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2012年7月24日 第37年金記録回復委員会議事要旨

○日時

平成24年7月24日(火)18:00~


○場所

厚生労働省 9階 省議室


○出席者

(委員)磯村委員長、稲毛委員、岩瀬委員、梅村委員、金田委員、駒村委員、斎藤委員、廣瀬委員、三木委員
(日本年金機構)紀陸理事長、薄井副理事長、矢崎理事、松田理事、喜入理事、中野理事、吉野審議役ほか
(厚生労働省)藤田厚生労働政務官、今別府年金管理審議官 ほか

○議事

(※議事録は資料ページにPDFファイルで掲載しています)

(冒頭、藤田政務官より挨拶)

ご多忙の中、年金記録回復委員会に出席いただき感謝する。本日の議題のうち2点について一言触れさせていただきたい。一つ目は、被保険者の年金記録に係る紙台帳とコンピュータ記録の突合せについての作業方針について、委員の皆様にはこれまで何回も実務検討会でご議論いただき、たくさんのご意見をいただいたことに感謝する。ご意見を参考に、厚生労働省として作業方針を報告させていただきたい。後程事務方より詳しく報告させていただくが、これまで政府民主党では、早期に全件突合せを行うという方針の下に対応してきた。厚生労働省としても国民の年金記録の信頼を回復するため、現在行われている年金受給者に引き続き、被保険者についても全件突合せを実施すべく、必要な経費を25年度予算で要求するなど対応していきたい。

2点目は、年金記録問題の集中対応期間である平成22年度から25年度の半分を経過したことから、これまでの取り組みの状況と成果などを今後の対応も含めて関係資料を整理し報告をさせていただく。未統合記録5,000万件のうち、本年6月までに2,800万件を超える記録が解明されているが、一方で解明中などの記録も残っている。これらについては、引き続き委員の皆様のご指導・ご助言をいただきながら必要な対策を進めていきたいと思っている。本日は、他にも「厚生年金基金記録と国記録の突合せにおける対応等について」などをご審議いただくが、委員の皆様の忌憚のないご意見と引き続きのご指導をお願いして挨拶とさせていただく。

 

(1)記録問題の全体構図と本日の課題

○ 年金局より資料1についての説明があり、了承された。

 

 

(2)被保険者に係るコンピュータ記録と紙台帳等との突合せ作業等について

○ 年金局より資料2について今後の作業方針の報告があり、委員の了承を得た。

 

(3)厚生年金基金記録と国記録の突合せにおける対応等について

○ 日本年金機構より資料3について説明があり、委員から次の意見があった。

 

(磯村委員長)一年がかりでご審議いただいたところだが、これで基金記録に関しての作業方針は終わりで、後は実行あるのみということか。

→ そのとおり。(渡辺課長)

(磯村委員長)気になる記録確認キャンペーンでいろいろと背負い込むことになりそうだが、対応できるか。

→ 対応していく予定である。(伊原部長)

 

 

(4)待機者の取り扱いについて

○ 日本年金機構より資料4について説明があり、委員から次の意見があった。

 

■ 住民票コードが未収録なのはどういう場合において発生し、どのくらいの割合なのか。(三木委員)

→ 住民票コードは、受給者の方は98%くらい登録されているが、被保険者は異動が多く80パーセント強ぐらいの状態である。(伊原部長)

(磯村委員長)現在、待機者の人数はどのくらいなのか。約10年後には男性の支給開始年齢が65歳になるが、10年後の待機者の数はどのくらいと想定されるのか。

→ 待機者をどのように捉えるかにより若干変わってくるが、60歳以上70歳未満で年金を受給しておらず、被保険者でもない方で、加入期間25年を超えている方を条件として抽出すると、108万人余りである。支給開始年齢が65歳になるとどうなるかは正確には予想できないが、108万人の中で60歳が24万人余り、61歳が20万人余りということなので、1年齢増えるごとに20万人ずつ増えることになるのではないか。(柳樂部長)

(磯村委員長)そうすると、男女ともに支給開始年齢が65歳に揃う時点を想定すると、何百万人というオーダーになりそうである。仮にそうなったときには、現状の死亡情報を得るための省令の改正は結構なことであるが、本来の年金制度管理の面からみると、被保険者管理・待機者管理・受給者管理という3点が普通の年金制度管理と言われているので、それらに着目した場合、待機者管理という情報サービス提供義務を果たす必要がどこまであるのか、また、その必要性に応じて場合によっては法律改正まで視野に入れた方が良いのかどうか、先行きの問題として検討しておいてもらいたい。

 

■ 住民票コード未収録者の場合に、住民票コードの申出を受け付けるのは正しいフローだと思うが、それとは別に住民票と違う住所を書く可能性がある住所変更届を受け付ける道を残す場合には、何をもって機構として正しい住所と認定するかの定義をきちんと決める必要があるだろう。そうしないと、住所について住民票と違うデータを機構が持つことになり、同一人と判断するための4情報とは違う情報を手に入れてしまうことになり、宙に浮いた情報を作ることになりかねない。正しいトランザクションとしてこういうやり方というのを決めるのであれば、絶対に住民票コードを同時に受け付けて、正しいものは住民票コードの住所とするという定義をしなければならないだろう。これは待機者だけではなく加入者についても同じことが起きるはずなので、何をもって個人情報のマスターとするのかという定義の観点について、事務フローを決める際にはきちんと整理してもらいたい。(三木委員)

→ 受給者については住民票コードの住所が基本であるが、特別養護老人ホームに入っている場合など、住民票の住所と違う場所で暮らしている方がいる。そういう方については居所の届け出を別途出してもらう。住民票コードが入っていない方は住所が分からないので、現況届を出していただくことにより把握しているし、マイナンバー制度ができればそのような方々も把握することができるのではないかと考えている。このような考え方を加入者や待機者へも拡大していきたいと考えているが、現段階ではまだ80%程度の収録率なので、当面は住民票コードの収録に力を尽くしたい。(伊原部長)

■ 基本的な方針としてはいいと思うが、実際に新しい情報を手に入れるときに住所変更届が出されるので、そういう場合は正しいフローに乗せるようにした方がいいだろう。(三木委員)

→ 受給者については、住民票コードを届け出ていただいた場合には住所変更届の提出が省略されており、居所の登録をする場合以外は手続き不要である。今後、このような仕組みを拡大していけば住所変更届を提出していただく必要はなくなる。(伊原部長)

 

 

(5)年金記録問題のこれまでの取組みと今後の対応

○ 日本年金機構より資料5について説明があり、委員から次の意見があった。

 

(磯村委員長)平成19年以降、未統合記録の解明状況を公表してきたが、もう少し分かりやすくしてもらいたいというお願いをし、15ページのようにまとめていただいた。内容を精査し枠組みは変わったが、数字は変わっていないと理解しているが、それでよろしいか。

→ そのとおり。(伊原部長)

 

■ 15ページに「日本年金機構における紙台帳検索システムを用いた持ち主検索作業」とあるが、公の住基情報等を集めて突合することにより、何とか持ち主を探そうということは、この持ち主検索作業で全てやり終えたという認識でよいのか。また、ねんきんネットでの検索は機構の窓口で調べるのとどう違うのか。例えば、ねんきんネットで調べて出てこなければ機構の窓口へ行っても見つからないのか。(三木委員)

→ 1つ目の質問については、現時点では、これ以上具体的に思いつく策はないので、我々としてはやれることはやったと考えている。2つ目の質問は、ねんきんネットでの検索が持つ意味ということだと思うが、?の「持ち主の手がかりが未だ得られていない記録」は大きく3つのカテゴリーがあると推測される。1つ目は死亡していると思われる記録。2つ目は国外に転居していると考えられる記録。3つ目は、名前が違っていたり生年月日が違っていたりしている記録であり、ご本人が申告する際に違う生年月日を申し出たということもあるかもしれないし、我々が記録する際に間違えて登録してしまったものもあるのではないかと思われる。ねんきんネットの検索では、例えば就職する際に年齢制限がある等により違う生年月日を申し出ていた可能性があるような方が、年金事務所に行くには心理的抵抗があるような場合でも、来年1月にはご自宅でご自身がいろいろな条件で探してみることが可能になるので、ご自身で記録を調べる機会が格段に広がるのではないかと思う。ねんきんネットでの検索と年金事務所での検索は基本的には同じだが年金事務所では、より詳しい情報がオンラインシステムに入っているので、ご本人から追加的に情報をいただければ、もっと詳しく調べることができる。(伊原部長)

 

■ 21ページと23ページに未統合記録が多い業種ということで「不動産」と「保険」が挙げられている。不動産業は地域密着の零細である可能性もあるが、基本的に保険業はそれなりの規模の企業だろう。このように大量に発生していることや昭和60年以降も増えているという傾向は、非常に問題だと思う。未統合記録5,000万件のうち8割が厚生年金だとすると、160万件ぐらいは生命保険業者が生み出していると考えることもできる。昭和60年以降、いつまでこのような傾向が続いているのか分からないが、なぜ発生しているのか生命保険会社に確認するべきだろう。今は発生していないのか、それとも採用時に年齢を偽るということが今でもあるならば、宙に浮いた記録が今でも作られていることになる。現在は発生していないのか確認して是正を求めるべきではないかと思う。(三木委員)

→ 後段については、新しく会社に勤める際の本人確認についてはこの委員会でもご議論いただいている。以前厚生年金保険部からご説明したが、今後は重複付番の発生防止という観点も含め、本人確認をしっかりやることを本年度に取り組みたい。さらには、マイナンバー制度ができればその番号を報告いただくことになるので、別人の記録が入ってくることはなくなるだろう。今日においてはゼロではないが、今後、このような取組みを進める中で職域における未統合記録が発生する要因は、格段に減っていくと考えている。

 21ページ以降の業種ごとの分析については、未統合記録がどのような業種で多いのか、どのようなパターンが多いのかという整理をして、来年1月のキャンペーンに向けて分かりやすく注意喚起していきたい。(伊原部長)

 

■ これまで年金記録問題に3,600億円弱掛かり回復額が785億円とのことだが、いかに大変な作業で785億円を回復したかという努力はあると思うが、それまでにきちんと記録を取り毎年チェックをしていたならば、この3,600億円の国民の税金を無駄遣いしなくて済んだと思う。是非、年金機構はこれから無駄な支出をしなくて済むように頑張ってもらいたい。(斎藤委員)

→ 確かに3,600億円ものお金を使わなければならなくなったことについては真摯に受け止めて、2度とこのようなことをしなくて済むよう再発防止に努めなければならないと思っている。1点だけ誤解のないように申し上げるが、「回復額785億円」は年額ベースであり、記録回復の効果という意味では、約20倍した生涯額の1.6兆円だろうと思う。また、この金額は平成20年5月以降に記録回復した179万人のみのデータである。未統合記録の回復人数のうち受給者は600万人なので、実際にはもっと多くの金額が回復されているはずであり、投じた費用を大きく上回る水準であることはご理解いただきたい。(伊原部長)

 

■ 紙台帳検索システムは完璧なものなのか。紙台帳の中には廃棄されたものや読めないものもあり、このシステムで検索して見つからなかった場合に「記録はない」という判断がされてしまうと、本当に見つけるべき記録が見つからないのではないかと疑問に思っている。(岩瀬委員)

→ 25ページの図のように、紙台帳検索システムに収録されているものは、コンピュータ記録に紐付いた紙台帳等の6億件や紐付いていない紙台帳等の1.2億件などがあるが、これらはあくまでも紙台帳検索システムを作るために全国の年金事務所や市町村に保管されていた台帳が収集できたものである。国民年金の普通台帳のように既に廃棄されているものについてはシステムに収録されておらず、市町村で既に廃棄されていたものも収録されていない。したがって、このシステムが完璧なものかと問われると、今在るものでしかないというように限界があるが、紙台帳検索システムで見つからないものは記録回復の対象にならなのかというとそうではなく、そのために第三者委員会がある。紙台帳検索システムは大事なツールだが、これが全ての記録回復のためのツールというわけではない。(伊原部長)

 

■ 再発防止の観点から、個人としてアイデンティファイするための情報として、機構では氏名・生年月日・住所という情報を使っている。民間であればさらに電話番号も取っているが、電話番号は住所に比べると間違いがなく比較しやすい。電話番号をなぜ取らないことになっているのか理解できないが、今後、国民年金の収納率アップという点からも電話番号があるということは絶対的に有利である。システム的に入るかどうかという議論とは別に、個人を特定するキーの一つとして電話番号や携帯電話番号、今後10年を考えればメールアドレスについても必要ではないかと思う。個人情報をどうアイデンティファイするかについて議論し、業務フローやシステムに組み込むことは必要だろう。(三木委員)

→ 記録問題の対応では、本人確認が一番重要な仕事である。氏名・生年月日・性別・住所の4情報で確認しているが、変わらないものは生年月日と性別だけである。それ以外の情報は変わる可能性があるので、やはり番号が不可欠だろうと思う。基礎年金番号の重複付番をなくしていくことや、今後のマイナンバー制度の中でしっかり対応することを前提とした上で、電話番号やメールアドレスの登録については本人確認とは別に、今後こちらから連絡を取れるような体制作りとして重要な論点だと考えている。(伊原部長)

 

(磯村委員長)先日、同級会があり、そこでも年金記録が抜けていた人が何人かいた。数か月記録が抜けていて、本人はそのままでいいと思っていたが、奥さんから調べるように言われて調べたら月額で2,000円増額するということになり、これまでの未受給の分がかなり大きかったとの話であった。未統合記録の分析結果から記録の持ち主像を見ると、60歳以上の人が75%、厚生年金記録が85%、昭和40年代前の5年未満の記録が87%であり、概ねこのようなイメージである。したがって加入者だけでなく、受給者にも古い記録の漏れや誤りがあるとすると、その記録の年数が短くても、記録が訂正されれば、例え増加する年金額が少ないとしても過去の未受給分が結構受け取れる、というようなPRをするための材料をもう少し集めて、来年1月からのキャンペーンで使うような工夫を今から準備していただきたい。

→ 本日、記録問題について中間的な整理をしたので、これから来年1月に向けてどのようにすれば未統合記録を減らせるか、また、受給者の方が行動を起こしてみようと思っていただくにはどうすればいいか、よく考えたい。(伊原部長)

(磯村委員長)併せて、未統合記録の持ち主の数はどれくらいを考えておけばいいのか、PRする前提で考えておかなければならないだろう。

 

(磯村委員長)中間総括については、特段ご意見等を集約するということではないが、今回このような報告があって、今後も引き続き対応をお願いしたいということでよいか。

→ (委員了承)

 

 

(6)その他

(磯村委員長)次回は9月6日(木)。事務処理誤りや共済関係について、できれば議論を行いたい。

以上


<照会先>

年金局事業企画課

担当・内線: 高野(3656)
佐々木(3658)
代表電話: 03(5253)1111
直通電話: 03(3595)2806

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