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2012年6月26日 第36年金記録回復委員会議事要旨

○日時

平成24年6月26日(火)18:00~


○場所

厚生労働省 9階 省議室


○出席者

(委員)磯村委員長、稲毛委員、岩瀬委員、梅村委員、金田委員、駒村委員、斎藤委員、廣瀬委員、三木委員
(日本年金機構)紀陸理事長、薄井副理事長、矢崎理事、松田理事、喜入理事、中野理事、吉野審議役ほか
(厚生労働省)塚本事業企画課長 ほか

○議事

(※議事録は資料ページにPDFファイルで掲載しています)

(1)記録問題の全体構図と本日の課題

○ 年金局より資料1についての説明があり、委員から次の意見があった。

(尾崎室長)事務処理誤りへの対応については、昨年来数回に亘り実務検討会でもご審議いただき、前回の委員会でも準備を急ぐように指示をいただいていたが、本日資料の準備が間に合わず深くお詫びを申し上げたい。できるだけ早く準備を進め、間に合わない可能性もあるが、可能であれば次回の委員会でご審議いただけるよう準備を進めていきたい。

(磯村委員長)昨年末から半年以上経過しており、日本年金機構では紀陸理事長の年頭訓辞でも最重要課題として取り上げられている。年間2,000件の事務処理誤りの減少する気配が見られないにもかかわらず具体策が示されないのは、現場が、ひいては国民が困ることになるだろう。早急に改善策を示していただきたい。

→ しっかり取り組んでいきたい。(中村課長)

→ 年金局と協議をしながら整理を進めたい。(中野理事)



(2)気になる年金記録の確認キャンペーンの全体像について

○ 日本年金機構より資料2について説明があり、委員から次の意見があった。

■ 4点ある。1点目は加入者・受給者にアクションを起こしてもらうことになるが、ここに至るまでに年金機構としてやるべきことを全部やったという認識でよいのか。2点目に「気になる年金記録の確認キャンペーン」という名称はインパクトがない。「自分で確認キャンペーン」や「年金記録持ち主確認キャンペーン」など自らがアクションを起こすことが思い浮かぶような名称にした方が良いのではないか。3点目に、保険業や不動産業に未統合記録が多いという分析について、どういうズレで記録が未統合になっているのか聞きたい。最後に、事業所の検索について、過去に東京等では屋号のDBを作ったはずだが、可能であれば屋号も検索システムに入れた方が良いのではないか。(三木委員)

→ 1点目については来月に中間総括を行いたいと考えているが、記録問題は大きく分けて5,000万件の宙に浮いた年金記録の持ち主をどうやって探すか、年金機構が持っているデータが本当に正しいのかという2つに分かれる。持ち主の探し方については、年金機構が持っているデータを国民の皆様にお送りしてご確認いただくということを行っており、ほぼ90数%が終了している。まだ持ち主が見つかっていない記録については、コンピュータ記録が旧姓であるか、氏名・生年月日が違って記録されている可能性が高い。日本年金機構としてはこれ以上探しようがないので、国民の皆様から申し出ていただく必要があるという認識である。

コンピュータ記録の正確性については、紙台帳との突合せ等を行っており、折り返し地点を回ろうかという段階である。

2点目のキャンペーンの名称は確定しているわけではないが、キャンペーンの内容にはいくつかあるので、それらを総称するネーミングとして何がよいのか工夫が必要だと思っている。キャンペーンで使用するチラシでは「年金記録の持ち主を探しています。」としているが、できるだけ一般の方にも分かってもらえるようなネーミングにしたいと考えている。

3点目の未統合記録の分析については、こういった結果が分かったというだけであり、結果に対する原因については推測の域を出ないのでコメントできない。日本年金機構としては、「これらの業種は未統合記録が多いのでお勤めだった方は記録を確認してください」という案内をしていきたい。

事業所を探すためのDBについて、ご本人が年金事務所に記録の確認をしに来た場合には屋号のDBも活用することになるが、ねんきんネットやHPで屋号を公開することについてはもう少し検討させてもらいたい。(伊原部長)


■ PRについてもう少しクリエイティブに考えてもらいたい。経済三団体はガバナンスが効いているので、そこにPRしてもあまり効果はないのではないか。また、高齢者や亡くなった方の記録の確認が最も難しく件数も多いのではないかと思うが、例えば地方のお寺は地域に密着していて、亡くなった方とその遺族がどこにいるといったことをよく知っている。個人情報の問題もあるだろうが、例外的な扱いで協力してもらう方法はないのか。

また、関係団体等へ資料を送るだけではなく足を運んで行動してもらいたい。ロータリークラブやライオンズクラブは毎週集会があり、卓話という制度もある。特に地方の名士が集まる所にはネットワークもあるので影響は大きいのではないか。皆さんで知恵を使って、今までと違うアプローチをしていただきたい。(斎藤委員)

→ 我々も高齢者の方にどのようにPRするかは課題だと思っている。自宅で一人暮らしの方や介護保険の要支援と呼ばれる方々は経済的にもお困りの方が多く、年金の必要性も高いだろうと考えている。お寺への協力依頼についてご提案いただいたが、記録の確認で最も難しいのは本人でないと職歴等は分からないということであり、遺族へ記録の確認を行ったとしても記録判明には繋がり難いだろう。重要なのは高齢者へのアプローチと、過去の職歴等を思い出していただくサポートをすることだろうと考えている。

また、ライオンズクラブやロータリークラブの話があったが、年金委員の活用や職員が地方へ行ってご説明するといったことは考えられるので、努力していきたい。(伊原部長)

■ 亡くなった方を特定できれば、未統合記録から解明された記録になるのではないか。(斎藤委員)

→ 死亡者の記録は1,500万件ぐらいあると把握しているが、より問題なのはご生存していて未統合となっている記録だと考えている。(伊原部長)


■ 今までに記録関連に投じた費用の最後の総決算的なキャンペーンだとすると、効果的にPRをしなければならない。予算の問題はあるだろうが、アクセスキーを定期便等で送る段階で、WEB上に「定期便でアクセスキーを送付するので今すぐアクセスしてください」等の広告を載せるなどして、効果的なキャンペーンを打つべきである。(三木委員)

→ 年金局ともよく相談したい。費用をかけるのは難しいが、できるだけ多くの方に知ってもらえるよう知恵を絞りたい。(伊原部長)


■ キャンペーンを行うにあたり、先ずは更に解明を進める必要がある記録が1,000万件になったことをアピールしなければならないだろう。5,000万件の解決に向けて残り1,000万件になったというキャンペーンが国民にとっては大事である。ネガティブな書き方ではなく、これまで取り組んできた苦労が分かるようなアピールをそろそろ行うべきだと思う。(金田委員)

→ 10ページの5,000万件の解明状況については来月の中間総括に向けて整理しなければならないと考えている。解明作業が進展中の958万件の中には回答があって調べているものもあるが、回答をいただけないものもある。一定の解明がなされた記録の中にも更に解明を進める964万件中の記録と同一人物と考えられる記録も含まれている。7月の時点で整理したい。(伊原部長)


■ 試行的実施は6月からいつまで行うのか。また、市町村や都道府県福祉事務所、年金事務所ではどのようなことを行うのか。(岩瀬委員)

→ 施行期間は6月から7月までであり、市町村や福祉事務所では、役場に福祉の相談に来られた方に対して6~7ページのチェックリストを渡し、ねんきんネットで本人記録を打ち出して記録を探してもらう。年金事務所では、チェックリストとアクセスキーを入れたDMを5,000人無作為に抽出して送っている。目的としては、反応率を見るのと、設定した手順がうまくいくのか確認することである。(伊原部長)

■ お知らせは、試行的実施であるということを謳った文書を送っているのか。(岩瀬委員)

→ 試行的実施であるという言い方はしていない。(伊原部長)


■ 生活保護の不正受給が現在問題になっている中、市町村は生活保護受給者の記録を見つければ給付費を減らせるので協力してもらえるのではないかと思うが、生活保護を受給する方々は記録が見つかって年金が受給できても少額であれば調整されるだけなので、興味を持ってもらえないのではないかと思う。市町村にはよくお願いするべき。

また、ねんきんネットでの記録検索について、個人の3情報入力後に事業所名を入力するようになっているが、そこを空白にした場合はじかれるのか、結果なしという表示がされるのか確認したい。

3点目に、11ページ以降の未統合記録の分析は貴重な結果だと思うが、国民の目に触れるように公表するのか。公表するならば、一般の方が分かりやすい表現方法を工夫してもらいたい。(稲毛委員)

→ 市町村のサポートについて、生活保護を受けようという方にはインセンティブがないのではないかということだが、記録が見つかれば遡って受け取ることができるので高額になることもあり、生活保護を受ける必要がなくなるケースもあるだろう。ただし、少額のケースもあるだろうからモデル事業での利用者の反応を見ていきたい。

未統合記録のねんきんネットでの検索については、現段階では叩き台の段階なので、検索結果のご意見も含め一度検討会でもご意見を聞かせていただきたい。

未統合記録の分析結果については、今回の資料自体も公表されるが、キャンペーンの材料として6ページのチラシの記録回復の例のような形で使えないか考えている。(伊原部長)

■ 生活保護を受けている人については、生活保護が止まってしまうと再度受給するのが難しいという恐怖感に対するケアが必要だろう。(稲毛委員)


(磯村委員長)三木委員のご意見のように、数千億円かけてきた総仕上げがこの秋からのキャンペーン期間中に実るかどうか決まってくる。まだ早いかもしれないが、秋からのキャンペーンまでの戦術、キャンペーンが始まってから効果が少なければこうする、効果が大きければこうするという戦術をそろそろ考えておいてもらいたい。



(3)一括適用と本社管理について

○ 日本年金機構より資料3について説明があり、委員から次の意見があった。

■ 一般的に正社員は本社で管理するが、短期的な雇用のように現場で管理しているような場合はどうするのか。(梅村委員)

→ 現在、本社管理の考え方も整理しようとしているところである。マニュアルに落とし込んで対外的にも公表するつもりである。(岡村部長)


■ 一括適用は法律にも決まっているので反対ではないが、懸念されることがある。一括適用の推進は正確な記録の管理が目的ということだが、もう一つ大事なことは適正な適用という視点だろう。社会保険労務士の業務で大変なのは、パートタイマー適用の問題である。短期であれば、給与から保険料を引かれたくないパートで働く人と保険料を払わなくて済む事業主との利害が一致してしまうので、適用漏れが発生してしまう。一括適用による効率を優先させて、適正な適用についてはどう対応していくのかは重要な問題だろう。一括適用の場合は本社の調査のみになるということだが、逆に支店の調査が入らないことで適用漏れを助長することにならないか懸念される。(金田委員)

→ ご指摘の懸念については我々も共有している。本社管理については、本社を調査することになるが、パートタイマーの適用の拡大もあるので適切に適用されているかどうかについてはますます重要になっている。支店のある地域を管轄する年金事務所に委託して調査してもらう制度もあるが必ずしも活用されているとは言えない状況なので、必要に応じて調査の精度を確保していきたい。(岡村部長)


■ 法人番号付番前に準備をすることはいいことだが、紐付かなければ意味がない。本社のマスターのデータベースを共有できるようにして、誰がマスターデータを上書きするのか手順を明確にする必要があるだろう。そのときのIDについても、民間の信用調査会社からデータを買うことを考えても良いのではないか。

また、現状は紙ベースで滞納処分票を管理しているが、このDBで滞納処分状況を管理できるようなシステムにするべき。それと併せて、のちに一括適用かどうか、電子化したかどうかなどの付加情報を取れるように、DBには空のフィールドを余分に作っておくべきだろう。(三木委員)

→ ご指摘を踏まえて、DBの管理については留意していきたい。一括かどうか本社管理かどうかは重要な情報なので、DBにフィールドを作って管理していくつもりである。滞納処分票のDBによる管理については、債権管理の別のシステムがあるので、それとの兼ね合いも含めて検討したい。(岡村部長)


■ 厚生年金法上の一括適用と健康保険との関係はどうなっているのか。また、営業活動をしていくということだが、その際には労働保険や雇用保険についても質問されると思われるので答えられるようにしておく必要があるだろう。金田委員からのご意見にもあったが、一括適用であっても本社管理であっても4年に1回の調査は事業所ごとに行うという姿勢は明確に示すべきである。(稲毛委員)

→ 事業主へ渡すパンフレットを作るつもりだが、その内容についてのFAQについても作成し研修するつもりである。健康保険・労働保険・雇用保険との関係については現在調整中である。(岡村部長)


(磯村委員長)一括適用している事業所の数は約550ということだが、これらを管轄している年金事務所はいくつあるのか。

→ 正確には573事業所である。管轄している年金事務所数についてのデータは手元にないが恐らく10事務所程度であり、東京・大阪の特定の年金事務所に集中しているだろう。(岡村部長)

(磯村委員長)恐らく、ほとんどの年金事務所は一括適用を扱った経験がないだろう。研修や営業活動、それらで使用する資料については、対象が全くの未経験者であるということを念頭においてもらいたい。

→ 今後、一括適用を所管している年金事務所から支店等を管轄している年金事務所への調査依頼をする場合等があることから、研修に関しては一括適用を扱っていない事務所に対して行うことが重要だと考えており、遺漏なきよう扱う。(岡村部長)



(4)事業主への依頼について

○ 日本年金機構より資料4について説明があり、委員から次の意見があった。

■ 網羅的にPDCAサイクルで管理することはいいと思うが、「もれ」や「誤り」の多い事例はどういうことなのかについて、優先順位をつけて対応していくことが重要だろう。人がパンチ入力するということがそもそも問題なので、できる限り届出等からデータ入力までの一連のフローを電子化するということが重要である。さらに誤ったデータが入らないようにWEB上でチェックツールを提供し、どうしてもツールで弾けないものについては人の目で重点的に管理するという、メリハリをつけた対応をしていく必要があるだろう。(三木委員)

→ 一括適用の推奨についても電子化を促進することが目的の一つである。事務フロー等については、関連部署と相談して鋭意やっていきたい。(岡村部長)


■ 4年に1回の事業所の調査は、これまで年金記録問題への対応のため実施していなかったが、それでも職員の業務は目一杯だったように思う。事業所調査により誤りがあった場合への対応など、年金事務所の業務がかなり増えるが、業務的に可能であるという裏付けはあるのか。(廣瀬委員)

→ 裏付けがあるかどうかというより、可能な事務量の中で回していくしかない。事業所調査にも算定時調査のような軽微なものから総合調査まであるので、事業所側の理解度やコンプライアンスのレベルなどに応じて使い分けていきたい。(岡村部長)

■ 算定時調査で誤り等を見つけた場合には、後に総合調査をやるという形になっているのか。(廣瀬委員)

→ 明示的に指示はしていないが、本部に上がってくるような個別的な案件については追加で調査を行う等している。基本的には、ブロックや年金事務所の事務量の範囲内で優先順位をつけて行っている。今後はパートタイマーの適用拡大もあるので、そういった端緒になるようなものが出てきたときには再度調査するよう指導していきたい。(岡村部長)


■ 日本年金機構のHPに旧社会保険庁時代の副読本がまだ掲載されているが、変更点がどこか分からないので意味がない。差替えるか撤去するべきである。(稲毛委員)

→ 関連部署に伝えて検討する。(岡村部長)


■ 新規適用説明会や算定説明会の頻度拡大とあるが、現在事務所によって開催状況はまちまちであるので、指示をきちんと出すべきである。(梅村委員)

→ 記録問題への対応により倉庫が書類でいっぱいになり、会議室も埋まってしまっているため、事務所内で説明会を開催できず、また、会場を借りて説明会を開く予算がないというような話を聞いている。できるだけ予算上の措置をするなど対策を考えていきたい。(岡村部長)


■ 届出等を社会保険労務士に委託しても、社会保険労務士が間違ってしまうことがある。社会保険労務士の資格は広範な知識を求められるが、社会保険関連に特化した先生は少ないので、社会保険に特化した資格ができればいいと思う。社内で総務の担当者にこれだけのことが分かっていればいいというような、簡単な資格テストを作ってはどうか。(斎藤委員)

■ 確かに社会保険労務士が間違えるということもあるだろう。「年金マスター」の認定も行っているが、年金の知識だけがあっても事務的にうまくいかない場合もある。また、年金事務所の職員や専門家でも間違える場合があるが、制度的に複雑すぎて限界を超えている部分があるのではないか。(廣瀬委員)

(磯村委員長)事業主の担当者が最低限これだけは知っておくべき、ということについては、良い提案だろうと思う。

■ 担当者向けのハンドブックをダウンロードできるようになっていればいいだろう。(三木委員)

→ 検討する。(岡村部長)



(5)コンピュータ記録と紙台帳等の突合せ状況について(報告)

○ 日本年金機構より資料5について説明があり、委員から次の意見があった。


(磯村委員長)評価としては順調という理解でよいか。

→ 作業は予定より早く進んでいる。(伊原部長)



(6)厚生年金基金と国記録の突合せの実施状況について(報告)

○ 年金局より資料6-1、日本年金機構より資料6-2について報告があった。



(7)その他

(磯村委員長)次回開催は7月24日(火)18時から。記録問題のいわゆる中間総括的な報告を予定しているので、終了時間が少し遅くなるかもしれない。それまでに何回か粗ごなしの検討会を行いたい。

以上


<照会先>

年金局事業企画課

担当・内線: 高野(3656)
佐々木(3658)
代表電話: 03(5253)1111
直通電話: 03(3595)2806

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