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2012年3月16日 第9回麻しん対策推進会議

健康局結核感染症課

○日時

平成24年3月16日(金)10:00~12:00


○場所

中央合同庁舎第5号館専用第23会議室(厚生労働省19階)
東京都千代田区霞が関1-2-2


○議事

○飯野室長補佐 それでは、定刻になりましたので、これより第9回麻しん対策推進会議を開会いたします。
 本日は、御多用のところを御出席いただき、誠にありがとうございます。
 本日は、石井構成員、荊尾構成員、金城構成員、玉城構成員、福田構成員の5名から御欠席との連絡をいただいております。
 また、蒲生構成員から遅れて出席されるとの連絡が入っております。
 また、自治体の取組みを御紹介いただくために、参考人として沖縄県健康増進課の国吉課長に御出席いただいております。
 それでは、開会に当たり、外山健康局長よりごあいさつを申し上げます。
○外山健康局長 健康局長の外山でございます。
 構成員の皆様及び参考人の皆様には御多用にもかかわらず御出席いただきまして、誠にありがとうございます。また、日ごろより麻しんを含む感染症対策の推進について御指導を賜り、厚く御礼を申し上げます。
 麻しん排除につきましては、その達成に向けまして近年、着実に前進しております。前回の会議では、昨年度の第1期の予防接種率が95%を超えたことを御報告いたしましたけれども、更に、昨年の麻しん患者数は一昨年に比べて減少しております。本日は、麻しん対策を一層進めていくために先進的な自治体の取組み等について御紹介をいただきます。
 また、後ほど御説明いたしますが、来年度は麻しんに関する特定感染症予防指針の改定を進める予定でありまして、この会議におきましても、今後の麻しん対策の進め方について皆様から御示唆を賜り、指針の改定に生かしていきたいと考えております。
 各構成員の皆様から活発な御意見をいただきますようお願いいたしまして、開催に当たるあいさつとさせていただきます。よろしくお願いいたします。
○飯野室長補佐 カメラ撮りはここまでとさせていただきます。
 それでは、以後の議事の進行につきましては、加藤座長にお願いしたいと存じます。加藤座長、よろしくお願いいたします。
○加藤座長 おはようございます。それでは、本日の議事を進めさせていただきますが、その前に事務局から資料の確認をお願いいたします。
○飯野室長補佐 それでは、資料の確認をさせていただきます。
 第9回麻しん対策推進会議議事次第
 麻しん対策推進会議構成員名簿
 資料1 麻しんおよび風しんの発生状況
 資料2 平成23年度定期の予防接種(麻しん風しん第2期~第4期)の実施状況の調査結果について(中間評価)
 資料3 文部科学省作成の麻しんの予防接種に関するリーフレット
 資料4 感染症流行予測調査における麻疹抗体保有状況・予防接種状況
 資料5 病原微生物検出情報(月報)
 資料6-1 麻疹の検査診断の考え方
 資料6-2 沖縄県の麻しん対応(麻しん診断の支援について)
 資料7 自治体が「はしかゼロ達成」の確認を行う場合について(考え方)
 資料8-1 麻しん対策推進会議におけるこれまでの議論 会議で紹介された取組みや、構成員からこれまでにいただいたご意見等について
 資料8-2 「麻しんに関する特定感染症予防指針」の見直しについて
 資料8-3 麻しんに関する特定感染症予防指針
 不足等がございましたら、事務局までお知らせください。
○加藤座長 よろしゅうございましょうか。
 本日の麻しん対策推進会議は、平成19年12月28日に策定されました麻しんに関する特定感染症予防指針に基づきまして、平成24年度までに麻しんを排除いたしまして、かつ、その後も排除状態を維持することを目的といたしまして、国、県、市区町村が実施している各種の施策につきまして、その進捗状況を確認し、有効に機能しているかどうかの評価を行います。そして、今後の施策に反映させることを目的として開かれているものでございます。
 それでは、本日最初の議題でございますが、麻しん等の発生状況に関しまして、国立感染症研究所情報センターの島田先生から御説明をお願いいたします。
○島田先生 おはようございます、国立感染症研究所情報センターの島田と申します。よろしくお願いいたします。
(PP)
 本日は、このような内容をかいつまんで発表させていただきます。
(PP)
 まずは、麻しんの発生動向ですけれども、昨年2011年には434例の報告がありまして、人口100万人当たりにすると3.6という数字でした。これらは2010年とほぼ同様で、やや減少という値でした。
(PP)
 麻しんの発生が十分に少なくなった指標として人口100万人当たりの1という指標を利用して都道府県別に表したものですけれども、昨年は19の県で達成されました。
 また、これらの6つの県では2年連続、これら5つの県では3年連続でこの値が達成されております。
(PP)
 報告例は1歳の症例が中心ですが、年齢群では20歳以上の成人の症例が47%、約半分を占めました。2008年には10代の症例が中心だったのですが、この年代は2009年以降は15%程度で推移しております。これは第3期、第4期の定期接種の効果も反映されているものと思われます。
 一方、20歳以上の割合は年々増えているような傾向にあります。
(PP)
 接種歴別に見ますと、麻しんなしの報告の割合が2009年以降では徐々に増えているような状況です。ここで少し目立つのが、1回接種ありの割合ですけれども、2枚スライドを戻っていただきまして、ワクチンの効果が十分残っていると思われる5歳の症例で1回接種のある症例について少々詳しく見てみますと、これらの年齢群で1回接種のある者は63例ありました。その中に接種から4週間以内、これはワクチンが間に合わなかった症例や、ワクチンそのものの反応による麻しん様の症状が呈しやすい時期なんですけれども、この予防接種から4週間以内の症例が10例、16%を占めておりました。
 また、診断についてですが、下の方に示す診断で麻しんという診断が確実だろうと思われるものは4例にすぎませんでした。
 この症例の中には、例えば、PCR陰性とかIgMが弱陽性であったりしたにもかかわらず、臨床診断例もしくは検査診断例と診断されているものも多く報告されています。最近の麻しんの発生状況から見れば、麻しんは臨床診断で一目で診断できるような感染症ではなくて、麻しんをたとえ疑ったとしても、検査診断例で否定されることが珍しくない状況になっています。検査結果の判断については、当センターのホームページでも検査診断の考え方をガイドラインという形で公表しておりますので、是非それらを参考にしていただいて、的確に検査結果を判断、麻しんの診断を確実にする環境が整えられることが望まれると思います。
(PP)
 その検査診断についてですが、2009年以降は50%を超える症例で検査診断が行われるようになっております。特に2010年の秋以降はPCR検査が積極的に行われるようになりまして、2011年の311例の検査診断例中41%に当たる128例でPCRの検査が行われております。
 今年ですけれども、これは第8週までの65例中ですが、約9割が検査診断でして、そのうちの67%にPCR検査が実施されている状況です。
(PP)
 それを反映して遺伝子型別の発生状況も詳しくわかるようになりました。これが今年に入って報告された遺伝子型別の報告状況です。これは感染症情報センターのホームページで随時更新されておりますので、参考にしてください。
(PP)
 これが遺伝子型別の麻しんウイルスの分離・検出報告状況です。2008年ごろまで主流だったD5の遺伝子型は、2010年5月を最後に検出されなくなっております。代わって2010年以降は、いわゆる海外由来型であるD9またはD4、D8が検出されています。ただし、D5ももともとは海外由来のものが、その後日本で定着してしまって流行の中心となったものです。今後これらD5やD8、D9などの海外由来ウイルスが国内で感染拡大しないよう、また、定着することのないように国内の麻しん感受性者を十分に少なくすることが重要と思われます。
(PP)
 これが今年の8週までの状況ですが、地域によっては地域流行と言えるようなところもあります。
(PP)
 海外では日本以上に麻しんが流行している国が少なくありません。これは10万人当たりの報告数ですけれども、薄いピンクになっていますが、ごらんになってわかるように、日本以上に流行しているのはアジア諸国やヨーロッパ各国もしくはアフリカなどもそのような状態です。
(PP)
 近年の発生の中心である成人層ですけれども、それらの方たちも海外渡航の前には是非、麻しんのワクチンの接種歴、罹患歴を確認し、予防接種などで対応していただきたいと思います。
(PP)
 さて、そのMRワクチンで予防できる風しんですけれども、昨年は371例の症例が報告されていまして、2008年以降最多の報告数でした。昨年は職場内での集団発生や地域流行などの報告もありましたが、今年も実は現在までに昨年同時期の2倍程度で推移しています。
(PP)
 上が2011年、下が今年第8週までの結果ですけれども、昨年は福岡県、大阪府、神奈川県で多かった症例ですが、今年も引き続き福岡県は多いんですが、京都府を中心に関西地方でも流行が懸念されている状況です。
(PP)
 発生の中心は主に30代を中心とした成人男性です。実際に去年は、海外で感染した旦那さんからうつった妊婦さんの症例も報告されましたし、国内感染例の夫から感染した妊婦さんの症例も複数例報告されております。
(PP)
 風しんで問題になるのは、妊婦さんに感染して胎児に先天性風しん症候群が発生する場合ですが、先天性風しん症候群の報告は2000年以降このような状態になっております。2005年、2009年、2011年と決して流行が多くない年でも、先天性風しん症候群が報告されていることには注意が必要です。
(PP)
 まとめです。2011年の報告数は2010年と同様でしたが、自治体別に見ると発生数が人口100万人当たり1を切る自治体が増加しました。
 定期接種対象者の年代が報告数の中で占める割合が減る一方、20代以上の占める割合が増加しています。
 5歳以下で1回の接種歴がある症例のうち、PCR等で確実な麻しんの診断が確認できたのは4例のみでした。検査結果の判断と、それに基づく麻しんの診断・報告について、一定の基準で行われるような環境の整備が必要だと思われました。
 現在報告されている麻しんウイルスの遺伝子型は、いわゆる海外由来株ですが、今後国内で定着させないためにも国内の麻しんの感受性者対策が引き続き重要と思われました。
 風しんでも流行が懸念されています。先天性風しん症候群のリスクが高まっている状態ですので、風しんに関しても定期接種対象者でなく成人、特に今後、妊娠を希望する女性も風しんの予防接種を検討していただきたいと思います。
 以上です。
○加藤座長 どうもありがとうございました。
 ただいまの島田先生の御発表に対しまして、何か御意見・御質問がございましたらいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。それでは、また後ほど時間をとってありますので、御質問がありましたらそのときに討論していただきたいと存じます。
 では、続きまして、麻しん対策への取組み状況と評価に進みます。まず、平成23年9月末及び12月末の麻しん・風しん予防接種の実施状況に関しまして、資料2を基に事務局から説明をお願いいたします。
○飯野室長補佐 それでは、資料2につきまして御説明いたします。
 4ページ総合表1-1、都道府県別麻しんワクチン接種状況、4月1日から12月31日になりますが、全国平均で第2期72.3%、第3期71.9%、第4期62.5%となっております。
 6ページにいきまして、総合表2-1、都道府県別風しんワクチン接種状況、4月1日から12月31日になりますが、全国平均で第2期72.3%、第3期71.9%、第4期62.6%となっております。
 8ページの表1-1から、38ページの表6-6までが、都道府県・政令指定都市・中核市・特例市・特別区の接種者数などの集計となっております。
 39ページの表7、第4期(高校2年生相当年齢の者)麻しん・風しんワクチンの都道府県別の集計結果となります。
 40ページの図1から45ページの図6は、総合表を日本地図に落としたものになります。
 43ページの図4、第2期麻しん・風しんワクチン接種状況の前年度の同時期の比較では、2011年度72.3%、風しんは同じく72.3%、それぞれ1.4%の伸びとなっております。
 44ページの図5、第3期の前年同時期の比較では、2011年度麻しん71.9%で3%の伸び、風しん71.9%で2.9%の伸びとなっております。
 45ページの図6、第4期の前年同時期の比較では、2011年度麻しん62.5%で3.7%の伸び、風しん62.6%で3.7%の伸びとなっております。
 簡単でございますが、説明は以上でございます。
○加藤座長 ありがとうございました。
 続きまして、麻しんの予防接種に関する広報につきまして、文部科学省から有賀専門官より御説明をお願いします。
○有賀専門官(文部科学省) 文部科学省です。
 本日は、資料3ということでリーフレットを提出させていただいております。文部科学省におきましては、第3期、第4期の接種が始まりましてから、対象者である中1・高3生に対してリーフレットで予防接種を勧奨するということを行っておりましたけれども、今年度につきましては、本日はお持ちしておりませんが、ドラマとタイアップして、「JIN-仁-」というドラマでリーフレットをつくって配付したところ、なかなか子どもたちからの評判がよかったということがありましたので、来年度についても子どもたちに興味を持って見てもらえるようなものを考えまして、なでしこジャパンの写真を使っての広報を考えました。
 もう一つありまして、1枚目が中1、2枚目が高3向け、第4期向けということなんですけれども、キャッチフレーズが中1の方は「~チームで目指そう最強日本~麻しん風しん予防で世界一」。高3年生の方が「全員予防(チームワーク)ではしかに打ち勝て!!」というキャッチフレーズがついておりますけれども、こちらは実際に中学生・高校生から公募いたしまして、こちらで選んでつけたキャッチフレーズになっております。
 今年公募したところ、トータル4,000件もの作品が集まりまして、今年度につきましては公募することによって、今年の対象者に対して予防の勧奨になったのではないかと思っております。
 本日出させていただきましたものにつきましては、4月以降、平成24年度の中学1年生、高校3年生に対して配付していきたいと考えております。
 以上です。
○加藤座長 ありがとうございました。
 続きまして、感染症流行予測調査の中間報告につきまして、国立感染研の佐藤先生からお願いいたします。
○佐藤先生 感染症流行予測調査における麻しん抗体保有状況・予防接種状況につきまして、暫定値となりますが、本年度の結果について報告いたします。
(PP)
 初めに、簡単に感染流行予測調査の概要について説明いたします。
 本調査は、厚生労働省、都道府県、国立感染症研究所が協力して行っている事業となります。
 調査の対象疾病といたしましては、定期予防接種対象疾病のうち結核を除く8疾病について行っております。
 調査内容としては大きく2つありまして、1つ目が、抗体保有状況を調べる感受性調査。2つ目が、ウイルスの検出・同定を行い流行状況、活動状況等を調査している感染源調査があります。同時に、感受性調査の対象者から予防接種歴、罹患率等を含めた疫学情報についても情報収集を行っております。
 この調査において麻しんについては、麻しん感受性調査と麻しん予防接種歴調査が行われており、感受性調査については主に7~9月に採取されたヒト血清を用いて、実施を担当する都道府県衛生研究所でゼラチン粒子凝集法(PA法)による抗体価測定が行われております。
 一方、予防接種歴調査については、感受性調査対象者に加えて抗体価測定を行っていない、ほかの疾病の抗体価測定を行っているようなものについても予防接種歴の情報が得られておりますので集計を行っております。
 調査内容としては、麻しん単抗原ワクチン、MRワクチン、MMRワクチンの接種歴の有無、接種があった場合には、その回数等についても情報を収集しております。
(PP)
 まず、予防接種状況の結果についてお示しいたします。このグラフは接種歴不明者を除いたものになりますが、赤が2回以上接種した者、青が1回接種、緑は接種回数が不明の者、灰色が未接種の者となります。このグラフを見ていただくと、定期接種第1期の1歳で予防接種率が急激に上がり、その後2歳以降では1回以上接種した者が95%以上で推移していきます。
 一方、赤の2回以上接種した者というのは、5歳第2期あるいは第3期、第4期といった2回の接種の機会を与えられた年齢に対して高い予防接種率を示しております。
(PP)
 続いて、接種歴不明者を含むグラフをお示しいたしますが、こちらは20歳未満の小児については接種歴不明者を除いたものとそれほど変わりはないんですけれども、やはり成人では接種歴不明者が増えてきて、全体の接種率は下がっております。
 成人における接種歴不明者の割合というのが、もしかすると小児と内容が異なっている可能性があり、成人における接種率というのは、もしかしたら接種歴不明者を含む接種率の方が類似している可能性があります。
(PP)
 続いて、抗体保有状況ですが、まず、赤い折れ線グラフで示したものはPA抗体価1:16以上の陽性率を示しております。この1:16というのはPA法で測定した場合に抗体陽性と判定される抗体価になりますが、2011年度は2歳以降ほぼすべての年齢層で95%以上を達成しております。
 唯一4歳のみ94%だったんですけれども、この4歳というのは2011年度時点で2012年度の第2期接種対象者であることを考えると、もしかすると2012年度は4歳の者も95%以上になることが考えられます。
 続いて、PA抗体価1:128、この抗体価はPA法で麻しんあるいは修飾麻しん発症予防の目安の抗体価とされていますが、このPA法1:128以上に対する抗体保有率は4歳あるいは11歳、16歳、17歳といったところで前後の年齢層と比較して抗体保有率が低いですが、こちらも第2期あるいは第3期、第4期といった来年度の接種対象者が含まれていることから、こちらも2012年度については個体保有率が上がることが予想されます。
(PP)
 続いて、予防接種状況について、第2期の定期接種が開始された2006年度と2011年度を比較したグラフになります。こちらは接種歴が得られたもので、回数もわかったものについてのみ示していますが、2006年度はほとんどの者が赤で示した2回以上の者はいませんでした。
 一方、2011年度は主に第2期、第3期、第4期の2008年、2006年度以降に2回目の接種を受けた人で、2回接種以上の対象者が増えていることがわかると思います。
(PP)
 これを受けて抗体保有状況がどうなっているかを示しますと、左側のPA抗体価1:16以上について見ると、青で示した折れ線グラフになりますが、2006年度の時点では約半数の者のみが95%以上でした。ただ、一方、先ほど申し上げましたように、2011年度は4歳を除いてすべての年齢で95%以上となっております。
 PA抗体価1:128以上については、2006年度は2~4歳、6歳のみで90%以上であったものが、2011年度は来年度の定期接種対象者を除けば多くの年齢で90%以上となっていました。
(PP)
 最後のグラフですが、麻しん含有ワクチン接種歴別に抗体保有状況を示したグラフになります。
 一番左の未接種者のグラフは、抗体保有しているものは罹患したものと考えられるわけですけれども、未接種の者はグレーで示した抗体陰性のもの、あるいは黄色で示した低抗体価の者が1~3割存在していることがわかります。それが1回接種すると抗体陰性あるいは低抗体価の者が約1割程度になり、更に2回以上接種すると、それが5%程度になることがわかります。
 2回以上接種者のうち1~4歳で2割程度抗体陰性であったり、低抗体価の者が存在しているんですけれども、これは恐らく0歳で1回目を受けて、その後2回目を受けた者が含まれているため、このような結果になっていることが考えられます。
(PP)
 最後は、まとめです。
 以上です。
○加藤座長 ありがとうございました。
 続きまして、病原微生物検出情報につきまして、岡部先生からお願いいたします。
○岡部構成員 本来、担当の山下が説明するはずだったんですけれども用事がありましたので、私が代わりに御紹介いたします。
 資料5にある「病原微生物検出情報」ではしかの特集をやっております。今のところ最近は年に一遍の特集をやっておりますけれども、最初の1~2ページは今日、島田の報告がありましたけれども、現在の疫学的な状況あるいははしかウイルスの検出状況、ワクチンの接種率、これは今、佐藤が説明しましたが、その他、ワクチン接種率向上への取組みとか、はしかの診断の重要性、これは後で多屋が発表すると思いますけれども、そういったことのサマリーがあります。
 そのほかに、関連記事として3ページ目には、ヨーロッパのはしかの状況と今後の日本の課題、これはヨーロッパのD4が日本にかなり来ていると。ヨーロッパの流行がなかなか今収まり切れないというところが書いてございます。
 5ページ目は、2011年の東京都におけるはしか流行への対応ということで、昨年の連休辺りにちょっと増えたんですけれども、その後の対応でシーズンアウトしたというか、状況は改善してきたというような取組みが書かれてございます。
 6ページ目は、成田空港内勤務者からのD8型、これはアジアにあるウイルスですけれども、この麻しんウイルスの検出と家族内感染。千葉の事例ですが、成田空港だったので積極的疫学調査等々、非常に重要なサジェスチョンのある一文を千葉から寄せていただいております。
 7ページ目は、はしか含有ワクチン接種率、これは佐藤が御説明をしたものです。
 9ページ目が血清疫学調査で、これも今の佐藤の発表に関連したものです。
 12ページの下から始まりますけれども、麻しん予防接種率向上への学校の取組みということで、地域からは今日は国吉先生に来ていただいていますが、この中では山形市の取組み、あるいは13ページで、島根県の麻しん対策で、学校ぐるみで取り組んでいるという経験の発表をしていただいております。
 14ページで、麻しん・風しん予防接種率向上への文部科学省の取組みということで、これは先ほど有賀専門官から御発表のありました、なでしこジャパンその他のアピールのことです。
 15ページは、地方衛生研究所の検査診断により判明した我が国のはしかの状況。これは私の右側においでになる小澤先生に書いていただいた治験での取組みです。
 17ページは、はしかではありませんけれども、福岡市における2011年の風しんの発生状況、先ほど島田が最後の方に風しんの説明をいたしましたけれども、その中で特に、福岡市が多かったという事例を、福岡からその状況の説明をいただいております。
 19ページですが、外国情報としてペンシルベニア州における病院での麻しんアウトブレイクという、これはMMWRからの報告を翻訳したものですが、救急病院ではしかとわからず入った患者さんの中から一斉に5人ほど広がりがあって、それから、そのインデックスケースとしては、その前に来た人が不明の発疹症というようなことで、インドから来た人が結局ははしかだったということが証明されたわけですけれども、それに伴って積極疫学調査をやったり、航空機の乗客の調査あるいは一般の人々への電話調査、注意喚起というようなことをして、はしかの広がりが食い止められ、また、説明ができたというような米国CDCの調査状況が紹介されております。
 以上が今回のはしかに対する特集の概要です。ありがとうございました。
○加藤座長 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいま御報告をいただきましたけれども、ここまででひとまとめにいたしまして、皆様から御意見がございましたらお願いします。
○岡部構成員 ちょっと前の方なんですが、資料3で文科省にとてもいいポスターをつくっていただいたんですが、以前も風しん対策や何かでアイドルの方とか女優の方を使ってポスターをつくったのはいいんですが、ポスターだけ持っていかれてしまって、結果は余りうまく出なかったということがありました。この裏面を見ていただくと、いろいろな取組みのことも併せて説明してあるので、是非ポスターの配付だけではなくて、実際にどういうことをやるかということも学校で説明の資料にしていただければと思いますので、よろしくお願いします。
○加藤座長 小澤構成員どうぞ。
○小澤構成員 群馬県で2010年、2011年と2年間に10例の麻しん報告例があるんですが、それすべてに私自身が担当医に電話をかけまして詳細な調査をいたしました。その結果、10例のうちPCR検査をやったのが4例で、いずれもネガティブでした。それから、IgM上昇があったのが6例なんですが、余り大きな上昇がないということ。それから、臨床症状のみで届出をされたのが4例あったということです。話を詳細に伺いますと、10例のいずれも麻しんの可能性は極めて低いということがわかりました。話しているうちに、麻しんの届出を取り下げましょうというのが2例ございました。また、ドクターの中でIgM抗体検査が偽陽性が多いということを御存じない方が結構おられました。それから、麻しんの届出あるいは疑った場合に全例にPCR検査をやってくださいという通知が厚労省から出ていることを御存じないドクターがかなり多くおられましたけれども、開業医の先生はよく御存じで、むしろ病院の勤務医の方でこういう通知に関して知らなかったということをおっしゃった方が多かったということです。したがって、群馬県の2年間の10例というのは、ほとんどが麻しんでない、あったとしても1~2例だろうということが推測できたということでございます。
○加藤座長 10例の年齢は。
○小澤構成員 今日は細かい資料を持ってこなかったのですけれども、1歳ぐらいのお子さんが3人、それから、成人に近いような19歳とか27歳の方が2人ほど、あとは10代の方といったところでした。
○加藤座長 竹田構成員どうぞ。
○竹田構成員 小澤構成員のお話に関連して教えていただきたいんですけれども、勤務医は余り知らないけれども、開業医はよく知っているというのは、彼らの情報源の違いや活動状況の違いの差によるのだと思いますけれども、主にどういった違いなんでしょうか。
○小澤構成員 そこまでは聞かなかったんですが、恐らく開業の先生方は医師会からかなりはっきりと、こうこうこうなりましたという通知が個々に行っているのだと思いますが、勤務医の場合は多分、病院自体とか病院の医事課に来ているとか、科長に来ても科長が部下に伝えないといった意味で、院内での連絡が悪いのではないか。あるいは、勤務医はしょっちゅう異動して2~3年で代わりますので、そういったこともあるのかなと思います。
○加藤座長 多分、今お話しになったとおりで、開業の先生方は日本医師会の情報を多分パソコンで見るなり。違いますか、では、保坂構成員お願いします。
○保坂構成員 個別の先生のところに行っている情報は、日本医師会から都道府県医師会、郡市区医師会というところを通じて。日本医師会から直接とか、パソコンを見てとかではなくて、日本医師会の会員であれば情報がきちんと末端まで届くようになっています。ただ、勤務医の先生たちにはなかなか行かないので、そこは日本小児科学会から同じようなことを病院小児科に対して出すことが必要だなと今思いましたので、日本小児科学会にそのように申し入れようと思っております。
○加藤座長 わかりました。私も思い出しました、医師会の場合は各県に公衆衛生委員会という委員会があって、そこに各理事が出ていて、そこで発表されて全部に行くんですよね。
○保坂構成員 厚労省から文書が出ますと、私どもの方から都道府県医師会と、ものによっては郡市区医師会まで直接FAXを送ります。勿論インターネット上にも載せますが、FAXで必ず会員にお知らせくださいということでお出ししていますので、それは結構ちゃんと行っているのだなと、今、小澤先生のお話しを聞いて、とてもうれしく思いました。
○加藤座長 ありがとうございました。
 岡部構成員どうぞ。
○岡部構成員 小児科学会の感染症担当理事として。一応、学会員への連絡ができることと、日本小児感染症学会の方では同じく厚労省の通知等は回すようにしているんですが、感染症の方には行くんですけれども、違う専門分野であったり、あるいは若い先生方で会員でないところには行きにくいので、再度それは持ち帰って検討するようにいたします。
○加藤座長 ほかにいかがでしょうか。
○畑構成員 はしかの発症は非常に抑えられてきて効果を上げているということがわかって、病気の被害者としては非常にうれしく思っております。
 1つ言いたいこととしては、先ほど文科省さんから広報の資料もありましたけれども、広報の言い方というか、国民への通知の仕方として、自分の子どもだとか自分自身の病気を防ぐために予防接種をするということではなくて、なくせる病気をなくすという国民運動の立場で、はしかというのはなくせる病気なんだと。それがなくなれば我々の亜急性硬化性全脳炎もなくせると。そういうことに効果を今上げつつあるんだという非常にいい成功事例としてここまで来ていますので、国民全体に伝えていただければと思います。
 ですから、自分の子どもが病気にならないためというよりも、日本からこの病気をなくせる、今もうそこまで来ている。だけれども、世界ではまだこの病気はあるので、予防接種はやり続けなくてはいけない。それが日本人としての責務であるというようなことを伝えていただければと思います。
○加藤座長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。
 それでは、先に進めさせていただきます。次の議題でございますが、麻しんの診断支援について、国立感染症研究所の取組みにつきまして、多屋先生から御説明をいただきまして、その後で沖縄県の取組みに関しまして、沖縄県健康増進課の国吉課長から御説明いただきますが、まず多屋先生からお願いいたします。
○多屋先生 国立感染症研究所感染症情報センターの多屋と申します。よろしくお願いいたします。
 今までのお話の中で、麻しんの患者さんが減ってきた、そして、報告された患者さんの中には麻しんではない可能性のある患者さんが増えてきているということがございました。そこで、麻しんの調査診断の考え方をまとめましたので御報告させていただきたいと思います。
 まず、2007年12月28日に告示されました特定感染症予防指針に基づきまして、来年度までに我が国から麻しんを排除し、その状態を維持することを目標に国を挙げた対策が進められてきておりますが、2010~2011年にかけてヨーロッパを含め世界じゅうで麻しんが流行いたしました。これまでの我が国の麻しんの発生状況を検討いたしました結果、2011年、我が国は麻しん輸出国と言われてきましたが、麻しん輸入国に転じたと考えております。今後は、渡航前の予防接種等によって麻しんに対する免疫を強化する、そして、海外での感染を予防するとともに、たとえ輸入例があった場合でも国内で感染が拡大しないような迅速な対応が必要と考えております。
 2010年11月に厚生労働省結核感染症課から、可能な限り全例の検査診断をお願いする旨の通知が出されましたが、我が国では麻しんウイルスあるいはウイルス遺伝子を直接検出する方法、例えば、RT-PCR法やウイルス分離等によって麻しんの検査診断を実施するよう求められることになっております。
 全国の地方衛生研究所では、麻しんウイルスの検出とともに、麻しんウイルスの遺伝子型についても検索が進められております。この検討をすることによって検査診断に基づく麻しんの迅速な確定診断につながるのみならず、麻しんウイルスの由来や感染経路、感染源の推定にも大きな威力を発揮いたします。早期対応、介入策の実施、リスクマネジメントなど、公衆衛生学的な観点からも、これまで以上に麻しんウイルスを直接検出するという方法での検査診断が求められています。
 麻しんと診断した場合には、保健所を通して地方衛生研究所で全例の麻しんの検査診断が実施され、迅速な対応につなげられることで、我が国の麻しん排除達成につなげていきたいと考えています。
 2ページからは検査診断の考え方をまとめました。2010年11月の厚生労働省からの通知によって求められている我が国での麻しんの検査診断は、麻しんウイルスの直接検出法による検査診断です。そのためには、診断した医療機関・医師は、保健所を通して地方衛生研究所にEDTA血、咽頭ぬぐい液、尿の3点セット、自治体によっては2点ということもあるようですけれども、それを搬送していただきます。搬送の方法や検体の種類は自治体ごとによって異なるので、保健所へのお問い合わせが必要となっております。
 もう一つ、間接的な方法として抗体測定がありますけれども、麻しん特異的IgM抗体の測定、これは後で申し上げますが、値の解釈の仕方が重要と思います。急性期と回復期のペア血清による麻しんIgG抗体価の陽転というのは抗体価が陰性から陽性になることです。あるいは後でまた詳しくお話ししますが、有意上昇を確認すること。そして、すべての感染症の診断に重要ですが、急性期の血清を冷凍保管しておくということは、その後の診断に非常に重要な意味を持ってくると思います。抗体価の測定は健康保険適用がありますので、医療機関で実施が可能です。
 次に、検査診断の考え方について4ページ目にお示ししましたので、これはまた後で簡単にお話しししたいと思います。
 まず、検査診断方法の?PCR法あるいはリアルタイムPCR法によって麻しんウイルスの遺伝子の検出する方法ですが、先ほど申し上げた3点セットを衛生研究所に届けていただくということで現在、実施が行われています。非常に実施率が高まってきています。
 ?同じ3点セットから麻しんウイルスを直接分離する方法、ウイルス分離をされている自治体もありますので、この2つの方法で麻しんのウイルスの直接検出を行います。
 そして、いずれかの方法から麻しんウイルスが検出された場合は麻しんと検査診断されることになります。ただし、重要なのは、発疹出現後7日以内に検体を検出する、ここが非常に重要です。勿論、発疹出現後7日を過ぎてしまった検体であっても、結果が陽性であれば麻しんと診断可能ですが、もし、陰性であったとしても、発疹出現後7日を過ぎていた場合は、麻しんを完全に否定することが難しくなってくる場合がありますので、なるべく早い3点セットの衛生研究所への搬送をお願いしたいと思います。なお、地方衛生研究所の先生方から、尿からは比較的長期間検出されるとの報告もございます。
 次に、麻しんIgM抗体の測定には幾つかの問題点が指摘されております。麻しんIgM抗体は、発症早期は本当に麻しんであっても陽性になりません。発疹出現後72時間以内に約77%の人に検出され、11日までには100%、90%以上の人は28日間IgM抗体が検出されると言われています。
 国内で使われている麻しんIgM抗体の測定キットについて、これまで多くの検討がなされてきていますが、例えば、よく使われているキットですと、1.21以上は陽性と戻ってきます。しかし、パルボウイルスB19による伝染性紅斑やHHV-6やHHV-7による突発的性発疹、デング熱の急性期に麻しんIgM抗体を出しますと弱陽性になることがあるという、いわゆる偽陽性の問題が判明してきました。ということから、IgM抗体で見る場合は、少なくとも8.0以上、多くの方は2けたぐらいの高いIgM抗体価を示しておられましたので、そういった値を判断するということも非常に重要だと思います。
 ?急性期と回復期のペア血清でIgG抗体が陽転あるいは有意上昇を確認するという方法もありますが、回復期に受診されることが非常に難しい患者さんもいらっしゃいまして、できれば急性期の血清検体が保管されていることが、その後の確定診断には重要になってくる場合もあるかと思います。
 まず、ペア血清の抗体検出において有意上昇とは、被験血清を段階希釈する抗体測定方法、例えば、HI法、NT法、PA法、CF法などで、急性期に比較して回復期の抗体価が4倍以上上昇を認めた場合に有意上昇と判定します。陽転とは、抗体価が陰性から陽性に転じることを言います。
 一方、EIA法はプラス、判定保留、マイナスのいずれかで、EIA価とともに結果が病院に返却されると思いますが、EIA法の抗体価は「倍」という表現は用いません。厚生労働科学研究の庵原先生らの発表によりますと、EIA価の場合2倍以上の上昇があれば、上記と同様に有意上昇と考えられるのではないかという報告がなされています。
 当該疾患が麻しんであるかどうかの確定診断には、CF法やHI法が用いられる場合がありますが、麻しんにかかった後長期間を経過した場合、あるいはワクチンを受けた方で、この方が麻しんに対する免疫を持っているかどうかを検査するための方法にCF法やHI法は用いてはいけないと思います。
 次に、Secondary vaccine failure、麻しんワクチンを受けたけれども、あるいはγグロブリンを注射された方、移行抗体が残っていらっしゃる方等で発症した修飾麻しんの場合、急性期から非常に高い麻しんのIgG抗体が検出される場合がありますので、その場合ペア血清という考え方は使うことができません。
 一番最後に、最近の知見に基づく麻しんの検査診断の考え方というアルゴリズムを表示いたしました。麻しんと診断した場合は、?と?の両方を並行して実施するということで確実な検査診断につなげることが可能となってきます。最も今求められているのは?です。診断後、発疹出現後7日以内に血液、咽頭ぬぐい液、尿の3点セットを保健所を通して地方衛生研究所に搬送していただくことです。どれかからでも陽性になれば麻しんと検査診断されます。勿論、IgM抗体も高くなっていらっしゃるでしょうし、IgG抗体の有意上昇も確認されると思います。
 一方、検討したすべての検体で発疹出現後7日以内に採取された臨床検体であったにもかかわらず、すべて陰性となった場合は麻しんは非常に否定的であると考えられます。勿論、同時に測定した抗体価の結果も総合的に判断する必要があると思いますけれども、非常に麻しんの可能性は低くなると考えます。
 一方、麻しんIgM抗体を余り早く出すと、本当に麻しんであっても陽性にならない場合がありますので、発疹出現後4日以降、28日目ごろまでに出すことが求められます。例えば、1.21以上をカットオフとしている検査キットの場合、少なくとも8以上の値がないと麻しんではない可能性があるということも念頭に入れて、これからは麻しんウイルスの直接検出による検査診断を充実させていく必要と、もし、そうではなかった結果が出た場合は、麻しんを疑っても麻しんではないと診断することは今最も求められていることであり、決しておかしいことではないということを十分、医療機関の先生方とも一緒に情報を共有していく必要があると考えております。
 以上です。
○加藤座長 ありがとうございました。
 続きまして、沖縄県の国吉課長からお願いいたします。
○国吉参考人 沖縄県健康増進課の国吉と申します。よろしくお願いいたします。
(PP)
 沖縄県での取組みの一番最初は平成13年でした。沖縄県はしか“0”プロジェクト委員会の活動が最初です。このときには平成11~13年の大流行がありまして、乳幼児を中心に9名の死亡が確認されました。患者さんについては300名を超える方を出してしまったというのがきっかけでございます。このときに強い意志で立ち上げたのが、主に小児科の臨床の先生方だったというのが、今日まで非常にきいているのではないかという感じを持っております。
 全数把握実施事業というのを平成15年からいたしまして、このころから検査診断も併せて行っております。
(PP)
 沖縄県の全数把握実施要領ですけれども、医療機関については疑い例を含めて診断した医師は直ちにFAXにて保健所に連絡する。同時に、検体採取マニュアルで検体を確保するということをやっていただいております。これは各々の地区医師会、子どもさんが救急で行くような大きな病院にしっかりと周知がされております。
 保健所は、検体を医療機関から受け取りまして搬送します。同時に、患者さんがまだ診療所あるいは病院にいるということもございますので、情報、例えばワクチンを受けたかどうか、あるいは渡航歴があったかどうか、周りにそういう方々がいたかどうかなどについて一定の情報収集をして、もしもPCR検査がプラスであったらということに向けての準備を行います。
 沖縄県の衛生環境研究所はPCR検査を実施いたしますが、おおむね6~8時間ぐらいで結果が出せる状況になっております。休日とか夜間ということもありますけれども、特に周りの状況で子どもさんがいたりということがありましたら、少ない人数ですけれども無理をしてやってもらうということの積み重ねが、今日の信頼につながっています。
 それから、健康増進課の私どもは、保健所を通じて検体の情報、周りの状況をとりまとめまして、先ほどの各関係者にメールで中間、確定した後も報告を行っています。
(PP)
 今お話ししたことですが、医療機関で診断をいたしまして、保健所へ御連絡をいただいて、保健所で検体を運ぶとともに健康増進課から関係機関に通知します。結果が出ましたら、医療機関に報告をするわけですけれども、陽性の場合は直ちに保健所では疫学調査を開始して、必要であれば周りの方々への対応を行ってまいりますし、ある程度の流行が予測される場合には、緊急的な予防接種まで含めて対応をとることを準備しております。
(PP)
 緑のグラフが確定患者数です。全数統計を始めましたのは平成15年ですので、平成15年からは黄色の疑い例がございます。平成15年には確定が20であったものが、平成17年に1回ゼロになったんですけれども、その後平成18年、平成19年と一定の集団の流行がありましたので、それを経験いたしまして平成20年から現在までゼロとなっております。
(PP)
 このような形で関係者に向けて、本庁の私どもの担当者からその日にこのような届けがありましたと。現在、確定検査中ですと。簡単な情報を元に、また結果が出ましたらお知らせしますということで、一定のお知らせを必ずすることにしております。
(PP)
 これはメールの中身です。これは今年の3月7日ですけれども、今現在こういう方々が報告されていますと。この中あります情報として、患者さんの住所、年齢、性別、そのほかに予防接種歴あるいは学校に通っているかどうか、それから、感染源について聞くのは病院の先生方も当たり前になっておりますので、それについて覚えがあるかどうかについても報告いただいて、一定程度の情報をこのような形でお届けしています。
(PP)
 診断の支援ということなんですけれども、先ほど多屋先生から御紹介がありましたようなアルゴリズムに似たような形ですが、私どもも一定の考え方を、保健所には衛研から教えてもらっておりますので、臨床診断がつけにくい場合あるいはPCR検査が遅れて結果的にIgMしかやっていない場合がありますので、主治医の先生から保健所に届けていただくときに、それ以上に何かやる必要があるかどうか、あるいはPCRでちょっと怪しい場合にこれがワクチン株であるとか、あるいは検査してみたら手足口病だったとか、あるいは伝染性紅斑だったとか、そういうこともシミュレーションしながら御相談してまいります。健康増進課へも保健所から連絡をいたしまして、健康増進課は報告内容について必要であればこのようなことをしてくださいと。そして、一定の情報が必要な場合は感染研の先生方にも専門的な御意見をお聞きしながら、保健所を通して主治医の先生にも一定程度のサジェスチョンを行うと。そして、最終的にはそのような情報を総合して、あるいは追加の検査などを行った後に主治医が診断する、そして、必要があれば取り下げをしてもらうということをしております。
(PP)
 今お話し申し上げたようなことが書いてございますが、相談の中心は保健所でございます。保健所の感染症の担当、医師が相談をいたしまして、必要であれば医師が直接主治医の先生とお話しして検査等の相談、そして、得られたアドバイスの結果について必ず還元するということで、一定程度の信頼を得ているということでございます。
 本当に少ない事例ですので、こういうことがあったというのは先ほどのメーリングでも結論が出た時点でお返ししておりますし、あるいは医師会と県庁の間で定例の情報交換会がありますので、そちらで御報告をしたり、あるいははしか“0”プロジェクトで御報告したり、丁寧に対応を行っていくというのが先生方に御協力をいただく要諦ではないかと思っている次第です。
 以上です。
○加藤座長 どうもありがとうございました。
 ただいまの多屋先生と沖縄からの御報告につきまして、何か御質問・御意見がございましたらどうぞ。
○竹田構成員 国吉先生に1つ教えていただきたいんですが、フローチャートの中で一番難しいかなと思っているのは、検体をだれが運ぶのかというところだと思うんですが、全国でも苦労していると思うんですけれども、沖縄ではそこはどうなっているのでしょうか。○国吉参考人 検体については相談しながら、保健所の担当が基本的に行っております。
○竹田構成員 もう一点よろしいですか。別なんですけれども、今、私たちは検査担当をしている部門なのでお願いなんですけれども、PCR検査が全国で確かにかなり活発に行われているんですが、ごく一部の症例でもいいんですが、是非ウイルス分離をしていただきたいと思っております。というのは、日本から排除しようとしていますけれども、同じ遺伝子型のものが入ってくると、もともといたのか、新しいものかということは非常にPCR検査の短いフラグメントでは困難です。ウイルス分離がごく少数例でもされていますと、振り返って解析を進めれば、再度入ってきたものなのか、もともとあったものなのか必ずわかりますので、是非、余力のある地方衛生研究所もしくは私たちもサポートしますので、また厚生労働省もそういうことができるようなサポートを是非していただきたいと思っております。
○加藤座長 ありがとうございました。
 櫻山構成員どうぞ。
○櫻山構成員 ただいまの沖縄の非常に対する竹田先生の質問に関連して東京都のことなんですが、検体の搬送については数が多いと保健所に負担をかけるということはあるんですが、ここまで数が減ってまいりましたので、今、沖縄の発表にもございましたけれども、今日は佐藤先生が保健所からいらしていますが、保健所の方で頑張っていただいて搬送することによって、先ほど多屋先生のお話にありました検査が確実にできると、今、竹田先生もお話しになりましたPCR検査で遺伝子型まで判明するということが、東日本大震災のちょうど後でございましたけれども、東京でもフランスからの輸入例を経験いたしまして、感染研とも御相談していろいろ検査を進めました。避難所に避難されている方も結構いらしたものですから、東北の方で流行が起こるかなと思ったんですが、あのレベルで抑えられたというのもそういう迅速な検査ができたからだと思いますので、これから沖縄の例などを参考にして、全国で検査診断を進めていくべきだと私も思っております。
○加藤座長 小澤構成員どうぞ。
○小澤構成員 IgM偽陽性の問題というのは、かなり現場で混乱をもたらす大きな原因になっています。デンカ生研のキットにIgMの偽陽性が多いということはかなり確実な事実ですので、このキットの改善といいますか、もっと特異性を上げるということを働きかけることが必要なのではないかと思います。
○加藤座長 ありがとうございます。今のはIgMについてですね。
 佐藤構成員どうぞ。
○佐藤(恭)構成員 保健所の方から。今、沖縄から御報告がございましたように、保健所では医療機関からの届出を受けまして、積極的疫学調査を実施しまして、こういった検体を地方衛生研究所に搬送するということは一生懸命しているところでございます。特に、前回まとめていただきました疫学調査のガイドラインは非常に役に立つものでございまして、そういったものを活用しながらやっております。
 保健所としては地域の中で、PCR検査等の課題が2つほどあるのかなと思っております。診断の考え方のチャートは非常に細かく記載されていまして、このとおりやっていくと非常にいいかなと思うのでございますが、やはり地域の医療機関から我々の方に届出を受けまして、主には医療機関で検体を採取して検査するということになりますので、医療機関側からこういった検査の採取についてのコンセンサスといいますか、提供ができにくい場合がある。特に、この3種類の検体すべてを採取するということはなかなか難しいところがございます。1つは、医療機関側の理解、取組み方法があろうかと思います。
 それから、もう一点は、地方衛生研究所、地方によって検体を扱う種類が違うという御報告もありましたけれども、恐らくそれぞれの地域で大分違うところもあるのではないかと思います。私どもといたしましては、こういった3種類の検体を検査することが必要であるということをそれぞれの医療機関、地方衛生研究所に徹底していただくと、我々としては更にやりやすいのではないかと考えているところでございます。
 以上でございます。
○加藤座長 ありがとうございました。
 小澤構成員どうぞ。
○小澤構成員 地方衛生研究所は、この3点セットのPCR検査をやることに関しては十分周知徹底されているはずなので、地方衛生研究所によって検体を、例えば、尿の検体は受けないとか、そういったことはないはずなんですが、そういう実例があったのでしょうか。
○佐藤(恭)構成員 国の方から御報告いただけると一番いいかなと思うんですけれども。
○加藤座長 ただいまの質問は、地衛研で断られてしまったことがあるかどうかという御質問ですか。
○小澤構成員 要するに、地方衛生研究所の窓口での検体の受入れがスムーズにいかないという御指摘だったと思うんですが、そうではないですか。
○佐藤(恭)構成員 私どものところですけれども、検査には検体だけではなくて費用等もかかわってきますし、検体の数によって地方によってどのくらいの数やるのかということもあろうかと思うんですけれども、今のところ江戸川区では東京都の地方衛生研究所に出すのに、咽頭ぬぐい液がメーンに出されていると。そのほかの検体については、採取するのもまだ十分ではない。それから、費用の点で地方衛生研究所に出しづらいというところもございます。
○加藤座長 ちょっとかみ合っていないような気がしますけれども。
○櫻山構成員 私ども東京で保健所といろいろ調整している中で、先ほどの小澤先生とのかかわりもあるんですが、第一線の臨床の先生方の御協力を得るときに、開業医の先生は3点セットをきちんととってくださるんですが、病院の先生の中には何でそんなに必要なんだとおっしゃる方がまれにいらっしゃいます。先ほど保坂先生がおっしゃいましたように、結構、医師会の先生はFAXなどを注意して読んでいらっしゃるのであれなんですが、病院の先生方にも我々は協力をお願いしているわけですけれども、岡部先生の方からも学会によろしくお願いしたいと思います。
○加藤座長 今の診断法ですね。
○保坂構成員 費用のことが今、江戸川保健所の方から出ましたけれども、この検査の費用はだれが持つことになっているんでしょうか。
○加藤座長 地衛研で行う場合のお話です。
○林課長補佐 一昨年の11月に通知を出したときにも明記させていただいておりますけれども、県が主体となって実施していくものでございますが、費用の一定の部分について国からの予算を使用してよいということを明記しております。
○保坂構成員 そうすると、実際には国が補助を出して、都道府県が持つんでしょうか。
○林課長補佐 半々ずつ持つということになります。
○保坂構成員 東京都はそうなんでしょうか。
○林課長補佐 積極的疫学調査の一環としてやる国からの検査のための、麻しんに限らず全体の補助金がございますので、それを活用してよいということでお知らせしております。ただ、国が100%というわけではございませんので、都道府県も予算措置をしていただく必要がありますし、その上で国からの補助金が入ることになります。
○保坂構成員 今、費用がというお話があったので、もし、お金を出すところがないのだとすれば、そこを改善しておかないと、みんなで一生懸命やりましょうと言ってもお金がないのでは困る。
○小澤構成員 当初、通知で全例PCRをやると、しかも3検体全部やるんだといったときに、この通知が出たときは、まだかなり麻しんの発生数が多かった時期で、地方衛生研究所としてはこれは大変だと。まず、労働負荷も大変だし、費用の点でも大変だということがあったんです。ですから、当初はそういったことで予算が限られている中で、場合によってはできるだけ少なくということがあったかもしれません。ですが、多分この1年ぐらいは非常に全国的に少なくなっていますから、PCR検査の検体を制限することは基本的にはないと思っていますし、予算も多分十分配付されていると私は思いますけれども。
○加藤座長 局長どうぞ。
○外山健康局長 今の話は、積極的疫学調査の一環としてやっていて、感染症法の第15条に基づいてやっているものですから、これについては基本的に自治事務となっています。したがって、そういう構図の中で国も一定の補助をしているという形になっていますから、それも都道府県知事の責任できちんとやるという構図になっていますので、費用がどうのこうのという形ではない話になっています。ですから、ちゃんとやられるべきだと思っております。
○加藤座長 費用のことは、要するに心配なくやっていただける仕組みになっているということですね。
○外山健康局長 都道府県が実施しますけれども、地方の財源を主体とし、交付税も裏打ちされていると思いますが、国の補助も入れながら、都道府県知事が感染症法に基づいて自治事務としてやるということで法律上位置づけられております。
○保坂構成員 皆さん、医療機関の善意でお金は取らないでやっていると思うんですけれども、尿とか咽頭とかは採取料はないわけですが、血液をとる時は採血料というのが普通は発生します。それから、器具みたいなものも要るわけですよね。そういう費用はボランティアで無料でやれということになっているのでしょうか。その点をちょっと確認させていただきたいんですが。
○林課長補佐 咽頭ぬぐい液の採取器具等については、たしか保健所にもあって、それを御活用いただけるような形になっていると思います。勿論お手間をおかけするという部分はございまして、その辺りについては目的をよく御理解いただいて御協力いただきたいという形でございます。
○保坂構成員 咽頭ぬぐい液とか尿の採取については余り問題ないと思うんですけれども、採血については採血することによって起きるいろいろな副反応といいますか、事故も絶対にないわけではないので、その辺のことはどうなるか、本当はそういうことも考えて、こういう3点セットを出してくださいということを国として言っていただきたいと思います。これは今すぐお答えがなくても、お願いでございます。
○外山健康局長 関係法令に基づいて一定の要件を示しながら、その中で都道府県知事の責任でやっているものですから、必要な費用についてはちゃんと考慮されているものと考えておりますけれども、調べて先生に御報告いたします。
○加藤座長 今の保坂先生の御意見は、普通の検査をすれば検査料金が本来であれば診療者側にいただけるんだけれども、これは採血にしても咽頭ぬぐい液でも注射器1本でもお金がかかりますよということですね。
○小澤構成員 私どもが先生方に言うときは、麻しんを疑ってIgMをとるときに採血は同時にPCR検査用の血清も少し多目にとって、そちらに分けてくださいということで、現実にはPCR用に2度採血するということは多分非常に少ないと思います。
○加藤座長 よろしいですか。いろいろ微妙な問題が含まれておりますけれども、一言で言えば手技料が入ってくるということですね。
 ほかによろしいでしょうか。それでは、先に進ませていただきます。自治体が「はしかゼロ達成」の確認を行う場合の考え方に関しまして、国立感染症研究所の砂川先生からお願いいたします。
○砂川先生 よろしくお願いいたします。
 2012年度の達成を目標に2008年度に開始されました我が国の麻しん排除活動も、2012年度を目前に控えまして一つのターニングポイントを迎えようとしております。先ほど当センターの島田からも情報がございましたように、2011年は麻しん排除の一つの目安とされる人口100万人当たり1人未満の麻しんの報告を全国の19の県が達成するという、いまだかつてない状況となっております。自治体によっては検査診断まで行った例で麻しんを報告している場合と、臨床診断のみでも報告している場合とがあることから、必ずしも一律の状況ではありませんが、麻しん排除に向けて懸命の努力を傾けてこられた関係者の努力の賜だと考えることができます。
 感染研では厚労省等とともに数年前、特に1年ほど前から、我が国としての麻しん排除の定義を考える上で必要な情報収集や議論を熱心に行ってまいりました。その中で、WHOによる各国の麻しん排除の定義についての大きな方向性や考え方が示されつつあるものの、まだ十分ではない点もあったり、また、我が国自体が麻しん排除の確認を行う時期などついての協議もいまだでありますので、日本全体の最終的な排除定義については更に議論を継続していくことがよいだろうということが話し合われてまいりました。
 その一方で、麻しんの報告が一定レベルより減少あるいはゼロとなった自治体、予防接種率や抗体保有状況がよいレベルを達成しつつある自治体が増えてきたことから、都道府県レベルにおける麻しん排除活動の進捗を積極的に、前向きに評価していくべきではないか。その考え方を示していくことが全国の取組みとして有効ではないかとの意見も上がってまいりました。
 そのような背景をもとに、WHOより2010年末に出されましたMonitoring progress towards measles elimination、麻しん排除に向けたモニタリングの在り方の進展の内容を主に踏襲しつつ、我が国の状況に合わせる形での『自治体が「はしかゼロ達成」の確認を行う場合について』の情報を感染研案としてまとめさせていただきましたので紹介いたします。
 資料7を見ていただきながら、背景なども含めて説明したいと思います。
 まず、前文ですけれども、この中で強調させていただきたいこととしましては、日本の自治体のように地域が近接している状況では、自治体単位で排除を宣言することは困難ではなかろうか。しかしながら、自治体がこのような、はしかゼロの認定を独自に行うことによって、自治体における麻しん排除活動の進捗状況を確認し、その機運を更に高めることができるであろうということで、地域におけるはしかゼロ達成の確認を行うことに意義があり、また、その後のはしかゼロ維持の活動も同様に重要であろうということです。
 本文ですけれども、都道府県(以下、自治体)におけるはしかゼロの達成とは、直接的には以下の状態であるということで、「質の高いサーベイランスの元で、12か月以上にわたり自治体内における国内の麻疹ウイルスの伝播がないこと(その状態)」と書いてあります。ここで国内の麻しんウイルスというのは、病原体サーベイランス、その他の情報により過去12か月間にわたり日本国内にて循環していたと考えられる麻しんウイルスのことを指しております。
 間接的に、自治体が、はしかゼロ達成状態にあることを示唆する指標値は以下の2つであるとしております。
 ?、自治体で以下の??のいずれかが達成され、かつ維持されることということで、?抗体保有率、?接種率を挙げています。背景を説明しますが、基本的な考え方といたしましては、?直接的な指標ということでの抗体保有率ですが、国民あるいは住民が麻しんに対する抗体を実際に持っているかどうかということになります。?予防接種率は間接的な指標となります。前者の?抗体保有率に関する情報を持っている国は、検査体制がしっかりしている国で、そう多くありません。他国と比較いたしまして検査体制にすぐれる日本の特徴を生かしまして、地域の麻しん抗体保有率を指標にも用いることができると考えられます。
 ということで「?麻疹排除計画開始以後の状況として、2009年以後に実施された血清疫学調査(例:感染症流行予測調査)において、2歳以上の年代全ての麻疹抗体保有率が95%以上」と書きました。この2009年以後とした点ですけれども、2008年度から麻しん排除計画がスタートしたという状況がありますので、2008年に1歳で第1期接種対象となったお子様が最初に2歳になる2009年以後の血清疫学調査ということになります。
 次に「?1990年(平成2年)4月2日以降に出生した者で、二回の麻疹含有ワクチンの接種率がともに95%以上(例:第1期~第4期の各期接種率、第2期以降の年齢の累積接種率、その他のサンプル調査)」ということにしております。これも少し説明しますが、1990年以降に出生した者とした点ですけれども、これは第2期のMRワクチン接種が開始されましたのが2006年度からであったことから、その最初の年に第2期の接種を受けたお子さんが出生されたのが1990年度であるということから来ております。
 それから、2回の麻しん含有ワクチン接種率を把握する方法として、標準的には現行の第1~4期までの各期の麻しん含有ワクチン接種率となりますけれども、自主的に予防接種を行った人たち等も含めた何らかの調査が自治体で行われていれば、それも含めることがリーズナブルな指標となり得るだろうということで、このような例を挙げさせていただいております。
 次に「?.人口100万人当たり、実験室診断または疫学的リンクによる麻しん確定症例が1例未満(臨床診断例、輸入麻しん症例は除く)であること」とあります。これは、はしかゼロを考える場合に、麻しん患者数は国内で感染した確定症例、これはきちんとした実験室診断によるもの、または自治体が実施する積極的疫学調査により他の国内実験室診断例とのつながり、これを疫学的リンクと言いますけれども、それがはっきりしているもののみによって割り出されます。それらが100万人当たり1例未満ということになります。
 外国から来た輸入麻しん症例が国内で感染を広げてしまったというような状況が明らか、ウイルスをもらってしまったことが明らかな患者さんについては、確定例に含まれてしまいますので、仮に外国から麻しんが入ってきましても、地域で流行しない集団免疫があることが大事だということになります。
 さて、はしかゼロの指標としては以上ですけれども、これは質の高いサーベイランスのもとで行われるということがありますので、少し用語の解説をさせていただいて終わりにしたいと思います。
 まず、質の高いサーベイランスとは以下を示すということで、1)自治体において、1年間に10万人人口当たり2例以上の麻しん除外例の報告があること。あるいは医療機関における麻しん検査実施数などを含めた情報により、その状態を満たしていることが説明できることとあります。この麻しん除外例ですけれども、この言葉の定義といたしましては、臨床的に麻しんの可能性が否定できないが、精度管理された実験室での検査あるいは麻しん以外の感染症による流行との疫学的関連によって麻しんでないことが確認された症例ということになります。
 なぜ除外例が1年間に10万人当たり2例以上必要かという点につきましては、WHOについても問い合わせを行いながら情報を収集してまいりました。主に麻しん排除を達成した南北アメリカ大陸を中心に麻しんが排除状態に近づいている地域において、麻しんの臨床診断例をきちんと医療機関が報告し、検査診断及び疫学調査が行われている場合、最低でも10万人当たり2例以上の麻しん除外例があったとの知見に基づいております。この2例というのは最低のラインでして、国や地域によっては年10万人当たり10例以上の除外例が報告されたところもあったということです。
 つまり、麻しん報告数の減少がある場合に、麻しんのサーベイランスが機能しなくて報告数が減っているわけではなくて、きちんとサーベイランスが機能していることを把握するために必要な情報ということになります。麻しんを鑑別に含めるべき発熱・発疹性の疾患が最低それくらいはあるということです。麻しんウイルスが地域や国内で既に循環しなくなってきた状況では、発熱・発疹性の疾患から麻しんを一旦疑っても、麻しんではない感染症であることはある種必然・当然ですので、臨床の先生方におかれましては、しっかり届出及び検査診断を行っていただきたいと思います。
 ここで麻しん疑い症例と言うのは、感染症法上の麻しんの届出基準を満たすとした臨床診断例となっております。
 最後に、補足で書いておりますけれども、麻しん除外例の考え方で述べましたが、実際に医師が麻しんの届出基準を満たすと判断した症例を報告しているかというところにつきましては、自治体における医療機関からの届出が、できれば地理的な偏りもなくきちんとしているかということについても述べていただくと、よりよいのではないかということで言及させていただきましたけれども、麻しん除外例の報告に吸収されるという考え方もあるかもしれませんので、ここでは必須ではないということにしております。
 今回の考え方といたしましては、自治体におけるはしかゼロを宣言するには、自治体が自主的に行うことであるというベースがございます。しかしながら、全国で余りにバラバラな指標ではしかゼロの宣言を行うわけにもいかないだろうと思われますので、国際的に示されている情報をもとに、全国的に標準的な内容のはしかゼロの指標の考え方として提案させていただきました。
 以上です。どうもありがとうございました。
○加藤座長 ありがとうございました。
 感染研といたしましては、このような考え方を公表して、各都道府県の取組みを促していきたいという理解ですね。御意見・御質問ございますか。
○小澤構成員 今の麻しんの発生状況からして、質の高いサーベイランスの1)2例以上10万人人口で、麻しん除外例の報告というのは多分ほとんど不可能に近いハードルだと私は思っていますけれども、どうでしょうか。
○砂川先生 これは全国の衛生研究所及び研究班などで情報収集しておられると思うんですが、その辺り私よりもむしろ竹田先生の方から情報をいただくことはできますでしょうか。
○竹田構成員 これは感染研でも議論が非常に分かれたことなんですけれども、実際に地方衛生研究所さんで実施していただいているものだけを数えると、やはり超えるには非常に厳しいハードルだと思います。砂川先生も提示された案で「別のいろいろな情報からその条件を満たしていると説明できること」という文言が加わっているのはそういうことです。実際に民間の検査で実施されている、はしかの検査はすごい数です。ですが、報告されているはしか症例は非常に少ない。そうすると、現実的にはそれだけの数の否定が行われている。だけれども、個々のものを実際に公的な機関が確認することはできないので、そういう意味で求めるようなハードルは越えられないので、そこはどうしてもギャップがあるんですが、自治体さんが排除できていますというときには、それだけのものを検査しているという、別のいろいろな情報からその条件を満たしていると考えられることを説明していただければいいのではないかというぐらいのつもりです。
○加藤座長 よろしいですか。
○砂川先生 自治体によっては、麻しん除外例を実際にカウントして10万人当たり2例以上というところで情報が既に大丈夫だというところもあるようです。ただ、そうではないところも実際にあったりします。米国などでは、麻しんを鑑別診断含めたかという検査数を実際に収集しているという情報もあったりしますので、そこは少し多様性があるのかなと。しかしながら、できるだけ麻しんと診断して、それを除外していくという作業が重要ですので、そこは強調しておきたいと思います。
○加藤座長 ほかにいかがですか。
 それでは、先に進みます。次の議題ですけれども、今後の取組み方につきまして、資料8に基づきまして、林課長補佐からお願いいたします。
○林課長補佐 資料8に基づいて説明させていただきます。
 資料8-1は後で御説明させていただくことにして、資料8-2をごらんください。「麻しんに関する特定感染症予防指針」の見直しについてということで、冒頭、局長からもごあいさつの中で申し上げましたけれども、本年この見直しに取り組みたいと考えております。平成24年度までに麻しんを排除し、その後も排除状態を維持することを目標として、麻しんに関する特定感染症予防指針を平成19年12月28日に策定しております。これについて5年ごとに再検討し、必要があるときには変更するということになっております。
 指針の策定以後、皆様方の御協力を得まして、麻しんの患者数が大幅に減少するなど、対策の成果は上がっていると考えておりますけれども、現時点において年間400名以上の麻しん患者が発生しているという報告になっておりまして、指針に掲げられている目標は人口100万人当たり年間1例未満ということで、日本で言うと年間127例ということになりますけれども、ここにはまだ達していないということもございますので、麻しん対策の更なる取組みが必要なところでございます。
 この指針を見直すに当たっては、感染症法上、厚生科学審議会の議を経ることになってございますので、厚生科学審議会の感染症分科会感染症部会のもとに麻しんに関する小委員会を今後設置して、検討をしていきたいと考えております。
 検討のスケジュールは下にお示ししておりますけれども、この春にも設置していただいて、秋ごろにとりまとめ、12月に指針を改定するといっためどで進んでいきたいと考えております。
 資料8-3に特定感染症予防指針、現行のものがございます。パラパラと御紹介したいと思いますけれども、1ページの下「一方」という段落でございますけれども、平成24年までに麻しんの排除、この定義としては人口100万人当たり1例未満でございますが、これを達成するという目標を掲げているということがございます。
 2ページ目「第二 原因の究明」の「三 麻しんの届出基準」に検査診断について、4年前の時点での方向性が書かれているところでございます。
 3ページの第三、平成19年の流行の原因分析から始まりますが、平成19年の大きな流行が麻しん対策を進める大きなきっかけの一つになったということでございます。
 「三 予防接種法に基づく予防接種の一層の充実」で、平成20年度からの5年間を対策の期間と定めて、麻しんの第1期、第2期の対象者に加えて、中学1年生、高校3年生の予防接種を時限的に追加することが書かれておりまして、平成22~24年度まで予防接種が行われているということでございます。
 4ページの3でございますけれども、文部科学省にも協力を求めまして、就学時健診及び学校での定期健康診断の際に予防接種歴を確認して、定期の予防接種の再度の勧奨を行うといったことも書かれてございます。
 このほか6ページには、第四として医療の提供に関すること。それから、第五として研究会発の推進に関すること、7ページには、第六として国際的な連携に関すること、第七には評価及び推進体制の確立に関することが書かれております。
 7ページの最後、麻しん対策委員会の設置と書かれておりますけれども、名前は若干異なっておりますが、当麻しん対策推進会議は、ここに書かれている麻しん対策委員会でございまして、そのために会議が設置され、9回にわたって議論が行われてきたということでございます。
 資料8-1に戻りますけれども、この推進会議で指針の見直しの議論ができるわけではございませんので、今日これまでの議論を一度まとめた資料を出させていただきまして、指針の見直しに当たって、こういったところは特に取り組むべきだということをこの会議の中でも御意見を是非いただきたいと考えております。したがいまして、今までの議論を一度ざっと紹介させていただいて、その中で特に大事なものや、これ以外に次の指針に盛り込むべきものについて、本会の先生方からも御意見をいただきたいということでございます。
 2ページ、サーベイランスの強化でございます。これまでに紹介された取組みとして確定診断、積極的疫学調査といった取組みがございます。これまでに出た御意見としては既に対応し、実現しているものもございますけれども、PCRによる確定検査を実施すべきであることや、届出基準の運用方法について整理すべきといったこと。それから、麻しん患者が本当に麻しんか否かをきちんと検討すべきといったこと。積極的疫学調査に関することの御意見をこれまでにいただいてまいりました。
 3ページは予防接種法に基づく予防接種ということで、これまで個別通知に関する取組み、就学時健診における取組み、集団接種といった取組みを御紹介いただいてまいりました。これまでの主な御意見としては、個別通知や電話による勧奨を進めるべきといった御意見、学校入学等の際には、接種証明書の提出を求めるべきだという御意見、集団接種の推進を検討するべきだという御意見、予防接種台帳の整備を進めるべきだといった御意見をいただいてまいりました。
 4ページ、予防接種法に基づかない予防接種ということで、これまでの取組みとしては、任意予防接種に対する助成を実施しているといった御意見もございました。主な御意見としては、定期接種対象の年齢以外についても公費助成を行えないかといったこと。それから、第3期、第4期の未接種者への対応を検討するべきといった御意見をいただきました。
 「4、広報/普及啓発」でございますけれども、国レベルのキャンペーン戦略あるいは麻しんの怖さを伝える啓発、学校での教育といったことに関して御意見をいただいてまいりました。
 5ページ目、研究会発の推進。抗体価の持続性についてどう考えるかといった御意見をいただきました。
 「6.評価及び推進体制の確立」でございますけれども、この推進会議の役割、そして、都道府県の役割について御意見をいただいております。また、接種率の低い地方自治体等に関する意識づけ、動機づけといったこと。それから、最後に地域レベルでの排除宣言を実施してもよいのではないかといった御意見もございまして、今日のこれまでの御議論の中でも一部既に対応させていただいているところでございます。
 資料の説明は以上でございます。
○加藤座長 ありがとうございました。
 ただいま事務局から御説明がありましたけれども、今後、特定感染症予防指針の見直しが行われます。それについては感染症部会のもとに小委員会を設置していくということでございますけれども、この会議におきましては、これまでの議論を踏まえて、麻しん対策を推進するための方策等について更に御意見をいただいて、この部会での検討につなげていきたいと考えておりますので、今日も大分御意見をいただきましたけれども、何か更に小委員会につながるような御意見がございましたら、御自由に御発言いただきたいと思います。いかがでしょうか。
 特に御意見ございませんか。今日も大分御意見をいただきましたけれども。例えば、最初の方で御意見が出ましたのは、実際に検査をした上で陰性であることがわかった場合に、それを取り下げる必要があるのではないかという御意見が出されました。
 それから、もう一つ、診療所の先生には3点セット、PCR等の情報はよく伝わっているけれども、勤務医の先生方にはなかなか伝わっていないので、その辺で落ちこぼれがないかどうかということが心配だという御意見が出ました。
 それから、これは先ほどゼロ作戦というのを感染研で公表するということが出ましたけれども、畑構成員からは、これだけの報告を国が推進してきて、実際にはしかが減少してきているということ。目的が達成されていませんのでもっと減らなければいけないんですが、しかし、こういう状況にあるということも少しアピールしてもいいのではないかと。たくさん増えたときだけアピールされてしまっているので、これだけ皆さんが努力して下がってきているよということも情報としては出していただけないかというような御意見だったかと思います。
 そのほかでは、検体を運ぶ方法や、または、精度の問題、いわゆるIgMを調べた場合に一定の精度を保っていないところがある可能性があるので、精度の確認をしたらどうかという御意見も出たかと思います。
 あとは、費用等の問題もございましたけれども、これは局長がお答えになったとおりであろうかと思います。
 いずれにしても、質の高いサーベイランスを行って目的を達成していくということが目標であるということだと思いますけれども、ほかにございますか。
○竹田構成員 成功している面をアピールしたらどうかということがありましたので、私は時々WHOの会議にはしかの件で行くんですが、以前の悪く言われた時期から思いますと、現在の日本の活動は非常に高く評価されております。世界の方でも、今後もはしかの対策を更に強化して継続するということがはっきりと宣言されておりますし、彼らは日本がどうなるんだろうということをすごく注目しております。ある意味、日本ができなければ、ほかもできないのではないかという思いもあるのかもしれませんけれども、私たちが成功して実際に達成すると、世界全体も活気づくと思っていますので、是非成功させたいと思っております。
○加藤座長 岡部構成員どうぞ。
○岡部構成員 今のに関連してですけれども、以前WPRO(西太平洋地域事務局)ではしかのディスカッションをやったとき、まさしく竹田先生がおっしゃったように、日本と中国がある程度減じていかないと、ほかの国がついていくわけがないだろうということで、大きい目標については日本の状況がひどく関心を持たれています。
 それから、ほかの国ではドラスティックといいますか、一気に予防接種をある日やるようなイムナイゼーションデーということで、はしかを減らしているんですけれども、日本の場合はルーティンの定期接種をきちんとやって、サプリメンタルとしても第3期、第4期という言い方で、そこの減少を少しずつ、しかし、確実に抑えているということは非常にユニークな方法として見られていますので、今後注目されるところだと思います。
 来週だと思いますけれども、WHOの本部ではしかに対する会議があって、私のところに連絡が来ていましたけれども、それについては情報センターからも派遣して日本の状況を説明してくることになっていますので、非常に世界からも注目されているという認識は是非持っていただければと思います。
○加藤座長 ありがとうございました。ほかにいかがですか。
 衛藤構成員どうぞ。
○衛藤構成員 予防接種の接種率の正確な把握に関して、私の理解が十分でないのかもしれませんが、麻しんに関する特定感染症予防指針があるから正確にできているのか、あるいはその他の予防接種も含めて、法律に基づいてきちんと接種率が把握される状況になっているのか、その点を知りたく思います。
○加藤座長 事務局お願いします。
○林課長補佐 定期予防接種の接種者数につきましては、すべての定期接種について把握しておりますけれども、統計情報部の統計としてまとめておりますので、一般的には接種率の把握が1年程度遅れているというところでございます。麻しんにつきましては、こういった取組みは非常に重要でございますので、特別に年に何回かに分けて1年度が終わる前の夏までの状態、冬までの状態を調べて、更にその後の接種の勧奨に役立てていただきたいということで集計して発表しております。
○加藤座長 よろしいですか。
 小澤構成員どうぞ。
○小澤構成員 全例にPCRをやってウイルスを確認するという世界に例を見ない取組みを日本はやっているわけで、その一方で、この間聞き取り調査をしたときに、病院に来た発疹のある患者さんを診たレジデントが、ちょうどそこに皮膚科の先生がいたので、どうですかと聞いたら、その皮膚科の先生は、これははしかに間違いないと言ったので、そのまま届けを出して、それが取り下げられていないという非常にプリミティブというか、余りよろしくないような状況も、まだ日本国内に残っているということを是非知っておいていただきたいと思います。
○岡部構成員 小澤先生のお話に関連するようなことですけれども、先ほど小児科学会のことを申し上げましたが、実ははしかを診ているのはいろいろな、例えば、皮膚科であるとか、場合によっては耳鼻科であるとか各科にまたがっていますので、このところ予防接種推進協議会という13学会が参加してできている予防接種に関する協議会がありますので、そこに持ち帰って今の件は少しお話しして、ほかの科にも広く呼びかけていきたいと思います。
○加藤座長 保坂構成員どうぞ。
○保坂構成員 今の関連ですけれども、私はさっき小児科学会と言ってしまいましたが、開業医は内科の先生も小児科も診るというか、広く診療しているのでいいんですけれども、病院の内科系の先生にもうちょっと浸透させる方法が必要かなと思いました。皮膚科とかよりも内科が一番大事かなと思います。
○岡部構成員 予防接種推進協議会には内科が入っていないんです。
○加藤座長 ほかにいかがでしょうか。だんだんとはしかが減ってきますと、また診る機会が減ってきて、診断がまたはっきりつかなくなるようなことが起きる可能性もあります。
○林課長補佐 今日は余り話題が出ていなかったので、一つ話題を出させていただきますと、次の指針の改定で一番大きなポイントになるのは、第3期、第4期の予防接種が終わってしまいますので、それをどうするかということがあると考えております。そういった点について、もし御意見があればおっしゃっていただければと思います。
○加藤座長 ありがとうございます。今のところは第3期、第4期がありますけれども、あと5年でなくなります。その後はどうするかということですが。
○岡部構成員 意見としてですけれども、第3期、第4期を導入したときには、もし第3期、第4期の接種率がかなり高い位置に保たれるならば、その目的としては中学、高校あるいは大学も含めて、あるいは早く社会に出た人も含めて大きい流行は抑えられるだろうということがスタートです。高い予防接種率というのは90%前後ぐらい、あるいはWHOの目標である95%であれば理想的なんですけれども、高校3年生はその辺は無理にしても、やはり9割ぐらいの方は持っていただかないといけないだろうという議論はありました。結果を見てみると、これから3月のいわゆる駆け込みがあるので、もうちょっと上がるとは思いますけれども、例年の状況を見ても80~90%いかないくらいだと思いますので、そうすると5分の1から4分の1の方が、まだ2回目の接種を受けていないという状況がありますので、これがたまってくると20代、30代で将来その辺で出てくるということがありますので、できましたら、第3期、第4期でやり損ねた人に対する経過措置みたいなものがあるといいなとは思います。これは意見ですので、また、特定感染症予防指針でも議論していただければと思いますけれども、今のような考えは必要ではないかと思います。
○加藤座長 ありがとうございます。
 接種漏れ者について今後どうするかということでございます。全体的なハードイミュニティがきいてくれば大丈夫だろうという考え方もあるでしょうし、完璧に個人個人の免疫性を上げておいた方がよろしいだろうという意見もいろいろあると思いますけれども、ほかに何か御意見ございますか。
 個人的なお話をさせていただきますと、私は科研費をいただいておりまして、成人がかかる小児の疾患ということで麻しんを取り上げさせていただいておりまして、その中で分担の庵原先生が今後どうしたらいいかという指標をまとめております。
 それから、私ども国立成育医療研究センターでは、妊婦の健診のときに1万人以上の採血しておりまして、その中でどれくらいの方々がはしか・風しんの抗体を持っていないかという調査をしました。その中で、陰性の方、抗体が低い方に対しましては、1か月目のときに希望者の母親に対してMRワクチンを接種しているというような研究結果が出ておりますので、今年度最終の研究報告書に提出いたしますので、御参考にしていただければと思います。
 ほかに御意見ございませんか。小委員会に向けてこの会議からのメッセージがありましたらお願いします。
 畑構成員どうぞ。
○畑構成員 今後の方向の中で課題というのは、今の成人とか海外からの輸入という議論を伺いました。その中で、前からいろいろ御提案申し上げているんですけれども、そういう海外渡航だとか、学校に入るとき、大学に入るとき、何らかのイベントのときにチェックする仕組みで、受けていなければそういうときに何らかの抵抗があるという状況をつくっていただければ、受けていない人、2回接種できていない人は、そこで受けざるを得なくなるという状況ができると思います。アメリカ辺りでは、学校だとか自治体が何らかの集団活動とか新しい組織に入るときにはチェックするという仕組みがあると聞いています。そういう状況は日本でもつくれないかなと。海外渡航のときのチェックはパスポートを発行する際に確認するとか、厚労省さんや文科省さんの領域とは違った、外務省とかそういうところになるのかもわかりませんけれども、法的に難しいかもしれませんが、何らかの形でそういうチェック機構ができるようにすれば、成人や海外からの輸入を防ぐことが考えられると思いますので、その辺の検討をお願いできないかなと思います。
○加藤座長 佐藤構成員どうぞ。
○佐藤(秀)構成員 第3期、第4期の接種漏れ者に対する経過措置という考え方に加えて、例えば、現状の1歳と就学前の1年間の積極的勧奨は勿論ベースとして継続するんですが、接種期間の幅を他の予防接種ワクチンと同じように1年単位ではなしに、もう少し幅を広げるといった考え方もひとつあると思いますので、是非、今後検討いただければと思います。
○加藤座長 ほかに御意見ありますか。
 今の期間の話は、集中的に流行を抑えようということで故意に期間を短くしたという経緯があります。ですから、時代とちょっと変わってきたのでという意見ですね。
 ほかによろしいでしょうか。ありがとうございました。
 御承知のように、麻しん対策推進会議は平成19年12月に策定されました麻しんに関する特定感染症予防指針に基づきまして、平成20年より年に1~2回開催してまいりまして、自治体ごとの状況分析や接種率の向上を視野に入れた取組み内容を検証してきたところでございます。これまでの会議におきまして、都道府県、学校、医療機関等の関係者から麻しん対策の取組み状況の御報告、課題などをいただいてきております。本日も貴重なたくさんの御意見をいただきましたので、この会議での議論を特定感染症予防指針の検討に是非加えていただきたいと事務局にお願いいたしたいと思います。
 また、当然のことながら、今後とも関係者の取組みによりまして、麻しん対策が更に推進されることを期待するところでございます。
 本日はどうもありがとうございました。事務局から何かございますか。
○飯野室長補佐 次回の会議につきましては、改めて御連絡させていただきます。
○加藤座長 ありがとうございました。そのほか何か特別に、どうしてもという御意見がありましたら伺いますが、よろしいでしょうか。
 それでは、どうも長い時間にわたりまして、ありがとうございました。これをもちまして会議終了とさせていただきます。どうもありがとうございました。


(了)

厚生労働省健康局結核感染症課
TEL:03-5253-1111(内線2383)
担当 予防接種係

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