ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 健康局が実施する検討会等> 健診・保健指導の在り方に関する検討会> 第5回健診・保健指導の在り方に関する検討会議事録




2012年3月28日 第5回健診・保健指導の在り方に関する検討会 議事録

健康局総務課保健指導室・生活習慣病対策室

○日時

平成24年3月28日(水)15時~17時


○場所

中央合同庁舎5号館9階 厚生労働省 省議室


○議事

健診・保健指導の在り方に関する検討会
出席者
 構成員
  荒木田 美香子 国際医療福祉大学大学院 保健医療学専攻看護学分野地域看護学領域教授
  井伊 久美子  公益社団法人日本看護協会常任理事
  大井田 隆   日本大学 医学部教授
  大江 和彦   東京大学大学院 医学系研究科医療情報経済学分野教授
  門脇 孝    東京大学大学院 医学系研究科糖尿病・代謝内科教授
  迫 和子    社団法人日本栄養士会専務理事
  佐藤 保    社団法人日本歯科医師会常任理事
  島本 和明   札幌医科大学長
  竹村 克二   医療法人寿慶会竹村クリニック院長
  津下 一代   あいち健康の森健康科学総合センター長
  鳥羽 研二   国立長寿医療研究センター病院長
  永井 良三   東京大学大学院 医学系研究科教授
  野口 緑    尼崎市環境市民局市民サービス室健康支援推進担当課長
  林 謙治    国立保健医療科学院長
  保坂 シゲリ  社団法人日本医師会常任理事
  松岡 幸代   国立病院機構京都医療センター・臨床研究センター予防医学研究室研究員
  宮崎 美砂子  千葉大学大学院 看護学研究科地域看護学教育研究分野教授
  宮澤 幸久   帝京大学 医療技術学部教授
  山門 實    三井記念病院総合健診センター所長
  吉池 信男   青森県立保健大学 健康科学部栄養学科教授

 厚生労働省
 (健康局)
  外山健康局長
  野田生活習慣病対策室長
  尾田保健指導室長
  畑農保健指導室保健指導専門官
  三田生活習慣病対策室長補佐
  鷲見がん対策推進室長
 (医政局)
  小椋歯科口腔保健推進室長


 (議事録)
○永井座長 では、第5回「健診・保健指導の在り方に関する検討会」を始めさせていただきま
す。
 まず、事務局から出席者の確認をお願いいたします。
○尾田保健指導室長 一部遅れている構成員がございますが、三浦構成員から本日御欠席の連絡
をいただいております。
 本日は事務局に大臣官房木村参事官、がん対策推進室鷲見室長、医政局歯科保健課小椋補佐に
出席いただいております。
○永井座長 では、議事に入りますが、議題1「今後の特定健診・保健指導の在り方について」
でございます。資料の説明を事務局からお願いいたします。
○尾田保健指導室長 資料1をごらんください。これまで4回の検討会で御議論いただきました、
特定健診・保健指導の在り方につきまして、事務局の方で中間とりまとめの案を作成させていた
だきました。
 まず、構成といたしまして「1 はじめに」「2 議論の経緯」「3 当面の対応について」と
いう構成になっております。
 「1 はじめに」の説明は割愛いたしまして「2 議論の経緯」として「(1)現在の特定健診・
保健指導の枠組みについて」、内臓脂肪に着目した現在の特定健診・保健指導制度について、その
在り方について議論があったということで、評価する観点からの意見あるいは問題提起としての
意見を並べさせていただいております。
 2ページ目「(2)特定健診・保健指導における腹囲基準の在り方について」、現在、特定健診・
保健指導におきましては、スクリーニングの第一基準として腹囲を用いておりますが、これにつ
いて国際的な動向を踏まえ、検討を行っていただきました。評価する観点からの御意見、他方で
問題提起としての意見を並べております。また、現在の判定基準についての御意見、最後の○で
すが、腹囲を測定することあるいは階層化の第一基準とすることについては、重要なテーマであ
り、必要なデータの収集・研究を進めるとともに、データ等に基づき、引き続きその在り方につ
いて検討することが必要ということなったと、書かせていただいております。
 「(3)現在特定保健指導の対象となっていない者への対応について」腹囲またはBMIの基準に
該当しない者の血圧、血糖、脂質、喫煙等のリスクがある方への対応について、3回にわたって
御議論いただきました。まず、こういった方へ対応が必要であるということについては異論がな
かった。それにつきましては、対応についてさまざまな意見がございました。
 次のページですが、保健指導の内容についてもさまざまに御意見をいただきました。事務局か
ら血圧、血糖、脂質についてのリスクに応じた対応の指針となる内容をプログラムに盛り込むと
いう御提案を差し上げた点については、方向性についてはおおむね了承を得たと書かせていただ
いております。
 特定保健指導の在り方につきましては、ポイント制の在り方について御議論いただきました。
「②初回面接者と6か月後に評価を行う者との同一性について」も御議論いただきました。
 6ページ目「③血圧・喫煙のリスクに着目した初回面接の在り方について」事務局から御提案
申し上げた点について御議論いただきました。これにつきましては、1つ目の○ですが、血圧・
喫煙のリスクに着目した保健指導を早期に実施することについて、評価する御意見がございまし
た。他方で、すべての結果が出る前に行動計画・目標を策定することにつきまして、あるいはそ
の後に電話で補完するという点につきましては、さまざまな問題提起がございまして、了承が得
られなかった。ただ、2年目以降の初回面接について一定の条件の下で、電話での保健指導によ
り補完できるようにとの提案につきましては、おおむね了承を得られたと書かせていただいてお
ります。
 次の○ですが、また、禁煙指導については、喫煙リスクのみで指導すると健診そのものに対す
る抵抗感が高まり、継続受診や保健指導への影響が懸念されるとの指摘もあったが、早期の禁煙
指導の重要性の強調についてはおおむね意見が一致したと書かせていただいております。
 「(5)特定健診における健診項目について」血清クレアチニンの検査の導入の必要性について、
有識者からヒアリングを行った上で御議論いただきました。これにつきましては、さまざまに医
学的観点からも含めまして御議論をいただきましたが、検討会としては健診項目に追加すべきと
の結論になったと書かせていただいております。
 8ページ「(6)その他の意見について」ということで、1つ目には、広く国民の健康の維持・
向上に資するためには、健診項目を含め、どうあるべきかについて改めて検討することが必要で
ある等々、さまざまな制度全体について御意見をいただきましたので、ここに列挙させていただ
いているところでございます。
 10ページ目「3 当面の対応について」につきましては、重要でございますので、私の方から
読み上げさせていただきます。
 本検討会では、健診・保健指導の在り方として、特に、特定健診・保健指導制度について、
国民の健康の維持向上の観点から、これまでに蓄積された知見等を踏まえ、制度として見直す
べき点はないか検討を行ってきた
 これまでの議論では、制度の骨格に関わる点についても活発な議論がなされ、特定健診・保
健指導制度は、生活習慣病予防対策として効果があるものの、循環器疾患の発症リスク等の観
点からは、内臓脂肪型肥満に着目している腹囲の扱いについての検証が必要であること、また、
現在、特定保健指導の対象となっていない者のうち、リスクを有する者への丁寧な対応が重要
な課題であること等については、検討会として共通の認識が醸成された。
 また、今後は、特定健診・保健指導制度を始めとした健診・保健指導について、国民の健康
を維持向上させるという観点から、客観的なデータや明確な知見に基づいて、根本から議論を
行い、その結果を制度に反映することを求めて行くべきとの結論に達した。
 このような前提の下で、現段階において、これまで検討会で醸成された共通認識に基づいて
考えられる対応策について、「当面の対応」として取りまとめた。
(1)現在の特定健診・保健指導の枠組み及び腹囲の基準について
○ これまでの研究から、内臓脂肪型肥満に着目した現行制度の下、腹囲を第一基準とした
階層化によって選別された対象者への特定保健指導が生活習慣改善の効果をあげている可
能性があることが分かった。
 ○ 一方で①循環器疾患の発症リスク、②健診受診率の向上、③国際的な動向といった観点
から、現在の特定健診・保健指導の枠組み、特に、腹囲を特定保健指導対象者を選別する
ための第一基準として用いていることに関し、早急な見直しを求める意見も含めて様々な
意見が出された。
 ○ しかしながら、知見やデータの蓄積等の状況が、内臓脂肪型肥満に着目した特定健診・
保健指導制度の枠組みを方向変換するといった明瞭な結論づけを行うには不十分であるこ
とから、今後、腹囲基準を含めた制度の在り方について、国際的な動向も踏まえた上で、
客観的なデータや明確な知見に基づいた議論が行えるよう、データの蓄積を進めるととも
に、計画的に研究・調査を行う必要がある。
(2)特定保健指導非対象者への対応について
 ○ 現在特定保健指導の対象となっていない者への個々のリスク(血圧、血糖、脂質、喫煙)
に着目した対応の必要性について検討会で共通認識が得られたことを踏まえ、当面の方策
として、対応すべきリスクを放置してはならないとの認識の下、特定保健指導の非対象者
への対応が一定の考え方に沿って適切に行われるよう、できる限りの定型化を図った上で、
これを指針として標準プログラムに示す。
 ○ 具体的には、各学会のガイドライン等に基づいて、健診結果に基づくリスクの大きさも
勘案して整理した表を参考として盛り込むとともに、次のような考え方を示す。
  ・ 医療保険者、事業者、市町村等は、特定保健指導の対象とならない者についても、各
ガイドラインや別表を参考にして、保健指導の実施や医療機関に確実に受診させるなど、
健診で明らかとなった対応すべきリスクの程度に応じて、きめ細かく適切な対応を行う。
 ○ なお、表については、別途有識者による検討を行うものとする。
別添1の表については説明は省略させていただきますが、皆様の御意見も踏まえまして、前回お
出しした表に加えまして、喫煙のリスクについても明示的に盛り込んだ表にさせていただいてお
ります。
(3)情報提供の在り方について
 ○ 健診受診者に対する、いわゆる「情報提供」の実施方法や支援内容については、現在も
標準プログラムで考え方が示されているものの、保険者によっては画一的な健診結果の提
供のみに終わっているものもあるとの指摘も踏まえ、標準プログラムにおいて情報提供の
重要性を強調するとともに、医療保険者等に具体的な取組みの例を示す。
 ○ すなわち、情報提供については、対象者に対して健診結果に基づいた生活習慣の改善に
ついての意識づけを行うこと、医療機関への受診や継続治療が必要な対象者には受診や服
薬の重要性を認識させること、健診受診者全員に対し継続的に健診を受診する必要性を認
識させることなどの目的を有することを再認識させると共に、これらを満たす内容である
べきことを示す。
(4)受診勧奨の徹底について
 ○ 標準プログラムでは、医療機関への未受診者や治療中断者に対して受診や治療継続の必
要性を指導することの重要性について示しているが、さらに、受診勧奨後の医療機関への
受診状況の確認を含めて指導を徹底し、必要な対象者を確実に医療につなぐことが重要で
あることを示す。
 ○ 特に、現在特定保健指導の対象とならない者のうち、受診勧奨レベルにある者に対して
は、医療機関への受療行動に確実に結びつくような情報提供が必要であることから、通知
等の送付だけにとどめるのではなく、面接等により受診を促すこと、またその後の受診確
認を行い、必要に応じて継続的に支援することが重要であることの考え方も示す。
(5)健診項目の見直しについて
 ○ 特定健診の健診項目として、血清クレアチニン検査を追加することが望ましいとの結論
に至ったことを踏まえ、どのような対応が可能か、今後、国において、特定健診の実施主
体たる保険者などとの協議調整に努めることを求めるものとする。
 ○ また、あわせて、尿蛋白に加えて血清クレアチニン検査を行うことによる心血管イベン
ト抑制・人工透析低減・国民医療費抑制等の効果、血清クレアチニン検査における保健指
導判定値、受診勧奨値、保健指導を行う上での留意点等、尿蛋白検査に係る受診勧奨値・
保健指導値の設定の要否等についても更に検討していく。
(6)特定保健指導の在り方について
 ① ポイント制について
 ○ 積極的支援における3ヶ月以上の継続的な支援について、特定保健指導の実施状況を評
価するために導入しているポイント制については、維持する。
 ○ ただし、保健指導の柔軟性を高めるために、支援A(160ポイント以上)、支援B(20ポ
イント以上)を必須とし合計180ポイント以上としている取扱いについては、支援Bは励
ましや共感として重要な支援であることを踏まえつつ、支援Bを必須条件から外し、支援
Aのみで180ポイントを達成してもよいこととする。
 ○ また、保健指導のさまざまな手法について、事例集や研修を通して周知を図るとともに、
今後も引き続き、特定保健指導とポイント制の効果についての検証を行い、ポピュレーシ
ョンアプローチの効果を含めたアウトカム評価の可能性などについて検討を行うこととす
る。
 ② 初回面接と6ヶ月後に評価を行う者との同一性について
 ○ 対象者との信頼関係の形成や保健指導のプロセス評価等の観点から、初回面接と6ヶ月
後の評価は同一者とすることを原則とする考えを示した上で、保健指導実施者間で十分に
情報共有ができ、チーム・組織としての統一的な評価方法が構築されているなどの環境が
整備されている場合には、初回面接を行った者以外の者が評価を行ってもよいこととする。
 ③ 血圧・喫煙のリスクに着目した初回面接の在り方について
 ○ 血圧、喫煙は循環器疾患の発症リスクとして重要であることから、健診当日からの対応
を含め、特定保健指導における取組を強化する。
 ○ また、血圧、喫煙に対する保健指導を充実させることと併せ、保健指導の効率的な実施
の観点から、これまでにすでに特定保健指導を受けた経験がある者の2年目以降の初回面
接についての考え方を見直すこととする。
これにつきましては、15ページをごらんいただけますでしょうか。対処方針から御説明させてい
ただきます。
     特定健診実施後の高血圧、喫煙者に対する対応について
【対処方針】
● 特定保健指導の対象となりうる者に対し、健診当日に血圧や喫煙に着目した保健指導を対
面で行った場合であっても、すべての健診結果が判明してから改めて、対面により、健診結
果や生活習慣の振り返りを行った上で、行動目標・行動計画を策定することが必要である。
● ただし、健診当日に血圧や喫煙に着目した保健指導を対面で実施した対象者で、前年度に
同一の機関から保健指導を受けており、メタボリックシンドロームや生活習慣改善について
理解できており、健診の結果、各検査数値が大幅に悪化しておらず、行動目標及び行動計画
の方向性に大幅な変更を必要としないと判断しうる場合については、健診結果がすべて判明
してからの保健指導は対面によらなくてもよいこととする。ただし、本人が行動目標、行動
計画の変更を望むなど、対面による指導が必要な場合にあってはこの限りではない。
● また、人間ドック健診等、全ての健診結果が健診当日に判明している場合には、健診当日
に初回面接としての対面での健診結果の説明、生活習慣の振り返りとともに行動目標・行動
計画の策定をしてもよいこととする。
● なお、禁煙指導については、健診の受診が禁煙の動機付けを促す機会となるよう、対象者
の禁煙意向を踏まえ、喫煙者に禁煙の助言や情報提供を行い、禁煙したい喫煙者には、禁煙
外来や地域・職域で実施される禁煙指導、薬局・薬店等を紹介するよう努めるべきであるこ
とを標準プログラムに記載する。
● さらに、血圧及び喫煙に着目した保健指導は、特定保健指導の対象者となりうるか否かに
関わりなく実施すべきものであることについても、標準プログラムに記載する。
説明は以上でございます。
○永井座長 ありがとうございました。 
 続いて、これに関連しまして保坂構成員から資料提供がございますので、説明をお願いいたし
ます。
○保坂構成員 ありがとうございます。
 「保坂構成員提出資料」というものをお取りいただきたいと思います。日本医師会では、会の
中にさまざまな問題について検討する委員会を設けておりまして、そこで検討を行っているとこ
ろでございますが、公衆衛生・がん対策委員会というのが、特定健診・特定保健指導について検
討する場だとお考えいただきたいと思います。ですから、この委員会の議論の結果というのは、
日本医師会の16万5,000人の会員の意見であると受け止めていただいてもよろしいと思います。
 今回は、会長から諮問を出してお答えをいただく形をとっておるのですが、健診の受診率が上
がらないということで、特定健診やがん検診の受診率の向上のためにどうすべきかを議題として
提示してありましたところ、どのようにするべきかということよりも、特定健診については根本
的な問題があるということで、この答申が出てきたものでございます。
 表紙をめくっていただきまして、簡単に読ませていただきます。
 これまでの老人保健法を基に市町村によって行われてきた基本健康診査(基本健診)が廃止
され、平成20年度から導入された「特定健診」及び「特定保健指導」は、それまで構築されて
きた保健事業の現場を根底から変更させ、開始から既に4年目となる今日も、その実施率は全
国の関係者の努力にも関わらず全体的に低迷している。
この点で、法制度的問題点として「医療費適正化の推進」のための健診ということで、本健診は、
高齢者医療確保法によって医療費適正化の推進のためのものと位置づけられ、更に「老人保健法」
下の「基本健康診査」はなくなり、地方自治体の保健事業とは切り離され、各医療保険者に義務
づけられたものでございます。しかも、その実施率の成否により「後期高齢者支援金」の加算・
減算が行われ、いわゆる「ペナルティ制度」が導入されたことは皆さん御存じのとおりでござい
ます。
 健診方法につきましても問題点がございまして、対象と基準の設定の偏りということでござい
ます。
 「高確法」施行令で、特定健診の対象は「高血圧症、脂質異常症、糖尿病その他の生活習慣
病であって、内臓脂肪の蓄積に起因するもの」とされ、健診項目も限定されたうえ、その内臓
脂肪蓄積の簡易評価法としての腹囲を日本独自の指標で第一基準とするものとした。
 しかも、そのように対象を特定した「一次予防」対策としながら、従来の「二次予防」とし
ての健診と同じような形式で、基準値を臨床での正常範囲とは乖離した設定を行っている。
 当初は、これらを国民皆保険制度維持に国民の主体的な関わりと保険者の責任の一貫性を促
すものとの一部評価もあったが、その後の実際の展開では、これら制度設計に起因する問題が
噴出する結果となっている。
 特にその第一基準とされた腹囲については、その後の国際的動向を見ても、また国内の「吹
田研究」等からしても、「循環器病の独立した危険因子」であることが否定されてきており、少
なくとも腹囲を第一基準とするような健診は諸外国には見当たらない。
 日本公衆衛生学会はすでに平成22年10月に「特定健診・特定保健指導の今後の改定に対す
る意見」を厚生労働大臣宛に提起し、「腹囲が基準以下で高血圧、糖尿病、脂質異常症などの循
環器疾患の危険因子が重複する者がメタボリックシンドローム該当者よりも多数認められま
す。」として、その見直しを求めている。
厚生労働省の検討会で指摘されている問題点でございますが、従来の「保険者による健診・保健
指導の円滑な実施方策に関する検討会」を、平成23年4月から「保険者による健診・保健指導等
に関する検討会」に切り替え、実施5年目以降平成25年度、再来年度からの「見直し」に向けた
「より幅広い検討」を重ねている。
 しかし同検討会は、これは保健局の検討会ですけれども、その設定・構成からして保険者によ
る健診制度を前提とした枠組みの中での議論となっており、その内容も第1回の「地域・職域に
おける生活習慣病予防活動・疾病管理による医療費適正化効果に関する研究について」等に見ら
れるように、受診促進の制度的な手当て(被扶養者の受診促進、市町村への委託、がん検診との
連携)円滑な実施についての実務的課題、内容は事業主健診のデータ取得他システム連携、また、
実施を促進する方策として支援金の加算・減算、補助金単価について等が主体である。
 特に第3回に提示された特定健診の保険者別実施率の分布図は、職域健診と重なる大手健保組
合の被保険者と一部の小規模市町村国保のみが高く、被扶養者や一般国保組合は低迷しており、
協会けんぽ等に至ってはばらつきが大きすぎて評価もできない実態を示している。
 また、腹囲等の疫学的エビデンスについても、その見直しを必要とする学術的指摘・資料提起
も行われたが、引き続く議論に反映されておらず、日医側委員から指摘・抗議を行った。
 エビデンス・精度管理あっての受診率であるという次の項目でございますが、多くの研究者が
指摘するように、健診の評価には「エビデンス」・「精度管理」・「受診率」を一体のものとしてと
らえる必要がある。
 今回の特定健診は明確なエビデンスもなく拙速に開始され、第一基準とした腹囲基準も当時の
関係学会提案をそのまま制度化し、自己申告まで可としており、精度管理以前の問題である。
 また、HbA1cについても、一部地域での調査報告によると、各臨床検査部門での検査結果のば
らつきが許容範囲を超えるものとなっていることが示されており、国際基準との整合性等の議論
以前に各健診項目の標準化、精度管理そのものが問われている。
(2)問題解決のための方策にまいります。
1)法制度的見直し
 「40~74歳の方全員を対象とする大規模な一次予防としての先駆的な取組(厚労省)」とし
て、「壮大な実験」とも評された「特定健診」を強引に「二次予防」の現場に押しつけ、二次予
防としての基本健診を廃止するだけではなく、がん検診等との総合実施にまで阻害要因となっ
たことによって、むしろ医療費の上昇要因ともなったと考えられる。
 前節に述べた各種問題の前提となる「高確法」の一方の柱である「後期高齢者医療制度」自
体も政権交代後の政府が見直しの方針を示しているなか、この特定健診等の制度も含めた「高
確法」全体を見直すべきである。
2)行政責任の明確化
 本来は二次予防以降の保健医療を支えるべき保険者に一次予防を義務づけさせ、それもペナ
ルティ付きの特定健診等制度は前節に述べたとおり、保険者の規模・財政力・組織力等により
その実施状況に極端なばらつきを見せている。
 最も憂慮すべきはこれまで地域で受診ができた住民基本健診が分断され、保険者ごとに自己
負担金や受診先指定機関も変更されることにより、とりわけ「被扶養者」の受診率の低迷を招
いていることである。
 さらに、高い実施率と称される健保組合の健診も、本来の職域健診の読み替え・データの転
用に過ぎず、その余力で行った保健指導が成果とされているが、産業保健による健康教育・指
導と現場では重複しているのが実態である。
 「健康で文化的な生活」を保障すべき憲法下の国・行政の責任を保険者任せにするのではな
く、地域の誰もが平等に安心して受けられる健診を保障することが、とりわけ東日本大震災・
原発事故を経た今日の方向である。
3)エビデンスと精度管理による健診項目設定と指導手法の充実
 従来の臨床検査基準値、性差や年齢差等を考慮しない判定値の設定は当初より非難され、現
場に混乱をもたらしてきた。とりわけ、国際的な統一基準の設定が困難である腹囲をメタボリ
ックシンドローム判定の第一基準に据えたあり方は、健診概念そのものを否定するだけではな
く、むしろ、その該当者に健診受診の意義を失わせ、忌避する根拠も与えたものと思われる。
 「特定」として絞られてしまった健診としての機能を補うため、特に市町村国保と医師会と
の契約の過半数で尿酸やクレアチニン等の「上乗せ健診」が実施されており、それを無料で受
けられるような地区ほど受診率が高いことが日医総研の調査でも明らかにされている。その他
貧血・心電図が限定されていることを含め、健診項目の見直しを求める医師会は当初で7~8
割超であったことも当然である。
 各健診項目としてのエビデンスを今一度確認しつつ、それが全国的に均質な精度と標準化を
保てる方法を提示し、地域はもとより全国的に比較検討もできる設定としていかなければなら
ない。
 また、今回導入された主眼たる「保健指導」や行動変容へのアプローチは、その主体的取り
組みを援助する限りおいては一定の評価も得られる可能性があるものの、最も大きな健康阻害
要因である禁煙指導等がしっかり位置づけられず、その「保健指導」受入自体が「健診」受診
率以上に低調な原因を踏まえ、手法そのものの再検討も必要である。
4)魅力ある健診
 現在進行中の厚労省の「保険者による健診・保健指導に関する検討会」では、関係団体等か
ら手直し案提案に加え「インセンティブのあり方について」や「後期高齢者支援金の加算・減
算制度について」と議論が進んでいる。
 しかし、健診とは本来何のためにあるかを再検討することなく、保険者に押しつけた制度の
維持と見かけ上の受診率向上のために、保険者の利害調整に終わるとすれば論外というべきで、
構造的にも組織的にも違った性格の保険者を均一の議論の俎上に載せること自体に無理がある。
 そのうえで、「社会保障と税の一体改革」が叫ばれるなか、国民皆保険制度を維持するために
は、保険者と国・行政と国民がそれぞれ何をしなければならないかという議論をすべきである。
その中で、国民にとっても魅力ある健診が提示されれば、自ずと受診率も向上し、メタボリッ
クシンドロームに限らない健康づくりへの取り組みがもっと前向きにとらえられるのではない
か。具体的項目等はその方向性のなかでこそ設定されるべきである。
これは一部の抜粋でございますけれども、このような意見が私ども日本医師会の中からの意見と
して出されているということで、もし、これを補充する必要があれば、これは委員会の答申でご
ざいますけれども、日本全国の医師会すべてにこれについてのアンケートをとってここに提示す
ることも考えております。
 以上でございます。ありがとうございました。
○永井座長 ありがとうございました。
 それでは、中間とりまとめ案につきまして、御議論をお願いいたします。
○竹村構成員 今の保坂先生の意見とも重なるのですけれども、この文章の中で、1番が特定健
診・保健指導の枠組みについてということから始まりまして、その後になってくると、今度は保
健指導というのが分かれて書かれていますけれども、特定健診単独で議論されるということはこ
の中ではないのですね。先ほどの保坂構成員のお話でもそうですけれども、保健指導はともかく
として、特定健診自体の問題点はないのかという議論というのは、特定健診を特定保健指導と切
り離して、まず議論することが重要ではないかと思うのです。
 先ほどの保坂構成員のお話の中でも、低下しています受診率の問題がありましたが、結果から
言いますと、大体全国平均で平成19年の健診の受診率でいきますと、老人保健法の基本健康診査
で42.6%あった。これが現在の国保組合の特定健診の受診率が21年度で31.4%になっている。
10%以上下がっているという問題があります。
 第1回の会議でもお話ししましたけれども、相模原市の健診でいきますと、平成19年度は
45.8%あった受診率が平成21年度で21.0%に下がっている。約24%下がっているということで
す。同じ神奈川県の横浜市を調べてみたのですけれども、横浜市は20.4%です。平成19年度は
19.1%と、もともと高くない受診率のところなので大きな変化はないという結果です。川崎市で
は平成19年度が40.9%、平成21年度が22.0%です。これも19%下がっているという結果で、全
国平均で10%、都市部においては20%の減少を見ているという事実がございます。
 メタボが例えば100人いた場合に、組合健保だった60人が健診を受けており、60人が見つかる
という結果ですけれども、メタボ100人が受けたうち、全国平均で30人、特にひどいところでは
20人しか見つかっていないということになると、保健指導がほぼ100%行われたとしても、その
医療費抑制効果というのは国保においては非常に限定的なものになります。
これはいわゆる組合健保、共済組合を除いたほかの健保の組合もほぼ同様な値だと思うのです。
ですから、今度の特定健診の導入によって、約10%か20%の被保険者の受診機会を奪ったという
側面もあるということをよく認識すべきではないかと思います。以上の理由から、特定健診とい
うことだけに関しての論議というのも必要ではないかと考えます。既に議論されてきましたよう
に、特定保健指導の在り方については多くの批判はございませんでしょうけれども、特定健診の
在り方というについての批判は十分議論しておく必要のある項目ではないかと考えます。
○永井座長 健診の在り方と保健指導の在り方を分けるということですか。
○竹村構成員 第1番目のところでは分けて、1つ健診だけについて論議した部分の記載がまず、
あってもいいのではないか。それに対して現状がどういうものか。
 もう一つよろしいでしょうか。
○永井座長 手短にお願いできますか。
○竹村構成員 重要な問題だと思うので言わせてもらいますと、組合健保で59.5%、共済組合で
59.9%という平成20年度の受診率がありますけれども、ほとんどが人間ドックという形で受けて
いるもののデータを流用したものが多いと思うのです。ところが、市町村国保で受ける30%は確
実に特定健診です。ですから、そこら辺の受診のチャンス、内容に関してもかなり特定健診にな
ってから変容してきたんだということも御理解いただきたいと思います。
○永井座長 記載をきちっと分けてほしいということですね。そのほかいかがでしょうか。
 保坂構成員、どうぞ。
○保坂構成員 この検討会は、保健指導にかかわっていらっしゃる方も多くいらして、そのこと
について議論することは、私は決して無駄だと思っていませんし、その結果がここにまとめにな
っていることも十分わかっているのですけれども、前回の保険局の検討会でも、今後の方向のこ
とで法の改正も見据えて何かするべきであるという意見も、私ではなくて保険者の代表の方から
出ているのです。ここの話をしていると、とにかく今のままの制度ありきでどうするこうすると
いうことをいじり回しているだけであって、そうではない、もうちょっと根本のところに立ち返
って考えるべきだということが、そのために私は意見を言ってきたつもりなのですけれども、な
かなか出てこない。なかなか出てこないから結果的に中間とりまとめにも出てこないわけですけ
れども、今、私がなぜ、私ども日本医師会の委員会の意見を申し上げたかというと、そもそも保
健指導にかかわっている方は余り御存じでもないかもしれないけれども、根本的に健診制度その
ものに非常に大きな問題があるということを是非この場でお話ししないと、まず、この場でお話
しし、保険局の検討会でお話ししながら何とかしていかないと、あるいは政治的に働きかけるこ
とも必要なのかもしれませんけれども、いくら一生懸命みんなが取り組んでも、全く無駄ではな
いけれども、非常に効率の悪いことのために莫大なエネルギーと莫大な費用を使っていて、その
費用をよそに回せば、そのエネルギーをよそに回せばもっといいことができるんですよというこ
とを皆さんに知っていただきたいということを、強く願うものでして、本当に私たち日本医師会
の会員は国民の健康のためを思っています。ただ、無駄なことはしたくない。そういう気持ちが
とても強いので、ここでいろいろなことを決めても、もしかすると、この委員会の答申をもって
日本医師会で検討すれば、この健診をボイコットしようという話にだってなりかねないわけです。
4年間我慢してきているわけですから。その辺のことを是非皆さんに知っていただきたいと思っ
て今日お話しさせていただきました。
○永井座長 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
○井伊構成員 ちょっと確認をさせていただきたいのですが、11ページに特定保健指導非対象者
への対応についてということで記載がありますけれども、非対象者への対応については、要は特
定保健指導に当たらない人も指導が必要な人には指導すべきだと、それは当たり前のことでそう
なのですけれども、それは特定保健指導としてするのではなくて、健康増進法等による保健指導
としてするということを、もう一度ここで確認しているということなのでしょうか。
 そうだとすると、標準的な健診・保健指導プログラムの当初でもそういうことは記載はあった
ように思うのですが、当初言われていたことと、もう一度ここで書かれていることは同じなのか
違うのか、確認をお願いしたいと思います。
○尾田保健指導室長 よろしいでしょうか。
 特定保健指導でやるのかどうかという点につきましては、まず特定保健指導ではなくて、他の
やり方で保健指導あるいは受診勧奨をしていただく。今の標準プログラムでも書かれているでは
ないかという点につきましては、確かに書き方としては市町村の衛生部門においてはこういうふ
うにやるべきであるということで、健康増進法ということを明示はせずに、そういう記述はござ
います。ただ、実態として取り組んでいるところは取り組んでいるけれども、全く取り組まれて
いないところは放置状態にあるという実態もあるということも踏まえまして、その取組みが強化
されるよう、あるいはより取組みがしやすい形で、今回私どもから御提案させていただいたのは、
非肥満者の方々でリスクのある方への対応はこういう着眼点でこういうことをやるべきだという
ものを、別添1でお付けしておりますような表をお示しすることによって、より実務がやりやす
いようなツールとしてお示しする。その上で、標準プログラムあるいはほかの手段も考えたいと
思いますが、実務上こういった方への対応に抜けが生じないように、我々としても保険者等に働
きかけ、そういった取組みが徹底されるようにしていくということでございます。
 ですから、現行と変わらないではないかという点については、使う手段としての財源あるいは
根拠法等につきましては、確かにそういう御指摘はあろうかと思いますが、我々としてもここの
ところの対応を強化すべきだというメッセージを明確に伝えて、取組みが抜けないようにという
ことを心がけていきたいという趣旨でございます。
○永井座長 肥満ありがあくまでも特定保健指導であるという枠組みは同じにしておきたいとい
うことですね。実際は非肥満者に対しても指導はしていくという整理でどうだろうかということ
ですが。
 島本構成員、どうぞ。
○島本構成員 今回の特定保健指導が肥満者といいますか、メタボ中心にやるということは決ま
っていることですので、そこに、例えば単独高血圧、単独喫煙を入れるのは規則上難しいと思う
のです。ですから、私が強調したいのは、肥満のない、例えば血圧の高い人に対しては、健増法
でも構いませんので、結果通知を紙で送るだけで終わらないで、必ず面談を含めたほかの方法で
いいから指導をするか、それができなければ必ず受診勧奨をしてもらいたい。ここを徹底しても
らえればいい。表現は確かに前回と余り変わりませんけれども、中身を確実にやれるように徹底
していただきたい。そこだけはお願いをしていますので、そこは是非、ここでも確認していただ
くようにしてお願いしたいと思っております。
○永井座長 13ページの別添1の表についてはいかがでしょうか。この書きぶりでそれは可能で
しょうか。
○島本構成員 これで構いません。別添1の表は全くこれで賛成です。例えば肥満のないCゾー
ンの場合、面接を含めた生活習慣指導あるいは受診勧奨とはっきり書いていますので、このいず
れかを確実に特定保健指導でなくてもいいからやっていただくということを担保されれば、私は
ここを進めていただくということで、これについては賛成したいと思っています。
○永井座長 ほかにいかがでしょうか。
 どうぞ。
○野口構成員 12ページのところの血圧・喫煙のリスクに着目した初回面接の在り方のところで
すが、2つ目の○の後段で保健指導の効率的な実施の観点からと書かれているわけですが、効率
的というのはどういうことかと考えたときに、確実に健診データが改善するということが効率性
だと思うので、単に実施の簡略化ということが効率性ではないと思うので、ここのところをどう
いうふうにしていくのかというところが気になりました。
 関連で、15ページの対処方針ですが、先ほど事務局から御説明いただいたのですが、大きく2
つ目の●の2行目のところに「メタボリックシンドロームや生活習慣改善について理解できてお
り」となっているのですが、できていれば多分該当から外れるだろうと思われますし、その後の
ところで「各検査値が大幅に悪化しておらず」というところについては、むしろ「改善している
がなお該当している者に対しては」、ということであればまだいいかと思うのですけれども、この
辺のところのあいまいさが、これからずっと特定保健指導が続いていく中で、非常に保健指導が
形骸化していくのではないかということが懸念されますので、2年度以降であったとしても、デ
ータが改善しておらず、基準に該当しているのであれば、きちっと計画を立てて対面で指導して
いくということを基本に据えておくべきではないかと感じています。
 以上です。
○永井座長 具体的に書きぶりをどうしたらよろしいでしょうか。御提案はありますか。
○野口構成員 2年度以降も基本的には面接を基本とするということは担保した方がいいのでは
ないかと思います。もし、2年度目の面接というのが難しい現状が非常にあってということであ
れば、少なくとも先ほど申し上げたような「大幅に悪化しておらず」ではなく、改善しているが
なお該当である場合と限った方がいいのではないかと思います。
○永井座長 津下構成員、どうぞ。
○津下構成員 今の野口構成員に関連してですけれども、若年者は改善を見込んで保健指導判定
値を切れるということがあるのですけれども、65歳以上の動機づけ支援の方については、空腹時
血糖が100とか、ヘモグロビンA1cが5.2、血圧130、こういった保健指導判定値を外れるという
のは非常に難しい課題であると思います。ですので、動機づけ支援で65歳以上の方についてはデ
ータが安定して、保健指導判定値の範囲にあれば、余り行きすぎた保健指導にならないように留
意をした方がいいと思います。データが保健指導判定値の範囲の中で安定している、例えば空腹
時血糖値が前年に102で保健指導判定値になって保健指導を実施した場合、翌年も102か103だ
ったという場合に、改めて保健指導を、とくに面接でなくてはいけないかという点についは、考
える必要があるのではないでしょうか。できるだけいろいろな対象者にやっていった方がいいと
いう考え方もあろうかと思いますので、私は16ページにあるように、前回受けていただいて、数
値的にも安定しているという方についてはお電話等でお話しすることも含めて対応できればよい
のではないか、と思います。せっかくの保健指導のマンパワーをもっと減量の必要な方々に割い
ていただいた方がよろしいのではないかと感じております。
○鳥羽構成員 ちょっと話が戻ってもよろしいでしょうか。
 私は老年医学の専門家なものですから、介護予防とかむしろ後ろの方の予防のことに関して今
まで興味があったことなのですが、疾患の一次予防というものがあり、病気に対する治療があり、
最終的には要介護疾患にならないような予防がある、年齢に応じてそのような予防があるのです
が、このようなものが別々に独立してあるわけではなくて、一番上流としての特定健診があると
位置づけて参加しております。
 いろいろな予防があるのですが、例えば介護予防に比べて特定健診は、受診率は低くても生活
変容といったことに対する体力や環境があるわけで、よりやりやすい環境になってきます。介護
予防に関して水際作戦というような、意味のない、負けるときに使われる言葉かよく使われてい
ますけれども、それでは遅いのでありまして、我々の介護予防のデータでも若いときに運動した
方がより有効であるというデータを持っています。特定健診の指導にしても、疾患の悪化予防の
非薬物療法にしても、介護予防にしても、運動とか食事の指導といったものは、非常に共通性が
ございまして、内容については年齢に応じて体重に応じて異なることがあっても、共通の流れが
あると思うのです。ですから、予防の魅力あるものを出すということは、将来どのような状態で
長生きして健康になりたいかというゴールを見据えた入口であって、若いうちからやっておけば
いろいろな疾患や寝たきりにならない、私はそう思っておりますので、魅力ある健康何とかづく
りというのが若いうちからといったことを、もっと全文に打ち出すなり書いていただくことによ
って、健康日本21と文章の整合性をとったような形のアピールをしていくことが大切ではないか
と思います。
 以上です。
○永井座長 保坂構成員、よろしいですか。
○保坂構成員 また話が戻って申し訳ないのですけれども、保健指導の議論になるとどうしても
保健指導を一生懸命やっていらっしゃる方がたくさんいて、その前の健診がどうなっているか、
どういうことをやってどうするかによって保健指導というのはあると思うのですけれども、そも
そもの元の議論がなく保健指導の後の方のことといいますが、その話になってしまうと、何か話
の議論が散漫になってしまって、皆さん一生懸命話されても大きな方向性が出ていかないような
気がしています。
 そもそも、前から何回も言っているのですけれども、健康局のこの検討会の在り方というのは、
いわゆる特定健診のことだけでなくてやるはずであるのに、最初に25年度からの特定健診のこと
があるので、それを何とか先にやっていただきたいということで話が始まっていると思うのです
けれども、そうだとすると、いつも法律が高確法で決まっているからという話が出てきてしまい
ますけれども、それを前提としてやっていくとすると、新たに国民の健康づくり、健康日本21等
のことを含めて健診等をどういうふうにしていくかという話が後からになります。前に決めたこ
とは変えられない、法で決めてこうしたことは変えられないとすると、非常に大きな無駄な議論
になるのではないかと心配しています。なかなかお役所的にはどういう方法でやるか難しいと思
うのですけれども、ここで中間とりまとめをしていただいた後どうされるのかわかりませんが、
保健指導の細かいやり方ということと、健診の在り方ということを別に、竹村構成員がおっしゃ
ったようにしないと、話がぐちゃぐちゃになって、行ったり来たりしてしまうような気がするの
で、よろしくお願いします。
○永井座長 要するに、この腹囲の位置づけというのをどうするかということだと思うのですが、
ただ、これについて今までの議論では、もう少しデータが出たところで位置づけを再考しようと
いうことだったように思うのですが、山門構成員、いかがですか。
○山門構成員 山門ですが、基本的な中間とりまとめ案について賛成いたします。ただ、今、議
論がありましたように、10ページの(2)非対象者、非肥満者に対する対応をしっかりとするこ
とと、11ページの(4)受診勧奨の徹底、これをしっかり担保していただきたいと思います。そ
れがあればこの中間とりまとめ案に賛同いたします。
 1つ、保坂先生、日本医師会からの御提案であります、それから今、座長がお話しした腹囲に
関して私の主観でございますけれども、例えば保坂構成員の資料4ページの中段、少なくとも腹
囲を第一基準とするような健診は諸外国には見当たらない、これは、だからこそ我が国でこの健
診を世界に発信するという考えではいけないのでしょうか。それはまず、特定健診ということの
在り方として、私は我が国の一医療者としてそう感じます。我が国の独特の健診ということを世
界に発信できるようなデータを構築するというのが、私は一医療人としての考え方を持っており
ます。
 1つ、話がずれてしまうのですが、6ページにありますような、被扶養者の受診率の低迷は、
例えば集合契約、私どもはA契約のとりまとめ団体になっておりますけれども、集合契約Aは受
診料が現在6,825円でごいます。ところが、集合契約Bはそれぞれの団体によって契約金が異な
る、特に保坂構成員の所属する医師会は約1万円ということで、その価格差というものも受診率
の低迷に関与しているのではないかと、私の私見でございます。
 もう一つ、法改正は、先ほど保健局の検討会で法改正もということでありますけれども、私の
認識では、その議論は加算・減算を変更する場合にはそれに対する法改正が必要である、健診項
目を増やす場合にはそれに対する法改正が必要であろうというのが私の認識でございまして、根
本的に高確法を変えていくということではないというのが私の認識でございます。
 私見を含めて意見を述べさせていただきました。以上です。
○永井座長 腹囲については、今までの議論は、独自だからいいということではなくて、やはり
エビデンスが大事だということだったと思うのです。ですから、エビデンスがしっかり出てきた
ら見直しもあり得ると理解した方がよろしいのではないでしょうか。
○山門構成員 それは私の意見として具申させていただいておりますけれども、現行では野田参
考人からご説明があったように、大阪大学と私ども日本人間ドック学会のデータから見ると、
100cm2というのが絶対的なリスクから見ると基準になると、一応現在での断面的なものでありま
すけれども、エビデンスがあるので、現在はそれで行く。それから、座長がおっしゃったように、
それは更に今後エビデンスが必要である。エビデンスが更新されたときには再検討すべきだろう
と考えております。
○永井座長 林構成員、どうぞ。
○林構成員 腹囲に関する考え方について、私、今おっしゃった考え方と根本的な違いがありま
して、腹囲は、太っておなかが大きいことはリスクではないのですね。これは血液値等でメタボ
リックシンドロームを診断するための1つの効率的な方法であるということをまず、踏まえなけ
ればいけないと思うのです。リスクは何かというと、生活習慣そのものですね。それは運動が不
活発であるとか、あるいは喫煙ですとか、悪い食習慣であるとか、これがリスクであって、一次
予防を考えた場合には、外部要因、環境要因といいますか、今、述べたようなものがリスクであ
って、その結果として肥満があるわけで、実は肥満というのは血液値と同質的な意味を持ってい
るわけでありまして、先ほど申し上げましたリスクの結果として肥満があったり、あるいは血液
値が悪くなるのであって、肥満そのものはリスクではないのです。メタボリックシンドロームを
見つけるための便利な、有効な方法であるというのにすぎないのです。
 我々が目指している目的は、メタボリックシンドロームを見つけるということが実は最終目的
ではなくて、我々は脳卒中だとかあるいは心筋梗塞、いわゆるCVD(心血管疾患)をどうやって予
防することというのが最終目的であるはずなのです。ですから、それは保坂構成員がおっしゃっ
たように、この健診の意味というのはどこにあるのかという問いかけというのは、リスクに対す
る考え方と、アウトカムのとらえ方の違いにあると。話がかみ合わない理由というのはそこにあ
るのではないかと私は考えます。
○永井座長 それはもう皆さん了解されていると思うのです。ただ、具体的にどう行動をとるか
というところで皆さん意見が分かれています。とくに腹囲の位置づけですね、ワン・オブ・ゼム
にするのか第一基準にするのかというところで、まだ特定健診始まってからのデータを十分解析
できていないのではないかということで、当面このままでいくのはどうだろうか、ただし、非肥
満者に対する対応をきちっといたしましょうということで、事務局から提案が出ているのだと思
います。私自身もメタボリックシンドロームという概念がやや病因論というのか、実験医学から
来た概念が少し先行したのではないかと思うのです。それが本当に人で当てはまるか、特にアウ
トカムとしてのCVDを見ていく上で非常に重要な概念であるかどうかというのは、まだ十分なデ
ータが出ていないのではないかと思います。次回の改定に当たっては、この点はもっと議論すべ
きではないかという整理かと思うのですが、いかがでしょうか。
 門脇構成員、どうぞ。
○門脇構成員 腹囲が突出した基準としてあるということについて、いろいろな違和感であると
か御批判もあるということもよく理解できます。1つの案として、腹囲とともに血糖、血圧、脂
質などをとりあえず第1段階では横並びにして、リスクファクターの重積があった場合に、腹囲
基準を満たしてリスクファクターの重積があった場合には、これはメタボリックシンドロームと
して内臓脂肪を減らす介入を行う、腹囲基準を満たさずにリスクファクターの重積があった場合
には、これも心血管イベントのリスクですけれども、これは非メタボとして、個々のリスクファ
クターに対する生活習慣などの介入を行うという形でやると、今の内臓脂肪への介入については、
引き続き行うことができると同時に、いわゆる非メタボについても介入ができるという利点のあ
る方式も、今回あるいは次回、それはわかりませんけれども、検討すべき1つの考え方ではない
かと思います。
○永井座長 先生はこの別添1、13ページの表についてはどのようにお考えになりますでしょう
か。
○門脇構成員 これも今、私が申し上げたような内容を別の形で整理したことになるのではない
かと思います。ただ、整理の仕方として、肥満や腹囲でまず分けるという整理もあると思います
し、また、腹囲とリスクファクターの検査というのは実際には同時にやるわけですから、それを
同時にやるという中で、リスクファクターの重積があった場合に、今度は腹囲や肥満の基準を満
たしているかどうかでメタボと非メタボの2つのグループに分け、それぞれで内臓脂肪の介入と
そうではなくて、個々の生活習慣の介入をするというような整理もあるのではないかと思います。
○永井座長 これは、どういうふうに分けるのでしょうか。もうちょっと先生の御提案を御説明
いただけますか。
○門脇構成員 最初に腹囲と血圧と血糖と脂質をいわば横並びのような形で測定する形にして、
腹囲あるいは肥満の基準を満たして、リスクの重積がある場合には、内臓脂肪を減らすというこ
とを眼目にした介入を行う。内臓脂肪蓄積や肥満がなくてリスクがある場合には、内臓脂肪を減
らすということとは違った生活習慣改善などを行うということです。この表と趣旨は似ていると
思うのですけれども、少し整理の仕方が違うということかもしれません。
○永井座長 まず、肥満ありなしの分け方ではなくて、腹囲、血圧、血糖、脂質をきちんと調べ
ましょう、場合分けして、肥満のある場合とない場合に分ける。
 その肥満というのはやはり腹囲から決定するのがいいのか、BMIではいけないのか。
○門脇構成員 そうですね。今は実際には腹囲とBMIも両方使って調べているわけですね。腹囲
は内臓脂肪が確実にある、腹囲は満たさずに、でもBMIは満たす場合には内臓脂肪疑いという形
で、今も両方使っておりますので、そこのところは腹囲を完全にやめてしまうというのは継続性
の問題もあるので、腹囲とBMIを今のような比重で併用するということがいいのではないかとい
う感じがいたします。
○永井座長 全体の見え方としては、腹囲基準を第一にというよりも、マルチプルリスクファク
ターを全体に置いて、肥満群は特に肥満対策を重点的に、そうでない場合には高血圧などに重点
を置いた保健指導を行うという感じでしょうか。
○荒木田構成員 健診のことではないのですけれども、基本的に、こちらの中間とりまとめにつ
いては、今までのディスカッションの内容というのは、かなり十分に反映されたものであり、今
の特定健診・特定保健指導を補完的に改善していくものにはなるのかと思っております。今まで
も、10ページ、11ページの(2)(3)(4)のところ、非対象者だとか、情報提供、受診勧奨の
徹底については、実現できるような具体的な対策の要望をお願いしますということが言われたと
思うので、それも本当にそのとおりだと思います。
 ただ、受診率の低さとか、特定保健指導を本当に受ける方の低さというところの背景には、こ
の健診自体のこともあるかもしれないのですけれども、事業主、特に中小企業の事業主さんの協
力が十分ではないというところがあって、中小企業の労働者がかなり健康リスクが高いのに、保
健指導の機会が提供されていないという実態もあるので、今後の要望としては、これらを、中間
とりまとめを基に具体的な対策に落としていくというときには、是非事業主が特定健診・特定保
健指導に協力するということを、文言というか、もう協力することにはなっているのですけれど
も、協力するということを是非書いていただきたいというか、明示していただきたいと思ってお
ります。
 以上です。
○永井座長 山門構成員、どうぞ。
○山門構成員 13ページ別添1の表に戻らせていただきますけれども、肥満なしのところに「※
2」を付記していただきたいと思います。これですと肥満なしの場合、14ページの囲いの※2で
は、他のリスクがあるものの場合についてといって喫煙歴がカウントされるということになって
おりますので、その前に独立した危険因子、リスクであると書いてありますので、肥満なしのと
ころにも「(※2)」と付けていただくとよろしいのではないかと思いました。
 以上です。
○永井座長 これは付記すればよろしいわけですね。
○山門構成員 そうですね。肥満なしでも喫煙対策は重要であるということを明記するといいの
ではないですか。
○永井座長 先ほどの門脇構成員の御提案のように、全体のリスクを並べて、肥満ありの場合と
なしの場合というふうに分けていくということについてはどうでしょうか。
○山門構成員 その門脇構成員の御意見に関しては、私の考えは、例えば肥満のありなしを上段
に上げます。肥満なしに対してリスクの数を書いていく、リスクの数に応じてそれぞれのAゾー
ン、Bゾーン、Cゾーン、Dゾーンを書くというのが、門脇構成員の意見を敷衍することになる
のではないかと思いますが、それはそうなのですけれども、根本的には肥満なしにも※2を付け
加えていただきたいということでございます。
○永井座長 保坂構成員、どうぞ。
○保坂構成員 門脇構成員の革新的な御提案に、とりあえずこれをこのままやるとすればという
前提の下でございますけれども、賛成させていただきたいと思います。
 荒木田構成員がおっしゃった中小事業者がなかなか協力してくれないということでしたけれど
も、結局制度上の問題だと私は思っていますので、ただここに協力するようにと書いても全く意
味がなくて、大規模の事業者は既に事業主健診、いわゆる労働安全衛生法に基づく健診をこれに
転用しているだけなのです。皆さん、多分御存じだけれども、余りお話が出てこないと思うので
すけれども、ですから、全く質の違うところを同じ基準でやろうとするところに問題があって、
それを例えば市町村がやるとすれば、どこかの市町村に皆さん住んでおられるわけですね。その
一部の大企業に努めている人だけは除外するということはあり得ることですけれども、そうでな
ければ、住所地のところで全部やるということにすれば、みんな平等ですね。ただ、今の制度だ
とどういう保険組合に入っているかということで受ける機会がさまざまになるということがある
ので、それで私は制度上のことも考えた方がいいということを申し上げているのです。
○永井座長 御提案としてはどこか記載を追加するようなところはありますか。
○保坂構成員 本来は特定健診・特定保健指導の仕組みそのものは保険局の話だと思うのですが、
ここで議論しないといけないとすると、中間とりまとめに書けるかどうかわからないけれども、
受診機会を平等にするような制度の変更も考えてほしいとかということも、もしできれば書いて
いただきたいと思います。
○永井座長 少なくとも、受診機会の平等はうたうべきであるということでよろしいでしょうか。
 迫構成員、どうぞ。
○迫構成員 2点ほど意見を述べさせていただきます。
 まず、1点目なのですけれども、先ほどメタボ群と非メタボ群に分けてリスクの重積している
人に対して介入をしていくというのは非常にいい方法だろう、それをこういう中にきちんと書き
込んでいくということは、従前も書き込んではあったはずなのですけれども、そこに取組みが非
常に薄かったということを再認識させるためには大変いい方法ではないかと思っておりますので、
先ほどの13ページの表の中に肥満なしのところにきちっとリスクの重積している者を書きこん
でいくということが大事だと思います。これが1点目です。
 2点目は、受診率の問題なのですけれども、受診率が全体としてやや上がってはきているとい
う速報値等が出ておりましたけれども、先ほどの竹村構成員のお話でも受診率が高いのは人間ド
ックが非常に多いというお話もございました。人間ドックは当然ながら併せて保健指導も受けら
れているということからすれば、受診率が高い、特定保健指導への参加率の高さはかなり人間ド
ックに引きずられている可能性というのもあるのではないか。そうすると、全体として健診の受
診率が上がってこない限り、保健指導の真に必要な者がなかなか見つかってこない、まして、国
民の間に抵抗感があるとすれば、だんだん先細りになっていくということも、可能性としてはあ
るのではないかということから、健診の受診率を向上させていくというところを1つの項目とし
て起こしていく必要があるのではないかと思っております。
 もう一点ですが、健診の受診率が上がれば、当然従来保健指導に結びつかなかった方々の特定
保健指導、更に通常の健康増進法による保健指導等の相談率、参加率も上がってくると考えられ
ますので、全体としての成果は大きいのではないかということでございます。
 以上です。
○永井座長 そこは明記するとして、先ほどの肥満なしの記載についてはどうなのでしょうか。
別添1の表に書き込んでほしいという御発言でしたが、この程度でよろしいのか、もっと書き込
んでほしいということなのか。
○迫構成員 肥満なしの方にリスクの数をきちっと入れた形で書き込みをしていただきたいとい
うこと、それから、これは※1のところで追加していただいているのでこれでいいかなと思って
いるのですけれども、肥満ありの定義が一見これだけで見ると腹囲だけになっていますので、従
前BMIも当然入っていましたので、そこも項目として本当は入れておくべきではないかと思って
おります。
○永井座長 例えばBMIまたは腹囲という記載という。
○尾田保健指導室長 今の点は、裏のページの※1に書いておりますので、従前書いていなかっ
たのですが、腹囲とBMIの両方を見るということは書いております。
○永井座長 すると、肥満なしのリスクの数に応じてというと、1つまでと2つ以上と、もう一
つ横に表を付けるということですか。その場合には、そこにはAゾーン、Bゾーン、Cゾーンは
どういう書きぶりになりますか。
○迫構成員 当然、肥満なしの群に対しては特定保健指導にはならない形になろうかと思います
ので、保健指導群としてそれぞれのゾーンを置いていくという形で、具体的な手法についてはま
だ検討が進んでいるものではございませんので、ここはこれから、例えば積極的支援、動機づけ
支援に相当するのが一体どういうものなのかというところも、名称等も含めて検討するべきだと
は思います。
○永井座長 そうすると、今回はこの書きぶりでやむを得ないということですか。
○迫構成員 リスクの数で分けていただければ良いと思うのですが。
○永井座長 でも、リスクの数で分けるとすれば当然改めてこういった表をつくらないといけな
いのですが、議論は十分でないということですね。
○迫構成員 そうしますと、特定保健指導はメタボリックシンドロームに着目したもののみを言
っていますので、既に保健指導を実施する、例えば血圧のリスク等を持っている人には保健指導
を実施するということも出てきておりますので、現段階では、それは保健指導という言葉でいい
のではないかと思っております。
○永井座長 つまり、今の段階ではリスクの数によって細かく書くというよりも、そういう保健
指導をするということでよろしいですか。
 島本構成員。
○島本構成員 さっき門脇先生が言われたことは、私はもともとはできるものなら是非そうして
ほしい、ただ、問題は、ここの表13にある特定保健指導が肥満なしまでいくのかどうか、いくと
すると、おそらく高齢者医療確保法の改正になってしまうと思うのです。
○永井座長 ですから、今回そこまではここで議論できないのではないか、ということです。
○島本構成員 さっき言われた非肥満でリスクが重なったのも特定保健指導でやるという、門脇
先生がもしそういう提案だったとすると、法を変えないといけなくなる。
○永井座長 門脇構成員。
○門脇構成員 特定保健指導というよりは、そこに対する生活指導がこれまで弱かった、仕組み
としては余りなかったので、それを今回強化したいということだと思います。
○永井座長 つまり、保健指導を行うということですね。特定保健指導と言葉を使い分けて。
○門脇構成員 そうですね。それもできれば、リスクの数に従って重みづけは本来はあるべきだ
とは思いますけれども、それは今回具体化できるかどうかわかりませんけれども、永井座長から
13ページの表と私の先ほどの提案との関係、13ページの表も、非メタボでリスクの高い人に対す
る対応が仕組み上入っているので、大きな改善だと思います。
○永井座長 ただ、初めに数が出てしまうと、今度は肥満なしの数の場合分けが非常に複雑にな
ります。そこの議論は今回されていませんので、むしろ門脇先生が最初提案されたような、マル
チプルなリスクで異常があるかないか、異常ありのときで肥満あり肥満なしで、という考え方は
いかがでしょうか。
○門脇構成員 今、永井座長がおっしゃったことだと「血圧・血糖・脂質」と「肥満」の左上の
対角線で隔てられている部分が入れ代わることになり、見方が変わってきますね。「血圧・血糖・
脂質」が上に来ると、最初にそれでリスクの重積者を抽出して、その病態を肥満あり、なしで分
類するということも、オルタナティブな案としてはあり得るのかな。ただ、現在の表とオルタナ
ティブな案のどちらがいいのか、私自身も自分の意見も決めかねている状況です。
○永井座長 津下構成員、どうぞ。
○津下構成員 13ページの表については、現行の制度で、肥満でリスクがある方々に対しては特
定保健指導という制度を適応することができますということを明示していることと、とはいえ、
特定保健指導の対象でもDゾーンに当たるような方は特定保健指導だけではなく、受診勧奨とい
うことをきちっと考えてくださいということを表現しているというのが1つあります。
 もう一つ、肥満ではない方については、ここでは書ききれていないのですけれども、動脈硬化
学会で心血管疾患に対する絶対リスクというのを出しておられます。喫煙とか性、年代、そうい
うファクターも入れた絶対リスクの表を参考にして、対応を行う必要があるということを明記す
るにとどめてはいかがでしょうか。この表の中に複数のリスク等について余り細かく書いてしま
うとわかりにくいと思いますので、可能であればNIPPON DATAから得られた10年間で冠動脈疾患、
脳血管疾患はどれだけ起こしやすいかという表も併せて参考にして、対応を決めていただくとい
う方が良いのではと思います。1つの表に余りにも情報を盛り込み過ぎるとわかりにくくならな
いかという心配もありますので。
○永井座長 つまり、表はこのままにしておいて、レファレンスとして動脈硬化学会のガイドラ
インを参照すると。
○津下構成員 肥満がない対象者につきまして、特にリスクの重みというのが年代や性やコレス
テロール値やいろいろなファクターによって影響を受けるということが明らかにされております
ので、それを参考にしてしっかりと対応を決めていただくという方がクリアーなのではないのか
と思います。
○永井座長 保坂構成員、どうぞ。
○保坂構成員 今の津下先生の意見ですと、非常に更に複雑になってわかりにくくなるので、最
初に門脇構成員がおっしゃったことや、あるいは永井座長がおっしゃったことを合わせて肥満な
しの方の分についても、まず肥満あり肥満なしがあるのではなくて、リスクファクターが幾つあ
るかということが先に来るのでもいいし、13ページの表のようなことでもいいので、肥満なしの
ところにも、さっき迫構成員もおっしゃったように、リスクを入れたものをつくって、特定保健
指導という言葉はそこの部分は使えないので、それは生活習慣指導とか、保健指導とかいう別の
名前にして、こういう形でやるんですよということを保険者に対しても提示して、特定保健指導
はある程度義務だけれども、ほかの部分は法的な義務では現在はありませんということで、提示
されることで、取り組んでいただけるところは取組みが進むのではないかと思いますので、そう
いう方向で御検討いただければ大変ありがたいと思います。
○永井座長 位置づけとしては、マルチプルリスクファクターをまず全面に出して、それに異常
がある場合で肥満あり、肥満なしといったらどうかというところですね。
 肥満なしのリスクの数に応じた表をどうするかというと、どうでしょう、今から議論するのは
なかなか大変で、島本構成員、いかがですか。
○島本構成員 門脇先生がおっしゃっているのは、恐らく肥満なしの方で疾患にならない、次の
ページでいくとBゾーンに入る、これが重なった場合に疾患として受診勧奨できないけれども、
重なった場合、できれば保健指導でいってもらいたいということを言われていると思います。で
すから、そこを追加するだけでこれはクリアーされるので、つまり、正常高値血圧と境界型とい
いますか、110以下の血糖、それに脂質異常を加えるかどうか、この議論だけになると思いますね。
恐らく、生活習慣改善というと肥満なくて3つということになるかもわかりませんけれども、そ
ういうことをここの「肥満なし」の下にでも何か、この場合はこうだということを追加するだけ
でいけるのではないかと思うのですけれども、いかがですか。
○野口構成員 基本的には、先生方のおっしゃっていることがそれぞれいいなと思うのですけれ
ども、肥満なしのところにリスク集積数を勘案した上で、まず保健指導の対象者を選ぶとなると、
今、この状態であれば、それぞれのデータの中の重みによってリスクが3つあれば3つともBな
のかCなのかDなのか、それぞれのゾーンに対して対応すると読み取れるのですが、リスク集積
数まで入れてしまうと、例えばリスクが1つしかないけれども、Bゾーンにあるものは、リスク
数が少ないので余り重視しないような印象になってしまうことにもなりかねないので、基本は今
のままでいいのではないかと思うことと、保健指導という言葉を入れるか入れないかという話に
ついては、ここの場でも議論があったかと思いますが、情報提供というのは保健指導の1部類の
名称であるということは確認されたはずですので、Cゾーンのところでは生活習慣改善指導とい
う言葉がきちっと出てきていますので、これをもって保健指導をするんだということをきちっと
定義されているかと思うので、私はこのままの方がむしろわかりやすいのではないかと思ったり
します。
○島本構成員 問題はBゾーンなのです。CとDはもういいのです。Bが1個だと情報提供だけ
だったのですけれども、これが重なったときに、もう一歩できれば受診に持っていった方がいい
のではないかというのが、私は門脇先生がおっしゃっていることだと思います。ですから、C、
Dを除いてBが重なったときというようなことの理解のみだと思います。
○野口構成員 なので、それについてはBゾーンの数がリスクは集積をしている場合は保健指導
の優先順位を高くしてやるのだということは、どこに明記すればいいと思うのですけれども、一
番最初にリスク数から入ってふるい分けてしまうと誤解が生じることが出てくるのではないかと
思います。
○永井座長 やはり肥満なしのリスク数の場合分けというは、議論し出すと大学術論争になりか
ねないので、なるべくこの表で付随のコメントを付けて、特にリスクの重なった方への対応をし
っかりするということでいかがでしょうか。
 ということで、この議論、時間をこれ以上取れないのですが、大体そういうことでよろしいで
しょうか。
 津下構成員。
○津下構成員 この議論ではないのですけれども、健診未受診者については、健診を受けたこと
で不安の解消につながると思えば、次の健診に前向きになれるのですけれども、健診を受けたこ
とでどんどん不安になってしまう、特に高齢者の場合は不安が非常に強い中で、あそこが悪い、
ここが悪いと指摘されることでかえって不安が増すことになっていないか、心配されます。、高齢
者に限らず、健診を受けたことで前向きな気持ちになってもらえるような仕組みになっていけば
いいのかなと思います。ですので、健診の目的として、まず疾病の予防ということを私たち専門
家は思うわけですけれども、対象者にとっては、より安心して前向きに健康行動につながるよう
な健診や保健指導であってほしいと思います。病気が見つかって怖いとか、指導を受けるのが嫌、
薬を飲みたくないけれども薬が出てしまったとか、そういうこともいろいろ伺いますから、国民
の皆さんに対するメッセージとしては、本人にとって健診を受けて安心だと思える健診の在り方
というのをまた検討していただければと思います。
○永井座長 ありがとうございます。
 そういたしますと、いろいろコメントもいただきました、検診の対象者がなるべく前向きにな
ってほしい、あるいは受診機会の平等の問題、受診率をもっと上げるべきであるとか、いろいろ
な問題もきちっと本文の中に指摘した上で、別添1の表の整理を少しする、横並びに幾つかのリ
スクを挙げて、肥満あり、肥満なしに分けて、特に肥満なしのところのリスクが重なった場合、
Bゾーンで重なった場合については、少し保健指導を強化するということを付随して入れる。そ
のほか幾つか御意見を参考にしてコメントを付けてもよろしいかと思うのですが、おおよそそん
な整理でいかがでしょうか。ただ、大事なのはエビデンスに基づいて、場合によってはこの表全
体も次回は見直しますよということで、エビデンス集積をしっかりしていくということもうたっ
ておくようなとりまとめ案でいかがでしょうか。もし、よろしければ、あとは座長にお任せいた
だけるとありがたいのですが、また何かコメントがありましたら、私の方にお申し出いただけれ
ばと思いますので、そういうことでよろしいでしょうか。
 どうぞ。
○宮崎構成員 別の観点での追加で。
○永井座長 手短にお願いします。
○宮崎構成員 今日、2回目以降の初回面接についてというところで、最後に図がついてござい
ますね。先ほど、これについてはもしかしたら説明がありましたか。
○尾田保健指導室長 説明は省きました。
○宮崎構成員 それで、6ページに2回目以降の初回面接を電話でOKとする人の条件というので
3つ◇が並んでいますね。私、これは納得しております。そうしたときに、条件が3つの条件と
いうことと、イメージの図が「はい」「いいえ」で分かれていくのが、何となくイメージ図になっ
たときに少し様相が違うのかな、むしろ条件3つがきっちりそろっている人というイメージの方
がわかりやすいのではないかと思いました。
○永井座長 事務局、よろしいですか。
○尾田保健指導室長 もし、その方向性でほかの方からも異論がなければ、図の整理で、これより
もそちらの方が整理として適切であるということであれば、その方向で整理したいと思います。
○永井座長 よろしいでしょうか。
 野口構成員。
○野口構成員 先ほど津下構成員の方から、高齢者の場合なかなか改善しないということがあっ
たのですけれども、特に動機づけ支援については6か月評価が通信でも構わないということにな
っていますので、その方には延々電話で毎年追いかけられることになる可能性も出てくるだろう
と思うので、健診当日に喫煙の話はしていただけたとしても、内臓脂肪の減少にかかわる保健指
導は受けることができないということも生じる可能性があるので、この図の修正の中に行動目標
が変わらない場合と書いてあるので、そこに含まれるのかと思ったりしたのですが、電話ありき
というニュアンスが伝わらないように、きちっと保健指導するのが前提であるということがわか
るような、どんな表記をしたらいいのかわかりませんが、そこはやはり重要であるような気がい
たします。積極的支援については2回目、3回目がありますので、初回がある程度簡略化される
こともいたしかたないことがあるかもわかりませんが。
○永井座長 津下構成員、最後に、手短にお願いします。
○津下構成員 このイメージですけれども、健診当日の流れをイメージして考えるとこういう図
になるのかと思います。前年度に受けたかどうかという、健診履歴というのが事前にあって、健
診当日に血圧とか喫煙の状態を確認できて、後日結果を見てその人のデータがどう変動している
かというのを確認するという流れになります。3つ同時に見るというのではなく、まず、健診を
受けたときに第一の条件をクリアーできているかということを見ておくことで、①の行動が起き
るかどうかというのが変わってくると思います。健診が終わってしまった後に、「この人該当した
んだよね」と後追いで確認することにはならないと思うので、時間の経過をたどったチェックポ
イントとして、こういう書き方の方が現場で使いやすいかなと思います。
○永井座長 野口構成員、どうぞ。
○野口構成員 例えばこれでいった場合、省略した理由をそれぞれ保険者にきちっと書いていた
だくとか、要は電話による支援にした理由というのをきちっと明記していただくなり、表現して
いただくなり、そこを確認できるような手だてが踏まれることが望ましいのではないかと思うの
です。
○永井座長 事務局、ここの点、いかがですか。
○尾田保健指導室長 いろいろ御意見いただきましたので、ここは整理いたします。両論あった
かと思いますので、そこでいただいた御意見がなるべく最大限生かされるような形で修正できれ
ばと思っております。
○永井座長 これは事務局と私の方で議論させていただいて、最終的にまとめさせていただきた
いと思います。
○保坂構成員 さっき、これでよろしければとおっしゃった13ページの表ですけれども、肥満な
しのところをどうするのか、リスクファクターを先に書くとかということですけれども、これも
もう一回永井座長がよく皆さんの意見を議事録等ごらんになって見られて、表についてもう一回、
さっきの指導の16ページのところも今、もう一回座長が考えられるとおっしゃったので、もう一
度お考えいただきたいと申し上げておきます。
○永井座長 ありがとうございます。
 ということで、この件につきまして、事務局、今後の予定等につきましていかがでしょうか。
○尾田保健指導室長 座長と御相談いたしまして、とりまとめられましたら、今後本案につきま
して、厚生科学審議会の地域保健健康増進栄養部会で御報告させていただく予定です。また、こ
の中間とりまとめを踏まえて関係部局と必要な調整をしてまいりたいと思っております。
○永井座長 ありがとうございました。それで、よろしくお願いいたします。
 では、残りの議題について一括して御説明いただけますでしょうか。
○野田生活習慣病対策室長 それでは、議題「2 次期国民健康づくり運動プラン(素案)につ
いて」と御報告でございます。
 前回の検討会におきまして、この前の段階の資料をお付けいたしておりますけれども、その変
更点を含めて概略、現在の段階で議論されている資料について御説明するというスタンスで簡単
に御説明します。
 これまで、地域保健健康増進栄養部会4回、次期国民健康づくり運動プラン策定専門委員会を
5回実施して、今、このような素案になっているものでございます。
 次期国民健康づくり運動プランのための、健康日本21第2次案ということでございまして、前
文の最後の3行のところでございますが、プランの時期を明示しまして、平成25年度から平成34
年度までの「二十一世紀における第二次国民健康づくり運動(健康日本21(第二次))」を推進す
るものであるとしております。
 第一から第七までの事項でございますが、主に第一と第二のところを中心に簡単に御説明いた
します。
 第一のところでございますが、基本的な方向について5項目ほど挙げております。前回までは
5項目目が多様な主体による連携という項目になっておりましたが、5項目目につきましては、
NCDの予防という観点からのさまざまな生活習慣の改善、社会環境の改善ということを基本的な方
向として位置づけまして、連携といった観点につきましては、第七のところに連携の項目が出て
まいりますので、そこに主に移した形で構成しております。
 もう一つは、「第二 国民の健康の増進の目標に関する事項」2ページ目でございます。これま
では、目標の趣旨とか、国がどういう取組みを進めていくかといった記載がございませんでした
が、3ページの「二 健康の増進を推進するための目標設定の考え方」というところに、目標設
定の趣旨を基本的方向ごとに書いた上で、例えば「1 健康寿命の延伸と健康格差の縮小」のと
ころをごらんいただきますと、趣旨の後に最後の2行ですが「また、目標達成に向けて、国は、
生活習慣病対策の総合的な推進を図るほか、医療や介護など様々な分野における支援などの取組
を進める。」とございます。
 「2 主要な生活習慣病の発症予防と重症化予防」NCDへの対応という項目でございますけれど
も、そこにどういった疾患にどういう観点から取り組むかといったことを書いた上で、5行目辺
りから目標とすべき項目について述べた上で、3ページの一番下2行にございますように、国が
どういったことをするかといったことを書く書きぶりになっておりまして、これらすべて1、2、
3、4、5と同じような書き方になっているところでございます。
 飛びますが、12ページ以降が各目標になっております。前回までは数字が入っていないところ
もありましたが、かなり今の段階で目標値が盛り込まれた状況になっておりまして、1の①、②、
2の①、②という形で数えていった場合の目標数は54項目に現在のところなっているところでご
ざいます。
 本検討会と関係が深い項目につきましては、13ページの循環器疾患のところにメタボ予備軍、
メタボ該当者の減少、特定健診・特定保健指導の実施率の向上、(2)の④、⑤、その上のところ
も個別の項目としては非常に関係の深いものでございますけれども、次の糖尿病なども関連の指
標になってございます。
 肥満という観点からは、15ページ(3)の④のところに低栄養傾向の高齢者の割合の減少とい
った項目や、16ページの適正体重を維持している人の増加(肥満、やせの減少)と、5の(1)
の栄養・食生活の①にございます。
 19ページをごらんいただきますと、歯と口腔の健康といったことで、これは後ほど説明がござ
いますが、資料4の歯科口腔保健推進法との関係が出てまいりますが、それと整合をとっている
形の目標を立てております。
 以上でございます。
○永井座長 続いてよろしいですか。
○鷲見がん対策推進室長 がん対策推進室長の鷲見でございます。
 次期がん対策推進基本計画案の概要につきまして、資料3に基づきまして御説明させていただ
きます。
 がん対策推進基本計画は平成18年に議員立法よりできましたがん対策基本法に基づきまして、
平成19年に策定されたものでございますが、少なくとも5年ごとに検討を加えることになってお
りますので、今回5年目に当たるということで、見直しを行うものでございます。平成24年度か
ら平成28年度までの5年間を対象とするものでございます。
 「第2 重点的に取り組むべき課題」を見ていただきたいと思いますが、1、2、3につきま
しては、前基本計画においても記載されていたものでございますが、若干変更がございまして「1.
放射線療法、化学療法、手術療法のさらなる充実とこれらを専門的に行う医療従事者の育成」と
なっております。前基本計画におきましては、放射線療法、化学療法を特に推進するということ
だったのですが、外科医の不足等が指摘されていることから、手術療法につきましても記載を加
えた上で、集学的治療の質の向上などを図るということにしております。
 2番でございますが、緩和ケアの推進につきましては、前基本計画におきましては、治療の初
期段階からの緩和ケアの推進ということだったのですが、がんと診断されたときからということ
で、一歩前に、診断された瞬間からということで、記載を変更するとしております。また、ここ
には記載しておりませんが、緩和ケアの推進につきましては、検討会を平成24年度早期に立ち上
げまして、基本計画をきちっと進めるということとしております。
 「3 がん登録の推進」でございますが、前基本計画においても進めてまいりました地域がん
登録につきましては47都道府県で平成24年度にはスタートできるということになっております
が、制度などを更に向上させるということで、がん登録の推進とさせていただいております。
 新たな重点課題としまして「4 働く世代や小児へのがん対策の充実」ということで、我が国
におきます死亡率が他の先進国と比較しまして上昇しております乳がん、子宮頸がんなどの女性
のがんへの対策、特に若い女性の方の乳がん、子宮頸がんが上昇しておりますので、そうしたも
のの対策、また、5年生存率が現時点で大体6割程度まで上がってきているということがござい
まして、治療と就労を両立させながら進めないといけないという課題が新たに上がってきており
ますので、そうした問題への対応、働く世代のがん検診の受診率の向上、今回、小児がんの対策、
予算なども新たに確保して進めるということで、重点課題としております。
 第3の全体目標でございますが、1、2につきましては変更はございませんが、右の表にござ
いますように、75歳未満の年齢調整死亡率の20%減少ということで、右のグラフにございますよ
うに、赤いラインが目標でございますが、これまで何とか順調に来ているところではございます
が、若干傾きが鈍化していることもございますので、この目標を確実に達成させるということで
ございます。2番目はQOLの向上、3番目ががんになっても安心して暮らせる社会の構築という
ことで、先ほど申し上げました就労の問題、相談支援の充実や教育の問題などに対応することに
よって、こうした社会を構築するということでございます。
 次のページでございますが「第4 分野別政策と個別目標」でございます。がん医療につきま
しては、これまでと同様に(1)から(6)までございますけれども「(4)地域の医療・介護サ
ービス提供体制の構築」につきましては、拠点病院の在り方を新たに見直しまして、5年以内に
その機能を更に充実させるということとしております。
 また、(5)は新たに付け加えたものでございますけれども、いわゆるドラッグラグ、デバイス
ラグと言われるものにつきまして、医薬品・医療機器の早期開発・承認等に向けた取組みにつき
まして、新たに項目を立てまして、前に進めるということとしております。
 2番、相談支援と情報提供、3、がん登録、4番、がんの予防と、引き続き推進することとし
ておりますが、がんの予防につきましては、今回新たに成人喫煙率の目標値12%、未成年者の喫
煙率をゼロ%、これは引き続きでございますが、受動喫煙についても行政機関、医療機関、家庭、
飲食店、職場ということで分けた形で目標値を設定したいと考えております。
 5番、がんの早期発見でございますが、がん検診の受診率の目標値でございます。5年以内に
50%を達成する、この目標は引き続きなのですが、胃、肺、大腸につきましては、当面40%とす
る、これにつきましては、現時点で受診率が2割~3割程度ということもございますし、これら
につきましては一般の医療機関への受診という形での検査を行われているということも考慮しま
して、まず、当面40%としまして、ただし、中間評価を踏まえて必要な見直しを行うということ
としております。対象年齢でございますが、がん検診の対象年齢自体はこれまでどおり上限の年
齢制限は設けないということなのですが、OECDヘルスデータ等を勘案しまして、海外諸国との比
較という観点から、40~69歳を対象としまして受診率の算定を行うということとしております。
また、新たにがん検診の項目や方法につきましては、検討会を立ち上げて議論することとしてお
ります。
 6番ががん研究、これは引き続き進めることとしておりまして、7、8、9が新たに付け加え
たものでございまして、小児がん対策、小児がん拠点病院を5年以内に整備して、小児がんの中
核的な機関の整備を開始するということを予定しております。8番、がんの教育・普及啓発とい
うことで、文部科学省などと協力しながら健康教育の中でがん教育を推進する。9番、がん患者
の就労を含めた社会的な問題ということで、今回、先ほど申し上げましたように、就労問題にも、
就労に関するニーズや課題を明らかにするという話、職場における理解の促進、相談支援体制の
充実、こうした対策を進めつつ、先ほどの目標でございます、がんになっても安心して働き暮ら
せる社会の構築を目指すという整理になっております。
 以上、簡単ではございますが、がん対策推進基本計画の概要でございます。
 今後、こちらは今、パブリックコメントを4月1日までかけておりまして、最終的に5月から
6月にかけまして、閣議決定を行う予定としております。
 以上でございます。
○小椋歯科口腔保健推進室長 歯科口腔保健推進室長の小椋でございます。よろしくお願いいた
します。
 時間もございませんので、簡単に説明させていただきます。
 資料4をごらんください。こちらは昨年の8月に、こちらも議員立法でございますけれども、
歯科口腔保健の推進に関する法律というものが公布、施行されてございます。こちらの第12条に、
厚生労働大臣は、基本的事項を策定するということと、策定した後に公表するということが記載
されてございますので、厚生科学審議会の地域保健健康増進栄養部会の下に、歯科口腔保健の推
進に関する専門委員会を設置いたしました。こちらの委員長は、本検討会の林委員になっていた
だいて検討を進めてまいりました。その中で、その委員会を2回、その下に作業委員会を設けま
して、ワーキンググループが4回、合計6回御議論いただいた資料でございます。
 こちらの方は、先ほど野田室長からも説明がございましたが、健康日本21の第二次ということ
ときちんと調和を保つことということも法律に記載されておりますので、そのようなものと調和
を取るために、中身的にはほぼ健康日本21の第二次の基本的な方針に倣ったという形になってご
ざいます。
 目標値につきましては、別表という形で後ろの方に記載させていただいております。8ページ
以降でございます。こちらの方も、【P】というのでペンディングのものがまだございますけれど
も、最終的には公表するまでにはペンディングのところはすべてなくしていきたいと考えてござ
います。
 今後でございますが、また厚生科学審議会の地域保健健康増進栄養部会に諮った上で、こちら
の方も健康増進法の基本的な方針の動向を踏まえつつ、同じような時期にできるだけ大臣告示と
いう形で発出したいと考えておるところでございます。
 以上です。
○永井座長 ありがとうございました。
 ただいまの3つの御報告につきまして御意見をいただきたいと思います。
 がんの方は登録事業が随分推進されていますけれどもNCDの方も資料2の3ページ、継続的に
数値の推移等の調査及び分析を行う、主要な疾患についてはこういうことをうたわれていますが、
もうちょっと強く書けないのでしょうか。もう少し登録事業とか調査、分析を推進するとか。
 今、世界的にもいろいろなレジストリーの重要性がうたわれていますけれども、がんに比べて
ほかの疾患がやや体制が弱いように思うのですけれども、いかがでしょうか。
○野田生活習慣病対策室長 これにつきましては、国としてどのような形で調査、分析を行うか
ということを書いているわけでございますけれども、主要なも、殊にNCDについてどうしていく
かといったことについては、網羅的に検討がまだできておりませんので、今の時点では個別にど
のようにしていくべきかということを盛り込むことはできないと考えています。
 ただし、殊にこのNCDの重要性につきましては、目標を設定するところで意義づけをきちっと
書いておりますし、国としてモニタリングして到達しているかどうかということをチェックする
ということでございます。一方、新たな健康日本21の議論の振出しに当たって、脳卒中、循環器
疾患といったものの罹患データの不足ということは、健康日本21の最終評価の段階で指摘され
ておりまして、がんなどにおいても、罹患データの充実についてどうするかという視点があるわ
けでございますが、そうしたことも今後の課題として検討は必要になると考えております。
○永井座長 どうぞ。
○外山健康局長 今、健康増進法でがんと循環器疾患というのは既に登録を努力規定であるので
す。そのような状況を踏まえて、今回次期がん対策基本計画の中でがん登録の推進で、過去もあ
ったのですけれども、踏み込んでおりますのは、まさに今の健康増進法でやっている努力規定だ
けでは不十分だという観点から、法制化ということに踏み込んだために柱立てになっているわけ
でございますので、逆に裏を返すというか、NCDの方でもそれに向けて、いわゆる努力規定では不
十分だから法制化すべしということであれば、恐らくそういうところまで書き込むのだろうと思
っています。ですから、その辺の御判断だと思いますけれども、今の枠組みの中でもある程度の
ところまでいけるという構図になっております。
○永井座長 野口構成員、どうぞ。
○野口構成員 今の健康日本21の第二次の中で、脂質異常症を総コレステロールで評価するとい
う流れになっているかと思うのですが、この辺は、特定健診ではLDLのままでいくということな
のだと思うのですけれども、それは別々に強化をしていくみたいなことになるのでしょうか。
○野田生活習慣病対策室長 これはモニタリングのベースが国民健康栄養調査で今、やっている
ということがございまして、健康づくり専門委員会の方でも議論は今のところ出ているのですけ
れども、現段階においては総コレステロールを指標として考えているところでございます。
○野口構成員 この特定健診もCVDを予防していくという意味が最終アウトカムだと思うのです
けれども、今からこんな議論もあれなのですけれども、LDLコレステロールで保健指導していこう、
一方では同じ目標に向かって総コレステロールで見ていくんだというのが合わない感じがして、
その辺ではそれぞれの結果をどう評価されるのかと思ったので、お聞きしました。
○野田生活習慣病対策室長 そこはまさに議論は出ておりますけれども、現段階ではこういう目
標でということで、こう仕上げていきたいと思います。
○永井座長 ほかにいかがでしょうか。
 荒木田構成員。
○荒木田構成員 ちょっとどの立場でこれに意見を言わせていただいたらいいのかよくわからな
いところがあるのですが、資料2の健康日本21の第二次のところで、私が地方のところで計画づ
くりのところとかで携わっていたりするのですが、今、話題に出ました国民健康栄養調査とかの
実数が少なくて、結局国では評価できるけれども、地方になったら統計的な評価ができないとい
う問題も上がってきました。是非、これに対しての要望というか、地方が都道府県だけではなく、
立てている市町村レベルが評価できるような情報データづくりの提供というところを是非お願い
したい。特に、評価面等に当たっては、国民健康栄養調査の対象数を多くするだとか、そういっ
たところも含めて評価を支援することをお願いしたいと思っております。
○野田生活習慣病対策室長 来年度につきましては、少し規模を大きくして実施をする予定でお
ります。都道府県レベルまで解析可能かどうかといったことについて、検討が必要であるわけで
ございますけれども、なるべく地方のレベルで使えるような形での周期的な調査の実施といった
観点でするような形で予定をしているところでございます。
○永井座長 鳥羽構成員、どうぞ。
○鳥羽構成員 資料2の4ページですけれども、まず、用語の確認なのですが、運動器不安定症
候群と我々は普通使っているのですけれども、この用語が運動器症候群で正しいかどうか御確認
ください。ロコモティブシンドロームの日本語訳です。
 高齢者のところで、子どものころからの健全な生活づくり、当たり前のことですけれども、特
定健診の流れからいいますと、子どものころからといっても余りに時間的なものがありますので、
中年期からの生活習慣病の予防といったものが、高齢期の要介護認知機能低下にというところは
エビデンスがあるわけですので、その辺のところを子どものころからというところに付け加える
か、あるいは書き換えるような配慮があればいいなと思いました。
○永井座長 そのほかいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 また御意見は後からいただいてもよろしいのでしょうか。
○野田生活習慣病対策室長 何かございましたら、お知らせいただければと思います。
○永井座長 そういたしますと、時間が来てしまいましたので、本日の議論はここまでというこ
とで。
 大井田構成員。
○大井田構成員 最後に、その他の項目で申し上げます。
 日本医師会の答申について99%賛同しています。しかし、最後の7ページですが、ここに新た
な健診の方向性を提言していただきたいと思っています。そこまでしなかったのは私ども日本公
衆衛生学会の責任であり、日本医師会も新たな健診を提言しなければいけないと思います。それ
を4年間さぼってきたという反省はしているのです。もしよろしければ、日本医師と一緒になっ
てやりたいと思います。また、内科8学会も加わってやるべきだと私は思っております。
 次の改定に向けてですが、今の特定健診は意味がないと思います。事実、東京大学の大橋教授
が全国10地域からデータを集めて解析して、その結論から今の特定健診を考えなければならない
と言っています。また、磯先生の第2回の会議で発表したことも、別のフィールドで大橋先生と
同じ結論を言っているわけですから、多分エビデンスはできたのではないかと思うのです。です
から、次の改訂に向かって頑張るということで、医師会の資料では7ページが足りなかったので
はないかと思っています。これは日本医師会の責任でもあるのではないかと思っておりますし、
我々の責任でもあると思っています。
○永井座長 恐らく、どういう場合に意味があって、どういう場合に意味がないかというところ
まで含めたエビデンスが必要だと思うのです。一概にこうだというのは、なかなか現実は難しい
ように思いますので、是非次回の改定に向けてデータを出していただきたいと思います。
 それでは、事務局から報告をお願いいたします。
○尾田保健指導室長 年度末のお忙しいところ、お集まりいただきまして、御議論いただきまし
て、ありがとうございました。今後の開催につきましては、来年度改めてまた皆様に御相談させ
ていただく予定としております。
 最後に、今回中間とりまとめということでございますので、健康局長の外山から一言ごあいさ
つをさせていただきます。
○外山健康局長 構成員の皆さんにおかれましては、年度末の大変お忙しい中お集まりいただき、
御熱心に御議論いただきまして、誠にありがとうございました。
 昨年の12月以来5回にわたりまして特定健診・保健指導制度の課題を中心に技術的な観点や健
康施策の観点から御議論いただきました。御議論の中では、現行のメタボリックシンドロームに
着目した健診の在り方そのものに対する御意見も含め、さまざまな御意見や御提案をいただきま
した。
 今後は、本日のとりまとめ案にもございますとおり、具体的対応の必要な点につきましては、
関係部局と調整を進めまして、更にエビデンスに基づく検証が必要な課題につきましては、デー
タの蓄積や分析、研究に努めてまいります。引き続き、国民の健康を維持向上させるという観点
からよりよい健診・保健指導の実施に向けて努力してまいりますので、今後ともよろしくお願い
申し上げます。
○永井座長 ありがとうございました。
 それでは、本日はこれで終了させていただきます。どうもありがとうございました。


(了)

<照会先>
厚生労働省健康局総務課
・生活習慣病対策室
  室長補佐 三田(内線2348)
・保健指導室
  保健指導専門官 畑農(内線2398)
(代表電話)03-5253-1111

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