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2012年5月23日 第5回 化学物質による疾病に関する分科会

労働基準局労災補償部補償課職業病認定対策室

○日時

平成24年5月23日(水)10:00~12:00



○場所

中央合同庁舎5号館専用第12会議室(12階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)



○出席者

参集者:五十音順、敬称略

圓藤吟史、高田礼子、松岡雅人、宮川宗之、柳澤裕之

厚生労働省:事務局

若生正之、天野敬、鈴木秀博、大根秀明、上田敦郎

○議題

(1)労働基準法施行規則第35条別表第1の2第4号の1の物質等の検討について
(2)その他

○議事

○上田職業病認定業務第二係長 始めに、本検討会は原則公開としていますが、傍聴される方におかれましては、別途配付しております留意事項をよくお読み取りいただき、静粛に傍聴いただくとともに、参集者の自由な意見の交換を旨とする検討会の趣旨を損なうことのないよう、会議の開始前後を問わず、ご留意をお願いいたします。
 それでは定刻となりましたので、これより「第5回労働基準法施行規則第35条専門検討会化学物質による疾病に関する分科会」を開催いたします。委員の皆様におかれましては、大変お忙しい中をお集まりいただき、ありがとうございます。4月1日付けで人事異動がありましたので、ご紹介させていただきます。補償課長の若生です。職業病認定対策室長の天野です。職業病認定対策室長補佐の鈴木です。なお、私は職業病認定対策室の上田です。よろしくお願いいたします。それでは、圓藤座長、議事の進行をお願いいたします。
○圓藤座長 議事に入る前に、事務局から本日の資料の確認をお願いします。
○上田職業病認定業務第二係長 本日の資料を確認させていただきます。大変恐縮ではありますが、座ったまま説明させていただきます。本日の資料は、資料1-1「検討対象物質(29物質)の検討結果について」、資料1-2「検討対象物質(18物質)の検討結果について」、資料2-1「検討対象物質(29物質)のうち引き続き検討となった物質に係る最終評価シート」、資料2-2「検討対象物質(18物質)のうち引き続き検討となった物質に係る最終評価シート」、資料3-1「平成15年の検討物質(単体)及びILOの職業病一覧表追加物質(がん以外)に係る最終評価シート」、資料3-2「平成15年の検討物質(COPD、木材粉じんによるがん)及びILOの職業病一覧表追加物質(がん)に係る評価シート」、資料4-1「作業活動によって生じる炭じん、木材粉じん、穀物及び農作業の粉じん、畜舎の粉じん、繊維じん、紙じんによる慢性閉塞性肺疾患に係るレビューサマリ」、資料4-2「木材粉じんによるがんに係るレビューサマリ」、資料4-3「ベリリウム及びその化合物によるがんに係るレビューサマリ」、資料4-4「カドミウム及びその化合物によるがんに係るレビューサマリ」、資料4-5「エリオン沸石によるがんに係るレビューサマリ」、資料4-6「酸化エチレンによるがんに係るレビューサマリ」、資料5「カドミウム及びその化合物によるがん」(参考文献)です。資料6-1「理美容のシャンプー、コールドパーマ液等の使用による接触皮膚炎について」、資料6-2「理美容師のシャンプー、コールドパーマ液等の使用による接触皮膚炎等」の可能性のある認定事案(平成20年度~平成22年度)となっています。また、「平成15年の検討物質(COPD、木材粉じんによるがん)及びILOの職業病一覧表追加物質(がん)の各機関で定める発がん性分類一覧表」、昭和52年8月1日付け「業務上疾病の範囲と分類に関する検討結果報告」、昭和63年10月18日付け「業務上疾病の範囲等に関する検討結果について」、及び第1回目から第4回目までの分科会の資料を机上に用意しておりますので、必要に応じてご覧ください。資料の不足等はありませんか。以上です。
○圓藤座長 よろしいでしょうか。
○高田委員 6-2までありますが、そのあとが分科会資料に飛んでいます。
○柳澤委員 私も6-2以降はありません。
○上田職業病認定業務第二係長 事案9は6-2に入ります。
○柳澤委員 では、3以降がないのですね。
○圓藤座長 その資料については、後ほど用意していただくとしまして、進めさせていただきます。最初に、事務局から資料の説明をしていただき、議事を進めたいと思います。まず、資料1-1、1-2について説明をお願いします。
○上田職業病認定業務第二係長 資料1-1、1-2について説明します。前回12月19日の分科会までに、調査研究で症例報告のあった47物質すべてについて、最終評価をご検討いただき、そのうち44物質については結論を得ることができました。結論が得られた44物質のうち、資料1-1、1の(1)の①アジ化ナトリウムなどの14物質、資料1-2、1の(1)の①ニッケル及びその化合物については、告示に追加すべき物質であるとの結論をいただきましたが、それらの物質による症状・障害をまとめましたので、ご確認をお願いします。
 一方、資料1-1、1の(2)の①白金及びその水溶性塩など13物質、資料1-2、1の(2)の①カーボンブラックなど16物質については、現時点では告示に追加する必要はないとの結論をいただきました。
 次に、資料1-1、2の①オゾン、②過硫酸カリウム、資料1-2、2の①ヒドロキノンの3物質については、引き続き検討となった物質です。本日は、これらの物質についてご検討いただき、結論を得たいと考えています。なお、資料1-1、⑬ロジン、資料3-1、6のラテックスについては、その規定方法について整理することが事務局の宿題となっていました。ラテックスについては、第1回の資料5の通達の記の第3において規定しています。資料5の11頁の第3「その他」に記載しています。
○圓藤座長 第1回目の資料の何番ですか。
○上田職業病認定業務第二係長 資料5の通達の記の第3です。
○圓藤座長 何頁になりますか。
○上田職業病認定業務第二係長 11頁です。
○天野職業病認定対策室長 先生方の資料は、100何頁になっていますか。
○高田委員 そうですね、PDFに該当する所が、157になっています。
○天野職業病認定対策室長 167頁ですね。
○上田職業病認定業務第二係長 失礼しました。続けさせていただきます。第1回の資料5の通達の記の第3において、コロフォニーとともに、4号の8(現在「4号9」)石綿が加わっているので番号がずれています。4号の9に該当する疾病として取り扱うと既に規定されていることを前回の検討会でご説明しました。
 通達で示した理由は定かではありませんが、昭和53年に別表1の2を改正するに当たって開催した検討会の「化学物質による疾病の取りまとめのためのガイドライン」(机上配布)によれば、「中分類ないし小分類の表中に掲げた疾病は代表的なものであるが、これら以外の物質に起因する疾病が生じたときは、『(8)(1)から(7)までに掲げる疾病のほか、化学物質等にさらされる業務によることの明らかな疾病』として処理することとする」とあり、これに沿った対応であったことが考えられます。次に、ロジンについては、前回の分科会で「4号の1から9までのどこかにもう1つ項を加えて、ロジン、皮膚障害、気道・肺障害を加える」との評価をいただいたところですが、事務局で確認したところ、ロジンは、コロフォニーの別名であることがわかりました。そうすると、既に通達で規定されていることになります。したがって、ロジン(コロフォニー)もラテックスも既に通達で規定されていることとなるため、これを変更して省令に規定する必要があるかどうかですが、これについては法令技術上の問題がないかどうかを担当部署と協議し、取扱いを決めさせていただきたいと考えています。以上です。
○圓藤座長 それでは、まず資料1-1について、ご意見、ご質問はありませんか。2のオゾン、過硫酸カリウムについては、後ほど議論いたします。先ほどのロジンの件について、コロフォニーの場合でしたら、皮膚障害、気道障害、またはアナフィラキシー反応という疾病ですよね。ですから、前回議論しました皮膚障害、気道・肺障害というのは、これに該当すると考えてよろしいでしょうか。ということで、既に通達として明記されていますので、あえて改める必要はないという取扱いでよろしいでしょうか。
(異議なし)
○圓藤座長 ありがとうございます。では、ロジンに関しては、追加ではなく、コロフォニーとしての通達のままでいいということで、残りの13物質に関しては結論を得られたものとし、告示に追加する必要はないとしてよろしいでしょうか。
(異議なし)
○圓藤座長 ありがとうございます。資料1-2についてもいかがでしょうか。ニッケル及びその化合物を追加するということで、残りの16物質については告示に追加すべき必要はないとし、ヒドロキノンについては本日これから議論するということでよろしいでしょうか。
(異議なし)
○圓藤座長 ありがとうございます。それでは、29物質のうち引き続き検討となった物質について、資料2-1に基づき検討したいと思います。検討に入る前に、事務局より説明をお願いします。
○上田職業病認定業務第二係長 資料2-1は、先ほど説明させていただきました29物質について、引き続き検討となった2物質、オゾン、過硫酸カリウムについて、ご担当の先生にさらに検討をいただきましたが、その検討結果を評価シートとしてまとめたものです。この資料1-2に基づき告示に追加すべきか否か、追加すべきであれば、評価シートに記載されている「症状又は障害等の内容」についてご検討いただきたいと思います。以上です。
○圓藤座長 いかがでしょうか。ご意見はありますか。それでは、最初にオゾンについて、宮川先生、ご説明をお願いします。
○宮川委員 オゾンについては、極めて高濃度で激烈な症状が出たときには、直ちに因果関係がわかるので、もともと追加の必要はないと思っています。また、かなり低い濃度で慢性のばく露で、感受性、個体差によっては呼吸機能に影響が出るというのも、これはまた因果関係がはっきりしないところです。今回検討の対象としたのは、その中間といいますか、許容濃度を0.1ppmから10倍、数十倍といったところを反復して、ある程度急性のばく露が何回か反復されるようなことで肺に障害が出るというような症例があれば、そこは考えなければいけないということで、調べたのですが、古い論文しか見つかりませんでした。1950年代にはアーク溶接のために、現場での濃度が0.2ppmから10ppm弱ぐらいのところですが、いくつか症例があります。それよりも新しいものがなかなか見つかりませんでした。特に、現時点で国内のものを探すということで、医中誌で検索をしましたが、国内の症例が見つかりませんでしたので、今回は総合的な判断として、国内症例がないところに重点をおいて、追加しない方向でよろしいのではないかと私は考えました。
○圓藤座長 いかがでしょうか。ご議論いただきたいと思います。急性で激烈な障害がくるのは十分認識されていますし、その場合は既に救済していますので、急性についてはあえて列挙する必要はないのではないかということです。ただ、反復ばく露については、課題として残っているかと思いますが、宮川先生のご意見では、十分な資料が整っていないということで、今回は追加するにはあたらないのではないかということです。引き続き検討していき、また資料が見つかりましたら加えることもあろうかと思いますが、現時点では加えないほうに分類したいということで、よろしいでしょうか。
(異議なし)
○圓藤座長 ありがとうございます。それでは、今回は追加する必要はないというほうに入れさせていただきます。続いて、過硫酸カリウムについて、高田先生おまとめいただけますか。
○高田委員 過硫酸カリウムですが、前回議論いたしましたとおり、1996年以降の文献検索で、国外において製紙工場及び水質試験室の作業者で、過硫酸カリウムの経皮ばく露によりアレルギー性接触皮膚炎を発症したという症例報告がなされています。また、髪の脱色剤の製造や取扱い作業の従事者で、過硫酸塩にばく露されることにより皮膚炎や鼻炎を伴う喘息を発症し、過硫酸カリウムの気管支誘発試験に陽性であったという症例報告もあります。以上のことから、過硫酸カリウムについては、皮膚障害、気道障害を追加することが妥当ではないかと考えています。
 今回は、過硫酸カリウムについて告示に追加するかどうかという判断をということでしたので、一応こちらで最終の判断としてまとめさせていただいています。ただ、過硫酸塩のうち、過硫酸アンモニウムと過硫酸ナトリウムについては、髪の脱色剤の取扱い作業者で過硫酸カリウムの場合と同様な皮膚障害、気道障害を発症したという症例報告もあります。そういったことも含めて今後検討が必要であるということで検討会でお考えいただければと思います。以上です。
○圓藤座長 それでは、まず過硫酸カリウムについて告示に追加すべきか、それとも追加する必要がないと考えるか、ご意見をいただきたいと思います。高田先生からは、過硫酸カリウムについては追加すべきだというご判断です。ただし、過硫酸アンモニウムと過硫酸ナトリウムについて議論が残っているかと思いますので、事務局でご意見はありますか。
○天野職業病認定対策室長 いまお話が出ました過硫酸アンモニウムと過硫酸ナトリウムについては、当初俎上に載っていませんでしたが、この2物質について追加して検討いただくということでよろしいかと思います。また、関連の文献を先生方に他の物質と同様にご覧いただいて、それで結論を出していただきたいと考えております。
○圓藤座長 高田先生、それでよろしいでしょうか。
○高田委員 はい、よろしくお願いします。
○圓藤座長 ということで、過硫酸カリウムについては追加すべきであると。過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウムについては、資料を閲覧したうえで次回以降議論するということでよろしいでしょうか。
(異議なし)
○圓藤座長 また、文献が集まりましたら各委員にお送りいただきたいと思います。続いて、18物質のうち引き続き検討になっている物質について、資料2-2に基づき検討したいと思います。事務局から説明をお願いします。
○上田職業病認定業務第二係長 資料2-2は、先ほどの18物質について、引き続き検討となった1物質ヒドロキノンについて、担当の先生にさらにご検討をいただきました。その検討結果を評価シートとしてまとめたものです。これに基づき、告示に追加すべきか否か、追加すべきであれば評価シートに記載されている症状または障害の内容についてご検討いただきたいと思います。以上です。
○圓藤座長 高田先生のほうでまとめていただきましたか。
○高田委員 はい。ヒドロキノンですが、1995年以前の文献ではありますが、国外でヒドロキノンを含有する写真の現像液へのばく露により、アレルギー性接触皮膚炎、色素脱失が生じた症例報告があります。なお、眼障害については、国外ではキノン蒸気とハイドロキノン粉じんへの長期間のばく露により、角膜と結膜の色素沈着、角膜の混濁、視力低下の症例報告がなされていますが、1940年代~60年代の非常に古い文献であり、その後新たな報告はなされていません。以上のことから、ヒドロキノンについては皮膚障害を追加することが妥当ではないかと考えています。
 告示上の表記は皮膚障害で、具体的内容としては反復接触により感作性皮膚炎、色素異常(脱失)を生じるという形で、まとめさせていただいています。ご検討のほど、よろしくお願いします。
○圓藤座長 いかがでしょうか。ご議論いただきたいと思います。告示に追加するという線でよろしいでしょうか。それでは、告示に追加すべき物質として、ヒドロキノンを挙げたいと思います。
 以上で、18物質のうち引き続き検討となっていました物質の検討は終わりました。次は、前回検討しました平成15年の検討物質(単体)及びILOの職業病一覧表追加物質(がん以外)について、検討したいと思います。検討に入る前に、事務局より資料3-1について説明をお願いします。
○上田職業病認定業務第二係長 平成15年の労働基準法施行規則第35条専門検討会で検討された物質のうち、現時点では追加する必要はないとされた物質による疾病と、ILOの職業病一覧表の改訂により新たに追加された物質による疾病を、告示等に例示するか否かが検討課題の1つとなっています。前回の分科会では、平成15年の検討物質(単体)及びILOの職業病一覧表追加物質(がん以外)についてもご検討をいただき、一定の方向性を得ることができました。その一定の方向性を踏まえ最終評価をいただきましたが、それを取りまとめたものが資料3-1です。
 本日は、この資料3-1に基づきご検討いただき、「告示に追加すべき」又は「現時点では告示に追加する必要はない」のいずれかの結論を出していただくとともに、「告示に追加すべき」との結論に至ったものについては、告示に規定すべき症状・障害の範囲と内容を決めていただきたいと思います。なお、6のラテックス又はラテックス含有製品については、先ほど資料1のところで説明させていただいたとおりです。以上です。
○圓藤座長 それでは、1番のタリウム及びその化合物から審議したいと思います。担当は私ですので、私から説明させていただきます。タリウムは、炭酸タリウムとしてガラス製造作業者において、脱毛や末梢神経障害等が発症した症例報告があります。海外においても同様の事例があります。脱毛・神経系・消化器系で障害があるということが知られています。ばく露量との関係については十分な因果関係は認められないのですが、タリウムを検出するということで、生物学的モニタリングとして評価できるのではないかと思います。そういうことで、皮膚障害、末梢神経障害、また、中枢神経障害と思われる睡眠障害、頭痛、疲労、神経衰弱が認められますので加えて、皮膚障害、末梢神経障害、中枢神経障害を告示上の表記にしてはいかがかということです。
 前回、中枢神経障害は重篤な場合と言ったのかなと思いますが、加えておいてもいいのではないかということにしました。ご議論いただきたいと思います。
 特に問題はありませんか。告示に追加すべきものとし、かつ告示上の表記を皮膚障害、末梢神経障害、中枢神経障害としてよろしいでしょうか。
(異議なし)
○圓藤座長 では、そのようにさせていただきます。続いて、オスミウム及びその化合物による疾患について、高田先生お願いします。
○高田委員 前回は、私が担当のところを宮川先生に代わりにお答えいただいたということで、評価が2つに分かれて申し訳ございませんでした。改めて、評価を述べさせていただきます。国外では、研究技術者が四酸化オスミウム溶液の入ったバイアルを壊した際の皮膚裂傷からの事故的ばく露による皮膚障害が報告されています。また、オスミリジウムの精錬時に発生する四酸化オスミウムのヒュームへのばく露により、7名の作業者に一時的に眼刺激症状や視覚障害等が発生した症例報告がありますが、1995年以前の古い文献です。
 よって、オスミウム及びその化合物については、職業性ばく露による中毒症例に関する十分な情報が蓄積されておらず、現時点では告示に追加する必要はないと考えています。ご検討のほど、よろしくお願いします。
○圓藤座長 宮川先生、追加をお願いします。
○宮川委員 ほぼ同じです。
○圓藤座長 そういうことで、追加すべきでないという結論ですが、ほかの先生方よろし
いでしょうか。
                (異議なし)
○圓藤座長 それでは、追加する必要はないと分類させていただきます。次に、ベンゾキノンなどの角膜刺激物質について、松岡先生お願いします。
○松岡委員 ベンゾキノンからハイドロキノンを合成する工場に勤務する作業者において、蒸気ばく露によって前眼部障害(角膜障害)と視力障害の発生が報告されています。この報告は、1985年以前と非常に古く、その後、職業性ばく露による新たな疾病の発生はないようです。通常、労働の場で発症する可能性はありますが、現在情報が十分でないため、今回は追加すべきではないと判断しています。
○圓藤座長 いかがでしょうか。これは急性ばく露でしょうか。
○松岡委員 急性ばく露です。
○圓藤座長 よろしいでしょうか。
               (異議なし)
○圓藤座長 では、追加する必要はないというものに加えさせていただきます。次に、イソシアン酸塩のうちメチレンビスシクロヘキシルイソシアネートについて、宮川先生お願いします。
○宮川委員 イソシアネート類については、基本的に感作性があるおそれはあるのですが、この物質については、少なくともいただいた資料を見る限り、症例報告がないため現時点では追加する必要はないと判断いたしました。
○圓藤座長 よろしいでしょうか。
               (異議なし)
○圓藤座長 続いて、硫黄酸化物のうち、三酸化硫黄について、柳澤先生お願いします。
○柳澤委員 国内には、慢性ばく露の症例報告はありません。国外では、Vianna et alが酸性ミストあるいは硫酸、塩酸、二酸化硫黄、三酸化硫黄等の酸性ガスの長期慢性ばく露と口腔粘膜の潰瘍性病変の発生について検討した症例報告はありますが、混合ガスによる毒性効果であって、三酸化硫黄単独の毒性効果とはこの文献からは判断できません。したがいまして、現時点では追加する必要はないと考えています。
○圓藤座長 前回も申しましたが、硫酸について皮膚障害、前眼部障害、気道・肺障害又は歯牙酸蝕というのは明記されています。三酸化硫黄は硫酸ミストと区別がつかないものですので、硫酸が既にありますので、あえて三酸化硫黄を加える必要はないのではないかと思っていますし、先生もおっしゃっていますので、追加する必要はないとさせていただきます。
                (異議なし)
○圓藤座長 続いて、亜硫酸です。高田先生お願いします。
○高田委員 国内では、亜硫酸ガスについて、非鉄鉱山精錬所において、硫酸製造工程の修理作業中に亜硫酸ガスを吸入ばく露した事故的中毒事例が報告されています。また、亜硫酸ナトリウム含有パーマ液に接触ばく露した美容師のアレルギー性接触蕁麻疹が報告されています。そちらについては、1995年以前の文献であり、その後、職業性ばく露による症例報告での新たな知見は認められていません。よって、亜硫酸については、職業性ばく露による中毒症例に関する十分な情報が蓄積されておらず、現時点では告示に追加する必要はないと考えています。ご検討よろしくお願いします。
○圓藤座長 いかがでしょうか。公害として大問題になった物質ですが、最近対応が進んでいると思っています。現時点では、告示に追加する必要はないと分類させていただいてよろしいでしょうか。
(異議なし)
○圓藤座長 ありがとうございます。続いて、ラテックス又はラテックス含有製品について、宮川先生お願いします。
○宮川委員 これについては、既に指定済みですので、新たに追加する必要はないと思います。
○圓藤座長 従来の通達にありますので、あえて追加する必要はないとさせていただきたいと思います。
                 (異議なし)
○圓藤座長 ありがとうございます。以上ですが、よろしいでしょうか。
○松岡委員 1つよろしいでしょうか。先ほど、圓藤先生からベンゾキノンの中毒に関して急性ばく露かどうかというご質問をいただいたのですが、いま資料を確認しますと、5年以上勤務する作業者に起きたということで、慢性ばく露であった可能性もあります。資料は、第4回の資料5-3の5頁です。この文献は『産業中毒便覧』で、元の文献にあたって詳細を調べる必要があるかと思いますが、この記載を読む限り、急性ではなく慢性ばく露であった可能性があります。しかしながら、これ以降同様の症状の報告はありませんので、該当物質に入れないということでよろしいかと考えています。すみません、訂正いたします。
○圓藤座長 よろしいでしょうか。以上で、資料3-1を終わります。まとめますと、タリウム及びその化合物のみ追加すべきで、オスミウム以下、オスミウム及びその化合物、ベンゾキノンなどの角膜刺激物質、イソシアン酸塩のうちメチレンビスシクロヘキシルイソシアネート、三酸化硫黄、亜硫酸については、追加する必要はないと。ラテックス又ラテックス含有製品については、既に通達として出しているということで評価したいと思います。よろしいでしょうか。
                 (異議なし)
○圓藤座長 それでは、平成15年の検討物質(単体)及びILOの職業病一覧表追加物質(がん以外)の検討が終わりました。次は、平成15年検討物質(COPD、木材粉じんによるがん)及びILOの職業病一覧表の追加物質(がん)について検討したいと思います。検討に入る前に、事務局より資料3-2と、4-1から資料5について説明をお願いします。
○上田職業病認定業務第二係長 平成15年の検討物質(COPD、木材粉じんによるがん)及びILOの職業病一覧表追加物質(がん)について、まずはそれぞれの委員により仮の評価をいただきました。そして、ご担当いただく物質を決めて総合評価をいただきましたが、それを評価シートとして取りまとめたものが資料3-2です。
 本日は、資料3-2に基づきご検討をいただき、「告示に追加すべき」又は「現時点では告示に追加する必要はない」のいずれかの結論を出していただくとともに、「告示に追加すべき」との結論に至ったものについては、告示に規定すべき症状・障害の範囲と内容を決めていただきたいと思います。
 次に、先生方にはすでにご確認いただいていますが、各物質のレビューサマリを資料4-1から資料4-6としてご用意しましたので、適宜ご活用いただければと思います。また、今回検討いただく平成15年の検討物質(COPD、木材粉じんによるがん)及びILOの職業病一覧表追加物質(がん)のうち、カドミウム及びその化合物によるがんのご検討の際にご活用いただくため、資料5を用意しています。
○圓藤座長 作業活動によって生じる炭じん、木材粉じん、穀物及び農作業の粉じん、畜舎の粉じん、繊維じん、紙じんによる慢性閉塞性肺疾患について、1つ私が疑問に思っていますのは、木材の粉じんによるアレルギー性鼻炎、気管支喘息等の呼吸器疾患が、木材の粉じんについてはすでにあります。それに慢性閉塞性肺疾患を加えるのか否かという議論なのかと。
 もう1つは、落綿等の粉じんによる呼吸器疾患も明記されています。落綿ですので有機粉じんですが、穀物の作業の粉じんと落綿等の粉じんの整合性はどのようになっているのかと。じん肺の中に炭粉によるものがすでに含まれていますので、炭粉によるじん肺、これと慢性閉塞性肺疾患との関連性についてどうなのかを新たに追加するという議論なのかどうかも含めて、事務局に、後日でよろしいですから調べていただければと思っています。全体を松岡先生にまとめていただいていますが、ご意見はありますか。
○松岡委員 資料4-1に基づいた今回の評価ということですが、国内では1960年代から1970年代に線香とか、綿とか、い草による肺機能低下を認めたという報告が、資料4-1の2頁の表3に示されていますが、これらはいずれも慢性閉塞性肺疾患と確定された報告ではないようです。また、2003年(平成15年)度の本検討会において、該当物質は職業性疾患としての追加は見送られたという経緯がありますが、それ以降も国内で同様の症例の報告はないようです。作業活動によるこれらの粉じんばく露とCOPD発症との因果関係は、まだ明確ではないということから、今回、追加すべきではないと判断しました。しかしながら、特定の原因粉じん各物質ごとの職業性ばく露による呼吸器影響、特に慢性閉塞性肺疾患について、今後も情報の収集は必要であると考えています。
○圓藤座長 各先生方、ご意見をいただきたいと思いますが、高田先生、いかがでしょうか。△にしていただいていますが、松岡先生と同じように、私もこの物質名では範囲が広すぎるという気がします。だから、これ全体でというのは少し無理があろうかと思います。ひょっとしたら、この中に限定すればあるのかもわかりませんので、少し絞って見ていきたいと思うのですが。宮川先生、何かご意見はありますか。
○宮川委員 私も、これは対象粉じんの種類がいろいろあるので、このまま、まとめてある程度データが集まったというだけでは個々の対象粉じんについてのデータが足りないと思いますので、是非、座長の判断等により少し絞って、次回といいますか、今後も継続して調べるのがよろしいかという気はします。現時点では、なかなか難しいかと思います。
○圓藤座長 柳澤先生、何かご意見は。
○柳澤委員 やはり同じ意見です。個別に調べていくと、おそらく陽性のものが出てくるのではないかと予想をしています。
○圓藤座長 そういうことで、すでにリストされているものも含めて、次回以降検討したいと思います。どのようにしたらよろしいですかね。少なくとも、物質名をいくつかに分ける。例えば、木材粉じん、穀物及び農作業の粉じん、畜舎の粉じん。繊維、紙は1つですかね。いくつかに分けて議論するのと、すでに、木材、落綿、じん肺については、呼吸器疾患について評価ができていますので、それに追加すべきかどうかという議論を含めて、すでに記載があるのかということも含めて、次回以降にしたいと思います。
○松岡委員 皆さんのお手元にあるかどうかわかりませんが、前回事務局から配布された平成15年度の報告書が私の手元にあります。
○圓藤座長 資料にありましたかね。
○松岡委員 「平成15年4月21日。労働基準法施行規則第35条専門検討委員会報告書(抄)」と。
○圓藤座長 どこかにありますね。
○松岡委員 読み上げてよろしいでしょうか。
○圓藤座長 ちょっと待ってください。どこに載っていますかね。
○高田委員 第3回の資料7ではないかと思います。
○圓藤座長 そうですね。いま表紙を読んでいただけますか。
○松岡委員 表紙は先ほど読み上げたとおりなのですが。
○高田委員 手元の資料は5の一部が省略されているようです。
○松岡委員 平成15年度の検討会報告書について、今回担当した物質について、まとめが記載してありますので、それをご紹介しようと思ったのですが。
○高田委員 5の検討事項2の検討結果が省略されているようです。
○松岡委員 お手元にないようですので、簡単に読み上げます。「慢性閉塞性肺疾患(COPD)。平成15年度の検討会の結論かと思いますが、「今回の文献レビューで注目されたCOPDの原因となりうる職業やばく露物質は、古典的に知られているカドミウム、塩化ビニルや穀物粉じん以外では、ポップコーン袋詰め作業、ファーストフード店のコック、ドライクリーニング、教師のチョーク粉、受動喫煙によるタバコの煙、シリコンカーバイト等であった。しかしながら、いずれも未だ因果関係について確立されたものとはいえない。特に、ポップコーン、コック、チョークについては、該当作業者の数に比して報告例が少なく、因果関係については疑問が残る。したがって、特定の業務とCOPDとの因果関係は明確になっていないため、現時点において新たに追加する必要はないと考えられる」というのが、前回の検討会の報告書に記載してありました。
○圓藤座長 それ以降、追加すべきことがあるかどうかという続きの作業は、次回以降にしたいと思います。続いて、木材粉じんによるがんについて、高田先生、お願いします。
○高田委員 木材粉じんによるがんですが、2009年の検討会以降に木材粉じんのばく露作業によるがんの新たな症例報告は認められておらず、現時点では告示に追加する必要はないのではないかと考えています。ご検討をお願いします。
○圓藤座長 私のほうで見ます。資料4-2を見ていきますと、疫学的なものとして見つかってきているというのが表2にあります。そのようなことでIARCはグループ1、ヒトに対して発がん性を示す物質としており、がんについては、いままでやってきた作業と少し違う作業をしないといけないのではないかと思います。すなわち、この物質によってがんが起こったという明確な因果関係を認められる症例は、見つからないだろうと。むしろ疫学的な関係で相当因果関係があると考えられるものとするほうが、妥当ではないかという議論もありますので、少しほかの先生方のご意見をいただきたいと思います。
○宮川委員 私が担当したものもそうなのですが、疫学で相当程度の因果関係を示す報告があったとしても、必ずしも個別の症例で、この方のこのがんがこの物質で、というのを明確に示すのは特殊な場合を除いて難しいことが多いのではないかという気がします。いままで国内で最近の報告がなければ、とりあえず追加しなくてもいいかという形で考えてきましたが、がんに関しては、疫学で相当程度の証拠があったうえで、それと同じ種類のがんが出て、ばく露歴があるということであれば、ある程度認める方向で考えないと非常に狭めることになってしまう可能性もあります。ただ、その辺はなかなか難しいところだと思いますので、早急には決めにくいという気がしています。
○圓藤座長 いままでの決め方について、事務局に、ジアニシジンを検討したときの議論について、ご説明願えますか。
○天野職業病認定対策室長 前例がありますので、ご紹介をします。机上配布をしました昭和63年の報告書、業務上疾病の範囲に関する検討結果ですが、このときの検討会でジアニシジンによる尿路系腫瘍について、業務上疾病として追加をしたときの報告です。この中をざっとご覧いただきますと、これはもともと国内での労災請求事案2件があり、これを業務上として認定したことを受けて35条専門検討会で規則に追加すべきかどうかを検討した結果です。
 具体的には、検討結果としてジアニシジンの化学的性質、用途、そういったことを取りまとめたうえで、疫学の観点からジアニシジンの発がん性についての評価をいただき、結論として業務上疾病に追加すべきだろうという報告をいただきました。これを受けて行政として規則に追加するという手続をとって、現在、業務上疾病として別表1-2に掲げられています。したがいまして、今回、先生方にご議論いただいているがんについては、ジアニシジンと同様の検討をお願いしたいということを考えています。
 ただ、いくつか検討いただいております候補物質があるわけですが、すべてについて同様の作業をお願いするというのは、無駄なことにもなってしまうのではないかと考えており、疫学調査のレビューなど、やる必要があるのではないかという物質を絞っていただいたうえで、実際の検討に入っていただくことをお願いしたいと考えています。
○圓藤座長 とりあえず各先生方に評価をしていただきましたが、いまの評価の仕方で改めて行いたいと思いますが、その辺でよろしいですか。例えば、木材粉じんについては、私が○、高田先生は×にしていますが、それは見方が違うからそうなっていますので、改めて評価していきたいと思います。ベリリウムについても、私が◎、宮川先生は○、高田先生、松岡先生、柳澤先生は△としていますので、もう一度ジアニシジンを作った作業はできるのかという視点で見て再評価していきたいと思います。順番に個別に議論しておきましょうか、それとも今回は省略して次回に回しましょうか。どうしましょうか。
 カドミウムについては、私が△で、宮川先生が○、高田先生は△、松岡先生は×、柳澤先生は△ですので、もう一度見ておきたいと思います。
 エリオン沸石によるがん、これは5人とも×にしています。ですから、本当に×でいいのかどうかの議論を先にして、×でよければ対象から外したいと思いますが、いかがでしょうか。それでは、エリオン沸石によるがんについて、これは松岡先生。
○松岡委員 エリオン沸石のばく露による中皮腫の発症は広く知られているところですが、国内での使用の状況はありませんで、今後も職業性ばく露による症例の発生という可能性は低いと考えられますので、該当物質としては挙げる必要はないと結論いたしました。
○圓藤座長 ほかにご意見はありますか。私がもう1つよくわかってないのは、エリオン沸石だけのばく露はあり得るのかどうか、特に国内において。遊離けい酸による肺がん、石綿による中皮腫と肺がんはすでに明記されていますので、遊離けい酸による肺がんはじん肺合併症として認められていますので、あえて追加する必要性については薄いのではないかという気がしていますが、いかがですか。ほかにご意見はありますか。
○天野職業病認定対策室長 先生、ちょっと確認をさせてください。エリオン沸石は、石綿と同類のようなものなのでしょうか。
○圓藤座長 結果的には。ただし、石綿とは性質が違うので、トルコのカッパドキアで高濃度で検出される軽石の粉のようなものと私は理解しているのですが。ですから、石綿の定義には入らないのではないかと思っています。
○松岡委員 職業性ばく露として国内で起きる可能性は、極めて低いと思われます。
○天野職業病認定対策室長 過去、日本で生産されていたとか、採取されたとか、そういうこともありませんか。
○松岡委員 いや、国内での採鉱はないと思います。
○天野職業病認定対策室長 わかりました。
○高田委員 国内ではないと思いますが、エリオン沸石は、トルコのカッパドキア地方の岩石に含有される繊維状の鉱物で、石綿ではありませんが、石綿と同じように繊維状である故に、それにばく露すると中皮腫を発生することが報告されているというものです。
○圓藤座長 ということでよろしいですか。これについては、現時点では追加する必要はないという物質にしてよろしいですか。
                 (異議なし)
○圓藤座長 次に、酸化エチレンによるがん、私と高田先生が△ですので、もう一度見ておきたいと思いますが、何かご意見はありますか。
○柳澤委員 これは滅菌作業とか合成化学工場で汎用されている化学物質ですが、現在までに白血病、リンパ腫あるいはリンパ肉腫、乳がんとの関連が報告されています。しかし、国内には職業性ばく露による発がんの報告は、現在のところありません。国外では、ばく露による発がんリスクの上昇を指摘する報告もありますが、ばく露量とか追跡期間が記載されていない報告もたくさんあり、現在のところ発がんと酸化エチレンばく露との因果関係は十分な根拠はないと判断し、今回追加する必要性はないと考えます。
○圓藤座長 ほかにご意見はございませんか。私と高田先生が△ですので、もう一度見直しておきたいと思います。次回に結論したいと思いますけれども、よろしいでしょうか。
(異議なし)
○圓藤座長 そういうことで、5人ともバツのものについては、追加する必要はないとさせていただき、残りのものについてはもう少し詳しく見た上で、次回検討したいと思います。ご担当はどういたしましょうか、もう一度していただきましょうか、それとも替わったほうがよろしいでしょうか。また、事務局と相談して決めましょうか。いま決めなくてもいいかもわかりませんね。
○天野職業病認定対策室長 確認させていただきたいのですが、資料3-2でただいまご検討いただいた1つ目のCOPDについては、具体的に物質を分けて再度見ていただくという理解でよろしいでしょうか。
○圓藤座長 そうです、分けて見ないといけません。分ける場合にはいくつに分けましょうか。それぞれ分けないといけませんね、5つに分けましょうか。1番が炭じん、2番が穀物及び農作業の粉じん、3番が畜舎の粉じん、4番が繊維じん、5番が紙の粉じんというように分けないと広くなりすぎませんか。このぐらいの分け方でいかがでしょうか。ちょうど5人おりますので、1人1つずつ当たるということで。炭じんに関しては、じん肺との関係で見る必要があります。穀物に関しては、穀物アレルギーのことで既に一部分は載っておりますので、それとの整合性もあろうかと思います。畜舎の粉じんは、動物のえさ、敷き藁、ダニ、カビですので、これは穀物粉じんとも絡むかもわかりません。
○松岡委員 担当している者からすると難しいのは、呼吸器疾患の中の1つのCOPDとして認めるかどうかということです。そうすると、厳格に当てはまる症例はない可能性があるかと思います。
○圓藤座長 古典的な農夫肺と言われているのと、COPDは違いますね。
○松岡委員 COPDを厳格な意味でCOPDとして取るのか、あるいは呼吸器疾患として捉えるのかということで変わってくるかもしれません。平成15年のときの議論もそうだったと思いますけれども、それ以降も新たな、厳格な意味でのCOPDの報告はない可能性があるかと思います。
○圓藤座長 これは、前回の宿題として慢性閉塞性肺疾患というのが挙がってきたわけです。宿題は宿題として作業をしなければいけないのかという気がいたします。
○松岡委員 COPDに限って議論するならば、該当する可能性は低いと思います。ただ、呼吸器疾患として捉えると、確かにこれらで影響はあると思います。COPDという宿題だったならば、それは否定的かと思います。
○天野職業病認定対策室長 そもそもCOPDとしての報告というか、症例報告があまりないだろうということでしょうか。
○松岡委員 そうです。呼吸器系への影響はあるかと思いますが、COPDというふうに厳格に診断できるものは少ないと思います。
○天野職業病認定対策室長 現在の別表4号の5には、「木材の粉じん、獣毛の塵埃等を飛散する場所における業務又は抗生物質等にさらされる業務によるアレルギー性の鼻炎、気管支喘息等の呼吸器疾患」という表記の仕方をしております。呼吸器疾患全体を業務上疾病として捉えていると理解できるわけです。「アレルギー性の鼻炎、気管支喘息等」の「等」には喉頭炎等があるという解説の通達を出しております。したがって、呼吸器疾患全体をこれで捉えていると。ただ、有害物質については、木材の粉じん、獣毛の塵埃と、それからここにも「等」と付いていて、その「等」にはカキ殻に着生したホヤ、蔟とありますが、これは蚕が繭を作りやすいようにする器具のようなものだそうですが、蔟等を取り扱う際に飛散する粉じんがある。そういう解説が通達で示されております。
○松岡委員 ここは、COPDかどうかという議論ですので。
○圓藤座長 いまおっしゃられている疾患はCOPDというよりも、アレルギー性のもの、いわゆる活性のものを指しているように思います。それを少し広めているような。だからCOPDとは違う考え方が。調べていただきました資料4-1の畜舎の粉じん、動物のえさ、敷き藁、ダニ、カビというのは、非常にアレルゲンとなりやすい物質ですので、そういうのを言っているように思います。ここの理解では、私はCOPDは含まれていないと理解しているのですけれども。
○松岡委員 私もそういうふうに取ります。
○圓藤座長 だから、別表の記載の中にはCOPDは含んでいないと私は理解していて、新たに追加する必要があるかというのを、この委員会で調べる必要があるのかという気がいたします。COPDに限らずに、ここに書いてあるのは4の5の記載の仕方で書いている呼吸器疾患ではなく限定されていますよね。別表第1の2の4号で、いまおっしゃられた「木材の粉じん、獣毛の塵埃等を飛散する場所における業務又は抗生物質にさらされる業務によるアレルギー性の鼻炎、気管支喘息等の呼吸器疾患」という、この表記の仕方でいいのかどうかという見方で調べるという手もあろうかと思います。この記載は、はっきりしておりますので問題はないかと思います。この限定の仕方で不都合があるのかどうかという議論、広げる必要があるのかどうか、COPDまで含めるのかどうかという議論も必要かと思います。そういうアレルギーのものと、炭じんに関してはじん肺として挙がっておりますので、じん肺法で規定されているものに追加する必要があるのかどうか、という議論が必要かと思います。じん肺法のほうでも、慢性閉塞性肺疾患というのは入っていませんよね。
○松岡委員 入っていないです。私も、前回のこの検討会の結論に賛成しているのですけれども、特定の業務とCOPDとの因果関係というのは明確にできていないと考えます。
○圓藤座長 それをもう一度確認する作業は、あってもいいのではないかと思います。確認する作業にしましょうか、次回までに。
○柳澤委員 いま議論されているCOPDを厳格にやろうとすると、呼吸機能検査をやっている症例でないと言えないと思うのです。そういう症例は、見渡した限り全くなかったような気がするのです。実際にいま、事務局にお願いして、こういうふうにやりましょうという話をして、進んだとしても、たぶん結論が出ないのではないかという気がするのです。
○松岡委員 おっしゃるとおり、証拠を出すのはなかなか厳しいと思います。
○柳澤委員 そうですよね。
○圓藤座長 証拠がなければ追加しないとするだけですので。
○柳澤委員 そういう考え方でよろしいということですね。
○圓藤座長 はい。次回もう一度作業をして、証拠がないようであれば、追加すべきものに入れないということで処理したいと思います。5つに分けて、5人で分けて見たいと思います。事務局のほうで、次回までに分担を決めていただけますか。
○天野職業病認定対策室長 はい、わかりました。資料3-2で、いまCOPDのお話をいただきましたが、2番以降のがんですが、5番のエリオン沸石以外のものについて、もう一度疫学の視点から見ていただくということでよろしいでしょうか。
○圓藤座長 はい。
○天野職業病認定対策室長 そうしたときに、全員の先生にすべてのものについて確認していただくということですか。
○圓藤座長 いいえ、分担でしましょうかということで、誰が分担するかは、事務局のほうで議論していただければと思います。
○天野職業病認定対策室長 はい、わかりました。事務局のほうで分担させていただいて。
○圓藤座長 あらかた資料4で詳しくまとめていただいておりますので、これをまとめ直すという形で概ねはいけるのではないかと思います。
○天野職業病認定対策室長 わかりました。そういたしましたら2番、3番、4番、6番の4つということでよろしいですね。
○圓藤座長 はい、5人のうち4人ですので、誰かが外れることになります。よろしいでしょうか。
○高田委員 木材粉じんの種類は限定する必要はありますか。ACGIHの評価では分かれているようなのですが。
○圓藤座長 ACGIHも少し読まないとまとめることができませんね。そこのところも含めて私が見ましょうか。確かに一律ではなさそうです。IARCはまとめてグループ1にしていますが、ACGIHはものを分けていますので、木材の種類によって違う可能性があります。これは、高田先生に見ていただいていたのですね。分けられたら分けたほうがいいのですけれども。レビューをもう一度読まないといけませんね。ちょっと大変な仕事になるかと思います。分担をどうするかは事務局にお任せいたします。
○松岡委員 質問ですが、今回、疫学のデータをより重視して再評価するという考え方でよろしいでしょうか。
○圓藤座長 発がんに関してはです。
○松岡委員 ただ疫学のデータも、ポジティブなものとネガティブなものとおそらく半々かと思って、その辺はどういうふうに結論を出すのかというのは非常に難しいかと思うのです。最終的には、その個々の症例があったかどうかというところが決め手になるのかという気がするのです。
○柳澤委員 改めて確認させていただきたいのですが、がんとの関係で疫学的データが外国にはいくつかあるけれども国内にはない場合、外国のデータで、因果関係がありそうなものと、全くないようなものが交錯して出てきたときの判断は極めて難しいと思うのです。そのときに、例えば仮評価の段階で、それは保留として委員会へ持ち込んでよろしいのでしょうか。
○圓藤座長 個々の論文をきっちり読まないと判断がつかないですよね。
○松岡委員 例えば、カドミウムは、IARCで発がん性ありとなっています。カドミウムの発がん性に関しても、まだ現段階でもいろいろ議論のあるところなので、その結論を出してもいいのかという心配をします。
○宮川委員 さらにカドミウムについて言わせていただきますと、今回私はいくつかレビューの論文を資料5で出させていただいているのですが、症例はどうかというと、例えば、肺がんであるコホートにおける症例の数が出ているわけです。そこを見ればカドミウムばく露者における症例はあったことになるわけですけれども、今回はすべて国外の例です。そうすると、疫学でこういう報告があったときには、症例報告の論文がなくとも症例はないとは言えないことになります。症例報告としての原著が手に入るかどうかというのと、疫学の中にこういう例があって、相当数の症例が対象として書いてあるというのでは、資料の集め方でもだいぶ違うと思うのです。そこで、個々の症例報告という原著があって、それで確認をしなくてはいけないのかどうか、ちょっと気になるところなのです。
 先ほどの昭和63年の例でいうと、労災申請があって、それを基にその物質について一般的にはどういうことが考えられるかということを考慮して、最終的に認めたということだと思います。しかし、カドミウムでいえば、カドミウム取扱い作業者から実は請求があったというようなことが、普通の文献調査ではなかなかわからないと思うのです。この元の資料は、たぶん外部に委託して調査研究され、こういう資料が出てきていると思うのですが、どの程度の範囲で症例を集めたかというのがわからない。疫学をまとめたという形で報告書ができているような気がいたします。そうすると、先ほどの昭和63年の例に倣った考え方からいうと、そもそも現段階で国内の症例が入っていませんので、議論にならないのかという気がしてしまうのです。
○圓藤座長 特に、がんに関しては潜伏期が20年、30年、40年とありますので、たとえ因果関係がある事例であったとしても、本人も同僚も周りの人も気がつかない事例は山ほどあるのではないかと思います。逆に、労災申請したからといって、それが因果関係があるというわけでもないです。そういうことから考えて、症例報告に頼るのはかなり無理があろうと私は考えているのです。そういたしますと、きっちりした疫学論文であるのかどうか、交絡因子を含めて検討したものであるかというのを読んでいくしかないのかと思っています。そうなってくると、国内に限定すると非常に厳しい、挙げることはほとんど無理であろう。日本にはそういう疫学を進めるという土壌がありませんので、どうしても職業がんの疫学に関しては、海外の文献に頼らざるを得ないのではないかというのが私の理解です。
 そういたしますと、IARCやACGIHや、ドイツや日本の産衛の許容濃度がしている作業を見ながら、同じような作業をもう一度やってみることになろうかと思うのです。各機関ともグループ3だ、下のほうのランクだというのは列挙すべきではないと思います。IARCがグループ1にしているようなものについては、もう一度丁寧に見てもいいのではないかという気がいたしますが、いかがでしょうか。
○高田委員 いま行っている作業についてなのですが、現時点で国内で発生しているかどうかわからない、またこれから発生するかもしれないものについて、あらかじめ追加しておくという作業なのでしょうか。それとも、すでに発生しているものについて、労災認定を円滑にするために行うものなのでしょうか。
○天野職業病認定対策室長 そういうものもありますし、ILOで追加された、要は国際的に追加されたものについて、国内でもそれを業務上疾病として世の中に示す必要があるかどうか。具体的な疾病を掲げて、それで知ってもらう必要があるかどうかという観点で検討していると理解しております。
○高田委員 わかりました。
○宮川委員 その考え方からすると、ILOで一応リストが出ていて、それについてレビュー等を精査して、なるほど相当の因果関係があるということが科学的にわかっているのだなということをここで確認をしておく。そういうものがあれば、国内でもし発生したときには認める方向で検討するときの作業に使える、という理解でいいのですか。
○天野職業病認定対策室長 ただ化学物質については、基本的なクライテリアを説明させていただいたと思うのですが、まずは国内症例があるか、それから国内でなくても、海外でよく見られるものか、という観点でその症例の文献を先生方にご覧いただいています。あるいは国内で、そもそもその化学物質は使用されていないということであれば、仮に有害なものであったとしても、告示に掲げる必要はないだろうというような結論になってくるかと思います。ですから症例があるかとか、その物質の国内での使用がどうかという観点で結論を出していただきたいと思っておりますし、これまでもそういう感じで○×を付けていただいていたと理解しています。
○松岡委員 がんとほかの疾患は、全く別の考え方をしたほうがいいのではないかと思います。
○天野職業病認定対策室長 がんについては、先ほど私のほうから説明をさせていただいたのが、ジアニシジンの件です。それ以前にもう1つ亜鉛黄、黄鉛を製造する工程の業務における肺がんというのも、昭和59年に追加されております。このときは、労災の認定のケースはなかったのではないかと理解しております。
○圓藤座長 第1回の資料6をご覧ください。ここで「我が国において症例があったもの」「諸外国において症例が報告されているもの」と書いてあるのですが、いちばん上に「大臣告示に列挙する化学物質による疾病(がんを除く。)の選定に関する基本的な考え方である」と。だから、がんについてこの考え方は適用できないと思うのです。いままでの作業は、がん以外のものについては、この考え方に基づいてやってきて問題なかったと思うのですが、がんについてはジアニシジンの作業のときと同じような考え方になろうかと思います。
○天野職業病認定対策室長 いま座長にご説明いただいたのは、「化学物質による疾病(がんを除く)」という、それの選定する際といいますか、取り上げる際の一応のガイドラインといいますか、クライテリアということで、昭和52年の専門検討会で一応のルール決めをして、それに基づいて検討しましょうということとしておりました。それがずうっと今日まで、そのクライテリアでもって判断をしているということです。
○圓藤座長 がんについては、これに対してどうするのだというのは明確な形でこれには出ていないのですが、ジアニシジンを作るに当たっての作業を見ていれば前例はあろうと思っております。このときは、先ほどおっしゃられたように、国内事例についてどう考えるのかがあったのかもわかりませんが、今回はそれを超えて、海外でも議論になっている問題について検討していこうということであろうかと思います。少し難しい作業になります。ちょっと抽象的な議論で、こういう明確なルールを作れるのであれば、この委員会で作っていきたいと思いますけれども、とりあえず作業をした上で検討していきたいと思います。
○宮川委員 しつこいようですけれども、症例がある、なしというときには、個別の物質を使っていてこうなりましたということを示した症例報告という論文があるかどうかということではなくて、例えば肺がんと特定の化学物質ばく露作業との関連を示した疫学があれば、実際は症例があったというように見ることもできると思うのです。つまり、症例あり、なしというときの言い方を、何をもって症例ありとするかというのがちょっと気になったのです。
○圓藤座長 何をもって疫学というかということにも該当します。だから、前向きコホートとしての疫学というのはほとんどないだろうと。ないこともないのですけれども。それから後ろ向きコホートとしての論文は結構あろうと。それから、ケースコントロールとしての論文はあろうと。だから、先生がいまおっしゃったこういう事例といったときには、この物質が原因ですという疫学は、おそらくケースコントロールをしているのではないかと思うのです。1例でもって言うというのは、極めて珍しい部位のがんが起こった場合については、1例報告として挙がっているのかもわかりませんけれども、少なくとも数例以上挙がってきたというので判断しているのではないかと思います。疫学の基本は症例報告だと私は思っています。その症例をどう読むかというのを含めて議論する必要があるのではないかと思います。
 ちょっと難しい議論になりましたが、よろしいでしょうか。事務局と相談して、どれを担当するかを決めながら、過去の流れに沿って作っていきたいと思います。よろしいようでしたら次に移らせていただきます。次は、労基則第35条検討会からの付託事項で、理美容のシャンプー、コールドパーマ液等の使用による接触皮膚炎について検討いたします。事務局に資料をまとめていただいております。資料6-1と資料6-2について事務局から説明をお願いいたします。
○上田職業病認定業務第二係長 資料6-1についてご説明いたします。1頁は、労働基準法施行規則別表第1の2第4号の9のうち「理美容師のシャンプー、洗剤又はコールドパーマ液等の使用による接触皮膚炎等」の可能性のある業務別の認定件数です。4の9のうち理美容師のシャンプー、洗剤又はコールドパーマ液等の使用による接触皮膚炎等の可能性のある業務別認定件数は、平成18年度が4件、平成19年度が2件、平成20年度が1件、平成21年度が3件、平成22年度が5件の計15件となっております。
 下の参考は、理美容以外の業務によって「接触皮膚炎」に罹患した可能性のあるものの認定件数を見たものです。2頁は、理美容師を対象に実施したアンケート調査と、パッチテストから得られた知見の報告である「職業性皮膚障害の外的因子の特定に係る的確な診断法の研究・開発、普及研究報告書」、平成20年4月、独立行政法人労働者健康福祉機構の作成した報告書です。
 概要は、ドイツのBrial社、スウェーデンのChemotechnique社が、理美容師向けのパッチテスト用アレルゲンとして市販しているアレルゲンから32種を選択し、63名を被験者として、成分パッチテストを行ったものです。「成分パッチテストの成績」において、陽性率の高い成分は、パラフェニレンジアミンで陽性率は74.5%、パラアミノアゾベンゼンで陽性率は74%、赤色225号で陽性率は40%などとなっております。このうち最も陽性率が高いとされるパラフェニレンジアミンは、既に4号1の告示物質とされ、皮膚障害が対象となっております。また、このほか4号1として告示されているものとしては、レゾルシン、ホルムアルデヒドがあります。
 4頁は、平成21年35条専門検討会報告書から抜粋したものです。読み上げますと、「理美容師のシャンプー液等の使用による接触皮膚炎については、14年検討会において『理美容の業務におけるシャンプー液の使用等による接触性皮膚炎について、近年、認定事例があったため着目していたところである。しかしながら、理美容の業務におけるシャンプー液の使用等による接触性皮膚炎については、当該物質は混合物であり製品により有害性が異なること等により、現時点において、新たに追加する必要はないと考えられる』とされていたものである。その後、独立行政法人労働者健康福祉機構が実施した接触皮膚炎に関する調査研究において成分パッチテストを行ったところ、シャンプー液等に含まれる一部の化学物質について陽性反応が認められるという結果が得られている。したがって、この件については速やかに結論を得る必要がある一方、同機構が実施したパッチテストには交差反応の問題もあり、なお詳細に分析・検討すべき課題があるものと考えられる。
 本検討会としては、理美容の業務による接触皮膚炎については、別途、化学物質に係る分科会を設置して、さらに検討を行うことが適当と判断する」とされたところです。
 資料6-2についてご説明いたします。労働基準法施行規則第35条別表1の2第4号の9のうち、「理美容師のシャンプー、コールドパーマ液等の使用による接触皮膚炎」の可能性のある認定件数(平成20年度~平成22年度)は、平成20年度は1件、平成21年度は3件、平成22年度は5件、3年度合わせて計9件となっております。この9件の認定事案について、発生原因及び疾病の発生状況、業務内容、使用した製品及び成分などをまとめたものです。
 以上、事務局から「理美容のシャンプー、コールドパーマ液等の使用による接触皮膚炎について」の資料説明を終わります。
○圓藤座長 かなり難しい問題が出てこようかと思います。今後の進め方について事務局から意見はありますか。
○天野職業病認定対策室長 事務局としては、先生方にご議論いただく前段階といいますか前提として、実際に法令に規定するとしたときにどのような問題があるかということを検討いたしました。先ほど話題に出ました、化学物質の取りまとめのためのガイドラインがまとめられている、昭和52年の検討会報告書の3頁後段にあります。昭和52年の業務上疾病を改正した際の報告書であります。この中に、化学物質による疾病を取り上げる際のルール、こういう方針に基づいて業務上疾病として規定していこうというルールをまとめた上で、その対象となる物質を選定したということです。
 その1番に、化学物質については、「有害因子たる物質と物質ごとの疾病を掲げるにとどめ、作業の種類は掲げないこととする」というガイドラインの下に、業務上疾病を別表に規定しております。特に4号については、そういうルールの下に業務上疾病を規定しています。
 したがって、今回、理美容の業務、あるいは理美容において使用するシャンプー、染毛剤とか、いろいろな作業が想定されるわけですが、このガイドラインによると、「作業の種類は掲げないこと」とありますので、例えば洗髪作業とか、あるいは理美容師、業種・職種といったことについても、規定に掲げることはこのガイドラインに反することになってしまいます。特に、化学物質による業務上疾病について表記をする際にはかなりの制約があることになることがわかりました。
 また混合物としてシャンプー、あるいはパーマ液といった表記の仕方も考えられるわけですが、そうなると、一般ユーザーでも使用しているそれらの製品が有害であるかのような印象を与えてしまうという危惧もあります。こういう問題点があるため、現在既に掲げられている化学物質に加えて、労働者健康福祉機構の研究成果なども参考にして、関連する物質を告示に追加していくというのが当面の方策ではないかと考えております。以上です。
○圓藤座長 難しい問題があろうかと思いますが、何かご意見はありますか。資料6-1、資料6-2を出していただいたように、結構な事例はあろうかと思うのですが、どのように考えていったらいいのでしょうか。特定の化学物質が原因で感作されて、接触皮膚炎が起こるというのであれば比較的わかりやすく、列挙していけば済むのですが、それでも感作しやすい人と、感作しにくい人という、誰にでも起こるというのではないという問題点があろうかと思います。
 それから、交差反応というのがありましたように、Aという物質に感作を受けると、Bという物質にも同じような症状が出てくるという問題もありますので、Aという物質を避けたからといって防ぐことはできないという問題もあろうかと思いますので、列挙も厳しいかと思います。Aも、Bも、Cも全部列挙していくと、何でもかんでも列挙するようになっていきますので、合理的でないように思います。そうかといって職種といいましても、理美容することが有害業務というわけではありませんので、業種指定も難しいし、そうかといって作業に関しても洗髪作業、パーマをかける作業、染色といいますか、毛染めをする作業とそれぞれあります。その染色だけが原因とも思えなくて、私らの理解では洗髪作業のときのシャンプーはそれほど有害ではないのですが、脱脂するということで、皮膚に関してかなりダメージを与える。そこに感作性物質があったりすると接触皮膚炎が起こりやすいということで、複合した要因のような気がしますので、何らかの対策は必要かと思いますが、明記はしづらいです。何かいいご意見はありませんか。もう少し知恵を絞っていただいて、告示に追加していくことはできますでしょうか。
○宮川委員 先ほど、家庭でも使われているようなものについて、それが有害因子だということを書くのもいかがなものかというご発言がありましたけれども、化学物質は基本的に安全なものと有害なものと二分できるわけではなく、すべて、どの程度ばく露されるかによって、障害は出たり出なかったりするわけです。家庭用品を、家庭の使い方であれば全く問題がないところを、ある種の作業において、相当多量に使うような場合には、それによって影響が出る場合もあるということは考慮しなければいけないので、その辺は、ものによっては物質名にこだわらずに、もう少し大括りの記載をする方法も、書きぶりによってはあり得るのではないかと思いました。
 難しいところもあるかもしれませんけれども、基本的には化学物質の有害性は0か1ではなくて、ばく露量に比例して出る可能性があるというところを少しご配慮いただければと思います。
○圓藤座長 我々毒性学をやっている者の基本に、すべての化学物質には毒としての作用があると。あとは使い方とか、管理の仕方でもってコントロールしていくのだということだと思います。列挙している化学物質だけが悪いというわけではなくて、普段使っている化学物質についても、こういう使い方をすれば有害ですというのは書いてもおかしくはないと思います。ただし、丁寧に書かないで短い言葉で書きますと、短絡的な理解になって誤解を招くおそれがありますので、丁寧な書きぶりは必要かと思います。ほかにご意見はありませんか。
 本件については、告示に追加すべき化学物質を広く取り上げる方向で検討していただくということですが、書きぶりについては、もう少し検討が必要かと思いますので、事務局と相談しながら考えたいと思います。それでよろしいでしょうか。具体的な検討については、次回の検討会で行いたいと思います。
 以上で検討は終わりたいと思いますが、本日の作業のまとめをしておきたいと思います。事務局から整理していただけますか。ロジンを除いて28物質になりました。オゾンについては追加しない。過硫酸カリウムについては追加する。ただし、他の過硫酸塩については次回回しとする。18物質については、ヒドロキノンは追加する。ILOの15年の検討物質(単体)及びILOの職業病一覧表追加物質(がん以外)についてはいかがでしたか。タリウム及びその化合物のみ追加。それから15年検討物質(COPD、木材粉じんによるがん)とILOの職業病一覧表の追加物質(がん)。COPDについては、物質をもう少し分けて検討する。おそらく追加の論文は見つからないのではないかという観測であるということです。木材粉じんについてもレビューし直す、もう一度見てみるということ。ILOの職業病一覧表にあったもののうち、エリオン沸石によるがんを外す。残りのものについてはもう一度見て、ジアニシジンを追加したときの考え方を参考に、疫学論文を読んでみようということであろうかと思います。シャンプー、コールドパーマ液等の使用による接触皮膚炎については、次回、機構の研究成果を基に検討したいと思います。
 それでよろしいでしょうか。次回分科会までの進め方の確認ですが、COPD、木材粉じんによるがん、それからILOの追加物質としてのがんについて、各先生方に文献レビューをお願いいたします。提出期限はいつごろにいたしましょうか、来月の上旬、中旬、下旬のいつにいたしましょうか。上旬は無理なので、中旬か下旬辺りでご議論いただければと思います。スケジュールとして、事務局はどのぐらいがよろしいですか、特にいいですか。それから、理美容のシャンプー、コールドパーマ液の使用による接触皮膚炎について、検討すべき化学物質を確定することはできますでしょうか。
○天野職業病認定対策室長 今回検討いただく端緒となった検討会の結果については、先ほど資料でご説明をさせていただきました。その際に労働者健康福祉機構が行ったパッチテストの研究報告があります。これについては、まだ先生方にお示しをしていないのではないかと思います。この機構の研究報告書を先生方にお送りさせていただきますので、それをご覧いただいて、この物質について、ほかの化学物質と同様の検討ができるのではないかということを、その研究報告から拾い出していただいて事務局のほうに提供していただければ、それを取りまとめて次回の検討ということになるのではないかと思います。
○圓藤座長 よろしいですか。
○柳澤委員 拾い出し作業の取り決めみたいなものは、最初からご指示いただけるのですか。いまのご説明は、かなり曖昧な内容だったような気がするのです。
○天野職業病認定対策室長 素人考えですが、そのパッチテストの結果で陽性率の高いものということが考えられると思うのです。それ以外に、先ほど座長が言われた、交差反応を示す物質の取扱いとか、それを含めるのか含めないのかというのは、我々のほうでは決めかねるところがありますので、そういう交差反応を示す物質も含めて、基本的には陽性反応を示し、陽性率が高いものが、おそらく検討いただく対象物質になるのではないかと思います。
 それにしても、まずはこの35条検討会から付託された際の端緒といいますか、労働者健康福祉機構の研究報告書をご一読いただきたいと考えております。
○圓藤座長 これはちょっと大変な作業になるかもしれません。
○天野職業病認定対策室長 先ほどのがんに関する文献レビュー、いまお話した理美容関係の研究報告書もご覧いただく必要があるということで、少し時間がかかるのではないかと思っております。次回の日程を描いているところはあるのですが、少し延びるのもやむを得ないかと考えております。当初のスケジュールでは、6月下旬をイメージしていたのですが、本日の検討会で、がんについてはもう少し深くやるというご議論をいただきましたので、それを踏まえると次回の検討会は7月にずれ込んでもやむを得ないかと考えております。そういたしますと、先ほどのレビューの関係とかは、必然的に6月いっぱいぐらいがいいところかと考えております。
○圓藤座長 時間があっても、できることはできるし、できないことはできないので、6月いっぱいぐらいを目処に作業をして、7月に次回委員会という予定でよろしくお願いいたします。私のほうからは以上です。次回の日程等について。
○天野職業病認定対策室長 いまお話いたしましたように、7月ぐらいで改めてメール等で調整させていただきたいと考えております。
○圓藤座長 それでは、長時間ありがとうございました。時間がまいりましたので、これで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。


(了)

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