ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医薬・生活衛生局が実施する検討会等> 医薬品・医療機器等対策部会> 第22回医薬品・医療機器等対策部会議事録




2012年3月22日 第22回医薬品・医療機器等対策部会 議事録

医薬食品局安全対策課

○日時

平成24年3月22日(木) 10:00~


○場所

厚生労働省18階 専用第22会議室


○議事

○事務局 定刻よりも若干早いですが、委員の先生方が全員お揃いですので、ただいまより「第22回医薬品・医療機器等対策部会」を開会いたします。開会に先立ちまして、傍聴の皆様にお知らせいたします。傍聴に当たっては、既にお配りしております注意事項をお守りくださいますようお願いいたします。本日の部会は従来の取扱いと同様、公開で行うこととしております。カメラ撮りは議事に入る前までとさせていただきますので、マスコミ関係者の方々におかれましては、ご理解とご協力のほどお願いいたします。本日ご出席の委員の先生方におかれましては、ご多用のところをご出席いただきまして、誠にありがとうございます。本日は本部会委員14名中13名の出席をもちまして部会を開催させていただきます。なお、寺井委員は欠席とのご連絡をいただいております。この先の議事進行は外部会長にお願いいたします。
○外部会長 それでは議事に入ります。まず、事務局から資料の確認をお願いいたします。
○事務局 お手元にお配りした資料のいちばん上に座席表、議事次第、委員名簿、配付資料一覧と続きます。次に、資料1としてヒヤリ・ハット事例等収集結果-医薬品-、参考資料1として医薬品ヒヤリ・ハット事例等収集結果参考資料、資料2としてヒヤリ・ハット事例等収集結果-医療機器-、参考資料2として医療機器ヒヤリ・ハット事例等収集結果参考資料、資料3として薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業収集結果、参考資料3として薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業収集結果参考資料、資料4として医療安全関連通知集、参考資料4として医療安全関連通知集参考資料、資料5としてPMDA医療安全情報、その他参考資料として、本部会の設置要綱等をお付けしております。資料は以上ですが、過不足等ありましたらお申し出ください。
○外部会長 議事次第に従って、議事を進めていきたいと思います。今日は検討事項が3つ、報告事項、その他となっております。検討事項の1つ目は、「医薬品ヒヤリ・ハット事例等収集結果について」です。まず、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 資料1と参考資料1をご覧ください。資料1を1枚めくりまして、本報告書は独立行政法人医薬品・医療機器総合機構(PMDA)が、医薬品の使用方法及び名称・包装等の物的要因の観点から、公益財団法人日本医療機能評価機構による医療事故情報収集等事業の第25回・第26回の報告書、及びホームページ上の公開データ中のヒヤリ・ハット事例記述情報及び医療事故事例の概要について分析し、その結果を報告したものです。今回のヒヤリ・ハット事例等の報告の内容ですが、医療事故関係については医療事故情報収集等事業第25回・第26回報告書中の記述情報及び評価機構ホームページ上の公開情報から抽出した、平成23年1月1日から6月30日の間に報告・公表された事例です。
 また、ヒヤリ・ハット事例関係については、この報告書中の記述情報から抽出した平成23年1月1日から6月30日までの間に報告された事例です。その他については、この報告書中の記述情報から別途抽出した医薬品に係る事例となります。医薬品に起因するヒヤリ・ハット等の事例について、医薬品の使用方法及び名称・包装等の観点から、安全管理対策に関する専門的な検討を行うため、各医療関係職能団体等の委員から構成されるPMDAでの医薬品・医療機器安全使用対策検討会で検討した内容をご報告いただいたものがこの紙です。
 右頁は今回の調査報告です。表にあるように、計198例について、調査を行っております。医薬品の安全使用に関して、製造販売業者等による対策が必要または可能と考えられた事例、製造販売業者等により既に対策が取られているもの、もしくは対策を既に検討中の事例、ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例、情報不足等のため、製造販売業者による対策が困難と考えられた事例、以上4つの事例に分けて、それぞれの件数を掲げた表です。今回、製造販売業者等による対策が必要または可能と考えられた事例は2件、既に対策が取られているもの、もしくは対策を既に検討中の事例が5件、ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例が162件、情報不足等のため、製造販売業者による対策が困難と考えられた事例は29件でした。
 検討結果については次頁、資料1の1頁に記載があります。こちらは医薬品の安全使用に関して、製造販売業者等による対策が必要または可能と考えられた事例です。まず、No.1の事例は糖尿病用薬と高血圧薬の販売名類似による取り違い事例です。この事例では、外来にて新たに高血圧薬を処方しようとしたところ、カルテには正しい薬剤名である高血圧薬の「アルマール」を記載したが、実際には糖尿病用薬の「アマリール」を処方してしまったというものです。この事例は院内調剤ですが、処方医が腎臓内分泌代謝内科医であり、かつ投与量や使用方法に疑問がなかったため、薬剤師による疑義照会がなされず調剤され、2か月間、患者が誤った医薬品を服用したという事例です。
 アマリールとアルマールの名称の類似性については参考1の6~8頁及び9~21頁に記載があります。こちらには2本通知を出しておりますが、ここにあるのは平成15年から20年に出したものです。この中で医療機関に注意喚起しております。具体的な品目を挙げた注意喚起については、参考資料1の8頁及び13頁に載せております。また、両方の製剤の製造販売業者から、参考資料1の22~25頁のとおり、取り違いに関する注意喚起がなされています。さらに、アルマールについては参考資料1の22頁の中ごろにあるように、平成24年1月に販売名をアルマールから「アロチノロール塩酸塩錠「DSP」」に変更する代替品承認申請が承認されており、アロチノロール塩酸塩錠DSPについては薬価基準に収載後、準備が整い次第発売される予定です。
 次に資料1の2頁、抗がん剤と高血圧薬の販売名類似による取り違い事例です。この事例は海外の紹介状を読んだ上で、患者に高血圧薬の「ノルバスク」を処方すべく、オーダリングシステムに「ノルバ」と入力したところ、ノルバスクに続いて抗がん剤の「ノルバデックス」が表示され、その際誤ってノルバデックスを選択し、処方してしまったという事例です。薬局からの疑義照会も行われずに処方されてしまい、患者は3か月間誤った医薬品を服用したという事例です。ノルバスクとノルバデックスの名称の類似性については、先ほどと同様、平成15年と平成20年に参考資料1の8頁と13頁に記載があるとおり、具体的な品目を挙げて医療機関に注意喚起がなされております。また、両製剤の製造販売業者からも、参考資料1の26~35頁にあるように、取り違いに関する注意喚起がなされております。
 次に、製造販売業者等により既に対策が取られているもの、もしくは対策を既に検討中の事例です。資料1の3~4頁、No.1~2はPTP包装シートの誤飲事例です。PTP包装シートの誤飲については参考資料39~44頁に、平成22年9月15日付の国民生活センターによる報告書を踏まえ、参考資料1の36~38頁にある「PTP包装シート誤飲防止対策について」という通知を発出し、誤飲防止に関する医療機関や薬局への注意喚起がなされるとともに、製造販売業者に将来的には技術的な進歩を見据えた包装の改良及び改善のための研究開発の継続を行うことが要請されているところです。
 資料1の5頁、No.3~4は内服薬の処方せんの書き方に起因して、製剤量と原薬量を書き間違えたことから、過剰量を処方されてしまったという事例です。内服薬の処方せんの記載方法については、参考資料1の51頁から始まる平成22年1月29日付の「内服薬処方せんの記載方法の在り方に関する検討会報告書の公表について」の57頁に、「散剤及び液剤の「薬名」及び「分量」については、薬名を製剤名で記載し、分量は製剤量を記載することを基本とする。例外的に分量を原薬量で記載した場合には、必ず[原薬量]を明示する」と示されています。
 資料1の6頁、No.5は持参薬の鑑別を誤ったという事例です。患者の持参薬である高尿酸血症治療薬の「アイデイト錠」を、誤ってβ遮断薬の「アイデイトロール錠」と鑑別してしまった事例です。アイデイト錠とアイデイトロール錠は名称が類似していることから、アイデイトロール錠の製造販売業者においては、販売名をアイデイトロール錠から「プロプラノロール錠10mg「TSU」」に変更することを検討中とのことです。
 資料1の7頁からはヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例、資料1の78頁からは情報不足のため、製造販売業者による対策が困難と考えられた事例ですが、これらについては時間の関係で説明を割愛いたします。なお、ヒューマンエラー事例に関しては、評価機構において別途検討がなされ、定期的に医療安全情報等を発出するなど、注意喚起が行われております。資料1については以上です。
○外部会長 膨大な資料を簡潔に説明していただきましたので、フォローが十分にはできなかったかもしれませんが、事前に資料は配付されておりましたので、既にご検討いただいたかと思います。ただいまの説明や今回の事例及び検討内容等で質問等がありましたら、お願いいたします。
○土屋委員 まさに最初の分類と言いますか、対策が既に取られている、あるいは取られている最中という事例がありますが、アルマール、アマリール、ノルバスク、ノルバデックスは定番になっていて、これらが相変わらず直っていない。アルマールについては製薬企業が販売名を変えたということですが、本来ならアマリールが変えるべきであるにもかかわらず、アルマールのほうがこうした対応を取ったということは、やはりきちんと評価をしなくてはいけないだろうと思っております。病院薬剤師会としては、アルマール・アマリールあるいはノルバスク・ノルバデックスといった薬剤については、薬歴を取って調剤しなさい、しかも現在は、初回投与時には必ず医師に確認することというのを入れております。
 アマリールを間違えたところも、内容的には間違っていないので通したとなっていますが、薬歴を取って、この人にとっては初回投与だとなれば、そこで確認すれば防げたのではないか。要するに、医師の処方エラーはなかなか防げないかもしれないけれども、患者さんにその薬が渡ることを止める仕組みというものは、たとえ製薬企業が対策を取らなくても、我々としては持っているわけですから、そこのところをもう少し徹底しないといけないかと。
 いままでも出してきておりますが、初回投与時にはもう一度医師に確認することという話をすると、結局、次のノルバデックスの件も含めて、本来なら企業が取るべき対策もあるのですが、それだけではなく、医療機関が取る対策としてそこがまだ不十分かなと。ましてや、後ろのほうに(糖尿病薬)と書いてありますが、後ろのほうは大体見ませんから、注意を書くのであれば、多くのところは先頭に薬効を入れているとか、そのような事例が多いと思います。こういったことを含めて、病院薬剤師会としてももう一度処方にまつわる、いままで類似等を言ってきましたが、ここまでずっと続いている、あるいは製薬企業が対応を取らないということを考えたときに、そこのところをもう一度徹底しようと思います。やはり薬剤師が防ぐ役割は大きいと思います。
 PTPについては、みんな本当に悩んでいるところでして、おそらく発生確率は0.0000001ぐらいで、通常そういうのは世の中では不可抗力と言うのだと思いますが、やはり医療はゼロを求められることから、これをどうするか。国が通知を出したことを病院が真摯に受け止めて対応を取っていたならば、防げた事故のような報道も一部ではなされておりますが、私はそうは思わないのです。たとえ真摯に受け止めて事故対策を取ったとしても、これを防ぐことはなかなか難しいという現実があります。かと言って、被害者が出ることについては、やはりそれは防がないといけませんけれども、本当にこれは悩ましい問題なのです。PTPシートには、例えば糖尿病用薬などといったことも書いてあるので、それがあることによって防げるエラーもたくさんありますから、単に誤飲防止ということと、PTPをなくしてしまえという話とは結び付かないので、今後その辺をどうやるか。あるいは、さまざまな職種を超えてアセスメントシートを作るなど今いろいろなことを考えておりますが、現実はなかなか難しいところがあるということです。
○外部会長 その他、何かご意見があればお願いいたします。
○望月委員 No.3のアレビアチン10%散1.8gの事故ですが、評価案のところが医政発と薬食発の連名の通知の中で明示されているので、これで良いのではないかと読めてしまうのですけれども、背景・要因のところに「薬剤師の問合せに対して耳を貸さなかった」と書かれてあって、医師と薬剤師間のコミュニケーション、もしかしたら薬剤師の問合せの仕方にも問題があったかもしれないと感じます。これは複数の要因が重なってしまった事故だと思うのです。製剤名で書いたときは製剤量になる、例外として原薬名で書いたときに原薬量になることが存在しているので、薬剤師側にとっては比較的常識であるかもしれないですが、処方を書く医師側にとっては、それは十分徹底していないところもあるかと思うのです。そして、問合せをする薬剤師がどんな問合せの仕方をしたのかによっては、このような結果になってしまうかもしれないと思うのです。これも私がいつもここで言うヒューマンのほうと関わる問題になってしまうかもしれませんが、通知が出されているからこれで良いみたいにしないで、この通知の内容をどう徹底したらいいかというところまで検討する必要があるかと思う例でした。意見です。
○外部会長 いま処方についての話がありましたが、土屋委員からお願いいたします。
○土屋委員 私もこの検討会の委員だったものですから、内服薬の処方せんの記載については、「1回量」というところにあまりにもスポットライトが当てられて、1回量に直すためには少し時間がかかるというのがあるのですが、製剤名、製剤量というのは、今すぐにでも対応が取れるのです。現実にやっているところも多いわけで、薬剤師の常識としてmgだったら原薬量を示す、gだったら製剤量だという誤ったと言いますか、自然科学の1000mg=1gという法則とは全く別のルールを、薬剤師が常識として一方で持ってしまっているということがあります。下のセレニカなどはそうですが、ずっと前から医師がmgで製剤量を書いている、しかしそれを原薬量と読んでしまうところがありますので、いま私どもも講習会をやるときには、必ず内服薬処方せんの記載のところで、今すぐにでも守れることがあるということを言っておりますが、ここのところはこれだけではなくて、原薬量と製剤量の感覚の違いというのがありますので、やはりもう1回きちんと徹底したほうがいいかという気もします。それで教育は徐々に始まっていますので、そういったことを徹底していく。
 ただ、昔から馴染んでいるルールが染み込んでしまっているので、mgとgという重さの単位を使いながら、mgは重さではなくて原薬量だという、半ば常識がある。これは教育によってあるわけで、昔、九州大学はmgで書いたら原薬量、gで書いたら製剤量と教えていたわけですから、そういった教育を受けた医師はそのように思ってしまっているでしょうし、東大などは関係ない、1000mg=1gと教えてきたりとか、こうした教育課程があって今に至っていると思いますので、その辺をもう一度徹底するという意味では、散剤についての記載をもう1回、このことは医療機能の評価からは何回も出ているのですが、もう一度確認していく必要があるかなと思います。
○外部会長 処方の記載方法について、既に対策が取られているが、その対策が十分に機能しているかどうか、実施率がどの程度か、その辺の検証と言いますか、このようにまだ統一されていない状況があるようですから、そういったこともしっかりやっていかなければいけないと思います。望月委員が言われたように、それは教育を含めて全体の、ヒューマンの側からのサポートが必要になるのではないかと思います。このことを含めて今回の医薬品について、ほかにご意見があればお願いいたします。
○松月委員 看護協会の松月です。先ほどのPTPの話も、処方のmg・gの話も、医療事故の報道が始まった初期のころからずっと指摘されていることです。それが未だに存在するということは、やはりそれに真剣に取り組む教育もありますし、昔の教育で育った方々に染み付いたものを変えるということは、そう簡単なことではないということです。まして、その組織に入った若い人は、それが常識のように育てられますから、もし、それに真剣に取り組むのであれば、もう少し方法論を考える。これは私的懇談会ですので意見を言うだけしかできませんが、もう少し格上げをしていただいて、例えばここへ文部科学省の方に来ていただくとか、そのような対策を取らないと、看護師の立場から見ても、繰り返し言われていることではないかと思います。この処方についてはナースも間違いがありますし、このことはずっと感じていることです。せっかく討議するわけですから、何らかの形で少しでも前に進むような仕組みができないものかと感じているところです。この懇談会では限界があると思いますが、何らかの仕組み、同じことを毎年言うのではなくて、何とか解決につながるような方法をお考えいただけると、または考えろと言うのであれば意見は出したいと思いますが、そんな形にしていかないといけないのではないかと思っております。意見です。
○外部会長 仕組みについてのお話でしたが、厚生労働省からこの辺についてのコメントがあればお願いいたします。
○医療安全推進室長補佐 内服薬の報告書については、先ほど土屋先生からもお話がありましたが、そういったことがあります。報告書の中で、3年後ぐらいには中間評価をするということも書かれておりますので、そういったことに向けては室内、課内で検討はしてみたいと思いますが、周知の仕方などといったことをどうするかというのは、また別の話かもしれませんけれども、報告書全体の評価という面で中間評価という話がありますので、その辺をどうするかというのは今後考えていきたいと思っております。
○土屋委員 内服薬の処方せんの記載方法については、もともと厚生科研で病院と診療所のアンケートを取ったわけですが、散剤の書き方については、診療所と病院とで全く対応が違ったのです。診療所の場合はレセプトシステムから出すので、きちんと製剤量で書いてあり、それがほとんどです。ところが、病院情報システムは、レセプトでは製剤量にしているのですが、病院情報システムの中でプリントアウトしてしまうものですから、入力するときに原薬量で入れてそのまま吐き出してしまっているので、そのようなことが起きてしまっているのです。そのような意味で言うと、私どもも医療情報学会と一緒に原薬量で入れて、なおかつプリントアウトするときに原薬量で入れていない施設がどれぐらい残っているかを調べることによって、ここを少し押さえることができるかという気もいたします。手書きのときはどうしても注意喚起モードにならざるを得ないですが、少なくとも製剤量、原薬量のどちらでも入れることができるシステムが多いわけですから、印字のときに原薬量と入れる仕組みを持っているか、持っていないかを調査して、それで対応を取っていくのがいちばん早いと思います。その辺を医療情報学会とも連絡しながらやりたいと思います。
○原田委員 これまでのご指摘の点から、オーダリングシステムと言いますか、医療情報システムでカバーできる部分がないだろうかと思います。例えば、簡単には原薬量で入らないようにすることも大事かと思います。もちろん、病院の場合は、「原薬量入力がまったくできない」のは問題ですし、とりわけ大きな病院ですと、シビアな症例があるために、そうした要望も強いと思います。そのため、そうした症例に対応する特定の医師の意向で、システム全体がそうしたシビアな状況に合わせた方向でカスタマイズされるという状況が多々あります。しかし、多くの場合では「原薬量でなく製剤量入力」の方が安全であると言えるならば、一応標準としては、製剤量入力、必要な場合は、ある種の操作をすると原薬量入力ができる、という「入れ方の標準枠」を、医療情報システムのメーカーすなわち提供側と土屋先生のような方とがタッグを組んで決めていっていただきたいというのが一点です。
 もう一点は先ほど望月先生が言われたことです。私も資料を読んでいて、「問合せに関して耳を貸さなかった」とか、「疑義照会をしたけれどもスルーしてしまった」というのが気になりました。人間の側の問題ですねと、そのまま対応されずに終わってしまう可能性がありますが、とりわけ医療現場における処方に関するやり取りは、こうしたコミュニケーションの部分について、もう少し制度的に、あるいはシステム的にきちんと情報化できないものだろうかと思います。現状では、疑義があった、あるいは問合せがあった場合、どのくらいの情報が記録に残っているのでしょうか。疑義照会あるいは問合せがあったときに、こういう問合せがあってこういう確認をして、それでオーケーになったということまで含めて残していくことは重要ではないでしょうか。こうしたデータは、疑義照会が非常に有効に働いていることを、(特に、医師の側に)きちんと示していくためにも重要だと思います。口頭でのコミュニケーションというのは非常に簡便で効率的な活動ですが、このような精密な情報をやり取りしなければいけない場面では、やはりリスクを含みます。すべてを情報システム上で実施せよ、ということではなく、人と人との間でのやり取りしかない場合にも、何がどのように確認されたのかという記録をきちんと残していける、そして、その成果なり、問題なりを後日でも分析できるシステムにしていくことは非常に重要であると考えています。
○外部会長 貴重なご意見をありがとうございました。森委員からお願いいたします。
○森委員 日本薬剤師会の森です。先ほどのアレビアチンの事例で、薬剤師の問合せに医師が耳を貸さなかったことが要因に挙げられていますが、非常に残念な例だと思います。薬剤師としては、再度照会すべきだと思います。医師への疑義照会が役に立っているということで言えば、薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業の中に数多くの疑義照会事例報告があります。疑義照会の結果事故が回避された事例を医師に知ってもらうと言う意味でも仕組みができていると思います。今後はそういう使い方もしていただければと思います。
○土屋委員 原田委員の話の中で原薬量をやめさせるということがありましたが、私はそれはやめたほうがいいかなと。原薬量で入れることは、薬理作用で考えたときには原薬量で考えたりしますので、それを入れることを禁止するよりは、原薬量で入れたら原薬量で入れたことを明示することさえやれば、それで済むわけです。要するに、製剤というのは時代によって、会社によって10%にしたり、同じものでも20%のものがあったりということがありますので、原薬量で書くことを禁止するという方法も本当はあるのですけれども、あえてそれを採っていないのは、医師の思考過程などを考えたときに、やはりそこは残しておくべきかというのでやっているのだと。その代わり、原薬量で選んだら、必ず印字をする、書くという処方意図が伝わるような仕組みを考えざるを得ないという気がいたします。
 また、疑義照会に耳を貸さなかったという例はありますが、いままで私どもも、これでいいですかみたいな聞き方をして、いいですかと言われれば、いいですよと答えるのが普通ですから、そうではなくて、疑義照会の意図をきちんと説明する。前回ノルバデックスで、抗がん剤だけれども、いいのかと言ったら、それがほかの薬の名前に聞こえてしまって、ディオバンか何かと聞こえたからというわけのわからない報告がありました。1つには処方意図をきちんと確認するために、質問することが薬剤師側に求められますし、おそらくその結果が最終的に電話で終わってしまうので、これをどのように医師側に再確認するか。カルテが変わらないということが結構あるので、処方変更で変わったときに、どうやって医療機関にその情報をもう1回事後的にフィードバックするかというのは、やはり仕組みとしては考えておいたほうがいいかなという気はいたします。病院の中にいてもなかなか変わらなくて、あまり変わらないと、「先生、カルテのここをちょっと直してください」と言いに行くことがありますが、そういったことも含めて、変更になったときのフィードバックの仕方の仕組みを考えるというのは大事なことではないかと思います。
○外部会長 検討事項ということで、これから考えていってほしいと思います。医薬品に関しては、よろしいでしょうか。それでは、次の議事に移りたいと思います。医療機器ヒヤリ・ハット事例等収集結果について、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 資料2と参考資料2に基づき、医療機器ヒヤリ・ハットについてご説明させていただきます。資料2は、医薬品と同様に分析したものです。報告内容は次の頁です。これは、「平成23年度第3回医薬品・医療機器安全使用対策検討会結果報告」です。報告内容として、医療事故関係については、医療事故情報収集等事業第25回・第26回報告書中の記述情報及び評価機構ホームページ上の公開データから抽出した、平成23年1月1日から6月30日の間に報告・公表された事例です。
 ヒヤリ・ハット事例関係については、報告書中の記述情報から抽出した、平成23年1月1日から6月30日までの間に報告された事例です。その他報告書中の記述情報から別途抽出した、医療機器に係る事例です。医療機器に起因するヒヤリ・ハット等の事例については、医療機器としての観点から、安全対策に関する専門的な検討を行うため、医薬品と同じくPMDAでの医薬品・医療機器安全使用対策検討会において検討した内容が、こちらのとおり報告されたものです。
 今回の調査報告は、右側の頁の上にあるように、合計241例について調査を行っております。医薬品と同じく4つの事例に分け、4つの区分の件数を書いた表です。今回、製造販売業者等による対策が必要又は可能と考えられた事例はありませんでした。
 既に対策が取られているもの、もしくは対策を既に検討中の事例が11件ありました。ヒューマンエラーや、ヒューマンファクターに起因すると考えられた事例が202件ありました。情報不足のため、製造販売業者による対策が困難と考えられた事例は28件でした。
 検討結果は資料2の1頁です。評価機構のホームページ上で、製品名が確認できたものについては、不具合報告の有無等についても確認しております。製造販売業者より既に対策が取られているもの、もしくは対策を既に検討中の事例として1頁の1番、薬物血中濃度測定値に係る回収事例です。この製品については、回収対象の3ロットで、測定試薬の品質に問題があり、そして測定値が低くなることがあったことから、自主回収が実施されました。回収対象のロット以外では、同様の事例は発生していないとのことです。
 資料2の2頁の2番は、人工呼吸器の故障事例です。この事例については、薬事法に基づく不具合報告が行われております。この事例は、人工呼吸器が突然停止した事例です。製造販売業者による解析の結果、電源の故障により、規定の電圧が供給されなかったことから、電源ユニットが故障ということで、交換・修理が実施されたものです。
 資料2の2頁の3番は、人工肺の凝血事例です。この事例については、薬事法に基づく不具合報告が行われております。起こった現象としては、人工肺の入口圧の上昇が確認され、その入口圧の上昇により、安全装置が作動し、人工肺が停止した事例です。使用された人工肺を実際に解析した結果、入口圧の上昇については、回路内の中空糸の表面にフィブリンの凝集が認められたことによると推察されております。
 参考資料2の3頁及び6頁です。3頁に禁忌・禁止として、本品に止血剤やフィブリン糊等の凝集塊を含む血液を吸引しないこと。大動脈手術等、胸腔内に大量の血液、組織、フィブリン糊等が存在する症例では、心内血吸引貯血槽の併用を推奨するということで、このようなことで大量に止血剤等を吸引すると、フィルターの目詰まりが起こり、循環ができなくなる可能性があるということが注意喚起されております。
 6頁の右側の赤線が引かれているところに、本品は、先ほどのとおり止血剤やフィブリン糊等の凝集塊を含む血液を吸引しないこととあります。もう1つ下側に、体外循環中は常に回路内圧に注意することということで、血液凝固の発生による目詰まりにより、回路内圧の上昇の可能性があるということが注意喚起されております。このようなことが、既に記載されております。
 資料2の3頁の4番は、植込み型心臓ペースメーカーの誤作動事例です。この事例については、薬事法に基づく不具合報告が行われております。この製品では、電池の抵抗の上昇により、テレメトリ時の電池電圧が低く測定されたことがありましたので、参考資料2の9~13頁に回収の概要が載っております。参考資料2の12頁の4の回収理由のいちばん下にあるとおり、ソフトウェアの更新を安全確保措置として行うことになりました。そのソフトウェア更新の内容については14頁です。ソフトウェア更新により、電池交換指標の電池電圧が、中ほどから下にあるポツの2つ目の、2.59から2.81Vに変更されます。また、従来、交換指標は電池電圧が低下した場合のみ表示されましたが、それに加えて電池抵抗値が上昇した場合も表示されるように変更されました。
 このようなソフトウェア更新により、電池電圧が低下しきる前に電池交換をするように変更されたものです。しかしながら、ソフトウェア更新時には想定されていなかった事例として、ソフトウェア更新により、電池交換指標が表示される前の時間が、以前と比べて10~15%程度短くなり、ソフトウェア更新後の予測寿命が短くなることが新たに想定されたことから、現在この企業によって医療機関に情報提供が順次行われているところです。
 資料2の3頁の5番は、体外式心臓ペースメーカーの誤作動事例です。この事例については、薬事法に基づく不具合報告が行われております。この事例においては、ペースメーカーの電池が消耗し、電池交換指示ランプが点灯しておりました。しかしながら、その状態で使用が継続され、電池が極度に消耗し、ペーシングレートに異常を来しております。具体的には3頁の事故の背景要因の概要の左から2番目の項のポツの2つ目に、ペースメーカーの電池消耗ランプが点灯した状態で、パルスを示すランプが高頻度に点滅していた。通常に比べて非常に速く点滅するようになっていました。このように、ペーシングレートに異常を来しておりました。
 製造販売業者としては、類似事例の発生を防止するために、電池交換指示ランプが点灯した場合は、速やかに新しい電池に交換する旨、添付文書に追記した上で、納入先の医療機関に情報提供する予定です。
 資料2の4頁の6番は、MRIの検査時における高周波ループによる熱傷事例です。MRIの検査に当たり、患者様の両膝にコイルを巻いて検査を行っていたのですが、そのときに両足の踵が接触していたため、患者様の身体に電流が流れて熱傷が起きた事例です。この事例で使用されたMRIの装置については、参考資料2の23頁に赤線が引かれているとおり、電流ループを起こすような、皮膚と皮膚との接触が起きないよう、絶縁材を足や腕の間に配置すること、という注意喚起がなされております。
 なおこの現象は、今回報告があった機械のみに起こる現象ではなく、MRIの装置一般で起こるものですので、この機械特有の問題でないことは改めて申し上げます。この現象については、後ほどまたご紹介いたしますが、資料5「PMDA医療安全情報」で、PMDAが発出しております医療安全情報でもとりあげています。1~3頁になりますが、今回は特に1頁のところで、このようにPMDAから高周波ループの形成に関する注意喚起情報が出されておりますのでご留意ください。
 資料2の4頁の7番は、骨髄バッグの脱落事例です。併せて参考資料2の26頁には、正しい骨髄採取バッグの取付け方と、今回の事例での取付け方が両方並べて置いてあります。今回は、骨髄採取バッグをスタンドに取り付ける方法が正しくなかったため、そして固定が不十分となり、骨髄ろ過中にバッグが脱落し、ドナー様から採取していた骨髄液が少量こぼれてしまった事例です。参考資料2の29頁は添付文書の別紙に当たるものです。こちらにあるとおり、添付文書には、正しいバッグの取付け方が記載されておりますとともに、骨髄ろ過中は、バッグを専用スタンドから外して、輸液スタンドに設置することが記載されております。
 資料2の5頁の8番は、輸液フィルターの破損事例です。併せて参考資料2の30頁です。この事例では、中心静脈ラインに高カロリー輸液を通していたところ、点滴ラインのフィルターの下流側で空気が混入し、末梢酸素飽和度が低下した事例です。今回の事例では、フィルターの下流に位置する三方活栓から薬液を注入しております。正しい投与例のところにあるとおり、通常は三方活栓を開いたら、薬液の流れは黄色いラインのように流れていって患者様に行くようになっています。ちなみに、これは上に投与医薬品があって、下側に患者様がいるというご理解でお願いいたします。しかしながら、今回の事例においては、三方活栓を逆に開いてしまい、薬液がフィルターのほうに流れてしまったということです。そして、薬液を三方活栓の下流から注入した結果、フィルター側に薬液が逆流し、そしてフィルターに陽圧がかかり、その結果フィルターが破損したと推察されております。
 参考資料2の32頁の左側中ほどの赤線が引かれているところに、本品にフィルターが組み込まれている場合は、フィルター上部からの吸引や、フィルター下部からの加圧は避けること。親水性フィルターが破損し、エアーが混入するためということで注意喚起されております。
 資料2の5頁の9番は、レーザーによる熱傷事例です。レーザーを照射した後のファイバーを、患者様の上に敷かれていたドレープの上にそのまま置いてしまったところ発火した事例です。この事例を踏まえ、参考資料2の33頁のとおり、製造販売業者からは、ファイバーの置き場所について注意喚起が実施されております。具体的には、ファイバー先端部に異物が付着している場合は、レーザー照射後に異物から発火し、周囲の可熱物に引火する可能性がありますということで、照射後はファイバー先端部を水で湿らせたガーゼを敷いた膿盆内に置くか、あるいは水で湿らせたガーゼで包むなど、ドレープに触れないように管理してくださいという注意喚起がされております。
 資料2の6頁の10番と11番です。こちらは皮下植込み型ポート用カテーテルの断裂事例です。これまでに、皮下植込み型ポート用カテーテルの断裂事例については事例が集績しているところから、昨年の5月25日付で、参考資料2の34~39頁に掲載した通知を発出し、製造販売業者に関してはこの種の製品の添付文書に、カテーテルが断裂する可能性について注意する旨を記載するとともに、医療機関に情報提供するよう指示したところです。
 資料2の6頁の10番と11番の今回の事例については、平成23年1月から6月に報告された事例です。この通知との前後関係については不明であることにご留意のほどお願いいたします。
 資料2の7頁以降は、ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例、又は資料2の67頁以降については情報不足等のため、製造販売業者による対策が困難と考えられた事例です。これらについては、時間の関係で説明は割愛させていただきます。資料2については以上です。
○外部会長 医療機器の事例及び検討内容について説明していただきました。医薬品とは違いますが、もちろん類似の事例もありますけれども、このようにいろいろな医療機器が出てきているということで、新しい事例等も起きているようです。今回の検討内容について、委員の方々からご意見がありましたらお願いいたします。
○目黒委員 PMDAの会議のときにも参加していましたので、印象を含めながら話をさせていただきます。医療機器は機械、それから医療材料という名前で分類されることもあります。医療機器なのですけれども、材料という考え方で捉えられるものなど多種多様にあります。例えば人工呼吸器は看護師さん、先生、臨床工学技師が関わり、カニューレ関係で直接対応するのは先生と看護師さん。そういう形で対応する方々が違う、そういう方々にどういう形で医療機関の中で、大事なインフォメーションを伝えていくかというのは大変だということを感じています。
 今回は人工心肺関係の事例がありますが、これは我々が特に注意してやらなければいけないところです。そういうところでは、トラブルがあっても、近年は各関連団体、あるいは臨床工学技師の団体の中でも、緊急時に対応する方法等についてはいろいろと検討を重ねてきて、ガイドライン等も作って対応できるようになっています。
 人工呼吸器のトラブルに関していうと、止まってしまっても、幸いなことに障害はなしということで見ていただければわかるのですけれども、これは厚労省、PMDAといった関係機関の方々の人工呼吸器に対する安全対策が、運用面で非常にうまくいっている部分でもあります。ただ、ヒューマンエラーを見ると、まだかなりいろいろな問題があります。そういう対策ができているものと、まだもう少し徹底しなければいけない部分があるという印象が全体を含めてあります。
 参考資料の、いろいろな医療機器の写真を見ていると非常にわかりやすい写真が出てきます。いちばん後ろにテレメトリの絵もあるのですけれども、こういう絵を看護師さんたち、あるいは実際に使っている方々に見せてあげられれば、具体的な説明が非常にしやすくて、安全対策にも活かされると思います。ただ、添付文書の赤線を引いたところを、どうやって誰が説明するかという、ここを変えました、こうしましたという部分をどうやって現場に行き届かせて、安全対策に活かすかというのが悩ましい部分ではないかと思っています。いまの私の感想としてはそういうところです。
○松月委員 三方活栓とレーザーの加熱したものを、使用後に冷たい物の上に置けばいいというのはわかることなのですが、これは医師との関係があり、「そこに置くと危ないから、すぐにこちらへ戻してください」と言っても、「すぐ使うからここに置いておきたいのだ」という術者がいます。そこは医師も含めて全体の手順の見直しと、医師がここで使いたいのだというときに、タイムリーにナースがすぐ持っていけるかというと、なかなか手が届かなくて無理だったりですとか、いろいろな要因がその間にはあるので、実行していく間にはそういうことがあります。
 この三方活栓の事例は非常に悩ましいと思います。この三方活栓を使っていろいろな操作をします。例えば、三方活栓から薬剤を患者さんに投与しようというときに、最終的に押し込んで三方活栓の接続の所にちょっと残るといけないので、一部点滴のボトルのほうから薬剤を少し吸って、そこをきれいにするみたいなことをやることがあります。そのように、三方活栓を上に向けたり、下に向けたり、横に向けたりということが、日常的な操作としてあります。ナースの操作としては、下に行くつもりの三方活栓の位置にしたのだけれども上に行っていたと。それがわかれば気がつくのですが、抵抗感が同じようなものだったりすると、その時点では破損していても気づかないわけです。
 ですから、途中に滴下球でも入れるとか、それが可視化できるような方法を使う。壊れたら色が変わるとか。たぶん、その瞬間は気づかないのだと思います。それで、正しく患者さん側に入っていると感じて、たぶん入れるのだと思います。こういう情報を伝えることはとても大事なことで、そのためのトレーニングを確実に実施しようと考えると非常に悩ましいものがあります。それが、いまの私の感想です。
○外部会長 現場の声を聞かせていただきまして、ありがとうございました。
○望月委員 No.1なのですが、これは結構クリティカルな問題かと感じました。タクロリムスは、かなりクリティカルな患者さんに使われるお薬です。それで血中濃度もきちんとモニタリングしなければいけないというお薬について、その値が本来の値から相当ずれた結果となってしまった。もちろん測定方法が精度の高いHPLC法に比べて、やや劣るということはあるとは言っても、薬が薬だけに問題だと思います。
 また評価結果の話になってしまうのですが、とりあえず問題だろうと思われる3ロットを回収したということで済ませてしまっている感じになっています。その原因が何であったのかという原因の究明はなされていません。対策としては製造元で、HPLCでロットの追加検定を開始したとなっています。本来、もともとこれはやっていなければいけないことではないのかと思ってしまいました。
 体外診断薬に相当するような身体に投与するものではないものの場合に、どのように製品の質的な保証を管理しているのかというところも含め、もう少しきちんと検証というか、何が原因であったのかを含め、対応をもっときちんと考えなければいけない問題ではないのかと感じました。中身をよくわかっていなくて、ここの回収の概要とか、ここの調査結果だけを読んで意見を申し上げているので、実はそうではないというところもあるかもしれません。
○外部会長 この点について何か情報はありますか。
○目黒委員 私も検査技師でもあるのですが、要は腎機能低下ということで、そのうち2例は透析に戻らざるを得なくなっているという重要な問題です。PMDAの会議の席上でもいろいろ意見が出たのですが、そのときに原因がよくわからない、我々も医療機器を使っていて、何が原因で起こっているかわからないようなトラブルに遭遇することが往々にしてあります。その原因究明のための機関というのが、これは特殊な装置で、台数も少なくて、症例も少なく、微量な量の分析装置であるということもあるのですけれども、このように原因が何かわからないようなものを調査、あるいは分析して原因究明する場所があればいいのではないかという意見もありました。私も、それには賛成した経緯があります。
 これは、ロットの問題なのか、機械装置の測定法の問題なのか、その辺も全然はっきりされていない部分があります。私の記憶では、メーカーの方々もこれの返答に関しては、会社から何人もの人が来て、その機械についての説明に関しては少し高圧的だったというような意見が出たということです。何かわからないのだけれども、こういう原因を究明したいようなときに、どこかでそういうことをきちんとやってくれるような機関なりがあれば非常にいいのではないかということが、その会議のときの意見として出ていました。私も賛成したので、一言付け加えさせていただきます。
○土屋委員 目黒委員がおっしゃったことで、添付文書に例えば赤線が引かれたというような対応はそれでいいのです。当事者にどうやって意識を高めるかということがあるときに、こういうヒヤリ・ハット事例を示して、その結果、添付文書にこういうのが付きましたとか、ここのところはもう一回注意してくださいと。どうしても添付文書というと、あらかじめ普通の常識的なこともいっぱい書いてあるので、実際に起きているのか、起きていないのか、あるいは予防的に書いてあるのかということとかいろいろあります。
 医薬品だと、みんなそれなりに読み方は長年のことで慣れていますけれども、医療機器の添付文書の場合そこがなかなか難しい部分があるのだろうと思うということからいくと、特に添付文書が改訂になった、あるいはそこの注意をもう一回きちんとしてくださいというような、その情報の伝え方のところをうまくやる方法があるのだろうと。添付文書改訂のお知らせというときに、製薬会社でも、型どおり添付文書の改訂のお知らせということでしか持ってこない所もあれば、こういう理由でこれが改訂になりました、ということをきちんと伝えてくる所もあります。
 そのように、理由とここの注意というのをきちんとできるようにする。あるいは工業界などがやるのか、PMDAになってしまうのかどうか知りませんけれども、そういったメリハリの付いた情報提供という方法を考えていかないと、最近は、添付文書上に載っていましたとか、そこで注意喚起されていますということが多いので、それを徹底する方法を1段階進めるべき時期に来ているかという気はいたします。
○三田委員 日本医療機器産業連合会の三田です。いまいろいろとご指摘いただいた添付文書に関してですが、我々も添付文書の中に書いてあることを、いろいろわかりやすく伝えようと思って、いろいろな取組みをしてはおります。ただ、医療機器の場合は先ほど目黒先生もおっしゃっていましたけれども、いろいろな現場で使われていて、ドクターであるとか、看護師であるとか、あるいは臨床工学技師、検査技師、放射線技師といろいろな所の、いろいろな場面で使われています。
 ただ、メーカーが添付文書の改訂等の安全性情報を持っていっているのは用度課であるとか、そういうケースもあります。最近は厚生労働省からも法律の改正をしていただき、医療安全管理室といったものが病院の中の組織として整備されてきましたので、メーカーも医療安全管理室に伝えるということを、業界団体のほうでも推奨しています。医療機器の添付文書については、最初の発足時がどうしても医薬品にあわせるという形でスタートしていますので、医療機器の特性にあわせると若干見にくいものになっているのも事実だと思っています。
 それなので機会を捉えて、例えばPMDAの安全第一部には、我々のほうからもお願いをしていろいろ協力をしていただいたり、先ほど目黒先生にもおっしゃっていただきましたが、改訂のときに写真付きの案内文として情報提供をしていかないと、医療機器の場合は文字では伝わりにくいと考えています。写真などを入れた情報提供というのを、これからは企業のホームページを通じてやっていくことも必要ではないかと考えています。また、メーカーによっては、医療機器の適正使用を伝えるために、実際に医療機器を用いて体験型の研修に取り組んでいる所、あるいはそういった研修施設を持っているメーカーもあるようです。
 そういうメーカー側の意見も、是非医療機関側でも耳を傾けていただいて、チームの一員としての活動をサポートしていただけるような所があると幸いだと思っております。
○外部会長 添付文書の話が1つと、もう1つは先ほどのタクロリムスの血中濃度の反応測定の精度が問題になったわけです。特にこの事例については移植腎ということで、たぶん家族からいただいたせっかくの腎臓が透析に戻ってしまって無駄になった、というところまでつながったわけで、結果として非常に重いことにつながったと思います。それをロットの回収ということだけで済ますということは、再発防止に本当につながるのかという懸念は持ちます。やはり、しっかりとした原因究明なり、防止するためのいろいろな対策・方策を考える必要があるかと思いました。
 私が1つ気になったのは、3頁の事例5で体外式の心臓ペースメーカーを使用して、それで電池が消耗した。電池が消耗して動かなくなるのはやむを得ないと思うのですが、これは誤作動を起こしてしまった。電池が消耗すると、高頻度にパルスが送られるということで、心臓を250回動かしてしまうのでは、これでは心臓を鞭打って、細動の状況に近い状態にしているということで、これは消耗することとは違う機器の問題だと思いました。ただ、この機器はもう使用されていないということでしたか。
○安全使用推進室長 新規の出荷はないということです。
○外部会長 現場にはまだあるということですから、やはり注意喚起が必要かと思います。
○原田委員 事例1に関連して、質問です。この問題は、大変重大な問題だと思っていますが、同時に、非常に使われる頻度が少ない、稀にしか使われない医療機器の誤作動等の情報の場合、国内だけでは十分な情報が集まらないうちに大きな事故になることもあり得るのではないかと思います。製造・販売している業者はもしかすると各国のデータをお持ちなのかもしれませんが、それ以外に国を超えて情報のやり取りをすることはなされているのでしょうか。実際、医療機器の場合、国内の情報はよく集まってくるようになったと思います。一方、飛行機関連ですと世界中でヒヤリ・ハット事例を含めて、情報のやり取りが共通になされています。そのような情報共有を、医療機器関連で実施していくことは難しいのでしょうか。
○安全対策課長 医療機器の各国の不具合情報の交換ですけれども、現在規制当局間の情報交換のシステムはあります。いわゆる公表になった段階で、情報が交換される事例がほとんどです。原因がわからない又は特定できない段階で、又は当該国の行政的な措置が定まらない段階での情報交換というのは、実態的にはなかなかできないのが実情です。
 ただ、公表された情報については、規制当局の情報をキャッチして、必要な対応については国内メーカーがあるかどうかを確認の上、PMDAで対応をとっております。海外の情報をもとに、国内での対応が進められていく事例ももちろんあります。
○原田委員 ヒヤリ・ハットの段階での事例を集めていくことは、事前に多くの情報を集めていくことによって、事故が防げる部分があるということですので、とりわけあまり使われる頻度の高くないもの、しかし国際的には広く使われているものについて、何かそういう仕組みができるとよいという要望です。今後ご検討いただければと思います。
○外部会長 ほかに、医療機器に関してはよろしいでしょうか、よろしいようでしたら先へ進みます。次は検討事項の3番目の「薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業収集結果について」説明をお願いいたします。
○事務局 資料3と参考資料3です。資料3は本報告書です。これは、評価機構が公表しております薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業の報告書です。これは、平成23年1月1日から6月30日までの間に報告された3,487事例のうち、規格・剤形間違い、薬剤取違え、その他及び疑義照会に関する1,201事例及び疑義照会252事例について、PMDAが「第4回医薬品・医療機器安全使用対策検討会」で分析を行い、その結果が報告されたものです。
 医薬品の安全使用に関して、製造販売業者等による対策が必要又は可能と考えられた事例は、先ほどの1/201例のうち1件、そして製造販売業者等により既に対策をとられているもの、もしくは対策を既に検討中の事例が1件、ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例は940件、情報不足等のため、製造販売業者による対策が困難と考えられた事例は259件でした。
 右側の頁に疑義照会の表があります。疑義照会252事例について、その理由を分類した結果がこのように示されております。理由の表の中には記載されておりませんが、こちらの疑義照会の中にも、医薬品の安全使用に関して、製造販売業者等による対策が必要又は可能と考えられた事例が2件ありましたので後ほどご紹介いたします。即ち、対策が必要又は可能と考えられた事例はトータル3件になります。
 検討結果については資料3の1頁です。医薬品の安全使用に関して製造販売業者による対策が必要又は可能と考えられた事例として、抗てんかん薬と睡眠薬の販売名類似による誤入力又は誤処方事例です。これは、先ほど申しましたヒヤリ・ハットと疑義照会を合わせて2件あります。1頁の1番は、処方薬が睡眠薬のマイスリーであるのにもかかわらず、薬局のレセコンには抗てんかん薬であるマイスタンと入力してしまった事例です。調剤後に患者様と確認しておりましたところ、説明文書と薬が異なることが発覚した事例です。
 資料3の2頁の2番は、てんかんの既往がない患者様に、抗てんかん薬のマイスタンが処方されたことから、薬局において疑義照会を行ったところ、睡眠薬のマイスリーに変更された事例です。マイスリーとマイスタンについては、先頭の3文字が同じものです。マイスタンについては、参考資料3の8~9頁です。これは、厚生労働省告示の診療報酬の算定方法です。8頁のいちばん左側のところに、別表第三の三「薬剤管理指導料の対象患者及び薬剤服用歴管理指導料に規定する医薬品」として、右側の頁の右から順に抗悪性腫瘍剤云々と並んでいる4つ目に、抗てんかん剤がありますが、このように記載されております。このように、ハイリスク薬に当たります。
 ハイリスク薬については、参考資料3の3頁にあるように、区分10、薬剤服用歴管理指導料(処方せんの受付1回につき)の中に入っていて、実際にこれが算定されます。この両製剤の取違えについては、今回初めて報告された事例であることから、両製剤の製造販売業者から注意喚起を行う必要があると考えております。
 資料3の2頁の3番は、糖尿病薬と高血圧薬の販売名類似による誤処方事例です。こちらは、メンタルクリニックの患者様に、血糖降下薬であるアマリール1mg錠が処方されておりました。そのため、患者様本人に確認したところ、震えの薬であるとの回答がありました。そこで、アマリールは震えの薬ではありませんので、疑義照会を薬局において行ったところ、高血圧薬のアルマールに処方が変更された事例です。アマリールとアルマールの名称の類似性については、先ほどの議題1のところでご議論いただいたところです。
 製造販売業者等により既に対策がとられているもの、もしくは対策を既に検討中の事例については、資料3の3頁の高尿酸血症改善薬と、排尿障害改善薬との販売名類似による取違え事例です。処方薬は、排尿障害改善薬であるユリーフであったにもかかわらず、高尿酸血症改善薬のユリノームを調剤しましたが、患者様からのご指摘により、取違えが発覚した事例です。
 この取違えについては、平成23年9月に、両製剤の製造販売業者から、医療機関への注意喚起が実施されました。それは参考資料3の10~11頁です。10頁の左下にあるとおり、平成23年9月に注意喚起された事例ですが、今回報告しております事例は、平成23年1月から6月までの事例であるため、3頁の事例については注意喚起前の事例であることにご留意のほどお願いいたします。
 ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例については、割愛させていただきます。また資料3の4~37頁については情報不足のため、製造販売業者による対策は困難と考えられた事例です。これについては、時間の関係で説明は割愛させていただきます。
 資料3の38頁から、疑義照会の事例が252例あります。この中からいくつかご紹介いたします。資料3の55頁の事例50は、体重が20kgの患者様に、気道潤滑去痰剤であるところのムコソルバンドライシロップ3%が、1日3回、トータル1.2mg、即ち1日当たり36mg処方されたところですが、ムコソルバンの小児用の用量は0.09mg/kg/day、即ち20kg換算で1日当たり18mgであるところから、過量と判断して疑義照会したところ、ムコソルバンドライシロップ3%が、小児用ムコソルバンドライシロップ1.5%に変更になり、適切な用量になった事例です。
 資料3の77頁の事例115は、不整脈の治療薬のアンカロン服用中の患者様に呼吸器感染の症状がありました。そして臨時に受診した際に、アンカロンの併用禁忌薬であるニューキノロン系抗菌薬のアベロックスが処方されたため、QT延長や心室性不整脈を防ぐおそれがあることを踏まえて疑義照会したところ、アベロックスがセフェム系抗生物質のフロモックスに処方変更となった事例です。
 資料3の83頁の事例133は、抗てんかん薬のアレビアチンが処方されたものです。アレビアチンが処方された患者様の家族に症状を聞いたところ、下痢との回答がありました。アレビアチンは抗てんかん薬ですので、処方内容の疑義照会を行ったところ、消化器管用吸着剤のアドソルビンに処方変更となった事例です。
 その他の事例については時間の関係で説明は割愛させていただきますが、今後同様の事例の集積を行い、対応を検討していきたいと考えております。資料3については以上です。
○外部会長 薬局ヒヤリ・ハット事例の検討内容でした。これを見ると、薬局の方々のお蔭でといいますか、患者に服用する直前でストップがかかって、事なきを得たといいますか、そういうことが浮き彫りになっているように思います。やはり、その前の段階でかなりのヒヤリ・ハットといいますか、処方の問題が生じているということがあると思います。今回は、新しく類似の薬として、マイスタンとマイスリーも挙がってきました。薬局ヒヤリ・ハット事例を通じて、委員の方からご意見がありましたらお願いいたします。
○土屋委員 先ほどもありましたように、今回の薬局ヒヤリ・ハットというのは、薬局で発生したもの及び薬局で発見したものの報告のところが、医療機関にとってはそれがすごく反省材料にもなるわけです。こういうところを、いかに徹底していくのかという例が、病院では採用薬を1種類にすることはできます。似ているものはやめるとかそういうことができるのですが、薬局の場合はそれができないものですから、逆にそういったところを後発品も含めて、そういうエラーが報告されるという、この制度そのものはものすごく大事だという気がいたします。
 もう1つは、薬局で入力ミスがあるという報告も過去にいくつか出ています。病院情報システムですと、入力する際に似ていたら警告を出すという仕組みが大体標準装備されています。薬局の場合のレセコンにも、そういう入力エラーを防止する機能が付いているものもあるかもしれませんけれども、付いていないものもあるような気がいたしますので、その辺はもう一回入力する際の入力エラーを防止するという機能を、薬局のほうはちょっと考えなければいけないのかと思います。
 先ほどの内服薬処方せんの書き方のところでは、そのために二次元バーコード等を使って、入力ミスを防止するためのものを作ることも必要だというようなことが書いてあります。システムとして、病院と同じように入力エラーを防止する仕組みを、薬局のレセコンの業界のほうで標準装備するような形のことが必要ではないかという気がいたします。
○森委員 前回の報告にもありましたが、今回も後発医薬品でのヒヤリ・ハット事例と疑義照会事例が多く挙がっています。前回の報告を参考にして、いま日薬では後発医薬品を調剤する際の注意点をまとめた、医療事故防止のための研修用資料を作っています。現在このヒヤリ・ハット事例に関しては、医療機能評価機構の薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業の報告を参考にまとめられているということですが、来年度はこの事業は継続されるようですが、再来年度に関しては未定だと聞いています。報告内容を見ると非常に有用な事例があって、事故防止につなげることができます。是非この事業を続けていただきたいということが1点です。
 後発医薬品にしても、制度が変わって新たに出てきたヒヤリ・ハット事例だと思います。4月からは一般名処方がより進むということを考えると、少し注意して一般名処方によるヒヤリ・ハット事例を見ていかなければいけないのかと感じています。あとは、配合剤に関していくつかヒヤリ・ハット事例が挙がっています。最近、配合剤の使用が進んでいますので、注意していったほうがいいのではないかと考えています。
○北澤委員 ヒヤリ・ハットと直接関係はないのですが、ヒヤリ・ハットの疑義照会を見たり、本日ご報告のあった医薬品の医療事故のケースを見ていると、相変わらず1日量で記載されているものばかりなのではないかと思うのです。私は、いま薬剤師向けの雑誌の担当をしていますので、薬局で薬歴を拝見したりする機会がありますが、1回量で書いてある薬歴とか処方せんというのはめったに見たことがありません。厚労省の検討会で、医療事故防止の観点から1日量を1回量にしようということを出して、通知もしているのに、やはり薬剤師は1回量はやりにくいのではないか。1回量で書くことが、業務上で使いにくい事情があるのではないかと最近思えてならないのですが、この辺りはどうなのでしょうか。土屋先生にお聞きします。
○土屋委員 現実としては、情報システムのほうは現在開発中で、1回量で入れるシステムはまだ世の中にはないです。今年の後半には出てまいります。現状でも、1回量と1日量を併記するということは、いまの保険のルールでも決まっています。保険の通知として、内服薬は1日量を記載すると、その次の行に用法で1回量を書けと書いてあります。しかし、世の中で99.9%の所が、その用法のルールのところで書かなくてはいけない1回量を併記することをやっていないということもあります。
 検討会としては、まず最初にいまの保険のルールを遵守しなさいと。あるべき姿はちょっと違うのだけれども、遵守することが必要だと言っているのですが、今回厚労省の保険局から出された処方せんの書き方のところも1日量しか書いてないです。だから、厚労省の保険局が、自分の所で出した通知ぐらいきちんと守れよと言いたくなるのであります。
 そういうことをきちんとやるところで、1日量と1回量についてはいろいろ議論があることはありますが、少なくともいまの段階は併記することになっておりますので、この併記を徹底することがまずいちばん大事だろうと思っております。1回量にするかどうかは、最終的には、そこの入れ方をどうするかということがありますが、そういうシステムはこれから出てくるものですから、いまはまだ併記をしている段階だけれども、その併記もまだ進んでいない部分がありますので、その辺で少なくとも厚労省の保険局は、その処方例として書くのであるならば、自分の所で出した通知はせめて守っていただきたいと思います。保険局の通知ですよ。処方せんの書き方の通知ではなくて、保険局の通知を、自分の所で守る書き方をしていただきたいと思います。
○外部会長 1回量よりも、1日量のほうが書く上でのメリットは何かあるのですか。
○土屋委員 患者さんが飲む単位を考えたときには1回であると。これから、内服薬も実施記録を取るようになると、1回量になっていないと、そもそも実施記録は取れないです。1日量が書いてあると、3分の1回実施というようになってしまいます。そのようなことも含めて、もちろん世界の常識は1回量だということはありますが、しかしそこの過渡期として、当分の間というのがあるわけですから、その辺についてきちんと併記することで、現行の保険のルールを遵守することが大事だろうということから言えば、遵守すれば絶対に両方書かなくてはいけないことになっていますので、そこのところをまずやることが第1段階であろうと。
 ただ、入力は1回量を入れて、回数を入れると、1日量が計算されますから、必ず未来永劫1日量は見えるようにというのが結論になっておりますので、単位をどうするかといったときに、1回の単位でやっておくことが大事だろうということで、報告書はそういう形になっているということです。
○外部会長 ほかにないようでしたら次に行きます。今度はその他の報告事項です。
○事務局 報告事項についてご説明させていただきます。資料4と、併せて参考資料4です。こちらは、前回の本部会以降に発出された、医療安全関係の通知です。資料4の1~4頁は、「医療事故防止のための販売名変更に係る代替新規承認申請の取扱いについて」です。この通知は、医療用医薬品の販売名のルールに基づいていない販売名の販売名の部分のみを変更する場合です。これにはブランド名を持っている後発医薬品の販売名を、一般的名称を基本とした販売名に変更する申請も含むものです。こういう申請については、承認申請書類上の不備等がなく、PMDAによる照会への対応が速やかに行われる場合、速やかに承認することを定めた通知です。なお、この通知は参考資料4の1~2頁にある、日本ジェネリック製薬協会が会員会社向けに発出した通知など、種々の状況を踏まえて発出したものです。資料4については以上です。
 続いて資料5です。こちらは、前回の本部会以降に発出された、PMDA医療安全情報です。資料5の1~3頁は、PMDA医療安全情報No.25、「MRI検査時の注意について(その1)」です。MRI検査時には、皮膚同士の接触や機器の内壁等の接触により、誘導電流が生じ、接触部位に火傷が発生するおそれがあること。2頁で、RFコイルや心電図モニター等のケーブル・コード類でループを形成すると、火傷や機器の故障のおそれがあること。3頁で、姿勢を維持することが難しい患者さんの適切な検査方法と、MRI検査時の注意点を紹介しております。
 4~6頁は、PMDA医療安全情報No.26、「MRI検査時の注意について(その2)」です。MRI検査室内に、鉄等の磁性体金属があると、これらが患者様や医療従事者等にショートする危験がありますということを紹介しています。5頁では、手や指を患者様が実際に天板を握っていると、そのまま寝台に挟み込まれるおそれがあること等々、MRI検査時の注意点を紹介しております。
 資料5の7~10頁です。7頁は、医療安全情報No.27、「溶解液が添付されている医薬品の取扱いについて」です。薬剤と溶解液がセットになっている注射剤で、溶解液のみを投与した事例が報告されているので、注意してほしいこと。また、包装形態によっては間違えやすいことがあるので、十分確認するとともに、ミスをしにくい対策をとることといったことが、8頁に実際に絵を使って説明されております。また薬剤と溶解液がセットになっている外用剤については、よくよくラベルを確認していただきたいということが9頁です。10頁は、薬剤本体と溶解液の保存温度が異なり、別々に保管している医薬品については、異なる場所に薬剤があることを、溶解液に注意書きするということ等を、この種の医薬品は使用するときの注意点を紹介しております。
 資料5の11~12頁です。こちらはPMDA医療安全情報No.28、「血糖測定器の取扱い上の注意について」です。果物や砂糖が付着している食べ物等を触った後には、指先に付着した果汁や糖分が残っています。これによって血糖値が高い値を示すおそれがありますので、12頁にあるとおり、採血前にアルコール消毒を行うだけでは、この問題は解決せずに、必ず流水で手洗いをするよう患者を指導する必要があることを紹介しております。
 資料5の13~16頁です。こちらは、PMDA医療安全情報No.29、「心電図モニターの取扱い時の注意」です。心電図の電極は、長期間の使用や、患者自身が汗をかくことにより、粘着力が低下して剥がれる可能性があるため、その前に電極を交換するのがよいこと。14頁は、セントラルモニターに、電池交換のマークが表示されたら、アラームの有無によらず、送信機の電池を速やかに交換する必要があること。15頁はモニター用のアンテナです。モニター用のアンテナの受信可能エリアをあらかじめ把握しておくこと。16頁では、その他心電図モニターの適正な使用についてはチームで考えることといった点を紹介しております。資料5については以上です。
 また、昨年12月に公益財団法人日本医療機器評価機構から、医療事故情報等収集事業第27回報告書が評価機構ホームページで公表されております。公表の際には、都道府県をはじめ関係団体等へ、報告書の公表を連絡するとともに、同様の事例の再発防止及び発生の未然防止のために、報告書の内容を確認の上、共有すべき医療事故情報等の内容に留意するとともに、注意喚起するよう周知を依頼したところです。
 この報告書中並びに評価機構ホームページ上で公表されているヒヤリ・ハット事例記述情報の中から、独立行政法人医薬品・医療機器総合機構(PMDA)が、医薬品・医療機器に起因する観点から、専門的な評価、対策の検討を加えた報告書を作成していただきますので、これを次回の部会でご審議いただきたいと考えております。以上です。
○外部会長 資料4と資料5の説明がありました。資料4については、医療事故防止のための販売名変更に係る代替新規承認申請取扱いということで、このような文書で通知がなされたということです。資料5は、PMDAから出された安全情報ですが、図入りでわかりやすく書かれております。MRI検査にかかわるもの、溶解液の問題、血糖測定器のこと、心電図モニターの5つの情報が出されたということです。このことについて、委員の方からご意見がありましたらお願いいたします。
○土屋委員 資料4の事故防止のための名称変更の件ですが、本日最初にありました医薬品の資料1の6頁にあった、アイデートとアイデトロールというのは同じ会社なのです。しかも後発品でこういうことが起きている。正直申し上げまして、ここの会社のホームページを見ますと、ほとんど同じような名前のものばかりが並んでおりますので、ここの所は特に早めにこの新規申請をしてもらう。3年間ぐらいかけるというのも通常は大事なのですが、あまりにひどい常識外れのことをやっている企業もあるようですので、その辺は重点的に早めにしないと、実は本当に同じようなのがずらっと並んでおりますので、通常とは違う指導が必要かという気もいたしますので、よろしくお願いいたします。
○外部会長 その辺はもうキャッチしておられるようでしたら、よろしくお願いいたします。
○高杉委員 私は、本日の3つの項目を聞きながら、最後のPMDAの報告で視覚に訴えるのがいちばん早いと思います。医療現場はいろいろと違いますので、そこで使う機器、あるいはそこで使う薬は、見える場所に貼っておけばいいのです。視覚で訴えるのと同じで間違いはなくなる。医療機器もできるだけ図で示す。文字では絶対に読みません。これを絶対にやってほしいです。ナースは忙しいので、そんなことは見ていられないと。ミスをしたらそこで気がつくわけですから、とにかく視覚的に訴えるのがいちばんいいのだろうと思います。最後の資料がいちばん気に入りました。
○外部会長 いろいろな議論の結果、このような画像で示す、写真で示す、図で示すことが非常に大事だということです。以上で、本日予定していた事項はすべて終了となりますけれども、全体を通じて何かご発言はありますでしょうか。
(特に発言なし)
○外部会長 特にないようですので、事務局から連絡事項をお願いいたします。
○事務局 次回の部会開催の予定については、委員の先生方の日程を調整し、またご連絡させていただきます。本日の議事録については、後日先生方にご送付させていただきますので、内容のご確認をお願いいたします。なお、修正・ご確認いただいた後は、厚生労働省のホームページに掲載いたしますのでよろしくお願いいたします。以上です。
○外部会長 それでは、これで閉会いたします。本日はどうもお疲れ様でした。


(了)
<照会先>

医薬食品局安全対策課

代表・電話: 03-5253-1111

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医薬・生活衛生局が実施する検討会等> 医薬品・医療機器等対策部会> 第22回医薬品・医療機器等対策部会議事録

ページの先頭へ戻る