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2012年4月23日 不活化ポリオワクチンの円滑な導入に関する検討会 第3回

厚生労働省健康局結核感染症課

○日時

平成24年4月23日(月)16:00~18:00


○場所

国立感染症研究所共用第1会議室


○議題

1.開 会

2.議 事
  ・不活化ポリオワクチンの円滑な導入について
  ・その他

3.閉 会

○議事

○飯野室長補佐 定刻となりましたので、ただいまから第3回不活化ポリオワクチンの円滑な導入に関する検討会を開催いたします。
 本日の検討会は公開で行いますが、カメラ撮りは議事に入るまでといたします。
 傍聴の方は、傍聴に際しての留意事項の厳守をお願いいたします。
 構成員の皆様におかれましては、御多忙の中御出席をいただき、誠にありがとうございます。
 本日は、蒲生構成員より欠席の御連絡をいただいております。
 なお、保坂構成員に代わり、日本医師会の小森常任理事が構成員として就任されておりますので、御紹介いたします。
○小森構成員 小森でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○飯野室長補佐 次に、4月に人事異動がございましたので、新任の職員を御紹介申し上げます。
 結核感染症課課長補佐の難波江でございます。
○難波江課長補佐 難波江です。どうぞよろしくお願いします。
○飯野室長補佐 予防接種専門官の城でございます。
○城専門官 城です。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○飯野室長補佐 それでは、開催に当たりまして、外山健康局長よりごあいさつを申し上げます。
○外山健康局長 健康局長の外山でございます。構成員の皆様におかれましては、御多忙のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。また、ポリオを含む感染症予防接種対策の推進につきまして、平素より御理解・御尽力をいただきまして、厚く御礼を申し上げます。
 この検討会につきましては、昨年8月に設置し、10月の議論を経まして本日第3回目の開催となりましたが、この間、2社の4種混合ワクチン(ジフテリア、百日咳、破傷風、不活化ポリオ)と1社の単独不活化ポリオワクチンにつきまして、昨年から本年2月にかけて薬事申請がなされたところでございます。このうち先週4月19日木曜日、薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会で、単独の不活化ポリオワクチンが審議されまして、承認して差し支えない旨結論が得られまして、4月中にも承認される見込みとなりました。
 こうした状況を受けまして、本日の検討会での御審議を踏まえまして、9月にはこれまでの生ワクチンから不活化ポリオワクチンの接種を現場の混乱の回避、それから、公平性の観点から一斉切替えで開始できるよう自治体の受入体制等にも配慮しながら、円滑な導入に向けて準備を進めてまいりたいと思っております。
 構成員の皆様におかれましては、不活化ポリオワクチンの接種に関する具体的な実施方法や方針等につきまして御検討いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
 本日の御議論を踏まえまして、予防接種の実施規則や通知の改正の作業にも着手してまいりたいと考えておりますし、予防接種部会にも御了解を得ていきたいと考えております。それでは、よろしくお願い申し上げます。
○飯野室長補佐 カメラ撮りはここまでとさせていただきますので、御協力方よろしくお願いいたします。
 ここからの会議の進行は、岡部座長にお願いいたします。
○岡部座長 こんにちは、岡部と申します。よろしくお願いいたします。第3回の不活化ポリオワクチンの円滑な導入に関する検討会を始めます。
 今、局長からも御説明がありましたように、単独ではありますけれども、IPVが薬事法上の承認を得られるということになって、いよいよ実施になるわけですけれども、しかし、それを受けて検定であるとか、あるはいパッケージづくりであるとか、あるいは自治体におかれましてはいろいろな準備をしなくてはいけないでしょうし、あるいは実際に行う医師、医師会等々への連絡とかいろいろな問題があるのではないかと思います。明日から直ちにではないですけれども、私たちも一日でも早い導入ということをこの委員会での結論としておりましたので、実際にできるだけスムーズにそれを導入していくための検討会ということで、いろいろな御意見をいただくことになると思います。特に、法律の整備や何かも必要になるだろうと思いますので、その点も含めて事務局にもお願いしたいと思います。
 それでは、まず、今日の資料の確認を事務局からお願いします。
○飯野室長補佐 それでは、資料の確認をさせていただきます。
 議事次第
 資料1 生ポリオワクチン予防接種の接種率の推移(確定版)
 資料2 不活化ポリオワクチンの導入に関する方針について(案)
 資料3 ポリオワクチン互換性についての諸外国のデータ 中野構成員提出資料
 資料4 ポリオワクチンの互換性に関する免疫原性・安全性試験 廣田構成員提出資料
 参考資料1 不活化ポリオワクチンの円滑な導入に関する検討会構成員名簿
 参考資料2 不活化ポリオワクチン(ソークワクチン)の添付文書(案)
 参考資料3 リーフレット ポリオの予防には、ポリオワクチンの接種が必要です
 資料については以上です。不足等がありましたら、事務局にお声をおかけください。
○岡部座長 それではまず、資料1の説明ということで、ポリオワクチン予防接種の接種率の推移について、事務局から御説明をお願いいたします。
○城専門官 お手元の資料1をごらんください。
 厚生労働省では、市町村が実施するポリオの予防接種について、都道府県を通じて調査していますが、平成23年度、春・秋シーズンのみに接種を行った市町村について、接種者数を集計し、今年3月に速報として発表させていただきましたが、確定値がまとりましたので御報告させていただきます。
 集計対象は、調査に回答していただいた1,742の市町村中、春と秋のシーズンに集中して実施した1,282市町村を集計しています。なお、通年で接種を実施している市町村については本集計の対象となっておりません。
 平成23年度9~12月までの秋のシーズンに実施されたポリオ生ワクチンの接種率は76.2%でした。平成23年度春シーズンの接種率84.2%から8ポイント減の結果となっております。
 結果は以上です。
○岡部座長 予防接種率の推移を説明いただきましたけれども、一応、幾つか関連の事項があるので、資料を伺ってからディスカッションに入りたいと思います。
 では、資料2の説明をお願いいたします。
○難波江課長補佐 続きまして、お手元の資料2について御説明させていただきます。
 本資料は、今月中にも薬事承認される見通しの単独の不活化ポリオワクチンを今年9月から定期接種に導入するに当たり、過去2回にわたり本検討会で御審議いただいた内容を踏まえまして、接種スケジュールや切替え方法等について事務局案としてお示ししたものでございます。
 まず、2ページ目、上段が今般、薬事承認にされることになりました単独の不活化ワクチンの概要です。サノフィパスツール社製、2月23日に申請されまして、今月中にも薬事承認予定となっております。
 下段が現在、薬事審査中の4種混合ワクチンです。
 3ページ目、薬事法上の用法・用量です。参考資料2に添付文書の案をつけておりますが、用法・用量として通常1回0.5mLずつを3回以上、皮下に注射する。接種上の注意として、初回免疫については、生後3か月から初回接種を開始し、3週間以上の間隔を置いて3回接種するとなっております。こういった書きぶりは、今年2月に3回接種までの臨床試験を踏まえ薬事申請を出されたため、現時点でこういう形の承認となっておりますが、4回接種のデータが整った際には、企業からの報告を踏まえまして、必要な見直しを行う予定となっております。
 下段は現在、薬事審査中の4種混合ワクチンについてでございますが、現時点ではまだ未定でございますが、3種混合ワクチンと同様の用法・用量になるかと想定されております。
 続きまして、4ページは参考資料ですが、上段が現行の経口生ポリオワクチンの予防接種法上の接種年齢・接種間隔等でございまして、下段が現行の3種混合ワクチンの接種年齢・接種間隔等となっております。
 続きまして5ページ目、不活化ポリオワクチンの定期接種における接種間隔案でございます。これは事務局案でございます。
 まず、対象年齢は生ポリオワクチンと同様とする。生後3~90月未満を考えております。接種間隔は、現在の3種混合ワクチンと同様のものとしております。1期初回接種は20~56日までの間隔を置いて3回。1期追加接種は初回接種終了後6月以上の間隔を置いて1回。また、標準的な接種年齢を通知で示すこととなっております。
 下に○がありますが、本年9月に単独の不活化ワクチンを導入する際には、既に3種混合ワクチンを接種されている方や生ポリオワクチンを1回接種されている方、それから、未承認の不活化ワクチンを接種されている方もいらっしゃると思いますので、接種間隔として56日までの間隔を置いてという、その56日という上限を移行措置として外しまして、20日以上の間隔を置いて必要な回数を打っていただければよいというようなものを考えております。
 ただし、この場合におきましても、できる限りスケジュールに近い形で接種いただければと考えております。
 一番下は、既に他のワクチンでも述べておりますが、同時接種につきましても医師が特に必要と認めた場合は、できるよう改めてお示ししたいと考えております。
 続きまして、6ページでございます。前回の検討会でも御議論いただきました複数のポリオワクチンの互換性につきまして、中野構成員に諸外国のデータをおまとめいただきました。また、廣田構成員に国内で現在実施いただいている臨床研究の進捗状況についておまとめいただきましたので、ここでお二人の先生方に御発表いただければと思います。
○岡部座長 それでは最初に、中野構成員からお願いいたします。
○中野構成員 それでは、私の方から、ポリオワクチン互換性についての諸外国におけるデータに関しまして発表させていただきます。お手元の資料3をごらんになってください。
 1枚めくっていただいて、表題が「ワクチンの互換性 Interchangeability of vaccines」と書いてある資料をごらんください。これは前回、私が諸外国における生ポリオワクチンから不活化ポリオワクチンにおける移行に関して御説明申し上げたときに、そこでも出した資料でございます。前回は諸外国の移行状況を御説明したわけでございますけれども、移行するに際して、いろいろな意味での、同じ病気を予防するための2種類以上のワクチンを同じ方に接種したときに、いわゆる互換性、有効性と安全性の両方において担保できるものかどうか、それを検討する必要があるということでお示ししました。今日はそれについて諸外国がどのような状況で移行を行ったかを御説明いたします。
 2ページをごらんください。上半分に書いてあるのは、我が国で導入される予定のIPVということで、3つのIPVが書いてございますけれども、ここで用語と記号の使い方の分類をお話ししておきます。
 まず、IPVに「s」と「w」がついてございますが、「s」はSabin strain derived IPVのSabinの「s」でございます。すなわち、Sabinというのは経口生ポリオワクチンに含まれる弱毒ポリオウイルス株でございますから、sIPVというのは弱毒株由来の株でつくる不活化ポリオワクチンということでございます。
 それに対してwIPVは、Wild strainといたしました。なので、野生株、野外株、いわゆる今、海外で通常に使われているConventional IPV(cIPV)とでも言いましょうか、通常に使用経験のある、海外で長く使われている野生株からつくった不活化ポリオワクチンです。この資料を作成させていただいた時点では、どちらが薬事承認を早くということは存じておりませんでしたので、順番がDPT-sIPVから上になっていますが、この「-」は混合ワクチンということでございます。ですから、DPTワクチンと不活化ポリオワクチンが1つのワクチンに両方混ざっている混合ワクチンということで「-」をつけてございます。先ほどの御説明にもございましたように、最初に承認見込みになるのは2番目に書いてございますwIPV、サノフィパスツール社の商品名、イモバックスという名前で海外でも今も販売されているワクチンでございますが、こちらと国内2社のDPT-sIPVの4種混合ワクチンが今年の秋に承認されるということでございます。
 その下の「DPT-wIPV(しばらく後になる見込み)」というのは、恐らく年度内は厳しいのではないかと思います、もっと後だと思います。ほかのメーカーさんが国内でも治験をやっておられますので、DPTとwIPVを混合したワクチンは恐らく1年か2年後になるのでしょうけれども、これだけのワクチンが承認される予定でございます。
 そういたしますと、生ワクチンから不活化ワクチンの移行に際して考慮すべき互換性は、資料の下段をごらんになってください。互換性に関して3つ検討すべき内容が書いてございます。
 1つ目、広い意味での互換性というのはOPVとIPV、生ワクチンと不活化ポリオワクチンのIPVというのも当然互換性を検討しなければいけないと思います。
 2つ目が、sIPVとwIPV、これは手に入る製剤が、セービンの方は4混ワクチン、ワイルドの方は単独ワクチンということになりますから、英語の論文などでは「+」は同時接種している場合に示している場合が多いですけれども、勿論このDPTと単独のIPVを同時接種するケースもございますでしょうし、規定どおり1週間以上の間隔を置いて接種する場合もあると思いますけれども、混合ワクチンと単独ワクチン両方使ったときのそれぞれの株が、セービン株由来とワイルド株由来でございますから、その2種類の不活化ポリオワクチンの互換性も検討しなければならないと思います。
 3番目は、まだ少し先のことになりますし、今日細かくは申し上げませんけれども、近未来には追加接種時の互換性も恐らく検討が必要です。なぜならば、不活化ポリオワクチンというのは乳児期の基礎免疫が終わった後に、就学前、幼稚園とか保育園の年長の追加接種や、日本で言うDTの2期の時期などに追加接種をしている国が多うございます。ですから、将来的には追加接種でどのワクチンを使うかということも検討しなければならいので、ここには一言書きましたけれども、今日はこれに関しては詳しく触れる時間もございませんので、触れないようにいたします。
 3枚目の資料をごらんください。生ワクチンと不活化ポリオワクチンの互換性です。不活化ポリオワクチンの中には、セービン株由来と野生株由来の両方があると申し上げましたけれども、諸外国の過去のデータは野生株由来の不活化ポリオワクチンですが、先に不活化ポリオワクチンを接種して、その後に生ポリオワクチンを接種したときに免役原性がどのくらいあって、副反応がどのくらいの割合が出てというデータはたくさんございます。これは前回10月の検討会でもお話しいたしましたように、米国がOPVからIPVに移行するときに、併用スケジュールを3年間使った後IPVに移行しておりますから、正式なスケジュールとして使っている国がございますので、データもたくさんございます。
 では、日本はどうかと申しますと、先ほどお話が出ましたように、OPVを1回だけ接種しているという方が何名か国内にもいらっしゃるわけです。ですから、OPVとIPVの互換性に関しては、OPVを1回接種して、その後IPVを接種したらどうなるかというデータになります。ですから、米国のIPV、OPV併用スケジュールの話とは少し異なってまいりますので、正直なところ前回から論文を探しているんですけれども、それに関して詳しく検討した論文は余りございません。ですが、海外諸国がOPVからIPVに移行するときも一斉切替えをやっている国は、海外では御承知のようにOPVは2回接種ではなくて、ほとんどの国が3回以上の接種です。そのとき、OPVからIPVへの切替えが一斉切替えであれば、切替えを決めた日以降はIPVを使うわけでございますから、そのときの海外での取決めを見ますと、OPVとIPV合わせてトータルの回数、4回というところが乳児期、初回免役と追加接種の基礎免疫を合わせて4回としている国が一番多いと思いますけれども、回数を一致させれば大丈夫ということで移行して大きな問題は起こっておりません。
 ですから、2番目のポイントに関してはそのような資料があるということになります。
 3番目に関しましては、sIPV、弱毒株由来のIPVは導入は我が国が恐らく初めてになります。海外でほかにも治験をやっている国は、昨年も論文が一部出ていたとは思いますけれども、承認されたワクチンとして導入されるのは初めての見込みでございますので、海外データはまだございません。
 4枚目の資料をごらんください。ここから今回集めてまいりました海外の論文、少し専門的な内容になると思いますので、概略をお話ししてまいります。
 まず、生ワクチンと不活化ポリオワクチン、OPVとIPVの互換性のデータですけれども、4種類の接種スケジュール、OPV3回、IPV3回、IPV2回を打ってOPV1回、IPVを1回打ってOPV2回、ファーデン先生らの1990年の論文ですけれども、ただ、3回打っていると申しましても生後2か月、4か月、12か月で接種しております。この論文は接種2回目あるいは3回目接種後の血中抗体、中和抗体を見ております。このとき測定した中和抗体は野生株由来。中和抗体の測定も、野生株由来のものを使って測定するか、セービン株由来を使って測定するかによって少し抗体価のずれはあると思いますが、ここでは野生株由来の1型、2型、3型の株を使って測定しております。
 その結果、2回目接種後あるいは3回目接種後とも防御抗体保有率は同等であったということで、日本もOPVが先というスケジュールではございませんけれども、OPVだけ、IPVだけ、あるいは混合というので免役原性に関しては差異がないということで論文が報告されてございます。
 5ページ目をごらんください。先ほどはOPVとIPVの単純な比較でございましたけれども、海外ではいろいろな種類の混合ワクチンが出てきております。日本のようにDPTとの混合ワクチンも勿論ございますけれども、B型肝炎との混合ワクチンとかHib、インフルエンザ菌b型との混合ワクチン、多価の混合ワクチンがたくさん出ております。なので、OPVとIPVの互換性は勿論ですけれども、混合ワクチンとしたときと、それぞれ単独で打ったときと、海外ではほとんどのケースが同時接種でございますから、ここの表に群1、2、3、4と書いてありますが、「-」は、それぞれが1つのワクチンに複数の抗原が混合された混合ワクチン、「+」というのは、同じ受診機会から身体の違う部位にそれぞれ同時に接種したという同時接種で比べておりますけれども、これはIPVだけではなくて、HibとかB型肝炎が含まれております。上の表が、接種後の抗体保有率と、GMCというのはGeometric Mean Concentration、幾何平均抗体濃度になると思いますけれども、幾何平均抗体濃度というのは、それぞれのウイルス株の特徴によって、あるいは混合ワクチンの場合はDPTにアジュバントが入ってございます。そうすると、混合ワクチンであれば一緒に打つとき、打つ製剤にIPVにもアジュバントが入って、体の同じ部位に入っていきますので、細かな意味での抗体価の差異は当然出てまいります。あと、OPV、IPVそれぞれ株が異なりますから、1型、2型、3型でどれが上がりやすいとか、どれが上がりにくいとかいろいろな差がございます。ですから、GMCに関しては有意差検定が行ってあって、群1のスケジュールとの間で有意差があるのはどれかを示してございますけれども、8倍以上の中和抗体価が得られた方のパーセンテージというのは、100%から100%に極めて近いものまで、混合ワクチンを使っても、単独ワクチンを使っても、同時接種をしても、同じように良好な免役原性が担保されている。そのようにこの論文は読むことができると思います。互換性はあるということだと思います。
 6ページからは、ちょっと複雑な論文でございましたので、1つの論文を何枚かの資料にいたしましたが、6ページは英文と和文で書いてございますけれども、どんな研究をしたかです。これは、生後17~19か月のDPTを追加接種するときに、ポリオワクチンの追加接種を行っているわけです。ここで検討したポリオの不活化ワクチンの1つは、我が国で導入されるのと同じVero細胞で培養する不活化ポリオワクチンでございますけれども、それ以外にMRC-5細胞というもので培養する不活化ポリオワクチンと経口生ワクチン。経口生ワクチンは飲ませるわけですから同時接種でございますけれども、ベロ細胞由来のIPVとMRC-5細胞由来のIPVに関しては、DPTと一緒の混合ワクチンとして打った場合と同時接種と、いろいろな選択肢をつくって検討しております。
 7ページが対象と方法です。対象と方法は医学論文の対象と方法ですから、私が申し上げたかったのは、下の2行をごらんいただきたいと思います。この方々は追加接種でございますけれども、これはカナダのスケジュールだと記憶しておりますが、追加接種の前の初回免疫がそれぞれ異なるんですね。初回免疫がDPTワクチンとしてはすべての方が3回行っているんですが、カナダの州によってIPVの混合ワクチンを使っているところと、経口生ワクチンを使っているところがございました。なので、DPTはすべての方に3回抗原が入っているんですけれども、混合ワクチンでIPVが3回、初回免疫されている方と、OPVを2回内服して初回免疫されている方がございます。なぜこの論文を持ってきたかというと、追加接種のデータではございましたけれども、最初の免疫がIPVで3回されている方と、OPVで2回されている方は、OPVは日本の方は1回でしょうけれども、先にOPVをしているという論文がほかになかったので、この論文を持ってまいりました。
 8ページ目をごらんください。一番左の接種ワクチンというのが今回接種したワクチンで、先ほど同じ「-」は混合ワクチン、「+」は同時接種ですけれども、「m」はMRC細胞由来のIPV、「v」はVero細胞由来のIPVでございます。OPVは生ワクチンの同時接種をしています。この追加接種を何でしたかよりも、5群それぞれが過去の接種歴がOPVを2回やっている方と、IPVを3回やっている方がいらっしゃるわけです。
 右の欄を見ていただきますと、ポリオワクチンとしてはIPVが通算4回入った方、あるいは生ワクチンを2回飲まれてIPVを1回注射された方、あるいはIPVを3回注射されてOPVを1回飲まれた方、あるいはOPVを3回飲まれ方。これはこの論文で解析した主目的ではございませんけれども、それぞれ今回の日本のスケジュールに割と類似の4群があるかなと思って、参考資料として持ってまいりました。
 9ページ目に、その結果がございます。これはOPVと比較して有意差があるかどうかを示していますが、抗体価のGMTですが、幾何平均抗体価がどうということは今回は余り議論する必要はなくて、すべての群においてしっかりと陽性の中和抗体価が得られている、これで互換性を担保できるのではないかということが示されていると思います。
 10ページをごらんください。IPVを4回、あるいはOPV・OPV・IPV、あるいはIPV3回でOPV1回、あるいはOPV3回、その追加接種後に抗体価が32倍以上、非常に高い抗体価です。通常は8倍以上ぐらいでも陽性としていいと思いますので、32倍以上の抗体価であった方が1型、2型、3型とも100%近くいらっしゃいますので、互換性はこれで担保できるのではないか。その資料として持ってまいりました。
 私が私案として持ってまいりました結論のようなものを次の2枚の資料で御説明申し上げます。
 OPVからIPV、生から不活化への移行期にポリオワクチンを何回接種したらよいか。これを11ページにまとめました。3種類のポリオワクチンを接種するという選択肢が出てくると思います。
 1つ目は、OPVを既に2回接種済みのお子様は、追加接種は不要と考えます。その理由は、OPV2回接種で我が国はやってきて、30年以上にわたってポリオの流行がなく、なおかつ野生株ポリオの侵入がなかったわけでございますから、OPV2回接種済みの方は定期接種のスケジュールとしては2回で完了と考えて私はよろしいと考えております。海外留学でその国の規定で追加接種が必要とか、野生株が流行している地域へ行かれる渡航者の方は別に考えるべきであって、今回の議論とは少し離れたところになりますから、打ってはいけないということではないですけれども、2回接種済みの方は定期接種としては追加接種不要と考えてよろしいと思います。
 2番目の接種パターンです。過去の接種歴が一度もない方。厳密には、日本の乳児という定義は1歳未満だと思いますが、2歳までにポリオワクチンでどのような基礎免役をつけるかということに関しては、IPVを4回接種ということで基礎免役をつけるというやり方でよろしいかと思います。なぜなら、今回最初に承認となる見込みのワクチンは、まだ3回までしかデータが出ていないようでございますけれども、このワクチンとあと2つのワクチンを含めて3プラス1の4回接種のスケジュールで治験が済んでいるという情報を聞いております。ですから、4回の治験の成績で良好な結果が得られたら、4回接種という規定ではっきりと決めてしまえばいいと私は思います。諸外国も基礎免役は4回という国が一番多いと思います。
 では、OPVを1回接種済みの方はどうするか。これに関しましては、諸外国の移行時と同じように、トータルのポリオワクチンの接種回数を4回ということで、不活化ポリオワクチンを3回接種していただいて基礎免役完了という考え方でいいかと思います。
 そして、そこに1つ注意点を書いておきました。このときに、IPVの2回目、すなわちポリオワクチンとしては3回目と、最終接種すなわちIPVの3回目、ポリオワクチンとしては4回目の接種は6か月以上開けることが望ましいと考えます。
 その理由は12ページにございます。不活化ワクチンの接種スケジュールの基本的な考え方というのは、DPTなどの場合は初回免疫が3回でございます。ほかのワクチンの例で言えば、日本脳炎やB型肝炎は初回免疫が2回ということになると思います。Hibや小児用肺炎球菌は初回免疫3回でございます。2回あるいは3回の初回免疫と1回の追加免疫で、いわゆる良好な基礎免役が成立する。そして、初回免疫と追加免疫の間は6か月以上開けているワクチンが多いと思います。これが不活化ワクチンを接種するに際して良好な接種スケジュールを考えられる基本的な考え方だと思いますので、基礎免役の獲得に際して大事なことは、?必要なトータルの接種回数を完了すること、?2回ないし3回の初回免疫後に一定期間の間隔を開けて追加免疫を行うこと。この考え方にのっとれば、OPVを1回だけ終わった方は、あと3回IPVをするわけでございますけれども、2回打った後6か月以上開けて最後を打つ。先ほど厚生労働省からお示しいただいたスケジュールにもそのようなことを書いていただいていましたので、非常にいいのではないかと思いますが、そのような形で定期接種スケジュールを組んでいったらどうかなと思います。
 それと、先ほど56日以上ということに関するコメントがございました。移行期は56日以上の間隔であってもよしとすべきである、私はそれに大賛成でございます。なぜなら、ここにも書いてございますけれども、不活化ワクチンの基本は必要なトータルの接種回数を完了することでございますので、今いろいろな状況で接種間隔が開いている方がたくさんいらっしゃると思います。とにかく必要なトータルの接種回数を完了するということを進めていくことが一番大事であると思っています。
 以上でございます。
○岡部座長 どうもありがとうございました。
 質問あるいはコメントなどは後からいただきたいと思います。基本的にはわかりやすく言えばDPTと同じ形ですね。
○中野構成員 そうでございます。
○岡部座長 ありがとうございました。
 それでは、続いて廣田構成員、お願いいたします。
○廣田構成員 OPV、IPV、DPT-IPVの互換性ですけれども、この試験の非常に難しかったところは、IPVにせよ、DPT-IPVにせよ、申請中の薬剤である。その申請中の薬剤を2つ使って研究ベースで試験するということに非常に難しい背景がございました。
 それと、DPT-IPVの場合は、DPTの過剰接種が起きることを避けなければならない。本来はそう心配ないでよいと思うんですけれども、やはりこれも薬事承認申請中の薬剤ということで、もし、そこで何かあったら、せっかくされた試験が大変なことになるわけですので、この2点が非常に困難をもたらす背景となりました。
 研究デザイン、接種の概略ですけれども、生後3~74月まで基礎疾病がないことを厳密に確認。これも薬事承認申請中ということから、何かあってはという発想でございます。各群50例(計200例)を目標とする。皮下接種で、他のワクチンと同時接種不可、1回採血量は2~4mLとしております。
 A群からD群まで設定しまして、A群はOPVを1回既接種の人にDPT-IPV4種混合を3回打つ。B群はOPVを1回既接種の人にIPV単独を3回打つ。C群とD群は4混と単独を2回ずつたすきがけで打つというデザインです。
 この中で、特にA群の4混の3回接種が、通常のDPTの接種スケジュールと重なって過剰接種になることを避けるという点が非常に難しいところでございました。なお、この4群の組み合わせですけれども、研究費の制限の中で一番やりやすいところから、このような群を設定しています。
 接種順序の詳細で、A群ですけれども、対象をOPVを1回接種済み、かつDPTを0~1回接種済みです。1回目はOPV接種済みですので、???のポイントで4混を打っております。採血ポイントは接種前と初回免疫3回目接種の前後、それから、追加接種の後の4ポイントでございます。
 A群では、DPT0回接種者は、標準スケジュールに合致するよう別途、?のポイントの後でDPT1期初回3回目を接種すること。それから、DPT1回接種者は、そのままこのスケジュールで1期追加まで完遂するというデザインです。
 いずれにしても、このA群が一番リクルートする際に困難を感じた群でございます。
 接種順序の詳細、B群ですけれども、対象は、OPVを1回接種済みで、かつDPTを0~3回接種済み。OPVの既接種者に、その後IPV単独ワクチンを3回打つというケースです。この場合はDPTについては標準スケジュールに合致するよう別途、1期初回、計3回と1期追加を接種していただくというもので、そう複雑なものではございません。
 接種順序の詳細、C群でございます。これはOPV未接種で、かつDPTを0~1回接種済みの方。最初2回が4混で、その後2回が単独ですけれども、最初の採血ポイントはDPT-IPVを接種する前。採血ポイントは最初のA群とB群と比べて第1回目が早まっております。
 DPT0回接種者は、別途?の前後でDPT1期初回3回目、?の前後で1期追加を接種する。それから、DPT1回接種者は、標準スケジュールに合致するよう別途、?と?のポイントの間で1期追加を接種するというものです。
 D群でございますが、OPV未接種で、かつDPTを0~1回接種済みの人が対象になります。IPVの単独を2回打って、その後4混を2回打つというもので、採血ポイントは同様でございます。
 DPT0回接種者は、別途?前後でDPT1期初回1回目、?の前後で1期初回2回目を接種する。DPT1回接種者は標準スケジュールに合致するよう別途、?と?の間で1期初回2回目を接種する。
 このようにDPTとの兼ね合いで実施が非常に困難でありました。
 収集情報は、ベースラインデータとしては、性、生年月日、生下時体重、在胎期間、第何子、生下時両親年齢、現在体重、既往歴、基礎疾患がないことを厳密に確認する、予防接種歴、その他。それから、接種後副反応(48時間)。追跡期間中の健康上、特記すべき事項です。
 その他でございますが、中和抗体の測定にはセービン株とワイルド株を測定抗原としてはかる。
 それから、2つの未承認ワクチンを使用することから、臨床研究保険に加入いたしました。
 7ページ、進捗状況(1)でございます。昨年10月7日にIRBの承認を得て、被験者のリクルートを開始しております。10月31日に細かいところを変更したものを承認して、11月7日にIPVが関空に到着しました。ちょうど輸入の時期がボジョレー・ヌーボーの日本への輸入時期と重なりまして、こちらの方が負けまして1週間遅れております。11月24日に接種開始。今年2月29日に被験者のリクルート打ち切りです。
 A、B、C、D群ですけれども、一番左側のカラムに被験者数、リクルートした人数を書いております。A群は11人でリクルートが非常に困難でございました。普通は50人目標というプロトコールに合致しないと、私は研究代表者として、あたかも人格を喪失したごとくののしるんですけれども、今回ばかりは何か言うと逆ギレされそうで黙っております。本当によくやっていただきました。これだけリクルートできたのは奇跡に近いと思っております。
 その後の血清採取や2回目、3回目の接種も順調に進んでおりまして、2回目、3回目で各セルの人数が少なくなっているのは決して脱落ではございませんで、4月11日現在まだ接種や採血の時期に達していないということでございます。
 C群に1人、プロトコールからの逸脱が出ましたけれども、こういうものは時折ございます。
 進捗状況(2)です。3月26日と27日に第1回の検体を発送しております。これはB群について3回目接種4週後までの採血完了した39例分を送付しております。測定結果の受領は5月中旬ぐらいになる予定です。
 この秋に導入されますが、まず、考慮しなければいけないのはIPVの単独です。その場合、IPV単独のみ初回3回接種のデータは薬事承認のデータもあるし、海外データもありますので、B群のOPVを打ってIPVを打つという、日本独特のものが最優先ということです。6月には解析できて、その後の見通しはその都度考えていきます。
 4月23日、24日に第2回の検体を発送いたしました。これはA、C、D群で3回目接種4週後までの採血完了分と、B群で3回目接種4週後まで採血完了している未発送分です。検体数が多くなりますので、測定結果を得るまでに時間がかかると思いますけれども、秋のスタートに合わせて十分時間を持って、初回免疫3回接種のデータから総合的な結果を得られるものと考えております。
 9ページでございます。非常に難解な試験の実施ございますけれども、実は厚生労働科学研究の研究班では、研究分担者に臨床薬理学の専門家に入っていただいています。この方は、第1相臨床試験専門機関の先生でございまして、他に薬学、統計学、渉外等のスタッフもいらっしゃいまして、この方々には研究協力者に入っていただいております。ここでプロトコール作成やIRB承認、ロジスティクス、被験者記録の管理、血清の集積・保管・送付、データ素解析等ができる十分な能力を持っていらっしゃいます。
 それから、同じ研究協力者に小児科の開業医グループでワクチン・オタクみたいな、非常に熱心な先生方のグループがいらっしゃいますので、この先生方に研究協力者として入っていただいておりまして、被験者のリクルート、接種・採血等をやっていただいております。
 そのグループに対して、この臨床薬理学専門家の施設から説明文書、同意文書、ワクチン記録、血清収集、いろいろな支援をしていただいて、全体としてこの研究を遂行していくという体制で臨んでおります。
 以上でございます。
○岡部座長 どうもありがとうございました。
 これは今オンゴーイングで、最終的な結論はまだ当然ながら出ていないんですけれども、私たちも常々データが必要であると申し上げますし、いろいろなところからデータを要求されるわけですが、先ほど廣田先生もおっしゃっていたように、開業の先生方、患者さんの了解をいただいて多くの方々の協力で進んでいるということに思いをはせないと、いけないと思います。改めて協力いただいた方々に感謝申し上げたいと思います。
 それでは、説明を事務局に戻して、最後に議論ということにしたいと思いますので、説明を継続してお願いします。
○難波江課長補佐 それでは、資料の7~9ページをごらんいただければと思いますが、今、御発表いただきました内容、前回の検討会での御審議を踏まえまして、複数のポリオワクチンの接種に関する対応を事務局案としてお示しさせていただいているものでございます。
 7ページ、8ページは文章で記載しておりますが、9ページに表でまとめておりますので、9ページを基に御説明させていただければと思います。
 さまざまな場合分けをしているわけでございますが、一番上の生ポリオワクチン、不活化ポリオワクチンを一度も受けたことがない方につきまして、2つに場合分けしております。3種混合ワクチンも受けたことがない方につきましては、4種混合の導入までは単独の不活化ワクチンを4回接種いただく。4種混合導入後は4種混合ワクチンを4回接種いただくことを考えております。
 それから、生・不活化いずれもポリオワクチンを打ったことがない方で、3種混合ワクチンを打たれている方については、単独の不活化ワクチンを4回接種いただくことを想定しております。ただし、注意書きをつけておりますが、今、廣田先生の方でやっていただいている臨床研究の結果で、単独の不活化ポリオワクチンと4種混合を併せて使用することについて同等の効果が得られることが明らかになった場合は、4種混合ワクチンの導入までに例外としてスケジュール上支障がない場合は、この2つを併用できることを周知することを予定しております。
 続きまして、生ポリオワクチンを1回接種された方につきまして、既に中野構成員から御発表いただいている内容と同じでございますが、生ポリオワクチン1回の方については単独の不活化ポリオワクチンを3回接種いただく。1回で不活化ポリオワクチン、既に海外等で国内未承認のワクチンを打たれている方につきましては、計3回となるように接種いただく。生ワクチンを既に1回打たれていて、不活化ポリオワクチンも3回既に打たれている方については接種不要とさせていただいております。
 それから、生ワクチンは打たれていなくて、不活化ポリオワクチンを既に打たれている方は、1~3回打たれている方については、トータルで4回となるように接種いただく。既に4回打たれている方については接種不要。
 それから、生ポリオワクチンを2回打たれている方は、接種不要とさせていただいております。
 今まとめた内容につきましては、7~8ページに文章にて記載しております。
 続きまして10ページでございます。不活化ポリオワクチンの導入時期の案でございます。単独の不活化ポリオワクチンの定期接種としての導入は、今年9月1日とさせていただいております。
 それから、4種混合の定期接種の導入については、単独の不活化ポリオワクチン導入後、できるだけ早期に導入を目指すこととし、4種混合ワクチンが発売され次第導入する、今年11月を目指して頑張るという記載になっております。
 それから、単独の不活化ポリオワクチンの導入後、4種混合ワクチンが未導入の段階においては、3種混合ワクチンの未接種者についても、単独の不活化ポリオワクチンと3種混合ワクチンを併用することで対応するとしております。
 11ページでございますが、単独の不活化ポリオワクチンの導入に向けました大まかなスケジュールでございます。本日の検討会で大まかな方針について御了承いただきますと、その後、不活化ポリオワクチンは今月中にも薬事承認がされるものと見込んでおります。また、国の方で予防接種部会にも御報告して御了承いただくことを考えております。
 手続としましては、国において省令改正等の手続を開始いたします。また、市町村に対する説明・周知をいたしまして、市町村においても準備を進めていただきます。これまで多くの市町村で経口生ポリオワクチン、これは集団接種として春・秋の2回やられておりましたか、今回の不活化ポリオワクチンは注射による接種ということで、恐らく多くの市町村では個別接種という形に切り替えることになるかと思います。その際、医療機関と新たに手続が必要となりますので、その準備期間として、おおむね3か月程度は必要ではないかと見込んでおります。
 また、今回は最初から定期接種導入ということになりますので、各メーカーにおいて相当量のワクチンを生産いただく必要がございます。また、国立感染症研究所でも国家検定を実施していただく必要がございます。このような準備期間を設けた上で、最終的に8月下旬に販売・流通していただきまして、秋のシーズンに間に合うよう準備できればと思っております。
 続きまして、12ページ、13ページでございますが、これは単独のポリオワクチンの需給見通しでございます。
 12ページは、先ほどの資料1でお示ししました平成22年度、平成23年度の接種率を1回目の接種、2回目の接種に分けまして、昨年度の時点でどのくらいの方が定期接種を終了していないかを推計したものでございます。細かな計算は下に書いてございますが、約27.3万人の方が昨年度の時点で対象年齢に達しているけれども、接種を終了していないと推計しております。
 13ページは、4種混合ワクチンが11月に導入されるという前提で推計しました単独ワクチンの需給見通しです。9月に接種を開始しまして、接種対象者が100%今年度中に接種されるとした場合、需要としては367.9万接種回数と見込んでおります。これは、注1にございますが、接種対象者、昨年度接種を差し控えた方27万人と、今年度の対象者の合計約133万人の方が2回または3回接種いただくと、需要として367万ドーズ程度であろうと見込んでおります。
 一方で、供給量につきましては、年度末までに477万ドーズが供給されることを見込んでおります。この推計に基づきますと、年度内には対象の方が大方2回または3回の接種を完了いただけるのではないかと考えております。
 ただ、ここで大きく2つ不確定要素がございまして、1つは注2にありますαでございますが、この春に定期接種を差し控える方が増えますと、このα分がその分需要として乗ってくることになります。
 2つ目でございますが、供給のスピードです。9月末時点での供給量ですが、148万ドーズを見込んでおりまして、仮に今春に接種を控えられた方を除いた133万人の方々が一斉に9月に接種を希望されたとしても、第1回目の接種としては148万ドーズで賄える見込みとなっております。ただし、1か月なりの間隔を置いて来られた場合、大体その後月50万ドーズ程度で年度末まで供給される見込みですので、一気に9月に全員が集中して来られると、10月から年末にかけ需給が厳しくなるおそれもございます。ただ、その場合であっても、その後、順次供給されますので、年度内には大方対象者は皆さん接種を完了いただけるのではないかと考えております。
 続きまして、14ページは国内のアウトブレイク時の対応でございます。今後、生ポリオワクチンをどういう形で位置づけるかという議論の基礎になるわけでございますが、国内で野生株または伝播型のワクチン由来のポリオウイルスが発生した場合、まず、監視体制としては、ポリオは感染症法上の二類感染症と位置づけられておりますので、ポリオ患者を診断した医師は直ちに届出を行うことが義務づけられております。また、無症状病原体保有者であっても届出の対象となっております。また、感染症流行予測調査においても、健常児の便からのウイルス分離を実施しているところでございます。
 いざアウトブレイク、患者等が発生した場合は、積極的疫学調査の実施や予防接種を実施するなどの対応が考えられます。
 参考までにでございますが、前回の検討会でも御意見をいただきましたけれども、アウトブレイクの対応としては、生ポリオワクチンの方がウイルス伝播抑制効果は高いという意見をいただいているところでございます。
 それから、生ワクチンの供給量でございますけれども、平成24年度分の在庫はございまして、既にメーカーの方で平成25年度分の製造に着手しておりまして、この秋にも製造が完了予定でございます。有効期間は検定後2年間ございますので、平成26年の夏ぐらいまでは現行の生ポリオワクチンの使用が可能という形になっております。
 最後の15ページでございますが、不活化ワクチン導入後における生ポリオワクチンの位置づけの事務局案でございます。
 まず、不活化ポリオワクチンを定期の予防接種として導入した後、生ポリオワクチンは定期の予防接種から外すことを考えております。つまり、既に局長のあいさつで述べましたが、前回御議論いただきました一斉切替え型か継続重視型か一定期間併用型か、この3つのうち一斉切替え型をお示ししたものになります。これは前回の検討会におきましても、供給量が確保されるのであれば一斉切替えが望ましいという多数の御意見をいただいておりますので、そういった御意見を踏まえて、こういう形で提示させていただいております。
 2つ目、3つ目はアウトブレイクへの対応でございますが、この点につきましては次回以降改めて御議論いただきたいと考えておりまして、本日は案としてお示しして御意見をいただければと考えております。
 資料の説明は以上になりますが、本指針案につきましては最終的に厚生科学審議会予防接種部会に御報告いたしまして御了承いただく予定でございますが、本検討会において大まかな方向性を御了解いただけますと、その方向で9月の開始に向けて準備を進めたいと考えております。御審議のほど、よろしくお願いします。
○岡部座長 どうもありがとうございました。
 幾つか背景の説明と現在行われている治験の状況、研究の状況、それから、今までのディスカッションを踏まえて提案をいただきました。日本の場合に複雑なのは、先ほども話がありましたけれども、外国の場合はもともとがOPVが3回以上で、なおかつOPVをやったときにDPTの接種をやるということは全くルーティンに行われているわけで、我が国はDPTと生ポリオを単独で別々にやっているというところから幾つかの問題点が出てきております。そのために複雑な方程式が出てくるわけです。しかし、全部の解決はできなくても、ある程度の方向性はこれで示せるのではないかと思います。
 約1時間で御説明いただいたんですが、これから先はフリーディスカッションといいますか、いろいろな御意見をいただいた上で、この案に対して修正したり、あるいは了承したいと思います。順番もいろいろあると思いますが、とりあえず単独のIPVが入る。できればDPTとIPVと単独のIPVが同時に入ってくれた方が、混乱はより少ないと思うので、DPT+IPVも早く承認いただきたいところですけれども、承認は承認事項ですから、きちんとした評価をしなくてはいけないので、そこに少し時間差が出てきているということがありますが、できるだけここは混乱の少ないように、短い期間で両方入れるということをやっていただきたいと思いますし、また、DPT+IPVもやがて出てくるということを前提で議論を進めていただきたいと思います。
 一遍にいろいろ飛んでしまうといけないので、案の一つひとつについて御意見をいただきたいと思いますが、一番最初の資料1の予防接種率の推移について何か御意見がありましたらお願いします。ごらんになっているように、その気持ちはよくわかるわけですけれども、接種控えという状況ではないかと思います。いかがでしょうか。
○清水構成員 先ほどお示しいただいたように、この間の秋の検討会のときに、その前の春の接種率が10%程度前年比で下がっている傾向があると。秋の接種率もどの程度かわかりませんけれども下がっている可能性があるということで、やはり前年比で15%程度下がっているということでお示しいただいたんですが、今後懸念されるのは、この春から接種率がより下がる可能性があるということですけれども、こういうモニタリングのデータをできるだけ正確に迅速に出すことは非常に重要だと思いますので、この春のデータのモニタリングに関して何かお考えが事務局の方であれば、よろしくお願いしたいと思います。
○難波江課長補佐 ありがとうございます。接種率の調査は年に2回自治体にお願いしているわけでございますが、御指摘のとおり、子どもの免疫状況を理解する上でも、また、9月以降の不活化ポリオワクチンの需給見通しを立てる上でも、接種率を迅速に把握することは非常に大事なことだと考えておりまして、できるだけ自治体に過度の負担がかからない範囲で、どのような把握できるかは工夫してまいりたいと思います。
○岡部座長 結果がよくも悪くもデータがないと、それに対して次のステップに進めないので、データをつくり出す自治体も大変だと思うんですけれども、できるだけ速やかに状況を把握するということを是非よろしくお願いいたします。
 接種の状況については何かございますか。坂元構成員どうぞ。
○坂元構成員 この接種率に関して、自治体によってはシーズン終了後に集計を取るという自治体と、実際に保健所で日々やっているデータを細かく集計をとっている自治体の両方があると思うので、細かくとっている自治体をサンプリングで調べると、そんなに全国と傾向が違わないのかなと思うのです。例えば、川崎市は毎回、保健所ごとの集計を上げて、4月に始まって今の段階で40%ちょっとです。ただ、出だしは低いので、通常だと6月に向けて上がってくるんですけれども、今回は不活化が承認されたというのがニュースで流れていますので、恐らくこのまま上がらないと5割程度になってしまうと思われます。これはあくまで推測の範囲ですけれども、そういう細かくポイントでとっている自治体を先に調べて、ある程度推計をつけるというのも一つのやり方かなと思います。
 以上です。
○岡部座長 ありがとうございました。
 今度のシーズンをどうするかというのは、一番最後にもう一度ディスカッションしたいと思います。
○清水構成員 追加のコメントですけれども、当然接種率のデータは定期の接種率ということですので、輸入の不活化の接種率は非常に把握しづらい部分もあると思いますけれども、未接種の方が全部ポリオワクチン未接種ではないと。本来は両方を考慮する必要があるということですが、それ以上の数字を出すのはなかなか難しい部分もあるかと思います。
○岡部座長 それでは、資料2に入りたいと思いますが、この中で特に接種間隔について、これから使われるIPVがどういうものであるかというのは、これをごらんいただければと思いますが、5ページの不活化ポリオワクチンの定期接種における接種間隔については、何か御意見ありますか。
 坂元構成員どうぞ。
○坂元構成員 この接種間隔に関してなんですが、今後、政令で定めるということで20~56日ということを政令で定めた場合、通例ですと、予防接種法ではこの日数を超えると定期接種としては見なさないことになります。ところが、未承認のIPVを受けた方はこれには該当しないということが同時に行われると、実際に現場でかなり混乱が起きると思います。つまり、相当この辺を周知徹底しないと、実際接種をやられている先生の間で、ついうっかりして日にちが過ぎてしまって、定期外ですからということになると保護者への負担も大きくなるということです。本当に厳密に20~56日と予防接種法の定期接種に縛りを入れてしまうのか、それとも、ある一定期間両方とももうちょっとラフな形でするのか、その辺は非常に自治体としては関心の高いところなので、よろしくお願いいたします。
○岡部座長 これは何か回答がありますか。
○難波江課長補佐 5ページの3つ目の○でございますが、9月から導入するに当たって、子どもたちの状況はさまざまでございますので、ここで当面の移行措置として20日以上の間隔を置いて必要な回数を接種できることとするということで、過去の接種歴を問わずにこういう形で定めようかと思っております。
○岡部座長 齋藤構成員どうぞ。
○齋藤構成員 今のところですが、通常、海外の不活化ポリオワクチンの接種間隔というのは4週間であって、3週間というのは恐らく3種混合ワクチンの接種期間から来ていると思います。普通4週間あけるワクチンが3週間の間隔で接種していいのかというのが質問の1点目です。
 もう一つは、追加免疫ですが、これも合計4回という案は賛成ですが、その4回目が、いわゆる3回目から6か月以上あけて接種することになっています。先ほど中野先生がおっしゃられたとおり、海外では学童期の前に接種をすることが多く、例えば、米国ですとコンビネーションワクチンを使って1歳後に4回接種した場合には、更に追加で学童期前に5回目を接種する。言い換えると、4回目の追加接種が早かった場合には、更にもう一回、学童の前に接種することが推奨されています。ということで、回数に関して追加接種の時期について、頭の中で整理ができていなかったので問題提起させていただきます。
○岡部座長 先生のおっしゃっている追加接種というのは4回目のことではなくて、5回目のことですか。
○齋藤構成員 いえ、4回目です。
○岡部座長 4回目も含めて。今のところでき上がっているデータとしては3回目までなので、議論としては3回目で、恐らく4回目はこれで言うと半年以降、通常は1年開けてやっているんですけれども、それが4回目になると。
 それから、5回目の小学校前に必要かどうか、これは今日議論することではなくて継続の議論になると思いますが、中野先生、先ほどの提案は、ほぼ先生の意見に一致しているというようなことをおっしゃっていましたが、何かコメントがありましたらお願いします。
○中野構成員 齋藤構成員のおっしゃられた追加のことは、私もすごく大事なことだと思います。3プラス1、どちらかというとアメリカは確かに4回目を規定していますけれども、アメリカは2プラス1という考え方にならないですか。基礎免疫をつけるのが。初回免疫2回、2か月、4か月で打って、6~18か月の3回目が追加みたいな形で基礎免疫ができ上がるという形をとっているかなと思うんです。ただ、日本のスケジュールでいくと今、治験が3プラス1でやっているので、2プラス1は多分応用ができにくいかなと思うので、このスケジュールでいきながら、あと追加は2~3年の間には考えないといけないと思うんですけれども、このスケジュールでいいのではないかと私は思っています。
○岡部座長 坂元構成員どうぞ。
○坂元構成員 しつこいようで申し訳ないんですが、そうすると、初めから承認されたIPVを打たれる方は56日間開いてしまったら定期とは見なさないということなのか。しかし、この文章の意味は、既に接種したワクチンとの関係でということなんですけれども、そうすると新しく導入されるIPVでも56日を過ぎてもいいという意味なんでしょうか。この文章の書きようで、そこがちょっとわからないので教えてください。
○難波江課長補佐 失礼しました。ルールとして我々が今考えている案は、上にございます省令で規定する部分になります。その背景としてこういうものがあるので、このような形で省令で規定すると説明しているわけでございまして、上記にかかる当分の間に限って単独の不活化ポリオワクチンについては20日以上の間隔を置いて必要な回数の接種をできることとするということで、過去の接種歴を問わずに皆さん20日以上の間隔を置いて必要回数を接種いただくと考えております。
○岡部座長 清水構成員どうぞ。
○清水構成員 今、少しお話があった追加接種についてですけれども、当然外国のデータでwIPVに関してはいろいろなデータがあるところで追加接種の必要性を考えればいいと思うんですけれども、これから導入が予定されているsIPVの方は、免疫等を評価して追加免疫の必要性を今後考えていく、今まで諸外国ではないデータを出していく必要があると考えております。
○岡部座長 そこは研究の進行を待ちたいと思いますが、エビデンスを求めながらできると思います。余り突拍子もないものではなくて、従来行われている不活化ワクチンのやり方をほぼ踏襲しているので、そこを原則にすればそんなに大きい混乱はないのではないかと思います。
 もう一つ、最後の方には同時接種の問題も少し含まれているんですけれども、齋藤先生、何か御意見ありませんか。
○齋藤構成員 先ほど資料2の9ページで、4種混合の導入まで単独の不活化ポリオワクチンを4回接種するということは、すなわち現在のスケジュールにプラスIPVの接種が入るということで、もし、それを単独接種だけでやっていくと、今のスケジュールではスケジュール通りに接種することは絶対に無理だと思います。ですので、もし、この接種方法の原則ということであれば、同時接種が絶対に必要になってくると思います。IPVが含まれていない現在の状況においても、非常にスケジュールが密で、同時接種をすることに関して現場で非常に多くの混乱があって、医師が特に必要と認めた場合という表現のとり方によりますが、現状ではスケジュール通りに接種するためには、同時接種が必要な状況であるというのが臨床の現場の先生たちからの声です。
○岡部座長 中野構成員、何かございますか。
○中野構成員 齋藤構成員がおっしゃられた諸外国が大体4週間以上開けているのに3週間というのは、私もすごく大事なところだと思います。規定としては、今の文章の20日からということに何も異論はございませんけれども、治験のデータを公開されるときに4週間以上のデータと3週間程度のデータがあるのであれば、別々に示していただくと、現場の医師としては、どの間隔で打てばどうかというのは患者さんにも説明しやすいですし、それをお願いできるとありがたいと思います。
○岡部座長 坂元構成員どうぞ。
○坂元構成員 ただいまの同時接種なんですけれども、いろいろな自治体に聞くといろいろな組み合わせが出てくると、導入に向けてそれぞれ接種してくれる医療機関と接種単価の交渉を始めなければいけない際に、いろいろなパターンが出てくると非常に複雑だということと、この後間もなく4価が出てくるということを考えると、多くの自治体としては少なくとも単科のIPVとDPTの同時接種をある程度制度化してすっきりさせてほしいと思います。そうすると、4価に非常につながりやすいという意見が多くあります。今まではできる規定になっているのを、むしろ逆でIPV単価とDPTの同時接種ということで、それ以外の場合、医師の判断で別個にできるぐらいの逆のパターンでやっていただけると、自治体としましても医療機関との接種に関するいろいろな交渉の場で非常にスムーズにいくし、単純にいくということなので、その辺はいかがでしょうか。
○難波江課長補佐 同時接種については、さまざまな意見があろうかと思います。現行は不活化ポリオだけにかかわらず、こういう書き方でやっておりますので、ここですぐこれを変えるというわけではなくて、改めてそういった場での検討をいただければと考えております。
○岡部座長 この不活化ポリオの導入の会だけではなくて、ほかにも予防接種部会などがありますので、その中の今後、制度として取り組むべきとしては、同時接種についても是非取り組んで議論を進めていきたいと思います。
 もう一つは、医師が特にというのは個々の医師ではなくて、医師の集団が認めても専門家の意見として貴重ではないかと思いますが、齋藤構成員どうぞ。
○齋藤構成員 今、坂元先生がおっしゃられたことに対しては賛成ですが、一方で、DPTとIPVだけ同時接種が大丈夫ですよと言った場合に、今度ほかのワクチンはどうなんだという話になってしまいます。今、岡部先生がおっしゃられたように、特に必要と認めた場合というのが非常に抽象的な書き方であって、これだけ多くのワクチンがあって、ワクチンで予防できる病気が増えている現状がありますので、今、国内においては非常に必要な医療行為であり、医療者、被接種者がしっかりと認識をして、普及されるべき医療行為だと考えております。
○岡部座長 小児科学会も声明は出しているわけですけれども、一方では、それに対するエビデンスも求められているわけで、そこは同時に走っていくという必要もあろうかと思います。病気を防ぐバランスと未知の部分のバランスをとっていかなければいけないわけですが、制度上の問題は今日のこの場ではないですが、継続して是非話していただいて、できるだけより安全な、受ける側にとっても気持ちよく受けられる、勧める側にとってもそうなんですけれども、そういうワクチンに切り替えていく必要があるということにしておきたいと思います。
 DPT-IPVの混合ワクチンは同時というより、既に製剤としてできているわけですので、その問題はクリアーになると思います。
 それでは、接種間隔は、ほぼ了承いただいたと思うんですが、複数の接種に関するそれぞれの個別の対応が9ページにまとめられています。いろいろなバリエーションがあるので実際にスタートすると、こういう場合はどうだというのが出てくると思います。すべてに回答はないと思いますが、かなりの部分がここを見ると応用問題としてできるとは思うのですけれども、この辺の議論はいかがでしょうか。
 坂元先生、恐らく自治体ではいろいろな質問が現場から来ると思うのですけれども、いかがでしょうか。
○坂元構成員 ここが一番悩ましいところで、相当医師会初め医療機関と十分なお互いの確認作業が必要になってくると思いますので、この辺は十分時間をかける、それぞれの先生にはいろいろな事情がありますので、その辺は十分やっていきたいと思います。
 それから、こういう導入時期なので、実際としては、ある程度コールセンターみたいなものを設けてやらないと、電話の問い合わせでパニックになるのではないかと、どの自治体も考えております。
○岡部座長 コールセンターに対する研修や何かも多分必要になってくると思うので、国はその辺の研修もしっかりサポートできるようにお願いしたいと思いますが、医師会の先生から何かコメントいただきたいと思いますので、小森先生、よろしくお願いいたします。
○小森構成員 坂元構成員のおっしゃるとおりでございまして、現場がスムーズに、つまり、お母様方が安心して受けられるという体制づくりが一番大切でございます。今、それぞれの行政の担当者と、それぞれの郡市あるいは都道府県の医師会の担当はしっかり積み重ねていきたいと思いますけれども、今回の問題は非常に国民的な課題になっておりますので、いわゆる政府公報としてしっかり対応していただきたいということを、あえて重ねて要望申し上げておきたいと思います。途中でぶれることがないように。
 それから、ついでにちょっとだけよろしいですか。最初に聞き漏らしていて間違っていれば訂正していただきたいんですけれども、9月いっぱいで148万ドーズという理解でよろしいですね。そして、毎月大体50万ドーズ。つまり、新型インフルエンザウイルスに対しますワクチンのときに大変な混乱がございました。あのときは確かに明確でなかったということがございます。今回は、契約の中でしっかり毎月50万ということが明確であるならば、それを非常に早い時期に国民の方々に対してお示しいただきたいというのが現場の強い願いでございます。足りないことを心配されて、非常に多くの医療機関に予約を入れる。そのことで私どもは大変辛い思いもさせていただきましたので、そこは明確であるということをしっかり、国民の方がスケジュールに沿って冷静な行動をすれば、自分の子どもは安心であるというメッセージを国として発することが大事だと思いますので、是非よろしくお願いします。
○岡部座長 中野構成員どうぞ。
○中野構成員 小森構成員のコメントとちょっと関係するので一言申し上げたいと思います。
 1つは、確かに今日は定期接種の検討会だと思うんですけれども、接種の現場におりますと、途上国へ行く渡航者、あとアメリカの大学に留学する子どもたちというのは、日本のOPVの接種回数では足らないということで、特に海外留学などは、あと2回とか3回とかOPVなりIPVで対処ということになっています。今まで私たちは、接種の現場でOPVで渡航者も留学も対処してまいりました。そして、今日案としてお出しいただいたイモバックスポリオの添付文書を拝見いたしますと、特に定期接種だけに使うワクチンだけではなくて、年齢の制限は盛り込まれておりません。なので、先ほどまさに小森構成員からありましたが、新型インフルエンザ、あるいはHibのときもワクチンの供給が足らないときというのは、国民の皆様が混乱してはいけませんので、いわゆる任意接種というか、打ちたい方への対処というのは制限をかけなくていいのかどうかというのも、明らかにしておいた方がいいかなという気がいたしました。
○岡部座長 制限をかけなくていいかどうかというのは優先度の意味ですね。任意接種の問題もあると思うんですけれども、少なくとも緊急にやるワクチンではないので、恐らく今まで集団接種だったのが個別接種になるわけですから、医療機関に殺到する可能性があるんですが、そこは是非、冷静になっていただいて、今日、明日じゅうにやらなければいけないワクチンではないけれども、適切な時期にきちんとやるということで、これだけで医療機関がパンクするというような状態にならないような理解もしていただきたいと思います。
 それが任意接種で、特に海外渡航などは必要度があるのでしょうけれども、子どもたちをまず守る、それから、今までやっていない人に対する免疫をきちんと与えるということは最優先事項にとらえていただくと考えていただければと思いますが、この辺はいかがでしょうか。
 保科構成員どうぞ。
○保科構成員 開業の先生が多い会ですから言わせていただきますが、これが本当に入ってくると、それでなくても今ポリオがなくて3か月からのワクチンのスケジュールを立てるので悪戦苦闘していますから、これは1つ外れると、あとのスケジュールを組み直さなければいけない。それにもまして、こういうスケジュールをきちんとやっていくことは、かなり前もって自治体と医師会と開業の先生とが講習を受けてやってくれないと、恐らくミスが出てくるだろうというのは目に見えています。これは一時期でポンと切り替わってくださるのでありがたいのですけれども、それまでの準備をちゃんとしていただかないと、OPVも並立していくようになると、ますます混乱してくるだろうと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 それから、今の問題で、恐らく9月から集中して来るんですけれども、幸せなことに任意で行くのは夏休みまでで、留学するにしても9月から向こうに行く準備ができている。そういう人たちは、任意の方はほとんどいないだろうという見込みが立つので、9月であれば本当に必要な赤ちゃんの方からスタートできるだろうと思っております。ですから、任意の方は来年に向かって考えれば済むだろうと内心は思っております。
 それから、9月から本当にワクチンの数がどの程度来るかわかりませんけれども、今から2回目のOPVを今季受ける人は、受けなさい、受けなさいと言っていますが、1回目の人は聞きにこないです、聞く前にもうやめています。だから、かなりの率が下がるだろうと覚悟はしているので、それが9月に回ってボンと来ると、そのときにまたスケジュールを組み直さなければいけないのが頭が痛くなるので、そこをどう対処していけるか。本当のことを言うと、少なくとも秋は、ある程度の段階までは自治体で集団接種を取り入れていただいた方がありがたいと。それが可能かどうかは別として、入れていただけるとインフルエンザのときと同じように、新型インフルエンザも最終的に12月には集団接種に持っていかざるを得なくなったのと同じことが起きるのではないかというのは危惧しております。
 以上です。
○岡部座長 ありがとうございました。御意見としていただいておきます。
 ただ、幾つかの困難はどうしてもつきものなんですけれども、これでポリオの問題がいい方に向かっていくと思うので、そこは是非、御協力をいただければと思います。
 それから、今、保科先生から導入時期にも踏み込んだコメントがあったんですけれども、9ページまでは、これで幾つかのオプションがあるということで、実際上提起されたのは、これについて周知徹底といいますか、研修であるとか、そのためにもこれから4か月ぐらいの時期がどうしても必要なので、その間にいろいろな広報であったり、研修であったり、周知していただくことが必要だと思います。
 10ページに移りまして、不活化ポリオワクチン導入時期、これは案というよりも、ほぼ決まりというか。ただ、DPT-IPVの方は実際に承認が下りていないので、承認をできるだけきちんとして早く現場に入れていただきたいという願いなんですが、これはいかがですか。
○難波江課長補佐 これまで9月ということを述べてきたわけでございますが、開始時期はここで9月1日とするということで御了解いただければと考えています。それから、4種混合についても11月を目指して努力するということで御理解いただければと思っております。
○岡部座長 もともと単独のIPVを入れようという一番の意味は、日本の場合はDPTとポリオのOPVをバラバラにやっている人がいるので、DPTだけ済んでしまった人にポリオワクチンを与えるのにどうするかというので最も必要なワクチンになるわけで、そこも一緒に考えていただいて、一斉にIPVに飛び込んでいくということのないように、もうちょっと経つとDPT-IPVも出てくるわけですから、そこの理解もいただければと思います。
 導入時期については、大体これで9月1日が一つのタイムスケジュールとして出てきて、11月をめどにしてまた新たなDPT-IPVが出てくる。その後のことについては順次出てくると思いますし、スケジュールも出てくると思います。
 小森先生どうぞ。
○小森構成員 私は長く現場の医師、またそれを束ねる者として、周知徹底、そのほかのスケジュールで9月1日というのは妥当だと個人的に思っておりますが、今、国民的な声として、もっと早くできないのかという声があるわけですので、私はこの会議で9月1日はやむを得ないという一定の合意が必要だと思いますので、これは、はい、そうですではなくて、やはりディスカッションをして、もっと早くすることはできないのかという議論はここでしておくべきだと思います。
○岡部座長 私は前に感染研にいたということも含めて説明すれば、例えば、感染研の立場では、検定をしなければいけないということ。これで承認が下りてすぐにスタートではなくて、検定をして国が出すワクチンとしてある一定の基準を満たしているかどうか。それを受けてメーカーは本格的な生産に入っていくということ。それから、先ほどから議論のあった、いきなり切り替わると現場での実際の担当の方に混乱があると、そこで思わぬミスや何かが生じてはいけないので、そういう周知の期間でもある一定期間はどうしても必要だろうと思うんですけれども、清水先生、今のところで何かございますか。
○清水構成員 今、岡部先生にコメントをいただきましたけれども、ワクチンは法律の規定によって国立感染症研究所において国家検定を受けるべき薬品と指定されていますので、これからできるだけ迅速に、ただ、万が一でも間違いがないように検定を進めるということで、通常よりも大分タイトなスケジュールでこれから出てくると思いますけれども、正式な承認が下り次第、できるだけ迅速にできるように現在準備を進めているところです。
○難波江課長補佐 供給量につきましてもメーカーに確認しているんですけれども、全国津々浦々の医療機関に配置して一斉に定期接種としてスタートするのは、どんなに頑張っても8月は難しいということを聞いております。
○岡部座長 そういうようなことで、この委員会としては9月1日、気持ちとしてはもっと早くやっていただきたいかもしれないけれども、やはりそのくらいの猶予期間はないと、この会は円滑な導入に関する検討会ですので、円滑な導入のためにはやはり9月1日は妥当な線だという委員会の結論にしてよろしいでしょうか。
○外山健康局長 余り発言しないでおこうと思ったんですけれども。今、補佐が説明したように、仮に夏の早い段階で最初の出荷の分が出てきても、それを使ってしまうと、2回目、3回目、次から次へと毎月出てくる40万ドーズをその人たちのために使わなければいけない形になりまして、私が恐れるのは、最初に打った群と次に打つ群が4~5か月ずれるという形になりますから、そうすると、そのオペレーションでは非常にやりにくくなるのではないかということも考えまして、やはりある程度たくわえてシミュレーションを行って一斉にやるというのがいいだろうと思っております。
○岡部座長 坂元構成員どうぞ。
○坂元構成員 自治体によって事情はさまざまなんですけれども、新しいワクチンを始めるとなると、帳票類の整備、問診票の一字一句を医療機関などとこれでいいかどうかと確認したり、それから、接種単価交渉やその後の細かい予算調整、予防接種規則の改正後にそれらが動いていく等々を考えると、やはり大車輪でやっても9月1日がギリギリかなと思うところです。
○岡部座長 それは川崎だけの状況ではなくて、先生のところで少し自治体の意見をまとめられていると思うんですけれども。
○坂元構成員 ほかの自治体も、時間の関係で政令都市の意見しか集約していませんが、やはり3か月程度の事務手続も含めて準備期間が必要だというのは、どこも同じようです。中にはもっと欲しいというところもあり、それは複数の自治体が事業体を組んで事業をやっているところなどです。しかし、接種機関の医師会との交渉はそれぞれの自治体がやると、そういうちょっとした調整が複雑な自治体もあって、そういうところはもうちょっと時間が必要だとの希望もあり、3か月程度は最低必要だということで、9月1日が自治体でも頑張って妥当なところだと思っております。
○岡部座長 中野構成員どうぞ。
○中野構成員 私は臨床医として、もう一つお願いしておきたいことがございます。供給量の問題、市町村での準備の問題から、私も9月1日が妥当、ある程度の準備期間は必要だと思います。
 もう一点思っていることが、先ほども出ましたが集団から個別になります。接種回数も2回から4回になります。自分の知る限りでは国内・国外の価格は恐らくOPVよりIPVの方が大分高いと思います。OPVは1瓶に20人分入っていますけれども、大分単価が異なります。ワクチンのすばらしいところは、同じ方法でどんな方にでも普及させることができることで、定期接種の回数が増えて単価が上がって、一部負担金などを取るようになると接種率が低迷して、すべての方に平等に届かないというのは許せないことだと思います。この3か月少しの準備期間の間に、是非、自治体はしっかりとすべての子どもたちに届くように、その準備も含めてお願いしたいと思っております。
○岡部座長 自治体のお財布もいろいろ大変なところだと思うんですけれども、この委員会としては、子どもたちのために安全なワクチンを是非よろしくお願いいたしますということを意見としてまとめておきたいと思います。
 途中でとめてしまいましたけれども、中野構成員あるいは廣田構成員のオンゴーイングの研究ないし、これまでのサマリーのまとめ、中野構成員の方は幾つかのオプションも、外国からのデータでは互換性は一応あると考えていいわけですね。そこからさっきのスケジュールの幾つかが出てきたわけですけれども、その辺で何か御質問がありましたら。
 坂元構成員どうぞ。
○坂元構成員 先ほど小森先生もおっしゃったんですけれども、9月1日から開始となって一斉にアナウンスされると、どうやっても多くの集中が避けられない中で、中野先生と廣田先生のデータから、例えば、十分な量がありますよといっても集中するだろうと思います。それをノーとは言えない。そういうときにデータから優先順位みたいな、こういう方はというようなことが言えるかどうか。自治体としては、そういう質問が来たときに何か優先順位的なものをある程度示して、ただ、十分量はあるから焦らないでくださいと。でも、こういう方というようなデータが何か言えるかどうかというのが質問です。
○中野構成員 私のお示ししたデータと、廣田先生と一緒にやらせていただいている臨床研究からのデータというのはないですけれども、ワクチンの基本というのは接種月齢になったらなるべく早く接種する。だからこそ同時接種も必要なのだと思います。病気にかかる前に予防する。そうすれば、順位をつけるのはどちらかというと私はワクチンという手法に関しては余り好きではないのですけれども、積極的勧奨の月齢に差しかかった子どもたちがまず優先と。ほかのワクチンも今までその手法で国は進めてきていただいたと思います。それが基本かなと思っております。
○廣田構成員 現在やっている試験ではベースラインデータとして、例えば、生下時体重であるとか在胎期間であるとか、現在体重、既往歴といった個人についての情報も入れておりますので、そういう情報について解析すれば、そういった特性の影響というのは出るかもしれませんけれども、解析には半年ぐらいかかりますし、なかなか一朝一夕には出ないだろうと考えます。
 それから、今回4群で試験しておりますが、いろいろな組み合わせがあって、多分この組み合わせではどうだ、ということが出てこようかと思います。今回、研究費の都合上4群と申しましたけれども、逆に研究費が幾らあってもあらゆる組み合わせをするのは不可能でしょうから、その辺は例えば、セービン株に対する抗体はこのぐらいあって、ワイルド株に対する抗体はこのぐらいあると。そこにセービン株のワクチンを打てばセービン株に対する抗体はこのぐらいだった、ワイルド株に対する抗体はこのぐらいだった。あるいはワイルド株を打ったらセービン株の抗体はこれぐらい上がって、ワイルド株はこのぐらい上がったと。そういった解析をしてパターン化するというようなところで、ある程度説得力のある根拠を出せるのではないかと思っております。
○外山健康局長 よろしいですか。今日は優先順位のこともお聞きしたいと思っていたんですけれども、あえて申し上げますと、新型インフルエンザのときの今まさにはやっている限られたワクチンを優先的にだれに打つかという話と違って、今回は、ポリオが大流行しているわけでもない中で、ほどほど供給量もまずあるだろうという状況のときに、私などの行政感覚からすると、あえて理論的な優先順位をつけるのではなくて、逆に、優先順位が理論的にあったとしても、それをつけることで現場でそれを守れるとか、守れないとかいろいろな混乱が生じるのではないかと思っておりまして、ここのところは今日、皆さんの意見をお聞きしますけれども、私としては今のところは、現場の状況に応じて自治体の方で自然にやっていただければいいのではないかと思っているんですが、もし、きちんとこういう優先性をつけてやるべきだということがあれば教えていただきたいと思っております。
○岡部座長 坂元構成員も、そんなに厳密な優先性があるということではないですよね。
○坂元構成員 優先性をつけろと言っているわけではなくて、先生方から問い合わせがわっと来たときに、例えば、どういう人から打てばいいかと。自分のところはこれしかできないし、これしかないのでと聞かれたときに何か答える術があるのか、もう先生にお任せしますと言ってしまうのか。優先順位をつけろと言っているのではなくて、そういう質問が多分相当来るだろうということでの御質問です。
○岡部座長 恐らくルールというより、Q&Aみたいなもので対象の答えを示していただければいいのではないかと思います。
 保科構成員どうぞ。
○保科構成員 現場の医者からすると、幾ら来たってやれる限度はありますので、優先順位をつけようがつけまいが、恐らく自然に流れていくだろうと思います。要するに、一日に50人も打てないので、まず、来た人から順番というイメージでいくしかないと、私などは9月1日と聞いたときから覚悟しております。電話が鳴って予約を取るのに精いっぱいで、限定するのは恐らく無理だろうと思っております。
○岡部座長 でも、OPVが導入されたときに、ポリオの病気があったときの新しいものを入れるのと全く事情が違うので、そこは是非、冷静になっていただいて、中野構成員がおっしゃるような適切な時期の人が適切な時期に受けられるように。供給としてこれでもうおしまいではないので、その後どんどん定期接種として出てくるわけですから、落ち着いて接種を受けていただくように、是非いろいろなところで呼びかけていただければと思います。
 もう少し進めますと、国内アウトブレイク時の対応、これはあっては困るんですが、今はない病気だとは言いながら、実際に国の事情、その他いろいろありますけれども、ポリオの免疫が落ちた地域では、やはり外国から入ることは考えておかなければいけないので、アウトブレイクというのは一遍に何百例出るという意味ではなくて、発生時にどうしようということが14ページに書いてありますけれども、清水構成員からコメントがありましたらお願いします。
○清水構成員 日本でポリオ流行が再度起きるということは一番考えたくないことですけれども、昨年から我が国の接種率は低下傾向にあるということで、そういう可能性があるというリスクについては念頭に置く必要があると。もし、万が一ポリオ流行が発生した場合に、初期対応となるべく早く疑い例を把握して、病原体診断をして、もし、例えば野生株ポリオが検出された、あるいはこれは日本でもOPVを使っている以上は可能性としては起こり得ると思うんですけれども、ワクチン由来ポリオウイルスが伝播をし始める初期段階で、できるだけ早く検出することが必要です。ここに書かれていますとおり、ポリオは二類感染症で届出の対象になっていますけれども、疑い例の段階できちんと把握して、少なくとも病原体診断をしっかりして、ポリオではないということがわかれば大丈夫ですし、ポリオだった場合にどのワクチン株かという検査をきちんとやることは一応決まりとしてありますが、再度それを周知する必要があると思います。特に、この春からまた接種率が下がる傾向にありますし、夏は御承知のようにポリオの流行期ですので、接種率の低下した場所なり、コミュニティーに野生株あるいはワクチン由来株が入ってくるという状況は非常に怖いことですので、そこはもう一度周知していただければと思います。
○岡部座長 ありがとうございました。
 小山構成員お願いします。
○小山構成員 話を逆に戻してしまうようですけれども、今私は、不活化ポリオワクチンが受けられるかどうかという問い合わせを毎日10件程度受けております。また接種間隔の問い合わせも受けております。保育所に行くまで大変怖い、生ワクチンの子と一緒に幼児学級などに入るのは怖いと。アウトブレイクの危険というのは今あると思うんです。今一番危険だと思っておりまして、日本で最後のポリオ患者がこの夏に出るのではないかと、それを危惧しております。そこでお願いしたいことは、本当を言いますと、体制ができるまでOPVを停止することはできないかと。はっきり言って大変恐ろしいので、そう祈っております。
 それから、IPVの接種方法ですけれども、イモバックスの添付資料には皮下注射ではなくて筋肉注射とあると思うのですが、現場の先生方で接種場所が違ったりする、例えば臀部にするとか、いろいろな方がいらっしゃるので、その辺もきっちりしていただきたいと思います。
 それから、CDCとの間隔の相違についても、また混乱が起きるのではないかということを恐れております。
 とにかく、この夏が一番危険だと思いますので、そこを是非、御検討いただきたいと思っております。
○岡部座長 皮下注か筋注かは日本の場合は皮下注であるとして、それも臨床研究あるいは治験も一応皮下注で行われています。ただ、予防接種全体について筋注をどうするかというのは小児科学会でも取り上げており、今後の問題としては我が国でも筋注を取り入れるべきではないかというようなことが議論されています。ただ、筋注にも深い歴史があって、かつては大腿四頭筋拘縮症の問題などもありましたので、そのことを含めての議論はこれからしていくと思います。現状は皮下注というふうに薬事審議会の方でも通っております。
 それから、接種部位も特定の部位ということはないんですけれども、小児科学会でも幾つかの例も示してありますので、そういうところを見ていただければ。その混乱を避ける意味でも、幾つかの説明がこれから必要になっていくと思います。
 OPVを今停止するというのは私は危険だと思います。むしろ外国から入ってくる可能性も考慮しておく必要がありますので。そこは、ほかの方の意見も入れた方がいいと思うんですけれども、今OPVを停止するということは免疫を持っている人がいなくなってしまうわけですから、これは逆に危険度が高まると思います。小山構成員がおっしゃるのは、恐らくOPVを飲んだことによって、免疫を持っていないほかの人への感染であって、ワイルドのポリオの最後というよりは、VAPPの最後ですね。この辺は何か御意見があれば。では、それは御意見として承っておきたいと思います。
 ただ、アウトブレイクの対応は、私もアジア西太平洋地域、WHOの会議にも出ているんですけれども、多くの国は何か発生があったとき、この間の中国にしても、タジキスタンにしても、アウトブレイクを抑えるために生ポリオワクチンでの対応をやっています。ただ、1価を使ったり、3価を使ったりといろいろなバリエーションがありますけれども、今の日本の場合だとそのストックはあるので、仮に発生があればOPVを持ち出す可能性はあると思います。これはコントロールするためにはやむを得ない部分ですが、ただ、今後ストックとしてどうなるか。IPVだけしか持っていない国ではやむを得ないという表現を使っていますけれども、アウトブレイク対応としてやむを得ずIPVを一斉に投与するという方法をとっているので、これはオプションも含めて日本がシナリオとして今後考えておかなければいけないところだと思います。今は幸いにも、ここに書いてあるように、平成25年度分について、平成26年夏ぐらいまでは現行の生ポリオワクチンの使用が可能であると。今後これからどうするというのはまた別の機会、この会なのか、予防接種部会なのかわかりませんが、是非検討を続けていただきたい部分でもあります。
 15ページ、不活化ポリオワクチン導入後の生ポリオワクチンの位置づけ案として、事務局の案としてはIPVが定期接種になるので、それに伴ってパラレルにOPVを置いておくのではなくて、まさに小山構成員のおっしゃっているように、OPVをこれで使わずに済むようになると。アウトブレイクの対応は別ですけれども、定期接種としては置いておかない。備蓄については将来的な問題として検討するというのがありますが、これはいかがでしょうか。
 齋藤構成員どうぞ。
○齋藤構成員 非常に少ない状況であると思いますが、逆にアウトブレイクではなくて外に行く人たち、特に、日本の中でも若年層の中で抗体価の低い年齢層があることが知られていますが、そういう人たちがポリオのまん延国などに行くときは、特にポリオの非まん延国においてはOPVを飲んでから行くという推奨を出している国は多いと記憶しております。生ポリオワクチンの必要性がそういう状況で再度あるのかなと感じました。
○岡部座長 それは緊急の場合のことですか、それとも通常のトラベラーズワクチンとしてのOPVということですか。アメリカの場合はIPV or OPVになっていて、必ずしもOPVをやりなさいとは言っていないと思います。
○中野構成員 齋藤構成員のおっしゃられたことは私も気になっていたので、先ほどわざわざ任意の話を持ち出したのですけれども、それは日本で渡航者に対する予防接種の必要性を日ごろからもっと啓発することでクリアーしていくことの方が大事かなと思います。50年、52年生まれもそうですし、ひょっとしたら打ち忘れている方もいるし、恐らくアメリカの規定は、流行国への渡航までの期間が極めて短い、おおむね4週間未満の場合はOPVを使用する、そうでなければ不活化ポリオで対応できるという規定が、たしかあったかなと理解しておりますので、それで先ほど任意のことをあえて言わせていただきました。
○清水構成員 今、ポリオの流行国はインドが流行国から外れましたので、WHOの指定するポリオの常在国、野生株ポリオが伝播している国は3か国ということなっています。ただ、アフリカではまだ常在国以外でもポリオの流行が断続的に発生しています。ただ、そういう国は今非常に少なくなっているし、地域としても狭くなっているということ。それから今後、世界的な根絶が進めば、大分この状況は変わってくるということ、これは半分期待も込めてですけれども、どういうワクチンを備蓄したらいいのかということも世界的なポリオ流行地、根絶の状況にもかかわってくるので、それも含めて今後検討する。国内だけではなくて、国際的に備蓄ワクチンをどう考えるのかということにもなってくるかと思います。
○岡部座長 ありがとうございます。
 ポリオエラディケーションに対する国際貢献ということにもかなりかかわってきますし、その備蓄も1、2、3型の今までのものをやるのか、1型、3型のモノバレントを置いておくかどうかというのも問題になってくるので、これはまた別の機会に是非、検討を続けていただければと思います。
 最後に、小山構成員あるいは丸橋構成員からもお話をお伺いしたいのですけれども、その前に、これから実は定期接種のシーズンに入るんですが、それについて事務局からの案は何かありますか。参考資料もあるようですけれども。
○難波江課長補佐 お手元の参考資料3でございますが、これは今回の導入前に配付しておりました資料でございまして、今回の承認見込みを受けてこれを改定いたしまして、9月に単独ワクチンが導入されるという周知を図りたいと思います。
 それから、2つ目にございますが、不活化ポリオワクチンの導入までポリオワクチンの接種を待つことはお勧めできませんということは、この春につきましても変わらないスタンスで臨ませていただければと思っております。
○岡部座長 個々の方のVAPPに対する御心配はよく理解はできるつもりなんですけれども、しかし、全体としてのポリオの免疫が下がるということは公衆衛生対策上非常に危険でありまして、海外あるいはWHOからも日本が今80%ぐらいを割ってきているのは危険であるという指摘もされている状況です。そこが一日も早くIPVを入れたいところなんですけれども、全体の状況を見るということでは、やはりポリオワクチンの接種を待つことは是非控えていただきたいというメッセージになろうかと思います。多分、小山構成員あるいは丸橋構成員からは、異論があるところだと思いますけれども、医学的にやはりそのようなことは考えていると思います。
 今の点について、今シーズンのポリオワクチンについては何か御意見ございますか。よろしいですか。
 それでは、先ほどお願いしましたように、小山構成員あるいは丸橋構成員からお話を伺いたいと思います。
○丸橋構成員 ありがとうございます。私は、この検討会に患者代表というか、被害者代表という形で参加しているということを聞かせていただいております。今回こういう不活化が決定したということは、私としても感謝していることですし、望むところだったんですけれども、先生方のお話をいろいろ聞いていまして大変だということはよくわかりました。ただ、私も聞いているデータの中で、約10年前には医師会から不活化に切り替えるという要望書が出ているにもかかわらず十何年放置されたままで、認証されている方でも15名の方が私と同じように健康被害を受けているという現実を踏まえて、大変だと思いますけれども、もう一度検討をお願いしたいと思います。
 つけ加えて言うならば、お金の話等出ていましたけれども、今回4種混合というお話があります。ただ、世界を見ると6種混合だったりということもあると思うので、なぜ日本は遅れているワクチン行政がいまだ続いているのか、そういうことは引き続き疑問に思っております。そういうことも含めて今後の話になると思いますけれども、是非、世界で通用する日本のワクチン行政にしていただきたいと思いますので、まず国に指導していただくという意味で、今回緊急ではないですけれども、単味ワクチンも受けたということは、やはり認めたということだと私は思います。生ワクチンは危険だということをわかった上でやっています。先ほど小山構成員からもありましたように、私も生ワクチンはすぐに停止してもらいたい気持ちもあります。ただ、皆さんおっしゃいますように、現実そういうことを国が言えないこともわかっております。ただ、どう判断するかは、皆さん子を持つ親ですので、今回このニュースを見て生ワクチンを飲む方がいるかということになってきますので、それをうやむやにすることは私は納得できないので、いろいろ意見として言わせていただきますけれども、気持ちとしてはそういうことでございます。
○岡部座長 ありがとうございました。
 小山構成員お願いします。
○小山構成員 今、ワクチン被害者を代表して丸橋構成員が語ってくださいましたように、私も生ワクチンでの被害は何とか防ぎたいんです。そのためには本当はとめていただきたい。危険性をわかっていながら、こういうことを言わなければいけないことを理解していただきたいと思います。
 それから、今日の御議論を伺っていますと、4種混合をいかにスムーズに打つかということに少し目がとらわれていらっしゃるのではないかと思いました。5種混合、6種混合だったら親も楽ですし、医療費も多少安くなると思います。それから、世界水準の枠もあります。はっきり言いまして、HibやB型肝炎も一緒に受けられるような、接種漏れのないような、そういうワクチン行政の体制をつくっていただきたいと思っております。
 ただ、不活化ワクチンの承認をしていただきましたことは本当にお礼申し上げます。ずっと待っておりました、ありがとうございました。
○丸橋構成員 ありがとうございました。
○岡部座長 どうもありがとうございました。この長い間の歴史にはいろいろなことがあろうかと思いますけれども、ともかくこれで第一歩が動くことになろうかと思います。
 それから、今、小山構成員あるいは丸橋構成員からも、今後のワクチンの在り方についても非常に貴重な御意見をいただいております。予防接種部会で今まではワクチンビジョンといったことで話を進めてはおりますけれども、本当はバラバラにたくさんやるということは余りやりたくないことですので、この委員会として混合ワクチン、しかも、安全な形でやっていくという方向に進めていただきたいということも一つの結論にしておきたいと思います。
 ちょうど時間でもありますし、これまでの議論をまとめると、今日事務局からいただいた御提案は受け入れられるものであって、この委員会としては是非それをきちんと進めていただきたいというところが一つの結論であろうと思います。時期的にも一日でも早くというのは構成員全員の思いだと思いますけれども、諸々の事情からいえば、9月1日は妥当な線であるというところで締めくくりたいと思います。どうもありがとうございました。
 では、事務局からお願いします。
○飯野室長補佐 次回の開催につきましては、改めて日程調整の上、御連絡申し上げたいと思います。事務局からは以上でございます。
 本日はありがとうございました。


(了)

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