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2011年12月26日 薬事・食品衛生審議会血液事業部会議事録

医薬食品局

○日時

平成23年12月26日(月)10時~


○場所

航空会館501・502会議室(5階)


○出席者

出席委員(18名):五十音順 敬省略

稲 田 英 一、  ○大 石 了 三、 大 戸   斉、 大 平 勝 美、

  岡 田 義 昭、 小 幡 純 子、 佐 川 公 矯、◎高 橋 孝 喜、

花 井 十 伍、 半 田   誠、  前 野 一 雄、 幕 内 雅 敏、

 三 谷 絹 子、 三 村 優美子、 山 口 一 成、 山 口 照 英、

  吉 澤 浩 司、 渡 邉 治 雄

   (注) ◎部会長  ○部会長代理

 他参考人6名

欠席委員(3名):五十音順 敬省略

 朝 倉 正 博、 嶋   緑 倫、  鈴 木 邦 彦

行政機関出席者

 平 山 佳 伸 (大臣官房審議官)

 三 宅   智 (血液対策課長)

 丈 達 泰 史 (血液対策企画官)

○議事

○血液対策企画官 それでは定刻になりましたので、ただ今から「平成23年度第1回薬事・食品衛生審議会血液事業部会」を開催させていただきます。
 なお、本日は公開で行うこととなっておりますので、よろしくお願いいたします。
 はじめに委員の交代がありましたので、御報告いたします。
 久留米大学医学部教授の佐川公矯委員が退任され、虎の門病院輸血部長の牧野茂義委員に御就任いただいております。よろしくお願いいたします。
 本日は、朝倉委員、鈴木委員、嶋委員から、それぞれ御欠席の御連絡をいただいております。本日、大平委員が少し遅れていますが、委員21名中17名の御出席をいただき、定足数に達し、薬事・食品衛生審議会令第9条により、本部会が成立したことを御報告申し上げます。
 また本日は、採血事業者で血液事業の担い手として、日本赤十字社血液事業本部から、経営会議委員の田所憲治さん、総括副本部長の俵国芳さん、副本部長の石井博之さん、副本部長の日野学さん、財務課長の新畑泰仁さん、臨床開発課長の五十嵐滋さんに御出席いただいておりますので、よろしくお願いいたします。
 次に、事務局に異動がありましたので、御紹介させていただきます。血液対策課の課長補佐の難波江の後任に、伯野が着任しております。需給専門官の秋山に代わりまして、新村が着任しております。最後に、血液対策企画官の安田に代わり、私、丈達が8月下旬に着任いたしました。よろしくお願いいたします。
 議事に入る前に、本日の部会においては、個別品目の承認の可否や個別品目の安全対策措置の要否の審議はありませんが、血液事業の運営において日本赤十字社が調達する技術の提供企業との利益相反を確認しておく観点から、「薬事分科会審議会参加規程」に基づいて利益相反の確認を行いましたところ、審議及び議決への参加については「退室委員及び議決に参加しない委員は、共に無し」となっていることを御報告申し上げます。
 これ以後の議事の進行については、高橋部会長によろしくお願いいたします。
○高橋部会長 それでは、事務局より、資料の確認をお願いいたします。
○血液対策企画官 お手元の資料の確認をさせていただきたいと思います。3枚紙で本日1枚目が議事次第、座席表、委員名簿になっております。関係資料の固まりごとにクリップ止めをしております。お手数ですが、クリップ止めを外し御確認いただけたらと思います。資料がかなり多くなっておりますので、簡単な確認をしたいと思います。一覧が議事次第にありますので、それも併せて御確認いただけたらと思います。資料1は資料1-1~1-9、最後のページに参考資料1-1、資料2は資料2-1~2-7、参考資料2-1~2-7です。参考資料については、一つのホッチキス止めになっています。資料3は資料3-1~3-5、資料4は4-1~4-3、資料5は5-1~5-5、資料6は一つのホッチキス止めのものです。不足等ございましたら事務局までお申し付けください。よろしくお願いいたします。
○高橋部会長 よろしいでしょうか。それでは議題1に入ります。議題の1-1と1-2を併せて審議したいと思います。
 議題の1-1は今年度実施いたしました「血液推進調査会」についての御報告です。
 議題1-2は、「平成24年度の献血の推進に関する計画(案)」の議論で、血液法の規定により、毎年度策定すべきものです。
 この場で御審議いただき、その結果を反映したものをパブリック・コメントにかけた上で、次回の部会において審議会答申として取りまとめたいと思います。
 事務局から、資料の内容の説明をお願いします。
○事務局(伯野補佐) 議題1-1「平成23年度献血推進調査会の審議結果について」、1-2「平成24年度の献血の推進に関する計画(案)について」説明いたします。
 お手元の資料1になります。少し長くなりますので、座って失礼いたします。本年9月16日と11月22日に開催されました献血推進調査会の資料になります。次のページの資料1-1「献血推進2014の達成状況」を御覧ください。昨年度献血推進調査会において策定した「献血推進2014」の進捗状況です。最後の3ページは目標です。若年層の献血者数の増加、集団献血の確保、リピーターの増加について、それぞれ2014年までの目標値と昨年度の状況を示しています。全体的に見ますと、21年度と比べて少しずつ目標に向けて増加している状況です。
 資料1-2「採血基準の見直しに伴う影響」は、日本赤十字社から提出された資料です。今年度から採血基準が見直されましたが、その影響についてです。2ページを御覧ください。今年度から400mL献血については、男性の下限年齢が18から17歳に引き下げられましたが、その結果、下の表ですが、17歳の男性の献血者数は、200mLについては約3,000人減ったものの、400mL献血については約4,400人増加したため、全体で見ると1,400人ほど増加しています。11ページを御覧ください。懸念されていましたVVRの発生頻度です。下の方の黄色のマーカーの箇所を御覧ください。400mL献血における17歳男性のVVRの発生頻度は2.0%で、18歳男性が2.6%です。17歳男性の400mLの献血のVVRの発生頻度は、決して高くないという結果になっています。
 続いて資料1-3「若年層献血者(10代)の献血継続状況分析」です。こちらも日本赤十字社からの提出資料です。1ページの「2.結果」です。初回献血の年齢が若ければ若いほど、次年度の再献血率が高いというデータが出ています。言い換えると、初回献血年齢が若いほどリピーターになりやすいという結果が出ています。
 次に資料1-4「高校献血減少の要因分析」を御覧ください。こちらも、日本赤十字社からの提出資料です。4ページです。20年ほど前と比較しますと学校献血の率は非常に低下しているのが実態としてあります。その要因です。1ページにお戻りください。日本赤十字社の内部的な要因としては、400mL製剤の需要が伸びたことから200mL献血自体を制限した結果、学校献血を抑制したということが一つあります。また、外部要因としては、2ページ目にあるように、学校側の要因として、授業のカリキュラム上、献血の時間が取れなくなっている、あるいは献血の安全性を懸念して、なかなか学校側の理解が得られなくなっているという状況があります。
 次に資料1-5「医療機関における200mL赤血球製剤の需要と供給」こちらも日本赤十字社からの提出資料です。200mL赤血球製剤と400mL赤血球製剤ごとに医療機関の需要と供給のバランスを示したものです。400mL製剤の発注割合が赤字で示されていると思います。全体の中で、400mLの製剤の発注に占める割合は92.7%です。一方で右の方にある供給については、87.6%で、約5%のギャップが生じています。したがって、200mL製剤が若干余剰がある、あるいは400mL製剤が供給できない分を200mL製剤で補填しているという、どちらかの実態があるというところです。
 次に資料1-6「200mL赤血球製剤と400mL赤血球製剤とのリスク評価」で、200mL製剤と400mL製剤の安全性です。こちらも日本赤十字社からの提出資料です。この資料は安全技術調査会でも御議論いただいたものです。元々400mL採血を推進した背景としては、400mL製剤の方は、200mL製剤と比較してドナーの数が半分になるために、感染症のリスク自体も半分になるのではないかということから400mL採血を推進してきた背景があります。しかしながら、B型肝炎、C型肝炎の陽性率というのは、年齢依存性に上昇する傾向があり、また、200mL採血というのは若い方の割合が非常に高いということから現在の献血状況を考えますと、200mL製剤の方が、もしかすると安全性が高い可能性があるのではないかという御意見があり、今回日本赤十字社にリスク評価をしてもらいました。結論は5ページの「10.結論」というところにありますが、200mL製剤と400mL製剤は、ほぼ同等のリスクがやはりあるということで、200mL製剤を2本輸血した場合のリスクは400mL製剤1本のほぼ2倍になるというものです。ここにも記載がありますが、ただし、前提としては、非常に低い感染リスクが2倍になるということをどう捉えるかという観点はあるかと思っています。
 次に資料1-7「200mL全血採血のあり方」です。先ほど説明させていただきましたが、若年層の献血推進という点では、若い年齢で初回献血を経験していることが望ましいとありますが、一方で若い世代の献血推進によって200mL献血が増加して、200mLの赤血球製剤が増加する可能性があるため、医療機関の需要とのバランスをどのように考えるかということで、こちらも日本赤十字社に作っていただいた資料です。考える方法ごとにメリット、デメリットをまとめていますが、結論を申し上げますと、献血推進調査会においては、血液製剤の安全性、製造効率等の観点から、基本は(1)の400mL献血を推進していくこととするということです。ただし、将来の献血基盤となるような若年層については、初回献血のきっかけを作ることが非常に重要なので、(4)のように、若年層の初回献血者については200mL献血を推進するという方向でまとまっています。
 資料1-8「平成23年度若年層献血意識調査結果」は、厚生労働省で3年に一度行っている若年層の意識調査の結果です。参考までに、資料として提示させていただきました。
 次に資料1-9「平成24年度の献血の推進に関する計画(案)」です。この献血推進計画案については、献血推進調査会で御審議いただいております。資料の後半部分に新旧対照表があります。そちらを用いて説明させていただければと思います。1ページ、来年度の献血確保目標量です。今年度より1万L多い208万Lとなっています。続いて、少し小さくて見えづらいのですが、3ページです。今年度の若年層の献血意識調査結果から、献血の正しい知識の認知度が低下しているという結果が出ていますので、本計画の中で「献血の正しい知識や必要性」という文言を明記しております。また、既に少子高齢化が進んでいることから、「少子高齢社会の進行」という言葉に修正させていただいております。4ページ、本調査会では委員として学生ボランティア団体の方にも入っていただいていますが、学生ボランティア団体の委員から、若者がより気軽に目に触れる機会を増やす必要があり、学生の献血推進ボランティアとの連携も深めてほしいという御意見もいただきましたので、その旨を追記させていただいております。次に5ページです。先ほど説明いたしました採血基準の見直しについて、既に本年度から実施させていただいておりますので、時点修正をさせていただきました。ここだけ赤字ではありませんが、左の下の方に「なった」という形で修正させていただいております。10ページです。今回の若年層意識調査の中で、献血実施場所や日時が知りたいという意見もありましたので、都道府県及び市町村は採血事業者と共に、これらの情報について国民に対して十分な広報を行うことを明記しております。また、先ほどから説明させていただいた200mL採血のあり方については、医療機関からの需要、血液製剤の安全性、製造効率の観点から、基本的には400mL採血を推進することとしております。ただし、今後の中長期的な献血推進という観点から、若年層の献血推進というのが非常に重要でありますので、400mL採血ができないような世代については、日本赤十字社は学校と連携して「献血セミナー」を実施する等、知識について啓発する取組を積極的に行うことを記載しております。また、200mL採血については、将来の献血基盤となる若年層の初回献血を中心に推進することとしております。災害時等における献血の確保等です。今般の東日本大震災の経験を踏まえ、大きく2点追記しております。1点目に、震災直後は献血が増加しましたが、今後電力の問題等いろいろありますので、継続的な献血推進が必要であることを明記しています。2点目、今回の震災時に、通信手段や燃料の確保が非常に困難になったことがございますので、国、都道府県、市町村及び採血事業者は、連携して災害時に備えた複数の通信手段の確保や燃料の確保が的確に行われるよう対策を講ずる必要があるという内容を追加させていただきました。
 参考資料1-1は、経年的な献血者数の推移を年代別も含めて示しております。資料1については以上です。
○高橋部会長 いかがでしょうか。ただ今の説明について、御意見、御質問などございませんでしょうか。献血推進の枠組み、200mL献血をどうするか、若年層に対する働きかけを細かく詰めて、大体今まで考えられていたことが確認されて、今後しっかり行っていこうということだろうと思いますが、いかがでしょうか。
○三村委員 先ほどありましたように、学生の献血ボランティアという考え方等は大変いいと思います。広報活動というやり方は、今まではどちらかというと大きく公共広告等、あるいはどちらかというと献血の場等が中心になったと思うのですが、できるだけきめ細かく、かつ、中にはありましたが、地域的なメディアを上手く活用する等、さらに先ほどおっしゃっていたように学生ボランティア的な活動の中で少しずつ推進をしていくということです。印象として、今は学生同士、大学生もそうなのですが、非常に活動とコミュニケーション自体が活発になっておりますので、それを本当に上手く、かつ利用するのがいいと思います。
 ただ、先ほどは400mLか200mLかという話が出てきたのですが、純粋に頑張っていきたい等、いろいろな形で貢献したいという若者たちですので、そこのところを上手く配慮し、できるだけ将来の献血者に持っていくような戦略、先ほどきちんと出していらっしゃいましたが、その辺りを間違えないようにきちんとした形で詰めていっていただければと思います。
○小幡委員 私も同感です。今後のリピーターになってくださるという意味も含めて、高校生に広げていってはどうかと思います。特に世の中が大震災後の人間の絆とか全体的にそのような雰囲気になっておりますので、この機会に是非一つの貢献というか協力の仕方として献血があるということで、広報をすれば良いのではないかと思います。
 1点だけ、資料1-4「高校献血減少の要因分析」の2ページの「(2)外部要因」で「採血副作用発生による安全性確保への懸念」というのがあります。これは、新たに生じたという意味ですか。このようなことは、今後献血を広げていくところで、正面からバッティングする要因になりますが、これが取り立てて最近非常に強く思われるようになったと、特にそのようなことではないのですね。確認できればと思います。
○高橋部会長 日本赤十字社の先生方、いかがでしょうか。
○日本赤十字社(田所) 発生頻度が特に増えたということではなくて、社会全般に安全性ということについて、厳しくなってきたということです。
○小幡委員 このように書かれると、特に事故発生が多くなったかというようにも読めるので、少し気になりました。
○高橋部会長 今の御意見にありましたように、なるべく分かりやすく、例えば初回献血に関しては200mL献血で推し進めることが正しく、それで発展していくのだということが上手く伝わるように、もう少しきめ細やかな書きぶりにしていただければと思います。そのような基本方針が徹底しますと、心ある方の協力は得られやすいのではないかと思いますのでよろしくお願いします。
 また、事務局におかれましては、本日の議論を踏まえ、パブリック・コメントの聴取も含め必要な手続を経た上で、平成24年度の献血推進に関する計画の最終案を次回の部会に提示するようお願いします。
○事務局(伯野補佐) 1点だけ確認ですが、計画の記載ぶりは、こちらでよろしいのでしょうか。
○高橋部会長 はい。そのような考え方だという点をもう少し一般に分かりやすく伝えることが大事であると思っております。よろしいでしょうか。
 それでは、次に議題2に入らせていただきます。議題2-1~2-3については、併せて審議を行いたいと思います。
 議題2-1は、昨年度に設置されました「血漿分画製剤の供給のあり方に関する検討会」についての報告です。
 議題2-2は、化血研より平成23年度の原料血漿の配分量について追加要請がございましたので、その対応について御審議いただきたいと思います。
 議題2-3ですが、「平成24年度の血液製剤の安定供給に関する計画(需給計画)(案)」は、血液法の規定により、毎年度策定されるものです。この場で御審議いただいて、その結果を反映したものを次回の部会において、審議会の答申として取りまとめたいと思います。
 それでは、議題2-1~2-3について、事務局から資料の説明をお願いいたします。
○事務局(新村専門官) 議題2-1「血漿分画製剤の供給のあり方に関する検討会について」に係る資料について御説明させていただきます。
 資料2-1「血漿分画製剤の供給のあり方に関する検討会(平成23年度の開催状況について)」を御覧ください。昨年度設置されました血漿分画製剤の供給のあり方に関する検討会の進捗状況について、御報告させていただきます。本検討会を設置した経緯につきましては、昨年12月の本血液事業部会において御報告をさせていただきまして、また、本年3月の本血液事業部会では、検討会の中間報告について御報告をさせていただいたところです。中間報告の中では、今後さらに検討が必要な課題として示されておりました諸課題について、今年度開催いたしました4回の検討会において検討を行ってきたところです。輸血用を含めた血液製剤全般のコスト構造のあり方の課題では、アメリカやイギリスの血液事業との比較や諸外国との輸血用血液製剤の使用量、価格の比較データや日本赤十字社の財政状況の資料を踏まえて御議論いただきました。血漿分画製剤の輸出の課題では、国内の血漿分画製剤の製造メーカーから輸出に対する考え方などを聴取しまして、その結果に基づき御議論をいただきました。国内自給化が困難な製剤の供給のあり方の課題では、抗HBs人免疫グロブリンに焦点を当てまして、同製剤について、国内製造用原料血漿収集に関する研究を行っておられる長崎医療センターの八橋弘先生から、研究内容について御報告をいただくと共に、このような特殊製剤の国内自給の向上のための国の取組として、平成24年度から実施を予定しております事業について説明させていただき、それらを踏まえ御議論いただきました。血漿分画製剤のインフォームド・コンセントのあり方の課題では、医療関係者と患者のそれぞれの観点から御意見をいただきました。血漿分画製剤及び遺伝子組換え製剤のあり方の課題では、今後、遺伝子組換え製剤の供給が増えていく中で、リスクの管理の観点からも、血漿分画製剤を安定的に供給できる体制を整備する必要があるのではないか等の御意見をいただきました。各製剤の国内自給推進方策の課題では、国内自給率の状況について、要因別に分類されたグループごとに、国内自給率の低いことの主な障壁とその障壁を取り除く手段について、国内事業者からの意見を踏まえ御議論をいただきました。今後、引き続き最終報告案について討議を行って、来年3月開催予定の本血液事業部会において御報告させていただきたいと思っております。以上が資料2-1の御説明です。
 続きまして、議題2-2「平成23年度の原料血漿の追加配分について」に係る資料について、説明をさせていただきます。資料2-2「平成23年度の原料血漿の追加配分について」ですが、今般、血漿分画製剤事業者であります一般財団法人化学及血清療法研究所より、平成23年度の原料血漿配分量について、3万Lの追加要望がございました。平成23年度の原料血漿確保目標量については95万Lとし、そのうち3万Lを「その他要因を考慮した調整」として上乗せ計上することは、本年3月の本血液事業部会において御了承をいただいているところです。なお、「その他要因を考慮した調整」とは、適応追加などによって医療需要が生じ、特定の血漿分画製剤の増産が必要になった場合や新たな血漿分画製剤が、緊急的に承認・薬価収載された場合等のやむを得ない事由によって、原料血漿の追加配分が必要となることを想定しております。今回の追加要望は、化血研で製造されております免疫グロブリン製剤の適応追加に伴い、供給量が当初計画を大幅に上回る供給状況となりまして、製剤の安定供給に支障を生じるためとのことで、「その他要因を考慮した調整」として想定した理由となっております。事務局としては、安定供給を確保する観点から、要望を認めることで対応したいと考えております。なお、平成23年度の原料血漿確保目標量そのものに変更は生じないため、需給計画の変更は不要となっております。以上が資料2-2の御説明です。
 次に、議題2-3「平成24年度の血液製剤の安定供給に関する計画(案)について」に係る資料について説明させていただきます。資料2-3「平成24年度の血液製剤の安定供給に関する計画(案)」、いわゆる需給計画案について説明させていただきます。この需給計画は、血液法第25条の規定に基づき、翌年度の血漿分画製剤等の安定供給に関する計画を策定するものです。1ページは、この計画の対象となる血液製剤をお示ししたものです。次に、2ページを御覧ください。第1の必要と見込まれる血液製剤の種類及び量は、4ページの別表第1に、第2の国内において製造され、又は輸入されるべき血液製剤の種類及び量の目標は、5ページの別表第2に、第4の原料血漿から製造されるべき血液製剤の種類及び量の目標は、6ページの別表第3にお示ししております。別表第1~第3の需給見込量や目標量に関しましては、血液法に基づく関係製造販売業者からの届出や近年の供給実績を基に、医療需要に対して過不足が生じることなく安定的に供給されるよう算出したものです。2ページの第3の平成24年度に確保されるべき原料血漿の量の目標は、95万Lを計画しております。この目標量の算出の考え方につきましては、このあと資料2-4のところで御説明させていただきます。3ページを御覧ください。1の原料血漿の種類ごとの標準価格につきましては、3月に開催予定の当部会において、日本赤十字社の財務状況等を踏まえて御審議いただくことになりますので、今回は空欄とさせていただいております。また、2ですが、日本赤十字社から各国内製造販売業者への平成24年度における原料血漿の種類ごとの配分見込量です。化血研への配分見込量ですが、平成23年度と比較すると3.5万L増量となっておりますが、これは今年度のように計画を大幅に上回る供給状況になった場合に備えまして、追加配分を要望することなく自社在庫量を踏まえての増量となっております。
 次に、資料2-4「平成24年度の原料血漿確保目標量(案)について」を御覧ください。目標量は、平成23年度と同量の95万Lとしております。国内献血由来製品の最近の需要の動向、及び各製造業者が保有する原料血漿及び製剤の在庫の状況を踏まえまして、安定供給に必要な原料血漿を確保する観点から昨年と同量となっております。平成24年度における国内各社の原料血漿受入希望量としましては、凝固因子製剤製造用が8.5万L減の54万L、その他の分画製剤製造用が8.5万L増の54万L、そのうち、その他の分画製剤製造用につきましては、凝固因子製剤の製造過程から発生する脱クリオ血漿の利用が可能であり、資料2-4の「3.原料血漿確保目標量の計算」にありますように、これによる供給可能量である13万Lを差し引きまして、原料血漿の必要量は95万Lとなります。2ページに記述しておりますが、例年この必要量以外に安定的に原料血漿を確保する必要があるとの観点から、一定量の上乗せを行っていたところですが、これまで毎年上乗せを行ってきた結果、製造業者の在庫量が平成22年度末現在で15.3万Lとなっており、十分に在庫量が確保されていることから、平成24年度は上乗せを行うことはせず、平成24年度の原料血漿確保目標量は95万Lとしたものです。3ページの参考1は、原料血漿に係るこれまでの推移や実績をお示ししたものです。4ページの参考2は、平成24年度の原料血漿確保目標量を95万Lとした時の製剤ごとの製造予定数量をお示ししたものです。
 続いて、資料2-5「平成24年度都道府県別原料血漿確保目標量(事務局案)について」ですが、従来から原料血漿の確保につきましては、都道府県別に目標を定め御協力をいただいております。これは、全体の確保目標量案の95万Lを都道府県別に割り当てたものです。計算の考え方は、従来どおりです。
 続きまして、資料2-6「平成22年度需給計画の実施状況(報告)」です。3ページの別表を御覧ください。この表の一番上のアルブミン製剤の国内自給率につきましては、平成19年度までは年々上昇し、62.8%に達したのですが、その後低下傾向に転じ、平成21年度においては58.5%、平成22年度においては58.1%となっております。アルブミン製剤の国内自給率の経過につきましては、参考資料2-5を後ほど御参照願います。また、この別表の4行目の血液凝固第VIII因子製剤及び5行目の第IX因子製剤については、遺伝子組換え製剤のシェアの伸長により、国内血漿由来製剤の自給率は低下の状況が続いております。2ページの原料血漿の配分量と実績ですが、化血研のその他の分画用の配分量ですが、計画では3万Lでしたが、実績として5万Lとなっております。これは、先ほど資料2-2で平成23年度の原料血漿追加配分について御説明させていただいたところですが、平成22年度においても追加配分の要望があり、その影響となっております。平成22年度につきましては、緊急に追加配分を行う必要があったことから、本血液事業部会で事前に意見を伺うことができませんでしたので、今回、平成22年度需給計画の実施状況ということで事後報告ということで御報告させていただいております。
 続きまして、資料2-7「平成23年度需給計画の上半期の実施状況(報告)」です。裏面の別表を御覧ください。今年度上半期のアルブミン製剤の国内自給率は57.7%であり、平成22年度より0.4%の低下となっております。血液凝固第VIII因子製剤及び第IX因子製剤の状況ですが、こちらも引き続き国内血漿由来製剤のシェアが低下しております。逆に、人免疫グロブリン製剤の国内自給率は、平成22年度の95.0%から95.7%への上昇が見られました。以上、平成22年度、平成23年度のいずれも、国内での医療需要をほぼ満たす血液製剤が安定的に供給されているところですが、製剤ごとの供給量や国内自給率の状況につきましては、参考資料2-1として、平成22年度需給計画の計画及び実績、平成23年度需給計画の計画及び上半期の実績、平成24年度需給計画の計画値を並べ、さらに、各年度における原料血漿の配分計画等実績につきまして資料をお示ししておりますので、後ほどこちらを御覧いただきたいと存じます。参考資料2-2から参考資料2-7は、各製剤の状況を図表やグラフにまとめてお示ししたものです。資料2の説明は、以上です。
○高橋部会長 膨大な資料ですが、ただ今の説明について、御意見、御質問などはございませんでしょうか。よろしいですか。
○半田委員 私の資料の読込みが足りないのかもしれませんが、参考資料2-5のアルブミン製剤の自給率と供給量ですが、平成24年度の見込みということで、平成23年度に比べたら、これは供給量ですので、かなり増えていると思うのですが、この見込みをどうやって立てられたのかを一つ質問させていただきたいと思います。
○事務局(新村専門官) 御指摘ありがとうございます。平成24年度の見込みですが、これは国内、国外問わず、原料血漿のメーカーの方から、平成24年度の見込みということでこれだけ必要であるというデータの積上げです。
○半田委員 それは分かるのですが、逆に言うと、アルブミン製剤の適応は国内でだいぶ適正化というところになっているので、それがまたさらに増えるというのは、よく理解できません。これは、恐らく自己申告というか、そのようなところで来ているので、実際はどうなるか分からないと思うのですが、今まで平成22年、平成21年とこう来た場合、この辺はどうなのでしょう。見込みと実際とは随分ずれるものなのですか。この辺はいかがなのでしょうか。血液法の観点から自給率を上げなくてはいけないのですが、これだとむしろ逆行するような印象があるので、もし、その辺をもう少し説明できるのであればお願いしたいと思うのですが。
○事務局(新村専門官) 参考資料2-1ですが、平成22年度の計画と実績、平成23年度の計画と上半期の実績の国内自給率ということで、示させていただいております。平成22年度につきましては、計画では、アルブミン製剤の国内自給率は60.7%でしたが、実績としては58.1%となっております。また、平成23年度につきましては、計画上は58.4%であったところ、平成23年度はまだ上半期の実績ですが、57.7%となっております。計画と実績では差が出るということです。
○高橋部会長 ほかにございますか。いかがでしょうか。
 追加配分については、事務局案で御了承いただいたということでよろしいでしょうか。
 また、原料血漿の確保目的量と需要見込み、製造目標量等についても、事務局案で了承することにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 なお、原料血漿の配分価格も含めた最終的な了承は、次回以降の審議を踏まえて行うこととします。
 それでは、議題2に関しては、以上で終わりたいと思います。
 次に、議題3「平成23年度安全技術調査会の審議結果について」及び「血液製剤等に係る遡及調査ガイドライン(改訂案)」です。
 事務局及び日本赤十字社から、資料3について説明をお願いしたいと思います。
○事務局(伯野補佐) 議題3-1「平成23年度安全技術調査会の審議結果について」、3-2「血液製剤等に係る遡及調査ガイドライン(改訂案)について」事務局より説明させていただきます。
 資料3ですが、本年11月4日に開催されました安全技術調査会での審議結果です。資料3-1「HBV感染既往の血液に対する更なる安全対策について」です。こちらは日本赤十字社からの提出資料ですが、簡単に説明させていただきます。1ページの「2.輸血HBV感染の原因血液の変遷」を見ていただきますと、これまでNATのプール数を減らしたりとか、NATの精度の向上を図ったりという取組によって、ウインドウ期の感染予防、ウインドウ期の感染は緑と紫のところになりますが、ウインドウ期の感染は確実に減少しているところですが、既往感染者の血液による感染は青と赤のところになりますが、こちらは減少していないというのが明らかにされております。感染既往者に対する献血制限についてですが、現行ではこのページの「1.現在のHBV関連検査」にございますとおり、HBs抗体が200mIU/mL以上のものはすべて「適」としておりますが、200mIU/mL以下のものについては、カットオフ値が12以上で「不適」としております。今回、このカットオフ値を1以上にすることによって、輸血によるHBV感染の低減に努めていくということでどうかという提案です。2ページを御覧いただきまして、二案ございます。案1は、1以上のものについて、さらに個別NATを行って陽性の場合のみ献血制限をかけるというものです。案2は、1以上のものについて、個別NATの結果にかかわらず、すべて献血制限をかけるというものです。これは何が違うかというと、1ページの方、最初のページを見ていただきまして、案1ですと、青いところが予防できるということです。案2ですと、青と赤のところが予防できるというものです。安全技術調査会では、案2の方で行った方がいいのではないかという御見解をいただいております。
 もう1点ですが、ページをめくっていただきまして「6.HBs抗体200mIU/mL以上の安全性について」というところにございますが、現在、遡及調査の対象としまして、HBs抗体が200mIU/mL以上であっても遡及調査の対象となっておりますが、これまで18年間このような血液によるB型肝炎感染事例が報告されておりませんし、また世界的にもこのような報告が無いことから、遡及調査対象から外すという方向で、安全技術調査会で御議論をいただきました。ただし、原案では、案2の方ですと、さらに個別NATを行うことになっておりますが、NATを行うこと自体が血液製剤の安全性には影響しないということと、また、その結果を適切に献血者に返すことができるかどうか、少し疑問があるという御意見もございまして、そもそも献血者にサービスとして個別NATにするか否かは、引き続き事務局と詰めていくということになっております。
 次に、資料3-2「供血者への事後検査依頼の対象者について」です。遡及調査ガイドラインにおいては、受血者がB型あるいはC型肝炎の検査において、輸血前後で陽転化した事例で、輸血による感染が疑われた場合、ウィンドウ・ピリオドのことを考慮して、供血者を改めて呼び出して再度検査をしておりますが、現行のガイドラインにおいては、その対象は受血者が劇症肝炎あるいは死亡事例に限定されております。このことは、そもそも慢性化する疾患の急性期のフェーズしか捉えておらず、また輸血後、肝炎の感染の原因究明として不十分ではないかという御指摘が主に医療機関側からございました。このため、4の今後の方針にございますとおり、血液製剤によるHBV、HCV感染の実態をより正確に把握して、ウインドウ期であった供血者の早期発見・早期治療に結びつけることを目的として、事後検査の対象を陽転化事例全例に広げることとしております。次のページにございますが、ただし、保管検体等で因果関係が輸血以外で特定できる場合とか、あるいは輸血として既に特定できている場合については、当然ですが、そのような場合は対象から外すとしております。また、適宜このような情報を収集して、安全技術調査会に報告をして、事後検査のそもそもの意義についても評価することとしております。
 次に、資料3-3「血漿分画製剤のウイルスに対する安全性確保に関するガイドライン(平成11年8月30日付医薬発第1047号医薬安全局長通知)」です。こちらは先ほど新村専門官から説明がございましたが、血漿分画製剤のあり方に関する検討会です。そちらにおいて、血漿分画製剤の最終製品の段階でのNATは、そもそも意味が無いのではないかという御意見がございました。今回、安全技術調査会で御検討いただいて、サイエンティフィックにも意味が無いので、外していいでしょうという御意見をいただいております。
 次に、資料3-4「Collaborative Study to Establish a World Health Organization International Standard for Hepatitis E Virus RNA for Nucleic Acid Amplification Technology(NAT)-Based Assays(平成23年10月17日~21日:ECBS)」ですが、こちらは報告事項です。WHOで国際標準比の議論が行われておりますが、HBV-NATについては、日本の感染研の岡田委員と日本赤十字社の協力の下、国際標準比の作成についても日本が協力して作成しまして、今回、安全技術調査会で国内標準比も同じものを作成したので、御承認いただく方向となりましたが、改めて、しばらく行っていないNAT小委員会を開催して検討したいと思っております。
 最後に、資料3-5「血液製剤等に係る遡及調査ガイドライン(改訂案)について」を御覧いただければと思います。こちらは、日本輸血・細胞治療学会から、輸血療法の実施に関する指針と血液製剤の使用指針について改訂案が出されました。後ほど説明させていただきますが、それを基に適正使用調査会で議論をいたしましたが、一部、輸血前後の検体保管や検査について安全技術調査会で議論ということになりまして、今回、安全技術調査会で議論させていただきました。安全技術調査会の座長でもございます吉澤委員とも御相談させていただいて、1ページのような改訂案となっております。ポイントとしましては、輸血前後の検体保管の期間の目安を2年間と記載したことが一つです。もう一つは、新生児や乳幼児においては2mL保管することは困難な場合があるので、その場合は可能な範囲で対応することを記載しております。また、コンタミネーションしないようにディスポーザブルを用いること、保管検体には抗凝固剤としてヘパリンを使うとNATの検査が上手くできないので、ヘパリンは使わないこと、輸血前の検体保管は必ず行うことが明記されております。次に、2ページですが、先ほど説明させていただきました供血者の事後検査依頼の対象を劇症肝炎と死亡事例から陽転化事例全例へ広げるというものです。資料3は以上です。
○高橋部会長 ただ今の説明について、御意見、御質問などはございませんか。よろしいでしょうか。
○吉澤委員 資料3-1の一番最初のところですが、HBc抗体のスクリーニングのレベルを変えるということで説明をいただきましたが、これを行うと、遡及調査を行う対象の数が激減しますので、できるだけ早く実施した方がいいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○高橋部会長 非常に合理的な案です。ただ、取組を変える事務的な作業量もございますが、日本赤十字社としてはどのぐらいで対応可能と考えているのでしょうか。
○日本赤十字社(日野) 今、先生がおっしゃられた質問につきましては、安全技術調査会でそういった議論がございました。すごく遡及が増えるということです。それで、日本赤十字社ではすぐ対応しまして、12月16日からその部分だけは対応しているということです。あと、全体的な安全対策につきましては、ドナーのケアの問題やFFPの6か月クアランティンの問題等がありますので、そちらは平成24年度の初めには行いたいと思っています。
○高橋部会長 よろしいでしょうか。非常に長い実績を基に解析して、合理的な案ではないかと私は感じていますが。
○山口(照)委員 資料3-5ですが、検体の保管は前から多くの委員から要望されていたことで、これ自体はいいのですが、病院で保管するというと、それをする施設は恐らく保険等そのような適応が無い所になってしまうので、補助というか、その辺をきちんと対応しなければ、なかなか実効あるものにはならないのかということで、その辺が懸念されるところだと思います。
○高橋部会長 実際に輸血前後の検査を自動的に全部行うと、また保健上の問題も出てきて、その感染リスク、あるいは目の前の患者の状態の把握等、バランスを取りながら行うということです。それなので、検査は後回しにして少なくともこの検体を保管してほしいということは、輸血・細胞治療学会も訴えているところです。この件に関して何かございますか。
○事務局(伯野補佐) これは輸血管理料を取っている所だけですが、輸血管理料の条件の一つとなっています。それ以外の輸血管理料を取れていない所については、確かにそれを裏付けする担保が無いのが実態としてございます。ですから、学会からも輸血管理料自体に関する御要望をいただいていますので、そういったこともこちらとして関係課にも伝えて、しっかり対応していきたいと思っております。
○山口(一)委員 今の問題ですが、私は学会の遡及調査のガイドラインを作った1人なのですが、今回の改訂のニュアンスは、とにかく保存をしなさいということですね。検査についてのニュアンスとしては、必ずしも強制というか、絶対に行わなければいけないというものではないというように受け取ると思うのです。私はそれでいいと思うのですが、それでよろしいのでしょうか。
○高橋部会長 やはり検査をするなというのではなくて、その状態に応じて判断しなさいということです。ただ、少なくとも検体保管はしてくださいということです。そうでなければ、あとで問題になった時に、輸血との関連性の精査ができないと、そのような意味合いで強調したいと考えております。
○山口(一)委員 今、血液の保管については、大きな病院では2年間ということであればそれほど無理なく可能ではないかと思っています。
○高橋部会長 実際にランニングコストを比較すると、明らかに検体保管の方がリーズナブルな方法だと思っております。
○山口(一)委員 そうですね。
○高橋部会長 細かい点はございましたが、今回の説明にありましたように、輸血後のB型肝炎対策については、案2、HBs抗体1以上の献血血液についてすべて献血制限とする、また、遡及調査の対象として、HBs抗体が200mIU/mL以上のものは外すということでよろしいでしょうか。
 献血制限になった方々に対してサービスとして個別NATをするか否かは、日本赤十字社が事務局と相談の上、引き続き検討してください。
 また、遡及調査ガイドラインについては、事務局案通り、受血者が陽転化した事例で、劇症肝炎・死亡事例に限定せず、陽転化事例全例に広げる、ということでよろしいでしょうか。
 さらに、血漿分画製剤の安全対策については、最終製品のNATは不要、ということでよろしいでしょうか。
 事務局においては、ただいまの御審議及び先ほどの安全技術調査会の審議結果における審議を踏まえて、遡及調査ガイドラインについて修正していただき、改正通知等、必要な手続を行ってください。最終的な文言等については、部会長に御一任いただくということでよろしいでしょうか。
 また、血漿分画製剤については、「血漿分画製剤のウイルスに対する安全性確保に関するガイドライン」の改正通知など、手続を進めていただくようお願いします。それでは、議題3は以上で終わりたいと思います。
 次に、議題4「平成23年度適正使用調査会の審議結果について」、「輸血療法の実施に関する指針(改訂案)」、「血液製剤の使用指針(改訂案)」です。事務局から資料の説明をお願いします。
○事務局(伯野補佐) 議題4-1「平成23年度適正使用調査会の審議結果について」、4-2「輸血療法の実施に関する指針(改訂案)について」、4-3「血液製剤の使用指針(改訂案)について」事務局より説明します。
 本年8月30日に開催された適正使用調査会の審議結果です。資料4-1「2010年輸血業務・輸血製剤年間使用量に関する総合的調査報告書」ですが、平成22年の輸血の実施状況について、日本輸血・細胞治療学会より御発表いただいた資料になります。「平成22年度血液製剤使用実態調査」と記載されている資料で、ポイントのみ掻い摘んで説明いたします。8ページを御覧ください。医療機関における輸血管理体制の整備が調査としてありますが、経年的に見ると、若干、頭打ちになりつつありますが、着実に進んでいるということが示されております。15ページの上ですが、平成22年の年間の輸血患者数は120万人弱で、前年に比べて増加しているという推計でした。また、17ページですが、1病床当たりの輸血用血液製剤の使用量についても増加しているということでした。血漿製剤については、減少しているという結果です。また、22ページ以降ですが、血液製剤の使用量については都道府県別に出しておりますが、いまだにかなり大きな差がありますので、適正使用の余地があるのではないかという御意見をいただいております。
 次に資料4-2「輸血療法の実施に関する指針(改訂案)について」、4-3「血液製剤の使用指針(改訂案)について」ですが、国が定めております輸血療法全般の安全対策について記載した「輸血療法の実施に関する指針」と、製剤ごとの適応、使用に係る留意事項について定めた「血液製剤の使用指針」について、平成22年度の適正使用調査会の方で日本輸血・細胞治療学会から御発表いただいた改正案について、平成23年度の調査会で改めて議論していただき、資料4-2、4-3が改訂案となっております。主な改訂ですが、新旧対照表を用いて説明いたします。
 まず、資料4-2です。1ページ、輸血責任医師について、具体的な責任のあり方、どのようなことが必要であるかを追記しております。次に、GVHDの所で、放射線照射の対象製剤についてFFPを除くすべての血液製剤という形で、より分かりやすく修正をしております。また、白除のみではGVHDを防止できないということも記載しております。血液型検査と不規則抗体スクリーニング検査、いわゆる輸血検査については、原則として患者の属する医療機関で行うこととしておりますが、輸血を実施する頻度が非常に低い医療機関など、検査を適切に実施できる体制が整備されていない所については、専門機関に委託して実施するとさせていただいております。続いて、2ページの不適合輸血の防止です。頻回輸血患者では、1週間に1回程度、不規則抗体スクリーニング検査を行うことを追記しております。次に、緊急輸血ですが、O型赤血球使用となっておりましたが、原則として放射線照射血液製剤を使用することを追記しております。なお、原則として放射線照射をするということを今回統一して記載することになりましたが、一部、いまだ「原則として」という単語が抜けている点もありますので、これは最終的にはそこをしっかりチェックして修正したいと思っております。続いて、大量輸血時です。AB型ですが、現行ではA、B、Oどれでも良いという形になっておりますが、改正案においては、A型又はB型を第一選択として、どちらも入手が困難な場合にはO型を選択するという形にプライオリティを記載しております。3ページ、外観検査です。検査項目として、溶血の色調変化とスワーリングなどを具体的に追加しております。検体保管は、先ほどの安全技術調査会での遡及調査ガイドラインと同じ内容ですので、割愛させていただきます。4ページの副作用で、遅発型の溶血について詳しく追記しております。また、輸血関連循環過負荷(TACO)についても、その説明を追記しております。5ページの院内採血ですが、こちらも原則として放射線照射を行って、血液製剤を使用するとしております。最後のページですが、抗癌剤や免疫抑制剤を使用した時に、B型肝炎のreactivationが課題となっておりますが、そのようなことが生じる可能性があり、その際に輸血を併用する場合には、輸血によるB型肝炎ウイルスの感染か、再活性化によるものか、どちらが原因か分からなくなってしまうという問題があるので、検体を保管することを注意事項として追記しております。
 続きまして資料4-3です。こちらも新旧対照表を見ていただいて、3製剤で使用上の注意点がバラバラに記載されておりましたので、それを統一しております。例えば赤血球製剤では、輸血フィルターの使用と白血球除去フィルターは必要無いという記載がありましたが、それを血小板・FFPすべてに同様の記載としております。また、外観検査ですが、検査の目的を追記した記載に揃えておりますが、1点だけ6ページを御覧ください。FFPの細菌感染による副作用の記載がありますが、こちらは学会に確認したところ、FFPの細菌感染による副作用というのは考えられないので、冒頭の部分の削除をお願いしたいという申出がありましたので、こちらは削除して修正したいと思っております。続きまして、GVHDですが、赤血球製剤については1ページに戻って、白血球除去による防止は不可能であるということを追記して、血小板の項目に関しては4ページの3段目で、放射線照射がGVHDの予防の目的であることを追記しております。
 続いて、洗浄血の製剤についての項目ですが、2ページです。赤血球製剤については、非溶血性副作用、発熱、アレルギー等を繰り返す場合、洗浄赤血球が有効な場合があるということを追記しております。ABO不適合輸血の取扱い、あるいはRh不適合輸血の取扱いについての記載を詳しくさせていただきましたが、赤血球製剤については2ページの一番下、「緊急の場合には異型適合血の使用も考慮する」ということで、輸血の指針の参照になっておりますが、異型でも大きな溶血を起こさない輸血を期待しております。Rhに関しては、Rh陽性者にRh陰性製剤を使用しても、医学的には問題無いことを明記しております。血小板製剤については、5ページです。ABOの不適合輸血に関しては、十分な効果が期待できないことがあるということを記載して、Rhの不適合に関しては、緊急時にRh陰性の方にRh陽性製剤を使用しても良いということを明記しております。FFPに関しては、6~7ページですが、FFPの抗A抗B抗体による溶血が起こる可能性があることを記載しております。
 また、サイトメガロについてですが、赤血球は3ページ、血小板は4~5ページにあります。CMV抗体陰性の妊婦、あるいは低出生体重児に、赤血球あるいは血小板輸血をする場合には、CMV抗体陰性の製剤を使用することが望ましいということを記載しております。以上が共通の項目です。
 それぞれ製剤の個別の項目ですが、赤血球製剤については1ページの一番上に、急速大量輸血の際には、専用の加温器で加温するということを追記しております。また、2ページの一番上に、照射の有無にかかわらず、保存に伴い上清中のカリウム濃度が上昇するので注意を要する、という項目を追加しております。血小板製剤については3ページにありますが、慢性のDICについては適応なしとしておりましたが、出血傾向がある場合には当然することがあるということで、「出血症状の無い慢性DIC」と追加しております。また、ヘパリン起因性血小板減少症については、血小板禁忌としておりましたが、こちらも、出血傾向がある場合には投与することもあるということで、明らかな出血傾向、出血症状が無い場合には、予防的投与は避けるべきという記載にしております。FFPですが、大量投与によるクエン酸中毒について、必要な場合にはグルコン酸カルシウム含有製剤を静注するということを6ページに記載しております。以上です。
○高橋部会長 ただ今の説明について、御意見・御質問などございませんでしょうか。特に輸血療法の実施に関する指針や血液製剤の使用指針は、例えば時々の保存前白血球除去の導入に伴う小改訂などは常に行ってきていると思いますが、大きな意味の改訂は、確か平成17年に血液法ができた後に1回行い、だいぶ時日が経っていますので、このようにより分かりやすく概念整理をしたということですが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、事務局におかれましては、本日の議論を踏まえ、改正通知等、必要な手続を経た上で、「輸血療法の実施に関する指針」「血液製剤の使用指針」を改訂していただければと思います。最終的な文言等については、部会長に御一任いただくということでよろしいでしょうか。ありがとうございました。
 次に、議題5「平成23年度運営委員会の審議結果について」事務局及び日本赤十字社から資料の説明をお願いします。
○事務局(伯野補佐) 議題5「平成23年度運営委員会の審議結果について」説明いたします。資料5-1「血液製剤及び献血に関する感染症報告事例について」ですが、こちらは年4回開催しております運営委員会の第3回目の運営委員会で提出された直近の会議資料です。3ページの「献血件数及びHIV抗体・核酸増幅検査陽性件数」です。こちらは献血者のHIVの抗体等の陽性率を出しております。一番右の下ですが、今年は1.778という数字になっております。若干、昨年より高いのですが、今年の第1四半期が2.2と非常に高い数字でしたので、だんだん低くなっているという実態がありますが、引き続き注意深く見ていきたいと思っております。
 資料5-2「XMRVに関する報告について」です。こちらはXMRVというウイルスの慢性疲労症候群という疾患概念との因果関係がScienceの論文で出たのを契機に、世界的にもかなり話題になって、運営委員会において既往者も含めて献血制限をかけるか否かについて、御審議をいただいております。お手元の資料ですが、岡田委員から文献レビューを報告していただいておりますので、その文献報告のまとめになっております。文献番号の3~7にかけて、Scienceのものが並んでおりますが、最近の研究においては慢性疲労症候群の患者からはXMRVのウイルスは検出されずに、検査試薬等でウイルスはコンタミしたのではないかという結論になっている論文が非常に多い状況です。その他、Science以外のものも、おおむね因果関係を否定する論文が並んでおりますが、今現在NIHが研究を実施中とのことですので、引き続き情報収集してまいりたいと思っております。ただ、先日ABBの方で見ておりましたら、Scienceが元々の論文を撤回したということが出ておりました。また、この件も含めて引き続きフォローしていきたいと思っています。
○高橋部会長 元々の論文が、因果関係を示唆するという論文ですか。
○事務局(伯野補佐) はい。ですから、多数の研究機関がXMRVの検出を試みたが、いずれも検出されなかったということから、元々の論文についてはリトラクトという表現をしていましたが、撤回するようなペーパーというか、声明を出しておりました。
 続きまして、資料5-3「日本赤十字社と田辺三菱製薬株式会社の血漿分画事業の統合に向けた進捗状況について」ですが、日本赤十字社と田辺三菱製薬株式会社の血漿分画事業の統合についてです。こちらは第1回の運営委員会において、分画事業を統合して、スケールメリットを活かしてコスト低減をして、国内需給に資するという方針を御発表いただきました。その後、手続等、準備に時間が必要ということで、統合時期を半年間延期するという報告がありました。
 資料5-4「血小板製剤に対する感染症因子低減化(不活化)技術の導入準備の進捗状況について」ですが、第3回の運営委員会において、日本赤十字社から血小板不活化技術の導入に向けた進捗状況について、御説明をいただいております。
 資料5-5「フィブリノゲン製剤等に関する報告について」は、フィブリノゲン製剤の納入先医療機関に対する調査結果の公表資料です。資料5-3と資料5-4については、日本赤十字社から追加の説明をお願いいたします。私からは以上です。
○高橋部会長 日本赤十字社の方、お願いします。
○日本赤十字社(俵) 私の方から、資料5-3に基づいて、日本赤十字社と田辺三菱製薬株式会社の血漿分画事業の統合時期の延期について、報告させていただきます。この両社の統合については、来年4月1日を目途として、本年6月17日にプレスリリースを行って、6月27日の運営委員会において報告しました。その後、両社間において統合推進委員会を設置し、今日まで協議を進めてまいりましたが、両社の最終合意である確定契約を締結するためには、さらに協議する時間が必要だということで、統合時期を当初の予定から6か月間延期し、平成24年10月1日とすることとして、11月18日にプレスリリースしました。この件については、先々週、13日の運営委員会でも、先ほど言われたように報告をしております。この理由としては、時間的な要素が非常に大きいのですが、3月11日に起きました東日本大震災の影響により、両社での検討の開始が3か月間と大幅に遅延してしまい、検討時間が非常に短くなってしまったということです。これを挽回すべく、両社で鋭意努力をしてきたところですが、結果として十分な協議時間が確保できなかったということです。
 また、今回の統合は一般的に行われている株式会社同士の合併のように、両者どちらかが存続母体になって事業を行うというわけではなく、全く新たな法人を設立して、そこに両者の血漿分画事業を移管し事業展開していくことから、新規立上げの準備などにさらに時間を要すという要因も重なってしまったわけです。それらの結果、事業開始時期が6か月間延期になってしまったという結果になりました。なお、両社は各々の血漿分画事業を統合させる方針について、何ら変更することなく、国内における血漿分画事業の継続と効率化及び安全な血漿分画製剤を安定的に供給するという国民の負託にお応えするため、今後も両社をはじめ、関係者の皆様の御支援・御指導をいただきながら、より一層尽力してまいりますので、よろしくお願い申し上げます。以上です。
○日本赤十字社(五十嵐) 続きまして、資料5-4について御説明をさせていただきます。リボフラビン法による感染性因子低減化血小板製剤の検討状況ですが、今年度は今後、計画されている治験の準備として、必要な資料の収集及び検討、データの採取等を行っているところです。全体的なステージとしては、低減化技術の検討、評価という段階から、製剤開発の段階に一歩進んだということになります。本年実施している作業の一つ目は、「治験業務手順書」に付随するマニュアル等の作成であり、これについては来年1月までに終了する予定です。二つ目については、安全性、GLPデータの確認です。CaridianBCTがフランス審査当局(afssaps)に提出した資料、正確には提出した資料の英語版を入手しております。その内容は、日本の現在の法律に対して十分なデータか、内容確認に着手したところです。三つ目は、承認申請する製剤の使用規格についての検討をしています。日本で申請する場合に適切な規格について検討すると共に、従来のモデルウイルスに加えて、HIV・WNV・HEVに対する低減化についても検討をしているところです。これらの検討を踏まえたスケジュールを次ページに示しております。
 今お話したGLPデータの確認や製剤規格の設定等が左上、平成23年度の上にある四角になります。これについては、データがまとまり次第、報告をさせていただきたいと思っております。また、平成24年度の上半期辺りから、治験薬概要書等の治験申請に必要な書類の準備を開始して、平成25年度には治験申請を行いたいと考えているところです。以上です。
○高橋部会長 ただ今の御説明について、御意見、御質問などございませんでしょうか。いかがでしょうか。
○三村委員 経営統合が少し遅れたという事情はよく分かったのですが、経営統合された後で合計が370億円という事業規模を前提として、かなり大規模な工場の新設を行うといった説明になっていらっしゃいます。恐らく、これは非常に重要だと思うのですが、両社の設備をどのように今後再編されていくのか、あるいはその前提として、流通や販売体制をどのように統合されていくのかということについて、現在、話合いをしていらっしゃると思うのです。何か方向性とか方針ということがありましたら、少し御説明いただければと思います。
○日本赤十字社(俵) 今、実際にその辺の問題を結構大きな問題として議論しており、その辺のきちんとした答えをお互いに摺り合わせているところです。中々決定した部分が言えないところが申し訳ないのですけれども、統合するに当たっては、やはり両社の良い面を活かして、なおかつ重複している部分に関してはどのような整理をしていくかということも考えておりますし、当然、販売、供給の面に関しても、できるだけ効率の良い方法を考えていこうということで、現在議論している最中です。答えが出せずに申し訳ございません。
○岡田委員 血小板の感染性因子低減化技術の導入ということで、資料5-4には平成25年度以降に治験を開始すると書いてあるのですが、先ほどの御発言では平成25年度に治験を始めるということで、以降が抜けていたのですが、これはどうなのでしょうか。要するにいろいろな計画書等があるので、希望としては平成25年度に始めたい、けれども実際は、ある程度延長する可能性があるということなのでしょうか。
○日本赤十字社(五十嵐) この図を書かせていただいたように、計画どおりに行けば平成25年度に開始をしたいというところです。ただし、治験の規模によって、何年かかるか、症例数によっては2年、3年かかる場合がありますので、表示としては平成25年度以降ということにさせていただきました。スケジュール通りに行ったとすれば、平成25年度に開始したいということはあります。
○高橋部会長 よろしいでしょうか。特にありませんでしょうか。議題5に関してはこのぐらいとして、次にその他に関して、議題6「研究開発等における血液製剤の使用に関する指針(パブリック・コメント)」について事務局からの説明をお願いいたします。
○事務局(伯野補佐) 議題6、資料6「研究開発等における血液製剤の使用に関する指針(パブリック・コメント)」について御説明します。
 検査で不適合となった献血血液や有効期限が切れてしまった献血血液を有効利用するための指針ですが、前回の血液事業部会でまとめていただいた指針について、パブリック・コメントを書きまして、その結果を公表させていただきましたので、御報告をさせていただきます。8名の方から御意見がありました。内容を簡単に説明させていただくと具体事例として、このような研究を明記してほしい、あるいは事前評価が必要なものについては、できるだけ早く、速やかに審査をしてほしい、本指針の対象範囲がどういったものなのか、同意の取り方をどうすればいいのか、報告形式等、いろいろな御質問、御意見をいただいております。
 今後ですが、結果の後ろに付けておりますが、資料6の「献血血液の研究開発等での使用に関する指針(案)」です。赤字部分が修正されている箇所です。修正内容は、文言修正がメインで、より分かりやすい表現にしております。内容が変わっているところですが、1点目は1ページの適用範囲の下から2行目です。「医療機関における治療を目的とした血液製剤の適応外使用については、本指針の対象としない。」となっていたのですが、医療機関における治療だけではなくて、臨床研究なども対象外という御指摘がありましたので、臨床研究も対象外という文言を追記しております。もう1点、3ページの「(イ)広く国民の公衆衛生の向上を目的とした使用」の1行目に、「人の血液の中には様々な蛋白が含まれており」という文言がありましたが、蛋白以外にも含まれているという丁寧な御指摘がパブリック・コメントでありましたので、「蛋白等の物質」と修正しております。
 今後ですが、細かい文言修正等については、今後生じる可能性があるかと思っておりますので、部会長に一任ということでお願いできればと思っております。また、報告書、申請書の形式についても、今後、日本赤十字社とも詰めていきますが、これについても部会長に御一任いただきたいということで考えております。私からは以上です。
○高橋部会長 ただ今の説明について、御意見、御質問などございませんでしょうか。今まで規定が無かったので、極端に言えば遡及調査用に保存している血液であるとか、廃棄せざるを得ない血液等、実際に輸血に使われない血液についても利用できず、はっきり利用の基準が無いという状態だったわけです。是非これを認めていただいたらと考えておりますが、いかがでしょうか。
○大戸委員 大変良いものができつつあるので、ありがたく思っています。二つ意見があります。一つは6ページの2.の下の方の「ii.使用する献血血液」です。感染血液を原則用いてはならないとなってますが、むしろ感染血液を使って、検査会社が良い検査機器を開発するなどということがあるので、これはむしろ使いやすい表現にしていただきたいと思います。もちろん、ほかの実習用等には出したらいけないと思うのですが、目的にかなった場合には感染血液を出していただきたい。
 もう一つ、8ページの「3.費用の徴収」です。実費程度の費用ということで、安く出しなさいという意味かもしれないのですが、例えばNAT検査などが済んだ検体は、非常に沢山お金がかかっているのです。むしろ付加価値が付いた検体については、血液センターにネガティブなドライブやブレーキがかからないような妥当な価格を請求した方がいいのではないか。以上です。
○事務局(伯野補佐) 6ページの感染血液ですが、先生がおっしゃられるとおり、血液製剤の安全性の向上等に資するもので感染血を使わないとできないものについて否定しているものではありません。また、3行目から当該製剤以外では代替できないことが明らかであれば、逆に言うと使うことは可能になっております。ですから、一律に感染血をできないようにはしておりません。もう1点、実費の徴収のところは御意見も踏まえて、今後詰めていきたいと思っております。
○高橋部会長 例えば廃棄するための費用相当等、そのような実費もあり得るかもしれません。
○大戸委員 人件費も含めてですね。
○高橋部会長 よろしいでしょうか。運営委員会の先生方に、実際の研究計画を確認していただいて、その承認を経て研究を進めていただくという形になろうかと思います。
 先ほどの大戸委員のお話も踏まえて、事務局におかれましては、本日の議論を踏まえ、「研究開発等における血液製剤の使用に関する指針」について、修正していただき、来年度からの実施に向けて必要な準備を進めていただくようお願いいたします。指針の最終的な文言等については、部会長に御一任いただくということでよろしいでしょうか。
 本日予定されていた議題は以上でございますが、そのほか、何かございますでしょうか。
○大戸委員 二つ発言させてください。一つは、血液を保存しております塩化ビニール製のバッグのことについてです。今日すぐ結論を出すというのではなくて、この事業部会の継続的な審議事項として研究していただきたいのですが、血液を保存しているほとんどのバッグは塩化ビニール製で、血液バッグを柔らかくするために可塑剤、フタール酸エステル系がほとんど使われています。これは環境ホルモン、あるいは内分泌かく乱作用を持っていて、男性不妊の原因になっているという考え方があります。その件について本当かどうかも含めて、この委員会で長期的に渡って研究を始めてはどうかということを提案したいと思います。
 もう一つ、血液センターの集約化ですが、福島県の医療機関のほとんど、福島医大を含めて、医学関係の団体は血液センターの強引な集約化は血液の安定的な供給にとっての不安材料となっております。今回の大地震においても、東北地方は宮城センターに検査部門が集約されていたために、2か月間、採血業務ができなくなりました。すべて東京からの応援によって賄われていたわけです。昨年の事業学会のこの席でそのようなことを言って、間もなくすぐに大地震が起きてしまいました。危惧したことがすぐ起きてしまいました。宮城センターに集約していくとのことですが、宮城県には30年以内にまた大地震が起きると言われています。そこに集約化することは、リスクを集中させてしまうことで、取ってはならない方法だと思っています。福島県は地震後、医療関係者の県外流出などあり、非常に痛手を被っております。ここにおいて、また血液センターの安全性が担保されなくなるということについては、医療関係者は非常に強い不安を持っております。懸念材料であります。何とぞ集約化について、強引な集約化を控えてほしいというのは、たってのお願いであります。以上です。
○高橋部会長 後の方の集約化、あるいは災害時等に関する血液の供給に関しては、本日の議題1の資料1の最後の資料、参考資料の前の資料1-9の終わりに「災害時等における献血の確保等」という項目があり、ここではやはり東日本大震災の際の経験を踏まえて、通信手段、輸送手段などを複線化というのでしょうか。そのようなことを意識したような文言が載っていると考えております。来年の4月1日にブロック化が完成すると伺っておりますが、ブロック化によって各地域センター、地方センター同士の連携強化という側面もあるし、大戸委員が危惧されているような、各地方センターからの適切な供給が場合によって厳しくなるのではないかということがあると思うのですが、両方あると思います。今回のような問題を踏まえて、是非一番厳しい条件でも、タイムリーな供給が行われるようにしていただきたいと思います。日本赤十字社の方から御意見をいただきたいのですが。
○日本赤十字社(俵) 実際、東日本大震災の発生を受けまして、宮城県赤十字血液センターは4月13日まで、福島県赤十字血液センターは4月18日まで約1か月間、製造を中止しておりました。献血の受入れについても、岩手県、宮城県、福島県の3県において、おおむね同期間受入れを中止していたという事実があります。その間、この3県で必要とされる血液製剤については、全国から一旦東京に集め、東京から東北各県に搬送すると共に、供給支援要員も全国から派遣することで、安定供給に努めたわけです。
 大規模災害は東北地方に限らず、今後、全国で発生する可能性があると思いますが、現在、日本赤十字社としては危機管理ガイドラインを再構築して、いかなる事態にあっても安定供給を確保する体制の強化に努めていこうと進めております。
 具体的には、独自に運用が可能なヘリコプターの導入、供給拠点の設置位置の見直し、供給拠点の増設など検討しております。検査製剤の業務集約や広域事業運営体制の導入については、効率的な事業運営を国からも求められているもので、安全な血液製剤の安定供給が目的ということです。今回、震災時に安定供給を確保できたというのは、この広域的な需給管理体制が担保されたものであると私どもは考えております。今後も、今の御指摘にも上手く即応できるように努力していきたいと思っております。
○山口(照)委員 大戸先生の初めの御指摘なのですが、星薬科大学の中澤先生と日本赤十字社の間で、可塑剤についての測定法などの厚生労働科学研究費での研究をだいぶ前に吉澤先生の研究班の中で行っていただいておりますので、これは非常に参考になるデータが出ているはずです。その辺を経て、もし必要であれば、追加の研究ということになろうかと思います。
○大平委員 1点は、もう既に終わってしまったのですが、血漿分画製剤の供給のあり方に関する研究会の問題で、先ほど半田委員からアルブミンの適正使用の中で、平成24年は予測として増えているということが指摘されているのですが、これはきちんと減る方向の計画というのですか、これからの期待するところでは減る方向で考えていただきたいとは思っています。その中で、こうした血漿分画製剤の自給の問題については、グローバル化の中でも世界の経済の不安定なところが多分にあり、そこで国内の製造メーカーの足腰を強くするということも、血漿分画製剤の製造体制のあり方の検討会の一つの課題でもあったと考えています。それをきちんと推進する方向で、国も厚生労働省も、その舵取りをしっかりしていただきたいと思います。
 もう1点は、輸血用血液製剤を使用している医療機関の調査報告書が日本輸血・細胞治療学会からの報告として今日挙げられているのですが、実施している医療機関の中で、0床というのですか、診療所や病床が少ない所で、かなり行われているということの実態は、ここで出てきていると思うのです。最近は、在宅医療の中でも輸血医療が行われるようになってきて、その点についての実態を是非調べていただいて、そしてそれをサポートする、きちんとしたキーステーションのような形で、輸血管理を個人医院などの方たちのサポートになれるような体制というのも、将来的には考えていかないと、在宅医療の問題は腰が座ったものになっていかないのではないかと思います。是非その点も今後の検討課題にしていただけたらありがたいと思っています。
○高橋部会長 後の方の小規模の診療所、あるいは在宅での輸血に関しては、輸血・細胞治療学会も非常に関心を持っていまして、実は今年度、これから行われる調査の項目にも細かい状況、どのような検査体制で行っているか等、実数はどのぐらい行われているか、そのようなことを盛り込もうというので、準備を進めております。その実態を踏まえて、前から私どもは全体の血液使用量を減らして、適正化ということで20数年動いてきたと思います。気が付けば、非常に小規模の輸血、介護の現場等、だんだんそのような所まで輸血が行われていて、本当に安全性が担保されているのか非常に心配なものですから、その調査を進めて、それを踏まえた何らかの対策の立案に進まなくてはいけないと考えています。
 前段の方のアルブミン製剤の供給見通しについても、調査を踏まえて検討しなくてはいけないと思いますし、先ほど御報告にあった田辺三菱製薬株式会社と日本赤十字社の統合、それの一番の期待は、より効率的に、また使いやすい、しかも適切に供給されるような国産のアルブミン製剤が十分量出るということで、中には国産品の方が高額であるからけしからんという方もいらっしゃるわけですが、マス効果等、いろいろな構造上の問題があったと思うのですが、そのようなものが少しずつ変わってきています。それから、今日も議論されましたような指針改訂で、血液の使い方についての基本の考え方が各医療機関にどんどん浸透するように、その両面作戦でいくのが大事と思っております。
○花井委員 今の点に関連するのですが、4-1以降の資料に今おっしゃられたようなことがいろいろ出ているのですが、診療所や有床診等いろいろありますね。地域格差等いろいろあって、今回のデータを見ても、1床当たりで病床当たりにすると、結構、地域で驚くべきばらつきがありますし、安全確保に関しても、輸血管理料を取る、取らないも、かなりばらついていますね。これだけばらついていますと、資料を見てもどう評価していいか分からない部分も出てくるので、次年度以降の課題ですが、是非この適正使用調査会なり、運営委員会もかもしれませんが、この辺を今言ったことも含めて、精緻に又アルブミンの今後の動向や免疫グロブリンの適用拡大の動向等、いろいろあると思うのですが、そのようなことを分析するために、もう少し多方面からの調査を行っていただけたらと思います。以上です。
○高橋部会長 これに関して、一番有効な方策の一つは、地域での合同輸血療法委員会というので、様々な議論がなされております。それも地域ごとに随分温度差があって、非常に進んでいる所と形式だけにとどまっているような所とあるのですが、だんだんそのようなものを広げていって実態を把握する。輸血・細胞治療学会等、輸血についての関心の深い関係者ばかりではなくて、様々な所で行っていますし、多くの病院の首脳部は、輸血に関してそれほど細心の注意を払っているとは言いがたいような現状なのですが、それを各自治体、あるいは血液センター、あるいはその地域での主導的な輸血、医療関係者の方々が相談して、合同輸血療法委員会で詰めていくということです。それがだいぶ進みつつあるということですので、それで広げていくのが一番大きいかと考えています。
 それでは、以上で終わりたいと思いますが、次回の日程について、お知らせをお願いします。
○血液対策企画官 次回については、2月下旬~3月上旬ごろに開催させていただきたいと考えておりますが、現在、各委員から御都合を伺っているような状況ですので、近いうちに開催日を決定して、各委員に御連絡させていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
○高橋部会長 本日はこれまでとしたいと思います。どうもありがとうございました。


(了)

備考
この会議は、公開で開催された。

連絡先:医薬食品局 血液対策課 課長補佐 伯野(内線2905)

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