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2012年7月30日 第56回社会保障審議会医療保険部会議事録

○日時

平成24年7月30日(木)16:00~18:22


○場所

都市センターホテル「オリオン」


○議題

1.産科医療補償制度の運営状況について
2.医療費適正化計画について
3.協会けんぽの財政運営について

○議事

○遠藤部会長 それでは、定刻になりましたので、ただいまより第56回「医療保険部会」を開催したいと思います。
 委員の皆様におかれましては、お忙しい中かつ非常にお暑い中、お集まりいただきましてどうもありがとうございます。
 まず、本日の委員の出欠状況につきまして、御報告をいたします。
 本日は、岩本委員、岡崎委員、齋藤訓子委員、齋藤正寧委員、福田委員より御欠席の連絡をいただいております。
 続きまして、欠席される委員の代わりに出席される方について、お諮りをさせていただきたいと思います。岡崎委員の代理として村岡参考人、齋藤訓子委員の代理として菊池参考人の御出席につきまして、御了承いただければと思いますけれども、よろしゅうございますか。
(「異議なし」と声あり)
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 次に前回の医療保険部会以降、厚生労働省幹部に人事異動がございましたので、事務局より御紹介をいただきたいと思います。事務局よろしくお願いします。
○木下課長 それでは、紹介させていただきます。保険局の調査課数理企画官の鎌田でございます。
○鎌田企画官 鎌田でございます。よろしくお願いいたします。
(報道陣退席、移動)
○遠藤部会長 よろしくお願いいたします。
 それでは、議事に移らせていただきます。まず、初めに「産科医療補償制度の運営状況について」を議題とさせていただきます。
 本日は、産科医療補償制度の運営状況につきまして御説明をいただくために、日本医療機能評価機構の上田理事にお越しいただいております。後ほど、提出資料を基に御説明いただきますけれども、まずは事務局より資料の説明をお願いしたいと思います。事務局よろしくお願いします。
○西辻課長 それでは、事務局より資料1について説明をさせていただきます。「産科医療補償制度について」という資料でございます。
 産科医療補償制度は分娩に関連して、重度の脳性麻痺を発症された場合に、3,000万円の補償金を支給するというもので、本日おいでいただいておりますけれども、日本医療機能評価機構において平成21年から実施されております。経済的な負担を補償するだけではなくて、脳性麻痺発症の原因分析あるいは再発防止を通じて、医療の質の向上等を目的としている制度でございます。
 本日、産科医療補償制度をこの医療保険部会の議題とする背景でございますが、産科医療補償制度は、損害保険の枠組みを使って実施されておりまして、現在、掛金、保険料が1分娩当たり3万円という水準で設定されております。実際には、この3万円の掛金は公的医療保険の給付である出産育児一時金に3万円を加算して支給することにより負担されており、そういうことでこの医療保険制度と大きく関係しているということでございます。
 資料の1ページの上の方に四角で囲っておりますけれども、現在、出産育児一時金の金額はベースが39万円となっておりますが、それに加えて産科医療補償制度に加入する分娩機関で出産された場合には「3万円を超えない範囲内で保険者が定める金額を加算した額」とされております。
 また、「保険者が定める」とされている加算額については、現在、通知におきまして、機構で実施されている産科医療補償制度の掛金が3万円ですので、3万円加算をお願いすることにより、39万円に3万円を上乗せした42万円が、出産育児一時金として支給されております。
 資料の最後の3ページに、これまでの医療保険部会における産科医療補償制度に関する議論の経緯をまとめております。
平成19年9月はまだ産科医療補償制度の検討を行っている途中でしたが、厚労省から委託を受けて検討を行っておりました日本医療機能評価機構の委員会の検討状況について、一度報告を受けております。
 平成20年9月には検討の結果がまとまりまして、平成21年から産科医療補償制度を創設する、それに伴って出産育児一時金の金額を引き上げるということにつきまして、この部会で御了解をいただいております。
 ただ、その際に部会の委員の皆様から御意見がございまして、それに答えるという形で、平成20年11月17日に厚生労働省名で、これは現在もホームページにアップされておりますけれども、委員から寄せられた質問に対する回答が掲載されております。
 その内容を幾つか下に書いておりますが、5年後を目途に制度の内容について検証して、適宜必要な見直しを行うというのが1点。それから、仮に5年を待たずに収支の状況から剰余が大きく見込まれることになれば、医療保険部会等に適宜報告し、早期に制度を見直すことも考えられるということでございます。
平成21年1月から制度がスタートいたしまして、平成22年11月に一度運営状況について報告をいただいているというのが、これまでの当部会における議論の経緯でございます。
事務局からは以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。当部会で議論する根拠といいますか、理由についての御説明がありました。それでは、実際の運営状況につきまして、日本医療機能評価機構の上田理事より御説明いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○上田参考人 それでは、資料に基づきまして御説明いたします。まず初めに、この産科医療補償制度につきましては、委員の皆様、関係団体の皆様の御支援と御協力をいただいておりますことを、心から感謝申し上げます。
 1ページをお願いします。制度の目的でありますが、分娩時の医療事故では、過失の有無の判断が困難な場合が多く、裁判で争われる傾向があり、このような紛争が多いことが産科医不足の理由の一つであることから、安心して産科医療を受けられる環境整備の一環として、この制度が創設されました。
 この制度は、分娩に関連して発症した重度脳性麻痺児と、その家族の経済的負担を速やかに補償するとともに、脳性麻痺発症の原因分析を行い、同じような事例の再発防止に資する情報を提供することなどにより、紛争の防止・早期解決及び産科医療の質の向上を図ることを目的としております。
 補償対象は、分娩に関連して発症した重度脳性麻痺で、具体的にはここに示される基準を満たす場合に補償対象と認定されます。補償額は一時金と20回にわたる分割金、トータル3,000万円でございます。掛金は一分娩当たり3万円。そして、加入促進策としまして、診療報酬上の算定要件に本制度加入を追加、あるいは、本制度への加入分娩機関での分娩については、出産育児一時金3万円を引上げなどが促進策として行われております。
 次に、仕組みについてお話をいたします。分娩機関は妊産婦さんに対しまして、補償対象となった場合に補償金を支払うことを約束します。これを実行するためにこの制度に加入します。分娩機関は一分娩当たり3万円の掛金を運営組織を通じて保険会社へ支払う仕組みになっております。そして、実際に補償対象になった場合に、保険会社から補償金が児へ支払われることとなっております。医療機能評価機構では、審査と原因分析・再発防止を実施いたしております。
 2ページ、制度の加入状況でありますが、この表にありますように99.8%でございます。いずれにしましても、今後とも100%を目指して取り組んでいきたいと考えております。
 次の審査の結果でございますが、表2のとおりでございまして、審査件数は全体で357件、うち補償対象が327件、再申請可能も含みます補償対象外が29件となっております。
 この表の下の※にありますように、この再申請可能につきましては、「現時点では将来の障害程度の予測が難しく補償対象と判断できないものの、適切な時期に再度診断が行われることなどにより、将来補償対象と認定できる可能性がある事案」でございます。
 左側の平成21年、平成22年、平成23年それぞれにつきましては、このように審査件数が少なくなっておりますが、これは若い年齢の子どもさんほど審査までの期間が短いためにこのようになっておりますが、今後、それぞれ増えていくものと考えております。
 そして、平成21年生まれの児の補償対象が175件でございます。実は、この補償対象者数が当初の補償対象者の推計に比べると少ないのではないかという御指摘をいただいております。
 これについて御説明申し上げます。まず、下の○でございますが、補償申請期間は極めて重症で診断が可能な場合は6か月から可能でありますが、児の満1歳の誕生日から満5歳の誕生日まででございます。したがいまして、平成21年生まれの児についての補償申請期間は平成26年12月末までの各児の誕生日までとなっておりまして、最終的に補償対象者数が確定するのは、平成27年の中ごろとなります。
 また、補償認定の時期について小児神経等の専門家からは、脳性麻痺の型ですとか、あるいは程度によっては早期の診断が困難であるという御意見などもいただいております。
 このように、現時点で最終的な補償対象者数を予測することは困難ではございますが、しかしながら、できるだけ早い時期に予測ができるよう必要なデータを収集し、また、専門家の意見をお聞きしまして、この補償対象者数の推計に努めてまいりたいと考えております。
 3ページをお願いいたします。原因分析の状況でございます。
 下の図を見ていただきたいと思いますが、本制度では補償対象と認定されたすべての事案について、当該分娩機関等から提出されました診療録等の情報、保護者からの情報等に基づきまして、医学的な観点で原因分析を行っております。この原因分析は責任追及を目的とするのではなく「なぜ起こったか」などの原因を明らかにするとともに、同じような事例の再発防止を提言するためのものでございます。
 そして、原因分析を公正で中立的な立場で適正に行うために、運営組織に第三者の委員会であります原因分析委員会を設置しております。また、具体的にはこの下に6つの部会が設置されまして、ここに記載しておりますように、産科医等々の専門家あるいは法律家、または医療を受ける立場の有識者からなるそれぞれの委員会、部会で審議が行われておりまして、これまで152件の報告書が承認されまして、順次、それぞれ当該分娩機関と保護者に送付されております。
 また、本制度の透明性を高めることと、同じような事例の再発防止あるいは産科医療の質の向上を図ることを目的としまして、個人情報等に十分留意した上で、報告書については要約版を本制度のホームページに掲載しております。
 また、個人情報等をマスキングした全文版につきまして、学術的な研究等を目的として開示請求が行われた場合には、当該請求者に開示を行っております。
 4ページ、原因分析に対するアンケートを行っておりまして、平成22年12月までに報告書を送付しました20の事例について、保護者と分娩機関を対象に昨年7月にアンケートを行っております。回答率につきましては、分娩機関については搬送元の4分娩機関も対象としておりますので、24分の17で70%、保護者は40%でございます。対象者数も限られておりますし、回答率もこういう状況でございますが、少しでも参考にということでとりまとめているところでございます。
 なお、今年も同じような調査を行いまして、原因分析報告書に関する評価を行いたいと思っております。図2でございますが、分娩機関向けは「とても良かった」が9件、「まあまあ良かった」が4件という状況でございまして、それぞれの良かった、あるいは良くなかった理由などについても回答をお願いしております。
 5ページ、同じく保護者にもアンケート調査を行っておりまして「とても良かった」が1件、「まあまあ良かった」が3件、「あまり良くなかった」が2件、「非常に良くなかった」が0件でございますが、これについてもそれぞれの理由を記載しております。
 6ページ、再発防止でございます。この図を見ていただきますと、先ほどからお話しております原因分析報告書を分娩機関と家族に送付いたしますが、この報告書の中でも再発防止策を提言しております。
 同時に、集積された複数の事例からいろいろな知見が見えてきます。こういったものをマスとして分析し、再発防止に関する報告書をとりまとめておりまして、昨年は8月、今年は5月にそれぞれ報告書をとりまとめまして、それぞれのテーマについて分析を行っております。こういった報告書は分析機関ですとか関係学会、団体あるいは行政機関等へ送付いたしまして、それぞれ再発防止、あるいは産科医療の質の向上に取り組んでいただくように働きかけを行っているところでございます。
 7ページ、具体的には産科婦人科学会ですとか産婦人科医会あるいは助産師会、看護協会それぞれの学会、団体等におきまして、こういった産科医療の再発防止に向けた取組みがそれぞれ取り組まれているところでございまして、こういった関係者とも協力しながら、私どもも取り組んでまいりたいと考えております。
 8ページ、制度の収支状況についてでございます。ここにございますように、保険期間は毎年1月から12月までの1年間でございまして、各保険年度の収支状況は、ここの表のとおりでございます。
 まず、平成21年について御説明を申し上げます。ここにありますように、分娩数が105万4,340分娩でございまして、収入保険料は315億2,500万円となっております。
 次に保険金でありますが、補償対象件数は172件で、保険金は51億6,000万となっております。なお、補償対象件数につきましては、先ほど補償の審査のところではたしか175と申し上げましたが、損害賠償金と調整された3件を除いております。
 次に支払備金でありますが、こちらは一番左側の収入保険料から次の保険金と、ここには記載しておりませんけれども、運営組織と保険会社の事務経費を差し引いて算出しておりまして、その額が214億2,900万円となっております。こちらにつきましては下の基本的な考え方の最初の○にありますが、先ほども申し上げましたけれども、最終的には保険金総額は平成27年中ごろに確定しますので、それまでは保険会社にて支払備金として管理がなされます。そして、平成22年と平成23年の考え方はただいまの説明と同様でございまして、その内容はこの表のとおりでございます。
 次に、基本的な考え方の2番目の○にもありますように、年間の補償対象者数は、創設に当たって、この産科医療補償制度設計に係る医学的調査が行われ、その報告書が出されましたが、こういった報告書に基づき推計をしております。補償原資に剰余が生じた場合は保険会社から剰余金が運営組織に返還され、本制度の趣旨に照らして適切な使途の検討を行うこととしております。
なお、この点につきましては、関係者の御意見を踏まえながら今後検討していくとともに、その検討状況につきましては、この部会に報告させていただきたいと考えております。
 9ページ、平成23年度分の事務経費について御説明をいたします。
 まず、運営組織でありますが、物件費が5億4,300万、人件費が1億9,200万円となっておりまして、合計が7億3,500万円となっております。
 次に、保険会社分でございますが、これは保険会社5社の合計額でございます。こちらも同様に物件費が8億7,200万円、人件費が5億3,900万円となっております。
 制度変動リスク対策費について御説明を申し上げます。この額は16億1,500万円となっております。本制度におきましては、補償対象数が推計を上回った場合でも、保険料を新たに追徴することなく、補償金が支払われる仕組みとなっております。一方で制度設計に当たりまして、脳性麻痺に関する全国的なデータがない中で、沖縄県、姫路市という特定の地域に限ったデータに基づいて設計を行いました。
 また、20年間にわたり、制度を安定的に運用することが求められております。こういったことから、本制度の運営に当たっての各種のリスクに対応するための費用を計上しております。具体的には、ここに掲げておりますように、医療水準の向上等に伴い脳性麻痺児の生存率が統計データ取得時点より上昇するリスク、統計データ母数が少ないため統計値が大幅に外れるリスク、長期にわたる補償金支払い業務に伴う予期できない業務・システムリスク等に対応する費用でございます。
 最後でございますが、一番下の○の記載にありますように、運営組織と保険会社の合計は37億6,100万円となっておりまして、これは収入保険料318億円に対する割合は11.8%となります。以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
ただいまの御報告に対しまして御質問・御意見ございますでしょうか。小林委員、どうぞ。
○小林委員 この産科医療補償制度については、先ほど西辻課長から御説明のありましたとおり、その財源は出産育児一時金が充てられており、言わば公的なシステムであります。そして、この制度の根幹に関わる見直しの議論の場については、4月の医療保険部会で課長から、医療保険部会で行うのか、別の場を設けるのか、医政局と相談の上、検討の枠組みを考えたいという御発言がありました。事務局に確認させていただきたいのですが、この公的なシステムを今後見直していく場合、この医療保険部会で検討していくということでよろしいのかどうか、まず確認したいと思います。引き続いてよろしいですか。
○遠藤部会長 続けてお願いします。
○小林委員 引き続いて、日本医療機能評価機構に何点かお聞きしたいと思います。
まず、提出資料の2ページ「2.審査結果の状況について」の中で、平成21年、平成22年及び平成23年の補償対象者数が記載されておりますが、制度設計時、すなわち3万円という掛金の金額を決めた時点では、5年経過時点での補償対象者数を何名と推計していたのでしょうか。
 次に、5年経過後の補償対象者数について、現時点での推計は何名で、その補償対象者数を前提とした場合には、掛金はどの程度になるのでしょうか。
 それから、9ページの保険会社側の事務経費について、平成23年の制度変動リスク対策費が16億円となっておりますが、この経費の平成21年及び平成22年度の費用は幾らになっているのでしょうか。また、現在の掛金3万円の金額を決めた時点では、こうした経費はどの程度必要になると見ていたのでしょうか。
 制度の収支状況や事務経費の内訳について御説明いただきましたが、結局のところ掛金3万円のうち、現在、給付に充てられている割合はどの程度でしょうか。
 以上が質問ですが、最後は意見です。剰余金があるのだから、給付対象の拡大を議論したいという声が一部あるように聞いておりますが、それは5年後の制度見直しの際に議論すべきであり、現行の制度とは切り離して考えるべき内容ではないかと思います。
 現行制度において運営組織に戻される剰余金については、まず保険者に返還するのが本筋であり、それが難しい場合には将来の保険料に組み込んで、その分、掛金の水準を引き下げることに使うべきであると考えています。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
最初に事務局への御質問ですので、事務局お願いします。
○西辻課長 事務局でございます。この掛金というか出産育児一時金の見直しに向けた議論をどこで行うのかということで、たしか前々回4月だったと思うんですけれども、私がこの医療保険部会で行うのかどうか、医政局とも相談するということをお答えしたんですが、医政局とも相談いたしまして、産科医療補償の掛金に充てる出産育児一時金の水準をどうするかという医療保険の給付に係る部分については、この医療保険部会で医療機能評価機構から報告をいただきながら、検討をお願いしたいと考えております。
○遠藤部会長 よろしいでしょうか。この制度そのものは保険の仕組みと原因分析と2つあるものですから、原因分析の方はどちらかというと医政局になじみがあるのということですが、お金の問題はここでやるというお話だったと理解します。
 それでは、幾つか質問が出ましたけれども、これは上田理事お願いできますでしょうか。
○上田参考人 それぞれお答えしたいと思います。
まず初めに、5年後の補償対象者数は何名を見込んだかという御質問だと思います。先ほどお話しましたように、なかなかデータがない中で、沖縄県と姫路市のデータを基に専門家からなる産科医療補償制度医学的調査専門委員会を開き検討しました。そこでこういったデータを分析しまして、補償対象者数については500~800名と推計いたしました。これが1点でございます。
 3番目のリスク対策費について御説明いたします。平成21年は15億7,800万でございます。平成22年が15億9,100万です。平成23年が16億1,500万でございまして、これは保険料に占める割合が平成21年が5.0%、平成22年が4.9%、平成23年が5.1%でございます。
 2番目の御質問でございますが、現時点では最終的に対象者数は何名になるかという御質問でございます。これは先ほども御説明しましたが、現時点では対象者数を予測することは困難であります。しかしながら、ただいまいろいろ御指摘もございました。したがいまして、我々としてもできるだけ精緻なデータに基づいて、できるだけ早く補償対象の推計をする必要があるかと思っております。そこで必要なデータの収集と、専門家の意見をお聞きしながら、ただいまの御指摘の点についてできるだけ早く推計をお示しするように努めたいと考えております。
 制度変動リスクの見込みの御質問でございます。これについては、先ほど変動対策リスクの考え方を申し上げました。そして、先ほど保険料に占める割合が大体5%とのお話をさせていただきました。この変動リスクについては他の人件費、物件費とは違いまして、先ほど申し上げましたようなリスクが想定されますので、そういった対応として、一定の割合を本制度のための必要なコストとして算出したと伺っております。
○遠藤部会長 ありがとうございました。小林委員、どうぞ。
○小林委員 2番目の質問で5年経過後の対象者数については、現時点の推計はなかなか難しいということでありますが、その補償対象者数を出せれば出していただいて、それを前提とした場合には掛金はどの程度になるのかということと、4番目に制度の収支状況、事務経費の内訳について御説明いただいたわけですが、結局のところ掛金3万円のうち、現在給付に充てられている割合は何%か。もし今、それが正確に出ないようであれば、次回でも書面で提出いただきたいと思います。
以上です。
○遠藤部会長 ただいまの2つの御質問につきまして、どういたしますか。次回、正確な数値でお答えいただけますか。あるいは今、お答えできますか。
○上田参考人 8ページの資料を見ていただきたいと思いますが、平成21年はこの表にありますように51億6,000万でございます。支払備金は214億でございます。それぞれ実績を示しておりますが、これでよろしいでしょうか。
 ですから、平成21年の172件は、これまで審査をして、補償対象は175件でありますが、調整したものを除いて172件。5歳の誕生日まで申請が可能ですので、先ほどの保険料から保険金と事務経費を差し引いた支払備金で支払うということで管理しておりまして、そして、今後5歳の誕生日までに新たに補償対象になった方に対しては、支払備金で対応していくということでございます。平成22年生まれの方については、この表のとおり250億の支払備金で対応していきます。
○遠藤部会長 もう一度御質問をおっしゃった方がよろしいかと思います。
○小林委員 繰り返し申し上げますが、2番目の質問は、5年経過後の補償対象者数について現時点での推計。現時点で5年後はどうなるのかという現時点での補償対象者数の人数です。
 それと、その補償対象者数を前提とした場合に、掛金はどの程度になるのかという質問であります。
○上田参考人 失礼いたしました。
○遠藤部会長 お願いいたします。
○上田参考人 お答えいたします。先ほど申し上げましたように、正直に言って現時点ではなかなか予測は困難ということでございます。しかしながら、お話しましたように、もともとの推計数は500~800です。では、大体どれほど予測するのかという御指摘だと思います。先ほどの見直し検討を行う場合に、拡大とかのご意見もありましたが、補償対象基準などいろいろ議論する際にも、最終的に補償対象者が何人になるかというのは非常に大事なことでございます。ですから、それもできるだけ早く推計する必要があろうかと思います。
したがいまして、私どもも、これから本制度のデータ、あるいは先ほど、沖縄県のデータを基に制度設計したというお話をしましたが、こういったデータをできるだけ集めるということが1つと、そういったデータを基に、やはりこういった分野の専門家にも集まっていただいて、できるだけ早く予測するということは非常に大事でありますので、そのことについては努力してまいりたいと思っております。
 それが明らかになってきますと、先ほどのいろいろの課題について議論ができるのではないかと思います。したがいまして、ただいまの小林委員の御指摘については、推計数をできるだけ早く明らかにすることによって、それぞれの課題について、審議ができるような状況にするために、早く我々もデータをお示ししなければいけないと考えております。
○遠藤部会長 小林委員お願いします。
○小林委員 それでは、わかった段階でできるだけ早く御報告いただけたらと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございます。鈴木委員お願いします。
○鈴木委員 まず、医療機能評価機構の資料について質問させていただきたいと思います。
 4ページ、5ページの「原因分析に関するアンケート」の結果ですが、4ページ目の分娩機関のアンケートでは「とても良かった」「まあまあ良かった」というのを合わせますと77%で結構高いのですが、5ページ目の保護者向けのアンケートでは「とても良かった」「まあまあ良かった」が51%で、「あまり良くなかった」「どちらとも言えない」というのが50%ぐらいあるということです。この保護者向けの方の評価の低い理由をどのように分析されているのか、また、それをどのように改善しようとされているのかをお聞きしたいと思います。質問です。
 もう一つは、8ページから9ページにかけてです。収支状況ということで、9ページには事務経費が載っておりますけれども、保険会社の実際の取扱いが委託という形になっていますが、これは営利企業ですから利益を当然確保しようと考えていると思うんですが、その保険会社の利益というのはどういう仕組みでどの程度、確保するということになっているのでしょうか。
 剰余金が出た場合には返還となっておりますけれども、すべて返還ということになると保険会社は何のために仕事をするのかということになるでしょうから、その辺の保険会社の利益というものが、どの程度のものを確保するという仕組みになっているのか教えていただきたいと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございます。上田参考人お願いいたします。
○上田参考人 最初の御質問でありますが、4ページのアンケートでございます。実は、このアンケートの対象数が20事例でございますので、果たしてこれで何か結論が出せるのかが課題でありました。しかしながら、やはり報告書がどのように分娩機関、あるいは保護者の方が受け取られているのか、こういうアンケートを行って、今後の原因分析に生かしていく必要があるということで、このような形でまとめました。
 今、お話がございましたように、確かに分娩機関の方はどちらかというと「とても良かった」「まあまあ良かった」が高い割合でございますが、保護者については「とても良かった」「まあまあ良かった」が半分であります。確かに「あまり良くなかった」が2件。一方「非常に良くなかった」が0件でございます。保護者の方も第三者によって評価が行われたことが良かったと、評価がされております。
 今年も実は、これから同じようなアンケートを行います。対象数が増えてきておりますので、そういった中でもう少し掘り下げた分析をしていきたいと思っております。
 今回は報告書についてのアンケートでありましたが、見直しの中で保護者に対するアンケートですとか、あるいはヒアリングですとか、そういったことについても検討してはいかがという御意見などもございます。こういったものから、我々としても評価をし、いろいろな課題があれば、それについて原因分析委員会の中でもきちんと議論していきたいと思っております。
○遠藤部会長 続けてください。保険会社の利益はどこから出すのかということの質問です。
○上田参考人 先ほどもお話しましたけれども、本制度においては補償対象者が推計を下回った場合には剰余部分が生まれますが、それは保険会社から運営組織に返還されます。一方、補償対象者が推計を上回った場合は保険料は新たに追徴することなく、保険金が支払われるという制度でございまして、これはお聞きしますと、確かにこういう保険制度というのは、あまり一般的ではないと聞いておりますけれども、その発足に当たって早急に立ち上げるということ、そして、民間保険を活用するということで、こういった制度となったわけでございます。
 したがいまして、この中に変動リスクの費用を計上いたしております。そして、この変動リスクが実際に生じなかった場合には、それは損保会社の利益になります。しかし、このリスク以上のものが仮に起こった場合には、それは損保会社の損失として対応していくという状況でありまして、今、申し上げました仮に起こらなかった場合に、そこが利益となることが起こり得るということでございます。
○遠藤部会長 確認をいたしますと、支払準備金については必ず剰余が出た場合には戻りますから、これは利益にはならない。利益の源泉は制度変動リスク対策費だという理解でよろしいですね。
○上田参考人 リスクが生じなかった場合にですね。
○遠藤部会長 そういうことになるわけですね。
○上田参考人 もう一点補足します。実は支払備金はあくまでも支払いにあてられます。一方、それは300人という線を引いておりまして、つまり仮に補償対象者数が400人となりますと、これは300人以上でありますから、すべて運営組織に戻されます。しかし、仮に250人となった場合には、300人という数字を申し上げましたが、300引く250の差額については、損保会社の利益になります。
 もともとこの制度の発足に当たっては、補償対象者数が推計より下回った場合はすべて利益になるという制度でスタートいたしました。しかしながら公的な制度であるので、余りにもそういった利益が生じるのは好ましくないということで、やはり返していただくという考え方の議論になりました。
 返していただくという線については300人としました。何で300人かといいますと、実は先ほどの発足に当たっての調査専門委員会の推計の中で、私は500~800人というお話をいたしました。これは多い数字でいくと500~800人。実は少ない数字でいくと下限の数値が300人という数値がございまして、基本的には300人以下は起こり得ないだろうという前提で、戻す基準を300人ということで、これは厚労省とも相談しまして、このように戻すということ、戻すに当たっての基準を今のような基準といたしたわけでございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
恐らく鈴木委員は質問に加えて何かおっしゃりたいということがあると思いますので、引き続き鈴木委員お願いします。
○鈴木委員 今のお答えにつきましては、分娩機関だけではなくて、保護者の方の満足度をもっと高める工夫をしていただきたいということと、保険会社の利益に関しては、公的なシステムだと先ほど小林先生の話もありましたが、そういう観点から、保険会社にも節度ある対応を求めたいと思います。300人という数字も、もともと500~800人という意味では確かに少ないということですが、実際もし、その数自体が少なくなるようであれば、またそれも下げるというようなことをしていただき、高い利益を求められないような仕組みにするということが必要だと思います。
 その上で、先ほど小林先生から剰余金がそんなに出るんだったら保険者に戻すべきだというお話がありました。保険者の方としては当然かと思うんですが、現場の医療機関、分娩機関の先生方、産婦人科の学会や医会の先生方のご意見も踏まえてということですが、まず1つは、この制度はすでに定着しているということです。医療機関の99.8%ということで、ほとんどが参加しているということですが、医療機関の先生方にとって、それまで分娩は訴訟リスクが非常に高いということで大きな問題になっており、産科医の減少の大きな原因の1つにもなっていたわけです。
 こういった制度ができたということは非常に画期的なことだと思いますが、当初はいろいろ予測できない状況もありましたので、人数のこともそうですけれども、掛金に対しての補償の金額だとか、あるいは補償の対象をかなり絞ってスタートしたという現実もあると思います。
 ですから、もし剰余金がある程度出るということであれば、まず補償の金額を増やしていただきたいと思います。現在は3,000万ということですが、実際に裁判になりますと、逸失利益等は64歳までのものを計算する、あるいは介護費用なども平均余命までみるということで、かなり金額に差があるという事実もございます。こういったものをできるだけ近づけていって、訴訟のリスクを減らし、保護者の方、御本人の安心につなげていっていただきたいということです。これはひいては我が国における少子化の非常に有効な対策になるのではないかと思います。
 補償対象も今は、分娩に関連した重症の脳性麻痺のみということで、その週数などもかなり限定されているわけですけれども、こういったものを引き下げる、あるいは身体障害1、2級ということですが、これも金額に差をつけることがあったとしても拡大していく、さらに分娩周辺だけではなくて胎生期とか出生後などにも対象を拡大していくといったことも是非考えていただいて、むしろ、対象となる方を増やし、補償を充実するという視点を検討していくべきだと考えております。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 余剰が出た場合どうするかという議論は、余剰が出るかどうかがはっきりするもう少し後の議論になると思いますので、ただいまのお話は御意見としては拝聴いたしました。
先ほど和田委員が先に手を挙げておられましたので、和田委員お願いします。
○和田委員 意見は今回はちょっと控えさせていただいて、先ほど小林委員が出された推計値を示してほしいという話を少し補充するような形で、要望をさせていただきたいと思います。
 この、推計値なんですけれども、恐らく当初の予想より数が今の時点で少ない。いろいろな理由が考えられると思うんですが、1つは医学的に検討すれば明らかにできるデータ、例えばゼロ歳児の時点ではどのくらいの率の方が脳性麻痺と判断できる、あるいは1歳児だとどれぐらいだ、2歳児だとどれくらいだ。そういう大体の推計というのは医学的にはできると思うんですが、この制度を実際使うかどうかというのは、もう一つ社会的な要素というのが加わってくると思います。
 例えば、アメリカのフロリダに同様の制度が前からありますけれども、実際には先ほど鈴木委員からも御指摘があったように、訴訟で得られる賠償額とかなりの開きがある。そうすると、この制度を迂回して訴訟の方に行ってしまう事案が少なからず有りました。フランスのシステムでも同様で、特に赤ちゃんの脳性麻痺のケースは賠償額が大きくなりますので、無過失補償制度を迂回してしまうという現象もあります。
 余りギャップが大きいと、この制度自体がうまく行かないという可能性もありますので、現実に申し立て件数の少なさというのが、第一に医学的なことで発見が遅れてまだ出てきていないということなのか、第二にそもそもそういう症例が予想より少なかったのか、あるいは第三に社会的な要因が背景にあるのか、その辺りの調査はなかなか難しいと思うんですけれども、是非細かなところまで御検討いただいて推計値というのを出していただければと思います。
以上、要望でございます。
○遠藤部会長 重要な御指摘ありがとうございました。ひとつよろしくお願いいたします。
それでは、お待たせいたしました。白川委員、どうぞ。
○白川委員 医療機能評価の御回答を聞いていると怒りが増してくるんですけれども、ちょっと自分自身冷静になって幾つか質問をさせていただきたいと思います。
 まず、公的保険で出産育児一時金で保険料を保険者が負担しているということですから、当然ノープロフィットというのが原則だと思うんです。鈴木先生はお優しいから保険会社が適正な利潤を上げてもやむを得ないという御発言をされましたけれども、私はそうではないだろうと、保険会社も基本的にはノープロフィットということで公的保険なんですから、そういうスタンスで財政的な配慮をする必要があるだろうと考えているんですが、今の医療評価機構の話を聞きますと、300人が最低保険料で、それを下回った場合は全部保険会社の取り分だというお話。制度変動リスク対策費が16億前後、これも取り分だと。しかも9ページの表を見ますと、大体1年間で180件くらいの給付で何でこんなに事務費がかかるのか、私は一般の事業会社の出身でございますから不思議でしようがない。なぜそこまで保険会社に利益が行くのか。私どもの保険料で負担している分がなぜそんなところに行くのか私には全く理解できません。
 質問なんですけれども、保険会社に現実的に行くお金というのは、今、なかなか計算できないと思いますが、1年当たり、平成21年度、平成22年度幾ら行っているかということを数字で次回までに示していただきたい。それから、5年間でどういうことになるのかということも示していただきたいということが1点目の質問でございます。
 当然、支払いのための準備金が毎年150億から200億出るという計算ですから、これの金利はどうなっているんですか。この金利も多分保険会社の取り分なんでしょう。更に言えば、20年間の年金で支払うことになっておりますけれども、その20年間の運用益というのは一体どうなるんですか。公的保険であれば、こういったものも全部評価機構の方で管理をするというのが私は筋だと思いますが、その辺のことがどうなっているのかということも併せて保険会社との関係で次回御説明をいただきたいというのが、質問の2点目でございます。
 3つ目は、確かにこの制度の発足当時はなかなか推測が難しかったので、500~800件ということで制度設計をされました。ただ、これだけ状況を見ますと、もう3年半経過をしているわけで、確かに満5歳が平成26年12月にならないとわからないというのはそうだとは思いますけれども、どう考えても800件、500件に到達しそうもないというのは明らかだと思うんです。それをなぜ今まで放置していたのかこれも理解できない。
 最初に保険課長から5年後を目途に見直し、更に剰余が大きく見込まれる場合は早期に制度を見直すことというふうに厚労省として回答してあるということでございましたが、2年くらい前、医療保険部会で私も質問して、その当時の財務状況について医政局から説明を受けましたけれども、それからもう1年半も経っていて、見直そうという動きが全くないというのが私は理解できないんです。特に、医療評価機構はこの制度を運営しているわけですから、当然、公的保険ですから透明性も求められますし、こういう状況を見れば適切なタイミングにこの制度の見直しというのをしかるべきところに提案をしていくという責務があると思うんですけれども、それをなぜ今までしてこなかったのかというのが3つ目の質問でございます。
 あとはちょっと意見でございますけれども、3万円という金額は政令にあるわけではなくて、課長通知で3万円となっているわけですけれども、先ほど申し上げたとおり、5年を待たずに必要であれば見直すという厚労省の立場でもありますから、こういう状況であれば早く制度を見直し、特に3万円という保険料の基準については5年を待つ必要はないので、早急に見直すべき。小林委員からは、剰余金は保険者に返すべきだという御指摘もありましたが、それと併せて3万円という水準も早急に見直すべきだと私としては申し上げたい。
 鈴木先生からはせっかくお金があるんだから、少し拡大したらどうかという趣旨の御発言がありましたけれども、お金があるから拡大するという話では私はないと思います。もともと我々保険者は非常に財政が厳しい中で、時の大臣から産科医療が危機的状況にあるので協力してくれということで、この制度に協力をしてきたわけで、財政的に余裕があるわけでもなんでもありません。そういうことで、この中身を変えるという話はまた1から、全然別の話というふうに私は考えております。
 最後に厚労省にちょっと質問なんですけれども、この制度の発足のときは、産科のお医者さんが訴訟で悩むとかそんなことから、産科医が不足するという事態も現実になっておりましたので、そういう趣旨からこの制度を創設したということも1つの要因だというふうに思っておりますが、この制度を創設して3年半経ちますけれども、その効果、例えば産科医不足というのはその後どうなったんですか。少しは改善したんでしょうか。訴訟は減ったんでしょうか。そういうこの制度導入に伴う効果について、どこかの段階で是非とも医療保険部会にも御報告をいただきたいというのが、質問というか要望でございます。
私からは以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。最後の要望につきましては、どこかの段階で何らかのデータを出していただくというふうに期待してよろしいですね。
 3番目は御意見だったということで、御質問が3つ出ましたけれども、今すぐということではなくて結構ですので、正確なデータを文章でということなんですが、今、質問の意図をもう一度確認をするということがもし必要であれば、ご質問していただければと思います。
○上田参考人 最初の御質問の運用ですとか、あるいは5年後どうなるとか具体的な数字を示してほしいという点、特に運用益の問題などについては次回御報告したいと思っております。
 2点目のもっと早く見直しすべきではないかという御意見をいただいたんですけれども、これは満1歳から5歳の誕生日まで補償申請ができるわけでございます。脳性麻痺のタイプ、例えば低緊張型ですとか、あるいは上肢障害のみですと、むしろ我々の診断の手引きでは3歳以降に申請してくださいということで勧めているところもございます。
 何度も申し上げますが、現時点ではなかなか難しいというのが実情ではないかと思います。しかしながら、わからないといって平成27年の中ごろまで何もしないというのは大きな問題であります。
したがいまして、先ほど申し上げましたが、できるだけ早く推計値を示すということは大事であります。それはなぜかといいますと、いろいろな対応を検討するに当たっても極めて重要なデータでありますので、それについては更にデータの収集に努め、専門家の意見もお聞きしながら、できるだけこの点については早くお示しをするように努めてまいりたいと思っております。
 最初の御質問については後日御報告します。
○遠藤部会長 よろしくお願いいたします。
それでは、ほかに手が上がっておりました、菅家委員、どうぞ。
○菅家委員 この制度について、詳しく承知しているわけではありませんが、今日の説明なりお話を聞いていて、基本的なところで疑問に思っておりまして、補償制度ということになっておりますが、法律的な背景みたいなものがどうもなさそうであります。この制度が発足して日が浅いということもあるのでしょうが、それにしても何かいい加減な制度だなというのが率直な印象でございます。
 9ページに自賠責制度と事務経費だけの違いについて書いてありますが、こういうふうに書いた意図というのは、要するに事務経費はそんなに高いものではないんですよということを印象づけようとして、書いていると思いますが、実際はそうではなくて、この資料にある自賠責の資料を見ましたら、自賠責制度というのはれっきとした法律に基づく制度でありまして、しかも先ほどどなたかおっしゃっていましたが、ノーロス、ノープロフィットの原則。つまり、能率的な経営のもとで適正な原価でもって運営しなければならないという大原則。しかもそれは法律に書かれた原則の下で運営されている制度です。今の産科医療補償制度にあるような剰余みたいなものは基本的に生まれない仕組み。したがって、全体の経費の75%が保険料で支払われていて、残りが事務的な経費だという制度です。
 ところが、この産科医療補償制度については太宗が準備金、剰余金で占められているわけです。将来の支払いに備えるということもあるのかもしれませんが、その制度の根幹が全く違っている。いろいろな意味で違っているということでありまして、どういう経緯でもってこういう制度がつくられたのか、私はよく承知しておりませんが、ある意味では医療機能評価機構というのは単なる運営を任されている組織なのかもしれません。
したがって、私はむしろこの制度の責任主体はどこにあるのかということを聞きたいのと、もっと根本からこの制度の在り方について見直すべきではないか。つまり、法律に基づくきちんとした責任のある制度に見直すべきではないかと思います。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
それでは、武久委員どうぞ。
○武久委員 小林委員とか白川委員のおっしゃったことに関係するのですけれども、件数が21年度175件で、23年度は26件ということは、まだ補償の額が決まっていないからだと推定しますが、おっしゃったように300件に比べると非常に少ないということ。それと白川委員がおっしゃったように裁判ですけれども、この175件のうち裁判になっているのはどのぐらいあるか。というのは、被害者としては3,000万円はもらった上で、産婦人科のお医者さんが該当しているのだから、そこにも追加して賠償金を求めるというふうになるのではないかと思うのです。
 そうすると、基礎ベースがここであって、それプラスアルファで新たに裁判を起こすという風潮になるということが非常に私は怖い。逆に言うと、産婦人科の医師の側とすると、これが救済になるのかという心配があるのです。
 現在、少なくとも21年度の分で175件で、どのぐらい裁判になっているか。もし妥結したとしたら、3,000万ではなしに実は8,000万だったのだよということがもしあれば、教えていただければいいということを思います。
 21年度は175件ですが、23年度が26件ということは、まだ決定していないのだろうと思うのですけれども、最大3,000万円ということは、1,000万円とかいうものもあるのだろうと思うのですが、決定するまでの月数というのは大体平均どのぐらいだったのかということ。この23年度のもののきちっとした件数が確定するまでに、一体どのぐらいかかるのかということをちょっと教えていただければと思います。よろしくお願いします。
○遠藤部会長 これは今すぐということですか。
○武久委員 いや、わかればでいいです。
○遠藤部会長 わかりますか。上田参考人、お願いします。
○上田参考人 今、委員の方から裁判の話がございました。もともとこの制度は紛争の防止、早期解決及び産科医療の質の向上を図るということが大きな目的でございます。実は、去年の12月末までに補償対象と認定された252件について、私ども損害賠償金と補償金両方はお支払できませんので、調整をしますので、損害賠償の請求の状況は把握しております。
 状況を申し上げますと、252件のうち、損害賠償請求が行われた事案は18件の7.1%です。この中身を申し上げますと、既に損害賠償が確定した事案が2件で、これは訴訟以外で確定しているものでございます。訴訟が提起された事案が3件でございまして、これが今、訴訟が行われているものであります。訴訟外の賠償交渉中の事案が5件でございます。証拠保全のみが8件でございます。
 また、私どもこういった状況については逐次把握しながら、いずれ公表していきたいと思っております。現時点での状況でございます。
○遠藤部会長 よろしくお願いいたします。
 それでは、樋口委員、お願いいたします。
○樋口委員 この制度は産科医不足など医療側のためにつくられた制度だとは思いますけれども、医療の受益者、保護者、特に当事者である母親にとりましても、こうした脳性麻痺の原因というものが追及され、わかるということは利用者全体の問題でございまして、せっかく目的に原因追求とあり、原因分析の状況についても御報告がございますが、これを拝見した限りでは、もう少し素人にもわかるようにこういうところに原因があったとか、そういう御報告がこの中にあるかと思ったら、全然ないのです。
 ですから、先ほど来お話がございます保護者側について、余り役に立たなかった、原因が結局わからなかったとか、公正な判断とは思えなかったという判断につながるのだと思います。是非、この1年や2年ではなくて、これだけの事例が積み重なっているのですから、原因分析について事実を公表し、これから出産する人たちにとっても何か心構えとか気を付けるべきこととかいうことにつなげていただいたらありがたいと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 原因分析についてはされておられるわけですね。今回、提出されていないということなわけですね。
 上田参考人、どうぞ。
○上田参考人 6ページの「再発防止の状況について」で御説明いたしましたが、実は毎年報告書を出しまして、今年5月の第2回の報告書でこの79件をもとに再発防止についての分析などを行っております。この報告書は先ほどお話しましたように、分娩機関ですとか学会ですとか関係者に送付しておりますけれども、ホームページなどにも掲載して、国民の方にも見ていただけるようにしております。
 例えば再発防止の3番目の○でございますが、第2回の再発防止の報告書では「常位胎盤早期剥離の保健指導について」ということで、妊産婦さんに知っていただきたいような情報なども記載しております。ただいまの委員の御指摘がありましたように、産科医療関係者だけでなく、妊産婦さんにとっても貴重な情報発信にこれからも努めていきたいと思っております。
○遠藤部会長 それではあれば、御参考までに当部会の委員にも配付できるように御用意いただければと思います。
○上田参考人 わかりました。第1回と第2回がございますので、各委員の皆さん方に配付させていただきます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。ほかにも御意見があるかと思いますけれども、大変重要な課題なので当初予定していたよりもかなり長く時間を配分させていただきました。今までの御質問を受けて、どういう議論を進めるかということで、事務局から御説明をお願いしたいと思います。
○西辻課長 先ほども御説明申し上げましたように、産科医療補償の掛金に充てる出産育児一時金の水準ということに関しては、引き続きこの医療保険部会で御議論をお願いしたいと考えておりますが、それに当たりまして、今日、委員の皆様からいろいろな御意見や御質問が出されましたので、一旦機構の方に持ち帰っていただいて、御検討いただきたいと考えておりますし、併せて5年目途の見直しに向けて、機構の中では既に制度の内容面についての見直し議論が開始されていると伺っておりますので、その状況の説明も含めて、改めて医療保険部会の方に報告していただいて、委員の皆様に御議論をいただくということでお願いできればと思っております。
○遠藤部会長 そのような段取りで動いているということでございますので、適宜報告をいただいて、また皆様方の御意見をいただきたいと思います。
 また、機構といたしましては、ひとつよろしく御対応いただければと思います。ありがとうございます。
上田理事におかれましては、次の議題に移りますので、本日は御退席いただいて結構でございます。どうもありがとうございました。
(上田理事退室)
○遠藤部会長 引き続きまして「医療費適正化計画について」を議題といたします。事務局から説明をお願いしたいと思います。
○鈴木室長 適正化対策推進室長でございます。
 資料2をお願いいたします。前回以来御議論をいただいておりますけれども、以降の変更点などを御説明したいと思います。
 まず1ページでございます。前回の部会でいただいた意見を整理させていただきます。若干紹介させていただきますと、全般的事項の2つ目の○、療養病床さえ減らせば適正化されるという方向性が訂正されたことは評価とか、次の○で、数値目標、具体的な手段などを示すべき。次の○では、切迫感、スピード感に欠けるとか、次の○では国としての強い信念に基づいた方針を示すことが重要。次の○で、適正化計画というツールに限界があるのではあれば、制度改正の議論をすべき等々、厳しい指摘をいただいたところです。
 また、平均在院日数につきましては、1つ目の○にありますように県の自主性を尊重すべきとか、次の○で目標そのものの存在の設定の在り方を見直して、現実的な指標になどの御指摘がございました。そのほか、データ提供についての御指摘もございました。
 2ページでございますけれども、同じものを県の方にも事務的に投げまして、県の方から意見をいただいております。その意見と思われるものを整理したものが下です。幾つか御紹介しますと、全般的なものとしては4つほどポツがありますが、3つ目で震災で見通しが難しいといったことは柔軟な対応を認めてほしいとか、特定の健診のことについては1つ目ですけれども、目標の設定あるいは考え方をきちっと示してほしい。平均在院日数については、病床数の見通しを立てるのがなかなか難しい。
 めくっていただきまして、後発医薬品について差額通知のことしか記載がないので、記述が不足している。そこに書いてあるようなものを加えてはどうか。データ提供で進捗管理ができるような定期的・継続的な提供がほしいなどの意見があったところでございます。
 4ページからが前回からの主な変更内容でございます。1つ目のところで、平均在院日数の件ですけれども、都道府県の御意見あるいは前回の部会での御指摘を踏まえまして、平均在院日数の目標推計ツールをお示しすると申し上げましたけれども、それについては都道府県の自主性を尊重する観点から、この指針の別紙ということではなくて、この指針はこれに則して県の方でつくっていただくということで、そういう意味では規範性が一定程度高いと考えておりますけれども、そうではなくて技術的助言として参考配付するということで、右の方に前回の案と今回の案の違いで、真ん中より下の方に別紙を参考にというものを削って、目標を設定する際の参考資料については別途情報提供という形で、技術的助言ということで、あくまで参考例としたいということでございます。
 また、下の方で大震災への配慮ということで、県の方からも柔軟な対応をということでございましたので、右の方にございますけれども、目標の設定あるいは費用の見通しの算出につきまして、柔軟な対応をやってもいいですよということを明記したいと思います。
 次のページ、PDCAなのですが、今回、医療計画の方ではそれが明確化されているのですけれども、私どもの適正化計画の方はそこが一定程度は書いてありましたけれども、そこを明確化するということで、右の方に案がありますが、目標の達成状況とか進捗状況を評価して、必要に応じて計画の見直しに反映ということを明記したいということです。
 次のたばこ対策ですけれども、生活習慣病予防というか、住民健康の保持、増進に関して、特定健診、特定保健指導のみでしたが、これに関してたばこ対策を追加したいということで、上の目標の方では下の2行ほどにありますけれども、都道府県において例えば禁煙の普及啓発などに関する目標ということが考えられるのではないか。あるいは施策に関しては、保険者などと連携した普及啓発あるいは相談体制の整備などの取組みを例示したいということでございます。
 6ページでございます。先ほど県の意見がありましたけれども、後発医薬品の使用促進の関係で、目標につきましては上の方の枠の下の方にありますが、各都道府県において圏域内での後発医薬品の数量ベースのシェアの目標あるいは普及啓発策の目標ということが考えられるのではないか。また、具体的な施策の方は下の方の真ん中辺りにありますけれども、ジェネリックに関しましては、医療関係者、保険者、県の担当者などが参画する協議会を設置いただくようにということでございますが、こういったことを通じて普及啓発の施策を策定・実施する。あるいは自己負担差額通知を含めた医療費通知ということについて、保険者と地域の医療関係者との連携協力に対して、県が支援するとか、こういったことに取り組んでいただいてはどうかということの例示として加えさせていただいております。
 めくっていただきまして、次は保険者との連携に関する記述ということで、一定程度の記述はあったのですけれども、下線の真ん中の下の方にありますが、例えば保険者協議会に県が参画して連携を深める、あるいは保険者がヘルス事業の実施状況を把握したり、被保険者のニーズを保険者経由で把握したりして、適正化に生かすといったことが望ましいのではないかということで、例示を加えさせていただいております。
 加えまして、下の5行ほどに「なお」ということでありますけれども、こういった保険者による保険者機能の発揮ということが円滑に行われますように、私どもの方では保険者の機能に関してガイドラインを示すための検討を行うということも併せて付記させていただいております。
 8ページからは前回も議論になりましたが、推計の方法について現時点の案を御説明いたします。まず、上と下に図がありますけれども、1つは適正化などの取組みを行わない場合の医療費の推計ということで、これは足元の実績から過去の5年間の医療費の伸び率とか今後の人口の伸び率を用いまして、何もしない場合の自然体の医療費の推計値というものを出すということでございます。
 これに対して下半分にポンチ絵がありますけれども、2つの適正化の効果ということで、1つが左半分の平均在院日数の短縮の取組み、もう一つが生活習慣病対策という2つです。まず1つ目の平均在院日数については、吹き出しで1とありますが、先ほどの将来の見込みの推計額から、更に全国試算を基に平均在院日数を短縮するために必要な充実要素、こういった機能強化を図るということを前提に短縮されると考えておりますので、そういう意味では機能強化分を推計として織り込みます。
 その上で、そういった機能強化の結果あるいは地域での医療機関同士あるいは介護との連携、こういったことも含めて平均在院日数が減るという効果を右の2の方に書いてありますけれども、推計するといったことを考えております。
 9ページがその具体的な推計方法で、細かいのですけれども、若干御紹介しますと、1番のところにありますが、各都道府県では29年度目標年度の平均在院日数の目標あるいは目標を立てない場合は見込み値を設定いただきます。一方で2番のところですが、全国推計をもとに平均在院日数と医療費の関係の式をつくるということで、ここに表があるのは全国ベースの推計でやっていることですけれども、平均在院日数が2025年度ですと現状投影で30.5日、これが改革すると24日ということで、平均在院日数は22%減ります。
 一方で、費用の方は4のところにありますが、現状投影で61兆円がまず充実して7.8兆円、13%。これに対して、平均在院日数の減少ということで、5.5兆円マイナスのマイナス9%という関係から、下に太字でありますけれども、平均在院日数の減少率と充実の要素の関係あるいは平均在院日数の減少率と効率化の関係という費用ベースに落とす関係式を出して、出した式に先ほど県で定めました平均在院日数の目標あるいは見込み値からどれくらい減るかということで、その影響額を算出することを考えております。
 10ページは、先ほど技術的助言にするということで、この指針上ではありませんけれども、平均在院日数の目標あるいは見込み値の設定についてお示しする内容を簡単に御紹介するものです。下の枠の中にありますけれども、推計値ということでX/Y、すなわち平均在院日数はX利用者数をY新規の入院発生数で割るということで出していくわけです。この際に、利用者数につきましてCのところにありますが、これについては、各県の方で設定する病床数、これは基準病床数でも結構ですし、それ以外の29年度の値として適正だと考える病床数を県が設定します。これと仮定する病床利用率、これは足元の各都道府県の病床利用率に一定の改革の効果を反映させるということで出しますが、これを掛け算して、Cの利用者数の部分を出します。
 また、新規の入院発生数、Eのところですけれども、これについては先ほどの利用者数を仮定平均在院日数とここでは書いていますが、これも足元の地域の平均在院日数に改革の効果を織り込むということで算出しますけれども、これで割り算をするということで新規入院発生数を出しまして、これを病床区分ごとにやりまして、それを合計してXをYで割るということで出すような推計式を考えているところでございます。
 戻っていただきまして8ページ、今は左の平均在院日数のことを御説明しましたけれども、右側の生活習慣病の取組みの額の推計については、メタボリックシンドローム該当者予備群の減少ということに着目して算出したいと考えています。
 また、前後して恐縮ですけれども、11ページをお願いいたします。ここはメタボリックシンドローム該当者・予備群と年間平均医療点数の関係と書いてありますが、健診結果を基にメタボリックシンドロームの該当者及び予備群、該当者は腹囲プラスリスク2つ以上。リスクというのは、血圧、血糖、脂質です。予備群というのは腹囲プラスリスク1項目。そうではない人は非該当という整理ですけれども、その人たちごとに年間のレセプトと結び付けまして、年間の平均医療点数ということで、生活習慣病だけではなくて、いろんな医療費がみんな入っている数字ですけれども、それで男女別、年齢階層別に見えるようにしたものですが、大体どこを見ても年間1万点弱くらい差があるということでございます。
 こういうデータがございますので、戻っていただいて8ページの右下のところでございますけれども、今、申し上げたように該当者・予備群とそうでない非該当の方では、年間8万円~10万円の医療費の差がある。これに着目しまして、両者の医療費の差が9万円あると仮定しまして、別途メタボリックシンドローム該当者・予備群の減少率というものを任意的ではございますけれども、県の方で定めてください、できたら目標にしてもらえることが考えられると提示しますので、その減少者数をかけるということで、効果額を推計したいと考えております。
 またあちこち飛びますけれども、12ページをお願いします。今回PDCAということでございますが、従来より中間評価の結果などについては次の作成に反映するとはしておりましたけれども、今回、枠の2つ目の○にありますが、それだけではなくて計画期間、今後5年間ございますが、その途中であってもきちんと政策の進捗状況などを評価して、必要があれば見直しなどに反映させていきたいということでございます。
 一番最後のページですけれども、これは去年の11月の部会の方に給付の重点化・制度運営の効率化ということで私どもの方から提案した内容と、今回の適正化計画との関係ということでございますが、このうち、例えば生活習慣病の予防とか後発医薬品とかあるいは療養費のところについては、県でやることあるいは自主的に取り組むことやデータを提示することも含めて、都道府県でやることに関連する部分は目標の例としてお示ししたり、データを提供したりしたいということでございます。
 一方、患者負担の見直しとかレセプト審査の質の向上とか、保険者によるレセプトの保健事業への活用、これは制度論だったり保険者における取組みということで、今回の適正化計画には入っていないということでございます。
 残りの資料を御紹介させていただきますと、参考資料1ということで、これが先ほど御説明しました、本基本方針の別紙としてお示しする医療費の推計方法の現時点の案でございます。参考資料2というものが、技術的助言として別途参考配付しようと考えております平均在院日数の算定方法、先ほど御説明した内容を文字にしたものでございます。
 参考資料3でございますけれども、こちらの方が前回から現時点の改正案ということで、前回のたたき台からの変更点に太い下線を引いています。これらにつきまして今後の日程といたしましては、8月6日に都道府県への事務的な説明会を予定しております。また、その後にパブリックコメントなど経て、最終案をかためていきたいと考えております。
 以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 今のようにスケジュールがかなりタイトになっておりますので、できればこの案につきましては今回、かためられればかためたいと思っておりますけれども、何か御質問、御意見ございますでしょうか。
 それでは、齋藤委員、お願いいたします。
○齋藤委員 12ページにも書いていただいておりますけれども、医療費適正化計画を機能させるために、PDCAサイクルの下で施策の達成状況を継続的に評価するとともに、評価結果を是非「見える化」していただきたいと思っております。そういう観点で2点、要望させていただきたいと思います。
 1つ目は、PDCAサイクルを効果的に機能させるために、国の方で都道府県に技術的な指導を行っていただきまして、その点を基本方針に明記いただけたらと思います。
 2点目は計画の策定状況や達成状況を一覧化して、当部会へ適宜提出していただき、それぞれの都道府県の進捗状況等がわかるようにしていただけたらと思っております。是非、御検討方よろしくお願いします。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 事務方、何かコメントございますか。
○鈴木室長 できる限りおっしゃいました策定状況の報告とか、県の助言などに努めていきたいと思います。
○遠藤部会長 よろしくお願いします。
 ほかにございますか。山下委員、どうぞ。
○山下委員 細かくはないのですけれども、増え続ける医療費のために、保険財政が非常に厳しい。それを賄う企業の負担も増え続けておりますので、保険料負担の増加は経営状況の厳しい中小企業にとってさらなる追い打ちをかけることになります。企業負担は限界に来ています。増え続ける医療費の適正化を是非推進していただきたいと思います。
 今日の御説明の中にいろいろあったように、国としても医療費の適正化推進は国家の課題としてきちんとリーダーシップをとって取り組まれるようにお願いしたいと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 武久委員、どうぞ。
○武久委員 適性化の資料の2ページの都道府県の意見の平均在院日数についてのところで「介護療養病床の受入れ先を今後どのようにするかという国の政策が示されておらず、介護療養病床の転換意向について未定とする医療機関が大部分を占める中、病床数の見通しを立てることは困難」ということが書いてありますし、参考資料3の5ページの下線が付いているところ。ここには介護保険施設等への転換が進んでいないという実態がある。療養病床の機械的削減は行わないこととし、介護療養施設については期間を延長したところであるというところまでは書いてあるのですけれども、これは介護療養病床だからこの部会でやるのはおかしいと言う人がいるかもわかりません。
 ところが、今まで介護療養型病床が転換したのは、医療保険側に転換したのが多いのか介護保険側に転換したのが多いのかということをちゃんと出して、今後6年間の予測というものを付けておかないと、医療保険側にどんどん入ってくると医療費適正化に必ず入ってくるわけです。介護保険だけの問題ではないわけです。
 皆さん御存じのように、17年の小泉郵政選挙の後で出てきた2つの療養病床の削減、要するに平均在院日数を短くするためには、長い療養病床は削減しろといって15万床になった。そこから減った分は全部介護保険に持っていくぞということで、医療課と老健課のところに持ってこられると保険料がどんどん上がるということで、介護保険も削減しようという2本柱なのです。
 この医療費適正化対策の計画で、医療の方ははっきり言って療養病床15万床の削減はなくしたということは、あの当時の政策は間違っていたということを認めたわけで、一方の介護保険の廃止は両方とも関係するパラレルのことであって、これはあくまでも6年後残すと。そうしたら、残すは残すでいいけれども、医療費適正化に全部関連しています。では、今まで医療保険側に移ったものと比べてください。結局、療養病床は急性期病院の平均在院日数が短縮してくるということで、その患者を受けるいわゆる長期急性期的な病床と、従来の長期慢性的な療養病床の機能と両方を持った慢性期病床ができるだろうと思うのです。
 そうしたときに、この長期慢性期病床も両方これからどんどん患者数が増えると増えるだろう。そうすると、私の予想では今までは介護療養型が医療保険側に行った方が多いだろうと思うのです。これがどんどん増えてきて、長期慢性期病床の一部に加わるのではないかと思うのですが、大きな視点として、推進室は医療適正化の中から療養病床の15万床というものをなくして、どんどん拡大するのだから削減はしないとなったら、片方の介護保険型については、医療保険側としてはどのぐらい入ってくるということ同時に、このことは厚生労働省全体で考えていくべき時期に来ているのではないかということを提言します。
 わかることは答えてください。
○遠藤部会長 質問がありましたか。
○武久委員 どのぐらい移っていったか。
○遠藤部会長 それは横断調査の話ですか。
○武久委員 違います。今まで介護療養型が12万床から8万床ぐらいに減っているのですけれども、この4万床のうちのどのぐらいが医療保険側に移って、どのぐらい側が介護保険施設、老健側の方に移ったか。
○遠藤部会長 それを横断調査で調べているわけですね。
○武久委員 横断調査というのは、病状。
○遠藤部会長 失礼しました。よけいなことを言いました。
○武久委員 それについて、予想がつくかなと思いまして。
○遠藤部会長 お願いします。
○鈴木室長 横断調査のことで申し上げますと、介護療養病床から転換が当時の調査で2万1,000床でございました。そのうち医療療養の転換が1万8,000床、介護老健施設などの転換が1,000床。当時18年4月から22年3月までにやったものはそういう結果でございました。廃止が500床でございました。
 今後、どうなるかということについては、介護療養病床の担当部局と調整して、今後検討したいと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 武久委員、基本的に療養病床再編の議論というのは、医療提供体制ですから医療部会マターでありますし、そのインセンティブとしての診療報酬は中医協マターということでありますので、本部会が中心になって議論するというテーマではないと私は理解いたします。
 ただ、今回の適正化計画の中でどうしても絡むのだということで御発言していただいているわけなのですけれども、特段今回の効率化の話の中で、今のような話を何か議論するとしたらとても時間的に間に合う話ではないので、今のは御意見として承るということでよろしゅうございますか。
○武久委員 入ってくるとなったら、医療費適正化にどうなるのですかということを言っているだけです。
○遠藤部会長 そういう意味で、重要な課題ではあると理解しておりますので、今後の検討課題ということだと思います。ありがとうございます。
 鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員 前回、お話させていただいて、多少改善していただいた部分もあるということですが、先生方からの御意見を聞きますと、医療費適正化計画という名称そのものに不満があるという声もございました。また、平均在院日数の短縮ということですが、一律にこういったものをやるのはもはや限界だと思います。医療費適正化、削減という意味での適正化というふうに厚生労働省は使っているわけですが、これからしてもかつてのように元気な人が具合が悪くなって入院して、また元気になって退院するという時代ではなくなってきており、高齢者が入院されても平均在院日数が短縮されれば結局病気を残したまま退院するという形になりますから、入院の医療費だけを削減しても、在宅医療に移るだけということになります。我が国の場合、特に入院のコストは非常に低いので、在宅医療の方が高くなる場合もたくさんあるわけですから、そういったことも踏まえていかないと平均在院日数の短縮だけでは考えられないと思います。むしろ在宅医療の方はこれから充実していかなければならない分野ですので、それは医療費削減の対象ではなくなるということだと思います。
改善すべき点があるとすれば、公的を中心とする急性期の大病院に軽い患者が入院するようなところですが、これは平均在院日数の短縮だけでは片付かない問題だろうと思います。
 5ページ目のたばこ対策、こういうものを追加していただいたということは非常にいいことだと思います。また、6ページの後発医薬品の促進、これも少しずつ進んでいる話ではございますが、先生方には、まだ後発品に対する不安や不信といったものが根強く残っているということもありますので、そういう現場の声も聞きながら進めていただきたいと思います。
 ガイドラインという話が7ページに急に出てきましたけれども、こういったものも医療費の推計以外は任意と言いながら、そういったものをつくって事実上強制するということのないように、また、ガイドラインのつくり方については透明性を担保しながら、公平につくっていかないと、信頼性が確保できないと思いますので、関係者の合意を得ながらつくるということをしていただきたいと思います。
 私の方からは以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 いろいろと示唆のある御指摘をいただいたと思います。
 お待たせしました、樋口委員、お願いします。
○樋口委員 医療費節減のために平均在院日数を減らしていくということ自身は、もう随分議論されて、みんな賛成していると思いますし、国際基準から言いましても日本の在院日数というものはちょっと特異なぐらい長いと認識されていると思いますし、患者自身、特に高齢者自身の側から言いましても、できるだけ在宅でということは利用者自身の願いでもあると思っております。
 しかし、随分今までに議論したと思いますけれども、単に在院日数を短縮するだけではむしろ医療費節減になるかどうか。そのためには、病院にいる間の治療、看護というものが手厚くならなければならないし、特に強調したいことは、退院してからの在宅医療、これは介護だけではございません。在宅医療、訪問看護ということがきちんと整っていかなったら、ある意味で早く出ろ早く出ろということは、野に弱者を放すことでありまして、昔「野たれ死」と言ったけれども、家に帰されて「家たれ死」ということになるのではあるまいかと私は思っております。
 でありますから、在院日数を軽減することは大変重要なことで、賛成ですけれども、そのために院内で早く帰れるような医療をどのように手厚くするか。在宅に戻ったときに、訪問医療、看護というものをどれだけ手厚くするか。これに関して、私はたまたま最近北欧で高齢者医療を少し見てまいりましたけれども、確かに在宅で多くの高齢者が死んでおります。死ぬまで在宅でいる人は2人に1人という厚生労働省からいただいた資料は決してうそではありませんでした。
 しかし、目を見張るほど大きな違いは、医師の数もさることながら、地域の訪問看護師の数が2倍、3倍などというものではありません。1対10の比率で訪問看護師の数が多うございました。この医療保険部会でそうした看護師や医師などについて、特に看護師についてきちんと点数を付けていくという論議とともにでないと、この平均在院日数短縮ということは基本的には賛成ですけれども、私も前にもそんなようなことを申し上げましたし、ほかの先生方もおっしゃったし、どこにあるのかなと思ったら8ページにあるのがそれでございますか。8ページの適正化の取組みの効果の推計(2)イメージというところがありまして、ここに単に医療費を短縮するところではなくて、特に2医療・介護について充実や重点化・効率化を行った、重点化というのは増やすことだと思います。これを行った場合の全国試算を基に、平均在院日数減少による効率化効果を推計というので、この点線で書かれたものが効果だと意識してよろしいのでしょうか。図の読み方がわかりません。
○遠藤部会長 大変難しい問題ですが、非常に重要な御指摘をされておりますし、先ほどの鈴木委員のおっしゃったこととも関連していると思います。
 8ページというよりも、9ページにもう少し具体的に数字を書かれていると思うのですが、8ページ、9ページを見ながら平均在院日数が短くなること、およびそれを実現させるための充実化に伴うコスト増というものも一応反映した形の算定だということをわかりやすく説明していただけますか。
 鈴木室長、お願いします。
○鈴木室長 これは今の政府の一体改革の推計でもこうしておるのですけれども、平均在院日数の減少ということですが、その前提として最適な患者さんの状態に応じた最適の医療を提供するには、もう少し機能強化を図っていく分野がたくさんあるだろうということで、それぞれ機能別に投入するマンパワーとかといったものを充実するということがあります。そういったことをしていきますと、当然ケアが手厚くなりますので、それに伴って平均在院日数も下がります。
 併せて、この適正化計画に乗せている意味というのは、機能強化だけではなくて、地域の中で医療機関同士の連携、次の医療サービスに行けるあるいは介護との連携、在宅医療等に移っていくという流れを地域の連携の中できちっとつくっていただくといったことで、一方でここで言えば5のところが充実する費用、一方で平均在院日数の短縮ということで、費用的な効果が7のところになるということで、前のページでも左下で何もしない場合よりも上がっているのが充実を図った上で、更にそこから平均在院日数の短縮の効果としてマクロの費用としては安くなるという関係になっているところでございます。
○遠藤部会長 難しいですね。大変難しいのですが、そういう意味で費用増というものもシミュレーションの中では入っているということであります。
 小林委員、どうぞ。
○小林委員 地域主権ということはわかりますが、こと医療費適正化という問題については理念として理解できなくもありませんが、都道府県に医療適正化の責任を持たせて対策してもらうということについては、おのずと限界があるのではないかと思います。事務局の資料にもありますように、都道府県からも医療費適正化の最終的な責任は国にあるという意見も出ておりますように、現実問題として考えた場合は、現在の仕組みでは都道府県自体に医療費を抑えようというインセンティブがどれほど働くか疑問であります。
 こうしたスキームに余り頼れないことから考えますと、前回も申し上げましたように、医療費の適正化を実際に前に進めていくためには、別途、国として具体的な制度改正に踏み込むことが求められると思います。繰り返しになりますが、先ほど山下委員からもお話がありましたように、財政状況の厳しい協会けんぽを含め、日本の医療保険の将来は適正化のための制度改革なくしては成り立たないということを、強く申し上げたいと思います。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 お待たせしました、安部委員、どうぞ。
○安部委員 5ページなのですが、先ほど鈴木委員がおっしゃったようにたばこ対策を追加していただきまして、これは大変よかったと思います。5ページのたばこ対策の下の方の「さらに」というところで、今回、文言を追加していただきましたけれども、これを見ますと、たばこ対策として、保険者等と連携した普及啓発の促進や、相談体制の整備となどの取組みを行う。これは大変いいことだと思うのですが、現在たばこ対策につきましては、医療職全般で積極的に取り組んでいるところでありますし、私が関連する薬剤師会等でも学校保健での教育でありますとか、セルフメディケーションでありますとか保険調剤、全般にわたって多様にいろんな場面に関わっているところでございますので、ここは保険者等というところでくくられてしまいますと、都道府県に落ちた場合、保険者等を都道府県でやればいいのだと読み込まれないように、例えば医療職でありますとか医療機関、薬局等と連携というふうに明確に書いていただいた方が、今後都道府県で取組みをしていただく場合に、非常に連携がスムーズにいくのではないかと思いますので、せっかく追加していただいた文言でございますので、参考までに意見として申し上げたいと思います。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 では、横尾委員、お待たせしました。
○横尾委員 ありがとうございます。
 項目別に説明いただいた部分とは少しずれるかもしれませんが、医療費適正化基本方針の改正案7月30日バージョンの3ページでございまして、「はじめに」という言わば前文に当たるところがあるのですけれども、ここにアンダーライン部分が提示されています。「増大しないようにしていくとともに、良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を図っていく必要がある」という記述でございますが、できればこの中に「良質かつ適切で、持続可能な」というものを入れていただきたいと思っています。保険行政関係から見ると、皆様のような議論でいいかと思いますけれども、実は自治体、特に地方におきましては、医療サービスを提供できる機関の存続そのものも非常に重要な課題になりつつありますので、「持続可能」なということを是非入れていただきたいと思っているところでございます。
 2点目は、全般的に関係することなので細かいことは事務局に任せるしかないと思っているのですけれども、地方分権という流れが出てきて、地域主権改革という標榜もされているところも最近出てきているところでありますが、全般的なこの分野の行政は都道府県を主体とし、都道府県から市町村を指導するという体制は何も変わっていないのかなという印象を全般的に感じるところがございました。可能でありましたら、市町村も巻き込む分野、テーマ等があれば、是非、「都道府県並びに市町村はかくかくしかじかのことについて、もっとこうあるべきだ」ということも入れていただくと、より末端までいろんな意味での徹底ができるのではないのかと感じた部分がありますので、意見を述べさせていただきたいと思います。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 まだ御意見があるかと思いますけれども、かなり時間が迫っておりますので、ただいまいろいろといただきました御意見を踏まえまして、もし文言の修正が必要であるという箇所があれば修正させていただきたいと思いますが、時間が迫っておりますので、もしよろしければ、部会長一任という形で対応させていただきたいと思いますけれども、よろしゅうございますか。
(「異議なし」と声あり)
○遠藤部会長 ありがとうございます。では、そのように対応させていただきます。
 それでは、引き続きまして「協会けんぽの財政運営について」を議題といたします。事務局から資料が出されておりますので、説明をお願いいたします。
○西辻課長 資料の説明をさせていただきます。保険課長でございます。
 資料3でございます。協会けんぽの財政運営についてという資料でございます。
 1ページでございますが、現在、協会けんぽについては、財政再建の特例措置が平成22年度から3年間講じられております。中身は、1つが国庫補助率の引き上げということで、13%から16.4%となっております。二つ目が保険者として負担すべき後期高齢者支援金の負担方法、これにつきましては、被用者保険グループの中で3分の1を総報酬割で負担するということ。もう一つは、単年度で収支を償うということの例外として、21年度末の累積債務を3年間で解消するという措置が講じられております。
 一方、こういう措置を講じながら協会けんぽの保険料率は、平成21年度の水準と比べまして、今年度は10.0%と約2割の上昇となってございます。
 2つ目の四角のところでございますが、この措置は24年度で切れますので、24年度までの間に検討し、所用の措置を講じるということで法律に検討規定が入ってございます。仮に24年度中に何らの法律の手当を行わない場合は、来年の4月以降補助率が13%に戻るとともに、後期高齢者の支援金も全て加入者割になってしまうということで、仮に国庫補助率が13%に戻った場合、協会けんぽの保険料率は更に0.3%程度上がるという影響が生じると考えております。
 2ページでございますが、協会けんぽに対しては、給付費等に対する国庫補助が入っておるわけでございます。その理由を定性的に説明するならば、他の被用者保険の保険者と比べて、総体的に中小あるいは零細の事業所の方々が加入されているということで、どうしても加入者の報酬の水準が相対的に低い。つまり財政基盤が弱いため、保険料率の上昇を抑えるために、国庫補助が入っているということでございます。
 中ほどに表がございますけれども、平均の被保険者1人当たりの収入ですが、協会けんぽ、健保組合、共済組合を見たところ、大きく差がついております。
加入者の平均年齢につきましても、協会けんぽがほかの被用者保険と比べて若干高いということで、一番下にありますように、公費の補助が現在16.4%、約1.2兆円行われているという状況でございます。
 3ページ、4ページは協会けんぽ、協会けんぽの前身である旧政管健保の国庫補助の経緯についてまとめたものでございます。制度創設当初は給付費に対する国庫補助というものは行われていなかったのですけれども、単年度の赤字が出て、それを国庫補助で処理するようになって、給付費に対して補助が必要ではないかということで、昭和31年度から予算の範囲内ということで補助の規定が置かれました。
 昭和48年度には協会の財政悪化が考えられたことから、制度改正を行いまして、保険料率と国庫補助率の連動制という時代がしばらく続きます。48年度の改正で料率7.2%に対して国庫補助率10%とした上で、料率が0.1引き上がるごとに補助率を0.8乗せるという規定を置きました。
 ただ、昭和56年になりまして、連動規定の発動によって料率が8.0%、補助率が16.4%になったのですけれども、国の財政状況が厳しくなってきたということで、この連動規定を廃止いたしまして、保険料率を8.4%に0.4%引き上げたということでございます。この際、国庫補助率の規定については、「16.4%から20%の範囲で政令で定める」と規定いたしました。この規定は現在も残っているわけでございますけれども、このときには国会審議の過程で、国の財政状況を踏まえ、附則で「当分の間16.4%」という形に修正されております。
 この「16.4%から20%の範囲で政令で定める」という規定の趣旨というか、考え方が、その下に黒ポツが2つ書いてあるうちの下の方でございます。国会での説明でございますが「16.4%から20%の範囲で政令で定める」の趣旨は、給付費が仮に将来増大した場合には、16.4を維持する、自己負担の増加、つまり昭和56年の段階では被用者保険の本人はまだ定率の負担は入っておりませんでしたので、今後そういった自己負担の増加などによって、給付費が減少する場合には、逆に補助額を維持するために国庫補助率を16.4%に固定するのではなく、20%までの範囲内で政令で定める。つまり、実額保証的な意味で16.4%から20%という幅が設定されたということが、政府側の答弁で確認できております。
 平成4年度以降ですが、56年度以降黒字基調になりまして、特にバブルの影響で平成3年度末に非常に多くの積立金を保有するに至ったということで、従来の単年度収支の考え方からある程度中期的、具体的には5年間を通じて財政収支を均衡させるという考え方に転換し、これによって、毎年毎年の保険料率の変動を避けるという制度改正が行われました。この際、保険料率を8.4%から8.2%に引き下げるとともに、国庫補助率については「当分の間、13%」とされたということでございます。
 一番下でございますけれども、冒頭申し上げましたように、現在は22年度から24年度までの間、3年間の特例措置で国庫補助率16.4%にされているということでございます。
 5ページが、今、御説明申し上げた国庫補助率と保険料率の変遷を表にしたものでございます。
 6ページが、今もちょっと出てまいりましたけれども、平成4年から行われました旧政管健保の中期財政運営についての資料でございます。昭和56年の改正以降、黒字基調で推移いたしまして、平成以降は2,000億ないしは3,000億程度の毎年度の黒字が発生いたしました。平成3年度末に1.4兆円まで積立金がたまったことから、短期的な景気変動に伴う料率の変動を避けるということで、この積立金をいわゆる事業運営安定資金として調整財源として使いながら、5年程度を通じて収支均衡を図るという財政方式に改正されました。その際に、保険料率を引き下げるとともに、補助率も「当分の間13%」とされたということでございます。
 下の方の四角囲みでございますが、中期財政運営を導入したものの、比較的早い段階で経済基調の変化によりまして、5年を通じた財政運営というのは結構難しいということになり、5年を1期とする財政運営から、平成9年以降2年を1期として財政均衡を確保する方式に変更するとともに、保険料率もこのときに更に引き上げを図って8.5%にしたということでございます。
 その後、平成15年度に総報酬制、つまり賞与に関しても月次の報酬と同じ保険料率を適用するということでございますが、これを導入した際に、保険料率の引き下げを行い、併せて5年を1期とする財政運営にまた戻すとともに、少なくとも2年ごとに5年間の財政均衡がどういう状況になっているのかということを社会保険庁長官が承認、公表するという方式とし、これが社会保険庁廃止まで続いたという経緯がございます。
 7ページでございますが、これは昨年11月の当部会で説明させていただきました協会けんぽの今後の保険料率の見通しで、平成24年度10%の後、経済前提の置き方によりますけれども、毎年0.2ないし0.3%ずつ上がっていくということでございます。後ほど説明いたしますが、23年度の決算見込みが出ておりますので、決算の数字を前提にすると若干変わってくる可能性があると思っております。
 8ページは、一体改革大綱に関する関連の記述でございます。大綱におきましては、後期高齢者医療の支援金を総報酬に応じた負担とする措置について検討するとされており、これに関連いたしまして、中ほどの注釈で現在、24年度までの特例として総報酬割3分の1、併せて協会けんぽの補助率が16.4%とされていることが言及されております。
 9ページでございますが、社会保障制度改革推進法案、これは一体改革の審議の過程で衆議院段階において、政府提出法案の修正と併せて提案されたものでございます。現在、参議院で審議中のものでございますが、この中で第4条のところでございますけれども、次章に定める基本方針に基づいて改革を行うということで、法制上の措置については法律の施行後1年以内に社会保障制度国民会議における審議の結果等を踏まえて講ずる、第6条で医療保険について書いてございまして、柱書きで国民皆保険を維持する等のことが書いてあり、第4号で、今後の高齢者医療制度について状況等を踏まえ、必要に応じて社会保障制度国民会議において検討し、結論を得ることとされております。
 他方、下の方の四角囲みは、この推進法案の提案に先立つ三党、民主党、自民党、公明党の三党の確認書及び実務者間会合の合意文書でございます。実務者間の会合の合意文書のところですが、今後の高齢者医療にかかる改革については、あらかじめその内容等について三党間で合意に向けて協議するとされているところでございます。
 10ページは、昨年の医療保険部会での議論の整理でございます。4のところが高齢者医療制度の見直しに関する御意見。5のところが協会けんぽの財政健全化の取組みに対する御意見でございます。
 11ページと12ページは、昨年それぞれ11月12月の医療保険部会に提出させていただいた資料でございます。協会けんぽ対策ということで、協会けんぽの補助率の議論と併せて、ここでは後期高齢者支援金の総報酬割の拡大について言及しております。12ページで、現在3分の1が総報酬割でございますけれども、これを全面総報酬割にした場合あるいは3分の2総報酬割にした場合、2分の1総報酬割にした場合、それぞれ協会けんぽの欄で負担額の変化のところの▲が付いている2,100億、1,000億、500億の公費が捻出されるということを説明したものでございます。
 次ページ以降は参考資料でございますが、この中で17ページをごらんいただきたいと思います。17ページは協会けんぽの収支でございまして、23年度の決算見込みが今月公表されました。表の中ほどでございますが、一番下の欄をごらんいただきますと、単年度の収支差で2,586億円。冒頭説明申し上げましたように、22年度から24年度の3年間で、21年度末の累積債務3,200億円を返すということで、22年度末で638億円が残っていたわけですけれども、これを返すとともに、23年度末で1,947億円の剰余が出ているという状況でございます。
 この主たる要因としては、主に収入の方、つまり標準報酬の下げ基調は依然協会けんぽに関しては止まっていないと見られておりますが、他方、その下げの幅が当初見込んだよりも若干小さかった。特に賞与が予想外によかったということと、併せて協会けんぽの保険料徴収を行っておりますのは、日本年金機構でございますけれども、日本年金機構の努力によって、徴収率が最近の低下傾向に反して上昇したという辺りの効果が幸いにして重なって、こういう状況になったと承知しております。
 他方、19ページにありますように、1人当たりの協会けんぽの適用事業所の標準報酬は、リーマンショック以降下げがとまっていないという状況がございます。
 また、20ページにあるように、協会けんぽと健康保険組合の平均との保険料率の格差は開いており、大きな差があるということ、更には、21ページにありますけれども、1人当たりの報酬の差についてみても、健保組合の平均と協会けんぽで大きな差があるということで、協会けんぽの構造的な体質というものが黒字によって変わったものではないと考えておるところでございます。
 資料の説明は以上でございます。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
 実はもう予定の終了時間に達しているわけですけれども、司会の不手際でまだ時間が必要でございますので、もうしばらくお付き合いいただければと思います。
 それでは、ただいまの御説明につきまして、御意見、御質問はございますでしょうか。
 鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員 協会けんぽの財政運営が大変だということでしたが、保険料率が上がりましたので、当面は大丈夫ということになりました。医師会というと医師国保だと思われるのですが、私のところも協会けんぽで、大変ではありますが、公的国民皆保険制度を守るために、払っていくつもりです。日本医師会では保険料をどのように考えているかということですが、確かに協会けんぽは保険料率が高いのですが、事業主負担から見ると、我が国はまだドイツやフランスのように同じ社会保険制度をとっている国より低いのです。ドイツは14.9%の労使折半あるいはフランスの事業主負担は12.8%であるということを考えますと、もう少し引き上げることは可能であると考えております。
 しかし、この協会けんぽを上げるということはではなくて、被用者保険の中の保険料率を平準化、公平化するということが必要であると考えており、具体的には最も保険料率が高い協会けんぽの水準まで、他の組合健保や共済といったところの保険料率を引き上げることが必要ではないかと思います。
 実際、大企業の健保組合あるいは国家公務員、私学共済といったところの保険料率は非常に低いという事実もございますので、こういったところを協会けんぽ並みに引き上げると、保険料の増収効果として日医の試算で1.8兆円という数字も出ております。そういうところをもう少し見直していただいて、お互いに協力して公的国民皆保険制度を堅持していきたいと考えています。
 余談になりますが、イギリスのロンドンオリンピックの開会式を見ていましたら、NHSを称える出し物が登場して来ました、オリンピックの開会式でNHSが大きく取り上げられたのは驚きでしたが、イギリスではそれだけすばらしい制度だと思われているわけです。私は実際に何度も調査に行った上で、日本の公的国民皆保険制度の方がもっとすばらしいと思っていますので、みんなで守る努力をしていくと共に、国民にも協力していただくことが必要ではないかと考えています。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 小林委員、当事者として実は御意見をお聞きするべきでしたので、どうぞ。
○小林委員 協会けんぽの小林です。
 協会けんぽの財政状況について、ただいま西辻課長から御説明がありましたので、若干重複するかもしれませんが、私どもからの提出資料に基づいて手短に御説明申し上げたいと思います。
 資料の1ページ目をごらんください。協会けんぽは21年度の単年度収支差がマイナス4,893億円、準備金残高もマイナス3,179億円となり、大幅な赤字を計上いたしました。この準備金残高のマイナスは、課長から御説明がありましたので繰り返しませんが、資料の2ページのとおり、3年間の特例措置を講じていただき、その上で保険料率を大幅に引き上げることによって、事業主、被保険者の皆さんに御負担をいただき、単年度収支を毎年度プラス、つまり黒字にすることによって解消に努めてまいりました。結果として、事業主と被保険者の皆さんには、大変御負担をいただく保険料率になりまして、その保険料率は22年度は8.2%から9.34%、更に23年度は9.50%と2年間で1.3%もの引き上げを行いました。
 今般まとまった23年度の決算は、こうした特例措置と事業主、被保険者の皆さんの御負担によるもののほか、保険料設定段階で手堅く見込んでいた医療費の増加幅や標準報酬月額の下落幅が実績では少ない幅にとどまったということ、それにこれまで低下の方向で来ていた保険料収納率が改善したことも合わせて、単年度収支のプラスが見込みを上回る結果となり、結果として21年度の準備金の赤字を解消することになりました。
 繰り返しになりますが、単年度収支差は通常の状態でプラス、つまり黒字になったのではなくて、3年間の特例措置を講じていただいた上、保険料率を大幅に引き上げることによって単年度収支差をプラス、つまり黒字にして、その黒字分で準備金の赤字の解消に充ててきたということであります。
 次に、協会けんぽが置かれている財政の状況について御説明いたします。資料3ページをごらんいただきたいと思います。23年度の決算でも、高齢者医療への拠出金が支出の約4割を占めており、重い負担となっております。
 5ページをごらんください。このグラフは収支が均衡していた平成15年度を1として、その後の推移を指数で表したもので、上の点線は医療費、下の実線は加入者の月収、すなわち標準報酬月額を表しております。ごらんいただくとおわかりのとおり、もともと政管健保時代からの財政の傾向は、医療費が年々増加する一方、保険料収入のベースとなる被保険者の賃金は横ばいないし低下し続ける傾向にあり、年々両者の乖離幅は大きくなっております。このような財政構造が赤字の要因であり、この赤字構造は今後も続くものと見ざるを得ません。
 資料7ページのグラフと表をごらんください。保険料率の将来見通しでありますが、今後も保険料率の引き上げは避けられない状況にあります。協会けんぽの今後の財政状況は依然として厳しい状況にあると考えております。3年間の特例措置は、24年度までの時限措置とされておりますが、25年度以降の国庫補助率や支援金の負担方法などの協会けんぽの財政の枠組みは決まっておりません。給与水準が他の制度と比べて低いため、結果として高い保険料率での御負担をお願いしております中小企業の皆様の保険料の負担は、限界であります。
 最後の9ページになりますが、私どもとしては医療費に対する国庫補助率について、現行の16.4%から法律の上限で20%とすること、公費の拡充を始めとした高齢者医療制度の抜本的な見直しを行うことを要請しております。協会けんぽの被保険者の皆さんの大半は中小企業で働いている方々です。今でも10%という重たい負担をお願いしている中小企業に、これ以上の負担をお願いすることは到底できるものではないことを御理解いただきたいと思います。
 私からは以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 厳しい財政事情についての話でありましたし、先ほど鈴木委員からは保険者間の保険料率の格差の是正というものも1つの方向だということの御提案をいただいたというわけです。
 お待たせしました、山下委員、どうぞ。
○山下委員 2点だけ手短にお話します。
 今の小林委員の話にもありましたとおり、平成24年度の協会けんぽの保険料率は10.0%であって、非常に保険料としては限界に来ております。協会けんぽへの国庫補助率を是非健康保険上の上限である20%まで引き上げるようにお願いしたいということが1点。
 もう一点は、総報酬割の全面導入については、特定保険者への影響の大きさや保険料の低減に努める保険者機能を無視するものであることから反対で、是非、現行の枠組みの中で対応していただきたい。この2点でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 ほかに。白川委員、どうぞ。
○白川委員 私の方から2点、1点は質問でございます。
 今、西辻保険課長が説明された方の資料の例えば20ページ等に、協会けんぽと健保組合の保険料率の推移という表がよく出るので、そのたびに申し上げているのですけれども、健保組合の方は平均値でございますので、健保組合というのは今、1,430ぐらいありまして、高いものは協会けんぽの10%を超える料率で運営しているところもあります。したがって、こういう直線で書くのはいかがなものかといつも申し上げているのですが、健保組合場合は幅が相当大きいのだということを申し上げておきたい。
 2つ目は、日本医師会等が保険料率をそろえれば約2兆円出るなどという話をよくされていますが、これも前々から申し上げておりますけれども、今の健康保険制度の基本を変える話だと申し上げておきたいと思います。要するに今の健康保険の制度というのは、それぞれの保険者が保険者機能を発揮することがベースになっている話でございまして、それはそこに加入している加入者と事業主が、必要な保険料を決めていくということがベース中のベースでございますから、それを否定するような御意見というのは、私どもは全く今の制度をないがしろにする議論だと思っております。全部同じ保険料にするというのであれば税金でやればいい話でございまして、保険である意味がない。保険者機能を否定する話だと強く申し上げておきたいと思います。
 1点質問なのですけれども、特例措置が来年の3月で切れるということは承知しておりますし、協会けんぽさんは国からの助成率を20%まで上げてほしいという要望を出していらっしゃるようでございますので、これとの兼ね合いで25年度以降の特例措置の取扱いをどうするかということを議論していかなくてはいけないのではないかと覚悟しております。この件について、私どもは特例措置導入のときも大反対ということで反対させていただきましたが、法律が通ったということでございまして、次回も当然我々としては理不尽な肩代わりということで反対させていただきたいと思っておりますけれども、これはどういう手順でいつごろから議論を始める御予定なのかということを、厚労省の方に質問させていただきたいと思います。
○遠藤部会長 では、保険課長、お願いいたします。
○西辻課長 協会けんぽの財政対策、つまり22年から24年度までの特例措置が来年3月に切れますので、何らかの措置を講じるということであれば、当然24年度中に法的な措置を講じなければいけないということになります。法案提出が来年の通常国会ということになりますと、それに向けて検討をお願いするということになり、もっとはっきり申し上げると、恐らくこの秋口から議論をお願いして、年末には方向性を決めたいという考えでございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 白川委員、どうぞ。
○白川委員 私の質問が少し片手落ちだったのですけれども、要は今、厚労省としては、この特例措置を25年以降どう扱うかということについて、具体的な案は現在はないということでよろしいのでしょうか。
○遠藤部会長 保険課長、お願いします。
○西辻課長 法律上は24年度いっぱいでこの措置が切れるということしか決まっておりませんので、まずはこの医療保険部会において秋口から御議論をお願いしていくということだと思っております。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 ほかに。菅家委員、どうぞ。
○菅家委員 時間もありますので簡潔に申し上げますと、協会けんぽと組合健保が論点になっておりますけれども、もともとは健康保険法という1つの法律の中で制度が運営されるという建てつけになっているわけでありまして、したがって、この法律の下でどう考えていくのかなという話だと思っております。
 そこで、大きな環境変化があるわけでありまして、1つには協会けんぽと白川委員がおっしゃったとおり健保組合の平均でありますけれども、一時金も含めて賃金水準の差が広がっているという問題がありまして、総報酬ベースで言いますと、このデータを見る限りは3割ぐらいの差があるわけであります。
 過去を見ますと、総報酬制を導入していない時点でこんなに差はなかったわけでありまして、せいぜい2割程度ということで、国庫補助の根拠もそこにあったのだろうと思っております。したがいまして、賃金水準の格差が広がっている状況の中で、国庫補助の在り方をどう考えるのかということは、2割の上限を求めるというのは当然だと思いますが、それだけでは済まないような状況も一面ではあると考えておりまして、その辺どう考えるのかということ。
 白川委員が御指摘されたように、健保組合も平均ベースでいうと協会けんぽとの差はそういうことでありますけれども、健保組合の内部における格差も相当程度進行しているという状況でありまして、その健保組合の内部における賃金水準の差みたいなものをどう考えていくのか等々、これまでないような状況も起きておりますので、賃金水準の低い健保組合に国庫補助を入れるという議論をするのかどうかということも含めまして、健康保険制度の下における制度の在り方については、根本的な検討を加えていく時期に来ているのではなのかと思っておりまして、その点につきましては、連合としましてもいろいろと研究していきたいと考えております。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。非常に本質的な議論だと思っております。
 ほかにございますか。よろしゅうございますか。
 それでは、本件につきましてはこれぐらいにしたいと思います。司会の不手際でかなり終わりの時間が遅れてしまいまして、申し訳ございませんでした。本日はこれぐらいさせていただきますが、次回以降の開催につきましては、追って事務局より御連絡があると思いますので、よろしくお願いいたします。
 本日は御多忙の折、お集まりいただきまして、どうもありがとうございました。


(了)

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