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2011年6月2日 医師国家試験改善検討部会 議事録

医政局医事課試験免許室

○日時

平成23年6月2日(木) 10:00~12:00


○場所

中央合同庁舎5号館 厚生労働省専用第22会議室(18階)


○出席者

委員

井廻委員・兼松委員(部会長)・金万委員・高杉委員・
土田委員・奈良委員・野上委員・伴委員・別所委員

事務局

大谷医政局長・村田医事課長・石井医事課長補佐・赤熊試験免許室長・
曽我試験免許室長補佐・佐藤試験免許室試験専門官 他

○議題

医師国家試験改善検討部会報告書(案)について

○議事

○曽我補佐 定刻になりましたので、ただいまより「医道審議会医師分科会医師国家試験改善検討部会」を開催させていただきます。本日は末松委員、福田委員、山口委員、それからオブザーバーの新木医学教育課長より、ご欠席とのご連絡をいただいております。まず、最初に医政局長よりご挨拶を申し上げます。
○大谷医政局長 おはようございます。医政局長の大谷です。先生方には大変お忙しい中「医道審議会医師分科会医師国家試験改善検討部会」にご出席を賜りまして誠にありがとうございます。この部会では、現行の医師国家試験の妥当性を評価いただくとともに、卒前教育、卒後臨床研修を含めた一連の医師養成課程における、医師国家試験のあり方について、幅広い見地からご議論いただくということで、昨年末以来ワーキンググループにおいて、8回にわたり精力的にご議論いただいてまいりました。
 医師国家試験は、我が国の医療の質を確保する上で大変重要な意義を持っております。卒前医学教育における影響も大きく、国民の関心も高いものであると認識しております。特に、医師資格を得る段階で求められる水準について、医師と患者、国民が共に考え、明確な方向性を共有することが、若い医師の養成に当たっての、国民の理解と協力を得るためにも重要と考えました。
 ご提言いただく事項は、本年度に予定しております、医師国家試験出題基準の改定の基本的な指針となるほか、本年度の第106回医師国家試験から活かされるべき具体的な内容も含まれているものと思います。その重要性に鑑み、本日もどうぞ最後までよろしくご議論賜りますことをお願い申し上げます。
○曽我補佐 撮影についてはここまでとさせていただきます。以降の議事進行については兼松部会長にお願いいたします。
○兼松部会長 皆様、おはようございます。本日もどうぞよろしくお願い申し上げます。最初に、資料の確認を事務局からお願いいたします。
○曽我補佐 資料の確認をさせていただきます。議事次第、本検討部会の委員名簿、本検討部会の座席表です。資料1「医師国家試験改善検討部会報告書(案)」が11頁まで、これが報告書本編の部分です。資料2は、本検討部会報告書の別添となる資料編です。
○兼松部会長 議事に入ります。本日は、当部会の報告書(案)について議論していきます。8回にわたるワーキンググループでの議論を踏まえ、事務局に報告書(案)をまとめてもらいました。できれば、本日で最終の会議としたいと考えております。委員の先生方におかれましては、改めて詳細なご確認をいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。項目ごとに、資料編についても確認しながら検討していきます。事務局から説明をお願いいたします。
○佐藤専門官 資料1と資料2をご用意ください。資料1は報告書(案)の本文、資料2がその資料編となっております。資料1と資料2の両方をご覧いただきながら、項目ごとにご検討をお願いいたします。
 1.はじめに。医師国家試験は、昭和21年に第1回が実施され、以後、医療を取り巻く状況及び医療の進歩に合わせ、その都度改善が行われてきた。
 平成22年12月に設置された医道審議会医師分科会医師国家試験改善検討部会においては、現行の医師国家試験に関する評価と改善事項の検討を開始し、以後ワーキンググループでの議論も含めて10回にわたり検討を重ねてきた。今般、医師国家試験の改善に関する基本的な方向性等についての意見を取りまとめたので、ここに報告する。
 なお、本報告書で示している改善事項については、平成25年(第108回)の試験から適用することが望ましい。ただし、速やかに着手可能な事項については早急に対応することが求められる。
○兼松部会長 これは扉の部分ですので、ここで区切りたいと思います。この部分で何かありますか。
○野上委員 非常に細かいことで申し訳ないのですが、「平成25年度」でしょうか、「平成26年の第108回」でしょうか。いま問題が手元にあるのですけれども、平成23年が第105回ですので。
○佐藤専門官 「平成25年度」あるいは「平成26年」と修正いたします。
○兼松部会長 どちらのほうに変えますか。
○佐藤専門官 基本的には「平成26年」とさせていただきます。
○兼松部会長 ここのところは、「平成26年(第108回)」となります。ご指摘ありがとうございました。ほかにはありませんか。
(特に発言なし)
○兼松部会長 それでは、次をお願いいたします。
○佐藤専門官 2.改善に係る基本的な考え方。(1)医師国家試験について。現在の医師国家試験は、平成19年3月に取りまとめられた医師国家試験改善検討部会報告書を踏まえて実施されている。同報告書では「医師養成における各段階の到達目標が一連の整合性を持つように検討すべきであり、卒前教育におけるモデル・コア・カリキュラム、共用試験や卒後臨床研修の到達目標等との連携をさらに意識して、医師国家試験の果たすべき役割を十分に発揮できるものとなるようにするべきである」とされた。
 この視点の重要性は今なお失われていないが、近年の医師国家試験においては臨床実地問題の充実等、知識を問う試験問題は一定程度改善がみられるものの未だ課題が多く、一方で技能や態度の評価が充分に行われていない等という課題も残っている。
 そこで、本改善検討部会では、医師国家試験を卒前教育・卒後臨床研修を含めた一連の医師養成過程の中に位置付けた上で、近年の医学教育を巡る動向を踏まえつつ、医師の資質の向上のため各方面の関係者が取り組むべき具体的な改善策を示すこととした。
 こちらで※1としておりますのは、別添1ということで資料2をご覧ください。資料2の別添1、別添の数字については、各スライド、パワーポイント資料の左上に表示をしております。「卒前・卒後医学教育を巡る近年の動き」です。横軸が時間軸になっていて、年度で表示しております。縦軸が、上から下にかけて医師養成過程をおおまかにお示ししたものです。それぞれの項目について、これまで、例えばモデル・コア・カリキュラムの策定が行われたり、共用試験の試行が開始されたりといった、さまざまな動きが近年ありましたので、それを整理した資料です。
 (2)医師国家試験受験資格認定について。外国の医学校を卒業し、我が国で医業を行うことを希望する者(以下、「外国医師等」という。)については、一定の要件を満たす場合に医師国家試験の受験資格を認定している。近年、医療のグローバル化を反映して、受験資格認定希望者が増加傾向にあり、制度の在り方を検討する必要性が生じている。なお、この中には日本人も少なくない。
 国内で医師免許を取得した外国人には在留資格が付与されるなど、医師の移動に関する我が国の規制が諸外国に比して緩やかであることを考慮すると、唯一の関門に相当する医師国家試験の受験資格認定の際には、患者にとって安心・安全な医療を確保するという観点が必要である。一方で、我が国の医療に貢献しようとする外国医師等に対し、適切に受験資格を付与する必要がある。本改善検討部会では、新しい制度の方向性を提言するにあたり、この2点の均衡に配慮することを重視した。
○兼松部会長 2.改善に係る基本的な考え方で2つの項目があります。併せてご意見がありましたらお願いいたします。
○伴委員 細かいことですが資料2です。先ほどの、改善に係る基本的な考え方(1)のところでの別添資料1で、矢印がいくつか上がっていっています。私も記憶が定かでないので、もしかしたら私が間違っているかもしれないのですが、モデル・コア・カリキュラム改訂が今年行われて、そして平成23年3月に公表されているのは、平成22年度改訂として平成22年度のところに矢印が上がっています。
 その前のモデル・コア・カリキュラム改訂は平成19年度改訂だったと思うのですが、これは矢印が平成18年のほうに上がっていっているのですが、これはちょっとずれているのではないかと思います。
○佐藤専門官 改めて確認させていただきます。
○兼松部会長 これは確認ということで、平成19年度だったらそこを事務局のほうでずらすということでご了承いただきたいと思います。平成18年度だったらこのままということになりますがよろしいでしょうか。
○伴委員 はい。
○兼松部会長 ほかにご意見がありましたらお願いいたします。
(特に発言なし)
○兼松部会長 それでは、次をお願いいたします。
○佐藤専門官 3.医師国家試験問題について。(1)出題内容について。?医師国家試験出題基準について。現行の医師国家試験は、医師国家試験出題基準※2(平成21年版)に準拠して出題されている。この出題基準は、「必修の基本的事項」、「医学総論」及び「医学各論」から構成され、概ね4年に1度改定が行われている。
 一連の医師養成過程における医師国家試験の在り方を考えると、医師国家試験では、臨床実習での学習成果を中心とした臨床研修開始前の到達度を確認することに主眼を置くべきである。したがって、出題基準の改定に際しては、医学教育モデル・コア・カリキュラム※3で明示されている到達目標との整合を図ることが望ましい。
 また、医師国家試験出題基準にはブループリント※4が設けられ、毎年の出題に大幅な偏りが生じないようにされている。社会的に要請の高い分野を含めた幅広い領域から出題すること自体は、医療のニーズが拡大している昨今において重要であるが、試験委員の裁量で頻度や緊急性の高い疾患を優先的に出題できるよう、可能な限り細かな出題割合の指定を廃することが望ましい。その上で、項目毎の出題割合については、卒後臨床研修で対応を求められる頻度の高い疾患に重点化する方向で見直すことが望ましい。
 恐れ入りますが、出題基準、モデル・コア・カリキュラム、ブループリントにつきましては、2頁の下に注としてご説明申し上げておりますので、そちらも併せてご確認ください。
 ?個々の問題内容について。医師国家試験については、問題作成から最終確定に至るまで、医師試験委員会がその重責を担っている。試験委員は、診療・教育・研究に係る多忙な日常業務に加えて、物理的・心理的な負担の大きな責務を全うしており、称賛に値する。しかし、医師国家試験問題の中には、専門性が高く、卒後臨床研修の到達目標の水準を超える可能性のある問題が含まれている。
 医師国家試験問題は、医療に第一歩を踏み出し、指導医の下でその任務を果たすのに必要な水準にとどめるべきであり、個々の問題作成に際してなお一層のエ夫を求める必要がある。
 まず、問題作成時には、医学生が臨床実習に主体的に取り組んだ場合に経験可能な事項や卒後臨床研修で実際に対応が求められる状況について、具体的に想定することが重要である。
 また、列挙された特徴的なキーワードから疾患名を想起させるのではなく、症候から優先順位を考慮しつつ鑑別診断を進めていくという臨床医の思考過程に沿った問題を作成するよう努めることが望ましい。
○兼松部会長 ここまでにしたいと思います。注釈も重要かと思いますので、ここのところも読んでいただけますでしょうか。
○佐藤専門官 2頁の下のところをご覧ください。恐れ入りますが番号がずれておりますので、後ほど修正させていただきます。
 医師国家試験出題基準は、医師国家試験の「妥当な範囲」と「適切なレベル」とを項目によって整理したもので、試験委員が出題に際して準拠する。
 医学教育モデル・コア・カリキュラムは、医学生が卒業までに最低限履修すべき学習内容を定めたもの。平成13年に策定され、平成19年度・22年度に改訂された。
 ブループリント(医師国家試験設計表)は、出題基準の各項目・評価領域ごとに出題割合を規定したもの。
○兼松部会長 数値のところは後で直しますので、この点はご容赦ください。医師国家試験問題についての(1)の??まででご意見がありましたらお願いいたします。
○伴委員 経過としてはこのとおりなのですが、この文章だけ読む人にとっては、個々の問題の内容についての4行目から「しかし、国家試験問題の中には専門性が高く、卒後臨床研修の到達目標の水準を超える可能性のある問題が含まれている」とありますが、国家試験というのは卒前教育の到達目標の水準を超えるのならわかるけれども、なぜ、いきなり卒後臨床研修の到達目標が来ているのだろうという違和感を感じないでしょうか。ちょっと気になりました。
○兼松部会長 ただいまのご指摘について、ご意見がありましたらお願いいたします。
○伴委員 これは、実際に卒後臨床研修の目標と照らし合わせて、卒後臨床研修の目標さえ超えていますよ、というようなディスカッションをここでしたと思います。
○兼松部会長 そうです。
○伴委員 だけど、文章の中に出てくると、国家試験が目標としてるレベルとはちょっとずれたような基準を引用しているような感じですので、卒後臨床研修ではなくて、後期臨床研修はどうなのだとか、専門医研修はどうなのだとか、そこも超えているぞみたいなことにもなりかねないような感じがするのです。
○兼松部会長 卒後教育の到達目標というところが、本来の目標でありますけれども、臨床研修に必要な知識もということですね。ここで何かご意見はありますか。
○伴委員 卒後臨床研修の到達目標というと、卒後研修の最後に到達しているということになると思います。
○兼松部会長 2年後の到達目標を超えていると。いわゆる専門医試験みたいになっているというような意味合いでしょうけれども、確かに文章にすると、ちょっと書いておいたほうがいい。金万先生何かありますか。
○金万委員 卒後臨床研修を開始するに当たってのレベルという意味でいいと思うのです。到達目標は、卒後臨床研修の到達目標と、それから教育するときの卒業の目標とは、経験するかしないかという辺りに結構大きな要素があって、比較的似てはいるのです。たぶん、ここでの議論では卒後臨床研修の到達目標等から、コア・カリキュラムの最後の到達目標と、比較的同一のレベルに近い格好で議論したと思うのです。
 確かに伴先生がおっしゃるように、言葉の定義としては、卒後臨床研修を開始するに当たって、必要なレベルをかなり超えているという表現に近いことにされたらいいのかなと思います。私も、言葉遣いはどのように変えてらいいのかよくわからないです。
○奈良委員 伴先生のご議論では、卒後時点を超えている問題もあるし、さらに専門性の高いということもありますのでちょっと順番を変えていただいて、「専門性が高く」というのは後に持ってくることにして、「しかし、医師国家試験問題の中には卒前の教育到達目標の水準を超える問題や、さらに高い専門知識を問う問題が含まれている」と。要するに、卒業の時点のレベルも超えているし、場合によってはもっとサブスペシャリティに近いような問題も出ているということで、そうするといいのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○兼松部会長 ただいまの奈良先生の意見のようなことで、伴先生もよろしいですか。
○伴委員 はい。
○兼松部会長 一応そのように訂正させていただきます。そのほかのところで何かありますか。
(特に発言なし)
○兼松部会長 それでは、次をお願いいたします。
○佐藤専門官 ?出題数について。医師国家試験で問う内容を見直すべきであることは前述のとおりであるが、その具体的な方向性としては、「臨床実地問題」の出題を軸としつつ基本的臨床能力を問う出題に重点化していくことが望ましい。こうした観点から、現在250題が出題されている「一般問題」の出題数を再考する余地がある。特に、「一般問題」の一部は臨床実習前の共用試験※6で評価できるとの見方があることから、共用試験で評価がなされた受験者に課す試験として医師国家試験の位置付けを明確化し、その上で「一般問題」の出題数を減じることが現実的と考えられる。ただし、そのためには、各大学医学部・医科大学において現在統一されていない共用試験の成績評価が、一定程度標準化されることが必要となる。
 一方で、重要な事項は繰り返し問うべきであるという意見、結果的に問題数が減少することにより学習到達度の高い受験者を識別するという意味での試験の信頼性が低下することを危惧する意見等もある。したがって、当面は現行の500題を維持した上で、卒前教育の動向を見ながら出題数の在り方について引き続き議論していく必要がある。
 なお、共用試験については、3頁の下に注を付けておりますので、こちらも読み上げます。
 共用試験は、臨床実習開始前の学生の態度、技能、知識を評価するための試験。
 コンピュータを活用した試験による知識の評価(CBT)と、実技試験による診察技能や態度の評価(OSCE)により行われている。平成17年から本格導入された。
○兼松部会長 この出題数の項目はいかがでしょうか。
○奈良委員 極めて細かい点で恐縮ですけれども、出題数について、そのパラグラフの3行目に「出題に重点化していく」という文言はこれでいいのですけれども、それで振り返って上から5行目に「頻度の高い疾患に重点化する方向」とあり、出題数の「重点化」というのはいいと思うのですが、上のほうは「頻度の高い疾患に重点を置く方向で見直す」というほうが自然の流れかと思いますが、いかがでしょうか。
○兼松部会長 3頁の上から5行目の「高い疾患に重点化する方向で」というところを、「高い疾患に重点を置く方向で見直す」という修正意見ですが、こちらのほうがわかりやすいかもしれませんね。よろしければ、この修正でお願いいたします。
○野上委員 細かい表現の問題なのですが、4頁の上から2行目の「各大学医学部・医科大学において現在統一されていない共用試験の成績評価が」とあるのですが、「共用試験を用いた成績評価」ということではないかと思います。共用試験自体は、一応統一の基準で成績が出されているはずですので、それをどう使うかということが統一化されていないということだと思うので、「共用試験に基づく成績評価」とか、「共用試験を用いた成績評価」に変えたほうがいいかと思います。
○兼松部会長 そうですね、そちらの表現のほうが適切かと思います。ただいまのところは、そのように修正させていただきますのでお願いいたします。そのほかに、細かいところでも是非ご意見を出してください。そうした上で確認をしていきたいと思います。それでは、次に?をお願いいたします。
○佐藤専門官 ?問題形式について。従来、選択肢数を5肢とするAタイプ※7とX2タイプ※8が出題されてきたが、平成21年(第103回)試験以降、新たな問題形式X3タイプ※9・LAタイプ※10・計算問題)が一部の問題に適用されている。
 テスト理論に基づいてテスト設計を行う際、1つの試験の中では問題形式を統一するのが好ましいと考えられるが、新たな問題形式を用いることがその問題の出題趣旨に沿うのであれば、形式毎の問題数を一定程度固定した上で活用することは実用上問題ない。また、新たな問題形式と出題内容の適合性については、現時点では導入実績が少なく評価が困難であるため、今後の課題とする必要がある。特にLAタイプは、鑑別診断を問う出題等、同形式がより適切と判断される問題であるかどうかを吟味した上で出題されることが望ましい。なお、これまで未出題のXXタイプ※11については、受験者が本質的でない部分にも過剰な注意を払い、必要以上に負担が大きくなる恐れがあること等から、今後も採用しない。
 応用力を問うタクソノミー※12、?型・?型の出題については、引き続き出題を奨励すべきである。特にタクソノミー?型については、主要症候の鑑別診断に係る検査計画や初期救急で必要な治療法等、卒後臨床研修で自ら判断して問題解決にあたるべき状況について用いることが望ましい。
 用語の注釈ですけれども、Atype、X2type、X3type、LAtype、XXtypeという各種問題形式について、4頁の下に注を設けております。タクソノミーについてのみ読み上げさせていただきます。
 12 タクソノミー(taxonomy、評価領域分類)は、教育目標毎に問題の解答に要する知的能力のレベルを分類したもので、一般に認知領域では?・?・?型に分類される。?型は単純な知識の想起によって解答できる問題であり、?型は与えられた情報を理解・解釈してその結果に基づいて解答する問題であり、?型は設問文の状況を理解・解釈した上で、各選択肢の持つ意味を解釈して具体的な問題解決を求める問題である。
○兼松部会長 ただいまの項はいかがでしょうか。
○井廻委員 「特にタクソノミー?型については」以降なのですけれども、全体的にタクソノミー?型、?型をスッスッとやるということで、特に主要症候の鑑別診断にかかわる検査計画等々で、問題解決のための状況においては、タクソノミー?型を用いることが望ましい、という表現のほうがよろしいのではないでしょうか。
 特に?型をこれに用いるというのではなくて、主要症候云々のような状況においては、タクソノミー?型を用いることが望ましいという意味とはちょっと違うのでしょうか。
○佐藤専門官 ここは、うまく文章で表現できていないのかもしれませんが、タクソノミー?型と分類されている問題の中には、ある意味解釈させて、つまり?型+?型のようなものもタクソノミー?型に含まれて分類される場合がこれまでにあって、そのような分類ではなくて、タクソノミー?型というのは、あくまで問題解決を問う問題として出題すべきであるといったお話だったかと思います。
○兼松部会長 井廻先生いかがですか。
○井廻委員 結構です。
○兼松部会長 それでいいですか。
○井廻委員 ちょっと違和感があったのです。
○兼松部会長 ほかの先生方は、ここのところを読まれていかがですか。ご意見をいただきましたが、事務局案の説明もありましたので、それでよろしければこのままでいきたいと思います。
(異議なし)
○兼松部会長 ご意見ありがとうございました。それでは、次をお願いいたします。
○佐藤専門官 (2)合格基準について。現行の医師国家試験では、「必修問題」「一般問題」及び「臨床実地問題」の各々の得点と、禁忌肢の選択状況をもとに合否が決定されている。
 その際、「必修問題」の合格基準は絶対基準を用いて最低の合格レベルを80%とし、「一般問題」及び「臨床実地問題」の合格基準は各々平均点と標準偏差とを用いた相対基準を用いて設定されている。その結果、合格率は概ね90%前後で推移している※13。
 こうした合格基準の考え方については、高い水準で絶対基準が適用される「必修問題」の存在が受験者の負担感を増しているという意見がある一方で、相対基準に対し、受験者への心理的負担が過重であるとの意見や資格試験の在り方としてふさわしくないとの意見もある。両者を併用する手法には一定の合理性があり、現実に大きな混乱を認めていないことから、合格基準は現行の考え方を引き続き採用することが望ましい。
 医師国家試験においては、生命や臓器機能の廃絶に関わるような解答や倫理的に誤った解答をする受験者の合格を避ける目的で、禁忌肢が設定されている。
 この禁忌肢の存在が受験者に必要以上の緊張を与えており、優秀な受験者が偶発的に禁忌肢を選択し不合格となっているのではないか、との指摘がある。しかしながら、実際に禁忌肢に関する事項のみで不合格となった者は少数であり※14、上記の指摘を一般化することはできない一方、医療安全が様々な観点で国民の重大な関心事項となっている昨今、医師が知識や判断の単純な誤りによって患者に深刻な損害を及ぼすことは許されないことから、禁忌肢の取扱いは従来どおりとすることが望ましい。
 恐れ入りますが、別添3と4に関係する資料をご紹介しております。別添3については合格率の推移で、96回以降過去10年程度の合格率の推移をグラフでお示ししております。棒グラフのところは、受験者数と合格者数、折線グラフのところは合格率を示しております。
 続きまして、禁忌肢に関する事項のみで不合格となった者は少数でありというところは、別添4の資料をお示しております。過去5回分の医師国家試験について、受験者数、合格率、そして不合格率をまず表示しております。いちばん下の欄に、禁忌肢のみによる不合格者数の人数をお示ししております。禁忌肢のみによると書いておりますのが、先ほど本文の中に文言がありましたように、合格基準にはいくつか要件がありますが、そのうちほかの要件は満たされているけれども、禁忌肢に関する要件のみが満たされていなかったという方の人数です。
○兼松部会長 いかがでしょうか。ここも、かなりご議論いただいたところですが、内容としてはよろしいですか。事務局にお伺いしますが、5頁の(2)の合格基準のところで、「医師国家試験」と始まるところの行が1つ空いているのですが、これは報告書としてよろしいのですか。ここは、禁忌肢になるからおそらく空けてあるのだろうと思うのですが、そのほうが読みやすいかとは思いますが、形式としてはよろしいですか。特段問題はないと思いますが、確認の意味でお願いいたします。
○佐藤専門官 趣旨としては、禁忌肢のお話ということで、できれば読みやすいようにしておきたいと思います。
○兼松部会長 承知いたしました。
○野上委員 別添3の資料のグラフのいちばん下が0ではなくて、途中から軸が出ているような形のグラフになっているのがちょっと気になります。
○佐藤専門官 原点が0になるように修正いたします。
○兼松部会長 ほかにはいかがでしょうか。資料2のほうも目を通しておいていただきたいと思います。ほかにないようでしたら、次をお願いいたします。
○佐藤専門官 (3)受験回数制限について。医師国家試験における受験回数制限の導入の是非については、長年議論が続けられ、平成19年3月の改善検討部会報告書においても引き続き検討することとされたところである。
 しかしながら、多数回不合格者※15の個々の現況を把握する現実的な手段はなく、多数回の不合格を経て合格した者を排除する必要性を明確に示すことはできない上、多数回受験後に合格した者が医師として適格か否かを判断する基準を設定することも極めて困難である。
 したがって、今後も受験回数制限を導入しないこととする。
 これについては別添5に、関係する資料ということで「第105回医師国家試験卒業年次別受験者数・合格者数・合格率」をお示ししております。こちらは、新卒に対して既卒ということで、真ん中の辺りに受験可能回数という形で表示をしております。あくまで受験可能回数ということでありまして、受験回数を直接反映したものではありませんが、卒年次から考えて、少なくともこの回数受験することができる方々について、その構成比や合格者、合格者数、合格率をお示ししております。
○兼松部会長 受験回数制限のことについてはいかがでしょうか。
(特に発言なし)
○兼松部会長 それでは、次をお願いいたします。
○佐藤専門官 (4)プール制について。平成10年度の改善検討部会の提言により、医師国家試験においてプール制※16の導入を目指すこととなった。これにより、平成12年度から試験問題の公募、試行問題の出題及び問題冊子の回収が行われることとなった。将来的には、公募問題と既出問題を合わせて数万題規模のプールの整備が目指されていた。
 しかし、試験問題と正解肢の開示請求に係る情報公開・個人情報審査会の答申※17により、平成19年(第101回)以降、問題冊子の持ち帰りを認め、試行問題の出題も中止された。それ以降も、公募問題と既出問題の利用が続けられているが、試験委員会が作成する新規問題が現在もなお医師国家試験の主体をなしているのが現状である。その理由として、医療の進歩が早いために過去に作成された問題の妥当性が後になって損なわれる可能性があること、公募問題のうち実際の出題に適するものの数が限られること、公募問題の選定や推敲に要する負担が大きい場合が多いこと、既出問題の多用はいわゆる受験勉強を促進する側面をもつこと等が挙げられる。
 上述した背景や我が国の実情を踏まえると、問題開示が義務化された今日、プール制への完全移行のためではなく、試験委員会の負担を緩和しつつ時宜に適った問題を継続的に出題するための方策として、公募問題と既出問題の活用方法を整理し直すべきであるとの認識に至った。
 こちらで※16として、プール制についてご説明しております。6頁の下のところです。プール制という語は、試験問題を予め作成・蓄積しておき、その中から出題することを意味して用いている。特に、問題を試行的に出題し、事前に正解率等を評価した上で、良質な問題を採点対象として出題することが重視される。
 ※17として、情報公開・個人情報審査会の答申についてご説明しております。「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」に基づき、平成17年に出されたもの。「プール制を導入することにより本件試験問題を公にできないという必然性があるとは言えない」とされた。
 ?公募問題の活用について。問題公募システムは、出題依頼に応じた大学医学部・医科大学、臨床研修指定病院及び社団法人日本医師会によって問題が登録される仕組みとなっている。
 多様な観点からの出題を推進するため、試験委員会において公募問題を積極的に活用することが望ましい。こうした取組により、試験委員は問題の選定や吟味にいっそう注力できると考えられる。
 また、本改善検討部会においては、各団体から更なる協力を得る策として、団体毎の応募数や採択率を公表してはどうかという提案や、良問の作成者を試験委員として選任し、その経験が各団体で評価されるような仕組みとなれば医学教育に熱意ある若手医師が活躍できるとの意見もあった。問題公募システムの二次的な利活用についても、今後検討することが望まれる。
 ?既出問題の活用について。既出問題については、過去に出題された際のデータを踏まえた活用が可能である一方、医療の進歩により出題当時と現在で正解が異なっていることも想定される。特に、「臨床実地問題」は医療の進歩に伴う変化が大きく、大幅な修正を要する場合が多い。したがって、実際に既出問題を活用する際には、主として原理・原則等を問う「一般問題」について利用することが望ましい。
 また、受験者に対して過去の出題例を多数勉強することが有利であるとの印象を与えないよう、量的には従来の水準にとどめることが適切である。
○兼松部会長 ただいまの、プール制について関連してご意見をお伺いいたします。
(特に発言なし)
○兼松部会長 この内容で、特にご指摘がないようですので、次をお願いいたします。
○佐藤専門官 4.医師国家試験受験資格認定について。現行制度上、外国医師等が受験資格の認定申請を行うと、基準に基づく書類審査によって「本試験認定相当」、「予備試験認定」又は「不認定」のいずれかとなる※18。本試験認定相当者と予備試験認定者は、それぞれ新規に毎年数十人程度おり、いずれも増加傾向にある※19。この中には、外国の医学校を卒業した日本人が少なくない。また、我が国の医師免許取得を目的として、我が国の大学医学部・医科大学ではなく外国の医学校に進学する者が見受けられ、近年のこの傾向について懸念する意見もある。
 (1)「本試験認定」について。「本試験認定相当」とされた者は、日本語診療能力調査※20で一定水準に達していることが確認された上で「本試験認定」となり、医師国家試験の受験資格を得る。
 近年の国際的な動向を踏まえると、卒業した医学校が5年制であることや国家試験制度がないことをもって申請者が受けた医学教育を不充分とするには根拠が乏しいこと、専門教育の修業時間については欧州における基準として「5,500時間以上」※22が提唱されていること等から、現行の認定基準を合理的な観点から見直す必要性は高いと考えられる。
 一方で、一定の要件を満たす者に対して自国民への医療行為を認める仕組み自体が整備されていない国の場合は、当該国での医学教育に対しても質的担保を得ることは困難と考えられる。そのため、公的な医師免許制度がある国で医学教育を受けた申請者が当該国の医師免許を現に有していることは、認定基準として重要である。
 また、医学教育の内容は文化や医療制度等を如実に反映するため国毎に一定程度異なるものであるが、我が国で医業を行うからには、日本語による診療が可能な水準の高度なコミュニケーション能力が必要である。
 以上を踏まえ、新たな「本試験認定」の基準については、次の3点を主な必要条件とする方向で見直すことが望ましい。
 a) 6年制の医学校(専門教育4,500時間以上)を卒業していること。ただし、5年制であっても5,500時間以上の一貫した専門教育を受けている場合は、これに相当するとみなす。
 b) 卒業した医学校が所在する国の医師免許を取得していること。
 c) 日本語診療能力調査の結果が一定水準以上であること。
 従来、申請者に対し、卒業した医学校における教育体制の詳細を示す書類の提出を求めてきたが、申請者の負担が大きい一方で、これらのみで教育水準の全てを適切に評価することは困難であるため、個別審査の根拠として用いることに限界がある。認定基準の見直しに合わせ、こうした提出書類の簡素化を図ることが望ましい。
 一方で、申請者数のさらなる増加に伴い、外国医師等の教育水準の差異が拡大すると予想される。そのため、今後の受験資格認定については、申請者の受けた教育体制だけではなく個々人の能力を問うことに重点化した審査としていく必要がある。したがって、我が国の患者にとって安心・安全な医療を確保する観点から、日本語診療能力調査が重要であり、その評価方法の確立と体制の強化が必要と考えられる。その際には、日本人についても厳正にその診療能力を評価できるものとすることが望まれる。
 (2)「予備試験認定」について。現行制度の趣旨については、申請者の受けた医学教育が我が国の医学教育と同等以上であると判断できない場合でも、ただちに不認定とはせず予備試験の受験機会を与える、いわば救済措置の側面をもっている。これは、国際的にみると異例の制度であり、受験資格制度の複雑さの一因となっているが、我が国の医療に貢献しようとする外国医師等に対して適切な機会を与えるという考え方に沿うものである。したがって、従来の予備試験に係る認定基準の必要条件を大幅に変更する必要性はないと考えられる。
 予備試験認定とされた者は、基礎医学と臨床医学に関する予備試験を受験し、合格後に実地修練を修了することで医師国家試験の受験資格を得る。予備試験や実地修練についても、受験者に求める水準や受験過程を含めて、我が国の医学教育課程との整合性の観点から合理的に見直すことが望ましい。
 別添資料等のご説明を併せてさせていただきます。7頁の下に脚注を付けておりますが、本試験認定相当、予備試験認定というところについて、別添資料の6と7をご説明いたします。
 別添6については、「現行の受験資格認定プロセスの概要」です。真ん中のところに、「本試験認定見込み」という枠と、「予備試験認定」という枠があり、ここで受験資格認定基準が適用されます。外国の医学校を卒業されて、医師国家試験を受験されるまでの間に、ここには「不認定」ということはあえて表示しておりませんけれども、主には「本試験認定見込み」と「予備試験認定」という2つの道にまず分かれるということがポイントです。「本試験認定見込み」と認定基準に基づいてされた方々は、日本語診療能力調査を受けていただき、そして一定水準以上であれば「本試験認定」が確定いたします。そういたしますと、「医師国家試験」を受けることができます。
 一方、「予備試験認定」とされた方々については、下の段にありますように予備試験、これは第1部筆記試験、第2部筆記試験、第2部実地試験に分かれておりますが、こちらを受験していただき、すべてに合格いたしますと、1年間の実地修練を経て、そして医師国家試験を受験することとなります。
 この「本試験認定見込み」と「予備試験認定」を分ける認定基準については次の頁の別添7として認定基準(書類審査)というのは、あくまで見込みというところまでということだからなのですが、認定基準をお示ししております。中央のところが、「本試験認定」(見込み)、右側のカラムが「予備試験認定」となっております。
 いくつか認定基準の項目があり、基本的な考え方としては、「本試験認定」(見込み)と書かれた、中央のカラムに書いてあることがすべて満たされた場合に「本試験認定」(見込み)となるとお考えいただきたいと思います。これが、現行の、つまり従来の認定基準となっております。
 別添8については、受験資格認定者数が、近年増加傾向にあるということについてご説明した資料です。本試験認定の方が、濃い目のグレーのグラフ、予備試験認定となった方の数が薄いグレーの棒グラフとなっております。これを合わせたものが折線グラフで表示しております合計ということです。あくまで、これは「本試験認定」、「予備試験認定」と、最終的に確定した方の数で、認定申請者数とは必ずしも一致はしませんが、数的にはほとんど変わりはありません。これ以外に、「不認定」という方がごく少数いらっしゃるということです。
 別添9は「本試験認定者数」、別添10は「予備試験認定者数」ということで、それぞれ国籍別に推移としてお示ししているものです。ただ、この国籍というところは、あくまで認定申請時の国籍ということです。帰化された場合もあるということですので、そこはご注意ください。
 平成22年度のグラフのところに判例としてお示ししておりますが、主に中国、日本、韓国、その他というのが本試験認定の方々の内訳です。一方、別添10の予備試験認定者数のほうでは、ほとんどが中国国籍の方と、日本国籍の方になっているというところが大きな違いです。
 別添11は、平成22年度1年度分ということですが、平成22年度の受験資格認定者の内訳です。卒業医学校の所在国でグラフをお示ししたものです。左側が、本試験認定とされた計38名の方々の、卒業医学校の所在国の内訳です。中国、韓国が3分の1程度を占めています。一方、右側が予備試験認定ですが、ほとんどが卒業校は中国であるということで、卒業校の所在国は中国だということです。その他のところは5%です。
 前の頁の別添9、別添10にある受験資格認定者の国籍と、卒業医学校の所在国とは必ずしも一致しないというところはご注意いただきたいと思います。例えば、予備試験認定者の卒業校は、95%が中国ということですが、別添10をご覧いただきますと、そのうち中国国籍の方が半分、日本国籍の方が半分というふうにご覧いただければと思います。
 資料1に戻りまして、8頁の下のところに注釈を設けておりますのでご説明いたします。まず、日本語診療能力調査についてです。
 20 日本語を用いて診療を行うために十分な能力を有しているか否かの調査。具体的には、適切な質問をして医療面接を行うことができるか、診療に関する事項を患者に分かりやすく説明できるか、基本的な医療記録を日本語で作成できるか等について調査される。
 それから、欧州における基準として、5,500時間以上が提唱されているということについての注釈です。
 WFME(World Federation for Medical Education)とAMEE(Association for Medical Education in Europe)が5,500時間以上の専門教育の必要性を提唱している。
 出典は以下にお示しをしておりますBOLOGNA PROCESSに関するものです。
○兼松部会長 ありがとうございました。それでは受験資格認定の項について、ご意見がありましたらお願いいたします。いかがでしょうか。
○土田委員 9頁の上から9行目に、「日本人についても」とあるのですが、「日本人申請者」としたほうが、はっきりするような気がするのです。それから8頁の注は、20から22に飛んでおります。21はないのですね。
○佐藤専門官 数字について、もう一度資料を整理したいと思います。特に注釈を設けようとしているのはこの2点です。
○兼松部会長 「日本人」という所を、「日本人申請者」とするというご指摘でよろしいですね。
                 (異議なし)
○兼松部会長 どうもありがとうございます。その点は修正させていただきます。
○伴委員 本文では「本試験認定相当」という言葉が出てきて、あとは「見込み」と出てくるのですけれども、これは使い方を違えて使われているのですか。
○佐藤専門官 同じことを言っているので、表現については統一するようにいたします。
○兼松部会長 最終的にそこの統一は図りますので、よろしくお願いいたします。そのほかにありませんか。別添の資料のほうも重要ですので、細かい所でもご指摘がありましたらお願いいたします。
 よろしいですね。それでは資料1の9頁の「OSCE」にいきましょう。お願いいたします。
○佐藤専門官 5.OSCE(客観的臨床能力試験)について。医師国家試験におけるOSCE(Objective Structured Clinical Examination)の導入は、長年議論がなされてきた論点の一つである。卒前教育の状況をみると、共用試験を通じて全ての大学医学部・医科大学において臨床実習前OSCEが実施されている。また、約5割の大学医学部・医科大学では、臨床実習の成果を評価する目的で卒前OSCEを実施している※23。ただし、臨床実習前OSCEも卒前OSCEも、評価が全国的に標準化されていないという点で共通している。
 本改善検討部会においては、卒後臨床研修を開始する前にOSCEによる評価が必要であるという認識で一致した。特に、何らかの形でコミュニケーション能力をチェックすることは必要であり、いずれは全国同水準で評価できるようにすべきという意見や、入学定員増が既に始まっているからこそ質の担保を図ることは急務であり、OSCEを制度化する方向性を打ち出すことで臨床実習の不足に対する警鐘とすべきとの意見が出された。一方で、OSCEを実施する場として、医師国家試験よりも大学医学部・医科大学における取組を推進することが医学教育の観点からより重要であるという指摘もあった。このように、合否判定を伴う医師国家試験としてOSCEを実施することが最適かどうかについては、大学医学部・医科大学における卒前OSCEの実施状況をみながら引き続き議論していくべきである。
 なお、平成21年から韓国が医師国家試験にOSCEを導入している。韓国は、学生数に対する専任教員数の割合が比較的多いことや導入の背景等、我が国とは異なる状況がある点には留意を要するが、今後の動向について注目される。
 いずれにしても、我が国において標準化が可能なOSCEの手法の確立に向けた段階的な検証が必要である。そのためには、受験資格認定制度における日本語診療能力調査をパイロットとして明確に位置付け、実践的な検討を行うべきである。このパイロットにおいては、a)信頼性と妥当性を備えつつもOSCE対策のためにベッドサイドから医学生を遠ざけることにならない手法の確立と、b)評価者に係るコストを含めたロジスティクスの確立、の2点が重要であることを強調しておきたい。
 注釈ですけれども、別添12として、「大学医学部・医科大学における卒前OSCEの実施状況」をお示ししております。出典は「平成21年度(2009年)医学教育カリキュラムの現状」(全国医学部長病院長会議 発行)によるものです。臨床実習終了後あるいは実習中に、OSCEを実施している大学の割合についてお示ししておりますので、併せてご確認いただきたいと思います。このデータから、約5割という表示をしております。
○兼松部会長 OSCEについてということですが、いかがでしょうか。
○奈良委員 OSCEの必要性については、前回の検討部会でもご議論いただいて、必要であろうということで閉じられているかと思います。医学部あるいは医学教育関係者が努力することはもちろん、今回できれば是非、国民のご協力を得たいということを追加していただければと思います。冒頭に大谷医政局長からもご挨拶がありましたけれども、医師養成というのは非常に国民の関心が強いし、よい医師を育てるというのが国民の要望でもあるかと思うのです。そういったときに是非、OSCEだけではなくて臨床実習の充実にも必要です。国民の皆さんにご協力いただいて、標準模擬患者になっていただきたいということを盛り込めればと思います。
 ちょっと考えてみたのです。最初のパラグラフの最後の「引き続き議論していくべきである」の続きに「また、OSCEの推進には臨床実習の充実と同様、標準模擬患者(SP)を含めた一般市民の協力が不可欠であり、地域社会に対して医学教育に対する理解を求めていくことも重要と考えられる」というメッセージを盛り込むと、医学関係者も一生懸命頑張っているけれども、同時に一般の国民の人も、医者を育てるのは自分たちであるという理解が得られれば進むのではないかと思いますので、よろしくお願いします。
○兼松部会長 ただ今、社会からの協力もというような文言を入れたほうがいいのではないかというご意見ですが、この点についていかがでしょうか。賛同されますね。そうしたら、いまの文言をここに付け加えたいと思いますが、委員の先生方、よろしいでしょうか。
                 (異議なし)
○兼松部会長 それでは事務局、よろしくお願いいたします。OSCEについて、そのほかにご意見がありましたらお願いします。
○別所委員 引用されている別添12ですが、2011年の調査結果が冊子になって、つい先立って出ていました。もし、そちらで同じような調査があったら、最新版を使ったらどうかと思いますので、後で見て適当なものがあればお送りしたいと思います。
○兼松部会長 わかりました。
○別所委員 『医学教育白書』ですね。その2011年版が出て、たぶん同じような項目があったような気がしましたので、もしあれば。
○兼松部会長 変わっていませんか。
○佐藤専門官 約5割ぐらいという。
○別所委員 数字はいま覚えていないのですけれども。
○佐藤専門官 本文的にもそれほど大きな変動がなければ、あくまでも資料のデータの差替えということだけで。
○別所委員 確認させていただきます。
○兼松部会長 それでは先生、お願いいたします。できるだけ新しい資料を入れるようにいたしましょう。そのほかにいかがでしょうか。かなり議論のあった所ですが、OSCEの件はよろしいですね。
                 (特に発言なし)
○兼松部会長 それでは10頁の「6.その他」と「7.結語」に移ってください。
○佐藤専門官 6.その他。現在採用しているMCQ※24(多肢選択式問題)方式については、幅広い分野から出題可能であること、多人数に対して客観的で均質な採点が可能であること等、医師国家試験に適した点が多い。これに対して論述式試験は、臨床現場の思考に近い能力を問うことができ、論述力を重視する教育的観点からも重要とする意見があった。しかし、論述式試験には問題作成や評価手法等における課題が多い。
 また、医学教育上重要な事項をすべて国家試験で網羅することは現実的でないことから、卒前・卒後教育の中で論述力の強化も含めて総合的に取組むことが望まれる。
 また、コンピュータを用いた試験手法は、様々な分野で既に活用されており、技術的に確立されつつあるため、医師国家試験への導入を検討すべきではないかとの意見があった。コンピュータによる試験は、プール制の達成を前提としたものであり、全国一斉の試験とは異なる合格基準の設定等も要することから、実現の可能性について今後も検討が必要である。
 さらに、医師国家試験の重要性に鑑み、恒常的に改善に取り組む必要があることから、国家試験の在り方等について研究を行う体制を整えるべきとの指摘があった。
 7.結語。本改善検討部会においては一貫して、卒前教育・卒後臨床研修を含めた一連の医師養成過程における医師国家試験の在り方について検討してきた。
 卒前教育は現在、大きく変わりつつある。特に、臨床実習における評価について再検討すべきとの機運が高まっていることが注目される。我が国における医学教育の充実と医師国家試験の改善とは深く関わっており、今後の改善検討部会においても、卒前教育の動向を注視しながら引き続き連携に努めるべきである。
○兼松部会長 いかがでしょうか。「その他」と「結語」の所ですが、ご指摘や追加がありましたらお願いいたします。
○高杉委員 先ほど奈良先生がおっしゃった、国民の協力を求めるという文言は非常にいいと思います。いま日本医師会では、医学教育の見直しの提案をしてきています。そこにはスチューデントドクターという概念を与えて、学生にも自覚を持たせて、患者さんにも協力してもらうというような思考が入っております。
 それからいつか言ったと思うのですけれども、「結語」に加えるかどうか、どこか適当な所でいいと思います。やはり教育を受けた若手の医師の提案が、どこかに盛り込まれるような仕組みがないのか。要するに、上から目線で与えられた国家試験ではなく、自分が受けてどうだったかという評価が要るのではないか。こういう試験は意味ないとか、こういう問題は意味ないとか、こういう問題はすごくよかったという意見が、やはりあるだろうと思うのです。その辺をどこかで聞く機会を持って、試験に反映していくような仕組みが少しないか。教育を受けた者たちあるいは若い卒業し立ての人たちの意見は、ものすごく斬新だろうと思います。いまは学生たちも教師を評価するような時代ですから、試験をする側としても、逆にそういうことがあってもいいのではないかと思いました。
○兼松部会長 高杉先生からそのようなご指摘をいただきました。このことについて判先生はこの前、皆さんに資料を送付していただいたかと思いますが、この点について何かご意見がありましたらお願いします。
○判委員 この会の最初のころの別所先生からの受験直後の卒業生と、この前、私が医学教育学会の国家試験委員会で集めた卒後臨床研修2年目の人たちの意見というのが、非常にバラバラなのです。そこをどう解釈するかというのが、いま非常に難しいところがあります。2年目の人は比較的現状を肯定するような意見が多いのです。それはもう乗り越えて、ハードルが低く見えるのだろうという解釈をしています。ですから統一した意見として、いまの段階でここに盛り込むのはなかなか難しいとは思います。今後の検討課題になるだろうと思います。
○兼松部会長 別所先生、この件についていかがですか。
○別所委員 判先生のアンケートも拝見したのですが、私どものやっているのは試験直後ということで、発表前ですから、学生の満足度が非常に低い回答として出てくるのです。これを合格発表直後にやりますと、たぶんグッと上がるのではないかと思いますので、解釈の仕方は確かに難しいですね。しかし、そういう意見は聞いて、いい意見があれば反映させていくことは必要だと思います。その点については「結語」の上にある、「恒常的に改善に取り組む必要がある」に含まれている、というように考えていただいてもいいかと思います。
○兼松部会長 おそらく、そういう体制をということですから、その中に含まれるかと思います。高杉先生、そのようなこともこの文言の中に含んだということでよろしいでしょうか。
○高杉委員 はい。
○兼松部会長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。
○土田委員 いま別所先生がご指摘になったのと同じ所です。そこにもう一歩踏み込んで、国家試験の問題の評価・在り方についての研究という形で、もうすでに前にも出ましたように、やたらに難しい問題が入っていることも含めて、国家試験問題の評価・検討ということをしっかりするというのを明言されたほうがいいかという気がいたします。
○兼松部会長 この点についてはいかがですか。土田先生のご意見は、ここは「国家試験の評価・在り方等」ということになりますか。
○土田委員 まだしっかり検討しているわけではありませんが、「国家試験問題の評価並びに国家試験そのものの在り方等について、研究を行う体制を整える」というようにしたほうが、一歩踏み込んでということにならないでしょうか。
○兼松部会長 「研究を行う体制」というように受けていますが、国家試験問題の評価をする体制も整えるということでよろしいですか。これは実際に可能でしょうか。具体的にどういうことなのか。
○判委員 具体的な議論としては、アメリカのナショナルボードのようなという意見は出ていたと思うのです。そこを具体的に表現するのは、なかなか難しいということになって、いま土田先生がおっしゃったようなことを考えると、「国家試験の作成ないし検証を恒常的に実施及び研究できるような体制」というのでいかがでしょうか。
○兼松部会長 それだったら、土田先生のおっしゃっている所も含まれるかと思うのです。土田先生はいまの表現でよろしいですか。いかがでしょうか。
○野上委員 国家試験の在り方そのものについても削らないで、入れていただけるのであれば。いまの問題が適切だったかといったことを外したときの影響、いまのものを考えるというのも大事だと思うのです。さらに今後、OSCEのようなものを入れると、どうしていったらいいかというような、いまやっていることと言うよりは、今後の在り方についての研究も併せてやっていくという形で、両方のことを考えていけるといいかと思います。
○兼松部会長 ここはいかがですか。いろいろ細かい所もあるけれども、すべての問題の作成とか適性とか、いろいろな所の評価があるので、「国家試験の在り方等についての研究」に包括されるように思います。そこに新たに問題の評価などを入れるよりも、今回はそれくらいのほうがよくありませんか。その後に個々の所が入ってきたほうがいいのではないかという気がします。奈良先生、ここら辺はいかがですか。
○奈良委員 在り方の中に随分たくさんのことが含まれていますので、「等」と書いていますし、それでもいいかと思いました。
○兼松部会長 表現の所ですが、事務局、ご意見がありましたら。
○佐藤専門官 いまのご議論を確認いたします。恒常的に改善に取り組む必要があることから、医師国家試験問題の評価を含めた国家試験の今後の在り方等について研究を行う体制を整えるべき、という理解でよろしいでしょうか。
○兼松部会長 そのようなところでしょうけれども、あえて「を含めた」という文言を入れるのかどうか。入れないほうが何となくすっきりしていて。これから柔軟性を持ってこの体制ができていく。研究体制をつくる、整えるべきであるとの指摘もあったというところで、この辺はいかがですか。井廻先生、少しご意見をいただけたらと思います。
○井廻委員 この文章だと、包括的に収めておいたほうがいいのではないかと、私自身は思います。このままでいいのではないかと思います。
○野上委員 問題の質について評価することを積極的に盛り込むのであれば、公募問題の活用とか既出問題の活用とか、プール制の所でしょうか。6頁から7頁に問題の活用について書かれていますので、この部分ですでに出題した問題の評価を行って、今後のブラッシュアップにつなげるという内容を盛り込めないかと思うのです。議論の際、公募制で集めた問題についても、作題者にフィードバックしていくとか、実際に作った問題に受験者がどういうように反応していたかということも含めて、出しっぱなしと言うと言い方が悪いのですけれども、検証していくことも必要だということも議論に出てきていたと思います。どういう文章で組み込むのがいいかというところまでは思い付いていないのですが、その辺りをちょっと。
○判委員 いまディスカッションになっているのは、たぶん具体的にどんな検証をするかというやり方ではなくて、「結語」の前の3行の体制ということだろうと思うのです。試験問題そのものは今、KV委員会などでそれなりにやっています。たぶんキーワードは、「恒常的に」ということと「1つの体制」というもので、試験委員会も変わる、試験免許室の担当の厚労省の方も変わる、研究を担当する1つの専門職としての人材はいないというところでの改善がここの1つの。この3行で盛り込まれていると言えば盛り込まれているのですけれども、「具体的にどういうことなんですか」と言われると見えにくいし、具体的に言うのはなかなか難しいというジレンマがありますね。
○兼松部会長 ここの所はそうですね。別所先生もここの所をご提言なさいましたけれども、どうですか。
○別所委員 提案したのですけれども、現状ではやはりこういう表現が精一杯のところなのかなというのが偽らざるところです。
○兼松部会長 では、この文章でよろしいですか。しかし、この行間にはいろいろなことがディスカッションされました。これは非常に大事な3行だと思いますので、今後の方向性を示すところで、是非活かせるようにと思っております。ただいまの議論はこれでまとめてよろしいでしょうか。
                 (異議なし)
○兼松部会長 それでは、どうもありがとうございました。そのほかにどうぞ。
○土田委員 「結語」の3行目で、「臨床実習における評価について再検討すべき」と書かれておりますけれども、臨床実習そのものの拡充こそが、私は焦眉の課題ではないかと思っています。「臨床実習の拡充とその評価」というように、一語加えていただけるとありがたいと思います。我が国における医学部もしくは医科大学における臨床実習が、まだまだ不足していることを考えて、それが結局、医師国家試験そのものにも影を落とすことになる。もし臨床実習が拡充していけば、医師国家試験の在り方そのものも変わってくるということを考えますと、単に「臨床実習における評価」だけでは足りないような気もするのです。いかがでしょうか。
○兼松部会長 先生がおっしゃるのは、時間の拡充という意味ですか。それとも内容の拡充ですか。
○土田委員 両方だと思います。
○奈良委員 両方あるから、「臨床実習の充実」がよろしいのではないでしょうか。
○兼松部会長 そうですね。土田先生、「充実」ということでもよろしいですか。
○土田委員 はい。
○兼松部会長 それでは「臨床実習における充実と評価」でよろしいですか。「充実と評価」というのもおかしいですね。言葉が違いますね。
○奈良委員 「臨床実習の充実について再検討」でいかがでしょうか。
○佐藤専門官 ここで表現している内容については、医学教育モデル・コア・カリキュラムの検討の委員会において、いわゆる学習ポートフォリオの導入といった臨床実習の評価の在り方が、今後の課題とされたことを受けております。「機運が高まっている」と書かせていただいたのはその理由です。一方で臨床実習の充実が非常に重要だというご指摘も、もちろんあると思われますので、これを「機運が高まっている」と表現していいものかどうかも含めて、ここで確認させていただきたいと思います。
○兼松部会長 いままでの議論は、本来の趣旨とはちょっと違っていたようですのでいかがでしょうか。
○奈良委員 確かにコア・カリキュラムで臨床実習の到達目標を決めて、コンピテンシーをきちんとしようではないかということがありました。そうすると、もちろん充実も含むのですけれども、「臨床実習の在り方と評価について再検討」というのでいかがでしょうか。
○兼松部会長 そういう機運が高まっているということで、「在り方と評価」でよろしいですか。
○赤熊試験免許室長 私どもはそれでいいのですけれども、「機運が高まっている」としているのは、世の中と言いますか、医学教育の中でということなのです。それで問題ないのか。そういうことでまとめてしまってよろしいでしょうか。
○判委員 「機運が高まっている」というのは、これから更にやりますということを表現していると思うのです。ですから臨床実習の目標は、とりあえず平成23年度改訂のコア・カリでやったから、今度はそれをしっかり評価する体系をつくるということが、確かにいまの卒前教育の動きなのです。ここで「在り方」と言ったら、臨床実習の在り方もまだ検討していないのかという話に、かえって取られてしまうのではないかということになるかと思います。
○兼松部会長 そうですね。医師国家試験改善検討部会としては、まずは評価をしっかりやっていただければということになりますね。在り方まで踏み込むと、ちょっとニュアンスが違ってくるのではないかと思いますが、どうでしょうか。土田先生、いかがですか。何かご意見はありますか。
○土田委員 私は、個人的には医学教育の評価機構をつくるべきだと思っております。医学教育はほかの専門分野の教育とは、かなり異なる側面を持っていると思うのです。しかも社会や世界に対して、非常に大きな意味を持ちますので、それがある程度きちんと評価される、社会もそれを勘案できる仕組みがほしいと思うのです。その見地からいきますと、ここでは国家試験の検討であり、医学教育全体を検討するわけにはいきません。しかし、やはり医学教育を抜きにして医師国家試験を論じることはできないので、どこかでそのつながりを確保しておきたいという気持があって、そんなことを申し上げました。
○兼松部会長 大変大事な点だとは思います。
○別所委員 医学教育との関係は非常に大事だというのも、そのとおりです。それと関連して、「結語」の最後の部分にある「引き続き連携に努めるべきである」という言葉は、何との連携ですか。卒前教育との連携ですか。
○佐藤専門官 趣旨としてはそのつもりで書いておりますが、言葉足らずでしょうか。
○別所委員 卒前教育と連携してやっていくということが、ここで少し表現できているのかなとは思うのですけれども、ただ読んだ場合に、何の連携かなとふと思ってしまうので、もうちょっと明確にしたほうがいいのかなと思ったのです。
○兼松部会長 では、ここに「卒前教育との連携に努めるべきである」と。
○別所委員 「卒前教育との連携」というのは、何か無責任な感じもするので、もうちょっと具体的な表現ができればいいのではないかと思ったのですが、いまは思い浮かびません。
○兼松部会長 別所先生のご意見ですと、前の文章はそのままにしておいて、ここの所という意味ですね。
○別所委員 はい、そうです。卒前教育と国家試験はかなり一体化していて、お互いに影響を与え合っていますから、そういう意味での連携を密にしてやっていくというのは、非常に大事なことだと思います。
○判委員 最後の3行について、やや無責任ではないかという別所先生のご意見に関してです。「卒前教育の動向を注視しながら」という所が、まずそういう響きを持っているのではないかと思います。国家試験がかなり卒前教育に影響しますので、卒前教育への影響ということも十分考えて、引き続き今後の検討部会を考えていかないといけない。具体的にはOSCEの導入などという話になると思うのです。
○兼松部会長 そうしたら例えば、「今後の改善検討部会においても、医師国家試験の卒前教育への影響を念頭に置きながら」ですか。
○佐藤専門官 もし、よろしければ今の所の修正案ということで、「今後の改善検討部会においても、卒前教育への影響を考慮しながら、引き続き医学教育との連携に努めるべきである」でいかがでしょうか。
○兼松部会長 事務局案はいかがでしょうか。別所先生、よろしいですか。
○別所委員 はい。
○兼松部会長 判先生、どうですか。
○判委員 最後に「医学教育の連携」というのをもう少しスペシフィックに、「卒前教育・卒後臨床研修との」と言ったほうがわかりやすいかもしれません。
○兼松部会長 それはそうですね。そうしたら最初の「卒前教育は現在、大きく変わりつつある。特に、臨床実習における評価について再検討すべきとの機運が高まっていることが注目される」は、そのまま生かしてよろしいですか。ここの所も先ほどのご意見のような変更を行いますか。いかがでしょうか。
○佐藤専門官 恐れ入りますが、臨床実習の拡充については本日のご議論も含めて、別の所で2カ所言及しておりますので、そちらで対応できるのではないかということを申し上げたいと思います。
○兼松部会長 では、それを確認いたしましょう。どこにありますか。
○佐藤専門官 まず1点は、10頁のOSCEに関する議論の所です。上から4~6行目にかけての所です。「入学定員増が既に始まっているからこそ質の担保を図ることは急務であり、OSCEを制度化する方向性を打ち出すことで臨床実習の不足に対する警鐘とすべきとの意見が出された」で、1点言及しております。
 もう1点は先ほど奈良先生から、社会に対して協力を要請していくという中で、OSCEの推進という議論に加えて、臨床実習の充実と同様、OSCEの推進に関しても一般市民の協力が不可欠であるといったご提案をいただきました。この2点で一応触れてはおります。もちろん臨床実習の拡充が求められているという意味では、改善検討部会での前提となっているということではあると思います。
○兼松部会長 では、そういう所で2回言及しているので、「結語」はこのままでもよろしいですか。あえてそこで卒前教育の在り方あるいは充実といった文言は入れなくてもよろしいでしょうか。
○土田委員 先ほど別所先生から、2011年版の『医学教育白書』に基づいた新しい資料をというご提案がありました。それ次第でもありますけれども、いま我々が目前にしているのは、OSCE実施校がまだ半分をちょっと超えたぐらいだということです。そうだとすれば、ここで非常に婉曲な言い方をするよりは、臨床実習の充実もしくは拡充が必要だということを、再度掲げてもいいのではないかと私は思います。
○兼松部会長 ここは文言としてはなかなか難しいところだと思います。医学教育の現場ではどうですか。臨床実習はかなり充実というか、時間的にも広がってきているとは思いますけれども。
○佐藤専門官 いま土田先生からもお話がありましたので、「結語」でも臨床実習の充実の方向性を強調するという趣旨で、「卒前教育は現在、大きく変わりつつあり、臨床実習の充実が強く求められている。特に、臨床実習における評価について再検討すべきとの機運が高まっていることが注目される」というように加筆してはどうかと考えます。細かい文言は修正の余地がありますけれども、ここにはっきりと臨床実習を一層充実すべきという指摘があることを言った上で、「特に、臨床実習における評価について再検討すべきとの機運が高まっている」とする。繰り返しになりますけれども、盛り込むとすれば、ここに盛り込めばよろしいのではないかと思います。
○兼松部会長 土田先生、いかがですか。今のようなところは、ここへ入れておくことにいたしましょうか。
○土田委員 ありがたいと思います。
○兼松部会長 そのほかの先生はよろしいでしょうか。ただいまの修正で何かありませんか。よろしいですか。
                 (異議なし)
○兼松部会長 最終的にはチェックいたしますけれども、それでは、ただいまのような修正にさせていただきます。
○土田委員 もう1点よろしいですか。10頁の最後の行です。「卒前・卒後教育の中で論述力の強化も含めて総合的に取組むことが望ましい」とあります。この「総合的に」という言葉がわかったようで、私にはよくわからない言葉なのです。実は、その上のOSCEの所にも書かれていましたけれども、コミュニケーション能力をチェックすると言いますか、コミュニケーション能力を涵養していくと言いますか、養っていく必要は多々あります。日本の大学教育全体が双方向的な教育になっていないということもあり、医学教育で今、そこがどうなっているかはよくわからないのですけれども、それにしても、そこもにおわせると、「コミュニケーション能力、並びに論述力の強化も含めて」ということで、少し総合的という中身が覆えるかと思うのです。
○兼松部会長 「コミュニケーション能力、論述力の強化も含めて」ということで、「コミュニケーション」という言葉を入れてほしいということですが。
○判委員 ここは論述試験について述べている文脈ですので、コミュニケーションというのが入ってくると、文脈としては違和感があるような感じがします。
○土田委員 おっしゃるとおりですけれども、そうしますと総合的ということの意味がわからなくなるような気がするのです。そして論述式試験というのは、何も論述力の強化にとどまらない部分があるのです。それが技術的に非常に困難であるということで見送られるわけですけれども、そのときに総合的に取り組む。要するに、我々側から医学教育へのメッセージという意味で、この総合的の中身がもう少しわかったほうがいい。もしくは、この言葉を取ってほしいという気もいたします。
○兼松部会長 「総合的」という言葉を取ってほしいということですか。
○土田委員 そのほうがわかりやすい。
○兼松部会長 事務局から提案どうぞ。
○佐藤専門官 「総合的に」とここで表現したのは、「医学教育上重要な事項をすべて国家試験で網羅することは現実的でない」という所を受けたつもりです。ただ、その趣旨が十分表現できていないというご指摘もあるかと思います。修正のご提案としては、「論述力の強化やコミュニケーション能力の強化も含めた医学教育上重要な事項をすべて国家試験で網羅することは現実的でないことから、卒前・卒後教育の中で総合的な取組が望まれる」とするか、いま具体例という形で申し上げたコミュニケーション能力の強化や論述力の強化を後に持ってきて、「卒前・卒後教育の中でコミュニケーション能力の強化や論述力の強化も含めた総合的な取組が望ましい」とするか。土田先生のご意見としては、「論述力の強化」という表現も適切ではないと考えたほうがよろしいですか。
○土田委員 「論述力」という表現そのものが総合的と言いますか、いろいろなものを含んでいる言葉なのです。それはコミュニケーション能力の基本になる部分をも含んでいるし、論理的な整合性に注意しながらとか、総合性を考慮しながら周到にとか、いろいろなことが論述力の中には入っております。それを現実の医学教育の中でどういう形で涵養していくのか、そこが私にとっては大いに疑問です。大体が大人数のクラスで、一方通行で行われているのではないか。これは怪しい憶測ではありますけれども、そういう形から、医師の一人ひとりが専門職として、また同時に市民としてしっかり考え、同時に他者に向かって、患者さんに向かって共有できていく能力をどこでどのように養うのかということが、ずっと気になっておりました。ここではたまたま論述式という形式についてのみ問題にしているのですけれども、やはり医学教育の在り方にかかわってくるのではないかと思います。ただ、ここで文言としてどのように繰り込むかとなると困難ですね。
○兼松部会長 ここはMultiple Choiceという方式を採用すると、正しい論述式という方法も考えられるけれども、それには多くの問題がある、だからこのことについては卒前・卒後教育において、論述式にも十分に取り組んでくださいという趣旨です。ですから、ここにコミュニケーションが入ってくると、先ほどの判先生のご指摘のように、ちょっとおかしいと思います。ここの所は、やはり論述式も大事であるということを言いたいとすれば、先ほど土田先生も触れられたように、「総合的に」を削除したほうが、この文脈からするとよろしいのではないかと思います。コミュニケーション能力が大事であるということは、ずっと何回もこの中に出てきているかと思いますので、あえてここで触れなくても論述式だけでまとめてもいいのではないかと思います。
○土田委員 だとすれば「卒前・卒後教育の中で取り組むことが」、もしくは「涵養することが望ましい」ぐらいでよろしいのではないかと思います。
○兼松部会長 それでは、そういうところでよろしいですか。ほかの先生方もそれでよろしいでしょうか。
                 (異議なし)
○兼松部会長 では、そのようにさせていただきます。
○佐藤専門官 確認します。「総合的に」という言葉は削除するということで了解したのですけれども、涵養というところが十分理解できておりません。「論述力の強化も含めて」を、「論述力の涵養」に修正したほうがよろしいということでしょうか。
○土田委員 最後に申し上げたのは、卒前・卒後教育の中で取り組むこと、もしくは「取組む」に変えてほかの言葉、「教育する」「訓練する」という言葉でもよろしいかと思ったわけです。そう申しますのは、今どきのお医者さんには紹介状が書けない人もときどきいたりすると聞きますし、診断書そのものも論理的明晰性を欠くということを耳にすることもあります。それは何とか大学の6年間の教育の中で強化していってほしいと思うのです。まさにMultiple Choice Questions。Questionsと「s」と付けたほうがいいと思いますが、それでは欠落してしまう、漏れ出てしまう部分でもありますので、あえてそこにその涵養と言いますか、訓練ということを今ここではっきり言っておいたほうがいいと思います。「総合的に」というのは、やはりよくわかりません。
○兼松部会長 事務局、よろしいですか。それでは「その他」の領についてはまとめさせていただきます。そのほかに「その他」や「結語」についてありませんか。
                 (特に発言なし)
○兼松部会長 それでは、最後に総合的に全体を見渡されて、また元に返って、最終的なところでご意見がありましたらお願いいたします。資料2も含めてご覧いただきます。
○判委員 いまの土田先生のご提案の最後の2行についてです。「現実的でないことから」の後は、「論述式試験で問われるべきような臨床能力は、卒前・卒後教育の中で涵養されることが望ましい」ということでどうでしょうか。
○兼松部会長 どうですか。
○判委員 いま土田先生がおっしゃったのは非常にもっともなことで、我々もかなり意識して少人数教育とか、臨床実習で患者さんと接する機会を増やすとか、低学年のときから高齢者施設や保育施設、福祉施設などの社会的ないろいろな施設で、学生たちが体験実習をするということを考えているわけです。そういうところで教養的なものとか、配慮とか、見識といったものを涵養していくことに努力しています。実際にそれをいろいろなことで評価するのですが、国家試験のレベルでそれを評価するというのは、なかなか難しい。そういう文脈だろうと思います。
○兼松部会長 判先生の文章を、もう一度皆さんで確認したいと思いますのでお願いします。
○判委員 「現実でないことから、論述式試験で問われるべきような臨床能力は卒前・卒後教育の中で涵養することが望ましい」。
○兼松部会長 論述式に問われる臨床教育。
○判委員 「臨床教育」ではない。「臨床能力」です。
○兼松部会長 よろしいですか。
○佐藤専門官 臨床能力というのに限定せずに、「論述式試験で問われるべき能力については」というように、包括的に申し上げてもいいかと思うのですが。
○判委員 それはいいと思います。
○兼松部会長 それでいいですね。そういう能力も涵養されるべきであるということです。土田先生、よろしいですか。
○土田委員 はい。
○兼松部会長 そのほかの先生もよろしいでしょうか。
                 (異議なし)
○兼松部会長 どうもありがとうございました。それでは、全体を通して何かご意見がありましたらお願いいたします。
                 (特に発言なし)
○兼松部会長 ご意見がなければ、ひと通り皆さん方のご意見を伺うことができましたので、この辺りで本日の議論を終了したいと思います。報告書案については、本日ご指摘のあった点を修正してもらいます。その修正文は事務局と私のほうで確認いたしますが、それについては私に一任ということでお認めいただけますか。
                 (異議なし)
○兼松部会長 それでは、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。では、事務局から今後のスケジュールなどについてのご説明をお願いいたします。
○曾我補佐 今後の流れですが、本日のご議論をいただき、修正の必要がありますので、部会長のご指示をいただきながら、事務局で修正させていただきます。報告書については部会長に最終的なご確認をいただいた上で、速やかに公表したいと思います。よろしくお願いいたします。最後に、医事課長からご挨拶を申し上げます。
○村田医事課長 一言御礼申し上げます。兼松部会長をはじめ、委員の皆様方には昨年末の発足以来、大変長時間にわたり精力的なご審議をいただきまして、誠にありがとうございました。
 ただいま、大変貴重なご提言をいただきました。しっかり受けとめたいと思っております。私も陪席させていただいて、ただいまの議論もそうですけれども、特に卒前教育、卒後臨床教育と一貫した医師養成課程を強く意識してご検討いただけたことは、大変ありがたかったと存じております。ご提言でございますけれども、本年度、今度は医師国家試験の出題基準の改定の作業に入りますので、そちらに具体的に反映していただくことはもちろん、可能なものについては今度の国家試験から、適宜その内容を反映させていただきたいと考えております。委員の先生方には今後とも国家試験の改善につきまして、ご助言をいただく機会も多いかと思いますので、引き続きご指導、よろしくお願いいたします。誠にありがとうございました。
○兼松部会長 大変短い期間ではありましたが、精力的に会議を開いていただき、1回1回活発なご意見をいただきましたこと、厚く御礼申し上げます。また、委員の皆様方のご協力に対して、心から御礼申し上げたいと思います。短期間であっただけに、このような資料の作成等々で、事務局は大変なご苦労をされたことと思います。そのお蔭を持ちまして、本日ここまで来ることができました。事務局の皆さん方にも厚く御礼申し上げます。
 それでは、これで本日の会議を終了いたします。どうもご協力いただきまして、ありがとうございました。


(了)
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