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2012年3月30日 第1回国立病院及び労災病院の新しい法人制度に関する検討会議事録

労働基準局労災補償部労災管理課

○日時

平成24年3月30日(金) 9:00~11:00


○場所

中央合同庁舎5号舘12階 専用第12会議室
東京都千代田区霞が関1-2-2


○議題

1 座長の選出
2 検討会の趣旨及び進め方について
3 国立病院機構からのヒアリング
4 労働者健康福祉機構からのヒアリング
5 その他

○議事

○片岡国立病院課長 おはようございます。国立病院課長の片岡と申します。夏目委員がちょっと遅れて来られると思いますが、定刻ですので、ただいまから第1回「国立病院及び労災病院の新しい法人制度に関する検討会」を開催したいと思います。委員の皆様におかれては、年度末の大変お忙しい中ご出席賜りまして、誠にありがとうございます。
 座長選出までの間、議事進行役を私が務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 開催に当たって、医政局長、労働基準局長よりご挨拶を申し上げます。
○大谷医政局長 おはようございます。医政局長の大谷です。「国立病院及び労災病院の新しい法人制度に関する検討会」の開催に当たって、一言ご挨拶申し上げます。
 委員の皆様におかれましては、ご多忙のところ、また急なお願いにもかかわらず、この検討会の委員のご就任をお引き受けいただきましてありがとうございます。また、今日は、年度末の事実上の最終日ということで、大変恐縮しているところです。
 独立行政法人制度については、本年1月20日に閣議決定された「独立行政法人の制度及び組織の見直しの基本方針」において、「現在の独立行政法人の制度の在り方を抜本的かつ一体的な見直し、平成26年4月より新たな法人制度及び組織に移行することを目指す」とされています。このうち「国立病院機構及び労働者健康福祉機構につきましては、固有の根拠法に基づく新たな法人制度に移行すること」とされています。
 国立病院機構について申し上げますと、平成16年度独法化して以来、政策医療と地域医療の両方を提供するという中で、本日ご出席いただいていますが、矢崎理事長の強いリーダーシップの下で、経営努力や職員の意識改革等により、着実な経営改善を成し遂げてきました。
 一方で、医療職の人件費管理や利益の再投資の規制など、独立行政法人であるが故の課題もいくつか抱えています。このため、本検討会では、新しい法人制度の移行に当たり、国立病院及び労災病院がいま以上に自律的かつ効率的な経営を目指すためには、どのような法人制度が相応しいのか、について、さまざまな観点からご議論をいただきたいと考えています。
 新しい法人制度の下で両病院が提供する医療が地域の患者サービスの向上や医療制度の発展につながることを願っています。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。以上、冒頭のご挨拶とさせていただきます。
○金子労働基準局長 おはようございます。労働基準局長の金子です。いま医政局長からご挨拶を申し上げたことでほぼ尽きていますが、私からも、労災病院を所管する担当局として一言ご挨拶を申し上げます。去る2月15日に「国立病院と労災病院の在り方を考える検討会の報告書」がまとめられました。その中については、大変いろいろな争点についてご議論いただいて、労災病院については、政策医療の更なる強化と経営改善について多くのご指摘をいただきました。
 いま、法人において理事長を先頭にして、この問題について取組みを始めています。なかんずく指摘がありましたのは、厚生年金基金制度や労働条件の問題、更には累積欠損金などがかなり多額に上っているという問題もありまして、今後とも、こうした課題に対処するために、ガバナンスの一層の強化を図りながら、経営の改善を進めていくことが大変重要になっています。
 今般の検討会の開催に当たっては、私ども労災病院のサイドとしても、自律的かつ効率的な経営を実現しつつ、労災医療ということで、これまで労災病院が果してきましたその機能が更に最大限に発揮されますように、そういった観点から種々の点について幅広くご議論いただければありがたいと考えています。どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
○片岡国立病院課長 次に委員の皆様を50音順にご紹介いたします。資料1-1の裏面と言いますか、2頁目をご覧ください。
 まず、伊藤委員です。岩村委員は、本日は所用により、ご欠席です。
 続きまして梶川委員です。齋藤委員です。堺井委員です。高橋委員です。永井委員です。夏目委員です。渡辺委員です。
以上、9名の方に検討会への委員をお願いしています。
 事務局の職員を紹介いたします。両局長はいまご紹介しましたので、それ以外の方を紹介します。労働基準局労災補償部長の鈴木です。同じく労災補償部の労災管理課長の木暮です。大臣官房参事官の松尾です。医政局国立病院課国立病院機構管理室長の宇口です。
本日は、国立病院機構及び労働者健康福祉機構からのヒアリングを行うために、両法人の理事長にもお来しいただいています。
 まず、本検討会の座長の選出をお願いいたします。選出の方法については、委員の互選により行いたいと思います。どなたか座長をご推薦される方はありますか。
○渡辺委員 私は、これまでナショナルセンターの評価委員会の座長をなさったり、様々な検討会の委員をなさったり、あるいは東大病院の病院長の経験をなさった永井委員が適任と思いますので、ご推薦したいと思います。
       
○片岡国立病院課長 ただいま、渡辺委員から永井委員を座長にというご発言がありましたが、他にご意見等はございませんでしょうか。
       (異議なし)
○片岡国立病院課長 ありがとうございます。それでは、委員の皆様方のご賛同を得ることができましたので、永井委員に、本検討会の座長をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 座長席にお願いいたします。
   (永井座長、座長席に移動)
○永井座長 ただいま座長を仰せつかりました東京大学の永井です。非常に難しい課題かと存じますが、円滑な運営を心掛けたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○片岡国立病院課長 以降の進行については、座長にお願いしたいと思います。
○永井座長 最初は運営に関してですが、この検討会は公開で行い、議事録についても、事務局でまとめたものを各委員にご確認いただいたうえで、厚生労働省のホームページで公表することにしたいと思います。この点についてご了承いただきたいと思います。よろしいでしょうか。
       (異議なし)
○永井座長 ありがとうございます。
 早速議題に入ります。議題の2について、事務局よりご説明をお願いいたします。
○労災管理課長 議題の2、「検討会の趣旨及び進め方について」です。お手元の配布資料1~3でご説明申し上げます。
 資料1-1です。「国立病院及び労災病院の新しい法人制度に関する検討会の開催について」、開催要綱ですが、ここに検討会の目的が書いてあります。先ほど来話がありますように、独立行政法人制度の見直しが行われており、1月20日の閣議決定に基づいて、国立病院機構と労働者健康福祉機構については、平成26年4月より新たな法人制度に移行するとされています。このため、国立病院及び労災病院がその使命を果たす機能を最大に発揮し、国民医療の向上に寄与することができるよう、従来の独立行政法人制度とは異なる新しい法人制度の在り方を検討する、ということで、この新しい法人制度をどう作っていくかをご検討いただくということです。
 「主な検討内容」は、閣議決定で、検討の視点までも若干書いてありますので、後ほどそれも併せてご説明申し上げます。検討内容としては、日本の政策医療等を担う国立病院及び労災病院に相応しい新しい法人制度を構築するために、病院運営の在り方、財政運営の在り方、目標・評価の在り方、情報公開・発信の在り方、将来の統合も視野に入れた具体的な検討等について検討するということです。
 検討のスケジュールについては、資料1-2にあります。日付は入っていませんので、若干流動的ですが、本日第1回に国立病院機構、労働者健康福祉機構からヒアリングを行うことにしています。然る後第2回以降中身の議論に入るわけですが、国立病院、労災病院それぞれ果たしている役割がありますので、そういう政策医療の明確化、国との関係について第2回から議論をします。第3回は目標・評価、病院運営、将来の統合も視野に入れた検討、第4回は、説明責任・透明性の在り方、論点の整理、そのあと報告書(案)についてとしていますが、これは議論を進める中で、必要に応じて施設視察、日程の追加を行いながら進めたいと考えています。
 次に、資料2-1は、「独立行政法人の制度・組織の見直しの概要」です。
 今回の独立行政法人制度改革の趣旨は、制度創設から10年以上経過して、非常にさまざまな分野で、さまざまな対応の業務を行っている法人がすべて一律の制度にはめ込まれていることが議論の出発点でした。こうしたことから、それぞれの課題に相応しい法人を作ることが今回の制度改革の一つの眼目であったと理解しています。その中で国立病院と労災病院の関係については、この独立行政法人ではないガバナンスに移っていくということですが、一方で、この独立行政法人制度改革の中で、法人制度そのものについてもいくつか見直しをしています。
 資料2-1の1枚めくっていただいて、2の「新たな法人制度に共通するルールの整備」です。これは、これは、あくまでも新たな独立行政法人制度ですが、私どもの検討にも参考になると思われますので、若干ご紹介申し上げます。適正な事前・事後の関与の仕組みを導入する、国民から信頼される制度を構築するという視点です。法人の内外から業務運営を適正化する仕組みの導入で、例えば、監事に対する調査権限の付与等です。「財政規律の抜本的な強化」の4番目の、例えば「自己収入を増加させた場合等におけるインセンティブの強化」があります。これは独立行政法人制度においても問題になっています。
 ?は、「目標・評価の仕組み」です。主務大臣が法人の中期目標設定から評価まで一貫して実施すると。これが政策の一貫的な完結の観点と考えています。
 ?ですが、「国民目線での第三者チェックと情報公開の推進」です。国民向け説明会の開催なども含めてより国民に近い形でのチェックを進めていくということです。
 資料2-2です。この独立行政法人改革の報告を受けた閣議決定です。形式上、労働者健康福祉機構と国立病院機構は分けて書かれていますが、基本的に同様の内容です。「固有の根拠法に基づき設立される法人とする」というのが第1点です。第2点目は、「国が担うべき政策医療等について、国全体として無駄のない効率的な医療提供体制の下で、医療法の体系も踏まえ、国が適切に関与しつつ、確実に実施するとともに、自律的かつ効率的な経営の実現を目指す」と。基本的な考え方はここにあります。
 ○の3番目、「検討の視点」がいくつかあります。具体的な制度の在り方については、例えば「国民負担の最小化」「担うべき政策医療の明確化」「国との関係の明確化」「適切な目標管理システムの構築」「民間医療機関との役割分担」「組織肥大化の防止」「医療の質の向上」「財務の透明性確保」「適正な利益配分等の観点から検討を進める」と。これがまさに本検討会における検討の視点で、閣議決定で示されています。
 ○の4番目は、労災病院固有のことですが、「固有の根拠法に基づき設立される法人とするに当たっては、労災病院関係業務等の真に必要な事務・事業に限定する」ということです。これが労災病院固有の部分ですが、国立病院固有の部分は、下から2番目の○です。「固有の根拠法に基づき設立される法人とするまでに、職員の非公務員化に伴う問題の解決に向けた所要の調整を行う」ということです。
 最後ですが、「労働者健康福祉機構との連携を進めつつ将来の統合も視野に入れた具体的な検討を行う」ということです。これら以上が閣議で決まっていることです。
 資料3-1資料3-2で、2月15日にまとまりました国立病院・労災病院等の在り方を考える検討会の報告書の概要をお配りしています。この検討会においては、政策医療を提供する病院としての在り方、公的病院としての在り方、両法人の統合、個別病院の再編・整備、さらには両法人の連携の強化、財政支援の在り方、その他についてご議論をいただきました。
 本検討会においても、政策医療の明確化、統合の問題などが検討の範囲に入っていますので、この検討会の報告もご参考にしていただければと思っています。事務局からの説明は以上です。
○永井座長 では、ただいまのご説明あるいは資料について、委員の方々からご意見を伺いたいと思います。ご意見、ご質問のおありの方はご発言をお願いします。
○高橋委員 資料2-2の最後の、「労働者健康福祉機構との連携を深めつつ、将来の統合の試案に向けた具体的な検討を行う」ということですが、将来統合するということを想定していると理解してよろしいのでしょうか、それとも検討の過程で、こういう姿が望ましいということであれば、統合ということは1つの選択肢になると理解してよろしいのでしょうか。
○木暮労災管理課長 閣議決定は、文字通りということで、連携を進めるということは、まさに進めるということで書いてありますが、統合については将来ということで、時世が若干違っているということで1点申し上げられると思います。将来の統合については視野に入れたということで、具体的な検討を行うというように理解しています。
○高橋委員 必ずしも縛られるというわけではないということでよろしいですね。
○木暮労災管理課長 連携のところと統合のところは、時間軸が一応書き分けてあるということです。
○永井座長 ほかにいかがですか。
○夏目委員 単純な質問ですが、それぞれが固有の根拠法に基づき設立されるということで、2つの根拠法ができるという理解でよろしいのですか。それとも1本の法律の中で2つの法人を作るということなのですか。
○片岡国立病院課長 そこについては、ここに書いてある文言のとおりで、これからの検討の中でどちらがふさわしいのかということになろうかと思います。
○渡辺委員 資料2-2で、閣議決定の基本方針ですが、読んでわかるとおり、ともに5つの○があって、4つ目の○を除けば同じことを言っているわけです。4つ目の○の労働者云々のほうは「固有の根拠法に基づき、設立される法人とするに当たっては、労災病院関係業務等の真に必要な事務・事業に限定する」となっています。これは文章としてわかりにくいのですが、何を限定するのかということを伺いたいと思います。
 国立病院機構についての4つ目の○は「当たっては」ではなくて「固有の根拠に基づき、設立される法人とするまでに」となっています。そして「職員の非公務員化に伴う問題の解決に向けた所要の調整を行う」となっているのですが、この2つについて、もしわかれば、もう少し詳しく、かつ正確に教えてもらえますか。
○木暮労災管理課長 最初に労働者健康福祉機構ですが、現在、労働施策の一環として、未払賃金の立替払い事業を行っております。それから、かつて廃止されましたが、例えば経過措置的に安全衛生関係の融資をやっているとか、若干病院とは別の業務をやっていることもあります。したがって、そういうものについては、もちろん経過措置的ですぐ廃止されるものをどうするかというのはあろうかと思いますが、基本的に未払賃金立替払い事業のように、今後も続くようなものについては、中身を見て、病院と関係ないということであれば別の独立行政法人に業務を移管していくという作業を行うということです。
○渡辺委員 資料は「労働者健康福祉機構の業務は」というのはそういう意味ですね。
○木暮労災管理課長 そういうことです。
○宇口国立病院機構管理室長 国立病院のほうの「非公務員化に伴う問題の解決」ですが、国立病院機構は平成16年に独法化して以降、公務員型でやっておりますので、当然公務員共済を現在使っております。これから検討していただく新法人の場合には、非公務員化ということで前提を置いておりますので、公務員共済の負担金を巡る現在の状況を、新たな枠組みでも続けるのか、変えるのかという問題だと、こちら側は理解しているところです。
○渡辺委員 つまり、国立病院機構のほうは「法人とするまでに」いうことは、2年後の4月までの間に、つまり2年間のうちにそれをやってしまうという解釈でよろしいのですね。
○宇口国立病院機構管理室長 そのとおりです。
○永井座長 ほかにいかがですか。よろしければ議題2については以上にして、議題3の「国立病院機構のヒアリング」に進ませていただきます。本日は両機構の理事長にお越しいただいておりますので、両理事長から、それぞれの法人の現状及び現行制度の問題点について、ご説明をいただきたいと思います。最初に国立病院機構について、矢崎理事長より15分程度で資料の説明をお願いしたいと思います。
○(独)国立病院機構矢崎理事長 私どもの資料は資料4にカラー刷りになっております。先ほど医政局長からご指摘いただきましたように、この検討会は閣議決定で、我々がかつてから唱えていた独法を卒業して民間型の手法を用いた法人に移行すること。それにつれて独法で縛りがある。定員の削減とか利益処分の問題などを、新たな法律の中で、どのようにうまく組み込んでいただくかというのが、この検討会のいちばん大きなタスクフォースではないかと思います。
 私は民間型になって自由な医療をどんどんやっていきたいということでは、決してないということで、いみじくも医政局長がおっしゃられた定員の縛り、あるいは折角上がった利潤を国が抑えてしまうというのは、何とか外してほしい。それ以外は国から土地を出資していただいているので、国のミッションをしっかり果たしていくことは、我々も憲法として持っております。一説によると、私が民間手法を使って自由自在に我が国の医療をやっていくのではないかという誤解がありますので、まずそれを訂正したいと思います。
 いままでたどってきた国立病院機構の歩みを簡単に申し上げますと、まだ十分ご存じない方もいらっしゃると思います。国立病院機構は、現在、144の病院で5万3,000床、職員数約5万3,000人で、その3分の2の89病院は結核、重心、筋ジストロフィーで、民間では必ずしも行い得ないようなセイフティネット系医療を行っております。残りの55病院が一般の総合医療病院です。その中にはきっちり政策医療も行っております。私は以前から脱独法、脱公務員化を唱えております。
 しかし発足時、国時代の国立病院はどうだったかと言いますと、毎年500億円くらいの赤字補填を受けていたのです。これは厚労省の会計課長は大変な思いをしたということは、いまでも私に話してくれます。それから7,500億円に及ぶ長期債務がありました。これは労災病院、社会保険病院、ほかの公立病院はもちろんですが、建物、医療機器は全部補助金です。我々は民間医療法人と同じように国からの借金で建てています。しかも、悪いのは私が理事長に就任してからは収益に見合った投資をしているのですが、国時代の投資は、収益に関係のない投資でしたので、7,500億円は投資したお金というよりは、無駄遣いが多くて、我々の経営の足を引っ張っているというのが大きなポイントです。それにほかの独法ではほとんど見ない義務負担があります。これはちょっとわかりにくいので、あとで説明しますが、わかる方が聞くと、君たちはこんなひどい目に遭っているのかという状態があります。
 それから親方日の丸で働かないのではないかということで、発足時には収支相償化どころか国立病院機構は潰れてしまうのではないか。機構は泥舟でどんどん沈んでいくと言われました。独法が非常に良かったのは、官庁会計から企業会計になった。官庁会計は赤字でも4月になるとリセットされるから病院長は全然経営意識がないわけです。事務方が予算を取って執行するから、病院の運営は全部事務方がやっていたのです。ところが、独法化になって独立採算になる。そうすると、最高責任者は病院長で、病院長のガバナンスが確立されたのです。
 したがって、私は現場主義、迅速主義、業績主義で一生懸命やった人が報われるような組織にしましょうということで、スライドの4番目に「国立病院機構は大きく変わった」と書いてありますが、病院長はじめ、職員の皆さんが経営責任を自覚するようになり、意識改革が起こりました。これまで国立の幻のブランドに胡座をかいて病院を経営していたのですが、地域の医療ニーズに合わせた医療の提供、地域医療のセイフティネットである救急とか周産期、あるいは先ほど言ったセイフティネット系の医療を地域で中核を担う病院で働くことへの責任感が醸成されました。それから経費は大幅に削減して、端的にここに共同購入とありますが、建築費、購入費が国時代とは考えられないくらいの安い値段で共同入札となり、下のように利益が上がっているわけです。これにより「国病金持論」という誤解が財務省などにはあるのですが、これはどうして上がっているかというと、投資が抑えられているから、自由に使えない。お金がどんどん貯っていくわけです。だから、私が民間の経営者でありましたら、こんなに利益が上がったら、すぐ患者に返します。医療法では診療報酬により利益があったら、必ず患者に還元するという理念があるのに、我々は国が抑えて自由に使えない。そういうところがあって、利益は積み上がっているが、我々は金持になっているのではないということはご承知おきいただきたいと思います。
 もう1つの誤解は、どこへ行っても国立病院は厚労省からきた多額の補助金で悠々と医療事業を行っているのではないかと思われておりますが、実際は5頁にありますように、運営費交付金は、現在は286億円で、全体が9,000億円近くの収入がありますから、収入に占める運営費交付金は多いようでたった3%なのです。これは公立病院などは数十パーセントが運営費交付金が収入になっているのです。大学病院も、東大もそうですが、数パーセントから10数パーセントは運営費交付金で、収入がそれなのです。我々はもらっている大部分の245億円は過去の退職給付債務なのです。職員の国時代の債務ですから、右から左に共済組合に入るお金ですので、我々の手元に入る本当のお金は41億円しかないのです。41億円も臨床研究などの研究を保つためのもので全体の0,5%です。民間病院でも救急や周産期をやって、地域から補助金をもらう額は1%くらいですから、民間の医療法人よりも、我々は外からお金が入っていないということを、ここで強調したいと思います。
 運営費交付金はどんどん減っています。ご覧のように、上のピンクの部分が我々に入る運営費交付金で、最初からそんなに多くないのです。運営費交付金に頼って運営が行われていないというのが実情です。それが公立病院と同じように、厚労省の方でさえ、国公立病院と一口に言うのですが、公立と国とは分けてもらいたいというのはいつも言っているのです。
 次の7頁で、一生懸命努力して青の赤字病院がどんどん減って、いまは20になりました。赤字の額もどんどん減っています。病院長は皆さん、赤字病院というのは恥ずかしいので、1,000円でも、1万円でも黒字になりたいということで、ものすごく努力されているのです。そういう結果がここで出ているということをご理解いただきたいと思います。
 「国立病院機構は大きく変わった」というのは、我が国のモデルとなる医療事業をミッションとして展開していることが極めて大きいということをよく認識していただきたい。1つは、病病の連携あるいは病診連携で機能分担を明確化して、私どもはセイフティネット系の医療を行っているだけではなく、地域で認められるというか、医療というのは地域で生まれて、地域で育まれるものですから、病院は地域で生きていかなければいけません。地域の二次、三次救急のセイフティネットの中核を担うようにどんどん成長していますし、地域のかかりつけ医との提携で紹介率・逆紹介率もどんどん上がっています。3分の2が旧療養所ですから外来もほとんどなくて、慢性期の病院で紹介率・逆紹介率を上げるのはものすごく難しいですが、これが上がっているのは総合病院の多くが高い紹介率・逆紹介率で行っているという証でもあるのです。
 9頁は繰り返しになりますが、結核、重心、筋ジストロフィーなどの民間の医療機関では必ずしも提供されない医療、セイフティネット系の医療を自立した健全財政で行っているのです。これは仕分けなどで、こういうセイフティネット医療は国の支援でやるべきだと言うのですが、私は絶対反対です。健全財政でやらないと患者のQOLが無視された質の悪い提供が行われると。患者が、一度入ったらなかなか退院できないので、患者に提供する医業の質、アメニティを高めるにはやはり健全な財政で自らの努力でやっていく医療にしなければいけないということで、いま一生懸命やっています。
 ご覧のように観察法に基づく精神医療とか、筋ジストロフィー症、重心、結核などについて、我々のベッドのシェアは4%しかないのですが、このような全国の患者のシェアです。我々がほとんどの政策医療の中心的な任務を担っています。重心の患者は40%くらいではないかというのですが、60%は福祉施設で扱っています。我々の40%は福祉施設で扱えない非常に医療の密の高い、例えば人工呼吸器が入っている、あるいはじっとしていない患者を扱っています。この間の大震災のときには、延べ1万人日の医療支援を行っています。これだけ大量に派遣している所はありません。これは全国のネットワークがあって初めて可能なのです。
 次は「医療の質のための臨床研究」ですが、これは例えば1昨年のインフルエンザワクチンで1回注射したらいいか、2回注射したらいいかという非常に大きな政策論争があったのですが、私たちはすぐ調査して、1回でいい。子どもも1回でいい。あのときはワクチンが足りなくて、1回でいいか2回がいいかというのが大きな問題になったのです。それを1回でいいと。ほとんどの職員に接種して、副作用を調べるという研究もしていますし、過去4年間の新薬が導入されたうちの53.9%、我々が治験に関与している。したがって、新薬導入の治験に、144のネットワークがなければこんなに進まないわけで治験の進展に我々が極めて大きな位置づけとなっています。
それから日本版のNPを大学院で医者が教育して、今年晴れて卒業生が出ます。
ので、社会に問いたいと思います。
国立病院機構は利潤を上げています。利益はどのように処分するかということですが、民間の医療機関と同じように、借金で機器や建物を買っていますので、民間の法人と同じように診療報酬から借金を返すのは当然です。しかし、強調したいのは、いま耐震工事をしなければならない病棟が半数以上あり、外来に至っては、ほぼ壊滅状態で、いまから投資して改装しないと病院としてやっていけない大変苦しい状態があることをご理解いただきたいと思います。
 最後になりますが、医療になじまない独法ルールが5つありますが、ポイントの1つは利益処分です。先ほどの利益が上がっていてもフリーズされていて自由に使えない。財務省と厚労省の交渉で全額認められればいいのですが、そういうこともないし、本当に不安定で、政策リスクがものすごく大きい。
 もう1つは、公経済負担ルールがあって、皆さん、こんなひどいことがあっていいかと思うぐらいです。これは表で見ていただくとわかりますが、公経済負担というのはどういうことかというと、基礎年金の2分の1は国が払うことになっているのです。そういう約束で法律になっていながら、我々の所は自分で負担するということになっているのです。4法人が負担されているのですが、印刷局と造幣局というのは国相手の話で、財務省所管ですから、これは全部きれいに処理されているのです。郵便貯金・簡易生命保険管理機構がありますが、これは民営化したときに国に残さなければならないわずかないろいろな業務があって、公務員で43人しかいないのです。あとの全ての独法は負担していません。なぜ国立病院機構だけがこんな負担を課せられているのかと。だから、今回の新法でこれを外してほしいのです。これは国立病院機構法に「公経済負担は自分で払うこと」という附則があるのです。それを新法では廃止していただきたいということです。
 3番目の整理資源ルールというのがあって、ほとんどは国が負担しています。整理資源というのは、昭和34年以前の公務員OBの恩給のお金を、国に財源がないので、公務員の割合で割り振った150億円程負担しています。これもお金があるから今度は払えということになって、両方払っている法人はほぼないということをよくわかっていただきたいのです。しかし、我々は国の財産が極めて厳しいということで、では、整理資源は我々で払いましょうということで、今年から整理資源を払うことになりました。4頁の平成23年の決算に戻りますが、利益が495億円ですが、平成23年は赤字の300何十億円になります。整理資源をお支払いするということで臨時損失を立てて、黒字が赤字になります。これは理事長交代のときに、変な措置の臨時損失が公になって、オリンパスのようなマイナスになったということではなく、整理資源を財務省が、お金があるから、郵政とかNTTなどと同様に負担してほしいということで、我々も国がそんなに困っているのならということで、臨時損失を立てて今年は300何十億円の赤字になります。それは理由のある赤字で、国のために奉仕した赤字であるということを、皆さんに知っていただきたいのです。
 結局どういうことかというと、最後のスライドにありますように、そういう利益処分を国の管理ではなく、患者にお返しできるようなシステムにしていただかないと、中長期的な視点からの投資が、いまは不可能なのです。それが可能になると、医療の質とサービスが格段に向上する。それから、民間型になる、非公務員になると機能に即した期限付きの雇用が可能になりますし、ある部署でこういう人が必要だといったときには、我々の判断で雇用できますが、いまはそういうことはできません。おそらくそうなれば病院の生産性が向上するし、いままで果たしていた国のミッションはさらに忠実に実行されるでしょう。あるいは我々がこれからどういう医療人が必要だということを注目して、医療教育ができるのではないかということです。
 結論はここに書いてある「医療になじまないルール」として、利益処分の国のルールを外してほしい。公経済負担は絶対外していただきたい。こんな利不尽な負担はないということです。あとは人件費管理ルールや中期目標管理ルールとありますが、いままでの独法の通則法では、いわゆるPDCAサイクルが全く回らない仕組みになってしまうということを、ご理解いただき、私たちから見れば大変不合理だったところを法律の内容に反映するようなものを是非作っていただきたいと思います。私は3月で辞めますので、これは1つの遺言と思って聞いていただきたいということです。どうもありがとうございました。
○永井座長 矢崎先生には、大変ご苦労なさったご様子を、とてもわかりやすくお話いただけたかと思います。それでは、ただいまのご説明にご質問、ご意見を伺いたいと思います。いかがでしょうか。
○渡辺委員 これは矢崎理事長ではなく、国、本来なら財務省に伺いたいと思います。特にいまご指摘のあった公経済負担ルールですが、なぜ基礎年金国庫負担は2分の1で、まさに国庫負担なのに、これを診療報酬から払うというのは、どういう経緯で決まったのか、もしわかりましたら国のほうからお答え願いたいのです。
○宇口国立病院機構管理室長 平成16年から国立病院を独法化する前の議論ですが、財務省の見解は、国立病院というのは当時は矢崎理事長にお話いただいたように繰入れで赤字を出していました。ナショナルセンターと国立病院と分けた場合は、当時は500億円以上の繰入れがなければ国立病院は回らない状態でしたが、財務省的にいうと、国立病院の繰入率は1割程度、当時のナショナルセンターの繰入率は3割、国立大学は医学部だけではありませんが、4~5割ぐらいが一般会計の支えが必要となっています。この関係の中で国立病院のグループは独法化し、経営改善すべきという前提に立てば、というより立つべきであり、自収自弁の経営を目指すべきだということで、ナショナルセンターとか国立大学の医学部を想定した場合とは状態が異なる。
 回りくどくなりましたが、国立病院は自収自弁が可能だという判断をもって、公経済負担、整理資源を負担していただく。これは自収自弁が可能だと判断した事業体、例えば昔の公社の郵政、JT、NTTなどもOBの積立金不足の整理資源は当然払っているのですが、いま理事長が言われた公経済の部分についての判断は独法化する直前の状況、病院の性質から自収自弁の経営体を目指し、自収自弁が可能だということになれば、その支払いも可能でしょうという論理だと聞いております。
○(独)国立病院機構矢崎理事長 よくわからないのは、他の事業体には全部国が負担しているのに、国病機構だけ自収自弁だということです。民間の企業だって自収自弁は当たり前ですよね。それなのに我々だけ公経済負担を、いま渡辺委員がおっしゃったように、なぜこれだけの負担をしなければならないのか、いくら考えでも私は理屈がわかりません。
○渡辺委員 これは宇口室長を責めてもしょうがないですが、機構の見方を押すわけでもなくて、私も民間企業出身ですが、民間企業であれ何であれ、基礎年金の国庫負担は、いまは厳密には36.5%ですが、今年度はすべての国民に対して、原則2分の1は税金で負担するわけです。そのルールで基礎年金の2分の1が始まったわけで、なぜ国立病院機構だけが診療報酬から払えと言うのか。厚労省を追及してもしょうがないのですが、確かにこれはわかりにくいとしか、いまの時点では言いようがありません。
○堺委員 機構の運営に関することで、1つお尋ねします。先生もよくおわかりのように、医療には地域性がありますので、政策医療といえども、若干の地域性がありますし、まして一般医療のほうは地域性があります。
 そういう中で、経営を良くして、医療の質を上げていこうとすると、個々の病院の病院長が一番良くわかっているはずですし、それをなし得るはずです。そうすると、個々の病院長に権限と責任をさらに与えて、病院長の能力には個人差がありますので、それをよくなし得るような人に権限と責任を与えていくことが、全体を改善する上で非常に大事だと思います。
 矢崎理事長は、こんなことも当然お考えでこれまでやってこられたと思いますが、現在の国立病院機構の制度上、そういうことがやりにくいという面があったのかどうか。あるいはそれを改善するにはどうしたらよろしいとお考えかをお尋ねします。
○(独)国立病院機構矢崎理事長 もう8年経ちますと、国時代の病院長はほとんど退職し、我々病院長の選定は、副理事長を含めて、あるいは各病院の事務長とか、もちろん前院長などからもいろいろ聞きます。ですから、他所から来たり、他所の方の口利きで病院長になるケースではなくて、先生がおっしゃったような我々の方針に賛同していただける方を慎重に選んでいます。
病院は担っている医療とロケーションで差が大きいと思います。
 そういう場合にはどういうことをするかというと、護送船団主義にならないように、赤字の病院には補填ではなくて、借金をしていただくということをずっとやってきました。赤字の病院でも債務の利子はちゃんと返していただく。様々な工夫をして、いま20病院に減っています。この病院を今後はどうするかというのが、非常に大きな検討課題です。
 そういう財政的なマネージメントは144の全国のネットワークが、非常に大きな役割を財務的にはなしていますし、技術移転、人員の派遣などは、みんなお互いにやってきています。そういう意味ではガバナンスがあります。最初の頃は「病院の中の人事は全部自分でやりたい」とおっしゃっている方がいました。折角育てた事務職や看護職は自分の手元に置いておきたいと。しかし、我々は144の全体の職員のレベルを上げるために転勤をさせているわけで、病院長の立場になって、この人は非常に優秀だから、ああいうポジションにキャリアアップさせたいと言っても、1つの病院ではキャリアアップに限界があります。そういう意味では、機構全体が看護職、事務職を育てていきましょうと。いい人がほかの病院に行けば、絶対その人がほかの病院で役に立つということで、最近は144の病院の中で、良き人材を育てるという意識が広まってきて、最初ほどそういう意味ではやりにくい面はなくなってきているのではないかと思っています。
○宇口国立病院機構管理室長 制度のことかなというのもあるので私から。独立行政法人の職員の場合は公務員型、非公務員型を問わず、必ず公務員を100とした指数に対して何パーセントぐらいかという、要するに上回っているのか、下回っているのかという調査があります。
 矢崎理事長以下、頑張っていただいて、院長は医療職(一)というか、医師ですので結論において、現在は国の定めた医療職(一)よりも、若干国立病院も上に行っていることも大臣から公表しております。そのほかの医療を支えているスタッフについては、どうしても厳しい国民目線で見られますので、100よりも抑えられます。そうなってきたときに医療職全体の確保が独法全体での一括りということで判断されますので、他の独立行政法人と同じような、先ほどの利益処分の話とか、総人件費のギャップの話に相通じるのです。個々、個人の職員の給料の相場も、公務員を100とした指数によっての比較がなされる現状にあるということはあります。
○伊藤委員 1つ質問をさせていただきます。前身の検討会の資料に、国立病院機構の財務状況が出ていますが、平成21年度実績では、運営費交付金のうちの153億円が機構が行う不採算事業への補助となっています。今日のご説明ですと、矢崎先生のペーパーの5頁では、平成24年度予算で臨床研究等に41億円ということになっているのですが、この間運営費交付金が大幅に削られたということなのかを教えていただきたいと思います。
○(独)国立病院機構清水副理事長 ご指摘のとおりで、矢崎義雄名義の資料4の6頁を見ますと、ずっと運営費交付金は減っています。その中で診療部門に対する補助は平成24年度はなくなっており、昔は結核とか救急の関係とかある程度の補助は頂いていたのですが、平成24年度はなくなって、臨床研究だけに絞られてきているという現状です。
○伊藤委員 そうなりますと、診療報酬を中心とした収入の中から政策医療を行っていることにほかならないわけですが、政策医療を行っていない民間の医療機関等も同じように診療報酬で経営をしている中で、国立病院機構が政策医療をほぼ全面的に診療報酬で賄うということなのでしょうか。国が政策医療を担えと言う以上、それを担保するお金なりが必要ということはないのでしょうか。いままではそれが運営費交付金だと思っていたのですが、それがなくなっても国立病院機構として政策医療を担うと考える理由は、それが存在意義そのものであると、セイフティネットを担うのが役割だからだということなのでしょうか。財政的なインセンティブもないのに頑張りますというのは、すごく美しいのですが。
○(独)国立病院機構矢崎理事長 それは国立病院機構に就職している医師、看護師、その他医療職のプロフェッショナルな意識の高さだと思います。というのはどういうことかというと、例えば9頁に書いてあるように、国からお金が全然きていないのです。それなのに全国から1,710名、延べ人数にすると、事務員も含めて、医師、看護師が1万人以上も行っているのです。また、救急医療とか周産期医療ももらっていないわけです。いま我々がもらっているのは臨床研究、例えば新型インフルエンザが起こって、どう対応するかといったときに、国が予算をぱっと出すわけにいかないので、我々が各病院に臨床研究部を作っていて、常にリサーチマインドを育てているのです。そういう意味では皆さんが、こうもらったからこうやるというインセンティブではないと思います。それだけでずっと未来永劫しているのはいかがなものかと思います。義務的経費は、我々の運営費交付金ではなくて、共済組合の運営費交付金なのです。その分を全部運営費交付金から出してもらった暁には、私どもとしてはいろいろなプロジェクトに国が絶対こういうミッションが必要だというときに、委託事業費などを出していただいて引き受けて仕事をすると。渡切り金で行うというのは不透明なので、そのようなクリアな仕組みがもしできればと思います。私は行政刷新会議のときに「こういう不透明な運営費交付金はやめてください。もう委託金で透明性を高めた会計にしてください」と申し上げたと思います。だから、そういうことで是非、お願いしたいと思います。
○梶川委員 先ほどの説明の確認ですが、今期赤字になるということで、これは整理資源の退職給付部分のその債務部分を今期は一括して引き受けたというわけですか。
○(独)国立病院機構清水副理事長 平成23年度末で整理資源1,400億円を認識しますので、その分は臨損が立つという会計処理になっています。
○(独)国立病院機構矢崎理事長 それはどうしてできたかというと、利益がフリーズされていたのです。それを充てたのです。本当は民間であれば、このように積み上がることはないと思います。ご覧のように、耐震工事をしなければならない古い病棟が半分以上あり、こういうことに利益を使っていかないといけないのですが、独法でフリーズされて、1期、2期で、期が終ったときにこの処分をどうするかという議論なので、要するに使えないのです。全部使えないわけではないのですが。
○永井座長 1つお聞きしますが、これからは整理資源と公経済負担の額は毎年どのぐらいになると計算されているのでしょうか。
○宇口国立病院機構管理室長 整理資源のほうで大体140億円、公経済のほうで130億円ぐらいということで、これは公務員共済本部から指示がきますので、まだ未確定です。
○永井座長 これからは利潤のかなりはこの負担で消えるということになるわけですね。
○(独)国立病院機構清水副理事長 より言えば、整理資源は今年度末に一気に認識しますので、△1,400億円が立ちます。過去フリーズした利益も充てますので、トータルとしては平成23年度は300から300数十ぐらいのマイナスで済みます。PL上はそこで認識したことで終わります。後の現金払いは毎年やっていますので、PL上は平成24年度以降には出てこないということになります。一方、公経済は毎年きます。これは毎年高齢化に伴って増えてきますので、どんどん右肩上がりになっていくという仕組みになっています。
○(独)国立病院機構矢崎理事長 私から言えば、公経済負担も整理資源も、なぜ両方負担されているのかということです。稼いでいるから整理資源は引き受けてやろうということで、それは厚労省の方針だと思いますが、毎日一生懸命稼いでいる我々にとって、投資を抑制されて困っている病院にとっては、なぜそうなったのだという気持はあると思います。
○梶川委員 そういう意味では、運営費交付金というのは、来期以降はほとんど臨床研究の41億円ぐらいということですね。
○(独)国立病院機構清水副理事長 運営費交付金の中には、国期間分の退職手当相当があります。現在いる職員で、国期間、要するに平成15年以前に勤務していた人間は、まだ大勢いますので、その人間が退職するたびに、国期間分は運営費交付金として来るわけですので、その分があります。
 それから整理資源は平成23年度に一気に引き当てることになっていますが、一気に完全に整理資源分がなくなるわけではなくて、数年かけてゼロになるということですので、やや経過措置的な部分も、まだ期待できるのかと思っています。
○梶川委員 ほぼ公的負担はそういう意味ではリーズナブルな数字になってしまうのですが、全般としてほとんど民間と同じような手法の中で行える形だと思います。それに対して、先ほど伊藤委員の質問のような、公的医療を行うに当たっての公的支援はあまり顕在的なものは支援してもらわなくてもいいのだという流れの中で、また反対に公経済負担などをしているわけですが、民間とイコールフッティングの場合、税への負担みたいなものも仮想して存在すると。全体の国とのかかわり合いをどのように考えると、ここまで改善されていた経営が、さらなる進展を迎え、裁量的にいい形になるかという辺りは、どのようにお考えでしょうか。
○(独)国立病院機構矢崎理事長 私は民間型の手法を用いた法人で、我々は国から土地をもらっているし、税の優遇措置があるので、国のミッションとしてのことを行わないと、国民のための医療も行っていかなければいけないということです。
 税金に関しては、医療法人は労災も公的な医療法人もほとんど払っていません。民間でも税率は非常に低減されています。我々としは、理屈に合わないものは何とかしてくれと。理屈に合うものだったら、我々は協力するにやぶさかではないと思っていますし、何でも嫌だというわけではありません。ですから、税金に関してはそうなのですが、土地の出資を買い取ったらいいのではないかという説もありますが、そうすると郵政のように、株式で資金を補填することは医業ですからできません。資本率がゼロになってしまいますので、国からおそらく2,000億円くらいの出資は受けて、その上で事業を行っていくことになるかと思います。
 ですから今後おっしゃられた運営費交付金は、私から言うと、運営費交付金という形ではなくて、直接共済組合に払ってもらえれば運営費交付金というのはないのです。でも、運営費交付金という、渡切り金だから、国民の目から見ると内容が全然わからないのです。ですから、なぜ200億円ももらっているのにという話にいつもなってしまうのです。私としては、直接きれいに共済組合に払っていただいて、運営費交付金はもらっていないというきれいな形に是非お願いしたいと思っています。
○永井座長 時間が押してまいりましたので、とりあえず国立病院機構からのヒアリングは以上とさせていただきます。矢崎理事におかれましては、ご私用のためご退席ということです。どうもありがとうございました。
○(独)国立病院機構矢崎理事長 何人も退職する院長がいらっしゃるので、辞令を渡さなければいけませんので、帰ります。どうもありがとうございました。
○永井座長 続きまして、労働者健康福祉機構からのヒアリングを行いたいと思います。名川理事長より、15分程度でお願いいたします。
○(独)労働者健康福祉機構名川理事長 労働者健康福祉機構の名川と申します。今日は、お時間をいただきまして、ありがとうございます。お手元の資料5に沿いまして、簡潔にご説明したいと思います。まず1項は、いまの機構の概要を示したものです。非常にビジーなペーパーで恐縮ではありますが、主な点をピックアップして申し上げたいと思います。事業としては労災病院の事業、それから、関連施設として、医療リハビリテーションセンター、総合せき損センター、産業保健推進センター等々を行っております。職員数ですが、1万4,534名、その中で労災病院関係の職員が1万3,859名です。身分は、全員が非国家公務員です。労災病院としては30病院、2分院というのは30病院の外数でして、分院を2つとしますと32病院、合計のベッド数が1万2,767床です。病院事業にかかる予算ですが、23年度は2,755億円で、ここへの国費の投入はございません。
 「労災病院の担う役割」は、労災医療の提供、あるいは労災疾病の研究、その研究成果の普及・促進、また、労災補償行政、安全衛生行政のセイフティネットを担うということを役割としております。
 これまでの実績は、研究成果、労災医療に関する研究発表、研修会等、医療機関との症例検討会、アスベスト健診、相談等々、そこに記載の件数のとおりでございます。それから、「行政への意見書提出等」ですが、労災認定に必要な意見書の作成が2万4,742件です。また、地方労災医員が労災病院から71名出ています。全国で632名ですので、11%を占めています。それから、労災診療費審査委員が33名で、全国の6%を占めています。ちなみに、医師数からいう労災病院の医師の全国割合は0.8%です。
 その下の段の2項は、現在労災病院が行っている、それから、今後労災病院が行っていこうとしていることの主な内容です。職場における疾病・傷害の予防、就労と疾病の治療の両立を展開していく、職場復帰のための医療を支援していく、このようなことを総合的に提供するということです。
 1枚めくっていただくとポンチ絵がありますので、これで簡単にご説明させていただきたいと思います。左上に「労働者」と書いてある部分は、患者サイドといいますか、労働者サイドから見た労災病院、あるいはその関連施設の流れです。まず、病気がない、あるいは傷害を受けていない勤労されている方が罹患したり受傷したりすると、受療し療養する。治ってきて、安定期に入って職場復帰する。このような流れの中で労災病院と産業保健推進センターがどういう位置づけにあるかということを示したものです。何も罹患していない、受傷もしていないという場合には、産業保健活動で予防を図っておくというような意味合いで、産業保健推進センターというのがあります。これは、産業保健活動の一部です。それから、実際に罹患した、あるいは受傷したとなりますと、その診断、治療、リハビリテーション等がかかわってきますので、これが労災病院の担う部分となります。それから、実際に安定期に入って職場復帰ということになりますと、病院と産業保健の境界領域になりますが、メディカルソーシャルワーカーなどが働きまして、実際の職場の復帰に患者さんを誘導していく。こういう流れになっています。
 その下の段に1番目の項目、次項以降に6番目の項目まで掲げてありますが、これは、今回、現状と、今後改革すべき方向、そのためにはどういうことが必要かということを分けて書いたものです。これも、必要な箇所だけピックアップして申し上げたいと思います。1番目の項目、4項のところですが、「政策医療の確実な実施」というところに関しましては、被災労働者に対して急性期から社会復帰に至る一貫した治療が提供されている、その提供の充実化を図りたいということです。現に行っている労災疾病の代表的なものに、じん肺、アスベストなどがありますが、これの研究開発、診断・治療法を実践していまして、普及活動も行っているという状況です。それから、震災に伴って原発事故が起こりましたが、ここに従事する労働者の健康管理を現在でも実施しています。改革の方向性については、閣議決定で決まったことをここに書いてありますが、その改革の実現のためには、労災疾病等の予防、治療、職場復帰および仕事と治療の両立まで総合的な医療を提供するための整備が、現在始まったばかりです。先ほど言いましたように、就労と治療の両立支援、例えば脳卒中になって、これまではリハビリテーションだけで済まされていたものを、職場復帰まで考える、こういったものを例に挙げますと、平成23年度1年間で10名の方が実際に職場に就かれているという実績があります。下の段の労災疾病の予防、診断、治療にかかわる研究開発、普及の確実な実施が法令上明確に位置づけられていませんので、この研究という部分を明確に位置づけることが必要ではないかと考えています。
 右側の5頁の「財政的・医療的基盤の整備」ですが、これは、1番目に、民間医療機関では実施できないのではないかと思いますが、政策医療あるいは労災医療を不採算でも提供しているということです。これは労災病院の中での平均値ですが、労災疾病に対する入院診療単価が約4万1,000円です。一方、労災病院の中の労災疾病ではない一般医療の入院診療単価が5万4,000円と、約13,000円の違いがあります。労災医療がかなり不採算であるから民間医療機関では実施しないということです。それから、2番目に、民間医療機関等が受給できている補助金、これは県からの補助金等ですが、これが受給できていないという例もあります。例えば病院群輪番制運営事業、これは県が定めている輪番制ですが、地域の医療を担う労災病院としては当然ここに加わっている。でも、その辺の補助金が受け取れない県があるということです。3番目に、総人件費改革の一律適用があります。これによって、医師の確保にも規制がかかってきます。いま医師は全国的に不足していると言われていますが、労災病院もそのとおりでして、さらに総人件費改革の一律適用によって、この医師の確保が非常に困難となっています。これを改革するためには、政策医療として労災医療、研究を確実に実施するための中期的な財政の裏付けが必要になってきます。それから、先ほど申し上げましたように、補助金の受給に関する規制が撤廃されることが必要ではないかと考えています。3つ目は、人件費の裁量性の向上が必要ではないかと考えています。3番目の項目、6項のところですが、「産業保健の実践」につきましては、先ほどポンチ絵で産業保健とのかかわりの概略を申し上げましたので、ここは割愛させていただきます。
 7項は、労災補償行政、労働安全衛生行政への協力ということですが、現状では意見書の積極的な作成を行っています。それから、労災指定医療機関等への診断技術の普及ということを行っています。ちなみに、労災指定医療機関というのは現在日本で3万強の数があります。意見書の数が平成22年度で2,984件。これは、労災病院が作成した意見書の数です。30の労災病院がどれぐらい意見書の作成に貢献しているかといいますと、全国の意見書総数のおよそ6%ぐらい、全国の労災指定医療機関数と比べますと労災病院数は0.1%の割合です。0.1%の労災病院が約6%の意見書作成を行っている。これは、労災としての高度な医学的な判断が求められるという例です。意見書のもう1つ上にいきますと、ここには記載がありませんが、訴訟になる例があります。そういった場合は鑑別診断が求められますが、この場合ですと、労災病院の医師がタッチする割合が20%、5件に1件の割合で労災病院の医師がそこにタッチしているということです。問題点としては、その下の「改革実現のためには」のところですが、現在、労災病院が存在する都道府県が25です。残りの22府県については、そういったことが必ずしも十分にできていないということがありますので、それらの対応を拡充していくということが必要です。それから、意見書を書くにしても、鑑別診断するにしても、労災医療の知識をかなり持っていないとできないということがあります。これまでは、先輩から後輩へ伝承するというやり方で意見書の書き方等が行われていたのですが、今後は、システマティックな教育あるいは研修体制が必要ではないかと考えています。
 5番目の項目、8項のところですが、「研究の推進と普及」については、先ほどすでに述べましたが、ポイントとしては、現状の労災疾病等13分野の医学研究を行っていますが、これを確実に推進していくというところです。
 9項、最後の「目標評価等」の部分ですが、これは、「改革の方向性」のところに書いてあるとおりでして、適切な目標管理システムの構築、それから、こういった医学研究等の評価は短期的では非常に難しいところがありますので、中期的な視点からの評価が必要であるということです。10頁以降については参考資料としてお付けしましたので、お時間のあるときにご覧いただければと思います。以上です。
○永井座長 ありがとうございました。
○齋藤委員 いま、診療事業については自前でやられているということですが、もう1つの重要な役割といいますか、非採算ではあるけれども是非やらなければいけない労災疾病に関する調査研究は、非採算部門なので当然運営交付金からお金が出ていると思うのです。12頁に運営費交付金を年度ごとに図示したものがありますが、例えば23年度の90億という運営費交付金は、先ほどの国立病院機構のように過去の退職金給付債務に充てられるものでしょうか。その中でどのぐらいが調査研究の費用となっているのでしょうか。
○(独)労働者健康福祉機構名川理事長 細かい数字はまた次回お出ししたいと思いますが、私の認識しているところですと、労災疾病の研究等に約6億円、予防等の医療を行っていくために約8億円の合わせて14億円、あと、本部の人件費等がここに含まれています。
○齋藤委員 国立病院機構の場合は、先ほどお話がありましたように過去の退職金債務が大部分なのですが、過去の退職金はいま誰が払っているのですか。
○(独)労働者健康福祉機構名川理事長 それは機構です。
○齋藤委員 機構の中でやり繰りして払っているということですか。
○(独)労働者健康福祉機構名川理事長 はい。
○夏目委員 関連するのですが、そうすると、ここに書いてある政策医療、労災医療に対しては国からの運営費交付金は入っていない、診療事業については入っていないという理解でいいのですか。
○(独)労働者健康福祉機構名川理事長 病院事業については病院勘定ですが、ここの病院勘定については国費は投入されていない。病院事業の部分だけで言いますと、一般医療でプラスが出た部分をマイナスのほうに回しているという図式です。
○夏目委員 5頁で2のポツ1のところですが、「これを確実に実施するために中期的な財政の裏付けが必要」という表現をされているのですが、中期的な財政の裏付けというのは具体的にどんなことをイメージされているのですか。
○(独)労働者健康福祉機構名川理事長 これは研究にかかっています。政策医療を行うためにというよりも、その政策的医療を推進していくための研究を中期的にと表現しています。現在の中期目標計画は、独立行政法人の場合5年が1タームになっています。ですから、最長でも5年、それから毎年度、年度計画というのがありまして、どれぐらい達成したかというところがチェックされます。研究成果は、1年で何とか進捗状況を出すということは可能ではありますが、本来の医学研究というのはもう少し長いスパンが必要ですので、こういうような書き方をしてあります。
○夏目委員 そうすると、今後も、不採算ではあるけれども、労災医療、政策医療は一般の診療収入の中で賄っていくという考え方は変えないということですか。
○(独)労働者健康福祉機構名川理事長 そのように考えています。
○伊藤委員 先ほどの国立病院のほうでも聞けばよかったのですが、そこまで話がいけなかったので、あらためてお聞きしたいと思います。一般診療というのは保険診療が大部分だと思うので、患者の側からすれば、一部自己負担と提供される医療との関係というのは明確であるのが望ましいと思います。しかし、いまも、不採算医療に対して一般診療で上がった分を回すという運営の仕方をしている現実があるということだと思います。DPCなどでは前から、粗診粗療にならないかという課題がありましたし、過剰検査などで上がりが出る形にして、それを政策医療に回すということはないと思うのですが、そういうことがないように運営していくための工夫といいますか、特段の公費が入らない中で政策医療を担保していくための工夫はどうやってされているのかを、教えていただきたいと思います。
○(独)労働者健康福祉機構名川理事長 かなり医療の本質の部分のご質問だと思います。例えば1つの疾患にいくらぐらいの診療報酬の点数がつけられているか、それが妥当かどうかと。総合病院は、全体として大体どれぐらいのプラスかマイナスかということで見ていまして、1人の患者さんについてこれが適正なお金かどうかというのは、また別のところで検討がなされていると理解しています。ですから、こちらのお金がこっちに回るとかいった具体的な動きというのは、私自身にはわかりません。それから、政策医療との関係ですが、たまたまちょうど30という数ですので、政策医療がどうあるべきか、地域医療にどう貢献するか、経営的観点ではどうかという3つのポイントに絞って、毎年1回、各労災病院の院長、副院長、事務長と本部側と1対1でその辺を詰めて、どういう姿であるべきかというような話合いをしています。当然そこには、一般診療でかなり黒が出ている病院もあれば、東北地方を中心に東日本のほうでは、赤字の病院もあります。このような赤字の病院でも、同じような医療を提供するためにはどうしたらいいかというようなことを、各病院との間で毎年1回話し合って、方向性を決めており、医療の質を全国均一に保つようにしています。
○高橋委員 5つ目のスライドの2番の「財政的・医療的基盤の整備」の欄に「補助金の受給に関する規制の撤廃」というのがあります。上の「現状」の?に「民間医療等が受給できる補助金を受給できない」とありますが、これはどういう種類の補助金ということなのでしょうか。それから、下に「人件費の裁量性の向上が必要」とありますが、これは、先ほど国立病院機構のほうでも話題になった採用枠の制限ということを意味されているということでしょうか。
○(独)労働者健康福祉機構名川理事長 2番目の質問のほうからお答えします。総人件費改革は、独立行政法人通則法自身には関係はありませんが、行政改革推進法の中で、総人件費を平成18年度から22年度までで5%削る、その中で「独立行政法人等」ということで一括りに入っているものですから、どうしてもそこでシーリングがかかってしまうと。もちろん、その中には医師の数も含まれていますので、自由に医師の数を増やせないというところを、そうは言っていられませんので、あえてそこを蹂躙してというか、無視していま行っているという、若干違法状況の状態にあるのを、改革したほうがいいだろうということです。
 それから、補助金に関する規制ですが、これは県によっていろいろ違いまして、労災病院が所属する25の都道府県のうち9府県が主に該当します。例えば新潟県ですと、交付要綱に掲げる補助対象者が「労災病院を除く」という形になっています。これは別に新潟県が悪いということではなくて、地財法があるものですから、地財法の関係でこういう文言が入っているということで、そういうものを撤廃していただけると、だいぶやり繰りが自由になるということです。
○高橋委員 財団の人件費の問題は、職種ごとにかなり規制が効いていると理解してよろしいのでしょうか。
○(独)労働者健康福祉機構名川理事長 職種ごとではなくて、総額です。
○梶川委員 1つは、いまの人件費問題なのですが、これは、ある程度規制が緩んだ場合に、人が適切な単価で確保できた場合、コスト増にはなると思うのですが、これは当然収入増にもなるというお話なのでしょうか。コスト要因がほとんどなのかということが1つです。もう1つは、労災医療とか研究とか補助金がいただけないということでしたが、この辺は難しいのですが、数字的にどういう内部補完関係、内部負担関係になっているかということは何かつかまれていますか。その2つ目の質問との関係で、その話は2つあって、医療行為自身での負担の話と、保険点数の体系、保険点数上不合理さが明らかにあるという、一般の医療保険体系の中のより合理的なものという話がある。これをお聞きしたいと思います。
○(独)労働者健康福祉機構名川理事長 1番目の点ですが、これはコスト要因ではありませんで、明らかに医師、看護師を対象に考えています。非常に大雑把に申し上げますと、医師1人を獲得した場合、その医師は年間平均1億円ぐらい稼ぎます。例えば給与として1,000万~2,000万円の間としますと、残りの部分がプラスになるということです。単純に人件費としてマイナス分になるのではなくて、収益から経費を引いた利益の部分はちゃんと残るということです。
 2番目のほうで、一般的な診療報酬体系がまずいとか、そのあとに労災報酬体系というのがありますが、これがまずいと言っているのではなくて、公的病院だからこそ受ける制約の部分があって、そこの部分の規制を撤廃していただきたいという話です。
○(独)国立病院機構清水副理事長 共通することかもしれないので、国立病院サイドから申し上げます。補助金の関係ですが、理事長の矢崎もだいぶいろいろと声を上げまして、総務省もご理解いただきまして、地財健全化法の制限はすでに1年ほど前から撤廃されています。補助金を出すか出さないかは県が考えるということですが、県自身の財源のものは県が考えるということになります。厚生労働省なりいろいろな省庁から国庫補助金の裏打ちがあるものは、その補助金交付要綱にどう書いてあるかということになりますので、仮に「国立病院を除く」あるいは「労災病院を除く」と国の交付要綱に書いてあれば、県はたぶん出さない。そういう構図になっているということは、ご理解いただきたいと思います。
○梶川委員 その辺の規制、ないしは、このポジショニングであるためのご負担という、数字のボリューム感についてお聞きして、次回以降でも結構なのですが、その辺がわかるものがあれば教えていただきたいと思います。
○(独)労働者健康福祉機構名川理事長 次回以降に資料を出させていただきます。
○永井座長 ほかに、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、時間になりましたので、本日はここまでとさせていただきます。第2回目は、本日のヒアリングを踏まえまして、国立病院および労災病院の使命、役割、課題について、皆様よりご意見をいただきたいと思います。よろしいでしょうか。それでは、事務局から連絡事項をお願いします。
○木暮労災管理課長 次回の開催日は、改めて委員の皆様方の日程調整を行った上で、別途ご連絡をさせていただきます。
○永井座長 どうもありがとうございました。これで終了させていただきます。


(了)
<照会先>

医政局国立病院課国立病院機構管理室
 運営管理係 尾崎・荒井(内線2635)
労働基準局労災補償部労災管理課
 企画調整係 飯田・松本(内線5437)
(代表)03(5253)1111

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