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2012年5月11日 第2回技能検定等技能振興の在り方に関する検討会議事録

職業能力開発局能力評価課

○日時

平成24年5月11日(水)13:00~15:00


○場所

中央労働委員会 労働委員会会館612号室(6階) 


○議題

(1) 技能検定等技能振興制度の在り方について
(2) その他

○議事

○今野座長 それでは時間になりましたので、第2回技能検定等技能振興の在り方に関する検討会を開催します。
 本日は松井委員、塩田委員、八幡委員、大関委員がご欠席です。なお、八幡委員の代理として助川部長代理がいらしていますのでよろしくお願いします。第1回を欠席された大石委員は遅れていらっしゃいますので、いらっしゃいましたらご挨拶いただければと思います。
 それでは前回のここでの議論を受けて、事務局に宿題がありましたので、その宿題の説明をしていただいてから議論をしたいと思います。お2人の委員から資料が提出されていますので、それも併せてお願いしたいと思います。
○原田調査官 お手元の資料1と2についてご説明させていただきます。
 資料1は、前回ご議論いただいたものにつきまして、事務局で主な意見を抜粋し、複数の委員からのご発言はまとめて整理をしています。紹介しますと、技能検定関係の中で受検者数の拡大の4点目で技能五輪大会の開催を決定して以降、技能検定の受検者数が増加している。高校生の受検がかなり増えてきている背景の1つとして、教育行政の中でキャリア教育の一環として教育委員会が力を入れていることがあるという趣旨のご発言です。これは長野県の宮下委員のご発言ですが、これの関係で長野県の取組を後ほど宮下委員からご紹介をいただく予定です。
 イの費用の効率化の関係の1つ目で技能検定については、業界団体ネットワークの中での有形無形の協力を得て実施しているということです。2つ目では、安易な見直しは、この業界団体のネットワークを壊すことにもなりかねない。3つ目に実技試験の費用についての見直しの状況について、中央協会からご発言がありました。4つ目に作業試験から要素試験への代替についてのご質問がありました。これについては後ほど資料でご説明をさせていただきます。下から2つ目。都道府県協会についての見直しは、これまでも進んでいて、かなり厳しいというご発言です。一番下。最終的に、検定手数料をどうしようということになったときには、都道府県毎に異なっている費用について定式化していく必要があるのではないか。これは、前回同一の作業試験についても都道府県ごとに差があるということをご紹介したことに対するご発言でして、これについても後ほど資料でご説明します。
 ウのその他で、過去に技能士となった方についての等級別、職種別の内訳もご質問がありました。これも次にご説明させていただきます。次に、財政状況厳しい中、補助金が削減されると都道府県も含めて、技能検定の運営自体が危うくなる。このような中で技能検定を安定的な制度とする方策について議論いただきたいということでした。
 2頁目で技能振興関係につきましては、技能士が減少していく背景についての分析と質が評価される流れを作ることが重要。若者向けの仕組みが必要ではないか。技能五輪大会の開催、これは先ほどもご紹介しました再掲です。
 その他ですが、都道府県と都道府県協会からのヒアリングが予定されているが、企業や生業関係からもヒアリングをすべきということでありました。
 これらの前回のご議論を踏まえて、今回資料2として準備しているものをご説明申し上げます。資料2の1頁は、これまでの技能者についての等級別、職種別の内訳です。昭和34年の創設以来の合格者累計458万9,663人は前回にご報告をしたところですが、その内訳は、都道府県方式、ものづくり職種を中心とするものについては、311万人ほどです。それの等級別内訳、産業別内訳の分布がご覧のとおりです。3頁にこれらの具体的な個々の数字を付けております。これらの数字は昭和34年当時に合格された方から含まれていますので現段階ではそれなりの高齢に達している方あるいはそれ以上に達している方もいらっしゃると思いますが、さらに2級に合格された方がさらに1級に進まれている方あるいは複数の職種・作業で取得されている方ということもありますので、全体で申し上げると年齢の面、等級、職種になりますと延べ人数になっている部分もありますので、それらを除いて実数はどうなっているかを推計したものが2頁です。
 推計方法として1、2、3、4とあります。対象が1級、2級、単一等級に限らせていただいて、その上で2が年齢で右のほうにありますが平成22年現在で65歳以下の方に限定する。3、4は延べ人数を実数に合わせる作業ですが、3が1級の合格者中2級の合格者を除く、4は複数職種の作業に合格者を除くグラフにあります左側が実数累計で296万8,573人。推計しますと右側の205万人ほどになるということです。職種、業種関係の内訳で建設関係で申しますと1級がいちばん多く、52万7,910人。以下、金属加工関係、一般機械器具関係、等級別に見てもこのグラフのとおりということでして、この人数に対して全体の就業者数を参考として枠の中に入れています。総務省「労働力調査」で平成22年現在の就業者数、建設業、製造業のうちの内訳として、こういった人数が調査上いらっしゃるということです。厳密には職種とか作業とかいろんな産業に従事されている方もいるということがありますので、対応関係は厳密ではありませんが、一応比較の数字としてご紹介しています。
 4頁です。実技試験の形式についてです。これは先ほどご紹介しましたが、前回の委員の皆さまからのご議論の中で、作業試験から要素試験に代替できるものはないのかということがありましたので、現状についてご紹介させていただこうと思います。4頁の上の○のところで、現在運用している制度の仕組みについてのご紹介です。通達の抜粋ですが、(2)のロの特級以外の等級の実技試験ということで、特級以外については、原則として、作業試験により実施する。なお書きで検定職種が有する性格、実施上の制約等から、作業試験のみで評価を行うことが困難である場合には、作業試験に要素試験及びペーパーテストの双方又は一方を併用して実施する。また、職種が有する性格、実施上の制約等から当該職種について、作業試験により技能の評価を行うことが困難である場合には、要素試験又は要素試験及びペーパーテストにより実施することということで、現状は作業試験により実施することを原則としています。
 その中で現在、どういった職種で要素試験のみあるいは要素試験及びペーパーテストとして実施しているかというのが次ですが、1で要素試験のみで現在実施しているものは、機械保全職種及び半導体製品製造職種の2職種4作業、これに要している費用平均が6,309円です。2で要素試験及びペーパーテストは、さく井職種、ウェルポイント施工職種、以下9職種13作業でこれらに要している費用の平均が10,614円です。この1と2で6,309円と10,614円と差がありますが、2でペーパーテストが増えた分というよりは、それぞれの職種で要素試験といっても材料費、設備費がかかりますので、むしろそういった職種による材料費等のかかる費用による違いと考えています。
 さらにそれぞれについて作業試験との費用の差ですが、これも現在はそれぞれ要素試験のみあるいは要素試験及びペーパーテストとして実施していますので、直接比較できる作業試験として要している費用は数字としてはないわけですので、参考で類似のものと思われるものの作業試験として実際にかかっている費用をご紹介しています。1の要素試験のみで6,309円に対して、参考にあります作業試験で実施しているものが13,245円です。さらに2では、機械加工職種の中で作業試験のみで実施しているものについての費用平均13,950円ということで、要素試験、ペーパーテストの10,614円との比較ではこういった数字です。それからいちばん下の○ですが、これまでに、作業試験から変更した職種作業はないというのが現状です。
 5頁、前回は中央協会、都道府県協会で要している支出につきまして、平成22年度の事業費、管理費、人件費等をご紹介させていただいたところですが、これを経年で見たときにどうなっているかということの説明です。中央協会で平成20年度、12億8,000万円で内訳がそれぞれあったところですが、平成22年度は9億1,500万円、そのうち事業費で1億8,100万円等は、前回数字としてご紹介したところですが、これが前年度比で右端をご覧いただきますと全体で70.8%で事業費は64.3%、管理費72.6%。全体の減についての寄与は事業費が大きく減った分ということです。
 都道府県協会のほうをご覧いただきますと、平成20年度、平成21年、平成22年度とありますが、平成22年度で全体は前年度比で93.7%、事業費が94.4%、管理費93%、人件費95.8%。下の参考には、国の補助金の予算額の推移をご紹介しています。平成20年度で補助金全額で22億9,100万円ですが、平成21年、平成22年、平成23年、平成24年度とご覧のように減額が続いています。前回ご紹介いたしましたが、行政刷新会議の事業仕分けの具体的な数字としては下の※にあります平成22年度概算要求で19億3,800万円の2分の1にせよとの提言でして、そうなりますといちばん下に9億6,900万円と数字があります。行政刷新会議の提言は平成25年度に移行するということですので、平成24年度で13億9,500万円のところは9億6,900万円になるということです。
 6頁は、費用について定式化しておく必要があるのではないかというご指摘に対して、現在都道府県別にかかっている費用として前回ご紹介した建築塗装作業での費用の内訳をご紹介するものです。前回お示ししたときにいちばん費用がかかっている県をいちばん上、いちばん下がいちばん要していない県、真ん中が中位にある県です。内訳として材料費、設備費、会場費、謝金、運営費等となっています。いちばん上と真ん中を比較しますと、右の会場費以降の金額で見ますと、同じぐらいの金額ですので、材料費の差が全体の差になっているといます。真ん中といちばん下を比較しますと、材料費の違いも大きいわけですが、謝金の分がいちばん下だとかなり小さな額になっているというのが違いとして表われていると思います。前回の御発言で業界団体のネットワークの中で有形無形の協力を得て実施されているということでしたので、この材料費の違い、謝金の違いはそういった面もあるかと思いますし、材料費等については従来からの調達方法を必ずしも見直さないで実施されてきているという面も反映されているのではないかと考えています。以上、前回の議論を踏まえての新たな資料の説明です。
○今野座長 それでは宮下委員にお話いただく前に、大石委員がいらっしゃいましたので、今日初めてですので、簡単にご挨拶いただけますか。
○大石委員 東京都の大石でございます。本日は公務のために遅れまして、大変申し訳ございません。本日の会議よろしくお願いいたします。
○今野座長 それでは宮下委員、お願いします。
○宮下委員 それでは長野県の宮下ですけれども、第1回のときに若干口頭でお話をさせていただきましたが、長野県で取り組んでおります産業人材の育成にかかる状況について、若干お時間をいただきたいと思っております。資料3で説明をさせていただきたいと思います。
 1の目的に記載していますが、各県でも産業人材の育成ということで、さまざまな取り組みをしているかと思っております。長野県におきましては平成19年3月に「産業振興戦略プラン」ということで、どちらかというと、ものづくり産業の戦略プランということで作成していただき、その中で、時代背景として団塊世代が大量退職するということで、技能継承をどうするかということがいちばん課題になったということで、重点プロジェクトを設置して、私ども商工労働部内に「産業人材育成支援センター」を設置いたしまして、産業人材の育成に取り組んでいるところでございます。これにつきましては関係団体との協力連携というのがいちばん大事かなということで、いわゆる産業人材の育成ネットワーク、私ども「ながの産業人材ネット」と呼んでおりますが、現在産学官の27団体が加入されて、その団体の方と総合的に取り組んでいるところです。
 事業内容につきましては(1)から(5)の記載のとおり、産業人材カレッジ、いわゆる在職者のスキルアップということで、1の技術・技能者の在職者の技術講座を実施しております。後ほどお話しますが、技能五輪・アビリンピックが本年度開催されるということで、選手育成の講座を実施しております。1の技能の継承のほうでは、190コースを設定して、約2,000名の方に、19年度以降受講をしていただいております。
 (2)に記載しておりますが、これは昨年度から取り組みをさせていただきました。この間も話がありましたように、若者のものづくりばなれなり、技能ばなれということがあって、次世代を担う高校生を対象に何らかの事業ができないかということで、「信州ものづくりマイスター事業」ということで位置づけをさせていただいて、マイスターということで62名を認定をさせていただき、その方々に実業高校の生徒を対象にした専門分野の技術講習等をしていただいております。まだまだ細々なのですが、昨年度は5回開催し、職種では、機械加工、溶接、左官等について事業をさせていただきました。
 (3)で、研修情報の提供、(4)相談窓口の開設、先ほどもご説明した(5)ネットワークの運営ということで、(1)から(5)を総合的に、体系的に実施して、産業人材育成センター、予算的にはあまり多くはないのですが取り組んでいるところです。
 その結果ということで、裏面になりますが技能検定の受検者数を記載しています。私ども、前回もお話しましたように、今年度、技能五輪・アビリンピックを同時開催するということで、この開催が決まった平成20年8月以降、技能検定をはじめとする各技能者の養成、育成ということの取り組みが促進されてきております。特に、長野県の場合には中小零細企業、従業員が10人以下という企業が全体の約8割を占めております。その中にあっても、特に中小零細、いわゆる10人以下の企業の中で、社主さんが自ら先頭になって、技能検定なり、社員のスキルアップに取り組むという気運が本当に芽生えてきております。それなりのお金も要しているというような新聞報道もかなりされております。
 表の1に記載のとおり、平成19年に開催の手を挙げたということで、約3,900名の受検者数がございましたが、平成23年では4,080名ということで、全国的には減っている中でも、長野県は横ばいなり、増の状況が続いております。先ほど申し上げましたように、2に記載しておりますが、次世代を担う高校生の受検者数につきましては、平成19年のときが150人前後が、平成23年では307名、約倍増をしているというような結果になっております。高校生が特に取り組んでいるのは造園とか、機械検査、機械加工、シーケンス制御などの技能検定に取り組んでおりまして、307名の方が受験をしている状況になっています。平成19年度以降、スキルアップ講座ということでお話を先ほどさせていただきましたが、各実業高校、いわゆる工業高校が中心になりますが、いわゆる技能検定前講座というのですか、準備講座ということで、23年度では、22講座に160名が参加をしております。このような形もあって、高校生の受検者数も伸びてきているのかなと思っております。
 技能五輪の大会の成功というのは一つの大事なことかと思っておりますが、大会開催を契機に、その企業なり、技能尊重なり、技能向上に対する醸成が図られてきたというのは、大会に取り組む一つの大きな成果であるかなとも考えております。長野県の取り組みについて、若干お話をさせていただきました。ありがとうございます。
○今野座長 それではもう1人、宮川委員からお願いします。
○宮川委員 技能検定試験実施の流れですが、資料をご覧いただきたいのです。これは前回、第1回目のときに私が申し上げたのですが、この技能検定制度って、一試験制度としてとらえるのではなく、これを支えて実施している、いろいろなそういう関係する業界等こういったものが、ものづくりの人材育成にとって非常に重要な基盤になっているのだと、このように考えて議論をしていただきたいということを申し上げました。となりますと、では実際技能検定の試験がどんな流れで行われているのかをこれからの議論の参考にしていただくことも含めまして、ちょっとご紹介しようかということであります。
 この見方ですが、このほかにも東京都庁があるわけですが、それは割愛して、実際の実施のところで、東京都職業能力開発協会と、それから協力業界団体・企業等とありますが、ここで実施のための協力協定を締結をしている。それ以外については、すべて直営で実施をしているということになります。平成23年度で申しますと、都の場合は84団体、それから32社、企業、それから10学校法人と協定を結んで実施をしているということです。
 この縦のほうの流れは、大体半年のサイクルでこの仕事を下のほうに向かって合否判定をして、結果を都に報告するというところまで、こういう流れの中で仕事を進めている。これを年間で2サイクル、前期と後期と2つに分けて行っているものと、まずご理解いただきたいと思います。
 右側ですが、では、その中で協力業界団体・企業等がどういう関わりを持っているのかについてです。上から2つ目の◎、都の公示説明会に参加。要は、ここで協力しますということで、説明会に参加してから実際にスタートするのです。この中で、その下の※ですが、業界団体・企業等による検定実施支援体制の構築とあります。これは非常に大事なところです。例えば、ある業界の組合が教育部会なるもの、いろいろな名称のつけ方があるのですが、優秀な技能士等を集めて試験を、国家検定ですから、その精度、レベルをきちっと維持して、しかも適正にどう行うかといったことを自主的に進めていく母体になっていくわけです。こういったところが中心になって、技能検定委員とか、補佐員の人材を確保したり、あるいは試験会場も確保、検定機器も準備し、材料の調達を進めていく。こういった一連の準備をし、そこから下にありますように、実施計画書を協会に出して、そこで詰めを行って、あとはこの流れに従って作業を進めていくわけです。水準調整会議というのは、まさに採点の基準であるとか、実施においてそういった精度の管理をどうしていくかとか、十分な詰めを都の協会、あるいは中央協会の主催の全国の会議にも参加をし、更にそれぞれの職種において首席の技能検定委員が決まるわけです。首席の技能検定委員を中心に、更に職種別の水準調整をやるということで、国家検定に恥じないような、しっかりとした仕組みをここで確認をしながら進めていくと。
 それが過ぎますと、実技試験の本格準備がなされていくわけです。実際に実施をし、試験会場の撤収から検定機器のメンテ・保管、廃棄物の処理まで、一連の作業をすべて終えて、ここで初めてこの試験が終わったということになるわけです。
 いずれにしても、先ほども材料の調達についてのいろいろな話もありましたが、こういった業界が材料を調達して、そこで何か儲けようとかということはなく、やはり材料調達コスト、例えば容易にそういったものを作っている所と近接関係にあるとか、従来からいろいろなお付き合いや何かでかなり廉価に確保できるとか、ちょっと遠隔地なのでそこで輸送費がかかるとか、いろいろあるのだと思うのですね。ですから、私はそれぞれの協会、そして業界がいろいろ工夫をしながら少しでもコストを下げようという努力の中で、結果としてはああいった経費の差も生まれているのではないのかなと見ております。一応、全体としてこんな流れの中で行われているので、是非この辺は一つご参考までに今後の議論に出していただければということが1点目です。
 もう一つは、実は私どもの協会の会報の写しを付けさせていただいたのですが、これは春季号で、この4月に出したものです。中身のこれから見ていただきたいのは、9頁以降からです。先ほど長野県さんのほうでは、技能五輪を一つの契機に、受検者をもう少し増大していこうと、若者を中心にというお話もありました。私たちのほうは、ちょっとささやかなのですが、通常会報といいますと、協会の事業をこんなふうにやっていますとか、これからこうやりますとか、結果がこうですというような、ある意味で事業報告的なことを中心に会員の皆さんにお知らせするみたいなのが、特に都の協会の場合、これまで一般的だったのですが、ちょっと試みを変えまして、例えば、技能検定を実施するにおいては、ここにありますような認定職業訓練校、ここが業界としてしっかりと取り組んでいるかいないかで、これまた随分と違ってまいります。この辺をひとつ紹介をしてみることも必要なのかなということで、これから認定職業訓練校を毎回紹介していこうと。
 11頁ですが、これもささやかですが、今年度から技能検定試験を成績優秀に合格された方についてはきちっと顕彰しようではないかと。要件等もありますが、それをひとつ試みてみようと。この辺は業界のほうからも、例えばこんなような試みも一つというようなご提案があったので、早速取り組んでみようというものです。
 13頁は、先ほど資料でご案内しましたが、技能検定に協力をしていただいている企業や、団体をもっと積極的に紹介していこうではないかということで、始めたものです。会社についても、どんなことをやっているかも含めて、いろいろとご案内しようと。これは非常に我々が予想していた以上に好評といいますか、是非これを関係者に配りたいということで、実は皆さん方に今日お配りしているのはみんなコピーになっているのですが、実際に印刷されたものは全部はけてしまいました。そんなこともこれからやっていくと、もっとこの裾野が広がってくるのではないかという気がしております。
 15、16、17、18、19頁と、これは中央能開協さんなんかも一生懸命やっていただいていることですが、やはりもっと我々一地方協会としても、こういったものも大いにいろいろな機会を通じて、また結構いろいろな相談といいますか、どうしたら受けられるのかというような照会などもあるものですから、こういったQ&A方式でいろいろと解説をしようとか、こんなこともやってみると、意外といろいろ関心も広がってくるのかなと思っております。特に、17、18頁をご覧いただきますように、これは学校法人の神田情報ビジネス専門学校の取組みについてご紹介したものです。当然のことなのでしょうが、専門学校も大変喜んで、是非これを大いに生徒をはじめ、皆に知らせたいというようなことで、かなりの量が頒布されているやに聞いております。
 20頁は、技能士というのはどうなのか、どういうようなことをやっているのか。わかっている人はわかっているのですが、わからない人も多いので、技能士の広場というページも用意をして、これから回を重ねるごとに、その辺の紹介もしていこうというようなことで、ちょっと手前味噌みたいなことで恐縮なのですが、こういった地道な取組みも、この技能検定の受検者を増やしていくようなことにつながっていくのではないかなと考えまして、ご案内をいたしました。以上でございます。
○今野座長 それでは、いろいろ報告いただきましたので、ご質問なりご意見をお願いをいたします。
○河村委員 各論に入ってからこんなことをお尋ねするとお叱りを受けますので、あえてこの時点でもう一度お尋ねをしたいのです。今回、この検討会議で、「技能検定等技能振興」という表題になっていますが、技能の定義というのは厚労省さん、どんなふうにお考えになっているのか、教えをいただきたいのが1点です。それから今後の展開によっては技能振興、いろいろ施策を検討するに当たって、その定義を今後少し、緩めるだとか、広げるだとか、そんなお考えがあれば教えていただければと思っております。
○星能力評価課長 技能の定義ということですけれども、技能検定制度につきましては、一定の技能を有する方に、技能士という称号を与えるというようなものでございます。
 では、その一定の技能って何なのだということですが、この間の1回目の資料ですと16頁に、それぞれ等級別に分けて、それぞれの職種なりに仕事をこなしていく上で求められる知識でありますとか、必要とされる技能というようなことで、例えば、ものづくり系の仕事であれば、具体的にものを作り出すだけの技なり、知識が身についているのかということを検証するのが、技能検定ということです。技能といったときに、広く捉えると、そういった技の部分と、知識の部分。狭い意味では、まさにそういった技の部分を、卓越した方ですと匠とも言われますが、そういった仕事や修練を通じてみについていくものを総称して「技能」というようなことで、我々も使ってきているのではないかと考えております。
○今野座長 いまおっしゃられた質問の意図は、例えば、技能と技術はどう違うかとかいう意味の区別なのか。ここでいう技能は、どういう職種をカバーしている技能なのかという、どちらのご質問だろうかなというふうに、私はふと思ったのですが。
○河村委員 2つの意味があって。1つは、技能が段々上に等級が上がってきますと、技術との境目ですね。例えば、管理監督者になってきますと、技能プラス技術で入ってきます。私ども、実はいま人材育成に向けて、産業との一体化ということで、産業労働ビジョンというのを作りました。企業の現場に行きますと、技術と技能のことが、いろいろ議論されます。
 ですから、いま私どもがやっているのは、よく言われる、産業と雇用の連携ではなしに、相互に乗り入れをしていこう。鉄道関係のように、乗り入れをしていこう。そうしてくると、現場においては、初級の段階では技能という形になってくるのですが、程度が上がってくれば、技術、技能が融合なのか、あるいは境目がはっきりしてこないか、そういう議論がありますので、取りあえずそれについてお尋ねをしたいなと思います。広義の意味での技能です。
 また、いま委員長言われた、狭い意味での技能という形になってきますと、ものづくりとそれ以外との、例えば第三次産業だとか、そういう部分も、それが技能なのかなという疑問も一部ありますが、私が当面お尋ねしたかったのは、広義の意味での技術技能の考え方ということですので、ありがとうございました。
○今野座長 もう一つご質問されていませんでしたか。
○河村委員 今後の展開によって、その技能の定義を少し広げるのかどうか。その辺りをちょっとお尋ねしました。
○星能力評価課長 時代とともに仕事は変わってくるものでしょうし、その技能というのは、仕事なり、職務を通じて身についていくものなのだと思います。そういった意味で、仕事の幅が広がってくれば、当然技能の幅も広がったり、あるいは求められてくる技なり、技能というものも変わってくるので、そういう意味では広がりも出てくるのだろうと考えています。
○河村委員 想定外の質問で、申し訳ないです。
○今野座長 ほかにいかがですか。
○陳委員 まずは、私のお願いしました資料を、連休をはさんで短期間のうちに作っていただいて、誠にありがとうございます。まずは感謝申し上げたいと思います。諸外国とのデータが出なかったことは大変残念ですが、これだけの資料が出てくれば、特に、資料2の1頁と2頁のグラフは、大変わかりやすくて良いと思います。
 折角作っていただいたこの資料2の1頁と2頁のグラフは、検討会の資料ということで、然るべき時期に検討会の資料として厚生労働省のホームページにアップされると思います。しかし、それだけでは少しもったいないと思います。厚生労働省のホームページに技能検定制度のコーナーが設けられているのを拝見して、かなり詳細に情報を掲載していると思いました。ただ、これは文字の情報ばかりです。文字ばかりなので、今回作っていただいた資料を含めて、図表を掲載していただけると、よりアピールできるのかなと思います。ありがとうございました。
○今野座長 ほかにいかがでしょうか。いま質問があった2頁目の技能士の実数が、要するにストックで現在200万人いるという推定ですよね。そうすると、これは製造業と建設業だとすると、下の労働力調査で就業者数が1,500万だとすると、15%ぐらいは技能士だということですか。それでいいのですか。そういう見方でいいわけですね。
○星能力評価課長 はい。そんなように、ちょっと大雑把なのですが。
○今野座長 7人に1人ですよね、すごいじゃないですか。それは実感に合うのですか、皆さん。これ、就業者数だから、例えば単純労働をやっている人たちも全部含めた中で、7人に1人ですよね。技能士まで取っているのだから正社員に限ると、もっとその比率が上がりますよね。それが、実感に合うのですか。合うのだったら、自信を持っていい数字ですね。
○小林委員 建設業の関係では、仕事を取るためにはどうしても資格を取ってないとできないというのがあります。数が多くなっているというのは、建設の責任者との関係で、建設業が全体的に引っ張っているのでしょ。
○今野座長 建設業で約100万人いるとすると、残りが製造業だから、すると製造業が100万人いるわけです。製造業全体の労働者数が1,000万人だから1割に当たりますよね。10人で1人。その中から正社員だけ取ったら、もっと比率が高まる。そんな感じですか。いかがですか。もしそうであれば、大したものですよ。就業者の中には技術者とか、いわゆる事務系の人も全部入っているわけですね。そうすると、現業だけ抜くと、もっと比率が上がるのですよね。何かそういう数字はあるといいよね。
 つまり、ものづくり系の現場では、長期養成型の社員10人に○人は技能士だとかいうのがあると、わかりやすくていいですよね。
○北浦委員 規模によっても違いがあるのかな。結構大きい規模のところは、みんなほとんど全部取らせているという所があったりね。
○今野座長 そういう、あまり難しいことは言わないで。大体の数字なのでどうなのかが分かることが大切ではないですか。例えば日本の製造業の現場の人の何人に1人ぐらいは技能士なんだというラフな数字がわかると、すごくいいですよね。
 もう一つ、1頁目に、これ質問なのですが、都道府県方式の合計累計が300万ちょっとですね。それの括弧の中で、「基礎級合格者は除く」と書いてあるのですが、これは外国人ですか。
○星能力評価課長 はい。技能実習生がほとんどなものですから、あえて除いております。
○今野座長 そういうことですね。それと、上の合格者累計には、基礎級が入っているわけね。
○星能力評価課長 ええ、入ってございます。
○今野座長 ほかに、どうぞ。
○小林委員 前回の委員会のときに、資料の頁でいえば4頁ですが、技術試験はかなりの費用がかかるということで、実技試験の代わりに、要素試験とか、ペーパー試験がどんな感じなのだという質問をして、資料提出していただいた。現在、作業試験が中心に行われる形になっているわけです。場合によって、この要素試験に代える、もしくはペーパーテストに代えることができるような仕組みになっているのです。これは例えばの話なのですが、この間も申し上げましたように、下位の等級のときに、かなりがっちりした技能を見るというのは、作業試験すれば見れるのだと思うのですが、それだけの技能を得なくとも、ある程度要素試験みたいな形で対応が可能なのかどうなのかというのが質問の1点です。
 試験問題の作成の中で評価が困難な場合、作業試験による技能の評価を行うことが困難である場合に、要素試験等を行う形になっているのですが、困難でなくとも要素試験に代えるというような制度に変えることが可能なのかどうか、お伺いしたいのです。
○星能力評価課長 資料にございますように、技能検定は、原則として、実際の作業を具体的にやっていただいて、技能を評価するということを基本としてきているわけです。そういったことがなかなかできない、大きな設備が必要であるなど具体的な作業がその試験会場でできないというようなものについて、要素試験というようなことをやっているわけでございます。
 小林委員からのご指摘は、例えば下位の等級であるとか、ある程度いままでとは違った観点で、例えば費用をもっと縮減するということで要素試験のようなものを入れたときに、技能がちゃんと評価できるのであれば、試験の内容も見直してもいいのではないかというご指摘だと思います。
 これは具体的にそれぞれの作業の内容について、実際に技能検定の試験問題を作成するときには、業界の専門家の皆さんにお集まりいただいて、試験内容等検討しているわけでございます。今後、そういった観点も入れて、試験の内容を見直していくということは、あり得る考え方かなと思いますので、今回の検討会を通じまして、そういったことも必要でないかということであれば、今後そういった見直しも積極的に進めていくことがあるのではないかというふうに考えるところです。
○小林委員 金額面で比較はできないのですが、要素試験ですと、費用が6,000円ということ。費用面だけの話を申し上げれば、要素試験というのは安くできるという感じもいたします。これも実際に作業試験をやるといくらかかるというのがわからないところがあるので、何とも言えないところです。試験全体、職種によっても違いはあると思うのです。確かに作業を実施して、作業の姿とか、いろいろな出来映え等で評価をするというのが原則だと思うのですが、場合によっては、下位の3級以下レベルのものについては、安易な方法でできるような試験制度が可能かどうかも、今後十分検討いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
○北浦委員 いまの点、小林委員のごもっともな意見だと私も思うのですが。ただ、実態論として確かに費用が落ちること、これは大変な効果だと思うので、それは検討しないといけないのですが。むしろこれ、そこにあるように、やはり技能の評価というのが最終的になりますので、そこのところを落とさないという前提が一つあるのだろうと思うのです。その意味で、下位等級というのはよくわかるのですが。
 もう一つは、逆にそういうようなことによって、例えば受検者が拡大するとか、何かそういったようなむしろプラスの効果があるかとか、そういった面も含めて総合的に検討するというふうにされたらいいのではないかなと思います。
○今野座長 基本としては、できる能力を見たいのですよね。できるはずの能力ではないよね。だから、ペーパーテストに行けば行くほど、できるはず能力になる可能性があるので、そこのところが難しいですね。
 大学では、非常に高度で、立派な教育をして、できるはず能力を養成しているとしても、なかなか現場では使えない。
それでは、前回の宿題の件等については、この辺で終わりにさせていただきます。
 本題に入りたいと思います。今日の資料の、後ろに参考資料1というのがございます。これ、前回見ていただきましたが、検討課題のリストがあります。今日も、これについて議論をしていただきたいのです。
 前回、まず技能振興があったから、技能検定だろうというお話がございましたので、まず技能振興について、技能振興施策、つまりこのページでいくと2頁目ですね。裏側の頁のテーマについて、皆さんにご意見を広くいただければと思います。何でも結構ですので、よろしくお願いをします。
○陳委員 一つだけ申し上げたいと思います。産業政策とも関連すると思いますが、一昨年に閣議決定された新成長戦略において掲げられた成長分野に関連する職種で、技能検定がどのような役割を果たすことができるのかなどを考えてみてはいかがでしょうか。
 例えば環境、グリーンイノベーションの分野では、太陽光パネルの取付けを行う技能労働者の育成に向けて、その職業訓練指導員を拡充するために、今年3月の職業能力開発分科会において専門課程の指導員訓練に電気工事科が新設されております。技能検定でもこれに類する役割を果たすことができるのではないかと思い、申し上げさせていただきました。
 また、先ほどの話で、言い忘れていましたので、もう1つだけ申し上げます。先ほどの資料2の2頁で、先ほども今野先生がご指摘になった部分とも若干関連すると思いますが、金属加工、一般機械器具、電気精密機械機器関係など、技能士の多い分野というのは、元々日本のものづくりにおいて、輸出競争力が高い分野と言われております。このように競争力が高いのは、技能士の方々の層が厚いということがかなり寄与しているのではないでしょうか。その裏付けとして、当該分野の現業の就業者の方に占める技能士の方の割合の高さと、輸出競争力との相関についても、分析・検証などできれば良いのではないでしょうか。労働経済白書を厚生労働省は作っていらっしゃいますので、その担当者とも相談されて、できる範囲で結構ですのでやってみてはいかがでしょうか。以上です。
○星能力評価課長 我々も毎年、技能検定の試験の課題の内容であるとか、あるいは職種等級そういったものを、先ほど申し上げましたように、業界の関係の皆さんと、現場の実態に合っているものになっているのかというようなことは検証を重ねているわけです。ご指摘がありましたように、実際の就業者と、この技能士との数、こういったところを見たときに、本当にいまの技能検定の試験内容等が現場のニーズに合っているのかというようなところはもう少し検証する必要があると思います。そういった中で、新規成長分野といった部分も合わせて今後より技能検定を活用していただけるものになるように、今後とも不断の見直しをしていく必要があると考えております。
○今野座長 成長分野だからといって、増やせるのですか。
○星能力評価課長 全く新しい職種となりますと、指定試験機関といいますか、その業界の皆さんとまた相談しながらということになってまいりますが、これまでの職種の中においても、技術革新等の中で新しい職務・作業といったものが必要になってくる部分もあろうかと思います。あるいは、既存のものでも中身を見直すというようなことで、成長分野と重なってくる部分もあろうかと思います。そういった観点で見直しを進めていく必要があるのだろうと思っております。
○今野座長 技能検定のことについては、またあとからゆっくり議論していただきたいと思います。範囲が広いのですが、技能振興施策全体について。
○北浦委員 技能検定との、技能振興も広く考えれば、いろいろあるわけで、先ほどの定義の問題もありますが、技能検定との関わりからいけば、その技能士というところに着目をして考えていく。そのためで検討課題も出ているのだと思います。
 そのときに、やはりいちばん問題になるのは、今日も資料が出ていたわけですが、現在の人数が推計でしかないという。これは、先ほど座長もおっしゃったように、実態がまず見えないといけない。それから実感になっているのですかと。まさに、そこのところがしっかり出てこないと、これはもう技能士そのものに対しての、いわば存在というのが、これ立派な存在があるにもかかわらずそれが分からない、あるいはアピールしない。そんなことになるので、まずは前提としての技能士の実態というものがもっと見えるようになっていくと、これが非常に重要ではないかと。その意味で、今回の資料というのは大変意義がありますし、先ほどの東京都の職業能力開発協会さんの立派な広報紙のような、あのようなものというのは非常に意義が高いのだと思います。
 ただ、そのときに一つ考えられるのは、例えばこれ一般の民間資格のようなものを考えていくと、大体どうしているのだろうなと考えますと、いわゆるフォローアップって結構やっていると。これはなかなか難しい問題だと思いますが、更新制度があるわけではないので、更新という形をとっていると、大体その時点で把握がされて。それに追加講習していくということで、更にその技能の向上を図ると、こんなようなパターンは出てくるわけです。なかなかこの技能検定において、同じような形をとるというのは難しいのかもしれませんが、何かそういったような、例えば追加的な生涯学習ですね、そういったような視点での追加的な情報提供を与えるとか、いろいろな形、これは技能士会さんが一生懸命やってらっしゃるのだろうと思いますし、能力開発協会さんもやってらっしゃるのだと思いますが。何かそういったような把握をするようなシステムを考えていくこと、これが非常に重要ではないかと。それで、できるだけここには実数が出て、実態が出るようなそんな状況を作ることが、まずこの議論の前提ではないかと、こんな感じがいたします。
○今野座長 もしかしたら把握しているかもしれないということで質問しました。
○星能力評価課長 まさにご指摘のとおりでございまして、実態が実数できちんと把握できていないという、ちょっとお恥ずかしい状況ですので、いまご示唆がありましたような、例えば技能士の皆さんに新たな技術革新の部分のような講習という形で、実際に現場で活躍されている技能士の方を把握するなり、また別途調査等を新たに特別にやって把握するとか、その辺りは我々も課題として検討してみたいと思っております。
○今野座長 人数だけではなくて、技能士の1級ぐらいを取っている人は監督署レベルではすごく比率が大きいとか、そういう質的なこともあるでしょうから、一度大規模調査のようなものをやっていただくといいですよね。
○河村委員 いま技能士の全体像というか、そういう議論の中で私が個人的に思っているのは、検定の職種になりにくい職種があるはずだと。厚労省も、いわゆる社内検定制度という形で、そういう制度を企業、団体からの申請によって認定をしています。実際に愛知県も、昭和52年から県の認定制度ということで、いろいろな職種をやっております。ものづくり以外に、例えばバスガイドの方についても認定という形で、いろいろな職種をやっております。
 その歴史を見てきまして、私が単純に思ったのは、例えば自動車の組立て、我々がよく見学に行って見るのは、ラインに入って組付けをされる方なのですが、それについての作業職種がないのです。自動車メーカーの方では、技能検定というのは、例えば鍛造、溶接はあるのだけれども、全体のどれぐらいか、数量的には把握していないのですが、そういう部分の技量の部分がないのです。
 もう一つは、私どもはいま航空機産業を振興していまして、例えばいま話題の飛行機を造ろうとすると、特に航空機は保安部品一つひとつの認定が難しくて、1個の部品が何万円とするビスがあるそうです。そうすると、それを単に作業としてはビスで組み付けるだけなのですが、それも非常に技量が要ります。そうした場合に、現実には検定の職種がないものですから、私どもがいまやっております県の認定評価制度で認定をいたしました。
 そういう部分でいきますと、技能検定制度の中の技能士の把握なのですが、それの周辺部分があるのではないか。ですから、いま委員長が言われました調査をするに当たっては、もう少し広い形での調査をしたほうがいいのかなと。ただし、それは短期間でやるには大変だと思います。調査を受けるほうの企業も、いま景気がよくて、その辺りの回答が、十分に協力が得られるかどうかという部分もありますが、技能検定制度の周辺の部分が、きっと何かあるのではないかという話をしておきたいと思っております。
○五十嵐委員 私ども商工会議所では、「士」という名前が付くものの検定もやっていまして、1つ事例として挙げれば、販売士というのがあるのです。この販売士については、5年に1度の資格更新という形で把握をしておりまして、先ほどの議論で、こちらでいまからそれをやるというのは大変なのでしょうから、なかなかできないのでしょうけれども、この販売士でちょっとご参考にしていただける部分があれば申し上げたいのですが、やはり協会があります。その協会で、販売士の1級を必ずしも取っていなくてもいいのですが、登録講師制度というものを設けていまして、ある一定の講習を受けてクリアした人は、講師になれるのです。講師というのは、その検定を受けるための養成講座とか、いろいろな会社に入り込んでもいいのですが、教えていく立場になる人たちなのです。
 この技能士の場合には、必ずしもそういうお時間のある方々がいるのかという問題はあるので、皆さん現場で働いている方々がほとんどでしょうから、他社の所まで行って、あるいは違う所でというのは、時間が取れないのかもしれませんが、むしろOBの方とか、そういう方々のお時間のある方々は、業界全体のという意味において後進の育成をしていただくように、技能士の活用というのを考えられたらいかがかなと思います。
 それと少し関連するのですが、また別の話で、これは厚労省のやっている職業訓練体系の中では、技能振興と変わってしまって、検定のほうで申し訳ないのですが、職業訓練という全体像の中では、検定試験をどのように位置づけておられるのかを、あとでお聞きできればと思います。
○今野座長 いまでもよろしいと思いますので、答えていただけますか。
○星能力評価課長 ただいまの職業訓練との関係につきましては、前回も若干資料で入れている部分があります。前回の資料の17頁ですが、技能検定の受検資格との関係において、それぞれ職業訓練の課程を修了して、これは最低でも700時間以上ということを申し上げたわけですが、一定の訓練を修了した場合においては、受検資格が得られる、あるいはその訓練の修了に当たって、技能照査ということで、十分にその訓練で求めた内容を習得したという方については、学科試験の免除とか、基本的に、ものづくり系の訓練については、技能検定との間でそういった関連性と言いますか、訓練の成果が技能検定と結び付くといった仕組みになっております。
 ただ、訓練の中でも事務系の職種、民間に委託してやるような訓練については、必ずしも技能検定職種と直接連動していないような職種についても、幅広く行っているものですから、訓練といったときに、すべてがそうだということではないのですが、ものづくり系の訓練を行っている部分については、そういった関連性を持たせているということです。
○大石委員 いまの関連ですが、私どもは職業訓練を行っております。ものづくり系については、年間約5,000人の方について行っています。いま商工会議所様からご指摘がありましたように、就職に当たっては、先ほども議論がありましたが、技能士の資格を持っていないと就職できないといった職種もありますので、なるべくそういった就職を促進するに当たりましては、技能検定が取得できることを目指しながら、職業訓練をやっているというところが実態です。
 ただ、また後ほどの議論になるかもしれませんが、1年コース、半年コース、2カ月コース、3カ月コースといろいろありますが、技能検定の実施時期等の関係によりまして、必ずしも全員が受けられるわけではないということもありますので、そういった人たちもみんな受けられるような実施日程があれば、受検者の数も増えることも想定できるのではないかと考えています。
○宮本委員 先ほどの五十嵐委員の前段の話に関係あると思うのですが、ものづくり業界で技能を持った方が定年を迎えられて、中国、アジアの企業に行って、現地の方を指導するケースが非常に多くなっています。以前は非常に厚遇で迎えられて、運転手つきとか、給料も高いとかあったのですが、最近はそういうことがなくても、自分の持っている技能を誰かに伝えたいというために、手弁当のような形で行かれる方も多くなっているやに伺っています。技能士の資格を持っているか持っていないかはともかく、そういう技能を持っている方について、いかに国内でご活躍いただけるかという施策が非常に重要ではないかと思います。
 以前、厚労省や能力開発協会がやられていた、熟練技能人材登録活用事業は非常にいい事業だと考えております。残念ながら、平成21年度で終わらせられたと伺っておりまして、JAMとしては技能を伝えることに、OBの人の活躍できる場とも捉えて、何とかできないかということで、前回ご紹介のあった業界が取り組む技能継承にJAMも応募させていただいて、やらせていただいているのですが、先生になっていただける高度熟練技能者の方のモチベーションが非常に高くて、工業高校に行っていただいているのですが、生徒も非常に尊敬して、その方たちを見本に一生懸命頑張る姿を目の当たりにさせていただいております。そういうような形で、技能を持った方が活躍できる施策を考えていただければと思います。
○井出委員 ものづくりということで、労働組合が私どもに声を掛けさせていただいたと思いますが、その観点で申し上げたいと思います。まず、技能振興にしろ、技能検定にしろ、1丁目0番地の話として、私たち日本が今後どうやって成長していくのか、そのメインエンジンとなるべきものは何なのかということを、まずみんな腹にストンと落としてからでないと、技能振興が必要だ、技能検定が必要だといっても、もともと必要性は薄いとしか考えていない人にとっては、お金の無駄使いではないかという話にしかならないと思いますので、まず日本の中で、ものづくり。我々ものづくりという立場で言わせてもらうと、ものづくりが果たしてきた役割、今後必要性がどのぐらいあるのか、その可能性がどのぐらいあるのかということを、きちんと論理立てた上で、技能振興がこうあるべき、技能検定はこうあるべき、そういうロジックにしておかないといけないのだろうと思っています。それが1点です。
 そう考えると、たぶん厚労省だけではなくて、国のあるべき姿である経済産業省ですとか文科省、教育機関に、いろいろと物事を推進してもらう文科省などとの有機的な連携関係を取りながら、あるべき姿をきちんと見据えていくことが、まずもって必要だと思いますので、「わかりました、伝えておきます。」というだけではなくて、横串をきっちりと取った展開をしていただきたいと思います。
○今野座長 何かありますか。
○星能力評価課長 井出委員からお話のあった件は、まさに政府部内でも、経産省、中企庁、文科省、我々の部局も入って、今後そういった人材育成をどのように進めていくのかといった検討の場ももっております。また前段でおっしゃられた、これからのメインエンジンというか、どういった技能に着目しながらやっていく必要があるのかということも、その場でも出ておりますが、これはなかなかみんなにストンと落ちるような答えというのは、簡単に見つからない難しい問題だと思います。
 ただ、私が強く感じておりますのは、皆さんのお話にもあったように、この技能検定の果たしてきた役割というのは、我が国のものづくり産業の中では非常に大きなものであり、そうした中で培われた、優れた技能というものが競争力の源泉となり産業発展に寄与してきたと。いまどんどん海外に企業が出ていくというお話もあるわけですが、出ていったときに、本当に核となる部分だけが日本に残ればいいのだ、高付加価値が残ればいいということをおっしゃる方がいるのですが、そんなに都合のいいことができるのか。
 このものづくり技能を、しっかりと今後とも継承、発展させる仕組みを残していく必要があるのではないかというのが、今回のこの検討会の大きなテーマでもあります。そのため、皆さんからいろいろなお知恵をいただきながら、この技能検定制度、これまで業界にもお世話になりながらやってきた中で大変な状況にあるのですが、今後ともしっかりと自立的・安定的な運営をしていけるように、ここで今後の方向性を定めたいということですので、そういった意味で、またそれぞれの立場からご意見をいただければと思っております。
○河村委員 今日何回かお話をさせていただいて申し訳ないのですが、冒頭に私は技術と技能の関係をいろいろとお尋ねして、委員長から「それは技術と技能の境めですか、それとも違う意味ですか」とお話があったのですが、今回ものづくりと言いますと、我々、1次産業、2次産業、製造業中心にした農業も含めてという捉え方をしているのですが、現実には技能検定制度には、サービス産業も含めた、いまお話にあった販売士だとか、そういう部分があります。
 ですから、振興策として、例えばサービス業を中心としたそういう取組みを、製造業とものづくり系に反映させるとか、あるいはものづくり系のいろいろな施策を第3次産業のほうに反映される。そういうのは結構なのですが、中で議論をするときには、多少区別をしていかないと、焦点がぼけてしまうような気がしますので、その辺をどうしたらいいかというのは、皆さんのご意見なり、厚労省のご意見も含めて、多少議論の進め方について、皆さんとお話をしなければ駄目ではないかと思いました。
○今野座長 何となく、ものづくり系だけをイメージしているのです。むしろ、ものづくり系も重要だけれども、非ものづくり系もどんどん増やせという話になったら、重要なテーマになる。その場合は、ものづくり系と何が違うのだろうかという議論になろうかと思います。暗黙のうちに、ものづくり系を想定して、いまここで議論されている。ですから、いま大きな声で「非ものづくり系でいけ」と言っていただけると、少しそういう議題が出る可能性はあります。
○河村委員 私は県を代表していませんので、何とも言えませんが、ものづくり愛知というのは、「ものづくりは人づくり」ということをキャッチフレーズにしています。議論していただくのは、ものづくりを中心として議論をしていただいて、他の業界関係の方もいますので、それも時間があればという形だと思っています。当面は焦点を絞っていただいたほうが、愛知県職業能力開発協会としては、いろいろな意味での参考にさせていただけるかなと思っております。
○今野座長 そういうご意見ですと、一応ものづくり系を限定して議論しましょうかということになりますが、いいですか。非ものづくり系も、立派な産業ですからね。
○北浦委員 これは本当は広く議論していったほうがいいでしょうし、また、その区分けもきっちりとやらなければいけないというのもあるのですが、最終的にもう一つの議題である技能検定とのかかわりについて、技能検定が何をカバーしているかという実態を見てしまうと、ものづくりがウエイトは高いし、かといって、ものづくりだけではないわけです。ですから、全部否定するわけではなくて、ウエイトをものづくりに置きつつ、そこから眺めていくというほうが、ここでの議論としては整理がしやすいのかなと思います。
○河村委員 技能検定制度に、すでにそういう非ものづくり系の職種がありますので、検討という中でそれを省くのはいかがなものかなと思います。ただ、要望を申し上げただけで、省くについては異論はございませんし、北浦委員のおっしゃるとおりに、すでに検定制度の中にそういうものがありますので、反対ではございません。
○今野座長 私の大学の同僚でマーケティングの専門がいるのですが、彼の話を聞くと、例えば小売りなどで海外に出たときに、何の製品を売るかというのは中国の企業と日本の企業は変わらないというのです。変わるのは、従業員の接待スキルで、これが圧倒的にいいのだということです。そうすると、日本の競争力は接待スキルにあると彼は言います。そうすると、接待スキル技能検定は重要だということになるのです。
○河村委員 関連してですが、中小零細にいきますと、ものづくりの技能だけではなくて、いま委員長がおっしゃったように、例えば折衝、販売、金融など総合的にやっております。冒頭にお尋ねしたのは、やはり技術と技能の境目をある程度定義するか、ある程度時間をかけて議論をやらないと、ぼけてしまうような気がします。現場ではおっしゃるとおりに、技能者が実際に交渉をしたり、接待をしたり、原価計算をしたりしています。
○小野職業能力開発局長 事務局としましては、前回にご挨拶も含めて、この検討課題の最初の技能検定制度の自立的、安定的な運営の趣旨にも少し入っておりますが、金融サービスなど、いわゆるサービス産業的なものは、技能検定制度の中でも指定機関制度でやっておりまして、いま77万人ぐらいいるのですが、50万人ぐらいは指定機関制度のサービス関係です。ここは前回もグラフでお示ししましたが、相当急激に増えていまして、これは産業構造が変わって、ニーズがあるからそうなっているということで、我々はこれからそういう指定機関が出てくれば、基準に見合えば、どんどん指定をして、さらに伸ばしていこうと思っていますが、基本的にそこの部分はあまり心配していないです。当然そこで労働資本も増えていくし、おそらくそれに伴って検定人数も増えていくと。
 だから、今回我々として重点的に議論いただきたいのは、先ほど経済の成長エンジンとしてどう考えるのだというお話もありましたが、ここの趣旨にも書いてありますとおり、何といっても製造業、建設業も含めて基幹産業の部分だし、そこはものづくりの部分として、これから日本の経済成長に欠かせないということで、技能の振興も必要だし、技能検定制度もきちんとしたものにしていかなければいけないということはあります。
 ただ、そこが非常に、ものづくりの部分の検定の申請数が停滞していると。ですから、ここもまだまだ増やす余地もあると思っていますけれども、そこのところについて、かなりいろいろな課題もいままでいくつか類似的に検討もしてきたのですが、この際に大きな課題として、いろいろな問題も抱えていますので、そこを伸ばすためにどうしていけばいいか、特にものづくりの部分を重点的に議論していただきたいというのが、事務局の考え方ですので、いまおっしゃっていたような線で議論いただければと思います。
○今野座長 そうすると、議論の範囲を明確にしろというお話もありましたので、2番目の「技能振興施策」の技能振興も、ものづくりに取りあえず限定して考えていくかというのが、いちばん議論はしやすいかなということだと思います。そうしましょうか。その中の(2)業界における技能種の活用促進という辺りは、ここに例示がありますが、何かいいアイディアというのはありますかね。
○小林委員 2番には関連しないのですが、長野県から紹介いただいた信州ものづくりマイスターというものがありました。記憶に間違いなければ、たしか神奈川もやっていたのではないかなと思います。名工という方が、いろいろな形で展示会で教育、披露しているというのがあると思うのですが、ほかの県にも、このマイスター制度みたいな振興を県として独自でやっているところもあると思うのです。それがどのぐらいあるのか知る機会があったら教えていただきたいというのが1点です。
 これは1つの卓越した技能者もそうですが、せっかく厚労省で選んでいる方々の活用という部分で、後継者育成をしているから卓越した技能者として認められているところもあるわけですが、内部だけではなくて、広く社会に広めるような普及の方法がないかどうかも、1つ考えるべきではないかと思います。
 それから、若年技能者の育成という観点なのですが、長野県が、高校生の技能検定の受検を積極的にされているということがありました。これは職業高校、工業高校でも、かなりいろいろなところで受けていると思いますが、これも厚労省では何ともいかなくて、先ほどの文科省と連携をしろという話にも近いのですが、それぞれの職業別の学科で、技能士の試験制度のある学科については、高校での受検を義務化ではないですが、積極的に進めるような形、その若い方々が現場に入って、自分たちは技能士を持っているのだと、先輩に「持っていないのですか」というような形で、刺激を与える意味も込めて、高校段階での教育についても、もう少し着眼点を置いてやる必要があるのではないか。その際には、先ほど言った名工さん、卓越した技能者の方々、現場レベルで活躍されている方々が、また職業高校の中で教えるというような仕組みを作ることも含めて、振興普及というのも1つあるのではないかという意見です。
○大石委員 いま小林委員から、他県でも取り組んでいるのはないのかというご指摘がありましたので、東京都における取組みについてご案内させていただきます。
 私ども東京都におきましても、信州マイスターと似ていますが、昭和50年代から東京マイスターということで、卓越した技能者については、マイスター認定をして、知事表彰等もさせていただいております。毎年40名を選定していますが、そういったこともやらせていただいております。
 また、これもご案内なのですが、卓越した技能者、現代の名工を使って、実技指導等、若い技能者の育成についてというご質問でしたが、取組みとしてご案内いたしますと、私どもは「とうきょう名工塾」という取組みをやっております。これはどういうものかと申しますと、各都内の中小企業にお勤めの若手技能者の方を企業の方からご推薦いただきまして、その方に対して、いまありましたような卓越した技能者、そういった高度技能を持つ方が直接指導するということで、1カ月と少々程度といった形で、毎週土曜日に何カ月も指導するという取組みをしています。また、高校生の技術指導についても、教育委員会、教育庁と協力しまして、高校生の実習講座を、毎年250人ぐらいの規模でやっております。こちらは、いまご指摘がありましたように、工業高校の対象については、3級の受検準備講座も設けておりまして、人気のある講座になっています。
 そのほか、小学生等については、夏休み等を活用しまして、技能塾、ものづくり体験塾もやっていますし、近く公表しますが、毎年、職人塾というものをやっております。これは、34歳以下の若い方々にものづくりを体験していただいて、ものづくりの世界に入っていただこうということで、今日同席いただいている職業能力開発協会などと協力しまして、1カ月間弟子入りさせまして、本物の技術を目の当たりにして、修業を積んでいただくと。それで、ものづくりの楽しさ、厳しさといったものを実際に体験していただく取組みです。
 いまご指摘がありましたように、各県、さまざまな取組みをしていると思いますので、小林委員がお話のように、そういったところを広く広報、周知していかれるような仕組みができればと考えているところです。
○今野座長 だいぶ時間も過ぎたので、技能検定のほうも議論していただきたいと思います。1頁目を見ていただきますと、テーマとしては3つありまして、受検者数の拡大、費用効率化、手数料の在り方です。どれからでも結構ですので、ご意見をいただければと思います。すでに議論していただいた内容がここに関連するということもたくさんあったと思いますが、改めてお願いいたします。
○五十嵐委員 費用の点で、あまり効果的な話ではないかもしれませんが、県ごとにコストの差がかなりあるものもありました。うちの県は産業構造的にはこれが必要、あるいはこれは必要ないからということで、やっている、やっていないというのは、すでに区別ができているのかもしれませんので、その表もありましたのですが、より都道府県間の比較有意を、よく連携して図っていただいて、隣の県のほうが安くできるものがあれば、そちらに任せるというようなことが可能なら、そういう方向を検討いただくのもいいのかなと。
 ただ、自治事務化されているということのようですので、なかなか県の境界を越えるのは難しい可能性はわかった上で、あえて申し上げますが、そうでもしない限り、補助金が減る中では無理ではないかなと思っています。
○北浦委員 3つ出ているわけで、収支ですから、収入と支出の両方の面から考えるということだと思います。受検者数の拡大というのは、先ほどの振興の議論の延長として考えられる点ですが、費用の効率化は、今回も出ていましたような、例えば要素試験を入れるとか入れないとか、そういう問題も含めて、いろいろなアイディアがあると思うので、これはアイディアコンテストではありませんが、全国のいろいろなものをすべて集めて、もう少しメニュー化していくという方向がいいのだろうと思います。
 この辺のところがどう見えるか、先ほどのような、確かにブロックかどうかわかりませんが、ある程度集約ができるのかどうか、それは観念的にはあり得るなと、そういうものも含めて、とにかくメニューをたくさん出すことが大事だと思います。
 ただ、そういう中においても、帳尻というところで見ると、どうしても手数料というのは避けて通れない問題になるのかなという気がしています。ここは非常に関係の方が多いわけですが、手数料の引上げが、どれだけ大きく、そこが上がればすべて解決ということになってしまうのかもしれませんが、逆に非常に難しいと。その難しいかどうかということも含めた、その辺を率直に言って、どういう考えを持っているのか、ご関係の方に意見をいただければありがたいと思います。
○宮川委員 まず、お互いの県を跨いでの集約の話がありましたが、現実に東京都の場合も、現住所、勤務先ともに、都外の方から受検申請があれば受け入れて、自治事務と言いながらも、これはやはり国家検定であり、国が補助金を出しているといったことを背景にしながら、また業界も全国のためにといった意識もありますから、実際は、平成21年度の東京都の実積では1万688人の申請者があったのですが、そのうち、現住所、勤務先ともに都外の人は3,241人で、3割が東京都で受検をしています。ですから、実態として行われている部分だと認識していいのではないかと思うのです。
 ですから、国が一生懸命これから技能振興の部分にも、力をこれまで以上に入れるというバックがより強いものになればなるほど、そういった関係も、お互いに県を跨いでも協力できる体制が取れるのではないかと思っています。
 それと、手数料等についてはいろいろと議論があると思うのですが、実は私どもも、今回配られた資料の5頁の「参考」のところで、技能向上対策費補助金の予算額の推移が国ベースで出ていますが、実際に平成21年度辺りから平成22年度に、ドーンと落ちて、かなり厳しい状況なのですが、実はこの辺については、かなり協会においても内部努力をしています。その紹介をさせていただきます。
 とにかく急場を凌いで、国家検定を実施するという役割を果たさなければいけないという気持で取り組んできていまして、日常的な管理コストの節減はもとより、協会のマンパワー、将来に歪みを残して禍根になるのではないかと心配しているのですが、新規採用をしないで、退職職員を嘱託採用するということも、東京都の協会ではやっています。ですから、これから先を見たときに、どうなのかなと。ただ、当座の人件費は圧縮していかなければいけないということで、平成22年度には2名、平成23年度には1名、退職職員の嘱託採用をしています。
 それからもう一つは、意味があるのは、いろいろな経験、業界とのつながりといったものが、効率よく仕事をしていく上ではかなり役に立つので、コストパフォーマンスとしては嘱託の採用というのも、それなりに意味はあるのかなと。ただ、いずれにしてもかなり年を取っていきますから、いつまでも続けられないだろうという危惧は持っております。
 それから、あと現実にいま働いている職員の理解も得ながら、時間外勤務手当を縮減して、事務処理能率の更なる向上を求めたり、パートの職員についても、勤務日数を減らすとか、いずれにしても、雇用規模も含めて見直すなどの取組みも、この間やってきております。
 もう一つは、先ほども技能検定を実施する関係協力団体等についてもお話をしましたが、実態を申し上げますと、有形無形の協力に加えて、実際の実技試験の実費精算において、やりましたということで報告がくるわけですが、どのぐらいのお金がかかったのか。その辺の精算において、これはそれぞれの職種によって団体の財政力が大きく違っていますから、あまりこれはオープンにはお話をできないのですが、それぞれの財政力に応じた負担をお願いしてきているという実態があります。
 ですから、いずれにしても、いつまでも国家検定を支えてみんなでやっているのだというような、業界のそういった思いだけに頼るわけにはいかない。かといって、その受益者負担といって、これからも若い人に多く受けてもらわなければいけないとか、いろいろそういう事情のある中で、どういう形で、そういう手数料の改定もできるのか。決してそれは選択肢として駄目だというわけではないと思うのですが、この辺は少し考えていかなければいけないのかなと思っています。
○大石委員 関連として、有形無形のというお話も、先ほどから何回もさせていただいております。わかりやすいのは、本日配られた資料の6頁です。こちらも、例えば材料費、設備費、会場費等、いろいろ書かれていますが、大きく出ているのが会場費、設備費で、材料保管などもお願いしたりするわけです。パッと見ていただきますと、材料費では高いところ、安いところ、いろいろありますが、総じて、会場費、設備費は小さくなっているというのは、ご覧いただけるかと思います。こういったところからも、業界団体等に、有形無形のご協力をいただいておりまして、実際には費用がかかっているのでしょうけれども、こういった形でやっているというところがございます。
 そういった意味で申し上げますと、先ほどから1人当たりの実技費用というのが出ていますが、本当にこういう費用なのかどうかというところもありますので、単純に、それぞれの地域によって、いろいろな業界のご協力をいただける程度も違っていますので、単純に1人当たりの費用だけで他県はどうだというのは、なかなか難しい比較かなとは考えるところです。
○河村委員 現場での状況ということで、2点ほどお話をさせていただきます。先ほど長野県、東京都の高校生の技能検定の受検者についてたぶんほかの県、協会もやってみえると思いますが、愛知の場合ですと、実技試験の検定が1万6,500円です。高校生については1万1,000円ということで、手数料に差を付けています。
 もう1点は、昨年は震災に伴う電力の関係で、自動車メーカーが休日変更をしました。その結果、土日出勤で、木曜日、金曜日の休みということで学科試験の検定を受けられない方が、愛知県に250名いました。すでに申請をされて、受検料もいただいたあとでしたので、これをどうしようかということで、いろいろ議論をしました。条例の中で、現実問題としては、愛知の場合では、それを返還というのはできませんでしたので、その分は協会が被りました。振替えという制度で、今年度はその250名の方に限り、事業主の方の証明があればという形で、振替制度を実施しました。今年度250名のうち、受験申請が出てきたのが約200名で、50名の方は業務多忙等ということで申請いただいていません。
 この方法がいいのかどうかわかりませんが、職種、事業主の都合という限定で、そういう振替制度をやりました。考えとして、必ずしも値上げをするだけではなく、協会においては高校生のように受検の手数料に差を付けたり、ユーザーの立場に立って、どうしたらいいかということを、現場では対応もしているということだけご報告させていただきます。
○畑中委員 手数料の論点で申し上げますと、私ども中央職業能力開発協会の場合には、試験問題の作成をやっております。そこにかかる人件費も手数料に関係してくるということで、ご紹介いたしますと、本日提出の資料の5頁をご覧ください。ここの中央協会の人件費ですが、中央協会の場合には試験問題の作成なので、事業費よりも人件費のほうがウエイトが高いのですが、平成22年度は対前年度比で72.6%の削減で、かなり人件費の削減には努力してきました。実際、協会の職員の数も、平成21年度が137名でしたが、平成22年度には93名という形で、大幅な人員削減もしました。こういうことをしていることをご紹介したいと思います。
○宮下委員 経費の削減、縮減という観点からですが、私どもは平成23年度の前期の検定は約2,000名が受検しています。協会等の資料を見ながら、調べさせていただきました。その2,000名の試験を、約138の会場でやっております。本来、大きな会場が確保できればいいのですが、いわゆるポリテクセンターとか、私どもいわゆる技専校、認定校もお借りしてやっているのが、約24会場で、それからいわゆる民間企業の所で実施しているのが114で、8割が民間企業をお借りしてやっているのが実態です。
 縮減するのにいちばんいいというのは、県もそうなのですが、100人いれば100人を一気にできれば、1企業なりをできればいいのですが、やはり分散型の開催をやらざるを得ない。企業もだいぶ努力はしていただいているのですが、100人の受入れは無理だということで、10から20の受入れとなっているのが現状です。
 そのような分散型でやるというのは、経費の縮減、削減というのは、協会も企業もかなり努力をされておりますし、今後とも必要だと思っておりますが、そういう会場1つを取っても、また長野県はこのような状況ですが、各県がまた違う状況にあると思います。結局会場が増えれば、増えるだけの経費がどうしても増してくるということで、1万6,500円が高い低い、3万円がという評価はありますが、数字上だけではなくて、もっと細かい分析がないと、高い評価ということだけで議論していくのは、非常に無理があるのかなと思っています。
 そのほかにも、企業の方が手弁当で試験用の課題を作りをしてもらったり、シート張りをしていただいたり、その有形無形のこと、いわゆる形に表れないものがかなりあるとは聞いています。現状だけをご説明申し上げました。
○今野座長 今回の効率性を上げよう、手数料をどうにかしようという問題の前に、いま皆さんがおっしゃられている、企業、業界の有形無形の協力というのはすごく大きくて、言ってみればそれが大きな資産で、その上にお金があって、全体として上手に運営できているのだということはわかるのですが、有形無形というのは何なのか、どの程度あるのかということは外部の人には見えないし、理解していただけないのではないかと思います。何かいい方法はないでしょうかね。
 つまり、いま10億円かかっているというけれども、実は有形無形のいろいろなことで50億円かかっているとか。そういうことがあると、みんなで協力して運営しているということがわかります。社会に理解してもらうには、こうしたことも重要かなと思います。
 そうすると、定性的有形無形の協力と言っても、なかなか理解していただけないので、そういう手も考えるといいですよね。そろそろ時間にもなりましたので、ほかにございますか。
○宮本委員 6頁のグラフで、有形無形で努力でというところはそうかと思うのですが、材料費が違いすぎるのです。これは民間企業で、A県にあるA工場と、C県にあるC工場で、3倍の値段の差があったら、どうにかしろとなると思うのです。ちょっと理解ができない感じがするのですが。
○今野座長 先ほどの議論の路線でいけば、材料費も企業、産業界が持出ししているところと、持出ししていないところがあるのか、あるいは購入するものを遠い所から持ってくるからコストがかかっているか。
○大石委員 いま先生がおっしゃったような地理的なものもあろうかと思いますし、例えば購入されるに当たって、日ごろからそういったものを大量に購入されている材料ですと、一環として安く購入できるとか、たまたまそのときしか買わない材料があると、少し高くなるとか、そういったこともありますので、一律にこれだけを見てズバリというのは言いづらいと思います。
○今野座長 私の意見は、そういうことがあるとすると、説明していただかないと理解はできないです、ということです。いくら何でも違いすぎます。何となく差があるというわけにはいきませんよね。
○北浦委員 そうですね。前回も座長がご指摘になったように、各県の比較をやっているときには定式化していかないと、費用について比較ができないので、結局どちらを基準に考えていくのかということができなくなってしまいます。おそらく業界の協力があったほうがいいのでしょうけれども、マストというわけにはいきませんので、そういうものが何もないところで出ていくものというのが、標準型だとすると、そこからどういう方式をもって、どういう形がコスト削減できるかと見ていくわけですから、そこの構造が見えるためには、それぞれがどの程度のことで、このような費用構造になったのかということをもう少し見せないと、わからないと思います。それは事務局が作業するのか、あるいは調べないとわからないという話なのかはわかりませんが、その辺を考えておかないといけないのではないかと思います。定式化という問題につながってくると思います。
○今野座長 よろしいでしょうか。時間になりましたので、この辺にさせていただきます。あとは事務局から連絡をお願いいたします。
○吉田課長補佐 次回は5月23日(水)の13時から15時ということで、第3回の検討会をお願いいたします。議題については、引き続き技能検定等技能振興の在り方についてということで、前回のスケジュールでお示ししましたアンケートについても、案を見ていただきたいと思っております。また、ご提案のありました企業からのヒアリングについては、予定しておりました都道府県、都道府県協会に加えて、企業、なりわい業を含めまして、関係団体からできればということで調整を進めたいと思っております。
○今野座長 次回も会場はここですか。
○吉田課長補佐 場所につきましては改めてご連絡いたします。
○今野座長 これで第2回技能検定等技能振興の在り方に関する検討会を終わります。ありがとうございました。


(了)

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