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2012年5月29日 第1回社会保障審議会介護給付費分科会介護事業経営調査委員会議事録

老健局老人保健課

○日時

平成24年5月29日(火)10:00~11:30


○場所

東海大学校友会館「望星の間」


○出席者

池田、田中、千葉、藤井、堀田、村川(敬称略)

○議題

1.介護事業経営調査委員会の設置について
2.平成24年度介護従事者処遇状況等調査の実施について
3.その他

○議事

○宇都宮老人保健課長 定刻となりましたので、第1回「社会保障審議会介護給付費分科会介護事業経営調査委員会」を開催させていただきます。
 初めに、本日の委員の出欠状況でございますが、すべての委員に御出席いただいております。
 後ほど詳しく説明させていただきますが、本委員会におきましては、去る5月17日の介護給付費分科会におきまして、検討内容の一部追加があった上で、これまでの調査実施委員会という名称から、この介護事業経営調査委員会というように名称を変更いたしまして、そのことにつきまして、分科会において了承いただいておるというところでございます。
 構成メンバーにつきましては、引き続き6名の委員の方々にお願いしまして、委員長も引き続き田中委員長にお願いいたします。
 それでは、議事に入ります前にお手元の資料について、確認をさせていただきます。
 座席表、議事次第に続きまして、資料1「『介護事業経営調査委員会』の設置について」。
 資料2-1「介護従事者処遇状況等調査の実施について(案)」。
 資料2-2「平成24年度介護事業実態調査(案)」。
 そして、名簿でございます。
 資料の不足等がございましたら、事務局までお申し付けくださいますようお願いいたします。
 以降の進行を田中委員長にお願いいたします。

○田中委員長 皆さん、おはようございます。ちょっとかぜを引いて、声がかれていますが、お許しください。
 議事次第に沿って、順番に進めていきます。
 初めに、この介護事業経営調査委員会の設置について、もう一つ、平成24年度介護従事者処遇状況等調査の実施について、この2つに関して事務局から説明をお願いします。

○説明者 それでは、資料1、資料2-1、資料2-2を併せて御説明させていただきます。
 まず、資料1をごらんください。「『介護事業経営調査委員会』の設置について」でございます。この資料につきましては、さきの5月17日、介護給付費分科会で御了承いただきました資料から案が取れたもので、内容は同様のものでございます。
 これにつきまして、「2 検討内容」でございますが、この委員会におきまして、(マル1)~(マル4)の調査につきまして、調査設計、分析等について検討を委員の先生方にいただきたいというものでございます。
 (マル1)~(マル4)のうちの「(マル4)介護事業経営分析等調査」でございますが、この調査につきまして、今般新たに追加をいたしております。これによりまして、委員会の名称を経営ということでやらせていただいている次第でございます。
 構成メンバーにつきましては、6名の委員の方々に引き続きお願いいたすものでございます。
 2ページ目を見ていただきますと、今、申し上げたことのポンチ絵でございます。
 「1.目的」は省略させていただきます。
 「2.検討内容」のところで、3つ目の箱の「介護事業経営分析等調査」で、例といたしまして、訪問看護事業所の経営状況の分析ということが書いてございます。これは例でございまして、介護事業の経営という観点から少し調査をできないかということでございます。
 簡単ではございますが、資料1の説明は以上でございます。
 続きまして、資料2-1をごらんください。「介護従事者処遇状況等調査の実施について(案)」でございます。今年度実施いたします調査といたしまして、介護従事者処遇状況等調査がございます。これの実施の案について御説明いたします。
 介護従事者の処遇状況・処遇改善については、御案内のとおり、これまでの処遇改善交付金から平成24年4月より処遇改善加算として介護報酬の中に組み込んだところでございます。これによりまして、現場の賃金水準がどう変化しているか。また、平成23年度までの水準が維持されているのか。こういったところの調査が今回の調査の主眼になるかと思います。
 このため、調査対象、調査項目等については、前回の平成22年度調査、これは交付金が入ったときの検証した調査でございますが、この平成22年度調査を基本的に踏襲いたしまして、経年で比較ができるような形で行いたいと考えております。
 2.の調査時期等でございます。調査時期は平成24年10月で、平成21年度の調査と同様でございます。公表時期につきましても同様に年度末、来年3月を予定いたしております。
 「3.調査対象及び抽出率」でございます。調査対象については前回と同様に、7種類のサービスについて調査をいたしたいと考えております。介護3施設プラス訪問介護、通所介護、それから、認知症対応型共同生活介護事業所及び居宅介護支援事業所の計7サービスで行いたいと思います。
 抽出率については、3ページになります。7種類のサービスについて、それぞれ以下のような抽出率で、これも前回、前々回と同様の抽出で行いたいと思います。
 下の箱が各施設の従事者票、職員の方の状況を調査するものでございますが、これにつきましても抽出率は変更いたしておりません。
 2ページにお戻りいただきまして、「4.調査票の統一化」でございます。前回調査までは7種類のサービスごとに調査票を分けて作成しておりました。基本的に調査する項目、それから、選択肢の内容等がほぼそれぞれ同様でございますので、今回は調査票を一本化いたしまして、多少、選択肢の内容等を工夫いたしまして案を作成しております。
 「5.調査項目の変更等」ですが、◎を付けてございます新たに加わる項目といたしまして、真ん中の下ほどの「介護職員処遇改善加算の状況」ということで、加算ができましたので、これにつきましては新たに問いを追加してございます。
 それ以外のところでは、最初の「給与等の状況」で、△となってございますが、これについては先ほど御説明いたしましたが、交付金が終わって加算になったということで、平成23年度までの交付金時代の給付水準がどうなっているかということで、少し選択肢の内容を変更してございます。
 それから、下から2つ目の箱、「職員配置の状況」ですけれども、これについては一部、前回の平成22年度の調査におきましては、同時に介護事業経営概況調査を同一事業所に対して2種類の調査をしてございます。そちらの方で調査項目として置かれておりました常勤換算の職員数について、今回はこの処遇調査の方で調査をするということでございます。
 それ以外の調査項目につきましては、時点修正や選択肢が一本化したことによるボリュームアップ以外、基本的には前回と同様で案を作成してございます。
 それでは、資料2-2、調査票の案について、前回からの変更点を中心に御説明させていただきます。
 1ページ目でございます。「問1.給与等の状況について」につきましては、選択肢として「1 給与等を引き上げた」の次に、従来は、引上げを行わなかったが云々というところを、平成23年度の給与水準を維持しており、もしくは維持しているがという形で選択肢の内容を変更いたしました。
 その下の問1の(2)~(4)につきましては、先ほどの問いで、給与引上げ、または引上げ予定と答えた方へ、その内容についての設問でございます。
 (2)は、前回と同様の内容。
 (3)については、交付金のところを加算に変更してございます。併せて、1番の選択肢で、「介護報酬改定(介護職員処遇改善加算を除く)」ということで書かせていただいております。
 (4)につきましては、前回調査と同様の項目となってございます。
 その下、(5)ですが、これは給与等を引き上げる際に何らかの要件を付するというケースについて、その要件の内容を聞くものです。これにつきましても、前回調査と同様ということでございます。
 2ページ目でございます。(6)~(7)につきましても、前回調査と同様の設問となっております。
 以上が給与等の状況です。
 次に、「問2.介護職員処遇改善交付金について」。これも前回調査と同様に、調査項目を3問載せてございます。ちょっと多いのですけれども、平成21~24年度までの申請状況等について引き続き調査をいたします。
 平成24年度については、2~3月提供分が、二月遅れで4~5月に支払いがある分について、平成24年度分として申請行為が必要ということでございますので、交付金として平成24年度まで調査を行うという形になってございます。
 3ページでございます。問3が丸々、前回からの追加ということになります。「問3.介護職員処遇改善加算について」、今回新たに調査を行います。
 (1)~(2)は、交付金と同様のお尋ねでございます。
 (3)については、従来、交付金の方で設問がありましたものを今回は加算の方でのみ職員数を確認することとしております。
 (4)については、加算の場合、いずれの加算で届出をしているかということでございます。
 あと、今回キャリアパス要件、定量的要件について、加算については平成22年度調査にはなかったものですけれども、1問追加しております。この要件の内容については、調査票では書き切れないと思いますので、記入要領の方で詳細な記載をさせていただきたいと考えております。
 (6)については、届出を行わない理由について、交付金と同様に設問を設けております。選択肢の「5 利用者負担の発生」、ここが交付金の方にはないのですが、加算の方では1割負担の分がありますので、理由の項目として1つ追加いたしております。逆にキャリアアップ要件が不明という項目については、こちらからは除いております。
 4ページ目でございます。問4で、これは給与以外の処遇改善の状況について聞くものでございます。これにつきましても、前回調査と項目については同様としているところでございます。
 5ページで、問5と問6でございます。
 問5の併設サービス等の状況については、制度改正で追加されました21番、22番、2つの新サービスについて追加でお聞きしたいと思います。
 問6につきましては収支の状況ですけれども、前回調査と同様に1問設けてございます。
 ここまでが7サービス共通の問いということになっております。
 6ページ以下、しばらくの部分につきましては、それぞれ調査対象サービスごとに1ページずつですので、該当のページ、1ページのみ記入くださいという形で作成してございます。
 6ページを見ていただきますと、特養の例でございますけれども、問7で、各種加算の算定状況。問8で、利用者の状況。これらは前回調査と同様でございます。
 問9で、職員の状況。ここにつきまして、先ほど御説明させていただきましたが、前回は経営概況調査の方で把握ができた(3)の問いです。これについて、今回、この調査票の方に復活をさせております。
 以下、7ページ以降、同様にそれぞれのサービスごとに、若干、加算のところの内容等が変わっておりますので、ここについては該当のサービスについて記入いただくということにさせていただいております。
 13~14ページをごらんください。こちらが、今度は職員の方、従事者票ということでございます。13~14ページで1票ということでございます。
 これにつきましても、前回、平成22年度の調査と同様の形で、見ていただきますと、それぞれの職員の方について、平成23年度、平成24年度の2段書きになっております。それぞれ平成24年9月時点と平成23年9月時点について、勤務実態、給与の状況などについて記入をしていただくということであります。
 それから、13ページの一番上に下線が引かれてございます。今回、共通の様式にしましたので、ここに抽出率、例えば介護職員であれば5分の1、5人に1人とか、そういった記載がここには書き切れませんので、このような形といたしまして、記入要領の方で必要な数を記入させていただくということにしたいと考えております。
 1点、13ページの、ちょっと字が細かくて恐縮なのですが、「資格の取得状況」、13ページの右側の欄でございますけれども、取得している資格に○を付けていただくところですが、ここで「12 認定特定行為業務従事者」、たんの吸引、経管栄養のできる方につきましては、今回新たに追加させていただきたいと思っております。
 このような形で、1年前との比較ができるということで、前回調査と同様に従事者票については作成いたしたところでございます。
 駆け足になりましたが、資料1、資料2-1、資料2-2の説明を終わらせていただきます。

○田中委員長 ありがとうございました。
 今、説明がありました資料1、資料2-1、資料2-2について、御質問・御意見をお願いいたします。
 千葉委員、どうぞ。

○千葉委員 ありがとうございます。
 今回の調査では、毎年の調査を基本的には引き続きということですが、調査票が集約され、内容的にも標準化されたことで、調査工程も効率化するのではなかろうかと期待しております。
 ちょっと確認が1点と、質問といいますか、意見が2点です。
 まず確認ですが、資料2-1の対象施設の抽出率等々のところですけれども、介護老人福祉施設についてです。これについては、前回もやっているので、今更質問というのはおかしな話かも知れませんが、広域型特養のみを対象としているのか、地域密着型介護老人福祉施設も入れているかどうかということが1点であります。それが入って、6,300ですから、多分入っているのではなかろうかと拝察するのですけれども、その確認だけです。
 2点目は意見ですが、1つは資料2-2の調査票本体の方になります。これは細かい体裁の部分なのですけれども、3ページの問3の(6)、一番下の欄で、選択肢が9つ並んでいまして、それぞれの選択肢の右側のところに回答する欄が四角で囲われているのですが、9番の質問についてはありません。他の質問と平仄をそろえた方がよろしいのではないでしょうか。単に様式の統一性の問題だけです。これが1つです。
 次が、同じく資料2-2の5ページで、問6でございます。これは平成24年9月の収支状況ということなので、1点気になる部分があります。というのも、この平成24年4月1日以降、社会福祉法人については社会福祉法人会計基準が改正になっており、今、ちょうど移行期間でございます。そして平成26年度いっぱいまではこの移行期間なので、一部移行している、新しい会計基準の方に移ったグループと移行していないものが併存していると思います。そこで、この調査票の中の文言で、事業活動収支差額という用語がありますが、新会計基準では科目名が違ってきます。更に言いますと、この事業活動収支差額は、いわゆる収益から費用を引くわけですが、この収益に含まれるもの、それから費用に含まれるものが、会計基準が変わることによって一部変更があると思います。
 したがって、ここについては、この調査票に書くというよりは記載要領の中に、そこの当該部分について、昨年度、平成23年度との比較というところで調査ベースをそろえておかないと、会計基準が変わっただけで収支差の状況がバイアスがかかるということが考えられますので、そこについては御注意いただいた方がよろしいのではなかろうかと思っております。
 大体、そんなところでしょうか。
 あと、問7以降の施設ごとの対象サービスのというもので1ページ1票になっています。注意深く読めば調査対象サービスということで、表紙にも書いてあるのでわかると思うのですが、例えば特養に通所介護と訪問介護がある場合、前ですと調査票がばらばらだったので間違えることはないのですが、全部書いてしまうということがあり得るかなと思うので、そこの交通整理はしっかりされていた方がいいのかなということで、調査票がまとまることに伴って間違いのないようにやられたらよいのではないかと思っております。
 以上でございます。

○田中委員長 ありがとうございます。
 3点目は、実務的にはとても重要ですね。お答えください。

○説明者 お答えいたします。
 地域密着特養については、この中には含まれておりません。前回と同様の整理で行いたいと思います。
 それから、御指摘いただきました、例えば問2、問3の選択肢のその他のところの四角の欄でございますけれども、これについては、やはりあった方がより正確だと思いますので、これは追加いたしたいと思います。
 新会計基準の件につきましては、記入要領の方できっちり書き込んで、調査に間違いのないようにいたしたいと思っております。
 それから、最後の点につきましても、確かに私ども、担当はこれでわかるのではないかという気もいたしておるのですが、確実に必要な内容について御回答いただけるように、もう少し、例えば書き込みを加えるとか、ちょっと字を大きくするところはするとか、少し工夫をいたしたいと思います。
 以上でございます。

○田中委員長 よろしいですか。

○千葉委員 はい。

○田中委員長 村川委員、お願いします。

○村川委員 今年度は従来の交付金から処遇改善加算に変わったということなどを契機としつつ、基本的な要素、項目要素を網羅されているので、大きな流れとしてはよいのかなとは思っておりますが、ちょっと細かい点で、1つは既に以前の段階で御説明いただいているかと思いますけれども、調査対象から通所リハビリテーション及び訪問看護などが除かれている理由を念のために補足説明していただきたいということが1つです。
 2つ目としては、新しい種類のサービスというのは、普及の段階であるので、対象としてなじむのかということがありますが、例えば小規模多機能の事業所も恐らく3,000ぐらいを超えて5,000近くに行っているのかどうか。その辺りが今回見送られてはおりますけれども、そういったこととか、あるいは特定施設の事業所、これはかなり数は多いのかなと思いますが、これも見送られておりますけれども、その辺りの補足説明をいただければと思います。
 以上です。

○田中委員長 お願いします。

○説明者 お答えいたします。
 村川委員も御承知かと思いますが、第1回目の調査実施委員会で、調査対象としてどのサービスを調査するかという点について、委員会の中で御議論をいただいたところでございます。その際に、基本的には介護保険事業サービスに従事するすべての職員の方、全職員数に対して占める職員数の割合の高いサービス、簡単に申しますと、従事者の数の多いサービスを基本に対象としております。
 今回につきましても同様の考え方で、対象サービスを前回と同様の7サービスということにしておりまして、この調査対象の7つのサービスで全体の79%、約8割をカバーするということになってございますので、対象については拡大せずに、前回と同じとさせていただいているところでございます。
 以上でございます。

○田中委員長 よろしいですか。

○村川委員 はい。

○田中委員長 堀田委員、どうぞ。

○堀田委員 幾つか細かい点も含めてなのですが、最初に確認なのですけれども、調査の時期で、たしか平成21年のときもお話ししたような気がするのですが、多分10月ですと介護労働実態調査とほぼ同時期になると思います。前回はこちらの対象になったところを除いて安定センターで抽出したように思うのですが、どのような整理になっているかということです。後ろの膨大な記入もありまして、あちらも御存じのとおり、2年分ではないですけれども、こういったような質問を設けていますので、続けて負担のある調査が行かないようにという工夫がされる予定になっているかという確認です。
 資料2-2の調査票、問1の(1)なのですけれども、2点あります。
 まず質問文について、「給与等の状況について」ということなのですけれども、問1の(2)以降というのは手当のことも入っていますので、手当のことも含めて答えてほしいということがわかるように、質問文を読んで飛んでしまわないようにしておいた方がいいと思います。
 次に(1)の選択肢ですけれども、3番が「今後引き上げる予定はなし」ではなくて、「1年以内に引き上げる予定はなし」の方が正確かなということと、それから、4番に含めるという御趣旨だとは思うのですが、そして、ないと信じたいのですけれども、引き下げたという選択肢も一応入れておくのが網羅的ではないか。それがゼロならゼロと明確に出た方がいいかなということが1つです。
 それから、6ページ以降のサービスごとのところなのですが、まず趣旨の確認なのですが、それぞれ採用・離職の状況についてのところで、まず介護職員の平成24年9月30日時点を聞いて、(3)の中でも勿論、介護職員というのは出てくるわけなのですけれども、この(1)の趣旨というのは、採用率なり離職率の分母として使いたいから、(3)では答えてくれないかもしれないから(1)を入れたということかが1点目です。
 それに関連して、もしそういう趣旨であれば、他の調査では採用率、離職率の分母は1年前の在籍者数にしていたと認識していますので、確認していただきたいということ、その趣旨であれば、派遣職員を含む数を分母にしていいのかということ、もし採用・離職率の分母として使いたいから(1)で特出ししているということであれば、介護職員だけでいいのか、時点はこの時点でいいのか、派遣職員を含む数でいいのか。御確認の上で設定していただきたいと思います。
 先ほどの千葉委員の最後の御指摘との関係で、これはそれぞれのページで、これで終わりと思われては困りますので、一番下に箱で「13ページにお進みください」というものを全部のページに付けておかれるといいかなと思います。
 以上です。

○田中委員長 ありがとうございました。
 最後は御指摘ですので、その前の3つについてお答えください。

○説明者 1点目の10月実施のお話でございます。これにつきましては、他の調査との時期の重複等による負担への配慮という点についてなのですけれども、これについては、済みません、同時期にどれぐらいの調査があるかというのを少し事務的に確認させていただきたいと思っております。お答えは以上にさせていただきます。
 最初の問いの給与等のところでございます。これについては、御指摘のとおり、勿論、記入要領の方で用語の定義は最初にまずきっちり書きますけれども、確かに最初、ここの調査票の中で少し、給与等の後に、例えば括弧で何々等も含むということで、より明確にわかりやすくできる工夫があればしたいと思っております。
 問9の関係でございますが、これにつきましては、済みません、改めて確認の上で、修正等が必要かどうか、また検討したいと思います。
 最後にいただきました、従事者票の方の下に、13ページに飛んでくださいという記載については、そのように書かせていただきたいと思います。
 それから、問1のところで、まず給与等の引下げについて選択肢を設けた方がよろしいのではないかという点についてでございます。これについては事務局としても、引き上げたを聞く以上は引き下げたもあるのか。それで、逆に引き下げたところの回答の内容も分析することにも勿論意味があるのではないかというようなことで、実は少し委員の先生方に御意見も伺いながら、ここはとりあえず、今、項目は立てておりませんが、そういうようなことで考えておるところであります。
 ほかの委員の先生方、どうでしょうか。

○田中委員長 今の引下げを項目に加えることについて、お願いします。

○池田委員 引下げは入れた方がいいと思います。ゼロではないと思います。

○田中委員長 どうぞ。

○藤井委員 途中でもお話がございましたように、処遇改善交付金から処遇改善加算になったので、利用者負担があるので、加算を取らなくするという事態は生じておりますし、それから地域区分の関係で、収益が上がったところも下がったところもある。加算を取った、取らないで下がったところがかなりあると思いますので、それだからといって安易に人件費に手をつけるというのは経営者としては正しくないと思うのですが、現にそういうことが起きていると思います。
 ですので、上がった、下がったということもそうなのですけれども、収益が下がった理由がわかるような項目を回答者負担を増やしてまでつくるかどうかという気はするのですが、少なくとも今の調査票では9月の、利益が上がったか、下がったかという聞き方をしているのですけれども、定点調査なので余り項目は変えたくないのですが、収入が増えたかどうかという聞き方をしたほうが、利益ですと多少見えないものが見えるのかなという気はいたしております。

○田中委員長 どうぞ、村川委員お願いします。

○村川委員 回答の要素として引下げというものを設けるべきかどうかで、客観的に第三者的に行われる調査であれば当然設けるべきであるとは思うのですが、これはやはり政策主体である厚生労働省が行う調査で、処遇改善、給与等の状況、引き上げる努力ということが事業所で基本的に行われるのかどうかということもありますので、ワーディングの仕方にもよりますけれども、引上げを誘導するということはないのですが、そういうふうにとられるとよくないので、これはその他という欄もありますので、仮に入れるとしても、そこはかなりうまいワーディングでないと誤解を与えると、むしろ、これに載っているのだから引下げということもあるのだなみたいな、そういう間違った発信としてとらえられると、考え過ぎかもしれませんけれども、確かに冷静に上げ下げを見るという面もなくはないのですが、少なくとも加算という意味での制度の存続というのか、展開ということがあるということはやはりあってよろしいかと思います。
 それから、ちょっと論点はずれてしまうかもしれませんが、先ほど藤井委員がおっしゃった地域区分のことで、今回、この処遇改善加算と言わば並行してといいますか、同時期に地域区分の変更による報酬改定の要素ということもありまして、今回はそれを大きく位置づけることはなじまないかと思いますが、これは分析できる角度から、1ページ目のところには地域区分等も書かれますので、そういうことが分析作業の中では検討されてよいのかなと、そんなふうに思いました。
 以上です。

○田中委員長 引下げも入れた方がいいという方が多かったですね。
 説明の全体に、今回、処遇改善のための加算が導入されましたがと書いておいて、厚労省の趣旨はそちらですけれども、実態としてはあったかどうかはやはり把握した方がよいでしょうね。皆さん、大体そういう意見です。
 もう一個、堀田委員が言われたのは、今後引き上げる予定はなしと言ったら永遠のように見えますから、1年以内とか半年以内とか、そこを付けた方がいいと言っておられたのですね。
 もう一つ、関連して、今、藤井委員から提案があったのは、給与に影響するのは利益ではなくて売上げではないかという御質問がありましたが、いかがでしょうか。
 経営や経済で言いますと、賃金は利益分配の対象ではなくて、売上げから中間投入物を引いた付加価値の分配なので、利益とは直接には影響しませんが、本来影響するのは売上げ、あるいは外部から買ったものなどを引いた残りの額が影響しますね。介護の場合、余り中間投入物がありませんから、むしろ売上げの方が影響するかもしれませんね。
 今すぐ答えなくても結構ですが、御検討ください。
 藤井委員、ありがとうございました。
 池田委員、お願いします。

○池田委員 ちょっと別な観点になるのですけれども、この調査の目的は、こうした措置が実際に介護職員の給与を上げているかという効果を測定するものだと思うのです。そこで非常に私が気になるのは、前、給付費分科会で申し上げたのですが、介護職員、とりわけ訪問介護員の場合は時間給がきわめて多いということなのですよ。これは介護労働安定センターの調査でいきますと、訪問介護員の8割は時間給です。この方たちの給与実態を見ますと、100万円ではなくて、大体130万円以内パートみたいですね。そうしますと、この方たちに1か月1万5,000円の給料が上がって、年間、例えば18万円上がるとすると、130万円を148万円にするわけがないわけです。130万円のままになりますから、提供時間が減るだけなのです。
 そうしますと、本当にパートのところは上がっているのだろうか。つまり、調査票でいけば16ページのところに賃金支払が月給の者、日給の者、時給の者と分けてあるので、恐らくこれを使って分けてやれば出てくるのではないかと思うのです。特にホームヘルパーはそういった構造が多いですし、介護職員の場合、これは施設と通所が中心なのでしょうけれども、4割ぐらいですから、そこのところを分けて、言わば常勤的な月給の者と時給の者で、日給はたしか非常に少ないと思うのですが、ここのところで分けて分析しないと、ある意味で、一体どういう役割を果たしているかが見えない。私の記憶では、そこのところの分析が今までなかったみたいなので、これは最後かもしれませんけれども、ここの16ページを使った形でもって、クロス集計とかそういうところで見えるようにしていただきたい。これはお願いでございます。

○田中委員長 分析に当たっての視点を提示いただいたと思いますが、どうぞ。

○説明者 ありがとうございます。集計の際に、その辺も考えたいと思います。

○田中委員長 藤井委員、お願いします。

○藤井委員 この調査の目的は、1つは定点調査の性格が非常に強いというふうに理解しておりまして、そういう意味ではこれまでの項目を整理して、サービス別のものをまとめてわかりやすくなっている。多分、付ける方も余り迷わなくなっているという意味では非常に工夫されていると思います。
 定点調査ということは余り項目を変えない方がいいので、こうすべきといいますか、こうしてほしいというのではなくて、少し気になる点として、1つは、今、話題になりました引下げの部分でございますが、もう一つは、やはり今回で言いますと、手当てを本給に代えてくれているといいのだけれどもという仮説があるのだろうと思うのです。勿論、先ほどのこちらの15~16ページを見ればそれは分析できると思うので、それで分析しましょうということもあるのだと思うのですが、これですと個人なので、本当に人事制度としてそうやったかというのはちょっと読み取れないとすれば、その辺りは入れてもいいのかなというのが1点でございます。
 もう一点、今度は細かい点になるのですけれども、これもまた本当に大変今更な点があるのですが、先ほど堀田さんが指摘なさった6ページの問9、同じところなのでございますけれども、ここで(1)が介護職員数で、(2)が採用者数及び離職者数になっておりまして、(3)が全職員数というふうなことになっているのですが、食事の委託が多分一番大きいと思うのですけれども、委託している、委託していない、特に施設ですけれども、これで人数の幅が非常に大きく、全職員数に入ったり入らなかったりするということになりますし、小さいかもしれませんが、掃除の委託などというものもあると思いますので、堀田さんの方から派遣社員はどう入れるかという御指摘がありましたけれども、委託の部分の人数が整合性があるように、今まではこれで来ていたのだと思うのですが、改めてなのですけれども、その点、御確認いただいて、整理いただければと思います。

○田中委員長 ありがとうございます。
 先ほどの第1点、かつての交付金の時代ですと、いつ終わってしまうかわからないから本給には入れられず、手当で処遇していた。手取り金額が変わらなくても、これを本給に変えたということだけでも改善かもしれないですね。
 この点はいかがですか。

○説明者 済みません、最初に藤井委員が定点調査とおっしゃったような気がしたのですが、この調査は毎回、対象を抽出で行いますので、前回、調査対象になった事業所、もしくはその中の従事者に今回もまた聞くという趣旨の調査ではございません。その点は御説明をさせていただきます。
 それから、手当が本給に変わっていればという仮説のもとにというお話で、済みません、具体的にどこの問いの辺りでしょうか。

○藤井委員 いえ、今、聞けていないのではないかと思うのですけれども、そういうことが今回の場合は想定されますので、項目として、例えばですが、問1~2の間なのだと思うのですが、そういう改善を行ったかというような聞き方をどこかに入れてもいいのではないか。
 あと、定点調査はおっしゃるとおりなのですが、定点調査的な要素があるということを申し上げたまでです。

○説明者 失礼いたしました。

○田中委員長 どうぞ、課長お願いします。

○宇都宮老人保健課長 今のところなのですが、例えば問1の(2)のところで、給与表を改定して賃金水準を引き上げたというものと手当を引き上げたというものがありますけれども、それを例えば前回の調査のときは手当と答えた者が多かったが、今回は例えば給与表というものが多かったとか、そういう比較ではだめですか。1事業所の中で、今までは手当だったけれども、給与にしたというのを調べるということでございますか。

○藤井委員 そうですね。それでも聞けると思いますし、更に言いますと、13~14ページで見られるとは思うのですけれども、人事政策としてそういうことをやったかどうかという数字は見られた方がいいかなという趣旨の発言でした。それで、増やすことに積極的ではないのですが、1項目ぐらいならということでございますので、強く主張しているわけではないので、いかがでしょうかというレベルです。

○田中委員長 千葉委員、どうぞ。

○千葉委員 そういう意味では、今、課長がおっしゃったように、この問1の(2)というところが、ある意味、人事政策的な要素の事項になっているのかなと思うので、ここで見れば、同一事業所で無理して比較するのか、全体の中で俸給表を選んでいる人が多いのかどうかというところで見るのかで、どちらでいくのかというだけの問題なので、人事政策ということだけで言うのであれば、問1の(2)というところでも趨勢ぐらいならつかめるのではないかなと思うのです。

○田中委員長 堀田委員、お願いします。

○堀田委員 ただ、藤井委員の御趣旨と合うかどうかはわからないのですが、おっしゃるとおり、この平成24年の半年、上期のことについては問1の(2)でわかるのですけれども、交付金ができてから今までの間に交付金を契機として本体の引上げをしたかというのは、これではわからないということですね。
 ですから、もしも事務局側の御趣旨として、交付金というものが本体に結果として組み込まれたのかどうかということを聞きたいということがあるのであれば、この半期、平成24年の上期と、ここの限定とは別に1問追加して聞かないとわからないのかなと思います。

○田中委員長 それでは、引き取って検討してということでよろしいですか。重要な問題提起がありましたので、可能性も含めて、最後、検討して、実際に進めさせていただきます。今のでいいという結論になるかもしれませんし、1行入るかもしれませんが、しばし、急いで結論を出さずに、事務局と検討いたします。
 ほかはいかがでしょうか。
 どうぞ、村川委員お願いします。

○村川委員 これは先ほど藤井委員から御指摘があった、入所施設系で食事の調理等を他業者に委託しているという場合、事業上の委託の面もありますけれども、しかし事実上、調理加工等に経費を生じて人材が投入されたり等々、その辺りをどう見るか。施設によって調理員を雇用してやっているところ、その他いろいろなやり方が勿論あるのは承知しておりますが、確かにこの関係の業務としては見ておく要素もあるのかなという気がしていますので、事務局の方から特段お答えはなかったのですが、検討していただくなりということです。
 以上です。

○田中委員長 ありがとうございます。
 今まで、平成24年度介護従事者処遇状況等調査の実施について、たくさんの意見をいただきまして、ありがとうございました。今後の進め方ですが、これは実際に会合を開くのは、この次は調査が上がってからになります。したがって、今日いただいた意見を踏まえて、具体的な対応や修正については、形としては私に一任いただいて、事務局と相談した上で、介護給付費分科会に、これは調査を行う前に早目に報告しなくてはならないのですね。勿論、その前にインフォーマルに先生方にちょっとアドバイスを求めるケースがあるかもしれませんが、フォーマルな形としては私に一任いただき、事務局と相談の上、介護給付費分科会に報告するというようにしたいと思いますが、よろしゅうございますか。

(「はい」と声あり)

○田中委員長 ありがとうございます。
 次に、その他の議題について、事務局から説明をお願いします。

○宇都宮老人保健課長 先ほど御説明申し上げましたように、今回、本委員会の検討内容の中に、新たに介護事業経営分析等調査という項目が1つ加わりました。資料1の裏側の方、2ページ目のポンチ絵の方には、その例としまして「訪問看護事業所等における事業所規模別の経営状況の分析等」と書いてございます。この分析の仕方、あるいは訪問看護事業に限らず、その他の事業等において、この関係についてどういった調査・分析を行ったらよいか、そういったことなどについて、もし各委員から何か御意見等があれば、この場をお借りして御自由にいただければと思います。
 なお、介護3施設に係る内部留保に関する実態調査につきましては、別途、老健局の方で調査を行うこととしてございまして、その結果については、この委員会に御報告させていただく予定であるということを申し添えさせていただきます。
 そういうことで、できれば自由に御意見をちょうだいできればと思います。よろしくお願いいたします。

○田中委員長 特段に資料はないようですが、介護事業経営分析等調査の対象として、どのような調査分析があり得るか。たまたま例示としては訪問看護事業所の規模別というものが出ていますけれども、こんなものがいいのか、もう少し、もっと重要なことがあるとか、御指摘をください。お願いします。
 それでは、池田委員どうぞ。

○池田委員 幾つかあるのですけれども、1つは賃金体系がどうなっているかということを調べる必要があるのではないか。昇給線を見ても大体、介護職員の供与体系はやはり女性賃金が、差別賃金と言ってもいいのですけれども、そこで非常に低くおとしめられているというのは間違いなくあります。一体、きちんと給料表をつくって持っているのかどうなのか、その給料表は何に準拠しているのか、そういったところを見ないと、恐らく永遠に横這いの昇給線というものに終わってしまうので、そこをひとつ調べる方向というものを考えていただきたい。
 もう一つは、実は社会福祉法人と民間企業でまるで違うということがあるので、これを同じ手法で調査していくというのは少し考えものではないかという感じがするのです。社会福祉法人では基本的に措置の時代から予算主義ですから、お金を前もって持っていないと心配で何もできないという体質がある。民間の方から基本的に借金をして、それを回していくということなので、まるで発想が違う。そこのところを片方の発想でやってしまいますと、社会福祉法人型で考えれば民間法人が迷惑しますし、民間法人型で考えられたら社会福祉法人はやっていけないということがあるので、そこの調査の手法はやはりかなりきちんと考えなければいけないのではないかというのが2つ目でございます。
 大きい3つ目なのですけれども、これはここでやるのだろうな、ここでしかできないのだろうなという気がするのですが、経営という概念がここにはっきり書いてあるので率直に申しますけれども、介護保険給付の介護報酬の中での利益率はそんなに高く取れるわけではないというのは社会的に常識だと私は思うのです。それはなぜかといいますと、社会保険は準市場ですから、それなりに一つの規制があるのは当たり前なのです。ですから、そこで大もうけしようというのはちょっと厚かましいというのはだれだってわかると思うのです。しかし、介護サービス事業というものが利益を上げてはいけないという理由はどこにもないわけであって、利益を上げていいわけです。
 そうしますと、この介護保険が10年以上経って経営という面から見ますと、何で混合介護は伸びないのかということなのです。命に値段はありませんから、私は混合医療は反対です。しかし、暮らしというのはいや応なく値段が付いているということがありますと、混合介護はあっていい。つまり保険外給付で、これは法律に違反しない、社会的常識を逸脱しなければ高収益を上げてもいいわけであって、そこのところの仕掛けは一体どうなっているのかということです。これは話が大きくなり過ぎて調査になじむのかということはあると思うのですけれども、これぐらいの大きなマーケットでもあるわけですから、その辺も視点に置いていただきたいということです。
 
○田中委員長 今日はいろいろと伺って、その中から対応可能なものをピックアップすることになると思いますので、逆により広い御意見も大いに伺っておきたいと思います。
 千葉委員、どうぞ。

○千葉委員 池田委員みたいな大所高所の大きな話ではなく、かなり目先のテーマになってしまうかもしれないのですが、1つ提案なのが、今回、介護保険の報酬改定の中で新しく入ってきている、定期巡回・随時対応とか複合型というものがあります。まだ、これは全然、調査になじむほど世の中にあるほどになっていないので、調査に今すぐというわけにはいかないかとは思うのですが、ただ、逆に政策的に早期にこれを普及させていきたいというのは多分あると思います。ですから、そういう意味では、それがうまく普及できるためのモデル事例といいますか、ベンチマークといいますか、例えばそういうものがうまくいくためのキー・ファクター・フォー・サクセスというものは何なのかという辺りを探るような調査とか、収支状況についても、何かベンチマークスタディみたいなものをすることによって、いわゆる新型のサービスについてのビジネスモデルの提示を行う、そのような調査をやられたらいかがかなという気がしておるのが1つです。
 それから、これはもう決着がついているのかどうかわからないのですが、給付費分科会の上の委員会の方でも報酬改定の際とかでいろいろ議論にもなったかと思うのですけれども、例えば居宅介護支援というもので、非常によくケースをいっぱい抱えてやっていらっしゃるところと、稼働率が悪くて結果的に収支差が悪いというような指摘があったと思います。そういう稼働率というものをどう考えるのか。ある意味、3施設について内部留保調査をやるというのであれば、その最適稼働率みたいなものを同じような思想で、施設だけではなくて居宅サービスなり居宅支援というところでも考えられるべきものがあるのではないか、そういう稼働率関係の調査というものも何か面白いのかなと思っています。
 それから、むしろ別途予定される内部留保の調査の方に委ねるべきなのかもしれないのですが、そもそも先ほど池田委員のおっしゃったような、社会福祉法人ですとお金がないと心配で動けないというところの実態をつかむという意味では、まさに私もそういう構造は多分にあると思うので、逆に実際の介護事業を行う上での運転資金はどういう動きをするのだろうか。特に貸借対照表で、決算の日時点で現預金が幾らある。でも、それはその後すぐに払う給与とか、夏のボーナスとかで残高が一気に落ちていくと思うのですよ。ですから、これは無理な調査といいますか、調査客体に負担をかけますが、月次でそういう運転資金の残高がどう振れていくのか。もっと言ってしまえば、日次で振れの具合というものを見ていったときに、最低限、期首で幾らぐらい持っていなければいけないのかというような、必要運転資金というものの実態をつかんでおくのも必要かもしれないなと思っています。
 逆に言いますと、それでたらずまいが出たときに借りればいいではないかというのは民間の発想なのですが、社会福祉法人の場合、長年、行政指導の中でそういうものを借りてはいかぬという、いまだにそういうものを平気で指導しているような地方公共団体もあるわけでありますので、そういうことも近代化していくということを進める上でも、やはり実態として調べておくということは必要かなという気がしております。
 以上です。

○田中委員長 ありがとうございます。
 どうぞ、藤井委員お願いします。

○藤井委員 大きく2点ほどございます。
 1点は、池田委員の話を聞いて触発されまして、私も社福と民間は経営の発想が全然違うものを一緒にしていいのかという考え方でございます。
 その中でなのですけれども、どう考えていいのかよくわからないのが、社会福祉法人も多くは介護保険と同時にかなりやり過ぎた経営に走っている。つまり、人件費を下げられるだけ下げようみたいなことに動いた人たちも多いのですけれども、一方で、従来と同様なやり方をやっているという方々も結構いらっしゃいます。
 「そのまま」というのは、給与テーブルが公務員水準。公務員が悪いと言っているわけではないのですが、とにかく評価とかそういうものがないまま、だらだらと人件費が上がっていくというものをお抱えになっておられて、私の言い方をすると、赤字が垂れ流しているとしか思えない。平気でいらっしゃるのは、資金収支と言われるキャッシュの部分を見ているので、減価償却をやると赤字ですが、まず赤字ですかと聞くと、減価償却前ですか、後ですかという質問を受けることが多いのですけれども、そういうところの赤字というのが少なからずございます。
 そういう事業所を加えて平均を取って、更に10%前後利益があるというのは、いかにもうけているところはもうけているかという話なのですが、この経営が効率化していないといいますか、真っ当な経営になっていないという部分がやはり相当残っているという部分を、今までは気にしないでといいますか、行き過ぎた経営の方に気にしていたわけですけれども、両方見ていかなければいけないのではないかなというのが大きい方の1つでございます。
 小さい方の1つは、規模別で収支を見よう、あるいは地域別に損益を見ましょうというのはこれまでもやってこられたと思うのですけれども、地域包括ケアを2025年にまでといったときに、従来のサービスも併せて、もう少し機能別に見ていかなければいけないのではないかという気がしております。
 端的な例が訪問介護でありまして、やはり8割ぐらい生活支援ですという事業所もあれば、先ほどありました特定行為の業務をしっかりやっていて、9割以上が身体介護です、平均要介護度は3.8ですという訪問介護事業所もございます。これはやはり、地域包括ケアを考えるときに担っていただける役割は違うわけですが、今ですと一応、報酬の2区分はございますけれども、機能別の経営分析は行われてこなかった。
 あるいはケアマネ事業所で集中減算というものがございますが、これは田舎に行くとしようがない面は多少あるのだと思うのですけれども、都会で集中減算でやっておられる。これは間違いなくほかの事業である程度もうけているから、むしろ集中減算を食らっても構わないという経営だと思うのですが、これはケアマネジメントの機能ということで経営を見るのは難しいので、田中先生がよくおっしゃるような、少し一体の事業として見るということがあるかもしれないと思います。
 あるいは小規模多機能が千葉委員の方からございましたけれども、これは今後出てくる24時間訪問介護・看護もそうなのですが、やり方によって機能が相当違ってきていると思います。端的な例が小規模多機能をサ高住と一緒に建てる。そこの方を中心にやられる。あるいは老健施設が、3か月老健に入って、3か月外にいるときは、この小規模多機能を使ってくださいという、往復型で使っているようなケースもあります。
 この機能分類みたいなものがこれまで余りなされてきてはいないのですけれども、そういう少し機能分類という仮説をもとに、地域包括ケアをやるというときに、従来型のサービスと併せてどんな機能を担っていただかなければいけないか。そのときに、それを評価するためにはどういう指標を取って、それでは、その機能を発揮している事業所とそうでない事業所の経営の状況はどうだろうかといったような見方ができれば、せっかくのお金を効率的に使えるということにはなるのではないかなと思っていたりします。
 以上です。

○田中委員長 ありがとうございました。
 現在のサービスの給付品目ベースではなくて、通所も訪問も機能がいろいろとあると池田委員がよく言っていらっしゃいますね。お預かりデイ、クラブデイ、アルツハイマー型のデイ、リハビリできるデイなど、その機能こそが重要であって、名目としての通所介護ではない。そういうことを勘案する方が、将来を見据える上では大切であろう。少なくとも、学会ベースでは大変正しい発言だと思うのですが、実態としてできるかどうかはこれから検討しますけれども、分析の視点としては的確であると思いました。ありがとうございます。
 堀田委員、どうぞ。

○堀田委員 今、池田委員と藤井委員が御指摘になったことと趣旨として重なると思うのですが、1つは、この調査実施委員会の最初から申し上げていますが、介護関係の事業者の法人単位での実態把握というのが今のところ、なかなかできていないと思っていまして、まず法人の展開ということをしっかり見るというのが1つ押さえられるといいのかなと思います。
 介護保険事業所の数、事業所の種類、事業の種類ということもなのですが、介護保険の中だけではなくて、医療・介護、ソーシャルケア、健康、生活支援関連のものまで、それから、関連法人として社福と医療と民間とやっていたりということもいまはなかなか全容がわかりません。地域も地域限定なのか、広域で展開しているのかとか、そういったような介護関連の法人の展開が介護保険の中だけではなくて関連事業まで含めて、そして、できれば提供している機能というものとセットで、どのような広がりになっているのかというのは把握できるといいと思います。
 まず、その実態を把握した上で、これは非常に調査が難しいと思うのですが、先ほども指標というお話があったのですけれども、例えば地域包括ケアとの関係では、筒井孝子さん等が開発なさっている連携活動の評価、あるいは最近関心が持たれているところの、キャリアの可能性がどうなっているかとか、そういったものを関連付けて見ていくという視点が必要かなと思っています。これが中心です。
 1つ、先ほど池田委員から御指摘のあった賃金体系なのですけれども、調べることが大変重要であるのはそうなのですが、賃金制度は調査がすごく難しい。質問紙ベースでやるというのは限界があって、昨年度の、多分、この夏に報告されるであろう介護労働安定センターの、毎年やっている実態調査ではなくて、特別調査というものがあって、その特別調査でも賃金体系をとりあげました。当初、厚労省が全産業でやっている賃金制度関連の調査票をベースとして深めて質問紙調査をするかということも考えたのです。
 しかし結果として、やはり人事制度の中での賃金制度の位置づけ、キャリアとの結びつきとかも勘案しながら書いていただくのは非常に難しくて、現状をうまく把握できないのではないかということで、結果的に事例調査になったのです。この賃金体系はよく調べる必要があるものの、調査の仕方は工夫が必要かなと思います。
 以上です。

○田中委員長 どうぞ。

○池田委員 そのとおりだと思います。しかし、実は給料表を持っていないところが結構あるのではないかと私は思っています。給料表があるときは、大体何かに準拠しているというのが一般的ではないか。例えば看護師の場合ですと国家公務員の医療職3表が基準になっていますし、いわゆる現業ですと行政職2表を使ったりしていますし、福祉職給料表というものもありますので、それである程度、目安が見えないのかなというのと、あるかないかという、それもすごく大きいなという感じがします。
 ただ、これをつかまえないと、多分、事態は何も変わらないということがありますので、おっしゃることはよくわかるのですが、何とかしてほしいなという感じです。

○田中委員長 政策目的上、重要なものを選び、かつ実施可能なものをつくっていく。すばらしく重要ですけれども、だめなものもあるかもしれませんし、これから検討するための材料を皆さんからいただいています。どうぞ、村川委員お願いします。

○村川委員 各委員からいろんな御指摘もありまして、重なる点もあるかと思います。
 まず1つは、今日の前半で行われましたような処遇状況等調査ということで、明らかに対象がおもだったところといいますか、限定もありまして、詳しく扱われないところもあります。そういうわけで、私はやはり地域密着型サービス、認知症のグループホームは先ほどの調査には入っておりますけれども、それ以外のところなど、地域密着の関係というのはこれから、ある意味では育成・誘導されるべき分野で、先ほど来御指摘の地域包括ケアのシステムという点でも重要なものでありますから、これがやはり立ち上がっていくような、率直に言って、制度化されて6年ぐらい経過しているものもあるにもかかわらず時間がかかっている。
 勿論、それが伸びていきにくい地域的条件、いろんな要因があるのはそのとおりの面もありますが、しかし、やはり客体として、1つはデータを得るということもありますし、その中で立ち上がってきたところでの経営モデルということもあろうかと思いますので、これは、地域密着についてはサービス別といいますか、非常に細かくなりますから、いきなり8種類というわけにはいかないと思いますが、小規模多機能等、やはり伸びていくであろうところについては、見通しをつけるという意味でも的確な分析ということはデータとしても残し、経営モデルを追求するというようなことはあってよいのかなと思います。
 それから、先ほども申しましたが、もう一つは、これは池田委員の混合介護のこととも少し重なりますけれども、やはり特定施設のサービスです。これも事業所も、多くは株式会社等が有料ホームをやっておられますが、一部社会福祉法人も有料ホームあるいはケアハウス等をやっているというようなところでもあり、やはり特定施設関連のところは、今後のサービスつき高齢者住宅等の関連もありますので、きちんとしたデータを得ていく。確かに分析的には、先ほど来御指摘の社会福祉法人と民間企業等の経営手法の違いといった辺りもありますので、確かにそこを考慮に入れながら、どういうふうな調査といいますか、分析なり、あるいは1つのサービスについて、1つのモデルではなくて複数モデルというようなこともあるのかもしれないという気がいたしました。
 また、先ほど来御指摘の給与表で、大変これも注目すべき事柄であると私も思っております。各委員が既にそれぞれの分野で探求されているところで、一つの法人事業体として望ましい経営を展開されているというところもあるとは思いますし、そういったものを集めていくというやり方もあるのかもしれません。また、サービスの種類ごとの、いわゆる業界といいましょうか、それぞれの団体等もあるかと思いますので、やはり適正な発展ということを考えていきますと、主な入所系のサービスもそうでありますが、先ほど来御指摘の居宅系なり地域密着なり、そういうところでの給与表の成り立ちといいましょうか、あるいはそういうもののモデルという事柄は、この場のような調査を進める側もありますし、業界といいますか、それぞれの団体の中でいま少し考えて、データなどを出していただくことなども含めて検討を深めていくというようなことも、これは勿論、1年間でできるものではありませんから、数年、中長期。
 そういう点から言いますと、これはこの場の議論になじむか、あるいは別途の委員会等もあるのだろうと思いますが、今日は資金面、収支その他のことが、給与等が主な論点とはなっているわけですけれども、やはりもう一方での人材確保戦略です。そういうこととの関連ということもこれは不可欠なので、その辺りをどう見ていくかということが領域としてはあるように思います。ほかの分野で、ほかの場でしっかりとそれが行われればいいのかなとも思います。
 それから、これは余り先々、取り越し苦労のようなことを考えてはいけませんが、当面は2025年の地域包括ケアといった、全体としては高齢者人口が伸び、要介護の人々が伸びる2025~2030年ぐらいにかけての、この分野のある意味では上昇局面かもしれませんけれども、逆に我が国の人口全体の減少とか、この分野も恐らく2030年代の後半か、これは断言できませんが、構造変化していく局面、後退という言葉は使いたくはありませんけれども、収縮していく局面が全くないとは言えません。そういうことも考えて、やはりしっかりとした経営モデルということが高齢者等にとっても、利用者にとっても望ましいわけでありますから、やはりそういうことは是非、こういったことを契機に、中長期の見通しを持った検討の場ということは大いに行われてよいのかな、そんな気がいたしました。

○田中委員長 いろいろと御指摘、ありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。
 どうぞ、池田委員お願いします。

○池田委員 先ほど3つほど言ったのですけれども、今日はいろいろ言って、その中でできそうなもの、やった方がいいものを取り上げていただくという趣旨だと思いますので、いろいろと出してしまおうと思います。
 1つは、経産省と違って厚生労働省は産業政策というものをお持ちになったことはないと思うのですが、介護産業は全く新しい産業ですから、やはり一定程度、産業政策みたいなものを持つ必要があるだろうと私は思っております。
 そこで非常に重要なのは、実は介護サービス事業の最大のアキレス腱は中小零細企業の濫立なのですよ。これが結局、キャリアパスもできなければ、安定的な賃金ということもできないという温床になっているのではないか。そうしますと、別にガリバー的な独占企業をつくれという気は全くないので、従業員200~300人ぐらいの中堅企業を育てるということをきちんとやらないと、この業界はもたないのではないかと思います。
 そうしますと、そういった観点から1つは、先ほど堀田さんが言われましたけれども、今までの調査はほとんど事業所単位なのですよ。事業所は小さくて、小さい方がいい場合もあるわけです。ところが、法人は一定の規模を持っていないと回っていかないわけです。ですから事業所単位ではなくて、法人単位でどう動いているかという、その視点で分析していくことが一つは必要なのではないかというのがあります。
 関連して、中小零細企業が濫立している結果の一つの現象でもあると思うのですけれども、収益とかそういうものを見ますと、大変なばらつきを示しています。これは先ほど千葉委員もおっしゃいましたが、もうけているところはもうけているのです。赤字のところは悲惨な状況であるということがありまして、このばらつきを是正するためにも、先ほど言いましたように、一定のスケールメリットはどこにあるかというのがちょっとわかりにくいのですけれども、それを探る必要があるだろうというのが1点です。
 2点目は、これも産業政策に絡む問題だと思うのですが、規制の在り方を経営との関連で考えてほしいのです。必要な規制もありますけれども、およそくだらない規制もいっぱい残っていることは間違いないと思います。
 大体、事業者のところに行きますと、時たま県の職員がやってきて、物差しではかって、何cm足りないと、はっきり言って、本当にくだらない。そういう規制というのは取り払うべきである。私は基本的に、介護保険は契約の世界に入ったわけですから、事前規制は要らないし、やっていないはずです。問題は事後規制をきちんとやればいいわけです。そういった意味では、事前規制に近いような形であちこちにつまらない規制をつくるなということなのです。その代わり、悪いことをやったら徹底的に締め上げるという事後規制を厳しくする。そういうふうにしないと、事業者が非常に縮こまってしまうのです。
 これは厚生労働省を非難するよりも都道府県を非難したいという気持ちの方が強いのですけれども、それはそれで取り外してほしいというのが2点目です。
 もう一つ、3つ目は、これは私が今まで体験してきたこともひっくるめてなのでしょうけれども、簡単に言いますと、労使関係も見てほしいのです。難しいと思うのですけれども、厚生労働省ですからね。
 なぜかといいますと、クラフトユニオンなどはちゃんと賃金を上げていますね。片方で、労働組合があって労使関係がきちんとできているところはそれなりに正常に動いていくのです。ところが中小零細企業で見ますと、労使が癒着してしまっているのです。それで結局、介護報酬を上げることに集中し、適正な賃金配分、経営責任などがあいまいになっている。これは非常に不幸な状況だと私は思うのです。
 そういった意味では、労使関係にも目を配るような、難しいことはあるのですが、そういうくらい、ちょっと幅を広げた形で経営の分析というふうにしていただきたい、私はそういう意見であります。
 以上です。

○田中委員長 ありがとうございます。
 すべてがこの委員会でするかどうか、老健事業でテーマとして投げて、関係者に分析してもらった方がいいものもあると思いました。
 私も1つだけ、これは委員長ではなくて委員としてですが、先ほど来堀田さんも言われた法人単位、経営の単位での規模の経済性の方は重要です。この例示で挙がっている訪問看護事業所の規模別は余り意味がないですね。これは既に訪問看護の協会や財団から、それこそ老健事業で幾つか報告書があります。
 どのみち、1つのステーションに50人の看護師がいることはあり得ないわけですが、1つの法人にステーションが幾つあるか。そのステーション数による規模の経済性は当然、事務管理部門等で発生します。それから、1つの法人に訪問看護師が何人いるか。事業所ではなくて法人単位で、ステーション数で聞いてもいいですし、抱えている訪問看護師数でもよい。これは経営のレベルでの規模の経済性があるはずですね。1つの事業所に看護師を、そんなにたくさん置いても逆に移動距離だけが長くなってしまうので、ステーションは適当にばらけた方がいいはずなのです。
 3人よりは5人の方が経営がいいとの統計は出ていると思うのですが、そこから先は事業所ではなくて、もう少し経営の観点が必要であることは皆さんと私も同感です。
 そろそろ時間になってきましたが、もう1~2点いかがですか。
 よろしゅうございますか。
 それでは、今、言われたことを、この調査の対象にするか、それとも、なかなか研究的に重要だから、研究費を出して、厚生労働省の科研費なり老健事業で調べてほしいとするか、いろいろな扱いがあると思いますが、それは事務局と相談しながら進めていきたいと思います。今日は大変貴重な御意見をありがとうございました。
 それでは、今後の日程について事務局から連絡をお願いします。

○説明者 現時点で具体的に日程等は決まっておりませんが、また決まった段階で御連絡の方をさせていただきたいと思っております。

○田中委員長 また細かい点について、個別に先生方にアドバイスを求めることがあるかもしれませんが、フォーマルにはまだ次の日程は決まっていません。
 本日は11時半までの予定でしたが、大体議論は尽きましたので、これにて閉会いたします。
 どうも、長時間にわたり、ありがとうございました。


(了)

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