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2012年5月17日 第2回国立病院及び労災病院の新しい法人制度に関する検討会議事録

医政局国立病院課国立病院機構管理室

○日時

平成24年5月17日 10:00~12:00


○場所

中央合同庁舎5号館9階 省議室


○議題

1 国立病院の使命・役割・業務等
2 その他国立病院個別の課題
3 労災病院の使命・役割・業務等
4 その他労災病院個別の課題
5 その他

○議事

○永井座長 それでは、時間になりましたので、ただいまから「第2回国立病院及び労災病院の新しい法人制度に関する検討会」を始めさせていただきます。
 委員の皆様におかれましては、お忙しい中、御出席賜りまして、ありがとうございます。
 本日は、高橋委員が御欠席です。また、伊藤委員と岩村委員が遅れてお見えになるということでございます。
 議事に入る前に、本年4月1日付で、国立病院機構及び労働者健康福祉機構の理事長の異動がございました。両理事長からごあいさつをいただきたいと思います。
 まず、国立病院機構の桐野理事長からお願いいたします。
○桐野理事長 4月1日より国立病院機構に参りました桐野と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
○永井座長 続いて、労働者健康福祉機構の武谷理事長からごあいさつをお願いいたします。
○武谷理事長 同じく、この4月をもちまして、労働者健康福祉機構の理事長を拝命いたしました武谷でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○永井座長 ありがとうございました。
 本日の議事は、お手元の議事次第にあるとおりでございます。「1.国立病院の使命、役割、業務等」、「2.その他国立病院個別の課題」、「3.労災病院の使命、役割、業務等」、「4.その他労災病院個別の課題」ということでございます。順番に御議論をいただきたいと思います。
 まず、議事に入る前に、事務局から独立行政法人制度改革についての報告があるということでございますので、御説明をお願いいたします。
○片岡国立病院課長 独立行政法人制度改革についてですが、今日お配りしました資料の最後に、参考資料ということでA4の1枚の紙で、「独立行政法人制度改革関連法案のポイント」がございます。
 今回御報告したいのは、この制度改革の関連法案が先週の金曜日に閣議決定されて国会に提出されているということでございます。内容につきましては、第1回のときに御説明いたしました基本方針に沿った内容になりますので、説明は省略させていただきます。
 もう1点、御説明ですが、机の上にファイルを置かせていただいております。毎回のこの検討会の資料と関連法律等、今回の御審議の際に参考となる基礎資料等をつけておりますので、適宜御参照していただければと思います。
 本日の資料もお持ち帰りいただいて結構でして、また今回の資料も次回のときにご覧いただけるように、「第2回」という形でここにまた改めて挟んでいくこととしております。
 説明は以上でございます。
○永井座長 ありがとうございます。ただいまの資料の御説明につきまして、御質問はございますでしょうか。どうぞ。
○齋藤委員 今の一枚紙で、上の方ですが、独立行政法人制度を廃止して、「独立」を取って「行政法人」制度にする、2種類下にありますね。「中期目標行政法人」と「行政執行法人」と。今議論している2つの病院はどちらになるのですか。
○片岡国立病院課長 この国立病院、労災病院につきましては、前回御説明しました基本方針の中で、これとは別に個別の法律に基づく新しい法人制度とするように、という基本方針になっておりますので、これらとは別に改めてここで御議論いただいて、その内容に沿った形で次期通常国会に法案を提出して、施行時期は今日説明いたしました独法全体の関連法案、一番下に施行日が書いてあります。法律では、公布の日から2年を超えない範囲内において政令で定める日となっておりますが、想定しておりますのは平成26年4月1日で、国病、労災については別個の法案を来年提出して、施行時期は合わせるということでございます。
○渡辺委員 関連して、もうちょっと整理してほしいんですが、今、齋藤委員からもありましたが、この紙にあるように、独法を新たな行政法人にするわけですよね。それで、国病と労災は新たな別の、簡単に言えば民間法人を目指すわけでしょう。他の独法、例えばRFOも含めて、病院の独法とか、そういうのをどうしようとしているのか、今日でなくていいですが、何か整理したわかりやすい表みたいなものをつくってもらえませんか。特に病院関係と、他に独法はいっぱいあるわけだから、それをどうしようとしているのか。もっと言えば、公務員型なのか、非公務員型なのか。こっちは民間だから問題なく非公務員なんですが、どうもそれがわかりにくいので、それを是非お願いします。
○片岡国立病院課長 次回、整理させていただきます。
○永井座長 ほかに御意見はございますか。よろしいでしょうか。御質問がございませんでしたら、議事に入りたいと思います。
 まず、議題1について、事務局から御説明をお願いいたします。
○西嶋国立病院課長補佐 議題1でございます。資料は1-1をごらんいただければと思います。「国立病院の使命・役割・業務等」でございます。簡単に御説明を申し上げたいと思います。
 まず、大きく医療、臨床研究、人材育成、この3本柱で御説明いたしたいと思います。医療の中でも、いわゆる政策医療、災害、緊急時対応、地域医療、医療の質の向上という取組みを国立病院機構で行っておりますので、その概要について御説明をいたします。
 1ページをご覧いただければと思います。国立病院機構の目的、業務の範囲ということで、国立病院機構法の中でそれぞれ記されておりまして、業務の範囲といたしましては、医療を提供すること、医療に関する調査、研究を行うこと、医療に関する技術者の研修を行うこと、それから附帯業務というふうになっております。
 また、同じ条の下のところを見ていただければと思いますが、国立病院の建物の一部、あるいは設備、機械、器具を機構に勤務しない医師、歯科医師の診療、研究のために利用させることができるということで、外部利用のことも明記がございます。
 また、次の2ページですけれども、19条には緊急時対応をするべしということが記されてございます。
 3ページでございます。まず、政策医療の提供というところでございます。国立病院機構は重症心身障害、筋ジストロフィー等、民間の医療機関では必ずしも提供されないおそれのある医療を提供しているということでございます。
特に、4ページのところと併せてごらんいただければと思いますけれども、重症心身障害の場合では超重症児の割合が一般のほかの医療機関と比べて多いということや、結核の場合は、1床当たりの多剤耐性結核患者数が全国の平均と比較をしても多いということで、そういった対応が難しい患者さんを国立病院機構では担っているというところでございます。
5ページをご覧いただければと思います。先ほど御説明を申し上げました、セイフティネット系といわれるものが下のところにございますけれども、それのみならず、4疾病5事業の事業であったり、その他ネットワークということで、それぞれの国立病院機構の特徴を生かしながら、それぞれネットワークを構築して、それぞれの地域医療に貢献しているという状況でございます。
6ページでございますが、災害時、あるいは新興感染症等発生時の緊急時対応ということでございます。国立病院機構本部の指令によりまして、例えば発災時、速やかに医療班を派遣する、あるいは本部に情報を集約することにより効率的にそれを運用できるということで、今回の東日本大震災もさることながら、過去には岩手、宮城の内陸地震、あるいは新潟県の中越地震等においても、こういったDMAT、あるいは医療班の派遣ということで、こういった仕組みで速やかに対応を行っているという状況でございます。
7ページをご覧いただければと思います。今回の東日本大震災においての活動状況を1枚にまとめてございます。全国のDMATを指揮する災害医療センターを持っております国立病院機構といたしましては、DMATの派遣ということで、DMATの派遣を行っておりますし、医療班の派遣ということで、こういった144の病院のネットワークを活用いたしまして、一貫性、あるいは継続性のある医療班の派遣を行ってまいりました。
更には、ほかの病院団体に先駆けて、放射線のスクリーニング班の派遣ということを福島県に行ってございます。その他、心のケアチームであったりとか、看護師を被災した機構病院の支援ということで派遣をしたり、あるいはいわゆる現地対策本部に病院のスタッフを派遣したり、逆に、被災の方々の患者さんを受け入れたりということで、それぞれの国立病院のネットワークを最大限に生かしつつ、今回の東日本大震災に貢献をしたということでございます。
次の8ページでございますが、平成21年ですので少し古い話でございますが、新型インフルエンザの対処ということで、厚生労働省から要請を行い、全国の検疫所、あるいは停留施設に対して、55の病院から医師を延べ227人、看護師延べ272人を派遣したという経緯がございます。
9ページをご覧いただければと思います。9ページから、国立病院機構はどのように地域医療を担っているかということを御説明させていただきます。まず、地域医療の提供ということで、ほかの公立病院、あるいは私立の医療機関等々と相互に連携をしながら、地域医療を提供している。都道府県が医療計画を定めている中で、1つの公立病院として国立病院機構もその役割を担っているという状況でございます。
具体的には、例えば10ページを見ていただければと思いますが、144のうち47の病院が地域医療支援病院として県から認定を受けてございます。そういう中で、ここの岡山医療センターの活動事例もございますけれども、あくまでも県の地域医療という枠組みの中で、国立病院機構がさまざまな特徴を生かしながらそれを担っているということで、岡山医療では県内の医師会を通じて開放病床を設置したり、大型医療機器の共同利用、あるいは研修会を地域に向けて実施したり、そういった取組みを行っているところでございます。
11ページをご覧いただければと思います。4疾病5事業の拠点病院でございますけれども、こちらにつきましても数としては決して多くはございませんけれども、国立病院機構もそれぞれの拠点病院の認定を受けてございまして、その中で医療提供の体制の確保に大きく貢献をしているというところでございます。具体的には、救命救急センターから始まり、エイズのブロック拠点病院、治療拠点病院というところまで、そういった取組みを行っているというところでございます。
参考のところに小さく書いてございますけれども、全国の病院に占める機構の病院の比率が1.6%という中で、箇所数としてはどの拠点病院を見ても数字としては大きくないですけれども、割合としては相対的に大きくなっているというふうに御理解いただければと思います。
12ページでございますが、単に医療計画の中で国立病院機構の任務を果たすだけでなく、実際に医療計画を都道府県が策定するときに、国立病院機構のスタッフが県の医療対策協議会等に入って、積極的に地域医療政策に関与しているという数字を記載してございます。そういった中で、12ページの下のところにございますけれども、クリティカルパスを活用しつつ、地域の医療機関と機能分担を図りながら地域医療を提供しているという事例を御紹介させていただいてございます。
13ページをごらんいただければと思います。先ほど少し申し上げましたが、CT、MRI等の高額医療機器の地域の医療機関との共同利用の促進ということで、これは現在、地域医療支援病院の見直しも議論されておりますけれども、その中で要件としてもこういったことが記されてございますけれども、活動事例《埼玉病院》と書かせていただいてございますが、ネットワークも活用しながら国立病院機構の機器を有効に活用するという観点で、地域に広く使っていただいているということでございます。
 (8)として、医師・看護師の不足病院への応援ということでございますが、いわゆる政府の緊急臨時的医師派遣システムで、国立病院が医師を派遣したり、その他、国立ハンセン病療養所、あるいは医師不足の国立病院機構、あるいは看護師不足の国立病院機構間でそれぞれスタッフを派遣するということで、このネットワークを活用しつつ、それぞれの地域医療できちっと医療が提供できるように取り組んでいるということでございます。
 14ページをごらんいただければと思います。今、それぞれの地域医療再生計画の中で、国立病院機構が関係する事業ということで例示を記させていただいております。プロジェクト1として西群馬病院ということでございますが、渋川総合病院と再編をいたしまして、新病院を整理し、地域医療の充実を図るということで、公立同士の急性期医療を地域で提供するというためのものでございますし、滋賀病院に関しての右の例を申し上げますと、滋賀県の東近江にあります国立病院機構と東近江市立の2つの病院、国公立の計3つの病院の集約化、再編を行うということで、東近江市の医師の確保に貢献をさせていただいているということでございます。特に、滋賀医科大学の寄附講座を国立病院機構の中に設置をして、医師を大学から派遣をしてもらうほか、学生・研修医等の臨床教育の場としても国立病院機構を活用するという取組みを行ってございます。
 15ページでございます。ここからは医療の質の向上の取組みを御紹介させていただきます。まず、1つは全国共通の臨床評価指標というものを国立病院機構で設定をしてございまして、そういったものを活用して、144のそれぞれの病院を横断的にその病院の医療の内容を可視化して、それぞれの病院長がその病院の中でどういう工夫が更にできるかというインセンティブを確保し、そういった情報を機構本部としては各病院に提供しているという取組みをしてございます。
 また、厚生労働省の22年度の事業でございますが、医療の質の評価・公表等推進事業にも参画をし、いわゆる臨床評価指標の計測マニュアルを公表等している。そういった取組みをしてございます。
 16ページをご覧いただければと思います。医療安全についてでございますが、医療安全情報システムを構築いたしまして、各病院の医療事故を機構本部に報告をするという仕組みが整ってございます。その報告された医療事故分析を本部の方でし、重点的に取り組む事案について、プロジェクトの設置、あるいは手順書の策定を本部で行い、それぞれの144の病院にフィードバックをしているという取組みをしてございます。例といたしましては、転倒・転落防止プロジェクトであったり、そういったもの策定をしているということでございます。
 また、医療安全白書ということで、そういった事故の事例がそれなりに集まってまいりますので、18年から白書をとりまとめて、警鐘的な事例を共有し、医療事故の防止に努めるということを行ってございます。
 少し飛ばさせていただきまして、18ページでございますが、在宅医療と介護、あるいは福祉との連携ということで、東埼玉病院の例を記載させていただいてございます。この中では、特に(2)、(3)、(4)でございますが、県から委託、あるいは依頼を受けて、東埼玉病院の特徴を生かせる事業というものを実施してございます。こういった国立病院機構に非常に特徴のある病院もございますので、そういった場合に県からこういった形で委託・依頼を受けて、それぞれの取組みを行うということもあるというふうな御紹介でございます。
 19ページをご覧いただければと思います。ここからは臨床研究・治験についての御紹介でございます。国立病院機構の臨床研究・治験の特徴は大きく3つございます。1つは、ネットワークを使った大規模な治験を行うことができる。特に、機構本部が一括して治験依頼者からの依頼を引き受けることができますので、そこから144病院に声かけをし、複数の医療機関における治験を調整できるという特徴がございます。また、特徴?といたしまして、臨床研究でございますが、グループリーダーを中心として、21の領域について大規模な臨床研究を行うという特徴がございます。特徴➂としては、CRC等の治験に必要な人材の確保というものが今全国的に叫ばれてございますので、国立病院機構としてもそういった取組みを行っているというところでございます。
 20ページに、具体的にどういった治験の実績があるかということで、例を2つ記載させていただいてございます。例1でございますが、19年~22年に製造販売、あるいは適応追加が承認された382品目の薬のうち206品目につきましては、国立病院機構が承認申請の前提となる治験に何らかの貢献をしているということで、それなりの貢献をここに記載させていただいてございます。
また、例2でございますが、新型インフルエンザのパンデミックワクチンの研究ということで、そのワクチンを導入するときも先導的にそういった臨床研究等を行っておりましたけれども、継続的にそれを実施しているという御紹介でございます。
 21ページをご覧いただければと思います。人材育成でございますが、医師、看護師、あるいは地域に対する研修会、そしていわゆる特定看護師の厚労省の試行事業というところにも参加させていただいているという御紹介でございます。
 22ページに、国の医療政策と国立病院が担う国のミッションとの関係例を記載させていただいてございますが、最初に御説明申し上げました結核、筋ジストロフィー、重症心身障害等々、古くは昭和20年、30年代に社会的要請があって、国立病院が主導として取り組んできて、今なおそれを継続して実施しておりますが、それだけでなく、昨今で言えば、震災対応でもしかり、特定看護師のこともしかり、あるいは医療観察法の取組みについてもそうですけれども、何か政策を打ち出すときに、国立病院機構がまずはその場を提供するということを取組みとして行っているということでございます。その御紹介でございます。
 最後、23ページ、24ページに、国立病院・労災病院の在り方の検討会の報告書が2月にまとまってございますので、その抜粋ということで少し記載をさせていただいておりますので、これはご覧いただければと思います。
 以上でございます。
○永井座長 ありがとうございました。では、ただいまの説明及び資料につきまして、委員の皆様から御意見等を伺いたいと思います。いかがでしょうか。渡辺委員。
○渡辺委員 質問です。14ページの連携の話で、滋賀のケースはわかりにくかったけれども、どういうことなのですか。要するに、2つの自治体病院と連携しながらというのはわかるのですが、平成25年に国立病院の中にセンターをつくると書いてあるでしょう。これはどういうことですか。要するに、今の滋賀の国立病院を残しておきながら、新たなセンターをつくるということなのでしょうか。具体的に教えてください。○清水副理事長 これは大学サイドのホームページからの切り張りですので、ちょっとわかりにくいのですが、要は東近江市というのは合併市町村でございまして、各市町村が持っていた幾つかの病院があります。それで、おのおの分散していたのでは医師の確保は難しいということでございますので、滋賀病院に一本化するというコンセプトでございます。能登川が病床数を非常に少なくするか、診療所化するか、ちょっと忘れましたけれども、実質的にもう病院機能は滋賀病院に集約化する。滋賀病院の名称を東近江総合医療センターにしていくというものでございます。
○渡辺委員 能登川、蒲生という自治体病院が事実上合併してしまうという解釈ですか。
○桐野理事長 おっしゃるとおりでございます。
○渡辺委員 これは言わば初めてのケースでしょう。国立と自治体が一緒になるというのは。
○桐野理事長 はい。実は、左の方もそうでして、渋川市の病院、市立と国立を合体して、残るのが国立という形になるものです。やはり、近年の医師不足ですとか、さまざまな効率化を図る中で、私どももさまざまな形で貢献しているというものでございます。
○渡辺委員 わかりました。
○永井座長 夏目委員。
○夏目委員 2つ質問ですが、第1点目は3ページの政策医療の提供についてですが、国立病院機構のまさに最重要なミッションが政策医療の提供ということで、現実、この表にありますように、大変に多くの事例というか、実施をしているわけですが、その理由が上に書いてあるように、民間の医療機関では必ずしも提供されないおそれがあるということで、要するに採算性に問題があるから、民間に任せておくと、こういうことが実施されない可能性があるということで、セイフティネットとして国立病院機構にそういうミッションを与えているということだと思うんですが、現実は、その他のところは民間病院も結構多いと思うんですが、一番上の重症心身障害においても5割ぐらいはその他で実施されている等々、必ずしも提供されないおそれがあるとは言いながら、その他の民間病院を含めて、現実は提供されているということで、それはそれなりの理由があるんだろうと思うんですが、その主な理由というか、民間病院を中心としたその他で政策医療が現実行われているのはどういう動機とか、どういう目的があって現実に行われているのか。それが第1点です。
 第2点の質問は、国病機構法19条である面では命令ができる、災害のときなど要求ができるというのが2ページ目に紹介されているのですが、今回の東日本大震災というのは、まさに法律が前提とする災害なのだろうと思うのですが、現実は19条に基づくこととして災害医療活動が行われたのか。そうではなくて、もう自主的、自発的に病院機構の方で、法律とは関係なく実行されたのか。
そうすると、この法律が発動される事例というのは、どういう事例なのか、これも本当の最後の最後のときに担保する意味でこの法律があるだけという位置付けなのかどうか。今回の東日本大震災の災害医療活動はこの法律との関係、法律に基づいての活動なのか、それとも自主的、自発的な活動なのか、その2点について。
○永井座長 いかがでしょうか。
○西嶋国立病院課長補佐 まず、1点目の方でございますが、必ずしも提供されないおそれのある医療という書きぶりになってございますけれども、民間医療機関でどうして実施しているかということは、1つは歴史的な経緯で始まっているということもございますけれども、もう一つは経営面的にも必ずしも大きくマイナスではなくて、いろいろな補助金等、そういったことを活用しながら実施しているということもございます。
ただ、国立病院機構が主体でやるという意義は、そういった状況が変わったときにも責任を持って引き続き継続的に医療を提供できるという観点からも、おっしゃるように、重症心身障害であったり、結核等もそうですけれども、割合としては必ずしも多くはないという状況がございますけれども、逆に言うと、半分近くは国立病院機構が担っているという考え方もできるのかなと思っております。
○清水副理事長 少し補足いたしますと、やはりこういう医療というのは採算の問題もございますが、人手の問題、進んで多く従事しようという従事者がいない分野であるといったようなことがもう一つございます。
 それから、病院の性格といいますか、通常の総合病院的なものの中には一緒にいることがなかなか難しいということもございます。それから、現実問題として、例えば?の心身喪失者等医療観察法に基づく医療ということになりますと、近隣との調整ということもございます。
したがいまして、普通、一般我々がイメージするような病院がこういう医療を実施できるかというと、なかなかそうではなくて、こういう医療を実施しましょうということでセッティングされた、そういう歴史的経過ということの中で実施しているというのが実情でございます。私どもはそれが非常に大事であって、これを実施していくのが使命だと考えているということでございます。
○桐野理事長 重症心身障害については、最初にスタートされたのはむしろ民間の福祉団体を中心とする、言ってみれば尊敬すべき人たちがスタートされたものが非常に多くて、だけど、ボリュームはそれだけでは全く十分ではありません。重症心身障害はそういうことで、国がやらなければいけません。
 筋ジストロフィーの方は、かなり専門的な医療が必要であるということで、神経内科の先生方を中心として、かなりの割合が国病機構で従事しているということでございます。
○永井座長 梶川委員、どうぞ。
○梶川委員 社会的に非常に有意義な業務を行われているということはわかりました。本当に大事なことだと思っています。そういう観点から、今、幾つか政策医療から始めて、そういう社会性の高い業務活動を御説明いただいたのですが、この業務活動が病院全体に占める活動領域としてどのぐらいの定量的な割合でいらっしゃるのか。例えばこれが2割、3割というのと1%、2%というのでは、全体を議論するときに少しスタンスが変わってくるのではないかなと思うんですね。
 実際に、これに対してどのぐらいの経済的資源を含め、御投入され、どのような採算の悪化を招いているかというか、セグメント的な、活動領域セグメントのようなものが、今でなくても結構ですけれども、もしおとりになれるようなことであれば、議論全体の中のどのぐらいの割合の話かということがもう少しわかりやすくなるのではないかと思います。
 更に言えば、それをどのぐらいまで拡大していかれたいのか、ないしは縮小していこうと思われているのか。一番は、これ以外の普通の医療のところが国民にとってみると、ある意味では使命として、それをいかに効率的かつ高質にしていただくかということも多分大きな使命ですが、つい御説明の中心部分は割合としてはむしろ小さいかもしれない部分にこられるのですけれども、そちらがより高質、効率的に行われれば、それ以外のこともより充実したサービスになると思うので、私の質問としては、長くなってしまいましたが、割合的に何か計数的なものを教えていただければなということでございます。
○清水副理事長 次回、また整理して、事務局と相談したいと思います。一言申し上げますと、3分の2が元の療養所といいまして、病院数で3分の2がこのような重症心身障害、筋ジストロフィー、心身喪失者等の医療観察法に基づく医療を実施しているいるということがございます
 それから、内部補助は実施してございますが、国からは診療事業についての運営交付金はいただいておりません。また、内部補助も医療自体には余り実施しないような形にしてございまして、できる限り各病院で独立採算になっていただくように、本当に現場の病院には頑張っていただいているというところでございます。
また、整理して御説明を申し上げます。
○梶川委員 今、お聞きした話は、今までの御説明で十分に理解をさせていただいております。今おっしゃられた内部補助に関して、私はどのぐらいの割合なのかということが、3分の2がこういう療養所等々とおっしゃられますが、ただ、その3分の2の療養所が今の政策医療だけをしているわけではなくて、ごく通常の医療をされておられるわけでございますよね。
○清水副理事長 大ざっぱに言いますと、大体300床弱から300床強ぐらいというのが元の療養所の大きな形でございまして、そのうち1個病棟40床、場合によりますと2個病棟ぐらい、一般医療を実施している場合もございますが、過半はこのような重症心身障害、筋ジストロフィー、あるいは心神喪失等医療観察法に基づく医療といったものを実施している、そんなイメージでいていただければと思います。
○梶川委員 それは業務がほとんどそこにかかっておられる、こういう患者さんのための病院であって。
○清水副理事長 勿論、入院患者さんの数で言うとそういうことになりますが、筋ジストロフィーや重症心身障害の外来というのは数は少のうございますので、外来をとってみれば、そうではない方の数の方が多くなりますが、やはり病院の性格、目的といったものは、こういう入院患者さんを中心に回っているということでございます。
○梶川委員 わかりました。その辺が数量的、定量的に教えていただければ、頭に入りやすいと思ったものですから。済みません。
○桐野理事長 5ページの一番下に、144病院のうち、例えば一番下に重症心身障害は58病院、筋ジストロフィー・神経は64病院、精神は27病院、結核・呼吸器は64病院、エイズ70病院というように、大体こういう感じです。
○永井座長 齋藤委員、どうぞ。
○齋藤委員 私も全く同じことを伺おうと思ったんですけれども、いわゆる一般医療と政策医療との比率といっても、これはどういう比率かというのは難しいと思うのですが、マンパワーとしての比率を伺いたいと思って。同じことを後で労災病院の説明を聞いてから伺いたいと思っています。
 以上です。
○片岡国立病院課長 夏目委員の御質問の2点目の回答が漏れていましたので、説明いたします。2ページの19条で、今回の東日本大震災はこれを発動させたのかどうかという関係のことでございますが、この19条は国立病院機構に緊急被害、災害が起きた場合にこういう形で活動をお願いするということで、法人のある意味では性格、役割を明記しているものでございます。今回の東日本大震災のときにはこれに基づいて何か命令をかけたというわけではなくて、実質的にこういうことを要請し、また、今でも東北の方や福島等、医師確保等に苦労されておりまして、そういうところにも国立病院に医師の応援の要請をしているということでございまして、必ずしもこの法律に基づいて行動しているというわけではないですが、性格としてはそういう位置付けを帯びているというようなことかと思います。
○夏目委員 これは国立病院機構に対する条文ですが、それ以外の医療機関に対して、大臣からのこうした趣旨の要求ができるといったような条文というか、他の機関に対するものもあるのですか。あるとしたら、それが実際に発動された事例というのはあるのですか。これはやはりあくまでも念のための措置なのでということなのでしょうか。
○木暮労災管理課長 少なくとも労災病院に関しても似たような規定がございまして、やはり大規模の労働災害発生のおそれがある場合とか発生した場合に、同じように大臣が要求できるという規定はございます。
しかし、実態上は法律に基づくものではなくて、事実上、厚生労働省、昔の労働省などが手配をして、労災病院に活躍いただく。特に古い時代などは、炭鉱の炭塵爆発とか、色々ございましたが、そういうときには実態上、かなり具体的に、ここの病床を空けろとか、命令をしたようなことはございますけれども、それは法律に基づいてというよりも、かなり実態に基づいてやっていたということでございます。
○夏目委員 しつこくて恐縮です。これは法律がきちんと後ろにあるから、そういう要請とか、そういう実態が出てくるんですか。仮にこうした法律の条文が何もないとなると、そういう要請とか、そういう実態は現実としては動きにくくなるのですか。
○木暮労災管理課長 動きにくくはなると思います。ただ、本当にやらないのかどうかというところの検証を私どもはしているわけではないですけれども、やはりきちんとしたミッションが与えられているという一つの証が、法律上、明定されているというふうに理解されていると思います。
○永井座長 私から1つお聞きしたいのですが、先ほどの一般医療との関係ですが、この中に高齢者、あるいは中高年の慢性疾患がかなり入っていると思うのですが、今、WHOがNCD、ノン・コミュニカルブル・ディジーズということで世界的に対策を呼び掛けています。そうした政策医療の在り方というのは、今後、特に慢性疾患との関係でどういう展望を持っていらっしゃるか、もし御検討いただいているのであれば、教えていただきたいのですが。
○西嶋国立病院課長補佐 まず、委員長のおっしゃるとおりでございますけれども、1つは144の現場を持っている一つの独立行政法人として、今後多くの患者さんが出てくるであろう、そういうNCDの対応ということは必要になってくるだろうと。
具体的には、当然医療についても行っていくわけですけれども、福祉との関係というところも非常に重要になってくる。ここの国立病院機構だけでなく、厚労省でも、いわゆる医療と介護の連携であったり、在宅医療の充実とか、そういったものが叫ばれてございますので、先ほど少し御説明しましたけれども、18ページのところに少し書いてございますが、いわゆる24時間対応の在宅医療の実施であったり、それをすることでその地域の医療資源だけでなく、いわゆる福祉の資源、社会的な資源とも連携をしつつ、国立病院機構は医療機関としての適切な医療を提供することができる。
1つの地域だけを見るとそうですけれども、それが144のネットワークとして、うまく医療の中で、地域によっては必ずしも医療、介護との連携ができていない部分、そういった地域を所管している、そこにある例えば国立病院機構であれば、うまくいっている事例を持ち込んだり、そういったこともできるでしょうから、そういったような取組みも今後できるようになるといいのではないかなと思います。
○永井座長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。
○渡辺委員 夏目委員の御発言に関連してですが、確かにこの両機構が民間法人になったときには、この独法に関する法律は消えるわけでしょう。そうすると、災害医療に関する厚生労働大臣の指揮というか、そういったものは書かなくなるということですよね。それが1つ。
 もう1つは、一方で都道府県の地域医療計画で4疾病5事業の中に災害医療も入っているわけだけれども、そのときは民間医療機関も当然協力するというのは、今度は都道府県知事の権限なのかどうかわからないけれども、それがある。
 もう1点だけ言うと、鳥インフルエンザのときに国立病院機構は厚生労働省の要請を受けて実施したわけですよね。その辺の関係が民間法人になったときにどうなるかというのは、今すぐでなくてもいいのですが、それがわかりにくいと今夏目委員のお話を伺っていて思ったんですが、もし、今の段階でわかる点があったら教えてください。
○清水副理事長 今の規定は、独法通則法ではなくて国立病院機構法に書いてあるわけでございますので、今後、先生方の御議論により、新法人ということになってもそういう趣旨の規定を生かす方向にすべしと、私はその方がいいのではないかなと思うんですが、そういうことであるならば、その類の規定が残るという判断になろうかなと思います。
 SARSのときや、あるいは東日本大震災のときは、確かにこの規定自身ではなくて、さまざまな行政上の仕掛け、EMISを基にしたDMATの実態的指揮基地が立川の災害医療センターにございますので、そういうところで実施してございますが、やはり全体的な法制の位置付けとしては、私どもにこういうミッションが与えられているというのは私どもを特色付ける一つの大きなものではないかなと思ってございます。
○永井座長 よろしいですか。
○夏目委員 これは次回でもいいですから、例えば、日赤は民間法人だけれども、その与えられたミッションみたいなもの、特にこういった緊急のケースを、その辺もさっき言った表とともに併せてわかりやすく出してください。
○清水副理事長 事務局と相談してやります。
ただ、日赤は国際赤十字条約に基づいて日赤法というのがございまして、災害対策基本法でも特別な位置付けが与えられているということがございます。その意味では、すべての医療機関に薄く、その中で日赤に厚くというのが災害対策基本法の考え方でございますけれども、いろいろな重層的な、そういう一部のものには手厚く書くという書き方があるのかなというふうに思ってございます。
また、整理して、御説明を申し上げたいと思います。
○永井座長 時間の関係で、続いて国立病院の個別の課題ということで、議題の2に参ります。説明を事務局からお願いいたします。
○小野田国立病院課長補佐 議題2について説明させていただきます。資料1-2、「国立病院の個別の課題」という資料をご覧ください。
 1ページめくっていただきまして、国立病院機構は平成16年度に独法化した際に、政策医療でありますとか、緊急時の対応など、国のミッションを確実に実行するためということで、公務員型の独法に移行いたしました。しかしながら、これまでのところを見ておりますと、医師、看護師等を含めて、職員は公務員だからというよりは、むしろ職業人、医療人としての高い志ですとか、使命感といったものに基づいて業務を遂行しております。
 また、一方で女性医師というものもたくさんおりますので、現状として子育て中の医師を活用したり、ベテランの医師にほかの組織から来ていただくような必要性も生じています。そのほか、SEなど技術者が必要となるようなケースもございます。この場合に、ほかの機関ですと、身分が非公務員、国立病院が公務員ということで、なかなか外から人を雇う場合に柔軟な対応が難しいという現状がございます。
 以上のようなことを踏まえまして、今回、新法人に移行するに当たりましては、今までは主として国家公務員法に基づく人事管理等を行ってまいりましたが、これから非公務員の身分とするためには、他の今の民間法人に適用されている制度なんかも参考にしながら、今度の新法人の性格を踏まえて、新たな基準づくり、ルールづくりといったものをしていく必要があると考えております。
 下の表は具体的な検討を要する項目の例でございます。例えば、1つ目の採用というところをごらんいただきますと、現状の特定独法においては国家公務員法に基づいて採用を行っております。隣の現行の非公務員型の非特定独法ですとか、民間の医療機関、日赤等の場合ですと、これは民間なので、労働基準法ですとか労働契約法に基づいて行っている。
 同じようなことが、下の項目でございますが、例えば給与の支給の考え方、現在の特定独法の場合には、独法通則法に国家公務員の給与、民間企業の給与、法人の業務の実績及び中期計画の人件費の見積もりその他の事情を考慮しなければならないというルールがあります。一方で、非特定独法のケースですと、独法通則法においては法人の業務の実績を考慮かつ社会一般の情勢に適合したものとなるよう定めなければならないというようなことがございます。今回、新しい法人制度にする際には、職員の給与の支給の考え方というものもきちんと整理をする必要があると考えております。
 次の2ページ目に行っていただきまして、服務等についても、これまでは国家公務員でしたので、守秘義務ですとか、職務専念義務、兼業の制限などがございました。現在、非特定独法の例を見ますと、これは個別法で同じような秘密保持義務ですとか、みなし公務員の規定などを置いております。こういったことも、新しい法人の職員について服務等をどうするかということは課題として検討する必要がございます。このほかにも、その下の勤務時間等の定め方ですとか、定年をどうするかといったような項目もございます。
 それからもう一つ、これは大きな論点の一つとなりますのが社会保険の問題でございます。これまでは、公務員ですので国家公務員共済組合に入っておりますが、例えば年金制度について見ますと、現在、非特定独法の場合には、共済組合に入っている法人もあれば、厚生年金に入っている法人もございます。それから、1つの法人の中で2種類、共済組合と厚生年金の両方を適用しているという法人の例もございます。ですので、これも今回の国立病院機構、新法人にする際に職員にどのような社会保険を適用するのかということは大きな課題の一つとなってまいります。
 これと併せて、今資料には書いていないのですけれども、公経済負担の取扱いという話も同時に検討すべきこととなってくると思います。これは、前回の第1回目の検討会の際に、機構の矢崎前理事長の方からもお話があったかと思いますが、国病機構が負わされている、いわゆる公経済負担、基礎年金の国庫負担2分の1相当額分というものがございます。これをどうするかということは、社会保険の適用の在り方を考える中で、併せて検討していく必要があると思います。これは新しい法人の使命とか、役割とか、性格といったものがどういうものであるかということを考慮した上で、どういう在り方がふさわしいのかということを関係省庁等を含めて調整していく必要がある問題だと考えております。
 このほか、次の3ページ目を見ていただきまして、雇用保険ですとか、災害補償についても、現在は国家公務員の身分に基づくものに適用されておりますので、これが民間と同様になりますと、雇用保険法ですとか労災保険法の対象となろうかと思います。この場合には事業主負担というものが発生しますので、新たに雇用保険料でありますとか、労災保険料の負担が発生するという課題がございます。
 ほかに、ここにあります労働三権ですとか、労使関係といったものについても、これまでとは異なる法律の適用ということを考えていく必要があります。
 以上、簡単でございますが、非公務員化に伴って発生するこれらの課題、項目というものについては、現行の民間の法人に適用されている制度というものをよく比較しつつ、新たな法人の役割、使命、そういったものを踏まえた上で1つずつ精査していく必要があると考えております。
 以上でございます。
○永井座長 ありがとうございました。それでは、御質問、御意見を伺いたいと思います。渡辺委員、どうぞ。
○渡辺委員 今、1点だけ確認しておきたいのは、公経済負担については、国立病院機構がたとえ公務員型であろうと何であろうと、あるいは民間になろうと、私に言わせると、これは不当に負わされている負担なんですよね。つまり、国立病院機構だから、公務員型だから2分の1は自ら負担するというのは、これはどう考えたっておかしな話なので、そういった意味では、私に言わせれば、そこで新たな法人への移行に当たっての議論のテーマではなくて、他は今おっしゃったとおりだと思うけれども、そこは分けて考えておかないと、ごちゃごちゃになってしまうというのか、混乱すると思います。
 とりあえず、以上です。
○永井座長 ほかにいかがでしょうか。
○夏目委員 大した質問ではないのですが、主な課題等のところで記載があるところと空欄になっているところがありますが、事務局としては、空欄のところは、この左側の医療事業を行う非公務員型法人の例が書いてありますが、基本はこの考え方でいいのではないかと。ただ、記載がある支給の考え方みたいなものは、今回新しい新法人もきちんとした支給の考え方を定めた方がいいのではないかと。少しメリハリというか、重要度が違いますよという意味で、記載があるか記載がないかの違いがあるということと理解してよろしいのですか。
○小野田国立病院課長補佐 現時点で少なくともこういう課題があると認識しているものをまず課題等に書いてございますし、またおっしゃるように、重要なものというものも勿論その中に入っているという整理でございます。
○永井座長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、この件は以上とさせていただきます。
 では、議題の3及び4に参ります。労災病院の使命、役割、業務等、及び労災病院の個別の課題、一緒に事務局から御説明をお願いします。
○木暮労災管理課長 資料2をごらんいただきたいと思います。めくっていただきまして、1ページに労災病院の使命・役割と関連の条文をつけております。まず、最初に一番下の独立行政法人の労働者健康福祉機構の目的というところをごらんいただきたいわけでございますが、現行の法律におきましては、療養施設の設置及び運営等を行うことによって、業務上の負傷、疾病に関する療養の向上とか、最終的には労働者の福祉の増進に寄与する、こういう書き方になっているということでございます。こういう療養施設という箱物を設置、運営するという書き方については、以前の在り方検でも若干申し上げましたけれども、私ども独立行政法人に転換するときには、もうちょっと違った書き方もあるのではないかということは内々検討した経緯がございますけれども、やはり業務が広がったり狭まったりするというような御指摘もございましたので、形式的に昭和40年代時代の条文をかなり引きずった形で現在まで来ております。
私どもとしては、新しい法人制度という転換のときにあっては、今の国立病院機構の書き方のように、医療を提供するとか、研究をするとか、むしろ個別に使命を書いていった方がいいのかなと考えているということでございます。それを前提として、2ページ以降、労災病院の使命・役割等について、順次御説明を申し上げたいと思っております。
 2ページは、在り方検の報告書をつけているということで、御参照いただければと思います。
 3ページに労災病院等の業務の在り方が書いてございますけれども、これを図と条文を示したものがその次の4ページ、5ページでございますので、4ページ、5ページで御説明申し上げたいと思っております。
 労働者健康福祉機構におきましては、大きく労災病院関係業務とその他の業務というのを行っております。その他の業務と申しましても、労働政策上はその他というよりもかなり重要なものも含まれているということでございます。
 まず、労災病院関係業務といたしましては、労災病院の設置・運営ということでございまして、具体的には労災病院という名前がついた32の施設、それから吉備高原にありますリハビリテーションセンター、福岡県にございます総合せき損センターと、合わせて34のこれは実質上病院でございますけれども、その病院を中心として、そこにございますように、研究とか、教育・普及、あるいは労災保険給付のエビデンスの提供でありますとか、リハビリ、あとメンタルヘルスなどの産業保健といったような事業を実施しているということでございます。
 また、このように研究したり、普及するというものの一つの類型でございますけれども、産業保健については特別のセンターを持っておりまして、47都道府県に拠点を置いた形での産業保健推進センターというものを持っているということでございます。
 それから、併せて労災病院関係業務としては、労災リハビリテーション作業所の運営ということをやっておりましたけれども、これについては平成19年の閣議決定で既に廃止が決まっておりまして、平成27年度中に廃止というスケジュールで既に各施設に通知しているということでございます。
 労災病院関係業務以外のその他でございますけれども、1つは未払賃金の立替払事業というものでございます。これは賃金の確保等に関する法律という独立した法律によって実施しているというものでございますけれども、企業が倒産した場合に賃金が支払われないまま退職した労働者に対して、未払賃金の一部を立替払いするということでございます。これは、実際上は全国の労働基準監督署でさまざまな認定業務を行いますが、その後の立替払いの払い込みですとか求償の事務は本部でやっております。手足ではなくて、本部だけで集中化して実施しているという事業でございます。
 それから、産業殉職者慰霊事業ということでございまして、高尾にみころも堂というものがございます。労働災害によります殉職者の慰霊の事業をやっているということでございます。
 それから、これは今の制度の中でも附則として、経過措置としてやっているものでございますけれども、労働安全融資の貸付金の回収という業務をやってございます。これを条文で見ていただきますと、5ページでございますけれども、12条のところに、実は機構は附帯業務を入れて9つの業務を行うという建前になっておりますが、今御説明したもの以外に、第12条の2号、4号、5号という業務がございます。これについては、法律上の条文としては業務として残っておりますけれども、累次の行革、あるいは事業仕分けによって廃止されているというものでございます。健康診断に対する助成金とか、その他の助成金の支給の業務などについては既に廃止をして、一部経過措置をして事務を行っていることはございますけれども、基本的には廃止されているということでございます。
 次に、6ページ以下、若干、労災病院の業務について、敷衍して御説明を申し上げたいと思います。前回の在り方検におきまして、6ページの?から?までの役割を担っているということについて御整理をいただいたということでございますけれども、新法人においても、労災病院等の業務を担うべき医療については、基本的なこういうものを強化したり、再編したりしながら進んでいくというふうに私どもは認識しているところでございます。
これを若干図で御説明いたしますと、11ページまで飛んでいただきたいわけでございますけれども、基本的に労災病院グループ、ここには30病院と書いてありますけれども、これは分院とか、先ほど申し上げたせき損センターを入れると34になりますけれども、臨床の現場というものを持っております。その臨床の現場で、労災病院のネットワークを通じて職歴とか症例データを集積いたします。あるいは、労災病院という看板の中で、労災患者が一定程度集まってくるということがございます。こういうデータ、症例を使いまして、労災疾病の研究、医療技術・知見の開発・確立をやっております。
これは13分野というテーマでやっておりますけれども、その中ではいわゆる従来型のもの、せき損でありますとか、じん肺、振動障害といった非常に古くからあるものもございますし、新たな健康問題でございますメンタルヘルス、過労死、産業中毒といったようなもの、また最近問題になっているアスベストのようなものもございます。
それ以外に、古くて新しいテーマということで、リハビリテーションでございますね。昔は整形外科系のリハビリテーションでございましたけれども、最近は一般の労災以外の疾病、がんとか糖尿病などからどうやって職場に復帰するかという治療と職業の両立支援というテーマを掲げてやってございますけれども、こういう13分野の研究をしているということでございます。
この研究成果を当然、労災病院グループ内にフィードバックするわけでございますけれども、これを労災指定医療機関、あるいは行政に普及していく、あるいは行政に協力していく、こういう役割で考えて整理をしているということでございます。
特に、労災というものの特殊性でございますけれども、一種、損害賠償的な制度でございます。因果関係が明らかでないと行政の決定ができないということがございまして、なおかつ、古くはじん肺などのように労災になるかならないかという境目が、レントゲン写真を見て、全国斉一的にならなければいけないというような、そういう行政と結びついているという面がございました。したがって、その物差しを確立する。あるいは、争いがあったときに、労災病院に持ち込んで黒白つけてもらう。こういう普通の病院にはない、国立病院にもないような役割がどうしてもございまして、そこら辺の役割を専門家集団として担っていただくということでございます。
基本的に、労災患者そのものを労災病院に集めるというよりは、それは労災指定医療機関でやっていただく。法律上もそういう法体系になっております。労災病院グループはその言わば準ナショナルセンター的な側面も持ったものとしてやっていきたいということで、ただ、そこまで実際に立派なものかどうかということについてはいろいろ御批判があるというふうに認識をしているところでございます。
関連の数字を12ページ以下につけております。職歴等データベースについては、相当の数を集めて、本部に集約化をしているということでございます。このようなデータベースにつきましては、特に最近、メンタルヘルスとか過労死のようなものについては、労災病院グループだけでなくて、国立病院その他も含めて、もっと幅広くネットワークを組んで研究を強化していった方がいいのではないかという御指摘も受けており、認識しております。
それから、13ページのリハビリテーションの関係でございます。労災病院につきましては、実は独立行政法人になって以降、急性期病院としての努力をしておりますけれども、一方で職場復帰ということを考えると、リハビリ、あるいは職場復帰のためのさまざまなコメディカルの育成といったようなものも役割としてあるということでございます。ここら辺は現在の診療報酬体系の中でどのような立ち位置になるかというのは難しいところでございますけれども、ただ、労災病院としての役割上はこういう分野についても切り捨てるわけにはいかないと思っております。せき損などについては、特に地域においては大きなシェアを担っている場合があるということでございます。
それから、14ページでございますけれども、がんとか糖尿病などの治療と就労の両立支援などをやっております。
それから、15ページ、16ページのところは産業保健活動でございますけれども、特に16ページ、労災病院におきましては、メンタルヘルスとか過労死に関係のさまざまな企業への指導、セミナーなどを行っております。これについては、診療報酬を得られるものでないので、国からの予算と企業からの手数料ということでやっております。したがって、今後、財政的にこういうものをどの程度の規模でどういうふうにやっていくのかというのは一つの課題であると思っております。
それから、17ページは労災病院の行政への貢献の関係。
それから、18ページは教育・普及でございまして、特に最近ではアジアの諸国にアスベストでありますとか、じん肺などの診断法の研修などもやっております。別途、JICAの専門家の派遣など、厚生労働省本体でやっておりますので、そういう中で、とくに中国におきまして非常な経済発展の中で、こういう労働衛生分野の協力を進めていく必要が高まっておりまして、現在進めているところでございます。
それから、19ページは専門医の養成の関係でございます。
次に、20ページ、21ページは産業保健推進センターの関係でございます。これは労働安全衛生法で労働者50人以上の事業所に産業医の設置を義務付けている関係上、労働局との連携が必要であるということと、地域の医師会との関係がございますので、47都道府県を拠点にしてやっております。これは労災病院の行う産業保健活動の教育・普及というのを外出ししたというような部分もあるということでございまして、一部調査・研究もやっているということでございます。
これについては、前回の事業仕分けにおきまして間接部門の削減などを指摘されておりますので、47の拠点につきましては推進センター本体と連絡事務所という形での再編を今進めているということでございます。
22ページ以下は、先ほど口頭で申し上げましたけれども、既に廃止になったような業務などもございますので、説明は省略させていただきます。
27ページをごらんいただきたいと思います。総括的にまとめますと、現行法人で持っている業務のうち新法人へ移行するのは、基本的に労災病院と産業保健推進センターという業務を新法人へ移行ということを中心に考えておりますけれども、先ほど申し上げたように、リハビリテーション作業所については、恐らく平成27年度末になってしまうと思いますけれども、27年度中に廃止ということでございますので、ほかの法人になかなか引受手がございません。したがって、大変申し訳ございませんけれども、平成26年4月に新法人が発足するといたしまして、1年間だけは経過措置的に新法人へ移行してやらさせていただければと思っております。
未払賃金立替払事業につきましては、行政刷新会議分科会報告書にございましたが、勤労者退職金共済機構という独法がございますので、そちらへ移管するということで考えております。
産業殉職者慰霊事業につきましては、これは直接国が実施するということを中心として、今検討しているということでございまして、いずれにしても新法人には行かないということで考えているところでございます。
それから、労働安全衛生融資でございます。これは今、現行法人が経過措置業務で法律の附則でやっているものでございます。これについても、本来であれば、これは労災病院関係業務ではないということでございますけれども、ほかの法人への引受手がないということ、そして一部の融資については平成23年度に償還が終わったりして、平成30年度と33年度ぐらいまで若干細々と償還が残るということでございまして、恐らく頭数で言いますと1人か2人ぐらいの担当者がいれば回していける業務であるということもございまして、実施主体については検討させていただきますけれども、場合によっては新法人の方に経過措置業務としてお願いをするということもあろうかと思います。いずれにしても、新法人の制度設計そのものについては、こういう業務があるからといって、特に考慮を払っていただくことはないのかなというふうに考えているということでございます。
それから、28ページに新法人における労災病院と民間医療機関との役割分担がございますけれども、先ほど話題に乗りました厚生労働大臣の要求の規定を参考に載せております。16条にございますように、重大な労働災害が発生しようとする場合の要求ができるということになっております。したがって、このような役割を今後どのように考えるかということがあろうかと思っております。
それから、前回の宿題の資料をつけております。30ページは、医師1人当たりの診療収入約1億円というものの計算の根拠でございます。
31ページは、運営費交付金の現在の内訳ということでございます。財政の問題については、次回以降、検討の機会がございますので、今回は資料をお出しするだけということでございます。
それから、32ページは、地方公共団体の補助金の関係でございますけれども、これは平成23年度の時点で、だめもとも含めて申請を実際にしてみたというものだけを集めているものでございまして、最初からあきらめたものもございますので、全体を網羅しているわけではございません。平成24年度以降は地財法の制約がないということもあって、基本的には全労災病院において補助金の申請をやってみるということで考えているということでございます。
それから、参考資料の中で若干触れておきたいのは35ページ、地域における中核的役割の推進でございます。労災病院におきましても、地域医療の中で役割を占めておりまして、特に地域医療支援病院につきましては32病院のうちの22病院が受けているということでございまして、地域における医療も担っているということでございます。
それから、36ページに労災疾病研究の具体的なテーマと、どこの病院がやっているかということでございます。私どもは研究を一律でべたでやっているわけではなくて、拠点病院というのを決めてやっているということでございます。例えば、一番下のアスベストでございましたら、岡山労災病院というアスベストは日本の中でも本当にトップというような病院を中心としてやっておりますし、じん肺でございましたら岩見沢の北海道中央というものを中心としてやっているというようなことでございます。その他、各労災病院の病院特性についての資料もつけてございます。
以上でございます。
○永井座長 ありがとうございます。それでは、ただいまの御説明に御質問、御意見をいただきたいと思います。齋藤委員、どうぞ。
○齋藤委員 労災病院の役割の中で、13ページと14ページに先導的医療の実践という例が挙げてあるのですが、13ページの頚椎損傷後の職場復帰は非常によく理解できるんですが、14ページのがんとか糖尿病で、当然、患者さんが仕事をどうやって続けるかというのは重要なのですが、これは民間の一般病院でも同じような取組みをしていると思うんですが、何か労災病院でなくてはできないような独自な取組みがあるのですか。これらの疾患は、一般的なコモンディジーズですよね。
○木暮労災管理課長 後ほど機構から補足があるかもしれませんけれども、労災病院グループは、御承知のように九州地域をリハビリテーションの拠点としてリハビリテーションをかなり先導的にやってきたわけですけれども、労災疾病が少なくなってきて、一方で作業関連疾患というものについての取組みもやはり労災病院グループの一つの領域として当然やらなければいけないということで、メンタルヘルスとか腰痛ということも含めて、そういうものの職場復帰をやってきたということでございます。
その一環として、現在では脳卒中もございますけれども、そういう循環器系の疾患に加えて、がん、あるいは糖尿病についても始めているということでございまして、ほかの病院に比べて労災病院が仮に特徴があるといたしますと、1つは労災疾病研究を実はリハビリテーションという名目の中に一括してやっておりまして、今までの産業医とか企業との連携の実績を基にやっている。一般の整形外科のけがのリハビリに加えてメンタルヘルスについても、比較的早期から職場復帰を取り組んできましたので、そういうノーハウを生かしながらやっているということでございます。
 ただ、これはむしろ労災病院の独占任務というふうに私どもは考えておりませんで、今後非常に重要になるテーマでございますので、むしろ国立病院なり、ほかのいろいろな病院を含めてやっていくべき課題というふうに認識しております。
○齋藤委員 伺った理由は、今のがんとか糖尿病とか、あるいは腰痛を労災病院の政策医療と考えてよいのか、これは民間病院でも同じようなことができるのではないかと思って伺いました。
○上家理事 若干補足させていただいてよろしゅうございますか。確かに、こういった分野は一般の医療機関でも当然できる部分がかなりありますが、労災病院の特徴としましては、事業場との接点があるということでございます。産業保健推進センターは、むしろ立ち位置が医療機関というよりは事業場、あるいは事業場にいる産業医や労務管理をする人たちに直接接しているわけですが、そういうルートを通じて研修会等も事業場に対して行う、事業場に対して直接アプローチをするというようなルートを持っているというところが一つの特徴かと考えられます。
 もう1点は、これは先ほど木暮課長からも、一般の医療機関でも広く行われるべきということではあるのですが、例えば医療から福祉へ、医療から家庭復帰という部分はもう既に診療報酬でも認められて、病院から退院する前に家庭を訪問したりというようなことも一般に行われているわけですけれども、病院から職場復帰する、事業場へ行く、そういうようなことを今現在幾つかの労災病院で先進的に行っているわけですが、そういう部分はまだ現在診療報酬でも認められていませんし、一般の病院ではなかなかそこまで余力がない。そういうふうな職場へ復帰する、あるいは職場へ復帰して療養も行えるというような意味での研究的、先進的な部分を事業場との関連で進めているという部分は、労災病院でしかなかなかできにくい部分である。いずれは広く広がるにしても、現在モデル的に行っているという意味では、かなり限定された取組みで、私どもでしかなかなかできにくいものではないかと考えております。
○永井座長 ほかに。渡辺委員、どうぞ。
○渡辺委員 今、木暮課長の御説明で、27ページの表がわかりやすいのだけれども、現行法人から新法人にいったときの業務の内容というと、結論を先に言うと、要するに新法人が担うのはほとんど病院、あるいはヘルスも含めた事業ですよね。ほかのことは、極端に言えば、経過措置はあるにしてもほとんどやらないと。それはそれで結構だと思うんですが、そのときに今の齋藤委員の御質問とも関係するんだけれども、在り方検討会で、国立病院機構もそうだったけれども、労災病院もそういったいわゆる政策医療をやるとともに、一般医療もきちんと実施して、勿論それは新しい若いお医者さんの研修も含めて必要だよという方向性を示されましたね。そうすると、新法人に移行して、その法人の業務の大半は医療、あるいは福祉、保健もヘルスも含めたものだけれども、その際の特に医療を中心として、いわゆる一般医療もどのぐらいに考えているかということは、これは我々も議論しなければいけないのだろうけれども、それはまた国立病院機構もある意味では共通の課題だと思うんですが、その辺について、特に木暮課長というか、機構側もそうだけれども、何かもしあれば教えていただきたいと思います。
○木暮労災管理課長 大変難しいことでございまして、これは政策医療、前回の議論のときもそうでございましたけれども、例えばせき損医療のように非常に採算がとりにくいとだれにでもお認めいただけるような医療についても、もっと拡大していくべきではないかという声もあって、私ども独法になったときに、美唄の労災病院を大転換してせき損センターにしたという経緯がございます。
 したがって、例えばそういうふうなものをやれば、国民のニーズなり、医療のニーズに一定役に立つという面がある一方で、それは非常に赤字要因になるという面もございまして、どこでバランスをとるかについて、今あらかじめこうだという状況にはないというのが正直なところでございます。
 ただ、逆に言えば、そういう民間でなかなかやりにくい、採算のとれない医療というのを残していくために、まさに国立病院、労災病院にどういうミッションを、それは中期目標とか中期計画で与えていくということでいいのか、あるいは財政的な措置は、研究ということを中心に人材を集めるということでいいのか、あるいはもうちょっと何かの仕掛けが要るのか、あるいはそれはもう経営そのものの問題と考えるのかということについては、むしろ皆様方のお知恵をおかりしたいと思っているところでございます。
○上家理事 政策医療の範囲と一般医療の範囲という意味では、今、課長からも御説明がありましたように、なかなか難しいわけですが、基本としてはまずある一定のレベルに達した一般医療がなければ、当然政策医療はできない。
例えば、現在、労災病院グループでは、東電福島第一原発に対して、そこの労働者の健康管理等に継続的に支援をしておりますけれども、そういうものは多分に政策医療ですが、内容は一般医療なわけです。そういうことも含めて、一般医療がベースにあって、そこでさまざまな政策医療が展開できるという意味で、政策医療だけに重心を置いた医療というのは、特に労災、あるいは作業関連疾患というようなことを中心に考えましても、難しいと考えております。ですから、一般医療が当然ベースにあると。まず、そこの足腰をしっかりしていなければならないという認識でおります。
○永井座長 よろしいでしょうか。伊藤委員、どうぞ。
○伊藤委員 前の在り方検討会の方で、はっきり政策医療だけを提供すればいいことでは全くなく、一般診療も併せて提供していくことが必要であるというように明確に書かれていることを改めて御説明いただきたいと思っていたのですけれども、今の話が多分一つの説明かなと思って伺いました。一般診療のベースがあって政策医療が行えるんだという説明もわかる気はします。財政を含め医療の技術なり、診療の例えば臨床上の情報ですとか、そういったものが必要だということはわかりますけれども、そこが経営上一体でなければならないということに、やや、まだすとんと落ちていないところがあります。重ねて、政策医療だけを提供していればいいということでは全くないとはっきり書いた理由を説明していただきたいんですけれども。
○木暮労災管理課長 これは、勿論、国立病院、労災病院共通のところで書いてあるので、労災病院だけの問題ではないんですけれども、これは幾つかの視点とか議論がございまして、先ほど来ございますように、もともと医療技術その他で政策医療と一般医療というものの境目というのは本当にどこなのと追求すると、境目がわからないという問題もございますし、例えば労災患者というのはレセプトベースの件数で見ると0.16%なんですね。したがって、労災患者を本当に30%も40%も集めるということ自体が、仮に労災病院をどこか1か所に集約するということをしても、実際これは不可能なことです。やはりそういう問題があるので、一定のすそ野を持ってやらないと病院経営ができないという実態上の問題もございます。
 それから、労災だけの問題で言いますと、実は労災、労災と言っていますけれども、非常に重要な役割は主傷病との鑑別です。これは、病気になったり、あるいはけがが再発したりというような場合も含めて、それは何が原因かといったときに、これは非常に難しいですよね。一般の病気を知らないと、これが本当に因果関係として業務にあるかどうかという鑑別は全く不可能でございまして、例えば心臓病のようなものがあっても、実際に機械を使っているということがあっても、それはほかの原因でも似たようなことは起こるということがございまして、全く医療のこととしても一般医療と労災医療を両方を診ていない医者が見たら正確な鑑別ができないというようなこともございます。
 恐らく、国立病院の目から見れば、またもっと別の説明はあるかと思いますけれども、とりあえず以上のようなことを御説明しておきたいと思います。
○永井座長 武谷理事長。
○武谷理事長 今までの方々の御発言のとおりですけれども、労災病院において政策医療をどのように扱うかということで、まず、労災医療といいましても非常に多岐にわたりまして、特定の労災医療専門医というのがいるわけではなくて、いろいろな科が協力しないと労災医療は担当できないというので、総合的なそういうパワーが必要であるということと、それから私どもは産業医の育成ということも重要な使命にしておりますので、産業医というのはいわゆるジェネラルフィジシャンということになりますので、そういう意味で総合的な研修の機会を提供するということもございます。
 それから、最も重要なことは、労災疾患というのはなかなか定義が難しいんですけれども、一般に各病院の診療単価等を見てみますと、やはり労災疾患の方が診療単価が平均より低いので効率が悪いんですね。ですから、病院の経営効率、あるいは経済的独立性の追求と政策医療に重点を置くというのはトレードオフの関係になりますので、どっちもやるというのは非常に難しいことにはなりますので、そのようなことも御理解いただければと思います。
○永井座長 堺委員。
○堺委員 ただいまの御議論の流れで、意見を1つ申し上げます。医療には地域性がございますので、それぞれの地域で一定の医療機関が医療を提供するということが行われております。そうしますと、今の附属資料になりますが、37ページ以降のところに地域医療分野のそれぞれの労災病院がどういうものを地域保健医療計画で担っているかというところに印がついておりますが、こういうものを見ておりますと、ただいまの御議論の中にありますように、その地域の住民の方々にとってはこういうものを提供している病院だという御認識もあると思います。
 私どもが考えなければいけないのは、労災病院であるから労災だけ行えばいいのだということではなく、それぞれの地域においての医療はまた別な問題なので、仮に労災病院がなくなって地域医療が提供できなくなっても、それは今回余り関係ないということではないと思います。やはり、私どもそれぞれの地域での医療がこれからも住民の方々にとって必要なものは提供されるということを第一に考えなければいけないと思っております。
 勿論、そのために過剰に税金を投入するということではございませんし、それからいわゆる民業を圧迫するというものではございませんが、そういうことがなければ、地域の住民の方々が求めているものを提供するということは、やはり医療としては存在しなければいけないのではないかと思っております。
○桐野理事長 この問題はいろいろなときに言われて、例えば大学病院に私がいましたときには、大学病院は研究を中心とする病院であるから、研究開発に特化した医療を行えばいいのではないかということも言われました。国立病院であれば、政策医療だけをやればいい。開発医療だけをやればいい。勿論、そのことが国民全般により効率的によりレベルの高い医療を提供できる結果になれば、それでよろしいと思いますが、実際、ではそういう例が諸外国を含めてあるのかと申しますと、ありません。非常に特殊な、例えばNIHメディカルセンターみたいな、これは説明に時間を要しますが、例外を除いて、ジョンズホプキンスでも、ハーバードでも、どこでも非常にベースの広い医療の上に特殊な医療を乗せているというのが基本構造です。
それは、なぜかというと、要するに人間を診るからです。政策医療だけしかない人間なんていません。例えば、○○センターというものをつくったときに、○○しか病気にならない人というのはなかなかいない。例えば、ある病気になったときに、非常に特殊な専門的な病気になった患者さんがごく普通の平凡な病気を併発したときに、その患者さんはもう出ていってもらうのかという問題がありまして、今まで各委員の先生方が言われたことに加えて、そういう問題があるということを申し上げたいと思います。
○永井座長 梶川委員、どうぞ。
○梶川委員 新しい組織を考えるということの中で、ガバナンス的なこともあると思うんですが、今話題になられました一般医療と政策医療のポートフォリオではないんですけれども、役割の量とか比率的なものを主体的に決められる、意思決定をされる主体というのは、どちらに今後方向性を持っていくのか。どちらという意味は、いわゆる病院の機構の方なのか、それとも、どちらかというと、より行政庁の方で、これは政策的な範囲であるからもう少し実施してほしいというようなことをイメージされるのか。むしろ、経営の方で独自にお考えになっていく方が方向性としてはよろしいと言われるのか。
この辺、一般民間企業でもCSRというのがございますけれども、極端な大きな意味のCSRを経営主体でお考えいただくという方向の話なのか、やはり政策として明確にミッションもあるし、この範囲、この量は確実に実施してもらいたいというのは、どちらかというと、行政サイドがきちっとしたミッションをお出しになって実施を担保する方が普通よろしいのかなという気もするんですけれども、その辺をどういう方向性で考えていかれるのがいいかということを、それぞれの当事者がどんなふうにお考えになっているか、現状においてお聞きできればなということです。
 本来は、ある主の指揮権を出すとすればお金も出せという話になるのかもしれませんが、口は出すけれども、一応お金は努力してねというのも、今、社会全体、医療というのはもともと公益性のあることですので、その辺は全体の保険の報酬体系とも関連する話だと思うので、余り財源等のことをイメージされずに、今後、行政庁の方で、労災なんかは特に大きいわけで、ミッションとしてははっきりさせながら実施していかれる方がいいと思われるのか、その辺をお聞きしたいと思います。
○永井座長 いかがでしょうか。事務局、あるいは機構からでも結構です。では、事務局から。
○片岡国立病院課長 政策医療というミッションについては、やはり国の方できちっとこういうものをお願いしたいということで示すことになろうかと思います。政策医療自身は、時代に応じて、社会環境に応じていろいろ変わっていきますので、それも絶えず見直しが必要かと思っています。
 それを確実に実施するために、どういう体制がいいのか。具体的手法については各法人の自主性といいますか、裁量でというのが基本ではないかなと思っております。
○永井座長 私から1つ、印象ですけれども、政策医療ということと政策医療的課題というのは多少違うと思います。政策医療になれば、ミッションは明確でしょうけれども、時代とともに変わってくる課題を機構が早くピックアップして、警鐘を鳴らすなり、対応をとっていかないといけない。ある意味では研究が必要なのではないかという気がいたします。
 先ほどの国病の歴史を見ても、時代とともに相当変わっていますし、これからの時代、また変わっていくように思います。その辺を労災病院についても、いわゆる単なる労働災害だけではなくて、恐らくメンタルの問題であったり、生活習慣病の問題とか、そういう新しい課題がこれから出てくるのではないかなと思います。そうした研究をもう少し積極的にわかるようにしていただければ、今出たような御質問もある程度お答えできるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○鈴木労災補償部長 国立病院でも労災病院でも、過去においてはやはり政策は国レベルで決まって、国策である例えば結核医療、それで病床が空いたりして、新たな重症心身障害、筋ジストロフィーなどのニーズが出てきたと。そういうトップダウン的なことで予算を決め、病床を整備して、人材をつけるという時代だったと思うんですね。
ただ、今は、先ほども話が出ましたが、都道府県の医療計画で地域の医療ニーズを把握して、それで整備していくという考えですから、より迅速に地域の各病院がそれぞれの地域のニーズに呼応する形で、非常に弾力的といいますか、フットワークよく人員配置とか、いろいろな機器整備なども行っていかなければいけない。
 そうなりますと、本省で大きな項目は勿論制限も必要ですし、推進すべきものも決めるにしても、実際にそれを具体的に決めるのは機構本部でもなくて、今後は各病院がそれぞれのニーズに応じて迅速に対応できるというような体制が望ましいのではないかと、一つの案としては思われます。
 そのために、今までは定数の縛りなどがあって、上の方に伺いを立てないとできなかったものが、相当の柔軟性を持って各病院で決められるということがまさに今回のチャンスではないかというふうに理解しております。一つの案というか、見解でございます。
○永井座長 私がお聞きしたかったのは、一般診療の技術、知識、実践から、早く病院ごとに新たな課題を抽出してアクションをとっていくというような体制は新しい法人に求められることではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○上家理事 新たな課題が出てきたときに素早く対応するというのは、結局、人の確保だと思うんですね。専門家の確保、専門性を持った集団の確保をする。それを定員が縛られ、採用に非常にいろいろな手続が要るような中では、実際にフレキシブルには対応できないというような面が今一番困っていることの一つとしてございます。そういうところをある程度弾力的に、その現場、その地域で即座に対応できるような形にしていきたいということは一つ挙げさせていただきたい。
 一方で、国としての方向性に対応するという意味では、今、座長から御指摘もありましたが、先進的に研究をしていくというところは、研究自体はそれで採算が合うというか、そういう観点のものではありませんので、研究の推進についてはある程度方向性を持たせながら国から指示を仰ぐということもあってもいいと考えております。
 ですから、現場がフレキシブルに動きたいという部分と、少し将来を見据えた研究については、国からの指示を仰ぎたい。その両方を持ったような組織になっていければと考えております。
○齋藤委員 今、座長が言われた新しい課題を見つけて対応するのが2つの組織の役割で、全国的なネットワークを持っているので、我が国の医療提供体制にかなり大きい影響を与えると思います。そういう意味で、今度、4疾病5事業から5疾病5事業になりますよね。メンタルヘルスの問題も大きな社会的問題ですし、やはり精神疾患の問題が非常に大きい。ますますこれから複雑な社会になっていくと思うんですが、それぞれの機構が今後、地域保健医療計画の中で精神疾患に対してどのような展望といいますか、取組みをされようとしているのか。もし、考えておられたら伺いたいのですが。
○永井座長 どうぞ。
○上家理事 実は、地域医療計画という観点で言いますと、残念ながら、労災病院はでこぼこはありますけれども、各都道府県の地域医療計画に余り積極的にかかわってこなかったという歴史がございます。特に平成16年以前からの歴史がありますために。
ただ、資料の37ページ等にもございますように、地域のニーズにできるだけ応えていくという姿勢が最近少しずつ出てきている中で、特に地財法が撤廃されたということもあって、今後大きく進むと思いますけれども、今後は地域医療計画の中にちゃんと位置付けていただく。私どもの機能をアピールして、それなりに頼りにしてもらうという関係を構築していきたいということで、現在、それぞれの病院がそれぞれの自治体に情報提供を始めているという段階でございます。
○武谷理事長 齋藤委員の御指摘、大変重要な問題点と考えておりますけれども、メンタルヘルス、特に職業と関連したメンタルヘルスというのは、学術分野が完成していないというより、全く未熟でありまして、恐らく大学でもそのようなことを実施しておられる人は本当に希少である。
私どもも、散発的ではありますけれども、そこの37ページ、38ページ等で、メンタルヘルスのセンターというのもおこがましいんですけれども、それに向けたスタートを今切っているところでありまして、一部にはそういう職業と関連するメンタルヘルスケアを専門としている先生がおりまして、そのような方をとりあえず労災病院の中心として指導の啓発をしていただきたいということです。ただ、これは24時間対応ということで、とてつもない負担を強いられるということでございます。
 それから、労災疾患というのも、当然ですけれども、時代に応じて非常に変転をしておりますので、それによってハード、あるいは人員の配置というのを目まぐるしく変えるということも、これも経営との観点でできることとできないことがありますから、政策医療を支える意味でのそのような問題点ということも指摘申し上げたいと思います。
○永井座長 医療が治療から予防へ移っていったように、恐らく労働災害、あるいは労働者の健康管理も予防的になっていくと思います。そういう意味ではいろいろな課題があるのではないかと思いますけれども、国病についてはどうですか。
○桐野理事長 精神科につきましては、私ども非常にたくさんの精神科を担当する病院を持っておりますが、どちらかというと、民間のメンタルヘルス的な、あるいは認知症などの精神科よりは、要するに法律に書かれている心神喪失等医療観察法に基づく病棟のような特殊な精神科や、精神科救急などの役割を重視して、現在のところ実施しております。
 それから、生活習慣病については、非常に長期な地域と密着した医療ということになりますので、病診連携の強化とか、地域の医療機関の協力体制を非常に強固にしていくということで、例えばお互いに診療所の先生方の紹介、それから逆紹介の率を非常に高めておりますし、そういう地域の医療機関とは、ある意味では競合、競争する面もありますが、多くの場合、協力していくという考え方やっております。
○永井座長 ナショナルセンターは先端的かつ要素還元的な研究をしていくわけですけれども、両機構の場合にはネットワークがポイントですね。地域のネットワークの中から実態を把握して、何か法則性を見つけていく医学があるだろうと思います。ですから、役割を分担しながら、何らかの研究が必要でしょうし、それをしないと、存在感が薄れていくと思いますので、よろしくお願いします。
 伊藤委員、どうぞ。
○伊藤委員 法人として持つべき機能というような観点で見ると、27ページにあるような、これはもうやめますよというようなのは出ていますけれども、診療を行う、また臨床データが出てくることで調査・研究に生かされる。それが診断法の確立だとか、診療指針をつくっていく。それを広めていくというような形で使われていくということには、これからも期待があります。
 また、人材育成という意味では、産業医の育成と先ほどありましたけれども、これも必要だと思っておりますし、メンタルの話もありましたけれども、産業保健では予防が非常に重要だと思っておりますので、この点についても併せて取り組んでいくことが必要です。早期職場復帰ということが大分強く考えられてはきていますけれども、この点は本当に重要だと思っています。
 こういうことと診療の範囲、どういう領域の医療を行うかというのは、また別の問題だという気もしています。一般診療を行う医療機関でも機能分化が進んでいるということからすれば、パッケージで行うということにストレートになるのかという気がします。
 独法の見直しの基本方針の閣議決定というのが今年の1月に出ている、これに沿って法律の枠組みを検討するということが当検討会のミッションではないかなと考えますと、政策医療を確実に行えということと、自律的、かつ効率的な経営の実現という二律背反のような、これをどうやって法律の中に落とし込んでいくのかということなのかなと理解しています。
 そう考えますと、目的としては政策医療と併せて、やはり地域医療というのが必要なところもあるんだと考えれば、RFOから引き継いだ地域医療機能推進機構の法律では、「地域において必要とされる医療、介護を提供する機能の確保を図り」というようなことが目的の中に一応今回入っている。そういうような目的をこちらの法人の設置法の中に置いて、直接、政策医療も担うんだけれども、必要なところの地域医療も担えるというような形に考えるということができないものなのかなと思いました。
 そうなると、それでいて自由に全部しろというのは、気持ちはわかりますけれども、法律に設置根拠を持つ法人となれば、それなりに公的関与が必要だということになると思いますので、その点は政策医療を担うということに加えて、医療計画でいうところの事業の方、5事業などに対する貢献、あるいは医療計画でその地域でのベッド数についても準拠していく、率先してそういう役割を担うということも、そういう自由とミッションというバランスが必要なんだろうと思います。
 以上です。
○永井座長 渡辺委員、どうぞ。
○渡辺委員 私も前の検討会も委員をやらせていただいたのですが、基本的に政策医療をやるべきだと、それは同感なんだけれども、更にその上の医療業務については、結論を先に言うと、ここまではいいとか、余り制限を加えるべきではないと思うんですよ。まず、日本は医療資源が足りないところで、そんなぜいたくを言っている場合ではないので、持てる医療資源はすべて地域で活用しなければいけないと基本的に思います。
ただ、さっきも御指摘があったように、地域において民間医療機関と患者の奪い合いみたいなことは困るので、それはさっき桐野理事長がおっしゃったけれども、そこはやはりネットワークというのか、そういうことを行っていけばいいのであって、基本的には労災病院はこれ以上やるなとか、国立病院はやるなみたいな、そういった制限的発想は余りやるべきではないと思います。その中で考えていくべきだと思います。
○齋藤委員 今の渡辺委員の御意見に関連してです。結局、国立病院も労災病院も、全体としてどういう割合で政策医療と一般医療を実施すべきかを議論するのはナンセンスで、それぞれの各病院が置かれた地域の状況によるんですよね。例えば、地域によっては政策医療だけを実施していればいいところもあれば、そうでないところもあるわけで、これを全体としてどうするという議論をしても、結局不毛なような気がします。それぞれの地域で一般医療を主に実施してもらわなければいけない地域もある。ただ、それは時代とともに変わっていくわけですね。民間病院が新たにできてきたり、統合したり。だから、その辺をどうやって柔軟に対応していくかというのが一番難しいことなのではないかなという印象を持っています。
○永井座長 そのほか、いかがでしょうか。堺委員、どうぞ。
○堺委員 今の御意見の流れで、私も実にそう思います。それで、人口動態ほど当てにならない統計はございませんので、これから日本の人口はだんだん縮小してまいりますが、今、両病院機構の在り方を論じるときに、30年、50年のスパンではないだろうと私は思っております。むしろ、5年、10年、15年、そのぐらいのスパンで考える方が国民の方々の当面のニーズにかなうのではないかと思っております。委員の方々はいろいろなお考えがおありと思いますけれども、私はそのぐらいのスパンで考える方がよろしいのではないかと思っております。
 以上でございます。
○永井座長 よろしいでしょうか。ほかに御意見はございませんか。もしございませんでしたら、議事の3と4は以上とさせていただきたいと思います。
大体時間になりましたので、本日の議事は以上でございます。次回、3回目は本日のヒアリングを踏まえまして、目標、評価の在り方や病院運営の在り方等について御議論いただきたいと思います。
 では、事務局から連絡事項をお願いいたします。
○片岡国立病院課長 次回の開催日につきましては、改めて日程調整を行った上で、別途御連絡させていただきます。
○永井座長 それでは、本日はこれで終了させていただきます。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

 医政局国立病院課国立病院機構管理室
  運営管理係 尾崎・星(内線2635)
 労働基準局労災補償部労災管理課
  企画調整係 飯田・松本(内線5437)
 (代表) 03(5253)1111

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