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2012年4月17日 経済連携協定(EPA)介護福祉士候補者に配慮した国家試験のあり方に関する検討会議事録(第2回)

社会・援護局福祉基盤課

○日時

平成24年4月17日(金)15:00~17:00


○場所

厚生労働省22階 専用第14会議室


○議題

(1)介護福祉士国家試験結果の報告
(2)本検討会における論点について(案)
(3)橋本委員からの報告
(4)関係団体等からのヒアリング
(5)厚生労働省ホームページ等を通じた意見募集(案)について

○議事

○佐々木福祉人材確保対策室長 定刻前でございますけれども、本日は御多用のところを御参集いただきまして、委員の先生方、誠にありがとうございます。
福祉人材確保対策室長の佐々木と申します。議事に入らせていただく前に、資料の確認をさせていただきたいと思います。
本日は、資料1~5を配付させていただいております。また、前回の資料をとじました青いパイプファイル、それぞれ委員の方々のお手元に前回資料と第24回の介護福祉士国家試験の問題冊子を用意させていただいております。お手元の中で欠けている資料はございますか。もしございますようでしたら、事務局の方にお申し出をいただきたいと思います。よろしいでしょうか。
それでは、定刻になりましたので、ただいまから「経済連携協定(EPA)介護福祉士候補者に配慮した国家試験のあり方に関する検討会」の第2回を開催したいと思います。
川村委員の方から遅れて出席をされるという御連絡をいただいております。また、本日は、第1回御欠席の朝倉委員が出席されておりますので、一言、朝倉先生の方からごあいさつをお願いいたします。
○朝倉委員 東北大学大学院医学系研究科の朝倉京子と申します。看護教育に携わっているという立場から、この検討会に参加しております。どうぞよろしくお願いいたします。
○佐々木福祉人材確保対策室長 ありがとうございました。
それでは、カメラの方はここで退席の方をよろしくお願いいたします。
(報道関係者退室)
○佐々木福祉人材確保対策室長 それでは、議事の進行につきまして、潮谷座長、よろしくお願いいたします。
○潮谷座長 改めまして、皆様、こんにちは。早速、議事に入りたいと思います。
資料1、2につきまして、事務局の方から資料に沿いまして説明をお願いいたします。
○佐々木福祉人材確保対策室長 資料1に基づきまして御説明申し上げたいと思います。
前回の検討会で次回、今回でございますけれども、第24回の介護福祉士国家試験のEPA候補者の方々の合格状況を御説明したいと申し上げておりましたけれども、3月28日に第24回介護福祉士国家試験の合格発表が行われておりますので、それに基づきまして合格状況等を御説明申し上げたいと思います。
EPA候補者の方々は今回が初めての受験ということで、インドネシアの平成20年度入国者の方94名と、かつて日本に在留経験があって実務経験3年という要件を受験資格として満たしてらっしゃるフィリピンのEPA候補者の21年度入国の方1名、合計95名の方が受験をされております。合格者につきましては36名の方が合格されて、合格率は37.9%という状況になっております。
2番目でございますけれども、合格者の方々につきましては、本人の同意を得ましてホームページ上でも公表いたしておるところでございます。インドネシアの方94名、8月に入国された方々、合格者の方々は資料1のとおりでございます。また、フィリピンの介護福祉士の候補者の方で21年5月に入国されている方につきまして1名合格をされておられるという状況でございます。
資料1の3ページ目でございますけれども、これまでEPA候補者の方々に講じてきた施策と今後の対応ということで、合格発表に合わせて厚生労働省の方で公表させていただいておりますけれども、まず厚生労働省では介護福祉士候補者の方々1人でも多く合格できるように、訪日後6か月の日本語研修の間の1週間程度の介護導入研修、終了前の1週間程度の介護導入研修に加えまして、過去の国家試験問題を英語及びインドネシア語に翻訳いたしまして提供を行う、あるいは受入施設の方で就労していただく間に国家試験合格を目指して学習していただくわけでございますけれども、その間の日本語学習あるいは介護分野の専門学習費用の補助、候補者1人当たり年間23.5万円の補助を行う。
全国的に候補者の方々に集まっていただきまして、介護分野の専門知識と技術あるいは日本の社会保障制度等を学ぶ集合研修の実施あるいは通信添削指導というような措置を講じてきたところでございます。
それに加えまして、試験上の配慮といたしまして、これまで講じていることといたしましては、事前説明の丁寧な対応ということで都道府県1会場で一般受検者と別室で受験をしていただく。あるいは難しい漢字に振り仮名、英字略語には正式名称と日本語訳を付けて、疾病名には英語を併記するなど、試験問題中で使用される難しい用語を一部見直してわかりやすい表現に改善するといった措置を講じてきたところでございます。
今後の対応でございますけれども、引き続き学習支援を継続するということと、今回、残念ながら試験に合格されなかった方で帰国をされるという方についても在外公館での模擬試験の実施あるいは通信添削等の支援を実施いたしまして、候補者の方の再チャレンジを支援するということといたしております。
また、まさに本検討会での議論の中心でございますけれども、国家試験につきましても来年度から試験時間の延長あるいはすべての漢字に振り仮名を付ける。試験問題のわかりやすい日本語への改善といったことにつきまして、この検討会で御議論いただいて一層の改善を図りたいと考えているところでございます。
そのほか今年4月から受入施設の基準といたしまして、受入指針告示という候補者の方を受け入れる施設の基準を定める告示がございますけれども、そこにつきまして一定の条件の下で職員等の配置の基準の算定対象も含めて候補者の受入れの円滑を図るということにいたしておるところでございます。
お手元の資料に基づきまして、それぞれの項目につきましては、参考資料1、2、4~6ということになっておるところでございますので、御参照いただきたいと思っています。併せまして、同日でございますけれども、参考資料7の次、今回の国家試験に残念ながら合格できなかったEPA介護福祉士候補者の方につきましても、本来の協定上の滞在期間は4年ということになっているわけでございますけれども、外交上の配慮ということから、平成20年度に入国されたインドネシア介護福祉士候補者の方につきまして、追加的に1年滞在延長を講じるという昨年3月の方針、閣議決定がございますけれども、それに基づきまして要件を定めて受入施設の方に周知をいたしておりますので、その状況について御説明申し上げます。
追加的な1年間の滞在延長が認められる候補者の方につきましては、ア~エの要件、すなわち雇用契約に基づいて候補者の方も、あるいは受入施設の方も来年の試験の合格を目指して頑張られるという意欲を示されておられるという施設で引き続き就労される場合において、平成22年度の国家試験のときというのが一定水準以上であるということにつきまして、この方について1年間追加的な滞在期間の延長を求めるということがございます。
次のページでございますけれども、具体的な一定水準の特定水準ということでございますけれども、今回の介護福祉士国家試験の合格基準点につきまして120点満点中75点ということでございまして、その半分の合格基準点の5割以上の得点を収められた方につきまして、この得点水準を満たすということで決定がなされておるところでございます。
対象人数につきましては、この表のとおりでございますけれども、おおむね合格者の方と延長基準点以上の方を含めまして約9割の方がこの水準を満たすという状況になっておるところでございます。
この得点水準を満たす方につきましては、受入施設の方で研修改善計画の作成をいただいて5月の下麁までに確認をさせていただきまして、在留資格の延長を行うという事務手順になっているところでございます。
併せまして同日、追加的な滞在期間の延長の基準を人の移動に関する検討グループ、各省副大臣級の会合で決定いたしているところでございます。
1番目でございますけれども、看護師の方につきましても、合格基準点の5割というのを延長基準点にしようということが1番目でございます。また、インドネシア介護福祉士候補者第1陣の方、今回の延長対象の方でございますけれども、同様に筆記試験の合格基準点の5割に当たる38点以上の方について1年間の滞在期間の延長を認めるということ。
なお、来年度の状況でございますけれども、インドネシア介護福祉士候補者第2陣とフィリピンの介護福祉士候補者第1陣の方が受験をされるわけでございますが、この方々につきましても基本的には本年度と同様に来年の試験の合格基準点の5割以上の得点ということを延長滞在の得点水準の基準とするということが決定されているところでございますので、御報告をいたします。
続きまして、本日、委員の方々あるいは関係団体の方々からこの検討会におきます議論を深めていただくために御意見を各種御頂戴するということにいたしておりますけれども、それに先立ちまして、開催要綱にあります当検討会で御検討いただきたい事項に照らしまして、前回の議論を踏まえまして、主に以下の論点について検討会で議論を深めていただきたいということにつきまして事務局なりに整理をいたしまして資料2といたしておりますので御説明させていただきます。
介護福祉士に求められる能力及び介護福祉士国家試験の意義等を確保しながら、EPA介護福祉士候補者に一層の配慮を行う観点から以下の論点についてどう考えるかということでございます。
1点目といたしまして、わかりやすい日本語への改善ということでございますけれども、試験問題の日本語表記の改善ということで、現在、先ほど御説明申し上げましたけれども、「易しい用語への置き換え」「複合語の分解」「主語・述語・目的語の明示」「否定表現はできる限り肯定表現に転換する」等の措置を講じておりますけれども、この措置が十分であるかどうかということ。あるいはさらなる工夫としてどのような方法が考えられるかということでございます。
2点目といたしまして、介護等の学問上・法令上の専門用語の置き換えということでございます。この点につきましては、これまでの方針といたしまして、介護福祉士の方々につきまして、基本的には学問上・法令上の専門用語は原則として置き換えをしないということを決めておるところでございます。
趣旨といたしましては、利用者の安全確保に影響することがないかどうか、介護の専門職として当然に知っておくべき用語かどうか、医師、看護師、介護支援専門員など関係職種と連携して業務を行う上で支障がないかという観点から検討した結果、原則として法令用語及び専門用語は置き換えをしないということにいたしておりますけれども、この点についてどう考えるかということでございます。
3番目といたしまして、EPA介護福祉士候補者の方、文化あるいは生活習慣も異なる外国からいらっしゃっているということがございます。そういう中で、日本固有の社会文化に基づく表現が含まれる用語というのを試験問題から排除するという考え方についてどう考えるかという点でございます。
4番目、難しい漢字への振り仮名の付記につきまして、私ども、大臣の方針も受けまして、実質的な公平を図るという観点から、試験問題の漢字すべての振り仮名を振るということが適当ではないかと考えておりますけれども、その際、前回でも必ずしも候補者の役に立たないのではないか、かえって邪魔になるというような御意見もございましたので、EPA介護福祉士候補者によって従来の振り仮名対応の試験問題と漢字すべてに振り仮名を振る対応の試験問題を選択できるような体制にしてはどうか。試験会場で両方配付する方法も含めまして、そういったことの対応についてはどうかということでございます。
2番目といたしまして、試験時間の延長の関係がございます。日本語を母国語としないEPA介護福祉士候補者の方に対する実質的な公平を図る観点から、試験時間の延長を行うことが適当ではないかという点でございます。
その際の延長する時間につきまして、現在、介護福祉士候補者の試験につきましては、弱視の方については1.3倍、点字等の受験者の方については1.5倍ということにいたしておりますけれども、具体的な時間設定についてどう考えるかという点がございます。
3番目といたしまして、母国語、英語での試験とコミュニケーション能力試験の併用の適否についてでございます。論点といたしましては、介護福祉士として就業していただく上で、同一の試験で日本語能力と介護に関する知識を合わせて担保することが必要ではないかという点についてどう考えるかということでございます。
もう一つは、看護師の国家試験における検討におきましても、医療安全の観点から適当ではないという結論が出ておりますけれども、介護福祉士候補者の場合にはどういうふうに考えるのかということがございます。
4つ目といたしまして、一定の合格率ということを候補者の非常な努力と、あるいはサポートをされた受入施設あるいは国の方でも一定の支援をしているということがございますけれども、今回の国家試験の合格状況ということを踏まえまして、効果的な学習支援を図るためにどのような工夫が考えられるのかという点につきましても、当検討会で議論を深めていただければ幸いに存じます。
以上でございます。
○潮谷座長 ありがとうございました。
ただいま論点について述べていただきましたけれども、この点に関しましては、これから行われますヒアリングで皆様方それぞれ認識、意識をしていただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
続きまして、議事3ですけれども、本日は、関係者の方々からのヒアリングの予定ですが、ただ、これに先立ちまして、学習支援に関わってらっしゃる橋本委員の方から、候補者の方々からのヒアリングを踏まえた資料を作成していただいておりますので、まずお伺いしたいと存知ます。
○橋本委員 国際交流&日本語支援Yの橋本でございます。よろしくお願いいたします。
今回、私が調査いたしました内容について御報告する前に、少しYというものについてお話しさせていただきたいと思います。
2008年8月、インドネシアから第1陣の介護福祉士候補者が来日いたしました。私たちは彼らの6か月の日本語教育を担当いたしました。その2年前になりますが、彼らのために何かできないかということを考えましてグループをつくり、こちらの『介護の言葉と漢字ハンドブック』というハンドブックを作成いたしました。こちらは2年かけて作成いたしましたが、これを作成したことがきっかけとなりまして、今の私たちの活動に続いていると思っております。
現在、学習支援として集合研修、通信添削、受入支援として巡回訪問、日本語及び漢字統一試験、受入施設担当者向けの説明会を国際厚生事業団と共同で実施しております。昨年度、受入支援、学習支援のすべての支援を担当させていただいたことにより、就労開始から国家試験までの一貫した学習支援の体制ができたと思っています。
この4年間、いかにしたら国家試験に合格させることができるだろうか、そのことを考え続けて教材開発、学習支援の体制を築いてまいりました。今回、私の方で参考資料1~6までお配りさせていただきましたが、その6をごらんいただけますでしょうか。こちらは候補者たちが現在使用している主な教材ですが、こちらの教材はほとんど私たちがつくらせていただきました。まずこちらのブルーの部分なのですけれども、ここにピンクの方がございますが、こちらは読解、速読力の養成にためにつくったテキストです。そのほかはすべて漢字の教材になっています。
裏面をごらんください。この2冊は民間の業者さんの本ですけれども、この下のピンクのものは日本語の学習から国家試験の学習へ移行するための準備の段階のテキストです。そして、こちらの4冊はすべて新カリキュラムに対応した国家試験対策のテキストとなっております。こちらにもお持ちいたしましたので、興味がおありであればごらんいただければと思います。
現在、ほとんどの施設では、施設の担当者が候補者の学習に携わっていらっしゃいます。彼らは日本語の専門家でもなければ国家試験対策の専門家でもありません。また、候補者にとって働きながらの学習は決して易しいものではないと思います。施設における学習は、シンプルでわかりやすく達成感がなければならないと思います。また、国家試験に対応する日本語力とは、漢字と漢字の言葉と速読力、こう考えて先ほど御紹介いたしました教材は、この観点から作成しております。
それでは、私が今回調査いたしました内容につきまして御報告させていただきます。
第24回、1月に実施されました国家試験の中で受験いたしました候補者たちが、どの言葉の意味が分からなかったかということについて調査いたしました。
調査の目的は、来年1月に受験する21年の入国の候補者たちに対しての教材作成です。
この国家試験が日本の介護福祉士として必要な知識と考え方を測るものであるならば、外国人であってもできなくてはならないだろうと思います。わからないものがあるならばわかるようにしようというのがこの教材をつくる意図です。
また、調査中にこちらの検討会のお話をいただきましたので、皆様方に候補者がどんな言葉の意味がわからないのかということをお知らせできる資料にもできたらと思いまして、今回提供させていただきます。
ついでと言っては何でございますが、せっかく候補者に意見を聞く機会がありましたので、英語表記とルビについても調査いたしました。誤解のないように申し上げておきますが、この言葉が難しいからこの表現がわからないから易しくしてほしいというのは私の本意ではございません。
調査の方法ですが、候補者にフォーマットを送りまして、どの問題でどの言葉がわからなかったかということを書いてもらいました。そして、記入後、回収いたしました。一部聞き取り調査をしております。
調査依頼30名、うち回答26名、記入20名、聞き取り6名。
それでは、結果の方をごらんいただきたいのですが、参考資料1のこちらが結果の表になっております。先ほど6名に聞き取り調査をしたと申し上げましたが、そのうち4名が不合格の候補者でした。そのうち3名については、余りにも選んだ言葉が多かったものですから、こちらの表に入れているときりがなかったもので、3名についてはこの表には反映させませんでした。
この表の見方ですけれども、一番左側の列は「わからない」とした言葉が入っている問題番号です。その次は、その問題のどこにこの言葉が入っていたかということで、事例文なのか、指示文なのか、どの選択肢なのかということを表しております。次が「わからなかった」とした言葉です。数字が入っているのは、この言葉がわからないとした人数です。表現についてもわからないものがあったら挙げてほしいとお願いしたのですが、余り数は出てきておりません。
左側が合格者、右側が不合格者です。
表中の黄色のセルの言葉ですけれども、こちらは介護の専門用語といたしました。専門用語といいましても一般語彙も入っているのではないかと思われるかもしれませんけれども、彼らが国家試験対策の勉強、学習の中で学んだ言葉については専門用語といたしました。
そのほか表中の赤の文字は問題文中ルビが振ってあった漢字、ルビが振ってあった言葉です。
結果から申し上げますと、どの言葉を候補者が一番わからないとしたかということについては、こちらの資料の4ページと5ページに挙げておきました。ナンバーワンは「位牌」です。17名がわからないとしました。次に「卑屈」15名、「仏壇」「甥」13名、「鮮明」「舗装」12名、「悟り」「双極性」11名、以下6名以上のものをそこに挙げております。
この結果から見てどのようなことがわかるかというと、余り特徴的なものがあったかというわけではありません。この表を見ますと、非常にたくさんの言葉が挙がっているように見えるのですが、1人だけが「わからない」とした言葉が大変多かったのです。ですから、最初に彼らから集めた記入用紙を見たときに、意外とわからないと言っているものが少ないと思いました。
聞き取り調査の際に私たちの方でこの選ばなかった言葉について、この言葉はどうかと聞くと、そういえばこれはわからないというような反応が何度かありました。詳細な意味がわからなくても全体の意味がわかれば回答ができることから、余り小さい言葉にはこだわっていないのだなということがわかります。どんどん漢字から言葉を拾って読み飛ばしているのだと思います。
参考資料2、もう一つの表なのですが、こちらは私ども国際交流&日本語支援Yの日本語の教師がここ数年、彼らの国家試験対策の勉強に携わってまいりました。その経験から、この言葉は恐らくわからなかっただろうというものを抜き出してあります。これと彼らが出してきたものを見比べましても、かなり語彙の数には差がありました。こちらの方は候補者にとってどのようなものがわからないのかというものの参考にしていただければと思います。
そのほか何か特徴がないかと思いまして、先ほど6名以上の候補者がわからないといった言葉について見てみました。まず、候補者の日常に余り現れない言葉についてはわからないとしています。例えば位牌、仏壇、甥、舗装、ベンジン、電磁調理器などです。これらの言葉は彼らの仕事の中では余り使われない言葉であり、また、生活の中でも現れない言葉だと思います。
次に抽象的な言葉として、卑屈、悟り、葛藤、非常に理解の難しい言葉だと思います。もう一点でございますが、もう一度、先ほどの表に戻っていただいて表を見ていただきたいのですが、黄色い専門用語の言葉です。合格者と不合格者を見比べてみますと、不合格者の方が専門用語がわからないとした言葉が多かったという結果になります。
それでは、このような言葉が実際わからなければ正答に至ることができなかったかどうかということについて考えてみたいと思います。
飛びますが、資料の10ページをごらんください。
先ほど候補者が挙げました言葉を表にしてみました。そして、この言葉がわからなければこの問題が解けなかっただろうと思う言葉には「不可」を付けました。この言葉がわからなくても正答に至るのには支障なかっただろうと思う言葉は「可」としてあります。また、「△」でありますけれども、この△の匿名化と不一致という言葉は正答の中に含まれている言葉なのですが、ほかの4つの選択肢の部分で内容がわかれば、この選択肢を選べただろうということで△にしてあります。
こう見てみますと、問題文中の言葉が2~3わからなくても全体の文意が理解できれば正答に至ることができると考えます。また、もう一点は、しっかりとした専門知識があれば、何が正解であるかということがわかりますので、正答を選ぶことができると思います。
もう一点、言葉にこだわらせていただきました。参考資料4をごらんください。問題の43と問題の83をそちらに書いてあります。まず問題43ですが、「公営住宅」という言葉が出てまいります。この言葉につきましては前回私が質問させていただきました言葉ですが、この言葉自体は漢字も難しくなければ意味もそれほど難しい言葉ではありません。恐らく候補者もほとんどの候補者がこの言葉は読めたと思います。
また、意味の理解といたしまししては、公がしている住宅という理解をしたということが考えられます。公といいますのは、彼らの国家試験の勉強の中で国や地方公共団体という勉強をしておりますので、その点からの解釈ができたと思います。しかし、この問題は、公営住宅をそのように理解しても正答に至ることができませんでした。前回、私の質問に北村先生がお答えくださいましたが、この公営住宅という言葉の持つ日本人のイメージ、また文化的・社会的背景が理解できなければこの正答が選べないのです。例えば3階建てでエレベーターがない、また入居するのに所得制限がある、このことがわかることによって正答が選べるわけです。候補者にとってはそこまでの文化を理解するというのは難しいことだったと思います。私も今回の問題を見まして、この問題は多分ベストスリーに入る難問かなと思いました。
次に問題の84ですが、いろいろ物議を醸し出しておりました位牌、仏壇という言葉が入った問題です。この問題ですけれども、選択肢を見ますと、もう彼らが勉強してきた過程を見ると、容易にこの正答が選べたと考えられます。また、この言葉が入った選択肢ですが、夫の位牌や仏壇は息子に預かってもらう。もしこの位牌や仏壇という言葉がわからなかったとしても、夫の何とかは息子に預かってもらうという理解ができます。その前の事例文では夫が死んだことを非常に嘆き悲しんでいるわけですから、夫の物が自分のところからなくなってしまうということは非常に悲しい、それは正しくないだろうということへの考えができていくと思いますので、それほど難しい問題ではなかったと考えます。
また、日本語教師の立場から言わせていただきますと、仏壇や位牌というのは物の言葉です。物の言葉はそのものを見れば何かということが理解できますし、説明する側も理解する側もそれほど難しい言葉ではありません。一方、先ほど挙がっておりました抽象的な言葉、卑屈、悟り、葛藤です。これらの言葉は私たちが説明するのも非常に難しいですし、理解するのも難しいです。また、漢字からその言葉の意味をイメージするというのもどのように指導していいかというのは非常に難しい言葉だったと思います。
彼らにとって何が難しくて何が易しくて、また易しくするということはどういうことなのかということについては、この検討会の機会にどこかでお時間をいただいてお話しさせていただきたいと思いますが、参考資料3で私たちのつくりました事例問題読解というこちらの本の問題1についてお配りいたしました。このテキストは読解、速読の養成としてつくりましたけれども、題材は国家試験の中の事例問題を使っております。上級の問題は国家試験の中の事例問題そのものです。中級はそれを少し易しくしました。どのように易しくしたかというと、言葉と文法と表現については中級レベルに落としてあります。そして、初級ですけれども、こちらは非常に易しくなっています。日本語教育の中で初級という勉強の段階、文法が終わり、また基本漢字300というところの勉強が済んだ時点で読めるレベルまで日本語を落としました。
これを参考に見ていただきますと、彼らがわかる日本語が何なのかということが少し御理解いただけるかと思います。しかし、実際に彼らの勉強は既にこの上級が読める状況にまで持っていってありますので、この辺のことは読めると思っていただければと思います。
それでは、最後になりましたが、英語表記とルビについて報告させていただきたいと思います。参考資料5をごらんください。まず英語表記についてです。18名について調査いたしました。18名中14名が英語表記についてあってよかった、役に立ったと答えております。そのほかに片仮名語については、すべての片仮名語に原語表記があったらいい、原語表記を付けてもらえないだろうかという希望を述べています。
私も片仮名の言葉は外国人が理解するのは難しいということがわかっておりますので、是非そうなるといいと思っておりますが、私たちが開発しましたこちらのテキストもすべて省略の言葉と片仮名の言葉については原語表記いたしました。
続いてルビですけれども、18人中2名だけが総ルビが欲しいと述べました。この2名は不合格者です。そのほかの16名につきましては、総ルビは要らないと言っております。その中で6名は、読み方がわかりにくい漢字にはあった方がいい、本当に難しい漢字には振り仮名が欲しいと言っております。私もルビについて全く反対するわけではないのですが、ルビは学習の段階で確かに便利な場合もあります。私たちの先ほど御紹介いたしましたこのテキストでも、初級の段階ではそこまでに勉強しなかった漢字
専門用語にはルビを振ってあります。また、このテキストでもそれまでに彼らが漢字学習の中で勉強しなかった漢字、または語彙、専門用語、そして特別な読み方をする言葉については、やはりルビを振りました。
彼らにとって本当に難しい漢字というのは何でしょうか。それは多分に個々によって違うわけです。何を難しいかというと、それは彼らが知らない言葉、知らない漢字です。その知らない言葉、知らない漢字というのは、私たち日本人が難しいと考えるものとはかなり違っております。たとえどんなに難しいと思っても、彼らが日々仕事で使っている言葉、そして国家試験の学習の中で何度も何度も勉強した言葉などは決して難しいとは思っておりません。例えば「褥瘡」「脳梗塞」「嚥下」「咀嚼」などについては、もう何回も出ておりますので、決して彼らにとっては難しい言葉ではないわけです。
以上でございます。またの機会に、易しくするということはどういうことかということについてはお話しさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
○潮谷座長 ただいまお聞き及びのとおり、橋本委員の方からは詳細な御報告をちょうだいいたしました。橋本委員の状況報告について論議する必要はございませんが、どうしても質問したいということがございますならば、お受けしたいと思いますが、いかがでございますか。もしなければ、少しし時間が押しておりますので、今日は現場の方の関係者の方たちがヒアリングにおいででございますので、そちらの方に進めさせていただきたいと思います。
ヒアリングの資料は4でございますので、皆様、よろしくお願いいたします。
まず日本語教育学会の遠藤先生から御説明をお願いいたします。プレゼンテーションの時間は大変申し訳ないですが10分間ということでございますので、よろしくお願いいたします。
○遠藤先生 日本語教育学会の遠藤と申します。
短い時間ですけれども、日本語学、日本語教育の立場からの意見をということでしたので、23回、24回、今回と前回の試験に限って、その試験問題を見ながら、どういうところが難しいか、どうすれば易しくなるかといったことを考えてみたいと思います。
(PP)
こういう人たちが試験を受けるわけです。
(PP)
今日の発表はこの5点に絞っております。設問の形式、文章、用語、外来語、ルビ。ルビについてはいろいろ今まで出ておりますので、簡単にいきたいと思います。
(PP)
まず設問の形式です。23回から大変よくなりまして、それまでは設問の仕方が非常に複雑だったのですけれども、選択肢が5つある中から何かを選ぶということになりました。、その際、選ぶのが正しいものか、適切なものか、最も適切なものか、最も多いものかといった、選ぶもの、ことばが違います。それが、第23回は8種類ありました。そして、今回第24回は9種類の選択の形式があります。これは大変複雑になります。同じものが繰り返し出ればよろしいのですけれども、それがさまざまなもの、例えばひどいところでは、この中の6種類が順番に1個ずつ出てくる、70番は正しいもの、71番は誤っているもの、72番は正しくないもの、73番は適切なものといったような非常に複雑な組み合わせになっているところがありまして、これは受験生にとっては大変混乱させられるところだと思います。更に肯定的な質問ですとまだいいのですけれども、否定的な質問、適切でないもの、誤っているもの、これは一ひねりしてありますので、そう簡単には解けないわけです。
参考までにほかの試験はどうなっているかと見ましたら、看護師の国家試験では、こういうことはないのです。何々はどれか、正しいものはどれか、適切なものはどれかという形ですべて統一されておりまして、正しくないものはどれかというのはなかったのです。ですから、そのようなところは是非参考にしていただきたいと思います。
(PP)
次に文章について。1文が大変長いのがあります。一日中ベッド上で過ごし、排せつ、食事、着替えにおいて介助を要するが何とか何とかと、丸が最後まで付かないのです。これだけで4行ありますけれども、これで1文なのです。これで1つ選びなさいときて選ぶのです。
こういうものは、やはり読む場合も大変時間がかかりますし、何度も繰り返して見なければいけませんので、例としてこれがいいかどうかわかりませんけれども、切って、Aさんは障害高齢者である、Aさんは何々している、何ができない、そういったような書き方ですと正しいものを選ぶのにすぐに結び付くだろうと思います。
(PP)
次は構文が複雑です。左大腿骨頸部骨折で入院していた軽度の認知症のAさん。Aさんまで来るのにこれだけのことばの修飾語がかかってくるわけです。これは連体修飾句とか言っていますけれども、連体修飾、つまり体言を修飾することばが先に来るわけで頭でっかちの文章になるわけです。こういうものはよくない、わかりにくい。まずAさんはどういう人なのか、これは主題文と言っていますけれども、Aさんは何々だ、Aさんは何々だという文にすれば非常に理解がしやすくなります。例に挙げましたけれども、Aさんは軽度の認知症がある。Aさんは大腿骨頸部骨折で入院していた、というふうに書き直すことができます。それは問題の中身を変えることではないのです。問題を読みやすくするだけのことですから、特に甘やかしているとかそういうことではありません。これは日本人にとってもこういう問題の方が読みやすいことは事実なのです。
(PP)
ほかにもこういうのがたくさんありまして、これもGさんという体言の頭に「訪問介護サービスを利用している認知症の」という修飾語が来ている、これをGさんは何々している、でいけばもっとわかりやすくなりますし、4番、Jさんは嚥下機能が低下し、食事摂取量が減少した結果、低栄養状態が問題になっている。だから、原因、結果、確かにそうでしょうけれども、先に説明が長く来ていてポイントがつかめない。Aさんは低栄養問題が問題になっている、それは何々だからとしてもいいわけですし、とにかく文章を長くしないで、頭でっかちにしないで一つひとつ切っている、そういう形にすれば非常にすっきりします。5番も同じです。
(PP)
これは私が勝手なことを言っているのではありませんで、医師国家試験を見ましたら、こういう例がたくさんあるのです。38歳の男性、来院した、2日前何々した。その次の看護師国家試験の事例問題もそうです。39歳の女性、夫と2人の子どもとの4人暮らし。非常にすっきりしています。こういう問題がほかの国家試験では出されているわけですから、介護福祉士国家試験の方でもこのような検討をしていただいたら非常にすっきりするのではないかと思います。
(PP)
助詞を使うことによってわかりやすくなることがたくさんあります。6番の場合は、急速に強くなり、ここ数日ふらつくようになった。この「何とかになり」とか「何とかにより」とか「何とかをし」とかというのは、連用中止法と私たち言っているのですけれども、動詞を連用形で中止している。それに接続助詞の「て」を入れると非常にわかりやすくなる。「なり」とか「し」とか「より」とかというのは、文章語としては多く使われますけれども、話しことばとしては「て」を入れて「なって」「して」というように接続助詞の「て」を使うことが多いのです。ですから、「て」を使うことの方が非常にわかりやすくなるということで、助詞を1つ「て」を入れるだけで随分変わります。
7番、「ユニットとは洗面設備と~の組み合わせのことである。」の、「とは」を「というのは」にすれば、これでまたよくわかります。
もう一つ、これは助詞ではありませんけれども、「居室の組み合わせ」のことです。組み合わせという名詞形になっていますけれども、これを動詞にするともう少しわかりやすくなる。「居室を組み合わせたもの」とすれば、またわかりやすくなってきます。抽象度の違いなのです。動詞の方が具体性があるわけです。
8番、これが非常に困るのですけれども、同じ助詞なのですけれども、意味は同じなのですけれども、4週間経ったころより物忘れがある。普通は4週間経ったころから物忘れが急速に強くなる。書くときは何とかよりと書きますけれども、普通、易しい日本語としては「から」で済んでいるわけです。一般に「から」で通用するわけです。こういうところで助詞の使い方を考えていただきたいのです。
(PP)
次は読点です。この点が1つあることでこれまた大変楽になります。9番、「利用者のニーズより現状の介護サービスを適合させることを尊重する」。これは長いのですけれども、読点がない。「利用者のニーズより、現状の介護サービスを適合させる」と、読点を入れると、比較の「何々より」ということがわかるわけです。ここで点が付くことによって区切りが出ますし、文章が読みやすくなります。非常に長い文、1文に読点が全然ないのがありますので、そういうのは是非入れていただきたいと思います。
11番もそうです。これは2つも入れましたけれども、これは後の方の「盛り上がりがより球に近くなる」の「盛り上がりがより」と平仮名の連続があるものですから、どこで切れているかわかりにくい。そこで「盛り上がりが、より球に近くなる」としました。そうすると、割ったときにも点が欲しくなる。こういったところで、これは全然点がない文章ですけれども、点を2つ入れると非常にわかりやすくなるという例です。
(PP)
主語が明記されていないのは困ります。いろんな人物が出てくるわけですから、AさんがいつまでもAさんなのか、Aさんをケアする職員なのか、介護職はとかが出てきますので、そういったところで、これは赤い字で書きましたように、これに職員がないとAさんなのか職員なのかわからない。勿論、全部読めばよくわかりますけれども、一見わかりにくい。これがあるとすぐわかる、そういう意味です。
複合語、長い言葉が多いのですけれども、それを分解したら易しくなるということです。1番は形容動詞の活用語のみ挿入すると書きました。これはもともとも大規模入所施設という一言になっているのですけれども、これは元は大規模な入所施設であったはずなのです。「大規模な」という形容動詞の「な」があって、それがいつの間にか「な」が落ちて一語になってしまった。これは新聞の記事などが非常に多いです。法律とか新聞の記事はこうなりがちなのです。ですから、順々に語がつながって長くなっていくのですけれども、それを元に戻せばいい、長い一語をことばとことばを分けて、二語にすれば、あるいは三語にすればわかりやすくなる、そういったところです。
何々的なというのも「な」が落ちて2語が結合していることが多いのです。そうした「な」をいれて元にもどすとわかりやすくなるのです。勿論、「な」が落ちてしまっている語で、元に戻せなくなってしまっているのもあります。「知的障害者」など固定した語として言ったときに、「知的な障害者」とは言わず、「知的障害者」と言っていますから、そういったものにまでは「な」が欲しいとは言いません。そうではなくて入れても構わないものはたくさんありますので、そういったところには助詞とか活用語尾を入れていただきたい。
助詞の「の」です。これも同じことです。金銭管理というよりも金銭の管理といった方がわかりやすい。また、「の」だけではなくて、他の語を補って分解すると、「体温を調節する機能」とすれば非常によくわかるわけです。
(PP)
難解な語句、これは助詞を入れてもどうにもならないのもありますけれども、そういったものはやはりわかりやすいことばにしていただきたいと思います。先ほどの橋本先生の方にも「一元化」というのがありましたけれども、「一元化」というのは非常に難しい。だから、「1つにまとめる」とすればそれでいいのではないか。もっといい言い換えはあると思いますけれども、要するにそういう易しくする工夫というのはこういうところでしていただきたいと思います。
「段階的に減らす」も、「少しずつ減らす」か、「順を追って減らす」か、どちらになるかわかりませんけれども、どちらかコンテキストに合わせて易しくしていただくことはできると思います。
「冷房を切る」と書かれていますが、最近は「エアコン」と言うほうが多いでしょうし、「控える」と言わないで、「使わないようにする」と言えばすぐわかるわけです。「安静にすると消失する」とありますけれども、何が消失するかわからない。「安静にすると痛みが消える」と言えばこれでわかるのではないかと考えます。
(PP)
これはどうにもならないものが多いのですけれども、これだけ長い言葉、一番上は13文字続いています。次は12文字、11文字。10文字以上をここに挙げました。まだまだ8文字以上などというのがざらに出てきています。こういった長い漢字の連続のことば、一語のことばが国家試験に出てきて、わずか3年か4年しか日本語を勉強していない、漢字を勉強していない人たちがそれを理解しなければいけない。その苦労を是非思いやっていただきたいと思います。漢字をマスターしてしまった人もいますからこういうもので大丈夫という人もいるでしょうけれども、多くはこういうところで呻吟しています。
非漢字圏のある留学生は、漢字の森に迷い込んでしまったら出られないと言っています。その森を出るための手ほどきが助詞を入れることであったり、語と語を分けることであれば、是非そういうような支援をしていただきたいと思います。
(PP)
これは先ほどの橋本先生の方にも出てきましたけれども、外国人にわかりにくい。要するに日本の文化背景、社会、そういったものを背景としたことばだからわかりにくくなるわけです。これも10年もいれば外国人でもわかる人が多いですけれども、3年、4年ではわからないことが多いです。ですから、どうしてもそれが問題として必要ならば仕方がないですけれども、そうではなくて、問題を見ているとほかのことばでも言えることばはたくさんあるのです。例に挙げるのでしたらば、ほかのことばで言い換えることができるわけです。そういったところで、こういうものは困っているということをわかっていただければ問題作成のときに是非配慮していただきたいと思います。
(PP)
原語を添えるというのが先ほどもありました。今、行われていますのは病名だけです。病気の名前と長い専門省略語を英語、原語を付けるということは徹底してきました。大変いいことだと喜んでおります。ですけれども、そうではない片仮名のことばの長いのがたくさんあるのです。ノ・ー・マ・ラ・イ・ゼー・ションと一つひとつ読んでいく、ワ・ー・ク・シェ・ア・リ・ン・グと読んでいく。そして、ああそうかとわかるまでにかなり時間がかかるわけです。外国人が日本語を学習する際、の非常に困るのは片仮名語といつも言います。日本語の外来語は、日本語の発音を片仮名で書いたものだからです。原語に合った音の片仮名になっていれば少し接近しますけれども、日本語式の発音に基づいた片仮名だからわからなくなってしまうということです。
そして、長いだけではなくて、例えば58番に「ナトリウム」というのを書きましたけれども、ナトリウムで英語で通じているかというとそうではなくて、これはオーストリア語のナトリウムが日本に入ってナトリウムの片仮名になったのですけれども、英語ではsodiumと言っている。そうすると、英語がわかっているにしてもナトリウムと読む語が何であるか一致しないわけです。そういう場合には、化学記号、NaとかKとか、こういったものを付けていただくとすぐわかる。こういうことも配慮していただきたい、そういうことです。
今年の問題、同じような原語の中で困りましたのは、75番、「ニトログリセリン」。これも英語式ですとnitroglycerin。nitroと知っている人がニ・ト・ロ・グ・リ・セ・リ・ンと読んでいって、あれだとわかるか。なかなかわかりません。本当に日本語の片仮名語に精通した人でないと、そうか、あれだとは思わないわけです。だから、そういったところでも原語を付記していただいたり記号を入れていただくと、これは大変ありがたい配慮になると思います。
(PP)
ルビについては、先ほどもお話がありました。今回、前回、付いていますけれども、よく見ますと、不徹底なところが多くて日本語として見たときにおかしいところがあるのですけれども、それは今回時間もありませんので申しません。厚生労働大臣が看護師国家試験で今度はルビを振ると、総ルビと時間延長をおっしゃった。これは画期的なありがたいお話だと思います。
これを介護福祉士の国家試験にも適用していただきたいと思いますし、それにつきまして先ほども要らないと言っているという人がいるというお話もありますけれども、要らない人もいるでしょうけれども、欲しい人は絶対います。欲しい人の方がはるかに多い。これは不合格の人が欲しいと言っているというのでおわかりになると思いますけれども、やはり中くらいのところで頑張っている人たち、もう上の方で悠々と合格できた人たちはそう言うでしょうけれども、中くらいから頑張って上の方のレベルに行こうと思って頑張っている人たちもたくさんいるわけです。そういう人たちには、やはりルビは付けてほしい。
ルビがあるとうるさいとかという方もいますので、その場合にはルビなし版とルビ付き版と2つを準備する。それを選ぶようにすれば問題は解決します。現に東京の都立国際高校ではそういうことをしていますし、文科省の中等卒業程度の認定試験でもそういう措置が取られていると伺っております。ですから、こちらの介護福祉士の試験の方でもそういう処置を取っていただきたいと思います。
(PP)
最後にまとめになりますけれども、本当に3年か4年ぐらいで非常に過酷な条件のもとでいろんなことを身に付けなければいけない。まず日本語能力が十分でない、日本語で現場の理念、介護理念、介護技術、介護知識を身に着ける。そして、20年以上日本語で生活してきた日本人と同じ国家試験を受ける。大変プレッシャーも多いし、心身共に過酷な条件にいます。介護現場というのは言うまでもなく、利用者の人権と人格の尊重が基本になっています。そこで働く人たちの人権、外国人候補者たちの人権も当然守られなければいけない。そのためには、苦労して苦役として過酷な労働として苦しみながら呻吟しながら日本語を学ぶというのではなくて、日本語の習得とか国家試験への挑戦が候補者たちの新しい世界を切り開く用具として、自ら求めた目標を達成する、そういう喜び、楽しみ、それを伴うものであってほしい、そう思います。そういう意味での平易化ということを是非進めていただきたいと思います。
以上です。
○潮谷座長 ありがとうございました。
個別の質問は、それぞれのお立場からの状況をお聞きした上でお受けしたいと思います。それでは、引き続きまして、日本インドネシア協会の西田参与に説明をお願いいたします。申し訳ありません。同じように10分程度ですが、大体今のところ倍ぐらいになっておりますので、よろしくお願いいたします。
○西田参与 ただいま御紹介いただきました西田達雄です。
今までの話とは多少違ってくるかと思いますが、インドネシアに絡んだところが多く出てきますが、お聞きいただければと思います。
まず初めに本検討会、「EPA介護福祉士候補者に配慮した国家試験のあり方」ということで発足されておりますが、その御配慮に感謝申し上げますとともに、私は正直ですから、額面通りに受け止めたいと思います。
私の発言順序としましては、日本インドネシア協会について、その次にヒアリング内容につきまして意見、コメントを申し上げ、最後に厚生労働省や本検討会メンバーの皆さんにお願いを申し上げたい、この3点で発言させていただきます。
まず1番、インドネシア協会の概要は既にお手元の資料として提出済みでございますので、御参照ください。当協会の福田康夫会長は当初より本件に多大な関心を持っておりまして、我々当協会としましても、本事業のスタート時よりインドネシア候補者への支援活動を始めておりますし、スタートして1年後には厚生労働大臣を始め関係大臣に対して日本語研修の充実、滞在延長要請に加えて、肝心の国家試験用語の平易化を強く求める要望書を提出しておりまして、かかる要望は6大臣に提出して既に3回になっております。
次に各地の支援団体や個人と連携するとともに、昨年に続きまして今年もEPA看護師候補者第2陣及び介護福祉士候補者第1陣のすべての受験者(249名)に対して福田康夫会長直筆のサイン入りの表彰状、これは日本語とインドネシア語を併記しております。表彰状を送り、彼らにとり異国の地、日本での労をねぎらい、その仕事ぶりと日本語学習をたたえて、引き続き各々の仕事を通して、日イ両国のかけ橋となり、その絆を強めてほしいと表現しております。その心は、特に志半ばで母国に戻る不合格者に対しての我々の最低限なし得るメッセージであろうかと思っております。更に帰国後のアフターケアといたしまして、ジャカルタの日本大使館や日本人組織であるジャカルタ・ジャパンクラブ(JJC)、更に我々のカウンターパートでありますインドネシア・ジャパン友好協会にお願いするとともに、現地の日本企業の工業団地会社に対しても再就職へのチャンスなど特別配慮を求めております。
次にヒアリング内容に関することです。難しい用語に対するこれまでの御配慮は評価しておりますけれども、最近の厚生労働大臣御発言の通り、すべての漢字に振り仮名を付けていただくとともに、病気、疾病を示す単語のみならず、先ほどもお話がありましたが、様態を示す難しい言葉などにも英語を併記願いたいと思います。今、日本は御存じのとおり小学校から英語を学ぼうとしておるわけですから、日本人のためにも必要ではないかなと思ったりします。
何分彼らは26文字のローマ字を使う非漢字国から来た母国での有資格者でございます。また、現場の実技では高い評価を得ていると伺っており、慣れない筆記試験で多くを不合格にするのはいかがかと思っております。もっと現場の声を真剣に評価されるべきではないかと思います。
実は私ごとになって申し訳ないのですが、私もインドネシアに十何年駐在して帰ってきまして、勤めておった会社の外国語試験で、しかもインドネシア語の試験がありまして、12年間おったわけですから日常会話は全然問題なくやっておったのですけれども、その会社でのインドネシア語の試験を自信を持って受けたのですが、悲しいかな、評価ABCDがあり、Cになりまして、矢張りいかに日頃しゃべっておっても紙の上でのテストとなると難しいなというのを当時実感した恥ずかしい話がございます。
また、試験時間についても、もう少し延ばしていこうと考えていただいているようなのですが、是非日本語を読んで考える時間を十分与えてやってほしいと思います。今のところ1問平均1分何ぼ、2分を切っておるのが現状かと思います。そして、次の設問の母国語、英語での試験とコミュニケーション能力併用の適否に関する意見というのがございますが、実は昨年12月、看護師国家試験検討会の場で、私は英語での試験をリコメンドし、難解な日本語試験用語を平易化しない限りインドネシア語には訳せないということを申し上げました。だから、この場でこの件が前向きに検討されるということではないのではないかと思っておりますのでこの辺にしまして、日本語をいかに易しくするかということに重点を置いて御議論いただいたらいいのではないかと思っております。
3番目の効果的な学習支援に関する意見ということには、私はその立場にないと思っています。
4番目には、今後のことについてちょっと出ておりますので、候補者の皆さん、30歳前後の若い方々でございますので、合格して有資格となっても一身上の都合で一時帰国をせざるを得ないケースも出てこようかと思います。そういったときに将来の再入国、再就職、、就労ビザなどにつきましても是非今から考えておいていただく必要があろうかと思っております。
なお、本年度において、官の方は御存じだと思いますけれども、国家予算として国の直接財政支出が21億円以上本件にアロケートされておりまして、外務省、経産省、厚労省、3省にアロケーションされております。是非費用対効果という点からも本事業の成果をよくよく御検討いただきたいと思っております。
また、厚生労働省御当局におかれては、この本事業は両国政府間協定により受入れ人数を規定した上での本事業でございます。常夏の国インドネシアから四季ある異国の地日本へ家族と別かれて来日し、日本各地の施設で真面目に明るく勤務をこなし、日夜難しい日本語学習に励む彼ら全員に対して是非とも有資格者への道を大きく開いてやってほしいとお願い申し上げます。
最後に更にお願いとしまして、歴史も絡んだお話をさせていただきますが、日本とインドネシアの関係において、第2次世界大戦終了後、祖国に帰らずインドネシア各地に残留してインドネシアのためにオランダとの独立戦争に加わった旧日本軍兵士約1,000名は、各地の英雄墓地に眠っておられますが、その二世、三世からなる組織体も本事業をインドネシア側でサポートしてくれております。
また、御高承のとおり、戦後、官・民ともに営々として築いてきた極めて良好な日本とインドネシアの関係が維持・発展されており、アジアの中でナンバーワンの親日国であるインドネシアにおいて、本事業は大変注目されており、実は昨年6月、東北震災見舞いのためにわざわざ来日されましたインドネシア・ユドヨノ大統領と福田会長との会談に私も同席させてもらいましたが、本件は大変大きな話題となりました。
この後、4人のインドネシア漁船員を亡くした気仙沼市に大統領は向かわれて、気仙沼市に200万ドルの義援金を手渡されましたが、それに加えて、インドネシアからEPA候補者を受け入れている東北地方20か所の病院や施設に対して、1か所100万円、計2,000万円のお見舞金が我々のカウンターパートであるインドネシア・ジャパン友好協会より渡されております。
最後に、日本政府においては、インドネシア、フィリピンに続き、ベトナムより受け入れを両国間で合意されており、本事業が長きにわたり、継続、深化して、人口2億4,000万人のインドネシアを始めとするASEAN諸国と我が国の間で開かれた幅広い交流が加速され、アジアと共に生きる日本が実証されることを心から願っております。
御清聴ありがとうございました。
○潮谷座長 ありがとうございました。
それでは、ガルーダ・サポーターズの星共同代表にお願いしたいと思います。
○星共同代表 座長、御紹介ありがとうございます。ガルーダ・サポーターズの共同代表の星さとるでございます。時間管理のためにタイマーを使わせていただきます。
○潮谷座長 ありがとうございます。
○星共同代表 私どもの意見は、資料4-3のペーパーにさせていただいております。途中、時間の関係で端折らせていただきますので、端折った部分はペーパーの方で御一読いただければと存じます。
ガルーダ・サポーターズはボランタリーに受入れ当初から直接支援と政策提言に取り組んできました任意団体でございます。
それでは、早速、内容の方に入らせていただきます。以下の事項ということで、冒頭「1」が抜けてしまいました。済みません。1-1、1-2の前の最初のところに「1」を振っていただけますでしょうか。
1-1.試験制限時間の延長、1-2.読み仮名の総ルビ、こちらの方は是非やっていただきたいと思います。条件として実質的な平等を確保するということが大変重要だと思います。
「2.受験機会の拡大」、こちらは今回の検討会の範囲かどうか微妙ですけれども、たった1回の受験機会だけということでは、実力はあるのに事故等で不合格になってしまうという方も考えられますので、拡大していただきたいと思います。
3番目、帰国者の方が引き続き現地で試験を受けられるということも是非検討していただきたいと思います。模擬試験まではこれからやられるということが決まっているそうですけれども、実技は日本の試験ないし免除対象になる講習でクリアーしている方についてのみとし、現地ではペーパーの試験だけやるというのであれば、実施体制は比較的現実的に組めると思います。今年、帰国した看護の人が4名、こちらにわざわざ来て受験したということですけれども、来日費用については民間からの支援を受けて初めて来られたと聞いております。この来日費用を国等が負担するということを考えると、それよりは現地の大使館等で試験を実施する方がコスト的にも現実的なのではないかと思います。
4番、こちらが今日、強調したい点でございます。主な論点の最後に入っていた「学習支援」というところになるかと思うのですけれども、試験の内容とか実施方法と併せて、そこをクリアーしていくための学習環境の整備ということ試験内容とセットで有機的に融合させるということが大変重要になってくると思います。
先ほど橋本先生の方からこれまでに整備されてきた教材等の御紹介がありましたけれども、これまで大変問題だったのは、まず2つはっきりさせなければいけない哲学が不明確だったことです。
1つは、まず日本語の能力をあるところまで十分に習得してもらって、そこから試験対策をしていくのか、それとも最初から両方並行してやっていくのか。これについて全体の関係者で合意するコンセンサスがありませんでした。これをつくっていく必要があります。
もう一つが漢字仮名混じり文というのは、「読める」ということに2つの意味があることから生じる問題です。1つは、もともと日本語を母語とする私たちのように、音の世界、つまり聞く、話すの世界と文字の世界、読む、書く、これを結び付けながら学習するという方向性と、もう1つは、文字の世界から意味にいきなり行ってしまって、音の世界に結び付けない方向性、日本語の学習においてはこの2つの方向性があります。
試験に合格するだけだったら、実は2つの世界を切り離して意味の方だけ行った方が早いですけれども、何のための専門資格なのかということを考えますと、現場で業務をするためには音の世界と文字の世界が結び付いていないといけない。だから、後でもう一回結び付ける苦労をすることになるはずです。それはばからしい。やはり最初から文字の世界と音の世界を結び付けながら学習していただくという基本哲学を関係者ではっきりさせるべきだと思います。
その哲学2つに基づいて来日前の学習、来日後の集合研修、施設に移ってからと、各段階でどこまでを達成目標とするのか、お互いにコンセンサスをつくって、この人は達成目標どおりここまで来ていますから、このテキストで後は基本的には本人の自力で勉強できるはずですよ、この人は少し助けが必要です、この人は残念ながらこの部分とこの部分、積み残しができてしまいました、ですから、その部分を補ってあげてからではないと次のフェーズに入れませんよというようなことを、達成度を共有する形で次にバトンを渡すことができる共通のナビゲーションマップみたいなものが必要になるはずです。テキストも、施設に移る前に、語彙としてはN3レベルまではクリアーしています、その他の漢字、用語としてもこの語彙のリストはクリアーしていますから、このテキストだったら読めるはずですと言えるテキストが必要です。逆に言うと、テキストをつくるときに、委員でいらっしゃる川村先生がおやりになったように、この語彙のリストがわかれば読めるはずだという語彙のリストを基にテキストが構成されているという状態が望ましいはずであります。
以上のような考え方に基づいてルートマップ、カリキュラム、訳語を整備して共有していく。訳語も今オーソライズされた形で関係者で皆共有している訳語の対応表というのは、必ずしもないと思います。私どもの友好団体の関西インドネシア友好協会さんなどにも専門のインドネシア語の専門家の方がいらっしゃって、一生懸命対訳表を積み上げてらっしゃいます。これがあちこちでばらばらな努力になっていて大変効率が悪くなっております。これを関係者で統一したものとして積み上げていく、それを共有財産、公共財として共有していくというオーソライズの取組みが必要になるはずだと考えました。
もう1つ、2ページの4-2.学習指導者養成システムが必要です。今、候補者たちに対する学習指導ができる専門家と言える人間は残念ながら日本にほとんどいないと思います。なぜかといいますと、介護の教育をできる方は日本語指導の専門家ではない。他方、日本語指導の専門家は介護の試験対策の教育ができるという人はほとんどいない。どちらのタイプの方にも、候補者に対する学習指導のために教育プログラム、養成プログラムというのが必要なはずです。新しい施設が増えていく、また、同じ施設でも担当者・支援者が替わることにより毎年、一定人数の受講者が出るはずですので、これをシステム化していく必要があると考えられます。時間の関係で5番、6番は端折らせていただきます。7番、こちらは母国語国試との関係で簡単にお話しいたします。
7-1は、今回この検討会で打ち出される改善策によりまして、これだったらうちも受入れしましょうと希望する施設数が増えるという展開になればいいと思うのですけれども、現在は受入施設のマインドが大変冷え込んでおります。これは受入れ事業が始まったときからの経緯でやむを得ないところもあるかと思いますけれども、十分施設数が増えるというところまで効果、インパクトが上がらない場合には、さらなる追加的な措置が必要になることも想定することになると思います。
そのときに7-1、母国語国試は看護と違いまして、介護については恐らく余り効果はないだろうと思います。看護はかなり国際標準的な概念が多いと思うのですけれども、介護は日本独特で日本が先を行っているところが多いはずです。これをわざわざ母国語にない言葉をつくっても何の意味もありませんので、こちらは余り効果のない施策になると思います。
どうせそこまで追い込まれるのだったら、もうその段階では介護福祉士でなければいけないという考え方自体どうなのだという話になってしまうのではないかと思います。そのほか算定基準等も検討せざるを得なくなる局面になると思いますので、是非この検討会で実効性のある改善策を提言していただければと思います。
ありがとうございました。
○潮谷座長 ありがとうございました。時間厳守、感謝を申し上げます。
それでは、最後になりますけれども、日本介護福祉士会の石橋会長、お願いいたします。
○石橋会長 こんにちは。ただいま御紹介いただきました日本介護福祉士会の石橋と申します。よろしくお願いいたします。
私の方は資料4-4の資料から御説明させていただきたいと思います。今回、いただいた課題でございますけれども、最初の1番目の試験問題を更にわかりやすい日本語に改善する御提案ということでございますが、今回、第24回の介護福祉士国家試験の結果を見ますと、このように易しい用語の置き換えとか専門用語等の難しい漢字に振り仮名をつけたり、疾病等について英語表記することの改善点に対しては、逆に日本人の方にとっても非常にわかりやすくなりまして、現にここ最近の合格率は約50%だったのが、今回は64%と非常に高い合格率になっていますし、またEPAの候補者の方も37.9%と高い合格率になっておりますので、現状の取組みで十分ではないかと考えております。
したがいまして、次の具体的な提案につきましては、特に意見はありません。逆に介護福祉士としての質の担保が確保できなくなるおそれがあり、余り行き過ぎた配慮は慎重にすべきだと思っているところでございます。
2番目の母国語、英語での試験とのコミュニケーション能力の併用の適否に関する御意見でございますけれども、これは前回の委員会の中でも資料として提出されておると思いますけれども、介護福祉士の定義規定におきましては「介護福祉士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもつて、身体上または精神上の障害があることにより日常生活を営むのに支障がある者につき心身の状況に応じた介護(喀痰吸引その他その者が日常生活を営むのに必要な行為であって、医師の指示の下に行われるものを含む。)を行い、並びにその者及びその介護者に対して介護の関する指導を行うこと(以下「介護等」という。)を業とする者をいう。」(下線部は平成27年4月施行)と示されております。
この定義規定の中で心身の状況に応じた介護を行うということは、次の介護過程への展開に沿った介護ができなければならないということになります。
介護過程の展開でございますけれども、最初に利用者さんに関するさまざまな情報を収集するアセスメントから始め、そこで日常生活上の課題を明らかにする。そして、次の介護計画の作成の段階のところで明らかになった課題を解決するための目標、介護内容等を記載した介護計画をきちんと作成する。そして、その介護計画に沿った介護をきちんと個別に行い、行った介護を正しく評価する。このようなプロセスの下に介護というのは展開されていくわけでございますけれども、介護福祉士はこのような介護過程のプロセスに沿った介護を行えることが必要であり、なお、それぞれの介護過程のプロセスの中においては、コミュニケーションというのが非常に重要な役割を担っております。
特にアセスメントの段階においては、利用者さんとの信頼関係をきちんと構築した上でさまざまな情報を引き出すということが求められておりますので、特にコミュニケーション技術というのは必要になっておりまして、例えば介護福祉士養成課程におけるカリキュラムでは、人間関係とコミュニケーションで30時間、コミュニケーション技術で60時間としっかりコミュニケーション技術に関しては学ぶことになっております。
介護計画の作成に当たっては、養成課程のカリキュラムにおきまして介護過程は150時間あるわけですけれども、ここにおきましても、やはり介護場面に基づいた事例の演習を行うということが中心となっており、その事例を読み解く力というのがどうしても必要になってまいります。
また、チームケアの一員としてカンファレンスにも参加するケースが多いわけですけれども、その際に介護の根拠を言語化して、医療職、介護支援専門員等の他職種に説明できるとともに、各種の専門的知識を持って、他職種と連携・協働することができることが必要であり、そのためには当然ながら高い日本語コミュニケーション能力というものがこの段階でも必要になってまいります。
介護の実施に当たっては、生活支援技術等を学ぶことによって、個別に応じた適切な介護技術が行えるようにしているわけですけれども、併せてチームケアによる連携に基づいた介護というのも行っていかなければいけません。
その場合におきましては、利用者、家族、他職種との連携をスムーズに行えることが必須でありまして、介護場面での専門用語の理解と伝えるための日本語のコミュニケーション能力というのが必要になってまいります。
ちなみに評価におきましては、介護計画の記録とか評価記録などを適切に読み取り、書くこと、及び人に伝えるということが必要になってまいります。したがいまして、介護福祉士として介護現場できちんと介護ができるということは、このように介護過程の展開のプロセスが適切に行えることでありまして、そのためにはやはり介護、医療などの介護福祉士としての理解しておくべき専門的用語などを含め、十分な日本語によるコミュニケーション能力を備えておくということが必要であると思います。
なお、昨年の社会福祉士及び介護福祉士の一部改正におきましては、介護福祉士等が、たんの吸引等一部の医療行為を行えることになったわけでございますけれども、その場合に更に安全性の確保というのが重要になってきまして、医師、看護師などの医療関係者との間の専門用語を的確に用いて、日本語でのコミュニケーションをとる必要があると思います。
このような状況から、介護福祉士が備えるべきコミュニケーション能力というのは、日本語による介護福祉士国家試験に出題されたコミュニケーションを伴う介護場面や事例の中で専門的な意味を読み取り、判断することではじめて確認できるということを踏まえますと、コミュニケーション能力試験と専門的知識をはかる試験を切り分けて実施するということは、介護福祉士としての適性が正しく評価されない恐れがあると思います。
また、日本と外国の制度の違いや日本における介護サービスは外国にないものもあるなど母国語に翻訳することが困難な題材もあることから、本来の試験と異なる問題になる可能性もありますので、それは国家試験として問題があると言わざるを得ません。
以上のようなことから、介護福祉士国家試験につきましては、母国語、英語での試験とコミュニケーション能力試験の併用は不適切と言わざるを得ません。
次に3つ目に効果的な学習支援に関する意見でございますけれども、EPAの候補者の合格率を高めていくためには、3年間の介護業務の中におきまして受入施設側が、現場での働く時間、日本語の学習の時間、介護福祉士の受験勉強時間、この3つをいかにバランスよく取っていくかということが非常に大切であると思っております。
したがいまして、余り現場に張り付けるということはよくないと思います。今、配置基準等で言われているところもありますけれども、そこにこだわると、かえって勉強ができないということがあるのではないかと危惧しております。
また、先ほどから御意見がありましたように、やはり何と言っても研修指導者の役割というのは非常に大切であり、この研修指導者の指導力を高めるということが今後特に重要になってくると私も思っているところでございます。
更に日本語能力を高めるためのeラーニング学習の仕組みの環境整備、国家試験の模擬試験対策等々の対策が引き続き必要かと思っておりますし、日本介護福祉士会におきましても、介護福祉士の資格を取る方たちに対して受験対策講座とか模擬試験というのも各支部で行っておりますので、(EPA)介護福祉士候補者の方に対して、私たちもできる限りのご協力をさせていただきたいと考えております。
4つ目の件で、資格取得後、就労を継続していく上での介護に関する知識・技術に関する考え方でございますけれども、やはり現場経験3年以上で国家試験を受験し、合格して資格を取られた方については、養成校の卒業生と比較すると、どうしても現場では学びきれない部分も幾つかあると思いますので、その足りない知識・技術というのは資格を取った後、再確認して不足している知識・技術に関しては更に再度学ぶ必要性があるのではないかと考えておりますし、勿論、日本で今後も介護の仕事を継続していくのであれば、更に介護福祉士としての専門性を向上していくこととさらなる日本語学習も合わせて今後も必要になってくるのではないかなと思っております。
介護福祉士の資格取得については、今は目的かもしれませんけれども、やはり専門職としてはスタートであります。介護の世界も制度が大きく変わり、日々進歩しており、介護福祉士の役割も大きく変わってきておりますので、常に新しい知識・技術というのは学んでいく必要性があると思います。EPAの候補者の方も資格を取得しましたら、今後は日本の介護福祉士と同様に、介護福祉士としての資質の向上及びキャリアパスを目指していただくということが必要かと思っています。
そのためは、日本介護福祉士会に是非入会していただき、各支部で生涯研修に沿った研修を受けていただくということが必要かと思っております。
次に参考資料として日本介護福祉士会のリーフレットのコピー、生涯研修体系がそのリーフレットの中に書いてありますけれども、最近、認定介護福祉士(仮称)の検討等も進んでいることから、生涯研修体系につきましては見直ししたものを資料に付けさせていただいておりますので、それをごらんいただいて参考にしていただければと思っております。
いずれにしても、外国人で介護福祉士になられる方が日本で介護の仕事を継続していくためには、やはり日本人の介護福祉士の社会的評価の向上が必要になってくると思います。日本人はもちろんのこと、外国人の方が真に日本の介護福祉士になりたいと思えるよう介護福祉士を魅力ある職業として確立していかなければならないと思っているところでございます。
以上です。
○潮谷座長 大変ありがとうございました。
4人の方々には時間の制約がありました中でお話しにくい点が多々あったかと思いますが、お許しをいただきたいと思います。これから論点に入らせていただきたいと思いますが、それぞれ4人の方に皆様方の中から御質問等々があるかと思います。ただ、前提条件の中に、先ほど資料2の中で主な論点、これが事務局側から明確にされましたので、大変制約された中でございますので、論点に関しての質問をこの場では論議をさせていただき、その他のところはそれぞれのプレゼンテーションしてくださいました方に直接伺っていただければと思っているところでございます。
また、御質問等々をなさいます場合には、どなたにということを明確にした上で御発言をお願いしたいと思います。
それでは、どうぞよろしくお願いいたします。どなたからでも結構でございます。先ほどプレゼンテーションの中で川村先生のお名前が出ておりましたが、いかがでございますか。
○川村委員 ありがとうございます。
それでは、日本語教育のお立場から御発言いただきました遠藤先生に質問があります。文章の長さの御指摘がありました。目安というのは難しいとは思うのですが、例えば40字ぐらいとか、60字とか、何らかの指針があると多分試験問題を作成なさる方にとってはいいのではないかと思うのですが、いかがでしょう。
もう一点、用語についても熟語が並ぶと難しいという御指摘がありましたが、多分熟語が2つ並んだくらいならよくても、それ以上になるとちょっと難しいのではないかと思うのですが、その辺り、何か指針になるものがありましたら、教えていただけますでしょうか。
○潮谷座長 お願いいたします。
○遠藤先生 お答えになるかどうかわかりませんが、文の長さというものは、調査はありますけれども、今は持ってきておりませんのですぐお答えはできませんが、ただ、医師の国家試験のサンプルで出しましたように、ああいう名詞で終わる形でしたら非常に簡単になります。本当に10字以内でもできます。勿論、それだけですべては解決できませんからもう少しですけれども、とにかく100字にも150字にもなるような文章は絶対やめていただきたい。最長何字と言われると困りますけれども、要するに1つは先ほど言いましたように主題文、何々は何々であるというような書き方になると短くなりますし、医師の国家試験のような名詞述語文で終わりますと簡単になりますので、これは参考にしていただけるかと思います。
複合語の分解ですけれども、確かに3語以上になりますと、3語の結合がA+B、+Cになる場合と、A+、B+Cになる場合と、そういう組み合わせがいろいろ出てくるのです。だから、これをもしやるとしたら、それこそ資料には少し書きましたけれども、枠で囲って考えていくことができます。でも、それは専門でない方にすぐこれをどういうふうに分解しろと言っても無理かもしれませんが、そういったパターンは複合語にどんなようなパターンがあるかということはお示しすることはできます。
○川村委員 どうもありがとうございました。
実は今開発しているもののなかに、文の長さを例えば60字で区切って、60字以上だと赤で出すなどという仕組みをつくることは可能なので、例えばそういったもので目安があったらと思って伺いました。
では、調査を別にして、その点に関してはまた考えさせていただきます。ありがとうございました。
○潮谷座長 それでは、川村先生の方からは、次回以降のところででも論議の中で出していただきたいと思います。ほかにございませんでしょうか。
北村委員、どうぞ。
○北村委員 橋本先生あるいは今の日本語教育学会の方にお伺いしたいのですが、時間です。どれくらい時間を延長したら満足というか、実力が出るものでしょうか。参考に弱視の人が1.3倍で、点字の人が1.5倍と。それの根拠があるのか。例えば800字なり1,000字の文章を点字の人は1.5倍かかって読んでいるというような根拠があるのか。逆にインドネシアあるいはフィリピンの人は、1,000字の文章を日本人に比べて1.5倍の時間をかけて読んでいるとか、そういうようなデータがあるのか。あるいは調査された26名の方が時間に関してどんな御発言があったか、もしありましたら教えていただければと思います。
○潮谷座長 それでは、橋本委員の方からまず。
○橋本委員 大変申し訳ないのですが、本当に今、彼らにそれを質問すればよかったなと思っておりますが、実際時間については聞いておりません。どのぐらいの時間があればいいのかということもわかりません。
○潮谷座長 ありがとうございました。
遠藤先生、よろしゅうございますか。
○遠藤先生 これにつきましては、日本語能力試験を受ける目の不自由な方がいるのです。その人たちに対する調査がありまして、その場合は2倍だと言っていました。ただ、それは時間としては確かに2倍必要なのだけれども、そうすると、今度は肉体的にもつか。それだけ緊張した時間が普通の人より倍の時間をそれに課すというのは適当かどうかという問題が新たに出てくるだろうということは、目の不自由な人に対する調査で発表がありました。
ですから、1.5倍ぐらいだろうとそのときは言っていたのですけれども、もう一つは、1.3倍というのは、京都の方で京都の府教育委員がやはり外国人の受験者に対して延長するときに1.3倍というのを出しています。それが1つの目安になるかと思います。
○北村委員 その根拠は。
○遠藤先生 その府の教育委員がどうしてそれを出したか知りませんけれども、1.3倍で実施しているということです。
○潮谷座長 ありがとうございました。時間的な配慮が具体的に試験の結果にどのような効果性を生んでいくのか。これは非常に科学的なことでもあろうかと思いますが、事務局の方で何かこうした根拠性に基づくデータがあれば、今後論議の中で参考資料として出していただければと思います。ほかにございませんでしょうか。
どうぞ。
○朝倉委員 橋本先生と遠藤先生、多分西田参与にもお伺いしたいのですが、総ルビについて余り効果がない、あるいは邪魔であるという御意見もあれば、総ルビはできるだけ振った方がいいという御意見も聞かれたのですけれども、橋本先生は18名ですから実際の声が聞けてよかったのですが、特に総ルビを全部振った方がいいという御意見について、何か根拠になるような実態があるのかどうか、お伺いしたいのです。
○潮谷座長 まず質問にお答えしていただく前に、実は川村委員の方から1回目のところの中でルビについての見解が明確に出されておりますので、朝倉委員はよろしければまた川村委員にそこの辺りのことをお聞きいただきたいと思います。
その上で橋本委員、西田委員、それぞれのお立場の中からお答えをいただければと思います。橋本委員の方から。
○橋本委員 ルビにつきましては、候補者たちからも実際ルビがあっても何が書いてあるか、漢字は読めるかもしれないけれども、その意味についてはわからないということが、彼らも勉強していくとだんだんわかってくるわけです。最初はルビが欲しいと言っていた子もいるのですけれども、先ほどの報告書のところにもありましたが、1年目はルビが欲しいと思った。でも、3~4年目になったら、ルビは要らないと思ったというのが1つあります。
ルビだけではないのですけれども、読まなければいけない情報量が多いということに対しては非常にわずらわしいと思うのです。日本人ですと、ルビと漢字を一緒に読むとどちらを日本人が読んでいるかはわからないのですけれども、彼らですと平仮名を読み、漢字を読むという具合になっていくわけです。ですから、どちらも読まなければいけないのでかえって時間がかかると言っている上に、そのルビがあっても意味がわからない、そこのところで要らないと言っているのだと思います。
○潮谷座長 続いて、西田参与、何かございますか。
○西田参与 特別にわかりませんけれども、やはり振ってほしいという人がいれば振っておけばいいのではないですか。それだけの話だと思います。
○潮谷座長 ありがとうございました。ほかにございませんでしょうか。
根本委員、どうぞ。
○根本委員 質問というより感想に近いことになってしまうのですけれども、遠藤先生からの問題提起は試験問題をつくる立場から見ると、とても参考になりました。確かに私たちはこれまで、できるだけ素直でわかりやすく、しかも設問の状況をできるだけ明確にして、解答がしやすいような設問の形式、言葉の用法、文章などについて努力はしてきたつもりでありますけれども、先ほどの御指摘の中で、まだまだたくさんやらなければいけないというか、いろいろと考えるべきことはあると思いました。
勿論、言われるように看護師の国家試験なども大いに参考にさせていただいておりますが、やはり介護福祉士を取り巻く実践現場や学会における科学というか成熟度というか、そこが看護師と相当違うということ、また介護福祉士の専門性の中身からも、なかなか看護師の国家試験の形式等をそのまま引用すればいいというようなものでもないという状況もあります。
ただ、設問の形式、文章あるいは用語などについて随分参考になる意見をいただいて非常に感謝しておりますが、日本語の専門家は私ども試験の作成メンバーにいないという問題がございます。その点についてはどのように考えていったらいいのだろうかということについてひとつお教えいただきたい。またそのことと併せまして、先ほど10文字以上の複合語の例を出されましたが、10文字以上の複合語のかなりの部分が実際に法令用語となっておりまして、それがそのまま1つの専門用語というか、法令用語としてそれ以外の使い方がなかなか難しいのではないかなと思うのですけれども、そういうものについてはどういうふうに考えたらいいのか、その2点について伺えればと思います。
○潮谷座長 ただいまの日本語の専門家が作成する側にはいないということについて、遠藤先生御自身がどのように考えられるかという点でお話をいただきます。この問題と法令用語をどこまで崩していくのかというのは、多分事務局に関わることだろうと思いますので、まずは遠藤先生、多大な評価の前提の中でただいまのことについてお答えをいただき、事務局側からこの点について何かあればお答えいただきます。お願いいたします。
○遠藤先生 ありがとうございました。
その前にルビのところで科学的根拠。これは私、最初に2010年、厚労省の基盤課長にお話に行きました。この国家試験ではとても大変だから何とかならないかということで、最初に行きましたときに、そのときの課長さんがルビを振ると易しくなる科学的根拠はあるのですかと言われて、そういうものは示せませんと言いました。でも、これは歴史的に見まして明治以降、すべて日本の新聞は総ルビでした。昭和、戦争が激しくなって紙が不足するまで、一般の雑誌も新聞も、新聞はもう少し前からパラルビという難しいものにだけ付けるパラルビ方式。でも、最初、明治、大正、昭和の初めまでは、全部総ルビだったのです。
ということは、日本の子どもたちあるいは日本のそのときの教育水準が低かったかもしれませんけれども、そういった識字率とかいろんなことを考えて、それが何十年続けられたことは1つの大きな根拠だと思うのです。教科書もそうでした。子どもたちが最初に習う、子どもたちの絵本もそうでした。そういったところでやはり易しいということがあったから、それが廃止されたのは、紙が足りなくなったことと山本有三が目が悪くなるからやめろと言った。そういったエピソードがあるのです。だから、戦時中、紙が少ないですからたくさん情報を入れるためにはルビなど振っていられない、そういうときもあったから、それがなくなってきて戦後はそれを一般的なものにはない方が多くなってきた。そういった歴史的なこともあります。ですから、今、何%が易しくなったかという根拠は私は持っていませんけれども、もっと大きなところで見てやはりルビがあった方が理解しやすいのだということは前提として言えるのではないか、そう思って課長さんに言いに行ったのです。
そのときにもう一つ、その後も言いましたけれども、課長さんに尋ねたとき、また、専門官の方を訪ねたとき、どこかの段階で日本語の専門家、日本語教育に携わるような人たちが、問題の中身を見るのではなくて、問題に使われている日本語がこれでわかりやすいかどうか見る、そういう段階をつくってほしいと言いました。
そうしたら、公務員の守秘義務があって、公務員以外がもしそれを漏らしてしまうと、国家試験としては大変だからそれはできないというお答えでした。
○潮谷座長 ありがとうございました。
それでは、事務局の方から。
○佐々木福祉人材確保対策室長 まず現状と申しますと、試験委員の方々が実際のところ試験問題を作成していただくわけでございますけれども、その中に日本語に着目した専門家という方は現状では試験委員の方になられているというわけではございません。今回の検討会を踏まえてこれから御議論いただくわけでございますけれども、どういう形で守秘義務を担保した形で日本語の専門家の方に加わっていただいて問題を作成していただくのかということにつきましては、本検討会の報告を受けて事務局としても考えさせていただきたいと考えております。
○潮谷座長 ありがとうございました。
法令用語についての崩し方についてはどうですか。
○佐々木福祉人材確保対策室長 そこは個別の問題ごとの工夫になると思うのですが、正確性を欠いてはいけないということでありますけれども、一般的にどういうふうにそれ以外を分解できるのかどうかということですとか、個別の用語ごとに検討していくしかないのかなと思います。全く用語として変わってしまうということになりますと問題自体が成り立たないということになりますので、どういう工夫があるのか、用語を分けるとか、置き換えるとかというような工夫は可能かということを検討するということになろうかと思います。
○潮谷座長 ありがとうございました。法令用語については、最後に言ってくださいました石橋さんの方からも少し触れられておりますので、今後、私どもも個々の中で論議をして、より分かりやすい形にしていくことと、法令とどのように関わりを持っていくのか考えていくべきかもしれないと思います。
ほかに何かございますか。
北村委員、どうぞ。
○北村委員 前回、橋本委員からお話しした社会的・文化的な背景を伴う用語、非常にあれ以来悩んでいまして、全くそういうものを排除すると本当に介護が成り立つかどうか。医療よりも介護の方が死ぬとかそういうことに近い状態で、介護士にそういう心のケアも求められるのではないかなと個人的には思うようになったのですが、インドネシア協会の方にお伺いしたいのですが、世界最大のイスラム国であるインドネシアの方が日本の文化でわからない言葉に位牌とか仏壇とか悟りとかそういう言葉があったわけですが、それをどこまで理解してもらえるものなのでしょうか。根拠はないでしょうけれども、イスラムの人は割と排他的なのかなというイメージだけで恐縮ですが、そうなのか、それとも日本の仏教徒の気持ちを十分理解しようと、その上で介護しようというようなことがあるのでしょうか。
○西田参与 イスラム教徒といいましても、多分にインドネシアのイスラム教徒は中東のイスラムとは大分違いまして、日本に近いというか、彼らも二神教、氏神を信じてイスラムを信じているので日本と同じようなところがございますし、今、御指摘の死者に対する弔い、この辺は日本人以上のところがあるのではないかなと思います。
事実、また介護につきましては御存じのとおり、インドネシアの方では老人ホームとかそういうのはございませんで、自宅で看取っていくということでございますので、そういう点での御心配、御懸念は余りないのではないか。事実、私の聞いておるところによると、インドネシアの今来ている皆さんは、ある意味日本人以上に施設側から、あるいは介護を受ける人から評価を得ていると聞いておりますので、その点の御懸念は余りないのではないかなと思います。
以上です。
○潮谷座長 北村委員、いかがでございますか。
○北村委員 はい。
○潮谷座長 ありがとうございます。
どうぞ。
○川村委員 今の北村委員の質問に通じる部分があるのですが、実は概念として人の死を弔うということはわかったとしても、位牌という言葉を知らなければ何ともなりませんね。恐らくそれがガルーダ・サポーターズの星代表の方からの御提案にあった達成目標ルートマップの中にどういう語彙を学ぶべきなのか。その位牌という単語は教えるべきなのか、その辺りの概念、どこまで日本の文化を知るべきかという目標がないと、何でもかんでも教えなければいけないということになると思うのです。
恐らく宗教とか死にまつわることというのは介護福祉士では本当に重要な部分だと思います。ですから、教えた方がいい部分もあると思います。ただ、先日申し上げたあんかけを知る必要があるのか、食べ物のことだったらこの単語の範囲とか、その辺りが決められればいいと思うのですが、星代表の方で何か心の中で秘めていらっしゃることがありましたら、是非。
○星共同代表 御質問ありがとうございます。
今、川村先生に御推測いただいたとおりになります。学習支援の体制と試験の内容と有機的に連関させるべきだとお話しましたのは、学習支援の中でみんなでこれは達成しようという語彙の範囲から基本的には試験が出るのだという状態の方がやはり望ましいだろうという含みがございます。完全にもうそこからはみ出てはいけないとまでするのはどうかというところもあるかと思いますけれども、ほぼ合致しているという状態ぐらいは、試験作成において参照されるという、オーソライズされたものとして参照されることが重要だと思います。
今、御質問いただいたこと以前の先ほどの論点でガルーダとしての御意見をあえて言わせていただきたい点があるのですが、試験時間の延長の幅なのですけれども、昔、日本軍が戦力の逐次投入というのをやりまして、大変どんどん全滅していった。1.5倍にできるところをまず1.3倍にするとか、小出しにするというのは得策ではないと思います。既存の似たような例の中で最大の幅をこの際採用して受入施設、応募すべき人たちに対して、もう合格していただきたいのだというメッセージが明確に伝わるような最大限の努力というのをしていただきたいということが気持ちでございます。
○潮谷座長 ありがとうございました。
大変いい締めくくりをしていただきました。まだ皆様方の中で御質問等あるかと思いますが、この後に会議を持っている方もおいででございますので、最後に資料5について説明いただいて、終わりとさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○佐々木福祉人材確保対策室長 事務局から御説明申し上げます。
資料5でございますが、今回、本検討会で御議論いただきたい事項につきまして、国民の方々から幅広く自由記載の形でございますけれども、御意見をちょうだいしたいということで資料5を用意させていただいております。
本検討会の主な論点に関しまして御意見をちょうだいするということで、具体的には1ページめくっていただきまして、わかりやすい日本語の改善あるいは試験時間の延長、母国語、英語での試験とコミュニケーション能力の併用の適否及び学習支援につきまして、さまざまな形で御意見をいただきたいと考えておるところでございます。
募集期間といたしましては、今週から開始をいたしまして、できれば次々回の検討会、5月22日を予定しておりますけれども、その際に本検討会の委員の方々に御紹介をできるような形で厚生労働省のホームページを通じまして意見募集を開始したいと考えております。
それが資料5に関しての御説明でございます。
○潮谷座長 以上でしょうか。
ありがとうございました。それでは、パブコメを今週から5月22日までということでございますが、この点については御了解でしょうか。
川村委員、どうぞ。
○川村委員 恐れ入ります。パブコメという言葉を初めて学習いたしましたが、済みません、こういった領域にいない日本語教師なものですから。
今、ホームページを通じてとおっしゃっていましたが、ホームページ「等」があるといいなと思うのです。つまり、ホームページにあるから皆さんが読むわけではないので、後ろの席にいらっしゃる方々もこういったものがあるという情報を何かのときに皆さんに流していただけますようにお願いいたします。
とにかくホームページに出したからパブコメが手に入れられた、ゆえにこれが国民からの意見であるというのは少し危険かなと思います。よろしくお願いいたします。
○潮谷座長 ありがとうございます。改めて、後ろにいらっしゃいますマスコミの皆様にお願いをいたします。
よりよい形での試験が得られるために、マスコミの方々の中でもこの主な論点に関してアピールしていただきますと、より広範な方々の目にとまるかと思いますので、御協力方をお願い申し上げます。期日については皆様よろしゅうございますか。
(「はい」と声あり)
○潮谷座長 ありがとうございます。では、どうぞよろしくお願いいたします。
本日は以上で終わりとさせていただきます。ありがとうございました。
何かもう一点あるそうです。
○佐々木福祉人材確保対策室長 済みません。次回以降でございますけれども、第3回につきましては本日と同様にこの会議室、専用第14会議室におきまして、4月27日の13~15時を予定しておりますので、委員の先生方には追って開催の旨をお送りしたいと思っております。次回でございますけれども、今回に引き続きまして関係団体の方々、具体的には日本介護福祉士養成施設協会、全国老人福祉施設協議会、全国社会福祉協議会、全国老人保健施設協会の関係団体の方々からの御意見をちょうだいしたいと考えています。
併せまして、今回の国家試験に合格された候補者の方からこれまでの学習方法ですとか、御要望ですとかということにつきましても御協力いただける方々についてヒアリングをさせていただきたいと考えております。
更に次々回以降の日程でございますけれども、既に委員の方々にお知らせいたしておりますように、第4回については5月22日の火曜日の10~12時。
第5回につきましては6月5日火曜日の10~12時で専用第12会議室で開催を予定しておりますので、併せてよろしくお願いいたします。
次回以降の開催につきましては御協力をお願いしたいと思います。
○潮谷座長 ありがとうございました。


(了)

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