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2012年6月11日 第9回抗がん剤等による健康被害の救済に関する検討会 議事録

○日時

平成24年6月11日(月) 15時00分~17時00分


○場所

厚生労働省共用第8会議室(6階国会議事堂側)
東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館


○議題

○森嶌座長 それでは、ただいまから「第9回 抗がん剤等による健康被害の救済に関する検討会」を開催させていただきます。
 先日は、私、突然というか前の日からですけれども、腰痛というか、腰が抜けまして痛くて動きがつかなくなったものですから、突然欠席をいたしまして、大変御迷惑をおかけいたしまして、お詫び申し上げます。
 皆様にはお忙しい中、御出席いただきましてありがとうございます。
 本日は、齊藤委員と長谷川委員が残念ながら御欠席ということでございます。本田委員はやがておいでになると思いますので、始めたいと思います。
 本日は、がん対策推進基本計画と、現行の医薬品副作用被害救済制度における因果関係・適正使用の判断の現状について報告をしていただくということにしてございます。
 また、残りの時間で抗がん剤の使用者数等の基礎データに関しまして、前に御質問等ございましたので、補足説明をしていただくということにしておりますが、それとともに、前回の検討会での議論も踏まえまして、今回、検討いただきたい事項について、事務局の方に少し事項整理をしていただきたいとお願いしてございますので、事務局の方から、ここで検討していただきたい事項について提示をしていただき、これにつきまして御意見をちょうだいしたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、議事に入ります前に事務局から資料の確認をお願いいたします。
○牧野医薬品副作用被害対策室調整官 それでは、お手元の資料をごらんいただきまして、議事次第の次に、開催要項と裏に名簿がついているかと思います。
 資料1「がん対策推進基本計画の概要」で始まりますものになります。
 資料2「現行の医薬品副作用被害救済制度における因果関係・適正使用の判断について」になります。
 資料3が「抗がん剤の使用に関する基礎データについて」。
 資料4が「医療情報データベース基盤整備事業」について。
 資料5として「今回特に議論していただきたい事項」。
 参考資料として、前回もおつけしましたけれども、中間とりまとめの本文をつけております。
 不足がございましたらお知らせください。
○森嶌座長 よろしゅうございましょうか。
 それでは、議事に入らせていただきます。
 昨年の検討会では、抗がん剤の副作用の救済制度を検討するに当たりまして、救済制度を検討するというだけではなくて、救済制度とともにがん患者がより適切な治療を受けられるようにするための環境整備の一環として、救済制度も検討すべきだということについて、救済制度をより広い観点から検討することが必要だということを、多くの委員から御意見をいただいております。そこで、がん対策推進基本計画が、ついこの間閣議決定をされたようでございますので、健康局のがん対策・健康増進課から資料の説明をお願いしたいと思います。
 どうぞよろしくお願いいたします。
○木村健康局がん対策・健康増進課長 承知いたしました。
 健康局がん対策・健康増進課長の木村でございます。
 本日は、がん対策推進基本計画の変更についての御説明ということで、これにつきましては、お手元の資料1をごらんいただきたいと思います。資料1を見ますと、1枚表裏のがん対策推進基本計画の概要というものと、2枚目から「がん対策推進基本計画 平成24年6月」と書いたバージョンのものがございます。この2つを用いて御説明申し上げますけれども、時間の関係もございますので、主に概要についてお話をしながら説明させていただきますけれども、適宜本文についても参照していただければ幸いでございます。
 まず、がん対策推進基本計画の位置づけでございますけれども、概要の一番上にある「趣旨」というところをごらんいただければわかりますように、平成18年に成立いたしましたがん対策基本法に基づきまして、政府が策定するものとなってございます。第1回目は平成19年6月に策定されておりまして、これに基づき、5か年間がん対策に取り組んできたところでございます。
 今回、前基本計画の策定から5年経過するということに伴いまして、新たな課題も明らかになってきておりますことから、見直しの作業を平成22年の10月から、法律に基づいた協議会である、がん対策推進協議会において開始をいたしまして、更にがん対策推進協議会の下に小児がん、緩和ケア、がん研究といった、重点的に議論するための3つの専門委員会を設置し、計40回の議論を経まして、平成24年の3月1日にがん対策推進協議会に諮問を行い、同日に答申を受けた形になってございます。
 また、その後3月2日~4月1日までパブリックコメントを行いまして、関係省庁との協議を経まして、座長が申されましたように、先週の金曜日6月8日に閣議決定がなされたという状況でございます。
 本がん対策推進基本計画におきましては、前基本計画から幾つか変更がございましたので、今回はその点を中心に御説明をさせていただきたいと思います。
 まず、全体の構成についてでございますけれども、趣旨や基本方針の後に、第2の重点的に取り組むべき課題として、4つの事項を掲げてございます。
 第3のところには、全体目標として3つの目標を掲げているという形になってございます。
 裏面を見ていただきまして、第4には、全体目標を達成するための分野別施策と個別目標併せて9項目掲げてございまして、最後に第5として、がん対策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項について記載したという体裁になってございます。
 もう少し各論の方へ行きたいと思います。
 まず「第2 重点的に取り組むべき課題」でございます。
 1つ目でございますが「放射線療法、化学療法、手術療法の更なる充実とこれらを専門的に行う医療従事者の育成」としてございます。これまでは、放射線療法、化学療法を重視していたわけでございますけれども、近年は外科医の不足も指摘されておりまして、手術療法についてもさらなる充実が必要だという認識の下にその旨が追加されておる形になってございます。
 2つ目でございますけれども、「がんと診断された時からの緩和ケアの推進」でございます。
 これまで、治療の初期段階からの緩和ケアの実施という形としてございましたけれども、緩和ケアにつきましては、治療の初期段階ではなく、更に前の段階の診断時から身体的苦痛のみならず精神的あるいは心理的苦痛への対応を含む、全人的な緩和ケアを開始する必要があるとの御意見を踏まえまして変更したものでございます。
 3つ目の柱でございますが、「がん登録の推進」でございます。
 前基本計画から引き続き重点的に取り組むべき課題としてございますけれども、がん登録は、がんの罹患率、生存率、早期発見率などを解析いたしまして、国民や患者に対してデータに基づく適切ながん対策を提供し、医療の質の向上のために不可欠であるという形になるわけでございますけれども、すべての患者さんのデータが登録されていない、あるいは患者さんの生存期間が把握できていないということなど、幾つかの問題点が現在ございまして、これらの課題をクリアーするために、法的位置づけの検討も含めてがん登録を円滑に推進するための体制整備を図るということにしたものでございます。
 4つ目でございますけれども、がんは必ずしも高齢者の方のみの問題ではなくて、毎年20歳~64歳までにおきましても、約22万人ががんに罹患してございます。また、7万人ががんで死亡しているということで、働く世代にとっても重要な健康問題であるということ、更に、働く世代や小児へのがん対策の充実というものを新しく重点的に取り組むべき課題に盛り込んだところでございます。
 次に、下の方の「第3 全体目標」でございます。
 上の2つは前基本計画を引き継いだ形になってございます。
 まず、1つ目でございますけれども、「がんによる死亡者の減少」ということで、75歳未満の年齢調整死亡率の20%減少というものを掲げてございます。右下のグラフに示されておりますように、年齢調整死亡率はこの5年間おおむね順調に低下してきているところでございますけれども、ここ数年は横ばいであり、今後予断を許さない状況になっておりますけれども、今後5年間で新たに加えた分野別施策を含めまして、より一層がん対策を充実させてがんによる死亡者を減少させるということを目標としております。
 2つ目でございますけれども、がんと診断されたときからの緩和ケアの実施や、がん医療や支援のさらなる充実などにより、がん性疼痛や治療に伴う副作用、合併症などの身体的苦痛、また、精神的、心理的苦痛を軽減しまして、安心納得できるがん医療や支援を提供することによって、すべてのがん患者とその家族の苦痛の軽減と療養生活の質の維持向上をさせるということを目標としているところでございます。
 3つ目が、今回新たに掲げている目標でございますけれども、がん患者さんの苦痛は身体的な苦痛のみならず、社会とのつながりを失うことに対する不安、仕事と治療の両立が難しいといったことなど、社会的な苦痛もいろいろとありますことから、新しく「がんになっても安心して暮らせる社会の構築」というものを、全体目標に追加いたしまして、がん患者さんとその家族を社会全体で支える取組みを実施することとしております。
 裏面にまいりまして「第4 分野別施策と個別目標」につきましては、それぞれの分野につきまして今後どのようなことに政府が取り組むか、更に、その目標のうち、主なものを記載させていただいている形にしてございます。
 1つ目でございますけれども、がん医療でございますが「(1)放射線療法、化学療法、手術療法の更なる充実とチーム医療の推進」についてでございますけれども、がん医療は医師のみならず、看護師や歯科医師、薬剤師、理学療法士、臨床心理士など、さまざまな職種の方が互いの専門性を生かして医療従事者間の連携と補完を重視した他職種にて実施することが重要であるということにかんがみまして、(1)のところにチーム医療に関する事項というものを新たに追加してございます。
 また、がん医療全般としましては、これまで量的な整備が進められてきたところでございますけれども、患者さんが自分の病状やあるいは検査、治療内容、それに伴う副作用、合併症などについて適切な説明を受け、十分に理解した上で拒否や合意を選択する、いわゆるインフォームド・コンセントが十分に行われていない、あるいはセカンドオピニオンが十分に活用されていないといった事情を踏まえまして、インフォームド・コンセントやセカンドオピニオンを一層推進することといたしております。
 (2)のところでございますけれども、「がん医療に携わる専門的な医療従事者の育成」につきましては、より効率的な研修体制を検討いたしまして、引き続き地域のがん医療を担う医療従事者の育成に取り組むことといたしております。
 (3)の緩和ケアについてでございますけれども、重点的に取り組むべき事項のところで先ほど御説明申し上げましたけれども、がんと診断されたときからの緩和ケアを推進するということにしてございまして、既に今年の4月から新たに緩和ケア推進検討会を私ども健康局の方で立ち上げまして、身体的な苦痛をどのように緩和するべきか、あるいは診断時からの緩和ケアを実施するためにはどのような体制が必要なのか、今後の教育体制をどのようにするべきかといったことなどについて、今、御議論いただいているところでございます。
 「(4) 地域の医療・介護サービス提供体制の構築」についてでございますけれども、主に、現在全国に397指定されておりますがん診療連携拠点病院と地域連携に関する記載でございます。
 拠点病院につきましては、がん患者さんが居住する地域にかかわらず、等しく適切ながん医療を受けることができるように整備を進めてきたところでございますけれども、拠点病院間の診療実績に格差がありますことや、国指定の拠点病院と県が認定するがん診療を専門とする病院がありまして、患者さんにとってわかりにくいといった御指摘もございます。今後、拠点病院の指定要件や拠点病院を中心とした地域のがん医療水準の向上など、在り方の見直しを進める予定でございまして、この検討会につきましても、今年の7月を目途に立ち上げる予定としているところでございます。
 (5)でございますけれども、「医薬品・医療機器の早期開発・承認等に向けた取組」でございますが、いわゆる「ドラッグ・ラグ」「デバイス・ラグ」に関する問題でございますけれども、臨床研究中核病院の整備や、治験の推進などの取組みを一層強化しまして、有効で安全な医薬品・医療機器を迅速に提供するための取組みを今後着実に実施することといたしております。
 「(6)その他」の部分でございますけれども、希少がん、病理診断、がんのリハビリテーションを盛り込んでございます。
 特に希少がんにつきましては、それぞれの患者さんや専門とする医師や施設が現在少なく、現状を示すデータや医療機関に関する情報も少ない状況となっておりますことから、今後適切な標準的治療の提供体制や情報の集約、発信、相談支援、研究開発などの在り方につきまして、希少がんが数多く存在します小児がん対策の進捗なども参考にしながら、今後検討することといたしております。
 また、病理診断につきましては、若年診断医の育成や病理診断業務を専門といたします臨床検査技師の適正配置などについて検討しまして、より安全で質の高い病理診断や細胞診断の均てん化に取り組むことともしております。
 がん領域でのリハビリテーションにつきましては、その重要性が指摘されてございます。特に拠点病院などでがんのリハビリテーションに関わる医療従事者に対しまして、質の高い研修を実施いたしまして、育成に取り組むことといたしております。
 「2.がんに関する相談支援と情報提供」についてでございますけれども、多くの情報があふれる中で、患者さんや家族が医療機関や治療の選択に迷う場面も多くなってきているということでございますので、これまで拠点病院を中心に相談支援センターが設置されまして、がんに関する不安や疑問に対応を行ってきたところでございますけれども、患者さんと家族のニーズが多様化している中で、最新の情報をより正確に提供し、精神的、心理的にも患者さんとその家族を支えることのできる体制の構築などの課題が指摘されてきているところでございます。
 したがいまして、今後相談支援センターのみならず、ピア・サポートを提供する患者団体や学会等との連携の下に、がんの治療や副作用あるいは合併症に関する情報も含めて必要とする最新の情報を正しく提供して、患者さんとその家族にとってより活用しやすい相談支援体制というものを早期に実現することを目標としているところでございます。
 3つ目、重点項目で先ほど御説明申し上げましたけれども、がん登録についてでございます。これについては省略させていただきます。
 次の、がんの予防につきましては、今回初めて喫煙率等に関する数字目標を設定してございます。平成34年度までに成人の喫煙率を12%、未成年者の喫煙率を0%、受動喫煙につきましては、行政機関及び医療機関は0%、家庭は3%、飲食店は15%、職場は平成32年までに受動喫煙のない職場を実現することを目標として掲げてございます。
 そのほか、肝炎ウイルスやヒトパピローマウイルス、ヘリコバクター・ピロリ菌などの感染に起因するがんを予防するための対策や、生活習慣に関する事項につきましても、記載をしているところでございます。
 5つ目は「がんの早期発見」でございます。すなわちがん検診でございますけれども、受診率につきましては、これまでも50%を目標として検診無料クーポンの配付などに取り組んできたところでございますが、受診率は平均して20~30%にとどまってございます。受診率の目標につきましては、引き続き5年以内に50%を達成することを目標にしてございますけれども、特に受診率の低い胃、肺、大腸につきましては、現実的な目標を設定すべきとの御意見も踏まえまして、40%といたしまして、今後中間評価を踏まえて必要な見直しを行うこととしているところでございます。
 また、がん検診の項目につきましては、子宮頸がんのHPV検査あるいは胃がんのピロリ検査や内視鏡検査などにつきましても、その有効性について検討するべきであるという御指摘がございましたことから、5月28日にがん検診の在り方に関する検討会というものにつきましても健康局で立ち上げたところでございまして、今後がん検診の項目について検討を始めることといたしております。更に受診率向上の施策やがん検診の精度管理等についても併せてこの検討会で検討していく予定でございます。
 6の「がん研究」についてでございますけれども、これにつきましては、これまで「第3次対がん10か年総合戦略」に基づき進めてきたわけでございますが、これが平成25年度に終了いたしますことから、それに続く戦略を策定する予定としております。また、新たながん診断、治療法やがん予防方法など、がん患者さんの視点に立って実用化を目指した研究というものを推進し、有効で安全ながん医療を速やかに提供することを目標としているところでございます。
 7~9までの新しく追加された施策について御紹介させていただきたいと思います。
 7の「小児がん」でございますけれども、小児がんは成人のがんと異なりまして、生活習慣とは関連がなく、乳幼児から思春期、若年成人まで幅広い年齢に発症しまして、希少で多種多様ながん種からなっているということでございます。
 また、治療による合併症に加えまして、成長発達期の治療によりまして、治癒した後も発育や発達障害などの問題が生じることもありまして、長期的に患者さんの協力と患者を支える家族に向けた支援というものを考慮していく必要がございます。
 こうした小児がん患者の方が適切な医療を受けられるように、今後小児がん拠点病院を整備することといたしておりまして、昨月5月24日に小児がん医療支援の在り方に関する検討会というものを新たに立ち上げまして、小児がん拠点病院や中核的な機関に求める機能について、現在議論を進めているところでございます。
 8のがんの教育・普及啓発でございますけれども、がんの教育は国民への普及啓発にとどまらず、子どもへの教育も重要でありますことから、今後健康教育全体の中でがんの教育の在り方を検討することといたしているところでございます。
 9の「がん患者の就労を含めた社会的な問題」につきましては、重点項目のところでも御説明申し上げましたけれども、働く世代でも毎年多くの方ががんに罹患している中で、がん患者さんや経験者と家族の中には、就労を含めた社会的な問題に直面している方々も多いということでございまして、就労可能ながん患者・経験者の方でさえも復職、継続就労、新規就労するということが困難な場合があるということが想定されてございます。今後、がん患者さんが就労に関してどのような問題を抱えていくのか、実態調査を行いまして、まずは必要な情報提供や相談体制を進めていく予定としているところでございます。
 「第5 がん対策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項」には、国、地方公共団体、関係者の連携や意見の把握に関する事項、がん患者さんを含めた国民の主体的かつ積極的な活動などの努力に関する事項というものを、この中に盛り込んでいるところでございます。
 また、基本計画に基づきますがん対策の進捗状況につきまして、3年をめどに中間評価を行うということについても、この中で記載されているところでございます。
 がん対策推進基本計画の全体につきましては、以上、御説明申し上げたとおりでございますけれども、いずれにしましても、今後平成28年度まで本がん対策推進基本計画に基づきまして、がん対策に鋭意取り組んでいきたいと考えているところでございますので、ひとつよろしくお願い申し上げます。
 説明につきましては、以上でございます。
○森嶌座長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの木村課長の御説明につきまして、何か御質問等ございましょうか。
 どうぞ、檀委員。
○檀委員 日本医科大学の檀ですけれども、今、お聞きしていたところによりますと、このがん対策推進基本計画の中には、この検討会の命題であるがん医療による健康被害の救済の面は全く含まれていないということでよろしいのでしょうか。
○木村健康局がん対策・健康増進課長 このがん対策推進基本計画は、まさにこれからのがんの予防、また、がんになられた方の早期発見、がんに対する適切な質の高い治療というものを目指した計画ということで策定されているところでございます。
○檀委員 ということは、閣議決定をされたという現時点でも、がん患者さんの救済に関する検討をするこの検討会自体の存在価値はまだある、検討会自体を続ける必要があるということでしょうか。
○森嶌座長 課長がお答えになる筋ではないかもしれませんけれども、これはどなたがお答えになるのでしょうか。
 この基本計画との関係で、安心して暮らせる社会の構築、広い意味でいうと、治療もありますけれども、治療の中での副作用による健康被害や死亡の救済も含まれると思いますが、被害者救済は、患者とか患者の生活の安心に関わってはいるわけですね。そういう観点で、今の檀先生の御質問は、推進計画に書かれていないということは、我々が別途検討するという趣旨で特にここで検討されなかったのかという御質問かと思います。
 他方で、ここで検討されなかったということは、我々は推進計画という観点からは、もう要らないということではないにしても、少なくともネガティブでないにしてもポジティブには位置づけられなかったのかという、逆にそういう御質問も論理的には含むと思うのですけれども、これを木村課長に伺ってもいいのでしょうか。
○木村健康局がん対策・健康増進課長 答えには少しなっていない部分もあるかと思いますけれども、まず補足情報としまして、先ほど御説明差し上げましたがん対策推進基本計画というものは、がん対策基本法という法律、この法律は議員立法で制定された法律でございまして、がん対策基本法の中でがん対策推進基本計画というものを定め、それぞれの目標を定めて閣議決定しなければならないものでございまして、法律の内容に沿った形で推進計画が策定され、推進されていくものになっているものでございます。
 したがいまして、先ほど申しましたように、がんに対する予防、早期発見、早期治療、適切な質の高い治療というものが全体概要になっているところでございまして、今般、新たながん対策推進基本計画として閣議決定された計画の中には、就労部分のがん患者の就労を含めた社会的な問題などについても対処していくという部分が新たに加わっているところでございます。
○鳥井医薬品副作用被害対策室長 補足です。
 副作用被害対策室長ですけれども、がん対策推進基本計画は今、木村課長のお答えしていましたように、今後の基本的な計画を定めていくというものではあるのですけれども、そういう意味では関係はするのですが、ここに入っていなかったからといって、今後検討をやらないとか、そういうことを意味するものではないと理解をしております。もし、こちらの方の検討が進みますれば、がん基本計画の中にも取り上げられる可能性もあるとは思っております。ただ、今回までの議論では基本計画には明確な記述としては含まれていないと理解しております。
○森嶌座長 檀先生、よろしいですか。
 ほかに何か、木村課長に対する御質問ございますか。
 では、中田委員。
○中田委員 今の点に関連してですが、私も前から基本計画の中で副作用というのはどうやってとらえられているのだろうかというのは疑問に思っていたのですが、前回の計画を見ると、副作用というのは言葉自体も出ていなかったような気がするのです。それに比べれば、今回は先ほどの御説明で副作用に関する情報提供をしていきたいということ、あるいはがんの研究のところで、終わりの辺に研究のことが書いてあるところがあって、その中に副作用のできるだけ少ないような研究を目指すということも書かれておりますので、前回に比べれば副作用に対する関心というのは基本計画の中でもかなり進んだととらえてもよろしいのでしょうか。私はそうとらえたいと思っているのですけれども、その辺はいかがでしょうか。
○木村健康局がん対策・健康増進課長 お手元の本文の方を見ていただきたいと思います。9ページ、全体の医療のところですけれども、一番下の化学療法の推進のところを見ましても、患者の副作用・合併症やその他の苦痛に対して迅速かつ継続的に対応できる診療体制を通院治療を含めて整備するという新たな文言を書いてございます。
 20ページ、その他のがんに関する相談支援と情報提供のところでございますけれども、(個別目標)の上でございますが、PMDAは関係機関と協力し、副作用の情報収集・評価と患者への情報提供を行うという記載。
 27ページ、がんの研究の分野のところでございますけれども、がんの予防や根治、治療に伴う副作用の軽減等を目指した基礎研究を更に推進するといった形で、副作用に関する対応についても随所に基本計画の中で盛り込んで、今後対応する予定になっているところでございます。
○森嶌座長 ありがとうございました。
 ほかによろしゅうございましょうか。
 それでは、特にございませんでしたら、1つ目の議題につきましてはこれぐらいにさせていただきまして、どうもありがとうございました。
 それでは、次にまいります。2番目の議題でございますが「因果関係・適正使用の判断の現状について」、これまでも概略の説明はあったところでございますけれども、本日は具体的な事例を交えつつ、制度運用の現状について御説明をいただくということにしております。
 それでは、事務局の方からよろしくお願いいたします。
○広瀬安全対策課長補佐 安全対策課の広瀬と申します。
 それでは「現行の医薬品副作用被害救済制度における因果関係・適正使用の判断について」ということで、御説明させていただきたいと思います。お手元の資料2をごらんください。
 今、座長の方からも御紹介がございましたように、これまでもこの検討会におきまして、現行の制度における因果関係・適正使用につきましては、概要を御説明させていただいているところですが、今後更に検討を進めていくに当たりまして、現行の制度のもう少し細かい具体的な事例なども御紹介しながら、認識を深めていただいた方がいいのではないかという趣旨で、今回御説明させていただくものでございます。
 1ページおめくりいただきまして「救済給付の支給判定の流れ」をごらんいただければと思います。
 まず、一番左側に健康被害を受けた方々から請求がございまして、医薬品医療機器総合機構の方で事前に事実関係の調査、整理等させていただいたものを、厚生労働省の方にお送りいただきまして、具体的には一番右側にございます「薬事・食品衛生審議会(副作用・感染等被害判定部会)」というところで医学・薬学的な評価を行っているものでございます。その結果につきましては、また機構を通じて請求者の方にお知らせするという流れになっております。
 3ページ目をお願いいたします。「救済給付の支給に当たり、医学的・薬学的見地から判断を要する事項」について、このような項目で判断しているということをお示ししているものでございます。
 まず、1つ目が疾病、障害または死亡が医薬品が原因となって発現したものかどうかという因果関係。
 2番目といたしまして、「医薬品の使用目的がその医薬品の有する効能・効果等からみて適正なものであったか」という、適正目的かどうかという視点。
 3番目の「医薬品の使用がその用法・用量等からみて適正なものであったか」という適正使用という視点。大きくは因果関係と適正目的、適正使用という形で判定としておることでございます。
 あとは4番目、受忍すべき事例に該当しないか、実際に行われている副作用に対する医療というものが、給付の対象に該当するようなものかどうかということも、併せて評価をさせていただいております。
 早速ですが、因果関係の説明に入らせていただきたいと思います。
 5ページ目をごらんいただければと思います。
 「因果関係の判定の際に考慮する事項の例」ということで、因果関係の判定を行う際の主要な事項についてお示しをしております。
 例えば1番目から、病理所見、臨床検査所見等、実際の医療の観点からどうかということ。
 2番目は、医薬品の投与と実際に起きた副作用との間の時間関係に何か矛盾がないかどうかということ。
 3番目は、副作用が起きた原因となった医薬品を投与中止することによって症状が軽くなる、もしくは消えるということがあるのかどうかということ。
 4番目は、必ずしもすべてに再投与を行うわけではありませんけれども、再投与によって同一の症状の発現した場合などはより強く因果関係が疑われるものとして挙げられています。
 5番目「特異体質」とありますが、患者さん個々でかなり体質等も違いますので、副作用の発生の原因の際にも考慮させていただいている。
 6番目が、被疑薬以外の要因があるのかないのかといったことも考慮させていただいております。
 7番目、特に抗がん剤の検討などの場合ではかなり重要なことになるのかと思うのですけれども、原疾患の進行に伴う症状なのか、薬の副作用なのかという点。こういったことを考慮させていただいているということです。
 以下は具体的な事例の御紹介をさせていただければと思います。
 6ページをごらんいただければと思います。
 こちらは医薬品の影響か原疾患によるかという中では、原疾患によるものと判定されたものの具体事例でございます。
 こちらの方は上気道炎をもともと持たれていて、そこにロキソプロフェンナトリウム水和物等という医薬品を投与したところでございます。急性喉頭蓋炎という症状が起きております。
 ロキソプロフェンナトリウムという医薬品ですが、一番下の※のところにございますように、薬の添付文書にはショック、アナフィラキシー様症状とか、その中でも喉頭浮腫、呼吸困難等があらわれることがあるという記載がございます。
 しかしながら、この方の場合、理由欄のポツの2番目にございますように、喉頭ファイバースコピーで細菌感染による急性喉頭蓋炎の所見が示されているということで、もともと喉頭蓋炎が起きた原因がどちらかというと細菌感染によるものではないかという医学的な判断がございまして、最終的には医薬品の副作用によるものではなく、原疾患によるものではないかということで救済給付の対象外とされた事例でございます。
 7ページ目、こちらも原疾患ではないかという事例でございますが、もともと風邪と膀胱腫瘍をお持ちの方でございます。薬としては総合感冒薬を飲まれて、症状としては出血性膀胱炎があらわれているわけですが、こちらも出血性膀胱炎のところですが、医学的には血尿が膀胱腫瘍からの出血という診断でございましたので、医薬品の副作用というよりは原疾患による原因ということで救済給付の対象外となった事例ということです。
 8ページの3番目の事例をごらんください。
 こちらは原疾患として小細胞肺がん、転移性脳腫瘍、症候性てんかんなどをお持ちです。投与されている医薬品としてはフェニトインナトリウム、ファモチジン、バルプロ酸ナトリウム等でございます。症状としては皮膚粘膜眼症候群、スティーブンス・ジョンソン症候群と呼ばれているもので、高熱を伴って発疹、発赤、やけどのような水膨れなどの症状が全身の皮膚とか口や目の粘膜にあらわれる病態でございます。あと死亡という転帰となっております。
 こちらの方の場合ですけれども、皮膚粘膜眼症候群につきましては、医薬品によるものであるということで、副作用の治療にかかった部分の医療費について一部支給という形になっております。死亡についてですが、肺がんに伴う肺感染症ということで、これが死亡原因ではないかという判断でございましたので、医薬品の副作用により死亡に至ったとは考えがたいということで、救済給付の対象外となった事例でございます。
 9ページをごらんいただければと思います。
 この事例は原疾患の可能性もあるけれども、医薬品の副作用による可能性がより高いのではないかというものの事例です。
 もともとの原疾患、慢性B型肝炎をお持ちで、この方の場合にはヘリコバクターピロリという、胃のピロリ菌の除菌のためにオメプラゾール、クラリスロマイシン、アモキシシリンという薬を投与しております。
 症状として肝障害が起きているわけですが、こちらの方はもともとは慢性のB型肝炎だったわけですけれども、こういった病態というのは徐々に進行していくものと思われるのですが、医薬品の投与後に肝機能値が急に上がっているということと、この方の場合にはB型肝炎の治療ということではなく、薬の投与の中止により肝機能値が改善しているということから、どちらかというとB型肝炎の増悪という可能性ではなくて医薬品の副作用による可能性が高いとされて、救済の対象となったという事例でございます。
 10ページ目になりますが、今までの事例についてはいずれも添付文書上も副作用として知られているものの事例でしたけれども、3つ目、今回御紹介するものは添付文書上に医薬品の副作用としての記載がない副作用の事例です。こちらは臨床経過等から薬が原因であるという判断があった場合には救済の対象となるという事例として御紹介させていただきました。
 原疾患は2型糖尿病で、糖尿病治療薬としてアログリプチン安息香酸塩を投与されておりまして、皮膚粘膜眼症候群に罹患しておられます。
 薬剤の添付文書に、特に判定をしていた当時には皮膚粘膜眼症候群に関する記載はなかったわけですけれども、薬を使い始めた時期と副作用症状があらわれた時期に時間的な矛盾がないことと、他に感染症などこういう症状を起こすような要因が否定的であったことから、薬の副作用であろうと判断された事例でございます。
 11ページをごらんいただければと思います。
 こちらは情報等が足りなくて判定ができなかったという事例として御紹介させていただきます。
 原疾患は気管支肺炎ですが、治療にためにクラリスロマイシン等の抗生物質を投与されております。致死性の不整脈で死亡ということですが、こちらの方の場合にはもともと抗生物質を受けて外来で症状を診られていたそうなのですけれども、自宅で心肺停止状態で倒れているところを発見されたという状態です。
 緊急搬送されていて詳細が不明であること、解剖による検査が行われていないということと、もともとの基礎疾患としてQT延長症候群という不整脈につながるような持病をお持ちだったということがございまして、資料や情報の不足などから薬の副作用なのか原疾患なのか判定ができないという事例でございます。
 続きまして、適正使用について御説明させていただきます。13ページをごらんいただければと思います。
 先ほど、概要を御説明させていただきましたけれども、上段にあります【適正目的の判断】につきましては、効能・効果から見て適正なものであったかどうか、これは承認を受けた効能・効果の範囲内であるかとか、臨床的に現在の医学水準から使用目的が支持できるかという視点。
 下の【適正使用の判断】につきましては、用法・用量、使用上の注意から見て適正なものであったか、適正に使われているかという視点でございます。
 次のページからが具体的な事例になります。最初は効能・効果、用法・用量によらずに使用された事例ということで、使用法が違うのではという事例になります。
 14ページの事例ですが、原疾患に対してラモトリギン、バルプロ酸ナトリウムを投与されており、皮膚粘膜眼症候群を発症しておりますが、ラモトリギンにつきましては、バルプロ酸ナトリウムと併用、同時に用いる場合には、下の※にありますように、最初の2週間は1回25mgというのを隔日ということで、毎日ではなくて1日置きに投与するということになっておりますが、こちらの事例では連日投与しておりました。
 連日投与しているということと、連日投与した理由についても述べられておりましたけれども、連日投与する医学的合理的な理由が認められなかったということで、適正な使用であったとは認められずに救済の対象外となっております。
 15ページになりますが、こちらは支給された事例です。
 双極性障害をもともとお持ちで、ラモトリギンという薬剤を投与されております。薬剤性過敏症症候群という症状を来しておりますが、使用当時の効能・効果の中には双極性障害に対しての使用というのが記載されていなかったわけですけれども、当時の医学・薬学的には双極性障害の適用というのが知られているということがございまして、添付文書上効能・効果の記載はなかったわけですが、不適正使用とまでは言えないということで、救済給付の対象となっております。
 次の事例は、検査をきちんとしていなかったという事例になります。
 甲状腺機能亢進症の原疾患をお持ちで、チアマゾールという治療薬を投与されておりましたが、無顆粒球症が発生しております。
 投与開始1か月後に血液検査を実施されて、白血球数などいわゆる血液中の血球数に異常がなかったわけですが、それ以降は無顆粒球症という、血球がなくなってしまうような症状が認められるまでに4週間血液検査が実施されていないということです。
 この薬剤につきましては、少なくとも投与開始後2か月間は原則として2週に1回、それ以降も定期的に血液検査を実施するということになっておりますので、4週間実施していなかったということが適正であったとは認められないということでございます。
 17ページをごらんいただければと思います。
 原疾患は足趾鶏眼ということで、足の指の魚の目にリドカイン塩酸塩、アドレナリン注射剤、これは麻酔という視点で使われたものだと思います。注射部位に皮膚の潰瘍が起きてしまっております。
 鶏眼、魚の目の処置のために禁忌となっている足趾にリドカイン塩酸塩、アドレナリン注射剤を注射されているということで、合理的な理由もなかったということもございますので、適正使用だったとは認められず救済の対象外となっております。
 18ページ目をごらんいただければと思います。
 過去に一度副作用に遭っている方に、また同じ系列の薬剤を投与してしまったということで不支給になっている事例です。急性咽頭炎にアモキシシリンを投与して汎発性薬疹が起きておりますが、患者さんは過去にペニシリンによる皮疹を生じた既往があったにもかかわらず、ペニシリン系の抗生物質でありますアモキシシリンが処方されまして、原則禁忌の項に書いてありますような、過去に過敏症を起こした患者さんということによらずに使ってしまったということで、救済給付の対象外となったという事例でございます。
 以上でございます。
○森嶌座長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの広瀬さんの説明について何か御質問は。
 どうぞ。
○藤村委員 5ページの因果関係の判定の際に考慮する事項の例の中の5番目の特異体質というのは、知識がないせいかもしれませんが、どういう因果関係判断の際の障害事由になっているのでしょうか。多かれ少なかれ何らかの患者さん側の事情というものがあると思うのですけれども、その辺と特異体質というものをどういうふうに。特異体質の概念自体を理解していないのかもしれませんが。
○広瀬安全対策課長補佐 確かに難しい事例かと思っております。基本的にはいろいろな体質の方がおられる中で、ある程度副作用の回避をしながら医師の方は薬の選択等されているところであるかと思います。なかなか避けがたいというか、予期し得ないような形で起きてしまっている場合に、こういう事例も余り多くはないと思うのですけれども、体質も判定の中では考慮していくということで、事実としては挙げさせていただいておりますが、実際にこれが副作用の原因であるかどうかということも含めて、個々の事例の中で、専門の先生方に個別に御判断いただいているということでございます。
○森嶌座長 よろしいですか。
 ほかに。
○中田委員 2ページの図なのですが、1番の請求から6番の決定通知給付までございますけれども、それぞれ年間でどのぐらいの数が出ているのか、請求がどのぐらいあって、判定の申出がどのぐらいあったというのがわかれば教えていただきたいと思います。
○増田健康被害救済部長 PMDAです。 23年度の実績は、受理件数が1,075件で決定件数が1,103件でございます。支給になったものが959件、不支給が143件でございます。取下げが1件ありました。
○中田委員 ほとんどが支給になっているということですか。
○広瀬安全対策課長補佐 支給の例の方が多いということです。
○森嶌座長 よろしいですか。
 ほかに。
○藤村委員 今のページのところなのですけれども、最終的に不支給になったケースについて、訴訟等に発展しているというものもあるのですか。
○広瀬安全対策課長補佐 まず、訴訟の前に一旦判定に不服があった場合には不服申立てという制度がございますので、まずは厚生労働省の方にお申立てをいただいて、判定が適切であったかどうかということにつきまして、別の審議会の方で御評価いただいてやらせていただいております。更にそれでも御納得がいかない場合には訴訟ということになるかと思いますが、今回、御紹介させていただいた事例は、一部改変させていただいていますので、個別事例そのものではありません。また、訴訟に至っているような事例につきましては省かせていただいております。
○藤村委員 訴訟件数もあるということなのですね。
○広瀬安全対策課長補佐 実際に判定した事例の中には訴訟になっているものもございます。
○森嶌座長 大体どれぐらいが不服申立てと訴訟というのが、もしも手元の資料でおわかりになれば。どこかにありますか。
○増田健康被害救済部長 不服申立ての件数ですが、不支給になったものの半分程度と承知しております。訴訟件数は現在抱えているのは15件でございます。
○森嶌座長 そうですか。現在抱えている件数15件は不服申立て件数のどれくらいなのかよくわかりませんが、ありがとうございました。
 ほかによろしゅうございますか。
 どうぞ。
○祖父江委員 前回の諸外国の救済制度の比較の中で、たしか諸外国の方が救済の申請があって、最終的に認められるというか、認容率とありましょうか、その割合が諸外国が比較的低くて日本の場合は割と高いという数字になっていたかと思いますけれども、因果関係、適正目的、適正使用についての判断基準が諸外国と違うのか、申請に乗ってくる人たちの特性がもともと違うのか、そういうところはどうなのでしょうか。要はロジックに関して国際的にグローバルスタンダードなのかというところなのですが。
○広瀬安全対策課長補佐 恐らく因果関係そのものについては外国と差があるということはないのではないかと思いますけれども、支給するのかしないのかという、どこまでを救うのか、前回御説明させていただきました諸外国の事例というのはかなり限られた事例の場合に支給している印象を受けておりますので、副作用自体はそんなに頻繁に起きないのでまれではあるのですけれども、その中でも比較的起きやすい副作用、日本の場合には支給の対象としていると思うのですけれども、諸外国の場合にはある程度はわかっている副作用は支給しないと整理にしているような印象を受けております。
○鳥井医薬品副作用被害対策室長 副対室長ですけれども、ちょっと補足いたしますけれども、因果関係の判断と適正使用の判断に加えて、原疾患の状態ですとか、出た副作用被害の態様、予測可能性、頻度といったものを勘案して受忍、受容すべきものなのかという3つの判断が諸外国の場合にもございまして、因果関係の判断は恐らくそれほど変わらないと思うのですが、適正使用の判断につきましては変わっている可能性はございます。ただ、そこまで詳細なデータは持ち合わせてございません。一番異なりますのは、受忍すべき副作用かどうかという判断を一件一件しているというところでございます。
○森嶌座長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。今の御報告についての質疑は以上でよろしいでしょうか。
 それでは、先ほど申しましたけれども、「その他」いうことで、抗がん剤の使用に関する基礎データの補足説明を行っていただきますと同時に、先ほど申しましたけれども、前回の検討会で中田委員からの御指摘を踏まえまして、現在開発が進められております医療情報データベース基盤整備事業について御説明をいただきます。
 そして、前回及び今回の検討会での報告内容を踏まえて、今回特に議論していただきたい事項について、事務局の方で少し整理をしていただくということにしていただいておりますので、それを提示していただいて説明をしていただきます。そのうえで、意見交換をさせていただきます。
 それでは、まず、抗がん剤の使用に関する基礎データに関して事務局から資料の説明をお願いいたします。
○牧野医薬品副作用被害対策室調整官 それでは、資料3、4を続けて説明させていただきたいと思います。まず、私の方からは資料3の説明をさせていただきます。
 抗がん剤の使用に関する基礎データにつきましては、第2回の検討会の資料1-2の方でも御説明したところですけれども、その後得られた情報などを基に少しリバイスなどをしましたので、御紹介させていただきたいと思います。
 まず、がんの患者数ですけれども、前回も2種類の数字、がんの罹患数と患者調査による総患者数という2つの観点の違う数字を出させていただいたのですけれども、今回、1の罹患数につきましては、少し新しい数字が出ておりましたので、そこをリバイスさせていただきました。
 次に、一番大きく変わったのが、抗がん剤の使用率のところの数字ですけれども、前回は1の30.1%という数字だけ出しておりましたけれども、今回新たに国立がん研究センターがん対策情報センターに推計をお願いしまして、18.0%という数字を出していただきました。これにつきましては、前回の健保組合のレセプトによる集計が、9,000人弱のがん患者を基に集計したものに対しまして、母数が120万人ぐらいという形でかなり信頼性が高まっている。それから、健保組合のデータの年齢分布が就業者に偏っているのに比べて、全年齢が網羅されているという意味では、少し信頼性の高い数字が出たのではないかと思っております。
 ただし、入院患者に限定されているということでございますので、抗がん剤の投与が外来による投与も増えてきている中では若干評価が難しいという数字になっております。今のところ出せるデータとしてはこれが限界ということでございます。
 抗がん剤の使用者数につきましては、既存の統計というのは存在しないのですけれども、上の1と2を掛け合わせると少なくとも10万単位の数字でいらっしゃるということがわかるかと思います。
 4番目「副作用の発現頻度」ですけれども、抗がん剤全体という意味では存在しないというのは前回御説明したとおりなのですけれども、(参考1)として海外の論文で化学療法を受けた方のどれぐらい副作用が発生するかという調査を行った結果がございましたので、これを御紹介させていただきます。それによりますと、Grade3(重篤)以上の副作用の発生率というのは53%であった。ただし、65歳以上に限定されておりますので、全年齢だとまた違う数字になりますけれども、そういう数字だった。内訳をごらんいただきますと、Grade3以上の中でも死亡というのは2%ということでございまして、去年の医療関係者のヒアリングでも大体死亡は1~2%というお話だったと思いますけれども、同じような数字が出ているということでございます。
 裏面については前回と同じですので説明は省略させていただきます。
 基礎データについては以上でございます。
○広瀬安全対策課長補佐 それでは、引き続き資料4について御説明させていただきます。
 医療情報データベース基盤整備事業でございますが、平成23年度から5か年計画で各医療機関にあります、例えばレセプトデータ、電子カルテのデータ、オーダリングデータ、検査データといったものを基に、この情報を直接引き出すのにはなかなかいろいろ制約等もございますので、まず、匿名化等をした上で各拠点病院に別のデータベースの形で一回情報を吸い上げて分析していこうというシステムを立ち上げようというものでございます。
 まず、10の機関につきましては、3ページを先にごらんいただきたいのですけれども、まず、拠点医療機関7か所と拠点医療グループ3グループというのがございまして、赤の拠点医療機関、東北大から佐賀大までのところと、拠点医療グループとしてNTT病院とか徳洲会とかそういうグル—プ合わせて10ぐらいの機関でこのデータを集めようとしております。
 もう一回1ページをおめくりいただきまして、こういった機関における医療情報を使いまして、こちらから左側の下の矢印にありますように、安全対策に結びつけるようなデータどりができないかどうかということで進めているものでございます。
 期待される成果といたしましては、医薬品等の迅速で的確な安全対策の実施ということで、例えば副作用の発生割合の比較、これは現在、厚生労働省で集めております副作用情報につきましては、自発報告という形をとっておりますので、何に薬が投与されているということもなかなか把握できない中で、副作用のみの件数が上がってくるという状態になっておりますが、こういうデータベースを活用すれば母集団、薬を投与された方がわかる中できちんと副作用の発生率とかがわかるのではないかということ。
 それから、副作用なのか、病気自体の症状なのかの判別とか、安全対策の措置をとった後に副作用を減らすために効果があったのかどうかの検証ができるのではないかということです。これは2ページにもう少し具体的に図を示しております。
 現在の副作用報告の限界、先ほどもお話ししましたけれども、このシステムを使うことで、母集団の把握をすることで、副作用の発生率とか、発生率がわかることで他剤との発生頻度の比較などができるのではないか。また、ほかにその薬を投与しなかった方のデータもとることは可能かと思いますので、薬が原因なのか原疾患による原因なのかということがわかる可能性があります。また、今の副作用報告自体も医師が報告しないと副作用の存在自体が国に報告されないことになりますので、このシステムであればそういう漏れもないということで想定しております。
 こういうシステムを現在開発中でございまして、実際にはデータをため始めるのが25年ぐらいから3年計画ぐらいでためていきますので、かなりのデータが集まってくるのは28年度ぐらいになるのかなと思っております。こういったデータが集積されてきましたら、かなり正確な分析というものが可能となってくるのではないかと思っております。
 説明は以上でございます。
○森嶌座長 何か御質問ございますか。
○中田委員 がんのデータの関係なのですが、2の抗がん剤の使用率とか、4の副作用の発現頻度の海外の論文というところで、がんの種類だとか抗がん剤の種類とかいう部分によるデータの中身はわかるのでしょうか。海外の論文で副作用発生率53%と書かれていますが、恐らくがんの種類だとか抗がん剤の種類によって差があるのではないかと思うのですが、内訳まではわかるのでしょうか。
○牧野医薬品副作用被害対策室調整官 これはとにかく65歳以上の方を集めて分析したということになっておりますので、たまたま集まった結果ということになると思うのですけれども、がんの種類としては集まった中にいろいろながんの方がいる。論文を見ますと、一番多いのが肺がんで29%、また乳がんが11%など、となっています。
 抗がん剤の種類については詳細なデータがございません。
○中田委員 2の方のデータは集計の仕方によっては可能なのですか。2の抗がん剤の使用率の中に出ている30.1%とか18%とか、何かがんの種類だとか抗がん剤の種類に分けようと思えば分けるのは可能かどうか。海外の論文は論文が出ているからそれ以上はわからないと思うのですが、1と2の方は。
○牧野医薬品副作用被害対策室調整官 抗がん剤の使用率の中で、腫瘍用薬が投与された患者の数の中で更に抗がん剤の種類がわかるかということですか。
 それはDPCデータの中から拾っているので、ひょっとしたら調べようと思えば調べられるかもしれないですが。
○祖父江委員 担当した者ですけれども、DPCのデータは勿論処方のデータですからどんな薬を使ったかわかるわけですけれども、かなりバリエーションとか組み合わせがいっぱいありますので、集計に関しては相当考えないと、組み合わせがいっぱいあって集計をきちんとするというのはなかなか頭が要るというところです。
 あと、がんの部位、種類、ステージ等もDPCのデータには医療閾値として入っていますので、それも含めて集計は可能です。
 外来入院というところでは、入院には病名は入っていますけれども、外来はその辺がやや工夫が必要です。なので、外来のところも難しいところはあります。
○森嶌座長 よろしいでしょうか。
 どうぞ。
○本田委員 データの方の抗がん剤の使用率の2のDPCデータの方なのですけれども、DPCをやっている病院の入院のみということだと理解しているのですけれども、それというのはがん患者のどれぐらいとか割合とかわかるのですか。抗がん剤治療というのは今、かなりの割合で外来でやっていると思うので、このデータはどれぐらいのものなのかという、きちんとした数字はなくてもイメージとしてどういう人たちを調べたことになるのでしょうか。
○遠藤委員 私が答えていいのかどうかわからないのですけれども、多分、今、外来にかなりシフトしているので、それを考えると全体をあらわしている数字ではないと思います。ただ、病院によって外来にどれだけシフトしているかというのは現実的にはかなり違っていて、私がいた病院だと抗がん剤の調剤件数だけでいくと7対3、7割ぐらいが外来で3割ぐらいが入院。ただ、多くの病院は最初のクールだけは入院で行って、その後外来で治療を行っています。そうするとある一定の時期だけがデータに入って、あと長期でやる分は外来に移ってしまうので、どのぐらいの範囲というのはそれぞれ病院によってかなり大きな差があるのではないでしょうか。
 がんを専門にやっている病院は外来の方が極端に多いのですけれども、そんなに専門にやっていないところはまだ入院の方が多いのと、がんによっては乳がんや大腸がんなどのがんはかなり外来に移っているけれども、肺がんなどだとまだ入院でやっている症例が多いとかという違いがあるので、一概にどのぐらいというのは、一つひとつ病院で調べてもらわないとなかなか正確な数字は出ないかもしれないです。
○森嶌座長 どうぞ。
○祖父江委員 全体のどれだけをカバーしているかという際に、何を単位としてカウントするかで、罹患数であれば初回の診断時で1腫瘍1件で数えられるのですけれども、診療しましたという入院率とかいう場合ですと、初回治療、再発時、1つのがんでも複数回カウントされます。ですから、突っ込みで延べ数でということであればいいのですけれども、内容がいろいろなもの雑多含まれた形でのカウントになるので、意味合いがよくわからないですね。
 ただ、今もナショナルレセプトデータベースとか、全体のレセプトの数がわかり、がんという傷病名がついているものの数を数えて、それのうちのDPCは何ぼということであれば、延べ数での割合は出てくるのかもしれません。その辺、技術的に問題があるかもしれませんけれども、まだその辺までは行っていません。
○森嶌座長 全くの素人ですけれども、例えば乳がんでもいいですし肺がんでもいいのですけれども、同じがんの種類で入院している患者と通院している患者で、時期も含めて抗がん剤を使用するのか、ほかの治療法をするのでしょうか、入院か通院かで、治療方法は違いますか。
 というのは、数を調べるのではなくて割合を調べるのでしたら、例えばあるがんについて抗がん剤を患者にどれぐらいの割合で使っているだろうということを調べる場合に、入院と通院とでものすごく大きく差があると、入院だけ調べるのは余り意味がないのではないか、入院でも通院でもそんなに差がない場合には、普通の経済モデルなどと同じく、あるめどをつけるのだったら限定された数の調査でもいいではないかと思うのですが、そこはどうでしょうか。
○祖父江委員 要は全体の抗がん剤の使用者数をカウントするのに、抗がん剤の使用率と相当する分母のようなものを掛ける。分母に当たる数も実は推定なのですけれども、2つ数があって70万というのと151万というのがあります。151万の方は、実は外来も入院も含まれているのですけれども、外来として来ておられる患者さんというので1日何人ということでカウントしますけれども、そのうちでがんの患者さん、更にその中での抗がん剤の使用ということでカウントする場合に、がんの患者さんとカウントする数をどう定義するかですね。それも適切にその中で抗がん剤の使用頻度が一様であると思われるように、ある程度は分類した方がよくて、乳がんなら乳がん、ステージ1なら1と外来も区別し、入院も区別し、ただ、その場合に外来と入院でどのように使い分けるか、まだ病院によって違うとかいうことになって、どのようにすれば適切に分母と分子が対応して全体にひずみのない形での推定ができるかはよく考えないと、掛け算をするときに対応関係が余りよろしくないと変な推定値になるので、そこはかなり注意しないとまずいかなと思います。
○森嶌座長 ほかにいかがでしょうか。
 どうぞ。
○山口委員 前回のところ、第2回のところということですので繰り返しに多分なるのだろうと思うのですけれども、資料3の裏の別紙のところですけれども、ここのところの意味につきましては、全副作用、重篤な副作用という点は因果関係があるという理解でよろしいのでしょうか。次のところが死亡と当該医薬品との関連が否定できない死亡と2つにわかれているということですので、ここのところが単なる死亡というのはすべてを含めてということでしょうか。
○広瀬安全対策課長補佐 死亡のところは調査期間の間に死亡された方全員が入っていますので、その中で薬に起因されると思われたものが一番右側にあります関連が否定できない死亡という分類になっております。
 副作用については、基本的に薬によって起きたものだろうということで出しているものだと思います。
○山口委員 もう一点、前のときに聞くべきだったところで、私も判定委員なので私が聞くのも変なのですが、除外指定の仕方なのですが、重篤な副作用の発現率がどの程度だとかという資料を基にやっていたと思うのですが、それをできればおさらいをさせていただければと思うのですが、いかがでしょう。どのような資料でどの程度のものでという形でやっているのかというのを教えていただければと思うのですが。
○広瀬安全対策課長補佐 恐らく承認のときには新しく薬が追加されますので、それを踏まえて判定部会でこういった薬も追加しましょうということの報告をさせていただいておりますが、元になっているデータですと、治験時のデータでかなり副作用の頻度が高いものは除外していきましょうということになります。正確な数字はわからなくて申し訳ございません。頻度が高いものは除いていこうという趣旨です。
○鳥井医薬品副作用被害対策室長 今の話ですけれども、判断としては治験時のデータを基に判断をいたしますが、何割ぐらいという水準は、実ははっきりとはしておりませんで、今はどう判断しているかといいますと、従来除外指定をしている医薬品と同じぐらいの副作用のリスクがあるかどうかという基準で判断しているというのが実態でございます。
○森嶌座長 山口委員、よろしゅうございますか。
○山口委員 できれば少し詳しい資料を次回のときにでも、私も除外指定のときには結果をずっと聞いているだけだったので、どうやっていたかなということを把握していなかったので、ある意味今後の議論の中で頻度といったものをどう扱うかということが大きな論点になってくるのだろうと思いますので、今の除外指定の仕方について少し具体的なやり方のわかるものが、何となくというものではなくて、少し具体的なものがわかればいいなと思いますので、次回までにそういった資料があればありがたいと思います。
○牧野医薬品副作用被害対策室調整官 今、説明したように、結論から言うと個別判断という形になっているのです。そのときの参考資料としては、治験データでどれぐらい副作用が発生しているかとか、その辺りのデータを見ながら個別判断という感じになっておりますので、全体的にどうなっていますというのが余りうまく説明できる材料がないのです。最近の抗がん剤でも除外指定されたものがありますので、ひょっとしたら事例的なものは御紹介できるかもしれないですけれども、それ以上体系的に御説明できるものがないかと思うのです。
○山口委員 わかりました。
 基準といった形での明文化された基準といったものがあるということではないことはわかるのですけれども、例えばずらっと並んでいて、これについてはこういった部分を考慮した上で発現率は高いけれども除外指定にしていないとか、いろいろな要素が、経験的なものがあるのだろうと思うのです。多分、抗がん剤の今後具体的に判断していくという際においては、そこでの判断が少し参考になるのではないかということで、今のような御質問をさせていただいたということですので、例えば今回の判断の幾つかの事例を挙げていただいたというのと同じような形で、これについては一般的には発現率と出ているのですけれども、これについては発現率が高いけれども除外指定していないとか、その逆の例とか、そういったものを幾つかずらっと並べてもらって、考え方のこんな要素があるんだということが、基準ではなくてこんな要素があるんだというまとめでよろしいのですが。
○牧野医薬品副作用被害対策室調整官 除外指定しているのはほとんど抗がん剤ですので、その中にもホルモン療法剤とかは除外指定していないものもありますので、おおよそ判断要素としては副作用の発現率を中心に見ていることは見ている、勿論どういう副作用が発生するかとかも多少はあるのですけれども、その辺り、幾つか御紹介するような感じでもいいですか。
○山口委員 逆に除外指定になっていないものも、単純にホルモン療法だからというだけではないと思うのです。ですので、そこら辺がわかるものを。
○牧野医薬品副作用被害対策室調整官 そういうのが出せるかどうか、また検討したいと思います。
○森嶌座長 それでは、時間もございますので、先ほども申し上げましたけれども、前回及び今回の検討会で報告いただきましたが、今までも中間とりまとめなどでも一応論点として挙がってきているわけですけれども、もう少しここの点は議論しておいた方がいいのではないかということを事務局の方で、特に議論していただきたい事項としてまとめていただきましたので、資料5について御説明をお願いいたします。
 よろしくお願いします。
○牧野医薬品副作用被害対策室調整官 それでは、簡単に御説明させていただきたいと思います。
 今回特に議論していただきたい事項として、資料5に中間とりまとめをベースに、特に制度の適用対象についてどう考えるかということをもう一度御議論いただければと思って、資料を準備いたしました。
 具体的には、まず(1)ですべての抗がん剤のすべての副作用を対象とすべきか、それとも(2)で一部受忍すべき部分があった方がいいのかという形でとりあえず整理しております。ただ、中身としては中間とりまとめでも提示された整理の仕方によっております。
 まず(1)すべての抗がん剤のすべての副作用を対象とするということを考えた場合、現在の抗がん剤治療の実情を前提とした場合に、すべての抗がん剤副作用を補償することが妥当かどうか、その根拠について諸外国の例等も踏まえて改めてどう考えるかということで、御議論いただければと思います。
 参考として、中間とりまとめでもいろいろすべての副作用を対象とするということについて問題点が提起されたということと、もう一つは海外の制度でもすべての副作用被害を補償している例はなかった。いろいろな観点から受忍すべき部分があったということを考慮して、なお、我が国においてもすべての副作用を対象とするかということについて御検討いただきたいと思います。
 (2)一部の抗がん剤副作用を対象とする場合ですけれども、5つぐらいに考え方を分けました。そのうち最初の4つは中間とりまとめでも出ているものでございます。
 1つ目は、各医薬品の一般的な特性、特に副作用頻度等などを見て、副作用を受忍すべき医薬品を特定して対象外とする考え方。現行制度の除外医薬品も同じような考え方でございます。今、お話があったように、これも明確な基準があるというわけではございません。中間とりまとめでは、この考え方によると、対象となる抗がん剤は非常に限定されたものになるのではないかという御指摘があったところでございます。
 2番目ですが、抗がん剤の投与時期や治療方法などを見て、一部を対象外とするという考え方。
 3番目、健康被害の程度を見て、がんという原疾患を考えると死亡等の重大健康被害に限って対象とする考え方もあるのではないかという御指摘もありました。
 次のページになりますけれども、4番目ですが、当該副作用の発生頻度を見て、発生頻度が高いということは予測可能性が高いと考えて、対象外とする考え方もあるのではないか。これは中間とりまとめでも一部御指摘があったのですけれども、海外の制度の中で特にフランスとニュージーランドは発生頻度を重視した判断をしておりましたので、そういう考え方もあり得るのではないか。
 5番目は、いろいろな判断要素をミックスして、患者の個別個別の状況を見ていくという考え方もあるのではないか。これは海外の、特に北欧に近い考え方かと思います。
 この中でどれが望ましいのかとか、それぞれ問題点もあるかと思いますけれども、御指摘いただければと思います。
 2番目、この制度の適用対象が決まった後で、因果関係・適正使用の判断というのもどれぐらい問題が出てくるかというのが違ってくるのではないかと思っております。すべての副作用を救済する場合の問題点というのはたくさんあるということを中間とりまとめでは御指摘いただいたかと思うのですけれども、1番の制度適用対象を踏まえてまた御議論いただければと思っております。
 以上でございます。
○森嶌座長 それでは、残された時間は20分~30分ですが、ここに書いてありますように、すべての抗がん剤について考えるのか、一部のか。一部の場合抗がん剤としての一部なのか、抗がん剤の投与時期なのか、抗がん剤としては全部なのだけれども、健康被害の程度で区別するのか、発生頻度が大きい場合は除くのかとか、一部の除き方というか、選び方といいましょうか、それについていろいろな選択の仕方があると思うのですが、まず、すべての抗がん剤について副作用を対象とするということについてはなかなか難しいかなというところまでは大体議論しているのですけれども、それではどうするのだというところまできりりとは詰めていません。前回よその国の議論ではかなりいろいろなところで制約があるということになっておりますので、とりあえず因果関係のところに入っても構いませんけれども、主としてここでいう(1)なのか(2)なのか、(2)だとするとその論者はそのうちの何を考えておられるのかということについて、どうぞ、檀先生。
○檀委員 制度の適用対象の(1)のすべての抗がん剤副作用を対象とする場合、これをお聞きしたいのですが、すべてのというのは抗がん剤にかかっているのですか、それとも副作用にかかっているのかどちらのつもりで書かれているのでしょうか。その後の(参考)という小さい字のところを見ると、すべての副作用被害を対象とする場合云々と書いてありますから、副作用にかかっているという理解でよろしいのでしょうか。
○牧野医薬品副作用被害対策室調整官 基本的にはすべての抗がん剤のすべての副作用という趣旨でございます。
○檀委員 両方にかかっている。
○森嶌座長 今までの議論では、すべての抗がん剤というのがまず先にあったということだと思います。
○檀委員 両方にかかっているのだとすると、これはすべての抗がん剤の副作用はほとんど100パーセントになってしまいますから、それを対象とするのはこの制度自体は絶対に成り立ちませんので、(1)は絶対不可能だろうと思います。
 (2)の方の1と2は、あらかじめ副作用を受忍すべき医薬品を特定しておくとか、副作用を受忍すべき時期、段階にある患者は対象外とするということをあらかじめ決めておくのは、今までの検討会でも出ていましたけれども、とても不可能だという意見が多かったと思いますので、これも無理だろうと思います。
 そうすると、その後の3以下なのですけれども、3みたいな非常に重大な副作用、健康被害だけを取り上げるというのと、4の発生頻度が極めて低いものだけを対象とする、この辺が非常にリーズナブルではないかと思いますが、その辺も含めて現行の副作用被害判定制度もそうですけれども、みんな事例ごとに一例一例専門家が集まって個別的な判断をしていますので、結局はこちらの方も同じで5の患者の個別の状況を見て、その辺を判断するということに実際は多分なると思うのです。ですから、3、4、5辺りを含めた方法ぐらいしか、もし可能であればその辺しか可能性はないのではないかと思います。
○森嶌座長 3と4を主として議論して、その中で5は3、4を議論する中で入ってくるということなのでしょうかね。
 ほかの方もどうぞ。
 すべての抗がん剤ですべての副作用というのは無理でないとおっしゃる方がおられるかどうかわかりませんけれども、そこですべての抗がん剤だとして、その場合、投与時期ということなのか、被害でいくのかという2、3、それから、4でいくのか、抗がん剤の中である種のものは外すのか、いろいろな組み合わせがあると思います。
 どうぞ、山口委員。
○山口委員 考え方としては、大きなモデルとしては2つあるのだろうと思うのです。1つのモデルとしては現行の制度のように頻度でやるのか、程度でやるのかということは別として、これ以上という形をあらかじめ定めておいて、その中では機械的にやるというものと、あとは完全に海外と同じように個別に、損害の程度もすべて個別にやっていくということだと思うのですけれども、海外のすべて個別にやっていくというものは、多分仕組みとして全く違うものになるのだろうと思うので、ここでの議論になじむのかどうなのか、むしろ無過失補償のもう一つの方の議論などとも絡めてやっていくべきではないかなという感じがしているのです。
 私が少し思っているのが、現行の仕組みの延長ということを考えて、これについてはということはあらかじめ決めていて、それ以降はすべて機械的にという形で、機械的にといっても結局は現行の制度でも個別にきちっとやっていますので、かなり具体的な議論に入ってくると思うのですが、迅速にやっていくということを旨とするということだと思うのですけれども、その際に、私は素人なのでわからないのですが、例えば現行制度ですと入院相当程度以上ということになっているので、そうするとかなりの部分が抗がん剤等に含まれる、それをもう少し引き上げるということによって、頻度も下がっていくということになるのではないかと何となく、これは素人ですのでわからないのですけれども、少し想像しているのです。ですので、もう少し重いものにして、そうすると頻度的にもこれより下という形になってくるのではないか、その中でそれが出た分については基本的には救済していくという方向が考えられないかと思っておりまして、先ほどの質問で、現行制度で何パーセントぐらいでしたかみたいなというのも、ではどれぐらいの重篤度でということは、どれぐらい上げていけばどれぐらいの頻度になるのかという形で考えられないかということを考えて、1つのアイデアとして考えている次第です。
○森嶌座長 それでは、ほかの方の御意見を。
 どうぞ。
○中田委員 1つ、個人的な疑問がありまして、この研究会で今、制度を具体的に組んでみないといけないのかどうかというのを疑問に思っております。というのは、先ほどの話ですべての抗がん剤ではなくて一部の抗がん剤の副作用を対象とする場合というのを考えてみますと、どれをとるにしても、それなりの細かいデータが必要になるのだと思います。先ほど御説明いただいたデータですと、なかなかそれは難しい。
 例えば5年後ぐらい見ますと、先ほど説明ございました医療情報のデータベースとか、ちょうど今データベースをつくり始めた時期になりまして、こういったものができてくるという意味でデータもそろっているということが1つ。
 それから、先ほどのがんの対策の推進基本計画の御説明ございましたけれども、これにつきましても、前回より今回の方が抗がん剤の副作用についての記述が進歩しているとすれば、次の計画では更にもっと明確な位置づけが推進計画の中でされるだろうということが期待できるとすれば、そういった中で具体的な制度を組んで動かしていく方が環境的にもずっとやりやすいだろうというのがございまして、今回は基本的な方向、あるいは考え方を述べて、具体的な設計については5年後などにデータがそろったところで具体的につくってみるといったやり方もあるのではないかと私は思っておりまして、絶対今、やらなければいかぬという話ですと全く成り立たない話なのですが、そういうことがなければそういった考え方もあるのかなと思います。
○森嶌座長 どうぞ、御意見を。
○遠藤委員 今日これまでお話された先生と、我々が去年からずっと議論した結果から、すべてを救済するというのは難しいと思います。一部を救済するという考えも確かにあるのだろうと思いますが、実際に制度をつくろうとしたときに、いろいろな問題が発生してきて、とても難しい制度になってしまうと思ってます。実際の抗がん剤の使用方法がかなり違いますので、結果的に制度ができたときに、実際に行っているがん治療に大きく影響を及ぼすような制度というのは絶対避けなければいけないと思います。従来ヒアリングをしたときも、医療側も医療の委縮とかをかなり気にしていましたので、今すぐ制度を無理につくってしまうと、がん治療に影響を与えてしまうのかなと思っています。
 もう少し抗がん剤の副作用が少なく、治療効果が高いような状況になれば、制度としては先ほど山口先生が言ったように、ある一定以上のところを救済するというのは、もしかしたら成り立つのかなと思っていますが、現状だと、私の個人的な考えだと非常に難しいと思います。
 重大な副作用だけというと、前にも1回ディスカッションしましたけれども、死亡だけになり、そのことが患者さんの救済制度という話になるのかなと思っています。もし何かするのであれば、副作用が起きにくい医療の仕組みとか、先ほどのがん対策基本法にあった、今回の制度の検討の前提になった副作用のきちっとした説明のシステムだとか、そういうところに資本を投下してしっかりした医療ができるような仕組みにする方がよいと思います。一部のがん治療をしているその中の一部の患者さんを、お金で救済するというよりも、実際に今の副作用が起きやすいがん治療の中でできるだけ副作用が起きないようにするとか、患者さんに副作用をしっかり説明するとか、できるだけ副作用を軽減するとか、そういうシステムに、お金を使った方がいいように個人的には思っています。
○森嶌座長 ありがとうございます。
 それでは、藤村委員。
○藤村委員 今、遠藤委員がおっしゃったようなことを考えていたのですけれども、もう一つ発言させていただくと、それに尽きるのですけれども、先ほど事務局から説明された資料5の(2)のどの項目を見ても、諸外国のを見ても、いずれも受忍限度をどうするかという問題が必ずくっついているのです。救済として受忍できるかどうか、あるいは、救済しないものとして患者さん側が受忍できるかどうか。これは極めて多義的で時代によって変わってくるだろうと思うのです。
 ちょっと場面を変えて、さっき聞きましたけれども、訴訟がどうなっているのかと言いましたが、もし制度ができれば、最終的に行政不服審査で納得できない人は訴訟を起こす。裁判所にそこのところがもろに問題がいくようになると裁判所では判断できないだろうと思うのです。そうしますと、それを行政の範囲内で基準として明確化しなければいけない、そんなことができるのだろうかと思うのです。それをあいまいなままに裁判所に流れていくようにしたときには、これもまたどうなるだろうかと。
 そういったことも考えながら、前回の続行の意味ということについて考えていたことがあるのです。中田委員が先ほどおっしゃった点は、前回のときに1つの限界としてどうだろうかというところだった。それを続行しながらなおやる意味があるとすれば、先ほど遠藤先生がおっしゃったように、そういったところでやって先々全体としてのがん医療対策とドッキングする場面があるならば、多分何らかの形で出てくるだろうから、そうするとなお回答して検討することにも意味があるだろうということだったのだと思うのです。
 ですから、やるとすると、受忍限度、受忍すべきものというのは一体どういうことかということを現実的に考える。あいまいなままにしないでこの委員会で検討するというところに意味があるだろう。それはかなりシビアな内容になってくると思うのです。でも、考えてみれば結局避けることはできないだろうと思うのです。
 そういう意味で、検討し続行することには意味があるのかなと今も思うし、前回、続行するとすればという意見を述べたのですけれども、そういうことを念頭に置いていただくのです。
 遠藤委員のおっしゃっていることを言おうと思っていて言われてしまったので、何かつけ加えるとしたらということでとりとめのないことを言ったのですけれども、どちらにしてもそこは大きな問題としてなると思うのですけれども、そういう感じがします。
○森嶌座長 それでは、ほかの委員。
 檀委員、どうぞ。
○檀委員 先ほど遠藤委員のおっしゃったことは全く正しいと思うのですが、先ほどの説明にもありましたがん対策推進基本計画の中には、先ほどの返答にあったように、明らかに救済に関しての取組みは余り入っていないわけで、この検討会ができたのは最近はがん患者さんを対象としても健康被害に対する救済は検討すべきという一般世論かどうかわかりませんけれども、その辺からの指摘があったのでこの検討会はできたわけですから、それ以外の、もともとがん医療の副作用とか、そういうことを軽減するための努力は当然のことながら必要なのですけれども、それとは別にそこから漏れているシステムが可能かどうかというのが、しかも5年、10年先ではなくて現在可能かどうかを求められているのでしょうから、現在検討する必要があるのではないかと思います。
○森嶌座長 別に私が檀委員にお返しするのはあれですが、それでも我々は検討してきて、今、藤村委員もおっしゃったように、我々スタートしてから何とか、檀委員がおっしゃったようにどこの声かはともかくとして、ヒアリングをしたり、外国の例を集めたり、いろいろなデータを出してもらったりしてやってきたわけで、少なくともここにいる委員で救済する必要がないなどということを述べた委員は1人もいないと思うのですが、あると言って議論してきたのだけれども、どういう仕組みをつくるかという点で今、ここに逢着しているわけで、現時点ではこういう救済をする必要はないと言っているのではなくて、かなり難しいので原点に立ち返っていろいろなことを分析して、こういう問題があるので、例えば中田委員ですとそういうことは少しそろうまで待った方がいい、あるいは裁判所に行くとこういう問題があるので我々としてはここまで検討してきたということで少し待つか、待つかとおっしゃったわけではありませんけれども、というのは幾つかの御意見ですね。
 そこで、檀委員がやるべきだとおっしゃるのなら、ここに書いてある、これはきちっとした認め方かどうかは別として、資料5の中でどういう仕組みを今の時点でおつくりになればいいと、先ほど3、4、5ではないかとおっしゃったのですけれども、3、4、5のうちのどれをどうやればいいとお考えでしょうか。私が檀委員をつるし上げているように聞こえるとあれですけれども、お伺いしたいと思います。
○檀委員 どういうことやるべきかというのは、勿論先生がおっしゃったようにこれから検討しなければいけないことでしょうけれども、もう一つ重要なことは、これも遠藤委員がおっしゃった、もしこのシステムができたときに是非とも避けなければいけないのは、がん医療が萎縮したり、そういうことを絶対に避けなければいけないですね。そういう方向でもし可能であればということで、結局は先ほどの幾つかの方法の中でも個別的な事例ごとの検討を個別ごとに判断をする専門家の委員、現行の副作用救済制度でも調査会というものであらかじめ事例ごとに検討して、それを部会に上げてやっているわけですけれども、そのような調査会の中には何人もの専門家が入ってきて事例ごとに検討しているわけですから、そういう形でこの事例は救済の対象になるか否かということを個別に判断していくという方法以外には全くないように思うのです。
 ただ、そのときに、がん医療が萎縮しないように適正目的を今の制度みたいに細かく決めていると、適正医療ではないかという判断が端から出てきてしまいますと明らかにがん医療の委縮になりますので、そういうこともないような個別の判断ができるような調査会というのができれば可能なのかもしれないとは思います。
○森嶌座長 それでは、ほかの委員の方。
 今回で結論を出すわけではありませんから、今の時点でお考えがありましたら、どうぞ。
 本田委員、どうぞ。
○本田委員 私も中間とりまとめのころとそう考え方が、これまでの議論を加えて更にすごく明快になったという感じではなくて、一番思っているのは、患者さんの救済とは何かというのが明快ではないというか、救済しないでいいなんて、座長がおっしゃったようにだれも思っているわけではないのですけれども、救済の在り方というのを抗がん剤の今の現状の医療と今のデータのない中でどうあるべきかというのがなかなか難しいと感じざるを得ません。現行制度の延長線上でそれをやることが本当の救済なのかというのもなかなか難しいのかなと感じています。
 例えば今まで皆さんの議論の中でありましたけれども、すべてを対象にするのは無理だとなった場合は絶対ある一定以上というものを明確にしないと、どんな個々の判定基準委員会をつくったとしても、明快なそこの基準は必要になりますね。死亡以上なのか、もしくは先ほどおっしゃった受忍限度とは何なのか。例えば抗がん剤は2、3パーセントの死亡というのは治験の段階でわかっている、それは受忍なのかどうなのかとか、そういう問題のある程度の基準というのが明確に出せないと、逆に不誠実というか、そう感じてしまうというのも事実です。
 もう一つは、感情論になるかもしれませんけれども、これまでの救済制度というのは、日本オリジナルのいい部分もたくさんあると認識していますけれども、がんの場合、例えば死亡以上としたときに、これも藤村委員がずっとおっしゃっていましたけれども、被侵害利益とは何なのか、年齢とかステージとかどう考えるのかというのも、個別ごとに判断するというのが一番妥当なのだと思うのですけれども、それというのは医学の専門家だけで判断できるのでしょうかというのも、なかなか私にはわからないと感じています。
 ということで、私はなかなか何が本当の救済になるのかというのを、そもそも論に返ってしまうのですけれども、現行制度の延長線上にここだけ入れたらこれで本当の救済になりましたよとは言えないのではないかということで、まだ結論はないのですけれども、結論を見い出せるように考えたいと思います。
○森嶌座長 時間は来ておりますけれども、今後の検討会の運営の問題もありますので、今まとまっておられなくても結構ですので、皆さんの御意見を伺って、次回どうするかということも事務局と相談をしたいと思いますので、一応御意見を伺わせていただければ。
○北澤委員 北澤です。
 これまでの先生方の御意見と、特に私も変わるところはありません。前回、外国の事例を紹介していただいて、私自身が感じたのは、抗がん剤だからだめというのではないのだろうということです。かと言って、御意見があったように、今すぐどういう制度があり得るかと考えてみると、個別的なことを見ながらということにならざるを得ず、また、ややこしいことも出てきそうで、なかなか難しいとは思います。
 もう一つは、先ほど藤村先生が言われたのですけれども、受忍という問題について、私自身も非常に悩んでいるところなのですけれども、がん医療において、あるいはがんの薬物治療において、受忍すべきリスクとは何なのかということについて、全体的にまだ議論が足りないのかなと思います。
 現時点ではそのぐらいのことを感じています。
○森嶌座長 ありがとうございます。
 何か心情告白させているみたいで申し訳ないですけれども、よろしくお願いします。
○倉田委員 倉田です。よろしくお願いします。
 もし、救済制度をつくるのであれば、現在行われているがん医療の妨げになるようなことは避けなければならないというのが前からありました。私もそう思っています。(1)と(2)というのであれば、(2)の5番である患者の個別の状況を判断して決めていくのが相当だろうと思っています。医療提供者は勿論ですが、医療の受け手である患者や家族も何を受忍するかということを言われて納得できるだけの知識というのを、これからはつけていかなければいけないと思っています。
 先ほどのがん対策基本法の推進基本計画の中にもたくさん候補が上がっていて、インフォームド・コンセントももっと良くなるでしょうし、セカンドオピニオンなども書いてあります。私たち今まで何十年とムンテラをされるときに、医師からだけされているケースが多く、患者も医師からの説明でなければそれ以外の人の説明では受け入れないような実態がありました。でも今はそんなことを言っている段階ではなく、医師も説明の上手な方もあればそうでない方もいらっしゃる。コ・メディカルの薬剤師や看護師たち専門職がどんどん増えていますから、そのような方たちの力も借りて、患者会などのピア・サポートというでしょうか、そういう方たちの力も借りて、受け手の方ももっと力をつけていかなければ受忍するということがどういうことだか理解できないのではないかと思って伺っていました。
 以上です。
○森嶌座長 祖父江委員、どうぞ。
○祖父江委員 従来の救済制度の趣旨が、予期しないまれな重篤なイベントに対して経済的に支援をするということなのだと思いますけれども、それを抗がん剤だから、がんだからということで、支給の対象にしないというのはちょっとおかしいだろうというのは、その趣旨はわかるのですけれども、一方でがんという患者さんの特殊性が一般薬の使用者とは違っていて、抗がん剤の副作用が起きなくても重篤なイベントというのはいっぱい生じるわけで、そのことについて患者さん側がいろいろな支援を必要とするのであれば、副作用ということではなく、がん対策全般で経済的な支援を考えた方がいいのではないかというのがまず1つあります。
 それから、今、倉田委員がおっしゃったように経済的な支援ということ以外にもっとやるべきことがあって、予期しないイベントが起こるということに関しては、もっときちんと説明すれば予期し得るというか、最初から患者さんは理解して抗がん剤治療を受けるということであると、もっと問題が大きくはならないうちに理解して進むということが起こり得る。がん対策の中でも今、情報提供ということをきちんとしようという動きがあるので、倉田委員がおっしゃったようなインフォームド・コンセント、セカンドオピニオンということをきちんとしていくということが、経済的な支援以外にもやるべきこととして大きくあるのではないかと思います。
○森嶌座長 それでは、ほかに御意見ございましょうか。
 私自身はいろいろな救済制度、医薬品に限らず幾つかの救済制度をつくってまいりましたけれども、今回の抗がん剤の副作用につきましては、いろいろな方の御意見を伺ったり、特にがんの治療の専門家のお話を伺って、今日のお話も出てまいりましたけれども、私自身も随分勉強させていただきました。しかし、社会一般にこの問題はどういうことであるか、あるいはどういう問題が内在しているかということを十分にわかっていないというよりか、認識できていないと思うのです。ですから、仮に現実に具体的な救済制度を提案できないとしても、この問題はどういう課題を含んでいるのか、すなわち先ほどからでておりますように、がんの治療を阻害しないで、現実にがん患者のためになるような救済制度を組もうとするとどういう問題があるのかという情報を、今まで出してもらった資料も含めてきちっと世の中に出すということだけでも、私はこの検討会をやってきたことの意味があると思います。
 まだ事務局と相談はしておりませんけれども、今日は齊藤委員、長谷川委員もお休みですが、今までの検討してきた中間とりまとめも含めて、さらにとりまとめをしたいと思います。今日の御意見も含めて、皆さんのおっしゃったことは多少違うかもしれませんけれども、基本的には同じ方向で議論してこられたと思います。この検討会の成果といいましょうか、議論したところを社会に問うことによって皆さんにこの問題を理解していただくということだけでも、私は十分意味があると思います。更にもしも救済制度ができればなおいいと思うのですけれども、その意味で更に事務局とも相談をいたしまして、どういう形で今後進めていくか、少なくとも今まで議論してきたことを今日のような方向でとりまとめるということだけでも私は十分意味があると思いますので、少なくともそういう方向でとりまとめの方向へ向けていきたいと思いますし、先ほども申しましたけれども、更に議論している過程で具体的に救済制度が仮に構築できるとすれば、これにこしたことはないと思っております。そのような方向で更にもう少し皆さんの御協力をいただきたいと思いますけれども、よろしゅうございましょうか。
 次回、いつごろどういうふうにするかということにつきましては、また事務局とも相談をいたしまして、後ほど御連絡をさせていただく、日程調整等もさせていただくということで、事務局もそれでよろしいでしょうか。
 それでは、事務局の方から何か、今の時点でございますか。
○牧野医薬品副作用被害対策室調整官 特にないです。日程等また後で御連絡させていただきます。
○森嶌座長 事前に何も言わないで皆さんのお話を伺いながら、今のような形で今後について先取りをしてしまいましたけれども、そういう方向で事務局も御協力いただけますか。よろしいでしょうか。
 それでは、そういうことで次回以降、少なくとも今まで議論してきたことをきちっと取りまとめて、社会的にこの問題が抱えている問題点について、御理解いただけるような報告書をきちっと出したいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 どうもありがとうございました。

(了)

<連絡先>
厚生労働省医薬食品局総務課
医薬品副作用被害対策室
TEL 03-5253-1111(内線2718)

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