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2012年3月14日 医師臨床研修制度の評価に関するワーキンググループ(第5回) 議事録

○日時

平成24年3月14日(水)16:00~18:00


○場所

厚生労働省 専用第23会議室(19階)
東京都千代田区霞ヶ関1-2-2


○議題

臨床研修の募集定員について 等

○議事

○清水主査
 定刻より早いですが、皆さまお集まりいただきましたので、医師臨床研修制度の評価に関するワーキンググループを開催いたします。本日は、先生方にはご多忙のところご出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
 本日は、委員の代理としてお二人にご出席いただいております。まず、今村委員の代理として、日本医師会副会長中川俊男先生でいらっしゃいます。次に、神野委員の代理として、医療法人社団永生会理事長安藤高朗先生でいらっしゃいます。また、今回は文部科学省医学教育課から村田課長にお越しいただいています。以降の議事運営については、座長にお願いたします。堀田先生、よろしくお願いいたします。

○堀田座長
 皆さん、こんにちは。だいぶ春めいてまいりましたが、まだ風が強かったり寒かったりします。今日はまたよろしくお願いいたします。議事を始めます前に、まず資料の確認を事務局からお願いします。

○清水主査
 資料の確認をさせていただきます。カメラは退室をお願いいたします。

                (カメラ退室)

○清水主査
 ヒアリング資料として日本医師会より「医師養成についての日本医師会の提案」とされた資料、また、文部科学省より「医学教育の現状について」の2つの提出資料があります。続いて、事務局提出資料として「募集定員等について」と「専門医に関する検討状況について」の2つの提出資料があります。最後に、参考資料として1枚紙で、平成24年度厚生労働科学研究「医師臨床研修制度の評価と医師のキャリアパスの動向に関する調査研究」企画概要があります。不足する資料がありましたら、事務局にお申しつけください。

○堀田座長
 よろしいでしょうか。
 ただいまから、議事に入りたいと思います。まず、議事1「募集定員等について」です。事務局に説明をお願いするのですが、今日のテーマ医師の養成ですが、は委員の皆さんから最初から提案されていますように、研修だけを切り取って考えるのではなくて、医学教育から専門医までの流れの中で捉える必要があるというご提案もいただいておりますので、それに基づいてのことです。まず、事務局から説明をお願いします。

○清水主査
 事務局提出資料1「募集定員等について」の説明をさせていただきます。1枚おめくりください。現状の募集定員の設定方法について、説明させていただきます。
 2頁をご覧ください。募集定員の現行の設定スケジュールです。プログラムの変更届から募集定員(案)の情報提供、都道府県の調整、そして確定通知の発出などについて記載しております。
 3頁は、都道府県別募集定員の設定方法についてです。定員算出に当たっては人口または都道府県別の医学部定員数を用いて、それに地理的条件などを加算しております。ただし、下段にも記載しておりますが、この算出方法で設定された定員が前年度の募集定員の90%を下回った場合には、定員を90%とする激変緩和措置を設けております。
 4頁は、各研修病院ごとの募集定員設定方法です。現状では、過去の受入実績を基に仮定員を設定し、その定員と、先ほど述べた都道府県別募集定員の上限との調整を行います。都道府県別募集定員を超えた場合には、削減することとしております。例えば、B病院で仮定員は10名ですが、調整により9名となります。ただし、激変緩和措置として、昨年度の内定者数までは保障するという、いわゆるマッチ保障を設けております。B病院では昨年度11名マッチがあったため、B病院の定員は11名とされます。なお、こちらの激変緩和措置は平成26年度までの取扱いとなっております。
 5頁は、全国ベースでの研修医の募集定員の推移です。いちばん上の紫の折れ線グラフから順に、各病院の実際の募集定員の積上げ、赤線が都道府県募集定員、黄線が研修希望者数、黒線が研修医受入実績となっております。現状の募集定員の算定方法を継続したと仮定しますと、平成27年度以降、研修希望者数が一時的に都道府県別募集定員の上限を上回ります。これは、現状の都道府県募集定員の算定に当たっては当該年度の2年前の採用実績を用いているため、即ち平成27年度の募集定員の際には25年度の採用実績を用いているということになります。このため、医学部定員増により研修希望者が増加しても、都道府県別募集定員は2年経過するまで増加しないため、一時的に研修希望者数が都道府県別募集定員の上限を上回ることとなります。また、紫色の募集定員については、平成27年度以降は激変緩和措置廃止に基づき、赤線の都道府県募集定員の上限に近づくこととなっております。
 6頁は、都道府県別募集定員、そして実際の受入実績、並びに各病院の実際の募集定員の積上げを各都道府県毎に指し示したものです。ご覧のとおりですが、東京、神奈川、大阪などでは各都道府県募集定員上限より受入実績のほうが多いとなっております。次の頁は参考ですが、先ほどのグラフを数字にした表です。
 8頁は、臨床研修制度と地域枠等についての説明に移ります。9頁は、文部科学省の提出資料にもありますが、医学部入学定員等に占める地域枠等に係る募集人員の推移です。年次とともに、地域枠の募集定員が増加することを示しており、こちらの地域枠学生及びマッチングとの取扱いについて整理する必要がある観点から出させていただいております。
 10頁は、地域枠の主な分類について、臨床研修制度との関係について説明した資料です。一言で地域枠と言いましても多種多様であり、具体的には奨学金と連動している地域枠、及び奨学金と連動していない地域枠に大別されます。前者については、卒業後一定期間地域に残るといった条件があり、その条件についてもさまざまです。概要としてはAの?~?のとおりに分類されます。即ち、初期研修は、指定された特定の医療機関で実施、初期研修は、県内の医療機関(指定された医療機関も含む)から自由に選択、初期研修については特段の条件はないが、研修後に地域医療に従事するなどといった条件があります。地域枠と連動していない卒業後の勤務条件なし、こちらはBになります。地域枠についても地元出身者のための選抜枠から、出身地にとらわれない地域医療に従事する入学枠等、いくつかの分類があります。
 11頁は、現行の地域枠卒業生とマッチングとの関係について説明した資料です。現行で地域枠学生も、一般枠の学生と同様にマッチングに参加しております。ただし、自治医科大学、防衛医科大学校の学生についてはマッチングに参加しておりません。マッチングを行う前に、研修を行う病院を決定することになっております。
 12頁は、平成24年度に研修を開始する研修医の研修病院を種別に示しております。マッチング参加者は8,454名いて、そのうち7,998名がマッチング参加病院にマッチしているとなっております。こちらは、参考までに指し示しております。
 最後の13頁は、地域枠等と募集定員算定方法の関係を示しております。地域枠の中には、他県の地域枠学生を採用している大学も存在します。現行の募集定員算定に当たっては、入学定員、医師養成状況及び人口分布を用いており、医師養成状況の募集定員を算定する際には、他県の地域枠学生も大学の存在する県の募集定員算定式に当てはめております。事務局提出資料1についての説明は以上です。

○堀田座長
 ただいまから、この説明に対してご質問やご意見をいただきます。募集定員の現状と今後の見通しとして、学生自体が増えるという問題があります。地域枠をどう扱うかという問題は、今後重要なポイントになってまいりますが、先生方からご意見をいただけますでしょうか。
 激変緩和措置が平成27年で終了すると、希望者数はこの赤線の定員数に近づいてくるという話で、この赤線は平成22年度の見直しのところから始まっているので、それ以前はないわけです。都道府県別の募集定員の上限の計算式がずれるので、一時的にそれが逆転する可能性がある。こういう問題をどう考えるかです。いかがでしょうか。

○田中委員
 田中ですが、これは希望者はそうなのですが、国家試験で一定数落ちる人がいるので、結局は定員を上回ることはないのだろうと思うのです。ただ、マッチングの時点ではもちろん国家試験の結果はわからないので、その時点では就職先が決まらないという人が出るかもしれないのですが、最終的には研修先がないということはないはずだと思いますが。

○堀田座長
 かもしれませんね、調整すれば。

○医師臨床研修推進室長
 おっしゃるとおりでございまして、ここはいま受入実績、5頁でいいますと、いちばん下の黒線が受入実績です。これと黄線の研修希望者、このギャップは基本的には試験に受からなかったという方々の数ですので、結構な差があるものですから、これが右側の赤線と黄線のこの交差する部分では、交差しない可能性が数としてはございます。

○堀田座長
 実際のところは、大体、定員数と希望者数の差は1,000人ぐらいあるわけですね。ですから田中先生がおっしゃるように、それで言えば実質的には逆転しないだろうというお話です。そのほかいかがですか。
 あと地域枠の関係で何かご質問はないですか。地域枠と言っても、先ほど説明ありましたようにいろいろなタイプがあって、一括りでなかなか言えないこともありますが、この中には、例えば地域枠という形で採ったけれども、その後どこへ行くかは特定しない地域枠というか、できるだけ必要としている所に行ってくださいみたいなものがありますよね。行先を特定しない地域枠はどれぐらいを占めますか。

○清水主査
 全体としての数でしょうか。

○堀田座長
 その地域枠の中に占める割合というか。

○清水主査
 奨学金を占める。

○堀田座長
 それは奨学金付きですから。

○清水主査
 奨学金が付いてない数ということですよね。
○堀田座長
 ええ。

○清水主査
 正確な数字についてはちょっと把握しきれない部分があるのですが、半分以下ぐらいではないだろうかなといったような印象を受けております。

○今村委員(代理中川委員)
 この4年間ですか、入学定員が1,365人増えますよね。

○清水主査
 1,366人です。

○今村委員(代理中川委員)
 そのうちの地域枠の割合はどのぐらいですか。

○清水主査
 大学が把握している地域枠等の定員はこちらに書いてある1,292名となっておるのですが、ただ、こちらはミニマムでありまして。この大学を通さずに、都道府県と個別に奨学金を受け取っているという学生がいらっしゃいます。即ち、大学の教務課などを通さずに、例えば当該都道府県と奨学金をもらう代りに、将来勤務するという。

○今村委員(代理中川委員)
 奨学金は必ずしも100%もらっているわけではないでしょう、地域枠の学生は。

○清水主査
 はい、そのとおりになります。

○今村委員(代理中川委員)
 だから、地域枠として増やした定員数はどのくらいかと言っているのです。

○清水主査
 地域枠として。

○今村委員(代理中川委員)
 1,366人のうちの。

○清水主査
 政策として義務付けた分については437名になりますが、大学や都道府県などが独自に設けている地域枠については、必ずしもすべて把握しきれているといったわけではありません。

○今村委員(代理中川委員)
 それは文科省の管轄ですか。

○堀田座長
 そうです。村田課長いかがですか。

○文部科学省医学教育課長
 いまお話のとおりでございまして、いわゆる私ども最近の枠組みは3つの枠組みで定員増を認めています。3つのうち1つが地域枠ということです。端的に申しますと地域枠が増員のほとんどなのです。その地域枠は、いまもお話がありました都道府県が地域医療計画の中に盛り込んで、そこで奨学金を出していただく。一方で、その学生は一定の義務年限は知事が指定する地域の医療機関などで働いていただく、それが前提だということです。最近の地域枠の数で申しますと、平成21年度は360人増を認めていますが、そのうち313人がその地域枠です。平成22年度については3つの枠組みで77人増えておりますが、59人が地域枠です。平成24年度の定員68人増やしておりますが、65人が地域枠という数字になっております。

○堀田座長
 実質入学定員、定数が増えたということは、いま言った数なのですね。だから、従来の定数の中に地域で採っている者が入ってくるので、この数字、このグラフでぐっと右上がりになっているのは、従来の枠の中で地域というものを作っているからということですね。

○文部科学省医学教育課長
 それも全部含まれた数が、この1,300何人という数、おっしゃるとおりです。

○医師臨床研修推進室長
 タイトルを、「地域枠等」にしているのは、実は「等」というところで、名称も「地域枠」という21年度以降のものに縛られない様々なものがありますので、定義としてもなかなか全体を括った定義というのは難しいものと思っています。

○堀田座長
 いずれにいたしましても、いま施策として地域に医師を確保するという一連の流れの中でこういったものがやられているという状況で、今後頭は鈍化するのですか、それともまだまだ伸びるのですか。

○文部科学省医学教育課長
 まさに今後の議論です。文科省としては、平成24年度の定員まではいま申し上げたような考え方で増員いたしました。それでは、平成25年度以降どうするかということについては、いま社会保障・税一体改革の中でも医療提供体制に関するご議論があります。一方では、地域の医師の需給の関係もあります。その辺りを勘案しながら、基本的には文部科学省と厚生労働省の両省で相談しながら対応を決めていくことになろうかと思います。

○今村委員(代理中川委員)
 村田課長のところの医学部入学定員の在り方の検討会で、地域枠のことを随分議論しましたが、まず1つは、奨学金で縛って言うことをきかせるというのは、これ時代遅れではないのかということが指摘されました。私もそう思います。
 もう1つは、地域枠と一般枠の医学生のカリキュラムが違うところがあるのです。これは、すごい差別感が出ているのです。まして、地域枠のほうが入学合格者の偏差値が少し違うと、低いといったことまであると、これは問題が起こりそうな、そういう議論でした。ということは、医学生のレベルで、いわゆる差別を受けたとか、精神的なトラウマになったなんていうことがあれば、医師になったときにやはり大変な問題も起こるのではないかと。ですから、医師の地域の偏在の解消のために、地域に留めるために地域枠を増やせばいいんだというような、安易とは申しませんが、地域枠というのはもう少し慎重に考えることも必要かなと思っております。

○文部科学省医学教育課長
 簡単に。1つは、いわゆる地域枠の学生がどのぐらい定着するかというのは、また、定員増の条件として奨学金付きとしたケースではまだ卒業生が出ていないわけでして、いままでの推薦入学的な地域枠の実績しかないわけです。その中では、かなり定着率が高いというのは事実です。
 もう1つ、奨学金で縛るという話がございました。これも考え方でして、その地域のために貢献していただく、そのために地元がお金を出してということです。お金をもらえるからいいだろうということではなくて、やはり学生の気持の持ち方の問題として、そういうことを認識していただく。ですから、必ずしも差別するとか、そういうことではなくて、やはり地域のために貢献をするという意識を持っていただくことは必要だろうと思います。ただ、講義や授業のやり方などは、いろいろな工夫があるのだろうと思っております。

○岡村委員
 我々のところは、一般枠と別に県民枠と地域枠という、少しわかりづらい制度になっております。県民枠というのは、全国から応募できて、経済的な縛りはない。地域枠というのは、和歌山県出身者だけで、奨学金の縛りはあります。いま中川先生がおっしゃった、そういう入学時の実力の差は、一般枠と地域枠や県民枠では全くないです。県民枠と地域枠の人たちには卒後、和歌山県内のいろいろなところで働いてもらうことを一応条件でやっているのですが、カリキュラムは全く一緒です。我々がいちばん危惧しているのは、結局、一般枠の学生が、その県民枠、地域枠の学生たちに任せて、俺たちは県外に出て行っていいんだと、そういう風潮がいちばん困ってしまう。それを何とかしないといけないと思っております。

○堀田座長
 逆のこともあるというわけですね。それでは、こういった状況を一応基礎知識と申しますか、前提としてこれからディスカッションに移ってまいりたいと思います。まず、今日いらしていただいております中川先生から、医師養成についての日本医師会の提案ということで、ご説明をお願いします。

○今村委員(代理中川委員)
 ヒアリング資料1を提出しておりますので、ご覧ください。これは、医師養成についての日本医師会の提案(第2版)となっていますが、初版を去年の1月19日に公表いたしました。それについて、全国の47都道府県医師会、それから日病、全日病などの病院団体、全国医学部長病院長会議、全国大学医師会連絡協議会の役員の先生方といった、できるだけ多くの医療界の方から意見を聴きまして、それで修正して作ったものです。この第2版は、医師養成の向上と、それから医師の地域的な偏在の解消の第一歩になればという思いを込めて作りました。
 この資料は、文科省の先ほど申し上げました医学部入学定員の在り方の検討会と、厚労省の社保審の医療部会、この2つのところに資料を提出して、説明をさせていただいております。
 1枚お開きください。目次ですが、医学部教育と臨床研修制度の2つに分けました。
 1頁です。3頁の図をご覧ください。医学部の1年生から4年生に関してです。高校の学習の繰り返しにならないように一般教養科目の在り方を見直して、大学6年間を通じたリベラル・アーツ教育によって、医師としての資質を涵養するということが、まず1つです。医学については、医学教育モデル・コア・カリキュラム、大学独自のカリキュラムを尊重しつつ、1年生から基礎医学・臨床医学・社会医学の履修を積極的に取り入れ、臨床医学教育の一環として、介護や福祉との連携も視野に入れた演習、見学実習、ボランティア活動等を実施するというものです。
 その次に、医学部の4年生終了時ですが、4年生終了時にCBT・OSCEを課し、各大学は合格者に参加型臨床実習の参加資格を与える。現在実施されている共用試験では、大学が独自に合格基準を設定していますが、全国統一の判定基準の導入を目指すというものです。参加型臨床実習の内容は、モデル・コア・カリキュラムを尊重して決めていくものです。医学部5~6年生についてです。2頁に書いてありますが、5~6年生は従来の見学型ではなく、参加型の臨床実習を行うとしました。参加型臨床実習はCBT・OSCEに合格し、医師国家試験の取得を目指す学生が、指導教員の下で、医療チームの一員として、患者の診察、診断などに参加する実習とする。到達目標は、医学教育モデル・コア・カリキュラムに準ずるとしました。
 もう1つ大事なことですが、指導教員です。現場は医師、指導教員が非常に不足していると言われておりますが、日本医師会は、指導教員数の確保と指導力の向上のために、国に対して十分な財源の手当てを求めています。
 6頁をご覧ください。まず、医師国家試験についてですが、現状、医学部6年生は、知識問題を含む医師国家試験対策に多くの時間を割いています。しかし、医学知識については、現在、概ね4年生終了時に受験するCBTでも高度な内容が課されています。そこで、医学知識のみの評価は4年生終了時のCBTの1回に絞り込み、以降は、臨床実習によって培われた能力の評価に特化することを提案しています。
 医師国家試験の内容ですが、上級OSCEに相当するものとして、医学部5~6年生の参加型臨床実習を通じて習得した深い医学知識および技能にもとづいて、プライマリ・ケアを中心に適切な臨床推論を行えるかどうかを客観的に評価するというものです。また、もし医師国家試験に不合格になった場合、出身大学の参加型臨床実習に引き続き参加できる仕組みを作ることを検討してはどうかと思います。
 我々がいちばん強調したいところは、臨床研修制度についてです。まず、基本的な方向性としては、2000年11月の新医師臨床研修の基本3原則を堅持すべきだろうと思います。そして当面の課題として、7頁の枠の中にございますが、臨床研修制度の基本的な方向性としては4点、ここに提示いたしました。まずは基本的なプライマリ・ケア能力を獲得し、地域医療を担うことができる医師を養成するため、地域社会で充実した研修体制を整備すること。2つ目がいちばん重要だと思っていますが、研修希望者数と全国の臨床研修医の募集定員数を概ね一致させる。都道府県の募集定員は人口や地理的条件など地域の実情を踏まえて設定する。3点目、臨床研修医が単なる労働力として位置付けられることなく研修に専念できる環境を整備する。4点目、臨床研修医の研修先における給与水準を一定の範囲内にする。これ、下の脚注7をご覧ください。先生方よくご存じのことと思いますが、2007年時採用の1年次研修医の給与は、最大で1,075万、2年次研修医給与が最大で1,373万なんてなっているのです。これはどう考えても、おかしくしますよね。このこともやはり是正すべきと思っています。
 8頁をご覧ください。9頁の図の2.1をご覧ください。まず、研修の1年目、これはプライマリ・ケア能力の獲得に一定の目途をつけることを目指して、内科・救急医療・地域医療、これは小児医療と高齢者医療を含みます。精神科、これは認知症・うつ病対策。これらを必修として約1年間研修する。2年目は、将来専門としたい診療科のプライマリ・ケアを中心に研修するとしました。
 10頁をご覧ください。冒頭、地域的な偏在の解消の第一歩と申し上げましたが、このことを提案したいと思います。まず、研修システムの1.医師研修機構ですが、都道府県ごとに「医師研修機構」を設置する。まず1つ目ですが、各都道府県の「医師研修機構」を束ねる「全国医師研修機構連絡協議会」を設置する。この連絡協議会は、人口や地理的条件など、地域の実情を踏まえて、研修希望者数と全国の臨床研修医の募集定員数が概ね一致するよう、都道府県ごとの臨床研修医募集定員数を設定するという、大変な仕事を担います。
 2つ目、各都道府県の「医師研修機構」は、連絡協議会が設定した当該都道府県ごとの募集定員数をもとに、当該都道府県下の研修病院における臨床研修医募集定員数を調整する。
 3つ目、各都道府県の「医師研修機構」は、当該都道府県の医師会、行政、住民代表、大学、大学以外の臨床研修病院で構成し、次のような機能を担う。地域で特色ある研修プログラムの検討・提案。当該都道府県の基幹型臨床研修病院、協力型臨床研修病院、研修協力施設の登録。当該都道府県の研修病院の研修内容のフォロー、研修水準の向上・支援です。
 もう1つ、次の臨床研修センターを提案したいと思います。各大学に「臨床研修センター」を設置する。まず1つ目、研修希望者は、原則として自分の出身大学の「臨床研修センター」に登録し、研修先についての希望を提出する。研修希望先の地域は問わない。2つ目、各大学の「臨床研修センター」は、研修希望者と面談し、研修希望先を確認する。必要があれば「臨床研修センター」が、アドバイスを行い、研修先を選定する。研修先に応募した結果、希望がかなわなかった場合、あらためて「臨床研修センター」が研修希望者と相談し、調整する。最後3つ目、臨床研修病院は、臨床研修医が、どの大学の「臨床研修センター」に所属しているかも含めて、都道府県の「医師研修機構」に臨床研修医の受け入れ状況を報告する。概念図は12頁に示してあります。
 この臨床研修センターですが、いま現在、先生方よくご存じのように、民間医局と呼ばれる医師派遣業者が非常にはびこっていまして、若い医師が数千人単位、4,000人とも5,000人とも言われますが、そこに登録されて、いわゆる根なし草と、非常に嫌な言葉ですが、そういう医師が急増しているのではないかと。各大学は、自分の大学の卒業生は一体どこに行ったのかも、皆目わからなくなっているといったこともあります。卒業生がまずは自分の大学の研修センターに登録するということも非常に大事なことではないかと。もう1つ追加させてもらえば、この提案はあまりにも廃絶されすぎた大学医学部の医師派遣機能、このある程度の復権は必要だろうという思いも込めております。以上です。

○堀田座長
 ありがとうございました。ただいまの中川先生のご説明について、ご質問、ご議論をお願いいたします。いかがでしょうか。最初に教育カリキュラムの話が出てまいりましたが、基本的には、CBT・OSCEを4年目でやる。それをどう使うかは大学によって少し差がありますけれども、基本的には、これはほぼやっていますね。それに基づいて参加型の臨床実習をやるということで、「クラークシップ」という名前でやっている所もあると思います。その辺はどうでしょうか。

○岡留委員
 中川先生にちょっとお聞きしたいのです。最初に医師会が出したものに、私たち病院団体としてはかなりコメントを出した覚えがありまして、医学部教育については大体近づいてきたという気がします。ただ、研修センターの像がはっきりと浮かんでこないのです。どういうところを目指しておられるのかなと、像としてですね。その辺をお聞かせ願いたいと思います。

○今村委員(代理中川委員)
 正直、いまの医師の偏在ですね。絶対数の不足の手当ては1,366人で一段落着いたと私は思っています。これからは地域的な偏在と診療科間の偏在をどうするかということを本当に喫緊の課題として取り組まなければいけない。繰り返しになりますが、地域医療を担っている各病院が、本当に医者が足りないというときに、民間の派遣業者が電話してくるわけです。手数料は給与の2割です。これは信じたくないのですけれども、1割は本人にバックしているというのです。それで2年ぐらいで替わるのです。こんなことをしていたら、もう日本の医療は崩壊するだろうということが1つです。じゃあどうするのだというときに、やはり各大学の医学部の側から言うと、自分の卒業生が一体どこに行ったのか、4、5年経ったらわけがわからない。これは卒業生から見てもよくないことだと思っているのです。今日説明したのは第2版です。先生もご存じだと思いますが、当初第1版で、私は臨床研修は当該医学部がある卒業した県で全部やるべきだという提案をしました。私はいまでもそのほうがいいと思っているのですけれども、大変なお叱りを受けて、「憲法違反だろ」とかいろいろなことを言われまして、着地したのがこの点ですが、そういうことを目指しています。ですから、臨床研修センターは、昔の医局というのは各科ですから、医学部全体として1つ作るということになれば、昔の医局ではない。もっと現代的に発展したもので、かつ、卒業生一人ひとりの個人の意志を尊重したものなのだ、温かく見守るものだという、そういうセンターのイメージです。新しいものですので従来あるものでは、ちょっと想像ができないかもしれません。

○堀田座長
 そのイメージだと、例えば各県からA大学に集まってきていて、その人が自分の出身地の地域に帰りたいと思ったときには、どういう調整がなされるのですか。

○今村委員(代理中川委員)
 集まってくるというのは。登録は自分の大学だけですよ。

○堀田座長
 そうですよね。

○今村委員(代理中川委員)
 それで、研修先の希望は全国問わないのです。

○堀田座長
 それはどうやって調整するのですか。

○今村委員(代理中川委員)
 そこで、だからそれは10頁にありますが、「医師研修機構連絡協議会」を。

○堀田座長
 全国的にですね。

○今村委員(代理中川委員)
 各県の研修機構を使います。これは大変な作業になりますけれども、調整するのです。

○堀田座長
 だから、マッチングとは違うやり方をするという話ですか。

○今村委員(代理中川委員)
 この数の決め方は、募集定員数です。ただ、全国に希望しますから、その先がマッチングです。

○岡留委員
 第1版では、ここがなかったのですね。医師研修機構がやるということですね。


○今村委員(代理中川委員)
 いまの医政局が提案している地域医療支援センターに似ていますけれども、医政局のものとは、派遣する医師がいるという決定的な違いがあります。そういう絵です。

○堀田座長
 ほかにご意見、ご質問はありますか。

○片岡委員
 卒業してから4、5年経つと行方が知れなくなるとか、民間医局の問題というのは、ご指摘のとおりだと思います。我々の大学も、そういったことにかなり危惧を持っています。我々の大学の卒後臨床研修センターでは、研修医と学生の連続的なケアを目指しています。これは大学独自の取り組みなので役割は限定的ですが、学生さん全員に面接をして、コミュニケーションを密にし、卒業後も関係を保って相談があったら相談してくださいという形で動いてきています。それをするようになってから学生さんたちとの距離はかなり縮まり、進路の把握も前よりもずっと容易にはなっています。今後「医師研修機構」というもっと大きい枠組みで横の繋がりを持っていくことができるのかどうか、いろいろと調整等難しい問題もあると思うのですけれども、コンセプトとしては、学生や研修医のために、あるいは医師の生涯教育のためになればという思いがあります。

○今村委員(代理中川委員)
 医師研修機構と臨床研修センターは密接な連携を持つことが大前提です。それで、これは医師の地域偏在の解消の第一歩と申し上げたのは、臨床研修をやった県に医師が将来的に根付くという厚労省のデータがあるのです。それがあるので、研修先の募集定員数と予定者数とを一致させることで、地域的な偏在の解消につながると提案しているわけです。

○堀田座長
 臨床研修をやった先にどのぐらいの定着率があるかとかについては、厚労省でデータとして持っていますね。

○医師臨床研習推進室長
 以前このワーキンググループでも、臨床研修終了後の従事している場所それぞれにおいて、どこで臨床研修を行ったのかというデータはお示しました。そのときに申し上げましたのは、例えば臨床研修を行った所がその県の大学病院なのか、臨床研修病院なのかを分けて捉えた場合に、やはり臨床研修の場所が、その後従事する病院に大きく影響していることをご案内しました。

○今村委員(代理中川委員)
 その県ということでもそうですね。その研修した病院だけではなくて。

○医師臨床研習推進室長
 その際のデータは、大学病院と臨床研修病院に大きく分けまして、各都道府県ごとはお示ししていません。

○今村委員(代理中川委員)
 医療部会で医政局が出したデータに、青森県のデータで、まさにそのようなデータがあったので、申し上げました。

○田中委員
 ほとんどの内容に私は賛成ですが、これはうまくいくのかどうかというのは、10頁の医師研修機構のところだろうと思います。結局、都道府県ごとに積み上げてそれを調整するのは、おそらく利害が相反するのでなかなか難しくて、「全国医師研修機構」というのはトップダウンで決めないとなかなか決まらないと思うのです。ですから、どういう組織を想定しているのかが第1点の質問です。
 第2点の質問は、例えば医科歯科大学だったら、長野県とか静岡県とか茨城県にも派遣していますが、県を越えて研修医を派遣したりする場合はどうなるのかということです。後者はかなりテクニカルなことで、あまり本質的なことではないかもしれませんけれども、教えていただきたいと思います。

○今村委員(代理中川委員)
 後者の場合は、研修希望先の地域は問わないということでご理解いただけるかなと思います。

○田中委員
 定員をどうやって決めるかということです。

○今村委員(代理中川委員)
 定員は、先ほど説明でも申し上げましたけれども、これはものすごく大変な作業になると思います。既得権益を守る側との交渉ですので。この提案は、大学以外のいわゆる大きな病院で臨床研修医がたくさん集まる病院の先生方は、ほとんど反対ですよ。いちばんとは言いませんが現状がいいのですから。それを変えられるのではないかということで反対が多いです。そこはやはりクリアしなければいけないです。ある程度の激しい議論になるでしょうね。そこで、全国医師研修機構連絡協議会の事務局をどこに置くかという問題があります。役所に置くというのも1つの選択肢でしょうけれども、それだけでいいのか。役所に置いてしまったら、いまと同じになるのではないか、失礼な言い方ですけれども、そういうこともあります。これはこれからの議論で決めるのだと思います。

○大滝委員
 北海道大学の大滝と申します。第1版からかなりいろいろと具体的に内容を検討されて、現在の医学教育の抱えている問題をきちんと捉えた提案ということで、本当に敬服しています。関連して、2つお伺いします。1つ目は、各都道府県で募集定員と卒業生の数をほぼ揃えた場合に、研修医の側から見ると、良い意味での研修病院間の競争がなくなるおそれがあると思うのです。研修医の中には給与のいい所に行くという者も若干はいますが、やはり研修内容、指導医の状況、そういったことを根拠に選んでいます。いろいろな病院を見て回って、そのような観点で選んでいるのが実情ですので、病院間の競争が無くなった場合にどうやって研修の質を保っていくかということが、どの病院にどれだけの研修医を割り当てるかとも関連して、とても重要になると思います。現行から移行するときに、成功させるためのひとつの鍵になるのではないかと思います。この点についてご意見をいただきたい、あるいは今後検討していただきたいということが1つ目です。
 もう1つ、これは法的な問題なのかもしれません。大学が卒業生の様子を把握できなくなっていることを私も切実に感じています。同窓会名簿も櫛の歯が欠けたようになってきています。個人情報保護法の関係だと理解していますが、臨床研修センターが卒業生全員を把握することが法的に可能なのかどうか。いま各大学があの手この手でやってもうまくいっていないことから考えると、何か新たな枠組みを作らないとうまく行かないのではないかと思うのです。この件について法的な問題があるのではないかということが2つ目です。何かご検討されていれば教えてください。

○今村委員(代理中川委員)
 競争がなくなるのではないかということについてです。10頁から11頁に書いてありますが、研修希望先の地域は問わないということです。先生は北大ですから、例えば北海道の北大の卒業生が都内の有名ブランド病院を希望したが競争率が高いという場合、その時点でやはり競争するのだろう、質の確保は担保されるのだろうと思うのです。ただし、当然全員は受かりませんので落ちる方がいらっしゃるのですね。そのときに、そこで北大の臨床研修センターが出番なのです。「ああ、自分の大学はやっぱりいいな。相談に乗ってくれる」と。次にどこに行こうという相談になる、まずそれが1つあります。
 もう1つは、卒業生の把握です。これは12頁の絵をご覧ください。臨床研修センターからA県、B県、C県の研修病院に行きます。そのとき、各県の医師研修機構がこの情報を連絡協議会にフィードバックすることで、いわゆるデータベースを作っていただく。個人情報だとか法的な検討はまだ十分にしていませんが、これで把握できていくのではないかと思っているのです。この辺の具体的な詰めはしていませんので、これから詳細に検討したいと思います。

○大滝委員
 追加します。先ほどご紹介いただいた地域枠の差別化と似たような問題が、いまマッチングの中でも起きてきていると感じています。ブランド病院に落ちたというだけで、それがトラウマになっている研修医が既に出てきています。仮に、ある県であまりクオリティが高くはない病院が研修枠に組み込まれていると、そこにしぶしぶ行く研修医が出てこないでしょうか。それが一生、その研修医のいろいろな意味でのハンデになるのではないかと懸念されます。例えばアメリカの制度などでは、いろいろな厳しいチェックが入って、どこの病院に行っても最低限の研修のレベルは保たれている、いわゆる認証的な制度が多段階で入っていると伺っています。こういう組織を作るのであれば、その中にそのような仕掛けを入れていただくと有効に機能するのではないかと思います。

○今村委員(代理中川委員)
 それは、10頁の医師研修機構の(3)のいちばん下に、「当該都道府県の研修機構の研修内容のフォローと研修水準の向上・支援」とある、この辺で研修機構に役割として担っていただきたいとして書いています。

○堀田座長
 私も、募集定員と研修医が1対1になると、どこかには必ず配属がいくのでブレが少なくなるのは事実だと思いますが、研修病院の指定は入替制がない限りは非常に危い。要するに、努力しなくても来るとなってしまうのは、それはどうなのか。その辺はどうでしょうか。

○大滝委員
 そこは検討が必要でしょうね。

○今村委員(代理中川委員)
 私の個人的思いは、やはり卒業大学の研修を増やして欲しい。卒業大学でなくてもどこから来てもいいのですけれども。そのためにはやはり財源です。国の財源を教育のために、人材の確保としての向上、指導医です。そのための財源はきちんと手当てする、これは大前提です。第2版を作るときにいろいろな大学の先生方にお聞きしたら、「それは素晴らしい案だけれども、人がいないのだ。本当にどうにもならないのだ」ということもお聞きしていますから、国の全面的な支援が必要だと思います。

○岡留委員
 大学で研修者はもう50%を切っていますよね。要するに、研修としての大学に魅力がないわけですよ。先生は財源のほうからおっしゃっていますけれども、いままでの医学教育全般を含めて、おそらくこの委員会の教育案のいちばん根本的なところでしょうけれども、卒前・卒後・専門教育、この一貫性がないからおかしくなっているのですね。その中で大学教育をいかに捉えるかということです。財源がたとえたくさんあっても、魅力あふれるプログラム、魅力あふれる大学を作らない限り、絶対に研修医は大学に帰りません。私はそう思います。
 それと、先ほどの大滝先生の意見についてですが、やはり、コンペティティブになっている良い臨床、ブランド力のある臨床研修指定病院に、みんな行きたがるのです。そのためには何をしたらいいかと言ったら、もう極端に言うと、アメリカみたいに、学生のときの全国統一OSCEテストでもいいし、そういうもののランキング表を作って、希望順位でどんどん持っていく。これは極端な言い方かもしれませんけれども、そういう客観材料でいかないと、臨床研修センターはおそらくパンクするのではないかなと思います。先生のように優しい先生がいっぱいおられたらいいのでしょうけれども、そうはなかなかうまくいかないのではないかと思うのです。

○今村委員(代理中川委員)
 医学部教育の改革を提案しましたけれども、実は、ほとんどの大学はこれを始めているのです。医学部病院長会議の先生方ともお話しますけれども、大学はものすごい努力をしています。そして、反省しています。なぜ大学に残らなくなったのかと。そのためにはお金だけでは駄目です、駄目ですけれども、お金がないともっと駄目ですよ。まずはお金です。その後に人、と思っています。そういうことなのです。先生の病院はブランド病院ですよね。

○岡留委員
 ええ、DPCでは、2群にはなりましたけれども。

○今村委員(代理中川委員)
 2群ですか。ですから、先生のお立場の方は懸念を示されるのですね。その辺のところも乗り越えないと、医師の偏在の解消にはつながらないと思っています。申し訳ないのですけれども。

○岡留委員
 日病としては日医とジョイントしながらこういうものを進めていきたいという部分はあるのです、もちろんです。

○今村委員(代理中川委員)
 堺先生などともしょっちゅうやっていますので。

○神野委員(代理安藤委員)
 今日は神野先生の代理です。神野先生から是非言って欲しいということだったのです。中川先生がおっしゃったように、研修医にもやはり選ぶ権利があるので、大学以外でもブランド病院のように研修医が来たくなるような魅力づくりができるような支援を国が動かして欲しいという意見がありました。それと、私の所も病院をやっていますけれども、先ほど中川先生から話がありましたように、民間医局から来る医師たちのスキルの無さと人間力の無さ、これは非常に危機的な感じがします。来る医者来る医者、本当に変わった人ばかりで、こんなのだと患者さんとの信頼関係が崩れてしまうようなことが起きてくるので、そのようなことがないように、ブランド病院でもいいし、大学病院でもいいし、先生がおっしゃるような、きちっとした継続した教育システムが必要だと思います。

○岡部委員
 私は基礎医学の研究者なので、直接こういう臨床研修には関係がないのですけれども。確かに卒業生のトレースは非常に重要で、私自身も基礎系に限って、そういうことをなるべく試みようとしています。実際、卒業生の一部なのですが、それでもものすごく困難なのですね。この臨床研修センターを作って10年以上卒業生をトレースしていく、かつ100人以上の卒業生全てを的確に把握していくというのは、本当にできることなのか。また、できたとしても、それにかかる労力ですね、それはもう少し別の形で使ったほうが、むしろ臨床研修の充実には効果があるのかなとも、お話を聞いて少し思いました。それが1点目です。
 もう1つは、医師研修機構は定員の調整をメインに考える機構にしたほうがいいのか。それよりも、(3)に書かれているような特色のある研修プログラムの検討・提案、こういうことは本当はすごく重要なことで、個々の病院なり地域なりで特色ある研修プログラムを作って、それが卒後の学生さんの10年、20年のキャリアの中で最初に重要な価値を持つ、それがいちばん大切だと思うのです。きちんと特色が出せて、かつ学生がきちんとそれを客観的に評価して自分がいちばんいいと思う病院あるいは大学に行く、そういうシステムを作ることを目標にしたほうが、この研修機構はいいのかなと、お話を聞いて思いました。それはいかがでしょうか。

○今村委員(代理中川委員)
 私もそのとおりだと思います。

○堀田座長
 医師会はバージョンを重ねて、だいぶ完成度が高い案を提示されています。これを実際問題どうするかということは、この場ではなくて医道審議会で考えることかもしれませんが、非常に重要なご指摘をしていただきましてありがとうございます。
 時間の関係もありますので次の事項に移りたいと思います。議事2に関連しますが、「関連する医学教育の実施状況等について」です。ヒアリング資料-2について、文部科学省の村田課長からお願いします。

○文部科学省医学教育課長
 いまお話がありましたとおり、このワーキンググループでは、卒前の教育との関連を意識しながらご検討いただいています。そのご参考として、いま学部6年間の教育がどういう問題を抱え、どのように改革がなされているのかについて、少しご説明させていただきたいと思います。ただ、いずれにせよこのワーキングには大学の先生方が多勢いらっしゃいますので、制度的なことを説明させていただいて、具体的な部分については、それぞれ補足していただきたいと思っています。お手元のヒアリング資料-2で概要をご説明させていただきます。
 まず1頁です。医学教育の改善・充実について、近年の大きな方向性・出来事を3つあげています。1番目は、中川先生からもお話がありました、医学教育のモデル・コア・カリキュラムの策定と改訂です。これは、学生が卒業までに最低限履修すべき教育内容をとりまとめて、平成12年に策定していただきました。当時、医学教育の関係者の大変なご議論の末に取りまとめをいただいたものです。こうしたモデル・コア・カリキュラムは、いまでこそいろいろな分野で定められていますが、医学はその先駆けとして作っていただいたものです。直近では、平成22年3月に改訂がなされています。これは全ての大学で活用されています。2番目として、共用試験の実施です。学生が臨床実習開始前に備えるべき能力を測定する共通の評価試験を作っていただきました。これもオール医科大学・医学部に参画していただいて試験の枠組みを作っていただいたものです。これは、知識を問うCBTと、診療の技能を問うOSCEの2つが実施されています。これも全ての大学で実施されています。併せて、臨床実習開始前のOSCEとは別に、卒業前のOSCE、Advanced OSCEと言われる場合もありますが、そういったものを実施する大学もかなり増えている傾向があります。3番目としては、現在のまさに医科大学医学部の改革の方向性として検討が進められているものですが、診療参加型臨床実習の充実に向けた取組です。全ての大学で実施されてはいますが、さらに、国際的な質保証への対応、また、内容的に質・量の充実という観点から、それぞれの大学でご議論されているものです。以下、具体的にご説明させていただきます。
 2頁をご覧ください。医学教育モデル・コア・カリキュラムの概要のポンチ絵です。これは体系の図です。いま申し上げましたとおり、このモデル・コア・カリキュラムは、概ね3分の2の履修時間数を目安にしています。逆に言えば、残り3分の1は各大学の特色である教育を展開していただくことでカリキュラムが策定されています。図の左側が1年生、右側が最終的には6年生で、基礎医学の段階、臨床実習、その間に、CBT、OSCEが挟まれた形で体系的な形で組んでいただいているものです。
 3頁です。具体的な直近の改訂のポイントは大きく6つあります。?は、基本的な診療能力の確実な習得ということが具体的に明確にされたことです。?は、これも先ほどの部分と関連しますが、「地域医療の向上に貢献する」ことを明記したことです。併せて、地域医療に関しては入学時の早期の段階から有機的に関連づけて、そうした使命感・意欲を涵養していただきたいとしています。?は、基礎と臨床の有機的連携として研究マインドの涵養です。これは、一方では基礎医学に進む人材がなかなか確保できないことも踏まえて研究マインドの涵養も盛り込まれています。
 4頁です。?は、社会的ニーズへの対応です。医療安全や患者中心のチーム医療、多職種連携、少子高齢化、男女共同参画の促進といったことも社会的なニーズへの対応として明記されています。?として、大学、学会等に期待する事項です。卒前の研究室配属など学生時代から研究マインドを涵養する。また、医療関係者以外の方の声を聴くなどの授業方法の工夫などの記載が盛り込まれています。
 5頁です。これはモデル・コア・カリキュラム全体を通じて医師として求められる基本的な資質について改めて整理しています。
 6頁です。共用試験とOSCEの実態についてです。左側が共用試験。CBTの基礎医学の知識を問う利用状況です。これも回答のあった全大学で実施していますが、その中でもほとんどの大学が進級要件として利用している状況です。それから、卒業前のOSCE、Advanced OSCEでは、卒業認定に用いている大学、用いていない大学、これはかなり大学によってまちまちである状況です。
 7頁です。医学部の教育の状況、特に臨床実習の開始時期の関係をご覧ください。左の図が6年次の教育で、講義・実習がいつ終わるかを各大学にアンケートをした結果です。6年次の講義が終わるのがいちばん多いのが6月、7月辺りです。11月、12月のぎりぎりまでやっている大学は数でいうと少数であることがわかります。右側は臨床実習の開始年次です。これも大学によってバラつきがありますが、5年次の4~6月から臨床実習が開始される大学が圧倒的に多くなっています。臨床実習が終了する年次は、これは左側の図と重なりますが、6年次の4~6月から7~9月に大体終了する状況です。こうした状況を見ますと、やはり国家試験が背景にあって、その準備が大学の医学部の教育実習の在り方に相当影響を及ぼしていることがうかがえます。参加型臨床実習を質・量ともに充実することを考えると、こうしたことをどう改革して、できるだけ臨床実習の時間を取っていただくことを考えることが必要だと理解しています。
 8頁です。臨床実習の実施状況です。左上の図が臨床実習の実施週数で、1週35時間としてカウントしたものです。これを見ていただきますと、大体41週から60週ぐらいの所に集まっていますが、バラつきがある状況です。左下は、これも先ほど申し上げました、臨床実習の実施年次です。いちばん多いのは当然、5年次~6年次ですけれども、大学によっては前倒しして4年次からやっている、あるいは5年次にやっているという大学もある状況です。右上は、いわゆる参加型の臨床実習の実施状況です。これは数字の上では全ての大学に実施していただいている状況です。右下は学外の実習病院の活用の有無です。これもほとんどの大学が活用しています。ただ、具体的にどういう中身かについては必ずしもアンケートの中で読み取れません。
 9頁です。左は病院における診療参加の実習を行っている大学数、右側が外来における診療参加です。左下は、初期臨床研修医が学生の指導に関与しているか、していないかをお聞きしたアンケート結果です。右下は、学生の診療への参加について、カルテの記入についてもアンケートを取った結果です。
 10頁です。いま、それぞれの医学部・医学大学にとって臨床実習の充実ということが大きなテーマになっているのですが、1つの背景、きっかけとして、国際的な医学教育の質保証の要請があります。アメリカの医師国家試験の受験資格を認定する団体であるECFMGから、2023年以降のアメリカの国家試験については、アメリカの医科大学協会(AAMC)、あるいは世界医学教育連盟(WFME)の基準で認証を受けた医学部の卒業生以外の受験は認めないことを通告してきています。まだその認定を受けている日本の医学部はないわけですが、そうした国際的な認証を受けることも念頭に置きながら、各大学で取組が進められています。大学全体の評価は、学校教育法の枠組みに基づいて7年に1回認証評価を受けていただくのですが、医学も含めて、それぞれの分野別に特化した分野別評価は確立していない状況です。これにつきましては、医学部病院長会議が昨年9月に「教育評価に関わる検討会」を設置して検討を進めていただいています。その中でも、臨床実習の充実において、特に、こうした認証を受けるに当たっては、アウトカムつまり臨床実習の到達度に基づく評価が学生に対してきちんと行われているかどうか、それを管理する仕組みが医学部にあるかどうかが問われている状況だそうです。そういったことも含めていま検討が進められている状況です。
 11頁です。文部科学省として、どういう形で臨床実習の充実に向けての取組を行っているかをご紹介させていただきます。1つは、文部科学省が大学改革の分野で専門家の方々に具体的・実践的な調査研究を行って、その成果を各大学に提供するというプログラムがあります。その1つとして、診療参加型実習の充実に向けての研究をしていただいています。これは東京大学の北村教授を代表者としまして、本ワーキングのメンバーでもいらっしゃる大滝先生、田中先生にも委員として参画していただいて取りまとめていただいています。具体的には、今年度の成果の1つとして、診療参加型臨床実習の充実に向けて、臨床実習の趣旨を踏まえてどういう学内・院内の体制が必要なのか、実際にどのような臨床参加型実習のイメージを描いて、どういうカリキュラムを作って実施していくのか、法的な枠組みも含めて具体的なご提言を取りまとめていただいています。2番目としては、臨床実習の際に学生が携帯するような手帳ファイルをイメージしたものです。学生に対する評価として、それぞれの臨床実習の段階での到達目標が達成されているかどうかを、学生が携帯して指導医がチェックできるような形のものを例示として作っています。これにつきましては、先ほどの卒後の臨床研修との関連もありましたが、どこまで卒前の段階で学生が臨床実習の到達目標を達成しているのかを把握できるような仕組みを考える必要があるだろうということでの研究です。最後に、DVD映像で見る診療参加型実習です。これは、理想的な参加型臨床実習のモデルを映像で提供しようというものです。これは大滝先生にご担当いただいて、東京医科歯科大学の田中先生にも中心的な役割を担っていただきまして、各大学に配付して具体的なイメージを持っていただこうということで、DVDを取りまとめていただきました。
 12頁です。次に2つ目としては、いま申し上げた診療参加型臨床実習の充実として、優れた取組を10件程度選定し、各大学の取組を支援しようということで、平成24年度予算に盛り込んでいます。予算が通ればすぐに大学に募集の手続きを取らせていただく予定です。
 時間もございませんので、13頁は省略いたします。
 14頁です。地域医療の関係です。各大学での地域医療の実施状況、地域医療に関する講座の設置状況、それから、具体的に地域医療を担う医師養成のための取組として、各大学の例をいくつかご紹介させていただいています。
 16頁です。これは先ほどもお話があった、いわゆる地域枠等の状況です。
 17頁は、先ほど言及させていただきました、地域を指定した入学者選抜で入学した者の卒業後の状況です。ただし、最近のいわゆる奨学金付きの地域枠で定員増した学生ははまだ卒業生が出ていませんので、初期の段階で、地域枠、いわゆる一般枠とは別の形で入試を行って入った方の卒業後の県内への定着状況の数字です。概して一般枠の入学者よりは都道府県内に残る割合がかなり高いことが数字でご覧いただけると思います。
 18頁です。これは、先ほどお話がありました医学部の入学定員の在り方等に関する検討会の中で、先ほどご議論いただきましたような、卒業後の医師のキャリアパスをどう構築していくのかが非常に大切ではないかというご提言をいただいている部分の抜粋です。
 次は、少し切り口は変わりますが、研究医養成についてです。基礎系の大学院に進むMDの割合がかなり減っています。これも臨床研修との関係を非常に各大学がご苦労されているということです。20頁を見ていただきたいのですが、研究医の養成のために、いま各大学で学部6年と大学院を一貫した教育プログラムがいろいろな形で取り組まれています。その例を挙げています。通常ですと、医学部を卒業後、臨床研修2年を終えて、大学院の博士課程に進むというパターンが一般です。下に2つ、岡部先生、片岡先生もいらっしゃっていますが、例示しています。東京大学の場合は、MD研究者養成プログラムという特別なプログラムを設けています。ポイントとしては、医学部3年次から少人数で特別な教育をされて、その後、卒業すると直ちに大学院の博士課程に入る。4年間で学位を取得した後に臨床研修を受けていただくというプログラムです。一方で、岡山大学のARTプログラムは、学部段階から少人数の教育をすることは同じですけれども、卒業後、医学部国家試験合格した後に、大学院に入ると同時に臨床研修を行うということで、併せて行う試みです。この2つのプログラムに限らず、いろいろな形で基礎研究者をなんとか確保したいという各大学の取組がありますが、その中でも臨床研修をどう考えるか、どのように工夫するかは、各大学で相当ご苦労されているのが現実です。
 21頁は、研究医枠による医学部定員増。これは研究者養成のための取組の1つです。
 22頁です。これは平成24年度の予算です。先ほど、参加型臨床実習の充実でプログラムを設けていることをご紹介しました。併せて、医学・医療の高度化の基盤を担う基礎研究医の養成として、先ほどご紹介したようないろいろな取組を支援するプログラムを10件選定して支援しようということで、予算を計上させていただいています。
 最後に、23頁です。文部科学省として考えている課題を挙げています。先ほど申し上げましたとおり、医学教育は、臨床実習の充実が大きなテーマであろうと思います。一方で、1番目に書いたように、そのためにも医師国家試験については、臨床実習の成果を測るという方向に、より重点を置いていただきたい。これは昨年6月の医師国家試験の改善検討委員会でも触れられています。臨床実習の開始時期や終了時期の関係もありましたが、やはり大学が臨床実習に打ち込んでいただくためにも、その辺りはより臨床実習の成果を測る方向に国家試験をシフトしていただくことが必要だろうと思います。2番目は、まさにこのワーキングとも関係しますが、臨床研修の2年をより充実していくためにも、卒前の臨床実習との連続性をどう確保していくのかを考えることが必要である。これは先ほどの、臨床実習の手帳もその1つです。それから、3番目、これも先ほど大変なご議論がありましたが、臨床実習が終わった後のキャリア形成を支援していく意味でも、研修病院、地域の医療関係者(医師会はじめ病院関係者)、地域の医療行政、これらと大学との連携の枠組みを考えていく必要がある。これもいろいろなご提案がありましたが、やはり、卒業生、若い医師が将来のキャリアパスをきちんと実現していくには、一定程度それについてアドバイスをしていただく組織が必要でしょうし、実際にそういう人事も連動していく必要がある。その枠組みをどう作るかはこのワーキングでも大きな課題になっていますが、その辺りのことについては、やはり大学と地域の医療関係者の連携を具体的にどう図っていくのかを考えていく必要があるだろうと思っています。長くなりましたが以上です。

○堀田座長
 ありがとうございました。大変広汎な内容を簡潔にご紹介いただいたのですが、いかがですか。何かご意見ありますか。

○岡留委員
 最後のこれに、いちばん集約されていると思うのですが、日本の医学教育はいままで臨床を全く軽視していましたよね。何故かと言ったら、課長さんもご存じだと思いますが国家試験です。各大学は国家試験、特に私立系は国試の成績率を上げるために必死になって、そういう勉強ばかりさせるわけですね。その間は臨床実習の時間がなくなる。国家試験の在り方をもう少し考えていただいて、本当に臨床参加型の臨床ライセンステストであれば、もう少し内容を考えて、そういうテストにもっていってもらいたい。民間の塾、何とか塾がたくさん入ってきて、あそこにたむろする連中がたくさんいるわけです。はっきり言ったら、これは医学部に巣くっている連中です。はっきり言ってあのようなのは辞めさせたらいいのですよ。CBTできちんと知識の整理をさせて、次の2年間は臨床参加型、臨床実習中心のトレーニングをすることが踏まえてあるのだったら、その方向での国家試験のベクトルは決まっているのではないかと思うのです。

○堀田座長
 以前から国家試験を見直して、要するに技能をきちんと見るようなものにすべきだという議論はずっとありますよね。

○岡留委員
 そうですね。私がシカゴにいた頃は学生がよく来ていましたが、彼らは知識のことをあまり言わないのです。いま何をやったと言ったときに、私はこうやった。技能の方から先に入るのですね。それの裏打ちとして知識があるのだと。日本と逆なのですね。日本の場合は知識があって技能と思っていますが、本当は逆ですね。日本の医学教育をそのようにもっていかないと、いつまで経ってもこれは変わりようがないと私は思います。結構激しい意見ですみません。

○今村委員(代理中川委員)
 岡留先生がおっしゃったことは私の提案の中に書いてありまして、4年生終了時にいままでの国家試験を持ってくるのです。4年生終了時に国家試験を実質的に知識についてだけは受かってしまう。そのために、ほとんどの医学部が改革されましたが、医学部に入ったら、また受験勉強みたいな基礎教養科目をやることをやめて、最初から医学部の勉強すれば4年生で十分いけると思います。残りの5年生、6年生を参加型臨床実習にして、その国家試験をやると。そうするとプライマリ・ケア能力もある程度ついていきますし、さらに臨床研修2年間で磨き上げると。そうして専門医指向だったらそのほうに行く、基礎へいく方は行くというふうにすれば改革はぐいぐい進むと思うのです。

○岡留委員
 そうですね。


○堀田座長
 CBTが導入された当時、私も大学にいてそのときにいろいろ議論がありました。いわゆる国家試験の一次試験のような恰好にするのかどうかという議論をずいぶんやりました。米国ではステップという形になっているのですが、それが次に進むためのハードルとして位置付けるかどうかという議論をしていました。現状はそこまでまだ至っていないのですが。CBTを進級のための条件にするか、参考にすることになっているのですが、基本的にはそろそろ実技というか、臨床能力をどうやって見るかというところに動いていかないといけないのですね。どうぞ。

○大滝委員
 北大の大滝ですが、現在の国家試験に問題が大きいというのは私も同意見です。ただし、国家試験を擁護するわけではないのですが、最近は問題自体はとてもよくなってきていると言われていまして、単に暗記させるようなものではなく、診療の場面で次に何をするかを問うなど、臨床実習をしていいなければ解けないような問題が増えてきている事実はあります。しかし、あれだけの量を詰込みで学習して対応しないといけないので、その試験対策的な学習にどうしても走ってしまう面はあるかと思います。それに対して、私の理解しているところでは、海外の医学部を出た人のための、いわゆる予備試験と言うのでしょうか、その中にコミュニケーションをテストする目的で実技試験を導入して、それを医師国家試験の実技試験のパイロット的な位置付けで、検討を進めるという話が出ていると伺っています。それが今後どうなるかについて、またそれに関して文科省と厚労省との間で、何か検討が進んでおられるのかを、教えていただきたいです。
 もう1つはコメントです。いままでの議論では、実技試験をやれば何でも皆改善されるというような話になっています。私も改善される面はあると思いますし、共用試験OSCEで改善された点は多いと思うのですが、しかし、ご存じの方もおられると思いますが、共用試験OSCEもいま副作用と言いますか、影響がいろいろ出てきております。例えば異常所見を把握しなくていい前提で問題を作っていますので、診察が手真似になって、診察所見を事実上何も把握していなくても試験にパスできるようになってきています。学生が試験対策として手真似だけがうまくなってきています。また、ご存じのように韓国でも最近、国家試験に実技試験を導入しました。韓国は共用試験がないので国家試験が最初のOSCEになるのですが、不合格者から訴訟が起きています。実技試験で不合格にするのは、相当にきちんとした評価をしなければいけないということです。そのためには体制を整備する必要があると思いますし、韓国では試験対策の予備校的な学習も出始めているそうで、日本でも、実技試験対策として予備校が模擬試験をやることになりかねません。実技試験を導入するにしても、先ほどから話題になっているように、参加型臨床実習を推進するためには、どういう試験がそれを推進する効果を持つのかということを含めた準備を、パイロットの中で相当にしっかりと検討していただく必要があるだろうと思います。いまのはコメントで、質問は、そのパイロット的な実技試験について、両省間の話合いも含めて、どれぐらい、どのように進んでおられるのですか。

○医師臨床研修推進室長
 同じ課内で、別の室が担当して試験勉強室が会議等々を運営していますので、調べさせていただいてデータも含めて改めてご案内します。

○堀田座長
 その他の点ではいかがですか。よろしいですか。確かECFMGの受験をするためには参加型の臨床実習を72時間が必要でしたか、そういう縛りになったのですか。

○文部科学省医学教育課長
 必ずしも72週と決められているわけではなく、72週はアメリカのカリフォルニア州とか一部の州は72週の実習をしている大学の卒業生でないと医師の資格の登録を認めないことがあるようですが、ECFMGとかWFMEの基準自体にそこまでの数字は書いていない。ただ、内容の充実が相当求められることは事実なようです。

○堀田座長
 いま、国立大学の全国の医学部病院長会で結構問題になっていますよね。岡留先生、あるいは岡村先生何かその辺でよい情報ありますか。

○岡村委員
 まさに同じ情報だけです。それは、カリキュラムを変えないといけないと、医学部病院長会議では言っています。

○堀田座長
 でも、実際問題はいまよりも20種ぐらい増やさなければいけないという話、結構大きいですよね。そうすると、いまの状況だと9月ぐらいから国家試験対策をやっているところが多い中で、どうやってその中に組み込めるかという話ですよね。大変大きな問題です。よろしいですか。ありがとうございました。事務局から事務局提出資料2がありますのでそちらに移ります。

○医師臨床研修推進室長
 お手元の事務局提出資料2「専門医に関する検討状況について」という資料をお配りしております。頁をおめくりいただいて1頁です。趣旨としては、医師の質の一層の向上及び医師の偏在の是正を図ることを目的としています。この2つのことを目的として専門医に関して幅広く検討を行うため、有識者の検討会を開催しております。これについては主な検討項目を具体的に3つ挙げております。1つは求められる専門医像について。2つ目は医師の質の一層の向上、先ほど出てきた趣旨の文言です。3つ目は地域医療の安定的確保。4つ目はその他です。具体的に書いていませんが、総合医についても検討の対象として進められているところです。
 検討会の構成員については2頁にありますとおり、自治医科大学の?久先生を座長、国際医療福祉大学の金澤先生を副座長として、各界から有識者にお集まりいただいて検討していただいているところです。
 次の頁です。これは先生方にご案内するまでもないのですが、いまワーキンググループとしては、真ん中の赤い枠の法に基づく臨床研修2年間が対象です。いま申し上げた専門医に関する検討会については、右側の臨床研修終了後の研修等、いわゆる専門医の資格を取得するための部分について、具体的な検討を進めているところです。検討の状況は次の頁をご覧いただくと、この検討会は昨年の10月13日に第1回を開催しております。誤植がありまして、第2回のヒアリングの「日本専門医制度評価・認定機構」とありますが、制度の「度」は誤字で「日本専門医制評価・認定機構」です。実はもう1か所右側の第6回にも同様の誤植があります。失礼しました。訂正させていただきます。
 認定機構の理事長であられます池田先生から具体的な今後の在り方について提案がありました。日本内科学会を筆頭に各学会の方々のヒアリングを行っております。また、具体的には第5回で地域医療の観点から北海道の江別市立病院、あるいは一関市の国保の藤沢病院の先生をお招きして、実状と今後の見通しについてお話を伺っているところです。
 これまで、6回にわたりヒアリング等々を行ってまいりましたが、今後の予定としては、年度が明けた4月以降、これまでと同様に月1回程度、検討会を開催して論点整理を進めてまいります。その上で、今年の夏頃を目途に中間取りまとめをしていただき、最終的には平成24年度中、即ち平成25年3月までの間に最終的な報告書を取りまとめいただく方向で、現在検討が進められているところです。以上です。

○堀田座長
 ありがとうございました。初期研修のあとの専門医研修に関する検討会のご紹介ですが、そこで何か初期研修について何か語られているということもあるのですか。

○医師臨床推進室長
 具体的に初期2年間についてどうという話はないのですが、ただ、検討会の中で言われていることについては、専門医の取得をする研修を考える上では、長いスパンで医師のキャリアパスの観点から考えなければいけない。医学部教育から始まって、初期臨床研修を経て、いわゆる後期研修に繋がっていく。そういう位置付けで、その一貫として検討すべきというようなご意見はあります。

○堀田座長
 この説明に何かご意見やご質問ありますか。

○田中委員
 いま、堀田座長がおっしゃったことにかぶるのですが、いまの臨床研修は、特に平成22年の改定から一国2制度みたいなところがあって、本当に2年間もプライマリ・ケアの能力を育成することに集中するプログラムと、2年目は専門研修の準備に入るみたいなプログラムが両方許容されるようになったと理解しているのですね。この在り方検討会では、どちらを前提にした議論になっているのでしょうか。

○医師臨床研修推進室長
 それは初期臨床研修の2年間の、ということでしょうか。

○田中委員
 ですから2年。

○堀田座長
 初期だけれども、専門研修に入る準備の位置付けをしているプログラムをやっているところもあるので、要するに専門医制の議論は、どちらに重きをおいているか。

○医師臨床研修推進室長
 具体的に初期臨床研修の中身が1年目、2年目がどう構成されているかを前提にしていることではなく、初期臨床研修2年間で基本的な診療能力がついたことを前提に、そのあとの後期研修をどうするかの議論の進め方なので、本来なら田中先生がおっしゃるように、初期臨床研修ではどちらが前提なのかについて、もう少し突っ込んだご議論があって然るべきであると思うのですが、少なくても現段階ではその中がどうだと、どちらかという前提に、後期臨床研修について、専門医の在り方について検討されているわけではありません。

○堀田座長
 ご意見はいかがですか。

○片岡委員
在り方に関する検討会の主な検討項目として地域医療の安定的確保が入っておりますし、先ほど来から話題に出ております学部教育から初期研修、後期研修、専門教育の連続性という観点でも、地域医療を担う人材の確保が課題となっていますが、この辺りの方向性について教えてください。

○医師臨床研修推進室長
 おっしゃるとおり、地域医療の安定的確保の意味では趣旨に書いてありますが、医師の偏在の是正を図るのも大きな1つの目的にしております。この場合の偏在ですが、ご案内のとおり2種類ありまして、1つは地域偏在、もう1つは診療科偏在があります。どちらの問題意識もこの検討会は強く持っております。会を重ねるごとに、その辺りについては、具体的な何らかの手当をすることによって、地域医療の安定的な確保が必要だと。例えば、専門医については、それぞれの診療科ごとの専門医について、例えばある程度の定員、定数の枠組みを設ける、そういう仕組みをビルトインすることによって、何らかの形で少なくとも診療科の是正、あるいは地域の偏在の是正に繋がるのではないかというご意見はあります。ただし、具体的な、さらに突っ込んだ仕組みの詳細についてまでは、いまのところ議論は出ておりません。

○片岡委員
 定員について、初期研修で地域枠を卒業した人をマッチングにどのように組み込むべきかという議論があったと思うのですが、地域枠の人数はかなり今後増えてくることを考えると、重要な課題と思われます。若手医師が地域医療を敬遠する1つの理由は、専門医を取るためには認定施設すなわちある程度大きい病院で研修が必要ということがあります。その要因がなければ、一定期間のへき地勤務など地域医療を担うことはやぶさかではないけれども、専門医を志向する場合キャリアの中でそこが空白になるのが問題だという意見は多いと思うのですが、その辺りはいかがですか。

○医師臨床研修推進室長
 先ほどの事務局提出資料1の募集定員等についての5頁ですが、先ほどご説明申し上げたとおり、大学の医学部の入学定員はこのところ、地域枠等を中身に急増しております。点線の部分が今後の想定ですが、この急増に対応して、本来であれば募集定員、あるいは上限がしっかりこれに付随して確保されることによって、地域枠で入学した学生さんがその地域で活躍できる場の確保もできると思うのですが、いまは募集定員の設定の仕方が2年前の実績に基づくということですので、先ほど申し上げましたように、赤と黄色の線が交差することが場合によっては出てくると。試験の結果によって変わってくるのが先ほどもありましたが、いずれにしても、いまのままの募集定員の設定の仕方はそのままいくと、先生がおっしゃるような地域で活躍したいという思いを阻害するところが出てくる可能性がありますから、少なくても、ここの募集定員の設定の仕方には、何らかの地域枠に対応した仕組みが必要だと考えております。それはまた改めて今後、このワーキンググループの中でもご議論をたまわる必要があるかと思っております。

○岡村委員
 結局、医学部の定員が増えているのは地域枠が増えている部分が大きいわけですよね。今後、それが増えてきたときに、都道府県の募集定員ももちろん増えるわけですが、その配分が、地域枠を増やした意義を考慮して地方に定員を多くしなければいけないと思います。せっかく地域への偏在を減らすために地域枠が増えているのに、都道府県枠を操作しない限り。具体的にいうと都会を減らして地域を増やさないことには、地域は全然増えないことになると思うのですが、そういうことはどういうふうに考えておられるのですか。

○医師臨床研修推進室長
 まだ私どもは具体的な地域枠に対応した定員の設定の仕方を詳細に検討しておりませんので、まだいまのところは簡単に申し上げられないのですが、少なくとも地域枠で入ってくる学生はその大学の地域枠で6年間やって、そのあと一般的には9年程度、地域の医療に従事することを前提としていると。最初の2年間が初期臨床研修に当たるわけですので、そういう状況であることをきちんと計算上積み上げて、地域枠で卒業した学生が、少なくてもその地域からあふれないような仕組みを導入しないといけないと考えております。

○岡村委員
 結局、都道府県の定員が増えないことには、それまで一般枠の人たちが占めていたのを地域枠の人が取って変わるだけであって、残るのが少しも増えないと思うのですよ。ですから、それは必ず勘案してもらわないといけないというのが1つと、もう1つはよく都道府県の人口比で出てきますよね。だけど、人口、例えば埼玉県も人口当たりの医師の数はすごく少ないと。だけど、同じ人口でも病気にかかる割合が、若い人が多い都会はニーズはその分少ないはずなのですよね。その辺を、例えば高齢者だとか、何かそういうのである程度補正しないといけないのではないかと思うのですよ。

○堀田座長
 難しいね。非常に難しい。

○医師臨床研修推進室長
 1点目の都道府県の上限の設定ですが、どういう設定にするか違ってくると思うのですが、先生がおっしゃるように、例えば、1つのやり方として、これまでの定数の設定の仕方の外枠として地域枠に対応した数を上乗せすることも選択肢としてあり得ると思うのですね。具体的な数字までは検討が進んでいないのですが、そういうやり方も含めて、何らかの形で、上限は増やしていかないといけないのではないかといまのところ思っているのが1つ。もう1つは、先ほどの事務局提出資料1の3頁に具体的な都道府県別の募集定員の上限の設定方法を説明いたしました。現状は、人口分布、あるいは医師養成状況、これは医学部の入学定員ですね。基本的には、この2つの比率から募集定員の上限を設定しておりますので、今後、例えばこれでは足りないということで、例えば高齢者率であるとか、罹患率が必要であれば、理論上はこの中に組み込むことは可能であろうかと思いますが、具体的な手法についてはご議論いただく必要があるのかなと考えております。

○堀田座長
 募集定員の正視化を図る意味で、いろいろな要素を組み込めるかどうかという話ですね。大変重要な指摘だと思います。

○横田委員
 私は京都府出身ですが、全国衛生部長会の代表として来ているので、京都府のことは言えないのですが、募集定員を都道府県ごとに決めていくと、47都道府県あって、人口もすごく大きく異なりますね。数十万人のところや1,000万人以上超えるところがあるわけでして、そこで医師の研修のやり方とか、定員を同じやり方で決めるのは非常に難しいものがあるなと思っています。例えば、近畿とか地域で大枠の定員を決めていくようなことも考慮し、柔軟に考えていただきたいなと思っております。

○医師臨床研習推進室長
 いろいろなやり方があることはおっしゃるとおりです。先ほど申し上げたいまのやり方が理想的、ベストだとは私も思っておりません。したがって、例えば、いま先生がおっしゃったようにブロックごとの少し柔軟な対応ができるような形の定員の設定もオプションとしてはあると思いますので、またこのワーキンググループでもご議論をたまわる必要があるかと思います。いろいろなことを私どもも検討してまいりたいと思っています。

○堀田座長
 ほかはよろしいですか。今日は非常に突っ込んだ話題を中川先生から提案していただいて、かなり議論が進んだと思います。時間もそろそろ迫っておりますが、次に議事3のその他に入ります。平成24年度に厚生労働科学研究で医師臨床研修制度の評価と医師のキャリアパスに関する調査ということで、平成24年度の単年度の科学研究の研究班の班長を私がすることになっておりますので、一応、内定がある状況なので少しご紹介申し上げます。
 参考資料です。目的はこれまでの医師臨床研究制度の成果やその後の医師のキャリアパスの動向等について調査研究をするということで、これには研究内容として5つの柱を立てております。1つは初期臨床研修の基本的診療能力をきちんと修得できたかどうかについての調査が第1点目です。2番目は、病院や指導医、あるいは今回初めてですが、受け持ち患者さんを対象としたアンケート調査をやるということで、実際に患者さんの満足が得られているのかどうかという視点を入れました。3番目に、日本はこういう形でやっていますが、海外、欧米やアジア諸国でどのような問題、運用、その他があるかということを、主に関係者へのヒアリングという形で進めていくということを考えています。もう1つは、研修病院の中でEPOCが約60%ぐらい実施されているということで、EPOCの全国集計データを用いて、臨床研修病院における臨床研修の運用状況を、多角的に、あるいは定量化したデータを出したいということで、主に田中先生に中心になってやっていただきます。そのほか医師、歯科医師、薬剤師の三師調査。これは毎年調査をしておりますが、平成22年度調査で追加された「専門医の取得状況」も含まれておりますので、それも含めて、医師のキャリアパスの実態や詳細を明らかにしたいと。こういったことを内容に、1年間の調査研究をしたいと思います。また、既に一部は前倒しで始めております。その成果が出次第、この場でご紹介申し上げて、議論の素材としたいと思っています。以上、ご紹介です。何かご質問ありますか。

○岡留委員
 私たちいちばん気になるのは、1)の一昨年の見直しを厚生労働省は言いましたが、本当にそれでよかったのかという検証がなされていないのですね。

○堀田座長
 だいぶ変えましたね。

○岡留委員
 しないうちにデータベースが全然ないうちに引っ繰り返った。モデファイされたと。それが非常に私たちは拙速すぎるのではないかと思ったのですが、このデータを大いに期待しているというところです。

○堀田座長
 今回の研究班の調査研究はそこを見れるかどうかの問題なのです。しかし、何らかのボジティブないいデータといいますか、有用なデータを取りたいと思っています。ほかに何か。

○管野委員(代理安藤委員)
 患者さんからの評価、BSを取ってもいいと思うのですが、BSを取れなくて、逆に研修医の人たちに他のコメディカルの評価をしてもらうと結構いいデータが出るので、そういうような試みがあってもいいかなと思います。

○堀田座長
 基本的には、研修管理委員会では評価のために、コメディカルの人も含めていただくようには多くのところがなっていると思います。今回は患者さまからの視点ということで、国民目線から見たときに、いまの臨床研修制度がどの程度、患者さんにとって、あるいは国民にとって受け入れられているかというところの視点がほしいのです。今回ワンポイントですので、前との比較はできません。よろしいですか。少し早いですが、予定の時間が近づいてまいりました。特にご議論の点がなければ今日は少し早めに終わります。事務局から何か日程等ありましたらお願いします。

○清水主査
 今後の開催日時ですが、次回は6月を予定しております。委員の先生方には、詳細が決まりましたら後日ご案内させていただきます。事務局からは以上です。

○堀田座長
 今日はどうもありがとうございました。


(了)
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