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2012年7月17日 独立行政法人評価委員会国立病院部会(第37回)議事録

○日時

平成24年7月17日(火)9:32~12:31


○場所

中央労働委員会会館講堂


○出席者

猿田部会長、田極部会長代理、富田委員、高瀬委員、和田委員、海辺委員

○議事

(以下、議事録)

○猿田部会長
 それでは時間になりましたので、ただいまから、第37回厚生労働省独立行政法人評価委員会国立病院部会を開催します。本日はお忙しいところ、またものすごく暑いところ、皆様お集まりいただきましてありがとうございました。このたび評価委員の交替がございましたので、ご報告させていただきます。新しい方は日本赤十字社事業局長の富田委員です。富田さん、よろしくお願いします。

○富田委員
 富田でございます。よろしくお願いいたします。

○猿田部会長
 ありがとうございました。それでは厚生労働省独立行政法人評価委員会令第5条第2項におきまして「部会に属すべき委員、臨時委員及び専門委員は、委員長が指名する」となっていますので、私から山田委員の後任として国立病院部会に所属いただくように、富田委員にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日の議事に関して、事務局からよろしくお願いいたします。

○政策評価官室長補佐
 議事の説明の前に、4月1日付で国立病院機構理事長の異動がございましたので、ご紹介させていただきます。桐野理事長でございます。

○国立病院機構理事長
 4月1日付で機構の理事長を拝命いたしました桐野でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○政策評価官室長補佐
 また、本部会の委員として、約9年の長い期間にわたりましてご活躍いただきました夏目委員でございますが、今般、成田国際空港社長に就任されまして、業務に専念されるということで、6月末で委員を退任されましたので、皆様にご報告申し上げます。なお、急な話でございましたので、この夏の評価は後任の委員を補充せずに、6人の委員の皆様方でご審議いただければと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、本日の議事につきまして説明いたします。本日は、[1]国立病院部会における平成23年度業務実績の評価について、事務局より簡単に説明いたしまして、次に、[2]国立病院機構の個別評価について、ご審議いただきます。最後に、[3]最近の独立行政法人を取り巻く状況につきまして、事務局よりご報告いたします。以上です。

○猿田部会長
 ありがとうございました。よろしいでしょうか。お手元の議事次第に従って進めたいと思います。1番目の議事で、独立行政法人の実績評価を行っていただくわけですが、今年度実施する独立行政法人の評価の流れや評価基準について、事務局から説明をお願いします。

○政策評価官室長補佐
 個別評価の進め方についてご説明いたします。資料1-1-[1]をご覧ください。進め方自体は昨年と変わりませんので、簡単に説明させていただきます。初めに、[1]理事長から法人全体の業務実績を説明していただきます。[2]その後、各個別項目を国病部会の場合は5つのパートに分け、法人から実績と自己評価を説明いたします。[3]各パートごとに質疑応答をして、委員の方々はS~Dの評定とその評定理由を評定記入用紙に記入していただき、それを各パートごとに繰り返す形で進めていただきます。
 評価につきましては、総務省に設置されている政策評価・独立行政法人評価委員会、いわゆる政・独委が作成している「評価の視点」等を踏まえて、評価をしていただく必要があります。国立病院部会では、これらに関する法人の実績を、資料2-4の平成23年度業務実績評価別添資料に取りまとめており、この別添資料に記載された事項を評価するチェックポイントを、資料1-1-[2]としてまとめていますので、評価に当たって参考としていただければと思います。
 また資料集の126頁になりますが、紺色の冊子です。今年の5月21日に政・独委より二次評価に当たって特に留意すべき事項が示されています。
 いくつか、これまでの対応に追加して対応すべき事項がありますので、簡単に説明します。126頁のいちばん下に「公益法人等に対する会費の支出について」とあり、次頁の保有資産の管理のところの1つ目と2つ目の●が「独法の職員宿舎の見直し」関係です。
 いずれも行革本部決定となっていますが、決定自体が、今年の3月、4月に決まったというものです。23年度の実績評価で手当てすることが難しいので、政・独委の事務局にも確認し、資料2-4「業務実績評価別添資料」に現状を記載することで対応しています。
 また、金融資産に記載されている溜まり金の精査については、財務担当委員にヒアリングの際に確認いただき、法人の総合評価の際にコメントいただくことを考えています。
 内部統制については、監事の監査結果を踏まえた評価を行っているかについて留意することとあります。昨年の総会、部会等で複数の委員からのご指摘もあり、資料2-4「業務実績評価別添資料」に一部追加していますが、資料の記載内容を確認いただきつつ評価いただければと思います。
 法人の個別評価が終わりましたら、各委員の評価を踏まえた評価書案を起草委員に作成していただきます。起草委員は、資料1-2のとおり、昨年に引き続き田極委員にお願いいたします。よろしくお願いします。
 評価書案の作成につきましては、各法人の所管課室と起草委員とで調整しながら案文の作成を行っていただきます。
 起草委員において作成いただいた評価書案については、8月23日(木)に予定している総合評価の部会で、各委員にご審議いただきます。
 続きまして、資料1-3、1-4についての説明です。資料1-3は、国立病院機構について、あらかじめ法人の大体の実績を踏まえて評価いただいたほうが、評価のばらつきが少なくなるのではないかと考え、自己評価の一覧を付けています。
 また、資料1-4として、他部会を踏まえた過去3年間の評価実績をグラフ化したものを付けていますので、他の部会での評価結果なども参考に評価いただければと思います。事務局からは、以上です。

○猿田部会長
 ありがとうございました。資料が多くてごたごたしますが、よろしいでしょうか。ご確認をいただきたいと思います。それでは、今ご説明いただいたとおりの形で進めていきたいと思います。評価のほうもシートがございますので、お願いする形になりますけれども、早速、国立病院機構の平成23年度個別評価ということで、最初に桐野理事長から、ご挨拶と説明をお願いしたいと思います。

○国立病院機構理事長
 それでは、配付されているA4の横長の国立病院機構事業体系図という、非常に細かく書いてある紙に従って、お話をさせていただきます。平成23年度は、独立行政法人第2期の中期計画の中間の年に当たり、前矢崎理事長の下で着実に成果を上げてきているものと考えております。その主な事業実績については、いま申し上げた資料2-1にまとめてありますが、それに従って簡潔に説明させていただきます。
 資料2-1の黄色い横のバーで、平成23年度業務実績というのがあります。その下の段で真ん中にある質の高い医療の提供についてですが、平成22年度に運用を開始した診療情報データバンクにより、すべての機構の病院、すなわち144の病院を対象としてDPCのデータとレセプトデータ等の計測・分析を実施しました。そして新たにプロセス指標を中心とした70の指標を作成して広く公表し、国立病院機構のみならず、全国の医療の質の向上に寄与するものと考えています。また重症心身障害者などの長期療養患者のQOLの向上を図るため、老朽化した病棟の建替を着実に推進してまいりました。
 次に、いちばん右側の個別病院に期待される機能の発揮等についてですが、地域医療支援病院の数を増やし、紹介率、逆紹介率を改善し、救急医療の対応など地域医療に一層貢献してまいりました。重症心身障害、筋ジストロフィー、医療観察法など、国立病院機構が占めるシェアは高く、政策医療のセーフティネットとしての役割を果たしてきたと考えています。東日本大震災への対応としては、医療班等の延べ約1万人日の職員を派遣させていただき、発生直後から引き続き切れ目のない医療支援活動を実施しました。特に心のケアチームによる被災者に対するメンタルヘルスケアや、福島第一原発事故に伴う警戒区域への住民の一時立入りに伴う、医療班を47派遣し役割を果たしてまいりました。
 裏面に移ります。いちばん左の上のコーナーで臨床研究事業です。ここでは独立行政法人理化学研究所と連携協力の推進に関する協定を締結しました。そして先端医科学・医療分野に関する包括的な連携を構築し、国立病院機構のネットワークを活かした臨床研究を行っています。また高病原性鳥インフルエンザワクチン(H5N1)に関する研究や、ドラックラグ解消に向けた治験の実施では、国の政策決定、政策推進に貢献してまいりました。全144病院を対象に、先ほど申しました診療情報データバンクを使い、近隣病院との比較や分析領域の拡大など、診療情報の分析を実施しました。
 続いて真ん中の枠の教育研修事業です。ここでは東京医療保健大学と連携して、高度な実践能力を持ち、スキルミックスによるチーム医療を提供できる診療看護師、いわゆるJNPの育成に努め、平成24年4月からは、第1期生14名が業務試行事業実施病院で活動を開始しています。良質な医師を育てる研修や病院におけるリーダー育成研修など、医師を対象にした研修をさまざまな形で行ってきています。
 次に業務運営の見直しや効率化による収支改善について、特に医療資源の有効活動ですが、真ん中の黄色い段の右から2つ目です。CTやMRIなど高額医療機器の共同利用数を計画を大きく上回って実施しました。また附属看護学校は全国平均を大きく上回る国家試験合格率を維持しています。
 続いて経営の改善、固定負債割合の改善などについてですが、いちばん下の緑の枠で左側の経営の改善については、従来から経営改善の取組を進めてきて、経常収支は458億円、105.4%となり高い水準を維持しています。また真ん中の段にありますように、病院機能向上のための必要な整備料を確保し、機構発足時に約7,500億円であった長期借入金を4,770億円まで大幅に削減することができました。
 以上、資料2-1につきまして主要なものだけ、かいつまんでご説明を申し上げました。

○猿田部会長
 ありがとうございました。いま、お話がありましたように桐野先生は4月から理事長をされて、この3カ月間、今までのことを総括していただいたということで、先生、ありがとうございました。それでは早速ですが、次に個別評価ということで、評価シートの個別項目を5つのグループに分け、グループごとに評価を行っていただきます。まず第1グループとして項目1から4、診療事業の1から4について評価をお願いする形になります。所要時間は法人から20分を説明に充て、あと委員から質疑をしていただいて、評価をしていただく形にします。法人のほうからご説明をお願いします。

○国立病院機構医療部長
 医療部長の梅田でございます。お手元の資料2-3、平成23年度業務実績評価シートをご参照ください。グループ1、1.診療事業、1頁から46頁までの業務実績についてご説明申し上げます。1頁の(1)患者の目線に立った医療の提供、[1]分かりやすい説明と相談しやすい環境づくりです。患者満足度調査につきましては、23年度も、本音を引き出しやすい設問形式でプライバシーに配慮して実施し、「総合評価」をはじめ、「分かりやすい説明」「相談しやすい環境づくり」について、外来の平均値は過去最高、入院では引き続き高い平均値を維持する結果となりました。
 2頁に機構全体の数値を記載しています。各病院では調査結果を踏まえた取組を進め、特に前年度の平均値が低かった病院の多くで改善が進んでいるところです。例えばクリティカルパスの積極的な活用、カンファレンスへの患者・家族の参加などを通じて、分かりやすい説明に努めています。
 3頁にありますように、患者・家族を対象とした勉強会、相談会を実施しているほか、図書コーナー、情報室の設置もさらに進みました。すべての病院で職員に対し接遇やコミュニケーションの研修を実施し、4頁にありますように医療ソーシャルワーカー(MSW)についても、23年度は21名の増員を行いました。
 5頁、セカンドオピニオンについては、23年度のセカンドオピニオン窓口設置病院が138病院に増加したほか、設置病院において制度充実の工夫を行い、セカンドオピニオン提供者数、情報提供書作成数は、ともに更に増加しました。
 6頁、[3]患者の価値観の尊重です。患者の利便性を考慮した結果、多様な診療時間の設定、待ち時間対策のいずれについても、患者満足度調査で改善が見られました。待ち時間対策では、7頁にありますようにスタッフの配置、例えば患者サポートマネージャーといったものを含む取組を行った結果、特に前年度の平均値が低かった多くの病院で改善された結果となっています。
 8頁、患者や家族を対象とした勉強会は、患者のセルフマネージメントを支援する取組にもなっています。同じく8頁の個別の診療報酬の算定項目のわかる明細書の発行については、正当な理由があるとして届出をしている病院を除く139病院が、全患者について対応しました。もちろん、これ以外の5病院も求めがあった場合には発行可能となっています。
 9頁、その他の取組ですが、(3)新たに2病院が助産師外来を開設し、妊産婦や家族の多様なニーズに合わせたお産や育児支援を充実させています。
 10頁、自己評定です。患者満足度調査については、各病院が結果を分析してさまざまな改善を図っており、「総合評価」をはじめとする項目で外来の項目を中心に前年度平均値を上回り、入院でも高い平均値を維持しており、着実に満足度の向上を果たしています。医療ソーシャルワーカーの増員を更に進めたほか、クリティカルパスの実施件数増加、セカンドオピニオン窓口設置病院の増加、多様な診療時間設定や待ち時間対策の工夫など、患者のニーズに対し、きめ細やかな対応を進めたところです。
 以上の取組などを踏まえ、評定Aを計上させていただいています。
 12頁、(2)安心・安全な医療の提供、[1]医療倫理の確立です。病院内の相談窓口の個室化を更に進めたほか、建替を行った病院ではプライバシーに配慮した外来ブースの設置や面談室の増設などを行い、患者満足度調査においても、「プライバシーへの配慮」に係る満足度が前年度を上回る高い水準を維持しています。カルテ開示請求については、開示することが治療の妨げになるなどのケースを除き、すべて開示を行っています。
 13頁、すべての病院に設置している倫理審査委員会の審査件数は前年を上回り、活発に活動しています。倫理委員会・治験審査委員会の委員を対象とした研修会を開催し、倫理的な問題について、医療従事者へ助言することのできる体制の基礎となる人材養成に努めました。また審議内容については、本部に設置している臨床研究中央倫理審査委員会や中央治験審査委員会と同様に、各病院のホームページに掲載するなどして公開しています。
 15頁からは医療安全対策です。2.病院間相互チェックですが、これは医療安全対策について病院同士で相互に訪問し合い、チェックすることで、医療安全対策の質を均てん化し、更に向上させようとするものです。23年度は3つの病院において、チェックをする側と受ける側とオブザーバーの役割をそれぞれ経験し、チェックシートやチェック体制、方法などの検証を行いました。相互チェックを通じて、病院間で医療安全に関する情報交換、意見交換が活発に行われ、参加した職員の感想もポジティブなものであったことから、今後は機能や規模の異なる病院同士に対象を広げる予定にしています。
 16頁、院内感染防止については、全病院で院内サーベイランスを実施しているほか、院内感染対策チーム等による院内ラウンドを行っています。また感染管理認定看護師を配置している病院数、人数ともに増加し、院内感染防止体制を強化しています。医療事故の報告等については、日本医療機能評価機構が行う医療事故情報収集事業に積極的に協力するとともに、国立病院機構内においても、「警鐘的事例」についての発生原因や、再発防止策を含めた事故の情報を「医療安全白書」として公表し、我が国の医療安全対策の充実に資する取組を行ったところです。
 17頁、6.長期療養患者が使用する人工呼吸器については、平成19年度から機種の標準化を機構として推進してきましたが、新たな機種の普及や多様な患者ニーズなど、状況の変化を踏まえた見直しが必要となったことから、「長期療養患者が使用する人工呼吸器の標準化に関する専門委員会」にて検討を行いました。その結果、従前のように機種を定めるのではなく、機種選定のための基本7要件を示すことにより、各病院において要件に該当する機種を選定し、各々標準化を推進する方針を定めました。
 18頁、転倒・転落事故防止については、転倒・転落のアセスメントシート改良の研究を行うなど、平成20年度から2年間、プロジェクトを実施していたのですが、終了後もその取組を継続しています。全転倒・転落件数は減少していませんが、その中で3b以上の比較的重症事例の割合は、プロジェクト開始時より減少する結果となっています。
 19頁、医療安全対策に係る委員会の開催や研修も、引き続き実施しているところです。
 20頁、自己評定です。医療倫理については、プライバシーに配慮した取組を進めるとともに、全病院に設置された倫理審査委員会等が、外部に情報公開しながら活動しています。医療安全については病院間相互チェックの普及に向け、3病院での試行と検証を行い、医療安全対策の標準化の取組を進めるとともに、感染管理認定看護師の配置・増員や研修を通じた対策の質の向上、更には我が国の医療安全対策の充実に貢献すべく、積極的な情報発信を行いました。
 以上の取組などを踏まえ、評定Aを計上させていただいています。
 23頁、(3)質の高い医療の提供、[1]クリティカルパスの活用です。クリティカルパスの普及が更に進み、実施件数27万8,474件は20年度に比べ14.3%増加となっています。また地域連携パスについても実施病院数が更に増えたところです。
 24頁、[2]EBMの推進です。エビデンスに基づくさらなる医療の質の向上を目指して、平成18年度から計測を行った臨床評価指標の項目を大幅に見直し、国立病院機構が提供しているさまざまな医療領域からなる臨床評価指標について、プロセスの評価を中心に新たに70項目の指標を作成しました。この臨床評価指標の計測・分析は、22年10月より運用を開始した診療情報データバンクにより、DPCデータ及びレセプトデータを活用し、全病院を対象に行い、その結果を24年3月に公表しました。各病院は目標値の達成に向け改善を検討し、国立病院機構全体の医療の質の底上げや向上につなげています。なお、この臨床評価指標は、国立病院機構以外の医療機関でも同様の指標を作成して、ベンチマークや経年比較を行っていただけるように、計測のマニュアルを作成して公表する予定になっています。EBM推進のための大規模臨床研究については、関連学会等で成果の公表を行うとともに、23年度新たに2課題を採択し、医学的根拠を臨床に反映させる研究を着実に推進しています。
 26頁、[3]長期療養者をはじめとする患者のQOL(生活の質)の向上では、ボランティアを積極的に受け入れて、地域との触れ合いや行事など、イベントの開催に取り組むほか、季節の特別メニューなど食事の楽しみを増やすことで、患者のQOL向上に寄与しています。在宅療養支援では重症心身障害児(者)等の通園事業を実施しているほか、在宅の重症難病患者の入院受入れや相談サービスを提供するなど、難病医療体制の充実に積極的に協力しています。また療養介助職を812名に増員し介護サービスを充実させるとともに、23年度は各病院の療養介助職のリーダーを集めた研修を実施し、知識・技術の向上を図りました。
 27頁、4.老朽化した病棟に関しては、23年度中に71病院の建替設計を進めており、そのうち10病院が23年度中に完成、27病院が工事中、34病院が設計中ということで、耐震化と療養環境の改善に積極的に取り組んだところです。
 29頁、[4]職種間の協働、チーム医療の推進です。21年度より開始したチーム医療推進のための研修は、栄養サポートチーム、がん化学療法、輸血の3分野について、引き続き複数の専門職種が合同で必要な知識と職種間連携業務の習得を図りました。
 30頁、自己評定です。平成23年度は臨床評価指標の大幅な見直しを完成させ、144病院を対象とした計測・分析の結果を公表し、我が国の医療の標準化に貢献しました。クリティカルパスは実施件数が更に増加し、中期計画の目標を大きく上回る達成状況にあります。長期療養患者のQOL向上に関しては、療養介助職の増員と質の確保や老朽化した病棟整備を進めました。チーム医療の研修により職種間の協働を推進しています。以上の取組などを踏まえ、評定Sを計上させていただいています。
 33頁、(4)個別病院に期待される機能の発揮等[1]地域医療への貢献です。地域連携クリティカルパスを実施している病院数ですが、その数が増加するとともに、紹介率、逆紹介率が増加し、23年度は新たに2病院が地域医療支援病院として指定されるなど、地域医療機関との連携が一層進展したところです。医療体制に関する都道府県の委員会への参加病院も大幅に増加し、34頁になりますが、23年度は新たに地域がん診療連携拠点病院や地域災害拠点病院、へき地医療拠点病院など、合わせて6つの病院が地域から指定を受けました。
 同じく34頁、7.東日本大震災の対応では、機構本部と現地に対策本部を設置し、機構本部、ブロック事務所、各病院が組織を挙げて対応しました。被災地に派遣した職員数は延べ約1万人日に上ります。厚生労働省DMAT事務局を担う当機構災害医療センターは、被災直後から全国のDMATを指揮しました。災害急性期の活動に引き続き亜急性期、すなわち避難所の巡回診療や救護所の医療活動を、各病院から交替で医療班を派遣することにより、切れ目なく実施し、その数は5月にかけて計50病院、77班、399人となりました。現地に派遣した機構対策本部と医療班が、医療支援ニーズの情報を収集し、地元の自治体等関係者と情報共有、調整のもとで、いくつかのエリアの担当を任され、地域の医療資源が活動を開始できるようになるまで、日々、変化する医療ニーズを把握しながら必要な支援を継続しました。遠方の機構病院からも多くの医療班を派遣しましたが、その際、ブロック事務所ごとに病院と調整し、後続の医療班に活動内容や課題が引き継がれるようにしたため、病院チームが交替しても一貫した方針の指揮系統が確保され、機構病院ネットワークを活かした支援ができました。このほか、こころのケアチームを平成24年3月まで継続して派遣するとともに、被災病院への看護師派遣、被災地域の患者受入れ、計画停電に際しての在宅難病患者への対応、被災地への物資の支援など、迅速かつ組織的に実施しました。
 36頁ですが、東日本大震災での経験を踏まえ、より効果的、効率的な災害対応体制を確立するため、機構の防災業務計画の見直しや研修の強化、災害備蓄の充実などを行いました。更に福島県においては、福島第一原子力発電所事故で設置された警戒区域内への住民の一時立入りにおける、医療ニーズに対応するため、医療班を平成24年3月までの間に47班、161人派遣しました。
 38頁、救急ですが、救急患者の受入総数は前年度より減少したものの、より重症度の高い救急患者数を表す救急受診後の入院患者数が増加し、20年度比でも10%増加しました。また救急車による受入数は20年度比で12.6%増加しています。この頁の下から4行目、12の(1)に誤植があって恐縮です。「さらに」とあるパラグラフの2行目で、平成24年3月までに消防法に基づく傷病者の搬送の医療機関のリストですが、「25病院」とあるのは「92病院」の間違いですので、お詫びの上訂正させていただきます。
 39頁、ドクターヘリによる診療も活発に実施しています。
 40頁、[2]の政策医療の適切な実施です。重症心身障害医療については全国の病床の約4割を占めており、引き続き在宅療養支援のための通園事業や、NICUの後方支援病床としての機能強化のための調査研究も行いました。
 41頁、心身喪失者等医療観察法に基づく医療の確保については、制度発足時より主導的な役割を担っており、併せて医療観察法関連職種研修会の実施や、新たに医療観察法病棟を立ち上げる病院に対する研修指導など、国立病院機構が中心的な役割を担っています。結核医療については、国立病院機構の病院がほとんどの都道府県で結核の入院医療機関として指定されており、中でも多剤耐性結核など比較的難易度の高い患者の診療を担うことで、地域の結核医療の最終拠点となっています。23年度は国の結核医療政策において、全国2カ所の高度専門医療を担う施設のうちの1つに、近畿中央胸部疾患センターが位置づけられています。
 43頁、重点施策のモデル事業としては、平成22年度より東京医療保健大学と連携し、救急などクリティカル領域における診療看護師、JNPと私どもは呼んでいますが、その育成に取り組んでおり、平成24年3月に卒業した第1期生の活動の場として、厚生労働省の「看護師特定行為・業務試行事業」実施施設の指定を受け、23年度中はその準備を行ったところですが、現時点で9つの機構病院にて13名が活動しています。
 44頁、自己評定です。東日本大震災について、さまざまな支援のニーズに対し組織的な支援活動を実施しました。地域医療支援病院数、地域クリティカルパス件数、紹介率、地域医療の委員会等への参加病院数、地域の各種拠点病院に指定された病院数が、いずれもさらに増加しており、地域医療の中で積極的に求められる役割を果たしています。他の設置主体では必ずしも実施されないおそれのある医療観察法病床の61.9%、筋ジストロフィー専門病床の95.7%、重症心身障害病床の39.6%、結核病床の37.3%を国立病院機構の病院が占めており、引き続きセイフティネットとしての機能を担っています。チーム医療の推進に資する看護師特定行為の業務試行など、国の重要施策の受け皿となる事業に率先して取り組みました。
 以上の取組などを踏まえ、評定Sを計上させていただいています。グループ1の説明は以上です。

○猿田部会長
 ありがとうございました。いまご説明いただいた中で、患者さんの目線に立った医療の提供、安心・安全な医療の提供に関しては、全体的によく見ると、22年度に比べて23年度はかなり頑張りましたが、まだ伸びがあったということですが、機構としてはAの評価をしたということ。質の高い医療の提供に関しては特にクリティカルパスの実施件数が増えたことや、長期療養患者の療養環境の整備・推進といったことでの評価が高い。特に療養介護に対する改善もあって、これに関してはSという評価をしたということ。個別病院に期待される機能の発揮等に関しては地域医療への貢献と、いちばん大きいのは東日本大震災への対応です。特に今、心のケアの問題が現地では非常に重要な問題になっていますから、そういった点への配慮をずいぶんなされたということ。あと、いまお話がありましたように結核、その他に対する対応といった点で、22年度よりも更に努力が実ったとしてS評価になったというのが、いまお話いただいた総括です。それでは10分ぐらいの時間をいただいて、委員の皆様方からご質問がございますか。何でも結構です。

○高瀬委員
 待ち時間の問題ですが、どれぐらい短縮できたとか、特に何か数値的なものはないのですか。

○国立病院機構医療部長
 患者満足度調査の評価の数字を6頁に載せていますが、ご質問は、待ち時間がどのくらいの時間だったかということですか。

○高瀬委員
 はい。だいぶ改善されたとありますけれども。

○国立病院機構医療部長
 待ち時間がどのくらいであったかということを、本部のほうですべての病院に対して取ってはいないのですが、病院単位で例えば会計の待ち時間がどのくらいであるかとか、あるいは診療科ごとに診療までの時間を採ったりということを個別に実施しています。今回、評価として出させていただいているものは患者満足度調査で、5点満点の評価で144病院の平均ポイントを書いていますが、実際に待ち時間を計測した病院は、そのような計測を通じて、会計の時間が長ければブースの数を調節するとか、外来の近くに算定の窓口を複数設けるといった個別の工夫をしている状況です。

○高瀬委員
 もう1点、東日本大震災の対応ですが、中心的なものは23年度前半で大体終わっているということになりますか。

○国立病院機構医療部長
 震災自体が23年3月11日でしたので、昨年のこの部会で23年3月に行った取組と、引き続き、その後の取組もご説明したところですが、今回23年度実績ということで4月以降に実施したことを中心にまとめています。また、災害時の対策のみならず、その経験を踏まえた評価を行い、その後の体制の強化を図ったこと。あるいは復興支援の関係では、住民の方が原発の周囲の警戒区域にお宅があって、一時帰宅で立ち入りするときに具合が悪くなる方がいらっしゃるということで、そこに医療班の派遣を行ったり、医師が減った地域の病院に精神科医の派遣を行ったりしたというのは、23年度の取組として説明させていただいたとおりです。

○猿田部会長
 ほかに、どなたかございませんか。

○富田委員
 臨床指標のところで70項目、しかも全病院をほとんど網羅してデータを出されているということで、私どもがこれをしたいと思っても、その労力があまりにすごくて、どこの病院も音をあげてしまっているのです。どのようにされて、これだけ臨床指標を集められたのでしょうか。ものすごく大きな手間がかかって、大体、どこも病院が音をあげてしまうのです。その手間で勘弁してくれと言われてなかなかできないのですが、どのようにしてされていますか。

○国立病院機構医療部長
 今回の臨床評価指標、大幅な見直しをした1つの柱が、実際に各病院単位で計測に至る労力をなるべく軽減できないかということでもありましたので、全病院からDPCデータやレセプトデータを本部に集め、それを本部の総合研究センターの診療情報データバンクを使って、分母、分子を当てはめて数値を計測することを行いました。各病院の手間としてはDPCデータやレセプトデータを送るだけになり、だいぶそのあたりの改善はされたと思っています。

○富田委員
 わかりました。ありがとうございます。

○猿田部会長
 ほかに、ございませんか。

○田極部会長代理
 13頁の倫理審査委員会等のところの実績について、質問させていただきたいと思います。これを拝見すると、倫理委員会の開催回数は22年度に比べて若干減って、審査件数は増えているということですが、これは1回当たりの審査件数が増えているという理解で、よろしいですか。もう1点、受講者数も61名から47名に減少しているのですが、これは対象者が減ってきて、慣れている方が審査委員になっているので受講者数も減っているという解釈で、よろしいでしょうか。

○国立病院機構総合研究センター臨床研究統括部長
 臨床研究統括部のほうから回答させていただきます。倫理審査委員会の回数についてですが、国立病院機構全体の中央治験審査委員会というものを設けていて、一括で、40施設分の審査を1回で行う取組をしていますので、個別の審査回数としては減っていると認識しています。倫理審査委員会の委員の方の研修につきましては、いちばん最初のときは120数名とかたくさんいらっしゃいましたが、継続してやっていますし、新しく委員になった方を優先してお出でいただいていますので、人数的にはこういった形になっていると認識しています。

○田極部会長代理
 わかりました。ありがとうございます。

○猿田部会長
 ほかに、どなたかございませんか。

○田極部会長代理
 医療安全白書ですが、機構のホームページで公開しているということですけれども、これは冊子として何かまとめたりということはあるのでしょうか。

○国立病院機構医療部長
 以前は冊子にしていたこともあったのですが、最近はホームページのみで提供させていただいています。

○田極部会長代理
 わかりました。

○猿田部会長
 私のほうから1つだけ、診療看護師の制度を取って着実に力を入れていますね。これは国立病院機構独自のものですか。

○国立病院機構医療部長
 これは厚生労働省において、いわゆる特定行為を実施する看護師を養成するモデル事業と、その養成を終えた方が実際に業務をされる際の業務試行事業と、2つのモデル事業があります。それに参加するという形です。ただ、機構の独自性としては、救命救急、ICUなどのクリティカル領域に特に重点を置いており、その領域の特定行為を行う看護師の育成なり業務というのは、全国的にも機構が先進的に取り組んでいる内容でございます。機構としても診療看護師(JNP)という名前を付け、養成は東京医療保健大学と連携していますが、機構病院が実習施設となってプログラム、カリキュラム、養成の方法など、大いに協力しながら実施している状況です。

○猿田部会長
 いま、まだ14名ということですね。

○国立病院機構医療部長
 はい。2年間の大学院の教育を卒業して機構病院に就職した人が14名です。もともと機構病院に勤務していて、自分の病院に戻った人がほとんどですが、14名です。

○猿田部会長
 ありがとうございました。

○富田委員
 いまのJNPのことを伺います。私たちの所でもよく議論になるのですが、その資格を持ったナースの待遇で優遇する仕組みは作られているのでしょうか。給与の面とか、そういう意味ですけれども。

○国立病院機構医療部長
 2年間の課程を終えてモデル事業で業務を始めた方については、それに対する手当を新設しています。

○富田委員
 わかりました。

○猿田部会長
 大体、よろしいですか。ありがとうございました。それでは予定された時間があと5分ぐらいということで、評価シートへの記入をお願いするのですが、実際にとても大変だと思いますので持ち帰ってもいいわけですね。何日前まででしたか。

○政策評価官室長補佐
 大体、1週間ぐらいを考えています。

○猿田部会長
 ですから、お時間があればお書きいただいて、もし、ちゃんともう少し細かいところまで見て評価を書こうと思うと時間がかかると思いますので、大変ですけれども持ち帰っていただき、いまのお話では1週間ぐらいで戻していただければということです。5分ぐらいの時間でやっていただければと思います。25分から次に入りたいと思います。
(評価シートへの記入)

○猿田部会長
 時間がまいりましたので、次のグループ2の項目5から7の臨床研究事業、教育研修事業、総合的事項についての評価を行いたいと思います。所要時間は法人からの説明が15分、委員の皆様方のご質問が15分、合計30分ということでよろしくお願いします。

○国立病院機構医療部長
 グループ2、47頁から89頁までの業務実績についてご説明申し上げます。47頁は臨床研究事業です。国立病院機構の全国的なネットワークと豊富な症例数を活かして、大規模臨床研究を推進しました。平成19年度までに選定した18課題はすべて患者登録を終了し、得られた成果を国内外の学会誌等で発表するとともに、平成20年度、平成21年度、平成22年度の課題については患者登録が進捗しています。平成23年度は新たに2課題を選定しました。
 49頁は、高病原性鳥インフルエンザワクチンに関する研究を行い、国のワクチンの備蓄方針決定に不可欠な情報収集を実施しました。また、49頁の3ですが、理化学研究所が保有する高度先端医療技術を国立病院機構において臨床応用をするために、新たに国立病院機構と理化学研究所との連携協力の推進に関する基本協定を締結して、先端医科学、医療分野に関する包括的な連携関係を構築し、肺がんのNKT細胞治療を第1弾のテーマとして共同研究に向けた準備を進めました。
 51頁、ネットワークを活かした研究体制については、研究分野ごとに各病院の実績を点数化し、高い実績を有する病院を主たるメンバーとする研究ネットワークグループを形成してきたところです。平成23年度においては、3か年の活動評価に基づき、臨床研究組織を再構築しました。国立病院機構全体の研究活動実績のポイント数は臨床研究の活動度を表しますが、前年度よりさらに増加し、また英文原著論文数など、情報発信の件数やインパクトファクターも前年をさらに上回りました。
 52頁、EBM推進のための診療情報分析です。総合研究センターの診療情報分析部において、レセプトデータ、DPCデータなど、診療情報の収集・分析を行うシステムを「診療情報データバンク」と呼んでおりますが、このシステムにより収集した各病院のデータを活用し、先ほど説明した臨床評価指標を作成、測定、公表しました。また、各病院の診療機能分析を平成22年度のDPC対象病院から、平成23年度は全病院対象に拡大して、144の病院特性の評価とそれぞれの地域における役割や機能などをSWOT分析などにより可視化したほか、抗菌薬や血液製剤の適正使用など、診療プロセス分析を行いました。
 地域医療における位置付けについては、新たに地図情報を用いた分析を導入し、また急性期や亜急性期、セイフティネット分野を含む領域別の患者や診療内容についても多角的な視点で分析を行いました。これらの結果は、診療情報分析レポートとしてまとめ、全病院にフィードバックしています。
 53頁、治験の推進です。国が策定した「新たな治験活性化5か年計画」に中核施設、拠点施設、推進協議会の会長施設として関与し、中央治験審査委員会の設置、開催、治験の人材確保、人材育成に先導的な役割を果たしました。同5か年計画の課題に関し、「治験等の効率化に関する報告書」をまとめ、治験コスト適正化のための治験管理システムの再構築や業務効率化のためのワンストップサービスなど、治験効率化の具体策を迅速に導入しました。
 54頁、常勤の治験コーディネーター配置病院数と配置人数がさらに増加しました。また、治験に関連する研修会を延べ500人以上に実施し、その内容には国際共同治験に必要な知識・能力の習得も含んでいます。
 55頁、治験に関するパンフレットを改定することなどにより、広く治験の普及・啓発も進めています。6の治験実績ですが、平成23年度の治験実績は症例数が前年度より増加し、平成20年度比10%増となりました。また、我が国の新薬開発等への貢献に関しては、平成21年度から平成23年度までに新薬として承認又は適応追加の承認がされた医薬品352品目のうち176品目、割合にして50%について国立病院機構の病院が承認申請の前提となる治験を実施していました。
 56頁、医師自らが主導する治験については、平成22年度に開始したパーキンソン病に合併する精神症状に対する治験薬の多施設共同試験で順調に症例登録を行い、投与を開始して追跡調査を行っています。また、糖尿病性腎症進展阻止のための抗血小板薬についても治験届を提出し、医師主導治験の体制を整えました。
 57頁、高度・先進医療技術の臨床導入の推進、職務発明の権利化の推進についても積極的に取り組んだところです。
 58頁、研究倫理の確立については、各病院の臨床研究委員会及び治験審査委員会、本部の臨床研究中央倫理審査委員会、中央治験審査委員会が活発に活動し、外部への情報発信に努めました。
 59頁、自己評定です。新たに理化学研究所と協定を締結し、高度先端的な医療技術の臨床応用を促進する臨床研究体制を整えました。新型インフルエンザワクチンの研究で、国のワクチン政策決定に必要なエビデンスを提供したほか、質の高い治験を効率的に実施する取組を進めつつ、医師主導の治験を進捗させています。承認された新薬等の約半数は国立病院機構で治験を実施していました。また、全144病院を対象とした診療情報の分析を進め成果を公表しております。以上の取組などを踏まえ、評定Sを計上させていただいています。
 続いて64頁の3の教育研修事業です。質の高い医師の育成について、平成23年度は初期臨床研修医を627名受け入れるとともに、機構独自の後期臨床研修制度である専修医の制度において、26コース、28プログラムを設定し、充実を図りました。平成23年度は専修医3年コース71名、専修医5年コース22名の修了認定を行いました。
 また、研修医、専修医を対象として、平成22年度より開始した良質な医師を育てる研修について内容、回数ともに充実を図り、一般急性期医療のみならず、神経難病など、セイフティネット分野についても機構病院の多くの指導医が最新の講議や実習、グループワークに参加して指導し、知識技術の習得に加え、医師としてあるべき姿をも学ぶ機会を設け、全人的な医療を推進できる医師の育成に努めました。
 65頁、平成23年度より新たに病院におけるリーダー育成を目標として、少人数のグループワークを中心とした共同宿泊研修により、職種を越えたリーダーシップ、コミュニケーション能力を重点的に学ぶ研修を開始しました。また、平成23年度より新たに地域医療再生計画等に基づき、自治体や大学との連携により、地域医療に必要とされる人材育成を推進しています。
 66頁、専修医留学制度では、平成23年度に7名が米国VAホスピタルにて短期研修を行いました。さらに平成22年度から新たに留学受入先から臨床教授を招聘しております。平成23年度は9病院において臨床講議や教育回診などを通じて米国流のEBMに基づく診断法、治療決定のプロセスを招聘の教授から直接学ぶ機会を設けました。精神科領域では、TV会議システムを活用した多施設共同研修を行っており、平成23年度は8病院が参加して、従来の教育研修を行ったほか、特に東日本大震災の被災地でのこころのケアチームの活動内容の充実に当たっても情報共有や相互研鑽に活用しました。初期臨床研修においては、急性期系の病院のみならず、結核、精神、障害者医療など、セイフティネット分野の研修も機構のネットワークを活用して、連携プログラムとして組み込んでおり、幅広い能力を有する医師の育成に努めました。
 頁が飛びますが、70頁をご参照ください。医師キャリア支援のための研修指導責任者部会では93名の専修医修了者を認定しました。また、研修医、専修医に対しては情報誌『NHO NEW WAVE』やWebサイトを通じてキャリア支援の情報を発信しました。
 戻りまして、67頁、看護師等の育成に移ります。質の高い看護師等の育成では、附属看護師養成所の教員の質の向上を図るため、研究活動を奨励することを目的とした研究費の助成を開始し、学会への参加回数等が大幅に増加しています。また、平成22年4月に開設した東京医療保健大学との連携による新構想看護学部、大学院。このうち、大学院では全国に先がけてクリティカル領域の診療看護師養成を行っております。機構の医師が臨床教授として指導したほか、平成23年度は特に機構の複数の病院で実習を受け入れました。平成24年3月に第一期生が課程を修了し、所属病院で活躍しております。
 69頁、附属看護学校については、第三者評価を参考にカリキュラムの充実を図っており、8にあるように、看護師国家試験合格率は98.9%と全国平均を上回る高い実績を上げました。
 72頁、看護師のキャリアパスについては、専任の教育担当看護師長配置病院が前年度より8病院増えて92病院となったほか、専門看護師、認定看護師の配置病院数も増加し、配置数は93名増の493名になりました。73頁では、看護師を対象としたさまざまな研修を紹介しています。
 75頁、多様な医療関係職種を対象とした研修では、平成21年度から新たにチーム医療推進のための研修を開始し、職種ごとではなく、職種横断的に専門知識や技術の習得を行っています。平成23年度は栄養サポートチーム、がん化学療法研修、輸血研修、それぞれ参加人数を75頁に書いております。チーム医療の要となる人材育成を行いました。また、質の高い治験を推進するCRCの研修では、初級CRCについて、国立病院機構以外の病院からも参加を受け入れ、我が国の治験活性化に貢献しています。
 77頁、地域医療に貢献する研修事業では、地域の医療従事者を対象とした研究会や一般向け講習会を地域のニーズを踏まえて活発に開催した結果、中期計画の目標15%を上回る23.6%の増加となりました。
 78頁、自己評定です。良質な医師の育成については、機構の指導医ネットワークを活用したテーマ別の実地研修をさらに充実させ、実施するとともに、新たにリーダー育成研修を開始しました。各自治体や大学との連携による寄附講座の設置などにより、地域に必要とされる人材の育成を進めています。治験推進の核となる人材養成や東京医療保健大学と連携した看護学部、大学院の開設により、特に大学院では全国に先がけて、クリティカル領域の診療看護師の養成に取り組みました。地域の医療従事者を対象とした研究会等も開催件数が大幅に増加しました。以上の取組などを踏まえ、評定Sを計上させていただいています。
 続いて82頁の4の総合的事項です。本部においては、個別病院ごとの政策医療にかかる機能、地域医療事情、経営状況について総合的検証を実施し、その結果は平成23年3月に開催された第36回独立行政法人評価委員会国立病院部会で既にご説明させていただいたとおりですが、その内容を公表しております。労災病院との関係については、厚生労働省において、平成23年度に国立病院・労災病院の在り方検討会が設置され、報告書がまとめられたところですが、本部及び病院レベルで、それぞれ連携を進めています。
 83頁、エイズについての取組では全国8ブロック中、4つのブロックでブロック拠点病院に国立病院機構の病院が指定され、全科対応による診療と臨床研究HIVにかかわる医療従事者の育成を実施しています。平成23年度は、九州医療センターにHIVに関する包括的治療、チーム医療を目的とした専門外来「コンバインドクリニックセンター」を開設し、包括的医療を行う体制を強化しました。また、各都道府県のエイズ中核病院や拠点病院の医療従事者を対象とした研修や会議をブロック拠点病院が積極的に実施し、エイズ医療の普及・向上や病院間の連携・推進を図ったところです。
 85頁、平成23年度は総合研究センターが設置されて2年目となり、初年度に構築した診療情報データバンクというシステムを用いて、機構全病院のDPCデータ、レセプトデータを収集、解析し、その成果は先に述べました臨床評価指標やもう1つのアウトプットである診療情報分析レポートとして、病院に周知し、各病院におけるPDCAサイクルに基づいた改善を促進しました。特に臨床評価指標では、その指標と計測マニュアルをともに公表し、広く情報発信を行い、我が国の医療の質の向上と均てん化に努めました。
 87頁は自己評定です。各病院ごとの総合的な検証を実施し、その結果を公表しました。エイズについては、ブロック拠点病院を中心に、エイズ医療の充実に努めました。総合研究センターにおいて収集した診療情報をもとに臨床評価指標作成と計測値の公表などの情報発信、さらに診療情報分析レポートの作成の成果を上げました。以上の取組などを踏まえ、評定Aを計上させていただいております。グループ2の説明は以上です。

○猿田部会長
 どうもありがとうございました。いま、臨床研究事業、教育研究事業、総合的事項についてのご説明をいただきましたが、どなたかからご質問ありますか。
 いま、国立病院機構としての伝統的な学会をやっていますね。これは、いま見ていて、かなり昔からずっとやっているけれども、学会として全体としての効果が上がっているのですか。ほかのいろいろな領域でたくさん学会が出てきましたでしょう。それでどうかと思います。

○国立病院機構総合研究センター臨床研究統括部長
 私ども医師のための学会というよりは、国立病院機構全体、特にコメディカルの人たちを含めた学会で、約6,000人を超える人たちが2日にわたって、自分たちが持っている問題点を共有するという意味では、国立病院機構全体をまとめるのに大変意味があると思っておりますし、もう1つはセイフティネット系の課題については、医学会の中では議論されないものが多くありますので、そういうものを中心テーマとして取扱っております。また、同時にチーム医療の側面も強く出しておりますので、国立病院機構がリードしていく意味のある学会だと思っております。併せて、国立医療学会という学会を運営しているだけではなく、月刊で「医療」という雑誌を発行しています。その中に、そういったテーマも含めて、情報共有ができるということが私ども国立病院機構の強みではないかと思っているところです。

○猿田部会長
 ありがとうございました。

○富田委員
 教えていただきたいのですが、78頁にある各自治体及び大学との連携による寄附講座の設置というところがあるのですが、どういう仕組みでやっていらっしゃるのか教えていただけますか。寄附講座を病院が依頼するのですか、それとも自治体が依頼して病院が協力するのか。それがわからないです。

○国立病院機構医療部長
 自治体が大学に対して、地域医療学に関する寄附講座を設定するための支援を行っておりまして、自治体と大学と私ども機構病院が連携することによって、大学のほうで機構病院をフィールドとして選んでくださいまして、機構病院の中に大学の教育研修センター的な機能を置くという形で、例えば総合内科とか総合外科とか、その地域で求められているような人材の教育研修を診療を行いながら実施するという仕組みを、三者の協力で行っています。

○富田委員
 わかりました。ありがとうございました。

○田極部会長代理
 診療情報分析部の研究というところでお尋ねしたいのですが、こちらの分析の内容としては、例えば診療科別に収支がどうなっているとか、そういった分析などはされているのでしょうか。機能分析ということなので、どこまで入っているのかよくわからなかったので教えていただきたいのですが。

○国立病院機構医療部長
 現時点では、収支に直接関連付けた分析はしていないところです。今後の研究分野としてあり得るところですが、まずは、その地域でどのような疾患で、どのようなシェアを占めているか、あるいは同じ地域にあるほかの病院でDPCの病院であればほかの病院の状況もわかりますので、比較することによって、自院がどういう役割を求められていて、どの分野の診療を強化すべきかなど、医療機能に着目したベンチマーキングができるような、そういう研究を最初に成果としてあげているところです。

○猿田部会長
 ほかにありますか。

○田極部会長代理
 看護師の研修がいろいろあるかと思うのですが、本部での研修とブロック別の研修というのは何か分け方があるのでしょうか。

○国立病院機構医療部長
 本部で行ってからある程度軌道に乗ったものをブロックで恒常的に実施する場合などがあります。

○田極部会長代理
 まず本部で試行的に研修をやってみて、ブロックに展開していくというやり方なのでしょうか。

○猿田部会長
 1つ私のほうからよろしいですか。先ほど理化学研究所から研究、特に臨床研究を持ってくるというのは非常にいいことだと思います。非常に大切なことだと思うのですが、実際にいままでの研究を見ていますと、例えば桐野先生がいらっしゃった国立国際医療研究センターのインフルエンザの研究、あるいはエイズ等の研究、そういったものとの連携とか、国立精神神経医療研究センター、樋口先生のところの、そういったものとの連携は先生方のところは、これからまた変わってくるとどうなっているのですか。

○国立病院機構医療部長
 エイズについては国立国際医療研究センターのACC(エイズ治療・研究開発センター)と研修を共同で行ったりしています。精神神経医療研究センターとも研究を通じての協力体制があります。

○猿田部会長
 見ていますと、国立病院機構の治験の機構は非常に患者さんも多いし、ものすごく進んでいますよね。そういったことで、最先端の研究、例えば国立がん研究センターの研究とか、そういったものを持ち込んで一緒にやれば、もっともっと早く進んでいくと思うのですね。やはり、そういった連携はこれからまたやっていくことも大切ではないかなと感じるものですから。

○国立病院機構総合研究センター臨床研究統括部長
 先ほどの国立病院総合医学会は、NC(ナショナルセンター)の方々と私どもが共同で行っております。雑誌の編集委員はNCの方々が半分、私どもが半分ぐらいの構成ですので、そういった学術面に関しては、常につながりを持っております。治験とか臨床研究についても共同の会議を持っておりますので、相互に連携をとっておりますし、人材の交流もあります。そういう点では従前どおりの交流があり、今後も協力関係でつながっていくと認識しております。

○猿田部会長
 いままで見ていますと、どうしても患者さんのリクルートがうまくいかないとか、いろいろなことで、そういったナショナルセンターがどうも進んでいかないわけです。そうなれば、こことの連携をとっていけばいい。私から言わせれば、労災との共同よりもはるかにそのほうが大切だと。実際、労災との問題をどう考えるかなのです。全然違うシステムです。経営も違うシステムです。それで委員会を何度も開いて、またまた委員会を開いているでしょう。私が言うべきことではないかもしれませんけれども、そういうことを感じるものですから、国のためを考えてどういうふうにやっていくのがいちばんいいかということです。

○国立病院機構総合研究センター臨床研究統括部長
 ありがとうございました。労災病院のほうは、この場で言うことではないかもしれませんが、治験などの領域では私どものほうがずいぶんお兄さんとして進んでおりますので、労災病院には情報提供し、今後私どもと同じような組織作りを労災病院がしていただくようなアドバイスをさせていただいているところだと思っております。然るに、NCに関しては、私どもよりも研究とか、体制とかという点ではすばらしいものを持っておりますので、逆に私どもが教えをいただきながら、私どもの体制などを活かしつつ研究などを進めていくことだと思っております。

○猿田部会長
 各機構の特徴を活かして、いかに進めていくかが大切であり、見ていると少しバラバラな感じがします。例えば、労災機構の評価を私どもがやっていますよね。労災機構の評価をやってみると、この評価とだいぶ違うわけです。そういったことで、どうやっていったらいちばん伸びるだろうかと思うわけで、そういうことが大切で、検討していただければと思います。

○国立病院機構総合研究センター臨床研究統括部長
 ありがとうございました。

○猿田部会長
 すみません。それでは、時間をいただいて評価に入らせていただきます。
(評価シートへの記入)

○猿田部会長
 よろしければ、次に移らせていただきます。次は第3グループの項目8で、効率的な業務運営体制についての評価です。ここは法人からの説明が10分、先生方の評定に関する質疑が10分、合計20分になります。
 それでは、法人からご説明をお願いします。

○国立病院機構企画経営部長
 第3グループについて、ご説明をいたします。90頁で本部・ブロック機能の強化については、平成23年度も5部1室13課1センター体制で、医療機器の共同入札、治験の推進、診療情報の分析等を行うことで、機構が全国規模で行うべき病院支援業務を行っております。特に平成24年度の診療報酬改定については、情報提供、改定説明会の実施なども行っております。
 また、東日本大震災における本部・ブロック事務所による支援業務も平成22年度末に引き続き、平成23年度も行っております。具体的には、震災発生時にNHOの災害対策本部を設置しておりますが、引き続き宮城、岩手における現地対策本部を継続し、職員を継続的に派遣して、被災地の医療ニーズの直接の把握、あるいは地元自治体との連絡調整、医療班の派遣調整などを行って、病院機能は維持しながら、医療班が迅速に活動できる体制を図ったところです。
 緊急物資の輸送についても、各ブロック事務所が病院と連携して、災害拠点病院などが備蓄していた医薬品、医療材料、食料などを調達して、被災病院に物資支援を行っております。その他、被災病院からの患者の受入れの調整、あるいは自治体からの看護師派遣等の要請の調整について、ブロック事務所が主体となって実施したところです。
 91頁、個別病院毎の経営改善計画、再生プランの実施及び支援の状況については、平成22年度が再生プランの最終年度でしたので、平成23年度は総括として、改善目標を達成できなかった9病院、また、改善目標を達成して模範となる5病院を本部に招集して、それぞれ3年間の経営改善に関する取組や成果について、理事長をはじめとした役職員と、病院長だけでなく事務部長なども含めて、意見交換を実施しております。
 また、運営費相当の収益を確保できず、借入金に依存せざるを得ない病院に対する重点的な取組については、地域との連携強化、あるいは診療組織体制の見直しなどで、病院改革に取組み、早期に経営の再建・改善を図ることを目的とした、「機構病院リスタートプラン」の枠組を作ることとしました。
 92頁、効率的な管理組織体制については、6ブロックによる効率的な管理業務を継続しています。2.国家公務員の再就職については、平成23年度において、国家公務員の再就職者はおりません。嘱託ポスト、非人件費ポストも設置しておりません。
 93、94頁で内部統制の充実については、93頁の2.内部監査については、支出原因契約に関する事項、あるいは収入管理に関する事項を重点項目として、書面監査については全病院で実施しております。次頁で、実地監査については49病院3ブロック事務所で実施しており、記載にある指摘をしたところです。また、内部監査計画で実地監査を計画した病院に限らず、不適正な事案がある病院については臨時の内部監査を実施しております。
 94頁、コンプライアンスの徹底については、新人採用職員の研修、あるいは各病院のホームページ、院内の掲示等で取引き業者等への周知も行ったところです。また、平成22年度から各病院が自主点検できるように自主点検チェックシートを活用していただいておりますが、平成23年度は活用状況を把握して、未実施の病院に対しては適切な自主点検を促したところです。
 95頁、弾力的な組織の構築については、機能に応じて、特命事項を担う副院長を平成22年度までの5病院に加えて、平成23年度は新たに函館病院など、3病院で設置しております。病院経営や看護師確保の特命事項に取組んでいるところです。
 96頁で地域連携部門の体制強化については、平成22年度までに131病院で専任職員384名を配置しておりましたが、平成23年度は専任職員37名を増員して、414名を配置しております。紹介率、逆紹介率の向上について、ここに掲げております。また、医療安全管理部門については、平成23年度までに、すべての病院で専任職員を配置しております。これで中期計画は達成しております。看護部門については、病棟部門は必要な職員をすべて常勤職員で配置し、外来は受付時間、外来診療時間帯に合わせて、非常勤職員を配置するなど、効率的、効果的な看護師配置を進めております。
 また、キャリアパス制度の充実のために、専任の教育担当師長、認定看護師、専門看護師を配置して体制整備を進めているところで、各年度における配置状況については、評価シートに記載しております。
 97頁で事務部門の改革については、医事専門職の複数配置を実施した病院は、平成22年度の30病院から、平成23年度は33病院に増やしております。また、DPC対象病院等への診療情報管理士の配置についても、平成22年度の98名から平成23年度の112名など、重点的な配置を進めております。また、大半は再配置によって実現するということで、事務部門全体としては、平成22年度と同数を維持して効率的な配置を行ったところです。
 98頁で人材育成・教育研修機能の強化については、キャリアパス制度の充実は再掲です。次の教育研修部、教育研修室の設置は、平成23年度に教育研修部2病院、教育研修室1病院を新たに設置して、累計で教育研修部29病院、教育研修室11病院となったところです。
 99頁で組織のスリム化・適性化については、院内組織の効率化、弾力的な構築は再掲です。また、職員の給与水準、諸手当は、次の評価項目で詳述しておりますが、給与水準は国の給与制度を踏まえて、通則法に従って適切に対応しております。諸手当についても、一部、国と異なる部分は医師確保、あるいは国の補助制度を受けた措置ということで、専門化・高度化した病院を運営するための特殊性に配慮したものとしております。
 100頁で職員配置については、業務量の変化に対応して柔軟に配置をするということで、病棟部門、外来部門の看護師配置と併せて、育児短時間勤務を平成19年に導入しておりますが、平成23年度は317名が育児短時間勤務を取得しております。また、技能職常勤職員の離職後の不補充は国時代から引続き実施しておりますが、平成23年度は142名の削減計画に対して、これを上回る199名の純減となっています。その他、検査部門のブランチラボ、給食業務の委託などで、アウトソーシングを必要に応じて進めております。
 102頁で職員の業績評価等の適切な実施については、院長ほか年俸制職員の平成23年度年俸への反映と併せて、年俸制以外の管理職、一般職員についても継続して6月及び12月の賞与に反映しております。平成23年6月の賞与から全職員に個人の評価結果を知らせて、業務遂行能力や業務実積の向上を図っております。すべての常勤職員への業績評価制度が整ったことに伴い、平成22年1月の昇給から業績評価の結果を昇給に反映させております。
 また、職員アンケートの結果を踏まえた運用改善策として、各病院の運用状況を確認し、参考となる取組事例を全病院に周知しておりますが、こうした活動も引続き行っております。
 103頁で監事監査、外部監査等の充実については、本評価委員会による評価結果を各病院に周知・徹底し、病院運営に反映させるための意識付けを行っております。2つ目の会計監査人による病院監査の実施についても、現地監査を本部及びブロック事務所、並びに全病院を対象に平成23年度も実施をして業務改善を図っております。その際、ITの利用に関する統制状況の評価も会計監査人によって行われ、監査結果に基づいて、アクセス権の管理状況など必要な改善策を講じております。また、会計制度に関する説明会の開催、あるいは会計監査人からの指摘に対する対応についても引続き取組んでおります。
 104頁で監事機能との連携の強化については、平成23年度は内部監査で10病院の抜き打ち監査を計画して、契約に関する監査に加え、抜打手法が、もっとも有効と思われる現金等の取扱いに関する監査についても実施しており、記載に挙げた指摘をしております。
 105頁で外部評価の活用については、日本医療機能評価機構による病院評価、受審病院数が、平成23年度は合計51病院となっており、この内、24病院は最新の評価体系で更新、認定されています。また、NPO法人卒後臨床研修評価機構においても、4病院が評価、認定されています。
 106頁で再編成業務等の実施については、善通寺病院と香川小児病院の統合時期の前倒しを平成23年4月に公表し、同月末より建設工事に着工して、平成23年11月には開設移転準備室を本部に設置し、運営方針などの具体的な検討を進めているところです。
 107頁で自己評定ですが、各評価項目に対する23年度での業務実績については、いまご説明させていただいたとおりです。数値目標のある地域連携室、医療安全への専任職員の配置などを前倒しで進めているところです。また、全病院を対象とした会計監査の実施、日本医療機能評価機構の受審の推進など、着実に進めております。また、効率的な業務運営体制を構築して、東日本大震災への本部・ブロック事務所の対応なども効果的に行えたと思っており、A評価で自己評定をしております。
 以上、よろしくお願いいたします。

○猿田部会長
 いま、ご説明いただきましたように「効率的な業務運営体制についての評価」は、総括的に見るとAではないだろうかということですが、時間の関係もありますので、早速、ご質問等をお願いします。

○田極部会長代理
 「外部評価の活用」のところで、日本医療機能評価機構による病院機能評価の認定病院数ですが、目標では73病院以上にするという目標が設定されておりますけれども、いまの段階で平成23年度に1病院が増えて、51病院になったということですが、こちらについては、中期計画の期間中に目標が達成できる目処というのは、どのような感じでしょうか。

○国立病院機構企画経営部長
 これについては、各病院の自主的な判断で受審をされておりますので、私たちも機会があれば受審を促すということをしておりますけれども、ちょっと、いまの段階で具体的に達成が見込まれるかどうかは、難しい状況だと思っております。
 ただ、この受審については病棟の建替や施設の整備と併せて、施設整備後に受審をする病院も、受審項目の内容から言ってありますので、そうした建替も併せて進めておりますので、建替が進捗すると受審の状況も変わってくるのではないかと思っております。

○猿田部会長
 実際、その評価を受けて、かなり効果があると思っていますか。

○国立病院機構企画経営部長
 これは、外部に対する評価だけではなく、病院内部の職員の意識がかなり大きく変わってくるということで、いろいろな項目について、病院事業の再点検をする機会になり、また、各職員がそれぞれの業務の目標や意義を再確認する機会ということでは、大きな意義があると思っております。

○猿田部会長
 ほかに、ございますか。

○和田委員
 いまのお話もそうですが、94頁に「コンプライアンスの徹底」がありまして、これも法令遵守状況に関する自主点検の実施状況調査を行い、その結果、104病院が自主点検を実施し、実施率73%、未実施の病院については実施病院の例を示すなど、適切な自主点検の実施を促したとありますが、国立病院機構として144の病院に対し、各自の自主性を重んじる考え方と、これは皆やってくださいというのと、その辺はどのように考えられているのか。
 例えば、最初から評価を気にしていて、144もあるとですね、いろいろ良いことをする病院もあるだろうし、あまり頑張らない病院もあるのではないかと思うのです。この実積報告書を拝見したところ、実積評価シートには良いところだけが書かれているように思いますが、この実積評価書に対する資料はどれを見たらわかりますかね、私ども外部の国民目線で評価をするときの見方なのですが。

○国立病院機構企画経営部長
 いくつかありますけれども、病院機能評価については、中期計画では73病院の受審が目標になっており、全病院に徹底するというものではなく、その病院の特性に応じて、そうしたものを受けるべき対象の病院が、どの程度かということから決まってくる内容ですので、全病院に徹底すべきものではないと思っています。
 ただ、コンプライアンスは73%で、全部ではないということですけれども、基本的に全病院において徹底すべきものであると思っております。ただし、これをどのような形で徹底するか、ちょっと前回も申し上げましたけども、コンプライアンスのチェックシートはどう効率的に活用するかということで、全部一遍に実施するのか、チェックシートを分割してやるのか、あるいはどこかに重点化してやるのかというのは、ある程度、病院の自主性に任せておりますが、こうしたコンプライアンスのチェックを常に実施するという活動を行うことについては、全病院で実施すべきだと思っております。この73は年度途中で調査したものですので、最終的にどのような活動が出たかは、今年、また改めて確認したいと思っておりますけれども、各病院が何らかの形で徹底すべきものだと思っております。
 これは、我々の評価項目において、すべての病院が実施すべきものか、個別病院の事情に応じてどの程度取組むかは、項目ごとにバラバラの部分があると思いますので、そうしたものは内容に応じて、ご判断いただきたいと思っておりますし、私たちもそのような説明をしていきたいと思っております。

○海辺委員
 91頁の機構病院リスタートプランのところで、3の改善目標が達成できない9病院と、模範となる5病院とかの具体的な内容が全くわからないのですが、参考の348頁も見させていただきましたが、よくわからなかったのです。
 結局、なぜそこが目標を達成できないのかという場合、そこの病院の立地条件というか地域であるとか、行っている診療の内容で、それが目標を達成できないことが、必ずしも、そこの病院の努力が不足しているからなのかどうかということを、こちらも見れないと評価のしようがないのではないかなと思うんです。そういうのをどこで、どうやって見たらいいのかなと、ちょっと思ったものですから、いま質問させていただきました。

○国立病院機構企画経営部長
 これは評価委員会の中で、どこまでどういう内容を評価するかにかかってくるかと思いますけれども、個々の病院が赤字であるか、赤字ではないかという論点もありますが、機構全体として、どのような取組をどういう病院に対して実施しているかを大きく見ていくことが、この評価の基本的な考え方ではないかと思っております。
 個々の病院の事情について、ある程度の把握が必要だということに関しては「個別病院ごとの検証」という資料で細かく見ていただくと。ただ、機構全体としては、そうした経営改善に対して、どのような活動をしているかという視点で見ていただければと思っております。
 ちなみに、どのような内容をこの会議で実施したかですけれども、いま、おっしゃられたように、個別病院にとっては収益確保のために最善の活動をしたということですが、ほかの病院から見たら、必ずしも、改善努力が十分でないところとか、やり方がもうちょっと違っていたところ、例えば、紹介率を上げるために、どのように地元の病院と具体的に接触していくのか、医師を確保するために大学とどのような関係を作っていくのか、そうしたことを具体的に成功した病院の事例や院長との話の中で、ノウハウを伝えていくということを行ってきました。

○猿田部会長
 実際に言うと、それは非常に大切なポイントなんですよ。これだけ144もありますと、なかなか行ってられないのですね、以前は私ども現地まで行って、問題のある病院を見てきたこともあります。でも、やっぱり書面上とはかなり違うのですね。書面に出てくるものと、実際に行って建物がどうで、どういうような管理体制をやっていて、どういう仕事をやっているかを見てきますね、かなり違うところがあって現場をみることは大切です。しかし、時間がないですね。
 いま、本当に重要な点をご指摘いただいているんですが、実際に書面上では、なかなか全体を知ることは難しいので、全体的に、この機構がどのように各病院に対して、連携を取りながらやっているかということだと思うのです。いずれは、この評価のやり方に関して、評価のためには、問題点のある病院に行くことも必要ではないかと思います。ちょっとコメントをさせていただきました。
 それでは、時間がきましたので、いまのそのような状況で申し訳ありませんが、一応、評価をしていただくということで、3、4分お願いいたします。
(評価シートへの記入)

○猿田部会長
 次に進みます。次は4グループということで、項目が9から11です。業務運営の見直しや効率化による収支改善についての評価ということで、法人から20分、それから先生方の質疑が20分です。法人から説明をお願いします。

○国立病院機構企画経営部長
 111頁から、業務運営の見直しや効率化による収支改善です。まず、収支相償を目指した収支改善の推進についてです。職員の適正配置を行うことなどにより、診療報酬上の上位基準の取得を図ることと併せて、材料費、人件費及び委託費等に係るコスト削減に努めております。
 次のグループのときに単独の評価項目になっていますが、平成23年度の経常収支の状況です。全国的な傾向である入院患者数の減少、運営費交付金の削減、投資による減価償却費の増加などの影響がありまして、経常収支としては、458億円の利益、経常収支率は105.4%となっておりまして、機構全体としては収支相償を達成して、高い水準を維持している状況です。
 また、総収支については、国からの運営費交付金で措置されていた整理資源、これは恩給期間に係る退職給付債務の積立不足を補う負担ですが、この整理資源が平成24年度以降、法人で負担する方針となっていることから、平成23年度の決算において、整理資源に係る退職給付引当金として、1,404億円の臨時損失を計上しております。これによりまして、1,008億円の総収支の赤字となっています。なお、この退職給付引当金を除いた総収支は396億円のプラスとなっております。
 その下の年度末賞与の実施については、平成23年度は102病院で実施しております。その下の3.は再掲です。
 112頁です。QC活動に対する取組です。「できることから始めよう!」をスローガンに、職員の自主的な取組を奨励、評価しております。平成23年度の応募数は過去最高の245件となっていまして、確実に増加してきております。その下の事務・事業の見直しについては、全国一斉の患者満足度調査の実施、全病院での意見箱の設置、これらを参考にした業務改善などを行っています。また、ホームページにおいて、東日本大震災の支援活動の状況など、最新の情報も公表しています。
 業務改善に取り組む職員を人事評価で適正に評価し、国民のニーズとずれている事務事業の見直しも推進しております。
 113頁の福利厚生費の見直し関係です。法定外福利費は、業務運営上必要不可欠なものに限定して行っています。平成23年度もレクリエーション費用は支出していません。弔電、供花は厚生労働省に準じた基準で実施していまして、健康診断等については、労働安全衛生法に基づくもの、あるいは感染防止を目的としたワクチン接種を実施しております。表彰制度も、厚生労働省の基準を踏まえて実施しているもの、あるいは先ほどのQC活動の奨励ということで実施しております。
 114頁は経営意識の向上と経営力の向上です。医事業務研修を引き続き実施しております。この研修では、医事担当の職員に加え、若手職員、あるいは経営企画担当職員も対象として、診療部門に対して、経営的視点から積極的に助言を行える人材を育成しています。また、病院の経営企画担当職員に加えまして、医師、看護師等、医療職を対象に、経営改善方策を着実に実施する能力の向上を目指した、グループワーク中心の病院経営研修も実施しております。
 115頁は政策医療にかかるコスト分析です。平成22年度の損益計算書を基に、政策医療分野別の収支計算書の作成を進めていました。しかしながら、タイムスタディーのバラツキによる人件費など、費用配賦の問題、あるいは医事会計システムからデータを抽出する際のシステム障害も重なりまして、統計上有効な分析には至りませんでした。引き続き、課題の検証に取り組むこととしております。
 116頁は業務運営コストの節減ですが、材料費については共同入札を実施し、抑制を図り、中でも医薬品については、平成23年4月あるいは10月に単価の見直しを行い、医薬品費の抑制を図っています。また、医薬品等については、労災病院あるいは国立高度専門医療研究センターと連携して、平成24年度に共同入札を実施しましたが、そのための準備を平成23年度に進めています。
 117頁は、適正な在庫管理です。医薬品、医療材料の保有在庫日数の縮減、SPDの導入等に引き続き努めまして、高額医薬品の使用増等もある中で、材料費の抑制に努力しているところです。
 5.の後発医薬品の利用促進については、平成23年度、144の病院で後発医薬品の購入実績を基に、品質や安定供給等を確認したうえで、「後発医薬品リスト2011」を作成し、平成23年度の薬価収載品の全先発医薬品の長期収載品について、後発医薬品への切替可能品目をリスト化して、各病院に情報提供を行いました。また、採用率の状況としては、金額ベースでは、平成22年度の9.5%から平成23年度は9.6%、数量ベースでは、平成22年度の24.6%から平成23年度は29.2%に向上しています。
 118頁は人件費率です。業務委託契約の検証で、全病院における業務委託契約の契約額等について調査を行いまして、各病院に結果のフィードバックを行っています。人件費率と委託費率を合計した率の抑制について、各種の取組を経まして、平成23年度は55.8%に抑制しております。
 119頁は総人件費の削減です。技能職の退職後不補充あるいは非常勤職員への切替え、アウトソーシング化、非効率となっている病棟の整理・集約ということで、収益に見合った職員配置を進めています。人件費としては、34億円の削減を行っています。他方で、心身喪失者等医療観察法に基づく専門病棟の運営、自立支援法に基づく療養介護事業等の、国の制度創設、改正に伴う人材確保が必要になっています。また、救急医療等への対応等により、人件費としては、107億円の増額となっています。
 次に職員の給与水準については、平成23年度のラスパイレス指数は、医師110.9、看護師99.9、事務・技術職98.5となっていまして、医師のみが国の給与水準より高くなっていますが、自治体病院や民間医療機関の水準は下回っている状況と考えています。
 120頁は国と異なる諸手当についてです。民間医療機関等の給与実態を踏まえまして救急医療等に応ずる手当てについて、職務の困難性を考慮したもの、あるいは国における勤務医の処遇改善を支援する補助制度に対応したものになっています。
(2)医師確保等を図るための手当ということで、医師不足に対応するためのもの、あるいは専門化、高度化した病院を運営する国病機構の特性を考慮したものとなっています。
(3)では、独法に求められる能力、実績主義を踏まえた手当あるいは俸給の調整額について、独法の給与削減の趣旨に則って、独法移行時に設けたものなどでありまして、これらの点が国と異なっていたところです。
 121頁は投資の効率化です。1.全面建替病院、病棟建替等整備ということで、平成23年度は全面建替は2病院、病棟建替は11病院、外来等建替が2病院でした。平成23年度に着工した22病院については、設計仕様の標準化の取組を引き続き行っておりまして、国時代の建設コストの5割減の抑制を、引き続き継続して努力しております。また、平成23年度は、病院設計標準(手術・放射線部門編)の作成を進め、実際の設計に一部適用して、投資の効率化を図っています。2.建設コストの削減については、整備単価の見直し、入札情報の早期の情報提供を引き続き進めているところです。3.大型医療機器の共同入札については、平成23年度の入札分では、平成22年度中から手続きに着手しておりましたが、CT、MRIなど、8品目を対象機器として実施しました。保守費用を含めて、総コストで市場価格を大幅に下回る購入価格となるなど、効率的な設備整備を行っています。平成24年度分についても、一層の削減を図るため、労災病院との合同実施を行うこととして、平成23年度は政府調達の手続きに従って、準備を進めたところです。122頁の医療機器の価格情報等の共有については、引き続き平成23年度も実施したところです。
 123頁の適正な契約事務の実施については、契約監視委員会での契約状況の点検として、競争性のない随意契約、2,076件ほか挙げている契約について、監事と外部有識者による点検を実施しました。2.随意契約見直し契約計画については、平成22年4月に策定しましたが、平成23年度は随意契約の割合が、件数、金額ともに大幅に減少するなど、着実に進捗している状況にあります。
 124頁ですが、3.適正な契約事務の徹底ですが、契約監視委員会による点検結果、指摘事項を踏まえ、各病院にそれを周知したところです。また、5.会計事務に係る標準的業務フローの徹底についても、再度周知を行ったところです。
 125頁は市場化テストの実施です。事務消耗品等の物品調達業務について、平成23年7月から市場化テストの事業を実施しました。また半年後の見直しということで、平成24年1月に価格を見直しています。この半年間の事業費の節減効果の推計は、6カ月で3,000万円、▲28%となっています。
 126頁は一般管理費の節減で、水道光熱費の費用節減などにより、平成23年度は4億1,300万円となっています。
 127頁から128頁は、事業費における冗費の点検・節減についてです。先ほどの共同入札の実施、あるいはリバースオークションの実施ということで、平成23年度も実施しております。特にリバースオークションについて、省電力化に伴う費用削減を目的として、LEDの蛍光灯の調達を平成24年度に入札をしましたが、その準備を行ったところです。5.冗費の点検・削減への取組、6.職員研修における周知徹底については、引き続き実施したところです。
 129頁から138頁は自己評価の部分ですが、以上ご説明した内容で、A評価で自己評定をしています。よろしくお願いします。
 少し飛びまして、149頁からをご覧ください。収入の確保についてです。未収金対策の徹底ということで、高額療養費の現物給付化に取り組むとともに、事務担当者に加えて、看護師、医療ソーシャルワーカー等の連携、協力によって退院時の未精算がないようにするなど、未収金の発生を未然に防止する取組を進めています。平成23年度は、未収金債権のうち、破産更生債権を除いた医業未収金、すなわち新たに発生した未収金の額が前年度と比べて2億2,200万円減少ということです。医業未収金の比率は0.05%となって、数値目標をより大きく低減させる実績が出ています。
 150頁は診療報酬請求事務の改善です。研修、説明会等のほか、本部でレセプトチェックシートの例を作りまして、周知しています。
 151頁は、臨床研究事業についての競争的研究費の獲得です。平成23年度は23億円となっています。
 153頁は自己評定ですが、未収金比率の低減が大きく進んだことなどから、A評定としています。引き続き財務部長から説明をお願いします。

○国立病院機構財務部長
 139頁をご覧ください。医療資源の有効活用、医療機器の効率的な利用の促進、稼働数の向上ということで、平成20年度に比べて、9.9%稼働数は上昇しています。他の医療機関との共同利用の推進は、平成20年度に比べて、17.7%ということで、中期計画上の目標の10%を大幅に上回っているところです。
 140頁は病床の効率的な利用の推進です。平均在院日数の短縮化、結核についてはそもそも患者が減っているという状況もありまして、平成23年度においては、9病院355床の集約または整理を行っており、結核については一般病床とのユニット化も行っています。
 141頁は医療の質の向上を伴った収支の改善ということで、先ほどから何回か出ていますが、紹介率、逆紹介率、新入院患者数、地域医療支援病院の数などが上昇しています。施設基準については、一般の7対1の病院が4病院増えていますし、DPC病院については、平成23年度は4病院増加となっています。
 142頁は保有資産の有効活用です。閉校した看護師等養成所の資産については、自治体、学校法人等の意向を確認しているのですが、平成23年度においては、宮城病院の旧看護学校学生寮について、山元町の職員、また他の自治体からの災害派遣職員用の宿舎として貸し付けているところです。またあとで出てきますが、廃止した旧病院の跡地については、国庫納付を行ったということです。
 143頁は教育研修事業です。これも先ほど出てきましたが、附属看護学校から国立病院機構への就職率は70%超、平成24年3月卒は72.9%という率をキープしているということと、国家試験の合格率についても、全国平均をかなり上回る率となっています。
 144頁はIT化の推進です。財務会計システム、経営分析システムといったものを使いまして、経営改善のための資料を作っているわけですが、それを用いて、3.にある評価会を毎月25日を目途として、各病院で行っているところです。
 145頁は医事会計システムの標準化です。平成23年度末時点において、標準仕様による入札を実施して、実質稼働した病院は97病院ということで、平成23年度は11病院増えたところです。
 146頁は次期業務・システムの最適化です。平成23年度においては「業務・システム最適化計画」を策定し、この策定した最適化計画に基づいて、人事給与システム、財務会計システムの仕様書作成や調達手続き等を進めたところで、このシステムについては平成26年度に稼働する予定となっています。
 147頁の自己評定です。CT、MRIなどの高額医療機器の共同利用が進んでいる、看護学校の国家試験合格率も全国平均を大きく上回っている、医事会計システムについても着実に増えている、紹介率・逆紹介率・新入院患者等も着実に増えているということで、自己評定はSにしています。以上です。

○猿田部会長
 ご質問をお願いします。一般病床の利用率がかなり減っているということは、研修医が減ったという関係もあるのでしょうか。利用率はなぜ減っているのでしょうか。

○国立病院機構企画経営部長
 一般病床の利用率が減っているというのは、平成22年度に比べて平成23年度がということですが、平成22年度は、平成16年度以降、機構病院は平均在院日数を短縮して、できるだけ早く退院するようなサイクルを進めてきています。これは診療報酬でも、高い医療配置によって、高い密度で提供するということで、その方針に沿って、短い平均在院日数になってきているということですが、他方で新しい入院患者は、より多く獲得して、多くの方を早く退院させるという活動を続けています。
 そうした中で、平均の入院患者数は、我々の病院としては長期的には減ってきているという状況でした。ただ、平成22年度は全国の病院も同様だと思いますが、そうした平均在院日数の短縮がありながらも、新入院患者数が相当大きく増えたので、平均の入院患者も伸びるという環境にありまして、平成22年度だけは、そうした意味では突出して、平均入院患者数が伸びていたということから、それに比べると、平成22年度から平成23年度は、若干平均入院患者数がまた戻って、下がったという形になっています。
 そうした在院日数の短縮の取組と、新入院患者数の獲得の状況とのバランスで、平成22年度が少し高かったので、平成23年度はそれに比べて少なくなっているというところだと思います。
 ただ、病床利用率の悪いところは、先ほどの病床の整理集約とか、そうした活動を別途行っておりますが、これもハードの建替とかと併せて、病棟構成を見直すとか、そういう契機も必要になってきますので、そうした以外の要素で、平成22年度から平成23年度は、病床利用率が変わってきているというところだと思います。

○猿田部会長
 先ほどの紹介率・逆紹介率に関しては、そんなに悪くなっていなかったはずですよね。そういうことから考えれば、紹介率もほかからあれば、何で減るのかと。というのは、例えば日赤、あるいは済生会全部を見ても、そんなには減っていますか。

○富田委員
 そうですね。

○猿田部会長
 ちょっとそれが気になったのです。

○富田委員
 特に地方は総入院数は減っていますよね。診療抑制も平成23年度の前半はかかったようで、よくわからないのですが、国民が不安に思ったなら病院に行きそうなのですが、逆でして、前半は全病院が診療抑制がかかって、入院数が全病院的に減っています。国民の心理がそちらに動いたように思います。

○猿田部会長
 ほかにございますか。

○高瀬委員
 どこかに赤字病院の数が出ていたのですが、平成22年度で再生プランが終わって、平成23年度からリスタートプランというものが始まるということですが、これは中期目標としては、単に改善を図るということだけでしたか。つまり、赤字病院の解消というような目標ではなかったですよね。

○国立病院機構企画経営部長
 目標自体は「個別病院の収支改善に取り組む」となっていまして、数値目標にはなっておりません。

○猿田部会長
 ほかにございますか。

○田極部会長代理
 後発医薬品の採用率が29.2%ということで、国の目標が、今年度末に30%というところに対して、非常にいい数字だとは思うのですが、国立病院機構の各病院で採用されている品目を整理して、2011年の採用リストを作ったということですが、こちらは例えばほかの病院、国立病院機構の病院以外の病院も参照するようなことができるようなものになっているのでしょうか。

○国立病院機構医療部長
 このリストについては、ホームページでも公開させていただいております。

○田極部会長代理
 地方の病院に行くと、どう後発医薬品を採用していいのかわからないという声があがっているのですが、国立病院機構で採用されている医薬品であれば、安心して使用できるのではないかといった意見もあるので、こういったものはどんどん公開していただけると、国の政策にも貢献できるという意味で非常に評価できると思います。
 あとコスト分析なのですが、タイムスタディーとの兼ね合いと、システム障害でできなかったというところなのですが、こちらについては今後の予定はどういった感じなのでしょうか。

○国立病院機構企画経営部長
 こうした問題をもうちょっと分析していきたいと思っています。各政策医療分野での問題点もありますので、整理して進めていきたいと思っています。ただ、状況が診療報酬の改定、介護サービス費の見直しなどで変わりますので、こうしたデータについて、どのように見るかということも含めて検討しないといけないと思っております。

○田極部会長代理
 まだ具体的な計画は、いまのところは。

○国立病院機構企画経営部長
 いまは、まず問題点としてどういったものがあったかを整理して、そうした点をよく検証することが必要だと思っております。

○猿田部会長
 総人件費の削減の問題ですが、これは重要な問題で、どうしても国立病院機構の場合に、医師、看護師の確保ということで、専門職へいって、しわ寄せがみんな事務系にいったのです。
 一方では、先ほどあったように最先端医療を取り入れてやっていこうというと、事務系の方に対する負担が、かなり増えるわけで、それで専門化してくるわけです。そういったときに、将来を見たときの対策はどう考えているのでしょうか。どんどん減らせばいいという問題ではないと思います。本当に働けるしっかりした人たちを確保することが重要だと思うのですけれども、いかがでしょうか。

○国立病院機構企画経営部長
 医療関係職種もそうですが、事務についても、そうしたものも専門性をきちんと見て、今回は診療情報管理士について俸給表を分けるような活動をしていますが、できるだけ事務職についても効率的あるいは効果的な配置、能力の発揮ができるようなことを考えていかなければいけないと思っています。

○猿田部会長
 特に業務評価というのは非常に難しい問題ですから、その辺りを誰がしっかりとやるかですね。

○国立病院機構企画経営部長
 事務職も幅広い業務をしておりまして、そうした点で、それぞれ専門性みたいなものが必要になってくるかと思いますけれども、特に医事関係については、大変複雑で、医療内容ともつながるということで、そうしたところを、今回は診療情報管理士で見たというところでして、そのほか業績評価についても、そうした業務運営についてきちんと事務職員の評価ができるように。

○猿田部会長
 そういう基準というものをしっかりとオープンにさせないと、私たちはどうやって評価したかということは知りたいですから、その辺りの基準をしっかりと示してください。
 ほかにございませんでしょうか。よろしいですか。それではどうもありがとうございました。4、5分で評価シートへの書入れをお願いいたします。
(評価シートへの記入)

○猿田部会長
 それでは、時間の関係がございますので、最後のグループに入りたいと思います。次は第5グループでして、項目が12から14、経営の改善、固定負債割合の改善、重要な財産の譲渡等、人事に関する計画等につきまして評価を行います。所要時間は、法人の説明が15分、委員の質疑が約15分ということです。それでは、よろしくお願いいたします。

○国立病院機構企画経営部長
 155頁の、予算収支計画及び資金計画の経営の改善のところです。経営の改善、中期目標では、中期目標の期間の各年度の損益計算において経常収支率を100%以上とすることということで、目標と定められています。これに対しまして、平成23年度経常収支率が105.4%、経常収支は458億円となっておりまして、目標に対して高い水準を維持しているということです。また、個別病院の経営改善については、先ほど申し上げましたが、取組を引き続き継続して努力しているということで、156頁の自己評定としましては、昨年度に続きましてS評価でお願いしております。

○国立病院機構財務部長
 続きまして、158頁です。固定負債割合の改善ということで、固定負債残高について、20年度期末の5,971億円から23年度期末は4,770億円で、約20%の減少ということです。159頁の医療機器・建物整備に関する計画で、医療機器の整備についても、下のほうに表がありますが、毎年200億~250億程度の間の投資を行って、いちばん下の欄に、投資計画額に対する割合で、23年度は60.5%で、着実に投資を行っていると考えております。
 次に、160頁の施設整備の考え方です。23年度に病棟建替等の整備を投資決定した病院は、全面建替が兵庫青野原、西群馬の2病院、病棟等の建替整備は11病院、2,030床、外来については西多賀と福岡東について投資決定しています。23年度の建物の投資額は259億円で、投資計画額に対する割合は45.5%で若干低いのですが、24年度、25年度につきましては各年600億程度の投資が見込まれていまして、計画については達成できるものと考えています。
 161頁は、自己資金を積極的に活用した医療機器・施設整備です。23年度の医療機器の整備については、総支払額214億円の全部が内部資金、内部資金と申しましても、病院個々の会計の持っている自己資金と他病院が本部に預けた預託金からではありますが、一応全額内部資金ということになっています。施設整備については、総支払額259億円のうち内部資金が159億円という形になっていまして、内部資金の活用が図られているということでございます。
 162頁は、機構が承継する債務の償還ということで、約定どおり償還を行っています。163頁の短期借入金については、ございません。164頁の重要な財産譲渡、担保の件ですが、廃止した旧十勝療養所等の不要財産の国庫納付ということで、昨年度は、旧金沢若松病院については、譲渡した上でその収入を国庫納付しています。旧十勝、旧鳥取については現物で納付しています。旧岐阜病院、旧筑後病院については、財務大臣の認可をいただいていますが、所有権移転登記完了次第国庫納付という形にしています。旧登別、旧西甲府病院についても、今年度国庫納付することにしています。
 165頁の譲余金の使途ということで、23年度の決算においては、先ほどご説明したとおり剰余は生じていません。21年度決算における利益剰余金348億円のうち256億円については、目的積立金の承認を受けていますので、23年度において、建物整備・医療機器整備261億円の一部に当てています。
 166頁が自己評定ですが、固定負債については20年度比で20%の削減ということで、大幅に上回るペースで縮減しています。医療機器・建物への投資についても、中期計画の目標を達成する上で着実に進展しているということで、自己評定についてはSを計上させていただいているところでございます。

○国立病院機構総務部長
 続きまして、人事に関する計画をご説明します。168頁からになります。第1点目ですが、患者のQOLの向上及び療養介護事業への対応です。23年度につきましては、新たに1病院で療養介助職を5名配置し、23年度ではトータルで45名の増員で、56病院、合計812名を配置しています。また、障害者自立支援法への対応についても、円滑に移行できるように努めてまいりました。
 2点目ですが、技能職の離職後の不補充ならびに非常勤化およびアウトソーシング化への継続です。常勤職員の退職後については、補充を行わず、短時間の非常勤職員またはアウトソーシング化を図ってきています。
 3点目ですが、良質な人材確保・有効活用については、適材適所を徹底しまして、ブロック内での人事交流を促進しています。
 4点目、研修の実施ですが、23年度の研修の全体は、評価シート説明資料の432頁以降に載せてありますが、全体としては9,718名の者に対して研修を実施しています。説明するのはその一部です。評価シートの168頁下段ですが、院長、副院長、看護部長等、病院の管理・監督者に必要な管理運営に関する知識・能力が向上するための研修を実施しております。業績評価制度の評価者483名に対しても、評価者研修、QC活動を各病院で進めてもらうためのQC手法の研修、医療職、事務職を交えた20歳代の職員を対象とする、チーム医療を推進するための青年共同研修、良質な医師を育てるための研修等の専門研修も行っております。このように大変多くの職員に対して研修を実施しまして、能力開発、人材育成を図ってきております。
 169頁です。新たに平成23年度に行った研修としましては、将来の病院の幹部として期待される人材に対して、リーダー育成研修を行っております。続きまして、障害者に対する雇用の取組についてです。医療業にかかる除外率が引き下げられる中、当機構においては、基準日である6月1日の法定雇用率については達成しております。多くの障害者の方々を雇用いたしました。
 7点目は、医師確保対策の推進です。1点目は、22年度に新たに医師キャリア支援検討委員会が立ち上がりましたので、この医師キャリアに関する具体的な方策について検討を行うとともに、特に研修指導責任者部会を設けまして、研修医、専修医の教育進路指導にかかわる指導医からの助言を専修医指導に反映させるため、平成23年度にはこの部会を3回開催しております。また、「NHO NEW WAVE」という専修医・研修医向けの情報誌を資料集の252頁に載せていますが、この4号から7号を発行しております。この情報誌と連携をしたWebサイトも開設し、情報発信をしています。
 3点目に、研修医、専修医を対象に、講義と組み合わせて、技術習得を行う実地研修、良質な医師を育てる研修を14回、288名が受講し、指導体制も、専門領域に秀でた指導医138名により指導を行っております。医師給与等について記載したパンフレット「けっこういいぞ!! NHO」を大学等へ配付し、シニアフロンティア制度による退職予定医師、すでに勤務延長中の医師の勤務延長、医師確保困難病院に関する大学等関係機関への本部からの働きかけも行っております。
 次に、170頁、看護師確保対策の推進です。看護師確保を推進するために、奨学金の貸与状況を示しています。平成23年度は998名の奨学金を受けた看護学生がいます。このうち、この春に卒業した396名のうち376名が機構病院に勤務しています。そのほかに、急性期病院、慢性期病院の看護師が、それぞれの病院間で交流研修を行うことにより、それぞれ違った病院の興味を持たせることによりまして、病院間の異動を推進するような取組も行いました。潜在看護師に関する離職後のギャップを解消するということで、各病院レベルでの最近の看護の動向をテーマとした公開講座や講習会を実施しております。平成23年度においては、52病院で74回、195名が参加しまして、このうち16名の仕事を離れていた方が、機構病院に就職をしております。この「けっこういいぞ NHO看護職版」を、説明資料の455頁に添付しています。平成23年度は4万7,000部を作成し、配付をし、積極的に採用活動に活用しております。
 続いて、171頁の人事に関する指標です。技能職については、平成23年度において142名の純減を図るという計画でした。結果は、これを上回る199名の純減を図りまして、計画に対し140.1%という実績を示しております。
 続いて、172頁です。広報に関する事項を示しております。機構全体の総合パンフレットをリバイスし、ホームページに掲載しております。内容については、機構の使命、行っている診療、研究、研修の内容を詳細に記したものです。地域の医療機関、関係大学、看護師養成所へお配りし、機構の活動についてより多くの方々に理解をいただくとともに、看護師・医師の確保に役立つようにしているところです。東日本大震災への派遣等の支援についても、活動状況をホームページで随時更新し、情報発信をしております。
 以上のような状況でして、173頁については自己評定をしております。1つ目は、数値目標として掲げている技能職の純減目標を上回るということ、加えまして、院長をはじめとする管理職に対する研修を行い、医師、看護師の適正な人員配置をし、国の制度の創設や改正に伴う対応や医師の知識向上を図るための研修を行いました。また、5万人を超える職員に対しての賞与の他に、昇給についても業績評価を結果に用いております。このような実績から、自己評定としてはAとしております。よろしくお願いいたします。

○猿田部会長
 どうもありがとうございました。それでは、どなたかご質問ございますでしょうか。

○富田委員
 技能職が199名減少ということで、目標以上の達成ということなのですが、私は、全体の国立病院機構の医療収益が上がっていて、医療の回転が非常に早くなっているのは、医療行為がそれだけ増えているので医療収益が増えると理解しているのです。私は院長をしていましたので、医療収益が増えれば必ずそれに対して作業が増えているので、普通、それにかかる人は増えていかないと合わないのですが、赤十字の病院と比較しても、国立病院機構は技能職の数が異様に少ないと思うのです。現場ではすごく軋轢が起きているのではないかと心配します。医療が近代化すると、どんどん高度な機械が入ってきますが、機械を使うのは技能職の技師なのです。いい技師をいかに養成するかが、これから病院が生き残る大きな課題になって、どこの病院も必死になって技師の養成をしているところなのですが、そこはどのようにされているのでしょうか。ちょっと心配をして見ております。

○国立病院機構総務部長
 ご説明申し上げます。先生がおっしゃられたコメディカルの部分は、この技能職には入ってございません。この技能職というのは、いわゆる電気とか調理師や看護助手といったそういう現場の職員でして、そういう人たちが定年退職をした場合には、清掃業務とか調理業務とか、アウトソーシングできるものについてはアウトソーシングしているという形になりますので、検査技師、放射線技師、臨床工学技士というコメディカルの方々の採用は抑制しておりません。

○富田委員
 わかりました。もう1つ教えてください。院長研修など、赤十字としては羨ましいような研修をたくさんやっていらっしゃるのですが、私たちの組織ではいつも問題になるのですが、国立病院機構では、この研修の費用の負担、参加する人たちの負担は病院負担なのですか、それとも本部負担なのでしょうか。

○国立病院機構企画経営部長
 研修の内容によると思います。機構本部で実施する研修、本部・ブロックで開催する研修というのは、そこで講師を頼んだり、会場を借りたりというのは、本部・ブロックの経費で落とすということをしていますし、そこに職員を派遣するようなときは、その研修の内容に応じて、旅費も研修の一環として出すというようなことで、研修ごとに少し考え方を分けております。業務として必ず出てもらう研修とか、個別に必要性がある、個人の能力を高めるような意識が高いものであるとか、新任の職員に対する研修とか、特定の技能を特定の職種に付けてもらう研修とか、研修の趣旨によって、どこでどれだけ負担するかというのは、本部であるか、病院であるか、あるいはご本人の負担の部分というのが分かれてくることになります。

○猿田部会長
 ほかに、どなたかございますか。

○和田委員
 今年度も経常収支の状況は400億円からの利益を上げて、それに向かって皆さん3年間ずっと努力してこられたのだと思うのです。が、今年度末をもって、整理資源に関する債務を、従来のように国から運営費交付金としていただくのではなくて、自らの診療収益等の中からこれを負担するということで、それをいま現在で評価すれば1,400億円もの価値のものであると。それだけのものを一挙に、費用に計上すると同時に債務に計上するとしましたから、今年度は一挙に赤字になってしまった。この整理資源に関する債務を、この国立病院機構が、独立行政法人が、従来はそうでなかったのに、ここで負担することになった理由をお聞かせいただきたいということが1つです。それから、それによって1,400億円を一挙に赤字として計上しなければいけないのかどうかという問題と、いままでこれは本当に債務として計上しなくてもよかったものかどうか。去年までは、それは国が払ってくれるのだから、運営費交付金だから要らないと言っていて、この時点になって、それは負担することになったから、それまで1,000億円の利益を積み立ててきた法人が一挙に赤字に落ちてしまう。そういうことについての説明がきちんとされるべきだろうと思いますので、その理由をお聞かせいただきたいと思います。

○国立病院機構企画経営部長
 運営費交付金の中で何を措置して内訳とするかということについては、これまでも、整理資源を含めて機構の過去債務について措置をするとなっていまして、これについては、運営費交付金の予算の見通しを立てる中でも、中期計画で過去債務について措置するという計画を作ってきています。また、各年度の運営費交付金の予算の機構に対する内示の中でも、整理資源を含めて運営費交付金を積算しているという内示をされてきています。すなわち、中期計画における見込み、あるいは各年度における予算内示の中で、整理資源について運営費交付金が措置するとされており、これは、それぞれの書類の中でそう明らかであったということです。ただ、事業仕分け、あるいは独立行政法人の改革の議論の中で、国立病院機構について運営費交付金からより一層独立できることがないのか、あるいは運営費交付金を縮減できることがないのか、あるいは自主自弁の機構病院の運営費交付金をどうするかというような議論と、現実に国の財政がきわめて厳しい状況の中で、そうした交付金をどうするのか、いま国立病院機構がかなり経常収支で安定した経営がされているという中で運営費交付金をどう考えていくかというようなことで議論がされまして、整理資源については、過去債務ではありますが、ほかの例えば日本郵政という法人類型を見ても、その法人の自分の収益の中で負担しているというような他の例もあるということから、整理資源について、この運営費交付金の見直しの中で、機構病院が自らの収入で負担していくべきというようなことが、24年度の予算を議論する際に決着したということでございます。
 これによりまして、国立病院機構に対する予算の内示の中で、これまで整理資源の内訳を明示していましたが、そうした内訳をなくすということで具体的に変わってきております。また、運営費交付金を整理資源に見合った額を入れないということについては、厚生労働省と国立病院機構で合意としています。ただ、運営費交付金は自由に機構の判断で活用できるということですので、過去債務に見合って、整理資源がなくなった分、それに代わる一定の財源措置が交付金の中でされています。それについては、国立病院機構としては、他の退職給付費用等に充当するということで24年度は対応しておりまして、そうした予算内示の趣旨と、国立病院機構のいまの運営費交付金の支弁、使い方の実際のあり方から言って、今回、整理資源に見合った決算を23年度に行うべきということで経理処理したものであります。

○和田委員
 ありがとうございます。「平成24年度より医業収益を財源として支出することになりました」と財務諸表の中期では書かれていますが、これによって従来引当外であった当該負担額1,400億円については、対象給与引当金に含めて計上しますということで計上したということでございますね。そういうことであれば、これを正式な債務として国立病院機構は今後ずっと負担を続けていくということになりますので、評価書のほうで固定負債、固定負債と言っている中で、中には括弧して長期借入金だと断っている部分もあるのですが、固定負債として長期借入金だけの数字で説明しているところがありますが、これは、固定負債と言ったときには、対象給付引当金の2,000何百億を加えた、国立病院機構の固定負債は7,440億円あるのだということで記載をしていただきたい。そうでないときには、長期借入金と分けて書いていただきたいと思います。

○国立病院機構企画経営部長
 今回の資料では、158頁の中期目標の固定負債割合の改善の中で、「固定負債(長期借入金)の残高を着実に減らすこと」ということで、用語について中期目標の中で注が入っていますので、それをそのまま書いていましたが、今後は、書くときは、そういう点に気をつけながら用語を使い分けしていきたいと思っております。

○猿田部会長
 和田先生、よろしいですか。今後はそういう形をとってください。ほかにございますでしょうか。それでは、私のほうから1つ。随分苦労して医師の確保、看護師の確保をやっていただいたということですが、医師の確保に関して、初期研修はいいのですが、いわゆる後期研修医のほうの確保は少し減っているのではないですか。どうですか。

○国立病院機構医療部長
 後期研修医につきましては、機構独自の専修医の数が若干減っているのですが、その分、大学から来るレジデントの方は確保されておりますので、そこは、キャリアパスの中で、機構での研修を受けてまた大学に帰っていかれる方もあり、また、大学からこちらに来られる方もあり、地元の大学と連携をとりながら育てていくという方向で進めてまいりたいと思っております。

○猿田部会長
 いま、私どもとすれば、後期研修医の方の動向というのは非常に重要なのです。ご存じのとおり、いま大学のほうは初期研修医は全体の46~47%になりまして、むしろ各地域の病院のほうへ行くようになりましたものですから、その状況から見て、国立病院機構のほうはどうかと少し気になったものですから。ありがとうございました。ほかに、どなたかございませんでしょうか。全体的なことでもいいですが、一応ここまでで皆様方に評価していただくことは全部です。よろしいでしょうか。特にご意見がないようでしたら、今後のことに対して事務局から、よろしくお願いします。

○政策評価官室長補佐
 本日お配りしている資料の送付をご希望される場合は、部会終了後に事務局にお申しつけください。また、評価の記入が終わっていない委員の方がいらっしゃいましたら、評定記入シートおよび評定記入用紙をお持ち帰りになってご記入いただくか、評定記入用紙の電子媒体版を本日メールでお送りしますので、これにご記入いただいても結構です。その場合は、7月24日(火)までに事務局宛に評定記入用紙をご提出いただくよう、お願いいたします。

○猿田部会長
 どうもありがとうございました。よろしいでしょうか。7月24日までということでございます。もしよろしければ、最後の「最近の独立行政法人を取り巻く状況について」につきまして、事務局からよろしくお願いします。

○政策評価官室長補佐
 3月の部会で報告したときから、ほとんど動きはありませんが、資料集の54頁をご覧ください。独立行政法人の通則法の一部を改正する法律案が、5月11日に国会に提出されております。その中身としては、独立行政法人の制度および組織の見直しの基本方針が1月20日に閣議決定されていますが、それに沿ったような形になっております。独立行政法人制度を廃止して行政法人制度を創設すると。行政法人を、法人の事務・事業の特性や国の関与のあり方等に着目して、中期目標行政法人と行政執行法人に分類します。組織的規律として、主務大臣に法人の違法行為の是正命令権を付与、幹事会計監査人の調査権限を付与、適正な業務運営にかかる役員の義務の責任を明記すると。また、財政規律として、運営費交付金の適切な使用にかかる責任を明記と。また、一貫性・実効性のある目標評価の仕組みとして、政策責任者たる主務大臣が法人の目標設定から評価まで一貫して実施をすると。国民の目線での第三者機関のチェックとしては、総務省に行政法人評価制度委員会を設置するといったような中身になっております。また、国立病院機構については、この行政法人制度の枠の外ということで、固有の根拠法に基づき設置される法人ということで検討されております。現状についてはこの程度でございます。今後、具体的な動き等がありましたら、その都度皆様方に情報提供していきたいと考えております。

○猿田部会長
 どうもありがとうございました。国側で少しずつ変わってきていますが、よろしいでしょうか。

○猿田部会長
 よろしければ、以上をもちまして本日のブロック会議を終わりたいと思います。今後のことに関しまして、事務局からお願いします。

○政策評価官室長補佐
 次回の開催は、8月23日(木)10時からを予定しております。場所は、省内の会議室を予定しております。議題については、国立病院機構の総合評価等となっております。また場所等が確定しましたら、開催通知等を送付してお知らせしたいと思います。

○猿田部会長
 どうもありがとうございました。最後に理事長から何かございますか。

○国立病院機構理事長
 23年度につきまして詳しくご評価いただきまして、ありがとうございました。いくつかは私が答えるべきだったのかもしれません。特に、他の研究機関やNCとの協力関係につきましては、もうちょっと進めたほうがいいのではないかと。逆のNCから見ていてもそう思ったのですが、なかなか進まない面もありまして、望むべくは双方が診療情報をもう少し扱いやすい形に整備して、ここからいわゆるエビデンスが出てくるようなことを将来的には考えていくのがいいのではないかと、いまも思っております。
 政治主導の問題など、いろいろありまして、私は来てからまだ3カ月ちょっとですので、十分ではありませんが、運営費交付金というのは運営費に使うお金ですので、過去の債務や国が本来払うべきであったものについては、交付金に含めるというやり方はどうかなという感じはします。

○猿田部会長
 おっしゃるとおり、いまのところは問題になっております。桐野先生は、国立国際医療研究センターのほうも経験がございますし、こちらのほうも両方ということで、いま私は6つのナショナルセンターの見直しの委員長をさせられていますが、両方をいかにうまくやっていくかということが日本にとって非常に大切だと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。もし皆さん方から特にご意見がなければ、本日はご協力どうもありがとうございました。たぶん今日書けなかったと思いますので、24日までによろしくお願いします。どうもありがとうございました。


(了)
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