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2012年8月22日 第82回中央社会保険医療協議会薬価専門部会

○日時

平成24年8月22日(水)14:07~14:44


○場所

厚生労働省講堂(低層棟2階)


○出席者

西村部会長 印南一路部会長代理 牛丸聡委員
小林剛委員 白川修二委員 花井圭子委員(代理 森原琴惠) 石山惠司委員
安達秀樹委員 万代恭嗣委員 堀憲郎委員 三浦洋嗣委員
加茂谷佳明専門委員 禰宜寛治専門委員 吉村恭彰専門委員
<事務局>
外口保険局長 唐澤審議官
鈴木医療課長 迫井企画官 吉田薬剤管理官 他

○議題

○長期収載品の薬価のあり方等の議論に関するこれまでの宿題事項について
○その他

○議事

○西村部会長
 それでは、最後の部会を始めさせていただきます。ただいまより、第82回「中央社会保険医療協議会 薬価専門部会」を開催いたします。
 まず、委員の出欠状況について報告いたします。
 本日は、関原委員が御欠席です。
 また、花井圭子委員が欠席し、代理として森原琴惠日本労働組合総連合会生活福祉局次長に御出席をいただいております。
 また、審議官は公務のため欠席しております。
 それでは、議事に入らせていただきます。
 まず「長期収載品の薬価のあり方等の議論に関するこれまでの宿題事項について」参考人及び専門委員より資料が提出されております。御説明を簡潔にお願いいたします。
○坂巻参考人
 参考人の坂巻でございます。資料は、中医協薬-1ですが、前回の積み残しとて、わが国の長期収載品及び後発品のシェアについてのより詳細なデータを、本日、資料として提出させていただいております。
 まず、長期収載品あるいは後発品に限らず、医薬品シェアを他国と比較する場合には、同じ基準でデータ集計しているデータベースを使って比較をしなければいけないということが重要です。
 資料の2ページ目に、その留意点をまとめましたが、要点は、赤枠で囲った部分です。
 各国比較を行う際には、同一の医薬品分類基準でデータを集計していることが必要です。
 具体的な問題点については、赤枠の下に4つほど記述しましたが、ポイントとしては、分母となる医薬品そのものの分類、分子となる後発医薬品の分類、これらが国によって集計方法が違うことがかなりありうるということがあります。それ以外にも、出荷額、使用量の定義についても、データソースによっていろいろな問題がありうることを示しました。
 実際に、データソースや集計方法による推計値の違いを、例示として3ページ目の資料に示しました。特に、フランスとドイツについて複数の推計値が存在することを見ていただきたいと思います。例えば、フランスでは、3つの推計値を見つかりました。ここでは、数字そのものを吟味することが目的ではありませんので、あくまでも異なる推計値があることを見てください。
 このような問題がありますので、冒頭申し上げましたように、各国で共通の基準で分類、集計されたデータを用いて、わが国の位置というものを検討する必要があるという結論です。
 そこで、4ページ目に「IMS Health」社のデータを用いて、わが国の位置を検討してみました。IMS Healthは、1954年に設立されました、医薬品、医療市場の統計とか、コンサルタントを行う企業です。この会社は、市場統計について世界100か国以上をカバーしていますが、すべてのデータが、この会社の統一した基準で集計されているというところに大きな特徴があります。
 今回、IMS Healthから提供されたデータについて、中医協での、先発医薬品とか、後発医薬品、長期収載品などの分類と、IMS Healthでの分類との関係を4ページの下段の表に示しました。
 ただし、中医協資料での分類とIMSとの分類とで一致しない部分があります。その点については、今後も精査していく必要があろう考えています。そうしたこともあり、5ページ目以降は、グラフのみの表記とし、詳細な数値については、表記を省略しております。
 5ページ目が、金額ベースでのシェアですが、左から、アメリカ、中央が日本、右側がトップユーロです。トップユーロというのは、EU5か国において売上の大きい、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、この5か国の平均値です。
 いずれも医科向け医薬品について、病院、開業医、薬局に対して納入された製品の金額ベースです。グラフの青いところ、これがジェネリック医薬品で、緑のところが長期収載品です。
 先ほど申し上げたように、中医協資料とIMSの定義が違っており、ブランドジェネリックは、通常は、後発品に分類されるべきですが、このグラフでの分類では、長期収載品の方に入っていて、ここは再度集計していきたいと考えています。
 6ページの資料が数量ベースシェアです。数量ベースの方のグラフが5ページの金額ベースのグラフと表示方法が違っておりますが、後発医薬品のシェアは、グラフの左のアメリカが非常に大きいことがわかります。日本はシェアが小さく、ヨーロッパ5か国は日本とアメリカの中間になりますが、5か国の内訳をみると、ドイツ、イギリス、イタリア、フランス、スペインの順で示していますが、国によってのシェアの違いがあることが見て取れます。
 7ページが、後発医薬品の浸透状況です。このグラフは、長期収載品のシェアがどのように変化しているかということを表わしています。一番上が日本、一番下がアメリカですが、2004年から2006年の3か年間と、2007年から2009年の3か年と、それぞれで長期収載品の市場浸透スピードがどのように違うかということを左右2つのグラフで示しています。
 グラフの見方は、例えば、左側のグラフは、2004年の1年間の間に、特許が切れた製品、特許切れ後に後発医薬品が発売され、当該長期収載品のシェアを、その後の25か月間、どのように推移していったかを示しています。
 左のグラフの2004年から2006年に関しては、特に日本では、長期収載品のシェアの下落が余り見られませんが、右のグラフの2007年から2009年については、日本でも長期収載品のシェアの減少がかなり早くなってきていることが見られています。したがって、近年は、後発品への置き換えが日本でも進んでいるということが見てとることができます。
 8ページ以降は、内容が変わりますが、前回、各国での後発医薬品の使用促進策の中で、参照価格制度について資料の追加をすることになっておりましたので、参照価格制度についての資料を追加しております。
 薬価基準制度と参照価格制度とを比較する概念図を入れておりますが、日本の制度に合わせた図であり、内容的には少し雑駁な部分があります。考え方としては、右にあるように、償還上限価格を決め、これが参照価格ということですが、それを超えた部分に関しては、基本的に、全額患者の自己負担になります。参照価格以下の部分に関しては、一般には定率負担です。ですから、参照価格よりも高い価格であれば、右側の一番左の棒グラフになりますけれども、参照価格を超える部分の負担と定率負担部分、一番安いもの、右ですが、患者さんの負担が減るという仕組みです。
 参照価格に関しましては、EU加盟国の中でも、非常にポピュラーな政策ということで、20か国を超える国が導入しております。9ページ目は、その中で、ドイツとフランスについて概要をまとめております。
 ドイツに関しましては、一番大きな特徴がグルーピングの考え方です。
ドイツにおけるグルーピングは、レベル1、2、3とありますが、レベル1は同じ成分のものです。レベル2が特に特徴的で、通常ジャンボグループと呼ばれていますが、成分を超えて、薬理学的に同じものについて、すべて参照価格で1つのグループになります。
 例えば、スタチン系の脂質低下薬ですが、この中には、いくつかの成分が発売されていて、特許が切れていないものもありますが、すべてスタチン系として、まとめて同じ参照価格が設定されるという特徴があります。
 フランスは、大きな特徴としては、後発品への代替率の低い医薬品について参照価格が設定されるというところにあります。正式名称は、TFR、責任包括価格といいます。
 フランスで参照価格の対象となるものは、後発品のシェアが低いもので、一般的には、後発品シェアが50%未満にとどまっているもの、売上が大きいものについては60%。このように後発品の置き換えが進んでいない製品について、参照価格を導入するという仕組みです。
 参照価格の影響に関しましては、多くの国が参照価格制度を導入していますので、かなり多くの研究や論文が公表されています。その中で、複数の国に関して、体系的なレビューを行われた論文について要約しました。
 まず使用量への影響でございますけれども、同じ化合物で参照価格とした場合には、参照価格以外の製品に移行してしまう。つまり、参照価格で患者負担が増えることで使用量が減るということを企業が避け、参照価格に影響をうけない製品に移行してしまうということが一般的な影響として見ることができるとされています。
 ドイツは、恐らく、このような影響をさらに避けるということが目的だったと思われますが、ジャンボグループという仕組みが導入されています。同じスタチン系であれば、どのスタチン系を使っても参照価格は同じですので、どれを使おうが、全体的には、スタチン系についての薬剤費の影響はないということになります。
 価格に関する影響ですが、短期的には、先発品も後発品も価格が下がったという報告が多く、一般的には、後発品については、償還上限価格である参照価格の近くまで上昇して、そこで価格が維持される傾向があるという報告です。
 こういう傾向が一般的であるため、後発品価格をさらに低下させるために、いろいろな政策、ここに示したドイツ、フランスの例を示しましたが、他にも様々な政策の導入や、参照価格そのものをさらに引き下げてしまうということも一般的に行われています。
 医薬品支出、いわゆる薬剤費の公的支出部分への影響を見ますと、これも、短期的には減少する。つまり、参照価格を導入した初年度は、参照価格を超えた部分が公的支出から除かれますので、減少するとされていますが、結果的には、不変もしくは増加しているというような報告が多いとまとめられています。ただし、特定の領域の中で見ると、後発医薬品の置き換えが進むことで、その領域での薬剤費が下がるということもあるという報告もあります。
 製薬産業への影響については、論文の引用はなく、企業や有識者へのインタビューのまとめですが、製薬企業の一般的行動としては、参照価格の影響を受けないように、参照価格以外の製品へのプロモーションにシフトするというようなことを行うといえます。
利益構造は、ドイツでは20年以上前に参照価格制度が導入されましたが、参照価格導入直後には、企業の利益はかなり落ち込んだけれども、その影響は短かったということでした。
 少し早口になりましたが、資料といたしましては、以上でございます。
○西村部会長
 ありがとうございました。では、続きまして、加茂谷専門委員、御説明をお願いいたします。
○加茂谷専門委員
 それでは、前回、本会におきまして、御質問、御要望いただきました事項につきまして、お手元の資料に基づきまして、報告申し上げたいと思います。スライドNo.2でございます。
 まず、安達委員の御質問、直近、5年間における日本企業が上市した新薬の内訳を示してほしいという御質問であったかと思います。
 2008年4月以降に薬価収載されました日本企業の新薬89品目の内訳をお手元の円グラフでお示ししているところでございます。
 左側の○1が、日本企業が基礎研究により自社で見出し、かつ、非臨床あるいは臨床試験等を経由して実用化、新薬として上市した品目の内訳でございます。
 こちらが、49.4%あります、89品目の約半分が、いわゆる日本企業オリジンに位置づけられると思います。
 また、残り、○2、○3、これらは外国企業あるいは海外のベンチャー、こういったところが、創製したものを日本企業が導入した新薬、これが約半分ということになろうかと思います。
 このうち、上の○2、34.8%、この部分につきましては、臨床段階以降の国内開発をすべて日本企業が行ったものというふうに位置づけているところでございます。
 御案内のとおり、研究開発において、最もコスト、費用がかかるのは、臨床試験でございます。その観点では、この34.8%、海外から導入した品目ではありますけれども、日本企業自らが相応の費用、コストをかけて開発した、しっかり日本企業が汗をかいているというふうに御理解をいただければと思います。
 最後の15.7%、○3につきましては、導入時に、既に日本で臨床開発が行われていた、あるいは国内の試験データがほとんどなく承認されたものというふうに認識、位置づけているところでございますが、このような品目の割合は、総じて低いと御理解をいただければと思います。
 続きまして、スライド3でございます。白川委員より、前回、御要望のありました、製薬企業の利益率につきまして、先発企業、新薬メーカーのデータを、まず、スライド3で示しました。
 左側に日本の新薬メーカー8社の連結決算における1社平均、右側のグラフは、同様に、いわゆる外資大手新薬メーカー8社の1社平均データ、それぞれ2008年以降の推移を示しているところでございます。
 なお、金額のスケールにつきましては、右と左、日本と外資で、約5倍の金額差があるという点について、御留意いただきたいと思います。
 左の日本企業では、オレンジの棒グラフで示しております売上高が伸び悩む中で、営業利益を上回る研究開発投資を続けているという点につきまして、特徴的かなということで御理解をいただきたいと思っているところでございます。
 非常に成功確率が低く、リスクの高い医薬品の開発に対して、営業利益以上に研究開発投資をしていかなければならないという実態が、このグラフから読み取っていただければ幸いでございます。
 続きまして、スライドNo.4でございます。同様に、後発品を主に販売している専業企業につきましてのデータを、日本と外資で示しているところでございます。4社の1社平均をここに示しているところでございますが、こちら、縦軸の金額につきましては、10倍の差があるという点につきまして、御認識をいただければと思います。
 見ておわかりのとおり、日本企業の売上高、年々増加をしております。それに伴って営業利益も増加してきたというところが見て取れるかと思います。
 先ほど申しました、金額の規模の差はありますけれども、こうした傾向自体は外資の専業後発メーカーと、非常に似通った状況がうかがえるのではないかという認識をしているところでございます。
 以上、簡単ではございますけれども、資料の説明をさせていただきました。
○西村部会長
 ありがとうございました。それでは、ただいま説明していただきました内容について、何か御意見、御質問がありましたら、お願いいたします。
 安達委員、どうぞ。
○安達委員
 幾つか御質問をして、意見を述べたいと思ったんですけれども、それも簡略にさせていただきます。私の推測を交えてですが、薬-1の5のデータを見てわかることというのは何かというと、以前、製薬業の皆さんにもデータを出していただいたんですけれども、やはり、日本の薬価制度での薬価の決め方の中で、特許期間が切れた後も、ある程度長期収載をしないと、いわゆる研究開発費が回収できないものが幾つかあるだろうと。研究開発費に何を入れるかというのは、いろいろ問題で、以前おっしゃった川上をどこまで入れるかとか、そういうこともあるから、この参考資料をお願いしたんですけれども、それにしても、そういう現状が確かにあるので長期収載品が数量、品目的にも多いという状態になっているということは事実だと思います。
 その中で、私が御要望してきたことは、費用を担う片方の担い手である製薬業の皆さんに、企業としての自主的な判断の中で長期収載品のうちの、特に研究開発費等の回収を終わられたものについては、その値付けについて御一考いただきたいということを御要望してきたというのが、今までの経緯であります。
 しかしながら、米国と違って、日本には、そういう現状があるということは事実でありまして、この説明の資料の中に、なぜ参照価格の話が、また出てきたのかということが、まず、私の最大の疑問であります。もちろん、小林委員の世界における長期収載品の取扱いという御質問に答えるためには、世界、ヨーロッパを始めとする先進国が参照価格制を入れているからということもあるんだと思いますけれども、結論から申し上げますと、私は、これは日本の制度には、先ほど申し上げたような薬価の決め方の日本のルールの在り方、それに対する製薬企業の開発経費等の回収の現状ということも考えたときには、この参照価格を日本に入れるということは、極めて乱暴な話だろうと思います。明確に中医協としては、私は否定すべきだと思いますということを、まず、1点申します。
 特に、フランス型とドイツ型を御紹介いただいていますが、ドイツ型においては、後発品のある長期収載品ばかりではなくて、まだ、後発品のない、いわゆる特許期間中の薬剤についても参照価格を入れているという形になっています。日本の、いわゆる国家経済の観点から医療費を抑制したいという考え方に立たれる方にとっては、大変魅力的な制度だろうと思います。しかし、それをやった結果はどうなるのかということになりますと、患者負担は増え、そのことによる患者さんの、この薬剤使用等々についての一定の辞退配慮みたいなことが起こるということで、そういう形でのドラッグ・ラグみたいなものが生じる危険性もあるというのが、日本の薬価設定のルールから見た参照価格との関係の議論だと思いますので、これは、かつて、そういう考え方の中で、5、6年前に中医協で一度明確に否定したはずのものであるというふうに、私は認識しておりますので、日本の薬価制度が、その間、大筋で変わっていないということも含めていうと、参照価格を日本の薬価に持ち込むということについては、中医協としては、明確に否定するということで、1号の皆様方も含めて、意見の統一を図っていただきたいということを、私の意見として申し上げると同時に、要望させていただきたいと思います。
 以上です。
○西村部会長
 ただいまのは、要望ということで。
○安達委員
 委員、皆さんで、この考え方を共有しましょうと、私は提案をしておりますので、それについて、いかがですかという問いかけでもあります。
○西村部会長
 今の安達委員の御意見についてですけれども、御意見、ございますでしょうか。
 どうぞ。
○白川委員
 参照価格については、私も若干唐突感がございます。薬-1のスライドの10番にある、参照価格による影響を見ても、短期的には薬剤費の削減に役立つものの、長期的に見ると、むしろ上がる懸念もあるという評価です。ここで参照価格を先に議論するよりは、現在の薬価の在り方、特に長期収載品の薬価をどうするか、また、ジェネリックの最初の値付けをどうするか、要は、現行の薬価算定方式そのものについて議論を深めるのが先であるというのは、私も同感です。
○西村部会長
 ほかにございますか。
 三浦委員。
○三浦委員
 私も安達委員、それから、白川委員と全く同感であります。今回の資料の8ですか、薬価基準制度と参照価格制度を比較したときの患者の自己負担分、これもここの図を見る限りは相当増えているというのもあるのと、それから、スライド10のところでは、参照価格による影響として、例えば?のところ、今、白川委員からもお話がありましたが、長期的には増加するという報告もあるということで、その次の?の下の黒ポツの方の、特定の薬効領域で見た場合、医薬品支出の減少を確認することができるとする報告もあると書いてありますが、これは、ちょっと御質問になりますが、ほかにシフトしていったのかということが、これを読んでの疑問なんですが、なぜ、ここが医薬品支出の減少を確認することができるとする報告もあるとなっているのかだけ、ちょっとお伺いしたいんですが、基本的には参照価格については、今、ここで議論するような状況にはないんだというふうに考えております。
 以上です。
○西村部会長
 では、坂巻委員、お願いいたします。
○坂巻参考人
 質問にのみお答えいたします。今の三浦委員の御質問でございますが、例えば、スタチン系の薬で、さらにスタチン系の特定の薬であれば、ジェネリック医薬品の使用促進によって、薬剤費が減っているという意味でございます。ですから、他の薬にシフトしたことでの薬剤費減少ということではないという意味です。そういうことがケーススタディーで示されています。
○西村部会長
 では、小林委員、お願いします。
○小林委員
 参照価格制度についての皆さんの御意見、要望はよく理解いたしましたが、やはり日本の制度の中で、参照価格の導入の可否、これはもう少し検討して、結論をどうするかというのは、検討した結果で構わないと思いますが、もう少しいろんな論点というか、諸外国の実態だとか、そういったものを少し検討してみて、最終的に結論を出せばいいのではないかと思っております。
 そういった意味で、事務局には、もう少し参照価格制度についての資料、それから、日本の今の制度に対して導入したらどうなるのかということについて、包括的に判断するためのデータを示していただけたらと思います。
 それから、今の坂巻先生の資料の中で、参照価格制度のデメリットについて、新薬の開発を阻害する面があるという御意見もありますが、これは参照価格による影響、スライド10の○4、新薬産業への影響、この辺を見ればよろしいということでしょうか、あるいは、そういう新薬の開発を阻害する面について、実際に欧州では、そういった事実があるのかどうか、情報があれば、教えていただきたいということです。
 ついでに申し上げますと、今の先生の資料の中でスライド7、欧米における後発医薬品の浸透状況について、ここの説明の中で「後発品上市後の長期収載品シェアの低下のスピードは近年早まっているが、我が国は、欧米諸国に比べると、いまだ遅い」とあります。この理由については、どう分析されておられるのか、お考えをお聞かせいただけたらと思います。
 それから、事務局に対して、もう一点お願いでが、これは前回、坂巻先生と福田先生の資料の中で、薬剤師に関する諸外国における後発医薬品使用促進策の表がございました。この中で、ドイツでは薬剤師の代替調剤を義務化しているということが、他の国との違いの特徴ではないかと思いました。それで、代替調剤の義務化がジェネリック医薬品の使用促進に影響していることがわかればいいと思いますので、代替調剤の義務化とジェネリック医薬品使用の進展との関係についてわかる資料があれば、ぜひ、お出しいただけたらと思います。
 以上です。
○西村部会長
 坂巻先生、関連するところで御回答がございましたら、お願いします。
○坂巻参考人
 
 1点目、参照価格制度が新薬産業の新薬創出に影響を与えているかどうかですが、私が論文を調べた範囲では、新薬開発を阻害しているということの記述はございませんでした。 2点目、日本が後発品のシェアが増えない理由でございますが、いつも議論されているような要因によると思われます。
代替調剤の義務化が、後発医薬品の使用促進にどの程度寄与するかということでございますが、これも各国、代替調剤のみで後発医薬品の使用促進を行っているわけではございませんので、これだけを取り上げて、どのくらいの影響があるのかということを、明確にデータとして示すことも、困難と思われます。
○西村部会長
 安達委員。
○安達委員
 今の小林委員の御意見の真意を確認させていただきたいんですが、参照価格の議論をもうちょっとしようとおっしゃったというふうに、私は聞こえたんです。私は、日本の今の薬価の決め方の中で、たくさんの状況を申し上げましたが、この参照価格を入れれば何が起こるのか、1つは、使いたい薬があるけれども、患者さんの負担が増えますねと。そのことの結果、もし、患者さんが、それをしようという判断をされない、あるいは医療機関が患者さんの経済状況も考えて、それを使用しないというような判断をせざるを得なくなったときに、ちゃんとした治療がやれるんですかという危険が1つある。
 2つ目は、日本の薬価の決め方の中で、特に、開発原資の回収等に手間取る、今の日本の製薬企業の在り方、状態を考えたときには、そこにこれを入れたときには、本当に必要な薬剤が供給されなくなるんではないかという危惧もある。その2点を申し上げたんですけれども、このことは明白だと思うんです。だから、6年前にも、ほぼ同様の理由で、今の薬価制度の決め方は、6年前と大きくは変わっておりませんから、この参照価格の導入については、明確に中医協で否定されたものだということを私は申し上げたつもりなんです。6年前の正確な議事録等を見たわけではございませんが、そういうことを指摘した上で、日本において、今、参照価格というものは入れるべきではないし、議論の対象にすらならないのではないかということを、皆さんと意見を共有しませんかということを、私は申し上げたんですが、今の小林委員の御発言は、それに対して、どういう意味だったんでしょうか。
○西村部会長
 どうぞ。
○小林委員
 参照価格の日本に導入した場合の、いろんな問題点を、もう少し私は知りたかったということでありまして、もし、安達先生のおっしゃるようなことであれば、また、委員の皆さんが同じ考えであれば、取り下げても結構です。
○安達委員
 別に小林委員が、保険者経済の観点からだけ、それをおっしゃっていると、私は思って、今のお話をしたわけではございませんけれども、この参照価格を巡る情勢が、ちょっと雲行きが怪しいなという感じがしていて、それを今、ここで直截的に申し上げませんけれども、政府の中で、医療費の削減の1つの方法として、これを導入した方がいいんではないかというお考えの方が、少なくとも一部にあることは間違いなくあって、そういうような状況にある中で、これを中医協で何回もやるということが、私は余り好ましい状況だと思っていないので、ここですぱっとけりを付けて、もう参照価格の話は議論すらしないよということに、極端にいえば、しませんかと申し上げているんですけれども、その点は、いかがでしょうか。
○西村部会長
 白川委員。
○白川委員
 参照価格について、支払い側委員で意見交換をして、こういう対応をしようと決めたことは全くありません。
 したがって、安達先生から、突然そういわれても、支払い側委員としての見解を、この場で明確にお答えすることはできないということを御承知置きいただきたい。
 もう一点は、私個人の意見ですが、今、一方で、費用対効果の議論もやっておりますので、その成り行きと関連性があると、私は考えております。したがって、参照価格については、必要なタイミングでまた議論するということはあり得ると現在は思っております。ただ、このタイミングでやるべきではないと申し上げておきます。
○西村部会長
 安達委員。
○安達委員
 ありがとうございます。実は、これをレクで見せられたときに、私どもは、相当鋭敏にこれに反応いたしましたので、我々の中では、一定の見解をまとめて、今日、代表的な意味で、私は申し上げさせていただいておりますので、1号の側で、そういう御議論がなかったとすれば、一度御検討をいただいて、また、どういう結論になられるのか、聞かせていただければいいかなと思います。
 もう一点は、白川委員が御指摘になったことが重要で、特にドイツ型のように、特許期間中である新薬についても参照価格を入れるというような形が出てくると、まさしく、今、やっている費用対効果の議論のところは、非常にセンシティブに関与する話でありますから、それをある意味では、費用対効果のところに出さずにここに出てきたということが、恣意的かどうかは別にして、議論を錯綜させるし、ある意味ではルール違反的な部分があると、もう少しセンシティブに反応していただくべきだろうと、事務局としてもと、ということは御要望しておきたいと思います。
○西村部会長
 ありがとうございました。ほかにございますか。よろしいでしょうか。
 では、今の点については、いろいろ御説明の中で、さまざまな論点あるいは検討課題が、現在あるいは中長期にわたってするという検討課題が出されたということで、今後、議論を進めてまいりたいと思います。
 本日、予定された議題は、以上です。
 その他として、事務局から何かございますか。
○吉田薬剤管理官
 特にございません。
○西村部会長
 では、次回の日程等について、事務局からお願いいたします。
○吉田薬剤管理官
 次回につきましては、秋ごろですが、後日、日程を調整させていただきます。
○西村部会長
 では、本日は、大変長くなりました、薬価専門部会、これにて閉会といたします。
 どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省保険局医療課企画法令第2係

代表: 03-5253-1111(内線3289)

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