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2012年8月2日 不活化ポリオワクチンの円滑な導入に関する検討会 第4回

厚生労働省健康局結核感染症課

○日時

平成24年8月2日(木)9:00~11:00


○場所

中央合同庁舎5号館18階専用第22会議室


○議題

1.開 会

2.議 事
  ・不活化ポリオワクチンの円滑な導入について
  ・その他

3.閉 会

○議事

○飯野室長補佐 それでは、定刻となりましたので、ただ今から第4回「不活化ポリオワクチンの円滑な導入に関する検討会」を開催いたします。
 本日の検討会は公開で行いますが、カメラ撮りは議事に入るまでといたします。
 傍聴の方は、傍聴に際しての留意事項の厳守をお願いいたします。
 構成員の皆様におかれましては、御多忙の中、御出席をいただき、誠にありがとうございます。
 本日は、蒲生構成員から遅れて来るとの連絡をいただいております。
 また、本日は、医療法人相生会理事長の入江様と元国立感染症研究所長の宮村様に参考人として御出席をいただいております。
 それでは、開催に当たりまして、外山健康局長よりごあいさつを申し上げます。
○外山健康局長 おはようございます。構成員の皆様におかれましては、御多忙のところ、早朝より御出席いただきまして、ありがとうございます。
 また、ポリオを含む感染症・予防接種対策の推進につきまして、平素より御理解・御尽力をいただき、厚く御礼を申し上げます。
 不活化ポリオワクチンの定期接種への導入につきましては、本年4月の本検討会での御議論を経まして、単独の不活化ポリオワクチンを9月1日に導入する方針を決定したところですが、先週の7月27日に4種混合ワクチン(DPT-IPV)につきましても、薬事承認されたところでございます。
 本日の検討会での御審議を踏まえまして、本年11月には接種を開始できるよう、円滑な導入に向けて準備を進めてまいりたいと思っております。
 構成員の皆様におかれましては、不活化ポリオワクチンの接種に関する具体的な実施方法や方針等につきまして、御検討いただきますよう、よろしくお願い申し上げ、私のあいさつとさせていただきます。
○飯野室長補佐 それでは、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。御協力お願いいたします。
(報道関係者退室)
○飯野室長補佐 ここからの会議の進行は、岡部座長にお願いいたします。
○岡部座長 おはようございます。
 ただいま局長からもごあいさつがありましたように、これまでは全体のIPVをどうするかということ、続いて、単独のIPVが承認されましたので、それの実際的な使い方、今回はDPT-IPVの混合ワクチンが導入される、薬事承認を受けたということがあるので、それについて、いかにスムーズに入れていくかということの話だと思います。
 ただ、DPT-IPVの場合は、この中の話で出てくると思いますけれども、セービンタイプIPVが世界でトップに動き出したということで、そういう意味でも注目を浴びていると同時に、安全性については、極めて慎重にやっていかなければいけないということもあると思います。
 もう一つの議題としては、これもかねてより懸案だったんですけれども、周辺の国々の状況、一昨年のタジキスタン、あるいは昨年の中国、いずれもそれぞれの国の努力でコントロールされておりますが、まだ全体のリスク管理という意味では、野生株あるいはワクチン株そのものが野生化をして、強毒化をして、それが流行してしまうという可能性もありますので、そういうものに対する対処も、IPV導入に伴って1つ考えておかなければいけないことですので、それについての議論が今日のテーマになると思います。是非活発な御議論をよろしくお願いいたします。
 それでは、資料の確認からお願いします。
○飯野室長補佐 それでは、資料の確認をさせていただきます。
 資料1「4種混合ワクチン(DPT-IPV)の導入に関する方針について(案)」。
 資料2「ポリオワクチン(OPV、IPV、DPT-IPV)互換性に関する免疫原性・安全性試験」。これはテーブルに置いてありますが、A3の資料になります。
 資料3「免疫原性試験データの解析と解釈」。
 資料4「野生株ポリオウイルスまたは伝播型ワクチン由来ポリオウイルスが検出された際の対応の概要(案)」。
 資料5「野生株ポリオウイルスまたは伝播型ワクチン由来ポリオウイルスが発見された際の対応の概要(コメント)」。
 参考資料1 当検討会構成員名簿。
 参考資料2 4種混合ワクチンの添付文書。化血研、阪大微研、それぞれ2種類付けさせていただいております。
 参考資料3「野生株ポリオウイルスまたは伝播型ワクチン由来ポリオウイルスが検出された際の対応について(案)」。
 参考資料4「不活化ポリオワクチン予防接種後副反応検討会開催要綱(案)」。
 以上になります。不足等がございましたら、事務局にお声をおかけください。
○岡部座長 ありがとうございました。
 それでは、参考資料の紹介並びに議事に入っていきたいと思うんですけれども、今回は入江参考人においでいただいていますので、最初はポリオワクチンの互換性についてです。今回の導入に当たって、今までOPVだけでやっていたものが、幾つかの組み合わせが一時的に起きますので、全部の組み合わせをチェックするというのはなかなか難しいことですけれども、幾つか代表的なものの互換性について、検討いただいています。それについての免疫原性・安全性試験ということで、御説明いただきますが、いつもこの治験のときには、数はそんなに多くはないですけれども、相当な一般の方の御協力あるいは臨床現場の協力、努力があって、初めて成立しているので、そのことも裏に置いて、結果をお聞きいただければと思います。
 入江先生、どうぞ。よろしくお願いします。
○城専門官 済みません。事務局から先に説明させていただきます。
○岡部座長 失礼しました。最初は事務方からの報告になります。
○城専門官 それでは、資料1をお手元に御用意いただきたいんですけれども、こちらの資料について御説明させていただきます。
 本資料は、先月27日金曜日に薬事承認された4種混合ワクチンを、今年11月から定期接種に導入するに当たり、過去3回にわたり、本検討会で御審議いただいた内容を踏まえ、接種スケジュール等について、事務局案としてお示ししたものでございます。
 2ページ目に移らせていただきますが、こちらに使用するワクチンの詳細が書かれておりますが、上段が、今年4月に薬事承認された単独の不活化ポリオワクチンの概要になります。
 下段が、先週7月27日に薬事承認されました4種混合ワクチンの概要になります。販売名といたしましては、阪大微研からテトラビック、化血研からクアトロバック、2種類の承認が7月27日にされております。
 3ページに移らせていただきますけれども、薬事承認上の用法・用量ですが、上段が単独の不活化ポリオワクチンの概要になり、下段が今回承認されました4種混合ワクチンの概要になります。こちらは添付文書の案ですけれども、参考資料2として用意させていただいておりますので、こちらの方も御参考にしてください。
 単独の不活化ポリオワクチンと異なり、4種混合ワクチンにおきましては、4回目の接種となる追加接種も既に薬事承認されておりますので、導入開始時点で4種混合ワクチンの追加接種は定期接種に含まれる予定となっております。
 4ページになります。こちらは前回も用意させていただいたんですけれども、参考情報になります。上段が現行の経口生ポリオワクチンの予防接種法上の接種年齢、接種間隔、下段が3種混合ワクチンの接種年齢、接種間隔になります。
 今回、定期接種に使用されるワクチンが、生ポリオワクチンから不活化ポリオワクチンに変更されるに当たり、変更となった省令改正実施規則通知が7月31日火曜日に公布されたことを御報告させていただきます。
 5ページになりますけれども、こちらは4種混合ワクチンの接種間隔についての事務局案になります。
 接種年齢は、3種混合ワクチン、生ポリオワクチンと同じ、生後3か月から90か月に至るまでとしております。
 接種間隔及び標準的な接種年齢は、現在の3種混合ワクチンと同様のものとしております。
 初回接種の接種間隔ですけれども、これまでの3種混合ワクチンと同じく、4種混合ワクチンにおきましては、20日から56日までの間隔を置いてということになり、単独の不活化ポリオワクチンとは異なります。
 6ページに移らせていただきます。前回の検討会でも御議論いただきましたし、今、岡部座長にもおっしゃっていただいたんですけれども、複数のポリオワクチンの互換性につきまして、廣田構成員の共同研究者であります入江参考人に、現在、国内で実施いただいている臨床研究のポリオワクチン互換性に関する免疫原性・安全性試験のデータを今回おまとめいただき、また、廣田構成員に免疫原性試験データの解析と解釈についておまとめいただきましたので、ここでお二人の先生方に御発表いただきたいと思います。
 入江先生、お願いします。
○岡部座長 入江先生、先ほどは済みませんでした。ここでお願いします。
○入江参考人 医療法人相生会の入江と申します。
 本日は、ポリオワクチン(OPV、IPV、DPT-IPV)の互換性に関する免疫原性・安全性試験として御報告させていただきますけれども、本研究に関しましては、今日来られております廣田先生を研究代表者といたします、平成23年度厚生労働科学研究費補助金での予防接種に関するワクチンの有効性・安全性等についての分析疫学研究の一環で実施したものでございます。
 今回の研究に関しましては、今日来られております中野先生の御助言もたくさんいただきながら、私ども医療法人相生会の入江と都留を研究分担者としまして、あと、福岡の5つの小児科の先生方にお願いいたしました。進藤先生、高崎先生、横山先生、山下先生、芝尾先生、この先生方に骨を折っていただきまして、実施できたものでございます。
 本日の資料に関しましては、A3サイズ用紙10枚ですけれども、1枚目の左側と右側について、主に説明いたします。その後に、グラフ、図表等がありますので、一部両方見ながらいきたいと思いますので、その辺はちょっと見にくいんですけれども、よろしくお願いいたします。
 1枚目の左側「対象と方法」です。対象はごらんのように、全体で153例となりました。
 A、B、C、Dの4群に分けておりまして、A、B群はOPV、生ワクですけれども、これは福岡市の予防接種で既に生ワクチンを1回受けた乳幼児が対象となるという、ちょっと特殊な状況でございます。A群はその後DPT-IPVの4種混合を3回接種、B群はその後IPV単独のものを3回接種するというデザインでございます。A、B群のベースラインの血清、抗体価に関しましては、OPVを1回接種していますので、1回接種後の抗体価になりますので、表の下の図でS1と表記しております。
 C、D群は生ワクチン未接種の方々ですので、今回は4回接種いたしますけれども、4種混合とIPV単独とをおのおの2回ずつ交差させる形で接種するというデザインを組んでおります。C、D群のベースラインは、未接種ですので、表の下の図でS0と表記しております。
 初回接種としての3回目までは、4~8週の間隔で接種しまして、最後の追加接種としての4回目は、6~7か月空ける形でデザインしております。そのため、このプロトコールは昨年11月末に最初の被験者の方がスタートしております。今はそれから8か月目ぐらいですので、4回目の接種というのは未接種で、ここ数日中に最初の方がスタートする予定になっておりますので、今回は初回接種の3回目、S3までの結果ということでございます。
 全体で153例ですけれども、その内訳は、A群が11例、B群が49例、C群が50例、D群が43例です。本来それぞれ50例程度を目標としていたんですけれども、先ほども説明しましたが、A、Bは既にOPVを1回だけ投与している方という制限があることと、その後のDPT接種のスケジュールといったことで、A群がちょっと少な目の11例になっております。小児科の先生方にはかなり御苦労をしていただいて、やっていただいた結果です。
 一番下に表記しております「測定抗原・測定施設」ですけれども、ごらんのセービン株、ワイルド株の3つのタイプがございます。タイプ1、タイプ2、タイプ3につきまして、それぞれ阪大微研とSanofi Pasteur USAの研究所で測定していただいております。
 右側に移りまして「統計解析」です。参加者153例のうち、2012年7月10日までに、S0、S1、S2、S3の抗体価が得られたものは、セービン株で122例、ワイルド株で105例でした。これはかなり急いで測定いたしましたけれども、実際に得られたのはこういう数です。
 群ごとにベースライン、抗体価、A、B群ではS1となりますし、C、D群ではS0となりますが、8倍未満と8倍以上の階級に層化しまして、幾何平均抗体価(GMT)、平均上昇倍数(MFR)、抗体保有割合、抗体価8倍以上を示した参加者の割合を算出しました。
 統計解析に関しましては「サッとでるプログラム」と書いておりますけれども、本日ここでお示しする解析結果というのは、抗体の結果が出て間もない時期なんですが、通常なら2~3か月はかかるのではないかと思われるものなんですけれども、廣田先生がつくられましたプログラムを用いまして、数日で解析を終えております。我々研究班では、このプログラムを「サッとでるプログラム」と名付けて、皆さんで活用させてもらっております。
 「結果」です。表1は、2枚目になります。縦にグループA、B、C、Dと分けておりまして、おのおのタイプ1からタイプ3の抗体価を、全員についてとベースラインが8未満と8以上に分けて示しております。左のページがセービン株、右のページがワイルド株に対する抗体価です。GMTは幾何平均抗体価、MFRは平均上昇倍数ですが、それぞれ左、右と書いてあります。
 番号を打って括弧で示しておりますけれども、(1)を見ていただきますと、A、B群に関しまして、GMPはタイプ2に対しまして良好に上昇しました。一方、タイプ3に関しては、上昇は鈍いととれます。
 赤で囲っております(2)は、左と右がありますけれども、A、B群、S1に対するS3の平均上昇倍数というのは、類似のパターンをとっております。
 (3)、C、D群、S0に対するS3の平均上昇倍数は、先ほどの(2)のパターンを有する傾向が見てとれます。
 (4)、左のブルーで囲っておるところですけれども、これはセービン株について見ますと、S3のタイプ1、2のGMPは、OPV初回接種群(A、B群)の方が、IPV初回接種群(C、D群)よりも高い。ただし、ともに8倍以上の抗体は獲得されるということが、表2、後で出てまいります。
 これが表1に対する説明です。
 表2、3枚目です。これは抗体保有割合、8倍以上持っている方の割合ですけれども、(1)は左側に枠で囲っておりますが、C、D群に関しまして、セービン株のタイプ1、2について見ますと、およそ30~50%と計算できるんですが、接種前に8倍以上の抗体を持っていることがわかります。ただし、タイプ3では5%以下でありまして、ワイルド株ではかると、8倍以上の割合はその半分以下という結果になっております。
 (2)はブルーで囲まれていますけれども、これから見ますと、ワクチンの組み合わせ、測定株及びベースラインの抗体価にかかわらず、3回接種後には全例が8倍以上の抗体価を獲得していることが見てとれます。
 (3)は上の方にセービン株、ワイルド株がありますけれども、A群はセービン株のみを接種したことになりますが、S2のタイプ3の抗体保有割合は、ワイルド株に対して低い傾向があると見られます。
 図1、図2と2枚にわたりますけれども、これはグループA、Bです。図1-1、図1-2、図2-1、図2-2の2枚に関しましての幾何平均抗体価及び抗体保有割合になります。それぞれのページの左側に幾何平均抗体価、右側に抗体保有割合を示しております。
 下の方を見ていただきますと、ブルーのラインと四角で示しますのが、ベースラインが8未満の方々、赤で示していますのがベースラインが既に8以上あった方々の推移を示しております。
 言えますことは、青のラインを見ていただきますと、S1が8が未満の場合、その後の追加接種での抗体価は低い傾向にあります。しかし、2回目接種のワクチンにかかわらず、S3は全例で8倍以上になっていることがわかります。
 それから、S1が8倍以上、赤のラインは、S2でプラトーに既に達しているという傾向が見られます。
 2枚後の6枚目、7枚目に移ります。6枚目、7枚目は、グループC、D群になります。C、D群はもともと未接種の方々でしたので、先ほどのブルーのラインはS0になります。ブルーのライン、S0の抗体価にかかわらず、2回接種で8倍を超えて、ほぼ同レベルの抗体価を獲得していることが見てとれます。
 S1に関しましては、測定しておりませんので、不明です。これは採血回数が多くなりますので、S1は省略しております。
 2枚飛びまして、8枚目、9枚目をごらんください。8枚目、9枚目は、抗体価逆累積分布を示しております。グループA、グループB、グループC、グループDと1ページずつ示しておりますけれども、これを見ますと、タイプ3に対する上昇は、鈍い傾向がある。
 タイプ3に対する上昇は、C、D群の方がA、B群に比較して大きいと見られます。これは8枚目と9枚目のタイプ3を比べていただいたらよいと思います。
 10枚目の左側の図です。ちょっと訂正をしていただきたいんですけれども、表題「図6 月齢別幾何平均抗体価」までで「および」以下を削除してください。これはミスプリです。削除をお願いいたします。
 これはB群だけのデータです。B群に関しましては、早期に測定データが集まってまいりまして、年齢等のデータとリンクができたため、特別に解析を行っております。
 これを見ていただきますと、わかりますように、ブルーの10か月未満の方と10か月以上の方で分けておりますけれども、年齢の影響というのはほとんど認められないということがわかります。
 10ページ目の右側「結論」です。
 1、初回免疫(3回接種)の結果、ワクチンの組み合わせ(OPV/DPT-IPV/IPV)にかかわらず、防御レベルをはるかに上回る抗体が誘導されました。
 2、免疫原性の詳細な解析により、以下の特徴を認めました。
 全体的にタイプ3に対する抗体応答は、タイプ1、2に比べて鈍い。
 最初に生ワクチンを接種した方が、最初に不活化ワクチンを接種した場合より、セービン株(タイプ1、2)に対する抗体上昇がよい。
 セービン株ワクチンのみを接種した場合(A群)、セービン株ワクチンとワイルド株ワクチンを混合接種した場合(B、C、D群)に比べて、ワイルド株に対する抗体応答は鈍い傾向にある。
 下のグラフを一緒に見ていただきたいんですが、未接種者の中に、OPV由来と考えられる抗体を既に保有する者が、少なくとも30%程度観察された。これは母体からの移行抗体によるものと解釈して矛盾はないと考えられます。
 以上でございます。
○岡部座長 どうもありがとうございました。
 表の見方などはかなり複雑なところもあると思うんですけれども、結論は明確に述べていただいております。
 続いて、廣田構成員から免疫原性試験データの解析と解釈について、加えていただければと思います。廣田先生、お願いします。
○廣田構成員 資料3でございます。
 「ワクチンの免疫原性試験の誤解」と書いておりますけれども、よく、接種して、採血して、抗体価を測定すればよいと簡単に考えられているという誤解がございますが、実際、対象者のリクルートやスケジュールどおりに接種して、採血するという大変な労力を要するという背景があります。
 また、そのような誤解がない場合でも、抗体価データを全対象者について単純集計した結果を提示すればよいという誤解もあります。その結果、多額の研究費と多大な労力をかけて集めたデータの情報が、十分に活用されていない例が多いようです。
 「解析の目的」は、ワクチンによる抗体誘導、ワクチンで誘導された抗体の短期持続、抗体価の長期変化、この3つが解析の目的でございます。
 この後、お話する内容は、今回のポリオワクチンと2009年の新型インフルエンザワクチンをイメージしていただければ、わかりやすいかと存じます。
 2ページですけれども「解析と解釈 1.ワクチンによる抗体誘導」。
 調査開始前及び調査期間中の感染把握、不顕性感染も考慮する必要があります。新型インフルエンザワクチンの場合は、調査期間がすなわち流行期間ということで、当然その間に感染が起こります。今回のポリオワクチンの場合は、ポリオの流行はありませんが、OPVのワクチン株への暴露があった可能性がございます。しかしながら、数千倍の抗体獲得はOPV由来の感染では説明できません。とはいえ、過大評価しているのではないかという控え目な解釈は常に必要でございます。
 集計・解析です。全対象者について指標を算出する単純集計でございますが、一般にはこのような形で結果が報告されておりますが、下の点線で囲んだ解析というのが必須でございます。
 最も大事なのが、接種前抗体価による層化解析です。低レベルと中間レベルと高レベルに分けて解析します。
 低レベルの人たちでは、抗体誘導は小さい。そして、このレベルの対象者のほとんどが防御レベルの抗体を獲得する必要があります。また、このレベルの対象者で抗体誘導が大きいのが、免疫原性が良好なワクチンと解釈できます。今回は初回免疫の3回接種で、8倍未満の接種前抗体価を示していた全員が、防御レベルに到達して、平均1,000倍以上になっておりますので、ポリオワクチンは免疫原性が極めて良好なワクチンと考えられます。
 中間レベルの人たちでは、抗体誘導が良好です。しかしながら、このレベルの対象者が多く含まれると、単純集計では免疫原性を過大評価してしまいます。また、このレベルの対象者で抗体誘導が小さい場合は、個人の特性が影響していることが考えられます。例えば基礎疾患を有するとか、免疫を抑制する薬剤を使用している、そういった影響が考えられます。
 高レベルの人たちですけれども、この方々では既感染や既接種の疑いがあります。このような人では、抗体応答の頭打ちが起こりますので、単純集計では免疫原性を過小評価してしまいます。今回8倍以上の接種前抗体価を持っていたのは37人いましたが、36人は月齢6か月未満でありましたので、移行抗体と解釈でき、既感染は否定できます。
 かつての新型インフルエンザワクチンの場合、私どもは、中高生で免疫原性を調べましたが、単純集計では平均上昇倍数や抗体応答割合が、高校生の方が中学生より低い、中学生の方が高校生より高い。これを解釈すると、中学生は1回接種でいいけれども、高校生では2回接種が必要という、おかしな解釈になります。当時、新型インフルエンザが最初に流行したのは、関西の高校でございまして、これを接種前抗体の高レベルに着目して解析しますと、高校生の30%は高レベル、既感染を示す抗体価を有しておりました。したがって、低レベルのものに限って解析すると、中学生も高校生も同様の免疫原性を示すという結果を得ました。
 年齢による層化解析も必要です。特に乳幼児や高齢者が含まれる場合は重要となります。ただし、年齢と接種前抗体価はほぼ相関しますので、免疫原性への影響が年齢自体の影響なのか、あるいは接種前抗体価の影響なのかは、多変量解析でお互いの影響を調整して結論を得る必要があります。
 また、そのほかの特性による層化解析、基礎疾患とか投与薬剤、こういった解析も必要となります。
 3ページでございます。「解析と解釈 2.ワクチンで誘導された抗体の短期持続」。
 接種終了後と観察終了時の抗体価を比較するものですけれども、例えばインフルエンザワクチンの場合は12月に接種が終了して、その時点の抗体価と流行後の4月に抗体価を測定して、これを比較することになります。
 発病調査を実施して、その間の発病者を除外する必要があります。
 ワクチンで既に抗体が上昇しておりますので、抗体応答の頭打ちが起こります。したがって、感染しても、それ以上抗体が上がりにくく、不顕性感染者の除外は困難であります。そのような抗体応答の頭打ちがありますので、不顕性感染は必ず含まれます。
 観察終了時までの抗体持続は、通常、過大評価されます。新型インフルエンザワクチンの場合は、この間の発病者を除外しなかった結果、流行終了後も抗体が持続しているという誤った報告が出されたことがあります。
 「解析と解釈 3.抗体価の長期変化」ですが、これは純然たる免疫原性とは言えませんけれども、ワクチンの適用を考える場合、非常に重要であります。不活化ポリオワクチンに切り替わりますと、生ワクチン由来株によるブースターがかかりにくくなります。したがって、長期間のうちに抗体保有割合が低下することが考えられます。したがいまして、抗体保有割合の出生コホート分析が必須となります。
 これは、従来、広範に調査されている暦年別・年齢別抗体保有割合から、出生年別抗体保有割合の推移を算出するものです。すべてのvaccine preventable diseasesについて抗体保有割合の出生コホート分析が推奨されます。
 これによりまして、追加接種の必要性の判断、追加接種の時期や対象を特定することが可能となります。現在、風疹流行に際して、年齢を示した接種対象の特定が行われておりますけれども、年齢は暦年によって変わりますので、できれば出生年を示して、接種対象を特定すると非常にわかりやすいものとなります。
 出生コホート分析を実施するには、十分な知識と経験が必要です。
 4ページに「免疫原性の指標」を記しております。
 以上です。
○岡部座長 どうもありがとうございました。
 一応説明をいただいていますけれども、資料1を全体に流して、最後に質問とディスカッションにしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 中野先生、何かつけ加えることはありますか。よろしいですか。
○中野構成員 ございません。
○岡部座長 それでは、資料1の続きということで、事務局からお願いします。
○城専門官 それでは、資料1に戻らせていただきますけれども、7ページをごらんください。使用するワクチンに関する事務局案でございますが、前回の検討会での御審議、また今回お二人の先生方から御発表いただきまして、使用するワクチンの選択に関する事務局案をお示しさせていただきます。
 3種混合ワクチンもポリオワクチンも一度も受けたことがないという方については、4種混合ワクチンが導入されるまでの間は、3種混合ワクチンと単独の不活化ポリオワクチンを接種していただきたいと考えております。
 4種混合ワクチンが導入された後には、この時点で初めて接種を開始される方に対してですけれども、原則として4種混合ワクチンを接種していただきたいと考えております。
 次に生ワクチンを1回、単独の不活化ポリオワクチンを1回以上、3種混合ワクチンを1回以上、いずれかのワクチンを既に接種されている方につきましては、原則として3種混合ワクチンと単独の不活化ポリオワクチンを接種していただきたいと考えております。
 使用するワクチンですが、原則として、開始した不活化ポリオワクチンを最後まで使用していただけるよう、お願いしたいと考えております。
 しかしながら、先ほど御発表いただいた先生方のデータから、単独の不活化ポリオワクチンと4種混合ワクチンの互換性が保たれていることが明らかとなりましたので、両者を併用することは可能となります。ただし、接種スケジュール上、支障がない場合に限り、更に3種混合ワクチンの規定回数である初回接種3回、追加接種1回の回数を超えて、4種混合ワクチンを接種することができない点に御注意ください。
 8ページになりますが、初回接種の間隔についての案を、改めてここで御説明させていただきます。
 単独の不活化ポリオワクチンについてですが、本年9月に導入する際、既に3種混合ワクチンの接種を開始されている方や、生ポリオワクチンを1回接種されている方、未承認の不活化ポリオワクチンを既に接種されている方もいらっしゃるかと思いますので、初回接種の56日という上限を外し、20日以上の間隔を置いて、必要な回数を打っていただければよいとする移行措置を3年程度設ける予定でございます。ただし、この場合においても、できる限り、本来のスケジュールに近い形で接種していただきたいと考えております。
 4種混合ワクチンですけれども、4種混合ワクチンの初回接種間隔ですが、4種混合ワクチンはそもそも4種混合ワクチン導入後に生後3か月に達する方を対象としているため、これらの方は3種混合ワクチンもポリオワクチンも未接種であることから、これまでの3種混合ワクチン同様、初回接種の間隔は20日から56日までとしたいと思います。
 9ページですけれども、初回接種間隔と使用するワクチンのまとめになりますが、こちらの図にありますように、3種混合ワクチンと3種混合ワクチンの初回接種間隔は、これまで20日から56日までとなっており、3種混合ワクチンと4種混合ワクチンの接種間隔も20日から56日までと考えております。
 例を下にお示ししておりますが、8月に2回目の3種混合ワクチンを接種され、9月に1回目の単独不活化ポリオワクチンを接種された方が、11月に4種混合ワクチンを接種しようとした場合、3種混合ワクチンと4種混合ワクチンの接種間隔が56日以上となってしまうので、11月導入を待つことなく、3種混合ワクチン2回目から56日までの間隔で、3種混合ワクチン3回目を打っていただく必要があると考えております。これが接種スケジュール上、支障がない場合でございます。
 10ページに移らせていただきますが、ワクチンの導入時期でございます。
 単独の不活化ポリオワクチンは、本年9月1日に導入し、4種混合ワクチンは、本年11月1日に導入できるよう準備を進めております。
 11ページに移らせていただきます。今年度春、4月から6月までの間に実施された生ポリオワクチン接種についてのサンプル調査結果となります。子どもたちにおける免疫状態の把握や単独ポリオワクチンの需要見通しのために、接種率を迅速に把握してはどうかという御助言を前回いただきましたので、全国各地域の大小規模の都市に調査を依頼し、御協力いただけた15都市のデータを集計いたしましたので、お示しいたします。
 接種率ですが、44.7%から78.3%となっており、15都市の平均が62.2%となっております。
 なお、全国調査結果は、本年秋に発表予定でございます。
 12ページになりますが、4種混合ワクチンが11月から導入されるという前提で推計しました、単独の不活化ポリオワクチンの需要見通しになります。
 9月に接種を開始し、接種対象者が100%接種すると想定した場合、平成24年度末までの需要は396.5万ドーズとなります。
 前回の第3回の検討会では、367.9万+αと提示いたしましたが、前ページの15都市サンプル調査により、春のポリオ接種率を62.2%と仮定し、再計算した数字となります。
 これに対し、供給量は年度末までに477万ドーズを見込んでおり、年度内に対象の方は大方2回または3回接種を完了いただけると考えております。
 13ページは、4種混合ワクチンの需要量、供給量になります。
 11月に生後3か月を迎える、今年8月生まれ以降のお子さん、約44万人が対象となりますが、接種対象者が100%接種すると想定した場合、平成24年度末での需要は105.7万ドーズになります。
 これに対し、供給量は年度末までに147万ドーズを見込んでおり、年度内に対象の方は1回から3回の4種混合ワクチンの接種を受けていただけると考えております。
 ただし、不確定要素として、需要のプラスαがあります。注1にありますように、4月までの出生者で3種混合ワクチン並びにポリオワクチンを開始していない方、単独の不活化ポリオワクチンを接種開始したものの、4種混合ワクチンへの変更を希望される方が増えますと、その分需要が増加してしまいます。このこともあり、使用するワクチンは、原則として開始した不活化ポリオワクチンを最後まで使用していただけるよう、お願いしたいと考えております。
 事務局からは以上です。
○岡部座長 ありがとうございました。
 これで資料1の説明が終わりました。互換性も含めての解説と紹介になるんですけれども、ここから先は、今の資料1について、質問あるいはコメント等があれば、それについて議論を深めていきたいと思いますので、もし御意見のある方がいらっしゃいましたら、どうぞよろしくお願いします。
 保科先生、どうぞ。
○保科構成員 1つ追加で確認しておきたいんですけれども、追加接種が11月になった場合、DPTとポリオも不活化を任意で受けていた場合、追加接種として4種混合を使ってもいいということでよろしいですね。それとも単独をできるだけ使えという意図ですか。
○岡部座長 先生、今のは、輸入ポリオワクチンを今まで使っていた人で、DPTも別々にやっていたということですね。
○保科構成員 要するに追加接種が、1年後で、ちょうど11月からになってくる可能性はかなりあるはずです。
○岡部座長 その場合にどうするかということです。
○城専門官 そのような方の場合、4種混合ワクチンにつきましては、導入される時点で追加接種は含まれておりますので、接種することは可能であります。ただし、その条件といたしまして、追加接種を3種混合ワクチンにおいても打っていないということが前提になりますし、需要供給の方で御提示させていただいたように、原則として、単独のIPVを接種されていた方に関しては、単独のIPVで終わっていただきたいと考えておりますが、可能は可能でございます。
○保科構成員 ありがとうございます。
○岡部座長 恐らく全部に関してデータがないので、それについてそれぞれのエビデンスがあるかというと、必ずしもそうでもないので、例えば海外で輸入されたIPVと今回販売されるIPVは基本的には同じものだと考えられますけれども、薬事承認を得ているのは今回輸入されているものなので、それもひっくるめたデータがないので、そこは医学的な解釈で可能であろうという、推測に立って行わざるを得ないと思います。そういうことでよろしいでしょうか。
 坂元先生、どうぞ。
○坂元構成員 4価ワクチンは、今までDPTもポリオも1回もやったことがない人を対象に4価ワクチンを始めるということなんですけれども、自治体として11月に向けて準備していく中で、1つのポイントは、市民の方や、今後協力をいただく医師会の先生に、もうそういうふうにお知らせしてしまっていいかどうかということです。受けていない方は4価にしてくださいと、かなり強いお勧めをしてしまっていいのかということが、まず1点です。原則そうですということが、今後の政省令に書き込まれるかという点が1つ大きな問題だと思います。
 それから、今、不活化の単独のポリオワクチンの供給量を見ると、そんなに問題はないと思いますけれども、4価のワクチンの供給量から見て、もし4価でいってくださいと全く受けていない方にお勧めして、もし供給量不足が生じた場合に、例えば4価を2回目
打ったときに、次の供給がうまくいかなくて、間隔がある程度空いてしまった場合は、特例的に接種間隔の延長を認めるのか、それとも、今、入江先生からお示しいただいたデータを見る限り、例えば4価を2回打って、不活化単独とDPTのセットでいっても、抗体価の上昇率からいったら問題がないと考えられるので、もし供給が間に合わない場合は、そのように市民にお勧めしてもいいのかどうかという、その辺の点に関して、お教えいただければと思います。
○岡部座長 今のは、相当行政的な判断のところではないかと思います。医学的には、入江先生あるいは廣田先生のデータのところで互換性はある。しかし、ルールとして決めたものに対して、原則論を通すのか、あるいはそうなったときには、エビデンスとしてはあるのだから、少し柔軟に切り替えてもいいか、そういう意味合いとしてよろしいですか。そうすると、これはやはり事務局からお答えいただいた方がいいと思います。
○外山健康局長 いずれそうだとしても、最終的には我が方が判断しますけれども、そのためにこういうバリエーションがある問題について、検討会の知見をもらいたいというのが私の立場です。
○岡部座長 わかりました。局長からは、そういった事態に至ったときに、この検討会としては、あらかじめどういうことを考えておくかということだと思いますので、構成員の方々から意見をいただきたいと思います。
 廣田先生、どうぞ。
○廣田構成員 先ほどの城専門官の御説明で、できる限り、最初に打ったワクチンで続けてほしいというところは、私自身も万感の思いでそう思っております。というのは、今回のA群、OPVを1回打って、その後、DPT-IPVを3回打つ場合、OPVを1回打っただけの人をリクルートするのも結構大変なんですけれども、その後、DPT-IPVを3回打つときに、その人の過去のDPT-IPVの接種歴、この接種スケジュールを合わせる。これは非常に大変でございまして、結局50人目標が11人しかリクルートできないという状況になったわけでございます。
 そのように、4種混合を組み入れる場合、非常に難しい問題が起こると思うので、もし4種混合と単独の組み合わせ、DPTとの組み合わせで、問題が起こる、難しい状況になる、難しい判断が要されるということが予想される場合は、できる限り、積極的にこちらを使いなさいとか、そういったことは避けた方がいいのではないかと思います。最初に打ったワクチンを使い続けるというのは、混乱を防ぐ方法だと思います。
○岡部座長 坂元構成員、いかがですか。
○坂元構成員 おっしゃるとおりだと思うんですけれども、実際に業務をやっていくときに、4種混合が出て、後で小森先生にも御意見をいただきたいんですが、医師会の先生から供給の観点から4種混合を始めてしまって大丈夫ですね、後の供給はずっと続きますねという質問が出ると思います。自治体としては医師会から4価かIPV+DPTで行くかの判断を求められるのと、市民から聞かれたときに、どちらでもいいですというお答えは非常に難しいということで、ある程度その辺の指針を示していただければ、我々も混乱しないし、市民の方も混乱しない、医師会の先生方も混乱しないのではないかと考える次第でございます。
○岡部座長 ターゲットとされている年齢の方に、きちんと来ていただける限りにおいては、需給バランスはいいんだけれども、そこが崩れてしまったような場合、もう一点は、国家検定が厳然としてあって、通常、市販されているインフルワクチンでも、生物製剤の検定上問題ありというときは、無理に出すのではなくて、ストップしますから、そういうことも考えたセーフティネットです。
 小森先生、今、医師会側という御意見も出ましたので、お願いします。
○小森構成員 今、心配されるのは、4価ワクチンの供給量です。国民の方々の理解を得て、粛々とやられたとすれば、十分供給できるはずだというのですが、ある意味あり得ないことなんです。何といいましても、4価を打ちますと、1回の接種でいいということになります。お母さん方、保護者の方にとってみれば、子どもさんの痛みが2回か1回かということがございますので、科学的・医学的に問題がなくて、同等性が証明されたのであれば、1回をという御要望が当然あると思います。ですから、政府として、国として、ワクチン供給の実態を明確にお知らせして、御協力をお願いする以外にない。事情を理解していただいて、分かち合う以外ないということです。
 私ども医師会といたしまして、傘下の医療機関、会員のみならず、各都道府県医師会などは、また都道府県と協力をして、14大都市もそうだと思いますが、会員ということではなくて、すべての医療機関の施設長あてに文書を出すのが通例でございますので、すべての医療機関の施設長、関係の方々に通知を申し上げます。是非協力をいただきたいということでございます。ただ、本質的に、周知というのは、国の責任、行政の責任において行われるものでございますので、今日もたくさんの傍聴の方がいらっしゃいますけれども、その辺りのことについて、報道の方々の御協力もお願いをしないと、混乱に陥ることは必至と考えております。
 また、その後に、いわゆるDPTプラス単独のIPVでいい、それを使っていただきたいということにならざるを得ないということがあると思いますけれども、パニックが起こることを大変懸念しておりますので、非常に早い時期から、これは御協力をお願いするしかないと思っています。今年度に限りということでございます。
○岡部座長 ありがとうございました。
 そのほかにございますか。中野構成員、どうぞ。
○中野構成員 先ほど構成員から互換性その他に関してどうか、局長からのコメントもございましたので、互換性の検討に携わったメンバーの1人として、コメントをさせていただきます。
 廣田班でやらせていただいて、短い期間にすべてのプロトコールが検討できたわけではないんですけれども、4つのアームはほぼ同等の効果があると判断しております。互換性というのは、通常のスケジュールと変則のスケジュールで比べればよろしいんですけれども、そこまでの期間がなかったので、4つのアームで何を比べているかというと、恐らくOPVを1回投与して、ワイルドストレインのIPVを3回投与したデータは、海外にたくさんございますから、B群とA群、C群、D群との間で大きな差異がなかったということは、互換性が保たれていると判断してよろしいと考えております。それがサイエンスとしての互換性があるというデータになると思います。
 もう一点、先ほど小森構成員もおっしゃられましたように、4種混合の方が便宜上楽である。確かに私もそうだと思います。一度の接種で済みますので、恐らくDPT-IPVがたくさん出たときの方が、需要と供給のバランスが崩れることが、現状では予想されると思います。
 それに関して、需要と供給のバランスを見ると、単独の不活化ポリオワクチンの需要量が396.5万ドーズで、供給予定量が477万ドーズですから、80万ドーズぐらいの予備がある。一方、4種混合ワクチンは105.7万ドーズの需要で、42万ドーズの余裕です。
 これは絶対量が大切なのか、パーセンテージが大切なのかは、先ほどのお話で、どういうことになるかによって、予想はつかないと思うんですけれども、私は国民の皆さんに対するメッセージとしては、4種混合を待つために、接種を遅らせることは絶対によくないと思います。待つという意味は、DPTを待つことになるので、乳児にとって大きな疾病負担である百日咳の接種を待つというのは、絶対にいいことではないので、ある意味では、DPTとIPVそれぞれを積極的に月齢3ヶ月に達したら早い時期から接種していくという啓発が必要だと思っております。
 以上です。
○岡部座長 ありがとうございました。
 齋藤構成員、どうぞ。
○齋藤構成員 入江先生にお伺いしたいと思います。今、中野先生のお話にもありました4群なんですけれども、当然OPVを接種した群がA、Bで、C、Dは何も接種していない群ということで、それぞれの年齢構成といいますか、ここに3か月から74か月未満とかなり幅広い年齢層が書かれてあるんですが、A、B並びにC、D群での年齢構成の実際の差といいますか、免疫原性を考える上で、当然そこのところは、ベースラインの年齢が同じということは、ある程度統計学的に差を持っていないということを見られているのかどうか、もしそこら辺がおわかりでしたら、教えていただきたいと思います。
○岡部座長 これは、今、お答えが出ますでしょうか。もし後ろの方も一緒にチェックをされた方がおられたら、どうぞ。お答えをお願いします。今、余りたしかではないというのはあれですけれども、もしあれだったら、後で答えるということでも結構です。
 齋藤先生、後でのディスカッションでよろしいですか。確かに年齢構成は重要ですけれども、ぱっと思いついたデータでいくといけないのでね。
○齋藤構成員 わかりました。
○入江参考人 B群だけ、割とその辺がきちっとそろったんですけれども、データが出たばかりだったもので、まとまっていないというのが正直なところです。
○岡部座長 ありがとうございます。
 齋藤構成員、ほかにはよろしいですか。
○齋藤構成員 今回の導入に当たって、いろいろな現場の先生からお話を聞くんですけれども、いわゆる未認可のIPVを2回接種して、これからOPVをあと2回接種する予定だったという方に対して、9月を迎えた時点で、最後のOPVが接種できなかった場合、どちらを接種するのか。IPVでいくのか、それともOPVでいくのか。ここら辺は、ある地方自治体においては、その接種をかなり積極的にやられている先生方もいらっしゃるというお話なので、そこら辺の議論は必要だと思います。
○岡部座長 事務局からお願いします。
○城専門官 9月1日時点で、OPVは定期接種からは外れることになりますので、定期接種といたしましては、そのようなケースの方におきましては、やはり単独の不活化ポリオワクチンを接種していただきたい。ただ、生ポリオワクチンが日本から全く使えなくなるわけではございませんので、勿論強く御希望がある場合には、任意で接種していただく形になります。
○岡部座長 ただ、その場合も、前提としては、IPVで多くの方が免疫を受けているということが安全の担保であって、IPVの免疫というか、ポリオの免疫が不安定なところに、わずかな人たちがOPVだけということになると、結局二次感染の危険性がまた出てきてしまうということで、基本的には多くの方にポリオのワクチンをちゃんと受けていただくということになろうかと思います。言わずもがなかもしれませんけれども、念のため申し上げておきます。
 先ほどの件ですけれども、基本的には原則論を出すことが必要であって、Aというワクチンでいった場合には、基本的にはAというワクチンで終了してもらうことが、データその他からいっても一番安定しているわけです。したがって、そこを原則としておく。しかし、受給の問題というのは、先ほど申し上げましたような幾つかのファクターで、バランスが崩れることがあるので、そのような場合には一応互換性が求められているので、ぎちぎちに最初のルールどおりにいかなくてもいい。しかし、最初からそれをルーズに打ち出してしまうと、ばらばらのオプションが出過ぎでしまうので、そこは自治体にとっても多分混乱するであろうという形にしておいていいでしょうか。
 それから、メディアの方も含めてですけれども、何といっても、最初にやっていただきたいのは、今までポリオのワクチンを接種されていないゼロの方というのは、それだけリスクが高まる。1回でも受けておいていただければ、免疫としては上がってくるので、とにかくゼロの方を最優先という考え方も必要ではないかと思います。
 もう一つ、中野構成員がおっしゃったと思うんですけれども、DPTを待つというのは、現状にあるものを待ってしまうのは、疾病に対する負担がよりリスクとして高まる。現実として百日咳はまだあるということですので、できるだけそこを待たずに、きちんとスケジュールでいっていただきたいというのが、この検討会としてのお願い、スムーズな導入としてのお願いという形でよろしいでしょうか。
 事務局はそれで受けていただけるということですか。
○難波江課長補佐 国としても、そういう形で、自治体、医療機関に協力をお願いしてまいりたいと思います。
○岡部座長 坂元構成員、どうぞ。
○坂元構成員 あと1点、いろいろな自治体から聞いてこいと言われたんですけれども、今回4価のワクチンが出たということで、今後移行期にあると思いますので、両方走る可能性がありますけれども、長期的にはIPV単独と3混の併用はやめて、4価1本に絞っていくという方針があるのかどうかということについて、もしおわかりになれば、教えていただきたいと思います。
○岡部座長 補佐、どうぞ。
○難波江課長補佐 今、単独の不活化ポリオワクチン、特にDPTを既に受けられた方が一定程度いらっしゃるということで、今回導入されるわけです。まだ追加接種のデータが出ておりませんが、今後、追加接種も対象となった場合、今年度3価を受けられた方は、来年度1回受けていただくことになると思いますけれども、ただ、それでもまだ受けられていない方は、7歳半までポリオワクチンは接種できますので、全く需要がないというわけではございませんので、必要な量を供給する必要があるのではないかと考えております。ただ、今後、生まれてくる子どもは、原則として4混でやっていただくことになるかと思います。
○岡部座長 それとDPT-IPVであろうが、IPV単独であろうが、数年経った後にどの程度の抗体の減衰が見られて、ブースターとしての接種が、5回目のIPVが必要かどうか。それに加えて、国内でやっているDTの問題があるので、検討会としては、先送りではなくて、次の課題としてきちんとしたエビデンスを、研究班なり何なりで重ねていきたいというのも1つのリクエストだと思うんですが、これに関連して、清水構成員、お願いします。
○清水構成員 今のお話に関連して、先ほど廣田先生にお示しいただいた互換性の研究の解析と解釈の3番目のところで、抗体価を長期的に見ていく必要があるということで御指摘いただいたんですけれども、これは非常に重要だと思いますし、現実的にどの程度フォローできるかというところがあると思うんですが、これからOPV、複数のIPVの製剤が導入されて、その接種歴に応じて、長期的な免疫がどうかというところまで詳しくフォローアップ、見ていく必要があるとお考えでしょうか。
○廣田構成員 接種歴と対応した出生コホートの経年変化を正確に見ることは、不可能だと思います。ただし、ここで切り替わった結果、その後に生まれたコホートでは、より早期から減衰しておるということを解釈していく。そして、抗体保有率の減衰が余りにも顕著であれば、追加接種がその出生コホートには必要だ。そういうことに役立てるものだろうと考えます。
○岡部座長 中野先生、どうぞ。
○中野構成員 清水構成員、廣田構成員がおっしゃられたことと関係して、特に岡部座長が今おっしゃられたことは、すごく大事だと思います。追加接種をどうするかというのは、今日は恐らく議論する時間はないと思うんですけれども、世界の不活化ポリオワクチンを使っている国々の中で、2歳を超えての追加接種を行っていない国はほとんどございません。彼らの抗体価が減衰してしまってから、追加接種を行って、スタディをしたかというと、いろいろ調べてみたんですけれども、そんなことはないみたいです。ですけれども、追加接種で抗体価が更に上昇するというデータは得られています。なおかつ、ポリオという病気を発症するという目安は、抗体価だけではないと思います。抗体価は1つの目安です。そう考えると、世界の不活化ポリオワクチンのスケジュールの中で、日本の2歳以降のスケジュールというのは、今日ではなくて、この会の今後何回目かで検討するのか、あるいは研究班で検討するのか、これは1つの大事な課題として残っていると思います。
○岡部座長 もう一つは、世界のポリオ根絶というものがあるので、10年先、20年先というと、クエスチョンがいっぱいつくんですけれども、そういうことを踏まえてのデータが必要であるということです。
 清水構成員、よろしくお願いします。
○清水構成員 今のお話に少し補足させていただきますと、海外では長期的免疫、不活化ポリオのエビデンスがたくさんあって、それに従って追加免疫の必要性という議論になると思うんですけれども、特にこれから日本で導入されるセービンIPVに関しましては、これから日本で長期的免疫についても確認して、データを基にした情報を発信していく。世界でもこれからセービンIPVが導入される可能性がありますので、そういう必要性もあるかと考えています。
○岡部座長 単独の研究班でやるのか、構成するのか、既存の幾つかの予防接種の研究班の協力をいただいてやるのか、いずれにせよ、この場合はメーカーの協力も必要だと思うんですけれども、そういう構成をするのはこれからの課題にしても、この検討会としては、今回はIPVあるいはDPT-IPVで一応4回目まできているけれども、5回目をどうするんだというディスカッションについて、早急に議論していただいて、結論をいただきたい。これがこの検討会としてのもう一つのリクエストでよろしいでしょうか。
 小山構成員、どうぞ。
○小山構成員 前回も申し上げて、蒸し返すようですけれども、OPV2回の方への追加接種は、2歳以降ブースターを考えていらっしゃるというんですが、3価の抗体価は明らかに低いわけです。その方たちへの追加接種は、今後、検討の課題に挙がるかどうかをここで確認させていただきたいと思います。
○岡部座長 それはどうでしょうか。事務局が答えるか、こちらでもうちょっとディスカッションするか。仮にOPVの追加をやるとすると、全国民が対象になります。それはフィージビリティがあるかどうかという問題にもなるのと、日本はユニークな国で、2回の投与だけで根絶は達成したわけですけれども、その状態で3回目のOPVをこの際投与するかどうか。3回目はOPVでいいんですか。
○小山構成員 IPVです。
○岡部座長 IPVで加えるかどうかということが、小山構成員からの御質問ですけれども、いかがでしょうか。
 補佐、どうぞ。
○難波江課長補佐 この件は、前回の検討会でも御議論いただきまして、定期接種としては、OPV2回で完了でよいのではないかという御意見をいただいたと記憶しております。我が国で30年以上、ポリオのアウトブレイクが起きていないといった事実を踏まえると、定期接種としては、2回で完了でいいのではないか。ただし、海外に行かれる方とか、特に流行地に行かれる方などについては、追加接種を御検討していただく必要があるのではないかという御意見を、前回いただいたと記憶しております。
○岡部座長 ありがとうございます。
 具体的に3回目のOPVを受けた人、全国民を対象に、IPVで追加をやるというのは、難しそうである。ただ、そういうオプションは、任意としては当然とってあるということだと思います。
○小山構成員 現在、OPVを受けられる機会は今月いっぱいであるから、まだワクチンを受けていない初回の方は、OPVを至急受けるようにというアピールをしている自治体が幾つかあります。そのような現状で、これは非常に危険だと思っておりますので、そのことを御確認いただきたいと思っております。
○岡部座長 ありがとうございました。
 ただ、現実にほとんどの自治体では、6月ないし7月をもって、集団接種として、自治体が進める定期接種は終了しているのではないかと思います。
○小山構成員 幾つかの自治体の呼びかけ文書は、今日、持ってきております。もし御関心のある方は、お見せします。
○岡部座長 これは、今までも既にディスカッションが幾つか行われているものです。
 そろそろ時間もあれなんですが、その他今までのディスカッション以外で、資料1の中で何か追加で御発言あるいは御意見のある方がおられましたら、お願いします。
 それでは、検討会として事務局への要望が幾つかありましたけれども、それを踏まえていただいて、基本的には事務局から御提案いただいたこれからのスケジュール、あるいは考え方というものは、この検討会としては了承したということでよろしいでしょうか。
 それでは、次の大きい2番目に移っていきたいと思います。
 年齢のことが何か出てきましたか。入江参考人、よろしくお願いします。
○入江参考人 先ほど御質問の年齢構成なんですけれども、C、D群は、割と年齢の若い方が現実には多かったようです。A、Bの方は1回OPVを受けているということからも、少し年齢が高いです。
○岡部座長 齋藤構成員、よろしいですか。
○齋藤構成員 具体的な中央値などがもしわかれば、教えていただければと思います。後で結構です。
○岡部座長 それは後でデータとして、齋藤先生あるいは構成員に見せていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、次の議題に移らせていただきます。平たくいえば、もし日本でワイルドないし病原性が高まったと考えられるようなウイルスが見つかった場合にどうするかということで、これについての御意見あるいは背景などについて、宮村先生から伺いたいと思います。宮村参考人、お願いします。
 その前に資料なんですね。失礼しました。先ほども間違えてしまいました。資料の説明ということで事務局、後で宮村先生のお話です。
○難波江課長補佐 それでは、お手元の資料4「野生型ポリオウイルスまたは伝播型ワクチン由来ポリオウイルスが検出された際の対応の概要(案)」について、御説明させていただきます。
 本議題は、前回の検討会でも少し御議論いただきましたが、その後、本日、参考人としてお越しいただいております、宮村先生の御助言をいただきながら、事務局として作成したものでございます。
 2枚目は、この資料全体の概要になります。ポリオウイルスが検出された際の対応の概要の全体像になりますが、未発生時には、感染症発生動向調査による発生の監視、流行予測事業により健常児の便の検査や抗体の保有率などをはかり、地域保健事業報告によってのワクチンの接種率などの調査を行って、発生状況や免疫状況の把握を行っております。
 発生した場合、リスク評価を行いまして、対応方針を決定し、情報提供などを行ってまいります。また、患者に対する医療を提供するとともに、積極的な疫学調査を行い、感染の広がりなどを把握いたします。
 そういった情報を基に、厚労省において臨時の予防接種を行うかどうかを検討いたしまして、実施することとなった場合は、都道府県または市町村が実施することになります。その後、強化サーベイランスを行いまして、最後の患者発生から12か月が経てば、終息という判断を行うものでございます。
 次のページから個別に御説明させていただきます。
 3ページになります。背景でございますけれども、我が国では1980年を最後に野生型ポリオの発生は見られておりませんが、野生型または伝播型ワクチン由来ウイルスが検出された際、その地域において、免疫を持たない集団を中心とした集団感染が発生するおそれが依然としてあるという状況でございます。
 これまでの接種率というのは、高率、90%以上が保たれておりまして、これを維持できる限りにおいては、大規模な流行が発生する可能性は低いと考えられておりました。
 しかし、昨年の秋、今年の春、ワクチンの接種率に低下が見られまして、現状では免疫を持たない集団が一定程度存在する状況にございます。
 また、我が国の免疫状況として、1型、2型に比べて、3型の抗体保有率が低いことや、特定の年齢群で1型の抗体保有率が低いことが指摘されております。
 先ほど岡部座長からもお話がありましたが、海外において、いまだポリオの流行が継続している国がありまして、一昨年にはタジキスタンにおいてインドからの輸入例、昨年には中国においてパキスタンからの輸入例と考えられる、野生型ポリオ患者の集団発生が見られました。このような状況下で、我が国における対応を検討するものでございます。
 4ページでございますが、これは平時の状況でございます。平時は感染症法に基づきまして、発生した場合には、医師が直ちに届出を行うという枠組みがございます。
 また、先ほど申しましたとおり、感染症流行予測調査事業で健常児の便からのウイルスの分離を実施したり、市町村の予防接種率を収集し、免疫状態の把握を行っております。
 下の事例の探知ですが、もし国内で発生する場合、こういったシナリオがあるのではないかという例を4つ示したものでございます。
 ポリオ患者の海外感染例。海外で感染を受けて、その方が国内に入ってくる。これは最近オーストラリアでも見られた例でございますが、そういう場合があるのではないか。
 あとは、急性弛緩性麻痺を呈する患者の便検体を調べたところ、野生株ポリオウイルスが検出されたといった例。
 それから、同じく急性弛緩性麻痺を呈する患者さんから、伝播型ワクチン由来ポリオウイルスが検出されるといった場合。
 それから、患者の報告はないけれども、感染症流行予測事業で野生株ポリオウイルス、または伝播型のポリオウイルスが検出されたといったシナリオが考えられると思います。
 5ページでございますが、対応方針です。厚労省が実施要領に基づきまして、専門家の助言を受けて、対応方針を決定いたします。
 積極的疫学調査を都道府県は行いまして、患者の症状、ポリオの患者本人、家族や周辺のポリオワクチンの接種歴、潜伏期間を含めた探知・確定までの行動、基礎疾患などで感染の拡大状況を把握します。
 国の方は、積極的疫学調査を支援する目的で、専門家の派遣などを調整するというものでございます。
 6ページ、こういった状況を踏まえまして、国の方で臨時の予防接種の実施について検討を行います。なお、定期の予防接種は継続するものでございます。
 仮に臨時の予防接種を行うとなった場合、予防接種に用いるワクチンについて、その時点での定期接種の接種率、抗体有状況、想定される接種対象者、その時点で入手可能なワクチンの種類・量等に基づき国が指定いたします。
 それを基に、都道府県は対象者と期日または期間を指定して、臨時の予防接種を実施または市町村に実施を指示するものでございます。
 都道府県または市町村は、初発事例の探知から4週間以内に臨時の予防接種を実施するものでございます。
 7ページでございますが、生ポリオワクチンと不活化ポリオの違いを簡単にまとめたものでございます。
 効果でございますが、OPVの方は血清中和抗体の誘導による個人の発症予防効果がある。これは不活化ポリオワクチンも同じで、個人の発症予防に資するというものでございます。
 ○の2つ目でございますが、ワクチン接種後に、被接種者から排泄された糞便・咽頭等に含まれる弱毒ウイルスに、周囲の方が感染することによって、免疫が得られるという効果。これはOPVにはございますが、IPVにはそのような効果はございません。
 ○の3つ目でございますが、腸管免疫を獲得することにより、感染時に糞便中に排泄されるウイルス量が減少するため、強い伝播阻止効果が得られる。IPV複数回接種後には、ポリオウイルス感染時のウイルス排泄量の減少は少なからず見られ、伝播阻止効果は一定程度得られる。OPVの方が、これはまさっているというものでございます。
 アウトブレイクの際には、流行株に対応した単価のOPV、ポリオウイルスは3つ型がございますが、アウトブレイクの株にマッチした単価のOPVを使うことが、最も有効性が高いということでございます。右側でございますが、単価・3価のOPVと比べると、若干劣るが、一定程度の流行制御効果がIPVであると考えられております。
 安全性でございますが、御承知のとおり、OPVの場合はVAPPの発生リスクや二次感染被害のリスクがある。不活化の方は、VAPPの報告はないというものでございます。
 8ページでございます。これは2006年に『PEDIATRICS』という雑誌に掲載されました、ポリオアウトブレイク発生時のシミュレーションの結果になります。
 シミュレーションの前提でございますが、人口10万人、既に92%の方がワクチンの接種を受けていて、アウトブレイク発生後に対象者の70%が接種を受けるという想定になります。
 その結果でございますが、一番左側Do nothing、何もだれも接種を受けない場合、10万人当たり36名程度の発症が見られるという推計になっております。
 左から2つ目、IPV、不活化ポリオワクチンを1回打てば、その数が25人程度に、2回打てば15人程度に減るという推計になっております。
 3つ目でございますが、3価の生ポリオワクチンです。これは、今、日本で定期として使われているものでございますが、これを用いた場合、1回で18人程度、2回で12人程度に減少するという推計になっております。
 左から4つ目でございますが、1回目は不活化、2回目は単価の生ポリオワクチンを用いたというシナリオでございまして、1回目は25人程度、2回目は12人程度に減るという推計になります。
 一番右は、単価の生ポリオワクチンを最初から用いた場合で、1回目でも10人程度に減らすことができるといったシミュレーションになっております。
 9ページ目、アウトブレイク時に使用するワクチンの他国の考えでございますが、Global Polio Eradication Initiative、今、WHO、UNICEFが主導しているイニシアティブでは、ポリオの流行時の発生時には、伝播阻止効果が優れていることから、ガイドラインでは単価のOPVを使うということが示されております。
 一方で、米国CDCでございますが、ポリオの流行の発生時には、次の理論上の理由により、OPVを接種することが勧められる。IPV1回の接種よりも、OPV1回の接種の方が抗体保有率が高い。OPVによって、より強い腸管免疫ができるため、ポリオウイルスの拡散を防ぐことができると言われております。
 ただし、課題といたしまして、ポリオ流行の発生時には、単価の生ポリオワクチンが最も有効である。これは異論のないところでございますが、実際にこのワクチン自体が、未発生国、特に先進国では未承認の状況にある。今後、単価のOPVを新たに開発・承認していくかどうかは、既に不活化ワクチンを導入した多くの先進国にとっての共通の課題となっております。
 10ページ、諸外国の状況でございますが、米、英、カナダ、独の状況を確認いたしましたところ、アメリカはポリオワクチンの備蓄をやっておりまして、IPVを備蓄しているということでございました。単独のIPVを50万人分未満、混合ワクチンを60万人分程度備蓄している。ポリオのアウトブレイクが発生したら、IPVの臨時接種を行うということでした。これはもともとワクチンの供給不足に備えて備蓄をしているということで、既にアメリカはOPV自身の承認は取り消しているという状況でございます。
 イギリスでございますが、イギリスも備蓄を行っておりまして、混合の不活化ポリオワクチンを50万人分備蓄しているということでございました。これはポリオ発生時のために備蓄しているということで、以前は生ワクチンを備蓄していたけれども、現在は混合の不活化ポリオワクチンを備蓄しているということでございました。混合の不活化ポリオワクチンの接種による副作用の危険性より、生ポリオワクチンを使った場合のウイルスの蔓延の危険性を重視したということでございました。
 カナダでございますが、同じく不活化ポリオワクチンを備蓄しており、供給量の最大6か月分備蓄しているということでございました。IPV発生時には、IPVの臨時接種を行って、カナダもアメリカと同じで、そもそもは供給不足の対応のために備蓄しているということでございました。
 ドイツは備蓄はやっていないんですけれども、ポリオが発生した場合は、IPVの臨時接種を行うということで、ポリオ発生時には流通しているワクチンで対応が可能であると判断していて、ドイツは98年に定期接種でOPVからIPVに移行したんですが、2008年から発生時もIPVを使って対応するという判断をしたということでございます。
 11ページでございますけれども、我が国のポリオワクチンの備蓄の状況と今後の見通しでございます。
 備蓄状況でございますが、日本ポリオ研究所は、現在、来年度分の生ポリオワクチン約300万ドーズの製造に着手しておりまして、この秋には完成予定。有効期間は国家検定合格後から2年間であるため、平成26年夏までは、現行の生ポリオワクチンが製品としてあるものでございます。
 その他、単価バルク、原液として、約1,400万ドーズの生ポリオワクチンが冷凍保存されていまして、混合・分注は約1週間で可能。ただし、その後、自家試験、国家検定を経て供給されるものでございます。
 平成26年秋以降でございますけれども、4種混合の不活化ポリオワクチンの流通備蓄により、この11月から接種が開始された場合、その後、供給が安定しまして、約100万ドーズの流通備蓄が確保されるという見通しでございます。
 注2にございますが、単独の不活化ポリオワクチンの流通備蓄量については、現時点で未定となっております。
 12ページでございますが、発生時に臨時接種に使用するワクチンの事務局案でございます。
 平成26年夏まででございますが、野生株ポリオウイルスまたは伝播型ポリオウイルスが検出された際に、定期接種の接種率や抗体保有率が低く、現在、下がっている状況でございますが、感染拡大のおそれが高いと判断された場合には、原則として、生ポリオワクチンを臨時の予防接種として用いる。
 野生株ポリオウイルスまたは伝播型ポリオウイルスが検出された際に、感染拡大のおそれが高くないと判断された場合には、不活化ポリオワクチンを臨時の予防接種として用いる。
 平成26年秋以降でございますが、26年秋にはポリオワクチンの接種率が改善されるとの前提の下に、野生株ポリオウイルスまたは伝播型ポリオウイルスが検出された際には、原則として、不活化ポリオワクチンを臨時の予防接種として用いる。
 ただし、平成26年秋までにポリオワクチンの接種率が向上しなかった場合は、感染拡大のおそれが残ることから、接種率が向上するまで間は、生ポリオワクチンの迅速な製造供給体制を確保するというものでございます。
 13ページ、臨時接種の対象者の例でございますが、実際の臨時接種は、患者の発生の疫学的特徴に応じて、また広がりにおいて、総合的に勘案して選定しまして、予防接種法上、都道府県が指定するという形になっております。
 案としては、(1)というのが、患者との接触歴がある方です。これは年齢を問わずです。
 (2)としては、接触歴がないまたは不明だけれども、ポリオワクチンの接種歴が完了しているかがわからない方は、対象地域の小児で接種を行う。
 (3)は、それ以外の対象地域での小児になります。
 (4)は成人で、発生した地域。
 こういった方々が対象になるのではないかという例になります。
 最後にございますが、14ページです。強化サーベイランスを実施しまして、都道府県は、医師会等関係団体に協力を求めまして、ポリオ患者が発生した都道府県及びその周辺の医療機関に対し、急性弛緩性麻痺の患者について、直ちに報告するよう要請する。
 都道府県は、急性弛緩性麻痺の患者が発生した場合には、直ちに患者の検体を確保し、衛研または必要に応じて感染研に検体を搬送し、検査を依頼する。
 最後の患者が発生してから6か月以内に、日本ポリオ根絶会議の意見などを踏まえ、ポリオの伝播が絶たれたことを示す報告書を作成し、WHOに提出する。
 強化サーベイランスは、最後に野生株または伝播型ワクチン由来ウイルスが検出されてから12か月間継続するというものでございます。
 事務局資料は以上でございます。
 あと、今、ポンチ絵でお示ししましたが、この文章版を参考資料3として付けております。
○岡部座長 ありがとうございました。
 後のディスカッションの材料になるわけですけれども、この中の最後のところで、もし急性弛緩性麻痺の患者さんが発生した場合には、直ちに検体を確保していただくとありますが、これは構成員の方は御存じのようですが、向こう側の方の話ですが、急性弛緩性麻痺はポリオだけではなくて、特に夏場は腸内ウイルスによって起こる可能性があるので、その区別については、冷静に直ちに検査する必要があるので、ここに書いてある便、直腸ぬぐい液、咽頭ぬぐい液、髄液等の検体によっては、早く診断をして対応する必要があるので、この点もアナウンスとして非常に重要なことではないかと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、宮村先生、コメントとして、まとめてお話いただければと思います。
○宮村参考人 ありがとうございます。
 不活化ポリオワクチンの円滑な導入を考えるときに、2つのことをまず考えないといけないと思います。
 まとめのところに書きましたけれども、ポリオのアウトブレイクは、今、いつ起こっても不思議ではないという状況下にあると思います。
 1つは、次のハンドアウトに示しましたけれども、毎週送られてくるWHOのグローバルなポリオの発生状況を見ますと、大きく2つの意味があると思います。1つは、着々と野生株ウイルスが減っているということ、特に野生株の2型は根絶されている。3型も今年になってから発生が少ないということですが、一方で、1型は決して着実には減ってはいない。増えてはいないけれども、激減はしていないという状況下にあります。
 例えば一番問題となっていたインドでは、2011年1月に最後の発生がありまして、それから1年以上発生がないという、グローバルに見ると、大きな成果であります。そのためにこのマップでも今年から初めて白い地図になりました。しかし、例えば政治的に不安定なパキスタンなどでは、むしろ昨年よりも増えていて、世界の大半の野生株の1型は、パキスタンとナイジェリアで起こっています。その数は決して減っていないという状況下が1つと、もう一つは、これからも大いに話題になります、ワクチン由来株によるアウトブレイクが決して減っていないという、2つのことがあります。
 そういうことを考えたときに、日本の状況下で、先ほど事務局から提示されました、今年4月から6月におけます生ポリオワクチンの接種率というのが、非常に少ない状態になっています。これは9月以降、IPVがスムーズに導入される直前の状態でありますけれども、この状態というのは、アウトブレイク対応を考えたときに、冷静に判断をして、これを何とか上げなくてはいけない。
 もう一つは、アウトブレイクが起こったときに、個々の発症、見つかった人、その周囲の人たちが、どのような接種歴があるかということを、可及的速やかにきちんと判断して、対応を考えることが極めて大切であって、例えば現状におけるワクチン接種率、ワクチンの接種を受けるのは個々の人ですが、それをマスとして、その地域として接種率がどれぐらいにあるかということを、どれくらい直近に把握できているかということについて、大きな問題があると思います。アウトブレイク対応の一番大切なファクターではないかと思います。
 もう一つは、ポリオという病気の宿命ですけれども、ポリオの患者が発生して、それを検出したら、その周囲には既に多くの感染者がいるということであります。従来、例えば日本だけではなくて、ポリオの患者が出た、その周囲には、どの程度かわからないけれども、既に複数の感染者がいると考えて、対応しなければいけない。アウトブレイク対応というのは、まさにそういうことであり、ポリオの対応の根本は、一言でいえば、そこにあります。
 そういうことを考えると、最前線のお医者さんあるいは検査体制から、いかにしてこれが野生株あるいはcVDPVであるかということを判断して、感染症コントロールに携わる国の機関に報告をして対応するのか、このラグをできるだけ短くしなければいけない、そういうことを強調したいと思います。
 そのためにも、ポリオのAFPを起こした患者さんだけではなくて、例えば普段から感染研でやっています、流行病予測調査の抗体検査だけではなくて、抗原の検査、従来、日本でポリオウイルスが分離されたのは、ほかのエンテロウイルスのサーベイランスとか、あるいは全く別の疾患で、例えば呼吸器症状を起こした人たちの上咽頭のスワブをウイルス検査したら、ポリオが取れたということも多々ありますので、そういう意味で、今、アウトブレイク対応を考えなければならないときに、最前線のお医者さん、感染研を中心とした1つの検査体制を徹底させるという意味で、日本の構成員を集めてシミュレーションをしたり、対応を準備しておくことは、とても大切なことではないかと思います。
 それから、アウトブレイク対応には、そういう対応と備蓄のワクチンが考えられます。今、事務局の御説明にあったような1つのシナリオが想定されていますが、これは是非構成員の先生方で御検討いただいて、どういう組織体でこれを評価して、実際に対応させていくかということも含めて、御検討をいただきたいと思います。
 アウトブレイク対応も刻々と変化しておりまして、例えば日本ではこれから完全にIPVの方に移っていくわけでありまして、アウトブレイクの1つのケースがあったからといって、OPVしかないからOPVを使うというのも1つの考え方ですし、それは何のためにアウトブレイク対応なのか、ポリオ対応なのかというディスカッションもあると思います。
 ただ、清水構成員が先ほど述べられましたように、IPVとOPVを使ったときのメリット・デメリットというのは、状況に応じて変化しておりまして、IPVで粘膜免疫を誘導して、長期的な免疫が誘導されるというインターナショナルな、特にインドを中心として、研究成果が上がってきておりまして、日本もそれに対して協力したり、研究に加わるような要請がグローバルにはきています。
 そういうことをコメントいたします。
○岡部座長 ありがとうございました。
 それでは、宮村先生のコメントも含めて、先ほどの事務局から提案のあったアウトブレイク対応といいますか、侵入したときに対する対応をどうするか、これについて御意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。
 宮村先生もおっしゃっていたんですが、今日、明日ということは余り考えたくないわけですけれども、もしワイルドポリオが出た場合、どういうところが評価、対応するのかというのは、今の計画の中には入っていますでしょうか。
○難波江課長補佐 資料の5ページにございますとおり、感染症健康危機管理実施要領がございますので、それに基づきまして、その中で評価し、対応方針を決定するというものでございます。
○岡部座長 それはこの検討会とか根絶会議がやることではなくて、これに基づいて、ここは速やかに対応するということでよろしいですか。
○難波江課長補佐 そうです。対応要領の中に幾つかのオプションがございまして、審議会でやる場合であるとか、健康危機管理調整会議のような場で決定するとか、状況に応じて決める形になっております。
○岡部座長 先ほどもちょっと申し上げましたように、判別診断も重要になってくるので、非常に冷静かつ迅速な対応が必要だと思いますので、その点はよろしくお願いいたしたいと思いますし、いろんな協力をお願いする必要があると思います。
 先生、どうぞ。
○中野構成員 この資料を拝見させていただきまして、今日の検討会で、皆さんの意見の一致するところ確認しておく必要があると思ったので、発言させていただきます。
 ポリオ発生時の臨時接種のOPV、IPVは、それぞれの利点、長所、短所いろいろとあると思うんですが、それがまず1つです。
 もう一点、今度、日本で新たに導入される不活化ポリオワクチンは、単独の不活化ポリオワクチンと4種混合のワクチンがございます。もしアウトブレイクが発生したとき、疾病特異的な予防方法が一番望ましいわけでございますから、単独のIPVが一番望ましいんでしょうけれども、そのときの国にあるワクチンの供給量、備蓄、いろいろを考え合わせますと、単独のIPVだけで対応できない場合も出てまいります。そうなった場合、DPTというワクチンは短期間の間に過剰な回数を接種すると、局所反応が強く出る可能性がございますけれども、その場合にはDPT-IPVで対応することもあり得るということで、この検討会の総意として、副反応のことは国民の皆さんにきっちりと情報を提供しておく必要があると思います。そのことでいいかということを、確認しておいた方がいいと思いました。
○岡部座長 それは先ほど健康局長の話ではありませんけれども、この検討会でどう考えるかを出すことになります。
 坂元構成員、どうぞ。
○坂元構成員 いただいた資料の11ページに、平成26年秋以降、不活化ポリオの流通備蓄により、100万ドーズの備蓄が確保されると書かれていますが、今の中野先生の御指摘のとおり、今後初めてポリオを受ける人には4価を勧めていくという状況になれば、果たしてメーカーが単価を日本に供給し続けるのか、それともアウトブレイクが起こったときに、メーカー側に緊急に増産をお願いして、単価を輸入することができるのかという意味で、単価のワクチンは4価が一般的に行われるようになればほとんど流通しなくなるのではないかと思いますが、その辺はいかがでしょうか。
○岡部座長 その見通しについては、どうでしょうか。先ほどの話もありますけれども、5回目あるいは今でいうDPTの2期、その件について解決がついていないので、今後のIPVがどこまで必要かということについては、結論が出にくいと思うんですが、事務局から何かございますか。
○難波江課長補佐 御指摘のとおりで、そのため11ページの下に「現時点では未定である」と書かせていただいております。
○岡部座長 これは先ほどの繰り返しになりますけれども、課題として、今後のIPVあるいは国内の生ポリオワクチンの原液をどうするか。これが26年の夏までであれば、ストックしてあるOPVがあるので、対応はできるけれども、それを過ぎた後の対応をどうするかというのは、大きい課題として、きちんとしたところでの議論が必要だと思います。
 中野先生がおっしゃったのは、もうちょっと先だけれども、DPT-IPVの方がたくさんあって、IPVの流通備蓄としては少ないだろう。そういうときに、DPT-IPVを使えるようにするべきなのか、あるいはほかの代替にするかということですけれども、この中の御意見としては、いかがでしょうか。
 小森先生、どうぞ。
○小森構成員 1点質問をよろしいですか。お示しをいただいた10ページに、米国、英国、カナダ、ドイツの聞き取りが出ておりますけれども、アメリカの備蓄数は、単独のIPVが50万人分以下で、混合IPVが60万分。単独のIPVについては、アメリカは過去からの歴史で、これからもこの程度を持ち続けていくのか。ただ、以前からの流れの中で、有効期間の中で持っていて、今後のIPVに移っていく過程を見ているのか。
 カナダについては、IPVと書いてあるだけなんですが、これは他のウイルスとの混合ワクチンであるのかどうか。その辺りのことについては、恐らくわからなかったから書いてないんだと思いますが、わからなければ、ここは今後の問題としてしっかり調査をしていただかないといけないと思いますが、その点はいかがでしょうか。
○岡部座長 これは事務局でお願いします。
○難波江課長補佐 カナダについて、混合かどうかというのは、確認できておりませんので、今後、確認いたします。
 アメリカの方でございますが、アメリカ政府ではないですけれども、論文の中で単独は減っているという記載がございます。単独の備蓄自体が減ってきているという記載はございます。
○岡部座長 現実に流通しているのは、ほとんどがDPTあるいはそのほかプラスのIPVなので、混合ワクチンであると思います。臨時の使い方をどうするかというところでは、ストックされているものを使うという言い方に、各国とも一応はしているようです。
○小森構成員 それと、あるワクチンメーカーの有力者から直接お聞きしたところによれば、将来的に単価のポリオワクチン、IPVを、企業としては製造する予定はない。やはり多価、混合ワクチンになる。会社ですから、それぞれのタクティックス、ストラテジーがあると思いますけれども、製造しないということを言っております。ですので、勿論我が国で審議することは大切ですけれども、それに対応するメーカーについてはなかなか難しい。いわゆる単価のIPVを更にずっと備蓄していくことも、難しいのかもしれません。
○岡部座長 予算問題も当然絡んでくると思うので、その辺はあれですね。
 宮村先生、御意見ございますか。
○宮村参考人 私、専門家として、アメリカ等の同業研究者に備蓄状態を聞いても、なかなかわからないんですが、例えば政府から公にCDCとか、アメリカの政府関係機関にアウトブレイク対応はどういうポリシーでやるかとか、備蓄はどうかということは、問い合わせて回答を得ることができるんでしょうか。
○難波江課長補佐 10ページの資料でございますが、英国、カナダ、ドイツについては、直接聞き取っております。
 アメリカは、引用文献の2つ目にございます、今年1月、2月に出ましたPublic Health Reportの中で、米国のアウトブレイク対応、ワクチンのアベイラビリティの状況が記載されておりました。
○岡部座長 これは、今年10月、11月に行われるWHOのポリオ根絶委員会でも、そのことが話題になると思います。数か月先になりますけれども、私も出ますので、そのときにも確認しておくようにします。
 清水構成員、どうぞ。
○清水構成員 これはポリオ根絶の今後の状況にも、個々の血清型の野生株、VDPVも含めてリスクがあるかにも依存しますけれども、今、事務局からお話も出たとおり、グローバルなアウトブレイクレスポンス、ストックパイルのワクチンを用意しておいて、それでいろんな国が実際に使えるようにするという考え方自体は、以前からあるところなんですが、まだそれが具体化していない。グローバルなストップパイルについては、考え方としては、単抗原、単血清型のOPVになるんだと思いますもけれども、まだ実際に具体化はしていなくて、それを使ってアウトブレイクレスポンスを、今、考えている国は、実際にはない。
 ただ、将来的にはポリオの世界的なリスクが、根絶の達成によって、次第に減ってくるとすると、個々の国で、すべてストックパイルをいろんな考え方で用意するだけではなくて、グローバルに使えるようなワクチンをどこかで用意しておくことも、将来的には考える必要があります。それには、こちらから、何かあったらもらうというだけではなくて、そこにコントリビュートすることによって、もし必要が出た場合、そういうグローバルストックパイルにアクセスできるような状況というのが、将来的に考えられれば、また状況が違ってくるのではないかと考えています。
○岡部座長 世界のグローバルポリオへの日本のコントリビューションをストックパイルとしてどう考えるかというところで、ここの検討会の話ではないとは思いますけれども、そんな視点も含まれるのではないかと思います。
 それから、中野先生にお尋ねしたいんですけれども、DPTを過剰接種した場合、局所反応として強くなることは、経験的にもあるわけですが、それは生体にとってかなりハイリスクになるという意味も含めてになりますか。
○中野構成員 これまで自分がDPTを接種してきた経験では、例えば2回目で接種してはれた。3回目をやめておられて、小学校のDTで御相談に見える方がいらっしゃいます。その方々にDTを0.1cc接種しても、常にはれるとは限らないので、恐らく1つの要素だけではないと思うんです。なので、一般論として短期間に過剰な回数というだけで、5回以上、6回以上打ったら絶対に危ないというわけではないです。
 もう一言申し上げれば、欧米諸国は就学前にDPTを接種しております。ですから、諸外国の備蓄状況を拝見いたしますと、もっとDPTを接種している国でも、5混、6混がもしかしたらあるのかもしれませんが、DPTが混ざったワクチンで備蓄をしているので、我が国で4種混合をアウトブレイク時に使うことは、差しさわりがないと思っています。
○岡部座長 ただし、その場合は、アナウンスというか、リスクコミュニケーションとしては、はれるとか、発熱率が少し高くなるかもしれないということを知った上で、今度ポリオのリスクを防ぐために必要であるという言い方でよろしいですか。
○中野構成員 よろしいかと思います。
○岡部座長 齋藤先生、どうぞ。
○齋藤構成員 私も今の中野先生の御意見に賛成で、例えば不活化ワクチンに限ってですけれども、今まで接種していた混合ワクチンがなくて、その場合に別のワクチンがあって、ほかの抗原に対して、より過剰投与になってしまう場合、これは過剰に体の中での抗原に対する抗体反応がつくられるだけであって、安全性において、大きな問題はないと思います。ですから、私も中野先生の御意見に賛成いたします。
 1つ、宮村先生にお伺いしたいんですけれども、話題がずれて申し訳ないんですが、今まで世界の各地でアウトブレイクが起こっているわけですけれども、私が見る限り、多くの場合、オーラルポリオでの対応が多いわけですが、不活化ポリオを使って、いわゆるアウトブレイクに対応して沈静化したというデータは、どのぐらいあるんでしょうか。
○宮村参考人 私の知る限りでは、今までIPVだけでやっていたフィンランドでアウトブレイクがあったときも、OPVで対応していて、IPVでクイックレスポンスをしたというのは聞いたことがないんですけれども、清水先生、いかがですか。
○清水構成員 最近、ポリオの流行が起きる地域というのは、やはりリスクの高い国、ハイリスク地域、流行地、あるいはその周辺地域ということなので、すべてOPVでのアウトブレイクコントロールです。場合によっては、モノバレントの導入も含めたアウトブレイクコントロールとして対応するというのが現状では基本だと思います。先進国、リスクの低いと考えられた国でポリオのアウトブレイクが発生しているということは、ここ20年近くないので、そういう現状だと思います。
○岡部座長 どうぞ。
○坂元構成員 アウトブレイクへの対応というのは、先ほど中野先生から、緊急の場合は4価をやるという案もあるということなんですけれども、例えば最初から政省令とか法律を改正して、そこにアウトブレイク時の臨時対応について書き込んでおくのか、それとも段階の様子を見て、通達を出すのか。回数を超えた場合、片方のDPTには法律で接種回数に制限があるときに、副作用の問題等々もあるので、その辺の法改正を含む考え方なのか、それともそうではないのかという、方針についてお伺いいたしたいと思います。
○岡部座長 これは事務局からお返事できますか。
○難波江課長補佐 臨時の予防接種は、予防接種法の第6条に基づいて実施されるんですけれども、どのワクチンを用いるかというのは、省令で規定されております。ただし、省令に規定されているのは、定期の予防接種のワクチンを記載しております。臨時接種については、省令の中で、定期の予防接種を標準として考えるという形になっております。ですので、IPVを用いること自体、今回9月にIPVに変わりますので、当然臨時接種のオプションとして、標準的に用いるものとして規定されることになります。
○岡部座長 ありがとうございました。
 最後にどうぞ。
○小森構成員 申し訳ございません。全く違う観点なんですが、アウトブレイクが起きたときに、生ポリオを今回使わなくなったことから、基本的には26年度末までに300万ドーズ備蓄がある。この数字が適正かどうかということです。といいますのは、いろんな意味で、我が国が国際貢献できるチャンスでもあるわけです。不必要な量をそのまま抱えていることが、本当の意味での公平かどうかということは、別個考える必要があると思いますので、この検討会としては、どの程度持っていることが大切か、必要十分な量というのは何万人分であるかという議論はしてもいい。その後、それをどうするかというのは、また別の問題だと思いますけれども、そんなことを別の観点から考えました。
○岡部座長 ありがとうございました。
 議論に私も引き込まれてしまって、時間が過ぎたんですけれども、そろそろまとめておこうと思うんですが、少なくともOPVのストックのある間においては、対応としてはOPVで対応することになるだろう。そこから先は、今、中野構成員もお話がありましたように、ストックとして、DPT-IPVの方が多いとなれば、片側の持つ局所反応などのリスク、反応などを説明した上で、DPT-IPVも持ち得る可能性がある。そういうことでの対応になります。あと、法的なことなどは、もう少し事務局で調整していただくということで、基本的には、今、事務局からいただいた案で動く可能性がある。
 この検討会はこれでおしまいですか。そうではなくて、もうちょっと続く可能性があるんですか。そこのところもまだわからないんですか。
 つまり、この後、こういうポリオの問題について、どこかできちっと話しておかなければいけないので、先ほどの課題の中で、IPVのストックの問題、IPVの追加、つまり5回目接種の問題、DT、プラスそれをDPT-IPVにするのかどうか。これを必ず課題としていただきたい。この検討会はと限らないでしょうけれども、検討に取り組んでいただきたいということを、この検討会のコンセンサスとしておきたいと思います。
 どうぞ。
○難波江課長補佐 まだ検討する課題はあると考えておりますので、今後も開催できればと考えております。
○岡部座長 ありがとうございます。
 構成員の中で、今日、丸橋構成員から御発言がなかったんですが、最後にもし何かありましたら、どうぞ。
○丸橋構成員 生ポリオがアウトブレイク時にもあったりする場合、それでの副反応というか、VAPPが出た場合というのは、ちゃんと対応を考えていらっしゃるんでしょうかという部分だけが、私としては気になります。
○岡部座長 この部分については、きちんと検討して、今日で全部結論が出ているわけではないですけれども、課題を一つひとつ解決していくということで、お願いしたいと思います。
 それでは、幾つか修正の部分は反映されますけれども、基本的には事務局の提案をこの検討会としては了承して、細部については、私も入って事務局と詰めて、最終案にしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 あとは、事務局にお返しします。
○喜多専門官 お手元の参考資料4になりますが、不活化ポリオ導入に伴って、副反応検討会を開催するということを御報告したいと思います。
 参考資料4でございますが、現在、予防接種法に基づく定期接種の副反応については、定期の予防接種の実施要領等の通知で、医師から自治体を通じて副反応を御報告いただいたり、また、報告定点を通じての調査を行っております。その結果については、定期的に集計した上で、現在、年1回程度、予防接種後副反応健康状況調査検討会を開催いたしまして、報告書を発行させていただいております。
 秋から導入される単独の不活化ポリオワクチンについては、国内での使用経験がほとんどないこと、また、4種混合ワクチンについては、新たに開発されるものであることから、報告された副反応の評価を行うことを目的に、健康局長の私的諮問機関として、予防接種や小児感染症の専門家の先生方で構成する検討会を開催することにいたしましたので、ここに御報告したいと思います。
○岡部座長 ありがとうございます。
 それはモニターをきちっとしていくという意味ですね。
 それから、時間が長くなって恐縮なんですが、ポリオとは直接は関係ないけれども、スケジュールとして大分関連してくるのが、BCGの接種なんですけれども、結核部会で結論が出たということが流れたので、そのことを紹介していただけますか。
○難波江課長補佐 昨日、結核部会が開催されまして、2年ほど前から結核部会と予防接種部会で御審議いただいていましたBCGの接種期間、現在、生後6か月までにBCGを1回接種いただくんですけれども、最近、接種するワクチンが増えてきた。生後2か月から6か月の間に接種するワクチンが増えてきて、スケジュールが非常に過密となっている。それを少し延ばしてはいかがかという御意見、御要望をいただいていたことを踏まえまして、昨日、結核部会で御審議いただきました結果、生後1歳まで延ばしてよいのではないかという御意見をいただいております。
 今後、予防接種部会においても、御審議いただいた上で、国として判断してまいりたいと考えております。
○岡部座長 ありがとうございました。
 それでは、長引いてしまって申し訳ありませんでしたけれども、今日の検討会は終了したいと思います。
 次のことも含めて、事務局側からのアナウンスをお願いします。
 正林さん、何か発言ございますか。
○正林結核感染症課長 ございません。
○飯野室長補佐 次回の開催につきましては、改めて日程調整の上、御連絡申し上げます。
 事務局からは以上でございます。
 本日はありがとうございました。


(了)

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