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2012年3月23日 経済連携協定(EPA)介護福祉士候補者に配慮した国家試験のあり方に関する検討会議事録(第1回)

社会・援護局福祉基盤課

○日時

平成24年3月23日(金)10:00~12:00


○場所

全国都市会館地下1階第3・第4会議室


○議題

(1)経済連携協定(EPA)に基づく介護福祉士候補者の受入れと介護福祉士国家試験等の現状について
(2)今後の進め方について
(3)その他

○議事

○佐々木福祉人材確保対策室長 皆様方、委員の先生方おそろいでございますので、開始をいたしたいと思います。
 本日、御多用のところ御参集いただきまして、誠にありがとうございます。福祉人材確保対策室の佐々木と申します。よろしくお願いいたします。
 議事に入らせていただく前に、資料の確認をさせていただきたいと思います。
 本日は、資料1~8及び参考資料1~4、並びに第24回介護福祉国家試験の試験問題を委員の方々の座席には配付させていただいているところでございます。また、検討会メンバーの川村構成員から御提出いただいた資料がございます。お手元に欠けている資料はございませんでしょうか。欠けている資料がございましたら、事務局にお申し出ください。
 定刻より少し前でございますけれども、引き続き、議事を開始いたしたいと思います。
 ただいまから「経済連携協定(EPA)介護福祉士候補者に配慮した国家試験のあり方に関する検討会」の第1回を開催いたします。
 本検討会でございますが、資料1の開催要綱にございますとおり、介護福祉士国家試験において一層の配慮を行う観点から、試験におけるわかりやすい日本語への改善など、その在り方を御検討いただくために開催するものでございます。
 まず、本検討会の開催に当たりまして、社会・援護局長の山崎よりごあいさつ申し上げます。
○山崎社会・援護局長 おはようございます。
 御出席の皆様方におかれましては、お忙しい中を本検討会の委員をお引き受けいただきまして、ありがとうございます。
 我が国は、EPAにより介護福祉士資格の取得を目的とした候補者の受入れを行ってございます。フィリピンからは計360名、インドネシアからは428名の方を受けてございます。
 本年1月29日に95名の介護福祉士候補者の方々が、初の介護福祉士国家試験の受験をされ、3月28日に、合格発表を予定してございます。試験に当たりましては、難しい漢字の振り仮名の付記や、疾病名の英語表記など、既に一定の配慮を講じてございますが、今後更にわかりやすい日本語へ改善するなど、一層の配慮を講じたいと考えてございます。
 検討に当たりましては、当事者の方の御意見を反映させる必要があること、国家試験は介護福祉士としての知識、技能をはかるためのものであり、介護現場の状況も踏まえる必要があることから、有識者の皆様方に御議論いただくこの検討会を設けた次第でございます。
 今後、関係団体や候補者の方々からのヒアリングも予定してございますが、改善策を来年度の国家試験に反映させるよう、6月から7月めどに検討会の方向をまとめていただきたいと考えてございます。皆様方におかれましては、活発な御議論と忌憚のない御意見をちょうだいできればと考えておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 以上でございます。
○佐々木福祉人材確保対策室長 カメラにつきましては、御退席のほどお願いいたします。
(カメラ退室)
○佐々木福祉人材確保対策室長 次に、検討会に御参加いただく皆様を御紹介いたします。恐縮でございますが、御紹介の後、一言ずつごあいさつを賜れればと思っております。五十音順でございますけれども、東京国際大学教授、川村よし子さん。
○川村構成員 御紹介に預かりました、川村でございます。
 現在、日本語教育を担当しておりまして、その関連で介護福祉士候補生のための教材作成にも少し携わりました。後ほど詳しくお話しさせていただきます。
 よろしくお願いいたします。
○佐々木福祉人材確保対策室長 東京大学医学教育国際協力研究センター教授の北村先生です。
○北村構成員 御紹介いただきました、北村です。
 医師の国家試験あるいは看護師の国家試験等に関わってまいりまして、その関係で御指名いただいたものと思っております。
 よろしくお願いいたします。
○佐々木福祉人材確保対策室長 新見公立短期大学教授、久保田先生。
○久保田構成員 久保田でございます。
 私は介護福祉士の資格制度ができた当初から、介護福祉士教育に携わっております。それから、EPA関連では、インドネシアの方の1期生、2期生の導入研修に関わらせていただきました。
 よろしくお願いします。
○佐々木福祉人材確保対策室長 長崎国際大学学長、潮谷様。
○潮谷構成員 おはようございます。潮谷です。
 私はこれまで、施設現場、更に行政、今は大学におきまして、介護福祉士、社会福祉士、精神保健福祉士を養成する長崎国際大学で働いております。
 どうぞよろしくお願いいたします。
○佐々木福祉人材確保対策室長 桃山学院大学教授、根本様。根本様は、介護福祉国家試験の試験委員長でもございます。
○根本構成員 根本です。
 今、御紹介ありましたように、今年度から介護福祉士の国家試験の委員長を担当させていただいております。その前は、介護福祉士をはじめ社会福祉士、精神保健福祉士などの国家試験副委員長として、十数年何らかの形で関わらせていただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
○佐々木福祉人材確保対策室長 一般社団法人国際交流&日本語支援“Y”代表理事、橋本由紀江様。
○橋本構成員 橋本です。よろしくお願いいたします。
 インドネシアの第1陣の6か月の日本語教育を担当したことがきっかけで、介護福祉士の候補者の人たちの学習支援をずっとやってまいりました。いろいろな意味で現場に近い立場から現場の声を皆様にお伝えできればと思っております。
 よろしくお願いいたします。
○佐々木福祉人材確保対策室長 なお、東北大学大学院教授、朝倉様におかれましては、本日御欠席でございます。
 引き続きまして、事務局の方を紹介させていただきます。
先ほどごあいさついたしました、社会・援護局長の山崎でございます。
社会・援護局福祉基盤課長の定塚でございます。
介護技術専門官の片山でございます。
最後に、福祉人材確保対策室長の佐々木でございます。よろしくお願いいたします。
なお、本日公務によりまして、総務課長の古都は欠席させていただいたおります。また、山崎局長におきましては、公務のため途中で退席させていただく予定でございますので、あらかじめ御了解をいただきたいと思います。
それでは、まず、議論に入ります前に、本検討会の議事の公開につきまして、御説明を申し上げたいと思います。お手元の資料2でございますが、本検討会の議事は原則公開、議事録及び資料についても後日公開といたしたいと思っております。ただし、資料2にございますように。
?個人に関する情報を保護する必要がある場合。
?公開することにより、国家試験の公正な運営に支障を及ぼすおそれがある場合。
?公開することにより、特定の者に不当な利益を与え又は不利益を及ぼすおそれがある場合。
?公開することにより、他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれがある場合。
これにつきましては、議事を非公開という取扱いをするということでございまして、原則は公開でございますけれども、?から?の例外事由に該当する場合には非公開にする場合があるという方針で議事を取り扱いたいと思っておりますけれども、御了解いただけますでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○佐々木福祉人材確保対策室長 ありがとうございます。
 それでは、資料2のとおりとさせていただきたいと思います。
 続きまして、本検討会の座長を互選いただきたいと存じます。どなたか御推薦をいただけませんでしょうか。
○久保田構成員 各種の委員会等に御造詣が深く、また、介護の現場をよく御存じでいらっしゃいますので、潮谷先生にお願いしたら、皆さんいかがでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○佐々木福祉人材確保対策室長 それでは、御意見が一致いたしましたので、潮谷委員に座長に御就任いただきたいと存じます。潮谷先生におかれましては、座長席に御移動願います。
○潮谷座長 それでは、皆様改めておはようございます。
議長の役割を担わせていただきますけれども、それぞれのお立場の中から短いフレーズではございましたが、自己紹介等々の中でこの問題に関して見識のある方ばかりでございますので、御意見をしっかりと伺いながら、方向性を定めてまいりたいと思います。特に、先ほど局長の方からお話がありましたように、来年の試験に反映できるような方向性という課題がございますので、私ども積極的に議論を出し合いながら、よりよい方向にとりまとめさせていただきたいと思います。
よろしくどうぞお願いいたします。
それでは、議事に入りたいと思います。
 まず、事務局の方から、本日の資料の説明をお願いいたします。
○佐々木福祉人材確保対策室長 それでは、議事の1つ目といたしまして、事務局の方から資料3~7までを御説明申し上げたいと思います。
 まず前提といたしまして、この検討会で検討するEPA介護福祉士候補者の受入れ制度の仕組み等々について御説明をいたしたいと思います。資料3をごらんください。
 1ページ目、経済連携協定の目的でございますけれども、国や地域を限定して関税等の貿易障壁を撤廃することにより、モノ・ヒト・カネ・サービスの移動を促進させようという特定の国と我が国との協定でございます。
 同1ページの下にございますけれども、フィリピンとの間では、平成18年9月9日に署名をいたしまして、翌20年12月11日に協定が発効いたしております。また、日本インドネシアEPAにつきましては、19年8月20日に署名をいたしまして、同年7月1日に協定が発効いたしておるところでございます。
 EPA介護福祉士候補者の方々につきましては、経済連携協定の一環として、人の移動ということで、2か国から現在協定に基づいて候補者の方を受け入れているという状況でございます。
 2ページ目、先ほどと重複いたしますけれども、目的といたしましては、日本と相手国との経済上の連携を強化する観点から、公的な枠組みで特例的に在留資格を付与して人の移動を促すというものでございます。研修される候補者の方々は、日本の介護福祉施設で就労・研修をしながら介護福祉士の国家資格の取得を目指すということでございます。
受入国については、先ほど御説明申し上げましたように、現在インドネシアとフィリピンの2か国ということでございます。
 受入れの人数枠でございますけれども、平成24年で上限という位置づけでございますけれども、介護福祉士の方につきましては、インドネシア、フィリピンともに300名ずつを上限とするということでございます。実際に入国された方々の実績でございますけれども、初年度の平成20年度に入国されたインドネシア候補者の方は104名、以降、資料にございますような受入実績となっておりまして、3ページにございますけれども、平成20年度から平成23年度、今年の2月1日時点でございますけれども、現在インドネシアは400名の方、フィリピン312名、計712名の方が就労・研修中であるという状況になっております。
 日本国内におきます在留の取扱いでございますけれども、資格取得前には最大4年間の在留が認められるということでございます。
 在留資格につきましては、年1回更新いたしまして、フィリピンにつきましては、後に御説明申し上げますけれども、就学コースと養成校ルートというものもございます。フィリピンの就学コースの場合には、養成校卒業までの期間が在留期間になっております。原則は介護福祉士の国家資格取得のために4年間が在留期間となっておるものでございます。
 滞在中の在留資格につきましては「特定活動」というEPA固有の在留資格ということになってございます。
 候補者の方の要件でございますけれども、協定で以下のような取扱いが定まっております。具体的には、候補者の方につきましては、それぞれの国の看護学校卒業者、または四大卒業者を原則といたしまして、母国政府での介護士の資格の認定を受けた方ということでございます。
受入れに当たります介護施設等につきましても、国家試験の合格を目指して適切な研修体制の下で受け入れるという観点から、一定の要件を定めておりまして、?~?にございますように、定員規模あるいは職員の配置の状況につきまして、一定の要件を課しているという状況でございます。
また、受け入れた際には、雇用関係に基づいて就労されているということでございますので、日本人と同等の報酬の要件ということで、賃金を日本人と同様にお支払いいただくということを要件としているところでございます。
詳細につきましては、資料の4ページにございますけれども、インドネシアの候補者の要件につきましては、ここに記載がございますように、インドネシア高等教育機関3年以上卒業生の方であって、インドネシア政府による介護士の認定、またはインドネシアの看護学校3年制以上の卒業生の方ということでございます。
インドネシアの場合でございますと、平成23年度から訪日前の母国におきまして日本語研修6か月を行うとともに、訪日後6か月の日本語研修を実施するということの下で、3年間介護現場で就労いただいて、4年目に国家試験の受験を受けられるという状況でございます。
フィリピンにつきましては、候補者要件につきましては、就労コースにつきましては4年制の大学卒業とフィリピン政府による介護士の認定、またはフィリピンの4年制以上の看護学校の卒業生であるということ。フィリピンにつきましては、相手国の要望も踏まえまして、交渉の経緯もございまして、就学コースという養成校に入学されるコースもございます。こちらにつきましての候補者要件といたしましては、4年制の大学を卒業された方が候補者の要件として定められているところでございます。フィリピンの就労コースにつきましては、これも23年度からでございますけれども、母国で訪日前に3か月研修を受けていただくとともに、訪日後は協定に基づいて6か月の日本語研修を受けていただくことになっております。
受入れのスキーム等々につきましては、概略につきましては4ページのとおりでございます。
5ページ目、現在、フィリピンとインドネシアの両国からEPA協定に基づいて介護福祉士候補者の方を受け入れているわけでございますけれども、昨年の10月31日にベトナムとの間におきまして、日越首脳会談におきまして、覚書を締結いたしておりまして、今後詳細は検討ということになりますけれども、EPAの従前の枠組みを基本的に踏襲した形でベトナムからの介護福祉士候補者の受入れと進める予定でございます。
なお、ベトナムとの間におきましては、5ページ目の(1)でございますけれども、候補者の要件といたしまして、基本的に現地でしかるべく日本語研修を受けることを前提として、一定の日本語能力を有することを条件の1つとするということでございまして、一定の日本語能力を母国で獲得されていることを候補者の要件とした上で、介護福祉士候補者として、基本的に従前のフレームで受け入れるということを、両国首脳間で定めている状況でございます。
6ページ、7ページでございますけれども、それぞれの国の概況を御参考としてお付けいたしております。主だったところといたしましては、インドネシアあるいはフィリピンの高齢化率、時点はそれぞれ違いますけれども、65歳以上の人口、高齢化率4.7あるいは4.2ということでございまして、日本に比べて高齢化率約5分の1程度ということで、高齢化はまだこれからという国情であるということでございます。
言語でございますけれども、インドネシアにつきましてはインドネシア語、フィリピンにつきましては国語はフィリピノ語、タガログ語でございます。公用語は2種類ございまして、フィリピノ語及び英語という状況になっているところでございます。
今後同様の形で受入れが決定しておりますベトナムでございますけれども、ベトナムにつきましても高齢化率、2008年段階で7.9ということで、平均寿命73歳ということで、同様に日本に比べれば高齢化はこれからという状況でございます。言語はベトナム語という状況でございます。
少し飛びまして12ページ目、介護福祉士候補者の方々につきましては、先ほど来御説明しておりますような受入れの枠組みで候補者の方の国家試験合格をEPAで受け入れているわけでございますけれども、主な介護福祉士候補者に講じている施策について御説明申し上げたいと思います。
協定に基づきまして、訪日後6か月の日本語研修あるいは1週間程度の介護導入研修を就労前に受けていただくということでございますけれども、先ほど御説明申し上げましたように、23年度からインドネシアは訪日前に6か月、フィリピンについては3か月の日本語研修を受けるということを実施いたしておるところでございます。
就労後の学習支援ということになりますけれども、平成22年度から本格的に実施いたしたわけでございますけれども、就労施設におけます日本語講師あるいは養成校教員等の受入施設への派遣、日本語学校への通学あるいは民間業者が実施する模擬試験や介護技術講習会への参加等の費用の補助ということで、候補者1名当たり23.5万円というものの受入施設に対する学習支援というものを厚生労働省において実施いたしておるところでございます。
また、日本語、介護分野の専門知識あるいは日本の社会保障制度等を候補者の方にお集まりいただきまして研修を実施いたします集合研修、あるいは通信添削の指導というようなことを候補者の合格に向けまして、国としても支援しているという状況でございます。
後ほど詳細については御説明申し上げますけれども、昨年の試験、実際の受験は今年が初めてだったのですが、その1年前に方針を設定して、昨年から実施いたしておりますけれども、難解な漢字への振り仮名付記、疾病名への英語の付記などの国家試験の用語の見直しということを講じておるところでございます。
併せまして、学習支援の本格的な実施というのは平成22年度だったということもございまして、昨年の3月に平成20年度及び平成21年度の入国者の方につきましては、一定の条件を満たす候補者の方について、滞在期間を1年間延長するという方針を、昨年3月11日の閣議決定で定めておるところでございます。
こういった候補者の方の受入支援あるいは合格に向けての学習支援を講じておるところでございますけれども、資料の13及び14ページにございますように、成長戦略あるいは日本再生の基本戦略の閣議決定の中で、一層のEPA協定に基づく介護福祉士候補者の受入れの仕組みの改善ということで、試験の在り方含めて御検討いただくということが閣議決定で定められているという状況でございます。
15ページ目、先ほど御説明申し上げましたけれども、学習支援の状況ということにつきまして、受入施設あるいは候補者の方々の状況によって異なりますけれども、若干のイメージをお示ししているのが資料15ページでございます。まず、介護福祉士国家資格取得に向けての学習支援といたしまして、入国前にインドネシアは6か月、フィリピンについては3か月の日本語研修を受けていただいた後に、訪日後6か月の日本語研修、1週間程度の介護導入研修を受けていただいた上で、就労を開始していただくということでございます。
3年間の中で、段階的に国家試験の合格に向けて御努力をいただくということで、受入施設において学習目標、研修目標というものを定めていただいて、例えばでございますけれども、就労1年目については、介護分野の基礎漢字の習得あるいは実際の就労を通じました介護全般の基礎的な知識の習得等々を積み重ねていただいて、就労2年目に入りますと、国家試験の受験を視野に置いた難解な表現や言い回しの理解、あるいは介護士国家試験出題分野に沿った学習の開始というようなことを始めていただく。
3年目になりますと、受験が目前に控えておりますので、例えば介護の知識に関しましては国家試験過去問題を使用した反復練習、模擬試験の実施、弱点科目の克服あるいは介護技術といたしまして介護技術講習会の受講ということを進めていただくというイメージで各施設において候補者の方に対して学習支援を実施されていると理解をいたしております。
厚生労働省といたしましても、国際厚生事業団を通じまして巡回訪問指導あるいは日本語・漢字試験、過去の国家試験問題の翻訳等々の学習教材の提供あるいは就労中の受入施設における学習支援の補助等を実施いたしておるところでございます。
候補者が使用されている主な教材につきまして、表紙だけでございますけれども、16、17ページに記載しておりますので、御参考にしていただきたいと思います。
資料4でございますけれども「介護福祉士と介護福祉士国家試験の概要」につきまして、委員の皆様方は御案内の方ばかりだと思いますけれども、改めて御紹介をさせていただきたいと思います。
介護福祉士の概要でございますけれども、資料の1ページでございます。昭和62年5月に「社会福祉士及び介護福祉士法」が公布されております。平成元年から国家試験を開始いたしておりまして、平成23年度の国家試験が第24回ということになるわけでございます。
介護福祉士につきましては、平成19年に資格取得方法の一元化を内容とする改正法が成立いたしましたが、3年間施行期日を延期いたしまして、平成27年4月から施行されることになっておるわけでございます。
併せまして、新たにたんの吸引等の医療行為を介護福祉士の業務として位置づけているということで、平成27年4月から施行の予定でございます。
介護福祉士の法律上の位置づけでございますけれども、介護福祉士の名称を用いて専門的知識及び技術をもって、身体上または精神上の障害があることにより、日常生活を営むのに支障がある者につき心身の状況に応じた介護並びにその者及びその介護者に対して介護に関する指導を行うことを業とする者をいうということでございまして、途中にございますように、平成27年からは喀痰吸引及び経管栄養の業務が介護福祉士の業務として位置づけられる予定でございます。
資格取得方法につきましては、2ページでございますけれども、大別いたしまして2つございまして、1つは養成施設を卒業する方法、もう一つは3年以上介護等の業務に従事した、業務経験を積んでいただいて介護福祉士試験に合格するという2つの資格取得方法でございます。
養成施設の卒業というものにつきましては、平成27年度から国家試験の合格が要件になるということでございます。また、3年以上の介護等の実務経験を積んだ上で国家試験を受けていただく方につきましては、来年度から実施される、6か月450時間の実務者研修の受講が平成27年度国家試験から受験の前提条件に加わるということになっております。
資格者の登録状況、5番でございますけれども、平成元年の試験実施より累計で登録を受けられた方は、98万4,000人ということでございます。
3ページをごらんいただきたいと思います。平成19年改正で国家資格の一元化という改正法が成立したわけでございますけれども、施行は昨年来「今後の介護人材養成の在り方に関する検討会」ということで検討いただきまして、施行を3年延期することになったわけでございますが、その際に、介護人材の資質向上と将来的なキャリアパスの方向性を検討会で御議論いただいてとりまとめております。
その条件につきまして簡単に御説明いたしますと、現在介護福祉士資格取得前の養成課程としてヘルパーの資格を取られている方が多いわけでございますけれども、ヘルパーの研修につきまして養成体系種々複雑な体系になっているということもございまして、まず、ページの次のところでございますけれども、初任者研修というふうにヘルパー2級研修を組み替えて、在宅及び施設で働く上で基本的な知識・技術を習得して、指示を受けながら介護業務を実践するということに足りる研修を受けていただくというふうに、若干内容、位置づけというものを見直して、再来年度から初任者研修という形で実施を予定しておるところでございます。
また、介護福祉士につきましては、実務者研修あるいは養成施設のいずれにつきましても、国家試験の受験ということが平成27年から必要になるわけでございますけれども、介護福祉士につきまして、利用者の資格取得段階で利用者の状態像に応じた介護や他職種との連携等を行うための幅広い領域の知識・技術を習得し、的確な介護を実践するためという位置づけでございます。なお、更に将来の介護職員の方々、介護福祉士の資格を取得された後も、将来に展望を持った形で業務に従事していただく、あるいは資質の向上を図るという観点から認定介護福祉士というものも併せて検討することになっておりまして、現在、職能団体を中心に御検討いただいておりますけれども、多様な生活障害を持つ利用者に質の高い介護を実践する、あるいは介護技術の指導や職種間の連携のキーパーソンとなり、チームケアの質を改善するという認定介護福祉士というものを、仮称でございますけれども現在検討しているという状況でございます。
資料4ページ、5ページにつきましては、喀痰吸引等の概況でございますので、説明は省略させていただきたいと思います。
資料6ページでございますけれども、介護福祉士あるいは介護業務に当たられる方々の業務の特性というものをイメージとして簡単に整理させていただきました。まず、介護業務の特性といたしまして、介護を必要とされている方の心身の状態や状況をアセスメントし、個々人の状態、状況に応じた介護を実践するというのが介護業務の特性であろうと思っております。
具体的には、利用者とのコミュニケーションの展開あるいは自立に向けた生活支援の実施、認知症の状態でございますと、記憶障害、徘徊等の状態像を理解した上で、対応サービスを食事、排泄介助等を含めまして適切な介護サービスを提供するということでございます。
2番目でございますけれども、医師、看護師、介護支援専門員、ケアマネージャー等他職種との連携の上で業務を実施するということ、前提といたしまして安全な介護の実施ということ、あるいは介護技術、介護保険制度等につきまして、利用者、家族、他の介護職員への指導を行っていただくというような役割も、介護職員の業務の特性としてあるのではないかと思っております。また、他職種との連携あるいは他職員との業務の中で仕事を行っていただくわけでございますので、介護記録の作成及び報告ということも基礎的な能力として求められているのではないかと考えています。
更に、介護福祉、介護の中核を成す専門人材という位置づけでございまして、7ページでございますけれども、平成18年12月に社会保障審議会の福祉部会におきまして、求められる介護福祉士像というのをまとめておるところでございます。ここにございますように、12項目につきまして、理想形といたしました介護福祉士というのはこういう姿、こういう能力を持つべきではないかということでございますけれども、12項目ここにございますように、例えば2番目で申し上げますと、現場で必要とされる実践的能力を有する、7番、他職種協働によるチームケアの実践、9番「個別ケア」が実践できる、10番、利用者、家族、チームに対するコミュニケーション能力や的確な記録・記述力等々の能力が求められるという、審議会での御意見をいただいておるところでございます。
8ページでございますけれども、こういったものを踏まえまして、養成段階で、養成校の到達目標というものを定めておるところでございます。介護福祉士養成の目標といたしまして、資格取得時の到達目標、先ほど申し上げました求められる介護福祉士像の前提といたしまして、介護を必要とする幅広い利用者に対する基本的な介護を提供できる能力として、到達目標を定めて、11の項目というのが基本的な資格取得時の到達目標ということで、人材育成を進めているという状況でございます。
10ページでございますけれども、介護福祉士の介護報酬等における位置づけということでございますけれども、介護サービスの質の向上あるいは職員の資質向上を目的といたしまして、平成21年度の介護報酬改定につきまして、介護報酬上の介護福祉士の配置を評価するという仕組みが導入されております。例えば訪問介護であれば、介護福祉士が30%以上配置されていること、あるいは施設であれば、一番下でございますけれども、介護福祉士か50%以上配置されているというような要件に沿ったところにつきましては、加算ということで、報酬上評価されるというような枠組みが導入されているところでございます。
11ページでございますけれども、配置の基準といたしましても、介護福祉士につきましては、サービス提供責任者ということで、介護福祉士であって常勤の方をもってサービス提供責任者に充てるということで、まさに介護福祉士がサービス提供の責任あるいは中核職員としての報酬上の評価、あるいは配置基準での評価がなされているという状況でございます。
12ページ以降、介護福祉士国家試験の概要につきまして記載したものでございます。根拠は社会福祉士及び介護福祉士法第40条に基づきまして、介護福祉士として必要な知識及び技能を有しているかどうかということを推し量るものとして行うということでございます。
受験資格につきましては、先ほど来御説明しているとおりでございますので、説明は割愛させていただきます。
13ページ、試験の形式でございますけれども、2段階ございまして、筆記試験、1月下旬に実施いたしておりますけれども、この資料にございますような10科目分の試験の領域に沿いまして、五肢択一のマークシート方式で実施いたしております。出題数は120問、総時間数は210分という状況でございます。
介護技術講習会の修了者は実技試験は免除されておりますけれども、そうでない方、実技試験非免除者の方につきましては、3月に実技試験ということで、介護等に関する専門的技能を推し量るための実技試験を行っていくということでございます。
合格基準でございますけれども、筆記試験につきましては、問題の総得点の60%程度を基準として問題の難易度で補正した点数以上の得点の方であって、先ほど申し上げました試験科目10科目分すべてにおいて得点があった方ということで、いわゆるゼロ点科目がないという、2つの要件が筆記試験の合格基準として定められ、公表されているところでございます。
10番目でございますけれども、試験実施上の配慮ということで、身体に障害のある方などの受験上の配慮といたしまして、現在行っていることといたしまして、拡大文字、点字による試験のほか、試験時間の延長ということで、障害の程度に応じまして1.3倍ないし1.5倍の試験時間の延長を実施しているという状況でございます。
14ページでございますけれども、国家試験の基本的な性格ということでございますが、国家試験の在り方に関する検討会というのをかつて行っておりまして、その際にまとめられているものでございます。
介護福祉士にあっては介護を実践する専門職として、それぞれ必要とされる基本的な知識及び技術が網羅的に備わっていることを確認・評価するものとして位置づけられた上で、国家試験につきましては、養成課程における教育水準の標準化を図るとともに充実を促進する機能も有しているということでございます。
これまでの受験者、合格者あるいは登録者の状況、あるいは介護職員に占める介護福祉士の状況等につきましては、資料の15~21ページを後ほどごらんいただければと考えております。
資料5でございますけれども「EPA介護福祉士候補者の受験状況と試験における配慮」の状況について御説明申し上げます。
資料の1ページでございますけれども、今年度初のEPA候補者の方々が受験となったわけでございます。EPA候補者の総受験者の方、インドネシア20年度入国者の方が94名、かつて日本での就労経験があるフィリピンの21年度入国者の方が1名いらっしゃいまして、合計で95名の方が受験されたということでございます。95名の方は雇用契約中の方は全員受験をされているという状況でございます。
合格発表までのスケジュールでございますけれども、筆記試験を1月29日に実施いたしたわけでございますけれども、3月28日水曜日に合格発表を行うということでございます。
EPA候補者の方に対します配慮といたしましては、主に2点ございます。1つは、試験問題における難解な用語等に配慮ということで、冒頭御説明しましたけれども、昨年度から実施している方針に基づきまして、振り仮名の併記、疾病名の英語表記等を実施いたしたわけでございます。
また、試験の事前の説明を丁寧にさせていただくために、試験地を各都道府県1会場において、一般の受験生と別室にて受験をしていただくという配慮を行ったところでございます。
次のページでございますけれども、平成22年10月15日に公表いたしておりますけれども、試験上の配慮といたしまして、これまで行われてきた方針は、厚生労働省及び社会福祉振興・試験センターで共同で試験委員会において検討いただいた結果、試験問題中で使用される難しい用語を一部見直してわかりやすい表現にするということでございます。
試験委員会の検討におきましては「利用者の安全確保に影響がないか」「専門職として当然知っておくべき用語か」「関連職種と連携して業務を行う上で支障が生じないか」といった観点から御検討いただいたという状況でございます。
その結果、やさしい用語に置き換えても現場が混乱しないと思われるものについては置き換え、振り仮名、複合語の分解、平易に表現するなどの方法で見直しを行う。
2番目でございますが、介護、福祉、医療などの学問上・法令上の専門用語は原則として置き換えないが、難しい漢字には振り仮名、英字略語には正式名称と日本語訳を付け、疾病名には英語を併記するなどの改善を図るという方針が定められたところでございます。
具体例といたしましては、4ページでございますけれども、一般的な用語につきましては、やさしい用語に置き換えても介護現場が混乱しないと考えられるものについては、できるだけやさしい用語を用いて置き換えるということ、例えば「光源を設ける」というのは「照明を設ける」等々でございます。また、漢字については常用漢字以外の漢字について原則として振り仮名を振る、複合語につきましては、言葉を補いましてわかりやすい表現とする、あるいは主語・述語・目的語の明示ということで、不自然のない範囲で主語・述語・目的語などを表示するという配慮を行うということでございます。
もう一つは、繰り返しになりますけれども5ページ目、学問上の専門用語は原則として置き換えないということ、あるいは法令上の専門用語についてはやさしい言葉への置き換えは原則として行わないということでございます。こういう原則でございますけれども、必ずしも専門用語で厳密に表現する必要がない場合には、できるだけやさしい用語で表現するということでございまして、5ページ、6ページの例にございますような方針を定めていただいたところでございます。
これに基づきまして、昨年度の試験及び今年度の試験から一定の配慮を行うということを実施いたしておりまして、資料の7ページでございますけれども、今年の例で申し上げれば全120問中127か所について改善を実施したという状況でございます。
資料6でございます。現在の候補者の方々に対する受入施設の受けとめないしはコミュニケーション能力の状況について、概略を御説明申し上げます。こちらにつきましては、昨年度にJICWELSが巡回訪問を実施した結果の概略をとりまとめているものでございます。
2ページでございますけれども、施設が提供するサービスへの影響を候補者を受け入れている研修責任者の方に問い合わせた結果といたしましては「サービスの質は特に変わらない」というのが約3分の2ございますけれども「サービスの質が著しく向上した」ないし「どちらかというとサービスの質が向上した」というのが約3分の1ということで、全般的には好意的に受けとめられているという状況でございます。
日本人職員への影響といたしましても「大きな刺激となっている」あるいは「自らの勉強になっている」という評価が多数ございました。
候補者のコミュニケーション能力につきましては4ページ以降記載しておりますけれども、研修責任者の評価といたしまして、平成20年度、インドネシア入国者の方でいえば「特に問題なく意思疎通ができる。」「時々話が通じないときはあるが、ゆっくり話せば概ね伝わる。」というのがほとんどを占めておりまして、入国年次から就労期間が長くなればなるほどだんだん習熟していくという傾向になっておるところでございます。
時間の都合もあり、少し飛ばさせていただきますけれども、9ページでございます。候補者が行う業務について、受入責任者・担当者への質問の中で、候補者が行う業務に関連して事故や問題の有無についても併せて調査を実施しているところでございますけれども、事故の有無について「ある」という回答が23件「ない」という回答が179件ということでございまして、その中身でございますけれども、申し送り内容を正確に理解できない等によるコミュニケーションに関連する事故や問題というのが7件報告をされております。この内容といたしましては、下の中に個々の具体例と対策を記載しておりますけれども、中には誤訳等々のミスということもあったわけでございますけれども、ほかの職員のサポートにより改善しているという状況を御報告いただいております。
資料7、国家試験における用語ということにつきましては、看護師につきまして、先行して厚生労働省で検討会を行いまして、報告が3月16日にとりまとめられておりますので、その概況につきまして御審議の参考にしていただくために付けておるところでございます。
概略でございますけれども、看護師国家試験における母国語・英語での試験とコミュニケーション能力試験の併用の適否に関する検討会におきまして、母国語・英語での試験とコミュニケーション能力の併用の適否について検討したということで、その検討に当たって支援団体からのヒアリング、ホームページを通じた意見募集、諸外国の制度調査などを実施されているという状況でございます。
結論といたしまして、看護師国家試験の役割あるいは看護師の役割からして、あるいは母国語・英語による国家試験の実施につきましては、概略に記載してございますけれども、医療の安全性の確保という観点から、難しいという意見が多数を占めていたという状況でございます。上記に加えて母国語の翻訳は的確に対応する語彙がない場合もあり、題意を十分に伝えることの困難さも想定されるという状況でございます。
こういったことで、看護師国家試験につきましては検討会の報告が定まっているところでございますけれども、本日、厚生労働大臣の閣議後会見で事務局の方に指示がございますので、検討に当たって、御紹介をさせていただきたいと思います。
大臣の閣議後会見の概要でございますが、「看護師国家試験につきまして、医療安全の観点から母国語や英語での試験実施は難しいと考えますが、日本語が障害となっての帰国がないよう、大臣御自身の判断で、来年実施の看護師国家試験から候補者の方への特例といたしまして、試験時間を延長し、すべての漢字に振り仮名を振るように事務方に指示をしたということでございます。併せまして、本検討会で検討をいただくわけでございますけれども、介護福祉士についてもわかりやすい日本語への改善に加え、看護師と同様に試験時間の延長などを、今日から開催の検討会で検討していただくように、事務方に指示をした」ということを御発言なさっておりまして、本検討会の検討に当たりましても、こういった大臣の御指示を踏まえて御検討をお願いできればと考えておるところでございます。
時間を少し超過いたしましたけれども、説明は以上でございます。よろしくお願いします。
○潮谷座長 ありがとうございました。
 ただいま資料の説明がございましたけれども、それぞれの皆様方の中から資料に関して何か質問がございましたらお願いいたします。どなたからでも結構でございます。いかがでございますでしょうか。
 どうぞ、北村委員。
○北村構成員 入国前と入国してから、半年ずつあるいは3か月、6か月の日本語教育をされているということですが、それは研修されたという事実はわかったのですけれども、その評価、例えば日本語検定でどういう点数以上であるとか、単に半年間研修のところに座っていればそれでOKなのか、それとも能力をしっかり評価して適切な能力に達していない者は入国をさせていない、あるいは6か月の研修が終わった時点で帰国していただくとか、そういうような措置をしているのでしょうか。
○佐々木福祉人材確保対策室長 まず、来日後の6ヶ月の日本語の研修は受けていただくということは要件になっておりますけれども、研修の成果として、日本語能力検定の一定の成績以上の合格ということは要件となっておりません。訪日前の研修については、インドネシアの候補者につきましては、私ども、外務省の方からお話を伺っているところによりますと、2011年、来日された候補者の方につきましては、一昨年はインドネシアの場合は3か月の訪日前研修を実施したわけでございますけれども、訪日研修後に日本語能力検定のN3、日常会話等はできるというレベルでございますけれども、6割程度の方が到達したということでございます。
 ちなみに、過去、2010年の訪日の方につきましては、約1割か2割程度の方しかN3レベルに達していなかったということからすれば、一定の日本語能力検定の合格ということは入国に当たっての候補者要件になっておりませんけれども、新たに入国される方については、かなり日本語能力が訪日前の研修で上がっているという状況でございます。
 フィリピンの候補者につきましても、2011年訪日の候補者の5割程度の方につきましてはN3レベルに達していたということでございます。半分ないし6割の方が訪日前の日本語研修を受けられて、N3レベルに達していらっしゃるという状況に徐々に改善はされていっております。
○潮谷座長 6か月、日本で行った結果について。
○佐々木福祉人材確保対策室長 6か月研修の効果につきましては、今、手元にデータがございませんので、改めて調べたいと思います。
○潮谷座長 北村委員、よろしゅうございますか。
○北村構成員 国家試験というのが介護の能力の、言ってみればアウトカム、プロセスではなくてアウトカムを評価し、その人がその能力を達しているかというものをやっているので、コミュニケーション能力もアウトカム評価というのはある意味では大事かなと思います。それをどういう形でやるかはまた別ですけれども、6か月研修したからそれでOKというのはちょっと不備かなと思っています。
○潮谷座長 ありがとうございます。
 その点に関しては今後の論議の中でまた深めてまいりたいと思います。
 皆様、ほかにございませんでしょうか。もし、説明に対しての質問がよろしければ、先に進めさせていただきます。
 それでは、皆様うなずいていらっしゃるので、先に進めてまいりたいと思います。川村先生が今日、資料を御持参くださっていますので、御説明をお願いしたいと思います。
○川村構成員 それでは、資料を御提出いたしましたので、これに準じてお話をさせていただきたいと思います。
 皆様のお手元の資料の一番後ろにあります。 この資料は、先ほどちょっとお話しいたしました介護福祉士候補生のためというよりも、国家試験に受かるようにするための教材ということで、静岡県の方から委託を受けて、開発したものです。今回の検討会は、外国人介護福祉士候補生のための対応ということですから、どんな教材作成を行ったのか、その過程で外国人介護福祉士候補生に対してどういう対応をしたのかが、今回の国家試験への対応方法に関連する部分があるのではないかと思いますので、お話させていただきます。その後、そこから国家試験における対応としてどんなことが考えられるのかという1つの可能性をお話しをさせていただければと思います。ただ、先ほどの大臣のお話を伺いますと、私の後ろの方に書いております提案というのがほぼそれに一致するので、面白いと思っておりました。
 それでは、まず、1ページ目にありますが、「チュウ太プロジェクト」とは、リーディング・チュウ太という、インターネット上で公開している日本語読解学習支援のことです。これで12年になりますが、世界の日本語学習者が利用しています。現在、多言語化を進めておりまして、25の言語で編集チームが既にスタートし、ベトナム語とロシア語と英語に関してはもうでき上がっていて、辞書はすべて公開している、そのような辞書のプロジェクトチームのことです。
 介護福祉士候補生の人たちが大変だという話を聞きまして、何かお手伝いをチュウ太としてもできないかということが事の発端です。そのときに、教材作成といっても、一般の教材を作成するだけではなくて、実際に彼らがずっと学習していく過程にのっとって作成したいと思いましたので、????という段階を経ることにしました。まずミニ辞書をつくりました。そして『チュウ太のWeb辞書』に搭載いたしました。次に語彙リストをつくり、更に漢字の副教材を作りました。これらはすべてチュウ太のサイトで自由に利用可能なもので、無償で提供しています。そして、最終的に『学習ワークブック』を作成いたしました。
 その流れに従ってお話ししたいと思います。後ほど、教材全5冊に関してはこちらに持っておりますので、ごらんいただければと思います。
 まずは、お話だけさせていただきます。10分程度ということでしたので、急ぎ足でまいります。
 次のページになりますが、まず、介護福祉士候補生のために何ができるかということを考えました。チュウ太のプロジェクトでは辞書をつくっていますが、1年以内にすぐに辞書をつくるとなると、1語1訳の形でとにかく間に合わせるしかありません。そこで、国家試験の準備のための辞書を1語1訳のミニ辞書の形でつくりました。その際にどうしたかといいますと、先ほど能力試験の話も出ていましたが、能力試験の過去の出題基準を利用して、介護記録を分析いたしました。能力試験は、今はN1からN5までとなっていますが、その当時は1級、2級、3級、4級と4つの級がありました。それ以外の語、つまり、級外語で、介護福祉士候補生に必要な語彙は何だろうということで、まず介護記録を分析しました。介護記録で級外語が564、これは早急に必要だと辞書を作りました。それから、いよいよ国家試験の話になりますが、国家試験にも級外語が出ている、それを調べました。これに関しては、その当時手に入ったのは第3回から18回までの計16回分です。このデータをすべて総なめいたしまして、1回だけ出たのはたまたま出たかもしれないので、2回以上出た語ということで、1,805語を選び出しました。それに能力試験の語彙、これらすべてを足し算しますと、昨日計算したら約1万1,000語になりました。そのすべての語に対して候補生のためのミニ辞書ということで、インドネシア語とフィリピノ語、タガログ語ですね、それと英語でミニ訳を付けました。その結果、1万1,000語に対して辞書が提供されているという状況になりました。それを先ほど申し上げました『チュウ太のWeb辞書』(http://chuta.jp/)に搭載いたしました。「http://chuta.jp/」を開けますと、次ページのような画面が出てまいります。この画面の上のテキストボックスに電子情報をコピー&ペーストで張り付けて、下の言語を選択して「Dictionary」のボタンを押すと、次のページのようになります。
入力された本文に対して辞書がすべて自動で引かれています。ここでは介護福祉士国家試験の問題を入れました。このページの左側が入力された元の試験問題で、このすべての青色の単語について辞書が引かれております。それぞれの単語をクリックすると、右側の辞書がスクロールアップされます。この図は「改正」をクリックした状態です。この図ではタガログ語とインドネシア語と英語の辞書を表示させました。タガログ語の人はタガログ語だけ、英語の人は英語だけでもいいですし、例文も欲しければ日本語も選択しておくといいと思います。日本語をクリックすると、右側の辞書では、例文も出てきて、翻訳もあります。こういったものがネット上に提供され、ほぼすべての単語に対してミニ辞書が対応しているというのが現状です。
このページの左側の下に「あなたの単語リスト」とありますが、クリックした単語がリストとして出てきます。この図では、「福祉」を最初にクリックして、次に「介護」、最後に「改正」に行きました。この「あなたの単語リスト」も辞書とリンクされていますので、復習もできますし語彙リストも自動でできあがるというシステムです。こうしたシステムが既に3年前から提供されております。
ただ、これは日本語学習には役立つのですが、国家試験のためにはこれだけでは足りません。そこで、どんな言葉を優先的に学んでいったらいいのかというので、次に学習語彙リストを作成いたしました。先ほど16回分と言いましたが、国家試験に出てくる語を全部覚えればいいのですが、すごい量です。それは無理だろうということで、平均1つの試験に1回以上現れた語を、まず学ぶべき語と考えました。そこから候補生がすでに知っているだろうと考えられる語を除きました。先ほどのお話でN3を合格している人が6割とのことでしたが、6割ということは、残りの4割の人は受かっていない、つまりN4、N5のレベルですから、初級であろうということで、初級は一応わかるとみなして、それ以外の単語で16回以上現れた単語を調べたところ、808語でした。808なのでちょうどいい、末広がりだということで、「介護単語808」というネーミングにして、これをリストとして公開しました。
次のページに行ってください。これが「介護単語808」です。ここにある見出し語は全部808のものです。「愛」とか「相手」とか、一見やさしそうな単語が入っていますが、これらは初級語彙ではありません。日本語能力試験では中級の語彙です。つまり、N3に受かっていない候補者たちはこんなやさしい単語も知らないということなのです。ということで「愛」とか「相手」もリストに入っていますが、「アセスメント」こんな難しい単語もあります。これは試験によく出てくるからです。「悪化」「扱う」「圧迫」これが試験に出てきていた単語です。先ほど辞書をつくったと言いましたが、その辞書を利用して英語とインドネシア語を自動で引き、このリストが完成しました。この「介護単語808」のリスト、これもネット上に公開しております。さらに、日本語自体ができるようにならないといけないので、リストには「やさしい日本語」での説明もあります。これは808と3、4級の単語の範囲で説明してあるものです。更にそこにルビを振って、ネット上に公開したわけですが、これが彼らのまず覚えるべき単語リストになります。
ところが、今、ごらんになったところは、比較的平仮名も多いのですが、「悪化」とか「圧迫」とか、とにかく専門用語になればなるほど漢字が多くなります。ここで問題なのは、彼らが非漢字圏出身者のインドネシア人、フィリピン人のため、漢字がわからないということです。では、どうしようかということで、次のページです。
語彙リストを基に、漢字の語彙をうまく学習する方法はないかと考え、「介護単語808」の中で頻出した漢字について、度数の多かった順に並べたリストをつくりました。リーディング・チュウ太の中に語彙と漢字とそれぞれの頻度をチェックするツールも既にありますので、それを使ってつくることができます。
それが、漢字学習の副教材で「介護漢字」です。このリストの漢字は「介護単語808」にある頻出順番、度数の多かった順番に並べてあります。
何が一番多いと思われますか。介護だから「介」とか「護」だろうと考える方もいらっしゃると思いますが、実は「定」という字が一番多かったのです。「介護漢字」では、漢字の順番もさることながら、漢字自体の品詞にも着目しました。名詞か動詞か形容詞か。それから、その漢字が置かれている位置にも着目しました。その漢字が前にあるのか後ろにあるのか。そしてそこに「やさしい日本語」と英語とインドネシア語訳を添えたリストをつくったのが、次のページです。
これが「介護漢字」です。「定」がトップに出てまいります。緑のところ「定」のところに○が付けてあります。そこに品詞は「動詞」と書いてありますが、これは動詞性の単語だという意味です。漢字が前にあるものと後ろにあるものをそろえて並べた理由はなんでしょう。「定期」「定年」と、「定」が前にありますね。そして後ろにあるものは、「指定」「設定」「測定」「特定」「認定」「判定」「安定」です。こうやって見ると、確かに介護の言葉が並んでいますね。そして、これらの「定」は後ろにありますね。「定」が前なのか後ろなのか、実は、日本語教育、漢字教育でもこれに着目して教えることがあまりないのです。橋本委員もうなずいていらっしゃいますが、今まで日本語教育でこれに着目している人はすごく少ないのです。ところが、ここに着目するのには大きな理由があります。右に答えがありますが、「定期」「定年」は何を定めるのか、つまり、定める対象、目的語が後ろにあります。次の、「指定」「設定」「特定」では、どのように定めるのか、つまり、Howに当たる部分が前にあって、何々のように、どんなふうに定めるかです。この規則を知ることで、彼らは初めて出てきた漢字でも読み解けるようになるはずだと考えました。ただ、「なるはず」と考えるだけでは不足ですので、ここには書いてありませんが、今のような説明を書いたルールも既にネット上に置いてあります。「漢字の上手な覚え方」と題して、ネット上に置いてあります。漢字が名詞性だったら、ルールはまた違ってきます。「老人」のように「人」が後ろに来ている場合は、前がどのような人なのかを示しますし、この「人」が前に来ていたら「人格」「人権」のように、人の何々となります。このように名詞性か動詞性か副詞性かによって違うということに着目させるリストをつくりました。
以上が下準備です。これだけのものができたところで、次にまいります。やさしい日本語版の学習ワークブックを作成いたしました。これは静岡県からの委託を受けてつくったものです。やさしい日本語版の学習ワークブックをつくってくれと言われて悩みました。最初はすべてやさしい日本語で書いた教材をつくろうと思いました。ところが、すべてをやさしい日本語で説明してしまうと、そのワークブックの説明はわかるけれど、試験はわからないということになります。そのギャップを埋めるのに、先ほどの808がここで意味を持ってきます。ワークブックでの使用語彙の範囲を決めました。つまり、国家試験の頻出語に関しては、やさしくなくても使うことにしました。この学習ワークブックでは「圧迫」とか「悪化」とか難しい単語はそのまま出します。ただし、それ以外は初級です。つまり、初級と808の範囲の語でつくりました。このときに「kaigoiチェッカー」というツールを開発しまして、808は緑、3、4級の単語は黒字、それ以外のものは赤字と青字で表示するチェッカーをつくりました。また、介護について説明するときにどうしても法律とか医学用語とか、808に入らない語も使う必要があります。その場合は、仕方がないので注で説明しました。ただ、その注も初級と808の範囲で説明するという形にしました。とにかく、これによって808を覚えさせることができます。また808がわかっていれば、試験は何とかなります。実は、その後の第20回の国家試験をチェックしてみましたら、808と初級で90%近いカバー率でした。つまり、試験問題の単語のうち90%の言葉がわかるということです。残りの10%であれば、あとは勉強していけばわかるだろうと考えました。日本の文化や制度も注で説明しましたが、これは大変でした。日本の文化や制度は彼らには難しいです。その注の説明の語彙も制限の語彙の範囲で書き、文は短く箇条書きも使って、本文は総ルビにしました。ここが大事です。すべての漢字にルビを振りました。その理由は、ルビが振ってあれば人に聞くこともできるし、辞書も引けるからです。
次にまいります。「kaigoiチェッカーの結果画面」とありますが、kaigoiチェッカーに普通の文章を入れますと、このように表示されます。黒は初級の言葉です。緑は808の単語です。見ていただくとわかるかと思いますが、緑の単語はすごく多いですね。これが808の頻度の高さを示しています。「kaigoiチェッカー」に介護の教科書を入れるとこうなります。青は出題基準の2級、今ですとN3とN2です。赤はN1と級外語です。編集者がこの青と赤の語を書き換えていくことによって、一定の範囲の語彙のみを使った教材というのができ上がるという流れになりました。多分、この辺りが試験問題作成のときに何らかのヒントになるのではないかと思います。
今の話をまとめますと、まず語彙リストをつくって、辞書をつくって、それをチュウ太のWeb辞書に載せ、頻出語で808をつくり、更に漢字を覚えられるような仕組みをつくって、これらをすべてネット上で公開し、最後にやさしい日本語版の教科書ができ上がったという流れになっております。
このような一連の教材作成を行いつつ、これで勉強すれば彼らは無事試験に受かるんだろうかと考えておりました。そのときに考えていたことを最後のまとめとしてお話ししたいと思います。国家試験がこんなふうになったらいいだろうなと考えたことを対応策の1つの可能性としてごらんいただければと思います。まず、英語による国家試験あるいは母語による国家試験があって、プラス日本語のコミュニケーション能力が評価できればという話がありました。その話を聞いたときに、ちょっと疑問を持った部分がございました。今回の看護師候補者に関する検討会の方々が疑問を持たれた部分と重なるかと思いますが、外国語訳の適切な試験問題が作成できるのだろうかという点です。勿論、いい翻訳者がいれば翻訳はできるのですが、実は、日本の制度とか日本の文化に関するものを外国語に訳す、例えば「みそ汁」という単語を訳せば訳すほどわからなくなるのです。「どんなものを食べるときに誤嚥が起こりやすいですか」という問題で「あんかけ」が出てくる。それを外国語に訳せばかえってわからなくなるのではないか。そんな問題もあります。それから、インドネシア語では専門用語は英語になってしまっていることも多いというあたりで、インドネシア語に全部直してしまうと、かえってわからなくなる部分もある。では、英語だけでいいかというと、フィリピン人にとってはかなり有利ですが、インドネシア人にとっては不利となるかもしれない。というわけで、何が公平かという問題もあります。
もう一つ思ったのは、翻訳作成の際には、おそらく正解までは教えてもらわずにつくりますね。そのときに日本語ではこれが正解になるけれども、外国語にした場合、果たしてその選択肢の、例えば4が、そのまま正解になるのか、それがどうやって保証できるかという問題があります。
いっぽう、日本語能力を別試験ではかるとなった時に、何を基準にしたらいいのかというので、これも悩むだろうなと考えました。そこで、英語あるいは母語による国家試験プラス日本語のコミュニケーション能力という方法には?マークがつきました。だめというのではないのですが、以上のような可能性も考えていく必要があると思います。
次に、◎を付けているものにまいりますが、まず、時間の延長です。先ほど弱視の方と点字使用者に関しては、時間延長をしているという説明がありました。外国人候補者は日本語弱者です。弱視あるいは点字同等のレベルで延長ができればと思います。ただ、時間延長は本当に助けになるとは思いますが、それだけでは不足です。
また、彼らにとっていいだろうと思うのが、総ルビです。総ルビにするのは大変だとは思いますが、単語の一部だけルビにすると、かえってわからなくなることがあります。例えば石けんの「石」のうしろに「けん」とふられていたら、「いしけん」って何だろうと考え、かえってわからなくなるということがあります。これが「せっけん」と振ってあれば、問題なくわかると思います。
あとは、単語の書き換えです。これについては、本当に試験問題の作成で、御苦労なさっていると思いますが、書き換え基準を明確にする必要があるだろうと思います。そのときに、必要な専門語という範囲を先に決めて、それ以外についてはきちんと対応していくということがあったらいいだろうと思いました。
以上、お時間ちょうだいいたしました。

○潮谷座長 ありがとうございました。
 多分、構成員の皆様たちも、川村先生の本当にわかりやすさを目指しての熱意がお聞き取りになられたのではないかと思います。私もとても感動を覚えました。最後のところの国家試験における対応、これはこれから私どもが論議を深めていくところの視点にもなろうかと思います。
 そういった意味を含めて、事務局側からの説明と川村先生のただいまの説明に関して、皆様方から御自由に何か認識論あるいは質問等々がございましたら、お寄せいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 どうぞ。
○橋本構成員 大変すばらしいものをおつくりになったと思います。漢字の考え方とかも、是非6か月、9か月、1年の漢字教育の初めにやって、漢字についての考え方というところに使われたらいいと感じました。
 1つ質問させていただきたいのは、入力された文書の例文ですけれども、この例文はおつくりになったのか、国家試験の中から引かれたのか。
○川村構成員 それは一般用ですので、もともとのプロジェクトでつくったもので、これは国家試験とは直接関係はございません。
○橋本構成員 わかりました。ありがとうございます。
○潮谷座長 ほかにございませんでしょうか。
 北村構成員、どうぞ。
○北村構成員 これは、どれぐらいのアクセスがあって、どれぐらい使われていて、例えば今年の受験生がどれぐらい使って、その感想はとか、そういう評価はありますか。
○川村構成員 ありがとうございます。
 実はこれをどういう形で公表していったらいいかということで、困っておりました。日本語教育学会等国内外の日本語教育関連の学会等では話をしていても、実際に介護福祉士候補生の皆さんにこの情報が行っているかということが心配になっていました。
 ただ、朝日新聞が取り上げてくださり、全国紙に2年前に載ったものですから、それからのアクセス数はぐんと増えています。
 今は、ひと月に4,500ほどアクセスがあります。先日、分析をしましたら、実際に辞書として、インドネシア語とタガログ語が引かれている率がかなり高いという結果でした。ただ、具体的に何人が使っているのかというのはわかりません。
 ただ、この場合、問題なのが、これは介護福祉士の人たちのためにつくりましたので、看護の単語に関しては十分に対応していない部分があることです。特に看護の場合、医療関係、医薬品関係の言葉必要になります。辞書を引いていて出ていない語がどのぐらいあるかということで、調べてみました。わずかのサンプルしか調べてないのですが、チュウ太の1万1,000語で出せないものが、「胎児」それから「出産」は大丈夫だったんですが、「分娩」とか、つまり、看護では要るけれども、介護では普段、分娩とか出産に関係することはないため、そういう単語が足りないということがわかりました。
 ということで、実際にどのぐらいの人が利用しているかというのは、それぞれの施設の方に伺った方がいいかと思いますし、施設の方への情報がどこまで行っているかというのはわかりません。よろしいでしょうか。

○潮谷座長 北村構成員、よろしゅうございますか。
○北村構成員 今、手元のこれで見ているんですけれども、実はたどり着けませんでした。チュウ太までは行けるんですが、看護師のページがよくわかりませんでした。
○川村構成員 それは「リーディング・チュウ太」の方をアクセスなさったんだと思います。chuta.jpと入れると出てくるかと思います。
○潮谷座長 では、北村構成員、後で川村構成員から是非習ってください。
○佐々木福祉人材確保対策室長 若干事務局から補足させていただきますと、導入研修、さまざまな候補者の方に対しまして日本語の教材等も紹介いたしておりまして、先ほど川村先生のチュウ太と呼ばれる教材につきましては、導入研修の段階で候補者の方々にも御紹介しているという状況でございます。
○潮谷座長 ありがとうございます。
 どうぞ。
○根本構成員 非常に興味深い御説明で、大変感銘を受けましたけれども、後ろから2枚目の「kaigoiチェッカーの結果画面」とありますね。先ほど、編集者は青と赤の語彙を書き換えるというところがありますが、これを見ても赤と青、かなりのボリュームがありますね。一般的にこれぐらいの頻度で出るものなんでしょうか。それともこれはたまたま。
○川村構成員 そうですね。ほぼこんな感じで出てまいります。逆に言えば、彼らが知らない言葉が、こんなに多いんだということです。本当は緑もわからない単語ですね。3、4級レベルというのは、彼らがわかっているのはこの中の黒い字だけなんです。ただし、日本に来てから6か月の研修後、日本語レベルがN2まで行っていれば、もう少しいいかもしれません。青い字と緑の半分は大丈夫ですが、赤字はだめです。
 ただ、このワークブックではどうしたかといいますと、例えば「同意」という単語は赤字ですが、要りますね。同意というのは、やはり試験にも出てまいります。特にキーワードになる語ですので、キーワードの言葉は書き換えずに、更に「同意」の説明文に「いいと言ってもらうこと」という説明を入れました。
 面白いのは、このワークブック自体を福祉候補生ではなくて施設の方が利用なさることで、説明の仕方がわかる。やさしく、どう説明したらいいか、日本語の先生ではないので困っていらっしゃる方々が、説明用に使っているということです。
 とにかく赤も青も多いです。ですから、試験問題の作成のときに、例えばこの「kaigoiチェッカー」にちょっとかけてみて、これがわからないんだというふうにわかっていただけるとうれしいです。日本語教師の立場として、うれしいです。

○潮谷座長 ありがとうございました。根本構成員、よろしゅうございますか。
 それでは、ほかにございますでしょうか。
 どうぞ。
○久保田構成員 興味深いお話、ありがとうございました。
 私は、介護導入研修で関わったインドネシア人と2週間ぐらい前に会いましたら、やはり言っていたのは読んで理解するのにハンディがあり、漢字は書けないけれども現場の中で訓練されたり、使ったりしていると、こういうことだろうというニュアンスは感じ取れる。そういうものはわかるんだけれども、そこを読んで理解するまでに時間が欲しい。でも、大臣のお話ということで説明がありましたが、時間延長はいいなと思いました。やはり言葉のハンディがあるから、私たちは視覚障害とか、そういうハンディがある人と同じような試験時間の配慮がほしいということを、多くの受験生が言っておりましたので、やはり川村先生の意見と一致していると思います。
 でも違ったのはルビに関しての意見です。ルビがふってあるとかえって邪魔だというふうな、たくさんの意見ではないのですが、必ずしもルビを求めているということではないということを申しておりました。それは不一致点だと思って聞かせていただきました。
○川村構成員 ありがとうございました。
 確かにルビは上級になれば邪魔なんです。1つの方法として、2種類用意して、ルビのあるのとないのと、どちらでもいいとするのはいかがでしょう。特に候補者たちの試験が別室で行われているということであれば、ルビありも使えるという方法もあるかなと、今お話を伺っていて思いました。
 実は、ネット上の辞書を利用する際には、ルビが入ってしまうと、今度はルビのところが括弧書きになるので、辞書引きがうまくできないという問題があります。例えば「補う」というと「おぎな」と「う」に分かれてしまうので、そんなの辞書にないということで、チュウ太にもうまくかからないんです。
 それを考えますと、ルビのないものもあるといいなと、こちらも思っておりましたので、どちらでも選べるという配慮でもいいかなとも思いました。

○潮谷座長 どうぞ。
○橋本構成員 それに関して、先ほど大臣の話もあり、総ルビと言われたので、どうしようかとすごく思っていたのですが、やはり久保田先生がおっしゃったように、ルビに関してはよく候補者に聞いているのですが、ルビは要らないという意見が圧倒的に多いです。
 今の選べるというのは、なかなかいいなと思ったのですが、次回、17日の2回目に私が個人的に来年度受ける人たちのために資料をつくろうと思いまして、今年度の国家試験についての候補者へのアンケートというか調査をしているんです。
 たまたまこちらの検討会のお話をいただきましたので、もう少し広げて英語表記とルビについても、途中から加えましたので、その辺の意見を少しお伝えできたらと思っています。
○潮谷座長 どうぞよろしくお願いいたします。
 ほかには、いかがでしょうか。
 事務局側と川村先生の資料に基づく御説明の中から、本当に次回以降、私どもが多様な形の中で論議を進めていかなければならない課題が、それぞれに認識深く語られているような感じがしたところでございます。
 今日は顔合わせということと、また今後の日程等々も含めて、皆様方の御了解を得たいと思っておりますので、もし皆様方からこれ以上、認識論あるいは質問がなければ先に進めさせていただきますが、よろしゅうございますか。
(「はい」と声あり)
○潮谷座長 ありがとうございます。
 それでは、今後の進め方について、事務局側からお願いしたいと思います。
○佐々木福祉人材確保対策室長 資料8に基づいて御説明申し上げたいと思います。
 検討会で御議論いただくスケジュール(案)でございますけれども、今回第1回、3月23日、本日でございますが、次回以降の進め方でございます。
 委員の方々にあらかじめ日程を伺ったところによりますと、4月17日ないし4月27日の日程に参加できる委員の方々が多いということでございますので、4月に2回、この期日に開催をいたしたいと思っております。
 3月28日に合格発表が行われるわけでございますけれども、その結果も踏まえまして介護福祉士国家試験の結果の御報告をさせていただくともに、候補者の方々の支援に携わっていらっしゃる言語学者の方々ですとか、先ほど橋本先生からもお話がございましたが、委員の方々からの日本語学習に関する御意見等々も含めて御意見を伺うということにいたしたいと思っております。
 看護の検討におきましては、英語、母国語の併記に付きまして一般の方々を含めて御意見をいただくという形をとっておりますので、できますれば同じようにホームページにおきまして意見募集を開始いたしたい。そのための案をお諮りするということにしてはどうかと思っております。
 第3回でございますが、4月27日でございます。同様に受入れ支援を行っております各団体から試験の在り方につきまして、ヒアリングを行うということに併せまして、合格発表を踏まえ、EPA介護福祉士候補者の方々から同意を得てヒアリングの機会を設けたいと考えております。
 5月以降、あるいは6月の日程はまだこれからでございますけれども、こういった関係団体あるいは候補者の方々の御意見を踏まえて、あるいはホームページの意見募集の結果なども御紹介を申し上げながら、とりまとめ案の検討を賜ってはどうかと考えております。
 6月を目途といたしまして、検討結果をとりまとめて来年度以降の実際の試験に反映していくということにしてはどうかと考えているところでございます。
 説明は以上でございます。
○潮谷座長 事務局から検討会のスケジュール(案)が示されましたけれども、取り立てて何か皆様方の中で事務局に伝えたいことはございますか。
 どうぞ。
○川村構成員 4月17日なのですが、開始時間は15時で決定でしょうか。実はこの日が授業の初日でして、早めに終えてできるだけ駆けつけようと思うのですが、皆さんの御予定は15時からでしたね。
○潮谷座長 結構、大学関係者が多いところですので、事務局側、この問題についていかがでございますか。
○佐々木福祉人材確保対策室長 私どもが伺っているところによりますと、委員の方々は17日に15時からという日程で都合が合うとあらかじめ伺っておりますので、もし委員の方々がよろしければ、4月17日の15時とさせていただきたいと思います。
○川村構成員 少し後ろにずらしていただくと、皆さんの御都合は悪いでしょうか。悪ければ、遅刻ということで。
○久保田構成員 田舎なもので、交通事情の悪いところから参加しているので。
○川村構成員 なるほど、わかりました。
 では、済みません、遅刻になりますが、悪しからず。
○潮谷座長 それでは、事務局の方から川村先生が遅刻の可能性が高いということですので、その旨、お含み置きいただいて進めさせていただくという形でよろしくお願いいたします。
 先生、ほかに何かございますか。大丈夫ですか。
○橋本構成員 大丈夫ですが、できたら質問がしたいなということがあります。事務のことではないので。
○潮谷座長 では、また後ほど。
 それでは、先ほどの話ですと、ヒアリングのことが言われましたが、今後について、できれば事務局からヒアリングを予定されているところを明らかにしていただくと、日程的なことも見えてくるかと思いますので、よろしくお願いいたします。
○佐々木福祉人材確保対策室長 事務局といたしましては、同様に看護の検討会などで意見をお伺いいたしました。日本インドネシア協会あるいはガルーダ・サポーターズという団体にヒアリングをお願いしたいと考えております。
 また、EPA候補者の受入れに御協力をいただいている受入れ支援協議会というところがございまして、各施設関係団体あるいは介護福祉士会等々が入っておるわけでございますけれども、そういった方々からEPAの候補者に対する試験の在り方について御意見を伺いたいと思っております。
 また、具体的に試験用語の改善に関しましては、日本語あるいは母国語に非常に高い知見が求められるということから、日本語教育学会にも御意見を伺う機会を設けたいと考えております。
○潮谷座長 ありがとうございました。
 そういう中でヒアリングが進められるということでございます。
 それでは、スケジュールについては以上のとおりですけれども、ほかに何か全体的なことで御質問、御意見がございましたらお伺いしたいと思います。
 橋本構成員、どうぞ。
○橋本構成員 済みません、すごく個人的にわからないことの質問でもよろしいでしょうか。今年度の国家試験の問題なのですが。
○潮谷座長 それはいかがいたしましょうか。個別的なところですので、会が終わったところで事務局に。
○橋本構成員 多分、御興味がおありかなと思ったので、質問させていただければというのは、今後の国家試験をどう変えていくかというところで役に立つかもしれないと思うのですけれども、私が今、候補者にいろいろヒアリングしている中で今年度の国家試験をずっと見ているのですが、気になった言葉が1つあります。公営住宅。
 公営住宅は2か所出てきて、なぜここで公営住宅でなければいけなかったのかなというのが気になっているのですけれども、おつくりなった先生がいらっしゃるのであれば、そこを聞きたいと思っていたのです。
○佐々木福祉人材確保対策室長 恐縮なのですが、個別の作問の状況について試験の作成というプロセスになりますと、差し障りがありますのでお答えが難しいと思います。
○橋本構成員 わかりました。そうすると、また違ったところで専門の方にお聞きしてみます。これがその答えに関係してくるというか、これがわかることで答えが選べるのかなというところがとても気になっているところなので、済みません。
○潮谷座長 ありがとうございました。
 どうぞ。
○北村構成員 一般的な国家試験のルールではないですが、経験でお話しますと、1つの文化なのです。
 公営住宅と聞いたたけで、多くの日本人は大きさもエレベーターがない不便さも大体想像がつくのです。3階建てにエレベーターがある公営住宅は多分ないと思うのです。そこの3階に住んでいると、介護の方法が変わるかもしれない。そういうニュアンスでお使いになったのではないか。私はつくっていませんからわかりませんが、1つの文化を表しているので、EPAの候補者の人にとっては非常に難しいと思います。
 同じような言葉で例えば舅とか姑、これを夫の父とか夫の母といったら確かに易しい日本語なのですが、文化的な背景は壊れてしまうのです。いじめる、怖いというイメージがあるような、あるいは嫁からいうと、気を遣う相手である。そうすると、介護の方法も変わるかもしれない。そういう一つひとつの言語に文化の背景があると思うのです。それをどこまで壊していいものなのか、易しい日本語に置き換えれば、確かに夫の母ではあるけれども、言葉が違う。
 そうすると、現場に出たときに、なぜ、このお嫁さんはこういう行動をしたのだろうということが十分理解できないですね。だから、どこまで日本の文化を知ってもらうかというのは大事だと思うのです。
 日本語検定でよければ、すばらしい介護士になるとも言えないしということで、今後、是非教えていただきたいなと思っています。
○橋本構成員 ありがとうございます。
 まさにそこをお聞きしたかったので、公営住宅というものの日本人の理解がどういう介護をするかということで、ここの解答に影響してくるのだということが知りたかったので、ありがとうございました。
○潮谷座長 北村構成員、ありがとうございました。
 作問者に代わって、そして、また、言葉が文化であるという共通的な理解で、私どもも今後とも考えていかなければならないと思います。
 それでは、これからヒアリングに関わっては関係団体との調整もあろうかと思いますので、事務局に是非、調整をしていただきたいと思います。予定の時間が迫っておりますので、第1回の検討会を閉会したいと考えております。よろしゅうございますか。
(「はい」と声あり)
○潮谷座長 ありがとうございます。
 次回は先ほど事務局からございましたように、4月17日15時からの予定でございますので、よろしくお願いいたします。長時間にわたってありがとうございました。


(了)

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