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2012年2月21日 平成23年度第1回水質基準逐次改正検討会議事録

健康局水道課

○日時

平成24年2月21日(火)
13:00~16:00


○場所

中央合同庁舎第5号館
18階専用第22会議室


○出席者

出席委員

眞柄座長 浅見委員 安藤委員 伊藤委員 遠藤委員
西村委員 広瀬委員 松井委員

○議題

(1) 水質基準項目等の検出状況について
(2) 未規制物質等の水道における存在実態調査結果について
(3) 要検討項目への追加物質について
(4) 今後の水質基準等の見直しについて
(5) WHO飲料水水質ガイドラインの改訂内容について
(6) 今後の農薬類の分類見直しについて
(7) 妥当性評価ガイドラインの作成について
(8) その他

○議事

○尾川水道水質管理官
 それでは、定刻となりましたので、ただいまより「平成23年度第1回水質基準逐次改正検討会」を開催いたします。
 本検討会では、最新の知見に基づきます水質基準の策定等に向けまして、委員の皆様には活発な御議論をお願いしたいと思います。
 本日の議論の成果は、来る3月5日に開催されます厚生科学審議会生活環境水道部会に報告する予定でございます。
 本日の出席状況でございますけれども、国包委員を除きます委員の皆様に御出席をいただいております。
 委員の皆様におかれましては、御多忙中にかかわりませず、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。
 委員の皆様には、前回の委嘱期間が昨年度末で切れてございますが、引き続き委嘱手続につきまして御同意いただきまして誠にありがとうございます。
 また、今回から京都大学大学院地球環境学堂教授の伊藤禎彦先生に委員に御就任いただいておりますので、御紹介いたします。
 伊藤委員、よろしくお願いいたします。
 では、以後の議事進行に先立ちまして、座長の選出を行いたいと思います。座長には、昨年度に引き続きまして、眞柄委員にお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 それでは、以後の議事進行を眞柄委員にお願いしたいと思います。恐れ入りますが、お席の移動をお願いいたします。

○眞柄座長
 眞柄でございます。
 引き続き座長ということでございますので、いろいろと難解、難題もあるかもしれませんが、よろしくお願いをいたします。
 それでは、早速ですが、資料の確認をいたしたいと思いますので、お願いします。

○池本係長
 それでは、事務局より配付資料の確認をいたします。
 まず、1枚目表面が議事次第、裏面が配付資料となっております。この配付資料の順番に御確認をお願いいたします。
 続きまして、番号なしで座席表がございます。
 資料1、「最近の水質基準項目等の検出状況について」。
 資料2、「平成23年度未規制物質等の水道における存在実態調査結果(案)」。
 資料3、「要検討項目への追加物質について」。
 資料4、「最新の科学的知見に基づく今後の水質基準等の改正方針(案)」。
 資料5、「WHO飲料水水質ガイドライン(第4版)概要」。
 資料6、「農薬類の分類見直しについて」。
 資料7、「水道水質検査における妥当性評価ガイドラインの作成について」。
 続きまして、ホッチキスどめで参考資料1、同じホッチキスどめの中に参考資料2と3が付いております。
 この後は委員限りの資料でございます。
 資料2参考、「平成23年度未規制物質等の水道における存在実態調査報告書(案)」。
 資料4参考、「ウラン摂取量に関する既存の調査結果を用いた日本人のウラン摂取量分布の推計」。
 また、ホッチキスどめとは別にA3横長で資料1参考としまして、「水道水質基準項目等に係る最近の状況について」をお配りしております。
 不足等がございましたら、事務局まで御連絡ください。

○眞柄座長
 よろしいでしょうか。
 では、議題に入る前に本検討会の公開の取り扱いについて事務局より説明をお願いします。

○尾川水道水質管理官 参考資料の1、2、3の束をお取りください。
 本検討会の運営要領、これは委員の先生方に委嘱したときにお配りしているものでございますけれども、運営要領のその他の「(3)検討会の公開の取扱いについては、検討会において決定する」とございます。その取り扱いの案を参考資料3に付けてございます。参考資料3の「2.逐次改正検討会の公開の取扱について」ということでございますが、この検討会は水道課長の設置する検討会でございますけれども、他の検討会と同様に、「個人情報の保護等の特別な理由が無い限り、基本的に公開とすること」としております。したがいまして、本逐次改正検討会は原則公開でございます。開催予定ですとか、委員のお名前、御職業、会議資料そのもの、議事要旨についても併せて公開でございます。本日も幾つか委員限りの資料を用意してございますが、どうしても検討に必要なために、中間段階の取りまとめ前の調査結果あるいは先生方から未発表の研究成果を出していただくことがございます。これらにつきましては知的財産権の保護という観点もございまして、非公開とさせていただきたいと思ってございます。
 資料の御説明は以上でございます。

○眞柄座長
 それでは、原則として公開にいたしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、議題に入りまして、最初に、「水質基準項目等の検出状況について」であります。
 事務局から説明をしてください。お願いします。

○池本係長
 それでは、資料1、水道統計水質編や厚生労働省による水道事業体へのアンケート結果を基に水質基準項目、水質管理目標設定項目、要検討項目、農薬類の検出状況の動向を御報告いたします。また、検出状況に基づいて水質基準項目と水質管理目標設定項目の分類を見直した結果について御説明申し上げます。
 1ページ、「1.過去5年間の水質検査結果に基づいたリスクレベルの評価」でございます。
 現行の水質基準及び水質管理目標設定項目は、平成15年4月の厚生科学審議会の答申に基づいて設定されたものであり、浄水中の検出状況から物質ごとのリスクレベルの評価結果等を踏まえ、水質基準項目と水質管理目標設定項目に分類されています。
 ここでは、第8回厚生科学審議会生活環境水道部会の資料4に従って、水質基準項目及び水質管理目標設定項目の間での格上げ、格下げについて検討いたしました。
 「(1)データ整理」でございますが、データとしましては、水道統計水質編の直近の過去5年分、平成17年度版~平成21年度版の水質検査結果のうち浄水について、評価値の10%、50%、100%値の経年的な超過状況を表及びグラフに整理してございます。
 水質基準項目の水道水質データの整理結果を表1-1に、水質管理目標設定項目の水道水質データの整理結果を表1-2に、農薬類のうち第1候補群の水道水質データの整理結果を表1-3に示しております。また、水質基準項目の過去5年間の基準値等の超過状況を図1-1に、水質管理目標設定項目の過去5年間の目標値等の超過状況を図1-2に示しております。
 資料が膨大でございまして、時間の関係から個々のデータの御説明は割愛させていただきますが、過去5年間の経年変化を18ページ以降に示しておりますのでご覧ください。
 おおむね過去の傾向が維持されておりますけれども、中には傾向が変わったものがございます。傾向が変わった理由につきましては、水道統計のみからではなかなかわかりにくいところもございますが、中には、例えば38ページ、基準項目40番の陰イオン界面活性剤につきましては、19年度まで急激に減少しておりますけれども、こちらにつきましては、原水水質の改善としまして、未処理生活雑排水の河川への流出減少や、高度浄水処理の効果が考えられます。また、基準項目の42番、43番につきましても高度浄水処理の効果が考えられます。
 47ページ、水質管理目標設定項目13番のジクロロアセトニトリルが17年から20年度にかけて緩やかな減少傾向を示していましたが、21年度に上昇しております。こちらにつきましては、ジクロロアセトニトリルの目標値が平成21年4月1日で変更となっておりまして、目標値の改正に伴って、分析結果の提出において慎重な判断ですとか、より低い値での精密な水質検査を行ったことによるものであることが推察されます。
 52ページ、水質管理目標設定項目28番、従属栄養細菌につきまして、17、18、19年度はデータがございませんが、平成20年度より水道統計にデータが掲載されるようになったものでございます。
 こうした傾向と検出状況を踏まえまして整理した結果を54ページ以降にお示ししております。「(2)水質基準等の超過状況」でございますが、(1)で整理した過去5年間の水道水質データを対象として、100%値、50%値、10%値それぞれの超過傾向を整理した結果を表1-4、1-5に示しております。
 これらの結果を更に整理したものが57ページ、「(3)定期見直しにおける水質基準等の分類結果」でございます。表1-6の分類要件に従いまして、水質基準項目と水質管理目標設定項目の分類変更(格上げ、格下げ)について検討しましたところ、今回の整理結果におきまして、格上げ、格下げに該当する項目はございませんでした。
 続きまして、60ページ、「2.要検討項目等に関する測定結果整理」でございます。
 こちらは水道統計ではなく、全国の水道事業者等が自ら平成18年度から22年度に実施した水質測定の結果について厚生労働省がアンケート調査を実施しまして、その結果を整理したものでございます。
 (2)で調査の対象とした水質項目をお示ししております。
 本調査におきましては、要検討項目と農薬のうち第2候補群、第3候補群について整理しております。
 具体的な検査結果につきましては、65ページ以降にお示ししております。
 ここでは最大値が目標値の10%値、農薬においては1%値、目標値が定められていない項目については定量下限値を超過して検出された地点について整理しております。また、最大値が定量下限値以上かつ目標値の10%値以下(農薬においては1%値以下)で検出された地点について整理しております。
 調査結果について75ページ以降に整理しておりますので、ご覧ください。
 2-3.調査結果でございますが、「(1)最大値が目標値の10%値(農薬は1%値)を超過した地点及び項目」でございます。調査の対象とした水質測定結果のうち、最大値が目標値の10%値(農薬においては1%値)を超過した項目の一覧を表2-3にお示ししております。表のうち、黒い四角で示したところが10%値を超過した項目でございます。
 続きまして、76ページ、「(2)目標値のない項目の最大値」としまして、調査の対象とした水質測定結果のうち、目標値が設定されていない項目につきまして、原水あるいは浄水の最大値の一覧を表2-4にお示ししております。
 77ページ、「(3)最大値が定量下限値以上かつ目標値の10%値(農薬は1%値)以下であった項目」につきまして、全地点の最大値が定量下限値以上かつ目標値の10%値(農薬においては1%値)以下であった項目の一覧を表2-5にお示ししております。
 続きまして、「(4)全ての測定結果が定量下限値未満であった項目」につきまして、78ページから79ページにかけてお示ししております。
 79ページ、「(5)測定されていなかった項目」について整理しております。
 80ページ以降にそれぞれの検査結果について測定値の度数分布表をお示ししております。調査の対象とした水質測定結果のうち、最大値について作成した度数分布表を表2-8から表2-27にお示ししております。階級の設定につきましては、要検討項目が10%から100%まで10%刻み、農薬類については1、2、3、5、7、10、30、50、70、100%の刻みで集計を行っております。また、目標値が設定されていない項目につきましては濃度の分布状況のみをお示ししております。
 資料1の御説明につきましては以上となります。

○眞柄座長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいま御説明をいただきました最近の水質基準項目等の検出状況について御質問や御意見がある方はどうぞお出しください。
 例年と特に大きな変化はないようには思われますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それではとりあえず、こういう検出状況であったという御報告を御了解いただくことにいたしたいと思います。
 水質基準項目以外につきましては、水道事業体等の御協力で設定をされておりますので、今後も引き続き測定されるようにお願いをしていただきたいと思います。
 それではその次に、「未規制物質等の水道における存在実態調査結果について」について御説明ください。お願いします。

○池本係長
 続きまして、資料2、平成23年度に厚生労働省が水道事業体及び日本水道協会の協力の下で実施した要検討項目等の存在実態調査の結果について御説明申し上げます。
 1ページ、まず、調査の目的です。水道法第4条の水質基準については、平成15年4月の厚生科学審議会の答申におきまして、最新の科学的知見に従い常に見直しが行われるべきとされるとともに、水質基準項目とされていない物質群に関して、情報の収集及び調査研究等を推進していくことが必要とされています。このため平成16年度以降に要検討項目の存在実態調査を開始しまして、平成20年度にその結果について一定のリスク評価を行いましたが、本調査におきましては、これまでの調査の結果から比較的高い濃度で検出されていた項目及び平成21年度に要検討項目に追加された項目について、水道における測定データのさらなる蓄積を目的として全国の代表的地点の水道における存在実態の把握を実施いたしました。
 「2.調査概要」。「2.1.調査項目・分析方法・定量下限値」でございます。
 調査項目は、要検討項目44項目のうち、これまでの調査結果において比較的高い濃度で検出されていた7物質及び平成21年度に追加した4物質とし、そのほかに基本データとして以下の項目を測定しております。これらについては、水質原水及び浄水ともに測定しております。下線部分が今年度新規に調査した項目で、具体的には塩化物イオン、臭化物イオン、金属類でございます。調査項目、分析方法、定量下限値の一覧は、2ページ、表2-1にお示ししております。
 3ページ、「2.2.調査地点」でございます。
 調査地点は、表2-2に示す浄水場ごとに水道原水及び浄水の各1地点といたしました。ただし、浄水が水道用水供給事業者からの受水とのブレンド水であり、自己水の比率が50%未満の場合は浄水場出口水を浄水としております。なお、これらの調査地点は、調査項目ごとに以下の観点から選定いたしました。
 ?バリウム、モリブデン、アクリルアミド、EDTA、過塩素酸、PFOS、PFOAにつきましては、平成21年度、22年度の調査において検出された地点としております。
 ?NDMAにつきまして、こちらも平成21年度、22年度調査において検出された地点としております。また、オゾン処理を導入している施設や水道原水が下水処理の影響を強く受ける浄水場につきましても選定してございます。
 ?塩化ビニル、こちらは平成21年度、22年度調査において全ての地点で検出されなかったことを踏まえまして、調査対象水源を地下水に限定し、水道原水中のトリクロロエチレン又はテトラクロロエチレン濃度の高い地点を選定いたしました。
 ?ジブロモアセトニトリル、消毒副生生物の生成リスクが高い地点を選定するため、平成21年度、22年度調査において検出された地点に加え、給水栓で臭素化合物濃度が高い地点を選定しております。また、塩化物イオン及び臭化物イオン濃度を併せて測定しております。
 ?MX、こちらは平成21年度、22年度調査において検出された地点とし、それらの地点におきまして塩化物イオン及び臭化物イオン濃度を併せて測定いたしました。
 ?金属類につきましては、バリウムを測定する地点におきまして併せて測定しております。
 ?基本的な項目につきましては、全調査地点で実施しております。
 調査地点図は5ページの日本地図にお示ししております。
 6ページに試料採取者・採取方法・採取日をお示ししております。
 水道事業体55施設について、今年度の本業務の請負業者である財団法人千葉県薬剤師会検査センターから対象水道事業者等に採水容器を送付し、当該水道事業者等が採取し、請負業者が受領して分析を行っております。
 8ページに実際の検出状況についてお示ししております。
 各調査項目の検出状況のうち要検討項目について9ページの表3-1にお示ししております。
 10ページ以降に、要検討項目の各項目について検出された調査項目についての度数分布図を作成いたしました。窒素関連項目につきましては、各濃度の積み上げ式の棒グラフでその内訳をお示ししております。
 (1)バリウムです。
 バリウムにつきましては、水道原水23地点、浄水23地点の調査を行いましたが、全ての地点で検出され、検出濃度範囲は水道原水では2.2~17μg/L、浄水では1.4~20μg/Lであり、いずれも目標値の10分の1以下でした。検出の傾向は過去2年と同様で、また、各浄水場において、水道原水を浄水の濃度はほぼ同レベルでした。
 12ページ、(2)モリブデンです。
 モリブデンは、水道原水23地点、浄水23地点で調査を行い、全ての地点で検出され、検出濃度範囲はいずれも目標値の10分の1以下でした。また、各浄水場において水道原水と浄水の濃度はほぼ同レベルで、検出の傾向も過去2年と同様でした。
 14ページ、(3)アクリルアミドです。
 アクリルアミドにつきましては、水道原水1地点、浄水1地点の調査を行いましたが、不検出でした。
 16ページ、(4)EDTAです。
 水道原水17地点、浄水17地点の調査を行い、水道原水につきましては14地点、浄水につきましては13地点で検出され、検出濃度範囲は全ての地点で目標値の10分の1以下でした。各浄水場におきまして、水道原水に対して浄水の濃度はほぼ同等から50%程度に減少しておりますが、凝集沈殿・急速ろ過方式と高度処理の除去性には明確な差は認められませんでした。また、検出の傾向は過去2年と同様でした。
 18ページ、(5)塩化ビニルです。
 水道原水及び浄水9地点の調査を行いましたが、水道原水1地点で検出されて、検出濃度は0.8μg/Lで、目標値の10分の1を超過しました。その地点におきましては、平成23年7月の水質検査においてシス-1,2-ジクロロエチレンが0.072?/L、トリクロロエチレンが0.031?/L検出されておりまして、これらの物質により分解生成したことが考えられます。
 20ページ、(6)ジブロモアセトニトリルです。
 水道原水及び浄水14地点で調査を行いましたが、浄水5地点で検出され、検出濃度範囲は全ての地点の濃度で目標値の10分の1以下でした。浄水における最大検出地点を含む2浄水場におきまして、浄水中のTOC濃度が1.0?/Lを超過していました。また、この2浄水場を含む5浄水場におきまして、浄水中の紫外線吸光度が0.1を超過しているとともに、水道原水中の臭化物イオンが0.2?/L以上検出されていることから、塩素処理によりジブロモアセトニトリルが生成されたことが考えられます。
 22ページ、(7)MXです。
 水道原水及び浄水3地点の調査を行いましたが、全て不検出でした。
 24ページ、(8)過塩素酸です。
 目標値の1%以上検出された地点数は昨年と比較して減少しております。本年度の調査におきましては、水道原水では21地点全てで検出され、その検出濃度範囲は0.06~3.0μg/Lであり、浄水では20地点で検出され、その濃度範囲は0.05~2.8μg/Lでした。高度浄水処理を導入している浄水場におきましても過塩素酸濃度の明らかな低下は見られませんでした。1μg/L以上検出された2浄水場の水源は、荒川及び利根川でした。荒川は浄水場上流部で武蔵水路により利根川の水が導水されている地点でした。過塩素酸の増加の要因としましては工場排水や花火などの火薬の可能性が考えられております。
 26ページ、(9)PFOAです。
 水道原水及び浄水15地点で調査を行いましたが、全ての地点で検出されましたが、全ての地点の濃度で評価値の1%未満以下でした。各浄水場において、水道原水に対して浄水の濃度はほぼ同程度でした。高度処理では濃度の減少は見られず、オゾン処理や粒状活性炭による除去効果は見られませんでした。一方、粉末活性炭処理を行っている浄水場では、水道原水0.014μg/Lに対し浄水で0.009μg/Lに減少していました。このことから、粉末活性炭処理に一定の効果があることが考えられます。また、検出の傾向は過去2年と同様でした。
 28ページ、(10)PFOSです。
 水道原水、浄水の10地点の調査を行いましたが、水道原水及び浄水ともに5地点で検出され、その検出濃度範囲は全て目標値の10分の1以下でした。各浄水場におきまして、高度処理では濃度の減少は見られず、オゾン処理や粒状活性炭による除去効果は見られませんでした。一方、粉末活性炭処理を行っている浄水場では、水道原水0.005μg/Lに対し、浄水では不検出となりました。このことから、PFOS、PFOA同様粉末活性炭処理に一定の効果があることが考えられます。また、検出の傾向は過去2年と同様でした。
 30ページ、(11)NDMAです。
 水道原水、浄水の7地点の調査を行いましたが、全ての地点で不検出でした。
 資料2の説明は以上でございます。

○眞柄座長
 ありがとうございました。
 それでは、何か御注意をいただくことはありますか。

○浅見委員
 先ほど30ページのNDMAについて御説明があったのですけれども、これまで検出されていたんですが、今年の調査では検出されておりませんで、地点を拝見しましたところ、川の上流に当たるところと、どうも原因物質がかなり特殊なものかもしれないということもあるのですが、それのないところでオゾン処理を導入されているところやそれ以外のところということで今回検出されていないということなのではないかなと思っております。今後とも、これについては場所によって差異がある可能性がありますので、こちらの方でも研究でやっておりますので、引き続き注視したいと思います。
 以上です。

○眞柄座長
 ありがとうございました。
 ほかにございますか。
 塩ビとか幾つかのものについては揮発性が高いので、サンプリングしてから分析までの間の扱いというのはどの程度まで指示されていらっしゃるのですか。
 安藤さん、どうですか。関係しそうですか。サンプリングしてから分析までの時間、測定結果に影響することはどの程度考えられますか。

○安藤委員
 項目によっては十分あり得る話かなと思っております。今回は、特に塩化ビニルモノマーなどというのはもともと揮発性で、サンプリングによって随分違いますので、地下水が少ないということからすると出なくてもいいのかもしれませんけれども、やはりそれは注視しなければいけないということ。
 今、眞柄先生がおっしゃったことと関連しますが、ここのデータはかなり基準値の10分の1、あるいは1%となってくるということになりますと、定量下限あるいは分析法について、今は、基準値についてはいろいろな精度云々としていますけれども、そのほかについては全然していないということがございますので、そこについてもこれから目を向けていただければありがたいと思います。

○眞柄座長
 ありがとうございました。
 ほかにございませんか。
 では、広瀬先生。

○広瀬委員
 もう解説があったのかもしれませんけれども、12月に調べているので、例えば過塩素酸だと花火を使う時期とずれているのと、ジブロモアセトニトリルも消毒副生成物なので、夏の時期がそういうものが多いことを考えると、検査する時期が夏も1回ぐらいあった方がいいのかなと思いました。

○眞柄座長
 何か案はありますか。

○池本係長
 検査時期でございますが、平成21年度が冬、22年度が夏、23年度が冬ということで、夏・冬で交互に行っているのが現状でございます。

○眞柄座長
 冬に花火をやるところもあるから。
 浅見さん、何かアイデアはありますか。

○浅見委員
 過塩素酸については、利根川の発生源の方が割と一定のところですから、流量によって濃度が違うので、こちらで把握している範囲では冬の方が流量が下がってきて高くなる場合があったり、時によって若干の違いはあるのですが、そのような傾向だと考えております。

○眞柄座長
 利根川と荒川については固定発生源があるので、浅見先生が言われたようなことが現象として表れるでしょうが、それ以外のところは固定発生源がないところなので、花火などの行事で使われたときに出てくる可能性があるということからすれば、注意が必要だということかと思います。
 よろしいでしょうか。
 では、特にないようですので、続いてその次の「要検討項目への追加物質について」御説明をください。
 お願いします。

○池本係長
 続きまして、資料3、環境省による環境中濃度の調査結果を基に要検討項目に追加すべき物質の候補について検討した結果について御説明申し上げます。
 資料3、1ページ、「要検討項目への追加物質について」でございます。
 「平成21年度第1回水質基準逐次改正検討会」の資料におきまして、母集団物質リスト候補物質にお示ししておりますけれども、基礎情報収集対象物質について、要検討項目に追加すべき物質を選定する際の指標として、検出された最大値の基準値等に対する割合に着目いたしました。
 母集団物質リスト候補物質のうち、環境省による化学物質環境実態調査及び要調査項目存在状況調査において淡水中で検出された物質につきまして、検出された最大値の基準値等に対する割合を算出し、表1に整理いたしました。
 検出値につきましては調査年度別に当該調査年度の最大値を用いました。基準値等は海外諸国・機関における基準値等又はそれに準ずる値若しくは仮評価値を用い、海外諸国・機関における基準値等が複数存在する場合は、より安全側の結果が得られることから低い方の値を採用いたしました。
 そして、検出された最大値の基準値等に対する割合を用い、要検討項目に追加すべき物質候補の絞り込みを行いました。絞り込みは平成15年4月の厚生科学審議会答申に準じ、検出された最大値の基準値等に対する割合が10%超のものを基準といたしました。
 絞り込んだ物質と検出された最大値の基準値等に対する割合を表2にお示ししております。また、絞り込んだ物質の基準値等、検出地点、分析法を表3、4、5にお示ししております。
 検討の結果、検出された最大値の基準値等に対する割合が10%を超えていた物質は以下の4物質でした。具体的には、アニリン、キノリン、1,2,3-トリクロロベンゼン、ニトリロ三酢酸です。これらは以下の理由から、今後とも検討を行うべき物質を考えられ、要検討項目に追加すべき候補物質と考えられます。それぞれの物質についての考察を御説明いたします。
 まず、アニリンです。
 アニリンは直近の10年間に6回、調査の対象物質となっておりますが、各回とも調査地点の15~44%で検出され、2005年の調査で検出された最大値の基準値等に対する割合が1,000%となる地点があり、2006年、2007年の調査でも同一地点で検出され、いずれも各調査時の検出値の最大値でした。2007年調査時の検出された最大値の基準値等に対する割合は16%でした。その他の地点においても基準値等に対する割合が10%となる地点がございました。
 アニリンは米国EPAの評価では発がん性のおそれがある区分B2とされています。ただし、国際がん研究機関(IARC)では3(ヒトに対する発がん性については分類できない)と評価されています。
 NITEの初期リスク評価におきましては、「現時点ではヒト健康に対し悪影響を及ぼすことはないと判断」と記載されておりますが、上記のように局地的には高濃度で検出されていること、一方、低濃度ではあるが比較的広範囲で検出されていること、更に発がん性のおそれもあることから、今後とも検討を要する物質であると考えられます。
 なお、環境省の「化学物質の環境リスク初期評価」におきましては「無毒性量等を設定できなかったため、現時点ではリスクの判定はできない」とされております。
 続きまして、キノリンです。
 キノリンは直近の10年間では、2007年度の調査の対象物質として調査が行われたのみです。同調査では淡水域5地点で各3検体が採取されましたが、3地点、9検体でキノリンが検出され、検出された最大値の基準値等に対する割合が15%でした。
 キノリンは発がん性の懸念のある物質であり、IARCではまだ評価されておりませんが、米国EPAにおける評価はB2(動物での十分な証拠に基づいて、おそらく人発がん性物質)とされており、EUにおいても2(ヒトに対して発がん性があるとみなされるべき物質)と評価されています。
 日本におきましては、厚生労働省の委託によりラット及びマウスを用いたがん原性試験が行われています。その結果、両動物とも腫瘍の発生が認められ、これらの腫瘍はラット及びマウスに対する「がん原性を示す明らかな証拠」と結論付けられています。労働安全衛生法の規定に基づき、キノリン及びその塩による労働者の健康障害を防止するための指針が公表されています。
 また、PRTR法施行令が平成20年に改正された際、変異原性を根拠に新たに第1種指定化学物質に指定されています。
 キノリンの環境中濃度に関する調査は直近10年間に1回行われたのみであり、調査地点も5地点と少ないものの、検出された最大値の基準値等に対する割合が10%を超えて検出された例もあり、また発がん性であることを考慮いたしますと、今後とも検討を要する物質と考えられます。
 なお、環境省、NITEともリスク評価は行っておりません。
 3ページ、1,2,3-トリクロロベンゼンでございます。
 1,2,3-トリクロロベンゼンは直近の10年間では2005年度の調査の対象物質として調査が行われています。同調査におきましては、10~11月及び2~3月の2回に分けて行われていますが、全89地点のうち4地点で検出され、検出された最大濃度の基準値等に対する割合は15%でした。
 環境省の「化学物質の環境リスク初期評価」におきましては、「本物質の経口ばく露による健康リスクについては、現時点では作業は必要ないと考えられる」とされています。
 WHO飲料水水質ガイドラインにおいては、トリクロロベンゼン類としてのTDIが1,2,3-トリクロロベンゼンのデータに基づいて導出されているものの、飲料水中のトリクロロベンゼン類の濃度は健康への影響が懸念されている濃度よりも十分低い値であるとの理由でガイドライン値は設定されていません。また、同ガイドラインにおいて、水中のトリクロロベンゼンの臭気閾値は健康影響に基づき導出された評価値よりも低いことが述べられています。
 1,2,3-トリクロロベンゼンの環境中の濃度調査において、検出された最大濃度の基準値等に対する割合は15%でした。この値は河川等の淡水中の値であり、浄水処理によりWHOの見解のように十分な低値となり得るものか否か、今後確認する必要があると考えられます。また、環境中の存在について調査が行われたのは直近10年間で1回のみであり、今後データを集積する必要があると考えられます。
 最後にニトリロ三酢酸でございます。
 ニトリロ三酢酸は、直近の10年間で5回、調査の対象物質となっていますが、各回とも調査地点の約8割で検出され、かつ、各回とも検出された最大値の基準値等に対する割合がおおむね10%を超え、65%に達する年度もございました。
 ニトリロ三酢酸は、WHO飲料水水質ガイドラインにおきましてガイドライン値が設定され、またIARCによる発がん性の区分は2B(ヒトに対して発がん性を示す可能性がある)でございます。
 環境省の環境リスク初期評価におきましては、「本物質の経口暴露による健康リスクについては、情報収集に努める必要があると考えらえる」とされています。なお、同評価におきまして、暴露評価の項に「本物質は水域に排出され、水域中に分配される可能性が高いことから、飲料水からの暴露について検討する必要があると考えらえる」との記載がございます。
 以上のように、検出頻度及び検出濃度がともに高いこと、発がん性のおそれがあること、また、環境省のリスク評価結果も併せて考慮しますと、今後とも検討を要する物質と考えられます。
 4ページ以降は、今年度の調査におきまして検討整理した物質一覧と検出値と対基準値をお示ししたものです。
 8ページに要検討項目への追加候補として御説明いたしました4物質の整理結果を抜粋しております。
 9、10ページに本調査におきまして設定しました基準値等の考え方を整理しております。
 また、11ページには各物質につきまして、測定地点と濃度をお示ししております。
 最後に、12ページに分析法の概要をお示ししております。
 資料3の説明は以上でございます。

○眞柄座長
 ありがとうございました。
 今の説明について委員の方々から意見あるいは質問があったらどうぞお出しください。
 環境省のデータですので、必ずしも水道原水を測っているわけではないですが、4つの物質については、かなりの頻度、濃度で出ているということかもしれませんが、いかがでしょうか。
 安藤先生、どうぞ。

○安藤委員
 アニリンですが、アニリンは原水では出るかなと思うのですが、もし水道水をこれから測ろうとした場合、多分、アニリンですから酸化されてフェノールになるか、あるいは塩素化アニリンになるか、そういうものに変わる可能性があるということになりますので、そちらの方も考えてモニタリングなさった方がいいのではないかなと思います。

○眞柄座長
 ほかにいかがですか。
 アニリンのデータを見ていると、特定の都市の名前を出してはいけないのであれですが、かなり塩素系の有機物で汚染されていた地下水でも出ているというのがある一方、河川水でも出ているということで、どこでもあるような気もするし、発生源がどこなのかなということも含めて調査をする必要があるかなという印象がありますが。
 ところで、今はフェノール類というのは測っているのですか、測っていないのですか。
 安藤先生、どうぞ。

○安藤委員
 フェノール類というのは、測定方法を変えました。いわゆるガスマスでも測れる、あるいは液クロでも測れますが、それはフェノールと塩素化フェノールですから、フェノール、モノクロロフェノール2つ、ジクロロフェノール2つ、トリクロロフェノール1つの6物質に限っている。昔は比色でしたので、フェノール類として発色しているものは何でもということになっていましたが、今は6物質に限定しているというところです。

○眞柄座長
 それは前の資料1か資料2で出ているのですか。

○安藤委員
 出ているはずです。基準項目ですので。

○眞柄座長
 そうか。フェノール類で出ていますね。5ppb。

○安藤委員
 フェノール類は臭気の方で抑えられていますので。

○眞柄座長
 その辺のデータとチェックしながら見ていけばいいということですね。
 ありがとうございました。
 トリクロロベンゼンというのはどうしてここにあるのかな。あれは塩素化物。

○安藤委員
 塩素化ですか、塩素化されてできたものではないと思うのですが。ベンゼンに塩素がついているだけですから。何かの原料で使っているか何か。

○眞柄座長
 原料で使っているのですかね。NTAも濃度は低いのですが、結構いろいろなところで出ているので、これもある種のキレート剤だからあちこちで使われているのでしょうけれども、こうやって見ると、水道水源として使われている河川からはそれほど高くは出ていないということか。
 ほかにありますか。
 伊藤先生、どうぞ。

○伊藤委員
 3ページ目のトリクロロベンゼンのことですけれども、3つ目のパラグラフの終わりの方に、臭気閾値は健康影響に基づく評価値よりも低いと書かれています。現在の基準体系の中では、すでに、健康項目と性状項目についての区別は特にしないというのが原則になっています。また、水道臭気については厚生労働科学研究の中でも西村先生が主任研究者になってお進めいただいている研究もございまして、水道水についての臭気に関する関心及びそのコントロールの必要性はだんだん高まってきていると思います。勿論、臭気というのは、水質基準項目では臭気という項目があって、それでコントロールされているのだという見方もできます。しかし、今後は要検討項目についても、臭気から見ての要検討である項目という観点からも今後、物質を拾っていければと思っております。

○眞柄座長
 ありがとうございました。
 トリクロロベンゼンの臭気の閾値も見ながら調査をするということかと思いますので、そういう理解でいきたいと思います。
 とりあえず、今回は4つの化学物質について環境中でかなりの濃度と頻度で測定されているということでありますので、要検討項目へ追加するということで水道部会へ報告をしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、その次に、「今後の水質基準等の見直しについて」、事務局から説明をお願いします。

○池本係長
 それでは、事務局から資料4を用いまして説明いたします。
 内閣府食品安全委員会が実施した最近の健康影響評価結果等の知見等に基づいて、今後の水質基準等の改正方針について検討した結果について御説明申し上げます。
 資料4、「1.趣旨」としまして、水質基準については、平成15年の厚生科学審議会答申において、最新の科学的知見に従い、逐次改正方式により見直しを行うこととされ、厚生労働省におきましては水道水質基準逐次改正検討会を設置し所要の検討を進めております。
 本検討会におきまして、内閣府食品安全委員会の新たな健康影響評価等の知見等に基づき、今後の水質基準等の改正方針について検討いたしましたので、御報告いたします。
 「2.食品健康影響評価の結果への対応方針(案)」でございます。
 「第9回厚生科学審議会生活環境水道部会」の開催以降、内閣府食品安全委員会による食品健康影響評価の結果及びそれらへの対応方針(案)を以下に示しております。
 「(1)農薬類以外」としまして、まず、水質基準項目でございます。シアン化物イオン及び塩化シアンにつきまして、食品安全委員会から平成22年10月19日に答申が出ておりまして、TDIにつきましては、非発がん性について4.5μg/?/日でございます。こちらにつきましては、平成15年の答申と同じですので、異なる評価結果は得られませんでしたので、現行評価値を維持することとしたいと考えます。
 2ページ、水質管理目標設定項目としまして、ウラン及びその化合物でございます。
 平成24年1月12日に食品安全委員会の答申が出ておりまして、TDIが非発がん性で0.2μg/?/日となっております。基にしました研究論文につきましては、平成15年の答申と同じGilmanらによる1998年の結果です。
 こちらにつきまして、食品安全委員会では、LOAELにつきましては、0.06?/?/日と同じですけれども、不確実性係数につきましては、1,000ではなく300としております。
 平成15年答申と異なる評価となったウランにつきましての考え方を以下に示しております。
 まず、ウラン摂取量に関する既存の調査結果を用いた日本人のウラン摂取量分布の推計結果は以下のとおりです。こちらは平成23年度厚労科学研究「水道における水質リスク評価および管理に関する総合研究」によるものでございます。
 まず、マーケットバスケット法により得られたデータにつきましては、モンテカルロ・シミュレーションを用いることにより、陰膳法によるデータにつきましては、文献に示された平均値と標準偏差から正規分布を仮定することにより、水道水中ウラン濃度として2μg/L、飲水量2L/日を仮定したときの日本人のウラン摂取量分布を推計いたしました。
 総ウラン摂取量が0.20μg/?-bw/dayを超過する確率は、OhnoらのMBSデータを用いると0.12%になりましたが、ShiraishiらとKuwaharaらのデータではそれぞれ5%と1.7%となりました。
 陰膳法による調査研究につきましては、いずれのウラン摂取量の文献値を用いた場合も、ウラン濃度に2μg/Lの水道水からのウラン摂取量を考慮に入れても、総ウラン摂取量は0.20μg/?-bw/dayを超過しませんでした。また、岡山県内の旧ウラン鉱山周辺における陰膳調査データにおけるウラン摂取量の最大値にウラン濃度2μg/Lの水道水からのウラン摂取量を加えても、総ウラン摂取量が0.20μg/?-bw/dayを超過しませんでした。
PTDIが0.2μg/?-bw/dayのときに、水道水質基準の評価値である2μg/Lを維持した場合には、水道水の割当率は40%となります。しかし、現行の評価値2μg/Lを維持しても、MBSデータの総ウラン摂取量がPTDIを上回る確率は約5%以下と言えます。MBSデータはDPSに比べてウラン摂取量が大きく算定されていることから、PTDI0.2μg/?-bw/dayを上回る確率は更に小さいものと思われます。
 したがいまして、現行評価値を維持した上で、寄与率と摂取量の実態調査のフォローアップ研究を実施しつつ、引き続き水質管理上注意喚起していくことが適当と考えられます。
 続きまして、「(2)農薬類」でございます。
 まず、第1候補群としまして、11物質について食品安全委員会の評価結果をお示ししております。このうちオレンジ色で網掛けした部分につきましては、食品安全委員会の評価内容が平成15年の答申と異なるものです。いずれも食品安全委員会の答申に基づいて寄与率10%として評価値を算出した結果、まず、アセフェートにつきましては評価値を0.01 mg/Lに強化。ベンフルラリンにつきましては評価値を0.01 mg/Lに強化。ペンディメタリンにつきましては評価値を0.3 mg/Lに緩和。アラクロールについては評価値を0.03 mg/Lに緩和。フェンチオンにつきましては評価値を0.006 mg/Lに緩和。フェントエートにつきましては評価値を0.0007 mg/Lに緩和。そして、ベンスルフロンメチルにつきましては評価値を0.5 mg/Lに緩和することが考えられます。
 4ページ、第2候補群につきまして、2物質について食品安全委員会から新たに評価結果が出されましたが、いずれも過去の答申または見直しの際の評価と同一であることから、現行の評価値を維持することとしたいと考えます。
 続きまして、第3候補群につきまして、6物質について新たに食品安全委員会から評価結果が得られましたが、そのうちの1つ、アミトロールにつきましては評価値を0.003 mg/Lに強化する結果となっています。
 いずれも平成15年答申を異なる結果となった項目についての考え方としましては、毒性評価と新評価値の案につきましては、上記の表の「対応方針」のとおりとすることが考えられます。
 また、第1候補群物質につきましては、新評価値案に照らした検出状況を調べましたところ、いずれの物質についても評価値の50%値を超えることはなく、水質基準項目への格上げの必要はないものと考えられます。
 資料4の説明につきましては、以上でございます。

○眞柄座長
 ありがとうございました。
 それでは、今の御説明について御質問や御意見がありましたら、どうぞ出してください。

○松井委員
 2枚目のウランの変更基準の説明をしていただいたのですが、この資料によると平成15年答申では「UF:1,000」と書いていますけれども、これは100の間違いではないでしょうか。

○尾川水道水質管理官
 100です。

○眞柄座長
 1,000ではなくて100だったと思います。
 だから、そのままでいくと、約3分の1にということですけれども、それをしなくても暴露量が低いからということだと思いますが。
 ほかにありますか。

○池本係長
 失礼いたしました。種差と個人差にそれぞれ10を適用しまして、不確実係数につきましては100です。誤りでございます。

○眞柄座長
 いかがでしょうか。ほかに何か。
 シアンですが、これは13週間の試験期間での結果で、この数値になっているということでありまして、いわゆるシアンというか、急性毒性からの基準値ではないということは、はっきりしておく必要があるということですね。

○安藤委員
 そうですね。急性はもっと高いですね。

○眞柄座長
 ですから、ときどきシアンが検出されて、急性毒が懸念されるということがときどき聞かれるのですが、そういうことを前提として定められた基準値ではないということをよく承知していただくように注意をすることが必要だということだと思います。
 ウランですが、こういう形で実際は1日耐容摂取量を水の方が現行の数値であっても食品からの摂取量を考慮しても十分TDI以下だということで、これでいいわけですが、要するに水質管理目標設定項目にウランを付け足すということになるのですか。

○池本係長
 現行水質管理目標設定項目に位置付けられておりますので、引き続き維持したいという案でございます。

○眞柄座長
 そういうことですね。
 先ほどの資料1でウランはデータとしてはどこにあるのですか。

○池本係長
 資料1でまとめたものにつきましては、6ページの目標設定項目の2番でございます。

○眞柄座長
 17年度では対目標値を超えていたのが4か所あって、50%を超えていたのが17年度が高かったのだけれども、近々では1か所。10%値が38か所ということですね。ちなみに、その1か所というのは17年からずっと測っている同じところですか。具体的な名前ではなくてもいいけれども、同じところか同じところではないかということだけ。もしかしたら同じところではないかと思うので、これは水道水のデータ、原水のデータですか。

○池本係長
 浄水でございます。

○眞柄座長
 浄水ですか。とれないからしようがないけれども、一応、管理目標値で評価値は同じになっているのですが、少なくとも対50%値辺りを、出ているところが同じところかどうかをチェックしていただいて、場合によっては当該の水道事業体に注意を喚起するようなことをしていただいた方がいいのではないかと思います。別にこの委員会の結論ではなくても結構ですが、多少気になるところがありますので、お願いいたします。
 ほかにありますか。よろしいですか。
 農薬関係ですが、評価値が随分変わってきていますので、今年はこの程度でありますが、食安委の方でもいろいろと評価値というか、ADIを見直しておりますので、随時検討していくことが必要ではないかと思います。また、ほかの方面からの情報ですと、登録抹消していたオキサジアゾンが再登録されて、オキサジアゾンは除草剤で随分大量にかつて使われておりましたので、また使われるようになったらどういう状況にあるかというのは今後注意をして見守っていく必要があろうかと思います。そういう農薬が結構ありますので、その辺にも注意を払っていただきたいと思います。
 それでは、資料4の水質基準等の改正方針、具体的にはシアンとウランと農薬類について、このように見直した。場合によれば今後、農薬については考え直していかなければいけないということについて水道部会へ報告することにいたしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。
 それでは、その次が議題5でWHOの飲料水水質ガイドラインの関係のことについて浅見委員から御説明をください。お願いします。

○浅見委員
 国立保健医療科学院の方で仮訳を作成途中ということがありまして、科学院の方から概要を説明させていただきたいと思います。
 資料5、時間の関係もございますので、主な変更点とか強調されている点を中心にお話したいと思います。
 まず「1.全体的事項」ですけれども、第4版が夏に発刊されまして、気候変動、水不足、豪雨等、世界的な影響があること。事故を想定した災害対策等について、より一層理解を深めて対策を取ることというのが重点化されている点だと解釈しております。
 水安全計画につきましては、途上国での導入促進を後押しするため、運用の重要性を強調するとともに、例えば農地への還元ですとか、水全体の管理の枠組みについて強調するという内容になっております。
 また、微生物問題に関しましては、水道水の安全性確保のための定量的微生物評価についての記載が加わりまして、基礎となる議論が行われております。
 次に各章でございますけれども、第1章では、気候変動に関する記述を強化しております。
 第2章では、安全な飲料水の枠組みということで、ウォーター・フレームワークという用語を用いておりますけれども、必要条件ですとか、検証のためにどうするべきか、また水安全計画との関連について触れられております。
 第4章、第5章のところは、それぞれ記述が気候変動ですとかISOとの関連が若干加わっておりますが、第6章のところで、緊急時の計画に対しまして、脆弱性の評価や復旧計画、防災計画について強調する記述になっております。
 また、緊急時の給水点における塩素濃度の最小目標値というものについて、高リスク時では0.5 mg/L、前は平常時で0.2 mg/Lと書いてありましたけれども、これよりもハイリスクのときを強調する内容になっております。
 第7章におきましては、遠藤先生の御尽力がいろいろあったと思いますけれども、新しい病原体につきまして、ウイルスですとか鳥インフルエンザ等の顕在化してきた問題について、特徴が追加されております。
 また、定量的リスクアセスメントの重要性、原水中の濃度や処理、消毒による除去・不活化を確保し、理想的には10-6の平均余命損失を低く抑えるということを例として示すような内容が加わっております。
 また、いろいろな技術といたしまして、科学的な消毒に加えて、膜やセラミックの膜、太陽光、紫外線、加熱、凝沈、多段階防御、家庭における処理についても言及されております。
 また、緊急事態時の煮沸勧告、調査の必要性についても触れられております。
 3ページ、第8章におきましては、化学的な観点と放射性学的な観点と重要性微生物のファクトシートが加わっておりますが、これは個別のところで後ほど述べたいと思います。
 12ページの化学物質のファクトシートにおいては、それぞれの項目につきまして、記述の方法が若干変わりまして、何年に最終的な見直しを行ったかということが書かれるようになっておりますが、幾つかの点につきまして、若干、数値の見直しですとか、記述の見直しがなされております。
 代表的なところだけ申し上げますと、ホウ素、飲料水の寄与率を40%とし、2.4 mg/Lにということで、第3版が0.5 mg/Lでしたので、若干緩くなっております。海水淡水化等の利用によりまして、高くなることがあるため、地域によってはほかの経路からの摂取も考慮して値を設定すべきという記述になっております。
 また、カドミウムにつきましては、毒性の見直しが行われまして、0.03 mg/Lということで、これは日本の値と同じように見直しがされております。
 先ほどもお話がありましたが、4ページの一番下のところで、シアンにつきましては、亜急性影響について記述がされておりますが、浄水中では十分に濃度が低いため、ガイドライン値は設定しないとなっております。
 5ページの一番上におきましても、塩化シアンについて記述がありますが、こちらもTDIとしては一緒なのですけれども、寄与率ですとか、若干中の記述がシアンと違うところがありますけれども、どちらにしてもガイドライン値は設定しないという内容になっております。
 そのほかに、鉛に関しましては、ガイドライン値0.01 mg/Lということで、値としては変わらないのですけれども、処理上、分析上の観点から設定することになりまして、毒性的には若干厳しくなっているのですが、全体的に給水装置の管理や配水管の交換、腐食防止等について、もう少し留意を払うようにという記述がなされております。
 大きなところでは以上でして、あとは記述にありますように、若干記載が加わっている点があるということで、説明は以上とさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

○眞柄座長
 ということでありますが、WHOのホームページにアクセスしていただきますと、PDFでダウンロードできますので、是非参考にしていただきたいと思います。製本した本を買うと100ドルですから、あの分厚いものをダウンロードして印刷すると100ドルよりかかるのではないかと思いますけれども。
 ほかに何か御質問がありましたら、どうぞ。
 WHOもほかの国際機関もそうですが、要するに情報のメディアでは、できるだけ情報を多くしようと。ハードコピーに関しては、できるだけ薄くしようという傾向にあると思います。第4版も、できるだけ薄くなるようにはしましたけれども、やはりかなりボリュームがあるので、次の改訂の際にはもっと薄くしようという方向にはありますが、しかし、背景がないと、なぜそういうふうになったかということがよくわからないので、やはり両方を見ていく必要があるのではないかと思っております。そういう点も注意をしていただきたいと思いますし、その薄くなったということもあって、先ほど浅見さんからも紹介がありましたように、ヘルスリスクを目標にしてガイドラインをつくることにしていますので、水道水の利便性ですとか、いわゆる快適性の観点からの情報がだんだん薄くなる傾向にあるということは承知しておく必要があるのではないかと思います。
 それともう一つは、日本の食品安全委員会も同じですが、多くの国々が食品安全委員会のような組織で評価をする。その結果を水道でどう規制値として扱うかという方法論が、必ずしも明確でないというところの問題点も、議論の中では話題になっておりますので、今後の改訂のときには、どういうことになるのかということについて、感心を持っていなければならないだろうと思います。
 第9章の放射線の部分でありますが、この第4版で第9章の放射線、Radiological aspectsですが、これについてかなり改訂をされたこともあって、昨年の福島の原子力発電所の後の対応が、この第9章を参照して我が国として対応を取れたということで、そういう意味では改訂されていてよかったと思いました。
 ほかにございますか。よろしいですか。
 どうぞ。

○伊藤委員
 3ページの第8章、先ほど説明はなかったのですけれども、寄与率のところで、デフォルト値が10%から20%に変更されたということ、そして、消毒副生成物など、ほかの経路がほとんどない場合は80%ということになっています。一方、6ページ目を見ると、トリハロメタンのところで、クロロホルムは75%ですが、クロロホルム、ジブロモクロロメタンについては20%のままである。おそらくハロ酢酸についても20%のままだと思います。こういうところが整合性が取れていないように見えるのですけれども、やはりWHOガイドラインに、この辺りの整合性までを求めるのは、多分難しいということなのでしょうね。読まれた感想等がもしありましたらお願いします。

○眞柄座長
 広瀬先生、どうぞ。

○広瀬委員
 この消毒副生成物は、多分デフォルト20%で、暴露評価がクロロホルムの場合は結構詳しい暴露評価を解析したんです。その結果、70%まで上げたということが正解です。あとのデータも暴露評価の実データが出てくれば、多分20%とかではない値になると思います。一個ずつやっているということです。

○伊藤委員
 ですから、それは各国で必要なデータを集めてやればいいということですね。

○広瀬委員
 いや、WHOのドラフトがそうなっているのです。個別ごとに、クロロホルムのバックグラウンド・ドキュメントは暴露評価が、食品が30%とか、吸入が30%とかというアロケーションをやっていくと、飲料水、吸入も含めると70%まで大丈夫という評価ができたので、クロロホルムは多分70%にした。
 ほかのは、その暴露データがないので、デフォルトを20%と置いているだけです。整合性ではなくて、一個ずつの評価がこうなっているということです。

○眞柄座長
 そういうことなんですが、基準値が厳しくなるような場合には、暴露のデータを一生懸命探して、暴露がこれぐらいだから水の寄与率をこれぐらい上げてもいいではないかということを、意識的にやっているということは、私は否定できないとは思います。
 逆に言うと、日本として、日本人の生活習慣から見て、消毒副生成物の全体の暴露に対する寄与率はこれぐらいというような情報をどんどん国際的に出していくことが、国際的な責任にもつながるし、日本の水道水に関する水質基準の科学的な確からしさも上がることにつながるということだと思います。
 そういう意味で、是非部会で今、申し上げたようなことの重要性も是非、個別の項目ごとではなくて、全体として基準をどうやって設定していくか。特に食品安全委員会は一日耐容摂取量しか示してくれませんので、具体的に水道水の基準をつくるのは、水道行政、水道部会としてやらなければならない仕事でありますので、そういう観点について、是非御配慮していただくようにお願いしたいと思います。
 ほかに何かございますか。
 松井先生、どうぞ。

○松井委員
 今の件なのですけれども、WHOの会議では、デフォルト値が20%と、消毒副生成物については80%ということで、大枠としてはそういうお話だったのですけれども、それを全てのガイドライン値には、いきなりは適用しないという話だったと思っています。個別に見直していく物質が出てきたときには、その新しいデフォルト値を使っていく。
 したがって、今回の班で見直しにかかってない物質については、10%とか、昔のデフォルト値のままでのガイドライン値になっているという話だったと記憶しています。

○眞柄座長
 そういうこともあって、先ほど浅見委員がおっしゃったように、この値は、いつレビューしたのだというものの年数が一応入っているようにしているということでございます。
 ほかに何かございますか。

○遠藤委員
 特にありませんが、インフルエンザに関しましては、日本からの提案で、鳥インフルエンザに係る情報が加えられました。冬場、水源地に水鳥が集まることを考えると、直接人間に危害が及ぶということではなく、水道がキャリアになって鳥インフルエンザウイルスが伝播するおそれに注意をしたらいかがかという提案をしたということです。

○眞柄座長
 ほかにありますか。よろしいですか。ありがとうございました。
 それでは、次に今後の農薬類の分類の見直しについてであります。これを説明してください。

○尾川水道水質管理官
 それでは、私の方から、資料6を御説明いたします。
 資料6は、今回お諮りしております分類見直しの考え方のペーパーでございます。
 1ページ目「(1)これまでの検討経緯」ということで、前回、平成22年の第2回のこの検討会におきまして、以下のことが決められてございます。
 まず1つは、この作業自体は、厚生労働科学研究の中で行ってございまして、現在、農薬は御案内のとおり、第1候補群が102物質、第2が26物質、第3が78物質ということでございますが、生産量等を考えまして、32物質を追加して238物質を母集団として、これを今後どうしていくかという検討を行っているわけでございますけれども、平成15年から時間も経っているということもございまして、前回の検討会では、ここに示す1群、2群、3群の3つに分けてはどうかということ。
 それから、その検討の際には、出荷量だけではなくて、出荷量をADIで割った値ですとか検出状況など、地域性も考えながら検討すべきではないかということでございまして、この中で第1群に含めるものについては、水質基準項目への拡大が必要なものについては拡大していきましょうということが決まったわけでございます。
 その後の検討状況を2ページ以降で御説明いたします。
 以上の基本的な考え方について、この検討会で御了承いただいていたわけでございますけれども、この厚生労働科学研究の農薬分科会で検討いたしまして、ここのア~クに示す論点について検討を行ってございます。
 まず1つは、アの分類区分の数と名称でございますけれども、現在、第1、第2、第3の候補群ということで、3つに分けておるわけでございますが、それは現在、水質管理目標設定項目並びで対象農薬リストに載っているものはまだしも、その他測定方法がないですとか、未検討というものがあるわけでございます。
 ただ、未検討で検討してないもの、あるいは検討したけれども出なかったものは、ものの扱いが違うわけでございますので、3ということではなくて、もう少し細分化して、更に数字ではなくて名前についても見直すべきではないかというのが、1番目であります。
 イですが、ADIを用いて分類を考えるわけでございますけれども、その際の分類あるいは選別の基準、どういう数字なりであれば、どの群に入れるかということについて検討してございます。
 ウの用途や適用場所、使用方法でございますけれども、出荷量というのは、世の中に出ていく量を示すものでございますが、水道水源に到達するということになりますと、まいている場所やほ場の水田か畑地かということもあれば、水道水源との位置関係についても考えなければいけない。また流出の度合いもまき方によって異なるわけでございます。あるいは年間出荷量で見た場合に、1回当たりの量が多いものや、ちびちび何回も数をまくものについて、どのように考えるべきかということについても検討いたしております。
 エは、地域性の考慮ということでございまして、勿論、農作物に対してまくわけでございますので、暖かいところ、寒いところによって、作物も違えば農薬の種類も違うということでありまして、そういった地域性の違いをどう考慮すべきかというのが、エでございます。
 オは、Σ値、御案内のとおり、総農薬方式でございますので足していくわけでございますが、私どの局長通知の中で、地域の状況を勘案して適切に選定ということでございまして、現在、102の第1候補群、対象農薬リストは、検出状況や使用量などを勘案して、浄水で検出される可能性が高い農薬であるという位置づけでございますが、それはあくまでも全国ベースでございまして、前に述べたように地域の違いなどもあるわけです。実際には水道事業者さんは、もうこの対象農薬リストをそのまま使いまして、その地域で使ってないものも測っていたり、あるいは使っているものがリストから漏れていたりということもあり得るわけでございます。
 これについて、もう少しどのような形で102物質全部やるのか、あるいは減らすのか、増やすのかということについて、選定方法を具体的に示すべきではないかということがございました。
 カは、検査法との関係でございます。現在の第2候補群というのが、検査方法が確立してないものを入れる格好になってございますが、標準検査法というものを課長通知で決めているわけでありますけれども、それを実際に確立していこうと思いますと、バリデーションなどに時間とお金がかかるということもございまして、検査法の確立とリストへの掲載が相互に関係している。その検査法の開発がボトルネックになっているということもございますので、そうしたリストへの掲載ルールの見直しが必要ではないかということが論点でございます。
 キの残留性でございますけれども、これも環境中への残留性、水道水源に出ていくかということについて、実際、調べてみますと量が少なくても出ているものや、あるいは過去に使用が中止されているものについて出ているということもございます。
 そうしたそのものの残留性、あるいは分解生成物の考え方について、次の項目にもございますが、自然界の挙動を考えるべきであろうということであります。
 クが、その分解生成物でございますが、どのように足していくか。元の原体が環境中あるいは塩素消毒によって形が変わっていくわけでございますけれども、それを検出結果と判定をどのようにつなげるべきか。ものによっては、一部の分解生成物は検査法が定められているということもございますので、これが横並びで見た場合に、評価の考え方が統一できてないのではないか。これを統一すべきではないかということでございます。
 こうしたこともございまして、まず3ページの下の方でございますけれども、検査法についての考え方を今回御提案したいと思っております。
 次の議題でも1枚紙を用意してございますが、妥当性評価ガイドラインというものをつくっていきたいということでございます。問題意識といたしましては、繰り返し申し上げておりますが、標準検査法を課長通知で決めていて、それは102農薬はカバーしているということでございますけれども、実際に農薬は意図的に環境中に放出される特異な化学物質群でございますけれども、それを全部この課長通知でもって公定の標準検査法を決めていくことは、もう実際には困難であろうということであります。
 現実には、水道事業体によって測られている農薬はあるわけでございますけれども、検査法がないことが検体数を狭めることにもなりますし、また標準検査法がないということは、出てきた結果の信頼性という点で、つまり仮に測ったとして、数字が出たとしても、それが信頼性のおけるものかどうかということになると、なかなかそのままでは使いづらい、検査法がない上にそういう問題があるということでございます。
 目を転じまして、食品分野の方を見てみますと、食品でも農薬についての検査法を告示や通知で決めてございますけれども、過去に食品の残留農薬がポジティブリスト化したときに、急激に数が増えたということもございまして、この妥当性評価ガイドラインを平成19年に決めてございます。
 この食品の妥当性評価ガイドラインとは何かと申しますと、つまり、通知試験方法以外の試験法を使って測った場合に、その結果を食品規格基準への判定基準として、公称値として使っていい。こういう方法であれば、その試験結果については使えるというものを、妥当性評価ガイドラインという形で示されているものでございます。
 また、妥当性評価ガイドラインのほかの効果といたしまして、食品分野でも同等以上ということを告示や通知で述べているわけでございますが、その同等以上の判断を、この妥当性評価ガイドラインに適合しているかどうかということで判断できるような仕組みができているということであります。
 したがいまして、こうした食品分野、私ども水道分野からしてみれば先行しているわけでございますが、こちらの残留農薬試験法で採用しております妥当性評価ガイドラインというものを水道分野にも決めることによりまして、標準検査法がネックにならない形で農薬類の見直しができるようになる。
 つまり、具体に申しますと、今、102農薬については、リストにも載っているし、検査法も決められている状況でございますが、一時的にリストに載っているけれども標準検査法が決められていない。ただし、分析法はわかっていて、妥当性評価ガイドラインによりまして、妥当性が判断された検査法によって検査が行われている。こういう状況を作り出すことができないかということであります。
 4ページに具体に書いているわけでございますけれども、こうした標準検査法の有無とは直接関係なしに、対象農薬リストに掲載できる仕組みを作るためにも、妥当性評価ガイドラインを早期に決めまして、その体制を固めていく。ただし、それは妥当性評価ガイドラインができたとしても、標準検査法を作らないということではなく、あくまでも標準検査法というのは作っていくということ。それから、標準検査法につきましては、こうした水道原水、水道水から濃度未知、あるいは種類未知の農薬を見つけていくということでございますので、個別の農薬を測るということではなく、一斉分析法を基本として、その一斉分析法の中に入ってくる農薬を増やしていくという考え方で標準検査法の設定を進めていきたいと思ってございます。
 そういたしますと、この妥当性評価ガイドラインができて、検査法についての体制が大きく変わることになった場合の新分類区分を、4ページの3以降に示してございます。
 ここで掲げてございますのが、全部で5つございますが、5ページの表をごらんいただいた方がわかりやすいかと思います。上から、水質基準農薬類という名前にしましたが、これはこれまでも考え方は変わってございません。つまり、対象農薬リストに掲載されている農薬、農薬類、これは水質管理目標設定項目並みに水道事業体での検査実績があるわけでございますが、そこの浄水での検査状況から見まして、3年連続で50%超過が1地点以上、あるいは5か年で目標値の100%を超過しているところが1地点でも存在した場合には、水質基準項目に格上げしていくものということでございます。現在は、空集合であります。
 対象農薬リスト掲載農薬類というのは、現在の102物質に対応するものでございますけれども、これは測定することによって目標値の1%を超えて浄水から検出されるおそれがあるものは、この対象農薬リストに掲載しようというものであります。
 そして、要検討農薬類ということで、知見が不十分なものについては、知見の収集を努めるということで、要検討農薬類に置くということであります。
 その他農薬類は、138物質がリストアップされているわけでございますが、事前の検討によって、仮に測定したとしても検出のおそれが小さいものについては後回しである。検討の優先順位を低く抑えるものについては、その他農薬類ということであります。
 除外農薬類というのは、その他農薬類と扱いは似ているのでございますが、大きく違いますのは、過去、対象農薬類に掲載されたものであって、ある程度検査実績がある。それによって、出荷状況などから考えても、今後、目標値の1%を超えて検出される蓋然性がないものについては、検討した結果外すものということで除外農薬類ということにしてはどうかということで、全部で5つでございますが、実質的には一番上はこれまで枠外でございますので、3つのものを4つ、対象農薬リストに掲載されない農薬類以下の4つに変えてはどうかということで御提案でございます。
 6ページ以降の資料は、実際に238物質をどのように分けていくかということであります。つまり、今から用意ドンということではなくて、これまで実績がありますので、過去これまで第1候補群に入っているもの、入っていないもの、このアとイに分けまして、考え方を整理してございます。つまり、第1候補群に入っているものはリストに掲載しておりますし、標準検査法もございますので、ある程度検査結果は集められているものでございます。
 したがいまして、測った結果、出ていない。あるいは今後とも出るおそれが低いものについては、除外農薬類へ動いていくものがあるだろう。勿論、出てきたものについては、これまでどおり水質基準農薬類に格上げしていく。残ったものが引き続き対象リスト掲載農薬類として残っていくということでございます。
 第2候補群、第3候補群及び追加農薬につきましては、これまでの実績が少ない。あるいは標準的な検査法が決められてないものということでございます。これについての考え方は、現在の第1候補群並みに検出のおそれがあると考えられるものについては、対象リストに掲載していこうということであります。
 また、検出のおそれというものはあるのですけれども、目標値がまだ固まっていない、未設定のものについては、要検討農薬類ということで、安全性評価にかかります情報を、知見を集めるものを要検討農薬類におきまして、そこに該当しないものはその他農薬類ということで横に避けようということであります。その考え方を7ページの表にお示ししてございます。
 7ページの(2)でありますが、今回こうした形で238の物質を分類した後のことを再分類後の見直し方法ということで書いてございますが、目標値につきましては、先ほども食品安全委員会の食品健康影響評価の結果について御紹介いたしましたが、それを使いまして、随時見直しを行うということでありまして、それによりまして超過状況が自動的に連動して変わっていくということでございます。
 それについては、格上げなりの必要性、特に要検討農薬類はそうした知見がないわけでございますので、新しく出てきた情報をもちまして上げていくかどうかということを検討するということであります。
 また、後ほど御説明いたしますが、この検出のおそれという言葉を出してございますが、この検出のおそれを出荷量、ADIなどから決めることといたしておりますが、出荷量も変わってまいります。先ほど座長からも一遍失効したものが、また再び出てくるというお話もございました。そうしたことも見なければなりませんので、農薬関係の統計資料を3年ごとぐらいには整理をして、再判定を行った上で、このおそれの程度について見直しを行って、上げたり、下げたりということをする必要があるだろうと思っております。
 検出のおそれの検討状況につきまして、これも厚生労働科学研究の中で、現在、行っていただいている判定方法を、これは未発表の資料でございますけれども、掲載させていただいております。
 7ページをご覧いただきますと、今回、厚生労働科学研究の方で行っておりますのは、こうしたことで出荷量とADI、国土面積を使いまして、出荷量については全出荷量と水田出荷量を使って指標を作りまして、この組み合わせによって判定しております。
 スコアというのは、吸着性や土壌分解性あるいは水中分解性のスコア値でございまして、そういう分解残留性を考慮したものであります。
 こうした?~?までの指標と、?~?は全国値でありますが、全国を10地域に分けまして、対応する、つまり?の出荷量÷ADI÷面積の北海道ですとか、これの地域の最大値を求めたものを?~?といたしまして、検討を行っております。
 8ページ、考え方といたしましては、この指標を組み合わせることによりまして、現在の第1候補群、つまり、データがある農薬が検出されているものが正しく拾い上げられて、不検出のものが除かれるかどうかということについて検討を行ったものであります。
 この一番上のがたがたのところがマックスでありますが、これに対して組み合わせをごらんいただきますと、?と?を組み合わせることによって、非常に一番よくマッチする結果が出たものでございます。
 したがいまして、結果として、8ページの一番下に書いてございますが、?出荷量をADIと面積で割った10地域の最大値、それと?分解性、残留性を考慮して水田農薬に着目したもの、この2つの組み合わせを用いて対象農薬リストに掲載するかどうか、検出のおそれがあるかどうかということを選択することを考えたものでございます。
 9ページが絵と一緒に掲げてございますが、掲載するための農薬の選択条件でございます。第1~第3まで選択基準線を載せまして、この絵の中に散布図がございますけれども、?と?の組み合わせの中で、第1候補群の検出のある、つまりマルとペケのものをごらんいただくと、マルがなるべくそのゾーンの中に入って、ペケがゾーンから除かれるようなところを検討いたしております。
 その結果が10ページに書いてございますが、第1基準線から第2、第3へと増やしていった場合には、その差分の部分でどれだけ効率よくキャッチできるかということでございますが、第2選択基準まで持っていくことによって、一番効率よく選択できるだろうということであります。
 その結果が10ページの下の図に書いてございますけれども、こちらは2群、3群、追加群の農薬の??の指標の分布状況を示したものでございまして、この第2選択基準線の黄色のところから右側と上側にあるものを引っ張ってこようということであります。
 ただ、11ページの上に書いてございますが、こうした機械的なことをやりますと、ADIが分母に入ってございますので、出荷量はすごく多いのですけれども、ADIが大きいものは、この選択の中に入らなくなりますので、これについては成分ベースの出荷量が多いものについては、第2選択基準線の中に入らなくても拾ってこようということで、要検討農薬類に入れていこうという考え方でおります。
 11ページの(3)でありますが、除外についても同様の考え方でありまして、?と?の組み合わせで、まず、第1候補群の農薬を11ページの図にありますように、マルがなるべく除かれて、ペケがキャッチできるように考えた場合に、第1から第2、第3と基準線を動かしております。
 12ページの上の折れ線を見ていただきますと、第2まではかなりいい感じでもってこられるのですけれども、第3、第4へと広げましても、効率性が上がってこないということでございまして、こちらも第2の除外線、基準線でもって線を引くべきだろうということでありまして、12ページの下にある、これは第2候補群、第3候補群・追加群の絵でございますけれども、この第2の左下の方にあるものについては除外しようということであります。
 13ページに、全体の結果が出てございますが、第1群の102物質につきましては、除外基準線に当たるもので、20物質がはねられていくわけでございます。水質基準に上がるものはございませんので、引き続きリストに掲載するものが82物質残るということであります。
 第2群については、現在26物質あるわけでございますが、選択基準に合致するものが17でありますので、17物質についてはリストに掲載する。そして、先ほど申しました量が多いものについては、要検討農薬類なりに持って行くということで、残ったものはその他としてその他農薬類に入れるということで、17物質、4物質、5物質ということで、26物質を分けていくということでございます。
 全体をごらんいただきますと、総農薬数が238物質でありますが、対象リスト掲載農薬類は現在102物質のところが112物質へ10物質ほど増えている。その他農薬類のところへ81物質入って、除外農薬類が20物質、要検討農薬類が25物質ということでございました。
 数字は確定でないということで、データについてはまだ精査が必要な部分がございますので、大体数のつかみとして、これぐらいだったということであります。
 13ページの(5)でありますけれども、今回、検討に入れることはできておりませんけれども、環境省の環境中予測濃度について御説明をさせていただきます。
 環境省は、農薬取締法を所管してございますけれども、水質汚濁防止の観点で、登録の前の事前審査で農薬メーカーに環境中の予測濃度を出させております。PECでございますが、このPECについては、当初は流出の可能性の高い水田農薬だけだったわけですけれども、徐々に拡大されておりまして、現在は全農薬が対象ということであります。
 PECの考え方は、安全側に計算する数値試験によりますTier1から、試験環境によるTier2、実水田のTier3という3段階でありまして、Tier1で問題なければ、そこでまとまる。Tier1で何か引っかかる場合には、Tier2までやるということでございまして、Tier2まで行っているものが9物質ございまして、Tier1でとまっているものが72-9=63物質ということであります。つまり、全体の農薬の数からしますと、対象は全農薬なのですけれども、数としてはまだカバーは十分にできてないところは問題ではございますけれども、ただ、このPECはそれなりに共通の計算方法なり考え方でもって、標準的な流域を想定して、下流の予測濃度を出すということでございますので、相対的にどれぐらい流出するかということを評価する上では効果のある方法かと思っております。
 現在、課題が幾つかありますので、今後の課題ではございますけれども、PECも考慮することで、どうしても水道事業者による検査については、そんなに頻度なりを一定以上上げることもできません。限界もございますので、PECも組み合わせて、PECも補強資料として活用することも今後検討していきたいと思っております。
 14ページ、今後の予定ということで書いてございますが、今次の検討会でお諮りをして、また御意見をお聞きしたいと思っております。データは、まだ再精査が必要かと思いますけれども、大きな考え方について御了承いただければ、来年の4月を目指して具体の農薬、数だけではどうかと思いますので、具体にどの農薬を上げていくのか、下げていくのかということについても提示をしないといけませんので、そうした検討をこれから行ってまいります。
 標準検査法は、別途、検査法検討会でもって検討してございますけれども、一斉分析法を検討中でございますので、なるべく速やかに上げていきたいと考えております。
 資料の説明は、以上であります。

○眞柄座長
 その次の妥当性評価ガイドラインも一緒にやった方がいいと思うので、そちらの説明もお願いいたします。

○尾川水道水質管理官
 承知いたしました。
 資料7の1枚紙、途中、お話申し上げました妥当性評価ガイドラインでございます。多少、話がかぶりますけれども、この妥当性評価ガイドラインは農薬類だけではなくて、一応、全ての水道水質検査に適用することを考えております。
 課題として、全てをカバーすることが容易でないということ。そして、標準検査法によらないものについて妥当性が評価できているもの、できていないものも全部渾然と一体となっておりますので、信頼性が十分ではないということが問題意識としてございます。
 また、同等以上があいまいだという、これは検査法の告示の問題ではございますけれども、告示に書き切れない部分についてもカバーが必要だということであります。これらの課題を考えて、食品中の残留農薬の試験法の考え方に倣いまして、水道においても妥当性評価ガイドラインを決めておきたいということであります。
 現在、考えております検討事項を2番に書いてございますが、検査機関は食品、水道両方やっているところもございますので、そう大きく変えるということではなく、ただ、水道としての違いをどこに入れていくかということをガイドラインの文章の検討の中では考えていきたいと思います。
 また、農薬類につきましては、その他の農薬類以外は基準値、目標値の10分の1を定量下限値としているわけでございますが、総農薬方式であるがために1%まで測るということでございます。場合によっては、感度を確保することがなかなか難しいわけでございますので、できない場合に足していく際に、どのように数字を処理していくかなどなどを考えなければいけないと思っております。
 大きな問題としては1行で書いておりますけれども、だれが、どのようにやるのかという、ガイドライン自体ができた場合に、この方法について妥当であるかどうか評価をしなければいけないので、実施体制についても検討が必要かと思っております。
 作成スケジュールでございますが、現在、原案の作成中でございまして、ここ2~3か月で検討した上で6月ぐらいに水道水質検査法の検討会で審議をお願いした上で、7月ぐらいにガイドラインとして世の中に出すことを考えておるところであります。
 資料7は、以上であります。

○眞柄座長
 ありがとうございました。
 それでは、まず、農薬類の分類の見直しについて御説明がありました。これについて御質問や御意見があったら、お出しください。
 西村委員、どうぞ。

○西村委員
 7ページに再分類後の見直し方法でおおむね3年ごとに整理しということ、先ほど御説明がありましたけれども、原則、それでそんなに大きく変動するものではないので、3年ごとでいいとは思うのですが、先ほど座長がおっしゃったように新しく登録されて、それで販売量が非常に多いことが見込まれるようなものが出てくる可能性があると思います。
 その辺は先ほど御説明があったPECなどをうまく利用して、どれだけ濃度が環境中に流出するかということも含めて、新しいものについてはできるだけそういうものも見直しをして、すぐに一番上のリスト掲載にはならなくても、例えば要検討項目に該当するものがあれば入れるという、そういう手順も少し考えておいていただけると、すごくいいのではないかなと感じました。
 以上です。

○眞柄委員
 ありがとうございました。
 ほかにございますか。
 浅見さん、何かありますか。

○浅見委員
 今回の見直しは測定方法に関しましても、西村先生のところでいろいろ検討していただいているということもありますので、期待しているところです。
 見直しの項目もそうなのですけれども、あと、科学院で測定の頻度ですとか全体的に、いつ、どこで測るのが適切かというところもやっておりますので、時間がかかるかもしれないですが、追いかけていくようにしたいと思っております。

○眞柄委員
 ほかにいかがですか。
 かつてCNPが基準にあったわけですね。それは失効してしまって、もう今は実施的には使われていなくて環境中に残っているものが水田土壌をかき回したり何なりするときに出てくるわけですが、農薬の登録保留のことに関係しているものとして、今後、水質基準にしなければならないような農薬はまずないだろう。まず、ない。
 ところが、実際は水道原水の中に濃度が低いけれども、農薬が多少入っている。そういうものに対してエンドポイントが同じような有機リン系の農薬だけではなくて、いろいろな種類があるわけですから、実際に水道水から多種多様な農薬が検出されている。そのことに対して水道水を使っている人たちにどういうメッセージを発するかということを考えて、平成15年のときに総農薬方式を基準ではないけれども、水質管理の目標としてつくった方がいいのではないかと言ってつくったわけですね。
 今の議論は、総農薬方式は保持をする。しかし、一方、どういう農薬を測るのかという、どういう農薬を測るということについて、こういうルールをつくって最終的には百幾つの農薬を測る対象にしましょうということになるだろうと思うのですが、そういう理解でいいのですか。

○尾川水道水質管理官
 1つ、私が御説明申し上げ忘れたことなのですけれども、先ほど除外農薬類と申し上げましたが、除外農薬類というのはこれまで対象農薬リストに掲載されていますので、目標値もありますし、検査法も存在しているというものであります。
 これについては引き続き残していこうということでありまして、つまり、私の理解では農薬の総農薬方式という考え方を取ったのは、農薬は事業場で使っている他の化学物質と違って、使っている以上はそれが出てくる可能性がある。どこかで線は引かないといけないわけですけれども、そこに対象農薬リストが出てきたのだろうと思います。
 事業体へのメッセージとしては、対象農薬リストの掲載の位置づけというのでしょうか。つまり、どういうものがリストになぜ載っていて、載っているというのはどういう意味があり、載っていないというのはどういうことなのかということを理解していただく。つまり、載っているものさえ測ればいいというわけでは勿論ないですし、逆に載っているからといって全部測らなければいけないというわけではない。
 本来は上流で使っている農薬の種類なり量を水道事業所なども把握をして、それに合って使用時期に合わせて測るという体制もしかるべきなのだろうと思いますけれども、ただ、そういった予定どおりにまいている農薬についても測りますし、過去使われていて、水田土壌にくっ付いていて出るかもしれないものについても測定する必要がある。そうした体制をつくっていこうということであります。
 実際に測ることができるという意味では、今度、10物質増えて112物質になると申し上げましたが、その112プラス20の農薬についてはいずれ標準検査法ができて、測定できる体制になりますし、また、一斉分析法をやりますので、約束はしづらいですけれども、なるべく要件とあるいはその他農薬であっても同じような分析方法によってできるものについては、一斉分析法による標準検査法を提供するようにしたいと思っております。

○眞柄委員
 よろしいですか。
 農薬はこれでいいとしたら、同じような性格を持っているものが医薬品とかパーソナルケアの化学物質も水道水源に入っていて、場合によれば水道水に入っていって、クロマトを取れば、とにかくシグナルが出てくるわけです。そうすると、そういうパーソナルケアなり医薬品なりについては、農薬と同じようにリスク評価が必ずしもされていないわけですね。
 もしリスク評価が医薬品とか、いわゆる一般の生活用に使う化学物質と同じようにリスク評価がされたとしたら、農薬みたいな方式をとるのか、それともそれは明らかにそのリスク評価の目標値から比べれば低いから大丈夫ですよというメッセージだけでいいのか。その辺の見込みは安藤先生、どうしたらいいですか。あるいは広瀬先生、どうしたらいいですか。

○安藤委員
 今の医薬品の話は具体的に浮かばないのですが、1つ、農薬という観点から言うと、評価手法をどうしようかということがある。それは例えば有機リン系だったら、有機リン系の1つの生物学的な評価があるので、それで評価できないか。それは西村先生が研究でおやりになっていますけれども、そういう手法ができるかな。それが医薬品に当てはまるかどうかというお話があるかなと思います。
 話が錯綜してしまって申し訳ございませんが、評価でもう一つ違う話で、いわゆるシグマで1にしたという、それは前回もお話ししたのですが、1でいいのかという話。ただ、私も根拠が今、あるわけではありませんけれども、これを0.5に下げたっていいではないかという議論はつくるときにありました。ですから、そこをもうちょっともう一回考えたいなという気もいたします。
 もう一つ、対象農薬については先ほど眞柄先生がおっしゃったように、失効しているもの。先ほどのCNPもそうですが、CNPがアミノ体になって、そのアミノ体をどうするのだという、むしろそちらの方が毒性が強いではないかというお話もありますので、表面的な具体的な例があるものもそうですけれども、そうではないものについても考える必要があるかなと思いました。
 先ほどの眞柄先生の御質問の農薬ばかりではなくて、ほかのものというものについては、総合的に評価できるような医薬品系統であれば、指標で評価していくこともありかなと思います。つまり、そういう情報は集めていく必要があるのではなかろうか、そういう気がいたしました。

○眞柄座長
 広瀬委員、どうぞ。

○広瀬委員
 基本的に同じで、多分、メカニズムが同じものは同じ。だから、総農薬制はある意味農薬は全部同じようなエンドポイントを持つと仮定して管理しているわけですけれども、実際は個々のメカニズムがあるので、それごとに相加なら相加するというのが理想的ではないか。そのときに医薬品というよりは多分、家庭用にも使われている殺虫剤とかそういうものも使っていることを考慮すると、それらの農薬と同様のメカニズムを持つ物質について、農薬としては登録していないけれども、日用品では使っているものはいっぱいあるので、そういうものもリスクとして加算していくという別の相加評価方式をとらないといけないのかなと思います。それは多分、これから複合暴露影響に関する評価法の開発をもっと進めていく必要があることに繋がるのかなというのが1点。
 先ほど言った?値が1か0.5かという見直しという意味とは、ちょっとずれる話かもしれないのですけれども、例えばウランとか消毒副生成物もそうなのですが、目標値の10%の意味とADIに対して何パーセントかという意味が、寄与率が違う場合に物質ごとに全部ずれてくるのです。そうすると、基準値に上げるために基準は目標値のパーセンテージではなくて、リスクから考えると、実際はADIに対して何パーセントというところで設定していかないと。
 だから、これまでの基準値に設定する基準は、そういう観点で少し見直すと同時に、例えば農薬全体が基準項目になるのか、目標に留まるのかも多分、そういう観点でADIに対してのリスクが何パーセントぐらいになったら基準値にするとか、ある農薬グループ全体はどうするのかというのが理想的な管理なのかなと思いました。

○眞柄座長
 西村委員、どうぞ。

○西村委員
 記憶違いだったら訂正を後でしたいと思いますけれども、今、農薬はデフォルト値は一定になっていると思うので、それで今のところは一括の評価で今の総農薬方式でいいと思います。
 今、安藤先生がおっしゃったように、シグマ値を1とか0.5、その辺の考え方は先ほど御説明があった妥当性評価ガイドラインで検出下限をどうするかも含めて少し考えていく課題にしてもいいのかなと思います。
 医薬品についてのお話ですけれども、医薬品自身が実際に大部分のものはヒトに対する安全性が評価されたものとしての位置づけがあるというのが1つあって、ですから、実際はどれだけの濃度が検出されるかという実態が余り把握されていないというところがあるので、評価できないところもあると思います。
 その実態を把握することが第一かなと思いますけれども、それを評価するときに先生方がおっしゃったように、エンドポイントなり作用機構が割と似たものが幾つか実際に使用されているということがあるので、複合影響を農薬以上に考えなければいけない物質群であるかなとは思っています。
 その辺の細かいところを言うと、浄水工程でどれだけ残って水道水、給水栓水に出てくるかというところを把握した上でどういう評価をしていくか少し整理をして、今後、考えていくことが必要なのかなと私自身は思っております。

○眞柄座長
 ありがとうございました。
 WHOのガイドラインのことを弁明するわけではないですが、閾値があるものに関しては閾値の何パーセントを水で取る、食品で取るとやっていって、発がん性のまさにリスクについては水も食品も同じリスクでぼんとやっているわけですから、その辺のところもよく理解をしておかないと、都合がいいように全部緩くしているわけでもないということでありますので、そこは一言付け加えておきます。
 ただ、日本の水道の水質基準で閾値があるもので10%以外にとっているものは、ホウ素と鉛と今回のウランの3つだけで、ほかはみんな10%でやっています。その辺のところはまだしっかりしているので、いいと思います。総シグマ方式を考えたときには、EUの検出された農薬の総合計が0.5というものよりは科学的に確からしさの根拠があるかなということでやったつもりですので、その考え方は残しておいてメッセージとして伝える手段として活用してもらう。
 ただ、どういう農薬を測るかということについては、今回の整理で今まで若干、あいまいだったところがはっきりしてきたということではないかと思います。
 妥当性評価ガイドラインのことですが、私からお伺いしたい。これは水質基準項目についての告示検査法についても告示の方法以外のことも認めるという意味の妥当性ガイドラインなのですか。

○尾川水道水質管理官
 途中でも申し上げましたけれども、特に気にしていますのが使用するカラムなどで同等以上の性能を持つものと書いているものがあります。カラムの径も4.7ミリなどとかかなり細かく決めているのですけれども、現在の考え方は検査法の検討会でデータでもって複数の事業体で確認できたものを告示に書いておいて、あとは同等以上にしています。
 1つは、ほかにもいいものがあるのに告示を早く改正してくださいという話に対して、それをどう応えていくのか。バリデーションにも費用がかかってまいります。そういう個別のメーカーさんに対するお答えをどうするかということもあれば、また、各検査機関で独自に判断されて、これは同等以上だとやっているものについても現在、何もそれを評価するものがございませんので、何をもってどういう濃度なりで確認をすれば、同等以上と認めていいよという、同等以上の判断基準に妥当性評価ガイドラインを使うということを考えております。

○眞柄座長
 だから、今の基準でも同等以上というのは書いてあるわけですね。同等以上だということを確認するのは、水道技術管理者の判断で同等以上だと判断すれば、それで今の告示の内容は満足しているので、こんなものをつくらなくもいいのではないかと私は思ったのだけれども、やはりつくらなければいけないのですか。
 それは、だから、西村先生から聞いた方がいいかもしれない。あるいは安藤先生からでもいいのだが。

○安藤委員
 今の問題は2つあるかなと思うのです。
 1つは検査法があります。この検査法があるかっちりしたものが決められている。この水道の検査では、告示法以外はだめですと言っているわけです。

○眞柄座長
 それは言っていない、同等以上ならいいのです。

○安藤委員
 それについては、同等以上という、こういう言い方になるわけです。同等以上ということは、同等という証明をしなくてはだめでしょうということになるのです。

○眞柄座長
 それは、技術管理者の自己責任ではないですか。

○安藤委員
 そこはそれだと、ちょっとまずいだろう。ちゃんとした裏付けのデータを出しなさいよと。

○眞柄座長
 だから、それは事業管理者が技術管理者がQCをやって、うちの事業体で測っている試験方法はこれこれQCをやっていて、定量限界が基準値の10分の1で検出限界が1%で95%信頼限界で言えますというものを自分で持っていって、これは同等以上。聞かれればそれを出せばいいわけでしょう。

○安藤委員
 それが明確ではないということが1つ。
 もう一つは、ISO17025だとか、そういうものの動きと例えば今度、水道の場合は水道GLPというのが日本水道協会にあります。そうすると、ここの違いが若干あって、ここの整合性も知っておらなければいけないなということがあるだろうなと私は理解しているのです。

○眞柄座長
 だから、私から質問すると、確かにISO17025はラボの認証ですね。
 だけれども、ISOは今、日本の水質基準に該当するものについては、それぞれについてISOの水の試験法を持っているわけですよ。だから、告示の方法と違っていっても、その方法も使ってもいいわけでしょう。

○西村委員
 すみません、少し整理をすると、眞柄先生がおっしゃること、それでいいと思うのです。ただ、現在の段階では同等以上をどう評価をするかというクライテリアが明確に示されていないということがあるのだろうと思います。ただ、その線引きをきちんと文章で示そうというのが、この考え方だと理解していただけるといいのかなと私は理解しています。
 ただ、同等というのがその方々の価値判断で変わってきてしまうかもしれない。先ほどおっしゃったように、定量下限がどうである、その信頼値がどれだけあるというところを、そういうものを見てくださいときちんと表明するというのが1つのポイントだろうと考えています。

○眞柄座長
 私もそう思いますよ。
 だけれども、JISでもISOでもQCの行動内容が決まっているわけですね。ISOもJISも要するに、民間規格ですね。別に役所の規格でもないわけだから、それに基づいて水道事業体あるいは水道の登録検査機関がやっています。もっと極端なことを言えば、あるラボはISO17025を取っています。ということは、当然、そういうことをやっている。ISO17025を取っているときに、告示の検査方法ではなくて告示の検査方法と同等以上のものだということを、そのラボがISOの17025を使ってやっていますと、そういうやり方でいいのではないかと私は思うのですけれども、それでは何が問題でだめなのですか。

○尾川水道水質管理官
 今の告示のルールは同等以上と書いているところが非常に限られているので、方法全体が同等以上というのは、今は認めておりません。あくまでも検査法告示に書いてあるとおりでなければだめ。ただし、その中でカラムの種類のようにプロシージャーは全部一緒なのですけれども、使う機器が一部別の物であっても、特定のメーカーの物でなくても大丈夫だということを言っております。
 特に今回、昨年10月に省令改正をいたしましたけれども、検査法告示に則って検査機関は検査をしてくださいよというのを現に言っておりますから、逆に今、がちがちになっている。その中で勿論、妥当性評価ガイドラインのメインの部分は農薬なりでありますけれども、同じような考え方で使えるものについては告示についても広げていきたいということです。

○眞柄座長
 わかりました。
 それから、もう一個。災害のときに検査方法は告示の方法でなくても、少なくとも基準値の10%は信頼限界90なり95%で測れる、今の日本の会社が出しておられるパックテストはそれぐらいいけるのですが、それはこの妥当性の対象にはなるのですか、ならないのですか。
 全ての項目とは言わない。例えば残塩だとかあるいは濁度だとか色度だとかpHだとか、いわゆる毎日検査に相当するものについて、妥当性のガイドラインはつくられる御予定ですか、ないのですか。
 もしつくられると、災害のときの検査だとかもっと言えば、今、あいまいになっているのだけれども、クリプト対応のときの濁度計が必ずしも妥当性がある検査方法を規定していないですね。かなりあいまいになっている状態になっているので。だから、そういうことも含めると、妥当性ガイドラインの中でこういう関門を超えれば、検査方法は要するに、告示のあるいは水質基準に合致している、合致していないかという判断をするための試験方法としてチェックする予定ですよというところまで入るのか、入らないのか。
 もしも入ったら、すごく事業体、特に大規模は別にしても小規模のところなどは、要するに、それがあれば今まで登録検査機関にやっているのが自己検査できるようになるわけですよ。日ごろチェックできるようになるし。
 それと、これは化学物質だけれども、大腸菌と一般細菌、従属栄養細菌ですが、その辺のところも妥当性ガイドラインを考える余裕があるのか、ないのか。そこはいかがなのですか。

○安藤委員
 話は違うのですが、厚労省の話ではないのですけれども、いわゆる上水試験法で2000年版のものをつくるときに、実はそれをやったのです。つまり、簡易法をどうしようか。簡易法を評価しようかとやったのです。やってある程度できるなということだったのですが、ですから、それは資料編に一度載せたのですけれども、その思想はなくなってしまって、今はなくなった。
 ただ、突発もそうですし、あるいは現場の話もそうですし、そういう難しい試験法ではなくて測るのはちゃんと評価してあげておいた方がいいだろうということだったのです。それは厚労省では私は提案しておりませんので、それは今の段階では出ていないと理解しています。

○西村委員
 今、おっしゃったことは基本的には告示法にも書かれていることで検査をしてください、これは揺るがせないと思うのです。
 ただ、おっしゃったように緊急時、それから、日常管理の段階で検査法に準じた値が出るかどうか、それは妥当性の評価をして合致するものであれば、またそれを精査して検査法に格上げすることも可能だと思うのですけれども、それはその方法が告示法の分析法に妥当かどうか評価をした上で載せる。それを提案していただくのは、またそれに対してアプローチしていだたくのはすごくいいことだろうなと思っていますけれども、すぐにそれがどの程度合致するかは評価をしないといけないと私は思っていますが、どうでしょうか。

○眞柄座長
 どうぞ。

○安藤委員
 今、眞柄先生のおっしゃったことに似ているものが1つあると思います。それは自動機器でしたか、あれはそれに近いです。
 あの場合はどうしたかと言うと、モニタリングの段階をチェックする。モニタリングというか、スパンだとか幾つかの評価手法がありますので、そこを評価する。それがオーケーならいいよということで載せているはずだったろうと思うのです。
 たしか5~6項目ございますね。あれについては、つまりいわゆる検査法の見方で全てやったわけではなくて連続的にやるわけですから、その連続的な動きについて評価するという形でやったと思うのです。ですから、ちょっと似ているお話かなと思います。できないわけでもなくて、あくまでもそれは緊急時ということ。

○眞柄座長
 だから、緊急時でなくても私はいいと思うのです。今、pHはガラス電極法しかだめですね。そうでしょう、告示の検査方法ね。あれはなぜガラス電極法にしたのですか。従来の指示薬法はどうしてだめだったのですか。それは要するに、構成ができない検査方法はQCができないからだめですよと外したわけですね。そうでしょう。
 でも、QCができる方法は要するに、pHはだめだけれども、例えば残塩の場合には標準濃度の標準色列があれば、QCできるわけですよ。だから、全て昔の試験方法がだめだというわけではなくて、今日風に考えてこれはQCができる方法であれば、妥当性ガイドラインで対象にしてくだされば、私はいいと思うのです。そこのところを何でもかんでもだめだというか、告示の検査方法に先ほど尾川さんが言われたようにキャピラリーの太さ、それぐらいことはやらなくてもいいと思うのだけれども、そういうところまですくおう、それを対象にしてやろうというのだったら、もうちょっと広げてくれないのかなと。
 妥当性ガイドラインはきっと両先生が対応されるだろうから、その辺のところで検討していただけるとありがたいなと思います。

○西村委員
 その辺はここに評価していくというところでは特にあれですね。反対の考えは持っていないと思いますので、それは前向きに積極的にどんどん評価をして取り上げていくことはあってもいいと思います。

○眞柄座長
 そのときに大腸菌と一般細菌、従属栄養細菌、クリプトは今度、実際に肉眼で見る方法ではない方から入りますから、これはQCできるのですけれども、やろうと思えばできるでしょう。大腸菌と一般細菌というか、従属栄養細菌のQCはどうしたらいいのですか、遠藤先生。ほかのものがどんどんそちらへいってしまって、こちらだけ残ってしまうのか、何か方法はないのか。WHOのガイドラインがあって微生物性状がどんどん厚くなっていくのに、そこのところが余り進まないというのは、何かいいお考えはないのですか。

○遠藤委員
 今すぐに明解な答えは出せないと思います。別の話ですが、例えばレジオネラ培地は複数知られているのですが、臨床材料を扱ったときに検出しやすい培地と環境試料を扱ったときに検出率の良い培地は必ずしも一致していないということがあります。
 大腸菌の培地にしても場合によってはそういう問題が将来的に出てくることもあるのではないかと思います。例えば今の大腸菌の検査方法ではO-157、大腸菌の病原体としては最も重要とされているO-157は検査できません。大腸菌の種類の中で今の特定基質法では検査できないものがあるのを知った上であれを使っているという事実もあります。
 そういう意味からすると、微生物関連の検査法では化学物質の検査と同じ発想でQC導入できるかの判断はもう少し時間を戴かなければならないと思います。

○眞柄座長
 だけれども、ERAは大腸菌に関してはあるかないかだから、PCRでいいではないか。そういう試験方法もスタンダードメソッドの中に入ってきているわけですね。

○遠藤委員
 ただ、遺伝子検査をしますと、これもまたレジオネラで経験があるのですが、浴槽水を培養法で検査した場合と遺伝子検査した場合では圧倒的な差が出てまいります。死菌を検出するか否かの違いによるものです。そうなってくると、今の上水試験法で遺伝子検査を安委に導入すると、極めて多くの試料水が陽性となってしまう可能性もあるのだろという不安もあります。

○眞柄座長
 だから、行政的にすぐにということではないけれども、例えば妥当性を化学的な性状について検討しようということであれば、要するに、最初のお話は農薬を測るので、妥当性評価ガイドラインをということであったのだが、今の基準項目についても検討していただいた方がよさそうだし、それの延長線上で生物、微生物学的性状も見ていく必要はあるだろうということです。これは厚生科学研究等でテーマにするかどうかということは検討していただければいいのではないかなという印象を持ちました。

○遠藤委員
 先ほど農薬のところの話で医薬品の問題が出てきたのですけれども、医薬品に関して西村先生のお話はヒトへの安全性は担保されているというお話だったと思います、私もその点はそのとおりだと思うのですけれども、医薬品による汚染の問題はヒトに対する毒性ではなくて、微生物に対する毒性もあって、環境汚染から微生物に耐性菌を誘導してしまい、ひいては、それが人間の被害に通ずるという図式も考えていく必要もあるように思われます。
 そういう意味からすると、いわゆる人体へのリスク評価ではなくて、微生物に対するリスク評価ということを考えなければいけない問題ですので、扱いが別な形になってしかるべきではないかと思ったのですが。

○西村委員
 先ほどお答えしたのは、飲料水、水道水に対しての医薬品の混入でのリスクです。それはそういうお答えをしました。今、遠藤先生がおっしゃったことは、そういうことはあり得ると思うのですが、その耐性菌がどれだけできるかという、明確な評価もどうやっていくかということも1つの課題であると思いますけれども、使用された後、排出されて、そこでの影響、それが間接的に飲料水に対しても勿論、影響してくることもあるだろうし、それはまた別途のところで検討は進めていますので、そういう情報も含めて水道水へのリスクはどうであるか、きちんと評価していくということが大切だろうかなと思っています。

○眞柄座長
 妥当性の評価ガイドライン、是非、つくっていただきたいと思いますし、WHOのガイドラインの中でも、あるいはO&MのネットワークやRegネットでも、特定の会社の名前を出してもあれですが、パック並みの試験法でもいいではないかとか、あるいはきちんと管理されているパックテストでもいいではないかという議論もある。具体的にそれらの事柄もいずれ検討の対象にしようということになっておりますので、是非、ガイドラインの作成に当たられる先生方、その辺のところも考慮してやっていただければ、ありがたいと思います。
 以上で予定されていた議題は終わりましたので、あと、事務局から今後、どういう扱いになるか等々御説明ください。お願いします。

○松井委員
 すみません、先ほどウランの話があったのですけれども、資料1の55ページを見ますと、現在、ウランは水質管理目標設定項目の中で水質管理目標に据え置くべき対象項目と分類されております。これはウランが暫定値であるからということが多分、理由かなと思っていますけれども、今回の食安委の答申によると、これが暫定値でなくなるということなのでしょうか。もしそうだとすると、これは見直し対象とする項目へ移動となるのでしょうか。
 今、わからなければ、また後で。

○眞柄座長
 一応、食安委から出ているので。水質管理目標設定項目でしたか、そういう位置づけでしょう。

○尾川水道水質管理官
 この表は暫定値だからということではなくて、現在の2μg/Lという目標値を使って左にございますけれども、5か年の超過状況を見た場合に、ウランは組合せとして※、△、○というリスク順位12のところに入りますということでありますので、2が変わらなければ、この評価は変わらないということであります。

○眞柄座長
 よろしいですか。
 私は食安委に関係しておられる先生もいらっしゃるから、余り言いたくないけれども、答申を出す前に相談に乗ってくれないのかなと思いますが。
 だから、それがパブコメなのかな。

○広瀬委員
 難しいですね。リスクアセスメントがどこまでかという意味で。

○眞柄座長
 リスクアセスメントは先生方がするわけではないですか。そのリスクアセスメントに対してパブコメで意見を言っても、絶対に取ってくれないね。その先生方の方が私たちより経験豊かでよく知っているのだから、何を素人が言っているのかという感じになってしまうな。
 IARCとかWHOのガイドラインでもそうですし、JMPRでもそうだけれども、つくったものをほかの第三者にピュアレビューしてもらうではないですか。食安委はそれがないですね。委員会の中でやってしまっているわけでしょう。そこが不満なのだ。

○広瀬委員
 それは確かにそうだと思います。アメリカの評価文書もドラフトとして1回専門家の中で回覧して、その後、修正等に結構時間がかかるという欠点はありますが、さらに最終案のパブコメではなくてまだ十分に修正の余地があるドラフト案のパブコメも行うのはリスクアセスメント手法の中では必要なことだと思います。

○眞柄座長
 すみません、ほかのことを言って悪いけれども、それをやっていたらちっとも進まないという弊害も出てくるから、では、あと事務局でお願いします。

○尾川水道水質管理官
 先生方、ありがとうございました。
 本日の議事録でございますけれども、速記は入ってございますが、後日、事務局より御送付申し上げますので、御確認をお願いします。本日の御議論の結果でございますけれども、途中も申し上げしまたが、資料3の要検討項目への4物質の追加、資料4の改正方針、資料6の農薬類、資料7の妥当性評価ガイドライン、この4点につきましてタイプミスもございましたので、そうした必要な修正を行いまして、3月5日に開催いたします第12回の「厚生科学審議会生活環境水道部会」に御報告する予定でございますので、御報告いたします。
 以上でございます。
 本日はどうもありがとうございました。


(了)
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