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2012年3月14日 第2回 中央ナースセンターの指定の在り方に関する検討会

医政局看護課

○日時

平成24年3月14日(水)
15:00~17:00


○場所

厚生労働省共用第9会議室


○出席者

伊藤 彰久 (日本労働組合総連合会総合政策局生活福祉局長)
小野 太一 (東京大学公共政策大学院教授)
木村 博嗣 (神奈川県保健福祉局地域保健福祉部長)
嶋森 好子 (東京都看護協会会長)
藤川 謙二 (日本医師会常任理事)
藤巻 秀子 (山梨県看護協会会長)
参考人:小川 忍 (日本看護協会常任理事)

○議題

中央ナースセンターの指定の在り方について

○議事

○河原課長補佐 定刻になりましたので、ただいまから第2回「中央ナースセンターの指定の在り方に関する検討会」を開催させていただきます。委員の皆様方におかれましては、ご多用中のところ本検討会にご出席をいただきまして誠にありがとうございます。座長選出までの間、進行を務めさせていただきます、看護課の河原でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日の委員の出席状況についてご報告をさせていただきますが、今回から慶應義塾大学大学院教授の高木安雄委員にご参加いただくこととなりましたのでご紹介をさせていただきます。
○高木委員 高木です。取りまとめに向けて努力したいと思いますので、よろしくお願いします。
○河原課長補佐 本日は神野委員、木村委員からご欠席とのご連絡をいただいています。
 続きまして看護課長の岩澤から、本検討会の座長について改めてお諮りをさせていただきます。
○岩澤看護課長 座長には、中央社会保険医療協議会診療報酬調査専門組織の分科会委員などを歴任され、医療行政にも大変造詣の深い高木委員にお願いしたいと思いますが、皆様いかがでしょうか。
                (異議なし)
○岩澤看護課長 それでは、高木委員、どうぞよろしくお願いいたします。
○高木座長 急遽、座長を務めさせていただきます。前回の意見等、資料も読ませていただきましたので、頑張って取りまとめたいと思いますので、ご協力をよろしくお願いします。
○河原課長補佐 ありがとうございました。なお、冒頭カメラ撮影されている方がいらっしゃいましたら、ここまでとさせていただきます。また、会議中の撮影、録音等はご遠慮ください。以後の議事進行は座長にお願いいたします。
○高木座長 初めに、事務局から資料の確認をお願いいたします。
○河原課長補佐 それではお手元の配付資料の確認をさせていただきます。議事次第、配置図に続きまして、本日は4種類の資料と1種類の参考資料を用意させていただいております。まず資料1「第1回検討会における委員の主な御意見」、こちらは事務局で準備をさせていただいた2頁の資料です。続きまして資料2、こちらは藤巻委員からご提出いただいた「平成23年度山梨県ナースセンター事業実施状況」と題した2頁の資料です。続きまして資料3ですが、本日ご欠席の神野委員から「構成員意見書」が届いております。資料4「中央ナースセンターの指定の在り方に関する検討会報告書(案)」と題しました6頁の資料です。最後に参考資料になります。前回もお示しをしました「開催要綱」ですが、高木委員にもご参加をいただきましたので、2枚目の構成委員名簿が修正となっております。資料については以上です。資料の漏れ等がございましたら事務局までお申し出ください。
○高木座長 よろしいですか。それでは議事に入ります。まず、山梨県のナースセンターの事業実施状況につきまして、藤巻委員のほうから資料が提出されていますので、ご説明をお願いします。
○藤巻委員 第1回目で中央ナースセンター事業につきましては参考人より説明がありましたが、本日は都道府県ナースセンターの事業につきましてご説明させていただき、中央ナースセンター事業との連携について発言をさせていただきたいと思って資料を用意いたしました。資料2をご覧ください。山梨県ナースセンターも「都道府県ナースセンター事業実施要綱」に沿って事業を進めております。資料に沿って説明させていただきます。「平成23年度山梨県ナースセンター事業」といたしましたのは、平成23年度に新規事業も取り込んだことから、まだ終わっていませんが、23年度の事業を使わせていただきました。
 県ナースセンター事業は左端に事業項目がございます。ナースバンク事業、看護の心普及事業という項目等がありますが、まず「ナースバンク事業」ですが、5項目の事業からなっております。1.に看護職員需要状況の把握があります。23年の3月から5月に県下の病院、本県の場合は60病院、診療所が530、訪問看護ステーションが44カ所、福祉・介護施設142等、合わせて783施設にアンケートを郵送して、看護職員の確保の動向や求人の状況について把握しています。これは毎年行うものです。施設の看護職員の需要の状況や、雇用別・形態別・資格別の求人状況、さらに看護職員の採用ルートなどを詳しく把握します。回答施設数が312施設(39.8%)となっておりますが、本県の病院は60病院で、病院からは48病院(80.0%)の回答ですが、診療所等は先ほど申し上げました530施設のうち157施設からの回答で29.6%というように非常に低い。病院から期待されている調査なのですが、その他は低くなっています。中でも福祉・介護施設が142施設で78施設から回答がございまして、54.9%とここ数年やや回答率が高くなっています。
 2.は未就業者の実態及び就業希望条件の把握です。これは23年5月から6月に未就業者台帳に登録されている者、看護職員712人に調査票を送り、就業希望を把握し、ナースバンクへの登録及び相談を行います。回収は102人(14.3%)と非常に少ないのですが、毎年実施しておりまして、これが台帳に載せられるということで、非常に貴重な資料として活用するものです。
 3.は離職者の実態及び就業希望状況の把握についてです。離職者調査は通年で実施しています。医療機関の看護管理者及び退職者からの情報提供により、退職者を把握し、台帳の修正などを行っています。809施設に配付し134施設からの回収で低率ですが、これも病院は60病院すべてから回収され100%となっております。診療所等は524施設で回収が40施設というように、非常に低率で、これは毎年同じ傾向なのですが、診療所等も含めて毎年調査をしているものです。このような調査で、県内医療施設の看護職の動きなどをナースセンターはしっかり把握することができておりまして、これを相談、指導の上で活用する、極めて重要な資料となっております。
 4.が無料職業紹介・就業相談・指導という事業です。23年度末の就業者は24年2月末で507人です。常勤者は104人(20.5%)、非常勤者は146人(28.8%)、臨時雇用が257人(50.7%)となっております。これは中央ナースセンターが毎年全国の状況を集計していただいている傾向とほぼ同じ傾向にあって、臨時雇用の求人はイベント時の救護や修学旅行時の付き添い、健診や予防接種などにおける看護業務等ですが、育児中の看護職員がこのように単発でも看護にかかわるということで、将来落ち着いたときに常勤の看護者として働くことにつながるということから、臨時雇用の就業というのは、私どもナースセンターが非常に大切に今やっているところでございます。
 下の求職相談の延べ件数は1,741件ですが、実は就業中の看護師等が約6割含まれているのです。来所の理由は就業中の悩み、就労環境の不満、人間関係の悩み、組織運営への不満、キャリアアップをしたいのだけれどもどうしたらいいかとか、傷病休暇を取っているのだけれども出ていって付いていけるだろうかというように、非常にさまざまな相談でお見えになります。相談員が中央ナースセンターのほうで毎年訓練をされておりますので、この話を聞いて約7割が自分の施設にきちんと戻っております。本県では就業中の方には就業のあっせんは一切しないということを原則にしております。もちろん求人情報は閲覧できますが、就業のあっせんはいたしません。これは私どもの方針としておりまして、このことが県内の医療機関や医師会等から非常に強い信頼をいただいております。すべての都道府県ナースセンターはこれらの事業の結果を中央ナースセンターに送って、全国の状況が把握できますので、自分たちがいまやっているこの事業が果たしてどうかということを全国規模で比較して確認することができます。前回、中央ナースセンターの参考人から平成22年度版のNCCSデータ分析などの報告もありましたが、例えば本人が500床以上のところを希望するなどいろいろな希望を持ってきますが、ここでは丁寧に本人のニーズを聞き取り、そして本人がいちばんこういう所がいいのではないかということで、適切な医療施設に紹介をするというようになっております。
 これらのナースバンク事業は、前回も話題になりましたが、昭和51年から各県ではナースバンクとして実施しておりまして、さらに人確法でナースセンター事業ということになり、中央ナースセンター、都道府県ナースセンターとして充実した体制が整えられ今日に至っております。前回、参考人から中央ナースセンター事業の報告がありましたが、各都道府県ナースセンター事業が円滑に推進されるよう、きめ細やかな支援をいただいております。特に各県のナースセンターが実施したナースバンク事業につきましては、需給や就業動向の把握・分析を行い、各県ナースセンターに情報が提供されますので、非常に事業の評価には役だっております。求職者、求人者ともに様々な問題を抱えて相談にまいりますので、的確に速やかに対応するためには、日本看護協会に蓄積された情報が非常に不可欠だと思います。また、ナースバンクは看護職員の人と施設をつなぐという、非常に難しい仕事ですが、いわゆる来所した方の希望、働く意欲を就業までつなげるというようなことで、これには相談技術は非常に高い専門性が求められるところです。中央ナースセンターでは、先ほども申し上げましたが、県ナースセンターで就業相談に当たる職員の研修を実施していただいております。特に23年度はナースセンター事業の新たな展開として、ワーク・ライフ・バランス推進のためのワークショップを取り上げていただきましたが、本県でも今年度23年度より、ナースセンター事業にこのワークショップを組み入れて実施しているところです。
 その次に「看護の心普及事業」があります。これは18歳人口が減少する中で、高校性に看護のイメージアップを図っていただけるようにということで、県の教育委員会等と連携をいたしまして実施するものです。23年度は7月に行いましたが、高校生、教職員等229名が参加し、会場には県内の各看護師学校、養成所等のブースを設けて、高校生の進路相談などに応じています。
 次の「新人看護師指導担当者研修事業」というのは、看護職員リフレッシュ事業を活用して、新人を担当するプリセプターの看護師が非常に疲れ切ってしまうということから、平成18年度よりこの事業に現在取り組んでいます。
 「訪問看護支援事業」についてですが、訪問看護師養成講習会を長い間行っております。訪問看護師継続研修、情報提供、訪問看護管理者研修、在宅よろず相談、介護講座の開催に関する相談などを行っております。今年度は18名の参加でしたが、非常に期待される分野ですので、今後も引き続きこれに取り組んでいくこと、また現任の方々に年2回の継続研修を、看護協会内に組織されている訪問看護等の委員会とも連携して、皆様のニーズに応える形で実施をするということになっています。
 「医療施設紹介事業」は就職ガイダンスとして、県内の病院、診療所、介護・福祉施設など、今年は72の施設にご参加いただきました。未就業看護職員や看護学生が来所して、県内の医療施設を知る機会、そして看護学生は大学の場合は3年生、専門学校の場合は1、2年生が来ますが、県内にどんな施設があるかということを理解し、これから将来の就職を決めていく際の参考にするというような事業です。
 その次に潜在看護職員復職研修事業、看護職の心の健康相談事業というのがありますが、これは先ほど申し上げましたが、ナースバンク事業にさまざまな問題を抱えて相談に来ることから、専門相談を開所したほうがいいのではないかということで、平成22年度からナースバンク事業と併せて、専門の心理職の方をお招きして心の相談を行っています。これはじっくりと仕事が続けられるようにとか、仕事に戻れるようにという相談を実施するもので、いま現在54名の相談申込みがあり49名まで終了しているところです。
 ナースセンター事業は、看護職による看護職のための事業実施であります。看護職能団体だからこそ看護職の労働の特殊性や専門性に配慮した適切な看護職員確保支援事業が可能になっていると考えます。私どもも昭和51年から実施いたしましたので、35年余りを経過しており、人確法以来20年余りを経過しておりますが、看護職員の確保対策として、県ナースセンター事業は中央ナースセンター事業と常に連携して、計画、実施、評価を繰り返しながら現在に至っております。社会に求められる看護人材のために、新たな事業方法の開発などはなかなか私どもの施設ではしにくいことがありますので、中央ナースセンターからのご指導、ご支援をいただき、そういうものを取り入れて、成果を上げてきております。
 県ナースセンターの相談員が、看護職の折れそうな心までを支えるということをモットーに、非常に頑張って相談に乗れるというのも、中央ナースセンターが看護職能団体であるということから、信頼感、安心感に支えられているためでもあると考えています。このようなことから、県ナースセンターを所管する立場からは、これからも日本看護協会が中央ナースセンターとして適切ではないかと現在考えています。以上、山梨県ナースセンター事業の23年度の実施状況についてご説明をさせていただきました。
○高木座長 ありがとうございました。ただいまの藤巻委員の説明に関して質問等ありますか。
○伊藤委員 貴重な機会なので少し教えていただければと思うのですが、ハローワークとの連携について何かあるのかということと、山梨県ナースセンターの事業計画を作るに当たって、中央ナースセンターが何かかかわりがあるのか、事業計画を作っていくに当たって基礎的なデータなどを活用しているだとか、あるいは計画作りそのものに何かかかわってもらっているのか、中央ナースセンターとのかかわりについてもう少し説明いただければと思います。
○藤巻委員 1点目で、説明を落としたのですが、資料の2枚目のいちばん下に、看護職員確保対策連絡協議会を年2回、県ナースセンター事業の中で実施しております。ここにハローワークを担当する労働局の職員の方が委員としてご出席くださいます。それでハローワークのいまの求人の状況、特に看護職に関してどれぐらいの求人があるというようなことを年2回、今年は8月と2月に実施しております。そこでハローワークのほうでも雇用の質の改善に関してこういうようなものが立ち上がったというような、新たな情報を提供してくださるということになります。
 もう1点の関係は、このように看護職の方はいろいろと複雑に悩みを持って求職に来ることがあります。ハローワークに行った場合、細かな注文のある方は、ナースセンターのほうにお回ししていいですかというようなことで、看護に関してさまざまな情報が看護協会にあるのでということで、数ははっきりしていませんがハローワークから私どものナースセンターに紹介されるケースが年間に何例かあります。それから看護職員の確保ということでは、県の医療計画や看護職員の需給計画に関しまして、潜在看護職員がどれくらいいて、それをどのくらい就労に結びつけるかというのはいつも課題になります。こういうときに中央ナースセンターからは全国状況の情報が手に入りますので、それを活用しながら、私どもは平成27年までの看護職員需給計画でも、概ね500名から600名の潜在看護職員を何とか就業させるというような県の目標を立てていますので、それになるべく近づくようにということで、情報のやり取りをしながら取組みを進めています。
○嶋森委員 藤巻委員に続いて、東京都看護協会の場合もいまのことでいくつかお話をしたいと思います。ハローワークとは、やはりいまの山梨県と同じように、看護についての求職がある場合には、東京都ナースプラザのほう、東京都はナースセンターではなくナースプラザという名前にしているのですが、ナースバンクにご紹介いただくというような形で就職のあっせんをやっております。
 それから、中央ナースセンターとのかかわりについては、年に1回、先日にお話があったかもしれませんが、全国の都道府県のナースセンターの事業の担当者を集めての会議を行っています。今年は最近2月29日に行ったところでして、そこで先ほど藤巻委員がおっしゃったような、全国の47都道府県のすべてのナースセンターを受託しておりますので、全都道府県が集まりまして、会議の中で各都道府県の取組みを紹介していただいて、私どもがやっていないことをもう少し取り組もうかという示唆をいただきました。特に今年は昨年の3.11がありましたので、被災地県は看護師確保が難しいというような問題もありまして、そういうことを支援する必要があるのではないかという話もありましたので、来週東京では福島県に就職したい人の就職のフェアをやろうかというようなことをやっております。全国的な情報を提供いただくことで、それぞれの都道府県のナースセンターはどんな取組みをしたらいいかということとか、取組みの反省や、次の年にあたってどんな取組みがあるかという、かなり大きな示唆をいただけること、担当者の研修等をしていただいていますので、こちらもどういうことを支援していけばいいかということについて、これも藤巻委員からお話いただいたように、非常に助かっています。やはり就職相談だけではなくて、いろいろな悩みを抱えていらっしゃいますので、その人たちへの支援ということで非常に助かっています。私どもとしては、看護師の就職というのは、ただ労働条件がいいからというだけではなくて、看護の専門性がどう活かせるかということで、キャリアアップ支援についても中央ナースセンターで取組みを進めていただいていますし、そういうことをやる上で看護の専門性を持ったところがナースセンターであるということは非常に私たちは助かります。そうではないところがナースセンターをやるとなると、専門性を深めたいという人たちへの支援が不十分になるということで、私どもとしては、引き続いてナースセンターに日本看護協会が指定されていくほうが望ましいと思っています。以上です。
○高木座長 この検討会はそもそもナースセンターの指定の在り方に関する検討会なのですが、質問があるのは、まず山梨は看護の充足度からみると、全国の中ではゆったりとしているのか、足りなくて苦労しているのかどんな感じなのですか。
○藤巻委員 ゆったりとしているということは全くございませんで、調べたところ、60病院中で足りているというのが15、6はございます。しかし、その残りは不足ということで、その数もいろいろです。ですから足りていないほうだと思います。
○高木座長 ナースバンク事業のところで、未就業者の登録者710人について調査し回答率が14.3%と非常に低いですが、毎年やっているというのは、この登録者は毎年変わるのですか。
○藤巻委員 そして就業に結び付いた方は外します。
○藤巻委員 名簿はどんどん入れ替えていきますので新しくなって、その方たちに出しております。前回報告させていただいたのですが、いまこの710人がおそらく650人ぐらいになるかなと担当者は言っておりますが、かなり就業へ向けているところです。
○高木座長 結構大変ですよね。
○藤巻委員 よく県でもヒアリングで少ないのではないかと言われますが、この資料が極めて重要で、これを台帳に毎回差し入れて、イベントなどでどうですかということからお勧めすることもありますし、常勤でどうですかという方もあり、本人の希望に応じてマッチングするという作業をしています。
○高木座長 医療施設紹介事業を開いたという話がありましたが、県内の医療施設を紹介するわけですよね。
○藤巻委員 そうです。
○高木座長 これは中立的にやるのは難しいですか。
○藤巻委員 県内の医療施設の1つの会場に、全部ブースを持ちまして、学生さんや未就業者を。
○藤巻委員 全部1箇所に集まって、そしてブースを開いて、そこに県内の学生さんや未就業者の方にご案内を出して来ていただくということで、1日でやる事業です。
○小野委員 1点だけお伺いします。就職のあっせんですとか紹介をする際に、政策的な配慮というのでしょうか、例えば県内でも、あそこの地域のあの病院は、本当に人員が足りなくて地域医療の確保できゅうきゅうとして大変だ、こっちの病院は大変だとおっしゃるのだけれども、あっちに比べると大変ではない、じゃあ、就職の紹介をやるにあたっては、先のもっと大変な何とか病院のほうに行ってもらうように就職をあっせんしようとか、そのように県内の医療施設の看護師さんの需給のバランスを取るような配慮というか、そういうことまでをなさっているかどうかをお聞かせいただきたいのですが。
○藤巻委員 その辺りは、全くしないかというと、おそらく求人に来る施設の状況などを聞き取っておりますので、非常に厳しい状況、できればほしいとかいうような状況がありますよね。ただ、医療圏ごとにどうだからそれはどのようにまでは相談員ができないかと思いますが、求人状況の内容を細かく分析をして、対応していると思っています。
○高木座長 結構そこは難しいですね。片方に入れ込んではいけないし、中立的にやらなければいけないし、かといって集まらないところは集まらない。
○藤川委員 医師の臨床研修のときのマッチングと一緒なのです。自由にしてしまうと、遍在が起こるのです。都市部に集中して、へき地が少なくなる。都市部は医療機関の競争が激しいのです。急性期の医療機関が多く、7対1看護基準を取らなければいけないということで、いつまでも看護師不足が続くわけです。看護師は多忙でバーンアウトして辞めていくし、若い人たちは結婚で辞めたりするから、常に100人辞めるところは100人補充しないといけない、50人辞めるところは常に50人募集を続けなければいけないということで、勝ち組のいわゆる診療報酬の高いところも常に看護師不足が現在続いているのです。過疎地は就職する者が絶対的に足りない。そこは入院を必要とする患者さんを多数抱えているので、地方の看護師不足も非常に深刻です。
 新医師臨床研修制度で問題になったのは、8,000人しか医師が卒業しないのに全国で1万2,000人の枠を作って募集を求めたのです。4,000人オーバーしている。オーバーフローしたらどこにに行くかというと、都市部に4,000人オーバーして、へき地、地方が4,000人不足したというのが地域医療崩壊の厳然たる事実なのです。これを1つの県内単位にしたとしても、看護師をナースバンクでもハローワークであっても、やはり完全に自由化してしまうと、この問題は必ず果てしなく続くのです。いつまでたっても終わらない。だから、我々が提言をしているのは、看護師が十分いるところは、すべての医療機関で7対1看護をする必要はないのではないか。急性期の必要な救命センター、手術場、心臓外科とか非常に忙しいところは7対1を持っていても、歩ける患者さんが入院しているような施設病棟、眼科であれ、皮膚科は10対1でも十分やっていけるのではないか。大学などは1,000床ありますけれども、1,000床あるようなところでも、いわゆる遍在をなくすために、科によっては看護師を減らすべきです。すべてゆっくりできるところと、ものすごく忙しいところと差を付けてやらないと、2次病院、1次病院クラスは看護師不足でもっと疲弊しているのです。へき地の医療機関を守ろうとしている看護師さんたちの労働環境がさらに悪化してくるということです。
7対1の病院だけを守ろうとすると自由にしておけばいいわけですけれども、そうではない。2次、1次の病院ところをしっかり支えないと、3次の医療機関に1次2次の患者が集中していくと、とんでもないことになります。小野委員が言われたように、やはり全体的に、政策的にある程度バランスを取っていくということを考えないといけませんね。特に勝ち組のところは、国公立病院では公務員になれる、福利厚生がいい、給料が高い、退職金がある、年金があるとなってくると、当然自由に任せていると差が付いてしまうのです。そこをどう考えるか。国として、ほったらかしておけ、自由に任せておけという市場原理で行くのか、いや、社会保障というのは国の責任として全国民に基本的人権を認めて助ける、社会保障で助ける、セーフティネットであるということであれば、適材適所の看護師数の配置をすることも考えないと、自由にしておくと、いつまでたってもこの問題は解決しないと考えています。民間のナースバンクは完全に自由にやっていて、手数料をものすごく付けています。国でやる無料の看護師の派遣というのは、ある程度政策的に考えていただかないと、いつまでたっても不毛の論議を続けていかなければいけない。日本医師会としては、そういう配慮した厚労省の判断を望んでいます。
○高木座長 事務局、何かありますか。
○玉川看護職員確保対策官 中央ナースセンターの指定という問題を超えて、それ以前のそもそも需給確保をどのように考えるかといったところに立ち戻ったご意見があったと思います。「医療機関で働く」というのは就労契約を結んで、という我が国の基本的な枠組みの中で、どのようなことができるのか。再就業のための情報面での支援方策としてナースバンク事業があると思いますので、それが全体の中で調和がとれた形で使われるように努力できるところはしなければならないと思いますが、そこのところだけで対応できる話でもないとは思います。さまざまな医療機関の機能分化等が、並行して省内でいろいろ検討されていると思いますので、そういう場面でも、先生がご指摘されたような視点も考えて、一体的に医療システムを考えていかなければならないと思います。
○嶋森委員 東京都ナースバンク事業の1つとして、中小医療機関で確保の困難なところにお手伝いしようという事業もありまして、就労支援相談員を派遣して、看護師を確保できない理由は何かということや研修の計画を立てたりして、できるだけ就職希望者を増やすような形での支援もしています。たぶん山梨県でもなさっていると思います。そういうことをしていきますと、先ほど山梨県が今年からワーク・ライフ・バランスのワークショップを始めるとおっしゃいましたが、東京都もそれを3年ぐらい前からやっているのですが、小さいところの方は、夜勤ができなかったりして、そこに就職するわけですが、実は保障されている労働条件もよく知らなかったりして、ちゃんとできていないというように勘違いをしているところもありまして、そういうことを皆さんに出してもらって、職員からアンケートを取ってみると、例えば生理休暇がないと勘違いしていたりすることがありますので、そういうことはきちんと知らせてもらうだけで、うちの病院はちゃんと働きやすい状況を整えているなということを、職員自体が理解していくというような過程がいくつかありました。
 看護師は女性ですから、子どもを産んだり育てたりするという段階では、少し小さいところに行って、そういうことと両立しながら働きたいという指向をする人がだんだん増えてきているような気がいたしますので、そういうことをきちんと理解していただくという支援が、ナースバンク事業としてできていますし、そういう働く看護職の労働の指向というのも全体としては変わってきたということも、全国状況の調査の結果でわかるということもあります。いろいろなところで働けるということをわかっていただくと、もう少し手が届くというか、藤川先生がおっしゃったような、地域や地方にも手が届くようなことができるかなということで、私は取組みとしては進んでいると考えておりますので、期待していただきたいなというような気もいたします。
○高木座長 ほかにはよろしいですか。これで藤巻委員の説明に関する質問を終えまして、続きまして、本日欠席の神野委員から意見書が提出されていますので、事務局から報告をお願いいたします。
○河原課長補佐 資料3の読み上げをさせていただきます。
資料3。平成24年3月14日。中央ナースセンターの指定の在り方に関する検討会構成員 (社)全日本病院協会副会長 神野正博。
「中央ナースセンターの指定の在り方に関する検討会」構成員意見書
 既に本会合の第1回目に意見を述べたが、改めて本検討会開催の趣旨に則り、下記の意見を提出する。
1.1億円以上に上る国家予算を投入する事業が、公開による入札ではなく、随意契約であることに関して異議を唱える。
2.下記、論点整理で示された理由は、あくまでも日本看護協会に指名委託するための理由であり、その考え方に無理がある。詳細は、論点整理(案)に従って指摘する。
3.特に、稼働中のNCCSなるコンピュータシステムを「人質」に日本看護協会指名委託の必要性を唱えるが、このシステムはみずほ情報総研に再委託されているものであり、他事業者が元請け委託先になっても継続性は担保されるはずである。また、このシステムとシステム内の情報の帰属は、委託元である厚生労働省に帰属するべきであり、委託先に左右されるものではない。
4.ナースセンター事業より多くの求人、求職を扱うハローワークを所管する労働基準局労働条件政策課において、現在『看護師等の「雇用の質」の向上に関する省内プロジェクトチーム』の指摘に従い、『看護師等の雇用の質の向上のための取り組み』と称して看護職員の雇用形態や労働時間、再就業支援等の事業を全国で進めようとしているが、この事業と中央ナースセンター事業に重複があると思われる。行政の無駄を省く見地から一方の事業内容を大幅に削減すべきである。
5.以上より、「厚生労働省独立行政法人・公益法人等整理合理化委員会」報告書において選定方法等の「新たなルール」を検討すべきであるという指摘を実行することを提言する。
論点整理(案)(第1回検討会資料4より)
1.指定制度の趣旨等。
○中央ナースセンターは、看護師等の人材確保の促進に関する法律(以下「人材確保法」という。)に基づき、都道府県ナースセンターの健全な発展及び看護師等の確保を図るために必要な業務を行うこととされているが、看護師等の就業を円滑に進めるための専門的な無料職業紹介は、同法制定以前から都道府県単位でナースバンク事業として行われ、同事業では職能団体としてのネットワーク等をいかしながら、働く意欲を持つ看護師等の掘り起こしを行うとともに、ニーズに適した職場に就職できるように努めてきたのではないか。
(コメント) 以前から、事業を行っているという理由で、新規参入規制をすべきではない。
○ナースセンターは、都道府県ナースセンターと中央ナースセンターから構成されるが、ナースバンク事業を内容的にも発展・強化するとともに、指定法人として法定化することによって、看護師等についても一層安心して相談や職業紹介などを受けることができるようにしたものではなかったか。
(コメント) 第1回検討会資料においても、ハローワークの利用よりも利用頻度が少なく、アンケートにおいても看護職員の再就職の効果はハローワークよりも劣る。何をもって「安心して」というのか?その証拠を示していただきたい。
○中央ナースセンターは、平成22年度においては、?機関誌等による広報、?進路相談のための情報収集及び情報提供、?都道府県のナースセンター事業担当者会議の開催、?都道府県ナースセンター事業実施状況調査、?訪問看護師養成講習会実施状況調査のほか、?ナースセンター・コンピュータ・システム(NCCS※)及びe-ナースセンターの運用、?NCCS登録データに基づく看護職員の需給、就業動向の把握及び分析を行っているが、これらの業務の実施状況は、上記のナースセンターの法定化の趣旨にかんがみ、十分なものと言えるか。
(※)各都道府県ナースセンターで行っている無料職業紹介システム(e-ナースセンター)及び都道府県ナースセンター業務システムの総称。
2.指定制度の必要性。
○平成22年12月に取りまとめられた「第七次看護職員需給見通しに関する検討報告書」によれば、看護職員の需要見通しは、平成23年の約140万4,000人から、平成27年には約150万1,000人に増加する見込みである一方、看護職員の供給見通しは、平成23年の約134万8,000人から平成27年には約148万6,000人に増加する見込みとなっている(人数はいずれも常勤換算)が、この需給見通しを着実に実現し、質の高い医療サービスを安定的に提供できる体制を整備するため看護職員の確保対策を推進していく上で、ナースバンク事業はますます重要なものとなっているのではないか。
(コメント) そもそも、第七次看護職員需給見通しに関する検討会で、日本看護協会代表委員は、さらなる看護師供給増を図るべきであるという意見に異を唱えていた。そのような事業体に看護職員確保を委託していいのか。
○都道府県ナースセンターを通じたナースバンクは、中央ナースセンターによるNCCSの運用を始めとした各種の連絡調整業務を実施することなしに、円滑に事業を展開していくことが困難であり、これらの業務は、国等の行政機関が自ら行うよりも、看護師等の確保を図り、もって保健医療の向上に資することを目的とする民間団体において行うほうがより円滑かつ効率的に実施することが期待できるものと考えられるのではないか。
(コメント) 看護師等の確保を図り、もって保健医療の向上に資することを目的とする民間団体を日本看護協会だけなのか?断定することに違和感をおぼえる。
○連絡調整業務の中核には、NCCSというコンピュータシステムがあることから、重複投資を回避し、業務の効率化を図る観点からも、全国を通じて1法人に限り指定する指定法人制度を維持することが適当と考えられるのではないか。
(コメント) 先に挙げたようにNCCSのシステムの運営はみずほ情報総研であり、本システムは委託先が変われば、移管されるべき。
3.指定先の選定方法等。
○日本看護協会に対する法に基づく中央ナースセンターの指定は、上記のとおり、法制定以前からナースバンク事業を支えてきた職能団体であることを考慮して行われたものであり、その後20年近くにわたって業務を継続しており、NCCSの運用を始めとして様々なノウハウが蓄積されてきており、現時点において他に代わるべき法人も存在しないのではないか。
(コメント) 過去に事業を行ったからと言って、国の事業の委託先を固定、指名するものではない。参入要件を明確にした上で、公募することなしに「他に代わるべき法人も存在しない」と断定すべきではない。
○「厚生労働省独立行政法人・公益法人等整理合理化委員会」報告書において選定方法等の「新たなルール」の検討についても指摘されているが、一応ナースセンターにおいては、NCCSの運用を始めとして都道府県ナースセンターとの連絡調整業務など継続性が重視される業務が中心となっていることから、少なくとも短期的に指定を見直しすることは馴染まないのではないか。
(コメント) 何をもって、「短期的」というのか?すでに本事業は20年近く同一団体に指名されている。
 以上でございます。
○高木座長 ただいま神野委員の意見書を読んでいただきましたが、これに関して、逆に何か事務局から回答とか一定程度のコメントみたいなものはありますか。事実誤認とか、そこはとかいうのがあれば、聞いておきたいと思いますが。
○玉川看護職員確保対策官 後ほど詳しくは報告書と併せてご議論いただければと思います。神野委員のご意見は多岐にわたっております。例えば、一番最初のところで挙げられた点につきましては、今回のこの検討会で検討の対象としておりますのは、行政法学的に見ますと、人材確保法に基づき申請があったところに対して中央ナースセンターの指定を行うというのは、行政行為そのものについて、つまりは指定そのものについてご議論をいただきたい訳です。指定されたところに対しては、補助金などが付いてくるというシステムには総体としてなってはいるのですが、そういう意味でいきますと、書きぶりとして、公開による入札とか何とかというのとは若干、ディメンションが違うところが本来は検討対象なのかと思います。
 それから、その後のところでも、検討会の検討課題と直接関わりがない事項まで含めて、背景として重要だと思われることまで、いろいろ記載をされております。したがって、そこについては個別にコメントはいたしませんが、そうした幅広い内容を持ったご意見が寄せられているのだと受け止めています。
○藤川委員 看護協会が来られていますのでコメントに関して1つ2つ尋ねますが、2頁の2の「指定制度の必要性」の下のコメントで、「そもそも、第七次看護職員需給見通しに関する検討会で、日本看護協会代表委員は、さらなる看護師供給増を図るべきであるという意見に異を唱えていた」とありますが、ここが問題ではないかと思います。神野先生が異を唱えられているのは、厚労省が出したデータベースに基づいて、看護協会は十分看護師は充足しているという主張を続けられて、民間団体、特に病院団体など看護師不足にあえいでいる所は、どうしてそういう疑問が言えるのだということが根底にあって、神野先生の反対の意見が出ているのではないかと考えますね。
 病院団体が本来ナースバンク事業をすれば、積極的にもっと実績を上げられるのではないかということです。充足しているという立場の看護協会がやっても、消極的にはやっても積極的にはやれないのではないかと。別に看護師が再就職しないからといって、看護協会が困るわけでも何でもないわけです。実際にその看護師を雇わなければ、地域医療が崩壊する、医療機関が経営的に成り立たないという切羽詰まった人材不足にあえいでいるわけで、本当に必要としている団体が動かなければ、これは機能しないのではないかという意味ですね。
 さらに、ハローワーク並みのマッチングの実績を上げようとすれば、モチベーションのある団体がしたほうがいいのではないかというのが、この文章から読み取れるわけです。看護協会としては需給バランスは十分と見ているのですか。
○小川参考人 私はいま手元に議事録を用意していますので。
○藤川委員 どうぞ。もしよければ教えていただけますか、どういう発言をされたのか。
○小川参考人 よろしいでしょうか。
○高木座長 どうぞ。参考人ですからいいですね。○玉川看護職員確保対策官 もちろん参考人でいらっしゃいますので。
○小川参考人 藤川先生、発言の機会を得られました。ありがとうございます。日本看護協会としまして、こういう看護師供給増を図るべきであるという意見に異を唱えていたという趣旨ではこの委員会で発言をしておりません。
 神野先生から、厚生労働省のほうから出された資料の中の供給数について上積みをするというお話があったことに関しまして、日本看護協会の菊池から、もちろん養成を促進することや再就業の支援ということも大事なのですが、この取りまとめの中では3本の柱ということで、養成促進、定着促進、再就業支援ということでまとまっておりますが、そのことについて、看護職員が確実に供給されるためには、これからは真ん中の定着促進にさらに力を入れる必要があると考えているということで、養成促進とか再就業支援が有効に対策として実りがあるものにするためにも、定着促進にさらに力を入れるべきという発言をしております。
 現実的かつ有効な対策として定着促進にさらに力を入れるという趣旨で、需給見通しのデータの中で単に供給数だけを上げるということではなくて、確実に定着を図っていき、それが供給数を引き上げていくと、そのような趣旨の発言です。供給数は少なければいいとか、そういうことでの発言ではなくて、その取組みの手法の現実性、有効性のところでの発言だと考えております。
○藤川委員 意味は何となくわかったのですが、結局、7対1までいったところは、現状維持でいいわけです。減らなければいいから、定着性を高めれば、看護師をそれほど募集しなくてもいい、充足しているのだと言うことです。しかし、ほとんどの7対1までいっていない民間の医療機関、15対1、13対1、10対1でやっている所は、在院日数が厳しくなればなるほど看護師不足は続きます。看護基準を上げれば収入は増えるわけですから、どうしても看護師が12人の所は15人、15人は20人にすれば収入が増えるということであれば、やはり上げたくなるわけです。
 だから、勝ち組の7対1までたどり着いた所は定着だけでいいけれども、足りない所、7対1まで届かない所は、みんな困っているわけです。7対1にみんながあまり走り過ぎたものだから、残された所の医療機関、特に1次、2次をやっている医療機関が、いまあえいでいるわけです。
 だから、神野先生も7対1を取っているでしょうが、あの方も病院団体の副会長、石川県だったと思いますが、石川県も田舎があります。医療機関と連携をしないと、自分の病院が7対1看護で頑張っても、周りの医療機関がばたばた倒れていったら、地域医療連携はできないから、患者さんをみれないわけです。2週間で患者さんを退院させられないので、DPCの役目を果たせません。
 だから、トータル的に地域完結型で患者さんを助けていくためには、1次、2次の看護師不足に対しても、看護協会の立場で足りない、地域は充足なんかしていないということを発言しないといけません。定着だけということは、自分たちの勝ち組の所の看護協会の就職している看護師長たちの意見だけが県や中央の中で通っていくと、地域の本当に困っている所の看護師長たちの声が消えているわけです。
 だから、声なき声に耳を傾けるという優しさがこの発言に出ていないから、定着と言って、いまの7対1を維持すればいいだけと考えている所は、そういう発言になってくると思います。それが誤解を招いて、神野先生の反対意見というか不信感の意見になっているのではないかと、私はいまの意見で何となくわかりました。
 それをどうするか。勝ち組だけの7対1だけ生き残って、日本の医療はそれでいいのかということです。そうではないだろうということであれば、もう少し次の段階のステップの医療機関をどうやって助けていくかというところに、国も看護協会も心を配らないと、実際に成り立たないのですよ。国民が医療難民になるわけですから、その辺は十分考えていただきたいと思います。
○玉川看護職員確保対策官 第七次の看護職員の需給見通しについてお話がありましたので補足的な説明をします。前回の資料の参考資料4で概要版をお付けしておりますが、この見通しの中では、確かに定着促進も非常に重要な課題であるということでまとめてはおりますし、現にその退職等による減少数も、全体の人数が伸びている中では減少数がそれほど伸びないという形でまとめをしております。その一方で、再就業者数の伸びにつきましても、平成23年に12万3,000人であったのが、5年後の27年の段階で13万7,100人と、1割以上伸びると。しかもその間、離職の方がそれほど伸びない中で再就業の方は1割以上伸びていくという形で、これは47都道府県に対してもそれをどうやって実現していくかということでは、かなり厳しい実現目標だと考えております。
 そういう意味で、この数が、もちろん平成27年の段階でもまだ99%という供給に対する見込みですから、それがもっと100%に近づいた方がいいのだと思いますが、かなりチャレンジングな目標となっております。そこについては、関係団体が努力をしていくという覚悟の上に、この供給見通しは成り立っていると考えています。数字の上だけの説明を補足させていただきました。
○嶋森委員 ちょっと核心からずれてしまっていますが、藤川先生がご懸念の、看護協会は7対1の病院だけを中心に考えてはおりませんので、その誤解を解いていただきたいと思います。診療報酬でも、この度7対1の要件ももう少し、重症患者さんの多い所にしか7対1を出さないということで、診療報酬上たぶんそれは配慮がされてきつつあると思いますし、特に東京都などは、ナースバンク事業は200床以下を中心に、研修も全部ただで、我々看護協会は200床以上をやって、もちろん200床以下も研修に来ていただきますが、そういう意味ではナースバンク、ナースセンター事業というのは、中小の10対1、13対1辺りを、13対1の取れない所も中心にかなり支援をしていると私どもは考えておりまして、ですから誤解をお解きいただきたいと思います。
○藤川委員 東京と地方とまた違います。
○嶋森委員 そうですか。
○藤川委員 都会は民間の医療機関が頑張っているのです、それだけ人口もありますから、実際に必要だし、患者さんも多い。しかし、地域に行くと、国公立が圧倒的に強いですから、官民格差がものすごくひどいのです。だから、石川県も、佐賀県もそうですが、地方に行くと、実際にそれだけ公立病院と対抗できるだけのベッド数を持ってないです。だから、そういう意味で、東京の状況と我々の地域とはちょっと違います。それは十分理解しています。
○高木座長 これはナースバンク事業の根幹にかかわる議論で、指定の議論とはまた少し異なる話ですが、そもそも看護職員の需給見通しは、養成数と、定着と、辞めた人の再就業と、この3つだと思う。若い労働市場はだんだん先細りになって来ますので、自ずと定着と潜在看護師にいかざるを得ないこれは、どの産業も同じだと思っていますので、看護師の供給増は簡単ではない。でも、ニーズは大きいという意味で、様々なことを取り組まなければいけないのかと思います。
 神野委員の報告書について、他によろしいですか。では、残った時間は、論点整理案を基に報告書(案)を作成していますので、事務局から読み上げ、それについて説明をして、質疑に入りたいと思います。それではお願いいたします。
○河原課長補佐 資料4の報告書(案)の読み上げをさせていただきます。
中央ナースセンターの指定の在り方に関する検討会報告書(案)
1.はじめに。
○地域医療体制を維持し、質の高い医療を提供していく上で、看護職員の確保は極めて重要な課題となっていた。このため、平成4年には、看護師等の養成、処遇の改善、資質の向上、就業の促進等を図るための措置を講ずることにより、病院等に看護師等を確保することを目的とする「看護師等の人材確保の促進に関する法律(平成4年法律第86号。以下「法」という。)」が制定された。
○看護師等の就業の促進に関して法は、厚生労働大臣が、都道府県ナースセンターの業務に関する連絡調整及び援助を行うこと等の業務を適正かつ確実に行うことができる法人を、全国を通じて1個に限り中央ナースセンターとして指定することができることとした(第20条)。
○また、前記の規定に基づき、平成5年12月に日本看護協会が中央ナースセンターとしての指定を受けた。
○他方、全国に1つの法人を指定して業務を実施させる「指定法人」については、平成22年12月に取りまとめられた「厚生労働省独立行政法人・公益法人等整理合理化委員会」報告書において、「全指定法人は、指定根拠法令の検討を通して、その在り方を全面的に見直す。その検討は、関係する審議会等で行うこととする。指定根拠法令を存置する場合には、その指定先選定理由の情報公開、プロポーザル方式を含む参入要件、新たな指定基準など『新ルール』を制定する」などの改革への提言がなされたところである。
○本検討会は、上記の改革への提言を踏まえ、中央ナースセンターの指定の在り方について○回にわたる検討を行い、今般、その結果を報告書として取りまとめた。
2.指定制度の在り方について。
(1)指定制度の趣旨等。
○中央ナースセンターは、法により次の業務を行うものとされている。(ア)都道府県ナースセンターの業務に関する普及啓発を行うこと。(イ)都道府県ナースセンターの業務について、連絡調整を図り、及び指導その他の援助を行うこと。(ウ)都道府県ナースセンターの業務に関する情報及び資料を収集し、並びにこれを都道府県ナースセンターその他の関係者に対し提供すること。(エ)二以上の都道府県の区域における看護に関する啓発活動を行うこと。(オ)(ア)~(エ)のほか、都道府県センターの健全な発展及び看護師等の確保を図るために必要な業務を行うこと。
○看護師等の就業を円滑に進めるための専門的な無料職業紹介は、法制定以前から都道府県単位でナースバンク事業として行われ、同事業では職能団体としてのネットワーク等を活かしながら、働く意欲を持つ看護師等の堀り起こしを行うとともに、ニーズに適した職場に就職できるように努めてきた。
○ナースセンターは、ナースバンク事業を内容的にも発展・強化するとともに、指定法人として法定化することによって、看護師等についても一層安心して相談や職業紹介などを受けることができるようにしたものである。
○ナースセンターは、都道府県ナースセンターと中央ナースセンターの2種類から構成されるが、中央ナースセンターは、全国的な事業を進めるものとして、全国に1つ指定されることとなっている。
(2)業務の現況。
○中央ナースセンターは、平成22年度においては、?機関誌等による広報、?進路相談のための情報収集及び情報提供、?都道府県のナースセンター事業担当者会議の開催、?都道府県ナースセンター事業実施状況調査、?訪問看護師養成講習会実施状況調査のほか、?ナースセンター・コンピュータ・システム(NCCS;各都道府県ナースセンターで行っている無料職業紹介システム(e-ナースセンター)及び都道府県ナースセンター業務システムの総称)及びe-ナースセンターの運用、?NCCS登録データに基づく看護職員の需給、就業動向の把握及び分析を行っている。
○このうち、NCCSにより維持されているe-ナースセンターの平成22年度の月別アクセス数は、年間で57万9,836件、(平均で4万8,320件)に達している。また、NCCSを通じた無料職業紹介の平成22年度の実績は、有効求人数15万5,058人、紹介者数1万9,818人、就職者数1万2,404人となっている。
○上記の就職者のうち、5,794人を臨時雇用職員が占めるとともに、臨時雇用職員以外の求人充足率は低い状況にあるが、臨時雇用職員が多いことは最近の医療現場に慣れていない人やフルタイムの就業が困難な人に頼りにされているという面もあるものと考えられる。
○都道府県ナースセンターでは、医療機関がどの程度の求人があるのか調査し、病院の離職者や、在宅の者の就業希望等も調査した上で、これらの情報を活かして、看護の職場を分かる相応の技量を備えた相談員が丁寧に地域の実情に応じた対応を行っている。
○また、再就職希望者に対する研修や、看護に関する啓発活動などの各種の事業を実施しているが、これらの事業を有効に組み合わせることによりナースバンクの機能を更に向上させることが期待できる。
(3)指定制度の必要性。
○平成22年12月に取りまとめられた「第七次看護職員需給見通しに関する検討報告書」よれば、看護職員の需要見通しは、平成23年の約140万4,000人から、平成27年には約150万1,000人に増加する見込み(約6.9%の伸び率)である一方、看護職員の供給見通しは、平成23年の約134万8,000人から、平成27年には約148万6,000人に増加する見込み(約10.2%の伸び率)となっている(人数はいずれも常勤換算)。
○上記報告書は、看護職員需給見通しを着実に実現していくためには、定着促進を始め、養成促進、再就業支援にわたる確保対策について一層の促進を図ることが必要不可欠であるとされており、このうち、再就業支援については、国や都道府県は、ナースバンク事業に対する補助や、潜在看護師等に対する臨床実務研修に対する補助を実施してきたが、ナースバンクは、ハローワーク等と連携した取組み等により効果を一層増大させることを期待するとしている。
○このように、質の高い医療サービスを安定的に提供できる体制に整備するため看護職員の確保対策を推進していく上で、ナースバンク事業については、看護職員に対する周知広報をさらに強化するなど運営方法の改善を図るべき点が少なくないものの、その意義についてはますます重要なものとなっている。
○この点に関して、社会保険から医療機関に対して診療報酬として支払われたもののうちから民間の職業紹介事業者に高い手数料が取られることにより、そのコスト負担が看護師育成や医療機関の運営に支障を生じさせることのない無料職業紹介の制度は、極めて重要であるとの意見があった。
○また、ハローワークはすべての職業紹介を扱っているが、ナースセンターは看護職員の就職支援、確保に特化した、いわば生命と健康を守るインフラとしての機能を果たすことが期待されている。
○都道府県ナースセンターを通じたナースバンクは、中央ナースセンターによるNCCSの運用を始めとした各種の連絡調整業務を実施することなしに、円滑に事業を展開していくことが困難であり、これらの業務は、国等の行政機関が自ら行うよりも、看護師等の確保を図り、もって保健医療の向上に資することを目的とする民間団体において行うほうがより円滑かつ効率的に実施することが期待できるものと考えられる。
○また、看護職員に対する無料職業紹介事業に係る連絡調整業務等の中央ナースセンター事業に対しては、財政面の支援として国から補助金を交付しているところであるが、重複投資を回避し、業務の効率化を図る観点からも、全国を通じて1法人に限り指定する指定法人制度を維持することはやむを得ないものと考えられる。
4.指定先の選定方法等。
○平成5年12月から現在に至るまで、中央ナースセンターとして指定されている日本看護協会は、「都道府県看護協会との連携のもと、保健師、助産師、看護師及び准看護師が教育と研鑽に根ざした専門性に基づき看護の質の向上を図るとともに、安心して働き続けられる環境づくりを推進し、あわせて人々のニーズに応える看護領域の開発・展開を図ることにより、人々の健康な生活の実現に寄与すること」を目的とする公益社団法人である。
○日本看護協会に対する法に基づく中央ナースセンターの指定は、前述のとおり、法制定以前からナースバンク事業を支えてきた職能団体であることを考慮して行われたものである。
○中央ナースセンターの指定後20年近くにわたって、中央と都道府県の職能団体は相互に連携して、ナースバンク事業関連業務のほか、看護に対する啓発活動やナースセンター業務に係る情報収集にわたる幅広い業務を継続して実施してきた。この間、中央ナースセンターには、NCCSの運用を始めとして様々なノウハウが蓄積されるとともに、一定の成果を挙げてきたものと考えられる。
○また、これまで日本看護協会は、中央ナースセンター事業に対して、国から交付された補助金以上の支出をしており、直ちに「既得権として長期にわたり指定による業務を実施」したとは言えないのではないか、との意見もあった。
○しかしながら、法が制定されたときと比較して、中央ナースセンターの指定に関しても、手続面での透明性が強く要請されるようになってきており、中央ナースセンターの指定に係る公募を行うべきではないかとの意見もあった。
○このような状況も踏まえ、当面は、現在指定を受けている中央ナースセンターが引き続き業務を継続することとするものの、今後、法の改正が行われ中央ナースセンターの業務の見直しがあったとき、又は法第3条第1項に基づく基本的な指針の変更があったときには、改めて中央ナースセンターの指定について見直しをすべきである。その際には、あらかじめ法に基づく中央ナースセンターの各業務の実施に係る条件などを提示した上で、期間を限って広く申請を受け付けるなどの手続について考慮すべきである。
○なお、中央ナースセンターにおいては、NCCSの運用を始めとして都道府県ナースセンターとの連絡調整業務など継続性が重視される業務が中心となっていることから、少なくとも短期的に指定を見直しすることは馴染まないものという意見もあった。
3.おわりに。
○急速に高齢化が進展し、医療技術が進歩する中で、中央ナースセンターは、法の趣旨を踏まえ、より一層、時代の要請に応じた看護職員の確保対策の強化を図っていくべきである。
○また、中央ナースセンター事業については、日本看護協会のホームページにおいて毎年度の事業報告書を掲載するなど情報公開に努めているものの、都道府県ナースセンターと比較して、実施している事業の内容が外部から分かりにくいところがある。
○このため、一般にも分かりやすい資料の作成など、今後より一層の事業運営の透明性の確保を図るべきである。
 読み上げは以上です。
○高木座長 対策官、何か追加資料はありますか。
○玉川看護職員確保対策官 前回提出した論点整理(案)との違いを中心に、若干補足をしたいと思います。まず「1.はじめに」では、人材確保法の制定とか、同法に基づいて、日本看護協会が中央ナースセンターとして指定を受けていること、さらに本報告書が厚生労働省独立行政法人・公益法人等整理合理化委員会の改革への提言を受けて検討が行われているということを付けています。
 2頁以降は「2.指定制度の在り方について」です。(1)「指定制度の趣旨等」については、人材確保法が指定されたときの考え方について、出典のところまでは引用してありませんが、当時の資料に基づいて整理をしております。(2)「業務の現況」については、NCCSを通じた無料職業紹介の最近の紹介実績について記載しています。前回の検討会で神野委員からご指摘がありましたように、臨時の雇用形態が多いということですが、この点について、どう評価するかについては、ナースセンターが看護職員の再就業の中でどういう役割を果たしているか。さまざまな看護職員の再就業に関わる事業体があると思いますが、その中のどこの部分を担っているのか、あるいは今後どこに力を入れていくべきかを話し合っていただくためのベースとなる出発点なのかと考えております。
 (3)「指定制度の必要性」については、医療サービスの安定的な提供が求められている中で、ますます看護職員の人材確保、ないしはその中での再就業支援が重要になってきていることを考えますと、都道府県ナースセンターの連絡調整業務を行っている中央ナースセンターの指定、この部分の指定そのものについては、前回の検討会においても、その意義は一定の共通の理解が得られているのではないかと考えております。そのように確認をしたと記憶しております。
 (4)「指定先の選定方法等」についてです。こちらの記載は現在、指定を受けている日本看護協会の簡単な紹介に続いて、同法人が指定後20年間にわたって中央と都道府県の職能団体が相互に連携して、ナースバンク事業関連業務のほか、幅広い業務を継続的に実施してきたという実績を書いており、ここで一定程度の成果は上がっていると評価を記載しております。しかしながら、法制定当時と比較しても手続面での透明性が昨今、非常に強く求められている中で、中央ナースセンターの指定について、公募を行うべきではないかというご意見がありました。そのことを踏まえ、当面、現在の指定を受けている中央ナースセンターが引き続きその業務を実施するとしても、例えばその法改正によって、中央ナースセンターの業務が見直され、追加されたときには、指定についても改めて見直すべきではないか、という提言を書き加えております。この際の考慮事項として、都道府県の連絡調整業務という性質から、あまり短期の指定というのはいかがかということですが、一定の場合には、先ほど言ったような形での見直しを行ってはどうかという提言を加えております。
 「3.おわりに」は、この検討会を準備して、事務局としても感じたところですが、都道府県ナースセンターの行っている業務は、比較的外部から見えやすいというか、何を担っているかはわりと明瞭なところがあります。これに対し、それを支えている中央ナースセンターがどういう機能を果たしているかは、なかなか分かりづらいところがあります。現にe-ナースセンターのホームページ等においては、各年度の中央ナースセンターの事業報告書を始めとする各種の資料が掲載されております。そういう意味では各種の情報提供には努めているところですが、中央ナースセンターが公費を使って、こうした事業を推進していくというところからすると、より一層事業運営・展開あるいは担っている役割が分かっていただけるような努力を続けていかなければならないのではないか、ということを記載しています。補足の説明は以上です。
○高木座長 報告書の読み上げとポイントを説明していただきました。事前にお目通ししていだいたかと思いますが、ご意見、ご質問等、自由にご発言いただきたいと思います。順番に沿っていったほうがよろしいですか。
○玉川看護職員確保対策官 あまり飛ぶのも何ですので、できれば前の方からお願いします。
○高木座長 では、「はじめに」はよろしいですか。「指定制度の在り方について」の(1)は趣旨等ですので。
○小野委員 1カ所だけですが、事務局から、ここに書いてあることは、当時の資料を参考にしたという説明があったかと思います。3つ目の○の「一層安心して相談や職業紹介」云々というのは、当時の説明であったと思います。先ほどの神野先生のご意見は、どうもそこはご異論があるようです。この中ではご異論のない方もいらっしゃると思うので、書いてあること自体は残しておいていいと思いますが、これが当時の説明だということは、わかるように文章を工夫していただいたほうがいいのかと思いますが、いかがですか。
○高木座長 確かにスタートをきちんとする必要がある。
○藤川委員 この○の4つ目に、全国に1つの法人を指定して業務を実施させる「指定法人」については、その在り方を全面的に見直すとあり、最終的に指定先選定理由の情報公開、プロポーザル方式を含む参入要件、新たな指定基準など「新ルール」を制定するなどの改革への提言がなされ、何らかの改革のスタイルを見せなければならないということで、この委員会が開かれたと思います。それなりの改革案を提示すべきだと思いますので、これに準じて「おわりに」まで議論をしていく基準はここにあるわけです。既得権を守ったり、そういうことではなくて、独禁法ではないのですが、長い間指定してきたことが、本当にどうであるかを見直せということが動機づけでこの会を作ったわけですから、全会一致なら問題ありませんが、神野先生から問題の提起をされている以上は、それなりの改革案を示すのが正しい判断ではないかと思います。
○高木座長 「はじめに」の4つ目の○ですね。
○藤川委員 4つ目で、この委員会の拠り所ですね。
○高木座長 スタートの話ですね。たぶんそれは最後の結論にも関係しますので、一応、「はじめに」についての藤川先生の意見を踏まえて、次に移ります。
 2頁の「指定制度の在り方について」で、趣旨の話が出ていますので、この辺は先ほど小野委員からも出ましたが、よろしいですか。(2)「業務の現況」の3頁で、臨時雇用職員が5,794名あると考えられるというのは、事実と解釈が入っていますが、この辺はよろしいですか。
○嶋森委員 再就業の人は、フルタイムには最初からはなりにくくて、まず臨時とか短期採用で、それが慣れて大丈夫という確信を持ってフルタイムになるということなので、最初の取組みとして、先ほどイベントというのがあったのですが、イベントから始まって、臨時になって、それから本採用になるかなと思いますので、こういうことで実績として働き始めることを勧めるのはいいことだと思いますので、いい意味で頼りにされている面もあるという言い方は適切ではないかと思います。
○高木座長 いま大学でワークライフバランスの問題で協議するのですが、雇用形態の「正規」というのは何か変わりつつある。再就業のプロセスはずっとトレースしているのですか、臨時職員のあとに、正規に移るのか、個人ごとに現場では追跡しているのですか。
○藤巻委員 実際のところは医療の変化が目まぐるしいということがあって、1度職場を離れた看護職員がすぐに戻っていくのには困難性が高いのです。しかし、いまのようなことで、健診機関で採血だけとか、そういうことからやってみようみたいなことで、臨時雇用も非常に重要な入口だと思っています。
○高木座長 女性医師の就業問題ともかなり似ていて、やはり難しい面もかなりあります。要するにニーズと現象の需要に乖離が存在する。
○小川参考人 臨時の方が常勤までいっているのかどうかということで、それをきちんと把握しているのかということでしたが、より現場に近い就業相談員は、そういう状況を体験として把握している方もいらっしゃるかと思います。ただ、個人情報の保護の観点からは、就業した方のデータについてはなかなか取り扱えないということもあります。そこで、来年度事業の中で、再就業を果たした方が2年後、3年後にどうなっているのかということで、そのフォローアップ調査を事業計画の中では考えております。
○高木座長 では、その辺はよろしいですか。次に(3)「指定制度の必要性」です。だんだん本題に入ってきますが、ここについてご意見、ご質問等はありますか。
○藤川委員 4頁の下から2番目の○の「これらの業務は、国等の行政機関が自ら行うよりも、看護師等の確保を図り、もって保健医療の向上に資することを目的とする民間団体」とあり、看護協会も1つの対象になりますけれども、日本医師会なども病院団体と協力して毎月会議をやっていますが、看護師不足の問題は非常に喫緊の問題です。日本医師会と四病協が協力して、地域の看護師不足を解消するネットワークにおいては、ハローワークと、看護協会、日本医師会や四病協、いわゆる病院団体との3本立てで看護師不足の問題を解決していくというのは、あって然るべきではないかと思います。
 今回は時間がないですが2回の議論で結論を出さなければいけないという厚労省の願いがありますので、近い将来、きちんと予算を組んで、先ほど1億円という話でしたので、ソフトはもうきちんとできているわけですから、3本目の柱として、日本医師会と四病協と協力したネットワークを張って、ハローワークでも引っ掛からない、現在やられている看護協会のナースバンクシステムでも捜せない看護師さんをしっかり把握して、看護師不足を解消していけば国民の利益にもなります。そういうことを考えれば、民間団体というのは決して1つではないのではないかというのが日本医師会としての意見です。
○高木座長 そのほかにご意見はありますか。5頁の一番頭に、ある意味で結論部分で、「1法人に限り指定する指定法人制度を維持することはやむを得ない」というのは、将来的な話が藤川先生から出て、民間団体は1つではないのではないかというご指摘もありましたが、4頁の最後の○で、1法人の指定という話は、このような書きぶりでいかがですか。
○嶋森委員 民間団体はいろいろあるというのは藤川先生がおっしゃるとおりだと思います。先生もおっしゃったように、いますぐにいくつかというよりも、後ろのほうで書いてあるように、いろいろな機会に備えて次のことは考えればいいと思います。今回のこの報告書については、できれば1法人でいって、看護協会と言っていますが、都道府県ナースバンク等は必ずしも看護協会の傘下ばかりではなくて、全体をカバーしておりますので、その中心として、法人はセンターを1つにしていただいたほうがいいと思います。いろいろな仕事が重複したり、連携がうまくとれないということがありますので、診療所や医師会関連の病院の方も看護協会のナースバンクを随分ご利用いただいていますので、当面はこの1法人で、現在のやり方でいったほうがいいのではないかと思っています。
○藤川委員 いま看護協会がやっていること自体は全然否定していないのです。問題は、民間のナースバンクが、結果的に非常に医療機関の経営に悪影響を与えているわけです。
○嶋森委員 紹介状ですか。
○藤川委員 いわゆるリベートを取って年収の2割とか3割を取って医療機関の看護師不足に付け込んだ商売をしているわけです。そこを何とか取り除かないと医療機関も困るし、看護師たちもマージンを払わなければいけないということで、うまく利用した市場原理主義がはびこっているのです。それは普通の物を売るのと意味が違いますから、国民の社会保障、安全なネットワークを守るのは国の責任でやるべきところを、民間の医療機関が狙い撃ちをされている。
 看護師不足は本来は我々民間医療機関が起こした現象ではありません。本来、需要と供給のバランスが崩れているところを国が補えばいいのに補ってないから、マッチングのミスが起こって、派遣業という商売が成り立っているわけです。これを何とか防げないかということで提言をしているわけです。だから、看護協会がやっていることがどうのこうのということではなくて、さらにそれを国が援護射撃をして看護師不足を解消すれば、そういう派遣業は成り立たなくなるわけです。それをやっていただきたいというのが、看護師不足を解消するとともに、我々が難から逃れることを願っているわけです。だから、看護協会がいまやっていることを否定しているわけではありませんので、誤解のないように。
○伊藤委員 前回から藤川委員が、日本看護協会がやっているナースバンク事業だけでなくということは、すごく力強い提案だなと思っています。私はそういうのは大切なことだと思っていて、そういうことを排除しない在り方はあるべきだと思っています。
 悩ましいのは、無料職業紹介を認めることに対しては財政的に支援をすることを伴うから、現実問題として難しいということになってしまうのだと思っています。何とかそこを乗り越えられるものがあればなとは思うのですが、現時点の国の予算などを考えると、5頁のいちばん上にあるように、現時点はやむを得ないということなのかなという感覚を私は持っています。
○藤川委員 例えば、現実にもう1つシステムを作るとすると、実際に医師会でやる場合は看護学校を養成している郡市区医師会レベルになると思います。県の医師会でやっている所も一部ありますが、ほとんどが地域の医師会で看護師の養成をやっていますので、そこにコンピューターの端末を置くことになると思います。
 それに対してはソフトはもう出来上がっており、そのシステムを使えば、20年もかかって使われているわけですから、ソフトに関しては相当使い勝手が良くなっていますので、厚労省の許可があれば、その使用料だけの問題になると思います。
 あと中央ナースセンターシステムは、例えば日本医師会に置くとしても、そんなに人材をたくさん置かなければいけない事業ではありません。いま看護協会がやっていることは、ナースバンク事業以外に、山梨の看護協会から説明がありましたが、その他の業務に関しては、当然医師会側としても協力をすべき立場ですので、我々の医療機関に就職している看護師、准看護師も勉強に行きます。県とか郡市区医師会レベルではさまざまな協力をしていると思うし、今後も協力をしていかなければならない立場です。そんなに資金的にはかからないのではないかと思います。医師会の会費をある程度導入しても、その地域の医療機関の看護師不足が解消するのであれば、やれます。
 もう1つは、国から地方交付税の形で出ている分野で、各地域で看護学校に補助金を国と県で半々で出したり、いろいろしていますので、ナースバンク事業に関しても、国から地方自治体に関して協力要請をしていただければ、地域での行政での予算を編成してナースバンク事業に協力してもらえれば、多額の金が要るようなことではありません。医師会で看護師不足だと言うばかりではなく、具体的に本当に被害を被っている医療機関が参加する医師会の中で、そういう事業をやり出すと、相当モチベーションが高くなってきて、例えば10人要るとなったら、最優先して、ここの地域が本当に看護師不足で、2次病院が倒れそうだから優先をしてくれというのはできるわけです。
 例えば地域医療再生基金の活用では、我々の佐賀県などでは、伊万里の市立病院と西有田町立病院が合体したのです。そこに優先的に回そうと、我々民間医療機関は我慢して、医師会としては民間医療機関は手を挙げずに、その地域の基幹病院を立ち上げさせろということで、何10億円という予算を分配したり、唐津の日赤病院が建て替えるときは優先的に唐津の日赤に予算を組めという判断をしています。唐津の日赤病院は唐津の2次病院で基幹病院ですので数多くの民間の医療機関の難しい症例を解決してもらっており、救急病院の拠点病院として資金を地域医療再生に回せということで、我々民間医療機関も、3次病院、2次病院の高度医療を守る努力はしております。政策的に順番を付けて、看護師や医師の派遣、医療機関の立直しに対する中央行政の予算の配分も我々のオートノミーでやっていますので、看護協会とも協力をして看護師不足の対策はできるのではないかと考えています。日本看護協会も厚労省もご理解いただければと思います。
○玉川看護職員確保対策官 いま藤川委員からご指摘があったネットワークづくりは非常に重要な課題で、学校、養成所等について、無料の職業紹介があることを、単に看護協会の中だけではなく、外部にもよく知っていただいて、看護師としてこれから職業生活を送っていただく上で、こういうツールがあることを分かっていただくことは重要です。
 藤川先生の言われたような形で、現場で端末を開けばということで言いますと、いまe-ナースセンターという仕組みが一応出来上がっており、それはナースセンターまで出向かなくても登録があれば、個々の情報は取れることになっております。したがって、そうしたものを学校などでも活用していただくように。逆にいうと、それが知られていないということであれば、協会もより一層地域の医療機関の中に入って、登録などのインセンティブとして考えていただきたいと思います。実際にのぞくことができるのだということまで分かっていただけるよう周知していただくことによって、ネットワークづくりの中で関係団体が支え合うものができればいいのではないかと思います。根幹のところのコーディネーターとか連絡業務要員のランニングコストのところだけが膨らんでしまいますと、行政としてもこのご時世、なかなか辛いところがあります。ですので、それを最大限活用していただけるような取組みをしていただければ、大変ありがたく存じます。追加で説明いたしました。
○小野委員 事実関係を確認したいのですが、中央ナースセンターなり、人材確保法ができたときには、都道府県ナースバンク事業というのは各県でやっていて、それを支援するような中央の働きも日本看護協会がされていて、それに国の仕組みが乗っていった形なのか、それとも都道府県のほうはやっていたが、中央の日本看護協会はしていなくて、国のほうでこの法律を作ってやりなさいという話になって日本看護協会が乗り出したのか、どちらなのかを教えていただきたいと思います。
○小川参考人 昭和50年以降、都道府県のナースバンク事業が行われていたのですが、そのときには、日本看護協会が中央の総合対策本部という名称で、センター的な機能を担っていたという経過がありました。
○高木座長 中央ナースセンターはそこに乗っかったわけですね。
○小川参考人 当時、第一次医療法改正によって、駆込み増床という現象が生じ、非常に深刻な看護師不足が起きた結果、人材確保法の制定に至ったという経過の中で、この法律になったということです。
○小野委員 そうであれば看護協会のほうの事業が先行していて、これがいいということで国が法律を作って支援しましょうという経過だったということですね。
○小川参考人 国のほうで。
○小野委員 そういうことだと思います。そうすると、例えば病院のほうで同じように看護師不足をヘルプするために何とかするのだという事業をするのであれば、まず事業が先行した上で、そこに国が支援していくというのが順序のような気がするのです。指定をするというのは、実態があった上に、その上に乗っかっていくという形がこの経過だったと思います。
 いま議論になっているような素晴らしい取組みが進むのはそれはそれで素晴らしいことだと思いますが、法律の仕組みとして乗っかっていく、あるいは国が税金を出すということを考える上では、実績というものがあった上での議論になるのではないかという気もしました。
○高木座長 いまの議論の延長で、(4)「指定先の選定方法等」ともつながりますが、「20年近くにわたって」云々という部分について、ご意見等をいただきたいと思います。
○小野委員 「てにをは」です。6頁のいちばん上の○に「法3条第1項に基づく基本的な指針の変更があったとき」という記述がありますが、この報告書の前のほうで、基本的な指針において、中央ナースセンターのことで何が書いてあるかという記載がないので、その辺を書き加えていただいた上で、ここで「基本的な指針の変更があったとき」と言及していただいたほうがわかりやすいのではないかと思います。本質論とは関係のない話ですが、1つ申し上げます。
○高木座長 いまのは、前のほうできちんと押さえておかないとという話ですよね。
○小野委員 はい、そうです。
○藤川委員 6頁の「このような状況も踏まえ、当面は」というところですね。状況は変わってくるというか、人口動態、特に今後は都市部の看護師不足、老人が急激に都市部で増えてきますので、いま国は在宅にチェンジしてきましたから、在宅になるとさらに人材が不足してきます。ですから、法の改正が将来的には行われるかもしれませんので、我々のチャンネルを増やすという点において、こういう書き方は非常にいいなと思って私は読んでいたのです。将来的にずっと固定するのではなく、業務の見直しとか、いろいろあった場合には、指定の方法、数もいまは1つに決まっていますが、そういうものを複数チャンネルにするとか、柔軟に考えながら、今後の超高齢社会、少子化時代を乗り越えるためのマンパワー不足をどう補っていくかを記載しておいたほうがいいかなと思います。内容的には非常にいい内容になっていると思います。
○高木座長 ほかにいかがですか。
○伊藤委員 いまの6頁のいちばん上の部分ですが、公募をするとか、いろいろな議論がこの場であったわけで、そういう改革案を活かしていきたいと思います。ただ、いまの中央ナースセンターに日本看護協会が指定されていることの業務の継続性ということは重要だと。そうすると、3年後、5年後とか具体的な数字で出すことも、これもまた根拠がどこにあるのかということになると思っているので、こういった法の改正とか、基本的な指針の変更といった契機を次の指定の見直しにするというのは分かりやすい考え方だと私も思います。
 その意味で、前のセッションで離職防止だけでは勝ち組がそのまま看護師を確保できている状態を維持するだけだというのは、そのとおりだと思います。しかし実際問題、再就職の支援だけだと、ベースの部分で離職が起きていけば、もっと再就職支援をしていかなければいけないという問題が起きてきます。再就職支援というのは、先ほど別のところで議論がありましたが、流動的な看護職員の市場ということになっていけば、ちょっと現場を離れるだけで医療の進歩に付いていけなくなるとか、民間の職業紹介のコストなども考えると、非常にロスが生まれてくると思います。そういう意味では、看護師の確保という点では、再就職支援も必要ですが離職防止も極めて重要だし、また養成が必要で、やはりこの三本立てなのだと思います。
 そういう意味では、離職を防ぐという観点で、先ほど政策的なという議論があった中で、職場の労働条件が悪い所で離職は起きやすいわけですから、労働条件の悪い所のために無料職業紹介でグルグル人を紹介していくのは、あまり生産的ではない気がしており、離職防止という観点で、きちんと休みも取れて辞めないで済むという対策は併せてやっていかなければいけないのだと思います。
 そういうことを、この「基本的な指針の変更があったときには」と言うのですが、この基本指針は法律ができた平成4年から全然いじっていないということなので、手続きがすごく大変らしく、いろいろな所と協議しなければいけないということがあるようですが、あまりにも時間が経っているので、こういうところはむしろ見直しをしていくことが必要だと思います。できるのだったら、そこまで書いたほうがいいのではないかと思います。
○高木座長 事務局、いま基本指針は説明できますか。
○玉川看護職員確保対策官 「看護師等の人材の確保の促進に関する法律」の3条で定められている基本指針は、厚生労働大臣と文部科学大臣が作成するもので、看護師等の確保を促進するための措置に関するものをまとめた告示を出しております。
 その中では、就業の動向、養成に関する事項、病院等に勤務する看護師等の処遇の改善に関する事項、研修等による資質の向上に関する事項、それからナースバンク事業などもそうですが、看護師等の就業の促進に関する事項といった事項を定めておりまして、そこで基本的な国の考え方の枠組みを出しております。
 いま申しましたように、厚生労働大臣、文部科学大臣、さらには総務大臣が関係の大臣となって、逆にいうと、それだけの大臣が合意をして作っているということです。ですから、そうしたバックボーンに基づいて事業を進めているという形になっています。
○高木座長 いまの部分は書きぶりの話になってきましたが、ほかにはよろしいですか。「3.おわりに」の部分で何かありますか。
 私から質問しますと「3.おわりに」のいちばん下の「一般にも分かりやすい資料の作成」とありますが、「一般」というのは誰を想定しているのですか。一般の看護師を想定しているのか、税金を払う国民なのか。一般というのは非常に広いのですが。
○玉川看護職員確保対策官 舌足らずの表現で申し訳ありませんでした。この検討会の設置でそもそも考えているのは、厚生労働省自体が所管している法人が、ちゃんとそれぞれ公費等によって担われた事業をやっているのかという観点に立って、それでどうかということなのです。このため、その事業内容を一般の国民にもわかってもらえるような努力を、事業の委託を受けている者は皆取り組まなければならないということです。
○藤川委員 「おわりに」で、いま看護師不足、医師不足でもっとも危機的状況な地域は東日本大震災の災害時に看護師、医師、医療機関も不足しているのですが、ああいう災害医療を再生するときは、我々はJMATで6,000人近くを派遣しましたが、現場というのは非常に急いでいるものですから、緊急に要るわけです。超急性期のDMATが引いたあとに、慢性期の疾患の人たちを助けるために、一斉に行くわけですが、地域によって差があります。人口の差もあるし、病人の数の差もあるものですから、中央から行く場合にはわからないのです。情報もなかなか来ない。災害医療の場合には、ある程度オーバーフローするまでやります。医師でも看護師でも、100人、200人必要な所に150人、200人行ってもいいわけです。行って、現場は一時混乱しますが、最終的に、いまは要らないということであれば、どんどん撤収していくのです。
 長期的に見て、看護師不足を早く解消するのは、ある程度オーバーフローするぐらいの看護師養成をきちんとやって、オーバーフローしてきたら、定員をある程度減らしていけばいいし、余った看護師、准看護師もそうですが、看護職員は特養や老健へ回すわけです。いわゆる福祉施設がこれから医療を必要としてくるというのは、いま大問題になっています。昔はそういうことではなかったのですが、90歳、100歳まで生きる人が増えてきましたので、どうしても疾病を持って福祉施設に行く。そこの医療が非常にレベルがダウンしているということで、そこに医師や看護師も必要になってきます。そこにきちんとした医療スタッフが要るということからすれば、まず医療機関がオーバーフローをしたあと、福祉施設のほうに順次回していく。特に高齢の看護師たちで急性期がみられない人たちは慢性期、その次は福祉施設に行けば、ベテランの看護師たちが、老人に対して非常に手厚い看護、いわゆる心のケアも十分できる。若い看護師たちには急性期で頑張ってもらう。これは医師もそうで、急性期をやるのは若い医師たちが頑張るわけですから、超高齢社会を支えていく福祉のほうにもオーバーフローして看護師を回していくことは絶対必要になってきます。医療機関の需要に対しては、1回オーバーフローするような供給体制を早く作って、そのあと順次、世代の高い人から福祉施設ないしは教育の部門に回ってもらえば、早めに看護師不足の問題は解消してくると思います。そういうところを「おわりに」の提言で、少し感想的に厚労省として書いておいていただければ、次の法改正をするときに、またいい知恵が働いてくるものと考えますので、よろしくお願いします。
○小野委員 いま藤川先生が言われたことは大賛成ということで伺ったのですが、よく看護部長さんなどを相手に講演をするときには、部長さんの立場からすると自分の病院の看護師がいなくなってしまうのは非常にマイナスの面がありますが、全体をみると、例えば急性期が無理なら福祉の現場もあるし、さまざまな働き方がありますと申しています。
 先ほどの定着という話の定義でいろいろな議論があったところですが、定着という中には、その病院にいるということだけが定着ではなくて、看護師を辞めないということが定着なのだということです。これもこの会議の本質とは全然関係ないことですが、その病院を辞めてしまって、それはもちろん困るのですが、看護師は是非辞めないで、続けてほしいということが定着なのだということを付言していただけるとうれしいなと考えています。

○高木座長 いまの部分は、「おわりに」の最初の○に関わるのだと思います。非常に熱心に議論いただきました。 先ほど藤川先生から出ましたように、民間のナース紹介事業は、動いてくれていれば金になり、辞めそうな人を見つけてくれば紹介すればお金になるのです。でも、小野委員も話されたように、働く場所は違ってもナースとして働いてほしいという意味では、中央ナースセンターの指定の議論は、ナース労働市場全体をどのようにより良いものにしていくかという議論と裏返しなのです。今日の議論はそこの関係でも出たと思います。
○小川参考人 まさに看護部長のネットワークが潜在化を防止しているということが、現に現場ではやられております。例えば日赤グループとか、そういうグループでの、旦那さんが転勤になって、ほかの地域に行くときに、そこの病院を移るという、病院団体のグループとの連携ももちろんですが、地域においても看護部長のネットワークが潜在化を防止する役割を担っているというのは現実にございます。日本看護協会が64万人の会員を擁しておりますが、看護協会のネットワークをいかに駆使できるのかということも、この事業との関連で言いますと、今後ますます重要になってくるのではないかと思っています。併せて1回目、2回目の検討会でいろいろなご指摘もいただきましたが、わかりやすい資料の作成なども今後努力をしていかなければならないと思っています。本当にありがとうございました。
○高木座長 もう1つは、職能の世界は、ある意味でギルドの中で動くのです。辞めていくといってもキャリアアップで辞めるのか、嫌になって辞めるのかわからない。志のある人は次を目指して、あそこへ行ってみたいとかなど。職能のアクティビティを高める意味で、ガチッと決めるのはおかしいです。その辺はまさにいま小川参考人が言ったとおりです。
○小川参考人 参考人があまりしゃべってはいけないのですが、例えば定着対策がしっかりしている病院は、離職しても離職した人がまた戻ってきます。さらに前回、友人、知人の紹介がいちばん高いというデータも出ていましたが、辞めた方が友だちなどを連れて戻ってきてくれるケースもあって、まさにワーク・ライフ・バランスの取組みというのは、マグネットホスピタルではないのですが、経営改善も含めて、病院としても経営戦略として取り組むケースが徐々に増えています。定着対策があって、はじめて再就業の促進につながってくるのではないかということは、我々は事業の中で実感しております。
○高木座長 おっしゃるとおりだと思います。
 だから、看護協会が独自に取り組んできた意図もわかるし、藤川先生が言ったように、地域のもっと大きなマーケティングの視点からというのもわかる。そういう意味ではいろいろな指摘が出ました。
 とは言え、いくつか書きぶりを修正しなければいけない部分もありますので、一応会議は今日で終わりということで、あとは座長預かりで先生方の意見をいただくということで、私のほうから最後に提案したいと思います。具体的には文言修正等の作業を行って、私も確認して、最終的なものを先生方にお配りするということでまとめたいと思いますが、よろしいですか。
                (異議なし)
○高木座長 ありがとうございます。それでは、以上をもちまして、議論を終わりたいと思います。最後に局長からご挨拶があるそうですので、よろしくお願いします。
○大谷医政局長 医政局長でございます。本日は、「中央ナースセンターの指定の在り方に関する検討会」報告書の取りまとめのご議論をいただきまして、誠にありがとうございました。この検討会は、「厚生労働省独立行政法人・公益法人等整理合理化委員会」報告書を受けて、中央ナースセンターの指定の在り方についてご検討いただくために開催されたわけですが、中央ナースセンターにとどまらず、ネットワークとしてのナースバンク事業、さらには、本日は特にそういうことでしたが、看護師等の人材確保の在り方の本質のところまでご議論が及びました。
 中央ナースセンターの指定制度につきましては、本日、一定の共通認識が得られたものと受けとめておりますが、この制度の運用については、今後、講じていくべき方策について厳しいご意見もいただいておりますので、このまとまりました報告書に沿った対応を今後していきたい、中長期的にも維持していきたいと考えます。
 最後になりましたが、委員の先生方、とりわけ突然の座長就任をお引き受けいただきました高木委員をはじめとして、本当に年度末のお忙しい中、また短期間でありましたが、密度の高いご議論をいただきまして、ありがとうございました。立ち上がりのところで運営に若干の不行届きもありまして、これについてはお詫びを申し上げますが、また、その真摯なご議論に厚く御礼申し上げます。今後とも医療行政、とりわけ看護行政について、引き続きご指導、ご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
○高木座長 それでは、以上をもちまして、本検討会を閉会といたします。ありがとうございました。


(了)

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