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2012年5月18日 難病研究・医療ワーキンググループ(第2回)議事録

○日時

平成24年5月18日(金)14:00~17:00


○場所

中央合同庁舎第5号館 厚生労働省専用第14会議室(22階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)



○議事

○荒木疾病対策課長補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまから、第2回「難病研究・医療ワーキンググループ」を開会いたします。
構成員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
それでは、当ワーキンググループ開催に際しまして、外山健康局長よりごあいさつ申し上げます。
○外山健康局長 構成員の皆様方におかれましては、お忙しいところ御参集いただき、ありがとうございます。前回、3月1日の第1回ワーキンググループの開催以降、少し時間があきましたけれども、今回は難病対策の抜本改革を実現すべく具体的な形にしていく作業のため、詳細な議論の必要がありますので、何とぞよろしくお願いいたします。
 前回の会合以降、事務局におきまして少しお時間をいただきまして、これまでの難病対策委員会、それから、前回の会合でいただきました御意見を資料にまとめさせていただきました。今回のワーキンググループ会合におきましては、その資料をもとに焦点を絞った議論を進めていただきたいと思っております。
 議題は4つ掲げておりまして、1つは、「難病の定義、範囲の在り方」として、これまでの難病の定義をもとに、今後総合対策として取り組むべき難病の定義をどのように考えていくか等について。2つ目、「医療費助成の在り方」といたしまして、医療費助成を行う考え方の整理や助成の基本的枠組みをどうするかなどにつきまして。3つ目、「難病医療の質の向上のための医療提供体制の在り方」といたしまして、難病医療の提供を効果的、効率的に行うための仕組みなどについて。4つ目、「研究の在り方」といたしまして、難病研究の重点化、総合的な難病研究の実施の必要性等について、各専門分野のお立場から御意見をいただき、方向性を見出していただきたいと思います。
 いつもながら限られた時間でございますけれども、濃密な御議論をよろしくお願いいたします。
○荒木疾病対策課長補佐 カメラの撮影はここまでとさせていただきます。
 また、傍聴される皆様におかれましては、傍聴時の注意事項の遵守をよろしくお願いいたします。
 なお、事務局の異動で、4月1日付で疾病対策課に竹内補佐が着任しております。よろしくお願いいたします。
 本日の出欠状況でございます。山本構成員から欠席ということで、それ以外の構成員の方々につきましては御出席いただいております。
 それでは、以降の議事進行につきまして、葛原座長、お願いいたします。
○葛原座長 それでは、これからは私が議事進行係をさせていただきます。
 本間構成員。
○本間構成員 その前に一言事務局にお願いがありまして、今の件ですが、3月にやって、もう2か月以上過ぎているのでどのような状況だったのでしょうか。
○外山健康局長 健康局はいろいろな行政をやっております。
 特に難病につきましては、障害者総合支援法、いわゆる自立支援法の関係で国会でいろいろ議論が続きまして、難病関係につきましては、むしろそういった国会の、今はまだ法案は成立しておりませんけれども、衆議院での議論に大分時間を費やされておりました。
○葛原座長 国会審議中ということと関係法案とのすり合わせとかいろいろなことがあったようですから、そういうことで御理解いただければと思います。
 それでは、これから始めたいと思います。今日は、ちょうど今、本間構成員がおっしゃったように、もうそろそろ忘れかかったことも含めて資料がございますので、事務局のほうから資料を再度点検していただきながら、昔のことを思い出していただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
 では、資料の確認をお願いします。
○荒木疾病対策課長補佐 資料の確認でございます。今回は資料目次をつけており、大きく資料と参考資料がございまして、一式ずつございます。1枚紙で机上配付しておりますのは、今回の福島構成員の提供資料、参考資料4-2の部分の差しかえとなっております。
 資料については以上でございます。落丁等ございましたら、事務局までお申し越しください。
○葛原座長 既に3月に拝見した資料がかなり入っております。新しく差しかえられたのは4と5の部分でしょうか。福島構成員からのということで、もし途中で脱落、脱丁等がございましたら、事務局の方に言っていただきたいと思います。
 それでは、これから実質的な検討を始めたいと思います。先ほど、外山局長からのごあいさつに触れられておりましたように、このワーキンググループでは大きく絞りまして4つの点の検討を今まで進めております。この中で、難病の定義と範囲、医療費助成に関しては、第1回目のときも含めて、かなり話は煮詰まっておりますので、まず最初に、事務局の方から論点の整理をしていただいて、できる限り要領よくまとめて、まだ十分討議されていない難病医療の質の向上のための医療提供体制の在り方とか、あるいは研究の在り方という3番目と4番目を今日は中心に論議して、できるだけ早くまとめあげていくというふうにやっていきたいと思いますので、そういう点を念頭に置いて御検討いただければと思います。
 それでは最初に、資料1と参考資料1に従いまして、論点1の御検討をいただきたいと思いますので、事務局の方からもう一度御説明をよろしくお願いいたします。
○竹内疾病対策課長補佐 それでは、資料1「難病の定義、範囲の在り方」について御説明をさせていただきます。
 改めて御説明するまでもないのかもしれませんけれども、本日も参考資料の方におつけしてございますけれども、参考資料5-1、5-2ということで、これまで難病対策委員会の方で12月には中間的な整理がとりまとめられ、また、今年の2月には社会保障・税一体改革大綱の中で医療費助成について法制化も視野に入れて、より公平、安定的な支援の仕組みの構築を目指すということと併せまして、治療研究、医療体制、福祉サービス、就労支援等の総合的な施策の実施や支援の仕組みの構築を目指すとされております。まさに、これについて検討をするということでございまして、本日、まず難病の定義ということで御議論いただければと思っております。難病といいますのは、冒頭、局長の方からも申し上げましたとおり、今後の総合対策として取り組むべき難病の定義について御議論いただきたいということでございます。
 早速、資料の御説明をさせていただきたいと思います。まず、(1)「難病」の定義ということで、これまでの議論といいますか、参考になり得るものといたしまして、「難病対策要綱」という昭和47年10月に厚生省から発表しておるものでございます。難病対策として取り上げるべき疾病の範囲につきましては、参考資料の1ページに原文を掲載させていただいておりますが、その範囲につきまして2つに分けて整理されてございます。
 1つ目が、原因不明、治療方法未確立であり、かつ、後遺症を残すおそれが少なくない疾病というグループ。もう一つが、経過が慢性にわたり、単に経済的な問題のみならず介護等に著しく人手を要するために家庭の負担が重く、また精神的にも負担の大きい疾病、こうした大きな2つのグループに整理をされておるということでございます。
 それから、1点、文章に誤りがございまして、?に「後遺症を残すおそれが少ない疾病」と書いてございますが、原文の方を見ていただきますと「少なくない疾病」ということで、「くな」が抜けておりまして、大変失礼いたしました。こうした整理が示されておるわけでございます。
 その後、特定疾患対策についてのさまざまな議論が行われてございまして、資料の3ページ、現在でいうところの特定疾患治療研究事業、いわゆる医療費の助成を行っている事業でございます。この対象としての特定疾患の定義につきまして記載がございます。これも御紹介させていただきたいと思いますが、平成14年8月23日の難病対策委員会の中間報告でございます。特定疾患の定義につきまして、?症例が比較的少ないために全国的な規模で研究を行わなければ対策が進まない。
○葛原座長 これは「少ない」でいいのですか。
○竹内疾病対策課長補佐 これは「少ない」で間違いございません。
 それから、?原因不明、?効果的な治療法未確立、?生活面への長期にわたる支障(長期療養を必要とする)という4つの要素が示されておるわけでございます。
 取り上げようと思っているものの考え方、何について書くのかということが違うわけですから、勿論違っているわけでございますけれども、この両者を見比べていただきますと、まず原因が不明だということと、「効果的な」という言葉があるかどうかという点でも違っているわけですけれども、治療法未確立だということ、経過が慢性ということと、生活面への長期にわたる支障があるということを全く同義にとらえていいのかということはございますけれども、比較的似たような要素として双方に書かれておるという中で、後段の平成14年の中間報告の中で取り上げられている4要素のうち、?症例が比較的少ないために全国的な規模で研究を行わなければ対策が進まない。これをいわゆる希少性の要件と呼ばせていただきますと、希少性の要件が含まれるのか含まれないのかというところが非常に大きな違いではないかと考えております。
 ただ、1点留意しなければいけませんのは、難病対策要綱の方です。参考資料の1ページをまたごらんいただきたいと思います。疾病の範囲として2つのグループに分けて整理が示されておるわけでございますが、実際にこの対策がとられた対象疾患としてどんなものからスタートしたのかということについては、この下の※印のところに書いてございますが、スモン、ベーチェット病、重症筋無力症、全身性エリテマトーデス等々8疾患からスタートしておるということでございます。これについても併せて御紹介をさせていただきたいと思います。
 もう一つの論点といたしまして、法制化も視野に入れて検討するということでございますが、そうした場合に疾病の範囲(外縁)を明確化する必要があるだろうということで、その明確化をするためには、国内学会等で承認された診断基準が一応確立しているといった疾患概念が明らかであることが必要ではないかと考えておりますが、これについても御意見を賜れればと思っております。
 それから、資料の(2)、当座は非常に大きな論点になってこようかと思いますけれども、先ほど局長の方からも御紹介をさせていただきましたが、障害者総合支援法案の審議が現在国会の方で行われておるところでございます。「地域社会における共生の実現に向けて新たな障害保健福祉施策を講ずるための関係法律の整備に関する法律案」というのが正式な名称でございますが、この法律案の中では、障害者の範囲に難病等により障害がある者が加えられるということで、障害者総合支援法案の第4条第1項が障害者の定義についての規定でございます。この第4条第1項におきまして、「治療方法が確立していない疾病その他の特殊の疾病であって政令で定めるものによる障害の程度が厚生労働大臣が定める程度である者であって十八歳以上であるもの」が新たに規定されることになってございます。
 この難病対策におけます、まさに総合対策の対象となる難病の定義と障害者総合支援法案の政令で定める疾病の範囲との関係をどう考えたらいいのかということが大きな論点ではなかろうかと考えて提示をさせていただいております。
 資料1につきまして、御説明は以上でございます。
○葛原座長 どうもありがとうございました。今、主に難病の定義ということで、歴史的な経緯も振り返りながら御説明いただいたのですが、既にこれに関して御意見は相当出尽くしている面もあるのですけれども、難病の定義ということで特に希少性というのを入れるかどうか、これは中間報告以降入ったのですが、それを入れる理由あるいは意味ということも含めて御検討いただければと思います。
 もう一つ、原因不明という言葉も、最近、難病のほとんどは遺伝子が原因というのがわかっているわけです。遺伝子が原因というのは、果たして原因と定義するのか、原因というのはもう少し病態も含めたような形のものにするのかというのも論点になっていたように思います。第1はこういう難病の定義に関して、特に、何で難病だけ研究あるいは医療費助成の面で手厚くしているのかという説明もある程度できなければいけないと思いますから、そういうことも含めて、もう一度振り返って御論議いただければと思います。
 もう一つは、今、法の整備で法制化という話のときに、障害者総合支援法の中に今後含められていくものもある。その中の一部も難病ということになっていることも含めて、これは他の法案との関係でもある程度整合性を持って、制度の谷間のないような形での障害者支援という中に含めていきたいというのが御趣旨だったと思います。
 最初に、まず難病の定義ということについて、資料についての御質問も含めて、従来出た意見、繰り返しも結構だと思いますが、御意見ございましょうか。
○伊藤構成員 この間、患者の団体を含めまして、私もそうですけれども、さまざまな形でこの難病対策委員会やワーキンググループで提起されている問題とはどういう問題なのかということを多少冷静に振り返って考えてみたり、意見交換をする機会ができたと思っております。
 その中で特に難病の定義ですけれども、これをどうするかということはさまざまな議論があったと思うのですが、ここにもありますように、考えなければならないのは、1つは難病の定義というものと、特定疾患対策の定義、あるいは医療費助成の場合の定義、あるいは総合支援法の中に盛り込む福祉の支援の対象となる状態での定義と、それぞれ違っているのではないだろうか。そこのところを少し整理しないと、希少性の問題というのも明確には見えてこないのではないだろうかと思います。
 そういう意味で、端的に言いますと、難病の定義というのは、かなり読んでみましたけれども、昭和47年10月の難病対策要綱にあります、「原因不明、治療方法未確立であり、かつ、後遺症を残すおそれが少なくない疾病」は、?と?は「かつ」とか「または」というふうにはつながっていないわけですけれども、?として「経過が慢性にわたり、単に経済的な問題のみならず介護等に著しく人手を要するために家庭の負担が重く、また精神的にも負担の大きい疾病」ということで整理されたのは、昭和47年当時の福祉の概念、あるいは難病対策を初めて定義されたわけですけれども、つまり病気というものの概念と、今でいえば社会モデルというか、社会的な側面に焦点を合わせた上で、かなり先駆的な定義であったろうというふうに思うわけです。
 これは当時、国際的にも病気の患者さんに対する支援の対策やその他で、こういう社会的な側面まで定義したものというのはそうなかったのではないか。そういう意味で、この日本の難病対策は国際的にもかなり評価されたのだと思っております。
 そういう意味でも、私は、難病の定義ということでいえば、こういう病気を抱えることによって起きる社会的な問題を含めて定義をするべきであろう。ただし、その中で医療費の助成であるとか、治療研究事業の対象であるとかとなると、これは国際的な標準に合わせても、希少性という問題をどうするか、あるいは難治性をどうするかというところに絞られていくということもあり得る話ですし、それから、重症であるかどうかということで福祉の支援を必要とするかどうかという問題も出てくるわけですけれども、そういう個別の政策なり施策の中での絞り方といいますか、そういう現状と難病の定義というのはやはり違って、ここは昭和47年につくった古いものでありますけれども、この定義に沿って今日まで進めてきた難病対策というのは高く評価するべきだと思いまして、こういう社会的な側面にまで問題を提起し、介護保険などのことにも結びついていった介護の問題とかそういうことまで提起している非常にすぐれた定義だと思いますので、是非そこあたりも評価しつつ、難病の定義というものと個別施策の定義とは分けて議論をお願いしたいと思います。
 そういう意味で、「両者を比較した場合、いわゆる希少性の要件について差が見られるが」と書かれておりますが、これは差ではなくて、何を目的にするか、何を対象にするかということによって表現は違うのだと思います。特に2番目の平成14年8月23日のものにつきましては、特定疾患対策にどういう疾病を対象としていくかという議論の中から生まれたときに、この4つの要素を示したものであって、難病についての定義ではなかったと思います。ここにも明らかに「特定疾患の定義について」と書かれておりますので、そういう意味では、この難病の定義と特定疾患の定義というのは混同しないで議論をお進め願いたいと思います。
 以上です。
○葛原座長 ありがとうございました。
 ということになると、伊藤委員の御意見というのは、難病の定義はこれでいいけれども、ここで論議するのは、例えば希少性難治性難病とか、あるいは特定疾患という形のものとして論議すべきだという御意見になるのでしょうか。例えば、今、法制化の問題のときに、どういう名前にしていくかというのがかなり大きな問題になろうかと思うのですが。
○伊藤構成員 ですから、難病というものを法制化する、定義するという場合には、このまま昭和47年の文言でいいかどうかという問題はありますけれども、こういう社会的な側面もきちんととらえた定義を、いわゆる難病問題としてと我々は言っておりますけれども、難病として定義をしていく。勿論法制化の場合もそれを難病の法制化ということで広く対象にするべきである。ただし、医療費助成であるとか、福祉的支援を必要とするという場合には別な要素が加わるであろう。あるいは、新たに特定疾患の対象疾患を加えていくというときには、それも問題になるであろうけれども、既存の枠を狭める必要はないのではないだろうかと思います。
○葛原座長 どうぞ。
○福島構成員 物事を議論する前に、定義をきちっとしておく必要がある。希少難病というのは医学的な意味を持ったもので、特定というのはゼネラルな意味です。だから、特定というのは一定の意図を持っているわけです。特定しようとした場合、がんも特定になり得るし、希少難病疾患も特定になり得る。だから、伊藤委員の言うように、それは完全に分けて議論しないといけなくて、希少難病についてはしっかりした定義は国際的にもあるわけです。
 だから、それと特定をごちゃまぜにする必要は全くなくて、特定はその時点で必要なものを特定とすればいい。例えば、今、日本の置かれている状況を見たら、アルツハイマーなんて特定にして、集中的に投資して研究を進めないといけないし、対策も重点的にしないといけない。難病については恒常的にある疾患ですから、それはきちんと定義して、そこと特定と意味が違いますのでごちゃまぜにしないこと。そういう意味で分けておけば、そう混乱することはないと思います。法律もそのようにしないといけないです。
○葛原座長 福島委員のお考えは、希少難病という形のものに絞った、あるいは名称も場合によっては希少難病としていいだろうということですか。
○福島構成員 難病をつけるかどうかは患者さんのほうが決めればよい。
○葛原座長 希少性疾患ですか。
○福島構成員 希少性疾患とすればいいと思います。通常は、国際的にはレアディジーズといって、イントラクタブルをつけるかつけないかはその都度ですね。後ほど紹介しますけれども、希少であっても研究が進んでいて、新しいオーファンが国際的にはどんどん開発が進められますから、一定の治療効果があるものは順に出てきます。だから、そういうものに対して治療効果があるから、例えば、これは原因がわかっているから外すのだとなると、またそれも問題になるので、余りそこのところにこだわってややこしい議論をしない方がいい。レアディジーズというのは一定のものとして常に存在するので、そういう形で定義しておけばいいと思います。そうしたら混乱することはない。
○葛原座長 山本課長、ある程度、名前のことも詰めておいた方がいいわけですね、最終的な名前はどうするかにしても。
○山本疾病対策課長 ネーミングよりも、まず概念の議論をしていますので、概念がクリアーになれば、それをあらわす名前が出てくると思います。名前にこだわるというよりは、今まさに定義させていただいた概念のところで議論していただければと思います。
○福島構成員 つまりどういうことかというと、新しい薬ができても、それは希少であるがゆえに、マーケットサイズが小さいがゆえに、企業としてはそれを維持することが困難になってしまって途中でやめてしまうことがあるわけです。だから、そういうことは新しい治療方法ができたからいいよねといって切り離すことはできないので、補助のことも含めて考えておかないといけない。
 希少であるがゆえに企業はなかなか参入しないし、研究も進まないということがある。だから、そこをよく考えておかないといけないと思います。原因がわかったからもうおしまいではない。希少性ということだけで概念ははっきりしていると思います。
○葛原座長 多分、研究費をある特定の病気に、ほかよりも差をつけてどんと出す、あるいは治療費の開発に公費をつけるというには、ほかの病気の人を納得させるだけのそれなりの理由が要ると思うのです。それには、やはり希少性をつけておくというのは非常に大事なことで、アルツハイマー病だって、がんだって、なかなか治りにくくて時間はかかるし、お金もかかる、同じではないかという批判に対して、説明できるような内容を含んでおくというのは非常に大事なことだろうと思います。
 そういう点からいうと、一つの政策としてこういうものに取り組むときには、難病一般の話ではなくて、希少性の病気で、しかも障害が強い、あるいは現在治療法がない、だけれども国全体で集めて大きな取組みとして治療法の開発に持っていく病気が対象になるということだろうと思うのです。
 伊藤構成員、どうぞ。
○伊藤構成員 やはりそこのところをきちんとしておかなければならないのは、47年の定義にありますように、介護とか経済的な問題だとか精神的な負担、特に多くの患者さんはそうですけれども、かなり精神的な負担という側面も大きくて、ここのところに着目した難病対策というものと、福島構成員がおっしゃるような形での希少疾患の研究をどう進めるかという話とはちょっと違うだろう。だから、研究を進めたり、あるいは医療費助成をどうするかという問題もありますけれども、病気になったことによって職を失ったり、家族の関係やさまざまなところまで問題を及ぼす。あるいは、本人だけではなくて、家族にも全体に影響のある状況などを見れば、福祉的な側面ということを考えると、希少性だけに限ってしまうと、これは福島先生もおっしゃっていましたけれども、治療法ができたから、この対策の中身はいいのだ、悪いのだという議論ではないものをつくっていかないと、議論の方向性を区別して考えないと、この問題というのは見えないのではないだろうかと思いますので、患者の団体としては、難病対策としては幅広くとらえ、社会的な側面をより強くとらえていく。しかし、研究開発という問題になると、これはもっとターゲットを絞ったものにしていくということで、全体としては二面性を持っているのではないかということを私たちは言っていきたいと思いますので、そこでの対策をどうするか。
 特に、新しい障害者総合支援法の中に、いわゆる福祉的な支援をする対象として難病をどうするかという表現になったときの難病というものの概念の整理というのは必要ですし、定義も必要ですから、それは疾患として科学の対象としての希少疾患というものと、いわゆる原因が不明であり、あるいは不明であった疾患を抱えながら生きていかなければならない患者に焦点を絞った対策ということになると、幅広く難病の定義はとらえるべきであろうと思います。
○福島構成員 伊藤委員のおっしゃるのは、希少でなくても難病は難病だというふうに言えばいいということなのですか。だから、希少性とした場合には、ある程度の効果のある薬ができてきても希少は希少であるということでカバーしていけばいいということだと思うのです。難病とすると、例えばアルツハイマーだって、やはり難病ですよ。だから、難病というカテゴリーで含めようとすると、いろいろなものが該当して非常に幅が広くなってしまいますから、希少性ということである程度今回の議論は限定しておいたら、それで全部カバーできるのではないかと思うのです。どうしても難病と入れる場合には、では、数の少ない患者さんだけ難病に指定して議論すればいいのかという議論になるので、難病ということと希少であるということは、私は概念が違うと思うのです。
 今回ここで議論されているのは希少である疾患。希少疾患というのは、いろいろな意味で疎外されやすい状況があるのです。企業から見れば、マーケットサイズの点、研究の面から見たときも研究費がとりにくいとかいうこともある。だから、希少性であるということだけで、国としては、これは国際的にも同じだと思うのですけれども、希少疾患として定義して、それに対する対策を国家レベルでやっているわけです。私は、希少性ということで一々難病云々なんていう議論はしなくてもいいと思います。希少性のものは、現時点ではほとんどが難病です。科学はものすごく未熟ですから。そうしておけばわかりやすいのではないですか。
○葛原座長 やはり定義のところは常に原点に戻ってしまうのですが、伊藤構成員に見ていただきたいのは、参考資料1の1ページに出ている、昭和47年の今引き合いに出された部分の全文です。要するに、後遺症を残すおそれが少なくない疾病で、経過が慢性にわたり、経済的、介護云々と書いてある部分だけ抜き出せば、私などの目で見れば、脳卒中で失語になって半身不随になっても、この定義に当てはまり、いわゆる特定疾患でなくても、みんな難病の条件を満たします。ところが、これには括弧がつけてあって、例として挙げられているのが、ベーチェット病、重症筋無力症、全身性エリテマトーデスで、こういう病気を難病というのだということと、一番下に、「なお、ねたきり老人、がんなど」既に別の事業で取り組んでいる病気は除くと書いてあります。要するに、希少疾患が、なぜここで例として挙がっているかというと、こういう希少な病気で、しかも世間にはなかなか理解されにくい病気を対象として、こういう対策事業をしているのだと枠をはめているのではないかと思います。伊藤さんがおっしゃることはよくわかるのですけれども、単に治りにくいとか、社会的に喪失するものが多いとかいえば、神経系の病気はみんな当てはまる気がしますので、逆に余り薄め過ぎない方がいいのではないかと思うのですけれども、いかがですか。
○伊藤構成員 それはちょっと違うのは、例えば、こういう今から見たら幅広い分野をカバーしていると思われています昭和47年当時の難病対策要綱に例示されている疾患というのは、当時は非常に希少な疾患であったと思います。どのぐらいの人がいるかどうかわからない。こういう幅広いものを今日までやってくる中で、例えばパーキンソン病というのは、後にもっと患者さんが多いということがわかってきたとか、さまざまなことは対策の成果であって、こういう幅広い定義を持っているからといって、幅広くいろいろな疾患を全部入れたかというとそういうことはないわけです。
 今日までやってくる中で一定の成果を上げている。しかし、それは個々の疾病を見ればさまざまな議論はあるところだと思いますけれども、社会的な側面を評価しているというところに、この難病対策の大きな特徴があって、それが世論の支持を得て今日まで発展してきているわけですから、今、この時点で希少疾患に限るべきだという議論というのはいきなり過ぎないか。これは発展していく中で、いずれそういう形に収れんされていくのかもしれませんけれども、今は、希少疾患については治療研究とかそういう分野であるということできちんと評価をしておけば、そこのところは、福島先生と僕たちが言っていることとは全然違うとは思っていなくて、それはそうだけれども、ここまで持ってきた難病対策の概念を今ここで外してしまう必要はないだろう。むしろ、ここまで研究の中、対策の中で成果を上げてきて、いろいろな治療のおかげで以前のように非常に悪い状態にもならなくて、これから普通の社会人と同じように就職もし、結婚もし、家庭生活もしていくのだという人たちをどう支援していくかというときに、日本の法律の中で、あるいは体系の中でそういう方々をどうやって支援するかという体系がない現状の中で、この難病対策はそこを切ってしまうと多くの患者さんを切り捨ててしまうということになります。
 あるいは、そういうばねで、今後、日本の医療保険制度とか福祉の制度ももっと幅広く発展していくべきだろう。固定された障害ではなくて、病気によって社会的な不利な状況にある方々も支援していくのだという制度をつくっていく上では、難病対策もそれの発展に寄与するということから考えれば、研究という側面だけ見て希少性ということを言ってしまうのではなくて、もっと幅広く難病対策をとらえるべきだと思います。
○福島構成員 単純に研究の面から、私も、恐らく葛原先生も言っているのではなくて、余り議論が幅広くなってしまうと、それから、時代とともに、例えばSLEとかの疾患は今になったら非常に多いわけです。それも、つまり希少難病という一くくりで言ってしまうと、アルツハイマーだってという議論になってきてしまうので、ここできちんと今の時代の到達点と今後のことを踏まえた上で、定義をきちんとしてリセットした方がいいと思います。
 伊藤委員のおっしゃることは、つまり、福祉的な面で、現在の治療方法でどうしようもなくなった人は、やはり難病になり、社会的に支援が必要になります。そういう支援の内容と区別するべきだと思います。
○葛原座長 これは何度も繰り返している論議ですが、本間構成員とか千葉構成員の方から何か御意見なり、追加なりございますか。
 どうぞ。
○本間構成員 また一種の堂々めぐりといいますか、これは何回もやっているのです。私も患者団体の代表としてここで発言させていただいているのですが、私のやってきたところは、最初から現在に至るまで終始、希少難病の希少の部分をずっとやってきたのです。この時代になって何で希少がこれだけ続いているかというと、一つは医学の発展がありまして、言葉は悪いのですが、次から次へと難病が出てくる。治療法もわからない。全国に数十人、数人しかいないという病気の方々の相談などを受けていますと、ここに書いてある治療法云々、希少性というのが非常に強く意識されるわけです。
 その一方で、当時から担当してきた難病は、だんだん数が増えてきますと、個別の患者会として独立していかれるわけです。そういうところは割と人数も多くて力も出てくるということなので、独立した方は頑張ってくださいねという感じになってしまうのですけれども、残されたあせび会の方の患者なんかは、そういう個別の患者会をつくる力もないぐらい希少性といいますか、少ないのです。そういったところには、難病対策といえば、ここにもう少し光を当てていただきたいというのが基本的な我々の立場で、そういう意味では、伊藤先生とおっしゃることが若干立場的に違うかもしれません。
 以上です。
○葛原座長 千葉構成員は何かございますか。
○千葉構成員 大きく2つの意見が出されているわけですけれども、どちらもある意味で納得できるところがあって、結局、これは法制化ということを視野に入れたときにどうするのかというあたりを考えると、私としては、いわゆる言葉をクリアーカットにするという話と、ここでいう話とは若干違うようなニュアンスを感じるわけです。
 私自身は、難病としては率直に言って、特に?、?、治療法が未確立であって、障害があって重症であるというのが真の意味の難病だと理解しているのですけれども、結局、研究の推進ということを考えた場合に希少ということは入れざるを得ないというのが一方であって、それを入れた形で話をしていきましょうというのが今までの議論ではなかったかと思うのです。
 ですから、今お話があったように、ずっと議論をされてきて、そこはなかなか決着がついていないわけですけれども、逆に、一方で患者が増えたから外しましょうということにはつながっていかないと思いますし、これらを全部包括した形でいいのではないかというのが私の結論といいますか、意見です。
○葛原座長 今日はまだほかに論議することがありますし、大体もう意見は出尽くしたので、次に移りたいと思います。
○伊藤構成員 別な角度から質問があります。
○葛原座長 では、できるだけコンパクトにお願いします。
○伊藤構成員 1つは、資料1の2つ目の丸の中にあるのですけれども、「難病」の範囲を明確化するためにということで、診断基準が一応確立している、あるいは疾患概念が明らかであることを対象とするということになりますと、今は、病名もわからない、あるいは診断基準も治療法もなかなかはっきりしないということで本当に苦しんでいる患者さんたちのことは、この中から外すのかという議論が1つ。
 それから、参考資料5-1にあります、政府の社会保障・税一体改革大綱にある12の難病対策で書かれている数行との関係は、今後、新たな難病対策ではどうするのだということについては、健康局の御意見というか、事務局がどうお考えになっているかをお聞きしたいのです。
○葛原座長 今、これは答えられますか。
○外山健康局長 資料1の(1)「難病」の定義の2つ目の丸の「難病」の範囲(外縁)のところの検討の際に、「疾病概念が明らかであることが必要ではないか」という呼びかけになっていますけれども、この趣旨は、仮に難病というものを定義して法制化、あるいは事業として確立する場合は、例えば医療費助成のことを考えていけばわかりますように、ある一定の疾患概念がなければ特定できませんものですから、そういった事業を念頭に置いたときには、当然、通常は疾患概念が確立したものでなければ事業として展開しにくいだろうという意味で、「疾患概念が明らかであることが必要ではないか」ということを言っているのであって、難病政策から除外するという趣旨ではありません。
 参考資料5-1の閣議決定の文言につきましては、「難病対策」のところで、「希少・難治性疾患の範囲の拡大を含め」ということで、「希少・難治性」という言葉は「助成対象の」にかかっておりまして、ここを特に「法制化も視野に入れ」ということになっております。
 したがって、今、難病対策全体の法制化ということも念頭に置きながらやっていただいているわけでありますけれども、国あるいは地方公共団体に強制的に法律に定めることによって、今までの研究事業ではなくて、義務的に国費なりそういったものを支弁するといったことを強制的にやらせるために、その部分に着目して法制化も入れた場合には希少性、難治性ということを強調しているということであります。
 その他につきましては、逆にまた治療研究、医療体制、福祉サービス、就労支援等につきましては、総合的な施策の実施や支援の仕組みの構築といっておりまして、これは役所的な言い方をしますと、逆に法制化とは書いてありませんけれども、法制化を否定しているわけではございません。したがって、このワーキンググループあるいは難病対策委員会の御議論を進める中で、いろいろ御提言をちょうだいする中で政府案というものを固めていくというスタンスに立っております。
○葛原座長 今、実は伊藤構成員が最初におっしゃったことは、私も今日一言お願いしておこうと思ったことです。先ほど本間委員もおっしゃったように、ある漠然とした難病グループがあって、特定の範囲の疾患概念が明らかになると、そこだけ病名がついて、残された部分が置き去りになるという事態が起こることがあるのです。私自身の経験ですと、昔は、パーキンソン病の概念が広くて変性性パーキンソン症候群全体を含むものだったのが、研究が進んで、それの中にはパーキンソン病と進行性核上性麻痺と線条体黒質変性症があるということが分かったら、パーキンソン病以外は全部特定疾患から外れてしまい、特定疾患に再び入れるのに10年ぐらいかかったということがありました。きれいな診断基準を強調すると、同じ症状を呈する病気だけれども、ちょっと原因が違うというのが全部はじき出されることがあるので、そこははじき出されないような仕組みにしておいていただきたいと思っています。
○外山健康局長 むしろ専門的なお立場で御意見をいただきたいのは、目的は事業を展開するに足る疾患概念ということであって。
○葛原座長 それはほとんどの難病に十分なものがあると思います。
○外山健康局長 そういう趣旨でございますので、必ずしもクライテリアがそろっているとかそろっていないというレベルだけではなくて、広くグルーピングして進むべきであればそうだというふうな、決まっておりませんけれども、そういう趣旨でございます。
○葛原座長 対象疾患の名前をどういう形にするかをきちんと書いておけば、似たようなことは起こらないと思いますので、是非、最後の法整備の時にはそういう形にしていただきたいと思っております。
 難病の概念と定義の問は、恐らくまた堂々めぐりになろうかと思いますが、一般的な意味での原因が不明で治療法がなく、いろいろな後遺症とか障害を生じ、そのためにいろいろな問題を抱えるような病気というよりは、47年の難病対策要綱の具体例にも書いてあるような、比較的まれな病気ということでこの政策は進めた方がいい、そうしないと話がなかなか前に進まないし、治りにくい病気、障害の強い病気一般に解消されてしまわない方がいいという方が御意見としては多いということで、ここはまとめさせていただくということでよろしいですか。恐らく、全員を同じ意見にしろといっても難しいと思います。
○伊藤構成員 こだわるようですけれども、例えば研究とかそういう形でまとめられることについては別に異論はありませんけれども、このワーキンググループとしてそういうぐあいに、今、座長がおっしゃられるような形でまとめられるということでしたら、保留をさせていただきたい。
○葛原座長 あと、難病の定義とか、諸外国との比較とか、現在、日本にどのくらいの患者さんがいるかということに関して、皆様にお諮りしたいことがございます。現在、厚労省の方で難病の定義とか、難病政策の在り方を検討する研究班がございます。そこに、今、議論になっているような案件を検討する上で必要な具体的なデータの検討をお願いして、疫学的なデータが中心になろうかと思うのですが、資料の収集や整理の作業をお願いするということでよろしゅうございましょうか。
 国立保健医療科学院院長の松谷先生が班長で、千葉先生もその委員のお一人なのですが、そちらの方に具体的なデータや内容とか、あるいはどういう疾患群があるかとか、患者数はどのくらいという調査をお願いし、結果については順次報告してもらって検討材料にすることで進めたいと思います。
 定義とか概念は、それぞれ皆さん御意見あると思いますが、ここで一応この話は終わりということで次に進みたいのですが、よろしいでしょうか。
○荒木疾病対策課長補佐 先ほどの(2)「障害者総合支援法案との関係」の論点の部分については、いかがいたしましょうか。
○葛原座長 これは、なかなか皆さん今すぐはピンと来ない点もあろうかと思うのですが、障害者自立支援法の改定案の中に難病対策事業これを入れていくという形で話が進んでいるということなのですね。対象となる障害の中に難病が入っていると理解していてよろしいわけですね。
○伊藤構成員 少し違います。難病という概念は入っているのですけれども、対象については政令で定めるとなっておりまして、その政令で定める範囲は何かということが、この難病の定義にもかかってくることなので、繰り返しですけれども、難病の定義をどうするかということはこの問題にもかかわりますので、慎重に御議論をお願いしたいと思います。
○葛原座長 荒木さん、ここではどの程度のことを皆さんと論議しておけばよろしいのですか。総合支援法との関係、勿論いろいろな形や場所でやっていただくのは大賛成とは思うのですが、議論から外されることは困るというのが皆さんの御意見だと思うのです。ここでは具体的にはどういう御意見をいただいておくと、これからの論議の上で有用に反映されるかということについて、いかがですか。
○荒木疾病対策課長補佐 今回こちらの方で書かせていただきました論点でございますけれども、先ほどから定義の話と関係ということでそれぞれ大きく2つに分けていただいていまして、総合支援法との関係につきましては、先ほどの難病対策全般の総合的な対策をとるべき難病の範囲については、若干希少性をどうするかという、今、お二つ議論があったと思いますが、そこと、更にこの政令、障害者福祉サービスの対象とすべき疾病の範囲との関係をどうするかという、若干違う論点になっていますので、障害者福祉サービスとの関係をどうするかというのも何か御意見がございましたら、別にここで決めるというわけではございませんで、さまざまな観点からの御意見をいただきたいという意味でございます。
○葛原座長 これは、むしろ患者さんの団体からの話の方がもっと切実感があるかと思います。本間構成員と伊藤構成員、一言ずつ何かこれについて、きっと既によく検討していらっしゃるのではないかと思うので、まずはご意見をいただけますか。
○本間構成員 政令で定める範囲というのがどうなるか注視しているのですが、我々の立場からすれば、要するに基本的に広く含めていただきたい。これは、伊藤委員と全く同感です。
○福島構成員 私も全く同意見なのですが、つまり、概念が違うものをごちゃまぜにする必要はなくて、要は障害者総合支援法は、障害者と認定されて、例えば要介護度、介護認定で幾つならこういう支援があるというわけです。そういうのと同じようなカテゴリーなのです。だから、希少・難病というふうに、難病というのと希少というのを一緒くたにして議論をするからコンフューズするので、希少は希少、難病は難病で、難病で特定するかどうかという議論なのです。違う概念をごちゃまぜにして議論してはダメで、障害者と認定されれば、難病であろうがなかろうが支援するのが憲法に定められた国としての在り方です。だから、それを同じ視点で議論する必要はなくて、難病であっても、例えば骨髄性白血病(CML)なんかは昔は難病だったけれども、今は内服だけでいい。ところが、マーケットサイズが少ないから薬はめちゃくちゃ高い。一月4万5,000円以上出さなければならなくなったら家計は破綻してしまうでしょう。それをほっておいていいのかという議論になるわけです。
 ところが、希少という概念でくるめてしまえば、患者数を5万なり6万で切ってやれば。そうすれば、それも一定の額は補助するとかいうことになるわけです。そういうふうに議論を分けていかないといけなくて、ごちゃまぜの議論をしていたら、いつまでたっても堂々めぐりです。希少は希少、障害は障害、難病は難病、特定するかどうかはまた別の問題。これは国語の話ですよ。
○葛原座長 要するに、私もこれは障害者手帳とか、身障手帳を見ると何級というので、パーキンソン病で歩けなくなっても、脳卒中で歩けなくても、障害が同じなら同じようなサービスを少なくともきちんとするということさえ担保されておればいいのではないかと思うのですが、伊藤さんはどう思いましたか。
○外山健康局長 ちょっと違いました。障害者政策全般の見直しの中で、いわゆる難病についても障害者施策の対象にして谷間がないようにしようという大きな流れがありまして、通常の障害者政策でありますと、例えば動けないであるとか、ADLだけに着目したような分類で公共サービスが行われているわけでありますけれども、難病のように、例えば断続的に症状が変化して、あるときは動ける、あるときは動けないとか、そういうものはなかなか障害認定と差が出てくる。しかしながら、新たな障害者施策の中では、そういった難病の一群についても新たなカテゴリーとして入れて、全体として自立支援を動かしていこうといった形でありまして、障害者総合支援法の4条の中で政令にゆだねられたということなのです。
 ところが、今、我が方が懸念しておりますのは、先ほどの医療費助成は希少性に着目ということで、その他の範囲をどうするかという話でありましたけれども、やはり大きく定義するのは、希少疾患だけというお話もありますけれども、これから目指す新法の方が難病を主に定義していく。
 そうしたときに、その範囲の規定の仕方によって、障害者総合支援法に定める政令等の関係について、全く違うものだと言い切れば違うものになるかもしれませんけれども、今のところの議論は、両者の関係をにらみながらやるべきではないかということになっておりましたので、先生方の御意見をお聞きしたということでございます。
○葛原座長 わかりました。今の身障手帳なんていうのは、症状が固定して半年とかで、原則は固定というのが前提になっているわけですね。
○外山健康局長 そうです。
○葛原座長 今、局長がおっしゃったのは、こういうぐあいに固定しない、進行する、場合によっては寛解状態でよくなってしまうような病気の扱いをどうするかということですね。
○外山健康局長 そうです。
○葛原座長 これは、こういう病気に関しては別の扱いのカテゴリーを一つをつくっておいていただかないと、うまく対応できないということですかね。
○福島構成員 しかし、今、要介護認定でも、私の父なんかは5から4になったり、4から5になったり見直ししています。そういうので弾力的に運用されているように思うのですけれども、そういうやり方ではだめですか。
 つまり、いわゆる希少性の疾患と定義してあっても、非常に幅広いものだから、例えば神経疾患だったら、先ほど葛原先生がおっしゃったような寛解期もあるし、また非常にADLが障害されるときもある。そのとき、そのときで見直して、それでやるというカテゴリゼーションを障害者総合対策の方でもやれるなら、それで全部包括的にいけますよね。
 例えば、アルツハイマーにしてもそういうことがあると思うので、そういうのを全般に国が全体をカバーできるようにやればいいということでいかがですか。
○外山健康局長 今日は資料が不十分なので、論点はまた後で御相談いたします。ただ、この障害者自立支援法といいますか、総合支援法の新たなサービスにかかわるものとほぼ同じような事業が、実は疾病対策課の方の予算事業でありまして、対象は調査研究疾患の130疾患プラスリウマチという範囲でやっているのですが、その在宅サービスも含めまして売れ行きが非常に悪くて、それは門戸が狭いという話もあるのですけれども、あるいはサービスメニューがまだ足りないという話もあるのですが、いわゆる真のニーズがある方が受けられていない可能性もあります。そういう観点から、今度の障害者総合支援法にもし入れ込むのであれば、そういった認定の方法なんかももう少し従前よりも違ったものにすべきではないかという流れがございます。
 今、先生がおっしゃったように、従前よりはもう少し弾力的にという流れもあることは事実でありますし、そういった認定の在り方というのは、それ自体で今も見直しが進んでいることは事実なのですけれども、新しくこの分野が参入するに当たっては、もうちょっと範囲や、次に程度ということが書いてありますけれども、程度についても我が方からまた意見を言うべき立場にあると思っております。
○伊藤構成員 これは非常に時間的な制約もある話でして、今、国会の審議がストップしておりますけれども、今の国会でこの法案が成立しますと、来年の4月からの施行なわけです。そのときに初めて、固定された障害ではなくて、いわゆる疾病という概念のものも、難病という表現ですけれども、日本の福祉の法律の対象に入った初めての法律なわけですから、しかし、言葉ではこう入れても、実際その範囲はどうするかということが、今、この難病対策の方に球が投げられてきている。
 ですから、やはりこの難病対策委員会ないしワーキンググループで、この法の対象とする疾患あるいは概念をどうするのだという枠組みをきちんと決めないと、もしも国会が動いて、法案が成立して、来年4月から実施というときに、難病についてだけは対象範囲が決まらないままの法律になってしまうということがありますので、これは是非御議論いただくか、あるいは事務局にこの扱いを投げるのであれば投げるなりなんなりを明確にしていただかないと、多くの患者さんは期待していながら、なおはっきりしないという問題が起きてきますので、これについてもきちんと御議論を願いたいと思います。
○葛原座長 これだけでは僕らも判断しかねるところがありますので、例えばどういう問題点があるのか。従来の障害者自立支援法であれば、固定した身体障害とか重症心身障害とか、加齢を除けばそんなに進行性の病気ではない疾患を対象にした制度設計になっていると思うのですが、難病のように固定したもの、進行性のものからある程度変動するようなものを含めた場合に、どういう問題が出てくるのかということを少し整理して出していただきたいと思います。
 もう一つ、内臓障害の身障手帳というのは、僕は心臓の病気の友達もいますけれども、ある手術をしただけで重度障害の等級の手帳が発行されているのもあるようで、評価基準は必ずしも一律ではないように思いますから、そこら辺は一回論点整理していただいたものを出していただいた上で、難病の方から見て、こういう要望とか問題点があるということが指摘できれば、もう少しスムーズに検討が進むのではないかと思います。今日の話はここまでで、次回の方に回させていただくということでお願いしたいと思います。
 なお、繰り返しになりますが、先ほどの難病の定義とか外国との比較に関しては、先ほど申し上げましたように、研究班がございますので、そちらの方にお願いして、資料も既に集めているのがありますから、次回には整ったものから順番に研究班の方から報告していただくことにしたいと思います。
次は、第2点の問題で、「医療費助成の在り方」について、資料2、参考資料3、4がございますから、これについて事務局から御説明いただきます。
 
○竹内疾病対策課長補佐 それでは、資料2に基づきまして御説明をさせていただきます。
 「医療費助成の在り方」について、まず1番目、「医療費助成を行う考え方」でございますが、なぜ医療費助成を行うのかという理由と申し上げていいかと思いますが、現行の特定疾患治療研究事業について、どういう目的で行われているのかということでございます。
 現在の特定疾患治療研究事業の実施要綱が公的なものでございます。これの目的の部分を抜粋してございますが、この中身を見ますと、「治療がきわめて困難であり、かつ、その医療費も高額であるので」というのが理由という意味では書かれてございます。その一方で、特定疾患医療受給者証を発行しておるわけですけれども、この受給者証の裏面を見ますと、公費負担により受療を促進することによって、その原因を究明し、もって治療方法の開発等に資することを目的とすると書かれてございまして、ここは、まさに実施要綱の最初に書いてある目的と、実際の医療受給者証の裏面に書いてある目的が、普通に読みますと違う目的が書かれているかのように読めるということでございます。
 (2)「検討すべき課題」は、2つ大きな側面があるのではないかと考えてございます。まず1点目が、「社会的・公共的な側面」と整理をさせていただいておりますけれども、難病につきましては、発症する確率は非常に低いものの、国民のだれもが発症する可能性があるということで、これは昨年12月に難病対策委員会の中間的な整理の中に書かれている文言でございます。
 また、難病は症例数が少なく、各医療機関等の個別の研究にゆだねていては必要な症例が不足し、その原因の究明、治療方法の開発等に困難を来すおそれがあるということでございます。
 こうした観点から、医療費助成を行うことで患者の受療を促進するとともに、治療研究を推進する観点から、希少な症例の全国的なデータの集積を行うことについてどう考えるかということで、さまざまな症例データを集めることで、それが治療研究に資することで、将来にわたって治療方法の開発が進んでいくということで、社会的・公共的な意味での側面を強調した理由としてはこうしたことが考えられるのかということで、むしろ、これは現在の特定疾患医療受給者証の裏面に書いてある理由を引き写したものとお考えいただければと思います。
 2点目の丸でございますけれども、この理由を考えた場合に、希少な症例の全国的なデータの集積を行う観点から見た場合、現行の医療費助成の仕組みでは、原則として対象疾患の患者すべてに医療費助成を行うことになっておるわけでございますが、こうしたやり方についてどのように考えるかという課題を提示させていただいております。
 今申し上げたような考え方をとる場合、繰り返しになりますが、症例が少ないということを何度も申し上げました。希少性の要件が必須となるということでございますけれども、その際、参考資料1の2ページに、平成9年3月に出された検討部会の報告が書いてございますけれども、この中で、国内の患者数がおおむね5万人未満の疾患とするという基準が示されておるわけでございます。これについてどう考えるかということであります。
 これに関連いたしまして、3ページの一番上の課題でございますけれども、米国及び欧州における「希少疾患」の「希少性」の判断基準からすれば、「国内の患者数が概ね5万人未満」という我が国の基準が適当なのかということでございます。
 参考資料2-2をつけてございます。これも1回目のワーキンググループの方でもお配りをしておりますが、我が国の基準は、先ほど申し上げたとおり、患者数がおおむね5万人未満でございますが、米国につきましては10万人につき65人未満、欧州については10万人につき50人以下ということで、日本の基準と平仄をとって比較してみますと、米国の場合は患者数が7.7万人、欧州の場合は6.0万人でございまして、日本の5万人未満という基準と比べてどうなのだろうかということでございます。
 3ページの上から2つ目の丸でございます。医療費助成について、今申し上げたように、医療費助成を行う理由を仮にそうした研究促進という観点から見た場合、希少性の要件が必須ということになるわけでございます。そうした場合、医療費助成とその他の施策、全体的な総合的な対策を行う上では、医療費助成以外にもさまざまな施策を考えておるわけでございますけれども、そうした施策において希少性の要件に差を設けるということは考えられるのだろうかということであります。
 それから、医療費助成を行う理由のもう一つ大きな側面といたしまして、福祉的な側面と書いてございますけれども、これも昨年12月の中間的な整理の中で記載をされてございます。難病に罹患した患者の中には、重篤かつ慢性の症状に苦しみ、治療法が未確立のため、その治療が長期間にわたり、医療費の負担も高額となっているものが存在する。このため、一般的な高額療養費の制度があるわけでございますが、この高額療養費制度だけでは十分な負担軽減を図ることができず、医療費助成によって患者の医療費のさらなる負担軽減を図るという考え方についてどう考えるかということでございます。
 ただ、こうした理由を考えた場合に課題となりますのが、高額となる医療費の負担軽減という観点から見た場合、がんなど他の慢性疾患でも高額な医療費に苦しんでおられる方がいらっしゃるという中で、そうした他の慢性疾患と比較して難病についてのみ医療費助成をすることについて何か特別な理由が必要になってくるということで、どのように考えたらいいのだろうかということであります。
 それから、大きな2番目でございますけれども、「医療費助成の基本的枠組み」ということで、検討すべき課題を幾つか列記させていただいております。
 まず1つ目の丸でございますが、公平性の観点から、現行の医療費助成につきましては、その助成の対象となる疾患を56疾患に絞って指定をしておりますけれども、そうした対象疾患を絞り込むというのではなくて、ここでは、例えば重症度と書いてございますが、疾患自体は幅広くあって、一定の基準に基づいて対象患者を認定するやり方についてどう考えたらいいのだろうか。
 それから、現在、医療費の助成制度としては、小児慢性特定疾患治療研究事業がございます。これは参考資料2-3として、資料の上のところに書いてございますけれども、治療が長期間にわたり、医療費の負担が高額になるという点では、福祉面についての考え方は私どもと基本的には同じということになりますが、更に児童の健全育成を目的に行われている事業でございまして、この事業の対象となる疾患との関係についてもどう考えていったらいいのかという論点もあろうかと思います。
 2つ目の丸といたしまして、公正性の確保の観点でございますが、これも昨年12月の中間的な整理の中にも認定の適正化を行う必要があるという指摘があるわけでございますが、具体的にどのような仕組みが考えられるかということで、これは前回のワーキンググループでも御指摘があったようでございますけれども、例えばあらかじめ指定された専門医の診断を要件とするといった方法や、更には、その認定を受けた方について、自らあらかじめ選んだ指定医療機関での受診とするといったことについてどう考えるかということであります。
 また、疾患ごとの治療ガイドラインを策定することによって治療の標準化を行うことについてどう考えるかという課題を示してございます。
 7ページ、参考資料2-4、他の制度におきます「指定医師・指定医療機関の例」ということで、「身体障害者福祉法における指定医師」を例にとってございます。これは、医療費助成ということではなくて、身体障害者手帳の申請に当たって、申請書に指定医師の診断書、意見書を添付しなければならないという仕組みになっていることを例として取り上げてございます。
 8ページには、精神保健指定医について書いてございますが、こちらの方は、手帳の申請については必ずしも精神保健指定医に限られるものではなく、この精神保健指定医というのは、むしろ措置入院等の判定というのが主な役割という中で、申請に当たって精神保健指定医は勿論申請をできますし、加えて精神障害の診断または治療に従事する医師についても診断書を書けるということでございますので、精神保健指定医に限定されている例ではございませんけれども、参考としておつけしてございます。
 9ページ以降は、指定医療機関の例でございますが、こちらは障害者自立支援法における指定自立支援医療機関ということで、更生医療、精神通院医療、育成医療につきまして、あらかじめ指定された医療機関で受診をすることになっております。
 治療ガイドラインの関係では、参考資料2-5として10ページ以降に資料をつけてございますけれども、現在の医療費助成、特定疾患治療研究事業については、対象医療の範囲といたしまして、あくまでも認定された対象疾患及び当該疾患に付随して発現する傷病に対する医療に対象が限られます。更に、若干Q&Aのようなものも11ページに参考までにつけてございますけれども、治療ガイドラインを作成することで、ある程度標準的な医療、それから大きくそれたものについては医療費助成の範囲から除いていくということがある程度範囲として明確になってくるのではないかという効果もあって、治療ガイドラインというのを策定してはどうかということを書いてございます。
 最後の丸でございますけれども、他制度との均衡の観点から、給付の水準ということで、公費で負担される額、率直に言えば患者さんの自己負担ということになるわけですが、自己負担の見直しを検討することについてどう考えるかという課題でございます。
 ここでは主な検討事項として、入院時食事療養費、入院時生活療養費、薬局での保険調剤、更には対象患者さんが負担をいたします一部負担額ということで、高額所得者、それから重症の患者さんについては、現在、原則自己負担なしとなっておるわけでございますが、こうしたことについてどう考えたらいいかということで、12ページ以降、制度の比較表でありますとか、それぞれの制度におきます自己負担限度額表を参考資料2-6として添付させていただいております。
 やや御説明が冗長になりましたが、説明は以上でございます。
○葛原座長 ありがとうございました。
 資料も多岐にわたっていて、あちらを見たり、こちらを見たり大変だと思いますが、これは医療費助成をなぜ特定疾患だけがほかよりも優遇的に受けられるかという根拠と、実際にどういうサービスが現在行われているかに関するものです。最後の資料にあるように、自己負担なしというのが非常に多いのが特定疾患の医療費助成の特徴です。これらも法制化ということになれば、ある程度ほかの制度と揃えざるを得ない部分が出てくる可能性もあるのだろうと思うのですが、そういう点も含めて、検討したいと思います。項目は幾つかありますが、まず最初に、これがどうして医療費助成の対象になっているかという根拠として、資料2の最初の方に書いてございましたけれども、この辺から少しずつ御意見をいただいていけばいいと思うのですが、何かございましょうか。
 受給者証の表と裏とで書いてある内容が違うという話もありましたが、結局、こういう公費の負担をすることによって、数の少ない病気の受診を促進して、数を集めることによって研究を進める。それによって、少ない患者さんのデータを集めて、診断だとか、あるいは治療の研究ということに益するような方向性をつけるということがある一方で、もう一つは、難病で長期にわたって障害が大きいということで、福祉的な側面も同時にその中に盛り込んでいるという内容だったと思うのですが、このことについて賛否も含めて、あるいは時代に合うか合わないかも含めて、もし御意見いただけましょうか。こういう論拠で説明しているということだと思うのです。
 何かございますか。これはよろしいですか。
○福島構成員 何をどう議論すればいいのか少し整理していただきたいのですけれども。今、竹内さんから話があった点について、かなり広範なところで医療費助成を行うということで、例えば現行の特定疾患治療研究事業という中で医療費助成が定義される在り方がいいのか悪いのかという議論なのか、いっぱい議論するところがあるのですけれども、どういう議論を進められるのですか。
○葛原座長 これは、多分こちらからは、できるだけ広くたくさんの助成をという意見しか出てこないと思いますので、最初に厚労省の方から問題点をお示しいただきたいと思います。自己負担の割合をどうするかとかについては、恐らく予算と患者数からいえばこのくらいのことまでという線もありましょうから。先に局長の方から、そこら辺の御意見をいただいた上で、こちらの意見を出すということでいかがでしょうか。
○外山健康局長 今、担当の竹内補佐の方から説明しましたけれども、例えば現行は、予算事業で医療費助成をやっているわけです。これが患者医療費の負担軽減だけではなくて、裏面を見れば、事業名としても治療研究というのが全面に出ている。仮に法制化する場合に、こういう自己負担のところを補てんすることになるのか、あるいは医療全体を給付するという形になるのか議論は分かれますけれども、今のところ、他の事業を見れば、治療研究自身のために医療費を対象の方々全員に国費を強制的に払うという仕組みにはなっていなくて、それは治療研究と、今のところ事業の柱建てというか仕立ては分かれております。ただ、今の予算事業は、少なくとも形式的には治療研究というものも捨てていないというあたりを、今後どういうふうに先生方に見ていただくかということは、まず入り口として大きな論点になるのではないかと思います。
○福島構成員 そうすると、議論の仕方で、治療研究を継続するために患者さんにも国から補助して、そしてちゃんとドクターとか医療施設とのアドヒアランスですね、それは一つあると思うのですけれども、目的がちょっと違っているものを一緒に議論していると思うのです。
 つまり、生活が破綻してしまったら国家的な問題になるわけです。先ほど申し上げたように、CMLでもグリベックみたいな薬がでてくる。つまり、今後、ビッグファーマーが、希少疾患に対しても薬を出してくる。しかしながら、やはりそれはすごく高くなります。開発コストをマーケティングにつけまわす。しかもずっと飲み続けなければならぬことになるから、患者さんにとってはすごい負担になるわけです。
 だから、そこで議論を同じようにしていることはできないと思うので、やはり目的は家計が破綻しないように生活を支援するという側面があるわけですから、そっちの議論と研究とを一緒くたにしたらだめだと思います。一緒になる部分はあると思うのです。だから、絶対に生活が破綻しない限度について、その人の所得とか何かとの関連できめ細かく支援できるようにするということを考えないといかぬのではないですか。
○外山健康局長 もうやめますけれども、私たちは一緒にすべきだとかすべきでないとか言っているのではなくて、現状はこうであるけれども、全体的に識者の方から見たらどういう方向性がいいのかということをお教え願いたい。
○福島構成員 私の申し上げたいのは、そういうところをきちんと分けて、生活の破綻がないように国は保障しますということを言明した上で制度設計していただきたいと思います。
○葛原座長 どうぞ、伊藤構成員。
○伊藤構成員 この「医療費助成の在り方」というところが、先ほど1のところで議論した希少性を難病の定義にするかしないかというところにかかってくる問題で、ここのところが、私は希少性ということをきちんととらえていくという場面なのだと思うのです。それは、例えば3ページの上から2つ目の丸にありますように、医療費助成はさまざまな制度もあったり、難病対策の中でもあるわけですけれども、この中で希少性の要件に差を設けるということは考えられるかどうか、それが妥当かどうかということが希少・難治性疾患をどうするかという難病対策の由来のものがあるのだと思うので、ここは希少性の要件に差を設けるということはあり得るけれども、同じような難病対策の中でここに差をつけるということは妥当でない。それは、同じような条件がある疾患については、ひとしくこの対策の中に入れるべきだということが私の意見でもありますし、この項目の肝要な点なのだろうと思います。
 ただし、3つ目の丸にあります「一般的な高額療養費制度だけでは十分な負担軽減を図ることができず」ということについては、ちょうど福島構成員がおっしゃったように、本来の制度できちんと行うべきものが行われていないからそういうことが起きるのであるということについては、ここもはっきりと日本の医療保険制度の弱点であるということを明記した上で、しかし、そちらの制度の充実はなかなか進みませんので、難病対策でやらなければならないのか、やはり高額療養費助成制度をきちんと機能させるべきかということについての議論と見解を出すべきだと思います。
 私は、まず、難病対策で持つべきでない部分も含まれているとすれば、一般的な高額療養費制度をきちんと機能させるべきです。これは、去年もおととしも議論されながら社会保険審議会の中でも通らなかったのです。そこのところをもう一度、難病対策の方からも頑張って、それは難病対策というよりも一般的な政策であろうということで持っていっていただきたい。
 それから、4つ目の丸ですけれども、高額となる医療費の負担軽減から見た場合、がんなど他の慢性疾患と比較して医療費助成をすることについてどのように考えるかということについての説明の意味がよくわからないというか、そういうことで公平性ということを言うのだったら、難病対策そのものがおかしいではないか、不公平な政策ではないかということになりますので、こういう論の立て方自体が適切なのかどうかということは、むしろ私の方からも問いたいと思います。
 これは、同じく3ページの2の「検討すべき課題」の中で「公平性の確保の観点」と書いてありますけれども、何と何を比較して公平性ということを言うのか。では、ほかの障害者福祉、さまざまな福祉と難病対策と難病患者の状況と比べて、それはどのように公平でないのかということはやってきたわけですから、今さらこれをやるのか。あるいは、本当に公平性ということであれば、難病対策の中に入っている疾患と入っていない疾患との公平性はどうなのだということも議論しなければならなくて、これでいくと、この議論の仕方というのは、どう考えるかということだけを投げかけられても議論のしようがないのではないかという気がいたします。
 下から2つ目の丸でも、「公正性の確保」ということで書かれていますけれども、しかし、これは単に専門医の診断を受ければいいということだけなのかどうか、これは次のページの課題にも係ると思いますけれども、地域性とか専門医の存在だとか、あるいは専門医とは何かということも同時に考えていかなければなりませんし、治療の標準化というのは、患者にとって大変ありがたい反面、治療についての保守化になっていく懸念はないのか。つまり、治療をガイドラインということで、さまざまな実験的なものを縛ってしまうことはないのかということもきちんと保障した上でのガイドライン策定ということも考えていかなければならない。
 一番下の丸ですけれども、「他制度との均衡の確保の観点から」ということでありますけれども、他制度との均衡をすべてやるのだったら難病対策は要らないのではないか、全部他制度と均衡にすればいいのだ、特殊な対策なんか要らないのではないかということにもなりかねないので、こういう論の立て方もいいのかどうかということも含めて、これは難病対策もすべて他制度と同じものにするという意思なのか、そうではなくて、この難病対策を特にやらなければならないという観点でいくのか、あるいは、これは単に入院時食事療養費とか生活療養費ということで、ここの部分をほかの制度と同じにしてということを言っているのかということをもう少し明確にしていただきたいので、そちらの方からお答えいただきたいと思います。
 以上です。
○葛原座長 事務局の方から、今の質問に対する答えで出せるのがありましたらお願いします。
○竹内疾病対策課長補佐 ここで書かせていただいた、最後のところの「公平性の確保の観点」とか「公正性の確保の観点」といったものはどこから拾ってきているかというと、昨年12月の難病対策委員会の方でおとりまとめをいただきました今後の難病対策の検討に当たって中間的な整理というものが出されておるわけでございます。この中で、まさに現在の難病対策の課題というところで指摘をされております、医療費助成研究事業の対象疾患が限られており不公平感があるという課題に対しまして、今後の難病対策の見直しに当たってのポイントというところで公平性の確保という観点が述べられております。ここでは希少・難治性疾患の患者を公平に対策の対象とするということが述べられてございます。
○伊藤構成員 幅広く。
○竹内疾病対策課長補佐 ええ、幅広く。そういう意味で、すべてここに書かせていただいている、いわゆる何とかの観点というものについては、昨年12月の難病対策委員会で指摘を受けた課題、そこで見直しに当たってのポイントとして掲げられていたものをベースに、そこまでは逆に言うと中間的な整理の中で示されていることを前提に記述をさせていただいているということを、御説明も含めて不十分だったことはお詫び申し上げたいと思いますが、そのように御説明をさせていただきたいと思います。
○葛原座長 私の記憶でも、これは先ほど本間委員がおっしゃったようなことも含めて、56疾患に関しては非常に手厚い、だけれども、ほかの疾患は見捨てられているという意見は結構あるわけです。同じような難病であるにもかかわらず、特に希少性が強いほど今は見捨てられているという批判もあるわけです。そういう稀少疾患を全部拾い上げるためには、1番にあるように、難病の定義を見直して、少なくとも難治性で原因不明で障害が残って数がそんなに多くない希少難病は、56に限らず全部拾い上げるべきだということで1番のが出てきたと思います。
 そうした場合には、第一に、診断基準がはっきりしているもの、同じような難病であっても、それほどはっきりしていないものも含めて、どこまで含めるか。次に、診断をはっきりさせて、すっきりした医学的なデータとしても研究事業にふさわしいものにするためには、診断と治療方針に関しては専門医療機関の関与が必要ではないか。今日も資料にあったと思うのですが、日常的な治療は地域の医療機関でという形での整理が必要なのではないかという問題提起が2番目です。
 3番目は、やはり先ほどの一覧表で見ても、医療費助成が他の疾患と比べて格段に不均衡だと思われているものに関しては、多少の我慢が必要な面もあるのではないか、そして医療費助成を56疾患以外のものに広げるのに使うべきではないかというご意見が出てきたと思います。
 これは、去年の難病対策委員会で、いろいろな分野の人文系の方たちもいた席で出てきた指摘です。私はそれなりに真っ当な意見だと思ってお聞きしました。
 だから、場合によっては、こういうことに関しては多少ともほかとの均衡を考えること、さらに56疾患以外の希少難病の相当数を今後は医療費助成対象疾患に含めるという方向が必要だと思います。今の状態で例えば200疾患の予算が全部認められればいいのですが、そうでない場合は、場合によっては2番目、3番目のところを含めては少し見直しが必要な面も出てくるだろうし、ある程度認容できるかどうかという問題ではないかという気もするのです。
 千葉委員。
○千葉構成員 基本的には、今、先生が言われたことに賛成なのですけれども、先ほどから公平性というものについて何をもって公平とするかという議論はあったと思います。勿論そこの深い検討は非常に必要だとは思いますけれども、やはりこういう助成を行うに当たって、ほかの疾患群と比べた公平性、かつ、難病と言われる範疇の疾患群の中での公平性というのは基本的に重要であると思いますので、全体の流れとして公平性を維持していく方向に向かわせるというのは、私は必要だと思っています。
 私自身は、難病疾患について希少とするかどうかという話は別にして、疾患の重さといいますか、重症度といいますか、そういったものについて各研究班の研究も併せて評価してきた経緯があるわけですけれども、その中で、やはり今のままでは、結局五十数疾患に限定してというのでは、余りにも不公平過ぎると思います。
 二百数疾患、奨励研究として加わってきたわけですけれども、そうした中には、今の助成を得ておられる疾患群以上に重症のものもありますし、そういうことの見直しというのは必須であると考えます。
 奨励研究として挙がってきた二百数疾患も、学問的見地あるいは社会的見地から定めたわけではなくて、各研究者の方々が手を挙げて成り立った研究班でありまして、そこにはいろいろ背景があるのですけれども、私はもっと客観的な立場から、難病として包括すべきものであるとかいったことは今後検討すべきであると思いますが、いずれにしても、そういったことも含めて公平性の担保というところで改善が必要であろうと思います。
 もう一つは、研究と助成ですが、これは本来は分けて考えるべきものであるという意味では、福島先生が言われたことには基本的に賛成します。
 最初の話に戻って、できるだけ疾患群を多くして公平性を進めていくということについて基本的に私は賛成するわけでありますが、そのためにはいろいろな制度とか、つまりだれが診断するのかといったことは後で議論になると思いますが、そういうことも含めて改善が必要になってくると考えています。
○外山健康局長 今の公平性と他制度との均衡の論点の中で、今の特定疾患の治療研究事業は、国費は350億でやっているわけですけれども、その56疾患を、これからどれだけ増えるかというのはまだわかりませんけれども、今の予算の中でやりくりして右から左に流そうと思っているのではなくて、当然、予算の制約はあると思いますけれども、それはそれにふさわしいだけの予算をとらなければいけないと思っています。ただ、そうはいっても、これを制度化する際に、他の医療費の給付法的な事業と比較したときに、こういった論点もあるのではないかという趣旨でございまして、今のパイを次の希少性疾患に、何か今の人が我慢して分け与えるみたいなことではございませんので、よろしくお願いいたします。
○葛原座長 疾病対策課としては、56が200に増えるときは予算も何倍かぐらいの夢を持ってやっていらっしゃるようですが、それは財務省との関係もあるので、その場合には、余りほかの病気と差があり過ぎるような主張は通らない場合もあるということだろうと思うのです。
 あと、本間委員の方から何か今の論点に関して。
○本間構成員 これもずっと議論しているところで難しいのですけれども、患者サイドからしますと、確かに今、葛原先生がおっしゃったように、疾患の分だけ予算が増えるのであれば、是非とも増やしていただきたいわけですけれども、残念ながら、財務省サイド、行革サイドからは、基本的にこのまま野放図に増やせない。これは金澤委員長自身が危機感を持っておっしゃっているわけです。だから、我々患者団体もこれはまずいという危機感をかなり持つようになりました。
 ですから、必要なものは必要だと局長はおっしゃるのですけれども、それは担保していただけるのですかという素朴な疑問というのがどうしても我々はあるわけです。もしそうであるとすればということで私も何回も申し上げているのですが、やはり認定方法を変えた方がいい。特に私が申し上げているのは、診断基準を当初は研究と福祉と両方の面からスタートしたのですけれども、医療費助成は一種形を変えた謝金と、これも金澤先生の言葉なのですが、おっしゃっていたのです。ところが、あれから何十年かたっていくうちに、研究治療よりも福祉的な色彩が強くなってきて、研究治療のデータとしては精度が低い、わざわざ文書に出るぐらいに余り役に立っていない治療研究もあるわけです。その辺のことを考えると、もう少し実効性のある治療研究に役立てるためには、このデータの精度をどういうふうに高めればいいかということを患者サイドからも望む声が強い。これは、特にこの56疾患、130疾患から除かれている患者団体からの声は強いと思います。
 そういう意味で、我々なんかは重症度によって基準を設けるのもどうかという提案をしているわけですけれども、患者サイドも、言葉は悪いですが、惰性で医療費助成をしているということについては、自分自身で見直すという機運も必要ではないか、正直にそう思います。
 以上です。
○葛原座長 どうぞ、伊藤構成員。
○伊藤構成員 今の本間構成員のお話ですけれども、若干きちんと訂正しておいた方がいいかなと思う点がありますので、発言させてもらいます。
 1つは、今の難病対策の医療費助成は謝金という形で始まりましたけれども、昭和47年の難病対策要綱からは、この時点で既に謝金という言葉ではなくて、研究に寄与するということのほかに、医療費等の負担が非常に重い難病患者の家庭に対して、医療費の負担軽減を図るとか、治療法の開発等に資するということをきちんと書いてありまして、謝金というのは、昭和47年以前のお話ですので、47年からは医療費助成ということで変わっておりますので、余り謝金のことにこだわると、いまだ謝金なのかというふうに思われると困りますので、ちょっと整理をしておきたいと思います。
 それから、医療費助成の中でも漫然と惰性でという面もある部分も見えるでしょうけれども、しかし、これは難病対策を拡大するために必死にさまざまな患者団体が大変な努力をして活動してきて、国会を通したり、厚生労働省にも何度も何度もお伺いしたり、署名を集めたりして陳情・請願を繰り返した。あるいは、専門医の先生からもさまざまな提案をしていただいたりして、難病対策は拡大・充実させてきたわけです。もしも漫然という方がいらっしゃるのであれば、それは評価の面としていろいろ指摘しなければならないことでしょうけれども、私ども患者団体は、ずっと必死になってこの拡大について努力をしてきたと思いますので、私どもの団体からはそのように述べさせていただきたいと思います。
 以上です。
○葛原座長 どうぞ。
○松岡総務課長 今、ここに挙げている論点などのよって来るところでございますけれども、先ほど局長から申し上げましたように、難病対策の特定疾患治療研究事業予算としては350億円ということでございますが、疾病の範囲として56疾患と限られているということです。一方で、やはり範囲を広げるべきであるという議論もありますし、それなりの財源なりが必要だということがないとなかなか難しいということでございます。
 そういったことから考えた場合に、今、予算事業としてやっておるわけでありますけれども、そこの限界というところがあります。したがって、そういう意味で、昨年、御提言いただいたように、一体改革のところの議論でも書いております、法制化というのを視野に入れて議論をしていくというのが一つ課題となっているわけでございます。
 法制化ということになりますと、国会で御議論いただいて認めていただくということになりますので、この施策について国民の理解というのが必要であります。そういうことからすると、いろいろな観点、例えば公平性の観点とか公正性の観点、他制度との比較とか、そこら辺のところは議論にたえるようなものになった制度でなければいけない。それは、ある意味で、この制度の医療費助成の考え方、あるいは範囲についての考え方、ここら辺がしっかりしたものができていないと厳しいということがございますので、そういったことがしっかり構築できるようにしていくということで、このワーキングで御議論をいただいて、お知恵をいただければと思っております。
○葛原座長 また次の課題もあるのですが、これは先ほどから説明したことも含めて、中身では皆さん余り御異論がないように思うのですが、検討すべき課題ということで、最初にあるのは、56疾患に限らず、同じような内容の希少な疾患は広げるべきだというのはよろしいですね。
 2番目にある公平性の観点は、この次のところにまた出てくると思うのですが、やはり適正な診断、適正な治療というのを心がけるためには、指定医の制度が身体障害とか精神とか幾つかありましたが、それなりの専門機関と地域の医療機関が連携をする、しかも診断とか治療に関しては専門医的な思考を取り入れるべきだというのもよろしいでしょうか。
○福島構成員 先生、それは当たり前のことです。それに対する議論なんて基本的にないですよ。
○葛原座長 ないはずなのですが。
○福島構成員 専門医しか診断基準に基づいてきちんと診断できないわけで、それをあいまいにしたらだめなので、そこは当たり前のこととしてやるべきだと思います。
○葛原座長 医療の質の確保と研究の質の確保、要するに先ほどから問題になっている、これが研究費で担保されているということを考えた場合には、いい加減な診断でいい加減な治療をしているものに対して、税金を大量につぎ込むというのはだれが見てもおかしいわけですね。ただし問題は、専門医療機関だけに独占させるというのではなくて、専門医療機関と日常的な診療を担っていただく地域医療機関の連携をきちんとするということです。これはこの次の話題に出てくると思うのですが、我々のような医療側とか研究者側から見れば当然のことだと思っているのですが。
○福島構成員 それでないと責任のある診療はできませんので、病診連携に努めていただく。
○葛原座長 これについては、もし異論があれば、本間委員、伊藤委員の方から一言ずつ言っていただけますか。
○伊藤構成員 先生がおっしゃるのはわかるのですけれども、例えば地域性がありますので、専門医といっても、例えば北海道とか山間部その他、あるいは離島、諸島部にしましても、専門医のところまでたどり着けるかどうかという問題は1点あります。そのほかにもう一つあるのは、せっかく診断のガイドラインなり、治療のガイドラインができれば、ほかの専門医の先生方がつくられたそういうもので、ほかの医師は診断したり治療に当たることはできないのかどうかということも含めて、どういうガイドラインや基準があればできるのかということも一緒に示していただかないと。
○葛原座長 これは、多分次に出てくると思います。
 本間委員の方から、何かございますか。
○本間構成員 その点は伊藤先生と同じです。専門医のあるところとないところとかなり極端に離れているのです。むしろ私なんかはお願いしたいのは、専門医のガイドラインを、行きつけのお医者さんでもある程度理解して、そこまで簡単にかみ砕いて患者さんに説明できるようなレベルまでいってもらえるといいなというぐらいです。
○福島構成員 今の点については、医師の責任、医療機関の責任ですから、責任を持ってやるということで了解していただきたい。というのは、技術的な問題です。専門医がいないところに行けば、派遣すればいいわけです。
○本間構成員 僕もそう思います。
○福島構成員 単純にそういうことなのです。
○葛原座長 あと、ガイドラインというのは、特に治療のガイドラインは、ありふれた病気でそれなりに治療法が確立しているものに作るのが原則です。希少難治疾患の治療には一般化するだけのエビデンスはなくて、日々変わるわけですから、糖尿病とか高血圧と同じようなガイドライン作成は困難です。但し、一定数の患者さんがあって、それなりの治療法が確立している難病では作成されています。千葉先生。
○千葉構成員 これは何も相対しているわけではなくて、患者さんの立場というのはおありだと思いますけれども、医療者側の立場からいいますと、患者さん側にも是非御理解いただきたいというところが本音だと思います。
 私どもが関与しています、例えば炎症性腸疾患にしても、やはり専門医でない方が診られて、ミゼラブルになるケースというのは後を絶たないというのが現状であって、そこは我々としても何とか改善しなければならないと思っているわけで、給付をすればいいというだけの問題ではないと思うのです。
 ですから、1つはがんの方でいいますと、がん拠点病院というのができて、今どんどん話が進んでいますけれども、私は方向性は非常にいい方向に向いていると思うのですけれども、やはりそういったやり方といいますか、福島先生が言われたように専門医を派遣するといったことも含めて、患者さんに利便性が受けられるような法制化を、それこそ制度化を進めていくという方向性で、専門医を育てて、専門医が中心になって診るという流れが必要だと感じています。
○葛原座長 この次の論点でもこれは一緒に出てくると思うのですが、是非そういう点は御理解していただいて、あとは、きちんとした拠点病院へのアクセス、あるいは遠隔地であれば専門医が出向くという仕組みをどうつくるかという問題で、日常的な診ていただいている先生との病診連携とか、そこら辺をきちんとやることで解決できるのではないか。
 最後のことに関しては、介護保険のときにもいろいろ問題になりましたけれども、法制化のときに、国民的に見て余りおかしな制度だと思われないに、ある程度やむを得ない面も出てくる可能性があるということだと思います。
 ということで、2番目の「医療費助成の基本的枠組み」ということに関しては、よろしいでしょうか。
○福島構成員 この件は重症度に応じてとか、所得との関係とか、これはきめ細かくやらないといけない。重症度に応じてというのは、やはり一つ基準としては入れないといけないと思います。これを外したら、無差別に希少・難病と認定されたら保障されるという制度はおかしいと思います。
 希少疾患というのと、難病、難病と言うけれども、先ほど申し上げたように、非常にたくさんの何十万もいながらの難病もあるわけですから、難病という言葉を注意深くしないといけない。今、議論しているのは希少かつ難病なのです。だから、難病という言葉で代表させるようにしてはおかしいと思うのです。そこら辺をはっきりさせてください。
○葛原座長 医療費とか福祉とかは、ほかの制度できちんと補てんできるように全体としてはしてほしいということですね。
○福島構成員 おっしゃるとおりです。
○葛原座長 ヨーロッパでこういう論議が出てこなくて、レアディジーズ(rare disease)に限って話ができるのは、基本的な医療費と基本的な介護費とかいうのはヨーロッパは自己負担がないというのが前提だから、研究をどうするかは割合簡単な話になるわけですね。日本で特殊なのは、基本的な医療とか福祉とか介護とかの費用が社会的に保障されていないから、こういう議論が入ってくるけれども、そこら辺は少し区別しておかなければいかんだろうと思います。
 次の第3点の論点に行かせていただきます。「難病医療の質の向上のための医療提供体制の在り方」は、先ほどの2番目に出てきた医療機関との関係もありますので、また事務局の方から御説明いただけますか。
○荒木疾病対策課長補佐 それでは、資料3及び参考資料の3-1から続いている資料、この両にらみで御説明させていただきたいと思います。
 今、葛原先生から最初に御指摘がございましたが、先ほどの論点の2番目の指定の医療機関、あるいは治療ガイドラインと表裏一体の部分はあるのですが、我々としてはあえて分けているという理屈は、こちらはまさに医療の質の向上のための医療提供として、あまねく全国で難病の患者さんが早期に診断、治療を受けることができるという意味合いのもので、先ほどの部分は、医療費助成を対象とする場合にはしっかりと適正な医療を補助しないと、制度としてそこが緩いものだと法的なものにした際に、厳しいということで、表裏一体の部分はありますが、一応違うイメージということで考えていただければと思います。
 それを前提としまして、「検討すべき課題」として大きく1、2、3、4、5と5つございます。時間の都合もございますけれども、必要な部分はしっかり説明させていただきたいと思います。
 まず(1)新・難病医療拠点病院の設置でございます。これは、なぜ「新」をつけているかといいますと、参考資料3-1にございますように、同じ名前なのですけれども、今既に難病医療拠点病院、あるいは医療協力病院、医療連絡協議会という制度がございます。これは参考資料3-1の「位置づけ」と書いておりますけれども、重症難病患者入院施設確保事業ということで、都道府県内の難病医療体制の一翼を担うものとしておりますが、簡単に言いますと、参考資料3-1の「役割」の「拠点病院」を見ていただくとわかりますように、高度の医療を要する患者の受け入れ、入院確保です、在宅等で生活をされている重症難病患者さんの増悪時の入院の確保を円滑にするというのが主目的でございます。
 資料3に戻っていただきまして、現行の重症難病患者の入院施設の円滑な確保のため設置されている難病医療拠点病院の制度にかわりまして、質の向上、地域でしっかりとそこを見ていただくという意味合いで、難病に係る診断・治療等の医療の質や専門医の分布にばらつきがあるということを前回のワーキンググループでいただいています。そして、難病医療の質の確保のため、おおむねすべての難病に対し、総合的な高度専門医療を提供することができる医療機関として、原則、都道府県に1か所、新・難病医療拠点病院を設置してはどうかという投げかけをさせていただいております。
 「原則」をつけておりますのは、人口の多いところにつきましては、また別途いろいろな考え方もあるのかなということで書かせていただいております。
 特に希少な疾患について、やはり患者さんに対する的確な診断、治療を行うためには一定の拠点が必要ではないのかということを考えております。
 更に、新・難病医療拠点病院と連携しまして、二次医療圏を念頭として、地域の難病医療の提供、あるいは関連施設(病院、診療所、介護施設等)の連携、更には在宅療養サービスの提供医療従事者への人材養成等も担う難病医療地域基幹病院(仮称)というのも併せて整備する必要があるのではないかということでございます。
 特に質の向上を目指す新・難病医療拠点病院の役割として考えられる主な事項でございますが、1つは、県内の適切な難病医療(診断含む)を提供すること。更に、病診連携のかなめとしての他の医療機関からのコンサルトへの対応。更には、高度な人材の養成、特に難病の専門医師とか看護師ということ。更に、治療法の研究開発の推進。難病患者登録の実施。難病医療専門相談、その中には当然、遺伝子診断、遺伝カウンセリング、セカンドオピニオン等というもの。更には、県内の難病患者の入院調整を行う難病医療専門員というのも、現行の制度でもございますが、もしかして必要かということで書かせていただいております。
 次が、(2)地域における難病の治療連携の推進でございます。地域における難病医療の均てん化を図るため、専門医と地域の家庭医の役割分担を明確化して治療連携をすべきではないかということです。その治療連携のツールという意味合いも含めて、そのためには、研究班、学会等の成果を活用して、疾患ごとの標準的な検査・治療ガイドラインを定期的に作成・普及することも必要ではないか。
 更に、これは先ほどと少し重複にはなりますが、地域で生活する難病患者が、医療、福祉、介護サービス等を円滑に利用できるよう、難病医療地域基幹病院を中心として、二次医療圏ごとに地域難病医療連絡協議会(仮称)を設置してはどうか。この地域難病医療連絡協議会の役割としましては、拠点病院、家庭医、福祉、介護サービス事業者等との調整窓口として、難病医療専門員を配置するということも考えられるのではないかということで投げかけております。
 次は5ページでございます。枠組みは後でまた御説明しますが、在宅難病患者への支援の充実ということで、これはもう一つのワーキンググループの方でも詳細議論をしていきますが、前回の第1回のこのワーキンググループでも御意見ございましたので、在宅で療養する難病患者さんが、訪問看護・介護等の制度をより適切に利用できるような検討を進める必要があるのではないか。
 更に、先ほどの再掲になりますけれども、難病医療地域基幹病院を中心とした協議会の設置を書かせていただいております。
 (4)難病治療研究センター(仮称)の設置ということで、特に非常に極めて希少な疾患、全国に数名あるいは数十名という疾患、そういう場合には都道府県に一つの難病医療拠点病院であっても、診断とか治療について非常に困ることもあるということでございます。そういう場合には、国としてこれら希少疾患に対し、情報提供も含めてかもしれませんが、高度専門的な対応ができるセンターを設置してはどうかということで、役割として考えられる主な事項ですけれども、国内における最高峰の難病治療研究の実施・推進。各都道府県に設置したいと考えています難病医療拠点病院とのバックアップ機能(医療相談、照会等への対応)。更には、全国的な治験情報の発信。今後、国際的な連携の拠点ということも勘案したらいいのではないかということでございます。
 更に、(5)難病患者登録の実施になります。これは、難病患者さんの発症状況、長期予後の把握、治療効果の評価等を行いまして難病医療の質を高めていく。そういう場合に、現行では都道府県が臨床調査個人票をもとに打ち込むという制度がございますが、医療研究機関を主体とした難病患者登録を実施してはどうか。更に、現行の臨床調査個人票は精度にも問題があるということもございます。これを廃止しまして、国内、国際的な治験等、治療法の開発研究に資する水準の新たな難病患者登録制度としまして、医療拠点病院でしっかりと登録を実施してはどうか。
 更に、登録データを分析した結果を関係者に広く公表する仕組みを構築すべきではないかという論点で挙げさせていただいております。
 次の6ページに、少し稚拙でございますけれども、難病医療提供体制のイメージ(案)が書いてあります。絵を見ていただきますと、都道府県に1つ難病医療拠点病院。繰り返しになりますけれども、これまでの円滑な入院確保という観点のみならず、高度な難病医療を提供する。更には診療支援、人材養成、研究開発、最後に先ほどの論点で述べました患者登録の実施ということをしていただくのを原則1つつくる。更に、各二次医療圏ごとに基幹病院と、その周辺という言い方は悪いですけれども、病院、診療所、介護施設、先ほどの障害者福祉の話もございましたが、今後、障害者福祉サービスというのも充実されるのであれば、そういう施設との連携を図るための基幹病院が要る。それらの連携を図るシステムとして、地域難病医療連絡協議会を設置してはどうかというイメージ図でございます。
 参考資料3-1が現行の概要ということで、今どうなっているかというのを20、21、22、23ページあたりにつきましては、前回の資料と似ておりますので飛ばさせていただきたいと思います。
 更に、これは福島構成員から少し御指摘をいただきまして、参考資料3-2をつけさせていただいております。24ページに、現行、特定機能病院についても特定疾患治療研究事業の関係というのがございますので紹介させていただいております。
 25ページ、「現行の特定機能病院制度の概要」と書いてありますが、役割として高度な医療の提供というのがございます。今、全国では84病院、基本的には大学病院を中心としてあるものでございます。
 26、27ページは飛ばさせていただきまして、28ページ、「特定機能病院に係る基準について(特定疾患治療研究事業関係部分抜粋)」ということで、特定機能病院以外の病院では通常提供することが難しい診療の提供を行うのが特定機能病院であるということです。どういう難しい診療かというと、主に想定したものということで、1つは先進医療と呼ばれるもの、もう一つが特定疾患治療研究事業の対象とされている疾患についての診療を行ってくださいということが特定機能病院の役割として記載されているという御紹介でございます。
 29ページに特定機能病院でどのぐらいの患者さんを診ているかという参考資料と、30、31、32ページに特定機能病院の一覧が載っております。
 引き続いて、33ページ、先ほどの難病患者登録の話で現行の制度がどうなっているかというのが参考資料3-3となっておりまして、これは難病対策委員会の方でもいろいろ御指摘をいただきまして、今、都道府県の方で臨床調査個人票を打ち込んでおりますけれども、そのデータ入力率も少し差がありますということで、なかなか悉皆的なデータ、医局データとしても使いづらいという状況があるのではないかという御指摘をいただいています。
 早足でございましたけれども、質の向上を目指した難病医療提供体制という意味合いでの資料についての御説明を終了させていただきたいと思います。
○葛原座長 ありがとうございました。
 少し早口、早足の説明になったのですが、皆さん方は十分御理解はある方ばかりなのでフォローできたと思います。ここの論点3のところについて、全部で5項目載っておったと思います。医療の質の向上ということと、もう一つは、先ほどはきちんとした診断と治療ということで、公正性というか、公明性というか、そことの担保と多少違うという御意見だったのですが、私は、難病に関してはかなり一致しているのではないかと思います。やはり、きちんとした診断のもとで、しかも一番良質な最先端医療で、かつ経済的にも無駄のないリーズナブルな治療というのをやっていく。それで、きちんとした病名を登録して、それをまた国内的にも国際的にも批判にたえるものにしていくという内容です。
 これについて御検討いただきたいのですが、先ほど荒木補佐がおっしゃったので、資料の方の前の3点と後ろの2点は分けてやった方がいいと思います。最初の項目の、まず難病拠点病院をつくって、地域の中核病院をつくって、それから地域連携でやっていく、これはひとつながりと考えていいのではないかと思うのですけれども、ここのこういう構図で今後難病の登録も含めてやっていくということに関して、まず御意見いただきたいと思うのですが、これはいかがでしょうか。
 どうぞ。
○伊藤構成員 基本的にはそんなに問題あるわけではないのですけれども、1つ質問は、今、都道府県ごとにある難病医療連絡会は、地域によって違いますけれども、結構当事者参加ということで、患者団体も連絡協議会に入っているところもあります。実際機能しているかどうかは別にして、そういうところもあるのですが、都道府県ごとをやめて全部二次医療圏にするという意味なのか。二次医療圏ごとになると当事者参加というのはかなり人的には厳しい面も出てきますので、それはどうなのかということ。
 もう一つは、4ページの下にあります、これは以前にも意見を述べたことがあると思いますが、難病医療専門員というのは、どんな専門性を持った方なのですか。難病医療専門員という表現が誤解を生んではいないかということについて、もう一度御検討をお願いしたいと思います。
○山本疾病対策課長 1つは協議会なのですけれども、県によってかなり差がございます。福祉の分野であったり、就労の分野であったり、あるいは市民の代表を含めて幅広い方が入って難病の問題を検討する検討会に当事者が入っているところでありますが、それほどアクティブでないところもあるやに伺っています。
 一方で、当事者が入り、かつ、医療従事者が入って退院調整というか、地域での医療問題を議論する場としてそれを活用しているところについては、ある程度頻回に開かれているということがあって、ここで県の協議会をなくしてしまうのか残すのかということについては両方の考え方があると思います。今回の提言は特に地域での医療連携のための協議会ということで、特にハイライトとして位置づけたらどうかということなのですが、それを含めた就労ですとか、福祉ですとか、幅広い難病対策を議論する場としても両方考えられると思います。
 もう一つ、難病医療専門員、あるいは今、医療コーディネーターという言葉を使う方もおられると思いますけれども、これは主に保健師ですとか、看護師ですとか、特に神経難病の医療機関等におられる医療従事者等が、主に退院調整、あるいは地域医療との連携の窓口になっておられる方が多いと思います。ネーミングとして医療専門医という言葉がいいのかどうか、役割も含めてもう一度議論し得ると思います。
 一方で、難病の一般的な生活相談をやっていらっしゃる相談員の方もおられるので、こことの役割分担も今後の議論になるかと思います。
○葛原座長 難病の拠点病院というのは、もともとできたのはALSの患者さんの緊急時の受け入れ先確保が主な目的でした。急に呼吸困難を起こしたとき、あるいは自宅でもレスピレーターなんかを使っている方は、特に都会地が多いのですが、なかなかそれを受け入れてくれる病院がないということが発端だったと思います。
 ですから、病院の一覧を見ていただくと、大体神経難病を扱っている大学病院とか県立病院とか、今、一番多いのは、昔の難病をやっていた国立療養所で、今は国立病院機構の病院が多い。それは、特に神経難病の人が急に呼吸器とか肺炎とかを起こしたときに、レスピレーターも含めて受け入れる病院をとにかく確保しようというのが問題だったわけで、したから、必ずしも特定機能病院で入っていないところもあります。これは当時、神経内科がなかった大学病院なのです。疾患によって非常に重みづけに差があるので、今後は、例えば膠原病とか血液疾患も随分難病に入るわけですから、そういう点では、現在の難病医療拠点病院というのは、むしろ名前の前に神経難病拠点病院とつけた方がいいようなところがありますので、難病全てを対象とする場合には見直す必要があるだろうと思います。全部の疾患が診られるようなところが、もし指定すれば必要だろうと思います。
 これは、基本的には救急医療なんかの一次医療圏、二次医療圏というのと、この一次医療圏、二次医療圏という言葉を使っているのは同じ趣旨ですか。一つの県の中に一次医療圏、二次医療圏で救急救命センターを置いて、地域の基幹病院というのと似たような構造になっているのでしょうか。
 どうぞ。
○福島構成員 まず、特定機能病院は教育機関ですし、次世代を担う医師の養成所ですから、教育の観点からも、実際の医療の点からも、法律的な面からも、特定機能病院はすべて難病についてはきちんとした体制を組んでいただかないといけない、それが1点です。
 県によっては、特定機能病院が難病の拠点になっていないようなところがあるが、これは是正する必要がある。全特定機能病院は、難病についてはあまねく適切な対処をしないといけない。既に医療法の中に特定機能病院の責務は定められているわけだから、これを具体化できるようにする。
 そして、例えば神経専門であろうが、あるいは代謝疾患専門であろうが、既に難病に対処している病院とは連携していただく、その連携の仕組みをつくる。
 それから、先ほど問題になった専門医がいない場合には、隣の特定機能病院から派遣して、その診療はやっていただく。そういうふうにきめ細かく決めていけば、この点についてはおおむね解決されると思います。
 特定機能病院は、日本の非常にすぐれた法律です。こういうものを持っている国は事実上ないと言っていいと思う。日本の医療制度の根幹を、医療法と薬事法と健康保険法をきちんと守って、そこから演繹される理念と実践を綿密にやればいいということで、私はここに書いてあることは基本的に全面的にそのとおりだと思いますので、実際の地域の難病医療連絡協議会というのを設けて、専門医の派遣の仕方はどうするとか、あるいは離島に対してはどうするかということを議論していただければいい。だから、何を議論し、何をしなければならないかというのをおおむね決めておけばできることだと思います。
 特定機能病院にはやらせないといけないのです。そこの先生が云々なんていう議論ではない。これは国の方針としてやらせてください。それでないと教育的にも問題がある。今、特定機能病院、大学病院なんかで非常に病んでいるところがある。例えば三次救急はやらないとか、それはおかしいですよ。プライマリーケアができないなんていうことになってしまって、そこに国民の不満がある。だから、結局、患者団体も立ち上がって、がん対策基本法をつくれということになるわけです。こういうことのないようにしなければいけない。
○伊藤構成員 今、福島先生がおっしゃったのは、先生が出された資料に基づくお話は本当に詳しくお聞きしたいと思っているのですが、それはそれとして、ここに書いてあるのは、新・難病医療拠点病院と難病医療地域基幹病院とかとありますが、特定機能病院も含めてですけれども、我々患者にとってはわかりにくいのですが、これはどういう区別になるのでしょうか。
○荒木疾病対策課長補佐 少し言葉が錯綜していて申し訳ございません。このイメージ図に戻っていただきますと、都道府県に1つ、質をしっかりと向上させる、底上げをするような病院があるだろう。それが新・難病医療拠点病院と考えられる。そこが特定機能病院にイコールになる可能性というのは当然あるのではないかということを考えています。それは、逆に別制度である特定機能病院が既に特定疾患治療研究事業をやるということになっていますので、難病医療拠点病院がイコールになる可能性は当然ある。
 更に、地域基幹病院というのは、各二次医療圏ごとに地域の連携を推進するために必要な、目に見えるというか、地域の実情がよくわかっている病院で、その中でも実力がある病院が基幹となって、医療機関だけではなくて、介護の施設とか、あるいは訪問介護ステーションとか、そういう若干在宅療養をさせる介護の部分も含めた形でのネットワークのキーポイントとなっていただきたいということで、二次医療圏ごとに難病医療地域基幹病院というのをつくる。
 ですので、またちょっと混乱させるようですけれども、例えば難病医療拠点病院が、その二次医療圏においては難病医療地域基幹病院たり得ることもある可能性はあります。だけれども、基本的に原則1つ、都道府県に一番質の高い難病医療拠点病院がニアリーイコール特定機能病院になる可能性があるという整理です。
 説明が下手で申し訳ありません。
○葛原座長 よろしいですか。このイメージ図で見ると、大体何となくわかって、従来の難病医療拠点病院というのは、難病の患者さんが急に悪くなったときの入院施設が中心ですから、当然これは、ほとんどのところは難病医療基幹病院の方に移行する形になるかと思うのです。
 先ほどから、難病の患者さんの、例えば原因を調べるために遺伝子の提供を受けるとか、新しい治療法ができたときに臨床治験のようなのをやるというのは、恐らく今でいうと、そういう種類のものは、大学病院のような、要するに高度医療機関、特定機能病院でしかできないだろうと思うのです。例えば、日赤医療センターとかいろいろな国立病院機構の病院では、なかなか遺伝子診断から最新の治験までという提供は難しいところの方が多い。ただし、日常的な医療は全部できますから、中核病院としては申し分ないという気はいたします。
○伊藤構成員 福島先生の特定機能病院というは、拠点病院のことですか。
○葛原座長 難病拠点病院には特定機能病院を指定したらどうかというのが、福島先生がおっしゃっている御意見だろうと思います。
○福島構成員 特定機能病院というのは、医療法で定められて、全国84、あまねく全国を覆うように指定されています。医療法というのは、御承知のように医療の憲法です。医療施設に関してすべてを決めている法律です。特定機能病院と指定された場合には、資料の25ページですけれども、法律16条の4を読んでいただくとわかる。すごいことが書いてあるのです。特定機能病院は、高度な医療を提供しなければならない、高度の医療技術の開発及び評価をしなければならない、高度な医療に関する研修をしなければならないというふうにあるのです。だから、この法律を駆使するべきなのです。特定機能病院でやっていないところは怠慢なのです。また、教育の面からもそれは問題がある。
 ですから、特定機能病院にまず集中していただく。そして、特定機能病院でやれないところはプログラムを決めて整備していかないといけない。特定機能病院はすべての県にありますから、しかもこういう法律がある以上、国はやるべきなのです。憲法にもそういうふうに書いてあるわけですから、憲法直下の医療法に基づいてしなければならない。それは特定機能病院と標榜している以上、怠慢は許さないという態度で厚労省は指導していただきたい。
○葛原座長 特定機能病院は、全部の大学病院と、ナショナルセンターの中でがん研究センターと循環器病研究センターが入っています。
○伊藤構成員 先生がおっしゃられたことをきちんと保障されれば、ここでいう拠点病院だとか地域基幹病院というのは要らないですか。
○福島構成員 あってもいいと思います。だから、力があって、本当にやるということであれば、特定機能病院と連携してやればいい。地域連絡協議会がある程度の権限を持って、この特定機能病院から離島には医師を派遣しなさいとか、そういうプログラムをつくらせるわけです。その基準を満たしていない場合は特定機能病院を取り消すという態度で臨んだらいいと思います。大学病院は特定機能病院を外されたらやっていけないから。
○葛原座長 特定機能病院というのは、そのために特別の紹介料とか予算がついているとか高い医療費をとっているわけです。それから、特定機能病院は患者を抱えるのは嫌いますから、すぐに地域に返します。だから、地域基幹病院と連携しないと、日常的な日赤でやっているような医療、あるいは市民病院でやっているような医療というのは、特定機能病院では日常的なそういうサービスまでは手が回らないという事情があります。だから、こういう制度をつくれば、特定機能病院をここでいう拠点病院にして、今の拠点病院を地域基幹病院にして、日常的な診療はかかりつけ医でやっていただくというのは、現実にもそういうことをやっているところが多いと思うのですが、割合すんなりいくだろうと思うのです。
 北海道なんかは、ここは札幌の病院しか書いていないですが、大学病院として特定機能病院には北大と旭川医科大学と札幌医科大学が指定されていますから、それに国立病院機構なんかを加えれば、地理的には広いところですけれども十分、今よりは広い範囲がカバーできるし、指定医療機関も増えるだろうと思います。
○福島構成員 ちょっと補足させていだたきますと、北海道は大学病院が入っていなくて僕もびっくりしたのですけれども、これについて文科省で進めているプロジェクトの資料を参考のために見ていただきたいのですが、文科省の今行っている橋渡し研究支援推進プログラムは、新しい医療技術を開発する文科省のプログラムです。北海道大学と旭川医大と札幌医大が組んで、3大学が連携してオール北海道としてネットワーク化を進めていまして、北海道には600ぐらいの病院があるのですが、既に300の病院をネットワーク化しました。現在始まっている橋渡し研究加速ネットワークプログラムでは、ネットワーク化というのがキーワードになっています。ネットワーク構築をマストとして、各大学に要求しています。東北では東北大学が中心となって、東北の6大学を束ねてネットワーク化しています。北海道は一番ネットワーク化が進んでいる地域の一つなのです。そこの中にこういう難病対策をインプットすれば自動的に動き始める。北海道は開発力をすごく強めていまして、既に薬事承認を取った案件も出ています。
 そういうことで文科省は開発のスピードアップを図っています。東北大学でも既に2件、難病中の難病に対して新しい薬の治験が2つ始まっています。文科省は、開発を進めると同時に、ネットワーク化を進めるプロジェクトをやっていますので、厚労省がそういう方針を出していただければ、それとぴたっと合うのです。
○伊藤構成員 それは、神経筋疾患に限らず、ほかの疾病もですか。
○福島構成員 すべての疾患です。私の提出した資料の43ページですけれども、「アカデミアにおける希少疾患・難治性疾患等に対する進行中の治験」ということで、Nアセチルノイラミン酸は、縁取り空砲を伴う遠位型ミオパチーを対象としています。患者数は日本で100人ぐらいです。
 次も、同じく東北大学の青木先生の開発案件ですが、ALSに対して世界で初めてHGFの治験も今やっています。
 京大は、これも全国で200人ぐらいしかいませんが、脂肪萎縮性糖尿病に対して、世界に先駆けてレプチンの治験をやっています。多分、もうじき承認がとれると思います。
 名古屋大では、運動神経変性疾患の難病に対してリュープロレリンの治験をすでに終えています。これは次にピボタルの治験をやれば、恐らく効果が実証される可能性が強い。
 そういうふうに各大学は頑張っていますから、それをエンカレッジする形で特定機能病院にマストですよとインプットしていただければと思います。
○葛原座長 現にやっているのは56疾患に入っていないですけれども、東北大学の青木先生がやっているのは遠位型ミオパチーで、今度は難病に加えようと言っている病気ですね。それから、一番下の祖父江先生のは球脊髄性筋萎縮症(ケネディ病)と言われている病気です。ALSは勿論入っています。
 ということで、こういう新しい治療をやっているのは特定機能病院なのです。だから、大学病院というのは文科省の管轄ですけれども、特定機能病院は厚労省が指定していますから、こうしろと言えば割合やりやすい病院ではあろうと思います。
○伊藤構成員 拠点病院との関係は。
○葛原座長 千葉先生の御提案は、特定機能病院は厚労省が決めているのだから、ここに拠点病院になれということを言えばすんなりいくのではないかというのが福島先生の御意見ですよね。
○福島構成員 そうです。特定機能病院にはマストでやらせてください。それでないと教育が成り立たないのです。特定機能病院はマストであって、医療法にきちんと書いてあることをやっていただく。それに尽きると思います。
 ほかに難治性疾患の拠点病院、特に、例えば神経疾患に対して急性期にはここに行くというのをきめ細かく決めていけばいい。
○伊藤構成員 というのは、ここに書かれているのは1県1拠点病院とありますから、実際の今の特定機能病院との関係というのは、数も大分違うので、それはどういうぐあいになっているのですか。
○山本疾病対策課長 正直申しまして、拠点病院の在り方を議論した段階では、難病に特化した拠点病院を想定していましたが、福島構成員から、特定機能病院というものの制度がある。難病だけで考えるのではなく、そちらを活用すべきなのではないか、という御指摘をいただきました。今の福島構成員のご意見は、別途難病だけのためにまた拠点病院制度をつくるのではなくて、特定機能病院という制度を最大限活用して、それで足りないところやすそ野を広げるところでさらなるネットワークをつくっていくことでミッションが、より効率的、効果的に達成されるのではないかという御指摘をいただいたと理解しております。
○外山健康局長 それは少し違うのです。反対で、我が方としては、難病の全体の制度をつくりたいということなので、その中で制度として既に医療法の世界である特定機能病院も視野に入れますけれども、できるかどうかあれですけれども、こういう拠点病院制度を新たな体系をつくることによって、それに何らかの、単なる診療報酬だけではなくて公的助成を与えて全体として回るようにしたいという話であって、それがたまたま医療法の体系の中の特定機能病院は既になされている、そういうことも視野に入れながら制度設計全体を考えていくという趣旨でございます。
○葛原座長 次の課題もあるのでそろそろ議論を打ち切りたいのですが、伊藤さん、本間さんも含めて、医療の質の確保という点ではこういう制度で、これは多分、登録制度にも活用できる。登録の場合は、1県に1センターの方がいいかもしれませんけれども、北海道のようなところは北大に登録センターを置いて、第2か第3のセンターのような形でということも可能だろうと思うのです。要するに、特定機能病院にそのまま当てはめるかどうかは別で、こういう構想で進めるということに関しては、皆さんよろしいということで、本間さんもよろしいでしょうか。
 これは、珍しく大体皆さん御意見が一致したということで、ありがとうございました。
 次が、4番目と5番目で、研究センターをつくるということと、そういう質の確保をしたもので登録制度をつくっていくという、先ほど荒木補佐の方で説明していただきましたけれども、それに関してはいかがでしょうか。例えば研究センターは国でどこかに、ナショナルセンターのようなところに委託して、そこで今度はきちんと質の担保のされた登録票のようなものを集める、それから、もう少し広範囲の難病研究もやっていくという、これは全く新しいものをつくる構想ということでよろしいですか。
 もう少し具体的な説明はありますか。それとも、是非こういうものをつくっていこうという方向ということなのでしょうか。
○荒木疾病対策課長補佐 こういうものが必要かどうかも含めて御議論いただきたいというために、一応ここで掲げさせていただいています。
○葛原座長 わかりました。どうでしょうか。私は、これは必要だろうと思うのですけれども。
○福島構成員 今、ただでさえ国は消費税の議論で沸騰するように、お金が余りないところで新たに何かをつくってというと時間もかかるし、そして実際動き出したら、またそれがどうやってやるのだというふうになるので、今ある能力を最大限に生かすようなソフトをつくらないとだめだと思います。
 それから、登録票を配ってそれに書き込んででなくて、今は全部ウェブで入力してやっていただくようにしないといけなくて、こういう調査の仕方は決まったやり方があるのです。まず何よりプロトコルをつくらねばならない。よくデザインされたプロトコルに基づいて実態調査をして、次にまたプロトコルをつくってそれに基づいて疾病登録の体制をつくらないといけない。そして、疾病登録も全部ウェブでやるのです。そういうシステムはもうでき上がって、どんどん使っている時代ですから。どこでだれが登録するかという点について、これは今の拠点病院を決めたのだったら、そこにマストでやっていただかないといけない。それが1点です。
 では、そういうシステムをどこにサーバーを置いてどうするかという話になります。それで一番コストの低いところに入札してやらせればいいということになります。そう難しい話ではないのです。だから、昔のような疫学的なやり方というのは通用しない。今までに膨大なデータがたまっているのにもかかわらず、サイエンスになってないところが問題なのです。しかし、今まで難病で入力して集めたデータというのは宝の山ですよ。はっきり申し上げて既存の研究班は、あれをどう解析するかという高度なサイエンスのレベルをお持ちでないわけです。これまで蓄積したデータを注意深く解析した上で次に生かすこともできますし、新たなやり方では全面的にプロトコルをつくって、そして全部入力していく。勿論匿名化します。それを5年でも10年でもかかれば膨大なデータが出てきますし、海外のグローバルな企業で非常に関心を持っているところと連携して開発を促進することができます。そういう良循環をつくり出す上で、日本の医療法というのはすごいパワーを持った法律です。
○葛原座長 拠点病院のデータというのは、がんはがんセンターで今集めているのですか。
○千葉構成員 そうです。ですから、がん登録士という職種が拠点病院に絡んだ制度化で、人件費も含めて拠点病院に出されていて、全国のがん患者の登録をしていくというシステムになっているわけです。ですから、このお話もそういう方向性でいくべきだと。これは、私は全く福島先生の意見に賛成で、かねがね申し上げてきたことですけれども、要するに紙媒体での申請登録というのは破綻を来していて、いつもある県だけが患者数が少ないという統計になっているとかいう現状から考えて、全く疫学的な価値を持たないような状況になっていますので、研究という意味においても、そういうシステム化というのは極めて重要です。
 まさに拠点病院化というのは、この制度と表裏一体をなす話であって、それこそ患者さんがいろいろなことを懸念されておられる中で拠点病院制度が非常にうまくいくためには、ウェブ登録という形での制度化がないと絵にかいたもちになりますということで、本当に表裏一体をなす、マストであると考えます。
○葛原座長 がんに関してはがんセンター、最近、国立病院の方で糖尿病の臨床治験なんかをやるのは、たしか東京医療センターにそういうセンターを置いていたと思うのですが。
○福島構成員 あれは国立病院機構なのです。
○葛原座長 国立病院機構ですよね。
○福島構成員 そういうどこかのセンターに任せればいいというようなものではなくて、これは非常に高度な話で、そういうことをやるには、やはりノウハウが要るのです。はっきり申し上げて、既存の旧来の疫学者では無理です。これはもう疫学ではないのです。もっと新しいクリニカルサイエンスなのです。だから、疫学的に調査するなんていう話ではない。パースペクティブ5年、10年という単位で、更にはもっと長い単位でクリニカルサイエンスをどういうふうに進めていくか、どういうふうに疾病を克服するかという戦略的なものなのです。だから、現代のそういうサイエンスに合ったやり方でないといけない。、国立がんセンターで登録集中していても、プロトコルがない限り、どういう成果になるかわからないです。そういうふうに単純にどこかの拠点に任せればいいという話ではない。
○外山健康局長 現状を説明いたしますと、がんについては、まず健康増進法という法律がありまして、地域がん登録というものが国と地方公共団体の努力義務になっています。あと、今年中に全都道府県でやられるのですけれども、その制度が問題でありまして、なかなか全部の5年生存率のデータを使えないので、その辺は政府の方でも新しいがん対策推進基本計画の中で法制化を検討されています。
 今、どうなっているかというと、そういう地域がん登録のデータも国立がんセンターの方に全体的に研究レベルで集めるようになっていますけれども、今の拠点病院との関係で申し上げますと、地域がん診療連携拠点病院という名前の拠点病院がありまして、そこの要件で院内がん登録はやることになっています。そのデータも併せてがんセンターの方で事業としてやっております。
 ただ、今、福島先生からお話がありましたように、制度としてちゃんと義務として体系立ててある一定の規模でやられているところになっていませんで、それは今大きな課題になっております。
○福島構成員 それで、こういうこともあろうと思って、資料41ページをごらんください。こういうことが今ばらばらに行われているけれども、やはり学会が責任を持たないといけないという典型的な例です。これは、肺がんにかかわる日本肺がん学会と日本呼吸器外科学会と日本呼吸器学会が合同で登録事業をやっていまして、これによると、肺がんの全生存率が各ステージ、進行の度合いによってもすべて年々上がってくることが刻々こういうふうにデータとして出てくるのです。今のクリニカルサイエンスのレベルはここまで来ている。だから、難病についてもこういう登録をしてきちんと出せるようにしていく。そして、特定機能病院が責任を持って、診断の精度がやはり大事ですから、それでいろいろな難病についてもそれぞれステージとか予後因子による分類というのもありますから、そういうサイエンスをきちんと適用して、こういうデータがリアルタイムで、表現は悪いですけれども、株価のあれを見るように見られるような時代が必ず来るのです。全特定機能病院でディスプレーでプッシュすれば現在の状況がわかる、そういう時代に持っていきましょう。
○葛原座長 脳卒中は、たしか島根医科大学が拠点になってやっていますよね。
○福島構成員 やっています。小林先生が一生懸命やっておられるけれども、その先生が定年になったときにだれが引き継ぐか、その資金はどうなるかという問題になるのです。刻々ITの技術は進歩していますから、例えばサーバーのリプレースといったら5年ごとにやらなければいけない。それで、マイクロソフトがソフトを変えればどうなるとか、そういうのに全部対応していかないといけないので、特定の病院や特定のセンターでやっていればいいというものではない。だから、これに関しては責任を持ってやれるところを、是非そういうことに関してそういう事業をやるということで、継続性があるような形で一番コストの低いところでやるところを入札でやらないとだめだと思います。
○外山健康局長 ちなみに、もう一つだけ申し上げますと、精度の問題はあるかもしれませんけれども、今、がんの登録が事業面では進んでおります。その中で2つ大きな問題になっておりますのは、1つは個人情報の保護という問題で、この精度を上げるために1病院あるいは1地域ならある程度いくのですけれども、オールジャパンで継続的にということになりますと、現在でも公益性の観点から個人情報保護の対象外になっているのですけれども、それは地方の条例との関係でもうちょっと強制的な登録法をつくらない限り無理だという話になっているというのが1点。
 もう一つは、事業を進める意味でマイナンバー法案というのが検討されておりまして、そういうものとの整合性をもう少し待ってからやるべきではないかというのがございます。
 ですから、我が方は、難病患者の登録の実施と言っておりますのは、単なる事業ではなくて、やるとしたら制度としてやるにはどうしたらいいかという視点で検討しております。
○葛原座長 今、難病に関して神経難病でいうと、やはり個人との連結ができないような形になっているので、登録を最近されなくなったときに、回復されたのか亡くなられたのか全くわからない、そういうことがあるので、やはりこれは研究で登録票を使うのも、個人情報保護法との関係はあるけれども、書いていただいた方の誠意が返ってくるような形の登録システムでなければいかぬだろうということが問題になっていますので、これはここで結論までは出ないと思うのですが。
○福島構成員 先生、それは完全に匿名化して個人と特定できないようにするというのは技術的に簡単なことなのです。ですから、連結できないというのは、完全に登録番号だけでフォローするようにできるわけですから。
○葛原座長 登録番号は、今できていないですね。
○福島構成員 それをこれからするということです。そうしないと、疾病を制圧できません。
○葛原座長 そうしましたら、そろそろこの件は終わりにしないといけないのですが、次の5番目の登録の実施は、今のものでは不完全で疫学のデータにも使用できないということもありますから、現在の臨床調査個人票は一回見直して、それこそ新しい番号なんかをきちんとして疫学的な検討に耐えるデータにしていく。しかも、診断とか治療法の評価とかいうのも、標準化されていて入力が容易な形につくりかえて、しかもそれを社会に還元するという方向で検討し直す。これは、先ほど千葉先生の入っていらっしゃる難病事業のあり方研究班の方でも検討していただくということと、難病治療研究センターというのは、例えばナショナルセンターのどこかに委託するか、あるいはプロジェクト研究としてもうちょっと別のところでやっていくかというのも、今日は議論できませんが、4番と5番はこういう方向でやっていくということで、合意を今日得られたということでよろしゅうございますか。伊藤さん、本間さん、よろしいですか。
○伊藤構成員 いいのですが、ただ、福島先生が先ほどおっしゃった、今の財政事情の中で新たに治療研究センターといっても実現性が少ないということですね。だから、もっと既存のものにそういう機能を付与したらどうかというお話だったと思いますが、そこはどうしますか。
○葛原座長 ただ、既存のものといっても、県で入力したのは疾病対策課に行っているのですか。
○伊藤構成員 いいえ、研究センターのことです。
○葛原座長 今のシステムではとても動かないだろうということで、研究センターをつくるか、それともどこかに委託するかということですか。
○福島構成員 研究センターをつくるといっても、今言ったように、ちゃんと拠点病院も指定してやれる状態になっているわけですから、それを強化すればいい。そこが大事なので、何かというとセンターをつくればそこがやってくれるという発想はもうやめて、よほど慎重にしないといけない。もう国立がんセンターの存在意義はほとんどないと思います。特定機能病院が全部やるようになってきて、ガイドラインがすべてについてできているわけです。それこそ、普通の市中病院でもちゃんとがんのケアはできるようになっている。そういうふうになってきている中で、今、新たにつくればいいといったら、非常に小規模の、例えば先ほど言った縁取り空砲を伴う遠位型ミオパチーみたいに、全国に100人か200人いるかいないかという超レアディジーズについては集中的にやれるところをどこかにつくってもいいかもしれないけれども、それは最もそういうことに長けているところに疾患ごとにセンターを決めてもいいと思います。やはり、それは知恵を出すべきだと思います。
○葛原座長 わかりました。では、どんとどこかにセンターを委託してやっていくようなものにするか、それとも疾患ごとに責任の施設をつくっていくか。疾病対策課は、できたらぱっと建物の一つぐらいでも作ろうということでしょうか。
○福島構成員 そういう発想はやめた方がいい。知恵を出すべきです。
○葛原座長 要するに、ファンクショナルなセンターをどうするかというのは、今日の議論を踏まえて、また具体的に、委員の方はこういうのがあるということがあったら、1ページか2ページのポンチ絵でも結構ですし、あるいは疾病対策課の方で、具体的にはどういう方向があるか、検討材料を出していただいて、次回に検討することにしたいと思います。いずれにしても、登録したデータを集めて活用して公表していく場所は必要なわけですから。
○福島構成員 それで重要なことは、調査票をつくって回して書いてもらって入力するのではだめなのです。プロトコルが要ります。疾病登録及びアウトカムを評価する。治療成績を評価するという一貫したプロトコルです。プロトコルのない調査入力なんて全くナンセンスです。サイエンスにならない。だから、プロトコルをきちんとつくった上でそれを審査して、厚労省はそれに助成する。そして、その場合には学会のスーパーバイズ、学会の支援があるという一札をとる。既にそれは難病対策で今回予算をつけたものはそういうふうになっていますから、そのままいけるはずです。
○葛原座長 ということは、今、厚労省である重点研究と同じような公募によるプロジェクト研究の形のものにしていくという考えですね。
○福島構成員 おっしゃるとおりです。
○葛原座長 これは、厚労省の方でのアイデアと、ここまで来たら、福島先生なりのアイデアも含めて少し資料を用意していただいて検討する。それは、勿論調査票も含めたことでこれも見直すということでこの話はここでよろしいですか。
○外山健康局長 一言だけ。
 ナショナルセンターを否定するような発言がありましたけれども、国としてはナショナルセンターの意義はあると思っているのです。政策誘導の観点から考えますと、例えばいろいろな疾病ごとのセンターというのは実際にあるわけですけれども、難病がこれだけ大きな存在になってきた場合には、多方面からそういったことを支援する、今の治療もそうですけれども、センターということを行政として考える必要があるのではないかと思っておりまして、またこれはこれで学識経験者の意見を聞きながら考えたいと思います。
○福島構成員 もう一つ、局長の意見は、私は全然否定するものではなくて、まず建物をつくって入れようではなくて、建物に入る人間を決めた方がいい。つまり、それを集中的にやれるところ、例えば、こういう遠位型ミオパチーだったら青木先生が全部まとめるというのだったら、そういうところでやっていただいて、全部受け皿をつくった上でどうするかという話ならスムーズにいくので、大至急それをやればいい。そんなものは1年ぐらいでできてしまいます。
○葛原座長 どうも福島先生のお考えは、今の重点研究のプロジェクトの募集というような形で病気ごとにやったらどうかという御意見のようですね。それも含めて、これは次回に最終的に意見をまとめるという形にしたいと思います。
 最後が、研究の在り方という4の課題で、これはかなり今までも論議が出ているのですけれども、資料4と参考資料4-1を事務局の方から説明していただいて、足りない論議があればここでしていだたいて、できたら5時には終わるようにしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○荒木疾病対策課長補佐 資料4、難病研究の在り方でございます。現状については、こちらに簡単に書かせていただいておりますので、いろいろ分野がある。それぞれの分野が特色を持った研究をしているということでございます。検討すべき課題でございますが、1つは難病医療研究の対象をどうするかということで、幅広くすべての希少・難治性疾患を対象とすべきではないのかということは難病対策委員会の中でも言われています。
 更に、臨床調査研究分野と研究症例分野というのが21年度から新しくできておりますが、その区分けについてどのように考えるかという課題を挙げております。
 (2)難病医療研究の重点化。やはり、難病医療研究の最終目標としては治療法開発とか創薬ということで患者さんに還元できないといけない、そういうことを重点的に目指すべきではないか。更に、効果的な創薬につなげるための適正な評価と重点投資。更に、臨床研究から治験に移行するために必要な施策というのがあればどういうものなのかということでございます。
 (3)総合的な難病研究の実施について。これは、関係者あるいは文科省、経産省等も含めて関係各省等が一体となった難病研究開発の総合戦略的なものが必要になるのではないか。更には、難病患者さんが治験の情報を入手しつつ、治験を含めた研究に参加しやすくなるような仕掛けとか制度が必要ではないか。更に、そもそも希少・難病ということでマーケットが非常に小さいということで、製薬企業はなかなか参入にインセンティブがわかないという部分もございます。そういう製薬企業等が難病医薬品開発に積極的に参加しやすくなるための環境整備としてどのようなものが必要なのかということでございます。
 (4)研究成果等の還元。研究の進捗状況あるいは成果を患者、国民にわかりやすく伝えることが必要ではないか。更に、患者さんにとって、今まで研究というのがずっとされてきておりますが、実際にしっかり還元されているなということを実感できるような仕組みというのが必要なのではないかということでございます。
 最後に(5)難病研究の国際連携の在り方ということで、EUオーファネット、米国CDCとの連携が必要ではないか。更に、創薬、患者団体の支援、患者団体の国際的な連携も含めて国際協力が必要ではないかということをこちらの論点として整理させていただいています。
 参考資料4-1は、お時間もございませんので簡単に述べます。予算については100億円ということで34ページに書いておりますが、80億円と20億円ということで分けております。
 35ページには、22年度概算要求、23年度概算要求に対する総合科学技術会議の評価ということで、かなり厳し目の評価がされています。難病研究というのは100億円ということで額が結構多いこともございまして、そこからしっかりとした成果とかを出すべきではないのかという御指摘です。
 36ページに、1つは、「希少難治性疾患に対する新たな医薬品開発に関する研究」を開始したり、あるいは先ほどの遺伝子検査を使ったライフ・イノベーションプロジェクトを開始したりということで23年度は対応しております。
 36ページの下にありますが、平成24年度の対応あるいは対応予定も含めますけれども、それぞれの研究分野について、こういうような対応をする、あるいは対応予定ということが書かれております。
 38ページの(4)重点的研究分野につきましては、5つのスーパー特区研究班というのがございましたが、それは終了しました。その中では研究マネジメントの課題が言われておりまして、研究の評価をするための資料が不足しているとか、あるいは実際に治験に入るための管理・指導が必要だという御指摘も有識者よりいただいています。
 そういうことで、対応予定として医師主導治験を目指す課題に特化してやっている。その中には採択条件、評価資料、その中にはPMDAの「薬事戦略相談」事業の報告とか治験プロトコルの提出というのも必須としている。あるいは、研究管理マネジメントの徹底ということで、サイトビジット、面接、成果報告会などを通じた厳格な実施や、文科省のTRI事業、あるいは厚労省の中核拠点病院の制度との連携も必要ではないのかということでまとめさせていただいております。
 以上でございます。
○葛原座長 駆け足でたくさんの資料が出ておりますけれども、1つは、現在56の特定疾患以外に、調査研究分野疾患が56を含めて130あって、それに更にもうちょっと患者数の少ない研究段階の病気が研究奨励分野として134疾患あります。いずれも希少性の疾患ばかりであることは間違いありません。
 先ほどからの論議だと、細かい疾患はまとめてグループ分けした上で、できるだけ幅広く難病というのに取り込むべきではないか。勿論、全部が研究の対象になるかどうかは分かりませんが、少なくとも福祉的な面では余り大きな差別はしない方がいい、あるいはできるだけ多く救済の対象にするべきだというのが御意見だと思うのです。
 今度は研究をどうしていくかということについて、ここに羅列してあるわけですけれども、先ほどからの質の確保とかそんなことも関連すると思うのですけれども、ここでは疑問形で書いてはありますけれども、「必要ではないか」と書いてあるのは、必要であるという御意見が今まで結構出ているということだと思うのですが、それについてどなたかご意見ありましょうか。
 これは福島先生が資料をつくってくださって、御説明いただくことになっていたので、お願いします。
○福島構成員 時間もございませんし、今の難病研究の在り方の中で、疾病対策課の方で整理していただいた論点というのは、もうまさにここで指摘されているとおりだと思います。ただ、かいつまんで、今回は資料の差しかえ分を提出させていただいていますが、予算投入の3原則の1と予算投入の意思決定ステップ3、これは研究に関する原則なのですけれども、科研費の申請はプロトコルベースでやらないとだめだということを申し上げたい。
 現行の科研費の申請書類は、正直なところ、作文を許しているから、あれでは無理です。作文を許さない、実効性のある書類を出していただかないといけないし、特に開発研究については、治験に移行しないと意味がないのです。臨床研究というのは放棄しないとだめです。ああいう臨床研究の指針で薬事法外でやるのは、国際的に絶対通用しません。文科省のプロジェクトによって、橋渡し研究拠点では、すべて治験でやれるようなところまで整備しつつありますから、今回3つ治験を走らせることをマストにしています。
 やはりそういう開発に関する申請書類として、概要書とプロトコルと説明同意書は必須であるということです。それから、研究組織と研究者名簿、過去の治療成績を出していただく。症例の登録計画を出していただく。これはすべてがICH・GCPでも定められているとおりなのです。だから、国際基準でやっていただく。それを外れるような科研費の申請書類は、どうしても維持しないといけないのだったら、今回、先ほど葛原先生がおっしゃった重点研究で募集したようなやり方で添付していただく。こういうふうにすれば実体化できます。
 次は、2枚目のスライド、「意思決定ステップ」ですが、研究のスタイルがいろいろあります。まず実態が十分につかめていないものについては、治療、患者さんの生活、介護の状況、こういうものを実態調査してからでないと登録事業をどういうふうにするかもわからない。そういうものからすぐ臨床試験を始められるものまである。いろいろなのが錯綜していますから、実際にサイエンスとしてどういう段階にあるかを見極めた上でやっていかないといけないです。実態調査、疾病登録、更に予後調査、そして臨床試験というステップは、クリニカルサイエンスのルールなのです。
 だから、どの研究段階に資金投入するのかを十分に意識した上でマネジメントしないといけないということです。これは現代のサイエンスのやりかたです。これを踏み外した研究者の自由意思による研究なんて、こと開発に関しては成果は出てこない。これは事業なのです。だから、経営が要るということです。今までは経営不在であり、事業としての認識がなくて、ヤマタノオロチにいっぱいえさをやるようなことをやっていた。もうやめたほうがいいと思います。開発研究はきちんと管理しないとだめです。
○葛原座長 ありがとうございました。
 先生、1つだけ質問なのですが、下側の「予算投入の意思決定ステップ3」で、例えば実態調査、疾病登録、予後調査というのは、今、例えば難病の研究班というのがやっているわけですね。
○福島構成員 やっています。だから、それをプロトコルに基づいてやるようにする。つまり、思いつきではなくて、はじめから調査票でやるのではダメです。プロトコルというのは研究計画です。どんな研究計画でも20ページ以下のものはありません。プロトコルというのはICHGCPで定められたようにフォーマットが決まっています。何を書かないといけないか。まず、研究の目的、それから背景、その研究をする根拠、そういうのを全部書いた上でリファレンスを全部つけるわけです。それで、その時点のサイエンスのレベルを踏まえた上で何をやるかと決める。
○葛原座長 これは、場合によっては最初の3つというのは、今までの患者さんとの対応もありますから、研究班は持続させても中身をこういうぐあいに変えるということでできるわけですね。
○福島構成員 おっしゃるとおりです。
○葛原座長 臨床治験とか解析の方は、重点研究的な形でやらなければだめだということですね。
○福島構成員 おっしゃるとおりです。だから、今まで莫大な資産を日本は持っているわけです。膨大なデータを持っている。それを宝の山ですからきちんと解析して、それをそこからわかることとわからないこと、それから、こういうやり方だったらだめだったことは改める、そういうことだと思います。
○千葉構成員 全く基本的に同感なのですけれども、したがって、今、大分改善されてきて、いわゆる医療開発、治験班と疾患研究班と病態解明、つまり遺伝子解析拠点施設の3つに大きく分けてきたというのは大正解だと思います。
 医療開発について言えば、今までの疾患研究班がそれこそ本当に小さなレベルでやっていて、それは臨床研究という形で治験になり得なかったというところで薬の開発のところまでいっていないということで、この点については福島先生が言われたように、そこのところは治験に持っていくという条件でないかぎり採択しないという強い決意は非常に重要だと思います。
 その疾患研究班と開発グループ、病態解明グループのコラボレーションというのは極めて重要で、せっかく病態、つまり遺伝子解析拠点というのができたわけですから、必ずアウトカムを出さなければいけないということで、逆に疾患研究班はどこかそういう拠点と必ず結びついて、要するに患者さんの症例のリクルートとかをやって、それを拠点班に持っていくというようなことをマストとするということが非常に重要だと考えます。
 したがって、疾患班は疾患班で、例えば新たに加わった200疾患というのは、先ほどから議論にありますように、概念の確立、診断基準の確立さえできていないところもかなりありますので、そこの部分について言えば、今日の話の流れにもありますように、そういうことをミッションとするということが各班には必要だというふうに絶対思います。
 たくさんの疾患についての研究を入れ込んでくるということですから、それはある程度グループ化しなければいけないと思いますし、その中では学会との連携というのは極めて重要であって、各班が個別にやっていたのでは全く成り立ちませんので、手を挙げた人に任せるというのではなしに、そういう連携というのが今後非常に重要になろうと考えています。
○葛原座長 今年は新たに難病研究で全く新しいプロジェクト研究というので、患者さんの団体が加わった、あるいはそこが主導するような横断的な研究いうのが始まりました。患者登録もどこかに補助金を出すというのではなくて、研究プロトコルを出していただいて審査評価して採択を決めるという、同じような募集課題を広げていくということと、実態調査、疾病登録、予後調査、この辺は一体になるかもしれませんが、登録制度をきちんとすることによって、ある主任研究者がきちんとしたデータを3年ごとか5年ごとに出していくということになりましょうか。そうなりますと、現行の研究班で実施している全国網羅的な実態調査、患者登録、予後調査の方は予算的に多少縮小してでも、あとは、治療介入とか、何らかの形の新しい規格でお金がかかる研究を対象にしたプロジェクトをいくつか立ち上げて、手を挙げてもらってやっていくという、先生のお考えになっていることはそういう二本立てでしょうか。
○福島構成員 おっしゃるとおりで、千葉先生が指摘された点です、もう既にある班をどういうふうに生かすかということをよく考える、どういうやり方なら生きるかということを考える。それから、すべての疾患について患者団体を立ち上げて、特定機能病院と学会に担当者と窓口を置いておかないとだめだと思います。これは特に重要な点です。患者団体がない場合には本当に疎外されてしまいますから、すべての疾患について患者団体を立ち上げるように医師側が率先してそういうことをリードしていかないといけないと思います。ほっておいたらだめだと思います。
 具体的に、例えばレプチンを開発していくのに、患者団体を立ち上げないといけませんよということを主任研究者に申し上げて、そして彼は患者団体を立ち上げました。そこと連携しながらやるというふうになってうまいこといくということです。だから、疾病登録についても患者さんの協力がないと無理な話ですし、また、患者団体があれば、そういうところでいろいろなアナウンスをすれば、私もこの病気だということで認識が深まるということで、その輪をつくる必要がある。
 そういうことは39ページにまとめておきました。「希少・難治性疾患克服戦略十ヶ条」として、データベース化を義務づけるとか、医療法の厳格な実施とか学会の指導力を発揮させる。レアディジーズについて1つ思うのは、今、学会が連携した上で日本が国際的にトップジャーナルを出版するチャンスだと思うのです。既に過去の膨大なデータがありますから、それらを整理して大規模な今までの解析データをそこにまずパブリッシュしつつ、学会を守り立てて育てていくということが1つ。
 それから、やはり申請・審査をプロトコルベースで、先ほど申し上げたようなことです。やはり各疾患について、各関連学会はそれぞれ診療ガイドライン、ガイドラインといっても、葛原先生が御指摘のように、まだ疾病概念さえはっきりしていない場合がある。しかしながら、その疾病概念を構成するためにどういうふうに患者さんをケアするかという一定の目安はあると思うのです。だから、まずはそういうところからスタートして進化させていく。
 あと、全体を統括してマネジメントするということは、厚労省が責任を持ってやっていただかないといけないし、今までやってきたことを全部総合して整理すれば、おのずからその方向性は出てくると思います。
 国際連携では、アメリカはレアディジーズのオフィスを国家的に持っています。それから、ネットワークも持っています。CDCやEUオーファネットだけでなくて、日本も体制を整えた上で米国の希少疾患のネットワークとかオフィスとも連携をとる。それはそう難しい話ではありません。
○本間構成員 この分野については、基本的に医療側の先生方もお世話になると思うのですが、患者サイドからすると、(4)成果の還元のところを私どもは考えますけれども、是非ひとつお願いしたい。
 例えば、今の研究で大事なのは学会、患者団体の協力と福島先生のお話にもありますけれども、例えば学会によっては患者団体の入会は認めないとか、そういう閉鎖的なところもあるのです。だから、そういったところをだれのための研究なのかというところを、学会なり医療側の方は、もう少しきちんと理解していただいて、我々もある程度こういう協力をしたのだから、今年の研究はここまでだったとか、ここまで進んだとか進まなかったとかいうのをできるだけわかりやすく一般用語で説明できるような機会を是非設けていただくようにお願いしたいです。これは希望です。
○葛原座長 伊藤さん、何かございますか。
○伊藤構成員 福島先生がおっしゃるのは大変よくわかるのです。ただ、患者団体をすべての疾患で立ち上げて、特定機能病院や学会に担当者と窓口を置くということのイメージをしている患者団体とはどういう患者団体なのかが、私も半分わかるようで半分わからないものがあるのですが、そこあたりは今後いろいろな形でもうちょっと研究者側あるいは医療側と、当事者の組織の在り方という問題についての勉強会なり意思の疎通というのはどこかで必要かなと思ってお聞きしました。
○葛原座長 こういう難病の診療をやっているということで患者さんが集まって患者会ができてきているところもありますし、患者さんやご家族が互助的に困ったことで相談し合ってできているところもあるし、お医者さんの方からの働きかけによって出来たところといろいろだと思います。是非とも患者団体は研究者と一緒に疾患解明と治療法の開発に取り組んでいただきたい、特に創薬はそうです。遺伝子解析とか創薬というのは、患者さんの方が前に進んでくださらないとできない研究分野です。これが福島先生がおっしゃりたかったことだと思うのですが、こういう方向性でやっていくということに関しては皆さんよろしいですか。
 もっと論議したいのですが時間が来ましたので、今日はこれまでにして、論点をまとめておきます。1点目に関しては全員が同一意見ではありませんが、コンセプトとしては一緒だったと思います。難病の定義に関しては、人によって多少ずれがある。だけれども、難病対策事業で何をやらなければいけないかということは、希少疾患・難治性疾患を対象にということでは一致していたと思います。
 第2点に関しては、大体の方がご異存はなかったと思います。
 3点と4点に関しては、今日初めて出てきたようなところもありますので、ちょっと具体性に欠けますけれども、方向性としては皆さん、大体積極的にそういうことでやろうという御意見だったと思います。細かいところは、議事録をとってあると思いますので整理していただいて、また皆さんのところに訂正が回ってきたら、自分の言いたいことを正確に書き直して、あるいは訂正していただければいいと思います。
 5時をちょっと過ぎましたのでこれで終わりにしたいのですが、どうしても言っておく必要がある、何かございますか。よければ、今後の予定について事務局の方から報告していただいて、終わりにしたいと思います。
○荒木疾病対策課長補佐 構成員の皆様方、本当に長時間ありがとうございました。
 次回の予定でございますが、第3回のワーキンググループにつきましては、本日いただいた意見等を含めまして、また資料を修正いたしまして開催したいと思います。ほぼ1か月後ということで6月中旬を予定しておりますので、また正式には各先生方に御案内を申し上げます。よろしくお願いいたします。
○葛原座長 予定はできるだけ早く教えていただけますでしょうか。急に言われると、なかなか予定が合わず、みんなの頭数をそろえるのが大変だと思いますので、候補日でも結構ですから2つ3つ言っておいていただければと思います。
 それでは、何とか5分過ぎで終わりました。どうもありがとうございました。


(了)

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