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2012年7月25日 第5回労働政策審議会点検評価部会 議事録

○日時

平成24年7月25日(水)
10時00分~12時00分


○場所

厚生労働省職業安定局第1会議室(12階)


○出席者

【公益代表委員】

清家部会長、樋口委員、宮本委員、米倉委員

【労働者代表委員】

金子委員、芳野委員、安永委員

【使用者代表委員】

喜㔟委員、小谷野委員、坂田委員、田中委員

【事務局】

岡崎大臣官房長、中野政策統括官、棚橋政策評価審議官
伊澤統計情報部長、前田労働基準局総務課長、大西職業安定局総務課長
土屋職業能力開発局総務課長、吉本雇用均等政策課長、酒光労働政策担当参事官

○議題

○2011年度の年度評価について
○各分科会における2012年度目標の設定について
○その他

○議事

○清家部会長 
 皆様、お暑いところをお集まりいただきありがとうございます。ただいまから第5回労働政策審議会点検評価部会を開催します。
 まず議事に入る前に、お手元に配付している資料1の委員名簿をご覧ください。7月17日付で使用者代表委員1名の交代がありましたので、新たに委員に就任した方をご紹介します。東日本旅客鉄道株式会社人事部次長の喜勢委員です。次に、定足数について事務局からご報告します。

○酒光労働政策担当参事官 
 定足数についてご報告します。本日は勝間委員、戸田委員、山河委員、川崎委員の4人の方がご欠席です。米倉委員はご出席ですが、少し遅れているようですが、間もなくいらっしゃると思います。
 労働政策審議会令の第9条により、委員全体の3分の2以上の出席又は公労使各側委員の3分の1以上の出席が必要とされていますが、本日はいずれの数も上回っており、定足数を満たしているのでご報告します。

○清家部会長 
 それでは議事に入ります。本日の議題は第1に「2011年度の年度評価について」です。第2に「各分科会における2012年度目標の設定について」です。第3に「その他」となっています。そこで、議題1の「2011年度の年度評価について」、事務局からご説明をお願いします。

○酒光労働政策担当参事官 
 前回は2011年度の中間評価をしましたけれども、今回は年度評価をお願いすることになります。年度評価の資料ですが、資料2と資料3になります。
 まず資料3が評価シートで、各項目ごとに目標、目標を作ったときの考え方、2011年度の施策の実施状況、進捗状況についての分析、評価及び今後の方針という構成になっています。資料2ですが、これらを要約しながら今部会の評価(案)としてどうかということで事務局で作成した資料が資料2です。また、資料の最後に参考資料というのがあります。これは事前に委員の方から「こういった資料があれば出してほしい」というリクエストを受けて出したものですので、説明の中で適宜ご説明します。
 続いて評価の進め方ですが、従前と同じように進めたいと考えています。本日委員の皆様からご指摘をいただいて、そのご指摘については資料3に「点検評価部会委員の意見」欄というのが各項目のいちばん最後にありますので、そこに記載したいと思います。それと合わせて各項目についてのご指摘、あるいは全体でのご議論を踏まえて年度評価を取りまとめることになりますが、先ほど申し上げたように年度評価の叩き台として資料2をご用意していますので、よろしければそれを修正するような形で部会の年度評価としたいと考えています。また、本日、意見記入用紙をお配りしていますので、ご記入の上、1週間後の8月1日までに事務局宛に提出してください。以上です。

○清家部会長 
 ただいま資料2と資料3の構成についてご説明いただきました。そのような形で進めます。そこでこの年度評価の案については、これから皆様方にご議論をいただくわけですが、若干内容が多岐にわたりますので、全体を大きく4つに分けて順次ご議論をいただきます。
 まず最初に、総論及びハローワークにおける職業紹介等について事務局からご説明をお願いします。

○酒光労働政策担当参事官 
 労働政策担当参事官の酒光です。引き続き私からご説明します。資料は資料2と資料3、場合に応じて参考資料を使って、主に資料2に沿ってご説明をします。適宜資料3をご参照ください。
 まず、資料2の冒頭の総論についてご説明をします。総論の(1)2011年度の目標設定に当たっての経済状況等の見通しです。まず1で経済情勢です。平成22年12月の経済見通しにおいて、景気は持ち直し、経済成長の好循環に向けた動きが見込まれるということで実質成長率については1.5%、名目成長率については1.0%の成長を見込んでいました。また、雇用情勢については同じく経済見通しにおいて完全失業率4.7%、雇用者数0.7%増ということで、雇用創出・下支えの政策効果が発揮されると見込んでいました。
 2頁の※です。ただし、この見通しができたあと平成23年3月に東日本大震災があって深刻な打撃を受けましたが、経済見通しそのものについては改訂が行われていませんので先ほどご説明したものとなっています。
 具体的な2011年度の経済情勢が実際にはどうなったかということです。まず経済情勢については、東日本大震災による影響を受けて厳しい状況になったわけですが、緩やかに持ち直してきた。ただ、円高等もあって緩やかなものとなっています。結果的には実質成長率はマイナス0.0%、名目成長率はマイナス2.0%となったということです。雇用情勢についても同様でして、これは被災3県を除く数値ですが4.5%ということで0.5ポイントの低下、雇用者数については13万人の減少です。
 これらが含まれて2011年度の労働政策の実施状況です。全体的な政策としては、2011年6月に閣議決定した「新成長戦略」に基づいて対策を進めていまして、若者・女性・高齢者・障害者の就労促進あるいは「トランポリン型社会」の構築、ディーセント・ワークの実現等に向けての取組を行っているところです。
 3月の東日本大震災による雇用への悪影響の懸念から緊急総合対策を講じ、雇用については「『日本はひとつ』仕事プロジェクト」を取りまとめて補正予算等で対策を講じてきました。また、夏以降急速な円高が進行したということで、10月に円高への総合対応策をまとめ、この中でも雇用対策を盛り込んでいるところです。今後については、「日本再生戦略」が現在策定中で間もなく策定される見込みです。新成長戦略に代わるものになると思いますが、その「日本再生戦略」と既に策定済みの「社会保障・税一体改革」を踏まえて、就業促進ディーセント・ワークの実現を図り、経済の拡大・社会保障制度の基盤強化を図っていきたいと考えています。以上が総論部分です。
 各論部分になるのは4頁の2で、2011年度目標に係る動向とその分析です。その全体の前書きの部分です。年度目標を今回設定しているのが41指標ありますが、そのうち35の指標について把握していまして、今回の評価の対象としたいと考えています。そのうち26の指標については目標達成をしていまして、9つの目標については目標達成には至らなかったということです。目標達成したものが多いのですが、しなかったものとしては例えば女性の就業率向上に関する対策、人材育成の項目等々があるということです。また、今回指標のデータが間に合わなかったものについては、次回の点検評価部会で評価をお願いしたいと考えています。
 評価の1ハローワークにおける職業紹介状況です。これは資料3の1頁もご覧ください。文章としては資料2のほうを中心にご説明します。ハローワークにおける職業紹介、各種指標を目標に設定していますが、今回はいずれの指標も目標を上回ったところです。具体的に申し上げると、就職率及び求人の充足率については、人員体制の強化、求人開拓推進員等の増加によって求人開拓を積極的に行ったこと、あるいは訓練修了者に対して担当者制で就職支援を行った。こういったものが効果を上げた結果、目標を達成したのではないかと考えています。
 2番目の○です。雇用保険受給者をなるべく早期再就職させるということで、早期再就職割合を目標にしていますが、これについても人員体制を強化して担当者制で支援をするナビゲーターを増員したということもあり、雇用保険受給資格決定件数は増加しましたが、早期再就職割合については目標を達成することができました。
 正社員の求人数については、求人開拓推進員を225人増員したということと、配置についてもできる限り合理的なものに見直したということがあって目標を達成できたと考えています。
 就職支援プログラムについてですが、就職支援プログラムは早期に再就職を望む方、あるいは就職困難な方に担当者制で手厚い支援を行う事業ですが、就職支援のナビゲーターを増員して支援体制を強化したということで、開始者数・就職率いずれも目標を上回ったところです。全体的な評価はゴシック体のイタリックで書いていますが、いずれもハローワークにおける職業紹介関係の指標についても目標を達成していますが、引き続き積極的な求人開拓、きめ細かな就職支援を行って求人の充足対策にも取り組んでいく必要があると。特に後ほどご説明することになると思いますが、求職者支援訓練の修了者が今後増えてきますので、そうした訓練の終わった方が円滑に就職できるように職業訓練の受講中からの効果的な就職支援を行う。「訓練が終わってから頑張ってください」ではなくて、訓練受講中から効果的な就職支援を行うとともに、修了者においてはいま縷々ご説明したように、担当者制の支援でかなり効果を上げていますので、こういったものによる支援も実施していく必要があるとまとめています。簡単ですが以上です。

○清家部会長 
 資料2の「総論」と、資料3の「ハローワークにおける職業紹介等」の部分について説明していただきました。この部分についてご質問、ご意見はございますでしょうか。

○安永委員 
 「総論」部分について申し上げます。東日本大震災の影響への対策について表記があります。復興に携わっている皆さんに深く敬意を表したいと思います。雇用失業情勢について、「東日本大震災の影響もあり」という記述がありますが、どの程度、雇用失業情勢に影響しているのか、分析されているのは承知していますが、記述も必要ではないかと思います。また、それに対する労働政策の実施状況として、昨年度は3次にわたって補正予算による施策を実施したということなので、その施策によって雇用がどのぐらい生まれ確保されたかなども、併せて記述することが必要ではないか。きちんと評価し、分析しておくことが必要ではないかと思います。
 関連して、今後、予算編成や仕分けなどになろうかと思います。仕分けの指標なども必要だと思っていますが、雇用・労働に関する費用は単純に費用ではなくて、私どもは投資という観点でも見ています。税収や社会保障に関してリターンもある。きちんと職業に就くことで、費用だけではなくリターンもあると考えていますし、それが持続可能な経済成長にもつながる、社会全体で成果を享受することになるだろうと思います。是非、そのような観点で頑張っていただきたいと思います。

○清家部会長 
 この点について事務局から答えていただけますか。

○大西職業安定局総務課長 
 いま安永委員からご指摘のあった震災関係の記述につきましては、検討しまして、記述する方向で対応したいと思います。また、いろいろな場面で仕分けがありますが、基本的にはあれは必要な事業は残して必要でない事業は改めるというコンセプトでやっているものですので、私どもとしては必要性をしっかりと説明してまいりたいと考えています。

○清家部会長 
 震災関係の記述、それと、雇用関係の支出は投資の面もある。両方とも大変貴重なご指摘だと思います。安永委員とも相談しながら、事務局に記述の修正をお願いしたいと思います。よろしいでしょうか。

○田中委員 
 私も、安永委員がおっしゃった、2頁の「雇用失業情勢」の「東日本大震災の影響もあり」というところについてです。こう書かれているのですが、実はこの数行は、震災の所は全部除くとなっているので、報告書としては中途半端になってしまったという感じがしています。ご検討いただきたいと思います。
 それから、3頁のいちばん最後の4行についてです。私もこれでいいかと思っていたのです。この報告書全体は2011年度の評価ですが、この4行は、2012年度の話になるのです。2012年度の話をここに持ってきてもいいのかどうかが、ちょっと疑問なのです。この辺はあえて触れる必要はないような気もします。このように感想を申し上げておきたいと思います。

○清家部会長 
 田中委員からのご指摘について事務局からお答えください。

○酒光労働政策担当参事官 
 おっしゃるとおり、ここは項目としては2011年度の状況ですが、施策のことを書いておりまして、2012年度はこのように取り組もうという大きな方向性としてはあるので、書いておいたほうがいいのかと思って書いたのです。その辺は、委員の皆さんのご意見も伺って最終的には考えたいと思います。

○清家部会長 
 まず、震災関係の記述については、安永委員とも共通のご指摘なので、田中委員からもご指導いただいて事務局で修文を進めたいと思います。最後の点については、一面では2011年度の評価を踏まえて2012年度の施策に向けてという意味もあると思いますが、田中委員のご指摘のような面もあると思います。ここも相談しまして必要であれば修文することでよろしいでしょうか。労働側の委員もそのような形でよろしいですか。

○安永委員 
 はい。書いてあることは当然のことなので、今後どうするという記述は、私は自然だと思います。

○樋口委員 
 東日本大震災の記述についてはご指摘のとおりだと思います。「3県を除いて」というのはこの3県の調査ができなかったということであって、従来の労働力調査では、2011年度の数値は44都道府県についてという形で出ています。ただ、3県については、つい最近、推計が出ていますので、その推計を使った記述が考えられます。来年以降を考えたときに、やはり今年度との比較になりますと当然47都道府県でやることになると思いますので、そこをご留意いただきたいと思います。
 もう1つ、ハローワークにおける扱いについて、東日本のところをどうするかです。ここは、オールジャパンで、ハローワークについてはずっと統計が取れたことを反映して、47都道府県で評価しているのだと思います。この3県について特出しする必要があるのかどうか。特に被災の影響は大きかったので、それに対して皆さんが相当に頑張った、支援もしてきたということだろうと思います。そこの評価を入れるのか入れないのか、要するに、特出しするのかしないのかについてもご検討いただきたいと思います。

○清家部会長 
 ただいまのご指摘について事務局からお答えください。

○酒光労働政策担当参事官 
 まず前半の、失業率についてです。ご指摘のとおり、3県を含む数字が総務省から出ています。その数字は、4、5、6の各月のものと年間のものが出ていて、計算すれば年度も出るのですが、総務省に確認したところ、年度は出していないと言われたので、年度については3県を除く数字にしています。仮に出すとすれば、厚生労働省の試算あるいは推計といった形であれば総務省もいいのではないかという気がします。よろしければそのように書き替えることは可能だと思っています。

○清家部会長 
 よろしいでしょうか。統計が正確を期すことは当然ですが、一方では、先ほどの安永委員のご指摘にもありましたが、この間、ハローワークを含めて労働行政がずいぶん頑張ってきた部分もありますので、そのようなものを反映できるところはできるだけ前広に集めたほうがよいのではないかと思います。

○宮本委員 
 以前から、目標達成における行政資源の増減の影響を、どのように諮意的にならずに書き込むのかは懸案だったと思うのです。それは客観的に表のほうに、例えばナビゲーター数の増減等は書き込まれています。職業紹介における目標達成に資した1つの傾向として、担当者制による支援というものがありました。このような量的な増減ではなくて、政策の質的な転換とでも言いますか、これは非常に大きな問題なので工夫して書き込んでいただきたいと思います。キャリアアップハローワーク等でも担当者制は大変大きな効果を生んでいると認識しています。この導入には行政資源の制約に伴う困難もあるとは思いますが、明らかに目標達成に資している場合には、質的な転換の意味については少しスペースを取って書いていただきたいと思います。

○大西職業安定局総務課長 
 いまの宮本委員のご指摘についてです。担当者制を取っている所と取っていない所とがありますので、担当者制を取ることにより政策効果が出た部分については、できるだけ記述できるように工夫したいと思います。
 それから1つ前の、樋口委員のご指摘にありました、被災3県の震災関係のハローワークの数字についてもなるべく記述できるように検討したいと考えています。

○清家部会長 
 ほかにございますか。よろしゅうございましょうか。また、このテーマに戻ることもありますので、先の説明をしていただきます。必要があればこちらに戻って質問してください。
 次は、「若者の就労促進」「女性の就業率の向上」「高齢者就労促進」「障害者就労促進」について事務局から説明してください。

○酒光労働政策担当参事官 
 では、「若者の就労促進」です。資料2の5頁、資料3では7頁ですので適宜ご覧ください。若者の就労促進の関係の指標はいくつかありますが、今回はいずれも目標を上回った結果となっています。1つずつ簡単に説明します。
 まず、フリーターの正規雇用化を進めることについてです。若年者の雇用情勢は厳しかったのですが、年度実績は25万件で前年を上回り、目標を上回る実績を上げました。これは、一人ひとりの課題に応じたきめ細かな対応をしてきたことが効果を上げたのではないかと考えています。
 次に、大学生に対する就職支援です。学卒ジョブサポーターと新卒応援ハローワークの指標を今回新たに設けました。学卒ジョブサポーターは、大学生、高校生向けにハローワークで支援をしている方です。若者の厳しい環境ではありましたが、補正予算でジョブサポーターの増員を行いまして、2011年度で合計200人、約1割増員しました。実際の活動においては、学校と連携して未内定者を把握していろいろな支援を行いました。その結果、正社員の就職数、開拓求人数とも目標を大きく上回りました。新卒応援ハローワークは、新卒者が来やすいように新卒者向けの特別なハローワークにしているのですが、大学との連携により、求人情報を提供したり、出張相談等を行うことで、利用者数、正社員就職者数とも目標を上回る実績を上げました。
 参考資料の1頁をご覧ください。「ジョブサポーターによる支援の効果」の絵があります。ジョブサポーターが支援したことで、主に年度の後半、それまでは自分や民間を通じて活動していたものが、特に年が明けてからはハローワークの支援が重点的になってくるということで、1~3月だけで1万5,000人以上の大学生の就職を決定しています。内定率にすると4ポイントぐらいの押し上げ効果があったのではないかと見ています。
 その下の折れ線グラフをご覧ください。菱形の部分が平成22年3月で、三角が平成24年3月です。10月時点では平成22年3月卒よりも内定率は低かったのですが、4月時点では上回っています。2ポイントぐらい低かったものが2ポイントぐらい高くなりました。追い込みの効果があったのではないかと考えています。
 資料2の5頁にお戻りください。若者の就労促進については一定の成果がありましたが、依然として厳しい雇用状況だということで、大学等の関係者と連携してマッチングを進めていく。特に先般、若者雇用戦略ができまして、文科省をはじめ関係省と連携して施策に取り組むことになっていますので、その施策を推進する必要があるのではないかということです。
 続いて、「女性の就業率の向上」です。資料3は12頁をご覧ください。いくつかの指標は達成しているものと達成していないものがあります。まず、ポジティブ・アクションの取組企業の割合は31.7%でした。目標は34%でしたので、残念ながら達成できませんでしたが、「見える化」の推進や中小企業に対する働きかけなどをすることによって、2010年の実績に比べると上回っています。
 3歳までの育児のための短時間勤務制度の普及については、改正育児・介護休業法が本格施行して101人以上の企業において義務化されたこともありまして、目標を上回りました。
 男性の育児休業取得率についてです。2010年の改正育児・介護休業法の施行により父母両者が育児休業を取る場合に休業できる期間の延長等などの優遇的な措置ができました。その結果もあり、目標の4%には残念ながら達成しませんでしたが、2.63%でした。前年が1.38%でしたので、水準は低いのですが、倍にはなりました。
 マザーズハローワーク事業についてです。事業拠点の拡充等を行うとともに、この事業では特に担当者制による支援を重点的に行っていますので、その結果、対象者数、就職率とも目標を上回る実績になりました。
 全体のまとめとして、ポジティブ・アクションは進んではいるが目標を達成していないため、今後は「女性の活躍促進・企業活性化推進営業大作戦」に基づき、企業に対する働きかけを行っていくことを考えています。そのようなことにより、効果的な取組を実施する必要があるのではないかと考えています。また、男性の育児休業取得率は、実績は上昇していますが、いまだ目標との差は大きいので、周知徹底、社会的気運の醸成を図る必要があります。
 関係する参考資料の2頁をご覧ください。表は育児休業の期間別の割合です。女性と男性に分かれています。女性の場合は、10~12カ月あるいは12~18カ月の1年前後を取られる方が多い。それに対して男性の場合は、5日未満や2週間未満、長くても1カ月未満の方が多い。男性の場合は取得率も低いのですが、取得日数もまだ低い状況にあります。これは事前に資料のご要求がありましたので出しています。
 次に、資料2の4、資料3では19頁の、「高齢者就労促進」についてです。指標のうち今回数値が出ているのは、中高年齢者に対する試行雇用事業、いわゆるトライアル雇用事業です。これはトライアルで雇っていただく事業です。これらについては予算額も増加していますし、会社数、常用雇用移行率とも目標を上回っています。積極的な利用勧奨を行った結果ではないかと考えています。高齢者全体としての基本的な指標は、65歳まで働ける企業の割合や、70歳まで働ける企業の割合といったアウトカム指標なので、これらについては2011年度の実績が秋口に出た時点で、次回の点検評価部会で評価していただきたいと考えています。
 次に、「障害者就労促進」です。資料2の7頁、資料3の23頁です。いろいろな指標がありますが、今回出ている指標はいずれも目標を上回っています。個別の内容です。まず、ハローワークにおける就職件数は前年度から6,000人以上増加し、目標を上回る水準となっています。これは企業における障害者雇用への理解がだんだん進んできていることを反映したものと考えています。なお、就職件数は全体ですが、中身を見ますと、特に精神障害者の就職数が増えている特徴が見られます。
 障害者の試行雇用、トライアル雇用の事業については、会社数、常用雇用、これはいわゆる正社員への移行とほぼ同義ですが、ともに前年より増加しておりまして、目標も上回っています。これらについては障害者の就職意欲の高まりなどが寄与しているのではないかと考えています。
 それから、精神障害者の雇用トータルサポーター事業の進捗状況です。これは新規の事業で、従来、精神障害の方には障害者に対するサポートを行っていましたが、今回のトータルサポーターでは、事業所も含めてトータルにサポートするというコンセプトのものです。この事業は、特に難しい方を対象として、就職だけではなく、訓練など、就職に向けた次の段階に移行するものの割合を目標として設定しています。これは目標を上回っています。前身の精神障害者の事業の拡充により、効果的な支援が行われたのではないかと考えています。障害者の就労促進については、いま申し上げましたように、特性に応じたきめ細かな支援や関係機関と連携することにより、着実に成果を上げることが重要だと考えています。なお、障害者雇用の関係でもう1つ大事な指標として、雇用率の達成企業の割合がありますが、今回はこのデータがまだ出ていません。2011年度実績が出た時点で、次回の点検評価部会で点検いただきたいと考えています。以上です。

○清家部会長 
 「若者の就労促進」「女性の就業率の向上」「高齢者就労促進」「障害者就労促進」の4つについて説明いただきました。これらについてご質問、ご意見をお願いします。

○金子委員 
 2点申し上げたいことがあります。1つ目は、若者の就労促進についてです。資料3の7頁にいろいろな実績等が記載されています。合計値は全体の数値として記載されていますが、就労の観点では、男女で状況などの差がいろいろあると認識しています。これだけではないかもしれませんが、把握する範囲として、男女別に記載する把握も必要ではないかと思っています。その点を検討していただきたいと思います。
 もう1点です。女性の就業率の向上についてです。資料2の6頁の実績を見ますと、前年の約2倍の2.63%になっているということで、これ自体は法改正の効果もあったのだろうと理解しています。ただ、先ほどの参考資料にもありますが、このような数字は、1日でも育児で休んだ場合でもカウントされるという統計だと理解しています。女性が平均で12カ月前後という中で、実際に育児休業されている女性からすると、1~2日の休みが本来の趣旨に則した休みになっているのかという意見があるのではないかと思っています。そういった意味では、実績なり次の目標のところにも関係するかもしれませんが、例えば、育児休業給付の支給基準になっている20日以上など、ある程度の日数を取っている割合や人数などの把握をすることも必要ではないかと思っています。その点についてもご検討いただきたいと思います。

○大西職業安定局総務課長 
 現在、ジョブサポーターの資料については男女別の数字がありません。今後それがわかるように検討したいと思います。

○吉本雇用均等政策課長 
 本日お示ししたデータは、育介法上の育児休業が1日から取れることになっているので、それに合わせた定義の取り方で把握しているものです。ただ、ご指摘のとおり、実態を見ますと、男性と女性とで日数で非常に大きな違いがあるのは事実です。男性の取得率はまだ2.数%なので、日数が多少少なくても取っていただけるようにしていくことがまず一歩ではないかと考えています。さらに、おっしゃったような、日数についてもきちんと実態を把握して、それに関する評価もしたいと考えています。

○坂田委員 
 若者の就労促進に関してです。これはいつも言っていることです。行政と大学で連携されて、いろいろな成果を上げて数値目標は達成したと。これについては素直に見たいと思うのですが、やはり、企業の努力なり取組について少しく書き込んでほしい。毎回申し上げているのですが、どうもなかなか出てこないので、それをお願いしたい。
 それから、ジョブサポーターの方々についてです。増員したと言っても2,300名ぐらいなので、この少ない人数で大変ご尽力されていることには頭の下がる思いです。資料2の5頁の記述を見ますと、履歴書の書き方や面接指導、これを個別支援と言っていて、その結果、圧倒的なパフォーマンスという建て付けになっています。これを見ますと、数値目標をクリアしたから本当にこれでいいのかという気がします。つまり、学生のほうでも反省すべきところが大いにあるのではなかろうか。このようなことで就労支援になるのであれば、少し別の面からの切り込みが必要なのではないか、これは感想ですが、そのように思いました。私としては、現実にそうである以上、対症療法としてこのような対応をしていかなくてはいけないことは理解しますが、もう少し学生の側の質を上げるようなことを、この場の話ではないかもしれませんが、まとめのところでも「各省連携しながら」と書いているので、連携の中で、このような現状だということを共有化して有効な対策に結びつけていかないと先に行かない。そうでないと、いつまでもジョブサポーターがどんどん増えていって、履歴書の書き方を指南するようなことになりはしないかと危惧しますので、ご配慮いただきたいと思います。

○大西職業安定局総務課長 
 坂田委員のご指摘は誠にもっともなことばかりです。私どもとしましても、もちろん、ハローワークのジョブサポーターでいろいろと支援をしていますが、その前と後ろと言いますか、企業の皆様にも非常にご努力をいただいていますし、文科省と連携して、学生にもっとしっかり勉強してほしい部分も、それは全く同じ気持ちです。今年6月に若者雇用戦略がまとまりましたが、その中でも、例えば企業に関しては「若者応援企業宣言」という形で、努力している企業には私どももしっかり支援する取組をしていこうということが入っています。履歴書の書き方など、確かに現実にはそのような方も大勢いらっしゃいますが、ぎりぎりの段階までぼんやりしていられても困るので、学生の頃にもう少ししっかりした意識を持っていただくとか、そのようなノウハウをつけていただくなど、文科省にも頑張っていただきたいと思っています。私どもの対策としては、大学3、4年生のうちからジョブサポーターが大学と連携して、そういったノウハウも含めて培っていただいて、就職面接の時期になったらきちんと行けるような学生をつくる。そのような対策も若者雇用戦略の中で検討しているところです。いまの委員のご指摘の方向で対策を講じたいと考えています。

○坂田委員 
 そういう意味では、学生の側での視野の広がりと言いますか、よく言われているのは、大企業ばかりねらうからうまくいかないのだと。実は中小企業の中にも広く知られてはいないけれども、魅力のある、働きがいのある会社があるはずだと。ここでは、「求人とのマッチング」という表現が使われていますが、学生の側でもそのように視野が広がって選択肢が広がった、そのことが有効に働いたのだというようなことが書かれているのかと期待したのです。それは影響がごく小さくて書き込むほどではないのであれば、そうではないのですが、その辺のリサーチもお願いしたいと思います。くどくて申し訳ありませんが、就活のテクニックだけで解決できたという書きぶりは、やや不満と言いますか、少し違うのではないかという気がします。

○大西職業安定局総務課長 
 いまのご指摘を踏まえて文章を直せるところは直したいと思います。一言、経緯だけ申し上げます。若者の就労促進については、平成22年9月からスタートして、まだ施策としては少し若い施策です。委員のご指摘の事項については、私どもも、いまの時点ではもちろんやっていますが、この統計の数字に出てきているものは若干古いもので、その点、去年や一昨年に中小企業に関する魅力のアピールなどをどのぐらいやれていたかというと、いま我々が取り組んでいるよりはその程度が軽かったと思います。その反省の意味も込めて記述の検討をしたいと思います。

○坂田委員 
 よろしくお願いします。

○清家部会長 
 いまの点について私からも、マッチングについてです。マッチング機関ももちろん大切ですが、労働供給側としての学生さん、何よりも労働需要側としての企業、その両方の努力がないとこの成果は出ないと思います。雇用は生産からの派生事業ですから、この書きぶりの中で、企業の協力、つまり、ジョブサポーターなどのご努力をきちんと受け止めていただけた企業の協力がこのような成果を生んでいるという趣旨の記述が、工夫できれば、あったほうがよろしいと思います。その辺は、坂田委員からもご指導いただいて事務局で文章を修文します。そのような形でよろしいでしょうか。

○大西職業安定局総務課長 
 原案を作りまして相談いたします。

○小谷野委員 
 坂田委員の指摘とも関連することです。若者の就労促進について、「各省連携しながら」という文言が入っていますので、その点は非常に評価したいのですが、先ほどから出ていますように、中小企業についてです。私も以前から、中小企業に対する若者の就職意欲を向上させなければいけないと申し上げてきていますので、その辺について、何らかの文言を付け加えていただきたいと思います。
 もう1点です。若者、女性、高齢者、障害者全般に関わることです。中小企業はいま非常に厳しい経済情勢の中でぎりぎりの経営をしているのが現状ではないかと思います。そのような中で、仕事を維持し、雇用を維持しながらとなると、やはり現状雇用している人を雇用し続けるということで、60歳の定年を過ぎても65歳、70歳まで雇用していこうという意欲はあると思うのです。そうすると、若者を雇用したくても余裕がないというのが中小企業の現状ではないかとも思うのです。その辺に対する何らかの施策を講じていただければ、中小企業は非常に助かるのではないかと思っています。また、中小企業に蓄積されたいろいろな技術は高齢者が持っているのです。高齢者がリタイアしてから若者を入れるとなりますと、どうしてもその技術が損なわれてしまう面もあろうかと思います。労働政策の中で、そういった面も非常に重要ではないかと思っています。感想かもしれませんが、私の思いを述べさせていただきました。

○大西職業安定局総務課長 
 中小企業の施策は、ここの指標とは離れまして、私どもとしましても日本の中小企業がもっと元気になれるような施策を来年度に向けても検討中です。そういったものを踏まえて来年度のハローワークの施策に反映したいと考えています。具体的には、酒光が先ほど申し上げましたように、日本再生戦略の中で、若者対策やあるいは地域の中小企業を応援する政策など、そういったものを現在検討中です。委員のご指摘を踏まえて検討してまいりたいと考えています。

○清家部会長 
 いま委員がご指摘になった点で、技能の継承というのは非常に大切なポイントです。例えば、若者雇用と高齢者の雇用の両方に当たるような部分もあります。その辺についても委員のご指導もいただいて、必要であれば修文したいと思います。

○田中委員 
 先ほど金子委員からも男性の育児休業取得率についてありましたが、まさに育介法で十分議論して2010年に本格施行したということです。その状況を踏まえて、各担当分科会で検討していただくことが筋ではないかと思います。私もこの点検評価部会では、施策の検討状況、法律の施行状況を見て、何か問題があった点について指摘するのだと思いますので、記述はこのレポートのとおりで大体いいのではないかと思っています。

○吉本雇用均等政策課長 
 おっしゃるとおり、いまある3つの指標につきましては、均等分科会で労使でご議論いただいた結果です。それを踏まえた記述をしています。

○清家部会長 
 委員のご指摘のとおり、この点検評価部会は、それぞれの政策を担当する部会が決めた施策が十分に実現されているかどうかを点検しています。そのような基本的スタンスで進めていきたいと思います。

○芳野委員 
 男性の育児休業の部分について、感想と言いますか、私の思いも含めて申し上げます。次世代育成支援対策推進法ができたときに、多くの企業が「くるみん」マークを取得したいとして、男性の育児休業取得者を増やす意味で、いわゆる妻出産のための特別休暇にプラス休暇を付けて育児休業として、男性の育児休業取得者を増やすという取組が当時あったと認識しています。子育てに関わりたいという男性労働者が一定期間、子育てのために休むのが本来の法の趣旨だと思いますが、1~2日ということでは、子育てに関わったことにはならないと思います。やはり、法の趣旨に則って、取りたい労働者が、気兼ねなく、不利益を受けることなく、子育てに関わる趣旨のところは、この部会としても提言する必要があるのではないかと感じました。
 女性の就業率の向上について指摘したいと思います。働く女性が母性を尊重されながら能力を十分に発揮できる環境の整備という観点から、第1子出産後の女性就業継続率を指標に追加するべきではないかと考えています。この点については内閣の重要施策部分でも触れられていますので、ご検討いただきたい。
 それから、マザーズハローワーク事業について、重点支援対象者の就職率の実績が89.2%となっています。これは高いものだとして評価されていますが、この数字が安定した雇用に結びついたという理解でいいのかどうかを確認させていただきたいと思います。
 さらにもう1点、ポジティブ・アクションの取組についてです。中小企業に重点的に働きかけを行うということで、もちろんこれをやっていただきたいと思いますが、大手企業でもまだまだポジティブ・アクションは進んでいない所もあります。また、中小企業の場合には、業種によってですが、女性の採用もまだ低い所もあります。そのような観点も入れてポジティブ・アクションの取組を強化していただきたいと思います。省が跨がりますが、たしか経済産業省のデータでは、女性の活躍している企業のほうが経常利益率が高いというデータも出ています。そういったことも使って、企業への取組を強化していただきたいと思います。

○大西職業安定局総務課長 
 マザーズハローワークの正規と非正規の割合については、正確な数字の分析はありません。定性的な答えで誠に申し訳ありませんが、重点支援対象者は子育て中で早く就職したい方が中心になっている関係もありまして必ずしも正社員で働くことができないという制約条件のある方も多い実態にあります。正規か非正規かと聞かれると、非正規で就職されている方、いわゆるパート的な働き方をされている方も相当数入っています。そのような方を含めた数字として、このような数字が出てきています。委員のご指摘のとおり、安定した雇用という意味で、正社員がいいということは私どもももちろん理解していますが、現実としてはそのような実情になっています。

○清家部会長 
 よろしゅうございますか。部会で引き続き議論いただいたほうがよい部分もあると思います。

○吉本雇用均等政策課長 
 改めて男性の育休取得率の話がありました。これも繰り返しになりますが、分科会で議論した結果としてこの指標を取っています。これは1つ、象徴的なものだと思いますが、それ以外にも例えば、有給休暇を振り替えて出産時の子育てに充てているものや、おっしゃったような配偶者出産休暇制度などもありますので、そうしたものを多角的に把握して全体の子育て参加の状況を捉えていくべきものではないかと考えています。
 女性の継続就業率に関しては、いまは5年に1度しか統計が出ないものを使って目標の管理をしている事情から、それも前提としてそうしたものは年度目標にはしない形で分科会で議論して、いまの指標が設定されています。もちろん、その指標についても多角的な分析評価の点できちんと視野に入れたいと思っています。
 それから、ポジティブ・アクションについてです。今回、全体では「取り組んでいる」が31.7%と報告しましたが、大企業では5,000人以上の大きな所で78.8%、一方で、30~99人では30.4%と、大きな違いがありますので、1つの切り口として挙げられると考えています。ご指摘のとおり、大企業であっても、個々の企業、業種によって抱える問題はそれぞれですので、業種という視点ももちろん必要です。その辺はいろいろな面から特に働きかけが必要な対象を絞り込んで効率的にやっていきたいと思っています。

○宮本委員 
 いまの芳野委員の指摘と重なると思います。まず、第1子出産後の継続就業率はかなりクリティカルな数値だと思います。5年ごとのデータという答えでしたが、近似的なデータであれ、現状で7割近くが辞めているというところから、多少とも前進が窺える指標は模索に値するのではないかと思います。近似的なデータも含めて、私からも、ご検討をお願いしたいと思います。
 もう1点は質問です。3歳までの育児のための短時間勤務制度の普及率はあるのですが、ひょっとしたら私が見落としているかもしれませんが、利用実績についてのデータがありません。いちばん望ましいのは、職場で能力の維持と生産性の向上と併せたワーク・ライフ・バランスをめぐる対話を促進することだと思いますので、利用実績についてのデータがあるかどうかお聞きします。

○清家部会長 
 ただいまのご質問について事務局からお答えください。

○吉本雇用均等政策課長 
 短時間勤務制度については、利用者「あり」としているものが事業所の中の46%ぐらいという状況です。これは女性の育休後の復帰者がある事業所の中のもので、その程度の利用率になっています。
 1点目の継続就業率については、ほかの指標にどのようなものがあるか研究したいと思います。

○樋口委員 
 若者、女性、高齢者、障害者と、タイトルを見ますと、女性以外はみな「就労促進」なのです。女性だけが「就業率の向上」という別のタイトルがついています。これは意図的につけているのかもしれません。政策の中身として、就労支援にとどまらず、ポジティブ・アクションに代表されるような雇用管理の面での女性の活躍を促進するということが、女性のところには含まれているのだろうと思います。代表的な指標としてよく出されるのが、男女間の賃金格差、ここでも出ていますが、それと並んで、管理職に占める女性比率があり、それが低いというのが国際比較やいろいろなところで使われています。女性の役職者を増やすことも政策のターゲットになっているのかどうか。それによって評価指標は違ってくると思うのです。おそらく、ポジティブ・アクションではそれを念頭に置いてやっているのだろうと思うのですが、その点はどうなのでしょうか。

○吉本雇用均等政策課長 
 ポジティブ・アクションは、各企業が置かれている状況、課題によって何を捕まえて取り組むのかはさまざまだと思います。その中の1つの代表的なものとして、管理職を増やしていくといったことは入ってくるだろうとは思います。

○樋口委員 
 もしそこまで意図するならば、中身的に就業率の向上とは少し違ってくるわけですね。むしろ質的な話まで入ってきているので、この「就業率の向上」というタイトルで適切であるのかどうかということです。

○吉本雇用均等政策課長 
 経過から言いますと、新成長戦略のときに、M字型カーブの凹みを上げて行こうということで、就業率の向上としています。その場合に、単に両立支援をしただけでは継続就業は進まないので、それに加えて、ポジティブ・アクションによるさまざまな雇用管理の改善を進めて就業率を上げる。ポジティブ・アクションはそのような文脈で入っているのではないかと思います。

○樋口委員 
 であれば、「男女格差の見える化」などは、ちょっと違う。就労支援あるいは就業率を上げるということと間接的には影響するのでしょうけれども。むしろ、もうそこまで政策は入ってきているのではないかと思うのです。単に働く女性を増やしますという話ではなく、その質的なところまで入ってきた議論になっているのだろうと思うので、ご検討いただきたいと思います。

○吉本雇用均等政策課長 
 私どもの均等行政全体の施策の方向、目的としては、もちろんそのようなものも入っていると申し上げられると思いますが、いまここで申し上げた標題と取り上げている指標は、いままでの議論の中でこのように決まったというものです。

○清家部会長 
 標題や指標は、先ほどの田中委員の質問とも関連しますが、基本的にはそれぞれの部会、三者構成の審議会において政策が策定されています。ここの議論ももちろんフィードバックしていただく必要はあると思いますが、それぞれの部会で政策が確定した後に、またこちらの指標も然るべき形に変えると、そのような理解でよろしいでしょうか。

○酒光労働政策担当参事官 
 はい。

○安永委員 
 障害者の就労促進について申し上げます。雇用率達成企業割合は次回ということでした。雇用率の引上げは来年4月1日施行で実施されることになっていますが、前回雇用率を引き上げた1998年には、残念なことに達成企業割合が5%ポイント以上低下した事実もあります。今回は準備期間も短いので万全の対策をするためにも、十分な周知と、それぞれの労使の取組に支援をいただきたいと思います。

○清家部会長 
 これはご要望ですが、事務局から何か一言ありますか。

○大西職業安定局総務課長 
 私どももそのように取り組んでまいりたいと思います。

○清家部会長 
 引き続き、人材育成について事務局から説明してください。

○酒光労働政策担当参事官 
 引き続き、説明をいたします。資料2の7頁の下、6人材育成、資料3の28頁です。ここは特に28頁から29頁でおわかりのように、数多くの指標があります。達成しているもの、達成していないものがありますので、それぞれについて簡単に説明を申し上げます。公共職業訓練は雇用保険受給者の就職のために行っている訓練ですが、現在の速報値は、受講者数については目標をかなり下回る結果になりました。これは前回、中間報告で申し上げたのと同じことです。この原因ですが、公共職業訓練は主に施設では都道府県、あるいは高齢・障害・求職者雇用支援機構で施設内の訓練を行っております。また、民間の訓練機関に委託を行っています。これは委託訓練と呼んでおります。
 委託訓練の委託する側ですが、委託する側は従来、都道府県と雇用支援機構、両方から行っていたのですが、平成23年度から都道府県が全部行うようになったということです。委託ではありますが、委託するにはそれなりに手間がかかるということもあり、都道府県に全面的に移管をしたわけですが、都道府県側の実施体制がまだ十分進んでいないということで、委託訓練が初期の予定に比べると十分でなかったということが、この受講者数が減った要因ではないかと考えております。なお、就職率ですが、施設内訓練、委託訓練、それぞれを目標設定しておりますが、これについてはおおむね目標を達成しております。
 続きまして、緊急人材育成支援事業については、前回説明したのですが、雇用保険を受給していない、長期失業とか、そもそもアルバイトの方などで雇用保険にもともと入っていない方、そういった方々に対する訓練を行う事業です。これについては昨年度の前半まで、予算事業として行っていた事業です。受講者数、就職率等が目標を大きく上回る結果となったということです。
 資料2の8頁ですが、求職者支援訓練です。こちらは先ほどの緊急人材育成支援事業が予算事業でしたが、これを法律に基づく事業として整備したものです。昨年度の後半から実施しているもので、就職率目標を設定しておりますが、いまのところ速報値しか出ておりませんが、基礎コース・実践コースとも目標を達成しているという状況です。これもこれまでの予算事業の実施状況等を踏まえながら、就職率向上に資する仕組み、修了者に対するハローワークと連携した支援など、こういったものが成果を上げたと考えております。
 ジョブ・カードですが、ジョブ・カードの取得者については22万人ということで、年度目標28万人ですので、年度目標を下回ったということです。その要因ですが、地域のジョブ・カードセンターを通じた普及促進等の事業を行ってきておりますが、まだまだ認知度が不十分ということと、先ほど申し上げましたように離職者訓練の受講者数が減っていることもあり、普及が十分ではなかったということだろうと分析をしております。
 ニートの関係で「サポステ」と書いてありますが、「地域若者サポートステーション事業」の実施状況です。こちらは若者を支援しているNPO等に委託をして、すぐにハローワークでの就職支援とか訓練機関に移行できないような、そこまで行くのが遠い、就職が難しい若者を支援しているわけです。こちらの実績ですが、設置箇所数も増加しており、団体の努力もあり、着実に目標を達成したという状況です。
 人材育成の最後ですが、自己啓発です。正社員については43.8%、非正社員は19.3%で、前回に比べると上回っているということですが、誤差等も考えるとほぼ横這いです。労働者のほうでは、忙しくて自己啓発の余裕がない等の理由を挙げているということです。
 それらを踏まえた全体のまとめですが、公共職業訓練について関係機関間の連携が必要ということで、労働局、都道府県、機構、それぞれに対して、連携して訓練業務を効率的に実施するよう通知をしました。これを踏まえて、引き続きハローワークで適切な受講あっせんをするとともに、各地域の求人・求職ニーズを的確に把握して、それに基づく訓練コースを設定し、あるいは修了した方の就職支援をきちんとやっていく必要があるのではないかということです。求職者支援制度については、これからどんどん修了者も出てくるということで、引き続き努力していく必要がある。ジョブ・カードについては、ジョブ・カード普及サポーター企業の開拓ですとか、雇用型訓練の活用促進に取り組んでいく必要があるとしております。自己啓発については、目標と実績の乖離がかなりあるということで、よく要因を分析して、必要に応じ施策や目標のあり方についても検討すべきではないかとまとめております。以上です。

○清家部会長 
 ただいまのご説明部分、人材育成のところで何かご質問、ご意見はありますか。

○坂田委員 
 ジョブ・カードに関してなのですが、なかなか普及が進まないということで、私の理解ではジョブ・カードは求職者の情報の質を上げるということだと思います。企業から見てもそうだと思うのです。そういった場合に、いま有効な手法としては、ネット上に上げるというのがあると思うのです。これは質問なのですが、先日の新聞報道で、こういったことに関してデータベース化するという意味合いの記事がかなり大きく載っていました。今日の記述の中にはサポーター企業の開拓、また雇用型訓練の活用ということにとどまっているのですが、この辺りについては、どういうことがいま計画されているのでしょうか。質問です。

○土屋職業能力開発局総務課長 
 いまご質問のありました点ですが、ジョブ・カードの活用を図る1つの大きな側面としては、職業訓練と結び付けて、その成果を図りながら就職の段階でも企業にも活用していただく、という形でやっていくのがいちばん大きなところかと思っています。そういう意味では、目標との関係も含めて、ジョブ・カードという意味では公的な職業訓練の活用を進めるという点を、いま1番手にやっているところです。それと併せて、企業での活用を図っていくということで、いまお話にも出たサポーター企業ということで、活用いただける企業に名乗り出ていただいて開拓をしていくという事業をしております。これについては、いまでも厚生労働省のホームページなどに、どういった企業が手を挙げているかという情報を掲載しているのですが、これをさらに内容を充実させて、どういう場面で活用しているかということを含めて、企業のPRもしていただきながら、学生の皆さんにそういう情報を見ていただく。学生といいますか、ジョブ・カードを使う若者を中心にした方々に見ていただく、という取組をやっていきたいと思っております。そういった形での情報発信をネット上でやっていくことを、いま考えているところです。
 企業との具体的なマッチングの場面では、ジョブ・カードもキャリア・コンサルティングをやりながらというところがありますように、そこはやや手間隙をかけて、人手を介してやっていくという仕組みのほうが、地味ではありますが効果につながるのではないかと思っております。そこはハローワークでの活用や訓練実施機関での活用といった場面を通じて、対応していきたいと思っているところです。

○坂田委員 
 これはここで言う話ではないのかもしれませんが、そういった情報に関しては民間での取組が先行する傾向があると思いますし、特にネットを活用してという意味では圧倒的な違いがあるようにも思いますので、ジョブ・カード、つまり求職者の情報に関することを流通させるのであれば、かなり停滞しているわけですから、この辺でかなりやり方を変えないと効果が出ないのではないかということを心配しております。よろしくお願いします。

○清家部会長 
 この辺もまた部会において、あるいは分科会において、少しご議論をいただいて、またこちらに反映していただくということだと思いますが、坂田委員、そのようなことでよろしいでしょうか。

○芳野委員 
 ジョブ・カードについて申し上げます。8頁で雇用型訓練の活用促進等に取り組む必要があるということなのですが、雇用型訓練については日本版デュアルシステムなどの実習型訓練とともに、先月、政府が取りまとめた若者雇用戦略の策定に向けて議論された雇用戦略対話ワーキンググループで、多くの有識者から有効であるという意見が出されています。若者雇用戦略の着実な推進に向けて、例えば助成率の引上げなど、定量的な施策の拡充が必要ではないかと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

○清家部会長 
 事務局のほうから何かコメントはありませんか。

○土屋職業能力開発局総務課長 
 雇用型訓練については、いまご指摘がありましたように若者雇用戦略のご議論の中などでも大変効果が出ている、評価をいただいているところです。ただ、一方でジョブ・カードに関しては、これまでの経過の中で、仕分けの場などにおいて、ジョブ・カードに特化した助成措置についてご指摘をいただいたことも踏まえて現在、キャリア形成促進助成金の一般的な対応の中で対応していくという形になっています。ただ、私どもとしては今回の若者雇用戦略のご議論などを踏まえて、ジョブ・カードというよりは、むしろ若者対応とか非正規対応とか、そういう観点になってくるかと思いますが、助成措置の政策的な課題への重点的な対応ということを考えていきたいと思っております。また、ジョブ・カードの活用の場面でも企業にお勧めをする部分の対応の強化も含めて充実を図っていきたいと思っております。いまいただいたご指摘を踏まえながら、今後また検討していきたいと思っております。

○清家部会長 
 引き続きまして、事務局のほうからディーセント・ワークの部分についてご説明をお願いいたします。

○酒光労働政策担当参事官 
 ディーセント・ワークについて説明申し上げます。資料2の9頁、資料3の38頁です。主にここでは労働条件等に関することを中心に書かれておりますが、1つ目として週60時間以上の雇用者の割合、長時間働いている雇用者の割合を目標として設定しております。2011年度においては9.3%で、去年に比べると減少はしておりますが、目標値を上回っております。これは目標よりも下げることが目標なので、上回っているということは達成できなかったということになります。労働災害の発生件数ですが、死亡災害はかなり減って過去最少になったわけですが、災害発生件数そのものについては前年を3,600人ほど上回る、増加となったということで目標達成には至らなかったということです。
 中身ですが、最近では卸売小売業、あるいは医療保健業、福祉関係の業務、こういったところでの労働災害が増えているということと、建設業については震災の復興事業等での事故などが増えていると考えております。また、陸上貨物運送は相変わらず事故などが多いという状況にあります。こういったところが労災の発生件数が減らない要因になっていると分析をしております。メンタルヘルスについては、すべての職場でメンタルヘルスに関する措置を受けられるようにするという目標、受動喫煙についても受動喫煙のない職場の実現を目標に掲げておりますが、それぞれ労働安全衛生法の改正法案を提出したところで、いまご審議をいただくこととなっているところです。メンタルヘルスの関係については、参考資料をお付けしております。
 これも事前に委員の方からご質問があったところなのですが、参考資料の3頁です。どのような業種でメンタルヘルスが多いのかは、なかなか適切なデータがありません。ここでは1カ月以上休んだ方がいる事業所の割合です。また、業種によっても事業所の規模が違います。本来でいうと、どのぐらいの労働者がそうなっているかという割合のほうがいいのかと思いますが、とりあえずこのようなデータで取っております。これで見ると、多いのは電気・ガス・熱供給・水道業、あるいは情報通信業、こういったところでメンタルヘルスで1カ月休む方がいらっしゃる事業所が多いという結果です。先ほど申しましたように、事業所の規模とか特性も影響している可能性がありますので、ある意味でそういうことも検討する必要があるかと思います。
 併せて4頁ですが、逆にメンタルヘルルスケアに取り組んでいる事業所の割合です。これは先ほどとほぼ同じような感じで、電気・ガス・熱供給・水道業では77.8%ですから、多くの会社で従業員のメンタルヘルスケアを行っています。金融・保険業、あるいは情報通信業といったところでも、メンタルヘルスケアに取り組んでいる企業が多いという結果が出ております。ご参考にしていただければということです。年次有給休暇の取得も目標にあるのですが、こちらは今回データが出ておりませんので、次回の部会でご審議いただければと思います。
 まとめですが、労働時間については、過重労働による健康障害の防止、あるいはワーク・ライフ・バランスといった観点から、恒常的な長時間労働を抑制したり、休日休暇の確保が必要と考えております。また、労働災害の防止については、特に先ほど申し上げましたように、陸上貨物運送、小売業、社会福祉施設といったところへの対策を強化していくことが大切だということと併せて、建設業において復旧・復興工事における事故があるということですので、労災防止対策を強化する必要があると考えております。以上です。

○清家部会長 
 ただいまのディーセント・ワークの部分について、何かご質問、ご意見はありますか。

○小谷野委員 
 労働災害の件について意見を述べさせていただきます。5%の削減目標が反対に3.3%の増加ということで、非常に由々しき事態かと思うのです。まとめの所に「対策を強化する」という文言が入っているのですが、労働災害がなぜ起きるかというその裏側をきちんと分析する必要があるのではないかと思っております。いまの景気の状況もありますし、デフレの進行もありますし、規制の緩和といったことも影響しているのではないかと感じているところです。競争が激しくなりますと、皺寄せが弱者のところに来ると。例えば下請企業に安く受注させるということが起きているのではないか。そうしますと、無理して受注をするということもありますし、また場合によっては法を犯してでも受注せざるを得ないという状況が生まれているのではないかと危惧をしているところです。
 非常に誤解を生むような例かもしれませんが、先日、関越自動車道でバスの大きな事故がありました。私の仲間で運送業をやっている方がいるのですが、不謹慎な言い方ですが、「あの事故は今後に向けた転機になるのではないか。一部のああいう本当に違法なことをやる業者がいるから、我々は非常に経営が苦しくなるんだ」というようなことをしみじみとおっしゃっておられました。そういった意味で、労働災害の問題ですが、そこに潜む構造的な問題も、厚生労働省で取り組む部分は限りがあるかもしれませんが、是非その辺も光を当てて対策を立てていただければありがたいと思っております。

○清家部会長 
 この点について、事務局から何かありますか。

○前田労働基準局総務課長 
 まず、分析についてです。資料3の42頁で、分析しておりますが、特に増えたのが小売、建設業、社会福祉施設ということです。従来の建設とか製造業はかなり災害防止が進んできたわけですが、一方で小売の場合、転倒災害など比較的重篤でないような災害である。一方、事業主の災害防止の意識が低かったということがあったのかと思います。建設業は、先ほどの震災の復旧・復興の関係です。社会・福祉についても腰痛・転倒が増えており、また、医療・福祉に従事する労働者が増えていることもあります。全体で増えたことについては、一応そういう分析をしています。
 陸上貨物運送事業でも墜落・転落が増えていて、この辺りは陸運事業者だけでなくて荷主との関係で、先ほどご指摘がありました受注の関係とか、そういうところもないとは言えないかと思います。特に荷の積み下ろしなどの際に転落する事例が多いということです。そこは陸運事業者がやることと、あるいは荷主側がやること、それが特に運転手との関係で明確になっていない部分もあるのではないかということで、荷役作業について、安全対策などを重視していく。その上では、国土交通省とも連携して、陸運事業者とか荷主団体に対するそもそもの安全対策、あるいは荷役作業をどちらがやるかということ自体を契約で明確化するとか、そういうことも含めて、ガイドライン的なものも今後作っていきたいと考えております。

○小谷野委員 
 是非お願いします。

○金子委員 
 ディーセント・ワークで、資料2の9頁の最後、評価の所です。「恒常的な長時間労働」云々で、「対策を強化する必要がある」と記載があります。これを受けた資料3の44頁に、もう少し具体的に書かれておりましたので、そこを拝見しますと、主な対応として、労使の主体的な対応を促すようなコンサルタントの活用、また助成金の強化といったところがあろうかと思っています。今後の目標達成に向けた施策として、1点はより長時間労働が多い産業・業界との連携をより密にして、1つ1つしっかり対策をしていくことが重要かと思っております。それが1点目です。
 2点目は、労使の主体的な取組を支援することは非常にありがたいことかと思いますが、それだけでは足りないのではないかと思っております。例えば年休取得を義務化するような施策・仕組みを考えるとか、とりわけ労働組合のない企業とか規模の小さい企業等に、重点的な対応を念頭に置いた検討をいただきたいと思っております。そういう意味で、法整備を含めた行政の支援、また使用者団体等がリードしていくことも重要ではないかと思っていますので、意見として申し上げました。

○安永委員 
 関連して申し上げたいと思います。いまお話がありましたように、年次有給休暇の問題であるとか、長時間労働の問題などについては、私ども労働組合としても責任を痛感しているところですが、是非、年休の取得、それから長時間働くことは体を蝕むことだということの社会全体としての働きかけも必要ではないかと思いますので、以後、協力をお願いしたいと思います。併せて週労働時間60時間以上の雇用者の割合について、9頁ではあっさりと、わずかに減少したが、目標を上回ったと記述があります。目標達成できなかったということでしょうけれども、減少した原因として、パートとか労働時間の短い就業形態の労働者が増えていて、逆に正社員は依然として、その影響もあって長時間労働をしているという実態もあろうかと思いますし、むしろ負担は増えているという職場の声もあります。そういう数値などもとっておられると思いますので、目標として掲げる云々は結構ですが、分析をするに当たって、そういうことも考え合わせた分析が必要ではないかと思っております。以上です。

○清家部会長 
 ただいまのご指摘について、事務局からお願いします。

○前田労働基準局総務課長 
 特に労働時間が長い業界、あるいは産業ということで、これまでも運輸業とか建設業、あるいは情報通信業といった業界について重点を当てて、労働時間の見直しガイドラインの周知、あるいは個別のコンサルティング、あるいは助成金についても、労働時間が長いような業種に重点化するということも今年度からやっているところです。そういったところをさらに強化していきたいと思います。
 支援の面だけではなくということについては、制度的な問題については、基本的には労働条件分科会なりでご議論いただくことが必要なものかと思いますが、例えば年休の取得率について、計画年休などの普及が取得率にもだいぶ影響するところはあるかと思います。計画年休だけではなくて、厚生労働省でも公務員の休暇について、年間で計画を作るということを細川大臣のときに始めて、それでかなり取得も進んできているところもあります。そういった年休のカレンダー的なものを普及するとか、そういったことも意味があるのではないかと思っております。
 また、安永委員からありました60時間以上の割合についての分析ですが、その辺はパートの比率とか、そういったことも含めて分析できるかどうか、改めて検討したいと思います。

○樋口委員 
 いまの週労働時間60時間以上の削減率が目標に達しなかったというところとの関連です。2008年でしたか、残業割増率を変えたわけですね。特にここが問題になって、そのターゲットとしてそれを変えたと記憶しているのですが、それについての成果、あるいは評価分析をなさっているのでしょうか。あるいは、していないとすれば、今後やってほしいと思うのですが、まさに政策評価としてあれをどう評価しているのか、教えていただければと思います。

○前田労働基準局総務課長 
 平成22年4月に労働基準法の一部改正が施行されて、1カ月60時間を超える時間外労働について、割増率を50%に引き上げられました。ただ、中小企業については当分の間猶予という形になっております。施行後、統計調査などで割増率を引き上げた部分などは制度的に出ているのですが、実態としてどこまでかというところをまだ十分把握できていない部分もあります。いずれにしても、法律においては施行から3年経過後において、施行状況も踏まえて検討することになっております。平成22年4月施行でしたので、平成25年4月で3年ということで、私どもとしても特に来年度、施行状況について十分実態を把握して、今後の検討に活かしていきたいと考えております。

○清家部会長 
 ほかによろしいですか。だいぶ時間が経ってしまいまして、もう1つ、私どもはこれから議題2を処理しなければいけないわけです。まず、ただいまご議論いただいた当部会における2011年度の評価については、私としては冒頭に事務局から説明していただいたとおり、今日いろいろ貴重なご意見をいただきましたので、議論を踏まえて資料3の各項目について、委員の皆さんからのご指摘を資料3の各項目の点検評価部会委員の意見の欄にできるだけ正確に記載し、この各項目についてのご指摘等を踏まえて、資料2を叩き台として修正することで、部会としての年度評価とさせていただきたいと考えております。

○米倉委員 
 まとめに入ったときに申し訳ないのですが、これの評価のトーンセッティングが若干気になるのです。2011年などは重要な年で、雇用情勢が非常に厳しいし、日本は構造的転換に遅れていると多くの人たちが思っているときに、例えば4頁の「ハローワークにおける職業紹介等」のいちばん最後に、「きめ細かな就職支援に積極的に取り組んだ結果、就職率・求人充足率ともに目標を達成した」と書いています。実際に表を見てみると、確かに27%の目標を立てて27.1%になったからといって達成したとは言わないです。あるいは、求人充足率も去年の実態が30%で、それを目標設定を27%にして、実際は27%ですよね。もし私が学生に指導するとしたら、「ともに目標を設定した」ではなくて、「非常に厳しい情勢だったけれども、目標を達成したとは言えない」ぐらいの厳しい書き方をしてもいいのではないかと思うのです。
 さらに次頁の若者支援も、いちばん初めで「目標を上回る実績をあげている」というのですが、2010年の実績が24万4,000人で、目標値を24万人にして、実際は25万362人。確かに上がっているのですが、目標値の設定はこれから出てくるのですが、実際よりも目標値の設定を低くして、それを上回ったということを書いて目標を達成したというのを、普通の人が資料を一緒に見たら、これは御手盛りの結論であると言われるような気がするのです。
 なぜそういうことを申し上げるかというと、2011年は東日本大震災に加えて、貿易収支の赤字化とか、パナソニック、ソニーの8,000億に上る赤字とか、ものすごい構造転換がこれから起こるだろうというときで、この委員会は御手盛りで、よくやっている、頑張っているというトーンで評価をするのか、もっと厳しい情勢に対して、これからしっかりしなくてはいけないという対応で望むのかというのは、あとになってこれを読み返す人たちが、我々の見識を問うと思うのです。そういう意味で言うと、女性の就労も若者も高齢者も、数字的なものと、ここで案が下している文言とにちょっと乖離があるような気がするので、もう少し厳しいトーンで書く必要があるのではないか。
 そう思うのは、やはり原発もそうですし、財政もそうですが、手遅れになったときに、あとで委員会とか委員は何をやっていたのだと言われたときに、やはり日本の就業構造とか、これからパナソニックだけで3,500人は失業するわけですから、そういうモビリティに対してどのように備えていくのか。あるいは女性の問題もそうですが、それに対してもう少し厳しい、これからどうするべきかという評価があったほうがいいような気がいたします。

○清家部会長 
 この点について、事務局から何かありますか。

○酒光労働政策担当参事官 
 評価の仕方ということになるかと思いますので、もしよろしければ委員の皆さんのご意見も伺いながら、また座長とも相談しながら進めていきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○清家部会長 
 この評価の指標については、先ほど来議論が出ておりますが、私の理解では基本的にはそれぞれの政策を立案し、議論する部会、分科会において、例えばその時々の経済の現状を踏まえて、こういう目標が実現可能であろうという目標を立てておられると理解しております。したがって、点検評価部会のレポートの書きぶりとしては、それぞれの専門分野における部会において、労使と公益委員が合意された指標が実現されたか、されなかったかということを、まず淡々とと言いますか、客観的に記述をし、評価を加えていくということだと思います。
 その中で、状況をどのように見るか。ですから、一定のいま置かれた状況を判断した中で、それぞれの部会、分科会において、この指標が作られてきておりますので、今日これからまた今年度も議論しますが、それについて、それが甘すぎるとか、厳しすぎるということをここで議論することはできないと思います。その上で、そこで作られた指標が、ここで達成されたといったときに、その達成されぶりが「すごくよかった」と書くのか、「何とか達成できましたね」と書くのかという書きぶりについては、委員の方々とご相談しながら、書きぶりを変えることはできると思いますので、そういうレベルの修文は可能だと思います。ただ、現状認識は、ここではする場所ではない。

○米倉委員 
 わかりました。目標設定はいいとします。でも、いちばん初めに1頁のハローワークを見ると、27%以上にして27.1%、求人充足率も27%以上で27%ですよね。この数字を見て、「ともに目標を達成した」と書かれると、確かに数字はそうなのですが、現状維持で目標達成したということがこの委員会の見識だと思います。数字はよくわかりました。

○清家部会長 
 書きぶりについて、さらに向上が望まれるというような部分も、要するに釈迦に説法ですが、コップに水が半分あるときに、まだ半分あると考えるか、もう半分しかないと見るか。それは我々の現状認識によって、少し書きぶりが違ってくると思うので、その辺は米倉委員も含めて、委員の先生方とも最終的な文案を詰める際に事前にご相談させていただきますので、そのような形にさせていただきたいと思います。
 各委員におかれましては、いま少し申しましたが、今日、時間の制限の中で十分にご指摘いただけなかった部分もあるかと思いますので、大変短い期間で恐縮ですが、8月1日(水)までに事務局まで追加のご意見等をお出しいただければと思います。これはメール、手紙、電話など、どんな方法でもいいでしょうけれども、何か様式がありますか。

○酒光労働政策担当参事官 
 自由様式でいいのですが、それをお使いいただく場合は、それを郵送していただくなり、ファックスなりでお願いします。

○清家部会長 
 何らかの方法でご意見をお寄せいただきたいと思います。それらのご意見も踏まえて、私と事務局において相談をして、本部会の年度評価として取りまとめを行いたいと考えております。また、取りまとめた年度評価については、事務局のほうで労働政策審議会の本審にご説明をいただくと同時に、先ほど来まさに議論が出ておりますように、関連する分科会等にご報告をいただいて、ここで出た意見、あるいは評価を各部会の施策の実施のためにご活用いただくこととしたいと思います。また、評価については、厚生労働省のホームページに掲載をして、広く一般の方々からの意見を募集していただきたいと思います。その際にも、いま米倉委員が言われたように、まさに我々の評価について、広く一般の評価というか、評価に対する評価というものも寄せられる形になるかと思います。今年度の評価については、そのような形でよろしいでしょうか。
 ちょっと時間が押して恐縮ですが、議題2の「各分科会における2012年度目標の設定について」、事務局から説明をお願いいたします。

○酒光労働政策担当参事官 
 資料4「点検評価部会において検証する2012年度の目標」です。これは記載のそれぞれの分科会において報告し、ご意見をいただいて決めた目標です。資料の作りだけ簡単に申し上げますと、各項目があり、2011年度、今回評価いただいた年度の目標と実績があり、次の欄に2012年度の目標があるという形になっております。おおむね2011年度の実績を踏まえつつ、2012年度の経済状況などを勘案して、あるいは2020年までの目標値も勘案しながら、2012年度の目標を設定したということです。
 やや注釈的に申し上げますと、1頁の真ん中より下、「緊急人材育成支援事業による職業訓練」の欄があります。2012年度はなくなっておりますが、これは事業としてもう終わりましたので、目標としては設定していないということです。
 次頁です。「障害者雇用分科会」の真ん中に障害者の雇用率達成企業割合の目標があり、2011年度が47%で、2012年度は43%以上と書いてあって下がっているのです。これは先ほど安永委員からお話がありましたように、来年の4月から雇用率を引き上げることになります。そういった影響も踏まえながら、目標を設定しています。ちなみに、これは2012年度の目標となっていますが、調査自体は2013年6月時点での調査になりますので、雇用率引上げの影響が出た数字になります。補足事項は以上です。

○清家部会長 
 各分科会、部会等でお決めいただいた2012年度の目標についてですが、これについて何かご質問はありますでしょうか。

○金子委員 
 冒頭に言うべきか否か悩んだのですが、目標に関する部分ですので、ここで申し上げたいと思います。「若者の就労促進」の項目を拝見しますと、これまでの項目に即した形で目標設定がされていると理解をしております。今日も何度か言及がありましたが、先月、政府でまとめた若者雇用戦略の中では、ここには既に記載されていますが、雇用のミスマッチを解消していく施策に加えて、若者の早期離職を防止することに対する提案などの施策もあったと理解をしております。そうした直近の政府の施策と絡めて、目標設定の項目、もしくは先ほど米倉委員も言われたように、実績と目標の水準との差というか、施策との度合による目標の水準という両面で、検討が必要ではないかと思っておりますので、この場というよりは、こういった意見もあるということを分科会の中で、もう一度ご検討いただければと思います。

○清家部会長 
 この点について、事務局から何かありますか。

○大西職業安定局総務課長 
 いまの委員のご指摘の内容については、私どもも認識しており、確かに若者の離職者は昔から七・五・三と言われているように、そういうものがあるのも事実です。目標設定の場面には、それをどのように設定していいのかということも今後少し検討が必要かと。我々も、就職してすぐ離職するのがいいのかどうかという評価についても、景気の動向によってもかなり変わってきますし、若いときに転職するほうがいいのかどうかという、そういう評価の問題もあると思います。また今後、分科会等でご議論、ご意見をいただきながら、我々も考えていきたいところです。
 また、目標設定の数字について、ご指摘がありました。これはこの会議の前半でも説明させていただいたと思います。若者対策、特に大卒に対する施策については、平成22年の下半期から本格的に実施したという経緯もあり、年数的にまだあまり経っておりませんので、そういう意味でまだ十分こなれた目標設定になっていないと。例えば2012年度の目標数字が2011年度の実績より、「学卒ジョブ・サポーターによる支援」は少し低くなっております。これは2011年において最後の3カ月間で、最後の追込みで数字がドンと上がった部分があります。2012年の目標の中には、最後の追込みの施策の部分がまだ反映されていないという状況で目標設定しておりますので、我々としても若者雇用戦略を具体化していく段階で、もし必要であれば分科会等でご議論いただいた上で、目標の設定についても、もしかしたら若干の変更を考えなければいけないのではないのかと。そのようなことも検討しています。今後のことになると思いますが、そのような状況であるということです。

○清家部会長 
 大変恐縮ですが、時間がもう終わりとなっているわけですが、手短にそのほか事務局から今日ご説明していただくべきことがありましたら、ご説明をお願いしたいと思います。

○酒光労働政策担当参事官 
 そのほかというのは特にありませんが、何回かお話が出ました日本再生戦略です。こちらはいま国家戦略会議で議論しているわけですが、もともと今回の点検評価の目標のベースとなるものが新成長戦略で、2年前に作ったものです。その後の震災等があったということで、その新成長戦略をある意味、作り替えているところです。いまのところ、国家戦略会議に案まで示されており、数日中にもまとまるのではないかと思うのですが、それが出ましたら皆さんにお送りするという形にしたいと思います。いまのところ示されている案ですと、2020年の目標については、新成長戦略を基本的に引き継いで、それを補強するものになっており、若者とか女性の対策などを補強している。あるいは、2015年の中間目標なども設定しているという形で、全体的な流れは変わらない中で、一部補強されているということになっていると思います。
 再生戦略とは関係ないのですが、これはお詫びです。今日配布した資料1です。こちらのミスで恐縮ですが、使用者委員の坂田委員の肩書、役職が間違っておりましたので、訂正させていただきます。トッパン・フォームズ株式会社の執行役員と書いてありますが、取締役総務本部長です。坂田委員には失礼申し上げまして恐縮でございます。ホームページなどで公表する際には全部差し替えます。申し訳ございません。

○清家部会長 
 坂田委員、失礼いたしました。今日はお忙しい中、ありがとうございます。先ほど米倉委員も言われましたように、点検評価の1つの目的は政策を厳しく点検して、それが初期の目的を達しているかどうかということを見極めるものですので、そういう趣旨を踏まえて私どもも報告書を書いていきたいと思います。
 一方で、これは宮本委員などがご専門だと思いますが、最近『エコノミスト』などでご覧になった方がいらっしゃると思いますが、国連がインクルーシブ・ウェルス・レポートを出しました。これはヒューマン・ウェルスとナチュラル・ウェルスと、フィジカル・ウェルス、要するに人的資源と自然資源と物的資源によって、真に豊かな国はどこかという指標を出しているわけです。驚くなかれ、人口割で見ると日本は断トツにトップなわけです。日本の次がアメリカで、その次がカナダで、ノルウェー。
 そして、日本が断トツでトップな最大の理由は、ヒューマン・ウェルスが非常に高く評価されている。例えば国際的に見たときに、今日もいろいろ議論がありましたが、若者の失業率が日本は格段に低い。あるいは、年をとった人の就労率が非常に高いということがその中に含まれているわけです。
 これは一面で言えば日本の労使が努力をされて、例えば若者について言えば、いま崩れているとは言っても、学卒の一括採用という形で、学生が卒業する前に企業がきちんと採用して、若い人をしっかりと育てる。あるいは、これは労使双方でいろいろなご意見があるでしょうけれども、年輩の方々の就労意欲と能力をきちんと活かすような、そういう工夫をしておられると。
 労使双方の日本の雇用を向上させていこうという努力が、こういう指標の中に現れてきていると思いますので、そういう面では一面で政策等を厳しく点検する一方、やはり日本の労使がつくり上げてきた雇用のシステムの素晴らしさも正当に。先ほど坂田委員のお話の中にも、例えば就職率が高いというのには、企業の努力が非常に大きいということがありましたが、そういう労使のこれまでの高い努力をきちんと評価できるような、そしてそれが今後も続いていくような、そういう部分もあったほうがいいと思います。そういうことも含めて、先ほど来出ておりますご意見を踏まえて、報告書の書きぶりを考えていきたいと思います。大変恐縮ですが、書きぶりについては、最終的には当方にご一任いただきますように、改めてお願いいたします。よろしいでしょうか。
 今日の議事録の署名ですが、労働側は金子委員にお願いいたします。使用者側は田中委員にお願いいたします。本日はどうもありがとうございました。


(了)
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