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2012年6月29日 第5回技能検定等技能振興の在り方に関する検討会議事録

職業能力開発局能力評価課

○日時

平成24年6月29日(金)13:00~16:00


○場所

中央労働委員会 労働委員会会館講堂(7階) 
(東京都港区芝公園1丁目5番32号)


○議題

(1) 技能検定等技能振興の方向性について
(2) その他 

○議事

○今野座長 それでは、時間ですので始めたいと思います。ただいまから第5回の検討会を開始いたします。本日は五十嵐委員、井出委員が欠席です。なお、松井委員、宮下委員、大関委員が遅れていらっしゃいます。
 前回までにヒアリングやアンケートの結果報告を含めて議論を進めて参りましたので、本日からは取りまとめに向けて議論を行いたいと思います。
 まず、はじめに技能振興施策について議論をしていただきたいと思います。事務局で、これまでの意見に前回報告のあったアンケート結果を踏まえて、整理をしてもらっていますので、関連資料と併せて説明をお願いいたします。
○原田調査官 資料1と資料2に沿って説明をします。資料1は技能振興関係について、第3回までの検討会、第4回のヒアリング及びアンケートを整理したものです。
 1頁ですが、技能振興関係の総論として、ものづくり産業がメインエンジンとして果たす役割を共有することが必要ということでした。
 (2)の「技能尊重の機運の醸成」では、第3回までのご議論にもありましたが、「価格で競争がされる状況」の中で、「質が評価される流れを作ることが重要」である。次は、アンケートで「その他等」の自由記述欄に記載された中から代表的なものを拾ったものですが、国のHPでの「ポータルサイト」、「DVDの作成、メディアの活用」、「技能士の技術を紹介する展示」、「講演等」をすべきというご意見がありました。
 中ほどの棒グラフは、アンケートで効果的な取組と思うかという質問に、複数回答していただいたものですが、4の「高校等のカリキュラムにおける技能士の協力」については、都道府県及び都道府県協会とも効果的というご意見が多くありました。1~2については、都道府県と都道府県協会で受け止め方が若干違うようですが、それぞれの数で効果的というご意見をいただいております。
 (3)で若年者に対する働きかけですが、下の2つのアンケートに記載のあったものとして学校あるいは大学・工科高校等との連携に関する施策が必要というご意見がありました。
 次頁で(4)の「技能の伝承」ですが、3つ目は企業の方に前回ヒアリングをしたときのご意見で、「技能の「共用化」「形式知化」に向けたITを利用した技能伝承のための仕組み作り」が必要ということでした。
 (5)の「技能振興施策と技能検定制度」については、「技能士は個人の資格ではなく、自前の評価制度を整備できない企業が、レベルの確認やレベルアップするための目標として利用している」、また、「職業訓練の目標として位置づけている」、「ものづくりについて、子供たちに良いイメージ作り」が必要、というご意見がありました。
 (6)の「その他」で、職業能力開発協会の役割の重要性についてのご指摘もいただいております。
 資料2ですが、技能振興施策については、技能振興施策全般の展開を見据えた中での議論が必要ではないか、技能検定制度を議論するにしても、技能振興施策全体の中での位置づけを踏まえた上での議論が必要ではないかというご指摘をいただきましたので、現行で実施している技能振興に関する施策について整理をしました。
 図は、縦軸として下から「学生、子どもなど」から、「求職者」、「若年在職者」、「熟練技能者」という形で、年齢や技能の蓄積状況に応じて並べてあります。横軸として、左側に「職業能力の開発・向上」、中ほどに「職業能力評価」、右側に「技能振興・技能継承」となっています。
 左側の「職業能力の開発・向上」については、学生段階、求職者段階、在職中の方々、それぞれに公的な職業訓練、民間の教育機関を活用した認定職業訓練、企業が実施している職業訓練に対する助成金等の施策があります。
 これらの訓練の紹介、目標、評価等々については、中ほどのキャリア・コンサルティングやジョブ・カード等のツール、仕組みを活用して、生涯を通じたキャリア形成の支援を行っていくということです。さらに、「習得した能力等の評価に活用」という位置づけで、「技能検定制度」、企業内で行っているものとしては、「認定社内検定」があります。それから職業能力評価基準もあり、それらの制度の活用を通じた技能と地位の向上が図られています。
 右側に各種の技能競技大会や表彰制度等がありまして、「ものづくり日本大賞」、「現代の名工」、「技能グランプリ」、「技能五輪全国大会」、「若年者ものづくり競技大会」等があり、それぞれレベル的に、大体この順番となっています。「若年者ものづくり競技大会」は、参加資格として20歳以下、「技能五輪全国大会」は23歳以下と、年齢的なものも目安にして、ある程度のレベル感で各種大会を開催しています。右下ですが、これらの大会や表彰制度等を通じて、技能の魅力や重要性について啓発を行い、学生や子ども等々社会一般に啓発するという側面があります。
 これが現状の施策の展開を整理したものです。
 次の2、3頁は今後の施策の方向性(案)で、現段階で考えているものを整理したものです。「問題意識」として3つあり、「社会全体で技能尊重の機運を共有し、若者がものづくりに興味を持つような環境整備」を行う、「将来のものづくり産業を担う人材の育成」、「ものづくり企業の海外進出が進む中でこれまで培った技能の継承」で、これらの施策については、特に「まとまった能力形成機会に恵まれなかった若年層に留意」が必要ということです。
 2の「課題及び施策の方向性(案)」で、(1)~(3)と次の頁まであります。(1)と(2)がものづくりに着目した施策です。
 (1)が「技能尊重の機運の醸成・若者の関心喚起の取組」で、「課題」として、「若者のものづくり離れ、技能離れが見られる中、技能労働者の地位の向上を図り、若者が進んで技能者を目指す環境を整備する必要」がある、「技能競技大会の現状を踏まえた上で、その「関連事業の効果の拡大が必要」、「施策の方向性」として、「技能競技大会を活用し」、「若者に技能の魅力を伝えるとともに、競技課題を通じて若年技能者の人材育成を行う企業等を支援」する、「技能競技大会の成績優秀者を活用しての若者就業意識の啓発」を行っていく、「技能に関心を持たせる小中学生向け授業カリキュラム等の開発、技能士の働く姿を実際に見る機会の確保、ものづくり体験等のイベントの実施」、ということで、技能尊重の機運の醸成等に取り組んで行きたいということです。
 (2)が「ものづくり人材の育成(若者に対する支援)」です。「課題」として、「日本の基幹産業であるものづくり分野において、成長分野を踏まえた人材育成を推進する必要」、「企業のOB人材等」、「熟練技能者の活躍の場の確保が必要」「正規雇用を希望する若者等に対する実践的な職業能力開発を進める必要」、「高校中退者や中卒者の職業訓練の機会を確保する必要」、「技能検定試験の受検環境を整備する必要」です。
 「今後の施策の方向性」として、「熟練技能者を活用した技能講習の拡充」、「若年者層を対象とした職業訓練」、「技能検定の受検環境の整備」として、「企業のOBの人材等」にご協力をいただく、「会場・設備」について公的職業訓練機関等に協力を要請ということです。
 それから(1)と(2)に重なる部分もありますが、(3)として「企業内での人材育成・培った技能の継承」です。「課題」として、「中小企業については人材育成の取組が必ずしも十分ではないところも多いということで、そういった「中小企業の人材育成支援を強化する」、「非正規労働者や若者に対する訓練、成長分野での訓練など、政策課題に重点化する」、「企業の人材育成への支援策について、企業への周知の強化や、わかりやすく使いやすいものとする」、「新たな展開に向けて」「企業への支援を推進する」です。
 「今後の施策の方向性」として、「人材育成支援の充実」で「助成の重点化」、「在職者訓練を活用したものづくり分野における新規成長分野展開支援」、「ジョブ・カードの活用促進」、「職業能力評価制度のー層の活用」、「新事業展開地域人材育成支援事業の推進」ということです。
 こういった事柄について、現段階で方向性として検討しているものをご紹介しました。
 以下、参考資料がついております。
○今野座長 ありがとうございました。それでは、ご意見やご質問をお願いいたします。
○陳委員 ありがとうございます。ただいま説明していただいた内容について、いくつか申し上げさせていただきます。資料2の1頁「技能振興に関する施策の展開」の図の右側に、技能振興・技能継承に関して、ものづくり日本大賞をはじめ表彰制度や競技大会が列挙されていますが、その参加者や対象者が少ないのではないかという印象を受けました。といいますのは、参考資料の27頁の最近の大会の開催状況として、例えば技能五輪の全国大会は1,066人、若年者のものづくり競技大会は258人、技能グランプリは480人が参加したと記載されています。人数としては、多いとは思えないような印象を受けました。やはり、裾野を拡大することが重要だと考えておりまして、その方策を考える必要があるのではないかと思いました。
 そのうえで、施策について、まず事業主と事業主団体に対するものを考えてみました。どのような技能あるいは技能者を必要とするかは企業や業界ごとに異なるものと思われます。いわゆる匠のような技能が求められる場合もあれば、量産体制の下で求められる技能もあり、それぞれに高度な熟練技能が存在すると考えられます。そこで、残していくべき技能はどのようなものかについて、まず企業が判断して、これに対して技能振興の施策を打つということが、予算も限られていることもありますので、有効な方法と言えるのではないでしょうか。例えば、「技能振興に関する施策の展開」の図、中程から右に記載のある「認定社内検定」制度ですが、現在認定されているものを厚労省のホームページの一覧表で確認しますと、43社、137職種にとどまっていました。なぜかと想像してみますと、企業側からすると認定を受けるだけのメリットが乏しいというのがあるのではないかと思います。そこで、例えばキャリア形成促進助成金を拡充・応用するような形で、ものづくりなり技能振興に貢献することでメリットを加えることが考えられるのではないかと思います。あるいは、たとえば「認定社内検定」で認定されている鮮魚販売加工などのように容易に一般化し得るものについて、その技能が通用し得る業界内での技能大会にまで拡張させるために支援することも考えられるのではないかと思います。
 次に、労働者なり技能者本人に対する施策についても考えてみました。現に技能士でいらっしゃる、あるいはこれから技能士になろうとしていらっしゃる人についても、自分から進んで新たな技能を身につけ、あるいはより高度な技能を身につけることを支援することが考えられます。裾野の拡大が必要だということとしては、冒頭に申し上げましたが、例えば技能五輪に出場される方に対して、全国大会だけではなく、地方大会に出場した方についても、一定の評価や支援を行う、あるいは多能工を目指して技能検定の複数職種を受験して合格された方についても、一定の評価や支援を行うことも考えられるのではないかと考えます。後者については、たとえば愛知県には「複合技能士称揚制度」というものがありますので、施策としても考えてみてはいかがかと思いました。以上です。
○星能力評価課長 いまたくさんご指摘をいただいたわけですが、最初に技能競技大会等の大会の参加者も必ずしも多くないと、もっと裾野の拡大に努めるべきではないかというような御指摘です。私どもとしましても、このものづくり技能競技大会は、単にイベントということだけではなく、大会の課題等を通じて、技能者の育成に非常に大きな効果をあげることができるものだと考えています。6月12日に取りまとめられました若者雇用戦略の中でも、ものづくり分野におけるキャリアアップ支援のため、技能競技大会に参加する若年技能者への技能指導等を行うというような1項目が盛り込まれています。私どもとしても今後こういった技能競技大会を通じた若年技能者の育成支援を、これまで以上に拡充していきたいと考えています。具体的に例えば地域での大会あるいは大会参加者への支援のお話もありましたので、そういったことも念頭に今後施策の展開を進めて参りたいと考えております。
 それから、その中で具体的に活躍された方々の評価や活用の面では、これまでも技能五輪の金メダリストの方々にはイベント等に参加いただいて、特に若い方々へものづくりのすばらしさを啓発していただくというようなことでもご活躍いただきました。今後とも、いろいろな地域における技能振興の場、あるいは後進の育成の面でも、広く御活躍いただくとともに、そうした中でこれらの方々の評価が社会的にも高まっていくというような取組みも併せてやっていければと思います。
 さらに、社内検定制度については、現在43の事業主等に対して、137職種を大臣認定しているわけです。まだ少ないではないか、これをもっと広げていく必要があるのではないかとの御指摘です。まさに、私ども職業能力の評価を担当する立場から考えますと、広く職業能力が適正に評価され、労働者が労働市場の中でも適正に評価されることは、目指すべく施策の方向でもあります。
 そういった意味で、私どもは職業能力評価基準ということで、それぞれの仕事に求められる職業能力等を整理して、企業現場でも大いに活用していただこうということで、業界団体の皆様に協力をいただきながら整備をし、併せて活用ツール等の開発もいま進めているところです。先日のヒアリングに御出席の株式会社三ツ矢さんでは、技能検定よりも高いレベルに社内検定制度を設けておられるというようなお話もありましたが、そういった個々の企業で、例えばこの職業能力評価基準を活用して社内検定制度を構築する、そして、さらに国の認定を受けるというように、検定制度としてより内容を精緻なものにしていく中においては、私どもも相談等を通じ、そういった仕組みづくりのお手伝いをしていくというようなことで、引き続き努力するとともに、認定社内検定制度の仕組みについても、広く周知を図っていきたいと考えているところです。
 最後に、多能工という面で、愛知県さんの取組みなども参考に考えるべきではないかというお話もいただきました。これは、いろいろな技能分野がありますが、多能工というまさにものづくり産業の中で、特に新たな事業展開を進めるときに、そういうスペシャリストがおられるような事業所が、海外との競争力のあるような製品を生み出していくというようなことも聞いております。そういう意味でも、私どもも例えば技能検定の職種ごとの課題や求められる技能をもっとわかりやすく情報提供していく、あるいは新たな技能を身につける際に、これまで企業で活躍されたOBの方などの優れた技能を持っておられる方々に後進となる若い方の育成にもお手伝いいただくというような仕組みづくりも併せてやっていければとも思う次第です。そういったことで、いまいろいろとご提言いただいたことも、来年度の予算等にも反映できるものはできるだけ反映しながら取り組んでいければと思います。
○今野座長 よろしいですか。
○陳委員 今後報告書の取りまとめに向けて議論を進めていくわけですが、報告書にも是非きちんと明記していただいて、あとは財務省はじめ関係当局としっかりと折衝して取ってきていただきたいと思います。
○今野座長 陳委員、具体的にありがたいというものを付けろということですよね。
○陳委員 実は、この検討会に臨むに当たりまして、私もものづくりの現場や技能者のいる職場を見学させていただいて、現場の方と意見交換をさせていただく中で、やはり何らかのプレミアが欲しいというような声も聞きました。あとは、先ほど発言する中で、裾野の拡大にこだわった理由は、やはり現場の方と意見交換させていただく中で、1人の天才技能士を生み出すことに力を入れるよりも、一定程度の技能を有する技能者を50人、100人生み出してほしいというような要望が多かったので、申し上げさせていただきました。
○今野座長 ほかにいかがですか。
○大石委員 少し細かいお話になるのですが、いまの星課長からのお話の中でも、熟練技能者を活用して技能講習の拡充というお話がありました。実は、昨年技能検定の問題が事前に漏洩するというようなことがありまして、技能検定の検定委員は技能講習の対策講座の講習等をしてはいけないというようなお達しもいただいています。そうしますと、実は技能検定の委員をされている方が講習してはいけないとなると、特に地方のような所ですと、どうしても人の関係で、できなくなってしまうというようなことがあります。一方で、問題が漏洩してはいけないこともわかりますので、例えば国で標準的な技能講習のテキストなりカリキュラムなりを開発していただいて、それに沿って講習をするという形であれば漏洩の問題等もなくなり、この中の矛盾も解消するかなとは思っているのですが、その辺りをご検討いただくのはいかがでしょうか。
○星能力評価課長 技能検定制度を適正に運営する必要があることは、いまのお話のとおりです。ただ、一方でその技能検定制度を活用して技能を高めていく、さらに技能の発展、個々の技能者の技能水準の向上を図っていくのは、非常に重要な取組みです。いま大石委員からご指摘がありましたように、いかにそこを両立させていくかですので、私どもも何もかも講習をしてはいけないとは思っていません。ただ、現実に漏洩という問題が発生した中で、試験問題がそのまま講習に出てしまう、試験問題の作成に携わった方が講師をするということで、そうした危惧も出てくるというようなことから、一定程度制約をかけさせていただいておりますが、そういったものと整合性を取りながら、できるだけ技能検定を活用しつつ、技能者の育成あるいは技能の向上に関わるような講習も行っていけるような方策をさらに検討していきたいと思います。
○原田調査官 受検用のテキストの話がありました。後ほど説明をさせていただきますが、技能検定の受検に向けた働きかけを強めていくという中で、アンケートで技能検定受検用のテキストの作成というご希望が挙がってきていますので、そういったテキストの作成を目指した事業を検討していきたいと思っています。
○今野座長 ほかにいかがでしょうか。
○北浦委員 2つほど意見を申し上げたいと思います。1つは、若者に対する働きかけの所で、1頁にキャリア教育の問題が出ているのですが、これはいちばん重要な点だろうと思います。ほかのところでも、このキャリア教育の問題が議論されていると思いますので、是非そこと連動する形となるようお願いができればと思っています。そのときに、何を教えるかという問題があるのですが、いろいろな所で聞いてみますと、ここにあるように、例えば技能者と接することが非常に大事で、そういう意味では高度熟練技能者を学校へ派遣するような事業を是非再開するというような形で考えていただくといいなとは思っています。ただ、そういうことも大事なのですが、やはりいちばんは目的です。何ができるのか、何を作れるのかという具体的なイメージがわかると、意欲も沸いてくるのではないかと思います。既に各都道府県の段階で行われているのだとは思うのですが、もう少し産業施策と連携を取って、例えばいろいろなフェスタのようなものと連携を取って、その中にこういう教育がはめ込まれるような形を取っていかれたらいいのではないかと思います。その意味で、これは特に経済産業省をはじめとした関係省庁との施策の連携の中で、こういうものが考えられないのかなと思います。もし、その点で何か考えていることがありましたら教えていただきたいと思いますし、なければそのようなことを1つ検討課題にしていただいたらいかがかと思います。
 2つ目は、いろいろな施策のアイディアが盛り込まれています。あまり振り返りたくないのかもしれませんが、「私のしごと館」というのがあったわけですね。確かに箱を作ったことについてはいろいろ問題があったのかもしれませんが、あの中で行われていた事業はなかなかよいものがあり、それなりの評価を受けていたような記憶をもっているわけです。そういったような意味で、そこで行われていた、まさにここに書いてあるような内容の事業みたいなものもあったのではないか。特に、産業界の方との協力の下で運営をする形になっていたことは重要な点です。閉鎖されてしまいましたので、逆に過去の遺産ではありますが、文化財かもしれません。それをもう一度見ていただくことが大事かなと思っています。そのときに、1つはやはり箱物という発想ではなく、情報のデータベースという発想で、こういう事業が再興できたらいいなと私は思っています。取り分け、既にいろいろな業界団体さんも、いろいろな施設などを持っていらっしゃいます。そういうもの全体のデータベースがきちんと整備されるだけでも違うと思うのです。例えば、織物であれば織物についてのいろいろな業界さんが会館を持っていたりしています。そのような既にある情報をいわばデータベースにしていく、あるいはこういう所で実習機会があるというようなものを考えていただくといいのではないかと思っています。
○星能力評価課長 若者への働きかけ、特にキャリア教育等を考えるうえで、産業界との連携が非常に重要ではないかというようなご指摘でした。私どもも、経産省あるいは中企庁、それから文科省といった関係省庁とも連絡会議等を設けて、具体的には産業界でこれまで活躍されてきたような方々のデータベースを構築して、それぞれの省庁の施策の中でご活躍いただく、あるいはものづくりの具体的な技能を伝授いただくと。現在でも、業界団体の協力をいただきながら取組んでいる事業もありますが、先ほどの陳委員のご指摘ではありませんが、量的な限界もありますので、今後の施策の中で拡大を図っていければと思っています。また、そういった施策の展開に当たっては、できるだけそれぞれの地域で産業構造の違い、あるいは特色のある地場産業などもありますので、地域の提案というようなものも頭に置きながら取り組んでいければと考えているところです。
 また、いま産業界が持っているような、既にあるものづくり、あるいは技能振興の面でも活用できるようなものをデータベースに載せてというようなお話もありました。これまで技能検定制度を含め、私どもが整理しているデータベースもあちこちにデータが分散していることもあります。できれば、ワンストップでそういった技能についてもう少し整理したものも提供できないかと考えています。若い世代の方々にものづくりのすばらしさをお伝えするといった資料の中でも、いまご指摘のようなお話も生かしていけないか、引き続き検討していきたいと思います。
○河村委員 思いも含めて4、5点になると思います。先ほど陳委員が言われた技能五輪の全国大会ですが、40職種、27頁、66人と全国大会はこれだけなのですが、たぶんこれは表し方の手法だと思います。各地域で予選会をやっていますので、この大会自体は全国から集めると何千人単位となりますので、ここへ行く前に各県、全国で予選を終えて何千人と書くと、もう少しボリューム感が出るのかなと思いました。それは、若者ものづくり大会も同様だと思います。
 2点目は、先ほど振興策の中の図の中で思ったところなのですが、中段の職業能力評価、真ん中の認定社内検定、技能検定制度と書いてありますが、これは技能検定制度が上で次に認定社内検定制度ではないでしょうか。何が言いたいかといいますと、技能検定に馴染まないか職種がないという理由で社の中で実施している検定制度ですので、例えばこれを認定社内検定ではなく認定技能検定、要はネーミングの問題なのですが、そのようにしたらどうかなというのが1つです。もう1つは、私どもの県でも認定して、準ずる評価制度をやっています。県でもやっている所がありますので、国の技能検定制度にはまだ到達しないのですが、下位か中位か議論はあるかもしれませんが、そういう制度があれば、それを何か支援をする。それは、お金なのか、情報なのか、何かポータルサイトを作って発信をするのか、その辺りは方法を考えなければいけないのですが、もう少し制度を整理すると、いわゆる能力評価制度全体のボリューム感が出るのではないかと思いました。
 3点目は、先ほど「しごと館」の話が出ましたが、キッザニアなどで子どもが大変参加していますので、「しごと館」はたぶん発想はよかったと思います。いま北浦委員がおっしゃったように、あれをもう少しうまく整理をして外向けに、厚労省さんは真面目で愚直ですので、なかなかうまく対外的にPRが苦手な部分があるかと思いますが、そこをもう少し活用すればあの財産もうまく生きるのかと思います。それに関連して、先だって「ものづくり白書」が出ましたが、厚生労働省、経済産業省、文部科学省、内閣府が、それぞれ縦割りの形が1つのいい形になっています。何が言いたいかといいますと、技能振興でこれからいろいろなメニューを作るときに、経産省は企業から持っていく、厚労省は人から持っていく、文部科学省は学生、生徒から持っていくのはそれぞれいいのですが、やはりものづくりという形で1つにまとめるのであれば、将来メニューを作る時には、連携という形でなく、以前申し上げたと思いますが、相互乗入れで、お互いに何かいいメニューができないかという観点で、最初にそういうメニューを作っていただくと、厚生労働省さんは財務省との関係で大変だと思いますが、少しそのような努力をしていただくと新しいメニューができるのかなと思います。
 最後に、振興するというのは、これから新しく広げていこうというのはいいのですが、これはアイディアだけでどう評価されるかは皆さんのご意見なのですが、環境省が絶滅危惧種ということで、無くなっていく生物などを指定します。何が言いたいかといいますと、いまどんどん職種が無くなっています。ですから、絶滅危惧職種を一度調べていただいて、それを世間に知らしめて、必要があればそういう部分も何か支援をすることも必要ではないかと思いました。
○星能力評価課長 いろいろご意見をいただきましたが、最初の資料については、ご指摘のとおり、各地域の予選会等を入れると相当なボリュームが出るのは、そのとおりです。それから、この絵の中で技能検定と社内検定の順序は、ここに横軸で求職者が入っておりますので、社内検定制度の対象はその企業内に在職する方ということで、この横軸との関係で在職者であるということから上に入れたものです。能力評価制度全般について、より労働市場の中できちんと評価をしていただくように、いかにこの制度の活用を進めていくかは重要な課題です。先ほど、陳委員からもご指摘がありましたが、私どもは職業能力評価基準などを活用しながら、企業内での評価制度等も含めて、評価制度全般の整備に引き続き取組んで参りたいと考えています。
 連携施策については、それぞれ連携といいながら縦割になってなかなか横の関係がうまく機能していないのではないかといったご指摘だと思います。私どもも、常にそういったことも反省しながら、具体的にそこで行われる施策が有効に機能するように、今後とも施策づくり等を行っていきたいと思います。また、絶滅危惧職種というアイディアですが、表現は違いますが、私どももいま優れた技能をお持ちの方で、その方が引退されてしまうと技能が残らないと、そういった技能について、前回の検討の場でも、八幡委員からも、職場の中で具体的にDVDを活用してeマイスターでしたでしょうか、カン、コツと言われる暗黙知を数値化していくような取組みも行っておられるというようなお話も伺いました、大関委員からも、同様にそういった技能をいかにデジタル化して残していくのかといった取組みも重要だといったお話もございました。私どもも、残すべき技能はそういった形でも次の世代の方にうまく必要な技能が継承されるような取組みを行っていく必要があるのではないかということも考えています。
○今野座長 もう1つしごと館の遺産を使ったらという話がありましたが、遺産はもう残っていないのですか。
○小野職業能力開発局長 しごと館自体は、売却という手続でやっていますので、いま北浦委員からご提案があったのは、おそらくものづくりの体験や実演などは、個別のフェスタなどでもやっていますので、それをもう少し規模も広げたりして、いろいろな業種に広めて予算化するのは当然あり得ると思いますので、それは検討してみたいと思います。
○今野座長 それと、河村委員にお聞きしたいのですが、各県が独自の技能検定、資格の認定みたいなものをやっているのですか。国家検定があるのに、何でやっているのですか。
○河村委員 単純に言いますと、そういう職種がないというのですかね。職種までいかなくても、作業がないとか、以前お話しましたように、例えばバスガイドさんの検定や、どこかの県でゴルフ場のキャディーさんとか、それは極端な例ですが、私が申し上げたのは車輌組立てなどで組立ての職種というのはないのですね。働いている方はたくさんいるのですが、例えば最終ラインの検査などの方は、国の認定社内検定などがあると思うのですが、たぶんそれが量的に揃わないのか、国ベースでやるにはいろいろな問題点があると思います。ですから、逆に言うと認定技能制度なのか準認定なのか、1級、2級、3級があればランク付けしてもいいのですから、愛知県でもやっていますが、ほかの県でも現実にやっていると思います。そうすると、全体のボリューム感が広がるのかなという意味でのアイディアです。
○今野座長 なるほど。県でどんなことをやっているかは、国で全部把握しているのですか。先ほどの問題提起は、抽象的に言うと県は県でやっているので、そういうものを全部リンケージさせて、全体的に包括的な検定制度を作ってしまったらどうかというのに近いのですよね。その辺りは、いかがでしょうか。
 では、ジャストアイディアとして聞いたということでいいですか。要するに、認定してしまえばいいわけですよね。
○星能力評価課長 新たな検定制度については、ご承知のとおり指定試験機関制度ということで、日本全国特定の地域のみならず、一定の技能に従事する労働者が相当数存在する場合に、国家検定としてそういったものを選び出して指定するというような仕組みで、そこまでの発展過程を私どもとしても育てていくことは必要だろうと思っていますが、国がどこまで関与するか。今野座長からお話があったように、それらをリンケージしてどこまでやるかは検討課題だと思います。
 また、自動車の関係でも特定の作業に技能検定が限られているというのは、業界団体と話をする中で、どこまで業界共通の技能かというようなこともあったり、あるいは個々の企業の中でそれぞれ企業固有の技能が社内検定制度としても確立されている場合に、わざわざそこから共通する部分だけ取り出して国家検定化する意味があるのかという問題もあります。ですから、そうしたものをどのようにリンケージしていくのか、あるいはそのままでもそれぞれの中で十分機能しているのでいいと見るのか、そこは次の課題だと思います。
○今野座長 たぶんアイディアとしては、国家検定はしなくていいのですよ。これと大体イコールと言ってあげればいいと。ですから、ヨーロッパでやっているNVQなどと似ていて、こちらで全体の評価基準を作っておいて、この作業は3級かなとか、この作業は2級かなという形で、等しいですよというぐらいを言ってあげればいいのではないかというアイディアではないかと思います。ですから、国家検定にする必要がないのですが。という話があったというので、聞いておいてください。
○宮下委員 いまのことに関連して、愛知県さんも取り組んでいると思うのですが、本日資料を持ってこなくて申し訳ないのですが、社内検定制度を公的に認定するという形で、長野県も平成16年から取り組んでいます。いま河村さんが言われたように、検定制度には載れない自動車関係が多いです。それから、いま記憶にはないのですが、水道の漏水検査も社内検定というか、業界団体がある程度評価項目をつくって、それに実技と学科試験を通った者について、業界が認定した者を長野県が認定して認定書を交付するという形で、たぶん全国的には7、8県が取り組んでいるのではないかと思っています。そういう制度も、逆に各県が取り組んでいれば、そういうものもある程度普及していっていただければと思っています。
○今野座長 そうすると、国がやりにくかったら、何か公的機関をつくって、そこが等しいぞと宣言すれば、大体皆そう思う形にすればいいのですかね。
○北浦委員 非常に大事な議論だと思っています。やはり、技能検定制度の在り方を広く考える意味で、国家検定であっても社内検定の位置づけもどうするか。これも、実は会社だけではなくて、業界も入っているわけですね。ですから、技能検定制度自体の整理もあるのだと思います。おっしゃったように、各県が行われているものも何かの位置づけをしていくことは大事だと思います。ただ、そのときに検定制度になると、法との関係があるので、なかなか難しいです。そうすると、先ほどのNVQの話もありましたが、能力評価基準ということで全体を整理する中で、まずそういうものを拾い出していく作業をする中に、積極的に位置づけ、それを評価するものがこれなのだという位置づけはあるのだと思いますので、まずは能力評価基準で考えると、まだまだ職種的にはいろいろな所をやっていない部分があるわけで、その穴を埋めていく作業をやっていくことが第一歩かなという感じがします。
○今野座長 では、このテーマはこの辺りにしましょうか。
○塩田委員 先程来、出していただいた図がありますよね。初めて見たものですが、非常に全体の技能振興に関して位置づけがよくわかり、これはいいなと思いました。1つは、技能五輪やグランプリなどいろいろなことを実施されますが、先ほど参加人数のご質問がありましたが、ものすごくお金がかかるのですよね。職種にもよりますが、私も実際30何年関わってきましたが、例えば精密機器組み立ての職種があります。そうすると、1人の選手が出てきて、その人が競技を終えるまでに、以前は2日間、旋盤、フライス盤、研削盤、ボール盤、それから手仕上げの台と、相当何台もの機械を据え付けて、そして精度が全くずれないようにきちんと水平に出すような作業を事前にして、そして試し削りをして本当にきちんとしたものができるかどうかを確認するのですよ。それだけでも、極端に言うと100万、200万のお金がかかります。1人の選手について、それだけかかるわけです。では、交代でその機械を使えばいいじゃないかとなっても、このような競技大会は一斉にやらなければいけないのです。それだけの台数を揃えておいて、安全も確認しながら競技大会をするのは、1つの職種だけで1,000万円、2,000万円お金がかかります。紙の評価ならば簡単なのですが、どうしても、ものづくり競技大会はそういった予算がかかります。実際に関わられた方は、皆さんご存じだと思います。1つ、そういうネックがあります。それから、会場の都合、審査委員の都合もあります。前日に競技を終えてすぐそれをプレス発表しなければいけないと。夜中、彼らは寸法測定をやるのですよ。これだけでも7、8時間かかるのですね。そういうものもありますし、縫い物で、できばえでいくのもありますし、これは千差万別です。実施上、1つそういう問題があるということです。
 もう1つは、ソフト面なのですが、技能継承という言葉で、これから皆さん議論されるのですが、3、40年前からどの企業も言ってきているのですね。ベテランの技能を何とか若手に継承していかないと、どこかで切れてしまう。ものづくりの原点の大事なノウハウを教え込みたい、あるいは文書化したいと、どこの会社も皆言うのです。ただ、これは昔はOJTでうまくいっていたのです。なぜかというと、定年まできちんとその仕事が確保されて、きちんと定年まで勤めたあと年金がもらえる時代がずっと続いたので、ベテランがOJTできちんと教えてくれるわけです。ところが、ご承知のようにいまは途中でどんどん大きな企業もリストラされます。中小企業も、行き先がすぐわからなくなる。そうすると、私が実際にいろいろな会社の人に聞いたら、文書化できないのですよ。しないのですよ。ベテランの人で40代、50代、60代ぐらいでも、自分のノウハウを教えないのです。教えてしまうと、自分の首が危なくなるからです。ですから、文書化できないし、若手に教えないし、取り込んでしまう。ですから、若手が必死になって頑張っていると。それは、どこでも聞くのですよ。大きな会社でも、私、実名言えますが、言いません。いろいろな会社です、大企業です。中小ももちろんです。ですから、技能継承は言葉では非常にいいのですが、実態はなかなかできないのです。それでも、少しずつやろうとして努力しています。そういうときに、是非厚労省、国が旗を振って、若い人にうまくそういう技術や技能が伝わるような仕組みをつくってほしいと願っています。
○今野座長 いまの件について、何かありますか。
○星能力評価課長 具体的な取組みに当たってはそういう難しい問題、現場の困難性をいかに乗り超えて、できるだけ私どもが目指すべく成果を上げるかということで、引き続き努力していきたいと思います。
○小林委員 いままでのお話を聞いていて、いくつか申し上げたいと思います。1つは、先ほど岡村委員から省庁の縦割りの話がありました。学生、子どもの教育は大きなテーマだと思います。実際に技能者の方々が、学校の現場で教えるのは必要なことだと思います。厚生労働省のこういう会議では当然そうだそうだという話になると思うのですが、実際に文部科学省に行くとどうなのか。これは従前の中教審でキャリア教育、職業教育の議論はされているのですが、専門学科、商業や工業などの例えば高等学校なら受け入れは可能だと思うのです。大多数の普通科では全然進んでいない状況があります。それと、私どもの団体で行っている大学生の就職支援のお話をさせていただきます。その進捗などを見ても私立大学、特に地方私立大学と産業界とのマッチングのお手伝いをしていると、就職支援ということで協力関係、連携ができるのですが、国公立になると話は別で、我々のところは大丈夫だというのが、たぶんあるのだと思いますが、なかなか進まない。インターシップもほとんど進んでいないという状況にあります。
 この辺、厚生労働省と文部科学省との関係できちんとこういうご提案が通るのかどうなのか。是非とも、連携をしていただき、これに中小企業庁、経済産業省を絡めて、うまく産業界の人間を入れていただければというのが1点です。これはお願いといったほうがいいのかもしれません。
 もう1つ、先ほど講師の話が大石委員から出ました。この間のヒアリングを聞いていても、かなり技能者の方々で検定試験に携わっている方、また教育現場で教えている方々が高齢化していることを感じますし、共通の人間になっていることがあります。これも今回ご提案いただいているいろいろな技能者のOBの方などが教育現場に入って、後進の指導をするということを是非ともやっていただきたい。やらなくてはならないことだと思います。同様に、これは本当にできるのか、人数が少ないのではないかと疑問に思っています。
 私どもではもう1つ違う事業ですが昨年度に経済産業省の補助事業として、ものづくりの指導者養成支援事業を行いました。これは卓越した技能を持っている方々が海外に流出し、海外の現場で教えているという現状があるので、国内に止まって頂くための支援策です。多くの技能者は技能はあるのだけれども、後進に伝える力、現場でそれを応用する力がなかなかないので、コミュニケーション能力等を教育した上で現場に入ってもらいましょうというような後押しをする事業です。しかし、実際に集まった技能を持ったOBの方々は少なかったという現状がありましたので、50代の現場の方々も対象に含めて、若干広げて事業をせざるを得ませんでした。検定試験の制度も今後、次世代の方が検定の審査員になっていただかないと、運営もできないと思います。その辺の見通しがわかれば教えていただきたい。
○星能力評価課長 まず1点目ですが、当然関係省庁とは十分話し合いの場等を持ちながら、いかに円滑に現場でそういった事業を進めていくのかを協議するわけですが、現に私どもにはいま、教育現場から従前、都道府県の職業能力開発協会のご協力のもとに熟練した技能士の方を学校の実習現場に派遣いただいていたけれども、そういったことを引き続きやってもらえないかというお問い合わせ等をかなり受けております。そういう意味では、本省段階だけでなく、そういう現場、それぞれの地域のニーズをうまく取り込んでいかに円滑に事業としてやっていくかを考えていく必要があるのだろうと思っております。
 同じように一方でそれに指導者として参加される方を上手に集めることができるのか。これも従前私どもが取り組んでいた事業の中で名簿も作っておりましたが、具体的にこれに4,000~5,000人の方がご協力いただいておりました。この点も地域の、例えば都道府県職業能力開発協会の技能検定等を通じた業界とのネットワークというものを上手く活用していくことによって、技能士の皆様のご協力をいただく形にしていければと思っております。
 技能検定現場で具体的に技能検定に携わっていただいている方も確かにこの間のヒアリングの中でも、受検者数を制約せざるを得ないのは検定委員の確保も難しいからだというお話も伺いましたが、具体的に現場の技能を承知していらっしゃる方のご協力がないと、この技能検定試験はうまく進めることができないという意味では、これまでの技能士さん方とのネットワークを引き続き大事にしながらご協力を得ていく。そういう中で技能士さんの中でも次の世代の方にもご協力いただけるような環境の整備、いま予算も減っていく中で従来の関係の維持も難しくなってきているとのご指摘もいただいておりますが、これまでのネットワークを引き続き大事にできるような仕組みを構築しながら取り組んでいきたいと思っております。
○小林委員 是非ともよろしくお願いします。事業者団体は別に減らせとは言っていない。保険二事業でやる分には本来文句を言われる筋ではないという感じもしています。事業仕分けがあったとはいえ、都道府県協会が行うことが、いちばんうまく機能するところなのかと思っています。よろしくお願いします。
 もう1点、前回の会議でも申し上げたように、県のマイスター制度のお話で、先ほどの県独自の検定試験というのもありますが、県は県で独自にマイスターなどの資格を付与しています。先ほどの議論の中にもありましたが、国の検定試験にしてくれというわけでなく、それぞれの地域で頑張っている卓越した人たちを表彰したり、資格を与えていく制度が必要であり、今後もやっていくべきだろうと思います。それに対しても国として、予算面などでお手伝いができるというものが何らかあれば考えていただきたい。
 先ほどの教育の関係でも、テキストを作るというときに、もし共通のテキストが作れるのであれば、学校の子どもたちに教える技能士の方々が使える共通テキストというものもあると思います。ご検討いただき、それを県や業界団体に提供し、教育現場で活かしていただくことも必要かと思います。平成25年度の施策の方向も書いてありますが、その辺もわかるような形でお示しいただき、是非とも実現していただければと思います。
○星能力評価課長 ただいまのご指摘についても先般のアンケートの調査の中でも、やはり学校の教育現場でもっと具体的に技能士さんが出掛けて行って、技能の素晴らしさ、魅力などを伝える際のテキストあるいは教材のようなものを国でまとめて作成していただけると、よりそういう取組みが進むといったご意見もいただいております。私どももこの辺りも来年度の予算に反映させて、そういう事業も具体化に向けて進められるような形を作っていきたいと考えています。
 また小林委員のご指摘でアンケートの中で、都道府県独自のマイスター制度がどの程度取り組まれているかということでお聞きした中では、先般お示ししたように、多くの県で技能士さん等にマイスター等の称号を与えて、あるいは活躍の場、表彰、といったことで都道府県においてもそうした優れた技能の継承に努めておられます。国としてもそういった方々にいま申し上げたような学校現場での活躍あるいは中小企業の若い人材育成の場、あるいは冒頭に申し上げたように技能競技大会の課題に挑戦して、より高度な技能を目指すという方々の育成、そういった場面で活躍いただけるように、そういう指導者の方々のデータベースのようなものも整理して、より多くの方がそれぞれ自分の地域あるいは自分の得意な技を活かして活躍できる場を作っていけるように考えていきたいと思っております。
○今野座長 先ほどから出ている県ごとのマイスター制度みたいなものは、県の間で何か相談をして調整をするなど、そういうことは行われているのですか。それとも各県みなさん勝手にやっていらっしゃるのですか。
○大石委員 勝手というわけではないのですが、それぞれ都道府県で選考委員会等を決めてやっております。実際同じような基準で選んでいるかと言われれば、そこまではいっていないというのが現状です。
○今野座長 一般論ですが、資格名は取った人にとって極めて有益かどうかは、取ったらお金をいっぱいもらえるというのが1つ、もう1つはお金はなくても皆に知ってもらえるという2つの効果があると思うのです。皆に知ってもらえるには、知ってもらえる人の範囲を広げたほうがいいわけです。県がそれぞれやっていると、新潟県であれば新潟県だけが知っているということになる。ですから先ほどの話と結局一緒なのですが、少し横を繋いであげたほうがいいかなと思うのですが、可能ですかね。これならあまりお金はかからないです。
○星能力評価課長 このマイスター制度は先ほど申し上げたように、例えば1級の技能検定に合格している技能士の方が具体的に熟練技能者として20年なり30年なり働いている、それを条件として都道府県独自の表彰制度のようなものを設けて、マイスターというような称号を与えている。あるいはその方々の具体的な技能を評価して、若干県により基準、名称もそうですが、単なる表彰制度であったり、あるいはマイスターという称号を与えた方に、さらにもうひと働きしてもらうという形で事業を進めている県もあるということで、さまざまなものがあります。私どもとしてはそれぞれの都道府県のそうした取り組みによる優れた技能者の方々を幅広く整理して技能振興の面で活躍いただこうということで、これから若い方々に技能の素晴らしさ、技能尊重気運を醸成、あるいは個別の技能を付与していく。技能向上の面でご活躍いただく、そのためのデータベースを整理をして、多くの方にこの方はこういった協力であればやっていただけると。
○今野座長 私の意見はそれは使うほうの都合だから、マイスターを取る人にとってみると有難みがいっぱいあったほうがいいので、そちらのほうからなのです。ですから例えばマイスターという言葉をいろいろな県で使っているかもしれませんが、ほかの県は高度技能者という言葉を使っているかもしれないので、もしかしたら名前も統一はされていないかもしれないので、だからもう少し横に連携してやるといいかなと。どうですか。
○大石委員 東京の場合には有難みというのはよくお聞きするのは、名刺などにも東京マイスターとお書きいただいて、例えばホテルの調理師さんもホテルのチラシに東京マイスターと入れていただいたりしているので、それなりにお役に立っているのかなと。これは例外かもしれませんが、東京マイスターを取ったり、現代の名工を取ると金融機関からの融資額が増えたというお話もたまに聞いたりします。私どもとしては事あるごとに、チラシなどでマイスターの方のお名前等も広報等でやらせていただいております。いま先生のお話にもありましたように、これがもっと全国的に広がればいいのかなとも考えております。何かそういったツールがあれば、それはそれで私どもとしても歓迎したいなと思っています。
○桑田審議官 いまの点に関して中長期的に一定の方向があるにしても取りあえず何ができるか考えると、いずれにせよ私どもも技能士あるいは技能という切り口でワンストップのサイトのようなものを国で作っていく必要があるかなと思っています。先ほどの私のしごと館の話が出ていましたが、言わば、「私のしごと館技能編」のサイト版のようなものを立ち上げて、そこでいまの各県さまざまな取組みもそことリンクをはるなり、目次的に紹介するなりして、そこに飛び込めばこの県ではこういうものをやっているとわかり、そのサイトに進めば、そこでマイスターの名前が見られるなど。何かそういうところからまず工夫を始めてみるのもひとつかなと、いま皆様方の貴重なご意見を伺いながら思いました。それも含めて検討させていただければと思います。
○八幡委員 製造業の立場からの悩みのような話になりますが、技能振興といっても初めに技能ありきではないと思うのです。私どももやはり優れた製品を作るためにどうしても必要だからというので、例えば何十年ももつ原子炉の格納容器のための優れた溶接技術や技能、あるいは電子顕微鏡を作るためには超精密の金属加工がどうしても必要だということで諸々やるわけですが、そういう観点でいうと先ほど今後の施策の方向性のところに書かれていたような日本の基幹産業であるものづくり分野において、成長分野を踏まえた人材育成、あるいは若者が進んで技能者を目指す、技能者の地位の向上、これが今後も順当に進んでいけばそれは素晴らしいことだなとは思うのですが、現実は結構難しいのではないかという感じがしております。
 というのは例えば我々のところでも企業として成長しようとすると、いまは新興国におけるビジネスを取っていかないと成長はないというような感じになっています。そうすると、そういう国と事業の契約を結ぶと、それは向こう側の国で作らないといけないというような条件もいろいろとあるわけです。当然そこには日本の優れた技能者が現地に行って指導するという局面はもちろんあるのですが、なかなか難しいなというのが感想です。日本において成長分野がこれとこれとこれだと、ある程度皆さんの共通認識があれば自然と若者たちもそちらに向かっていくのだと思うのですが。たぶんいまは何が成長分野なのかがよくわからなくなっている難しい時代にあるのかなというのが感想です。そういう意味ではそういう時代にあって、いかに技能振興していくのかというのは、どんどん難しくなっていくテーマではないかなと。単なる感想にしかなっていないのですが、実際にものを作っている所におりますと、そんな感じがいたします。
○宮下委員 私どももこの施策の展開を見せていただき、全国的にどこも非常に経済、雇用状勢が厳しいので、厚生労働省さんが取り組まれる離職者訓練、離職者の早期の就職、この辺に乗ってくるジョブ・カード制度、求職者支援制度といういわゆる雇用対策に関する施策というのは、かなり充実されて各都道府県も助かっているのですが、なかなか全体の予算の中でのやりくりというのがあるのですが、私どもとすればそれは大事なことかなとは思っていますが、そろそろ人材育成、いまお話があった国が定めた成長分野の人材育成のカリキュラムも作成するということも聞いておりますので、遅いかもしれませんが各都道府県も一生懸命そういう各都道府県の実情に合わせた成長分野というもので取組みをしていくような状況にあると思います。そういう意味では逆に資料1ページの右側の技能振興・技能継承の、技能継承も大事なことだと思っておりますので、技能振興・技能継承という予算をしっかり取っていただく努力をいただければと思っております。ものづくり振興という観点、学卒者訓練も含めていわゆる成長分野の人材育成という感じのものにもっともっと積極的に取り組んでいただくよう要望したいし、大変厳しいとは思いますが、予算の確保をひとつお願いしたいと思います。
 もう1点、先ほどから各省庁の縦割り、連携という話がございました。私どもは都道府県の立場にすると、どちらかというと、厚生労働省が取り組む事業と経済産業省が取り組むこの人材育成に関する事業、かなりダブりがあるような思いがあって、私ども都道府県が言う立場ではないのですが、どちらかというと経済産業省は前向きな取組みのような感じのものが見えてきて、別に厚生労働省が悪いという意味ではなくて、そういう人材育成なり技能振興という部分は厚生労働省のほうで一本持っていくべきではないかなと思っております。各都道府県にしてみれば経済産業省は直にやる事業が多い。ですから都道府県が全く知らない事業がどこかの団体で取り組んでいるという事業が。私ども不勉強なことは十分承知ですが、できれば縦割りというか、連携というか、技能振興という観点ではもし経済産業省の予算を取れるなら、厚生労働省が取っていただいて、折角この技能振興の在り方を検討しておりますので、そういう意味でも頑張っていただければと都道府県は常に思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○今野座長 ご意見として聞いておきますか。
○星能力評価課長 はい、頑張らせていただきます。
○大石委員 先ほど学校の話が出ておりましたので、私ども現場から申し上げると、いま工業高校においても大学進学率が高くなってきており、どうしても学校の先生も大学進学指導をおやりになる。そういう中でいま問題になっているのは、工業高校等の先生の指導力不足、実技に関する指導力不足が出てきております。実は私ども職業訓練校を持っておりますが、そちらに先生の技術指導をしてほしいというようなことが出ております。こちらを見せていただくと、技能者による生徒さんへのものづくりの指導もあるかと思いますが、こういう技能者による学校の先生への技術指導もメニューに加えていただけるとよろしいのではないかなというのが1つです。
 2つ目は、先ほどから学生、若者に対する支援についていろいろ文科省などあるなという話が出ていますが、やはり若者に対する支援については、私どもとしては段階に応じた支援が必要なのかなと考えます。つまり教育段階における支援。その後卒業して企業に就職する段階での支援。これはものづくりへの誘導などそういう形になろうかと思います。若者については一時期七五三などという話もありましたが、その後の定着への支援、ものづくり企業への定着です。これはやはり企業の人材育成が中心になるかと思います。こういった段階に応じた形でそれぞれ文科省なり厚生労働省なり、私どももそうですが、協力した体制でやっていければいいのかなと考えます。こちらのものづくり支援の課題の中で、高校中退者、中卒者ということはありますが、これもひとつそういった段階でいうと、教育段階での支援にも入るのかもしれませんし、就業段階での支援に入るのかもしれません。
 もう1つ、こちらの中で中卒者向けの授業料免除がありますが、いま東京の場合は学卒者訓練は高卒がほとんどメインになっていますので、高卒者の免除もひとつご検討いただけないかというのが1点あります。
 もう1点お願いですが、先ほどから成長分野というお話が出ています。成長分野で例えば環境の話になると、太陽光発電の話も出てきます。そうすると太陽光パネルについての開発が成長分野ということで、そちらに目がいきがちですが、やはり技能の点で見ると、太陽光発電をきちんと設置するという意味で、例えば電気工事あるいは建築などそういう技能が非常に必要になってまいります。最初から作る場合はいいのですが、後付けで太陽光発電を付ける場合には、雨漏りがするのです。やはり技能がないと雨漏りがしてしまいます。そういうことで成長分野というときに、電気工事、建築などというものについては従来の技術だという見方をされてしまい、少し切り捨てられてしまいます。その辺の目配りもよろしくお願いしたいと考えています。
○今野座長 何かありますか。聞いておけばよろしいですか。時間を気にしていなかったのですが、今日はもう1つテーマがありました。星さん、何かいまの点についてありますか。
○星能力評価課長 基本的にはご指摘を踏まえて、前段は文科省との連絡会議等の席でも相談しながらそういう現場の声もあることをお伝えしていきたいと思います。授業料の件も公立高校の授業料免除と合わせて、当面は中卒者を考えているわけですが、そういうご要望も踏まえて今後も検討していきたいと思います。成長分野に関する取組みについても公共訓練における訓練科目の設定、あるいは今後の技能振興施策を進める上でも、その辺も頭に入れて取り組んでいきたいと思います。
○今野座長 それではたくさんご意見をいただきましたので、また整理をしていただき、報告書の段階でもう一度議論できますので、この辺で終わりにしていただき、次は技能検定について議論をしていただきたいと思います。まず事務局から資料を説明していただきますが、宮川委員から資料が提出されているので、事務局から続けて説明をお願いします。
○原田調査官 資料3で「主な意見の整理」として技能検定制度関係をまとめております。
 最初に、「受検者数の拡大」でアの「ニーズの把握とニーズの高い作業・等級等の新設」という項目を作っております。いくつか整理しておりますが、3番目に、「特級が管理者向けとなっている中、1級取得者がさらに上を目指すレベルの試験を検討するべき」ということがあります。前回のヒアリング等でもいくつかの企業の方、県の協会の方もおっしゃっていましたが、1級よりも技能の面でのさらにレベルの高い試験を検討すべきというご意見が、複数の方からありました。
 以下、アンケートの中のご意見をいくつか取り入れた形で整理しております。いちばん下に、エ「受検に向けた働きかけ」とあります。先ほどもご議論の中で少し紹介しましたが、「技能検定受検用のテキストの作成」というご要望もいただいており、これに対応して何らかの施策を検討していきたいと思っております。
 2頁です。「(2)費用の効率化」ですが、「効率化は、アイディアコンテストなので、よい取組はどんどんやれば良い。」、「業界団体のネットワークの中での有形無形の協力を得て実施している。」というご指摘をいただいております。
 イ「職種ごとに要する費用の違いについて」ですが、1つ目は「標準原価のようなベンチマークを用いて効率化していく必要がある」とか、3つ目では「技能は国際競争力の原点であり、微妙な差が重要な場合もある。要素試験にしてしまって、その差が見えなくなる恐れはある。」ということで、作業試験を要素試験に変更すると要する費用が減る説明もしましたが、それに対する懸念が示されております。その1つ下は「国際競争力の向上に資するものに絞る」べきという趣旨のご指摘です。
 ウ「都道府県ごとの費用の違いについて」です。1つ目は管理費について、「受検者数が同じ規模であっても、これだけの違いがあるというデータを関係者が共有すること」自体の重要性のご指摘がありました。次に、材料費の高い地域、安い地域があることに対して、「サプライチェーンを見直すような取組はなかったのか」ということです。3つ目と4つ目は、比較優位が発揮できるように、都道府県間の連携や集約化についてのご指摘で、すでにそういったものは実質的には進んでいるという実態のご紹介もありました。最後は、「実技試験の実施費用」については材料費の標準化に取り組むべきといった趣旨のご意見です。
 3頁です。「定性的な説明」ではなく、「本来かかるべき費用の比較を定式的に行うべき」、アンケートですが、「材料や設備の変更や調達方法の見直しは効果がある」ので実施すべきであるといったご指摘も複数ありました。
 それらを踏まえて、参考として私どもが試算をしたものがあります。「中央職業能力開発協会において、費用が高く、費用削減効果が期待され、また、関係者から要望が多い職種について試験課題等を見直し、これを実施するために標準的に要する材料費等を上回る金額を削減するとすれば、約1億5,000万円の削減効果が見込めるということです。
 具体的には、5頁です。「別添1」ですが、事業費に関しての削減可能見込額の目安です。試算の考え方として、1は先ほどご説明しましたが、「平成25年度に試験実施が予定されている職種であって、実技試験の実施費用が高く実技試験課題の見直しによる削減効果が期待され、また、関係者からの課題見直しの要望が多い53職種」について対象としております。さらに削減可能見込額の考え方としては、「作業・等級ごと都道府県ごとに、標準的に要する材料費等」を計算し、それを上回る部分を積算し、合算しています。具体例として、職種を3つ掲げています。1、2級のガラス施工職種について、現在実際にかかっている費用は、最大で67,770円かかっている県がある一方で、標準的に要する費用は21,913円ということです。この「標準的に要する材料費」は、現行から見直している部分もあり、括弧内にあるように、「ガラスをはめ込む枠を縦滑り出し式から引違い式に変更する」ことと、「ガラスの厚みを6mmから5mmに変更する」取組を併せて行うこととしています。これにより、最大で45,864円削減が見込めるということです。2つ目はプリント配線板製造職種ですが、これも現行で作業試験を実施しているものを要素試験に変更するといった取組を行うことにすると、最大で40,423円削減が見込めるということです。3つ目は建築大工職種ですが、見直しとして課題を小さいものに変更して、支給材料の量を減らすことにより、最大で28,000円ほど削減が見込めるということです。このように各53職種すべてにわたって試算をしたところ、全体で約1億5,400万円ほど削減が見込めるということです。これが事業費の定式的な形での削減見込額です。
 3頁に戻ります。次に、「受検申請者数の区分ごとに都道府県の職業能力開発協会の管理費をみたときに区分の平均数を上回る管理費を削減」するということです。
 「別添2」は6頁です。「試算の考え方」ということで下に表がありますが、受検申請者規模によって、いちばん大きい所は1万人以上、いちばん小さい所で1,500人未満で、各現行の協会の規模を分類した上で、それぞれの区分ごとに1協会当たりの平均額を算出しました。その平均額を上回る部分は削減に取り組んでいただきたいということで、トータルで1億9,000万円ほどの削減が可能ということです。費用については、こういった取組で削減可能見込額を算出しております。
 3頁に戻ります。(3)「手数料の在り方について」です。1つ目は、有形無形の支援をいただいている中でもあり、「費用の問題は単なる調達方法の見直しではない」というご意見です。2つ目と3つ目は、それぞれ関係団体の方の協力をいただいている現状を踏まえるべき、「単純に現状の受検者1人当たりの費用を前提に手数料を検討するのはいかがなものか」という御意見です。この受検手数料の在り方については、アンケートで都道府県、都道府県協会に具体的にお伺いしており、前回もご紹介しておりますが、改めてここでご紹介します。都道府県からいただいた回答の中では、「「費用の削減等を行い、慎重に検討し、自立的・安定的な検定制度の維持のための最低限の引上げは行わざるを得ない」等ある程度の引上げを容認していると解されるもの」として17、「急激な引上げは、受検者の大幅な減少をもたらすことを懸念」というご意見が11ありました。また、「引上げは慎重に行うべき」3、現行からの引上げは「悪影響をもたらす」6、「「現行水準を維持すべき」等引上げに否定的と解されるもの」14でありました。
 都道府県協会からの回答ですが、「引上げを容認していると解されるもの」が23、「「現行水準がのぞましい」等引上げに否定的と解されるもの」が11でした。
 さらに、「今後の手数料の方式」について、都道府県からの回答は、「現状と同じ一律を維持する」という回答が25、「職種別の受検手数料とする」という回答が19でした。残る3つは「意見なし」とか空欄でご返事をいただいております。都道府県協会については、「現状と同じ一律を維持する」というのが24、「職種別の受検手数料とする」が23で、いずれかに回答をいただいていて、合計は47になっております。
 職種別手数料を支持する主な理由は、「費用との対応関係が明確」ということです。職種別の手数料を支持しない、現行どおりとするということの理由は、1つは費用が高額な職種が実施できなくなるという懸念、2つ目は「高額となる職種の受検者が減少し、結果として当該職種の試験が実施できなくなる」、3つ目は「政策的に職種間の偏りをなくして産業振興を図ろうとしたためと理解しているため」と、国家資格としての性格から説明をいただいているものです。いちばん下は「徴収事務が繁雑となるため」ということです。以上です。
○今野座長 それでは、宮川委員からお願いします。
○宮川委員 貴重な時間をいただいてありがとうございます。この資料を提出した理由ですが、前々回の第3回の検討会において、国がお出しになった資料の中に、技能検定の受検申請者1人当たりの実技試験費用について、いちばん高い所、平均的な所、いちばん低い所を比較するグラフがあったと思います。中身としては、材料費や設備費、謝金等といったお金の使い道の内訳も示されたものですが、その中でも材料費の金額の違いが際だって大きいということで話題になったと思います。さは然りながら、なぜそこまで都道府県によって違いが生ずるのか、なかなか納得のいく説明ができなかったと。例えば、業界の言い値で購入しているのではないかとか、値切って購入しているからではないかといったお話もあって、私ども協会としては業界とも十分連携しながら経費節減に努めていることもあって、少ししっくりしないところもありました。東京都の職業能力開発協会では実際そこはどうなっているのか、あのあと調べてみました。第3回の検討会の資料2の4頁を見ていただいて、それと見比べながらお話します。
 資料2「技能検定試験の効率的な実施について」の4頁ですが、建築塗装について書いてあります。東京都から国にお出しした数字を基に中身を洗ったのが、私どもがお出しした資料の1枚目です。検討会で国がお出しになった資料にあるサンプルでは、受検申請者数は35人、21人、27人とあまり多くないわけですが、東京都の場合は受検申請者が243名おりました。実技試験そのものの実施に要した費用ですが、その下の表の全体費用の(A)の欄にあるように760万円、その3分の1を、(B)の欄ですが、協力団体が負担しております。残りの3分の2の506万円を協会が持ったことになります。その金額を左の区分別に受検申請者1人当たりで計算すると、右端の数字のように20,836円と、大体この前の資料で示されたものの中位を少し超えるぐらいの数字になります。括弧書きでその割合を示しておりますが、検討会の資料とは割合が少し異なっております。
 特徴的なのは、設備費等、謝金等の割合が高いということです。設備費等が24.2%、謝金等は36.8%となっております。これについては、下の説明欄にありますように受検者が多人数ということで、材料費についてはある程度のスケールメリットが働いたと見ることができると思うのですが、設備と機材の保管についてはかなり量が多くなります。多くなった機材等を保管し、これを運搬することになるわけですが、平成22年度の場合では、協力をいただいた団体の本部のある東京都区部に機材を保管しており、実際に行われる試験会場のある多摩地域の都立の専門校に運んでおります。そういったことから、保管、運搬では費用が高くついたと見ることができるのではないかと思っております。その反面、会場費は都立の施設を利用できたということで、かなり抑えることができました。
 謝金等の割合が高いのは、200人を超える多人数の受検が円滑にいくように、協力団体で独自に確保動員していただいた事務職員や助手などの費用についても、その一定の割合を協会で負担をしたということです。
 次の頁です。私からも、これまで協力団体あるいは協力企業には、表に出ない有形無形のご協力をいただいているということを申し上げてきておりましたが、具体的にそれはどういうものかをよくご説明できなかったので、これについても調べました。これは建築塗装ですが、主として事前準備にかかったもので、このほかに細かいこともいろいろあるのですが、主なものとしては1~4に掲げてあるものです。まず、試験に必要な物品の種類及び数量等の確認をしておく。これは間違ったら試験のときに困ります。
 特に大きいのは2つ目で、各受検生に支給する見本板の作成です。隣の頁ですが、これは中央職業能力開発協会でご準備いただいているもので、試験実施に際してどういうものをどのように準備して、どういう設備等を整えておくのかについての指示書です。ここに斜線を引いた縦10cm、横20cmの板がありますが、課題2に調色という色を調整する作業があって、それに使用する板を、上のほうで1級、2級と分かれておりますが、1級については3種類、2級については2種類、これを事前に用意しておかなければいけません。材料そのものは当然材料費として購入するわけですが、この見本の色をあらかじめ塗っておくという作業があるのです。これについては、私どもが提出した資料2「平成22年度の実績」にありますように、1級が197人について3種類、合計で591枚、2級は46人の申請があったので、2種類で92枚、合わせて683枚を準備したということです。これは団体にご協力いただいているということです。
 3番目は吹付け作業台の制作です。これについても、人数が多いので、都の場合は8台作って用意しております。次の頁に「課題1の主材吹付け用作業台」とありますが、縦2.2m、横1.8mの台を8台制作するということです。これについては、2日間程度かけて団体で準備いただいたということです。
 4つ目の機械設備の整備と調整ですが、実際に課題3で使うスプレーパターン作業、あるいは吹付け用の空気の圧力を調整する機器などについても、すぐにちゃんと動くように事前の調整が必要です。こういったことをそれぞれ協力団体で独自にやっていただいて、お金はお支払いしないという状況です。もちろん、すべての職種においてこういった関係が成り立っているわけではなく、それぞれの団体、あるいは企業の体力、協会とのお付合いの程度によっていろいろあるということをご理解いただければと思います。
 以上のように、実技試験の費用については、いろいろな要素が絡んでおり、一概にこれをもって高い安いと言い切れるかどうかという点も、少し考えていかなければいけないと思います。東京都の例で言うと、かなり不動産価格が高いので、都立の施設が今回は利用できたわけですが、仮に利用できない事情が発生すると、いまは安上がりの会場費も相当高くついてしまうことになります。また、事前準備等における団体との現在の協力関係が崩れてしまうと、当然その準備は協会でやらなければいけなくなるので、その持出しがさらに大きくなります。
 一方で、受検手数料についてこれから見直しもご検討いただくということですが、職種別に受検手数料を定めるということも1つの方法だとは思いますが、あらゆる職種が常に同じような条件で試験の準備ができる、試験が行われるのであればいいのですが、その年々によっていろいろな状況や条件の違いでかなり動きが出てくるのではないかと思うのです。となると、その辺についてはそれぞれの地域の事情にお任せする中で、標準的なところで上限を定めていっていただくほうがいいのではないかという感じもしております。何よりも、それぞれの地域や職種によって程度に差はあるにしても、協力団体、あるいは協力企業の大きな力添えがあって国家検定である技能検定が実施されているといった実態に関して、委員の皆様方に少し理解を進めていただければありがたいと思います。お時間をいただいてありがとうございました。よろしくお願い申し上げます。
○今野座長 それでは、ご意見をお願いします。
 先ほど宮川さんが出された数字の中で、団体負担分というのは、協力していただいた団体、あるいはそれをサポートしている企業の人件費は入っていないですね。
○宮川委員 これは「謝金等」となっていますね。この中にそういった費用が入っております。
○今野座長 わかりました。ほかにいかがですか。
○原田調査官 私からお伺いするのは何ですが、2つほどお伺いします。団体負担と協会負担で割合的に33.4%、66.6%で、団体にご協力いただいているのは大変ありがたいことなのだと思いますが、3分の1ほどもご協力いただいているというのは、ほかの職種を通じて一般的なことなのでしょうか。また、こういう形で3分の1ほどご協力いただくような在り方については、どのような受け止め方をされているのでしょうか。どんな形にするにせよ、何らかの形では、ご協力をいただかなければいけない仕組みだとは思いますが、こういったかなりの割合を負担いただいている在り方については、どのように受け止めればいいのかということをお伺いしたいと思います。
○宮川委員 これは、かなり長い歴史の蓄積があってこういう形になっているのだと思うのです。いずれにしても、実際の実施に際しては協力団体や企業と協定を結ぶことになるわけです。おおむねかかる費用については、当然業界団体としてもいろいろな意味でメリットもあるわけですから、東京都としては、ほかの職種も含めて、若干協力団体の体力等にもよるわけで、少し数字の違いも出てきますが、大体このぐらいの割合でご負担をいただいているということです。それをすべて公が見るのがいいのかどうかについては議論があると思いますが、それにかかわる業界等が自分たちも一緒になって国家検定を支えているということで、協力しているのだという中での経費負担ということであれば、これはこれで決して悪いことではないのではないかと思うのです。
 ただ、長い間の蓄積の中で1つのバランスができていますから、我々がいちばん懸念しているのは、そのバランスに、今回事業の仕分けの中で国からいただいている補助金が削られることが、これからどのように影響してくるのかを非常に懸念しているわけです。いま、いろいろなところで技能振興策もお考えいただいているわけで、トータルとして技能士の方々や協力してくださる方々に対して、国としてもいろいろな面からサポートしていただけるということであれば、ある程度はそういった状況も少し薄まるというか、引き続き協力していこうという業界、団体等の意欲も維持できるのかなという感じは持っております。
○河村委員 宮川委員に出していただいた資料は、私も基本的に同感です。言葉の端を取るようで申し訳ありませんが、いまこの3割を負担されているということを宮川さんはどう思われるかというご意見を伺われましたが、厚労省にと言うとあれですので、逆にご質問をされた調査官はどのように受け止められたのでしょうか。
○原田調査官 非常に高い割合だと受け止めており、制度としての自立的、安定的運営という観点からは、あまり業界団体の方に頼らないような仕組みを考えていかなくてはいけないのではないかと思います。
○今野座長 個人的にですね。
○原田調査官 はい。○小林委員 これは、たぶん渋谷にある団体ですね。そうすると、たぶん訓練校を持っている団体ですね。これは長い歴史があって、この協会は社団法人と協同組合と両方持っている所なのですが、人材育成はそれなりに自分たちもやらなければならない、その中で国家でお墨付きの仕組みがほしいということで、自分たちで研修のカリキュラムを作りながらやってきたというのが、この団体もそうですし、多くの団体です。当然、組合で言えば教育情報費用の繰越金が利益の中から20%留保する形になって、総会後、翌事業年度にその利益の20%を教育費に当てるという仕組みができているわけです。組合の中では人材養成は大切だという認識がありますし、いま一般法人になっているか公益法人になっているかわかりませんが、ここは社団法人もあって、内部の人材養成は必要だと。建設の場合では、特に建設安全の側面でお客様に迷惑をかけないようにと、教育事業をやるということで負担してきているのですが、その現状は建設塗装の組合ですが、正直言って非常に財政状況が厳しくなってきています。震災後は少し良くなったのですが、内部留保ができないということで、教育の費用が捻出できない所が数多くなっているのです。だから、人的な要素で人員を派遣したり、組合の役員の所がテストの板を作ったり塗ったりという作業を自らお手伝いしているのだと思います。これを外注すれば、もっとすごい価格になるのだと思います。
 そういう見えない部分が多分にあるわけです。それをもって高い安いと言われると、地域によっても違うし、職種によっても違うというのが現状なので、これを本来すべての費用を持ってやっていれば相当大きな金額になっていたのかなと。業界ごとにそれなりにお手伝いしたり、自分たちも後継者育成という認識を持って取り組んでいる姿があったから維持できているわけで、これ以上キューキューやるというのは何なのだというのが、多くの団体から寄せられている声です。
○松井委員 大きな財政面から見ると、3つのステップがあって、1つが補助金の削減を撤回する、もっと補助金を厚くしろということで、収入の関係です。もう1つが費用の削減で、いまご覧になったように事業費と管理費がありますが、費用の削減です。それを受けてから手数料という3つのステップだと思うのです。
 私はこれまで費用の削減のところで事業費にポイントを当てて、先々回に標準原価の話をしたと思いますが、これはかなり現場の手作りなのだということがよくわかって、これを無形の、あるいは協力していただいた所をお金に変えるとどういうことになるのかというビジネスレベルで考えると、少し違った、経産省が出てくるような気もするのですが、1つだけお話したいのは、宮川委員の資料の2頁辺りは特に驚いて、現場ではこういう協力例があるのだなというのを具体的に知りました。こういうことがあって実施できているのだなということがありますが、こういったものが純粋に材料費の標準原価のかけ方を損なうものではないわけです。ですから、これがこういうことだから無理だということではなくて、金額的には大きい小さいは別にしても、緻密にこういう側面もある、でもこういうところもあるのだという発想もしていかないと、そこは少し気をつけないといけないかなと思っています。今回の報告を見て、私もかなり複雑だなという印象を持ちました。
○宮本委員 ご説明ありがとうございました。私はこの間材料費に噛みついて、材料費も協力団体がかなり出していることがよくわかりました。
 なぜ技能を上げなければいけないのかというのは、1つは個人の職業能力(Employability)を上げるということと、これは前にも申し上げましたが、国として国際競争力を保持するとか、先ほど成長戦略のお話がありましたが、成長戦略を支える技能を持たなければいけないという側面もある中で、それを同じ土俵で論じていいのかという感じもしています。いちばん最初の会で参考資料が配られた仕分けの話で、ニーズがあるのはマーケットで格が決まるみたいな話をされたというご報告がありましたが、それだけの側面でこの技能検定の費用を考えるべきかというと、私としてはすごく違和感を感じております。とりわけ成長戦略に資するものとか国際競争力に資するものは、それなりの国の援助が必要ではないかと考えております。
○北浦委員 宮川委員の資料を見て考えると、先ほどの試算の前提と多少違うところもあるような気がしたので、どのように考えたらいいのかなというのが率直な感想です。
 それを別にしても、試算についてお伺いします。初めて出た数字なので、大変ご苦労されて出されたのだと思いますが、1つには、これは53職種について計算されたということで、いろいろこういう職種と書かれています。そうすると、53の職種について1億5,000万という考え方で、その他も入れるともっと増えるということなのか、その他はこういう見直しがないから1億5,000万円なのか、その辺の見方を教えていただきたいと思います。
 また、全体的に、単純に計算してはいけないのですが、たぶんこれは補助金を念頭に置かれてこういう計算をされたのだろうと思います。これはもともと中心になるのが事業費、とりわけ材料費的なものがいろいろな意味で大きいウエイトを持つからということで、それと管理費とを合わせて試算されていると思いますが、これ以外に何か試算することを考えられているのかどうかが2点目です。
 3点目に、トータルで合わせると3億4、5,000万円になるのですが、先ほどの松井委員のお話で言うと、出発点の補助金が財政問題として1つ大きな前提があったように聞いております。そういったものからいくと、これはどのぐらいのウエイトを持っているのか、この3つについてお聞かせいただければと思います。
○星能力評価課長 最初のご質問です。当面53職種ということで、試算を中央職業能力開発協会のご協力を得て行っているわけですが、先ほど原田からもご説明しましたように、平成25年度には補助金の削減を行わなくてはいけない中で、平成25年度に試験が実施される予定で、受検者数も多く、実技試験の上で非常にコストがかかっている職種、さらには都道府県職業能力開発協会等から、これまでも費用がかかるという観点から課題の見直しについて検討するべきではないかといったご意見もいただいている職種について見直すことで、比較的削減効果が期待できるのではないかという53職種について検討を行ったということです。また課題を見直したときに、個々の職種作業についてその課題が、これまでも議論がありましたが、きちんと技能が測定できるものなのか、あるいは公正にその技能が判定できるものなのかといった観点から課題を見直し、併せてそれにかかる設備材料費について算定していく作業を行ってきているわけです。
 そういったことから、かなりこの作業には時間もかかるということで、来年度に向けてはこの53職種分の削減効果を1つの目安として考えていきたいと。しかし、当然残る未着手の62職種についても、今後同様の作業というか、試験問題についていまのままでいいのか、あるいはそれにかかる具体的な標準的材料費等についても、検討を順次行っていく必要があると考えております。
 また、ほかの試算ということですが、技能検定制度にかかる大きな費用として、この試験にかかる材料設備に要する経費と管理経費について試算をしてみたということで、当面この試算を念頭に置きながら全体の収支バランスを考えていく必要があるのではないかと思っております。
 最後に、もう1点ご質問いただいている点ですが、この補助金の削減については、私どもは行政刷新会議から指摘を受け、平成22年度の概算要求額の半減を念頭に置いて作業を進めるということです。半減となると、9億7,000万という大きなお金ですが、従前の交付額を前提に試算すると、このうち都道府県向けが約6.7億、平成22年度の概算要求から平成22年度の決算までの間に国庫補助金のベースで約3億の節減がすでに行われております。そうすると、残りは3.7億ほどになるわけですが、この技能検定にかかる補助事業はご承知のとおり間接補助事業で、事業費ベースで見ると都道府県からも補助金を頂戴していることになりますので、残り3.7億の約2倍と考えますと、約7.3億円ほどの削減が必要になるということです。そういった意味で、今回私どもの試算の中で算定された金額、事業費、管理費をトータルすると3.4億ほどということで、事業費のベースで見ると、乖離の部分が3.8億円ほど残るということになります。
○小林委員 お話を聞いてびっくりしました。いまお示しいただいた事業費と管理費でもうおしまいかと思ったのですが、まだまだ続くと理解してよろしいのですか。
○星能力評価課長 この検討会を通じて、私どももこの技能検定制度は我が国の技能振興の面で果たす役割が大きいという意味で、この制度をしっかり守っていく、引き続き円滑に機能するようにしていかなくてはいけないと考えております。そういった中で、実際にこの技能検定試験を実施いただいている協会には、いま申し上げたように平成22年度の概算要求段階からでも相当額の削減の努力をお願いしてきておりますが、さらに先ほど申し上げたような試算に基づいて、今後とも努力の上に更に一段と節減を努力いただくということですが、この辺りが具体的な節約という意味では限界に近いところなのではないかと考えております。そういった意味では、お尋ねがありましたのであえて申し上げますが、この3.8億の乖離部分については、もう1つの財源になる手数料を含めて、その中で乖離の解消というか、穴を埋めていく必要があるのかなと考えております。
○今野座長 53職種について、先ほどの北浦さんの質問とも関連しますが、「平成25年度に試験の実施が予定されている職種」というのは非常に明確です。「であって」のあとですが、「実施費用が高く実技試験課題の見直しによる削減効果が期待され」というのが1つと、「関係者から、の課題見直しの要望が多い」という2つの条件が入っていて、ここが比較的定性的な基準になってくるのです。例えば、53職種でそういう形で選ばれて下げられたときに、ほかとの公平性の問題などは心配しなくていいのですか。つまり、先ほど言った定性的な基準で落ちているところがあるわけです。その辺はどういうことになりますか。
○原田調査官 53職種で削減が見込まれる数字として、現段階では1億5,400万円として出しております。ただ、それ以外の職種についても、実際面では現行かかっている費用よりはいろいろな見直しをしていただいて、費用の節減に取り組んでいただくという取組は併せて行うことにしておりますので、実際面での取組としては、すべての職種で費用の見直しに取り組んでいただきたいと考えております。
○今野座長 別添1の資料を見ると、このように読めてしまう可能性があります。例えば、53職種については標準原価方式でいくけれども、ほかはそうではないと読めてしまう可能性もあるし、あるいはそうなのかもしれないので、そこは明確にしておいたほうがいいかと思います。これはたまたま計算しやすい、つまり削減見込み額の目安を計算するために53職種でやってみたのだというのか、もともと標準原価法式は53職種でやろうと考えていたのかによって、だいぶ違いますね。そこはあまり誤解を招かないようにしたほうがいいので、とりあえずいまはどう考えていらっしゃいますか。
○星能力評価課長 平成25年度の検定試験実施に向けては、この53職種の削減効果を前提に考えていきたいということです。今後この作業は非常に時間もかかるものですから、具体的に平成25年度以降、残りの職種についても順次作業を進めていくことになりますが、そこで削減効果が見込まれるものがあった場合には、技能検定試験の受検手数料については現在3年に1回見直しの検討を定期的に行っていますので、そういった見直しの中で効果については改めて検証していきたいと思っております。
○今野座長 具体的にお聞きしますが、平成25年度の試験実施が予定されている職種は何職種なのですか。53職種から外れた所と53職種の間で何か文句が出そうで、何で違うのかと言われたときに説明できなければいけないですね。先ほど言った定性的な基準で落ちているので。
○星能力評価課長 効果が見込まれるということで選び出しているだけですので。
○今野座長 すごく思い切って、それでいくかどうかは別ですが、すべての職種について標準原価法式でいきますと言ったほうが、話としてはすっきりしますね。いずれにしても、そういう形のほうが全体的には説明しやすいですね。
○星能力評価課長 作業が追い付かないという問題がある一方平成25年度には補助金の削減をやらざるを得ないという中で、53職種については平成25年度からやっていくと。追っ掛け、今後も残りの職種について取り組んでいきますので、それについても一定の効果は、出てくると考えられますので、それについては今後の見直しの中でさらに検証をしていくと考えております。
○今野座長 そうだとすると、書き方を少し変えたほうがいいですね。これだと、永久にこうなる可能性があるというような書き方ですね。つまり、削減効果が期待されないというのは、別に次の試験だって期待されないので、53職種から外れると、将来的に一切標準原価法式を適用する対象職種ではないと読めてしまうのですが、私の読み方が悪いのでしょうか。そうではなくて、基本的には標準原価法式でいきたいけれども、これこれの事情で平成25年度はこれこれで、残ったものは間に合わないので、暫定的にこういう手を打ちますみたいな形にしてあるのであれば、それは全体の方針がわかったということになるのですが。
○星能力評価課長 今後、報告書の案文等の作成に向けて、表現ぶりについては工夫したいと思います。
○宮川委員 星さんにかなり慮っていただいて、実際にいまいろいろ作業を進めていただいているものがこういうことだと我々は理解しています。確かに座長がおっしゃるように、基本的には見直すべきものは全体として見直していくのだろうと。ただ、一応そういった見直しのプロセスを経て、結果として我々からもいろいろお願いをしている、あるいは皆様方にもいろいろご検討いただいて、実際にそれが実技試験として一定の技能のレベルをきちんと証明できるようなものでないといけないわけですから、ただ何でも見直せばいいというわけではないと。だから、そのようにお書きになったらいかがですかと、座長のお話を私が言うのも変ですが、そういうご意見だと思うのです。だから、中央協会としてはその辺を端的に表現していただいた資料だと私は理解をしております。
○今野座長 しつこいようですが、この文章だと、標準原価法式を適用する職種とそうでない職種の両方があるように見えてしまうのです。でも、これでいいかどうかは、これは事務局案ですので、いま我々は議論しているわけですから、事務局案を正確に表現するにはそのようにしたほうがいいのではないかというのが私の意見です。ほかにいかがでしょうか。
○小林委員 事業費の削減についてはたぶん財政当局といろいろな形で進めていると思いますが、この辺は少し気をつけて、今後どう対応していただければありがたいと思います。
 また、以前、最初のころの会議で作業試験から要素試験へということで申し上げたのですが、具体例として別添1でプリント配線板製造職種を、見直しで作業試験から要素試験に変更するとなっています。これは1級までやってしまっていいのですか。下位のものだったら対応可能かと思って申し上げたのですが。主な意見の整理の2頁の中ほどで「作業試験が中心となっているが、下位の等級については、質を担保しつつ、要素試験で技能を把握することができるのか、今後検討すべき」と書いていただいているのですが、逆に次のところでは要素試験にしてしまって、その差が見えなくなる恐れがあるということで、そうなると1級は無理なのではないかという感じもするのです。この辺はどう捉えるのかということです。
 もう1点、管理費の削減の可能見込み額は、協会の人員の体制等のお話を聞いていると、職員の数もかなり減っていたり、就業の仕方も変則的になっていたりしている部分があって、本当に見込めるのでしょうか。これ以上、協会の管理費をギリギリと削減したら、本当に機能しなくなってしまう側面も出てこないかという懸念を持っているということだけ申し上げておきます。
○星能力評価課長 最初の事業費の削減等についてですが、今後財政当局あるいは関係機関との調整にあたっては十分配慮して、誤解のないような説明をしていきたいと思います。
 試験課題の見直しの中で、プリント配線板製造職種について検討の結果、要素試験ということで整理をしたわけですが、これはこれまでの議論の中でも費用の削減という観点から、試験課題を見直すにあたっては肝心要の技能が測れなくなっては仕方ないと。技能検定というのは「できるはずの能力」ではなくて「できる能力」、まさに具体的な作業なり技能が測れることに大きな意味があるので、そこを間違えないようにというご意見もあったわけです。私どももそこを念頭に置きながら、今回の見直し作業も中央職業能力開発協会で、具体的にはそれぞれの業界団体から選出いただいた中央技能検定委員の皆様方のご意見を聞き、そういった配慮をしながら行ってきた結果とご理解いただければと思います。
 確かに、管理費についてはこの間もかなりご努力いただいていますが、その結果をさらに捉えて、今回1つの目安として、同規模の受検者を抱える団体の中でさらに平均を超えているような所にもう一段ご努力をお願いすればということで、具体的に検定にかかる経費を今後削減いただくにあたってはそれぞれの状況等も勘案しながらやっていく必要があると考えております。
○宮下委員 2点ほどお伺いします。事業費の削減可能額の計算式は別にして、実際にこれを実施した場合に、各技能検定には級がありますが、アンケートにもありましたように、現行の技能レベルを維持した見直しが各県から出ているかと思っております。私は技術的なことは大変疎くてわかりませんが、こういう削減を見込んだ場合でも、現行の技能レベルは維持できるのでしょうか。それが1点です。
 また、今回の補助金のカットがあれば、当然事業費なり管理費は削減せざるを得ないのかなと思っておりますが、先ほどこの上に星課長から検定料の値上げみたいなご発言があったように思います。その場合に、先ほどから議論になっている対象職種を53職種のみにして、検定料を上げるというのはなかなか理解が得られないのかなという思いはあります。物理的に時間がなくて無理というのはわかりますが、やるとすれば129職種をやった上で、下がる上がるは別として、やった上で手数料も上げざるを得ないということであれば、額にもよりますが、それは説明すれば何とか理解をしてもらえるかなと思いますが、53職種に限定するのは説明も難しいのかなという感想を持ちましたので、意見として申し上げます。
○畑中委員 課題の見直しに関しては、それぞれ職種ごとに委員会でしっかり議論をしており、当然現行の技能レベルを維持するのが大前提で、もちろん反対論も一部ありますが、そういう中で大体このぐらいだったら大丈夫だろうということで、委員会のご理解をいただいた内容になっております。
○今野座長 もう1つ、検定料についてはいかがですか。
○星能力評価課長 先ほどの繰り返しになりますが、実際に来年度に向けて行われる作業見直しの中で53という一定の数の限界もあるわけですが、今後十分ご理解いただけるような形で説明できるように、資料をもう少し工夫して整理をしていきたいと思います。
○今野座長 時間的とか作業量からして、標準原価を出すのは53職種が限界であるというのであれば、標準原価プラス暫定標準原価を作って、残ったものも何かしたほうがいいと思います。そこは何か知恵を出していただいて、その代わり正式にはもう少し待っていただいて、いまは時間がないので暫定でやらせてほしいみたいな、そこで何か良い理屈を考えるといいかなと思います。
○河村委員 別添資料の管理費の関係ですが、これはお願いということで、私は全国の協会の代表ではないので、愛知の協会としてこの表を見ると、いちばん上の協会数3に位置すると思います。そうすると、この1億2,900万を単純で割ると、大きな金額だなと思います。ですから、これは1つの出発点として、各都道府県の皆さんも含めてご議論していただければという要望だけにさせていただきます。
○今野座長 ほかにいかがでしょうか。
 それでは、だいぶ意見もいただきましたので、今日の議論を事務局で整理していただいて、報告書の段階でもう一度議論したいと思います。あと2回残っているので、その2回の中で報告書をまとめたいと思います。ですから、次回は事務局の報告書の素案を用意していただいて、それで議論をしたいと思います。最後に、「平成23年度『技能検定試験』の実施状況について」という資料の説明をお願いします。
○原田調査官 お手元にプレスリリース、記者発表の資料を配付しております。ちょうど本日の14時付で発表しましたので、この場を借りてご紹介します。
 「平成23年度『技能検定試験』の実施状況について」ということで、実施状況のポイントを枠の中に記載しております。受検申請者数の合計が78万1,539人、前年度比で0.8%増加、合格者数の合計が31万5,000人余、前年度比で7.4%増、さらに職種別に受検申請者の多い職種について記載されております。ファイナンシャル・プランニング以下5職種の状況で、多い所はいずれも対前年度比増となっております。
 2頁に表があります。先ほどの職種のところでもお気づきのとおり、これは都道府県協会でやっていただいているものと指定試験機関方式でやっているものと両方の合計額、全体像を記者発表しております。ご覧いただいている実施状況の中にもありますが、先ほどもご説明したように、合計が受検申請者数78万人余、合格者数31万人余で、これの内訳として都道府県方式で実施しているものは受検申請者数21万405人、合格者数は12万4,302人で、合格率は59.1%です。
 以下、資料は全体的な指定試験機関実施分も含めた申請者の多い職種、過去6年分の受検申請者数の推移等です。本日付で発表ということでしたので、この場を借りてご紹介しました。以上です。
○今野座長 何かご質問はありますか。よろしいですか。
 それでは、今日はここまでとさせていただきます。次回の開催について、事務局からお願いします。
○吉田課長補佐 次回は7月10日(火)2時半からとなっております。場所についてはまだ確定しておりませんので、追ってご連絡いたします。よろしくお願いいたします。
○今野座長 それでは、終わりたいと思います。ありがとうございました。


(了)

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