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2012年3月16日 第3回「eラーニングを導入した看護師等養成所の専任教員養成講習会の実施方法に関する検討会」議事録

医政局看護課

○日時

平成24年3月16日(金)14:30~


○場所

経済産業省別館820会議室(8階)


○出席者

大池 美也子 (九州大学大学院医学研究院保健学部門教授)
鎌田 久美子 (福岡県保健医療介護部医療指導課課長技術補佐)
三妙 律子 (東京都立広尾看護専門学校校長)
高橋 勝 (横浜国立大学教育人間科学部教授)
坪倉 繁美 (新潟県立看護大学看護学部教授)
西村 昭治 (早稲田大学人間科学部教授)

○議題

1)eラーニングを導入した講習会の運営と受講生の支援について
2)その他

○議事

○加藤看護課長補佐 それでは定刻となりましたので、ただいまから第3回「eラーニングを導入した看護師等養成所の専任教員養成講習会の実施方法に関する検討会」を開催いたします。構成員の皆さまにおかれましては、大変ご多忙のところご参集いただきまして、誠にありがとうございます。
 それでは坪倉座長、議事の進行をよろしくお願いいたします。カメラ撮影はここまでとさせていただきます。
○坪倉座長 それでは、本日もどうぞよろしくお願いいたします。議事に入る前に事務局より資料の確認をお願いします。
○加藤看護課長補佐 お手元に配付してあります資料の確認をいたします。「議事次第」、「座席表」に加えまして、資料1「これまでの検討会における主なご意見」、資料2「第3回検討会における論点」、資料3「教育分野の授業内容毎の時間配分パターン」、資料4「専門分野の授業内容へeラーニングを適用した場合の単位数及び時間数」、資料5「eラーニングを用いた場合の評価(単位認定の仕組み)の方法について」、資料6「専任教員養成講習会の開催について(イメージ)」以上でございます。乱丁、落丁等ございましたら、事務局までお申しつけください。
○坪倉座長 それでは本日の議事に入ります。本来、この検討会は4回の予定になっており、3回まで達することができましたが、議論そのものは本日が最後となります。次回はおおよそのまとめに入る予定かと思いますので、本日もどうぞ活発なご意見を頂戴したいと思います。
 本日の議題は、「eラーニングを導入した講習会の運営と受講生の支援について」です。事務局より論点ごとに資料を説明していただき、その都度議論をする方法で進めて参りたいと思いますが、よろしいでしょうか。
                 (異議なし)                 
○坪倉座長 それでは、事務局より説明をお願いします。
○加藤看護課長補佐 それでは、まず初めに「これまでの検討会における主なご意見」について、資料1に基づきご説明いたします。これまでの第1、2回検討会における構成員の皆さま方のご発言をまとめております。
 1頁ですが、■eラーニングを適用する場合の基本的な考え方、【eラーニングの適用の可否について】○オンデマンド時代を考えれば活用は必然的と考える。○eラーニングは何度でも視聴できるため復習が可能というメリットもあり、適用は可能なのではないか。
 【eラーニングの適用の範囲について】○講習会を受講できない理由として、教員養成をする場所が限られていることや未受講教員が多いことから、教員に必要な最低限の知識の教授にeラーニングを活用してはどうか。○看護教員に必要なマインドを伝えることが大きな要素であり、講習のすべてをeラーニングで実施することは難しい。○専任教員としての成長という観点からは、集合研修において理論と実践を連動させる学習機会をもつことが重要で、そのほうが専任教員としてより成長できるのではないか。
 【教育全般を通して必要となることについて】○教育の過程において人間と人間との関係をどのように担保するかが重要であり、その関係がなければ内容が良くても学習が続かないのではないか。
 2頁ですが、1.eラーニングを導入する上での課題と方策、(1)効果的なeラーニングシステムの構築について、1、2点目についてはハード面でのご意見になります。○学習の質を担保するためには、受講生の成績もデータとして残り、教員が指導に活用できるLMS(ラーニングマネジメントシステム)が必要。○理論と実践を連動させるため、eラーニングでは対面して討論する方法の代わりにBBS(電子掲示板)システムを活用し「つぶやき」を行う等、受講生の視野を広げるために多様な視点からの意見交換ができる機会を持つことが必要である。○eラーニングを継続するためには、講師をグループ化してチームティーチングや組織化した中で、学生に対する1対1の関係を担保することが必要ではないか。○eラーニングでは、講師がどのように黒板を使ったり、戸惑ったり、考えたりしているかを生の形で学生に伝えることや、学生からのフィードバックに対して直接応えることができるようにすることも必要である。○パワーポイントを中心にしたeラーニングは、演習前に予め学習して、スキルを確認する場合などは、効果がある。
 (2)学習効果の高いコンテンツの作成について、【コンテンツ作成の基本的な考え方について】○eラーニングのコンテンツ制作担当者は「教員が実現したい授業」となるように、コンテンツ提供の形態などについて努力する必要がある。○演習にeラーニングを導入した場合、内容によりコンテンツの作り方が異なる。
 【態度の育成に関する授業内容のコンテンツ作成上の留意点について】○態度の育成というような到達目標を置く場合は、内容だけではなく「演者としての教員」を見ることができるようにコンテンツを作れば、ある程度情動的なもの、教員の教育内容の理解の仕方や伝え方が伝わるのではないか。○教育学部における教員教育では、教室を「現場」に近づける工夫をしており、知識の提供だけではなく、良い例、悪い例などを示しながら意味づけや縁取りをして「知識」を得ることができるように進める。eラーニングでも抽象化していくときにこぼれ落ちてしまいがちなマインドを拾う作業が必要である。○eラーニングでは、例えば「栄養価」だけではなく、「おいしい」とか「食べると自分の身になる」などという情意的なメッセージを付加しながら、情報提供することを大事にするべきではないか。
 【技術的な観点から配慮するべき事項について】○講師が画面中央で解説するコンテンツは、内容を捉えにくい。○音声や画面の中での講師の位置などもコンテンツのわかりやすさの要因である。
 【コンテンツ改善の基本的な考え方について】○学習効果を高めるためには、随時授業評価に基づく教育内容の改善が必要だが、eラーニングの場合は、コンテンツ作成まで多くの人が関わるため、授業評価を共有して頻繁にコンテンツを改良するのは難しいのではないか。○コンテンツの改善は、画面が講師とパワーポイントで構成される場合には映像をすべて撮り直すことが必要となるが、パワーポイントのみの場合は、比較的修正がしやすい。
 【コンテンツと講義時間の考え方について】○講義をそのままコンテンツ化すると講義の時間は変わらないが、単位の実質化を踏まえてコンテンツ上で課題を提示し、課題に取り組む時間を含めた時間を単位認定の時間数に含めて換算すればよいのではないか。○講義を視聴しているだけの時間ではなくて、どれだけ学生が取り組んでいるかを図れるようなことをすれば、集合研修における時間数の考え方とeラーニング適用科目の1単位の時間数の考え方が異なってもよいのではないか。
 (3)受講者の意欲を高めるサポート体制について、【サポート体制の必要性について】○eラーニングは自己管理しなければ学習時間が保障されない。受講生が職務を行いながら受講できるかどうかが課題である。○eラーニングは、受講者が能動的でモチベーションが高くないとうまくいかない。受講者が能動的に学習し、創造的な思考ができる仕組みが必要ではないか。○教員として伸びていくには、自分の認識不足、力量不足を理解し、それを踏み台にして、もっといろいろな人の話を聞いて、考え方の違いや、ずれがあったり刺激し合ったりしながら、それを自分の内側にどんどん吸収していく学び方がよいので、eラーニングを使いながらも、それができるような保障をする必要があるのではないか。○早稲田大学ではeラーニングで学ぶ学生を支援するため、教員の補佐的役割を担う者として、修士以上の学位を取得している者を教育コーチとして配置し、メールなどで学生の質問に答えている。また、教員は学生のモチベーションを上げたり、レポートに対する解説を行うなどの役割を果たしている。
 【Skype、BBSの活用について】○skypeなどいろいろなテレビ会議システムを使えば、複数の受講生が画面で議論することはできるが、時間を共有することが前提になるので、スケジュールの調整が難しい。○BBSを使う場合も、1週間単位でのディスカッションになるため、非常に効率は悪い。
 【学習コミュニティの有効性と育成について】○長期間のスクーリングが無理でも、例えば土・日に短期間だったら集合できるのであれば、学習コミュニティを作り交流することができるのではないか。○教育内容と直接関係なくても、学習コミュニティの育成を支援することによって、eラーニングでは補完できないところができているのではないか。○最近の教育方法学では、「正統的周辺参加」、つまりある状況の中に参加することが大切だと言われている。状況の雰囲気や空気を味わいながら成長するような学習コミュニティの雰囲気がないと先へ進まないのではないか。
 2.eラーニングを適用する教育内容の考え方、○基礎分野にeラーニングを適用するのであれば、必須の授業内容を決めるか、できる限り多数の授業内容にeラーニングを適用して選択制にすればよい。○eラーニングは「教育分野」に導入可能ではないか。「専門分野」については、受講生同士が話し合いながら学ぶことで学習効果をあげる。同じく専門分野の、○看護論や看護教育課程、看護教育方法は現場で学生や教員とのやり取りの中で学ぶべき内容ではないか。○講習会の到達目標から見たときに、看護学生のレディネスに応じた教育実践力、看護教育の計画などの到達目標に関連した授業内容については、eラーニングでは難しいのではないか。
 この「2.eラーニングを適用する教育内容の考え方」については、前回主にご議論いただいたところで、今回このような4点にまとまっておりますが、引き続き本日もご議論いただきたいと思っております。
 続いて6頁ですが、3.eラーニングと集合研修の組合せ方について、○eラーニングによる演習も可能ではあるが、その場合、スクーリングやオンデマンド授業と対面授業を組合せる工夫が大切である。○講習会の基本の考え方としては、eラーニングのみならず集合研修も必要なのではないか。○eラーニングと集合研修の組合せ方も課題である。
 7頁ですが、4.eラーニングを適用した場合の評価について、○eラーニングで予習をしてスキルの確認をするような授業の場合には、対面のみでの実施と異なり、疑問についてその場で質問することができない。そのため、流しっ放し見せっ放しではなく、フィードバックを行ったり、課題の理解度をチェックしている。○eラーニングの適用により、一方的に講義を聴くような場合、受講生の質問内容やその内容と講義の関連性、質問の仕方などをどのように評価するか考えなければならない。○コンテンツを改善することによって質問が減少したという例があったが、授業における講師と受講生とのやり取りは大切であり、質問は評価の要素になるのではないか。○eラーニングを適用するか否かにより評価方法が決まるのではなく、それぞれの科目の目標に応じた評価の方法を考えればよいのではないか。○多様な評価方法、例えば、通常の学習活動と総括的な評価を組合せて行えばよいのではないか。○BBSの発言内容やスクーリングでの参加度、口頭諮問等の評価などー人ひとりに対して細やかな対応が必要である。○評価は、ログイン記録は実際に視聴していなくても簡単に残るので、見ていないと解答できないようなテストを実施するのがよい。
 8頁ですが、5.講習会の実施方法に関する課題について、【教育進度表、教育計画に係る課題について】○演習を通してさらに自分の課題を見つけることができるような教育の方法や学習の順序性について検討が必要である。
 【開催主体に係る課題について】○講義をeラーニング、演習を都道府県が実施する場合は、都道府県の役割、関わり方を考えなければならない。○専門科目において、講義はeラーニング、演習を都道府県が実施する場合の評価や修了認定は、都道府県が実施しにくいのではないか。
 【複数年での履修に係る課題について】○受講生が十分な学習時間が確保できないことが想定される中、複数年での履修も可能とするのかの検討も必要なのではないか。
 最後ですが、6.その他、○行政資料、白書以外の著作物や資料等をインターネットを通じて送信する場合は、「公衆送信権」に抵触するため、利用の許諾が必要となる。許諾の費用が巨額になる場合がある。○eラーニングが導入されれば、既に専任教員として仕事をしている人も、基礎的な内容を再確認するなど補完的に使えるのではないか。以上でございます。
○坪倉座長 ただいまの事務局の説明について質問はございませんか。皆さまのいままでの発言の中で抜け落ちていたり、あるいは意味が異って表記されていないかも含めて、何かご意見はありませんか。
                 (意見なし)                 
○坪倉座長 それでは、資料2について事務局から論点ごとの説明をお願いします。まず論点1の1)からお願いします。
○坪倉座長 ただいまの事務局の説明について、ご質問、ご意見はありませんか。
 では資料2について、事務局から論点ごとの説明をお願いいたします。論点1の1)からお願いいたします。
○加藤看護課長補佐 第3回本検討会における論点になります。1 eラーニングを教育内容の一部に適用する場合の教育内容の範囲について。1)「基礎分野」及び「その他」については、開催主体が実状に応じて実施しているという現状を踏まえると、授業内容の平準化の必要性は低く、eラーニングの適用については優先度は低いと考えてよいのではないか。
○坪倉座長 それでは順を追って検討していきますので、1)の件について事務局の説明にご意見がある方は、よろしくお願いいたします。
○鎌田構成員 このeラーニングの基礎分野のところですが、eラーニングの目的そのものが授業内容の平準化のためだけのものなのか、未受講者をより多く受講させるためなのかを考えると、1)の基礎分野は平準化の必要性が低いので、適用については優先度が低いと考えなくても、基礎分野に必要ないろいろな科目の中から、受講生が選択し、必要な単位を取った者を認定するというシステムが、実施する側とすればやりやすいかなと思います。むしろ、基礎分野については本当にこれでいいのかというのを結構考えながらやっていると思いますが、幅広い考え方の中で、受講生が必要に応じて、いろいろなものを選択する幅があったほうがいいのかなと思います。平準化のためだけの目的ではないような気もしますが、いかがでしょうか。
○岩澤看護課長 確かに鎌田構成員が発言されたことはそうですが、実際いまの都道府県に実施していただいている専任教員養成講習会の教育内容を示している中で、基礎分野とその他については、授業内容までお示ししていない。つまり、それぞれの実施主体のところで必要な授業内容を設定し実施いただく構成にしている関係で、予めここをいまの趣旨で科目を設定しますと、限られた予算の中でたくさんの授業内容が用意できないという制約を考えると、講習会の主体性を重んじて、この部分はeランを適用しないほうがいいのではないかというような意味合いがあります。
○坪倉座長 第2回の資料に、A4の横のもので別表1と別表2がありまして、いま課長から特に基礎分野のあたりでは、平成23年度に開講している都道府県においても認識論があったり、さまざまに多様な科目が設定されている状況のようです。ここをeラーニングで適用させるのは難しい部分があったり、予算的な制約があるというご説明をいただいたのですが、さらに何かご意見は。
○三妙構成員 そういう制約条件はわかりますが、受講する側から考えた場合、どちらかというと2)の教育分野の部分にeランが導入される形に入っていますが、そういうものを直接講義で聞きたいと。要するに受講する側のニーズですよね。むしろ、そういう基礎分野についてはあらゆる自分の基礎的なレベルを上げるための学習ですから、モチベーションがあればいろいろなものを自分から進んで受講して、知識、自分自身の教養を高めるという部分では選択できますよね。だから前回のこの会議の席でも、私は基礎分野とかその他のところを、eランの導入というところではいいのかなとは思っていたのです。ちょっとそこが鎌田先生がおっしゃったように、ここの目的ですよね。皆さんをなるべく受講させたいのか、平準化を統一、要するに質の統一をしたいのかによっては使い方が違ってくるのだろうと思います。
○坪倉座長 この会の冒頭でも、量的に確保するために、とにかくいま教員として働いている人も早く教員養成講習会を受けて、教育のセンスを持って教育に当たってほしいということがいちばん最初の趣旨であったように思います。そういうような意見もある、ニーズもあるということで、事務局のほうでこのあたりを少し検討できる余地があるのかどうかでお考えいただくということでよろしいでしょうか。
○大池構成員 1の1)に該当するかどうかはわかりませんが、教務主任で昨年度関わってきて、基礎分野の中における論理的な思考であるとか、そういう考え方をきちんと踏まえておくのはとても大事と感じています。看護教員としての役割を果たす上で、前回の会議の資料を読ませていただいて、これを学ぶ人が生涯学習者としての認識を強く持って、eラーニングを活用していただきたいなということをとても思いました。そう考えると、自分で学びたい人はeラーニングを別に活用しなくても、自分で学んでいきます。でも、看護教員の方がきちんと自分のいままでの考え方のあり方とかを振り返りながら学ぶ姿勢を捉えていくためには、基礎分野のすべてではないですが、ある程度の必要性からもeラーニングを取り入れていってはいいと思いました。
○坪倉座長 全部適用か、必要なものだけを適用か、ここはそうではなくて他を強化するほうがいいのではないかと、さまざまなご意見がありました。
○加藤看護課長補佐 いまご意見を伺っていますと、教員を養成する上での入口というか基礎となるところで、事務局としては今回、基礎分野とその他についての両方で論点を挙げていますが、先生方のご意見は基礎分野についてはということ。その他についても、同じようにお考えなのかどうかを教えていただけたらと思います。
○坪倉座長 いかがでしょうか。鎌田委員どうでしょうか。いま論理的思考とか論理学の基礎分野の話が出ていたのですが、その他の分野についてはどうですか。
○鎌田構成員 すべてがeラーニングや集合形式でなくて、その科目に応じてやればいいかなと思います。大池先生も言われたように、今年度私どものほうで教務主任養成講習会を実施したときに、確かに論文の書き方とか論理的思考とか、これでいいのかなと思うところはありました。受講生は教務主任の方だったのですが。そこに課題があるとすれば、そこはeラーニングではなくて、しっかり授業の中でやっていったほうがいいのかなと思いますし、それは科目によるのかな。科目をどう選択するのかなと思います。
○坪倉座長 その文章が書けないということは、eラーニングはもっと難しい局面もあるのではないかなと、いまご意見を伺っていて。確かに、何か基礎分野の中でも共通で、教員に必要なものとして取り上げる必要のあるものもあるのではないかというご意見だったと思いますが、いまの文章の書き方とか論理的な思考というのは、少しeラーニングではカバーしきれない部分もあるのではないかなと伺いながら感じておりました。その他にはありませんか。
○加藤看護課長補佐 別表1のいちばん下に「その他」の枠組があると思います。2単位30時間の部分ですが、現行のガイドラインでは看護教員に必要と思われる教育内容を学ぶということで、民族学とか身体論とか生命倫理などを授業科目の例として挙げていますが、これも基礎分野と同等にeラーニングの適用と考えるべきなのかどうなのかについてのご意見をいただきたいと思います。
○西村構成員 論文の書き方、文章の書き方に関して我々はずっとやっていて、それはスタディスキルという科目を立てて、その中で添削をやります。学生に素材を読ませて、そこから読み取ったこと、考えたことを短いレポートで書いて、添削員がそれを添削してフィードバックすることを何回かやっています。それから、1年生に対しては人間科学基礎実習というのをオンデマンドでやりますが、実習とは言いながら実際のデータのところまでを取るところはこちらが用意したデータ。例えば考古学の専門家がいるので、お墓のデータが何百基とあって、それで時代の変遷をここからどうやって読み取るかという方法だったり、あるいは社会調査法でどういったアンケートを構成して質問項目を作成するかとか、そういう課題が10個ぐらいあって、それのレポートを書かせてフィードバックすることをやっています。むしろ、それはeラーニングとか対面の授業というよりも、きちんとフィードバックしてやる。だから、文章の書き方というのは強いて言えば、文通でやってもできるはずなので、必ずしも論理的思考を養成するのにeラーニングは適さないということはないと思います。
 あと、この基礎分野とそのほかの分。我々、講義科目に関しては200科目ぐらい作っております。その中は、ほとんどこちらにある科目はありまして、実践しています。そういったものに関しては通常対面でやっているものと、それほどそれで質が悪いかということよりか、むしろ人数の問題だと思っています。私立大学は、1クラスの大きいところでは300、400の授業をやっていますが、我々は1クラス30名にして、それに教育コーチを1人配置しているので、わりとレポートの添削も細かくできることになっています。そういった観点から、あとはコストの点から考えると共通している科目、色が付いているところをやられるのが戦略としては正しいと思いますが、ほかの部分がeラーニングに適さないということはないと信じております。
○坪倉座長 西村構成員から、どれでもeラーニングは適用できるということですが、イメージをすると添削でカバーできるような現状であるかどうかというところはいかがですか。
○大池構成員 イメージになるかどうかはわかりませんが、昨年やったときに本当に知識の獲得ではなくて、大事なのは、学んでいただきたいものは思考の活性化とすごく思いました。そう考えたときに、eラーニングをどう活用するかという問題に入ってくると思いますが、見せ方とか伝え方によって、思考は活性化できるのではないかと思いますので、工夫次第でできるものと思っています。
○鎌田構成員 今年度教務主任養成講習会を実施したときに、かなり先生方に受講生にも本当に念入りに密に関わってもらって、本務がありながら非常に大変だったというのを見ているものですから、本当にeラーニングでできるのかなという不安はあります。
○坪倉座長 看護の現場の状況ですが、比較的に看護記録というのが文章ではなくて、単語を羅列した文章の書き方に結構慣れ親しんだものですから、そこから脱却して、ある意味で働きながらいろいろな言葉が染み付いた人をもう1回論理的に、そして大いなる内容を持って伝わるように文章を書くことについては、学び直しが必要であります。そういう意味では学生からずっとストレートで来たのとはまた違う苦労がすごくあります。それでお恥ずかしいところ主語と述語の関係とかまで踏み込んで、個別にものすごく差があるというのが実状ですよね。
○西村構成員 私どものeスクールは現在800名ほどの学生がいますが、平均年齢40歳です。看護師も、たぶん100名以上は在校しています。生涯学習ですから、まさしく働いている方、長く学校から離れた方という形でリメディアル教育、リカレント教育の学び直し支援をやって、その中でスタディスキルというのもあって、文章を書く訓練というのは、書きなさい、採点して終わりではなくて、どこがどういうふうにやったら、もっと良くなるかということを見つけて、すごく手間がかかります。ただ、それは対面でやっても同じことです。授業で教えたあとで、また先生が添削して、一人ひとりに返してやらなければならない。我々の所は、400人の教室でレポートを山のように抱えて返すのは難しいけれども、実はeスクールでは30人に1人教育コーチがくっ付いていてくれて細かくやってくれているので、ある程度の幅広いところに対応ができるということを申し上げたかったのです。
○坪倉座長 いろいろな選択の仕方がありましたが、その他について強いご意見は何かありますか。
○三妙構成員 その他のところは科目が挙がっていない。だから、都道府県の実状に合わせて選択して、得られる講師がいるということで挙がっていますよね。だから、さまざまなのです。そこも少し、本当に看護教員に必要なというところで絞れば科目もこんなに多様ではなく、最低限教員になっていく人に必要なものはあまり狭めるのも何でしょうけれども、ある程度コストの関係でもう少し整理すれば、いままでは地方で講師が得られなかった分、逆に新しい医療の動向とか看護の動向というのはeランで送っていくことは可能ではないかと思います。もちろん地域性があるから、医療にしても看護の動向も、その地域の動向は教えられるでしょうけれども、日本全体とか世界全体の側面から把握するというところでは中央で発信していって、それを踏まえながら次に自分の問題意識を持って、自分の地域でそこを検索というか研鑽すればいいわけですから、そういう意味ではその他の科目もある程度絞り込んだ中での選択が可能な3科目ぐらいを設定して、eランを導入することは可能ではないかなと思います。
 コストの件は、狭めることでコストを抑えていく。上の科目にしても看護教育の基礎のところも、かなり幅広いのです。幅が広いところのメリットもありますが、いま言ったようにeランを入れることのコスト的なものがあるのだったらもう少し絞って、せっかく要綱を出しているのですから、その要綱の目標に合った科目設定をもう少し推進したら可能ではないかなと思いますが、いかがでしょうか。
○坪倉座長 さまざまにご意見が出ましたが、現状から立ち上がるか、ある程度絞り込んで必要なものを選択して何か工夫の余地がないかということと、この基礎分野とその他は全くもってeラーニングに馴染まないというわけではなくて、工夫次第では可能なところもあるというような意見も出ましたが、次回までに本日出ましたさまざまな意見を踏まえて、また整理をしていければと思います。1の2)に移ってよろしいですか。
○西村構成員 コストのことでご紹介したいのですが、コンテンツを作ること自体は我々教員で普通に授業をやっているので、ほとんどカメラマンの代金だけですが、いちばんコストがかかるのは教育コーチです。そのサポーター、ある意味ではTAかもしれませんが、そこのコストが国立大学の非常勤講師と同じお手当を出していますので、そこが非常にかかります。科目は我々の運用コストとしては、本来、教員が通学制でやっている授業を取っているので、そんなには。そこよりもむしろ教育コーチを30人に1人付けて、添削とか大変なことをやってもらっているわけなので、要はどれぐらいの規模でやるかによって、受講者の数に比例してコストがかかる。だから、決してeラーニングだからコンテンツを作るコストでどうのこうのというのはそれほど。かかるのは、そういった教育コーチのコストがかかるということをご理解いただければ。
○坪倉座長 それは何回やり取りをしようが、受持ち人数割なのですね。
○西村構成員 一応、業務報告をしてもらいますし、教育コーチは研修もしますが、みなし5時間の労働ということで週に5時間、教育コーチとして携わってもらうことにしています。それで、大体月3万円ぐらいお支払いしています。ほとんどが博士課程の学生ですが、そういう方たちに手伝ってもらっています。
○坪倉座長 それでは論点1の2)に移りたいと思いますので、説明をお願いいたします。
○加藤看護課長補佐 論点2については、本日配付しました資料3と併せて説明いたします。現在、教育分野については教育に関する分野、教育の原理を計画的に学ぶ内容として、現行授業科目として教育原理、教育方法、教育心理学、教育評価。時間数は4単位90時間で、ガイドラインには示しております。この分野は、授業内容の平準化のため、eラーニングを適用してはどうか。90時間の内訳については資料3にパターンAからDまで示していますが、その下に「関連の強い専門分野の教育内容」と示していて、教育分野の教育方法という科目については、専門分野の中で看護教育方法として、授業内容の中に看護教育方法論、看護教育方法演習、看護教育実習ということで8単位あります。また、オレンジ色で示している教育評価については、関連の強い専門分野の教育内容にありますように、看護教育評価論、看護教育評価論演習で2単位あります。このような関連の強い専門分野の教育内容のある教育分野の科目、つまり教育方法と教育評価については90時間の配分の際15時間ずつとして、この関連がない教育原理と教育心理学については30時間ずつといった形で配分してはどうかというのが次の論点になります。
○坪倉座長 教育分野の中では、この4科目を4単位の90時間の中でどう配分するかという論点と、内容そのものの平準化という2つの課題があるかと思いますが、ご意見をいただきたいと思います。
○高橋構成員 教育原理という1行がありますが、学生の人気というか評価はいかがなものでしょうか。私が知っている範囲だと自分の専門で大変恐縮ですが、みんな印象が薄かったり、何を聞いたかを覚えていないというのが非常に多いのです。つまり教育原理というのは、自分の専門で大変恐縮で私たちが努力していないということは認めますが、大変学生の認知度が低いのです。その辺は先生方はどういうふうにご理解ですか。
○坪倉座長 経験的に申しますと、それは講師によりけりかもしれませんが、教育原理は哲学的な意味で人気がありました。
○高橋構成員 例えば、日本教育史とか教育制度とかね。
○坪倉座長 教育そのものの役割が、歴史的にどういうふうにどんな理論をもって、また社会の変遷によって変わってきたかということと、今日どうなのかという教育そのものを考える材料を与えていただいて、結構人気があったのですが。
○高橋構成員 そう言って頂くと有難いのですが、往々にして教員養成大学での教育原理というのは、自分の所でやっていることも含めて、自分のを振り返りながら反省しながら言いますが、例えばルソーがこう言った、ペスタロッチがこう言ったとか学校教育は明治5年からどうのこうのという、かなり情報提供なのです。その中に、あるメッセージ。つまり、こういう先生になってくれという、変動の激しい社会では教員自らがいろいろ自己脱皮したり、学習が大事なのだということを踏まえた教師のあるべき姿に対するメッセージ性が非常に薄くて、歴史とか制度とかということになってしまいがちなのです。そういうふうにもし理解されているとすると、これは標準化が可能だと言われてしまうと内容が違うかなと思いまして、むしろ教育原理というのは特に1980年代以降は変貌を遂げてきましたから、その中で社会の変化と学校のあり方、あるいは家庭、看護の専門学校のあり方まで全部影響を与える問題なのです。なので私は簡単にと言ったら大変恐縮ですが、標準化されて教育の歴史的面はこう、制度的面はこう、何々はこうとやられてしまわないほうが、学生に与えるインパクトは強いかなと思った次第です。
 もう1点だけ申し上げますと、看護の専門家の方々は、看護とかケアに関しては何十年といろいろな経験を積んできたわけですが、教壇で教えるのではなくて応答関係。生徒や学生と普通のコミュニケーション関係の中で、ある問題について共有していくというのが授業ですが、そういうことが生き生きとわかるようなeラーニングであれば反対しませんが、その辺のところをひょっとして誤解をなさっていて、情報提供でいいのだ。つまり、一定の決まった内容を伝えるということで、もし心理学や教育学を理解されていると、それは誤解かなという感じを持っています。
○坪倉座長 教室の雰囲気をいかに感じ取って学習するかというのは、コンテンツの作り方あるいは流し方、さまざまに工夫があるなということはずっと前回からお話いただいたのですが、ことに教育原理の場合は情報提供にならないような、教師になる覚悟を決めて、良さをメッセージで伝わるようにしてほしいコンテンツの作り方、あるいはものの考え方を獲得してほしいということでしょうか。
○高橋構成員 もう1点だけ。いま、特に1990年代の終わりから現在の教員養成のあり方が、いわゆる教科内容といって歴史学や地理学や物理学の内容よりも、子どもや生徒と一緒にその問題をどう共有していくかということが大事だというので、教職のこういう教育原理や方法という単位がグッと増えたのです。それは、良い教員に育てるには手間隙がかかる、時間がかかるということを文科省も十分ご存じなのです。私たちはそういうこともやっているわけですので、標準化するということがそういう流れに棹ささなければいいと思っています。
○坪倉座長 「標準化」という言葉を使わないほうがよろしいですかね。
○高橋構成員 私は、使わないほうがいいと思います。
○坪倉座長 このあたりも含めて、適用させるかどうかということですね。適用させるときには、十分科目の性質を知った上で方法論とか流し方を変えていかなければいけないというお話だっただろうと思いますが、ほかに何かありますか。
○鎌田構成員 時間配分の考え方ですが、いま2)で示されている、福岡県でもこれでやっていますが、受講生を見ると既に教員の経験がある人、ない人さまざまです。そうした中で、教育基礎となる教育分野というのは非常に人気のある科目です。専門に関することについては今後いろいろ学んでいくわけですが、いちばん基盤となるスタートのところで教育分野は押さえたいなと思っていますし、受講生もここのところは熱心に授業を聞かれます。そうしたときに確かに、あとで専門分野のところでも看護教育の評価は演習も含めて出てきますが、教育評価というのは非常に重要かなと思います。評価をしっかり理解しておけば、その後の教育の目標の重要性とか授業を構成する全体的な構造というのが見えやすいのかなといったところでは、基礎教育分野の教育評価を、本県もまだいまの2)で示しているとおりですが、教育分野の中での教育評価は少し力を入れたほうがいいと思います。
○坪倉座長 どちらかというとDパターンでよろしいですか。
○鎌田構成員 はい。
○坪倉座長 ほかにご意見がありましたら最後に述べていただければと思います。次に移りたいと思います。論点1の3)についてお願いいたします。
○加藤看護課長補佐 論点1の3)は、資料4と併せて説明をさせていただきます。資料4に示したのは、現行の専門分野の授業内容と単位数、時間数になります。この授業内容の中で、原則として講義に行われているもの。つまり、今回赤字で表記した内容が現行の講習会の中では、講義によって行われているものと考えております。これらのものについては、授業内容の平準化のためにeラーニングを適用しても良いのではないか。また、この場合、同じ教育内容の演習を進めるに当たりですので、例えば看護論でいいますと、看護論のほうはeラーニングで授業を受け、看護論演習の部分は同じ教育内容の演習を進めるに当たり、留意すべきことは何かという論点です。
○坪倉座長 資料4にお示しいただきましたような赤字の部分と、演習を進めるに当たっての何か留意することはないかというような課題だろうと思います。
○加藤看護課長補佐 赤字の部分で別の論点もありますので、説明のほうは最初に5)までさせてください。4)は、専門分野で授業内容で原則として演習によって教授されているものですので、資料4の中では授業内容の黒字の部分になります。この部分については、受講生の知識の定着とか幅広い視野と見識の修得等のためにも意見交換の場が重要であるというのは、これまで委員の皆様から出されていたご意見にもあることから、それを踏まえ当面はこれまでどおり、集合研修としてはどうかというのが4)になります。
 5)は「専門分野」の「研究」です。研究については、今回授業内容の中で赤で表記はしてありますが、研究結果の教育活動への活用とか看護研究の指導方法等において、講義で学習した知識について演習で整理することも必要なのではないかと考えていまして、論点とさせていただいております。
○坪倉座長 3)4)5)は特に専門分野のことですので、一括してご意見をいただければと思います。
○三妙構成員 専門分野に導入するというのは、私の中ではどうかなという大きな思いはあります。平準化という言葉はよくないかもわかりませんが、どこの都道府県でも同じ内容のもので最小限の教育保障したいという気持はわかりますが、授業のやり方として演習ではなくて講義だからeラーニングということになっていますが、実際講義の中にグループワークをしたり課題提示をして、そこでディスカッションをしたりというようなやり方をやるわけですよね。言うならば、この看護論を授業として1単位30時間やっていますが、30時間を全部教員が喋っているわけではないわけです。喋りながら議論し、それをまたフィードバックしながら新たな課題を見つけるという、要するに授業の展開の仕方をそうやっているわけですよね。そういう授業の展開の仕方が相当eラーニングを工夫すればできるかもわかりませんが、その辺がどうかとすごく思ったのです。演習があるのは演習でというのもいいのですが、その講義はあくまでも一対、集団での講義だけではないというのが実際ですから、そこをどう工夫するかというとても大きな課題ではないかと思います。かえって、そのところの労力というのは、すごく大変かなと思います。その辺も先生にお聞きしたいのですが。
○西村構成員 我々スクーリングが伴うというか、例えばネズミの解剖をしたりという授業もあります。たぶん大きな違いは、平準化ということを我々は全然考えていなくて、例えば解剖実習をするのも講義をするのも1人の教員がやっているわけです。1人の教員が講義の部分をやって、なおかつ実習にも立ち会っている形なので、それは平準化とは全く違って、単に通わないでも、なるべく通うのを最小限にしようという意味で構成されている。つまり、平準化されるとどういうことが起こるかというと、講義の部分はある先生のものを全員が聞いて、演習に入ってしまうと個々の現場で違うことが行われる可能性がある。そういう意味であると完全に、すごいスキルベースでも、どこでやっても同じようなこと、誰がやっても同じようなスキルを身に着ける演習であれば、そちらでも全然問題ないと思いますし、ただ教育現場で何々教育実習は、その生徒によっても違うし学校によっても違うし、そこを一律でやるのは難しいかなと思います。
○坪倉座長 おそらく三妙構成員がおっしゃっているのは、教育方法でも仮に私が教育方法を担当したならば、自分は「清潔」の単元が非常に得意なので、その素材を使いながら方法論を教えていって、その後の演習にもつなげていくという方法論の講義の部分を受け持ちながら、実は演習なんかをも視野に入れながら、そこはすぐにつなげられるような工夫はしていますが、素材は看護そのものですので、場合によっては全国配信しても素材さえ違和感がなければ行けるのではないかなと思ったりします。ですから、東京都の教育方法は清潔の単元を使ったりするけれども、神奈川県の講習会では「酸素吸入」の単元を使うとかと、素材は違うかもしれないと思いますが、方法論ということのメッセージを伝えることは全国一律でもいいのではないかなと、いまお二方のお話をうかがっての感じですが、違いますか。
○三妙構成員 私が言っているのは演習とのつながりではなくて、1つの授業の塊の分です。例えば、いま言われた看護教育方法論3単位90時間ありますね。これを実際は全部、レクチャーでやっていませんよね。第1次の授業は90分喋った。第2次は60分は喋るけれども、あとの30分は参加している学生に演習をさせる。第3次はまたレクチャーにしたという組立の部分、方法論。
○坪倉座長 教育計画のことですね。
○三妙構成員 そうです。
○西村構成員 そういうことは我々の授業でもやっています。基本的には通学制の授業を収録しているので、通学制でそういうディスカッションをさせたりディベートをさせたり、あるいは何か課題をさせたりということはそのままの形でeラーニングコンテンツというか、講義の部分と課題が出て、課題に対するフィードバックということはやっていますので。
○三妙構成員 視聴する側がディスカッションすることはできないのですね。
○西村構成員 できます。それはBBSになってしまうので。
○三妙構成員 そういうふうにすればできますが、いま先生がおっしゃったのは、学校でやっている普通の授業をeラーニングのほうに持っていっているから、その中で演習もやっている場面は撮っていますよということでしょう。
○西村構成員 そういうことではありません。講義の部分を使って、そこで単位数は同じ換算の仕方をしていますから、通学制に対しても通信制に対する通学制と同じように、90分のうち30分は何か問題を解かせたり、ディスカッションをさせたりという時間を課題として取って実施しているということなので、別に学生が作業をやっているのを写しているわけではない。ただ、その課題によっては来なければいけないものもあるということで、なるべくそれは最小限にするということなので、いろいろな工夫をしてやっています。
○三妙構成員 いま坪倉先生がおっしゃったように、授業の中で取り上げた素材が都道府県で違っていても、基本的なところは考え方を教えるのだから、それはいいと思います。演習では違うものをしても、基本的な方法論というところのノウハウがわかれば、素材が変わってもそれは学習できますよね。そこは問題ないのですが、私が気になったのは1つの単元の授業の枠組みの中にも入れ込んでやっている分がかなりありますよね。ミニグループワークみたいな形でやって、それを発展させて30時間の講義を終わらせているというのが現実だと思います。それをやったあとに、演習でまた大きな課題をもらってやっています。
○坪倉座長 西村先生がご指摘いただいたように、そのグループワークが必要であれば同様にグループワークをし、そしてフィードバックが必要な場合にはフィードバックをするということを、教室でやるのと同じように構成を考えてやるということ。それは可能であると。
○西村構成員 実際にグループワークをさせるということでやっております。
○鎌田構成員 そこのイメージがつかないのです。
○西村構成員 いちばんプリミティブな方法は、BBSで5、6人ぐらいのグループでこの課題について、意見を集約して出しなさいということはよくやられますが、進んでいるところだとSkypeを使って、大変ですがそのグループの中で時間を調整して発表。学生側の発表するシステムもあります。つまり、学生がそのシステムを使ってパワーポイント等で自分たちの発表内容をまとめて、システムにアップロードしてみんなで共有したり、教員はそれにコメントしたりということもやっております。
○坪倉座長 よくやるのは、その日に課題を出して、そこのテーマで話し合わせてということですが、予めそれを計画的に組み込んでおいて準備させておいて、集まる時間だけ調整をして議論をして、フィードバックするというプロセスを経ればいいということです。
○西村構成員 スケジューリングが大変ですが。
○坪倉座長 ほかに専門分野に関することで、ご懸念の内容はありませんか。
○大池構成員 専門分野も教育分野も基礎分野もすべてに関わると思ったのですが、結果的にはeラーニングをどうやるかという方法だと思います。先ほど教育原理のお話もあったのですが、私も看護学概論とかを教えているときに、教科書の内容からはほとんどしないで、その授業の目指すものとして看護学生であれば、看護の良さとか素晴らしさを伝えたいと思うので、看護とは何かという自分の経験であったりとか事例であったりとか、それを通して学ぶような形を取っています。そうすると、eラーニングの教材の中でそういう事例を出していくとか、看護論についても看護教員になる人が、「あなたは看護論について知っているだろうか」という問いからスタートして自分を振り返り、そして看護論を論じていくための必要な知識は何かというふうに、その構成をどう持っていくかによってeラーニングの作り方はある程度決まってくるかなと思ったのです。そう考えると、看護師が看護教員になったときに、看護師はすごく真面目にお仕事をしてきたので、言われたことをきちんとするということが既に思考の中で定着しているために、こういう学習の場に入ったときに頭の中を一遍変えていく必要性があると思います。そういう機会が、こういう講習会の中で求められているものと思っている次第です。
○坪倉座長 お話を伺いながら感じていたのは、よく教室で赤ちゃんの計測をしましょうという講義で、赤ちゃんというのは大事に扱わなければいけないよ。そして体温も下がらないように抱っこしてあげましょうということのメッセージを教室でも流しながらでないと、なかなか気づいてもらえない部分があって、そういうのはeラーニングでも授業するときに、ただプロセスだけを言うのではなくて、赤ちゃんを扱うときにはこういうふうにしましょう。痛みがある人には、こういうやり方をしましょうというマインドもそこへ随所に入れ込んでいかないと、画像だけで流れてしまう可能性があるなということを伺いながら聞いていました。特に専門分野は、教師としての姿勢もそうですが、看護教育方法とか看護何々ということになると、もう一度教師として看護者としての立場を強調しながら教えていますので、そういうあたりも大事にしていかなければいけないことかなということで、3)4)5)にかかるので、組立て次第ではなんとかなるかもしれないなという思いを持った次第です。
○高橋構成員 私は看護のことはよくわからないのですが、授業というのはいま大池先生がおっしゃられたみたいに、必要な概念とかキーワードがたくさんありますが、それを授業者が織物を織るような形で、どんな配列で学生に提示するかを非常に大事に思っています。つまり、材料が生きるか死ぬかは、その織物の織り方です。提示の仕方です。それは人によって違うと思っています。いろいろな理由で教員になったり看護師になったりしていますが、どういうところをいちばん大事にしているかは人によって若干ずれが生じますので、それがあるから大学はシラバスはそれぞれが、同じ内容でも、シラバスは人によって違うわけです。得意、不得意もあるし、織物の織り方も違うし。そこがいちばん大事なところなので、往々にして人は概念やキーワードがあれば、これが身に着けばいいと思うけれども、それだけを見てもほとんど身に着かないのではないかという心配があるので、そこをeラーニングで典型的な事例として、うまく作っていただければありがたい。非常に難しい注文ですが。
○坪倉座長 ということは、教える人の力量が大変ですね。
○西村構成員 我々はどういうことをやっているかというと、基本多いパターンは普通の授業をオン・ザ・フライ、つまり、今日やった授業は今日の夜にはサーバーにアップロードさせて、それをeスクールの学生用として使う。全く通学制の授業と同じようにやる。そうすると、コンテンツは授業をやった分だけすぐにできてしまうという話です。そうすると、なるべく重複はないのですが、同じ科目で複数クラスを作ったり、先生をグループで入れ替えたり、コンテンツの差し替えが基本的には毎年違う通学制の授業をやれば、それを。つまり、概念は映画みたいに何年やっても同じわけではなくて、情勢によってどんどん変わるから、昔は確かに製作するのは大変でしたが、いまは撮ったらすぐ。教員のほうも、授業をやる前に大体構成を考えて、このタイミングでこういう話をしようというふうにやっていますので、そしたらすぐ授業になる。だから、コンテンツがいつもフレッシュ。何十年も使わない形になっています。そういうふうに機動的にコンテンツを作ることができれば、私が想定するのはどこか核となる教室、会場で授業をやって、その授業をすぐコンテンツ化して全国に配信するというようなこと。学期が違ったりその時々によって先生も交替して、そしたらまた流す。だからコンテンツを作るというよりもリアルタイムではないけれども、授業を中継するようなイメージだと思います。
○坪倉座長 授業をなさっているのを第三者とかそういうところで、また評価もあるのですか。替えるというときには。
○西村構成員 基本は3年ぐらいは使いましょうか。3年よりか長くなると学生から文句が出るので。私どもは古くなったらiTunes Uといって、アップルの無料のものに振り込んで順次出すようにしていますが、あまり長くは使わないことと、全部書き替えなくても、必要な部分だけは随時チェックをして差し替えるということです。特にオン・ザ・フライタイプの授業、つまり教室とでやるのは去年より今年のほうがうまくいきそうだというときは、そちらのほうを差し替えたりするのに使っています。もう1つは、通学制に対してもそれを補習用の教材として使うときもあります。つまり学校に出てきて、それもなかなか難しいのですが、来なくても授業がわかると学生は来なくなるので、出席をしっかりととる一方で、試験前にはもう一度見られるというような工夫をして、通学制の復習教材としてもeラーニングを使っています。
○坪倉座長 eラーニングを使ったら、より閉鎖性ではなく、もう少しオープン化ということになりますか。教室の中というのは結構教師の独壇場であったりしますが、そういう閉鎖性というものはeラーニングを使うことによって少しは風穴があくのですか。
○西村構成員 風穴はあくとは思います。誰かに見られる可能性はあると思いますから意識していますが、先生方はあまりそこは気にしていないです。スタートするまではいろいろありましたが、スタートして実際やってみると、そういうことでもないかなと。我々が恐れていたのは、授業を勝手にYouTubeに上げられてしまうとか、そういうこと。でも思い起こせば、わざわざYouTubeに上げるような先生もいるわけですから、それはだんだん慣れてくれば平気になってくると思います。もちろん、うちのeスクールのコンテンツに関してはセキュリティを掛けて受講者以外は見られないようにしていますが、例えばiTunes Uに出して何箇月も経ちますが全然反響がないですから、誰も見ていないのだなということがよくわかりました。
○坪倉座長 専門分野の内容をかなりオープン化することになると、内容の進め方、受講者にとってより集合研修とか演習、同じようなプログラムを組まなければいけないときのいろいろな留意点なども出たかと思います。
 時間も迫っていますので、論点2に移りたいと思います。事務局のほうからお願いいたします。
○加藤看護課長補佐 論点2につきましては、本日お配りした資料5をご覧ください。これは「eラーニングを適用する場合の評価(単位認定の仕組み)の方法について」です。eラーニングを用いた場合の評価としては、テスト、あるいはレポートなどが考えられるかと思います。資料5には、テスト、レポートそれぞれに受講者の取り組みやコンテンツの構成についてまとめました。
 まず、評価の方法としてテストの場合ですが、受講者の取組みは、コンテンツを視聴し、理解度のテストを修了することになります。時期としては、関連の深い演習前までにすることが望ましいと考えております。コンテンツの構成としては、イメージですが、コンテンツ毎に講義をする。コンテンツの最後に理解度の確認テストを択一式で行う。例えば問題ですと、何問以上作成し、何問をランダムに出題、一定以上の正当数で受講を修了するといったイメージになっております。
 コンテンツ作成に付随する業務としては、設問を作る作業、設問ごとに回答の解説を作成するといった作業が発生してくるかと思います。事業運営者の業務としては、理解度確認テストが修了したことの確認と受講履歴の確認が必要になるかと思います。
 参考までにメリットですが、自動的に採点、単位認定をしてくれるということがメリットとして考えられるかと思います。
 一方、レポートの場合ですが、受講者の取り組みとしてはコンテンツの視聴、レポートを作成すること。コンテンツの作成イメージでは、コンテンツ毎に講義をし、コンテンツの最後にレポート用の出題をする。
 コンテンツ作成に付随する業務としては、レポートの採点基準を作成することが付随してくるかと思います。事業運営者の業務としては、レポートの採点と受講履歴の確認が必要になるかと思います。
 なお、採点にかかる時間が長くなるというデメリットが考えられます。
 こういったことを踏まえて、資料2の論点を出しました。いまコンテンツと説明しましたが、1コンテンツが大体20~30分程度の教育内容で構成されるイメージです。こういったコンテンツ毎に択一試験を実施するとともに、最後に総括評価としての択一試験を行うこととしてはどうかというのが、2の論点になっております。
○坪倉座長 それでは、評価をするという観点でご意見をお願いします。
○西村構成員 我々がどのようなことをやっているかというと、小テスト機能を使って択一で選択式の試験を毎週のように入れています。でも、それはちゃんと聞いたかどうかを評価する、あるいは評価するというよりも、ここが重要なのだということを教えるためのものであって、それをもって学習をしたかを評価しようとはあまり考えていません。
 どうしてかというと、問題は毎年新しくしないと、それはすぐ伝播するし、同じ学期の中でも1週間ありますから、早く解いた者には教えてあげることもできます。そこを評価するというよりも、手間はかかりますが、最終的にはレポートを書かせて評価します。もし会場が確保できるのであれば、何か統計とか数学のような問題は教場で試験をやるほうがいいと思います。eスクールでは集めて試験はやっていないので、最終的には卒業研究の口頭試問が対面で課されて評価します。多くの社会人は勉強をしたいからやっているので、わざわざずるをする人はいないのですが、中には点数を取るだけが目的の者もいますので、そういうことでやると、クリックしてどうのというのは答えが流れてしまえば終わりです。もしやるのであれば、ある程度の仕組みを作って、何分から何分の間に答えなければいけないとか、個人個人何種類も問題を作って、その中から出すようにしなければいけないとか、そういったことが必要です。
 実際、そういった仕組みを使っている科目もあります。クリックしてから15分以内に答える。問題もプールがあって、何題の中からどれかが出てくるので、必ずしもいつも同じ問題ではないということもやっています。でも、本来択一式なものは、評価をするというよりも訓練をするということであればレポートですると。ただ、レポートも最近コピー&ペーストが流行っておりますので、それは盗作関知システム(アイセンティケート)というシステムを去年から実験的に入れて、4月からは本格稼動で、レポートが上がると自動的にチェックするのですが、結構優秀で、それでまず怪しげなところをチェックします。もちろん、それと並行して、剽窃や正しい引用方法などについての授業はしっかりやっているつもりです。
○坪倉座長 ありがとうございます。現状をお話いただきました。評価についてはいかがでしょうか。
○高橋構成員 評価は、テストとレポート両方必要だと思うのです。テストというのは理解度テストですから、授業の内容がどれぐらい頭に入ったかという理解度なのです。事業者が狙うのは、それを使ってあなたは何ができるかなのです。それは道具なのです。金槌やのこぎりを持っていますというだけでは駄目なので、それを使って何をするかがレポートなのです。ですから、時間がかかるというデメリットはあるのですが、これは惜しんではいけないかなと思っています。
○大池構成員 これは評価の方法とは違うと思いますが、資料5の事業運営者の業務になるかもしれませんが、この評価を受ける人がどの程度自分の結果を知りたいかにもよると思うのです。例えば、テストを受けて採点されて、それが講習会を受けている全体の中での何番目に入っているかとか、そういったものがあると、看護学生の場合は割とそういったことを知りたがります。受講者がただ自分の点数だけわかるのではなく、全体のうちのどれぐらいの位置にあるかがわかると、もっと勉強しなければいけないということで、モチベーションも上がるという気がしました。
 また、レポートについても、レポートのやり取りをWeb上で実施できることがいいようにも思いますし、このレポートのやり取りも、受講者がレポートを提出したら、提出したという記録と受け取りましたという記録と採点の結果が返却されること、また受け取った受講者がまた受け取りましたとわかるようにしていただいたほうがいいと思います。少し具体的になりすぎですが。
○坪倉座長 評価については評価そのものの考え方、eラーニングを使うからこそ制限があるから、逆にレポートでないと駄目だというお話もありましたが、eラーニングだからこそという評価の仕方は考えていかなければいけないということですね。
 いま高橋先生がおっしゃったテストは理解度を見るのだということですが、これは必ずや必要だろうと。
○高橋構成員 応用場面においてはですね。
○坪倉座長 そのあと理解度を示したこの道具をどう使って演習やレポート、あるいは実習に活かされるかですが、これは形成評価ではなく、それぞれが完結する総括評価になるわけですね。例えば、看護論は看護論で総括、看護論演習があったとしても、それは教育内の大科目としての総括ではなくて、それぞれで完結する総括評価ですね。その辺りもどするか、都道府県によっても違うかもしれませんが。
○三妙構成員 確認ですが、いまの資料5で、評価の方法でレポートがあって、レポートの表の下から2番目に、上に「レポートの採点基準の作成」とあって、その下が「レポートの採点」をするわけですね。これは誰がするかというところですが、事業運営者の業務のところにレポートの採点があるのです。ということは、この事業運営者というのは、都道府県が講習会を開いているわけですね。その人たちがeラーニングの事業で、それは授業をする講師とは違うわけですね。そこに違いがあって、だから採点基準は授業をやった先生に作ってもらい、それを受けて研修を運営している側が採点をするということですが、私はそこは変ではないかと。授業をした人が採点するならわかるけれど、そうではない方が、いくら基準があっても、レポートを評価するのはすごく難しいのです。試験ならいいのです。マルバツで誰でも採点できるかもわからないけれど、レポートを評価するのは、その教師の思いがあっての課題で採点基準になるわけです。第三者が基準を見ながら評価するということは、果たしてできるのでしょうか。
○西村構成員 私どもは、教員が最終的にレポートの評価をするのですが、ただクラスが複数あると、いくら1クラス30人でも受講者が100名とかいうことがあります。そういうときは、教育コーチに採点基準を提示して、教育コーチは毎週私と一緒に運営しているから、授業の内容は理解しています。採点基準を提示して、下訳をしてもらいます。それを私がチェックして、入替え等をして、確定させて成績にするということです。だから、丸っきり授業をやる係とレポート採点係は別ではなくて、チームでやっているということで、それでやれば何とかできると思います。
○三妙構成員 授業をやっている先生の下で教育コーチとして支援している人とグループならできると思うのです。この教員研修は、全国のあちこちの拠点でやるわけですね。だから、そこを導入するならば、そこが課題だということを認識していただかないと、ただ下ろされて、はい、というわけにはいかないということですね。
○鎌田構成員 資料を読んだときに、eラーニングの評価について都道府県が実施することは全く考えていなかったのです。
○坪倉座長 事務局からお願いします。
○加藤看護課長補佐 次の3番の論点の中に、eラーニングを適用する場合に開催主体が留意することとありますが、いま都道府県の役割やeラーニング運営主体の役割ということが出てきました。資料6ですが、「専任教員養成講習会の開催について」ということで、イメージになりますが、現状講習会の厚生労働省、開催都道府県等の役割と、eラーニングを導入した後どういった役割になるかをまとめたものです。
 現状では、厚生労働省で教育内容(ガイドライン)を決定しており、講習会開催都道府県等の認定をしております。導入後の厚生労働省の役割としては、ガイドラインの決定、講習会開催都道府県の認定までは現状と同じと考えております。そのほか新たに加わることとしては、eラーニング運営に関することで、運営主体の決定や委託、運営に関する助言といったことが新しい役割として入るのではないかと考えております。
 開催都道府県ですが、現状は開催するかどうかの決定、受講生の募集、シラバスの作成、講習会の実施、単位認定、修了証の交付をしていただいております。eラーニング導入後は、開催決定についてはeラーニングを都道府県の中で活用するかどうかも含めた検討をしていただくことになるかと思います。受講生の募集、シラバスの作成はいままでどおりになりますが、講習会の実施については現行の855時間分からeラーニングの部分を抜きますので、「-α」とありますが、これは都道府県の中で決めていただき、時間分を実施していただくことになります。
 また、eラーニング運営主体との調整業務が入ってくるかと思います。単位認定修了証の交付についてはいままでどおりになります。eラーニングの運営主体については、コンテンツの配信(時間分)、受講生からの質疑対応等も含むことと、ID-PWの管理、都道府県等の調整業務といった業務の役割を考えております。
 先ほど議論いただいたレポートはどこを見るのかということですが、eラーニングの運営主体のほうで見ていただくことをイメージしております。先ほどのご議論の中にも、例えば看護論でしたら、いま看護論と看護論演習が組み立てられていますが、事務局としてはこういった演習の中で評価が可能なのではないかと考えておりますので、この辺りについてもご意見をいただければと思っております。
○坪倉座長 このように考えたらいいですね。資料5は、eラーニングをする所についての受講管理等としての要旨ですね。卒業させるか、認定するかという履歴とか、総合認定するのは都道府県であるということですね。
○加藤看護課長補佐 開催は都道府県です。
○坪倉座長 都道府県が預かるものはeラーニングのものと独自で評価するものと両方あるわけですから、それを総合的に見て認定をするということは、都道府県にあるということですね。ですから、ここに書いてあるのはeラーニングだけを預かるときの事業主体ということでよろしいでしょうか。
○加藤看護課長補佐 はい。
○坪倉座長 そういう仕切りをして。
○三妙構成員 都道府県ではないということですね。
○坪倉座長 そうです。ですが、都道府県でレポートをする場合はそうですね。これは全くeラーニングだけの資料です。これはeラーニングの事業主体、厚労省、都道府県、全部がこの図面の中に入っておりますので、その関係性の中で認定をすることになるかと思います。
 それでは、3番目の論点に入ります。ここは都道府県の立場になるかと思いますが、開催主体についていろいろな課題もあるかと思いますので、その辺りでご意見をいただければと思います。
○鎌田構成員 資料6の中で「都道府県の役割」と書いてあります。講習会の実施の時間は、確かにeラーニングの部分は時間数としては減ると思いますが、その下にある「eラーニング運営主体との調整業務」は具体的にどのぐらいの業務量があるのかとか、どのように調整するのかが、まだ私もよくイメージがつかないのですが、今日の第3回検討会における論点の2)に「教育担当者は、授業科目のつながりを確保するため、集合研修を担当する講師に特に関連のあるeラーニング適用科目の事業内容の説明を行う」とあります。実際にこれができるのかどうか、都道府県にいる教育担当者はeラーニングは見ないわけで、受講生がeラーニングを学ぶわけなので、その授業内容をどう説明して、調整を図る必要があるのではないかといったところは、現場からすると非常に難しいのかなと思うのです。
○坪倉座長 その辺りは、事務局のほうでイメージができているのでしょうか。
○島田教育体制推進官 教育担当者全体をマネージする方を配置していただくことになっていますので、その事業主体から授業内容のシラバスの提供を受けたり、全部eラーニングで適用されるものについて事前に把握されて、その全体のマネージをするための役割を果たすことができるのではないかと思います。
○三妙構成員 現実に、いまも教育担当者は演習を運営するときのマネジメントをしますから、それに絡む授業は聴講したり理解しますよね。
○鎌田構成員 ただ、その場にいるのでできるのであって、eラーニングとなるとその場にいないわけですよね。
○三妙構成員 だから、eラーニングを見ないといけないということですね。
○鎌田構成員 そうですね。それが果たして本当にできるのかなと。
○三妙構成員 だから、教育担当者にそこまでの役割を課すのだったら、当然その教育担当者はeラーニングの内容を把握した上で、演習につなげるための調整をすると。それは教育としてやらなくてはいけないことだと思うのです。それは、そうなればやらざるを得ないと私は思うのですが、むしろそれよりも心配したのは、いま講習会は855時間ですね。約1年間なのです。どこの都道府県もそれをある1年ということでどこかに委託したり、いろいろなやり方をしています。東京都は1年委託しているのです。そして、そこには人をつけてやっているのです。これが例えば300何時間に減った場合、そういう体制が取れない現状があるのではないかと思うのです。福岡はどうなのですか。
○鎌田構成員 そういう時間も含めて人を要求していますので、時間数が減れば、当然人事からはその分人件費は要らないのではないかということで、カットされるのは目に見えていると。いまもやっと人件費を見てもらうための費用を捻出しておりますので、それは三妙構成員が言われるとおりかなと思います。
○三妙構成員 そうしますと、300時間だったら年のうちの数箇月ですね。そこだけに専任の教育担当者がいればいいという発想をしますから、たぶん都道府県に下りたときに成り立たなくなってしまうのです。そうすると、都道府県が「はい、やります」と言うのが厳しくならないですか。
○鎌田構成員 厳しいかなと思いますし、これを平成25年度導入となると、平成24年度の夏には予算要求、これが4月にもう一度検討されて、5月か6月になったときに、本当に平成25年度に体制が取れるのか、またこれをやれる教育担当者がきちんと配置できるか。教育担当者は毎年大体同じ方をお願いするのではないかと思うと、今年度この教員養成講習会をやりながら、さらに次年度の体制作りに向けて、eラーニングを含めて考えないといけないとなると、非常に負担がかかるのかなといったところで、時期的なことを非常に心配するので、予算も含めて人の配置等は早急に検討しないといけないかと思います。
○三妙構成員 もともと都道府県が教育機関に委託している所は、たぶん本来業務で教育をやっている中で、300時間をその時期だけ運営することはできる可能性はあると思うのです。東京都もその前は大学に委託していましたから、そういうことではできたのです。でも、そういう教育機関でない所に委託した場合、そこに実施者がいないといけないから、1年間人を雇用しないといけないわけです。そういう難しさが出てくるのだろうと、それを心配していたのです。
○鎌田構成員 それと、委託している県と、福岡みたいに委託しなくて、県が直営でやっていて教育担当者を置いていると、県の職員も教員養成にかなり多くの時間をかけていますので、他の業務をやりながら、どう人を配置すればいいのかなといったことをいま考えています。やり方の工夫はいろいろあると思いますが。
○坪倉座長 ここはとりあえず課題を出していただきましょうか。集約ができないので、いまご懸念の課題の、人の確保や雇用の期間などについて出していただきたいと思います。
○三妙構成員 800時間を実施するのだったら、1年間という単位でいろいろな人の手当、予算も取りやすいけれど、これが300時間になったときに難しいのではなかろうかというのが1つの課題です。
○坪倉座長 既存の教育をやっている所に委託する場合には、それほど難しいことはないということですか。
○三妙構成員 それはわかりませんが、例えば早稲田大学さんは通学制の授業をやり、さらに通信制も並行しているから、同じ先生がやっているわけです。そういう形が出れば、800時間が300時間に減ったことで、少しは本来業務の軽減ができているのかなと思うのですが、この教員養成は少し特殊で、都道府県が受けてどこかに委託するとか、いま福岡はそのまま県が受けて県で実施している感じなのですね。そういうところの課題もあると考えていただいていいのかなと思います。
 これは、1つは開催したい所がすべてeラーニングを導入しなければならないということではないと私は読み取ったのですが、その辺はいかがでしょうか。こういう制度が平成25年に入ったときに、都道府県によっては800時間全部集合研修をやりますということもありなのでしょうか。
○岩澤看護課長 あると思います。
○三妙構成員 それは選択でいいということですか。
○坪倉座長 どうするか、選択制にするのか、選択したらこういうこと、選択しなかったらこうと、いまの段階で懸念されることをいっぱい出していただきたいと思います。
○鎌田構成員 もう1つ課題ということで、教員養成講習会を1年コースでされている所、10カ月、9カ月、8カ月と、それぞれ開始時期も終わる時期も違うと思いますが、そうなると教育内容の進度について、講義を受けたあとに演習といった形でどこの県もやっているかと思いますが、そのときの教育の進度の考え方、内容については十分検討しないと、講義が終わらないままその県の演習に入ったりということになると、教育効果は低下すると思います。そこの関連の進度は十分検討していただきたいと思います。
○三妙構成員 このペーパーに書かれている1)はそういうことだと思うのです。授業科目の配列や、教育実習に行く前に終わらせるようにということで、それは当然ここで考えていかないといけないということは1つあると思います。
○坪倉座長 西村先生、この科目が終わっていないと次の科目にいけないということで、一応ここが終わっていないとブロックされるという、システムの中で順序制は構成できますか。
○西村構成員 はい。システムの中でというか、うちは科目登録を半期毎にやっていて、社会人なので4年で必ず卒業するというパターンではなくて、6年や7年かかる方も多いので、上の科目を取るたびに関門科目みたいなものを設定して、それを取っていないと次の科目分は取れないということは半期毎にやっております。
○坪倉座長 それは、いくら自分が関門科目を取っていなくて違う所へアクセスしても、アクセスすることは可能なのですか。
○西村構成員 いや、登録していない科目は見られないようになっています。
○坪倉座長 登録していて、例えば演習が終わっていないと教育実習に出られないというようなときに、実習も登録していますね。そうすると、演習が終わっていないのに、ポンと実習のところへ飛ぶことはできるのですか。
○西村構成員 それはできます。
○坪倉座長 システムの中でそういうものをこさえておけばいいわけですね。
○西村構成員 具体的に我々がどうやっているかというと、科目登録を各学期、この春だと4月に科目登録を始めます。科目が決まって、請求書が発行されて、お金を払って受けられるようになりますが、その登録した科目以外は一切見られないような形です。ただ、一度登録した科目に関しては1年半バックナンバーが見られるような形で、振返りはできるのですが、先取りはお金を払わない限りできないようになっていますし、それも何でも取ってもいいかというと順番が決まっていて、3年次に配当されている科目は3年次にならなければ取れないという形になっています。
○坪倉座長 これをやる前提にきちんとスキルが身に付いていないといけないというところは、どこかでチェックしたり、あるいはシステムの中でそれはできるのですね。
○西村構成員 はい。できますし、例えば1年でこれだけのことをやるとすると、セメスターではなくてクウォーターぐらいで関門を、つまり年4回科目登録をすれば。早稲田大学は最近クォーター制でやっていますが、それとは関係なく、1年で圧縮してやるのであれば、科目登録の回数を増やせば対応できるということです。
○大池構成員 講習会の導入後の意見になるかと思いますが、eラーニングをどう作るかということで、作られたものをそれぞれの都道府県でどう活用していくかについても、eラーニングの作り方によると思ったのです。例えば、講義だけを見たい都道府県もあれば、理解度テストだけを活用したい、あるいはレポートのやり取りだけを活用したいといった都道府県も考えられると思いました。
 作り方として、講義形式のものを見ないとテストが受けられないシステムにすれば別ですが、どの程度まで都道府県の自由度を委ねていくかも、eラーニングの作り方で変わっていくようにも思いました。
○岩澤看護課長 いま想定しているのは、1つの授業内容でeラーニングが適用されているものを活用するとした場合、単位認定までeラーニングの運営主体が実施するということです。
○坪倉座長 ほかに何かご意見はありますか。各都道府県では複数講師をお願いしていますね。例えば、看護論だったら5、6人の先生をお願いして、それを演習等で展開しているのですが、これとの関連で何か戸惑うようなことは想定されますか。
○鎌田構成員 演習は各都道府県で対面式でするのであれば、特に問題はないかと思います。いまも評価基準を作って、複数名で教育していただいている科目については、講師会議を開きながら評価をして、もちろん授業も進めていただいていますので、問題ないかと思います。
○坪倉座長 都道府県で1人か2人いらっしゃる方が十分調整をすれば、複数でも問題ないと。
○鎌田構成員 そうですね。
○坪倉座長 それでは、そろそろ時間も来たようです。今回の1~3の論点はほぼ検討し尽くしたと思いますが、全体を通じて何かこれはと思われること、あるいはいままでの皆さんのご意見をまとめたものが資料1にありますが、この辺りでご回答や抜け落ちていてどうしても入れてほしかったと思うことがありましたら、併せて意見を出していただければと思います。
○西村構成員 1点、非常に重要だと思うのですが、受講生の数はどれぐらいを想定なさっているのかということです。我々は、文科省には1学年定員600でやっているのですが、実際には150人ぐらいしか採っていません。実際300人の方が希望されますが、150人はお断りしています。それは書類選考、面接の上、この方は難しいかなという方にはご遠慮いただいているわけです。600を想定するのは、30に1人の教育コーチをやるとすると、そこが相当ボトルネックで、現状では150だと普通にできるけれど、300はすごく大変で、600になるともう大変になると。ただ、お話を伺っていると、全国規模の展開になるからそんな数字ではないということであれば、全然違ったような、つまり我々のeスクールのやり方はあまり参考にはならないのではないかという危惧があって、どれぐらいの規模を想定なさっているのか伺いたいと思います。
○島田教育体制推進官 都道府県の数ですが、例年の幅で見ますと、大体12から最大は15、6という幅です。1カ所当たり、少ない所で25名、多い所で60名が集まるという状況です。
○西村構成員 そうすれば、科目の数から言えば、仮に我々がやっているようなやり方をやっていても、何とかなりそうな気がしました。
○島田教育体制推進官 1カ所に25~30ですと、チューターが1人、多い所で2人ぐらいですね。
○西村構成員 そのぐらいだったら現実的だと思います。それが6,000とか7,000とかいう数だと。でも、一般の通信教育課程は、学生数が8,000とか6,000とかいうのはざらですので。
○岩澤看護課長 開催予定の都道府県がすべてeラーニング適用科目をeラーニングで実施されたとして、マックス500~600の間になるかと思います。
○西村構成員 それは十分現実的な数だと思います。
○坪倉座長 仮にeラーニングが成功して、我も我もと都道府県が言ってきた場合
はあり得るのでしょうか。25とか30とか、ないですね。
○岩澤看護課長 1か所あたり40~50人の受講です。開催都道府県に登録いただいた受講生が、eラーニングにアクセスする形をいまは想定しています。
○坪倉座長 現行の手の内で十分掌握できる人数の想定でしょうね。
○西村構成員 何とかなるのではないかと思います。
○鎌田構成員 現場の養成所の先生方は、eラーニングの検討会が始まったことでかなり期待を寄せていて、「できれば福岡県もやってよ」という声をいつも聞くのですが、これが良い方向にまとまればいいかなと、福岡県も未受講者が多いので、そのように思っております。現場からの声からは、かなり大きいものが期待されているなと感じます。
○三妙構成員 地域性でしょうか。私が周りに聞くと、「それで養成していいんですか」と。
○鎌田構成員 質を考えたときにどうかというのは半分頭を過ぎるのですが、現場からするとなかなか出せないという現状があります。地方かどうかわかりませんが。
○高橋構成員 それは交通の便とか勤務条件の話ですか。
○鎌田構成員 交通の便は良いのですが、とにかくいまは辞めていかれる先生方が多いので、講習会に出すことで現場の教員が不足するといった理由があります。eラーニングがあれば活用したいという意見もあります。学校によって毎年2、3名出す学校もあるのです。教員が充足している所は出されるのですが、していない所は未受講者がいても出さないという中では、できるだけ最低ラインを少し底上げといったところでは受講してもらいたいという気持はあります。
○坪倉座長 800時間や900時間拘束されるのと、3分の1の300時間拘束されて、あとは実務の学校教育に携われるなら、それを歓迎しない人もあるかもしれませんが、する所も結構あるかもしれませんね。
○鎌田構成員 質を確保した上でのeラーニングの活用かなと思います。
○坪倉座長 ほかに何かご意見はありますか。
 それでは、予定の時間になりましたので、事務局から連絡事項をお願いします。
○加藤看護課長補佐 第4回目の日程、場所につきましては、後日、皆様にお知らせしたいと思っております。また、構成員の皆様には本日の議事録をお送りしますので、ご確認をお願いします。以上です。
○坪倉座長 今日は、たくさんのご意見と活発なご討議をいただきましてありがとうございました。本日も長時間にわたりありがとうございました。


(了)
<照会先>

医政局看護課

代表: 03(5253)1111
課長補佐 加藤 典子(内線4167)
教育体制推進官 剱物 祐子(内線2595)

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