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2012年4月25日 第1回技能検定等技能振興の在り方に関する検討会議事録

職業能力開発局能力評価課

○日時

平成24年4月25日(水)14:00~16:00


○場所

中央労働委員会 労働委員会会館612号室(6階) 


○議事

○吉田課長補佐 ただいまから、第1回「技能検定等技能振興の在り方に関する検討会」を開催させていただきます。座長が選出されるまでの間は事務局で司会を務めさせていただきます。私は、能力評価課の吉田です。よろしくお願いいたします。
 開催にあたり、職業能力開発局長の小野より挨拶を申し上げます。
○小野職業能力開発局長 本日は、お忙しいところお集まりいただきまして本当にありがとうございます。皆様方には、日ごろから職業能力開発行政の運営にあたり、いろいろなご協力・ご理解をいただいておりますことを、この場をお借りいたしまして改めて御礼申し上げます。本当にありがとうございます。
 本日は、第1回の技能検定を含めた、技能振興の在り方の検討会ということでお集まりをいただきました。昭和30年代半ばに技能検定制度をスタートし、約半世紀という非常に長い歴史のある制度であります。この間、働く方々の技能の向上はもとより、雇用の安定あるいは産業全体の振興にも、この制度はいろいろな形で貢献してきたのではないかと思っております。
 ご承知のように、特に近年、産業構造も大きく変わりましたし、グローバル化による国際競争の激化という変化、あるいは少子・高齢化、若者の技能離れの問題もあります。また、非正規労働者が非常に増えているということで、技能検定制度を取り巻く環境もこの間大きく変わってまいりました。そういう意味では、こういう大きな環境の変化の中で、これから技能検定制度をはじめとして、技能振興の在り方をどう考えていけばいいのか、この検討会でこれからご議論いただきたいと思っております。
 特に、ものづくり分野の技能検定については、都道府県を通じて実施しておりますけれども、ここのところ、この分野の受検者が伸び悩んでいる状況にあります。今後、こういう方々の受検機会をどう増やしていけばいいのか。この技能検定制度については、受検者の受検料、国と都道府県の補助金といった財源で運営されておりますが、ご案内のように国にしても都道府県にしても、財政状況が非常に厳しい中で、この制度をこれからどのように効率的に運営していけばいいのか。費用コストの効率化の問題、あるいは受検手数料の問題も含めて、長期的で安定した、自立した制度の基盤をどう確保していけばいいのかといった問題についてもご議論いただければと思っております。
 後ほど、具体的な論点等については事務局のほうからご説明させていただき、ご議論いただきたいと思っております。本日が第1回で、私どもとしては夏ごろを目途に、この検討会として一定の方向性をまとめていただければと思っております。非常に短期間の限られた時間の中で大変恐縮ですが、どうか忌憚のないご意見をいただき、取りまとめをよろしくお願い申し上げまして、私の挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
○吉田課長補佐 本日は第1回検討会ですので、委員の皆様と事務局の幹部をご紹介させていただきます。資料2の委員名簿に沿ってお名前を読み上げさせていただきます。
 学習院大学経済学部教授の今野浩一郎委員です。公益財団法人日本生産性本部参事の北浦正行委員です。独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構職業能力開発総合大学校教授の塩田泰仁委員です。立教大学経営学部教授の松井泰則委員です。日本基幹産業労働組合連合会中央執行委員の井出智則委員です。日本労働組合総連合会総合労働局雇用法制対策局部長の陳浩展委員です。JAM産業政策グループ長の宮本信委員です。日本商工会議所事業部長の五十嵐克也委員です。全国中小企業団体中央会労働政策部長の小林信委員です。(株)日立製作所総合教育センタモノづくり教育本部長の八幡康委員です。東京都産業労働局雇用就業部能力開発課長の大石義勝委員は本日ご欠席で、代理で高橋様です。長野県商工労働部人材育成課長の宮下貞男委員です。愛知県職業能力開発協会事務局長の河村保委員です。中央職業能力開発協会総務企画部長の畑中啓良委員です。東京都職業能力開発協会専務理事の宮川雄司委員です。社団法人全国技能士会連合会会長の大関東支夫委員です。
 続いて事務局の幹部です。職業能力開発担当大臣官房審議官の桑田です。総務課長の土屋です。能力評価課長の星です。主任技能検定官の篠嵜です。調査官の原田です。
 続いて、要綱に基づいて座長の選出をお願いいたします。本検討会は、職業能力開発局長が、委員の参集を求めて開催することにしております。検討会の座長は、参集者の互選により選出する形にさせていただいております。どなたか、委員のご推薦等がありましたらよろしくお願いいたします。
○小林委員 職業能力開発分科会長を務めていただいています、今野先生にお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○吉田課長補佐 今野先生にというお声がありましたが、よろしいでしょうか。
(異議なし)
○吉田課長補佐 それでは、今野委員は座長席にお移りいただき、以降の議事進行は今野座長にお願いいたします。
○今野座長 ご指名ですので、進行役をさせていただきます。ご協力のほどよろしくお願いいたします。
 まず、議事の公開について確認をさせていただきます。事務局から説明をお願いいたします。
○原田調査官 資料の最後に、「参考」として「議事の公開について」という紙があります。いちばん下にありますように、厚生労働省の審議会等の会合に共通する考え方です。「原則公開とする」ということですが、ただし、「以下に該当する場合」として1から4までの事情がある場合であって、「座長が非公開が妥当であると判断した場合」には、例外的に非公開とするということでいかがかと思っております。以上です。
○今野座長 そういうことですので、公開としたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(異議なし)
○今野座長 そのようにさせていただきます。続いて、「技能検定等技能振興施策の現状と検討課題」について、事務局から資料の説明をしていただいてから議論を行います。事務局から説明をお願いいたします。
○原田調査官 資料3と、資料3の参考資料に基づいて説明させていただきます。資料3で、「技能検定制度の概要」です。昭和34年から始まっているもので、労働者の技能の程度を公証する国家検定制度です。「作業及び職種」については、平成24年4月1日現在129職種、277作業です。都道府県で実施しているのが、そのうちの115職種となっております。昭和34年の制度創設以来、新設・統廃合等をしてきております。
 参考資料の2頁に、129職種の一覧表があります。建設関係から下のほうのその他まであります。その他の中の下線の引いてあるところが、注にありますように指定試験機関(民間機関)で実施していただいているものです。ウェブデザイン、キャリア・コンサルティングなど、事務系職種、サービス業関係の職種を主として民間にやっていただいているということです。ものづくり産業にかかわる技能検定というのは、上のほうの下線の引いていない大部分のもので、これは都道府県及び都道府県協会で実施しているものです。
 3頁以降に、それぞれの職種の中の作業ということで、資料3で129職種、277作業と説明しましたが、その作業がそれぞれの職種ごとに記載されております。上のほうの「等級区分」のあるものと、ここでは網掛けになっている「単一等級」ということで等級区分のないものとあります。等級区分については、1級と2級はほぼすべての職種・作業にありますが、3級についてはあるものとないものがあります。3級については42職種、65作業にありますが、それ以外はいまのところはなく、1級と2級が設定されています。その関係の資料が7頁まであります。
 8頁以降は、先ほど説明しましたように、職種については新設・統廃合等をしてきております。8頁の上の枠の2つ目の▼で、行政改革の重要方針が、平成17年の閣議決定で出されております。この中に、「新設の職種については、民間の指定試験機関において行うことを原則とする。既存の職種については、民間に移行するとともに、経済情勢の変化に対応した統廃合を行う」と、このようなことが出されたこともあり、その下にあるような検討会を設け、統廃合あるいは新設の要件等を定めました。
 9頁で、統廃合については平成19年にさらに規制改革会議での答申があったことも踏まえ、平成21年に専門調査委員会からの報告書も出されました。3の枠で囲ってある「統廃合等の判断基準」を設け、それに基づいて統廃合等を進めてきています。
 10頁に、統廃合による職種の変遷があります。昭和34年の制度創設以来の増減がずっとあります。いちばん下が平成24年現在の数で、129職種で、そのうち指定試験機関で行っているのが14職種です。
 11頁と12頁は検定職種数の推移で、平成14年度以降の新設・統廃合等の具体的な職種、あるいは12頁は作業で、それぞれの年度ごとに新設・統廃合等をしてきている推移・経緯を整理したものです。
 13頁は等級です。等級については、先に16頁をご覧ください。技能及び知識の程度により、特級、1級、2級、3級、基礎1級、基礎2級と等級を分けて実施しています。これらの等級分けをしたものについて、どういう形で職種数が推移してきているかが13頁と14頁です。13頁は、都道府県方式で実施している、等級別の職種数の推移です。1級と2級は級別のあるすべての職種にあります。それ以外に等級分けしていないのが単一等級です。平成24年では、1級と2級は105職種で、単一等級10職種で、合計すると都道府県で実施している115職種となります。それぞれ特級は26職種、3級が35職種、基礎級が53職種というのが、平成24年の状況です。
 14頁は、等級新設の状況で、作業のどういうものが新設されてきたかということで、具体的な作業名、いつの年度に新設等をされたかです。
 16頁では、等級がこういう形で必要な技能と知識の程度を示すということです。それぞれの等級を受ける受検資格の参考として右側にあります。具体的には17頁に、さらに細かくあります。基本的には、各種の訓練等の受講と、さらに実務の経験の組合せです。16頁でご覧いただきますと、特級等では、1級合格後、実務経験5年ということで、それぞれの等級ごとに実務経験の要件を課しています。3級は6カ月ですが、単一等級の場合は実務経験3年という要件を付けています。それぞれ細かい状況は17頁をご覧ください。
 受検資格についても、改正の変遷が18頁にあります。平成16年の改正以降、現在の形になっております。基本的には実務経験等を短くする資格要件の緩和の歴史です。3級は平成5年度から導入しました。平成16年の欄の括弧内が導入当初の年数です。当初、実務経験は1年以上だったのが、平成16年から0.5年以上。2では、一定の職業訓練受講者(修了予定者)ということで、括弧内が平成5年度導入当初ですので、制度導入当初は、訓練の最終年度の学生が受けたということです。平成16年以降は、在校生、受講中の方は皆さん受けられるという緩和をしてきました。
 19頁は、3級を導入したときのものです。1の「3級の技能検定制度の趣旨」の第2段落で、「職業能力評価の多段階化の一環」ということから、2級の下に3級を創設して、若い方の技能離れの防止・定着、さらには人材育成に資することを趣旨として、3級を新たに導入し、今のような職種に広がってきています。
 次は「試験内容」です。試験としては、学科試験と実技試験がありますが、そのうちの実技試験の中にも、作業・職種ごとにいろいろな形での試験を実施しております。種類・方法としては、21頁の下のほうに説明がありますが、「作業試験」「要素試験」「ペーパーテスト」があります。作業試験というのは、実際の材料等で、組立て、製作等を行って技能の程度を評価する。要素試験というのは、現場の状況をビデオ等で提示することによって、技能の程度を評価する。ペーパーテストは、紙の上でいろいろな作業なりをしていただいて、技能の程度を評価する。作業試験が、技能の評価を測る直接的な方法ではありますが、材料等を用いるため、費用もそれだけかかるということです。
 実際の運用状況が上の円グラフです。作業試験のみで実施しているのが76%で約4分の3です。さらに、それぞれ3つの組合せで、作業とペーパー試験の組合せでやっているものが12%です。この76%と12%、さらに作業+要素の3%、作業+要素+ペーパーの2%を足すと、作業試験を何らかの形でやっているのが93%です。
 次は「実施体制」です。資料3の2頁では、「都道府県方式」と「指定試験機関方式」の説明をしております。都道府県方式は、厚生労働大臣が毎年計画を策定し、問題の作成等は中央職業能力開発協会で行っています。都道府県知事が試験を実施するということで、具体的な実施は都道府県の職業能力開発協会に行わせるということです。平成24年4月現在の職種・作業数は先ほど来ご説明している数字です。それとは別に、指定試験機関方式は、民間機関の活力を活用するということで、事務系職種を含めた職種の拡大等ということで、平成13年10月に創設です。現在は14職種、29作業について実施されています。
 これらのうちの都道府県方式での実施の流れが、参考資料の23頁です。厚生労働省、中央職業能力開発協会、都道府県、都道府県職業能力開発協会の実施すべき事柄を整理しております。これが、技能検定試験の制度の説明です。
 24頁以降が、実際の実施状況等です。24頁、25頁以降が、受検者、合格者についてのものです。25頁は、受検申請者数の推移です。平成22年度は受検申請者総数が77万5,119名です。その内訳として、56万人が指定試験機関方式です。平成13年10月に制度を創設し、平成14年度から数字が入っておりますが、事務系職種、サービス業関係が中心の職種として実施されている指定試験機関方式のほうは、受検申請者が伸びていて、その分、総数も伸びています。ものづくり職種を中心とする都道府県方式は横ばいで、平成22年度は21万4,147名が受検申請しています。全体的には若干伸びてはいますが、頭打ち、横ばいの状況です。点線は合格者数で、平成22年度は29万3,000人です。制度創設以来の合格者総数は458万9,663名ということで、資料3の2頁に数字の記載があります。
 参考資料の26頁は、「等級別受検申請者数の推移」です。平成19年、平成20年の辺りで山があって、若干下向きになっているのが2級と1級です。横ばいないし下降傾向にあります。ある意味で順調に伸びているのが、数的にはまだ少ないですけれども、×が入っている3級で、平成22年度は2万3,954名が申請しています。伸びている3級をさらに伸ばす、あるいは1級と2級の頭打ち・下降線のものをどうてこ入れするかということです。
 「受検申請者数の産業別推移」が27頁です。いちばん数が多いのは一般機械器具関係で、近年若干増減はありますが、伸びてきています。建設関係については、平成16年度以降下降しております。金属加工が伸びていて、電気・精密機械器具関係は増減を繰り返しつつ横ばいです。下のほうの1万人以下のところで、各職種の推移がありますが、ほぼ横ばいが続いています。
 この産業別をどう見るかということですが、28頁で若干分析をしております。28頁は新規に就職した方、ほかの企業から転職してきた方を含む入職者数に対して、3級の受検申請者数ということで、平成22年度の数字で割合を見たものです。窯業・土石とか印刷関連には0が入っておりますが、これは3級試験自体が設定されていないということです。3級が設定されている職種は、電子部品で28‰、鉄鋼業が55‰ということで、建設業でも15‰ほど受検者がいるということです。
 28頁の下のほうに「入職者数」ということで人数を入れております。食料品、飲料・たばこ・飼料製造業では18万4,400人いますが、いまのところ3級職種がないということで0ということです。それよりも人数の少ない電子部品・デバイス・電子回路製造業等は11万2,000人ですが、こういう入職者数が少ない職種についても、試験が設定されていれば、グラフにあるように28ほどの受検者数がいるという状況も見て取れる資料です。ここまでが、受検申請者の推移です。
 29頁と30頁は、「都道府県ごとの実施公示作業数」です。都道府県方式については、国が計画を策定した上で、実際には都道府県が実施することになっています。直近の平成23年度の国の計画では、いちばん上の欄ですが、それぞれの等級ごとに公示した数の合計427作業で実施していただくということでしたが、実際に都道府県ごとに実施していただいた数の合計の平均で見ると、合計欄の312作業で実施されたということです。
 都道府県の内訳といいますか、実際の数字が並んでいまして、合計欄でいちばん多いのは愛知県の408作業で、いちばん少ないのは奈良県の192作業です。これは、各都道府県ごとの産業の状況、あるいは要望とかニーズ等々を勘案して、各都道府県で公示をしていただいて、それぞれの作業数を実施していただいております。
 31頁は、実際に都道府県協会で受検申請を受け付けていただいている中で、制限を設けている例があるということです。実際に「1試験でも制限を設けている」というのが47%、「設けていない」が53%です。設けているのと設けていないのとほぼ半数ずつです。
 具体的にどういう制限を設けているかという主な理由は32頁に整理してあります。いちばん多い35%が、「施設がない(少ない)」、次の28%が「施設はあるけれども、利用できる施設数の確保が出来ない」ということで、施設にかかわって制限を設けているのが35%と28%を足した63%です。左で「技能検定委員がいない(少ない)」が15%。間は予算ですが、もう1つ上に行って「委員(候補)はいるけれど、都合により、協力できる委員数の確保が出来ない」が9%ということで、検定委員にかかわるものが15%と9%を足して24%です。
 施設については、公共の訓練校とか、公共施設を活用する場合と、企業・団体の施設をお借りして実施する場合とありますが、33頁のように、公共施設と企業・団体の施設等を利用しているのがほぼ半数ずつです。さらに公共施設の活用を進める、あるいは企業・団体にご協力いただくなど、いろいろな形で受検の拡大の方策に取り組んでいくということです。
 34頁以降は収支構造です。35頁に収支構造の図がありますが、真ん中のやや右寄りに「都道府県職業能力開発協会」と「中央職業能力開発協会」の枠がありますが、それぞれ事業費、管理費等がかかって、都道府県協会合計のところで54億2,100万円、中央協会合計で9億1,500万円のそれぞれ費用がかかっています。左側からは補助金、右側からは受検手数料ということで、能力開発協会にとっては収入になりますが、国からの補助金ということで、左にあるように、国から都道府県へ補助金として9億2,000万円が一旦都道府県に入り、さらに都道府県からも都道府県の補助金が交付されますので、都道府県協会に行くのが19億6,500万円になります。国からの補助金は、中央協会にも直接行くものがあり、金額としては4億7,900万円が行っています。右側が受検申請者からの手数料です。人数と額は枠の中に書いてありますが、それらの合計として34億4,300万円が、平成22年度には収入として都道府県協会の費用を賄うのに入ってきています。
 これらの費用が、具体的に職種ごとにどういう形で使われているかが37頁です。職種別に、1人当たりの実技試験費用(管理費を除く)を見ると、職種ごとに10倍近い開きがあります。費用がいちばんかかる試験を実施しているのがかわらぶき、切削工具研削等で、4万円近くの費用をかけて実施されています。いちばん下の金額のかかっていないほうでは、ニット製品製造、水産練り製品製造等は5,000円もかからずに実施されています。
 40頁に内訳を付けております。いちばん費用のかかっている「かわらぶき」と、下がいちばんかかっていない「ニット製品製造」、真ん中が真ん中辺りということで「塗装」についての内訳を示しております。かわらぶきの具体的な金額は3万9,996円ということで、内訳は材料費が53%、設備費が10%、会場費が4%ということで、物理的なものにかかるのが67%です。塗装では、材料費、設備費、会場費で6割強かかっています。ニット製品製造等では、材料費、設備費、会場費は10%弱で、割合的には運営費で、運営費の内訳は右側に説明がありますように、受付とか試験問題費等ですが、そういう運営費の割合が高くなってきています。
 職種別の分析が41頁に続いています。この図は、37頁の図から、これにかかる費用に、管理費として一律人数割りすると1万1,566円を加えて、さらに手数料収入でどれだけ賄っているかを差し引いてグラフを作成したものです。左のほうに長いグラフが続いていて、これが手数料収入では賄っていない、結果的に補助金で賄う形になっていることがわかるかと思います。費用のかかっていなかったニット製品製造、水産練り製品製造というのが下から2つあるわけですが、ここだけが手数料収入で賄って、数百円規模ですが、収入のほうが上回っています。これが、職種ごとの分析です。
 38頁と39頁は、都道府県ごとに、申請者1人当たりの実技試験の実施費用を並べたものです。38頁が、すべての職種について、都道府県ごとに申請者1人当たりの費用を示したものです。いちばんかかっているのは1万8,000円を超えるもの、いちばんかかっていないところで8,000円弱ということです。
 これを1つの作業でかかっている費用を整理したのが39頁です。建築塗装作業について、1人当たりの費用を都道府県ごとに比較しております。いちばんかかっている都道府県の3万2,000円に対して、右端ですと1万396円ということで、単純に比較すると3倍近い費用のかかり方の違いがあります。以上が、費用の面です。
 次は収入の面といいますか、手数料と補助金の状況です。手数料については、資料3の3頁に政令の紹介があります。「地方公共団体の手数料の標準に関する政令」ということで、国が政令で標準額を規定した上で、具体的な個々の金額は都道府県が条例で制定する仕組みになっています。国のほうで標準的に定めた金額が、実技で1万6,500円、学科で3,100円、合格証書の金額も決まっています。現行はこういう金額になっています。
 43頁は、昭和34年の制度創設以来の推移があります。昭和34年の実技のところを見ますと、1級で職種別に700円から1,200円までの幅があります。こういう幅の中で運用がされてきました。昭和44年のところで、職種別の手数料を変更し、すべての職種共通の金額ということで、ここにあるような金額を定めることになっております。
 右の欄にあるように、政令で手数料の上限額を規定し、知事が具体的な金額を定めるということでしたが、この当時は局長通達で職種別の手数料を準則という形で示しております。これが平成10年当時は9,500円から1万5,400円の幅がありました。平成12年には、地方分権の関係で、この試験を地方自治事務に位置づけるということもあり、この時点でさらに仕組みが変わっております。平成12年のところで、現行と同じ形になったわけです。「政令で標準額を規定し、実額は地方公共団体の判断により条例で規定」ということで制度が変わり、平成12年の金額から、さらに平成21年のときに金額の変更があり、現在の金額になっているということで、仕組みの変遷、金額の変遷がありました。
 都道府県方式で実施している手数料は、3,100円とか1万6,500円ですが、44頁には指定試験機関方式ということで、個々のサービス業、事務系職種は、それぞれ民間の団体で試験を実施されております。その場合の手数料の水準を44頁と45頁で紹介しております。等級1級、2級、3級とある中で、等級ごとに金額が異なっていて、1級がいちばん高くなっていて、ウェブデザインでは2万5,000円です。キャリア・コンサルティングでは2万9,900円です。職種にもよりますが、1級では2万円前後で実施されている例が大半です。
 手数料の次は補助金です。補助金の交付・確定の仕組みが47頁です。都道府県の交付と確定ということで、基本的には国からの補助金は、都道府県と同額、あるいは都道府県と国がかかった費用の2分の1という仕組みで交付ないし確定させています。
 この補助金についての最近の動き、議論が48頁です。民主党政権になって以来の行政刷新会議等で種々議論されてきたところで、平成21年事業仕分け第1弾のところで、「ワーキンググループの取りまとめコメント」の3行目の最後のほうから、「まず、予算を半額とする」「職種を整理・統合」「マーケットで価格が決まることから、補助なしで実施する」が、平成21年の評決結果ということで示されました。予算が半額とされたのに対し、平成22年度は21%、平成23年度は23%縮減ということで取り組んできたわけですが、依然として半額が行われていないということが行政刷新会議の決定の中で指摘されました。平成23年1月20日に行われた行政刷新会議で、「25年度を目途に、22年度概算要求から1/2程度縮減する。そのために技能検定の在り方についても検討する」と言われています。
 こういう中で、技能検定に合格された方はどうかということです。資料3の4頁に「技能検定の合格者」ということで、制度自体としては名称独占ということで「技能士」という名称を用いていただくということです。それ以外に特典としてどういうものがあるかが、参考資料の50頁と51頁に整理してあります。各種試験の受験資格が得られる、講習の全部又は一部が免除されるということで、安全衛生法関係とか、それ以外の建設業法等で規定があります。51頁でも、関係する資格が付与される。4番目として、建設関係では、一級技能士を現場に常駐させなければいけないという、官庁の営繕工事についての規定もあります。
 52頁以降は、技能士あるいは企業の方にアンケート調査をしたものを参考として添付しております。技能士を取得した場合に、仕事に役立っている等々の本人の意識があるとか、57頁以降は企業と技能士の双方にアンケートをした結果ですが、採用に当たり技能士であることを考慮した、あるいは昇進昇格・人事異動に考慮したということで、技能士であることの処遇上のメリット等も一定程度評価されています。以上が技能検定試験にかかわるものです。
 次は「技能振興施策」です。技能振興施策は資料3の4頁の2にありますが、能力評価基準ということで、各業種別等に必要とされる能力を、各業種ごとに整理したもの、それから業種横断的に設定したものということで、参考資料の60頁と61頁に、職業能力評価基準とその活用のためのツールの紹介をしております。
 さらに62頁は「ものづくり立国」ということで、業界が取り組んだ技能承継のための支援・促進、若年者に対する魅力増進事業の実施ということで、ものづくりのフェア等をやっております。各種技能競技大会ということで、技能五輪は国内大会と国際大会がありますが、さらに技能グランプリ等を開催しています。63頁に、技能検定試験のレベルと、それぞれの大会の水準の大体の位置づけ等を整理しております。いちばん技能が高い技能グランプリから、若年者向けのものづくり技能競技大会等まで、各種大会を実施しています。大会の開催状況が64頁にあります。
 65頁は、「職業能力開発サービスセンター」ということで、各都道府県協会等に置かれているアドバイザーやコンサルタントによって、各企業等における人材育成のための相談や企画立案に対応しております。
 資料4と資料5で検討課題とスケジュールについて説明させていただきます。以上のような技能検定制度等について、今後ご検討いただきたい課題を整理しております。資料4の1頁で、技能検定制度については、自立的・安定的な運営のために何をするべきかということです。柱書きのところには、局長の挨拶の中にもありましたが、ものづくりが非常に重要であり、検定制度自体、我が国の産業発展にも寄与してきたところですが、受検者数が伸び悩んでいる、国や地方公共団体、自方自治体を含めて財政状況が厳しい中で、どういう取組をすべきかということです。
 具体的には「受検者数の拡大」ということでイ、ロ、ハ、ニとあります。作業・等級の新設等について、どう考えるか。受検資格について、どう考えるか。受検機会の拡充について、どう進めるか。受検の促進策について、どう進めるか。
 「費用の効率化」ということで先ほども説明いたしましたように、実技試験については、材料・設備に費用が高額となっている職種がありますので、これについて試験内容・課題について、どう考えるか。ロ、同一職種についても、都道府県ごとに収支に差がある、費用に差があるということで、費用の平準化。
 (3)「手数料の在り方」ということで、職種別で見ていただきましたように、費用等に格差がある一方で、受検手数料は一律ということの標準額ですので、これをどう考えるか。ロ、職種別に導入した場合に、どういう形があり得るか。このような点があります。
 2頁にいって、「技能振興施策の充実・強化」全般ということで、先ほど説明いたしましたように、特に若年者等についての環境整備等を、これまでも技能競技大会等を通じて行ってきたわけですが、今後さらにより効果的な展開、新たな施策として、何をするべきかということです。(1)広く世の中に、技能士等について周知・広報を、どう充実させていくか。(2)業界内での活用促進策を、どう進めるか。(3)企業内においての人材育成支援の強化策について、どう進めるか。(4)特に若年者の育成支援策について、どう進めるか。こういう論点・課題についてご議論いただければということです。
 資料5は、本日を第1回として、第7回の7月下旬ごろまでには取りまとめをいただきたいということです。都道府県、それから都道府県協会に対するアンケートを予定していますので、第3回でアンケート(案)についてご意見を伺った上で、第4回までの間に、全都道府県・全都道府県協会に対してアンケートを実施したい。第4回では、そのうちのいくつかの県・協会の方にお越しいただいて、この場でヒアリングも実施したいと考えております。それらを踏まえて第5回、第6回、第7回とご議論いただいて、とりまとめをお願いしたいということです。
 技能検定等については、ご説明いたしましたような3点について主な論点がありますので、これらを含めて技能振興施策全体について、夏ごろまでにとりまとめをいただきたいということでお願い申し上げます。以上です。
○今野座長 いまありましたように、ここの役割は、資料4にあります「検討課題」について検討して今後の方向をまとめろということです。ただ検討課題で書いてあることは事務局から提案されたものですので、技能振興施策について考えろということで「その他」という項目はあっていいと思っています。今日はそういうことも含めて、大変広範囲なテーマですが、7月中にまとめろということですので、あまり時間はありませんが、第1回目ですので自由な議論から始めて、だんだん絞っていきたいと考えております。何でも結構ですので、ご自由にご意見をいただければと思います。
○大関委員 途中で退席する関係もありまして、いちばん最初に発言させていただくことをお許しいただきたいと思います。技能士会に入ってくる情報だけで申し上げるのは大変僭越なのですが、私どもは技能士の量の面と質の面、両面から受け止めているのです。量の面は何かというと、世の中がものづくりの現場がどんどんなくなっているということもあるのでしょうけれども、技能士を量的に必要だという環境がなくなってきているのではないかと思うのです。
 ご案内のとおり、1985年でしたか、プラザ合意以降、円高でどんどん日本から工場が外国へ行ってしまっている。まして今回の震災で、東北地方に残された貴重な部品工場すらも、もう戻る気配もないということですから、ますます深刻になっている。高度成長のときは、大企業が自分の所で技能士をどんどん育成している。これも工場がなくなってしまっているわけだから、要らなくなってしまっている。当然、企業としても技能士の育成、あるいは受検するときの費用、あるいは受検勉強のための時間、こういう援助もしていただけないという状況になっている。
 しからば、こういう状況だから、国なり自治体がということになるのですが、説明がありましたように、大変残念ながら事業仕分けの面では能力開発については、やや厳しい状況になってきている。そうすると、技能検定は独立採算で自分たちでやりなさいという流れになってしまっている。こういう中で技能検定を捉えているものはどうしたらいいのだろうか。ここまで追い込まれてしまった大きな背景は何だろうかと思うと、質の面、価格競争でずっとやられてきてしまった。だって、安ければいいというものになっている。だから、質の良いものよりも、安く作れる工程ばかりが研究されてしまっている。同じ住宅を造るのでも、1平米いくらという安いほうが競争力が出るようなものになっている。そうすると、技能士の質の面での価値観というか、世の中の評価というものが、商品価値がなくなってきているのです。
 これからの検討を是非お願いしたいのは、価格競争から品質競争になれるような、いわば少量、多品化、高品質というものが、これからの日本のものづくりの柱だというような流れの中で、技能検定なども組み立てていくということは何かお願いできないかというのは、技能士会としては感じているのです。
 やはり同じスーツを作るのでも、現代の名工1級技能士が作るのも3級技能士が作るのも、同じ値段ですよね。外から見たらわからないということですから、同じものの感じなら、お客さんもみんな安いほうを買う。そうではなくて、これは1級技能士が作ったもの、あるいはどこどこの何々さんが作ったものというのが出されていけば、片や1万円のスーツ、片方は10万円以上のスーツ、これは売れるのです。世の中が品質で評価する。
 だから技能検定もそういう意味では、メリットを出していくといいますか。全技連としても今年から始めたのがインターネットで技能士のいるお店というのをやりまして、手数料は1万円いただきますが、そういう中で宣伝もしていく。それから、メリットが出るようにしていく。こういう出口対策も考えてやっているのですが、是非、皆さん方のお力も借りて、商品として、技能士の検定制度が活かされるような、そんなご議論と応援をいただけるとありがたいと。最初からこんなことを言ってすみません。
○今野座長 いまのお話は、量的に見ると、端的に言えば仕事がなくなって、どんどん海外へ行ってしまうという話ですよね。質的に見ると、市場での消費者の行動が安いほうがいいという行動で動いているので、技能士が作る品質の高いものに対するニーズが落ちている。したがって、ダブルパンチで技能士の必要性が落ちているということになりますか。
○大関委員 安売りの中で呑み込まれてしまったのです。
○今野座長 量と質と両方でダブルパンチということですね。
○大関委員 そうです。
○今野座長 どこでも結構ですので、ほかにいかがでしょうか。今日は資料をいっぱい説明していただきましたので、その資料についてのご質問でも結構です。
○陳委員 ただいまご説明いただいたところで、いくつか感じたところがありましたので、申し上げたいと思います。これから申し上げる中身について、参照する資料が前後することになるかと思いますが、その点はご容赦いただきたいと思います。
 1点目で申し上げたいのが、資料4の「検討課題(案)」です。これを拝見しますと、1頁に1ということで「技能検定制度の自立的・安定的運営」とありまして、2頁に2ということで「技能振興施策の充実・強化」と書いてあります。これを拝見した感想でいいますと、この検討会の名称自体も「技能検定等技能振興の在り方に関する検討会」ということですので、この順番は、本来は逆ではないかと思うのです。本来、「技能振興施策の充実・強化」のほうが先にあって、そのあとに「技能検定制度の自立的・安定的運営」という書きぶりであるべきではないか。
 2点目ですが、資料3の2頁の下のほうに、「4実施状況」が書いてあります。(1)の2つ目に「技能士になった者の数」ということで、合計で458万9,663人ということで記載がされているのですが、この合格者総数だけだと、日本の技能者像の幅と深さを見るにはよくわからないと思いますので、等級別と職種別の内訳を資料として、次回以降で構いませんので出していただければと思います。その際、単なる数値の表だけだとわかりにくいので、今回の参考資料を見ますと、受検申請者数はグラフで出していただいているのですが、業種別、等級別のグラフもあるとわかりやすいかなと思いました。また、これはデータがなければやむを得ないのですが、その際は日本と諸外国、たとえば韓国などとの比較などもあったらいいと思いました。
 3つ目が、同じく資料3の参考資料なのですが、先ほどご説明がありました57頁を拝見しますと、採用にあたって技能士であることを考慮する企業は、トータルで約3分の2あるということで、これは多いなと思いました。ところが、同じ参考資料の28頁を見ると、「入職者数に占める受検申請者数の割合」ということでグラフが出ているのです。これは千分率で書いてあるので、一般的によく使われている百分率で見ると5.5%となるわけです。この数字は少ないのではないかと感じまして、マッチングでの活用に向けた等級や受検資格の在り方も課題ではないかと思いました。
 あと2つほど申し上げさせていただきます。いま、まさに若年者雇用対策ということで、マスコミにもいろいろ出ておりまして、課題として政府内でいろいろ議論されているわけです。これから社会に出て行く若い人を、いわゆる手に職をつけて労働市場に送り出すという観点で、技能検定を活用して、マッチングをさせる仕組みが必要ではないかと思いました。
 最後ですが、資料5のスケジュールを拝見しますと、ご説明にもありましたように、第4回で都道府県と都道府県協会からのヒアリングが予定されていますが、企業からも、採用するときの技能検定の評価、あるいは採用したあとの社員の能力開発における技能検定の活用の仕方などについて、ヒアリングすることもお考えになってはいかがかと考えましたので申し上げておきます。ありがとうございました。
○星能力評価課長 1点目の検討課題の順番ですが、技能検定制度は技能振興施策を今回検討するに当たって中心的な位置を占めるということで、1に持ってきたということです。特に他意はないわけで、冒頭、局長からも申し上げましたように、この検討を通じて広く今後の技能振興策を議論していただきたいということですので、そこはそのようにご理解いただければと考えます。
 2点目で、これまで累計の技能士の方、全体では450万人強の方が技能士資格を取得されておりますが、次回までにもう少し等級別なり職種別なり、これまでの中身、取得された数について、わかるような資料を入れたいと思います。その際、いまご指摘がありましたように、もう少し図表だけではなくて、グラフ等も活用されればというお話ですので、その辺りもどこまでどういったものを出せるか今後検討しまして、次回までに間に合うものは用意をしたいと思っております。
 それから、マッチングでの活用も課題ではないかということです。確かに企業等からは先ほどのアンケート調査にもありましたように、マッチングの際に技能士であることについて評価されているということですので、これは4点目でもお話がありましたように、若年者の未就職者対策、あるいは就職支援という観点からも、今後も技能検定をうまく活用していけばということで考えております。これまでも公共職業訓練の場合、先ほど受講資格のところにもありましたように、訓練修了者については一定部分、例えば訓練修了時の技能照査ということで、実際に訓練修了後、試験をして、その合格者については学科試験を免除する等、訓練との連続性といいますか、連携も図ってきているところです。ただ一方で、これまでそういった受検資格の特例等を設けておりますのは、訓練時間数にして700時間以上の訓練を修了した者ということにしておりまして、そういった意味で、短期のものですとそこまで届かないということもありますので、今回の検討を通じて、より技能検定との連携、あるいは技能検定を上手に活用するという意味では、その辺りも検討の課題かとは考えております。
 さらに、スケジュールの中で、もう少し企業現場の方々の声もということもありましたので、その辺りもまた検討して、できるだけそういった声も反映しながら、検討が進められるようなことを考えてみたいと思います。以上です。
○陳委員 冒頭、資料4の構成について意見を申し上げましたが、技能検定を冒頭に持ってくることについては、そうしたいという事務局の皆さんのお気持はよくわかりますし、その中で書かれている課題認識についてもも、私どもも全く異論はないところなのですが、あえて申し上げました。
 それに関連して申し上げますと、技能検定・技能振興ということですが、昨年から「第9次職業能力開発基本計画」がスタートして1年経ったところなのですが、この第9次計画は、特色でいいますと、いままで掲げられてきた「守り」の人材育成に加えて、グローバル人材や先端人材といった「攻め」の人材育成も目玉にしたというところがあります。もちろん、第9次計画の中でも技能検定の話は少し入っているのですが、そういった「攻め」の人材育成という観点でも、技能検定の在り方も考えてみてはどうかと思いました。
○星能力評価課長 ありがとうございます。まさにそういった意味で、いろいろ今日お集まりの有識者の皆様にもご議論いただいて、我々もそういった形で、技能検定制度を今後とも、攻めのというか、人材育成の面でもっと活用してもらえるようなものにしていければと思っていますので、よろしくお願いいたします。
○宮本委員 ご承知かもしれませんが、JAMは機械・金属ものづくり産業の産業別労働組合で、中小企業、サプライヤーが多いところです。我々としては、やはり日本経済を支えてきたのは、機械・金属産業が重要な役割を果たして、しかも中小企業が底支えをしてきたという自負があるのです。先ほどご指摘がありましたが、最近、韓国やアジアの国々との競争力から見て、だんだん差が縮まってきていると思っております。
 私は産別に来る前は家電メーカーの単一組合の委員長をやっておりまして、私が委員長をやっている間に組合員が3分の1に減るような状況で、生産が海外に移転するというような先ほどのご指摘のとおりなわけです。とりわけ電機は、いま非常に厳しい状況に置かれておりまして、主要な名立たるメーカーの今年の決算は非常に厳しいという報道もされております。その一要因は、技術的にアナログからデジタルに変わったというのが非常に大きいのではないかと思っております。例えばアナログ時代に、映像を記録・再生するためには、電機の技術だけではなくて、テープを支える精密加工技術とか、そういうのが非常に重要で、それができなくては物が作れない。したがって、アナログ時代は韓国メーカーや中国メーカーは物を作れなかったのですが、デジタルになるとすべてがICチップの中で演算でできてしまうというようなこともあって、熟練技能的な者が活躍する場が、電機業界はなかなか見いだしにくくなっているというのが、いま置かれている厳しい状況の背景にあるのではないかと思っております。
 そういうこともありまして、私が単位組合の時代は、我々の電機産業はどうしたらいいのかと悩んでいたのですが、2年ほど前にJAMで少し仕事をしてということで呼んでいただきました。JAMは電機だけではなくて、非常に多くの業種の機械・金属産業を抱えているのですが、JAMの中を見ますと、まだまだ日本の機械・金属産業は捨てたものではないという印象を実は得ました。やはりその根底にあるのは熟練技能、技能が非常に支えて、まだ中国や韓国に追い付かせないところがあるのではないかと思っております。
 例えば工作機械のメーカーは、最近中国にもあるのですが、工作機械メーカーにお邪魔しますと、非常に熟練技能を大切にされております。ロボットで物を作ればいいではないかと、それを作っているメーカーこそ、技能をいちばん大切にされているという現状もあります。そういう観点からしますと、技能を国の力でいかに維持・発展させるのかということは、非常に大きな課題だと思っておりますので、今回の検討会は私どもにしてもいろいろ勉強させていただきながら、やっていきたいと思っております。
 最後に質問をさせていただきたいのですが、資料3の参考資料の25頁、受検申請者数のグラフで、最近、都道府県方式が減っているというお話でしたが、このグラフを見ると、平成20年度まではじわじわでありますが増える傾向にあって、平成20年を境に下がっているというように見えますし、26頁の1級、2級のところも、平成20年を境に下がり傾向になっているようなのですが、これの背景をどのように分析されているのかというのが1点です。それと、受検費用の話がありました。同じ作業でも都道府県によってかなり差がありますというご説明があったのですが、この辺の背景について少し分析されているのであれば、教えていただきたいと思います。以上です。
○星能力評価課長 1点目の、平成20年度以降、都道府県方式の受検者が減少しているのは、これはやはり景気動向といいますか、リーマンショック以降の状況が受検者にも影響しているものです。特に都道府県方式全体の数字に大きく影響しているのは、26頁にある基礎2級ということで、技能実習生の在留資格にかかる検定試験をこの基礎2級でやっている関係上、景気の影響なども受けて、大きく落ち込んでいるという状況です。
 職種別の受検費用の状況ですが、これはそれぞれ地域により受検者の数も違ってくる、あるいは会場・設備の状況も違う、もちろん材料の調達などの方法も違っているということで、それぞれ中身を見てまいりますと、同じ試験であっても例示に出しているものですと3倍近く違うわけです。それぞれの状況によってそういった違いが出てきているということで、もう少し我々もその辺り、何か工夫が必要ではないかと考えているところです。
○今野座長 いまの星さんのお話は、その違いがわかるように、もう少し我々も頑張って検討してくるぞという、そういう宣言ですか。
○星能力評価課長 これを機会に、もう少しこの違いの中身を整理した上で、この幅を縮めることができる部分については縮める努力を、我々もしていかなくてはいけないと考えています。
○今野座長 いまのご質問は重要です。その背景には、何で県別であんなに違うのだろうかということを費用構成まで落として理解しないと政策には行き着かないのではないですかという質問だと思うのですが。
○成毛上席技能検定官 その辺について、事務方のほうから説明させていただきます。同じ試験をやっているにもかかわらず、都道府県ごとに差がありすぎるというところについて、私のほうで分析しているところで言うと、特に資料3の参考資料の40頁で材料費とか設備費とか、そういった費用構成が出てきているわけです。例えば材料費1つとっても、ある協会では、協力団体から費用どおり買っていると。ほかの協会で、安いほうの協会を見ますと、協力団体から調達しているのだけれども、ある一定の額の範囲内でしか支払っていないといった違いが出てきている、というのも1つあります。そのほかにも、職員がホームセンターで部材を買ってきて自ら作っている、という努力をされている所もあるということです。
 そのほかには、例えば会場費などですが、大きい会場が取れれば1カ所で済むわけですが、受検者が多いわりには大きい会場が確保できないというときには、会場を2カ所とか、2日に分けてやらなければいけない。そうすると、当然それだと会場費も2倍かかるし、試験を実施する検定員という方の謝金も、1日で済むところが2日かかってしまうので、2倍かかってしまう。そういったところが1つの例として挙げられるところです。以上です。
○今野座長 たぶん、いまかなり質的にお話になったのですが、最終的に、例えば検定料をどうしようかという話になったときには、その辺をもうちょっと定式化しておかないと、検定料を上げるといっても説得できない。もう少し定式化されると、我々もわかりやすいですよね。
○塩田委員 大勢いらっしゃるので、2つほど手短に申し上げます。1つは受検者数の拡大ということを言っておられますが、これは、あくまで若者という母集団がだんだん減っているではないですか。これは私どもの大学もそうですが、その中で受検者数拡大と言ったって、それは話としてはおかしいのです。だから、このようにどんどん若年者は減っているけれども、これだけの割合で受けてくれていると、そこで評価しないといけないと思うのです。その中で、技能検定はどのようにして採算をとれるようにするか。それだったら話が通るので、そういう数字だけで言うのはちょっとやめられたほうがいいのではないかと思います。これだけ若者は減ってきているけれども、これだけの人間が受けているから、前に比べると技能に対してみんな非常に関心があると。そういうことを1つ気が付きました。
 もう1つは、技能士というのは、いまお話したように若い人が目指すわけですから、こういう厳しい中で若い人が一生懸命勉強して、モチベーションを持って、力をつけて、ある程度技能ができるようになると。その中で、さらに卓越した人が出てきて、優秀な品物を作るわけです。先ほど大関さんの話にあったけれども、それは外国と同じではないかと。必ずしもそうではない例は、いくつか私も知っていますので、これはほかの機械・電機・情報の方もご存じだと思いますが、例えば中国の上海の万博で発表する新車がある。1週間前、日本でカーテンをかぶっているのです。布をかぶって日本にあるのです。つまり、重要なところはモデルカーはみんな日本で造るのです。
 電気で言えば、アメリカとの関係もあるでしょうし、半導体製造装置の微妙な、本当に細かな手仕上げでないとできない、手仕事でないとできないところは、相当日本で作っています。情報も、アニメーションなどというのは、世界中に日本から発信して出ていっているでしょう。だから、やはり若い人で一生懸命良い物を作ろうと目指す人をたくさん育てて、その中から優秀な人がさらに育っていくという、そういう方向にむしろお金を投じるというか、それでないとちょっと国の資質が問われると思っています。だから、削減の中、厚生労働省はいままで頑張ってやってこられたけれども、ここはひと踏ん張りして、粘り強く生き残って、さらに今後は予算を増やす方向に持っていってほしいと思っています。
○井出委員 私は、いまほどご発言された塩田委員に激しく同意するところでありまして、是非よろしくお願いしますという立場です。特に前段の数の議論というのが、私は非常に重要だと思っていまして、例えば、今後おそらく検定技能職種の統廃合ということも1つ話題になると思うのですが、その際に参考資料の9頁に示されていますように、例えば平均受検者数が過去これだけだったから、この職種とこの職種は統廃合すべきだとか、そういう数の議論というのはすべきではないと思っています。やはり言われたように、母数が少ないのだけれども、でも日本の裾野の広い産業の中で、非常にコアの部分を握っている産業なのだ、職種なのだというところが、実は少なからずあるわけでして、そこをバサッと切ってしまって、挙げ句の果てには高技能者・技術者が育たないような環境を作ってしまうということは、すなわち、そこに関連する技術・技能が海外に逃げていってしまうということにつながりかねませんので、是非、日本の産業構造の中のこの職種はこういう位置づけを持っているのだということも含めて、統廃合も含めて検討いただければと思っております。そういった意味では、私どもは関係する職種もありますので、是非そういった声を聞いていただければと思います。以上です。
○大石委員代理高橋氏 代理で出てきて発言させていただくのは恐縮なのですが、地方自治体の現状について、初めに委員の皆様にお伝えしたいと思って発言させていただきます。
 技能検定については、先ほどご説明があったとおり、国の補助金を受けて、都道府県も経費を負担して、都道府県が運営主体となって、各能力開発協会の運営のご努力をいただくとともに、協力団体と関係業界の方からも、設備面、委員の方の選出と運営面でも、金額に換算できないような有形無形のご協力を受けて、一体となって運営しているのが現状です。今回、国の補助金がかなり大幅に削減された中で、その削減された分を各都道府県が代わってやればいいではないかみたいなお話があるかもしれませんが、実際のところは各自治体ではその肩代わりというのは財政当局で駄目とされ、非常に厳しい状況に追い込まれております。
 そのような中で、技能検定の運営自体が、経費面からもいま非常につらい立場に置かれているのが現状であるということが1つです。この場をお借りして、国の方には、これ以上補助金がカット、カットとされていってしまいますと、運営自体が危なくなるということをご確認いただくと共に、そういう面から安定的な技能検定制度を今後運営していくにはどうしたらいいかという点についても、いろいろお知恵をいただければありがたいと思っております。よろしくお願いいたします。
○宮川委員 実際に技能検定を実施している現場で見たことなども踏まえて、これからいろいろご検討いただくときに、是非、参考にしていただきたいと思って発言させていただきます。
 技能検定制度については、受検者が検定を受けて合格すれば、そこで技能士という国家資格を付与されるという、単に一試験制度としてこれを捉えているだけでは、ことの本質を見失ってしまうのではないかという危惧を持っております。大企業などは独自の人材育成システムを持って、また、社内の検定制度などで計画的に人材を育成しているわけですが、実は検定をやるにおいて、そのような手当を持っていない中小企業が、いまも大変厳しい事業環境に置かれているわけですが、それでもなお試験会場や機械・設備の確保、機器の精度管理、設営などに積極的にかかわりながら、この制度を活用して、人材を育てて、日本のものづくりを支えてきたという側面があります。
 それから、検定の実施は、いま東京都のほうからも代理の高橋さんからお話がありましたが、その実施が法律によって都道府県に任せられている。実際の実施はそれぞれの職業能力開発協会が多くの関係業界と連携をして、特に人手や時間、場所や施設機材を必要とする実技試験を、円滑、そして適正に実施するために、長年にわたって築き上げてきた信頼関係、ネットワークが非常に重要だと思うのです。いろいろな施策を展開するにおいても、ものづくり施策振興においても、こういったネットワークが、実は行政、それぞれ自治体が仕事を進めていく上でも大いに役立っているのです。
 ですので、今回の国の補助金の削減によって、検定の実施のやり繰りにも、協会もいろいろと努力はしているのですが、限界に来ている中で、またさらに平成25年度にですね、確かにいろいろな国の政策的なというか、政治的な兼ね合いもあって、そういった見直しもやむを得ない部分もあるのかもしれないのですが、これらが単に技能検定の問題にとどまらないで、こうした仕組みにも大きなダメージを与えてしまうと、これからいろいろな問題に取り組もうとして、国もいろいろな施策を考えられても、それを担っていくような方々が非常に少なくなっていくというか、問題を抱えつつ、いまよりももっと後退してしまうのではないのかと。こういったことも1つ考えていただいて、是非この検討会の場においても、そういったところも十分に考慮されて、仕組みをもう少し考えていきたい。我々もそういった意味で、いろいろな現場で見たところでの情報なり、あるいはそういった現場の思いなども、この会議でお伝えしていきたいと思いますので、そういった意味で感想も含め、意見を述べさせていただきました。
○河村委員 2点ほどお願いといいますか、述べます。1つは、ものづくり、機械・金属、そういう形での議論の形、それから委員の方もそういう方もお見えになるのですが、いわゆる生業系、左官だとか石工だとか、そういう部分の方も技能検定制度の中の大きな部分を占めていますので、例えば先ほど陳さんがおっしゃったように、企業のヒアリングをする場合に、そういう生業系の方も何かお声を聞いていただくのはいいのか。委員の方に中小企業団体中央会の方がお見えになりますが、そういう部分の何か生業系の聞く場面があればいいのかというのが1点です。特に生業系は人材育成というよりは、後継者の育成、まず確保、そこの部分があれですので、この検討会で話をする内容ではないかもしれませんが、生業系についてはそこの部分まで入らないと、育成まで辿り着かないのではないかと思います。それが1点目です。
 2点目は、資料の35頁、技能検定制度の都道府県方式の収支構造なのですが、これをパッと見ますと、中央の都道府県能力開発協会事業費に対して管理費という、たぶんお立場や人によっては、管理費のウエイトが高いのではないのか、この辺はもう少し経営努力だとかというお話があるかもしれないのですが、ここの部分に入っている背景、いま東京都の宮川専務がおっしゃるように、いままで培ってきた背景の部分ですね、ここに出ていない部分がきっとあるはずです。例えばそれは、数値にできない協力の部分だとか、あるいは各県の現場においては、企業から協定に基づいて持ち出しの部分がきっとあると思います。そういう部分を入れた形での収支構造をしていただくと、もう少し現実に近い形で出るのではないかと思っています。その2点です。
○畑中委員 中央協会としても、ものづくりということで、先ほど塩田先生がおっしゃったように、技能検定はある意味で技能振興策の中核的なものだろうと思っております。また、日本におけるものづくり産業についてなのですが、まだまだ開発部門だとか、とにかく付加価値の高い部分、あるいはまたサポーティングインダストリーという言葉が言われますが、中小企業がかなり支えている。そういう部分で、ものづくりの重要性、先ほど東京都の協会の宮川専務からもお話がありましたように、就中、技能検定が中小企業を支えていると。中小企業は日本のものづくりのサポーティングインダストリーの中核で、そこを支えている技能検定について、いま国の財政状況の中で本当に厳しい状況に置かれているのは間違いないのかと。私ども中央協会としては試験問題の作成が中心という形ではあるのですが、都道府県協会との連携をこれからもしっかりとやっていきたいと思っておりまして、都道府県協会なしには中央協会は成り立たないのだろうと思っておりますので、都道府県協会のいろいろな悩みなども私どももしっかり受け止めながら、できるだけのことをやっていきたいと。
 その1つが、補助金とか国の財政支援がなくなっていく中で、実技試験の経費をいかに低くしていくか。これが非常に大事かと私どもは思っておりまして、それについては今年の1月から、実技試験の実施経費の削減に向けて、年度の途中ではあったのですが、組織改正をして、実技試験の経費を削減するには、試験問題の課題改正も必要になってきますので、課題改正なども行って、実技試験の経費を削減するための準備室を急遽設けて、兼務の方もいますが、4人の職員の室を作って、かなり集中的に議論をしてまいりました。今年度は、いま技能検定の職種が129なので、大体その3分の1ぐらいの44の職種について、課題改正を含めた実施経費の削減のための具体的な方策を決定します。何とかできるだけの実施経費の削減をしていきたいと思っておりますが、目標としてはあまり大きくないのですが、少なくとも材料費の1割弱ぐらいのところ、具体的な金額でいうと6,000万円ぐらいの実施経費の削減ぐらいは少なくともやっていきたいという形で、いま鋭意、検討を進めております。そんな形で、何とか今回の問題に、中央協会としても寄与していきたいと思っております。
○北浦委員 先ほど職種の統廃合の話が出ました。私が技能検定の統廃合の専門委員会に関わっておりましたので、ちょっとその観点からも申し上げておきたいと思います。これは100人という基準で機械的に切っているわけではなくて、また100人という基準も、これは規制改革会議のほうで決められたガイドラインであって、委員に松井先生もいらっしゃるのですが、むしろ、一緒に悩みながら結構検討したというのが実情です。その中でわかってきた事柄は、社会的便益ということも考えながら技能検定の必要性を考えなければいけないということでして、そこでそうした観点の基準も作りました。
 その中でいろいろ工夫して、まず統廃合ありきではなくて、指定試験機関方式への移行であるとか、あるいはその中において合理的な運営がされていない、今日のお話も関係しますが、そういう点を工夫する中で統廃合を考えるとか、一つひとつ丹念に議論させていただいて、これまで一応、結論を作ってきたということです。そういった中で、残念ながら廃止というか、存続できなかった所もあるわけですが、そういったところでもまた技能振興の必要性は残るわけで、これを何か国として、あるいは業界団体として活かす道はないだろうかということもお願いをした経緯もあります。
 そんなところでわかってきたことは、先ほどの塩田先生のお話のとおりで、ものづくりとなると技能検定の拡大ということがどこまで可能かということもあります。これは非常に切実かつ大事な問題だと思っております。この中の統計数字もありますが、現状、77.5万人という受検者数のうち、56万人が指定試験機関方式で、都道府県方式が21.4万人で、これは横這いで来ているわけですね。この伸びている指定試験機関方式というのは、圧倒的にものづくり以外の部分が非常に大きく、そこが大きく伸びているわけです。そういったことからここの検討課題を考えますと、ものづくりの中でまだまだ検討すべきところは多いのだろうと思うのですが、技能検定全体で考えると、実はものづくり以外の、いわば3次産業中心にした、そちらのほうにおいて、まだまだ技能検定を作り得るかという議論になっていってしまうのだろうと思うのです。
 そのことと、今日お話があったものづくり関係職種の中で合理的にこれを運営して、むしろこの21.4万人を減らさないように、あるいはもっと増える余地があれば、それを少しでも上げていくという、そういう議論とはちょっと性質が違うところがあると思っておりました。そこのところは分けて考えるべきかと思っております。
 実は統廃合の委員会の中でも、関係する業界団体さんのほうでも、いざ廃止となると、もう大変だと。それで必死に頑張りますということで、1年待ってくれとか、2年待ってくれといったことも声としてあがります。それで、受検者数が確かに増えてくる所もあるわけです。ですから、努力が足りなかったとは申し上げませんが、そういった努力の余地という意味での拡大の可能性はたぶんあるのだろうと思います。
 ただ、私どもがそのときにお話をお伺いしていちばん驚きましたのは、各業界団体全部を把握しているわけではないことで、インサイダーだけでなく、アウトサイダーの部分もある。そのために、全体の母集団といいますか、そういった動向が必ずしも全部つかみきれていない。業者の中には入っていらっしゃらない所も多いわけです。あるいは、違う業界だけれども、この職種に該当する方もいる。そういうわけで、母集団がなかなかつかめないということで、合理的な試験制度の見通しが立たないというのがこれの実情で、そんな中で苦労されて、ぎりぎり最後の100人というところへ来てしまったという所が多かったように思っております。
 そのような意味において、先ほど来の議論については、拡大というところはちょっと性質を分けて考えることが必要で、その一方、合理的に運用するというもう1つの話のほう、これもやはり徹底して考えて、その中で安定した制度を作っていくというのがあればいいと思っております。以上です。
○小林委員 私どもの団体の傘下にいろいろな協同組合が協会の会員になって、いろいろな形で試験の実施にご協力させていただいているところです。先ほどの説明資料で、試験費用が高いとの指摘がありました。確かに都道府県によって違いがあるというのは、組合から材料を仕入れるときに言い値になっているということもあるのだと思うのですが、手弁当で材料を供給したり、また、試験の審査員に無償で組合役員が加わっていると伺っているところです。実際には目に見えない、もっと高い経費がかかっているのではないのかというのが実感するところです。
 いくつかお伺いしたいのですが、1点、技能検定のやり方で、作業試験、実技試験と、要素試験、ペーパー試験というのがあります。ものづくり関係の試験なので、実際に作業試験をもって審査するのが必要だと思うのですが、伺っている限りによると、審査員の目によって若干見方が違って、どこかの県に行くと受かりやすいという話も聞き及んでいるところです。その辺の実技試験のやり方でも再検討が必要と思います。それから、実技試験がやはりお金がかかると思うのですが、それを現在やっている要素試験に代替することが可能な部分が、下位の等級でできるのかどうなのか。それが、試験の費用の削減にもつながりますので、その辺をどのように考えられるのか伺いたい。
 それと、ものづくり系で、産業構造の変化でいろいろな業種で業者数が減って、従業者数も減っているのも事実だと思うのですが、私どもの会員を見ていても、やはり会員団体の構成員に減少などの変化が現れております。これは業種全体で減っている部分もあるのだと思いますが、景気が悪化したことで会費を払えないから脱退するケースも増えています。そのため、業界によっては組合とか連合会を通じて、いままで試験制度を支えてきたという中で、なかなか維持ができなくなっているというのもあるところは承知しております。
 一方、もう1つ産業構造の変化として、違ったものづくり系の新しい団体もできています、例えばアンダーウェアみたいな下着類の業界などから、独自の試験制度を作りたいという意見を伺うところもあります。細分化してほしいという所もあれば、もう1つは、従来から検定試験の職種にない所が、新たに技能検定をやりたい、技能評価のある程度の基準を作成しなければならないので、その辺の作業のやり方がわからないという相談も受けています。どうしても経費がかかることなので、畑中さんの所にいろいろご協力いただいたりして取り組んでいる業界も、いくつかあります。その辺、統廃合だけではなくて、見直しという意味でまた増やす部分も、ご検討いただければと思います。
 それから、ものづくり系だけではなくて、サービス産業、新分野について、これは技能検定としてはペーパー試験が重点になるのだと思うのですが、先ほど北浦先生からお話があった、新しい方式の指定機関方式でやるような新しい分野が、どうしても必要になると思います。これは能開局でもう1つ取り組んでいる第2制度の関係もあると思いますので、それも含めて、いままでのものづくりのところ、それから新しい分野を中心とした検定制度の在り方も含めて、この場で議論していただければありがたいというのがお願いです。
○今野座長 まだご意見があるかと思いますが、そろそろ予定の時間になりましたので、言い忘れた、これだけは最後に言いたいという方、どなたかいらっしゃいますか。
○宮下委員 長野県の場合には、ご案内のとおり本年度、技能五輪、アビリンピック大会を開催するということで、一方で都道府県の受検者数が減っているという現象がありますが、うちのほうは大会を契機にするということで平成20年ごろに決定をして以降、受検者数が増加しております。特に高校生の受検がかなり増えてきている。これは教育委員会のほうで、教育行政の中で若者のものづくり離れをどう止めるかということで、キャリア教育の推進という一環の中で、かなり教育委員会が力を入れてきて受検数が増えてきているというのが1つあります。
 そのような面がある中で、今回、技能検定の在り方検討が進められておりますが、まず1点は、都道府県によって実情が違うと思うのですが、長野県のような中小零細が9割を占める県の場合、技能検定に対する国・都道府県の支援がいちばん必要な県かと思っております。企業のほうは、逆に言えば先ほどもお話がありましたように、社内での検定に向けた支援がもうできない人数になっているとか、企業が受講料負担をしていたものが、なかなか支援できないという関係もあって、受検者数も減ってきているのかということも一部伺っております。そういう中で、技能検定をもう一度見直すという良い機会でありますし、振興を真剣に考えていくべきかと思っております。
 あと1点、検討する中で、私どもは都道府県の職能協会に全部事業をお願いしていますが、職能協会の運営自体が、各都道府県もそうだと思うのですが、私ども長野県の場合も外郭団体の位置づけの中ですべてを見直すということで、人員削減から運営費の管理費の削減等、かなり厳しい状況になってきて、従来の形よりも厳しい中で運営しているというのが実態です。そのように各県とも実態が違うということを踏まえた上での検討も必要なのかと思いましたので、今後またその中での検討をお願いしたいと思います。
○今野座長 予定の時間がまいりましたので、次回もこのように少し自由に議論をしていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。
 先ほど言いましたが、本日の議事については、公開ということにさせていただければと思います。最後に事務局から連絡事項をお願いします。
○吉田課長補佐 次回については、既にメール等でご案内しているかと思いますが、5月11日(金)13時からお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。
○今野座長 それでは、終了いたします。ありがとうございました。


(了)

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