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2012年6月28日 第28回新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チーム議事録

社会・援護局障害保健福祉部精神・障害保健課

○日時

平成24年6月28日(木) 17:30~19:30


○場所

スタンダード会議室 虎ノ門スクエア店 4階会議室


○出席者

新垣構成員、岡崎構成員、小川構成員、河崎構成員、佐久間構成員
田尾構成員、高木構成員、中島構成員、長野構成員、西田構成員
野村構成員、広田構成員、堀江構成員、福田構成員
小杉構成員、山田構成員 (ピアスピーカー)
久保野構成員、白石構成員、町野構成員 (法律等アドバイザー)

○議題

1 入院制度に関する議論の整理
2 その他

○議事

○福田精神・障害保健課長
 それでは、定刻となりましたので、只今より第28回「新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チーム」を開催いたします。
 構成員の皆様方におかれましては、御多忙のところを御参集いただき、誠にありがとうございます。
 本検討チームは公開でございます。検討チームの審議内容は厚生労働省のホームページに議事録として掲載される予定ですので、予め御了解くださいますようお願いいたします。
 本日の構成員の出欠状況でございますが、福田構成員より遅れるとの御連絡をいただいております。また、野澤構成員から御欠席との御連絡をいただいております。
 また、本日は、津田政務官に御出席をいただいております。
 それでは、議事の方に入らせていただきたいと思います。
 入院制度につきましては、作業チームも含めまして、昨年11月より具体的に議論を進めてまいりました。本日の検討チームにて最後の「議論の整理」を行いたいと思います。
 去る6月14日でございますが、第17回の作業チームを開催いたしまして、構成員の皆様方よりさまざまな御意見をいただきながら議論を行い、後ほど御説明させていただきますが、本日の資料であります「入院制度に関する議論の整理」をとりまとめていただきました。
 その資料につきましては、皆様方にも、本日までにある程度時間をかけて事前に御説明をさせていただいておりますが、本日は、お手元の資料をもとに検討チームとしての議論の整理を行っていただきたいと思っております。
 また、この検討チームですが、皆様方、御承知のとおり、座長を置かないで事務局が進行役を兼ねて進める形となっております。したがいまして、座長を置いた検討会のように、最後に「座長預かりで」という形をとることが非常に困難でございます。時間は限られておりますけれども、本日の議論につきましては、資料の加筆ですとか修正のある場合にも、この場で可能な限り具体的に議論をしていただいて決めていただくということになりますので、予めよろしくお願いいたしたいと思います。
 また、本日の進行方法でございますけれども、ある程度議論をいただいた段階で、具体的には18時40分前後をめどといたしまして一旦議論を中断させていただいて、それまでの議論を踏まえての修正などがある場合には、修正を具体的に事務局でさせていただき、それについて御議論をいただくという形で進めたいと思っております。
 そういう意味で、本日はプロジェクターも用意してございますので、修正案をスクリーンに映写させながら、そこで確認をいただくという形で、最終的にこの場でとりまとめを行っていただきたいと考えております。
 限られた時間内で資料をまとめることができますよう、構成員の皆様方の御協力をよろしくお願いいたしたいと思います。
 それでは、まず事務局より資料の説明をお願いいたします。

○本後課長補佐
 それでは、お手元の資料、「入院制度に関する議論の整理(案)」を御覧ください。
 この議論ですけれども、保護者制度・入院制度ということで議論を進めていただきまして、昨年の9月8日の検討チームの場で、保護者に係る責務規定については、原則として存置はしないという方向をおまとめいただきました。
 それに引き続きまして、昨年の11月から入院制度に関して検討を進めていただきまして、本日の議論の整理は、その入院制度に関する整理という形になっております。
 1枚おめくりいただきまして、「医療保護入院の見直しに関する基本的な考え方」でございます。医療保護入院については、本人の同意なく入院させている患者に対する権利擁護が十分か。入院の必要性があっても保護者の同意がなければ入院できない。保護者の同意がなければ退院することができない状況もあり得るため、入院が長期化しやすい。本人の意思に反して入院させるため、本人との間にあつれきが生まれやすく、保護者にとっては大きな負担。こういった制度的な課題が指摘されております。
 一方で、自らが病気であるという自覚を持てないときもある精神疾患では、入院して治療する必要がある場合に、本人に適切な入院治療を受けられるようにすることは、治療へのアクセスを保証する観点から重要である。
 こうしたことから、措置入院、任意入院以外の本人の同意によらない入院制度は維持しつつ、現在の医療保護入院にかえて、保護者の同意を要件としない入院手続とすることで、検討チーム・作業チームの意見は一致した。
 また、今回の医療保護入院の見直しにより、措置入院、任意入院、応急入院などの入院制度について、どのような影響が生じるのか検討が必要であるということでございます。
 2ページ目以降、「検討チーム・作業チームでの意見」ということで、この検討の中でさまざまな御意見をいただいておりますので、それをできる限り網羅的に書かせていただいているところでございます。
 1枚めくっていただきまして、3ページ目でございます。「保護者の同意を要件としない入院制度」ということで、具体的には、2つ目の○ですけれども、「以下を柱とする手続きとすることが考えられる」。
 精神保健指定医1名による診察での入院開始とするが、本人の同意によらない入院の期間をできる限り短くするため、入院当初から早期の退院を目指した取組みを求める。
 柱の2つ目ですけれども、本人の権利擁護のための仕組みとして、入院した人は、自分の気持ちを代弁し、病院などに伝える代弁者を選ぶことができることとする。
 入院中の定期的な審査は、早期の退院を目指した手続の一環と位置づけるとともに、本人または代弁者が参画できるようにするなど、入院に関する審査の在り方を見直す。
 この大きな柱でまとめております。
 それぞれについて、4ページ目から具体的にお示ししております。「入院当初から早期の退院を目指した手続き」ということで、(マル1)から(マル5)までまとめてございます。
 入院後早期に、院内で退院支援をする担当者が、本人や家族から、入院に至った状況等さまざまな聞き取りを行い、退院支援を行う立場であることを本人や家族に対して明確にする。
 病院は、入院予定期間を記載した入院診療計画を策定し、本人や家族に説明する。
 入院から10日以内に都道府県に対して行う入院届(現在制度にもあり)と同時に、入院診療計画を都道府県に提出することとし、第三者的な立場からの審査として、精神医療審査会で審査を行う。
 退院に当たって、住まいも含めさまざまな支援の調整を行うなど、退院後の受け皿となる地域の支援関係者との関係を本人が入院当初から築くことができるよう、本人または家族の求めに応じ、入院後一定の期間内に、院外の地域支援関係者が本人に面会することとする。
 それから、入院から1年までの間は、入院診療計画に記載した入院予定期間を経過する月を入院期限とし、院内の審査会で、必要に応じて本人(または代弁者)の参画のもと、院外の地域支援関係者との連携も図りつつ、入院期間の更新の必要性を審査する。
 こういった手続をとっております。
 5ページ目ですけれども、この議論に際しまして、院外の地域支援関係者の関与に関して、外から人が入るのではなく、病院の中に信頼できるPSWをしっかりとつけて、退院するまでの支援を院内で責任を持って行う形とすべきという意見があった。
 前のページで、院外の地域支援関係者の状態というのを考え方として入れておりますので、それに対する論点として記載をさせていただいております。
 また、保護者の同意にかえ、誰かの同意を必要とするかどうかについては、複数の意見があったということでございます。
 ここは、入院当初から早期の退院を目指した手続ということで、入院した後の手続、この括弧にも書いてございますけれども、ここはひとつ事務局から御提案をお願いしたいところなのですけれども、事前説明の段階で西田構成員から、ここの「また」の項目については、入院した後の手続ではなくて、入院するときに誰かの同意を必要とするかということに関するコメントでありますので、この(2)に入れるのは少しふさわしくないのではないか。
 お戻りいただきまして、3ページ目の先ほどの3つの柱の中の1つ目の柱の括弧書きの中に同じような内容が実は記載されております。「保護者の同意に替え、誰かの同意を必要とするかとの論点については(5)」に書いてある。
 ということで、基本的な柱のところには書いてあるということから、ここは5ページの(2)にもう一度繰り返して書くということは、やや誤解を生じるのではないかという御指摘がございましたので、可能であれば削除させていただいて、後ほど御意見をいただければと思います。
 その後、意見が続きまして、10ページに飛んでいただければと思います。「入院中の審査の在り方」ということで、現在の精神医療審査会は、当事者の権利を擁護するための機関として設けられているが、次のような課題があるということで、課題を5点挙げさせていただいております。
 そういった課題を解決し、早期の退院を目指した手続の一環としての審査とするためには、以下のような仕組みとすることが考えられる。
 「入院時の審査」、「入院から1年まで」の審査については、先ほど(2)のところで書いたことを再掲しております。
 更に、「入院から1年経過するごと」ということで、これは病院から都道府県に対し、現在の定期病状報告の内容である入院患者の病状に加え、退院に必要となる支援や環境調整等の内容を記載した報告を行う。ここは新しい部分でございます。
 精神医療審査会では、病院からの報告を受けて、退院のために必要となる支援についても検討し、地域相談支援の利用、退院支援計画の作成など退院に向けた具体的な指示を行うことができるようにする。
 更に、次のページですけれども、特に慎重な審査を要するような方については、精神医療審査会は、その病院に出向き、本人やその代弁者及び医療関係者の意見を聞いた上で審査を行うということにしております。
 また、より機動的に運用できるよう、精神医療審査会の構成を見直すことが考えられるということでございます。
 それから、16ページでございます。「本人の考えを代弁する人の関わり」ということで、そういった代弁者を選ぶことができる仕組みを導入するべきであるということについては意見が一致した。
 保護者の同意要件が外れ、責務規定が削除された場合でも、家族も本人とともに治療に関わることができる仕組みを残しておく必要があるという御意見がございました。本人が代弁者として家族を選ぶとすれば、文字どおりの家族として本人と関わることが可能になる。
 それから、こうした仕組みがあることで、入院中の審査の手続に本人が参画することも容易になる。
 ただ、こうした仕組みを実施するに当たっては、代弁者になるべき人がいない人についても、適切に選ぶことができるよう、代弁者を選ぶ際に必要な手続について具体的に検討することが必要であると考えられる。
 代弁者には本人か同席する、同席できない場合には代弁者から本人に情報提供するなど、本人が不在にならないような仕組みとすることが必要であるということでございます。
 それから、19ページに飛んでいただければと思います。先ほど、項目を御紹介しました「保護者の同意に替え、誰かの同意を必要とするかどうかとの論点」ということでございます。先ほどの入院の手続、言わば地域支援の関係者に関わっていただくという意味では、入院した後に地域支援の関係者に関わっていただくという手続になりますけれども、そのほかに、例えば入院時、入院するときの関わりとして、指定医1名の診断と同時に、別の指定医による診断が必要とする意見。
 一定期間内に別の指定医による診断が必要とする意見。
 指定医の診断と同時に、地域支援関係者の同意または関与を必要とする意見。
 裁判所による承認。
 こういった御意見がございました。
 これらの御意見に対しては、例えば、入院の判断を厳しくするよりも、早期に退院させることを目指すべきではないか。
 医療に関しては医師が全責任を負っており、その法的責任を免れることはできず、医師以外の誰かの同意がなければ入院させられないということはないのでないか。
 一番下になりますけれども、医療保護入院者数が年に14万人に上っている現状、精神保健指定医や地域支援関係者の確保の面から、こうした仕組みの導入は現実的ではないのではないか。
 こういった御意見がございまして、入院のときにどのような同意あるいは関与を求めるかということに関しては、作業チームの中では意見の一致を見ていなかったということでございます。
 それから、25ページでございます。「その他の論点」といたしまして、「医療保護入院の法的性格と医療費の支払い」といった点も御議論になりました。
 これは、「第三者のためにする契約」という判例はございますが、民法上の要件にややかけ離れているところがございますので、学説上固まっているわけではない。
 医療保険各法あるいは精神保健福祉法の規定によると、医療保護入院に関する医療費は、あくまで本人が負担することになっている。病院と保護者の間の契約に基づき、保護者が支払いの義務を負うという構成はとっていない。
 また、4つ目の○ですけれども、本人の同意によらない入院であることや、保護者の同意を外すと病院が自己負担を支払ってもらえないことへの懸念から、医療費を公費負担とすべきという意見も、これは関係団体のヒアリングの中ではございました。これに対してはさまざまな御意見がございまして、財政状況から考えると国民の理解を得るのは困難ではないか。それから、入院期間の長期化につながるのではないか、そういったさまざまな御意見がございました。
 「認知症の人の位置づけ」ということについてもテーマになりました。一般医療との関係も含めて、別の仕組みにすべきではないかとの御意見。これに対して、統合失調症の人と認知症の人の判断能力を異なるものとして判断するのは、診療の現場では困難という御意見がございました。
 これに関しましては、判断能力の観点からかなり根本的な議論が必要ということで、今後、検討していくべき課題というふうに整理をいただいております。
 29ページでございます。「退院後の地域生活の支援」という部分でございます。
 1つ目は、「退院後の通院・訪問治療を継続させるための仕組み」ということで、諸外国の「継続通院処遇」という仕組みを参考にして検討していただきました。1つは、退院時に患者と病院との間で治療に関する計画を作成して、患者も納得のもと、通院・訪問を行う。もう一つは、患者が計画と乖離した状態になったとき(治療中断など)に入院させることを計画に盛り込んでおく(入院の事前同意)、そういった性格の2つに分けて検討をいただきました。
 1つ目の側面に関しては、長期入院者、頻回入院者などに関しまして、本人の治療をより重層的に支えていくという観点から、我が国でも取り入れていく必要があるということで意見は一致しております。
 それから、2つ目の側面に関しては、本人への強制性という観点からも、慎重に考えるべきではないかということで意見が一致をしております。
 31ページでございます。「退院後の状態の変化への対応」ということで、精神障害のある人、状態が変わりやすい、ちょっとした刺激で急激に悪化する、そういった特徴に配慮した支援の充実が必要ということでございます。
 具体的には、アウトリーチですとか、障害者自立支援法の中の宿泊型自立訓練などの規制緩和に加えて、症状が悪化した場合への対応として、1週間など期間限定で、医療的支援を行うことができる短期宿泊支援が必要であるということについて意見は一致をしております。
 ただ、この仕組みについて、医療の仕組みの中でやるべきか、福祉の中でやるべきかということについては、両方の意見があったということでございます。
 続きまして、34ページでございます。「入院の契機」というところで、いわゆる34条移送の問題でございます。
 まず、保護者の同意によらない入院手続を開始するに当たっては、諸外国で見られるように、申請の制度というのは特段設けずに、患者が病院に来たときに手続が始まることを原則とすべきということについて意見は一致しております。
 ただ、どうしても患者を病院に連れてこられない場合への対応として、いわゆる34条移送のような仕組みは維持すべきである。その際、できる限りその手段を使わなくても地域生活を継続できるようにするための仕組みを織り込むということについても意見は一致しております。
 具体的には、保護者の同意の要件は、医療保護入院の見直しに合わせて外す。どうしても病院に連れてこられないような人については、事前調査を経ることを明確にする。「直ちに」という緊急性の要件が34条移送の対象者の要件としてございます。これは撤廃して、事前調査をしっかりやることを明確にするということでございます。
 それから、事前調査には地域支援関係者が参画をして、サービスの利用調整など必要な調整を行うことを含め、本人の地域生活継続の可能性を検討する。
 その上で、地域支援関係者の意見と指定医による診察を受けて、都道府県知事が移送を発動する。
 こういったことが一致したということでございます。
 37ページでございます。「措置入院の在り方」について御議論、御検討をいただきました。ただ、おおむね保護者制度の中で検討されたところが多くございましたので、改めて御紹介という形になります。
 「措置入院への保健所の関わりと相談支援との連携」。入院中及び退院時についても保健所が関わるということを具体的にする。同時に、相談支援との連携を強めていくということのまとめをいただいております。
 それから、「措置入院の下での強制医療介入」に関して、措置入院中に同意によらない治療を行う場合に、医療観察法の倫理会議のような手続を設けることについて試行的に研究を進めるという指摘をいただいております。
 それから、「措置入院の入院時の精神医療審査会での審査」。措置入院の適用と運用の地域格差に関して御指摘をいただいておりますので、検討課題として載せさせていただいております。
 40ページ目でございます。以上を踏まえて「終わりに」ということですけれども、今回の入院制度の検討では、精神衛生法以来の基本的な仕組みを変えていない、こういった仕組みについて、言わば精神保健医療制度の大きな転換を意味するものである。ただ、一方で、今回の検討はさまざまな制約のもとでの検討にならざるを得なかったのも事実である。今後、新たな入院制度の中で、入院当初から早期の退院を目指した仕組みとすることや、地域精神保健医療福祉の充実にできる限り本人の同意によらない入院を減らしていく努力を行っていく中で、本人の同意によらない入院の状況を踏まえながら、今回の議論を終着点とすることなく、よりよい仕組みを目指して検討を深めていくことが必要であるというふうにまとめをいただいております。
 以上が6月14日に作業チームの中で御議論いただきまして、まとめていただいた議論の整理ということでございます。
 作業チームの座長を務めていただきました、町野法律等アドバイザーに、もし補足いただく点があれば補足をいただければと思います。
 説明は以上でございます。

○町野法律等アドバイザー
 一言だけですけれども、最後の「終わりに」のところにかなり今回のそれが尽きておりまして、保護者制度を抜本的に見直して、そうすることによって、言わば施設外、社会内での医療とケアへの道を開こうというのが基本的な考え方ですから、そちらの方にうまくいけるかということに、かなり今回の実質的な意味がかかっているということだろうと思います。ですから、今日の御議論も、恐らくそこら辺が中心になるのではないかと思っております。

○福田精神・障害保健課長
 どうもありがとうございました。
 それでは、ここから構成員の皆様方からの御意見をいただきながら、まとめに向けていきたいと思います。
 まず最初ですけれども、事務局の説明にもありましたけれども、5ページの部分です。西田構成員からの事前の御指摘を踏まえて、事務局から先ほど御提案させていただきましたけれども、一番下のポツの部分で「また」以下のところでございます。ここは内容的には3ページの部分に入る。要するに、入院時のときの議論ということでありますので、そこに一本化をするということで、5ページのこの部分は削除するということで御提案をさせていただきましたが、この件については特に御異論ないということでよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。早速1つは課題が解決したということで、これから構成員の皆様方から御意見を伺いながらというふうに考えております。
 それでは、御意見がある方、挙手をお願いできればと思います。
 田尾構成員、お願いします。

○田尾構成員
 2年間かけて行ってきた、この長い長い検討会が今日で最後になるということで非常に感慨深いものを覚えております。今回検討して出たことが、必ずしも100%満足のいくものであるとは言い切れませんが、それでも、今までの保護者に関する精神保健福祉法上の制度に比べて、かなり改善されてきていると感じております。
 今回十分でない部分については、後の議論にゆだねたいと思います。今回の議論で、保護者が強制入院の同意者から外れたというふうに認識しておりますが、それは何よりも評価したいと考えています。
 その上で、今回のまとめに関して何点か申し上げたいことがあります。
 1点目は、今のお話の中にもありましたように、4ページの今までの強制入院のプロセスの中で、院内の病院の内部で医療者と家族との間で処遇されてきたことに対して、代弁者とかアドボケーターという立場の人とか、地域関係者という、要するに外からの人間が入院後の医療の継続の段階に介入できるようにして、入院当初から早期の支援を目指した、そういう仕組みをつくろうとしたということは、私は非常に大きく評価したいと思っています。
 病院の医療が信用できないということではないのですが、今の日本が入院の長期化、世界一の精神科病院大国になっているという現状を考えると、退院とか地域への移行、定着に関して、その仕組みについて何か今までとは異なる他のファクターを入れた形で考える必要がある。そうしなければ変化していかないと思っています。その風穴があいたというふうに、ここに書かれていることで思っておりますので、非常に評価しております。
 2点目として、もう少し詰めた議論が必要だったかと思うのは、10ページですけれども、1年以内の入院患者に対しては、院内の審査会で、院外の地域関係者も含めて入院継続の必要性、言いかえれば、退院可能性について審査・検討できるのに対して、1年以上になると、本後補佐の説明だと、退院に必要となる支援や内容を記載した報告を行うとか、退院計画を作成するとか書かれてありますが、要するに書類の提出と、医療審査会に任されてしまうという意味では、基本的に今と余り変わらないのではないか。精神医療審査会の構造や仕組みを変えていくという検討が、今回の検討では十分になされていなかったというふうに思います。現状以上に精神医療審査会が機能するという見通しが私には持てないのです。
 11ページのところに、機動的に運用できるように、精神医療審査会の構成を見直すと書かれていますけれども、具体的に、保護者規定を変更する精神保健福祉法の改正と同時に、精神医療審査会の構成とか委員の条件なども改正してほしいというふうに考えています。そのことをどういう形かで本文の中に書き込んでいただけないかというふうに希望するものです。
 第3点目は、資料説明のときから補佐には再三再四申し上げているのですけれども、このまとめを法律にきちんと反映させてほしいということです。その次にきちんとした運用が担保されるようにしてほしいというふうに思っています。
 アドボケーターがつけられるようになりました。でも、昨年度は10名しか1年間で運用されませんでしたということでは、34条がそうだったように、絵に描いた餅にしかなりません。きちんと実行されるように定期的に運用についての評価をしてほしいというふうに思います。それは、精神保健福祉法の中の定期的な改正なのか、あるいは今回の入院に関する部分に特化した、私は保健法全体というよりは、この部分に特化して考える方がいいのではないかと思いますけれども、とにかく別の方法での評価が必要かと思います。
 今、具体的にどういう方法ということは言えませんけれども、定期的な見直し、評価をしていくということで実効性をしっかり担保していただきたい。その点も、これはどこに書くのがいいのかわかりませんが、もしかしたら全体のことなので「終わりに」というところがふさわしいのかもしれませんが、本文に書き入れていただきたいと思います。
 最後に、我々地域関係者としては非常に重大な責務が出てくるというふうに考えています。研修なども含めて、自らが研鑽していくことが必要だと感じております。全国の地域関係者、あるいは、まだ明確ではありませんけれども、代弁者、アドボケーターと名乗りを上げた人たちへの研修のシステムなどをもっときちんと構築していただきたい。名目だけでない、当事者、御家族にとって、その権利を守り、役に立ったというふうに御本人たちが感じられるようなサービスを行っていけるようになっていきたい、いってもらいたいと思っております。
 作業部会の方、検討チーム、厚労省の方たちに、この2年間の御苦労をねぎらいたいと思うと同時に、大変申し訳ないのですけれども、我々委員はこれで解散になりますけれども、実際はこれからが勝負だと思います。法律を改正して、今回のいろいろな提案を法制化していただく。引き続き、この提案が運用できるように定期的に見ていっていただくという意味で、精神・障害保健課の方たちにはお休みなく御活躍いただきたいというふうに思っておりますので、我々の熱い思いを具現化するように、何とぞよろしくお願いいたしますというのが最後のお願いです。

○福田精神・障害保健課長
 どうもありがとうございました。今、本文に関係する部分としては、制度を見直してそれで終わりというわけではなくて、定期的な評価をしていくべき。それを、今の御提案ですと「終わりに」か、そういうようなところに入れ込んだらどうかということなのですが、これに関連して御意見ある方いらっしゃいますでしょうか。皆さんの同意がないと書けないので、誰か賛成なら賛成、反対なら反対と言っていただけるとありがたいのでありますけれども。
 新垣構成員、どうぞ。

○新垣構成員
 定期的に見直すというのは非常に賛成するものであります。やはり保護者の規定をなくするということで引き継いでも、すべて家に任せていたというところから社会で見るという方向性だと思います。
 私たち精神科病院をする者としても、私たちも出しましたけれども、そういうものについて入院にかわるものをきちんと整備していく中で退院していくのだということをうたっております。それが、来年法律になって、この数字であるというものができたけれども、先ほどのアドボケーターみたいなことですけれども、仕組みはあるのだけれども動いていないというときに、それがやはりきちんと動くためには何を変えたらいいのかというところも、また定期的に見直しながら目標も少しずつ変わっていきながらやっていくというのが、多分世界の中というか、日本の国民の幸せになると思います。ということで、賛成であります。
 せっかく言ったのでもう一つだけ。保護者の同意を得ないで入院をスタートするというところなのですけれども、指定医1人でということでやりますと、現場としては非常に責任が重くなるというところでは、やはり誰かに本当は保証をしてほしいのですけれども、そんなことを言っていると、現場としては非常に煩雑になってしまって遅れる、適当な時期を遅れてしまうのではないかというところもありまして、1人でもしょうがないなと。ただ、やはりそこはきちんと周りの人に理解していただきながらサポートしてもらわないと、医師もそういうことが本当にできるのかというところでは非常に危惧しておりますので、法律の枠組みで、指定医であれば公務員の仕事であるという中でやっていくのだというところを保証していただかないと、現場の医師としては、何もかも一人でできるというのは非常に怖いことではありますので、その辺も是非どこかで保証してもらうといいと思っております。
 以上です。

○福田精神・障害保健課長
 ありがとうございました。
 定期的な評価云々については御参考ということで、時間の都合がありますので、特に反対がなければ。
 では、河崎構成員、お願いします。

○河崎構成員
 定期的な評価に対して反対ではなくて、定期的な、いわゆる検証とか見直しという意味合いの表現にしないと、つまり、今回の提案がすべてうまくいくとは多分思っていないわけです。ですから、ここの今回の提案の問題点を含めて、よりいいものに、あるいは実際的なものに検証し、見直していく、その辺まで含めた表現の方がいいのではないかというふうに思います。
 反対ではございません。表現上の問題として。

○福田精神・障害保健課長
 ありがとうございます。
 では、今の御趣旨も踏まえまして、事務局の方でまた考えた上で、後ほど提言をさせていただきたいと思っております。
 あともう一点、田尾構成員の方から、精神医療審査会の構成の見直しの話がございまして、構成を見直すことが考えられるということは本文の11ページに書かれておりますけれども、これ以上何か書き込むべきというような感じでございましょうか。

○田尾構成員
 書かれているということは、法律も改正になるということだというふうに理解してよろしいですか。

○福田精神・障害保健課長
 基本的には検討事項としてプライオリティーが高いものだということで、もちろん最後どうなるかというのはいろいろな過程がありますけれども、ここの議論の中ではそうすべきものの一つだというふうに皆さんが理解をしているものと考えております。そういう意味では、この書き方でいいと思います。

○田尾構成員
 わかりました。

○福田精神・障害保健課長
 その他、御意見ございますか。
 佐久間構成員、お願いします。

○佐久間構成員
 今の新垣先生の発言にも関連するのですが、まず1つは、現場では、とにかく精神保健指定医が判断して入院させるということの流れが、今の皆さんの作業チームの御意見の大勢なので、それはそれとして、単純に誰からというよりは、審査会なり法的なアプルーブが入院をされることが必要だと思うのです。
 町野先生は、常に指定医は全部の責任を負っているのだとおっしゃるけれども、本当に一人の医師だけが全部決めていくと基本的人権の自由を剥奪することになりますので、これに関してのアプルーブをする機関が、それは公的にこういう形であってほしいと思うのです。
 それから、もう一つは、例えばこういう形で医療保護入院になりましたというときに、現実には多くの御家族が来てくださって、医療の契約をしてくださるかもしれないけれども、本人も御家族も別に医療の入院に同意していないよという話の場合に、まず支払いの問題も、医療として治療契約がどう成り立つのかということと、それから、かなりリスクのある状態はたくさんありますので、そういう治療に当たってリスクやベネフィットをきちんと理解した上で選択をするということを、治療において本人にかわって最善の利益を得るための選択を誰がするのか。これは普通、医療契約の中では、もちろん普通にわかる人でも、例えば保証人とかを必ずとって、診療の支払いはもちろん担保しますし、繰り返し、一般の治療であってもリスクのあるものに関しては御家族の同意をとるのが当たり前です。これはすべて公的に賄っていただいて、訴訟になってもすべて公的に責任をとっていただけるならば指定医一人でやれるかもしれませんが、現実には民間病院でもし訴訟が起きたら、私は頼んでないのにこういう治療をした、こういうことが起こったという場合、これは実際には医師として、いわゆる精神保健指定医という医師としての訴訟を受けることになる、あるいは病院が訴訟を受けることになるのだと思うのです。訴訟だけの問題ではないのですが、本来、今もう既に御家族、普段、多少危険のあるものについてはこういうことをしますけれども、こういう危険もありますけれどもいいですかという確認を御本人が判断できないときは必ずとるのが当たり前だと思うので、そういう代理人、いわゆる治療での本人の最善の利益を代弁している、ここにいる代弁者は突然そういうことはできないと思うので、医療としての医療契約に関する在り方はどうなのかを、この医療保護入院として、本人の医療保護入院をすることと退院指定をすることの間に、まず急性期の治療というものがあって、それに関しての医療的契約は誰がどう責任を持つのかということと、御本人の代理を誰がするのかということを明確にする必要があると思います。
 以上です。

○福田精神・障害保健課長
 ありがとうございました。貴重な御意見として承っておきたいと思います。
 白石構成員。

○白石法律等アドバイザー
 関連したお話が出ているので、私は、今になって申し訳ないのですけれども、少し自分の意見の訂正をお願いできればと思いまして発言させていただきます。
 7ページの「検討チーム・作業チームでの意見」の2つ目に私が発言したものをまとめていただいているところですけれども、今、お話が出ているように、指定医1名と精神医療審査会の審査をもって入院の妥当性を判断するということにつきまして、私はこれが妥当ではないかという発言をしていたのですが、その後、保護者の同意がなくなり、他に同意をする人について、今、流動的な状況かと判断いたしますので、申し訳ないのですけれども、以下のように変えていただきたいと思います。
 2行目の「判断する仕組みになっているが、入院時に保護者の同意の要件が外れた場合、本人に審査会で審査されることについて告知し、審査会は迅速に入院の必要性を判断し、また、本人に結果を伝える仕組みを検討してほしい」、以上のようなことで入れていただければと思います。よろしくお願いいたします。

○福田精神・障害保健課長
 わかりました。ありがとうございます。
 その他、御意見ございますでしょうか。
 小川構成員、お願いします。

○小川構成員
 今回、保護者の同意がなくなったということです。指定医1名の診察の結果によるわけですけれども、そのように入院時のチェック、保護者も一応チェックをしているということでいうと、事後のチェックをより強化しないとバランスがとれないかと思っています。入院時のチェックが指定医1名によるということですので、その分、一定期間後のチェックをどう評価して、指定医の判断をきちんと担保していくのかということだと思います。
 その際に、10ページのところですけれども、入院から10日以内に都道府県に対して入院届を出すということで、入院診療計画も一緒に出して、精神医療審査会で審査を行うということですけれども、この審査会は必ずしも御本人の病状等を把握しているわけではなくて、書面上のチェックになっているということになります。そういう意味では、少し大変でしょうけれども、精神医療審査会の委員の先生が出向いてというのもまた大変なことですから、そこまでは望みませんけれども、精神医療審査会に委任をされたどなたかが、やはり必要に応じて御本人に対して面接をして、状態を確認するぐらいのチェックがあってしかるべきではないかと思います。
 これは、必ずしも医師となると現実的には無理ですので、例えば精神保健福祉士の方にちょっとお願いをして、御本人に面接をして、病院の主治医とかにお話を聞いて、どうですかというような形で精神医療審査会の審査を補完するようなことができると、より機動的な精神医療審査会になるのではないかと思います。
 また、同じく10ページのところ、「入院から1年まで」ということで一つの区切りがあって、「入院から1年経過するごと」ということです。できれば、私、この1年というのは長いのかなという気もするのですけれども、皆さんがそれはやむを得ないということであればやむを得ないとは思いますけれども、ただ、できるだけ1年以上の入院をさせないという方針があるということで考えますと、できる限り1年経過するごとでチェックをしてということでは多分遅いのだと思います。そうした意味では、少し短めにしていく努力を求めたいと思います。
 それと、最後の40ページです。財政上一定の限界があるということで、今回、制約があった中での検討にならざるを得ないということですけれども、私は、患者さんの生命とか健康とか、人間の尊厳とか基本的な権利とか、地域で当たり前に暮らす、そうした当たり前のことについて財政上の限界があることを前提にして議論をするというのは甚だ問題だというふうに思います。
 そうした意味では、仮に今回こういう現実的に財政上の限界があったということかもしれませんけれども、やはり財政上の問題を乗り越えていく、そうした何か決意もここにきちんとうたっていくべきではないかと思います。
 とりあえず以上でございます。

○福田精神・障害保健課長
 ありがとうございます。御意見として承っておきたいと思います。
 その他、ございますでしょうか。広田構成員。

○広田構成員
 全体的なことは後で言わせていただこうと思いますけれど、今気がついたのは、「終わりに」の真ん中の段落です。「一方で、今回の検討は、現に医療保護入院による入院が年間14万人いるという現実」です。全く何ら変わっていないです。ここにいきなり「相談支援」と出てくるのですけれど、住宅施策を初め、地域で精神障害のある人が暮らせる資源ではないでしょうか、支えるという資源より。人間はまず暮らしていくわけだから。そういう根幹を提案させていただきます。細かいことは後で言わせていただきます。住む家がなくて相談支援があっても、生活できない。
 以上です。

○福田精神・障害保健課長
 確認させていただきますけれども、一応、これ、合意したときには広田さんも合意されていたと思うのですが、本文の修正という意味で、今御提案いただいたということでよろしいでしょうか。

○広田構成員
 もちろん。別に津田さんが見えたから言い出したのではないですよ。今ちょうど思い出したのです。

○福田精神・障害保健課長
 わかりました。では、そういうことですので、御意見をいただければと思います。表現ぶりとかで、要するに1つは、住むところの重要性。

○広田構成員
 住むところがないために、日本はたくさん社会的入院しているという現実が長年続いてきている。

○福田精神・障害保健課長
 というところをここに入れ込むべきという話と。

○広田構成員
 国家的課題だという意見も先ほど出ていたのです。

○福田精神・障害保健課長
 「支える」の表現のところをもう少し。

○広田構成員
 暮らしですかね。

○福田精神・障害保健課長
 暮らしというニュアンスだそうですけれども、これについて御意見はございますでしょうか。住居自体を入れるというのは、実はこの前の検討会では、人員の体制の話もあったのですけれども、その中でも修正で意見として入っておりますが、こちらの方でどのようなあれなのか御意見をいただければ。特に御異論なければ、少し事務局の方で表現を考えてみたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 では、そのようにさせていただきたいと思います。
 その他、御意見ございますでしょうか。西田構成員、お願いします。

○西田構成員
 今回、指定医1名の診断という条件で、医療保護入院が発動されるという前提で話が進んでおりますが、仮にそういった方向で進む場合に、人権的観点によるチェックの保障を精神医療審査会が担保することになってくるのだと思います。精神医療審査会が国際人権B規約9条第4項が定めるところの裁判所にかわる専門的なトリビューナルの役割を真に果たすかというところが重要な問題だと思います。
 私は、現状の精神医療審査会のレベルであると、この精神医療審査会が国際人権B規約の求める役割を果たせないのではないかという意見であります。精神医療審査会がこの専門的なトリビューナルの役割を果たす前提として2つほどの条件があると思います。それは、この規約の中にありますように、遅滞なく決定するという条件、この遅滞についての定義というものを厳密に定義する必要がある。それに基づいた審査制度を実現していくべきではないかというのが意見です。
 もう一つは、精神医療審査会がしっかり人権的観点、権利擁護の観点も含めて審査し得る条件であり、医療の必要性判断をもとに審査する医療機関の決定、それをさらに医療の必要性判断という観点のみで追認するという形で形骸化しないことが重要だと思います。そうしますと、精神医療審査会には、医療の必要性判断という医療機関でしていただくべき判断とともに、もう一方で、今回議論で出てきています権利擁護者の意見、代弁者の意見、もしくは地域支援関係者等の第三者の意見、そういったものを精神医療審査会に送る入院届ならびに入院治療計画といったところに明記する欄をつくり、それに基づいて医療の必要性判断とともに加味し、最終的に決定、審査する。こういう条件が必要であると思います。
 今回の検討チーム、作業部会等を含めまして、田尾構成員の方からの意見もありましたが、精神医療審査会の在り方についての議論が不十分だったというふうに思いますけれども、この方針で進めていただく場合に関しましては、この国際人権B規約に求められる精神医療審査会が真の役割を果たし得る条件というものをしっかりと付与することが必要だというのが私の強い希望でございます。
 以上です。

○福田精神・障害保健課長
 ありがとうございます。
 遅滞なくといった部分の厳密な定義をきちんと議論した上で入れていくべきである。それから、もう一つは、いわゆる任意計画書等のところで、医療的観点だけではなくて、いわゆる権利擁護の観点の部分をきちんと記載するといったことを今後の具体的なところの検討の中できちんと考えていってほしいという御意見だったと思います。ありがとうございました。
 その他、御意見ございますでしょうか。高木構成員、お願いいたします。

○高木構成員
 今回で最終回ということですので、1つ要望と全体の感想を述べさせていただきます。
 保護者の義務規定の削除というのは、今後の精神医療の発展にとって非常に大きなことで、これを実現させたと考えてよろしいと思うのですけれども、そのこと一つとっても、この検討会というのは大きな足跡を残したのではないかと思っております。是非これは法改正の中で確実にしてほしいのです。
 そこにちょっと危惧をしますのは、このように入院制度の方で議論が非常に錯綜していますと、結局、入院制度の中に保護者の役割というのが忍び込む可能性がどこかで出てきてしまうのではないか。そのようなことにならないような法律の構成を是非ともお願いしたいと思っております。
 しかし、今回、私は、入院制度の議論については、実は非常に残念だなと思っているのです。といいますのは、この検討会はこの名称のとおり、精神障害者の地域生活をどうするか、それがテーマだったはずなのです。ですから、そういうテーマからしましたら、入院制度の議論に当たっては、いかにしてこれまで過剰に容易に入院させられてしまっていた、そういう強制入院が、他国に比べても非常に多い。実際に当事者の方々の話を聞いても、強制入院ということがトラウマになっている、心の傷になっていることが多い、そういう体制をいかに変えて、地域でこれまでだったら強制入院になった方が自発的に病院に休養することも含めて地域で生活していけるようになるか、そういう議論がされるべきだったわけです。たしか、最初のこの議論を始めるときには、ちゃんとそこも確認されていて、14万人の強制入院の方をどうするかということがあったはずで、それこそが基本的な考え方であるべきなのですが、今回出てきた資料を見させてもらいますと、基本的な考え方の中にそういう大きな方向性がないのです。ないだけならまだしも、途中で14万人という現実があるから制度の改革が難しいというような現状追認が入ってきてしまっている。それが非常に残念です。
 更に言いますと、病院を頼らない、強制入院を頼らないような、そういう制度にしていくためには、当事者、ピアグループも含めて、支援者が病院に頼らなくてもいい、アウトリーチチームの検討のときに出たように、病院に頼らなくてもいい支援を行う、そういう力をつけることが必要なのです。
 そのためには、やはり現実に今、強制入院を減らす、そういう制度設計が必要になるはずなのです。現実に強制入院を減らさない制度設計を行ったところで、地域での生活を支援者が支えるような実力はいつまでたってもつきません。これまでの日本の精神医療は地域精神保健と同じで、どうしても病院というものを中心にして病院に頼って、病院で治療が終わってから地域生活をしなさいというような考え方から抜け出ることがなくなってしまうと思うのです。ですから、それが非常に残念です。
 今日、この資料を見て気がついたのですけれども、西田さんの方から資料が出てきていますけれども、その資料にもあるように、強制入院率に影響を与える手続や法というのが、強制入院手続と独立した代理人の関与が義務づけられている加盟国で統計的に有意に強制入院率が低いと、西田さんの資料の3ページ目にエビデンスとして出ているのです。こういうエビデンスがあるにもかかわらず、そういう観点が薄かった。これまで全く病床数を減らすことに貢献しなかったいろいろな制度をそのまま残していく。特にPSWの方には申し訳ないけれども、PSWが資格化されたからといって、精神科病床が減ってきたわけではないのに、更にPSWが院内の、あたかも権利擁護のような形で出てくるというのはおかしいのではないかと思います。
 更に、PSWなどのコメディカルというのは、今、医師の指導のもとに行うという法律の中にありますから、医師が決めた強制入院をコメディカルが覆すというのは法律上非常に難しいことになっていますから、法制度の議論をするのであれば、そこの法も触れて変えていくということが必要であると思います。
 私は、精神保健福祉法が今後、コメディカルにも権利擁護の役割を負わせていくのだとしたら、法的にも医師から独立した、そういう福祉権利擁護職種としてPSWなどを位置づけるような全体の法を変えていくことが必要だと思いますし、私個人としては、このようなコメディカルの独立を行うことが、精神障害者の地域生活支援にとっては一番必要なことだと思っておりますので、今後そういうことも視野に入れた議論をしていただきたいと思います。
 そして、最初に戻りますけれども、基本的考え方のところに、この検討会で検討する強制入院制度の在り方は、いかに強制入院を減らすか、精神障害者の地域生活に貢献するような精神保健福祉法の制度にしていくかというような基本的な考え方を入れていただきたいと思っております。

○福田精神・障害保健課長
 ありがとうございます。
 大きな観点からの要望やいろいろな課題について御指摘をいただきました。いわゆる基本的な考え方の本文のところに、そういう強制入院の方を減らしていくといった部分のところをもう少し、もともとこれ自体が、確かに冒頭お話がありましたように、こういうプロセスを通じて、実際どこまで減っていくのかということも含めて検証していくというところがありますので、そういった観点を少し文章上盛り込んでほしいということだったと思いますけれども、これについて御意見ございますか。
 町野構成員、お願いします。

○町野法律等アドバイザー
 今おっしゃられたことは、誠にそのとおりだと思いまして、ただ、言い訳ではないのですけれども、我々の中ではずっと今のことが頭の中にあって、この制度ができて、最初に申しましたとおり、保護者制度というのが、その意味でそれを妨げているのではないかということからスタートしているのですけれども、基本的な考え方のところで全体のバックグラウンドが述べられていないというので、我々はわかったつもりになって、恐らくそれをつくったということがありますので。

○高木構成員
 ここの中にないとは思っておりません。

○町野法律等アドバイザー
 それは課長さんがおっしゃられたように、そういう具合にきちんと書いた方がいいだろうと思います。
 それから、2番目に、制度をいじって何が変わるかという基本的な問題なのです。ある人は、保護者による同意の制度を廃止したら、恐らく医療保護入院は減るだろうという見通しを述べられる方がいます。しかし、恐らくそれだけでは変わらないだろうという考え方の人もいます。要するに、地域の中でちゃんと処遇していくような体制がとれない以上、精神障害者を外に放り出しても、恐らくは何もならない。それは、恐らく医療の現場の人たちもそれがわかっているから一遍にはいけない。だから、そちらの道に歩み出すためにはどうしたらいいかという議論だろうと思います。
 諸外国の制度で、強制入院のシステムが変わると強制入院者が減るという面はあるだろうと思います。しかし、私はそんなに多くの国を見たわけではないですけれども、法律の要件はきつくなっているけれども、やはり何とかこの中で入れようというものがあるケースもありますし、これは現実を見てみなければわからない。やはり、実際に精神障害者についてベストな医療、いい医療というのは、地域の中での、社会の中でのそれであることは間違いないわけですから、その体制をいかにつくっていくかということがあるだろうと思うのです。
 同様にして、精神医療審査会のあれですけれども、西田構成員が先ほど言われましたとおり、歴史的に見ると、といいますか、日本で最初の保護者の同意による入院ですけれども、それについて最高裁の判例がありまして、言わば医療的な判断については、人身保護法で救済することはできないという明確な判例があるのです。ただ、やはり、手続違反だとかそういう点についてだけ人身保護法による救済ができる、その趣旨を認めた最高裁の判例もあります。だから、これが国際人権B規約違反だということにされたわけで、そのためにつくられたのが精神医療審査会ですから、医療的な判断についてまで、やはりその妥当性を判断するのは当然ということになっております。それは、まさに西田構成員の言われるとおりです。そして、そのような体制をどうやってつくるかということに非常に苦労している。
 1回、ICJが第3次に来られたときに、そのときの報告書をもとに、機動性を持たせるために少人数にして幾つかに分けるということをやったわけです。しかし、それでもまだ十分でないというところがある。だから、今回、それをどのようにしていったらいいかというのは、みんなが非常に苦労したところだろうと思います。
 その中で出てきたのが、最初に治療計画を提出させて、その中身をそこのところでまずチェックしようと、最初から治療計画を無意味に入れますよだけで済ませるというわけにいかないということで、そういうチェックをかけようというところなのです。もし、もっといい知恵といいますか、どうしたらいいかという具体的なそれがありましたら、是非御意見をいただきたいと思います。

○福田精神・障害保健課長
 ありがとうございます。
 では、西田構成員、お願いいたします。

○西田構成員
 今日は最終回なので、お手元に「強制医療介入を抑制するためのエビデンス」という資料を配らせていただきました。
 先ほど、高木構成員のお話にもありましたけれども、この現状の14万人に上る強制医療を受けておられる方の数というものを減らしていかなければ、現実的にきちんとした制度設計は難しいという話が書いてあります。我が国の現状といいますのは、40%以上もが強制入院という形の入院形態をとっています。これは、諸外国が、ばらつきはありますけれども、おおむね10%程度で推移しているのに比べますと非常に多い状況であります。ですから、大前提として制度改正の方向性としては、現状を肯定するのではなくて、現状の頻度を必ず減らしていくという方向で、大きな議論の方向性を定めていかなければいけないのだというふうに認識しております。
 そういった意味で、今回の改正が保護者の家族の方々の負担をとるとともに、できる限りこの強制入院の頻度を下げていくということが大きな目標になると思います。
 お配りしている資料を御覧いただければわかりますように、国際的な共通認識として、強制入院はその他のあらゆる手段を使い尽くした上での最終手段とすべきという認識でありますが、これが乱発とは言いませんけれども、国際的に見て非常に多い状況が現在あるという認識がまず必要だと思います。これを解決するためには2つ必要でありまして、最終手段を回避するための対策というのと、最終手段を厳密に使うための対策の2つが必要だというふうに思います。
 1つ目の最終手段を回避するためのサービスというのは、地域のサービスを強くするということ。2つ目は、最終手段を厳密に使うための対策というのは、今回の議論に入ってきておりますけれども、やはり強制入院手続を含む制度の改正をしっかりとしていくということだと思います。
 これらを思想的な考えの違いで議論し合うのではなくて、実証的に確認をしながら検証していくことがこれから必要だと思います。田尾構成員のお話にありましたけれども、今回、この法改正をして、アウトカムを見ながらモニターして改善していこうという御意見もありましたけれども、その重要なアウトカムの一つに、強制入院、医療保護入院の頻度が減っているかどうか、結果としてそのアウトカムが法改正で減っているかどうかということをしっかりと見る。できる限り任意入院なり地域で見るという方向で改革が進んでいるか、制度改正が生きているかどうかというアウトカムを盛り込んだモニターをしっかりと法制度の改正の中に入れ込むことが必要だと思います。
 その上で、強制入院を抑止するための効果があるものというのが、まだ研究としても限られておりますけれども、その中でもEUの御報告等によりますと、入院の手続の際に、やはり第三者、代理人が関与している国は、明らかに強制入院の発動率が少ないということが報告されております。こういった点、今回は議論し尽くせなかった部分でありますけれども、今後の重要な課題、特に、戻りますけれども、40%の強制入院率を下げていくという大きな方針の中で、そういったことも含めて今後取り組む検討をしていく必要があると思います。
 以上です。

○福田精神・障害保健課長
 ありがとうございます。
 まず、モニタリングの仕様としてきちんと位置づけるべきという部分と、あと、議論されていない部分ということなので、走りながら、歩きながら考える部分もあるのですけれども、今後の重要な課題として具体的なことについても更に研究を深めていくべきというお話だと思います。
 では、岡崎構成員、お願いします。

○岡崎構成員
 この文章をどうするかということではなくて、今後検討すべきというか、本来、「新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チーム」でありますので、アウトリーチに引き続いて、そういうことを検討すべきであったというふうに思うのですが、結果として医療保護入院を減らせるという、この文章の中で1回だけ述べたことがありまして引用をいただいているのですが、可能性がある、アプローチの仕方というのはいろいろあるようでして、私の身近で経験をした東京都の精神保健福祉センターを中部と多摩でやっておる経験を照会します。医療保護入院レベルの患者さんなのですが、御家庭の中、あるいは地域の方とのトラブルがあって、相談されたケースにアウトリーチをして、ショートステイへの避難を勧めるのです。昨年度、66件そういう対象の方があって、ショートステイを利用された方は33件で、医療の支援も受けた方はその半分だったそうです。
 それぞれの方はしばらく入所されて、話し合いをしたり、あるいは半分の方は診療も受けて退所されたということで、当初入院されたときの切迫した状態というのは、医療を受けようが受けまいが解決をしていたということがございました。
 ですから、私どもが医療をやっているものだから、明らかに皆さんは病気なのだけれども、病気で生じている問題であろうが、それはすぐ医療で対応すべきだということは必ずしもないわけでありまして、御本人が医療を選択されれば、医療から対処を始めた方が効率的にはいい面もあるのかもしれませんけれども、必ずしも現実はそうではないのだということもそこから学んだわけです。
 これは保健の取組みなのでしょうが、保健と医療がそういうふうに連続した形でやれば、医療との接点もそんなに印象が悪くなくて、その後の医療への印象も随分改善されるのではないかと思いました。医療保護入院が、そういう人たちでは回避できた方もおられるということです。
 そういった経験も出てきておりますので、医療保護入院すべての解決策にはなりませんけれども、実は強制入院でなくても解決がつく場合も大いにありそうであるということもいえるのではないかと思います。そういった知恵を集約して、今後の新たな地域精神保健医療体制の中身をもっと議論する機会をつくっていただければと思っています。
 以上です。

○福田精神・障害保健課長
 ありがとうございました。
 今、岡崎構成員がおっしゃられた点は、例えば31ページに一部関連するところが書かれておりますけれども、そういったことも含めて、やはり地域力を上げていくべきだという御指摘であろうかと思います。
 ここは時計がないので、全体の時間がどんな状況かということなのですが、今、大体6時45分をちょっと回ったところで、そろそろ事務局で整理をしたものをと思っておりますが、ただ、その前に一通り御意見をいただいてから直した方が、事務が二重になりませんので、是非ここで意見を言っておきたいという方は、手短にそれぞれお願いできればと思います。
 長野構成員、お願いいたします。

○長野構成員
 感想レベルのことと、1点要望です。
 地域のところで在り方検討会からシラミつぶしに、検討に60回近くずっと参加をさせていただきました。最後の検討会だというふうに思っていますが、先ほどの議論で強制入院が減るかどうかというのは、いろいろなものが機能しているかどうかのメルクマールに放っておくとなると思います。私たちの現場も毎月10件以上あった医療保護入院が、今は月に1件あるかないかということになってきました。確実にいろいろなものが機能すれば、強制入院、医療保護入院は減るという確信は持っております。なので、このことをきちんとモニタリングしながら、今まで、実はここ4年間、5年間の間に、議論と同時にかなりの施策化をしていただいていると思います。それを現場がどこまで遂行できるかどうかということを含めて、これからも邁進していきたいと思いながら、これは感想レベルです。
 あと1点。精神医療審査会のことがまだ議論が足りないということは確かだと思います。その中に、是非下の意見のところで構わないので、精神医療審査会の構成もしかりなのですけれども、精神医療審査会の研修の義務化、継続した研修が必要であるということは意見があったということだけは書いていただきたいと思います。というのは、地域での医療にどんどん変化をしていくと、どんな方に入院が要るかとかという考え方が必ず変わってくるだろうと思いますし、医療審査会のメンバーもしかりだと思うのです。医療審査会のメンバーが今と同じ考え方でずっと審査を続けても、強制入院というのは減っていかないだろうということも考えると、そこの考え方の継続的な研修が必要だということを意見の中に書いていただけるとありがたいと思います。
 以上です。

○福田精神・障害保健課長
 ありがとうございました。
 では、福田構成員、お願いいたします。

○福田構成員
 精神医療審査会について3点、提案といいますか、今までに申し上げたことですが申し上げます。
 1点目は、精神医療審査会の構成について改善した方がいいということです。これは先ほど議論がありましたから省略します。
 2点目は、精神医療審査会における審査の仕方を改善すべきだろうということであります。現在の書類審査がどのくらい役立っているかということはなかなか難しい判断ですけれども、それを示す資料があります。この第10回の作業チームで配られた資料の中にそのデータがあります。医療保護入院の入院届について、約14万件の審査を行って、そのうちで入院が不要となったものは2件です。他の入院形態に移行が適当だというのは1件です。14万件を審査して、3件だけ不適切であるということで、0.002%です。一方、医療保護入院の定期報告、つまり医療保護入院を続けていいかどうかという審査については、9万件弱の審査を行って、継続が不要となったのは4件です。他の入院形態に移行が適当だというのは2件です。0.007%です。この数字をどう解釈するかは難しいところでしょうが、書類審査では十分ではない。全国では数多くの精神医療の専門家、また法律の専門家が一生懸命時間をかけて、労力をかけて、予算をかけて審査しているわけですけれども、14万件のうち3件しかないということで、これは審査の名に余り値しないかもしれないと思います。
 そういった意味で、精神医療審査会における審査の方法というのを見直すことが大事だと思っていまして、特に書類審査だけに頼らないで、実地での審査というものを導入すべきだと思います。ただ、これまでの議論にありましたけれども、もちろん全例について実地での審査というのは無理であります。ですから、ピックアップした形でいいと思うのです。現在、実地での審査ができるのは、退院請求とか処遇改善請求とか請求があった場合だけです。この新しい案では、それに加えて精神医療審査会の方が慎重な審査を要すると判断した場合とありますけれども、更にそれに加えて、任意にピックアップしてといいますか、そんなに多くなくていいのですけれども、必ずしも重点的な審査が必要という形で認めなくても、任意でピックアップして時々は審査ができるというシステムを持ち込むということは実現可能だろうと思うのです。
 当事者にとりましては、そういう形で単に書類だけではなくて、場合によっては自分のところにも実地の審査が来るかもしれないということがあるというのは、非常に安心につながる過程にもなると思います。
 3点目の提案は、先ほどの長野構成員の提案とも関わりますけれども、審査の妥当性の確立であります。私、持っておりますけれども、全国の精神医療審査会の会長会議の資料が手元にあります。これは昨年のものなのですけれども、その中に退院請求とか処遇改善請求を行った場合に、それによって不適当とされた方がどのくらいいらっしゃるかという統計があります。それが地域によって非常にさまざまなのです。ある県は、不適当とされた割合が20%、一方で、かなり多くの地域ではゼロです。その理由として、1つは、その高い県の精神医療の質が非常に悪いという可能性もあるかもしれませんけれども、もっと考えやすいのは、精神医療審査会の審査の基準が大分違っているからこそ、県によっては20%、県によっては0%。これはこのまま放置しますと、全国的にきちんとした審査が行われることになりませんから、先ほどの提案のような研修も含めて、一体このようなばらつきがなぜ出ているかということをきちんと調査して、それに基づいて精神医療審査会における実地での請求の審査の在り方を検討することが必要かと思います。
 以上です。

○福田精神・障害保健課長
 ありがとうございました。
 いわゆる訪問する形で、実際に実地審査に行くパターンを少しバリエーションを増やしていくという話と、それから、審査の要件が同じ、ばらつきを減らすための方策を考える。これは、本文というよりは御意見の方でよろしいですか。先ほどの長野構成員の方は、御意見の中に入れてくれという話でしたが、本文ということになりますと、ここでいろいろと伺わせていただいた御意見はどんなものでしょうか。

○福田構成員
 私個人としましては、もし皆さんの同意が得られるのであれば、本文に盛り込んでいただければと思います。

○福田精神・障害保健課長
 わかりました。反論が多い場合には、逆に言うと意見の方にきちんと位置づけていくことにします。
 今の御提案に対して、佐久間構成員。

○佐久間構成員
 実際の我々県の指導監査について、いろいろ病院を訪問して、患者さんの診察をして、これは措置入院は必要ないとか、医療保護入院は必要ないと何例もやっていますので、むしろそういうものは、今のところ数は少ないけれども、今のシステムの中でやっていることです。だから、いわゆる全部でなくてもいいというのであれば、そういう形の現にやっていることの制度を見直すことも、広げることも一つではないかと思います。

○福田精神・障害保健課長
 ありがとうございます。
 その他、御意見ありますか。
 ちょっと表現を工夫して案としてつくってみますので、また後ほど御議論いただければと思います。
 河崎構成員。

○河崎構成員
 今の福田構成員の御発言、今、佐久間委員がおっしゃったように、現状の年に一度の実地指導の際に、私の大阪府では必ず医療保護入院の方を数名ピックアップなされて、その方たちが本当に現状の入院の形態が妥当なのかどうかという確認をずっとやっているわけです。多分、すべての自治体でやっておられると思いますし、群馬県でもやっておられるのだろうと思うのです。このあたりをよりきっちりと充実させていくというのが案としては非常に現実的な、現状の法制度の形の中でも実現可能ですので、このあたりは是非厚労省の方、よろしく御検討願えればというふうに思います。

○福田精神・障害保健課長
 ありがとうございました。
 中島構成員、そして福田構成員。

○中島構成員
 全体としてはこういう方向で行かれるというのはいいと思うのですが、1つ、精神医療審査会のかなり抜本的な改革というものをやらないと、素通りしてしまうケースが非常に多くて、実質的な改善につながらないのではないかという不安があります。5年ごとの指定医講習会でも、ただ出席しただけで更新されるといういいかげんなことはもう一切しないということを明確にして、きちんとした判断力のある指定医だけ認定していくということが必要ではないかと思います。
 もう一つ、一番重要なことは、これは僕の個人的な思いですけれども、医療保護入院を今回残したということは、あくまで将来、いわゆる強制的な行政入院と任意入院に二分化するためのステップだと考えております。固定的なものというふうに考えないで、将来定期的に見直し、毎年そのデータを公表していくということを是非やっていただきたいと思います。

○福田精神・障害保健課長
 ありがとうございました。
 福田構成員、済みませんでした。お願いします。

○福田構成員
 先ほど河崎構成員から御意見がありましたけれども、河崎構成員も御存じかと思いますけれども、実地審査、実地指導というのは、基本的には病院を審査する、指導することだと思います。そのための一つの方法として、入院していらっしゃる患者さんの中の何人かを審査する。私が提案しているのはそうではなくて、病院を審査するだけではなくて、個別の患者さんについて、その方の医療保護入院が適当かどうかということを検討する。

○河崎構成員
 それは実地指導でやっていますよ。

○福田構成員
 ですから、それは実地指導の目的は、あくまで病院が全体としてきちんと行っているかということだと思いますので、重点が違ってくると思います。

○河崎構成員
 私はそうは思いませんが、これは逆に言いますと、厚労省側としてどういう御見解をお持ちなのかということではっきりさせておいていただいた方がいいと思います。つまり、実地指導の際に当該病院に入院中の医療保護入院の患者さんの医療保護という入院形態が妥当かどうかということを任意に抽出されて、毎年、チェックを私たちは受けます。これは、その方の医療保護という入院が妥当なのかどうかということの判断をそのときの指定医が行っているという認識ですが、今の福田構成員のおっしゃったような意味合いからいくと、それは病院を見ているということの御認識のようなのですが、このあたりはいかがですか。

○本後課長補佐
 済みません。ちょっと意味合いの話になりますので明確にお答えできるかわかりませんけれども、現状、今やっている仕組みとしては、実地指導の中で数名について、特にお一人おひとりについてどういう状態になっているのかということに関してきちんと見てくださいということを都道府県にお願いをしているということでございます。

○福田精神・障害保健課長
 ありがとうございました。
 要は、主体として独立した第三者機関という位置づけであるところの審査会がどういうことをやっていてというところと、県がやる場合、実地審査はあくまでも行政府である県がやっているというところがあるので、そこをどうとらえるかという話になるかと思います。御意見も踏まえて、少し知恵を出していきたいと思います。
 そろそろ19時になりましたので、もし特段のこれ以上のものがなければ、少しお時間をいただいて事務局の方で修正案を考えたいと思っておりますので、15分くらい、ここからは懇談会というか、いわゆる非公式な時間ということでお願いします。

(休 憩)

○福田精神・障害保健課長
 それでは、再開させていただければと思います。
 ちょっと予定の15分を5分ぐらい延びてしまいましたが、大体案をまとめましたので、まず、本文部分と意見の部分の全体をどう整理したかを事務局から御説明させていただいて、その後、追加の御意見をいただければと思っておりますので、お願いします。

○本後課長補佐
 それでは、まず、1ページ目でございます。一番下に医療保護入院が14万人いるという現実を追認するのではなく、地域精神保健医療福祉の充実により、強制入院を減らしていくことを目指すことが前提である。
 それから、6ページ目でございます。佐久間構成員の御意見。指定医が入院を判断する仕組みになるにしても、人権にかかわることなので公的なアプルーブがなされるべき。
 それから、白石構成員の御意見。これは、白石構成員のおっしゃった御意見をそのまま入れさせていただいております。審査会のところでございます。11ページ、先ほど、最後に福田構成員あるいは河崎構成員の間で御議論があった部分です。なお、現在の都道府県が行う実地指導の中での診察の他に、精神医療審査会が任意にピックアップした病院で出向いて審査を行うことを検討すべきとの意見があった。
 それから、審査会に委任されたPSWなどが面接して確認するなど、審査会を補完する仕組みが必要。(小川構成員)
 審査会の構成だけでなく、構成員の継続的な研修が必要。(長野構成員)
 現在の審査会が機能するためには、人権B規約にある遅滞なく決定することが担保されなければならない。入院の必要性だけでなく、権利擁護者や地域支援関係者の意見など、権利擁護の観点も入院届に記載し、それに基づいた審査が行われることが必要。(西田構成員)
 あとは、最後でございます。「終わりに」というところで、住宅を初め、地域で精神障害のある人が暮らせる資源やというのを加えております。広田構成員の御意見。
 一番下、また、こうした仕組みの運用が担保されるように定期的に評価をするとともに、定期的に検証し、よりよい仕組みとなるよう見直しを行っていくことが必要である。
 修正の点は以上でございます。

○福田精神・障害保健課長
 それでは、今、全体を御覧いただきましたので、逆側からになりますけれども、それぞれの部分について特段の御意見、修正意見がございましたら伺います。まず、この部分についてはいかがでしょうか。
 どうぞ、新垣構成員。

○新垣構成員
 せっかくなので。定期的に評価するというのは、どうせなら、割と短目のスパンがいいなと思います。5年とか3年とかと決められるものなのですか。

○福田精神・障害保健課長
 そこのところは十分な議論がないので、ただ、基本的には精神保健福祉法などですと5年後の見直しということが過去にはいろいろと書かれていたということはあります。

○新垣構成員
 過去には5年後でしたけれども、5年ごとではなかったという話を聞いているのです。今度は「ごと」なのですか。

○福田精神・障害保健課長
 そこのところは「ごと」で。

○新垣構成員
 「後」だと1回切りだったというふうに言われて。

○福田精神・障害保健課長
 では、よろしいでしょうか。そこを「ごと」と変えさせていただきます。
 佐久間構成員。

○佐久間構成員
 最初の強制入院という言葉は、西田構成員の資料にもありますが、基本的にインボランタリーは非自発性入院だと思うので、言葉として強制入院というのは不適切だと思います。

○福田精神・障害保健課長
 最初のページですね。

○佐久間構成員
 はい。

○福田精神・障害保健課長
 用語の問題ということで。非自発的入院。
 では、最初のページに飛びましたので、ここから順に行きますが、その他ございますでしょうか。
 次の、こちらについてはいかがでしょうか。ここは河崎構成員と福田構成員の意見のあったところなので、こういう意見があったというところでの整理にさせていただいておりますが。
 河崎構成員。

○河崎構成員
 ちょっと見づらいのですけれども、もう一度、私のこちらから読みますと、なお、現在の都道府県が行う実地指導の中での診察の他に、精神医療審査会が任意ピックアップした病院に出向いて審査を行うことを検討するべきとの意見。その「ピックアップした病院に」ですか。

○福田精神・障害保健課長
 病院ではなく、これは患者ですね。

○河崎構成員
 ええ。

○福田精神・障害保健課長
 わかりました。そこは用語が不適切です。
 そこは、福田構成員、要するに、審査会ですので個別のケースについての話ですので。

○福田構成員
 趣旨としては、任意にピックアップした患者さんについて、その病院に出向いてということです。

○福田精神・障害保健課長
 では、そういう形でよろしければ、そこは。すみません。
 小川構成員。

○小川構成員
 11ページのところ、特段意見があったとかいうふうにしなくてもいいのかと思うのですけれども、皆様方はどうなのですか。特に異論はなかったのだと思いますけれども。

○福田精神・障害保健課長
 それは異論があったのです。

○河崎構成員
 私が発言した意味合いは、現在の都道府県が行っている実地指導の中で、それを充実させればいいのではないかということの発言でしたので、若干ニュアンスが福田構成員とは違いますし、ですので、意見があったという形で整理をしていただくとありがたいということです。

○福田精神・障害保健課長
 一応、ここのところは全体として審査会の機能というものについての議論を更に進めるべきという大きなところがありましたので、一応、意見に違いがあった部分はあるのですけれども、個別の意見というよりは、本文のところに載せさせていただくという整理をさせていただきました。河崎構成員の方からもそれで結構ということでありましたので、この扱いで進めさせていただければと思います。
 では、本文に係る部分は以上でございますので、自分自身の御意見が本文に係っているか。

○河崎構成員
 すみません。もう一度、最後のところを発言させてください。

○福田精神・障害保健課長
 最後というのは。

○河崎構成員
 終わりのところです。
 できましたら読み上げていただいた方が、こちら側は非常に見づらいので。

○本後課長補佐
 失礼いたしました。最後のところでございます。また、こうした仕組みの運用が担保されるように、一定期間ごとに評価するとともに検証し、よりよい仕組みとなるよう見直しを行っていくことが必要である。

○福田精神・障害保健課長
 よろしいでしょうか。一応、個別の確認を念のためにしておければと思います。大きくニュアンスが違うと。

○本後課長補佐
 では、個別のところはそれぞれ読み上げさせていただきますので、確認いただければと思います。
 まず、佐久間構成員でございます。指定医が入院を判断する仕組みになるとしても、人権に関わることなので、公的な承認がなされるべき。
 続きまして、白石構成員は先ほどメモをいただいているので、これで。
 それから、小川構成員。審査会に委任されたPSWなどが面接して確認するなど、審査会を補完する仕組みが必要。これでよろしゅうございますか。
 それから、長野構成員。審査会の構成だけでなく、構成員の継続的な研修が必要。これでよろしいですか。

○長野構成員
 文章が、「構成の見直しだけではなく」かもしれません。

○本後課長補佐
 失礼しました。「構成の見直しだけでなく」。
 それから、西田構成員。現在の審査会が機能するためには、人権B規約にある遅滞なく決定することが担保されなければならない。入院の必要性だけでなく、権利擁護者や地域支援関係者の意見など、権利擁護の観点も入院届に記載し、それに基づいた審査が行われることが必要。これでよろしいですか。
 これで以上でございます。

○福田精神・障害保健課長
 ありがとうございました。
 佐久間構成員。

○佐久間構成員
 最初に発言したのを完全にスルーされてしまったのですが、医療契約の在り方、あるいは入院費の負担の在り方については検討が必要であるというのを少し入れていただければと思います。意見として。

○福田精神・障害保健課長
 わかりました。そこは議論の結果、本文のところに整理はされていますけれども、意見として。
 その他、御意見ございますでしょうか。
 では、時間の関係もあるので、そこのところは、あとは個別に確認をさせていただきたいと思います。
 特にないようでしたら、大変ありがとうございました。2時間を既に超えておりますけれども、おかげさまで入院制度に関する議論の整理をこれにてまとめることができました。本当にありがとうございました。
 今日は、既にお疲れかと思いますけれども、ピアスピーカーでお二人おいでいただいていますので、手短に感想も含めて御意見を伺えればと思っておりますので、お願いしたいと思います。
 まず、小杉さんの方からお願いします。

○小杉ピアスピーカー
 時間をいただいてありがとうございます。
 私は、このチームにピアスピーカーとして参加させていただいたのですけれども、参加するたびに、やはり大変な場に来てしまった、本当に私でよいのだろうかとそのたびに思いました。なぜなら、初めて聞く用語が次々と飛び出してわからないことだらけだったからです。アウトリーチ、PSW、アドボカシー、医療保護入院、ピアサポートという意味さえ知りませんでした。知らないからこそいいのですよという厚労省の工藤さんの言葉に励まされてきました。
 でも、知らな過ぎること、そこに自分が参加してきたキーワードがあるようにも思いました。精神保健福祉のこと、精神障害の方たちのことを知らない私が、地域では普通なのです。私は、うつの方とは認知療法の中でつながりがありましたが、他の特に統合失調症などの精神疾患の方に対する知識も理解もなく、町中や電車の中で出会ってしまった、ひとり言や奇声を発する人たち、イコール、怖い人、心のどこかで犯罪を犯す危険性のある人ととらえる自分の意識、それこそ地域のほとんどの方の意識であると思います。
 医師、専門家、本人、家族という、ある意味狭い世界のことになっていて、その無理解が地域で生きていくことの障害となっているのではないでしょうか。何でこれほど知らなかったのか。それは、多くの精神障害の方が長い年月、入院させられて、地域社会で普通に生活することが困難な環境が日本の歴史の中でつくられてきたことを検討チームに参加することで知りました。社会の一員として普通に接する機会を私たちからも奪われていたということにも気づかされました。ここの検討会で検討されて、また、今後更に地域体制の役割が増して、精神疾患を抱えた人たちが地域に飛び出す社会になるでしょう。そのときに、私たち地域の人たちが、自然に当たり前に受け入れることがどうしたらできるのでしょうか。家庭の中で、教育の中で、職場の中で、地域社会の中で、本人との関わりの中で理解を深める努力が求められることになるのでしょう。これは大きな課題だと思います。
 障害を持った人が大切にされる社会は、きっとすべての人が幸せに生きられる土台ができた社会だと思います。私は、この検討チームに参加できたことを光栄に思うとともに、自分の今後の人生の中でこの経験を生かす生き方をしたいと思うようになりました。私にできることを、今、真剣に考えています。
 地域精神保健を理論と実践で支えて御活躍される構成員の皆様方を知りました。皆様方に敬意を表し、厚労省担当の方々にもお世話になりました。感謝を申し上げまして、私の感想とさせていただきます。どうもありがとうございました。

(拍手)

○福田精神・障害保健課長
 小杉さん、どうもありがとうございました。
 では、山田さん、お願いします。

○山田ピアスピーカー
 私にとって、この新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チームは、自分の非自発的入院について人前で話す初めてのきっかけとなりました。私にとって、この検討チームに大事な部分は、新たな地域というポイントで、そこで入院をしなくてもいい体制ですとか、新しいコミュニティ、地域づくりがなされていけばいいという思いで参加しておりました。やはり、強制性を持った入院をした者からすると、生活や人間関係を含めてさまざまなものから分断されて、入院した後、生活しづらくなってしまうという側面があるので、今日のお話でもありましたけれども、やはり医療保護入院、ないし、そういう強制性を持った入院が少なくなっていく方向で今後も動いていっていただけるとうれしいと思っております。
 それに付随しまして、地域での受け皿がより充実することも願いますし、往診ですとかアウトリーチの、これからの量が増えたり質が向上することも望みますし、さまざまな地域社会でフットワークのいいサービスが提供されることを望みます。
 これで終わりということですけれども、私にとって、構成員の方々とか、厚生労働省の方で働かれている方々の、この検討チームでお会いすることができて、自分が医療を受けた身としては、医療だけではなく福祉の面も恩恵を受けたわけですけれども、そういう大事なお話の場に参加させてもらえたことを光栄に思いますし、今後とも先生方や地域支援者の方々の御活躍を願いますし、何かあれば自分でもできることを実践していきたいと思っております。
 大変貴重な時間をいただきまして、どうもありがとうございました。

(拍手)

○福田精神・障害保健課長
 山田さん、どうもありがとうございました。
 では、いよいよこの検討会の最後になりますけれども、何か是非という。では、広田さんに御発言いただいて。

○広田構成員
 津田さん、よくお会いしますけれど、生活困窮者の方は、私より適任者がいたら抜けたいという気持ちです。精神は被害者だから出ています。
 11年間、厚労省の委員をやっていて、民主党はマニフェストなんかおかしなものばかり立ち上げましたから全滅ですけれど、本当に今日の昼と夜、精神科特例がだんだん外れていくでしょうという思いと、それから、この保護者規定、松本義幸課長の時代に、「広田さんが入ったことによって、『入院させられる側と入院させる側』ということがよくわかった。『家族が代弁者でない』という広田さんの発言も良く理解できた」と言われました。そこのところが崩れていくことを感じて、政権交代したのだなということで、民主党は今、元気はないけれど、よかったと思っています。
 それで、昼間も言っていたのですけれど、社会的入院の仲間をきちんと出して、住宅政策を入れていましたけれど、それで、病床を削減して、マンパワーをきちんとつけて、診療報酬を上げるという4点セットと、今、小杉さんがお話しされた地域が変わっていく、私の資料の最後の弘明寺商店街の塗り絵は、読売新聞新人記者が書いたのですが、これが商店街に張ってあります。そういうふうな津々浦々になっていただくために、本当に隔離収容施策がとられてきたけれど、社会が追いやったけれど、そういうものを民主党政権できちんと国民の前に訴えていただきたい。そして、「この国にそういう被害者がいますよ。今、そういう温かい愛が必要なのです」と、国の責任で言っていただきたい。
 それと、いわゆる地域支援と一口に言うけれど、私の相談者は家族も含めていっぱいいますけれど、この間、自殺未遂した人はエリートさんです。彼は、いわゆる措置入院を体験して、医療保護入院も体験している、出てきて、地域支援と言う「福祉が地域の余りにもレベルが低くて、おれはこんな人間ではない」ということで「愕然として自殺未遂を図った」とのことです。私が、「人間に必要なのはエリートのプライドではない、人間としてのプライドよ」とどなったら、彼は今、働いています。
 そういう意味で、くれぐれも、医療の囲い込みから地域の囲い込みにしないでほしいし、いろいろな選択肢を用意してほしい。家族に申し上げたいのは、是非ピアサポートをやっていただきたい。家族同士健全になることが大事です。うちにいっぱい御飯を食べに来ますけれど、髪振り乱したお母さんが、「こういうふうな団らんは何年ぶり」と言っている。そして自分で問題を解決していく、そういうふうな温かい家庭や地域や職場がなくなっていることが一番問題で、そういうようなものも、今、このいわゆる暗雲たち込める日本列島うつ予防大作戦のチラシも出しましたから、私の顔は要りませんけれど、こういうものをみんなでつくって予防して、医療費を抑制して、本人が幸せになるということで、今日はとてもいい気持ちで帰れないのだけれど、このメンバーだったらこの程度かな、やはり本物のコンシューマーが5人ぐらい出てこないといけない。でも、お二人は立派だったということで、行政にも関係者にも対等に医療や福祉を述べられる、市民の視点を持ったコンシューマーがいつこの国にあらわれるかということを、弘明寺観音に祈念しながら、今日は終わりにしたいと思います。ありがとうございました。

(拍手)

○福田精神・障害保健課長
 ありがとうございました。
 それでは、最後に津田厚生労働大臣政務官より御挨拶を申し上げます。

○津田政務官
 皆さん、本当に長い時間、回数で言いますと、何と45回、作業チーム、それから検討会をやっていただいたわけでございます。私、実は、障害者総合支援法の取組みをこの1年半ぐらいずっとやってきて、党で議論したのが29回やってきました。本当にさまざまな議論をしてきたわけですが、それよりもはるかにまさる議論を皆様方にしていただいたわけでございます。本当に真摯な議論をいただきましたことに、まずもって心より感謝を申し上げたいと思います。
 この議論の整理の中にも記載がありましたとおり、これはもとをたどると110年前の精神病者看護法に行き着くような長い保護者制度、入院制度につきまして、これから先の未来を志向した仕組みに改めていくというのが大きな今回の検討の課題であったわけでございます。
 このいただいた皆様方の意見を一つひとつ、これらの制度の具体的な改定の検討の中で、本当に貴重なものだというふうに思っているわけでございます。今、広田構成員を初め、ピアスピーカーのお二人のお話をいただいたように、当事者の皆様方も一定の評価をしていただいたということは大変ありがたいことだというふうに思っております。
 障害者総合支援法が、先ほど言いましたように成立をし、精神障害のある人を含めて地域生活を支える福祉サービスは、更に充実に向けての一歩を踏み出したわけでございます。精神障害のある人が地域で生活をしていくためには、安心して利用できる質の高い医療が必要不可欠でありますし、この精神医療の改革に着手をしていかなければならない、そういうふうに理解をしておるところでございます。
 今後、皆様からいただいた議論の整理をもとに、精神医療の改革に関する厚生労働省としての考え方を早急にまとめ、その上で関係団体の方々を初め、国民各般から意見をいただき、平成25年通常国会への法案提出を目指してまいりたい。先ほども法案になるのだねという御意見もございましたが、そのことをしっかり取り組ませていただきたいというふうに思います。
 長い間の御議論をいただきましたことに、最後でありますが、再度感謝を申し上げまして、御挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。

(拍手)

○福田精神・障害保健課長
 どうもありがとうございました。
 それでは、以上をもちまして、検討チームを閉会いたします。皆様方、本当にどうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

社会・援護局障害保健福祉部
精神・障害保健課企画法令係

電話: 03-5253-1111(3055)

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