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2012年3月22日 保険者による健診・保健指導等に関する検討会議事録(第8回)

保険局総務課医療費適正化対策推進室

○日時

平成24年3月22日(木)13時30分~15時30分


○場所

厚生労働省専用第15、16会議室


○議題

1.保険者の特定健康診査等実施計画における参酌標準について
2.後期高齢者支援金の加算・減算制度について
3.健診項目等について

○議事

○多田羅座長 定刻になりましたので、ただいまより、「第8回保険者による健診・保健指導等に関する検討会」を開催いたします。議事の進行方、御協力をよろしくお願いいたします。
 それでは、会議に先立ちまして、事務局より出席者の確認がありますので、よろしくお願いいたします。
○医療費適正化対策推進室長 本日、御欠席の御連絡をいただいておりますのが、高橋委員、草間委員、北潟委員、田中委員、中島委員でございます。それから、吉岡委員におかれましては、遅れるとの御連絡をいただいております。また、岡崎委員の代理として高知市の村岡課長様、齋藤委員の代理として全国町村会の久保行政部長様が代理出席でございます。
 以上です。
○多田羅座長 ありがとうございました。それでは、早速、議事に入らせていただきます。
 議事の1.でございます。「保険者の特定健康診査等実施計画における参酌標準について」、事務局より御説明をお願いいたします。
○医療費適正化対策推進室長 皆様、お手元の資料1をお願いいたします。「保険者の特定健康診査等実施計画における参酌標準について」ということで、これは目標の関係でございます。
 おめくりいただきまして1ページ目、上の方ですけれども、現在、5年ごとに健診の実施計画を保険者においては策定していただくことになっておりますが、次の平成25年から29年度までの計画を、そこの枠の2つ目の○印にありますようにつくっていただく必要がございまして、これに向けて、新しい計画期間における健診・保健指導の目標を設定する必要がございます。
 保険者さんごとの計画を立てていただくに先立ちまして、全国目標をまず設定しなければいけないということでございまして、矢印の下の枠にございますけれども、全国目標といたしましては、一つはメタボリックシンドロームの該当者及び予備軍の減少率ということについては、平成27年度までに、平成20年度に比べて25%減少とするという政府方針に基づいて取組みを進めておりますけれども、現在、別途、健康局の方で、次期国民健康づくり運動プランの議論がされております。これは、「健康日本21」の後継のプランですけれども、その議論におきまして、どういう目標設定にするかということで議論が行われております。
 そういう我が国のメタボの減少率の目標を踏まえまして、保険者の方で、健診・保健指導でどういうことをしていくかということで、下の次の○印にありますけれども、健診・保健指導の目標ということで、メタボリックシンドロームの減少率の全国目標を達成するために必要な健診と保健指導の実施率につきまして、健診・保健指導の実施率の実績、あるいは、メタボの減少率の推計値、これは前回、保健指導を受けていただいた方が、メタボリックシンドロームから一定程度改善しているということをお示ししましたけれども、そういったものを踏まえて推計いたしまして、健診と保健指導の全国目標を設定したいと考えております。
 次の2ページでけれども、そういう全国目標を踏まえまして、第2期の計画期間におきまして保険者さんごとに目標を決めていただきますが、その参酌標準も国からお示ししております。そこの枠の2つ目にありますように、保険者による目標値設定の参酌標準につきましては、全国目標を全保険者で達成するという観点から、保険者種別の特徴を踏まえて設定したい。これは、保険者すべてにいろいろな特性がございますので、そうしたものを踏まえて、保険者種別ごとに全国目標を分担していただくという観点で決めたいと思っています。
 3つ目の○印に、「なお、」とございますけれども、目標値の参酌標準と加算・減算の基準は必ずしも一致しなければならないものではありませんので、今回は切り離して議論していただきたいと思っております。
 その下の表にございますけれども、具体的に参酌標準を定める、すなわち目標に掲げていただきたい事項としては、現在、表にマル1特定健診実施率とマル2特定保健指導実施率を掲げておりますけれども、この2つにつきましては、第1期と同様に、目標の参酌標準に使っていけばいいのではないかと思っております。ただ、健診の方ですと、健診の枠の※印にございますけれども、第1期では、事業主健診による受診率の向上の見込みとか、被扶養者の割合ということで保険者種別による差を設けておりましたけれども、それだけでは十分に、その保険者種別ごとの実情をとらまえきれていないということで、上の○印にありますけれども、今回は、健診実施率の保険者種別ごとの実績を勘案して参酌標準に差を設けるようなことをしていきたいと思っております。
 保健指導につきましても、同様に、前回第1期につきましては、すべて45%一律ということでございましたけれども、実績を勘案して参酌標準に差をつけることで検討していきたいと思っております。具体的なものは、また日を改めて数値については提案したいと思っております。
 おめくりいただきまして、次の3ページでございます。成果の目標ということで、現在、メタボ該当者予備軍の減少率というものを10%ということで掲げておりますけれども、そこの枠の上の○印にありますように、実績から見ますと、このメタボの該当者予備軍の減少率というものは、保険者による取組みの成果を安定的に評価する指標とはなかなか言い難いのではないかというふうに認識するに至っております。
 具体的には、次の4ページをお願いいたします。4ページにグラフがございますが、これは、平成21年度の健診・保健指導の実績で、この両方の目標を達成した41保険者さんのデータです。これが下のグラフにありますが、上のプラスのパーセントにある方が減少率ということなので、それぞれ、白抜きの特定保健指導対象者の減少率と、少し色がついた学会基準のメタボ該当者の減少率で、上の方にいくと減少率がプラスということで対象者が減っているわけですけれども、下の方にいきますと減少率がマイナスということで、実際の対象者が増えていることになります。このように、健診と保健指導の目標を達成した高い健診率があるようなところにおきましても、実際は、保健指導対象者あるいはメタボリックシンドローム該当者が増えていたりする保険者がかなりございまして、相当程度ばらついているということでございます。
 戻っていただきまして、3ページの真ん中辺にありますけれども、ばらつきの要因としましては、保険者さんの規模の影響を受けるということで、規模が小さい、1人の該当・非該当によって数値が大きく変動してしまうとか、あるいは、次の黒ポチにありますけれども、新しく加入した方、あるいは、40歳になった方、そういうふうに、前年度は取組みの対象であった方の影響を受けるとか、あるいは、前年度加入者の方が加入者ではなくなったという、そういう人の移動の影響が出るのではないかというふうに考えられます。そういうこともございまして、保険者さんの取組みを評価する目標の参酌標準に用いることはなかなか難しいのではないかと考えております。
 ただし、2つ目の○印にございますけれども、保険者の方で独自に加入者の健康状態を管理する指標として活用されたり、あるいは、委託先の制度管理に使われたりということで、それを使っていくことについては意義が大きいと思っておりますので、こうした点については周知を行っていきたいというふうに思っております。
 それから、マル4のところで、今、メタボの減少率がなかなか参酌標準に使えないということで、代わりに生活指標として何かいいものがないかと考えてみました。そこに黒ポチが4つありますけれども、例えば健診・保健指導の実施の成果と言えるもの、委託先の評価ではなくて保険者の取組みの評価になるようなもの、対象者の選別につながるおそれが小さいもの、あるいは、人の移動の影響を受けないように単年度で評価できるようなもの、そういうことが満たせるような適切な指標が今のところは思い当たっていませんので、そうしたことは、今のところはないのではないかということで提案させていただいております。
 以上でございます。
○多田羅座長 ありがとうございました。ただいま事務局から、「保険者の特定健康診査等実施計画における参酌標準について」ということで御説明いただきましたが、具体的には、次期特定健康診査等の基本指針における全国目標ということで、この検討会では、今期の事業に対する評価の仕方、あるいは、評価自体の検討もございますが、次期特定健康診査等基本方針についても、平成25年度以降、事業の基本的方向についても検討いただくということの基本のところとして、この基本指針における全国目標について御説明いただいたと御理解いただきたいと思います。
 私が聞くところでは、この基本指針についても、平成25年度以降の次期計画を来年度の6月か7月くらいにまとめたいということで、本日、こういう目標設定について御説明いただいたわけでございます。
 御意見、御質問をどうぞ。
○津下委員 ただいまの御提案ですと、メタボ該当者予備軍の減少率を参酌標準から外すというのが次期の考え方になっているということですが、一つは加入者の移動の問題があるということは了解できるわけですけれども、もう一つの観点でみると、40歳未満の方々に対する保健指導、生活習慣病対策を、ポピュレーションアプローチとしてしっかり行った保険者は、特定健診・保健指導の実施率だけではなくて、そういうポピュレーションアプローチ効果を測定するということを踏まえると、この指標を落としても大丈夫なのかなと思います。それから、情報提供レベルから悪化者というものもこの中に含まれていて、特定保健指導の該当者に対する支援だけではなくて、特定保健指導に該当しない人も、悪化しないように、健康状態を維持する、そういう幅広の保険者の機能を見なくなってしまうということについて、これでいいのかと考える必要があるかと思います。
 また、市町村においては、健康保険組合等の被用者保険から国保に移られるということで、健保組合から国保にメタボの人が多く入ってくると、いくら国保でがんばっていても、メタボ率が上がってしまうということがあるわけですけれども、長期的に見た場合、国保と被用者保険が協力することによって、メタボの該当率予備軍が減っていくという大きな目標を失ってしまわないかということを一つ心配しています。基本的な目標の構造として、そういう目指すべき目標としてそれをきちんと掲げて、そして、事業の目標としての参酌標準として健診受診率・保健指導実施率という、そういう構造の示し方であればよろしいのかなと思いますけれども、その点の確認をさせてください。
○多田羅座長 では、今の質問に答えていただけますか。
○医療費適正化対策推進室長 おっしゃることはそのとおりだと思っております。ただ、制度的には、この健診と保健指導の成果をはかる必要というふうになっていまして、そういう単純な健診・保健指導の成果をはかる成果指標としては、今、申し上げたように、ちょっとばらつきが多くて十分に評価しにくいのではないかと思っています。
 ただ、おっしゃいますように、保険者さん全体の取組みとして、母集団の全体の、40歳に満たないような人の母集団も含めた健康の管理とか、そういった意味では大変有意義だと思っておりますので、そういうことがちゃんと区分けしてわかるように、例えば、健診の指針を示す際に併せて明記するとか、いろいろな方法で、メタボの減少ということが目的であって、それをすることの意義もきちんと併せてわかるようにしていきたいというふうに思っております。
○多田羅座長 というと、基本は、この健診受診率、保健指導実施率、2つにするというこの表の形で行くということですか。
○医療費適正化対策推進室長 保険者の方に、これとこれで目標を立ててくださいということについては、メタボ減少率をすべての保険者さんに、10%減らしてくださいとか、そういう目標の立て方は、実績を見ると、保険者単位でそういうことを必ず目標として立てなさいということはちょっと難しいかなという提案でございます。
○多田羅座長 そうすると、津下先生もおっしゃったように、全体で見ていくという観点については、そこで立てていかれるわけですね。個別の事業者では無理としても。
○医療費適正化対策推進室長 はい。
○多田羅座長 それでは、今の関連で御発言をお願いします。
○山門委員 今の点ですけれども、本高確法の一番重要な点は、やはりメタボを減少するということが一つの大きな目標ですので、それを成果の目標から外すというのは、少し納得できないように思います。
 それから、今、津下委員の御質問に関連しますけれども、4ページ、保険者の25、これがどういう保険者であるかを解析しているかどうか。これは、中規模あるいは退職者数が多い保険者でしょうか。例えば、こういう保険者25番が改善する方向に向かえば、全体としてはよりよい方向になるのではないかと思われますが、その解析をされているかどうかです。
○医療費適正化対策推進室長 事情を個別にお聞きすると、そこの保険者さんは、対象者がぐんと増えたと。その人たちに該当者が多かったためにこうなったのではないかと、個別に事情を聞くと、そういうことでございました。
○多田羅座長 事務局の説明は、参酌標準に、成果の指標を次期計画では入れないという原案でしたね。
○山門委員 ついでに質問です。メタボの該当者及び予備軍の減少率に対しても、健診・保健指導実施率の参酌標準に差をつける等、同じような概念を導入できないでしょうか。基本的には、メタボの減少率の目標値の設定は必要ではないかと考えます。
○多田羅座長 その点について、ほかに御意見をいただきたいと思います。参酌標準の中に、今期は減少率は対象にしないということで今期の評価を行うことになりましたが、次期計画でもその部分は評価が難しいという原案でございます。それについて、御意見いかがですか。
○白川委員 確かに、メタボの減少率は、参酌標準として決められますと、各保険者側から見ると非常に難題を突きつけられる形になります。申し上げたいのは、メタボの減少率は重要な指標ではございますが、保険者にしてみると、そもそもこの特定健診の制度は、健康度を上げるということと、疾病を予防し、医療費を下げるという2つの目的があるというふうに私どもは考えております。健康度を上げるという意味では、メタボの減少率は非常に意味があるというふうには思いますけれども、一方、医療費の適正化の観点からしますと、現実的には、生活習慣病も今の定義は非常に幅広くて、悪性腫瘍までみんな入ってしまっているのであれですけれども、メタボ関連の生活習慣病の疾病の発生率がどれくらい落ちたかということが、保険者側としては最も関心があるところです。
 ですから、一律に、国で生活習慣病関連の疾病が今どれくらいあって、これをどれくらいに目指すという目標の立て方は、はっきり言うとかなり難しいと思います。保険者ごとにいろいろな特殊性がありますから。ですから、その辺は、国として全体のメタボ減少率とか適切な指標をつくっていただいて、あとは保険者のいろいろな工夫で、これに関連した指標を独自に保険者の方でつくってということが現実的な解決策ではないかと私は考えます。
○多田羅座長 津下委員の御意見も、大体そういうお考えでしたね。減少率が外されるということについては理解できると。
○津下委員 そうですね。保険者間の移動の問題があることと、健診や保健指導を一生懸命にすればするほど、対象者が広がるという影響もあるということで、そこに制約がかかってしまってはいけないということもありますので、大きな目標として、国全体の目標として掲げる。
○多田羅座長 一定のポピュレーションベースでね。
○津下委員 はい。それをブレークダウンして、保険者が達成すべき目標として健診・保健指導という目標を立てるというのがよろしいかなと思います。
○多田羅座長 わかりました。そうですね。
○吉田委員 特定健診の実施率についてお伺いします。健診というのは、いわゆる健常者に対して行ってスクリーニングという目的であれば、既に治療中の人は分母から除外するなり、何らかの書類を提出してもらったときには健診率指数にカウントするとか、そういう方法がないのでしょうか。事業者健診のように安衛法で強制的に健診を実施しているところは高くなると思いますけれども、それ以外のところでは、今後はなかなか伸びにくいことが予想されます。それからまた、健診ということの本質的な考え方からいえば、事業者に対しては被保険者から何らかの健診結果に対する情報提供をしたことをもって受診率に換算することが可能かどうかということが第1点です。
 安衛法では、事業者健診に代わって何らかの健診の診断書を提出することによって実施をカウントするわけですけれども、特定健診ではそのような制度が周知されておらず、保険者が提供する健診以外のものはカウントされない状況にあるかと懸念されますが、何らかの工夫ができないだろうかということについてお伺いしたいと思います。
○多田羅座長 どうぞ。
○医療費適正化対策推進室長 1点目の、治療中の人を分母から除外するということですが、健診の受診が困難な方を特定して、その方々について実施しないということは、例えば今でも、6カ月以上入院されている方や妊婦の方などは外れております。そういうものと同じように考えられる、その人の健康度合いをチェックするチャンスを奪うわけですから、そういう意味で、どうしても受けられないような方がきちんと特定できて、なおかつ情報がきちんと保険者の方に伝わるような仕組みがとれるものについては、一考の余地があると思います。また、そういうものがあるか検証してみたいと思います。
 2つ目、よその診断書をカウントするということは勿論可能でございます。ただ、項目がそろっているかということを確認させていただいて、別の健診の情報であっても、それは保険者の方で必要な項目がそろっていれば実施率にカウントすることは可能でございます。
○吉田委員 その辺りは、保険者の方に周知徹底されているのでしょうか。既に治療中の者についても何らかの健診の情報をもってカウントできるという話について。
○医療費適正化対策推進室長 はい。今も手引にも書いてありますし、前回、12月の検討会でも取り上げさせていただきましたので、今後、それをどういうふうに皆さんの協力を得られるかということについては、更に検討したいというふうに思っております。
○多田羅座長 ありがとうございました。ほかにいかがですか。
 どうぞ、横尾委員。
○横尾委員 後期高齢関係ですから、お世話になる立場ではありますが、同時に私は自治体の首長ですし、今日は岡崎委員代理もお見えになっていますが、自治体の関係者が非常に注目するのは、実は、2ページの上の枠囲みの3つ目の項目です。このことについて、確認で質問させていただきたいのですが、「目標値の参酌標準と後期高齢者支援金の加算・減算の基準は必ずしも一致しなければならないものではない」というのは、次の項目で議論があると思うんですけれども、これは、「加算・減算しませんよ、いろいろ配慮がありますよ」という意味で理解していいですか。
○多田羅座長 どうぞ。
○医療費適正化対策推進室長 ここで言わんとしておりますのは、1期の場合は、また後で出てきますけれども、これまでも、目標を達成したところは減算の対象ですと言ってきていますので、そういう意味で、1期の分については、この加減算の基準と目標の参酌標準は一致しております。ただ、2期の方は今回改めて考えるわけですから、そういう意味では、例えば目標をここに設定したからといって、それが必ずしも加算や減算の基準に即ならなければいけないものではないので、それは別途議論をいたしますという意味です。加算や減算に当たって何か配慮することというのは、加算・減算の議論の中の配慮事項として議論させていただきたいということでございます。
○多田羅座長 考え方はかなり変わりますね。参酌標準というのは、加算・減算のための参酌のような感じで受け取られているところがあったと思います。
 どうぞ。
○中村委員 今、いみじくも座長がおっしゃったように、加算・減算の参酌標準の受けとめ方を御質問しようと思っていました。もし、参酌標準を外すということであれば、別にまた代わるようなそこの目標的なものがあるかどうか。我々は保険者としていろいろな事業をしなければいけないというときに、いろいろな目標を立てて事業を進めていかなければいけないわけです。こういうようなもので、具体的に、例えば糖尿の率が下がった人がどのくらいとか、血圧が下がった人がいくら、体重が下がった人がいくらと。これは、加算・減算ではなくて、評価として、全体としてこれだけ事業を実施してきたわけですから、世の中に、これだけよかったんだ、事業実績があるんだということを出すためには、一定のものが必要です。そもそも特定健診・特定保健指導は、アウトカムを出すと。今まで実施したことについて、批判しながら進めたんですね、スタートは。今までは実施率だけを見ていたけれども、これはだめだから、メタボでは減算率とかにしようというアウトカムをしようとしたのに、また前に戻ったような感じがします。
○多田羅座長 ちょっとわかりにくいですね。
○中村委員 そこはもうちょっと、加算・減算から少し頭を置いて、ここまでだったら保険者としても、我々としても、組合別に比較をしたときに、頑張ったというのが見えるようなもの、何か指標を出すようなことが、本当はこういう検討会の役割ではないかと思いますので、次年度からはそういう方向で議論していきたいと。加算・減算だけをやっていると、何となくつまらなくなって、もう嫌になりますよ。
○医療費適正化対策推進室長 少し補足いたしますと、そこの健診と保健指導の欄の中にあって、先ほど少し言いましたが、次回に向けて、保険者種別ごとの実績を勘案して参酌標準、要するに、目標値をどこにしますということをお示ししたいと思っております。そのお示ししたもので5年間、その目標を達成した人を減算ということでいいというふうに、要するに、参酌標準にお示ししたものが、そういう加減算の基準としても妥当性があるというふうに皆様方が認識いただければ一致をさせたいと思いますし、目標よりも更にもっと高い人だけを減算した方がいいという御意見も、もしかしたらあるかもしれないという意味で、必ずしも一致しなくてもいいというふうにしているだけです。
○多田羅座長 「必ずしも」が付いているのは、これはかなり意味が深いですね。
 今日のところはそういうことで、また具体的に御説明をいただく段階があると思いますので、今日は一応お聞きおきいただくということで御了解ください。
 どうぞ。
○久保氏(齋藤委員代理) ここの「なお、」以下のところですが、分けるとおっしゃったし、そもそもこの検討会は2期目ですから違いますというふうに御説明がありましたけれども、今までのこの検討会で、法律で決めたらペナルティを取ると。加算・減算をしなければいけない、これが先にあって、したがって加算・減算だと。こういうふうなことが、そんなことはおかしいんだと言われた委員の方々が、1人ではなくていらっしゃるわけでございます。そういうことからしますと、完全に分けるのか、分けないのか、わからないような今の御答弁でございましたけれども、本来、そういうことをして健康に結びつけるということの議論の在り方自体がいかがかと思うものでございます。したがいまして、この辺りははっきりと明確に、こういったものにつながるものではないんだということを言っていただかないと、先に進まないのではないでしょうか。ここはどちらにも付かずみたいな言い方でしたよね。
○多田羅座長 わかりました。そこは私も、もう少し明確な、具体的に内容のわかる説明をしていただきたいと思いますが、これは一種の考え方をお示ししていただいているようなところですので、次回以降、その辺も少し整理して御説明いただくようにしますので、今日のところは、これについて議論しますと時間がかかりすぎるような気もしますので、一応こういう説明があったということで御了解ください。申し訳ございません。
 それでは、今日のところは、一応そういう説明があったということで、1期の経験をもとに、何とか新しいステップを踏みたいというのが事務局の説明の内容かと思いますので、ひとつ前向きに御理解いただきたいと思います。
 それでは、よろしいでしょうか。
 次の議事2.に進ませていただきます。「後期高齢者支援金の加算・減算制度について」、事務局より説明をお願いいたします。
○医療費適正化対策推進室長 資料2をお願いいたします。「後期高齢者支援金の加算・減算制度について」ということで、おめくりいただきまして、最初に1ページです。
 前回、4つくらいの案をお示ししましたけれども、今回、わかりやすくするように、論点を少し明確にしてみました。1ページにありますけれども、加減算に当たって決めなければいけないものとして4つあります。論点マル1は、加算の対象になる保険者さんの範囲を決めなければいけないということ。論点マル2は、加算される場合の率を決めなければいけないということ。論点マル3のところは、これは1期の分を想定していますので、参酌標準と線がクロスしていますけれども、減算する保険者の範囲を決めなければいけないということ。それから、論点マル4として、その場合の減算率を決めなければいけないということ。こういう4つのことを決めなければいけないわけです。
 ページは飛びますが、先に3ページをごらんください。3ページに、単純化して2つの考え方をお示ししております。左側が「加算に着眼」ということで、この2つの絵は、加算と減算がマクロな額で一致しなければいけないという中でどういう決め方があるかということを整理したものです。左側は、加算から先に決定して、加算で出た額を減算側の保険者に対して減算するという考え方です。右側は、減算に着眼して、減算率・減算額を確定して、それに必要な額をそれ以外の保険者で広く分担して御負担いただく。大きく分けると、こういう2つの考え方に収れんされるのかなと考えました。
 戻っていただきまして2ページですけれども、矢印の下の方に「方向性」とありまして、その2案の特性を書いております。1つ目の○印ですが、加算を先に決定する方法は、加算の対象となる保険者にとっては、影響があらかじめ明らかになるということの一方で、減算を受ける側は達成保険者の数が変わったりということで、減算率がどうなるかわからないということで、予見可能性が減算を受ける側にはないという特性があります。
 次の○印で、一方、逆に、減算を先に決める方法ですと、減算を受ける側はあらかじめ率が明らかになりますけれども、加算を受ける側は、加算の規模が事前に予測できないという側面がございます。
 こういう相反する2つの特性を持つ方法で、どちらの方がいいかということになりますと、3つ目の○印にありますけれども、負担を求めるのであれば、その根拠を明確にすべきという御意見も前回もございましたし、保険者の財政に過度な影響を与えないということを基本的な考え方とするのであれば、3ページの左側の案にあった、まず加算率を決定して、それで出た額を減算に回すという考え方の方がいいのではないかということが、1つ目の考え方の提案でございます。
 資料をめくっていただきまして、4ページで、前回も保険者ごとの状況の違いについていろいろ御指摘をいただきました。○印が幾つかありますけれども、事業主健診の有無、被扶養者の問題。3つ目のところで、人口や行政区分の問題。4つ目のところで、高齢者が多いなどの構造的な違い。5つ目のところで、地域性があるのではないかということ。6つ目は、協会けんぽは強制加入であったり、市町村国保はと国民皆保険という中で、いわば最後の砦のような位置づけにあるとか、そういう性質としての違いなど、こうしたことがございました。
 「方向性」のところにありますけれども、○印の1行目の終わりぐらいから、「保険者種別による違いが多いことから、加算・減算制度の実施にあたっては、市町村国保、単一健保といった種別毎の違いを考慮するため一定の調整を行った上で」とあって、そういう種別ごとの違いを考慮する一定の調整を行った上で、可能な範囲で個別の事情への対応を行うという考え方でどうかという基本的な考え方です。
 めくっていただきまして、その調整の具体的な方法を5ページに記載しております。これは、健診実施率をイメージした図ですけれども、左の方で、例えば単一健保さんは、実施率が全体的に高くて、集団も上の方に分布しております。一方、市町村国保のグループでは、平均の値は低めにありまして、なおかつ、分布も下の方に偏っている。こういう状況の中で、例えば単一健保さんのグループの中で、平均より少し下のA保険者と、市町村国保のグループの中で平均より少し下のB保険者さんは、同程度に実績が出ているのではないかという考え方をするために、右端の「補正後」にありますけれども、両方の散らばりを同じような散らばりに補正した上で平均値を合わせるということで、平均より少し下のA保険者とB保険者は同程度に評価される。こういう調整を行ってはどうか、これを健診と保健指導それぞれの実施率について行ってはどうかということです。
 右下の※印ですが、実施率ゼロの保険者は、こういう調整をすると、何もしていないのに何かしたことになりますので、そこは調整しないということでどうかということです。
 こういう調整を行った上で、5ページのところに、平成25年度の支援金の加減算の具体的な方法の案を書かせていただいております。一番上の枠で、減算の対象は、これまでは目標を達成したところと言ってきておりますので、そういう意味もありまして、健診・保健指導の両方の目標を達成した保険者としてはどうか。
 それから、加算する保険者につきましては、真ん中に掛け算の式が載っていますけれども、先ほど申し上げた調整をした、健診の実施率の調整後の率と保健指導について調整した後の率を掛け算して出してはどうかと。掛け算にするということについては、1行目の終わりぐらいから書いてありますが、特定健診から保健指導の実施までを通して評価する。健診で対象者をつかまえて、そのうち保健指導が必要な人を抽出して、そこに保健指導をしていくという一連の流れを評価するには、掛け算がいいのではないかと考えた次第です。
 そこのマル1にありますけれども、実施率0は調整しない。それから、実施率が0.1%未満は0とする。それから、掛け算をする都合上、保健指導実施率を0にすると健診の実施率も評価されなくなりますので、計算上は0ではなくて0.04として、四捨五入して0.1にならないという意味で0.04ということではどうかと。それから、マル2にありますけれども、加算の対象となるような範囲については、2行目にありますが、健診・保健指導の取組みが特に進んでいないと考えられる保険者に限定するという考え方でどうかと考えております。
 次の枠で、加算率の設定ですけれども、加算率については、取組みが進んでいない保険者は、その費用を支出していないだろうという考え方から、下線が引いてありますが、全保険者の支出する健診・保健指導の総事業費が、全保険者の支援金の総額に占める割合の半分ということで、平均的な保険者さんであれば、支援金に対してこれくらいの割合を出しているだろうというような仮定で、いろいろな事情があったり、一部実施していたりということがあるでしょうからということで、その半分を支援金で相殺するような考え方でどうかということです。
 更に、その値は、平成24年度の実績を用いるという考え方もありますけれども、予見可能性の観点から、平成22年度の実施率で計算すると、下の方にありますが、0.23で確定してはどうかとなっております。「算出式」のところにありますが、総費用の方には、これは補助金の交付決定上の数字でございまして、国庫のいろいろな負担金・補助金や県の負担金、事業主健診の費用、共済の費用も入っていません。そういう意味で小さめに出ていますけれども、その額をもとに考えてはどうかという案でございます。
 めくっていただいて、7、8ページは先ほどの調整の計算式ですので、説明は省略させていただきます。
 9ページですけれども、先ほど、健診と保健指導を調整すると申し上げたものが実際にどんな姿になるのかということで、これは本来は平成24年度の数値で行うべきと考えていますが、便宜的に平成21年度の数字を当てはめて計算しますと、健診の方では、単一健保さんが母数が多いので、単一健保さんに合わせるような形で調整しています。その場合、単一健保さんの40%の健診実施率と、市町村国保さんの13.9%、国保組合さんの6.8%、総合健保さんの29.3%、共済組合の46.9%というものが同じ程度の実績であろうと評価されるということになっています。
 それから、保健指導の方は、市町村国保が相対的に高いので、それに合わせて評価しますと、市町村国保の10%が、単一健保の2.4%であり、総合健保の0.8%であり、共済組合の0.7%という実施率と同程度の保険者であるということになります。
 次の10ページは、今の調整のイメージです。これは、健診実施率を市町村国保について調整するということを一つの例にしていまして、左が実際の分布で、この分布を単一健保と同じようにした上で平均値を合わせるため右にぎゅっとずらしております。ただ、0%のところだけは調整しないので残ります。こういうことになります。
 そういう調整をするわけですけれども、保険者ごとにいろいろな個別事業があると、これまで御指摘もございましたが、幾つか考慮すべき要素としてここに整理させていただいております。まず、市町村国保さんについて、前回も、1つ目の○印にありますように、行政区分や対象者の規模によっていろいろな違いがあるという御指摘がありました。順番は飛びますが、次の12、13ページは、健診の対象者の数と実施率との関係の相関を見たものです。これは、相関という形ではなかなか出てきていませんが、次の14ページ、ここは市町村国保について、健診実施率が上位から10%の保険者と下位から10%の保険者を並べて、行政区分ごとや健診対象者の規模ごとに整理しました。こうして見ますと、村や町の方が相対的に上位の方が多くて、また、規模で言うと、小さいところの方が上位保険者が多いということになっています。
 次の15ページを見ていただきます、市町村国保の特定健診対象者の規模で10万人以上、5,000人以上10万人未満、5,000人未満、この階層ごとに保険者の実施率が出ています。保険者の数で割り戻した平均ですが、こうして見ますと、小さいところの方が、健診・保健指導ともに高くなっている傾向がございます。
 次の16ページは、参考までに健保組合について、先ほどと同じように、上位保険者、下位保険者を並べてみました。こちらは、市町村国保のような規模別の違いの傾向は見受けられません。
 11ページに戻っていただきまして、下の「対応案」の枠の中の1つ目の○印にありますけれども、今、申し上げましたように、市町村国保の健診・保健指導の実施率については、規模に応じて、10万人以上、10万人から5,000人、5,000人未満の3区分で調整を行ってはどうかということが一つの提案でございます。
 それから、上の枠に戻っていただいて、真ん中に「その他被災などの特別の事情がある保険者」とありますが、例えば今回の大震災の被災保険者、あるいは、それ以外にも災害等で取組みが進まなかった保険者には何か配慮をしなければいけないのではないかということ。それから、次の○印にありますけれども、極めて小規模な保険者さんの場合には、保健指導の対象者が少数で、なおかつ途中で服薬を開始すると中断者となってしまって、分母には入るけれども、分子には入らないことになってしまいますので、努力しても、結果的に保健指導の実施率が極めて低くなってしまう。こうしたことも考えられるところでして、下の「対応案」の2つ目の○印にありますけれども、そういう被災などの事情がある保険者、極めて小規模な保険者につきましては、そういう特殊事情に配慮して加減算を個別に適用しないことができることとして、その要件については今後、関係者と調整してはどうかと考えております。
 また上の枠に戻っていただいて、下の2つの○印のところで、協会けんぽさんの場合は強制加入でありまして、保険者と事業主との距離が相対的に大きいとか、そのため事業主の協力が得難い。また、小規模の事業所が全国に散在しているという特性があります。また、次の○印の私学共済につきましても、事業主と保険者の一体性が、ほかの共済と比べて相対的に薄く、また、規模が小さい事業者が点在しているということがありまして、欄外に、※印がありますが、今、その取扱いを、先ほどのグルーピングのだれと一緒に評価をするかということなどにつきまして、現在、検討中でございます。
 18ページをお願いします。18ページに、先ほど申し上げました、調整後の実施係数を2つ、健診と保健指導の実施率を掛け算した結果の値ごとに、どのぐらいの保険者が加算の対象になるか、そのときの加算額はどれくらいになるかということを整理したものでございます。便宜的に平成21年度実績に基づいて加算率は0.23を使っております。
 一番上の0.0015未満の欄を見ていただきますと、健診実施率15%未満、保健指導実施率1%未満ということに相当しますが、こういう線で切りますと、そこに書いてある市町村国保77から共済組合4まで、合計数は載っていませんが、併せて474の保険者が加算になっております。これは、平成21年度の実績を当てはめると加算対象になるであろうと。この保険者はすべて、保健指導実施率が0に換算される保険者と一致しております。その加算の合計がそこにありますけれども、これを1人当たり加入額に割りますと、1人100円ちょっとというくらいの規模になっております。
 次のページに飛んでいただきまして、今の0.0015という数字で減算の方を考えますと、19ページの下半分にありますけれども、これも便宜平成21年度の達成保険者さんが41ありますので、その人たちの支援金をもとに、先ほどの加算額の合計と同額が5億8,000万円ですので、それを減算に充てて、それに相当する減算率を計算すると3.7%くらいになるということでございます。
 また前のページに戻っていただきたいと思います。この表では、0.0015未満から、その後も0.05刻みでその線を変えていくとどうなるかということですけれども、0.002未満にいくと市町村国保が1つ引っかかり、0.003未満にいくと市町村国保が2つ引っかかる。こういうことになっています。これは、保健指導の実施率がコンマ幾つということが引っかかってくることになっていますが、ほかの保険者種別では、次の19ページの上半分にありますが、国保組合で次の保険者が出てくるのが0.084という水準です。単一健保は同様に0.024という水準、総合健保が0.041、共済組合が0.032というところで次の保険者が出てくるという状況になっています。
 20ページに、こういう実施率を調整する際の留意事項として書かせていただいておりますけれども、1つ目の○印にありますように、実施状況が相対的に低い保険者種別の実施率を、物差しを合わせるために引き上げて評価するということをしております。そういう意味で、次の○印にありますけれども、実施率が相対的に高い保険者の種別に属する保険者さんの場合、実施率の調整をしないことになりますので、そういう意味では、調整をする保険者種別と、しない保険者種別で差が出てきてしまうということです。
 この方法は、次の3つ目の○印にありますけれども、保険者種別ごとの実施率に大きな開きがある場合にはそういう調整をする幅が大きくなりますので、実施率が相対的に低い保険者種別の保険者は、少しやると相対的にぐんと高い実施率になると評価されることになります。そういう意味で、4つ目の○印にありますが、今やっている調整は、保険者の状況をある程度反映しているとは考えていますけれども、現時点のように、保険者種別間の取組状況の差が大きいと、特に取組みが進んでいないところをとらえる場合には、公平な取扱いになるように特に留意が必要と考えております。
 今までは平成25年度の支援金の加減算ということで想定してお話をしましたけれども、説明はとりあえず以上です。
○多田羅座長 ありがとうございました。今日はかなり具体的な御提案をいただいたと思います。
 まず、加算を先に行う、加算率を先に決定する。それから、減算する保険者は、特定健診・保健指導の両者の参酌標準を達成した保険者とする。特定健診・保健指導の実施率の評価に当たって、保険者種別ごとの調整を行う。それから、加算する保険者の範囲は特定健診・保健指導の取組みが特に進んでいないと考えられる保険者とする。加算率については0.23%、実施していたとすれば、使ったであろう費用の半額という意味合いのものとするというような点を御提案いただいていたと思います。
 私がもらっている時間が、このコーナーは3時15分までございます。座長としてのお願いですが、かなり具体的な提案もいただいておりますので、できましたら、3時15分までに終わるように、今回は各委員に一言ずつ御意見をお伺いして、次回、それについての回答を含めた、ほぼ最終案を事務局に出していただくという形で進めさせていただきたいのですが、よろしいでしょうか。非常に大事な局面かと思いますので、各委員から、一応3時15分に終わりたいので、その辺を御勘案いただいて、御意見を御披露いただきたいと思います。
 それでは、伊藤委員から一言ずつ、全体的にかなりたくさんありましたので、たくさんの御意見があるかもしれませんが、その辺はひとつ御斟酌いただいて、よろしくお願いいたします。
○伊藤委員 順番ですか。
○多田羅座長 順番にさせてください。その方が委員の皆さんも御準備しやすいと思うので、よろしくお願いします。
○伊藤委員 かなり御苦労されてこの考え方を示されたことはよくわかります。各保険者の実情を踏まえて、逆に、どこかの保険者グループの分散に他のグループを合わせるという考え方があるというのはわかりますけれども、保険者の規模によってもかなり調整幅が変わってくると思いますし、分布に着目して、加減算の対象を決めるという考え方が妥当なのか、今すぐ、これでよいというような評価ができるものではありません。非常に気になるのは、実態を先行して考えるあまり、理屈がよくわからない気がしています。
 もともとこの健診も保健指導も保険者の本来の役割として行うべきなので、それをこの加減算に反映させることについての疑問をそもそも持っているものですから、納得できていないのですけれども、今回の提案に即して、減算から先にボリュームを決めていくのか、それとも、加算の方からアプローチするのかということで言えば、保険者としての役割を、全くと言うと怒られるかもしれませんけれども、十分に役割を果たせていないところについての加算として、それに対して減算はその結果として付いてくるという考え方の方が理解はしやすいのかなという印象を持ちました。
 以上です。
○多田羅座長 済みませんが、保坂先生が早めに御退室になるそうですが、先に伺った方がよろしいですか。まだ時間がありますか。
○保坂委員 大丈夫です。
○多田羅座長 では、岡崎委員、よろしくお願いします。
○村岡氏(岡崎委員代理) 市長会としては原則反対という立場ですから、これについての評価はなかなかというところがあるんですが、どうしても平成25年度第1期でやらなければならないということであれば、加算される金額についても100円程度ということですから、比較的妥当な範囲ではないかというふうに考えております。
 ただ、今後この内容で継続されるということになるとさまざまな問題があるというふうに思いますので、それは平成26年度以降の問題でまた発言させていただきたいと思います。市町村国保で申し上げますと、規模別等で差を設けるという説明もあったんですが、11ページの資料で、一応、規模で10万人以上、10万人~5,000人、5,000人以下の3区分ということになっておりまして、14ページの下の表のところで、実際に健診率50.9%以上というところについて「10,000~50,00未満」のところが13保険者あるということですが、この中身がわかれば御説明いただきたいと思います。1万人から5万人ということで非常に大きなくくりですけれども、実際には1万人に近いところが達成しているのではないかと思っております。
 上の表にもありますけれども、高知市の場合は中核市に所属しておりまして、中核市の平均でいきますと、昨年平成22年度の速報値で29%程度ということで、別に表がありましたけれども、どちらかというと、政令市とかそういったところに近いくらいの達成割合になっていますので、5,000人から10万人というところでくくるというのは、余りにも範囲が広すぎるのではないかというふうに考えております。実態としては、3万人とか、せめて5万人くらいのところで相当低い達成率があると思います。
 とりあえず、この段階では以上でございます。
○多田羅座長 ありがとうございます。
 では、貝谷委員、お願いします。
○貝谷委員 ありがとうございます。協会けんぽ、全国健康保健協会でございます。
 先ほど、資料の御説明の際にありましたが、協会けんぽについては大変大きな特徴があるといいますか、ほかの保険者にない特徴を持った保険者でございますので、本日の提案では、具体的なそういった特徴に対する、個別事情に対する対応については検討中という御説明がございました。そういう前提でございますので、率直に申し上げると、ちょっとコメントのしようがないというところがあります。
 ただ、考え方として、伊藤委員がおっしゃったように、第1期は既に終わっていて、これまでがんばってきて既に終わっている実績をどう評価するかということですので、やはりコンセンサスを得るためには、これは明らかにペナルティを受けてもしようがないよねという人たちに、ごくごく限定した形で行っていくしかないかと思います。これはもう過去の話ですから、それしかないのではないかと思います。
○多田羅座長 一応、こういう案としては出していただいていると思いますけれどもね。
○貝谷委員 その御苦労は感じますが、これでいいのか、悪いのかという判断については、今日のところは留保させていただきたいと思います。
 それから、今のコメントは、第1期についての考え方でよろしゅうございますね。
○多田羅座長 勿論、そういうことでございます。
○貝谷委員 2期以降については別と。
○多田羅座長 それは別でございます。
○貝谷委員 以上でございます。
○多田羅座長 では、小松委員、お願いします。
○小松委員 すごく苦労された様子がしのばれる説明をされていますが実施率の補正が、標準偏差を用いておられまして、保険者のときの、いわゆる単一健保であるとか市町村国保であるとか、偏りがある分布をしているので、この計算方法が、正規分布ではなく偏りがある分布を補正できる方法なのかどうかということを、ちょっと確認させてほしいということが一つです。
 もう一つは、その確認の意味で言うと、例えば、実際の計算をした市町村国保、国保組合、単一健保等の保険者の数が、77、76、272とここに出ていますけれども、これが全体の数に対してほぼ似た割合になっているということで理解していいのかどうかということを、一応確認しておきたいと思います。
 以上です。
○多田羅座長 それは後で御回答をいただきましょう。
 では、齋藤委員、お願いします。
○久保氏(齋藤委員代理) 資料を見せていただきましたけれども、加算の対象となる保険者の決め方、加算率の算出方法、市町村国保を規模別に区分するというような方法などを見ていますと、大変御苦労されたのだなという感じはします。しかしながら、加算・減算の実施ありきで、無理やりにこの複雑怪奇な仕組みをつくり上げているのではないかという印象を、率直に申し上げておきたいと思います。
 もともと特定健診と特定保健指導の実施というものと医療費の適正化というのは、ほかのところにも書かれていますけれども、関連性に明確なエビデンスがあるということではないというふうにおっしゃられている委員の方々もいらっしゃるわけでございまして、そのような明確な合理的な根拠に欠けた手法で加算・減算を行うということは、各保険者の理解を得られないのではないかと私は思います。やはり加算・減算ということ自体の仕組みに、どう見ても無理があるのではないかということを、率直な印象として申し上げておきたいところでございます。
 以上です。
○多田羅座長 白川委員、お願いします。
○白川委員 時間も限られているでしょうから、個別に申し上げますが、まず、2ページに2つのパターンが示されていますけれども、この左側のパターン、加算・減算なしというやり方がやはり適切かなというふうに考えております。これが1つ目。
 2つ目は、今のお考えですと、減算の方は参酌標準を使うけれども、加算の方は調整しますというお話で、若干、割り切れない部分もあるんですけれども、ある意味、被用者保険と国保の違いというのは、参酌標準の目標値に素直にあらわれているというものではないということは理解しておりますので、減算は参酌標準、加算は調整率を使うという考え方については、やむを得ないのかなと思っております。
 それから、手法として、加算をまず決めて、それからその分の同額を減算するというのが順当なやり方だと思っております。
 もう一つは、加算率は0.23という表現が6ページにございまして、これも一定の理論づけが必要でございますので、ほかに考え方があるかどうかちょっと思いつかないものですから、こういう考え方でよろしいのかなと考えております。
 問題は、18ページに、これは平成21年度実績に基づいて云々という部分がございます。この表を見ますと、特定健診実施率が15%未満から幾つか区切りがございますけれども、特定保健指導実施率1%ですよね。ですから、言ってみれば、特定保健指導がほとんどされていないところ、1%未満ということですから限りなくゼロに近いところが対象になるという考え方ですね。ですから、これが平成24年度になったときにどういうふうに変わるのか。特定保健指導実施率が、すべての保険者で1%を超えることも想定されるわけですけれども、そうなると、加算額がなくなって減算額もなくなるということも想定されますので、そこのところは一工夫必要かなと思います。私は、どんどん加算しろと言っているつもりはないんですけれども、一定の減算額というものがないと、せっかく参酌標準に達したところが、全くのインセンティブがないということになりかねません。特に特定保健指導の実施率が一番効くと思っておりますので、そこのところの工夫が必要ではないかというふうに考えております。
 以上でございます。
○多田羅座長 貴重な御意見をありがとうございます。
 事務局の方からまとめて、今日、回答できるところは回答してください。
 津下委員、お願いします。
○津下委員 津下です。18ページを見ていまして、加算があるものが、調整済実施係数が0.0015未満ということで、特定保健指導実施率1%未満、事実上、保健指導をしていないというところに限定されます。加入者側から見ると、健康についての支援を受ける機会を保険者がつくってくれていないというふうにも受け取られます。白川委員がおっしゃったように、恐らく、平成24年度には、動機づけ支援等で数%の実施をすることはそれほど難しくないと思われますけれども、この平成21年度の実績では、まったく実施していないところもある。加入者の立場になって考えたときに、保険者の役割として、健診・保健指導について配慮してもらう必要があるのではないかと思われますので、明らかに実施していないところについては、ある程度加算がかかることはやむを得ないのではないかと思います。
 ただ、今のお話にありますように、平成24年度は、恐らく実施率が上がるでしょうから、この式がそのまま使える状況かどうかということについては、考えていく必要があるのかなと思います。
○多田羅座長 ありがとうございます。
 それでは、そちらからお願いします。
○中村委員 私は前回、減算額の総額を質問して、今回、5兆円弱というようなことを出していただいて、一定の指標が見えてきたので、方針は決めやすくなったのではないかと思います。
 ただ、評価基準の政令がまだ出ていないし、メタボリックシンドロームの予備軍ももう使わないということであるわけなので、今の時点では、平成25年度はとりあえず見送って、平成26年度から実施するという方法も一つあるのではないかと思います。
 いずれにしましても、早く方針を決めて出すべきではないか。もう平成24年度の取組みですので、残念ながら、私どもの組合のところでは、特定の事情がありまして保健指導が進んでいないところがありますが、常に、頑張ろうということはしていますので、保険者として加算を受けるということは恥ずかしいことなので、そこはしっかりと頑張っていきたいと思います。今までは余りにもハードルが高すぎて、飛び越えようと思ってもなかなか飛び越えられないような高さだったんですが、一定のハードルを飛び越える高さだと思いますので、ここは方針を決めていけば、その目標に沿って相当頑張って、減算も出てくるというふうに私は信念を持って進めていきたいと思います。
 いずれにしても早く、もう平成23年度ですから、平成24年度から数字が入るということは、指導するというのは数か月かかるわけですからこの場で早く決めるべきではないかと思いますので、是非、次回はほとんど決まるような案での、厚労省からの提案をお願いしたいというふうに思います。
○多田羅座長 ありがとうございます。
 保坂委員、お願いします。
○保坂委員 皆様の御意見をお伺いしていて、厚生労働省の方の担当の大変な御苦労も感じ取れる内容になっていると思います。久保氏がおっしゃったように、加算・減算ということがなじむのかどうか、この健診が本当に国民の健康に資するのかどうかという原点まで立ち返って、本来は、私としては御意見を申し上げたいところですが、やはり皆さんがおっしゃるように、一度決めたことなので、とりあえず、今回何かをするとすれば、事務局のこの提案が妥当なのではないかと思っています。
 また、今、中村委員がおっしゃったように、平成24年度は一生懸命に取り組んで、加算するところがなくなったら減算するところがなくなるのではないかという白川委員の御心配がございますが、私は、それはそれで、白川委員の方で、傘下の健保組合に、是非、こういうことだったのでという御説明をしていただいて、これからまた違う形で進めていくので、みんなでがんばっていこうよと。そういう参酌標準を満たしたところは皆さん、被保険者の健康に尽くしたということなので、それが御褒美ではないかと思っていただきたいというふうに思います。
 それから、先ほど、津下委員が、被保険者の加入者の立場で言うと、これをやってくれなかったのは保健組合が悪いといいますか、加入者に対して機会が与えられていないという御意見があって、確かにそうですけれども、この加算は、実は加入者にペナルティをかけていることになるわけで、その辺は非常におかしなところがあるというふうに思います。ですから、先の話ですけれども、この加算・減算のことは、次の5年間はやらないというふうに話を持っていっていただけたらと思っております。
 以上でございます。
○多田羅座長 では、山門委員、お願いします。
○山門委員 私は、健診や保健指導を実施する側で、第三者的な立場の意見、また国民の一人としての意見になりますけれども、本制度は高確法に基づいてのものということを大前提に、国民として考えますと、加算・減算という仕組みがあっていいだろうと思います。
 それから、白川委員からお話がありましたけれども、加算を前提にするのかどうかということと、減算を先にするかということですが、私は、やはりインセンティブというものが必要ではないかと考えます。したがって、減算の仕組みを十分に考えなければいけないと思います。
 それから、非常に努力されて、いろいろな保険者の種別がありまして、それをいかに標準化するかというのは、小松委員から御質問がありましたけれども、標準偏差を用いることが比較的、国民的にも理解できやすい方法ではないかと思っております。
 以上、印象です。
○多田羅座長 ありがとうございます。
 横尾委員、お願いします。
○横尾委員 首長ですので、自治体の現場を踏まえた意見を述べさせていただきたいと思います。
 まず、自治体現場では、この間、受診率や指導率の目標達成ができたかどうかで新たな財政負担、すなわちペナルティがかかるということがあり得るということで、現場は大変大きな努力をしてきたと認識しています。インセンティブあるいはペナルティの在り方や方法、目標値の設定についても、当初は非常に疑問も多くて、議論もたくさん出ましたが、そういうことも踏まえながら、のみ込んで努力してきたという実情がございます。
 また、被保険者の皆さんに対しては、地域の住民の皆さんになりますけれども、そうしたことをしっかり説明をしたり、場合によっては、地区ごとに受診率などをグラフ化して、チャート化して、全部公表して、どこどこの地域は後れている、もっとやった方がいいですよということを見せながら、例えば区長さんたちの会議に出して、区長からも声をかけていただく。そんな努力もしながら取り組んできたところですので、その際にペナルティがあるということも踏まえて、すなわち、受診率が保険料にも響いてきますよということも啓発してきたところです。
 こうしたことを踏まえていきますと、金銭的負担が出る、出ないという議論は勿論出てきますけれども、そのことで受診勧奨できる、受診率向上を図ることができるということは一つの効果があります。意識的な面で考えると、日本は健診受診後進国だと思いますので、そういった現状を踏まえると、そういうペナルティ制度は必要かなというふうに思います。
 また、更に、今日お見えの皆様をはじめ多くの保険者が、このことを共通認識としてこの間努力してきておりますので、今、これを実施しないことになってしまうと、かえって混乱しますので、加算・減算については適切な方法を、常に見直しをしながら、納得できるように実施していくことが非常に重要だろうと思っております。
 そういったことも踏まえながら、今日の資料に提出されているような、いわば実施率の補正的なものを行うしか当面はないのかなと思います。そのことで向上させていくことが重要かなと認識しているところでございます。ペナルティがないに越したことはないのですけれども、呼びかけてもなかなか健診に足が向かないということを何としても改善しないと、早期発見・早期治療につながりませんし、本当にハッピーな長寿社会にならないという面がありますので、絶対にこういうことをより充実すべきだろうと思っています。
 インセンティブ、ペナルティによりまして、多くの方々を健康に導いていくということは極めて重要ですので、このことは各自治体としても一生懸命に広報していきますけれども、是非、政府におかれましては、国の大きな国家目標の中に、受診率の大幅向上を、これは特定健診のみならず、特にがん検診などもそうですけれども、これをしっかりと位置づけていただいて、その向上をともに実現していく、自治体も協力してくれということを率直に言っていただければ、多くの自治体は我がこととして認識しておりますので、是非そうしたことを図りながら、国民の健康、長寿ということを達成していきたいと思っています。
○多田羅座長 ありがとうございます。
 では、吉岡委員、お願いします。
○吉岡委員 共済組合連盟の吉岡といいます。本日は、当方の理事会・総会がありまして出席が遅れました。支援金の加算減算制度については、事務局の方で、色々と保険者の言い分を網羅していただきまして、ありがとうございます。
 私もすべてを理解しているわけではございませんけれども、この制度ができた限りにおいては、加算・減算は行うべきではないかと思います。その際、加算に着目して決定していくという考え方は、いいのではないかと思います。
 ただ、加算のところは結果として掛け金を引き上げなければいけないとか、そういう問題になるので、保険者等に理解しやすいルールを決めていただいたらいいのではないかと考えております。
 以上です。
○多田羅座長 ありがとうございます。
 では、吉田委員、お願いします。
○吉田委員 総合健診医学会の吉田でございます。私は、加算・減算の前に、高確法によって医療費が確保できるというエビデンスがしっかりした段階からこういうものを実施すべきではないかという考えでございます。確かに、このように事務局で作成された修正案や係数の取扱いは、テクニカルにかなり高度な話になっているかと思いますけれども、コンセンサスを得るためのエビデンスをつくってから実施すべきではないかという気がします。
 その次の段階として、やはり健診率、保健指導の実施率が極めて低いところについては行政指導を行うなりして底上げをしてから、きちんと加算・減算なりのペナルティを科していくという段階を経た方がよろしいのではないかという考えでございます。
 以上でございます。
○多田羅座長 どうもありがとうございました。非常に的確に、手短に御意見をいただいて、おかげで何とか時間が少し残りました。
 それでは、事務局から、今日お答えになれるところが二、三ございましたか。特に白川委員からは、全部が1%を超えたらどうするのかという御意見もございました。平成24年度は、こういうことであればがんばらなければいけないと思って、全国的にこれから取り組む可能性が大いにありますね。
 事務局、お願いします。
○医療費適正化対策推進室長 小松委員の、分布を補正できるかということについては、後で補佐から説明させます。
 それから、実際の保険者の加算される人の割合がどういうふうになっているかということですけれども、結局、0.0015でつかまっている保険者は、保健指導を実施していない保険者を結果的につかまえる形になっていますので、そういう意味では、母集団の率とは関係ない状態で、この0.0015で切れば、逆にいえば、保健指導をしていないところを捕捉できるという形になるということでございます。
 それから、今の時点では、先ほど白川委員から、加算がなくなったらということもございましたけれども、今の時点では、仮に皆さんが努力されて改善されるということは、それはそれでいいことだと思っています。まだ精緻に分析できていませんが、平成22年度の速報のもので見ると、加算対象者が若干減っているくらいです。1年間で400前後くらいまで減っていったと思います。もう少しよく見て次回またお答えしますけれども、そのくらいの感じになっております。逆に、減算の方は若干増えているということがございます。ただ、それなりに、まだゼロのところが、平成22年度でもまだあるという状況にございます。
○医療費適正化対策推進室長補佐 先ほどの小松委員の御質問の中で、恐らく、趣旨としましては、標準偏差ですので、正規分布に近い形での分布でないと基本的には使えないのではないかという御趣旨だったと思います。
 確かにおっしゃるとおりではありますけれども、実施率の分布状況を見ると、正規分布ではないですけれども、山が2つあるとか、そういうような状態ではないものですので、大体中央値のところに集まっているような分布状況にあることと、基本的な考え方としては、それぞれの種別の中で、平均から見てどれだけの位置にいるかというところを基準に置いて考えるということで、一定の合理性があるのではないかと我々の方では考えております。
○小松委員 私も、恐らくそういうことだろうと思っています。その分布が正規分布からかなり離れた場合に、不公平感が強く出てきたりするとまずいと思って、ちょっと確認させていただきました。
 以上です。
○多田羅座長 ありがとうございます。
 それでは、追加の御意見がございますか。本日のところはよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。
 それでは、先ほど残した、平成26年度以降の説明をよろしくお願いします。
○医療費適正化対策推進室長 資料2の21ページをお開きください。平成26年度以降の加減算につきまして、第2期以降のものは、今回は論点提示ということにさせていただいております。
 5つの○印がありますけれども、一番上の○印で、平成26年度以降の加減算に当たり勘案すべき事項は、先ほどの調整後の健診実施率と調整後の保健指導実施率でよいか、ほかに勘案すべき事項はあるかということ。それから、加算の対象となる保険者の範囲をどうするかということで、加算の対象となる基準を引き上げることが考えられるかどうか。それから、加算の率については、3つ目の○印で、平成25年度の取組みの開始前に、あらかじめ一定の率を決めておくことが予見可能性の観点からはいいのではないかということ。それから、4つ目の○印で、減算の保険者の範囲につきましては、これはまた目標の参酌標準を、具体的な数字を、保険者ごとの補正の状況を見ていただいた上で、それがそのまま使えるかどうかということで御議論いただければというふうに思っています。5つ目の○印で、減算率につきましては、減算の方も、よりインセンティブを強めるという意味では、減算に段階を設けることも考えられないかということで、論点を掲げさせていただいています。
 最後の22ページは、私どもの方で、今までの事務局の加減算に関する提案では言及できていないと考えられます、これまでに各委員からいただきました御意見、そういうふうに私どもが思うものをリストアップしまして、考え方を整理してみました。
 例えば一番上のところは、被保険者が、加入する保険者を選べない。こういうことの中で行うのはどうかという御指摘に関しましては、組合会などへの参加を通じて事業運営に参画いただくことになるのではないかと。次の○印で、被保険者間の移動をどうするかということ、ある時期の保険者が責任を持つのはどうかということに関しましては、加減算制度は、その年の加入者に対して保険者がどう取り組んだかということを、翌年度分の支援金に反映させると。その年にいる人に対して取り組んだものを翌年度の支援金に反映させるという構成になっていまして、同じ人に対してどうしたかということではなくて、その年にいる人にだけ取り組むということで整理ができるのではないかと思っています。
 次の○印で、医療費は、健診・保健指導という保健活動との相関度は必ずしも高くないのではないかということで、これは検証に努めていきたいと思っております。
 また、次の○印で、加入者が主体的に取り組む仕組みをきちんと考えないといけないのではないかということに関しましては、そういう保険者における取組みの支援方法について、今後の検討課題にしたいと思っております。
 最後は、これまでもいろいろな方から、イコールフィッティングと思うには、グループ化して評価してはどうかという御指摘もありましたけれども、グループ化してしまいますと母集団が小規模になりまして、共通のルールで各グループの加減算をすることがなかなか難しくなるということを書いております。
 一番下の※印で、加減算制度と積極的支援・動機づけ支援それぞれとの関係、あるいは、加減算と被扶養者対策の市町村委託との関係、これも御指摘がありましたので、これは今、鋭意検討中でございます。
 以上です。
○多田羅座長 手短に御説明いただきましたけれども、これはまだこれから相当議論が要るところでしょうね。
○医療費適正化対策推進室長 はい。ですので、次回に向けて、私どもの方で考えるべき点がございましたら、本日、御指摘いただければ、またそこも踏まえて考えていきたいということでございます。
○多田羅座長 ということですが、どうでしょうか。
 岡崎委員、何かございますか。
○村岡氏(岡崎委員代理) ありがとうございます。先ほど、平成25年度の取組みについて、第1期ということであればやむを得ないのではないかというふうな発言をしたのですが、この制度自体がずっと続いていくということになれば、保険者間での格差という問題がありますので、市町村国保自体は構造的課題を抱えているわけですけれども、更にそれを助長していくような形になってしまうのではないかということで、非常に懸念しております。
 それは、例えば、この平成20年度から制度が発足して、3年の実績が出ていますけれども、全国的には、すべての保険者の中で特定健診が4%ほどに伸びていますが、国保に限っては1.1%しか伸びていない。平成20年度から、国の保健事業だとか、それぞれ保険者ごとで取組みを実施しておりますけれども、なかなか伸びないといった状況があります。
 そういう点で、一定のインセンティブが与えられるところは、一定の条件があるところしか目標が達成できないということですから、そこの部分にだけインセンティブが与えられて、それ以外のところは、努力をしてもなかなか達成不可能な目標ということで推移している。
 市町村国保の保険料負担は非常に重いという実態がありますけれども、一部のところにはインセンティブが与えられているが、それ以外の、前回も申し上げましたが、低所得者を多く抱えて、健康に対する意識が低い市町村であったり、本市の場合は医療機関が非常に多くて、全国一医療機関が集中してベッド数も多いといった環境にありますが、これは、保険者としては、そういう環境は選べないわけです。環境的にも同じ土俵ではないといった状況の中で、一つの目標に向かって取り組んで、結果的には、インセンティブはいつまでたっても得られないということになっていって、格差は更に拡大していくということにもつながりますので、そういう点では、2期以降の、継続をしていくということについては、国保の中では制度矛盾を感じるということを言わざるを得ないという思いでございます。
○多田羅座長 どうぞ、白川委員。
○白川委員 2点申し上げたいと思います。加算・減算の仕組みについては、この場でも、やめるべきだという御発言が随分と多かったと思いますし、私も当初から申し上げているとおり、加算・減算の仕組みと後期高齢者の支援金を結びつける何か論理的な説明がつかない今の仕組みについて、非常に疑問を持っております。第1期分についても、加算・減算は約束したから行うべきだという意見ではありますけれども、どこかでやはり、法改正も含めて見直すべきではないかと考えております。
 現実的には、第1期分について加算・減算を実施したとしても、ある規模、一定の数の健保組合が減算をし、その分を一定の数の健保組合が加算で補うという図式になるわけで、今、国保さんからのお話もありましたけれども、財政的に厳しいために特定保健指導ができないところが、更にペナルティということで負担が重くなるという矛盾が現実には生じますので、どこかで是非、法改正を含めて御検討いただきたいということが一つ。
 2つ目は、そうはいっても、高確法のここの部分だけを法改正というのは、現実的には非常に難しい部分もあるかと思いますので、第2期以降も実施するとした場合に、21ページの表によりますと、加算のラインを年度ごとに上げていくような絵になっておりまして、過去、平成20年度から22年度まで、平成22年度の速報値まで、特定健診と保健指導の実施率が出ております。少しずつは伸びておりますけれども、参酌標準に対して、平均値で見ますと、とても到達できない、伸び率が非常に低いという状況を考えますと、こうして基準を引き上げるよりも、加算の基準は一定にしておいて、がんばっていただければ加算の基準から抜けていくという方が、むしろ現実的ではないかと思われますので、御検討をいただきたいと思います。
 以上、2点でございます。
○多田羅座長 ありがとうございます。
 どうぞ。
○津下委員 この制度の趣旨として、高齢者の医療をどう支えるかということですけれども、高齢者になったときに医療費が多くかかる病気は、高齢者になってから始まっているわけではなくて、若年期からの生活習慣病が原因で起こっているものが多い。特に、要介護状態の原因として脳卒中などが非常に多いということもわかっています。
 そういう意味では、生活習慣病対策をしっかり実施していただくため、高齢期の医療費を少しでも軽減するために何ができるかということで、より若年期の保健事業に力を入れるような仕組みは、やはりしっかりと考えていく必要があると思います。では、そのペナルティが、本来ならば、その自治体の後期高齢者の、その自治体に支払われるならば何となくわかりますけれども、それががんばっているところに行ってしまうというところが、わかりにくいかなと思います。そこの自治体の後期高齢者の医療費や介護保険費が高いのであれば、そこの自治体に払うというのは理論的に理解できますが、もともといいところに集まってしまうというのは、もう一度整理が必要かなと。
 いずれにしても、より若年期の生活習慣病対策、保健事業に対するインセンティブが必要です。若い世代だけを見ているとその必要性がなかなか理解されなくて、75歳以上の医療費、介護費を分析したりすると初めて、生活習慣病対策の重要性が理解できる部分と思うのです。その仕組みについては、十分に納得できる形で検討していく必要があると思います。
○多田羅座長 特に津下先生、そこらはひとつよろしく御尽力いただけたらと思います。
○津下委員 はい。
○多田羅座長 どうぞ、保坂委員。
○保坂委員 白川委員から、法改正も含めてという御意見が出たことは、大変うれしく思っています。やはり、最初に仕組みをつくったときは、いろいろと御事情があって、いろいろなことを考えてできなかったんでしょうけれども、ここまで進めてきて、矛盾があるというか、理論的に裏付けがないことがわかったわけなので、高確法も、後期高齢者医療制度はどうなるのか、今の政治の中ではわからないわけですけれども、高確法は、少しはいじる可能性があるわけですし、その中で、特定健診・特定保健指導の仕組み自体も多少いじることが可能ではないかと思っています。
 結局、実は、被扶養者の受診率を高めるためには、被扶養者の健診を市町村にお願いしたいというような御意見もかなりある中で、加算・減算のことが残っていますと、その仕組みもなかなか導入できないということで、是非、加算・減算の考え方という具体的なことよりも、もう少し根本的なところを検討していただけたらと思います。よろしくお願いします。
○多田羅座長 横尾委員、どうぞ。
○横尾委員 先ほど津下委員から出た意見ですけれども、もし、そのことを尊重してしまうと、国保の財政はすべてその自治体で賄わなければいけなくなってしまいますので、やや広域化の議論がある中で、非常にリスクが大きいという印象を持ちました。
 また、ペナルティに関してのことですが、私も先ほど言いましたように、意識の部分、自分の健康は自分で守るという意識づけがなかなか徹底していないことを感じます。例えば、現場の保健師に聞きますと、妊婦健診はいいのですが、その他の女性特有のがん検診等についてのクーポンが出たり、助成したりする方法が全国的にもありますけれども、先進的に取り組んでいるところの保健師さんたちに聞くと、何といっても意識が一番重要で、ただになるから行くかというと、100%が行くわけでもないし、便利だから行くかというと、勿論、便利になれば向上はしますけれども、限りがある。やはり意識づけは非常に重要であるということを、これは私どもの市のみならず、ほかからもよく聞きます。
 そうしたことを徹底するしかないなと思いますので、先ほども言いましたけれども、国として、健康のことがいかに重要であるか、また、津下委員がおっしゃったことには私も同感ですが、若いときに教えないとわからないと思います。例えば、がんにしても、血管系の疾患にしても、若いときの食生活から始まってきているわけです。だから、「そこから始まりますよ」というふうなことからいきますと、若いときに一回、ドック的な検診を全員受けていただくとか、将来、特定健診でやらなければいけない項目の数値を早い段階で取っておいて、比較できるように生涯をきちんとフォローしていくとか、そういったことも工夫しながら行うべきではないかと思います。
 また、加算・減算のペナルティ、インセンティブとしてのペナルティについて言いますと、例えば極端な例ですが、きちんと受診していない方は確定申告のときに税が加算されるとか、受けた方は控除されるとか、そういうリアルなものがあると、一人ひとりは、是非これは受けようというモチベーションも働くと思います。これは極端な例です。そうしたもろもろの工夫をしていかないといけないと思います。私も本当に残念なのは、3割程度で低迷しているいろいろな健診率などは、本当に早く向上しない限り健康を守れないということを感じますので、是非そういうことは厚労省の方でいろいろな知恵を工夫して、取組を更に充実してほしいと感じています。
○多田羅座長 では、吉田委員、お願いします。
○吉田委員 加算・減算に関して、具体的には、加算・減算制度が今の健診と保健指導の枠に縛られていますと、現場の健保が持つ保健事業に対するリソースが、結局特定保健指導にしか割けなくなっています。それ以外の保健事業にもリソースが割けないという状況をつくり出していることは、何とか改善していただきたいというのが1点でございます。
 もう一つは、高確法ということであれば、高齢者の医療を確保するということであれば、本当に効果的な保健事業の体制というのは、現在の特定健診・特定保健指導だけであるのか。発症者に対するディジーズマネジメントを含めた幾つかの保健事業を組み合わせるということが期待されます。現状の制度では特定健診から受診スタートしなければいけないという制度について、やはり検討すべきではないかという段階かと思います。
○多田羅座長 伊藤委員、どうぞ。
○伊藤委員 平成26年度以降ということで、予見可能性を高めるためあらかじめ基準を設定する必要があるということはよくわかりますけれども、まだ状況が動いていない中で次の話をしているわけですね。先ほども白川委員から意見がありましたけれども、私も、もともとの加減算を含む高齢者医療制度の在り方に疑問を持っておりまして、法律の改正が必要だと考えています。そういう議論が政府の中でありましたし、法律改正に結びつく話と考えております。ただ、この制度が続くという前提で考えた場合は、PDCAサイクルのように、実施した結果を次の計画に反映させていくという形で進めていくことが必要だと思います。
 あと、少し違う話ですが、どこかの保険者の並び方に並べることが妥当なのかという公平性について、先ほど疑問を申し上げましたけれども、これに関して、例えば11ページの下の方に、災害の被害などを受けた事情がある保険者や極めて小規模な保険者は、個別に加減算を適用しないことができることとし、今後、関係者と調整するということが記載されています。こうしたところも不透明な部分がありますので、今日はルールの議論がありましたけれども、こうしたところも含めて納得性が得られるような形にしていく必要があると思っています。
 それから、加入者の立場ということで、先ほど津下委員から、受診機会や指導を受ける機会が奪われているという考え方の御意見がありましたけれども、おっしゃるとおり、そういう面があることはわかります。一方で、それを、加算という形でその加入者が高い保険料を負担するというのは、言ってみれば、実施率の低い保険者の加入者はダブルのマイナスがあるということになります。そういう仕組みは、加入者としては納得性が余り高くないですよね。保険者に対するインセンティブやディスインセンティブを検討するにあたっては、実情を是認して加入者の受診環境の現状をそのままでよいとするのではなく、加入者の受診機会の拡大につながるよう義務づけるなり、縛りをかけるといった。つながりを是非持たせてもらいたいと思います。
 以上です。
○多田羅座長 ありがとうございました。非常に貴重な意見をいただいたと思います。
 これは一応、全部議事録に確定いただいて、かなり基本的な点が幾つか出されておりますので、事務局の方で御検討いただくということをお約束いただきたいと思います。ありがとうございました。
 それでは、次の議題に移らせていただいてよろしいでしょうか。
 議事の3.でございます。「健診項目等について」、事務局より説明をお願いいたします。
○医療費適正化対策推進室長 資料3をごらんください。「健診項目等について」ということで、めくっていただきますと、上側にありますけれども、健康局の検討会で、2月27日に開催されまして、その際、クレアチニンの検査を特定健診の健診項目に追加してはどうかと。こういうことについて議論がございました。
 いろいろな御意見がありましたが、クレアチニンは、慢性腎臓病の指標でございまして、現在、腎機能に関連する項目としては尿蛋白が入っておりますが、この日の議論では、ここにいろいろな御意見が書いてありますように、重要である、必要だという意見が多くございました。
 次の2ページの枠の中の最後の○印は座長の御発言を、私どもの責任で要約したものですが、診療では、クレアチニンはエッセンシャルなものであるとか、保健指導上または医療的にも重要であり、健康局の検討会の参加者の皆様の御意見として、クレアチニンはあった方がいいというようなことではないかと。このようなことになっておりまして、こういう議論がありましたことを今日は御紹介しますので、保険者の皆様などから御意見、御指摘をいただければと思います。
 次の3ページ以降は、前回お出しした資料と全く同じ資料で、これも健康局の検討会で議論されたことについて、前回、御意見があればということで申し上げましたが、時間が超過している中で御発言の時間もありませんでしたので、前回、言いそびれたという方がいらっしゃいましたら、保健指導の対象にならない人への対応、非肥満への対応、高血圧、喫煙だけがわかっている状況があり、わかっている方への保健指導、特定保健指導の課題、初回面接の関係など、こうしたことについて御指摘があれば、御意見をいただければと思います。
 以上です。
○多田羅座長 ありがとうございます。
 まず、クレアチニンというものが具体的に挙がっております。
 吉田先生。
○吉田委員 クレアチニンについての考え方ですけれども、メタボの基準に該当しない方で、eGFRが下がっていた場合には、どのように保健指導で取り扱うのでしょうか。保健指導の対象としてよろしいのでしょうか。それとも、メタボの基準ではないので除外しなければいけないとか、その辺りはどのように考えられているのでしょうか。
○多田羅座長 これはあくまで、メタボから始まる話ではあるんですね。
○健康局保健指導室長 健康局でございます。とりあえず、この特定健診の項目の中にクレアチニンを追加することはどうなのかということを議論していただきましたので、この段階ではまだ、それを、おっしゃるような階層化の基準の中に入れていく、あるいは、特定保健指導の対象としてクレアチニンの項目について、有所見があった方についてどうしていくかべきかというところまでは議論が及んでいないというふうに認識しております。
○吉田委員 健診機関におりますと、eGFRを見ますと、必ずしもメタボと関連していなくて低下するということがしばしばありますので、これを入れたために階層化の扱い方とか、その辺りの考え方について齟齬が出るような場合というのは、受診者に対して受診サービスの低下になりますので、慎重に御検討いただきたいというふうに考えております。
 以上です。
○多田羅座長 どうぞ。
○白川委員 私は医師ではないものですから、クレアチニンがどういうものかということをよく承知はしていないんですけれども、こういう診断をした方がいいというものは、ほかにも山ほどあると思います。簡単な心電図はとった方がいいでしょうし、胸のレントゲンも撮った方がいいとか、切りがない話です。問題は、メタボと直接的な関係があるのかということと、保健指導で回復させる、数値をよくすることが可能かということと、もう一つは、被用者保険側にとっては、定期健康診断の項目として事業主が認める項目か、この3点が必須でございますので、医療上の必要から、あるいは、診断上の必要からだけ項目を追加するという考え方は、健康局の方で十分に、そうした要件を考えた上で御提案をいただきたいというふうにお願いをいたします。
 以上です。
○多田羅座長 どうぞ、中村委員。
○中村委員 クレアチニンは、腎臓の正常な状態の3分の1ぐらいにまで低下しないと出ないというふうに聞いているわけですが、そういうような、もうほぼ病気に近いようなものを、第一次健診の特定健診の中に入れることの考え方はどういう考え方なのか。昔の生活習慣病なり成人病の後の方、もっと言えば、二次、三次に近いようなところのものを入れること自体、どういう議論がされたのか、ちょっとお聞きしたいと思います。
○多田羅座長 では、山門委員、ちょっと説明してください。
○山門委員 まず、クレアチニンですけれども、白川委員あるいは吉田委員等の御意見に対して、私の考えを申し上げます。いわゆる階層化の項目ではないということであります。将来の心疾患、脳血管疾患の予防にとっては極めて重要な指標であるということであります。したがいまして、GOT、GPT、γGTB、LDLがありますけれども、階層化に入っていません。
 それから、白川委員の御意見ですと、そういう項目までについても検討すべきだと。私も賛成いたします。
 また、今、中村委員から御質問がありましたが、クレアチニンを見るのではありません。CKD、慢性腎臓病は将来のメタボの危険因子であります。メタボはCKDの危険因子であります。今、28万人、透析患者は1兆3,000億円の医療費がかかっているわけです。我々医療側としても、その透析患者を、いかに導入を減らすかというのは極めて社会的な課題だと思っています。
 したがって、クレアチニンではなくて、慢性腎臓病の診断に不可欠な推算糸球体ろ過量(eGFR)を算出するための検査であります。したがいまして、クレアチニンが上がる前から推算糸球体ろ過量を測定しますと、クレアチニンが正常であっても60以下でCKDと判定される方が出てきます。それから、CKDの判定には、尿蛋白か、推算糸球体ろ過量(eGFR)か、そのどちらかということになっておりますので、尿蛋白で見るか、eGFRで見るかは、CKDの診断になります。
 それから、CKDは、尿蛋白がマイナスの人の90%にeGFRが60%以下であるということもありますので、尿蛋白だけではCKDの早期発見は無理であろうということで、健康局の検討会ではクレアチニンの重要性ということが討議されているところであります。
 私の個人的な意見は白川委員にかなり近いのですが、医師の判断に基づいた詳細な検査、いわゆる、貧血、心電図、眼底と同等に、そこには少なくとも入れるべきではないかというのが私の意見であります。
 以上です。
○多田羅座長 今の段階ではどうですか。今、そういうものは入っていませんよね。
○山門委員 詳細検査、2年目以降に医師の判断で貧血、心電図、眼底検査と同様に扱うと。
○多田羅座長 特定健診の一次健診にはどうですか。
○山門委員 入っていません。
○多田羅座長 だから、それは入れた方がいいというお考えですか。
○山門委員 できればですが、私は入れるべきだと思います。ただ、11点ですので110円かかりますので、その点だけでございます。
○多田羅座長 白川委員は、入れなくていいという御意見ですね。
○白川委員 医学的な判断はできないですが、この特定健診が始まったときに、私ども、事業主から定期健康診断の項目をいただくということで、定期健康診断の項目の見直しを事業主の方にお願いをしましたけれども、事業主側の意見は、例えば腹囲は、なぜ事業主の責任で定期健康診断をしなければいけないのかと。これはごもっともな意見ですね。産業のための健康診断をしているわけですので、したがって、こういう腎臓疾患は、事業主とどんな関係があるのかということを説明して、御了解を得ないといけないと思いますし、定期健康診断の項目にならないと思います。私の知識範囲では、多分これは事業主が納得する項目ではないというふうに感じております。
○多田羅座長 さっきのお話では、定期健康診断に入ることは不可欠だということでしたね。
○白川委員 いや、ないと我々としては困りますと。労安法の項目でないと困りますと。したがって、これは多分通らないでしょうから、特定健診の項目にすべきではないと、今の時点では思っています。
○多田羅座長 はい、わかりました。
 どうぞ、岡崎委員。
○村岡氏(岡崎委員代理) 高知県の場合は、特定健診の健診項目の中に独自でクレアチニンの検査項目を平成23年度から入れて取り組んでおります。もともと健診受診率が低いところから、被保険者にとってなかなか魅力がないのではないかということで取り組んでいました。
○多田羅座長 健保の方でもやっていますか。
○村岡氏(岡崎委員代理) いや、健保はやっていないです。市町村国保のみです。特定保健指導と特定健診の在り方というところではリンクするものではないですけれども、独自項目で追加して検査しておりまして、eGFR値のハイリスクの被保険者の方も一定割合いますので、そういう意味では、先ほどの慢性腎臓病と医療費の問題もありましたけれども、本市の場合でも、0.3%くらいの患者さんが5%ぐらいの医療費を使うという状況になっていますので、全体での医療費の適正化には効果的ではないかということで、特定健診から得られた情報をもとに、本市の健康づくり部門の保健師が受診勧奨を行って、早期の治療につなげていきたいということで取り組んでおります。全体的な市町村の医療費の適正化という点では、これを入れることによって効果的ではないかというふうに思っております。
○多田羅座長 ありがとうございます。既に実施されておられると。
 よろしいでしょうか。
 それでは、本日も御意見をお伺いしたということで、これはまた具体的な、特に労安法との関係もかなり重なってきますのでね。
 どうぞ。
○津下委員 今、クレアチニンを測定されている自治体もかなりありますけれども、コンピュータに登録する場合、クレアチニン値が小数点以下1けたしか入らない仕組みになっていまして、それですと、eGFRにかなり誤差が出ます。ですので、まず行っていただきたいことは、コンピュータの電算システムで、下2けたを入れること。今、実際にeGFRを測定されている保険者さんのデータでしっかり分析をして、必要性について検討することが重要かと思います。
 もう1点ですけれども、尿蛋白が意外と軽視されているかもしれませんが、非常に重要な項目で、心血管疾患や透析を予防するうえで非常に重要なものになります。それから、糖尿病、高血圧の方は、受診していただいて、必ず腎機能も医療機関では診ていただいているということですが、高値のまま放置されることがないように、もし、クレアチニンが入らないということであれば、そのような取扱いを特定健診の場でしっかりと行っていただきたいと思います。
○多田羅座長 ありがとうございます。
 ほぼ予定の時間になってまいりました。ほかに特段なければ、この議題については、今日は御報告をお伺いしたということで、かなり具体的な御意見を伺うことができたと思います。ありがとうございます。
 それでは、今日の御意見など、健康局の方でも、ここでの御意見を御勘案いただいて、御検討いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、時間になりましたので、本日の検討会はこれにて閉会とさせていただきたいと思います。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 次回の開催につきましては、追って事務局より連絡させていただきたいと思います。
 本日は、皆様、御多忙のところを御出席いただいて、ありがとうございます。


(了)

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