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2012年6月13日 第11回チーム医療推進会議 議事録

医政局医事課

○日時

平成24年6月13日(水)10:00~12:00



○場所

厚生労働省 専用第18~20会議室(17階)


○議題

○「医療提供体制の改革に関する意見」(社会保障審議会医療部会)について(報告)
○社会保障と税一体改革大綱について(報告)
○チーム医療推進のための看護業務検討ワーキンググループの進捗状況について
○看護師の能力を認証する仕組みの在り方について
○その他

○議事

○永井座長 ただいまから第11回チーム医療推進会議を開催いたします。本日はご多忙のところ、委員の先生方にはお集まりいただきまして、ありがとうございます。事務局から資料の確認をお願いいたします。
○江口医事課長補佐 私は4月の人事異動で医事課に参りました、法令担当課長補佐の江口と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 資料の確認です。議事次第、座席表、「チーム医療推進会議開催要綱」、裏面に委員名簿がございます。資料1「医療提供体制の改革に関する意見」、これは社会保障審議会医療部会の意見の抜粋版です。資料2「社会保障・税一体改革大綱」、昨年2月の閣議決定の抜粋版で1枚ものです。資料3「チーム医療推進のための看護業務検討WGにおける特定行為及びカリキュラムに関する検討の流れ(イメージ)」です。資料4-1「特定行為の検討状況」、資料4-2「医行為分類の検討(203行為)(たたき台)」、資料5-1「カリキュラムの検討状況」、資料5-2「各活動領域において期待される役割及び担う業務の整理(案)」、資料6「特定行為と能力認証の関係について(案)」、参考資料1「看護師特定能力認証制度骨子(案)」。参考資料2「看護師特定能力認証制度骨子(案)に対する意見」はチーム医療推進会議でまとめていただいたものです。参考資料3「チーム医療推進のための看護業務検討WGにおける検討事項の整理」、参考資料4「平成24年度看護師特定能力養成調査試行事業申請課程一覧」、参考資料5「平成24年度看護師特定行為・業務試行事業申請一覧」。以上のほか、藤川委員から提出いただいている資料が、別冊であります。本日の配付資料は以上ですが、不足する資料等がありましたらお申し付けください。
○永井座長 議事に入ります。昨年12月7日のチーム医療推進会議で、「看護師特定能力認証制度骨子(案)に対する意見」を取りまとめましたが、その後の社会保障審議会医療部会及び社会保障・税一体改革の議論の中での検討状況について、事務局から報告をお願いいたします。
○江口医事課長補佐 資料1です。昨年12月22日に、社会保障審議会医療部会で取りまとめられた「医療提供体制の改革に関する意見」の抜粋版です。?「基本的な考え方」については、医療提供体制改革全般に関する事項が記載されています。
 2頁です。?「個別の論点について」の6「医療従事者間の役割分担とチーム医療の推進」の(1)「チーム医療の推進」とありまして、ここの部分は総論的な記載です。
 3頁の(2)「看護師、診療放射線技師等の業務範囲」の2つ目の○に、「現場で患者に寄り添っている看護師が、患者に安全かつ迅速にサービスを提供するために、また、その能力を十分に発揮するためにも、公的に認証することを含め一定以上の能力を認証する仕組みは重要であり、この認証の仕組みの在り方については、医療現場の実態を踏まえたものとする必要がある。併せて基礎教育内容を見直す等により、看護師全体について、質・量の両側面からレベルアップを図ることが必要である。こうした取組みが患者の安全・安心につながることとなる」とあります。
 次の○ですが、「診療放射線技師については、教育等により安全性を担保した上で、検査関連行為と核医学検査をその業務範囲に追加することが必要である」。最後の○で、「薬剤師等他の医療関係職種の業務範囲についても議論を進めるべきである」ということで、関係部分が盛り込まれています。
 資料2です。今年の2月に閣議決定された社会保障・税一体改革大綱の抜粋版です。第3章「具体的改革内容(改革項目と工程)」という部分の2.「医療・介護等?」の(1)「医療サービス提供体制の制度改革」の「今後の見直しの方向性」の中に、?から?までありまして、?「チーム医療の推進」という項目が盛り込まれています。「多職種協働による質の高い医療を提供するため、高度な知識・判断が必要な一定の行為を行う看護師の能力を認証する仕組みの導入などをはじめとして、チーム医療を推進する」といった内容が今年の2月に閣議決定された社会保障・税一体改革大綱の中にも盛り込まれています。
○永井座長 本日の議題である、チーム医療推進のための看護業務検討WGの進捗状況に関する議論に入ります。最初に事務局から資料の説明をお願いいたします。
○江口医事課長補佐 資料3です。この資料はチーム医療推進のための看護業務検討WGにおける特定行為及びカリキュラムに関する検討の流れを、イメージという形でご認識いただくために用意したものです。上のほうの四角には、先ほどご説明した昨年12月のチーム医療推進会議として、看護師特定能力認証制度骨子(案)に対する意見をまとめていただいておりますので、そこの関連部分を記載しています。
 この中で、「特定行為やカリキュラムの具体的な内容等、制度の詳細については」ということで、「引き続き十分に検討する必要がある」という記載があります。これを受けまして、チーム医療推進のための看護業務検討WGにおいて、今年の1月から5月にかけて、医行為の分類とカリキュラムの内容について、具体的に検討していただいているところです。これまで、1月以降、5月までに計5回のワーキンググループを開催していまして、その中で看護業務実態調査における調査項目の200項目について検討していただくとともに、カリキュラムの案についても検討いただいているところです。後ほど、このワーキンググループにおける検討状況については説明させていただきます。
 その後、検討状況としてはまだ継続中ですので、6月以降も引き続き医行為分類については、203の調査項目についてさらに検討すると同時に、養成調査試行事業及び業務試行事業で実施されている行為、その他必要と認められる行為についても検討させていただきます。また、併せまして、カリキュラムの案についても検討させていただきまして、ワーキンググループとしてある程度整理できたものができた段階で、関係学会等に対して意見の募集をしたいと考えております。そのご意見を踏まえて、さらに検討を行っていくということで考えておりまして、その過程において、適宜このチーム医療推進会議にはご報告させていただきたいと考えております。
○永井座長 ただいまの検討の流れについて、ご質問はいかがでしょうか。
○半田委員 事務局にお伺いしますが、前回の会議で田原課長からコメディカルスタッフとの関係性についてのご発言をいただきました。いまワーキンググループで203項目について検討しているということですが、本会議における考え方というのは、ワーキンググループに伝えられているのか、あるいはそれを前提としてどのような論議になっているのかをお知らせ願いたいと思います。
○田原医事課長 前回のチーム医療推進会議では、医療関係職種の関連業務、特定行為について、その関連性を十分に踏まえた上で検討するということを申し上げていましたが、その点については、ワーキンググループでもそれを念頭にご議論いただいていると考えています。また、それを整理したあと関係学会等に意見を募集するという流れが書いてありますが、それ以外に関連団体にも意見をお伺いすることを考えておりますので、その過程でさまざまな関係職種の方のご意見がいただけるのではないかと考えております。
○永井座長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは続いて、「特定行為の検討状況」について、事務局から説明をお願いいたします。
○石井医事課長補佐 資料4-1、資料4-2です。主に資料4-1を用いて説明いたします。1頁の「医行為分類について(素案)」です。これは現在検討いただいている看護業務検討WGにおいて、まず看護業務実態調査の203項目から始めていますが、医行為分類をするに当たって、具体的にどのような考え方で分類を進めているかをフローチャートにしたものです。
 はじめに、203項目の調査項目については、調査の項目が非常に多いこともあり、行為の内容について具体的に定義をしてから検討する必要があるので、まずはその行為を実施する具体的な状況を想定して、行為の内容を具体的に定義します。その定義した行為について、まず医行為に該当するのかどうかを分類して、医行為に該当すると判定されたものについては、その次に、現行の法令あるいは通知で、看護師又は他の医療関係職種が行う「診療の補助」と示されているのかどうかの確認を行い、明確に「診療の補助」と示されているものについては、看護師が実施する「診療の補助」に該当し得る行為で、明確に示されていない行為の中には、医師が行うべき「絶対的医行為」と、または「診療の補助」に該当し得る行為の両方があるということで、分類を次の段階に進めていきます。また最後に、「診療の補助」に該当し得る行為についても、「特定行為」と分類すべきものなのか、一般の看護師が実施できる「一般の医行為」と分類すべきなのか、あるいは現時点ではその判断が難しいので、「更に検討が必要」であるのかという分類を進めることで作業を進めています。
 2頁には、いまのフローチャートの考え方を文章にしたものがありまして、具体的な診療の補助に該当し得る行為、いわゆる医行為をどのように分類していくのかについては、3頁の表の考え方に従って実施しています。昨年のこちらの会議にも、この少し前のバージョンの表でお出ししているのですが、医行為分類における考え方については2つの軸で難易度を評価することを検討しています。横軸が「判断の難易度」、縦軸が「技術的な難易度」で、2つの軸で評価を行っていまして、この2軸の程度に応じて、一般の医行為あるいは特定行為、特定行為の中にも、主に技術的な難易度が高いものと、判断の難易度が高いもので、B1、B2の2つに分類を進めています。それから判断の難易度あるいは技術的な難易度が極めて高い、あるいはその両方とも高いというものについては、絶対的な医行為として分類を進めているものです。3頁の下のほうは、それぞれの軸の難易度の考え方について、詳細をお示ししたものです。
 4頁です。医行為分類を実施するに当たり、薬剤に関する行為、あるいは検査に関する行為については、かなり関連する項目が多数ありますので、一括して考え方を整理したものが、この2つのフローチャートです。薬剤に関しては、医師が処方して薬剤師が調剤された薬剤を看護師が投与量の調整をする、あるいは医師の指示に基づいて頓服薬等の必要性、タイミングの判断をするといったことを、このような考え方で分類してはどうかとワーキンググループでお示ししています。こちらについては、ワーキンググループの中でもさまざまなご意見をいただいていますので、引き続き考え方を整理して、この推進会議にご報告できればと考えています。検査の考え方についても、同様にワーキンググループでご議論いただいていまして、こちらについても、さらに整理をしたいと考えています。
 5頁が、医行為2分類に関する検討を行ったワーキンググループにおける主な意見です。それぞれ、このような分類別にお示ししていますが、特定行為については、1つ目の○にあるように、「特定行為を明示するのであれば、『絶対的医行為』と看護師一般が実施可能な診療の補助についても全て列挙しなければ、現場に混乱を生ずる可能性がある」、あるいは「業務試行事業及び養成調査試行事業の結果とそれによる議論から、特定の医行為はおのずと規定されてくるのではないか」といったご意見がございました。また、一般の医行為については、現在看護師の実施割合が高い行為については、一般の医行為としていいのではないか、あるいは、この範囲については医療現場をとりまく環境によって非常に差があるのではないか、というようなご意見がありました。
 5頁の下ですが、医行為ではないと整理された行為(E)についても、いろいろなご意見がありました。1つ目の○ですが、「Eの行為を医行為でないと整理すると、無資格者でも実施できることとなり、社会に与える影響は大きいため慎重な検討が必要」ではないか、3つ目の○には「Eに整理された行為は、専門性が必要とされていないというわけではなく、その中にも、相当程度高度な専門的判断をもって行われるものがある」というご意見がありました。こちらのEの項目については、ワーキンググループの中でも、さらに議論を深めるべきだというご意見をいただいていますので、また次回以降のワーキンググループにおいて議論していただく予定にしています。
 「その他」です。「現在検討している医行為の分類について、関係者の意見を聞いた上で決定してほしい」というご意見もありましたので、先ほど資料3で説明しましたように、関係学会等より意見を募集するという流れで今後検討を進めていくこととしています。
 資料4-2については、これらの考え方に基づいて、現在ワーキンググループで検討中のものです。こういう分類別に並んでいますが、前回の22回のワーキンググループまでにご議論いただいた範囲の中でして、前回のワーキンググループの中におけるご意見、あるいはそのあとで改めてワーキンググループの委員からいただいたご意見については、まだ反映できていませんので、引き続き資料4-2の内容については、ワーキンググループで検討を進め、推進会議に適宜ご報告させていただきたいと考えています。
○永井座長 看護業務検討WG座長の有賀先生から補足があればお願いいたします。
○有賀先生 座長をしている有賀と申します。いま事務局からご説明いただいたことで、基本的な部分は網羅されていると思います。特に付け加えることはないのですが、1点、ここにいままで出てこなかった議論で、資料4-1の3のグラフがあります。X軸が「判断の難易度」、Y軸が「技術的な難易度」というものです。このグラフで、ピンク、オレンジ、黒の色分けがあります。これらはそういう概念に則って、いま現在作業を進めています。このような形で概念的に整理をしながら仕事をしていくということは大事なので、したがって、資料4-2にあるように、A、B1、Cというようになっていきます。これらの振り分けの作業を進めます。
 ですから、先ほどEということで、いまのところ医行為ではないと横にどいてもらっている項目がたくさんあり、資料4-2の最後の頁にはEばかりが並んでいますが、203の行為そのものはワーキンググループの中での議論としては、ここで看護師に高度な特定行為としてやっていただくことを考える上での医行為という観点からすると、医行為ではなかろうという議論になることはなるのです。そうはいっても、203をリスティングしたときの、リストした人たちの心の動きは限りなく医行為だと思って挙げています。そういう観点からすると、いまのところはE、D、B1、B2の議論があり、これらの資料4-2にある行為についての議論を進めるプロセスで、色分けの部分は概念的なものですが、グラデーションというか、色が少しずつ変わっていくということでの、行為に関する議論になっていると理解いただくのがいいのではないかと思います。本当のところはそういうことなのだということで議論しているということです。
 わかっていただけるでしょうかね。要は、X軸のある点を期して、突然不連続に色がパッと変わるということでは必ずしもなくて、じわっと変わっているということを理解して分類しなくてはいけないような部分もあることを理解してくださいということです。途中経過ですからこういうことになりますが、以上です。
○永井座長 ただいまご説明いただいた内容につきまして、ご質問、ご意見がおありの方は発言をお願いいたします。
○藤川委員 日本医師会の常任理事の藤川です。日本医師会から意見書を出しています。参考資料として平成元年度の厚生科学研究「医療行為及び医療関係職種に関する法医学研究」をつけていますので、それについてもご説明させていただきます。
 1枚目の1「分類の前提となる資料の問題点」についてです。現在ワーキンググループで医行為について分類されていますが、それも見させていただきました。まず、前原先生と日医の両方で、アンケートを取りましたが、そのときの「医行為名」、それに今回付いている医行為の内容の「概要」、それからワーキンググループでやられている「医行為分類検討シート」の中の、行為の表現が非常に曖昧で、わかりにくい資料になっています。の内容がそれぞれ異なる場合があり、どの内容を重視して判断するかによって、分類が異なってきます。まず、医行為の内容を明確にして、委員間でコンセンサスを得た上で判断すべきです。
 (2)表現の適切化・明瞭化です。言葉の使い方が不適切、不明瞭である。「決定」「判断」「評価」の言葉が使われているが、すべて医師の指示の下に実施するという前提であっても、安易な使用は誤解を招く。「診断」は、医師しかできませんので、それを少し表現を変えたような形で書かれているところが、誤解を招くと思います。検討会メンバー以外の現場の医療関係者にもわかりやすい表現にすべきである。
 2「医行為の分類について」、(1)「問題点」です。?現在の分類案では医師がすべき絶対的医行為と思われるもの、胸腔穿刺や中心静脈カテーテル挿入など、侵襲性のあるものですが、それまで「特定行為」や「さらなる検討が必要」とされており、その一方で日医の調査では、40%以上看護職員が実施している「手術時の臓器や手術機械の把持及び保持」など、いわゆる手術の第1・第2助手、いわゆる診療の補助まで「特定行為」に分類しようとしている。同じ「特定行為」でも濃淡があり、何をもって判断しているのかが不明瞭である。
 その次です。?研究班や日医の調査で、現在ほとんど看護師が実施しておらず、1~2%レベルの問題ですが、「今後も医師がすべき」と回答が多い行為まで、看護師に実施させようとする(絶対的医行為ではなく特定行為に分類しようとする)理由を明らかにすべきである。これらの行為を、看護師に拡大することは、患者のための医療の質の向上に資するとは考えられず、むしろ医療安全の低下が非常に危惧される。
 ?診療の補助の中でも、実施や判断の難易度に幅があることは当然であり、現在は診療の補助の内容、指示を受ける看護師の能力や経験、医療機関の体制に応じて判断されている。それを法令上と「特定行為」と「一般の医行為」に切り分ければ、その業務を担う看護師は誰なのか、現場に混乱をもたらすことは必至である。
 ?試行事業に参加し2年目に撤退した大学院の撤退理由の1つが、「特定行為の実施に必要な知識技術の訓練に膨大な時間が必要で、本来の看護学科目が入らなくなる、看護大学院の教育にはなじまない」というものであったとの意見もある。当該大学院がどの程度の行為を設定していたかは不明であるが、医師による教育・指導も相当なものであることが読み取れる。医師による教育・指導がそこまで必要なものであれば、医師が行えばよいし、看護師でなく研修医等若い医師の指導に充てるべきである。
 結論として、医師が行うべき医行為か、看護師が診療の補助として実施できる行為かの検討は必要だが、認証が必要な「特定行為」か「一般の医行為」かを区別し、法令で規定すべきでない。原則として、医師がすべき医行為を看護師に担わせることは医療安全の観点から無理であり医司法上からも反対であり、診療の補助は看護師が一定の研修(OJT等)を受けて、安全に実施できる範囲にとどめるべきである。
 研究班の資料について、これは平成元年度に研究がなされていますが、下に書いているように、主任研究員は大阪大学医学部の法医学の教授の若杉先生で、研究協力者は4名いらっしゃいますが、当時東海大学法学部の助教授、現在もご存命の宇都木先生、日本医師会からも常任理事の若狭先生が入られています。
 この資料は、平成14年度の産業構造審議会知的財産政策部会特許制度小委員会の第1回医療行為WGに提出されたものです。遺伝子治療、再生医療で、新しい医療機器類が入ってきた場合も特許を取りますが、そのときの新しい医療機械を使うときの医行為を特許として認めるかどうかという議論だったのです。
 では医行為とは何ぞやというときに、当時の三浦厚生労働省医政局医事課長補佐が、詳しくこの説明をしております。議事録によると、「医行為」とは「医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は及ぼす虞(おそれ)のある行為」であると定義づけております。「或いは」以下にありますが、こちらは最高裁の判決でして、こちらの中では「医学上の知識と技能を有しない者がみだりにこれを行うときは、生理上危険がある程度に達している行為」という表現でなされております。これは私どもが、「医師以外の者が特定の行為をした場合に医行為に該当しますか」といった照会を受けた場合の回答、あるいは医師以外の者がこのような行為を行った場合に、医師法違反という形で取り締まる場合、あるいは刑罰を科する際の判決の中で、このような判断が下されているところであります。
 2頁の(2)の真ん中の辺りに、「医行為は、医師の『医学的判断及び技術』が必要な行為」と定義づけられております。この手続を経た方のみが行えるという法律構成となっているという説明をされております。24年前、厚労省が研究班を開いて研究をし、法的な判断を下され、最高裁の判決もあった上で、今度は平成14年に知的財産権の件で、医行為の定義をする場合に、最高裁の判決と研究班のものを基に、厚生労働省医事課の課長補佐の方が説明をしてくださったという事実があるのです。それから一切、法律とか、医師法なども変わっていません。保助看法が少し変わって、静脈注射ができるとか、そういうことは増えておりますが。この報告書の内容をご覧いただきます。
 その中に、2頁目に皆さんが興味のある、医行為の話が載っています。いま話に出ましたが、3頁目で「直接的行為(患者に対して直接行う行為)について」、「行為そのものが直接的に人体に危害を及ぼす虞のある行為は、一般的に医行為である」。その中には採血、投薬、注射、放射線照射、処置、手術、麻酔、生命維持管理装置の操作等がある。「医行為そのものは必ずしも人体に被害を及ぼす虞があるとはいえないが、診療の一環として行われ、結果を利用する等により結果として人体に危害を及ぼす虞のある医行為もある」。次に、問診・診察を挙げています。心電図、脳波、呼吸機能、聴力、眼底、超音波等、傷病者の療養上の指導、告知等も入っています。
 その次に間接的行為です。患者に対して直接行うものでない行為として、検体検査は医行為でないとされています。広義の医療における行為も含まれるということで、包括的医療についてです。医師法の規定に基づく診断書、処方せん等の交付等に関しては、医行為である。治療を目的としない行為であっても、美容目的の美容整形行為も医行為とされ、優生手術、いわゆる堕胎、人工妊娠手術も医行為である。安楽死、性転換手術等については、医行為と考える必要がある。採血も医行為であると述べられています。こういうことがこの資料から伺えます。ご参考までに。
○永井座長 それでは、ただいまのご説明の内容についてのご質問等をお願いします。
○山本(信)委員 資料4-1の4頁ですが、流れ図には処方があって調剤と記載されています。これまで看護ワーキングでもそうですし、この場でもお願いしてきましたが、ここで議論する際に、言葉では「調剤する薬剤」と認識されていますが、具体的な表記としてこのような流れ図の中で、処方がされて、調剤が終わったあとの薬の扱いという整理をされたことについては、ありがとうございます。感謝申し上げます。
 その上で、薬剤師の立場からしますと、調剤をする際に、これが継続使用の薬これが臨時使用の薬という区別をして調剤をしているわけではなくて、結果としてそうなるので、この表記は馴染みにくいという感じがします。
 もう1点、それぞれ矢印が下りていってB又はCという分類と、先ほど有賀先生からお話のあった、まだこれから議論すべきところに入っているEの部分がありますが、この中で薬剤の種類の変更と併せて、用法・用量というのは処方せんに記載すべき事項になっています。大変細かな話でまたこの流れ図が悪いというもとではないのですが、こうした部分も明確にする必要があると思います。用法・用量の変更がもし発生すれば、そのことは改めて処方医に提案をし、処方を変えるという行為になります。こうした点を含めて203項目を見るとまだ十分に整理をされていないような気がします。是非この先の検討の中で用法・用量についてもどういう整理をするか、単純に看護師の方々が特定行為としてできるのか、あるいは医師に対する提案というEの項目に入るのか、その辺りもご検討いただきたいと思います。
○有賀委員 これからの議論にも関係するかもしれないので、あらかじめいまのご質問も含めてコメントしておきたいと思います。いまのお話のように、看護師ができるのかというご質問なのですが、看護師ができるのかという話は局地的には看護師のパフォーマンスについての質問なので、その範囲においてはもちろん理解できるのですが、そもそも包括的な指示という理解の中においては、関係する職種があらかじめ一定の範囲内で了解して作業の流れを、クリニカルパスとかパス法ということで言えば紙媒体に落として、それと時間軸とを流れ作業のように見ることができるという話になりますので、ある日ある時ナーシングスタッフが何らかの仕事を丸投げされているという理解ではないのです。
 この表で言うと、医師に対して処方の提案をするのはEに分類されていますが、そこに至る全体像をどのように医療チームが理解しているのかということと関係がありますので、もしそこに薬剤師が関与しているという前提でいけば、その薬剤師の理解の範囲内でその医療チームのパフォーマンスが決まってきます。そういう意味では、ここで議論されている私たちのワーキンググループは看護師のテーマに特化していますが、実はその特化する話の一つひとつにすべての職種の方たちの何らかのコミットメントがきっとあるということになります。自分たちはこの部分に関してこのようにコミットしているはずなので、したがってこれはB1だ、B2だ、又はEだという議論は十分あってよいと思います。しかし、図が間違っているとなると、多くの場合、図そのものは医療チームの力量とか経験とか、病院に要求される医療のクオリティや分量にもよるので、そういう意味での私たちの職種はかくかくしかじかということになって、また話がデッドロックに乗り上げそうになるので、上手によろしくお願いしたいということです。
○山本(信)委員 言葉足らずでが誤解を招いてしまったようで、申し訳ありません。この絵が悪いのではなくて、この絵は薬剤師として、いままでお願いしてきた議論の中で明確に薬剤師の役割がきちんと埋まっておりますし、大変評価しておりますので、そこは誤解なきようお願いします。その上で、実際の現場ではなかなか継続とか緊急とか分けないという点です。先生のお話は哲学的なので、よくわからなかったのです。いまのお話でよく理解できましたので、その中でそれぞれの職種がそれぞれの判断でということであれば、まさにそのとおりだと思います。
○宮村委員 医師会と薬剤師会のあとにということではありませんが、歯科医師として特定行為の議論を進めていく上で、今日の資料で気になることがありますので発言させていただきます。文言と、それに関連して具体的に困ることが出てくるということを申し上げたいのです。
 いま、これまでもそうですが、看護師の特定行為について議論しています。看護師の特定行為というのは、基本的には診療の補助の話をしているわけです。看護師の診療の補助というのは、保助看法を見ても例外を除いて独占業務ではあるけれども、医師又は歯科医師の指示の下にという条件が付いているわけです。つまり、医行為であるならば医師の指示、歯科医行為であるならば歯科医の指示という条件が付いているわけです。ところが、今日の資料を見ても、歯科医師の指示とか歯科医行為というのは1つも出てこないわけです。これはどうかと思うのですが、それは文言上の問題だけではなくて、現実に困ることが出てくるのです。例のたたき台の203行為の中でも、歯医者がそんなことをやっているのかという疑問があるかと思います。
 私は開業歯科医ですし、ほとんどの歯科医は開業歯科医ですので、こういう行為ははっきり言ってやってないのですが、実は口腔外科医という歯科医が1,000近い病院で日常に診療をしているわけです。彼らは口腔領域における腫瘍の摘出とか下顎骨の骨切りなどを日常的にやっています。そのときには看護師に指示をして、診療の補助をほとんど看護師にお願いしているわけです。自分たちで簡単に調査をしたところ、203項目中の125項目、約6割が日常的に指示しているということですので、今後議論が進んでいくときに、例えばたたき台に「医行為は医師の指示の下に実施する」ということがそのままずっと残っていくと、口腔外科医は特定看護師(仮称)に指示できないことになります。今後「医師の指示」というところは、文言上ですが「医師・歯科医師の指示」と書いていただきたいし、「医行為」というところには「医行為(歯科医行為)」とか何か入れていただかないと、面子や立場の話ではなくて、実質的に困るので、要望というより、そうしなさいと言っていただきたいと思います。これは議論の途中だから、このままなるということで申し上げているわけではないのですが、最後までこのままでは私の立場がありませんので。
○永井座長 よくわかりました。それは事務局によくお願いしておきます。
○有賀委員 いまのことに関連して、私たちの病院でも私が前にいた病院でも、先生が言われたとおり歯科の方たちと一緒に仕事をしてきましたので、先生のおっしゃることは全くそのとおりで素直にわかります。しかし、歯科衛生士による仕事、つまり、歯科医に指示されて口腔のことをいろいろやる方たちの仕事ぶりについては、私自身は個人的に一緒にそういう人たちが働いているので分かるのですが、、直接的に歯科医の先生が指示しなければ、その方たちは保険診療上の請求をするわけにいかないということになります。法的にそれがどれだけ許されているかは別にしても、そのような資格を持った人と看護師たちに口腔ケアなどを医師としてお願いしますと言ってやった場合には、件の行為について歯科医師に言われてやったという診療報酬上の手続はしないということでやってはいるのです。
 それはそれで患者にとってはいいことなので、いいと思うのですが、いまの「医行為(歯科医行為)」とか「医行為・歯科医行為」といったときに、少し知ってしまった私から見ると、看護師ではない歯科衛生士たちのパフォーマンスについても含むかのような匂いがしてくる気がしないでもないのです。その辺は明確に切り離して、看護師と歯科医、又は看護師と口腔外科医に特化した話だということでいいのですね。
○宮村委員 特化した話として聞いていただきたい、匂いはあまりかがないでいただきたいと思います。
○藤本委員 この分類の仕方で、203項目はAからEまで分類されていますが、判断が必要になってくる行為、いわゆるB2の行為が結構多いという感じがしました。203項目のAからEまでの項目を分けた内訳、数を教えていただきたいと思います。
 また、判断が必要なものは実地でトレーニングしていかないと身に付かないものが多いと思います。その教育あるいは訓練、カリキュラムとに関して、いまは203項目の、判断が必要になる行為が増えていく中で、いま議論に出ている2年、あるいは8カ月の課程で大丈夫なのかどうか、その辺も気になります。まずは203項目の分類の数を教えていただきたいと思います。
○石井医事課長補佐 203項目なのですが、さらに203項目の中で分割したほうがいいだろうという項目もあって、前回の看護業務検討WGには、203項目から増えて、207項目のシートを提出しております。原案ですが、いまのところAと分類している項目が6項目、B1と分類している項目が33項目、B1又はB2と分類している項目が6項目、B2と分類している項目が55項目、Cと分類している項目が43項目、Dと分類している項目が19項目、Eと分類している項目が45項目となっています。これは1つの項に分類し切っているものだけではなく、BとCにまたがったり、Eも含めて分類しているものがあって、その場合は分類の高いものにカウントしています。ただ、これはまたいろいろご意見をいただいているところで、今後この数については変動する見込みであるということを申し添えます。
○半田委員 資料4-1の2頁の3「分類方法」の(3)「特定行為の分類」に「看護師の実施可能性について評価を行う」と書かれています。そう思って見たとき、1頁で「医行為分類について」とポンと書かれると、これはあくまでも看護業務中心として医行為を見たときを分類したと解釈しないと、Eの中にドクターが100万も200万もするような補装具の決定などというものが含まれてしまっているのです。例えば資料4-2の後ろから2頁目の190「整形外科領域の補装具の決定」辺りがEに含まれているのです。整形外科の補装具は、高いものでは100万、200万するわけです。それが医行為に該当しないと表現されると、何か違うような感じを受けるのです。
 これを解決するためには、1頁の「医行為分類について」のところで看護業務、あるいは看護師の業務の可能性についての医行為の分類としないと、一般的な医行為の分類としてみられてしまうと、Eに入っている中で非常に大きな問題がいろいろと出てくるように感じるのですが、いかがでしょうか。
○石井医事課長補佐 これももともと看護業務検討WGで出している資料で、当然看護師が実施する場合のという前提で作った資料です。蛇足になるかもしれませんが、その意味でも他職種の、例えば他の医療関係職種の診療の補助と示されている項目についても、その中でも看護師が実施する場合は特定行為なのか一般の医行為にしていいのかということを議論することになっておりますので、これはあくまでも看護師が実施する場合のという前提の資料です。
○半田委員 そういうこともよく理解しているのですが、資料4-1の1頁の「医行為の分類について(素案)」が強く出ていると、上の段に看護業務検討WGとありますが、医行為の分類について、看護業務の視点から見た医行為の分類であるということをしっかりと書き込まれたほうが、後々にいろいろな問題を起こさないし、整理しやすくなるのではないかと思うのです。
○有賀委員 いま事務局が言われたとおりで、もともと看護業務に特化した議論をしてきたときの資料です。そういう意味では、看護業務検討WGと書いてありますが、字の大きさが小さいということがありますから、大きな判子をポンと打ってそのときの資料として出せば、これそのものが独り歩きすることはないだろうと思います。それは注意しましょうとしか言いようがありません。ただ、そういうものだったという歴史的な産物です。
○北村委員 資料4-1の4~5頁に書かれている医行為でないというEですが、4頁の下だと「検査のための検体採取を除く」という形で、結果の評価、検査レポート・画像等の一時的評価、診断を行わないというのがE評価だと。さらに、5番についてはいろいろな形で、ただこれについてはそこに必ず医療専門職がいるということで、専門的知識がないとできない行為がいっぱいある中でのEの評価で、必ずそこには専門職がいると。画像検査についても、それを作成する段階には必ず検査技士がいたり診療放射線技師がいたりする中での評価を行うのかということで、そこにいる専門職種と協働しながらやるという前提だと先ほどの有賀先生の話だと思っておりますが、いる場合、その評価を誰がするかとなれば、専門職がやって、それを伝えていくべきだと思っております。この辺りはどのように判断するかということをお聞きしたいと思います。
○有賀委員 Eについては、まさにいま北村先生が言われたような議論が展開中です。いま飛行機が飛び立ったばかりです。そうするとEの行為のほとんどは、つまり最初の203項目を挙げたときの心象風景は、医療者がやっているよね、看護師もやっているよねというところから出発していますので、そういう意味でのE評価は、基本的にその瞬間に立ち止まって、本当かということになるのです。それはいま北村先生が言われたように、ナースであれどなたであれ、相当程度勉強した人こそこれができるので、そういう意味ではEというのは少し違うのではないかという議論は、私たちのワーキングの中でもあります。これからもたぶんあって、議論しなくてはいけないと思います。
 そういう中で、最終的に言われたチーム全体としてやっているので、したがってそれはEでないのか、であるのかということになると、ここがこのワーキンググループの難しいところですが、看護師の仕事ぶりに特化していますので、看護師の仕事ぶりに特化したときに、例えばそれを放射線技師たちがサポートしてくれて、あらかじめ議論した結果、「このパターンのこういう診断プロセスにいきそうな画像だね、ではここでどうしようか」といったときに、放射線科の技師たちが相当程度に全体のイニシアチブを取るような局面になってきたときには、看護師から見れば、看護師の仕事ぶりとしてはAでもBでもCでもないという議論に、いまのところなっております。面白い議論なのですが、そういう意味では難しいのです。
○永井座長 まだご議論があるかと思いますが、この医行為の分類については引き続きワーキングでご検討いただいて、さらにこちらでも引き続き検討することにしたいと思います。今日の議事で、カリキュラムの検討状況についても事務局から説明をいただきたいと思います。
○島田看護サービス推進官 それでは、資料5-1と資料5-2、主として資料5-1についてご説明します。ただいま座長からもお話がありましたように、ワーキンググループではカリキュラムについても議論をしております。1枚目にカリキュラムに関する論点を書いておりますが、5つほど論点を挙げつつ議論をスタートしている状況です。
 1頁です。平成22年度より養成調査試行事業という形で、養成現場でのトライアルにご参加いただいて実施しております。そこの養成課程において、先ほど医行為分類の案をお示ししておりますが、その中で今後、特定行為と分類されるであろうB1、B2といまの時点で分類されているものについて、それぞれの養成課程でどのような実施状況なのかをまとめた資料です。養成課程としては、2年間の課程と8ヶ月の課程でトライアルに参加していただいておりますので、それぞれの課程についてこのような形でまとめております。裏にもありますが、全体としてこういった傾向だということです。
 3頁です。養成課程のトライアルの2年間のカリキュラムを修了された方が実際に医療現場で既に活動していただいていると。それについても試行事業ということで活動を始めていただいております。それらの領域、例えばクリティカル領域、慢性期領域といったところで働いている方がおられます。そういった現場で実際に実施されている行為を抽出してみると、ここにあるような行為が実際現場でやられているということです。真ん中に「共通する行為」とあります。クリティカル領域、慢性期領域で働いていらっしゃる方においても、かなりな行為について共通しているという実態であったことがわかったという資料です。
 3頁の下のほうは、8ヶ月の課程で学ばれた方が現場で活動されている領域を取り出してみたものです。8ヶ月に関しては、活動領域として3つの領域で試行事業をやっておられます。救急領域、皮膚・排泄ケア領域、感染管理領域といった所で働いていらっしゃいます。そこで実施されている行為・業務を見ると、それぞれの領域にかなり独自性があることもあって、共通する行為としてはこの時点では検査の実施・決定、一時的評価といったものが共通したものとして抽出されております。
 4頁です。これらを踏まえて、先々カリキュラムについてどのように作っていくとよいのかということを議論します。ただいま養成されて現場でトライアルをやっている方々の活動状況を見ると、クリティカル領域、慢性期領域でこういった能力が必要とされるのではないかということで記載しております。上の真ん中に●があります。2年間のカリキュラム修了者の各活動領域において必要とされる能力はおおむね共通しているということで、2年間のカリキュラムにおける必要な知識・技術の枠組みは領域にかかわらず共通のものとした上で、教育内容においても共通してはどうかということをお示しして、ワーキングで議論を進めようとしているところです。
 4頁の下が8ヶ月程度のカリキュラムを修了した方についてです。先ほどご覧いただいたように、現時点での医療現場でのトライアルとしては3領域での活動があります。下に●があります。8ヶ月程度のカリキュラム修了者の活動領域において必要とされる能力には、共通部分と領域独自のものがあります。大きな教育の枠組みとしての、図としては右側に青い枠が3つほどあります。基盤となる理論、あるいは基礎となる知識、技術・能力、統合的知識・統合力といった枠組みは共通とすることも可能かと思います。教育内容においてはそれぞれ領域独自のものを盛り込むといった考え方で整理していってはどうかということをお示しして、議論を進めていただくということです。
 5頁には、カリキュラムに関する第18~第22回までのワーキンググループでの主なご意見をまとめております。論点の中の「領域・修業期間」に関する意見としては、1つ目の○にありますように「医療の質を確保しつつ、急性期から慢性期の場面まで幅広く対応することができる人材を養成するためには、2年間で養成することが必要」といったご意見、「8ヶ月課程は限定的な領域における特定行為の習得が想定されているが、2年課程と同様に医学的内容を教育する必要がある」といったご意見、「養成課程は最小限の期間で設定し、例えば大学院では2年間でそれを含めた教育を行うということもあり得る。初めから大学院と決めず、議論は最小単位にして、8ヶ月のところもあれば、むしろ柔軟性が高まるのではないか」といったご意見をいただいております。
 また、2つ下ですが、「試行事業で行われている慢性期、クリティカルの領域のみを参考にし、共通する特定行為が多いということをもって、その領域を2年間で統一したカリキュラムにすべきという議論は拙速。まずは、期待される役割・分野と、そこで必要とされる能力について示す必要がある」といったご意見もいただいており、まだこの先ご議論をしていただくところです。
 「到達目標について」は、2つ目の○ですが、「2年間の教育修了時に特定の医行為が全て一人前にできるというわけではなく、医行為の基本は養成課程で学ぶとしても、修了後に臨床で習得して一人前になるのであり、修了時の到達目標はそのレベルとなるのではないか」といったご意見もいただいております。
 資料5-2です。こちらは先ほど現場でのトライアルを実施していただいている中で共通した業務があるといったこととか、能力をこういった形で抽出したとご説明しましたが、それの基となった各場面などを設定して、こういった形で業務を行っていただいているというものですので、のちほどご覧いただければと思います。以上です。
○永井座長 有賀委員から補足があればお願いします。
○有賀委員 あまり補足にならないと思いますが、いまご説明をいただいた資料5-1の5頁の「到達目標について」の真ん中で、2年間の教育修了時に特定の医行為がすべて一人前にできるというわけではないのだと。医行為の基本的な考え方については養成課程で学ぶとしても、習得して一人前になるとしても、それは修了後に一人前になるのだと。現場に出て、その後さまざまなものを習得していくという、普通の医療者の普通のこととカリキュラムに求められることの、当たり前と言えば当たり前のことを確認しておきたく思います。テーマそのものが特定行為というか、診療補助の一角を占めている看護師による医行為ということになってしまっているので、その部分に焦点を当てて、できるできないという議論と、いま私がお話したように、基本的なことを勉強したあと現場で勉強していくのだという辺りの本当の姿の部分とが、まだ十分に咀嚼し切れてワーキンググループの中で議論が展開されているわけでは必ずしもないというところを、一応理解していただいたほうがいいと思います。私たちは、引き続きそういうことで議論していきたいと。
 クリティカル領域と慢性領域は確かに共通する部分があって、それそのものは医行為という観点でいくといま事務局でまとめてくださったような絵柄になると。資料5-1の3頁の上の図のようになりますので、そういうことにおいては2年間のカリキュラムで勉強したことが比較的共通する行為が広いことから、広い領域において活躍できそうだという議論がある一方で、それらのことについては卒業したあとに少しずつ勉強してできるようになるだろうと。これは藤川先生が言われるまでもなく、医師も歯科医師も、場合によっては薬剤師だって、理屈ばかり勉強して、卒業してきてすぐに現場で使えるかというと、必ずしもそうではない、そのような人と普段一緒にいますから、該当する看護師たちもそういう勉強プロセスなのではないかと思って議論してきました。
○永井座長 それでは、ただいまのご説明についてご質問、ご意見等はありますか。
○野嶋委員 日本看護系大学協議会の野嶋です。日本看護系大学協議会は、チーム医療の推進、看護者の役割拡大、そして医行為も看護の中で実践できる看護者の育成を推進してきております。その中で、特に医行為を専門分野で実践できる専門看護師の養成を行っておりますし、プライマリケア領域などでのナースプラクティショナーの養成も視野に入れて検討しております。
 私たちは、ここに至るまで2年は大学院教育の中でしていただきたいということと、特に専門分野を通しての教育であることをお願いし、それは「看護師特定能力認証制度骨子」にも明示していただきました。しかし、残念ながらここに来て今回提案されているものは、2年間は専門分野領域を置かず、教育内容においては共通としてはどうかというご意見です。しかも、97の特定の医行為を挙げております。この97の特定医行為が専門分野別ではなく、2年間ですべて教育をするようにということと、確かに卒業時に到達するわけではないということをおっしゃってはおりますが、一方で安全性を考えると、専門分野で着実に行っていくことが通常ではないかと思っております。このたびのデータは、たった3項からのデータです。専門分野を置かずに医行為に焦点を当てた教育が提案されていることは、とても残念でなりません。これらの医行為は、実際にこの方たちが行っている場合には、患者の状況に合わせて看護の専門分野の知識も活用し、高度な判断力を駆使して実施していると思います。
 医師の皆様方も同じように、手法にのみ焦点を当てた教育を中心に置くことに対してはかなり抵抗があるのではないかと思います。看護においても同様で、今回提案されているような2年の現行案に対しては断固反対をしたいと思っております。その理由は、大学院の設置の趣旨とは相いれない提案であるからです。文科省の定めによると、看護学の大学院の目的は、看護学の分野において研究能力と卓越した実践能力を養うことです。これらに対して、少なくとも最低限30単位以上の科目を履修することと定められております。今回提案されているものは、臨床実践能力のうち医学的な部分を強化する内容となると、これは大学院教育の中のごく一部であり、また医学的部分を強化した看護師だけであるならば、必ずしも看護学の修士課程を修了したことにはならないと思います。特に97の医行為、しかも専門分野を設けず、97をすべての2年課程に置くことに関しては、かなり大学院の教育とは相いれないものだと考えております。
 第2点は、看護の専門分野を無視した考え方です。これは結果としてはフィジシャン・アシスタントの教育にならざるを得ないと思っております。今回の2年課程の提案は、慢性も急性も同じ医行為を実施してきたとして専門分野を置かないという結論になっていますが、大学院教育は専門分野に特化した形で、すべての学問領域の発展と同じように看護学においても専門分野を置き、そこでの教育を行っております。大学院で実践者を養成している所では、専門看護師であろうと、今回試行事業に参加している大学もすべて専門分野を置いております。その中での養成をしておりますので、専門分野を置かないことに関しては私どもはかなり危惧をしております。
 フィジシャン・アシスタント教育との相違は、まさしく看護の専門分野を置くかどうかにかかっていると思っております。今回の認証制度は、医師の補助者として医行為を行うフィジシャン・アシスタントの養成ではないと確認しておりますので、是非看護学に基づいた医行為が実践できる人材を養成できる教育に修正をお願いしたいと思っております。
 私の主張は、大学院において養成する場合には、大学院教育の設置の趣旨、専門分野を重視し、その中で医行為が取り込んで看護を実践できる人材を養成することが、まさしくチーム医療の推進に役立つと確信しております。チーム医療は、それぞれの専門職者がそれぞれの強み、専門的技術を出し合って働くことがチーム医療だと確信しているからです。誤解のないように申し上げますが、私どもは看護の専門職として役割拡大を行い、チーム医療に参画をし、国民の健康に貢献したいと思っております。是非、私どもに看護が実践できる教育の機会を提供していただきたいと考えております。
 私どもの所では、専門看護師、高度実践看護師を養成している所としては、195の課程があります。今回のデータは3つの課程のデータで論じているので、それは日本の全体からすれば必ずしも代表的ではないと思っておりますし、看護界が蓄積してきたこれまでの財産を活用する形で認証制度を活かしていただきたいと思っています。大学院で養成する場合には、大学院教育とのバランス、趣旨を活かし、大学院教育とのバランスを考慮していただきたいこと、看護学それぞれの専門分野を中心とした医行為が実践できる教育を推進することを要望しております。この点に関して、今回提案されている方はどのようにお考えなのかを聞かせていただきたいと思います。
○永井座長 それでは、どなたかご質問、ご意見をお願いします。
○有賀委員 大学院教育と特定行為ができるような看護師をつくることが矛盾しているかいないのかということに関して言えば、私の理解では大学院の存在する意義について矛盾しそうだという発言をされているのです。そうは言いながらも、国民にとって必要な医療者を作っていく一環としての大学院教育であるということでは、大学院教育そのものが少しずつモディファイされていくことは私はあっていいと思いますので、そういう観点からすると、文科省から見て、私たちの考えているプロセスそのものが、どれだけ国民にとってよろしくない大学院という位置づけなのかについてのコメントはあとから賜りたいと思います。
 有り体にワーキンググループの様子をお話しますと、これは方法論的にそうならざるを得なかったのだと思いますが、こういう試みについて参加できる人たちはどうぞよろしくお願いしますという形で呼びかけ方式でやっておりますので、そのような呼びかけ方式に大学院として参加できそうな所が参加したと。藤川先生によると、やはりやめたという所もあるらしい。さまざまな意見が出るのは、参加したいという人がいる一方では、参加したくないという人もいてもいいわけです。そこで、私たちのワーキンググループの中での議論で言えば、参加したいという方たちの意向を受けて教育され、卒業した人たちが働いている現場がある。つまり、養成調査試行事業といった勉強プロセスを持つ人たちと、その結果として現場に出て、現に仕事ぶりを発揮している方たちの議論を踏まえた形で、これから先どのようなことをしながら、どういう認証制度になるかは別ですが、何らかの資格を得たような形で現場で活躍してもらえるかという議論をしているわけです。従って、そもそも論的に大学院の設置の趣旨から見てこれが馴染む馴染まないという大上段でいくと、私たちとしてはそのまま前頭葉に染みるわけにはいかないと。そうですかとしか言いようがない。
 そういう意味では、ここに文科省の方がおられますが、大事なところが冒頭でたくさん触れられているので、是非コメントをお願いしたいと思います。
○永井座長 先に医学教育課長から大学院のあり方との関係についてご意見をいただきたいと思います。
○文部科学省村田医学教育課長 医学教育課長の村田です。いちばん難しい、言いにくいところを振られてしまったような感じがしますが、基本的な考え方は、まさにいま両先生からお話があったことに尽きていると思います。基本的に看護系の大学院教育のあり方がどうあるべきかというところは、まさに高度な専門職としての看護のありよう、それに対する社会のニーズ、国民のニーズに対応して、それは一義的なものではなく、ある程度変化ということは当然あり得るだろうと思います。ただ、一方では野嶋先生が先ほどおっしゃった大学院教育として実施されるのであれば当然、学校教育法大学院設置基準の中でやっていただくことになるわけですので、その中でどういう制度設計があり得るのか、そこはいまワーキングのご議論の中でも、ポイントとしては、これからの看護職に求められる多様なニーズにどう大学院の中で対応していくのか、一方でそのことが大学院教育とのバランスでどう考えられるのか。その辺りは、結論から言えば、まさにいまワーキングの中でどう両立させるのかをご検討いただいているところですので、我々としては折角こうしたご議論が進んで、医療の発展に資するような形の構想が検討されているので、そのことと、一方でこれまで積み重ねられてきた看護系の大学院における実績がうまく両立するような形でご検討いただければと考えております。
○野嶋委員 大学院で教育することに反対しているわけではなくて、私どもは2年課程であるならば大学院教育であってほしいと思い、制度の骨子(案)にもそのように記載していただきました。
 問題なのは、2年課程においては専門分野を置かずに教育をするということに関してです。それに関してはいろいろな所で、ワーキンググループの中でも意見があり、例えばここにも文章がありますが、2年間の課程でオールマイティな看護師を養成するのではなく、解剖学や病態生理学など医学的教育を受け、グローバルに浅く広く勉強し、その上でがん、在宅、小児等の専門分野に分かれていくのではないかと言われております。基本的に、大学院教育の中で専門分野を中心としながら、その領域で特定医行為ができるようにしていくことが適切ではないかと考えており、2年間でオールマイティで97の特定医行為を教育することが馴染まないということに関して強く反対を申し上げております。現実的ではありません。
○藤川委員 いま言われたことには大賛成ですが、現状を見ると、大学病院の看護師でも2年や3年でローテーションしていくのです。原則1カ所に5年や10年いることはできないし、能力の差もあるし、本人たちの希望もあるわけです。そういうことで2年や3年で、視野を広げるという点で看護師の免許を取ったあといろいろな病棟や外来を回って、最終的には落ち着いていくわけです。この場合5年間実務をして、2年間大学院ということです。医師の場合は研修医制度ということで、卒業してすぐのところに持ってきたのです。それで、プライマリケアができるぐらいの能力を身に付けようということです。5年経ってそこから在宅専門とか心臓外科専門と言っても、果たして現実性があるかというと、そのころに看護師たちは結婚するのです。年齢的に5年経つということは、ちょうど20代の後半、2年行くと30才前後、いまは婚期が遅れているので平均年齢は27、8になっていますが、それでは看護師たちはずっと独身でいけと言うのかということになります。それを考えると現実的な問題で壁にぶつかるのです。
 心臓外科であれば心臓外科に10年いたということであれば、その10年の間にもちろん結婚等プライベートなことがあるでしょうけれども、Uターンして戻ってきてもらって、現場でトレーニングすると同時に、心臓外科の学会のときには必ず看護部門を作って、現実的な心臓外科の手術の介助にはこういうものが要るとか、人工心肺も進歩したとか、専門看護師として身に付けていかないといけないわけです。
 言われたように、特定看護師はいろいろなことをすべてマスターすることはできないのです。実際見学することはできるけれども、麻酔でも1カ月行ったから麻酔ができるかというと、我々もできませんし、見学するだけの勉強をしても、その人に特定看護師として医師の包括的指導もやれと言っても、まず医療事故を起こすことは目に見えています。いま言われたことは現実ですので、もしやるならば、医学会できちんと教育をして、看護学は看護学で極めてもらって、医学会が求める能力は医学会がきちんとサポートするということです。我々医師会もサポートしていいのですが、その道を貫く人でないと、一貫性がないと、プロフェッショナルとしては不十分な能力になって医療事故につながっていきます。在宅をする場合は在宅の能力が要るわけです。心臓外科の看護師が介助が上手だからといって、在宅に行ってもすぐできないわけです。その辺をワーキングでもしっかり議論していただきたいと思います。
○小川委員 全国医学部長病院会議の小川です。なぜ、いまのような議論が出てくるかということです。ワーキンググループの中で個々の医行為がどういうレベルにあるのかということはいろいろ検討されているし、カリキュラムも検討されているのですが、その先がないからなのです。要するに、カリキュラムを作ったが、それを担保する教育体制はどうあるべきかという議論が1つも出てこないのです。
 先ほど藤川委員からもお話がありましたが、看護大学の先生のお言葉として、看護系大学教育には馴染まないというお話がありました。また、野嶋委員のお話の中でも看護系大学教育とは相いれないというお言葉もありました。それは当たり前なのです。看護系の大学は附属病院を持っていません。医行為の知識・技術を教育する指導者の体制もない、実習体制もない、医療現場もない、実習病院もない中で医行為を教育するカリキュラムを作ったとして、それを担保する教育体制がないのは当たり前なのです。ですから、看護系大学院で教育をするのかということになると、先ほど医学教育課長からもお話がありましたが、もともと高度医療人を育成するのが医療系の大学院の目的です。一方、高度医療人の育成には当然知識も技術も入ってきます。このような教育体制を整備するには、指導者の体制、実習対象になる患者がいる実習病院である附属病院があることも必要です。従って、特定看護師の教育体制を担保する大学院は、看護系大学院ではなくて、どちらかというと医学研究科の修士課程のほうがむしろなじむのではないかと思います。
○野嶋委員 私たち日本看護系大学協議会は、スペシャリスト(専門看護師)を養成しております。専門看護師の養成をしているということは、実習も行っていますし、一定の限定の中では医行為もしております。そのときには、実習病院との連携が非常に重要なことで、各大学・大学院はそれぞれ実習先の病院の医師たちとは非常に強い連携の中で医行為をしております。
 問題なのは、専門分野の中で医行為を行っていく、B1、B2それぞれの専門分野に特化した形での医行為は、看護系大学協議会の大学の教育の中で十分できることです。ただし、何度も申し上げますが、オールマイティで97を全部してくださいということは非現実的だということを申し上げているわけです。もともと、この制度そのものは看護学の基盤を強化し、医学的知識を強化するということで、両方が必要であるという立場ですので、医学知識だけが必要だとは捉えておりません。
○太田委員 この議論とは違うのですが。資料5-2の3頁の慢性期領域のところで、これは実際、試行事業に参加したという内容ですので、おそらく在宅はあまり参加していなかったのだろうと思うのですが、ここに「外来、病棟、訪問診療等の各部門において」と、訪問診療の領域のことを明確に文言として盛り込んでいるのです。
 次の頁で、訪問診療や訪問看護はどうなっているのだろうと期待して読むと、4頁の下の「担う業務の例」の4つ目の○に「訪問看護の必要性の判断、依頼」とあります。驚いたのですが、依頼は主にケアマネージャーの仕事ですね。慢性期の領域は大部分が高齢者だと思いますが、制度的に言えばこれは退院時ケアカンファレンスで決まることで、訪問看護の必要性の判断を看護師がやるというのもどうかと思うのです。そもそも制度にのっている地域包括ケアシステムへの理解とか、そういったものがこのワーキングの中では全然語られていないのではないかと感じたのですが、いかがでしょうか。
○有賀委員 全然語られていないということですが、事実は違って、結構語られているのです。ただ、記録に残す側も書き手の貧弱さがこのような結果になっているだけの話で、その部分は先ほどの事務局の資料の作り方の問題になりますので、とりあえず横に置いておきます。在宅に関して非常に見識を持った方もおられますし、ナーシングスタッフもそれについては結構発言されていますので、先生がおっしゃったような、病院の中でディスカッションしたあとに在宅に戻って、場合によってはそのあとの看取りの部分をどうするかということも含めて議論はあります。だから、判断と依頼だけという寂しい状況については、読み手が寂しいという以上は寂しいということを素直に認めた上で、議論をしていますので、十分に親会に上がるように気をつけないといけないと思います。
○太田委員 よくわかりました。病院から地域を眺めているという書き方だと思うのですが、地域から病院を眺めると景色が違うので、是非ともよろしくお願いします。
○有賀委員 その件は、救急医療の場面で先生のおっしゃったようなことが出てくるのです。ぐるっと回りますので。
○永井座長 まだご議論はあると思いますが、このカリキュラムにつきましても、ワーキングで引き続きご検討をいただくことにしまして、次の議題にまいります。資料の説明を事務局からお願いします。
○島田看護サービス推進官 資料の6につきまして説明をさせていただきます。推進会議におきましては、昨年12月の前回の会議の際にも、認証のあり方についてご議論をいただいたところです。本日以降もまた認証のあり方についてご議論をいただきたいと思っておりまして資料6をお示ししております。この資料は前回の推進会議でもお示ししたものを一部改変したものとしてお示しをしております。
 「特定行為と能力認証の関係について」で、まず「特定行為を法的に位置づけることについて」を整理しております。まず法的に位置づける場合、その特定行為の範囲としましては、特定行為として「診療の補助」の範囲が高度な医行為も含めて一定程度明確になる。そして、特定行為の範囲を見直す際には、広く全国の実態等を踏まえて検討する必要があるため、一定の手続、時間が必要ということかと存じます。
 特定行為の実施です。法的に位置づけた場合には、特定行為の実施に当たっての条件、例えば教育の付加、安全管理体制の強化等を法的に位置づけることができ、医療安全が確保される。法令上、教育を付加されない看護師については、特定行為の実施に当たって医師の指示、安全管理体制に関して新たな規制が必要となる。診療補助の範囲が明確になることにより、実施に当たっての条件を満たした看護師が安心してその実力・能力を発揮することができるというように整理をしております。
 右側は、特定行為を法的に位置づけない場合です。これは現行のままということかと存じます。特定行為の範囲としては、例えば通知で特定行為を示す場合、すべての看護師の平均的な能力を勘案して検討することになり、明確化される診療の補助の範囲が限定的となる。この場合、比較的高度な医行為が診療の補助の範囲に当たるかどうかは、現行どおり個別具体的な判断となる。それを実施するに当たっては、特定行為として想定される医行為の実施に当たっての条件が法的に位置づけられず、安全管理体制を現場の判断に委ねる。医師が個別の看護師の能力に応じて指示を出すこと、病院内で研修を行う等、既に病院等で実施されている安全管理体制で対応することができる。新たに特定行為として想定される医行為を行う際にも、医療現場の実態に合わせた安全体制を柔軟に取ることができる。このように整理をしております。
 「特定行為を法的に位置づけない場合」は現行のままですが、法的に位置づけた場合には、その次なる論点として下に書いていますように、特定行為を実施するための医療安全の確保等の条件についての整理が必要となるということで、下のほうの2番で整理をしています。
 まず医療安全の確保の方法として、「看護師の能力を厚生労働大臣が認証する場合」と、「大臣が認証しない場合」という整理をしています。まず、大臣が認証する場合には教育内容や試験にも関与することになりますが、現行の制度骨子案においては、認証を受けていない看護師が特定行為を実施する場合には、医師の具体的指示と安全管理体制を必要とするという考え方で整理をしています。
 その場合の教育です。公的に教育内容を担保することで能力認証を受ける看護師の質が一定に保たれる。実施可能な業務と教育内容一貫して検討するため、医療現場で求められる特定行為に応じた教育内容が担保される。教育内容の変更に法令改正が必要なため、一定の手続、時間が必要になる。公的に教育内容を担保し、能力認証を行うことで、医療現場又は職能団体で独自に取り組んでいる教育・研修の負担が軽減する。公的に認証を受けていることを「見える化」することによって、医師や他職種、患者にとっても特定行為を実施する能力のある看護師であることがわかる。このような整理をしています。
 一方、認証しない場合の教育です。看護師の教育及び能力の認証については、各施設、職能団体、学会等により、独自な取組みが行える一方、その質の水準に差が生じる可能性がある。教育の内容を制度的に担保できないため、現場で求められている特定行為を実施するための教育が行われない可能性がある。既に病院内で実施されている教育課程等を活用し、広く柔軟に教育を付与することができるのではないかという整理をしています。
 次に医師の指示について、能力を認証する場合です。特定行為を実施するために必要な教育を受けた看護師が、医師の包括的指示の下に特定行為を実施し、また、一般の看護師が特定行為を実施する際も、医師の具体的指示の下に特定行為を実施、医療安全が確保されると整理をしています。この場合、認証の有無に応じて指示の内容を変更する必要がある。
 一方、認証をしない場合の指示ですが、看護師が特定行為を実施する際に医師の指示についての何らかの条件づけが必要となり、現在よりも規制強化になる可能性がある。医師が個別の看護師の能力に応じて柔軟に指示を出すことができる、という整理をしています。
 3頁、医師・看護師の責任についての整理です。大臣が能力を認証した場合については、医師・看護師の責任は個別具体的に判断されるが、一般的には以下のとおりです。公的に看護師の能力を認証することにより、看護師の能力を確認することに関する医師の責任が軽減する。それから、包括的指示により、看護師が特定行為を実施することとなるため、看護師の判断する内容が広がる分、看護師の責任が重くなる。認証しない場合には、公的な認証ではないため、医師が看護師の能力を確認することについては現行と同様に、医師の裁量に委ねられる。看護師の責任は現在と同様となる。
 最後に病院等の安全管理体制です。公的認証を行う場合には、能力認証を受けていない看護師が特定行為を実施する際に、病院等内での安全管理体制を確保することを規定するということで、制度的にも医療安全が確保される。能力認証を受けていない看護師が特定行為を実施する際に、医師の指示、安全管理体制に規制がかかることにより、業務範囲が限定される可能性がある。
 一方、認証を行わない場合ですが、看護師が特定行為を行う際に、病院等の安全管理体制の確保について何らかの条件を求めるため、現在より規制強化になる可能性があるといった形で整理をしています。以上でございます。
○永井座長 ありがとうございます。ただいまのご説明にご質問、ご意見をお願いいたします。
○藤川委員 右側に「現行のまま」というのを書かれています。現実には現行のままの中に、いま議論をしているような特定行為も一部やっている医療機関はあるわけです。現場できちんとした教育をした人にしかやらせません。法律に基づいて医師が指示を具体的に出した場合は、必ず責任を伴いますので、できないような看護師さんにはまずやらせないです。それは自分の医師免許証を失うというリスクの問題もありますが、まず患者さんが亡くなる場合もあるわけです。そして、看護師さんに能力以上のことをやらせられたことによって、これはパワーハラスメントにもなるのですが、無理矢理やらせたことによって事故になったら、そういう方は裁判になり、看護師さんは辞める可能性がある。
 だから、きちんと医師の裁量権の下に、この人はできるだろうというのは確認しています。有賀先生がよく言われるように、救急の現場でウイニングをさせるにしても、できないような人にはさせませんよというのは、医師が一緒に働いてみて能力がわかるのです。だから、それにプラスアルファ学問的な知識を付与することが大切です。看護師さんたちは忙しいので、そして家庭をもっていたりすると、なかなか勉強する暇がないので、ある程度、時間を、ゆとりをもたせて学会にやったり、院内・院外の研修をきちんとやるわけです。それも専門に特化して勉強をさせないと、オールラウンドで勉強をしなさいと言われても、そんな時間もないし、体力ももたないわけですので、そういう点で私は右側のほうで十分やっていけるなと、いま説明を聞いて再確認をしました。
 やはり医師もオートノミーで、自分の科を専門職としてやっていく以上は生涯教育で勉強をやっていますので、看護師さんも、もし可能であれば自分の専門職のところを続ける。ワンダリングをあまりすると、レベルに落ちますので、その辺は高度先進医療になっていけばいくほど、特化して同じ道を歩ませる。しかし、一般的な外来のサポート、療養の世話等、診療の補助の、それほどリスクのないところでいいという看護師さん、その方がたぶん圧倒的に多いと思いますが、その方は看護大学でやっているようなナイチンゲールの精神で看護学を極めていっていただくということがあると思うのです。現実にいま専門看護師の数を見ても、140万人の看護師さんの中でも、まだ1万人にも満たないと思うのです。139万人の方は、いわゆるスタンダードな知識で頑張っていらっしゃると思います。法的に位置づけるよりは、現行のままで学問のレベルと経験のレベルは、きちんとその専門分野で高めていくことを医学界も医師会も協力していくことが、チーム医療の安全につながるのではないかと思います。
○半田委員 裏面で「医師・看護師の責任」ということが明記されて、私は、このように明記されたことは非常に喜ばしいと思います。しかし、包括的指示の裏側には、包括的指示を受ける側の「責任が重くなる」と明記されているのですね。だから、具体的に包括的指示をいただいたほうの責任が重くなるということは、どういうことなのですか。責任が重くなるという言葉は一般的に「そうかな」という気がするのですが、個々における包括的指示下におけるそれぞれの人たちの責任が重くなりますよという「責任」は、だから勉強をしなさいと言っているのか、例えば医師賠償責任保険下におけるいろいろな問題を指しているのか。この責任が重くなるということの具体的なものは、何を指しているのか教えていただきたいのです。
○永井座長 これは事務局、いかがでしょうか。
○玉川看護職員確保対策官 「医師・看護師の責任」で、さまざまな責任が法律上、民事・刑事・行政ということがあり得るかと思いますが、ここでいっていますのは、ベーシックなところでは、資格法では医師の指示に基づいてその診療の補助を行うということですので、当該業務について包括的指示ということであれば、具体的な指示と比べれば、「裁量」、あるいは裁量という言い方は言葉としては適当ではないかもしれませんが、要するに判断する内容が広がることによって、そこの判断を具体的にどのように指示への当てはめをするか、もともと指示が出ている中で考えるかという関与の部分が増えるわけです。そのことによって個別の民事上とか、刑事上の責任が問われたときの過失の認定で、その人の関与する割合が多くなれば過失行為が認められる余地も増えてくる、あるいはその認定がより認められやすくなるという方向が出てくるということで、過失が認められ結果的に民事とか刑事の責任が発生してくることはあり得るというものです。
○半田委員 とすると、考え方としては、例えば民事・刑事上の責任が重くなる可能性があるということですか。
○玉川看護職員確保対策官 過失の認定がより認められるような方向に、具体的な関与が判断される可能性が、ベクトルとしてはあり得るということです。
○藤川委員 日本医師会資料を見ていただくと、責任問題も詳しく書いてあります。まず、7頁の医療関係職種の医行為のところです。また、8頁に、医行為についての指示を必要とする医行為例で、包括的指示による医行為はこういうものであろう、具体的指示によるものはこういうものであろうと表示されています。そして、医師の指示を必ずしも要しないものはこういうものであろうという、いま一般的な看護師さんたちがやっている行為が分類されていますが、これも参考になる。それから絶対的医行為の具体例で、在宅医療においては、現状では医師自ら行うべき行為がある。胃のチューブ交換、静脈注射、動脈採血等々が書いてあります。
 その次の頁を見ていただくと、「責任」というのがあります。医行為に伴う事故については、従前、医師の指示下に医療従事者が行う場合であっても、指導監督を行った医師に主たる刑事的・民事的責任を負わせてきた。チーム医療の拡大の下で、今後は医師とその他の医療従事者との間について、業務分担のあり方と並行して適切な責任分担のあり方について検討がなされるべきである。看護婦の能力などを勘案し、どの看護婦にいかなる業務・医行為を医師が指示したかについて、医師は責任を負う。他方、患者の状況の報告や指示を受けるべきことの照会や、実行行為を果たす上での注意義務については、医師に加えて看護婦も責任を免れない。ということで、こういう問題で看護師も相当の責任がもちろん負わされるわけです。
○太田委員 能力認定を国が行う場合、有賀委員、昨年、麻酔科標榜医をイメージするといいというふうに、ご説明いただいたと思うのですが、そういう理解でよろしいですか。
○有賀委員 いいえ、私がそれを理解しようと思うと、あれしかないという、そういうニュアンスです。その後いろいろ勉強したところによると、どうも麻酔科学会も標榜医以外の、例えば整形外科や脳神経外科と同じような専門医制度を構築しているようで、標榜医を取ると同時に、そちらの専門医を取得することになっているようです。
 したがって標榜医そのものは、今後もし専門医制評価・認定機構などの議論で、多くの専門医がその第三者的な評価のプロセス、その社会の仕組みの一貫としての共通のプロセスによって評価されることが起これば、場合によっては標榜医という仕組みはなくなるのかもしれないということを聞いたことがあります。ただ、いま現在はあれぐらいでしか、私の頭の中で整理のしようがなかったので発言しました。
○太田委員 そうしますと、「責任が重くなる」というここの文言の議論に戻るのですが、麻酔は誰がかけても医師であれば大丈夫なのですが、仮に事故が起きた場合、標榜医がかけた場合と標榜医がかけていない場合と、どちらの責任が重くなるかということと重ね合わせてみると、これだと標榜医がかけたほうが重くなるという解釈になってしまいますね。それはいささか違うだろう。むしろ専門的なトレーニングを受けてライセンスを持っている人がやった場合、やむを得ないという判断もあるわけですね。ですから、ライセンスのない人がかけたほうが責任が重くなる場合も存在しているという話は聞いたことがありますので、「看護師の責任が重くなる」は、安易にこういう表現は正しいものかと、私はちょっと感じた次第です。
○有賀委員 ワーキンググループの座長として私はここに座っているというか委員の一人として座っています。いまの認証のあり方に関する議論については、参考資料の1が去年の11月、参考資料の2が去年の12月で、今日、資料の6はもちろん出てきていますが、参考資料の1や2を踏まえた形での参考資料の6であって、ワーキンググループとしては、いま言ったような認証のあり方の究極の場面を想定しながら議論を練っているというところにはありません。いま言ったカリキュラムの問題だとか、今日のテーマでいうと2番目の議題だとかは議論しています。しかし、そういうような形で認証へ向かってばく進するのかということについての議論は、たくさんの時間を使ってやっていますが、認証の具体的な議論にまでは届いていません。
○山本(隆)委員 いまの責任の問題ですが、確かに簡潔に表現するとこうなるのでしょうけれども、一般的に申し上げれば、左の欄になることによって、責任を判断する一般的な枠組み自体が変わってしまうということではないですね。ですから、その意味で何か責任が重くなるような、全く違う制度が適用されるという意味ではございません。
 ただ、ここで言わんとしていることは、1つにはいわゆる特定行為という、いままでよりはもう少し危険性の高い行為をすることになる。それから、それを包括的指示の下でやることになれば、当然いままでよりはもう少し危険性の高い行為を自分の判断でやる部分が出てくるので、そうすると、何か事故が起きたときにその責任を問われる可能性があるということなのです。逆に言えばそれができるだけの能力をきちんと付けていただく制度になっているわけですから、本来の制度がうまく動くかぎりは、そもそもそういった不注意による事故は起きない。そうだとすれば、責任は問われないということですから、「責任が重くなる」と一言だけ書かれると確かに非常に違和感があるかもしれません。言わんとしていることは、そういった活動領域が広がる、それから自分でその判断をしなければいけないシチュエーションが広がるというところで、いままでよりは、責任を問われる可能性が生じるということかと思います。
○太田委員 そうしますと、法的な問題と道義的な問題と両方の責任がここにあると、そういう解釈ですね。
○山本(隆)委員 それはもちろんだと思います。それはいまでも基本的な考え方は同じだと思います。
○藤川委員 やはり、それだけ判断を自分でやったり、医師が本来しているような行為をやろうとすると、医学部の国家試験を受けていない医師でない以上は、訴訟になったとき、患者さんが亡くなった場合に、必ず弁護士さんたちは追求してきます。もちろん国家が認証したということで、それをやる人たちは担保されたと安心するかもしれませんが、担保ではないのですね。責任が重くなるという印を付けるわけであって、それだけ高度なことをするということは、どんなに高度な勉強をしたとしても、責任は重大になってくる。我々医師がそうであるように、医師と同じ行為をするということであれば、医師と同じような責任がきますよと、たとえ包括的指示であっても。
 我々でも勤務医のときは教授から指示を受けたり先輩たちから指示を受けて、包括的指示でやるわけです。直接医行為をやって患者さんが亡くなったときは責任は重くなるわけです。いまの説明は、微妙に責任は変わりませんよという表現でしたが、そうではなくて、さらに責任は重くなりますよということを認識しておかないと、看護界のほうで油断をしていると、とんでもないことになります。
○大久保委員 看護職としまして、これまでもそういったことには責任をとってまいりましたし、これからもその責任はとらなければいけないというように考えます。そのためにはやはり知識や能力の質を担保していかなければいけない、質の担保のためには教育の内容とか能力を公的に承認していただく、これが必要になってくると考えております。
○永井座長 ほかにいかがでしょうか。まだご議論がおありだと思いますが、さらにこの点につきましても論点整理を事務局にしていただきたいと思います。最後に、宮村委員及び山本委員からご提案があるということです。最初に宮村委員からご説明をお願いいたします。
○宮村委員 ご提案というかご報告とお願いです。チーム医療の推進会議、これは他職種の医療関係者の連携があるわけです。その中で、その役割を担う歯科衛生士法の一部改正を、実は今年の3月に小宮山厚生労働大臣に要望書を提出したということをご報告申し上げます。これはどういうことかといいますと、時代物になってしまっているのですが、歯科衛生士法の第2条第1項です。「歯科衛生士とは厚生労働大臣の免許を受けて」、これは当然です。「歯科医師の直接の指導の下に、歯牙及び口腔の疾患の予防処置として、次に挙げる行為を行う」。「次なる行為」というのは歯石除去とフッ素塗布みたいなものなのですが、それを「行うことを業とする女子をいう」。歯科衛生士法が昭和23年の終戦後にできたときの文言なのです。もう既に男子も附則で入ることができるようになって何年も経って、現実に30名いますので、「女子」を「者」に改めてくれというのが1点です。
 あとは、「歯科医師の直接の指導」の「直接」というものを「緊密な連携の下に」と。この「直接」というのは、実は終戦後、昭和23年にできた保健所歯科医が予防処置でひいひい言ってやっていた。それで衛生士を早くつくれということで、24年に歯科衛生士法ができたのです。その間、お手伝いしてくださっていたのは実は保健婦さんで、繋ぎをやっていた。たまらないから早くつくれということで、衛生士さんの修業年限が1年だったのです。1年でそんなことができるかという国会の質問等があって、では、「直接の指導」というのを付けるからというのが経緯なのです。いまではもう3年以上の教育年限になっているし、いろいろな所で衛生士さんもやっているので、この「直接」を取ろう、それから「女子」を「者」にするということを要望いたしましたので、チーム医療の会議でも、ご検討・ご議論をいただければということで、ご報告とお願いをさせていただきました。以上です。
○永井座長 ありがとうございました。この件につきましては、チーム医療推進方策検討WGでの検討をお願いしたいと思いますので、山口委員のほうにお願いをしたいと思います。
○山本(信)委員 機会を頂戴しましてありがとうございます。提案というよりは提案とお願いに近いのですが、今日の資料が先ほど事務局からご説明があったように、看護の業務について焦点を合わせたということで、看護業務が中心になっているというように了解をいたしております。
 その議論の経過の中で、それぞれ結果についてはワーキンググループからこの場に報告がある、あるいは関連する業務については、それに類する必要な関係団体等に連絡があるということですが、今日ご提示いただいた資料を拝見いたしましても、薬剤師が行うべき業務といいましょうか、薬剤師の業務と関わる部分がかなりございます。一昨年の報告書とその後に示されました医政局通知等で、ずいぶんと薬剤師の役割が拡大されましたが、具体的に現場で仕事をしておりますと、先ほど太田委員からございましたように、例えば在宅の現場に行きますと、かなり微妙な部分が混在してまいりまして、現場では大変悩んでおります。
 その上で昨年の12月には社保審医療部会から、薬剤師等についても看護と同様な検討の場を設けたらどうかというご意見がありましたことを踏まえて、先ほど藤川委員の資料も拝見したのですが、その中に処方せんを発行することが絶対的な医行為であることは誰も認めることです。その結果、薬剤師はその絶対的な医行為に伴って発行された処方せんに基づいてでしか調剤ができないとなると当然、薬剤師の業務も医行為と重複するようなことが出てくるであろうと考えます。薬剤師が何でもかんでもということではありません。さらに、医師のなさることをするのならば医師の勉強をすればよい、私もそれは賛成ですが、具体的に現場の行為としては、なかなかそう進まない部分もありますので、是非薬剤師についても、看護師と同様に業務分担あるいは役割分担、業務の範囲について、検討する場を是非設けていただきたいということを、この場にお願いをいたします。
 どこにつくるかにつきましては、事務局のお考え、ご都合もあろうかと思いますが、少なくともこの推進会議の一部として、そうした検討の場を設けていただいて、現場で医療行為とのぶつかり合いを起こさず、しかも医師の方々、看護の方々等とチーム医療が円滑に進むような業務の分担を決めていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○永井座長 ありがとうございます。この件につきましては、チーム医療推進方策検討WGで行うのか、あるいは別個の検討の場を設けるか、少し事務局と相談させていただきたいと思います。今後のスケジュールにつきまして、事務局から説明をお願いします。
○田原医事課長 今後のスケジュールについてご説明をいたします。医行為の分類、カリキュラムにつきましては、本日のご意見を踏まえまして引き続き看護業務検討WGでの議論をお願いしたいと考えております。また、看護師の能力を認証する仕組みのあり方につきましては、本日いただきましたさまざまなご意見をまとめまして、事務局で論点を整理した上で次回お示ししたいと考えておりますので、次回以降も引き続きご議論をいただければと思っております。次回の開催につきましては7月12日(木)17時から19時を予定をしています。よろしくお願いいたします。
○永井座長 ありがとうございました。それでは本日はこれで終了させていただきます。次回以降もよろしくお願いいたします。ありがとうございました。


(了)
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