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2012年5月11日 第53回社会保障審議会医療保険部会議事録

○日時

平成24年5月11日(金)12:58~14:32


○場所

厚生労働省講堂(低層棟2階)


○議題

1.審査支払機関の在り方について
2.平成24年度柔道整復療養費等の改定について

○議事

○遠藤部会長 それでは、定刻にはまだ少しございますけれども、委員の皆様全員御着席ということでございますので、ただいまより第53回「医療保険部会」を開催いたしたいと思います。
 委員の皆様におかれましては、御多忙の中、お集まりいただきましてどうもありがとうございます。
 本日の委員の出欠状況でございますが、本日は岩村委員、大谷委員、樋口委員、福田委員より御欠席の連絡をいただいております。
 続きまして、欠席委員の代わりに出席される方についてお諮りしたいと思います。大谷委員の代理として児玉参考人、福田委員の代理として桑野参考人の御出席について御承認いただければと思いますが、よろしゅうございますか。
(「異議なし」と声あり)
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 それでは、議事に入らせていただきます。
(カメラ退室)
○遠藤部会長 初めに「審査支払機関の在り方について」を議題としたいと思います。これは前回、時間がなくて触れることができなかった議題でございますけれども、事務局より資料が出されておりますので、御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○西辻課長 保険課長でございます。審査支払機関の在り方についてでございますが、事務局の方からは資料を2点用意させていただいております。資料1と資料2でございますけれども、資料1は前回4月18日の部会で御説明申し上げた資料と全く同じでございますので、説明は省略させていただきます。
 資料2、分厚い資料で恐縮なんですけれども、こちらの説明をさせていただきます。
 審査支払機関の在り方について、統合に向けた検討ということに関して医療保険の保険者に対してアンケートを行っており、その結果につきまして御報告を申し上げたいということを前回御説明させていていただいたところでございますが、アンケートの中間報告ということで現時点で出てきたものにつきまして、概略を説明させていただきたいと存じます。
 1ページですが、国保、健保等合せて3,500弱の医療保険の保険者があるわけですけれども、全保険者に対してアンケートを実施いたしております。5月9日現在で回答率は全体で72.4%。協会けんぽ、後期高齢者医療の広域連合につきましては100%の回答率で、それ以外の保険者につきましては、おおむね7割前後の回答をいただいているところでございます。
 設問1~4が選択肢方式の設問で、5~7が自由記載の設問となっております。
2ページは設問1でございますけれども、もともと審査支払機関の在り方について最初に議論が提起されたのが平成21年11月の行政刷新会議の事業仕分けでございます。ここで国保連・支払基金の統合という評決が行われました。
設問1では、まずこの評決結果について知っているかという認識について聞いております。知っているという答えが約71.6%、被用者保険、国保・広域連合それぞれ約7割前後でございます。
設問2は今、申し上げた事業仕分けの評決結果を受ける形で、厚生労働省におきまして有識者の方に御参画いただいて、審査支払機関の在り方に関する検討会を設置し、平成22年4月から議論を行い、その年の12月に中間的な整理を行っております。この中では審査支払機関の在り方につきましては、統合と競争の観点から引き続き検討という内容になってございますが、これについて御存じですかということを聞いております。知っているという回答が全体のアベレージで58.5%、被用者保険、国保・広域連合いずれも6割前後となっております。
設問3、今回こうして医療保険部会で御議論いただく直接の契機になりました、昨年12月の衆議院の決算行政監視委員会の決議についてでございます。競争による改善が期待できないのであれば、市町村に混乱を来さないようにしつつ、統合に向けた検討を速やかに進めるべきという決議がなされたわけでございますが、これについて知っているか否かということの認識を伺っております。全体で50%、半分の保険者が知っているという回答でしたが、被用者保険は若干少なく43.9%、国保・広域連合は56.5%ということです。今回のアンケートにこの決議を添付をいたしておりますので、すべての保険者について、このアンケートを契機に認識をいただけたんだろうと思っております。
おめくりいただきまして2ページ、設問4でございます。審査支払機関の在り方(統合)についてどのようにお考えですかという聞き方をしております。選択肢としては統合すべきである、統合すべきではない、どちらともいえないという3つで聞いております。統合すべきであるというお答えが全体で約3割弱。被用者保険の方が4割、国保の方が2割弱という数字でございます。
統合すべきではないというのが約14%。これは被用者保険、国保・広域連合いずれも大体同じぐらいの数字。
どちらともいえないという回答が最も多く、被用者保険で44.8%、国保・後期高齢者では約3分の2となっております。
設問5~7は自由記載でございますが、今の設問4で、1統合すべきであるという回答をされた保険者に関して、どのような形態が望ましいとお考えですかと聞いているのが設問5。統合すべきではないと回答された保険者にその理由を聞いているのが設問6。どちらともいえないという回答に関する理由を聞いているのが設問7となっております。
この設問5~7につきましては、5ページ以降に各保険者の回答を並べております。大変分量が多くて100ページぐらいまであり、これをある程度類型化した上で、主な回答の方向性をお示ししようと思ったのですが、率直に申し上げて余りにも回答内容が多岐にわたっていることから、今回は中間報告ですので、生の保険者の御意見をそのまま部会の委員の皆様にもまずごらんいただきたいということで、基本的にそのまま付けさせていただいたところでございます。簡単にどういう回答が今の段階では出てきているのかということを御紹介させていただきます。
まず設問5、統合すべきという意見に対して、どういう形態が望ましいかについて聞いている設問の回答でございますが、被用者保険の保険者の回答としましては、具体的な統合の形態に言及している回答としては、支払基金に統合という意見がほとんどでございます。統合を期待する理由としては効率化、コストの削減につながるはずだからという意見が多いという状況でございます。
国保・広域連合の方でございますが、具体的な統合形態に言及している回答としては、国保連に統合あるいは県単位の組織に統合という意見が非常に多く、ただ、審査・支払機能だけを支払基金に統合という意見、あるいは統合の形態については要検討という意見も見受けられるところでございます。
統合を期待する理由といたしましては、やはり効率化やコストの削減、審査基準の統一化に資するという意見があり、統合する場合でも保険者の混乱を回避すべきであるという意見もございました。
設問6は統合すべきではないという回答をされた保険者に対して、その理由をお聞きしている設問でございますが、被用者保険の保険者の回答としては、競争原理が失われるという意見。それから、統合によるサービスの質の維持向上に疑問を持つ意見等がございました。
国保・広域連合の回答といたしましては、そもそも組織の成り立ちが違うのではないかという意見。それから、国保連で担っているほかの保険者事務あるいは都道府県単位のいろんな事務への影響を懸念する意見が見受けられたところでございます。
設問7、どちらともいえないという回答でございますが、実際にはこの回答が一番多かったわけでございますけれども、被用者保険、国保・広域連合とも共通して多いのが、判断材料が乏しいという意見、メリット、デメリットが明確ではないという意見、保険者にとっての統合効果が見えにくいといった意見でございました。
国保・広域連合の方からは、医療保険制度の体系の見直しと併せてこういったことは検討すべきではないかという意見もあったところでございます。
以上が、現段階、5月9日までに出てきた回答の中間報告ということでございます。
もう一つ、前回の説明の中で、統合によるコスト削減の試算を決算行政監視委員会の決議でも出すように言われておりますので、これも準備しているという話を申し上げましたが、今日の段階ではまだ御提示することができません。現在作業をしておりますので、速やかに作業を行って、できるだけ早くこれも提示をさせていただきたいと考えております。
事務局からの資料説明は以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 次に、岡崎委員より資料が提出されておりますので、簡潔に御説明をお願いしたいと思います。
○岡崎委員 全国市長会の代表で出させていただいている高知市長の岡崎でございます。反対の立場を中心にして、慎重な審議を求めるという資料にさせていただいております。
 私の出しました資料をごらんになっていただいたらと思いますが、審査支払機関の統合につきましては、我々がお預かりをしております全国の国保につきましては、非常に今、保険財政も苦しい状況で、医療保険制度そのものを地域保険に一本化すべきでありまして、そうした医療保険制度の将来構想と併せて慎重に検討すべきものであることを表明させていただいております。
 また、審査支払等保険者事務の共同事務を一体的に効率的に行っている中で、この決算の小委員会のように、審査部門だけを切り出してやるということになりますと、非常に非効率になりますので、反対するところです。
また、各都道府県の国保連につきましては、さまざまな形で市町村の保険者への支援や市町村業務支援の取組みを行っておりますので、実態を踏まえた慎重な対応が必要であります。また、我々が国民健康保険の保険者として市町村で国保を運営しておりますので、市町村の意見を十分に踏まえて御判断をいただきたいということでございます。
 少し具体的に申し上げますと、もともと国保連につきましては市町村の保険者が共同して目的を達成するために設立した法人でございますので、国におきましてこれを一方的に見直すことにつきましては、地方分権の趣旨にも反するということで、市町村の保険者の意見を十分に踏まえるべきであります。
 また、国保連につきましては審査支払業務を行う中でさまざまなレセプトの情報を保有しておりますので、その情報のデータを基にして、市町村の保険事業へのバックアップ支援等も行っておりますので、審査支払業務を切り離すということになりますと、さまざまな市町村の保険事業の支援に対しての障害が生じるということもございます。
 また、現在レセプト情報を保有することによりまして、保険者に代わって被保険者資格の確認を国保連でも行っておりますので、医療機関に対して資格喪失状況の連絡とか、保険者による過誤返戻ができておりますが、これを切り離すことになりますと現場に混乱が生じることになります。
 将来的に我々は都道府県単位で国保を再編成すべきだという立場に立っておりますが、国保連につきましても将来的な都道府県国保の再編成につきましては、医療費等のデータ整理などの役割を担ってもらわなければならないと考えておりまして、審査支払業務を切り離すということになりますと、いろんな部分でいわゆる地域保険、そして都道府県単位以下での要請に応えられなくなるという課題が生じます。
 国保統合システムの運用の中で、例えば高額療養費の給付事務とか申請の勧奨通知、ジェネリックの医療費の通知とか、さまざま形で各市町村の支援、バックアップをしておりますので、レセプト情報を持たないということになりますと、市町村のこういう支援もできないことになりますので、混乱が生じることにもなります。
 資料の裏面でございますが、もし切り離すということになりますと、各市町村でもシステム変更を含めて多大な経費負担が生じることになります。
 3点目ですが、競争性と効率性の確保ということでございますが、審査支払業務につきましては、診療行為に適応するかどうかということを審査することになっておりますので、その競争性を評価するということがわかりにくい。現在それぞれ異なる団体があることによりまして、現在でも相互に切磋琢磨して、様々な効率化を行っておりますので、1つの巨大な機関にすることは適当でないと考えております。
 国保連合会を設立しております各市町村の保険者としましては、できるだけ低コストで効率的に行っていくということは、今後とも努力をしていかなければならないので、特に審査支払の手数料等につきましてさまざまなシステムが今、動いておりますので、システムの共同開発など、これは厚労省のバックアップ等も必要でございますが、そういうシステムの効率的な運用もしていかなければならないと考えているところでございます。
 そうした立場から、基本的には統合には反対でございますが、各市町村の意見も聞きながら慎重に御審議を賜りたいという趣旨でございます。よろしくお願いを申し上げます。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
 事務局から前回報告された内容も含めまして、幾つかのことが示されました。それから、ただいま岡崎委員から明確な御発言をいただいたわけですけれども、関連いたしまして質問あるいは御意見ございますでしょうか。
○齋藤正寧委員 岡崎委員から具体的な話があったわけでございますけれども、町村会を代表する立場で、基本的な認識が全く同じだということを申し上げたいと思います。
 やはり審査支払機関の在り方というのは、将来の医療保険制度と具体的に連関して考えないと、これは先ほど岡崎委員からお話があったようなさまざまな弊害が出てきます。これは明確になっております。更に効率化あるいはコストの削減は非常に重要な問題であることは間違いないですが、これが直ちに統合ということになるといろんな問題点があります。必ずしもコスト削減につながるかという明確な根拠が本当に示せるのか。私はないと思っております。
 国保連というのは審査支払と同時に、いろんな市町村の共同事業をやっています。これも岡崎委員からお話があったとおりであります。例えば保険財政の安定化事業だとか、高額医療費の共同といったものが行われることによって、実は構成団体である市町村のコスト削減が非常に具体的に進んでいます。審査支払だけを離すという議論もあるわけですけれども、このレセプトの中身がわからなくて市町村の保健対策や保健行政は成り立ちえない。こういう重大な点を含んでいる。そういう点では単純にコスト削減のために統合しようとすることは極めて皮相的で一面的な見方に過ぎません。
また、今回医療制度の国保の改革の中で、共同事業というものが以前以上に拡大されることになっております。しかも都道府県単位以下でこれを行う。高齢者医療制度改革についても国保制度の改革と歩調を合わせて改革をしていくこととされております。こういう改革途上において、これと相矛盾するような話が何で突然出てくるのかよく私には理解できません。
アンケートの中身を見ますと、査定率の問題に関心が寄せられていますが、これは違うではないでしょうか。差は1.1%であり、額はどの程度になるか具体的には計算しなければわからないわけです。一般常識から言えば0.1というのは誤差の範囲内です。そのことを取り上げて統合しなければならないといわれております。これが果たして全うな議論なのでしょうか。
 同時に、アンケートを見ますと手数料と査定率だけが非常に関心を集めている。これは衆議院の決算行政監視委員会の言い方がアンケートの答え方に非常に影響を与えています。問題はそんなに小さな問題だけではないという理解が足りないのではないかと思います。ですから、このまま進むとすれば、大きい間違いを起こします。具体的には統合する場合のメリット、デメリットをきちんと示さないと説得力を持たないと思います。私はこれについては基本的には反対だということを、高知市長さんの意見に付け加える形で申し上げました。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 岡崎委員、齋藤委員は基本的には反対だというお考えだったわけですけれども、鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員 日本医師会としましては、審査は国が定めた保険診療ルールに沿った診療行為の確保を目的に、医学的判断をするためのものであり、審査はその結果であって、査定率が高ければよいというものではなく、査定とは医療費の抑制を目的に行われているものではありません。医科の場合、私も国保の審査委員を務めておりましたが、審査委員は歴史的経過もあって、各都道府県で最も保険診療に精通した医師が診療の合間を縫って従事しており、それを支えているのは使命感とプライドです。審査員は他の医師から地域では一目置かれた存在となります。
 我が国の医師を始めとする医療従事者の使命感の高さは、対外的にも特筆すべきものであり、これはお金では代えられないものであり、決してなくしてはなりません。このデータから計算しましても、大体社保の方が月20万ぐらい、国保の方が月15万ぐらいの報酬ということになりますが、これは常勤で雇った場合の4分の1から5分の1という低額な費用で審査を行っていることになります。審査のIT化によって事務的な作業は効率化できても、医学は生命科学でありますので、患者さん一人ひとりの個別性があり、レセプトは言わば究極のオーダーメードとも言えるものであって、これを画一的に処理することは困難で、医師を始めとする審査委員による人の手で行わなければなりません。
 支払基金も審査委員は同様な経験を有する者が、欠員が生じた際には順番に任命されており、両者で審査を変えるようなことはあり得ません。しかも判断基準の差が生じないように定期的に情報交換をしております。査定率に差があるのは地域保険である国保と、職域保険である健保の患者特性の差によるものとも考えられます。このように地域保険である国保と職域保険である健保はそもそも違うものであり、審査支払を統合するということであれば、まず制度を合せることが先決ではないでしょうか。無理に一緒に統合しても現場が混乱するだけだと思います。まず、それぞれの事務部門などの効率化を図るべきであると考えます。
 以上です。
○遠藤部会長 どうもありがとうございます。
 被用者保険の方、何か御意見ございますか。
○白川委員 健保組合としても、今回の国会の議決はいかがなものかという疑問を持っております。先ほど保険課長が御説明いただいたアンケートによりますと、被用者保険は約4割が統合という方に丸をしているようでございますが、実際はこの保険課長から御説明ありましたとおり、支払基金に国保連が拠出するといいますか、そういう形ならいいよというのが大半でございます。
 なぜそういうことになるかと言うと、国保連の場合は国保が対象でありますから、地域がはっきりしている。ところが、健康保険の場合は全国ネットの企業単位というものもございますので、全国規模の同じ基準で審査支払をしていただくような仕組みが必要ということから、アンケート結果はそういうことになっているんだろうと私どもとしては推察をしております。
 資料1の1ページに衆議院の決算行政監視委員会の決議内容が書かれておりまして、枠囲みの中の3行目に「審査の効率化を図り、医療費を削減するため」と書かれているんですけれども、これが統合のメリットという御認識と思いますが、審査の効率化は別に統合したからできるものではないと考えております。我々被用者保険の保険者は、支払基金さんに審査と支払いをお願いしておりますけれども、審査自体の基準を全国統一のものにしていただきたいということを、常々支払基金さんにもお願いをしておりますし、それは現在、全国統一の組織である支払基金さんですら、都道府県ごとに審査基準に格差がある。国保連さんのことは私は承知しておりませんが、多分、都道府県ごとに審査基準が少しずつ違っているのではないかと推察しております。
これは国民の側からしてみると、住んでいる都道府県によって基準が違うというのは困りますので、審査の基準をまずそろえることから着手すべきだと思っておりますし、そのためにここに書かれております審査の効率化ということであれば、今、電子レセプトがかなり普及してまいりましたので、コンピュータチェックをそれぞれの審査支払機関は始めていらっしゃいます。そういったコンピュータチェックのところで支払基金さんと国保連さんが調整をして、同じ基準でコンピュータチェックをやっていただくだとか、そういう実務面での工夫で審査基準の全国統一という動きを具体的にしていただきたいし、なぜそれだけ格差が生まれているかというと、医学的判断あるいは過去からの支払基金さんの支部ごとの歴史みたいなものの積み重ねという面もありますから、そういったことを国保連さんあるいはブロック別に審査基準の検討会でもつくっていただいて、そういった基準を統一していただくという動きが現実的ではないかと考えております。
 もう一つは、これで医療費の削減ということで事務手数料を下げていただきたいというのは、我々保険者みんな一様にそう思っているわけでございます。毎年、私どもで言いますと支払基金さんと事務費単価の交渉をやらせていただいておりますけれども、岡崎委員がおっしゃったとおり、最大の問題はコンピュータシステム関係の費用が年々相当な額になる。これは国保連さんも同じだし支払基金さんも同じです。これは例えば診療報酬の改定があれば、当然ソフトを変えなければいけないという問題もありますが、ハードの機器を何年か経つと入れ替えていかなければいけない。この部分が非常に大きい割合を占めていると認識をしておりまして、これは多分、統合してもハードの必要性というのは変わらないと思いますので、コスト面でのメリットはそれほど大きくないのではないか。システムに関してという意味でございますが、そういう感じもしております。
 申し上げたかったのは、我々の関心事の最大のものは審査基準を全国統一のものにしていただきたい。それから、これは個々の保険者さんが国保連あるいは支払基金さんにもお願いしておりますが、中の体制をできるだけスリム化して手数料を下げていただきたい。これは今までもやってまいりましたし、これからも継続して実行していただくようにお願いするつもりでおります。
 したがいまして、結論としては決算行政監視委員会のお気持ちはわかりますけれども、実行面で効果があるとは考えられませんので、私どもとしては統合については慎重に検討すべきと申し上げざるを得ないところでございます。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 それでは、小林委員、お願いします。
○小林委員 今、白川委員もお話になりましたように、国保連と支払基金の統合の話の前に、現在の業務を徹底して見直しをし、審査支払業務の質の向上を最優先に図っていただきたいと考えております。
 私ども医療保険者としては、査定率と審査手数料の両方が重要であると考えております。審査支払機関におかれましては、審査手数料を抑えながら査定率が上がるような効果を出すよう、引き続き御努力をお願いしたいと思っております。
 また、審査業務に見られる支部間格差は問題であると考えております。これも白川委員からお話がありましたように、根本は支払基金が1つの法人でありながら、その審査体制は各都道府県支部の審査委員会が審査の最終決定権限を持っていて、47の審査委員会が分立しているという点にあると思います。こういった根本のところをどうするかという議論をきちんとすべきではないかと思っています。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 ほかにございますか。菅家委員、お願いします。
○菅家委員 この問題をどういうふうに考えればいいのかということで、頭の中を整理してきたんですけれども、そもそも審査支払事務というものが資料の4ページの参考のところに法律の条文が書いてありますが、療養の給付に関する費用の請求があったとき、保険者は審査して支払わなければならないということであります。したがって、この審査し支払う事務というのは、まさに保険者が行わなければならないものだということを、まず押さえる必要があると思っています。
 ただ、現実問題として保険者が全体で3,400ぐらいあり、医療機関も何万という単位であるという状況の中で、個々の保険者がこの事務に対応することは不可能なわけであります。したがって、保険者が共同してこの事務を担うための機関をつくり、処理していると理解するのが正解なんだろうと思っています。
 事実、国保連合会につきましては、保険者である市町村が共同して設置している機関ということは法律上も明らかなわけでありまして、支払基金につきましては特別の民間法人ということで、いろんな歴史的な経緯の中でこういう状況になっているわけですが、本質的には被用者保険が共同して設置している機関だと理解しなければならない。むしろそのことがきちんと国保連合会と同じように法的に措置されていれば、こんな混乱した議論は起きなかったのではないかと考えているところであります。
 効率性の問題につきましては、まさに経営体としてのガバナンスの問題でありますので、経営者にきちんとそのガバナンスを働かせる。もっと言えば国保連合会において、保険者がきちんと国保連合会のガバナンスについて対応するということ。支払基金につきましては、健保連や協会けんぽなどの保険者たる利用者のガバナンスがきちんと効くような運営にしなければならない。そういうことを通じて効率的な運営を確保していくことが、この問題の解なのではないかと考えております。
 以上です。
○遠藤部会長 そうしますと、基本的にはそのような部分の改善が優先されて、統合というのは慎重な議論で十分だろうという理解でいいですか。
○菅家委員 したがって、それは保険者が統合すべきという判断をすれば、それはそうなると思うんですけれども、それぞれの保険者がつくっている機関というふうに考えますと、どこからかそういうサービスを買ってくるというような話ではありませんので、第三者に統合しろとか何とかというのは、議論としてはおかしな話だと考えております。
○遠藤部会長 わかりました。
 それでは、武久委員、お願いします。
○武久委員 一時、健康保険の統一ということが言われたことがあるんです。だから国民健康保険とか健康保険とか協会けんぽとか共済とかあるんですけれども、その保険を一本化するということと、審査機関を一本化するということは結構パラレルではないかと思うんです。
どちらが先になってもいいけれども、条件がそれぞれ違う健康保険がそれぞれに生まれてきた経過は別として、そろそろ一本化して、前から言われておりますように県単位で保険をやっていくとか、そういう議論の端緒となればいいことではないかと思うんです。審査機関だけを統合するよりは、その向こうにあるのは健康保険の統合であるというのであれば、私としてはそれは第一歩としてはいいことではないかと思いますけれども、その辺のところは行政刷新から出てきたのであって、厚労省の担当部局としては健康保険の統一ということとこれとは全然別問題と考えておられるのか、それとも一連の流れと考えておられるのか、ちょっとお聞きしたいと思います。
○遠藤部会長 事務局、よろしいですか。審査支払機関の統合の問題と、保険者の統合の問題との関連性をどう考えたらいいのかというお話です。
○西辻課長 今回こうして医療保険部会で審査支払機関の統合について御議論いただいているのは、これは直接的には昨年の決算行政監視委員会の決議を受けて、それから、もっとさかのぼると行政刷新会議の事業仕分けの結果を受けてということでございます。ただ、今、武久委員から御指摘があったように、今回のアンケートの結果の中でも特に国保、高齢者医療の保険者の方からは、医療保険制度の体系をどうするのかということと併せてこの問題を考えるべきではないかという御意見をいただいているところでございます。
 医療保険制度の一元化とか一本化とか言われておりますが、一元化にもいろいろな考え方があって、本当に制度を全く1つにしてしまう一本化もあれば、今の保険者が果たしている機能を最大限生かしながら、財政調整的なものを入れる形で運用の観点から一元的にやっていくという考え方など、いろいろあると思います。既に後期高齢者の拠出金等につきましては被用者保険の中でも一部、そういった方向でやられておりますので、これを今後どうしていくのかということはそれ自体1つの課題でございますが、少なくとも、この審査支払機関の統合の先に医療保険制度をすべて一本化するとかしないとか、そういうことを含めて今この議論をお願いしているつもりはございません。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 それでは、和田委員、お願いいたします。
○和田委員 今、伺っておりまして、私自身はまだどうも判断がつかないところではございますけれども、出てきた議論の中で、例えば各地域ごとのばらつきを是正して公平なものにしていくとか、ガバナンスをきちんとしていくというようなことは、統合するか否かにかかわらず、どちらにあっても必要なことで、是非やっていただかないといけないということなんだと思います。ですから統合の可否の問題は次元が若干違うかもしれないというふうにも思います。
 極めて表層的に、素朴な観点であえて申しますが、そういう観点から見れば、やはり同じ機能を果たしているシステムが2つあって、それがばらばらにやっているということになりますと、例えば先ほどハードを改訂するのにコストもかかるんだということをおっしゃっていましたけれども、統合した方が若干でもそのコストを削減できるような気もいたします。
そうだとすると、統合することに何かメリットはあるのかなという気も一方ではするんですが、他方で岡崎委員からそれぞれのシステムが多元的な機能を果たしている中で統合が、大きなデメリットを生み出していくんだという御指摘もございました。そういうリスクを言わば凌駕できるような統合メリットについて、もう少し具体的に何か見えてこないと、なかなか難しいのかなという気がいたします。
ただ、先ほど申し上げましたように、統合することに素朴で表層的ではあるかもしれませんが、やはり無駄な部分を減らす効果はあるわけで、ばらばらなシステムをずっと維持していって改善していけばいいんだということでは、それも論理として弱いような気がいたします。もう少し、具体的な評価のための情報がほしいと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 それでは、堀委員、お願いします。
○堀委員 統合について御議論を聞いていて、国保と社保の質的な違いがあるということが明らかになっておりますので、そこに余り重きを置かずに、単に効率化だけでというのは少し慎重にやるべきではないかという意見を持っておりますが、それはそれとして1点、私も基金で審査員を10年以上やっておりましたので、今の議論で2つほど御意見を申し上げたいんですが、やもすると査定率だけでいいかどうかという議論になりがちなんですけれども、要はレセプトを適切なものにするというのが審査会あるいは審査機関の趣旨ですので、そこには審査措置としては査定があり、返戻があり、文書連絡があり、面談がありということなので、ただ単純に財政的なことで査定率が高ければ良いということだけで議論することは異論がございます。
レセプトが適正になれば当然査定率は下がってくるはずですので、そういったことは少し意見として申し上げたいと思いますし、審査基準の格差についても当然正すべきところは正すべきなんですが、やはり医療の多面性といいますか、先ほど鈴木委員も言われましたが、地域によって患者特性もありますので、一定のところで格差は存在するだろうという理解を持っております。例えば1つのケースでその請求は正しくても、それが傾向的に出てきた場合、やはり1回審査会としては返戻をして審議を正すであるとか、傾向的になっているのでまずいですよという文書注意をすることがあるので、そういったところを三者構成である審査会の判断に委ねられるのではないかという気がしますので、そこも1つ意見として申し上げたいと思います。
 以上です。
○遠藤部会長 どうもありがとうございます。
 一通り御意見を伺いたいと思います。齊藤正憲委員、お願いします。
○齊藤正憲委員 経団連も同様の考えでございまして、審査効率やチェックの機能を高めるためには、組織統合の議論は勿論重要でございますが、レセプトのオンライン化の完全実施をはじめ、医療のICT化の推進によりまして診療内容の標準化を図っていただき、審査の判断基準の統一化に結び付けていただくことの方が、より大切なのではないかと考えております。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 ほかにございますか。岩本委員、お願いします。
○岩本委員 統合の論点で、コスト削減と審査の質の向上への効果をどう図るかということが大事だと思うんですけれども、コスト削減につきましては一般論としては2つのものを1つにするということで、下がるという方向だろう。それで数字がどのくらいかということをこれからお示しいただくということで議論が進むかと思いますが、質の向上というのはなかなかはかりにくいものなので、それをどう勘案して結論を出していくのかということが大事かと思います。
 できれば質の変化、向上するか悪化するかということで、恐らく反対論の方はその面で悪化する、あるいは審査に限らず、全体の業務の方で何らかの形で質なり業務の進行が妨げられるという形で弊害が起こるということだと思うんですけれども、その辺り、量ではかればコスト削減の方と比較できて、より客観的な議論ができるかと思います。なかなかこれははかりづらいと思いますが、まずコスト削減の数字を見て、そこでコスト削減があるとして、それを覆すだけの何らかの弊害があるかどうかという形で議論を整理する形で、論点を整理して判断していくのがいいのではないかと考えております。
 いずれにしろ、どちらの議論も現状ではまだ煮詰まっていないと思いますので、今後審議していくのが適切かと思います。
 その関係で1つ、資料2について意見なんですけれども、こちらの保険者のアンケートをどう使うかということなんですが、今の結果を今後も使うということではなくて、もう一度どこかで手間がかかってもやり直した方がいいのではないかと思っております。
 と言いますのは、最後の統合についてはどうお考えですかという質問に対して、どちらともいえないという回答が一番大きいわけでして、後ろの方の個別の理由を見たところ、要するに熟慮の上でどちらともいえないと答えた人や、あるいは別の方法がいいと思ってこちらの部分に関しては、どちらともいえないと答えている回答者もいれば、判断の材料がないのでよくわからないということで、どちらともいえないとしている回答者も相当数いると見受けられます。
ということは、現在は材料が足りないままとりあえず回答されたということであれば、これが保険者全体の意思だなということを前提にして議論を進めるということは、必ずしも適切ではないのではないかと思いますので、今後この部会で十分議論が整理されて、情報を提示した上で、改めて保険者の意見がどういうふうになっているのかということを求めた方がいいのではないかと思っております。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 今後の議論をする上で、メリットとデメリットについて整理をするべきだというお考えの御提示と、もう一つはこのアンケート調査について分析をする上での1つの視点を御指摘いただいたということなので、事務局としては参考にしていただきたいと思います。
 ほかにお願いします。横尾委員、お願いします。
○横尾委員 前回、出席できなかったのでメモを入れておりましたけれども、今、御発言があったアンケートのことなのですが、私も是非これは精査する必要があるのかなと感じたところが1点目です。といいますのが、細かいアンケートをやる場合には、こういった自由記述をやった上で、次にオプション選択のできるアンケートをとってやっていくという手法もあるように過去聞いたことがありますので、そういうことを活かした方がいいと思います。
例えば具体的にいいますと、回答の「どちらともいえない」という方々のコメントをずっと拝見していきますと、勿論、一部かもしれませんが、「コスト縮減の効果があるなら理解をする」というコメント等もあるようですし、各保険者におかれましてもそういった管理費、コストの減少を強く願っていらっしゃるような意図を感じるところがありますので、こういったことをどう反映するのかというのも非常に重要なことだろうと思います。
 2つ目は、前回のメモでも申し上げているところなのですけれども、こういった制度関係に関しましては、1つはどれを選ぶかという政策オプションの問題と、もう一つは選んだものをどうコストを余りかけないでパフォーマンスを高く実施していくかという、いわゆるマネジメントの問題があると思っています。マネジメントに関しては多分、各保険者の皆さんにおかれましても、いかにコストを抑えながら適切な医療サービスをアシストできるかという課題がありますので、是非そういったことを念頭に置いた改革、改善の議論というものは今後とも必要だろうと思っています。しかし、アンケートには情報不足のままどちらか選べと言われると、なかなか選べないというのが率直なところだろうと感じたところでございます。
 併せて、前回のメモで申し上げているのは、例えば私も注目しているのは平成27年スタート予定の共通番号マイナンバー制度です。行政サービスが大きく変わっていくだろうと思っています。今は行政サービスの給付を受ける立場になっても、自分のことを証明し、自分の申請書を書いて、自分が役所の窓口に行って申請しなければサービスを受けられないのが基本ルールになっている我が国でありますが、共通番号制度が将来描くビジョンは、必要とされる方へプッシュ型でサービスを届けていくという形になっていくと思われます。そうすると、より多くの方々が適切に迅速に正確なサービスを受けられるようになると思います。そういった社会変革は目の前ですので、是非、厚労省におかれましては複合的な活用という将来像を見越しながら、こういったことの検討もお願いできればと思っています。
 例えば、今、各保険者においても年に1度か2度、場合によっては3度ほど医療費がどう支出されているかの通知をされていると思います。郵送費もかかっていますが、これについては政府の原案でいきますとマイポータルサイトをつくられますので、そのサイトに各関係行政機関から情報が送られる形になりますので、実質的にはコストが大幅に下がっていくことも考えられます。また、正確になっていくと思われます。
 そういった改革もあるという中での診療報酬制度、チェック制度をどうするかということも、是非厚労省事務局においても研究をしていただきたいと思っています。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 ほかに御意見ございますか。白川委員、お願いします。
○白川委員 先ほど言い忘れたんですけれども、衆議院の決算行政監視委員会の決議の中に、レセプト審査に係る民間参入の環境整備について検討という部分がございますので、これについて一言申し上げたいと思います。
 先ほども意見がありましたとおり、レセプトは本来的には保険者が直接審査をするというのが原則だと思いますが、現実的には難しい。ただ、一部調剤関係については幾つかの健保組合が直接審査というものを始めております。これを拡大するということは方向としては私は正しいのではないかと考えております。
先ほど来申し上げているとおり、コンピュータチェックがレセプトの電子化に伴って可能になってまいりましたので、そういう方式も使って保険者が直接審査をするというやり方を広げるためには、実はさまざまな制約がありまして、例えば医科とか歯科であれば当該保険医療機関の同意がないと、直接審査できないことが壁になっていることもございますので、それだけではないかと思いますけれども、そういた障壁、バリアを少しでも取り除いて、直接審査ができるような工夫を事務局には是非お願いしたいとお願いいたします。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 それでは、安部委員、お願いします。
○安部委員 資料1を見せていただいても、さまざまな課題があるということは御指摘いただいたそのとおりだと思います。一方、現在、オンライン化が進んで、その成果と言うんでしょうか、支部間格差でありますとかコスト、迅速性などについて結果がどんどん見えてくる時期ではないかと思っております。
 そういった意味では、まず統合ありきというよりは、これら提起された問題等について国保連合会の方々、支払機関の方々がそれに対する答えをこれから示していただき、その上でどうしても課題の解決が実現できなければ、統合等について考えるという手順ではないかと私は考えております。
 以上です。
○遠藤部会長 どうもありがとうございます。
 それでは、支払基金の考えとして河内山専門委員、お願いします。
○河内山専門委員 まな板の鯉なので余り発言をするのはふさわしくないかもしれませんが、安部委員から大変ありがたい誘い水を出していただきましたので、今日この時点でお示しするのは資料等もございませんので、もし部会長始め委員の皆様方、そして事務局の方でお許しいただけるのであれば、今後開かれるこの部会の際に私ども、それから、柴田委員もお越しでございますが、国保連合会あるいは中央会として現在どういう観点で業務を改革し、保険者のために、あるいは診療機関の方々のために、引いては最終的には被保険者である国民のために、品質の向上とコストの縮減に取り組んでいるのかということについて、御説明をする機会をお与えいただきたいと考えております。
○遠藤部会長 いろいろな御発言を承りますと、基本的には運用上の課題の改善が優先されるべきであって、統合というのはその後の議論ではないかというお話が主だったと思います。また審査支払機関がどういうことをやっているのか。これは当然我々共通認識として知らなければならないと思います。審査支払機関として1つは支払基金、もう一つは国保であれば国保中央会が全体を統括しておりますので、国保中央会などから現状の在り方をヒアリングすることは非常に有益だと思いますけれども、そういう方向でよろしゅうございますか。
(「異議なし」と声あり)
○遠藤部会長 それでは、でき得れば次回ぐらいに御説明をいただきたいと考えます。どうぞよろしくお願いいたします。
 大体御意見は出尽くしたでしょうか。本日、「結論を」ということは考えておりませんけれども、大体保険者の方々は運用上の課題があるので、それを解決していくことがむしろ優先順位としては高いだろう。統合によってそれがどれほど解決できるのかということに対しては、不確実なところが多いという御意見が多かったように思いますので、引き続きこのことは議論をしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。
 それから、河内山専門委員におかれましては、本日御出席いただきましてどうもありがとうございます。これから別のテーマになりますので、よろしければ本日はこれで御退席いただいて結構でございますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、次の議題でございますが「平成24年度柔道整復療養費等の改定について」を議題としたいと思います。事務局から資料が出されておりますので、御説明をお願いします。
○屋敷室長 保険医療企画調査室長でございます。資料3「平成24年度柔道整復療養費等の改定について」でございます。
 1ページ目、昨年末のこちらの部会の議論の整理におきまして、給付の重点化・制度運営の効率化としまして、療養費の見直しが記載されているところでございます。この中で現状等を踏まえ、平成24年度療養費改定において適正化するとともに、関係者による検討会を設け、中長期的な視点にもって柔道整復療養費等の在り方の見直しを行うという御指摘があるところでございます。
 療養費改定でございますが、これは診療報酬改定と併せまして、法令上決まっているというものではございませんけれども、6月に改定をしていたというのがこれまでの通例でございます。現在その検討を進めているということでございますので、現状と併せまして基本的な考え方を御報告させていただきたいというものでございます。
 参考資料の5ページ目は療養費の推移でございます。この療養費は柔道整復の療養費だけではなく、はり・きゅうの施術に係る療養費、あん摩・マッサージ・指圧の施術に係る療養費、それぞれ3本あるというものでございます。この推計をさせていただいたものでございますが、その推移を見ていただきますと、柔道整復につきましては平成17~20年は国民医療費の伸びより大きい伸びを示しているというところで、平成21年度あるいは平成22年度につきましては、国民医療費の伸び率は下回ってきているという状況。一方ではり・きゅう、あん摩・マッサージ・指圧につきましては、それぞれ2けたに近いようなものも含めて伸びを示しているという状況が見てとれるところでございます。
 また、療養費の支給対象ということで御紹介をさせていただきますが、6ページ、柔道整復師の施術でございますけれども、その療養費の支給対象となる負傷というものは急性または亜急性の外傷性骨折、脱臼、打撲及び捻挫であるということでございまして、脱臼または骨折に対する施術は柔道整復師法に定められているものでございますが、医師の同意を得たものでなければならないというのが原則になってございます。
 はり師、きゅう師の施術でございますが、療養費の支給対象となる疾病は慢性病であって、医師による適当な治療手段がないものとされており、主として神経痛・リウマチなどであって、それらの類症疾患については同一範疇と認められる疾病に限り、支給対象とされているものでございます。
 あん摩・マッサージ・指圧師の施術につきましては、適用症が一律にその診断名によることなく筋麻痺・関節拘縮等であって、医療上マッサージを必要とする症例について支給対象とされているものでございます。これらは療養費の支給対象となっているものでございますが、柔道整復師の施術につきましてはいわゆる受領委任払い、現物給付化される取扱いが特例的に行われているということでありますが、はり師、きゅう師、あん摩・マッサージ・指圧師の施術につきましては療養費の原則、償還払いでございますが、それが原則とされているという状況でございます。
 7ページ、柔道整復療養費等の見直しに関します近年の動きでございます。平成21年11月は前回の療養費改定の前でございます行政刷新会議での指摘があり、柔道整復療養費が国民医療費の伸びを上回る勢いで増加。平成21年段階のあれでございますが、また、部位別請求の地域差が大きいなどの指摘があったということでございまして、平成22年療養費改定におきましては多部位請求の適正化、これは4部位目の部位数単位で主として請求がされるということでございますが、4部位目の給付率が33%から0%、3部位目の給付率は80%から71%にされた。その他運用上の適正化事項の義務づけ等がされているという経過をたどっておるところでございます。
 8ページ、平成22年度療養改定後の動きとしまして、会計検査院から決算検査報告が出されている。これは21年度の決算検査報告が22年秋に出されているということでございます。厚生労働省に対しまして柔道整復療養費の支給を適正なものとするよう、意見表示がされたということでございます。柔道整復療養費の支給対象となる負傷の範囲を例示するなど、算定基準がより明確になるような検討を行うとともに、長期あるいは頻度が高い施術のときに申請書にその理由を記載するなどの方策をとること。また、保険者及び審査会に対する指針を示すようなこと、あるいは保険者に対しまして被保険者等の周知徹底をするように指導するといった指摘を受けてございます。
 1ページ目にお戻りをいただきたいと思います。これらの状況を背景といたしまして、24年度柔道整復療養費等の改定に関します基本的な考え方でございます。
 まず最初に柔道整復療養費でございます。これは22年度の療養費改定が行われたところでございますが、その効果を見ますと都道府県別に請求部位数について、なお2倍の格差が残存している状況があるわけでございます。
9ページは柔道整復療養費について、都道府県別の請求部位数の分布がどのようになっているのかというものでございます。下の方の網かけで色が黒い方は3部位以上の請求の占める割合ということでございます。上の方は1部位、2部位ですから合計100%でございますので、これを見ますとおおむね大体20%から40%までの差があり、一部地域におきましては3部位以上の部位数の請求の多い地域が見られる状況が、22年度改定以降におきましてもまだ見られる状況でございます。
 長期柔道整復でございますが、1ページ目に戻っていただきまして、会計検査院の指摘において長期または頻度の高い施術が必要な場合には、例えば申請書にその理由を記載させるなどの方策をとるということでありまして、長期及び頻度の高い施術に対してどのようにしていくのかということでございます。現行の療養費の算定ルールにつきまして、長期施術については5か月超の施術について。すなわち6か月目からになりますが、それについては100分の80に減額して至急。頻回施術につきましてはその低減等のルールはない状況でございます。
 これらの状況につきまして、また参考資料の10ページ目及び11ページ目をごらんいただきたいと思いますが、10ページ目は施術回数の都道府県分布でございます。これはおおむね10%から20%ぐらいまでの11回以上の施術が占める割合でございますけれども、10~20%程度の差が生じてございます。
 11ページ、これは施術期間6か月以上ということでございます。こちらは一番高いところで10%に到達するところはないわけでございますが、1%台から6%台までの分布が見られる状況になってございます。これらの状況で多部位施術、長期施術、頻回施術といった点についてどのようにしていくのかということと併せまして、柔道整復の施術の質を高めるという観点から、その柔道整復の療養費が急性または亜急性の外傷性の負傷に対する施術が支給対象とされていることを踏まえた、施術の充実を図る観点からの見直しも行うことはできないかといったことでございます。また、その運用的な事項としまして、支給申請書の改善を図るといった運用の見直しが考えられるということでございます。
 次に、あん摩マッサージ指圧、はり・きゅうの施術に係る療養費、2ページ目でございます。療養費の額につきましては先ほどの推移をごらんいただいたところでございますが、柔道整復療養費や国民医療費全体を上回り伸びているという状況でございます。
 また、支給状況を見てみますと、施術回数あるいは往療というものがございます。その回数に都道府県格差があるといったところでございます。ただし、はり・きゅうあるいはあん摩・マッサージ・指圧といった施術の特性を踏まえた上での見直しを行う必要があるのではないか。運用につきましては施術者に施術録の整備を求めるなどの運用見直しを行うことが考えられるのではないかといったところがあるものでございます。
 資料は12ページ目及び13ページ目をごらんいただきますと、こちらは施術回数でございます。都道府県別の比較でございますが、月16回以上の施術が占める割合でございます。これは大体高いところが2つほどありますけれども、はり・きゅうの場合は2%台から10%台までの分布が見られる。あん摩・マッサージは13ページでございますが、大体4%台から15%ないしそれ以上の分布が見られる状況でございました。
 14ページ目及び15ページ目は、はり・きゅうの往療の回数でございます。往療につきましては背景は比較的余り横領が一般的でない形態でございますので、1%台から2%台の分布でございますし、あん摩・マッサージは横領が基本となっております形態でございますが、2%台から10%台あるいはそれを超える分布が見られる状況でございます。
現在、このような基本的な考え方に基づきまして、平成24年度の療養費改定等の作業を進めさせていただいているということで、御紹介と御報告でございます。
以上でございます。
○遠藤部会長 どうもありがとうございます。
 従来であれば偶数年度の6月ぐらいに改定が行われてきたということで、今審議されるわけですけれども、いろいろなことを含んだデータが出されたわけですが、何か御質問、御意見ございますか。
○小林委員 そもそも健康保険制度における療養費とは、健康保険法の条文に則して申し上げますと、加入者の利便性を考え、病院・診療所での診療や薬局での薬剤の支給に代えて、保険者がやむを得ないものと認めるときに限り、保険者の判断で現金支給を行うものであるということであります。療養費の議論を行う場合は、まずそのことを念頭に置いて考えるべきであると考えております。
 その上で申し上げますと、現在、協会けんぽの療養費の支給額は年間で約700億円に上っており、この額は毎年増加し続けております。今回、先ほど事務局から療養費に関する都道府県別の請求部位数の分布とか、施術回数の割合等の御説明がありましたが、都道府県によって捻挫とか打撲の仕方に違いがあるはずがなく、同じ柔道整復療養費の請求で都道府県ごとにこれだけ違いが出てくるというのは、理解し難いところであります。
 参考までに私ども協会けんぽで、都道府県ごとの人口10万人当たりの柔道整復師数と加入者1,000人当たりの柔道整復療養費の申請件数を調べましたところ、柔道整復師の人数が多いほど柔道整復療養費の申請件数が多くなる傾向にあり、その結果には明らかに相関関係を見てとることができました。必要があればその資料を医療保険部会で提出させていただきたいと考えておりますが、今回、事務局から提出された資料のように、都道府県ごとの請求内容に格差を生じさせている原因の1つは、都道府県ごとの柔道整復師の人数にも原因があるのではないかと思います。
 平成12年以降、柔道整復師の養成施設については、指定の条件さえ満たせばその設置が認められておりますが、その結果、平成12年に約3万人であった柔道整復師の人数は、平成22年には約5万人と10年間で1.6倍となっております。この間、医師の人数は1.15倍でしかなく、柔道整復師の人数は著しく伸びていることから、増え続けている療養費を抑えるためには養成施設数を抑えるなど、国としても何らかの対策を講ずるべきではないかということを問題提起させていただきたいと思います。
 また、柔道整復師の資格がない者が施術したにもかかわらず、柔道整復師が施術したものとして療養費を請求する名義貸し、あるいは実際に施術していない者の療養費を請求する架空請求等の不正請求によって、地方厚生局から受領委任の取扱いを中止される柔道整復師もいます。少子高齢化、医療の高度化による医療費の増大や、一方で下がり続ける給与の影響による厳しい保険者の財政を考えますと、限られた医療費財源を有効に活用するという視点が重要だと考えております。実際、先般の医療保険部会では高額療養費の見直しやそのための財源について非常に厳しい議論が行われましたが、そのような状況であるにもかかわらず、こうした療養費の問題をそのままにしておくべきではなく、適正化に取り組むべきであると考えております。
 最後に、療養費の改定について申し上げますと、今回のような公の場で療養費の改定等について議論が行われるということは、非常によいことだと考えております。平成24年度における療養費の改定率については、今回の資料にはありませんが、ただいま申し上げたような限られた医療資源の有効活用、更には厳しい保険者財政を考慮すると、私どもは引き下げるべきと考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 それでは、白川委員、お願いします。
○白川委員 私どもの問題意識も協会けんぽの小林委員の御意見と全く同じでございます。まず、改定率につきましては現下の状況を考えますと、引き下げるべきだと思います。
 それから、この療養費の問題は幾つか具体的な例で申し上げますと、1つは柔道整復師の数が増えたことに伴って療養費が増えている。それと連動して、不正を疑われるような請求が非常に増えているということが1つ大きな問題でございます。これは厚生労働省の監査体制を強めていただく、また不正が発覚した場合の処分について厳格に対応していただくということも必要だと考えます。
 実は療養費には十分な審査体制がなく、施術者から直接保険者へ請求がくる。保険者でその中身をチェックし、1対1で支払いをするという形で手間暇がかかる上に判断が違う場面もございますので、そのときにはトラブルが発生する。したがって、何らか審査の仕組みを工夫する必要があるのではないか。あるいはトラブルになったときの調整をする機関も考えておく必要があるのではないかと考えております。
 1対1の対応になることから非常に事務的にも煩雑でございまして、通常の医療費関係はレセプト、電子化が進んでおりますので、療養費についても電子化するといったIT化の工夫もしていかなければ、無駄なコストがかかっていると感じておりますので、その辺についても是非とも御検討いただきたいと思います。
 本日、室長から御説明のありました基本的考え方につきましては、私どもとしては全面的に賛成でございます。特に多部位、5か月を超えるような長期にわたる施術もしくは1か月に10回を超えるような多数回につきましては、1つは逓減制を用いる、あるいは回数、月数を制限するといった措置は是非とも必要だと思いますし、本当に医学的に必要なのかどうかという医師の証明も、勿論、当初は必要でございますが、長期になる前、回数が多くなる場合は、その添付を必須にするといった方法も是非御考慮いただきたいとお願いを申し上げます。
 以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
それでは、齊藤委員、お願いします。
○齊藤正憲委員 療養費はただいま事務局の方からも説明がございましたように、国民医療費の伸びを上回って増加しております。これが現実でございますので、今、保険者の方々から御指摘のあった内容を考えますと、関係者による検討会を設けられて、実態や課題を明らかにし、是正に向けて検討を深めていただけたらどうかと考えております。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 和田委員、お願いします。
○和田委員 私は今のお話に全面的に賛成なんですけれども、それに付け加えて、これを見ていますと認める基準を厳しくしていくというだけでは済まない。この分布なんかを見ていますと明らかに問題のあるケースが多いようにも思います。
インターネットなどでも、いかにしてお客さんにリピーターになっていただくかという観点から指南が書かれているところもあります。ですから、本来あるべき施術を行っていくようニーズをきちんと整序把握していく課題とは別に、何か倫理的な問題さえあるのではないかと思います。職能団体としても恐らく規律はいろいろされていると思うんですが、そういう職能団体全体の中できちんとやられている方と不正に近いことをやられている方、その辺りをどういうふうに統制していくのかということも、ここの範囲を超えているかもしれませんけれども、本来としては考えていく必要があると思います。抜本的にいろいろ考えないといけないような問題を含んでいるのではないかと思います。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 横尾委員、お願いします。
○横尾委員 今回の考え方に示されている内容で言いますと、多部位であることですとか、長期に及ぶこととか、頻回、つまり回数が多いことなどの見直しが書かれておりまして、これらは会計検査院の指摘もありましたように、我々保険者が日々の業務の中でも直面していることでもありまして、加えてこの適正化を図っていくことには幾つかの意見も出ていますけれども、算定基準の明確化、支給申請書や先ほども出ました医師の同意書の在り方、施術録の整備など、さまざまな実効性ある見直しを是非していくべきだろうと思っています。
 指摘がありましたので、参考までに会計検査院のインターネットページを拝見しましたが、ある事例では3か月を超えて施術をしている方が88名おられて、この方々はほとんど最初の部位が治ったのにもかかわらず、次の部位、次の部位とどんどん施術が延びていく形になっています。また、最も問題だなと思われる例は、最初は3箇所ですが、ずっとその3箇所の部位が移っていくのです。結局半年ぐらい行かれるということになっていて、きちんと適正化することが必要だろうと思います。
 2点目に感じることは療養費についてでございますけれども、国あるいは都道府県に対しても指導監督権あるいは指導監査権限等々を付与して、以前のこの会議でもこのことは出たと思うのですが、保険者に対しても加えて一定の権限を与えるような具体的な対策を是非進めていただく必要があるだろうと感じています。
このことにつきましては過去平成22年度、平成23年度、全国後期高齢者医療広域連合協議会からも繰り返し厚生労働大臣へ提案要望を行っておりますので、検討いただきたいと思います。特にこのことについては高齢者医療課からは回答を一応いただいていますが、次のような内容です。「医療保険各法に共通する問題であり、所管課などと協議の上、現状把握等を行いつつ検討してまいりますと」いう回答ですが、これではとりあえず検討するということで、明確な改善につながるかどうかが不安視されるところでございますので、是非各委員の御発言を聞いていただいて、有効な対応を迅速にお願いできればと思っています。
 また、資料にもありますけれども、昨年12月の議論の整理におきましても、「中長期的な観点に立ってこの在り方の見直しを行う」とされておりますので、是非早急に適切な検討会を設けて対策を講ずることを期待したいと思っています。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 鈴木委員、お願いします。
○鈴木委員 支払い側の白川先生や小林先生から引き下げるべきだと言われるのを聞きまして、今回の診療報酬改定の最初の議論のときを思い出しました。我々にしてもやみくもに理由なく下げられるというのは非常に嫌なものでして、それでコスト分析とかそういう話が出てきているわけですけれども、なかなかコスト分析というものが難しいこともわかりますが、エビデンスなく下げるというのも柔整の皆さんにとって抵抗を感じることだと思いますので、是非そのエビデンスを出していただくようにしていただければと思います。先ほど検討会を設けるという話がありましたけれども、是非とも当事者だけでなく、整形外科の先生方が関わってくる分野でもございますので、整形外科の先生方も是非入れたいただきたいと思います。
 そもそも国民医療費の中に柔整療養費が含まれていると言いながら、どこにどのぐらい入っているのか、総額としては増えているということは示されているんですが、そういったものが明確にされていないという部分もありますので、是非明確にしていただきたいと思いますし、中医協の仕組みから考えますと、かなりまだ未整備な部分がたくさんあるように思いますので、これだけ療養費が増えてきておりますので、きちんと透明性の高い仕組みをつくっていくべきではないかと思います。
具体的に言いますと柔整の審査会などもあるようですが、実際はそういったものが機能していないような話も聞いておりますし、レセプトに医師の指示書を添付させることになっているんですが、書式が統一されていないためにそれがいい加減になっているといったことが多々あるとも聞いておりますので、是非そういったものも検討会の中でしっかりと議論して、必要なものはきちんと認めるということを前提にエビデンスある議論をしていただければと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 山下委員、お願いします。
○山下委員 保険料負担は今、限界にきている状況の中で適正な医療保険給付を維持するためには、まず実態をもう少し明確にすべきで、どこまでが不正なのかというのをわかりやすく明確にすることが大事だと思います。どのレベルの診療が適正なのかというのも判断できるようにした上で、いわゆる監査権限とかそういったものを保険者にある程度持たせるようなことにして、不正が行われたら厳正な措置が行われるような環境整備をしっかりしていただきたいと思います。ほかの委員の方と同じような考えですけれども、ある程度不正が起きた場合には監査がしっかりと行われるような、厳格な措置をしていただきたいと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 皆様の御意見は大体一致しているのかなと思いますけれども、武久委員、どうぞ。
○武久委員 慢性期医療の立場から意見を言わせていただきますけれども、柔整の場合は医師の同意書なしに、ある程度の急性、亜急性の処置をすることができる。参考資料の6ページを見ますと、私もこういうものを初めて見たんですが、かなり厳密に規制されております。特にはり・きゅうの場合、往療という言葉を初めて私は聞いたんですが、昨年、東京で特別養護老人ホームを開設した経験から申しますと、開設地に近隣のはり・きゅう・マッサージの事業所のパンフレットを4~5種類くらい、受付に置かせてくれと。個別に来られておりまして、ある何人かが希望して嘱託医に診断書を書いてくれと言ってくる。これを見ますと慢性病であって医師による適当な治療手段がない者となってくると、医師としてはその特養はPT/OTもおりますので、そういう手段を使った方がいいのではないかということで、一部診断書、用紙まで持ってきて判をついてくれという形で来ますと非常に困って、これは書けないというふうにすると当該のところとか、家族からまるでひどい医師かのように言われてしまう。
そういうことから見ると、現実に特養に先生がいらっしゃっているんですけれども、近くの人が気持ちいね、私もしてほしいとか、そういうふうな形で言っておりまして、支給対象の基準から言うとかなり現実にはずれているところがあるのではないかと思います。だから不正とか不当という以前に、支給対象の基準をきちんと守るところから入るべきではないかという気はしておるんですけれども、確かにここのところで伸びているのは往療です。そういう特養とかいろんな社会福祉施設に施術を行いに行くという件数が増えているのではないか、私は非常にプリミティブな数少ない経験ですけれども、そういうのがあるのではないかという心配があります。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 皆様方の御意見は検討会等におきまして、透明性を持った形で適正な改定を行うべきであると理解をいたしましたけれども、そのように理解してよろしゅうございますか。そうしますと当然6月改定には間に合わなくなりますが、6月改定に必ずしもとらわれることなく慎重な議論をするべきであるという理解でよろしゅうございますか。
(「異議なし」と声あり)
○遠藤部会長 事務局にちょっとお尋ねしますが、そこのところはある程度柔軟性はあるという理解でよろしいですか。
○屋敷室長 通例でありますと6月でございますが、御意見を踏まえて検討をさせていただければと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 それでは、確かに今、お話を承りますと、診療報酬の改定と比較してさまざまな課題があるなという感じがいたしました。先ほど鈴木委員が言及されましたけれども、診療報酬改定は透明性であるとかエビデンスを重視するということが非常にしっかりしておりまして、そういう議論がされてきたわけでありますが、確かにこの療養費についてはそこら辺の部分がまだ遅れているところがあると思います。いろいろお話を承りますと算定要件の問題とか審査体制の問題、場合によっては監査体制の問題等々まで含めていろいろな課題があるということでありますので、この際ですからこの辺の実態を明らかにすると同時に、その辺の仕組み、考え方みたいなものも整理することをやっていきたいと思います。
 それを検討会という形でするのがいいのか、あるいは本部会に関係者を専門委員として参加いただいてやるのがいいのか、いろんなやり方があるかと思いますが、その辺のところは事務局と相談をさせていただきたいと思いますけれども、いずれにしても検討をするということ。その検討を待って24年度改定を行うという理解でおりますが、それで皆様方の御意見はよろしゅうございますか。
(「異議なし」と声あり)
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 事務局として特段何か事務上の問題はございますか。よろしいですか。では、そのような対応をさせていただきたいと思います。
 まだ御意見ございますか。岡崎委員、どうぞ。
○岡崎委員 1点だけ、ちょっとだけ視点が違うので申し上げさせていただきますが、国民健康保険を預かっていまして、それぞれ現場からのいろんな今、論議されている件のお話を聞きますと、それぞれの団体が組合もしくは協会がございます。だから協会とか組合員、正規の組合員という方々は団体のコントロールが効いていますけれども、そこに入っておられない方々が行っておられる。そこの部分にいろんな課題があるというお話も現場サイドから聞いています。
 ということは組織化の問題なので、それぞれの団体の実勢がある問題ですから余り深く踏み込めないかもしれませんけれども、適正な運用を図るためには一定の組織化とか組合、協会というところの適正な指導がきちんとできている部分は余り問題がないように聞いていますが、そこに入っておられない方々について、いろんな課題があるという話も現場から聞きますので、これから検討の中でその辺も分けて調べていただいたらどうかなと思います。よろしくお願いいたします。
○遠藤部会長 貴重な御意見ありがとうございました。
 ほかに何か追加の御意見ございますか。横尾委員、お願いします。
○横尾委員 6月改定予定だったものが延期になるという話のことなのですけれども、これは細かいことかもしれませんが、6月改定なら想定して、いつ企画案を準備し、たたいてもらって審議をして、いつごろまとめというスケジューリングが1年前からできますね。それで進めるということではなくて、この会議の状況次第で適当に延びていくということなのでしょうか。
○屋敷室長 通例の6月ということでございますが、昨年末の議論の整理も踏まえまして本日御報告をさせていただいておりますが、タイミングとしましてはその検討の状況を見て、速やかに対応が必要だというふうには考えております。御議論いただいて、それにより対応させていただくということでございます。
○横尾委員 尊重いただくのはありがたいことなのですけれども、行政あるいは政治が最近判断が遅いとか、行動が遅いとか、実績が出ないという批判がよく出ますけれども、スケジューリングがあるのだったらいついつまでに何を準備して出すとか、委員の発言を待つのではなくて、政府としていつまでに決めなければいけないというのがあると思うのです。そういうミッションというか使命感を持って是非仕事をしていただかないといけないのではないかと思います。
自治体でこんなことをしていたら、多分次の日か次の週には厚労省から指摘されて「計画を早く出せ」と言われるわけですので、しっかりやっていただくことが大切ではないかと思います。しかもこのことは延びれば延びるほど、先ほど来、各保険者から御指摘されている課題は手つかずのまま残っていくことになりますので、是非よろしくお願いします。
○遠藤部会長 重要な御指摘ありがとうございます。
 スケジュールをある程度決めて、その中でやるということが現実的なのかなと思いますけれども、その辺も事務局と相談したいと思います。ありがとうございました。
 ほかにございますか。よろしゅうございますか。本件のこの2つ以外で特段、今、御発言の方はいらっしゃいませんね。ありがとうございました。
 それでは、予定の時間より30分早いのですけれども、本日はこれまでとさせていただきたいと思います。
 次回の開催につきましては、追って事務局より御連絡することになると思いますので、よろしくお願いいたします。それでは、これで終了したいと思います。本日はどうもありがとうございました。


(了)

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