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2012年3月27日 第8回非正規雇用のビジョンに関する懇談会議事録

職業安定局派遣・有期労働対策部企画課

○日時

平成24年3月27日(火)
10:30~12:00


○場所

厚生労働省省議室


○出席者

樋口座長 荒木委員、小杉委員 柴田委員 諏訪委員、横溝委員


○議題

ビジョン骨子案の検討

○議事

○樋口座長 ただいまから「第8回非正規雇用のビジョンに関する懇談会」を開催いたします。
 委員の皆さまには大変お忙しい中、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。本日は、佐藤委員、清家委員、宮本委員が欠席となっております。なお、津田政務官と森山安定局長は、国会用務のため本日は欠席と聞いております。
 それでは、事務局から資料の確認をお願いいたします。
○吉田派遣・有期労働対策部企画課長補佐 お手元にお配りしております資料は、議事次第、座席表に続きまして、資料として「望ましい働き方ビジョン」(案)、参考資料1「望ましい働き方ビジョン」の概要、参考資料2、望ましい働き方ビジョン(案)参考資料です。不足等ございましたら事務局までお申しつけ願います。
○樋口座長 マスコミ関係者の方は、頭撮りはここまでにさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは議事に移ります。本日の議題は「ビジョン案の検討」となっております。事務局に、前回の懇談会での各委員のご意見を踏まえ、案を作成していただいておりますので、事務局より説明をお願いいたします。
○尾形派遣・有期労働対策部企画課長 ご説明いたします。前回、2月24日に骨子案をお諮りしたわけですが、そのときに、いろいろと概念を巡ってもろもろのご指摘をいただきました。その後、与党手続き、これは社会保障との一体改革にも位置づけられているというテーマですが、その関係もあり、与党手続きに一度ご説明する機会を設けることになりまして、3月9日に民主党の雇用ワーキングチームでご説明いたしました。その際にもいろいろとご指摘をいただいた経緯がありまして、そういったことを踏まえ、改めて骨子案に肉付けをする形で、今回「望ましい働き方ビジョン」(案)を事務局のほうで整理し、ご提示申し上げている次第です。
 まず、前回の懇談会でどのようなご指摘をいただいたかを、口頭ですが簡単にご説明いたします。概念について、正規雇用・非正規雇用、あるいは正社員といった言葉も含めて定義がないということから始まり、概念的に混乱しているのを整理すべきだろうというご指摘がありました。その際、これは荒木委員ですが、法的な視点、雇用形態についての法制的な視点から3つの切り口で、正規雇用というのは、とにかく便宜的に整理してはどうかというご意見があり、今回、それをベースにして整理させていただいております。正規・非正規という言葉が、必ずしも確立して2極に分かれるものではないというご意見もある中で、「非正規」という言葉に冠されるような実態があるのではないか、非正規だから簡単に解雇しても良いとか、労働条件が低くても良いというような考え方があるということが指摘され、そういった非正規だからというような、誤ったメッセージについて、何らかテイクノートすべきではないかというご指摘がありました。さらに、そういったこととも関連するわけですが、非正規についての労働関係法令の適用の認識が不十分という点に関して、働く側だけではなく、雇う側についてもその問題があるのではないかというご指摘。雇用が不安定だという問題点に関連して、そもそも非正規だという立場から、本来あるべき権利も十分行使できないというような問題が指摘されました。それから期間のない雇用を直接雇用、公正処遇が重要というように位置づけているわけですが、特に公正処遇というのは希望する、しないに関わりなく、すべての雇用形態について、そうではないかというご指摘もありました。最後にミクロ・マクロという視点の違いについて、個々の労働者にとって、よいか悪いかというミクロの視点だけではなく、日本の経済社会全体にとって良いか悪いかというマクロの視点を強調すべきではないか、いわゆる合成の誤謬に関するご指摘もありました。こういったご指摘が前回の懇談会での主なものですが、それを念頭に置きながら、今回、肉付けをしたということです。
 また、与党のほうから、どういうご議論があったかと言いますと、「労働者が希望する」という言葉が随所にあるけれども、この「希望」というのがどういう希望でも良いというわがままなものであっても良いということではないはずであって、何らかの自覚というものが必要ではないか、というご指摘がありました。それから、正規・非正規という切り口でアプローチしているけれども、正規であっても、必ずしも望ましい働き方でない面もあるのではないか。特に、ILOが提唱するようなディーセント・ワークという観点からすれば、正規・非正規という雇用形態に関係なく、是正されるべき部分があるのではないかというご指摘。そもそも、こういうビジョンを作るということに関連して、これを一体どうやって活かして世の中を変えていくのかという問題意識をもつべきではないか。こういったご指摘がありました。
 そういったことも、このビジョンを取りまとめるに当たって今回、念頭に置かせていただいているところです。ビジョンそのものは22頁にわたり大変大部ですので、このビジョンの説明は、主としてその肉付けをさせていただいたところを中心に、ポイントごとにやっていきたいと考えております。
 まず、1頁のタイトルですが、サブタイトルになるわけですが、非正規雇用問題に総合的に対応し、労働者が希望する社会全体にとって望ましい働き方を実現すると。ここで今回、「社会全体にとって」という言葉を差し込みました。これは先ほどの合成の誤謬の議論でもあるわけですが、個々の労働者にとって望ましいというだけではなくて、企業、経済社会全体にとって望ましい方向を指向するということをタイトルの中でも明示したということです。
 序文に入りまして、人口減少社会における全員参加型社会、「人材立国」の重要性というような前置きがあった次ですが、「労働者の視点」というのを強調しました。人たるに値する生活や人格の発展にとって重要であると、そういう視点から労働の質を高めるということ。「ディーセント・ワーク」ということについて強調するということを行っております。特にディーセント・ワークについてはILOで提唱されている概念ですので、どういう内容のものかということも括弧書きの中に入れさせていただいております。そういった切り口において、すでに労政審で平成19年に建議がなされておりまして、雇用の安定、公正な働き方、多様な働き方という3つの基軸が打ち出されているということが、これまでの成果としてテイクノートされた上で、さらに今回どこにこのビジョンの付加価値を加えるかということで、2頁の後半のほうに新たな記述を加えております。正規・非正規という2極の選択肢というものの考え方をアウフヘーベンするというようなことを前回申し上げましたが、それと相並んで、先ほどの合成の誤謬の視点というのを盛り込んでいるのが最後の段落です。ミクロの視点では非正規雇用が合理的な行動であったとしても、合成された結果の日本経済マクロにとっては、必ずしも望ましい結果とは限らない。非正規雇用の増加によって人々の不安が増大し、低い処遇と相俟って消費活動の停滞やデフレを生み、経済が低迷するとすれば、さらなる非正規雇用の増大という悪循環に陥る、いわゆる合成の誤謬ということを書かせていただいております。先ほどの2極の考え方と並んでこういった考え方も踏まえて、いかにすれば「安定」「公正」「多様性」とグローバル経済の中での企業経営の「自由」という価値の共存を実現できるか、そういったことを社会全体で考えていかなければならないという趣旨を、次の頁に盛り込んでおります。ここで企業経営の「自由」という言葉については誤解を招くといろいろ問題がありますので、あくまでもグローバル経済の中での企業経営という形での修飾をさせていただいております。そういった新たな付加価値を見出すという観点において、このビジョンを取りまとめることを序文に盛り込みました。
 次に「非正規雇用」とは何かという概念の問題ですが、この点についてはまず、丁寧に概念整理のところから説明をさせていただいております。「非正規雇用」と相並ぶ概念として「正規雇用」がある。というところから下の、いろいろ呼びかたはあるけれども、このビジョンでは、正規・非正規という雇用形態を巡る課題に焦点を当てると、そういう建て付けになっておりますので、便宜的に、雇用形態に係る法制的な視点から、以下の1、2、3という切り口を取り出して「正規雇用」を考えるということにさせていただいております。これは荒木先生のご指摘を踏まえての整理です。労働契約の期間の定めはない。フルタイム。直接雇用。「直接雇用」という言葉について、やや丁寧にどういう概念かということを説明しています。この「正規雇用」のうち、いわゆる典型的な正社員とか典型的正規雇用と言われる者について、この1、2、3に加え4、5というプラスアルファが付け加わった者であるという整理をした上で、この4、5がないような者もいると、そういった、いわゆる「多様な正社員」という働き方も生まれてきており、この「正規雇用」を固定的に捉えるべきでないという実態についても触れさせていただいております。こういう形で「多様な正社員」というのが「正規雇用」の一類型であるということを整理の中で明記していますが、こういった「多様な正社員」も含む「正規雇用」は便宜的に整理した上で、この「正規雇用」以外の者を、このビジョンにおいては「非正規雇用」と呼ばせていただくことにしています。あくまでも便宜的で、定義として今後も通用するものとしておくという趣旨ではありません。
 こういった整理をさせていただいた上でやや飛ばしますが、5頁の上から3分の1目の段落です。特に、「非正規」という呼称について、その一般的なイメージにおいて、正規の保護対象とならなくてもよいといった誤解がある。あるいはそれが「身分」のように認識されてきた面もあるという指摘を明記させていただきました。こういったところの改善を図るということが重要であると。それから併せて正規・非正規といったニュアンスをもった「非正規」というものについて、極端な二分法に伴うイメージの改善ということも明記いたしました。要は「正規」と「非正規」の間には極端に分裂するという部分だけではなく、連続的な側面があるということで、その点、これは佐藤先生のご指摘でしたが、次のところに入れております。さらに先ほど雇用ワーキングチームでのご指摘で、正規・非正規という雇用形態からのアプローチだけでは括り出せない課題もあることを明記しております。
 次に6頁の問題点や課題の、(1)に従来いろいろと言われています問題点を客観データと共に解説しているわけですけれども、いわゆる不本意就業とか、労働者側のニーズといった点について、横溝先生からやや解説が端折り過ぎであるというご指摘がありましたので、ここは改めて丁寧に書かせていただいています。特に、「不本意就業」のところは「不本意非正規就業者」と言葉を丁寧に定議し直した上で、7頁の括弧書きで書きましたが、雇用形態ごとに、数字がかなり異なるということを丁寧に記述させていただいております。
 (2)問題点や課題というのを提起させていただいていますが、1雇用が不安定というところに、権利主張を躊躇わせているという問題点を追記しております。1、2、3、4ここまでは従来の骨子案のときも問題点として柱立てにさせていただいていたわけですが、その際1~4プラスアルファという形で書き込まれた部分について、新たに整理し直して5の柱を立てさせていただきました。要はワークルールが十分に適用されていない、労働者の声も届きにくいということで、今回、懇談会の前回の議論の中でもご議論をいただきました点も踏まえ、あるいは雇用ワーキングにおける議論も踏まえ、こういったところも柱として明記させていただきました。
 9頁(3)の非正規の問題点や課題を指摘するという章ですが、(3)においては、正規雇用も必ずしもバラ色の世界であるわけではないという指摘をあえて明記させていただいております。雇用は安定している反面、企業の広範な業務命令や人事権の下、長時間労働や遠隔地への単身赴任も一般的であり、仕事と生活の調和を図ることが難しい、こういった拘束的な働き方は「ディーセント・ワーク」の観点からも問題である、というようなことを明記しています。
 続いて基本姿勢ですが、ここについてはまず、(1)には3つの重要な柱立てをしております。特に公正処遇というものについての位置づけは、すべての働き方に共通で、労働者の希望するしないに関係ないというご指摘がありましたので、そのことを文章上反映させています。
 10頁いちばん最後の、3の(2)のところですが、先ほど来の非正規雇用の労働者の働き方にも切り口を入れるべきであるということで、長時間労働の是正、ワーク・ライフ・バランスの実現といった観点を改めてここにも入れさせていただいております。
 12頁に移ります。(4)にこの非正規問題への今後の対応という点に触れまして、「政労使の社会的合意を得ながら」という記述がありますが、ここに非正規雇用を含めた現場の実態を踏まえ、労働問題の当事者である労使から提起された意見を基礎にということで、非正規雇用を吸い上げるというニュアンスを入れさせていただきました。さらにその上で、社会全体で取組を推進していくという趣旨も最後の行に入れております。
 そういった記述を受け皿に、4番の具体的方向性の冒頭においても望ましい働き方を実現するため、国、地方自治体、教育機関、企業、家庭、労働者等社会全体で取組を進める必要があるということで、「社会全体」という視点を強調し、社会全体でこの取組を進めると、それぞれのプレイヤーを明記した上で、役割を認識しつつやっていくというニュアンスを入れております。各論のほうの(1)「若者の雇用」は、小杉先生からのご指摘もありまして、大幅に膨らませた部分です。在学中のキャリア教育の重要性を特に明記させていただき、これは13頁の3行目からのブロックで、キャリア教育を一層推進することは、こうした観点からも重要であり、特に早期からのインターンシップ等の就業経験を促進する施策が有効である。こうした取組は、地域の産業や職業、企業への理解など学生の職業意識を効果的に醸成し、学びへの動機づけになるということを書かせていただきました。次の段落は、自覚を持って自らの働き方を選択できるよう、この在学中に働くことに関するルール、権利・義務などをちゃんと学ぶ、ということを書かせていただいています。次は、卒業までに就職先が決まらない場合も、切れ目なく支援を得られるような体制ということで、未就職者卒業者の問題についても配慮している記述にしております。若者については、こういったところです。
 14頁の(2)「正規雇用・無期雇用への転換」は、改めて今回の有期法制の見直しの中で、5年での無期化という建議がなされたということを改めてリマインドしているということです。言い方を変えますと、有期の無期化という議論はまさにこの(2)のような文脈において位置づけられているということを、このビジョンにおいて明記している、逆に言えば、建議で示された制度見直しの方向性は、そういった方向で環境を整備されていかなければならないということで、その点をさらに一層明記するために、15頁のなお書きの下から3分の1の、建議に書かれた所要の措置を講じていくというその記述に続けて、この場合、有期労働契約の利用可能期間到達前の雇止めを抑制しつつ、有期契約労働者の無期労働契約への転換を円滑化するための企業や団体の取組や、その後の継続的なキャリア形成や処遇改善を支援する施策も併せて講じられることが期待される。ということで、今回建議取りまとめに当たって、いろいろ議論されましたことをここに改めてトレースさせていただいております。
 16頁の(3)「雇用形態に中立的な税・社会保障制度」について、ここについては今般、「社会保障・税一体改革」の中でも非常に大きなテーマになりました年金の適用拡大の議論がありますが、3月13日に前原政調会長と小宮山厚生労働大臣の間で、一定の政治合意が諮られたということも踏まえ、若干具体的な記述を加えております。それが第一段落の中程からの「この点」以下の、2016年4月から一定の要件を満たす週20時間以上の短時間労働者まで適用範囲を拡大することとされており、短時間労働者へのセーフティネットの強化を図っていくべきである。この場合、適用拡大に伴う様々な影響にも配慮した措置が講じられることが期待される。ということで支援措置にも触れた記述にしております。次に(4)「公正な処遇」の1段落の末尾ですが、先ほど来、前回の懇談会で非正規だからということで、雇う側が必ずしも十分労働法の保護というものを理解できていないというお話がありましたので、ここの記述においては、引き続き、労働関係法令等遵守ということを明記し、その周知や指導等を着実に実施するということを入れております。
 18頁の(5)「均等・均衡待遇」は、公正処遇の中の1つですが、有期法制の中で不合理格差是正のアプローチが出されたけれども、他方で「同一価値労働同一賃金」というアプローチもあり得るだろうということで検討した項目です。この検討の経緯のところに、そもそも女性に非正規雇用が多かった、低所得者も多かったことへの対応から、このパートという切り口で非正規雇用対策が展開されてきたということを明記いたしました。そういった導入を入れつつ、「同一価値労働同一賃金」をこの雇用形態の格差の面に展開する際のツールとして「均衡」という概念を用いていると。これは浅倉むつ子先生のプレゼンを活した部分だということは前回同様ですが、特に今回、最後の段落2行目の職務評価や職業能力評価の手法というところに注目する中で、特に客観的かつ公正な職務評価という表現を入れさせていただきました。現在も厚生労働省において、いろいろなマニュアルを作っているわけですが、客観的かつ公正という観点から、さらに取組を進めていくというニュアンスを入れております。(6)の、「人材育成、職業キャリアの形成」は、諏訪先生、小杉先生のご意見を中心に、従来からかなり肉厚な記述にさせていただいているところですが、ここは社会全体で一人ひとりの労働者のキャリア形成を支えるというニュアンスを特に強調しておりまして、それが最初の3行の中に入っております。次に、自助、共助、公助ということを諏訪先生からご指摘いただいているわけですが、特に公助という面で、公共職業訓練の重要性が出てきているわけですが、成長分野での公共職業訓練ということの重要性を改めて明記するということで、20頁の最後の段落にそうしたことを加えつつ、「ものづくり分野」での施設内訓練を中心として公的訓練についても重要性を喚起しているという記述です。
 やや前に戻りますが、改めて職業訓練あるいはキャリア形成という面において、社会人としての自覚とか基礎的な能力という面が非常に重要だと。単なるスキルということではなくて、そういったところが重要だという視点をあえて明記しております。丁度20頁の真ん中辺りの記述ですが、個別の技術・技能だけでなく社会人としての自覚や基礎的な力を身につけさせる視点も不可欠である、ということを書かせていただいております。
 (7)の「セーフティネット」の部分は従来の骨子を膨らました内容ですが、最後のところにきちんと施策を反映させるためのデータ収集の重要性を提起させていただいておりまして、ここには今回の契約法制における議論も踏まえ、非正規雇用について、労働者数、労働契約の期間の定めの有無、といった記述も明記させていただいておりまして、こういったことが継続的に把握できる統計調査の整備・充実ということを入れております。
やや長くなりましたけれども、修正と言いますか、加筆、肉付け、膨らませた部分を中心にビジョンの取りまとめの全体像をご説明いたしました。
 参考として、お手元にポンチ絵をお配りしていますので、これを見ていただきますと全体像がどういう構造になっているのかが改めてよくわかるかと思いますが、若干1点だけ触れさせていただきますと、いちばん上の「目指すべき方向」の、〈望ましくない状態〉、〈望ましい状態〉という2つの循環形を書いています。左側が望ましくない、いわゆる悪循環で、合成の誤謬が生じている状態、これを2極化した考え方を超えることにより、右側の望ましい好循環に変えていくという絵図を描いたというところが、今回のビジョンのひとつのセールスポイントだろうと思っております。口幅ったい言い方ですが、いろいろなところから「理念としてはわかるけれども、現実に、ない袖は振れない」というようなお話もあります。「経済発展、まずは経済政策のほうでパイを増やすということがなければ、こういうことはなかなのかできないのだ」というようなご意見も漏れ聞こえてくる中で、雇用政策というところから、むしろパイが必ずしも一定ではなくて増やすこともできるということを、この好循環の中で描いたつもりであります。こういったことを踏まえ、さらに政労使という社会的合意の中で、この「非正規雇用」をさらに強力に進めていく際のビジョンになればということで取りまとめさせていただきました。長くなりました、以上でございます。よろしくお願いいたします。
○樋口座長 ありがとうございました。ただいま説明いただきましたビジョン(案)について、ご意見、ご質問がありましたらお願いします。全般的なところで結構ですので、どの章とか限定せずに議論いただきたいと思います。既に、皆さん十分に議論いただいたということで、意見が反映されていることもあろうかと思いますが、追加的にコメントがあればお願いします。
○小杉委員 この絵は大変よくできていて、青い三角から赤い三角というのは大変良いと思います。青い三角のいちばん上の非正規雇用の増加だけで、望ましくない状態と位置づけられるのかなというのは、非正規雇用がいまどういう状態だから望ましくないのかという説明が、右側の「公正」と「安定」と「多様な働き方」に対して、それが実現されていない状態の非正規雇用ということですよね。それが、ちょっと表現し切れていないのかなと思いました。こういう絵は、これだけが歩いたりするものですから、そこにもう少し意味が付け加えられると良いなと思います。
○尾形派遣・有期労働対策部企画課長 この絵を用いまして、いろいろな所に説明していきたいと思っていますので、いまの点を踏まえてきちんと直したいと思っています。ありがとうございます。
○樋口座長 むしろ、右側の「安定」、「公正」、「多様」に対立するものを入れたほうが良いのではないかということですか。
○小杉委員 そうです。
○樋口座長 よろしいですか。では、そこのところを少し直していただければと思います。
○尾形派遣・有期労働対策部企画課長 改めて対応させていただきます。
○樋口座長 ほかにいかがでしょうか。
○横溝委員 これは言葉の問題なのですが、12頁の具体的方向性のところなのですが、(1)若者の雇用を確保するというのは、下の文書を読めばわかるのですが、ただ、この見出しだけを見ると企業側で若者の雇用を確保するみたいに取れてしまうのですね。ですから、見出しだけを読みますと、これは若者の雇用の場をなどという、企業側が若者を採りたいと、それを促進、確保するみたいに。こだわりませんが、見出しはそういう誤解を生まないような感じにできたらいいのかなという気がします。
○樋口座長 若者の雇用の場を確保する。
○尾形派遣・有期労働対策部企画課長 若者にですかね。
○横溝委員 若者にですね。ときどき、こういう提言などで思うのですが見出しだけを読みますと、これは誰にいちばんアピールするための提言ですか。読むと、政府は、もちろん社会全体で、企業は、労働者は、組合はと出てくるのですが、やはりこの提言のアピールのいちばんの狙いは政府なのですか。
○樋口座長 政府も一部かと思いますが、社会全体に対する非正規の働き方の理念的なところを構成するということなのではないでしょうか。
○横溝委員 こういうもので、あまり目次が付けられたことはないと思うのですが、例えば序文があって、非正規雇用とは何かがあって、非正規雇用をめぐる問題や課題、問題への基本姿勢、施策の具体的方向性など、柱がありますよね。その中に、また小さな中柱、小柱を目次的にどこかに出してもらったら、この提言は全体としてこういうことを言っているのだという全体像を頭に入れてから、この内容を読むとわかりやすいのかなと。あまりそういうものを見たことがないのですが、ちょっと思います。それは、可能かどうかわかりませんが。
○樋口座長 いかがでしょうか。
○尾形派遣・有期労働対策部企画課長 十分可能なことですので、そのようにいたします。
○樋口座長 そうすることについては、皆さんご異議がないということでよろしいですか。
                 (異議なし)
○樋口座長 ありがとうございます。ほかにありますか。
○柴田委員 このままでも良いかなと思ったのですが、18頁の(5)の「正規・非正規間の均等・均衡待遇を効果的に促進する」の2段落目の「こうしたことから」という段落が、全部1文になっていて、分かりにくい。よく読めばわからないわけではないのですが、また、先生のおっしゃったことを忠実に反映するためにそのまま引用されたと伺ってはいるのですが、読み手には、ちょっとわかりにくいなと思うのです。2つぐらいに分けたら良いのではないかと思います。
○樋口座長 どこで分けましょうか。
○柴田委員 基本的には、この「同一価値労働同一賃金」ということではなく、むしろ「均衡」という考え方により対応が図られてきたので、このように両者の間で均等という考え方において、賃金の違いのバランスがとれるようにしていくことが重要であると書いてあるわけですね。ですから、これまで図られてきたということで一旦止めて、このように正規雇用と非正規雇用の労働者の間で、労働の価値の違いと賃金の違いを均等という考え方を尊重しながら、バランスがとれるようにしていくことが重要であるという感じにしたほうが、ちょっと読みやすいかなという感じがします。ただ、そうすると、すごくニュアンスが違ってしまうというのでしたら、そのままでもいいのかもしれませんが、何となくここは読んでいて引っかかってしまいます。検討いただければありがたいなと思います。
○尾形派遣・有期労働対策部企画課長 よろしいでしょうか。ここは、「同一価値労働同一賃金」というのは、理念としては大事ですが、実際に当てはめるに際しては、現実的アプローチが必要であるという趣旨だと理解しています。そういう意味ですので、日本においては「均衡」というのが伝統的に確立しているので、これが現実的なアプローチであろうということで、やや対応が図られてきた、の後はつなぎとしては、このような現実的なアプローチによりというのを入れれば、つながるのではないかといま思っていましたが、いかがでしょうか。例えばです。
○樋口座長 いかがですか。
○柴田委員 このようなアプローチでということですよね。
○樋口座長 現実的というのは、何となく理念があって、しかし、その理念は必ずしも現実的にはとることができないので、次善の策としてというニュアンスになってしまうので、本当はこちらのほうが望ましいのだけどという話になってしまうかなと。
○生田派遣・有期労働対策部長 一応、ここの段落の出だしのところは、「同一価値労働同一賃金」により性別等個人の意思や努力によって変えることができない属性等を理由とする差別を生じさせないという考え方を尊重することは大事だということは、絶対入れないと駄目で、「尊重しつつ、日本的な格差是正のアプローチとして、『均衡』という考え方により対応が図られてきており」とつないでいるのですが、この2つを両方考慮しないと駄目だとするしかないと思っています。修文の提案なのですが、「均衡」という考え方により対応が図られてきているで、まず切って、このような考え方に基づき正規雇用と非正規雇用の労働者の間で、労働の価値の違いと賃金の違いのバランスをとれるようにしていくことが重要であると。このような考え方というのが、一応「同一価値労働同一賃金」の理念の尊重と、日本的なアプローチとしての「均衡」という考え方を両方含むような形で、これによってバランスをとっていくことが重要であるとさせていただければいいかなと思うのですが、いかがでしょうか。
○樋口座長 いかがでしょうか。ちょっと確認しますと、「図られてきている。このような考え方に基づき」と。いかがでしょうか。
○柴田委員 少しわかりやすくなりました。
○樋口座長 では、そのように修正します。
○小杉委員 こちらの1枚紙のほうなのですが、今回の最初の説明の中で強調されていた、労働者が自律的に選ぶという労働者側からの視点で組み立てるというようなことが、この紙の中からはなかなか見えなくて、サブタイトルの労働者が希望するという所がそうなのですが、それ以外ではこちらのペーパーで強調されてたことが見えないなという気がしています。どこにそれを入れたらいいのか、いま考えているのですが、ちょっと見つかりません。その視点が弱いなという感じがしたことだけ述べさせていただきたいと思います。
○樋口座長 ほかの先生方で、いまの点について何かありましたらお願いします。入れるとすれば、どこですか。
○小杉委員 最初の序文のところにしっかり書いてありますね。
○樋口座長 これを図に入れたいということですね。
○小杉委員 どこか、この1枚紙の中に、どこに入っているのだろうといま頃になって見ていたのですが。何か他律的な非正規のゾーンみたいなものばかりが出てきてしまって。方向としては、目指すべき方向とか、そういう所でしょうね。ディーセント・ワークの中に入っているといえば入っているのですが。
○樋口座長 あるいは、施策の基本姿勢ですか。そこに、労働者が希望する働き方ができる社会を作ることによって、労働者の志気・能力向上が図られるということですかね。
○小杉委員 この辺りでも、確かにそうですね。志気向上の前にあるのは、主体としての労働者の在り方ですから、そこに何か加えていただくとしっかり出るかもしれないですね。
○樋口座長 あるいは、目指すべき方向のところでも、何か入れたほうがいいかもしれないですね。では、それはご検討ください。
○尾形派遣・有期労働対策部企画課長 了解いたしました。
○樋口座長 ほかにいかがですか。
○荒木委員 委員の多様な意見をうまく取り込んでよくまとめていただいて、感謝しています。いまの小杉先生のことと付随して、ここをこうしてほしいということではないのですが、説明のときに留意していただきたい点として、このポンチ絵でいいますと、望ましい状態のところで、「雇用の安定」、「公正な処遇」、「多様な働き方」の3つが上っています。左下では、施策の基本姿勢で、雇用の在り方として1期間の定めのない雇用、2直接雇用、3均等・均衡等公正な処遇が重要ということで、この2つを比較しますと、右上では多様な働き方が挙がっていますが、左下では期間のない雇用、直接雇用ということで、そうではない雇用というものをあまり認めないかのように誤解される可能性があります。あくまで、これは労働者自身がそういう働き方を希望すればということで、それ以外の多様な働き方を認めないという趣旨ではないということがわかるような形で説明いただければと思っています。
○樋口座長 例えば、いまの基本姿勢の1に、労働者の希望により期間の定めのない雇用ができるというような。
○荒木委員 報告書の9頁では、3の(1)労働者がその希望に応じてという、希望を踏まえた働き方を希望するのであれば、それが実現できるような方向を目指していこうという趣旨で本文が書いてあると思います。この施策の基本姿勢では、労働者が希望すればこういう働き方が実現するような方向という趣旨で書いてあると思うのですが、それが端折ってありますと、これ以外の間接雇用、派遣で働きたい方に対して、派遣という働き方を認めないのかと誤解されるといけませんので、その点をご注意いただければと思います。
○樋口座長 不本意非正規が出てきた概念として入れているわけですが、その人たちに対する対応ですね。
○生田派遣・有期労働対策部長 いま荒木先生からご紹介がありましたように、本文の中に、労働者がその希望に応じて安心して働くという前提が文書に入っています。ですから、この施策の基本方針の冒頭に、そういう旨をきちんと書いて、先ほどの望ましい状態との整合性をきちんと取れるように、誤解のないように、ここは図表の修文をしたいと思います。
○樋口座長 ほかによろしいですか。
○諏訪委員 大変バランスよく、目配りよく書かれていて、基本的に結構ではないかと思っています。これは総論だから致し方ないのですが、この中にも書いてあるように非正規型の雇用は多種多様で、共通する問題、課題もあるのですが、やはり働き方、あるいは働いている人によってニーズが違います。それは、それに応じて解決していかなければいけないので、別のタイプの問題を抱えている人に、全然違うことをやると、先ほどから出ているように、却って角を矯めて牛を殺してしまうような、望ましくないことになり兼ねないのだということです。そこは、全体でニュアンスが出ていると思うのですが、そこだけは正規だって多様化しているから、例えば一般的に大企業に合うものが、小・零細企業の正社員に合うとは限らないのと同じようなことがある部分は、もう少しニュアンスで出ていたらいいのかなという感じがしました。これは、感想です。
 それから、もう1つ、この点はもっと早く私自身も気がついて指摘すればよかったかなと思っている問題があります。先ほど荒木先生もおっしゃられていましたが、非正規雇用を必然化するようなビジネス形態はあるわけですね。簡単に言えば、プロジェクト型で仕事が進んでいく場合です。それに対して、正規雇用型で働くのは、いわばルーティン型で仕事が絶えず続いていくような場合です。このルーティン型で続いていくような場合に、ぶつぶつ切られるような、あるいはその他の派遣、その他のことでやると、これは一時的対応としては良いですが、中・長期的でみますと、現場の力が非常に落ちていって、不安定になります。しかしプロジェクト型は、ある時点でAプロジェクトがあり、それが終了したら、次にまた同じ人が別のBプロジェクトに参加すれば良いというわけでは必ずしもないのです。ちょうど我々の研究会がそうのように、プロジェクト型はそのときそのときでメンバーを変えていく。ビジネスで、いまどこの国でも非正規型が増えている原因は、このプロジェクト型で回るビジネスが増えていることも関係しているでしょう。プロジェクトで回りながら、なおかつキャリア形成等がうまく進んでいくためには、一つひとつのプロジェクトをやっている側にも、労使双方に考えていただかなければいけないことがあります。それ以上に、プロジェクトとプロジェクトの間をつないでいくようなもの、通用するようなものをやはり社会的に国が解決していかなければいけない。こういう要素が増えていっているのだと思っています。
 プロジェクト型、ルーティン型という言い方が良いかどうかはわからないのですが、何かそれは非正規が好ましいか好ましくないか、あるいはある意味で避けられないかそうでないかを分かつ1つの判断要素だと思っていますので、いまからでも少しそのようなニュアンスをどこかに書いておいていただけますと、ありがたいなという感じがしています。ちょっと出し遅れの証文みたいで、申し訳ございません。
○樋口座長 個別企業におけるキャリア形成と、社会として企業を変わってもとか、あるいはプロジェクトを変わってもというキャリア形成ができていると。経済学ですと市場という言葉をよく使うわけですが、市場を通じての希望できる働き方の実現も入れたほうがよろしいというニュアンスでよろしいですか。
○諏訪委員 ありがとうございます。つまり、スタティックな雇用安定だけではなくて、ダイナミックな雇用安定を、このプロジェクト型で働く人たちには考えていかざるを得ない。従来は、これは季節的や臨時的な働き方とルーティン的な働き方で対比していたのですが、単なる季節的、臨時的だけではないのではないかと思うのですね。プロジェクト型で多くの仕事が行われるようになってきているというのが、最近の先進国の特質の1つではないかなという気がしています。
○樋口座長 この点は、委員の皆さん、いかがでしょうか。
○柴田委員 ここで、イメージされているのは専門性の高い人たち、例えば、期間限定のプロジェクトにおける能力も高い専門職の人たちが、1年とか3年以内の有期雇用でプロジェクトに参画し、やり終えたら、ほかに転職していくというか、自分で仕事を見つけていくというようなイメージだと思います。そういう人たちは、比較的能力も高く、専門職として外部労働市場での価値が高い人が多く、安定はしていなくとも、処遇は結構高い人たちで、もともとの有期労働の対象になっていた人たちなのです。ただ、こうした人も、旬を過ぎた時にどうするかということと、一旦辞めて、次の仕事に在り付くまでの間をどうやって補うかが問題なのかなと、お聞きしていて思ったのですが、その理解でよろしいのですか。
○諏訪委員 専門的な方々の1つだと思いますが、必ずしも専門的でない方でもあり得ると思います。それは、例えば浮沈が非常に激しい飲食店業界、あるいは小売りなどもそうですが、戦略的にあるお店などを出しますが、長く続くことは考えていないのですね。こういうものが非常に増えてきていて、そこで働く方は必ずしも専門的な高い方ばかりではないでしょう。しかし、あるプロジェクト型のお店や何かの企画に関わりながら、また次にうまく移っていけば、だんだんキャリアが形成されていくわけです。
 樋口先生がおっしゃるように、こういうのは外部労働市場が活発に機能すれば良いのだと思いますが、日本の場合はなかなかそういう状態にはなっていません。若い頃、こうした働き方を面白がって参加していく方がたくさんいらっしゃりながら、ある所で、最近、特に中高年になって非正規型が増えているのは、そういう方々が中高年になって、きつい状況になってくるということもあるのではないかと思います。それは、単に自己責任とだけは言えない部分がありますし、そういう形で専門性その他をだんだんに高めていくような仕組みを、本人もキャリア形成のためにキャリアデザインをよく考えろとは言えるのですが、日本の場合は個人がそういうことをやったときに、公的に支えるような仕組みが弱いわけですね。したがって、小杉先生が指摘されたこととも関わるのですが、その辺りのところは、もう少しこれからの動きの先を見ていますと必要かなという感じがしています。
○小杉委員 たぶん、この文章の中で書くとしたら、グローバル経済から企業経営の自由に関わってくるところだと思います。先進諸国全体という話は、要するに変動が大きな中で事業をするために、プロジェクト型や一時的なというものを使うような経済行動の方向になっているというので、この自由の中にプロジェクトの方の仕事の仕方は含まれるのではないかと。もし言及するとしたら、この辺りのところで少し詳しく書いて、事業の営業の仕方がプロジェクト型、一時的な需要に対しての対応が強化されるような中で、どう対応していくかというようなことを、この辺りで書けば何とかなるかなと思います。
○樋口座長 デンマーク型というか、フレキシキュリティの論理につながるようなところがあって、個別企業においては有期であったり、あるいは解雇の自由をもちながら、社会としてジョブセキュリティーを重視していくというような話だと思います。それを、どのように入れたらいいかなというところですね。ダイナミズムとの関連、特に変化の激しい社会において、個別企業の雇用保障の限界をどう乗り越えるかというところですね。ある意味では、いつからでもやり直しが効くようなところも含めて、たぶん中高齢層になってくると、それは絵に描いた餅だという話もあるのではないかと。それを、どう支えるかですね。社会保障のところでも、それが非常に大きな問題で、今回の一体改革でも出てきているのかなと。いかがでしょうか。
○横溝委員 要するに、自律的に働くことが、そのまま続けられなくなってしまった場合の歪みを、社会全体としてどうやってフォローしていくシステムを作れるかという話だと思うのですよね。それを、この中のどこに盛り込むかというと、先ほどおっしゃったように、グローバル的な視点に立って、企業の自由と、働く側の自律性というか自由と、両方の兼ね合いだと思うのですね。そこを、どこかに入れていただければ、すばらしいと思いますが、なかなか難しいですね。あと、社会保障のところだと思うのです。
○樋口座長 積極的雇用政策の展開は、まさにそういったところを考えて、能力開発や職業紹介も含めるのでしょうがというところですかね。それは、確かに非正規の問題からスタートして、記述上、手薄になっていることがあるかもしれません。その点は、検討いただけますか。
○尾形派遣・有期労働対策部企画課長 承知いたしました。手掛りになるような記述はありますので、いますぐにこういう案文でというのは、この場でご紹介できませんが、例えば多様性とグローバル経済下での企業経営の自由という記述もありました。それから、概念整理のところで、いろいろな非正規雇用にも働かせ方があるという記述がありましたし、積極的労働政策も各論のところで何箇所か記述があります。社会保障のところも、キャリア形成のところも、いずれもいま言ったニュアンスを盛り込むことは可能だと思います。全体としての仕上がりをまた見ていただければと思います。
○樋口座長 社内での正規への転換だけではなく、まさに企業を変わって安心して働ける自律的なものをどうサポートするかというニュアンスをどこかに入れていただければ、と思います。ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。それでは、全体的なビジョンの内容は、これでよろしいでしょうか。
                 (異議なし)
○樋口座長 それでは、いま出ました意見を折り込んで、修正の必要性が何箇所かあるかと思いますので、それは事務局と相談して私のほうでまとめさせていただきまして、もしよろしければご一任いただければと思いますが、よろしいでしょうか。
                 (異議なし)
○樋口座長 ありがとうございます。それでは、本日の議事は以上とします。非公開に該当する特段の理由もありませんので、議事録を公開していきたいと考えていますが、いかがでしょうか。
                 (異議なし)
○樋口座長 ありがとうございます。では、そのように取り扱わせていただきます。最後に、生田派遣・有期労働対策部長からご挨拶をお願いします。
○生田派遣・有期労働対策部長 担当部長としまして、一言お礼の言葉を申し上げます。望ましい働き方ビジョンについては、社会保障と税一体改革大綱や、日本再生の基本戦略で、年度内に作ることになっていました。有識者、企業からのヒアリングや現場視察なども含めまして、8回にわたる議論を行っていただきまして、若干の修正はありますが本日取りまとめていただきました。樋口座長をはじめとして、この分野の権威であります大変忙しい皆様方を、長時間、長期間拘束いたしまして、本当に恐縮です。小宮山大臣以下政務三役も、今日は参議院の厚生労働委員会で、雇用保険法と派遣法の法案審議があり出席できませんが、感謝の気持ちを伝えておくように言っておられます。
 非正規雇用については、そもそも非正規雇用の定義すらよくわからない状態の中で、初めて概念整理をしていただいたということで、これは非常にありがたいことだと思っています。それからタイトルにありますように、非正規雇用問題に総合的に対応して、労働者が希望する社会全体にとって望ましい働き方を実現する、あるいは雇用の安定等処遇の改善に向けて必要な策の方向性を理念として示すという指針としてのビジョンをまとめていただきました。今後大切なことは、この内容をいかに具体化、実現化していくかだと考えています。
 私どもとしては、まずこのビジョンを広く周知徹底したいと考えています。そして、厚生労働省の平成25年度の概算要求に反映することや、政府全体で戦略づくりをする際に、基礎として参考にさせていただきます。例えば、若者雇用戦略を年度半ばには作るとなっていますが、その際の参考にいたします。あるいは、労使、教育機関をはじめとして、社会全体の合意形成や国民運動の際の指針にするなど、様々なことが考えられると思っています。これらについて、私どもとして精一杯頑張りたいと考えています。皆様、本当にありがとうございました。
○樋口座長 これをもちまして、非正規雇用のビジョンに関する懇談会を終了いたします。皆様、お忙しい中ご参加いただきまして、誠にありがとうございました。


(了)

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