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2012年7月26日 第7回社会保障審議会生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会

社会・援護局総務課

○日時

平成24年7月26日


○場所

グランドアーク半蔵門 華の間


○出席者

委員

石操委員 岩田正美委員 岩村正彦部会長代理
上田文雄委員 岡崎誠也委員(門吉代理) 柏木克之委員
勝部麗子委員 櫛部武俊委員 小杉礼子委員
駒村康平委員 高杉敬久委員 野老真理子委員
長谷川正義委員 花井圭子委員 広田和子委員
藤田孝典委員 藤巻隆委員 堀田力委員
松井一郎委員(古川代理) 宮本太郎部会長 宮本みち子委員
山村睦委員

○議題

・委員からのヒアリング
・その他

○議事

○宮本部会長
 おはようございます。定刻となったようでございますので、ただいまから第7回になりますけれども、「社会保障審議会生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会」を開催させていただきます。
 また、暑い中、委員の皆様におかれましてはお集まりいただきまして誠にありがとうございます。
 本日は、津田厚生労働大臣政務官に御出席いただいております。
 また、西村厚生労働副大臣も遅れて到着されると伺っております。
 それでは、津田政務官から冒頭にごあいさつをいただけるでしょうか。

○津田厚生労働政務官
 おはようございます。
 委員の皆様方におかれましては暑い中、あるいは御多忙の中、これまでこの本部会で活発な御議論を行っていただき、心より感謝を申し上げる次第でございます。
 本日は日々、現場で御苦労されておられます自治体の首長である委員や、一般企業で若年者雇用に積極的に取り組んでこられました委員から御報告を伺うことになっているわけでございます。
 官と民がそれぞれの持ち味を生かして取り組むことは、生活困窮者対策で極めて重要な点であると考えております。本日は、その両者の立場からの御報告をお伺いできると、大変期待をいたしております。
 私は、政務官になってそろそろ1年になるわけですが、官の行政の得意なところと不得意なところ、それから民の得意なところ、あるいはやや不得意なところ、これはやはり得手不得手というのがあると思っております。これがうまくコラボができるということは、大変重要なことであるということを非常に強く今、感じているところでございます。是非、御自身の経験を踏まえて見えてきた課題や、今後の制度検討への御提案などについて積極的に御報告をいただきたいと思っております。
 また、本日のヒアリングをもって、これまで6回にわたり行ってきたヒアリングも一巡をするわけでございます。これまで委員の皆様には御多忙な中、資料の御提供もいただきつつ、それぞれの御経験や、御専門を踏まえた、貴重なお話をいただいたわけでございます。私もすべての部会に参加をさせていただき、皆様方のお話をお伺いさせていただいたわけですが、いずれのお話も極めて今後の制度検討に大変役立つ御意見だったと思っております。
 厚生労働省としても、本日お伺いできる貴重なお話を含め、委員の皆様方からの御提言をしっかりと今後の制度検討で受け止めていきたいと思っております。
 来月には、当部会として生活困窮者支援の現場の視察も行われると聞いております。委員の皆様方には、そこで得られた知見も活かし、お暑い中、大変恐縮ではありますが、今後ますます活発な御議論、そしてとりまとめに向けた御議論をよろしくお願いしたいと思っております。
 一昨日から昨日にかけて、中央最低賃金審議会の答申が行われました。徹夜の交渉が毎年行われたわけでございますが、今後地域最賃審議会におきましての最終的な決定金額を見なければわかりませんけれども、最低賃金と生活保護との間の関係が不正常な形にならざるを得ないような結果も一部の県におきましてある状況になっていることも踏まえながら、何とか正常な形に持っていけるように努力をしていきたいです。
 それはどういうことかと言いますと、私どもとしてはやはり保護を必要とする方にきちんとした保護が届くような取組みを進めていくこと、これが基本であるべきだと思っておりますので、是非そのような観点から皆様方のさらなる御審議をお願い申し上げたいと思います。
 本日もよろしくお願いします。

○宮本部長
 津田政務官、ありがとうございました。
 次に、事務局の方から本日の委員の出席状況について御説明をお願いします。

○古都社会・援護局総務課長
 本日の委員の出席状況でございます。
 奥田委員、武居委員、谷口委員の3名が御欠席のほか、野老委員、広田委員が所用により遅れるという連絡をいただいております。
 また、岡崎委員の代理といたしまして門吉高知市福祉事務所長、松井委員の代理といたしまして古川大阪府福祉部福祉総務課長に御出席いただいております。
 出席につきましては、委員総数引率25名の3分の1を超えておりますので開催の要件を満たしております。

○宮本部会長
 ありがとうございました。
 それでは、早速本日の議事に入らせていただきます。本日の議事は、先ほど津田政務官からも御紹介がありましたように、ヒアリングの最終ラウンドということになります。本日は、石委員、上田委員、藤巻委員からお話を伺う予定になっております。
 進め方になりますけれども、石委員、上田委員、藤巻委員の順番で御報告をいただいて、そしてお3方の御報告が終わった段階でまとめて質疑応答、意見交換を行うということにさせていただきます。
 それでは、早速ですけれども、石委員からお願いできますでしょうか。

○石委員
 鳥取県日吉津村長の石でございます。
 今日は発表の立場でありますけれども、これまでの自治体としての生活保護行政に関する経験がまだまだ駆け出しでありますので、このような場で発言ができて皆さんの議論の中に入っていけるのかということについては不安を感じているところでありますが、その辺は御容赦をいただきまして、我が村の現実なりについてお話をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 資料をお配りしておりますが、2ページをめくっていただきますと、鳥取県全体の位置を示しておりまして、我が村は左手の方の米子市、境港に囲まれております。行政区域は416haでございますので2km四方でありますが、その下に工業専用地域を33ha持っております。
 人口増加の状況でありますけれども、昭和45年と平成7年に人口がへこんでおりますが、これは人口がへこむということで人口政策をして人口が増えてきたということでありまして、現在では、3,400人まできておりますけれども、これ以上、人口政策をやっていきますと保育所、小学校、更には下水道がパンクするということがありますので、これ以上の人口政策は難しいのかなというところで、小さい村でやっているということであります。
 3ページに絵を付けておりますけれども、工業用地ということを申し上げましたが、左の下の方に王子製紙という企業があります。昭和27年の創業でありますので、今年ちょうど60年ということであります。真ん中の右辺りにジャスコということでありますが、これも企業誘致でございまして、平成11年のオープンでございます。今、750万人の入り込みがあるということであります。
 右の方には4つの囲みを付けておりますけれども、平成12年の介護保険が始まってから、介護に関わる施設を中心にこのような施設が張り付いてきたという状況であります。
 4ページをめくっていただきたいと思います。左の丸の3番目でありますが、平成16年から自治体が小さいですので、自分たちのことは自分たちでやってほしいということでコミュニティ計画づくりを自治会の方に提案をしております。「参画と協働」を基調にしながら村づくりを進めていくという方向で現在も進んでおります。
 そういう中で、平成21年には村の最高機関として「自治基本条例」を定めながら、今年は住民投票条例の常設型を設置したところであります。
 合併の状況でありますけれども、右の方で鳥取県の町村数は従来35ありましたが、平成の合併で15まで減りました。これ以外に市が4市ありますので、県内は19市町村ということであります。
 平成15年11月30日に、これは村独自の条例でありますけれども、有権者18歳以上、永住外国人も含めて合併の可否を問う住民投票をしたということでありますが、合併に当たってその前段で行革をやらせていただきました。大学の先生も仲間になっていただきましたし、村外からは境港市民の皆さんにも入っていただいて合併、そして行革の議論をしました。大変思い切った行革をしたところでありまして、下水については50%値上げをし、固定資産税については1.4%から1.6%に持ち上げ、消防団においては報酬を50%削減、副村長を置かない。それから、私の報酬以下は20%削減とか、職員は10%削減というようなことをやってきました。
 住民の人口は約2割増えましたけれども、職員は増やさずに10%削減をしてきているということでありますが、単独存続が選択された理由としては、周辺の町村が隣の米子市との合併協議に参加されなかったということが大きな要因だったと思います。
 合併議論の中で住民の意識がどう変化したということについて考えてみますと、今、野田政権はあれもこれもということでしなければならないということであるようでありますけれども、私のところはあれか、これかを選択するということでありますので、住民から直接要望を受けても、ではやろうということにはなりません。年間の要望、更に自治会等の要望を持ち上げてきて、その緊急性、必要性を議論して順位付けをして年度分けをして事業運営をやっておりますので、村長に頼んでも何もしてもらえないという評価がここにきてできていると思っております。
 福祉事務所の設置の背景でありますけれども、全国932市町村のうち、福祉事務所を設置しているのはまだ41市町村ということであります。我が村は26番目にありますけれども、県内で3つが平成22年4月1日に発足、設置をしたということでございまして、31番~40番までの鳥取県の各町村が1、2年遅れで設置をされております。
 残すところ15町村のうち、2つの町が福祉事務所をまだ設置していないということでありますけれども、この福祉事務所の設置の準備に当たっては、事前に1年半、県の指導を受けながら準備をしてきたということでありますので、そういうことになっているということであります。
 福祉事務所をなぜ受けたのかということでありますが、児童虐待防止ネットワークの議論をしたり、それから徴税の議論をしていく中で、どうしても最終的には生活困窮の問題に突き当たるということがございまして、それまでは生活困窮者の状態を県の福祉事務所につないでおりましたけれども、住民に一番近い行政の町村でやって住民生活を守るというと大げさでありますが、住民に一番近いところでサービスをしていくのが適切であろうという判断をし、福祉事務所を受けましたけれども、そこに1つ大きな落とし穴があったことは後ほど申し上げたいと思います。
 6ページでありますけれども、左の方で、我が村の保護率は3.79‰ということで、右の方にいきますと鳥取県の平均が11.7‰ということでありますので、まだまだ低い状況ではあります。
 7ページでございますが、鳥取県内の状況を見ますと、市部の保護率は市が最低のところが12.01でありますが、町村で一番多いところが8.59以下だということでございまして、我が村は4.88ということであります。米子市並みの保護率になった場合を考えてみますと被保護者が40人になる計算になりますので、そういう事態になってはならないので取組みをしていかなければならないと思っております。
 市部と町村部の保護率の違いというのは何なのかと思いますと、単身世帯も結構我が村にも増えております。小学校の学年が1学年で34人から35人ですけれども、そこには一人親家庭の児童が1人か2人いますので結構増えていますが、その一人親家庭の親のところに帰ってきて世代間で生活をしていらっしゃるという実態がありますので、そこが地域といいますか、小さなエリアのよさかな、町村のよさかなと思っているところであります。
 次の8ページでありますけれども、福祉事務所の部署ということで左側に書いておりますが、土台にありますのはやはり地域のコミュニティを大事にしながら、福祉事務所中心にしながらということで丸を何個か囲っておりますけれども、右の方のピンクの欄は福祉保健課と福祉事務所の業務の関係を列記しております。
 福祉事務所は生活保護があって、福祉係では介護保険、民生委員、要保護児童対策協議会、それから児童館、子育て支援センター、保育所、ファミリーサポート、その下には保健衛生、更には介護保険の関係があるということでございまして、大きな町や市では考えられませんけれども、この左の丸の中が大体1つの課にいて隣合わせにいるというものであります。
 例えば、ケースワーカーの隣には包括支援センターの職員が事務をしていて、目の前には障がい者の担当が事務をしている。その斜め前では国保の事務をしているということでありますし、保健師はその後ろにいるということで、課の中での話がすべて伝わっていくということでありますので、ある程度、子育てなり高齢者対策、そして生活弱者に対する情報は職員が共有をできる形になっているということであります。
 それから、住民課の税務係に徴収ネットというものがあります。これは、それぞれの担当課から徴収の係と担当課長でチームを編成して徴税をやっておりますけれども、平成23年度では、これは徴税対象外ですが、初めて給食費の滞納がゼロになりました。徴税ネットの中では、やはり給食費の滞納の情報もありますので、どちらかと言えば税より給食費の方を優先して何とかというような配慮をしながらやって、その結果が出たかと思います。
 9ページでありますけれども、福祉事務所の体制ということで、すべてが兼任でありまして、右の現業員、ケースワーカーが1人専任であります。そして、県からは就労支援専門員を併任ということで、鳥取県西部に1名配置をしていただいているということでありますし、平成22年度と平成23年度は福祉事務所を立ち上げてすぐだという状況でありますので、査察指導員という形で県から併任ということで配置をいただいておりましたけれども、これはもう卒業しなさいということで引き上げられたという状況であります。
 次に、10ページ辺りからが日吉津村の生活保護に対する取組みということでやっておりますけれども、一番上に「民生児童委員との情報交換(年1回)」ということで書いておりますが、ここは民生委員さんがそれぞれの担当の地域をしっかりと回っていただいているということでございまして、多少、民生委員さんの温度差はありますけれども、精力的に回られる民生委員さんは地域の中を月1回巡回していらっしゃって、更にその情報を上げていただくという状況ができ上がっておりますので、大変な御努力をいただいているということであります。
 それから、一番下では福祉事務所が平成24年で6町村になりましたので、西部福祉事務所と県の事務所とで連携をしながら月1回、事例の検討会をしているということで、今年が3年目であります。
 次に11ページで就労支援専門員でありますけれども、県の職員に県西部をカバーしていただいております。これを町村でやるということになると、連携を持ってやらなければできないと思っておりますが、この就労支援専門員については鳥取県の東部では既に県が引き上げていらっしゃって、東部の管内の町村で1名を配置していらっしゃる状況でありますので、いずれそういうことになってくるのかと思っております。
 それからハローワークとの連携でありますが、福祉事務所を引き受けたときにここにまだ目がいっていなくて、これは失敗だったと思うところであります。ハローワークとの連携はどうしても欠かせないということでありまして、年1回の協議をするように平成22年度から協議会が設置されているところでありますけれども、そうは言っても今の段階では年1回ということではなしに、個別の事案ではもうちょっと頻繁に町村とのやり取りをさせていただいております。それから、ハローワークから積極的にお出かけをいただいているということでありまして、平成23年度には各町村の福祉事務所とハローワークとの協定が締結をされたところであります。
 12ページでありますけれども、「日吉津村における取り組みの状況」ということで、いかほどのものができるわけでありませんが、小規模自治体ということでは、先ほどから申し上げておりますように、それぞれの係や組織が隣で仕事をしているという状況でありますので、特に保健師の情報は子どもから高齢者まで健康の状況を既に情報として持っているわけでありまして、要保護児童対策協議会との連携においてもこの保健師の情報というのはかなり濃いものが上がってくるということでありまして、これらなしに生活困窮者の対応というのは取りづらいと思っているところであります。
 次に、事例を1つ申し上げますと13ページでありますけれども、「障がい担当との連携」ということでは、ケースワーカーと障がい担当は目の前で向き合って仕事をしているわけでありますが、小学校2年生の多動性の男子児童を追ったわけでありますが、公共交通機関が現在は、どちらかと言えば路線バス辺りは急激に減少をしておりますし、病院に直接アクセスするような交通機関もないわけでありまして、この多動性の子どもをどうすればいいのかということで、結果としては精神障がい者手帳の取得や自立支援医療の給付、更には障がい者のサービス利用につながったというような実績を残しているところであります。
 地域包括支援センターの職員も、いわゆるケースワーカーと隣で仕事をしておりますので、介護支援専門員と同行して高齢者の被保護者世帯の訪問ができるという体制でおります。
 14ページで、我が村の課題でありますけれども、「交通手段の問題」、特に鳥取県西部の山間部等においては、ハローワークが米子市と境港市というところでありますので、求職活動をするにしても公共交通機関では行けない。そして、仮に仕事があっても車がなければ勤務ができないという状況がありますので、制度的にここが何とかならないかという気がしておりますけれども、我が村の地域の米子の有効求人倍率は0.7ということでありますので、そういう意味では一般の方の職もなかなかないという中では生活弱者、困窮者の就職というのがなかなか安定的な就労につながらないという課題があると思っております。
 そういうような課題を申し上げさせていただきまして、県の就労支援員の配置は引き続いてお願いをしていかなければならないと思っておりますし、仮に引き上げられても我が村、自治体で就労支援の確保というのは難しいですので、やはり西部県域で連携をしながら考えていかなければならないかと思うところであります。
 それから、15ページであります。自治体が小さいですのでコミュニティ計画づくりを中心に地域づくりをしようということで取り組んでいるわけでありまして、さまざまな背景を抱えた住民の皆さんがいらっしゃるわけでありますけれども、それぞれができる役割を分担しながら、その住み慣れた地域で生活し続ける限界点を引き上げようということで地域に提案をしております。
 そういう意味では、昨今の地域の課題としてはまず防災が挙げられますけれども、防災に関しては災害時においては行政は4番バッターだという言い方をしています。1番が隣近所、2番がボランティア、3番が消防、やっと4番が行政だという言い方をしておりますので、地域防災の中では助け合いカードをつくったり、要援護者の支援マップをおつくりいただいている取組みが始まってきておりますので、この生活弱者等も生活し続ける地域が共に支え合う地域づくりをしていくということで、我が村がこの課題に対応していく方向としてはコミュニティを中心にしながら進んでいきたいと考えております。
 更に、就労支援に関しては我が村単独ではできないので、やはりハローワークと県とのさらなる連携強化を図り、これまで以上の御理解をいただいて取組みを進めていく必要があろうかと考えております。
 18ページでありますけれども、やはり雇用が十分でない。有効求人倍率が0.7でありますので、この部分がなかなか解消できませんけれども、第2のセーフティネットや、家計再建のための貸付等については、回収不能な貸付金が当然考えられるわけですので、再保険のようなバックアップをする仕組みのようなものがなければならないのではないかと思っております。単村ではスキルやノウハウが未成熟だということもあるわけでございまして、やはり広域的な取組みの中で、更には近隣の市町村との連携も情報を収集するという意味ではどうしても欠かせないと思っております。
 そういう意味では、地域の力、コミュニティの力を持たせながらこれからやっていくという方向でありますし、19ページでありますけれども、同じようなことであります。資産要件の見直し、就労収入積立制度においては本当に保護脱却につながる制度になるのかなという気がしております。
 先ほど政務官からお話がありましたが、保護費といわゆる就労収入との差というのが、特に地方の賃金は低いわけでありますので、ここが本当にうまい具合に解消できるかということについてはかなり御苦労があると思いますけれども、ここがしっかり解消されないと自立につながっていかないのではないかという気がしておりますので、そのようなことをお願いをするものであります。
 また、調査対象者の回答義務の導入ということで不正受給の減少、不正受給とまでは言いませんけれども、戸籍の照会があります。それは、この家はもうなくなったなという家もありますし、ここは家庭もしっかりしていらっしゃる、資産もたくさんあるなというような事例の照会もありますので、その回答がどうなっているかはわかりませんけれども、そういう意味では調査の回答を義務化して、ここを制度でしっかりと家族関係を支えるということにはならないのかもしれませんけれども、親子関係、兄弟の関係をもうちょっと詰め込んでもいいのかなと思っているところであります。
 以上のようなことを申し上げましたが3年目でありますので、まだまだよちよち歩きでございまして、特別部会で発表するような立場でもございませんけれども、小規模自治体の地域づくりはあらゆる条件がある中で、先ほども申し上げましたように、それぞれの皆さんが役割分担をしながら地域で住み続ける生活点を引き上げるための提案を住民にしておりますし、総合計画の中でも盛り込んでいるところであります。
 生活保護行政を実施していく上では、職員体制の充実ということも必要かと思いますけれども、県とハローワークとの連携などを更に深めながら充実した体制を進め、体制をつくりながら整備していく必要があるというふうに考えておりますので、関係機関の皆様におかれましては特段の御理解をいただきますようお願いを申し上げまして、多少時間をオーバーしましたけれども、私の立場での発表とさせていただきます。この後、御指導、御助言をいただきますよう、よろしくお願いを申し上げます。
 以上でございます。

○宮本部会長
 石委員、ありがとうございました。
 次は、今のお話のあった日吉津村とは対照的な大都市という観点からのお話になると思いますけれども、上田委員、お願いできますでしょうか。

○上田委員
 ありがとうございます。札幌市長の上田でございます。よろしくお願い申し上げます。
 私からは、生活保護制度の見直しを含めた生活困窮者支援について、生活保護の実施主体としての立場から意見を述べさせていただきます。
 資料2ということで掲げられておりますので、これをご覧いただきながら述べさせていただきます。
 まず、資料の1ページ目であります「生活保護制度の見直しについての指定都市市長会要請」について御説明申し上げます。これは、今年の5月15日の指定都市市長会議において採択をしたものでございます。生活保護制度の見直しについては、昨年5月から「生活保護制度に関する国と地方の協議」で検討を重ねまして、12月に中間とりまとめが行われました。その中間とりまとめで、中長期的な課題とされた事項については引き続き場を設けて協議をすることとされまして、国は生活保護制度の見直しを含めた生活困窮者対策に総合的に取り組むための「生活支援戦略」を策定するためとして、この特別部会を設置したところであります。
 この特別部会においても、本日のように地方自治体を代表して意見を述べさせていただいておりますけれども、昨年までの国と地方との協議の場とは取り扱うテーマが広がるなど、性格が変わったという印象が地方の側からは否めないところでございます。
 こうした経過の中で、5月に採択をいたしました要請書は7つの項目から成っております。
 1点目でありますが、「地方の意見の十分な反映について」ということでありまして、生活支援戦略の策定に当たっては生活保護業務の実施主体である地方の意見を十分に反映するということ。
 2点目は、「生活困窮者対策及び生活保護制度見直しの速やかな実施について」ということで、生活支援戦略が7か年で取り組むものとされておりますけれども、現下の状況を踏まえますと3年程度の短期間で実施するということを求めております。
 3点目でございますが、「実施体制整備と人材確保について」ということでありますが、地方自治体の実態に配慮した実施体制の整備を検討すること。NPO等との協働に当たっては、制度上の位置付けと財政基盤の確保によりまして、継続的かつ効果的な支援を行えるようにすること。
 資料の2ページ目でございますが、4点目の「実効性のある就労支援について」でありますが、ハローワークとの一層の連携と、生活保護に至らず自立できる第2のセーフティネットの制度設計を行うこと。
 5点目は「年金制度と整合する生活保障制度について」でありますが、ケースワーカーのマンパワーを就労可能層へ投入するために、低所得の高齢者層に対しては年金制度等と整合する新たな生活保障制度を検討すること。
 6点目でありますが、「医療扶助の適正化について」でございます。最低生活を保障した上で、医療費を一部自己負担する仕組みを検討すること。
 7点目は「生活保護費の全額国庫負担について」ということで、生活保護はナショナルミニマムとして、本来、国の責任において実施すべきものであります。その経費は、全額国が負担すること。
 このような要請を国に行ってきたところであります。その後の国家戦略会議におきまして、6月4日には生活支援戦略の骨格というものが、そして7月5日には中間まとめが報告をされました。中間まとめの内容につきましては、前回の7月17日、この会議で厚生労働省から御説明があったところでございます。
 そこで、この生活支援戦略中間まとめについて、生活保護の実施主体であります地方自治体としてどのように考えるのか。先週、7月20日に指定都市市長会義がございまして、その場におきまして協議をいたしました。そして意見をとりまとめましたので、この資料に沿って説明をさせていただきます。
 資料の3ページでありますが、生活支援の中間まとめに係る論点についてでございます。この生活支援戦略の中間まとめについて、地方自治体として現時点で問題と考えている点を簡潔にこの論点が示しているところでございます。
 左側には「生活困窮者支援体系の確立」というものが挙げられました。7項目についてでありまして、1、2、3、7の4項目は現時点では具体的な支援内容や、あるいは実施体制が不明でありますが、現場のケースワーカーには今以上の業務負担というのは難しい。民間事業者への委託等の検討が必要だと、このように考えております。
 次に、4と5の2項目につきましては、現行の第2のセーフティネットは十分に機能しているとは言い難いために、働く能力のある方が生活保護に至らずに自立できる給付水準の確保と、就労と自立支援を一体とした制度の検討が必要だと考えております。
 それから、6の「貧困の連鎖」の防止の取組みについてでございますが、子どもや若者が生活困窮に陥らないように今後、重点を置いて広く施策を実施していくことが必要と考えております。
 右側には、「生活保護制度の見直し」の「検討を進める事項」として掲げられました5項目についての論点を示しましたが、1点目の基準の見直しについては生活保護基準部会で検討が行われているところでございます。
 2点目の「指導等の強化」には、調査への回答を義務付けることや、回答を拒否する者への罰則が不可欠であるということ、不正受給を行った者への罰則の強化も必要というふうに指定都市市長会では考えております。
 3点目の「「脱却インセンティブ」の強化」でありますが、これは家計指導や保護の脱却後のフォローアップが掲げられているところでありますが、現状のケースワーカーには実施が難しく、また、生活保護から脱却した方にとってはケースワーカーとの関わりが心理的な負担となるということも考えられまして、民間事業者への委託などの検討が必要だと考えております。
 4点目の「ハローワークと一体となった就労支援の抜本強化」についてでございますが、就労可能な被保護者に対しまして早期かつ集中的な支援が有効であり、ハローワークと福祉事務所の情報共有と、求人端末の設置等の仕組みのさらなる推進が必要だと考えております。
 5点目の「高齢者や障害者などに対する社会的自立の促進」についてでありますが、「生活支援戦略」中間まとめの基本認識にございます高齢者世帯の増加への対応として、社会的自立だけではなく抜本的な制度改革が必要だと考えているところであります。
 以上、「生活支援戦略」中間まとめに関する地方自治体から見た論点を御説明いたしましたけれども、札幌市の保護動向に触れながら、もう少し詳しく御説明申し上げたいと思います。
 資料の4ページで、「生活保護の動向」をご覧いただきたいと思います。札幌市の保護動向でございます。被保護世帯は、この10年間で1.8倍に増加をしております。特にその他世帯の増加が著しくて、この10年間で3.2倍、この5年間だけでも1.9倍に増加をしておりまして、働く能力がありながら生活保護を受給する方への就労自立に向けた積極的な支援がより重要な課題となっていることが示されていると思います。
 次に、資料の5ページをご覧ください。札幌市の「生活保護費の推移」を示したものでありますが、被保護世帯数の増加に伴い、この費用、経費が増大をしておりまして、財政を極めて圧迫しているという状況を示すものであります。また、平成23年度決算見込みにおきます医療扶助は567億円でございまして、生活保護費の半分近く、46.3%を占めております。
 ケースワーカー数の推移につきましては、毎年ケースワーカーの増員を行っておりますけれども、一人当たりの担当世帯数が増加をしておりまして、ケースワーカーの配置が追いついていない状況となっているところであります。特に、その他世帯への訪問調査活動や指導援助業務の増加というものがケースワーカーの負担となっているところでございます。こうした生活保護の動向は、各指定都市、大都市、皆同じ状況にあるというふうに我々は認識をしているところであります。
 資料の6ページ目をご覧ください。「第2のセーフティネットに関する問題」であります。現行、第2のセーフティネットとして「求職者支援制度」と「住宅手当」がございますけれども、求職者支援制度と住宅手当は併給できないということになっておりまして、支給額が全体の生活保護基準よりも低いために、求職者支援制度の給付を受け、足りない部分は生活保護を受ける方がいるなど、第2のセーフティネットとして機能しているとは言い難いという面がございます。働く能力のある方が生活保護に至らず自立できるように、給付水準の確保と合わせて就労・自立支援と一体となって機能する制度としていく必要があると、このように考えております。
 資料の7ページをご覧ください。調査権限の強化についてであります。現在、資産と収入に関する事項に限られている地方自治体の調査権限を求職活動等にも拡大するということが検討されておりますけれども、調査項目や対象を拡大しても、これに対する回答が得られなければ全く意味がございません。回答の義務付けと、正当な理由がなく回答を拒否するという場合の罰則規定が必要だと考えているものであります。
 また、調査結果についての措置が適切に講じられていなければ、不正受給の抑止にはなりません。不正受給を行った者に対する罰則の強化に加えまして、罰則の適用に当たっては警察との連携など、実効性の確保が必要と考えております。
 「医療扶助の適正化について」でありますが、医療機関の指定や指導の見直しが検討されておりますけれども、医療機関の指定について申し上げますと、例えばある医療機関が健康保険法の保険医療機関として取消しを受けても、これとは別に生活保護法での取消しを受けなければ、生活保護の指定医療機関としての被保護者への診療が可能であるということになっておりますが、生活保護の指定取消の要件が明確ではありません。したがいまして、保護の指定医療機関に健康保険法をみなし適用すること、または取消要件の明確化が必要であると考えております。
 また、指定医療機関への指導に当たっては医療にかかる専門的な知識が不可欠でありますが、地方自治体のみでは指導に当たる医師を確保することが困難なために、十分な指導ができるとは言い難い状況にございます。地方厚生局の協力で指導体制を強化することができるのではないかと考えているところであります。
 次の資料の8ページをご覧ください。札幌市の就労支援状況を御紹介いたします。平成22年度は10区ございますが、2区、北区と白石区について集計をいたしました。支援を開始いたしました208件のうち124件が就労に至っておりまして、そのうち20件は保護廃止となる就職に結び付いております。就職に至った124件につきましては、支援開始から就労が決まるまでの期間に着目をいたしますと、支援開始後、平均して約2か月という短い期間で就職ができていること、そして支援の開始時期が保護の開始から早い方が、より早期の就職に結び付いているということがわかります。
 また、就職により、保護の廃止に至ったものの7割は、保護開始後1年以内に就労支援を開始したケースであることからも、生活保護受給者に対する早期の就労支援体制の重要性ということが御理解いただけるのではないかと思います。
 資料の9ページをご覧ください。より効果的な就労支援を進めていくに当たってのハローワークと一体となった支援体制の案を示しております。ハローワークが持っております求職状況などの情報と、福祉事務所が持っております生活保護状況などの情報を共有するということで、早期に就労可能な方に対してそれぞれが対象者の状況に応じた的確な支援を行うことができる効果があります。窓口の一体化だけではなくて、情報共有を核とする一体型の支援の取組みを更に進めるべきだと考えるものであります。
 また、早期に就労・自立が困難な方についてはボランティア活動への参加、中間的就労の場への参加といった支援をNPOや社会福祉法人等へ委託をすることで、福祉事務所とハローワークの資源を早期に就労・自立可能な方へ集中することができるものと考えております。
 最後に、10ページをご覧ください。「生活支援戦略」に対する指定都市市長会意見について御説明いたします。意見としては、大きく3点ございます。
 1点目は、「生活困窮者支援体系の確立について」ということであります。セーフティネット機能の十分な整備については、働く能力のある方は生活保護制度ではなく、雇用・労働施策の中で自立できる仕組みにするべきであります。「生活支援戦略」中間まとめで示された、貸付けと居住の確保などを柱といたしますセーフティネットでは、生活困窮者への貸付けが自立後の返済による再困窮の原因となるおそれがあることなどから、セーフティネットとして不十分と考えております。
 このために、第2のセーフティネットとして、生活保護と同等以上の給付水準の確保、ハローワークによる就労支援や住居の確保と、民間事業者による家計再構築、再建等の支援というものが一体となった実効性のある制度の構築というものが必要と考えるところであります。
 次に「「貧困の連鎖」の防止のための取組について」でありますが、生活困窮、孤立状況にある、またはそのおそれのある子ども、若者は貧困の連鎖に陥るリスクが高く、その世代に対する支援は非常に重要であると考えております。養育相談や学習支援などは生活保護受給家庭に限らず実施するべきでございまして、十分な場所を設置する必要があります。
 次のページに続きますけれども、就労支援については孤立状態から就労に至るまでの継続的・段階的な支援、マンパワーの確保、支援メニューの充実が必要と考えるところであります。
 大きな2点目でございます。「生活保護制度の見直しについて」でございますが、4点ほどございます。
 1点目の「地方自治体の調査権限等の強化」については、回答の義務付けと回答を拒否する場合の罰則や不正受給の告発など、警察との協力・連携体制の強化が必要であります。
 なお、これに関連いたしまして、指定都市市長会といたしましては、不正受給の返還金については最低限度の生活の維持に支障のない程度において保護費から差し引くということを可能にするように求めております。
 2点目の「医療扶助の適正化」についてでありますが、医療機関の指導に当たり、医療機関の指定の在り方の見直し、あるいは医療機関への指導を国と地方が協力して行う仕組みの導入等が必要ということ。そして、最低生活を保障した上での医療費の一部、自己負担ということも検討してもよいのではないかと考えております。
 3点目、「ハローワークと一体となった就労支援の抜本強化」でございますが、ハローワークと福祉事務所の情報共有、福祉事務所への求人端末の設置等の取組みを進める必要があるということです。
 4点目、「増加する高齢者世帯への対応」についてでありますが、社会的自立の促進だけではなくて経済的な自立も含めた抜本的な制度改革が必須でありまして、従来から指定都市市長会が提案しております「年金制度と整合する新たな生活保障制度」の検討というものが必要であると考えております。
 なお、高齢者や障がい者などの社会的自立への促進は、生活保護受給者に限らず重要な支援と考えております。
 大きな3点目でありますが、「実施体制の整備について」であります。生活困窮者の支援におきまして、生活困窮者の早期把握、そして伴走型の支援体制の構築などの強化は重要でありますけれども、現場のケースワーカーの負担というのは本当にこの急増する被保護者への対応によって既に過重な状況になっております。このため、これらの実施に当たっては、民間事業者への委託や嘱託職員の拡充等、現場の負担を増加させない方法によることが必要である。また、民間事業者は重要な役割を担うものでありまして、協働による支援を維持できる制度としていかなければならないと考えております。
 なお、これらの生活困窮者支援のための委託料や報酬等の費用については、全額国庫負担とするべきものと考えます。
 以上が、「「生活支援戦略」中間まとめに対する指定都市市長会意見」であります。
 最後に、生活支援戦略について、イギリスの1997年から2007年までの、いわゆるブレア政権における政策を参考に、思うところを若干述べさせていただきたいと思います。
 ブレア政権は、可能な限り人的資本に投資するという原則から、福祉から就労へという考え方で、福祉手当の受動的な受給から、教育訓練や職業訓練を行って失業者の就業能力を高めていく政策、人を育てていく政策を取りまして効果を上げたと言われております。
 具体的には、福祉のニューディール政策の若年・失業者プログラムでは、失業者は福祉手当の給付事務所と職業安定所が合体したジョブセンタープラスにおいて、同一のパーソナルアドバイザーと最長4か月間、面談しながら求職活動を行い、パーソナルアドバイザーは、失業者へ多岐にわたる支援を行っておりました。
 職業訓練につきましては、民間ボランティア団体などが参加をいたしまして、そのまま雇用をされる者も多く、失業者と企業を結びつける場ということにもなりました。
 また、政府とボランタリーセクターとのパートナーシップによって社会的な課題の解決を図り、貧困地域等におけるきめ細かなサービスによりコミュニティ再生を図っていくという観点から、社会的な企業に対する金融支援などを行いました。
 今回の「生活支援戦略」においても、可能な限り人的資本に投資をするという考え方は特に重要だと考えております。生活困窮者へのパーソナルな支援の徹底、職業訓練に豊富なメニューを盛り込み、その人にマッチさせて提供すること、その支援の担い手となるNPO等、民間事業者の人材育成、組織経営の助言、指導についての議論が、より必要ではないかと考えます。
 また、人的資本を活かすための体制、環境の整備というものも必要でありまして、第2のセーフティネットの給付水準を十分なものとし、ジョブセンタープラスのようなハローワークにおける給付と就労支援の完全な一体的制度、そしてNPO等民間事業者などの委託費等の充実、研修研究制度の整備など、更に検討すべきだと考えているところでございます。
 私からは、以上でございます。時間をオーバーしましたことをお詫び申し上げます。御静聴ありがとうございました。

○宮本部会長
 上田委員、ありがとうございました。
 それでは、最後になりますけれども、藤巻委員、お願いできますでしょうか。

○藤巻委員
 渡辺パイプ株式会社の藤巻と申します。このような機会を与えていただきましたことを、大変ありがたく思っております。
 スクリーンに書いてございますように、私どもは若年者の採用活動に苦労しておりますが、その事例を通して、今回のテーマである中間的就労を考えてみたいと思います。
 大変恐縮ですが、最初に少し企業PRをさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 私どもは、人間で言いますと満60歳を迎える会社でございます。本社は、中央区築地にございます。年商は、渡辺パイプ単体で約1,600億円、グループを入れますと1,700億円です。従業員数が単体で2,200名、グループを入れますと2,600名、これは今年の3月の実績でございます。
 どういったビジネスをしているかと申しますと、3ページ目になりますが、私は友人達から渡辺パイプと言うとたばこのパイプを作っている会社かとよく言われますが、当社は水が通るパイプを販売することから創業したため、それがずっと渡辺パイプという社名に残っています。なお、現在は大きく2つの事業の顔がございます。
 皆様方のお近くの水道工事店や電気工事店、あるいはリフォーム店、工務店等々に、メーカーから仕入れた商品を納入する。これが1つの顔です。
 それから2番目の顔ですが、最近は健康志向ということで1年中トマトだとかキュウリといった野菜が食べられるわけですけれども、そういう野菜をつくるハウス、あるいはその中の養液栽培システム等々のソフトを含めて、渡辺パイプのブランドとして販売しております。
 4ページ以降は、写真が中心なので手早く進めますが、こんな商品を扱っていますことをご覧いただければありがたいと思います。
 5ページ目は、地下に埋める管材です。
 6ページは、身近な、例えばトイレのウォシュレットですとか、システムキッチンですとか、ユニットバス等々の住宅設備や建材等です。
 7パージは、先ほど申し上げました通年野菜をつくるハウスそのものの設計、あるいはこの中での養液栽培システム等々を販売・製作をしております。
 8、9ページですが、熱帯植物相当のハウスの設計、施行もやっております。
 10ページは、ハウスの中でのトマトの栽培風景です。
 11ページですが、北は旭川から南は沖縄まで、全国で約330か所のネットワークを持っております。雑駁ですけれども、以上のようなビジネスをやっている会社でございます。
 次に本題ですが、当社は中期3か年計画で、来年度の業績を2,000億円を目標としており、積極的な経営展開をしているため、大卒、新卒につきましては、大体毎年40名から50名の採用をしております。
 ただ、この新卒の採用につきましては大変苦労しています。今は大学全入時代とは言え、学生は、大学を出たのでやはり大企業に行きたいというような傾向が非常に強く、また極端な例ですが、親御さんの中にも、子どもが渡辺パイプに内定したと言っても、その渡辺パイプというのは何をやっている会社か知らないから、そこはやめておきなさいと言われるような例もあり、人材の確保に大変苦労しております。
 したがいまして、いわゆる大企業が採用活動を終わったところから、私どもは本格的な採用を行うことになり、ほとんど通年で採用活動をやっているのが実態でございます。
 このように新卒採用に非常に苦労している中で、中途採用も積極的にやっています。特に若年者の中途採用につきましては、ジョブ・カード制度を活用してみようということで、活用状況を詳しく説明させていただきたいと思います。
 なお、12ページ(3)の秋採用は、今年から初めてトライするもので、既に学校を卒業してたまたま就職する機会に恵まれなかった方、あるいは卒業後、一旦就職をしたけれども、ミスマッチング等々によって会社を辞めた方、あるいは転職を考えている方を対象に、現在インターネットで募集している最中ですが、9月に説明会を開催して、何とかいい人材を確保したいと考えております。
 若年者の採用活動につきましては以上、新卒の採用、中途採用、秋採用と、この大きく3つで進めております。
 今日のテーマであります中途採用のジョブ・カード制度について、13ページから説明をさせていただきます。
 ジョブ・カード制度は、御存じない方も中にはいらっしゃるかもしれませんけれども、資料に「ジョブ・カード制度は、広く求職者等を対象に、ジョブ・カードを活用したキャリアコンサルティングや職業能力評価までを含めた職業訓練」と書いていますが、要は就業経験のない方あるいは経験の少ない方を職業訓練を通じて正社員登用にまで持っていく機会を設けようとする制度と考えていただいて結構だと思います。
 ですから、ある会社に就職されて正社員を経験されたという方も勿論含むわけですけれども、短期間で辞めてしまった。あるいは、長期のフリーターだとか、そういった方を対象に職業訓練をして、その職業訓練をベースに正社員に登用していこうという求職者支援制度と御理解いただければ結構だと思います。
 13ページ真ん中の絵のところになりますが、職業訓練の部分について国から助成を受けて、私ども民間企業が実施することで、求職者と企業のお互いのニーズが合えば採用という制度でございます。
 次の14ぺージに、更に詳しく書いてございます。この制度にはいろいろございまして、私どもが実際にやらせていただいたのは一番上にある雇用型訓練のうち有期実習型訓練を活用しました。この制度では有期雇用の形態で、私どもが3か月~6か月の訓練を行います。その際、その訓練に要した費用を国が助成する制度ですが、これは非常にいい制度と思います。16ページをお願いします。
 私どもがこのジョブ・カード制度を活用させていただいたのは16ページ(1)にございますように、新しい営業業態の開発、具体的に言いますとリフォーム店や工務店と新規の取引をする全く新しいビジネスモデルになるため、営業社員の増員が急務でした。現在も、これが経営課題になっております。
 ついては、新卒採用でも四苦八苦している中で、なかなか人材確保が難しい。そこで、このジョブ・カード制度を利用すると、若い方を採用できるのと、なおかつ若い方の職業訓練に要した費用について、人件費の7割を助成していただけるならば、会社にとっても非常にコスト軽減になることから、制度を利用させていただきました。
 申し訳ありませんが、15ページに戻っていただきたいと思います。これが、私どもが利用させていただきました雇用型訓練(有期実習型訓練)ですが、上段に書いてあるように、新たにフリーター等、つまり就業経験のない方、あるいは少ない方を雇い入れ、私どもが3か月間職業訓練を行って、終わった後にお互いにどうでしたかと、渡辺パイプはいい会社ですねという方がいらっしゃれば私どもの会社に入っていただくこともできる制度です。
 中には、渡辺パイプには入社したくありませんという方も勿論いらっしゃるわけで、そういう方は、評価シートに、私どもが研修の評価をさせていただくとともに、受けた方も自己評価を行うことで、それが本人のキャリアップにつながって、他社の就職活動へ有利な条件になるというような制度になるわけです。
 16ページの(2)ですが、このジョブ・カード制度を使って2回、職業訓練の受講者を募集しました。職業訓練の実施時期は、1回目が昨年の1月14日~3月10日まで、2回目が同年の2月10日~5月13日までです。下段の表に書いてございますように、受講者はそれぞれ1回目が12名、2回目が6名、このジョブ・カード制度を利用した方は1回目が5名、2回目が6名ということになります。
 表の一番右側は、ジョブ・カード制度を利用して当社に入社していただいた方で、現在何名在籍しているかという人数なんですけれども、1回目の方が1名、2回目の方が5名、在籍をしております。
 このジョブ・カード制度はいい制度なので、ハローワークに20名採用したいということで求人票を出させていただきましたが、ハローワークからの紹介が2回で計15名、充足が計10名と、ハローワークだけでは充足することはできませんでした。
 それで、1回目のこの12名については、民間の人材紹介会社からの紹介もございました。
 次の17ページで詳しく説明をさせていただきますが、この職業訓練をするには事前にどんな訓練をするか等々の細かい訓練カリキュラムを提出しなければいけませんが、1回目の時は、すぐに人が集まらなかったため、実施期間の延期なども行いました。
 2回目は最初から人材紹介会社にも求人を出し、ジョブ・カード制度に興味がある方については、ハローワークでキャリア・コンサルティングを受けていただき、ジョブ・カードを交付していただいたのが実態です。
 それで、16ページの表で、現在在職のところに1名、5名とありますが、実は1回目はほとんど就業体験が少ない方でした。ジョブ・カード制度の利用者が5名で、1名残っておられますので、約2割の方が残ったと言えます。逆に言うと、8割の方が1年以内で退職されています。一方、2回目は、制度の利用者6名のうち5名残っていますが、この方達は、民間の会社で正社員の経験もある方です。
 何が言いたいかと申しますと、1回目の方は就業体験がほとんどないアルバイト、長期アルバイト、フリーターの方がほとんどでした。したがって、在職率が非常に低いということです。2回目のときは正社員の経験もある方、例えば1年だとか、あるいは半年だとか短期間であったとしても、非常に離職率が低い。2回だけの経験ですけれども、そんなことがはっきりこの2つの事例から言えるかというような気がしております。
 次の17ページを見ていただきたいのですが、ジョブ・カード制度を利用させていただいて、この制度のメリット・デメリットということで整理をさせていただきました。メリットといたしましては、訓練生が3か月間の就業体験を終わった後に当社、渡辺パイプに就職するのか、しないのか、自分の判断で決められるわけですけれども、実際の就労体験を通じてそういう判断が可能であるというのは非常に大きなメリットだと思います。
 それから2番目の黒ポツですけれども、仮に私どもに就職をされなくても、この3か月間の職業訓練体験を活かして他社への就職活動がプラスに活かせるということも大きなメリットだと感じました。
 それから3つ目でございますが、これも私どもにとっての大きなメリットと感じましたが、私どもにとりましては3か月間のいわゆるお見合い期間を通じて採用の可否を判断できますので、相手の方も渡辺パイプはいいですねと言っていただき、私どもも是非そう言ってくれるのであればうちにきていただきたいというようなことで、会社を十分理解した上で入社してくれますので、非常に良い制度だと感じました。
 メリットの最後になりますけれども、職業訓練にかかった費用について国から助成があります。具体的には、訓練生の期間中の人件費の7割、それからそれにかかるテキスト代の製作費等々の助成がいただけますので、これは非常に経費的、コスト的には、企業にとって大変ありがたい制度だと思っております。
 一方、デメリットもあるということでそこに書かせていただきましたけれども、まず1番目のデメリットは先ほどの表で申し上げましたようにやはり未習熟者、長期アルバイト、フリーターの方で働く意識が弱い方の定着率は非常に低いというのは感じました。
 それから、これはちょっと今日この場では申し上げにくいのですが、まず教育訓練定義が厳しくて、助成金の支給もあるので当然と言えば当然ですが、非常に事務作業が煩雑です。教育訓練定義が厳しい例としては、3か月間の内、1か月半は座学となり、残りの1か月半は現場での就業ということになりますが、現場で1人でこの仕事を覚えてねというのは訓練の対象になりません。8時間、絶えずだれかが1人マンツーマンでついていて教えることが最低の条件です。ですから、私どもの会社でもそこまでの人的余裕もなかなかなく、かなり訓練の定義が厳しいなということが正直ございます。
 それから、助成金をいただくので事務作業が煩雑というのは当然のことだと思いますけれども、カリキュラムをきめ細かく決め、助成金の支給申請をするのに勤怠表や賃金台帳等々も全部提出をしなければなりませんので、かなりこの制度を利用するのは、例えばですけれども、私どもよりももっと小さな会社はなかなか難しいんじゃないかというふうに正直思いました。人的余裕がないと、なかなかこの制度は利用しにくいなと思ったのが正直なところでございます。今回はジョブ・カード制度を利用しましたが、今後継続的に利用するのはちょっとハードルが厳しいというのが結論でございます。
 次に、18ページです。今の事例も踏まえて中間的就労の課題というのを考えてみました。当然、企業ですので競争力、生産性の向上が大前提になるわけですけれども、一方で最近はどの会社もそうだと思いますが、人口の減少等々で非常にマーケットが縮小していまして、私どものビジネスも非常に厳しい環境でございます。
 そんな中で、中間的就労という言葉の定義付けをまだ私も十分理解しておりませんが、やはり就労に当たっては、働く意識、生活習慣等々が全く一般就労の方とは違うという認識をしておりますので、社会人、企業人としての意識等々の改善が必要になってくると思います。しかし、そうすると、一企業でそういった指導をしていくノウハウもございませんし、そういった指導をする人たちの人員の確保も難しいと思っております。
 2番目は、労働基準法、最低賃金法等々の適用についても、例えばこういう方にも満65歳までの継続雇用を強化するのか、あるいは最低賃金法を適用する、しない等々の問題も大きな課題かと考えております。
 19ページです。今後の生活困窮者対策の検討に当たりましては、以前の部会でも申し上げましたけれども、支援対象者を明確にしていただきたい。先ほど上田市長からもございましたけれども、どういう方が本当に働きたいのか、あるいは働けるのかですね。そういったことを明確にしていただくことによって、私どもも一企業として取組み方が違ってくるのではないかと考えております。
 それから、(2)ですが、先ほど上田市長もおっしゃっていましたけれども、やはり第3のセーフティネットというのは最後のセーフティネットですから、そこに簡単に行くことはできる限り避けるべきと思っていますので、何とか第2のセーフティネットがしっかり機能していくということをやらなければいけないと思うのですが、その求職者支援制度等々も含めて既存の制度が本当にどんな効果を上げてどんな課題があるのか等々、十分検証をした上で新たな制度を構築していくべきではないかと思っております。
 「その他」については、先ほどとちょっと重複しますので割愛をさせていただいて次の20ページになります。
 先ほど申し上げましたとおり、支援対象者の明確化がやはり急務であろうと思います。どんな方が本当に働きたいと思っているのか、働けるのかです。こういったところを明確にしていただくことによって、我々一企業も取組み方が具体的に明確になってくると考えております。
 最後の21ページです。これも繰り返しますけれども、第3のセーフティネットはできる限り使わない方が良いものなので、何とか第2のセーフティネットで生活保護受給者にさせないことが一番の重要課題だと思っております。そこで、民間の一企業としても当然社会的責任があるわけですから、具体的な方策に少しでも貢献をしていければと考えております。
 時間をオーバーして大変申し訳ありません。以上でございます。ありがとうございました。

○宮本部会長
 藤巻委員、ありがとうございました。
 ジョブ・カードの活用ということで厚労省も一緒に喜んだかもしれませんけれども、結果的には耳の痛い話の方が多かったかもしれません。
 それでは、質疑応答、意見交換に入っていきたいと思います。時間もやや押していますけれども、どなたからでも結構です。よろしくお願いをいたします。
 では、小杉委員どうぞ。

○小杉委員
 ジョブ・カードの話が出ましたので、藤巻委員に御質問させていただきたいと思います。
 趣旨としては、最初の第1回目の方の場合には経験が余りにもない方だったので、企業訓練に大変苦労をして結果的には定着もうまくいかなかった。第2回目の場合には、正社員経験もある程度あって下地ができ上がった人だったので、うまく効果を発揮して定着されているというふうに受け止めました。
 そうすると、今回のテーマである中間的就労が必要な方々というのは多分、最初の第1回で採用された方々、あるいはそれ以上に就業経験の少ない方という可能性が非常に高いわけですけれども、そういう方の場合に18ページの方ではそれ以前の生活習慣の改善、社会人・企業人としての訓練、まずこれをクリアしなければ企業として採用して訓練するというのはちょっと難しいというようなお話なのでしょうか。

○藤巻委員
 全くおっしゃったように、1回目と2回目の現在の在職を出させていただいたのはそこです。小杉委員がおっしゃったように、第1回目はそういう長期フリーターの方たちで非常に離職率が高かったものですから、中間的就労を進めるには、そこをどうするかということが問題だと思うんですね。まさしくおっしゃったとおりだと私も考えています。

○小杉委員
 今回は3か月の訓練でしたが、例えばこの訓練期間を長くする形で対応すればもうちょっと違うのか、あるいはやはりこの企業の中ではないところで別の訓練をしてこなければ無理だという感じなんでしょうか。

○藤巻委員
 それはやってみないと何とも申し上げられませんが、ただ、民間企業としてこれ以上長い期間、例えば半年や1年というのは正直申し上げてちょっと難しいです。人的な問題等々も含めて、そういうふうに考えています。

○宮本部会長
 それは生活態度なのか、ある程度でき上がっている人材でないとやはり制度の中で受け付けるのは企業としては厳しいという御趣旨ですか。

○藤巻委員
 正直申し上げまして、そうです。

○宮本部会長
 小杉委員、よろしいですか。

○小杉委員
 ついでにマイクをいただいたので一言だけ、ジョブ・カード制度を今、実際にされているのは実は30人以下の中小企業がほとんどで、そこではジョブ・カードセンターというのが大変大きな役割を果たしていて、事務作業は大変なんですが、そういうところが果たしていますので、中小企業で十分やっている事業だということも御理解いただければと思います。

○藤巻委員
 承知しました。

○宮本部会長
 ほかにいかがでしょうか。
 では、駒村委員どうぞ。

○駒村委員
 最初にジョブ・カードの議論があったので、これは事務局側に資料をまたお願いしたいことなんですけれども、藤巻さんの資料の15ページでも「能力評価の実施」と書いてあるんですが、これを行ってジョブ・カードに記録をしていくわけですね。この記録はどのように活用をしているのかということが知りたいのと、それからその定着効果とか就職効果みたいなものはどういうふうに測定をして把握しているのかというのをオールジャパンで知りたいと思います。
 前半のところは、ドイツのジョブ・センターに行ったときに現物は見せてもらわなかったんですけれども、さまざまなトレーニングの記録をデータベースで管理しているということをドイツはやっているようなので、日本はそういう求職者支援制度、ジョブ・カード等々で行っている過去の訓練やそれに対する評価はどういうふうに個人別に管理して、それを就職紹介のときに使っているのかということを教えていただきたいと思います。これが1つ、事務方であります。
 それから、石委員に大変興味深いお話だったので質問させていただきたいんですけれども、19ページにある車のそういう利用についてどうお考えか、メリット、デメリットはあると思うんですね。なかなかこの地域住民の中でもそれに対する評価はあると思うので、ここについてもしあればと思います。
 それから、上田委員のお話の中でも面白い数字が出ておりまして、上田委員の8ページの1年以内に就労支援を開始したケースと、それ以降に開始したケースが効果が違うということなんですけれども、2つ可能性がありまして、1つは就労意欲というのがある種、時間とともに低下をしていってしまう。したがって、早くサポートしてあげた方が早く就職にたどり着くという可能性と、それから就労阻害要因そのものが2つのグループで違いがあって、阻害要因が重たいグループだからこそ開始に時間がかかってしまって結果的に就職に時間がかかってしまったのか。この辺は、どういうふうに見られているかを教えていただきたいと思います。

○宮本部会長
 ありがとうございました。どういう順番でいきましょうか。
 それでは、最初に能力開発局からお願いします。

○浅野職業能力開発局キャリア形成支援室長
 駒村委員がおっしゃった、どのように評価をしているかということなんですけれども、まず訓練をしているところにおいて訓練の具体的内容等に応じて評価すべき項目というものがございまして、それに基づいて評価をいただいているという形でございます。
 それから、どのように活用しているかということですが、ジョブ・カードの場合はジョブ・カードを活用したキャリア・コンサルタンティングというのが一つの大きな特徴でございますけれども、キャリア・コンサルティングを行う際に、その人がどういう訓練を受けてどういったような力が身に付いたのかといったようなこと、それからその中でどのようなことを学んだのかといったようなことを把握するわけですけれども、その際に活用しております。
 更に、ジョブ・カードの活用にあたり、これを企業が就職面接において、応募者の詳細な情報を得るための資料として使うというようなこともございますけれども、そういった際にも活用するということでございますが、では具体的にどんなふうに評価しているのかといったようなことは、こうやって申し上げているだけではなかなかぴんとこないところがあろうかと思いますので、具体的なものについては次回お示しをさせていただけたらと思います。よろしいでしょうか。

○宮本部会長
 よろしいですか。
 それでは、石委員の方からお願いします。

○石委員
 車の所有の件の質問でありますが、実は申し上げましたように我々の鳥取県西部地域の中では鉄道というのは山陰線がありますが、従来は路線バスで生活圏域がカバーされてきました。その路線バスの本数も今では少なくなっておりまして病院等にもなかなか行きづらい状況があります。それぞれの町村では、デマンドバスのようなこともやっていらっしゃるわけであります。
 そういう中では、ハローワークに行くにしても、この鳥取県の地図の中で西の町村で例を挙げて申し訳ないですけれども、日南町でありますが、行政の職員がそれぞれの自治会を周っても1日で周れないというような地域でありますので、日南町の住民さんがハローワークに行こうと思えば日野町まで行かなければならないということがありますので、やはり車の所有がないと求職活動もできません。
 それから、我が村にイオンがあるということを言いましたけれども、ここは本当にパートの職員さんが多いんですが、ここのパートの職員さんもすべてマイカーで来ていらっしゃるということであります。
 そういう意味では、鳥取県は軽自動車の普及率が非常に高いということもデータとしてあると思いますけれども、外車を持てということではありませんので、それでも最低限、屋根の付いた箱のある自動車でないと雪も降りますし、雨も降りますし、オートバイで行けるかということもありますが、やはりその程度の車は必要ではないか。
 求職活動をするにしても、日常生活においても、いわゆる勤務地に通うにしても、その程度の最低限のものがないと無理かなということであります。そういうようなことでございましょうか。

○宮本部会長
 それでは、上田市長お願いします。

○上田委員
 御質問で、支援と就業の間の期間の長短はどこが主たる原因かということなんですが、やはり体験的には就労意欲の問題というものが非常に大きな要因になっているというふうに我々は考えております。
 阻害要因につきましてはいろいろな要因がありますので、トータルでこれだというふうにはなかなか言えないというのが現状かと私どもは考えているところでございます。

○宮本部会長
 それでは、今お3方、挙がっていますので、そこで打ち止めにさせていただきたきます。
 それでは、広田委員どうぞ。

○広田委員
 日本のニュースを見たり、こういうお2人の話を聞いていると、日本はどうなるのか。私自身もどうなるのかと、足の小指を骨折して車いすで今日来たんですけれど。
 さっき村のお話を伺っていて、共に支え合う、こういうのがたまに出てくるとほっとするんです。私は家の玄関を開けておくだけで子どもが、10数人うちに遊びにきているんですね。その子どもたちがこの間、私の髪の毛を一生懸命とかしてくれているから喜んでいたら、口紅を私の頭に塗ったんです。それで、子どもが翌日来たときに、「何で塗ったの」と聞いたら、「広田さんの髪をきれいにしたかった」と、何事も理由があるんですね。「私は貧乏人だから105円の口紅だからよかったけれど、これが3,000円の口紅だったら大変だったのよ」と子供たちに言いましたが。
 こういうふうに家を開けておくだけでコミュニティができて、結果的に自殺未遂者などもサポートしていますから、自殺未遂者に「車いす子を借りてきて」という電話をしたら、そのときは都合が悪かったけれど、「何かやりますか」という電話があって、「お花に水をやって」とお願いして、昨日からお花の水やりをしてくれています。今、彼は働きに行っていますけれど、ここに地域ケアシステムと書いてありますが、こういうふうにシステムにしなければいけないのか。
 例えば、10数人の子どもが遊びにきたり、電車の中だろうとどこだろうとあっちこっちで子どもと話します。今、この国の最大の問題になっている子どものいじめで大騒ぎしているけれど、「あれはどこでもこの十数年間続いている」そうです。例えばハッピーバースデイ・トゥー・ユーというのを、死ねとか、うざいとか、きもいという手話をしながら歌っているんですよ。「死んじゃったらどうするの」と聞くと、「死なない子にやっている」。
 これは、学校の先生も親もあまり知らないんですね。これがずっと継続しているから、大津の問題は分からないけれど、あそこだけの問題ではなくて、多くの子どもが大人が知らないところでやっている。そういう問題は大人の世界で、例えばここの部会で発言するとここで反論されます。でも、精神などだと終わってから場外で言われたり、「または広田さんが」と、遠方で陰でごそごそやっているんです。
 そういう大人の不健全な日本社会、それが子どもの社会に波及している。今日はすてきな副大臣、仲のいい津田さんも見えていますけれど、大人が今、問われている。この国の子どもの問題は、大人がきちんと健全に民主的に表で話す。「あの人は」ではなくて、「あなたは」という主語で話さない限り変わっていかないということ。是非このコミュニティという、システムにしなくても家のドアを開けておくだけでいいんじゃないか。何でもシステム化してがちがちにすることによって、逆に排除すると思います。
 それから、車は是非必要だと思います。私も仕事で全国に伺いますけれど、そのときに私のように地下鉄まで4分、でも今日は車いすなのでタクシーできたとか、そういうところばかりではないですね。バスもない。そういうところもあります。生活保護制度でも御当地ソングで、ぜい沢ではないけれど、その物がなければ生活ができないということを各地域が出して、国がそれをそうねというふうな形で、日本全体が共有化して、確かに、都会が甘んじてこういうふうに受けている恩恵がいろいろなところでしわ寄せさせている。、今もタクシーの運転手さんが「原発の問題も大事だけれど、やはり自動販売機のたばこなんか要らない。そういうところから一人ひとりの国民が考えたいね」と言っていました。このコミュニティのシステムをなぜつくらなければいけないのかということです。
 それから上田市長に、ここに来ていると絶えずケースワーカーは大変という話が出るんですけれど、私は今の時代大変じゃなく生きている人の方が少ないと思うんです。

○宮本部会長
 すみません。広田委員には、いつも私だけと言われてしまうんですけれども、ポイントを絞っていただいて、時間もかなり押していますので。

○広田委員
 実は、余りにもケースワーカーが大変と言い過ぎると思うんです。タクシーの運転手さんも大変だし、神奈川県警のおまわりさんも命がけだし、何が大変かを教えていただきたい。二つ目はなぜシステムをつくらなければいけないのかということを伺いたい

○宮本部会長
 すみません。いずれも大きな問題だとは思いますけれども。

○石委員
 システムという大それたことではありませんで、それは地域の力が解決していくことだと思っています。それをいかに今の課題を地域の中で理解をして進めていくのかということで、ちょうど広田委員さんからありましたように、子どもは昔はそこら辺の周辺で遊んで、地域の者が目線を配りながら育ててきた。いわゆる地域に放牧をして育てたという時代だったと思います。地域が育てる。
 そういう意味では、そういうことはできなくなりましたので、広田委員さんは自宅に近所のお子さんが14人くるということであります。そういうことが欠けてきましたので、地域の取組みの中では、自治会や公民館をフリーにしておく。従来、どこの自治会も鍵をかけておりましたけれども、どこの自治会も鍵をかけることはせずに、開けておく。子どもたちや高齢者や皆が暇なときにそこに来て、お茶を飲んで近所の話をできるような体制にしようというようなことでそういう取組みもしましたので、それらが更に和を広げ、日常のそれぞれの立場を理解しながら地域が進める地域づくりをしたいということでシステムという言い方をしております。以上です。

○宮本部会長
 上田委員、お願いします。

○上田委員
 ケースワーカーは大変、大変と言うが、皆、大変じゃないかというのは本当にそうだと思います。あらゆる仕事をされている方が今、大変な状況にあるということは私もそう思いますが、取り分けケースワーカーが近年、保護世帯が激増しているという中で、行政としてマンパワーを配置する速度が間に合わないというところがあります。今、ここの表でもお示ししておりますけれども、92.5世帯というのが一人当たりの札幌市のものであります。
 この家庭で勿論、手のかからない生活保護者、例えば御高齢で非常に規則正しく生活をされて健康にも余り問題がないというような方もおられますけれども、そうではなくて相当密度濃く接しなければならない方々もやはりおられるわけで、勿論、その配置をする際に手のかかる、かからないという言い方はちょっと恐縮ですが、濃密に接しなければならない人と、そうではない人と、組合せをやって適正に配置をしているつもりではありますけれども、それでもやはり非常に困難な事例が多々あるということで、1万4,200人ほど札幌市役所におりますが、ケースワーカーは大変だという印象を皆、持っている。非常に同情をかっている職種ということは言えるかと思います。
 ましてや、その他世帯ということになりますと、これはまさに就労支援ということをしていかなければならないということになりますと、重ねてそれをやっていくというのは非常に厳しい状況だろうと申し上げたいと思います。

○宮本部会長
 ありがとうございました。
 それでは、花井委員と宮本みち子委員、恐縮ですけれども、まず質問をお2人から出していただいてまとめてお答えいただくという形で進めたいと思います。

○花井委員
 ありがとうございました。
 私は上田委員に3点質問したいのですが、今日提出していただきました資料の11ページの2.(2)の「医療扶助の適正化」というところで、最低生活を保障した上で一部自己負担ということになっています。私は、余り自己負担を強調すると本当に必要な人が医療機関に行けないのではないかと非常に心配しています。この指定都市市長会の中で一部負担と言った場合、どの程度のことを想定されているのか。どのような議論があったのか、教えていただきたいと思います。
 また、(4)の高齢者世帯への対応のところで「年金制度と整合する新たな生活保障制度」とありますが、この年金制度といった場合、厚生年金の2階部分も含んだことを言っているのか、基礎年金のことを言っているのか。制度なのか、金額なのか、その辺も市長会での議論を教えていただきたいと思います。
 最後が3.のところで、ケースワーカーの仕事を民間事業者に委託となっておりますが、ケースワーカーの場合、公権力の行使という権限を持っているかと思います。民間事業者にどのようなことを委託したらいいのかということを市長の立場で教えていただければと思います。以上です。

○宮本部会長
 ありがとうございました。
 それでは、宮本みち子委員からお願いします。

○宮本みち子委員
 質問というか、意見ということになりますけれども、上田さんが最後の10ページから11ページのところで、「貧困の連鎖」防止のための取組みということで適切な提言をされているわけですが、特に子ども・若者の「貧困の連鎖」と就労支援に関してどうすればいいかということに関してです。
 ここに書かれているように、孤立状態から就労に至るまでの継続的・段階的な支援が不可欠であるというお話に関してですけれども、これはより突っ込んだ見解と、それから制度化がないとこれがなかなか機能しないということは、この5年間ぐらいの経験を通して感じるところであります。
 例えば、先ほど藤巻さんの方から、ジョブ・カードで最初の12名のうちの制度利用5名で、結局定着1名であった。この人たちが職歴上ほとんどアルバイト、フリーターの人たちであった。この方たちをどうするのかというのがこの会議の重要なポイントだという小杉委員からの指摘もあったんですけれども、この子ども・若者に関しましては、私も何回目かに報告させていただきましたが、例えば高校現場段階から規則正しい生活の習慣をどうつけるか。そして、その背景にあるところの家庭を含めてさまざまな困難をどうやって整理して支援するのか。それから、何らかの障がい等が疑われる生徒たちに対して、障がい者雇用などの世界の中でかなり経験豊富な蓄積のある部分が適用されないまま別世界になっている。
 その辺りのところをどうするのかということがあるように思いまして、例えば障がい者雇用に関しては職業リハビリテーションという世界がかなり専門的にあるわけですね。この辺りは障がい者雇用が今、非常に力を入れているわけで、ジョブコーチもちゃんとつくわけです。ところが、そのカテゴリーに入らない人たちは、その高度な専門的な知識や技術というものが全然適用されず、民間が手探りでやっているという状況が現在まで続いているというようなことであります。
 したがって、この11ページの4行に書かれていることというのは、もう少し障がい者雇用の世界と融合させる形でこの分野に引き入れることが必要ではないかと思います。障がい者として認定せよというような話ではなく、障がい者雇用の世界の中で必要な、つまりいろいろな意味でハンディを抱え、サポートの必要な人たちに対してどういう科学的な手法というものが効果があるのかということをもっと真剣に考える必要があって、分断された世界を統合させる必要がある。それについて、いかがでございましょうかということです。
 それからもう一つは、ブレア政権のときのニューディール・フォー・ヤングピープルの話が出ましたけれども、この若者ニューディール、それからその年齢のもう少し下のコネクションズに関しても学校を去るところから、若者の場合には6か月以上無業状態で放置してはいけないということを前提にしてEU諸国で共通に、つまり長期に放置してはいけないということですね。それを確立してやってきたと思うんですけれども、日本の今の状況では放置されるわけですね。
 それで、藤巻さんのこの2つのケースで言うならば、最初のグループは放置されたに近い方々がジョブ・カードに乗ってきたときにほとんど定着しないということではないかと思います。
 この辺りのことについて、御質問というよりもこの委員会全体の課題だと思いますけれども、上田委員のお話、藤巻委員のお話を聞きながら感じたことをちょっと申し上げさせていただきました。

○宮本部会長
 ありがとうございました。
 最後の宮本みち子委員からは基本的に御意見ということで、もし上田委員から何かレスポンスがありましたらというそのような形で、特に最初の花井委員の3つの御質問を中心にお願いします。

○上田委員
 御質問ありがとうございます。
 医療負担につきましてはかなり議論がございまして、生活保護の支給額というのは平常時の給付をするということになっておりますので、病気という異常事態が発生しているときに生活保護費から出しなさい、負担させなさいというのは、それは少し趣旨が違うんじゃないかという議論が1つございます。
 ただ、特に京都、大阪の生活保護受給者世帯が非常に多い地域の方々、都市からは、やはり医療の適正な受診といったことが乱用されているケースをどう抑えたらいいのかというふうな発想からこういうことを言っているわけでありまして、これは私どもの議論の中で額はどんなものでもいい。ただでなければいいというぐらいの程度に言われる市長が多いわけであります。
 何割とか、そういうふうなことを別にいたしまして、ただだから何件も同じ病院をたくさん回るとか、そういったことを抑制できなくなるのではないかというふうな意味合いから言っておられることから、こういう意見を申し上げることになったという結果でございます。
 それから、年金制度との一体的なと言いますか、統合、別にきちんとした制度をつくるべきであろうという意見でございますけれども、基本的には基礎年金のことを言っているというふうに御理解いただきたいと思います。厚生年金のプラス2階建ての部分が支給されている方につきましては、それほど大きな問題ではないのではないか。自立的な生活ができるというふうには思いますが、やはり基礎年金しか受給できない方々についても、これは別立てに生活保護という形で解決をするのではなくて、年金制度の中で解決をしてほしいという趣旨でございます。
 それからもう一つは、民間にどういうことを期待しているのか。公権力の行使も伴うというようなことでございまして、先ほどの宮本委員からの御質問とも重なる部分があるかと思いますけれども、やはり行政がやる仕事ということでは同じ人が継続的に寄り添っていくということは非常に難しい。人事の配置とかというようなことになりますと、なかなか厳しい状況があるだろう。それよりは、やはり民間の方々が専門的な知識、あるいは体験を集積して、そして寄り添い型の指導助言といったことをしていくことが、より効果が上がるのではないか。そういうような考え方で、この見解を述べているところでございます。

○宮本部会長
 ありがとうございました。
 まだまだ議論は尽きないと思いますけれども、ここでヒアリングについての質疑応答を一旦、打ち切らせていただきます。
 議題の2ということになりますけれども、これまで委員の皆さんからいろいろ事務局に対して御質問、御要望がございました。例えば、先ほど藤巻委員も言及されましたけれども、支援対象者のイメージ、マッピングという問題もございます。
 その辺り、今日は最終的に宿題の提出日ということにさせていただいておりましたので、事務局より御説明をお願いしたいと思います。

○熊木社会・援護局生活困窮者自立支援室長
 生活困窮者自立支援室長の熊木と申します。資料の4をご覧いただければと思います。4人から報告させていただきます。
 まず2ページ目でございますが、全体の「生活困窮者支援体系の対象者イメージ」でございます。社会的孤立と経済的な困窮ということにアタックしていくということでございますので、どういうイメージなのかという御質問でございました。そこの※印に上の方に書いてございますが、ここはあくまでも網羅的なものというよりも個別、例示というふうにご覧いただければと思いますし、または重複する部分もございますので、その点は御留意いただければと思います。
 まず社会的孤立という意味で、例えば上の2つの欄がございますけれども、いろいろな方がございます。
 ただ、対応のポイントとして少し右に書きましたが、現在でも分野別の相談機関等はございますので、多大な資源を屋上屋を架してかけるのはいかがかというような御意見にも留意しつつ、ただ、一方で複数課題を有する孤立されている方への対応が必要なのではないかということだろうと思います。具体的なイメージとしては、総合的な相談体制ですとか制度横断的な調整、つなぎということが考えられるのではないかとしてございます。
 真ん中の2つの欄は、社会的な孤立とも言えますし、経済的な困窮の芽になる方というふうにも評価できるかと思います。こうした方々に対しては、やはり今回の「生活支援戦略」の中で貧困の連鎖の防止というふうに申し上げておりますので、重点的にアウトリーチをして対応していくことが重要だろう。具体的な支援のイメージとしては、学習支援、養育支援、居場所づくり等々といったことがあるかと考えます。
 最後の下の2つの欄は経済的困窮ということで、生活保護の中でも就労可能な方もいらっしゃいますし、それから生活保護に至らないまでも経済的に困窮されている方がいらっしゃるということでございます。こうした方々に対しては、特に就労可能な方に対しての自立支援をきちんとやっていくということで就労支援、あるいは先ほど来から話が出ておりますが、第2のセーフティネットのところをきちんとするということで、貸付け、家計相談、居住の確保といったことが支援のイメージとして考えられるとしております。以上です。

○畑職業安定局派遣・有期雇用対策部就労支援室長
 次のページ以降、職業安定局就労支援室の畑の方から説明させていただきます。
 ページを1枚おめくりいただきまして、3ページの方になります。こちらでは、就労支援の対象となります生活困窮者の規模や、就労実現に当たっての課題等について整理いたしましたので御説明させていただきます。
 まず就労支援の対象者の規模ですが、先日の7月5日の「生活支援戦略」の中間まとめの参考資料の方にも数字として出させていただいていますけれども、ストック、フローを含めて少なくとも五十数万人は対象者として存在するのではないかと見込んでおります。
 まずストックベースで見ますと、現に今、生活保護を受給している者の中で、稼働年齢層で一定の就業制約のない方は約30万人と見込んでおります。そのほかに、例えば住宅手当等の他の福祉制度利用者の中でも同様の条件の方々が数万といったオーダーでいらっしゃるのではないか。メインターゲットは上の方の30万となりますと、下の方がボーダー層というふうに考えております。
 2つ目の方がフローベースというふうに整理しておりますけれども、年間で新たに生活保護を受給する者というのが大体40万人いらっしゃる。この中で、1と同様に就業制約のない方々が年間で約9万人いらっしゃるのではないかと考えております。
 同様に、それ以外に例えば福祉事務所に相談に来られてそのまま受給に至らない者や、そもそも福祉事務所にまず相談に行かれないといった層もあるのではないかと考えておりまして、こちらもこういったボーダー層も含めまして数万人のオーダーがいるのではないか。このように、ストック、フローを足し上げると、少なくとも五十数万人に上るものと推定しております。
 ただし、この五十数万人全体が、例えばハローワークを通じた一般就労という就労までは当然困難な層も一定数含まれていると考えております。
 次ページになります。2番としまして、これまでの各就労支援の実績・成果について簡単に御紹介しております。
 1つ目はハローワークでやっております事業ですが、「福祉から就労」への事業でございます。生活保護受給者の就労支援としましては平成17年度から事業に取り組んでおりますけれども、平成23年度に従来の事業をかなり拡充いたしまして、この「福祉から就労」への支援事業として創設しております。こちらは、ハローワークと各自治体の間で支援目標とか重点項目というものを具体的な協定や事業計画といった形で共有化することによりまして、従来あった連携を更に基盤を強化するといったことを踏まえて、更に生活保護受給者だけではなくて住宅手当受給者等も支援対象に加えております。
 この結果、こちらは平成23年度の実績になりますけれども、支援対象者4.5万人、就職者数2.5万人、いずれも前年度と比較しまして倍増いたしております。今年度につきましては、この実績を踏まえて更に支援対象者7万人の計画で現在取り組んでいるところでございます。
 2つ目が、「「一体的実施窓口」の取組み」でございます。こちらは、平成22年12月に国の出先機関に関しますアクションプランに基づいて、ハローワークが行っております無料の職業紹介事業と、自治体が行う各種事業を一体的に実施するという枠組みの下に行っている事業でございます。
 具体的に「一体的実施窓口」で行うというのは33の市区で現在実施しておりますけれども、このうち16の市区ではサービスの対象者というものが生保の受給者、いわゆる生活困窮者を主たる対象に位置付けているということで、本来的な事業の制度としましては自治体のニーズに基づいて対象者も選定していくという形になっておりますけれども、実態としましてはやはり自治体が最も御苦労されております生活困窮者をメインターゲットにしている事業が半数に上っているという状況です。
 3番目は「福祉事務所における就労支援」ということで、ケースワーカーによる就労支援が基本ではございますけれども、それに合わせまして福祉事務所に求職活動のための基礎的支援を行う就労支援員というものを配置しております。平成22年度の実績になりますけれども、支援対象者5.4万人に対しまして約3分の1、1.7万人に当たる方が何らかの就労増収となってございます。
 次のページでございます。こちらが就労実現に関わります主な課題といたしまして大きく2つに分けて整理しております。
 まず「主に困窮者に関わる課題」といたしまして、そもそも社会参加等に対する自信や意欲が不足しているといった課題、次にコミュニケーション能力の不足、コミュニケーションが苦手であったり、社会性そのものが少し低下しているといった問題がございます。
 3番目としまして、地域の労働市場の実態や自己理解というものが不足していることによって求職活動がうまくいかない。その結果、求職活動そのものをあきらめてしまうといったケースです。
 次が「生活環境等に起因する就労上の制約」ということで、育児・介護等の制約によって勤務日等に制約があるケースもあろうということです。
 あとは「知識、技能、資格等の不足」ということで、これに加えまして基礎的な知識レベルが低い層も存在しているのではないかと考えております。
 以上のような課題がそれぞれ単独であるわけではなく、多くの場合、複合的にこういった課題を抱えている場合が多いのではないかと考えております。
 下の方は主に事業所の受入れ側としての制約でございますが、生活保護状態にある方、そのことをもって募集、選考上ネガティブな評価をしがちというところもあるのではないか。
 2点目としまして「コミュニケーション能力等が不足する者に対するフォローの経験、指導・支援体制の不足」ということで、先ほどの発表にもございましたように事業所でのこういった体制がなかなか取り難いというところも課題としてあるのではないかということです。
 次の6ページ目でございます。では、こういった課題に対しましてどのような対処方針、拡充・見直しの方向性があるかということです。
 まず「課題」としましては上の方に整理しましたように、50万人を超える潜在的な支援対象者という大きな母数に対しまして、一般就労による就職可能と見込まれる層がかなりいるとは考えられますけれども、私どもの事業規模がまだまだ限定されている。
 あとは、札幌市のお取組みの中でも御紹介がありましたけれども、早期にアプローチすればそれだけ効果が上がるということをやはり私どもは考えておりまして、できるだけ早目、早目にアプローチしていくことが重要ではないかと考えております。
 これらを踏まえまして下の方で拡充・見直しの方向性ですが、1つ目の丸にありますように、やはり早期に支援を行うためには自治体とハローワークが一体となってサービスを提供するような仕組みが必要ではないかということを考えております。
 下からの2つ目の丸ですが、「特に」とありますけれども、能力面の課題がやはり明確な者というのはかなりいらっしゃるのではないか。特にストック層においてはいらっしゃるのではないかと思いますので、こういった層に対します能力開発や支援プログラムの整備が必要ではないか。
 最後に「さらに」ということで、一般就労に向けた中長期的なサポートを組み込んだ「中間的就労」の提供を進めることも必要と考えております。
 以下のページは参考資料でございますので、またお目通しいただければと思います。以上です。

○古川社会・援護局保護課長
 保護課の古川でございます。13ページ以降を説明させていただきます。「調剤医療費(院外処方)に占める後発医薬品薬剤費の割合」という資料でございます。
 14ページでございますが、ご覧いただきますとおり、生活保護分につきましては全国平均で7.0%、国保連・基金審査全体分で7.9%という若干の差があるという状況でございます。この7%と申しますのは、院外処方分の総額が約1,600億相当でございますので、その7%の約110億程度が後発医薬品を使用されている状況にあるというところでございます。
 次のページをご覧いただきまして、「自治体別保護率と当該自治体の国保1人あたりの保険料」という資料でございます。ご覧いただきますと、保護率が横軸で、縦軸が市町村国保一人当たりの保険料ということでございますが、かなり散らばっている感がございます。統計学的に見ますと、特段の相関関係は見られなかったというところではございます。
 ただ、若干敷衍させていただきますと、保険料ということで御指摘がございましたのでこれを整理いたしましたけれども、保険料ということになりますと、実際の一人当たりの医療費をベースに一定の調整が図られているという点もありますので、保護率と一人当たりの医療費の比較もやってみましたけれども、それも特段の大きな相関関係は見られなかったということも合わせて御報告させていただきたいと思います。
 それから、次のページでございますが、「生業扶助について」というところでございます。生業扶助は、要保護者の稼動能力を引き出し、それを助長することによって、その者の自立を図ることを目的として支給するものということでございます。具体的には、下に書いてございます「生業費」「技能修得費」「高等学校等就学費」「就職支援費」に分かれているところでございます。それぞれにつきまして、支給件数は項目の横に書かせていただきましたのでご覧をいただきたいと思います。
 例えば、2つ目の「技能修得費」というところでございますけれども、7万4,000円以内と書いてございます。対象は、生計の維持に役立つ生業に就くために必要な技能を修得する経費ということでございます。勿論、原則、直ちに自立助長に役立つ技能というのが対象になるという意味で、具体例といたしましてはホームヘルパーの資格を得るための受講料でありますとか、明らかに運転免許を取れば直ちに仕事に就けるような条件が付いている場合の運転免許の取得費用とか、ある種、限定的になっている部分があります。本来の制度の趣旨からするとそうなんだろうと思いますけれども、やや使い勝手が悪いというところはあるかもしれません。
 ちなみに、金額は7万4,000円以内と申し上げておりますけれども、免許といった場合についてはそれだけでは取得できませんので、必要な額については特別基準ということで、必要な額はお渡しするということになっているところでございます。
 いずれにいたしましても、どういう形にせよ、就労脱却自立インセンティブというものを付与するのは大事なことだという御指摘だと思っておりますので、更に考えていきたいと思っております。
 次のページにお進みいただきまして、「生活保護担当現業員の社会福祉士資格取得状況」という資料でございます。
 まず、全国別に都道府県別に整理をさせていただいたものをご覧いただきたいと思います。取得率はそれぞれ地域ごとに差がございますけれども、全国平均で見ますと右下でございますが、取得率は4.6%という状況でございます。その際に、社会福祉士配置による効果ということについての御質問をいただきました。何人かの有識者にお伺いをいたしましたところ、資格の有無による生活保護業務の質の違いや効果について研究した論文や文献というものは、恐らくないのではないかということでございました。
 また、全国の生活保護担当ケースワーカーのうち社会福祉士が占める割合は4.6%ということもありまして、業務の質とか効果に関する有効な調査というのも難しいのではないかという御指摘がございました。
 こうしたことでございましたので、定性的ではございますけれども、福祉士職採用を行って社会福祉士をケースワーカーとして一定数任用しておられる幾つかの自治体に対しまして、その特徴について聞取りを行わせていただきましたので、それを簡単に報告させていただきます。
 代表的な意見といたしましては、複数の問題を合わせ持つなど、いわゆる困難ケースを援助する際には、より福祉的な見地から優れた援助が対応できているということ。それから資格を持った職員が一定数おられるということで、福祉事務所全体における指導や処遇方針の決定によい影響を与えているというような前向きな御意見が多かったということを御報告させていただきたいと思います。
 なお、これらはあくまでも限られた範囲での聞取りということでございますので、何か一定の結論を申し上げることではないということは付記させていただきたいと思っております。

○定塚社会・援護局福祉基盤課長
 次のページ、「社会福祉士、精神保健福祉士の養成及び就業状況について」でございます。福祉基盤課長の定塚でございます。
 まず社会福祉士制度でございますが、22ページの2つ目の丸にございます。社会福祉士は名称独占の国家資格ということで、専門知識、技術で障がいあるいは日常生活を営むのに支障がある者の福祉に関する相談、助言、指導等の業務を行うものということでございます。
 次のページには国家試験の概要、またその次のページには資格取得方法がございますので、後ほどご覧ください。資格者の登録状況ですが、現在で14万6,200人となっております。
 その次の25ページは就労状況ということで、こちらのページは日本社会福祉会会員の方の就労状況をお示ししてございます。障がい者や高齢者関係施設、社会福祉協議会などでほぼ半数を占めております。また、一番下の方に福祉事務所1.9%、左の方に行政機関、またその上の方には地域包括支援センターなどもございます。
 その次のページは社会福祉士会会員ということではなくて、社会福祉士として登録しているすべての方に調査をしたデータ、少し前のものでございますが、御紹介をしてございます。調査時点で就労していない方も13%、他分野の方も15.2%という状況でございます。
 その次のページは、精神保健福祉士でございます。こちらは丸にありますとおり精神障がいの医療を受けている方、または精神障がい者の社会復帰の促進を図ることを目的とする施設を利用している方の社会復帰に関する相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うものということでございます。
 試験の概要、資格取得法等は次のページ、またその次のページにございます。
 30ページは、就労状況でございます。こちらは、精神保健福祉士登録者すべてに調査をして2割の方から回答を得たものということで、福祉・介護分野で就労している方は53%。他分野の方は35%、就労していない方は12%という状況で、左下の福祉介護分野は高齢者、障がい者等の分野が多数となっております。
 以上でございます。

○宮本部会長
 ありがとうございました。
 皆さん方からいただいた質問、御意見に対して、まとめて宿題を出していただきました。特に、最初の「生活支援戦略」の対象のマッピング、これは藤巻委員からもありましたし、私からも繰り返しお願いをしていたところでございまして、大変御苦労いただいてデータを突き合わせてつくっていただいたということで、これは大分、大きな力になるかと思ってございます。
 時間もありませんけれども、この宿題を出された当事者の委員の方を中心に何かもしあれば伺いたいと思います。

○櫛部委員
 改めてケースワーカーの現業員の資格取得の状況を見まして、先ほどの上田市長のお話と合わせるんですけれども、私はやはり200万人を、これだけいろいろ言われていますが、福祉事務所はちゃんとやっていると言いますか、私はそれを大事にしてほしい。だから、先ほどの大変だという裏返しとしては、やはり誇りを持ちたいといいますか、そういう目で評価をしていただきたいというか、その上でなお足らざる部分をNPOやさまざまな地域の皆さんとどうやっていくのかというふうに考えを立ててほしい。
 それを、何か野に放つという形でNPOに、はいどうぞというのは先ほどの石さんのお話ではありませんが、やはり地域的にどうやるのかというのは、ちょっとそういう形で見てほしいなというふうに思って、むしろ誇りというか、最後のセーフティネットですけれども、人間回復の第一歩だ、尊厳の回復の第一歩だという点でのワーカーの支えというところを大事に考えてほしいなと、逆にそう思いました。

○宮本部会長
 ありがとうございます。

○宮本みち子委員
 1つ、2枚目に大変重要な対象者イメージの表をつくっていただいたんですが、中段のところに高校中退者5万人と中高不登校15万人とありまして、この数字自体は重要なんですけれども、このカテゴリーが一人歩きすることにちょっと危惧があります。
 例えば定時制高校、それから問題が山積している普通高校の実態を見ていただくとわかりますけれども、中退者が問題なのではなく、中退者も問題ですが、在学して卒業式まで迎えている高校生に問題がないかというと、そこにも問題が山積しているわけです。
 恐らく、その生徒たちが将来的には生活困窮者層になるだろうというのが実態でありますので、やはり国でこういうカテゴリーでやりますと全部中退者と不登校問題になってしまうので、そうではないという点で、ちょっとここを御注意いただくことが重要ではないかと思います。

○宮本部会長
 ありがとうございます。
 マッピングの副作用といいますか、そこから見えなくなってしまうものもあるということで、そこはこの審議会、部会の趣旨ではございませんので、是非そこは慎重にやっていきたいと思います。よろしいでしょうか。
 それでは、勝部委員どうぞ。

○勝部委員
 私も先ほどの櫛部委員の発言とちょっと関係するんですけれども、社会福祉士を持っているパーセンテージのところとの関連で、今日の上田市長さんのお話で、やはり民間委託の問題というところがかなり今回の一つのテーマにもなってくるんだろうと思うんですけれども、前段のところでかなりこの生活保護を厳しく制限をしていくといいますか、例えば親族の回答の義務化を強制的にというふうなことですとか、相当権力を持ったようなやり方でしていくという部分をこれまでの公務員である福祉事務所がやって、寄り添い型を民間の専門性のある人たちに任せるのかみたいな議論になっていくというのも、実は厳しいことばかりは市役所の人たちがやるのかとか、その辺りのバランスの問題で、そういうことを望んでいくのかというところにちょっと難しさを感じました。
 それからもう一つ言いますと、こういう厳しいことをどんどん強制的にしていくというところが、更に先ほどの福祉事務所の職員の方々のお仕事の厳しさにつながってしまうといいますか、例えば義務化した人たちが回答しなければそれの取り立てにものすごく労力を使うとかというようなこともありますので、大変この辺りは難しいということも感じました。
 それから、今日資料で出していただきました、5ページの生活困窮者の「主に困窮者に関わる課題」というところで、かなり本人の能力とか意欲というところも書いているんですけれども、やはり疾病とか、御本人の障がいとか、そういうところは基本的なところであるはずで、こういうものがなくて皆やる気がない人というふうなイメージの書き方というのも、少しどうなのかなという感じがしました。

○宮本部会長
 ありがとうございました。市長会からの御意見と今の櫛部委員、勝部委員からの御意見ですが、いずれにせよ地域の現場でこれならばできる、やりたいというものが出てくるという点では全く一致していると思いますので、その方向で議論を詰めていきたいと思います。

○広田委員
 大変という話がほかからも出ましたけれど、市役所の中で大変と言っているんだったらそれほど大変じゃない。私はいろいろな職種の人の仕事ぶりを拝見したりお話を伺うけれど、申し訳ないですが、地方公務員の多くは大変ではないと認識しています。
 それから、本当に櫛部さんがおっしゃったとおり、ワーカーがプライドを持たないと生活保護のコンシューマーがとても傷ついているんですね。ですから、ワーカーの目の前に現われた人の多くが大変なんですよ。生活できないんだから。それを、自分が大変だと思っちゃたら余裕がないから、結果的に市民を傷つけたりしているんです。相談を受ける側が大変にしていると実感しています。
 だから、自分が自分らしく誇りを持って、私も骨折しているけれど、これは神様が少し静かにしてということだと思っていい方に解釈しています。市長は、よその職場も大変。救急隊も大変だし、消防士も大変だというぐらいの鷹揚な気持ちを持たないと市長ももちませんから。
 それから、いわゆる後発医薬品がものすごく報道されている。医療機関現場が生活保護に導入してくるかもしれませんけれど、私は医療ミスによる注射の被害者として4種類の薬を飲んでいます。精神科の薬はとてもデリケートです。私はスパに行って少しずつ減らしてきていますけれど、そこのところをただお金を安くするということで急激に変えさせないで、本当にその人にとって必要最小限の薬は何なのかということをじっくりやっていかないと、薬を変えたために入院して、医療費がもっとたくさんかかる。。あらゆる医療費の最大の抑制は予防だと思います。今度、うつとか認知症予防の資料を出させていただきます。以上です。

○宮本部会長
 それでは、ここまでとさせていただきたいと思います。
 それから、今のお話とも関わってくると思いますけれども、現場を見ていく部会でありたいということで、現場の視察のプログラムを事務局にお願いをしてまいりました。どういうプログラムになりつつあるのか、なったのかということを御説明いただけるでしょうか。

○古都社会・援護局総務課長
 現場の視察につきましては、座長の御指示もございまして現在調整中でございます。
 首都圏の近郊、具体的には東京都内、神奈川県内、千葉県内の3つのコースを設けて、8月中に実施の予定としたいと思っております。現在、それぞれのコースにつきまして関係者と日程等の調整を行っておりますので、調整が完了し、日程が確定次第、速やかに委員の皆様に御連絡差し上げたいと思います。
 できるだけ委員の皆様におかれましては御都合の許す範囲内で御参加いただければと思っておりますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。

○宮本部会長
 福岡とか佐賀とか大阪とか、行かなければいけないところがたくさんあるんですけれども、どうも諸般の事情で日帰りという制約があるようでございます。その点、御了解いただいた上で積極的に御参加いただければと思います。
 さて、先ほど申し上げたようにヒアリングが一巡したところでございます。この間の御協力、大変ありがとうございました。勉強になりました。これからこの部会で何をやっていくのか、どう進めていくのかについて、幾つか御提案をさせていただきたいと思います。
 厚生労働省は、来年の通常国会に必要な法案を提出するということをお考えのようでありまして、遅くともこの年末までにこの部会の報告書をまとめてほしいという依頼を受けております。8月はこの部会は開かれないわけですけれども、その間、先ほど申し上げたように視察をしていくということで、それを受けてその後、9月の中下旬くらいから今、御紹介したような年末までのとりまとめというための審議をしていきたいと考えています。
 これまで、この部会にはヒアリングに関する質疑応答や意見交換、あるいはその他の形で委員の皆さんから数多くの多岐にわたる意見が出されておりますので、事務局にはこれまでの議論を踏まえた論点整理、その上で中間とりまとめ等もございましたけれども、それを総合してどういう制度イメージ案が出てくるのかということを提示していただきたいと思います。それを基に、この部会においてもまずまとめられた論点整理等について議論をしていき、その上で報告書の案をまとめていくという段取りで進めていきたいと思います。
 そのまとめのプロセスに関わってですけれども、大変、多人数の多士済々たる部会でございます。したがいまして、事務局による論点整理を今お願いしているわけですけれども、それを踏まえた議論を経て、この部会としての報告書案を作成していくわけですが、そのプロセスとしてこの部会の中から立場上、私を含む数人の委員の方に起草委員とでもいいますか、報告書の原案をつくる役割を果たしていただきたいと考えております。
 どなたに起草委員をお願いするかを、私と部会長代理をお願いしている岩村委員の2人で相談させていただいて決めていきたいと思っていますが、その点、御一任をお願いできるでしょうか。
(拍手起こる)

○宮本部会長
 ありがとうございます。
 それでは、ちょっと長くなりましたけれども、そのような形で進めていきたいと思っております。
 以上のような流れに関して、もし御意見がおありでしたらお受けしたいと思いますけれども、いかがですか。

○広田委員
 年末にまとめるということですが、ここはいつまでやるんですか。

○宮本部会長
 まとめるまでやるという感じです。
 ただ、それもタイムリミットもございますので、議論したことが無駄にならないように、そういう政治や行政のスケジュールも念頭に置いて進めなければいけないというのは当然のことであります。
 それでは、先ほど申し上げたように、8月に入りますとこの部会では視察中心ということになって、この次の会議は9月の中下旬ということになるかと思います。委員の皆様、それぞれお忙しくて、また暑い夏を過ごされることになるかと思いますけれども、また9月には元気にお集まりいただけるようにお願いしたいと思います。
 その他、本日の議題についても、事務局への御要望等ございましたらよろしくお願いをいたします。
 それでは、以上をもって本日の議事を終了してよろしいでしょうか。
 西村副大臣にお忙しい中、駆けつけていただきましたので、一言お願いいたします。突然で申し訳ございません。

○西村厚生労働副大臣
 今日も、また熱心に御議論いただきましてありがとうございました。
 今後は、視察も含めて起草委員も出していただき、いよいよとりまとめの作業に入ってまいります。また、いつまでやるのかというようなことについては、本当にまとまるまでということで、是非、最後まで委員の先生各位にはお力をお貸しいただきますようにお願いいたします。
 ありがとうございます。

○宮本部会長
 ありがとうございます。政務官も副大臣も大変御多忙の中、お付き合いいただき感謝をしております。
 それでは、事務局から事務連絡の方をお願いいたします。

○古都社会・援護局総務課長
 本日もありがとうございました。
 次回は、先ほど部会長からもございましたように9月中下旬を予定しております。今後、日時や場所については、調整の上、改めて御連絡させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○宮本部会長
 ありがとうございました。
 それでは、本日の議論は以上とさせていただきます。


(了)

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