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2012年2月20日 第2回「eラーニングを導入した看護師等養成所の専任教員養成講習会の実施方法に関する検討会」議事録

医政局看護課

○日時

平成24年2月20日(月)15:00~


○場所

経済産業省別館1012会議室(10階)


○出席者

鎌田 久美子 (福岡県保健医療介護部医療指導課課長技術補佐)
三妙 律子 (東京都立広尾看護専門学校校長)
高橋 勝 (横浜国立大学教育人間科学部教授)
坪倉 繁美 (新潟県立看護大学看護学部教授)
西村 昭治 (早稲田大学人間科学部教授)

○議題

1)eラーニングで提供する教育内容の範囲について
2)その他

○議事

○加藤看護課長補佐 ただいまから第2回「eラーニングを導入した看護師等養成所の専任教員養成講習会の実施方法に関する検討会」を開催します。構成員の皆様におかれましては、大変ご多忙のところ、ご参集いただきまして、誠にありがとうございます。なお、大池構成員からは本日ご欠席とのご連絡をいただいております。
 それでは坪倉座長、議事の進行をよろしくお願いします。
○坪倉座長 本日もどうぞよろしくお願いします。それでは議事に入る前に、事務局より資料の確認をお願いします。
○加藤看護課長補佐 それでは、お手元に配付してある資料の確認をさせていただきます。議事次第、座席表に加えて資料1「第1回検討会における主なご意見」、資料2財団法人日本訪問看護振興財団の「訪問看護eラーニング」について、資料3「平成23年度専任教員養成講習会の教育方法及び評価方法の実態」、資料4「第2回検討会における論点」、参考資料として「専任教員養成講習会ガイドライン」の抜粋、他に本日ご欠席の大池構成員からご意見をいただいておりますので、構成員の皆様の机上に配付しております。
 乱丁、落丁等がありましたら、事務局までお申しつけください。以上です。
○坪倉座長 それでは本日の議事に入ります。本日の議題1は「eラーニングを適用する教育内容の範囲について」です。事務局より資料の説明をお願いします。
○加藤看護課長補佐 資料1に基づいて、前回、「第1回検討会における主なご意見」について、ご説明します。まず1.ですが、「eラーニングを導入する上での課題と方索」として、(1)効果的なeラーニングシステムの構築についてということでご意見をいただいております。学習の質を担保するためには、受講生の成績もデータとして残り、教員が指導に活用できるLMS(ラーニングマネージメントシステム)が必要なのではないか。専任教員養成においては、理論と実践を結びつけた教育が重要である。理論と実践を結びつけるため、通常は、受講生同士がグループで、あるいは2人で討論やシミュレーションを行っている。eラーニングでは対面して討論する方法の代わりにBBS(電子掲示板)システムを活用し「つぶやき」を行っているが、全く異なる視点からの意見交換により、受講生の視野を広げることができるのではないか。
 (2)学習効果の高いコンテンツ制作。講義形式のコンテンツの作り方はイメージがつくが、専任教員養成講習会の場合、講義の他に演習も入っておりますので、演習の内容が問題となる。演習の内容次第でコンテンツの作り方が異なる。eラーニングのコンテンツ制作担当者は「教員が実現したい授業」となるように、コンテンツ提供の形態などについて努力する必要がある。講師がコンテンツの中で、画面中央で解説するコンテンツがありますが、そういったコンテンツは内容を捉えにくい。音声や画面の中での講師の位置などもコンテンツの内容のわかりやすさの要因である。学習効果を高めるためには、随時授業評価に基づく教育内容の改善が必要だが、eラーニングの場合は、コンテンツ作成まで多くの人が関わるため、授業評価を共有して頻繁にコンテンツを改善していくのは難しいのではないか。コンテンツ改善の際、一画面が講師とパワーポイントで構成されるコンテンツというのがありますが、そういったコンテンツは改善のときに、映像を全て撮り直すことが必要となる。一方、画面がパワーポイントのみの場合については、比較的修正がしやすいのではないかといったご意見がありました。
 (3)受講者の意欲を高めるサポート体制の必要性。前回、早稲田大学からプレゼンテーションをいただいたところです。早稲田大学ではeラーニングで学ぶ学生を支援するため、修士以上の学位を取得している教育コーチを配置している。教育コーチは教員の補佐的役割を期待されており、メールなどで学生の質問に答えている。また、教員は受講者のモチベーションを上げたり、レポートに対する解説を行うなどの役割を果たしている。eラーニングを適用した場合、創造的な教育ができる教員を養成するためには、受講生をどのようにサポートすればよいかを検討する必要があるのではないか。eラーニングは、受講者が能動的でモチベーションが高くないとうまくいかない。受講者が能動的に学習し、クリエイティブな思考ができる教育が必要ではないか。eラーニングは自己管理しなければ学習時間が保障されない。受講生が職務を行いながら受講できるかどうかが問題。
 2.として「eラーニングを適用する教育内容について」、これは本日の検討議題です。eラーニングは「教育分野」に導入可能ではないか。「専門分野」については、受講生同士が話し合いながら学ぶことが学習効果をあげる。
 3.eラーニングと集合研修の組合せ方について。eラーニングによる演習も可能であるが、スクーリングを行うとか、オンデマンド授業と対面授業を組み合わせる工夫が大切である。専任教員養成講習会の基本の考え方として、eラーニングのみならず集合研修も必要である。eラーニングと集合研修の組合せ方も課題である。
 4.として「受講期間と教育効果からみた講習会の実施方法について」。受講生が十分な学習時間を確保できない中で、複数年にわたる履修も可能とするのかという判断も必要。学習の順序性や、演習を通してさらに自分の課題を見つけることができるような教育の方法について検討する必要がある。
 最後に「その他」として、行政資料、白書以外の著作物や資料等をインターネットを通じて送信する場合は、「公衆送信権」に抵触するため、利用の承諾が必要となる。承諾の費用が巨額になる場合がある。このようなご意見をいただいております。
 次に資料2と3を続けてご説明します。
○島田教育体制推進官 資料2と3について説明いたします。まず資料2ですが、最初に「資料2」と番号を振った1枚、次に1~14頁まであります「訪問看護eラーニングへようこそ」という日本訪問看護振興財団のPR版です。
 1枚目の資料2は財団法人日本訪問看護振興財団にヒアリングをしまして、説明していただいた内容をまとめたものです。この「訪問看護eラーニング」については、平成15年度から開発が始まり、平成18年度から運用されているプログラムです。本年度、第8回日本e-Learning大賞の奨励賞を受賞したプログラムです。なお、この「訪問看護eラーニング」は、日本訪問看護振興財団が訪問看護の知識を必要とする看護師等を受講対象者として、実施しているものです。
 では、ヒアリングの概要をご説明します。平成22年度の運営状況ですが、このプログラムは申込み後の視聴可能期間が5ヶ月間で、受講料が1万5,000円となっています。受講資格は訪問看護の知識習得を目指す者、一般の方も含まれています。受講者数は平成22年度で1,007人、修了率が85.3%でした。
 このプログラムに含まれる総レッスン数は57レッスン、1レッスン当たり10~30分と長短があります。ここで言うレッスンとは、一般的に言うコンテンツとお考えいただければよろしいかと思います。
 このレッスンの特徴ですが、90%はパワーポイント中心のコンテンツで10%は映像が含まれています。映像は実写映像、あるいはシミュレーションの画像を組み合わせたような映像です。学習に必要なテキストをダウンロードできるようになっています。 学習の評価は、レッスンの内容のまとまりごとに、択一式の確認テストを実施する仕組みになっています。1回のテストは20問で構成されて、14問以上正解した場合に合格となります。合格するまで何回でも試験を受けることが可能となっています。問題はプール化されていて、何度か試験にトライする度に、ランダムに組み替え出題されます。
 修了要件は全確認テストの合格と、映像以外の全57レッスンの視聴で修了とすることになっています。
 こうしたeラーニングを受ける受講者のいろいろなデータの管理、受講支援のためにチューター制度をとっています。財団の職員2名が、受講生の質問にメールにて対応するという制度です。チューターの回答時間は、勤務時間に当たる9時~17時です。昨年度、平成22年度の質問の対応件数ですが、169件でした。これは1,007人の受講者からの質問の総数です。
 チューターはもう1つ、受講促進のメールを受講生の方に送って、受講を促す、動機づけをするという役割もとっています。また、別途ベンダーにヘルプディスクを設置しまして、パソコンの操作、LMS画面に関する質問などはベンダーが対応しています。
 平成15年度に開始されて、いままで運用されていますが、コンテンツの改善も行われています。平成23年度と平成24年度に、大規模な改訂を行うことになっています。また、複数の受講生から同じ質問があった部分については随時修正を実施したところ、結果として受講生からの質問が減少したとのことでした。統計またはデータ上、訪問看護に関する知見の更新がありました場合は、随時それも加えて、改訂を行っているとのことです。
受講者からのアンケートの評価を見ますと、概ね全体的に満足、肯定的なアンケート結果となっています。「満足であるか」については、「全くそう思う」と「ややそう思う」を合わせて97%。「理解しやすいか」は「とても理解しやすい」「理解しやすい」を合わせて94%が肯定的な回答になっています。「実践に活かせるか」は98%が肯定的に回答しています。「操作性・機能」についても、肯定的な回答です。「今後、望む研修方法」についても、また「次のステップもeラーニング」、あるいは「ビデオやDVD等」という希望もあります。
 他に受講生・運営者からの意見についてもまとめました。受講者側からは、コンテンツごとの教育内容のつながりなど、カリキュラムとしての一貫性に不安を感じるというご意見があったと聞いてまいりました。それから、テキスト中に「よくある質問」は、授業の内容に含めて欲しいということ。テキストのダウンロード・印刷は、時間と経費が非常に負担であるという意見もあったとのことです。
 運営者側の意見としては、確認テストの合格が、イコール、はたしてその訪問看護の能力を獲得したかどうか、という確認には限界があるということでした。また、受講者同士の交流が困難であることに着目しており、SNS(ソーシャルネットワークサービス)の活用も検討しているということです。
 次に訪問看護のPR版資料をご覧いただきます。まず5頁です。いちばん上に、このパワーポイント主体のコンテンツの画面の作り方が書いてあります。この画面には文字が書いてありますが、音声が出ます。この文字で連ねた内容に対して、相当の解説を加えるという作り方です。
 9頁を開いていただきますと、「在宅ホスピスケア、家庭で看取ること」という画像の一部が示されています。これは実写の映像を、許可を取って使うタイプのコンテンツです。10頁を開いていただきますと、下に少しマンガ的な絵がありますが、これはシミュレーション画像になっておりまして、基本的な画像の上に、必要な要素の絵が後から加わっていくというコンテンツの作り方です。11頁の上ですが、これはチューターへの質問の仕方でして、こういった画面が操作できるようになっています。発言一覧または新規発言をクリックして、書き込みをして、チューターに送ります。 11頁の下は、最後のアンケートです。このアンケートを送信しますと、全部のコンテンツを修了したことが確認されます。12頁、13頁は修了要件を確認した結果、修了証書発行の手順等が示されています。
 ただいま非常に概略的に申し上げましたが、前回の検討会でご覧いただきました早稲田大学のコンテンツになかったタイプのものを、お示ししました。デモンストレーション版を借りてきましたので、少し見てみたいと思います。これはパワーポイントを解説するというタイプです。
              (パワーポイント開始)
 「このコードの狙いは、急変時の状況に応じて、適切な対応ができることです。この訪問看護の利用者は、何かしらの疾患を持っており、しかも、高齢者が多いため、予測できない変化を起こす可能性を常に念頭に置いて、看護に当たる必要があります。しかも訪問看護師が急変の場に居合わせたり、急変の第一報を受けることが多いと考えられますから、急変時の看護を日頃からしっかり学習しておく必要があります。
 ここでの目標は、1.急変時の対応の意義と必要なシステムが理解できる。2.急変時の症状の特徴を理解し対応できる。としました。急変時に適切な対応をするためには、急変時の対応だけではなく、連絡や報告のシステムを日頃から整えておくことが大切です。また、急変といっても、原因や症状は様々ですから、ここでは比較的多い症状を挙げますので、それぞれについて特徴を理解し、対応できるようにしてください。
 まず急変とは、どのような状態を言うのかを理解しましょう。報問看護利用者は……」
              (パワーポイント中断)
 これは説明の進度に合わせて、自動的にパワーポイントが切り替わっていくタイプです。
              (パワーポイント再開)
 「可能性は少なくありません。つまり、これらはある程度予測される変化と考えられるでしょう。安定した在宅療養のためには、訪問看護師にはそれらの変化をできるだけ回避し、変化が生じたときには早期に発見する責任があります。ところが、最大限予防できる変化を回避した上で、予測されていない変化が突然起こる場合があります。」
              (パワーポイント中断)
 では、次に実写映像のタイプです。
              (パワーポイント再開)
 「訪問看護師と実習生が、一人暮らしの田中さん宅に訪問しました。
『おはようございます。タナカさん、訪問看護ステーションのナカオです』
 お名前を呼んでもタナカさんの反応がありません。
『タナカさん、タナカさん、わかりますか! わかりますか!』
『意識がないので119番通報と、あと先生に連絡してください』
『わかりました』
『それからAEDが来ますから、取ってきてください』
『はい、持ってきます』
 実習生は救急車を要請し、主治医に報告した上で、AEDを借りに行きます。
 患者の意識がなければ、気道の確保を行います。
『気道を確保』
 気道確保したまま、胸の挙状を診て『呼吸、脈拍の確認』『診て』、呼吸音を聴いて『聴いて』、息を感じて『感じて、4、5、6』、呼吸の有無を判断します。
 この3つの要素が大切です。『7、8、9、10』」
              (パワーポイント中断)
 次にシュミレーション画像にいきます。これは操作上、本日は音声が出ませんで、申し訳ありません。こちらは全部音声が出ます。これは、マウスでクリックをして、音声に合わせてという形で、このようにして実技を学ぶという仕組みのコンテンツがあります。
              (パワーポイント終了)
 あとは先ほどのペーパーで説明しましたので、割愛しますが、パワーポイントではあっても相当の説明が加わることをご紹介しました。
 続いて資料3の説明をさせていただきます。資料3は、「平成23年度専任教員養成講習会の教育方法及び評価方法の実態」です。いちばん上にありますのは、11都道府県の実施状況の概略をまとめたものです。その次に別表1及び別表2といたしまして、折込みの資料を2部付けてあります。まず折込み資料の概要を説明させていただき、それをまとめるとどうなるかを資料3に戻ってお話したいと思います。
 別表1は今年度講習会を実施している11都道府県別で実際に行われている授業の内容及び単位数及び時間数を並べたものです。赤い文字のところが、実際の実施要領よりも単位数を増やしている、あるいは時間数を増加させていることを示しております。また、赤い文字で授業内容をお示ししている部分につきましては、授業内容の構成を多少変更している、あるいは全く新しい授業内容を付け加えていることを示しております。
 教育分野は4種類に色を塗り分けておりますが、これは教育原理、教育方法、教育心理学、教育評価のそれぞれに対して時間の配分、その組合せのパターンが4種類あることを示しております。
 別表1は授業内容別に実施箇所数、単位数、時間数、授業の形式、授業の具体的な方法、評価の方法についてまとめたものです。基礎分野は各都道府県が4単位90時間の内容を自由に設定することができると実施要領で示してありますので、11都道府県でこれだけの授業内容が設定されておりました。そして、それぞれの実施箇所数等の内訳は、そこに記されたとおりでございます。これにつきましては、まとめてお話をしたいと思います。
 別表2はすべての区分、教育内容、授業内容につきまして、その実施箇所数、時間数等を列挙したものです。これで見ますと、授業の形式は講義と演習、そして演習はグループワーク、場合によってはPBLという課題解決型学習にまで発展した方法で行っているところがあります。その他の授業方法として挙がってきておりますものが、インタビューとか、体験学習、計算とか統計上のそういった処理の体験、これも体験学習に含まれると思いますが、そういったもの、あるいは模擬患者とのロールプレイ、現場で一部実施してみる、または見学といった教育方法です。
 評価につきましては、出席だけで評価をしているという所もあります。専任教員養成講習会の実施要領とガイドラインにおきましては、単位を与えるために、何らかの形で評価をすることが望ましいこととしておりますが、専門分野からそういった体制を整えていけばよいということで、まずは出席のみで評価をしていることもあります。その他に、評価資料としまして、グループワークの参加度とか、発表の態度とか、発表内容、そういったことを見ている状況があります。
 資料3の1枚目に戻りまとめて説明いたします。単位数と時間数について、こちらの実施要領では34単位855時間を標準としているのですが、実際には34~38単位、総時間数は855~1,220時間と幅がありました。
 各分野に共通していることとして、同じ授業内容であっても、都道府県によって単位数が異なっている授業内容がありました。また、同じ授業内容・単位数であっても、評価の方法が異なっているものがあり、出席時間を満たすだけで単位を認定している場合もありました。
 基礎分野については先ほど申し上げましたが、11箇所で合計18の授業内容を設定しており、3箇所が専任教員養成講習会実施要領の標準を超えて単位数と時間数を増加させておりました。
 教育分野の時間の配分の組合せですが、4パターンあり、授業内容別に整理しますと、教育原理に30時間を当てている所が9箇所、15時間を当てている所が1箇所、教育原理に教育課程を新たな内容として加えて、5単位120時間で実施している所が1箇所ありました。教育方法では、30時間で実施している所が5箇所、15時間で実施している所が6箇所でした。教育心理学ですが箇所数に記載誤りがありまして、30時間で実施している所が6箇所、15時間で実施している所が5箇所です。教育評価は、30時間で実施している所が1箇所、15時間で実施している所が10箇所でした。
 専門分野ですが、8都道府県、箇所数で申し上げますと8箇所が、1つまたは複数の授業内容の単位数及び時間数を増加させています。4箇所が授業内容の単位数を増加させています。4箇所が授業内容を追加しています。2箇所が授業内容を変更しています。
 区分のその他については、別表2の裏にあります。11箇所で合計25の授業内容を設定しております。1箇所が単位数を増加させています。3箇所が単位を付与しない特別講義を加えて設定しています。1箇所が単位を付与しない授業内容を275時間設定しております。ここは、専任教員養成講習会に加えて、ほかの資格を取得するための内容を合わせて実施している所です。この275時間の授業を設定している所は、その他に含めるべき2単位は本来の授業の区分に加えております。別表1のDです。
○坪倉座長 ただいまの説明についてご質問がございましたら、お願いいたします。よろしいですか。では、本日の議論に入ります。事務局に、本日の議論について説明していただきます。
○島田教育体制推進官 資料4に本日の論点をまとめておりますので、読み上げてまいります。第2回検討会における論点です。
1 専任教員養成講習会における授業の方法、評価の方法からみた、eラーニングになじみにくい授業内容はなにか。
1)授業の方法は「講義形式」「演習形式」のいずれか、あるいは組合せて行われているが、「授業の形式」を考慮する必要があるか。考慮するとすれば、eラーニングになじみにくい授業の形式はなにか。
2)評価の方法は、「レポート」「テスト」「出席のみ」のいずれか、あるいは組合せて行われているが、「評価の方法」を考慮する必要があるか。考慮するとすれば、eラーニングになじみにくい評価の形式はなにか。
3)「基礎分野」「その他」について。?都道府県が自由に授業内容を決めることができるため多様な授業内容が設定されているが、eラーニングの適用をどのように考えるべきか。?授業内容が同じであっても1単位あたりの時間数の設定が異なるが、eラーニングの適用をどのように考えるべきか。
 4)「教育分野」について。?同じ授業内容であっても1単位あたりの時間数の設定が異なっている場合があるが、eラーニングの適用をどのように考えるべきか。?専門分野の授業内容の基盤となることから、教育内容の平準化を図るために、eラーニングを適用することとしてはどうか。
 5)「専門分野」について。?「看護論」「看護教育課程」「看護教育方法」のように「講義」と「演習」から構成される教育内容について、eラーニングの適用をどのように考えるべきか。?「看護教育課程演習」「看護教育方法演習」「専門領域別看護論演習」「看護教育評価演習」は、授業が「グループで課題に取り組む演習」「個人で課題に取り組む演習」のいずれか、あるいは組合せて行われているが、eラーニングの適用をどのように考えるべきか。
 2 専任教員養成講習会修了時の到達目標と主な教育内容の観点から、eラーニングになじみにくい授業内容はあるか。これにつきまして、参考資料「ガイドライン抜粋」を添付してありますので、こちらを踏まえてご検討いただければと思います。参考資料は、講習会終了時における到達目標、そしてその到達目標を達成するために必要な主な教育内容をまとめた表2になります。めくっていただきますと表2の構造を図式化した図2「教育内容の構造」があります。それから、ガイドラインに示しております各授業内容のおよその主な内容を列記した表3を抜粋しておりますので、ご参考までにご活用いただきたいと思います。
○坪倉座長 ただいまの事務局よりの本日の論点の説明がありましたが、これでよろしいでしょうか。ほかに論点はありませんでしょうか。よろしければ資料4の論点について順番に議論していきたいと思いますが、この進め方でよろしいでしょうか。論点1では、eラーニングになじみにくい授業内容はなにかについて、ご議論いただきます。論点1の1)授業の方法は「講義形式」「演習形式」のいずれか、あるいは組合せで行われているが、「授業の形式」を考慮する必要があるか。考慮するとなれば、eラーニングになじみにくい授業の形式はなにかということで、これについて皆様のご意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。三妙構成員、いかがでしょうか。
○三妙構成員 授業の方法にはいろいろあるのでしょうが、私もこの辺がいちばんポイントかと思っています。この前の早稲田大学のプレゼンでありましたように、講義形式の場合は、eラーニングでも聴いていてわかり、理解もしやすい。あとから何度も復習を重ねて確認することはできると思います。そういうことでは、こういう講義形式のものは、いまの時代ですから取り入れていくことができると思います。
 ただ、科目ということを十分検討していかないと、すべてに使えるということではないと思います。ただ、コンテンツをいろいろと工夫できるというものがありますので、それは工夫次第ではできるかもしれません。看護の教員を育てるというところがこの講習会の主な目的ですから、ただ知識を付与する、講義をする、授業をするテクニックを覚えるというだけではなくて、教師に必要なマインドというかハートといいますか、そういうものを伝えていくのが教員を育てるところでは大きい要素かと思うのです。すべてeラーニングでということになると、本当にマインドが伝わっていくのかという思いがいま私の中にはあります。何か参考のご意見があれば聞かせていただきたい、前回の検討会に参加して、私の中にそれがいまもずっと残っているところです。
○西村構成員 まずeラーニングと言った場合に、何をもってeラーニングとするかという定義の話があると思います。たぶん今回ご紹介いただいたコンテンツ、パワーポイントを中心としたり、動画が入っていたりというようなものと、私どもが中心としているeラーニングとは違うものを指していると思います。それは私たちのeラーニングというのは、eラーニングと従来では言わないものだと思います。つまり、教室でやっているものを収録して、それを単に流しているだけです。そういう意味では、大学でやっている、教室でやれるものはすべて出せると思っています。
 その一方で、今回作り込まれたeラーニング、あれはスキルを養成したりするコンテンツであって、従来だとCAIとか言われたトレーニングマテリアル、ドリルみたいな形です。それも用法によっては非常に有効であることは確認されていまして、例えば演習で何か実習、我々もスクーリングのある科目、必修ではないのですがいくつかあります。体育実技とか、臨海実習、ウニの発生を調べたり、ネズミの解剖をしたりする実習もあります。その場合はスクーリングで2日来てもらいますが、2日だとせいぜい詰めても8~10時間ぐらいしかできませんから、残りの部分はこういったオンデマンドコンテンツというか、実習のために、あらかじめ学習しておいてほしい問題をやって、対面のときに実際にネズミの解剖をしたり、ウニの発生を観察したりと、そういうスキルを確認する、あるいは付けるためのコンテンツとしてのコンテンツは、非常に利用価値があると思います。
 その一方で、いちばん我々が気をつけなくてはいけないのは、普通の大学でやる講義をただ声だけでパワーポイントにしたのだったら、要は本の目次をパワーポイントにしてパチパチ切り換えて言っているのだったら、本を読めばいいではないかという話になります。
 そういう意味でマインドとおっしゃったところは、人間がしゃべっているところをどういうふうに黒板を使ったり、戸惑ったり、考えたりと、その姿をなるべく生の形で学生に伝える。あるいは学生からのフィードバックに対して直接応えることができますので、大きく分けてeラーニングといっても2とおりあって、それぞれが何を伝えるべきか、どこで使うべきかは、自ら明らかになっていると思いますし、それからやっていけないことは、テキストで読めばわかることをただパワーポイントにして流している、それがeラーニングだと思うのが一番いけないのではないかと考えております。
○坪倉座長 いま先生から、何をもってeラーニングとするかを深く読み込んでいかなくてはいけないというご指摘だろうと思うのですが、中でも特にオンデマンド的に見ながら、あらかじめ予習をして、そしてスキルの確認をするというタイプの場合に、特に注意をなさっていることと、そういう工夫というのは、授業を流すときとの大きな違いは、何かございますか。
○西村構成員 それは対面との組合せにおいてやるという場合は、従来、我々は実習があるときは実習マニュアルみたいなものを作って、学生にあらかじめ読んでおきなさいと、通学生に対してはやっていたのですが、それを基にして、ただ、それでも通学生の場合は疑問があればその場で質問ができますが、通信教育課程の学生はそれができないので、そういう場合でも、流しっ放し見せっ放しではなくて、フィードバックを掛けたり、課題の理解度をチェックすることは行う。その辺は、eラーニングだからといって放っておかないという意味です。やはり指導員が後ろに付いていて、機動的に指導ができるようにしています。
○坪倉座長 フィードバックのために、幾重もいろいろな方法を重ねていかなくてはいけない、ということと理解してよろしいでしょうか。
○西村構成員 そうです。
○高橋構成員 今日の最初のいろいろ議論しているeラーニングはなじみにくい授業内容ですね。私は前も言いましたように教員養成をやっておりますから、大学で教育学を教えるときに、自分としては、小学校・中学校の現場がまずあって、大学の教室に自分がそこに居て、もしその中にあるパワーポイントとか情報を流すときには、今度はその教室のある部分、パーツを情報として提供すると。つまり、現場と大学の教室と、そしてパーツというふうに1個1個考えている。
 例えば、いま小学校で子どもたちはこういうことがあるんだよというときには、なるべく現場の、先ほど映像がありましたね、何か急変のときの患者など。ああいう情報を流して、なるべく教室を現場に近くしたり、また、部分的なスキルとか情報を流すときには、今度はそれは教室空間の中で、ある位置づけがあるような形で、例えばこの授業の板書に関しては、こういう全体の中でこういう板書の仕方があるし、これはまずいよねとか、これはいいよねというふうに意味づけを必ずして、あるいは縁取りをしながら情報提供ですね。
 つまり、医療で言うと看護師と患者と、そういうフィールドや現場をしっかり押さえながらだんだん抽象化していく、あるいはメジャー化していくことはいちばん大事だと思うのです。という点から言うと、eラーニングは、いまいろいろな技法が開発されていて、それはいいのだろうけれども、先ほどのあれですと、患者が寝ているけれども、先ほど診る、触る、感じるというお話があったのですが、触ったときの感触とか、感じるときの感触とか、例えばそういう臨床的なといいましょうか、そういうものは非常に難しいところがある。だからといって私はもちろん反対はしませんが、そういうものをなるべくすくい上げるのも大事かと思っています。だから、情報やスキルはある意味ではパーツですから、これは結構流しやすいのですが、そういう段階を追って、いわば身体的なものから抽象的なものへ抽象化していくときに、こぼれてしまうものをしっかりすくい上げる作業が大事かとは思っています。
○坪倉座長 もう少し、具体的なものから抽象化していくときにこぼれるもの、教育者を育てるうえでの教育上の。
○高橋構成員 そう、そう、そう。もう少し言いますと、例えばよい看護教員を育てるときに、先ほど三妙先生がおっしゃったように、もちろんみんなの目を見て話すとか、あるいは大事なところはこういうポイントを付けてやる、提供することは大事だけれども、つまり先生はそういうことに一生懸命頑張っているんだよね、好きなんだよね、教師ということがね、それが伝わるように、例えば情報は、栄養価があるメッセージではなくて、おいしいよとか、そういうものを食べると自分の身になるんだみたいな、そういう情意的なメッセージを付加しながら、提供しなくてはいけません。私はそういうところを是非大事にしてもらいたいと。
○坪倉座長 三妙構成員がマインドをどう伝えるかというところと、極めて情意的なものをどう関連させて教育するかということに関わってくるかと思いますが、まだご意見があると思いますが、あとでまたご意見を伺いたいと思いますが。評価の関連で次の論点1の2)に移ってまいりたいと思います。評価の方法は、「レポート」「テスト」「出席のみ」のいずれか、あるいは組合せで行われているが「評価の方法」を考慮する必要があるか。考慮するとすれば、eラーニングになじみにくい評価の方法はあるのかということについて、これについてはいかがでしょうか。
○鎌田構成員 平成23年度から単位制が入ってきましたので、福岡県でも単位制を導入するに当たっては、これは評価の方法は十分に考慮しないと、使途、方法も含めて講習会としても平準化しないのかとは思います。そのときに授業の中でeラーニングとなると、どちらかというと一方的に講義を聴くみたいな形になったときに、受講生がいかにどのような質問をするかと、その質問と仕方、あと講義との関連性をどう評価するのかといったところが見えてくるのかは、ちょっと気になるところなのです。
 先ほど島田推進官の事例の中で訪問看護のeラーニングの話がありましたが、そこの評価を見てみると、何か質問が減少したといったところで、それをいいような、減少したからいいのだみたいな評価が出たかと思うのですが、本当に質問がなくなることがいいのかどうかといったところをすごく疑問に感じます。講師と受講生とのやり取りは大事なのかなと、それも1つの評価のポイントに入るのかと思っています。
○坪倉座長 各都道府県で実際に評価をなさっている状態ですが、やり方も非常にさまざまなのですが、これをどのような現象とお考えなのですか。これはeラーニングとの関連づけで考えるならば、鎌田構成員のほうで何かお考えがあれば。
○鎌田構成員 たぶん評価についてまだ導入されたばかりで、各県がどうやっていいのかは模索しながらやっている段階だろうと思いますし、福岡県もたぶんいくつかの科目では出席のみというのもあるかもわかりませんが、基本的には出席とそのときの授業態度は、講師の先生に受業態度はかなり見てくださいというふうに私どもも伝えていますので、基本的にはテストであったり、質問の仕方であったり、あとレポートといったところで評価を福岡ではしておりますが、あとは厚労省から出ているガイドラインに沿った目的、到達度というものが到達できればいいのかと思いますので、それはまた次年度コンテンツの考え方、評価の仕方といったところで平準化されたら、各都道府県はやりやすいのではないかと思っております。
○坪倉座長 ほかに何か、評価の観点でのご意見はありませんか。
○三妙構成員 評価の方法はいろいろな方法があるのですが、これがeラーニングになったからといって、これでないといけないというものではないと思います。私はどんな方法でもあると思うのです。集合研修で評価するときも、教えられた内容に対して、きちんとレポートで確認したり、テストをしたり、出席をもってOKとする科目もあるでしょう。きちっとレポートで評価することはできると思います。出席といってもeラーニングでは、履歴が残るということですので、それを出席という見方にをすればできるのかと思います。だから、eラーニングになっても、それはどの方法を取るかは、それぞれの科目の目標に応じた評価の方法を考えればいいのではないでしょうか。
○坪倉座長 三妙構成員も、履歴管理とともに行えば、いかなる方法であろうとも評価はできそうなので、そう問題ではないというご指摘なのですね。
○三妙構成員 はい。
○坪倉座長 ほかには。eラーニングとの関連で評価方法のご経験でいかがでしょうか。
○西村構成員 私どもの主な評価方法は、多くの科目はレポートと小テストとBBSへの発言、この3つを組合せて評価しています。というのは、まずオンデマンド授業ですと、クリックしてどこかへ行ってしまっても、出席にはログを通しては見ているというふうになってしまいますので、まず、見たら、ポイントを見れば大体解けるけれども、見てないと全然できないような理解度確認の小テストをコンテンツごとに付けます。それを出席代わりにします。
 それプラス、授業に参加しているところをとるために、BBSで発言することを義務づけたり、あるいは義務でなければ奨励したりして、BBSの発言に対しても、内容によっては点数を5段階で付けて集計するシステムも持っています。だから、それを平常点としています。最後に、多くの科目では2,000~3,000字程度のレポートを課しています。それの組合せで採点する科目が多いです。
 あと残り、スクーリングが伴うものはスクーリングのところでどれだけ理解しているかを確認したり、そのあとレポートを出したり。あといちばん大きなところは、うちは卒論を全員に課していまして、卒業論文を3万字程度書いてきますが、それをきちんと本人がやったかどうか確認するために、最後に口頭試問です。全部集めて自分の論文に対して口頭試問を15分程度行って、それをビデオ撮りにして全教員が見られる状態にしております。ですので、ものによっては、数学的なことなどは、集めて試験をやってもいいかと思っていますが、幸いそういう科目はあまりないので、おっしゃるとおりあらゆる組合せ、授業に最適なものを取っていけばいいと考えております。
○坪倉座長 見ていないと絶対的に答えられないようなものに、少し制限をかけて評価なさるということと、それから、平常のものと総括とをうまく組合せて評価をしていくということでしょうね。ほかに何か懸念されることとかなじみにくい観点では、いかがでしょうか。
○高橋構成員 いま西村先生のお話を伺って私も納得したのですが、eラーニングの学習の中に参加度とか、小テストとか、発言とか、そういう普通の授業の中であるようなことをチェックなさっている。それから、卒業論文を3万字課す。しかも、それがどこかからのコピー受けではなくて、きちんと口頭試問をするような、非常にきめ細かなチェックが入っていますよね。私はそれが非常に大事だと思うのです。
 というのは、よく言われるのは、基礎・基本はこれで、応用はこれでということは、私は基礎・基本はそれ自体であまり意味はないと思っていて、応用にそれが使われて基礎・基本なのですね。もっと言えば、講義は演習の中で使われて講義の内容がはじめて発揮されるわけです。講義は講義で完結していません。つまり、講義は演習のための前提なわけです。つまり、演習が本番なわけです。というふうに、そういうところをきちんとこちらが把握してないと、そういうところの話をいま伺っていて、すごくチェックが進んでいるなという感じがしました。
○坪倉座長 先生のご指摘は、それぞれの教科というものの構造、次に何に進んでいくかということの認識がないと、単に同じように評価しても駄目なのだということですね。その性質にかかっている。
○高橋構成員 そうです。構造的に、どういう受講生をつくりたいのかということがまずあって、それにすべて向かっていくということです。
○坪倉座長 それは普段の講義でも同じですので、そのことの延長線上にeラーニングもきめ細やかに計画していくということが必要なのですね。
○高橋構成員 そうです。
○坪倉座長 次の議題に移ります。論点1の3)の「基礎分野」「その他」についての議論を進めたいと思います。?で、都道府県が自由に授業内容を決めることができるため多様な授業内容が設定されておりますが、eラーニングの適用を考える場合にはどのように考えるべきということで、よろしくお願いいたします。
○三妙構成員 いま、ここに資料で出されている各都道府県の実施内容が多岐にわたっているというのは、このガイドラインや指導要領の中に何単位で、こういう分野でという方向性は出ているけれども、この科目にしなければいけないというのは出ていないですよね。だから、それぞれの実施主体で何が必要なのかを考えた結果、これだけのいろいろな科目が複雑に入っているという事実ですよね。その辺は、絶対必要な基礎分野はこれだという制限を少しかければ、科目の整理ができると思いますし、逆に選択肢を広げて、研修生、受講生の背景を踏まえて広くしたほうがよければ、科目をたくさん準備しておいて、両方の選択はできると思います。ただ、科目が多ければ多いなりに準備をするのは大変かとは思いますが、教員に必要な科目というのはありますから、それはある程度どこの都道府県も同じということだと思います。この中で言うと、教育分野とか専門分野はほぼ変わっていないというのは、そういうことだと思います。基礎分野とその他というのは、ある程度裁量権でそれぞれに行われているから、こういう多岐にわたる科目が出てきているという実態だと思います。それが良いか悪いかというよりも、そこにeラーニングを取り入れある程度バイアスをかけていけば平準化できると思います。
○坪倉座長 これは、もともと都道府県の実状に応じて、結果でこうなったということですか。
○島田教育体制推進官 恐らく良い講師がいるとか、専門分野の教育内容を考えたときにそれを補完する内容であるとか、、土台になるような内容は何かということから、このような授業内容が設定されていると思います。○坪倉座長 組み立てるときに都道府県によっては、非常に教育原理を分厚くしようというような教育方針の下にやったのか、それとも周辺からの講師が得やすさなどを考慮に入れ、そのマッチングで結果的にこうなったというのか、それぞれ幅が出てきた背景はさまざまにあるかと思いますが。鎌田構成員。
○鎌田構成員 福岡県でも長年実施する中で、本当に基礎分野がこれでいいのかというのは毎年振り返る中で悩むところで、他の県の情報を聞けばこういう分野を取り入れたいなと思うこともあるし、でも講師が見つからないなといった中で、例年考えているようなことでやってはいます。三妙委員も言われましたように、幅広い選択肢で少し整理する中で今後コンテンツを考えるときに、教員養成講習会で必須部分は最低限どの程度かといったものが示されて、プラスその選択肢で少し幅を持たせるような科目があって、そこを受講生が選択する。最終的に4単位60時間といったところで選択できればいいのかなと思います。実施する側からすると、ある程度示していただいたほうが、私たちとしては気が楽ではありますが、非常に現場では悩みながら、この科目は検討しております。
○坪倉座長 ?についてはご提示しませんでしたが、?の専門分野の授業内容の基盤となることから、教育内容の平準化を図るために、eラーニングを適用してはどうかというような論点にも入っていますが、いま三妙構成員からお話がありましたように、教員に必要なものは絶対的に何か固まってあるのだろう。ならばそれは提示したほうが、考えの違う各都道府県も、それに追随してきちんと教育内容も組めるのではないかというご提案だと思います。このあたりは、ほかに何かご意見は。
○高橋構成員 教育分野をやっている人間として。先ほどの資料に教育原理の内容として、目的とか歴史とか制度とかいろいろあって、「こういうのが羅列されちゃうんだ」と思ったのですが、もともとはプリンシプル・オブ・エデュケーションですから、教育の原理、原則で、教育とは何だみたいな、あるいはどういう教師や親が望ましいのかとか、子どもが学ぶとは何だみたいな原理と本来は結び付いた形で内容があるべきですが、実際は基本が歴史だったら歴史だけがザラザラとあって、制度だったら制度で、小学校ではこうです、幼稚園ではこうですという話。私はやはり原理、できれば教育のいわば、学校の教師として必要なものは何なのか。例えば、私たちだったら生徒を愛する、生徒に対して必要なものを一生懸命に伝えていく、彼らが学ぶのを支援できるという、いまの社会でいちばん大事なもの、学校以外にはなかなか育てることができないものを学校の教師が背負うわけですので、そういうところを集中的にしてほしいのです。もしこれが仮に標準化が歴史である、制度である、内容がこれこれだというふうに、わりあい学問の系列だけでやられてしまうと、先ほど先生もおっしゃったような教師としていちばん大事な資質とか思いとか、そういうものが消えてしまう心配が若干あるわけです。その辺を注意していただきたいと思います。
○坪倉座長 1単位あたりの時間数の長い短いについて、eラーニングとの関連でそれは大した問題ではないでしょうか。
○西村構成員 私どもは、基本は通学生の講義をそのままコンテンツにしているので、講義の時間は変わりませんが、設置基準を見ると45時間の学習で1単位なので、何もコンテンツだけではなくて課題が付いていれば、その課題をやってフィールドワークが重ねていたりすれば、それを含めて単位で換算すればいいので、同じ内容であってもここに何か別のものが組み合わされば当然時間は変わってくると思います。韓国の基準は、たしかオンデマンド講義の時間に決められていて25分で15週ぐらいで1単位となっていましたが、我々は基本的には通学生の授業をそのまま取っていますので、90分の15週で2単位。実際の学生の行動を見ても、そのあと2時間ぐらいレポートを書いたりしているので、単位の実質化ということでは、ある程度達していると思います。そういう意味で、ただ講義を聞いているだけの時間ではなくて、どれだけ学生が取り組んでいるかが図れるようなことをすれば変わっても構わないような気がします。
○坪倉座長 ちなみに、その25分というのはかなり構成化された25分ですか。
○西村構成員 韓国の授業を見ると非常に圧縮されていますから、その中には課題が緻密に配置されていて、取り組むには25分の講義だけれども、実際、その科目を1回やろうとすると3時間ぐらいかかってしまう形です。大体、韓国のeラーニングはパワーポイント式が多くて、ポイントしかなくて課題が挟まっているので、自分で取り組む学習教材という意味ではそれぐらいの。そこで1時間半もそんなことをやられてしまうと、その数倍は時間がかかってしまうので成り立たないのだと思います。
○坪倉座長 本来的な1単位の45時間という中で、どういう切り口で、あるいはどう圧縮してやっていくか。結果的には45時間の労力を使うということですか。
○西村構成員 日本とは基準が若干違いますが、どれだけ学習しているのかということで単位を与えている。
○坪倉座長 自主学習も含めてですか。
○西村構成員 はい。
○坪倉座長 わかりました。
 次の論点に進みたいと思いますが、よろしいですか。次は1の5)の「専門分野」です。「看護論」「看護教育課程」「看護教育方法」のように「講義」と「演習」から構成される教育内容について、eラーニングの適用をどのように考えるべきか。?の「看護教育課程演習」「看護教育方法演習」「専門領域別看護論演習」「看護教育評価演習」は、授業が「グループで課題に取り組む演習」「個人で課題に取り組む演習」のいずれかがあります。あるいは組み合わせて行っておりますが、eラーニングの適用をどのように考えるべきかというところで、ご意見をお願いいたします。
○西村構成員 具体的な研修内容はわかりませんが、私自身が3年生に対して行っている演習があって、それは卒業研究につながるものですが、大体毎年6名ぐらいの学生が受講します。基本的には卒業研究になると個別指導に近い形になりますので、それの前段階で卒論を書くときまでに必要な知識・技能を身に付けてもらう。どういうふうに実施しているかというと、最初のうちはガイダンス的なことをやりますが、基本的には毎週、学生一人ひとりに進捗報告、前週言われたことを受けてどういうことを勉強してきて、どういうことを感じたかということのレポートを出させます。それが日曜日の夜中に締め切りになります。学生は2,000字程度の進捗報告を書いてきます。それをもって月曜日の朝、私がそれをチェックして、月曜日の午後にスタジオに行って、それを見ながら1人あたり10分程度で「何々さん、ここはこうだけど、今度はこっちを調べてください」とか、「今度はこのことについて考えてください」とかの指示を与えて、それの繰り返しをやって演習としています。そうすると通学生でも似たようなことをやっているわけなので、結果、同等の効果が出ていると思います。
 でも、そこで言えるのはeラーニングでそれをやったからといって、教員の負担は変わらない。1つのeラーニング導入の目的でよくあるのは、多くの受講生に均等な教育をしようと。結局、個別指導になってしまえば、手間は同じです。ただ言えることは、そういった形の演習も実現は可能ではあるけれども、それ相応分の負担はかかってしまうということで、負担をかければできるけれどもということだと思います。集まっても同じだけの負担がかかる。
○坪倉座長 A学生のために10分間こちらからコメントを与える場合、B、C、Dの学生についてはそれを。
○西村構成員 共有します。1つの科目ですから、だんだん個別細分化されていきますが、最初のうちは共通の部分が多いのでみんなが聞きます。特に、進捗報告は全員が出します。それは相互に閲覧可能ですが、それを見て何々さんはここがポイント。Bさんに向かって、「Aさんのこの辺も参考になりますから、一緒に考えてみましょう」とか、そういう指導を。
○坪倉座長 事実上、集合での演習とよく似ているわけですね。
○西村構成員 はい。それが1時間という幅だったのが1週間という期間の中でやって、私的には締め切りのあとの午前中を使ってそれをチェックして、午後、集合するという形になりますから、月曜日はそれで1日つぶれてしまいますが、やればできるけれども決して楽にはならないという。
○三妙構成員 教員養成の場合の演習というのは、大体講義をしたあとに受講生でグループになって、課題を議論したり何か形のものを作り上げたりするのを集合研修でやります。そのディスカッションをしているところに普通はチューターというのか指導教員が入って、その流れを見ながらある程度の方向性をサゼスチョンすることになります。そうした際にeラーニングを入れたときに、画面で複数の受講生の議論というのはできるのですか。
○西村構成員 試みでやっていましたが、それは基本的に時間を共有しないとディスカッションができない。最悪BBSを使う手もありますが、結局のところ皆さんお忙しいので、ディスカッションにはならない。締め切り間際に意見表明をバーッとやって終わりになってしまう。だから、もしやるとしたら1週間単位でのディスカッション。つまり、1時間でやっていたところを10日に延ばす形のディスカッションになってしまいますので、非常に効率は悪いと思います。確かに、いまSkypeとかいろいろなテレビ会議システムを使えば6人から10人ぐらいはできますが、スケジュールを合わせるのが。特にe-スクールの場合は皆さんお仕事を持っていて時間が違うので、結局夜中。でも、夜中は教員は起きていたくないので、そういうやり方は向いていないと思います。
○坪倉座長 専門分野の科目は、ほとんど講義と演習がセットでやっていますよね。そうすると、講義だけはeラーニングを使って、演習はかなり難しいですから集合でという形のセッティングをする方法はできるかと思います。ただ、この演習を組み立てるにしても講義ありきの演習になって、演習でやっている最中も先生がおっしゃったように、講義でやったものが演習の中に出てきて初めて学んだことになりますから、そこは切り離せないということがあって、現実にいまも講義をやっていただいている先生も含めて、演習という形でやっている所が多いです。そうなると、そういうセッティングの授業の場合、本当に講義はeラーニングを使っても効果的なのでしょうか。
○西村構成員 うちの場合は、先ほどのスクーリングの例がまさしくそのやり方で、そこにいなくても各自でできる部分がある。それをどこまでできるかというのもある意味挑戦ですが、そこでやって、どうしても会ってやらなければならない、あるいは設備の問題で来てほしいというところだけで学習内容を構成しています。そういう意味では科目の構成の仕方ですよね。講義の部分と演習の部分の塩梅をどういうふうにやっていくかにかかってくるような気がします。
○坪倉座長 私の経験ですが、私が看護教師教育をやっていたときに各施設とか都道府県から推薦で入ってきますので、それなりにプライドと自信とやる気を持って入ってきますが、グループワーク等をやらせると自分の力が付いていたと思っていたところを、5、6人の話合いの中で自分の力の無さと実力というものをつぶさに見た。それから、いろいろな文献を読ませると最初はスポンジのように入るけれども、スポンジが染み込まないような経験をするということをリアルに討議をすると、「私も」とか、また次のやる気と、やらなければいけない、誰かの勉強の仕方をそばで見ていて、それを吸収していくような、えも言われぬ雰囲気の中で学ぶところをどうやっていくか。看護教師教育には講義もそうですが、演習と、そしてやってみてみんなの評価をもらうというようなことがあって、それを今度は教育実習で体現して、また戻ってくるというような一連のプロセスの中では、極めて大人の雰囲気の中で学ぶというのが、特に大人ですので、大人の雰囲気の中で自分の実力は思うようにいっていないところも実感するようなものもあったりしますので、そういうようなことも集合で学ぶ良さとeラーニングの合理性の中で、何か皆さんのご意見。
○高橋構成員 いま坪倉座長が大変大事なことをおっしゃいましたが、私はいい教師と言ったら簡単に言えば伸びていく教師です。成長がストップしていない。つまり、いまおっしゃった自分の認識不足、力量不足をわかってしまってガクッといくのではなくて、むしろそれを踏み台にして、もっと新しいいろいろな人の話を聞いて、「ああ、そうだったんだ」と感動しながら、それを自分の内側にどんどん吸収していける教師がいちばんいいと思っています。ただ、いちばんいい教師というのは、いまちょうど坪倉座長がやっていらっしゃるように、5人いてそこで司会、議長さんをなさって、そこでいろいろな意見を調整していますね。これが、いちばんいい姿だと思っているわけです。中世の修道院のようにレクチャーがいて、みんなが平伏してそれを筆記して覚えていくというのは情報伝達型であって、その人は人を伸ばすというのは非常に弱いわけです。既存の古い文化を伝達することはできても、それを使って、道具にして何か新しいことをやっている人間は、そこから生まれませんね、レクチャーでは。考え方の違い、ずれがあったり刺激し合ったりしながら、話が進んでいくのがいちばんいい教員ですよね。私はeラーニングを使いながらも、それができるようなことはしっかり保障してもらいたいなと思っています。
○坪倉座長 どのあたりまでeラーニングを活用して、その人を伸ばすようなプログラムをeラーニングの中に最大限、方法論として作り込める可能性もあることはあります。ですが、その構造をよく知らないといけないですね。この教員養成の教育課程全体の構造をよく吟味して、どういうところにeラーニングが十分に使えるかを考えていかないといけないと思いますが、追加のご意見はありますか。
○三妙構成員 私はいま教育現場にいて、教員養成を出た教員と一緒に仕事をしたり、逆に教員養成に行っていない、要するに看護師だった人が教員になるために先に学校に来た職員と一緒に仕事をしています。教員養成を出て基本的なことを学んで学生の指導ができている教員もいれば、中には教員養成を出ているけれども、そのあとの教育環境の中で十分にそこが育っていない人もいます。そういう人には、もう1回原点に戻って、教育とは何だったかなという形で問いかけたりして元に戻してあげているということがあります。教員養成の講師として行っていますから、教員養成で勉強したところを思い出してもらおうと思って連れて行ったりしています。逆に言うとeラーニングがもしできたときに、そういうところの補完には使えると思っています。
 看護師としてのノウハウは持っている。でも、教育のノウハウは全くないわけです。それでも最初に学校という職場に来て、そこで現場で先輩たちに教えてもらいながら、なんとか教師をしながら1年過ごして教員養成に行くわけです。そういう人たちはそこで新鮮な気持で学んでいますから、「教育の方法っていろいろあるんだな」とか「教育の評価っていろいろあるんだな」と少しは身に付けてもらえます。
看護の教員として育てるために、何をどこまでどういう環境を作ってあげれば本当に成長していくかなというのは未知数の部分がありますが、最初に教育について何も知らない人にとってはいろいろな場面をセッティングし、また関係性、同じような境遇にいる人たちと一緒にディスカッションして、その中で育っていくものがとても大きいと思っています。前回の会議のときにもそのニーズはどうなっているかを少し聞かせていただきましたが、確かに全国各地のいろいろなところで看護教員になろうとしているけれども、教員養成をする場所が限られていますから、行けない。行けないままで教員をやっていていいかということもありきちんと教育ができるチャンスを作るシステムとして、eラーニングの活用で教育に必要な知識を養う使い方ができる。何年も教員をしているけれども、少し古くなったかなと思う人たちが補完的にフィードバックするために活用する。そういう使い方だったらできるのかなと前向きに考えています。若い教員にとっては集合していろいろな経験をディスカッションしながら学んでいくのがいちばん大きいと思っています。
○鎌田構成員 確かに、eラーニングの適用というのは活用できる部分は活用してもらったらいいのかなと思いますが、実施する都道府県側からすると、例えば1つの専門分野の科目の中で、講義はeラーニング、スクーリングデータ、演習は都道府県が実施しようといったときにそれをどう評価して修了認定するかというところで、あまり入り交じりすぎると都道府県側としては、やりにくいなと思います。これを見たときに、基礎分野とか教育分野のあたりはeラーニングが適用なのかなと考えていたのです。あと専門分野になってくると、いままでも意見に出ていますが講義と演習、グループワークしながら密に担当の教員も関わっていますので、そこを分担しすぎると都道府県の役割は何なのかを少し考えるところはあります。どう関わっていったらいいのかが分からないかなと思います。
○坪倉座長 いま鎌田委員から、あとのシステムづくりみたいなところで注意しなければいけないというご意見もありましたが、また別途、それについてはまとめて話し合う機会もあるかと思います。そこで細かく論じていったらいいかなと思いますが、いまのはご提案ということで、入り交じるところが補完なのか、メインなのか、一辺倒なのかというところの組合せが、どういう科目だったらいいのか。そして、それはどういうねらいのときに適用できるのかということが、整理していかなければいけない課題としてあるかなということです。専ら出てきたのは、マインドをどう伝えるか。雰囲気の中で他者から学ぶとか、勉強の仕方に刺激を受けるということは、どう補完していくかというところで、そのあたりの組合せをどうするかということは課題になるかなと思います。この話題はこのあたりで終わりまして、ただいまお話しました1)から5)の間の議論に追加して、全体的に何かご意見がありましたらお願いいたします。
 離れるかもしれませんが、西村委員、韓国なんかは相当進んでいるのですね。先ほど韓国の話が出ましたが。
○西村構成員 インフラも進んでいますが、各地域ごとに拠点校というのがあって、そこが推進しています。韓国の場合はサイバー大学と作り込みの大きなコンテンツ、日本で言うと放送大学をインターネットでやっているような形で、質も結構高いです。ただ、それでも韓国ほど大学の入試が厳しい所はないので、ニーズとして高いかというとまた疑問なところもありますが、我々が早稲田大学でやっているのとは違う話かなと。我々はあまり作り込まないで、なるべく教室でやっていることを教室に来られない人たちに提供したいと思っていますし、あとはマスプロダクションではなくてeラーニングは実は個別教育につながる。つまり、大きな教室で学生一人ひとりの意見を聞くことはできないけれども、ネットを使えば一人ひとりの意見をすくい上げることができるということで、教育の改善という意味で着目しているところです。要は、これからどんどん教育の全体的なレベルを上げよう、技術教育を良くしようということであれば、技術的な議論を意欲の高い学生たちが自分で学習する教材としてのeラーニングは、韓国がやっていることだと思いますが、我々はそうではない。むしろ、常道をどうやってネットを使って伝えるかに興味がある。
○坪倉座長 拠点を作って、そこは中央から下ろすのですか。放送大学のような内容で。
○西村構成員 コンテンツは違います。各大学で作っています。
○坪倉座長 それでなじむものと仕分けをしながらやっているのですか。
○西村構成員 大学の課程としてやる場合と、地域の生涯教育のコンテンツとしてやっている場合があって、コンテンツを製作するセンターとして、そこの地域に指定された大学がコンテンツの作成と配信を担っている。日本でいうと、各県にある大学がそこの地域全体のコンテンツを全部面倒を見るという。
○坪倉座長 ありがとうございました。
○高橋構成員 これは次回以降の議論になるかもしれませんが、教育実習へ受講した方々がいるわけですね。看護学校で授業。私は、そのときのことをいつも頭に考えてカリキュラムを作るべきだと思います。実習でそこにいる看護学生たちは、きっと18歳から20歳前後で、中には「自分は看護師に向くのだろうか、向かないのだろうか」みたいな、いろいろな学生がそこにいます。私も何度か行っていますので、一応わかっているつもりです。今時の学生ですから、先生はいろいろなことに対して、受容の幅が広い人がいろいろな話をすれば、わりあいスッと入ってくるけれども、「しっかり覚えなさい。これが大事なのよ」みたいな形でやると、きっといろいろな反発も当然あり得るわけです。つまり、いまの若者を理解して、いろいろなことが学校現場で起きる中で、先ほどのこういう議論も含めてですが、臨機応変な対応ができる。また、当然学生たちの思いも雰囲気から自分で感じ取ることができるとか、相手の言いたいこともきちんと黙って聞いて、次の授業のリフレクションにするとかというのがとても大事だと思います。
 わりあい多くのカリキュラム、プロを作るときには非常に戦略的で攻めなのです。何を教えるか。どう教えたら効果的か。いまの若者は、自分がよくわからない人もたくさんそこに座っているわけです。それに対して「看護学って面白いんだ」「看護師って大事なんだ」ということがわかるような形で伝えなければいけない。それには相手の顔色、雰囲気、動きをきちんと察知して、喋らなければいけないです。そういうのは、どうしたらできるのかを是非考えてほしいなと思います。これは余分な話かもしれませんが。
○坪倉座長 高橋先生のご指摘は、まさに次の2の論点に非常に大きく絡みますので、そろそろ2の話に移りたいと思います。論点2については、専任教員養成の本質論から論点2の実態についてのいろいろ吟味をしていかなければいけないのです。参考資料を見ていただくと、先生がご指摘なさったような例えば1頁のDの欄に、看護教育における教育的判断で、ここにおいて臨機応変的に判断する。例えば、こういう到達目標が挙がっています。「ケア場面において、患者の反応や学生のケア提供による影響を見極め、援助の中止・変更を決定できる」とか、「学生がケアを患者の状態に合わせて安全に実施できるように、患者のベッドサイドで、ケアの改善点をタイミングよく助言・指導できる」というような、いままで習ってきたものを統合して、その場で体現できたり臨機応変的に判断できるようなもののために、教育とはどういう構成をしたらいいのだろうかという先ほどのご指摘と関連することだろうと思っておりますが、論点2では専任教員養成講習会修了時の到達目標と主な教育内容の観点から、eラーニングになじみにくい、あるいは授業内容とか内容等についてご意見がありましたら、出していただければと思います。高橋構成員から、到達目標との関連でご指摘いただきましたが、ほかに、この到達目標との関連で何かご意見がありましたら。
○西村構成員 これも、いちばん最初に言っていますが、eラーニングをどう捉えるかによりけりで、スキルを一定するための教材としてのeラーニングという意味では自ずからその限度は決まってくる。態度の育成とか、そういうところに到達目標を置くような場合は、確かに学生の顔色がチェックできるというのはいちばんいいと思いますが、そうでなくても私はeスクールを始めるに当たって、ほぼ全教員の授業を拝見しましたが、先生方は皆話がうまいのです。学生はそうではない評価ですが、90分間引き付ける能力があります。ということは内容ではなくて、話し方とか演ずる者としての教員であれば、ある程度情動的なもの、つまりその先生が、どういうふうにその事項を理解していて咀嚼していて伝えようとしているのかが伝わることさえあれば、落語だったら高座を見るのがいちばんいいですが、なければそれを取ったコンテンツを見る。でも、本を読んで落語の良さがわかるのは相当のところまで行った人でないといけないけれども、少なくとも教員が教室でどう話しているか。それをうまく伝えることができれば、ある程度のところまでは行くと信じております。
 フィードバックに関しては、学習コミュニティをどうやって育成するかという話だと思います。我々は対面でできないので、なるべく30人というクラス単位にして、30人に1人の教育コーチ。教育コーチはクラスの担任の先生みたいな形になって、細かく見て、レポートが遅れている子だったらアドバイスをするとか、そういうことをやってフィードバックを取るというやり方をしていますので、手をかければある程度のところはできる。もし、それが1,000人の授業で流しっぱなしだとできないかもしれないし、長い間スクーリングをやることは無理でも、例えば土・日を半年に2回ぐらい集めさせることは可能である。機会があれば短期間だったら来れるということで、義務ではないですが我々は卒論発表会の前後とか、夏のスクーリングの前後に懇親会をやりますが、大体200人ぐらいの学生は来ます。それで、普段は文字でしか会っていない人たちが交流を進める。教育内容と直接関係なくても、コミュニティの育成を支援することによって、eラーニングでは補完できないところができているのではないかなと思います。ですから、わりと教育内容だけではなくて、そこの外側に広く囲む学習コミュニティの育成ということも同時に視野に入れれば、いろいろなことができると考えております。
○高橋構成員 本当におっしゃるとおりで、いま教育方法学では認知心理学とか文化人類学の流れもそうだと思いますが、ある状況の中にみんなが参加するということだと思います。おそらく先生はいちばん中心部にいますが、その中へ1年先輩や2年先輩はかなり中心部にいて、正統的周辺参加ですが、だんだんに周りから1年生が参加していくわけです。その状況の雰囲気や空気を味わいながら生徒は成長していくわけです。決して一つひとつの情報だけで成長するのではなくて、その空気によって成長するわけです。だから、おっしゃるように、そういう学習コミュニティの雰囲気がないと、ただ単にバラバラだと一人ひとりが蛸壺状態になってしまって、なかなか先へ進まないと思います。
○坪倉座長 ほかにご意見は。どういう観点からでもよろしいです。
○鎌田構成員 2のところですが、到達目標から見たときに、別表2の現場でしか学ぶことができないお互いのグループディスカッションだったり、教育実習に行って学生との関係性だったり、そこの学校の教員との関係で学んだりというところから見ると、この表の中で特にEの欄でいえば、看護学生のレディネスに応じた教育実践力、看護教育の計画的なところはeラーニングでは難しいのかなと思っております。そうなってくると、ここで言う専門分野の看護論だったり看護教育課程、看護教育方法というのは現場で学生、また教員とのやり取りの中で学ぶべき大きなものかなと思っております。
○坪倉座長 高橋構成員のお話にありましたが、周辺から参加していく考え方が非常に顕著になったり問題視されるような背景になったことというのは、最近のことですか。それとも昔から語られていたことですか。
○高橋構成員 おっしゃる認知心理学では10年以上前から言われていますが、実は、昔は一種の徒弟制度がそうだったわけです。つまり親方の腕を、大工さんであれ、寿司職人であれ、裁縫師であれ、みんな師匠がやっているのをお手伝いする。最初はいちばんシンプルなことで、だんだんに中枢に入っていくというやり方があって、それは最近はかなり評価されていると私は思います。そこにある上下関係は問題があるにしても、作業共同体、モチベーションのコミュニティや共同体の中にだんだんに入っていくことによって、教師であれ、医師であれ、看護師であれ、成長すると個人的には思っています。そういう考え方がかなり強いと思います。つまり、1対1ではないということです。
○坪倉座長 教師の場合も。
○高橋構成員 同じです。だから実習があるわけです。
○三妙構成員 いまのお話で、先ほど言いましたように現実に看護教員の場合は、教員養成を出て教員になる人と病院から先に学校に来て、学校の中で先輩の教員とともに学びながら、自分にないところを築きながら成長して、教員養成で知識の確認と言われたことの意味が、そこで理屈が成り立つわけです。現場で気づいた人たちを今度はきちんとした教員の養成講座を受講させることによって、知識と現場のものが統合されて、「ああ、これでよかったんだ。あのときにああいうふうに言われたことは、このことだったんだな」ということで確認ができ、自信になっていくと思います。そうはいっても、勉強(受講)をしないまま学校の中で教育に携わっている人たちが、最初の説明にありましたように、かなりのパーセンテージでいる。その人たちを早く勉強させたいわけですから、何かしらの対策が必要なわけです。その方法論が、いまここで議論されていますが、本当はそういう現場で培ったものをきちんと体系づけて理解させたいのですが、どういう学習方法が本当に体系づくかということです。eラーニングを導入することで補完されていくのか、集合できちんと学んで、その人が現場で体験したことを語らせながら理論と結び付けてあげさたほうが、よりその人の成長になるかといったときに、私はどちらかというと私もそれを体験してここまで育てられてきたという思いがありますので、それを大事にしたい。
○高橋構成員 それは古い徒弟制度の問題。良い点は、先ほど言ったようなこと。問題点は特殊というか、地域によって異なるわけで、普遍化できないのです。そういった点で、eラーニングや新しい学問やそういうものに触れることによって、もっと広い世界の中で自分たちがやってきたことをもう1回意味づけることができるということですよね。それは大事だと思います。
○坪倉座長 極めて村的に、あるいは蛸壺状態の中で何かを論じるのではなくて、一旦広い視野を持って、そして必要なことは共同体で、あるいはコミュニティをきちんと作っていかなければいけない。これを使い分けなければいけないということですね。ご見識のある西村先生のほうで、アメリカとかで教員養成とか職業教育についての活用というのはいかがですか。
○西村構成員 そんなにはないと思います。本当にアメリカ的なコンテンツは基本的には教材です。その一方で、もう1つはMITとかがやっているオープンコースウエアは宣伝という形で使われている。そこで実際に教育が行われているかというと、また微妙なところがあると思います。基本的には経済効果を主体的に考えてスタートしてしまうと、うまく続かない。それだったら、従来的な本を読んで学習すればいい。
 教育というのは人間が行う行為であるのであれば、コミュニケーションをどうやって考えるか。人間と人間との関係をどうやって担保するかだと思います。だから、内容が良くても続かないところが多いと思います。要は最後まで卒業できないとか、途中でやめてしまうというのはそのことで、そこはeラーニングの悩みでもあります。我々は、なるべく学生一人ひとりを、手間はかかりますが30人の授業だったら一人ひとりにコメントを付けることも可能なので、教える側もうまくグループ化してチームティーチングでやるとか組織化した中で、教材あるいは教育内容は統一化しても教える人間は複数いて、その人が目の見える範囲、手の届く範囲で学生に1対1の関係はきちんと担保してあげることが必要だと思います。人間からコンテンツを切り離してしまうと、骸骨というか。それだったら、本を読んでいれば済むという話になってしまうと思います。
○坪倉座長 かなり煮詰まった話もできましたが、皆さんのほうから何か追加のご発言はありませんか。ないようでしたら予定の終了の時間になりましたので、本日の議論はこれまでといたしまして、次回までに事務局に本日の内容をまとめていただくということでよろしいでしょうか。よろしくお願いいたします。
 事務局からの連絡は何かありますか。
○加藤看護課長補佐 長時間にわたり、ご議論いただきましてありがとうございました。次回第3回の検討会の日程、場所等については、後日改めてお知らせいたします。なお、構成員の皆様には本日の議事録等の修正等をお願いすることになります。また改めてご協力のほうをお願いすることになりますので、よろしくお願いいたします。
○坪倉座長 本日は長時間にわたり、ありがとうございました。


(了)
<照会先>

医政局看護課

代表: 03(5253)1111
課長補佐 加藤 典子(内線4167)
教育体制推進官 剱物 祐子(内線2595)

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