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2012年7月17日 第6回社会保障審議会生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会議事録

社会・援護局総務課

○日時

平成24年7月17日


○場所

KKRホテル東京 瑞宝の間


○出席者

委員

岩田正美委員 岩村正彦部会長代理 上田文雄委員(渡部代理)
岡崎誠也委員 奥田知志委員 柏木克之委員
勝部麗子委員 櫛部武俊委員 小杉礼子委員
駒村康平委員 武居敏委員 谷口仁史委員
野老真理子委員 長谷川正義委員 花井圭子委員(伊藤代理)
広田和子委員 藤田孝典委員 藤巻隆委員
堀田力委員 松井一郎委員(井手之上代理) 宮本太郎部会長
宮本みち子委員 山村睦委員

○議事

○宮本部会長
 大変暑い中、御苦労さまでございます。定刻となりましたので、ただいまから、第6回になりますけれども、「社会保障審議会生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会」を開催いたします。
 本日は、津田厚生労働大臣政務官、御出席いただいております。議事に入る前に、一言ごあいさつをいただくということになっております。

○津田政務官
 皆さん、こんにちは。大変暑いさなかに御足労いただいておりますことに、まずもって心より感謝を申し上げたいと思います。今、部会長よりお話がありましたように、第6回を迎えたわけでございます。大変活発な御議論をいただいておりますし、今日は岡崎高知市長にもお出ましをいただいてお話を聞かせていただくということでもありますし、また、前回いただいたさまざまな宿題に対する我が省等々からの皆様への御報告等々含めて熱心な御議論をいただきたいと思っております。
 また、今日は御意見を皆様からいただいたことも盛り込んだ「生活支援戦略」中間まとめ、これをとりまとめて7月5日の国家戦略会議に報告させていただきました。後ほど事務方から内容の報告をさせていただきますが、この報告に当たっては、皆様方から大変さまざまな御意見、アイデアをいただいたそのことに対して心より感謝申し上げたいと思っております。
 また、国会におきましては、参議院におきまして、一体改革の関連法案の審議が始まっているところでございます。この一体改革法案は、生活困窮者対策、あるいは生活保護制度の見直し等々、さまざまに入っておるわけでございまして、この特別部会での議論と、いただいたことに対するさまざまなものも検討されているわけでございます。より一層の努力をして、この実現のために邁進してまいりたいと考えておるところでございます。
 この生活困窮者対策の柱となります「生活支援戦略」については、今年の秋を目途に策定することになっておるわけでございまして、今回の中間まとめを枠組みとして具体的な制度設計に向けて、皆様方から引き続き精力的な御議論をいただきたい、そのように思っておりますので、今後ともよろしくお願い申し上げたいと思います。
本日はありがとうございました。

○宮本部会長
 ありがとうございました。
 次に、事務局から今日の委員の出席状況について御説明をお願いします。

○古都総務課長
 本日の委員の出席状況でございます。石委員、高杉委員の2名が御欠席です。
 また、上田委員の代理として、後ほどいらっしゃると思いますが、渡部札幌市副市長、花井委員の代理として伊藤日本労働組合総連合会生活福祉局長、松井委員の代理として井手之上大阪府福祉部長に御出席いただいております。
 出席委員につきましては、委員総数25名の3分の1を超えておりますので、開催の要件を満たしております。

○宮本部会長
 ありがとうございました。
報道のカメラ撮影はここまでとさせていただきます。
 それでは、早速議事に入りたいと思います。今日は、委員からのヒアリングが1つございます。先ほど御紹介もあったように、岡崎委員からお話を伺う予定でございます。
 それでは、15分程度ということで、よろしくお願いいたします。

○岡崎委員
 ただいま御紹介いただきました、高知市長の岡崎でございます。
 もともと高知市の職員でございまして、元ケースワーカーでございますので、自分がケースワーカーしていた時代と今の福祉事務所の現場はかなり変わってきておりますが、高知市の取組みを参考に御紹介させていただきたいと思います。
 資料1の方に、高知市の分をまとめておりますので、その資料をもとに御紹介させていただきますが、一般的な部分は余り時間をかけずに御説明申し上げたいと思います。高知市は、高知県の中では一県集中になっておりまして、人口の関係で言いますと、今、高知県が76万人ぐらいの人口ですが、約4割の34万4,000人ぐらいの人口を占めています。東北地域と違いまして、ほとんどの世帯が別居になっておりまして、同居は非常に少ない状況です。気候が温かくて、雪おろしがないということも多分影響していると思うのですが、親子同居という世帯が非常に少ない状況になっています。
 その下に、総人口の割合が載っておりますが、右側の人口構成ですが、全国的な傾向と同じですが、ちょうど30年前、1980年のところを見ていただきますと、わずか30年前ですが、65歳以上の人口割合は10%で、15歳未満のところが22%ぐらいの割合でした。平成17年の国調、22年の国調がありますが、22年は詳しいデータがまだ入ってないので、平成17年の段階では完全に逆転しておりまして、平成17年の段階で老齢人口の割合が20%、今現在は23%というぐらいになっており、ほぼ全国平均並みです。やはり厳しいのは、15歳未満の子どもたちの人口数が減ってきていまして、10ポイントぐらい落ちてきているという傾向になっています。全国的な傾向とほぼ同じ傾向をたどってきております。
 それから、高知市及び高知県の場合は、非常に大企業が少ないということもございまして、市民所得の割合を表にしておりますが、ブルーの部分が国民所得で、それから真ん中が県民所得で、右側が市民所得という割合になっています。ただし、市民所得の計算の出し方は、下の備考欄で注書きしておりますが、市民所得をはじき出すときには、企業の利益を人口で割り込みますので、東京都なんかは非常に高く出ます。企業収益が非常に多いので。高知県の場合には企業収益が非常に少ないので、大体そのままの数字が出てくるということで、単純比較では実はないのですが、国民所得の7割程度というところで、所得が非常に低いという状況になっています。
 それと、一県集中になっておりますので、昼間人口含めまして、非常に高知市に人口流入が当然あってきているという表が2ページの右側の表です。
生活保護の状況ですけれども、3ページでございます。都市部の中では、高知市も非常に生活保護率が高くて、原因はいろいろございますが、1つは、所得が非常に低い。それから、相対離婚率というのも出てきますが、3ページの左の表の下側にございますが、婚姻率を離婚率で割ったものでございます。結婚した組がどのぐらい離婚しているかという相対離婚率で言うと全国第3位ですので、離婚率も非常に高い。
ちなみに、青森、北海道、高知が三番手に常に入っていますが、大体経済状況が悪いところがやはり離婚率も高いというところに多分相関関係はあろうかと思います。
それから、医療機関が非常に高知市に集中しておりまして、人口当たりのベッド数は高知市が全国トップクラスということになっています。高知県の中には医療過疎の地域も非常に多いのですが、高知市に非常に病院が集中してきているということもございますので、長期の入院の方々が生保受給とかいうことになると、高知市の病院に入ってきている場合が多いという状況がございます。
それから、この資料の中には織り込んでおりませんけれども、いわゆる労働災害の労災も非常に多うございます。森林土木とか、公共工事等でも工事の施工しにくい中山間地域が非常に多いので、労災の発生率も全国トップクラスということでもございますので、そういう関係で、生活保護は従前から相当高い状況にあります。
それで、3ページの保護率の推移ですけれども、ここも、全国的にこういう状況になっていると思いますが、平成20年ぐらいから急激に年間3ポイントぐらいずっと上がってきておりまして、現在、37.7ということで、3ページの左の方に備考を掲げてございますが、中核市、現在、41市、ほぼ県庁所在都市が多いのですが、中核市41市の中でも非常に高い保護率ということになっているところです。
右側にそのグラフを示してございます。高知県内の中では、ちょっとばらつきはあるのですが、例えば室戸市が55.7と非常に高くなっておりますが、これは遠洋漁業がもともと中心でございましたので、遠洋漁業が不振の状況の中で非常に生活保護率が高いという状況になってきているところです。
それから、4ページですけれど、構成世帯の区分ですが、1つは、高齢世帯も当然増えてきております。大体平成21年ぐらいから高齢世帯も伸びてきておりまして、そして、この委員会でも非常に課題になっておりますが、全国的にその他世帯が非常に増えてきている状況です。
4ページの右の真ん中ぐらいに、例えばその他世帯の急増につきましては、この5年間で、従前の610世帯が1,700世帯ぐらいになっておりますので、非常にここで増加している。それから、高齢者はやはり増えてきているという状況になってきております。5,000世帯が6,000世帯ぐらいということになってきております。
全体として、ケースワーカーの持ちケースも非常に増えてきておりますし、特に稼働年齢層の世帯が増えてきておりますので、それぞれ具体的に就労支援等の対策、それと体制の整備というのが非常に課題になってきています。
次に5ページでございますが、ちょっと表が小さくて見にくくて申し訳ございませんが、まず就労支援の関係でございます。ケースワーカーも相当の人数の正職員がおりますが、6ページに、非常勤特別職の数も増やしておりますので後ほど御説明申し上げますが、ケースワーカーがずうっと一人のケースに毎日ついていくのはなかなか困難ですので、就労促進員という非常勤特別職を雇用いたしまして、雇用意欲の高い若い年齢層に対しまして就労支援プログラムを組んで集中的に対応しております。ちょうどC欄の黄色い欄でございます。
そこに人数を書いておりますが、支援を行った方々の人数が、262名を集中的に支援するプログラムを組みました。その中で実際就労した方が96名ということですので、意欲が高い方々が多かったということもありますが、かなりの実績を示しているところでございます。そのうち生活保護から自立できた方々は11人ということになっております。勿論、収入の幅につきましてはそれぞれいろんな幅がございます。
職種として多いのは、清掃関係等、それから警備がいつも求人が出ておりますので、清掃と警備へ就職された方々が多いという状況がございます。今後とも集中的にいろんな連携をとりながら支援していかなければならないと考えているところです。
CWというのはケースワーカーで、SVというのはスーパーバイザーの方で、ケースワーカーを指導する方々という略称で使っております。
それと、特に特徴的なのは右側でございまして、我々、貧困の連鎖をできるだけ断ち切っていかなければならないと考えており、特に生活保護世帯の中学生に対しまして、できるだけ学力をつけて高校進学していただかなければならないということで、厚生労働省からの御支援もいただきながら、高知チャレンジ塾というものを現在市内で5か所、開設しております。
これは23年度から開設いたしまして、ほぼ1年間の実績が出てきたところなのですが、市内5か所の中に生活保護受給中の方の中学生が約70名参加しておりまして、このうちの、中学校3年生が17名おりますが、16名は高校進学を果たすことができました。厚労省とも御相談申し上げて、生活保護世帯だけ集めると、どうしてもその教室は生活保護の方だけが来ているということになるので、プライバシーの関係もありますので、準困窮世帯とか母子世帯もここへ迎えるようにしております。準困窮世帯とか母子世帯、それから非常に所得の低い方々の子どもさんも一緒に入っていますので、69名というのは被保護世帯の人数でございますが、これ以外にそういう方々も入ってきております。
我々が今一定成功しつつありますのは、非常に教職員のOBのネットワークが、今、高知の場合しっかりしていますので、教職員OBの方々が精力的に取り組んできていただいております。それと、健康福祉部の方が教育委員会にこういうのをやらないかと持ちかけても、教育委員会がなかなか腰を上げないという市が多分多いと思います。うちの場合は逆でございまして、教育委員会の特に教育長が、絶対やらなければいけないという強い意思で、教育委員会の方から是非やろうということで、教育委員会から声が挙がってきたので、我々は非常にスムーズにいっております。教員OBネットワークがそのバックにおりますので、非常にいい形で進んでおります。特にこれは高知市内の中心部と西部が中心になっていまして、東部の方がまだできてないので、東部の方へも拡大したいと思っておりますので、またよろしくお願い申し上げたいと思います。
それから6ページでございますが、これはちょうど21年から現在までの保護世帯の増加を、例えば554世帯増えたとか605世帯増えたとかいう増加を入れてございます。ケースワーカー、例えば80ケースに1人という持ちケースの基本があるのですが、今現在、100ケースぐらい、ケースワーカーは担当しています。なかなか配置が追いつかないので、ちょうど真ん中から下が非常勤特別職ですが、当初、23名導入しておりました。さまざまな職種で。現在、54名、非常勤特別職が増えてきておりまして、これだけの人的体制を投入しないと対応できなくなっているということでもございますので、やはり何らかの形でここの支援を強化し、国としても制度をバックアップしていただくようにお願いを申し上げたいと思います。これだけの人員を投下しないとなかなか就労自立支援につながらないということになっておりますので、現場はこういう大変苦労しているという状況にあります。
次のページですが、この会の本題になるのですが、生活保護の急増に対応するために第二のセーフティネットの充実ということが非常に大きな課題になってきております。幾つか、制度上まだまだ未整備、そして拡充していかなければならないというところはあろうかと思いますので、また順次意見は申し上げてまいりたいと思いますが、就労支援体制の部分につきましても、これから、その就労場所の確保、特にハローワークとの連携の強化というのが重要になってまいります。
特に高知の場合は、ハローワーク、もともと中心部にあったのですが、今、郊外に出ていってしまったので、ケースの方々とか、なかなか行きにくくなっているということもあります。一応サテライトをつくっていただいたのですが、中心部のサテライトは2名しか体制が組めてないので、なかなかいつも対応できないという状況があります。福祉事務所の中にハローワークの方から来ていただいて、そこで日常的に連携していくというのがやはり理想でございます。
それから、総合支援資金の貸付制度がございますが、恐らく現場の方々はこの部分は十分気がついていると思いますが、現場ではなかなか使い勝手が悪いということと、例えば高知の場合でも償還率が37%ぐらいしか償還の状況がございません。3人にお一人ぐらいしか償還できていないということがありますので、貸し手の方もちょっと貸しにくいという状況が多分あろうかと思います。この辺りをどうしていくかということが課題として大きくあろうかと思います。
それから、現行の求職者支援給付と住宅手当の給付の課題もございます。これは厚労省の方々にも何回も申し上げているのですが、求職者支援給付の10万円と住宅手当の3万から4万円の手当は併給が認められていないです。なぜ併給が認められていないかについては明確な回答がないわけでございますが、本当は求職者支援の10万と住宅手当が併給できれば、生活保護を受給しなくても何とか1年ぐらいいけるというケースは非常に多いはずなので、そこはやはり課題がまだ残っていると思います。
それから、住宅手当の関係につきましては、最近の課題ですが、有料老人ホームに入居されて、それで年金だけでは行き詰まってしまって生活保護ケースになるということが増えています。やはり住居手当のようなものの制度の検討ということも必要であろうかと思います。
最後、8ページでございますが、非常にケースワーカーも忙しくなっておりますし、先ほど申し上げましたとおり、正職員のケースワーカー本体の部分と、それをバックアップ支援します非常勤特別職の支援、それからNPOの皆様方との連携というのが重要になってきております。ここがうまく機能しないと、恐らく支援し切れない、また支え切れないという状況になろうかと思いますので、これは本会の大きな議論かとも思いますが、そこを制度上しっかりとした制度をつくり込んでいくことが重要だと考えております。
最後、9ページ、裏側でございますが、この部会ではございませんが、現在、別の部会で生活保護基準の見直しを検討されておられます。その検討は見守っていかなければなりませんが、御承知のとおり、生活保護基準はさまざまな行政の分野、そして市民生活の分野に連動しております。例えば地方税の非課税基準に連動しておりますし、それから、いろんな個々の保険料とか介護保険の保険料、それから就学支援、低所得者の方々の、いわゆる学費を納めなくていい支援、さまざまな分野に生活保護基準が連動しておりますので、慎重な論議のもとに決定していく必要があろうかと考えております。
あと、本日の議題にもあろうかと思いますが、医療機関に対しますいろんな監査権限をどこが持つかというところもあります。医療機関につきましては、例えば我々も嘱託医等という形で医師の協力も得ておりますが、医師同士はなかなか指導しにくいというところがございますので、そこら辺りをどのように強化していくかというのは課題であろうかと思います。
あと、不正受給防止のための調査権限の拡大、こういうところが課題であろうかと思いますので、個々具体的にまたこういうところが論議されていくということだと思いますので、またその時点でも意見を申し上げてまいりたいと思います。
最後でございますが、この第二のセーフティネットにつきましても、生活保護の受給をいかに未然に社会的に救済していくか、また別途の制度の中でいかに救済していくかということでございますので、この部分につきましては、やはり厚労省としましても、国の責任においてしっかりとした制度としてつくり込んでいただきたいということをお願い申し上げまして、私の方からの御説明にしたいと思います。どうかよろしくお願い申し上げます

○宮本部会長
 岡崎委員、ありがとうございました。自治体における先駆的な取り組み例ということで、これまでこの部会でヒアリングを通して重ねてきた議論が全部かかわってくるのかなあと思います。
 それでは、岡崎委員のお話に対する質疑応答を行っていきたいと思います。どなたからでもよろしくお願いいたします。
 では、櫛部委員。

○櫛部委員
 8ページの1、2、3というこの分け方があると思うのですが、これは今回の議論の論点の一つかと私も思っているのですけれども、つまり、1だけが福祉事務所という考え方もあるかもしれません。それから、2、3は外というのもあるかもしれないのですが、1、2は福祉事務所で3が外という、ここの考え方をお教えいただければと思います。

○岡崎委員
 1は本来のケースワーカーのコアの部分ですので、個別の面接を通じながらケースワークを行うという本来の仕事だと思います。2の部分は、例えば民間の皆様方にもお願いできないことはないと思うのですが、非常に個人情報にかかわる部分なので、やはり役所として公務員としての身分関係がある方がいろんな調査もしやすいし、かかわりやすいということで、我々は、非常勤特別職ということで非常勤の公務員の身分を持っていただいて、プライバシーもきちんと保護できる方法をとっています。そして、いろんな行政機関とも、例えばハローワークへもその方々が行っていろんな交渉ができるというやり方をとりました。ここは選択の仕方がいろいろあろうかと思います。
 ただ、例えば市の関係で言うと、なんらかの身分関係がないとやりにくいということは多分あるのではないかと思いますので、我々は、1、2につきましては、何らかの形で公務員の身分を持たせてやろうということでこういう形をとっています。
それともう一点、3の方は、3のNPO法人等がまだ組み上がってないので、そのこともあって、2を中心にして非常勤特別職で組み上げています。

○宮本部会長
 櫛部委員、特に今の分け方に関しては。

○櫛部委員
 釧路の福祉事務所も同じ形なのですね。その辺では。やはり何だかんだ言っても、結局食べられないという形で生活困窮者が福祉事務所に来るのだろうと思うのですね。そのときに、そこのインテークでどこの資源に結びつけるかということがやはりできないと、結局、そこが外に行ってしまうとなかなかうまくないのではないかなと思っていまして、現実に釧路もこの2番を相当充実させて支えにしているところがありますので、それによってNPOとの関係も含めてうまくいっているといいますか、そういう流れはあるかなとは思っております。

○宮本部会長
 ありがとうございました。
 では、勝部委員。

○勝部委員
 豊中社協の勝部です。
 今日はいろいろと現場の御経験もあるということで、随分丁寧な御説明ありがとうございました。聞かせていただいている中で、先ほど櫛部委員がお話をされました8ページの金銭管理のところなのですけれども、日常生活自立支援事業というのは社会福祉協議会の方で、金銭管理とか福祉サービス支援のような形での運営を協力していることがあるのですが、かなり生活保護世帯、今、増えてきているという傾向がありまして、この辺りの現状、生活保護の関係についてはケースワーカーが担っていくということを前提として考えていくべきなのか、その辺りのことのお考えといいますか、ここも未整備のままにずうっと、整理されないまま今日まで来ていますので、今回少しその辺りも整理できたらというところもすごく強く思っているところでもあります。
 それからもう一点は、私ども豊中市の方でもケースワーカーのいわゆる非常勤職員化というのが進んでおりまして、これが嘱託ですとか臨時職員ということになりますと、本当に期限つきで短期の雇用ということになりまして、せっかくいろんなノウハウある職員の方々が継続されないということで、かなり専門的なことをやっていただくわりに、それが組織の力として残していけないという、すごく矛盾を抱えつつやっているようなところがあるのですけれども、もし高知のところでその辺りが、先ほどのSVさんの関係とかも含めてですけれども、何らかの方向性といいますか、仕組みをつくっておられるようでしたら教えていただけたらありがたいです。

○岡崎委員
 まず金銭管理の部分ですけれども、ここも、我々はスタートしたばかりなのでまだまだこれからのところがあるのですが、通常のケースの金銭管理はやはりケースワーカーでいいと思います。ただ、ケースによったら金銭管理できない人がおりますので、そういうケースについて、ケースワーカーと、その金銭管理業務をお願いする団体ときちっと連絡をとって、これは大体社協が中心になる場合が多いのですけれども、社協と連携を取り持ってやっていこうということにしております。ただ、この金銭管理については、我々もスタートしたばかりなので、これから多分試行錯誤ということになろうかと思います。
 それから、非常勤特別職とケースワーカーとかSVとの関係ですが、最初立ち上げたときには、十分な連携がとれておりませんでした。それで、ケースワーカーは各班別に会議がありますので、係会とかいろんな名称ございますが、非常勤特別職もそこにきちっと加わって、いろんな意見交換を日常的にするということを行い始めて、うまく連携がいくようになりました。それまではちょっと連携が十分でないところもありましたので、今は、係会のときに、いつも非常勤特別職の方々も入ってやっていますので、わりとスムーズにいくようになりました。
 やはり任期の期限の問題はあります。後ほど機会があれば発言したいと思っていたのですが、特にこの就労支援員とかは厚労省の基金事業を使って、今、雇用しているケースが多いので、多分、全国的にそのケースが多いので、24年度で基金が終わってしまいます。そこで終わってしまうと、市の単独の持ち出しということになるとなかなか大変ですので、我々も財政的に大変です。これは全国的に見てもすごい額になる、財政負担が大変ですので、基金事業が24年度で終わるということになると、それをやはり制度上、何らかの形でどうしても確保していただきたいということは共通の考えなので、そこはまた是非考えていただきたいと思います。
 それから、非常勤特別職なので1年更新とかいうケースが多いので、本当は1年更新ではなくて、地方公務員任用制度の中に期限つき採用というのもないわけではないので、そういうことも考えられていくのではないかとは思います。やはりいろんなケースをこれからも考えて、できるだけ国が制度化していくということが大事ではないかと思います。

○宮本部会長
 勝部委員、よろしいですか。

○勝部委員
 はい。

○広田委員
 うちには近所の子どもたちが遊びに来るのです。先日も、近所の大人に私が怒鳴られました、「子どもたちに注意したらにらんだから、反省しろ」ということです。私は、どう考えても、貧困の連鎖をとめなければいけないというのはわからなくて、アダルトチルドレンの連鎖の方が問題なのではないですかという発言をしているのですけれど、この5ページ。「貧困の連鎖の防止対策」ということで、日本はすごい国だな。ここまで行政がやらなければいけないのかということで驚いています。でもここで、生徒が将来への希望を持って進路を選択できるように。ここはすごくいいことで、私も、社会福祉協議会から依頼された実行委員長として、子どもたちの進路、夢を持てるようなイベントを組んでいました。これはすばらしいのですが、子どもたちがここに積極的に行きたがるのでしょうか。この塾へ。というのが1点。
 それから、私がもし民間塾の事業者だったら、こんなこと、行政がやったら迷惑だと、私は、資本主義社会ですから思うのですけれど、それが2点目です。そういうことはいかがでしょうか。

○岡崎委員
 非常に我々も立ち上がりのときに心配しておったのですが、1つは、子どものプライバシーの問題ですね。それと、実際に子どもさんたちが来たがるかどうかということは非常に心配しておりましたが、子どもたち同士が、今回こういうのができたので一緒に行かないかという声がけを多くしています。これは、どちらかというと授業がわからない子どもたち同士が声がけして、先生方も声がけしているのですけれども、ふだんから、宿題ができないとか、テストの問題が解けないとかいう子どもたちは、いつも教室の中で、授業を聞いていること自体が苦痛なのですよ。何とか本人もわかりたいと思っているのだけれども今更追いつけないとかいうことがあるので、そういうところをできるだけカバーしようということで、教職員のOBの方々、非常に頑張っていますので、それと教材費が要らないのです。
というのは、宿題と学校で出るテストを持ってくればいいので、教材費の負担は一切ないし、それから、母子世帯のお母さんが言うのは、自分の子どもは本当は塾へ行かせたかったけれども、どうしても金銭的な問題で行かすことができなかったので、行かせることができて非常によかった。子どもも喜んでいますし、それから、子どもたち同士で輪が広がっていまして、例えばこの塾へ来てない子どもに、非常におもしろい所なので、それからちゃんと宿題もできるようになるので、一緒に行かんかと言って声がけをお互いにして来ているのですよ。非常にいい関係で、一種のサロンになっています。まさに子どものサロンになっているので、決して押しつけではないです。それを教職員のOBが全面的にバックアップしているので、非常にいい場所になっている。居場所になっています。不登校の子どもも、子ども同士に誘われて来ているケースも出てきていますので、非常にいい関係になっています。
 それから、民間の塾のクレームは余り想定してなかったのですが、もともと民間の塾へ行ける子どもは行っていただいたらいいので、そこからのクレームは余り想定もしてなかったし、現実にクレームはついてないです。塾へ行けない子どもたちが来ています。子どもたちはそこで競合はしてないので、クレームはないです。

○広田委員
 部会長。シビアーな質問をもう一つ。9ページ目。生活保護の不正受給をなくすためも含めて、私、前回ここで「昭和枯れすすき」歌っていたのです、本当に精神科のいろんな多くの仲間とかが不安になってしまっています。生活保護の報道がいっぱい出てきますから。薬が増えてしまっている。寝れないということで。社会問題化しているのですけれど、そういう中で、私が前回発表したのは、社会資源に通所している人の、社会資源側が不正をしてしまっている。本人に現金を渡さないで、プールしてしまって。そういうケースはありますか。高知市で。
 生活保護の本人、生活保護制度のコンシューマーではなくて、勤めている企業とか、通所している社会資源側が不正のようなことをやって、結果的にそこに行った人が不正を当たり前だと思ってしまって、本来の正確な申告を知らないということが起きている。それも一つの現状がずうっと長いこと続いているのですね。そういうお話を前回したのです。そういうことは想定されていますでしょうか。

○岡崎委員
 高知の場合は、日常社会が非常に狭いので、現実的に見ましても、例えば貧困ビジネスとか、医療機関が特定のケースをいつも抱え込んで、過剰診療しているというケースはないです。そういうケースがあれば、すぐにいろんな機関に通報が別の医療機関から入ってくるので、そういうことは、高知の場合は狭い世界なので、現実にはないです。多分これからもないと思います。もしあればすごく目立つので、周りの例えば医療機関を含めて集中的にたたかれると思います。だから、これからも多分ケースとしては余り発生しないと思います。ただ、それはあくまでも高知の場合ということで申し上げます。

○広田委員
 この場合の不正のことを許さないということは、いわゆる生活保護制度コンシューマーを許さないということなのですね。ここの書かれていることは。

○宮本部会長
 ほかにいかがでしょうか。

○岩田委員
 7ページに、先ほどちらっとおっしゃった有料老人ホームに入居していらっしゃる高齢者が生活に行き詰まってというような話と住宅手当の拡充の話を、もう少し具体的な例でお話ししていただけるとありがたいです。

○岡崎委員
 ここは多分議論も分かれるところだと思いますが、有料老人ホームへ入所されて、一定の例えば預金とか持っている間は生保申請がないのですが、例えばその預金が全部なくなってしまった場合とか、それから、有料老人ホームに籍は置いていますけれども、一時的に入院せんといけなくなって、それで医療費が支払われなくなったとか、いろんなケースの場合があろうかと思います。それで、住宅手当に関する部分だけ、例えば家賃の部分だけ何かの公的な支援があれば生保を受けなくてもいいというケースはあると聞いています。それがどのぐらいの割合か、今、数字は持ってないのですが、そういうケースは増えていると言われています。
かつての三位一体改革のときに、自分は厚労省の方々とも当時相当やり合ったのですが、生活保護の補助率の見直しのときに、幾つか厚労省側から案が出てきていて、生活保護の中から住宅扶助を切り出して、住宅手当のような別制度に切りかえるという話が当時ありました。小泉政権のときでしたけれどもね。ただ、そのときは、国が生活保護に関しては10分の10の責任を果たすべきだということで我々はそれを押し返したわけですが、ここは多分、議論が少し分かれるところだとは思います。
 例えば住宅扶助の部分は本当に切り出して、完全に生活保護とは別の制度で困窮者に住宅の手当を別途に支給するのかどうかというのは、ここは多分議論が分かれるところだと思いますので、そこはいろいろ議論した方がいいと思います。ただ、住宅手当部分を見てあげると、例えば高知の場合は国民年金の方々が非常に多く、企業も少ないので、大体平均受給額で5万5,000円ぐらい、6万ぐらいしか年金をもらってないので、保険料等が天引きされると余り残らないのです。それで、4万ぐらいで生活しているので、余り生活保護申請せずに何とかしているのですが、家がない方はなかなかそういうわけにはいかないので、ここをどうするかが多分議論がこれから分かれていくと思います。

○宮本部会長
 岩田委員からもしコメントございましたら。

○岩田委員
 私も、そう思います。大変賛成なのですけれども、高齢者だけではなくて、若い層も住宅がやはり非常に生活費を圧迫していますので、その部分だけ別制度にする方が全体的に利用しやすくなるのではないか。高齢者も特に、高齢女性で単身で持ち家持ってない層が被保護層のパターンになっていきますので、この辺りをもう少し使い勝手のいい制度にしていくというのは課題だと思います。どうもありがとうございました。

○駒村委員
 先ほども議論あった5ページの右側の、連鎖の仕組み、防止の対策のところの、教育委員会が主導だというのは、福祉と教育の連携がなかなかいかないところで、一つのスタイルなのかなあと思ってお話を聞いておりました。これは、5か所のモデルというのは、ブロックをこの地区だとしてモデル的にやっているのか。というのは、先ほど母子世帯も含めて69人ということだったのですけれども、市の中には想定する子どもたちというのがどのぐらいいて、来てくれる子どもたちはその中のわりと期待できる部分、要するに来てくれない子どもたちに対してどうアプローチしていくのかというのが、お話を聞いていて思ったのです。

○岡崎委員
 まずは、教員のOBのネットワークの体制もありますので、それから、どのぐらい子どもたちが来るか、ちょっと読めなかったのですね。一定の地域性は考慮していますが、市内5ブロックで始めました。それで、今、被保護の生徒70名というのは、これは保護世帯の中の数です。これの外側に準困窮の子どもたちとか、母子世帯の子どもたちとか、そういうボーダーライン層の子どもたちがそれぞれおります。
それで、高知市内の生活保護世帯の中学生が全部で何人おるかは、ちょっと今数字を持ってないのですが、一定、先生方もそれぞれ声がけをしていますので、やる気のあるということとは表現がちょっと違うと思いますけれども、興味のある子どもたちがやはりここへかなり来ていますし、更にお互いに声がけをし合っていますので、まだ増えていくと思います。
 ここは厚労省の予算もいただいていますので、来年、25年度から更にまた拡大したいと思っていますが、地域性で言うと東部方面が一校もないので、東の方へ広げていきたいと思っていますので、あと何校か更に広げていきたいと思っています。

○宮本部会長
 では、柏木委員。

○柏木委員
 市長さんにお聞きしたいのですけれども、私、和歌山県から来ていまして、県民所得が低いとか、企業がないとか、和歌山県と非常によく似ています。それで、仕事がなかなかないのですね。お聞きしたら、そういう人が警備とかこういう仕事につかれるということなのですが、何らかの仕事を興していかなければあかんと私は思っているのですが、岡崎市長さんはどういう分野で仕事を興していこうと思っておられますか。

○岡崎委員
 我々のところは有効求人倍率が大体0.6です。ずうっと0.6なので、よく労働省分野で言う、北海道、青森、高知、沖縄というところが有効求人倍率がいつも低くて、我々のところはほとんど0.6なのですが、全国平均が下がってきたので、今、全国平均並みは並みなのですが、もともと仕事先が非常に少ないです。製造業が非常に少ないので、これから可能性があるのは、農業が非常に強いので、食品加工分野だと思います。
高知の場合は、どちらかというとショウガとかユズとか、ああいうものが有名なので、そのままの品物を出していたのですね。例えばショウガならショウガ、できたままの状態で出していて、加工品ほとんどやってなかったので、加工品は、二級品、三級品のものは全部愛媛へ行って、愛媛で加工されて出ていってという状況なので、これからやはり産業分野で更に雇用の拡大が図られるとしたら、そういう食品加工を広げていくということと、それから、一番最初に申し上げましたとおり、人口当たり一番ベッド数が多いということで、これは厚労側から見ると問題があると医政局辺りに言われているのですが、医療と福祉と介護関係の事業所が非常に多いので、これからまた高齢者の方々増えますので、そういう医療介護分野ではこれからまだ拡大の要素はあると考えます。

○宮本部会長
 それでは、最後の御質問ということでお願いします。後でもう一回時間をとりますので。

○奥田委員
 すみません。奥田です。ありがとうございました。
 私も、この学習支援のこと、すごく興味があるのですけれども、私、ホームレス支援やっていまして、近々、実は去年、一昨年、ホームレスの人たち、可視化調査といいましょうか、野宿状態になられる方、一体どういう状況でということを、厚労省の協力をいただきまして、一緒に調査させていただきました。そうすると、相当高い率で低学歴の問題というのが出てきたわけですけれども、ただ、一方で、2つ質問がありまして、1つは、学習支援というか、貧困のスパイラルを防止するのだということは、目的が非常によくわかるのですけれども、その中身が学習支援だと。要するに、低学歴が問題なのか、一方で居場所づくりというような言葉もあって、これは両方ともだというのは当たり前のことなのですけれども、学習支援をする、要するに勉強をちゃんとできるようにするということも一方で大事なのですけれども、一方で、承認の場所であるとか、居場所であるとか、もっと言うと、貧困そのものに対する学習であるとか、社会制度に対する知識であるとか、生きるための術というのはもうちょっと広範囲にあると思うのですね。
 ですから、もっと当たり前のことで言うと、勉強は学校でちゃんとやればいいのではないかというような言い方もひょっとするとあるかもしれない。では学校は何やっているのだという話にもなるかもしれない。けれども、その上でやはり私はこういうシステムは必要だと思うのですね。やはり一つの枠でおさまらないわけですから、どうしても必要だと。そのときに、この学習支援の中身の多様性とかそういうものがどういうイメージでされていっているのかというのが1つお聞きしたいのと、中学3年生までですけれども、その後は、伴走型支援とかいろいろ考えているときに、どこまで支援するのか、どこまでいったら終着点なのかという。中学3年生までのシステムですけれども、その3年生卒業した後は、このシステムにおいてはどのようなかかわりになっていくのだろうかというところを少しお聞きしたかったのですが、よろしくお願いします。

○岡崎委員
 まず、前段の方の質問でございますけれども、1つは、学校のいろんな授業についていけない子どもたちをそのまま置いていきますと高校進学できないというケースになりまして、それから、高知はわりと非行率の軽犯罪の割合も高いのですけれども、そういう方向へ走ってしまう子どもたちも多くなってしまうという傾向がやはりあります。それで、本来的に言うと居場所づくりをねらってつくったものではないのですが、子どもたちに本来の学校の授業を理解してもらおうと、そのためのバックアップをしようということで、それを生活保護世帯に特に集中的に支援しようという形でつくったものでございます。
 学力向上支援は、高知の場合も、特に中学生の学力が低いということで、実は学校の放課後のところでも学校単位でやっています。ただ、今回の場合はそこにも行ってない子どもたちが非常に多かったので、子どもたちも自分のことをよく理解していて、例えば自分が今教室に入ってしまうと教室の他の子どもたちに迷惑をかけるとか言って教室に入らない子どももいるのです。教室の中に入ってしまうと授業がわからないのでおもしろくないので、またいろんなちょっかいを出したくなるということは、子ども自身も、本人もわかっている。そうすると、教室の外に出ていって、廊下に座ったり学校の校庭に座ったりする子がいるので、そういう子どもたちをやはり本来の教室に戻してあげたいと学校の先生方も強く思っていたので、そういうところを集中的に、今回、チャレンジということでバックアップして、子どもたちも、実は本人も、友達がここへ行くので、ここへ行きたいと思っているのですね。思っているけれども、ちょっと追いつかないでどうしようかなと思っているので、そこをサポートする仕組みをつくったら来始めたという感じです。
 居場所づくりというのはあまり想定してなくて、一定の学力がついて学校へ戻れるようにというのが本来の趣旨です。ただ、副次的にすごくいい居場所になっています。本当に仲間同士で、教室よりもっといい感じになっています。
それと、高校へ行かせてあげたいという思いが強いので、まずは高校進学までで、高校はやはりばらばらになるので、高校から後まではちょっと考えてないのですが、中学校までは、小学校、中学校それぞれ皆一緒に育っていますから、やはり中学校3年までで学力をつけてあげて、高校へ進学していただいて、そこからはやはり自分の力でやっていかないといかんということになるのですが、生保世帯でも高校進学しない子どもたちも非常に多かったので、まずは高校へ行かせてあげたい。
今は、御存じだと思いますが、例えばコンビニでアルバイトするときも、高卒以上でないと雇ってくれません。中卒では雇わないです。だから、コンビニでアルバイトをしようとみんな考えていると思いますが、中卒ではコンビニでも雇わないので、高卒の資格を持ってないとアルバイトもできないということなので、何とか高校は行かせてあげたいという思いです。

○宮本部会長
 ありがとうございました。
もうかなり時間が押しておりまして、後で可能な限り時間をとりたいと思いますので、ここで議事を進ませていただきます。
 去る7月5日に、これは先ほど津田政務官からも御紹介ありましたように、国家戦略会議がございまして、ここに「生活支援戦略」の中間まとめが報告されてございます。これについて、事務局からまず御説明いただきたいと思います。

○熊木生活困窮者自立支援室長
 生活困窮者自立支援室長、熊木でございます。
 資料2をごらんください。ただいま御説明ございました、7月5日に国家戦略会議に報告されました「生活支援戦略」の中間まとめでございます。
 1.基本的な方針、基本認識とございます。近年の社会経済の変化に伴って、経済的困窮、それから社会的孤立、こういった状態にある生活困窮者をめぐる問題が深刻化している。生活保護受給者が過去最高を更新して毎月増加している。その中には稼働層の受給者も増加しているということでございます。
 また、年収200万未満の方の問題ですとか非正規労働者の割合といったことが書いてございますが、いわゆる生活保護に至るリスクのある経済的困窮の方が増加している。これはいわば構造的な問題ではないかということが暗に示されているものでございます。これとともに、複合的な課題を抱えて社会的孤立にある状態の方の問題が大きくなっているということでございます。
 もう一つ、その次に横長のペーパーで、「生活支援戦略」中間まとめ参考資料というのがございます。中間まとめというのが正式に厚生労働省としてとりまとめたものでございますが、イメージがわかりにくいという御意見がございましたので、現時点での地方自治体の取組みなどを踏まえましてイメージを図式化したものでございます。正確な文章という意味では中間まとめを是非ごらんいただきまして、イメージという意味ではこの参考資料でごらんいただければと思います。本日は、便宜上、この参考資料でまず御説明申し上げます。
 参考資料の1ページ目でございますが、この「生活支援戦略」の基本的な方針といたしまして、今申し上げましたように、経済的困窮と社会的孤立の脱却を目指すと。特に一番下、第3のセーフティネット、生活保護制度については、国民の信頼にこたえた制度として確立していくということが今日求められているところでございますが、併せまして、第2のところに書きました、新たな生活困窮者支援体系、これを構築、あるいは拡充するということ、この2つの改革を一体的に行うということが生活支援戦略であります。
 期待される効果として、社会参加と自立の促進、「貧困の連鎖」の防止、生活保護給付の適正化、それから、先ほど岡崎委員から話がございましたが、生活保護ケースワーカーの方がかなり厳しい状況であるということでございますので、その負担の軽減ということも期待される効果として考えてございます。
 2ページ目をごらんいただければと思います。中間まとめでは、経済的困窮と社会的孤立者への対応として、縦割りでない包括的な相談体制の強化ということ、あるいは「谷間」のない総合相談、「包括的」かつ「伴走型」の支援体制を築くといったようなことが書かれてございます。
 下側にイメージ図を書いてございますが、総合的な相談窓口、包括的で谷間のない相談窓口、こちらがアウトリーチ、いわゆる訪問を積極的に行って、待ちの姿勢でなく対応するという中で、アセスメントを行い、そして、その方に合ったプランを作成し、そのプランに応じて、各支援機関、各事業に流していくといったようなイメージではないかということでございます。これを官民協働、すなわち、福祉事務所、ハローワークのみならず、社会福祉法人やNPO、その他の団体等々と連携をしてこうした体制を築いていけないかということでございます。
 その中で一番重要になりますのは就労の支援ということかと思います。恐縮でございますが、2枚飛ばしていただきまして、5ページ目でございますが、就労の支援といった場合に、まずやはり早期に就労が可能であるといった方に対しては、こういったハローワークと福祉事務所等との連携を強化した上で対応していくということが肝要と考えてございます。
 現在、ハローワークで就職支援ナビゲーターが、約1,000名おり、そして、その方が、「福祉から就労」支援事業と言いまして、約7万人の支援対象者に対して支援を提供してございます。また、福祉事務所とハローワークがいわばワンストップ型の窓口体制を組んで対応するという体制が少しずつ進んでおりまして、こういったものについて更に整備していくということが書いてございます。
 恐縮ですが、2枚戻っていただきます。3ページですが、こういった早期に就労支援が可能な方もいらっしゃいますけれども、直ちに一般就労にいくのは難しいという方もいらっしゃると思います。そういった方に対して、中間まとめにおきまして多様な就労の機会というものを考えていくということでまとめさせていただいております。
 1つは、一番下にございますが、就労準備のための支援が必要な方、あるいは、日常生活自体が崩れていらっしゃって、意欲というものがなかなか表に出てこられないという方もいらっしゃいますので、そういった方に対して、ハローワークでの支援ですとか求職者支援制度、あるいは一般就労に結びつけていくような基礎的なところからの支援、訓練といったものができないかということです。
もう一つは、真ん中に書きましたけれども、「中間的就労」ということで、直ちに一般就労を目指すことが難しいという方に対して、社会的な自立に向けたサポートする仕組みを組み込んだ就労の場というものを用意するということでございます。これは、現在でも自治体、あるいは民間で取組みが行われておりますが、こうした取組みを全国的に広げていけないかということでございます。
 4ページ目、よろしくお願いいたします。家計再建と居住の確保について新たなセーフティネットの導入を図ると中間まとめでは記述してございます。先ほど資金の貸付について岡崎委員からもございましたが、資料の右側でございますけれども、福岡の事例として、かなり家計の相談というものをしっかりとやって、単に貸し付けるだけではなくて、生活自体をきちっと再建いただくということに主眼を置いた支援を行った結果、貸し倒れが非常に少ないという例がございます。こういったものを参考に、貸付のみならず家計再建の相談というものをきちんと置いていくということ、それから居住の確保ということで、住宅手当、今ございますが、これが基金事業で今年度終了という予定でございますけれども、引き続きこうした居住の確保が重要ではないかということでございます。
 6ページでございます。「貧困の連鎖」の防止につきましては、まず対象となりますのは、例えば生活保護を受給されている家庭のお子さまでいらっしゃいますとか、あるいはひきこもり、ニート、あるいは高校中退者、不登校といった方々がいらっしゃると思います。まず、相談窓口を置くということを先ほど申し上げましたけれども、そうした窓口できちんとこういう方に対してはアウトリーチ(訪問)を重視して、なるべく支援につなげていくということが重要だと思います。こうしたアウトリーチを行った上で、アセスメントに応じて、場合によっては、今申し上げました就労の支援というものにつなげていく、あるいは、左側になりますけれども、家庭に対する養育相談、子どもへの学習支援、そして居場所づくり。今の議論ですと、この辺りは国の方で必ずこれをやるべきということではなくて、その地域で選べる仕組みが重要かなあと感じましたけれども、こういったものをきちんと用意していくということが重要だろうと思います。
 7ページでございますが、こうした新しい生活困窮者支援体系の確立と併せて生活保護の見直しを図っていくということでございます。当面の対応と今後の対応とございます。まず医療扶助につきましては、そこに書いてございますのは電子レセプトを活用した重点的な点検指導、これは当面の対応として昨年度から本格的に電子レセプトのシステムが稼働してございますが、これを改修して、点検が非常にやりやすくなるということにしていきたいということでございます。
 8ページでございますが、これは医療扶助の適正化の当面の対応として、後発医薬品、いわゆるジェネリック医薬品について、使用の促進を図っていくということでございます。
 9ページでございますが、医療扶助の適正化ということで、今、当面の見直しを申し上げましたけれども、今後の制度的な対応としては、健康保険の世界では、保険医療機関というものを使って医療を受けるということになっておりまして、その保険医療機関には有効期間ですとか取り消しの要件、指定の要件といったものが細かく決められてございます。
 生活保護におきましても、指定の医療機関で受けていただくという仕組みでございますが、健康保険法などに比べますと、この要件ですとか期間といったものが十分細かく規定されていないということがございますので、こういったものについての在り方を検討していきたいということでございます。
 10ページでございます。自治体におきましていろいろ調査・指導の権限というものをつくっていくことが重要だろうということで、当面の見直しとしては、例えば金融機関で本店一括照会というのを書いてございますけれども、ばらばらに支店ごとに調査するということではなくて、本店で一括して照会するというものを今後稼働させていきたいということでございますし、あるいは、今後の取り組みといたしまして、調査権限についての拡大、例えば就労に関する状況を調査項目に加えるといったことを検討するとしてございます。
 最後の11ページでございますが、生活保護の今後の見直しの中では、就労収入積立制度の導入もあるということでございます。現在、就労、例えば10万円働きますと2万3,000円ぐらいが手元に残る、5万円働きますと1万5,000円ぐらいが手元に残るということでございますが、それですと就労へのインセンティブが弱いのではないかということがございますので、その一部をいわばバーチャルな形で積み立てておいて、生活保護を脱却した際に、それをお支払いするということが考えられないか。こういったことについて具体的な設計をしていくことが必要だと考えております。
 資料2に、戻りますけれども、これは中間まとめでありますが、今おおむね御説明申し上げましたが、残ったところで、4ページでございます。一番下、(1)「生活保護基準の検証・見直し」というのがございます。生活保護基準につきましては、一般低所得世帯の消費実態との比較検証を行って、今年末目途に結論をとりまとめるとしてございます。
 最後に、今後の進め方、6ページになりますけれども、この生活支援戦略は、平成25~31年の7か年として、いろいろな新しい支援体系をつくっていくということを含めて考えますと、かなり体制整備を計画的に、人材養成も計画的に行う必要があるのではないかと思いますので、7か年の計画として中期的なプランを定めていきたいということでございます。
 そして、これを制度的に行うという意味で、必要に応じて法制化を含めて検討したい、併せて生活保護については、当然ながら、生活保護法の改正を含めて検討したいということでございます。
 3番に書きましたように、いずれにいたしましても、主たる実施主体、現場である地方自治体の意見をよくお聞きまして、よく相談しながら進めることが重要と考えてございます。
 以上でございます。

○宮本部会長
 ありがとうございました。今の事務局からの中間まとめについての御説明に何か。
 藤田委員。

○藤田委員
 すみません。私、これから出ないといけないので、また簡潔に4点御質問があります。
 1つは、ハローワークと一体となった就労支援の強化ということで書かれていらっしゃるのですが、今も銀行等で照会をかけて、保護受給開始時の調査を照会という形で、資産があるのかどうかという調査をしているのですが、ここで言う一体との支援という中でハローワークに対して照会をかけるということも検討されるのかどうかということを1点お聞きしたいということ。
 2点目は、この資料2の4ページですが、後発医薬品の促進、ジェネリック医薬品の促進と書かれていますけれども、私、それだけではなくて、社会的入院の解消というのですかね。例えば大阪市等では、ホームレス状態にある方が、多くの方が精神的に疾患を抱えて社会的な入院を強いられているということがあるのですが、私は、社会的入院の解消も医療費を抑制するためには必要だということを考えていますが、そういったものはどう考えるのかというところで、2点目の御質問。
3点目ですが、資料2の5ページです。これは親族扶養の強化ということで掲げられると思うのですが、これは今も生活保護法の77条で、親族扶養で扶養できる際には扶養してあげてくださいという内容で出されているのですが、これは、私の視点では、改めて生活保護法77条の確認だという認識をしているのですが、この範囲内で考えていいのかどうか。逆に言えば、それ以外であれば、通知やマニュアル等を新たにつくることも検討されているのかということが3点目です。
4点目、最後ですが、その同じ資料の5ページ、その下の「脱却インセンティブ」の強化というところです。これは生活保護基準体系の見直しということで掲げられているのですが、私、いまいち、ここ、理解できないところで、「就労・社会的自立を促進する観点から基準体系を見直す」ということを書かれていますね。
 これは、普通に私どもで理解しますと、就労控除を上げる方向で見直しされるべきだと私自身は思っているのですが、逆にとらえるとするならば、最低賃金が下がっている、あるいは低い地域がある中で、最低賃金と比べて引き下げるということとしてとらえられるのか、これはどういう内容なのかを、4点目、最後に御質問したいと思います。
1から4番まで、すみません。

○古都総務課長
 1点目、同意のところだけちょっと整理します。社会的入院という問題の解消を意図しているのかどうかという御質問が2点目にあったと思います。それはまさに、ここで何か特別な新しい制度というよりも、むしろ社会的には解消していかなければいけないと思います。これから精神病院などからの地域移行を進めれば勧めるほど、その地域での支援がより必要になります。例えば救護施設などの活用も考えていかなければいけないだろうし、更に、いろいろフォローアップもしていくとなると、一回病院から外に出られる居場所をつくって、そして更に在宅なり地域で暮らしていく、そういう流れを社会福祉や生活保護の取り組みの中で工夫してやっていかなければいけないのではないかと思っておりますので、通常の施策として充実を図っていく必要があるだろうと思っています。
 それから、扶養のところでございますけれども、これはまず、77条に家事審判制度というものがあって、現在ほとんど利用されていないということがございます。確かに福祉事務所も多忙でなかなかできないとか、いろいろ資料も用意しなければいけない、さまざまな論点、理由があろうかと思いますけれども、そういう仕組みも活用できるように、例えばマニュアルなど用意していかなければいけないと考えています。その上で、大臣が申し上げていますのは、例えば扶養義務のある方に扶養の可能性についてお伺いしたとき、門前払いにされないように、相手からもきちんと回答いただけるようにする方法はないものかということを更に検討していく必要があるということだと思います。
 それから、最後に4点目のところです。別に最低賃金がどうかということをここで議論するわけではなくて、むしろ就労とか自立促進をするということです。例えば典型として書いてあるのは、就労収入積立制度のようなものであります。例えば保護から脱却した時点で新たな費用が発生いたします。アパートに入れば敷金、礼金も要るでしょうし、それから、国保に入れば保険料も払わなければいけないでしょう。そういうときに、全く手持ちのお金がないというのは困りますので、そういう意味でも、就労、自立を促す上でも、脱却したときに就労積立金があれば、より円滑にいける、そういう意味から基準体系を広く検討する必要があるという趣旨でございます。
 それから、ハローワークで一体的にやる場合には、開始時に、ある意味、本人から、ハローワークと一体支援やりますということで同意をいただいていると思いますので、その上で、両機関、ハローワークと福祉事務所の相互の情報共有についても、その同意を前提にして情報連携を図ってということであります。今後そういうことでやっていきたいという話でございます。
 それから、29条の見直しというのは、そのための問題というよりも、それ以前に働いていたかどうかとかそういうことを聞くためのものであって、ハローワークの一体支援とはまた別の話ということでございます。

○宮本部会長
 藤田委員、よろしいでしょうか。
 私の誤解かもしれませんけれども、藤田委員の最後の御質問、つまり、生活保護基準の見直しの問題と脱却インセンティブの問題、これは基準の見直しそのものは別の議論なのであって、脱却インセンティブと結びつけない方がいいというお話だったのではないですか。その辺りはいかがですかね。

○古都総務課長
 基準はあくまでも客観的に消費の水準と比べられる話でありますし、ここで言っているのは、脱却のための支援の仕組みをどう考えるかということだろうと思います。

○宮本部会長
 櫛部委員。

○櫛部委員
 これは9月以降の委員会の資料の請求をお願いしたいのですが、生業扶助費ですね。生活保護における生業扶助というのは、15年の専門委員会のときに高校授業料という形でそれは拡大されているのですが、大人に関して言うと、ほとんど、多分、生活保護費の1%にも満たってないはずなのです。使われ方がですね。多分、釧路は結構突出していて、ほかはほとんどないと。つまり、例えば免許のない方とか結構いるわけで、例えばこの脱出するインセンティブとそことはすごく関係があると思っているわけです。それから基準とも実際は関係あるだろうと思っていて、生業扶助ぐらい使われてない扶助は恐らくないはずなのですね。非常にわかりにくいといいますか。
そういう意味で、その使われ方の資料を是非後半のところで、これと抱き合わせで議論をすべきではないかなと私は思いますので、高校とかそれは除いて、実際大人の、例えば再度高校資格をとるときとか、たしか高校生でも留年したらだめだったりしますね。いろいろあるので、その辺を是非明らかに、資料的に、秋以降でお願いできればと思います。

○古都総務課長
 今おっしゃった点、重要な点でありますので、資料を整理して提出したいと思います。

○宮本部会長
 基準部会との役割分担がなかなか難しいところかもしれませんけれども、それもまた含めて、後で資料提出ということでお願いしたいと思います。ほかにいかがでしょう。

○広田委員
 国の委員会というのは何かをつくるためのことが委員会なのかなと感じていますけれど、何かやたらとつくるための、支援員という人の委員会ではないかなと、ほかの委員会にも入って感じるのですけれど、ここでもそう感じます。この図の方の6を見ているとね。本当に貧困の連鎖を全部とめて、この日本国が、1,000兆も赤字がある国が、何をどうやってとめて、本当にこれをやるとどこがどうお金が残るのという感じで、出ていくような感じばかりするのですね。
生活保護の適正化を私も求めます。例えばいわゆる作業所ぐるみでそういう不正をやっているということは根絶しなければいけないけれど、結果として生活保護制度のコンシューマーの視点がここに不在で、締めつけが厳しくなって、支援者のハローワークになっていってはいけないと思います。これをやるとどこがどんな形でお金が残るかと厚生労働省自体は今わかっているのですか。こういうことをやるとお金が残るのですか、出ていく方が多いのですか。残る形になるのでしょうか。何かすごくお金がかかるような気がするのですね。

○古都総務課長
 中間まとめの内容について一つひとつ点検をしているわけでもないのですが、大切なことは広田委員も前におっしゃったように、支える側にどれだけ回っていただくのかということだろうと思います。ある意味、一人でも、支えられるというよりも、支える側に回っていただくための仕組みであろうと思います。例えば貧困の連鎖、子どもの支援にしても、かなり時間のかかる取組みだと思います。ですから、長い目で施策効果を考えたならば私はプラスになるのではないかと思っております。短期的には、ある程度これを継続的にやっていただくために一定の公的支援が必要な部分は当然あるわけですから、そういう支出はしていくのだろうと思います。
ただ、それによって早く救われ、例えば生活保護を受ける側から自立する側に回る人も出てくるでしょうし、そういう効果をどう見ていくのかということで言えば、一定の効果はあるのではないかと思います。ある程度必要なものに必要な予算をかけていかないといけないし、同時にいろんな工夫をしていかないといけないのではないかと思っております。

○広田委員
 津田政務官と山崎局長そろったので、とかく行政というのは、つくったことがその人の評価に当たるというような話を聞きますけれど、そういうことでは困るのですね。本当に国民の幸せのために厚生労働省はあるのでなければいけないと思うのです。私はさっきも、子どもが遊びに来ていると言いましたが、ほとんどが母子家庭か父子家庭ですよ。うちに来ているのは。「自由なところがいい」らしいですけれど、ある意味では学習の場にもなるし、遊びの場にもなるし、しつけの場にもなるし、料理教室の場にもなるわけですよ。そして私の社会勉強にもなっている。そのような大人が増えれば、認知症の予防にも、孤立死の防止にもなるし、それから、うつの予防にもなる。子どもたちにとっても世代間交流ということで、そのような社会が実現することを考えながらやっていかないと、全部制度でやっていくということは、おかしい。それは精神の部会の方でもずっと言っていますけれど、本当に社会がドラスチックに変わって、東北大震災があのように来たわけだから、電話も一切とまるわけでしょう。それを相談だ何だ、遠くの親戚よりも遠くの相談支援よりも隣近所という形でやっておく方が、今この日本社会が直面している孤立死にしろ、いろんな問題が一挙に解決していく。それをすべてお金をかけて制度をつくって、システムをつくって、支援者という人のハローワーク的にやっていくことに対して、私は1人だけ、前回も孤立している委員だと言いましたけれど、国民に向かって、議事録に向かって、こういう制度だけをつくり続けるのではなくて、社会を変えていくことが大事だと訴えたい。
 昨日は、主催者発表、17万、警察発表、7万5,000、落合恵子さんと先週お会いしたときに、「安保騒動以来の人を集める」と言って、「その行き先はどこなのでしょう、代替エネルギーは何でしょうね」なんていう話を私もしましたけれど。社会を変えていくチャンスのときに、ただお金を使って、勿論、使った側の人たちが納税者になっていくことは間違いない。でも、そういう仕掛けだけではおかしい。もっと社会が、人間が温かみを持って、一人の人間として尊厳を持って生きていくということを日本人が心から喜び、日本にいる外国人も含めてそのような社会づくりの中でこういうものができていかないと、ただただつくっていくだけでは、山崎局長はすばらしかったねというのでは私はおかしいと思います。
 以上です。

○宮本部会長
 岡崎委員、お願いします。

○岡崎委員
 2点ほどです。今の、まだ中身が十分出てきてないので、これからいろいろ課題はあろうかと思いますが、例えば資料2の中間まとめの最後、今も少し財源の問題に触れられましたが、一応6ページに、7か年の計画で生活支援戦略は組み上げていくというのは、このぐらいの期間は要ると思います。全国的に組み上げる、それぞれの先進的にやられているところはございますが、国が制度として組み上げていくには一定の期間を織り込んでいかなければいけないと思います。
 ただ、特に2のところで法制化をしていく、第二のセーフティネットの部分も法制化をしていって、第二のセーフティネットのところの新しい新法と、生活保護法もちょっといじらないといけないので、生活保護法の改定と、多分二本立てでいくのかなと思いますが、そうすると財源の問題が出てくるのですね。ここでは余り詳しく言いませんけれども、自分たちが言いたいのは、その第二のセーフティネットを含めて国の責任でしっかりと組み上げてほしいというところを意見として申し上げておきたいと思います。地方は地方で一定の責任を果たしていきますが、この部分について、第二セーフティネットについては国が一定責任を持って果たしていただきたいということを意見として申し上げておきたいと思います。
 それともう一つは、ここはかつてから課題があるので、参考資料のところの7ページです。ここがかなり、例えば現場サイドからすると、多分難しいので、7ページで、これは分析までしか書いてないのですね。分析はできます。分析ができて、どこが過剰診療しているかというピックアップできると思います。では誰が指導するかというところが一番のかつてからの問題で、医師会は、ここはなかなか協力が難しいところですね、もともと。医師会同士でけんかすることになるので。これは分析までは、ここまではやった方がいいと思いますが、十分できてないのは、誰が指導するかなのですよ。そこをお聞かせいただいた方がいいと思いますので、分析した後どうするかというのは紙では出てきていないので、そこを示していただいた方がいいと。

○宮本部会長
 今の最後の問題、いかがでしょうか。

○古都総務課長
 今、岡崎委員の方からございましたように、分析ができた後の指導方法は今後制度設計していかなければいけないわけです。例えば健康保険とか国民健康保険の指定医療機関については、厚生省の地方厚生局や都道府県の医療部局がかなり指導に入っておりますので、例えばそことの連携なども視野に入れながらマンパワーを確保していかなければいけないのではないかと思います。個々の福祉事務所がそれぞれやるのはなかなか難しいところがたくさんありますので、医療専門職をどう確保していくのかなどを含めて、どういう体制でやると一番効率よく分析結果をうまく使えるのかということについてこれから検討したいと思っております。

○岡崎委員
 例えば四国の厚生局、自分の記憶では人的体制が余り多くはなかったと思いますが、実際できるのですかね。そこが疑問だったので、聞いているのです。

○古都総務課長
 今おっしゃった四国は確かに、近畿とか関東に比べれば人的体制に若干脆弱な部分があるかもしれません。ただ、例えば九州のある県であれば、県の医療部局と一緒になって問題の多い病院の指導に入るし、ある意味ではそこまでいかないものについては県の医療部局にお任せしているところもありますので、そういう組み合わせでいろいろ検討していきたいと思っております。

○勝部委員
 先ほどの広田委員の話と少し。孤立していません。一緒にと思っております。ありがとうございます。今回の問題のところで、当初、社会的孤立の問題、かなり議論されていたところから、いろいろな芸能人の問題等のところでかなりシフトしてしまって、揺れ戻しのような感じが強くて、全体の生活支援戦略のトーンが、前半の自立のところよりも生活保護の見直し強化というところがやはりどうしても目立っているようなイメージというのは否めないというのがあるのですね。特にそこをどうやって見直すか、どうやって指導するかということをかなり丁寧に書いているというような、ここは強調されて書かれているということで、それと比べると、前半の社会的孤立とか、いわゆるパーソナルサポートとか包括的伴走型支援みたいなところも、これは職員がやり続ける話なのか、地域力のようなところも含めて支援していくのかとか、この辺は、前半の各委員からの御意見の中でも、社会関係づくりがないと人は自立していけないというような話も随分出たと思うのですが、この辺りがまだ、これから書き込む、あるいは中身をつくっていくことになるとは思うのですけれども、少し全体のトーンとしてはその辺りが見えにくいといいますか、弱く感じるのが1つ。
それから、参考資料の2ページのところの、総合的な相談窓口、アウトリーチも重要ということで書いていただいている。これは随分取り上げていただいてよかったと思うのですけれども、この全体のオレンジの色で囲っているところを全体的な生活支援戦略、生活保護の、今、行政がやっているようなことを分散して、それぞれの公民で支援体制を組んでいくというイメージでとらえていくということでいいのでしょうか。ちょっとそこも説明してください。

○古都総務課長
 これ全体の枠が一つのシステムになり得るだろうと思っております。それから、福祉事務所、ハローワークだけではなくて、いろいろな活動と連携してやっていかなければいけないと思います。当然それは民間中心でやっているところもあるでしょうし、いろんな事例を見てもそういうところにやっていただく部分もあると思います。第二セーフティの部分でありますから、保護受給者でない人たちもたくさんいらっしゃるわけでありますので、当然、そういうことになれば、NPO、社会福祉法人等々がかなり主力になっていただくということはあると思っています。
それから、前段のところは、ちょっと申し上げますと、あくまでもこの中間まとめの性格上、この短期間でいろんな意見をまとめながら整理したものであるということでありますし、これからまさに委員の皆さん方のいろんな意見を含めて制度設計していくので、別に前段、後半で厚みが違うというわけではなくて、両方でやっていかなければいけないと思っています。これは、裏の1枚目の絵にございますように、早期にトランポリンのように機能していく部分と、それから、そういう仕組みがこれまで不十分であったがために生活保護を受けている方も早く上に上がっていただくようにする。そういう意味で、一体的にやるのだということを申し上げているので、今後よくよく御議論いただきながらつくっていきたいということでございます。

○井手之上氏(松井委員代理)
 大阪府福祉部長の井手之上でございます。
関連して、御意見といいますか、お話しさせていただきたいと思います。基本的に、中間まとめ、こういう方向かなと思います。特に、今お話しありました総合的な相談の問題、それから、包括的かつ伴走的な支援、この部分について御意見を言わせていただきたいと思います。
新しい総合相談体制の確立、当然必要だと思いますし、そのための課題としまして、いろいろな相談機関ございますので、そういったところの役割分担といいますか、そういうところの整理が1つ必要ではないかなということが1つございます。
それと、どうしても総合相談体制を確立するに当たりましては、当然のことながら、どういう方がその役割を担っていただくかというところがポイントだと思います。その人の問題。それで、前回、6月15日に、私ども御紹介させていただきましたけれども、CSWという、コミュニティソーシャルワーカーというのを我々人材育成しておりまして、相談からつなぎに当たるところの対応ということでやっていますが、そういうところでの制度化といいますか、そういうところが必要ではないかなと思います。
それと、そういう形でいろいろなところにつなぐわけですけれども、特に就労のサポートという形での、どう支援していくか、そういうところでのハローワークと福祉事務所と福祉との連携という形で整理されておりますけれども、特に就労へのサポート機能の強化という視点で、例えばパーソナルサポート事業、こういったものをモデル的にやられておりますので、こういったところの具体的な展開というものを打ち出すべきではないか。これは成案化に向けての作業になるかもわかりませんけれども、そういうところに御理解いただきまして、成案化に向けて進めていただきたいなと思います。

○宮本部会長
 ありがとうございました。では、最後になりますが。

○小杉委員
 私、1つ、参考資料の方の6ページの絵についてちょっと御説明いただきたいと思っていることがあります。ここは青いのと緑のと、流れが別々にあって、横にピンクが入っているという構図なのですが、青い方は、今まさに高知市のお話がありましたように、義務教育段階の、私は小学生ぐらいから始めた方がいいと思っていますが、小・中学生に対する学習支援などを中心とした活動の流れだと思うのですね。緑の方は、例えば高知県ですと、地域の若者サポートステーションと一緒になって、高校中退者を中退段階でキャッチして支援に結びつけるというような仕組みを持って、もう既にそれぞれに県のレベルと市のレベルと両方で動いているものもあるわけですが、これを横にピンクでつないでいるというのはどういう意味だろうというのがちょっとさっきから疑問に思っていまして、前の方にあったアウトリーチを重視した相談対応の窓口一つという話にこれがつながっているのか何か、この絵の意味が、ピンクがどのようにつながっているのか教えていただければと思います。

○熊木生活困窮者自立支援室長
 このページは、貧困の連鎖の防止ということが重要ということで考えていますので、そうなりますと、中・高の不登校の方ですとかニートの方ですとか、それから生活保護の受給家庭の子どもですとか、いろんな対象像がいらっしゃると思うのです。そういった方に対しての支援をまず強化していくというのをまずイメージ化したものという意味で、一つのあれにしています。
議論としては、要するに、今後どういう制度設計をしていくかということになると思いますので、まさに実施するような機関が、1つにはばらばらにあってはいけないということは今まで少し議論があったわけですけれども、その中でどのような相談機関を置いたらベストの支援ができるのかというのは今後の議論だと思いますので。ただ、かなり状態像といいますか、低年齢のところから、中・高不登校ですとか高校中退、更にニートと結構年齢層が、同じ子ども、若者といってもありますので、その辺はよく考えて議論していくべきだと思います。

○小杉委員
 わかりました。

○宮本部会長
 ありがとうございました。
それでは、一旦ここで区切って次の議題に進ませていただきたいと思います。これまでこの部会で事務局に質問や要望が幾つか寄せられてまいりました。実は中間まとめに私どもの議論を反映させてほしいと。進行のプロセスの問題もございますが、そこで可能な範囲で反映させていただきたいと。実は今、そのことをめぐって議論していただいたわけですけれども、それ以外にも幾つか、先ほど申し上げたように、宿題を返していただくというのがございます。この点について、現段階で御説明いただけるものを順次お話しいただきたいのですけれども。

○熊木生活困窮者自立支援室長
 では、幾つかの宿題、本日、資料3と参考資料というのを用意してございまして、文部科学省さん、そして法務省さんからも御説明をいただくというふうにしたいと思います。まず、資料3につきまして、法務省さんの方からいたしたいと思います。

○富山法務省矯正局総務課長
 法務省の矯正局総務課長をしております富山と申します。
お手元の資料3で、刑事施設に収容されています受刑者の特性、あるいは刑事施設がどのくらい運営のコストがかかっているのかということにつきまして説明をさせていただきたいと思います。
まずは、「平成22年 矯正施設入所者の特性や背景(1)」というところをごらんいただきたいと思います。これは平成22年1年間に新たに刑務所で刑の執行を開始した受刑者について調べたものですが、1年間で2万7,000人余りの受刑者がおります。ほとんどが男性で、女性は8%程度です。年齢構成を見ますと、やはり30代、40代辺りが中心となりますが、65歳以上の高齢者も7.8%を占めていることがおわかりになるかと思います。
また、刑務所に何回ぐらい入ってきている人かということですが、全体で見ますと、初めて入ってきた者が、2万7,000のうちの1万1,800ということで、大体44%程度が初入者。中には10回以上というような者もおりまして、4.5%ほどおります。これが65歳以上の高齢者に限って見てみますと、初入者は28%と数が減りまして、10度以上の者も24.1%ということで、若いころから何度も刑務所を出たり入ったりしているという者がいることがわかるかと思います。
また、新受刑者のうち住居不定の者がどのぐらいいるかと調べますと、約6,000名ということで、1年間に入ってくる者のうちの22%程度は住居不定という状況です。
また、犯行時の職業というものについて調べてみますと、いろんな職業があるのですが、最も多いのは、4,281名となっています技能工、採掘・製造・建設作業者、労務作業者ということで、いわゆる建築現場などで働いていた者の割合が高い。しかしながら、それ以上に多いのが無職者でございまして、全体の約68%を占めているという状況で、いかに無職者の犯罪が多いのかということがうかがえるかと思います。
次のページを見ていただきたいと思います。それ以外にどんな方なのかということを調べるものとして、配偶関係を調べた統計がございますが、ここにあるとおり、有配偶、現に配偶者がいるという者は全体の22%程度にすぎません。未婚、離別、死別等含めまして、配偶者がない者が78%程度ということです。
知能指数については、ここにありますとおり、かなり低い方にシフトしておりますが、これは実は知能指数をきちんとはかった数字ではなく、刑務所における作業の適性などを調べるための別のテストを行った結果を知能指数に換算している相当値でございまして、若干下の方にシフトし過ぎている嫌いはございます。しかしながら、やはり知能的に若干弱い、劣る方の割合が多いことは見ていただけるかと思います。
次が新受刑者の精神診断ということで、多くの者は精神障害なし、91%の者は精神障害がないという結果になっておりますが、逆に申しますと、9%程度、年間に2,300人程度の者は何らかの精神障害、あるいは知的な障害等があるということでございます。
また、次は、平成22年に出所いたしました受刑者、全部で2万9,400人余りですが、作業報奨金と申しまして、刑務所の中で作業したことに対する報奨としてお金をもらうことができます。これは賃金ではございません。もともと刑務所の中で働くことが刑罰の内容ですので、本来は一銭もお金を払わないのが当たり前なのですが、それですと全くインセンティブがなくなってしまうものですから、まじめに働いた者には、平均しますと月4,000円程度のお金ですが、そういったお金を支給することにしておりまして、出所時に幾らこの報奨金の支給を受けたかという統計ですが、5万円を超える金額は全体の約24%、それ以下は76%ということで、やはり大した金額はもらえていないということがうかがえるかと思います。勿論、これは賃金ではないとという意味では相応のお小遣いをもらったということで受刑者にとってプラスになることではございます。
それから、釈放された、特に満期で釈放された受刑者がどこへ帰るのかということで、満期釈放者というのは大体全釈放者の半分ぐらいでございまして、平成22年に出所しました1万4,975人、これは出所時の申告でありまして、本当にそこに帰るかどうかは調べようはございません。それを調べた結果ですと、約半数、47.5%は「その他」ということで、要はどこに帰るかはっきりしないようなところを申告しているということがうかがえるかと思います。
ちなみに、刑務所に入っている受刑者がどのぐらいのお金を持っているかということで、これは報奨金ではなくて、自分のお金をどのぐらい持っているかということですが、刑務所で把握できるのは、入所したときに幾らお金を持ってきたかということしかございません。なかなか全国統計は難しいのですが、府中刑務所、約3,000名弱受刑者がいるところで調べさせましたところ、平均すると10万円程度のお金を持っていると。これは平均でございます。実際にはとんでもない金額を持っている者も中にはおりますので、恐らく一番多い金額は10万よりも低い4~5万円ぐらいの辺りが一番多いラインで、3,000名近くいますと、100名未満ですが、六十数名、一円も持ってない、全く無一文だという者もいたということでございます。
続きまして、刑事施設の運営コストということで5ページを開いて見ていただきたいと思います。なかなかコストを出すのは難しいのですが、極めて大ざっぱな言い方ということで、刑事施設の運営に必要な予算を合計しますと、ここにありますとおり、1,937億円。うち人件費が1,271億、物件費が666億円。刑務所は、全国で、本所と呼ばれるものが77施設、更に支所が111施設ございまして、それらの施設全部で大体どのぐらいの人が入っているかといいますと、大体6万8,000人、6万9,000人ぐらいが今入っております。予算上も、これは事前に予測をするのでなかなかぴったりの人数にはなりませんが、1年間を通して6万8,400人が入っているという計算でこの予算をつけていただいております。
単純に割り算しますと、年間に1人の被収容者当たり283万円ほどが使われている。これを1か月当たりに直しますと、1人につき23万6,000円程度、1日に割りますと7,760円程度。
下の円グラフが、1,536円とありますのは、こういった予算の中で矯正収容費412億円とあります。純粋に本当に被収容者のために使われている、食料を買ったり、そういったお金の中から、これは実は警察にいる身柄の経費も若干法務省から実費弁償していますので、そのお金を引きました。その金額をこの6万8,400で割り365で割りますと、1日当たり1,536円と、こんな金額が出てくるというのが運営コストでございます。
ちなみに、このコストには刑務所を建築するために土地を買ったり建物を建てる費用は入っておりません。これは年ごとにばらばらでございますので、入れるとかえってわかりづらくなりますので省いてあります。ただ、ならしますと、最近では年間500億近いお金が建物の建設あるいは維持管理などに使われております。
以上でございます。

○熊木生活困窮者自立支援室長
 続きまして、「養育に問題がある家庭等へのアプローチについて」、同じ資料の6ページでございます。1枚めくっていただきまして、これは実は藤田委員の方から、貧困の連鎖の防止のために早期の対応が重要であると。スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの状況を教えてほしいと。特に小学校就学前の保育園、幼稚園におきまして、福祉職、心理職がどれだけ入っているのかという御質問がございました。藤田委員、今日お帰りになられておりますので、後ほど個別には御説明したいとは思います。ここでは簡単に申し上げます。
まず、資料として、児童福祉の分野でどのような支援が今行われているかということを簡単にまとめてございます。左側にあります、こんにちは赤ちゃん事業というのがありまして、これは市町村で現在89%ぐらいの実施率で、乳児の家庭に全戸訪問いたしまして、子育て支援の情報の提供ですとか養育環境の把握といったことを行っております。ここで、要支援ケースは真ん中の要保護児童対策地域協議会というところで、ネットワークができておりますので、こういったネットワークにおいて調整がなされ、更に右側、特に支援が必要という場合には、この養育支援訪問事業、これはまだ59.5%の実施率でございますけれども、こういった事業に流れて、訪問を更にして支援をしていくという体制ができてございます。これらの、こんにちは赤ちゃん事業ですとか養育支援訪問事業というのは21年の4月に法定化されておりまして、市町村での実施が努力義務化されているということでございます。
それから、委員からは、就学前の取組み状況ということで、幼稚園については後ほど文部科学省から御説明いただきます。保育所につきましては、資料を用意してございませんが、養育力の向上といったような保護者の支援もするということになっておりまして、実は平成20年に保育所保育指針が改定されまして、保護者に対する支援というものが独立した章立てということで位置づけが強化されております。現場でできているところ、できてないところ、不十分なところ、あるかもしれませんが、今後ともこういった面での養育の家庭に対する指導といったものが期待されているところでございます。
8ページは、「児童委員・主任児童委員について」の資料でございますが、これはもう長谷川委員の方から御説明もございましたので、要は、相談援助を行う児童委員・主任児童委員といったものが、児童委員で言いますと全国20万人強でございますし、主任児童委員につきましては2万人強が全国で委嘱を受けておられるということでございます。
以上のように、児童福祉の分野で枠組みといいましょうか、養育の支援についての枠組というのは一定の整備が進んできているという状況かと思います。ただし、これらが貧困の連鎖の防止といいますか、困窮対策ということについてどこまで焦点が当たっているかといった点については、そこまでは言いがたいということもあろうかと思います。

○桐生文部科学省生涯学習政策局政策課課長補佐
 それでは、資料の9ページをごらんください。スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの全国の配置状況について御説明いたします。
本日は、あいにく、担当の児童生徒課長が欠席となりましたので、私、生涯学習政策課の方から御説明させていただきます。
まず、スクールカウンセラーでございますが、児童・生徒の臨床心理に関しまして高度に専門的な知識を有する者、こういった方々を配置しております。具体的には、児童生徒へのカウンセリング、教職員等に対する指導・助言を行っております。配置人数は、全国で、平成22年度分でございますが、6,227名、配置箇所数としましては1万6,012か所、中学校の8,515校を筆頭に、ごらんのような形で配置されております。
下のスクールソーシャルワーカーでございますが、教育分野に関する知識に加えまして、社会福祉等の専門的な知識や経験を有する者を配置してございまして、具体的には学校と福祉機関などの関係機関との連携調整等を行っております。全国での配置人数は、平成22年度実績で614人、機関別の配置人数といたしましては、675人となっております。
10ページをごらんください。先ほど、9ページのお話は、小、中、高等学校、それから特別支援学校への配置でございましたが、幼稚園に関しまして、こういった福祉・心理職などを派遣するといったことはあるのかと、こういった状況どうなっているかといった御質問でございましたが、本件に関しましては、幼稚園はもともと地域の子育てセンターとしての役割を果たすこととされておりまして、子育て相談など保護者に対する子育て支援活動を実施しております。ですが、保護者の養育は不適切といった場合、あるいは家庭での育ちの状況が気になる子どもがいた場合には、市町村などの関係機関と連携して支援を行うようにしております。
加えて、子育て支援活動の充実を図るためにも、カウンセラーを活用する例がございまして、下の例のように、外部の専門家、臨床心理士等の派遣をいただきまして、具体の支援活動をやっているという例もございます。
以上でございます。

○宮本部会長
 ありがとうございました。
それから、地域福祉課長の方から、民生委員への情報公開等に関しましてお願いいたします。

○矢田地域福祉課長
 地域福祉課長でございます。
一番下にございますが、厚い参考資料、写しがあるものでございます。時間もございませんので、簡単に趣旨のみということで、内容についてはまた後でごらんいただくということにいたしたいと思います。
このたび、民生委員・児童委員に対する個人情報の提供事例集を作成いたしまして、本日付で各自治体に発出いたしました。この関係では、この特別部会におきましても、長谷川委員の方から御指摘をいただいております。民生委員・児童委員の効果的な活動の基礎になる個人情報、この提供をしてくれない自治体があるというような御趣旨でございました。
この資料の中にも入れてございますけれども、厚生労働省も過去何度か通知を出しまして、例えば手挙げ方式であるとか、それから関係機関の共有方式、そういったものも方式としてお示しをして、情報の共有化が進むように、それから情報の提供をお願いしてきたということでございます。
しかし、個人情報保護に過度に反応してしまっている自治体もございまして、今回、サンプル調査をいたしておりますが、その結果におきましても、約15%の自治体が個人情報の提供をしていないというような結果が出ております。そういったことで、今回は、この資料の目次のところにも書いてありますけれども、本人の同意がなくても、民生委員に個人情報を提供している、そういった市町村の事例を整理いたしました。考え方であるとか情報提供の方法であるとか、あるいは情報の範囲、こういったものを事項ごとに整理し、事例集ということでとりまとめをいたしました。
全国で23万人の民生委員・児童委員の方がいらっしゃいますが、情報提供が適切に進むようにという思いで、各自治体に本日発出した次第でございます。
御参考までに配付させていただいたということでございます。よろしくお願いいたします。

○宮本部会長
 ありがとうございました。
今の御説明に対する質問等もしございましたら、今日は少し時間も押してございますので、次回の部会のときに、もう一つの生活支援戦略の対象者のマッピング等に関するお話の際にもう一回時間を設けたいとは思ってございますけれども、今の段階でどうしても確認しておきたいこと等ございましたら受け付けますので、いかがでしょうか。
どうも御協力ありがとうございます。
それでは、次の最後の議事ということになりますけれども、本日の議題全体について、事務局への御要望等、ほかにございますでしょうか。

○山村委員
 日本社会福祉士会の山村です。
中間まとめの資料にもう一度戻って確認させていただきたいと思うのですが、第二のセーフティネットにどのぐらいの対象が見込まれるのかというのが、そのボリュームによって、やはりその事業規模というのが大分違いが出てくると思うのですが、この部会の中でかどうか、私も記憶がはっきりしないのですが、生活保護を受給している人の、いわゆる必要とされる方のうちの、現に受給している方の率がわが国は低いのではないか、という話はちょっと記憶が定かではないのですが、ただ、本来生活保護を受給必要な方で、いわゆるセーフティネットから落ちた方、生活保護受給者以外の方がこの第二のセーフティネットの中で自立支援を目指すと考えていきますと、それ以外の方がどのぐらい見込まれるかによって、生活保護からの脱却ということと、生活保護に至る前に自立を目指すという両方の視点でのどの程度の見込みがされるのかというのが、実際その数がはじかれるかどうかわかりませんが、その辺の推計というのがもしあるようであればお示しいただければと思います。
以上です。

○宮本部会長
 恐らくその辺り、以前、藤巻委員から出していただいた御質問等とも併せて、次回の部会での御説明とかかわると思いますが、もし今の段階で何かあれば。

○古都総務課長
 その件につきましては、ただいまの山村委員だけではなく、藤巻委員、あるいは部会長からもご質問をいただいております。皆さま方もどういう対象が考えられるのかという御関心あると思いますので、次回までに整理できればお示しをしたいと思っております。

○宮本部会長
 山村委員、よろしいでしょうか。

○山村委員
 はい。

○宮本部会長
 駒村委員。

○駒村委員
 今日出された中間とりまとめで、今後少しまとめて議論しなければいけない部分が残っているのではないかと思います。例えば中間的就労という概念があって、これは、この絵を見ると、3ページ、広い意味でのまさに移行過程で、広い意味での訓練の場、就業力を高める場というとらえ方をしているわけですけれども、第3回で花井委員の方からも話がありまして、中間的就労というのはまた別のとらえ方が多分あって、補助つき労働みたいな、ドイツで言うと、ワンリュウエティユーロジョブみたいな感じで、そうなってくると、そのようにとらえ方をしていると、花井委員が指摘されたように、雇用関連の法規と最低賃金との関係どうなのだという話も出てきますので、これはちゃんと、こういう意味合いで言っているのだと。ただ、余りぎりぎりやると、今度は野老さんの取組みみたいなところとまたどう考えていくのかという問題も起きてしまいますので、国の政策として考えるならばちゃんと議論した方がいいのではないかと思います。
それから、同じく11ページの就労収入積立金制度、これも就労認定と勤労控除の大きさをどうするかによって、どのぐらいの面積にするのかというのも、インセンティブとして、あるいはどういう目的のために一時金を渡していくのかということを考えなければいけないので、少しこの辺も深い議論というか、集中した議論が必要なのかなと。報告書を書くに当たってはそういう議論が必要だと思います。

○宮本部会長
 ありがとうございました。おっしゃるとおり、中間的就労については、これは、前、小杉委員からの御報告にも関連して議論になったと思いますけれども、一般就労とは別な次元で考えていくのか、あるいは一般就労ともクロスする次元で考えていくのか、ここが枠取りの取り方として非常に大事なところになってございます。今、その辺りは必ずしも区切ってはっきり概念規定して議論しておりませんので、今、駒村委員からも御指摘あったとおり、この辺りを、これまでこの部会としてはやや厚労省サイドの議論として聞いていた節がございますけれども、主体的に考えていかなければならない。これは積立制度の問題も同じでございます。今の御指摘を踏まえてしっかり議論していく場面というのをつくっていきたいと思っております。
 それでは、最後になりますけれども、以前、私の方から少し、この東京のど真ん中でこうやって議論しているだけではなくて、こうした大事な議論なので、やはり現場に赴かなければいけないだろうということで、8月全体にかけて視察の幾つかの企画を設けたいと思っております。
これに関しては1つ申し上げなければいけないこともあるのですけれども、ここには本当に参加されている委員のお膝元で非常に重要な試みを行っているわけですけれども、部会としてある程度ニュートラルに視察を進めるためにも、あえて委員のところ以外のところに伺うということになりました。私、勝部委員には、豊中に伺うと指切りげんまんまでしたのですけれども、ちょっとそれが果たせず、申し訳ないと思っております。また別建てでお伺いするということにしたいと思います。
 その視察の詳細については、また各委員のところに事務局から御案内が届くことになるかと思います。暑い盛り、またお忙しい中ではございますけれども、できるだけ多くの委員の皆さんが参加いただけるように改めてお願いしたいと思います。
 事務局からほかに何かございますか。
 それでは、次回の会議について御説明をお願いします。

○古都総務課長
 本日もどうもありがとうございました。
次回は、7月26日、木曜日の10時から予定いたしております。ヒアリングにつきましても、石委員、上田委員、藤巻委員にお願いしたいということで準備を進めております。場所は、第1回会合と同じで、グランドアーク半蔵門華の間でございますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○宮本部会長
 ありがとうございました。次回、ヒアリングとしてはこれが最後ということになるかと思います。石委員、上田委員、藤巻委員、改めてよろしくお願いいたしたいと思います。
本日はここまでとさせていただきます。御多忙中、どうもありがとうございました。


(了)

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