この後吉田検討員からご説明がありますけれども、暴露評価を行いました。
 このシナリオについて簡単に申し上げますと、それぞれのインキ、塗料、合成樹脂、捺染ですからプリントされたTシャツ等の服と思っていただきたいのですけれども、これらが室内で使用されている場合に、どれだけ暴露するかというシナリオに基づいて、吸入はそれぞれの製品から揮発する場合、経皮はそれぞれの製品が使用されているものに接触する場合、あるいはそれぞれから揮発されたものがハウスダスト等、あるいは直接なめたりすることによって口から入るという暴露経路を設定しております。
 次に製品中の顔料割合については、事業者からのヒアリングをもとに、以下のように設定しております。印刷インキは12%、塗料は5%、合成樹脂は2%、繊維の捺染部分は4%です。
 また、今回の暴露評価を設定する際のPCB濃度ですが、これまで確認された、行政側に報告があった最大濃度、280ppmを使っております。この280ppmについては、最初に申し上げた代表的な製品、用途として、いずれの場合にも使われ得るということで、それぞれの暴露シナリオにおいても280ppmを適用しております。
 続きまして、国内でこれまで用いられている許容値についてご説明いたします。前回の審議で、吸入の数値というのを経口と分けて、何か数値を使うべきではないかというご指摘もございました。日本産業衛生学会のPCBの作業環境許容濃度というのがございますので、これを用いまして、一般環境下へ補正するという形で吸入の濃度というのを仮置きしております。これは計算しますと、0.34mg/m3でございます。それから経口と経皮でございますが、経皮については前回以降、ご指摘があって、調べてはみたのですけれども、これといったデータがなかなかなかったものですから、今回のリスク評価に使う許容値としては、経口の許容値をもって経皮の許容値にもさせていただきたいと思っております。この場合、厚生省の通知の暫定一日摂取許容量5μg/kg/日を許容値とさせていただいております。
 これらの暴露評価と許容値との関係を比較しましたところ、代表的な製品について、今回、想定した暴露シナリオに基づき算出された暴露量が許容値を上回るケースは確認されなかったということで、一覧表は、この資料1の裏面に表にしておりますので、それをごらんください。なお、これらを踏まえますと、現時点においては、有機顔料を含有する製品で、特に回収等の措置が必要なものは認められないと事務局では考えております。
 裏面の表について若干補足説明をさせていただきます。暴露シナリオをもう少し詳細に書いたのがこちらの表にございますが、暴露量はあくまで暫定値でございます。暫定値とした1つの趣旨としましては、報告があった範囲内で280ppmというのを設定しているということ、それから、この後、暴露評価のところでご説明がありますけれども、途中、いろいろな仮定の数値も置いております。こういうのを踏まえて、一応、暫定値としております。今後、得られる情報に応じて、必要があれば見直していきたいと考えております。
 資料1の概要については以上でございます。
○吉田検討員  それでは、私から資料1の別添についてご説明したいと思いますが、その前に、今回、暴露量の推定を行いました際に用いました室内暴露モデルツールiAIRにつきまして、その概要を私どもの篠崎のほうから説明させていただきたいと思います。参考資料の3を用いて説明させていただきますので、よろしくお願いします。
○産業技術総合研究所  産総研の篠崎です。本日は、室内暴露評価ツール(iAIR)について、ご説明させていただきます。
 参考資料3をごらんください。その下側のほうからご説明いたします。
 室内暴露評価ツール(iAIR)とは、消費者製品由来の化学物質のリスク評価・管理のために開発された、室内濃度や吸入暴露濃度を推定するソフトウエアになります。消費者製品というのは、家電、家具から書籍まで、さまざまなものが含まれます。
 推定対象は、評価地域にある一般住宅の室内濃度分布、そしてそこに住んでいる人の暴露濃度分布になります。この室内濃度分布なのですけれども、個人のご家庭の1つの家の中の空間分布ではありませんで、評価地域にある家を1つのデータといたしまして、分布を推定するというモデルになります。
 特徴といたしましては、住宅・世帯データの推定機能、そして製品データの推定機能、こういったものを搭載しております。また、一般の方が使っていただけるようにデータベースを備えておりまして、計算パラメータの入力の負担を軽減しているというような特徴がございます。
 このiAIRを使って評価いたしました部分というのは、吸入とダスト経由の暴露です。これは、このモデル自身が空気中に一度出た化学物質を対象としているために、その2つを評価いたしております。
 次のページをごらんください。上側にあります図が、iAIRの計算の仕組みの概略を示したものになります。iAIRは、データ作成機能、室内空気質モデル、暴露濃度推定モデル、そこにデータを供給しますデータベース、そしてデータ解析・表示機能、この5つからなっております。濃度を計算いたしますのは、真ん中の上側にあります室内空気質モデルという部分になります。こちらでは幾つかの仮定を置いておりまして、部屋は1つの箱になっているということで、ボックスモデルを採用しております。この中は完全混合、濃度は均一になるという仮定を置いております。また、時間で変化しない、定常状態を仮定で置いております。このような仮定で計算するモデルになっております。
 その計算パラメータなのですが、それは住宅容積とか放散——放散というのは、製品から化学物質が出てくる部分になります。そして換気、こういったものが計算パラメータになります。その計算パラメータを作成する部分というのが、左側にございますデータ作成機能というところでございまして、こちらには住宅モジュール、世帯モジュール、発生源モジュールと、さまざまな計算式が搭載されております。ここで何をしているかと申しますと、1つの世帯、1つの住宅のさまざまなことを推定しております。例えば床面積であるとか、世帯人数であるとか、製品の個数であるとか、そういったものを推定いたしまして、乱数を用いて1つの世帯をつくってまいります。そのデータを用いて室内空気質モデルで計算を行いまして、室内濃度を1つ求めると。これを何度も何度も繰り返しまして、右側のデータ解析・表示機能のところで示してございますような濃度分布を得てくるというモデルになります。濃度分布を得ますので平均値であるとか、最大値であるとか、95パーセンタイルとか、そういったものを得ることができます。
 本日は、計算にかかわりました部分で、左側に赤字で書いてある住宅モジュールという部分と世帯モジュール、そして発生源の中から個数のところを使っておりますので、その3つについて、その次に説明いたします。
 次、4と書いてあるところなのですけれども、住宅データの推計になります。こちらは、統計データを用いてモンテカルロサンプリング、乱数で住宅データを推計するということを行っているところになります。統計データは、あくまでも個人データの集合体なのですけれども、個人が特定できないようになっているのですが、その統計データを幾つか重ね合わせまして、ある特定の住宅を1つ推定するという方法をとっております。計算を行うときには、住宅の建て方を決めて、床面積を決めて、居住面積を決めて、という順番に行ってまいります。これ以外のパラメータも幾つか採用しているのですけれども、こういったことを行うことによりまして、住宅の床面積等々を決定しております。
 その検証結果というのが右側の図2枚になります。上側の図が自治体別平均床面積の検証例になります。これは横軸が統計値、縦軸が計算値になりまして、完全に一致いたしますと45度線に全部データが乗ってくるということになります。それで、ほぼ、データが乗っているという状況でございます。
 下側が、平均値ではありませんで、床面積ごとの世帯数を推定したものになりますけれども、青いほうが統計値、オレンジ色のほうが計算値になりまして、分布自体も割と再現ができているかと考えております。
 次のページ、5と書いてある資料です。世帯の推計になります。こちらも住宅の推計と仕組みは同じものを搭載しております。計算をするときには世帯人員から推定いたしまして、どういう家族か、世帯主はどういう人なのか、そして子どもが何人というようなことを推定してまいります。
 検証結果が、同じく右側にございまして、上側が平均年齢の検証結果なのですけれども、1つのプロットが自治体別の平均年齢を求めてございます。こちらのほうも45度線に乗っておりまして、再現性がとれていると考えております。
 下側が、その中の分布をみたものになりまして、これは世帯主の年齢を5歳刻みでとってきたものですけれども、青いバーと赤いバーがほぼ一致していることがごらんになれるかと思います。
 次が製品所有状況の推計ということで、今回の評価には、ごく一部でこの機能を使っておりまして、ほかの部分というのは、ほとんど暴露シナリオを設定しております。使いました部分というのは、書籍の購入数などでございます。ここはどうなっているかと申しますと、消費動向調査やアンケート調査を行いまして、それを解析して、iAIRのデータベースに搭載しております。これは確率分布をしておりまして、乱数によって無作為にサンプリングして、製品数などを決定するという過程を経ております。
 右側にありますものが解析例になります。これは済みません、書籍がちょっと準備できなかったもので、カーテンの例なのですけれども、丸い点がついた黒いラインというのがアンケートの結果です。それに対して対数正規分布、赤いラインです。それとワイブル分布、これは青いラインになるのですけれども、これを適合してみたところ、対数正規がぴったり合うということで、こちらを採用するというようなことをデータ解析としては行っております。
 最後になりますけれども、7枚目の図、これが濃度推計の検証結果になります。ここで、オゾンと decaBDE(デカブロモジフェニルエーテル)とトルエンという3つを準備してまいりました。それぞれの図で、左側にございますのが、iAIRを用いた計算値、箱のついているほうになります。それ以外の部分というのは、文献などで得られたデータをプロットしてございます。真ん中に黒い四角の点があるかと思うのですけれども、これが中央値や平均値を示しておりまして、中央値や平均値などはおおむねファクターに、2分の1倍から2倍以内ぐらいにおさまっております。範囲のほうも、3倍程度違っているものもあるのですけれども、オーダーが異なるというようなデータとはなっておりません。
 以上でございます。
○吉田検討員  それでは、私のほうから資料1の別添の暫定暴露評価の詳細につきまして、ご説明させていただきます。
 1ページ目ですけれども、先ほど事務局からご説明がありました4つの用途の、まず第1の印刷インキです。吸入暴露につきましては、1)に書いていますように、PCB含有インキで印刷された新聞紙、ちらし、雑誌、書籍から揮発したPCBを吸入及びハウスダスト経由で経口摂取するというシナリオを想定しております。そこに式 (1)、式 (2)、式 (3)と、今、篠崎のほうから説明がありましたiAIRの中で使われている数式を用いて濃度を推定しております。
 下に表がございますが、前回、この印刷インキにつきましては、暴露推定のイメージということで、具体的に数値を挙げて、計算結果をご紹介しましたが、その後、いろいろ情報をいただいておりますので、そういったところも変更になっております。その表の中ですけれども、まず最初の印刷インキ中の顔料の割合、これも事業者さんからのヒアリングの結果を反映させております。顔料中のPCB濃度につきましては、先ほどご説明がありましたように最大値を使っております。それから、排出係数も前回とは異なりまして、今回はOECDのESD、あるいはREACHのTGD( Technical Guidance Document)で使われている排出係数を設定しております。
 めくっていただきまして、2ページ目です。前回、お示しできませんでした雑誌とかちらしとか美術書等で使われるインキの使用量、部屋の換気回数、部屋の容積、吸着面積を、それから3ページ目に行きますと、前回はハウスダストを特に分けて考えておりませんでしたが、今回は分けて考えておりますので、3ページ目の上の表にありますように、粒子吸着の割合、粒子濃度、ハウスダストの摂取量、そういったものを追加しております。それから、前回、どういうデータかをご説明できませんでしたが、体重、滞在時間につきましても、表の中に数値を入れております。
 それで、こういったパラメータを使いまして計算しました結果、室内濃度、ガス態の濃度につきましては、吸入暴露では最大値で 1.6×10-4、中央値で 1.7×10-6μg/m3という値が推定されております。
 それからハウスダスト経由の経口摂取量、これはPCBの粒子吸着態に起因しますが、最大値が 1.4×10-4μg/kg体重/日、中央値は 2.8×10-7μg/kg/日と推定されました。
 今回、吸入暴露のほうで推定されました印刷インキの新聞紙への使用量をもとに、経皮と経口につきましては、印刷インキで印刷された新聞紙と接触するということに伴う経皮、あるいは経口暴露を暴露シナリオとして推定しております。2)の経皮暴露ですけれども、これは前回、お示ししました式(4)を使いまして、計算しております。
 めくっていただきまして4ページ目です。前回と大きく違うところですが、前回は、表の真ん中あたりにあります、皮膚への移行率を1日で 100%という、非常に過大な前提のもとに計算をしておりました。今回は、皮膚の表面に到達するまでの移行率を、アメリカのEPAのAMEMというソフト——これは樹脂中の添加剤のマイグレーション、移行を推定するモデルですけれども、これを使いました。今回、新聞紙の場合ですと、低密度ポリエチレンを樹脂として想定したことを書いております。このAMEMというソフトは、シリコンゴム、天然ゴム、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリスチレンという5つのカテゴリーに分けて、ほかの樹脂がどのグループに属するかということで、大体同じようなグループのものは同じような拡散係数を推定していくという、ちょっと粗い推定ですけれども、そういうことをやっております。今回は、印刷インキに使われているバインダーとしての樹脂が変性ロジン系の樹脂ということで、AMEMで該当する樹脂グループがなかったので、一番安全側の、一番拡散しやすいということで低密度ポリエチレンを選んでおります。
 そのほか、計算に必要な条件といたしましては、下に示しておりますパラメータを入力いたしまして、 4.8×10-3/日という移行率を得ております。
 それから、前回もお話ししました接触時間、発生回数を用い、体重は前回50kgとしましたが、iAIRと同じ分布を使っております。その結果、 8.8×10-5μg/kg/日、中央値は 2.0×10-7となりました。
 それから経口ですが、新聞紙で包んだ野菜を食するということで野菜に移行したPCBを経口摂取するという設定でシナリオを置いて、推定いたしました。 (5)式、 (6)式の2つの式を使いまして、摂取量を推定しております。ここでは、野菜と新聞紙の接触面積をどうするかということがありましたので、一例として白菜、階級5玉という一番大きい、3kg以上の白菜ですけれども、これを想定いたしまして、球という前提を置いて表面積を求め、その白菜の表面積に新聞紙から移行するという形で計算しております。
 それで、野菜の一日あたりの摂取量につきましては、私ども産総研の暴露係数ハンドブックの年齢群別の野菜摂取量を使い、体重はiAIRと同じものを使って計算いたしました。その結果、最大値は1.5×10-5μg/kg/日、中央値は 5.3×10-6μg/kg/日と推定されております。
 前回、新聞紙の印刷インキについてご説明したのですけれども、それ以降、私どものほうで塗料、合成樹脂、それから先ほどご説明がありました繊維(捺染)を推定しました。1つ1つご説明していきますと、非常に時間がかかってしまいますので、塗料につきましては、吸入暴露については5ページの表にありますように、塗膜の厚さとか塗膜密度、その辺はいただいた情報をもとに計算いたしまして、先ほどと同じ印刷インキと同じような形でパラメータを使って推定しております。その結果が6ページの上の表の下にありますように、暴露濃度としては 5.1×10-4μg/m3と。ハウスダストにつきましては、最大値が 3.8×10-4μg/kg/日となっております。
 経皮暴露につきましては、塗装面に素足で接触してPCBを取り込むという暴露シナリオを設定しております。ここでも重要になりますのは皮膚への移行率ということになりますけれども、ここにつきましてもAMEMを使いまして、移行率を推定しております。やはり樹脂として低密度ポリエチレンを想定しております。これも情報がないので、安全側ということにしております。その結果、経皮暴露量の最大値は 4.4×10-3μg/kg/日という値が得られております。
 次に7ページの3.は、合成樹脂からの暴露となります。めくっていただきまして、8ページの表の下にございますように、いただいた情報をもとにiAIRで計算いたしますと、室内濃度のガス態の最大値は 8.1×10-3μg/m3、ハウスダスト経由の経口摂取量の最大値は 6.4×10-3μg/kg/日となりました。
 それから経皮のほうは塗料と同じように、PCBを含有した床材と素足で接触してPCBを取り込むというシナリオのもとに計算しております。ここでは、いただいた情報に基づいて単位面積当たりの樹脂中のPCB量を算出しておりますけれども、皮膚への移行率は8ページの一番下にありますが、これもAMEMで計算しております。申しわけないのですが、ここ、「硬質塩ビ」と書いてありますけれども、軟質?塩ビの間違いです。可塑剤が入った普通の塩ビを想定して計算しております。それで、 1.4×10-3/日という移行率を推定しております。それで計算いたしました経皮暴露量の最大値は 7.8×10-3μg/kg/日となっております。
 ちょっと時間が押しておりますが、経口暴露につきましては、乳幼児のマウシングによるPCBの経口摂取を推定いたしました。これは2002年に薬事・食品衛生審議会の食品衛生分科会の毒性部会と器具容器包装合同部会の報告で、可塑剤につきまして検討されておりますので、その方法を使わせていただきました。ただ、唾液への移行率というところが、実測値を使われていたのですけれども、そういうデータがありませんので、ここもAMEMを使って計算しております。それで、0.0475を使って移行率を推定しております。
 あと、これは乳幼児ということで、マウシングの時間は実測された、2002年の報告書にあります40名の乳幼児のマウシングの時間の分布データを使っております。体重につきましても、2002年の審議会で使われた1歳未満の乳幼児の体重をそのまま使っております。その結果、乳幼児のマウシングによる経口摂取量は最大で 4.1×10-3μg/kg/日となっております。
 捺染の繊維からの暴露につきましても同じように計算しましたが、ちょっと時間が押しておりますし、値は先ほど事務局のほうから一覧表でご説明がありましたので、割愛させていただきます。ご質問があれば、そのときにお答えさせていただきます。
○広瀬検討員  どうもありがとうございました。
 続いて資料2の毒性情報について、事務局から説明をお願いしたいと思います。
○厚生労働省  それでは、資料2をご覧ください。前回の検討会におきまして、毒性情報で昭和47年通知のADIを使っておりましたところ、その後の知見が海外等であるはずであるというご指摘もありましたので、今回、調べましたところを資料2にまとめてございます。
 1.の最後のパラグラフに書いてございますけれども、「海外の評価書等において、PCBのADI等が検討されていることから、以下に収集した情報をまとめる」としておりまして、基本的には海外の主だった評価書等において書かれているものから情報を収集しております。
 2番目に移りまして、海外の評価書におけるADI等についてということで、まず最初にWHOのCICADと呼ばれる国際化学物質簡潔評価文書といったものをご紹介しております。こちらの文書につきましては2003年に作成されたものでございまして、これによりますと、PCBの混合体の耐容摂取量につきましては、0.02μg/kg体重/日が算出できるとしております。こちらの算出のもとになった試験は、PCBとしてはPCBの製品——PCBの製品はいろいろグレードがございまして、そのうちのアロクロール1254といったものを使った試験になっております。この1254というPCB製品は5塩素置換体が49%、4置換体が17%、6置換体が28%というような組成のPCBとなっております。
 この耐容摂取量の根拠となりました試験につきましてのエンドポイントですが、若干解説がございまして、ヒトの健康への重要性がはっきりしないアカゲザルにおける免疫学的所見というものをエンドポイントにとって、この値を算出しているということでした。アカゲザルというのはPCBの感受性が高い種であるということも指摘されておりまして、この許容値につきましては、控え目な値、原語でいいますと“ overly conservative”といった表現がなされているところであります。
 次に、米国EPAのIRIS(Integrated Risk Information System)のほうの情報を当たりましたところ、これと同じ情報がございまして、アロクロール1254につきましては、慢性経口暴露の参照値としまして0.02μg/kg/日といったところが示されております。
 なお、別のPCB製品でありますアロクロールの1016というものにつきましては、塩素置換体のパーセンテージが先ほどの1254と違うものになりますが、RfDとしまして、0.07という値が示されております。
 (ウ)のATSDR、こちらにつきましても米国のものですが、MRLにつきましては0.02というようにしております。アロクロール1254及び1016のRfDにつきましては、IRISの値を確認しているような状況でございます。
 なお、この並び順は、WHO、米国という順に書いておりますが、年代としましては米国の評価のほうが早うございまして、WHOのCICADにつきましても、米国のこの結果を引用したような形になってございますので、基本的には同じデータと解釈できるかと思います。
 1枚おめくりいただきまして、3.経口以外の暴露経路の評価についてということになります。前回、経口以外の経路につきましても評価が必要であるというご意見がありましたので、吸入暴露についての何か許容値的なものがないかということで探しましたところ、産業衛生学会の提案がございまして、そちらのPCBの許容濃度は0.01mg/m3といったものが出ております。この濃度につきましては、血中PCBと有症率の関係から、生物学的許容値を定め、そこからPCBの体内動態をもとに相当する暴露濃度を求めて許容濃度として定めたものと計算をされております。その根拠としましては、こちらに書いてありますような、血漿中高塩素化PCB濃度が50μg/lを超えると皮膚所見の有症率が高くなるといったところ、それから血清トリグリセライドの異常率が上昇することといった、これを目安にしておりまして、安全を見込んで半分の25μg/lを生物学的許容値としました。そこから計算をしますと、暴露の許容値として、総PCBとして0.01mg/m3が計算できるというようにしております。
 なお、低塩素化PCBとしましては 0.012、高塩素化PCBとしては 0.004というように計算を出しておりますけれども、この提案の中では総PCBとして、この許容濃度を設定するほうが現実的であろうというようにしております。これにつきましては、次のページでも再度ご説明いたします。
 それから日本国内以外のところにつきましては、米国でもこういった基準値が出ておりまして、ACGIH(米国産業衛生専門家会議)というところ、それからNIOSH(米国労働安全衛生研究所)というところから、こちらに記載しておりますような値が提案されております。
 続きまして、経皮吸収につきましても調べてみましたが、経皮吸収につきましては、先ほどの吸入の許容濃度のADIのような数字はございませんでした。調べましたところ、経皮につきましては、主要な暴露経路とは考えられるというような記載はございます。動物実験では、これもPCB製品の1つでございますが、アロクロール1242の局所投与により、14~21%の吸収がみられたというような記載もございます。また、先ほどの産業衛生学会の提案中にあったものですけれども、皮膚からの吸収も比較的大きく、 120時間暴露で投与量の15~50%という吸収があったというような記載もございました。
続きまして、脆弱層への影響というところで、こちらのほうもWHOの評価書等で記載が若干ございます。乳幼児への影響につきましては、主に母親が汚染された魚ですとか米油(ライスオイル)、こちらを摂取したようなものについて、子どもへの影響を調べた研究が幾つかございます。多くは神経行動的影響について研究しているものがございますけれども、そのほか、成長率ですとか、免疫、甲状腺への影響をみた研究もございます。これらにつきまして、血中のPCB濃度との関係を検討しているものもございますが、なかなかそこからADIに相当するような指標値を算出しているものは見受けられませんでしたので、今回、先ほど資料1で申しましたが、経口と同じ値を使っております。
 続きまして、異性体ごとの影響でございます。異性体ごとの影響につきまして、塩素置換数の異なる製品ごとの毒性の違いにつきましては、先ほど1枚目でご紹介いたしましたけれども、アロクロールの1254と1016では、1254のほうが塩素化度が高いもので、こちらが0.02で、塩素化度が若干低い1016のほうは0.07ということでございまして、塩素化度が低いほうが毒性としては若干弱い傾向が出ております。また、前の2ページのほうで書いてございます許容濃度につきましても、低塩素化のPCBのほうが高い許容濃度が計算されてございますので、その傾向としては同じかなというように考えております。
 (イ)の許容濃度における異性体影響の考え方というところでございますが、先ほどの産業衛生学会の提案の許容濃度の設定に当たりましては、低塩素化と高塩素化をそれぞれ別に策定することではなくて、総PCB、トータルのPCBとして許容濃度を設定してございます。こちらにつきましては、PCB処理にかかわる労働者が低塩素化、高塩素化の両方を取り扱うことが多いというのを考慮したとしておりまして、別々に想定するよりも、トータルのPCBで設定するほうが現実的であると考えられたためというようにしております。今回の検討におきましても、顔料中に副生するPCBの異性体につきましては、その詳細が必ずしも明らかでないことがございますので、基本的にはトータルのPCBとして検討してはいかがかと考えております。
 以上でございます。
○広瀬検討員  どうもありがとうございました。
 それでは、今までの資料1、資料2の説明について、ご質問等がありましたら、お手元のネームプレートを立ててください。順番に指名させていただきます。
 では、森田検討員から。
○森田(昌)検討員  今日、どこまで合意をとるような作業が行われるか、よくわかりませんが、資料の1番目が、いわば一種の答えであるような気もするのですが、関連するロジックが余りにも弱くて、このように簡単に結論づけるところに賛成しがたいところがあります。幾つか申し上げます。
 まず暫定暴露評価というのは、一応暴露評価はされているのですが、しかしここで使われているモデルは、インドアエアのモデルが使われていて、この種の問題のPCBの暴露は、インドアエアのモデルだけで全体が把握できているのかどうか少し怪しいというところがあります。
 非常に簡単に1つの例を申し上げますと、PCB暴露の有害性で、多分、社会的にも一番気にされるのが、子どもの暴露は本当はどうなのですかということだろうと思うのです。そういうときに考えますと、例えば、公園で遊具に使われている塗料を、そのはがれたものを子どもがなめて大丈夫ですかとか、そういうことにもきめ細かく答えていけるような形にしておかなければいけないし、それから絵の具とかクレヨンとか、子どもの身近で使われ、かつ子どもが食べるかもしれないような、そういう材料の暴露評価がどの程度のものか見積もられているかどうかということも多分、課題になると思います。そこの部分、まず第一段階として、このiAIRで求められている暴露評価はいわば一部で、しかも私の印象としては過大に見積もられていますので、ある意味では安全サイドに見積もられていることは間違いないのですが、しかし極めて重要な暴露経路のすべてをカバーしていないから、これで大丈夫ですというロジックには多分、使えないのではないかと、これが第1点です。
 それから第2は、ちょっとこれは難しい議論になりますが、PCBの毒性の情報について、今、事務局からご説明をいただきましたが、極めてできの悪い情報の収集しかできていないということがあります。PCBの毒性は、ものすごい膨大な量の毒性が既に蓄積をされていますし、それに基づいて幾つかのガイドすべき数字みたいなものもある程度提示されていると。ただ、まずPCBの毒性の1つの特性として、PCBの毒性を支配している要素は、実はジベンゾフランであったり、コプラナーPCBであるのです。それが多分、いろいろなPCBの製品中の毒性のうちの半分以上を占めていると思われます。そういう意味では、PCBの毒性学と、それからダイオキシンの毒性学というのが少し混線してくるのですが、そこのところは十分に考えておく必要があると。
 PCBは古くて、昭和40年代に暫定基準をつくって以来、毒性の基盤的なものというのは実は見直されていなくて、その間にダイオキシンのほうが極めて先行した格好になっていきますが、それでも1990年代の後半ぐらいから、環境省の中でもPCBがこのままの数字でいいのだろうかという議論もした記憶があります。それからダイオキシンの基準値をどうするかということと関連して、PCBをこのまま置いておいて、したがってPCBとダイオキシンが独立した状態で規制が入ったときに起こるであろう若干の矛盾が存在するという、その議論も少しやっていたのです。その過程で、今、0.02μg/?というのは、これは1980年代後半~90年代ぐらいから徐々にヨーロッパのグループがいっていた数字であり、しかし一方で5μg/?という、かつて昭和40年代にPCBの魚規格をつくったときの数字がまだ半分生きていて、それ自体はもう40年前の毒性の評価軸なのですが、今回、そういうのをそのまま残して使うということでいいのかということが残ります。ここの部分ももう少し精緻化しておかないと、きちんとした形で報告書がまとまらないのではないかという心配をします。
 それから第3は、実は顔料中の、この種の有機合成化合物の問題は、1980年代の後半にダイオキシンの問題として一度浮上したことがあるのです。そのときにダイオキシン対策みたいなものは個別の企業の中でとられたり、あるいは自社で生産するのをやめて輸入に切りかえたり、いろいろなことが起こっていたのですが、今回、まだ国内でも生産の現場があるといわれるような状況になっています。そういう意味で、今は、この製品の対策としてPCBだけに着目してやっているのですが、少なくともダイオキシンについても安全なレベルであるという、そういう若干の証拠が欲しいかなという感じがいたします。そんなことを考えますと、追加的な措置の必要性の有無というのは別途あって、あるいはこういう選択でいいのかもしれないのですが、しかしその前の1.2.3.ですよね、ここの部分をもうちょっときちんとした形にしていただきたいというのが私の希望であります。
○広瀬検討員  ありがとうございました。
 もう少し結論に至るまでの論理とか情報を詳しくしたらいいというようなご意見だったと思います。
 では、次に伊佐間検討員からお願いします。
○伊佐間検討員  暴露評価のところで、合成樹脂、それから繊維製品については経口暴露ということで、乳幼児が口に入れてかんだり、なめたりするマウシングということが検討されているのですけれども、前回の検討会でも議論になったかと思うのですが、いわゆる口に入れてなめてしまうのではなくて、製品そのものを丸ごと飲み込んでしまう、要するに消化管に入ってしまうというような暴露はここでは検討しないということでよろしいのですか。ちょっと確認なのですけれども。
○広瀬検討員  それは事務局のほうで暴露シナリオとしてどうですか。
○経済産業省  誤飲については、第1回のときの資料の中にたしか提示をさせていただいて、それで少しご議論もあったかと思います。我々としても、では、飲んだときにどれと比較をするのかというところもあって、一応、今回のこの暫定評価をするに当たっては誤飲は外しております。
○広瀬検討員  誤飲等事故は、とりあえず評価の枠外でやるということですね。
○伊佐間検討員  それは要するに事故だから、今回のあれからは外すと。
○広瀬検討員  はい。
○青木検討員  1つ、まず確認したいのですが、資料1の2.の吸入で、産衛の作業許容濃度の一般環境下へ補正するという、不確実係数等、暴露時間を補正して0.35という値なのですが、これはどこか学会とか、あるいは公的機関で議論されて、こういう値が出てきたものなのでしょうか。それとも、これは暫定的に事務局のほうでこういう補正をされた値なのか。10という値は産衛のほうの資料ではっきりわかったのですが、ここの部分はどのようになっているのでしょうか。
○経済産業省  ここで置いております想定に関しましては、ご指摘のとおり0.01という値は既に論文で評価をされているものと。それから補正係数で用いております 250日という数字は、その同じ文献の中に、労働環境での従事時間ということで載っている値ですので、それを一般環境に置き直したという値になっております。一方、その呼吸量、10割る20という部分に関しましては、その作業現場での呼吸量と1日の呼吸量ということで、この20というものは、一般的にこれまで、例えば初期リスク評価などで用いられている呼吸量を割り算して補正をしたもの。さらに一般環境への個人差の不確実係数ということで10というものに関しても今回の想定で入れさせていただいたものということになっております。
○青木検討員  そこの数はいいと思うのですけれども、それは事務局で想定してやったということですね。あともう1つ、不確実係数の10というのも事務局で決められて振られたということなのでしょうか。
○経済産業省  一般的に想定されているものを参考に設定をしております。
○青木検討員  あくまでも一般論ですけれども、なかなかここの議論というのは難しくて、さまざまな係数が用いられているわけだから、大して変わらないという考え方もあるかもしれないけれども、これがどういう根拠で出されたかということは明確にしておいていただきたかったということでございます。
 それと、森田検討員から大分詳しく指摘されていたので、個々の問題について指摘したいのですけれども、確かに我が国における暫定と、それから国際的な評価というのが、まさに2けた違うぐらいの値になっているのは非常に大きな問題だと思いますので、ここはここで、許容濃度として我が国の値を出していくというのは1つのプロセスではあると思いますが、今後、どのように考えていくかということは非常に重要な課題かなと思います。確かに我が国の5μg/kg/日というのは、これは油症の発症をもとに算定されたものですよね。これは厚労省の資料に書いてあるのをそのままいっているだけなのですけれども。
 それで、あとWHOなりEPAの評価での動物実験から出してきたもので、しかも、恐らく非常に安全側を見積もっている値だと思うのですが、やはりそこは動物実験とヒトのデータが違うといっても、動物実験は慢性影響をみているし、これはちょっと言い方がよくないかもしれないけれども、これでみているのは比較的急性的な影響だと思いますので、そこの差をどのように考えるかということは非常に重要な議論だと思います。
 あと、子どもの影響というので脆弱集団の影響というのが、それなりには書いていただいているのですけれども、やはりこれももうちょっと詳細に書いていただきたかったというのが正直な感想でございます。
 以上でございます。
○広瀬検討員  ありがとうございました。
 数値の扱い方が、5マイクロか20ナノかというところで難しいのかもしれませんけれども、国内の法律が実際にあるかどうかという問題と絡むのだと思います。最初の不確実係数が10でいいかどうかという意見については、これは事務局で一応、安全側にはみていると思うのですけれども、青木検討員は、これぐらいが妥当かどうかというのは、大まかにみて……
○青木検討員  大まかにみてはいいと思うのですけれども、やはりこういう不確実係数を決めていくというのは、本来はかなり議論があっての話だと思うので……。1つの考え方としてはよろしいと思います。
 あと、発言の機会をいただいたので、そうするとここで「一般環境下」と書いてありますよね。よくみてみると、暴露側が室内をみているのだから、これは本当は室内環境下なのではないかと思うのです。若干言葉尻かもしれないけれども。
○広瀬検討員  では、鈴木検討員、よろしくお願いします。
○鈴木検討員  資料1の別添のところを中心にしてお話しさせていただきますが、資料をこれだけ集められたのは大変だったと思って、それはありがとうございます。ではあるのですが、まず幾つか、暴露シナリオについて、森田先生はじめ、幾つかの質問があったのですけれども、今回、特定のケースがある話なので、モデルがあったから使えばいいという仕事でももちろんないので、まずシナリオを頭で考えてつくるというところが非常に重要だと思っております。それはきちっとやっていただきたいという希望はございます。
 それに関連して、前回、私が発言しているのですが、ダスト経由といったのは、ここに書いてある、大気ダストへの吸着を計算したほうがいいといったのではなくて、先ほどの誤飲に少し近いのですけれども、製品そのもののダストが家庭内に存在しますので、そういうものを推定してはどうかという趣旨でしたので、その点についてはご検討を追加でお願いします。
 いずれにしろ、可能なケースについて、まずシナリオを考えるところがすべての出発点ですので、そこをもう少しきちっと考えていただければということを希望いたします。
 もう1つは方法なのですが、モンテカルロで出しているのですけれども、モンテカルロの最大値というのは、多分、この試行回数に依存するのではないかと思うのです。このモンテカルロの最大値というのがどういう意味をもっているのか、私には全然わからないのですが、モンテカルロで最大値を出されるのであれば、まずどのパラメータをどういう分布、あるいはどういう範囲で振ったのかということ、それから、恐らくは全部をランダムに振ったわけではなくて、何らかの相関をかけていたりするのではないかと想像しますが、その辺の条件によってモンテカルロの推定値などは、いっては悪いけれども、どうにでも変わってきますので、そのあたりについての条件もきちっと出していただかないと、この数字を確定的な数字と受けとめることは、私としては難しいという印象がございます。むしろ前回出していただいた97.5パーセンタイルというほうが、ある種、まだましで、97.5がいいかどうかという議論はあるかもしれませんが、モンテカルロの最大値というのは、にわかには承伏しがたい印象がございます。
 ですので、もし最大値を出すのであれば、やはり個別のパラメータ、あるいは個別の推定値について、ここに対してこういうコンサバティブな設定を行うというケースを積み上げてつくったほうがより信頼できますし、計算根拠もはっきりわかりますので、そういうアプローチのほうが適切で、それにあわせてモンテカルロを併用するというぐらいのほうが、僕はいいのではないかと思います。
 それが方法の話で、あと個別のパラメータについては、過大と過小と両方あるのですが、まず新聞関係の排出係数について、サービスライフ5年とか10年の0.05%オーバーライフという、新聞紙についてこれを使うのが妥当かというのは、ちょっと疑問な感じがいたします。これについては精査していただいたほうがよろしいかと思います。
 それからもう1つ、別なところで出てくるのは、移行係数を樹脂からの溶出モデルでやられているのです。塗料とかが出しているものはこれでいいと思うのですけれども、新聞紙から出しているものとか、それからTシャツから出しているものについて、このモデルが通用するのかというのは、ちょっと疑問がございます。ここに関しては、恐らくかなり違う数字を想定したほうがいいのではないかと私は考えます。
 いずれにしても、モンテカルロの中のパラメータ、特に対数正規を与えていると書いてあるところが断片的にございますが、どこを与えたのかわからないので、それを明らかにしてほしいのと、対数正規の分布で振ると、多分、上限、下限とも非常に大きく振れてくると思いますので、先ほどモデルのところで、測定値で可能な範囲で分布が合っているということによって、最大値とか何パーセンタイルの数字が非常に正確であるという証明は、恐らくかなり困難だと思いますので、そこを十分踏まえた上で数字を使う必要があると思います。
 以上です。
○広瀬検討員  どうもありがとうございました。
 済みません、最初のほうはフォローできなかったのですけれども、かなりモデルのやり方を変えなければいけないとか、そういった議論になるのでしょうか。
○鈴木検討員  いや、モデルのやり方を変えなければいけないわけではないですが、モデルを使う部分は使ってももちろんいいと思いますけれども、モデルにあるなしにかかわらず、必要な暴露シナリオの経路はきちっと順番にフォローする必要があるということをもう少し慎重に、あるいは広くみて進めていただきたいという希望です。
○広瀬検討員  それは説明の中で記述していただくとか、そういった程度で済むことですか。
○鈴木検討員  いや、実際に計算をしていただいたほうがよろしいかと思います。私がやった限りでは大きそうなものもあるので、やっていただいたほうがよろしいかと思います。
○広瀬検討員  いろいろな計算をやってみるということですね。どうもありがとうございました。
 では、中杉検討員。
○中杉検討員  鈴木委員から出たご意見に追加ですけれども、別添の資料の中の暴露、これは自宅、自分の家だけですよね。多分、数字としてはそんなに変わらないのだけれども、自宅だけではなくて、書籍などは当然学校だとか職場でもあるので、ここは余り自宅ということをいわなくてもいいのではないか。屋外の分は除くとか、そのぐらいの話でいいかなと。これは細かい話です。
 それから大きな話ですけれども、先ほどいろいろ委員の方から毒性評価も含めて慎重な検討が必要だということをいわれたのだろうと思います。多分、毒性評価の見直しをやろうとすると、この委員会で毒性評価値を決めるということはできませんので、別途、例えば食品安全委員会にお願いして議論していただく必要があるだろうと思うのです。もし必要があればということです。そういうことになりますと、当然、かなりの時間がかかります。それとの絡みでいうのですけれども、4番目の追加的措置というのが何であるかというのは、これは十分な説明がないのです。イメージとしては、回収等の措置が必要かもしれないと。そういうことは要らないと書いてあるのですけれども、この追加的措置は何なんだと。今の時点で何かやらなければいけないことがあるのかと。その中の1つとして、市場に出ている製品を回収しなければいけないだろうかということがここに書かれているのだろうと思うのですが、追加的措置ということで非常に大きなこと、広いことを考えると、例えば先ほどの誤飲の話についても、そういうものについて注意喚起をするとか、そういう措置もあり得るのだと思うのです。これも風評被害等の問題が出てくる。それをどうするかという問題はありますけれども、その追加的措置というのがどんなものなのかというところも含めて、実際に現時点で何かやらなければいけないことがあるのかどうかということを今日は議論するのかなというように考えていますので、ひとつそこら辺で考えていくと。
 もう1つは暫定リスク評価結果。これは今回、想定した暴露シナリオについてはということの限定があったので、これで暫定リスク評価の問題についてすべて終わったというようには、いろいろな委員の意見を伺っても、そうはいえないのだろうと。ある限定した中で、このような評価をしてみたら、こういう結果になりましたと。そのほかに、こういう問題の指摘がありましたと。それも踏まえて考えたときに、追加的な措置というものが必要かどうか。そこで必要な追加的措置というのは何なんだろうかということを少し整理して議論しないと、ここでもう話がすぽんととまってしまうのではないだろうかと思います。
○広瀬検討員  どうもありがとうございました。
 今日のメインの暴露評価なり暫定評価、あるいはリスク評価というところでは、まだいろいろな前提を置いた仮定の中でやっているといったところで、もっと精査した情報が必要なのでしょうけれども、時間的な措置というか、対応として、今すぐ何をしなければいけないかというところの決定が多分重要なのではないかと思います。そのために今は、こういうのは不十分であるけれども、追加措置はどの程度とるかわからないですが、その辺の議論を詰めたほうがいいのではと思いました。森田委員のいわれた意見とか、それぞれの毒性の評価とかにとりかかり始めると、これはものすごく時間がかかる話だというように私は思ったので、それを今ここで議論しても収束しないと思います。そこで、最低限、資料にはどういう文言を入れて——多くの検討員の方はすぐに回収するほどではないと思っていらっしゃると考えるところですけれども——、そこに至る論点を少し明らかにすればいいというように思っています。
 そういった点で、事務局のほうから何かありますか。
○経済産業省  今、座長におっしゃっていただいたとおり、大きな話とは異なりまして、少しモデルの詳細について、今、ご指摘いただいた数点に関連することをご説明させていただきたいと思います。
 まず子どもへの影響などについて、例えば子どもがなめるといったようなことについてご指摘がありましたけれども、今回、経皮の想定におきましては、その製品中からじわじわとしみ出してきた顔料につきましては、全量皮膚に吸収されるというような、ある程度安全サイドの想定を置いて、皮膚吸収率については1ということでシナリオを立てております。あとはモンテカルロ式、こちらの式自体のご議論もありましたけれども、この中では、体重の小さい子どもも含めて評価を行った結果の最大値というものをご参考までにお示ししている次第でございます。前回、97.5パーセンタイルということで議論をさせていただいたところを、やはり極端な最大値についてもというご指摘もありましたので、今回、10万回という回数で最大値及び中央値というものをお示しさせていただいております。
 鈴木委員からありました移行係数に関しましては、顔料というものはもともと紙ですとか布、そういったものにつきづらいものですので、必ず樹脂である固着剤とともに使用しているということでございまして、印刷インキですとか、あるいは繊維の捺染というものにも、その樹脂を絡めまして、その中に顔料が含まれている状態ということになってございますので、移行係数として、ポリマーからの移行率というところを適用させていただいている次第です。
 また、その対数正規分布の分布に関しましては、産総研のほうから、ごく簡単に補足をさせていただきます。
○産業技術総合研究所  対数正規を用いている部分というのは、例えば換気回数などを対数正規で用いているのですけれども、これは最大側を、わざとちょっと広げておくというのが1つと、こういう調査を行いますと、対数正規が当てはまるということで対数正規を当てはめているというのがございます。
○広瀬検討員  どうですか、今の説明については。
○鈴木検討員  回答ありがとうございます。
 まず座長のいわれたことの1つについては、いずれにしても、この暴露評価については、先ほど森田委員からも指摘がありましたが、シナリオについて洗いざらい計算してみて、その値をできる限りきちっと出すということが、対策を立てていただくための、すべての基礎だと思いますので、それは早く対応したほうがいいというように私は考えます。
 それはいいとして、対数正規のイメージは、例えばですけれども、室内濃度の一番初めの最大値が 1.6×10-4で、吸収最大値は 1.4×10-4μg/kg/日と書いてあるのですが、この数字というものは、それぞれに書いてあるパラメータがどの値のときにこの数字になったのでしょうか。
○産業技術総合研究所  印刷インキだけご説明させていただきます。印刷インキの中でも、すべてのパラメータを全部残してあるわけではないので、どういう状況かといいますと、換気とかはとっておりませんので、ばらつきに関しましては、例えば床面積は 120m2部屋数5つ、そして世帯人数が4名のご家庭から出てくるときに、本の数が 8,000冊というような形で推定されて、最大値が得られております。
○鈴木検討員  換気回数とか粒子濃度、いろいろなもので分布があると書いてありますけれども、その数字は中央値と2けたも違いますので、どういう組み合わせのときにこうなっているのでしょうか。
○産業技術総合研究所  済みません、換気回数については、そのときのデータをとっていないもので、ちょっとわからないのですけれども。
○鈴木検討員  私も幾つか挙げてまいりましたので、そこは即答していただきたい。この数字が歩くものですので、そこはモンテカルロでやる世界ではないと私は思っております。最大値を1個ずつ推定して、この数字を積んだらこうなりましたということでないと、答えられないと思うので、あるいはそうでないと行政の役に立たないと思いますので、今の数字に答えられるように資料をつくっていただきたいと思います。
 それからもう1つは、先ほど移行係数について、少なくとも紙とか繊維なので、表面積が全く違うのではないでしょうか。固体のモデルというものを適用するのであれば、少なくとも表面積は相当に違うものになるのではないかと思うのですが……。
○経済産業省  このモデルにおきましては、樹脂面の厚さを入れる形になっておりまして、その厚さにつきましては、例えば捺染部分の厚みなどを代入して計算をしているということになっております。
○鈴木検討員  固体の樹脂に塗る塗膜面と、捺染とか紙とか、多孔質の材料に塗ったものというのは、表面の状態は全然違うのではないかと思うのですけれども。
○広瀬検討員  少し細かい議論に入っているような気がするのですけれども、その辺は……
○鈴木検討員  私はそこは、同じモデルを使うということはにわかには理解しにくい感じがしますので、私の誤解かもしれませんが、内容について、もう少しご検討いただければと思います。
○広瀬検討員  多分、説明をすればいいのではと思います。
 この後に環境省のほうの説明もあるので、今の話題に限っての話ということで短目にお願いできればと思いますが、吉田検討員は今の観点でしょうか。
○吉田検討員  ごく短かめです。森田先生からご指摘がありました子どものクレヨンとか、塗料のはげた部分を食べる、あるいは空気中にではなくて、直接樹脂とかに触れているハウスダスト、こういった経路につきましては、想定していないわけではなくて、計算したいと思って、今、検討はしております。今回は間に合わなかったということでご了解いただければと思います。
○広瀬検討員  どうもありがとうございました。
 では、森田検討員。
○森田(昌)検討員  確認だけを少しさせていただきたいのですが、まず1つは、リスク評価を含めて、健康影響評価というのは、私の認識では、基本的に厚生労働省がそこの部分を担当されるというように理解しているのですが、それでよろしいでしょうか。したがって、今日、出されたのはそういう上でできている資料なのかどうかの確認をしたい。これが第1点です。
 第2は、資料2について、WHOのCICADの出している0.02μg/kgここの数値があるのですが、これについて5行ぐらい下に、「ただし、ヒトの健康への重要性がはっきりしていないアカゲザルにおける免疫学的所見がエンドポイントになっており……」という、この文章はかなり恣意的な文章のような気もしないわけではないのです。ここの、「本許容摂取量は“ overly conservative”とされている」と書いているのですが、主語がはっきりしなくて、だれがこういうことをおっしゃっているのかというのは明示しておく必要がある。そして、本当にされているのでしょうかというのが質問の意図です。
 3番目は、有機顔料を回収する等の措置が必要なものは認められないという文章が資料1の最後のところに出ていますが、参考資料2のところには、 50ppmを超えてPCBを含有する有機顔料が判明した場合には、直ちに中止するように指導しているところというように、経産省は既にある種のアクションを起こされているようにみえるのですが、そういうものと、今回、回収する必要がないということとはどういう関係にあるのか、ちょっとご説明をお願いしておきたい。
○広瀬検討員  まず回収のほうからだけ、簡単に説明してください。
○経済産業省  今、森田委員からご指摘のあった最後の点についてご説明をいたします。
 まず今回の事案が発生したときに、国際的な基準で 50ppm超といわれているものについては、製造・輸入事業者、それから取り扱い事業者に対して、我々のほうから、その出荷を停止、製造を停止、輸入を停止、在庫はそのまま保持しなさいという行政指導を出しております。ただ、既に 50ppm超の報告があった物質というのは、実は昨年度とか、その前だけでなく、5年とか10年前から、実は取り扱っていた可能性があります。それについては、もう既に事業者の手元を離れて、市中の製品の中に取り込まれている可能性があるということで、今回のリスク評価の検討会の1つの主眼としましては、そういう市中に出ている製品はそのままで大丈夫かどうかということを検証する必要があるということで、今回、やっております。それについては事業者に行政指導を出したときに、経済産業省としては、製品中に含まれているものについては顔料の濃度が10分の1以下に薄まっているから、基本的には大丈夫だろうというアナウンスをしながら、ただ、一応、専門家による人たちにちゃんとみていただきましょうということをしております。それで、この検討会で、まさにそのことをご議論いただいているわけで、その意味では、追加的措置というのはちょっと広いのですけれども、ここで書かせていただいているのは、既に出回っているものについて回収する必要があるかどうかという点では、今すぐは必要ないのではないかという趣旨で書いております。
○森田(昌)検討員  表現が一般化され過ぎていると思いますね。
○広瀬検討員  あと毒性の観点は、20をどう扱うかということを明確にしたほうがいいという、扱いの方針をお願いします。
○厚生労働省  まず資料2の文章の書き方がちょっと恣意的ではないかというご指摘と、“ overly conservative”のところについては、だれがいっているのかというご指摘がございました。これにつきましては、もともとWHOのCICADのほうにそういった記載がございまして、その部分を読み上げますと、「10.4 健康リスクの評価における不確実性」という項がありまして、その冒頭に「免疫毒性学的影響はアカゲザルにおけるT細胞由来のパラメータに限られており、ヒトの健康への重要性ははっきりしていない。したがって、免疫毒性学的所見に基づいたLOAEL推定値は余りにも控え目といわざるを得ない」といった文章がございましたので、その部分を引いております。
 それで、この0.02というのも、この免疫学的エンドポイントを引いておりますので、それでもってこういった文章を書いてございます。
 それから、ヒト毒に関して厚労省がやるのではないかということでございまして、そのご指摘につきまして、この資料2を中心に作成しましたのは私どもでありますし、今回、資料1のシミュレーションに関しましては、産総研さんのご協力を得つつ、経産省さんを中心に事務局でつくったということです。
 それから、先ほど5マイクロのADIの値の取り扱いについてご意見をいただいたところでございますが、資料1の暫定リスク評価結果のところでも、国内でこれまでに用いられている許容値と比較すると上回るケースは確認されなかったということを書いてございます。また、資料2で紹介しましたWHOなりEPAの0.02という値を使いましても、経口・経皮につきまして、この値を上回るケースはなかったということは確認しておりますので、そちらの値を使ったとしても、今回のシミュレーションの値に基づけば、これらのものについては、特段リスクがあるとは見出せないというようには考えております。
○広瀬検討員  多分、その辺のことを資料1でもう少し説明できればいいのではないかと思っています。
 では、小山検討員。
○小山検討員  追加的な措置になるかと思いますが、今までの議論では、リスク評価で余り大きなリスクがないということで問題はないという結論ですけれども、これらの顔料の代替品、つまりPCBを含んでいない代替品というものはないのでしょうか。あるいはそういうものの議論というのは、ここではしなくてよろしいのでしょうか。
○経済産業省  この検討会では、代替品の議論はいたしません。
○広瀬検討員  もしあるとすれば、今後のことではあるかもしれないのですが……。
 森田検討員からもご意見があるようですが、この後、環境省からの説明がありますけれども、それを聞いてから、もう一度また機会があるので、それでよろしいでしょうか。
 では、健康影響及びリスク評価のほうでは意見はおおむね出たと思いますので、次に環境の説明を、資料3について事務局からお願いいたします。
○環境省  それでは、資料3に基づきまして、一般環境中のPCB濃度レベルに関するモニタリングデータの紹介をさせていただきます。
 前回検討会で主に水、それから底質、そして生体内、動植物——動物ですけれども——に含まれるPCB濃度レベルに関する既存法からデータをおみせいたしましたが、その後追加的に入手できたデータ、それから第1回の際には、大気、そして地方環境研究所などでの測定結果資料などがついておりませんでしたので、そういったものを御紹介いたします。また、異性体ごとに分けたデータがないかという御指摘もありましたので、コプラナーPCBについて、試行的に異性体ごとにしたデータもつけさせていただいております。
 まず1ページ目です。前回、黒本調査(化学物質環境実態調査)の結果から、データを過去約20年分、おつけしておりますけれども、内分泌攪乱化学物質に関する環境実態調査という調査もあわせて収集が可能でしたので、それを添付しております。現行環境基準の水質は、検出限界が 0.5μg/lをもちまして検出されないこととなっておりまして、この数値を超えるようなものについては認められませんでした。
 2ページ目にまいりまして、地下水でございます。これは公共用水域に類する井戸に関しての概況調査、それから汚染井戸の周辺地区の調査などについてみております。こちらの項は、残念ながらですけれども、濃度レベルに関するデータというのはございません。環境基準との比較でございますので、環境基準を超過した井戸の数が何本あったかということだけでございます。
 それから3ページ目の底質に関しましても、水と同様に、新たに発掘した調査結果がございましたので、それを添付しております。底質の暫定除去基準 10ppm、これは底質の乾燥重量当たりでございまして、μg/g-dryですけれども、これを超過したものは今のところみつかっておりません。
 4ページ目が生物中のPCB濃度でございます。こちらは第1回の検討会で提出さし上げたものと変更はございません。
 5ページ目に行きまして、大気と土壌でございます。この2つの環境媒体につきましては、前回、お示しをしておりませんでした。まず大気に関しましては、黒本調査(化学物質環境実態調査)、それから内分泌攪乱化学物質における環境実態調査、さらに有害大気汚染物質のモニタリング調査をあわせて書いております。
 大気に関しましては、PCBの環境基準は設定されておりませんで、大気の暫定環境濃度として 0.5μg/m3、これはPCBの焼却施設の周辺の一般環境大気中濃度の目安として示されている数値でございます。リファレンスとなる数値としては、これしかないような状況でしたので、これと比べますと、当然のことながらではございますけれども、黒本調査の結果などからは十分低い濃度が、ただし内分泌攪乱化学物質における環境実態調査においては、この数値を超える箇所がございました。
 次に、土壌におけるPCB濃度の測定結果でございます。これは若干古いデータになりますが、平成10年度に環境ホルモンの全国一斉調査をかけた際に、土壌中のPCB総量として、これは含有量としてのデータをもってきております。含有量の濃度としては、検出範囲が1以下から 825まで。 825μg/kgが最大濃度となっておりました。ただし、ここではリファレンスになります数値がございません。環境基準は含有量ではなく、溶出量について定められておりますので、直接的なリファレンス濃度というのはないという状況でございます。
 1ページめくっていただきまして、6ページ目でございます。地方環境研究所における測定結果例でございます。媒体ごとに分けませんで、環境研究所地方で分けましたのは、1つには測定手法に関する、少しバラエティがあるかなということで別途の表にさせていただいております。同様のリファレンス、水であれば環境基準、底質の場合は暫定除去基準、また大気であればPCB焼却施設周辺の暫定環境濃度と比較してやりますと、低い濃度が多いかなという感じでございます。
 さらに7ページ目にまいりまして、局地的、あるいは局所的にとったデータというのが幾つかございます。東日本大震災が発生いたしまして、被災地において、土壌だけではなく、大気、水などについても環境モニタリング調査をしております。こちらのほうは土壌の環境基準との比較が必要だったものですから、溶出量で測定を行った土壌の結果がございます。大気、水などにつきましては、今後、まとまり次第、追加していくということを考えております。
 8ページ目にまいりまして、コプラナーPCBでございます。コプラナーPCBに関しましては、平成10年度にダイオキシン類緊急全国一斉調査をやっておりまして、大気、降下ばいじん、公共用水域、地下水、土壌などについて、ある程度まとまった調査をしております。また、平成9年以降、ダイオキシン類に係る環境調査結果をそこに入れております。都道府県における常時監視結果は、平成9年のものはそうではありませんけれども、ダイオキシン法が制定されて以降は都道府県における常時監視結果を入れております。
 土壌につきましては、 1,000pg-TEQ/g以下となりまして、これを超えるところは幾つかございます。同様に、底質につきましても 150と定めた環境基準を超える数値が幾つかみられておりました。
 9ページ目に行きまして、コプラナーPCBについてでございますけれども、異性体で分けて提示をさせていただいております。これはあくまで見本でございます。表11、黒本調査となっておりますが、環境省環境保健部におきまして予算措置をもって実施しております調査においては、こういった異性体ごとのデータもございます。ただし、先ほどみていただきました都道府県による実測調査に関しましては、環境基準との比較考慮だけを報告していただくことになっておりますので、私ども環境省の手元には、異性体ごとのデータというのはございません。今後、詳細リスク評価にわたっていった場合に、ヒト健康の場合はPCB総量でということがございましたし、また生物、生態につきましてもPCB総量ということが考えられますけれども、念のため、こういった異性体ごとにデータを分けるということもできますということを例として出させていただいております。
 最終ページは14ページでございますけれども、これもダイオキシン類、コプラナーPCBということで、農用地土壌、農作物、それから全国一級河川の微量化学物質に関する実態調査を出させていただいております。これらが今、入手できる、PCBに関連してのデータになります。今日、暫定的なリスク評価ということで御審議いただいておりますが、今後、詳細リスク評価などに至りますときに、異性体の扱いをどうするかなどにつきまして、先生方と御相談しながら、データについても見せ方、分け方を工夫していこうと思っております。
 環境に関しては以上でございます。
○広瀬検討員  どうもありがとうございました。
 まず今の環境測定結果について、ご意見、ご質問等がありましたら、よろしくお願いいたします。
 中杉検討員、どうぞ。
○中杉検討員  土壌についてですけれども、一般の土壌の話で行くと、土壌溶出量の基準を超えているか超えていないか、毎年届けられているものの中で、比率はわからないのですね。どれだけ調査したかというもとがわからないので、あれですけれども、何件、PCBで土壌の溶出量基準を超えた事例があったかというのは、土壌環境課のデータに入っていますので、それは少し整理をしていただいたらいいかなと思います。
○広瀬検討員  よろしいでしょうか。
 そのほかに環境経由の点で。
○鈴木検討員  環境測定の分析について、異性体のデータが一部あるということですけれども、今までのご説明を伺いますと、毒性のほうは基本的にPCBで行くということで、それはそれで1つの方針かと思いますが、トータルのPCBがどこから検出されたか、どこから来たかというようなことをみるときには、多分、異性体の情報が役に立つかと思いますので、異性体の情報というのも引き続き、できれば主要な異性体を少し選択するような努力をして、つくっていくようなこともあり得るのではないかと思いますので、ご検討をお願いします。
○広瀬検討員  そういう意見を踏まえていただければと思います。
 森田検討員、どうぞ。
○森田(昌)検討員  今、おっしゃられたのは大体理解できますが、今回 50ppmを超えたことが判明した有機顔料の多くは、実はクロロアニリンから誘導されているようなジアゾ系の色素だと思うのです。この種のクロロアニリンから誘導されているもののうち、特に2,4,5-トリクロロアニリンから誘導されるものは、ジアゾカップリングをする手前のジアゾニウムイオンをつくるところでトリクロロアニリンに亜硝酸を反応させてジアゾニウムイオンをつくり、そしてそれを反応させるのですが、そのときのジアゾニウムイオンというのは比較的分解性が高くて、適当に壊れていって、結果としてダイマーになるとPCBになるし、しかもそれも構造スペシフィックな、昔の名前で行くと2,4,5,2’,4’,5’対称型のPCBができているはずなのです。それは、PCBのいろいろな製品の中でもごく普通にあるものなのですが、同時に一部副生をするのが、ちょっと気持ち悪いのが2,3,7,8-TCDDなのです。この種のPCBの合成法の1つに、ジアゾ化させた後、NHの窒素のところをヨウ素に変えて、2,4,5-トリクロロヨードベンゼンをつくり、それを銅の存在下で反応させ、2,4,5,2’,4’,5’のPCBをつくるという代表的な反応があるのです。そのときにダイオキシンの、2,3,7,8-TCDDが大体2%ぐらい副生しています。ちょっと無視できない量が、その反応では起こるのです。
 ただ、今回、そういう反応ではなくて、ジアゾニウムイオンをフェノール系のものにカップリングさせていますので、そんなに収率よくそういうことが起こるわけではないのですが、実はTCDDが含まれている可能性があって、そのことが80年代、相当心配されていたのだと思うのです。現在、こういった色素にそれがどのくらい含まれているかの情報がほとんどなくなっていて、したがって、この際、ダイオキシンがどのくらい含まれているかというのは、化審法の中側なのか、外側なのか、よくわかりませんけれども、一応、その評価軸の中には入れておいていただきたい。7月に環境化学会が愛媛であるのですが、そこでも相当たくさんのデータが出てきて議論されると思います。その時点では、もう異性体の情報とか、全部オープンにされてくると思うのですが、今回のこの資料にはほとんどその情報は出てきていませんので、それを含めて最後の結論が、学会でそういう発表をされたときに、ここの結論はおかしかったのではないかといわれないようにだけはしておきたいという感想がありますので、できるだけ早急に行政のほうも情報を手に入れて、環境のいろいろな基準というのは、ダイオキシンについては非常に整備されていますので、矛盾がないようにお願いしたいと思います。
○経済産業省  今の森田委員のご指摘について、1つ補足させていただきます。合成の過程でどのようにPCBができるかということについては、実はこれとは別に開催を予定している上限値の検討会のほうで、反応機構を検証しながら検討していきたいと思っております。
 ちなみに 50ppm超だけで申し上げますと、先生、おっしゃられたジクロロベンゼン系と、実は 280とかを計上しているのは、別のベンジジン系、要は原料にベンジジンをもっている、ビフェニルの構造を既にもっていて、クロルがついている状態で、これも多分、原料が壊れて出てきているのではないかと思われるのですけれども、いずれにしましても、そういうところも含めて、値のほうを検証するところで反応機構の検討をしますので、そこで議論をして、その結果を踏まえて、またこちらで検討をする必要があれば、もう1つの検討会の結果もこちらに反映させていきたいと考えております。
○森田(昌)検討員  ついでなのですが、ところでPCBとは一体何なのかという問題が、実はふらふらしていまして、例えばモノクロロビフェニルもPCBとして数えるのか、そういう問題もついでに解いておいてほしいと。
○広瀬検討員  それは別途の検討会のほうで定義をするということで対処できると思いますし、この結果自体には特に……
○森田(昌)検討員  PCBだけに問題を限定していれば、多分、そんなにおかしい結論ではない。ただしダイオキシンは依然として心配ですねと、そういう話で、ダイオキシンが実は結構あって、それでPCBというのは単なる、それのある種のマーカーにすぎないと。そうなってきたときに、この結論でいいかどうかはよくわからないという話です。情報はもうちょっと要ると。
○広瀬検討員  今回の場合は製品に入ってくるダイオキシンというか、異性体も含めて、わからない状況の中での不確実な評価ということで、難しいところではあるのですけれども、今後、定義の問題、製造法の問題で、将来的な議論で明らかにできればというように思います。
 今日の議題は、主要には追加的措置の有無の結論をいただくということではあるのですけれども、多分、この辺について、検討員の皆さんの理解を得るためには、将来どうするかということも前提にしなければいけないのではないかと思いますので、この後、今後のリスク評価に関しての資料4と5について説明していただければいいのではないかと思います。事務局、いいですか。
○環境省  それでは、資料4と資料5でございますけれども、これはどちらかといいますと、今後行います詳細リスク評価における事務局の作業を進めるに当たって、あらかじめ先生方に御意見をお伺いしたいということで用意しております。
 資料4は、生態毒性に関するPCBの有害性情報についてでございます。生態毒性に関するPCBの有害性情報につきましては、既存文献、それからデータベースの検索を行っております。検索対象は、化審法における生態影響に関する有害性データの信頼性評価などについて検討します際の情報収集範囲、これは表1で次のページにつけております。それから、化学物質の環境リスク初期評価ガイドラインを検討します際の情報収集範囲でございます。これに関しまして、PCBの生態毒性に関する関連情報があるのは2つのデータベースでございました。1つはUS EPAの生態毒性のデータベース、AQUIRE、それから環境保健クライテリアに採用された有害性データでございます。ちなみにでございますが、POPs条約には、PCBは対象物質として入っておりますけれども、POPs条約の中でPCBを対象物質として入れるという議論の際には、当時の事務局を務めましたUNEPが、WHO/IPCSとEHC(環境保健クライテリア)に採用されたデータから、あと必要なデータを引用して資料を作成しておりますので、もとは同じということでございます。
 それで、今回検索いたしましたのは2つございまして、まずエンドポイントに関しましては、濃縮係数の類、それから影響濃度の類、これに関してデータを検索いたしました。AQUIREに関しましては、比較的データが古いものについてエンドポイントの記載がないものもございました。これらを総覧いたしますと、合計で 4,256データございます。これらを今後、有害性情報として正しいかどうかということを評定していく際には、原著の査読が必要だと思っておりますけれども、査読に当たっては、データを少し絞り込んで読んでいきたいと思っております。
 まず第1には、EHCで既に国際的に信頼できる査読が行われたデータで、今後、検討する環境リスクの詳細評価において用いる可能性が高いもの。暴露経路について量的な検討が可能なものです。少し回りくどい書き方をしておりますけれども、例えば、WHO、EHC(環境保健クライテリア)では、さまざまな動物についての体内中濃度レベルに関する記載がございます。それらの中で、通常考える環境暴露では量的な関係が追っていけないようなもの、鳥類であったり、あるいはミンクといった特殊なほ乳類に関しては、暴露の経路を量的に検討することが難しいので、そういったものをオミットして、データを査読にかけたいと思っております。
 また、WHO、EHCが策定された当時のデータといいますと、1970年代からのデータもございます。こういったデータすべてをみていくというよりは、最近のデータ、過去10年程度で間に合うかどうかということでございますけれども、少ないようでございましたら、過去20年程度など、少し振り返って資料をみていきたいと思っております。
 2枚めくっていただきまして、5ページ目に環境中のPCBの発生源等に関しまして、既存の文献を少しみております。これらについて、まだ詳細をご紹介する段階にはないかと思いますが、今後の詳細リスク評価に、なぜ環境として取り組む必要があるのかという点について申し上げれば、5ページ目の一番上でございますけれども、これは横浜市さんの研究所でございますが、環境中の水環境のPCBの濃度レベルの説明変数に顔料の原料が由来と考えられる 3,3'-ジクロロビフェニルを当てはめてやるとうまく説明ができる、説明変数としてうまくあり得るというようなこと。それから1ページめくっていただきまして6ページになりますけれども、2つ英語の文献がございます。 Environmental Science and Technologyに査読つきで載っている文章でございますが、環境中に顔料由来と考えられる異性体がみつかったということもございます。こういった点で、環境中の濃度レベルは非常に低いということは先ほどの資料3でご説明いたしましたけれども、顔料由来と示唆される異性体についても環境中でみつかっておりますので、詳細リスク評価についてはこの点を考慮に入れて取り組みたいと思っております。
 それから資料5でございます。暴露の経路の考え方でございます。詳細リスク評価の段階では、顔料由来のPCBに特化した形での暴露のシナリオ、概念的な経路だけではなく、数量的なもの、つまり矢印線が太いか細いか点線かといったことを含めてご提示しなければいけないというように思っておりますけれども、この段階では、環境を経由した暴露経路の考え方をざっとおさらいをさせていただき、先生方から、もし本件、顔料中に副生するPCBの暴露経路として特に検討する必要があるというように思われるものがあればご指摘いただきたいと思っております。
 資料に戻りまして、今後、個別の化学物質、つまりPCBについてのリスク評価を行うためには、一般的な経路についての科学的知見を整理した上で、主要な経路についてリスク評価の対象といたします。
 まず発生源から環境中への排出でございますが、化学物質を製造・使用する事業所、それから当該化学物質が利用された製品の使用場所、家庭やオフィスなど。それから、自動車や船舶などの移動発生源についても利用可能性が、今回の場合は特に塗料でございますので、ございます。また、こういった製品は廃棄、またはリサイクルされる段階でも、関連する事業所において化学物質の環境中への排出の可能性がございます。
 個別媒体ごとのシナリオでございますが、個々の物質に応じて多用な経路を渡ってまいりますけれども、主に大気を経由するケースは発生源から大気中に揮散した化学物質の吸入による暴露の可能性。水域に関しましては、水域に出ました化学物質、あるいは他媒体、土壌などから水域に移行した化学物質が河川にそのまま残留する際には、飲料水などで経口のケースがございます。水浴などの場合に経皮で暴露の可能性も一般的には考えられます。またPCBに関しましては蓄積性の高い物質でございますけれども、食物連鎖も含めて水産物への蓄積が考えられる場合には、経口摂取をそこで検討する必要がございます。
 それから土壌でございますけれども、土壌に関しましては、一般化といいましょうか、ダイオキシンの土壌環境基準を設定した際に検討しましたシナリオ、あるいは考え方が一般環境中の化学物質の動向については、よくリファーされるものでございます。発生源から土壌中に排出された化学物質や他媒体から土壌へ移行した場合、身体に付着する場合、誤食する場合、それから経口・経皮での暴露の可能性、農作物に付着した土壌に関しても、可能性としては叙述的にあるとされるケースがございます。こういった一般的なことはおさらいでございますけれども、経路を図に、ページ3にまとめております。こういった経路を概念的にはまずは書き出してみて、今後詳細リスク評価の段階に至りましては、今回の顔料中に副生されるPCBに着目をして、暴露経路について検討したいと思っております。
 もしこの段階で、詳細リスク評価に当たって暴露経路はこれを考えるべきという点がございましたら、ぜひご意見をいただければ幸いでございます。
 以上です。
○広瀬検討員  どうもありがとうございました。
 それではただいまの説明に関して、ご意見、コメントがありましたら。
 吉田検討員、よろしくお願いします。
○吉田検討員  この最後の図ですが、農畜産物への移行ということで、土壌経由しか考えていられないようですが、やはり大気から葉の表面に落ちるという寄与もかなりあります。どちらかというと、疎水性の物質は有機炭素に吸着して、根から吸収するよりは大気からの降下の寄与も相対的に大きいかと思いますので、この最後の図は、大気からの矢印、点線で結構ですから、農畜産物に入れるというところも考慮していただきたいと思います。
○広瀬検討員  ありがとうございました。
 今のコメントに対しては……。
○環境省  ありがとうございます。
 吉田先生、申しわけありませんでした。矢印が抜けているところがもう1カ所ございまして、土壌の経口摂取のところの矢印が抜けております。先生御指摘のように、植物体への化学物質の取り込みに関しましては、一般的には土壌経由よりは大気経由、つまりガス状態や粒子状物質で付着するというケースが重要という御指摘がございますので、その点については考慮したいと思います。
 ダイオキシンなどに関しましては、根からの吸収はほぼないということを当時、答申で先生方にいただいているので、もし量的に多量ということでしたら、そういった大気経由のものを検討したいと思います。ありがとうございます。
○広瀬検討員  そのほかにコメントございますか。
 小山検討員、どうぞ。
○小山検討員  生態毒性のことですけれども、PCBはダイオキシンのようにTEFとかいう値がないですよね。暴露は混合物での暴露で、多分、レポートによってみんな組成が違うのだと思うのです。その場合をうまくまとめることを考えておかないと、データを出しても、ただこれでしたというだけですので、何か考え方を整理してください。
○環境省  ありがとうございます。
 御指摘のとおり、現行のAQUIRE、EHCの中でも、PCBに関して、商品名で記載されているケース、あるいは非常に特定して、1つの異性体だけを取り扱っているケース、あるいは製品を暴露して、その製品に含まれていた異性体をずらっと並べるケースなどがありますので、それをどのように先生方に読んでいただいて、まとめるかは、まだ済みませんが、事務局のほうでは案がございません。今後、検討させていただきたいと思っております。
○広瀬検討員  ありがとうございました。
 そのほかにコメントございませんでしょうか。
 青木検討員、どうぞ。
○青木検討員  資料4に関しては随分丁寧にまとめていただいて、ありがとうとうございます。
 検索対象ということで資料4の冒頭に、化審法におけるということなのですけれども、実際、PCBというのは問題が起こってきているゆえんから、結構毒性学的な意味でも非常に興味ある高次動物のデータというのがありますので、そこは重点的に、もちろん環境保健クライテリアとか、そういうところで既に収載されているものも多いとは思うのですが、最近も幾つかの知見があるので、そこはある程度重点的にみていただいたらいいのではないかと思います。
 以上でございます。
○広瀬検討員  ご意見、ありがとうございました。資料を今後、検討したいと思います。
 詳細につきましては、環境影響だけではなくて、この後、製品調査の結果として8月に向けて出てくる暴露評価と、あと毒性評価についても、ある程度詳細な検討ということが秋に向けてあると思うのですけれども、今日は当面緊急的に追加措置をする必要があるかどうかということについては、概ね皆様の同意を得たいというように考えております。ただ、前半で皆様から、暴露見積もりの不確実性とか計算の充実、あるいは毒性評価もダイオキシン等のデータは多分なくて、不確実なことしか言えないと思いますけれども、それらをある程度考慮した上で、さらにPCBの基準も国内だけではなくて、WHOのそういう数値も勘案して、今、少なくともこういったPCBを含有する有機顔料を使った製品を直ちに回収するほどのリスクはないといったことだと私は認識しています。ですが、資料1については、どういった不確実性があるかといった点についてと、もう少し、現状のリスクが少ないということが明らかにわかるような説明を加えることが必要であると思いますし、最後の追加措置の必要性の有無については、少なくとも現時点では、PCBを含有すると報告があった有機顔料を含有する製品、最終消費者製品ですよね……そう断言していいのかについては。製品の定義の文言については事務局と調整したほうがいいかもしれないのですが、どこまでが製品の範囲ということを定義するのは難しいかもしれませんが、少なくともその範囲の中で回収する措置が現状で必要であるとは認められないことが記載されているべきであると思います。ただ、いろいろ不確実な部分、これから出てくるデータの部分もありますので、新たな知見が得られた場合には、今後、必要な検討を行うといったことで、今回の資料1、2、3の大まかな構成はこのままで、細かい修正についてはこの後、座長と事務局の方で、出していただいた各検討員の意見を反映させた上で最終的な結論とすることで、皆様のご同意を得たいと思いますが、いかがでしょうか。
○中杉検討員  まとめ方は今、広瀬先生が出された形でいいのですけれども、考え方は、影響がないから回収しなくていいのだよというような積極的な意味合いではなくて、むしろ今回得られた知見の中から、回収をしなければいけないという積極的な理由がみあたらないということが正しいのだろうと思うのです。だから、今後、評価が変わったら、当然、それをやりますよと。今回、事務局でやっていただいたデータをみてみると、そこから回収をしなければいけないということを積極的に推す——もちろん安全側を考えれば全部やめてしまうという話なのですけれども、これは事業者の方もものすごく負担になる話ですし、そこを推してまで回収しなければいけないというようなデータはみられなかったと。だから、今回はとりあえずしなくてもよろしいだろうという理解だというように、私は解釈しています。
○広瀬検討員  ありがとうございます。
 最後の文言は、今、中杉委員がいわれた言い方に修正してまとめるということにしたいと思います。
○鈴木検討員  中杉先生の意見、大体、結論として大きな異論はないのですが、一般論として、こういう不確実性の非常に大きい中で意思決定をするというのは、必ずしもリスク原則というよりは、もう少し予防的な考え方が当然必要になると思います。ここに書いてあるとおり、今の時点で回収するべきという結論が必ずしも得られないということは、それはそれでいいですけれども、私が思うのは、このリスク評価がどうかということよりも、評価の結果自体はまだかなり余裕があるようですので、これはある程度予防的な判断ということを直感的に考えてみても、今の瞬間に大きなアクションを起こすことは必ずしもないという話はあるかなと思ったので、そのように判断いたします。一般論としては、リスク原則というものですべて判断すべきということ自体は同意いたしませんが、予防的に考えてもそんなものかなという意味において、とりあえず、おおよそこんな感じでいいかなと思います。
○広瀬検討員  では、そういう予防的な判断といったところも文言としてはこの中に入れると?
○鈴木検討員  いえ、入れないで結構です。
○広瀬検討員  入れないまでも、そういう概念を用いても我々は同意したということで、それを踏まえて、この次からは検討していかなければいけないということですね。
 時間的な制約もあるので、あと、PCBはかなりの膨大な量を集めなければ、詳細な評価はできないといったことから、今回のこういった緊急的、暫定的な評価としては、回収措置を含むまでの、現段階では予防的な概念も踏まえた上で必要ではないといった結論ということでよろしいでしょうか。——ありがとうございます。
 では、資料等の修正につきましては、事務局、あるいは各省からの座長と相談して、修正させていただくということで、結論としてはおおむね合意ができたと思っています。
 ほかに事務局から、特にありますでしょうか。
○厚生労働省  ありがとうございました。
 今、広瀬先生におまとめいただきましたとおりでして、文言的な部分につきましては、座長の先生方を中心に、あとは事務局と先生方で調整をさせていただければと考えております。
 それから、修正後のものにつきましては、公表をさせていただきたいと考えておりますと同時に、3省それぞれ、必要に応じまして、各省の関連の審議会に報告をするということにいたしたいと考えております。
 また、本日、いただきましたご意見を踏まえ、今後、事業者から報告される実態調査の結果を加味し、さらに詳細な評価を進めたいと考えております。
○広瀬検討員  では、ほかにご意見、コメントございませんようでしたら、今日はご多忙中のところ、皆様にお集まりいただき、また活発なご意見を、私の不徳の致すところで少し時間は長くなってしまいましたが、たくさんの議論をいただきまして、ありがとうございました。
 以上をもちまして本日の検討会を終了したいと思います。どうもありがとうございました。


(了)
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